(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】JAK阻害剤の結晶形およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20230329BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230329BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230329BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230329BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
C07D471/04 101
C07D471/04 CSP
A61P43/00 111
A61P29/00 101
A61P19/02
A61K31/437
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549366
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(85)【翻訳文提出日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 CN2021077228
(87)【国際公開番号】W WO2021164786
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】202010110530.7
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522325089
【氏名又は名称】チューハイ ユナイテッド ラボラトリーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】マオ、ウェイウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ウェンユアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ、チャンチン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、リアン
(72)【発明者】
【氏名】ム、リウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シューフイ
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA03
4C065BB03
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH05
4C065JJ01
4C065KK01
4C065LL06
4C065PP04
4C065PP18
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA02
4C086NA03
4C086ZA96
4C086ZB15
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、JAK阻害剤としての結晶形ならびにJAK1または/およびTYK2関連疾患の治療のための薬の調製におけるそれらの使用を開示する:
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線粉末回折(XRPD)スペクトルにおいて、下記2θ角に特徴的な回折ピークを有する、式(I)の化合物の結晶形A:6.91 ± 0.20°、12.21 ± 0.20°および19.06 ± 0.20°:
【請求項2】
X線粉末回折(XRPD)スペクトルにおいて、下記2θ角に特徴的な回折ピークを有する、請求項1に記載の結晶形A:6.91 ± 0.20°、12.21 ± 0.20°、13.69 ± 0.20°、19.06 ± 0.20°、19.86 ± 0.20°、20.59 ± 0.20°、22.06 ± 0.20°および27.52 ± 0.20°。
【請求項3】
X線粉末回折(XRPD)スペクトルにおいて、下記2θ角に特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載の結晶形A:6.91 ± 0.20°、10.34 ± 0.20°、12.21 ± 0.20°、13.69 ± 0.20°、18.11 ± 0.20°、19.06 ± 0.20°、19.86 ± 0.20°、20.59 ± 0.20°、22.06 ± 0.20°および27.52 ± 0.20°。
【請求項4】
X線粉末回折(XRPD)スペクトルにおいて、下記2θ角に特徴的な回折ピークを有する、請求項3に記載の結晶形A:6.91 ± 0.20°、10.34 ± 0.20°、12.21 ± 0.20°、13.69 ± 0.20°、17.44 ± 0.20°、18.11 ± 0.20°、19.06 ± 0.20°、19.86 ± 0.20°、20.59 ± 0.20°、22.06 ± 0.20°、24.46 ± 0.20°および27.52 ± 0.20°。
【請求項5】
図1に示されるXRPDスペクトルを有する、請求項4に記載の結晶形A。
【請求項6】
示差走査熱量測定曲線上に、152.19± 3℃および216.79 ± 3℃のそれぞれに吸熱ピーク値;ならびに161.50 ± 3℃に発熱ピーク値を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の結晶形A。
【請求項7】
図2に示されるDSCスペクトルを有する、請求項6に記載の結晶形A。
【請求項8】
X線粉末回折スペクトルにおいて、下記2θ角に特徴的な回折ピークを有する、式(I)の化合物の結晶形B:5.13 ± 0.20°、19.14 ± 0.20°および21.18 ± 0.20°。
【請求項9】
X線粉末回折スペクトルにおいて、下記2θ角に特徴的な回折ピークを有する、請求項8に記載の結晶形B:5.13 ± 0.20°、7.34 ± 0.20°、10.14 ± 0.20°、10.56 ± 0.20°、11.72 ± 0.20°、16.67 ± 0.20°、19.14 ± 0.20°および21.18 ± 0.20°。
【請求項10】
X線粉末回折スペクトルにおいて、下記2θ角に特徴的な回折ピークを有する、請求項9に記載の結晶形B:5.13 ± 0.20°、7.34 ± 0.20°、10.14 ± 0.20°、10.56 ± 0.20°、11.72 ± 0.20°、16.67 ± 0.20°、19.14 ± 0.20°、21.18 ± 0.20°および21.78 ± 0.20°。
【請求項11】
図3に示されるXRPDスペクトルを有する、請求項10に記載の結晶形B。
【請求項12】
示差走査熱量測定曲線上に、193.99 ± 3℃および216.93 ± 3℃のそれぞれに吸熱ピーク値;ならびに200.10 ± 3℃に発熱ピーク値を有する、請求項8~11のいずれか1項に記載の結晶形B。
【請求項13】
図4に示されるDSCスペクトルを有する、請求項12に記載の結晶形B。
【請求項14】
熱重量分析曲線(TGA)において、120 ± 3℃で最大0.535%の重量減少を有する、請求項8~11のいずれか1項に記載の結晶形B。
【請求項15】
図5に示されるTGAスペクトルを有する、請求項14に記載の結晶形B。
【請求項16】
X線粉末回折スペクトルにおいて、下記2θ角に特徴的な回折ピークを有する、式(I)の化合物の結晶形C:8.92 ± 0.20°、18.66 ± 0.20°および20.26 ± 0.20°。
【請求項17】
X線粉末回折スペクトルにおいて、下記2θ角に特徴的な回折ピークを有する、請求項14に記載の結晶形C:5.76 ± 0.20°、8.92 ± 0.20°、11.50 ± 0.20°、16.35 ± 0.20°、18.66 ± 0.20°、19.17 ± 0.20°、20.26 ± 0.20°および24.79 ± 0.20°。
