(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】非平面リニアアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
B25J 17/00 20060101AFI20230329BHJP
F16H 25/20 20060101ALI20230329BHJP
F16H 25/24 20060101ALI20230329BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
B25J17/00 F
F16H25/20 Z
F16H25/24 B
B25J5/00 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545457
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 US2021015075
(87)【国際公開番号】W WO2021162851
(87)【国際公開日】2021-08-19
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518096722
【氏名又は名称】ボストン ダイナミクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウェッブ,ジェイコブ ダニエル
【テーマコード(参考)】
3C707
3J062
【Fターム(参考)】
3C707AS36
3C707CS08
3C707CY37
3C707HS26
3C707HS27
3C707WA14
3C707WK06
3C707WM22
3C707WM24
3J062AA38
3J062AB24
3J062AC07
3J062BA35
3J062CD22
3J062CD54
(57)【要約】
【課題】 ロボットのパフォーマンスの向上を図ることである。
【解決手段】 駆動システム(200)は、駆動シャフト(222)を含み、前記リニアアクチュエータ(220)の長さに沿って延びる作動軸(A
L)を有するリニアアクチュエータを含む。駆動システムのモータアセンブリ(210)は、駆動シャフトに結合し、リニアアクチュエータの作動軸の周りで駆動シャフトを回転させるように構成される。リンケージシステム(230)は、モータアセンブリから離れて近位端部(232)から遠位端部(234)に延びる。リンケージシステムの近位端部は、第1の近位取り付け位置(L
P1)でキャリアに回転可能に取り付けられ、ここで、第1の近位取り付け位置は、作動軸からオフセットされている。駆動システムはまた、出力リンクが作動軸からオフセットされているリンケージシステムの遠位端部に回転可能に結合された出力リンク(202)を含む。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動システム(200)であって、
リニアアクチュエータ(220)であって、駆動シャフト(222)を含み、前記リニアアクチュエータ(220)の長さに沿って延びる作動軸(A
L)を有する、リニアアクチュエータ(220)と、
前記リニアアクチュエータ(220)の駆動シャフト(222)に結合され、前記リニアアクチュエータ(220)の前記作動軸(A
L)の周りで前記駆動シャフト(222)を回転させるように構成されたモータアセンブリ(210)と、
前記駆動シャフト(222)に取り付けられたナット(224)と、
ナット(224)を収容するキャリア(226)と、
前記モータアセンブリ(210)から離れて近位端部(232)から遠位端部(234)に延びるリンケージシステム(230)であって、前記近位端部(232)は第1の近位取り付け位置(L
P1)で前記キャリア(226)に回転可能に取り付けられ、前記第1の近位取り付け位置(L
P1)は前記作動軸(A
L)からオフセットされる、リンケージシステム(230)と、
前記リンケージシステム(230)の前記遠位端部(234)に回転可能に結合された出力リンク(202)であって、前記出力リンク(202)は前記作動軸(A
L)からオフセットされる、出力リンク(202)と、
を備える、駆動システム(200)。
【請求項2】
前記リンケージシステム(230)は、
前記リンケージシステム(230)の前記近位端部(232)に配置され、前記作動軸(A
L)に直交する第1の回転軸(A
MS)を画定する近位球面軸受(242a、242b)であって、前記近位球面軸受(242a、242b)は前記第1の近位取り付け位置(L
P1)で、前記リンケージシステム(230)を前記キャリア(226)に回転可能に取り付ける、近位球面軸受(242a、242b)と、
前記リンケージシステム(230)の前記遠位端部(234)に配置され、前記作動軸(A
L)に直交する第2の回転軸(A
C)を画定する遠位球面軸受(242c、242e)であって、前記遠位球面軸受(242c、242e)は、第1の遠位取り付け位置(L
D1)で前記出力リンク(202)を前記リンケージシステム(230)の前記遠位端部(234)に回転可能に結合し、前記第1の遠位取り付け位置(L
D1)は前記作動軸(A
L)からオフセットされる、遠位球面軸受(242c、242e)と、を含む、請求項1に記載の駆動システム(200)。
【請求項3】
前記駆動システム(200)の第1の位置では、前記第1の回転軸(A
MS)と前記第2の回転軸(A
C)とは互いに平行であり、前記駆動システム(200)の第2の位置では、前記第2の回転軸(A
MS)と前記第2の回転軸(A
C)とは互いに非平行である、請求項2に記載の駆動システム(200)。
【請求項4】
前記第1の近位取り付け位置(L
P1)と前記第1の遠位取り付け位置(L
D1)とを二等分する線は、前記第1の近位取り付け位置(L
P1)から前記第1の遠位取り付け位置(L
D1)に延びる方向に前記作動軸(A
L)に向かって収束する、請求項1から3のいずれか一項に記載の駆動システム(200)。
【請求項5】
前記リンケージシステム(230)は、
前記リンケージシステム(230)の前記近位端部(232)に配置された第1の近位端部と、前記リンケージシステム(230)の前記遠位端部(234)に配置された第1の遠位端部と、を有する第1の接続ロッド(236)であって、前記近位端部は、前記第1の近位取り付け位置(L
P1)で前記キャリア(226)に回転可能に取り付けられた、第1の接続ロッド(236)と、
前記リンケージシステム(230)の前記近位端部(232)に配置された第2の近位端部と、前記リンケージシステム(230)の前記遠位端部(234)に配置された第2の遠位端部とを有する第2の接続ロッド(238)であって、前記第2の近位端部は第2の近位取り付け位置(L
P2)で前記キャリア(226)に回転可能に取り付けられ、前記第2の近位取り付け位置(L
P2)は前記作動軸(A
L)からオフセットされている、第2の接続ロッド(238)と、をさらに含む、請求項1に記載の駆動システム(200)。
【請求項6】
前記第1の近位取り付け位置(L
P1)および前記第2の近位取り付け位置(L
P2)は、前記作動軸(A
L)の両側に配置され、前記作動軸(A
L)から等距離にオフセットされている、請求項5に記載の駆動システム(200)。
【請求項7】
前記リンケージシステム(230)は、
前記第1の接続ロッド(236)の前記第1の近位端部に配置され、前記作動軸(A
L)に直交する第1の回転軸(A
MS)を画定する第1の近位球面軸受(242a)であって、前記第1の近位球面軸受(242a)は、前記第1の接続ロッド(236)を前記第1の近位取り付け位置(L
P1)で前記キャリア(226)に回転可能に取り付ける、第1の近位球面軸受(242a)と、
前記第2の接続ロッド(238)の前記第2の近位端部に配置され、前記作動軸(A
L)に直交し、前記第1の回転軸(A
MS)と同軸である第2の回転軸(A
MS)を画定する第2の近位球面軸受(242b)であって、前記第2の近位球面軸受(242b)は、前記第2の接続ロッド(238)を前記第2の近位取り付け位置(L
P2)で前記キャリア(226)に回転可能に取り付ける、第2の近位球面軸受(242b)と、をさらに含む、請求項5または6に記載の駆動システム(200)。
【請求項8】
前記リンケージシステム(230)は、
前記第1の接続ロッド(236)の前記第1の遠位端部に配置され、前記作動軸(A
L)に直交する第1の回転軸(Ac)を画定する第1の遠位球面軸受(242c)であって、前記第1の遠位球面軸受(242c)は、前記出力リンク(202)を、前記第1の遠位取り付け位置(L
D1)で前記第1の接続ロッド(236)の前記第1の遠位端部に回転可能に結合し、前記第1の遠位取り付け位置(L
D1)は前記作動軸(A
L)からオフセットされている、第1の遠位球面軸受(242c)と、
前記第2の接続ロッド(238)の前記第2の遠位端部に配置され、前記作動軸(A
L)に直交し、第2の回転軸(A
C)と同軸である前記第2の回転軸(A
C)を画定する第2の遠位球面軸受(242e)であって、前記第2の遠位球面軸受(242e)は、第2の遠位取り付け位置(L
D2)で、前記出力リンク(202)を前記第2の接続ロッド(238)の前記第2の遠位端部に回転可能に結合し、前記第2の遠位取り付け位置(L
D2)は前記作動軸(A
L)からオフセットされている、第2の遠位球面軸受(242e)と、をさらに含む、請求項5から7のいずれか一項に記載の駆動システム(200)。
【請求項9】
前記第1の遠位取り付け位置(L
D1)および前記第2の遠位取り付け位置(L
D2)は、前記作動軸(A
L)の両側に配置され、前記作動軸(A
