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特表2023-514284自動車の運転手支援システムをテストするためのシステムおよび方法
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  • 特表-自動車の運転手支援システムをテストするためのシステムおよび方法 図1
  • 特表-自動車の運転手支援システムをテストするためのシステムおよび方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】自動車の運転手支援システムをテストするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
G01M17/007 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549347
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 AT2021060056
(87)【国際公開番号】W WO2021163745
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】A50121/2020
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513131176
【氏名又は名称】アーファオエル・リスト・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・デュサー
(57)【要約】
本発明は、自動車の運転手支援システムをテストするためのシステムに関し、運転手支援システムは、自動車の少なくとも1つの環境センサのセンサ信号を処理するように構成された、センサ信号を処理するための制御ユニットを備え、環境センサは、環境情報を検出し、その環境情報をセンサ信号に変換するように構成される。このシステムは、少なくとも1つのシミュレーションモジュールで自動車の少なくとも1つのドライブトレインを動作させるように構成された車両テストベンチを備え、シミュレーションモジュールは、少なくとも1つの環境センサを組み込み、前記環境センサに割り振られた刺激デバイスを備える。シミュレーションモジュールによって組み込まれた環境センサは、詳細には、機能的かつ/または構造的に、自動車の環境センサに対応するか、または自動車の環境センサである。シミュレーションモジュールは、センサ信号を前記シミュレーションモジュールから運転手支援システムの制御ユニットに送信するために、車両テストベンチに接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(3)の運転手支援システム(2)をテストするためのシステム(1)であって、
前記運転手支援システム(2)が、前記自動車(3)の少なくとも1つの環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)のセンサ信号を処理するように構成されたセンサ信号を処理するための制御ユニット(7)を備え、前記少なくとも1つの環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)が、環境情報を検出し、前記環境情報をセンサ信号に変換するように構成され、
前記システム(1)が、
前記自動車(3)のドライブトレイン(5)が動作され得るように構成された車両テストベンチ(4)と、
少なくとも1つのシミュレーションモジュール(8a、8b)と
を備え、前記シミュレーションモジュール(8a、8b)が、前記少なくとも1つの環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)を組み込むかまたは組み込むことが可能であり、前記環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)に割り振られた刺激デバイス(9a、9b、9c)を備え、
前記シミュレーションモジュール(8a、8b)によって組み込まれたまたは組み込まれ得る前記環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)が、特に機能的かつ/または構造的に、前記自動車(3)の前記少なくとも1つの環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)に対応するか、または前記自動車(3)の前記少なくとも1つの環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)であり、
前記シミュレーションモジュール(8a、8b)が、センサ信号を前記シミュレーションモジュール(8a、8b)から前記運転手支援システム(2)の前記制御ユニット(7)に送信するために、信号送信のために前記車両テストベンチ(4)に接続される、システム(1)。
【請求項2】
前記シミュレーションモジュール(8a、8b)が、前記自動車(3)の前記環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)の観点から前記環境情報を示すセンサ信号を生成するように設計された、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記シミュレーションモジュール(8a、8b)が、信号送信のための接続手段によってのみ、好ましくは、ケーブル、バスシステム、特にフィールドバスによって、または無線接続によって、前記車両テストベンチ(4)、特に前記制御ユニット(7)に接続された、請求項1または2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記シミュレーションモジュール(8a、8b)であるかまたは前記シミュレーションモジュール(8a、8b)によって組み込まれ得る環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)が、該環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)が置換する前記運転手支援システム(2)の前記環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)と同一である、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記システム(1)が、少なくとも2つのシミュレーションモジュール(8a、8b)を備えるかまたは少なくとも2つのシミュレーションモジュール(8a、8b)を組み込むことができ、前記シミュレーションモジュールのうちの少なくとも2つが、それらの組み込まれた環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)によって適用される測定原理の点で異なる、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのシミュレーションモジュール(8a、8b)が、少なくとも2つの環