【請求項18】
図6に示されるXRPDスペクトルを有する、請求項17に記載の結晶形C。
【請求項19】
示差走査熱量測定曲線上に、215.48℃に吸熱ピークの開始ポイントを有する、請求項16~18のいずれか1項に記載の結晶形C。
【請求項20】
図7に示されるDSCスペクトルを有する、請求項19に記載の結晶形C。
【請求項21】
X線粉末回折スペクトルにおいて、下記2θ角に特徴的な回折ピークを有する、式(I)の化合物の結晶形D:7.12 ± 0.20°、20.54 ± 0.20°および21.42 ± 0.20°。
【請求項22】
X線粉末回折スペクトルにおいて、下記2θ角に特徴的な回折ピークを有する、請求項21に記載の結晶形D:7.12 ± 0.20°、12.45 ± 0.20°、14.64 ± 0.20°、18.31 ±
0.20°、20.54 ± 0.20°、21.42 ± 0.20°および28.72 ± 0.20°。
【請求項23】
X線粉末回折スペクトルにおいて、下記2θ角に特徴的な回折ピークを有する、請求項22に記載の結晶形D:7.12 ± 0.20°、10.28 ± 0.20°、12.45 ± 0.20°、14.64 ±
0.20°、17.50 ± 0.20°、18.31 ± 0.20°、20.54 ± 0.20°、21.42 ± 0.20°および28.72 ± 0.20°。
【請求項24】
図8に示されるXRPDスペクトルを有する、請求項23に記載の結晶形D。
【請求項25】
JAK1および/またはTYK2関連疾患を治療するための薬の調製における、請求項1~7のいずれか1項に記載の結晶形A、請求項8~15のいずれか1項に記載の結晶形B、請求項16~20のいずれか1項に記載の結晶形Cおよび請求項21~24のいずれか1項に記載の結晶形Dの使用。
【請求項26】
薬が関節リウマチの治療のための薬である、請求項25に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年2月21日に出願された中国特許出願番号CN202010110530.7の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、JAK阻害剤としての結晶形ならびにJAK1または/およびTYK2関連疾患の治療のための薬の調製におけるその使用に関する。
【0003】
背景技術
JAKキナーゼは、4つのメンバー:JAK1、JAK2、JAK3およびTYK2を有する細胞内非受容体チロシンキナーゼのファミリーである(Robert Roskoski Jr.(2016))。JAK1、JAK2およびTYK2は、ヒト組織細胞で発現している。JAK3は、主として骨髄細胞、胸腺細胞、NK細胞、活性化Bリンパ球およびTリンパ球などの造血組織細胞で大部分発現している。機能的に獲得された発現または突然変異の分析から、JAK1およびJAK3はより免疫制御に関連し、JAK2は赤血球や血小板の生成に直接関連している。機能欠損の分析では、JAK1およびJAK2の機能欠損はマウスの胚を死亡させる。JAK1およびJAK2の機能欠損に関連する疾患は人体には見られず、JAK1およびJAK2の生理的機能の重要性を間接的に示している。JAK3の機能欠損は、重篤な総合的免疫不全を引き起こす可能性がある。内在性免疫に関連する障害を引き起こすことが報告されているTYK2の機能に関する研究はほとんどない(James D. Clark, (2014))。
【0004】
JAKの下流には、シグナル伝達および転写活性化因子ファミリー(STAT)が存在する。JAK-STAT経路は、多様なサイトカイン、成長因子およびホルモンからの細胞外シグナルを核に伝達し、何千ものタンパク質コード遺伝子の発現に関与している。サイトカインが受容体に結合すると、JAKファミリーメンバーは自己リン酸化および/またはお互い相互リン酸化され、その後STAT-リン酸化され、核に移動して転写を制御する。JAK-STAT細胞内シグナル伝達は、インターフェロン、大部分のインターロイキンおよび多様なサイトカインおよび内分泌因子、例えばEPO、TPO、GH、OSM、LIF、CNTF、GM CSFおよびPRLなどに適用できる(Vainchenker W. et al.(2008))。異なるJAKファミリーメンバーは、異なるサイトカイン受容体に選択的に結合し、シグナル伝達の特異性を与え、異なる生理的な役割を果たすようになる。この選択的な作用機序により、JAK阻害剤は比較的特異的に疾患治療に適用されうる。JAK1およびJAK3には共通のγ鎖を持つIL-2またはIL-4受容体が結合し、JAK2には同じ構造のβを持つI型受容体が結合する。gp130(糖タンパク質130)を用いたI型受容体やヘテロダイマーサイトカインによって活性化されたI型受容体はJAK1/2およびTYK2に優先的に結合し、ホルモン様サイトカインによって活性化されたI型受容体はJAK2キナーゼに結合し活性化する。インターフェロンのII型受容体はJAK1およびTYK2に結合し、IL-10サイトカインファミリーの受容体はJAK1/2およびTYK2に結合する。上記のサイトカインやその受容体のJAKファミリーメンバーへの多様で特異的な結合は、様々な生理的機能を発揮するため、様々な疾患の治療の可能性を提供する。
【0005】
JAK-STATシグナル伝達経路は、細胞増殖、分化、アポトーシスおよび免疫調節など、多くの重要な生物学的過程に関与している。既存の臨床データは、JAK2を長期間阻害すると、G-CSF、TPOおよびEPOなどのサイトカインを阻害し、造血性幹細胞の増殖および分化に影響を与えることを示している。JAK3阻害は、NK細胞数を減少させ、感染確率を増加させる。したがって、JAK阻害剤は、程度の差こそあれ、白血球、赤血球およびリンパ球の数および機能に影響を及ぼす可能性がある。しかし、サイトカインへの作用範囲が狭い選択的なJAK1または/およびTYK2阻害剤は、理論的には有効性を維持し、安全性を改善させる
ことができる(Daniella M. Schwartz, et al. (2017))。
【0006】
US2009220688は、関節リウマチの治療のための臨床第III相中のGalapagos 社の薬であるフィルゴチニブ(Filgotinib)を開示している:
【0007】
【0008】
要約
本発明は、X線粉末回折(XRPD)スペクトルに示されるように下記2θ角:6.91 ± 0.20°、12.21 ± 0.20°および19.06 ± 0.20°に特徴的な回折ピークを有する式(I)の化合物の結晶形Aを提供する:
【0009】
【0010】
本発明のいくつかの態様においては、特徴的な回折ピークは、上記結晶形AのX線粉末回折スペクトルにおいて下記2θ角:6.91 ± 0.20°、12.21 ± 0.20°、13.69 ± 0.20°、19.06 ± 0.20°、19.86 ± 0.20°、20.59 ± 0.20°、22.06 ± 0.20°および27.52 ± 0.20°に存在する。
【0011】
本発明のいくつかの態様においては、特徴的な回折ピークは、上記結晶形AのX線粉末回折スペクトルにおいて下記2θ角:6.91±0.20°、10.34±0.20°、12.21±0.20°、13.69±0.20°、18.11±0.20°、19.06±0.20°、19.86± 0.20°、20.59±0.20°、22.06±0.20°および27.52±0.20°に存在する。
【0012】
本発明のいくつかの態様においては、特徴的な回折ピークは、上記結晶形AのX線粉末回折スペクトルにおいて下記2θ角:6.91 ± 0.20°、10.34 ± 0.20°、12.21 ± 0.20°、13.69 ± 0.20°、17.44 ± 0.20°、18.11 ± 0.20°、19.06 ± 0.20°、19.86 ±
0.20°、20.59 ± 0.20°、22.06 ± 0.20°、24.46 ± 0.20°および27.52 ± 0.20°に存在する。
【0013】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形Aは
図1に示されるXRPDスペクトルを有する。
