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特表2023-514071硬化性シリコーン-アクリレート組成物、それによって調製された伝導性材料及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】硬化性シリコーン-アクリレート組成物、それによって調製された伝導性材料及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/14 20060101AFI20230329BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20230329BHJP
   C08L 83/08 20060101ALI20230329BHJP
   C08K 3/105 20180101ALI20230329BHJP
   C08G 59/30 20060101ALI20230329BHJP
   C08F 230/08 20060101ALI20230329BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230329BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
C08L33/14
C08L63/00 C
C08L83/08
C08K3/105
C08G59/30
C08F230/08
B32B27/00 101
B32B27/30 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544690
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 US2021014290
(87)【国際公開番号】W WO2021150666
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】62/964,455
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クーパー、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】メッカ、ジョディ エム.
(72)【発明者】
【氏名】イ、カンサン
(72)【発明者】
【氏名】アーン、トンチャン
(72)【発明者】
【氏名】マンゴールド、シェーン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、タン
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド、カイル
(72)【発明者】
【氏名】スーツマン、ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
4J036
4J100
【Fターム(参考)】
4F100AB10B
4F100AB24A
4F100AK25A
4F100AK52A
4F100AK53A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100CA23A
4F100EJ08A
4F100JB12A
4F100JG01A
4J002BG07W
4J002CD19W
4J002CP09X
4J002DA076
4J002DA086
4J002DA096
4J002DA106
4J002DA116
4J002DE076
4J002DE106
4J002DE136
4J002DE146
4J002DJ016
4J002GF00
4J036AK10
4J036DC48
4J036FB16
4J036JA08
4J100AL03P
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100AL10R
4J100BA28P
4J100BA28Q
4J100BA72P
4J100BA72Q
4J100BA76P
4J100BA76Q
4J100BA77P
4J100BA77Q
4J100CA05
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA09
4J100FA03
4J100FA04
4J100FA19
4J100JA57
(57)【要約】

硬化性組成物が開示される。硬化性組成物は、(I)エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー、(II)アミノシロキサン及び(III)伝導性充填剤を含む。エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマーは、シロキサン部分、エポキシド官能性部分及び任意選択的に、ヒドロカルビル部分を含むアクリレート由来のモノマー単位を含み、アミノシロキサンは、分子当たり平均して少なくとも2つのアミン官能基を含む。硬化性組成物を調製する方法、及びその硬化生成物も開示される。硬化性組成物を有する伝導性層を含む複合物品を形成する方法も開示される。方法は、硬化性組成物を基材上に配設することと、硬化性組成物を硬化させて、基材上に伝導性層を供給し、それにより複合物品を形成することと、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性組成物であって、
(I)エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマーであって、以下の一般単位式を有し、
【化1】
式中、各Rが、独立して、H及びCHから選択され、各Rが、独立して選択された置換又は非置換のヒドロカルビル基であり、各Dが、二価連結基であり、各Yが、独立して選択されたシロキサン部分であり、各Xが、独立して選択されたエポキシド官能性部分であり、下付き文字a≧1であり、下付き文字b≧1であり、下付き文字c≧0であり、下付き文字a、b及びcで示される単位が、任意の順序で前記シリコーン-アクリレートポリマー中にあり得る、エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマーと、
(II)分子当たり平均して少なくとも2つのアミン官能基を含むアミノシロキサンと、
(III)伝導性充填剤と、を含む、硬化性組成物。
【請求項2】
前記エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー(I)において、少なくとも1つのシロキサン部分Yが、一般式-Si(Rを有するシロキサン基を含み、式中、各Rが、独立して、R及び-OSi(Rから選択されるが、但し、少なくとも1つのRが-OSi(Rであることを条件とし、式中、各Rが、独立して、R、-OSi(R及び-[-D-SiR OSiR から選択され、式中、各Rが、独立して、R、-OSi(R及び-[-D-SiR OSiR から選択され、式中、各Rが、独立して、R及び-[-D-SiR OSiR から選択され、0≦m≦100であり、式中、各Dが、二価連結基であり、式中各Rが、独立して、置換又は非置換ヒドロカルビル基である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー(I)において、(i)各Rが、-OSi(Rであるか、(ii)各Rが、メチルであるか、(iii)少なくとも1つのRが、-OSi(R若しくは-[-D-SiR OSiR であるか、(iv)各Dが、独立して、O若しくはエチレンであるか、又は(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー(I)において、少なくとも1つのシロキサン部分Yが、以下の一般式を有するシロキサン基を含み、
【化2】
式中、0≦n≦100であり、下付き文字oが、2~6であり、下付き文字pが、0又は1であり、下付き文字qが、0又は1であり、下付き文字rが、0~9であり、下付き文字sが、0又は1であり、下付き文字tが、0又は2であるが、但し、下付き文字sが1であるとき、下付き文字tが0であり、下付き文字sが0であるとき、下付き文字tが2であることを条件とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー(I)において、各シロキサン部分Yが、独立して、以下の式(i)~(vii):
【化3】
のうちの1つを有するシロキサン基であり、式中、1≦n≦100であり、下付き文字rが、3~9である、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー(I)において、各二価連結基Dが、(i)2~6個の炭素原子を有する独立して選択された直鎖アルキレン基、(ii)三級アミノ基、又は(iii)(i)及び(ii)の両方を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー(I)において、(i)Rが、下付き文字aで示される各部分においてCHであるか、(ii)Rが、下付き文字bで示される各部分においてCHであるか、(iii)Rが、下付き文字cで示される各部分においてHであるか、(iv)各Rが、ブチルであるか、(v)各Xが、式
【化4】
のエポキシプロピル基であるか、(vi)下付き文字bが、下付き文字a、b及びcで示される合計単位の少なくとも30%である構成するか、又は(vii)(i)~(vi)の任意の組み合わせである、請求項1~6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記アミノシロキサン(II)が、一般平均単位式を有し、[R SiO(4-i)/2、式中、下付き文字h≧1であり、下付き文字iが、独立して、下付き文字hで示される各部分において1、2及び3から選択されるが、但し、h+i>2であることを条件とし、各Rが、独立して、ヒドロカルビル基、アルコキシ基及び/又はアリールオキシ基、シロキシ基並びにアミン官能性炭化水素基から選択されるが、但し、平均して少なくとも2つのRが分子当たりのアミン官能性炭化水素基であることを条件とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
前記アミノシロキサン(II)が、以下の一般式を有し、
[R SiO1/2[(HN-D-)(RSiO1/2x’[R SiO2/2[(HN-D-)(R)SiO2/2y’
式中、各Rが、独立して選択されたヒドロカルビル基であり、各Dが、独立して選択された二価連結基であり、下付き文字x、x’、y及びy’が各々、0≦x+x’<1、0<y+y’<1及びx’+y’>0であることを条件としてx+x’+y+y’=1であるようなモル分率である、請求項1~8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
(i)各Rが、CHであるか、(ii)各Dが、2~10個の炭素原子を有するアルキレン基であるか、(iii)xが、0であるか、(iv)y’が、0であるか、(v)前記アミノシロキサン(II)が、5~100の重合度を有するか、(vi)前記アミノシロキサン(II)が、25℃で200センチポアズ(cP)未満の動的粘度を示すか、(vii)前記アミノシロキサン(II)が、500~3000Daの分子量(Mw)を有するか、(viii)前記アミノシロキサン(II)が、エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー(I)と混和性であるか、又は(ix)(i)~(viii)の任意の組み合わせである、請求項9に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
前記伝導性充填剤(III)が、電気伝導性であるか、(ii)熱伝導性であるか、(iii)無機粒子を含むか、(iv)有機粒子を含むか、(v)表面処理粒子を含むか、又は(vi)(i)~(v)の任意の組み合わせである、請求項1~10のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
前記伝導性充填剤(III)が、(i)銀コーティングされた金属粒子を含むか、(ii)銀コーティングされた有機粒子を含むか、(iii)銀フレークを含むか、(iv)0.005~100μmの中央粒径を含むか、(v)1×10S/mの電気伝導率(K)を含むか、又は(vi)(i)~(v)の任意の組み合わせである、請求項1~11のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
成分(I)、(II)及び(III)の合計重量に基づいて、(i)5~20重量%の成分(I)、(ii)2~15重量%の成分(II)、(iii)65~83重量%の成分(III)、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項14】
(i)担体、(ii)成分(III)以外の充填剤、(iii)充填剤処理剤、(iv)表面改質剤、(v)界面活性剤、(vi)レオロジー調整剤、(vii)粘度調整剤、(viii)結合剤、(ix)増粘剤、(x)粘着付与剤、(xi)接着促進剤、(xii)消泡剤、(xiii)相溶化剤、(xiv)増量剤、(xv)可塑剤、(xvi)末端ブロック剤、(xvii)反応抑制剤、(xviii)乾燥剤、(xix)水放出剤、(xx)着色剤、(xxi)劣化防止添加剤、(xxii)殺生物剤、(xxiii)難燃剤、(xxiv)腐食抑制剤、(xxv)触媒阻害剤、(xxvi)UV吸収剤、(xxvii)酸化防止剤、(xxviii)光安定剤、(xxix)触媒、プロ触媒若しくは触媒発生剤、(xxx)開始剤、(xxxi)光酸発生剤、(xxxii)熱安定剤、又は(xxxiii)(i)~(xxxii)の組み合わせを更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項15】
前記硬化性組成物が、(i)担体ビヒクル、(ii)反応触媒若しくは促進剤、(iii)接着促進剤、(iv)電気伝導性充填剤、(v)ブリード抑制剤、又は(vi)成分(I)、(II)及び(III)以外の、(i)~(v)の任意の組み合わせを含まない、請求項1~14のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化生成物。
【請求項17】
前記硬化生成物が、伝導性接着剤として更に定義され、前記伝導性接着剤が、(i)体積抵抗率試験方法に従って測定された0.012オームセンチメートル未満の体積抵抗率、(ii)接着強度試験方法に従って測定された少なくとも0.4MPaの接着強度、(iii)ブリード試験方法に従って測定された15μm/分未満のブリード速度、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせを示す、請求項16に記載の硬化生成物。
【請求項18】
伝導性層を含む複合物品を形成する方法であって、前記方法が、
組成物を基材上に堆積させることと、
任意選択的に加熱を介して、前記組成物を硬化させて、前記基材上に前記伝導性層を供給し、それにより前記複合物品を形成することと、を含み、
前記組成物が、請求項1~15のいずれか一項に記載の硬化性組成物である、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法に従って形成された複合物品。
【請求項20】
前記基材が、機能性デバイスの構成要素を構成し、任意選択的に、前記機能性デバイスが、(i)光学デバイス、(ii)光電子デバイス、(iii)光機械デバイス、(iv)光磁気デバイス、(v)電気デバイス若しくは電子デバイス、(vi)電気光学デバイス、(vii)機械デバイス、(viii)マイクロ電気機械システムを含む電気機械デバイス、(ix)磁気デバイス、(x)光電気磁気デバイス、(xi)機械磁気デバイス、(xii)熱デバイス、(xiii)熱機械デバイス、(xiv)熱光学デバイス、(xv)熱電気若しくは熱電子デバイス、(xvi)熱磁気デバイス、又は(xvii)(i)~(xvi)の任意の組み合わせである、請求項19に記載の複合物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年1月22日に出願された米国仮特許出願第62/964,455号の優先権及びすべての利点を主張するものであり、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、シロキサン官能化ポリマーに関し、より具体的には、硬化性シリコーン官能化アクリレートポリマー及び硬化生成物を含む組成物、並びにそれによって調製された複合材料に関する。
【背景技術】
【0003】
シリコーンは、主にそれらの有する利点がそれらの炭素系類似物よりも顕著であるため、多くの市販用途に使用されるポリマー材料である。より厳密には重合シロキサン又はポリシロキサンと呼ばれるシリコーンは、無機ケイ素-酸素主鎖(...-Si-O-Si-O-Si-O-...)を有し、有機側基がケイ素原子に結合している。有機側基を用いて、これらの主鎖のうちの2つ又は3つ以上を一緒に連結することができる。-Si-O-鎖長、側基及び架橋を変化させることにより、多種多様な特性及び組成を有するシリコーンを合成することができ、シリコーン網目構造では、液体からゲル、ゴム、硬質プラスチックまで稠度が変化する。
【0004】
シリコーン及びシロキサン系材料は、当該技術分野で知られており、無数の最終用途及び環境で利用される。最も一般的なシリコーン材料は、シリコーン油である直鎖オルガノポリシロキサンポリジメチルシロキサン(PDMS)に基づくものである。そのようなオルガノポリシロキサンは、多くの産業、ホームケア及びパーソナルケア用配合物に利用される。シリコーン材料の2番目に大きな群は、分岐及びかご状オリゴシロキサンで形成されるシリコーン樹脂に基づくものである。残念ながら、オルガノポリシロキサンの特定の固有の属性(例えば、損失が少なく安定した光透過率、熱安定性及び酸化安定性など)の利益を得ることができる、ある特定の用途でのシロキサン系材料の使用は、従来のシリコーン網目構造の弱い機械的特性に起因して制限されたままであり、これは、低い引張強度、低い引裂強度などの不十分な又は好適ではない特徴を有する材料中に現れる場合がある。更に、従来のシリコーン網目構造及び炭素系ポリマーは、多くの場合、非相溶性であり、及び/又は互いに対して拮抗的な特性を保有している。
【発明の概要】
【0005】
硬化性組成物(「組成物」)が提供される。組成物は、(I)エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー(「シリコーン-アクリレートポリマー」)、(II)分子当たり平均して少なくとも2つのアミン官能基を含むアミノシロキサン及び(III)伝導性充填剤を含む。シリコーン-アクリレートポリマーは、以下の一般平均単位式(I)を有し、
【0006】
【化1】
