(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供するためのマイクロ流体システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20230329BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546464
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 EP2021054166
(87)【国際公開番号】W WO2021165473
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519155413
【氏名又は名称】ミダイアグノスティクス・エヌブイ
【氏名又は名称原語表記】miDiagnostics NV
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ヨネス、ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】ミカエリアン、ダーフィット
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058DA07
2G058EB11
2G058EB19
2G058EC05
(57)【要約】
本発明はマイクロ流体システム(10、20)に関し、マイクロ流体システム(10、20)は、サンプル槽(110、210)と;サンプル槽(110、210)に接続された第1のサンプル流路(120、220)と、第1のサンプル流路(120、220)が、第1のバルブ(130、230)に至る第2のサンプル流路(122、222)と、第3のサンプル流路(124、224)とに分岐し、第3のサンプル流路(124、224)が、第2のバルブ(132、232)に至る第4のサンプル流路(126、226)と、第3のバルブ(134、234)に至る第5のサンプル流路(128、228)とに分岐する;バッファ槽(140、240)と;バッファ槽(140、240)を第2のバルブ(132、232)に接続するように配置構成された第1のトリガ流路(150、250)と;第2のバルブ(132、232)と第1のバルブ(130、230)とを接続する第2のトリガ流路(152、252)と;第1のバルブ(130、230)に接続された出口流路(154、254)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供するためのマイクロ流体システム(10、20)であって、前記マイクロ流体システム(10、20)は、
サンプル流体を受け取るように配置構成されたサンプル槽(110、210)と、
前記サンプル槽(110、210)に接続された第1のサンプル流路(120、220)であって、前記第1のサンプル流路(120、220)が、第1のバルブ(130、230)に至る第2のサンプル流路(122、222)と第3のサンプル流路(124、224)とに分岐し、前記第3のサンプル流路(124、224)が、第2のバルブ(132、232)に至る第4のサンプル流路(126、226)と第3のバルブ(134、234)に至る第5のサンプル流路(128、228)とに分岐する第1のサンプル流路(120、220)と、ここで、前記第5のサンプル流路(128、228)が所定の容積を有するものであり、
バッファ流体を受け取るように配置構成されたバッファ槽(140、240)と、
前記バッファ槽(140、240)を前記第2のバルブ(132、232)に接続するように配置構成された第1のトリガ流路(150、250)と、
前記第2のバルブ(132、232)と前記第1のバルブ(130、230)とを接続するように配置構成された第2のトリガ流路(152、252)と、
第1の端部(1542、2542)と第2の端部(1544、2544)とを有する出口流路(154、254)と、ここで、前記第1の端部(1542、2542)が前記第1のバルブ(130、230)に接続されており、
を備え、
前記第1のサンプル流路(120、220)が、毛管作用によって前記第1、第2、第3、第4、および第5のサンプル流路(120、220、122、222、124、224、126、226、128、228)を満たすためにサンプル流体を前記サンプル槽(110、210)から引き出すように配置構成され、
前記第1のトリガ流路(150、250)が、毛管作用によって、前記第2のトリガ流路(152、252)を備える流体経路を介してバッファ流体を前記バッファ槽(140、240)から出口流路(154、254)に引き出して前記第2のバルブ(132、232)と前記第1のバルブ(130、230)とを開くように配置構成され、それにより、前記第4のサンプル流路(126、226)と前記第3のサンプル流路(124、224)と前記第2のサンプル流路(122、222)とを備えるさらに他の流体経路が開放され、前記第4のサンプル流路(126、226)、前記第3のサンプル流路(124、224)、および前記第2のサンプル流路(122、222)中に存在するサンプル流体が前記第1のトリガ流路(150、250)からのバッファ流体で置き換えられて前記第2のトリガ流路(152、252)からのバッファ流体と共に前記出口流路(154、254)に流入することを可能にし、それにより、前記第5のサンプル流路(128、228)中に存在するサンプル流体を隣接サンプル流体から隔離し、隔離されたサンプル流体の体積が、前記第5のサンプル流路(128、228)の前記所定の容積に対応し、それにより、所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供する、マイクロ流体システム(10、20)。
【請求項2】
前記バッファ槽(140、240)と前記第3のバルブ(134、234)とを接続するタイミング流路(160、260)をさらに備え、前記タイミング流路(160、260)が、毛管作用によってバッファ流体を前記バッファ槽(140、240)から前記第3のバルブ(134、234)の出力(1342、2342)に引き出して前記第3のバルブ(134、234)を開くように配置構成され、それにより、前記第5のサンプル流路(128、228)中に存在する前記隔離されたサンプル流体が前記タイミング流路(160、260)からのバッファ流体と共に前記第3のバルブ(134、234)の前記出力(1342、2342)を通って流れることが可能にされる、請求項1に記載のマイクロ流体システム(10、20)。
【請求項3】
前記タイミング流路(160、260)が、前記第5のサンプル流路(128、228)中に存在する前記サンプル流体が隣接サンプル流体から隔離された後で前記第3のバルブ(134、234)を開くように構成されている、請求項2に記載のマイクロ流体システム(10、20)。
【請求項4】
前記タイミング流路(160、260)が第1の流れ抵抗器(162、262)を備え、前記第1の流れ抵抗器(162、262)の流れ抵抗が、前記第5のサンプル流路(128、228)中のサンプル流体が隣接サンプル流体から隔離された後で前記第3のバルブ(134、234)が開かれるように、前記バッファ槽(140、240)から前記第3のバルブ(134、234)への流量を制御するために選択される、請求項3に記載のマイクロ流体システム(10、20)。
【請求項5】
前記サンプル槽(110、210)を空にするように配置構成された毛管ポンプ(174、274)をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロ流体システム(10、20)。
【請求項6】
前記毛管ポンプ(174、274)が第2の流れ抵抗器(172、272)を介して前記サンプル槽(110、210)に接続され、前記第2の流れ抵抗器(172、272)の流れ抵抗が、前記第1のサンプル流路(120、220)、前記第2のサンプル流路(122、222)、前記第3のサンプル流路(124、224)、前記第4のサンプル流路(126、226)、および前記第5のサンプル流路(128、228)がサンプル流体で満たされた後で前記サンプル槽(110、210)が空にされるように、前記サンプル槽(110、210)から前記毛管ポンプ(174、274)への流量を制御するために選択される、請求項5に記載のマイクロ流体システム(10、20)。
