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特表2023-514200家畜において有害な腸内大気ガスを減少させるための方法および組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】家畜において有害な腸内大気ガスを減少させるための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/16 20160101AFI20230329BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20230329BHJP
   C12N 1/16 20060101ALI20230329BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20230329BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20230329BHJP
   A61K 35/741 20150101ALI20230329BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20230329BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230329BHJP
   A61K 31/20 20060101ALI20230329BHJP
   A61K 31/197 20060101ALI20230329BHJP
   A23K 50/10 20160101ALI20230329BHJP
   A23K 50/20 20160101ALI20230329BHJP
   A23K 50/30 20160101ALI20230329BHJP
【FI】
A23K10/16
C12N1/20 A
C12N1/20 E
C12N1/16 G
A23L33/135
A61P1/12 171
A61K35/741
A61K35/74
A61K45/00
A61K31/20
A61K31/197
A23K50/10
A23K50/20
A23K50/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548577
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(85)【翻訳文提出日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 US2021017399
(87)【国際公開番号】W WO2021163148
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】62/972,973
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/126,711
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/024,191
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/038,985
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519080908
【氏名又は名称】ローカス アイピー カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ファーマー ショーン
(72)【発明者】
【氏名】アリベック ケン
(72)【発明者】
【氏名】カラサー カルティク エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ハイデコーン キース
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
4B018
4B065
4C084
4C087
4C206
【Fターム(参考)】
2B005BA01
2B005EA01
2B005EA02
2B150AA01
2B150AB12
2B150AB20
2B150AC02
2B150AC21
4B018LB10
4B018MD79
4B018MD81
4B018ME14
4B065AA01X
4B065AA15X
4B065AA19X
4B065AA79X
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA22
4B065CA02
4B065CA05
4B065CA10
4B065CA24
4B065CA27
4B065CA43
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA52
4C084MA60
4C084NA05
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZC751
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC30
4C087BC64
4C087MA02
4C087MA52
4C087MA60
4C087NA20
4C087ZA66
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA03
4C206FA53
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA72
4C206MA80
4C206NA05
4C206ZA66
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、家畜動物の消化器系および/または排泄物において生じる有害大気ガス排出を減少させるための組成物および方法を提供する。好ましい態様において、例えば、前記家畜動物の消化器系および/または排泄物におけるメタン生成細菌を制御するために、1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物を含む組成物を、前記家畜動物の消化器系および/または排泄物と接触させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜動物の消化器系および/または排泄物において生成される有害大気ガスおよび/またはその前駆物質を減少させるための方法であって、
前記方法が、1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物を含む組成物を、前記家畜動物の消化器系と接触させる工程を含み、
1つまたは複数の前記有益な微生物が、バシルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、プリュロタス・オストレアタス(Pleurotus ostreatus)、サッカロミセス・ボウラルディ(Saccharomyces boulardii)、デバリオミセス・ハンセニィ(Debaryomyces hansenii)、レンチヌラ・エドデス(Lentinula edodes)、トリコダーマ・ビリダエ(Trichoderma viridae)、ウィッカーハモミセス・アノマルス(Wickerhamomyces anomalus)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、スターメレラ・ボンビコラ(Starmerella bombicola)、メイエロジマ・ギリアーモンディ(Meyerozyma guilliermondii)、ピキア・オシデンタリス(Pichia occidentalis)、モナスカス・パープレウス(Monascus purpureus)、アクレモニウム・クリソゲナム(Acremonium chrysogenum)、ミクソコッカス・キサンタス(Myxococcus xanthus)、バシルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バシルス・サブチリス「B4」株、および/またはバシルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)である、
前記方法。
【請求項2】
前記組成物が前記家畜動物の消化器系と接触させられる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
経口的に前記消化器系に直接、内視鏡を通じて、または、腹部、こぶ胃、および/もしくは腸への注射を通じて、前記組成物が投与される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
糞便移植を通じて、座薬を通じて、または浣腸を通じて、前記組成物が前記家畜動物の消化器系に投与される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記有害大気ガスがメタンおよび二酸化炭素である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記有害大気ガスの前駆物質が窒素およびアンモニアである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記家畜動物の消化器系におけるメタン生成細菌および/または原生動物が制御される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物と共にプレバイオティクスを投与する工程をさらに含み、前記プレバイオティクスが、乾燥動物用飼い葉、わら、干し草、ムラサキウマゴヤシ、穀粒、まぐさ、芝(grass)、果物、野菜、オート麦、または作物残渣である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物と共に飽和長鎖脂肪酸を投与する工程をさらに含み、前記飽和長鎖脂肪酸がステアリン酸、パルミチン酸、および/またはミリスチン酸である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物と共に発芽増進物質を投与する工程をさらに含み、前記発芽増進物質がL-アラニン、L-ロイシン、またはマンガンである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物と共に、以下の成分:海藻(アスパラゴプシス・タキシフォルミス(Asparagopsis taxiformis));昆布;3-ニトロオキシプロパノール;アントラキノン;モネンシンおよびラサロシドから選択されるイオノフォア;サポニンおよびタンニンから選択されるポリフェノール;ユッカ・シジゲラ(Yucca schidigera)エキス(ステロイド系サポニン生産体);キラジャ・サポナリア(Quillaja saponaria)エキス(トリテルペノイド系サポニン生産植物種);有機硫黄;ニンニクエキス;ケルセチン、ルチン、ケンペロール、ナリンギン、およびアントシアニジンから選択されるフラボノイド;グリーンシトラス果実、ローズヒップ、および/もしくはブラックカラントから単離されるバイオフラボノイド;カルボン酸;ならびにd-リモネン、ピネン、および柑橘類エキスから選択されるテルペンのうちの1つまたは複数を投与する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記有益な微生物がバシルス・アミロリケファシエンスの株である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
バシルス・アミロリケファシエンスの株がB.アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)NRRL B-67928(「B.アミィ(B. amy)」)である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記有益な微生物がプリュロタス・オストレアタスである、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記有益な微生物がサッカロミセス・ボウラルディである、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記有益な微生物がデバリオミセス・ハンセニィ(Debaryomyces hansensii)である、請求項1記載の方法。
【請求項17】
1つまたは複数の前記有益な微生物がP.オストレアタス(P. ostreatus)およびS.ボウラルディ(S. boulardii)である、請求項1記載の方法。
【請求項18】
1つまたは複数の前記有益な微生物が、B.アミィ、S.ボウラルディ、P.オストレアタス、およびD. ハンセニィ(D. hansenii)である、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記有益な微生物がW.アノマルス(W. anomalus)である、請求項1記載の方法。
【請求項20】
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が、バイオサーファクタント、酵素、有機酸、脂肪酸、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、アルコール、ポリケチド、天然抗生物質、アルデヒド、アミン、ステロール、およびビタミンから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項21】
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が、1つまたは複数の前記有益な微生物なしで投与される、請求項1記載の方法。
【請求項22】
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が精製されている、請求項1記載の方法。
【請求項23】
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が粗形態であり、前記粗形態が、前記増殖副産物を生産する微生物の発酵により生じる上清を含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記1つもしくは複数の微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物が、前記家畜動物が摂取する飲料水および/または飼料に適用される、請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記家畜動物の消化器系および/または排泄物における腸内有害大気ガス排出および/またはその前駆物質の減少に対する前記方法の効果を評価する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
前記家畜動物の消化器系および/または排泄物におけるメタン生成細菌および/または原生動物の制御に対する前記方法の効果を評価する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項27】
畜産従事者により使用される炭素クレジットの数値を減少させるために使用される、請求項1記載の方法。
【請求項28】
家畜動物の消化器系における腸内有害大気ガスおよび/またはその前駆物質を減少させるための組成物であって、
前記組成物が、1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物を含み、
1つまたは複数の前記有益な微生物が、バシルス・アミロリケファシエンス、プリュロタス・オストレアタス、サッカロミセス・ボウラルディ、デバリオミセス・ハンセニィ、レンチヌラ・エドデス、トリコダーマ・ビリダエ、ウィッカーハモミセス・アノマルス、サッカロミセス・セレビシエ、スターメレラ・ボンビコラ、メイエロジマ・ギリアーモンディ、ピキア・オシデンタリス、モナスカス・パープレウス、アクレモニウム・クリソゲナム、ミクソコッカス・キサンタス、バシルス・サブチリス、バシルス・サブチリス「B4」株、および/またはバシルス・リケニフォルミスである、
前記組成物。
【請求項29】
前記有益な微生物がバシルス・アミロリケファシエンスの株である、請求項28記載の組成物。
【請求項30】
バシルス・アミロリケファシエンスの株がB. アミロリケファシエンスNRRL B-67928(「B.アミィ」)である、請求項28記載の組成物。
【請求項31】
前記有益な微生物がプリュロタス・オストレアタスである、請求項28記載の組成物。
【請求項32】
前記有益な微生物がサッカロミセス・ボウラルディである、請求項28記載の組成物。
【請求項33】
前記有益な微生物がD.ハンセニィ(D.hansensii)である、請求項28記載の組成物。
【請求項34】
1つまたは複数の前記有益な微生物がP.オストレアタスおよびS.ボウラルディである、請求項28記載の組成物。
【請求項35】
1つまたは複数の前記有益な微生物が、B.アミィ、S.ボウラルディ、P.オストレアタス、および/またはD. ハンセニィである、請求項28記載の組成物。
【請求項36】
前記有益な微生物がウィッカーハモミセス・アノマルスである、請求項28記載の組成物。
【請求項37】
乾燥動物用飼い葉、わら、干し草、ムラサキウマゴヤシ、穀粒、まぐさ、芝、果物、野菜、オート麦、または作物残渣から選択されるプレバイオティクスをさらに含む、請求項28記載の組成物。
【請求項38】
前記家畜動物の栄養要求を補うためならびに前記家畜動物の健康および/または幸福を促進するための栄養素をさらに含み、前記栄養素が、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ビタミン、微量元素、脂肪、脂肪酸、脂質、炭水化物、ステロール、酵素、カルシウム、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩素、硫黄、クロム、コバルト、銅、ヨウ素、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、セレン、および/または亜鉛の供給源である、請求項28記載の組成物。
【請求項39】
ステアリン酸、パルミチン酸、およびミリスチン酸から選択される飽和長鎖脂肪酸をさらに含む、請求項28記載の組成物。
【請求項40】
L-アラニン、L-ロイシン、およびマンガンから選択される発芽増進物質をさらに含む、請求項28記載の組成物。
【請求項41】
以下の成分:海藻(例えば、アスパラゴプシス・タキシフォルミスおよび/もしくはアスパラゴプシス・アルマタ(Asparagopsis armata));昆布;ニトロオキシプロパノール(例えば、3-ニトロオキシプロパノールおよび/もしくはエチル-3-ニトロオキシプロパノール);アントラキノン;モネンシンおよびラサロシドから選択されるイオノフォア;サポニンおよびタンニンから選択されるポリフェノール;ユッカ・シジゲラエキス(ステロイド系サポニン生産体);キラジャ・サポナリアエキス(トリテルペノイド系サポニン生産植物種);有機硫黄;ニンニクエキス;ケルセチン、ルチン、ケンペロール、ナリンギン、およびアントシアニジンから選択されるフラボノイド;グリーンシトラス果実、ローズヒップ、および/もしくはブラックカラントから単離されるバイオフラボノイド;カルボン酸;ならびにd-リモネン、ピネン、および柑橘類エキスから選択されるテルペンのうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項28記載の組成物。
【請求項42】
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が、バイオサーファクタント、酵素、有機酸、脂肪酸、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、アルコール、ポリケチド、天然抗生物質、アルデヒド、アミン、ステロール、およびビタミンから選択される、請求項28記載の組成物。
【請求項43】
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が、1つまたは複数の前記有益な微生物なしで投与される、請求項28記載の組成物。
【請求項44】
以下の投与方法:経口投与、内視鏡を通じた投与、前記消化器系への直接注射を通じた投与、座薬を通じた投与、糞便移植を通じた投与、および/または浣腸を通じた投与のうちの1つまたは複数のための投与に適した担体をさらに含む、請求項28記載の組成物。
【請求項45】
家畜の排出物からの温室効果ガス排出を減少させるための方法であって、請求項28~44のいずれか1項記載の組成物を前記家畜動物の消化器系に投与する工程を含む、前記方法。
【請求項46】
家畜の排出物からの温室効果ガス排出を減少させるための方法であって、請求項28~44のいずれか1項記載の組成物を前記排出物に加える工程を含む、前記方法。