式中、各Yが、独立して選択されたシロキサン部分であり、各Dが、二価連結基であり、各Xが、独立して選択されたエポキシド官能性部分であり、各Rが、独立して、H及びCHから選択され、各Rが、独立して選択された置換又は非置換のヒドロカルビル基であり、下付き文字a≧1であり、下付き文字b≧1であり、下付き文字c≧0であり、下付き文字a、b及びcで示される単位が、任意の順序でシリコーン-アクリレートポリマー中にあり得る。
【0007】
組成物を調製する方法及びその硬化生成物も提供される。硬化生成物は、シリコーン-アクリレートポリマーと、伝導性充填剤の存在下で形成されたアミノシロキサンとの反応生成物を含む。
【0008】
伝導性層を含む複合物品を形成する方法(「形成方法」)、及びそれによって形成された複合物品も提供される。形成方法は、組成物を基材上に配設することと、組成物を硬化させて、基材上に伝導性層を供給し、それにより複合物品を形成することと、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
硬化性組成物(「組成物」)が提供される。硬化性組成物は、(I)エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー、(II)分子当たり平均して少なくとも2つのアミン官能基を含むアミノシロキサン及び(III)伝導性充填剤を含む。以下に順番に説明される成分(I)、(II)及び(III)の他に、組成物は、特に限定されない。組成物は、担体ビヒクル、添加剤、反応物及び/又は補助剤を含まない場合も、代替的に、以下でも説明されるように、そのような成分のうちの1つ以上を含む場合もある。組成物は、複合材料、成形可能な光学素子、接着剤などにおいての又はそれらとしての使用に好適な機能性材料の調製におけるもの含む、多様な最終使用用途に関連して利用することができる。
【0010】
組成物の成分(I)は、エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー(すなわち、「シリコーン-アクリレートポリマー」)である。シリコーン-アクリレートポリマー(I)は、概して、アクリルオキシ官能性モノマーに由来する2つ又は3つ以上のモノマー単位を含み、したがって、アクリレート又はアクリルポリマー若しくはコポリマーとして特徴付けられても、定義されても、別様に称されてもよい。しかしながら、以下で説明され、本明細書における実施例によって例示されるように、シリコーン-アクリレートポリマー(I)は、アクリレート/アクリルオキシ官能基又はモノマー(例えば、他のポリマー部分、エンドキャッピング基など)とは無関係の官能基を含んでもよいが、それでもなお、当業者によって理解されるように、単純にアクリレートポリマーとして説明されても称されてもよい。シリコーン-アクリレートポリマー(I)は、エポキシド官能性であり、すなわち、以下の説明を考慮して理解されるように、少なくとも1つのエポキシド官能基を含み)、したがって、アミンなどのエポキシド反応性官能基を含む化合物、特にアミノシロキサン(II)と反応し得る(例えば、架橋反応などにおいて)。
【0011】
シリコーン-アクリレートポリマー(I)は、以下の一般平均単位式(I)を有し、
【0012】
【化2】
式中、各Yが、独立して選択されたシロキサン部分であり、各Dが、二価連結基であり、各Xが、独立して選択されたエポキシド官能性部分であり、各Rが、独立して、H及びCHから選択され、各Rが、独立して選択された置換又は非置換のヒドロカルビル基であり、下付き文字a≧1であり、下付き文字b≧1であり、下付き文字c≧0であり、下付き文字a、b及びcで示される単位が、任意の順序でシリコーン-アクリレートポリマー中にあり得る。
【0013】
式(I)に関して、上記で紹介するように、Yは、シロキサン部分を表す。概して、シロキサン部分Yは、シロキサンを含み、それ以外は特に限定されない。当該技術分野で理解されるように、シロキサンは、ケイ素原子に付着した有機ケイ素及び/又は有機側基を有する無機ケイ素-酸素-ケイ素基(すなわち、-Si-O-Si-)を含む。したがって、シロキサンは、一般式([RSiO(4-f)/2(R)3-gSi-で表すことができ、式中、下付き文字fが、独立して、下付き文字eで示される各部分において1、2及び3から選択され、下付き文字eが、少なくとも1であり、下付き文字gが、1、2又は3であり、各Rが、独立して、ヒドロカルビル基、アルコキシ基及び/又はアリールオキシ基並びにシロキシ基から選択される。
【0014】
Rに好適なヒドロカルビル基としては、一価の炭化水素部分並びにその誘導体及び改質物が挙げられ、これらは、独立して、置換若しくは非置換、直鎖、分岐、環状又はそれらの組み合わせ、並びに飽和若しくは不飽和であり得る。そのようなヒドロカルビル基に関して、「非置換」という用語は、炭素及び水素原子、すなわちヘテロ原子置換基なしで構成された炭化水素部分を説明する。「置換された」という用語は、少なくとも1つの水素原子が水素以外の原子又は基(例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミン基など)で置換されるか(すなわち、ペンダント又は末端置換基として)、炭化水素の鎖/骨格内の炭素原子が炭素以外の原子(例えば、酸素、硫黄、窒素などのヘテロ原子)で置換されるか(すなわち、鎖/骨格の一部として)、又はこれらの両方である炭化水素部分を説明している。したがって、好適なヒドロカルビル基は、その炭素鎖/骨格内に及び/又はその上に(すなわち、それに付加された及び/又はそれと一体の)1つ以上の置換基を有する炭化水素部分を含んでもそれであってもよく、その結果、炭化水素部分は、エーテル、エステルなどを含んでもそれらであってもよい。直鎖及び分岐炭化水素基は、独立して、飽和又は不飽和であり得、不飽和である場合、共役又は非共役であり得る。環状ヒドロカルビル基は、独立して、単環式又は多環式であり得、芳香族、飽和並びに非芳香族及び/又は非共役などであり得るシクロアルキル基、アリール基及び複素環を包含する。直鎖及び環状ヒドロカルビル基の組み合わせの例としては、アルカリール基、アラルキル基などが挙げられる。ヒドロカルビル基に又はそれとして使用するのに好適な炭化水素部分の一般例としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ハロカーボン基及び同様のもの、並びにそれらの誘導体、改質物及び組み合わせが挙げられる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル及び同様のもの(すなわち、例えば6個超の炭素原子を有する他の直鎖又は分岐飽和炭化水素基)が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、ジメチルフェニル及び同様のもの、並びにそれらの誘導体及び改質物が挙げられ、これらは、アルカリール基(例えば、ベンジル)及びアラルキル基(例えば、トリル、ジメチルフェニルなど)と重複し得る。アルケニル基の例としては、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、ヘプテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル基及び同様のもの、並びにそれらの誘導体及び改質物が挙げられる。ハロカーボン基の一般例としては、ハロゲン化アルキル基(例えば、1つ以上の水素原子がF又はClなどのハロゲン原子で置換されている、上述のアルキル基のいずれか)、アリール基(例えば、1つ以上の水素原子がF又はClなどのハロゲン原子で置換されている、上述のアリール基のいずれか)及びそれらの組み合わせなどの上記の炭化水素部分のハロゲン化誘導体が挙げられる。ハロゲン化アルキル基の例としては、フルオロメチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル及び8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル、3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチル、クロロメチル、クロロプロピル、2-ジクロロシクロプロピル、2,3-ジクロロシクロペンチル及び同様のもの、並びにそれらの誘導体及び改質物が挙げられる。ハロゲン化アリール基の例としては、クロロベンジル、ペンタフルオロフェニル、フルオロベンジル基及び同様のもの、並びにそれらの誘導体及び改質物が挙げられる。
【0015】
Rに好適なアルコキシ基及びアリールオキシ基としては、一般式-ORを有するものが挙げられ、式中、Rが、Rに関して上に記載されたヒドロカルビル基のうちの1つである。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ベンジルオキシ及び同様のもの、並びにそれらの誘導体及び改質物が挙げられる。アリールオキシ基の例としては、フェノキシ、トリルオキシ、ペンタフルオロフェノキシ及び同様のもの、並びにそれらの誘導体及び改質物が挙げられる。
【0016】
Rに好適なシロキシ基の例としては、[M]、[D]、[T]及び[Q]単位が挙げられ、当該技術分野で理解されるように、各々が、オルガノシロキサン及びオルガノポリシロキサンなどのシロキサン中に存在する個々の官能基の構造単位を表す。より具体的には、[M]は、一般式Rii SiO1/2単官能性単位を表し、[D]は、一般式Rii SiO2/2の二官能性単位を表し、以下の一般構造部分で示されるように、[T]は、一般式RiiSiO3/2の三官能性単位を表し、[Q]は、一般式SiO4/2の四官能性単位を表す:
【0017】
【化3】
【0018】
これらの一般的な構造部分では、各Riiは、独立して、一価又は多価の置換基である。当該技術分野で理解されるように、各Riiに好適な具体的な置換基は、限定されるものではなく、単原子又は多原子、有機又は無機、直鎖又は分岐、置換又は非置換、芳香族、脂肪族、飽和又は不飽和及びそれらの組み合わせであり得る。典型的には、各Riiは、独立して、ヒドロカルビル基、アルコキシ基及び/又はアリールオキシ基並びにシロキシ基から選択される。したがって、各Riiは、独立して、式-Rのヒドロカルビル基又は式-OR[式中、Rが、上記で定義されたとおりである(例えば、Rに関して上に記載されたヒドロカルビル基のいずれかを含む)]のアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、あるいは上述の[M]、[D]、[T]及び/又は[Q]単位のいずれか1つ又は組み合わせで表されるシロキシ基であり得る。
【0019】
シロキサン部分Yは、例えば、その中に存在する[M]、[D]、[T]及び/又は[Q]シロキシ単位の数並びに配置に基づいて、直鎖、分岐又はそれらの組み合わせであり得る。分岐である場合、シロキサン部分Yは、最小分岐であっても、代替的に、超分岐及び/又は樹枝状であってもよい。
【0020】
ある特定の実施形態では、シロキサン部分Yは、一般式-Si(Rを有する分岐シロキサン部分であり、式中、少なくとも1つのRが、-OSi(Rであり、各他のRが、独立して、R及び-OSi(Rから選択される。そのような実施形態では、各Rは、独立して、R、-OSi(R及び-[-D-SiR OSiR から選択され、式中、各Rが、独立して、R、-OSi(R及び-[-D-SiR OSiR から選択され、式中、各Rが、独立して、R及び-[-D-SiR OSiR から選択される。各選択において、Rは、Rに関して上述したもののいずれかなど、独立して選択された置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、Dは、下付き文字mで示される各部分において個々に選択された二価連結基であり、各下付き文字mは、0≦m≦100になるように個々に選択される(すなわち、該当する場合は各選択において)。
【0021】
のそのような分岐シロキサン部分では、各二価連結基Dは、典型的には、酸素(すなわち、-O-)及び二価炭化水素基から選択される。そのような炭化水素基の例としては、Rに関して上に記載されたもののいずれかなど、上述のヒドロカルビル及び炭化水素基の二価形態が挙げられる。したがって、二価連結基Dに好適な炭化水素基は、置換又は非置換並びに直鎖、分岐及び/又は環状であり得ることが理解されよう。しかしながら、典型的には、二価連結基Dが二価炭化水素基である場合、Dは、エチレン、プロピレン、ブチレンなどの非置換直鎖アルキレン基から選択される。
【0022】
ある特定の実施形態では、各二価連結基Dは、酸素(すなわち、-O-)であり、その結果、各Rは、独立して、R、-OSi(R及び-[OSiR OSiR から選択され、各Rは、独立して、R、-OSi(R及び-[OSiR OSiR から選択され、Rは、独立して、R及び-[OSiR OSiR から選択され、式中、各Rが、上記で定義及び説明されたとおりであり、各下付き文字mが、上記で定義され、以下で説明されるとおりである。
【0023】
上記で紹介されたように、各Rは、R及び-OSi(Rから選択されるが、但し、少なくとも1つのRが式-OSi(Rのものであることを条件とする。ある特定の実施形態では、少なくとも2つのRは、式-OSi(Rのものである。特定の実施形態では、各Rは、式-OSi(Rのものである。-OSi(RであるRの数が多いほど、シロキサン部分Y中の分岐のレベルが増加することが理解されよう。例えば、各Rが-OSi(Rである場合、各Rが結合するケイ素原子は、[T]シロキシ単位である。代替的に、単に2つのRが式-OSi(Rものである場合、各Rが結合するケイ素原子は、[D]シロキシ単位である。更に、いずれのRも式-OSi(Rのものであり、式中、これらのRのうちの少なくとも1つが、式-OSi(Rのものである場合、更なるシロキサン結合及び分岐は、シロキサン部分Y中に存在する。これは更に、いずれのRも式-OSi(Rのものである場合にもあてはまる。したがって、シロキサン部分Y中の後続の各R5+n部分は、その特定の選択に依存して、分岐の更なる発生を付与することができることは、当業者には理解されるであろう。例えば、少なくとも1つのRは、式-OSi(Rのものであり、式中、これらのRのうちの少なくとも1つが、式-OSi(Rのものであり得る。したがって、各置換基の選択に依存して、[T]及び/又は[Q]シロキシ単位に帰される更なる分岐は、シロキサン部分Y中に存在し得る(すなわち、上述の他の置換基/部分のこれらの他に)。
【0024】
各Rは、独立して、R、-OSi(R及び-[-D-SiR OSiR から選択され、式中、各R、D及びRが、上記で定義及び説明されたとおりであり、各下付き文字mが、上記で定義され、以下で説明されるとおりである。例えば、Dが酸素(すなわち、-O-)である場合、Rは、R、-OSi(R及び-[OSiR OSiR から選択され、式中、0≦m≦100である。R及びRの選択に依存して、更なる分岐が、シロキサン部分Y中に存在し得る。例えば、各RがRである場合には、各-OSi(R部分(すなわち、式-OSi(Rの各R)は、末端[M]シロキシ単位である。言い換えれば、各Rが-OSi(Rであり、各RがRである場合には、各Rは、-OSiR (すなわち、[M]シロキシ単位)と書き表すことができる。そのような実施形態では、シロキサン部分Yは、式(I)における基Dに結合した[T]シロキシ単位を含み、この[T]シロキシ単位は、3つの[M]シロキシ単位によってキャップされている。更に、Rが式-[-D-SiR OSiR のものであり、Dが酸素(すなわち、-O-)である場合、シロキサン部分Yは、任意選択の[D]シロキシ単位(すなわち、下付き文字mで示される各部分中のこれらのシロキシ単位)及び[M]シロキシ単位(すなわち、OSiR で表される)を含む。したがって、各Rが式-OSi(Rのものであり、Rが式-[-D-SiR OSiR のものであり、各Dが酸素(すなわち、-O-)である場合には、各Rは、[Q]シロキシ単位を含む。より具体的には、そのような実施形態では、各Rは、各下付き文字mが0の場合、各Rが3つの[M]シロキシ単位でエンドキャップされた[Q]シロキシ単位であるような式-OSi([OSiR OSiR のものである。同じように、下付き文字mが0超である場合、各Rは、下付き文字mに帰される重合度を有する直鎖部分(すなわち、ジオルガノシロキサン部分)を含む。
【0025】
上に記載されるように、各Rはまた、式-OSi(Rであり得る。1つ以上のRが式-OSi(Rのものである実施形態では、Rの選択に依存して、更なる分岐がシロキサン部分Y中に存在し得る。より具体的には、各Rは、R、-OSi(R及び-[-D-SiR OSiR から選択され、式中、各Rが、R及び-[-D-SiR OSiR から選択され、式中、各下付き文字mが、上記で定義されている。例えば、いくつかの実施形態では、各Dは、酸素(すなわち、-O-)であり、その結果、各Rは、R、-OSi(R及び-[OSiR OSiR から選択され、式中、各Rが、R及び-[OSiR OSiR から選択され、式中、下付き文字mが、上記で定義され、以下で説明されるとおりである。
【0026】
の分岐シロキサン部分に関して上記で紹介されたように、下付き文字mは、0~100、代替的に0~80、代替的に0~60、代替的に0~40、代替的に0~20、代替的に0~19、代替的に0~18、代替的に0~17、代替的に0~16、代替的に0~15、代替的に0~14、代替的に0~13、代替的に0~12、代替的に0~11、代替的に0~10、代替的に0~9、代替的に0~8、代替的に0~7、代替的に0~6、代替的に0~5、代替的に0~4、代替的に0~3、代替的に0~2、代替的に0~1であり(を含み)、代替的に0である。ある特定の実施形態では、各下付き文字mは0であり、その結果、シロキサン部分Yは、[D]シロキシ単位を含まない。
【0027】
重要なことに、R、R、R、R及びRの各々は、独立して選択される。したがって、これらの置換基の各々に関する上記の説明は、各置換基が同じであることを意味するとするものでもなく、示すものでもない。むしろ、Rに関する上記の任意の説明は、例えば、1つのみのRに関するものであっても、シロキサン部分Y中の任意の数のRに関するものであってもよく、以降同様に続く。加えて、R、R、R、R及びRの異なる選択により、同じ構造を得ることができる。例えば、特定のRが-OSi(Rであり、式中、各Rが、-OSi(Rであり、式中、各Rが、Rである場合には、その特定のRは、-OSi(OSiR と書き表すことができる。同様に、特定のRが-OSi(Rであり、式中、各Rが、-[-D-SiR OSiR であり、式中、下付き文字mが、0である場合、その特定のRは、-OSi(OSiR と書き表すことができる。示されるように、これらの特定の選択により、Rについての異なる選択に基づいて、Rについて同じ最終構造が得られる。その目的で、シロキサン部分Yの最終構造に対する限定のいかなる条件も、条件に必要とされる同じ構造をもたらす代替的な選択によって満たされるとみなされたい。