【請求項7】
前記出口流路(154、254)の前記第2の端部(1544、2544)に接続された停止バルブ(136、236)をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のマイクロ流体システム(10、20)。
【請求項8】
前記停止バルブ(136、236)に接続されたベント(180、280)をさらに備え、前記ベント(180、280)が、前記出口流路(154、254)中に存在する気体が逃げることを可能にするように、前記停止バルブ(136、236)と前記マイクロ流体システム(10、20)の周囲との間の気体連通を可能にするように配置構成されている、請求項7に記載のマイクロ流体システム(10、20)。
【請求項9】
前記流路の1つまたは複数の壁が、シリカ、ガラス、高分子材料、ポリカーボネート、シリコン、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、および/または環状オレフィンコポリマー(COC)を備える、請求項1から8のいずれかに記載のマイクロ流体システム(10、20)。
【請求項10】
前記タイミング流路(160)が第4のバルブ(138)を介して前記バッファ槽(140)と前記第3のバルブ(134)とを接続し、前記マイクロ流体システム(10)が、
前記バッファ槽(140)と前記第4のバルブ(138)とを接続する希釈流路(190)をさらに備え、前記希釈流路(190)が毛管作用によってバッファ流体を前記バッファ槽(140)から前記第4のバルブ(138)に引き出すように構成され、
前記タイミング流路(160)が、前記第4のバルブ(138)を開くようにさらに構成され、それにより、バッファ流体が前記希釈流路(190)から前記第3のバルブ(134)に流れることが可能にされた、請求項2から9のいずれか一項に記載のマイクロ流体システム(10)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のマイクロ流体システム(10、20)を備える診断デバイス(50)。
【請求項12】
前記所定のサンプル体積を有する前記提供されたサンプル流体を分析するように配置構成された、請求項11に記載の診断デバイス(50)。
【請求項13】
所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供するための方法(30)であって、前記方法は、
サンプル流体をサンプル槽(110、210)に加え(S302)、それにより、第1のサンプル流路(120、220)が毛管作用によって第1のサンプル流路(120、220)と第2のサンプル流路(122、222)と第3のサンプル流路(124、224)と第4のサンプル流路(126、226)と第5のサンプル流路(128、228)とを満たすためにサンプル流体を前記サンプル槽(110、210)から引き出すことと、
ここで、前記第2のサンプル流路(122、222)および前記第3のサンプル流路(124、224)が前記第1のサンプル流路(120、220)の分岐であり、前記第4のサンプル流路(126、226)および前記第5のサンプル流路(128、228)が前記第3のサンプル流路(124、224)の分岐であり、ここにおいて、前記第2のサンプル流路(122、222)が第1のバルブ(130、230)に至り、前記第4のサンプル流路(126、226)が第2のバルブ(132、232)に至り、前記第5のサンプル流路(128、228)が第3のバルブ(134、234)に至るものであり、
バッファ流体をバッファ槽(140、240)に加え(S304)、それにより、第1のトリガ流路(150、250)が毛管作用によってバッファ流体を前記バッファ槽(140、240)から前記第1のバルブ(130、230)に接続された出口流路(154、254)に引き出すことと、
ここで、前記バッファ流体が、前記第1のバルブ(130、230)と前記第2のバルブ(132、232)とを接続する第2のトリガ流路(152、252)を備える流体経路を介して前記出口流路(154、254)に引き出され、前記第2のバルブ(132、232)および前記第1のバルブ(130、230)を開いて、前記第4のサンプル流路(126、226)と前記第3のサンプル流路(124、224)と第2のサンプル流路(122、222)とを備えるさらに他の流体経路が開放されるようにし、前記第4のサンプル流路(126、226)、前記第3のサンプル流路(124、224)、および前記第2のサンプル流路(122、222)中に存在するサンプル流体が、前記第1のトリガ流路(150、250)からのバッファ流体で置き換えられて前記第2のトリガ流路(152、252)からのバッファ流体と共に前記さらに他の流体経路を介して出口流路(154、254)に流入し、それにより、前記第5のサンプル流路(128、228)中に存在するサンプル流体が、隣接サンプル流体から隔離され、前記第5のサンプル流路(128、228)の容積に対応する体積を有することとなり、それにより、前記所定のサンプル体積を有する前記サンプル流体を提供するものである、
を備える方法(30)。
【請求項14】
サンプル流体を前記サンプル槽(110、210)に加えた(S302)後、およびバッファ流体を前記バッファ槽(140、240)に加える(S304)前に、前記サンプル槽(110、210)を空にすること(S308)をさらに備える、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の体積を有するサンプル流体を提供するためのマイクロ流体システムおよび方法に関する。本発明はさらに、このマイクロ流体システムを備える診断デバイスと、所定の体積を有するサンプル流体を提供するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体工学は、とりわけ、小さい規模に幾何学的に制約された流体の制御を扱う。このような技術は、インクジェットプリンタヘッド内やDNA分析チップ内で、ならびに他のタイプの「ラボオンチップ(lab-on-a-chip)」のために一般に使用される。多くの応用例では受動的な流体制御が使用され、これは、ミリメートル未満の寸法を有する管内で生じる毛管作用を利用して実現することができる。
【0003】
このようなシステムは、体積の測定および制御が必要とされるときに使用することができる。これは例えば、血球の分化または計数においてであるが、この場合、処理される血液サンプルの体積が正確にわかっていなければならない。比較的多い血液サンプル(10μlよりも多い)が加えられるシステムでは、血液のサンプル全体を処理するのは望ましくないことがある。というのは、血球構成または分布の正確な統計を得るには微量(10μl未満)しか必要とされないからである。したがって、サンプリングシステムは、処理のためにサンプルから既知の量の血液を測定する必要がある。
【0004】
しかし、毛管作用を使用するシステムにおける精密な体積計量は、難題である。というのは、このようなタイプの既存のシステムは概して、一旦開始すると、流体ストリームを遮断または閉鎖することを可能にしないからである。したがって、過多なサンプルがシステムに流入するのを防止するために流れを遮断することによって、精密に計量された体積の流体がサンプルから単純に抽出されることは不可能である。このように、精密に計量された体積を有するサンプルを提供する改良されたマイクロ流体システムが必要とされている。
【0005】
US2005/133101A1号は、マイクロ流体を制御するためのマイクロ流体制御デバイスおよび方法に関する。特に、マイクロ流体の移送、合流、混合、および時間遅延を得るために、溶液注入の結果として生じる表面張力変化によって毛管の圧力バリアが除去される。
【0006】
WO2018/132831A2は、隔離された液滴の同時生成および保管のためのデバイスと、これを作成および使用する方法とに関する。
