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特表2023-514218組織成長の防止を伴うシャントシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】組織成長の防止を伴うシャントシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/11 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
A61B17/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548769
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 US2021016142
(87)【国際公開番号】W WO2021162888
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】62/975,024
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】タランヌム・イスハーク・グティエレス
(72)【発明者】
【氏名】リンダ・タイ
(72)【発明者】
【氏名】ザカリー・チャールズ・バンエブリ
(72)【発明者】
【氏名】デニス・タウズ
(72)【発明者】
【氏名】クーパー・ライアン・リッカーソン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB05
4C160BB30
4C160CC32
4C160CC40
(57)【要約】
シャントは、組織壁の開口部内に少なくとも部分的に嵌るように構成された中央フロー部を備える。組織壁は、第1の解剖学的チャンバと第2の解剖学的チャンバとの間に位置し、開口部は、第1の解剖学的チャンバと第2の解剖学的チャンバとの間の血流路を構成する。中央フロー部は、第1の解剖学的チャンバから第2の解剖学的チャンバまで血流路を維持するようにさらに構成される。シャントは、シャントの周りの組織の成長を変化させるように構成された障壁をさらに備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織壁の開口部内に少なくとも部分的に嵌り、前記開口部を維持するように構成された中央フロー部であって、前記組織壁が、第1の解剖学的チャンバと第2の解剖学的チャンバとの間に位置し、前記開口部が、前記第1の解剖学的チャンバと前記第2の解剖学的チャンバとの間に血流路を形成する、中央フロー部と、
前記シャントの周りの組織の成長を変化させるように構成された障壁と
を備えるシャント。
【請求項2】
前記中央フロー部から延びる1つまたは複数の固着アームをさらに備え、前記1つまたは複数の固着アームは、前記組織壁に固着するように構成される、請求項1に記載のシャント。
【請求項3】
前記障壁は、前記1つまたは複数の固着アームのうちの少なくとも1つから延びる、請求項2に記載のシャント。
【請求項4】
前記障壁は、前記1つまたは複数の固着アームのうちの少なくとも1つから延びる1つまたは複数のスパイクを備える、請求項3に記載のシャント。
【請求項5】
前記1つまたは複数のスパイクは尖った端部を有する、請求項4に記載のシャント。
【請求項6】
前記障壁は、第1のスパイクと第2のスパイクとを備え、前記第1のスパイクは、前記開口部から、前記第2のスパイクよりも遠くに位置するように構成される、請求項4または5に記載のシャント。
【請求項7】
前記障壁は前記中央フロー部から延びる、請求項1から6のいずれか一項に記載のシャント。
【請求項8】
前記障壁は、前記組織壁の第1の面にわたって延びるように構成された第1の部分を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のシャント。
【請求項9】
前記第1の部分は、前記組織壁の前記第1の面にわたって約45度の角度に延びるように構成される、請求項8に記載のシャント。
【請求項10】
前記障壁は、前記組織壁の第2の面にわたって延びるように構成された第2の部分を備える、請求項8または9に記載のシャント。
【請求項11】
前記第1の部分と前記第2の部分は、単一の連続的なデバイスを形成する、請求項10に記載のシャント。
【請求項12】
前記開口部は楕円形状を有し、前記第1の部分は、先細りの楕円形状を有する少なくとも部分的な円錐を形成し、前記第1の部分は、前記組織壁の前記第1の面上の完全楕円状の組織にわたって延びる、請求項8から11のいずれか一項に記載のシャント。
【請求項13】
前記第1の部分は、前記開口部にわたって延びない、請求項12に記載のシャント。
【請求項14】
前記第1の部分の長さは、前記第1の部分の幅および厚さよりも大きい、請求項8から13のいずれか一項に記載のシャント。
【請求項15】
前記第1の部分は、中空の中央部が前記開口部と位置合わせされるように構成された少なくとも部分的な楕円形リングの形状を有する、請求項8から14のいずれか一項に記載のシャント。
【請求項16】
前記中央フロー部から延びる1つまたは複数の固着アームをさらに備え、前記1つまたは複数の固着アームは、前記組織壁に固着するように構成される、請求項15に記載のシャント。
【請求項17】
前記障壁は、前記1つまたは複数の固着アームの少なくとも1つから延びる、請求項16に記載のシャント。
【請求項18】
前記障壁は、前記1つまたは複数の固着アームと前記組織壁との間に位置するように構成される、請求項16または17に記載のシャント。
【請求項19】
前記中央フロー部は、前記開口部内の組織の内部成長を防止するようにさらに構成される、請求項1から18のいずれか一項に記載のシャント。
【請求項20】
前記中央フロー部は、前記組織壁の拡張に応じて拡張するように構成される、請求項1から19のいずれか一項に記載のシャント。
【請求項21】
組織壁に開口部を形成するステップと、
前記開口部における組織の内部成長を防止するために前記開口部の周りの組織の領域を処理するステップと、
前記開口部にシャントを配置するステップとを含む方法。
【請求項22】
前記組織の前記領域は、楕円形状を有し、前記開口部を完全に囲む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記シャントは、組織壁の開口部内に少なくとも部分的に嵌り前記開口部を維持するように構成された中央フロー部を備え、前記組織壁は、第1の解剖学的チャンバと第2の解剖学的チャンバとの間に位置し、前記開口部は、前記第1の解剖学的チャンバと前記第2の解剖学的チャンバとの間の血流路を形成する、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記シャントは、前記シャントの周りの組織の成長を変化させるように構成された障壁をさらに備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記組織の前記領域を処理することは、前記組織の前記領域を焼成することを含む、請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、2020年2月11日に出願された、SHUNT SYSTEMS AND METHODS WITH TISSUE GROWTH PREVENTIONという名称の米国仮出願第62/975,024号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、概して、心シャント、ならびに送達のシステムおよび方法に関し、詳細には、左房圧を低下させるためのシャントに関する。
【背景技術】
【0003】
心不全は、ヒトに影響を与える一般的で場合によっては致死的な状態であり、次善の臨床転帰では、最大限の治療にもかかわらず、症状、病的状態、および/または死亡に至ることが多い。具体的には、「拡張期心不全」は、左心室収縮機能(駆出率)が保たれており主要な弁膜症がない状態で生じる心不全の臨床症候群を指す。この状態は、左心室が硬くなり、コンプライアンスが低下し、弛緩が損なわれ、それによって拡張終期圧が上昇することを特徴とする。心不全の患者の約3分の1が拡張期心不全を有し、有効であることが証明された治療はあるとしてもごくわずかである。
【0004】
拡張期心不全の症状は、少なくとも大部分が左心房の圧力の上昇に起因する。心不全(HF)を含むいくつかの心臓病には左房圧(LAP)の上昇が存在する。拡張期心不全に加えて、左心室の収縮機能障害および弁疾患を含むいくつかの他の内科的疾患が左心房の圧力を上昇させることがある。駆出率が保持された心不全(HFpEF)と駆出率が低下した心不全(HFrEF)はどちらもLAPの上昇を示すことがある。どちらのHF部分群でも、LAPを低下させると、有利には、左心室に対する収縮期前負荷、すなわち、左心室拡張終期圧(LVEDP)が低下する場合があるという仮説が立てられている。この場合、肺循環に対する圧力も解放され、肺水腫のリスクが軽減し、呼吸が改善されるとともに患者の快適さが向上する場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示を要約するために、ここでいくつかの態様、利点、および新規の特徴について説明する。必ずしもすべてのそのような利点が任意の特定の実施形態に従って実現されるとは限らないことを理解されたい。したがって、開示される実施形態は、本明細書で教示される1つの利点または一群の利点を、本明細書で教示または示唆される場合がある他の利点を必ずしも実現せずに実現または最適化するように実施されてもよい。
【0006】
本開示のいくつかの実装形態は、組織壁の開口部内に少なくとも部分的に嵌るように構成された中央フロー部を備えるシャントに関する。組織壁は、第1の解剖学的チャンバ(anatomical chamber)と第2の解剖学的チャンバとの間に位置し、開口部は、第1の解剖学的チャンバと第2の解剖学的チャンバとの間の血流路を形成する。中央フロー部はさらに、第1の解剖学的チャンバから第2の解剖学的チャンバまでの血流路を維持するように構成される。シャントは、シャントの周りの成長を変化させるように構成された障壁をさらに備える。
【0007】