【0014】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形AのXRPDスペクトル分析データは表1に示される。
【0015】
【0016】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形Aは、示差走査熱量測定曲線上に、152.19± 3℃および216.79 ± 3℃のそれぞれに吸熱ピーク値;および161.50 ± 3℃に発熱ピーク値を有する。
【0017】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形Aは、
図2に示されるDSCスペクトルを有する。
【0018】
本発明は、X線粉末回折スペクトルにおいて、下記2θ角:5.13 ± 0.20°、19.14 ± 0.20°および21.18 ± 0.20°に特徴的な回折ピークを有する式(I)の化合物の結晶形Bを提供する。
【0019】
本発明のいくつかの態様においては、特徴的な回折ピークは、上記結晶形BのX線粉末回折スペクトルの下記2θ角:5.13 ± 0.20°、7.34 ± 0.20°、10.14 ± 0.20°、10.56 ± 0.20°、11.72 ± 0.20°、16.67 ± 0.20°、19.14 ± 0.20°および21.18 ± 0.20°に存在する。
【0020】
本発明のいくつかの態様においては、特徴的な回折ピークは、上記結晶形BのX線粉末回折スペクトルの下記2θ角:5.13 ± 0.20°、7.34 ± 0.20°、10.14 ± 0.20°、10.56 ± 0.20°、11.72 ± 0.20°、16.67 ± 0.20°、19.14 ± 0.20°、21.18 ± 0.20°および21.78 ± 0.20°に存在する。
【0021】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形Bは、
図3に示されるXRPDスペクトルを有する。
【0022】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形BのXRPDスペクトル分析データは表2
に示される。
【0023】
【0024】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形Bは、示差走査熱量測定曲線上に、193.99 ±3℃および216.93 ±3℃のそれぞれに吸熱ピーク値;および200.10 ± 3℃に発熱ピーク値を有する。
【0025】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形Bは、
図4に示されるDSCスペクトルを有する。
【0026】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形Bは、熱重量分析曲線(TGA)において、120 ± 3℃で最大0.535%の重量減少を示す。
【0027】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形Bは、
図5に示されるTGAスペクトルを有する。
【0028】
本発明は、X線粉末回折スペクトルにおいて、下記2θ角:8.92 ± 0.20°、18.66 ± 0.20°および20.26 ± 0.20°に特徴的な回折ピークを有する式(I)の化合物の結晶形Cを提供する。
【0029】
本発明のいくつかの態様においては、特徴的な回折ピークは、上記結晶形CのX線粉末回折スペクトルにおいて、下記2θ角:5.76 ± 0.20°、8.92 ± 0.20°、11.50 ± 0.20°、16.35 ± 0.20°、18.66 ± 0.20°、19.17 ± 0.20°、20.26 ± 0.20°および24.79 ± 0.20°に存在する。
【0030】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形Cは、
図6に示されるXRPDスペクトルを有する。
【0031】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形CのXRPDスペクトル分析データは表3に示される。
【0032】
【0033】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形Cは、示差走査熱量測定曲線上215.48℃に吸熱ピークの開始ポイントを有する。
【0034】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形Cは、
図7に示されるDSCスペクトルを有する。
【0035】
本発明は、X線粉末回折スペクトルにおいて、下記2θ角:7.12 ± 0.20°、20.54 ± 0.20°および21.42 ± 0.20°に特徴的な回折ピークを有する式(I)の化合物の結晶形Dを提供する。
【0036】
本発明のいくつかの態様においては、特徴的な回折ピークは、上記結晶形DのX線粉末回折スペクトルにおいて、下記2θ角:7.12 ± 0.20°、12.45 ± 0.20°、14.64 ± 0.20°、18.31 ± 0.20°、20.54 ± 0.20°、21.42 ± 0.20°および28.72 ± 0.20°に存在する。
【0037】
本発明のいくつかの態様においては、特徴的な 回折ピークは、上記結晶形DのX線粉末回折スペクトルにおいて下記2θ角:7.12 ± 0.20°、10.28 ± 0.20°、12.45 ± 0.20°、14.64 ± 0.20°、17.50 ± 0.20°、18.31 ± 0.20°、20.54 ± 0.20°、21.42 ± 0.20°および28.72 ± 0.20°に存在する。
【0038】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形Dは、
図8に示されるXRPDスペクトルを有する。
【0039】
本発明のいくつかの態様においては、上記結晶形DのXRPDスペクトル分析データは表4に示される。
【0040】
【0041】
本発明は、さらにJAK1および/またはTYK2関連疾患の治療のための薬の調製における、上記結晶形A、B、CおよびDの使用を提供する。
【0042】
本発明のいくつかの態様においては、上記使用においては、薬は関節リウマチの治療のための薬である。
【0043】
技術的効果
本発明に記載の式(I)の化合物は、生体内で良好な薬効を有し、その結晶形は安定で光、熱および湿度の影響を受けにくく、溶解性が高いため、医薬品として広い見通しを有する。
【0044】
定義および明細書
特に断らない限り、本明細書で使用される以下の用語および語句は、以下の意味を有することが意図される。特定の語句または用語は、特別な定義なしに不確実または不明瞭と考えるべきではなく、通常の意味に従って理解されるべきである。本明細書において商品名が現れる場合、それはその対応する商品またはその活性成分を指すことを意図している。
【0045】
本発明の中間体化合物は、以下に列挙する特定の態様、他の化学合成法との組み合わせにより形成される態様、および当業者に周知の同等の置換法などの、当業者に周知の多様な合成法により調製することができる。好ましい態様は、本発明の態様を含むが、これに限定されない。
【0046】
本発明の特定の態様の化学反応は、本発明の化学変化と必要な試薬および材料に適した適切な溶媒中で完了する。本発明の化合物を得るために、当業者は既存の実施形態に基づいて合成工程または反応プロセスを変更または選択することが必要な場合がある。
【0047】
以下、本発明を実施例に関連して説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。
【0048】
本発明で使用される全ての溶媒は市販されており、さらに精製する必要なく使用することができる。
【0049】