【0007】
EP1925365A1は、マイクロ総合分析チップおよびマイクロ総合分析システムに関する。
【発明の概要】
【0008】
一目的は、当技術分野における上に識別された欠陥および不都合の1つまたは複数を個々にまたは任意の組合せで軽減、緩和、または除去し、少なくとも1つの上記問題を解決することである。
【0009】
第1の態様によれば、所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供するためのマイクロ流体システムが提供される。システムは、サンプル流体を受け取るように配置構成されたサンプル槽と;サンプル槽に接続された第1のサンプル流路と、第1のサンプル流路が、第1のバルブに至る第2のサンプル流路と、第3のサンプル流路とに分岐し、第3のサンプル流路が、第2のバルブに至る第4のサンプル流路と、第3のバルブに至る第5のサンプル流路とに分岐し、ここにおいて、第5のサンプル流路が所定の容積を有する;バッファ流体を受け取るように配置構成されたバッファ槽と;バッファ槽を第2のバルブに接続するように配置構成された第1のトリガ流路と;第2のバルブと第1のバルブとを接続するように配置構成された第2のトリガ流路と;第1の端部と第2の端部とを有する出口流路と、ここにおいて、第1の端部が第1のバルブに接続された、を備える。第1のサンプル流路は、毛管作用によって第1、第2、第3、第4、および第5のサンプル流路を満たすためにサンプル流体をサンプル槽から引き出すように配置構成され、第1のトリガ流路は、毛管作用によって、第2のトリガ流路を備える流体経路を介してバッファ流体をバッファ槽から出口流路に引き出して第2のバルブおよび第1のバルブを開くように配置構成され、それにより、第4のサンプル流路と第3のサンプル流路と第2のサンプル流路とを備えるさらに他の流体経路が開放され、第4のサンプル流路、第3のサンプル流路、および第2のサンプル流路中に存在するサンプル流体が第1のトリガ流路からのバッファ流体で置き換えられて第2のトリガ流路からのバッファ流体と共に出口流路に流入することを可能にし、それにより、第5のサンプル流路中に存在するサンプル流体を隣接サンプル流体から隔離し、隔離されたサンプル流体の体積は、第5のサンプル流路の容積に対応し、それにより、所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供する。
【0010】
このマイクロ流体システムを用いて、計量された体積のサンプル流体が提供される。このように、毛管作用を利用するマイクロ流体システムによって、システム内の流れを能動的に制御することなく、所定の体積を有するサンプルが提供される。通常、毛管作用から生じる流れを停止することは問題を孕み、したがって、このマイクロ流体システムを用いて所定の体積を有するサンプルを計量することは有利であろう。
【0011】
さらに、サンプル流体の体積が正確にわかっている(すなわち、所定の体積は第5のサンプル流路の容積に対応する)ので、所定の体積を有するサンプル流体の分析を向上することができる。
【0012】
マイクロ流体システムはさらに、バッファ槽と第3のバルブとを接続するタイミング流路を備えることができる。タイミング流路は、毛管作用によってバッファ流体をバッファ槽から第3のバルブの出力に引き出して第3のバルブを開くように配置構成され得、それにより、第5のサンプル流路中に存在する隔離されたサンプル流体は、タイミング流路からのバッファ流体と共に第3のバルブの出力を通って流れることが可能にすることができる。
【0013】
関連する利点は、隔離されたサンプル流体が、マイクロ流体システムから抽出され得、それにより、さらに他のシステム、例えば、隔離されたサンプル流体を分析するように配置構成された分析システムに提供することができることである。分析されることになるサンプル流体を精密に計量することは有利であろうし、これは、このマイクロ流体システムによって可能にすることができる。
【0014】
タイミング流路は、第5のサンプル流路中に存在するサンプル流体が隣接サンプル流体から隔離された後で、第3のバルブを開くように構成することができる。
【0015】
関連する利点は、隔離されたサンプル流体に隣接するサンプル流体が第3のバルブの出力を通って流れることはないものとし得るので、第3のバルブの出力を通って流れるサンプル流体の体積をより精密に決定することができることである。よって、マイクロ流体システムから抽出されるサンプル流体の体積を、より精密に計量することができる。
【0016】
さらに他の利点は、所定の体積を有するサンプル流体とバッファ流体との混合比率が、第3のバルブの出力を通って流れる流体について制御することができることであり、これは例えば、マイクロ流体システムの流れ抵抗によって(主に、タイミング流路、第1のトリガ流路、第4のサンプル流路、および第5のサンプル流路の流れ抵抗を制御することによって)制御することができる。
【0017】
タイミング流路は、第1の流れ抵抗器を備えることができる。第1の流れ抵抗器の流れ抵抗は、第5のサンプル流路中のサンプル流体が隣接サンプル流体から隔離された後で第3のバルブが開かれ得るように、バッファ槽から第3のバルブへの流量を制御するために選択することができる。
【0018】
関連する利点は、第5のサンプル流路中のサンプル流体が隣接サンプル流体から隔離された後で第3のバルブが開かれるのを依然として可能にしながらも、タイミング流路の長さが短縮することができることである。
【0019】
マイクロ流体システムはさらに、サンプル槽を空にするように配置構成された毛管ポンプを備えることができる。
【0020】
関連する利点は、サンプル槽が、第1、第2、第3、第4、および第5のサンプル流路の結合容積よりも大きい体積を有するサンプル流体を受け取り得、それにより、サンプル槽によって受け取られるサンプル流体の体積を制限する必要を低減することである。第1、第2、第3、第4、および第5のサンプル流路が満たされた後でサンプル流体がサンプル槽中に存在する場合は、第1、第2、および/または第3のバルブが開かれたときに追加のサンプル流体を毛管作用によってサンプル槽から引き出することができる。
【0021】
毛管ポンプは、第2の流れ抵抗器を介してサンプル槽に接続することができる。第2の流れ抵抗器の流れ抵抗は、第1のサンプル流路、第2のサンプル流路、第3のサンプル流路、第4のサンプル流路、および第5のサンプル流路がサンプル流体で満たされた後でサンプル槽を空にすることができるように、サンプル槽から毛管ポンプへの流量を制御するために選択することができる。
【0022】
関連する利点は、第5のサンプル流路がサンプル流体で満たされる前にサンプル槽が空にされることはないので、第3のバルブの出力を通って流れるサンプル流体の体積をより精密に決定することができることである。よって、マイクロ流体システムから抽出されるサンプル流体の体積を、より精密に計量することができる。
【0023】
マイクロ流体システムはさらに、出口流路の第2の端部に接続された停止バルブを備えることができる。
【0024】
マイクロ流体システムはさらに、停止バルブに接続されたベントを備える。ベントは、出口流路中に存在する気体が逃げることを可能にするように、停止バルブとマイクロ流体システムの周囲との間の気体連通を可能にするように配置構成することができる。
【0025】
関連する利点は、流路の毛管作用に逆らって作用する流路中の気体圧の蓄積を回避することができるので、サンプル流体および/またはバッファ流体の改善された流れを可能にすることができることである。
【0026】
サンプル流体および/またはバッファ流体は、水性液体であってよい。
【0027】
流路の1つまたは複数の壁は、シリカ、ガラス、高分子材料、ポリカーボネート、シリコン、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、および/または環状オレフィンコポリマー(COC)を備えることができる。
【0028】