L)から等距離にオフセットされている、請求項8に記載の駆動システム(200)。
【請求項10】
前記出力リンク(202)は、前記第1の球面軸受(242c)と前記第2の遠位球面軸受(242e)との間に配置され、前記第1の回転軸(A
C)および前記第2の回転軸(A
C)と同軸の第3の回転軸(A
C)を画定する出力球面軸受(242d)を含む、請求項8または9に記載の駆動システム(200)。
【請求項11】
前記第1の接続ロッド(236)は、前記第1の接続ロッド(236)の前記第1の近位端部から前記第1の接続ロッド(236)の前記第1の遠位端部に延びる方向に前記作動軸(A
L)に向かって収束する長手方向軸を画定し、
前記第2の接続ロッド(238)は、前記第2の接続ロッド(238)の前記第2の近位端部から前記第2の接続ロッド(238)の前記第2の遠位端部に延びる方向に前記作動軸(A
L)に向かって収束する長手方向軸を画定する、請求項5から10のいずれか一項に記載の駆動システム(200)。
【請求項12】
前記キャリア(226)は、
前記キャリア(226)の外面から第1の方向に延在する第1の取り付けシャフト(226s
1)であって、前記第1の取り付けシャフト(226s
1)は前記第1の近位取り付け位置(L
P1)を画定する、第1の取り付けシャフト(226s
1)と、
前記キャリア(226)の前記外面から前記第1の方向と反対の第2の方向に延在する第2の取り付けシャフト(226s
2)であって、前記第2の取り付けシャフト(226s
2)は、前記第2の近位取り付け位置(L
P2)を画定する、第2の取り付けシャフト(226s
2)と、を含む、請求項5から11のいずれか一項に記載の駆動システム(200)。
【請求項13】
前記第1の取り付けシャフト(226s
1)の長手方向軸と、前記第2の取り付けシャフト(226s
2)の長手方向軸とは、互いに一致し、前記作動軸(A
L)に直交する、請求項12に記載の駆動システム(200)。
【請求項14】
前記モータアセンブリ(210)上に配置されたフレーム(250)であって、前記フレーム(250)は、前記キャリア(226)を少なくとも部分的に取り囲み、前記モータアセンブリ(210)から前記駆動シャフト(222)の端部に延びる、フレーム(250)をさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の駆動システム(200)。
【請求項15】
前記フレーム(250)は、前記フレーム(250)の長さに沿って延びる少なくとも1つのガイドレールであって、前記少なくとも1つのガイドレール(252)は、前記駆動シャフト(222)の前記作動軸に沿って前記キャリア(226)を案内し、前記作動軸(A
L)の周りの前記キャリア(226)の回転を拘束する、少なくとも1つのガイドレールを含む、請求項14に記載の駆動システム(200)。
【請求項16】
前記フレーム(250)は、第1のガイドレール(252a)および第2のガイドレール(252b)を含み、前記第1のガイドレール(252a)および前記第2のガイドレール(252b)は、前記フレーム(250)の長さに沿って延在し、対向する面を含み、前記キャリア(226)は、前記第1のガイドレール(252a)および前記第2のガイドレール(252b)の対向する面の間に設置された突起(226p)を含む、請求項14または15に記載の駆動システム(200)。
【請求項17】
ロボット(100)であって、
上部部材(122
U)および下部部材(122
L)を含む脚(120)であって、前記上部部材(122
U)は前記脚の(120)の膝関節(J
K)のピボット点で前記下部部材(122
L)に結合される、脚(120)と、
前記膝関節(J
K)の前記ピボット点の周りで前記脚(120)の前記下部部材(122
L)を回転させるように構成され、かつ、前記上部部材(122
U)の空洞内にある、駆動システム(200)であって、
モータアセンブリ(210)と、
前記モータアセンブリ(210)に結合され、前記上部部材(122
U)の軸に沿って延びるリニアアクチュエータ(220)と、
前記リニアアクチュエータ(220)上に配置されたキャリア(226)と、
少なくとも1つの接続ロッド(236、238)を含む、リンケージシステム(230)であって、前記少なくとも1つの接続ロッド(236、238)は、第1の端部および第2の端部を有し、前記第1の端部は、第1の球面軸受(242a、242b)で前記キャリア(226)に接続し、前記第2の端部は、第2の球面軸受(242c、242e)で前記膝関節(J
K)の前記ピボット点からオフセットされた位置で前記下部部材(122
L)に接続し、前記少なくとも1つの接続ロッド(236、238)の前記第2の球面軸受(242c、242e)は、前記膝関節(J
K)で前記下部部材(122
L)に埋め込まれた第3の球面軸受(242d)に同軸に接合される、リンケージシステム(230)と、
を含む、駆動システム(200)と、
を備え、
前記キャリア(226)は、前記リニアアクチュエータ(220)の動きを前記リンケージシステム(230)に変換して、前記脚(120)の前記下部部材(122
L)を前記膝関節(J
K)の前記ピボット点の周りで枢動させる、ロボット(100)。
【請求項18】
前記キャリア(226)は、第1の円筒形ロッド(226s
1)および第2の円筒形ロッドであって、前記第1の円筒形ロッド(226s
1)および前記第2の円筒形ロッド(226s
2)は前記上部部材(122
U)の内壁に向かって延び、前記第1の円筒形ロッド(226s
1)および前記第2の円筒形ロッド(226s
2)は、前記上部部材(122
U)の前記軸と交差する軸に沿って同軸である、第1の円筒形ロッド(226s
1)および第2の円筒形ロッドをさらに含む、請求項17に記載のロボット(100)。
【請求項19】
前記駆動システム(200)は、前記上部部材(122
U)の前記軸に沿って延びるフレーム(250)をさらに含み、前記フレーム(250)は前記リニアアクチュエータ(220)および前記キャリア(226)を少なくとも部分的に取り囲む、請求項17または18に記載のロボット(100)。
【請求項20】
前記フレーム(250)は前記キャリア(226)が前記上部部材(122
U)の前記軸に沿って並進するのを拘束する、請求項19に記載のロボット(100)。
【請求項21】
前記フレーム(250)は、前記キャリア(226)が前記上部部材(122
U)の前記軸の周りを回転するのを拘束し、前記キャリア(226)が前記上部部材(122
U)の前記軸に沿って並進するように案内する、請求項19に記載のロボット(100)。
【請求項22】
前記キャリア(226)は、前記フレーム(250)の一部によって拘束された突起(226p)を含む、請求項20または21のいずれか一項に記載のロボット(100)。
【請求項23】
前記フレーム(250)は前記上部部材(122
U)の内壁からオフセットされている、請求項20から22のいずれか一項に記載のロボット(100)。
【請求項24】
前記キャリア(226)は、前記リニアアクチュエータ(220)のスクリューシャフト(222)に沿って並進するように構成されたナット(224)を取り囲む、請求項17から23のいずれか一項に記載のロボット(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットは、一般に、タスクを実行するために、可変のプログラムされた動作を介して材料、部品、ツール、または特殊なデバイスを移動するように設計された再プログラム可能な多機能マニピュレータとして定義される。ロボットは、物理的に固定されたマニピュレータ(例えば、産業用ロボットアーム)、(例えば、脚、車輪、もしくは牽引ベースのメカニズムを使用して)環境全体を移動する移動ロボット、またはマニピュレータと移動ロボットとの何らかの組み合わせであり得る。ロボットは、例えば、製造、輸送、危険な環境、探査、およびヘルスケアを含む、様々な産業で利用される。このように、調整された脚の動きの様々な手段を必要とする障害物または特徴を備えた環境を昇降するロボットの能力は、そのような産業に追加の利益を提供する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様は、駆動システムを提供する。駆動システムは、駆動シャフトを含み、リニアアクチュエータの長さに沿って延びる作動軸を有するリニアアクチュエータを含む。駆動システムはまた、リニアアクチュエータの駆動シャフトに結合され、リニアアクチュエータの作動軸の周りで駆動シャフトを回転させるように構成されたモータアセンブリを含む。駆動システムは、駆動シャフトに取り付けられたナットと、ナットを収容するキャリアとをさらに含む。駆動システムのリンケージシステムは、モータアセンブリから離れて近位端部から遠位端部に延びる。リンケージシステムの近位端部は、第1の近位取り付け位置でキャリアに回転可能に取り付けられ、第1の近位取り付け位置は作動軸からオフセットされる、駆動システムはまた、出力リンクが作動軸からオフセットされているリンケージシステムの遠位端部に回転可能に結合された出力リンクを含む。
【0004】