シャントは、中央フロー部から延びる1つまたは複数の固着アームをさらに備えてもよい。1つまたは複数の固着アームは、組織壁に固着するように構成されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、障壁は、1つまたは複数の固着アームのうちの少なくとも1つから延びる。障壁は、1つまたは複数の固着アームのうちの少なくとも1つから延びる1つまたは複数のスパイクを備えてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のスパイクは、尖った端部を有する。障壁は、第1のスパイクと第2のスパイクとを備えてもよい。第1のスパイクは、開口部から第2のスパイクよりも遠くに位置するように構成されてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、障壁は、中央フロー部から延びる。障壁は、組織壁の第1の面にわたって延びるように構成された第1の部分を備えてもよい。いくつかの実施形態では、第1の部分は、組織壁の第1の面にわたって約45度に延びるように構成される。
【0011】
障壁は、組織壁の第2の面にわたって延びるように構成された第2の部分を備えてもよい。いくつかの実施形態では、第1の部分と第2の部分は、単一の連続的なデバイスを形成する。
【0012】
開口部は、楕円形を有してもよく、第1の部分は、先細りの楕円形を有する少なくとも部分的な円錐を形成してもよく、第1の部分は、組織壁の第1の面上で完全楕円状の組織にわたって延びる。いくつかの実施形態では、第1の部分は開口部にわたって延びない。
【0013】
第1の部分の長さは、第1の部分の幅および厚さよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の部分は、中空の中央部が開口部に位置合わせされるように構成された、少なくとも部分的な楕円形のリングの形状を有してもよい。シャントは、中央フロー部から延びる1つまたは複数の固着アームをさらに備えてもよい。1つまたは複数の固着アームは、組織壁に固着するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、障壁は、1つまたは複数の固着アームのうちの少なくとも1つから延びる。障壁は、1つまたは複数の固着アームと組織壁との間に位置するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、中央フロー部は、開口部内の組織の内部成長を防止するようにさらに構成される。中央フロー部は、組織壁の拡張に応じて拡張するように構成されてもよい。
【0014】
本開示のいくつかの実装形態は、組織壁に開口部を形成するステップと、開口部における組織の内部成長を防止するために開口部の周りの組織の領域を処理するステップと、開口部にシャントを配置するステップとを含む方法に関する。
【0015】
組織の領域は、楕円形を有し、開口部を完全に囲んでもよい。いくつかの実施形態では、シャントは、組織壁の開口部内に少なくとも部分的に嵌るように構成された中央フロー部を備える。
【0016】
組織壁は、第1の解剖学的チャンバと第2の解剖学的チャンバとの間に位置してもよく、開口部は、第1の解剖学的チャンバと第2の解剖学的チャンバとの間の血流路を構成してもよい。中央フロー部は、第1の解剖学的チャンバから第2の解剖学的チャンバまで血流路を維持するようにさらに構成されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、シャントは、シャントの周りの組織の成長を変化させるように構成された障壁をさらに備える。組織の領域の処理は、組織の領域を焼成することを含んでもよい。
【0018】
例示のために様々な実施形態が添付の図面に示されているが、これらの実施形態が本発明の範囲を限定するものであると解釈すべきではない。さらに、それぞれに異なる開示される実施形態の様々な特徴を組み合わせて追加の実施形態を形成することができ、このような追加の実施形態は本開示の一部である。図面全体にわたって、参照要素同士の間の対応を示すために参照番号を再使用することがある。しかし、同様の参照番号を複数の図面に関連して使用することが必ずしも、関連付けられたそれぞれの実施形態が類似していることを意味するとは限らないことを理解されたい。さらに、それぞれの図面の要素が必ずしも縮尺どおりに描かれているとは限らず、各要素の図示されたサイズが本発明の態様を例示することを目的として提示されていることを理解されたい。一般に、図示された要素のうちのいくつかは、いくつかの実施形態または構成に例示された要素よりも比較的小さい場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】いくつかの実施形態による拡張可能なシャントを展開するように心臓内および心臓の周囲でガイドワイヤおよび/またはカテーテルを操縦するためのいくつかの進入経路を示す図である。
図2】いくつかの実施形態による拡張可能なシャントを展開するための方法を示す図である。
図3A】いくつかの実施形態による、開口部にシャントを配置するための組織壁を貫通する開口部の側面図である。
図3B】いくつかの実施形態による、開口部にシャントを配置するための組織壁を貫通する開口部の上から(たとえば、左心房から)見た図である。
図4】いくつかの実施形態による、シャントおよび/もしくは組織壁の開口部における組織成長ならびに/またはシャントおよび/もしくは組織壁の開口部の周りの組織成長を防止し、封じ込め、ならびに/または抑制するための1つもしくは複数の障壁を有するシャントを示す図である。
図5】いくつかの実施形態による、組織成長を防止し、封じ込め、ならびに/または抑制するための1つもしくは複数の障壁スパイクを有するシャントを示す図である。
図6】いくつかの実施形態による開口部の周りの組織の領域を処理するステップを含む組織成長を防止し、抑制し、ならびに/または封じ込める方法を示す図である。
図7】いくつかの実施形態による、組織成長を防止し、封じ込め、ならびに/または抑制するための上部障壁を有するシャントを示す図である。
図8A】いくつかの実施形態による、組織成長を防止し、封じ込め、ならびに/または抑制するための下部障壁を有するシャントの側面図を示す図である。
図8B】いくつかの実施形態による、組織成長を防止し、封じ込め、ならびに/または抑制するための下部障壁を有するシャントの、上から(たとえば、左心房から)見た図である。
図9】いくつかの実施形態によるシャントを人体に送達しならびに/または固着するためのプロセスの例の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書において示す見出しは、説明の都合上示すものに過ぎず、必ずしも請求される発明の範囲または意味に影響を及ぼすものではない。
【0021】
概要
脊椎動物において、心臓は、各々がそれ自体の一方向弁を備える4つのポンプ室、すなわち、左心房および右心房ならびに左心室および右心室を有する中空の筋肉性器官である。生体心臓弁は、大動脈弁、僧帽弁(または二尖大動脈弁)、三尖弁、および肺動脈弁として特定され、各々が、心房および心室筋線維に直接または間接的に取り付けられた密な線維輪を備える弁輪に取り付けられている。各弁輪は、流量オリフィスを画定する。4つの弁は、心周期の間血液が誤った方向に流れないことを確実にし、すなわち、血液が弁を通って逆流しないことを確実にする。血液は、静脈系および右心房から三尖弁を通って右心室へ流れ、次いで右心室から肺動脈弁を通って肺動脈および肺へ流れる。次いで、酸素を豊富に含む血液が左心房から僧帽弁を通って左心室に流れ、最後に左心室から大動脈弁を通って大動脈/動脈系に流れる。
【0022】
心不全は、ヒトに影響を与える一般的で場合によっては致死的な状態であり、次善の臨床転帰では、最大限の治療にもかかわらず、症状、病的状態、および/または死亡に至ることが多い。具体的には、「拡張期心不全」は、左心室収縮機能(駆出率)が保たれており主要な弁膜症がない状態で生じる心不全の臨床症候群を指す。この状態は、左心室が硬くなり、コンプライアンスが低下し、弛緩が損なわれ、それによって拡張終期圧が上昇することを特徴とする。心不全の患者の約3分の1が拡張期心不全を有し、有効であることが証明された治療はあるとしてもごくわずかである。
【0023】
拡張期心不全の症状は、少なくとも大部分が左心房の圧力の上昇に起因する。心不全(HF)を含むいくつかの心臓病には左房圧(LAP)の上昇が存在する。拡張期心不全に加えて、左心室の収縮機能障害および弁疾患を含むいくつかの他の内科的疾患が左心房の圧力を上昇させることがある。駆出率が保持された心不全(HFpEF)と駆出率が低下した心不全(HFrEF)はどちらもLAPの上昇を示すことがある。どちらのHFサブグループでも、LAPを低下させると、有利には、左心室に対する収縮期前負荷、すなわち、左心室拡張終期圧(LVEDP)が低下する場合があるという仮説が立てられている。この場合、肺循環に対する圧力も解放され、肺水腫のリスクが軽減し、呼吸が改善されるとともに患者の快適さが向上する場合がある。
【0024】
肺高血圧症(PH)は、主肺動脈における平均圧力の上昇として定義される。PHは、多くの異なる原因によって発症することがあるが、すべての患者において、死亡率が高くなることが示されている。致死性のPHは、肺動脈の非常に小さい動脈枝において生じ、肺動脈高血圧症(PAH)と呼ばれる。PAHでは、小動脈内部の細胞が損傷または疾患に起因して増殖し、動脈内部の面積を狭くし、動脈壁を厚くする。その結果、これらの小肺動脈が狭窄し硬化し、それによって血流が制限され、上流圧力が上昇する。主肺動脈における圧力のこのような上昇は、根本的な原因にかかわらずすべての形態のPH間に共通する関連性である。以前の試みにかかわらず、左心房、ならびに肺動脈などの影響を受ける他の心腔における上昇した圧力を低下させるための改良された方法が必要である。
【0025】
本開示は、血液を第1の解剖学的チャンバ(たとえば、左心房)から第2の解剖学的チャンバ(たとえば、冠状静脈洞)に短絡させることによって、上昇したLAPを低下させ得る方法およびデバイスを提供する。本明細書のいくつかの実施形態についてLAPおよび/または同様の問題の処置に関して説明する場合があるが、説明する短絡デバイスおよび方法は、透析を含む他の問題の処置に使用されてもよい。いくつかの実施形態は、左心房と冠状静脈洞との間に開放経路を画定するシャントを含む。ただし、この方法を使用して、肺動脈と右心房との間などの他の心腔間にシャントを置くことができる。「シャント」という用語は、本明細書ではその広義の通常の意味に従って使用され、任意の短絡手段、ならびに/あるいはある解剖学的チャンバおよび/もしくは血流路と別の解剖学的チャンバおよび/もしくは血流路との間で血液を短絡させならびに/または解剖学的チャンバおよび/もしくは血流路から別の解剖学的チャンバおよび/もしくは血流路まで血液を短絡させるための手段を含んでもよい。シャントは、開放経路の初期崩壊を防止し、また少なくとも開放経路の内面における組織の内部成長を防止するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、シャントは、圧縮され、薄型のシースまたはチューブを介して送達され、拡張状態を再開するように排除されるように拡張可能であってもよい。いくつかの方法は、まず左心房と冠状静脈洞との間の組織壁に穿刺孔を形成し得る展開カテーテルを利用することを含んでもよい。本明細書で説明するカテーテルは、任意の送達手段および/または患者の体内に1つまたは複数のインプラントを送達するための手段を含むことができる。
