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▶ ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ・アメリカズ・エルエルシーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】高靭化熱硬化性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/10 20060101AFI20230329BHJP
   C08G 59/06 20060101ALI20230329BHJP
   C08G 59/50 20060101ALI20230329BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
C08G59/10
C08G59/06
C08G59/50
C08J5/04 CER
C08J5/04 CEZ
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549906
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(85)【翻訳文提出日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 US2021018345
(87)【国際公開番号】W WO2021167956
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】62/979,815
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509282365
【氏名又は名称】ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ・アメリカズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ル,ドン
(72)【発明者】
【氏名】キンケイド,デレク
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,デイビッド・ランハム
【テーマコード(参考)】
4F072
4J036
【Fターム(参考)】
4F072AA07
4F072AA08
4F072AB08
4F072AB09
4F072AB10
4F072AD11
4F072AD23
4F072AD46
4F072AE02
4F072AE06
4F072AF27
4F072AG03
4F072AG17
4F072AH31
4F072AJ04
4F072AJ36
4F072AL02
4J036AC14
4J036AD08
4J036AH07
4J036DC06
4J036DC10
4J036DC38
4J036FB03
4J036FB05
4J036FB15
4J036HA12
4J036JA11
4J036KA01
(57)【要約】
本開示は、熱硬化性樹脂と、多段階重合体及び熱可塑性靭性付与剤を含有する靭性付与剤成分と、並びに硬化剤とを含有する硬化性樹脂組成物を提供する。硬化性樹脂組成物は、強化繊維と組み合わせることが可能であり、次いで硬化させることで高いガラス転移温度及び優れた力学特性を有する繊維強化複合体を形成することが可能である。繊維強化複合体は、様々な用途、例えば航空宇宙機、航空機、船舶、及び陸上車ををはじめとする輸送用途に使用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)熱硬化性樹脂、(b)多段階重合体及び熱可塑性靭性付与剤を含む靭性付与剤成分、並びに(c)硬化剤を含む、硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂は、二官能性エポキシ樹脂、三官能性エポキシ樹脂、四官能性エポキシ樹脂、及びそれらの混合物から選択される、請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂は、ベンゾオキサジンである、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記熱可塑性靭性付与剤は、ポリエーテルスルホンである、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記硬化剤は、4,4’-メチレン-ビス-(3-クロロ-2,6-ジエチル-アニリン)を含む、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
硬化性樹脂組成物であって、以下
(a)約50重量%~約95重量%の熱硬化性樹脂、
(b)約1重量%~約25重量%の、多段階重合体及び熱可塑性靭性付与剤を含む靭性付与剤成分、並びに
(c)約5重量%~約50重量%の硬化剤、