タイミング流路は、第4のバルブを介してバッファ槽と第3のバルブとを接続し得、マイクロ流体システムはさらに、バッファ槽と第4のバルブとを接続する希釈流路を備え得、希釈流路は、毛管作用によってバッファ流体をバッファ槽から第4のバルブに引き出すように構成される。タイミング流路はさらに、第4のバルブを開くように構成され得、それにより、バッファ流体が希釈流路から第3のバルブに流れることが可能にされる。
【0029】
関連する利点は、希釈流路中、および第4のバルブと第3のバルブとを接続する流路中の流量を調整することによって、第3のバルブの出力を通って流れる流体の希釈率を制御することができることである。
【0030】
第2の態様によれば、第1の態様のマイクロ流体システムを備える診断デバイスが提供される。
【0031】
第1の態様の上記特徴は、適用可能なときには、この第2の態様にも適用される。過度の繰返しを避けるために、上記が参照される。
【0032】
診断デバイスは、所定のサンプル体積を有する提供されたサンプル流体を分析するように配置構成することができる。
【0033】
第3の態様によれば、所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供するための方法が提供される。方法は、サンプル流体をサンプル槽に加え、それにより、第1のサンプル流路が毛管作用によって第1のサンプル流路と第2のサンプル流路と第3のサンプル流路と第4のサンプル流路と第5のサンプル流路とを満たすためにサンプル流体をサンプル槽から引き出すことと、ここにおいて、第2のサンプル流路および第3のサンプル流路が第1のサンプル流路の分岐であり、第4のサンプル流路および第5のサンプル流路が第3のサンプル流路の分岐であり、ここにおいて、第2のサンプル流路が第1のバルブに至り、第4のサンプル流路が第2のバルブに至り、第5のサンプル流路が第3のバルブに至る;バッファ流体をバッファ槽に加え、それにより、第1のトリガ流路が、毛管作用によってバッファ流体をバッファ槽から第1のバルブに接続された出口流路に引き出すことと、ここにおいて、バッファ流体が、第1のバルブと第2のバルブとを接続する第2のトリガ流路を備える流体経路を介して出口流路に引き出され、第2のバルブおよび第1のバルブを開いて、第4のサンプル流路と第3のサンプル流路と第2のサンプル流路とを備えるさらに他の流体経路が開放されるようにし、第4のサンプル流路、第3のサンプル流路、および第2のサンプル流路中に存在するサンプル流体が、第1のトリガ流路からのバッファ流体で置き換えられて第2のトリガ流路からのバッファ流体と共にさらに他の流体経路を介して出口流路に流入し、それにより、第5のサンプル流路中に存在するサンプル流体が、隣接サンプル流体から隔離され、第5のサンプル流路の容積に対応する体積を有し、それにより、所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供する、を備える。
【0034】
第1および第2の態様の上記特徴は、適用可能なときには、この第3の態様にも適用される。過度な繰返しを避けるために、上記が参照される。
【0035】
方法はさらに、隔離されたサンプル流体が第3のバルブの出力を通って流れるように、第3のバルブを開くことを備えることができる。
【0036】
方法はさらに、サンプル流体をサンプル槽に加えた後、およびバッファ流体をバッファ槽に加える前に、サンプル槽に接続された毛管ポンプを使用してサンプル槽を空にすることを備えることができる。
【0037】
以下で提供される詳細な記述から、本開示の適用可能性のさらに他の範囲が明らかになるであろう。しかし、この詳細な記述から発明的概念の範囲内の様々な変更および修正が当業者に明らかになるであろうから、詳細な記述および具体例は、この発明的概念の好ましい異形を示すものではあるが例証として提供されるにすぎないことを理解されたい。
【0038】
よって、この発明的概念は、記述される方法の特定のステップに、または記述されるシステムの構成要素部分に限定されないことを理解されたい。というのは、そのような方法およびシステムは様々であってよいからである。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態について記述するためのものにすぎず、限定として意図されるものはないことも理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、文脈が明確にそうでないと指定しない限り、要素の1つまたは複数があることを意味するように意図されることに留意されたい。したがって、例えば、「a unit」または「the unit」への言及はいくつかのデバイスを含み得る、などとなる。さらに、単語「comprising」、「including」、「containing」、および類似の言い回しは、他の要素またはステップを排除しない。
【0039】
次に、本発明の異形を示す添付図面を参照しながら、この発明的概念の上記および他の態様についてより詳細に記述される。図は、本発明を具体的な異形に限定するものと考えられるべきではない。そうではなく、これらの図は、発明的概念を説明および理解するのに使用される。
【0040】
図に示されるように、レイヤおよび領域のサイズは、例証の目的で誇張されており、したがって、この発明的概念の異形の一般的な構造を例証するために提供される。全体を通して、同じ参照番号は、同じ要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1A】所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供するためのマイクロ流体システムを示す図。
【
図1B】所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供するためのマイクロ流体システムを備える診断デバイスを示す図。
【
図2A】所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供するのに使用されるときの、
図1Aのマイクロ流体システムに対応し得るマイクロ流体システムを示す図。
【
図2B】所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供するのに使用されるときの、
図1Aのマイクロ流体システムに対応し得るマイクロ流体システムを示す図。
【
図2C】所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供するのに使用されるときの、
図1Aのマイクロ流体システムに対応し得るマイクロ流体システムを示す図。
【
図2D】所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供するのに使用されるときの、
図1Aのマイクロ流体システムに対応し得るマイクロ流体システムを示す図。
【
図2E】所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供するのに使用されるときの、
図1Aのマイクロ流体システムに対応し得るマイクロ流体システムを示す図。
【
図3】所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供するための方法のブロック概略図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に、添付図面を参照しながら、この発明的概念について以下でより完全に記述され、ここでは、この発明的概念の現時点で好ましい異形が示される。しかし、この発明的概念は、多くの異なる形で実装され得、本明細書に記載の異形に限定されると解釈されるべきではない。そうではなく、これらの異形は、徹底性および完全性のために提供され、この発明的概念の範囲を当業者に完全に伝えるものである。
【0043】
少なくとも第1のサンプル流路、第2のサンプル流路、第3のサンプル流路、第4のサンプル流路、第5のサンプル流路、第1のトリガ流路、第2のトリガ流路、出口流路、およびタイミング流路は、毛管路であることを理解されたい。毛管路は、液体の毛管駆動流を提供できる流路である。また、このシステムの他の流路は、この発明的概念の具体的な実装形態に応じて、毛管路および/または他のタイプの流路であってよいことも理解されたい。
