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特表2023-514160向上したマイクロアクチュエータ感度およびマイクロアクチュエータ構成を備えるサスペンション設計
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  • 特表-向上したマイクロアクチュエータ感度およびマイクロアクチュエータ構成を備えるサスペンション設計 図1
  • 特表-向上したマイクロアクチュエータ感度およびマイクロアクチュエータ構成を備えるサスペンション設計 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】向上したマイクロアクチュエータ感度およびマイクロアクチュエータ構成を備えるサスペンション設計
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/21 20060101AFI20230329BHJP
   G11B 21/10 20060101ALI20230329BHJP
   G11B 5/48 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
G11B21/21 D
G11B21/10 N
G11B5/48 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548013
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(85)【翻訳文提出日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 US2021016901
(87)【国際公開番号】W WO2021158978
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】17/168,052
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/971,606
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517151084
【氏名又は名称】マグネコンプ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MAGNECOMPCORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】イー、クエン チー
(57)【要約】
固定端およびヒンジ端を有する圧電(PZT)アクチュエータアセンブリが提供される。アセンブリは、ヒンジ端で第1側面電極を含むとともに、固定端で第2側面電極を含む。アセンブリは、第2PZT層の上面に配置されるとともに、上面および底面を含む第3圧電層を含む。第4電極は、第3PZT層の上面に少なくとも部分的に配置される。第4電極は、固定端で第2側面電極に接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定端およびヒンジ端を有するアクチュエータアセンブリであって、前記アセンブリは、
前記ヒンジ端の第1側面電極と、
前記固定端の第2側面電極と、
上面および底面を含む第1PZT層と、
前記第1PZT層の前記底面に少なくとも部分的に配置された第1電極と、
前記第1PZT層の前記上面に配置されるとともに、上面および底面を含む第2圧電層と、
前記第2PZT層の前記底面に少なくとも部分的に配置されるとともに、前記第1PZT層の前記上面に少なくとも部分的に配置された第2電極であって、前記固定端で前記第2側面電極に接続された第2電極と、
前記第2PZT層の前記上面に配置されるとともに、上面および底面を含む第3圧電層と、
前記第3PZT層の前記底面に少なくとも部分的に配置されるとともに、前記第2PZT層の前記上面に少なくとも部分的に配置された第3電極であって、前記ヒンジ端で前記第1側面電極に接続された第3電極と、
前記第3PZT層の前記上面に少なくとも部分的に配置された第4電極であって、前記固定端で前記第2側面電極に接続された第4電極と、を備えるアクチュエータアセンブリ。
【請求項2】
前記第1電極は、前記固定端で前記第2側面電極に接続された切断部分を含む、請求項1に記載のPZTアクチュエータアセンブリ。
【請求項3】