を含み、前記重量%は、前記硬化性樹脂組成物の合計重量を基準にしている、
前記硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記靭性付与剤成分は、約5重量%~約15重量%の前記多段階重合体及び約0.1重量%~約10重量%の前記熱可塑性靭性付与剤を含む、請求項7に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
前記硬化剤は、約25部~約100部の4,4’-メチレン-ビス-(3-クロロ-2,6-ジエチル-アニリン)及び約0部~約75部の芳香族アミン又は脂肪族アミンを含む、請求項7に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
強化繊維及び請求項1に記載の硬化性樹脂組成物を含む、繊維強化樹脂組成物。
【請求項11】
前記強化繊維は、グラファイト繊維、ガラス繊維、炭化ケイ素で形成された繊維、アルミナで形成された繊維、ホウ素で形成された繊維、石英で形成された繊維、有機重合体で形成された繊維、及びそれらの混合物から選択される、請求項10に記載の繊維強化樹脂組成物。
【請求項12】
前記強化繊維は、前記繊維強化樹脂組成物の合計重量を基準にして、約5重量%~約35重量%の量で存在する、請求項11に記載の繊維強化樹脂組成物。
【請求項13】
繊維強化複合体の製造法であって、以下:(i)強化繊維を請求項1に記載の硬化性樹脂組成物と接触させて、前記強化繊維を被覆及び/又は含浸させる工程;並びに(ii)前記被覆及び/又は含浸させた強化繊維を、少なくとも約60℃の温度で硬化させる工程、
を含む、前記方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法に従って製造された、繊維強化複合体。
【請求項15】
前記複合体は、一次又は二次航空宇宙構造材料である、請求項14に記載の繊維強化複合体。
【請求項16】
RIMシステムで繊維強化複合体を製造する方法であって、以下の工程:a)強化繊維を含むファイバ母材を型に導入する工程;b)請求項1に記載の硬化性樹脂組成物を前記型に注入する工程;c)前記硬化性樹脂組成物に前記ファイバ母材を含浸させる工程;及びd)少なくとも約60℃の温度で、少なくとも部分硬化した繊維強化複合体が生成する長さの期間、前記含浸されたファイバ母材を加熱する工程;並びにe)任意選択で、前記部分硬化した繊維強化複合体を、約100℃~約350℃の温度で後硬化操作に供する工程、
を含む、前記方法。
【請求項17】
VaRTMシステムで繊維強化複合体を製造する方法であって、以下の工程:a)強化繊維を含むファイバ母材を型に導入する工程;b)請求項1に記載の硬化性樹脂組成物を前記型に注入する工程;c)前記型内を減圧する工程;d)前記型をおよそ前記減圧に維持する工程;e)前記硬化性樹脂組成物に前記ファイバ母材を含浸させる工程;f)少なくとも約60℃の温度で、少なくとも部分硬化した繊維強化複合体が生成する長さの期間、前記含浸されたファイバ母材を加熱する工程;及びe)任意選択で、前記少なくとも部分硬化した繊維強化複合体を、約100℃~約350℃の温度で後硬化操作に供する工程、
を含む、前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願番号第62/979,815号、出願日2020年2月21日、の権利を主張し、その全内容は、明白に、本明細書中参照として援用される。
【0002】
技術分野
本開示は、概して、高いガラス転移温度及び向上した靭性耐性(toughness resistance)を有する硬化性樹脂組成物に関する。詳細には、本開示は、熱硬化性樹脂と、多段階重合体及び熱可塑性靭性付与剤を含有する靭性付与剤(toughener)成分と、並びに硬化剤とを含有する硬化性樹脂組成物に関する。本開示は、強化繊維の存在下で硬化させて繊維強化複合体を形成することが可能である硬化性樹脂組成物の使用、及び繊維強化複合体から作られた航空宇宙構造部品にも関する。
【背景技術】
【0003】
熱硬化性材料、例えば硬化エポキシ樹脂などは、その耐熱性及び耐薬品性で知られている。これらは、良好な力学特性も示すものの、靭性に欠ける場合が多く、非常に脆い傾向がある。これらの架橋密度又は単量体官能性が上記2点を強めるというのは、特にそのとおりである。エポキシ樹脂及び他の熱硬化性材料、例えば、ビスマレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シアン酸エステル樹脂、エポキシビニルエステル樹脂、及び不飽和ポリエステル樹脂などに、様々な靭性付与剤材料を組み込むことにより、それらを強化する又は高靭化する試みが、なされてきている。
【0004】