本発明で使用する溶媒は、市販のものを使用することができる。本発明では、以下の略号を用いる:DCMはジクロロメタンを表す;DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを表す;DMSOはジメチルスルホキシドを表す;EtOHはエタノールを表す;MeOHはメタノールを表す;TFAはトリフルオロ酢酸を表す;TsOHはp-トルエンスルホン酸を表す;mpは融点を表す;EtSO3Hはエタンスルホン酸を表す;MeSO3Hはメタンスルホン酸を表す;ATPはアデノシン三リン酸を表す;HEPESは4-ヒドロキシエチル ピペラジン エタンスルホン酸を表す、EGTAはエチレングリコール ビス(2-アミノエチルエーテル)テトラ酢酸を表す;MgCl2は塩化マグネシウムを表す;MnCl2は塩化マンガンを表す;DTTはジチオスレイトールを表す;DCCはジシクロヘキシルカルボジイミドを表す;DMAPは4-ジメチルアミノピリジンを表す;EAは酢酸エチルを表す;LiHMDSはリチウムビス(トリメチルシリル)アミドを表す;Pd(dppf)Cl2.CH2Cl2は[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロライドのジクロロメタン錯体を表す;EDCIは1-エチル-3(3-ジメチルプロピルアミン)カルボジイミドを表し;およびHOBtは1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを表す。
【0050】
XRPD、DSCおよびTGAの具体的な方法(装置モデルおよびパラメーターなど)
本発明において使用するX線粉末回折(XRPD)方法
XRPD検出に使用する約10-20 mgの検体
詳細なXRPDパラメーターは次のとおりである:
軽質チューブ:Cu、Cu:K-アルファ(λ= 1.54179Å)。
軽質チューブ電圧:40 kV、軽質チューブ電流:40 mA
発散スリット:0.60 mm
検出スリット:10.50 mm
飛散防止スリット:7.10 mm
走査範囲:3-40 deg
走査速度:10 deg/min
検体ディスク速度:15 rpm/0 rpm
【0051】
本願で使用する示差熱測定装置(DSC)法
検体(0.5~1mg)を試験用DSCアルミニウムポットに入れる。50ml/min N2の条件下で、検体を30℃から250℃まで10℃/minの加熱速度で加熱する。
【0052】
本願で使用する熱重量分析装置(TGA)法
検体(2~5mg)を試験用TGA白金ポットに入れる。25 ml/min N2の条件下で、検体を室温から300℃まで、または20%の重量減少まで10℃/minの加熱速度で加熱する。
【0053】
本願で使用する液体クロマトグラフ法分析法(HPLC)
【0054】
【図面の簡単な説明】
【0055】
【0056】
詳細な説明
以下、この発明の内容をよりよく理解するために、具体的な実施例と組み合わせてさらに説明するが、具体的な態様はこの発明の範囲にいかなる限定を加えることを意図するものではない。
【実施例】
【0057】
実施例1:式(I)の化合物の調製。
【0058】
【0059】
工程1:化合物1-1(10.2 g、42.6 mmol)を含むTHF(150 ml)溶液にLiHMDS(1 M、51.2
mL)を-78℃にて滴下した。反応液を-78℃で1時間撹拌した後、1,1,1-トリフルオロ-N-フェニル-N-(トリフルオロメチルスルホニル)メタンスルホンアミド(16.7 g、46.9 mmol)のTHF(150 ml)溶液を反応液に加え、その後混合液を15℃で12時間撹拌した。反応を250 mLの飽和塩化アンモニウムで止め、200 mLの水で希釈し、酢酸エチル(200 mL * 3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物1-2を得た。粗生成物は精製することなく直接次の反応に使用した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.63 (br s, 1H),3.50-3.65 (m, 4H), 2.34 (br s, 4H),
1.88 (br t, J=5.90 Hz, 2H), 1.37 (s, 9H).
【0060】
工程2:酢酸カリウム(12.7 g、129.3 mmol)およびPd(dppf)Cl2.CH2Cl2(3.5 g、4.3 mmol)を化合物1-2(16 g、43.1 mmol)およびピナコールボレート(12.0 g、47.4 mmol)を溶解したDMF(100 ml)溶液に加え、それを3回窒素置換して70℃3時間窒素雰囲気下で撹拌した。反応液を水300mlと酢酸エチル400mlの混合液に分散させた。有機相を分離し、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、濃縮し、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化合物1-3を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 6.46 (br s, 1H), 3.71 - 3.53 (m, 4H), 2.31 (br d, J=3.0 Hz, 2H), 2.24 - 2.16 (m, 2H), 1.74 (t, J=6.3 Hz, 2H), 1.44 (s, 9H), 1.26 (s,
12H).
【0061】
工程3:窒素雰囲気下、炭酸カリウム(3.8g、27.3mmol)およびPd(dppf)Cl2.CH2Cl2(744mg、911. 0μmol)を化合物1-3(3.5 g、10.0 mmol)およびN-(5-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンホルムアミド(2.6 g、9.1 mmol)を含むジオキサン(60 ml)および水(15 ml)溶液に添加した。反応液を90℃で3時間撹拌した。反応液を濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離精製し、化合物1-4を得た。LCMS (ESI) m/z:424.3[M + H]+。
【0062】
工程4:化合物1-4(3.5g、8.2mmol)を溶解したジクロロメタン(10ml)溶液に塩酸/酢酸エチル(4M、30ml)を加え、反応溶液を25℃で0.5時間撹拌した。固体を析出させ、濾過、乾燥して化合物1-5(3.3 g 塩酸塩、粗生成物)を得、これを精製せずに直接次の反応に使用した。
LCMS (ESI) m/z:324.1[M + H]+.
【0063】
工程5:窒素雰囲気下、化合物1-5(3.0 g、8.34 mmol、塩酸塩)を溶解したメタノール(100 ml)溶液に、Pd/C(1 g、10%)を添加した。3回水素で置換した後、水素雰囲気下(30psi)、30℃で12時間撹拌した。反応液を濾過、濃縮して化合物1-6(3g塩酸塩、粗生成物)を得、これを精製することなく直接次の反応に使用した。
LCMS (ESI) m/z:326.2 [M + H]+.
【0064】
工程6:化合物1-6(0.87 g、2.40 mmol、塩酸塩)をN, N-ジメチルホルムアミド(10 ml)に溶かし、HOBt(487 mg、3.6 mmol)およびEDCI(691 mg、3. 6 mmol)を加えた後、この溶液にギ酸(1S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル(323 mg、2.6 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(621 mg、4.8 mmol)を添加した。反応液を15℃で12時間撹拌した。その後、減圧下で濃縮して残渣を得、これを分取用HPLC(中性系)に付し、式(I)の化合物を得た。
1H NMR (400MHz, CD3OD) δ 7.32-7.73 (m, 2H), 6.95 (br s, 1H), 3.62-4.22 (m, 4H), 3.45 (br s, 1H), 3.18-3.37 (m, 1H), 2.61 (br s, 1H), 1.45-2.27 (m, 10H), 0.78-1.17 (m, 4H). LCMS (ESI) m/z:430.0[M + H]+.