【請求項47】
前記組成物が、家畜の排泄物の保管および/または処理に使用されるラグーン、汚物沈殿池(tailing pond)、または保管タンクに適用される、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記排出物を有機肥料として圃場または作物に適用する工程をさらに含む、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記圃場または作物に適用される窒素豊富な肥料の量を減少させるために使用される、請求項48記載の方法。
【請求項50】
家畜の排出物からの温室効果ガス排出を減少させるための方法であって、ソホロ脂質バイオサーファクタントを前記排出物に加え、かつ任意でB.アミィを加える工程を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年2月11日に出願された米国仮特許出願第62/972,973号、2020年5月13日に出願された同第63/024,191号、2020年6月15日に出願された同第63/038,985号、および2020年12月17日に出願された同第63/126,711号からの優先権を主張し、これら各々の全体を参照により本明細書に組み入れる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
大気中で熱を捕捉するガスは、「温室効果ガス」または「GHG」と呼ばれ、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、およびフッ素化ガスを含む。(6番のEPA report 2016)。
【0003】
二酸化炭素(CO2)は、化石燃料(石炭、天然ガス、および石油)、固形廃棄物、樹木および木材製品の燃焼を通じて、また特定の化学反応、例えば、セメントの製造の結果として、大気中に入り込む。二酸化炭素は、例えば、生物学的炭素サイクルの一部としての植物による吸収により大気から除去される。
【0004】
亜酸化窒素(N2O)は、産業活動の間ならびに化石燃料および固形廃棄物の燃焼の間に排出される。農業においては、窒素含有肥料の過剰な適用および不十分な土壌管理作業もまた、亜酸化窒素および他の窒素ベースのガスの排出を増加させ得る。
【0005】
例えば、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、六フッ化硫黄、および三フッ化窒素を含むフッ素化ガスは、様々な産業プロセスから排出される合成性の強力な温室効果ガスである。
【0006】
メタン(CH4)は、石炭、天然ガス、および石油の製造および輸送の間に排出される。さらに、他の農作業、ならびにラグーンおよび地方自治体の固形廃棄物埋立地における有機廃棄物の腐敗が、メタン排出を引き起こし得る。しかし、注目すべきことに、メタン排出はまた、その消化器系の多くがメタン生成微生物を含む家畜動物の生産からも生じる(Overview of Greenhouse Gases 2016)。
【0007】
世界中の観測ステーションからの最新の測定ならびに南極大陸およびグリーンランドの氷層に捕捉された気泡からの昔の空気の測定に基づくと、GHGの全球大気濃度は、ここ数百年の間に有意に上昇している(例えば6、15番のEPA report 2016)。
【0008】
特に、1700年代に始まった産業革命以降、人間の活動は、化石燃料の燃焼、森林の伐採、および他の活動の実施により、大気中のGHGの量に影響を及ぼしている。大気中に排出された多くのGHGは、十年から数千年に及ぶ長い期間、そこに残存する。時間と共に、これらのガスは、化学的反応により、または排出ガスシンク(emission sink)、例えば、大気からGHGを吸収する海洋および草植物により、大気から除去される。
【0009】
世界のリーダーらは、条約および他の州間合意を通じてGHG排出の増加を抑制するよう取り組んでいる。1つのそのような取り組みは、炭素クレジットシステムの使用を通じたものである。炭素クレジットは、1トンの二酸化炭素または同等のGHGを排出する権利を表す取引可能な証明書または許可証の総称である。典型的な炭素クレジットシステムにおいて、運営団体は、業者が行うことができるGHG排出の量に関して割当量を設定する。これらの割当量を超過した場合、業者は、炭素クレジットのすべてを使用していない他の業者から追加の排出権を購入することが必要となる。
【0010】
炭素クレジットシステムの1つの目的は、これらのクレジットの取引からの利益を享受するために、よりグリーンな技術、機器、および実務に投資するよう企業に促すことである。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の京都議定書の下で、多数の国々が、排出クレジットの取引を通じたものを含むGHG削減政策により国際的に拘束されることに合意した。米国はこの京都議定書に拘束されず、かつ米国には中心となる国家的な排出権取引システムが存在しないが、一部の州、例えば、カリフォルニアおよび北東の州の連合は、そのような取引スキームを採用し始めている。
【0011】
大気中のGHG、特にメタン排出を減少させる別の取り組みは、家畜生産における飼料添加物またはサプリメントの使用に関する。反芻動物の家畜、例えば、ウシ、ヒツジ、バッファロー、ヤギ、シカ、およびラクダは、それらが蜂の巣胃、こぶ胃、葉胃、およびしわ胃という4つの腹部区画を有する点で独特である。特に、こぶ胃は、摂取した物質、例えば繊維性植物物質の微生物発酵が行なわれる大きな中空の器官である。この器官は、40~60ガロンの物質を保持することができ、ティースプーン1杯のこぶ胃内容物あたりの推定微生物濃度は微生物1500億個である。
【0012】
こぶ胃は、酸素、窒素、H2、および二酸化炭素を含む気体状の発酵副産物を発生させる特定の細菌のための嫌気性発酵槽として機能する。図1を参照のこと。メタン生成は、消化器系の効率に寄与し、H2の分圧を減少させ、そして微生物酵素の正常な機能発揮を可能にする自然プロセスである。このプロセスは、メタン菌により調節され、その最も一般的なものはメタノブレビバクター(Methanobrevibacter)である。メタン菌は、表面にバイオフィルムを形成し、そこで水素生産細菌および原生動物が、二酸化炭素をメタンに還元するのに必要とされるH2を能動的に生産する。
【0013】
例として、肉および乳の両方のために、ならびに畜糞および牽引力などの非食用アウトプットのために飼育されるウシは、家畜からの最も多い量の排出をもたらし、それは家畜部門の排出の約65%を占める。毎日、1頭のウシから、発酵により生成されるおよそ130~250ガロン超のこぶ胃ガスがげっぷにより吐き出され得る。これは、膨満感を抑えるため、ウシの健康にとって重要であるが、その負の結果は、大気中へのGHG、例えば二酸化炭素およびメタンの排出である。
【0014】
非反芻動物を含む他の動物もまた、腸内GHG生産に寄与する。例えば、ブタ、げっ歯類、サル、ウマ、ラバ、ロバ、サイ、カバ、クマ、家禽、および特定の他の鳥類もまた、それらの消化器系にメタン生成細菌を含んでいる。特定の単胃動物もまた、N2OおよびCO2排出を行う。
【0015】
腸内発酵に加えて、畜糞もまた、GHG排出源となり得る。畜糞は、メタン排出に変換され得る有機物および間接的に亜酸化窒素排出をもたらす窒素という、保管および処理の間にGHG排出をもたらし得る2つの成分を含む。メタンは、ラグーン、汚物沈殿池(tailing pond)、または貯蔵タンク内に保持されている畜糞中の有機物をメタン生成細菌が分解されると放出される。さらに、アンモニア(NH3)の形態の窒素が、保管および処理の間に畜糞および尿から放出される。アンモニアはその後、亜酸化窒素に変換され得る(Gerber et al. 2013)。
【0016】
現在、家畜のメタン排出を減少させるアプローチは、消化器系の除去(defaunation)、さらにはメタン菌に対するワクチン接種を含む。しかし、これらの戦略の欠点は、それらが有益な腸内微生物の数を減少させ得ること、および方法は微生物適応により短命となり得ることである。さらに、エネルギー供給業者は、畜糞ラグーンおよび回収池からメタンをバイオガス燃料の形態で収集することを試みているが、方法は非効率的であり、家畜生産物により生成されるメタンの総量に対して有意な量のメタンを捕捉しない。
【0017】
他の戦略は、例えばメタン菌および原生動物を直接阻害することにより、またはメタン生成を減少させるために水素イオンを向け直してメタン菌から離すことにより、腸内発酵を操作するための、特に家畜を放牧させる牧草地における食事改善に関する。そのような食事改善は、例えば、飼料へのプロバイオティクス、酢酸菌、バクテリオシン、イオノフォア(例えば、モネンシンおよびラサロシド)、有機酸、ならびに/または植物エキス(例えば、タンニンおよび/または海藻)の添加を含む(Ishler 2016)。大部分の抗メタン生成化合物は、高価であり、短命であり、一貫しない結果を示し、高濃度を必要とし、H2アクセプターを含まず、バイオフィルムの形態のメタン菌には影響せず、容易に破壊および/または排泄される化合物を含む。
【0018】
具体的な飼料添加物製品は、例えば、Mootral、Bovaer(登録商標)、およびFutureFeedを含み、これらは各々それら独自の制約を有する。Mootralは、ニンニク由来の活性化合物および柑橘類由来のフラボノイドの独自の組み合わせを含む飼料サプリメントである。この製品は、メタン生成細菌を直接阻害/殺傷することにより作用する。しかし、実際のメタン減少量は、約30%と、1年あたりの1頭のウシあたりの費用に対して低い。さらに、この製品は、亜酸化窒素生成の増加を示す、乳の尿素含量を増加させ得る。
【0019】
Bovaer(登録商標)は、メタン生成の最終工程を触媒する酵素であるメチルコエンザイムMレダクターゼを阻害する3-ニトロオキシプロパノールを含む飼料添加物である。達成される実際のメタン減少量は、これも約30%と比較的低く、かつ持続期間が比較的短い。さらに、H2アクセプターの欠如のため、この製品は、トリメチルアミン生成を増加させることから、生産される乳において生臭い臭いを発生させ得る。
【0020】
FutureFeedは、腸内メタン排出を最大98%減少させ得る特定のタイプの海藻を利用する飼料サプリメントである。とはいうものの、この製品は、1 kgあたり200ドルと高価であり、腸内ガス生成に対して安定した影響を示すまで時間がかかる。
【0021】
畜産業は、例えば、肉および乳製品の生産に重要であるが、気候変化に対する関心の増加およびGHG排出を減少させる必要性は、GHG排出を減少させつつ家畜を生産する改善されたアプローチを求めている。
【発明の概要】
【0022】
本発明は、家畜動物からの大気中への温室効果ガス排出を減少させるための組成物および方法を提供する。より詳細には、本発明は、家畜動物の消化器系および/または排泄物と接触させられた場合に、そうでなければその動物の消化プロセスおよび/または排泄物により生成されることになる温室効果ガス(GHG)の排出を減少させる組成物を提供する。有利に、組成物および方法はまた、家畜動物の全般的健康を増進し得る。
【0023】
特定の態様において、本発明は、1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物を含む、家畜動物の消化器系および/または排泄物において生成される腸内メタン、二酸化炭素、および/もしくは他の有害大気ガスならびに/またはそれらの前駆物質を減少させるための消化性保健用組成物を提供する。好ましい態様において、有益な微生物は、表面活性物質、例えばリポペプチドおよび/もしくは糖脂質;抗菌作用および免疫調整作用を有する生理活性化合物;ポリケチド;酸;ペプチド;抗炎症化合物;酵素、例えばプロテアーゼ、アミラーゼ、および/もしくはリパーゼ;ならびにアミノ酸、ビタミン、および他の栄養素の供給源のうちの1つまたは複数を生成することができる非病原性真菌、酵母、および/または細菌である。
【0024】
有利に、好ましい態様において、本組成物は、動物の消化器系および/または排泄物中に存在するメタン生成微生物および/またはその共生生物を制御および/または阻害することにより家畜生産に起因する有害大気ガス排出の減少を助けることができる。
【0025】
1つの態様において、組成物は、メタン菌のバイオフィルムを破壊する。1つの態様において、組成物は、メタン菌および/またはメタン生成に関与する生物学的経路を直接阻害する。
【0026】
有利に、好ましい態様において、本組成物はまた、例えば、H2アクセプターを導入することにより、メタン生成が阻害された場合に発生し得る過剰なH2の量を減少させ得る。
【0027】
特定の態様において、組成物は、家畜動物の消化器系への腸内投与および/または非経口投与用に配合され得る。例えば、特定の態様において、組成物は、穀粒および/またはまぐさ(例えば、牧草植物、干し草、サイレージ、作物残渣)に補充するための乾燥飼料ペレット、粉末および/または顆粒として配合され得る。
【0028】
特定の好ましい態様において、組成物は、1つもしくは複数の微生物、および/またはそれらの増殖副産物を含み、微生物は、細菌、真菌、および/または酵母である。微生物は、例えば、バシルス属(Bacillus)種細菌;粘膜細菌;プリュロタス属(Pleurotus)種真菌;レンチヌラ属(Lentinula)種真菌;トリコダーマ属(Trichoderma)種真菌;サッカロミセス属(Saccharomyces)種酵母;デバリオミセス・ハンセニィ(Debaryomyces hansenii);スターメレラ・ボンビコラ(Starmerella bombicola);ウィッカーハモミセス・アノマルス(Wickerhamomyces anomalus);メイエロジマ・ギリアーモンディ(Meyerozyma guilliermondii);ピキア・オシデンタリス(Pichia occidentalis);モナスカス・パープレウス(Monascus purpureus);および/またはアクレモニウム・クリソゲナム(Acremonium chrysogenum)であり得る。
【0029】
前記細菌は、存在する場合、胞子形態で、栄養細胞として、および/またはそれらの混合物として使用され得る。
【0030】
前記真菌は、生細胞もしくは不活性細胞、菌糸体、胞子、および/または子実体の形態であり得る。子実体は、存在する場合、例えば、顆粒および/または粉末形態に切り刻まれ得、かつ/またはブレンドされ得る。
【0031】
前記酵母は、生細胞もしくは不活性細胞または胞子の形態、ならびに乾燥および/または休眠細胞(例えば、酵母加水分解産物)の形態であり得る。
【0032】
好ましい態様において、組成物は、B.アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)を含む。特定の好ましい態様において、B.アミロリケファシエンスの株は、B.アミロリケファシエンスNRRL B-67928(「B.アミィ(B. amy)」)である。B.アミィは特に、消化管内でも、かついくつかの態様においては動物の排泄物中に排泄された後も生存状態を維持する胞子を生成するその能力から、伝統的なプロバイオティクス微生物よりも有利である。さらに、B.アミィは、家畜動物に与えられかつ/またはその排泄物に加えられた場合に、幅広い消化的および環境的利益を提供する特有の代謝産物の混合物を生成する。
【0033】
1つの例示的な態様において、組成物は、B.アミィを含む。1つの例示的な態様において、組成物は、B.サブチリス(B. subtilis)「B4」を含む。1つの例示的な態様において、組成物は、プリュロタス・オストレアタス(Pleurotus ostreatus)を含む。1つの例示的な態様において、組成物は、サッカロミセス・ボウラルディ(Saccharomyces boulardii)を含む。1つの例示的な態様において、組成物は、デバリオミセス・ハンセニィを含む。
【0034】
特定の例示的な態様において、組成物は、B.アミィ、P.オストレアタス(P. ostreatus)、S.ボウラルディ(S. boulardii)、および/またはD.ハンセニィ(D. hansenii)の任意の組み合わせを含み得る。
【0035】
1つの態様において、消化性保健用組成物は、微生物増殖副産物を含む。微生物増殖副産物は、組成物の微生物により生産され得、かつ/またはそれらは別途生産され、組成物に添加され得る。
【0036】
1つの態様において、増殖副産物は、それが生産された培養培地から精製されている。あるいは、1つの態様において、増殖副産物は、粗形態で使用され得る。粗形態は、例えば、関心対象の増殖副産物を生産する微生物の培養により生じる、残留細胞および/または栄養素を含む液体上清を含み得る。
【0037】
増殖副産物は、例えば、バイオサーファクタント、酵素、ポリケチド、酸、アルコール、溶媒、タンパク質、および/またはペプチドを含む、細胞増殖の結果として生じる代謝産物および/または他の生化学物質を含み得る。
【0038】
特定の態様において、組成物は、微生物ベースの組成物において使用される胞子形成微生物の発芽を増進する発芽増進物質を含む。特定の態様において、発芽増進物質は、アミノ酸、例えば、L-アラニンおよび/またはL-ロイシンである。1つの態様において、発芽増進物質は、マンガンである。
【0039】
1つの態様において、組成物は、1つまたは複数の脂肪酸を含む。特定の好ましい態様において、脂肪酸は、14~20個の炭素の炭素骨格を有する飽和長鎖脂肪酸、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸またはステアリン酸である。いくつかの態様において、2つまたはそれ以上の飽和長鎖脂肪酸の組み合わせが組成物に含まれる。いくつかの態様において、飽和長鎖脂肪酸は、メタン生成を阻害し得、かつ/またはメタン菌の細胞膜透過性を増加させ得る。
【0040】
いくつかの態様において、組成物は、家畜動物の消化器系においてメタンを減少させることが公知の追加成分、例えば、海藻(例えば、アスパラゴプシス・タキシフォルミス(Asparagopsis taxiformis)および/もしくはアスパラゴプシス・アルマタ(Asparagopsis armata));昆布;ニトロオキシプロパノール(例えば、3-ニトロオキシプロパノールおよび/もしくはエチル-3-ニトロオキシプロパノール);アントラキノン;イオノフォア(例えば、モネンシンおよび/もしくはラサロシド);ポリフェノール(例えば、サポニン、タンニン);ユッカ・シジゲラ(Yucca schidigera)エキス(ステロイド系サポニン生産体);キラジャ・サポナリア(Quillaja saponaria)エキス(トリテルペノイド系サポニン生産植物種);有機硫黄(例えば、ニンニクエキス);フラボノイド(例えば、ケルセチン、ルチン、ケンペロール、ナリンギン、およびアントシアニジン;グリーンシトラス果実、ローズヒップ、およびブラックカラント由来のバイオフラボノイド);カルボン酸;ならびに/またはテルペン(例えば、d-リモネン、ピネン、および柑橘類エキス)を含み得る。
【0041】
1つの例示的な態様において、組成物は、微生物、例えばB.アミィ、および式HOCH2CH2CH2ONO2を有する有機化合物である3-ニトロオキシプロパノール(3NOP)を含む。3NOPは、メタン生成に関与する1つまたは複数の酵素、例えば、メチルコエンザイムMレダクターゼを抑制するのに効果的である。
【0042】
1つの態様において、本組成物は、家畜動物の栄養要求を補うためならびに家畜動物の健康および/または幸福を促進するための1つまたは複数の追加物質および/または栄養素、例えば、アミノ酸(必須アミノ酸を含む)、ペプチド、タンパク質、ビタミン、微量元素、脂肪、脂肪酸、脂質、炭水化物、ステロール、酵素、ミネラル、例えばカルシウム、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩素、硫黄、クロム、コバルト、銅、ヨウ素、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、セレン、および亜鉛の供給源、ならびに/または動物において抗炎症、抗菌および/もしくは免疫調整作用を示す他の生理活性化合物を含み得る。いくつかの態様において、組成物の微生物は、これらの物質を生産および/または提供する。
【0043】
好ましい態様において、本発明は、家畜動物の消化器系および/または排泄物において生成される、メタン、二酸化炭素、および/もしくは他の有害大気ガス、ならびに/またはそれらの前駆物質(例えば、亜酸化窒素の前駆物質である窒素および/もしくはアンモニア)を減少させることにより有害大気ガス排出を減少させるための方法を提供する。
【0044】
特定の具体的態様において、方法は、本発明にしたがう消化性保健用組成物を家畜動物の消化器系と接触させる工程を含む。組成物は、家畜動物の消化器系に腸内および/または非経口投与され得る。例えば、組成物は、動物の飼料および/もしくは飲料水を通じて経口的に、内視鏡を通じて、消化器系の1つもしくは複数の部位への直接注射を通じて、座薬を通じて、糞便移植を通じて、および/または浣腸を通じて、家畜動物に投与され得る。
