(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】飲料を形成するための組成物
(51)【国際特許分類】
A23F 5/40 20060101AFI20230329BHJP
A23F 5/38 20060101ALI20230329BHJP
A23C 11/00 20060101ALI20230329BHJP
A23C 11/02 20060101ALI20230329BHJP
A23L 2/39 20060101ALI20230329BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20230329BHJP
A23L 9/20 20160101ALI20230329BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
A23F5/40
A23F5/38
A23C11/00
A23C11/02
A23L2/39
A23L2/52
A23L9/20
A23L2/00 Q
A23L2/00 S
A23L2/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549377
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(85)【翻訳文提出日】2022-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2021053900
(87)【国際公開番号】W WO2021165328
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516386029
【氏名又は名称】コーニンクレイケ ダウ エグバーツ ビー.ヴイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カントニ, マリア シエロ
(72)【発明者】
【氏名】ステーンホフ, フィンセント ヤン
【テーマコード(参考)】
4B001
4B025
4B027
4B117
【Fターム(参考)】
4B001AC02
4B001AC03
4B001AC17
4B001AC40
4B001AC44
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(57)【要約】
本発明は、飲料を形成するための組成物であって、粉末成分の混合物を含み、該成分が、
i)可溶性コーヒー、
ii)非タンパク質クリーマー、
iii)オート麦粉末、ココナッツ粉末、大豆粉末及びアーモンド粉末の1種以上から選択される植物ベースの粉末、を含み、
前記非タンパク質クリーマーの粉末と前記植物ベースの粉末との重量比が、少なくとも1:3である、組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を形成するための組成物であって、成分粉末の混合物を含み、前記成分が
i)可溶性コーヒー、
ii)非タンパク質クリーマー、並びに
iii)オート麦粉末、ココナッツ粉末、大豆粉末及びアーモンド粉末の1種以上から選択される植物ベースの粉末、を含み、
前記非タンパク質クリーマーの粉末と前記植物ベースの粉末との重量比が、少なくとも1:3である、組成物。
【請求項2】
前記植物ベースの粉末がオート麦粉末、好ましくはオート麦フラワーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記非タンパク質クリーマーの粉末と前記植物ベースの粉末との重量比が、少なくとも3:1、好ましくは3:1~8:1、最も好ましくは3:1~4:1である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記成分が糖を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記成分が、前記成分の総重量に基づいて、
10~15重量%の前記可溶性コーヒー、及び/又は
10~45重量%の前記非タンパク質クリーマー、及び/又は
40~60重量%の前記糖、及び/又は