【0065】
実施例2:個々の結晶形の調製方法
式(I)の化合物50mgを2.0mlガラスバイアルに入れ、メタノールと水の混合液(容積比1:1)0.4mlを加え、懸濁液を得た。この懸濁液をマグネトンと一緒に添加し、加熱したマグネチックスターラー(40℃)上で撹拌した。100時間撹拌した後、懸濁検体を遠心分離し、35℃の真空乾燥炉に一晩置いた。乾燥検体を、XRPD(
図1に示す)およびDSC(
図2に示す)を同時に用いて式(I)の化合物の結晶形Aであることを決定した。
【0066】
式(I)の化合物約50mgを2.0mlのガラスバイアルに加え、酢酸エチル0.4mlを添加した。マグネトンを添加した後、加熱したマグネチックスターラー(40℃)上で上記検体を撹拌した。100時間撹拌した後、懸濁検体を遠心分離し、35℃の真空乾燥炉に一晩置いた。乾燥検体を、XRPD(
図3に示す)およびDSC(
図4に示す)およびTGA(
図5)を同時に用いて式(I)の化合物の結晶形Bであることを決定した。
【0067】
式(I)の化合物の結晶形Aを170℃に加熱し、XRPD(
図6に示す)およびDSC(
図7に示す)を同時にして確認されるように、結晶形Aを新しい結晶形、すなわち、式(I)の化合物の結晶形Cに変化させた。
【0068】
式(I)の化合物約50mgを2.0mlガラスバイアルに入れ、メタノールと水の混合液(容積比1:1)0.4mlを加え、懸濁液を得た。この懸濁液をマグネトンと一緒に添加し、加熱したマグネチックスターラー(40℃)上で撹拌した。100時間撹拌した後、懸濁検体を遠心分離し、35℃の真空乾燥炉に一晩置いた。乾燥検体をXRPD(
図8に示す)により式(I)の化合物の結晶形Dであることを決定した。
【0069】
実施例3:式(I)化合物の結晶形Bの固体安定性の検討
乾燥した清潔なガラス瓶に結晶形Bを約5mg入れ、薄く広げて正式な試験検体とした。これを、影響因子(60℃、92.5%RH)および加速条件(40℃/75%RHおよび60℃/75%RH)の試験条件下に置いた。検体は完全に露出させ,アルミ箔紙で覆い,小孔で貫通させた。5日後と10日後に検体を採取して分析した。光照射(可視光1200000lux,UV 200W)下に置かれた検体は,室温で完全に曝露された。
【0070】
実験の結果、影響因子(高温-60℃、高湿度-92.5%RH、光)および加速(40℃/75%RHおよび60℃/75%RH)の条件下で結晶形が変化しないことが確認された。
【0071】
実施例4:式(I)化合物の結晶形Bの生物媒体への溶解度の検討
1 結晶形Bの生物媒体への溶解度実験
検体瓶に結晶形Bの検体約2mgを加え、異なる溶媒[純水、SGF(模擬胃液)、FaSSIF(空腹時の模擬腸液)、FeSSIF(喫食時の模擬腸液)]1.0mLをそれぞれ加え、振盪した。37℃の恒温槽で瓶を振盪した。24時間振盪した後、遠心分離し、得られた上清の溶解度を調べた。上清を一定回数希釈(希釈液ACN/H2O(1/1))した後(化合物の溶解度が低いため、10倍希釈したSGFを除き、上清は2倍)、HPLCにより濃度を測定した。
【0072】
2 希釈剤および移動相の調製
希釈剤:アセトニトリル:水=1:1。移動相A:0.1%TFA水溶液、例えば:TFA 1mlを純水1Lに移し、均一に混合した後、超音波で脱気した。
移動相B:100%アセトニトリル。
【0073】
3 基準物質および検体溶液の調製
STD溶液の調製:基準物質として結晶形Bを用いた。基準物質約5mgをガラス瓶に入れ、10mLの希釈液で溶解し、約10分間超音波で十分に溶解した後、室温に冷却し、振盪した。同様な2つの分量を用意し、対応するSTD1およびSTD2と表記した。対応するSTD1を希釈液で10倍、100倍、1000倍、2000倍に希釈し、標準曲線で検定した。
【0074】
検体溶液の調製:上清を一定回数希釈(希釈液ACN/H2O(1/1))した後(化合物の溶解度は小さいので、上清は、SGF以外は2倍、SGFは10倍希釈)、よく振って、試験対象の1.5ml液相バイアルに入れ、HPLCで濃度を測定した。
【0075】
4 生物学的媒体中の溶解度の結果
【0076】
【0077】
実験結論:結晶形Bは、模擬生物学的媒体中において良好な溶解度を有し、このことは生体内で良好なバイオアベイラビリティを得ることに寄与する。
【0078】
生物学的活性試験
実験例1:JAK1、JAK2、JAK3およびTYK2 キナーゼのインビトロ活性試験
実験材料
組換えヒトJAK1、JAK2、JAK3、TYK2プロテアーゼ、主要機器および試薬は英国ユーロフィンズ社から提供された。
【0079】
実験方法
JAK2、JAK3およびTYK2の希釈:20 mM 3-(N-モルホリン)プロパンスルホン酸(MOPS)、1mM EDTA、0.01% Brij-35.5%グリセロール、0.1% β-メルカプトエタノール、1 mg/ml BSA;JAK1の希釈:20mM TRIS、0.2 mM EDTA、0.1% β-メルカプトエタノール、0.01% Brij-35
.5%グリセロール。すべての化合物は100%DMSO溶液に調製し、最終決定濃度の50倍に達した。試験化合物を3倍の濃度グラジェントで希釈し、最終濃度が10μMから0.001μM、合計9濃度になるように希釈した。検出反応中のDMSOの含有量は2%であった。試験化合物のワーキングストック溶液を反応の第一成分として定量孔に添加し、その後、下記の定量方法に詳述するスキームに従って残りの成分を添加した。
【0080】
JAK1(h)酵素反応
JAK1(h)を20mM Tris/HCl、pH7.5、0.2mM EDTA、500μM MGEEPLYWSFPAKKK、10mM 酢酸マグネシウムおよび[γ-33P]-ATP(活性および濃度は必要に応じて調整した)と共にインキュベートした。Mg/ATP混合物を加えて反応を開始した。室温で40分間インキュベートした後、0.5%リン酸を加えて反応を停止させた。その後、反応物10μLをP30フィルターパッドに滴下し、0.425%リン酸で3回、メタノールで1回4分以内に洗浄し、乾燥後シンチレーションで計数した。
【0081】
JAK2(h)酵素反応
JAK2(h)を、8mM MOPS、pH7.0、0.2mM EDTA、100μM KTFCGTPEYLAPEVRREPRILSEEEQEMFRDFDYIADWC、10mM 酢酸マグネシウムおよび[γ-33P]-ATP(活性および濃度は必要に応じて調整した)と共にインキュベートした。Mg/ATP混合物を加えて反応を開始した。室温で40分インキュベートした後、0.5%リン酸を加えて反応を停止させた。その後、反応物10μLをP30フィルターパッドに滴下し、0.425%リン酸で3回、メタノールで1回4分以内に洗浄し、乾燥後シンチレーションで計数した。