本開示の実装形態は、以下の任意選択の特徴のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実装形態では、リンケージシステムは、作動軸に直交する第1の回転軸を画定するリンケージシステムの近位端部に配置された近位球面軸受と、作動軸に直交する第2の回転軸を画定するリンケージシステムの遠位端部に配置された遠位球面軸受と、を含む。ここで、近位球面軸受は、第1の近位取り付け位置でリンケージシステムをキャリアに回転可能に取り付け、遠位球面軸受は、第1の遠位取り付け位置で出力リンクをリンケージシステムの遠位端部に回転可能に結合し、第1の遠位取り付け位置は作動軸からオフセットされる。これらの実装では、第1の回転軸と第2の回転軸は、駆動システムの第1の位置では互いに平行であり、駆動システムの第2の位置では、第1の回転軸と第2の回転軸とは互いに非平行である。いくつかの例では、第1の近位取り付け位置と第1の遠位取り付け位置とを二等分する線は、第1の近位取り付け位置から第1の遠位取り付け位置まで延びる方向に作動軸に向かって収束する。
【0005】
いくつかの構成では、リンケージシステムは、(i)リンケージシステムの近位端部に配置された第1の近位端部と、リンケージシステムの遠位端部に配置された第1の遠位端部とを有する第1の接続ロッドと、(ii)リンケージシステムの近位端部に配置された第2の近位端部と、リンケージシステムの遠位端部に配置された第2の遠位端部とを有する第2の接続ロッドと、をさらに含む。ここで、第1の近位端部は、第1の近位取り付け位置でキャリアに回転可能に取り付けられ、第2の近位端部は、第2の近位取り付け位置でキャリアに回転可能に取り付けられ、第2の近位取り付け位置は作動軸からオフセットされている。第1の近位取り付け位置および第2の近位取り付け位置は、作動軸の両側に配置され、作動軸から等距離にオフセットされ得る。これらの構成では、リンケージシステムは、(i)第1の接続ロッドの第1の近位端部に配置され、作動軸に直交する第1の回転軸を画定する第1の近位球面軸受と、(ii)第2の接続ロッドの第2の近位端部に配置され、作動軸に直交し、第1の回転軸と同軸である第2の回転軸を画定する第2の近位球面軸受とをさらに含み得る。ここで、第1の近位球面軸受は、第1の接続ロッドを第1の近位取り付け位置でキャリアに回転可能に取り付け、第2の近位球面軸受は、第2の接続ロッドを第2の近位取り付け位置でキャリアに回転可能に取り付ける。
【0006】
追加的または代替的に、これらの構成において、リンケージシステムは、(i)第1の接続ロッドの第1の遠位端部に配置され、作動軸に直交する第1の回転軸を画定する第1の遠位球面軸受と、第2の接続ロッドの第2の遠位端部に配置され、作動軸に直交し、第2の回転軸と同軸である第2の回転軸を画定する第2の遠位球面軸受と、をさらに含み得る。この配置では、第1の遠位球面軸受は、出力リンクを、第1の遠位取り付け位置で第1の接続ロッドの第1の遠位端部に回転可能に結合し、第1の遠位取り付け位置は作動軸からオフセットされており、第2の遠位球面軸受は、第2の遠位取り付け位置で、出力リンクを第2の接続ロッドの第2の遠位端部に回転可能に結合し、第2の遠位取り付け位置は作動軸からオフセットされている。第1の遠位取り付け位置および第2の遠位取り付け位置は、作動軸の両側に配置され、作動軸から等距離にオフセットされ得る。出力リンクは、第1の球面軸受と第2の遠位球面軸受との間に配置される出力球面軸受であって、第1の回転軸および第2の回転軸と同軸の第3の回転軸を画定する出力球面軸受を含み得る。
【0007】
一部の実装では、第1の接続ロッドは、第1の接続ロッドの第1の近位端部から第1の接続ロッドの第1の遠位端部に延びる方向に作動軸に向かって収束する長手方向軸を画定し、第2の接続ロッドは、第2の接続ロッドの第2の近位端部から第2の接続ロッドの第2の遠位端部に延びる方向に作動軸に向かって収束する長手方向軸を画定する。
【0008】
任意選択的に、キャリアは、キャリアの外面から第1の方向に延在する第1の取り付けシャフトと、キャリアの外面から第1の方向と反対の第2の方向に延在する第2の取り付けシャフトと、を含む。ここで、第1の取り付けシャフトは、第1の近位取り付け位置を画定し、第2の取り付けシャフトは、第2の近位取り付け位置を画定する。第1の取り付けシャフトの長手方向軸および第2の取り付けシャフトの長手方向軸は、互いに一致し、作動軸に直交し得る。
【0009】
いくつかの実装形態では、駆動システムはまた、モータアセンブリ上に配置されたフレームを含む。フレームは少なくとも部分的にキャリアを囲み、モータアセンブリから駆動シャフトの端部まで延びる。フレームは、フレームの長さに沿って延びる少なくとも1つのガイドレールを含み得、少なくとも1つのガイドレールは、駆動シャフトの作動軸に沿ってキャリアを案内し、作動軸の周りのキャリアの回転を拘束する。これらの実装のいくつかでは、フレームは、第1のガイドレールおよび第2のガイドレールを含む。ここで、第1のガイドレールおよび第2のガイドレールは、フレームの長さに沿って延在し、対向する面を含む。キャリアは、第1のガイドレールおよび第2のガイドレールの対向する面の間に設置された突起を含み得る。
【0010】
本開示の別の態様は、ロボットの脚に駆動システムを提供する。ロボットは、上部部材および下部部材を含む脚を含み、上部部材は脚の膝関節のピボット点で下部部材に結合される。ロボットはまた、上部部材の空洞内にある駆動システムを含み、駆動システムは、膝関節のピボット点の周りで脚の下部部材を回転させるように構成される。駆動システムには、モータアセンブリ、リニアアクチュエータ、キャリア、およびリンケージシステムが含まれる。リニアアクチュエータはモータアセンブリに結合され、上部部材の軸に沿って延びる。キャリアはリニアアクチュエータに配置されている。リンケージシステムは、少なくとも1つの接続ロッドを含み、少なくとも1つの接続ロッドは、第1の端部および第2の端部を有する。第1の端部は、第1の球面軸受でキャリアに接続し、第2の端部は、第2の球面軸受で膝関節のピボット点からオフセットされた位置で下部部材に接続する。少なくとも1つの接続ロッドの第2の球面軸受は、膝関節で下部部材に埋め込まれた第3の球面軸受に同軸に接合されている。キャリアは、リニアアクチュエータの動きをリンケージシステムに変換して、脚の下部部材を膝関節のピボット点の周りで枢動させるように構成されている。
【0011】
本態様は、以下の任意選択の機能のうちの1つ以上を含んでもよい。いくつかの例では、キャリアは、第1の円筒形ロッドおよび第2の円筒形ロッドをさらに含む。ここで、第1の円筒形ロッドと第2の円筒形ロッドは、上部部材の内壁に向かって延びる。第1の円筒形ロッドおよび第2の円筒形ロッドは、上部部材の軸と交差する軸に沿って同軸であり得る。
【0012】
一部の実装では、駆動システムは上部部材の軸に沿って延びるフレームをさらに含み、フレームはリニアアクチュエータおよびキャリアを少なくとも部分的に取り囲む。フレームは、キャリアが上部部材の軸に沿って並進するのを拘束する場合がある。これらの実装形態では、フレームは、キャリアが軸の周りを回転するのを拘束することができ、フレームは、キャリアが上部部材の軸に沿って並進するように案内することができる。例えば、キャリアには、フレームの一部によって拘束される突起が含まれている。いくつかの例では、フレームは上部部材の内壁からオフセットされている。いくつかの構成では、キャリアは、リニアアクチュエータのスクリューシャフトに沿って並進するように構成されたナットを囲んでいる。
【0013】
本開示の別の態様は、力が駆動システムにトルクを加えることを低減するための方法を提供する。方法は、ロボットの脚の膝関節で力を受け取ることを含む。ロボットの脚は、第1の軸受アセンブリおよび第2の軸受アセンブリを含む。第1の軸受アセンブリは、膝関節のピボット点からオフセットされた膝関節で脚の下部部材と統合され、第1の軸受アセンブリは、第1のセットの球面軸受を含む。第2の軸受アセンブリは、脚の上部部材の空洞内に配置され、リンケージシステムによって第1の軸受アセンブリに回転可能に結合される。第2の軸受アセンブリは、リンケージシステムの膝関節端部に対向するリンケージシステムのキャリア端部でリンケージシステムによってキャリアに回転可能に結合する。キャリアは、上部部材内に収容されたリニアアクチュエータ上に配置されている。第2の軸受アセンブリは、第2のセットの球面軸受を含む。キャリアは、リニアアクチュエータの動きをリンケージシステムに変換して、脚の下部部材を膝関節のピボット点の周りで枢動させるように構成されている。この方法はまた、力を脚の上部部材または脚の下部部材の少なくとも1つに伝達して、力がリニアアクチュエータにトルクを加えることを低減することを含む。伝達された力は、(i)リンケージシステムの膝関節端部での第1のセットの球面軸受の回転、または(ii)リンケージシステムのキャリア端部での第2のセットの球面軸受の回転のうちの少なくとも1つを引き起こす。
【0014】
いくつかの例では、方法はまた、ロボットの制御システムがロボットの脚に対して歩行パターンを実行している間に、力を受け取り、力を伝達することを含む。いくつかの実装形態では、リンケージシステムは、第1の接続ロッドおよび第2の接続ロッドを含み、第1の接続ロッドは第1の接続ロッドのキャリア端部で第1のセットの球面軸受の第1の球面軸受に結合され、第2の接続ロッドは、第2の接続ロッドのキャリア端部で第1のセットの球面軸受の第2の球面軸受に結合される。第1の球面軸受および第2の球面軸受は、キャリアに同軸に取り付けることができる。軸受がキャリアに同軸に取り付けられている場合、キャリアは、第1の円筒形ロッドおよび第2の円筒形ロッドを含み得る。各円筒形ロッドは、上部部材の内壁に向かって延びる。第1の円筒形ロッドおよび第2の円筒形ロッドはまた、第1の球面軸受および第2の球面軸受を同軸に受け入れる。いくつかの構成では、第1のセットの球面軸受は、リンケージシステムの膝関節端部で同心円状に一緒に固定されている。
【0015】
