(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】プレスドパウダーにおける雲母の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20230329BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20230329BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/19
A61Q1/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549841
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2021054177
(87)【国際公開番号】W WO2021165477
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】319006807
【氏名又は名称】イメルテック ソシエテ パル アクシオン サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】レミア エロディ
(72)【発明者】
【氏名】カラギョズ セリーヌ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB431
4C083AB432
4C083AC092
4C083AC242
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC842
4C083AD162
4C083AD202
4C083BB23
4C083CC12
4C083DD17
4C083EE03
(57)【要約】
プレスドパウダーにおける約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母の使用、前記雲母を含むプレスドパウダー、および前記プレスドパウダーを作製する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母を含むプレスドパウダーであって、雲母が、雲母の約50質量%以上および/または約90質量%以下の量でプレスドパウダー中に存在する、プレスドパウダー。
【請求項2】
雲母が約0.5以上、例えば、約1.0を超えるラメラリティ指数を有する、請求項1に記載のプレスドパウダー。
【請求項3】
雲母が、少なくとも約70質量%の白雲母、例えば、少なくとも約85質量%の白雲母を含む、請求項1または2に記載のプレスドパウダー。
【請求項4】
雲母が、約40.0μm以下および/または約3.0μm以上、例えば約20.0μm以下および/または約8.0μm以上のd
50laserを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のプレスドパウダー。
【請求項5】
雲母が、約20.0μm以下および/または約0.5μm以上、例えば、約8.0μm以下および/または約2.0μm以上のd
50seidigraphを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のプレスドパウダー。
【請求項6】
プレスドパウダーが、約10質量%以下の、雲母以外の凝集剤を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のプレスドパウダー。
【請求項7】
雲母が未コーティングである、請求項1~6のいずれか1項に記載のプレスドパウダー。
【請求項8】
プレスドパウダーにおける凝集性増強剤としての、約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母の使用。
【請求項9】
雲母が、約0.5以上、例えば、約1.0を超えるラメラリティ指数を有する、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
雲母が、少なくとも約70質量%の白雲母、例えば、少なくとも約85質量%の白雲母を含む、請求項8または9に記載の使用。
【請求項11】
雲母が未コーティングである、請求項8~10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
雲母が、約40.0μm以下および/または約3.0μm以上、例えば約20.0μm以下および/または約6.0μm以上のd
50laserを有する、請求項8~11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
雲母が、約20.0μm以下および/または約0.5μm以上、例えば約8.0μm以下および/または約2.0μm以上のd
50sedigraphを有する、請求項8~12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
プレスドパウダーが、約50質量%以上および/または約90質量%以下の雲母を含む、請求項8~13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
プレスドパウダーが、約10質量%以下の、雲母以外の凝集剤を含む、請求項8~14のいずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、プレスドパウダーの凝集性を増強するための、約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母の使用に関する。本発明はさらに、約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母を含むプレスドパウダー、および前記プレスドパウダーを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無機粒子状材料が、化粧品、例えばプレスドパウダーには、フィラーとして一般に使用される。強化された特性を有する新しい化粧品を開発する必要性が絶えず存在する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の実施形態によると、プレスドパウダーにおける凝集性増強剤としての、約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母の使用が提供される。