【0028】
ある特定の実施形態では、各Rは、独立して選択されたアルキル基である。いくつかのそのような実施形態では、各Rは、1~10個、代替的に1~8個、代替的に1~6個、代替的に1~4個、代替的に1~3個、代替的に1個~2個の炭素原子を有する独立して選択されたアルキル基である。
【0029】
特定の実施形態では、各Rはメチルであり、シロキサン部分Yは、以下の構造(i)~(iv)のうちの1つを有する:
【0030】
【化4】
【0031】
ある特定の実施形態では、シロキサン部分Yは、以下の一般式を有する直鎖シロキサン部分であり、
【0032】
【化5】
式中、0≦n≦100であり、下付き文字oが、2~6であり、下付き文字pが、0又は1であり、下付き文字qが、0又は1であり、下付き文字rが、0~9であり、下付き文字sが、0又は1であり、下付き文字tが、0又は2であり、s+t>0であり、各Rが、独立して選択され、上記で定義されたとおりである。例えば、いくつかのそのような実施形態では、各Rは、メチルであり、その結果、シロキサン部分Yは、以下の一般式を有する直鎖シロキサン部分であり、
【0033】
【化6】
式中、下付き文字n、o、p、q、r、s及びtが、上記で定義されたとおりである。しかしながら、いずれのRも、上述のものなどの他のヒドロカルビル基から選択され得ることを理解されたい。
【0034】
概して、Yの直鎖シロキサン部分に関して、下付き文字nは、上記の下付き文字mと同等であり、したがって、0(を含む)~100の値を表す。同じように、下付き文字nは、0~60、代替的に0~40、代替的に0~20、代替的に0~19、代替的に0~18、代替的に0~17、代替的に0~16、代替的に0~15、代替的に0~14、代替的に0~13、代替的に0~12、代替的に0~11、代替的に0~10、代替的に0~9、代替的に0~8、代替的に0~7、代替的に0~6、代替的に0~5、代替的に0~4、代替的に0~3、代替的に0~2、代替的に0~1など、0~80であり得、代替的に0である。ある特定の実施形態では、下付き文字nは0であり、その結果、直鎖シロキサン部分Yは、下付き文字qで示されるセグメント中に[D]シロキシ単位を含まない(すなわち、qが1である場合)。しかしながら、他の実施形態では、下付き文字qは1であり、下付き文字nは≧1であり、その結果、下付き文字qで示される直鎖シロキサン部分Yのセグメント1は、少なくとも1つの[D]シロキシ単位を含む。例えば、そのような実施形態では、下付き文字nは、5~100、代替的に5~90、代替的に5~80、代替的に5~70、代替的に7~70など、1~100であり、その結果、下付き文字qで示される直鎖シロキサン部分Yのセグメントは、それらの範囲のうちの1つに多数の[D]シロキシ単位を含む。
【0035】
下付き文字oは、2~6であり、その結果、下付き文字oで示されるセグメントは、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン又はヘキシレン基などのC~Cアルキレン基である。同じように、下付き文字rは、0~9であり、rが≧1である場合、下付き文字rで示されるセグメントは、下付き文字0に関して上述したもののいずれか、又はヘプチレン、オクチレン若しくはノニレン基などのC~Cアルキレン基である。
【0036】
下付き文字s及びtは、直鎖シロキサン部分Yの末端ケイ素原子の置換を表す。概して、下付き文字s及びtのうちの少なくとも1つは、>0(すなわち、s+t>0)である。例えば、ある特定の実施形態では、下付き文字sは1であり、下付き文字tは0である。他の実施形態では、下付き文字sは0であり、下付き文字tは2である。特定の実施形態では、上記の直鎖シロキサン部分Yの一般式は、下付き文字sが1である場合、下付き文字tは0であり、下付き文字sが0である場合、下付き文字tは2であるという条件を受ける。
【0037】
いくつかの実施形態では、下付き文字qは0であり、下付き文字tは2であり、その結果、Yは、一般式:
【0038】
【化7】
のMD’Mシロキサンであり、式中、各R、下付き文字r及び下付き文字sが、上で定義されたとおりである。当業者は、そのような実施形態では、先行する一般式内での異なる選択が、直鎖シロキサン部分Yの同じ特定の構造を達成することを認識するであろう。特に、下付き文字rが0である場合、直鎖シロキサン部分Yは、0又は1のような下付き文字sの選択とは関係なく、式--Si(OSiR (R)のMD’Mシロキサンであろう。例えば、ある特定の実施形態では、下付き文字qは0であり、下付き文字rは0であり、下付き文字tは2であり、各Rはメチルであり、その結果、Yは、式:
【0039】
【化8】
のMD’Mシロキサンである。
【0040】
特定の実施形態では、下付き文字pは0であり、下付き文字qは1であり、下付き文字sは1であり、下付き文字tは0であり、各Rは、メチルであり、その結果、Yは、式:
【0041】
【化9】
を有し、式中、下付き文字n及びrが、上記で定義及び説明されたとおりである。いくつかのそのような実施形態では、下付き文字rは、4又は6である。これら又は他のそのような実施形態では、下付き文字nは、5~70など、≧1である。
【0042】
ある特定の実施形態では、下付き文字qは1であり、下付き文字pは1であり、下付き文字nは1であり、その結果、Yは、式:
【0043】
【化10】
を有し、式中、各R、並びに下付き文字o、r、s及びtが、上記で定義されたとおりである。例えば、ある特定のそのような実施形態では、下付き文字oは2であり、下付き文字sは0であり、下付き文字tは2であり、各Rは、メチルである。他のそのような実施形態では、下付き文字oは2であり、下付き文字sは1であり、下付き文字rは0であり、下付き文字tは2であり、各Rはメチルである。先行する実施形態の両方では、Yは、式:
【0044】
【化11】
を有する。
【0045】
更に式(I)に関して、上記で紹介されたように、各Dは、独立して選択された二価連結基である。Dに好適な二価連結基は、特に限定されない。典型的には、二価連結基Dは、二価の炭化水素基から選択される。そのような炭化水素基の例としては、Rに関して上に記載されたもののいずれかなど、上述されたヒドロカルビル及び炭化水素基の二価形態が挙げられる。したがって、二価連結基Dに好適な炭化水素基は、置換又は非置換並びに直鎖、分岐及び/又は環状であり得ることが理解されよう。
【0046】
いくつかの実施形態では、二価連結基Dは、置換若しくは非置換アルキル基、アルキレン基などの直鎖又は分岐炭化水素部分を含むか、代替的にそれである。例えば、ある特定の実施形態では、二価連結基Dは、式-(CH-を有する直鎖炭化水素部分などのC~C18炭化水素部分を含むか、代替的にそれであり、式中、下付き文字dが、1~18である。いくつかのそのような実施形態では、下付き文字dは、1~12、代替的に1~10、代替的に1~8、代替的に1~6、代替的に2~6、代替的に2~4など、1~16である。特定の実施形態では、下付き文字dは3であり、その結果、二価連結基Dは、プロピレン(すなわち、3個の炭素原子の鎖)を含むか、代替的にそれである。当業者には理解されるように、下付き文字dで表される各単位はメチレン単位であり、その結果、直鎖炭化水素部分は、アルキレン基と定義されても、別様にアルキレン基と称されてもよい。各メチレン基は、独立して、非置換及び非分岐、又は置換(例えば、水素原子が非水素原子又は基で置換されている)及び/又は分岐(例えば、水素原子がアルキル基で置換されている)であり得ることも理解されよう。ある特定の実施形態では、二価連結基Dは、非置換アルキレン基を含むか、代替的にそれである。
【0047】
いくつかの実施形態では、二価連結基Dは、置換アルキレン基などの置換炭化水素部分を含むか、代替的にそれである。そのような実施形態では、二価連結基Dは、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、N、Sなど)を有する炭素骨格を含み得、その結果、骨格は、エーテル部分、アミン部分などを含む。例えば、特定の実施形態では、二価連結基Dは、アミノ置換炭化水素基(すなわち、窒素置換炭素鎖/骨格を含む炭化水素)を含むか、代替的にそれである。例えば、いくつかのそのような実施形態では、二価連結基Dは、式-D-N(R)-D-を有するアミノ置換炭化水素であり、式中、各Dが、独立して選択された二価炭化水素基であり、Rが、上記で定義されたとおりである(すなわち、アルキル基(例えば、メチル、エチルなど)などのヒドロカルビル基)。ある特定の実施形態では、Rは、先行する式のアミノ置換炭化水素中のメチルである。各Dは、典型的には、二価連結基Dに関して上述されたもののいずれかなどの独立して選択されたアルキレン基を含む。例えば、いくつかの実施形態では、各Dは、独立して、2~8個、代替的に2~6個、代替的に2~4個の炭素原子など、1~8個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。ある特定の実施形態では、各Dは、プロピレン(すなわち、-(CH-)である。しかしながら、一方又は両方のDは、別の二価連結基(すなわち、上述されたアルキレン基を除いて)であっても、それを含んでもよいことを理解されたい。更に、各Dは、置換若しくは非置換、直鎖若しくは分岐及びそれらの様々な組み合わせであり得る。
【0048】
引き続き式(I)に関して、上記で紹介されたように、Xは、エポキシド官能性部分、すなわちエポキシド基を含む部分を表す。エポキシド基は、特に限定されず、エポキシド(例えば、2個の炭素の3原子環状エーテル)を含む任意の基であってもよい。例えば、Xは、環状エポキシド若しくは直鎖エポキシドを含んでも、それらであってもよい。当業者には理解されるように、エポキシド(例えばエポキシド基)は、2つのエポキシド炭素が構成する炭素鎖骨格(例えば、アルケンのエポキシ化から誘導されるエポキシアルカン)の点から概略的に記載されている。例えば、直鎖エポキシドは、概して、同じ酸素原子に結合した2個の隣接する炭素原子を含む直鎖炭化水素を含む。同様に、環状エポキシドは、概して、同じ酸素原子に結合した2個の隣接する炭素原子を含む環状炭化水素を含み、隣接する炭素原子の少なくとも1つ、典型的には両方ともが環状構造の環にある(即ち、エポキシド環及び炭化水素環の両方の一部を成す)。エポキシドは、末端エポキシド又は内部エポキシドであってもよい。Xに好適なエポキシドの具体例としては、エポキシアルキル基(例えば、エポキシエチル基、エポキシプロピル基(すなわち、オキシラニルメチル基)、オキシラニルブチル基、エポキシヘキシル基、オキシラニルオクチル基など)、エポキシシクロアルキル基(例えば、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基など)、グリシジルオキシアルキル基(例えば、3-グリシジルオキシプロピル基、4-グリシジルオキシブチル基など)及び同様のものが挙げられる。当業者は、そのようなエポキシド基が置換又は非置換であり得ることを理解するであろう。
【0049】
ある特定の実施形態では、Xは、式
【0050】
【化12】
のエポキシエチル基又は式
【0051】
【化13】
のエポキシシクロヘキシル基で置換されたヒドロカルビル基を含むか、代替的にそれらである。特定の実施形態では、Xは、式
【0052】
【化14】
のエポキシプロピル基である。
【0053】
更に式(I)に関して、上記で紹介されたように、各Rは、独立して、H及びCHから選択される。言い換えれば、Rは、独立して、下付き文字aで示される各部分におけるH又はCHであり、独立して、下付き文字bで示される各部分におけるH又はCHであり、独立して、下付き文字cで示される各部分におけるH又はCHである。ある特定の実施形態では、Rは、下付き文字aで示される各部分におけるCHである。これら又は他の実施形態では、Rは、下付き文字bで示される各部分におけるCHである。これら又は他の実施形態では、Rは、下付き文字cで示される各部分におけるCHである。ある特定の実施形態では、Rは、下付き文字a及びbで示される各部分におけるCHであり、Rは、下付き文字cによって示される各部分におけるHである。しかしながら、下付き文字a、b及び/又はcで示されるその部分は、異なるR基の混合物を含み得ることが理解されよう。例えば、ある特定の実施形態では、Rは、下付き文字cで示される部分の過半量でHであり、Rは、下付き文字cで示される残りの部分におけるCHである。
【0054】
更に式(I)に関して、上記で紹介されたように、Rは、置換又は非置換ヒドロカルビル基を表す。そのようなヒドロカルビル基の例としては、Rに関して上述されたものが挙げられる。
【0055】
いくつかの実施形態では、各Rは、1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。ある特定のそのような実施形態では、Rは、アルキル基を含むか、代替的にそれである。好適なアルキル基としては、直鎖、分岐、環状(例えば、単環式又は多環式)又はそれらの組み合わせであり得る飽和アルキル基が挙げられる。そのようなアルキル基の例としては、一般式C2j-2k+1を有するものが挙げられ、式中、下付き文字jが、1~20(すなわち、アルキル基中に存在する炭素原子の数)であり、下付き文字kが、独立した環/環状ループの数であり、下付き文字jで指示される少なくとも1つの炭素原子が、上記の式(I)においてRに結合したカルボキシル酸素に結合している。そのようなアルキル基の直鎖及び分岐異性体(すなわち、アルキル基が、下付き文字k=0であるように、環状基を含まない場合)の例としては、一般式C2j+1を有するものが挙げられ、式中、下付き文字jが、上記で定義されたとおりであり、下付き文字jで指示される少なくとも1つの炭素原子が、上記の式(I)においてRに結合して示されるカルボキシル酸素に結合している。単環式アルキル基の例としては、一般式C2j-1を有するものが挙げられ、式中、下付き文字jが、上記で定義されたとおりであり、下付き文字jで指示される少なくとも1つの炭素原子が、上記の式(I)においてRに結合して示されるカルボキシル酸素に結合している。そのようなアルキル基の具体例としては、それらの直鎖、分岐及び/又は環状異性体を含む、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基並びにエイコシル基が挙げられる。例えば、ペンチル基は、n-ペンチル(すなわち、直鎖異性体)及びシクロペンチル(すなわち、環状異性体)並びにイソペンチル(すなわち、3-メチルブチル)、ネオペンチル(すなわち、2,2-ジメチルプロピ(dimethylpropy))、tert-ペンチル(すなわち、2-メチルブタン-2-イル)、sec-ペンチル(すなわち、ペンタン-2-イル)、sec-イソペンチル(すなわち、3-メチルブタン-2-イル)など)、3-ペンチル(すなわち、ペンタン-3-イル)及び活性ペンチル(すなわち、2-メチルブチル)などの分岐異性体を包含する。
【0056】
ある特定の実施形態では、各Rは、独立して、1~8個、代替的に2~8個、代替的に2~6個の炭素原子など、1~12個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。そのような実施形態では、各Rは、典型的には、メチル基、エチル基、プロピル基(例えば、n-プロピル及びイソ-プロピル基)、ブチル基(例えば、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル及びtert-ブチル基)、ペンチル基(例えば、上述のもの)、ヘキシル基、ヘプチル基など、及び同様のもの、並びにそれらの誘導体及び/又は改質物から選択される。そのようなアルキル基の誘導体及び/又は改質物の例としては、それらの置換バージョンが挙げられる。例えば、Rは、ヒドロキシルエチル基を含み得るか、代替的にそれであり得、これは、上述のエチル基の誘導体及び/又は改質物であると理解されよう。同じように、Rは、アセトアセトキシエチル基を含み得、代替的にそれであり得、これはまた、上述のエチル基の誘導体及び/又は改質物(例えば、アセトアセトキシ置換エチル基として)並びに上述の他のヒドロカルビル基の誘導体及び/又は改質物(例えば、エステル及びケトンで置換されたヘキシル基など)であると理解されよう。
【0057】
ある特定の実施形態では、各Rは、独立して、エチル、n-ブチル、イソブチル、イソボルニル、シクロヘキシル、ネオペンチル、2-エチルヘキシル、ヒドロキシエチル及びアセトアセトキシエチル基から選択される。特定の実施形態では、少なくとも1つのRは、ブチル基(例えば、n-ブチル)である。
【0058】
下付き文字a、b及びcは、上記の式(I)に示されるモノマー単位の数を表し、ここで、シリコーン-アクリレートポリマー(I)は、少なくとも1の下付き文字aで示される部分(すなわち、下付き文字a≧1)、少なくとも1の下付き文字bで示される部分(すなわち、下付き文字b≧1)及び任意選択的に、1又は2以上の下付き文字cで示される部分(すなわち、下付き文字c≧0)を含む。言い換えれば、概して、下付き文字aは、少なくとも1であり、代替的に1超であり、下付き文字bは、少なくとも1であり、代替的に1超であり、下付き文字cは0、1又は1超である。ある特定の実施形態では、下付き文字aは、1~80、代替的に1~70、代替的に1~60、代替的に1~50、代替的に1~40、代替的に1~30、代替的に1~25、代替的に5~25など、1~100の値である。これら又は他の実施形態では、下付き文字bは、1~80、代替的に1~70、代替的に1~60、代替的に1~50、代替的に1~40、代替的に1~30、代替的に1~20、代替的に1~10など、1~100の値である。ある特定の実施形態では、下付き文字bは、2~25、代替的に2~20、代替的に2~10、代替的に2~5など、2~30の値である。特定の実施形態では、下付き文字cは、0である。他の実施形態では、下付き文字c≧1である。例えば、いくつかのそのような実施形態では、下付き文字cは、1~80、代替的に1~70、代替的に1~60、代替的に1~50、代替的に1~40、代替的に1~30、代替的に1~20、代替的に1~15など、1~100の値である。いくつかの実施形態では、シリコーン-アクリレートポリマー(I)は、2~50、代替的に5~50、代替的に10~50など、2~100の重合度(DP)を有する。
【0059】
ある特定の実施形態では、下付き文字bで示される部分(すなわち、エポキシド官能性部分Xを含むモノマー単位)は、シリコーン-アクリレートポリマー(I)中のモノマー単位の総数の少なくとも30%(すなわち、b≧[0.3(a+b+c)]、又はシリコーン-アクリレートポリマー(I)の少なくとも30モル%)を構成する。特定の実施形態では、シリコーン-アクリレートポリマー(I)は、モノマー単位a、b及びcの総量に基づいて、少なくとも35、代替的に少なくとも40、代替的に40~60、代替的に40~50モル%の量で、下付き文字bで示される部分を含む。いくつかの実施形態では、シリコーン-アクリレートポリマー(I)は、シリコーン-アクリレートポリマー(I)を調製するために利用されるモノマーの総重量に基づいて、10~30、代替的に15~30重量%など、10~40重量%の下付き文字bで示される部分を含む。