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)を備えるか、または少なくとも2つの環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)を組み込むことができ、前記環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)のうちの少なくとも2つが、前記環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)のうちの少なくとも2つが適用する測定原理の点で異なる、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)が、構成要素(10)、特に前記自動車(3)の構成要素(10)、好ましくは、前記自動車(3)のボディの中に配置および/または一体化され、前記構成要素(10)が、前記少なくとも1つのシミュレーションモジュール(3)であるか、または前記少なくとも1つのシミュレーションモジュール(3)によって組み込まれ得る、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項8】
前記シミュレーションモジュール(8a、8b)、特に前記シミュレーションモジュール(8a、8b)および刺激デバイス(9a、9b、9c)であるか、または前記シミュレーションモジュール(8a、8b)および刺激デバイス(9a、9b、9c)によって組み込まれ得る前記環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)が、好ましくは、ハウジングによって覆われた構造ユニットとして実現された、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項9】
前記刺激デバイス(9a、9b、9c)が、好ましくは、前記刺激デバイス(9a、9b、9c)によって組み込まれた前記少なくとも1つの環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)によって放出された信号に基づいて、前記環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)によって受信されることになる応答信号を生成するように構成され、前記応答信号が、好ましくは、シミュレートされたテスト環境に基づいて生成された、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項10】
前記システム(1)が、少なくとも1つの信号変換器、特にセンサ信号を前記自動車(3)の前記制御デバイス(7)に送信し、生のセンサデータに基づいて前記センサ信号を生成するように構成された、少なくとも1つのさらなる環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)のカメラの認識チップを備え、前記生のセンサデータが、前記信号変換器に供給され、前記生のセンサデータが前記センサ信号を生成する、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項11】
前記システム(1)が、シミュレートされたセンサ信号を、特に物体リストおよび/または物体データの形で生成し、前記センサ信号を前記運転手支援システム(2)の前記制御ユニット(7)に送信するように構成された、少なくとも1つの装置を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項12】
特に請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム(1)を使用して、車両テストベンチ(4)上で自動車(3)の運転手支援システム(2)をテストするための方法(100)であって、
少なくとも1つのシミュレーションモジュール(8a、8b)を介してテスト環境をシミュレートするステップ(S4)と、
前記自動車(3)の少なくとも1つの環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)のセンサ信号の代わりに、前記運転手支援システム(2)の制御ユニット(7)によって処理するために、前記少なくとも1つのシミュレーションモジュール(8a、8b)によってセンサ信号を生成するステップ(S5)と、
前記運転手支援システム(2)を使用して、前記少なくとも1つのシミュレーションモジュール(8a、8b)を介して生成された前記センサ信号に基づいて、前記車両テストベンチ(4)上で前記自動車(3)のドライブトレイン(5)を動作させるステップ(S6)と
を含む、方法(100)。
【請求項13】
テストトラック上で自動車(3)の運転手支援システム(2)をテストするための方法(100)であって、
少なくとも1つのシミュレーションモジュール(8a、8b)によってテスト環境をシミュレートするステップ(S4)と、
前記自動車(3)の少なくとも1つの環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)のセンサ信号の代わりに、前記運転手支援システム(2)の制御ユニット(7)によって処理するために、前記少なくとも1つのシミュレーションモジュール(8a、8b)を介してセンサ信号を生成するステップ(S5)と、
前記運転手支援システム(2)を使用して、前記少なくとも1つのシミュレーションモジュール(8a、8b)によって生成された前記センサ信号に基づいて、前記テストトラック上で前記自動車(3)を動作させるステップ(S6)と
を含む、方法(100)。
【請求項14】
少なくとも1つの環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)を前記少なくとも1つのシミュレーションモジュール(8a、8b)の上または中に取り付けるステップ(S2)と、
刺激デバイス(9a、9b、9c)を前記環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)に割り振るステップ(S3)と
をさらに含む、請求項12または13に記載の方法(100)。
【請求項15】
少なくとも1つの環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)をその中に配置および/または一体化した構成要素(10)、特に前記自動車(3)の構成要素(10)を前記少なくとも1つのシミュレーションモジュール(8a、8b)の中または上に取り付けるステップ(S2)
を含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項16】
少なくとも1つの環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)をその中に配置および/または一体化した前記自動車(3)の構成要素(10)が前記シミュレーションモジュール(8a、8b)内に取り付けられること(S2)を可能にするために、前記構成要素(10)を前記自動車(3)から切り離すステップ