【0045】
有利に、好ましい態様において、方法は、メタン生成細菌および/もしくはその共生生物の直接阻害、メタン菌バイオフィルムの破壊、ならびに/または家畜動物の消化器系、例えば、こぶ胃、腹部、および/もしくは腸におけるメタン生成に関与する生物学的経路の破壊をもたらす。
【0046】
特定の態様において、方法はまた、メタン生成の減少によりもたらされるH2アクセプター欠乏に対処し得る。それによって、家畜生産物に対する過剰なH2の潜在的な負の影響を予防および/または減少させることができる。例えば、哺乳動物の消化管における過剰なH2は、トリメチルアミンの過剰生成により、乳中で生臭い臭いを生じ得る。
【0047】
いくつかの態様において、方法は、窒素から筋肉塊への変換を増加させ、それによってアンモニアおよび亜酸化窒素の生成に利用可能な窒素の量を減少させる。
【0048】
特定の態様において、方法はまた、家畜動物の排泄物(例えば、尿および/または畜糞)からのGHG排出を減少させる。いくつかの態様において、組成物の有益な微生物は、消化器系を通じた輸送を生き抜き、動物の排泄物と共に排泄され得、そこでそれらはメタン菌および/またはその共生生物の阻害、メタン菌バイオフィルムの破壊、メタン生成に関与する生物学的経路の破壊、および/またはH2アクセプター喪失の補填を継続する。組成物は、家畜動物の消化器系に投与され得かつ/または排出物に直接加えられ得る。
【0049】
特定の具体的態様において、組成物は、家畜の畜糞を保管および/または処理する畜糞ラグーン、排泄物ため池、汚物沈殿池、タンク、または他の保管施設に直接加えられ得る。有利に、いくつかの態様において、組成物中の微生物は、そこから排出されるメタンおよび/または亜酸化窒素の量を減少させつつ畜糞の分解速度の増加を促進する。さらに、いくつかの態様において、畜糞への組成物の適用は、畜糞を適用する土壌に植菌される微生物の能力により、有機肥料としての畜糞の価値を向上させる。微生物はその後増殖し、例えば、土壌の生物多様性を改善し、根圏性を増進し、植物の成長および健康を増進する。
【0050】
いくつかの態様において、方法はさらに、適用時に本組成物の微生物の増殖を増進する物質を添加する(例えば、栄養素および/プレバイオティクスを添加する)工程を含み得る。特定の態様において、家畜動物に、例えば、乾燥動物用飼い葉、わら、干し草、ムラサキウマゴヤシ、穀粒、まぐさ、芝(grass)、果物、野菜、オート麦、および/または作物残渣を含むプレバイオティクスの供給源が供給され得る。
【0051】
いくつかの態様において、方法は、例えば、健康な腸内マイクロバイオームに貢献することにより、消化を改善することにより、飼料から筋肉への変換比を増加させることにより、乳の生産および質を向上させることにより、脱水および熱ストレスを減少および/または処置することにより、免疫系を調整することにより、ならびに寿命を延ばすことにより、家畜動物の全般的健康を増進するために使用され得る。
【0052】
いくつかの態様において、本発明の方法は、炭素クレジットの使用を減少させるために家畜生産者により用いられ得る。したがって、特定の態様において、本方法はさらに、当技術分野で標準的な方法を用いて、メタン、二酸化炭素および/もしくは他の有害大気ガス、ならびに/またはそれらの前駆物質(例えば、窒素および/もしくはアンモニア)の発生の減少に対する方法の効果を評価するため、ならびに/または家畜動物の消化器系および/もしくは排泄物におけるメタン菌および/もしくは原生動物の管理に対する方法の効果を評価するための測定を行う工程を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】メタン生成に関与する生物学的経路を示している。
図2】ウシこぶ胃からの腸内メタン排出を減少させる能力を決定するための本発明の態様にしたがう組成物のインビトロ研究の結果を示している。
図3】ウシこぶ胃からの腸内二酸化炭素排出を減少させる能力を決定するための本発明の態様にしたがう組成物のインビトロ研究の結果を示している。
図4】ウシこぶ胃からの腸内メタン排出を減少させる能力を決定するための様々な添加率のB.アミィのインビトロ研究の結果を示している。
図5】ウシこぶ胃からの腸内二酸化炭素排出を減少させる能力を決定するための様々な添加率のB.アミィのインビトロ研究の結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0054】
発明の詳細な説明
本発明は、家畜生産物からの大気中への温室効果ガス排出を減少させる組成物および方法を提供する。より具体的に、本発明は、家畜動物の消化器系および/または排泄物と接触させられた場合に、そうでなければその動物の消化プロセスにより生じることになる温室効果ガス排出を減少させる組成物を提供する。有利に、いくつかの態様において、組成物および方法はまた、家畜動物の全般的健康および生産性を改善し得る。
【0055】
特定の態様において、本発明は、1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物を含む、家畜動物の消化器系および/または排泄物において生成されるメタン、二酸化炭素、および/もしくは他の有害大気ガスならびに/またはそれらの前駆物質を減少させるための消化性保健用組成物を提供する。
【0056】
選択された定義
本明細書で使用される場合、「バイオフィルム」は、細胞が相互におよび/または表面に接着している、微生物、例えば細菌の複雑な凝集物である。バイオフィルム内の細胞は、液体培地中を浮動または遊泳し得る単一細胞である、同じ生物の浮遊細胞とは生理学的に異なっている。
【0057】
本明細書で使用される場合、望ましくない微生物(例えば、メタン菌)を参照して使用される「制御」という用語は、その微生物を殺傷する、無力化させる、固定する、および/もしくは集団数を減少させる行為、ならびに/または、それ以外の、その微生物が生殖できないようにするおよび/もしくはその微生物が望ましくないプロセス(例えば、メタン生成)を実施できないようにする行為に及ぶ。
【0058】
本明細書で使用される場合、「消化器系」は、食物の消化または消費ならびにエネルギーおよび排泄物へのそれらの変換を行うことができる動物の体内の器官系を表す。消化器系は、例えば、口腔、食道、素嚢、砂嚢、前胃、腹部、こぶ胃、蜂の巣胃、葉胃、しわ胃、膵臓、肝臓、小腸、大腸(結腸)、盲腸、虫垂、および/または肛門を含み得る。消化に関連し、特定の動物に特異的なさらなる器官または部分も想定される。
【0059】
本明細書で使用される場合、「単離された」または「精製された」核酸分子、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、有機化合物、例えば低分子(例えば、以下に記載されるもの)、または他の化合物は、自然状態ではそれに付随する他の化合物、例えば細胞物質を実質的に含まない。例えば、精製または単離されたポリヌクレオチド(リボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA))は、その自然発生状態でそれに隣接する遺伝子または配列を含まない。精製または単離されたポリペプチドは、その自然発生状態でそれに隣接するアミノ酸または配列を含まない。精製または単離された微生物株は、自然状態でそれが存在する環境から取り出されている。したがって、単離された株は、例えば、生物学的に純粋な培養物として、または担体に付着した胞子(もしくはその株の他の形態)として存在し得る。
【0060】
特定の態様において、精製された化合物は、重量で少なくとも60%が関心対象の化合物である。好ましくは、調製物は、重量で少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも99%が関心対象の化合物である。例えば、精製された化合物は、重量で少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、98%、99%、または100%(w/w)が所望の化合物であるものである。純度は、任意の適切な標準的方法により、例えば、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、または高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により測定される。
【0061】
本明細書で使用される場合、「イオノフォア」は、微生物を通じたイオン濃度勾配(Ca2+、K+、H+、Na+)を混乱させ、それらを無益イオン回路に入らせるカルボン酸ポリエーテル系非治療性抗生物質である。イオン濃度の混乱は、微生物が正常な代謝を維持することを妨げ、微生物に過剰なエネルギーを消費させる。イオノフォアは、グラム陽性細菌、例えばメタン菌、および原生動物の代謝産物に対して選択することによりまたはそれらに負の影響を及ぼすことにより機能する。
【0062】
「代謝産物」は、代謝により生成される任意の物質(例えば、増殖副産物)または特定の代謝プロセスに参加するために必要となる物質を表す。代謝産物は、代謝の出発物質、中間体、または最終生産物である有機化合物であり得る。代謝産物の例は、酵素、毒素、酸、溶媒、アルコール、タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、微量元素、アミノ酸、ポリマー、ポリケチド、およびサーファクタントを含み得るがこれらに限定されない。
【0063】
本明細書で使用される場合、「メタン菌」は、代謝の副産物としてメタンガスを生成する微生物である。メタン菌は、反芻動物および非反芻動物(例えば、ブタ、家禽およびウマ)の消化器系および代謝排泄物において見出され得る古細菌である。メタン菌の例は、メタノバクテリウム属(Methanobacterium)種(例えば、M.フォルミシカム(M. formicicum))、メタノブレビバクター属種(例えば、M.ルミナンチウム(M. ruminantium))、メタノコッカス属(Methanococcus)種(例えば、M.パリパルディス(M. paripaludis))、メタノキュレウス属(Methanoculleus)種(例えば、M.ボージェンシス(M. bourgensis))、メタノフォレンス属(Methanoforens)種(例えば、M.ストルダレンミレンシス(M. stordalenmirensis))、メタノフォリス・リミナタンス(Methanofollis liminatans)、メタノゲニウム・ウォルフェイ(Methanogenium wolfei)、メタノミクロビウム属(Methanomicrobium)種(例えば、M.モビル(M. mobile))、メタノピラス・カンドレリ(Methanopyrus kandleri)、メタノレギュラ・ボーネイ(Methanoregula boonei)、メタノサエタ属(Methanosaeta)種(例えば、M.コンシリィ(M. concilii)、M.サーモフィル(M. thermophile))、メタノサルシナ属(Methanosarcina)種(例えば、M.バーケリ(M. barkeri)、M.マゼイ(M. mazeii))、メタノスファエラ・スタットマナエ(Methanosphaera stadtmanae)、メタノスピリリウム・フンガテイ(Methanospirillium hungatei)、メタノサーモバクター属(Methanothermobacter)種、および/またはメタノスリクス・ソンゲニィ(Methanothrix sochngenii)を含むがこれらに限定されない。
【0064】
本明細書に提供される範囲は、その範囲内のすべての値を簡略表示したものであることが理解される。例えば、1~50という範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50からなる群のあらゆる数字、数字の組み合わせ、または部分範囲、ならびに上記の整数の間のすべての介在する少数点以下の値、例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、および1.9を含むと理解される。部分範囲に関して、その範囲のいずれかの終点から延びる「入れ子状の部分範囲」が具体的に想定される。例えば、1~50という例示的な範囲の入れ子状の部分範囲は、一方向に1~10、1~20、1~30、および1~40、または他方向に50~40、50~30、50~20、および50~10を含み得る。
【0065】
本明細書で使用される場合、「減少」は負の変化を意味し、「増加」は正の変化を意味し、正または負の変化は少なくとも0.25%、0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%である。
【0066】
「含む(including)」または「含む(containing)」と同義である、「含む(comprising)」という移行句は、包括的またはオープンエンド型であり、追加の言及されていない要素または方法の工程を除外しない。これに対して、「からなる」という移行句は、請求項内で特定されていないあらゆる要素、工程、または成分を除外する。「から本質的になる」という移行句は、請求項の範囲を、特定されている物質または工程および請求項発明の「基本的かつ新規の特徴に実質的に影響しないそれら」に限定する。「含む」という用語の使用は、言及されている要素「からなる」または「から本質的になる」他の態様も想定している。
【0067】
具体的に言及されているか文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「または」という用語は、包括的であることが理解される。具体的に言及されているか文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(and)」、および「その(the)」という用語は、単数または複数であることが理解される。
【0068】
具体的に言及されているか文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当技術分野における普通許容度の範囲内、例えば、平均の2標準偏差内と理解される。約は、言及されている値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内と理解され得る。
【0069】
本明細書の任意の可変要素の定義における化学基の列挙の記載は、列挙されている基の任意の1つの基または組み合わせであるというその可変要素の定義を包含する。本明細書の可変要素または局面についての態様の記載は、任意の単一の態様としてのその態様または任意の他の態様もしくはそれらの一部と組み合わされたその態様を包含する。
【0070】
本明細書で引用されるすべての参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0071】
消化性保健用組成物
好ましい態様において、本発明は、1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物を含む、家畜動物の消化器系および/または排泄物において生成されるメタン、二酸化炭素、窒素および/もしくは他の有害大気ガスならびに/またはそれらの前駆物質を減少させるための消化性保健用組成物を提供する。
【0072】
特定の態様において、消化性保健用組成物は、微生物または他の細胞培養物の増殖の結果として生成された成分を含む組成物であることを意味する、「微生物ベースの組成物」である。したがって、微生物ベースの組成物は、微生物自体および/または微生物増殖の副産物を含み得る。微生物は、栄養状態、胞子形態、菌糸体形態、微生物散布体の任意の他の形態、またはこれらの混合形態であり得る。微生物は、浮遊形態もしくはバイオフィルム形態、またはその両方の混合形態であり得る。増殖の副産物は、例えば、代謝産物、細胞膜成分、発現されたタンパク質、および/または他の細胞成分であり得る。微生物は、インタクトな状態または溶解された状態であり得る。細胞は、完全に存在しない、または、例えば、1ミリリットルの組成物あたり1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、またはそれ以上のCFUの濃度で存在し得る。
【0073】
有利に、好ましい態様において、本組成物は、家畜動物の消化プロセスを変化させ、腸内大気ガス生成を減少させ得る。
【0074】
いくつかの態様において、本組成物は、家畜および/または家畜の排泄物におけるメタン、二酸化炭素および/または亜酸化窒素の生成を減少させるために使用され得る。例えば、組成物は、動物の消化器系および/または排泄物におけるメタン生成細菌および/またはそれらの共生生物を直接阻害または制御し得、かつメタン菌により形成されるバイオフィルムの完全性および/または生成を妨げる。さらに、いくつかの態様において、組成物は、メタン生成に関与する生物学的経路と干渉し得る。さらに、いくつかの態様において、組成物は、メタン生成が減少した場合に起こるH2アクセプター化合物の喪失を補填し得る。
【0075】
いくつかの態様において、組成物はまた、例えばアンモニアおよび/または尿素の形態での動物の排泄物における窒素の放出を減少させる飼料中のタンパク質源のより完全な変換を実現しつつ、家畜の成長および健康を増進し得る。有利に、いくつかの態様において、これは、亜酸化窒素の生成を減少させ得る。
【0076】
好ましい態様において、本組成物の有益な微生物は、非病原性真菌、酵母および/または細菌である。有益な微生物は、活性、不活性および/または休眠状態であり得る。好ましい態様において、微生物は、適切な規制当局によって「一般的に安全と認められるもの」またはGRASと特徴づけられる微生物である。
【0077】
本発明の微生物は、天然、または遺伝子操作された微生物であり得る。例えば、微生物は、特定の特徴を示すよう特定の遺伝子によって形質転換され得る。微生物はまた、所望の株の変異体であり得る。本明細書で使用される場合、「変異体」は、参照微生物と比較して1つまたは複数の遺伝的変化(例えば、点変異、ミスセンス変異、ナンセンス変異、欠失、複製、フレームシフト変異またはリピート伸長)を有する、参照微生物の株、遺伝的変種またはサブタイプを意味する。変異体を作製するための方法は、微生物学分野で周知である。例えば、UV変異誘発およびニトロソグアニジンが、この目的で広く使用されている。
【0078】
いくつかの態様において、有益な微生物は、例えば消化器系または動物の体内の他所において病原性のおよび/または有害な微生物を制御するために家畜動物に投与される特定の抗生物質に対する自然または獲得耐性に基づき選択される。
【0079】
いくつかの態様において、本組成物の有益な微生物は、家畜動物の消化器系を通る輸送を生き抜くことができ、動物の排泄物(例えば、畜糞)中に排泄される。したがって、特定の態様において、動物への本発明の態様にしたがう組成物の投与は、メタン菌および/またはその共生生物の阻害、メタン菌バイオフィルムの破壊、メタン生成に関与する生物学的経路との干渉、ならびにH2アクセプター喪失の補填を通じて動物の排泄物においてGHG生成を減少させ得る。
【0080】
1つの特定の態様において、組成物は、約1×106~約1×1013、約1×107~約1×1012、約1×108~約1×1011、または約1×109~約1×1010CFU/gの、組成物中に存在する各々の微生物種を含む。
【0081】
1つの態様において、組成物は、体積で全体の約1~100%、約10~90%、または約20~75%の微生物を含む。
【0082】
例示的な態様において、組成物の1回の適用あたりの微生物の量は、合計で、1頭(群れまたは一団の中の個々の動物)あたり約1~100グラム、または1頭あたり約5~約85グラム、または1頭あたり約10~約70グラム、または1頭あたり約15~50グラムである。
【0083】
特定の好ましい態様において、組成物は、1つまたは複数の細菌および/またはその増殖副産物を含む。細菌は、例えば、ミクソコッカス属(Myxococcus)種(例えば、M.キサンタス(M. xanthus))および/または1つもしくは複数のバシルス属種細菌であり得る。特定の態様において、バシルス属種は、B.アミロリケファシエンス、B.サブチリス(例えば、「B4」株)、および/またはB.リケニフォルミス(B. licheniformis)である。細菌は、胞子形態で、栄養細胞として、および/またはそれらの混合形態で使用され得る。
【0084】
1つの態様において、組成物は、B.アミロリケファシエンスを含む。好ましい態様において、B.アミロリケファシエンスの株は、B.アミロリケファシエンスNRRL B-67928(「B.アミィ」)である。
【0085】