【0026】
さらに、いくつかの実施形態では、シャントは、送達後に組織壁の拡張に応じて拡張するように構成されてもよい。たとえば、幾人かの患者、および特にHF患者は、アミロイド症、すなわち、心臓内のアミロイド堆積物が心臓壁を硬化させならびに/または厚さを増大させることがあるタンパク障害を経験する場合がある。最大組織壁厚さ仕様を有するシャントインプラントは、あるレベルの組織成長/拡張に対応するように構成されないことがある。たとえば、いくつかのシャントインプラントは、壁厚さ仕様が約4mmである場合がある。しかし、多くのアミロイド症患者は、組織壁厚さが4mmを超えて増大し続けることがあり、したがって、移植後にシャントインプラントの開存性問題が生じる。したがって、シャントインプラントが、組織成長に対する物理的障壁を形成するように構成された要素を含み、ならびに/またはシャントインプラントが、組織成長を防止しおよび/もしくは抑制するためのデバイスおよび方法に関連して送達されると有利である場合がある。たとえば、障壁は、シャントおよび/もしくは組織壁の開口部における組織成長ならびに/またはシャントおよび/もしくは組織壁の開口部の周りの組織成長を防止し、抑制し、ならびに/または封じ込めるためにシャントから延びならびに/またはシャントに取り付けられ得る壁、スパイク、リング、または他のデバイスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、シャントインプラントはまた、少なくとも部分的に拡張可能であり、ならびに/または組織成長に応じて「成長する」ように構成されてもよい。
【0027】
したがって、本明細書で説明するシャントインプラントは、中央フロー部、ならびに/または組織成長を防止しおよび/もしくは抑制するように構成された様々な機械的構成要素に取り付けられるように構成され得る固着アームを含んでもよい。固着アームは、
任意の固着手段ならびに/またはシャントインプラントおよび/もしくはシャントインプラントの一部を固着するための手段を含んでもよい。いくつかの実施形態では、シャントインプラントは、シャントインプラントの周りのおよび/もしくは近くの組織成長を防止しならびに/または抑制するように構成された方法を使用して送達されてもよい。シャントインプラントは、組織成長を防止しならびに/または抑制するために様々な機械的システムを組み込んでもよい。これらの方法、インプラント、および展開システムの詳細について以下に説明する。
【0028】
図1は、本出願の拡張可能なシャントを展開するように心臓1内および心臓1の周囲でガイドワイヤおよびカテーテルを操縦するためのいくつかの進入経路を示す。たとえば、上方から鎖骨下静脈11または頸静脈12を介して上大静脈(SVC)15、右心房(RA)5に進入し、そこから冠状静脈洞(CS)19内に進入してもよい。代替的に、進入経路は、大腿動脈13から始まり、下大静脈14を通って心臓1に入ってもよい。他の進入経路が使用されてもよく、各進入経路は一般に、経皮切開部を利用し、経皮切開部を通して、ガイドワイヤおよびカテーテルが通常、密封イントロデューサによって血管系に挿入され、そこから、医師が人体の外側からデバイスの遠位端を制御する。
【0029】
図2は、本明細書で説明する拡張可能なシャントを含む様々なインプラント10を展開するための方法を示し、この場合、鎖骨下静脈または頸静脈を通し、SVC15を通して冠状静脈洞19内にカテーテル16が導入される。ガイドワイヤが経路を形成した後、イントロデューサシースを一般に、拡張器を使用することによってガイドワイヤに沿って患者の血管系内に送ってもよい。図2は、SVC 15から心臓1の冠状静脈洞19まで延びる展開カテーテル16を示し、展開カテーテル16は、イントロデューサシースを通過しており、イントロデューサシースは止血便を形成して失血を防止する。
【0030】
一実施形態では、展開カテーテル16は、長さが約30cmであってもよく、ガイドワイヤは、使いやすいように30cmよりもある程度長くてもよい。いくつかの実施形態では、展開カテーテルは、左心房2の壁に開口部を形成し準備するように働いてもよく、拡張可能なシャントを送達するために別個の配置カテーテルまたはデリバリカテーテルが使用される。他の実施形態では、展開カテーテルは、全機能を有する穿刺孔準備およびシャント配置両用カテーテルとして使用されてもよい。本出願では、「展開カテーテル」または「デリバリカテーテル」という用語は、これらの機能の一方または両方を有するカテーテルまたはイントロデューサを表すために使用される。
【0031】
冠状静脈洞19は、主として左心房2の周りに隣接しているので、ステントについての様々な受け入れられる配置が可能である。ステントの配置用に選択される部位としては、CTスキャンまたは蛍光透視法もしくは血管内エコー(IVUS)などのX線撮影技法などの非侵襲診断手段によって事前に決定された、特定の患者の組織がより薄いかまたはより低密度である領域が選択されてもよい。
【0032】
LAPを低下させるためのいくつかの方法は、左心房2と右心房5との間において心房中隔を通してシャントを利用することを含む。これは、2つの構造が隣接しており、経中隔アクセスが一般的な方法であるので好都合な手法である。しかし、塞栓が心臓の右側から左側に移動し、脳卒中リスクが生じる可能性があり得る。この事象は、主としてせき、くしゃみ、バルサルバ法、または排便などの離散的事象時に、右房圧が左房圧を超えた場合にのみ生じると考えられる。中隔の解剖学的位置によって、当然のことながら、シャントが存在し、圧力勾配が反転した場合に塞栓が自由に心房間を移動するのが可能になる。このことは、シャント内の弁要素またはフィルタ要素によって軽減されるが、それにもかかわらず塞栓が横切る場合がある。
【0033】
冠状静脈洞19への短絡にはいくつかの顕著な利点があり、主として冠状静脈洞19は、いくつかの理由で塞栓が存在する可能性がかなり低いことである。第1に、冠血管系から右心房5に流出する血液は毛細血管を通過した直後であり、したがって、基本的に濾過された血液である。第2に、右心房5内の冠状静脈洞19の口部は、テベシウス弁と呼ばれる擬似弁によって部分的に覆われることが多い。テベシウス弁は常に存在するとは限らず、いくつかの研究によって、テベシウス弁が60%超の心臓に存在し、冠状静脈洞に対する生体の「番犬」として働き、右房圧が急上昇した場合に塞栓が進入するのを防ぐことがわかっている。第3に、冠状静脈洞19と塞栓が流入する右心房5との間の圧力勾配は非常に低く、このことは、右心房5内の塞栓がそこに留まる可能性が高いことを意味する。第4に、塞栓が冠状静脈洞19に進入する場合、右心房5と冠血管系との間には右心房5と左心房2との間よりもずっと大きい勾配が存在する。最も可能性の高い塞栓は、右房圧が正常に戻るまでさらに冠血管系に沿って移動し、次いで塞栓は直接右心房5に戻る。
【0034】
左心房2と冠状静脈洞19との間にシャントを位置させることのいくつかの追加的な利点は、この生体構造が中隔よりも可動性が低く(より安定している)、したがって、この生体構造が中隔を後で代替治療のための経中隔アクセスができるように保持することであり、場合によっては、治療上の他の利点がもたらされることがある。左心房血液を冠状静脈洞19に送ることによって、洞圧がわずかに上昇することがある。これによって冠血管系内の血液が心臓内をより低速で移動し、灌流量および酸素移動量が増大し、灌流および酸素移動がより効率的になって壊死しつつある心筋が回復するのを助けることもできる。まさにこれを行うように設計されたデバイスとしてNeovasc Reducerがある。経中隔アクセスの保持も、HF患者が心房細動(AF)および僧帽弁逆流(MR)のようないくつかの他の併存症を有することが多く、これらの状態を治療するための治療のいくつかが経中隔手法を必要とするので、非常に顕著な利点である。
【0035】
シャントは、肺動脈と右心房5との間など他の心腔間に配置されてもよい。シャントは望ましくは、本明細書で説明する展開器具を使用して、カテーテルが上方から接近し、肺動脈を通過することによって肺動脈の壁内に移植されてもよい。上述のように、肺高血圧症(PH)は、主肺動脈内の平均圧力の上昇として定義される。血液は、圧力差によって肺動脈から右心房5内への方向に流れが生じた場合にシャントを通過してその方向に流れ、それによって圧力が減衰し、肺動脈への損傷が軽減される。この目的は、肺動脈内の圧力スパイクを減衰させることである。シャントはまた、肺動脈から他の心腔(たとえば、左心房2)および/または血管まで延びてもよい。好ましいものでも図示されたものでもないが、シャントは、逆流を防ぐための一方向弁、または血液が指定された圧力を超えることのみを許容するための逆止め弁をさらに含んでもよい。本出願は、心臓のチャンバ間に流路を維持するための新しいシャントを開示する。本明細書で説明するいくつかのシャントは、少なくとも部分的に拡張可能であってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、シャントは、様々な要素を有してもよく、ならびに/または組織成長を防止し、抑制し、および/もしくは封じ込めるための様々な障壁を有するデバイスと組み合わせて使用されてもよい。本明細書では、「障壁」という用語は、その広義の通常の意味に従って使用され、シャントの任意の特徴を含み、ならびに/またはシャントにおける組織成長および/もしくはシャントの周りの組織成長を少なくとも部分的に防止し、抑制し、低減させ、封じ込め、ならびに/またはその他の方法で変化させるためにシャントとともに使用されるように構成されてもよい。本明細書で説明するシャントは、外科医用の送達手順を簡略化しならびに/または向上させるための様々な要素を有してもよい。たとえば、シャントは、様々なサイズおよび/もしくは形状を有する開口部および/もしくは組織壁に適合するように必要/所望に応じて形作られならびに/または成形されるのを可能にするように少なくとも部分的に可撓性を有し、圧縮可能であり、ならびに/または弾性を有してもよい。
【0036】
図3Aは側面図であり、図3Bは、(たとえば、冠状静脈洞19と左心房2との間の)組織壁308を貫通する開口部(すなわち、穿刺孔)311の上から(たとえば、左心房2)から見た図であり、開口部311内にシャントが配置される。図3Aに示すように、シャント展開またはデリバリカテーテル350を2つの腔(たとえば、冠状静脈洞19と左心房2)間の組織壁308まで前進させてもよい。組織壁308の第1の面301は、第1の解剖学的チャンバ(たとえば、左心房2)のある面上に位置してもよく、ならびに/または組織壁308の第2の面303は、第2の解剖学的チャンバ(たとえば、冠状静脈洞19)のある面上に位置してもよい。カテーテル350は、柔らかいならびに/または先細りの遠位先端352を有してもよい。デリバリカテーテル350を組織壁308の開口部311を通して、たとえば左心房2内に前進させてもよい。開口部は様々な方法のうちの任意の方法で形成されてもよい。1つの例示的な方法を以下に示す。