本発明の第2の実施形態によると、約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母を含むプレスドパウダーが提供される。
本発明の第3の実施形態によると、本発明の第2の実施形態のプレスドパウダーを作製する方法が提供される。
本発明の第4の実施形態によると、プレスドパウダーの凝集性を増強する方法が提供され、方法は、プレスドパウダーの製造中に約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母を組み込むことを含む。
本発明の第5の実施形態によると、ヒトの皮膚にプレスドパウダーを施用する化粧法における本発明の第2の実施形態のプレスドパウダーの使用が提供される。
本発明のいずれかの実施形態のある特定の実施形態において、雲母は、約0.5以上
のラメラリティ指数を有する。
本発明のいずれかの実施形態のある特定の実施形態において、雲母は、約1.0を超えるラメラリティ指数を有する。
本発明のいずれかの実施形態のある特定の実施形態において、雲母は、約50質量%以上の量でプレスドパウダー中に存在する。例えば、雲母は、約60質量%以上または約70質量%以上または約80質量%以上の量でプレスドパウダー中に存在してもよい。
【0004】
本発明のいずれかの実施形態のある特定の実施形態において、プレスドパウダーは、約10質量%以下の、雲母以外の凝集剤を含む。例えば、プレスドパウダーは、約5質量%以下の、雲母以外の凝集剤を含んでもよい。
本発明のいずれかの実施形態のある特定の実施形態は、下記の利点のうちの1つまたは複数を提供し得る:
・プレスドパウダーの凝集性の向上(例えば落下試験を使用して実証されるように);
・プレスドパウダーにおける雲母量の増加;
・プレスドパウダーにおける他の凝集剤量の減少;
・プレスドパウダーにおけるバインダー量の減少。
記載される本発明の実施形態の任意特定の1つまたは複数に関連して提供される詳細、例および優先傾向が、本明細書においてさらに説明され、本発明の実施形態全てに等しく適用される。本明細書に記載の実施形態、例および優先傾向の可能な変形例全てにおけるそれらのいずれの組み合わせも、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、低ラメラリティ指数を有する雲母が、高ラメラリティ指数を有する雲母と比較して、プレスドパウダーにおける凝集性の向上をもたらすという、驚くべき知見に基づくものである。特に、本発明は、プレスドパウダーにおける約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母の使用が、化粧品用途で許容できる良好な凝集性をもたらすという驚くべき知見に基づくものである。これは、この効果は、現在プレスドパウダーに一般に使用されている粒子状材料であるタルクや、他のいずれの粉末状凝集剤にも見られなかったものであるため、特に驚くべきことである。これに対し、場合によっては、ラメラリティ指数を上昇させると、プレスドパウダーの凝集性が高くなることもわかっている。
【0006】
本発明はさらに、低ラメラリティ指数(例えば約3.0未満のラメラリティ指数)を有する雲母が、プレスドパウダーに多量に、例えば約50質量%以上使用できるという驚くべき知見に基づくものである。なおさらに、本発明は、低ラメラリティ指数(例えば約3.0未満のラメラリティ指数)を有する雲母が、減量した他の凝集剤、例えばタルク、ベントナイト、ステアリン酸亜鉛およびステアリン酸マグネシウムの存在下でプレスドパウダーに使用して化粧品用途で許容できる良好な凝集性をもたらすことができるという驚くべき知見に基づくものである。例えば、低ラメラリティ指数(例えば約3.0未満のラメラリティ指数)を有する雲母は、約10質量%以下の他の凝集剤を含むプレスドパウダーに使用でき、プレスドパウダーは、依然として化粧品用途で許容できる良好な付着性を有する。
【0007】
雲母は、一般式:
X2Y4-6Z8O20(OH、F)4
を有する層状フィロシリケート単斜晶系鉱物の一群である。
(式中、Xは、K、NaもしくはCa、または頻度は低いもののBa、RbもしくはCsであり;Yは、Al、MgもしくはFe、または頻度は低いもののMn、Cr、TiもしくはLiであり;Zは、SiもしくはAl、または頻度は低いもののFe3+もしくはTiである)
雲母は、2八面体型(Y=4)または3八面体型(Y=6)の可能性がある。XがKまたはNaの場合、その雲母は普通雲母である。XがCaである場合、その雲母は脆雲母である。
【0008】
2八面体型雲母には、白雲母が含まれる。3八面体型雲母には、普通雲母、例えば黒雲母、鱗雲母、金雲母およびチンワルド雲母、ならびに脆雲母、例えばクリントン石が含まれる。
絹雲母は、変質(一般に熱水)によって得られる非常に微細な雲母の結晶であり、多種多様な雲母、例えばパラゴナイトおよびナトリウム雲母、ならびに他の非雲母鉱物、例えば石英、長石およびカオリナイトを含む多種多様な鉱物を含むことができる。SEMで観察すると、破砕した雲母は一般にどんな形状(時に裂けたような外観)も有するのに対し、絹雲母は、結晶(例えば細長い六角形、針状など)の外観を有する。
ある特定の実施形態において、本発明において使用される雲母は、絹雲母ではない。
【0009】
好ましくは、本発明において使用される雲母は、少なくとも約70質量%の白雲母を含む。より好ましくは、本発明において使用される雲母は、少なくとも約75質量%もしくは少なくとも約80質量%もしくは少なくとも約85質量%の白雲母、または少なくとも約90質量%の白雲母を含む。例えば、本発明において使用される雲母は、最大約100質量%の白雲母、例えば最大約98質量%または最大約95質量%または最大約92質量%の白雲母を含んでもよい。
白雲母は、輝きがあって透明であるという利点を有し、これは、プレスドパウダー、例えばファンデーションにとっては特に興味深い。それに対し、絹雲母は艶がなく被覆性である一方、金雲母は輝きがない。
雲母は、例えば、天然源から磨砕によって得ることができる。所望の粒径分布を有する生成物を得るために、雲母は、鉱物源を破砕し、次いで磨砕した後に、粒度選別工程を行うことにより得てもよい。粒子状固体材料は、自己生成的に、即ち、固体材料の粒子自体同士の摩耗によって、あるいは、摩砕される雲母とは異なる材料の粒子を含む粒子状磨砕媒体の存在下で摩砕してもよい。これらのプロセスは、分散剤および殺生物剤が存在する状態で行っても、存在しない状態で行ってもよく、これらは、プロセスのどの段階で添加してもよい。