任意選択的に、キャリアは部分的にフレームで囲まれている。フレームは、リニアアクチュエータを駆動する脚の上部部材内のモータアセンブリに配置され得る。フレームは、モータアセンブリからリニアアクチュエータの端部まで延びることができる。フレームは、フレームの長さに沿って延びる少なくとも1つのガイドレールを含み得、少なくとも1つのガイドレールは、リニアアクチュエータの作動軸に沿ってキャリアを案内し、作動軸の周りのキャリアの回転を拘束する。いくつかの例では、フレームは、第1のガイドレールおよび第2のガイドレールを含む。第1のガイドレールおよび第2のガイドレールは、フレームの長さに沿って延在し、対向する面を含む。ここで、キャリアは、第1のガイドレールと第2のガイドレールの対向する面の間に設置された突起を含み得る。
【0016】
本開示の1つ以上の実装例の詳細が、添付図面および以下の説明において記述される。他の態様、特徴および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2A】例示的な駆動システムのブロック図である。
【
図2B】
図2Aの駆動システムを含む、
図1のロボットの例示的な脚の斜視図である。
【
図2C】切断線B-Cに沿った
図2Bのロボットの脚の例示的な上部部材の上面断面図である。
【
図2D】ロボットの膝が位置を変えるときの切断線B-Dに沿った
図2Bのロボットの脚の例示的な上部部材の上面断面図である。
【
図2E】切断線B-Eに沿った
図2Bのロボットの脚の上部部材の一例の正面断面図である。
【
図3】ロボットの駆動システムにおける力を低減するためのロボットの動作の配置例である。
【
図4】本明細書に記載のシステムおよび方法を実装するために使用されることができる例示的なコンピューティングデバイスの概略図である。 様々な図面中の同様の参照記号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
移動ロボットは通常、環境の周りで移動するように構成されている。例えば、ロボットは環境内で1つ以上のタスクを実行するようにプログラムされている。与えられたタスクを実行するために、ロボットはある場所から別の場所に移動する必要がある場合がある。このように、ロボットは、ロボットを特定の方向に、または所与の経路に沿って移動させる移動構造(例えば、車輪、脚など)を含む。より具体的には、ロボットは、これらの移動構造の1つ以上に結合された駆動システムを使用して移動する。例えば、ロボットは移動を必要とするコマンドを受け取り、それに応じてロボットを移動するように駆動システムを操作する。駆動システムが移動構造を操作するとき、移動構造の一部は、ロボットを所望の方向に推進するための牽引力を提供する表面(例えば、地面)に接触することができる。
【0019】
ロボットは様々な環境で使用できるため、ロボットはこれらの環境内の条件を考慮した設計を目指している。環境での動作中、ロボットは環境との相互作用から様々な力に遭遇する可能性がある。例えば、ロボットが動いているか静止しているかに関係なく、環境内の物体がロボットに力を与える可能性がある。これらの力は、ロボットの1つ以上の構成要素に伝達され、同時にまたは時間の経過とともに、ロボットのパフォーマンスに影響を与える可能性がある。言い換えれば、これらの力はロボットの構成要素に摩耗を引き起こす可能性がある。例えば、脚などの移動構造は、環境内の物体またはロボット自体との衝突を経験する可能性がある。衝突により、力が移動構造(脚など)から駆動システムに伝達される場合がある。駆動システムが一定期間にわたって大きな力または繰り返しの力を受けると、駆動システムが劣化する可能性がある。このような劣化により、ロボットの修理のためのダウンタイムが発生したり、ロボットのパフォーマンスが低下したりする可能性がある。どちらの結果もロボットの有効性に影響を与える。
【0020】
脚式ロボットの場合、駆動システムは脚の一部に囲まれていてもよい。例えば、太ももに似た脚の上部部材は、駆動システムを収容する。ここで、駆動システムは、脚の下部部材を旋回させるために、回転運動をモータアセンブリから上部部材に沿った線形運動に伝達することができる。脚の下部部材を回転させることにより、ロボットの脚は、脚を立脚から遊脚に、またはその逆に移行する歩行パターンを実行することができる。このタイプの駆動システムでは、脚(例えば、脚の下部部材)が力(例えば、外力)を受けたときに、駆動システムが損傷を受けやすい可能性がある。例えば、下部部材または上部部材を下部部材に結合する関節(例えば、膝関節)にかかる力は、脚の上部部材を通して反射し、駆動システムの構成要素に衝撃を与える可能性がある。
【0021】
残念ながら、駆動システムが剛性構造である場合、上部部材の一部は、レバーアームの距離にわたって脚にかかる力をより大きなトルクに変換するレバーアームとして機能する可能性がある。したがって、剛性構造では、駆動システムは、モータアセンブリおよび/または外力からの負荷の下での曲げ、破損、または他の問題のある状態(例えば、バックラッシュまたはねじれ)を防ぐために、特に高い公差および精度を有する多数の構成要素を含み得る。このような構成要素を含めると、脚の建設コストが増加するが、複雑さのために修理コストも増加する可能性がある。言い換えると、駆動システムを拘束し、システムに潜在的に問題のある、または壊滅的な負荷がかかるのを減らすことを目的とした高公差構成要素であっても、脚にかかる力は必然的に駆動システムの部品の修理または交換につながる可能性がある。脚が駆動システムを収容する場合、特に駆動システムの内部構造が脚内にさらに包まれている場合、および/または正確な配置で高公差構成要素を含む場合、駆動システムの修理はより労働集約的である可能性がある。例えば、キャリッジ、キャリア、スリーブ、またはリニアローラ付きのチューブ内に完全にまたは実質的に囲まれている駆動システムのリニアアクチュエータは、厳しい公差のために保守が難しい場合がある。そのような問題を克服するために、本明細書に開示される駆動アセンブリは、駆動システムへの外部の影響および/または駆動システムの動作によって生成されるエネルギーおよび/または力を放散するための柔軟な解決策を提供することを目的とする。言い換えれば、非剛性駆動システムは、ロボットの移動構造の駆動システムへの応力を軽減する可能性がある。
【0022】
図1を参照すると、ロボット100は、ロボット100がロボット環境10の周りで移動することを可能にするボディ110に結合された脚120、120a~dなどの移動ベースの構造を備えたボディ110を含む。いくつかの例では、各脚120は、1つ以上の関節Jが脚120の部材122が移動することを可能にするような関節運動可能構造である。例えば、各脚120は、脚120の上部部材122、122
Uをボディ110に結合する股関節J
Hと、脚120の上部部材122
Uを脚120の下部部材122
Lに結合する膝関節J
Kと、を含む。
図1は、4つの脚120a~dを有する四足ロボットを示すが、ロボット100は、環境10内の地形を昇降するための手段を提供する任意の数の脚または移動ベースの構造(例えば、2つの脚を有する二足歩行もしくはヒト型ロボット)を含み得る。
図2A~
図2Eを参照して以下でより詳細に論じられるように、各脚120a~dはまた、上部部材122
Uに対する脚の下部部材122
Lの動きを与えるためのそれぞれの駆動システム200、200a~dを含む。
【0023】
地形を昇降するために、各脚120は、地形の表面(すなわち、牽引面)に接触している遠位端部124を有する。言い換えれば、脚120の遠位端部124は、ロボット100の移動中に枢動、据え付け、または概して牽引力を提供するためにロボット100によって使用される脚120の端部である。例えば、脚120の遠位端部124は、ロボット100の足に対応する。図示されていないが、いくつかの例では、脚120の遠位端部124は、遠位端部124が脚120の下部部材122Lに対して関節運動可能であるように、足首関節JAを含む。
【0024】
ロボット100は、重力の方向に沿った垂直方向の軸(例えば、Z方向の軸AZとして示される)と、ロボット100の分布質量の重み付けされた相対位置が合計してゼロとなる点である質量の中心CMと、を有する。さらに、ロボット100は、垂直方向の重力軸AZ(すなわち、重力に対して固定された基準フレーム)に対するCMに基づいたポーズPを有し、ロボット100によって採られる特定の姿勢またはスタンスを定義する。ロボット100の姿勢は、空間におけるロボット100の配向または角度位置によって画定され得る。ボディ110に対する脚120による動きにより、ロボット100のポーズP(すなわち、ロボットのCMの位置とロボット100の姿勢または配向の組み合わせ)が変更される。ここで、高さは一般的にz方向に沿った距離を指す。ロボット100の矢状平面は、y方向の軸AYおよびz方向の軸AZの方向に延びるY-Z平面に対応する。言い換えれば、矢状平面はロボット100を左右に二等分する。矢状平面とほぼ垂直であるように、x方向の軸AXおよびy方向の軸AYの方向に延びるX-Y平面上には、地上平面(横断平面とも称される)が設けられている。地面平面は、ロボット100の脚120の遠位端部124が、ロボット100が環境10の周りで移動するのを助けるために牽引力を生成することができる地上平面12を指す。ロボット100の別の解剖学的平面は、ロボット100のボディ110にわたって(例えば、第1の脚120aを備えたロボット100の左側から、第2の脚120bを備えたロボット100の右側まで)延びる正面平面である。正面平面は、x方向の軸AXおよびz方向の軸Azの方向に延びることによって、X-Z平面をまたぐ。
【0025】