【0044】
以下では、流体が、マイクロ流体システム内で流路を通って流れ種々の時点でいくつかの位置に到達するものとして記述される。記述される時点でこれらの位置に流体が到達するように、これらの流れの流量を種々の方式で制御することができる。流体の毛管駆動流は、流体が湿らすことのできる1つまたは複数の接触面を必要とする。例えば、ガラスまたはシリカを備える面を、水性液体の毛管駆動流に使用することができる。さらに、例えば、ポリマー本来の親水特性、または修飾(例えば、化学修飾もしくはコーティングを含む)による親水特性を有する適切なポリマーが、毛管駆動流を促進または向上させ得る。
【0045】
流れは、例えば、流路の長さを適応させることおよび/または流路の流れ抵抗を適応させることによって、制御することができる。流路の流れ抵抗は、流路の断面積および/または流路の長さを適応させることによって制御することができる。流路の流れ抵抗はさらに、液体の特性、例えばその動的な粘度に依存し得る。追加または代替として、流量は、流れ抵抗器を使用して適応させられ得る。
【0046】
所望の毛管力を提供するために、例えば、液体の特性、ならびに/または流路の壁の材料および/もしくは特性に応じて、流れの流路の寸法を選択することができる。
【0047】
図1Aは、所定のサンプル体積を有するサンプル流体(サンプル流体は
図1Aには示されていない)を提供するためのマイクロ流体システム10を示す。
【0048】
本システムは、サンプル流体を受け取るように配置構成されたサンプル槽110を備える。サンプル槽110は、開口を有することによって、サンプル流体を受け取るように配置構成することができる。
【0049】
本システムはさらに、サンプル槽110に接続された第1のサンプル流路120を備える。第1のサンプル流路120は、第1のバルブ130に至る第2のサンプル流路122と、第3のサンプル流路124とに分岐する。第3のサンプル流路124は、第2のバルブ132に至る第4のサンプル流路126と、第3のバルブ134に至る第5のサンプル流路128とに分岐し、第5のサンプル流路128は、所定の容積を有する。第1のバルブ130、第2のバルブ132、および/または第3のバルブ134は、トリガバルブであってよい。トリガバルブは、その閉状態では、流体の主流を停止し得、その開状態では、流体の主流がトリガバルブの中を通過できるようにし得る。トリガバルブは、二次流によって開かれ得(すなわち、その開状態に変更され得)、主流と二次流との結合流がトリガバルブの出力を通って流れることを可能にすることができる。このようなトリガバルブは、当技術分野で毛管トリガバルブとして知ることができる。
【0050】
本システムはさらに、バッファ流体を受け取るように配置構成されたバッファ槽140を備える。バッファ槽140は、開口を有することによって、バッファ流体を受け取るように配置構成することができる。
【0051】
本システムはさらに、バッファ槽140を第2のバルブ132に接続するように配置構成された第1のトリガ流路150を備える。
【0052】
本システムはさらに、第2のバルブ132と第1のバルブ130とを接続する第2のトリガ流路152を備える。
【0053】
本システムはさらに、第1の端部1542と第2の端部1544とを有する出口流路154を備える。第1の端部1542は、第1のバルブ130に接続される。
【0054】
第1のサンプル流路120は、毛管作用によって第1、第2、第3、第4、および第5のサンプル流路120、122、124、126、128を満たすためにサンプル流体をサンプル槽110から引き出すように配置構成される。サンプル流体の流れは、第1のバルブ130、第2のバルブ132、および第3のバルブ134がその閉状態にあるときにこれらのバルブによって停止される。
【0055】
第1のトリガ流路150は、毛管作用によって、第2のトリガ流路152を備える流体経路を介してバッファ流体をバッファ槽140から出口流路154に引き出して第2のバルブ132と第1のバルブ130とを開くように配置構成され、それにより、第4のサンプル流路126と第3のサンプル流路124と第2のサンプル流路122とを備えるさらに他の流体経路が開放される。
【0056】
開かれたさらに他の流体経路は、第4のサンプル流路126、第3のサンプル流路124、および第2のサンプル流路122中に存在するサンプル流体が、第1のトリガ流路150からのバッファ流体で置き換えられて、第2のトリガ流路152からのバッファ流体と共に出口流路154に流入することを可能にし、それにより、第5のサンプル流路128中に存在するサンプル流体を隣接サンプル流体から隔離する。
【0057】
第1のサンプル流路120および/または第5のサンプル流路128は、第1のサンプル流路120および/または第5のサンプル流路128中に存在するサンプル流体が出口流路154の方に流れるのを毛管力(または毛管圧)が防止するように、例えばそれぞれの幾何形状(例えば、断面寸法および/または形状)を適応させることによって適応させられ得る。
【0058】
第2のサンプル流路122、第3のサンプル流路124、第4のサンプル流路126、第1のトリガ流路150、第2のトリガ流路152、および/または出口流路154は、第2のサンプル流路122、第3のサンプル流路124、および第4のサンプル流路126中に存在するサンプル流体が第1のトリガ流路150からのバッファ流体で置き換えられて第2のトリガ流路152からのバッファ流体と共に出口流路154に流入し得るように、例えばそれぞれの幾何形状(例えば、断面寸法および/または形状)を適応させることによって適応させられ得る。
【0059】
隔離されたサンプル流体の体積は、第5のサンプル流路128の容積に対応し、それにより、所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供する。
【0060】
このように、このマイクロ流体システム10は、所定の体積を有するサンプル流体を提供することができる。所定のサンプル体積を有するサンプル流体は、マイクロ流体システム10内の流れを能動的に制御することなく、マイクロ流体システム10中の隣接サンプル流体から隔離される。
【0061】
図1Aの例に示されるように、マイクロ流体システム10はさらに、バッファ槽140と第3のバルブ134とを接続するタイミング流路160を備えることができる。タイミング流路160は、毛管作用によって、バッファ流体をバッファ槽140から第3のバルブ134の出力1342に引き出して第3のバルブ134を開くように配置構成され得、それにより、第5のサンプル流路中に存在する隔離されたサンプル流体は、タイミング流路160からのバッファ流体と共に、第3のバルブ134の出力1342を通って流れることを可能にすることができる。第3のバルブ134の出力1342は、マイクロ流体システム10の出力であってよい。
【0062】
よって、隔離されたサンプル流体は、マイクロ流体システム10から抽出することができる。これは例えば、さらに処理されるように、さらに他のシステムに提供することができる。これは、隔離されたサンプル流体を分析するように配置構成された分析システムであってよい。このような分析システムの場合、分析されることになるサンプル流体を精密に計量することが有利であろうし、これは、このマイクロ流体システム10によって可能にすることができる。
【0063】
タイミング流路160は、第5のサンプル流路128中に存在するサンプル流体が隣接サンプル流体から隔離された後で、第3のバルブ134を開くように構成することができる。タイミング流路160はさらに、サンプル流体およびバッファ流体が出口流路154の第2の端部1544に到達した後で、第3のバルブ134を開くように構成することができる。
【0064】
図1Aの例に示されるように、タイミング流路160は、第1の流れ抵抗器162を備えることができる。第1の流れ抵抗器162の流れ抵抗は、第5のサンプル流路128中のサンプル流体が隣接サンプル流体から隔離された後で第3のバルブ134が開かれ得るように、バッファ槽140から第3のバルブ134への流量を制御するために選択することができる。加えて、第1の流れ抵抗器162の流れ抵抗は、サンプル流体およびバッファ流体が出口流路154の第2の端部1544に到達した後で第3のバルブ134が開かれ得るように、バッファ槽140から第3のバルブ134への流量を制御するために選択することができる。