【0010】
雲母は、当業者に周知の技法、例えば、粉砕(例えば、破砕、磨砕、ミル粉砕)、分級(例えば、流体力学的選択、スクリーニングおよび/またはふるい分け)ならびに乾燥から選択される技法を使用して調製してもよい。
本発明において使用される雲母は、約3.0未満のラメラリティ指数を有する。好ましくは、本発明において使用される雲母は、約2.8以下、より好ましくは約2.6以下または約2.5以下または約2.4以下または約2.2以下または約2.0以下または約1.8以下または約1.6以下または約1.5以下のラメラリティ指数を有してもよい。
好ましくは、本発明において使用される雲母は、約0.5以上のラメラリティ指数を有する。より好ましくは、本発明において使用される雲母は、約1.0を超えるラメラリティ指数を有する。さらにより好ましくは、雲母は、約0.6以上または約0.8以上または約1.0以上または約1.2以上または約1.4以上または約1.5以上または約1.6以上または約1.8以上または約2.0以上のラメラリティ指数を有する。
【0011】
好ましくは、本発明において使用される雲母は、約0.5~約3.0未満の範囲のラメラリティ指数を有する。
より好ましくは、本発明において使用される雲母は、約1.0超~約3.0未満の範囲のラメラリティ指数を有する。
さらにより好ましくは、本発明において使用される雲母は、約1.2~約2.8または約1.2~約2.5または約1.2~約2.2または約1.2~約2.0または約1.2~約1.8または約1.2~約1.5の範囲のラメラリティ指数を有する。
本明細書において使用する場合、「ラメラリティ指数」という用語は、下記の比により定義される。
d
50laser
- d
50sedi
d50sedi
(式中、「d50laser」は、マルバーンレーザー散乱による粒径測定(ISO規格13320-1)によって得られる平均粒径(d50)の値であり、「d50sedi」は、セディグラフを使用した沈降(ISO規格13317-3)によって得られる中央径の値であり、以下に説明する通りである。)G. BaudetおよびJ. P. Ronaによる論文、Ind. Min. Mines et Carr. Les techn. June, July 1990, pp 55-61を参照でき、この指数は粒子の最大寸法対最小寸法の平均比と相関があることが示されている。
【0012】
先に言及した沈降技法において、粒子状材料について本明細書において言及される粒径特性は、本明細書においては「Micromeritics Sedigraph III+5125ユニット」と呼ぶ、米国ジョージア州ノークロスのMicromeritics Instruments Corporation(www.micromeritics.com)が供給するSedigraph III+5125機を使用して、水性媒体に完全に分散させた状態の粒子状材料の沈降による周知の方法で、ストークスの法則の適用に基づいて測定される通りのものである。このような機械は、本技術分野において「球相当径」(e.s.d)と称される所与のe.s.d値未満のサイズを有する粒子の累積質量パーセンテージの測定とプロットを提供する。平均粒径d50は、この方法で判定されるそのd50値未満の球相当径を有する粒子の50質量%が存在する粒子のe.s.d値である。d95値は、粒子の95質量%がそのd95値未満のesdを有する値である。粒径特性は、ISO13317-3、またはそれと同等の任意の方法に準拠して判定される。好ましくは、4.8gの鉱物をまず、ビーカー内の80mLの分散液(分散液は、1リットルの脱塩水に溶解させた250mgのCalgon(メタリン酸ナトリウム;CAS番号68915-31-1)および1mlのTriton X100(ポリエチレングリコールtert-オクチルフェニルエーテル;CAS番号9002-93-1)として調製される)に添加する。次いで、ビーカーを超音速浴に600秒間入れて気泡を除去する。次いで、得られる懸濁液をSedigraph III+5125機で分析する。
【0013】
先に言及したマルバーンレーザー光散乱技法において、粉末、懸濁液およびエマルション中の粒子のサイズは、ミー理論の適用に基づき、レーザービームの回折を使用して測定できる。そのような機械、例えばMalvern Mastersizer2000(Malvern Instrumentsが供給)は、本技術分野において「球相当径」(e.s.d)と称される所与のe.s.d値未満のサイズを有する粒子の累積体積パーセンテージの測定とプロットを提供する。平均粒径d50は、この方法で判定されるそのd50値未満の球相当径を有する粒子の50質量%が存在する粒子のe.s.d値である。粒径特性は、ISO13320-1、またはそれと同等の任意の方法に準拠して判定される。誤解を避けるためであるが、レーザー光散乱を使用する粒径の測定は、先に言及した沈降法と同等の方法ではない。
例えば、1gの鉱物をまずビーカーに入れ、次いで、2~2.5mlのエタノールをその粉末に添加する。次いで、懸濁液を手動撹拌器で混合する。次いで、ビーカーを超音速浴に30秒間入れて気泡を除去する。
次いで、得られる懸濁液をMastersizer2000機でミー理論を適用して分析する。
【0014】
好ましくは、雲母は、約40.0μm以下のd50laserを有する。より好ましくは、雲母は、約35.0μm以下または約30.0μm以下または約25.0μm以下または約20.0μm以下のd50laserを有する。さらにより好ましくは、雲母は、約20.0μm以下のd50laserを有する。例えば、雲母は、約19.0μm以下または約18.0μm以下または約17.0μm以下または約16.0μm以下または約15.0μm以下または約14.0μm以下または約13.0μm以下または約12.0μm以下または約11.0μm以下または約10.0μm以下のd50laserを有する。
好ましくは、雲母は、約3.0μm以上のd50laserを有する。より好ましくは、雲母は、約4.0μm以上または約5.0μm以上または約6.0μm以上または約7.0μm以上または約8.0μm以上のd50laserを有する。さらにより好ましくは、雲母は、約8.0μm以上のd50laserを有する。例えば、雲母は、約9.0μm以上または約10.0μm以上または約11.0μm以上または約12.0μm以上または約13.0μm以上または約14.0μm以上または約15.0μm以上のd50laserを有する。
【0015】