前記第4電極は、前記ヒンジ端で前記第1側面電極に接続された切断部分を含む、請求項1に記載のPZTアクチュエータアセンブリ。
【請求項4】
前記ヒンジ端で前記第1側面電極に接続された前記切断部分は0.05mmである、請求項3に記載のPZTアクチュエータアセンブリ。
【請求項5】
前記第4電極は0.25mmであり、公差は25μmである、請求項1に記載のPZTアクチュエータアセンブリ。
【請求項6】
前記第2電極は0.70mmであり、公差は25μmである、請求項1に記載のPZTアクチュエータアセンブリ。
【請求項7】
前記第4電極は0.75mmであり、公差は25μmである、請求項1に記載のPZTアクチュエータアセンブリ。
【請求項8】
サスペンションであって、前記サスペンションは、
ロードビームに取り付けられたフレクシャであって、1つまたは複数の電気トレースを含むフレクシャと、
1つまたは複数の前記電気トレースのうちの少なくとも1つに結合されるとともに、固定端およびヒンジ端を有する1つ以上の多層圧電(PZT)マイクロアクチュエータと、を備え、前記多層PZTアクチュエータアセンブリの各々は、
前記ヒンジ端の第1側面電極と、
前記固定端の第2側面電極と、
上面および底面を含む第1PZT層と、
前記第1PZT層の前記底面に少なくとも部分的に配置された第1電極と、
前記第1PZT層の前記上面に配置されるとともに、上面および底面を含む第2圧電層と、
前記第2PZT層の前記底面に少なくとも部分的に配置されるとともに、前記第1PZT層の前記上面に少なくとも部分的に配置された第2電極であって、前記固定端で前記第2側面電極に接続された第2電極と、
前記第2PZT層の前記上面に配置されるとともに、上面および底面を含む第3圧電層と、
前記第3PZT層の前記底面に少なくとも部分的に配置されるとともに、前記第2PZT層の前記上面に少なくとも部分的に配置された第3電極であって、前記ヒンジ端で前記第1側面電極に接続された第3電極と、
前記第3PZT層の前記上面に少なくとも部分的に配置された第4電極であって、前記固定端で前記第2側面電極に接続された第4電極と、を備えるサスペンション。
【請求項9】
前記第1電極は、前記固定端で前記第2側面電極に接続された切断部分を含む、請求項8に記載のサスペンション。
【請求項10】
前記第4電極は、前記ヒンジ端で前記第1側面電極に接続された切断部分を含む、請求項8に記載のサスペンション。
【請求項11】
前記ヒンジ端で前記第1側面電極に接続された前記切断部分は0.05mmである、請求項10に記載のサスペンション。
【請求項12】
前記第4電極は0.25mmであり、公差は25μmである、請求項8に記載のサスペンション。
【請求項13】
前記第2電極は0.70mmであり、公差は25μmである、請求項8に記載のサスペンション。
【請求項14】
前記第4電極は0.75mmであり、公差は25μmである、請求項8に記載のサスペンション。
【請求項15】
固定端およびヒンジ端を有するアクチュエータアセンブリであって、前記アセンブリは、
第1側面電極と、
第2側面電極と、
上面および底面を含む第1PZT層と、
前記第1PZT層の前記底面に少なくとも部分的に配置された第1電極と、
前記第1PZT層の前記上面に配置されるとともに、上面および底面を含む第2圧電層と、
前記第2PZT層の前記底面に少なくとも部分的に配置されるとともに、前記第1PZT層の前記上面に少なくとも部分的に配置された第2電極であって、前記第2側面電極に接続された第2電極と、
前記第2PZT層の前記上面に少なくとも部分的に配置された第3電極であって、前記第1側面電極に接続された第3電極と、を備えるアクチュエータアセンブリ。
【請求項16】
前記第1電極は、固定端で前記第2側面電極に接続された切断部分を含む、請求項15に記載のPZTアクチュエータアセンブリ。
【請求項17】
前記第3電極は、ヒンジ端で前記第1側面電極に接続された切断部分を含む、請求項15に記載のPZTアクチュエータアセンブリ。
【請求項18】
前記ヒンジ端で前記第1側面電極に接続された前記切断部分は0.05mmである、請求項17に記載のPZTアクチュエータアセンブリ。
【請求項19】
前記第4電極は0.25mmであり、公差は25μmである、請求項15に記載のPZTアクチュエータアセンブリ。
【請求項20】
前記第2電極は0.70mmであり、公差は25μmである、請求項15に記載のPZTアクチュエータアセンブリ。
【請求項21】