【0037】
最初に、ガイドワイヤをたとえば、右心房から冠状静脈洞19の口部または開口部を通して冠状静脈洞19内に前進させてもよい。穿刺カテーテルをガイドワイヤに沿って前進させてもよい。穿刺カテーテルをイントロデューサシースの近位端を通して人体内に導入してもよい。イントロデューサシースは、特定の血管経路(たとえば、頸動脈または鎖骨下静脈)への進入を可能にしてもよく、止血弁をその内に有してもよい。外科医は、イントロデューサシースを固定位置に保持しながら、穿刺カテーテルを移植部位まで操作することができる。鋭い先端を含む穿刺針を有する穿刺カテーテルをカテーテルに沿って前進させ、壁308に穿刺してたとえば、左心房2に挿入する。穿刺エクスパンダをガイドワイヤに沿って前進させ、組織壁308を貫通させて左心房2に挿入してもよい。穿刺エクスパンダは、たとえば細長い膨張可能バルーンであってもよい。組織壁308を貫通する穿刺孔を広げるように穿刺エクスパンダを半径方向外側に広げてもよい。
【0038】
シャントをカテーテル350の内腔を通して送達してもよい。送達の間、シャントは、送達を容易にするために折畳み形態であってもよい。たとえば、シャントは、カテーテル350を通した送達を容易にするために最小限の形状を有するように巻かれ、曲げられ、捩じられ、ならびに/またはその他の方法で形成されてもよい。シャントは、カテーテル350の内側シースと外側シースとの間の環状空間内に配置されてもよい。シャントが組織壁308にぴったりと係合して配置されるように内側シースを引き込んでもよい。カテーテル350および/またはシャントの配置を容易にするようにX線不透過性マーカを設けてもよい。左心房2と冠状静脈洞19との間に開口部を形成することによって、血液は左心房2(通常、>8mmHg)から冠状静脈洞19(通常、<8mmHg)に流れることができる。
【0039】
図4は、いくつかの実施形態による、シャント400および/もしくは組織壁の開口部における組織成長ならびに/またはシャント400および/もしくは組織壁の開口部の周りの組織成長を防止し、封じ込め、ならびに/または抑制するための1つまたは複数の障壁404を有するシャント400を示す。本明細書では、「障壁」という用語は、組織の少なくとも一部とシャントおよび/もしくは組織壁408の開口部の少なくとも一部との間に障壁および/もしくは障害物を形成するように構成された材料の任意の部分を指してもよい。シャント400は、組織壁408に開口部を維持しならびに/または組織壁408を通した血流を可能にするように構成された様々な要素および/もしくは構成要素のいずれかを備えてもよい。いくつかの実施形態では、シャント400は、組織壁408の開口部内に少なくとも部分的に位置するように構成され得る中央フロー部402を備えてもよい。いくつかの実施形態では、シャント400は、単一のデバイスを形成するように取り付けられ、接続され、ならびに/または他の方法で接合され得る複数の別個の構成要素を備えてもよい。たとえば、中央フロー部402は、組織壁408の開口部の形状を近似し得る概ね菅形状を形成するための複数の構成要素を備えてもよい。たとえば、開口部は、概ね楕円(たとえば、円)形(たとえば、図3B参照)を有し、中央フロー部402は、開口部の所で組織壁408の表面内に嵌りならびに/または表面に押し付けられるように概ね円筒形状および/もしくは菅形状を形成するように構成されてもよい。
【0040】
1枚もしくは複数の壁404は、中央フロー部402からおよび/もしくはシャント400の1つもしくは複数の固着アーム414から外側に延びるように構成されてもよい。たとえば、壁404は、中央フロー部402から延び、ならびに/または中央フロー部402に取り付けられてもよいが、1枚もしくは複数の壁404は、1つもしくは複数の固着アーム414のうちの少なくとも1つから延びならびに/または1つもしくは複数の固着アーム414のうちの少なくとも1つに取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、1枚もしくは複数の壁404は、V字形の中央フロー部402から外側に延びてもよい。たとえば、第1の壁404aは、中央フロー部402から第1の方向に(たとえば、組織壁408の第1の面401上に)延びてもよく、第2の壁404bは、中央フロー部402から第2の方向に(たとえば、組織壁408の第2の面403上に)延びて、第1の壁404aと第2の壁404bとの間に第1の角度410を形成してもよい。たとえば、第1の角度410は、約90度であってもよい。いくつかの実施形態では、壁404は、細長いシートを備えてもよく、壁404の中央部において曲がって、中央フロー部402から外側にそれぞれに異なる方向に延びる第1の部分(すなわち、第1の壁404a)と第2の部分(すなわち、第2の壁404b)を形成し、壁404同士間の分離の第1の角度410を形成してもよい。したがって、第1の壁404aと第2の壁404bは単一の連続的なデバイスを構成してもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、壁404は、壁404の幅418と比較して比較的小さい厚さ416を有する材料のシートを備えてもよく、ならびに/または壁404の長さ420と比較して比較的小さい厚さ416および/もしくは幅418を有してもよい。しかし、壁404は、厚さ416、幅418、および/もしくは長さ420を有してもよい。各壁404が、共通の厚さ416、幅、および/もしくは長さ420を有してもよく、または個々の壁404が、それぞれに異なる厚さ416、幅、および/もしくは長さ420を有してもよい。図4に示すように、シャント400は、別個のならびに/または有限の幅418を有する複数の異なる壁404を備えてもよい。しかし、いくつかの実施形態では、壁404は、概ね円錐状を有し、壁404の幅418は概ね楕円形に延び、完全な楕円またはほぼ完全な楕円を形成してもよい。たとえば、第1の壁404aおよび/または第3の壁404cの各々が、互いに接合して概ね円錐形状を形成するまで非直線状に延びてもよい。たとえば、壁404は、概ね楕円形を有してもよく、組織壁の上方に完全な楕円形またはほぼ完全な楕円形の組織を形成する(たとえば、組織壁408の第1の面401に完全な楕円形の組織を形成する)。したがって、第1の壁404aと第3の壁404cは横方向に(たとえば、第1のライン430に沿って)延びて組織壁408の第1の面401の周りに単一の連続的な壁404(たとえば、少なくとも部分的な円錐形状を有する)を形成してもよい。同様に、第2の壁404bと第4の壁404dは単一の連続的な壁を形成するように延びてもよい。さらに、壁404は、概ね先細り形状を有してもよく、壁404の直径は、壁404が中央フロー部402および/または開口部からさらに延びるにつれて大きくなる。壁404は、組織壁408の開口部に位置合わせされるように構成された中空の中央部を有し得るので部分的な円錐形状のみを有してもよい。したがって、壁404は、組織壁408の開口部にわたって延びない場合がある。
【0042】
さらに、第1の壁404a、第2の壁404b、第3の壁404c、および第4の壁404dは、二重円錐または部分的な二重円錐を形成してもよく、二重円錐の頂点は、中央フロー部402における真の頂点または中央フロー部402の近くの真の頂点であってもよく、ならびに/または頂点は存在せず、壁404の二重円錐形は、管形状の中央フロー部402および/もしくは組織壁408の開口部を近似する中空の中央部を有してもよい。
【0043】
壁404は、シャント400の周りの組織成長を防止し、抑制し、ならびに/または封じ込めるように構成されてもよい。各壁404は、中央フロー部402から外側に組織壁408の一部にわたって延びてもよい。たとえば、第1の壁404aは、組織壁408の第1の面401の一部にわたって延びてもよい。図4に示すように、第1の壁404aは、組織壁408の第1の面401から第2の角度412に延びてもよい。いくつかの実施形態では、第1の壁404aは、組織壁408に対して概ね平行または垂直方向に延びてもよい。第1の壁404aおよび/または他の壁404は、概ね直線形状を有するように示されているが、各壁404は、湾曲を有してもよく、ならびに/または所望に応じて様々な点で曲がってもよい。壁404は、組織壁408(たとえば、組織壁408の第1の面401)にわたって任意の角度に延びるように構成されてもよい。たとえば、壁404は、第1の壁404aと組織壁の第1の面401との間の第2の角度412が約45度になるように延びるように構成されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、壁404は、組織壁408を少なくとも部分的に貫通しならびに/または通過するように構成されてもよい。たとえば、壁404は、中央フロー部402から外側に延びて組織壁408に入ってもよい。壁404は、組織壁408に部分的に埋め込まれてもよく、ならびに/または組織壁408の一部が組織壁408から突き出してもよい。
【0045】
組織壁408の厚さが大きくなりならびに/または他の理由で組織壁408が拡張すると(たとえば、内側に中央フロー部402に向かって成長する)、組織は壁404に押し付けられてもよい。壁404は、少なくとも部分的に中実の材料で構成され、ならびに/または壁404を通じた組織成長を防止しならびに/または少なくとも部分的に抑制し得るほど密に相互接続された材料の網状体で構成されてもよい、
【0046】
1つもしくは複数の固着アーム414のいずれかは、1つもしくは複数の固着機構を備えてもよく、この固着機構は、たとえば、固着アームの端部に位置してもよい。適切な固着機構は、組織壁を貫通しならびに/または他の態様で組織壁にしっかりと接触するように構成された任意のデバイスを含んでもよい。たとえば、固着機構は、バーブ、フック、ネイル、およびスクリューのうちの1つまたは複数を備えてもよい。シャント400を組織壁408に配置するとき、固着機構は、組織壁408と相互作用してシャント400を所定の位置にしっかりと保持するように構成されてもよい。
【0047】
