(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】植物タンパク質組成物の溶解度を高めるためのプロセス
(51)【国際特許分類】
C07K 1/02 20060101AFI20230329BHJP
A23J 1/14 20060101ALI20230329BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20230329BHJP
A23L 33/185 20160101ALI20230329BHJP
【FI】
C07K1/02
A23J1/14
A23J3/14
A23L33/185
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549900
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-08-19
(86)【国際出願番号】 US2021018740
(87)【国際公開番号】W WO2021168221
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522288290
【氏名又は名称】リップル フーズ, ピービーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ホミャク, セリア
(72)【発明者】
【氏名】クレーマー, ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ムルゲタ, ダニエル
【テーマコード(参考)】
4B018
4H045
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE03
4B018MD20
4B018MD48
4B018MD57
4B018ME14
4B018MF11
4H045AA10
4H045AA20
4H045CA30
4H045EA01
4H045FA65
4H045GA01
4H045HA30
(57)【要約】
本開示は、アルカリホスファート塩を含む、エンドウ豆類タンパク質単離物等の植物ベースのタンパク質組成物を調製するための方法を開示し、組成物は大幅に改善された溶解度を示す。これらの植物ベースのタンパク質単離物組成物の高い溶解度は、植物ベースのタンパク質を含む食品及び飲料製品の製造を大いに容易にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物タンパク質組成物を調製するための方法であって、
(a)5~20%のタンパク質含有量を有する植物タンパク質単離物の水溶液に、アルカリホスファート塩組成物を添加することであって、乾燥重量基準でのタンパク質含有量に対する、前記添加されたアルカリホスファート塩は3~98%、3~45%、4~20%、又は10~95%であることと、
更に、任意選択で、
(b)工程(a)の前記溶液を73~86℃の温度に少なくとも30~70秒間低温殺菌することと、
(c)工程(b)の前記溶液を乾燥させて、少なくとも70%のタンパク質含有量を有する植物タンパク質組成物を形成することと、を含む、植物タンパク質組成物を調製するための方法。
【請求項2】
前記アルカリホスファート塩組成物が、オルトホスファートイオン、メタホスファート、トリメタホスファート、及び/又はヘキサメタホスファートと、アルカリ金属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオンとの塩を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルカリホスファート塩組成物が、リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを含み、任意選択で、前記アルカリホスファート塩組成物は、5~100重量%の量でリン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
乾燥重量基準のタンパク質含有量に対する前記添加されたアルカリホスファート塩が、3~45%、又は4~20%である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記アルカリホスファート塩組成物が、任意選択で、5~100重量%の量でヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
乾燥重量基準のタンパク質含有量に対する前記添加されたアルカリホスファート塩が、10~95%である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アルカリホスファート塩組成物が、(a)リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム;(b)リン酸二ナトリウム及び/又はリン酸二カリウム;及び(c)ヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩;任意選択で、5~20重量%のリン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム;20~40重量%のリン酸二ナトリウム及び/又はリン酸二カリウム;及び50~80重量%のヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
植物タンパク質単離物の前記水溶液がpH5~10であり、任意選択で、前記植物タンパク質単離物が、pH6.5~9.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記植物タンパク質単離物が、
(a)塩基抽出された植物タンパク質単離物であって、任意選択で、前記塩基抽出された植物タンパク質単離物が、10~100mMのNaOHで植物タンパク質濃縮物溶液を抽出することによって調製されるか、又は
(b)中性抽出された植物タンパク質単離物であって、任意選択で、前記中性抽出された植物タンパク質単離物が、植物タンパク質濃縮物溶液を熱水で抽出することによって調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(c)が、前記溶液を噴霧乾燥して、粉末植物タンパク質組成物を形成することを含み、任意選択で、前記粉末植物タンパク質組成物が、70~95重量%のタンパク質含有量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記植物タンパク質組成物が、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%のpH7における水溶解度を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
5~20%のタンパク質含有量を有する植物タンパク質単離物の水溶液にアルカリホスファート塩組成物を添加せずに調製された植物タンパク質組成物のpH7における水溶解度に対する前記植物タンパク質組成物のpH7における水溶解度が、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、又はそれを超えて増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記植物タンパク質単離物が、(a)マメ科植物由来、(b)エンドウ豆類植物由来、又は(c)エンドウ豆類タンパク質単離物である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法に従って調製された植物タンパク質組成物。
【請求項15】
少なくとも70重量%のタンパク質含有量を含む乾燥植物タンパク質単離物と、タンパク質含有量に対して乾燥重量基準で3~98%、3~45%、4~20%、又は10~95%で添加されたアルカリホスファート塩と、を含む植物タンパク質組成物。
【請求項16】
前記アルカリホスファート塩が、オルトホスファートイオン、メタホスファート、トリメタホスファート、及び/又はヘキサメタホスファートと、アルカリ金属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオンとの塩を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記アルカリホスファート塩が、リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを含み、任意選択で、前記アルカリホスファート塩が、5~100重量%、70~100重量%、80~100重量%、又は90~100重量%の量でリン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
乾燥重量基準のタンパク質含有量に対する前記添加されたアルカリホスファート塩が、3~45%、又は4~20%である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記アルカリホスファート塩が、任意選択で、5~100重量%、50~80%、70~100重量%、80~100重量%、又は90~100重量%の量でヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
乾燥重量基準のタンパク質含有量に対する前記添加されたアルカリホスファート塩が、10~95%である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記アルカリホスファート塩が、(a)リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム;及び(b)ヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩;任意選択で、5~20重量%のリン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム;及び50~80重量%のヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%のpH7における水溶解度を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、又はそれを超えて増加する、前記アルカリホスファート塩なしの植物タンパク質組成物のpH7における水溶解度に対するpH7における水溶解度を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項24】
前記植物タンパク質単離物が、塩基抽出された植物タンパク質単離物であって、任意選択で、塩基抽出された植物タンパク質単離物が、10~100mMのNaOHで植物タンパク質濃縮物溶液を抽出することによって調製される、請求項15に記載の組成物。
【請求項25】
前記植物タンパク質単離物が中性抽出された植物タンパク質単離物であって、任意選択で、中性抽出された植物タンパク質単離物が、熱水で植物タンパク質濃縮物溶液を抽出することによって調製される、請求項15に記載の組成物。
【請求項26】
前記植物タンパク質単離物が、マメ科植物、エンドウ豆類植物、又はエンドウ豆類タンパク質単離物に由来する、請求項15に記載の組成物。
【請求項27】
請求項1に記載の方法に従って調製された植物タンパク質組成物を含む食品又は飲料製品。
【請求項28】
請求項15に記載の植物タンパク質組成物を含む食品又は飲料製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年2月21日に出願された米国仮特許出願第62/979,553号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、植物ベースのタンパク質食品及び飲料製品の製造において改善された溶解度及び改善された有用性を示す、エンドウ豆類タンパク質単離物等の調製植物タンパク質組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
植物性タンパク質ベースの食品及び飲料に対する消費者の需要が高まっている。ほとんどの植物性タンパク質ベースの食品及び飲料調製物は、製造に困難をもたらす実質的な成分として植物性タンパク質を含有する。典型的には、これらの食品及び飲料製品の製造に使用するための植物タンパク質単離物組成物は、動物ベースのタンパク質と比較して低い溶解度(例えば、約5%)を示す。この低い溶解度は、じゃりじゃりした又は粉っぽい固形物の存在等、これらの製品に関連する様々な問題に実質的に寄与すると考えられている。更に、植物タンパク質成分の溶解度が低いと、製造プロセスの困難さ及びコストが増加する。
【0004】