をさらに含む、請求項15に記載の方法(100)。
【請求項17】
前記自動車(3)の前記環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)の前記制御デバイス(7)への信号送信を抑制するステップ
をさらに含む、請求項12から16のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項18】
前記環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)が前記自動車(3)の前記環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)である、請求項12から17のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項19】
前記シミュレーションモジュール(8a、8b)が、前記環境センサ(6a、6b、6c、6d、6e)および刺激デバイス(9a、9b、9c)を組み込むかまたは組み込むことが可能であり、構造ユニットとして実現され、好ましくはハウジングによって覆われる、請求項12から18のいずれか一項に記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の運転手支援システムをテストするためのシステム、および車両テストベンチ上で自動車の運転手支援システムをテストするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の運転手支援システムは、それらのシステムが提供する快適さおよび高まった安全走行により普及した。そのようなシステムの開発は、いわゆる「道路から装備まで(from road to rig)」手法にますます基づいており、その範囲内では、運転手支援システムテストは、実際の環境ではなくシミュレートされた環境で実行される。
【0003】
「道路から装備まで」手法は、たとえば、車両を実世界環境にあるかのように動作させることができるが、その環境との車両の相互作用は、シミュレート、したがって制御されて生成される、いわゆる「ビークルインザループ(vehicle-in-the-loop)」手法で実装される。知られているのは、たとえば、車両からの異なる距離における物体をシミュレートするために距離を測定するように構成された車両上のセンサの前にシミュレーションデバイスを配置することである。それにより、物体および車両からのそれらの物体の距離に対する運転手支援システムの反応をテストすることが可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つのタスクは、車両テストベンチ上での運転手支援システムの改善されたテストを可能にすることである。
【0005】
このタスクは、独立請求項による、自動車の運転手支援システムをテストするためのシステム、および車両テストベンチ上で自動車の運転手支援システムをテストするための方法によって解決される。
【0006】
本発明の第1の態様は、自動車の運転手支援システムをテストするためのシステムであって、運転手支援システムが、自動車の少なくとも1つの環境センサのセンサ信号を処理するように構成された、センサ信号を処理するための制御ユニットを備え、環境センサが、環境情報を検出し、その環境情報をセンサ信号に変換するように構成された、システムに関する。このシステムは、少なくとも1つのシミュレーションモジュールで自動車の少なくとも1つのドライブトレインを動作するように構成された車両テストベンチを備え、シミュレーションモジュールは、少なくとも1つの環境センサを組み込み、前記環境センサに割り振られた刺激デバイスを備える。詳細には、環境センサは複数の環境センサの配列であり、前記配列には単一のシミュレーションデバイスが割り振られるか、または配列の個々の環境センサの各々にはシミュレーションデバイスが割り振られる。シミュレーションモジュールによって組み込まれた環境センサは、詳細には機能および/または構造の点で、自動車の環境センサに対応するか、また自動車の環境センサである。シミュレーションモジュールは、センサ信号をシミュレーションモジュールから運転手支援システムの制御ユニットに送信するために、信号送信のための車両テストベンチに接続される。この信号送信接続は、詳細には、それぞれ、シミュレーションプラットフォームまたはシミュレーションインターフェースによる直接接続または間接接続として設計される。好ましくは、シグナリング接続は、統合プラットフォームを介して確保される。
【0007】
本発明の第2の態様は、車両テストベンチ上で自動車の運転手支援システムをテストするための方法であって、少なくとも1つのシミュレーションモジュールを介してテスト環境をシミュレートするステップと、好ましくは自動車(3)の上または中に固定された自動車の少なくとも1つの環境センサのセンサ信号の代わりに、運転手支援システムの制御ユニットによって処理するために、少なくとも1つのシミュレーションモジュールによってセンサ信号を生成するステップとを含む、方法に関する。さらに、この方法は、運転手支援システムを使用して、センサ信号に基づいて、車両テストベンチ上で自動車のドライブトレインのうちの少なくとも1つを動作させるステップを含む。
【0008】
本発明の第3の態様は、テストトラック上で自動車の運転手支援システムをテストするための方法であって、
少なくとも1つのシミュレーションモジュールによってテスト環境をシミュレートするステップと、
自動車の少なくとも1つの環境センサのセンサ信号の代わりに、運転手支援システムの制御ユニットによって処理するために、少なくとも1つのシミュレーションモジュールを介してセンサ信号を生成するステップと、
運転手支援システムを使用して、少なくとも1つのシミュレーションモジュールによって生成されたセンサ信号に基づいて、テストトラック上で自動車を動作させるステップと
を含む方法に関する。
【0009】
本発明の意義の範囲内で環境センサは、詳細には、その環境、詳細には、自動車の周囲の中の物理的変数を検出および/または測定するための装置である。好ましくは、環境センサは、自動車の環境または周囲をそれぞれ調査、詳細には、走査するように構成される。環境センサは、好ましくは、受信器および信号変換器を備え、受信器は、好ましくは、物理的または化学的測定変数に直接反応するか、またはそれぞれその特性を量的におよび/または質的に検出し、信号変換器は、前記検出された特性を好ましくは電気的に送信可能な信号に変換する。
【0010】
環境センサは、好ましくは、アクティブセンサとして、詳細には、赤外線カメラ、超音波センサ、レーダーセンサ、および/またはライダーセンサとして設計され、詳細には、音波またはそれぞれ電磁波を放出し、詳細には、物体によって反射された、環境または自動車の周囲によってそれぞれ影響が及ぶ音波または電磁波を受信するように構成される。さらに好ましいのは、パッシブセンサまたは受信器として、詳細には、カメラまたはGPS受信器としての環境センサの設計である。環境センサは、好ましくは、受信された測定信号、詳細には、測定信号および/またはその信号が含む情報を特徴づける刺激デバイスの応答信号に基づいて、センサ信号を生成するように構成される。