【0060】
下付き文字a、b及びcで示される部分が独立して選択されることが理解されよう。したがって、例えば、下付き文字aが少なくとも2である場合、シリコーン-アクリレートポリマーは、下付き文字aで示される2つ以上の部分を含み得る(すなわち、R、D及び/又はYの異なる選択によって互いとは異なる)。同じように、下付き文字bが少なくとも2である場合、シリコーン-アクリレートポリマーは、下付き文字bで示される2つ以上の部分を含み得る(すなわち、R及び/又はXの異なる選択によって互いとは異なる)。同様に、下付き文字cが少なくとも2である場合、シリコーン-アクリレートポリマーは、下付き文字cで示される2つ以上の部分を含み得る(すなわち、R及び/又はRの異なる選択によって互いとは異なる)。例えば、ある特定の実施形態では、下付き文字cは0であり、シリコーン-アクリレートポリマー(I)は、Yの異なる選択によって互いとは異なる下付き文字aを示す2つ以上の部分を含み、その結果、上記の式(I)は、以下の一般的な単位式に書き換えることができ、
【0061】
【化15】
式中、Y及びYが、上述のシロキサン部分Yの異なる選択であり、下付き文字a’が、≧1であり、下付き文字a’’が、≧1であり、a’+a”=a(すなわち、下付き文字a’及びa’’の合計が、上述の式(I)の下付き文字aに等しい)であり、各R、D、X及び下付き文字bが、上記で定義及び説明されたとおりである。いくつかのそのような実施形態では、例えば、各Yは、独立して、一般式-Si(R有する分岐シロキサン部分であり、各Yは、独立して、以下の一般式を有する直鎖シロキサン部分であり、
【0062】
【化16】
式中、各変数が、シロキサン部分Yの同じ特定の部分に関して上述のとおりである。当業者は、シリコーン-アクリレートポリマー(I)内の他の組み合わせ及び変形例が、すなわち、下付き文字a、b及びcで示される部分に関して、本明細書の説明及び実施例の限度内で等しく可能であることを理解するであろう。
【0063】
ある特定の実施形態では、シリコーン-アクリレートポリマー(I)は、少なくとも500Da及び75000Da未満の重量平均分子量(Mw)を含む。例えば、シリコーン-アクリレートポリマー(I)は、500~70000、代替的に1000~70000、代替的に1000~60000、代替的に1000~50000、代替的に2000~50000、代替的に2500~50000DaのMwを含み得る。ある特定の実施形態では、シリコーン-アクリレートポリマー(I)は、少なくとも500Da及び7500Da未満の数平均分子量(Mn)を含む。例えば、シリコーン-アクリレートポリマー(I)は、500~70,000、代替的に1000~70000、代替的に1000~60000、代替的に1000~50000、代替的に1000~40000、代替的に1000~35000、代替的に2000~35000、代替的に2500~35000DaのMnを含み得る。ある特定の実施形態では、シリコーン-アクリレートポリマーは、1000~50000、代替的に2000~45000、代替的に3000~45000Daのピーク分子量(Mp)(すなわち、分子量分布のモードを表す平均分子量)を含む。特定の実施形態では、シリコーン-アクリレートポリマーは、1000~15000、代替的に1000~10000、代替的に1000~5000Daなど、1000~20000のピーク分子量(Mp)を含む。シリコーン-アクリレートポリマー(I)の分子量は、ポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィ(gel permeation chromatography、GPC)を介して(例えば、サイズ排除クロマトグラフィ(GPC/size exclusion chromatography、SEC)を使用して)、当該技術分野で知られている技法によって容易に求めることができる。
【0064】
概して、組成物は、組成物の総重量に基づいて、5~25重量%の量でシリコーン-アクリレートポリマー(I)を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、組成物中の成分(I)、(II)及び(III)の総重量に基づいて、5~19、代替的に5~18、代替的に6~18重量%など、5~20重量%の量でシリコーン-アクリレートポリマー(I)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、5~19、代替的に5~18、代替的に6重量%~18重量%など、5~20重量%の量でシリコーン-アクリレートポリマー(I)を含む。
【0065】
上記で紹介されたように、組成物の成分(II)は、アミノシロキサンである。概して、アミノシロキサン(II)は、シリコーン骨格を有するアミン官能性ポリシロキサン及び分子当たり平均して少なくとも2つのアミン官能基を含む。アミン官能基は、末端位、ペンダント位又はこれらの両方など、シリコーン骨格に沿ったいずれか場所に位置し得る。アミン官能基は、シリコーン-アクリレートポリマー(I)のエポキシド基(すなわち、上述のエポキシド官能性部分X中に存在するもの)と反応するように構成され、その結果、シリコーン-アクリレートポリマー(I)及びアミノシロキサン(II)は、(例えば、架橋反応において)一緒に反応して、そこから硬化/網目構造化された生成物を調製することができる。アミン官能基を除いて、アミノシロキサン(II)は特に限定されず、アミノシロキサン(II)が分子あたり平均して少なくとも2つのアミン官能基を含む限り、そのような単位が上述されるように、[M]、[D]、[T]及び/又は[Q]シロキシ単位の任意の組み合わせを含み得る。アミノシロキサン(II)のシロキシ単位を様々な様態で組み合わせて、すなわちシリコーン骨格内に、環状、直鎖、分岐及び/又は樹脂状(例えば、三次元網目構造化)構造を形成することができる。したがって、アミノシロキサン(II)のシリコーン骨格は、その中の[M]、[D]、[T]及び/又は[Q]単位の選択に依存して、モノマー、ポリマー、オリゴマー、直鎖、分岐、環状及び/又は樹脂状であり得る。同じように、アミノシロキサン(II)自体は、直鎖、分岐、部分的に分岐、環状、樹脂状であっても(すなわち、三次元網目構造を有する)、異なる構造の組み合わせを含んでもよい。
【0066】
概して、アミノシロキサン(II)は、完全に簡略化した式R SiO(4-i)/2を有し得、式中、各Rが、独立して、ヒドロカルビル基、アルコキシ及び/又はアリールオキシ基並びにアミン基から選択されるが、但し、各分子において、Rのうちの平均して少なくとも2つは各々、アミン基を含み、下付き文字iは、0<i≦3.5になるように選択される。ある特定の実施形態では、アミノシロキサン(II)は、一般平均単位式[R SiO(4-i)/2を有し得、式中、下付き文字h≧1であり、下付き文字iが、独立して、下付き文字hで示される各部分において1、2及び3から選択されるが、但し、h+i>2であり、各Rが、独立して、ヒドロカルビル基、アルコキシ及び/又はアリールオキシ基、シロキシ基並びにアミン基(すなわち、上述のもののいずれかなど)から選択されるが、但し、平均して少なくとも2つのRは、アミノシロキサン(II)の分子当たりのアミン基である。
【0067】
に好適なヒドロカルビル基、アルコキシ基及びアリールオキシ基は、Rに関して上述されたとおりであり、Rに好適なアミン基として、一級又は二級アミン基(すなわち、エポキシド反応性アミン基)で置換された上述のヒドロカルビル又はアルコキシ基のいずれかが挙げられる。ある特定の実施形態では、各Rは、独立して、ヒドロカルビル基、アルコキシアリールオキシ基及びアミン基から選択される。ある特定の実施形態では、各Rは、独立して、1~20個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル基、エチル基及びプロピル基(すなわち、n-プロピル基及びイソプロピル基)など)、6~20個の炭素原子を有するアリール基(例えば、フェニル基など)及び1~20個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基(例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基及びトリフルオロプロピル基など)並びにアミン基から選択される。特定の実施形態では、アミン基ではない各Rは、メチル基である。
【0068】
アミノシロキサン(II)についての上記の平均単位式は、代替的に、[R SiO1/2[R SiO2/2SiO3/2[SiO4/2と書き表すことができ、式中、Rが、上記で定義されたとおりであり、下付き文字x、y、z及びwが各々、x+y+z>0であることを条件としてx+y+z+w=1であるような、それぞれ、[M]、[D]、[T]及び[Q]単位を表すモル分率である。当業者であれば、そのような[M]、[D]、[T]及び[Q]単位並びにそれらのモル分率が上記の平均単位式における下付き文字x、y、z及びwにどのように影響するかを理解している。例えば、[T]単位(例えば、下付き文字zで示される)及び/又は[Q]単位(例えば、下付き文字wで示される)が、典型的には、アミノシロキサン樹脂中に存在するのに対して、アミノシロキサンポリマー(例えば、アミノシリコーン)は、典型的には、そのような[T]単位及び/又は[Q]単位を含まない。下付き文字xで示される[D]単位は、典型的には、アミノシロキサン樹脂ポリマー中の両方に存在する。しかしながら、そのような[D]単位はまた、アミノシロキサン樹脂及び分岐アミノシロキサン中に存在し得る。ある特定の実施形態では、アミノシロキサン(II)は、[Q]単位(例えば、式中、下付き文字wが、0である)を実質的に含まないか、代替的にそれを含まず、その結果、アミノシロキサン(II)が以下の一般式を有し、
[R SiO1/2[R SiO2/2SiO3/2
式中、R及び下付き文字x、y及びzが、上記で定義されたとおりである。
【0069】
ある特定の実施形態では、アミノシロキサン(II)は、実質的に直鎖であり得、代替的に直鎖である。そのような実施形態では、アミノシロキサン(II)は、簡略化された式R SiO(4-i)/2を有し得、式中、各Rが、独立して選択され、上記で定義されたとおりであり、式中、下付き文字iが、1.9≦i≦2.2となるように選択される。アミノシロキサン(II)のそのような直鎖の例は、例えば、アミノシロキサン(II)が25℃で10~10,000,000、代替的に100~1,000,000、代替的に100~100,000mPa・sなど、10~30,000,000mPa・sの粘度(例えば、適したスピンドルを装備したBrookfield LV DV-E粘度計などの粘度計を介して求められるとき)を含む場合などに、周囲条件下で(例えば、25℃で)流動性液体として存在し得る。ある特定の実施形態では、アミノシロキサン(II)は、25℃で300未満、代替的に200未満、代替的に10~200センチポアズ(cP)の動的粘度を示す。
【0070】
実質的に直鎖又は直鎖の場合、アミノシロキサン(II)は、[T]及び[Q]単位の両方を実質的に含まないか、代替的にそれを含まず(例えば、上記の式において、z=0及びw=0である場合)、その結果、アミノシロキサン(II)は、以下の一般式を有するMDM型ポリシロキサンであり、
[R SiO1/2[R SiO2/2
式中、各R及び下付き文字x及びyが、上記で定義されたとおりである。下付き文字x及びyで表される単位の各々が独立して選択され、少なくとも2つのRが、アミノシロキサン(II)の分子当たりのアミン基であるとき、先行する式は、
[R10 SiO1/2x’[R10SiO2/2y’[R SiO3/2y’’[R SiO1/2x’’のように書き換えることができ、
式中、各Rが、独立して選択された一価炭化水素基であり、各R10が、アミノ官能基であり、下付き文字x’及びx’’が各々、独立して、0、1又は2であり、下付き文字y’が、≧0であり、下付き文字y’’が、≧0であるが、但し、x’x’’≧2、x’+y’≧2及びy’+y’’≧1であることを条件とする。そのような実施形態では、x’+x’’+y’+y’’は、概して、3~2,000である。例えば、いくつかの実施形態では、下付き文字y’’は、0~1000、代替的に1~500、代替的に1~200であり得る。これらの又は他の実施形態では、下付き文字y’は、2~500、代替的に2~200、代替的に2~100である。そのような実施形態では、x’及びx’’は各々、典型的には、2~6など、0~10である。
【0071】
に好適な一価炭化水素基は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基、6~10個の炭素原子を有するアリール基、1~6個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基、6~10個の炭素原子を有するハロゲン化アリール基、7~12個の炭素原子を有するアラルキル基、及び7~12個の炭素原子を有するハロゲン化アラルキル基によって例示され、ここで、アルキル、アリール及びハロゲン化アルキル、アラルキルなどは、上記で説明及び例示されている。いくつかの実施形態では、各Rは、アルキル基である。例えば、ある特定の実施形態では、各Rは、独立して、メチル、エチル又はプロピルである。しかしながら、各Rは、例えば、特定のRが表す基という点で、任意の他のRと同じであるように選択されても、異なるように選択されてもよいことが理解されよう。しかしながら、いくつかの実施形態では、各Rは、メチル基である。
【0072】
アミノシロキサン(II)が実質的に直鎖であるか、代替的に直鎖である場合、少なくとも2個のアミン官能基は、ペンダント位、末端位、又はペンダント及び末端の位置の両方でケイ素原子に結合することができる。具体例として、各Rがメチルである場合、アミノシロキサン(II)は、単にペンダントアミン官能基のみを有し、したがって、平均単位式[(CHSiO1/2[(CH)R10SiO2/2y’[(CHSiO2/2y’’を含み得、式中、下付き文字y’及びy’’が、上記で定義されるが、但し、y’が≧2であることを条件とし、各R10は、上記で定義及び説明されているように、独立して選択されたアミン官能基である。この平均単位式に関して、任意のメチル基は、異なる一価炭化水素基(アルキル又はアリールなど)で置換され得る。代替的に、アミノシロキサン(II)は、単に末端アミン官能基のみを有し、したがって、平均式R10(CHSiO[(CHSiO]y’’Si(CH10を含み得、式中、下付き文字y’’及びR10が、上記で定義されたとおりである。この平均式に関して、アミノシロキサン(II)がアミン官能基で終端するジメチルポリシロキサンとして定義又は別様に説明され得る場合、任意のメチル基を異なる一価炭化水素基で置換することができ、各R10が本明細書で説明されるアミン官能基のいずれかであり得ることを理解されたい。代替的に、アミノシロキサン(II)は、末端アミン官能基及びペンダントアミン官能基の両方を有し、したがって、平均単位式[R10(CHSiO1/2x’[R10(CH)SiO2/2y’[(CHSiO2/2y’’を含み得、式中、x’、y’、y’’及びR10の各々が、上記で定義されたとおりである。
【0073】
例えば、先行する平均単位式においてR10で表されるアミノシロキサン(II)のアミン官能基は、シリコーン-アクリレートポリマー(I)のオキシラニル炭素原子(すなわち、上述のエポキシド官能性部分X中に存在するもの)とのN-C結合を形成することができ、それ以外は特に限定されない。R10に好適なアミン官能基は、アミノシロキサン(II)のシロキサン骨格のケイ素原子に、又はそのようなケイ素原子(例えば、アミノアルコキシ基、アミノアリールオキシ基などのような)に結合した酸素に直接結合したアミノアルキル基、アミノアリール基、アミノアルカリール基及びアミノアラルキル基によって例示される。
【0074】
特定の実施形態では、アミノシロキサン(II)は、以下の一般式を有し、
[R SiO1/2[(HN-D-)(RSiO1/2x’[R SiO2/2[(HN-D-)(R)SiO2/2y’
各Dが、独立して選択された二価連結基であり、R並びに下付き文字x、x’、y及びy’が、上記で定義されたとおりである。但し、0≦x+x’<1、0<y+y’<1及びx’+y’>0を条件とする。
【0075】
に好適な二価連結基は、特に限定されない。典型的には、各二価連結基Dは、Dに関して上述したもののいずれかなどの二価炭化水素基から選択される。したがって、二価連結基Dに好適な炭化水素基は、置換若しくは非置換並びに直鎖、分岐及び/又は環状であり得ることが理解されよう。典型的には、各々、二価連結基Dは、置換又は非置換の直鎖又は分岐鎖アルキル基を含むか、代替的にそれらである。ある特定の実施形態では、各二価連結基Dは、非置換アルキレン基を含むか、代替的にそれである。そのようなアルキレン基の例としては、1~12個の炭素原子を有し、任意選択的に、鎖内の酸素原子で置換された直鎖アルキレン基など、本明細書で説明されるもののいずれかが挙げられる。例えば、ある特定の実施形態では、Dは、アミノシロキサン(II)のシリコーン骨格のケイ素原子(例えば、上記の下付き文字x’及び/又はy’で示される単位のケイ素原子のうちの1つ)に結合した酸素原子を含む。
【0076】
上記の様々な式において、例えばアミン基、各Rなどではない各Rで表されるケイ素結合置換基に関して、アミノシロキサン(II)は、任意の特定の置換基の含有量という点で特徴付けることができる。例えば、当業者によって理解されるように、アミノシロキサン(II)は、メチル含有量(すなわち、メチル基である各R、Rなどの数又は割合)、フェニル含有量(すなわち、フェニル基である各R、Rなどの数又は割合)などという点で特徴付けることができる。ある特定の実施形態では、例えば、アミノシロキサン(II)は、アミン基ではないケイ素結合置換基の総数に基づいて、少なくとも90、代替的に少なくとも95、代替的に少なくとも98、代替的に少なくとも99、代替的に少なくとも99.5、代替的に少なくとも99.9、代替的に少なくとも99.99%のメチル含有量など、高いメチル含有量を有する。特定の実施形態では、アミノシロキサン(II)は、アミン基ではないケイ素結合置換基の総数に基づいて、10未満、代替的に5未満、代替的に2未満、代替的に1未満、代替的に0.5未満、代替的に0.1未満、代替的に0.01%未満のフェニル含有量など、低いフェニル含有量を有する。
【0077】