1~40重量%、好ましくは5~12重量%の前記植物ベースの粉末、を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記成分が、少なくとも1mL/gのガスを捕捉している起泡増進成分を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記起泡増進成分が、前記成分の総重量の1~20重量%の量で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記可溶性コーヒーが、噴霧乾燥又は凍結乾燥したコーヒー粉末であり、任意選択で、焙煎して挽いたコーヒー粒子を含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記非タンパク質クリーマーが、植物油と、増粘剤、酸度調整剤、緩衝剤、乳化剤及び安定剤から選択される1種以上の成分とを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記植物ベースの粉末が、少なくとも部分的に加水分解されており、任意選択で完全に加水分解されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記植物ベースの粉末が、加水分解された植物系フラワーと天然の植物系フラワーとの混合物を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記植物ベースの粉末がオート麦フラワーであり、予め加水分解されたオート麦フラワーと天然オート麦フラワーとの比が5:1~3:1である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
植物ベースの粉末が本質的に唯一のタンパク質源である、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記粉末成分を一緒に乾式混合することを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物を形成する方法。
【請求項15】
粉末成分の混合物を造粒又は凝集することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法によって得られる、凝集又は造粒させた飲料組成物。
【請求項17】
請求項1~13又は16のいずれか一項に記載の組成物を飲料媒体と混合することを含む、飲料を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飲料を形成するための組成物に関し、特に、乳製品ベースの白色付与されたコーヒー組成物の代替物に関する。組成物は、タンパク質源として、乳タンパク質に依拠するのではなく、植物ベースの粉末を含む。
【背景技術】
【0002】
乳成分の多くの代替物が周知である。特に近年では、消費者はビーガン製品を求めており、アーモンドミルク又は豆乳などの様々な「乳」製品の普及が拡大している。これらの製品は、乳成分を回避することから、また、一部の消費者に関しては乳成分及び乳成分中のアレルゲン(例えば、ラクトース)に関連するリスクが回避されることから、望ましいと考えられる。
【0003】
しかしながら、飲料組成物中のミルク粉末成分を置き換えることは簡単なことではない。特に、製品の十分な溶解(すなわち、沈降又は分離の回避)、製品への十分な白色付与、所望の味わい及び口当たりを確保すること、並びに製品の品質維持を確保することには困難が伴う。すなわち、消費者は、カプチーノ製品に対する非乳製品代替物を求める一方で、製品が従来のカプチーノに似ており、同様の体験を提供することを依然として望んでいる可能性がある。更に、いくつかの有望な代替成分は、それら自体がアレルゲンの問題を伴うものである。
【0004】
乳製品を含まない飲料用ホワイトナー又はクリーマー含有組成物を提供するために、様々なアプローチが既に取られている。これらのアプローチのいくつかでは、製造業者は、少量の植物ベースのタンパク質添加物に頼っている。かかる少量は、比較的容易に可溶化され、生成物の品質に及ぼす影響が限定されているような量である。そのような製品中でのタンパク質の適切な量を達成するために、製造業者はしばしば異なるタンパク質源のブレンドを使用する。しかしながら、製品は、例えば「アーモンドカプチーノ」として容易に識別することができないので、そのようなタンパク質ブレンドに関連する商業的メッセージは不明瞭である。
【0005】
そのような非乳製品飲料を提供するための他のアプローチは、組み合わされた可溶性製品を提供することを含む。すなわち、製造業者は、必要な成分を均質化した水性ブレンドを乾燥させることによって得られた噴霧乾燥又は凍結乾燥製品を提供する。タンパク質成分は、クリーマー成分の脂肪成分により形成されるエマルション内に保持される。このアプローチは、非乳タンパク質源の良好な分散を可能にし、これらの成分の最終的な溶解及び懸濁を助ける。しかしながら、このような製品の製造は複雑であり、全ての状況に適しているわけではない。