B.アミロリケファシエンス「B.アミィ」微生物の培養物は、Agricultural Research Service Northern Regional Research Laboratory (NRRL), 1400 Independence Ave., S.W., Washington, DC, 20250, USAに寄託されている。この寄託物には、寄託機関によりアクセッション番号NRRL B-67928が割り当てられており、2020年2月26日に寄託された。
【0086】
本培養物は、当該培養物へのアクセスが、特許商標庁長官により37 CFR 1.14および35 U.S.C 122の下でその権利を与えると決定された者に対して、本特許出願の係属中に利用可能となる条件の下で寄託されている。この寄託物は、本願の対応出願またはその後継出願が出願される国における外国特許法により求められる場合、入手可能である。しかし、寄託物が入手可能であることは、政府の処分により付与される特許権の特例として本発明を実施する権利を構成するものではないことが理解されるべきである。
【0087】
さらに、本培養物の寄託物は、微生物の寄託に関するブタペスト条約の条項にしたがい保管および公衆利用可能とされている、すなわち、寄託物のサンプルの提供に関する最も直近の請求から少なくとも5年の期間、かついかなる場合も、寄託日から少なくとも30(三十)年の期間または当該培養物を開示する発行され得る任意の特許の存続期間の間、それを生きた状態かつ汚染されていない状態で維持するために必要なすべての手当ての下で保管される。寄託者は、請求された際に寄託物の状態が原因で寄託機関がサンプルを提供できない場合、その寄託物を取り換える義務を認識している。本培養物の寄託物の公衆利用に関するすべての制限は、それを開示する特許の付与により、不可逆的に取り除かれるであろう。
【0088】
1つの態様において、有益な微生物は、酵母および/または真菌である。本発明にしたがう使用に適した酵母種および真菌種は、アカウロスポラ属(Acaulospora)、アクレモニウム・クリソゲナム、アスペルギルス属(Aspergillus)、オーレオバシジウム属(Aureobasidium)(例えば、A.プルランス(A. pullulans))、ブラケスレア属(Blakeslea)、カンジダ属(Candida)(例えば、C.アルビカンス(C. albicans)、C.アピコラ(C. apicola)、C.バチスタエ(C. batistae)、C.ボンビコラ(C. bombicola)、C.フロリコラ(C. floricola)、C.クオイ(C. kuoi)、C.リオドセンシス(C. riodocensis)、C.ノダエンシス(C. nodaensis)、C.ステラテ(C. stellate))、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、デバリオミセス属(例えば、D.ハンセニィ)、エントモフソラ属(Entomophthora)、ハンセニアスポラ属(Hanseniaspora)(例えば、H.ウバラム(H. uvarum))、ハンセヌラ属(Hansenula)、イサシェンキア属(Issatchenkia)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)(例えば、K.ファフィ(K. phaffii))、レンチヌラ属種(例えば、L.エドデス(L. edodes)、メイエロジマ属(例えば、M.ギリヤーモンディ(M. guilliermondii))、モナスカス・パープレウス、モルチエレラ属(Mortierella)、ムコール属(Mucor)(例えば、M.ピリフォルミス(M. piriformis))、ペニシリウム属(Penicillium)、フィシウム属(Phythium)、フィコミセス属(Phycomyces)、ピキア属(例えば、P.アノマラ(P. anomala)、P. ギリヤーモンディ、P.オシデンタリス、P.クドリアブゼビィ(P. kudriavzevii))、プリュロタス属(Pleurotus)(例えば、P.オストレアタス、P.オストレアタス、P.サジョルカジュ(P. sajorcaju)、P.シスチディオサス(P. cystidiosus)、P.コルヌコピアエ(P. cornucopiae)、P.プルモナリウス(P. pulmonarius)、P.ツベレギウム(P. tuberregium)、P.シトリノピレアタス(P. citrinopileatus)およびP.フラベラタス(P. flabellatus))、シュードジマ属(Pseudozyma)(例えば、P.アフィディス(P. aphidis))、リゾプス属(Rhizopus)、ロドトルラ属(Rhodotorula)(例えば、R.ボゴリエンシス(R. bogoriensis));サッカロミセス属(例えば、S.セレビシエ、S.ボウラルディ、S.トルラ(S. torula))、スターメレラ属(Starmerella)(例えば、S.ボンビコラ)、トルロプシス属(Torulopsis)、トラウストチトリウム属(Thraustochytrium)、トリコダーマ属(例えば、T.リーセイ(T. reesei)、T.ハルジアナム(T. harzianum)、T.ビリダエ(T. viridae))、ウスチラゴ属(Ustilago)(例えば、U.メイディス(U. maydis))、ウィッカーハミエラ属(Wickerhamiella)(例えば、W.ドメリキアエ(W. domericqiae))、ウィッカーハモミセス属(例えば、W.アノマルス(W. anomalus))、ウィリオプシス属(Williopsis)(例えば、W.ムラキィ(W. mrakii))、ジゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces)(例えば、Z.バイリィ(Z. bailii))等を含む。
【0089】
特定の具体的態様において、組成物は、1つもしくは複数の真菌および/または1つもしくは複数のその増殖副産物を含む。真菌は、例えば、プリュロタス属種真菌、例えば、P.オストレアタス(ヒラタケ(oyster mushroom))、レンチヌラ属種真菌、例えば、L.エドデス(シイタケ)、および/またはトリコダーマ属種真菌、例えば、T.ビリダエであり得る。真菌は、生細胞もしくは不活性細胞、菌糸体、胞子、および/または子実体の形態であり得る。子実体は、存在する場合、例えば、顆粒および/または粉末形態に切り刻まれ得、かつ/またはブレンドされ得る。
【0090】
特定の具体的態様において、組成物は、1つもしくは複数の酵母および/または1つもしくは複数のその増殖副産物を含む。酵母は、例えば、ウィッカーハモミセス・アノマルス、サッカロミセス属種(例えば、S.セレビシエおよび/もしくはS.ボウラルディ)、デバリオミセス・ハンセニィ、スターメレラ・ボンビコラ、メイエロジマ・ギリアーモンディ、ピキア・オシデンタリス、モナスカス・パープレウス、ならびに/またはアクレモニウム・クリソゲナムであり得る。酵母は、生細胞もしくは不活性細胞または胞子の形態、ならびに乾燥および/または休眠細胞の形態(例えば、酵母加水分解産物)であり得る。
【0091】
1つの例示的な態様において、組成物は、B.アミロリケファシエンス、例えば、B.アミィの株を含む。別の例示的な態様において、組成物は、P.オストレアタスおよびS.ボウラルディを含む。別の例示的な態様において、組成物は、D.ハンセニィを含む。さらに別の例示的な態様において、組成物は、B.アミィ、P.オストレアタス、S.ボウラルディ、もしくはD.ハンセニィ、および/またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0092】
1つの態様において、微生物ベースの組成物は、微生物増殖副産物を含む。微生物増殖副産物は、組成物の微生物により生産され得、かつ/またはそれらは別途生産され、組成物に添加され得る。
【0093】
1つの態様において、増殖副産物は、それが生産された培養培地から精製され得る。あるいは、1つの態様において、増殖副産物は、粗形態で使用され得る。粗形態は、例えば、残留細胞および/または栄養素を含む、関心対象の増殖副産物を生産する微生物の培養により生じる液体上清を含み得る。
【0094】
増殖副産物は、例えば、アミノ酸、ペプチド、ポリケチド、抗生物質、タンパク質、酵素、バイオサーファクタント、溶媒、ビタミン、および/または他の代謝産物を含む、代謝産物または細胞増殖の結果として生じる他の生化学物質を含み得る。
【0095】
前記組成物中に存在する微生物および/または増殖副産物は、家畜動物の消化器系においてメタン菌および/もしくはメタン生成経路を阻害するのに、メタン菌のバイオフィルムを破壊するのに、ならびに/またはH2蓄積を減少させるのに有用であり得る。さらに、好ましい態様において、組成物は、家畜動物の全般的健康を増進するのに有用であり得る。
【0096】
バシルス属の種
特定の態様において、組成物は、B.アミィおよび/またはその増殖副産物を含む。B.アミィは特に、消化管内でも、かついくつかの態様においては動物の排泄物中に排泄された後も生存状態を維持する胞子を生成するその能力から、伝統的なプロバイオティクス微生物よりも有利である。さらに、B.アミィは、家畜動物に与えられかつ/またはその排泄物に加えられた場合に、幅広い消化的および環境的利益を提供する特有の代謝産物の混合物を生成する。
【0097】
特定の態様において、以下の表1に例示されるように、増殖副産物は、家畜動物の消化器系においてメタン菌を直接阻害し得、メタン菌のバイオフィルムを破壊し得、かつ/またはH2濃度を減少させ得る。
【0098】
(表1)メタン生成およびH2を減少させるための例示的なB.アミィの増殖副産物
【0099】
1つの態様において、以下の表2に例示されるように、組成物は、B.アミィならびに/または様々な健康促進機能を発揮することにより家畜動物の全般的健康および生産性を増進し得る増殖副産物を含む。したがって、いくつかの態様において、B.アミィは、動物に与えられた場合にプロバイオティクスとして機能し得る。
【0100】
(表2)家畜の健康を増進するための例示的なB.アミィの増殖副産物
【0101】
いくつかの態様において、組成物は、他のバシルス属の種、例えば、B.リケニフォルミスおよび/またはB.サブチリスを含み得る。いくつかの態様において、B.リケニフォルミスは、メタン菌によるメタン生産を減少させ得、かつプロピオン酸および他の代謝産物、例えば、リポペプチドバイオサーファクタントの生産を通じてメタン生成細菌自体を阻害し得る。さらに、B.リケニフォルミスは、乳タンパク質の生産の増加を助けつつ、ウシこぶ胃液中のアンモニアの濃度の減少を助け得る。ブタにおいて、B.リケニフォルミスおよびB.サブチリスは、糞便中ラクトバシルス(Lactobacillus)数の増加、窒素の消化性の増加、ならびにアンモニアおよびメルカプタンの排出の減少を助け得る。
【0102】
プリュロタス・オストレアタス
特定の態様において、以下の表3に例示されるように、組成物は、P.オストレアタスおよび/またはその増殖副産物を含み、増殖副産物は、家畜動物の消化器系においてメタン菌を直接阻害し得、メタン菌のバイオフィルムを破壊し得、かつ/またはH2濃度を減少させ得る。
【0103】
(表3)メタン生成を減少させるための例示的なP.オストレアタスの増殖副産物
【0104】
特定の態様において、P.オストレアタスを含む組成物は、メタン生成の減少に起因するH2蓄積を減少させるためにH2アクセプターを補充されなければならない。例えば、いくつかの態様において、B.アミィ、サッカロミセス・ボウラルディおよび/またはデバリオミセス・ハンセニィが、消化器系にH2アクセプターを供給するために含まれ得る。
【0105】
1つの態様において、以下の表4に例示されるように、組成物はまた、様々な健康促進機能を発揮することにより家畜動物の全般的健康および生産性を増進し得るP.オストレアタス増殖副産物を含む。したがって、いくつかの態様において、P.オストレアタスは、動物に与えられた場合にプロバイオティクスとして機能し得る。
【0106】
(表4)家畜の健康を増進するための例示的なP.オストレアタスの増殖副産物
【0107】
サッカロミセス・ボウラルディ
特定の態様において、以下の表5に例示されるように、組成物は、S.ボウラルディおよび/またはその増殖副産物を含み、増殖副産物は、家畜動物の消化器系においてメタン菌を直接阻害し得、メタン菌のバイオフィルムを破壊し得、かつ/またはH2濃度を減少させ得る。
【0108】
(表5)メタン生成およびH2を減少させるための例示的なS.ボウラルディの増殖副産物
【0109】
1つの態様において、以下の表6に例示されるように、組成物はまた、様々な健康促進機能を発揮することにより家畜動物の全般的健康および生産性を増進し得るS.ボウラルディ増殖副産物を含む。したがって、いくつかの態様において、S.ボウラルディは、動物に与えられた場合にプロバイオティクスとして機能し得る。
【0110】
(表6)家畜の健康を増進するための例示的なS.ボウラルディの増殖副産物
【0111】
デバリオミセス・ハンセニィ
特定の態様において、以下の表7に例示されるように、組成物は、D.ハンセニィおよび/またはその増殖副産物を含み、増殖副産物は、家畜動物の消化器系においてメタン菌を直接阻害し得、メタン菌のバイオフィルムを破壊し得、かつ/またはH2濃度を減少させ得る。
【0112】
(表7)メタン生成およびH2を減少させるための例示的なD.ハンセニィの増殖副産物
【0113】
1つの態様において、以下の表8に例示されるように、組成物はまた、様々な健康促進機能を発揮することにより家畜動物の全般的健康および生産性を増進し得るD.ハンセニィ増殖副産物を含む。したがって、いくつかの態様において、D.ハンセニィは、動物に与えられた場合にプロバイオティクスとして機能し得る。
【0114】
(表8)家畜の健康を増進するための例示的なD.ハンセニィの増殖副産物
【0115】
他の微生物
特定の態様において、組成物は、メタン生成を減少させるのにおよび/または家畜の健康を増進するのに有用な1つまたは複数の他の微生物および/またはそれらの増殖副産物を含み得る。
【0116】
1つの態様において、組成物は、ロバスタチンを生成することなくHMG-CoAレダクターゼ活性を阻害し得る生きたレンチヌラ・エドデスを含む。
【0117】
1つの態様において、組成物は、トリコダーマ・ビリダエおよび/またはアクレモニウム・クリソゲナムを含み、これらもまた、HMG-CoAレダクターゼ阻害物質として作用する能力を有するロバスタチンと類似するスタチンを生産する。
【0118】
1つの態様において、組成物は、モナスカス・パープレウスの発酵米製品である赤色酵母米または麹を含む。赤色酵母米は、ロバスタチンと類似の構造を有し、HMG-CoAレダクターゼ活性を阻害する能力を有するモナコリンKを含む。
【0119】
1つの態様において、組成物は、反芻動物の消化器系内での酢酸生成細菌による酢酸生成および水素利用を加速させ得、それによってメタン生成を減少させ得、かつ/またはメタン生成細菌を追い出し得るウィッカーハモミセス・アノマルス酵母を含む。有利に、これは、その動物の消化的健康に負の影響を与えることなく、メタン生成微生物がメタンを生成するプロセスを実施するための水素利用度を減らす。
【0120】
さらに、ウィッカーハモミセス・アノマルスは、飼料からのリンの改善された消化およびバイオアベイラビリティに有用な酵素であるフィターゼ、ならびに病原性微生物を制御するのに有用なキラー毒素(例えば、エクソ-β-1,3-グルカナーゼ)を生産する。
【0121】
さらに、ウィッカーハモミセス・アノマルスは、家畜動物の成長および健康を支える助けとなり、例えばアンモニアの形態でそれらの排泄物中に排泄される窒素の量を減少させる飼料中のタンパク質源のより完全な変換を可能にするアミノ酸であるバリンを生産する。
【0122】
追加成分
特定の態様において、組成物は、微生物ベースの組成物において使用される胞子形成微生物の発芽を増進する発芽増進物質を含む。特定の態様において、発芽増進物質は、アミノ酸、例えば、L-アラニンおよび/またはL-ロイシンである。1つの態様において、発芽増進物質は、マンガンである。
【0123】
1つの態様において、組成物は、1つまたは複数の脂肪酸を含む。脂肪酸は、組成物の微生物により生産され得、かつ/または別途生産され追加成分として含められ得る。特定の好ましい態様において、脂肪酸は、14~20個の炭素の炭素骨格を有する飽和長鎖脂肪酸、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、またはステアリン酸である。いくつかの態様において、2つまたはそれ以上の飽和長鎖脂肪酸の組み合わせが組成物に含まれる。いくつかの態様において、飽和長鎖脂肪酸は、メタン生成を阻害し得、かつ/またはメタン菌の細胞膜透過性を増加させ得る。
【0124】
いくつかの態様において、組成物は、家畜動物の消化器系においてメタンを減少させることが公知の追加成分、例えば、海藻(例えば、アスパラゴプシス・タキシフォルミスおよび/もしくはアスパラゴプシス・アルマタ);昆布;ニトロオキシプロパノール(例えば、3-ニトロオキシプロパノールおよび/もしくはエチル-3-ニトロオキシプロパノール);アントラキノン;イオノフォア(例えば、モネンシンおよび/もしくはラサロシド);ポリフェノール(例えば、サポニン、タンニン);ユッカ・シジゲラエキス(ステロイド系サポニン生産植物種);キラジャ・サポナリアエキス(トリテルペノイド系サポニン生産植物種);有機硫黄(例えば、ニンニクエキス);フラボノイド(例えば、ケルセチン、ルチン、ケンペロール、ナリンギン、およびアントシアニジン;グリーンシトラス果実、ローズヒップ、およびブラックカラントから単離されるバイオフラボノイド);カルボン酸;ならびに/またはテルペン(例えば、d-リモネン、ピネン、および柑橘類エキス)を含み得る。
【0125】
特定の例示的な態様において、組成物は、微生物、例えばB.アミィ、および式HOCH2CH2CH2ONO2を有する有機化合物である3-ニトロオキシプロパノール(3NOP)を含む。3NOPは、メタン生成に関与する1つまたは複数の酵素、例えば、メチルコエンザイムMレダクターゼ(Mcr)を抑制するのに効果的である。
【0126】
Mcrは、メチル基キャリアとして機能する必須の補因子としてのCoM(2-メルカプトエタンスルホン酸)と共に、すべてのメタン生成経路の最終工程を媒介する。Mcrは、メチル-CoMをメタンに還元する。3NOPは、Mcr活性部位に競合的に結合し得、その後、Mcr活性に必要とされるNi1+を酸化し得る(Patra et al. 2017)。
【0127】
いくつかの態様において、本組成物への3NOPの含有は、Mcrの不活性化または阻害、したがって家畜からのメタン排出の減少をもたらし得る。
【0128】
1つの態様において、本組成物は、家畜動物の栄養要求を補うためならびに家畜動物の健康および/または幸福を促進するための1つまたは複数の追加物質および/または栄養素、例えば、アミノ酸(必須アミノ酸を含む)、ペプチド、タンパク質、ビタミン、微量元素、脂肪、脂肪酸、脂質、炭水化物、ステロール、酵素、ならびにミネラル、例えばカルシウム、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩素、硫黄、クロム、コバルト、銅、ヨウ素、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、セレン、および亜鉛の供給源を含み得る。いくつかの態様において、組成物の微生物が、これらの物質を生産および/または提供する。
【0129】
1つの態様において、組成物は、1つまたは複数のバイオサーファクタントを含み得る。バイオサーファクタントは、微生物により生産される構造的に多様な界面活性物質のグループであり、これらは生分解性であり、再生可能な基材上で選択された生物を用いて効率的に生産され得る。すべてのバイオサーファクタントは、両親媒性物質である。それらは、極性(親水性)部分と非極性(疎水性)基という2つの部分からなる。バイオサーファクタント分子の共通の親油性部分は、脂肪酸の炭化水素鎖であり、その親水性部分は、中性脂質のエステルもしくはアルコール基により、脂肪酸もしくはアミノ酸(もしくはペプチド)、フラボ脂質の場合は有機酸のカルボキシレート基により、または糖脂質の場合は炭水化物により、形成される。
【0130】
それらの両親媒性構造のために、バイオサーファクタントは、疎水性水不溶性物質の表面積を増加させ、そのような物質の水バイオアベイラビリティを増加させ、細菌細胞表面の特性を変化させる。バイオサーファクタントは、界面に蓄積し、それによって界面張力を減少させ、溶液中で凝集ミセル構造物を形成させる。安全で効果的な微生物バイオサーファクタントは、液体、固体および気体の分子間の表面および界面張力を減少させる。孔を形成し生体膜を不安定化させるバイオサーファクタントの能力が、抗細菌、抗真菌、および溶血剤としてのそれらの利用を可能にする。
【0131】