米国特許第6605311号明細書は、食品及び飲料製品で使用するための、植物タンパク質を含む、不溶性の変性した熱安定性タンパク質粒子に関する。オーストラリア特許第692859号明細書は、植物性タンパク質をフィターゼ酵素及びタンパク質分解酵素で処理することによって植物性タンパク質の溶解度を改善するための方法に関する。ロシア特許第2422035号は、pH5から6.8のカノーラタンパク質の水溶液を製造するカノーラシード粗びき粉の抽出によるカノーラタンパク質単離物の製造方法に関する。
【0005】
したがって、非乳製品類似体等の植物タンパク質ベースの食品及び飲料調製物の調製に使用できる高溶解度植物タンパク質組成物に対する満たされていない必要性が依然として存在する。
【0006】
本開示は、本明細書に開示されるこれら及び他の問題を解決することを目的としている。本開示はまた、本明細書の議論から明らかになるように、先行技術の不利な点の少なくとも1つを克服及び/又は改善することを目的としている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この要約は、全ての実施形態を網羅することを意図したものではない。本開示では、組み合わせ又は変形が企図されている。追加の実施形態は、詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に開示されている。
【0008】
本開示は、アルカリホスファート塩を用いて植物タンパク質組成物(例えば、エンドウ豆類タンパク質単離物)を調製するための方法を提供し、広いpH範囲にわたって水溶解度が大幅に増加するという驚くべき有利な効果を有する組成物をもたらす。したがって、調製方法及び得られる植物タンパク質単離物組成物は、非乳製品類似体及びエンドウ豆類タンパク質を含む飲料調製物等の植物タンパク質を含む広範囲の食品及び飲料の調製に有用である。
【0009】
少なくとも1つの実施形態において、本開示は、(a)5~20%のタンパク質含有量を有する植物タンパク質単離物の水溶液に、アルカリホスファート塩組成物を添加することを含む植物タンパク質組成物を調製する方法であって、乾燥重量基準でのタンパク質含有量に対する、添加されたアルカリホスファート塩組成物は3~98%、3~45%、4~20%、又は10~95%である、植物タンパク質組成物を調製する方法を提供する。少なくとも1つの実施形態では、方法は、(b)工程(a)の溶液を、73~86℃の温度に、少なくとも30~70秒間低温殺菌する工程と、(c)工程(b)の溶液を乾燥させて、少なくとも70%のタンパク質含有量を有する植物タンパク質組成物を形成する工程と、を更に含む。
【0010】
少なくとも1つの実施形態では、方法が実施され、ここで、アルカリホスファート塩組成物は、リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを含み、任意選択で、前記アルカリホスファート塩組成物は、5~100重量%の量でリン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを含む。少なくとも1つの実施形態において、70~100重量%、80~100重量%、90~100重量%、5~75重量%、5~50重量%、5~25重量%、又は5~20重量%の量である。少なくとも1つの実施形態において、乾燥重量基準でタンパク質含有量に対する添加されたアルカリホスファート塩は、3~45%、又は4~20%である。
【0011】
少なくとも1つの実施形態において、方法が実施され、ここで、アルカリホスファート塩組成物は、任意選択で、5~100重量%の量でヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩を含む。少なくとも1つの実施形態において、乾燥重量基準でタンパク質含有量に対する添加されたアルカリホスファート塩は、10~95%である。
【0012】
少なくとも1つの実施形態において、方法が実施され、ここで、アルカリホスファート塩組成物は、(a)リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム;(b)リン酸二ナトリウム及び/又はリン酸二カリウム;及び(c)ヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩;任意選択で、5~20重量%のリン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム;20~40重量%のリン酸二ナトリウム及び/又はリン酸二カリウム;及び50~80重量%のヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩を含む。
【0013】
少なくとも1つの実施形態において、方法が実施され、ここで、植物タンパク質単離物は、塩基抽出された植物タンパク質単離物であって、任意選択で、塩基抽出された植物タンパク質単離物は、10~100mMのNaOHで植物タンパク質濃縮物溶液を抽出することによって調製される。少なくとも1つの実施形態において、方法が実施され、ここで、植物タンパク質単離物は、中性抽出された植物タンパク質単離物であって、任意選択で、中性抽出された植物タンパク質単離物は、熱水で植物タンパク質濃縮物溶液を抽出することによって調製される。
【0014】
少なくとも1つの実施形態では、方法が実施され、ここで植物タンパク質単離物の水溶液はpH5~10であり、任意選択でpHは6.5~9.5である。
【0015】
少なくとも1つの実施形態において、方法が実施され、ここで、アルカリホスファート塩組成物はポリリン酸ナトリウム塩及び/又はポリリン酸カリウム塩、任意選択で、5~100重量%の量のポリリン酸ナトリウム塩及び/又はポリリン酸カリウム塩である。
【0016】
少なくとも1つの実施形態において、方法が実施され、ここで、アルカリホスファート塩組成物は、(a)リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム;(b)リン酸二ナトリウム及び/又はリン酸二カリウム;及び(c)ポリリン酸ナトリウム塩及び/又はポリリン酸カリウム塩;任意選択で、5~20重量%のリン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム;20~40重量%のリン酸二ナトリウム及び/又はリン酸二カリウム;及び50~80重量%のポリリン酸ナトリウム塩及び/又はポリリン酸カリウム塩を含む。
【0017】
少なくとも1つの実施形態では、工程(c)が溶液を噴霧乾燥して粉末植物タンパク質組成物を形成することを含む方法を実施することができる。
【0018】
少なくとも1つの実施形態では、粉末植物タンパク質組成物が70~95重量%のタンパク質含有量を含む方法を実施することができる。
【0019】
少なくとも1つの実施形態では、植物タンパク質組成物が、pH7で少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%の水溶解度を示す方法を実施することができる。
【0020】
少なくとも1つの実施形態では、5~20%のタンパク質含有量を有する植物タンパク質単離物の水溶液にアルカリホスファート塩組成物を添加せずに調製された植物タンパク質組成物のpH7における水溶解度に対する植物タンパク質組成物のpH7における水溶解度が、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、又はそれを超えて増加する方法を実施することができる。
【0021】
少なくとも1つの実施形態では、植物タンパク質単離物がマメ科植物に由来する方法を実施することができる。少なくとも1つの実施形態において、植物タンパク質単離物がエンドウ豆類植物に由来する方法を実施することができる。少なくとも1つの実施形態において、植物タンパク質単離物がエンドウ豆類タンパク質単離物に由来する方法を実施することができる。
【0022】
少なくとも1つの実施形態において、本開示は、植物タンパク質組成物を提供し、ここで、組成物は、上記又は本明細書の他の場所に記載の植物タンパク質組成物を調製するための方法のいずれかに従って調製される。
【0023】
少なくとも1つの実施形態において、本開示は、少なくとも70重量%のタンパク質含有量を含む乾燥植物タンパク質単離物と、タンパク質含有量に対して乾燥重量基準で3~98%、3~45%、4~20%、又は10~95%で添加されたアルカリホスファート塩と、を含む植物タンパク質組成物を提供する。
【0024】
植物タンパク質組成物の少なくとも1つの実施形態において、アルカリホスファート塩は、オルトホスファートイオン、メタホスファート、トリメタホスファート、及び/又はヘキサメタホスファートと、アルカリ金属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオンとの塩を含む。
【0025】
植物タンパク質組成物の少なくとも1つの実施形態において、アルカリホスファート塩は、リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを含み、任意選択で、アルカリホスファート塩は、アルカリホスファート塩の、5~100重量%、70~100重量%、80~100重量%、又は90~100重量%の量でリン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを含む。少なくとも1つの実施形態において、乾燥重量基準でタンパク質含有量に対する添加されたアルカリホスファート塩は、3~45%、又は4~20%である。
【0026】
植物タンパク質組成物の少なくとも1つの実施形態において、アルカリホスファート塩は、任意選択で、5~100重量%、50~80%、70~100重量%、80~100重量%、又は90~100重量%の量でヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩を含む。少なくとも1つの実施形態において、乾燥重量基準でタンパク質含有量に対する添加されたアルカリホスファート塩は、10~95%である。
【0027】
植物タンパク質組成物の少なくとも1つの実施形態において、組成物は、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%であるpH7における水溶解度を有する。
【0028】
植物タンパク質組成物の少なくとも1つの実施形態において、組成物は、アルカリホスファート塩なしの植物タンパク質組成物のpH7における水溶解度に対する植物タンパク質組成物のpH7における水溶解度は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、又はそれを超えて増加する。
【0029】
植物タンパク質組成物の少なくとも1つの実施形態において、植物タンパク質単離物は、塩基抽出された植物タンパク質単離物であって、任意選択で、塩基抽出された植物タンパク質単離物は、10~100mMのNaOHで植物タンパク質濃縮物又は植物タンパク質粉溶液を抽出することによって調製される。植物タンパク質組成物の少なくとも1つの実施形態において、植物タンパク質単離物は、中性抽出された植物タンパク質単離物である。
【0030】
植物タンパク質組成物の少なくとも1つの実施形態において、植物タンパク質単離物は、マメ科植物由来である。植物タンパク質組成物の少なくとも1つの実施形態において、植物タンパク質単離物は、エンドウ豆類植物由来である。植物タンパク質組成物の少なくとも1つの実施形態において、植物タンパク質単離物は、エンドウ豆類タンパク質単離物である。
【0031】
少なくとも1つの実施形態において、本開示は、食品及び飲料製品において本開示の方法を使用して調製された溶解度の高い植物タンパク質組成物の使用を提供する。したがって、少なくとも1つの実施形態において、本開示は、食品、飲料製品、及び/又は非乳製品類似体を提供し、非乳製品類似体で使用されるタンパク質の少なくとも一部は、植物タンパク質組成物であり、ここで、組成物は、上記又は本明細書の他の場所に記載の植物タンパク質組成物を調製するための方法のいずれかに従って調製される。
【0032】
少なくとも1つの実施形態において、非乳製品類似体において本明細書に開示されるアルカリホスファート塩処理を使用して調製された植物タンパク質組成物の使用は、乳製品の代替(ヨーグルト、サワークリーム、クリーマー、チーズ等)として使用される場合に、溶解度の増加、分散性の増加、及び/又は安定性の増加をもたらす。少なくとも1つの実施形態において、本開示の植物タンパク質組成物の少なくとも一部を含む非乳製品類似体は、飲料(例えば、コーヒー又は茶等の酸性飲料)に添加される場合の、フェザリングの減少を示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本開示の新規の特徴及び利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、及び添付の図面(「図」及び「本明細書の「図」)を参照することによって得られるであろう。