【0065】
したがって、第5のサンプル流路128中のサンプル流体が隣接サンプル流体から隔離された後で第3のバルブ134が開かれるのを依然として可能にしながらも、タイミング流路160の長さを短縮することができる。
【0066】
図1Aの例に示されるように、マイクロ流体システム10はさらに、サンプル槽110を空にするように配置構成された毛管ポンプ174を備えることができる。毛管ポンプ174は、第1、第2、第3、第4、および第5のサンプル流路120、122、124、126、128がサンプル流体で満たされた後で、サンプル槽110を空にするように配置構成することができる。毛管ポンプ174は、サンプル槽110から液体を引き出すように構成された、ペーパーポンプおよび/またはマイクロ流体流路構造であってよい。毛管ポンプ174によってサンプル槽110が空にされている間、第2のサンプル流路122、第4のサンプル流路126、および第5のサンプル流路128中の毛管圧または毛管力は、サンプル槽110に向かう方向の第1のサンプル流路120、第2のサンプル流路122、第3のサンプル流路124、第4のサンプル流路126、および第5のサンプル流路128からのサンプル流体の引出しに対抗し得る。第2のサンプル流路122、第4のサンプル流路126、および第5のサンプル流路128中の毛管圧または毛管力は、毛管ポンプ174によって生成される毛管圧または毛管力よりも高いものであり得、それにより、第2のサンプル流路122、第4のサンプル流路126、および第5のサンプル流路128を空にするのを回避する。
【0067】
それにより、サンプル槽110は、第1、第2、第3、第4、および第5のサンプル流路120、122、124、126、128の結合容積よりも大きい体積を有するサンプル流体を受け取ることができ、それにより、サンプル槽110によって受け取られるサンプル流体の体積を制限する必要性を低減する。第1、第2、第3、第4、および第5のサンプル流路120、122、124、126、128が満たされた後でサンプル流体がサンプル槽110中に存在する場合は、第1、第2、および/または第3のバルブ130、132、134が開かれたときに追加のサンプル流体を毛管作用によってサンプル槽110から引き出することができる。第1、第2、第3、第4、および第5のサンプル流路120、122、124、126、128が満たされた後でサンプル槽110の流体を空にすることは、第1のサンプル流路120中のサンプル流体とサンプル槽110との間の境界面における毛管圧または毛管力が、サンプル槽110からの方向の第1のサンプル流路120からのサンプル流体の引出しに対抗することを可能にする。
【0068】
毛管ポンプ174は、第2の流れ抵抗器172を介してサンプル槽110に接続することができる。第2の流れ抵抗器172の流れ抵抗は、第1のサンプル流路120、第2のサンプル流路122、第3のサンプル流路124、第4のサンプル流路126、および第5のサンプル流路128がサンプル流体で満たされた後でサンプル槽110を空にすることができるように、サンプル槽110から毛管ポンプ174への流量を制御するために選択することができる。毛管ポンプ174は、ポンプ毛管路170を介してサンプル槽に接続され得、ポンプ毛管路170は、第2の流れ抵抗器172を備えることができる。
【0069】
マイクロ流体システム10はさらに、出口流路154の第2の端部1544に接続された停止バルブ136を備えることができる。
【0070】
マイクロ流体システム10はさらに、停止バルブ136に接続されたベント180を備えることができる。ベント180は、出口流路154中に存在する気体が逃げることを可能にすることができるように、停止バルブ136とマイクロ流体システム10の周囲との間の気体連通を可能にするように配置構成することができる。第1のサンプル流路120、第2のサンプル流路122、第3のサンプル流路124、第4のサンプル流路126、第1のトリガ流路150、および第2のトリガ流路152のうちの1つまたは複数に存在する気体は、出口流路154を介してベント180を通って逃げることが可能にすることができる。加えて、第1のサンプル流路120、第2のサンプル流路122、第3のサンプル流路124、第4のサンプル流路126、第5のサンプル流路128、第1のトリガ流路150、および第2のトリガ流路152のうちの1つまたは複数に存在する気体は、第3のバルブ134の出力1342を通って逃げることを可能にすることができる。流路中に気体が存在すると、流路中で気体圧が蓄積することがあり、この気体圧は、毛管作用による流路中の流体の流れに逆らって作用し得る。気体が逃げられるようにすることによって、このような蓄積が回避され得、それにより、サンプル流体および/またはバッファ流体の改善された流れを可能にする。
【0071】
サンプル流体および/またはバッファ流体は、水性液体であってよい。サンプル液体は、血液であってよい。
【0072】
流路の1つまたは複数の壁は、シリカ、ガラス、高分子材料、ポリカーボネート、シリコン、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、および/または環状オレフィンコポリマー(COC)を備えることができる。マイクロ流体システム10の流路は、シリカを備える基板に備わり得る。シリカは、溶融石英の形であってよい。
【0073】
タイミング流路160は、第4のバルブ138を介してバッファ槽140と第3のバルブとを接続し得る。
【0074】
マイクロ流体システムはさらに、バッファ槽140と第4のバルブ138とを接続する希釈流路190を備えることができる。第4のバルブ138は、その閉状態では、バッファ流体が希釈流路190から第3のバルブに流れるのを停止するように構成することができる。
【0075】
希釈流路190は、毛管作用によってバッファ流体をバッファ槽140から第4のバルブ138に引き出すように構成することができる。希釈流路190は、毛管路であってよい。
【0076】
タイミング流路160はさらに、第4のバルブ138を開くように構成され得、それにより、バッファ流体が希釈流路190から第3のバルブ134に流れることが可能にされる。このように、第4のバルブ138は、その開状態では、バッファ流体が希釈流路190から第3のバルブ134に流れることを可能にするように構成することができる。
【0077】
それにより、バッファ流体に対して相対的な、第3のバルブ134の出力1342を出るサンプル流体の希釈率は、タイミング流路160、第1の流れ抵抗器162、希釈流路190、第1のトリガ流路150、第2のトリガ流路152、第2のサンプル流路122、第3のサンプル流路124、第4のサンプル流路126、および第5のサンプル流路128のうちの1つまたは複数の流れ抵抗を調整することによって制御することができる。
【0078】
図1Bは、所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供するためのマイクロ流体システム10を備える診断デバイス50を示す。
図1Bのマイクロ流体システム10は、
図1Aに関して記述されたマイクロ流体システム10に対応し得る。
【0079】
診断デバイス50は、所定のサンプル体積を有する提供されたサンプル流体を分析するように配置構成することができる。診断デバイス50は、
図1Bの例に示されるように分析システム510を備えることによって、所定のサンプル体積を有する提供されたサンプル流体を分析するように配置構成することができる。分析システム510の入力は、マイクロ流体システム10の出力に流体接続することができる。分析システム510は、マイクロ流体システム10および/または分析システム510中で気体圧が蓄積するのを避けるために、分析システム510とその周囲との間、および/または分析システム510と診断デバイス50の周囲との間の気体連通を可能にするベントを備えることができる。