【0011】
本発明の意義の範囲内でシミュレーションモジュールは、詳細には、環境センサおよびその環境センサに割り振られた刺激デバイスを備える。刺激デバイスは、好ましくは、測定信号、詳細には、応答信号および/または測定変数をその関連する環境センサに提供するように構成される。詳細には、環境、好ましくは、車両の環境または自動車の運転状況は、刺激デバイスによって生成されたまたは変調された測定信号によってシミュレートされる。この測定信号は、好ましくは、物理的測定変数によって特徴づけられ、物理的測定変数は、好ましくは、環境センサの受信器によって検出され、環境センサの信号変換器によってセンサ信号に変換される。好ましくは、少なくとも1つの刺激デバイスは、環境センサに対して可能な最も固有の測定信号または応答信号の提供を可能にするために、シミュレーションモジュールの各環境センサに、特に好ましくは、1対1の割振りで割り振られる。
【0012】
本発明の意義の範囲内で運転手支援システムは、好ましくは、支援運転のためのシステム、部分的に自動化された運転のためのシステム、極めて自動化された運転のためのシステム、完全に自動化された運転のためのシステム、または自律運転のためのシステムである。詳細には、自動化された運転のための前記それぞれのシステムは、SAE J3016規格の分類および/または定義に対応する。
【0013】
本発明の意義の範囲内で車両テストベンチは、詳細には、自動車のドライブトレインおよび/もしくはその一部、またはそれぞれ自動車の構成要素もしくは自動車、詳細には、自動車のステアリングを動作させるように構成される。好ましくは、車両テストベンチは、ローラ動力計またはドライブトレインテストベンチである。実世界の運転状況は、好ましくは、ドライブトレインおよび/または車両テストベンチ上の自動車の動作中にシミュレートされる。特に示されるのは、またはシミュレートされるのは、自動車の実世界動作、詳細には、自動車が実際の運転中に受ける物理的な力または環境条件である。したがって、自動車上に配置された刺激ユニットに伝達されるまたは伝達されることが可能な力は車両テストベンチ上の自動車に作用する。これは、それにより刺激デバイスの特に感応性がある構成要素に対する損傷または振動をもたらし、これは、刺激ユニットとその関連する環境センサとの間の信号送信に悪影響を及ぼす。
【0014】
本発明は、詳細には、車両テストベンチ上で自動車内の運転手支援システムを動作させる手法に基づき、少なくともある程度まで、それぞれシミュレートされた環境またはシミュレートされた交通シナリオを特徴づけるセンサ信号に基づく。好ましくは、運転手支援システムの制御ユニットによって処理されるセンサ信号は、シミュレーションモジュールによって生成される。シミュレーションモジュールは、それにより、環境/運転状況のシミュレーション、詳細には、センサ信号の生成を実現する。詳細には、センサ信号は、少なくとも自動車の中または上に配置された環境センサのみによってではなく、シミュレーションモジュールによって組み込まれた環境センサによって示される。好ましくは、本発明によるシステムは、複数のシミュレーションモジュールを備え、その環境センサは、好ましくは、異なる測定原理に基づく。そのように設計されたシステムは、運転手支援システムを総合的にテストする高度の柔軟性および可能性を提供する。
【0015】
詳細には、複数の環境センサからのセンサ信号に基づいて環境をシミュレートするとき、1つの刺激ユニットが各それぞれの環境センサに割り振られ得る。車両テストベンチ上でテストされることになる自動車の上または周囲の限られた空間条件により、特に様々な刺激ユニットが各々、関連する遮蔽装置を備えるか、または環境センサに対して限られたアクセス性しかないとき、複数の刺激ユニットを設置することは困難である。
【0016】
本発明のシミュレーションモジュールは、好ましくは、それぞれ自動車または車両テストベンチとは無関係に位置し動作することが可能な好ましくはモジュラシステムの別個の構造ユニットとして設計される。シミュレーションモジュールは、センサ信号が、好ましくは、環境センサの物理的位置または使用中の位置とは無関係に空間的に生成されることを可能にする。自動車からのシミュレーションモジュールの物理的な、詳細には、空間的な減結合により、シミュレーションモジュールは、詳細には、環境のシミュレートを改善する。したがって、これは、詳細には、修正なしに、詳細には、環境センサ用の刺激ユニットに対する追加または上部構造なしに、車両テストベンチ上で自動車を動作させかつ/またはテストすることを可能にする。
【0017】
1つの好ましい実施形態では、シミュレーションモジュールは、自動車の環境センサの観点から環境情報を示すためのセンサ信号を生成するように設計される。制御ユニットには、それにより、処理のために環境の特に正確なシミュレーションが提供される。そのようなセンサ信号は、好ましくは、自動車の他の環境センサとの相互作用に関する情報を含む。したがって、環境センサ、詳細には、個々の環境センサ、または運転手支援システムに対するそれらの影響のテストは、それぞれ特に現実的に示され得る。
【0018】
さらなる好ましい実施形態では、シミュレーションモジュールは、信号送信のための接続手段によってのみ、車両テストベンチ、詳細には、制御ユニットに接続される。好ましくは、この接続は、1つもしくは複数のケーブル、バスシステム、詳細には、フィールドバスの形で、またはデータ送信のためのワイヤレス接続によって実現される。したがって、追加のインターフェースが信号送信のために必要とされない。
【0019】
これは、それにより、シミュレーションモジュールおよび車両テストベンチの物理的な、詳細には、空間的な分離を可能にする。それを行う際、自動車もしくは車両ベンチからシミュレーションモジュールへの動き、特に衝撃もしくは振動の伝達を回避することが可能であるか、または完全に防止することすら可能である。したがって、シミュレーションモジュールの環境センサの刺激デバイスの刺激は、物理的損害なしに、環境センサが好ましくは干渉なしに刺激デバイスによって放出された測定信号を検出することを確実にすることができ、それにより、好ましくは、完全な、シミュレートされた環境シナリオを再生するセンサ信号が生成される。
【0020】
さらなる好ましい実施形態では、シミュレーションモジュールによって組み込まれた環境センサは、その環境センサが置換する運転手支援システムの環境センサと同一である。処理のために制御ユニットに提供されるセンサ信号を提供する同一の環境センサは、テストの関連で特に現実的な信号品質を保証する。詳細には、シミュレーションモジュールによって組み込まれた環境センサは、構造的に同一のデザインのものであり、かつ/またはその環境センサが置換する運転手支援システムの環境センサと少なくとも機能的に同一である。
【0021】