前記第4電極は0.75mmであり、公差は25μmである、請求項15に記載のPZTアクチュエータアセンブリ。
【請求項22】
前記第1電極は、ヒンジ端で前記第2側面電極に接続された切断部分を含む、請求項15に記載のPZTアクチュエータアセンブリ。
【請求項23】
前記第3電極は、固定端で前記第1側面電極に接続された切断部分を含む、請求項15に記載のPZTアクチュエータアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、ディスクドライブのサスペンション装置の分野に関する。より具体的には、本開示は、サスペンション装置用の多層アクチュエータ構造の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のディスクドライブユニットは、磁気記憶媒体に1と0のパターンを含む回転する磁気ディスクを含む。磁気記憶媒体の1と0のパターンは、ディスクドライブに記憶されたデータを構成する。磁気ディスクは駆動モータによって駆動される。ディスクドライブユニットはまた、ロードビームの遠位端に近くで磁気読取り/書込みヘッドが取り付けられるディスクドライブサスペンションを含む。サスペンションまたはロードビームの「近位」端は、支持される端、つまりアクチュエータアームにスエージ加工またはその他の方法で取り付けられたベースプレートに最も近い端である。サスペンションまたはロードビームの「遠位」端は、近位端の反対側の端、つまり「遠位」端は片持ち端である。
【0003】
サスペンションはアクチュエータアームに結合され、アクチュエータアームは、データディスク上の正しいデータトラック上にヘッドスライダを位置決めするためにサスペンションを円弧状に動かすボイスコイルモータに結合される。ヘッドスライダは、ディスクの振動、衝突などの慣性イベント、およびディスク表面の凹凸等の変動を考慮して、ディスク上の適切なデータトラックに追従するようスライダをピッチおよびロール可能にするジンバル上に搭載されている。
【0004】
1段アクチュエータディスクドライブサスペンションと2段アクチュエータ(DSA:dual stage actuated)サスペンションとの両方が周知である。1段アクチュエータサスペンションでは、ボイスコイルモータのみがサスペンションを動かす。
【0005】
DSAサスペンションでは、サスペンション上に配置された小さなアクチュエータがヘッドスライダを動かして、ヘッドスライダを正しいデータトラック上に位置決めする。アクチュエータは、ボイスコイルモータよりも高精度なヘッドスライダの位置決めと、ボイスコイルモータよりも高いサーボ帯域幅の両方を提供する。アクチュエータは、特定のDSAサスペンション設計に応じて、サスペンションのさまざまな場所に配置され得る。通常、左右のアクチュエータが、ロードビームまたはロードビームの遠位端を回転させるためにプッシュ-プル方式で動作する。
【発明の概要】
【0006】
固定端およびヒンジ端を有する圧電(PZT)アクチュエータアセンブリが提供される。アセンブリは、ヒンジ端で第1側面電極を含むとともに、固定端で第2側面電極を含む。アセンブリは、上面および底面を含む第1PZT層を含む。第1電極は、第1PZT層の底面に少なくとも部分的に配置される。上面および底面を含む第2圧電層は、第1PZT層の上面に配置される。アセンブリはまた、第2PZT層の底面に少なくとも部分的に配置されるとともに、第1PZT層の上面に少なくとも部分的に配置された第2電極を含む。第2電極は、固定端で第2側面電極に接続されている。
【0007】
アセンブリはまた、第2PZT層の上面に配置されるとともに、上面および底面を含む第3圧電層を含む。第3電極は、第3PZT層の底面に少なくとも部分的に配置されるとともに、第2PZT層の上面に少なくとも部分的に配置されている。第3電極は、ヒンジ端で第1側面電極に接続されている。第4電極は、第3PZT層の上面に少なくとも部分的に配置される。第4電極は、固定端で第2側面電極に接続されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1電極は、固定端で第2側面電極に接続された切断部分を含む。いくつかの実施形態では、第4電極は、ヒンジ端で第1側面電極に接続された切断部分を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ端で第1側面電極に接続された切断部分は0.05mmである。第4電極は0.25mmであり、公差は25μmであってよい。第2電極は0.70mmであり、公差は25μmであってよい。第4電極は0.75mmであり、公差は25μmであってよい。