そのような靭性付与剤は、それらの構造特性、形態特性、又は熱特性により互いに比較することが可能である。靭性付与剤の構造骨格としては、芳香族、脂肪族、又は芳香族と脂肪族の両方であることが可能である。芳香族靭性付与剤、例えば、ポリエーテルエーテルケトン又はポリイミドなどは、靭性、すなわち衝撃後圧縮の合理的な改善を示し、及び靭性付与剤の芳香族構造のおかげで、高温高湿環境に供された場合の水分取り込みが低い熱硬化性材料を提供する。反対に、脂肪族靭性付与剤、例えば、ナイロン(別名ポリアミド)は、衝撃後圧縮の大幅な改善を示すが、高温高湿環境に供された場合の水分取り込みが所望とするものより高く、このことが圧縮強度及び圧縮弾性率の低下を招く可能性がある熱硬化性材料を提供する。他の靭性付与剤、例えば、コアシェル重合体などは、良好な耐損傷性を示す熱硬化性材料を提供することができる。しかしながら、こうした靭性付与剤は、熱硬化性材料の加工性及びガラス転移温度に悪影響を及ぼす傾向がある。
【0005】
熱硬化性樹脂組成物に最近利用されるようになった特定の靭性付与剤は、多段階重合体、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、及び特許文献7に記載されるものなどである。こうした靭性付与剤は、熱硬化性マトリクスに容易に分散して均一な分布をもたらすことがわかったものの、硬化生成物は、依然として適切な靭性を欠く可能性があり、特に一次構造用途に関連した樹脂注入加工中の高温で硬化する場合に、そうなる可能性がある。
【0006】
したがって、硬化に際して、硬化生成物が高いガラス転移温度及び高い衝撃後圧縮を示すことを可能にする新規靭性付与剤成分を、熱硬化性材料とともに利用することにより、当該分野の現状にさらなる改善をもたらす必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2016/102666号
【特許文献2】国際公開第2016/102658号
【特許文献3】国際公開第2016/102682号
【特許文献4】国際公開第2017/211889号
【特許文献5】国際公開第2017/220793号
【特許文献6】国際公開第2018/002259号
【特許文献7】国際公開第2019/012052号
【発明の概要】
【0008】
本開示は、概して、(a)熱硬化性樹脂、(b)多段階重合体及び熱可塑性靭性付与剤を含む靭性付与剤成分、並びに(c)硬化剤、を含む硬化性樹脂組成物を提供する。本開示はまた、強化繊維及び本開示の硬化性樹脂組成物を含む繊維強化樹脂組成物も提供する。繊維強化樹脂組成物は、硬化して繊維強化複合体を形成することができ、この繊維強化複合体は各種用途への利用が可能であって、用途としては、例えば、輸送用途(航空宇宙機、航空機、船舶、及び陸上車を含み、並びに自動車、鉄道、長距離輸送、及び軍事産業を含む)、建物/建築用途、又は他の商業用途などがある。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、概して、(a)熱硬化性樹脂、(b)多段階重合体及び熱可塑性靭性付与剤を含む靭性付与剤成分、並びに(c)硬化剤、を含む硬化性樹脂組成物を提供する。硬化性樹脂組成物は、単独でも使用可能であるものの、硬化性樹脂組成物を強化繊維と組み合わせて繊維強化樹脂組成物を形成させ、硬化させて繊維強化複合体を形成させることも可能である。多段階重合体と熱可塑性靭性付与剤の組み合わせが相乗的に作用して、観察される強靭化効果が、多段階重合体と熱可塑性靭性付与剤の強靭化効果合算から予想できるものよりも高くなることが、期せずして見出された。例えば、驚いたことに、多段階重合体と熱可塑性靭性付与剤を組み合わせることで、複合体が、一次及び二次航空宇宙構造用途並びに車、ボート、及び鉄道車両をはじめとする他の移動物体の構造材料に特に適している化学特性及び力学特性を示すことができる可能性があることがわかった。特に、繊維強化複合体は、多段階重合体又は熱可塑性靭性付与剤を単独で含有する繊維強化複合材料粒子と比較した場合に、より高い衝撃後圧縮(CAI)を示し、加えて、少なくとも190℃というガラス転移温度も示す。
【0010】
以下の用語は、以下の意味を有するものとする:
【0011】
「硬化する(cure)」、「硬化した(cured)]、又は同様な用語である「硬化する(curing)」若しくは「硬化する(cure)」という用語は、化学架橋による熱硬化性樹脂の硬化を示す。「硬化性(curable)」という用語は、組成物を硬化した又は熱硬化の状態若しくは状況にすることになる条件に、その組成物を供することが、その組成物にとって可能であることを意味する。
【0012】
「多段階重合体」という用語は、多段階重合プロセスにより逐次様式で形成された重合体を示す。多段階重合プロセスは、多段乳化重合プロセスであることも可能であり、このプロセスでは、第一重合体は、第一段重合体であり、第二重合体は、第二段重合体である(すなわち、第二重合体は、第一乳濁液重合体の存在下、乳化重合により形成される)。
【0013】
「(メタ)アクリル重合体」という用語は、重合体の合計重量を基準にして、(メタ)アクリル単量体を50重量%以上含む重合体を示す。