脚式ロボットが環境10の周りで移動すると、ロボットの脚120は歩行サイクルを経る。一般に、歩行サイクルは、脚120が地面12に着地または接触したときに開始し、同じ脚120が再び地面12に接触したときに終了する。歩行サイクルは、主に遊脚相と立脚相との2つの相に分けることができる。遊脚相中、脚120は、(i)地面12からの持ち上げ(つま先上げ、および立脚相と遊脚相との間の移行とも称されることがある)、(ii)脚120の膝関節JKの屈曲、(iii)脚120の膝関節JKの伸展、および(iv)地面12への着地を実行する。ここで、遊脚相における脚120は、遊脚脚120SWと称される。遊脚脚120SWが遊脚相120SWの移動を進めると、別の脚120が立脚相を実行する。立脚相とは、脚120の遠位端部124(例えば、足)が地面12上にある期間を指す。立脚相中、脚120は、(i)遊脚相から立脚相への移行を引き起こす初期の地面接触、(ii)脚120が地面接触を弱める負荷応答、(iii)対側脚(すなわち、遊脚脚120SW)が持ち上げられ、バランスのとれた位置まで遊脚するとき(遊脚相の約半分)の立脚中間支持、および(iv)ロボットのCOMが脚120の上にあるときから対側脚120が地面12に着地するまでの立脚相支持を実行する。ここで、立脚相における脚120は、立脚脚120STと称される。
【0026】
環境10内でタスクを実行するために、ロボット100は、データ処理ハードウェア132およびメモリハードウェア134を備えたロボット100のコンピューティングシステム130を含む。データ処理ハードウェア132は、メモリハードウェア134に格納された命令を実行して、ロボット100の活動(例えば、移動および/または移動ベースの活動)に関連するコンピューティングタスクを実行するように構成される。一般的に言えば、コンピューティングシステム130は、データ処理ハードウェア132および/またはメモリハードウェア134の1つ以上の位置を指す。コンピューティングシステム130を用いて、ロボット100は、移動またはタスクベースのコマンドを(例えば、リモートコントロールから)受信するか、または環境10内で自律的に(例えば、センサ/知覚システムを使用して)動作することができる。
【0027】
いくつかの例では、コンピューティングシステム130は、ロボット100上に位置しているローカルシステムである。ロボット100上に位置しているとき、コンピューティングシステム130は、集中型(すなわち、ロボット100上の単一の位置/エリア、例えば、ロボット100のボディ110内にある)、分散型(すなわち、ロボット100の周りの様々な位置に配置される)、または両方のハイブリッドな組み合わせ(例えば、大多数の集中型ハードウェアおよび少数の分散型ハードウェアが存在する)であり得る。いくつかの違いを説明するために、分散型コンピューティングシステム130は、活動位置(例えば、脚120の関節を移動させるモータ)における処理が発生することを可能にし得る一方で、集中型コンピューティングシステム130は、ロボット100の様々な位置に位置しているシステムに通信する(例えば、脚120の関節を移動させるモータに通信する)中央処理ハブを可能にし得る。
【0028】
追加的または代替的に、コンピューティングシステム130は、ロボット100から離れて位置しているコンピューティングリソースを含む。例えば、コンピューティングシステム130は、ネットワークを介してリモートシステム(例えば、リモートサーバまたはクラウドに基づく環境)と通信する。コンピューティングシステム130と同様に、リモートシステム(図示せず)は、リモートデータ処理ハードウェアおよびリモートメモリハードウェアなどのリモートコンピューティングリソースを含む。ここで、データ(例えば、センサデータ)は、リモートシステムに格納および/または処理されても、コンピューティングシステム130にアクセス可能であり得る。いくつかの例では、コンピューティングシステム130は、コンピューティングシステム130のリソースがリモートシステムのリソース上に存在し得るように、コンピューティングリソース132、134の拡張としてリモートリソースを利用するように構成される。
【0029】
図2A~
図2Eを参照すると、ロボット100の1つ以上の脚120は、駆動システム200を含む。駆動システム200は、動きをモータアセンブリ210から出力リンク202に伝達して、脚120の上部部材122
Uに対して脚120の下部部材122
Lを移動させるように構成される。例えば、脚式ロボット100に関して、駆動システム200は、動きをモータアセンブリ210から、脚120の下部部材122
Lに結合された(例えば、統合された)出力リンク202に伝達する。ここで、モータアセンブリ210が、駆動システム200の残りの部分が出力リンク202に伝達する初期運動源であり得るように、モータアセンブリ210は駆動システム200の一部である。例えば、モータアセンブリ210が主に電気である場合、モータアセンブリ210の制御回路は、モータアセンブリ210の出力シャフトを回転させる電気信号を制御する。制御回路は、コンピューティングシステム130の一部、またはコンピューティングシステム130と通信する別個の制御システムであり得る。
【0030】
図2Aに示すように、モータアセンブリ210は、アクチュエータ220(例えば、リニアアクチュエータ)に結合されている。モータアセンブリ210のリニアアクチュエータ220への結合は、モータアセンブリ210によって生成された回転運動をほぼ線形の動きに変換する。例えば、リニアアクチュエータ220は、リニアアクチュエータ220の軸A
L(例えば、作動軸とも呼ばれる)(
図2C)の周りを回転するスクリューシャフトなどの(例えば、リードスクリューまたはスピンドルとも呼ばれる)シャフト222(
図2B)を含み、軸A
Lはリニアアクチュエータ220の長さに沿って延びる。換言すれば、モータアセンブリ210が回転運動を生成するとき、リニアアクチュエータ220(例えば、シャフト222)は、時計回りまたは反時計回りのいずれかで回転する。
【0031】
いくつかの実施形態では、リンケージシステム230がリニアアクチュエータ220に結合されて、リニアアクチュエータ220の動き(例えば、リニアアクチュエータ220の時計回りまたは反時計回りの回転)をほぼ線形の動きに伝達する。例えば、リンケージシステム230は、リニアアクチュエータ220が回転する(例えば、シャフト222が回転する)と、伸縮する。いくつかの例では、リンケージシステム230は、駆動システム200の長さを延長する手段として機能する。この延長は、リニアアクチュエータ220のサイズ(例えば、リニアアクチュエータ220の長さ)を制限するために、またはリニアアクチュエータ220のシャフト222のその長さにわたる屈曲または損傷のリスクを低減するために有利であり得る。いくつかの構成では、リンケージシステム230は、リニアアクチュエータ220に回転可能に結合されている。例えば、リンケージシステム230の近位端部232は、近位取り付け位置でリニアアクチュエータ220に回転可能に結合する。ここで、リンケージシステム230の近位端部232は、モータアセンブリ210に最も近いリンケージシステム230の端部を指し、リンケージシステム230の遠位端部234は、近位端部232に対向するリンケージシステム230の端部、または、モータアセンブリ210から最も離れている端部を指す(例えば、出力リンク202に結合されているように示されている)。
【0032】
いくつかの実装形態では、軸受アセンブリ240(例えば、軸受アセンブリ240、240bとして示される)は、リンケージシステム230の近位端部232を、近位取り付け位置L
pでリニアアクチュエータ220に回転可能に結合する。例えば、軸受アセンブリ240は、中心点の周りの軸受242の角回転を可能にするように構成された1つ以上の球面軸受242(
図2B)を含む。リニアアクチュエータ220を球面軸受242でリンケージシステム230に結合することにより、脚120への外力からのリンケージシステム230への応力は、脚120の上部部材122
Uおよび/または下部部材122
Lの外部構造によって吸収され得る。言い換えれば、軸受アセンブリ240(例えば、1つ以上の球面軸受242)の回転は、外力が脚120の構造フレーム(例えば、壁)に向け直されることを可能にする。例えば、軸受アセンブリ240は、外力が、脚120の内部部分(例えば、駆動システム200のリニアアクチュエータ220)での荷重(例えば、ねじれ荷重)の代わりに、脚120の外部部分でのばね様エネルギーに変換されることを可能にする。このエネルギーの伝達により、軸受アセンブリ240は、力がリニアアクチュエータ220に直接伝達され、駆動システム200に潜在的な損傷または劣化を引き起こすことを低減または防止することができる。例えば、脚120の外部構造は、リニアアクチュエータ220の内部構造を曲げたり、問題のあるねじれ荷重を受けたりすることなく(例えば、ナット224において)、代わりに曲がることができる。
図2B~
図2Eなどのいくつかの構成では、軸受アセンブリ240は、複数の球面軸受242(例えば、球面軸受242、242a~b)を含む。例えば、リンケージシステム230がリニアアクチュエータ220に接続または結合する各位置(例えば、第1および第2の取り付け位置)において、リンケージシステム230は、球面軸受242を用いてリニアアクチュエータ220に接続する。ここで、第1の近位取り付け位置に関連付けられた第1の近位球面軸受242a、および第2の近位取り付け位置に関連付けられた第2の近位球面軸受242bは、作動軸A
Lの両側に配置され、作動軸A
Lから等距離にオフセットされる。
【0033】
図2A~