【
図1】
図1は、未処理の噴霧乾燥エンドウ豆類タンパク質単離物と比較した、「塩基処理」噴霧乾燥エンドウ豆類タンパク質単離物のpH7における水溶液への溶解度の百分率を示すプロットである。
【
図2】
図2は、塩基処理(水酸化カリウムによる)又は未処理(塩基処理、又はアルカリホスファート塩処理なし)噴霧乾燥エンドウ豆類タンパク質単離物と比較した、塩基抽出され、アルカリホスファート塩(「TSP」:リン酸三ナトリウム、及び「TXM」:リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、及びポリホスファート塩の混合物)で処理された噴霧乾燥エンドウ豆類タンパク質単離物のpH7における水溶液への溶解度百分率を示すプロットである。
【
図3】
図3は、塩基抽出され、アルカリホスファート塩(「TSP」:リン酸三ナトリウム、及び「TXM」:リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、及びポリホスファート塩の混合物)で処理された、塩基処理された(塩基抽出されたがアルカリ性非ホスファート塩(水酸化カリウム)で処理された)、及び未処理(塩基処理、又はアルカリホスファート塩処理なし)の噴霧乾燥エンドウ豆類タンパク質単離物のpH4から9までのpH範囲にわたる水溶液への溶解度百分率を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書の記載及び添付の特許請求の範囲について、単数形「a」及び「an」は、明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「タンパク質」への言及は、複数のタンパク質を含む。特許請求の範囲は、任意の要素を除外するために起草される場合があることに更に留意されたい。したがって、この言及は、特許請求の範囲要素の列挙に関連して「単独で」、「のみ」等の排他的な用語を使用するか、又は「否定的な」制限を使用するための先行する基礎として機能することを意図としている。「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含む(including)」の使用は、互いに交換可能であり、限定することを意図するものではない。様々な実施形態の記載が「含む」という用語を使用する場合、当業者は、いくつかの特定の例において、実施形態が「本質的にからなる」又は「からなる」という言語を使用して代替的に説明できることを理解するであろうことを更に理解されたい。
【0035】
本明細書で使用される「約」という用語は、記載された値の1/10、記載された値又は値の範囲よりも大きい又は小さいことを指すが、値又は値の範囲をこのより広い定義のみに限定することを意図するものではない。例えば、「約30%」の値は、27%~33%の値を意味する。「約」という用語が前に付く各値又は値の範囲はまた、述べられた絶対値又は値の範囲の実施形態を包含することを意図している。値の範囲が提供される場合、文脈上明らかに別段の指示がない限り、その範囲の上限と下限の間にある値の各介在整数、及び値の各介在整数の各10分の1、明らかに別段の指示がない限り、及びその記載範囲における任意の他の記載値又は介在値は、本発明に包含されると理解される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、独立してより小さな範囲に含まれ、本発明内にも包含され、記載範囲における明確に除外される制限を受ける。記載された範囲が制限の一方又は両方を含む場合、含まれるそれらの制限の(i)いずれか又は(ii)両方を除く範囲も本発明に含まれる。例えば、「1~50」には、「2~25」、「5~20」、「25~50」、「1~10」等が含まれる。
【0036】
一般に、本明細書で使用される命名法、並びに本明細書で説明される技術及び手順は、当業者によって十分に理解され、一般的に使用されるものを含む。本明細書で別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためのものであり、限定することを意図するものではないことを理解されたい。本開示を解釈する目的で、以下の用語の説明が適用され、適切な場合、単数形で使用される用語は複数形も含み、逆もまた同様である。
【0037】
定義
【0038】
本明細書で使用される「植物タンパク質」という用語は、非動物天然源又は改変天然源から得られたタンパク質材料を指し、天然に存在する植物、藻類、真菌、又は微生物を含むが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用される「植物タンパク質濃縮物」という用語は、炭水化物、灰分、及び他の微量成分のうちの1つ又は複数の少なくとも一部を除去した後の植物タンパク質組成物を指す。植物タンパク質濃縮物組成物は、典型的には、少なくとも40重量%~70重量%の植物タンパク質を含む。
【0040】
本明細書で使用される「植物タンパク質粉」という用語は、粉にした又は粉砕された植物材料(例えば、種子)の植物タンパク質組成物を指し、これは、典型的には、少なくとも1重量%~40重量%の植物タンパク質を含む。
【0041】
本明細書で使用される「植物タンパク質単離物」という用語は、不溶性多糖、可溶性炭水化物、灰分、及び他の微量成分の1つ又は複数の少なくとも一部を除去した後の植物タンパク質組成物を指す。植物タンパク質単離物組成物は、典型的には、少なくとも70重量%の植物タンパク質を含む。
【0042】
本明細書で使用される「精製タンパク質成分」又は「精製タンパク質」という用語は、タンパク質を含む天然源及び/又は修飾天然源に由来するタンパク質調製物を指す。この用語は、タンパク質単離物、タンパク質濃縮物、粉、粗びき粉及び/又はそれらの組合わせを包含する。
【0043】
本明細書で使用される「塩基抽出」という用語は、塩基性pHで水溶液相に抽出され、沈殿した固相で分配された材料から(例えば、デカントによって)分離され、次いで任意選択で塩基性溶液相から酸沈殿させて、精製された植物タンパク質単離物固体を提供する、植物タンパク質単離物又は濃縮物を指す。
【0044】
水性組成物に混合された植物タンパク質に言及する際に本明細書で使用される「安定」、「可溶化」及び「可溶性」という用語は、混合物が均一又は実質的に均一な外観を有し、実質的でない量の目に見える沈殿物を含んでもよく、又は目に見える沈殿物はないことを意味する。
【0045】
本明細書で使用される「アルカリホスファート塩」という用語は、オルトホスファート(PO4
3-)イオン又はポリホスファートイオン(例えば、トリポリホスファート、テトラホスファート、メタホスファート、トリメタホスファート、又はヘキサメタホスファート)と、アルカリ金属イオン(例えば、Na+、K+、Rb+、Cs+)又はアルカリ土類金属イオン(例えば、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+)と組み合わせたアルカリ金属イオンとの塩を指す。本開示の方法において有用な例示的なアルカリホスファート塩には、リン酸三ナトリウム(Na3PO4)(「TSP」)、リン酸三カリウム(K3PO4)、トリポリリン酸ナトリウム(Na5P3O10)、ヘキサメタリン酸ナトリウム(NaPO3)6(「SHP」)、ヘキサメタリン酸カリウム(KPO3)6、及びオルトホスファート塩とポリホスファート塩との混合物を含む組成物、例えば市販の組成物であるTexturMelt LM89(「TXM」)(Innophos LTD、USA)が含まれる。
【0046】
「乾燥重量基準」という用語は、組成物に添加又は測定された乾燥材料の質量を使用して決定された、組成物中の固体の総質量と比較した、組成物中の材料(例えば、TSP又はタンパク質)の質量を意味する。例えば、乾燥重量基準のタンパク質組成物中のアルカリホスファート塩、TSPの量は、組成物の分析された全固形分に対するタンパク質組成物に添加された乾燥TSPの総量を使用して決定される。同様に、組成物中の乾燥重量基準のタンパク質の量は、組成物中の分析された総固形分に対する組成物中の測定された総タンパク質を使用することによって決定される。実施例及び本明細書の他の場所に記載されているように、乾燥重量基準のアルカリホスファート塩含有量と乾燥重量基準のタンパク質含有量との比を使用して、増強された溶解度の有利な特性を示す本開示の植物タンパク質組成物を特性決定することができる。
【0047】
本明細書で使用される「非乳製品類似体」という用語は、乳製品の代替として使用できるが、非乳製品の天然源及び/又は改変された天然源から製造される食品を指す。非乳製品類似体は、同等の乳製品(乳製品ミルク又は乳製品クリーム等)の品質と類似又は実質的に類似する品質、色、味、栄養成分、安定性、分散性、及び/又は溶解度の1つ又は複数を有するように製造される。非乳製品類似体の用途の非限定的な例は、ミルク、ヨーグルト、プリン、アイスクリーム、コーヒークリーマ、ヘビークリーム、ホイップクリーム、サワークリーム、ソフトチーズ、ハードチーズ、又は非乳製品類似体が使用される他の適切な製品である。本開示で例示される非乳製品類似体の1つの非限定的な用途は、茶、コーヒー、ホットチョコレート、又は他の飲料と共に使用され得るミルク又はクリームの代替物としてである。本明細書の他の場所に記載されるように、いくつかの実施形態では、本開示の高溶解度植物タンパク質組成物は、非乳製品類似体の調製における精製タンパク質成分として使用することができる。
【0048】
本明細書で使用される「フェザリング」という用語は、非乳製品類似体が温かい飲料に分散される時に生じる沈殿又はタンパク質凝集(不安定性)に少なくとも部分的に起因する粒子の存在を意味する。
【0049】
溶解度の高い植物タンパク質組成物の調製
【0050】
本明細書の他の場所で説明するように、エンドウ豆類タンパク質単離物等の植物タンパク質単離物で使用される標準的な精製プロトコル(例えば、塩基抽出及び酸沈殿)は、酸性から塩基性の条件下(例えば、pH5~9)で5%~8%の範囲の比較的低い水溶解度を有する精製植物タンパク質単離物をもたらす傾向がある。これらの調製物の溶解度が低いため、非乳製品類似体等の植物タンパク質ベースの食品及び飲料製品の成分として使用しようとすると問題が発生する。植物タンパク質単離物の低い溶解度によって引き起こされる重大な問題の中には、官能分析中の食品及び飲料製品の沈降及び知覚されるざらざら感がある。本開示は、調製中にアルカリホスファート塩組成物を添加することを含む、植物タンパク質組成物の調製の改善された方法を提供する。この方法で製造された植物タンパク質組成物は、高い水溶解度を示す(例えば、pH5.5~9の範囲で25%を超える)。この改善された水溶解度は、様々な植物ベースの食品及び飲料製品の調製物におけるこれらの精製された植物タンパク質調製物の使用を大いに促進する。
【0051】
したがって、少なくとも1つの実施形態において、高溶解度植物タンパク質組成物を調製するための方法は、(a)約5~25%のタンパク質含有量を有する植物タンパク質単離物の水溶液にアルカリホスファート塩組成物を添加することを含み、タンパク質含有量に対する添加されるアルカリホスファート塩組成物は、乾燥重量基準で、3~98%、3~45%、4~20%、又は10~95%である。
【0052】
この方法で使用される溶液のタンパク質含有量は、特定の植物タンパク質あるいは出発タンパク質単離物又は濃縮物の純度等の他の要因に応じて、約5%~25%で変動し得ることが企図される。典型的には、エンドウ豆類タンパク質単離物の場合、この方法で使用される溶液のタンパク質含有量は、約5%~20%、約7%~13%、又は約7%~13%であり得る。少なくとも1つの実施形態において、植物タンパク質の水溶液のタンパク質含有量は、約7~13%、又は約9~11%である。
【0053】
この方法で使用されるアルカリホスファート塩組成物の添加量は、通常、乾燥重量基準でタンパク質含有量の約1%~43%であると企図される。もちろんのこと、通常の当業者は、この量は、使用される特定の植物タンパク質及び/又は特定のアルカリホスファート塩組成物に応じて変化し得ることを認識するであろう。一部の植物タンパク質は、特定の使用に適した水溶解度を提供するために、アルカリホスファート塩の添加量を増減する必要がある場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、タンパク質含有量に対する添加されるアルカリホスファート塩組成物が、乾燥重量基準で、約3~98%、約4~30%、又は約8~28%、約3~45%、約4~20%、又は約10~95%である方法を実施することができる。
【0054】