好ましくは、雲母は、約3.0μm~約40.0μmまたは約5.0μm~約30.0μmまたは約8.0μm~約20.0μmまたは約10.0μm~約20.0μmまたは約8.0μm~約18.0μmまたは約8.0μm~約12.0μmの範囲のd50laserを有する。このようなd50laserを有することは、良好な知覚的特性をもたらすので、興味深い。
好ましくは、雲母は、約20.0μm以下のd50sediを有する。より好ましくは、雲母は、約15.0μm以下または約10.0μm以下または約8.0μm以下のd50sediを有する。さらにより好ましくは、雲母は、約8.0μm以下のd50sediを有する。例えば、雲母は、約7.5μm以下または約7.0μm以下または約6.5μm以下または約6.0μm以下または約5.5μm以下または約5.0μm以下または約4.5μm以下のd50sediを有する。
好ましくは、雲母は、約0.5μm以上のd50sediを有する。より好ましくは、雲母は、約1.0μm以上または約1.5μm以上または約2.0μm以上または約2.5μm以上または約3.0μm以上または約3.5μm以上または約4.0μm以上のd50sediを有する。
【0016】
好ましくは、雲母は、約0.5μm~約20.0μmまたは約1.0μm~約10.0μmまたは約2.0μm~約8.0μmまたは約3.0μm~約7.0μmまたは約3.0μm~約6.5μmまたは約3.5μm~約5.0μmの範囲のd50sediを有する。
ある特定の実施形態において、雲母は、約2.0以上かつ約3.0未満のラメラリティ指数、約14.0μm~約18.0μmの範囲のd50laser、および約3.0μm~約6.0μmの範囲のd50sediを有する。
ある特定の実施形態において、雲母は、約1.0以上かつ約2.0以下のラメラリティ指数、約8.0μm~約12.0μmの範囲のd50laser、および約3.5μm~約5.0μmの範囲のd50sediを有する。
ある特定の実施形態において、雲母は、約1.5以上かつ約2.5以下のラメラリティ指数、約15.0μm~約18.0μmの範囲のd50laser、および約5.0μm~約7.0μmの範囲のd50sediを有する。
ある特定の実施形態において、雲母は、約1.5以上かつ約2.5以下のラメラリティ指数、約11.0μm~約13.0μmの範囲のd50laser、および約3.0μm~約5.0μmの範囲のd50sediを有する。
ある特定の実施形態において、雲母は、約1.5以上かつ約2.5以下のラメラリティ指数、約17.0μm~約19.0μmの範囲のd50laser、および約5.0μm~約7.0μmの範囲のd50sediを有する。
【0017】
好ましくは、雲母は、約20μm以上のd90laserを有する。より好ましくは、雲母は、約25μm以上または約30μm以上または約35μm以上のd90laserを有する。
好ましくは、雲母は、約70μm以下のd90laserを有する。より好ましくは、雲母は、約65μm以下または約60μm以下または約55μm以下または約50μm以下のd90laserを有する。
好ましくは、雲母は、約20μm~約70μmまたは約30μm~約60μmまたは約35μm~約55μmの範囲のd90laserを有する。
好ましくは、雲母は、約3.0μm以上のd10laserを有する。より好ましくは、雲母は、約3.5μm以上または約4.0μm以上のd10laserを有する。
好ましくは、雲母は、約7.0μm以下のd10laserを有する。より好ましくは、雲母は、約6.5μm以下または約6.0μm以下または約5.5μm以下のd10laserを有する。
好ましくは、雲母は、約3.0μm~約7.0μmまたは約3.5μm~約6.5μmまたは約4.0μm~約6.0μmの範囲のd10laserを有する。
【0018】
好ましくは、雲母は、約3m2/g以上のBET表面積を有する。より好ましくは、雲母は、約4m2/g以上または約5m2/g以上または約6m2/g以上または約7m2/g以上のBET表面積を有する。
好ましくは、雲母は、約15m2/g以下のBET表面積を有する。より好ましくは、雲母は、約14m2/g以下または約13m2/g以下または約12m2/g以下または約11m2/g以下または約10m2/g以下のBET表面積を有する。
好ましくは、雲母は、約3m2/g~約15m2/gまたは約5m2/g~約12m2/gまたは約6m2/g~約10m2/gの範囲のBET表面積を有する。
本明細書において使用する場合、「比表面積(BET)」は、単位質量に対する粒子状物質の粒子の表面の面積を意味し、前記表面を完全に覆う単分子層を形成するように前記粒子の表面に吸着された窒素の量によりBET法に従い判定される(BET法、AFNOR規格X11-621および622またはISO9277に従う測定)。ある特定の実施形態において、比表面積は、ISO9277、またはそれと同等の任意の方法に準拠して判定される。
【0019】
好ましくは、雲母は、約60%以上の吸油率を有する。より好ましくは、雲母は、約65%以上または約70%以上または約75%以上または約80%以上の吸油率を有する。
好ましくは、雲母は、約100%以下の吸油率を有する。より好ましくは、雲母は、約95%以下または約90%以下の吸油率を有してもよい。
好ましくは、雲母は、約60%~約100%または約70%~約90%の範囲の吸油率を有する。
吸油率(即ち、一定量の雲母当たりの吸収される油の量、例えば、粒子状物質100g当たりのオイルのmlまたはg)は、任意適切な方法、例えば、ASTMD1483により判定してもよい。
ある特定の実施形態において、雲母は、シリコーンで表面処理されていない。ある特定の実施形態において、雲母は、チタンでコーティングされていない。ある特定の実施形態において、雲母は、着色剤でコーティングされていない。
好ましくは、雲母は、未コーティングである。未コーティング雲母の使用は、顔料として使用される雲母を除外できる。これは、プレスドパウダーに使用される雲母を天然物であるとみなすことができる点で特に有利となり得る。
【0020】
本明細書に記載の雲母は、プレスドパウダーへの使用に適している、および/またはプレスドパウダーへの使用を意図している。プレスドパウダーは、振ったり傾けたりしても自由に流動しないように一緒に圧縮されている粒子で構成された乾燥したバルク固体である。「乾燥」とは、プレスドパウダーが約5.0質量%以下の水分、例えば約4.5質量%以下または約4.0質量%以下または約3.5質量%以下または約3.0質量%以下または約2.5質量%以下または約2.0質量%以下または約1.5質量%以下または約1.0質量%以下の水分を含むことを意味する。これは、プレスドパウダーを質量が変化しなくなるまで加熱し、質量差を判定することにより測定できる。