【0080】
次に、
図2A~2Eを参照しながら、この発明的概念について記述する。
図2A~2Eは、サンプル槽210とサンプル槽210に接続された第1のサンプル流路220とを備えるマイクロ流体システム20を示す。第1のサンプル流路220は、第1のバルブ230に至る第2のサンプル流路222と、第3のサンプル流路224とに分岐する。第3のサンプル流路224は、第2のバルブ232に至る第4のサンプル流路226と、第3のバルブ234に至る第5のサンプル流路228とに分岐する。
図2A~2Eのマイクロ流体システム20はさらに、
図1Aに関して記述されたように、希釈流路と第4のバルブとを備えることができることを理解されたい。
【0081】
マイクロ流体システム20はさらに、バッファ槽240と、第1のトリガ流路250と、第2のトリガ流路252と、出口流路254とを備える。第1のトリガ流路250は、バッファ槽240を第2のバルブ232に接続するように配置構成され、第2のトリガ流路252は、第2のバルブ232と第1のバルブ230とを接続する。出口流路254は、第1の端部2542と第2の端部2544とを有し、第1の端部2542は第1のバルブ230に接続される。出口流路254の第2の端部2544は、開いているものとし得る。ここで開いているとは、出口流路254の内部がマイクロ流体デバイス20の周囲と気体連通しているという意味である。出口流路254の第2の端部2544は、ベント(図示せず)に接続することができる。
図2A~2Eの例に示されるように、出口流路254の第2の端部2544は、停止バルブ236に接続することができる。
【0082】
サンプル槽210は、サンプル流体を受け取るように配置構成され、バッファ槽240は、バッファ流体を受け取るように配置構成される。サンプルおよび/またはバッファ流体は、水性液体であってよい。
【0083】
図2A~2Eに例示されるように、マイクロ流体システム20はさらに、バッファ槽240と第3のバルブ234とを接続するタイミング流路260を備え得、タイミング流路260は、第1の流れ抵抗器262を介してバッファ槽240と第3のバルブ234とを接続し得る。
【0084】
マイクロ流体システム20はさらに、
図2A~2Eに例示されるように、サンプル槽210に接続された毛管ポンプ274を備えることができる。毛管ポンプ274は、第2の流れ抵抗器272を介してサンプル槽210に接続することができる。
【0085】
マイクロ流体システム20はさらに、
図2A~2Eの例に示されるように、停止バルブ236に接続されたベント280を備えることができる。ベント280は、サンプル流路および/またはトリガ流路中に存在する気体が逃げられるようにし得る。したがって、マイクロ流体システム20中に存在するどんな気体も逃げ得るが、これは、サンプルおよび/またはバッファ流体がマイクロ流体システム20の流路を通って流れることを可能にする。マイクロ流体システム20中に存在する気体はさらに、第3のバルブ234の出力2342を通って逃げ得る。これは、例えば、タイミング流路260中に存在する気体がマイクロ流体システム20から逃げられるようにし得る。
【0086】
図2A~2Eのマイクロ流体システム20は、
図1Aに関して記述されたマイクロ流体システム10に対応し得る。
【0087】
図2Aでは、サンプル流体がサンプル槽210に提供される。第1のサンプル流路は、毛管作用によって第1、第2、第3、第4、および第5のサンプル流路220、222、224、226、228を満たすためにサンプル流体をサンプル槽210から引き出す。サンプル槽210から引き出されたサンプル流体は、第1、第2、および第3のバルブ230、232、234で停止する。サンプル槽210は、
図2Bに例示されるように、第1、第2、第3、第4、および第5のサンプル流路220、222、224、226、228が満たされた後で、毛管ポンプ274を使用して第2の流れ抵抗器272を介しポンプ流路270を通して空にすることができる。第2の流れ抵抗器272の流れ抵抗は、第1、第2、第3、第4、および第5のサンプル流路がサンプル流体で満たされた後でサンプル槽210を空にすることができるように、選択することができる。第2のサンプル流路222、第4のサンプル流路226、および第5のサンプル流路228中の毛管圧または毛管力は、毛管ポンプによって生成される毛管圧または毛管力よりも高いものであり得、それにより、第2のサンプル流路222、第4のサンプル流路226、および第5のサンプル流路228を空にするのを回避する。
【0088】
図2Cでは、バッファ流体がバッファ槽240に提供される。第1のトリガ流路250は、
図2Cに示されるように、毛管作用によって、第2のトリガ流路252を備える流体経路を介してバッファ流体をバッファ槽240から出口流路254に向けて引き出す。さらに、
図2Cに例示されるように、タイミング流路260は、毛管作用によって、第1の流れ抵抗器262を介してバッファ流体をバッファ槽240から第3のバルブ234に引き出し得る。第1の流れ抵抗器262の流れ抵抗は、第5のサンプル流路228中に存在するサンプル流体が隔離された後でバッファ流体が第3のバルブ234に到達するように、選択することができる(後述)。
【0089】
バッファ流体が第2および第1のバルブ232、230に到達すると、バッファ流体は、第2のバルブ232および第1のバルブ230を開き、それにより、第4のサンプル流路226と第3のサンプル流路224と第2のサンプル流路222とを備えるさらに他の流体経路が開放される。このさらに他の流体経路は、
図2Dの例に示されるように、第4、第3、および第2のサンプル流路中に存在するサンプル流体が第1のトリガ流路250からのバッファ流体で置き換えられて第2のトリガ流路252からのバッファ流体と共に出口流路254に流入することを可能にする。よって、出口流路254の容積は、第4のサンプル流路226、第3のサンプル流路224、および第2のサンプル流路222中に前に存在していたサンプル流体を排出するのに十分なほど大きいものであってよい。第2のバルブ232は開いているが第1のバルブ230はまだ開いていない時点で、例えば第1のサンプル流路220、第2のサンプル流路222、および第5のサンプル流路228中の毛管圧は、サンプル流体が第4のサンプル流路226および第2のバルブ232を介して第2のトリガ流路252に引き込まれるのを防止するように作用し得る。この防止は、サンプル槽210のサンプルが空にされることと、第3のバルブ234ならびに第1のバルブ230がまだ開放されていないこととによって促進されるかまたは可能にされる。
図2Dの例にまた示されるように、バッファ流体およびサンプル流体は、出口流路254に流入し、停止バルブ236に到達する。
図2Dに示されるように、第5のサンプル流路228中に存在するサンプル流体は、次いで、隣接サンプル流体から隔離される。それにより、所定の体積を有するサンプル流体が提供される。第1のバルブ230および第2のバルブが開いている時点で、例えば、サンプル液体と、第1のサンプル流路220、および第5のサンプル流路228中の湿らされた壁との間の毛管力は、サンプル流体が第2のサンプル流路222と第1のバルブ230を介して、および/または第4のサンプル流路226と第2のバルブ234を介して出口流路254に引き込まれるのを防止するように作用し得る。この防止は、サンプル槽210のサンプル流体が空にされることと、第3のバルブ234がまだ開放されていないこととによって、促進することができる。
【0090】
第5のサンプル流路228中に存在するサンプル流体が隔離された後で、バッファ流体は第3のバルブ234に到達し得、それに応答して第3のバルブ234は開かれる。また、
図2Dと
図2Eとを比較することによって、第3のバルブ234が開かれる前に、バッファ流体およびサンプル流体が出口流路254に流入して停止バルブ236に到達したことがわかる。第3のバルブ234が開かれた後、第5のサンプル流路228中に存在する隔離されたサンプル流体は、