アミノシロキサン(II)が、実質的に直鎖のポリオルガノシロキサンである場合、アミノシロキサン(II)は、分子両末端アミノ官能性ジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子両末端アミノ官能性ジメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子両末端アミノ官能性ジメチルシロキシ基封鎖、メチルフェニルシロキサン及びジメチルシロキサンのコポリマー、分子両末端アミノ官能性ジメチルシロキシ基封鎖、ジメチルシロキサン及びジフェニルシロキサンのコポリマー、分子両末端アミノ官能性ジメチルシロキシ基封鎖、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン及びジフェニルシロキサンのコポリマー、分子両末端トリメチルシロキシ基封鎖、アミノ官能性メチルシロキサン及びメチルフェニルシロキサンのコポリマー、分子両末端トリメチルシロキシ基封鎖、アミノ官能性メチルシロキサン及びジフェニルシロキサンのコポリマー並びに分子両末端トリメチルシロキシ基封鎖、アミノ官能性メチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン及びジメチルシロキサンのコポリマーによって例示することができる。
【0078】
ある特定の実施形態では、アミノシロキサン(II)は、少なくとも500Da及び5000Da未満の重量平均分子量(Mw)を含む。例えば、アミノシロキサン(II)は、500~4000、代替的に500~3500、代替的に500~3000、代替的に500~2500、代替的に500~2000、代替的に750~2000、代替的に750~1500、代替的に750~1250DaのMwを含み得る。ある特定の実施形態では、アミノシロキサン(II)は、少なくとも500Da及び5000Da未満の数平均分子量(Mn)を含む。例えば、アミノシロキサン(II)は、500~4000、代替的に500~3500、代替的に500~3000、代替的に500~2500、代替的に500~2000、代替的に750~2000、代替的に750~1500、代替的に750~1250DaのMnを含み得る。いくつかの実施形態では、アミノシロキサン(II)は、2~75、代替的に2~50、代替的に5~50、代替的に5~25など、2~100の重合度(DP)を有する。上記の実施形態では、アミノシロキサン(II)について記載された比較的低分子量の範囲は、以下に更に詳細に説明されるように、任意の担体ビヒクル/溶媒を必要とせずに好適な流動度を有する組成物を提供する。しかしながら、当業者は、そのような担体ビヒクル/溶媒が本開示の範囲から逸脱することなく、そのような比較的低分子量のアミノシロキサンでも利用することができることを理解するであろう。例えば、ある特定の実施形態では、組成物は、例えば、硬化生成物の体積を収縮させて、その電気伝導率を変更する(例えば、増加させる)ために、組成物を硬化させた後に除去され得る担体ビヒクルを含む。同じように、そのような担体ビヒクル/溶媒は、アミノシロキサン(II)としての使用にも好適であり得る、上に記載された範囲外(例えば、上記)の分子量を有するアミノシロキサンと組み合わせて利用することができる。
【0079】
概して、組成物は、組成物の総重量に基づいて、1~20重量%の量でアミノシロキサン(II)を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、組成物中の成分(I)、(II)及び(III)の総重量に基づいて、1~14、代替的に2~14重量%など、1~15重量%の量でアミノシロキサン(II)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、1~14、代替的に2~14重量%など、1~15重量%の量でアミノシロキサン(II)を含む。
【0080】
上記で紹介されたように、アミノシロキサン(II)のアミン官能基は、シリコーン-アクリレートポリマー(I)のエポキシド基と反応して、そこから硬化/網目構造化された生成物を調製するように構成される。より具体的には、シリコーン-アクリレートポリマー(I)及びアミノシロキサン(II)は、成分(II)のアミン官能基と成分(I)のX中のエポキシド基との間の開環アミン-エポキシド反応に基づく架橋反応を介して互いに反応する。当業者には理解されるように、架橋反応は、アミノシロキサン架橋シリコーン-アクリレートコポリマーとして概して説明又は別様に示され得るアミノシロキサン-シリコーン-アクリレートコポリマー(「コポリマー」)を調製する。
【0081】
組成物中で利用される成分(I)及び(II)の相対量は、例えば、選択されたシリコーン-アクリレートポリマー(I)及び/又はアミノシロキサン(II)、利用される伝導性充填剤(III)のタイプなどに基づいて変化し得る。ある特定の実施形態では、成分(I)及び(II)のうちの1つの過剰分(例えば、モル及び/又は化学量論的に)を利用して、シリコーン-アクリレートポリマー(I)の架橋を最大化し、及び/又はアミノシロキサン(II)を完全に消費する。概して、シリコーン-アクリレートポリマー(I)及びアミノシロキサン(II)は、10:1~1:10、代替的に8:1~1:8、代替的に6:1~1:6、代替的に4:1~1:4、代替的に2:1~1:2、代替的に1:1(I)のモル比で組成物中に利用される。(II)。しかしながら、上記の特定の範囲外の比も利用することができることが理解されよう。例えば、ある特定の実施形態では、アミノシロキサン(II)は、アミノシロキサン(II)が例えば後続の除去のために担体(すなわち、溶媒、希釈剤など)として利用される場合など、総過剰分に利用される(例えば、シリコーン-アクリレートポリマー(I)の架橋性基の化学量論量の≧5倍、代替的に≧10倍、代替的に≧15倍、代替的に≧20倍の量で)。いずれにせよ、当業者は、上述の理論上の最大反応性比、任意の担体ビヒクルの存在又は排除、利用される特定の成分などを含む、様々な成分の特定の量及び比を容易に選択して、本明細書で説明される実施形態によるコポリマーを調製するであろう。
【0082】
ある特定の実施形態では、シリコーン-アクリレートポリマー(I)及びアミノシロキサン(II)は、10:1~1:10、代替的に8:1~1:8、代替的に6:1~1:6、代替的に4:1~1:4、代替的に2:1~1:2、代替的に1:1、代替的に1:0.8[X]:[NH]の化学量論比で利用され、ここで、[X]は、シリコーン-アクリレートポリマー(I)のエポキシド部分Xを表し、[NH]は、アミノシロキサン(II)のアミン官能基の数(すなわち、上述の無数の実施形態におけるアミン官能性R、R10などの数)を表し、これは、概して、少なくとも2である。より具体的には、当業者によって理解されるように、シリコーン-アクリレートポリマー(I)のアミノシロキサン(II)との架橋は、シリコーン-アクリレートポリマー(I)中に存在する架橋性基Xの数に基づく理論上の最大値で生じる。特に、上記のシリコーン-アクリレートポリマー(I)の一般式(I)を参照すると、Xで指示される各エポキシド官能性部分は、分子当たり平均して少なくとも2つあるアミノシロキサン(II)のアミン官能基のうちの1つと反応することができ、その結果、理論的に完全な(すなわち最大)架橋反応を達成するために、シリコーン-アクリレートポリマー(I)のXで指示される2つのエポキシド官能性部分ごとに1モル当量のアミノシロキサン(II)が必要とされる。同じように、シリコーン-アクリレートポリマー(I)のアミノシロキサン(II)との反応の理論上の最大化学量論比は、1:1[X]:[NH]であり、すなわち、ここで、アミノシロキサンの分子は、エポキシド官能性部分の2つの分子を架橋するために2つのアミン基を必要とし、これらの各々は、反応に関与するために1つのエポキシド基を必要とする。
【0083】
特定の実施形態では、シリコーン-アクリレートポリマー(I)及びアミノシロキサン(II)は、0.75:1~2.5:1[NH]:[X]、例えば、0.75:1~2.25:1、代替的に0.75:1~2:1、代替的に0.75:1~1.75:1、代替的に0.75:1~1.5:1[NH]:[X]の化学量論比で利用される。当該技術分野で理解されるように、比[NH]:[X]は、硬化性組成物の硬化化学量論と称され得、それぞれ、アミノシロキサン(II)及びシリコーン-アクリレートポリマー(I)に帰される活性アミン水素のエポキシ基に対するモル比として定義され得る。
【0084】
概して、組成物中で利用される特定のシリコーン-アクリレートポリマー(I)及びアミノシロキサン(II)は、本明細書で説明されるパラメータ及び特徴を除いて限定されない。しかしながら、ある特定の実施形態では、シリコーン-アクリレートポリマー(I)及びアミノシロキサン(II)は、例えば、成分の互いの相溶性に基づいて、互いを考慮して選択される。例えば、いくつかの実施形態では、シリコーン-アクリレートポリマー(I)及びアミノシロキサン(II)は、組み合わせたときに透明な液体を得るように選択される。より具体的には、そのような実施形態では、アミノシロキサン(II)は、シリコーン-アクリレートポリマー(I)と相溶性であるか、代替的に混和性である。これらの実施形態の特定の例では、アミノシロキサン(II)は、室温でシリコーン-アクリレートポリマー(I)と相溶性であるか、代替的に混和性である。他のそのような実施形態では、透明な液体形態は、成分(I)及び(II)を一緒に組み合わせ、その後、この組み合わせを加熱して(例えば、室温よりも高い温度から150未満、代替的に125未満、代替的に100℃未満までなどの穏やかに上昇した温度)、成分(I)及び(II)を相溶化し、次いで冷却又は別様に組成物を室温まで冷却させて、透明な液体を得ることによって達成することができる。
【0085】
組成物の成分(III)は、伝導性充填剤である。伝導性充填剤(III)は、電気伝導性、熱伝導性又は熱伝導性及び電気伝導性の両方であり得、それ以外は特に限定されない。伝導性充填剤の一般例としては、処理された充填剤及び充填剤を別様に含む材料を含む、有機充填剤、無機充填剤並びにそれらの組み合わせが挙げられ、これらは、本明細書で説明される条件下での電気伝導率及び/又は熱伝導率(K)(例えば、1×10S/m超の電気伝導率(K)及び/又は20℃での0.001オーム-cm未満の体積抵抗率(ρ))を示す。本明細書で使用されるとき、体積抵抗率(ρ)及び電気伝導率(K)は、バルク体積抵抗率及びバルク電気伝導率を指す。体積抵抗率及び導電率が何らかの事情で矛盾する場合、体積抵抗率が調節される。
【0086】
好適な伝導性充填剤のいくつかの例としては、純金属(例えば、ビスマス、鉛、スズ、アンチモン、インジウム、カドミウム、亜鉛、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、金属ケイ素など)、合金(例えば、ビスマス、鉛、スズ、アンチモン、インジウム、カドミウム、亜鉛、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、金属ケイ素などの少なくとも2つの金属を含む)、金属酸化物(例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化クロム、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化コバルト、酸化インジウムスズ、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化鉄など)、金属水酸化物、金属窒化物(例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素など)、金属炭化物(例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタンなど)、金属ケイ化物(例えば、ケイ化マグネシウム、ケイ化チタン、ケイ化ジルコニウム、ケイ化タンタル、ケイ化ニオブ、ケイ化クロム、ケイ化タングステン、ケイ化モリブデンなど)、炭素(例えば、ダイヤモンド、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン、活性炭及びモノリシックカーボンブラックが挙げられる)、軟磁性合金(例えば、Fe-Si合金、Fe-Al合金、Fe-Si-Al合金、Fe-Si-Cr合金、Fe-Ni合金、Fe-Ni-Co合金、Fe-Ni-Mo合金、Fe-Co合金、Fe-Si-Al-Cr合金、Fe-Si-B合金、Fe-Si-Co-B合金など)、フェライト(Mn-Znフェライト、Mn-Mg-Znフェライト、Mg-Cu-Znフェライト、Ni-Znフェライト、Ni-Cu-Znフェライト、Cu-Znフェライトなど)及び同様のもの、並びにそれらの組み合わせから選択される1つ以上の成分を含むものが挙げられる。
【0087】
電気伝導性充填剤の例としては、特に、概して、金属又は伝導性非金属を含むもの、並びに粒子のコアを有する粒子状充填剤(例えば、銅、固体ガラス、中空ガラス、雲母、ニッケル、セラミック繊維、ポリスチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどのポリマーなど)及び金属(例えば、銀、金、白金、パラジウム及びそれらの合金などの貴金属、又はニッケル、アルミニウム、銅若しくは鋼などの卑金属)又は他の電気伝導性材料(例えば、グラフェン)を含む外表面が挙げられる。熱伝導性充填剤の例としては、特に、概して、アルミニウム、銅、金、ニッケル、銀、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化クロム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、ダイヤモンド、グラファイト、炭素又はケイ素ナノサイズ粒子、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ケイ素及び炭化タングステンが挙げられる。
【0088】
伝導性充填剤(III)は、無機充填剤を含むか、代替的にそれであり得る。無機充填剤の例としては、二酸化チタン、三水酸化アルミニウム(aluminum trihydroxide、「ATH」)、二水酸化マグネシウム、雲母、カオリン、炭酸カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びバリウムの、非水和、部分水和、又は水和フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、クロム酸塩、炭酸塩、水酸化物、リン酸塩、リン酸水素塩、硝酸塩、酸化物及び硫酸塩、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、酸化ベリリウム、酸化クロム、酸化鉄、リトポン、ホウ酸又はホウ酸塩、例えばホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム若しくはホウ酸アルミニウム、混合金属酸化物、例えばアルミノケイ酸塩、バーミキュライト、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、沈降シリカ、石英、砂、及びシリカゲルを含むシリカ、籾殻灰、セラミック及びガラスビーズ、ゼオライト、アルミニウムフレーク又は粉末などの金属、青銅粉末、銅、金、モリブデン、ニッケル、銀粉又はフレーク、ステンレス鋼粉末、タングステン、含水ケイ酸カルシウム、チタン酸バリウム、シリカ-カーボンブラック複合体、官能化カーボンナノチューブ、セメント、フライアッシュ、スレート粉、セラミック又はガラスビーズ、ベントナイト、粘土、タルク、アントラサイト、アパタイト、アタパルジャイト、窒化ホウ素、クリストバライト、珪藻土、ドロマイト、フェライト、長石、グラファイト、焼成カオリン、二硫化モリブデン、パーライト、軽石、パイロフィライト、セピオライト、スズ酸亜鉛、硫化亜鉛又は珪灰石及び同様のもの、並びにそれらの誘導体、改質物及び組み合わせが挙げられる。伝導性充填剤(III)は、誘電性充填剤を含むか、代替的にそれであり得る。誘電性充填剤の例としては、強誘電性充填剤、常誘電性充填剤及びそれらの組み合わせが挙げられ、組成物が電荷を貯蔵することを可能にするように比較的高い誘電率を付与することができる。これらの誘電性充填剤の例としては、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、メタニオブ酸カルシウム、メタニオブ酸ビスマス、メタニオブ酸鉄、メタニオブ酸ランタン、メタニオブ酸鉛、メタタンタル酸鉛、チタン酸バリウムストロンチウム、ニオブ酸バリウムナトリウム、ニオブ酸バリウムカリウム、ニオブ酸バリウムルビジウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化アルミニウム及びステアタイトが挙げられる。
【0089】
伝導性充填剤(III)は、粒子状形態などの任意の形態で、上述の充填剤のうちの1つ以上を含み得る。そのような粒子は、概して限定されず、独立して、立体、フレーク、顆粒、不規則、棒、針、粉末、球体又はそれらの組み合わせの形状であり得る。ある特定の実施形態では、伝導性充填剤(III)は、500μm、代替的に200μm、代替的に100μm、代替的に50μm、代替的に30μmの最大粒径を有する粒子を含む。これら又は他の実施形態では、伝導性充填剤(III)は、0.0001μm、代替的に0.0005μm、代替的に0.001μmの最小粒径を有する粒子を含む。ある特定の実施形態では、伝導性充填剤(III)は、0.005~20μmの中央粒径を有する粒子を含む。いくつかの実施形態では、伝導性充填剤(III)は、0.005~50、代替的に0.01~50μmなど、0.005~100μmの中央粒径を有する粒子を含む。粒径分布分析によって粒径を求め、μmでの中央粒径(D<50)として、代替的に10%(D10)、50%(D50)及び90%(D90)を下回る累積粒径分布が見出されるμmでの直径として報告することができる。粒子は、1:1(ほぼ球形)~3,000:1の範囲のアスペクト比を有し得る。
【0090】
粒子は、表面処理されて、例えば、湿潤性(例えば、組成物の他の成分による)及び/又は分散性(例えば、組成物中の)を改善することができる。表面処理の例としては、概して、粒子を、総じて「処理剤」と称され得る、酸、塩基、相溶化剤、潤滑剤、加工助剤などの化学物質と接触させることが挙げられる。そのような処理剤の例は限定されず、水酸化ナトリウム水溶液、カルボン酸及びエステル(例えば、脂肪酸、脂肪エステルなど)、炭化水素ビヒクル、ケイ素含有化合物(例えば、オルガノクロロシラン、オルガノシロキサン、オルガノシラザン、オルガノアルコキシシランなど)、硫酸などによって例示される。ケイ素含有化合物処理剤の例としては、同様のもの及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0091】