さらに好ましい実施形態では、このシステムは、少なくとも2つのシミュレーションモジュールを備え、前記シミュレーションモジュールのうちの少なくとも2つは、それらの組み込まれた環境センサによって適用される測定原理の点で異なる。異なるシミュレーションモジュールを使用することは、個々の環境センサ、および運転手支援システムに対するそれらの影響のテストを、詳細には、互いに無関係に、可能にする。詳細には、測定範囲の干渉および重複により効力が生じる環境センサの相互影響および/または相互作用は、これにより低減され得るか、もしくはさらに防止され得るか、または系統的に分析され得る。
【0022】
同様に、システムが、同じ測定原理、異なる測定原理、または同じ測定原理と異なる測定原理の組合せに基づいて、複数のシミュレーションモジュールを使用することが実現され得る。
【0023】
さらなる好ましい実施形態では、少なくとも1つのシミュレーションモジュールは、少なくとも2つの環境センサを備え、前記環境センサのうちの2つは、それらの環境センサのうちの2つが適用する測定原理の点で異なる。2つ以上の環境センサを使用するとき、詳細には、それらの環境センサが異なる測定原理に基づくとき、また詳細には、環境センサが実際に信号をアクティブに放出しているとき、測定範囲は重複することがあり、相互作用および/または相互的な特に望ましくない干渉が生じることがある。運転手支援システムのテスト中にこの相互影響を考慮するために、この相互作用を説明することに関して、前記環境センサを単一のシミュレーションモジュール内に比較的接近して配置することが有利であり得る。
【0024】
運転手支援システムのテスト中に互いに対する、かつ互いとのそれらの相互作用を確かに示すかまたはそれぞれ考慮するために、その独自のシミュレーションモジュール内で、同じ、同様の、および/または異なる組合せに基づいて環境センサを提供するための対策がさらに可能である。
【0025】
さらなる好ましい実施形態では、少なくとも1つの環境センサが、構成要素、詳細には、自動車の構成要素、好ましくは、自動車のボディの中に配置および/または一体化され、前記構成要素は、少なくとも1つのシミュレーションモジュールによって組み込まれることが可能である。そのような構成要素は、詳細には全体として、テストされる自動車から切り離されて、シミュレーションモジュールの中または上に取り付けられ得る。代替として、第2の、詳細には構造的に同一の、構成要素がシミュレーションモジュールの中または上に取り付けられてもよい。
【0026】
シミュレーションモジュールに対するそのような構成は、生成されたセンサ信号により環境の特に現実的な記述を可能にするが、これは、詳細には、構成要素の中または上の環境センサの固有の配置から生じる相互作用および構造的な特性が処理中に制御ユニットによって示され、考慮に入れられるためである。環境センサはまた、特に、刺激デバイスによる刺激のために自動車内に設置されるとき、アクセス可能でないかまたは容易にアクセス可能でないように、構成要素内に配置されてもよい。構成要素を自動車から切り離すこと、または構成要素の構造的に同一のコピーを提供し、前記構成要素をシミュレーションモジュールの環境センサとして使用することは、少なくとも1つの刺激デバイスの割振りまたは配置を円滑にし得る。
【0027】
さらなる好ましい実施形態では、シミュレーションモジュール、詳細には、刺激デバイスによって組み込まれた環境センサまたは刺激デバイスは、構造ユニットとして実現され、好ましくは、ハウジングによって覆われる。好ましくは、シミュレーションモジュールは、刺激デバイスに直接当たらない、環境センサによって放出された信号を吸収するように、環境センサによって放出された信号を吸収するのに特に適した材料を示す。さらに好ましくは、シミュレーションモジュールは、シミュレーションモジュールを超えた測定信号の伝搬を減少させ、好ましくは防止するために、遮蔽されたデザインを有する。これはそれにより、生成される個々のセンサ信号の個々の完全な考慮を円滑にする。さらに簡素化されるのは、システム内の1つの、複数の、または異なるシミュレーションモジュールの使用であるが、それは、これらが構造ユニットとしてより容易に配置され、互いに無関係に動作することが可能であるためである。
【0028】
さらに好ましい実施形態では、刺激デバイスは、好ましくは、シミュレーションデバイスによって組み込まれた少なくとも1つの環境センサによって放出された信号に基づいて、前記環境センサによって受信されることになる応答信号を生成するように構成され、応答信号は、好ましくは、シミュレートされたテスト環境に基づいて生成される。
【0029】
さらなる好ましい実施形態では、このシステムは、少なくとも1つの信号変換器、詳細には、少なくとも1つのさらなる環境センサのカメラの認識チップを備える。信号変換器は、センサ信号を自動車の制御デバイスに送信し、生のセンサデータに基づいてセンサ信号を生成するように構成され、生のセンサデータは、信号変換器内に供給され、生のセンサデータは、センサ信号を生成する。
【0030】
好ましくは、生のセンサデータは信号変換器に送信され、生のセンサデータは、信号変換器によって処理されることになる、シミュレートされた環境を特徴づける情報を含む。環境センサは、一般に、測定変数を物理的変数として検出し、センサ信号を生成するために、この測定値を信号変換器に特に生のセンサデータの形で提供する受信器を備える。生のセンサデータが変換のために信号変換器に直接提供されるとき、環境センサ受信器ならびに環境センサ用の刺激デバイスは省かれてよい。たとえば、詳細には、シミュレーションからの画像データを含む生の画像は、処理のためにカメラの認識チップに直接送信され得る。したがって、画像記録のためのカメラオプションは、省かれてよい。センサ信号は、それにより、特に単純な方法で、制御ユニットに対して生成および/または提供され得る。
【0031】
さらに好ましい実施形態では、このシステムは、シミュレートされたセンサ信号を、詳細には、物体リストおよび/または物体データの形で生成し、そのセンサ信号を運転手支援システムの制御ユニットに送信するように構成された、少なくとも1つの装置を備える。したがって、シミュレートされた環境に関する情報を制御ユニットに直接提供することが可能である。言い換えれば、環境センサがシミュレートされる。したがって、そのように設計されたシステムは、複雑な環境シナリオを単純な方法で示すために、運転手支援システムを動作させるための情報をシミュレートされたセンサ信号の形で制御ユニットに送信する単純な、詳細には追加の、可能性を提供する。
【0032】
1つの好ましい実施形態では、この方法は、少なくとも1つの環境センサを少なくとも1つのシミュレーションモジュールの上または中に取り付けるさらなるステップと、刺激デバイスを前記環境センサに割り振るさらなるステップとを含む。詳細には、可能な限り最も信頼できるセンサ信号を制御デバイスに提供するために、自動車の環境センサと同一の環境センサが設置され得る。環境センサおよび刺激デバイスの取付けおよび割振りは、この方法を特に柔軟にし、個々のテスト要件に対して適応可能にする。詳細には、任意選択のさらなるステップでは、環境センサの任意選択の現実的な刺激を達成するために、少なくとも1つの環境センサおよび/または少なくとも1つの刺激デバイスが較正され、かつ/または少なくとも1つの刺激デバイスが少なくとも1つの環境センサに対して位置合わせされ、またはその逆も同様である。