本明細書の他の場所に記載されているように、調製方法は、オルトホスファート及び/又はポリホスファートイオン(例えば、トリポリホスファート、メタホスファート、トリメタホスファート、テトラメタホスファート、又はテトラホスファート)と、アルカリ金属イオン(例えば、Na+、K+、Rb+、Cs+)又はアルカリ土類金属イオン(例、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+)と組み合わせたアルカリ金属イオンとの任意の塩を実施することができる。リン酸三ナトリウム(Na3PO4)、リン酸三カリウム(K3PO4)、トリポリリン酸ナトリウム(Na5P3O10)、並びに/あるいはオルトホスファート塩及び/又はポリホスファート塩の混合物を含む方法で使用できる一連の例示的なアルカリホスファート塩組成物が企図されている。混合アルカリホスファート塩組成物は、TexturMelt LM89(Innophos LTD、USA)等の商業的に製造された混合物を含むことができる。
【0055】
したがって、少なくとも1つの実施形態では、アルカリホスファート塩組成物が、リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを含み、任意選択で、前記アルカリホスファート塩組成物が、5~100重量%の量、任意選択で、70~100重量%、80~100重量%、90~100重量%、5~75重量%、5~50重量%、5~25重量%、又は5~20重量%の量でリン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを含む方法を実施することができる。
【0056】
少なくとも1つの実施形態において、アルカリホスファート塩組成物が、ポリリン酸ナトリウム塩及び/又はポリリン酸カリウム塩を、5~100重量%の量、任意選択で、70~100重量%、80~100重量%、90~100重量%、5~75重量%、5~50重量%、5~25重量%、又は5~20重量%の量で含む方法を実施することができる。
【0057】
少なくとも1つの実施形態において、アルカリホスファート塩組成物が、(a)リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム、及び(b)ポリリン酸ナトリウム塩及び/又はポリリン酸カリウム塩、任意選択で、リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを5~95重量%の量で、ポリリン酸ナトリウム塩及び/又はポリリン酸カリウム塩を5~95重量%の量で含む方法を実施することができる。
【0058】
アルカリホスファート塩組成物は、リン酸二ナトリウム及び/又はリン酸二カリウム等の他のホスファート塩を含むことができることも企図される。したがって、少なくとも1つの実施形態において、アルカリホスファート塩組成物が、(a)リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム、及び(b)リン酸二ナトリウム及び/又はリン酸二カリウム、任意選択で、リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを5~95重量%の量で、リン酸二ナトリウム及び/又はリン酸二カリウムを5~95重量%の量で含む方法を実施することができる。
【0059】
少なくとも1つの実施形態において、方法が実施され、ここで、アルカリホスファート塩組成物は、(a)リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム;(b)リン酸二ナトリウム及び/又はリン酸二カリウム;ポリリン酸ナトリウム塩及び/又はポリリン酸カリウム塩;任意選択で、5~20重量%のリン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム;20~40重量%のリン酸二ナトリウム及び/又はリン酸二カリウム;及び50~80重量%のポリリン酸ナトリウム塩及び/又はポリリン酸カリウム塩を含む。
【0060】
典型的には、植物ベースの食品及び飲料製品で使用するための植物タンパク質単離物組成物の調製方法はまた、低温殺菌の工程を含むであろう。しかし、低温殺菌は、植物タンパク質組成物の溶解度に悪影響を与える可能性がある。アルカリホスファートで処理された植物タンパク質組成物に関連する高溶解度の技術的効果が、溶液の低温殺菌後でも保持されることは、この方法の驚くべき利点である。したがって、少なくとも1つの実施形態では、この方法は、(b)工程(a)のアルカリホスファート処理溶液を低温殺菌することを更に含むことができる。任意の標準的な低温殺菌条件を使用できることが企図されている。例えば、少なくとも1つの実施形態では、この方法は、以下を更に(b)アルカリホスファート処理溶液を73~86℃の温度に少なくとも30~70秒間低温殺菌することを更に含む。
【0061】
少なくとも1つの実施形態において、アルカリホスファート塩処理(例えば、工程(b))から生じる植物タンパク質単離物組成物は、湿潤タンパク質スラリー又は湿潤懸濁液である。
【0062】
更に、植物ベースの食品及び飲料製品で使用するための精製された植物タンパク質組成物を調製するための方法はまた、固体又は粉末組成物を製造するための最終乾燥工程を含むであろう。乾燥は、水溶液に可溶化するのが難しい植物タンパク質粉末組成物をもたらす可能性があるが、本開示の調製方法に最終乾燥工程を含めることは、高タンパク質含有量であっても溶解度に悪影響を与える。したがって、少なくとも1つの実施形態では、方法は、(c)工程(b)の溶液を乾燥させて、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のタンパク質含有量を有する植物タンパク質組成物を形成することを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、乾燥は、75%~95%、又は75%~85%のタンパク質含有量を有する植物タンパク質組成物をもたらすことができる。更に、少なくとも1つの実施形態では、乾燥工程(c)が、溶液を噴霧乾燥して粉末植物タンパク質組成物を形成することを含む方法を実施することができる。植物タンパク質で使用するための当技術分野で知られている典型的な噴霧乾燥条件、機器、及びパラメータを使用することができる。使用できる噴霧乾燥装置には、製造業者の仕様に従って使用されるFT80 Tall Form Spray Dryer(Armfield Group、UK)が含まれる。例示的な噴霧乾燥条件もまた、実施例において提供され、例えば、250℃の入口温度設定及び20psiの入口空気圧である。
【0063】
植物タンパク質組成物を調製するための方法は、アルカリホスファート処理だけでなく、低温殺菌及び乾燥の工程を含むことができると企図される。したがって、少なくとも1つの実施形態において、調製方法は、(a)5~20%のタンパク質含有量を有する植物タンパク質単離物の水溶液にアルカリホスファート塩組成物を添加することであって、タンパク質含有量に対する添加されたアルカリホスファート塩組成物は、乾燥重量基準で、3~98%、3~45%、4~20%、又は10~95%である、ことと、(b)工程(a)の溶液を73~86℃の温度に少なくとも30~70秒間低温殺菌することと、(c)工程(b)の溶液を乾燥させて、少なくとも70%のタンパク質含有量を有する植物タンパク質組成物を形成することと、を含む。
【0064】
更に、アルカリホスファート塩処理を使用する調製方法は、植物タンパク質精製のための標準的な技術のいずれかを使用して、前処理及び/又は部分的に精製された出発植物タンパク質材料(例えば、濃縮物、単離物、粉)を用いて実施することができる。本開示の方法において有用な例示的な精製手順は、以下の工程のうちの1つ又は複数を、順不同で含むことができる。
(a)動物以外の天然資源からタンパク質調製物を得る。
(b)タンパク質調製物を洗浄pHで洗浄する。
(c)タンパク質調製物を抽出pHで抽出して、タンパク質水溶液を得る。
(d)タンパク質水溶液を非水性成分から分離する。
(e)塩を添加する。
(f)沈殿pHでタンパク質水溶液からタンパク質を沈殿させて、タンパク質沈殿物を得る。
(g)タンパク質沈殿物を非沈殿成分から分離する。及び/又は
(h)タンパク質沈殿物を洗浄して、精製されたタンパク質成分を得る。
【0065】
適切な洗浄及び抽出条件(例えば、pH)は、様々な条件を試験し、例えば、以下の1つ又は複数、精製されたタンパク質成分の、味、臭気、色、窒素含有量、Ca含有量、重金属含有量、乳化活性、MW分布、及び得られたタンパク質成分の熱特性によって決定されるように、最適な収率及び品質の条件を特定することによって決定することができる。いくつかの実施形態において、本開示の方法において有用な洗浄及び抽出pH条件は、アルカリ性pHである。いくつかのそのような実施形態において、アルカリ性pHは、少なくとも7.1、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、7.1~10、8~10、9~10、又は8~9である。いくつかのそのような実施形態において、アルカリ性pHは8.5である。あるいは、いくつかの実施形態では、洗浄及び抽出pH条件は、酸性pHであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、洗浄及び/又は抽出pHは、7未満、6.95未満、6.5未満、5未満、4未満、3未満、2~6.95、3~6、又は3~5である。
【0066】
植物タンパク質単離物の抽出のためのpHは、食品グレードの塩基性又は酸性pH調整剤等のpH調整剤を使用して調整することができる。適切な塩基性pH調整剤の例には、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、エタノールアミン、重炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化第一鉄、石灰、炭酸カルシウム、リン酸三ナトリウム、及びそれらの組合わせが含まれるが、これらに限定されない。適切な酸性pH調整剤の例には、リン酸、酢酸、塩酸、クエン酸、コハク酸、及びそれらの組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
一般に、全体的に高い製品収率を提供するために、実行可能な限り多くの精製された植物タンパク質単離物を得る結果となる洗浄及び/又は抽出条件を選択することが望ましい。タンパク質水溶液中のタンパク質の収率は大きく変動する可能性があり、典型的な収率は1%~90%の範囲である。タンパク質溶液は、通常、1g/L~300g/Lのタンパク質濃度を有する。タンパク質単離物水溶液中のタンパク質の分子量分布は大きく異なる可能性がある。
【0068】
様々な非水性成分からの植物タンパク質単離物水溶液の分離は、遠心分離とそれに続くペレット上の上澄みのデカンテーション、又はデカンター遠心分離機での遠心分離を含むがこれらに限定されない様々な方法によって達成され得る。遠心分離に続いて、ディスク遠心分離及び/又は濾過(例えば、活性炭を使用)して、残留タンパク質源材料及び/又は他の不純物を除去することができる。このような分離工程は、1℃~100℃の範囲内の様々な温度で実行できる。例えば、分離工程は、10℃~80℃、15℃~70℃、20℃~60℃、又は25℃~45℃で実施することができる。
【0069】
分離された植物タンパク質単離物水溶液は、更に処理する前に希釈又は濃縮することができる。他の希釈剤を使用することもできるが、希釈は通常水を使用して行われる。濃縮は、膜ベースの方法によって行うことができる。いくつかの実施形態において、希釈又は濃縮された植物タンパク質単離物水溶液は、重量により、1g/L~300g/L、5g/L~250g/L、10g/L~200g/L、15g/L~150g/L、20g/L~100g/L、又は30g/L~70g/Lのタンパク質を含む。任意選択で、植物タンパク質単離物溶液は、小さな可溶性分子から濃縮及び/又は分離することができる。濃縮するための適切な方法には、ダイアフィルトレーション又はハイドロサイクロンが含まれるが、これらに限定されない。小さな可溶性分子から分離するための適切な方法には、ダイアフィルトレーションが含まれるが、これに限定されない。
【0070】
いくつかの実施形態において、塩沈殿を使用する前処理又は精製は、様々な適切な塩及び沈殿pHを使用して達成され得る。適切な塩、塩濃縮物、多糖類、多糖類濃縮物、及び沈殿pHは、様々な条件をテストし、最も無色及び/又は無味のタンパク質沈殿物が最適な収率及び品質(例えば、味、臭気、色、窒素含有量、カルシウム含有量、重金属含有量、乳化活性、MW分布、及び得られたタンパク質成分の熱特性のうちの1つ又は複数)で得られる塩及びpH及び多糖類の条件を特定することによって決定できる。沈殿工程に有用な適切な塩の例には、他のアルカリ土類金属又は二価の塩(例えば、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、過マンガン酸カルシウム、及び硝酸カルシウム)が含まれ得るが、これらに限定されない。通常、沈殿pHは抽出pHと反対である(すなわち、抽出pHが塩基性範囲にある場合、沈殿pHは酸性範囲で最適であり、その逆も同様である)。いくつかの実施形態では、沈殿pHは酸性pHである。いくつかのそのような実施形態において、酸性pHは、7.1未満、6未満、5未満、4未満、3未満、2未満、6.9~2、6~3、6~5、又は5~4である。いくつかのそのような実施形態において、酸性pHは4である。沈殿pHは、pH調整剤を使用して調整することができる。いくつかの実施形態では、pH調整剤は、食品グレードの酸性pH調整剤である。他の実施形態では、pH調整剤は、食品グレードの塩基性pH調整剤である。