【0082】
JAK3(h)酵素反応
JAK3(h)を、8mM MOPS、pH7.0、0.2mM EDTA、500μM GGEEEEYFELVKKKK、10mM 酢酸マグネシウムおよび[γ-33P]-ATP(活性および濃度は必要に応じて調整した)と共にインキュベートした。Mg/ATP混合物を加えて反応を開始した。室温で40分インキュベートした後、0.5%リン酸を加えて反応を停止させた。その後、反応物10μLをP30フィルターパッドに滴下し、0.425%リン酸で3回、メタノールで1回4分以内に洗浄し、乾燥後シンチレーションで計数した。
【0083】
TYK2(h)酵素反応
TYK2(h)を、8mM MOPS、pH7.0、0.2mM EDTA、250μM GGMEDIYFEFMGGKKK、10mM 酢酸マグネシウムおよび[γ-33P]-ATP(活性および濃度は必要に応じて調整した)と共にインキュベートした。Mg/ATP混合物を加えて反応を開始した。室温で40分インキュベートした後、0.5%リン酸を加えて反応を停止させた。その後、反応物10μLをP30フィルターパッドに滴下し、0.425%リン酸で3回、メタノールで1回4分以内に洗浄し、乾燥後シンチレーションで計数した。
【0084】
データ分析
IC50の結果は、IDBS社のXLFIT5(205式)の分析から得た。詳細は表6を参照。
【0085】
【0086】
結論:本発明による式(I)化合物は、4つのキナーゼサブタイプJAK1、JAK2、JAK3およびTYK2のインビトロ活性試験において、JAK1および/またはTYK2に対する良好な選択的阻害
を示す。
【0087】
実験例2:薬物動態(PK)試験
試験化合物を溶解して得られた清澄液を雄マウス(C57BL/6)またはラット(SD)(一晩絶食、7~8週齢)に尾静脈投与および経口投与した。試験化合物投与後、静脈内注射(2 mg/kg)群では0.117、0.333、1、2、4、7および24時間、経口投与(15mg/kg)群では0.25、0.5、1、2、4、8および24時間に下顎静脈から個別に採血し、遠心分離して血漿を得た。血中の薬物濃度をLC-MS/MSで測定し、薬物動態ソフトウェアWinNonlin(登録商標)Version 6.3を用いて、非房室モデル線形対数台形法により関連薬物動態パラメータを算出した。試験結果は以下のとおりである:
【0088】
【0089】
結論:本発明の式(I)化合物は、マウスにおいて良好な経口バイオアベイラビリティと高い曝露量を有し、これはin vivoで良好な薬効を生み出すのに寄与する。
【0090】
実験例3:マウスコラーゲン誘発関節炎(CIA)のインビボ薬力学的研究
実験目的:
関節リウマチ(RA)は、頻繁に発生する自己免疫疾患の一種であり、世界的な発症率は約1%である。関節リウマチは関節の炎症、損傷および変形を引き起こす自己免疫反応によるもので、重症化すると全身の炎症反応を引き起こすことになる。RAの薬の研究開発は、関節リウマチの症状を緩和し、患者の生活の質を向上させるのに役立つだろう。マウスコラーゲン誘発関節炎モデルは、RAの治療における薬の有効性を評価するためにしばしば使用され、その病態や症状は、RA疾患と大きな相関がある。当該モデルは、II型コラーゲンを注射することにより、骨のコラーゲンに対するB細胞やT細胞の反応性を活性化し、活性化したB細胞やT細胞が関節内に侵入して関節障害を起こし、ヒトの関節リウマチと同様の一連の症状を引き起こすものである。関節リウマチの薬物治療のための候補化合物の前臨床評価では、マウスコラーゲン誘発関節炎が、その有効性を評価するためによく使用される。
【0091】
本実験の目的は、マウスコラーゲン誘発関節炎に対する式(I)の化合物および参照化合物フィルゴチニブの治療効果を調査し、その後の臨床研究のための前臨床薬力学的情報を提供することである。
【0092】
実験方法:
1.II型コラーゲン/完全フロイントアジュバント免疫化
酢酸の調製:2N酢酸を100mMに希釈し、0.22ミクロンのフィルター膜で濾過し、4℃で保存した。
【0093】
ウシII型コラーゲン溶液:ウシII型コラーゲン(CII)を100mM酢酸溶液に溶解し、一晩4℃で保存した。コラーゲンの最終濃度は8mg/mlであった。
【0094】
エマルジョンの調製:一晩保存したCII溶液を等量の完全フロイントアジュバントと混合し、氷上の高速ホモジナイザーにて30000rpmで約60分間、溶液が安定なエマルジョンを形成するまでホモジナイズした。
【0095】
2.関節炎の誘発:
マウスを異なる処理群に無作為に割り当てた。最初の免疫の日を0日目として記録し、その後の日を順番に記した。
【0096】
DBA/1マウスをイソフルランで麻酔し、調製したコラーゲンエマルジョン(200μgのCIIを含む)50μlを尾(尾の付け根から2~3cm)に皮下注射した。21日目には、同量のコラーゲンエマルジョンを同じ方法で尾に注射した。正常群のマウスは免疫化しなかった。
【0097】
3.投与および投与量設計
28日目、平均臨床スコアが約1スコアに達した時に、中等症のマウス50匹を選び、体重とスコアに応じて無作為に5つの処置群、各群8匹のマウスに分けた。
【0098】
モデルが正常に確立しているかどうかを測定するための参照薬として、デキサメタゾン(DEX.)を0.3 mg/kg(CIAモデルで一般的に使用される用量)の用量で投与した。また、本実験の初期段階における予備実験の結果に従い、表8-1に示すように、試験化合物および参照化合物であるフィルゴチニブの関連投与量設計を決定した:第1群は何も処置しない正常マウス、第2群は溶媒のみを含む対照群、第3群はデキサメタゾンを0.3 mg/kgの投与量、第6群および第8群はそれぞれ15 mg/kgおよび15 mg/kg投与量で与えられた。マウスには1日2回、14日間投与した。
【0099】
【0100】
4.関節炎発症指数の測定
臨床観察:免疫前7日目から免疫後21日目まで毎日、DBA/1マウスの基礎健康状態および体重変化を観察した(1週間に1回記録)。22日目以降は、実験終了まで毎日、マウスの健康状態、病的状態、体重変化を観察した(少なくとも週3回記録)。
【0101】
臨床的スコアリング:免疫強化後、マウスの発症率を毎日観察した。疾患の発症(関節炎の臨床症状)時、疾患の程度(紅斑、腫脹、関節変形)の違いにより、マウスを0~4点で採点した。各肢の最大スコアは4点、各動物の最大スコアは16点とした。採点基準を表8-2に示す。採点は少なくとも週に3回行った。