【0009】
サスペンションも提供される。サスペンションは、ロードビームに取り付けられたフレクシャであって、1つまたは複数の電気トレースを含むフレクシャと、1つまたは複数の電気トレースのうちの少なくとも1つに結合される1つ以上の多層圧電(PZT)マイクロアクチュエータと、を備える。上述のように、アセンブリは固定端およびヒンジ端を有してよい。アセンブリは、ヒンジ端で第1側面電極を含むとともに、固定端で第2側面電極を含む。アセンブリは、上面および底面を含む第1PZT層を含む。第1電極は、第1PZT層の底面に少なくとも部分的に配置される。上面および底面を含む第2圧電層は、第1PZT層の上面に配置される。アセンブリはまた、第2PZT層の底面に少なくとも部分的に配置されるとともに、第1PZT層の上面に少なくとも部分的に配置された第2電極を含む。第2電極は、固定端で第2側面電極に接続されている。
【0010】
アセンブリはまた、第2PZT層の上面に配置されるとともに、上面および底面を含む第3圧電層を含む。第3電極は、第3PZT層の底面に少なくとも部分的に配置されるとともに、第2PZT層の上面に少なくとも部分的に配置されている。第3電極は、ヒンジ端で第1側面電極に接続されている。第4電極は、第3PZT層の上面に少なくとも部分的に配置される。第4電極は、固定端で第2側面電極に接続されている。
【0011】
上記の概要は、本開示の各実施形態や全ての態様を表すことを意図しない。具体的には、上記の概要は、本明細書に記載される新規な態様および特徴のいくつかの実施例を提供するに過ぎない。本開示の上記の特徴および効果、ならびに他の特徴および効果は、添付の図面および添付の特許請求の範囲と関連して、本発明を実施するための代表的な実施形態および態様の以下の詳細な説明から容易に明らかになるであろう。
【0012】
本開示の効果および特徴がどのようにして得られるかを説明するため、本開示の実施形態は、添付の図面に示される特定の実施例を参照して説明される。これらの図面は、本開示の実施形態の例示的な態様のみを示しており、したがって、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。原則は、以下の図を使用して、さらに具体的かつ詳細に記述および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施形態によるサスペンションを含むディスクドライブを示す斜視図。
図2】本開示の一実施形態による図1のサスペンション10を示す斜視図。
図3】本開示の一実施形態による図2のマイクロアクチュエータ素子の断面図。
図4】本開示の一実施形態による他のマイクロアクチュエータ素子の断面図。
図5】本開示の一実施形態による2つのPZT層を含むマイクロアクチュエータ素子の断面図。
図6】本開示の一実施形態による2つのPZT層を含む他のマイクロアクチュエータ素子の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態は添付の図面を参照して説明され、類似または同等の要素を示す類似の参照番号が全ての図面で使用される。図は縮尺通りに描かれておらず、例示的な説明図として提供される。実施形態の複数の態様が、本開示の範囲を限定することを意図しない例示的な用途を参照して以下に記載される。実施形態の完全な理解を提供するために、複数の具体的な詳細、関係、および方法が述べられていることを理解されたい。
【0015】
本明細書に記載の実施形態は、現在のマイクロアクチュエータにおける問題を克服する多層マイクロアクチュエータを対象とする。例えば、左右のマイクロアクチュエータがプッシュ-プル方式で動作して、ロードビームに取り付けられたフレクシャまたはロードビームに取り付けられたフレクシャの遠位端を回転させると、両方のマイクロアクチュエータが垂直方向に曲がる。
【0016】
図1は、本開示の一実施形態によるディスクドライブ1を示す斜視図である。ディスクドライブ1は、ケース2と、ディスク4と、キャリッジ6と、位置決めモータ(ボイスコイルモータ)7とを含み得る。ディスク4は、スピンドル3を中心に回転可能である。キャリッジ6は旋回軸5を中心に旋回可能である。位置決めモータ(ボイスコイルモータ)7は、キャリッジ6等を駆動するために実装される。ケース2は通常密閉されていることを理解されたい。ケース2は、その中の全ての特徴を示すためカバーなしで示されている。