本発明にしたがうバイオサーファクタントは、例えば、糖脂質、リポペプチド、フラボペプチド、リン脂質、脂肪酸エステル、および高分子量ポリマー、例えばリポタンパク質、リポ多糖・タンパク質複合体、ならびに多糖・タンパク質・脂肪酸複合体を含み得る。
【0132】
1つの態様において、バイオサーファクタントは、糖脂質である。糖脂質は、例えば、ソホロ脂質、ラムノ脂質、セロビオース脂質、マンノシルエリスリトール脂質およびトレハロース脂質を含み得る。1つの態様において、バイオサーファクタントは、リポペプチドである。リポペプチドは、例えば、サーファクチン、イツリン、アルスロファクチン、ビスコシン、フェンギシン、およびリケニシンを含み得る。特定の態様において、バイオサーファクタントの混合物が使用される。
【0133】
1つの態様において、バイオサーファクタントは、それが生産された発酵培地から精製される。あるいは、1つの態様において、バイオサーファクタントは、バイオサーファクタント生産微生物の培養により生じる発酵ブロスを含む粗形態で利用される。この粗形態バイオサーファクタント溶液は、残留細胞および/または栄養素と共に、約0.001%~99%、約25%~約75%、約30%~約70%、約35%~約65%、約40%~約60%、約45%~約55%、または約50%の純粋なバイオサーファクタントを含み得る。
【0134】
1つの態様において、組成物は、1~10 ml/Lこぶ胃液、または2~6 ml/Lのサポニンを含む。サポニンは、多くの植物において見出され、微生物バイオサーファクタントと類似の特徴、例えば、自己集合および生体膜との相互作用を示す天然サーファクタントである。サポニンには、トリテルペノイド系サポニン、ステロイド系サポニン、およびステロイド系糖アルカロイドという3つの基本カテゴリーがある。
【0135】
いくつかの周知のトリテルペノイド系サポニン蓄積植物科は、レグミノサエ科(Leguminosae)、アマランタセアエ科(Amaranthaceae)、アピアセアエ科(Apiaceae)、カリオフィラセアエ科(Caryophyllaceae)、アクイフォリアセアエ科(Aquifoliaceae)、アラリアセアエ科(Araliaceae)、ククルビタセアエ科(Cucurbitaceae)、バーベリダセアエ科(Berberidaceae)、シェノポディアセアエ科(Chenopodiaceae)、ミルシナセアエ科(Myrsinaceae)、およびジゴフィラセアエ科(Zygophyllaceae)を含むが、他にも多数存在する。キラジャおよびマメ科植物、例えば大豆、インゲン豆およびエンドウ豆は、トリテルペノイド系サポニンの豊かな供給源である。ステロイド系サポニンは典型的に、アガバセアエ科(Agavaceae)、アリアセアエ科(Alliaceae)、アスパラガセアエ科(Asparagaceae)、ディオスコレアセアエ科(Dioscoreaceae)、リリアセアエ科(Liliaceae)、アマリリダセアエ科(Amaryllidaceae)、ブロメリアセアエ科(Bromeliaceae)、パルマエ科(Palmae)、およびスクロフラリアセアエ科(Scrophulariaceae)のメンバーにおいて見出され、ヤムイモ、ネギ、アスパラガス、フェヌグリーク、ユッカ、および朝鮮人参等の農作物に豊富に蓄積する。ステロイド系糖アルカロイドは一般に、トマト、ジャガイモ、ナス、およびトウガラシを含むソラナセアエ科(Solanaceae)のメンバーにおいて見出される。
【0136】
特定の態様において、サポニン含有植物エキスは、こぶ胃のpHを変化させることおよび/または原生動物・メタン菌共生を減少させることによりメタン生成を減少させ得る。
【0137】
1つの態様において、組成物はさらに、水を含み得る。例えば、微生物および/または増殖副産物は、水と混合され得、そして家畜動物に投与され得る。別の態様において、組成物は、例えば、飼料添加物および/またはサプリメントとして、家畜動物の飲料水と混合され得る。飲料水組成物は、例えば、1 g/L~約50 g/L、約2 g/L~約20 g/L、または約5 g/L~約10 g/Lの微生物ベースの組成物を含み得る。
【0138】
有利に、組成物は、家畜動物において水分補給を増進し、熱ストレスの発生および/または重症度を減少させ得る。
【0139】
前記組成物は、家畜動物の消化器系への腸送達および/または非経口送達用に配合され得る。例えば、組成物は、食物、水、および/もしくは内視鏡を通じた経口投与用;ならびに/または消化器系の1つもしくは複数の部位(例えば、こぶ胃、腹部、および/もしくは腸)への直接注射を通じた、内視鏡を通じた、浣腸を通じた、糞便移植を通じた、および/もしくは座薬を通じた投与用に配合され得る。
【0140】
特定の態様において、組成物はさらに、家畜動物の消化器系への、好ましくはこぶ胃への組成物の送達に適した1つまたは複数の担体および/または賦形剤を含み得、例えば、固体、半固体、液体または気体形態の調製物、例えば、タブレット、カプセル、圧縮ペレット、粉末、顆粒、軟膏、ジェル、ローション、溶液、座薬、ドロップ、パッチ、注射物、吸入物およびエアゾール物となるよう配合され得る。
【0141】
本発明にしたがう担体および/または賦形剤は、任意かつすべての溶媒、希釈剤、緩衝剤(例えば、中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、または任意でTris-HCl、酢酸またはリン酸緩衝剤)、水中油または油中水エマルジョン、例えばIV用途に適した有機共溶媒を含むまたは含まない水性組成物、可溶化剤(例えば、Tween 80、ポリソルベート80)、コロイド、分散媒、ビヒクル、フィラー、キレート剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン)、アミノ酸(例えば、グリシン)、タンパク質、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、湿潤剤、乳化剤、甘未剤、着色剤、香味剤、芳香剤、増粘剤、コーティング剤、保存剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール)、抗酸化物質(例えば、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム)、張度制御剤、吸収遅延剤、アジュバント、バルク剤(例えば、ラクトース、マンニトール)等を含み得る。薬物およびサプリメントの分野における担体および/または賦形剤の使用は、周知である。従来的な媒体または剤が本組成物の成分と適合しない場合を除いて、本組成物におけるその使用が想定され得る。
【0142】
1つの例示的な態様において、微生物ベースの組成物は、例えば注射および/または内視鏡を通じた、消化器系またはその一部への直接投与用に、例えば溶液または懸濁物として、配合され得る。この溶液または懸濁物は、適切な、非毒性の、腸に許容される希釈剤または溶媒、例えば、マンニトール、1,3-ブタンジオール、水、リンガー溶液もしくは等張性塩化ナトリウム溶液、または適切な分散もしくは湿潤および懸濁剤、例えば、合成性モノもしくはジグリセリドおよびオレイン酸を含む脂肪酸を含む滅菌性、無刺激性の固定油を含み得る。好ましくは、水または生理食塩水溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液が、特に腸に注射可能な溶液において、担体として用いられ得る。
【0143】
1つの例示的な態様において、微生物ベースの組成物は、既製品の含水または乾燥飼料として経口投与用に配合され得、この既製食品は、動物が直ちに消費できるよう調理および/または加工済である。例えば、微生物および/または増殖副産物は、既製食品に注入され得および/もしくは既製食品と混合され得る、または微生物および/もしくは増殖副産物は、乾燥動物用食品のピース、例えばモーセル(morsel)、キブル(kibble)、もしくはペレットの外側のコーティングとして機能し得る。
【0144】
1つの態様において、組成物はさらに、動物用飼料を構成する原材料を含み得、これらの原材料は、その後、微生物および/または増殖副産物と共に、強化された乾燥または含水飼料製品となるよう調理および/または加工される。原材料は、例えば、穀粒、芝、粗飼料、まぐさ、干し草、わら、種子、堅果、作物残渣、野菜、果物、乾燥植物物質、ならびに他の香味料、添加物、および/または栄養源を含み得る。1つの態様において、組成物は、重量で約0.1%~約50%、約1%~約25%、または約5%~約15%の濃度で食品原材料に添加される。
【0145】
微生物ベースの組成物は、例えば、重量で約0.1%~99%、約1%~約75%、または約5%~約50%の濃度で含水もしくは乾燥(day)飼料および/または飼料原材料に添加され得る。
【0146】
本明細書で使用される場合、「乾燥食品」は、典型的には約5%~約15%または20% w/vの範囲の、限定的な含水量を含む食品を表す。典型的に、乾燥加工食品は、小~中サイズの個別のピース、例えば、モーセル、キブル、トリート、ビスケット、ナッツ、ケーキまたはペレットの形態で提供される。
【0147】
栄養補助乾燥食品ピースは、1ピースあたり一貫した濃度の微生物ベースの組成物を含み得る。別の態様において、組成物は、乾燥食品のピースの表面コーティングとして用いられ得る。加圧製粉、押し出しおよび/またはペレット成形を含む、乾燥加工食品を製造するための当技術分野で公知の方法が使用され得る。
【0148】
例示的な態様において、乾燥食品は、例えば、非常に短時間の原材料の調理、成形ならびに特定形状およびサイズへの切断を含む、混錬押し出しにより調製され得る。材料は均質な引き延ばし可能な生地に混合され得、押し出し機で調理され得、加圧および高温下で金型を通され得る。調理後、ペレットは冷却され、その後に任意でコーティングを噴霧される。このコーティングは、例えば、液体もしくは粉末化加水分解形態の動物組織、例えば、例えばニワトリもしくはウサギ由来の肝臓もしくは腸を含む、液体脂もしくは消化物、および/または栄養豊富な油を含み得る。他の態様において、ペレットは、ペレットを真空下に置き、コーティング剤にさらし、その後の真空の解放によりコーティング剤をペレット内に誘導する真空エンロービング(vacuum enrobing)技術を用いてコーティングされる。その後、全体含水量を10%またはそれ未満に減少させるために熱風乾燥が用いられ得る。
【0149】
1つの態様において、乾燥食品は、「低温」ペレット化プロセス、または加熱もしくは蒸気を使用しないプロセスを用いて製造される。このプロセスは、例えば、本発明の組成物中の重要な成分および/または栄養素を変性または分解する恐れなくこれらの成分をひとまとめに保持する粘性および接着性を有する液体結合剤を使用し得る。
【0150】
1つの態様において、組成物は、動物用飼い葉、または切り刻まれ乾燥された植物物質、例えば、干し草、わら、サイレージ、発芽穀粒、マメ科植物および/または穀粒に適用され得る。
【0151】
1つの態様において、組成物は、噴霧乾燥バイオマス製品として調製され得る。バイオマスは、公知の方法、例えば、遠心分離、ろ過、分離、デカント、分離およびデカントの組み合わせ、限外ろ過または精密ろ過により分離され得る。
【0152】
1つの態様において、組成物は、例えば、最大50%のタンパク質、ならびに多糖、ビタミン、およびミネラルを含む、高栄養含量を有する。結果として、組成物は、完全動物用飼料組成物のすべての一部として使用され得る。1つの態様において、飼料組成物は、飼料の15%~飼料の99%の範囲の本発明の組成物を含む。
【0153】
1つの態様において、本組成物は、動物の食事を補うならびに/または動物の健康および/もしくは幸福を促進する追加の栄養素、例えば、アミノ酸(必須アミノ酸を含む)、ペプチド、タンパク質、ビタミン、微量元素、脂肪、脂肪酸、脂質、炭水化物、ステロール、酵素、プレバイオティクス、およびミネラルを含み得る。いくつかの態様において、組成物の微生物が、これらの物質を生産および/または提供する。
【0154】
好ましい組成物は、ビタミンおよび/またはミネラルを任意の組み合わせで含む。本発明の組成物において使用されるビタミンは、例えば、ビタミンA、E、K3、D3、B1、B3、B6、B12、C、ビオチン、葉酸、パントテン酸、ニコチン酸、塩化コリン、イノシトール、およびパラアミノ安息香酸を含み得る。ミネラルは、例えば、カルシウム、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、コリン、硫黄、クロム、コバルト、銅、ヨウ素、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、セレン、および亜鉛を含み得る。他の成分は、抗酸化物質、ベータ-グルカン、胆汁酸塩、コレステロール、酵素、カロテノイド、およびその他多数を含み得るがこれらに限定されない。典型的なビタミンおよびミネラルは、例えば、毎日の摂取が推奨されている、推奨一日量(RDA)のものであるが、正確な量は変更され得る。組成物は、好ましくは、RDAビタミン、ミネラルおよび微量元素の組み合わせ、ならびにRDAが確立されていないが、健康的な哺乳動物の生理において有益な役割を果たす栄養素を含み得る。
【0155】
微生物および/または微生物増殖副産物の生産
本発明は、微生物の培養ならびに微生物代謝産物および/またはその他の微生物増殖の副産物の生産のための方法を利用する。本発明はさらに、所望の規模での微生物の培養および微生物代謝産物の生産に適した培養プロセスを利用する。これらの培養プロセスは、深部培養/発酵、固相発酵(SSF)、ならびにそれらの改良型、ハイブリッド型および/または組み合わせを含むがこれらに限定されない。
【0156】
本明細書で使用される場合、「発酵」は、制御された条件下での細胞の培養または増殖を表す。増殖は、好気的または嫌気的であり得る。好ましい態様において、微生物は、SSFおよび/またはその改良型を用いて生育される。
【0157】
1つの態様において、本発明は、バイオマス(例えば、生きた細胞物)、細胞外代謝産物、残留栄養素および/または細胞内成分の生産のための材料および方法を提供する。
【0158】
本発明にしたがい使用される微生物増殖ベッセルは、産業用途の任意の発酵器または培養リアクタであり得る。1つの態様において、ベッセルは、培養プロセスにおける重要な因子、例えば、pH、酸素、圧、温度、湿度、微生物密度および/または代謝産物濃度を測定するために、機能制御/センサを有し得るまたは機能制御/センサに接続され得る。
【0159】
さらなる態様において、ベッセルはまた、ベッセル内での微生物の増殖の監視(例えば、細胞数および増殖相の測定)が可能なものであり得る。あるいは、ベッセルから日毎のサンプルが採取され得、当技術分野で公知の技術、例えば、希釈プレーティング技術による計数に供され得る。
【0160】
1つの態様において、方法は、培養物に窒素源を補充する工程を含む。窒素源は、例えば、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アンモニア、尿素、および/または塩化アンモニウムであり得る。これらの窒素源は、個別にまたは2つもしくはそれ以上の組み合わせで使用され得る。
【0161】
前記方法は、増殖培養物の酸素化を提供し得る。1つの態様は、低酸素含有空気を除去し、酸素化空気を導入するゆるやかな空気の動きを利用する。深部発酵の場合、酸素化空気は、液体の機械的攪拌のためのインペラおよび液体への酸素の溶解のために液体に気体の泡を供給するためのエアスパージャーを含む機構を通じて毎日補充される大気であり得る。
【0162】
前記方法はさらに、培養物に炭素源を補充する工程を含み得る。炭素源は典型的に、炭水化物、例えば、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、トレハロース、マンノース、マンニトール、および/またはマルトース;有機酸、例えば、酢酸、フマル酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、マロン酸、および/またはピルビン酸;アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソブタノール、および/またはグリセロール;脂肪および油、例えば、大豆油、菜種油、米油、オリーブ油、トウモロコシ油、胡麻油、および/または亜麻仁油等である。これらの炭素源は、個別にまたは2つもしくはそれ以上の組み合わせで使用され得る。
【0163】
1つの態様において、微生物のための増殖因子および微量栄養素が、培地中に含まれる。これは特に、それらが必要とするビタミンのすべてを生産することができない微生物を増殖させる場合に好ましい。微量元素、例えば、鉄、亜鉛、銅、マンガン、モリブデンおよび/またはコバルトを含む無機栄養素もまた、培地中に含まれ得る。さらに、ビタミン、必須アミノ酸、および微量元素の供給源が、例えば、細粉もしくは粗挽き粉、例えばトウモロコシ粉の形態で、またはエキス、例えば酵母エキス、ジャガイモエキス、肉エキス、大豆エキス、バナナ皮エキス等の形態で、または純粋な形態で、含まれ得る。アミノ酸、例えば、タンパク質の生合成に有用なもの、も含まれ得る。
【0164】
1つの態様において、無機塩もまた含まれ得る。使用可能な無機塩は、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸マンガン、塩化マンガン、硫酸亜鉛、塩化鉛、硫酸銅、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、および/または炭酸ナトリウムであり得る。これらの無機塩は、個別にまたは2つもしくはそれ以上の組み合わせで使用され得る。
【0165】
1つの態様において、微生物の増殖速度を向上させる物質を意味する、1つまたは複数のバイオスティムラントも含まれ得る。バイオスティムラントは、種特異的であり得る、または様々な種の増殖速度を向上させ得る。
【0166】
いくつかの態様において、培養方法はさらに、培養プロセスの前におよび/または培養プロセス中に、抗菌物質を培地に添加する工程を含み得る。
【0167】
特定の態様において、抗生物質が、その抗生物質に耐性のある微生物を生成するために低濃度で培養物に添加され得る。抗生物質への暴露を生き延びた微生物が選択され、徐々に高くなる濃度の抗生物質の存在下で繰り返し再培養され、その抗生物質に耐性のある培養物が得られる。これは、微生物学分野で公知の方法を用いて研究設定でまたは産業規模で行われ得る。特定の態様において、培養物中の抗生物質の量は、例えば、0.0001 ppmから開始され、培養物中の濃度が典型的に家畜動物に適用される用量に等しくなるまたはほぼ等しくなるまで、1回の反復あたり約0.001~0.1 ppm増加される。
【0168】
特定の態様において、抗生物質は、動物において成長を促進するのを、ならびに病気および感染症を処置および予防するのを助けるために家畜の飼料でしばしば使用されるもの、例えば、プロカイン、ペニシリン、テトラサイクリン(例えば、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン)、チロシン、バシトラシン、硫酸ネオマイシン、ストレプトマイシン、エリスロマイシン、モネンシン、ロキサルソン、サリノマイシン、チロシン、リンコマイシン、カルバドックス、ライドロマイシン、ラサロシド、オレアンドマイシン、バージナマイシン(virginamycin)、およびバンベルマイシンである。特定の家畜用抗生物質に耐性のある有益な微生物を生産する上で、微生物は、状態を処置または予防するためにどの抗生物質が動物に投与され得るかに基づき選択され得る。あるいは、抗生物質は、どの有益な微生物が本発明にしたがいその有益な微生物を害さないよう動物に投与されるかに基づき、家畜動物のために選択され得る。
【0169】
混合物のpHは、関心対象の微生物に適したものであるべきである。緩衝剤、およびpH調節剤、例えば炭酸塩およびリン酸塩は、pHを好ましい値付近で安定化させるために使用され得る。金属イオンが高濃度で存在する場合、培地中でのキレート剤の使用が必要となり得る。
【0170】
微生物は、浮遊形態でまたはバイオフィルムとして生育され得る。バイオフィルムの場合、ベッセルは、微生物をバイオフィルム状態で生育することができる基材をその中に有し得る。このシステムはまた、例えば、バイオフィルムの成長特性を助長および/または改善する刺激(例えば、せん断応力)を適用する能力を有し得る。
【0171】
1つの態様において、微生物の培養方法は、約5°~約100℃、好ましくは15~60℃、より好ましくは25~50℃で行われる。さらなる態様において、培養は、一定温度で継続的に行われ得る。別の態様において、培養は、変化する温度に供され得る。
【0172】