ある特定の実施形態において、プレスドパウダーは、約5.0質量%以下の水分を含む。
本明細書に記載のプレスドパウダーは、特に化粧品である。本明細書に記載のプレスドパウダーは、例えば、プレスドパウダーをヒトの皮膚に施用する方法に使用してもよい。
本明細書において使用する場合、「化粧品」という用語は、身体の構造または機能に影響を与えることなく美化、魅力の促進、または外観の変更のために人体に施用することを意図した製品を意味する。ある特定の実施形態において、化粧品は、装飾用化粧品である。特に、化粧品という用語は、ヒトまたは動物の身体の治療法に使用できる製品を除外する。
【0021】
プレスドパウダーは、例えば、プライマー、コンシーラー、ファンデーション、頬紅、ブロンザー、アイシャドウ、コントゥアパウダー、フェイスパウダー、ハイライター、またはアイブロウパウダーであってもよい。
プレスドパウダーは、当業者に周知の任意適切なまたは従来の方法により調製されてもよい。そのような方法は一般に、プレスドパウダーの成分を液体、スラリーまたは固体の形態で組み合わせること、成分を混合すること、任意に成分の混合物をミル粉砕すること、および、次いで、それからプレスドパウダーを形成することを含む。成分は、粒子状材料の固有の特性を保つように適切な低せん断条件下で、ブレンダまたは他の混合装置で一緒にまとめてもよい。形成することは、製造方法の性質およびプレスドパウダーの最終形態に応じて乾燥および/または加圧を含んでもよい。
プレスドパウダーは、例えば、湿式加工法で作製されてもよく、乾式加工法で作製されてもよい。一般に、プレスドパウダーは、プレスドパウダー組成物を金型に充填し、圧力を加えて粒子を一緒に圧縮することにより作製される。特定の製品に応じ、様々な温度および圧力を加えてもよい。圧力を何度も加えて所望の製品を得てもよい。湿式加工法では、プレスドパウダーの粒子は、液体溶媒または懸濁液(例えば水性スラリー)中に存在し、熱および/または圧力を加えて液体が除去される。乾式加工法では、液体は存在しない。
【0022】
本明細書に記載の雲母は、プレスドパウダーにおける凝集性増強剤として使用してもよい。換言すれば、本明細書に記載の雲母は、雲母が存在しないプレスドパウダーと比較してプレスドパウダーの凝集性を増強するために使用できる。凝集性は一般に、プレスドパウダーのプレス性に関する。凝集性の増加は、プレスドパウダーの耐破壊性を測定することにより判定できる。耐破壊性を判定するための適切な落下試験法は、以下の実施例に記載されている。凝集性を増強すると、プロセスの向上および取り扱い性の改善が可能となる。
特に、落下試験は、以下に記載するようなものである:配合物の凝集性を測定するため、プレスドパウダー配合物を充填した3つの皿を、円筒内の垂直位置で30cmの距離からプレート上に落下させる。これを、プレスドパウダー配合物に亀裂が入るまで繰り返す。プレスドパウダーに亀裂を入れるのに要した落下回数が記録される。
落下試験は、MarchesiniグループのCosmatic machinesによる落下試験設備を用いて遂行できる。
プレスドパウダーは、落下試験の結果、プレスドパウダーが少なくとも5回落下させた後に初めて亀裂を示した場合、凝集性があるとみなされる。
【0023】
本明細書に記載のプレスドパウダーは、本明細書に記載の雲母(即ち、その実施形態全てを含む約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母)を約50質量%以上含んでもよい。プレスドパウダーは、例えば、約55質量%以上または約60質量%以上または約65質量%以上または約70質量%以上または約75質量%以上または約80質量%以上の本明細書に記載の雲母を含んでもよい。
本明細書に記載のプレスドパウダーは、本明細書に記載の雲母(即ち、その実施形態全てを含む約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母)を約90質量%以下含んでもよい。プレスドパウダーは、例えば、約88質量%以下または約86質量%以下または約85質量%以下の本明細書に記載の雲母を含む。
例えば、プレスドパウダーは、約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母を約50質量%~約90質量%または約60質量%~約88質量%または約70質量%~約86質量%または約75質量%~約85質量%または約80質量%~約85質量%含んでもよい。
本明細書に記載のプレスドパウダーは、約10.0質量%以下の他の凝集剤を含んでもよい。例えば、プレスドパウダーは、約9.5質量%以下または約9.0質量%以下または約8.5質量%以下または約8.0質量%以下または約7.5質量%以下または約7.0質量%以下の他の凝集剤を含んでもよい。
本明細書に記載のプレスドパウダーは、約0.5質量%以上の他の凝集剤を含んでもよい。例えば、プレスドパウダーは、約1.0質量%以上または約1.5質量%以上または約2.0質量%以上の他の凝集剤を含んでもよい。
【0024】
例えば、プレスドパウダーは、約0質量%~約10.0質量%または約0.5質量%~約9.0質量%または約1.0質量%~約8.0質量%の他の凝集剤を含んでもよい。
「他の凝集剤」とは、プレスドパウダーの凝集性を増強するように作用する、約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母以外の粉末状材料を意味する。他の凝集剤の例は、タルク、ベントナイト、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸亜鉛である。これは、液体バインダーを含まない。
プレスドパウダーは、約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母に加えて、1または複数種の着色剤および/または1または複数種のバインダーおよび/または1または複数種の化粧品として許容できる基剤をさらに含んでもよい。ある特定の実施形態において、バインダーは、存在する場合、化粧品として許容できる基剤の構成物質であってもよい。ある特定の実施形態において、プレスドパウダーは、雲母に加えて1または複数種の着色剤および1または複数種のバインダーを含む。
【0025】