【0006】
CN104621311は、以下の成分、8~15重量%のインスタントコーヒー粉末、25~35重量%の非乳製品クリーマー、30~50重量%の粉末砂糖及び10~25重量%のアーモンドミールを含むことを特徴とする、アーモンドコーヒーに関する。
【0007】
CN109043090は、オリゴ糖固形コーヒー飲料の製造技術を開示している。
【0008】
CN109864162号はミミズタンパク質コーヒー飲料を開示している。
【0009】
したがって、従来技術に関連する問題の少なくともいくつかに取り組む飲料を形成する組成物及びその製造方法を提供すること、若しくは採算が合うその代替品を少なくとも提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】中国特許出願公開第104621311号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第109043090号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第109864162号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様では、飲料を形成するための組成物であって、粉末成分の混合物を含み、当該成分が、
i)可溶性コーヒー、
ii)非タンパク質クリーマー、
iii)オート麦粉末、ココナッツ粉末、大豆粉末及びアーモンド粉末の1種以上から選択される植物ベースの粉末、を含み、
非タンパク質クリーマーの粉末と植物ベースの粉末との重量比が、少なくとも1:3である、組成物が提供される。
【0012】
本発明を、ここで更に説明する。以下の節において、本発明の異なる態様がより詳細に定義される。このように定義されている各態様は、反対のことが明示されていない限り、他の態様(単数又は複数)と組み合わされてもよい。特に、好ましい又は有利であることが示されているいずれの特徴も、好ましい又は有利であることが示されている他の特徴(単数又は複数)と組み合わされてもよい。
【0013】
本開示は、飲料を形成するための組成物に関する。すなわち、本開示は、水性媒体(一般に水又はミルク)中に溶解又は分散させて飲料を形成するために使用することができる組成物に関する。典型的には、組成物はコーヒーミックスと呼ばれ、糖が存在する場合、スリー・イン・ワン・ミックス(すなわち、コーヒー、クリーマー及び甘味料)と呼ばれる。組成物は、典型的には、消費者によって飲料容器にあけられる小袋又はスティックパックで販売される。他の用途としては、飲料調製機で使用するための飲料カプセル、カートリッジ及びフィルターパウチ又はパッド、並びに組成物を予め充填したカップが挙げられる。沸騰に近い水(すなわち80~95℃)を添加すると、飲料が再構成される。典型的な1サービングは、150~250mLの水で再構成するための約1.5~2gの可溶性コーヒーを含有する。好ましくは、本発明は、単一の飲料を形成するための個包装されたサービングを提供する。
【0014】
組成物は、粉末成分の混合物を含む。すなわち、成分はそれぞれ粉末形態で提供され、一緒に混合される。好ましくは、成分は、当該成分が緊密に形成されない、又は一緒に凝集/接着しないために、基本的に機械的手段によって分離することができるように、別個のままである。このことは、複雑な処理工程、又は潜在的なアレルゲンによる高価な装置の汚染を要せずに、成分を別々に調製し、単純に一緒に混合することができることから有利である。以下に議論される一態様において、乾燥ブレンド混合物は、粉末生成物の溶解度を増加させるために、混合物を形成した後に造粒又は凝集され得る。これは、複雑な上流の湿式処理及びこれらのプロセスのアレルゲンによる汚染を排除するので有利である。
【0015】
粉末形態とは、成分が粒子として提供され、それぞれがそれ自体の粒径分布を有することを意味する。例として、噴霧乾燥コーヒーは、典型的には300ミクロン~2mmの平均粒径範囲を有し、凍結乾燥コーヒーは、典型的には1~3mmの平均粒径範囲を有する。
【0016】
成分は可溶性コーヒーを含む。可溶性コーヒーは、当該技術分野において周知である。最もよく知られている例は、噴霧及び凍結乾燥コーヒー粉末である。これらは、濃縮コーヒー抽出物を乾燥させることによって作製され、したがって可溶性コーヒー固体からなる。粉末は、コーヒー飲料を形成するために水の添加により再構成される。このような可溶性コーヒー製品は、粉末中の粒子の一部として、又は緩い混合によって、添加された焙煎して挽いたコーヒーの量を含有することが知られている。本発明の可溶性コーヒーは、添加された焙煎して挽いたコーヒー粒子、例えば1~25重量%の焙煎して挽いたコーヒー粒子、より好ましくは5~15重量%の焙煎して挽いたコーヒー粒子を含んでもよい。