1つの態様において、方法および培養プロセスに使用される機器は、滅菌される。培養機器、例えば、リアクタ/ベッセルは、滅菌ユニット、例えば、オートクレーブから独立したものであり得るが、それに接続され得る。培養機器はまた、植菌を開始する前にインサイチューで滅菌する滅菌ユニットを有し得る。空気は、当技術分野で公知の方法により滅菌され得る。例えば、大気は、ベッセルに導入される前に少なくとも1つのフィルターを通され得る。他の態様において、培地は、低温殺菌され得るまたは、任意で、加熱が全くなされず、望ましくない細菌の増殖を制御するために低水分活性および低pHの使用が利用され得る。
【0173】
1つの態様において、本発明はさらに、本発明の微生物株を、増殖および代謝産物の生産に適した条件下で培養する工程、ならびに任意で、その代謝産物を精製する工程を含む、微生物代謝産物、例えば、バイオサーファクタント、酵素、タンパク質、エタノール、乳酸、ベータ-グルカン、ペプチド、代謝中間体、多価不飽和脂肪酸、および脂質を生産するための方法を提供する。方法により生産される代謝産物量は、例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%であり得る。
【0174】
発酵培地のバイオマス量は、例えば、5 g/l~180 g/lもしくはそれ以上、または10 g/l~150 g/lであり得る。細胞濃度は、例えば、最終生産物1グラムあたり少なくとも1×109、1×1010、1×1011、1×1012 または1×1013細胞であり得る。
【0175】
関心対象の微生物により生産される微生物増殖副産物は、微生物内に保持され得るまたは増殖培地中に分泌され得る。培地は、微生物増殖副産物の活性を安定化させる化合物を含み得る。
【0176】
微生物の培養および微生物副産物の生産のための方法および機器は、バッチ、準連続プロセス、または連続プロセスで実施され得る。
【0177】
1つの態様において、微生物培養組成物のすべてが、培養の完了後(例えば、所望の細胞密度、または特定の代謝産物の密度の達成後)に取り除かれる。このバッチ手順においては、最初のバッチの収集後に全く新しいバッチが開始される。
【0178】
別の態様において、任意の1つの時点で発酵産物の一部のみが取り出される。この態様において、生きた細胞、胞子、分生子、菌糸および/または菌糸体を含むバイオマスが、新たな培養バッチのための種菌としてベッセル内に残される。取り出される組成物は、無細胞培地であり得るまたは細胞、胞子、もしくは他の生殖性の繁殖体、および/もしくはそれらの組み合わせを含み得る。このようにして、準連続システムが構築される。
【0179】
有利に、前記方法は、複雑な機器または高いエネルギー消費を必要としない。関心対象の微生物は、現場にて小規模または大規模で培養され得、それらの培地と混合されたままの状態であっても利用され得る。
【0180】
微生物ベースの生産物の調製
「微生物ベースの生産物」は、所望の結果を達成するための行為で適用される生産物である。微生物ベースの生産物は、単に、微生物培養プロセスから収集された微生物ベースの組成物であり得る。あるいは、微生物ベースの生産物は、添加されたさらなる成分を含み得る。これらの追加成分は、例えば、安定化剤、緩衝剤、担体(例えば、水もしくは塩溶液)、さらなる微生物増殖を支援するために添加された栄養素、非栄養性増殖増進剤ならびに/またはそれが適用される環境において微生物および/もしくは組成物のトラッキングを容易にする剤を含み得る。微生物ベースの生産物はまた、微生物ベースの組成物の混合物を含み得る。微生物ベースの生産物はまた、何らかの方法、例えば、非限定的に、ろ過、遠心分離、溶解、乾燥、精製等で処理された微生物ベースの組成物の1つまたは複数の成分を含み得る。
【0181】
本発明の1つの微生物ベースの生産物は、単に、微生物および/もしくは微生物により生産される微生物代謝産物ならびに/または任意の残留栄養素を含む発酵培地である。発酵の生産物は、抽出または精製を行わずに直接使用され得る。所望の場合、抽出および精製は、標準的な抽出および/もしくは精製法または文献に記載される技術を用いて容易に達成され得る。
【0182】
微生物ベースの生産物中の微生物は、活性または不活性形態であり得る。さらに、微生物は、組成物から除去され得、残りの培養物が利用され得る。微生物ベースの生産物は、さらなる安定化、保存、および保管なしに使用され得る。有利に、これらの微生物ベースの生産物の直接使用は、微生物の高い生存性を保存し、外来物質および望ましくない微生物の混入の可能性を減少させ、微生物増殖の活性を維持する。
【0183】
微生物および/または微生物の増殖により得られる培地(例えば、ブロスもしくは固相基材)は、増殖ベッセルから取り出され得、例えば、即時使用のために導管を通じて移され得る。
【0184】
1つの態様において、微生物ベースの生産物は、単に、微生物の増殖副産物である。例えば、微生物により生産されるバイオサーファクタントが、例えば液体ブロス中に約50%の純粋なバイオサーファクタントを含む粗形態で、深部発酵ベッセルから収集され得る。
【0185】
他の態様において、微生物ベースの生産物(微生物、培地または微生物および培地)は、例えば、意図されている用途、想定されている適用方法、発酵ベッセルのサイズ、および微生物増殖施設から使用場所への任意の様式の輸送を考慮して、適切なサイズの容器に入れられ得る。したがって、微生物ベースの生産物を入れる容器は、例えば、1ガロン~1,000ガロンまたはそれ以上であり得る。他の態様において、容器は、2ガロン、5ガロン、25ガロン、またはそれ以上である。
【0186】
例えば増殖ベッセルから酵母発酵生産物を収集した後、収集された生産物を容器に入れるおよび/または導管で送る(もしくはそれ以外の手段で使用のために輸送する)際にさらなる成分が添加され得る。添加物は、例えば、緩衝剤、担体、同じまたは異なる施設で生産された他の微生物ベースの組成物、粘度調整剤、保存剤、微生物増殖のための栄養素、トラッキング剤、溶媒、殺生物剤、意図されている用途に固有の他の微生物および他の成分であり得る。
【0187】
本発明にしたがう配合物に含まれ得る他の適切な添加物は、そのような調製物において習慣的に使用されている物質を含む。そのような添加物の例は、サーファクタント、乳化剤、滑沢剤、緩衝剤、溶解度制御剤、pH調節剤、保存剤、安定化剤および耐紫外線剤を含む。
【0188】
1つの態様において、生産物はさらに、有機酸およびアミノ酸またはそれらの塩を含む緩衝剤を含み得る。適切な緩衝剤は、クエン酸塩、グルコン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、アスパラギン酸塩、マロン酸塩、グルコヘプトン酸塩、ピルビン酸塩、ガラクタル酸塩、グルカル酸塩、タルトロン酸塩、グルタミン酸塩、グリシン、リジン、グルタミン、メチオニン、システイン、アルギニンおよびそれらの混合物を含む。リン酸および亜リン酸またはそれらの塩も使用され得る。合成性緩衝剤も使用に適しているが、天然の緩衝剤、例えば上で列挙された有機酸およびアミノ酸またはそれらの塩を使用するのが好ましい。
【0189】
さらなる態様において、pH調節剤は、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸もしくは炭酸水素カリウム、塩酸、硝酸、硫酸または混合物を含む。
【0190】
1つの態様において、追加成分、例えば塩の水性調製物、例えば炭酸水素もしくは炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、またはリン酸二水素ナトリウムが、配合物中に含まれ得る。
【0191】
有利に、本発明にしたがい、微生物ベースの生産物は、微生物を増殖させたブロスを含み得る。生産物は、例えば、少なくとも、重量で1%、5%、10%、25%、50%、75%、または100%がブロスであり得る。生産物中のバイオマスの量は、重量で、例えば、その間のすべての割合を含む、0%~100%のいずれかであり得る。
【0192】
任意で、生産物は、使用前に保管され得る。保管時間は、好ましくは短い。したがって、保管時間は、60日、45日、30日、20日、15日、10日、7日、5日、3日、2日、1日、または12時間未満であり得る。好ましい態様において、生産物中に生きた細胞が存在する場合、生産物は、低温、例えば、20℃、15℃、10℃、または5℃未満で保管される。他方、バイオサーファクタント組成物は、典型的に、大気温度で保管され得る。
【0193】
微生物ベースの生産物の現地生産
本発明の特定の態様において、微生物増殖施設は、関心対象の新鮮な、高密度の微生物および/または微生物増殖副産物を所望の規模で生産する。微生物増殖施設は、適用場所またはその付近に設置され得る。施設は、高密度の微生物ベースの組成物を、バッチ、準連続、または連続培養で生産する。
【0194】
本発明の微生物増殖施設は、微生物ベースの生産物を使用するであろう場所(例えば、ウシ自由放牧地)に設置され得る。例えば、微生物増殖施設は、使用場所から300、250、200、150、100、75、50、25、15、10、5、3、または1マイル未満であり得る。
【0195】
微生物ベースの生産物は、従来的な微生物生産の微生物安定化、保護、保管および輸送プロセスによらずに現地で生成され得るので、非常に高密度の微生物を生成することができ、それによって現地での適用に使用するためにより小さな体積の微生物ベースの生産物しか必要とせず、またはそれは所望の効果を達成するために必要な場合、非常に高密度の微生物の適用を可能にする。これは、システムを効率的にし、細胞を安定化させるまたはそれらをそれらの培養培地から分離する必要性を排除し得る、小型化されたバイオリアクタ(例えば、より小さな発酵ベッセル、およびより少ない開始物質、栄養素、pH制御剤の供給)を可能にする。微生物ベースの生産物の現地生成はまた、製品への増殖培地の含有を容易にする。培地は、現地使用に特に適する、発酵中に生産された物質を含み得る。
【0196】
現地生産された高密度、堅牢な微生物培養物は、しばらくの間サプライチェーンにとどまったものよりも実地で効果的である。本発明の微生物ベースの生産物は、発酵増殖培地中に存在する代謝産物および栄養素から細胞が分離された従来の生産物と比較して特に有利である。輸送時間の減少は、微生物および/またはそれらの代謝産物の新鮮なバッチを現地の要求により必要とされる時間および体積で生産および送達することを可能にする。
【0197】
本発明の微生物増殖施設は、微生物自体、微生物の代謝産物、および/または微生物を増殖させる培地の他の成分を含む、新鮮な微生物ベースの組成物を生産する。所望の場合、組成物は、高密度の栄養細胞もしくは繁殖体、または栄養細胞および繁殖体の混合物を有し得る。
【0198】
1つの態様において、微生物増殖施設は、微生物ベースの生産物が使用されるであろう場所(例えば、家畜生産施設)に、またはその付近に、好ましくは300マイル以内に、より好ましくは200マイル以内に、さらにより好ましくは100マイル以内に、設置される。有利に、これは、組成物が、特定場所での使用のために特別仕立てにされることを可能にする。微生物ベースの組成物の配合および効能は、適用時の具体的な現地条件、例えば、どの動物種が処置されるか、その組成物が適用されるのが1年のうちのどの季節、気候および/または時間であるか、ならびにどの適用様式および/または適用率が利用されるか、に関して特注され得る。
【0199】
有利に、分散型の微生物増殖施設は、その製品の品質が上流の処理の遅れ、サプライチェーンのボトルネック、不適切な保管、ならびに、例えば、生存能力のある高細胞数生産物ならびに細胞を独自に増殖させるのに関わった培地および代謝産物の適時の送達および適用を妨げる他の不測の事態により損なわれる、遠方の産業規模の生産者に依存するという現在の問題に対する解決策を提供する。
【0200】
さらに、組成物を現地で生産することにより、配合および効能を、適用時の具体的な場所および条件にリアルタイムで調節することができる。これは、中心場所で事前製造される、例えば、その場所に最適でないかもしれない比および配合が設定された組成物を上回る利点を提供する。
【0201】
微生物増殖施設は、目的地の地理とのシナジーを高める微生物ベースの生産物を特別仕立てにするそれらの能力により、製造汎用性(manufacturing versatility)を提供する。有利に、好ましい態様において、本発明のシステムは、GHG管理を改善するために、天然に存在する現地微生物およびそれらの代謝副産物の力を活用する。
【0202】
個々のベッセルにおける培養時間は、例えば、1~7日間またはそれ以上であり得る。培養生産物は、任意の多くの異なる方法で収集され得る。
【0203】
現地生産および、例えば、発酵から24時間以内の送達は、純粋な高細胞密度の組成物および実質的に低い輸送費をもたらす。より効率的および強力な微生物植菌体の開発における急速な進歩の可能性を考えれば、消費者は、微生物由来生産物を迅速に送達するこの能力から大きな利益を享受するであろう。
【0204】
温室効果ガス排出を減少させるための方法
好ましい態様において、本発明は、家畜動物の消化器系および/または排出物において生成されるメタン、二酸化炭素および/もしくは他の有害大気ガス、ならびに/またはそれらの前駆物質(例えば、亜酸化窒素の前駆物質である窒素および/もしくはアンモニア)を減少させることにより、有害大気ガス排出を減少させるための方法を提供する。
【0205】
「家畜」動物は、本明細書で使用される場合、動物と人間の間に共生関係が存在するよう長い世代にわたって人間により影響され、繁殖され、飼いならされ、および/または管理されている種を意味する「家畜化された(domesticated)」動物である。特に、家畜動物は、食品、繊維および労働力のような商品を生産するために農業的または工業的状況下で育てられた動物を含む。家畜という用語に含まれる動物のタイプは、アルパカ、ラマ、ブタ(pig)(ブタ(swine))、ウマ、ラバ、ロバ、ラクダ、イヌ、反芻動物、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ホロホロチョウ、およびヒナ鳥を含み得るがこれらに限定されない。
【0206】
特定の態様において、家畜動物は、「反芻動物」または専門化された腸内マイクロバイオームの助けを借りて消化前に植物ベースの食物を発酵させるのに適した区画化された腹部を利用する哺乳動物である。反芻動物は、例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、アイベックス、キリン、シカ、エルク、ムース、カリブー、トナカイ、カモシカ、ガゼル、インパラ、ワイルドビースト、および一部のカンガルーを含む。
【0207】
特定の例示的な態様において、家畜動物は、ボビダエ科(Bovidae)のボビナエ(Bovinae)亜科に属する反芻動物であるウシ動物である。ウシ動物は、家畜化されたおよび/または野生の種を含み得る。特定の例は、水牛、アノア、タマラウ、オーロックス、バンテン、グアー、ガヤル、ヤク、コープレイ、家畜肉牛および乳牛(例えば、ボス・タウラス(Bos taurus)、ボス・インディカス(Bos indicus))、役牛(ox)、去勢牛(bullock)、コブウシ、サオラ、バイソン、バッファロー、ヴィセント、ボンゴ、クーズー、ケウェル(kewwel)、インババラ(imbabala)、クーズー、ニアラ、シタツンガ、およびエランドを含むがこれらに限定されない。
【0208】
特定の具体的態様において、方法は、本発明にしたがう微生物ベースの組成物を、家畜動物の消化器系と接触させる工程を含む。組成物は、例えば家畜動物の消化器系に、腸内および/または非経口投与され得る。例えば、組成物は、家畜動物の飼料、牧草、および/もしくは飲料水を通じて経口的に;内視鏡を通じて;例えばこぶ胃、腹部、および/もしくは腸への直接注射を通じて;座薬を通じて;糞便移植を通じて;ならびに/または浣腸を通じて、家畜動物に投与され得る。
【0209】
特定の態様において、組成物はまた、GHG排出を減少させるよう、排泄物に直接適用され得る。
【0210】
有利に、好ましい態様において、方法は、家畜動物の消化器系および/または排泄物に存在するメタン生成細菌および/または原生動物を減少させる。特定の態様において、方法はまた、家畜動物の消化器系および/または排泄物においてメタン、二酸化炭素、他の有害大気ガス、および/またはそれらの前駆物質、例えば、窒素および/もしくはアンモニア(亜酸化窒素の前駆物質)を減少させ得る。
【0211】
本明細書で使用される場合、「減少」は、少なくとも0.25%、0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の負の変化を表す。
【0212】
いくつかの態様において、所望の減少は、比較的短い時間内、例えば、動物がその組成物を摂取してから1週間、2週間、3週間または4週間以内に達成される。いくつかの態様において、所望の減少は、例えば、本方法を実施した後1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、4カ月、5ヵ月、または6ヵ月以内に達成される。いくつかの態様において、所望の減少は、本方法を実施した後1年、2年、3年、4年、または5年以内に達成される。
【0213】
いくつかの態様において、方法はさらに、適用時に本組成物の微生物の増殖を増進する物質を添加する(例えば、栄養素および/またはプレバイオティクスを添加する)工程を含み得る。1つの態様において、栄養源は、例えば、マグネシウム、リン酸、窒素、カリウム、セレン、カルシウム、硫黄、鉄、銅、亜鉛、タンパク質、ビタミンおよび/または炭素の供給源を含み得る。特定の態様において、家畜動物に、例えば乾燥動物用飼い葉、わら、干し草、ムラサキウマゴヤシ、穀粒、まぐさ、芝、果物、野菜、オート麦および/または作物残渣を含み得るプレバイオティクスの供給源が供給され得る。
【0214】
いくつかの態様において、組成物の適用前に、方法は、現地条件に関して家畜動物、家畜動物の群れ、または家畜の排せつ物保管場所を評価する工程、現地条件に関して特注される組成物の好ましい配合(例えば、微生物および/または増殖副産物のタイプ、組み合わせおよび/または比)を決定する工程、ならびに当該好ましい配合で組成物を生成する工程を含む。
【0215】
現地条件は、例えば、動物の年齢、健康、サイズ、および種;群れのサイズ;動物を生産する目的(例えば、肉、毛皮、繊維、労働力、乳等);動物の腸および/または排泄物の微生物集団内の種;環境的条件、例えばGHG排出の量およびタイプ、現在の天候、および/または季節/1年の中の時季;組成物の適用の様式および/または比率、ならびに関連するとみなされるその他を含み得る。
【0216】
評価後、組成物がこれらの現地条件に関して特注され得るよう、組成物の好ましい配合が決定され得る。組成物はその後、好ましくは、適用場所から300マイル以内、好ましくは200マイル以内、さらにより好ましくは100マイル以内にある微生物増殖施設(例えば、動物もしくは家畜生産施設、またはラグーン)で培養される。
【0217】
いくつかの態様において、現地条件は、定期的に、例えば、年に1度、半年に1度、または、さらには1ヵ月に1度、評価される。このようにして、組成物の配合は、変化する現地条件の要求を満たすのに必要な場合、リアルタイムで調整され得る。
【0218】
例示的な態様において、各動物に投与される組成物の1日用量は、動物の体重100 kgあたり約5 mg~約100グラム、または約10 mg~約50グラム、または約15 mg~約25グラム、または約20 mg~約20グラム、または約25 mg~約10グラム、または約30 mg~約5グラムである。
【0219】
特定の態様において、方法は、組成物を、食事サプリメントとして飲料水および/または飼料に添加する工程を含む。食事サプリメントは、任意の適切な形態、例えば、グレイビー、飲料水、飲料、ヨーグルト、粉末、顆粒、ペースト、懸濁物、チュウ(chew)、モーセル、液体溶液、トリート、スナック、ペレット、ピル、カプセル、タブレット、サシェ、または任意の他の適切な送達形態を有し得る。食事サプリメントは、本微生物ベースの組成物、ならびに任意成分、例えば、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクス、プレバイオティクス、および抗酸化物質を含み得る。いくつかの態様において、食事サプリメントは、動物への投与前に、飼料組成物とまたは水もしくは他の希釈剤と混合され得る。
【0220】
いくつかの態様において、組成物は、放牧地または牧草に、ならびに飲料水および/または飼料に適用される。
【0221】
本発明の方法にしたがい、微生物ベースの組成物の投与は、その動物の出生から成体期を通じた期間にまたがり得る、食事療法の一部として実施され得る。特定の態様において、動物は、若いまたは成長期の動物である。いくつかの態様において、動物は、高齢の動物である。他の態様において、投与は、例えば、動物が、その計画されているまたは予想される生涯の約30%、40%、50%、60%、または80%超に達すると、定期的または拡張された定期的様式で開始される。
【0222】