【0014】
「(メタ)アクリル」という用語は、本明細書中使用される場合、全ての種類のアクリル単量体及びメタクリル単量体を示す。
【0015】
「含む(comprising)」という用語及びその派生語は、どのような追加の構成要素、工程、又は手順の存在も、それらが本明細書中開示されているか否かにかかわらず、排除することを意図しない。どのような誤解も回避する目的で、本明細書中「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求される全ての組成物は、反対の指定がない限り、どのような追加の添加物又は化合物も含む可能性がある。対照的に、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語は、本明細書中登場する場合、後続の列挙の範囲から、実現可能性にとって必須ではないものを除いて、どのような他の構成要素、工程、又は手順も排除し、「~からなる(consisting of)」という用語は、使用される場合、具体的に記述又は列挙されていないどのような構成要素、工程、又は手順も排除する。「又は(or)」という用語は、特に記載がない限り、列挙されるメンバーを、個別に、並びに任意の組み合わせで示す。
【0016】
冠詞の「a」及び「an」は、本明細書中、その冠詞の文法上の目的語が1つ又は複数(すなわち少なくとも1つ)であることを示すのに使用される。例として、「エポキシ樹脂(an epoxy resin)」は、1つのエポキシ樹脂又は複数のエポキシ樹脂を意味する。
【0017】
「1つの実施形態において」、「1つの実施形態に従って」などの語句は、概して、その語句に続く特定の特長、構造、又は特性が、本開示の少なくとも1つの態様に含まれており、そしてまた本開示の複数の実施形態に含まれている可能性があることを意味する。重要なことは、そのような語句が必ずしも同じ実施形態を示してはいないことである。
【0018】
明細書において、構成要素又は特長が、含まれている又はある特性を有することを記述するのに「may」、「can」、「could」、又は「might」が使用される場合、その特定の構成要素又は特長は、含まれていること又は特性を有することを義務付けられていない。
【0019】
「約(about)」という用語は、本明細書中使用される場合、値又は範囲に一定程度の変動性を許容することができ、例えば、変動は、表示される値又は表示される範囲限度の10%以内、5%以内、又は1%以内である可能性がある。
【0020】
範囲様式で表現される値は、柔軟な様式で、その範囲の限度として明記される数値を含むだけでなく、その範囲に包含される個々の数値又はサブ範囲の全てが、あたかも各数値及びサブ範囲が明記されているかのように包含すると解釈されるべきである。例えば、1~6のような範囲は、例えば、1~3、2~4、3~6などのサブ範囲、並びにその範囲内の個別の数字、例えば、1、2、3、4、5、及び6を具体的に開示したと解釈されるべきである。これは、範囲の広さにかかわらず当てはまる。
【0021】
「好適である」及び「好ましくは」という用語は、ある特定の状況下、ある特定の利益を提供する可能性がある実施形態を示す。しかしながら、他の実施形態もまた、同じ状況又は異なる状況下で、好適である可能性がある。そのうえさらに、1つ又は複数の好適な実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを暗示するわけではなく、他の実施形態を本開示の範囲から除外することを意図しない。
【0022】
第一の実施形態に従って、本開示は、概して(a)熱硬化性樹脂、(b)多段階重合体及び熱可塑性靭性付与剤を含む靭性付与剤成分、並びに(c)硬化剤、を含む硬化性樹脂組成物を提供する。
【0023】
1つの実施形態において、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シアン酸エステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、又はそれらの混合物である可能性がある。1つの特定の実施形態において、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である。
【0024】
一般に、任意のエポキシ含有化合物が、本開示のエポキシ樹脂として使用に適しており、そのようなエポキシ含有化合物として、例えば、米国特許第5,476,748号に開示されるエポキシ含有化合物がある。米国特許第5,476,748号は本明細書中参照として援用される。1つの実施形態に従って、エポキシ樹脂は、二官能性エポキシ樹脂(すなわち2つのエポキシド基を有する)、三官能性エポキシ樹脂(すなわち3つのエポキシド基を有する)、四官能性エポキシ樹脂(すなわち4つのエポキシド基を有する)、及びそれらの混合物から選択される。
【0025】