本明細書で説明する中央フロー部402および/または固着アーム414を含む、シャント400の様々な要素は、本出願の他の図において説明しならびに/または示すシャントデバイスに適用されてもよい。たとえば、図4に示すシャント400に関する任意の説明は、本明細書で説明する図5におけるシャント500、図7におけるシャント700、および/または図8Aおよび図8Bにおけるシャント800に同様に適用されてもよい。さらに、他の図に関して示しならびに/または説明する他のシャントは図4に示すような壁404を含まない場合があるが、他の図に関して説明するシャントに壁404を付加してもよいことを理解されたい。同様に、本明細書の他の図に関して説明する様々な要素は、図4および/または本明細書の他の図のシャント400が各図に関して示されならびに/または説明されていない場合でもシャント400に付加されてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、シャント400は、カテーテルの内腔の通過を容易にするように拡張構成と折畳み(たとえば、概ね管状)構成との間で移動可能であるよういいに構成されてもよい。たとえば、中央フロー部420は、カテーテルの内腔内に嵌るように巻かれ、曲げられ、捩じられ、または他の方法で圧縮されるように構成されてもよい。中央フロー部402は、体内に送達される間および/または送達された後事前に定義された形状および/またはサイズに拡張されるように構成されてもよい。シャント400は、1つまたは複数の固着アーム414をさらに備えてもよく、固着アーム414は、フランジ、アーム、アンカー、および/または他のデバイスを含んでもよい。1つもしくは複数の固着アーム414は、カテーテルの内腔の通過を容易にするように少なくとも部分的に折り畳まれるように構成されてもよく、組織壁408に接触しおよび/または組織壁408に取り付けられるように体内での送達の間および/または送達の後に拡張するように構成されてもよい。シャント400の拡張は、たとえば、カテーテルの外側シースを内側シースに対して引き抜くことによって開始されてもよい。シャント400は、固着アーム414がまっすぐに延ばされた2つのシース間の概ね管状の形態に折り畳まれて(たとえば、圧着されて)もよく、固着アーム414は、内側シースを拘束する外側シースが引き抜かれるときにばねの力によって開くように構成されてもよい。固着アーム414は、円形状に拡張する場合とは異なり、共通平面において概ね逆方向に拡張しT字を形成してもよい。直接的な左心房内部での配置が容易になるように固着アーム414上にX線不透過性マーカが設けられてもよい。
【0049】
固着アーム414の対(たとえば、第1の固着アーム414aおよび第2の固着アーム414b)は、固着アームのクランピング(すなわち、ピンチング)対を形成してもよい。固着アーム414の対は、シャント400を所定の位置に保持するために組織壁408に圧縮力を加えるように構成されてもよい。圧縮力の量は、シャント400を所定の位置に保持するのに十分な量である一方、組織壁408への損傷を回避するために比較的比較的少ない量であってもよい。たとえば、固着アームの対を分離する隙間は、組織の過度のクランピングおよび/または壊死を回避するように較正されてもよい。固着アーム414は、組織壁408の概ね両側(たとえば、組織壁408の第1の面401上に第1の固着アーム414aを配置し、組織壁408の第2の面403上に第2の固着アーム414bを配置する)および/または組織壁408の開口部の概ね両側においてシャント400を固定するように構成されてもよい。中央フロー部402は、組織壁408の各側のチャンバ(たとえば、冠状静脈洞および左心房)間に開放流路を維持するように組織壁408に概ね垂直に位置合わせされるように構成されてもよい。
【0050】
シャント400の構成要素は、各構成要素の固有の弾力性および/または可撓性に起因して自然に自己拡張するように構成されてもよい。たとえば、様々な構成要素(たとえば、中央フロー部402、固着アーム414、および/または壁404)は、ニチノールなどの弾性材料で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、中央フロー部402は、ニチノールチューブをレーザ切削することによって製造されてもよい。中央フロー部402は、壁厚さが約0.1mmから約0.3mmの間であってもよい。
【0051】
図4に示すように、中央フロー部402は、平行四辺形のセル409または開口部のアレイを形成し得る概ね平行四辺形の構成の全体的に薄いストラット407で構成されてもよい。しかし、中央フロー部402は、ストラット407および/またはセル409を含み、任意の形状、サイズ、および/または向きを有してもよい。たとえば、ストラット407は、セル409のサイズを最小限に抑えるように図4よりも全体的に厚い設計を有してもよく、それによって、中央フロー部402内の組織の内部成長がさらに防止される。セル409は、概ね平行四辺形の形状の代わりに、概ね楕円形、三角形、六角形、またはその他の形状を有してもよい。さらに、中央フロー部402は、セル409を備えていなくてもよい。いくつかの実施形態では、ストラット407、セル409、および/または中央フロー部402の形状は一般に、カテーテルの内腔を通過させるために中央フロー部402の折畳み可能性および/または拡張可能性を促進するものであってもよい。
【0052】
フロー部402は、開口部の形状を近似するように概ね円筒形または他の形状を形成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、開口部は、ある直径を有する概ね円形の開口部を形成するように穿刺点からすべての方向において概ね均等に広げられてもよい。したがって、フロー部402は、ストラット407を含み、長手方向軸に沿って開口部の周りに(すなわち、開口部内へ)少なくとも部分的に丸い形状ならびに/または円形状を有してもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、拡張可能なシャント400は、送達時には圧縮された形態および/または場合によっては拡張可能な形態であってもよい。たとえば、送達時には、中央フロー部402、固着アーム414、および/もしくは壁404は、デリバリカテーテルの通過を容易にするために最小限の形状を有するように折り畳まれ、曲げられ、ならびに/または他の方法で圧縮されてもよい。送達後、中央フロー部402、固着アーム414、および/もしくは壁404は、広げられ、開けられ、ならびに/または拡張されるように(たとえば、図4に示す構成を形成するように)構成されてもよい。いくつかの実施形態では、中央フロー部402、固着アーム414、および/または壁404の少なくとも一部は、ニチノールおよび/または形状記憶特性を有する同様の材料で構成されてもよく、それによって、シャント400は、デリバリカテーテルから取り外された後に自然に所定の形態をとってもよい。
【0054】
さらに、中央フロー部402および/または固着アーム414は、組織壁408の成長および/または拡張に応じて拡張するように構成されてもよい。第1の固着アーム414aと第2の固着アーム414bは、たとえば、組織壁408が拡張したときに(すなわち、厚くなる)、組織壁408の成長に対応するようにさらにある程度互いに分離するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、中央フロー部402、固着アーム414、および/または壁404は、組織壁408の拡張に応じて伸長するように構成されてもよい。たとえば、中央フロー部402、固着アーム414、および/または壁404は、ある程度伸長するのを可能にする可撓性材料および/または弾性材料で少なくとも部分的に構成されてもよい。シャント400は、組織壁408が拡張したときに、組織壁408の拡張に対応するように伸長するように構成されてもよい。
【0055】
図4図8の各々は、医療インプラントにおける組織成長または医療インプラントの近くの組織成長を防止し、封じ込め、ならびに/または抑制するための要素を含む医療インプラントおよび/もしくはプロセスを示し得るが、これらの要素は、互いに独立に使用されてもよく、または互いに組み合わせて使用されてもよい。たとえば、図4に示すようなシャント400は、組織成長を管理するための任意の追加の要素なしに組織成長を管理するための壁404を含んでもよい。代替的に、たとえば、壁404および/または本明細書で説明する他の要素は、他の要素と組み合わせて利用されてもよい。たとえば、シャント400は、シャント400の壁404および/または他の領域から延びる1つまたは複数のスパイク(図5に示す)および/または障壁(図7および図8に示す)を備えてもよい。別の例として、組織壁408は、シャント400および/または本明細書で説明する任意の他のシャントが送達される前に(図6に示すように)処理されてもよい。
【0056】
図5は、いくつかの実施形態による、組織成長を防止し、封じ込め、ならびに/または抑制するための1つもしくは複数の障壁スパイク504を有するシャント500を示す。シャント500は、上記で図4に関して説明した中央フロー部502および固着アーム514と同様の中央フロー部502および/または1つもしくは複数の固着アーム514を備えてもよい。固着アーム514は、組織壁508の第1の面501および/もしくは第2の面503に接触しならびに/または取り付けられるように中央フロー部502から延びるように構成されてもよい。
【0057】
シャント500は、1つもしくは複数のスパイク504をさらに備えてもよく、スパイク504は、固着アーム514および/もしくは中央フロー部502から延び得る針、ロッド、バンプ、ならびに/または他の突起を含んでもよい。図5は各固着アーム514から延びる2つのスパイク504を示すが、固着アーム514から任意の数のスパイク504が延びてもよく、ならびに/または中央フロー部502から1つもしくは複数のスパイク504が延びてもよい。いくつかの実施形態では、スパイク504は、固着アーム514および/または中央フロー部502とは異なる材料で構成されてもよく、スパイク504は、固着アーム514および/または中央フロー部502とは別個の構成要素を表してもよく、固着アーム514および/または中央フロー部502に取り付けられてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、スパイク504は、全体的に薄いデバイスであってもよく、固着アーム514および/または中央フロー部502と接触するベース部505を有してもよい。スパイク504は、ベース部505から端部507まで延びていてもよい。いくつかの実施形態では、ベース部505から端部507までの距離(すなわち、スパイク504の長さ)は、スパイク504の厚さを超えてもよい。しかし、スパイク504は任意の厚さを有してもよく、スパイク504の長さは、スパイク504の厚さよりも小さくてもよい。スパイク504は、組織壁508に概ね垂直に延びるように示されているが、シャント500および/または組織壁508から任意の角度に延びてもよい。たとえば、スパイク504は、中央フロー部502および/または開口部から離れる対角方向または中央フロー部502および/または開口部に向かう対角方向に延びてもよい。