いくつかの態様において、本発明の方法は、畜産業者または排泄物処理業者により、炭素クレジットの使用を減少させるために、利用され得る。したがって、特定の態様において、本方法はさらに、当技術分野の標準的技術を用いて、二酸化炭素および/もしくは他の有害大気ガス、ならびに/またはそれらの前駆物質(例えば、窒素および/もしくはアンモニア)の発生の減少に対する方法の効果を評価するため、ならびに/または家畜動物の消化器系および/もしくは排泄物におけるメタン菌の制御に対する方法の効果を評価するための測定を行う工程を含み得る。
【0223】
これらの測定は、例えば、ガス捕捉および定量、クロマトグラフィー、(個々の動物により排出されるメタンの量を測定する)呼吸室、および(乾燥物質1グラムあたりの排出されるメタンおよび/または亜酸化窒素の量を決定するために制御された実験および微生物条件下で飼料を発酵させる)インビトロガス生成技術を含む、当技術分野で公知の方法にしたがい行われ得る(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Storm et al. 2012を参照のこと)。測定はまた、例えば、乳、糞便、および/または腹部内容物をサンプル採集し、例えば、DNA配列決定および/または細胞プレーティングを使用してその中に存在するメタン生成微生物の数を決定することによる、動物において微生物集団を試験する形式で行われ得る。
【0224】
測定は、微生物ベースの組成物の適用後の特定の時点で行われ得る。いくつかの態様において、測定は、約1週間もしくはそれ未満、2週間もしくはそれ未満、3週間もしくはそれ未満、4週間もしくはそれ未満、30日もしくはそれ未満、60日もしくはそれ未満、90日もしくはそれ未満、120日もしくはそれ未満、180日もしくはそれ未満、および/または1年もしくはそれ未満の後に行われる。
【0225】
さらに、測定は、時間と共に繰り返され得る。いくつかの態様において、測定は、毎日、毎週、毎月、隔月、月2回、半年ごとに、および/または毎年、繰り返される。
【0226】
家畜排泄物の処理
特定の具体的態様において、本発明の態様にしたがう組成物は、畜糞ラグーン、排泄物ため池、汚物沈殿池、タンクまたは家畜および/もしくは食品加工廃棄物を保管および/もしくは処理する他の保管施設に直接加えられる。
【0227】
有利に、いくつかの態様において、組成物中の微生物、例えば、B.アミィは、そこから排出されるGHG、例えば、メタン、二酸化炭素および/または亜酸化窒素の量を減少させつつ、蓄糞の分解の増加を促進し得る。さらに、いくつかの態様において、蓄糞への組成物の適用は、蓄糞が実際に適用される圃場の土または穀物に根付く微生物の能力により、有機肥料としての蓄糞の価値を向上させる。微生物およびそれらの増殖副産物は、土壌の生物多様性を改善し得、根圏の特性を強化し得、植物の成長および健康を増進し得、これにより、例えば、高窒素合成肥料の必要性を減少させ得る。
【0228】
いくつかの態様において、ラグーンまたは排泄物ため池は、他の動物および/または食品加工廃棄副産物、例えば、パーム油加工廃棄物(例えば、パーム油工場廃液)、オリーブ油加工廃棄物(例えば、オリーブ圧搾ケーキおよびオリーブ工場廃水)、乳製品加工廃棄物(例えば、酸ホエー)、および畜殺場廃棄物(例えば、家畜死骸残物)を含む。これらの高脂肪廃棄物は、汚染および悪臭をもたらし、廃水の表面に半固形脂肪層を形成し得、これがGHG生成微生物の増殖を促進する。
【0229】
特定の態様において、本組成物の微生物は、上記のGHGを減少させる利益を提供することに加えて、脂肪層の代謝およびその分解速度の増加を助け得る。
【0230】
特定の態様において、方法は、脂肪の分解を促進し得、かつGHG生成微生物の制御を促進し得るバイオサーファクタント、例えば、ラムノ脂質および/またはソホロ脂質を組成物に補充する工程を含む。
【実施例
【0231】
本発明およびその多くの利点のより深い理解は、一例として示される以下の実施例から得られ得る。以下の実施例は、本発明の方法、応用、態様および派生の一部を例示している。それらは、本発明を限定するものとみなされるべきでない。本発明に関して、多くの変更および改変を行うことができる。
【0232】
実施例1 - インビトロ試験
本発明の態様にしたがう組成物を、ウシにおいて腸内メタンおよび二酸化炭素排出を減少させるそれらの能力についてスクリーニングした。24個のベッセルを、ウシこぶ胃液、人工唾液、1gのこぶ胃固形物、1gのスーパーベーシックレーション、および1体積%の処理組成物で満たした。1つの対照の3回測定を含む、8つの処理の3回測定を行った。
【0233】
処理は、以下のものを含んだ。
0 - 対照
1 - B.アミィ
2 - P.オストレアタス
3 - S.ボウラルディ
4 - B.アミィ + P.オストレアタス
5 - B.アミィ + S.ボウラルディ
6 - P.オストレアタス + S.ボウラルディ
7 - B.アミィ + P.オストレアタス + S.ボウラルディ
【0234】
24時間後に、各ベッセルから収集されたメタン、二酸化炭素および総ガス体積の量(ml/gDM)を測定した。
【0235】
図2は、メタンについての結果を示している。B.アミィを含む処理1は、対照との比較で、メタンガスの平均量の78%減少(p = 0.05)を示した。S.ボウラルディおよびP.オストレアタスを含む処理6は、対照との比較で、メタンガスの平均量の69%減少(p = 0.03)を示した。
【0236】
図3は、二酸化炭素減少についての結果を示している。B.アミィを含む処理1は、対照との比較で、二酸化炭素ガスの平均量の最大の減少を示し、S.ボウラルディおよびP.オストレアタスを含む処理6は、2番目に大きな減少を示した。
【0237】
実施例2 - さらなるインビトロ試験
B.アミィを含む上記実施例1の処理#1を、ウシにおいて腸内メタンおよび二酸化炭素排出を減少させるそれらの能力について、様々な添加率でスクリーニングした。5つの異なる添加率の各々についての8回測定を、個別のベッセル(合計40個のベッセル)で行った。これらのベッセルは、こぶ胃液、人工唾液、1gこぶ胃固形物、1gスーパーベーシックレーション、および異なる添加率の処理#1を含んだ。異なる添加率は、0%(対照)、0.1%、0.2%、0.5%および1%であった。
【0238】
インビトロこぶ胃発酵の開始から24時間後に、各ベッセルから収集されたメタン、二酸化炭素および総ガス体積の量(ml/gDM)を測定した。
【0239】
図4は、メタンについての結果を示している。添加率0.2%のB.アミィを含む処理は、CH4排出に関して最大の減少を示した(*は有意な減少を示す、p = 0.0174)。
【0240】
図5は、二酸化炭素についての結果を示している。添加率0.2%のB.アミィを含む処理は、CO2排出に関して最大の減少を示した(*は有意な減少を示す、p = 0.0491)。
【0241】
実施例3 - B.アミィ生産物
本発明の1つの微生物ベースの生産物は、B.アミィを含む。B.アミィ植菌体を、小規模リアクタ内で24~48時間増殖させる。ミクソコッカス・キサンタス植菌体を、2Lの実容積の種培養フラスコ内で48~120時間増殖させる。醗酵リアクタに、この2つの植菌体を植菌する。栄養培地は、供給タンクから継続的に発酵リアクタに供給する。栄養培地は、以下を含む。
【0242】
微細粒子固定担体を栄養培地中に懸濁する。この担体は、セルロース(1.0~5.0 g/L)および/またはトウモロコシ粉(1.0~8.0 g/L)を含む。
【0243】
リアクタ内のpHを約6.8で維持し、温度を約24℃で維持し、DOを約50%で維持し、エアフロー速度を約1 vvmで維持する。
【0244】
発酵中に微生物増殖副産物を含む泡層が発生し、これを取り出して、pHメーターを含む容器に収集する。その中に含まれる代謝産物の長期保存のために、pHメーターを使用して泡のpHを監視し、pH値が2.0~3.0の範囲外に変わったら、pH調整剤を添加してpHをその範囲内に戻す。7日間またはそれ以上の間(例えば、無期限に)、泡の発生、リアクタからの取り出し、および収集を続ける。
【0245】
CFU計数、胞子形成率および/または純度のための発酵槽および泡収集タンクのサンプル採集を、0時間、その後は発酵を通じて1日2回行う。サンプル採集は、泡を取り出し収集する時点でも行うことができる。細菌培養物の胞子形成率が20%を超えたことが(顕微鏡スライド概算を用いて)検出された場合/検出されたら、追加の栄養培地を発酵槽に添加する。泡収集タンクからの酸性化リポペプチドサンプルに対して、LC-MS分析を行う。サンプルは約4℃で保管する。
【0246】
醗酵サイクルを少なくとも1週間継続し、例えば、発酵槽から泡が抽出できなくなるまで、栄養培地の供給および泡の収集を行う。リポペプチド生産を、植菌後3時間ほど観察し、総収量は毎週20~30 g/L(または毎週250乾燥kgのリポペプチド)に達する。この方法からの収量は、従来的、非拮抗的な、B.アミロリケファシエンス培養法の最大10倍に達し得る。
【0247】
生産物の濃縮および乾燥
B.アミィ胞子を含む細胞バイオマスを収集し、8%以下の残留含水量となるまで乾燥させる。200ppmで29~30 mN/mまで表面張力を減少させることができる残った無細胞の泡および/または上清を、産業用エバポレータを用いて蒸発させ、バイオサーファクタントおよび他の代謝産物を含む高粘性の液体を得る。次いでこの粘性化合物を乾燥させて粉末を得、これを粉砕し、1g対50mgの胞子対上清の比で乾燥胞子と混合する。
【0248】
最終生産物は、好ましくは、1グラムあたり1000億個もの胞子を含む。ウシに対する理想的な処理は、1日あたりウシ1頭あたり1gの組成物、または牧草地に適用される場合、1週間あたり100平方フィートの牧草地あたり1gである。
【0249】
実施例4 - P.オストレアタスおよびS.ボウラルディ生産物
本発明の1つの微生物ベースの生産物は、P.オストレアタスおよびS.ボウラルディを含む。
【0250】
P.オストレアタスは、500L~2800Lの容積を有する大規模深部醗酵ベッセルを用いて生産することができる。醗酵サイクルは約10日間であり、平均バイオマス生産量は約1.7×106細胞/gである。例として、これらの収量は、重量で>13%のロバスタチン含量を生じる。
【0251】
S.ボウラルディは、500L~2800Lの容積を有する大規模深部醗酵ベッセルを用いて生産することができる。醗酵サイクルは約16時間であり、平均バイオマス生産量は約2.3×109細胞/gである。
【0252】
これら2つの微生物ベースの生産物を混合し、乾燥させて、ウシ1頭あたりの1日用量が150mgのP.オストレアタスおよび10gのS.ボウラルディを含む組成物を生産することができる。
【0253】
実施例5 - D.ハンセニィ生産物
本発明の1つの微生物ベースの生産物は、D.ハンセニィを含む。この生産物の1用量は、ウシ1頭につき1日あたり5×1010CFUを含む。
【0254】
参照文献
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-10-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜動物の消化器系および/または排泄物において生成される有害大気ガスおよび/またはその前駆物質を減少させるための方法であって、
前記方法が、1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物を含む組成物を、前記家畜動物の消化器系と接触させる工程を含み、
1つまたは複数の前記有益な微生物が、バシルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、プリュロタス・オストレアタス(Pleurotus ostreatus)、サッカロミセス・ボウラルディ(Saccharomyces boulardii)、デバリオミセス・ハンセニィ(Debaryomyces hansenii)、レンチヌラ・エドデス(Lentinula edodes)、トリコダーマ・ビリダエ(Trichoderma viridae)、ウィッカーハモミセス・アノマルス(Wickerhamomyces anomalus)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、スターメレラ・ボンビコラ(Starmerella bombicola)、メイエロジマ・ギリアーモンディ(Meyerozyma guilliermondii)、ピキア・オシデンタリス(Pichia occidentalis)、モナスカス・パープレウス(Monascus purpureus)、アクレモニウム・クリソゲナム(Acremonium chrysogenum)、ミクソコッカス・キサンタス(Myxococcus xanthus)、バシルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バシルス・サブチリス「B4」株、および/またはバシルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)である、
前記方法。
【請求項2】
前記組成物が前記家畜動物の消化器系と接触させられる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
経口的に前記消化器系に直接、内視鏡を通じて、または、腹部、こぶ胃、および/もしくは腸への注射を通じて、前記組成物が投与される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
糞便移植を通じて、座薬を通じて、または浣腸を通じて、前記組成物が前記家畜動物の消化器系に投与される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記有害大気ガスがメタンおよび二酸化炭素である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記有害大気ガスの前駆物質が窒素およびアンモニアである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記家畜動物の消化器系におけるメタン生成細菌および/または原生動物が制御される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物と共にプレバイオティクスを投与する工程をさらに含み、前記プレバイオティクスが、乾燥動物用飼い葉、わら、干し草、ムラサキウマゴヤシ、穀粒、まぐさ、芝(grass)、果物、野菜、オート麦、または作物残渣である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物と共に飽和長鎖脂肪酸を投与する工程をさらに含み、前記飽和長鎖脂肪酸がステアリン酸、パルミチン酸、および/またはミリスチン酸である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物と共に発芽増進物質を投与する工程をさらに含み、前記発芽増進物質がL-アラニン、L-ロイシン、またはマンガンである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物と共に、以下の成分:海藻(アスパラゴプシス・タキシフォルミス(Asparagopsis taxiformis));昆布;3-ニトロオキシプロパノール;アントラキノン;モネンシンおよびラサロシドから選択されるイオノフォア;サポニンおよびタンニンから選択されるポリフェノール;ユッカ・シジゲラ(Yucca schidigera)エキス(ステロイド系サポニン生産体);キラジャ・サポナリア(Quillaja saponaria)エキス(トリテルペノイド系サポニン生産植物種);有機硫黄;ニンニクエキス;ケルセチン、ルチン、ケンペロール、ナリンギン、およびアントシアニジンから選択されるフラボノイド;グリーンシトラス果実、ローズヒップ、および/もしくはブラックカラントから単離されるバイオフラボノイド;カルボン酸;ならびにd-リモネン、ピネン、および柑橘類エキスから選択されるテルペンのうちの1つまたは複数を投与する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記有益な微生物がバシルス・アミロリケファシエンスNRRL B-67928(「B.アミィ(B. amy)」)である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記有益な微生物がバシルス・サブチリス「B4」である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記有益な微生物がプリュロタス・オストレアタスである、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記有益な微生物がサッカロミセス・ボウラルディである、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記有益な微生物がデバリオミセス・ハンセニィ(Debaryomyces hansensii)である、請求項1記載の方法。
【請求項17】
1つまたは複数の前記有益な微生物がP.オストレアタス(P. ostreatus)およびS.ボウラルディ(S. boulardii)である、請求項1記載の方法。
【請求項18】
1つまたは複数の前記有益な微生物が、B.アミィ、S.ボウラルディ、P.オストレアタス、およびD. ハンセニィ(D. hansenii)である、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記有益な微生物がW.アノマルス(W. anomalus)である、請求項1記載の方法。
【請求項20】
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が、バイオサーファクタント、酵素、有機酸、脂肪酸、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、アルコール、ポリケチド、天然抗生物質、アルデヒド、アミン、ステロール、およびビタミンから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項21】
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が、1つまたは複数の前記有益な微生物なしで投与される、請求項1記載の方法。
【請求項22】
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が精製されている、請求項1記載の方法。
【請求項23】
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が粗形態であり、前記粗形態が、前記増殖副産物を生産する微生物の発酵により生じる上清を含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記1つもしくは複数の微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物が、前記家畜動物が摂取する飲料水および/または飼料に適用される、請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記家畜動物の消化器系および/または排泄物における腸内有害大気ガス排出および/またはその前駆物質の減少に対する前記方法の効果を評価する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
前記家畜動物の消化器系および/または排泄物におけるメタン生成細菌および/または原生動物の制御に対する前記方法の効果を評価する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項27】
畜産従事者により使用される炭素クレジットの数値を減少させるために使用される、請求項1記載の方法。
【請求項28】
家畜動物の消化器系における腸内有害大気ガスおよび/またはその前駆物質を減少させるための組成物であって、
前記組成物が、1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物を含み、
1つまたは複数の前記有益な微生物が、バシルス・アミロリケファシエンス、プリュロタス・オストレアタス、サッカロミセス・ボウラルディ、デバリオミセス・ハンセニィ、レンチヌラ・エドデス、トリコダーマ・ビリダエ、ウィッカーハモミセス・アノマルス、サッカロミセス・セレビシエ、スターメレラ・ボンビコラ、メイエロジマ・ギリアーモンディ、ピキア・オシデンタリス、モナスカス・パープレウス、アクレモニウム・クリソゲナム、ミクソコッカス・キサンタス、バシルス・サブチリス、バシルス・サブチリス「B4」株、および/またはバシルス・リケニフォルミスである、
前記組成物。
【請求項29】
前記有益な微生物がバシルス・アミロリケファシエンスの株である、請求項28記載の組成物。
【請求項30】