ある特定の実施形態では、伝導性充填剤(III)は、銀フレーク、銀コーティングされたコア粒子又は銀の任意の他の微細化された固体形態などの銀粒子を含む。いくつかのそのような実施形態では、銀粒子は、少なくとも90原子パーセント(%で)のAg、例えば、%で>95のAg、代替的に%で>98、代替的に%で>99.99のAgを含む。しかしながら、銀粒子は、銀コーティングされたコア粒子が利用される場合など、はるかに少ない量の銀を含み得る。そのような銀コーティングされたコア粒子、及び上記で紹介された他のコーティングされたコア粒子は、内部支持材料の固体又は液体形態であるコアを含み得る。内部支持材料は、固体、又は代替的に、>300℃の沸点を有する液体などの液体であり得る。(例えば、水銀)。各コーティングされたコア粒子では、内部支持材料は、単一の粒子、代替的に複数の粒子のクラスタ又は粒塊であり得る。概して、内部支持材料は、アルミニウム、シリカガラス、炭素、セラミック、銅、鉄、リチウム、モリブデン、ニッケル、有機ポリマー、パラジウム、白金、シリカ、スズ、タングステン、亜鉛、若しくはアルミニウム、銅、鉄、リチウム、モリブデン、ニッケル、パラジウム、白金、スズ、タングステン及び亜鉛のうちのいずれか2つ又は3つ以上の金属合金、又はシリカガラス、炭素、セラミック、銅、鉄、リチウム、モリブデン、ニッケル、有機ポリマー、パラジウム、白金、シリカ、スズ、タングステン、亜鉛、若しくは本明細書で説明されるもののいずれかなどの金属合金のいずれか2つ又は3つ以上の物理的なブレンドを含むか、代替的にそれらであり得る。内部支持材料は、電気伝導性又は非電気伝導性(絶縁)であり得る。非電気伝導性内部支持材料は、シリカガラス(例えば、ソーダ石灰シリカガラス又はホウケイ酸ガラス)、炭素の多形のダイヤモンド、シリカ、有機ポリマー、オルガノシロキサンポリマー又はセラミックであり得る。
【0092】
典型的には、伝導性充填剤(III)は、0.01オーム-cm未満の体積抵抗率(ρ)を示す粒子を含む。ある特定の実施形態では、伝導性充填剤(III)は、0.01未満~1.2×10-2オーム-cmの体積抵抗率(ρ)を示す粒子を含む。特定の実施形態では、伝導性充填剤(III)は、1.2×10-2未満~1.2×10-4オーム-cmの体積抵抗率(ρ)を示す粒子を含む粒子を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、伝導性充填剤(III)は、1×10超、代替的に1×10S/m超の電気伝導率(K)など、1×10S/m超の電気伝導率(K)を示す粒子を含む。
【0094】
概して、伝導性充填剤(III)は、重量にして組成物の過半量を構成し、すなわち、組成物の重量にして少なくとも50重量%の量で組成物中に存在する。ある特定の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、65~83、代替的に70~83、代替的に75~83、代替的に80重量%など、60~83重量%の量で伝導性充填剤(III)を含む。特定の実施形態では、組成物は、成分(I)、(II)及び(III)組成物の総重量に基づいて、60~83、代替的に70~83、代替的に75~83、代替的に80重量%の量で伝導性充填剤(III)を含む。
【0095】
ある特定の実施形態では、組成物は、成分(I)、(II)及び(III)を除いて、1つ以上の添加剤(例えば、薬剤、補助剤、配合成分、改質剤、補助成分など)などの1つ以上の追加成分を更に含む。典型的には、組成物は、例えば、組成物中の特定のタイプ及び/又は機能に依存して、任意の数の添加剤を含み得る。例えば、ある特定の実施形態では、組成物は、担体、成分(III)以外の充填剤、充填剤処理剤、表面改質剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、粘度調整剤、結合剤、増粘剤、粘着付与剤、接着促進剤、消泡剤、相溶化剤、増量剤、可塑剤、末端ブロック剤、反応抑制剤乾燥剤、水放出剤、着色剤(例えば、顔料、染料など)、劣化防止添加剤、殺生物剤、難燃剤、腐食抑制剤、触媒阻害剤、UV吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、触媒、プロ触媒若しくは触媒発生剤、開始剤(例えば、熱活性化開始剤、電磁活性化開始剤など)、光酸発生剤、熱安定剤及び同様のもの、並びに誘導体、改質物及びそれらの組み合わせを含む、代替的にそれらから本質的になる、代替的にそれらからなる1つ以上の添加剤を含み得る。組成物での使用に好適な添加剤は、多くの異なる技術用語に分類することができ、添加剤がそのような用語に分類されるからといって、それがその機能に限定されることを意味しないことを理解されたい。更に、添加剤のいくつかは、組成物の特定の成分中に存在しても(例えば、多成分組成物の場合)、その代わりに組成物を形成するときに組み込まれてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、例えば、組成物は、担体ビヒクルを含む。担体ビヒクルは限定されず、典型的には、選択された特定のシリコーン-アクリレートポリマー(I)、アミノシロキサン(II)及び/又は伝導性充填剤に基づいて、組成物の所望の最終使用などのために選択される。概して、担体ビヒクルは、代替的に、溶媒、流体、油(例えば、有機油及び/又はシリコーン油)など、又はそれらの組み合わせを含むか、代替的にそれらである。
【0097】
いくつかの実施形態では、担体ビヒクルは、シリコーン流体を含む。シリコーン流体は、典型的には、低粘度及び/又は揮発性シロキサンである。いくつかの実施形態では、シリコーン流体は、低粘度オルガノポリシロキサン、揮発性メチルシロキサン、揮発性エチルシロキサン、揮発性メチルエチルシロキサン及び同様のもの、又はこれらの組み合わせである。典型的には、シリコーン流体は、25℃で1~1,000mm/秒の範囲の粘度を有する。好適なシリコーン流体の具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデメチルヘプタシロキサン、ヘプタメチル-3-{(トリメチルシリル)オキシ)}トリシロキサン、ヘキサメチル-3,3、ビス{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサンペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ}シクロトリシロキサン、並びにポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、カプリリルメチコン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキシルトリメチコン及び同様のもの、並びにそれらの誘導体、改質物、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適なシリコーン流体の更なる例としては、5×10-7~1.5×10-6/秒などの好適な蒸気圧を有するポリオルガノシロキサンが挙げられる。
【0098】
ある特定の実施形態では、担体ビヒクルは、揮発性及び/又は半揮発性炭化水素、エステル及び/又はエーテルを含む有機油を典型的に含む有機流体を含む。そのような有機流体の一般例としては、C~C16アルカン、C~C16イソアルカン(例えば、イソデカン、イソドデカン、イソヘキサデカンなど)、C~C16分岐エステル(例えば、イソヘキシルネオペンタノエート、イソデシルネオペンタノエートなど)及び同様のものなどの揮発性炭化水素油、並びにそれらの誘導体、改質物及び組み合わせが挙げられる。好適な有機流体の追加の例としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、4個以上の炭素原子を有するアルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、アセテート、ハロゲン化アルキル、芳香族ハロゲン化物及びそれらの組み合わせが挙げられる。炭化水素としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、Isopar L(C11~C13)、Isopar H(C11~C12)、水素化ポリデセンが挙げられる。エーテル及びエステルとしては、ネオペンタン酸イソデシル、ヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジステアリン酸グリコール、ジカプリリルカーボネート、ジエチルヘキシルカーボネート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチル-3エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、トリペンタシルネオペンタノエート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、ネオペンタン酸オクチルドデシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、ジカプリル酸/ジカプリル酸プロピレングリコール、オクチルエーテル、パルミチン酸オクチル及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0099】
いくつかの実施形態では、担体ビヒクルは、有機溶媒を含む。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール及びn-プロパノールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンなどのケトン、ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素、ヘプタン、ヘキサン、及びオクタンなどの脂肪族炭化水素、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、及びエチレングリコールn-ブチルエーテルなどのグリコールエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのアセテート、ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン及びクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ホワイトスピリット、ミネラルスピリット、ナフサ、n-メチルピロリドン及び同様のもの、並びに誘導体、改質物、及びこれらの組み合わせを含むものが挙げられる。ある特定の実施形態では、担体ビヒクルは、水との相溶性のある溶媒などの極性有機溶媒を含む。特定の実施形態で利用されるそのような極性有機溶媒の特定の例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、2-ブタノン、テトラヒドロフラン、アセトン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0100】
他の担体ビヒクルもまた、利用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、担体ビヒクルは、イオン液体を含む。イオン液体の例としては、アニオン及びカチオンの組み合わせが挙げられる。概して、アニオンは、アルキルスルファート系アニオン、トシラートアニオン、スルホン酸系アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、テトラフルオロボレートアニオン及び同様のものから選択され、カチオンは、イミダゾリウム系カチオン、ピロリジニウム系カチオン、ピリジニウム系カチオン、リチウムカチオン及び同様のものから選択される。しかしながら、複数のカチオンとアニオンとの組み合わせもまた利用され得る。イオン液体の具体例としては、典型的には、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムビス-(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3-メチル-1-プロピルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、メチルトリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ビニルイミダゾリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アリルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び同様のもの、並びにそれらの誘導体、改質物、及び組み合わせが挙げられる。
【0101】
特定の実施形態では、硬化性組成物は、成分(I)及び(II)を除いて、担体ビヒクルを実質的に含まないか、代替的にそれを含まない。そのような実施形態では、シリコーン-アクリレートポリマー(I)及びアミノシロキサン(II)は、シリコーン-アクリレートポリマー(I)及びアミノシロキサン(II)が互いに混和性であるように、互いを考慮して選択される。
【0102】
ある特定の実施形態では、組成物は、化合物(IIII)に加えて、充填剤を含む。追加の充填剤は限定されず、組成物の他の成分と相溶性のある任意の充填剤であり得る。そのような追加の充填剤の例としては、上述の伝導性充填剤及び他の充填剤(例えば、非伝導性充填剤)が挙げられる。例えば、補強性充填剤、非補強性充填剤又はそれらの混合物を利用することができる。補強性充填剤の例としては、籾殻灰を含む高表面積のヒュームドシリカ及び沈降シリカ並びにある程度の炭酸カルシウムなどの微細化充填剤が挙げられる。非補強性充填剤の例としては、粉砕石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン、カーボンブラック、タルク及び珪灰石などの微細化充填剤が挙げられる。単独で又は上記の充填剤に加えて使用されることがある他の充填剤としては、カーボンナノチューブ、例えばマルチウォールカーボンナノチューブアルミナイト、中空ガラス球、硫酸カルシウム(無水石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム(水滑石)などの粘土、グラファイト、炭酸銅、例えばマラカイト、炭酸ニッケル、例えばザラカイト(zarachite)、炭酸バリウム、例えば毒重石及び/又は炭酸ストロンチウム、例えばストロンチウム石が挙げられる。組成物中での使用に好適な追加の充填剤としては、カンラン石族からなる群からのシリケート、ざくろ石族、アルミノケイ酸塩、環状ケイ酸塩、鎖状ケイ酸塩、及び層状ケイ酸塩からなる群からのケイ酸塩が挙げられる。ある特定の実施形態では、いくつかの充填剤を利用して、組成物のチキソトロピー特性を調整することができる。
【0103】
様々な実施形態では、組成物は、接着性付与剤(例えば、接着促進剤)を更に含む。接着性付与剤は、組成物の硬化から形成された反応生成物(すなわち、シリコーン-アクリレートポリマー(I)をアミノシロキサン(II)と架橋することを介して形成されたコポリマー)の、伝導性充填剤(III)、組成物の別の成分及び/又は硬化中に接触する基部材料への接着性を改善することができる。ある特定の実施形態では、接着性付与剤は、ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルコキシ基を分子中に有する有機ケイ素化合物から選択される。このアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、及びメトキシエトキシ基によって例示される。更に、この有機ケイ素化合物のケイ素原子に結合した非アルコキシ基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基及び同様のものなどの置換又は非置換の一価炭化水素基、3-グリシドキシプロピル基、4-グリシドキシブチル基、又は類似のグリシドキシアルキル基などのエポキシ基含有一価有機基、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、又は同様のエポキシシクロヘキシルアルキル基、及び4-オキシラニルブチル基、8-オキシラニルオクチル基、又は同様のオキシラニルアルキル基、3-メタクリロキシプロピル基及び同様のものなどのアクリル基含有一価有機基、並びに水素原子により例示される。接着性付与剤の有機ケイ素化合物は、概して、ケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子を含む。更に、様々なタイプの基部材料に対する良好な接着性を付与する能力に起因して、接着性付与剤の有機ケイ素化合物は、概して、分子中に少なくとも1個のエポキシ基含有一価有機基を含む。これらのタイプの有機ケイ素化合物は、当業者によって理解されるように、オルガノシラン化合物、オルガノシロキサンオリゴマー及びアルキルシリケートによって例示される。オルガノシロキサンオリゴマー及び/又はアルキルシリケートの分子構造は、直鎖構造、部分分岐直鎖構造、分岐鎖構造、環形状構造及び網形状構造によって例示され、ここで、直鎖構造、分岐鎖構造及び網形状構造が典型的である。接着性付与剤で又はそれとして使用するための特定の有機ケイ素化合物は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及び同様のものなどのシラン化合物、分子中に、少なくとも1個のケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子と、少なくとも1個のケイ素結合アルコキシ基を有するシロキサン化合物、分子中に、少なくとも1つのケイ素結合アルコキシ基を有するシラン化合物若しくはシロキサン化合物と、少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシ基及び少なくとも1つのケイ素結合アルケニル基を有するシロキサン化合物と、の混合物、並びにメチルポリシリケート、エチルポリシリケート、及びエポキシ基含有エチルポリシリケートによって例示される。
【0104】
ある特定の実施形態では、組成物は、ベンジルアルコール、サリチル酸及び/又はトリス-2,4,6-ジメチルアミノメチルフェノールなどの加速剤及び/又は可塑剤を含む。
【0105】
添加剤のうちの1つ以上は、0.05~35、代替的に0.1~15、代替的に0.5~5重量%など、0.01重量%~65重量%の量などで、組成物の任意の好適な重量パーセント(重量%)として存在し得る。これら又は他の実施形態では、添加剤のうちの1つ以上は、組成物の0.1重量%以下、代替的に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15重量%以上の量で組成物中に存在し得る。当業者であれば、例えば添加剤のタイプ及び所望の結果に依存して、特定の添加剤の好適な量を容易に決定することができる。