着色剤(即ち、色を付与する成分)は、有機着色剤および/または無機着色剤であってもよい。化粧品用の着色剤は、多種多様である。化粧品への使用が認可されている着色剤のリストは、Annex IV to the Cosmetics Directive 76/768/EECに記載されている。有機着色剤には、染料などが含まれる。有機着色剤の例としては、下記の群、即ちインジゴイド、キサンテン、アゾ、ニトロ、トリフェニルメタン、キノリンおよびアントラキノンのうちの1種に特徴付けられる種が挙げられる。無機着色剤としては、顔料、例えば鉱物顔料が挙げられる。ある特定の実施形態において、着色剤は、鉱物顔料、例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄(黒色、赤色、オレンジ色、黄色および/または褐色)、酸化スズ、酸化クロム、ウルトラマリン(青色、ピンク色および/または紫色)、マンガンバイオレット(ピロリン酸アンモニウムマンガン(III))およびプルシアンブルー(フェロシアン化第二鉄)のうちの1または複数種である。ある特定の実施形態において、着色剤は、顔料である。ある特定の実施形態において、着色剤は、鉱物顔料である。着色剤、例えば、鉱物顔料またはそれらの組み合わせは、化粧品のための所望の色に応じて選択してもよい。ある特定の実施形態において、着色剤は、望ましい真珠光沢(艶としても公知である)および/または輝きをもたらす真珠層またはその誘導体であってもよい。
【0026】
着色剤は、プレスドパウダーの最大約30.0質量%、例えば、プレスドパウダーの最大約25.0質量%、または最大約20.0質量%を構成してもよく、例えば、プレスドパウダーの約0%~約20.0質量%、または約0.01%~約20.0質量%、または約0.1%~約20.0質量%、または約1.0%~約20.0質量%、または約1.0%~約15.0質量%、または約2.0%~約15.0質量%、または約5.0%~約15.0質量%、または約7.5質量%~約12.5質量%、または約4.0%~約10.0質量%であってもよい。
約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母が約50.0質量%以上および/または約90.0質量%以下の量でプレスドパウダー中に存在する場合、着色剤は、約50.0質量%以下の量でプレスドパウダー中に存在してもよい。例えば、着色剤は、約40.0質量%以下または約30.0質量%以下または約20.0質量%以下または約10.0質量%以下または約7.5質量%以下または約5.0質量%以下の量でプレスドパウダー中に存在してもよい。
約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母が約50.0質量%以上および/または約90.0質量%以下の量でプレスドパウダー中に存在する場合、着色剤は、約0.5質量%以上の量でプレスドパウダー中に存在してもよい。例えば、着色剤は、約1.0質量%以上または約1.5質量%以上または約2.0質量%以上または約2.5質量%以上または約3.0質量%以上または約3.5質量%以上または約4.0質量%以上または約4.5質量%以上または約5.0質量%以上の量でプレスドパウダー中に存在してもよい。
【0027】
例えば、着色剤は、約0.5質量%~約50.0質量%または約0.5質量%~約40.0質量%または約0.5質量%~約30.0質量%または約0.5質量%~約20.0質量%または約0.5質量%~約10.0質量%または約0.5質量%~約7.5質量%または約0.5質量%~約5.0質量%の範囲の量でプレスドパウダー中に存在してもよい。
存在する場合、化粧品として許容できる基剤は、意図した目的に適する任意の基剤であってもよい。ある特定の実施形態において、基剤は油および/またはワックスを含有する材料である。基剤、延いてはプレスドパウダーは、他の成分、例えば保湿剤、防腐剤、皮膚軟化剤、香料および抗酸化剤を含んでもよい。
存在する場合、バインダーは、液体バインダーであってもよい。ある特定の実施形態において、バインダーは液体バインダー、例えば、オイルベースのバインダーである。ある特定の実施形態において、液体バインダーは、脂肪酸またはそのエステルもしくは塩、または脂肪酸ならびに/またはエステルおよび/もしくはその塩の組み合わせである。ある特定の実施形態において、脂肪酸またはそのエステルもしくは塩、またはその組み合わせは、植物油、例えば、ココナツ油、パーム油、パーム核油、ダイズ油、コーン油、ナタネ油などに由来するものである。ある特定の実施形態において、バインダーは、ココ酸エステル、例えば、ココ酸イソアミルである。他のバインダーとしては、シリコーンが挙げられる。
【0028】
適切なバインダー材料には、多価アルコール、ヒアルロン酸とその塩、アミノ酸とその塩、コンドロイチン硫酸とその塩、乳酸とその塩、ピログルタミン酸とその塩、尿酸とその塩、およびそれらの混合物が含まれる。多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、グルコース、マルトース、スクロース、キシリトース、ソルビトール、マルチトール、マルビット、パンテノール、ヒアルロン酸とその塩、およびそれらの混合物が挙げられる。
適切なバインダー材料のさらなる非限定例は、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、およびポリエーテルシリコーン誘導体である。
【0029】
上記のエステルを作る脂肪酸は、飽和または不飽和、直鎖または分枝とすることができ、約16~18個の炭素を有する天然起源のものを含む。非限定例としては、トリグリセリルミツロウ、トリグリセリルセチルエーテル、ココ酸テトラグリセリル、トリグリセリルデシルテトラデカノール、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジステアリン酸トリグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、ジオレイン酸ジグリセリル、ジオレイン酸トリグリセリル、ジオレイン酸ヘキサグリセリル、ジオレイン酸デカグリセリル、ジステアリン酸トリグリセリル、ジステアリン酸ヘキサグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、ヘプタオレイン酸デカグリセリル、ヘプタステアリン酸デカグリセリル、ヘキサオレイン酸ヘキサグリセリル、イソステアリン酸ジグリセリル、イソステアリン酸テトラグリセリル、モノイソステアリン酸ヘキサグリセリル、ジグリセリルラノリンアルコールエーテル、テトラグリセリルラウリルエーテル、オレイン酸ジグリセリル、オレイン酸トリグリセリル、オレイン酸テトラグリセリル、オレイン酸ヘキサグリセリル、ジグリセリルオレイルエーテル、テトラグリセリルオレイルエーテル、セスキイソステアリン酸ジグリセリル、およびセスキオレイン酸ジグリセリル、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