【0033】
さらなる好ましい実施形態では、この方法は、少なくとも1つの環境センサをその中に配置および/または一体化した構成要素、詳細には、自動車の構成要素を少なくとも1つのシミュレーションモジュールの中または上に取り付けるステップを含む。センサ信号を生成するために車両の構成要素を使用することは、詳細には、構成要素とその中または上に固定された環境センサとの間の相互作用の特に現実的な記述を可能にする。詳細には、シミュレートされた環境を特に正確に示すために、たとえば、一体化された環境センサを備えたバンパーなどの自動車の構成要素をシミュレーションモジュール内に取り付けることができる。
【0034】
さらなる好ましい実施形態では、この方法は、少なくとも1つの環境センサをその中に配置および/または一体化した自動車の構成要素がシミュレーションモジュール内に取り付けられることを可能にするために、前記構成要素を自動車から切り離すステップを含む。自動車の環境センサを備えた構成要素をシミュレーションモジュールの環境センサとして使用することは、環境センサをシミュレーションモジュールに特に簡単に提供することを可能にする。
【0035】
さらなる好ましい実施形態では、本発明による方法は、自動車の環境センサの制御デバイスへの信号送信を抑制するステップを含む。このために、自動車の環境センサは、切断され得、ミュートにされ得、かつ/または制御ユニットの対応する入力および/または接続がミュートにされ得る。シミュレーションモジュールのセンサ信号は、好ましくは、そのセンサ信号が置換する自動車の環境センサのセンサ信号の代わりに、制御ユニットに送信される。自動車の環境センサの信号送信を抑止することは、前記環境センサによる偶発的なまたは望ましくない信号送信を防止する。
【0036】
さらなる好ましい実施形態では、環境センサは自動車の環境センサである。
【0037】
本発明の第1の態様およびその有利な実施形態に関して説明した特徴および利点は、少なくともそれが技術的道理にかなう場合、それに応じて、本発明の第2の態様およびその有利な実施形態にも適用され、またはその逆も同様である。
【0038】
本発明について、図面に示すような非限定的な例示的実施形態に基づいて以下でより詳細に説明する。その中で以下が少なくとも部分的に概略的に示される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】自動車の運転手支援システムをテストするためのシステムの好ましい例示的な実施形態を示す図である。
図2】車両テストベンチ上で自動車の運転手支援システムをテストするための方法の好ましい例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、自動車3の運転手支援システム2をテストするためのシステム1を示す。自動車3は、自動車3の少なくとも1つのドライブトレイン5を動作させるように構成された車両テストベンチ4上に配置される。詳細には、車両テストベンチ4は、運転手支援システム2を使用して、自動車3または自動車3の構成要素を動作させるように構成される。車両テストベンチ4は、好ましくは、ホイールエミュレーションデバイスを有する、ローラ動力計またはドライブトレインテストベンチである。そのようなテストベンチは、温度制御デバイスおよびエアフローエミュレーションデバイスを有する天候シミュレータをさらに備える。
【0041】
自動車3は、車両テストベンチ4で正確に制御された条件下で動作し得る。たとえば、回転可能に取り付けられたホイールエミュレーションデバイスにトルクをかけることができ、それにより、自動車3の異なる負荷および/または異なる道路条件などがシミュレートされ得る。代替または追加として、たとえば、異なる温度を提供する温度制御デバイスおよび/または異なる気流を提供するエアフローエミュレーションデバイスによって、異なる天候条件がシミュレートされ得る。
【0042】
環境を検出するために、自動車3は、物理的測定変数、詳細には、測定信号を検出し、それをセンサ信号に変換するように構成された、少なくとも1つの環境センサ6d、6eを備える。詳細には、自動車3の環境センサ6a、6b、6c、6d、6eは、好ましくは、超音波センサ、レーダーセンサ、ライダーセンサ、カメラとして、またはGPS受信器として設計される。示すような例示的な実施形態では、たとえば、自動車3は、カメラ6dおよびレーダーセンサ6eを示す。
【0043】
好ましくは、環境センサ6a、6b、6c、6d、6eは、環境を検出するために測定信号、好ましくは、音波または電磁波を放出するように構成される。この測定信号、たとえば、超音波信号は、環境と相互作用し、それにより、環境の影響を受ける。影響を受けた測定信号は、少なくとも1つの環境センサよって受信されるか、または検出され得、自動車3の環境を特徴づけるセンサ信号がそれに基づいて生成される。それによる相互作用は、自動車3の近傍の物体におけるまたはそれらの物体による測定信号の、たとえば、反射、送信および/または少なくとも部分的な吸収に対応する。
【0044】
図1では、運転手支援システム2の制御ユニット7は、たとえば、自動車3の第1の環境センサ6dおよび自動車3の第2の環境センサ6eに接続される。正確に制御された環境において運転手支援システム2を分析することが可能であるために、第1のシミュレーションモジュール8aおよび第2のシミュレーションモジュール8bは、運転手支援システム、詳細には、それぞれ車両環境または運転状況に対する環境シナリオをシミュレートするために、制御ユニット7に接続される。第1のシミュレーションモジュール8aは、第1の環境センサ6a、およびそれに割り振られた第1の刺激デバイス9aを備える。第2のシミュレーションモジュール8bは、それに割り振られた第2の刺激デバイス9bを有する第2の環境センサ6b、およびそれに割り振られた2つの第3の刺激デバイス9cを有する2つの第3の環境センサ6cを備える。
【0045】
制御ユニット7は、少なくとも1つの環境センサ6a、6b、6c、6d、6eのセンサ信号を処理するように構成される。制御ユニット7と環境センサ6a、6b、6c、6d、6eとの間の信号送信接続は、無線設計または有線設計のものであってよい。好ましくは、少なくとも1つの環境センサ6a、6b、6c、6d、6eは、バスシステムによって、さらに好ましくは、フィールドバスによって、制御ユニット7に接続される。
【0046】
刺激デバイス9a、9b、9cは、それが生成するセンサ信号がその周囲との自動車3の相互作用および/または自動車3上の周囲の影響をシミュレートするように、環境センサ6a、6b、6cを刺激するように構成される。そのために、刺激デバイス9a、9b、9cは、測定信号、詳細には、環境センサ6a、6b、6cによって放出された測定信号に影響を及ぼし得るか、または前記環境センサ6a、6b、6cによって検出されることになる測定信号を提供し得る。シミュレーションモジュール8a、8bの環境センサ6a、6b、6cの環境信号は、好ましくは、制御ユニット7による処理のために、自動車3の環境センサ6d、6eのセンサ信号を置換する。
【0047】