【0071】
植物タンパク質単離物の沈殿物は、任意選択で再懸濁することができる。いくつかの実施形態において、懸濁は、例えば、カルシウムイオンを除去するためのキレート剤の存在下で、抽出pHで実施することができる。懸濁したタンパク質調製物が透明でない場合は、濾過又は遠心分離等の様々な便利な手順で透明化することができる。
【0072】
植物タンパク質単離物の乾燥は、噴霧乾燥、乾式混合、ドラム乾燥、凝集、凍結乾燥、マイクロ波乾燥、エタノールによる乾燥、蒸発、耐火性ウィンドウ脱水、又はそれらの組合わせを含むがこれらに限定されない多くの適切な方法で行うことができる。更に、いくつかの実施形態では、植物タンパク質単離物は、噴霧乾燥、ドラム乾燥、乾式混合、凝集、凍結乾燥、マイクロ波乾燥、エタノールによる乾燥、蒸発、難治性ウィンドウ脱水、及び/又はそれらの組合わせを使用して乾燥することができる。
【0073】
本明細書で提供される方法で使用される植物タンパク質単離物の前処理及び/又は精製のための他の任意の工程は、熱に不安定な汚染物質及び/又は微生物汚染を除去することを目的とする加熱工程、並びに追加の臭気、風味、及び/又は色を除去することを目的とする追加の濾過(例えば、炭素濾過)工程である。いくつかの実施形態では、そのような追加の濾過は、タンパク質調製物を抽出した直後、又はタンパク質水溶液を非水性成分から分離した後に実行される。
【0074】
本開示の方法の少なくとも1つの実施形態において、精製された植物タンパク質成分は、例えば、脂質を除去するための溶媒中でタンパク質調製物を抽出するため、及びタンパク質調製物を熱処理して揮発性物質を除去するため等の様々な目的のために前処理され得る。少なくとも1つの実施形態では、本開示の方法は、植物タンパク質の最初の塩基抽出を含むことができる。例えば、最初のエンドウ豆類粉サンプルは、高温の水溶液中で混合され、約5~25重量%(例えば、10重量%)のタンパク質濃度で塩基溶液(例えば10~100mMのNaOH)を添加することによって調製され得る。精製された植物タンパク質単離物が塩基性溶液に抽出され、望ましくない物質を含む沈殿した固形物が遠心分離によって除去される。次に、塩基性溶液中の精製されたタンパク質単離物を、スラリーとして沈殿させることができる(例えば、75%リン酸を用いて)。一連の塩基抽出技術が当技術分野で知られており、本開示の方法における植物タンパク質の前処理に使用することができる。塩基抽出された植物タンパク質単離物を製造するためのそのような方法の1つは、本明細書に開示される実施例に例示され、本開示の方法において有用なエンドウ豆類タンパク質の精製された植物タンパク質単離物を提供する。
【0075】
少なくとも1つの実施形態において、精製された植物タンパク質(例えば、エンドウ豆類タンパク質)は、アルカリホスファート塩で処理する前の最初の精製工程として、塩基性溶液(又は「塩基抽出物」)で抽出することができる。したがって、少なくとも1つの実施形態において、アルカリホスファート塩で処理される最初の植物タンパク質単離物が、塩基抽出された植物タンパク質単離物である方法が実施される。
【0076】
あるいは、いくつかの出発成分及び/又は植物タンパク質源を用いて、出発植物タンパク質単離物が中性抽出によって前処理されることも企図される。例えば、最初のエンドウ豆類粉サンプルは、pHを調整せずに高温の水溶液で混合できる。したがって、少なくとも1つの実施形態において、植物タンパク質単離物が中性抽出された植物タンパク質単離物である本開示の方法を実施することができる。
【0077】
本開示の高可溶性植物タンパク質組成物を調製するための方法は、一般に、植物タンパク質単離物、濃縮物、粉、粗びき粉、及び/又はそれらの組合わせ等の精製植物タンパク質を出発材料として使用する。この方法で有用な精製植物タンパク質は、天然に存在する植物、藻類、真菌、又は微生物を含むがこれらに限定されない、1つ又は複数の天然及び/又は改変された非動物源に由来し得る。
【0078】
本明細書に開示される方法で有用な植物タンパク質を得るのに有用な非動物天然源には、自然自体(例えば、湖、海、土壌、岩石、庭園、森林、植物、動物)、醸造所、及び/又は商用セルバンク(例えば、ATCC、共同源)が含まれるが、これらに限定されない。改変された非動物天然源には、醸造所及び商業用セルバンク(例えば、ATCC、共同供給源)が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
いくつかの実施形態において、改変された非動物天然源は、選択、変異、又は遺伝子操作を含む、当技術分野で知られている方法によって天然源から生成することができる。選択は一般に、選択圧力下での連続増殖及び希釈率の着実な増加を伴う。変異は一般に、変異原性物質への曝露後の選択を伴う。遺伝子操作は、一般に、標的遺伝子の遺伝子操作(例えば、遺伝子スプライシング、欠失の挿入又は相同組換えによる修飾)を伴う。改変された天然源は、非天然タンパク質、炭水化物、脂質、又は他の化合物を生成するか、又は非天然量の天然タンパク質、炭水化物、脂質、又は他の化合物を生成し得る。いくつかの実施形態において、改変された天然源は、より高い又はより低いレベルの天然タンパク質又は代謝経路化合物を発現する。
【0080】
いくつかの実施形態において、本開示の方法において有用な植物タンパク質の改変天然源は、別の植物、藻類、微生物、又は真菌に由来する1つ又は複数の新規組換えタンパク質、RNA、又は代謝経路成分を発現する。いくつかの実施形態において、植物タンパク質の改変天然源は、その天然状態と比較して増加した栄養補助食品的含有量を有する。いくつかの実施形態において、改変天然源は、その天然状態と比較して、より好ましい成長及び生産特性を有する。いくつかのそのような実施形態において、改変された非動物天然源は、その天然状態と比較して増加した比増殖速度を有する。他のそのような実施形態において、改変非動物天然源は、その天然状態とは異なる炭素源を利用し得る。
【0081】
本明細書に開示される方法及び組成物において有用な植物タンパク質の例示的な植物源には、野菜植物(例えば、ニンジン、セロリ)、ヒマワリ、ジャガイモ、サツマイモ、トマト、ブルーベリー、ナス類、そば、アマランサス、フダンソウ、キノア、ほうれん草、ヘーゼルナッツ、カノーラ、ケール、パクチョイ、ルタバガ、麻、カボチャ、トウナス、マメ科植物(例えば、アルファルファ、レンズ豆、豆、クローバー、エンドウ豆類、大豆、ピーナッツ、ヒヨコ豆、グリーンピース、イエローピー(yellow pea)、サヤエンドウ、ライ豆、ソラ豆)、綿花、結実植物(例えば、リンゴ、アプリコット、ピーチ、プラム、セイヨウナシ、ネクタリン)、イチゴ、ブラックベリー、ラズベリー、チェリー、柑橘類(例えば、グレープフルーツ、レモン、ライム、オレンジ、ビターオレンジ、マンダリン)、マンゴー、ブドウ、ブロッコリー、芽キャベツ、菜種(カノーラ)、カブ、キャベツ、キュウリ、スイカ、ハネデューメロン、ズッキーニ、カッサバ、バオバブ、アーモンド、マカデミア、タロイモ、大麦、トウモロコシ、オート麦、ヤシ、米、ライ麦、モロコシ、ライ小麦、ワサビノキ、穀物植物、葉物野菜、非穀物マメ科植物、キビ、緑藻、それらの派生物及び交配物、又はそれらの組合わせが含まれるはこれらに限定されない。
【0082】
本開示の特定の実施形態において、植物タンパク質に適した植物源は、エンドウ豆類、亜麻仁、大豆、レンズ豆、ルピナス、ソラ豆、ヒヨコ豆、ヒマワリ、菜種、サトウキビ、テンサイ、オート麦、小麦、及びトウモロコシのうちの1つ又は複数から選択され得る。特定の実施形態では、適切な植物源は、エンドウ豆類、例えばイエローピー(yellow pea)であり得る。いくつかの実施形態では、植物源はマメ科植物であり、任意選択で、マメ科植物はエンドウ豆類である。エンドウ豆類は、エンドウ豆類全体又はエンドウ豆類の成分、標準的なエンドウ豆類(すなわち、非遺伝子組換えエンドウ豆類)、商品化されたエンドウ豆類、遺伝子組み換えエンドウ豆類、又はそれらの組合わせであり得る。いくつかの実施形態では、エンドウ豆類はエンドウ(Pisum sativum)である。いくつかの実施形態では、マメ科植物は大豆である。大豆は、全大豆又は大豆の成分、標準的な大豆(すなわち、非遺伝子組換え大豆)、商品化された大豆、遺伝子組換え大豆、又はそれらの組合わせであり得る。いくつかの実施形態では、マメ科植物はヒヨコ豆である。ヒヨコ豆は、ヒヨコ豆全体又はヒヨコ豆の成分、標準的なヒヨコ豆(すなわち、非遺伝子組換えヒヨコ豆)、商品化されたヒヨコ豆、遺伝子組換えヒヨコ豆、又はそれらの組合わせであり得る。
【0083】
本明細書に開示される方法及び組成物に有用な植物タンパク質の例示的な藻類源には、緑色植物(viridiplantae)、黄色植物(stramenopiles)、紅色植物(rhodophyta)、緑色植物門(chlorophyta)、PX、真正紅藻綱(flordeophyceae)、ウシケノリ綱(bangiophyceae)、真正紅藻綱(florideohpyceae)、トレボウクシア藻綱(trebouxiophyceae)、褐藻綱(phaeophyceae)、ダルス目(palmariales)、スギノリ目(gigartinales)、ウシケノリ綱(bangiales)、スギノリ目(gigartinales)、クロレラ(Chlorella)、マコンブ(Laminaria japonica)、カラフトコンブ(Laminaria saccharina)、ラミナリア・ディギタータ(Laminaria digitata)、オオウキモ(Macrocystis pyrifera)、クシロワカメ(Alaria marginata)、アスコフィルムノドスム(Ascophyllum nodosum)、カジメ種(Ecklonia sp.)、ダルス(Palmaria palmata)、フクロフノリ(Gloiopeltis furcata)、ニュージーランド海藻(Porphyra columbina)、紅海藻(Gigartina skottsbergii)、紅藻類(Gracilaria lichenoides)、ヤハズツノマタ(Chondrus crispus)、ギガルティナ・ブルサ・パストリス(Gigartina bursa-pastoris)、それらの誘導体又はそれらの組合わせが含まれる。特定の実施形態において、適切な藻類の例は、スサビノリ(Pyropia)、スピロリナ(Spirolina)、紅藻(rhodophyta)、クロロフィタ(chlorphyta)、クロレラ(chlorella)のうちの1つ又は複数から選択され得る。
【0084】
本明細書に開示される方法及び組成物において有用な植物タンパク質に適した真菌源の例には、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae、分裂酵母(Saccharomyces pombe)、それらの誘導体及び交配物、又はそれらの組合わせが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、適切な真菌の例は、出芽酵母(Saccharomyces sp.)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansunula polymorpha)、アレキュラ・アデニリボラン(Aexula adeninivorans)、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、ヤロウィア リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、及びシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccaromyces pombe)のうちの1つ又は複数から選択され得る。特定の実施形態において、適切な真菌は、サッカロマイセス・セレビシエであり得る。適切な微生物の例には、ファーミキューテス門(firmicutes)、藍藻(cyanobacteria(blue-green algae))、バシラス綱(bacilli)、ユレモ目(oscillatoriales)、バシラス目(bacillales)、ラクトバシラス目(lactobacillales)、ユレモ目(oscillatoriales)、バシラス科(bacillaceae)、乳酸桿菌科(lactobacillaceae)、アルトロスピラ属(arthrospira)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus Reuteri)、スピルリナ(Spirulina)、アルスロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)、アルトロスピラマキシマ(Arthrospira maxima)、それらの誘導体及び交配物、又はそれらの組合わせが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、適切な微生物の例は、大腸菌(Escherichia coli)、ラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)、及びコリネバクテリウム・グルタミクム(Cornybacterium glutamicum)のうちの1つ又は複数から選択され得る。特定の実施形態において、適切な微生物は、ユーグレナ亜属(Euglena spp.)等の原生生物であり得る。