【0017】
好ましくは、組成物は、成分の総重量に対して10~15重量%の可溶性コーヒーを含む。
【0018】
成分は、非タンパク質クリーマーを含む。クリーマー成分は、脂肪成分を提供するものである。最終飲料中の脂肪の小球の微細な分布は飲料の外観に対して白色付与効果を示し、この効果は消費者にとって望ましい。これは、飲料にミルクを添加することで乳脂肪が達成するものと同じ効果を模倣することを意図している。非乳製品クリーマー中の脂肪は、一般に、パーム油、パーム核油又は水添ヤシ油などの植物性脂肪である。このようなクリーマーはまた、一般に、脂肪球の所望の微細分布を達成し、安定化させるために様々な安定剤及び乳化剤を含めて配合される。
【0019】
乳製品クリーマーは、乳清及びカゼインなどの乳タンパク質を含有する。これらは、飲料にタンパク質源を提供し、また溶液中の脂肪を安定化する。非乳製品クリーマーは、カゼイン酸ナトリウムを含有することが多く、別のタンパク質源を含有してもよい。しかしながら、本開示は、非タンパク質クリーマーの使用に依拠する。すなわち、クリーマー粉末は、実質的に及び好ましくは完全にタンパク質を含まない。実質的にタンパク質を含まないとは、0.5重量%未満のタンパク質、より好ましくは0.1重量%未満のタンパク質がクリーマー中に存在すること、より好ましくはごく微量(通常の意味で)存在すること、最も好ましくはタンパク質が存在しないことを意味する。したがって、本開示で使用される非タンパク質クリーマーは、主成分として植物性脂肪源を、乳化剤及び安定剤と共に含有する。任意に、クリーマーは、乾燥形態でエマルションを捕捉するのを助けるためにグルコースシロップを含んでもよい。甘味料(スクロースなど)が任意に存在してもよい。非タンパク質クリーマーの例示的なレシピの詳細を以下に提供する。
【0020】
好ましくは、非タンパク質クリーマーは、植物油と、増粘剤、酸度調整剤、緩衝剤、乳化剤及び安定剤から選択される1種以上の成分とを含む。
【0021】
好ましくは、組成物は、成分の総重量に対して10~45重量%の非タンパク質クリーマーを含む。
【0022】
成分は、オート麦、ココナッツ、大豆及びアーモンドの1種以上の粉末から選択される植物ベースの粉末を含む。好ましくは、植物ベースの粉末は、これらの種類の粉末のうちの1種のみを含む。単一のタンパク質源を提供することは、マーケティングの観点から有利であるだけでなく、多様なアレルゲンを伴うリスクも最小限にする。好ましくは、植物ベースの粉末はフラワーである。本明細書中で使用される場合、用語「フラワー」は、記載の素材に由来する材料を粉砕することによって得られる、微細に分割された粉末を意味する。したがって、フラワーは、安定剤などの少量の関連する添加物を包含し得る、又は処理されたフラワー組成物を指すために使用され得る、より広い用語の粉末のサブセットである。
【0023】
したがって、オート麦フラワーは、オート麦又はその画分の粉砕によって得られる。オート麦フラワーは、任意に酵素によって処理されていてもよく、このことは商業的にはオート麦抽出物又はオート麦ベースの粉末と呼ばれ得ることを意味する。ココナツ粉末は、典型的にはココナツミルク粉末である。この粉末はココナッツミルクから得られるが、典型的には、ココナツミルクを噴霧乾燥させるのを助ける添加物を含有する。植物ベースの粉末はオート麦フラワーであることが最も好ましい。
【0024】
好ましくは、成分の総重量に対して、組成物は、1~40重量%、好ましくは5~12重量%の植物ベースの粉末を含む。これは、存在する全てのタンパク質源についての合計量である。植物ベースの粉末成分はタンパク質源と称されるが、実際の植物ベースの粉末含有量は特に高くない場合があることを理解されたい。例えば、オート麦フラワーは約17%のタンパク質を含有する。
【0025】
植物ベースの粉末は、非乳製品クリーマーで期待されるタンパク質源として働くように提供される。しかしながら、従来のクリーマーとは異なり、本発明者らは、最終的な飲料品質を損なうことなく、植物ベースの粉末を配合物に別個の粉末として提供することができることを見出した。植物ベースの粉末は、可能性のあるいくつかの加工助剤以外の、植物以外の成分と混合されていない、純粋な形態で提供されることが望ましい。
【0026】