【0059】
スパイク504の端部507は全体的に尖っており、丸く、ならびに/または任意の他の形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、端部507は、組織を貫通することができるほど尖っていてもよい。たとえば、組織壁508が成長/拡張すると、組織は少なくとも部分的に固着アーム514および/または中央フロー部502にわたって延びることがある。組織はスパイク504に接触し、スパイク504は、組織をスパイク504に貫通させることができず、スパイク504上に成長しなければならなくするのに十分な剛性を有することがある。端部507は、組織がスパイク504の端部507にわたって延びるとき、組織を後退させ、ならびに/または少なくとも一方向におけるシャント500上の成長を停止させるように組織を貫通しならびに/または組織に押し付けられるように構成されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、スパイク504は複数のレベルに配置されてもよい。たとえば、第1のスパイク504aは、固着アーム514の遠位端の近くに(すなわち、中央フロー部502から遠位に)配置されてもよく、第2のスパイク504bは、中央フロー部502の近くに配置されてもよい。すなわち、第1のスパイク504aは、中央フロー部502および/または開口部から第2のスパイク504bよりも遠くてもよい。組織壁508が成長/拡張すると、組織は、第1のスパイク504aを通り過ぎた後第2のスパイク504bに接触してもよい。
【0061】
スパイク504は、貫通しならびに/または場合によっては組織成長を抑制するための様々な要素を有してもよい。たとえば、スパイク504は、スパイク504から概ね垂直に延び得る複数のより小さいスパイク504を含んでもよい。したがって、組織がスパイク504上に成長するとき、より小さいスパイクが組織を貫通しならびに/または組織に押し付けられて組織に対する追加の障壁を構成してもよい。同様に、スパイク504は、隆起した表面を有してもよく、ならびに/または組織成長に対する障害物を構成するように砂状材料または同様の研削材で被覆されてもよい。
【0062】
本明細書で説明する様々な実施形態および/または実施形態の要素は組み合わされてもよい。たとえば、1つもしくは複数のスパイク504は、本明細書で図4に関して説明した壁404から延びてもよい。
【0063】
図6は、いくつかの実施形態による、組織壁608の開口部611の周りおよび/または近くにおける組織の1つもしくは複数の領域604を処理することを含む、組織成長を防止し、抑制し、低減させ、ならびに/また封じ込める方法を示す。この方法は、組織の1つもしくは複数の領域604を焼成し、切削し、除去し、焼灼し、瘢痕化し、ならびに/またはその他の方法で処理することを含んでもよい。組織の領域604には、組織壁608の外面の一部(たとえば、組織壁608の左心房面もしくは冠状静脈洞面上)および/または組織壁608の内面上(たとえば、組織壁608の開口部611内)を含めてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、組織の1つもしくは複数の領域604が、シャントを開口部611に配置するかまたは開口部611の近くに配置する前、配置する間、ならびに/あるいは配置した後に処理されてもよい。組織の1つまたは複数の領域604を処理する際に使用される様々な器具が送達されてもよい。たとえば、レーザもしくは同様のデバイスを使用して組織の領域604を除去しならびに/または焼灼してもよい。1つもしくは複数の領域604の処理は、電気アブレーションおよび/または電気焼灼器具を使用して組織の領域604において制御された瘢痕パターンを生じさせならびに/あるいは電導を遮断することを含んでもよい。
【0065】
図6に示すように、領域604は、楕円(円)形状を有してもよく、ならびに/または組織壁608の開口部611の形状を近似してもよい。たとえば、開口部611は、第1の半径609を有する概ね円形状を有してもよく、領域604は同様に、第1の半径609よりも大きい場合がある第2の半径610を有する概ね円形状を有してもよい。しかし、1つまたは複数の領域604は、任意のサイズおよび/または形状を有してもよい。たとえば、領域604は、完全楕円を含まなくてもよく、その代わり、シャントインプラントの固着位置に位置し得るかまたは固着位置の近くに位置し得る直線、ギザギザ、曲線、非直線などの形状を含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数の領域604が形成されてもよい。たとえば、それぞれに異なるサイズおよび/または半径を有する複数の楕円形領域または半楕円形領域604が、楕円形または他の形状を形成してもよい。1つまたは複数の領域604は、開口部611から延びる横方向軸に沿った複数のレベルの処理される組織を構成してもよい。たとえば、組織の第1の領域604は、第1の領域604自体が開口部611から延びる単一の軸に沿って1回または複数回重なり合う波形を有してもよい。別の例では、第1の領域604は開口部611から横方向軸に沿って第1の距離に位置してもよく、第2の領域604は開口部611から横方向軸に沿って第2の距離に位置してもよく、この場合、第2の距離は第1の距離よりも長い。言い換えれば、第2の領域604は、開口部611の遠位に配置されてもよく、第1の領域604は、開口部611の近位に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、領域604は、任意の厚さ606を有してもよく、ならびに/または開口部611と領域604との間に任意のサイズの隙間612を有してもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、領域604は、本明細書で説明するようなシャントの送達に関連して処理されてもよい。シャントは、開口部611内に少なくとも部分的に配置されてもよい。シャントは、開口部611の周りの組織壁608にわたってならびに/または組織壁608に接触するように構成された1つもしくは複数の固着アームを有してもよい。いくつかの実施形態では、シャントの固着アームは、領域604にわたって延びるように構成されるか、または開口部611と領域604との間の隙間612を越えて延びないように構成されてもよい。領域604の形状および/またはサイズは、開口部611に配置されたシャントの形状および/またはサイズに基づいて選択されてもよい。たとえば、シャントが配置される前および/または後に、シャントの少なくとも一部を密に囲むように形作られた領域604が処理されてもよい。このようにして、領域604は、シャントにおける組織の成長および/もしくは内部成長ならびに/またはシャントの周りの組織の成長および/もしくは内部成長を防止するように構成されてもよい。
【0067】
図7は、いくつかの実施形態による、組織成長を防止し、封じ込め、ならびに/または抑制するための上部障壁704を有するシャント700を示す。いくつかの実施形態では、上部障壁704は、楕円形状および/またはトーラス形状を有してもよい。上部障壁704は、リングの中空中央部の周りに完全なリングまたは部分的なリングを形成してもよい。中空の中央部は、組織壁708の開口部および/もしくはシャント700の中央フロー部702によって形成されならびに/または維持される流路と位置合わせされるように構成されてもよい。たとえば、中央フロー部702は、組織壁708を貫通する流路を画定してもよく、上部障壁704は、流路を囲むが妨害しない(または部分的にのみ妨害する)ように構成されてもよい。
【0068】
図7がシャント700の断面図を示しているので、上部障壁704は、部分楕円形を有するように示されている。しかし、上部障壁704は、組織壁808の開口部の周りに完全楕円を形成してもよい。上部障壁704は、任意の形状を有してもよい。たとえば、上部障壁704は、矩形、三角形、五角形、八角形、もしくは他の形状を有してもよく、ならびに/または上部障壁704を通過する流れを可能にする穴を上部障壁704の中央部に含んでもよい。
【0069】
全体的に薄い構造を有する上部障壁704が示されているが、上部障壁704は任意の厚さ706を有してもよい。さらに、上部障壁704は可変厚さ706を有してもよい。たとえば、上部障壁704は、少なくとも部分的に丸い表面を有してもよく、その場合、上部障壁704の断面はトーラスに類似の楕円形状を有する。
【0070】
いくつかの実施形態では、上部障壁704は、シャント700の中央フロー部702および/もしくは1つまたは複数の固着アーム714から延びならびに/または中央フロー部702および/もしくは1つまたは複数の固着アーム714に取り付けられるように構成されてもよい。たとえば、上部障壁704は、第1の固着アーム714aおよび/もしくは第2の固着アーム714bに取り付けられ、ならびに/または第1の固着アーム714aおよび/もしくは第2の固着アーム714bから延びてもよい。第1の固着アーム714aと第2の固着アーム714bは、組織壁708の第1の面701(または組織壁708の第2の面703)上の開口部の概ね両側に位置してもよい。いくつかの実施形態では、上部障壁704は、組織壁708の第1の面701および/もしくは組織壁708の第2の面703から最も遠いシャント700の部分を構成してもよい。
【0071】
図7には単一の上部障壁704のみが示されているが、シャント700は、複数の上部障壁704を備えてもよい。たとえば、シャント700は、中央フロー部702および/または1つもしくは複数の固着アーム714から延びならびに/あるいは中央フロー部702および/または1つもしくは複数の固着アーム714に取り付けられる第2の上部障壁704を組織壁708の第2の面703に備えてもよい。さらに、上部障壁704は、固着アーム714の1つまたは複数の近位部分716から延びならびに/または近位部分716に取り付けられるように示されているが、上部障壁704は、固着アーム714および/または中央フロー部702の任意の部分から延びならびに/または任意の部分に取り付けられるように構成されてもよい。たとえば、上部障壁704は、固着アーム714の1つまたは複数の端部718に取り付けられならびに/または端部718から延びるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、上部障壁704の中央部の穴は、上部障壁704が固着アーム714の端部718から延びならびに/または端部718に取り付けられるように構成されるときに固着アーム714の1つもしくは複数の近位部716が穴に嵌り込みならびに/または穴を貫通するように構成され得るのに十分な大きさを有してもよい。