【0106】
ある特定の実施形態では、組成物は、成分(I)及び(II)以外の、反応触媒又は促進剤(すなわち、成分(I)及び(II)の架橋反応若しくは別様に組成物の硬化に対して触媒活性及び/又は促進活性を示す化合物)を実質的に含まないか、代替的に含まない。これら又は他の実施形態では、組成物は、担体ビヒクル(すなわち、成分(I)及び(II)以外)を実質的に含まないか、代替的にそれを含まない(例えば、成分(I)及び(II)の一方又は両方が担体ビヒクルとして作用することができる場合)。これら又は他の実施形態では、組成物は、成分(III)以外の電気伝導性充填剤を実質的に含まないか、代替的それを含まない。これら又は他の実施形態では、組成物は、成分(I)、(II)及び(III)以外のブリード抑制剤を実質的に含まないか、代替的にそれを含まない。特定の実施形態では、組成物は、成分(I)、(II)及び(III)以外の反応触媒若しくは促進剤、担体ビヒクル、電気伝導性充填剤並びにブリード抑制剤の各々を実質的に含まないか、代替的にそれらを含まない(例えば、そのような成分のうちの1つが反応触媒若しくは促進剤、担体ビヒクル、伝導性充填剤及び/又はブリード抑制剤と同様の活性を示す場合)。
【0107】
組成物は、当該技術分野で一般に知られている硬化性組成物を調製するための任意の方法を使用して調製することができる。概して、組成物は、任意選択的に、利用される任意の追加成分とともに、成分(I)、(II)及び(III)を一緒に組み合わせることによって、調製される。成分は、任意の順序で、同時に又はそれらの任意の組み合わせで組み合わせることができる(例えば、最終的に互いに組み合わされる様々な多成分組成物中で)。同じように、組成物は、本明細書において別途明記されない限り、バッチ、半バッチ、半連続又は連続プロセスで調製され得る。典型的には、組み合わされると、組成物の成分は、例えば、混合を介して均質化され、これは、混合に好適な任意の機器を使用して当該技術分野で知られている様々な技法のいずれかによって実行することができる。好適な混合技法の例としては、概して、超音波処理、分散混合、遊星混合、3ロールミリングなどが挙げられる。混合機器の例としては、比較的高流動性(低動的粘度)の組成物のための撹拌バッチケトル、リボンブレンダー、溶液ブレンダー、共混練機、ツインローターミキサー、バンバリー型ミキサー、ミル、押出機などが挙げられ、これらは、バッチ型又は連続配合型機器であり得、単独で、又は同じ若しくは異なるタイプの1つ以上のミキサーと組み合わせて利用することができる。
【0108】
組成物から形成された硬化生成物もまた、提供される。概して、硬化生成物は、組成物を硬化させることによって、すなわち、伝導性充填剤(III)の存在下で、シリコーン-アクリレートポリマー(I)をアミノシロキサン(II)と架橋することによって形成される。したがって、架橋反応は、「硬化」反応として特徴付けることができ、得られた組成物(すなわち、コポリマー及び伝導性充填剤(III)を含む)は、組成物の硬化生成物又はその成分である。したがって、硬化生成物は、硬化複合体又は単純に複合体と称され得る。当業者は、コポリマーの構造、分子組成及び物理的特性、したがってそれを含む複合体が、組成物の特定の成分(すなわち、選択されるシリコーン-アクリレートポリマー(I)、選択されるアミノシロキサン(II)及び利用される任意の任意選択成分)によって影響されることを容易に理解するであろう。更に、複合体は、組成物の配合物及び複合体を調製するために利用される硬化条件に依存して、伝導性複合体、接着剤などとして更に定義され得る。
【0109】
組成物を硬化させる特定の方法は、特に限定されず、上述の組成物の成分と相溶性がある、当業者によって知られている硬化の任意の方法及び/又は技法を含み得る。硬化方法及び/又は技法の例としては、光硬化、湿気硬化、架橋などが挙げられる。概して、組成物を硬化させることは、上述のように、シリコーン-アクリレートポリマー(I)をアミノシロキサン(II)と架橋させることを含む。しかしながら、他の硬化方法及び/又は技法はまた、例えば、組成物が他の硬化適合性官能基を含む場合など、前述の架橋と併せて利用することができる。
【0110】
ある特定の実施形態では、組成物を硬化させることは、例えば、シリコーン-アクリレートポリマー(I)のアミノシロキサン(II)との架橋を促進するために、組成物を高温で又は高温まで加熱することを含む。代替的に組成物の硬化温度と称され得る高温は、反応される特定のシリコーン-アクリレートポリマー(I)及び/又はアミノシロキサン(II)、組成物中に存在する伝導性充填剤(III)のタイプ、性質及び量、硬化が実行される条件(例えば、周囲条件下又は制御条件下であるかどうか、組成物が硬化中に基材上に配設されているかどうかなど)に依存して、選択及び制御されるであろう。したがって、硬化温度は、選択される反応条件及びパラメータ並びに本明細書の説明を考慮して、当業者によって容易に選択されるであろう。硬化温度は、典型的には、周囲温度超(例えば、25℃超)~200℃、代替的に25超~180、代替的に25超~165、代替的に25超~150、代替的に30~150、代替的に50~150、代替的に70~150、代替的に85~150、代替的に100~150、代替的に120~150℃など、23~200℃である。ある特定の実施形態では、硬化温度は、還流条件を利用する場合など、いずれか1つの溶媒若しくは揮発性希釈剤の沸点に基づいて選択及び/又は制御される。
【0111】
概して、組成物(すなわち、成分(III)の存在下で、少なくとも成分(I)及び(II)の)の硬化速度は、i)硬化温度が上昇するとき、ii)相対的なエポキシ及び/又はアミン基含有量が増加するとき(すなわち、それぞれ、シリコーン-アクリレートポリマー(I)及び/又はアミノシロキサン(II)において)、及びiii)相対的/比較的、立体障害が少ないシリコーン-アクリレートポリマー(I)及び/又はアミノシロキサン(II)が利用されるとき、上昇する。例示的な実施形態では、組成物の硬化時間(すなわち、目視検査による及び/又はレオメトリー監視を介した架橋時間)は、シリコーン-アクリレートポリマー(I)及びアミノシロキサン(II)についての硬化温度並びに特定の選択に依存して、<5分~>10日である。
【0112】
ある特定の実施形態では、組成物は、接着剤組成物、及び接着剤としての硬化生成物として特徴付けることができる。概して、接着剤は、組成物中で利用される伝導性充填剤(III)のために伝導性である。したがって、接着剤は、伝導性接着剤として更に定義され得る。上述の様々な実施形態の態様は、ブリード、伝導率、接着力などに関してなど、改善された性能特徴を有する接着剤を提供する。
【0113】
ある特定の実施形態では、接着剤は、20μm/分未満のブリード速度を示す。いくつかのそのような実施形態では、接着剤は、12未満、代替的に10未満、代替的に8未満、代替的に6未満、代替的に5μm/分未満など、15μm/分未満のブリード速度を示す。接着剤のブリード速度は、以下に記載及び説明されるブリード試験方法に従って測定することができる。
【0114】
特定の実施形態では、接着剤は、0.0012未満、代替的に0.00012オーム-cmなど、0.012オーム-cm未満の体積抵抗率(ρ)を示す。特定の実施形態では、接着剤は、1.2×10-2未満~1.2×10-4オーム-cmの体積抵抗率(ρ)を示す。接着剤の体積抵抗率は、以下に記載及び説明される体積抵抗率試験方法に従って測定することができる。
【0115】
特定の実施形態では、接着剤は、少なくとも0.4MPaの接着強度を示す。例えば、いくつかの実施形態では、接着剤は、少なくとも0.6、代替的に少なくとも0.7、代替的に少なくとも0.8、代替的に少なくとも0.9、代替的に少なくとも1MPaなど、少なくとも0.5MPaの接着強度を示す。特定の実施形態では、接着剤は、0.7~4MPaの接着強度を示す。しかしながら、接着剤は、7MPaの最大接着性、代替的に6MPaの最大接着性、代替的に5MPaの最大接着性など、任意の最大接着強度を含み得る。接着剤の接着強度は、以下に記載及び説明される接着強度試験方法に従って測定することができる。接着剤の接着強度は、例えば、異なる基材、硬化条件などの間で変化し得ることを理解されたい。したがって、上記の接着強度値及び範囲は、単に1つの特定の用途(例えば、特定の金属基材(例えば、Al、Ni-Cu、アルクラッドなどに関して利用される場合)、又は代替的に任意の数の用途に関する接着剤の特性に適用され得る。例えば、ある特定の実施形態では、接着剤は、接着促進剤(すなわち、成分(I)、(II)及び(III)を除いて、を含まず、上記の値及び範囲に従う接着強度を示す。したがって、接着剤が接着促進剤を含む場合の実施形態では、接着剤は、上記の範囲の上部分における、又は更にはそのような範囲を超える接着強度を含み得ることが理解されよう。
【0116】
接着剤に関して上述された特性は、組成物及びその硬化生成物の他の形態に等しく適用され得ることを理解されたい。
【0117】
組成物は、複合物品、すなわち基材上に配設された硬化生成物を含む物品を調製するために利用することができる。例えば、複合物品は、組成物を基材上に配設し(例えば、既に調製された硬化性組成物として、又は基材上にその場で硬化性組成物を調製するために段階的に)、組成物を硬化させて、基材上に硬化生成物を得、それによって複合物品を調製することによって形成することができる。このようにして、組成物は、典型的には、伝導性層などの基材上の層を調製するために使用される。
【0118】
組成物は、任意の好適な様態で(例えば、スプレー塗布、ブラッシング、ドローダウン、ロールコーティングなどを介して)基材上に配設又は分配することができる。典型的には、組成物は、ウェットコーティング技術により、湿潤形態で塗布される。ある特定の実施形態では、組成物は、以下の技法:i)スピンコーティング、ii)ブラシコーティング、iii)ドロップコーティング、iv)スプレーコーティング、v)ディップコーティング、vi)ロールコーティング、vii)フローコーティング、viii)スロットコーティング、ix)グラビアコーティング、x)メイヤーバーコーティング、xi)印刷、又はxi)i)~x)のうちのいずれか2つ又は3つ以上の組み合わせのうちの1つによって塗布され得る。典型的には、組成物を基材上に配設するにより、基材上に湿潤堆積物がもたらされ、これにより、その後、硬化されて、コーティングとして硬化生成物の層/膜を含むコーティングされた基材として複合物品が得られる。
【0119】
組成物は、任意の量で基材上に配設又は別様に塗布することができる。例えば、組成物は、少なくとも1ミル、代替的に少なくとも2ミル、代替的に少なくとも2.5ミル、代替的に少なくとも3ミルの見掛けの乾燥膜厚(DFT)を達成するのに十分な量で塗布することができ、ここで、1ミルは、1インチの1/1000に等しい。
【0120】
組成物は、強制空気オーブン内又は他のタイプの加熱源でなど、室温又は高温(例えば、硬化方法に関して上述された高温など)で、基材上で硬化させることができる。例えば、基材は、一体型加熱源(例えば、ホットプレート)を含み得る。硬化生成物は、利用される組成物の特定の基材及び成分に依存して、基材に物理的及び/又は化学的に結合されても、代わりに、基材から分離可能であってもよい。
【0121】
複合物品の基材は限定されず、組成物が配置され得る任意の基材であり得る。基材の例としては、概して、プラスチック(例えば、熱可塑性プラスチック及び/又は熱硬化性樹脂)、シリコーン、木材、金属(例えば、アルミニウム、鋼、亜鉛めっき板、スズめっき鋼など)、コンクリート、ガラス、セラミック、複合材、セルロース(例えば、クラフト紙、ポリエチレンコーティングされたクラフト紙(すなわち、PEKコーティング紙)、感熱紙、普通紙など)、厚紙、紙ボード、下塗り又は塗装された表面及び同様のもの、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。好適なプラスチック基材の具体例としては、概して、ポリアミド(polyamides、PA)などの熱可塑性プラスチック及び/又は熱硬化性樹脂、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(polytrimethylene terephthalate、PTT)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、液晶ポリエステルなどのポリエステル、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリブチレンなどのポリオレフィン、スチレン樹脂、ポリオキシメチレン(polyoxymethylene、POM)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、ポリメチレンメタクリレート(polymethylenemethacrylate、PMMA)、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS)、ポリフェニレンエーテル(polyphenylene ether、PPE)、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリアミドイミド(polyamideimide、PAI)、ポリエーテルイミド(polyetherimide、PEI)、ポリスルホン(polysulfone、PSU)、ポリエーテルスルホン、ポリケトン(polyketone、PK)、ポリエーテルケトン、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone、PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(polyetherketoneketone、PEKK)、ポリアリレート(polyarylate、PAR)、ポリエーテルニトリル(polyethernitrile、PEN)、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロハンなどのセルロース、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化樹脂、ポリスチレン型、ポリオレフィン型、ポリウレタン型、ポリエステル型、ポリアミド型、ポリブタジエン型、ポリイソプレン型、フルオロ型等の熱可塑性エラストマー、並びにこれらのコポリマー及び組み合わせが挙げられる。しかしながら、上記に列挙されたもの以外の基材を利用して、例えば、そのような他の基材上の組成物をコーティング及び硬化させることを介して、複合物品を調製することもできることを理解されたい。
【0122】
加えて、基材は、連続的若しくは非連続的な形状、サイズ、寸法、表面粗さ及び/又は他のそのような特徴を有し得る。いくつかの実施形態では、基材は、高温で又はそれを下回る軟化点温度を有し得、その結果、高温で組成物を硬化させると、硬化した生成物の基材への機械的接着が強まる。
【0123】
基材は、例えば、機能性デバイスの構成要素によって例示される。機能性デバイスの特定のタイプ及び性質は、特に限定されず、任意の種類の光学、電気及び/又は電子デバイスであり得、その結果、構成要素は、導波管、電気回路、電極などを収容するデバイスを含むことも、それらに利用することもできる。機能性デバイスの特定の例としては、光学デバイス、光電子デバイス、光機械デバイス、光磁気デバイス、電気及び/又は電子デバイス、電気光学デバイス、機械デバイス、マイクロ電気機械システムを含む電気機械デバイス、磁気デバイス、光電気磁気デバイス、機械磁気デバイス、熱デバイス、熱機械デバイス、熱光学デバイス、熱電気デバイス及び/又は熱電子デバイス、熱磁気デバイス及び同様のもの、並びにそれらの誘導体、改質物及び組み合わせが挙げられる。当業者には理解されるように、硬化生成物及び/又は複合物品はまた、上述のもののいずれかなどの機能性デバイスの構成要素であり得る。
【0124】
「ポリマー」という用語は、本明細書では、概して、同じタイプであるか互いに異なるタイプであるかどうかにかかわらず、モノマーを反応(すなわち、重合)させることによって調製され得る繰り返し単位(すなわち、モノマー単位)を含む化合物を示すために、従来の意味で利用されることを理解されたい。したがって、ポリマーという用語は、この用語が単に1つのタイプのモノマー単位を含むポリマーを示す「ホモポリマー」、この用語が2つの異なるタイプのモノマー単位を含むポリマーを示す「インターポリマー」及びこの用語が3つの異なるタイプのモノマー単位を含むポリマーを示す「ターポリマー」という用語を包含する。「コポリマー」という用語はまた、本明細書では、コポリマーという用語がインターポリマー、ターポリマーなどを包含するように、少なくとも2つの異なるタイプのモノマー単位を含むポリマーを示すために従来の意味で利用されることも理解されたい。したがって、ポリマーという用語はまた、ランダム、ブロック、コブロックなどを含むすべての形態のコポリマーを包含する。
【0125】
ポリマーは、多くの場合、1つ以上の特定のモノマーを含むか、又はそれ「で作製され」、特定のモノマー若しくはモノマータイプに「基づいて」、「から形成され」又は「に由来し」、特定のモノマー含有量若しくは特定のモノマーの割合を「含有する」と称されるが、この文脈では、「モノマー」という用語は、ポリマー自体のモノマー単位、すなわち、ポリマーを調製する際に利用される特定のモノマーの重合残留物、又はそのように調製され得る単位を指し、非重合モノマー種を指すものではないと理解されることも理解されたい。したがって、本明細書で使用されるとき、ポリマーは、概して、重合形態でモノマー単位を有していると称され、これらの各々が非重合モノマーに対応する(すなわち、特定のポリマーを調製するためにオリゴマーが利用される場合など、そのようなモノマーが、示される特定のモノマー単位を調製するために使用されなかった場合でも)。
【0126】
上述のポリマーのいずれにおいても、ポリマー自体の特徴付けを変えることなく、微量の不純物をポリマー構造中に組み込むことも、別様にその中に存在させることもでき、これは、概して、平均モノマー単位式に基づいて分類される(すなわち、ポリマー中及び/又はポリマー内に組み込まれ得る、例えば、触媒残留物、開始剤、末端処理剤などからの微量の不純物を除外する)ことも理解されたい。
【0127】
添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」を表現するために、かつそこに記載される特定の化合物、組成物、又は方法に限定されず、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態間で異なり得ることを理解されたい。様々な実施形態の特定の特徴又は態様を説明するための本明細書に依拠する任意のマーカッシュグループに関して、すべての他のマーカッシュメンバーから独立したそれぞれのマーカッシュグループの各メンバーから異なる、特別な、及び/又は予期しない結果が得られる場合がある。マーカッシュ群の各要素は、個々に、及び、又は組み合わされて依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態に適切な根拠を提供し得る。