好ましくは、植物ベースの粉末は本質的に唯一のタンパク質源である。すなわち、他の成分中の潜在的に避けられない微量とは別に、植物ベースの粉末源によってタンパク質のみが提供される。例えば、タンパク質の少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは100%が植物ベースの粉末由来である。加えて、上述したように、好ましくは、組成物は、単一の種類の植物ベースの粉末のみを含有する。したがって、公知の先行技術の組成物とは異なり、組成物は、5~12重量%のオート麦フラワーなど、比較的大量の単一のタンパク質源を含有する。このことはマーケティングの観点から有利であるが、製品レシピ及び栄養情報の複雑さを低減する観点からも有利である。
【0027】
非タンパク質クリーマーの粉末と植物ベースの粉末との重量比は、少なくとも1:3である。この比は、粉末が飲料中で塊又は沈殿を形成するリスクを最小限にするために必要であることが見出された。非タンパク質クリーマー中の関連する乳化剤及び安定剤は、植物ベースの粉末粒子を安定化するのに役立つと考えられる。好ましくは、非タンパク質クリーマーの粉末と植物ベースの粉末との重量比は、少なくとも3:1、好ましくは3:1~8:1、最も好ましくは3:1~4:1である。クリーマー成分由来の安定剤を確実に十分に存在させるためには、範囲の閾値がより低いこと(すなわち、植物ベースの粉末がより多いこと)が必要とされる。より高い閾値(すなわち、植物ベースの粉末はより少ない)については、存在する植物ベースの粉末がより少ないので、タンパク質源を提供することに伴う利益は有意に低減される。3:1~4:1の範囲は、製品安定性と組成物中の十分なタンパク質含量との優れたバランスを提供する。
【0028】
有利なことに、本発明の組成物は乳製品を含まず、植物ベースであるので、ビーガンの消費者に適している。更に、組成物は粉末成分の単なる混合物であるので、最終組成物を、噴霧乾燥機などの装置の重要な部分を植物由来アレルゲンで汚染することなく調製することが可能である。本発明は、望ましくない沈降を有さず、消費者に期待される飲料体験を望ましくない妥協なしに提供する、白色付与したコーヒー飲料を提供する。これらの利点が、植物ベースの粉末と他の成分との単純な混合によって達成され得ることは驚くべきことである(すなわち、組み合わされた液体混合物から得られる組み合わされた噴霧乾燥粉末中に組み込むものではない)。
【0029】
特に、非タンパク質クリーマー中の乳化剤及び安定剤は、植物系粉末において粒子を安定化するのに役立ち、粒子が懸濁及び分散されたままにするよう働くと考えられる。更に、可溶性コーヒー粒子は、フラワー粒子の物理的スペーサーとして機能して、飲料媒体での再構成時に塊形成の機会を減少させるよう作用し得る。したがって、3成分組成物は、植物ベースの粉末が別個の成分として提供されるにもかかわらず、良好な製品品質を達成する。
【0030】
組成物中に存在し得る他の成分としては、甘味料、特に糖が挙げられる。可溶性コーヒーの場合と同様に、組成物中に糖を含めると、物理的スペーサーとして作用することができ、フラワー粒子が凝集してもたらすリスクを低減するのに役立つと考えられる。
【0031】
好ましくは、存在する場合、組成物は、成分の総重量に対して最大75%の糖、例えば25~75%の糖、好ましくは40~60重量%の糖を含む。この量は、混合物中に別個の粉末成分として存在する糖の量であり、他の成分中に存在し得るいかなる糖も含めない。
【0032】
組成物は、キサンタンガム、ジェランガム若しくはカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)又はそれらの混合物などの親水コロイドを含んでもよい。キサンタンガムは、飲料の品質(特に風味)を損なうことなく少量で含めることができる、組成物のための特に有効な安定剤である。キサンタンガムは、組成物の0.08~0.25%の量で含まれ得る。CMCを代わりに0.45~0.6%の量で使用してもよい。キサンタンガム及びCMCが一緒に使用される場合、好ましくは、キサンタンガムとCMCとの比は1:3~1:4である。
【0033】
組成物は、少なくとも1mL/gのガスを捕捉している起泡増進成分を更に含んでもよい。そのような成分は当技術分野で周知であり、発泡剤又は起泡増進剤として知られている場合もある。このような成分は、捕捉されたガスを1~10mL/g、好ましくは2~5mL/g(全て周囲圧力で測定)含有することが知られている。好ましくは、起泡増進成分は、成分の総重量の1~20重量%の量で存在する。そのような成分の存在は、飲料に泡が望まれるカプチーノ処方(ラテ処方と比較して)に特に好ましい。
【0034】