【0102】
【0103】
5.統計処理
実験データは平均値±標準誤差(mean ± SEM)で表し、曲線下面積(AUC)は一元配置分散分析(one-way ANOVA)で分析し、(P < 0.05)を有意差とした。
【0104】
実験結果:
1.臨床スコアおよび発症率:
1回目の免疫後28日目(2回目の免疫後7日目)に、マウスは関節炎の臨床症状を呈しはじめた。投与は28日目に開始した。実験の詳細な結果は表8-3に示す通りであった:溶媒対照群の平均臨床スコアは41日目に5.8まで徐々に増加し、コラーゲン誘発関節炎モデルの確立に成功したことが示唆された。式(I)の化合物とフィルゴチニブを同じ用量の15mg/kgは、実験の終点(41日目)において、関節炎マウスの臨床スコアを有意に減少させることができる。この用量では、式(I)の化合物の平均臨床スコアは1.5、フィルゴチニブは5.6に減少した(値については表8-3を参照)。式(I)の化合物は、15mg/kgでコラーゲン誘発関節炎を効果的に減少させることができることがわかる。デキサメタゾン0.3mg/kg(G3群)は、コラーゲン誘発関節炎の臨床スコアを有意に抑制することができる。臨床スコアは27日目から約0.3を維持し、31日目には0に減少した(臨床スコアは0に減少した、数値については表8-3を参照)。
【0105】
【0106】
各群の各動物の臨床スコア曲線を分析することにより、曲線下面積(AUC)を算出し、群間平均AUCにより溶媒対照群に対する個々の投与群の抑制率を算出した。詳細な結果を表8-4に示す:式(I)の化合物およびフィルゴチニブは、15mg/kgの同一用量で関節炎動物の臨床スコアAUCを低減でき、その抑制率はそれぞれ59.9%および18.7%である。また、デキサメタゾンは、関節炎動物の臨床スコアを有意に低下させることができ、その抑制率は97.3%である。
【0107】
【0108】
種々の治療因子もコラーゲン誘発関節炎の発症に影響を与え得る。実験の詳細な結果を表8-5に示す:式(I)の化合物の発症率は29日目に63%に達し、実験終了まで維持された(具体的な数値は表8-5を参照)。フィルゴチニブ群の発症率は、初回投与後に減少し、その後徐々に増加し、最終投与後に100%に上昇した。溶媒対照群の関節炎発症率は、免疫後34日目に100%に達し、維持された。陽性対照0.3 mg/kg デキサメタゾン群の発症率は投与後減少し始め、31日目には0%に減少した。
【0109】
【0110】
2.体重
実験の詳細な結果は表8-6に示される:正常群と比較して、免疫モデル化後のマウスの体重は減少した。個々の投与群の体重は、28日目から34日目まで減少し、その後、体重はゆっくりと増加し始めた。デキサメタゾン群の体重減少が最も大きかったが、他の群と比較して有意差はなかった。また、式(I)化合物とフィルゴチニブとの間には有意差はなく、基本的に同じ体重の変化傾向であり(具体的な数値は表8-6参照)、マウスの体重に対する化合物の影響は少ないことが示唆される。
【0111】
【0112】
結論:マウスのコラーゲン誘発関節炎(CIA)のモデルにおいて、式(I)の化合物は良好な疾患治療効果を示し、マウスの体重に有意な影響を与えず、同じ用量でのマウスにおいてはフィルゴチニブより優れている。
【0113】
実験例4:ラットアジュバンド誘発関節炎(AIA)のインビボ薬力学的研究
実験の目的:
アジュバント誘発関節炎(AIA)ラットモデルは、関節リウマチ疾患研究および新薬開発において一般的に用いられる動物モデルの1つである。その病態や臨床症状は、ヒトの関節リウマチ疾患と類似している。このモデルでは、結核菌を足蹠に注射することにより、骨および関節傷害機能を有する免疫細胞や抗体が誘発され、関節腫脹、骨溶解、滑膜傷害およびヒトの関節リウマチと類似の症状など全身反応を引き起こす。本実験の目的は、デキサメタゾンとフィルゴチニブを参照化合物として用いて、アジュバント誘発関節炎ラットモデルに対する式(I)の化合物の治療効果を評価することである。この実験では、正常群、溶媒対照群(ビヒクル群)、式(I)の化合物の1mg/kg BID、3mg/kg BID、10mg/kg BID、30mg/kg BID投与群、陽性薬剤デキサメタゾン0.3mg/kg QD群、参照化合物フィルゴチニブ30mg/kg bid投与群の8つの群がある。正常群を除くすべてのラットにフロイント完全アジュバントを皮下注射し、0日目に関節炎を誘発させる。実験プロトコールに従い、体重により群を分け、13日目に点数化し、14日間投与を継続した。実験中、体重、足容積(13日目以降、週3回測定)、臨床スコアをモニターする。実験終了後、ラットの右後肢を採取し、ヘマトキシリン・エオジン染色(HE)および病理学的スコア分析を行う。
【0114】
実験方法
1.関節炎モデル
アジュバント調製:結核菌H37Ra 100mgを秤量し、約5分間粉砕した後、パラフィンオイル3mLを加えて粉末を溶解し、褐色の分注瓶に移し替えた。その後、乳鉢をパラフィンオイル3mLおよび4mLでそれぞれ2回洗浄し、得られた溶液を最終濃度が10mg/mLとなるように褐色分注瓶に移した。氷水混合液中で約30分間超音波処理するなどの超音波破砕を行った。
【0115】
2.関節炎の誘発
調製したアジュバントを振盪混合し、1mLガラスシリンジ(20G針)で抽出し、さらに25G針で泡を消した。ラットはイソフルランで麻酔した。各ラットを免疫する前に、シリンジを逆さまにして結核菌を十分に混和した。麻酔後、0.1mLのアジュバントをラットの左足の足底に皮下注射した。パラフィンオイル0.1mLを正常ラットの足底に皮下投与した。アジュバント投与日を0日目とした。
【0116】
3.投与
13日目に、全ての動物に足の紅斑や膨張などの関節炎症状が見られた。スコア、足容積
、体重により層別し、無作為にグループ分けした。グループ分けは表9-1を参照。70匹のラットを7つのグループ、各群10匹および正常群5匹を分けた。表9-1に従い、各群の投与量は以下の通りであった。なお、胃内投与量は5mL/kgとした。本化合物を1日2回、14日間投与した。
【0117】
【0118】
4.関節炎発症指標の決定
体重:13日目から27日目まで週3回計る。
足容積:免疫前に1回、13日目から27日目まで週3回測定する。
スコア:13日目から27日目まで週3回採点。病変の程度(赤い腫脹・関節変形)の違いにより、0~4点の基準で評価する。各肢の最大スコアは4点、各動物の最大スコアは12点(注射側の左後肢を除く)。採点基準を表9-2に示す.