図2Eを引き続き参照すると、リンケージシステム230の遠位端部234は、遠位取り付け位置L
dで出力リンク202に結合する。例えば、リンケージシステム230の遠位端部234は、出力リンク202に回転可能に結合されている。ここで、リンケージシステム230の近位端部232と同様に、遠位端部234は、軸受アセンブリ240(例えば、第2の軸受アセンブリ240、240b)を使用して出力リンク202に回転可能に結合することができる。軸受アセンブリ240bの1つ以上の球面軸受242、242c~eを介してリンケージシステム230を出力リンク202に回転可能に結合することにより、出力リンク202は、複数の自由度を有することができる。換言すれば、出力リンク202がリニアアクチュエータ220の作動軸A
Lからオフセットされた位置、またはリニアアクチュエータ220から面外に移動することを防止する、リンケージシステム230と出力リンク202との間の剛性接続の代わりに、リンケージシステム230と出力リンク202との間の軸受アセンブリ240の回転可能な接続は、出力リンク202またはその後出力リンク202に接続される任意の他のリンク(例えば、脚120の下部部材122
L)が、リニアアクチュエータ220の作動軸A
Lからオフセットされた位置、またはリニアアクチュエータ220から面外の位置に移動するのを可能にする。言い換えると、リンケージシステム230の一端または両端232、234が軸受アセンブリ240、240a~bを使用して結合される場合、駆動システム200は、様々な応力および/またはひずみに柔軟に適応し、駆動システム200にかかる有害な力からのエネルギーの一部または全部を、1つ以上の軸受アセンブリ240での回転エネルギーに変換する手段を有することができる。
図2Aは、脚120の上部および下部部材122に関する駆動システム200を示し、これらの部材122は、駆動システム200がロボット100の他の移動構造または他の非ロボット用途にも適応され得ることを示すために点線で示される。
【0034】
図2B~2Eに示されるようないくつかの例では、リニアアクチュエータ220は、シャフト222のねじ切りに沿って移動するアクチュエータ220のシャフト222上に配置されたナット224(例えば、
図2B~2Eに示される)を含む。ナット224、およびナット224に関連する任意選択のハウジング(例えば、キャリア226)は、リニアアクチュエータ220(例えば、ナット224またはキャリア226)に結合されたリンケージシステム230を延長および/または収縮させることができる。ここで、リンケージシステム230は、ピボット点PLの周りで上部部材122
Uに対して下部部材122
Lを旋回させるために、上部部材122
Uの少なくとも一部内で往復線形運動で移動する。
図2Bに示されるように、リンケージシステム230の遠位端部234は、遠位取り付け位置L
dで下部部材122Lに埋め込まれた出力リンク202に結合する。
図2Bに示される図に関連するこの例では、遠位取り付け位置L
dは、遠位端部124(または脚120の足)に対向する下部部材122
Lの端部であり、下部部材122
Lが上部部材122
Uに対して回転するためのピボット点PLの上にある。
【0035】
図2B~
図2Eに示されるように、いくつかの実装形態では、リンケージシステム230は、少なくとも1つの接続ロッド(例えば、第1の接続ロッド236および第2の接続ロッド238)を含む。ここで、各接続ロッド236、238は、キャリア226の取り付けシャフト226s(例えば、円筒形ロッド)でリニアアクチュエータ220に結合し、ここでキャリア226のシャフト226sが、キャリア226の外面から上部部材122
Uの内壁に向かって外向きに(例えば、作動軸A
Lに対して半径方向外向きに)延びる。キャリア226は、概して、ナット224がリニアアクチュエータ220のシャフト222に沿って移動することを可能にしながら、ナット224を実質的に密封するか、または取り囲むナット224の外殻またはハウジングとして機能し得る。ナット224のハウジングとして、キャリア226はまた、ナット224がシャフト222に沿って移動するときに、リンケージシステム230が同じ方向にナット224とともに移動するように、リンケージシステム230がリニアアクチュエータ220に接続する近位取り付け位置L
P1,2を含み得る。シャフト226sは、上部部材122
Uの内壁に向かって外向きに延びるが、シャフト226sは、シャフト226sの端部と内壁との間にギャップが存在するように、内壁に接触する前にシャフト226sの端部で終端し得る。
【0036】
いくつかの例では、リンケージシステム230が2つの接続ロッド236、238を含む場合、キャリア226は、取り付けシャフト226s
1、2が互いに対向し、それぞれの長さに沿った軸を共有する(つまり、同軸)ように、接続ロッド236、238のそれぞれに対応する取り付けシャフト226sを含む。すなわち、取り付けシャフト226s
1、2の各々は、キャリア226の外面から離れて、作動軸A
Lに直交する反対方向に上部部材122
Uの内壁に向かって延びるそれぞれの長手方向軸を含む。例えば、
図2Cおよび
図2Dは、共有軸A
MSが取り付けシャフト226s
1、2の長手方向軸と一致し、作動軸A
Lに直交する上面図からの取り付けシャフト226s
1、2の同軸関係を示している。
図2Cおよび
図2Dに示される図はまた、リンケージシステム230の各接続ロッド236、238が、リニアアクチュエータ220のアクチュエータ軸A
Lからオフセットされ得ることを示している。例えば、これらのオフセットは等しいか、または別の言い方をすれば、接続ロッド236、238の取り付け位置L
Pは、アクチュエータ軸A
Lから等距離にある。いくつかの構成では、近位端部232の各接続ロッド236、238もまた、上部部材122
Uの内壁からオフセットされている。上部部材122
Uの内壁からオフセットされることにより、接続ロッド236、238は、内壁との干渉のリスクなしに、近位取り付け位置L
Pの周りを旋回することができる。
【0037】
さらに、リンケージシステム230は、軸受アセンブリ240の少なくとも1つの軸受242を用いてリニアアクチュエータ220に回転可能に結合され得るので、
図2B~
図2Dは、球面軸受242が近位取り付け位置L
Pに配置され、回転可能な結合を提供するためにキャリアシャフト226sに配置または取り付けられ得ることを示している。リンケージシステム230が2つの接続ロッド236、238を含み、それぞれが同軸キャリア取り付けシャフト226s
1、2に取り付けられている場合、それぞれの球面軸受242a、242bは、各接続ロッド236、238と各取り付けシャフト226sとの間の結合を形成し得る。いくつかの例では、取り付けシャフト226sに取り付けられた各球面軸受242は、回転の中心点を含み、これらの中心点は同一直線上にあり、取り付けシャフト軸A
MSに沿った点として含まれる。言い換えると、取り付け軸A
MSは、アクチュエータ軸A
Lと交差する。例えば、取り付け軸A
MSは、アクチュエータ軸A
Lに直交する。いくつかの構成では、取り付け軸A
MSはまた、ナット224の中心点を含む(または位置合わせされる)。いくつかの例では、第1および第2の球面軸受242a~bは、互いに同心円状に取り付けられている。
【0038】
リンケージシステム230をさらに参照すると、リンケージシステム230が2つの接続ロッド236、238を含む場合、接続ロッド236、238の軸は、出力リンク202に向かっておよび/または出力リンク202で収束することができる。言い換えれば、接続ロッド236、238の遠位端部234は、遠位端部234が基本的に同じ遠位取り付け位置L
Dを共有するように構成され得る。例えば、
図2B~
図2Dは、3つの球面軸受242、242c~eを含む、接続ロッド236、238の遠位端部234にある軸受アセンブリ240を示している。いくつかの実装形態では、これらの3つの球面軸受242は、それらの回転の中心点が共通の軸A
Cを共有するように同心である。この同心の共通軸A
Cは、作動軸A
Lに直交し、取り付け軸A
MSに平行であり得る。この構成では、第1の接続ロッド236は、その遠位端部234(例えば、第1の遠位端部)に第1の遠位球面軸受242cを含み、第1の接続ロッド236を出力リンク202(例えば、下部部材122
Lの一部)に回転可能に結合する。出力リンク202は、第3の球面軸受242d(例えば、出力球面軸受とも呼ばれる)を含み、第2の接続ロッド238は、その遠位端部234(例えば、第2の遠位端部)に第2の遠位球面軸受242eを含み、第2の接続ロッド238を出力リンク202に回転可能に結合する。ここで、第1の遠位取り付け位置に関連付けられた第1の遠位球面軸受242c、および第2の遠位取り付け位置に関連付けられた第2の遠位球面軸受242eは、作動軸A
Lの両側に配置され、作動軸A
Lから等距離にオフセットされる。いくつかの例では、第1および第2の遠位球面軸受242c、242eのそれぞれと作動軸A
Lとの間のオフセットの大きさは、第1および第2の近位球面軸受242a、242bのそれぞれと作動軸A
Lとの間のオフセットの大きさよりも小さい。
【0039】
いくつかの例では、
図2Cおよび
図2Dに示されるように、軸受242c~eのセットは、それらの同心軸A
Cに沿ってピンによって接続されている。各軸受242が同心軸A
Cを共有している状態で、
図2Cおよび
図2Dは、脚120の膝関節J
Kが、リニアアクチュエータ220の作動軸A
Lまたはリニアアクチュエータ220の面外からオフセットされた位置に移動し得、駆動システム200の結合は、このような動きによって発生する応力およびひずみを処理し得ることを示す。換言すれば、下部部材122