バインダー材料としては、液体パラフィン、スクアラン、液体ペトロラタム、鉱油、および液体ポリブテンも適している。
典型的には飽和および不飽和脂肪酸の混合物である天然油も適している。植物由来の天然油の非限定例としては、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、ベニバナ油、アボカド油、綿実油、ホホバ油、トウゴマ油、ヒマシ油、ナタネ油、ダイズ油、パーム核油、ココナツ油、水素化植物油、およびココアバターが挙げられる。動物源由来の天然油の非限定例としては、ミンク油および卵黄油が挙げられる。
バインダーとして採用してもよい脂肪アルコールの非限定例は、イソステアリルアルコール、ラノリンアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノールアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、およびアラキジルアルコールである。
脂肪酸は、天然もしくは合成、飽和、不飽和、直鎖状、または分枝とすることができる。脂肪酸の非限定例は、アジピン酸、カプリル酸、カプリン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リシノール酸、オレイン酸、エライジン酸およびエルカ酸である。
【0031】
脂肪酸エステルの非限定例は、リシノール酸セチル、オレイン酸セチル、オクタン酸セチル、酢酸セチル、トリオクタン酸グリセリル、ラノリン酸イソプロピル、リノール酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、乳酸エチル、グルタミン酸エチル、ラウリン酸エチル、リノール酸エチル、メタクリル酸エチル、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸エチル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、イソペラルゴン酸オクチル、乳酸オクチルドデシル、イソノナン酸トリデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、オレイン酸オレイル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソステアリル、ジペンタエリトリトールエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、およびジ(カプリル/カプリン酸)プロピレングリコール、ならびにこれらの混合物である。他の適切なエステルには、トリグリセリド、例えばカプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、イソステアリン酸トリグリセリド、アジピン酸トリグリセリド、およびコレステロール誘導体、例えばオレイン酸コレステリルが含まれる。
不揮発性直鎖および分枝シリコーン油、例えばジメチコーンおよびフェニルジメチコーンも有用である。
【0032】
バインダー(例えば液体バインダー)は、プレスドパウダーの最大約30.0質量%、例えば、プレスドパウダーの約1.0%~約30.0質量%、または約1.0%~約25.0質量%、または約2.0%~約20.0質量%、または約2.0%~約15.0質量%、または約2.0~約10.0質量%、または約2.0~約7.5質量%を構成してもよい。プレスドパウダーの製造コスト低減するためにバインダー量を減少させることは興味深いことである。
一実施形態において、プレスドパウダーは、最大約30.0質量%のバインダーを含む。
約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母が約50.0質量%以上および/または約90.0質量%以下の量でプレスドパウダー中に存在する場合、バインダーは、約50.0質量%以下の量でプレスドパウダー中に存在してもよい。例えば、バインダーは、約40.0質量%以下または約30.0質量%以下または約20.0質量%以下または約10.0質量%以下または約7.5質量%以下または約5.0質量%以下の量でプレスドパウダー中に存在してもよい。
【0033】
約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母が約50.0質量%以上および/または約90.0質量%以下の量でプレスドパウダー中に存在する場合、バインダーは、0.5質量%以上の量でプレスドパウダー中に存在してもよい。例えば、バインダーは、約1.0質量%以上または約1.5質量%以上または約2.0質量%以上または約2.5質量%以上または約3.0質量%以上または約3.5質量%以上または約4.0質量%以上または約4.5質量%以上または約5.0質量%以上の量でプレスドパウダー中に存在してもよい。
例えば、バインダーは、約0.5質量%~約50.0質量%または約1.0質量%~約40.0質量%または約2.0質量%~約30.0質量%または約3.0質量%~約20.0質量%または約4.0質量%~約10.0質量%または約5.0質量%~約10.0質量%または約5.0質量%~約7.5質量%の範囲の量でプレスドパウダー中に存在してもよい。
ある特定の実施形態において、プレスドパウダーは、約70.0質量%~約90.0質量%の約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母、約0.5質量%~約7.5質量%の着色剤、および約5.0質量%~約20.0質量%のバインダーを含む。ある特定の実施形態において、プレスドパウダーは、約70.0質量%~約85.0質量%の約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母、約0.5質量%~約7.5質量%の着色剤、および約5.0質量%~約20.0質量%のバインダーを含む。そのような実施形態において、プレスドパウダーは、保湿剤、防腐剤、皮膚軟化剤、香料および抗酸化剤のうちの1または複数種の適切な量、例えば、組成物の総質量を基準として最大約10.0質量%のそのような成分、または最大約5.0質量%のそのような成分、または約0.001%~約2.5質量%のそのような成分をさらに含んでもよい。ある特定の実施形態において、プレスドパウダーは、雲母、着色剤およびバインダー以外の成分を含まない。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