【0017】
キャリッジ6は、一般的に2つ以上のキャリッジアーム8を含む。各アーム8の先端部にはサスペンション10が取り付けられている。サスペンション10の先端部には、1つまたは複数の読み書きヘッドを構成するスライダ(図2において以下に記載)が設けられている。各ディスク4が高速で回転している状態では、ディスク4とスライダ11との間に空気が流入することにより、ディスクとスライダ11との間にエアベアリングが形成される。位置決めモータ7がキャリッジ6を旋回させると、サスペンション10がディスク4に対して径方向に移動する。すると、スライダ11がディスク4の所望のトラックに移動する。
【0018】
図2は、本開示の一実施形態による図1のサスペンション10を示す斜視図である。サスペンション10は、ロードビーム23によって支持され得る。サスペンションはフレクシャ22を含み得る。フレクシャ22はジンバル21を支持する。ジンバル21には、読み書きヘッドを構成するスライダが取り付けられている。いくつかの実施形態では、スライダは、磁気信号と電気信号との間で変換可能な磁気抵抗(MR)素子を含む。MR素子は、データにアクセスする、すなわち、ディスク(図1に示す)にデータを書き込んだり、ディスクからデータを読み取ったりする働きをする。
【0019】
ジンバル21は、マイクロアクチュエータ素子31および32を含む。いくつかの実施形態によれば、マイクロアクチュエータ素子31および32は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電板で形成される。マイクロアクチュエータ素子31および32は、構造によってスライダを揺動方向に旋回させる機能を有する。本明細書では、マイクロアクチュエータ素子の任意の構成を実装できることを理解されたい。
【0020】
サスペンション10は、金属ベース40を含む。いくつかの実施形態では、金属ベース40はステンレス鋼板で形成される。サスペンション10はまた、トレース等の1つまたは複数の導電体を含む導電回路部分を含む。導電回路部分は、スライダに接続する導電体を含む。導電体はまた、マイクロアクチュエータ素子31および32の電極に接続し得る。
【0021】
図3は、本開示の一実施形態による図2のマイクロアクチュエータ素子31の断面図を示す。マイクロアクチュエータモータとして圧電素子がしばしば使用されるが、静電マイクロアクチュエータおよび他の種類のマイクロアクチュエータモータが使用されてもよい。一般的に使用される圧電材料はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)であるが、他の圧電材料が使用されてもよい。本開示では、簡易的に、マイクロアクチュエータである圧電装置を、略して単に「PZT」と呼ぶことがある。圧電材料はチタン酸ジルコン酸鉛である必要はないことを理解されたい。したがって、本明細書で使用する「PZT」という用語は、任意の圧電材料または任意の圧電材料から形成される任意の圧電装置を指し得る。
【0022】
マイクロアクチュエータ素子31は、第1PZT層131の底面の少なくとも一部に配置された第1電極131Aを備える多層であってよい。第1電極131Aは、固定端で第2導電性接着剤(ECA:electrically conductive adhesive)34に接続されてよい。第1電極131Aの切断部分131Bも、第1PZT層131の底面の少なくとも一部に配置されてよい。切断部分131Bは、ヒンジ端で第1導電性接着剤(ECA)33に接続されてよい。第2電極132Aは、第1PZT層131と第2PZT層132との間の少なくとも一部に配置されてよい。第3電極133Aは、第2PZT層132と第3PZT層133との間の少なくとも一部に配置されてよい。さらに、第4電極134Aは、第3PZT層133の上面の少なくとも一部に配置されてよい。第4電極134Aの切断部分134Bは、第3PZT層133の上面の少なくとも一部に配置されてよい。
【0023】
第1電極131Aおよび第2電極132Aの共通の長さは、有効電極長131Dを規定し得る。さらに、第3電極133Aおよび第4電極134Aの共通の長さは、有効電極長133Dを規定し得る。固定端は、ヘッドジンバルアセンブリ21(図2に示す)の前縁端を指し、ヒンジ端は、ヘッドジンバルアセンブリ21の後縁端を指す。いくつかの実施形態では、第4電極134Aの長さは0.64mmであり、公差は25マイクロメートルである。