Lまたは膝関節J
Kが特定の応力(例えば、外力から)を受けるとき、駆動システム200は、そのような応力を低減または防止する柔軟性を可能にする。例えば、脚120の外部構造(例えば、下部部材122
Lおよび/または上部部材122
U)は、リニアアクチュエータ220への応力を低減するために屈曲する。
【0040】
脚120の膝関節J
Kが、リニアアクチュエータ220の作動軸A
Lからオフセットされた位置、またはリニアアクチュエータ220の面外に移動すると、リンケージシステム230の遠位端部234にある軸受アセンブリ240aの同心軸A
Cは、リンケージシステム230の近位端部232にある軸受アセンブリ240bの取り付け軸A
MSと平行からずれてもよい。例えば、
図2Dは、作動軸A
Lに対して約90度の角度での軸受アセンブリ240bの取り付け軸A
MSを示し、一方、リンケージシステム230の遠位端部234における軸受アセンブリ240aの同心軸A
Cは、作動軸A
Lに対して約91.1度の角度である。したがって、軸受アセンブリ240a~bは、駆動システム200が互いに流体および/または非剛性であることさえ可能にし得る(すなわち、必ずしも平行関係を維持する必要はない)。追加的または代替的に、リンケージシステム230の球面軸受242c、242eの間の軸受アセンブリ240aの一部である出力リンク202の球面軸受242dは、脚120の軸動作が要求するものが何であっても、下部部材122
Lが球面軸受242dの周りで回転することを可能にするように構成される。
【0041】
いくつかの構成では、駆動システム200は、ナット224および/またはキャリア226のための線形拘束250をさらに含む。例えば、
図2B~
図2Eは、線形拘束を、リニアアクチュエータ220に最も近いモータアセンブリ210の端部にあるモータアセンブリ210と、モータアセンブリ210に対向するリニアアクチュエータ220の端部との間に延びるフレーム250として示している。いくつかの例では、フレーム250は、ナット224および/またはキャリア226の特定の動きを拘束しながら、リニアアクチュエータ220の周りにいくらかの剛性を提供するように機能する。さらに他の例では、フレーム250は単なる拘束機構である。いずれの場合も、フレーム250は、作動軸A
Lの周りのナット224の回転を防止することにより、拘束機構として機能する。作動軸A
Lの周りのナット224の回転を防止することにより、拘束機構は、ナット224が逸脱またはエネルギー伝達の損失なしにアクチュエータ220のシャフト222に沿って移動することを確実にする。
【0042】
いくつかの実装形態では、フレーム250は、ナット224を収容するキャリア226の回転を拘束することによって、ナット224の回転を防止する。例えば、フレーム250は、フレーム250の長さに沿って延びるガイドレール252を含む。ここで、ガイドレール252は、アクチュエータ軸ALに平行であるが、この軸ALからオフセットされている。ガイドレール252、252a~bを用いて、キャリア226は、ガイドレール252の間に延びる突起226pまたはフィンを備えて構築され得る。例えば、突起226pは、突起226pも接触する第2のガイドレール252bの面と対向する第1のガイドレール252aの面に当接または接触する。この構成では、これらの面のそれぞれは、時計回りまたは反時計回りに回転するキャリア226と干渉する。このフレームアプローチは、図に示されるナット224の線形拘束の唯一の形態であるが、この線形拘束250は、リニアアクチュエータ220のシャフト222および円筒形ブッシングに平行なローラまたは別のシャフトを用いて達成することもできる。フレーム250は、ロボット100の脚120の上部部材122U内の駆動システム200の設計に有利であり得、なぜなら、フレーム250は、拘束機構として固体円筒などの他の設計と比較して、拘束機構として機能しながら最小限の材料を使用することを目的とするからである。
【0043】
図2Eは、切断線BーEに沿った
図2Bの脚120の断面の一例である。この図は、リニアアクチュエータ220およびリンケージシステム230の近位端部232が、上部部材122
Uの内壁からオフセットされていることを示している。このオフセットは、膝関節J
Kおよび/または下部部材122
Lが外力を受け、駆動システム200の周りの外側フレーム(例えば、上部部材122
Uおよび/または下部部材122
L)の柔軟な動きを通じてこれらの力を放散または低減することを可能にし得る。さらに、この図は、これらのガイドレール252の内面が突起226pに接触するように、ガイドレール252、252a~bの間のキャリア226の突起226pを示している。さらに、この断面図は、軸受242a~bの中心点、取り付けシャフト軸A
MS、およびアクチュエータ軸A
Lの間の関係を示している。言い換えれば、
図2Eなどのいくつかの構成では、取り付け軸A
MSがアクチュエータ軸A
Lと交差しながら、軸受242a~bの中心点は同一直線上にあり、取り付けシャフト軸A
MSに沿った点として含まれる(例えば、アクチュエータ軸A
Lと直交して交差する)。追加的または代替的に、取り付け軸A
MSはまた、ナット224の中心点を含む(または位置合わせされる)。さらに、前述のように、この図はまた、リンケージシステムの近位端部232にある軸受アセンブリ240の球面軸受242a~bが、作動軸A
Lおよび/またはナット224の中心点から等距離にオフセットされていることを示す。
【0044】
図3は、駆動システム200の特定の構成要素(例えば、リニアアクチュエータ220)から力を伝達する例示的な方法300を示している。動作302において、方法300は、ロボット100の脚120の膝関節J
Kで力を受ける。ロボット100の脚120は、第1の軸受アセンブリ240aおよび第2の軸受アセンブリ240bを含む。第1の軸受アセンブリ240aは、膝関節J
Kのピボット点PLからオフセットされた膝関節J
Kで、脚120の下部部材120
Lと統合されている。第1の軸受アセンブリ240aは、第1のセットの球面軸受242を含む。第2の軸受アセンブリ240bは、脚120の上部部材120
Uの空洞内にあり、リンケージシステム230によって第1の軸受アセンブリ240aに回転可能に結合されている。第2の軸受アセンブリ240bは、リンケージシステム230の膝関節端部234に対向するリンケージシステム230のキャリア端部232(例えば、近位端部)でリンケージシステム230によってキャリア226に回転可能に結合される。キャリア226は、上部部材120
U内に収容されたリニアアクチュエータ220上に配置されている。第2の軸受アセンブリ240bは、第2のセットの球面軸受242を含む。キャリア226は、リニアアクチュエータ220の動きをリンケージシステム230に変換して、脚120の下部部材122
Lを膝関節J
Kのピボット点PLの周りで枢動させるように構成されている。動作304において、方法300は、力を脚120の下部部材122
Lまたは脚120の上部部材122
Uの少なくとも1つに伝達して、力がリニアアクチュエータ220にトルクを加えることを低減する。ここで、伝達された力は、リンケージシステム230の膝関節端部234(例えば、遠位端部)での第1のセットの球面軸受242の回転、またはリンケージシステム230のキャリア端部232での第2のセットの球面軸受242の回転の少なくとも1つを引き起こす。
【0045】
図4は、本明細書に記載のシステム(例えば、駆動システム200)および方法(例えば、方法300)を実施するために使用され得る例示的なコンピューティングデバイス400の概略図である。コンピューティングデバイス400は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、および他の適切なコンピュータなどの様々な形態のデジタルコンピュータを表すことが意図される。本明細書に示されている構成要素、それらの接続および関係、ならびにそれらの機能は、例示のみを意図しており、本明細書で説明および/または特許請求されている本発明の実装を制限することを意味するものではない。
【0046】
コンピューティングデバイス400は、プロセッサ410(例えば、データ処理ハードウェア)と、メモリ420(例えば、メモリハードウェア)と、ストレージデバイス430と、メモリ420および高速拡張ポート450に接続する高速インターフェース/コントローラ440と、低速バス470およびストレージデバイス430に接続する低速インターフェース/コントローラ460と、を含む。構成要素410、420、430、440、450、および460の各々は、様々なバスを使用して相互接続されており、共通のマザーボードに、または必要に応じて他の方法で取り付けられ得る。プロセッサ410は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)のためのグラフィカル情報を、高速インターフェース440に結合されたディスプレイ480などの外部入出力デバイス上に表示するために、メモリ420内またはストレージデバイス430上に格納された命令を含む、コンピューティングデバイス400内で実行するための命令を処理し得る。他の実装例では、必要に応じて、複数のプロセッサおよび/または複数のバスが、複数のメモリおよび複数のタイプのメモリとともに使用され得る。また、複数のコンピューティングデバイス400が、各デバイスが必要な動作の一部を提供する状態で(例えば、サーババンク、ブレードサーバのグループ、またはマルチプロセッサシステムとして)、接続され得る。
【0047】