植物ベースの粉末は、天然成分(すなわち、未加工)として提供されてもよく、又は適切な場合、少なくとも部分的に加水分解されていてもよい。加水分解は、水に添加されたときに植物ベースの粉末がどのように反応するか、すなわち例えば、集塊形成の可能性及び分散特性、並びにデンプン顆粒が膨潤するにつれて経時的に粘度が増加することなどに影響する(すなわち、加水分解されたデンプン顆粒はあまり膨潤しないか又は全く膨潤しない)。加水分解の必要性は、対象とする植物ベースの粉末の性質による。加水分解は、水処理により、場合により酵素の存在下で行うことができる。好ましくは、植物ベースの粉末は、少なくとも部分的に加水分解されており、任意選択で完全に加水分解されている。部分的に加水分解された植物ベースの粉末を提供する好ましい方法は、加水分解された(すなわち完全に加水分解された)植物ベースの粉末と天然の植物ベースの粉末との混合物を提供することである。
【0035】
加水分解は、デンプンに富むオート麦フラワー成分に関して特に考慮すべき事項である。好ましくは、植物ベースの粉末はオート麦フラワーであり、予め加水分解されたオート麦フラワーと天然のオート麦フラワーとの比は5:1~3:1である。本発明者らは、驚くべきことに、そのような比が、オート麦フラワーが容易に分散するだけでなく、飲料が安定かつ再現可能な泡を形成する組成物を提供することを見出した。そのような配合物に発泡剤を更に含めることにより、カプチーノタイプの飲料の外観が提供される。
【0036】
好ましい実施形態によれば、飲料を形成するための組成物であって、粉末成分の混合物を含み、当該成分が、
i)可溶性コーヒー、
ii)非タンパク質クリーマー、及び
iii)オート麦フラワー、を含み、
非タンパク質クリーマーの粉末とオート麦フラワーとの重量比が、少なくとも3:1である、組成物が提供される。
【0037】
更なる態様によれば、本明細書に記載の組成物を形成する方法であって、粉末成分を一緒に乾式混合することを含む方法が提供される。
【0038】
任意選択で、本方法は、粉末成分の混合物を造粒又は凝集することを更に含む。この方法は、本発明の別の態様である凝集又は顆粒化させた飲料組成物を提供する。
【0039】
別の態様によれば、飲料を形成する方法であって、本明細書に記載される組成物を飲料媒体と混合することを含む方法が提供される。好ましくは、飲料媒体は、80~95℃の温度の水である。
【0040】
更なる態様によれば、粉末成分の混合物を含むクリーマー組成物が提供され、当該成分は、
ii)非タンパク質クリーマー、及び
ii)オート麦粉末、ココナッツ粉末、大豆粉末及びアーモンド粉末の1種以上から選択される植物ベースの粉末、を含み、
非タンパク質クリーマーの粉末と植物ベースの粉末との重量比が、少なくとも1:3である。第1の態様に関連して本明細書で説明される全ての要素は、この更なる態様と自由に組み合わせることができる。例えば、植物ベースの粉末はオート麦フラワーであることが好ましい。
【実施例】
【0041】
熱水中での種々のオート麦粉末の分散性、及びオート麦粉末溶液の安定性を調べるために試験を行った。特定の環境下では、デンプンの部分的な糊化は塊を生じ(分散性不良)、したがって沈降が生じた(不安定)。
【0042】
以下の組成物を試験した。
【0043】
【0044】
別の試験では、NPCに提供された安定剤を別個の添加物として試験した。驚くべきことに、NPCの安定性の利点は、そのような添加では観察されなかった。更に、NPCから単離されたオート麦フラワーは、上記の技術的課題に起因して、外観及びテクスチャーの観点から魅力的な製品を提供せず、並びに口当たりは、粘性が強すぎる及びあまりにぬるぬるしたものになり得る。更に、味覚の観点からは、オート麦/シリアル様のノートは克服しているものとして知覚される。これらは全て、開発の一環として改良されてきた。
【0045】
次に、本発明を、以下の非限定例に関連して更に説明する。
【0046】
以下の組成を有する例示的な組成物を提供した。
【0047】
【0048】
この組成物は、従来のカプチーノ製品の品質に似た良好な泡を有する望ましいカプチーノ飲料を提供することが見出された。
【0049】
例示的な非タンパク質クリーマーを以下に提供する。
【0050】
【0051】
特に指示しない限り、本明細書における全ての割合は、重量によるものである。
【0052】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に詳細に記載したが、当業者であれば、本発明の範囲又は添付の特許請求の範囲から逸脱することなくこれらに変更がなされてもよいことを理解するであろう。
【国際調査報告】