【0024】
第4電極134Aは、マイクロアクチュエータ素子31のヒンジ端で第1側面電極130Aに接続されている。第3電極133Aは、マイクロアクチュエータ素子31の固定端で第2側面電極130Bに接続されている。第1側面電極130Aは、第1ECA33に接続されている。第2側面電極130Bは、第2ECA34に接続されている。
【0025】
この構成では、第4電極134Aの公差は、PZT FRFの約10.5kHzでジンバルのねじれ態様に大きな影響を与える。第4電極134Aの長さがこれよりも短くなると、具体的には約0.335mmZ-htで、PZT FRFに多くの変動をもたらす。大きな変動は、したがって、ディスクドライブ1(図1に示す)のサーボ帯域幅に影響を与える。
【0026】
図4は、本開示の一実施形態による他のマイクロアクチュエータ素子71の断面図を示す。固定端は、ジンバル21(図2に示す)の前縁端を指し、ヒンジ端は、ジンバル21の後縁端を指す。いくつかの実施形態では、マイクロアクチュエータ素子71の全長は0.80mmであり、公差は25μmであってよい。マイクロアクチュエータ素子71は、第1PZT層331の底面の少なくとも一部に配置された第1電極331Aを備える多層PZTであってよい。第1電極331Aは、ヒンジ端で第1導電性接着剤(ECA)33に接続されてよい。第1電極331Aの切断部分331Bも、第1PZT層331の底面の少なくとも一部に配置されてよい。切断部分331Bは、固定端で第2導電性接着剤(ECA)34に接続されてよい。第2電極332Aは、第1PZT層331と第2PZT層332との間の少なくとも一部に配置されてよい。
【0027】
第3電極333Aは、第2PZT層332と第3PZT層333との間の少なくとも一部に配置されてよい。さらに、第4電極334Aは、第3PZT層333の上面の少なくとも一部に配置されてよい。第4電極334Aの切断部分334Bは、第3PZT層333の上面の少なくとも一部に配置されてよい。切断部分334Bは、第1側面電極330Aを介して、ヒンジ端33で第1ECA33に接続されてよい。いくつかの実施形態では、切断部分334Bは0.05mmであり、公差は25μmであってよい。第4電極334Aは、第2側面電極330Bを介して、固定端で第2ECA34に接続されてよい。第1側面電極330Aは、第1ECA33に接続されている。第2側面電極330Bは、第2ECA34に接続されている。
【0028】
第1電極331Aおよび第2電極332Aの共通の長さは、有効電極長331Dを規定し得る。さらに、第3電極333Aおよび第4電極334Aの共通の長さは、有効電極長333Dを規定し得る。マイクロアクチュエータ素子71では、第4電極334Aは、固定端で第2側面電極330Bに直接的に接続するよう配置される。第4電極334Aはまた、「z高」またはZ-htとも呼ばれる、ベースプレートフランジからデータディスク表面までの公称距離で略ゼロの位相角を維持するよう、図3における第4電極134Aよりも短縮される。いくつかの場合では、略ゼロの位相角は2度である。いくつかの実施形態では、第4電極334Aは0.25mmであり、公差は25μmであってよい。第2電極332Aは0.70mmであり、公差は25μmであってよい。第3電極333Aは0.75mmであり、公差は25μmであってよい。
【0029】
固定端で電極334Aを第2側面電極330Bに接続することによって、いくつかの利点が実現される。いくつかの実施形態では、低Z-htでの変動は、約60°から約40°に減少する。別の利点は、部分的な拘束層構造(CLC:constraining layer construction)構成により、一部の実施形態によれば、ストロークが11nm/Vから13.6nm/Vに増加することである。
【0030】
図5は、本開示の一実施形態によるマイクロアクチュエータ素子81の断面図を示す。マイクロアクチュエータ素子81は、第1PZT層431の底面の少なくとも一部に配置された第1電極431Aを備える多層であってよい。第1電極431Aは、固定端で第2導電性接着剤(ECA)134に接続されてよい。第1電極431Aの切断部分431Bも、第1PZT層431の底面の少なくとも一部に配置されてよい。切断部分431Bは、ヒンジ端で第1導電性接着剤(ECA)133に接続されてよい。第2電極432Aは、第1PZT層431と第2PZT層432との間の少なくとも一部に配置されてよい。第3電極433Aは、第2PZT層432の上面の少なくとも一部に配置されてよい。第3電極433Aの切断部分433Bは、第2PZT層432の上面の少なくとも一部に配置されてよい。