メモリ420は、コンピューティングデバイス400内に非一時的に情報を格納する。メモリ420は、コンピュータ可読媒体、揮発性メモリユニット、または不揮発性メモリユニットであり得る。非一時的メモリ420は、コンピューティングデバイス400で使用するために、プログラム(例えば、命令のシーケンス)またはデータ(例えば、プログラム状態情報)を一時的または永続的に格納するために使用される物理デバイスであり得る。不揮発性メモリの例としては、以下に限定されないが、フラッシュメモリおよび読み取り専用メモリ(ROM)/プログラム可能な読み取り専用メモリ(PROM)/消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)/電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)(例えば、通常、ブートプログラムなどのファームウェアに使用される)が挙げられる。揮発性メモリの例としては、以下に限定されないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、相変化メモリ(PCM)、ならびにディスクまたはテープが挙げられる。
【0048】
ストレージデバイス430は、コンピューティングデバイス400に大容量記憶装置を提供し得る。いくつかの実装例では、ストレージデバイス430は、コンピュータ可読媒体である。様々な異なる実装例では、ストレージデバイス430は、フロッピーディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、またはテープデバイス、フラッシュメモリもしくは他の同様のソリッドステートメモリデバイス、またはストレージエリアネットワークもしくは他の構成のデバイスを含むデバイスのアレイであり得る。追加の実装例では、コンピュータプログラム製品は、情報担体内に実体的に具体化される。コンピュータプログラム製品は、実行されると、上記のような1つ以上の方法を実行する命令を含む。情報担体は、メモリ420、ストレージデバイス430、またはプロセッサ410上のメモリなどの、コンピュータ可読媒体または機械可読媒体である。
【0049】
高速コントローラ440が、コンピューティングデバイス400の帯域幅集中動作を管理する一方で、低速コントローラ460は、より低い帯域幅集中動作を管理する。そのようなデューティの割り当ては、例示にすぎない。いくつかの実装形態では、高速コントローラ440は、メモリ420と、ディスプレイ480(例えば、グラフィックプロセッサまたはアクセラレータを介して)と、様々な拡張カード(図示せず)を受容する高速拡張ポート450と、に結合されている。いくつかの実装例では、低速コントローラ460は、ストレージデバイス430と、低速拡張ポート490と、に結合されている。様々な通信ポート(例えば、USB、Bluetooth、イーサネット、ワイヤレスイーサネット)を含み得る低速拡張ポート490は、キーボード、ポインティングデバイス、スキャナーなどの1つ以上の入出力デバイスに、または、例えば、ネットワークアダプタを介して、スイッチもしくはルータなどのネットワーキングデバイスに結合され得る。
【0050】
コンピューティングデバイス400は、図に示すように、いくつかの異なる形態で実装され得る。例えば、これは、標準のサーバ400aとして、もしくはそのようなサーバ400aのグループ内に複数回、ラップトップコンピュータ400bとして、またはラックサーバシステム400cの一部として実装され得る。
【0051】
本明細書に記載のシステムおよび技術の様々な実装は、デジタル電子および/もしくは光回路、集積回路、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ならびに/またはそれらの組み合わせで実現され得る。これらの様々な実装は、データおよび命令をストレージシステムから受信するため、かつデータおよび命令をストレージシステムに送信するために結合された、専用または汎用であってもよい、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサと、少なくとも1つの入力デバイスと、少なくとも1つの出力デバイスと、を含むプログラマブルシステム上で実行可能および/または解釈可能な1つ以上のコンピュータプログラム内での実装を含み得る。
【0052】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、またはコードとしても知られる)は、プログラマブルプロセッサ用の機械命令を含み、高レベル手続き型および/もしくは物体指向プログラミング言語で、ならびに/またはアセンブリ言語/機械語で実装され得る。本明細書で使用される場合、「機械可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」という用語は、プログラマブルプロセッサに機械命令および/またはデータを提供するために使用される任意のコンピュータプログラム製品、非一時的なコンピュータ可読媒体、装置、および/またはデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD))を指し、機械命令を機械可読信号として受け取る機械可読媒体を含む。「機械可読信号」という用語は、プログラマブルプロセッサに機械命令および/またはデータを提供するために使用される任意の信号を指す。
【0053】
本明細書で説明されるプロセスおよびロジックフローは、入力データを処理して出力を生成することによって機能を実行するために、1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行され得る。プロセスおよびロジックフローはまた、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)などの専用論理回路によっても実行され得る。コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサには、例として、汎用および専用マイクロプロセッサの両方、ならびに任意の種類のデジタルコンピュータのうちの任意の1つ以上のプロセッサが含まれる。概して、プロセッサは、読み取り専用メモリもしくはランダムアクセスメモリ、またはその両方から命令および/またはデータを受信することになる。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサ、ならびに命令およびデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスである。概して、コンピュータはまた、データを格納するための1つ以上の大容量ストレージデバイス、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、もしくは光ディスクを含むか、または大容量ストレージデバイスからデータを受信、もしくはデータを転送、もしくはその両方を行うように動作可能に結合される。しかし、コンピュータは必ずしもそのようなデバイスを有する必要はない。コンピュータプログラム命令およびデータを格納するための好適なコンピュータ可読媒体には、すべての形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスが含まれ、例としては、例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、例えば内蔵ハードディスクまたは取り外し可能ディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD ROMディスクおよびDVD-ROMディスクが挙げられる。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補足されるか、または専用論理回路に組み込まれ得る。
【0054】
ユーザとの相互作用を提供するために、本開示の1つ以上の態様は、ユーザに情報を表示するための、例えば、CRT(陰極線管)、LCD(液晶ディスプレイ)モニタ、もしくはタッチスクリーンなどの表示デバイス、ならびに任意選択で、ユーザがコンピュータに入力を提供できるキーボード、および、例えば、マウスもしくはトラックボールなどのポインティングデバイスを有するコンピュータ上に実装され得る。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの相互作用を提供することもでき、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、または触覚的フィードバックなどの任意の形態の感覚フィードバックであり得、ユーザからの入力は、音響、音声、または触覚入力を含む任意の形態で受け取ることができる。さらに、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスにドキュメントを送信し、デバイスからドキュメントを受信することによって、例えば、ウェブブラウザから受信された要求に応答して、ユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザにウェブページを送信することによって、ユーザと相互作用することができる。
【0055】
多数の実装形態が説明されてきた。それでもなお、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正が行われ得ることが理解されよう。したがって、他の実装例は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
【国際調査報告】