図2Eの例に示されるように、タイミング流路260中に存在するバッファ流体と共に第3のバルブ234の出力2342を通って流れることを可能にすることができる。これは、
図2Eで矢印2344によって示される。バッファ流体に対して相対的な、第3のバルブの出力2342を出るサンプル流体の希釈率は、
図1Aに関して記述されたのと同様の方式で、例えば希釈流路(
図2A~
図2Eには示さず)を使用して制御することができる。
【0091】
図3は、所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供するための方法30のブロック概略図である。
【0092】
方法30は、サンプル流体をサンプル槽110、210に加えること(S302)を備え、それにより、第1のサンプル流路120、220が、毛管作用によって、第1のサンプル流路120、220と、第2のサンプル流路122、222と、第3のサンプル流路124、224と、第4のサンプル流路126、226と、第5のサンプル流路128、228とを満たすためにサンプル流体をサンプル槽110、210から引き出す。
【0093】
第2のサンプル流路122、222および第3のサンプル流路124、224は、第1のサンプル流路120、220の分岐であり、第4のサンプル流路126、226および第5のサンプル流路128、228は、第3のサンプル流路124、224の分岐である。
【0094】
第2のサンプル流路122、222は、第1のバルブ130、230に至り、第4のサンプル流路126、226は、第2のバルブ132、232に至り、第5のサンプル流路128、228は、第3のバルブ134、234に至る。
【0095】
方法30はさらに、バッファ流体をバッファ槽140、240に加えること(S304)を備え、それにより、第1のトリガ流路150、250が、毛管作用によって、バッファ槽140、240から、第1のバルブ130、230に接続された出口流路154、254にバッファ流体を引き出す。出口流路154、254は、出口流路154、254の第1の端部1542、2542で第1のバルブ130、230に接続することができる。出口流路154、254の第2の端部1544、2544は、停止バルブ136、236に接続することができる。停止バルブ136、236は、ベント180、280に接続され得、マイクロ流体システム10、20内に存在する気体が逃げ得るように、バッファ流体および/またはサンプル流体とマイクロ流体システム10、20の周囲との間の気体連通を可能にする。
【0096】
バッファ流体は、第1のバルブ130、230と第2のバルブ132、232とを接続する第2のトリガ流路152、252を備える流体経路を介して出口流路154、254に引き出され、第2のバルブ132、232および第1のバルブ130、230を開いて、第4のサンプル流路126、226と第3のサンプル流路124、224と第2のサンプル流路122、222とを備えるさらに他の流体経路が開放されるようにし、第4のサンプル流路126、226、第3のサンプル流路124、224、および第2のサンプル流路122、222中に存在するサンプル流体は、第1のトリガ流路150、250からのバッファ流体で置き換えられて、このさらに他の流体経路を介して第2のトリガ流路152、252からのバッファ流体と共に出口流路145、254に流入し、それにより、第5のサンプル流路128、228中に存在するサンプル流体は、隣接サンプル流体から隔離され、第5のサンプル流路128、228の容積に対応する体積を有し、それにより、所定のサンプル体積を有するサンプル流体を提供する。
【0097】
第1および第2の態様の上記特徴は、適用可能なときには、この第3の態様にも適用される。過度な繰返しを避けるために、上記が参照される。
【0098】
方法30はさらに、隔離された(すなわち、第5のサンプル流路128、228中で隔離された)サンプル流体が第3のバルブ134、234の出力を通って流れるように、第3のバルブ134、234を開くこと(S306)を備えることができる。第3のバルブ134、234は、タイミング流路160、260を介してバッファ槽140、240に接続することができる。タイミング流路160、260は、毛管作用によってバッファ流体をバッファ槽140、240から第3のバルブ134、234に引き出し得、第3のバルブ134、234は、バッファ流体が第3のバルブ134、234に到達するのに応答して開かれ得る。第3のバルブ134、234が開かれるのに応答して、隔離されたサンプル流体は、タイミング流路160、260からのバッファ流体と共に、第3のバルブ134、234の出力を通って流れ得る。タイミング流路160、260は、サンプル流体が第5のサンプル流路128、228中で隔離された後、ならびにサンプル流体およびバッファ流体が出口流路154、254の第2の端部1544、2544に到達した後で、第3のバルブ134、234を開くように配置構成することができる。タイミング流路160、260は、第1の流れ抵抗器162、262を備え得、第1の流れ抵抗器162、262の流れ抵抗は、サンプル流体が第5のサンプル流路128、228中で隔離された後、ならびにサンプル流体およびバッファ流体が出口流路154、254の第2の端部1544、2544に到達した後で、タイミング流路160、260中のバッファ流体が第3のバルブ134、234に到達するように、選択することができる。
【0099】
方法30はさらに、サンプル流体をサンプル槽110、210に加えた(S302)後、およびバッファ流体をバッファ槽140、240に加える(S304)前に、サンプル槽110、210を空にすること(S308)を備えることができる。サンプル槽110、210は、サンプル槽110、210に接続された毛管ポンプ174、274を使用して空にすることができる。毛管ポンプ174、274は、第2の流れ抵抗器172、272を介してサンプル槽110、210に接続され得、第2の流れ抵抗器172、272の流れ抵抗は、第1のサンプル流路120、220、第2のサンプル流路122、222、第3のサンプル流路124、224、第4のサンプル流路126、226、および第5のサンプル流路128、228がサンプル流体で満たされた後でサンプル槽110、210が空にされるように、サンプル槽110、210から毛管ポンプ174、274への流量を制御するために選択される。
【0100】
方法30は、
図1Aおよび/または
図2A~2Eのマイクロ流体システム10、20を使用し得ることを理解されたい。
【0101】
この発明的概念が、上述された好ましい異形に決して限定されないことを、当業者なら認識する。それどころか、添付の特許請求の範囲内で多くの修正および変形が可能である。
【0102】
例えば、マイクロ流体システム10、20の流路は、閉鎖型/封鎖型の流路であるものとして記述された。しかし、流路が1つの次元のみで制限されるという意味で、流路は開放型であってもよいことを理解されたい。これは例えば、流路が底部と2つの側面とを有し、流路の上部が除去されている場合であってよい。このような構成では、流路は、周囲との直接の気体連通が可能にされ、ベントの必要を無くす。
【0103】
さらに他の例として、サンプルおよびバッファ流体は、別々の時点でサンプルおよびバッファ槽110、210、140、240に加えられるものとして記述されている。しかし、これらは同時に加えられてもよく、記述された順序で流路が満たされるように流路の流量および/または寸法(例えば長さ)が適応されてよく、例えば、バッファ流体が第2および第1のバルブ132、232、130、230に到達する前に第1、第2、第3、第4、および第5のサンプル流路120、220、122、222、124、224、126、226、128、228がサンプル流体で満たされるように、ならびに/または、バッファ流体が第3のバルブ134、234に到達する前にサンプル流体がバッファ流体と共に出口流路154、254の第2の端部1544、2544に到達するように、適応されてよい。
【0104】
加えて、図面、本開示、および添付の特許請求の範囲を検討することから、開示される異形の変形が、特許請求される本発明を実践する中で当業者によって理解および遂行されることが可能である。
【国際調査報告】