バシルス・アミロリケファシエンスの株がB. アミロリケファシエンスNRRL B-67928(「B.アミィ」)である、請求項28記載の組成物。
【請求項31】
前記有益な微生物がプリュロタス・オストレアタスである、請求項28記載の組成物。
【請求項32】
前記有益な微生物がサッカロミセス・ボウラルディである、請求項28記載の組成物。
【請求項33】
前記有益な微生物がD.ハンセニィ(D.hansensii)である、請求項28記載の組成物。
【請求項34】
1つまたは複数の前記有益な微生物がP.オストレアタスおよびS.ボウラルディである、請求項28記載の組成物。
【請求項35】
1つまたは複数の前記有益な微生物が、B.アミィ、S.ボウラルディ、P.オストレアタス、および/またはD. ハンセニィである、請求項28記載の組成物。
【請求項36】
前記有益な微生物がウィッカーハモミセス・アノマルスである、請求項28記載の組成物。
【請求項37】
乾燥動物用飼い葉、わら、干し草、ムラサキウマゴヤシ、穀粒、まぐさ、芝、果物、野菜、オート麦、または作物残渣から選択されるプレバイオティクスをさらに含む、請求項28記載の組成物。
【請求項38】
前記家畜動物の栄養要求を補うためならびに前記家畜動物の健康および/または幸福を促進するための栄養素をさらに含み、前記栄養素が、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ビタミン、微量元素、脂肪、脂肪酸、脂質、炭水化物、ステロール、酵素、カルシウム、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩素、硫黄、クロム、コバルト、銅、ヨウ素、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、セレン、および/または亜鉛の供給源である、請求項28記載の組成物。
【請求項39】
ステアリン酸、パルミチン酸、およびミリスチン酸から選択される飽和長鎖脂肪酸をさらに含む、請求項28記載の組成物。
【請求項40】
L-アラニン、L-ロイシン、およびマンガンから選択される発芽増進物質をさらに含む、請求項28記載の組成物。
【請求項41】
以下の成分:海藻(例えば、アスパラゴプシス・タキシフォルミスおよび/もしくはアスパラゴプシス・アルマタ(Asparagopsis armata));昆布;ニトロオキシプロパノール(例えば、3-ニトロオキシプロパノールおよび/もしくはエチル-3-ニトロオキシプロパノール);アントラキノン;モネンシンおよびラサロシドから選択されるイオノフォア;サポニンおよびタンニンから選択されるポリフェノール;ユッカ・シジゲラエキス(ステロイド系サポニン生産体);キラジャ・サポナリアエキス(トリテルペノイド系サポニン生産植物種);有機硫黄;ニンニクエキス;ケルセチン、ルチン、ケンペロール、ナリンギン、およびアントシアニジンから選択されるフラボノイド;グリーンシトラス果実、ローズヒップ、および/もしくはブラックカラントから単離されるバイオフラボノイド;カルボン酸;ならびにd-リモネン、ピネン、および柑橘類エキスから選択されるテルペンのうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項28記載の組成物。
【請求項42】
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が、バイオサーファクタント、酵素、有機酸、脂肪酸、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、アルコール、ポリケチド、天然抗生物質、アルデヒド、アミン、ステロール、およびビタミンから選択される、請求項28記載の組成物。
【請求項43】
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が、1つまたは複数の前記有益な微生物なしで投与される、請求項28記載の組成物。
【請求項44】
以下の投与方法:経口投与、内視鏡を通じた投与、前記消化器系への直接注射を通じた投与、座薬を通じた投与、糞便移植を通じた投与、および/または浣腸を通じた投与のうちの1つまたは複数のための投与に適した担体をさらに含む、請求項28記載の組成物。
【請求項45】
家畜の排出物からの温室効果ガス排出を減少させるための方法であって、請求項28~44のいずれか1項記載の組成物を前記家畜動物の消化器系に投与する工程を含む、前記方法。
【請求項46】
家畜の排出物からの温室効果ガス排出を減少させるための方法であって、請求項28~44のいずれか1項記載の組成物を前記排出物に加える工程を含む、前記方法。
【請求項47】
前記組成物が、家畜の排泄物の保管および/または処理に使用されるラグーン、汚物沈殿池(tailing pond)、または保管タンクに適用される、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記排出物を有機肥料として圃場または作物に適用する工程をさらに含む、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記圃場または作物に適用される窒素豊富な肥料の量を減少させるために使用される、請求項48記載の方法。
【請求項50】
家畜の排出物からの温室効果ガス排出を減少させるための方法であって、ソホロ脂質バイオサーファクタントを前記排出物に加え、かつ任意でB.アミィを加える工程を含む、前記方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
いくつかの態様において、本発明の方法は、炭素クレジットの使用を減少させるために家畜生産者により用いられ得る。したがって、特定の態様において、本方法はさらに、当技術分野で標準的な方法を用いて、メタン、二酸化炭素および/もしくは他の有害大気ガス、ならびに/またはそれらの前駆物質(例えば、窒素および/もしくはアンモニア)の発生の減少に対する方法の効果を評価するため、ならびに/または家畜動物の消化器系および/もしくは排泄物におけるメタン菌および/もしくは原生動物の管理に対する方法の効果を評価するための測定を行う工程を含み得る。
[本発明1001]
家畜動物の消化器系および/または排泄物において生成される有害大気ガスおよび/またはその前駆物質を減少させるための方法であって、
前記方法が、1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物を含む組成物を、前記家畜動物の消化器系と接触させる工程を含み、
1つまたは複数の前記有益な微生物が、バシルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、プリュロタス・オストレアタス(Pleurotus ostreatus)、サッカロミセス・ボウラルディ(Saccharomyces boulardii)、デバリオミセス・ハンセニィ(Debaryomyces hansenii)、レンチヌラ・エドデス(Lentinula edodes)、トリコダーマ・ビリダエ(Trichoderma viridae)、ウィッカーハモミセス・アノマルス(Wickerhamomyces anomalus)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、スターメレラ・ボンビコラ(Starmerella bombicola)、メイエロジマ・ギリアーモンディ(Meyerozyma guilliermondii)、ピキア・オシデンタリス(Pichia occidentalis)、モナスカス・パープレウス(Monascus purpureus)、アクレモニウム・クリソゲナム(Acremonium chrysogenum)、ミクソコッカス・キサンタス(Myxococcus xanthus)、バシルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バシルス・サブチリス「B4」株、および/またはバシルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)である、
前記方法。
[本発明1002]
前記組成物が前記家畜動物の消化器系と接触させられる、本発明1001の方法。
[本発明1003]
経口的に前記消化器系に直接、内視鏡を通じて、または、腹部、こぶ胃、および/もしくは腸への注射を通じて、前記組成物が投与される、本発明1002の方法。
[本発明1004]
糞便移植を通じて、座薬を通じて、または浣腸を通じて、前記組成物が前記家畜動物の消化器系に投与される、本発明1001の方法。
[本発明1005]
前記有害大気ガスがメタンおよび二酸化炭素である、本発明1001の方法。
[本発明1006]
前記有害大気ガスの前駆物質が窒素およびアンモニアである、本発明1001の方法。
[本発明1007]
前記家畜動物の消化器系におけるメタン生成細菌および/または原生動物が制御される、本発明1001の方法。
[本発明1008]
前記1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物と共にプレバイオティクスを投与する工程をさらに含み、前記プレバイオティクスが、乾燥動物用飼い葉、わら、干し草、ムラサキウマゴヤシ、穀粒、まぐさ、芝(grass)、果物、野菜、オート麦、または作物残渣である、本発明1001の方法。
[本発明1009]
前記1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物と共に飽和長鎖脂肪酸を投与する工程をさらに含み、前記飽和長鎖脂肪酸がステアリン酸、パルミチン酸、および/またはミリスチン酸である、本発明1001の方法。
[本発明1010]
前記1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物と共に発芽増進物質を投与する工程をさらに含み、前記発芽増進物質がL-アラニン、L-ロイシン、またはマンガンである、本発明1001の方法。
[本発明1011]
前記1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物と共に、以下の成分:海藻(アスパラゴプシス・タキシフォルミス(Asparagopsis taxiformis));昆布;3-ニトロオキシプロパノール;アントラキノン;モネンシンおよびラサロシドから選択されるイオノフォア;サポニンおよびタンニンから選択されるポリフェノール;ユッカ・シジゲラ(Yucca schidigera)エキス(ステロイド系サポニン生産体);キラジャ・サポナリア(Quillaja saponaria)エキス(トリテルペノイド系サポニン生産植物種);有機硫黄;ニンニクエキス;ケルセチン、ルチン、ケンペロール、ナリンギン、およびアントシアニジンから選択されるフラボノイド;グリーンシトラス果実、ローズヒップ、および/もしくはブラックカラントから単離されるバイオフラボノイド;カルボン酸;ならびにd-リモネン、ピネン、および柑橘類エキスから選択されるテルペンのうちの1つまたは複数を投与する工程をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1012]
前記有益な微生物がバシルス・アミロリケファシエンスの株である、本発明1001の方法。
[本発明1013]
バシルス・アミロリケファシエンスの株がB.アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)NRRL B-67928(「B.アミィ(B. amy)」)である、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記有益な微生物がプリュロタス・オストレアタスである、本発明1001の方法。
[本発明1015]
前記有益な微生物がサッカロミセス・ボウラルディである、本発明1001の方法。
[本発明1016]
前記有益な微生物がデバリオミセス・ハンセニィ(Debaryomyces hansensii)である、本発明1001の方法。
[本発明1017]
1つまたは複数の前記有益な微生物がP.オストレアタス(P. ostreatus)およびS.ボウラルディ(S. boulardii)である、本発明1001の方法。
[本発明1018]
1つまたは複数の前記有益な微生物が、B.アミィ、S.ボウラルディ、P.オストレアタス、およびD. ハンセニィ(D. hansenii)である、本発明1001の方法。
[本発明1019]
前記有益な微生物がW.アノマルス(W. anomalus)である、本発明1001の方法。
[本発明1020]
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が、バイオサーファクタント、酵素、有機酸、脂肪酸、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、アルコール、ポリケチド、天然抗生物質、アルデヒド、アミン、ステロール、およびビタミンから選択される、本発明1001の方法。
[本発明1021]
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が、1つまたは複数の前記有益な微生物なしで投与される、本発明1001の方法。
[本発明1022]
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が精製されている、本発明1001の方法。
[本発明1023]
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が粗形態であり、前記粗形態が、前記増殖副産物を生産する微生物の発酵により生じる上清を含む、本発明1001の方法。
[本発明1024]
前記1つもしくは複数の微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物が、前記家畜動物が摂取する飲料水および/または飼料に適用される、本発明1001の方法。
[本発明1025]
前記家畜動物の消化器系および/または排泄物における腸内有害大気ガス排出および/またはその前駆物質の減少に対する前記方法の効果を評価する工程をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1026]
前記家畜動物の消化器系および/または排泄物におけるメタン生成細菌および/または原生動物の制御に対する前記方法の効果を評価する工程をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1027]
畜産従事者により使用される炭素クレジットの数値を減少させるために使用される、本発明1001の方法。
[本発明1028]
家畜動物の消化器系における腸内有害大気ガスおよび/またはその前駆物質を減少させるための組成物であって、
前記組成物が、1つもしくは複数の有益な微生物および/または1つもしくは複数の微生物増殖副産物を含み、
1つまたは複数の前記有益な微生物が、バシルス・アミロリケファシエンス、プリュロタス・オストレアタス、サッカロミセス・ボウラルディ、デバリオミセス・ハンセニィ、レンチヌラ・エドデス、トリコダーマ・ビリダエ、ウィッカーハモミセス・アノマルス、サッカロミセス・セレビシエ、スターメレラ・ボンビコラ、メイエロジマ・ギリアーモンディ、ピキア・オシデンタリス、モナスカス・パープレウス、アクレモニウム・クリソゲナム、ミクソコッカス・キサンタス、バシルス・サブチリス、バシルス・サブチリス「B4」株、および/またはバシルス・リケニフォルミスである、
前記組成物。
[本発明1029]
前記有益な微生物がバシルス・アミロリケファシエンスの株である、本発明1028の組成物。
[本発明1030]
バシルス・アミロリケファシエンスの株がB. アミロリケファシエンスNRRL B-67928(「B.アミィ」)である、本発明1028の組成物。
[本発明1031]
前記有益な微生物がプリュロタス・オストレアタスである、本発明1028の組成物。
[本発明1032]
前記有益な微生物がサッカロミセス・ボウラルディである、本発明1028の組成物。
[本発明1033]
前記有益な微生物がD.ハンセニィ(D.hansensii)である、本発明1028の組成物。
[本発明1034]
1つまたは複数の前記有益な微生物がP.オストレアタスおよびS.ボウラルディである、本発明1028の組成物。
[本発明1035]
1つまたは複数の前記有益な微生物が、B.アミィ、S.ボウラルディ、P.オストレアタス、および/またはD. ハンセニィである、本発明1028の組成物。
[本発明1036]
前記有益な微生物がウィッカーハモミセス・アノマルスである、本発明1028の組成物。
[本発明1037]
乾燥動物用飼い葉、わら、干し草、ムラサキウマゴヤシ、穀粒、まぐさ、芝、果物、野菜、オート麦、または作物残渣から選択されるプレバイオティクスをさらに含む、本発明1028の組成物。
[本発明1038]
前記家畜動物の栄養要求を補うためならびに前記家畜動物の健康および/または幸福を促進するための栄養素をさらに含み、前記栄養素が、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ビタミン、微量元素、脂肪、脂肪酸、脂質、炭水化物、ステロール、酵素、カルシウム、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩素、硫黄、クロム、コバルト、銅、ヨウ素、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、セレン、および/または亜鉛の供給源である、本発明1028の組成物。
[本発明1039]
ステアリン酸、パルミチン酸、およびミリスチン酸から選択される飽和長鎖脂肪酸をさらに含む、本発明1028の組成物。
[本発明1040]
L-アラニン、L-ロイシン、およびマンガンから選択される発芽増進物質をさらに含む、本発明1028の組成物。
[本発明1041]
以下の成分:海藻(例えば、アスパラゴプシス・タキシフォルミスおよび/もしくはアスパラゴプシス・アルマタ(Asparagopsis armata));昆布;ニトロオキシプロパノール(例えば、3-ニトロオキシプロパノールおよび/もしくはエチル-3-ニトロオキシプロパノール);アントラキノン;モネンシンおよびラサロシドから選択されるイオノフォア;サポニンおよびタンニンから選択されるポリフェノール;ユッカ・シジゲラエキス(ステロイド系サポニン生産体);キラジャ・サポナリアエキス(トリテルペノイド系サポニン生産植物種);有機硫黄;ニンニクエキス;ケルセチン、ルチン、ケンペロール、ナリンギン、およびアントシアニジンから選択されるフラボノイド;グリーンシトラス果実、ローズヒップ、および/もしくはブラックカラントから単離されるバイオフラボノイド;カルボン酸;ならびにd-リモネン、ピネン、および柑橘類エキスから選択されるテルペンのうちの1つまたは複数をさらに含む、本発明1028の組成物。
[本発明1042]
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が、バイオサーファクタント、酵素、有機酸、脂肪酸、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、アルコール、ポリケチド、天然抗生物質、アルデヒド、アミン、ステロール、およびビタミンから選択される、本発明1028の組成物。
[本発明1043]
1つまたは複数の前記微生物増殖副産物が、1つまたは複数の前記有益な微生物なしで投与される、本発明1028の組成物。
[本発明1044]
以下の投与方法:経口投与、内視鏡を通じた投与、前記消化器系への直接注射を通じた投与、座薬を通じた投与、糞便移植を通じた投与、および/または浣腸を通じた投与のうちの1つまたは複数のための投与に適した担体をさらに含む、本発明1028の組成物。
[本発明1045]
家畜の排出物からの温室効果ガス排出を減少させるための方法であって、本発明1028~1044のいずれかの組成物を前記家畜動物の消化器系に投与する工程を含む、前記方法。
[本発明1046]
家畜の排出物からの温室効果ガス排出を減少させるための方法であって、本発明1028~1044のいずれかの組成物を前記排出物に加える工程を含む、前記方法。
[本発明1047]
前記組成物が、家畜の排泄物の保管および/または処理に使用されるラグーン、汚物沈殿池(tailing pond)、または保管タンクに適用される、本発明1046の方法。
[本発明1048]
前記排出物を有機肥料として圃場または作物に適用する工程をさらに含む、本発明1046の方法。
[本発明1049]
前記圃場または作物に適用される窒素豊富な肥料の量を減少させるために使用される、本発明1048の方法。
[本発明1050]
家畜の排出物からの温室効果ガス排出を減少させるための方法であって、ソホロ脂質バイオサーファクタントを前記排出物に加え、かつ任意でB.アミィを加える工程を含む、前記方法。
【国際調査報告】