【0085】
溶解度の高い植物タンパク質組成物の使用
【0086】
本開示は、アルカリホスファート塩処理を使用して、溶解度の高い植物タンパク質組成物を調製する方法を提供する。本明細書の他の場所に記載されているように、高い溶解度のために、これらの植物タンパク質組成物は、植物タンパク質ベースの食品及び飲料製品の調製において様々な用途を有する。例えば、植物タンパク質組成物は、非乳製品類似体又は飲料配合物中の精製された植物タンパク質成分として使用することができる。そのような非乳製品類似体及び飲料配合物を調製するために有用な一般的な方法、組成物、及び配合物は、当技術分野で知られている。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2017年7月13日に公開された国際公開第2017/120597号を参照されたい。
【0087】
例えば、少なくとも1つの実施形態において、本明細書に開示される方法に従ってアルカリホスファート塩処理を使用して調製された高溶解度植物タンパク質組成物は、非乳製品類似体における精製タンパク質成分として使用され得る。このような非乳製品類似体は、以下の工程の1つ又は複数を順不同で含む方法を使用して調製することができる。(a)水により、少なくとも1つの脂質(任意選択で非動物天然源)及び本開示の方法に従って調製された高溶解度の精製植物タンパク質組成物をブレンドして、混合物を生成する。(b)混合物の少なくとも一部を乳化して非乳製品類似体を提供する。少なくとも1つの脂質、及び少なくとも1つの精製タンパク質成分の量及び比率は、所望の安定性、分散性、及び/又は溶解度を提供するように選択され、非乳製品類似体は4.0~10のpHを有する。いくつかの実施形態において、非乳製品類似体は、6.5~10のpHを有することができる。
【0088】
別の例示的な実施形態では、本明細書に開示される方法に従ってアルカリホスファート塩処理を使用して調製された高溶解度植物タンパク質組成物を、植物タンパク質ベースの飲料調製物中の精製タンパク質成分として使用することができる。そのような飲料調製物は、以下の工程のうちの1つ又は複数を順不同で含む方法を使用して調製することができる。(a)本開示の方法に従って調製される高溶解度の精製植物タンパク質組成物を提供する。(b)以下から選択される少なくとも1つの他の成分を提供する。(i)糖及び/又は炭水化物、(ii)ビタミン又はミネラル、(iii)動物以外の天然源からの脂質、(iv)乳化剤、及び/又は(v)親水コロイド又はゴム、(c)水又は炭酸水を提供する。(d)溶解度の高い精製植物タンパク質組成物及び少なくとも1つの他の成分を水と混合して混合物を生成する。飲料調製物を調製する際に、溶解度の高い精製植物タンパク質組成物、他の材料、及び水又は炭酸水の量及び比率は、所望の安定性、分散性、及び/又は溶解度を提供するように選択することができ、pHは、6~9である。
【0089】
本明細書に開示される他の方法と同様に、植物タンパク質ベースの食品又は飲料製品の調製に使用される高溶解度の精製植物タンパク質組成物は、植物、任意選択でマメ科植物から供給され得、いくつかの実施形態では、高溶解度精製植物タンパク質組成物は、エンドウ豆類植物又はエンドウ豆類タンパク質から供給される。
【0090】
非乳製品類似体及び飲料調製物に有用な非動物天然源からの脂質は、当技術分野で知られている。いくつかの実施形態において、脂質及び/又は高溶解度の精製植物タンパク質組成物は、スラリーとして得られる。いくつかの実施形態において、脂質及び/又は植物タンパク質組成物は、固体形態で得られる。いくつかの実施形態において、精製された植物タンパク質組成物は、少なくとも1つの脂質と混合される前に、1つ又は複数の他のタンパク質と組み合わされる。
【0091】
調製方法を実施する際に、溶解度の高い精製植物タンパク質組成物を、乾燥した、又は実質的に乾燥した、固体として、又はスラリーとして水に添加することができると考えられる。特定の実施形態において、精製されたタンパク質組成物は、少なくとも50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%のタンパク質を含む乾燥した、又は実質的に乾燥した固体である。特定の実施形態において、精製されたタンパク質組成物は、50重量%~100重量%、70重量%~90重量%、又は80重量%~100重量%のタンパク質を含み得る、乾燥した又は実質的に乾燥した固体として提供される。特定の実施形態において、精製されたタンパク質組成物は、少なくとも3重量%、5重量%、10重量%、20重量%、30重量%、又は40重量%のタンパク質を含むスラリー、又は任意選択で、3重量%~40重量%、5重量%~30重量%、5重量%~20重量%、又は10重量%~30重量%のタンパク質含むスラリーとして提供される。
【0092】
非乳製品類似体又は飲料配合物で使用される水又は水性成分は、典型的には、純水、水道水、ボトル入り水、脱イオン水、湧水、又はそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。水性成分はまた、適切な溶解物質を含み得る。
【0093】
一般に、本開示の高溶解度精製タンパク質組成物を使用する調製方法では、脂質、タンパク質、及び水性成分を様々な順序で混合することができる。いくつかの実施形態では、これらの3つの成分は同時に混合される。他の実施形態では、水性成分が混合物に導入される前に、脂質がタンパク質組成物と混合される。更に他の実施形態では、脂質が混合物に導入される前に、タンパク質成分は水性成分と混合される。更に他の実施形態では、タンパク質組成物が混合物に導入される前に、脂質は水性成分と混合される。脂質、精製タンパク質組成物、及び水性成分の混合は、様々な混合装置、例えば、機械的攪拌機及び/又は圧力ジェットを使用して達成することができる。成分はまた、手で攪拌又は混合することができる。通常、混合は、成分が混合物全体に実質的に均一に分布するまで実行される。
【0094】
いくつかの実施形態において、炭水化物成分はまた、本開示の高溶解度アルカリホスファート塩で処理された植物タンパク質組成物を使用して食品又は飲料製品を調製する際に混合物に添加され得る。デンプン、単糖、小麦粉、食物繊維、及びそれらの組合わせを含むがこれらに限定されない様々な材料を炭水化物成分として使用することができる。適切なデンプンの例には、マルトデキストリン、イヌリン、フルクトオリゴ糖、ペクチン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、ゲランガム、コーンスターチ、オート麦デンプン、ジャガイモデンプン、米デンプン、小麦デンプン、又はそれらの組合わせが含まれるが、これらに限定されない。適切な粉の例には、アマランサス粉、オート麦粉、キノア粉、米粉、ライ麦粉、モロコシ粉、大豆粉、小麦粉、トウモロコシ粉、又はそれらの組合わせが含まれるが、これらに限定されない。適切な食物繊維の例には、大麦ぬか、にんじん繊維、柑橘類繊維、トウモロコシぬか、可溶性食物繊維、不溶性食物繊維、オート麦ぬか、豆類繊維、米ぬか、頭殻、大豆繊維、大豆多糖類、小麦ぬか、木質パルプセルロース、又はそれらの組合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、炭水化物成分は、グアーガムであり得る。いくつかの実施形態において、炭水化物成分は、ゲランガムであり得る。いくつかの実施形態において、炭水化物成分は、多糖であり得る。いくつかの実施形態において、炭水化物成分は、ラクトースを含まないか、又は実質的にラクトースを含まない。炭水化物成分は、混合する前に水性成分中に存在し得る。あるいは、炭水化物成分は、脂質及び/又はタンパク質成分、あるいは脂質、タンパク質、及び水性混合物に添加される。
【0095】
ゼラチン、ペクチン、寒天、ガム、デンプン、及びウルトラゲルを含む増粘剤もまた、調製物に使用され得る。許容されるゴムの例には、アルギン酸ナトリウム、ゲランガム、キサンタンガム、グアーガム又はこれらの組合わせが含まれる。許容されるデンプンの例には、タピオカデンプン、アロールートデンプン又はそれらの組合わせが含まれる。いくつかの実施形態において、増粘剤は、グアーガムであり得る。いくつかの実施形態において、増粘剤は、ゲランガムであり得る。
【0096】
いくつか実施形態では、1つ又は複数の他の成分が更に添加される。いくつかのそのような実施形態において、1つ又は複数の他の材料は、混合する前に水性成分に添加される。他の実施形態では、1つ又は複数の他の材料が、脂質及び/又はタンパク質成分、あるいは脂質、タンパク質、及び水性混合物に添加される。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の他の材料は、カルシウムを含む。
【0097】
溶解度の高い植物タンパク質組成物を使用する食品又は飲料製品の調製方法では、乳化は、追加の機械的エネルギーなしで実行できるか、又は機械的エネルギー(例えば、ボルテックス、ホモジナイゼーション、攪拌、超音波処理、又は他の適切な機械的活動)を必要とする。乳化がより少ない量の機械的エネルギー(例えば、約100rpm~約1,000rpmの中程度の剪断下での従来のミキサにおける攪拌)によって支援される場合、得られるエマルジョンの平均液滴サイズは、典型的にはより大きい(例えば、液滴の少なくとも約75%が約25μm超の直径を有する)。乳化がより大量の機械的エネルギー(例えば、高圧でのホモジナイゼーション[例えば、約35バール~約650バール]1段又は2段ホモジナイザー[例えば、約1,000psi~約10,000psiの]、又はマイクロ流体ホモジナイゼーション[約500~約2,000バール])によって支援される場合、得られるエマルジョンの平均液滴サイズは通常より小さくなる(例えば、液滴の少なくとも約75%の直径は約10um未満である)。ナノエマルジョンは、マイクロフルイダイザー又は他の適切な装置でホモジナイゼーションすることによって得ることができる。特定の用途では、より高い脂質エマルジョンを得るために、脂質成分を混合中に徐々に添加することができる。加熱は、特定の用途での乳化を支援する場合がある。いくつかの実施形態において、乳化は、室温超で、30℃超、40℃超、50℃超、60℃超、70℃超、又は80℃超、90℃~120℃、30℃~60℃、又は40℃~50℃で行われる。通常、加熱の後に冷却が行われる。乳化は、混合物のサンプルを取り出し、顕微鏡検査、光散乱、及び/又は屈折計等の方法によってそれを分析することによって監視することができる。
【0098】
調製される食品又は飲料製品に応じて、エマルジョンは様々なサイズの液滴を有し得る。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、多分散エマルジョン(すなわち、液滴サイズの広い分布を有する液滴を含むエマルジョン)である。他の実施形態では、エマルジョンは単分散(すなわち、液滴サイズの狭い分布を有する液滴を含むエマルジョン)である。いくつかの実施形態では、エマルジョンはマイクロエマルジョン(すなわち、連続相に分散した液滴の熱力学的安定システム)である。他の実施形態では、エマルジョンはナノエマルジョン(すなわち、1~100nmの範囲の液滴サイズを有する異なる非混和性液体中の1つの液体の準安定(又は速度論的安定)分散液)である。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約1,000nm未満、約750nm未満、約500nm未満、約250nm未満、約100nm未満、又は約50nm未満、約100nm~約800nm、又は約100nm~約300nmの平均液滴サイズを有する。いくつかの実施形態では、液滴サイズは、本明細書で提供されるエマルジョン及び非乳製品類似体の脂質含有量を減らすために縮小される。達成される乳化の程度、したがってエマルジョンの最終的なテクスチャは、乳化中に特定のパラメータを変化させることによって、ある程度制御することができる。そのようなパラメータの例には、脂質成分の種類及び/又は量、タンパク質成分の種類及び/又は量、任意の乳化剤の種類及び/又は量、乳化中に使用される機械的エネルギーの量、遠心分離又は濾過技術、水性成分のpH、混合中の温度、水性成分中の任意の塩の量、あるいはそれらの組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