【0128】
本開示の実施形態を示す以下の実施例は、本発明を説明することを意図するものであり、本発明を限定するものではない。別途明記されない限り、すべての反応は、空気下で実施され、すべての溶媒、基材及び試薬は、様々な商業的供給業者から購入されるか、又は別様に入手され、受け取ったまま利用される。
【0129】
以下の機器及び特徴付け手順/パラメータを使用して、以下の実施例で調製された化合物及び組成物の様々な物理的特性を判断する。
【0130】
機器
「Speedmixer」は、FlackTekDAC 150スピードミキサーである。
【0131】
核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)スペクトル法
核磁気共鳴(NMR)分析は、ケイ素を含まない10mmチューブ及び適した溶媒(例えば、CDCl)を使用して、Varian Unity INOVA 400(400MHz)分光計で行う。スペクトルについての化学シフトは、内部プロチオ溶媒共鳴を参照する(H:CDCl 29Si:テトラメチルシラン)。
【0132】
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析は、GPC/SECソフトウェアを使用し、PLgel 5μmガードカラムが先行するPLgel 5μm Mixed-Cカラム(300×7.5mm、Polymer Laboratories)を装備した、Agilent屈折率検出器を備えたAgilent 1260 Infinity IIクロマトグラフで行う。分析は、テトラヒドロフラン(THF)移動相を35℃で1.0mL/分の見掛けの流量で使用して実行し、試料をTHF(5mg/mL)中に溶解し、任意選択的に、注入前に0.2μmのPTFEシリンジフィルタを通して濾過する。較正は、3次多項式曲線に合致する580~2,300,000g/モルの範囲に及ぶ狭いポリスチレン(PS)標準を使用して実行する。
【0133】
動的粘度(Dynamic Viscosity:DV)
粘度測定は、添付のソフトウェアパッケージ(Rheoplus 32 V3.40)で利用可能なExpert流動曲線定常状態制御方法を使用して、25℃の動作温度で、25mmステンレス鋼コーン-イン-プレート治具(CP25、104μMトランケーションを伴う1.988インチ円錐角)を取り付けたAnton-Paar Physica MCR 301レオメーターで実行する。0.1~500s-1の剪断速度掃引を実行し、10ラジアン/秒の周波数での値をセンチポアズ(cP)で報告する。
【0134】
ブリード試験方法
ブリードの測定は、以下のブリード試験方法に従って、20倍~50倍の範囲の倍率を有するKeycene VHX 2000デジタル光学顕微鏡を使用して実行する。
【0135】
未硬化複合材料(試料)の5cm×0.5cmの細片を、すりガラス顕微鏡スライド(Fisher Scientific、3インチ×1インチ×1mm)の粗い表面上にスクリーン印刷する。スライドを直ちに顕微鏡の下に置き、印刷した複合材料の画像を記録する。複合材料を室温で60分間静置し、次いで別の画像を記録する。その後、複合体から分離したときにいくつかのポリマー材料を観察し、すりガラススライド上に濡れた表面層の外観を作り出す。顕微鏡の内蔵測定特徴部を使用して、印刷した複合体の縁部とブリード前部との間の距離を、印刷した材料の各側面に対して5回測定し、値を平均化して、μmでのブリード距離を得る。次いで、ある期間にわたって追加のブリード距離を記録及び区分けすることによって、μm/分でのブリード速度を求める。
【0136】
体積抵抗率試験方法
体積抵抗率分析を、以下の体積抵抗率試験方法に従って、ライン抵抗プローブヘッドを装備した、4探針プローブ器具(GP 4-TEST Pro;GP Solar、GmbH)を使用して行う:
【0137】
開口(5mm×60mm×0.25mm)を通してスクリーン印刷することによって、未硬化複合材料(試料)のアリコートを4インチ×4インチのガラススライド上に堆積させて、5mm×60mm(300mm)の面積を有する均一な細片を形成する。次いで、印刷した材料を150℃で硬化させて(硬化時間=材料依存性;1時間(比較例)~4時間(実施例))、スライド上の硬化層として伝導性細片を得、硬化層の厚さをマイクロメータ(Ono SokkiデジタルインジケータEG-225)を使用して求めた。ライン抵抗プローブヘッドを利用して、伝導性細片に沿った5cmの距離を通る電気抵抗を測定し、硬化試料の抵抗率は、等式(ρ=R(WxT/L)を使用して計算し、式中、ρ(rho)が、オームcmでの体積抵抗率であり、Rが、5cm間隔で置かれた2つの内側プローブチップ間で測定された硬化複合体のオームでの抵抗であり、Wが、cmでの硬化層の幅であり、Tが、cmでの硬化層の厚さであり、Lが、cmでの2つの内側プローブ間の硬化層の長さである。
【0138】
接着強度試験方法、ラップ剪断接着
試料の接着は、以下の接着強度試験方法に従って、引張強度の測定を引張試験機(Instron、モデル5566)で実行する、重ね剪断試験を使用して試験する。
【0139】
寸法0.040インチ×1インチ×3インチの重ね剪断パネル(ベアアルミニウム、Ni-Cu、アルクラッド)を洗浄ワイプ(Kimwipe)及びイソプロピルアルコールできれいに拭き取り、150℃のオーブン内に10分間置いて、完全な溶媒蒸発を確実にし、次いで室温まで冷却させる。パネルを5対にグループ分けし、各対の第1のパネルは、パネルの端部から1インチに印を付ける。未硬化複合材料のアリコート(試料、約2g)を、印と印が測定されたパネルの端部との間の1インチの面積内の第1のパネルに適用する。ガラスビーズの一部分(Potter’s Industries Inc.;0.0098インチの最大直径;約10mg)を複合体の上部に適用して、ボンドラインを確立し、次いで対応する第1のパネルの一部分の上部に各対の第2のパネルを静かに押圧して、アセンブリを形成し、これを、バインダークリップを用いて一緒に所定の位置で保持する。アセンブリを150℃のオーブン内に4時間置いて、複合材料を硬化させ、次いで室温まで一晩冷却する。次いで、10KNロードセル、60psiクランプ圧力及び2インチ/分の引張速度を使用して、アセンブリを引張試験機で分析し、5つの調製された重ね剪断部の各々について記録した引張強度測定値を平均化して、接着強度値(MPa)を得る。
【0140】
実施例で利用される様々な成分を以下の表1に記載する。
【0141】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0142】
一般手順1:エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマーの調製
トルエン(20g)を、撹拌シャフト、凝縮器、熱電対ポート、追加ポート及び加熱マントルを装備した、オーブン乾燥させた500mLの4口丸底フラスコに添加する。有機ケイ素モノマー(M1、87g)、グリシジル(メタ)アクリレート(GMA、24g)及びn-ドデカンチオール(CTA、8g)の混合物(総称して、「モノマーブレンド」)を調製し、フラスコ内に送給ラインを装備してシリンジポンプに接続されるルアーロックコネクタを備えた2つのプラスチックシリンジの中に分割する。過酸化ベンゾイル(BPO、4.04g)及びトルエン(40g)(「開始剤ブレンド」)を、フラスコ内に送給ラインを装備してシリンジポンプに接続されるルアーロックコネクタを備えた別のプラスチックシリンジに添加する。フラスコを加熱して、撹拌しながら目標温度(110℃)に到達させ、この時点でモノマーブレンドの送給を開始する(速度:2.5g/分、持続時間:40分)。5分間の遅延後、開始剤ブレンドの送給を開始し(持続時間:120分)、H NMRを介して反応を監視する。両方の送給の完了後、反応混合物を1時間撹拌しながら目標温度(110℃)に維持し、次いで室温(約23℃)まで冷却して、エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー(SA-1)を含む反応生成物を得、これを、蒸留を介して単離し、上記の手順に従って特徴付ける。
【0143】
調製例1~7:エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー
様々なアクリルオキシ官能性有機ケイ素化合物((M1)~(M5))を使用して、シリコーン-アクリレートポリマー(SA-1)~(SA-7)を上記の一般手順1に記載の手順に従って調製して、調製例1~7を得る。調製例1~7の特定の成分及びパラメータを以下の表2に記載する。調製後、シリコーン-アクリレートポリマー(SA-1)~(SA-7)を、上記の手順に従って特徴付け、この結果も以下の表2に記載する。
【0144】
【表2】
【0145】
比較例1及び2
20gのデンタルカップに伝導性充填剤1(16g)を充填する。次いで、ポリシロキサン1(3.64g)を添加し、スパチュラを使用して、得られた組成物を手で穏やかに混合し、次いでスピードミキサー(2000rpm、20秒)を介して混合する。次いで、架橋剤1(0.15g)を添加し、得られた組成物を、スピードミキサー(2000rpm、20秒)を介して混合する。次いで、Pt触媒1(0.20g、10ppmのPt)を添加し、得られた組成物を、スピードミキサー(2000rpm、20秒)を介して混合する。次いで、組成物を回転翼ポンプ(1トール、約5分)に接続した真空チャンバ内で脱気し、次いで、スピードミキサー(2000rpm、10秒)で穏やかに剪断して、均質な硬化性組成物(比較組成物1)を得る。硬化性組成物をスクリーン印刷し、次いで150℃で1時間硬化させて、硬化複合体(比較複合体1)を調製する。
【0146】
架橋剤2を使用して上記手順を繰り返して、別の均質な硬化性組成物(比較組成物2)を得、これをスクリーン印刷し、次いで150℃で1時間硬化させて、別の硬化複合体(比較複合体2)を調製する。実施例1~2の特定のパラメータを、以下の表3に記載する。
【0147】
調製後、比較複合体1及び2を、上記の手順に従って抵抗率、ブリード及び接着強度について評価する。これらの評価の結果を、下記の表3に記載する。
【0148】
【表3】
【0149】
一般手順2:硬化性材料の調製
シリコーン-アクリレートポリマー(SA-7、2.95g)及びアミノシロキサン(AS-1、1.05g)を20gのデンタルカップ内で組み合わせて、目標のエポキシ:アミン当量比(1:1)を有する組成物を形成し、これを、スピードミキサー(2000rpm、20秒)を介して混合して、均質な溶液を形成する。次いで、伝導性充填剤1(16g)をデンタルカップに添加し、スパチュラを使用して、得られた組成物を手で穏やかに混合し、次いで2回スピードミキサー(2000rpm、20秒)を介して混合する。次いで、組成物を回転翼ポンプ(1トール、約5分)に接続した真空チャンバ内で脱気し、次いで、スピードミキサー(1000rpm、10秒)で穏やかに剪断して、均質な硬化性組成物を得る。
【0150】
実施例1~42:硬化性組成物
上記の一般手順2に記載される手順に従って、成分(I)として調製例1~8からのシリコーン-アクリレートポリマー(SA-1)~(SA-8)、及び成分(II)としてアミノシロキサン(AS-1)又は(AS-2)、及び成分(III)として伝導性充填剤1のうちの1つを使用し、成分(I)及び(II)を特定のエポキシ:アミン当量比で利用して、硬化性組成物を調製して、実施例1~42を得る。実施例1~42の特定の成分及びパラメータを以下の表4及び5に記載する。
【0151】
【表4】
【0152】
【表5】
【0153】
調製後、実施例1~42の組成物を、抵抗率及びブリードについて、上記の手順に従って、それぞれ体積抵抗率試験方法及びブリード試験方法を使用して評価した。これらの評価の結果を、下記の表6に記載する。
【0154】
【表6】
ここで、「n.d.」は、求められなかった値を示す。
【0155】
上記の手順に従って、接着強度試験方法を使用して、実施例1~42の組成物を接着性について評価する。これらの評価の結果を、下記の表7に記載する。
【0156】
【表7】
ここで、「n.d.」は、求められなかった値を示す。
【0157】
示されるように、分岐シリコーン部分及び30モル%超のGMA(例えば、40及び50%)を含有するシリコーン-アクリレートポリマー並びに約1000~3000の分子量を有するアミノシロキサンを利用する硬化性組成物により、伝導性が良好(<0.0012オームcmの体積抵抗率)であり、ブリードが優良(<5μm/分)から中程度(<15μm/分)であり、1つ以上の基材で接着性が高く(>1MPa)、試験したすべての基材で接着性が中程度(>0.5MPa)であり、完全な接着不良がない、硬化生成物が調製される。約1000~3000の分子量を有するアミノシロキサンと組み合わせた、直鎖シリコーン部分及び40%モル超のGMAを有するシリコーン-アクリレートポリマーを利用する硬化性組成物により、電気伝導率が良好(<0.0012オームcmの体積抵抗率)である硬化生成物が調製され、一方、40%のGMAを有するシリコーン-アクリレートポリマーを使用する同様の組成物により、電気伝導率が適切である硬化生成物が調製される。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性組成物であって、
(I)エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマーであって、以下の一般単位式を有し、
【化1】
式中、各Rが、独立して、H及びCHから選択され、各Rが、独立して選択された置換又は非置換のヒドロカルビル基であり、各Dが、二価連結基であり、各Yが、独立して選択されたシロキサン部分であり、各Xが、独立して選択されたエポキシド官能性部分であり、下付き文字a≧1であり、下付き文字b≧1であり、下付き文字c≧0であり、下付き文字a、b及びcで示される単位が、任意の順序で前記シリコーン-アクリレートポリマー中にあり得る、エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマーと、
(II)分子当たり平均して少なくとも2つのアミン官能基を含むアミノシロキサンと、
(III)伝導性充填剤と、を含む、硬化性組成物。
【請求項2】
前記エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー(I)において、少なくとも1つのシロキサン部分Yが、一般式-Si(Rを有するシロキサン基を含み、式中、各Rが、独立して、R及び-OSi(Rから選択されるが、但し、少なくとも1つのRが-OSi(Rであることを条件とし、式中、各Rが、独立して、R、-OSi(R及び-[-D-SiR OSiR から選択され、式中、各Rが、独立して、R、-OSi(R及び-[-D-SiR OSiR から選択され、式中、各Rが、独立して、R及び-[-D-SiR OSiR から選択され、0≦m≦100であり、式中、Dが、二価連結基であり、式中、各Rが、独立して、置換又は非置換ヒドロカルビル基である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー(I)において、少なくとも1つのシロキサン部分Yが、以下の一般式を有するシロキサン基を含み、
【化2】
式中、0≦n≦100であり、下付き文字oが、2~6であり、下付き文字pが、0又は1であり、下付き文字qが、0又は1であり、下付き文字rが、0~9であり、下付き文字sが、0又は1であり、下付き文字tが、0又は2であるが、但し、下付き文字sが1であるとき、下付き文字tが0であり、下付き文字sが0であるとき、下付き文字tが2であることを条件とする、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記エポキシド官能性シリコーン-アクリレートポリマー(I)において、(i)Rが、下付き文字aで示される各部分においてCHであるか、(ii)Rが、下付き文字bで示される各部分においてCHであるか、(iii)Rが、下付き文字cで示される各部分においてHであるか、(iv)各Rが、ブチルであるか、(v)各Xが、式
【化3】
のエポキシプロピル基であるか、(vi)下付き文字bが、下付き文字a、b及びcで示される合計単位の少なくとも30%である構成するか、又は(vii)(i)~(vi)の任意の組み合わせである、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記アミノシロキサン(II)が、以下の一般式を有し、
[R SiO1/2[(HN-D-)(RSiO1/2x’[R SiO2/2[(HN-D-)(R)SiO2/2y’
式中、各Rが、独立して選択されたヒドロカルビル基であり、各Dが、独立して選択された二価連結基であり、下付き文字x、x’、y及びy’が各々、0≦x+x’<1、0<y+y’<1及びx’+y’>0であることを条件としてx+x’+y+y’=1であるようなモル分率である、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記伝導性充填剤(III)が、(i)銀コーティングされた金属粒子を含むか、(ii)銀コーティングされた有機粒子を含むか、(iii)銀フレークを含むか、(iv)0.005~100μmの中央粒径を含むか、(v)1×10S/mの電気伝導率(K)を含むか、又は(vi)(i)~(v)の任意の組み合わせである、請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
成分(I)、(II)及び(III)の合計重量に基づいて、(i)5~20重量%の成分(I)、(ii)2~15重量%の成分(II)、(iii)65~83重量%の成分(III)、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化生成物。
【請求項9】
伝導性層を含む複合物品を形成する方法であって、前記方法が、
組成物を基材上に堆積させることと、
任意選択的に加熱を介して、前記組成物を硬化させて、基材上に伝導性層を供給し、それにより前記複合物品を形成することと、を含み、
前記組成物が、請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性組成物である、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法に従って形成された複合物品。

【国際調査報告】