【0031】
第1電極431Aおよび第2電極432Aの共通の長さは、有効電極長431Dを規定し得る。さらに、第3電極433Aおよび第2電極432Aの共通の長さは、有効電極長433Dを規定し得る。固定端は、例えば図2に示されるヘッドジンバルアセンブリ等のヘッドジンバルアセンブリの前縁端を指す。ヒンジ端は、ヘッドジンバルアセンブリの後縁端を指す。
【0032】
第3電極433Aおよび第1電極431Aは、マイクロアクチュエータ素子81のヒンジ端で第1側面電極430Aに接続されている。第3電極433B、第2電極432A、および切断部分431Bは、マイクロアクチュエータ素子31の固定端で第2側面電極430Bに接続されている。第1側面電極430Aは、第1ECA33に接続されている。第2側面電極430Bは、第2ECA134に接続されている。
【0033】
図6は、本開示の一実施形態による他のマイクロアクチュエータ素子91の断面図を示す。固定端は、例えば図2に示されるジンバル21等のジンバルの前縁端を指す。ヒンジ端は、ジンバルの後縁端を指す。いくつかの実施形態では、マイクロアクチュエータ素子91の全長は0.80mmであり、公差は25μmであってよい。マイクロアクチュエータ素子91は、第1PZT層531の底面の少なくとも一部に配置された第1電極531Aを備える多層PZTであってよい。第1電極531Aは、固定端で第1導電性接着剤(ECA)234に接続されてよい。第1電極531Aの切断部分531Bも、第1PZT層531の底面の少なくとも一部に配置されてよい。切断部分531Bは、ヒンジ端で第2導電性接着剤(ECA)233に接続されてよい。第2電極532Aは、第1PZT層531と第2PZT層532との間の少なくとも一部に配置されてよい。
【0034】
第3電極533Aは、第2PZT層532の上面の少なくとも一部に配置されてよい。第3電極534Aの切断部分533Bは、第2PZT層532の上面の少なくとも一部に配置されてよい。切断部分533Bは、第1側面電極530Aを介して、ヒンジ端233で第1ECA233に接続されてよい。いくつかの実施形態では、切断部分533Bは0.05mmであり、公差は25μmであってよい。第3電極533Aは、第2側面電極530Bを介して、固定端で第2ECA234に接続されてよい。第1側面電極530Aは、第1ECA233、第2電極532A、および切断部分531Bに接続されている。第2側面電極530Bは、第2ECA234に接続されている。
【0035】
第1電極531Aおよび第2電極532Aの共通の長さは、有効電極長531Dを規定し得る。さらに、第3電極533Aおよび第2電極532Aの共通の長さは、有効電極長533Dを規定し得る。マイクロアクチュエータ素子91では、第3電極533Aは、固定端で第2側面電極530Bに直接的に接続するよう配置される。いくつかの実施形態では、「z高さ」またはZ-htとも呼ばれる、ベースプレートフランジからデータディスク表面までの公称距離で略ゼロの位相角を維持するよう、第3電極533Aの長さが短縮される。いくつかの場合では、略ゼロの位相角は2度である。
【0036】
固定端で第3電極534Aを第2側部電極530Bに接続することによって、いくつかの利点が実現される。いくつかの実施形態では、低Z-htでの変動は、約60°から約40°に減少する。別の利点は、部分的な拘束層構造(CLC)構成により、一部の実施形態によれば、ストロークが11nm/Vから13.6nm/Vに増加することである。
【0037】
本開示は、当業者が本開示を実施または使用できるよう提供される。本開示に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原則は、本開示の範囲から逸脱することなく他の変更に適用することができる。したがって、本開示は、本明細書に記載された実施例および設計に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示された原則および新規な特徴と一致する最大の範囲が認められるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】