シミュレーションモジュール8a、8bは、詳細には、自動車3および/または車両テストベンチ4からの、詳細には、異なる室内の距離において、配置され、また独立して動作することが可能である。さらなる好ましい事例的な実施形態では、車両テストベンチ4はテストセル内に配置され、シミュレーションモジュール8a、8bは前記テストセルの外部に配置される。詳細には、システムの構成要素および/またはシミュレーションモジュールは、たとえば、異なる国々において配置されるとしても、いわゆるネットワーク接続されたテストベンチの部分として地理的に完全に別個であり得る。
【0048】
好ましくは、シミュレーションモジュール8a、8bは、データ接続を介して制御ユニット7に排他的に接続される。詳細には、シミュレーションモジュール8a、8bは、自動車3が車両テストベンチ4によって動作するときに生じる動きおよび/または力がシミュレーションモジュール8a、8bに伝達されないように、自動車3および/または車両テストベンチに対して配置される。これは、それにより、環境センサ6a、6b、6c、およびシミュレーションモジュール8a、8bの関連する、特に高感度の刺激デバイス9a、9b、9cを自動車3または車両テストベンチ4の力および動きに起因する物理的干渉から保護する。
【0049】
好ましくは、シミュレーションモジュール8a、8bは、少なくとも1つの環境センサ6a、6b、6cおよび少なくとも1つの関連する刺激デバイス9a、9b、9cを完全に組み込むか、または少なくとも1つの環境センサ6a、6b、6cおよび少なくとも1つの関連する刺激デバイス9a、9b、9cが配置されるハウジングを有する。これは、それにより、シミュレーションモジュール8a、8b、詳細には、感応性がある刺激デバイス9a、9b、9cを汚れおよび湿気から保護する。好ましくは、シミュレーションモジュール8a、8bは、詳細には、測定信号を吸収し、かつ/またはシミュレーションモジュール8a、8bの構成要素を絶縁するように設計された信号吸収被膜の形で吸収材を示す。
【0050】
示した例示的な実施形態では、自動車3の第1の環境センサ6dは、カメラとして設計される。センサ信号に基づいて環境シミュレーションを示し、制御ユニット7用の自動車3のカメラ6dのセンサ信号を置換するために、第1のシミュレーションモジュール8aの第1の環境センサ6aは同様に、カメラ、詳細には、同一のカメラ、として設計される。第1の刺激デバイス9aは、好ましくは、カメラの刺激のために必要な最低距離を維持するような方法で、前記カメラ6aに割り振られる。刺激デバイス9aは、それにより、詳細には、カメラ6aの光学による検出のために、環境のシミュレートされた画像をカメラ6aに提供するように構成される。カメラ6aは、環境画像を記録し、それをセンサ信号に変換するように構成される。このセンサ信号は、次いで、自動車3のカメラ6dのセンサ信号の代わりに、制御デバイス7によって処理され得る。
【0051】
さらなる好ましい事例的な実施形態では、自動車3の環境センサ6dは、2つのレンズを有するステレオカメラとして設計される。好ましくは、同様の、詳細には同一のステレオカメラ6a、6b、6cがシミュレーションモジュール8a、8b内に配置され、それにより、1つのそれぞれの刺激デバイス9a、9b、9cは、ステレオカメラの2つのレンズの各々に割り振られる。シミュレーションモジュール8a、8b内にステレオカメラを提供することによって、刺激デバイス9a、9b、9cは、自動車3上の設置事情を考慮する必要なく、ステレオカメラの両方のレンズに好適に割り振られることが可能である。
【0052】
第2のシミュレーションモジュール8bは、シミュレーションモジュール8b内に取り付けられた構成要素10、この例示的な実施形態ではバンパーを備える。3つの環境センサ6b、6cは、バンパー10内に配置され、その各々には、適用可能な刺激デバイス9b、9cが割り振られる。たとえば、2つの外部の環境センサ6cは、第1の測定原理に従って環境センサとして、詳細には、レーダーセンサとして設計され、内部の環境センサ6bは、第2の測定原理に従って環境センサとして、詳細には、ライダーセンサとして設計される。
【0053】
第2のシミュレーションモジュール内に取り付けられるバンパー10は、詳細には、自動車3のバンパーと構造的かつ/または機能的に同様の、好ましくは同一の環境センサ6b、6cを備えた、好ましくは、車両テストベンチ4上の自動車3用のバンパーである。
【0054】
代替または追加として、車両テストベンチ4上に位置する自動車3のバンパー10および/または別の構成要素10の切り離しも、詳細には、その中に提供された環境センサ6eとともに実現し得、第2のセンサモジュール8bの中または上への前記構成要素10の取り付けが、詳細には、その中に提供された環境センサ6b、6cとともに実現され得る。
【0055】
詳細には、自動車3内など、関連する構成要素10内に設置された環境センサ6a、6b、6c、6d、6eの使用は、詳細には、それぞれ個々の環境センサ6a、6b、6c、6d、6e同士の間のまたは複数の環境センサ6a、6b、6c、6d、6eのセンサシステム同士の間の相互作用の現実的な分析を可能にする。
【0056】
さらなる例示的な実施形態では、システムは、同じ構成要素10、詳細には、複数の環境センサ6b、6cを備えた複数のシミュレーションモジュール8bを備え得る。結果として、これは、たとえば、環境センサ6bのみが、第1の測定原理に従って、第1のシミュレーションモジュール8a内に提供され、かつ/またはその中で動作することを可能にし、環境センサ6cのみが、第2の測定原理に従って、第2のシミュレーションモジュール8b内に提供され、かつ/またはその中で動作することを可能にする。これは、それにより、詳細には1つの刺激デバイス9b内の環境センサ6b、6cの相互作用を、詳細には、防止し、したがって、シミュレーションエラーを防止する。
【0057】
原則として、運転手支援システム2の包括的なテストを可能にするために、本発明によるシステム1のさらに例示的な実施形態において、任意の数の、詳細には、異なって設計されたシミュレーションモジュール8a、8bの組合せが考えられる。
【0058】
さらなる例示的な実施形態では、シミュレーションモジュール8a、8bは、車両テストベンチ上で使用されないが、テストトラック上で使用される。この場合、シミュレーションモジュール8a、8bは、好ましくは、自動車3の内部に、詳細には、トランク内に配置され得る。
【0059】
図2は、自動車3の運転手支援システム2をテストするための本発明による方法100の好ましい例示的な実施形態を示す。
【0060】
任意選択の方法ステップS1において、その中に配置および/または一体化された、少なくとも1つの環境センサ6d、6eを備えた、自動車3の少なくとも1つの構成要素10は、前記構成要素10がシミュレーションモジュール8a、8b内に取り付けられることを可能にするために、自動車3から切り離される。構成要素10がシミュレーションモジュール8内に取り付けられない場合、または自動車3からではない構成要素10がシミュレーションモジュール8内に取り付けられる場合、このステップS1は省略され得る。代替または追加として実現され得るのは、自動車3の環境センサ6d、6eの切り離しである。