いくつかの実施形態では、本開示の高溶解度植物タンパク質組成物を使用して調製された食品又は飲料製品は、滅菌又は低温殺菌され得る。滅菌は、UV照射、加熱(例えば、蒸気滅菌、炎上、又は乾式加熱)、又は化学的滅菌(例えば、オゾンへの曝露)によって起こり得る。いくつかの実施形態において、滅菌は、95%を超える微生物を殺す。例えば、非乳製品類似体の低温殺菌は、ある温度(例えば、約280~約306゜F)に加熱し、その温度で一定期間(例えば、約1~約10秒)保持することを含み得る。適切な低温殺菌工程は、食品製造の分野で知られており、様々な温度で、及び/又は様々な期間にわたって実施することができる。低温殺菌は、高温短時間(HTST)、「延長貯蔵寿命」(ESL)処理、高圧殺菌(HPP)、超低温殺菌(UP)、超高温(UHT)、又はそれらの組合わせであり得る。制御された冷却システムを使用して、非乳製品類似体を急速に冷却することができる。いくつかの実施形態では、非乳製品類似体は、低温殺菌後に揮発性物質及び水蒸気を除去するために真空冷却を経る。
【実施例】
【0100】
本開示の様々な特徴及び実施形態は、下記の代表的な実施例で示され、これらは、例示を意図するものであり、限定するものではない。当業者は、特定の実施例が、その後に続く特許請求の範囲でより完全に説明されるように、本発明の例示にすぎないことを容易に理解するであろう。本出願に記載されている全ての実施形態及び特徴は、その中に含まれる全ての実施形態と互換性があり、組み合わせ可能であると理解されるべきである。
実施例1:未処理及び塩基処理されたエンドウ豆類タンパク質単離物の溶解度
【0101】
この実施例は、塩基処理工程なしで調製された塩基抽出エンドウ豆類タンパク質単離物(未処理)と比較した、6MのKOHで処理された塩基抽出エンドウ豆類タンパク質単離物の水溶液への溶解度を決定するための実験的研究を示している。
【0102】
材料及び方法
【0103】
A.タンパク質の精製
【0104】
20kgのエンドウ豆類タンパク質濃縮物を180kgの熱水及び10~100mMのNaOHと混合した。精製のこの最初の塩基抽出工程中に形成された固体物質を、5200rpmの駆動速度及び10rpmの揃速でデカンター遠心分離機(Fooddec decanter centrifuge,Alfa Laval Inc.,USA)で物理的に分離した。デカンテーションされた溶液中に残っている可溶性タンパク質は、400gの75%のリン酸の添加によって沈殿し、次いで、ディスクスタックセパレータ(Clara 20 disc stack separator,Alfa Laval Inc.,USA)で9200rpmで濃縮して、エンドウ豆類タンパク質単離物ペーストを形成する。
【0105】
B.塩基処理
【0106】
得られた部分的に精製されたエンドウ豆類タンパク質単離物ペーストを水で10重量%タンパク質に希釈した。この希釈された材料の半分は、未処理のエンドウ豆類タンパク質単離物コントロールとして取っておいた。希釈したペースト材料の残りの半分(11.5kg)を、47.5gの6MのKOHと混合することにより、pH7まで塩基滴定した。得られた塩基処理及び未処理のエンドウ豆類タンパク質単離物を-3℃で凍結した。
【0107】
C.低温殺菌
【0108】
塩基処理及び未処理のタンパク質単離物のサンプルを解凍し、86℃の保持温度及び20L/hの流量で70秒間の直接滅菌を使用して(OMVE HT220DSI,OMVE Netherlands B.V.,The Netherlands)、低温殺菌した。
【0109】
D.乾燥
【0110】
低温殺菌されたサンプルは4℃で冷却され、250℃の入口温度設定及び20psiの入口空気圧を使用して噴霧乾燥した(FT80 Tall Form Spray Dryer,Armfield group,UK)。得られた塩基処理及び未処理のエンドウ豆類タンパク質単離物の噴霧乾燥粉末は、それぞれ70%及び71%のタンパク質含有量を有すると決定した。
【0111】
E.溶解度の測定
【0112】
5重量%のタンパク質含有量を有する水溶液を、塩基処理及び未処理のエンドウ豆類タンパク質単離物の噴霧乾燥粉末を使用して調製した。塩基処理及び未処理のエンドウ豆類タンパク質単離物溶液を、3Mのリン酸の添加によりpH4に、又は3MのNaOHの添加によりpH9に滴定した。リン酸又はNaOHによる滴定には別個の溶液を使用した。滴定中、各pH単位で5mLの一定分量を取り出し、3500rpmで5分間遠心分離した。上澄み及び初期溶液をそれぞれ可溶性タンパク質及び総タンパク質について分析して、可溶性タンパク質の百分率を決定した。
【0113】
結果
【0114】
図1に表す結果によって示されるように、6MのKOH塩基処理工程で調製した、噴霧乾燥したエンドウ豆類タンパク質単離物組成物は、pH7で未処理のエンドウ豆類タンパク質単離物組成物と比較して3.8%増加した溶解度を示した。
実施例2:アルカリホスファート塩処理したエンドウ豆類タンパク質単離物の溶解度
【0115】
この例は、アルカリホスファート塩、TSP、又はアルカリホスファート塩組成物、TSP及びSHPの混合物を含むアルカリホスファート塩、TXMで処理される、豆類タンパク質単離物組成物の水溶液への溶解度を決定するための実験的研究を示す。
【0116】
材料及び方法
【0117】
A.精製
【0118】
エンドウ豆類タンパク質濃縮物は、実施例1、工程Aに記載されるように、10~100mMのNaOH塩基抽出を使用して精製した。得られたエンドウ豆類タンパク質ペーストは、水で12重量%のタンパク質に希釈した。
【0119】
B.アルカリホスファート塩処理
【0120】
この希釈された材料は、2つの別々のアルカリホスファート塩処理のために半分にした。(1)7.7kgの希釈された12重量%エンドウ豆類タンパク質単離物ペースト溶液を16.4%のTSP溶液と混合し(164gのTSPを836gの水と混合し、TSPが完全に溶解するまで50~60℃に加熱した)乾燥重量基準でタンパク質1グラムあたり7~10重量%のTSPの比率とした。(2)9.9kgのエンドウ豆類タンパク質単離物ペーストを、TXM(TexturMelt LM89,Innophos LTD,USA)を使用して作製した50%混合アルカリホスファート塩溶液と混合した。TXMは、5~20重量%のTSP、20~40重量%のリン酸二ナトリウム、及び50~80重量%のポリリン酸ナトリウム塩、ヘキサメタリン酸ナトリウム(「SHP」)の混合物である。乾燥重量基準でタンパク質に対するTXMの最終比率が35~45重量%に達するように、25%TXM溶液を添加した。
【0121】
C.低温殺菌
【0122】
得られたアルカリホスファート塩で処理されたタンパク質溶液を、86℃の保持温度及び20L/hの流量で70秒間の直接滅菌(OMVE HT220DSI,OMVE Netherlands B.V.,The Netherlands)を使用して低温殺菌した。低温殺菌された材料を4℃で冷蔵した。
【0123】
D.乾燥
【0124】
低温殺菌されたアルカリホスファート塩で処理されたエンドウ豆類タンパク質単離物を、250℃の入口温度設定及び20psiの入口空気圧を使用して乾燥粉末に処理した(Armfield FT80 Tall Form Spray Dryer,Armfield group,UK)。最終的な噴霧乾燥アルカリホスファート塩処理されたエンドウ豆類タンパク質単離物粉末は、70~85%のタンパク質含有量を有すると決定した。
【0125】
E.溶解度の測定
【0126】
タンパク質溶解度の測定は、実施例1に記載されているように、TSP塩処理及びTXM塩処理されたエンドウ豆類タンパク質単離物粉末の両方で実施した。
【0127】
結果
【0128】
図2に表すプロットによって示されるように、TSP処理タンパク質は、pH7の水溶液で約30%の溶解度を示し、これは、未処理のエンドウ豆類タンパク質単離物と比較して3倍超増加し、塩基処理タンパク質(実施例1で調製)と比較して約2.5倍増加した。TXM処理タンパク質は、pH7の水溶液で約60%の更に高い溶解度を示し、これは、未処理タンパク質と比較して6倍超増加し、塩基処理エンドウ豆類タンパク質単離物と比較して約5倍増加した。アルカリホスファート塩で処理したサンプルの両方で、エンドウ豆類タンパク質の溶解度は、pH7での乾燥条件に関係なく25%以上であった。
実施例3:塩処理したエンドウ豆類タンパク質のpH依存溶解度
【0129】
この実施例は、塩基性又はアルカリホスファート塩で処理されたエンドウ豆類タンパク質単離物組成物の溶解度のpH依存性を決定するための実験的研究を示している。
【0130】
材料及び方法:未処理、塩基処理、及びアルカリホスファート塩処理したエンドウ豆類タンパク質単離物サンプルを、実施例1及び2の手順に従って噴霧乾燥粉末として調製した。溶解度の測定は、実施例1に記載されているように実施した。
【0131】
結果:
図3に表すプロット及び表1に要約された値によって示されるように、TSP又はTXMのいずれかのアルカリホスファート塩処理を使用して調製されたエンドウ豆類タンパク質単離物組成物は、pH5~pH9までの幅広い範囲における溶解度の大幅な増加を示し、これらの単離物組成物が様々な食品で良好に機能することを示した。更に、アルカリホスファート塩で処理したタンパク質単離物を室温の水溶液に5%(wt/wt)で溶解し、120分間観察した場合、溶液は未処理又は塩基処理のエンドウ豆類タンパク質単離物の同等の溶液と比較して固形物の沈降の減少を示した。
【0132】
【表1】
実施例4:溶解度に対するリン酸イオンタイプの影響
【0133】
この実施例は、エンドウ豆類タンパク質単離物の溶解度に対する、リン酸一ナトリウム、二ナトリウム、及び三ナトリウム又はリン酸カリウム塩処理による処理の異なる効果を示している。
【0134】
材料及び方法:未処理エンドウ豆類タンパク質単離物サンプルを、実施例1及び2の手順に従って噴霧乾燥粉末として調製した。溶解度の測定は、実施例1に記載されているように実施した。
【0135】
結果:表2に示すように、アルカリホスファート塩、TSP、又はリン酸三カリウムでの処理は、リン酸一/二カリウム又はリン酸一ナトリウム/二ナトリウムでの同濃度の処理と比較して、エンドウ豆類タンパク質単離物の溶解度の大幅な増加を示した。
【0136】
【表2】
実施例5:アルカリホスファート塩で処理されたエンドウ豆類タンパク質組成物の分析
【0137】
この実施例は、リン酸三ナトリウム(TSP)又はTexturMelt(TXM)で滴定した場合のエンドウ豆類タンパク質単離物に対する組成効果を決定するための実験的研究を示している。
【0138】
材料及び方法:湿ったタンパク質は、実施例1及び2の手順に従って調製した。材料は、16.4%TSP溶液(pH=11.8)を使用してpH6、7、8、又は9に滴定するか、又は33%TXM溶液(pH=7.5)を使用してpH6、又は7に滴定した。乾燥固形分(DS)はSartorius Moisture Analyzerで測定した。LECO燃焼分析装置を使用してタンパク質を測定した。ホスファートは、ICP-MS分析によって測定されたリンの量から計算した。ホスファート塩の重量%は、総乾燥タンパク質と比較して、各pHに滴定するために添加されたアルカリホスファート塩(TSP又はTXM)の量に基づいて計算した。
【0139】
結果:この実施例で説明したTSP又はTXMのいずれかによるホスファート塩滴定から得られた、乾燥ベースでの全材料のタンパク質、ホスファート塩、及びリン酸組成物の組成分析の結果を、以下の表3に示す。
【0140】
【表3】
実施例6:タンパク質の溶解度に対するホスファート塩の種類の影響
【0141】
この例は、ホスファートの変化が最終的なタンパク質の溶解度にどのように影響するかを決定するための実験的研究を示している。
【0142】
材料及び方法
【0143】
A.タンパク質の精製
【0144】
エンドウ豆類粉(10重量%)を熱水及びNaOHと10~100mMで混合した。精製のこの最初の塩基抽出工程中に形成された固体材料は、デカンター遠心分離機で物理的に分離した。デカントされた溶液に残っている可溶性タンパク質を、75%リン酸を4~6のpHまで添加することによって沈殿させ、次にディスクスタックで濃縮してエンドウ豆類タンパク質単離物ペーストを形成した。
【0145】