【0072】
上部障壁704は、概ね平坦な構造を有するように示されているが、上部障壁704は任意の形状および/またはサイズを有してもよい。たとえば、上部障壁704は、概ね波形の構造を有してもよく、この場合、上部障壁704の高い点(すなわち、山部)が、固着アームの近位部716に嵌るように構成され、低い点(すなわち、谷部)が組織壁708の近くに位置しならびに/または組織壁708に押し付けられるように構成される。いくつかの実施形態では、上部障壁704は、概ね可撓性および/または弾性を有する材料で構成され、それによって、上部障壁704は、固着アーム714および/もしくは中央フロー部702にぴったりと嵌り、ならびに/あるいは固着アーム714および/もしくは中央フロー部702の周りの隙間ならびに/または固着アーム714および/もしくは中央フロー部702内の隙間を最小限に抑えるように、固着アーム714および/もしくは中央フロー部702の一部の周りで少なくとも部分的に曲がるように構成されてもよい。たとえば、上部障壁704は、全体的に柔らかい構造を有してもよく、ならびに/あるいは固着アーム714および/もしくは中央フロー部702上に配置されならびに/または位置させられたときに固着アーム714および/もしくは中央フロー部702の外郭を近似しならびに/または固着アーム714および/もしくは中央フロー部702の概略的な形状を近似するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、上部障壁704は、構造的に、組織壁708の成長および/もしくは拡張に少なくとも部分的に抵抗し得るのに十分な剛性をしてもよい。
【0073】
図8Aおよび図8Bは、いくつかの実施形態による、組織成長を防止し、封じ込め、低減させ、ならびに/または抑制するための下部障壁804を有するシャント800を示す。図8Aは、シャント800の側面図を示し、図8Bは、上から(たとえば、左心房から)見たシャント800の図を示す。いくつかの実施形態では、下部障壁804は、楕円形状および/もしくはトーラス形状を有してもよい。下部障壁804は、中央穴の周りに完全なリングを形成してもよく、中央穴は、シャント800の中央フロー部802によって形成されならびに/または維持される流路に揃ってもよい。たとえば、中央フロー部802は、組織壁808を貫通する流路を画定してもよく、上部障壁804は、流路を囲むが妨害しない(または部分的にのみ妨害する)ように構成されてもよい。
【0074】
図8Aは、シャント800の断面図を示し、下部障壁804は部分楕円形状を有するように示されている。しかし、下部障壁804は、組織壁808の開口部の周りに完全楕円を形成してもよい。下部障壁804は任意の形状を有してもよい。たとえば、下部障壁804は、矩形、三角形、五角形、八角形、もしくは他の形状を有してもよく、ならびに/または上部障壁804を通過する流れを可能にする穴を下部障壁804の中央部に含んでもよい。
【0075】
下部障壁804は、1つまたは複数の固着アーム814と組織壁808との間に位置するように構成されてもよい。たとえば、1つまたは複数の固着アーム814は、下部障壁804を組織壁808に押し付けるように構成されてもよい。下部障壁804は、全体的に薄い構造を有するように示されているが、下部障壁804は任意の厚さを有してもよい。さらに、下部障壁804は可変厚さを有してもよい。たとえば、下部障壁804は、少なくとも部分的に丸い表面を有してもよく、その場合、下部障壁804の断面はトーラスに類似の楕円形状を有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、下部障壁804は、シャント800の中央フロー部802および/もしくは1つまたは複数の固着アーム814から延びならびに/または中央フロー部802および/もしくは1つまたは複数の固着アーム814に取り付けられるように構成されてもよい。たとえば、下部障壁804は、第1の固着アーム814aおよび/もしくは第2の固着アーム814bに取り付けられ、ならびに/または第1の固着アーム714aおよび/もしくは第2の固着アーム714bから延びてもよい。第1の固着アーム8014aと第2の固着アーム814bは、組織壁808の第1の面801(または組織壁808の第2の面803)上の開口部811の概ね両側に位置してもよい。いくつかの実施形態では、中央フロー部802および/または固着アーム814は、下部障壁804を組織壁808に押し付けることによって下部障壁804を所定の位置に保持するように構成されてもよい。追加または代替的に、下部障壁804は、組織壁808と相互作用して下部障壁804を所定の位置に保持するように構成された様々な要素を有してもよい。たとえば、下部障壁804の外面は、組織壁808の表面を把持しならびに/または貫通するように構成された隆起しおよび/もしくは起伏のある構造を有してもよい。別の例では、下部障壁804は、1つまたは複数のネイル、スクリュー、フック、バーブ、ならびに/または下部障壁804を所定の位置にしっかりと保持するために組織壁に取り付けられおよび/もしくは組織壁を貫通するように構成された他の要素を備えてもよい。いくつかの実施形態では、下部障壁804を組織壁808に固着するための固着要素(たとえば、ネイル、スクリュー、フック、バーブ)が個別に送達されてもよい。
【0077】
図8Aおよび図8Bには単一の下部障壁804のみが示されているが、シャント800は、複数の下部障壁804を備えてもよい。たとえば、シャント800は、組織壁808の第2の面803に押し付けられる第2の下部障壁804を備えてもよい。下部障壁804は、下部障壁804における組織および/もしくは下部障壁804の周りの組織の成長に対抗しならびに/または抵抗するのに十分な剛性を有する構造を有してもよい。
【0078】
送達プロセス
図9は、いくつかの実施形態によるシャントを人体に送達しならびに/または固着するためのプロセス900の例の流れ図である。プロセス900は、ブロック902において、組織壁に開口部を形成することを含む。本明細書で説明するように、開口部は、ガイドワイヤ、穿刺カテーテル、イントロデューサシース、穿刺シース、および/または穿刺エクスパンダのうちの1つまたは複数を使用することによって形成されてもよい。開口部は、2つの解剖学的チャンバ(たとえば、左心房および冠状静脈洞)間に血流路を形成してもよい。開口部は様々な方法のうちのいずれかで形成されてもよい。1つの例示的な方法は以下の通りである。
【0079】
最初、ガイドワイヤを右心房から前進させ、たとえば、冠状静脈洞の洞口または開口部を通して冠状静脈洞内に送り込んでもよい。ガイドワイヤに沿ってカテーテルを前進させてもよい。カテーテルをイントロデューサシースの近位端を通して体内に導入してもよい。イントロデューサシースは、特定の血管経路(たとえば、頸静脈または鎖骨下静脈)への進入を可能にしてもよく、内部に止血弁を有してもよい。外科医は、イントロデューサシースを固定位置に保持しながら、穿刺カテーテルを移植部位まで操作することができる。鋭い先端を含む穿刺針を有する穿刺シースをカテーテルに沿って前進させ、壁に穿刺してたとえば、左心房に挿入してもよい。穿刺エクスパンダをガイドワイヤに沿って前進させ、組織壁を貫通させて左心房に挿入してもよい。穿刺エクスパンダは、たとえば細長い膨張可能バルーンであってもよい。組織壁を貫通する穿刺孔を広げるように穿刺エクスパンダを半径方向外側に広げてもよい。いくつかの実施形態では、開口部は概ね円形状を有してもよい。
【0080】
インプラントをカテーテルの内腔を通して送達してもよい。送達の間、インプラントは、送達を容易にするために折畳み形態であってもよい。たとえば、インプラントは、カテーテルを通した送達を容易にするために最小限の形状を有するように曲げられ、捩じられ、ならびに/またはその他の方法で形成されてもよい。インプラントは、カテーテルの内側シースと外側シースとの間の環状空間内に配置されてもよい。インプラントが組織壁にぴったりと係合して配置されるように内側シースを引き込んでもよい。カテーテルおよび/またはシャントの配置を容易にするようにX線不透過性マーカを設けてもよい。左心房と冠状静脈洞との間に開口部を形成することによって、血液は左心房(通常、>8mmHg)から冠状静脈洞(通常、<8mmHg)に流れることができる。1つまたは複数のインプラントが組織壁808の第1の面および/または第2の面に送達されならびに/または固着されてもよい。
【0081】
ブロック904において、プロセス900は、開口部の周りに組織のある領域を準備することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、組織を準備することは、組織のこの領域における組織成長および/もしくは組織のこの領域の周りの組織成長を防止し、抑制し、ならびに/または封じ込めるために、組織を焼成し、瘢痕化し、ならびに/またはその他の方法で処理することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、処理される領域は、組織壁の開口部を完全に囲んでもよい。たとえば、処理される領域は、開口部全体の周りの組織成長が管理され得るように開口部の周りの円形(または他の形状)領域を形成してもよい。
【0082】
プロセス900は、ブロック906において、デリバリカテーテルにシャントを取り付けることを含む。シャントは、送達時にカテーテルの外面上および/もしくはデリバリカテーテルの内腔内に圧着されてもよくならびに/または折り畳まれた状態であってもよい。いくつかの実施形態では、シャントは、カテーテルの外面とシャントを少なくとも部分的に覆うように構成されたデリバリシースとの間に位置するように構成されてもよい。シースは、人体の様々な経路を通した送達時にシャントの拡張を少なくとも部分的に防止するように構成されてもよい。
【0083】
プロセス900は、ブロック908において、デリバリカテーテルを開口部までならびに/または開口部の近くまで前進させることを含む。いくつかの実施形態では、シャントは、開口部までおよび/もしくは開口部の近くまでの送達を容易にするために少なくとも部分的に曲がるように構成されてもよい。たとえば、カテーテルおよびシャントは、カテーテルを操作して冠状静脈洞口および/もしくは開口部に導入するように少なくとも部分的に曲げられてもよい。
【0084】
プロセス900は、ブロック910において、シャントを開口部内にならびに/または開口部の周りに置くことを含む。たとえば、シャントは、開口部内に位置するように構成されたフロー部および/もしくはチューブ、ならびに/または開口部の外側における組織壁の部分にフロー部を固着するように構成された1つまたは複数の固着機構を備えてもよい。いくつかの実施形態では、シャントは、開口部の周りおよび/もしくはシャントの周りの組織の成長を防止し、抑制し、低減させ、ならびに/または封じ込めるように構成された様々な障壁を備えてもよい。