以下の表1に記載の粒子状鉱物を使用して、以下に詳細に記載するように一連のプレスドパウダー圧粉体を調製した。
【表1】
【0035】
プレスドパウダーの組成を以下の表2に示す。
【表2】
【0036】
下記の手順を使用してプレスドパウダーを作製した。
粉末凝集剤を計量した。ブレンダを使用して顔料を予め摩砕し、粉末凝集剤に添加し、SpeedMixerで均質化するまで混合した。液体バインダーと防腐剤を1滴ずつ添加し、SpeedMixerを使用して混合物と均質化するまで3回ブレンドした。約11gの混合物を容器で計量し、粉末混合物を4バールで5秒間加圧する。
凝集性を落下試験により判定した。各配合物について、3つの皿を円筒内の垂直位置で30cmの距離からガラスプラーク上に落下させる。これをプレスドパウダー配合物に亀裂が入るまで繰り返す。プレスドパウダーに亀裂を入れるのに要した落下回数が記録される。
【0037】
【0038】
驚くべきことに、雲母のラメラリティ指数を低下させると、亀裂が入るまでにプレスドパウダーが耐えられる落下回数が増加することが見出された。特に、約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母は、化粧品組成物として商業的に許容できる耐亀裂性を実現する。
プレスドパウダーの感覚特性、光学特性およびピックアップ特性も判定し、特性、例えば施用の容易さ、均質性、柔らかさ(ピックアップ性)、付着性、およびピックアップ性は、標準的な雲母のベンチマークとほぼ同じであることが見出された。
【0039】
(実施例2)
雲母Cを使用して、雲母をより多量に含むプレスドパウダーを作製した。以下の表4に示すプレスドパウダー配合物を作製することに成功した。
【表4】
【0040】
上記は、限定することなく本発明のある特定の実施形態を広く説明するものである。当業者に容易に明らかとなるような変形および修正は、添付の特許請求の範囲において、それにより定義される通りの本発明の範囲内にあることが意図される。
下記の番号を振った段落は、本発明の特定の実施形態を定義できる:
1.約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母を含むプレスドパウダーであって、雲母が、雲母の約50質量%以上および/または約90質量%以下の量でプレスドパウダー中に存在する、プレスドパウダー。
【0041】
2.プレスドパウダーが、1または複数種のバインダーをさらに含んでもよい、段落1に記載のプレスドパウダー。
3.バインダーが、プレスドパウダーの最大約30.0質量%、例えば、プレスドパウダーの約1.0%~約30.0質量%、または約1.0%~約25.0質量%、または約2.0%~約20.0質量%、または約2.0%~約15.0質量%、または約2.0~約10.0質量%、または約2.0~約7.5質量%を構成してもよい、段落2に記載のプレスドパウダー。
4.雲母が、約3m2/g以上のBET表面積を有し、例えば、雲母が約4m2/g以上または約5m2/g以上または約6m2/g以上または約7m2/g以上のBET表面積を有する、段落1~3のいずれか1項に記載のプレスドパウダー。
5.雲母が、約15m2/g以下のBET表面積を有する、段落1~3のいずれか1項に記載のプレスドパウダー。より好ましくは、雲母は、約14m2/g以下または約13m2/g以下または約12m2/g以下または約11m2/g以下または約10m2/g以下のBET表面積を有する。
【0042】
6.雲母が、約3m2/g~約15m2/gまたは約5m2/g~約12m2/gまたは約6m2/g~約10m2/gの範囲のBET表面積を有する、段落1~3のいずれか1項に記載のプレスドパウダー。
7.プレスドパウダーが、約5.0質量%以下の水分、例えば、約4.5質量%以下または約4.0質量%以下または約3.5質量%以下または約3.0質量%以下または約2.5質量%以下または約2.0質量%以下または約1.5質量%以下または約1.0質量%以下の水分を含む、先行する段落のいずれかに記載のプレスドパウダー。
8.プレスドパウダーにおける約3.0未満のラメラリティ指数を有する雲母の、凝集性増強剤としての使用。
9.雲母が、雲母の約50質量%以上および/または約90質量%以下の量でプレスドパウダー中に存在する、段落8に記載の雲母の使用。
10.プレスドパウダーが、1または複数種のバインダーをさらに含んでもよい、段落8または9に記載の雲母の使用。
11.バインダーが、プレスドパウダーの最大約30.0質量%、例えば、プレスドパウダーの約1.0%~約30.0質量%、または約1.0%~約25.0質量%、または約2.0%~約20.0質量%、または約2.0%~約15.0質量%、または約2.0~約10.0質量%、または約2.0~約7.5質量%を構成してもよい、段落10に記載の雲母の使用。
【0043】
12.雲母が、約3m2/g以上のBET表面積を有し、例えば、雲母が約4m2/g以上または約5m2/g以上または約6m2/g以上または約7m2/g以上のBET表面積を有する、段落8~11のいずれか1項に記載の雲母の使用。
13.雲母が約15m2/g以下のBET表面積を有する、段落8~12のいずれか1項に記載の雲母の使用。より好ましくは、雲母は、約14m2/g以下または約13m2/g以下または約12m2/g以下または約11m2/g以下または約10m2/g以下のBET表面積を有する。
14.雲母が、約3m2/g~約15m2/gまたは約5m2/g~約12m2/gまたは約6m2/g~約10m2/gの範囲のBET表面積を有する、段落8~12のいずれか1項に記載の雲母の使用。
15.プレスドパウダーが、約5.0質量%以下の水分、例えば、約4.5質量%以下または約4.0質量%以下または約3.5質量%以下または約3.0質量%以下または約2.5質量%以下または約2.0質量%以下または約1.5質量%以下または約1.0質量%以下の水分を含む、先行する段落のいずれかに記載の雲母の使用。
【国際調査報告】