B.ホスファート塩処理
【0146】
得られた部分的に精製されたエンドウ豆類タンパク質単離物の一部を、未処理のエンドウ豆類タンパク質単離物コントロール(「コントロール(塩添加なし)」)として取っておいた。残りの部分的に精製されたエンドウ豆類タンパク質単離物ペーストを、様々な量のTSP、SHP、アルカリホスファート塩組成物、TXM、又はホスファート塩、酸性ピロリン酸ナトリウム(SAP)で処理した。表4に要約されているように、各塩は2つの異なるレベルで添加され、塩の最終濃度は乾燥ベースであった。乾燥固形分(DS)はSartorius Moisture Analyzerで測定した。LECO燃焼分析装置を使用してタンパク質を測定した。ホスファートは、ICP分析によって測定されたリンの量から計算した。ホスファート塩の重量%は、総乾燥タンパク質と比較して、各pHに滴定するために添加されたホスファート塩、SAP、又はアルカリホスファート塩、TSP及びTXMの量に基づいて計算した。
【0147】
【0148】
C.低温殺菌
【0149】
ホスファート塩処理及び未処理のタンパク質単離物のサンプルを、90℃の保持温度で60秒間加熱ミキサを使用して低温殺菌した。
【0150】
D.溶解度の測定
【0151】
ホスファート塩処理及び未処理のエンドウ豆類タンパク質単離物の工程Cからの低温殺菌サンプルを水で1:1に希釈した。ホスファート塩処理及び未処理のエンドウ豆類タンパク質単離物溶液を、3Mの塩酸(HCl)の添加によりpH3、又は3MのNaOHの添加によりpH10のいずれかに滴定した。HCl又はNaOHによる滴定には別個の溶液を使用した。滴定中、各pH単位で5mLの一定分量を取り出し、3500rpmで5分間遠心分離した。上澄み及び初期溶液をそれぞれ可溶性タンパク質及び総タンパク質について分析して、可溶性タンパク質の百分率を決定した。
【0152】
結果
【0153】
表5に要約された結果に示されるように、アルカリホスファート塩、リン酸三ナトリウム(TSP)、TexturMelt(TXM)、及びヘキサメタリン酸ナトリウム(SHP)を使用した処理で調製されたエンドウ豆類タンパク質単離物組成物は、溶解度の最大の増加を示した。ピロリン酸ナトリウム(SAP)での処理を使用して調製されたエンドウ豆類タンパク質単離物組成物は、溶解度の最小限の増加を示した。
【0154】
【0155】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本明細書に記載の開示は、以下の条項によっても定義され、これらは、単独で、又は1つ又は複数の他の条項又は実施形態と組み合わせて有益であり得る。前述の説明を制限することなく、以下のように番号が付けられた開示の特定の非限定条項が提供され、個別に番号が付けられた条項のそれぞれは、先行又は後続の条項のいずれかと使用又は組み合わせられ得る。したがって、これはそのような全ての組合わせの支持を提供することを目的としており、必ずしも以下に明示的に提供される特定の組合わせに限定されるわけではない。
1.(a)5~20%のタンパク質含有量を有する植物タンパク質単離物の水溶液に、アルカリホスファート塩組成物を添加することを含む植物タンパク質組成物を調製する方法であって、乾燥重量基準でのタンパク質含有量に対する、添加されたアルカリホスファート塩は3~98%、3~45%、4~20%、又は10~95%である、植物タンパク質組成物を調製する方法。
2.方法が、(b)工程(a)の溶液を、73~86℃の温度に、少なくとも30~70秒間低温殺菌することと、(c)工程(b)の溶液を乾燥させて、少なくとも70%のタンパク質含有量を有する植物タンパク質組成物を形成することと、を更に含む、条項1に記載の方法。
3.アルカリホスファート塩組成物が、オルトホスファートイオン、メタホスファート、トリメタホスファート、及び/又はヘキサメタホスファートと、アルカリ金属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオンとの塩を含む、条項1及び2のいずれか1項に記載の方法。
4.アルカリホスファート塩組成物が、リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを含み、任意選択で、アルカリホスファート塩組成物が、5~100重量%の量でリン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを含む、条項1~3のいずれか一項に記載の方法。
5.乾燥重量基準のタンパク質含有量に対する添加されたアルカリホスファート塩が、3~45%、又は4~20%である、条項1~4のいずれか一項に記載の方法。
6.アルカリホスファート塩組成物が、任意選択で、5~100重量%の量でヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩を含む、条項1~5のいずれか一項に記載の方法。
7.乾燥重量基準のタンパク質含有量に対する添加されたアルカリホスファート塩が、10~95%である、条項1~6のいずれか一項に記載の方法。
8.アルカリホスファート塩組成物が、(a)リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム;(b)リン酸二ナトリウム及び/又はリン酸二カリウム;及び(c)ヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩;任意選択で、5~20重量%のリン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム;20~40重量%のリン酸二ナトリウム及び/又はリン酸二カリウム;及び50~80重量%のヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩を含む、条項1~7のいずれか一項に記載の方法。
9.植物タンパク質単離物の水溶液がpH5~10であり、任意選択で、植物タンパク質単離物が、pH6.5~9.5である、条項1~8のいずれか一項に記載の方法。
10.植物タンパク質単離物が、
(a)塩基抽出された植物タンパク質単離物であって、任意選択で、塩基抽出された植物タンパク質単離物が、10~100mMのNaOHで植物タンパク質濃縮物溶液を抽出することによって調製されるか、又は
(b)中性抽出された植物タンパク質単離物であって、任意選択で、中性抽出された植物タンパク質単離物が、植物タンパク質濃縮物溶液を熱水で抽出することによって調製される、条項1~9のいずれか一項に記載の方法。
11.工程(c)が、溶液を噴霧乾燥して、粉末植物タンパク質組成物を形成することを含み、任意選択で、粉末植物タンパク質組成物が、70~95重量%のタンパク質含有量を含む、条項1~10のいずれか一項に記載の方法。
12.植物タンパク質組成物が、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%のpH7における水溶解度を示す、条項1~11のいずれか一項に記載の方法。
13.5~20%のタンパク質含有量を有する植物タンパク質単離物の水溶液にアルカリホスファート塩組成物を添加せずに調製された植物タンパク質組成物のpH7における水溶解度に対する植物タンパク質組成物のpH7における水溶解度が、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、又はそれを超えて増加する、条項1~12のいずれか一項に記載の方法。
14.植物タンパク質単離物が、(a)マメ科植物由来、(b)エンドウ豆類植物由来、又は(c)エンドウ豆類タンパク質単離物である、条項1~13のいずれか一項に記載の方法。
15.条項1~14のいずれか一項に記載の方法に従って調製された植物タンパク質組成物。
16.少なくとも70重量%のタンパク質含有量を含む乾燥植物タンパク質単離物と、タンパク質含有量に対して乾燥重量基準で3~98%、3~45%、4~20%、又は10~95%で添加されたアルカリホスファート塩と、を含む植物タンパク質組成物。
17.アルカリホスファート塩が、オルトホスファートイオン、メタホスファート、トリメタホスファート、及び/又はヘキサメタホスファートと、アルカリ金属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオンとの塩を含む、条項16に記載の組成物。
18.アルカリホスファート塩が、リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを含み、任意選択で、アルカリホスファート塩が、5~100重量%、70~100重量%、80~100重量%、又は90~100重量%の量でリン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウムを含む、条項16及び17のいずれか一項に記載の組成物。
19.乾燥重量基準のタンパク質含有量に対する添加されたアルカリホスファート塩が、3~45%、又は4~20%である、条項16~18のいずれか一項に記載の組成物。
20.アルカリホスファート塩が、任意選択で、5~100重量%、50~80%、70~100重量%、80~100重量%、又は90~100重量%の量でヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩を含む、条項16~19のいずれか一項に記載の組成物。
21.乾燥重量基準のタンパク質含有量に対する添加されたアルカリホスファート塩が、10~95%である、条項16~20のいずれか一項に記載の組成物。
22.アルカリホスファート塩が、(a)リン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム;及び(b)ヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩;任意選択で、5~20重量%のリン酸三ナトリウム及び/又はリン酸三カリウム;及び50~80重量%のヘキサメタホスファートナトリウム塩及び/又はヘキサメタホスファートカリウム塩を含む、条項16~21のいずれか一項に記載の組成物。
23.組成物が、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%のpH7における水溶解度を有する、条項16~22のいずれか一項に記載の組成物。
24.組成物が、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、又はそれを超えて増加する、アルカリホスファート塩なしの植物タンパク質組成物のpH7における水溶解度に対するpH7における水溶解度を有する、条項16~23のいずれか一項に記載の組成物。
25.植物タンパク質単離物が、塩基抽出された植物タンパク質単離物であって、任意選択で、塩基抽出された植物タンパク質単離物が、10~100mMのNaOHで植物タンパク質濃縮物溶液を抽出することによって調製される、条項16~24のいずれか一項に記載の組成物。
26.植物タンパク質単離物が中性抽出された植物タンパク質単離物であって、任意選択で、中性抽出された植物タンパク質単離物が、熱水で植物タンパク質濃縮物溶液を抽出することによって調製される、条項16~25のいずれか一項に記載の組成物。
27.植物タンパク質単離物が、マメ科植物、エンドウ豆類植物、又はエンドウ豆類タンパク質単離物に由来する、条項16~26のいずれか一項に記載の組成物。
28.条項1~15のいずれか一項に記載の方法に従って調製された植物タンパク質組成物を含む食品又は飲料製品。
29.条項16~27のいずれか一項に記載の植物タンパク質組成物を含む食品又は飲料製品。
【0156】
本発明の前述の開示は、明確化及び理解の目的で例及び例示としていくらか詳細に説明されてきたが、本明細書に提供される本開示される実施形態及び実施例は、説明的目的のためであり、例示を意図している。本明細書に記載の実施例、説明、及び実施形態に対して様々な改変又は変更を行うことができ、本開示及び添付の特許請求の範囲の精神及び視野内に含まれるべきであることは当業者には明らかであろう。更に、当業者は、本明細書に記載されているものと同等な多くの方法及び手順を認識するであろう。そのような全ての同等物は、本開示の範囲内にあると理解されるべきであり、添付の特許請求の範囲によって網羅される。
【0157】
本発明の追加の実施形態は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【0158】
そのような個々の出版物、特許、特許出願、又は他の文書がそれぞれ参照により、その全体をあらゆる目的で本明細書に組み込むために個別具体的に示され、本明細書にその全体が記載されたかのような場合と同程度に、本明細書で言及される全ての出版物、特許出願、特許、又は他の文書の開示は、あらゆる目的でその全体が参照により明示的に組み込まれる。矛盾する場合は、規定用語を含む本明細書が優先されるであろう。
【国際調査報告】