【0061】
方法ステップS2において、構成要素10、好ましくは自動車3の構成要素10、詳細には、好ましくは、方法ステップS1において自動車3から切り離された構成要素10が少なくとも1つのシミュレーションモジュール8a、8bの中または上に取り付けられる。構成要素10はそれにより、その中に配置および/または一体化された、少なくとも1つの環境センサ6a、6b、6c、6d、6eを備える。
【0062】
代替または追加として、構成要素10内に一体化されていない、少なくとも1つの環境センサ6a、6b、6c、6d、6eは、少なくとも1つのシミュレーションモジュール8a、8bの中または上に取り付けられる。詳細には、シミュレーションモジュール8a、8b内に取り付けられた環境センサ6a、6b、6cは各々、センサ信号の送信のために制御ユニット7に接続されているか、または接続されることになる。
【0063】
自動車3の環境センサではない環境センサ6a、6b、6cのみがシミュレーションモジュール8a、8b内に取り付けられる場合、自動車3の対応する環境センサ6d、6eは、その場合、使用不可能にされ得る。言い換えれば、シミュレーションモジュール8a、8bを介して置換されたセンサ信号を備えたそれらの環境センサ6d、6eは、制御ユニット7から切断され得るか、または前記センサ信号は、制御ユニット7処理の点でミュートにされ得る。これは、それにより、制御ユニット7上の、したがって、運転手支援システム2上の自動車3の環境センサ6d、6eの干渉を最小限に抑えることが可能になる。
【0064】
方法ステップS3において、シミュレーションモジュール8a、8b内に取り付けられた少なくとも1つの環境センサ6a、6b、6cに刺激デバイス9a、9b、9cが割り振られる。好ましくは、シミュレーションモジュール8a、8b内の各環境センサ6a、6b、6cに刺激デバイス9a、9b、9cが割り振られる。代替として、環境センサを刺激するために、同じ測定原理に基づいて、1つの刺激デバイス9a、9bが複数の環境センサ6a、6b、6c、詳細には、環境センサ6a、6b、6cに割り振られ得る。刺激デバイス9a、9b、9cを環境センサ6a、6b、6cに機能的に割り振ることは、自由にアクセス可能な方法で、詳細には、自動車3内に一体化されるとき覆い隠されないように、環境センサ6a、6b、6cがシミュレーションモジュール8a、8b内に配置されたることにより簡素化される。環境センサ6a、6b、6cおよび刺激デバイス9a、9b、9cの正確な位置合わせはこれにより可能である。
【0065】
好ましくは、少なくとも1つの環境センサ6a、6b、6cおよび/または刺激デバイス9a、9b、9cは、任意選択のさらなるステップにおいて較正される。本発明の意義の範囲内で較正は、環境センサ6a、6b、6cによって表示される測定値をプリセットされた基準値と比較することを意味する。較正は、詳細には、測定偏差の文書化および測定不確実性の計算を含み、また好ましくは、所定の基準条件の下で起こる。好ましくは、それにより、環境センサ6a、6b、6cおよび/または刺激デバイス9a、9b、9cに対する技術的介入は必要とされない。さらに好ましくは、任意選択のさらなるステップにおいて、最適な動作位置を達成するために、少なくとも1つの刺激デバイス9a、9b、9cは、少なくとも1つの環境センサ6a、6b、6cに対して空間的に調整/位置合わせされ、またはその逆も同様である。
【0066】
方法ステップS4において、テスト環境は、少なくとも1つのシミュレーションモジュール8a、8bを介してシミュレートされる。少なくとも1つのシミュレーションモジュール8a、8bの少なくとも1つの環境センサ6a、6b、6cは、シミュレートされた環境シナリオに基づいて刺激される。そのために、刺激デバイス9a、9b、9cは、好ましくは、環境センサ6a、6b、6cによって放出された測定信号を変調し、それを検出のために環境センサ6a、6b、6cに提供する。代替として、刺激デバイス9a、9b、9cは、たとえば、GPSデータまたはシミュレートされた画像の形で、環境シナリオをシミュレートするための測定信号として測定信号を提供し得る。詳細には、刺激デバイス9a、9b、9cは、自動車3の環境センサ6d、6eの観点からその周囲を示すような方法で、環境センサ6a、6b、6cを刺激するように構成される。
【0067】
さらなる方法ステップS5において、運転手支援システム2の制御ユニット7による処理のためのセンサ信号が生成される。このセンサ信号は、少なくとも1つのシミュレーションモジュール8a、8bによって生成され、自動車3の少なくとも1つの環境センサ6d、6eからのセンサ信号の代わりに、処理ユニット7によって処理される。したがって、少なくとも1つのシミュレーションモジュール8a、8bは、シミュレートされた環境シナリオを特徴づけるセンサ信号を生成し得る。
【0068】
さらなる方法ステップS6において、自動車3の少なくとも1つのドライブトレイン5は、運転手支援システム2を使用して、少なくとも1つのセンサモジュール8a、8bの少なくとも1つのセンサ信号に基づいて、車両テストベンチ4上で動作する。代替として、自動車3は、運転手支援システム2を使用して、少なくとも1つのセンサモジュール8a、8bの少なくとも1つのセンサ信号に基づいて、テストトラック上で動作する。どちらの場合も、実際のおよび/またはシミュレートされたセンサによって追加のさらなるセンサ信号が生成され、制御ユニット7による処理のために、好ましくは、運転手支援システム2および/もしくはドライブトレイン5ならびに/または自動車3を動作させるために使用され得る。
【0069】
さらに留意すべきは、例示的な実施形態は、保護の範囲、適用例および構成をいかなる形でも限定することを意図しない単なる例であることである。むしろ、前述の説明は、少なくとも1つの例示的な実施形態を実装するためのガイドラインを当業者に提供するためであり、それにより、特許請求および特徴のそのような等しい組合せから生じる保護の範囲から逸脱せずに、詳細には、説明した構成要素の機能および配置に関して、様々な修正が行われ得る。
【符号の説明】
【0070】
1 システム
2 運転手支援システム
3 自動車
4 車両テストベンチ
5 ドライブトレイン
6a 環境センサ、第1の環境センサ、カメラ、ステレオカメラ、
6b 環境センサ、ステレオカメラ、第2の環境センサ
6c 環境センサ、第3の環境センサ、ステレオカメラ
6d 環境センサ、カメラ、第1の環境センサ
6e 環境センサ、レーダーセンサ、第2の環境センサ
7 制御ユニット
8 シミュレーションモジュール
8a 第1のシミュレーションモジュール、シミュレーションモジュール
8b 第2のシミュレーションモジュール、シミュレーションモジュール、
9a 第1の刺激デバイス、刺激デバイス
9b 第2の刺激デバイス、刺激デバイス
9c 第3の刺激デバイス、刺激デバイス
10 構成要素、バンパー
100 方法
S1 構成要素切り離し
S2 環境センサ取付け
S3 刺激デバイス9割振り
S4 テスト環境シミュレーション
S5 センサ信号生成
S6 ドライブトレイン動作
図1
図2
【国際調査報告】