【0119】
【0120】
5.病理学的分析
27日目に、ラットを安楽死させた。採血後、ラットの右後肢を採取し、10%ホルマリン溶液に浸漬し、ギ酸溶液で脱灰後、パラフィンに包埋し、スライスしてHE染色し、顕微鏡下で観察した。関節損傷の程度を、炎症細胞浸潤、パンヌス形成、軟骨損傷および骨吸収の4つの側面から評価し、0~4の基準に従って採点した。採点基準は以下の通りである(表9-3):
【0121】
【0122】
6.統計処理
実験データは平均値±標準誤差(Mean±SEM)で表し、体重、臨床スコア、病理スコアは一元配置分散分析(one-way ANOVA)により分析し、(P<0.05)を有意差とした。
【0123】
実験結果
1.臨床スコア
この実験では、ラット関節炎(AIA)モデルにおける臨床スコアの改善に対する式(I)の化合物の効果を、デキサメタゾンおよびフィルゴチニブを参照として用いて評価した。アジュバント免疫後6日目に、ラットは関節炎症状を呈し始めた。13日目の投与後、溶媒対照群の平均臨床スコアは徐々に上昇した。実験の結果、溶媒対照群の平均臨床スコアは24日目をピークに約8点を維持し、AIAモデルの確立に成功したことを確認した(表9-4)。
【0124】
終点(27日目)において、式(I)の化合物は、1、3、10および30mg/kgの4用量で関節炎ラットの臨床スコアを有意に抑制し(溶媒対照群と比較してP<0.0001)、用量依存的に関節炎ラットの臨床スコアをそれぞれ5.4、3.9、3.2および2.7に低減した(高用量群および低用量群と比較してP <0.0001)。中でも、式(I)の化合物30mg/kgの効果は最も明らかである(17日目から、溶媒対照群と比較して非常に有意な差がある、P < 0.0001)。この群の平均関節炎臨床スコアは、13日目の6.0をピークに27日目には2.7まで減少した(表9-4)。参照化合物であるフィルゴチニブ30mg/kg BIDのスコアは、27日目の実験終点で5.1に減少し、これは溶媒対照群のスコアより有意に低かったが(P < 0.001)、式(I)の化合物30mg/kg BIDのスコアより有意に高かった(P < 0.001 )。関節炎の臨床スコアに対する式(I)の化合物の改善効果は、同じ用量のフィルゴチニブの改善効果よりも
有意に優れている。
【0125】
陽性対照であるデキサメタゾン処置群の平均臨床スコアは、13日目以降に最高値の6.0ポイントに達した。投与後、臨床スコアは低下を続け、27日目の実験終点では2.7ポイントになった。17日目からは、溶媒対照群と比較して非常に有意な差があった(表9-4)。
【0126】
2 足容積
この実験は、ラット関節炎(AIA)モデルにおける式(I)の化合物の足容積に対する効果を、デキサメタゾンおよびフィルゴチニブを参照として用いて評価した。溶媒対照群の動物の平均足容積は、13日目の1.9mLから27日目の実験終了時には2.9mLと順調に増加し、AIAモデルの確立に成功した(表9-5)。実験終了時、式(I)の化合物は、1、3、10および30mg/kgの用量で関節炎ラットの足容積の増加を有意に抑制でき(溶媒対照群と比較してP < 0.0001)、関節炎ラットの平均足容積は用量依存的にそれぞれ1.91mL、1.59mL、1.26mLおよび1.21mLに減少した(高用量群および低用量群と比較してP < 0.0001)。参照化合物であるフィルゴチニブ30mg/kg BIDは、27日目の実験終点で1.91点に減少し、溶媒対照群より有意に低かったが(P<0.0001)、式(I)の化合物30mg/kg BIDのそれよりも有意に高かった(P<0/0001)。ラットの足容積の改善に対する式(I)の化合物の効果は、同じ用量のフィルゴチニブの効果よりも有意に優れている。陽性対照であるデキサメタゾン処置群も、平均足容積の増加をよく抑制した。投与後、足容積は順調に減少し、実験終了まで1.21mLを維持した。17日目からは、溶媒対照群と比較して非常に有意な差があった(P < 0.0001)(表9-5)。
【0127】
3 体重
正常群に比べ、免疫モデル化後のラットの体重は減少した。投与後13日目では、各投与群の体重は溶媒対照群と比較して緩やかにかつ連続的に増加し、陽性対照であるデキサメタゾン群の体重は緩やかに回復した。この結果は、ラットがフィルゴチニブおよび式(I)の化合物に対して良好な耐性を有することを示唆している。また、式(I)の化合物30mg/kg群の体重が最も速く増加し、4つの投与量における体重増加の傾向は用量依存的な関係を示した(表9-6)。
【0128】
4 病理組織学的試験結果
溶媒対照群の関節炎ラットの病理学的総スコアは、16±0.00であった。式(I)の化合物の投与量1mg/kgでスコアは13.3±0.44に減少し(溶媒対照群と比較してP=0.09)、抑制率は16.9%であった。3mg/kg、10mg/kgおよび30mg/kgの投与量では、関節炎ラットの病理学的スコアはそれぞれ11.3±1.64、4.4±1.16、1.6±0.47に有意に減少した。P値はそれぞれ0.014、<0.0001および<0.0001であった。抑制率は、29.4%、72.5%および90%であった。参照化合物であるフィルゴチニブ30mg/kgの病理学的総スコアは15.2 ± 0.49であり、抑制率は5%であった。溶媒群と比較して有意差はなかった。また、同用量(30mg/kg)の式(I)の化合物の病理学的総スコアは、フィルゴチニブより有意に低かった(P<0.0001)。対照化合物デキサメタゾン0.3mg/kgは、関節炎ラットの病理学的スコアを4.4 ± 0.8、P < 0.0001 に有意に減少させ、抑制率は72.5%であった(表9-7)。
【0129】
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結論:溶媒対照群のラットは、関節炎の臨床症状を有し、悪化し続ける。溶媒対照群と比較して、式(I)の化合物(1,3,10,30mg/kg)、フィルゴチニブ(30mg/kg)およびデキサメタゾン(0.3mg/kg)はアジュバント誘発関節炎に有意な抑制効果を示し、発症時間の遅延ならびに臨床症状および病理学的変化の有意な減少を示した。アジュバント誘発関節炎モデルに対する式(I)の化合物の治療効果は、用量依存的であった。上記の実験結果は、式(I)の化合物がラットのアジュバント誘発関節炎に対して明らかな治療効果を有し、その効果はフィルゴチニブより優れていることを示している。
【国際調査報告】