【0085】
追加の実施形態
実施形態に応じて、本明細書で説明するプロセスまたはアルゴリズムのいずれかのいくつかの行為、事象、または機能は、異なるシーケンスで実行することができ、追加し、統合し、または完全に除外してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、説明したすべての行為または事象がプロセスの実施に必要であるとは限らない。
【0086】
特に「することができる」、「し得る」、「する場合がある」、「してもよい」、「たとえば」などの、本明細書で使用する条件語句は、特段の記載がない限り、または使用される文脈内で別様の理解がなされない限り、通常の意味が意図され、一般に、いくつかの実施形態がある特徴、要素、および/またはステップを含み、他の実施形態がそれらの特徴、要素、および/またはステップを含まないことを示すことが意図される。したがって、そのような条件語句は一般に、1つまたは複数の実施形態に特徴、要素、および/またはステップが必要であることを含意するものではなく、また、これらの特徴、要素、および/もしくはステップが任意の特定の実施形態に含まれるかどうかまたはこれらの特徴、要素、および/もしくはステップを任意の特定の実施形態において実行すべきであるかどうかを、著者の入力または指示の有無にかかわらずに決定するための論理を1つまたは複数の実施形態が必然的に含むことを含意するものではない。「備える」、「含む」、「有する」などの用語は、同義であり、その通常の意味で使用され、オープンエンド式に包括的に使用され、追加の要素、特徴、行為、動作などを除外しない。さらに、「または」という用語は包括的な意味で使用され(および排他的な意味では使用されない)、それによって、この用語が、たとえば、要素のリストを接続するために使用されるときには、「または」という用語は、リスト内の要素のうちの1つ、いくつか、またはすべてを意味する。「X、Y、またはZのうちの少なくとも1つ」などの接続的文言は、特段の記載がない限り、全般的に使用される文脈内で、項目、用語、要素などがX、Y、またはZのいずれであってもよいことを示すために使用されているものと理解される。したがって、そのような接続語は一般に、特定の実施形態が少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、および少なくとも1つのZの各々が存在することを必要とすることを含意するものではない。
【0087】
実施形態の上記の説明において、開示を合理化し、様々な発明の態様のうちの1つもしくは複数の理解を助けることを目的として、様々な特徴が単一の実施形態、図、またはその説明においてグループ分けされる場合があることを諒解されたい。しかし、この開示方法は、任意の請求項がその請求項に明示的に記載されるよりも多くの特徴を必要とする意図を反映するものと解釈すべきではない。さらに、本明細書の特定の実施形態において図示しならびに/または説明する任意の構成要素、特徴、またはステップを任意の他の実施形態に適用するかまたは任意の他の実施形態とともに使用することができる。さらに、どの構成要素も、どの特徴も、どのステップも、またはどの構成要素、特徴、もしくはステップのグループも、各実施形態に必要なものではなく、また必須でもない。したがって、本明細書で開示し以下で請求する本発明の範囲は、上述の特定の実施形態によって限定されるのではなく、以下の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ決定されることを目的としたものである。
【0088】
いくつかの序数詞(たとえば、「第1の」または「第2の」)が参照を容易にするために提供されており、必ずしも物理的な特徴または順序を含意しないことを理解されたい。したがって、本明細書では、構造、構成要素、動作などの要素を修正するために使用される序数詞(たとえば、「第1の」、「第2の」、「第3の」など)は、必ずしもその要素の任意の他の要素に対する優先順位または順序を示さず、一般に、その要素を(序数詞を使用するために)同様または同一の名前を有する別の要素から区別する。さらに、本明細書では、不定冠詞(「a」および「an」)は「1つ」ではなく「1つ以上」を示してもよい。さらに、ある条件または事象に「基づいて」実行される動作は、明示的に記載されない1つまたは複数の他の条件または事象に基づいて実行されてもよい。
【0089】
別段の定めがない限り、本明細書で使用されるすべての用語(科学技術用語を含む)は、例示的な実施形態が属する技術分野における当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。一般に使用される辞書に定義されるような用語は、関連分野の文脈におけるその用語の意味と一致する意味を有するものと理解されるべきであり、明示的に定義されない限り理想的な意味または過度に形式的な意味で解釈すべきではないことをさらに理解されたい。
【0090】
いくつかの好ましい実施形態および実施例を以下に開示するが、本発明の主題は、明示的に開示された実施形態を超えて他の代替実施形態および/または代替用途ならびにその修正実施形態および均等実施形態に拡張される。したがって、上記の実施形態から生じ得る特許請求の範囲が後述の特定の実施形態のいずれによっても限定されることはない。たとえば、本明細書で開示する任意の方法またはプロセスでは、方法またはプロセスの行為または動作は任意の適切なシーケンスで実行されてもよく、必ずしも開示される任意の特定のシーケンスに限定されるとは限らない。様々な動作について、いくつかの実施形態を理解するうえで有用であり得るように複数の離散動作として説明する場合があるが、説明の順序は、これらの動作が順序依存であることを含意するものであると解釈すべきではない。さらに、本明細書で説明する構造、システム、および/またはデバイスは、一体化された構成要素として具体化されても、または別々の構成要素として具体化されてもよい。様々な実施形態を比較する目的で、これらの実施形態のいくつかの態様および利点について説明する。必ずしもすべてのそのような態様または利点が任意の特定の実施形態によって実現されるとは限らない。したがって、たとえば、様々な実施形態は、本明細書で教示された1つの利点または一群の利点を、必ずしも同じく本明細書で教示または示唆され得る他の態様または利点を実現せずに実現または最適化するように実施されてもよい。
【0091】
空間的に相対的な用語「外側」、「内側」「上部」、「下部」、「下方」、「上方」、「垂直」、「水平」、および同様の用語は、本明細書では、図面に図示されているある要素または構成要素と別の要素または構成要素との間の関係を説明する場合に、説明を容易にするために使用されることがある。空間的に相対的な用語は、図面に示される向きだけでなく使用時または動作時におけるデバイスのそれぞれに異なる向きを包含することを目的としたものであることを理解されたい。たとえば、図面に示されるデバイスがひっくり返された場合、別のデバイスの「下方」または「下」に配置されたデバイスが別のデバイスの「上方」に配置されることがある。したがって、例示的な用語「下方」は下部位置と上部位置との両方を含んでもよい。デバイスは、他の方向に向けられてもよく、したがって、空間的に相対的な用語は、向きに応じて異なるように解釈されてもよい。
【0092】
別段の明示的な記載がない限り、「より少ない」、「より多い」、「より大きい」などの比較用語および/または数量用語は、均等の概念を包含することが意図されている。たとえば、「より少ない」は最も厳密に数学的な意味の「より少ない」だけでなく「以下である」も意味することができる。
【0093】
本明細書で説明する送達システムは、カテーテル先端および/またはカテーテルをヒトの心臓の様々な領域に配置するために使用されてもよい。たとえば、カテーテル先端および/またはカテーテルは、右心房から冠状静脈洞に移動するように構成されてもよい。しかし、説明を、カテーテル先端および/またはカテーテルを第1の体腔または内腔から第2の体腔または内腔に配置することに言及させるかまたは一般的に適用することができ、その場合、カテーテル先端および/またはカテーテルが、第1の体腔または内腔から第2の体腔または内腔内に配置されるときに曲げられる場合があることが理解されよう。体腔または内腔は、いくつかの流路、血管、および/または器官腔(たとえば、心腔)のいずれかを指すことができる。さらに、本明細書における「カテーテル」、「チューブ」、「シース」、「操縦可能シース」、および/または「操縦可能カテーテル」の参照を、たとえばデリバリカテーテルおよび/またはカニューレを含む、心房または冠状静脈洞内に配置されるための細長い管状デリバリデバイスなどの、器具を滑り可能に受けるように構成された内側内腔を備える任意の種類の細長い管状デリバリデバイスに言及させるかまたは一般的に適用することができる。たとえば、アブレーション治療、薬剤送達、および/または冠状静脈洞リードの配置を含む、他の種類の医療インプラントデバイスおよび/または処置を、本明細書で説明する送達システムを使用して冠状静脈洞に送達ができることが理解されよう。
【符号の説明】
【0094】
1 心臓
2 左心房
5 右心房
10 インプラント
11 鎖骨下静脈
12 頸動脈
13 大腿静脈
14 下大静脈
15 上大静脈
16 カテーテル
19 冠状静脈洞
301 第1の面
303 第2の面
308 組織壁
311 開口部
350 デリバリカテーテル
352 遠位先端
400 シャント
401 第1の面
402 中央フロー部
403 第2の面
404 壁
404a 第1の壁
404b 第2の壁
404c 第3の壁
404d 第4の壁
406 リング
408 組織壁
410 長手方向軸
412 第2の角度
414 固着アーム
414a 第1の固着アーム
414b 第2の固着アーム
416 厚さ
418 幅
420 長さ
500 シャント
501 第1の面
502 中央フロー部
503 第2の面
504 障壁スパイク
505 ベース部
506 リング
507 端部
508 組織壁
514 固着アーム
604 領域
608 組織壁
609 第1の半径
610 第2の半径
611 開口部
612 隙間
701 シャント
702 中央フロー部
703 第2の面
704 上部障壁
708 組織壁
714 固着アーム
716 近位端
718 端部
800 シャント
801 第1の面
802 中央フロー部
803 第2の面
804 下部障壁
808 組織壁
814 固着アーム
814a 第1の固着アーム
814b 第2の固着アーム
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
【国際調査報告】