二官能性エポキシ樹脂の限定ではなく例示として、以下がある:ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、レソルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシラート、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、メチルテトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、及びそれらの混合物。実施形態によっては、二官能性エポキシ樹脂は、一官能性反応性希釈剤で修飾されている場合があり、そのような希釈剤として、例えば、p-tertiaryブチルフェノールグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、及びC-C14グリシジルエーテルがあるが、これらに限定されない。
【0026】
三官能性エポキシ樹脂の限定ではなく例示として、以下がある:para-アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、meta-アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂、N,N,O-トリグリシジル-4-アミノ-m-又は-5-アミノ-o-クレゾール型エポキシ樹脂、及び1,1,1-(トリグリシジルオキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂。
【0027】
四官能性エポキシ樹脂の限定ではなく例示として、以下がある:N,N,N’,N’-テトラグリシジルメチレンジアニリン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン、及びテトラグリシジルグリコールウリル。
【0028】
使用可能である市販のエポキシ樹脂の例として、アラルダイト(登録商標)PY 306エポキシ樹脂(未修飾ビスフェノール-F系液体エポキシ樹脂)、アラルダイト(登録商標)MY 721エポキシ樹脂(メチレンジアニリン系四官能性エポキシ樹脂)、アラルダイト(登録商標)MY 0510エポキシ樹脂(para-アミノフェノール系三官能性エポキシ樹脂)、アラルダイト(登録商標)GY 6005エポキシ樹脂(ビスフェノール-A系液体エポキシ樹脂を一官能性反応性希釈剤で修飾したもの)、アラルダイト(登録商標)6010エポキシ樹脂(ビスフェノール-A系液体エポキシ樹脂)、アラルダイト(登録商標)MY 06010エポキシ樹脂(meta-アミノフェノール系三官能性エポキシ樹脂)、アラルダイト(登録商標)GY 285エポキシ樹脂(未修飾ビスフェノール-F系液体エポキシ樹脂)、アラルダイト(登録商標)EPN 1138、1139、及び1180エポキシ樹脂(エポキシフェノールノボラック樹脂)、アラルダイト(登録商標)ECN 1273及び9611エポキシ樹脂(エポキシクレゾールノボラック樹脂)、アラルダイト(登録商標)GY 289エポキシ樹脂(エポキシフェノールノボラック樹脂)、アラルダイト(登録商標)PY 307-1エポキシ樹脂(エポキシフェノールノボラック樹脂)、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
1つの実施形態において、硬化性樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の量は、硬化性樹脂組成物の合計重量に基づいて、約10重量%~約90重量%、又は約20重量%~約75重量%、又は約30重量%~約60重量%、又は約40重量%~約50重量%の量であることが可能である。別の実施形態において、硬化性樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の量は、化性樹脂組成物の合計重量に基づいて、約50重量%~約95重量%、又は約65重量%~約90重量%の量であることが可能である。
【0030】
さらに別の実施形態において、エポキシ樹脂は、少なくとも1種の三官能性エポキシ樹脂又は四官能性エポキシ樹脂又はそれらの混合物と、及び任意選択で少なくとも1種の二官能性エポキシ樹脂とで構成されることが可能である。そのような実施形態において、三官能性エポキシ樹脂は、硬化性樹脂組成物中、硬化性樹脂組成物の合計重量に基づいて、約25重量%~約50重量%、又は約35重量%~45重量%の量で存在することが可能であり、四官能性エポキシ樹脂は、硬化性樹脂組成物中、硬化性樹脂組成物の合計重量に基づいて、約1重量%~20重量%、又は約5重量%~約15重量%の量で存在することが可能である。
【0031】
別の実施形態に従って、熱硬化性樹脂は、ベンゾオキサジン樹脂である。ベンゾオキサジン樹脂は、少なくとも1つのベンゾオキサジン部分を有する、任意の硬化性単量体、オリゴマー、又は重合体が可能である。すなわち、1つの実施形態において、ベンゾオキサジンは、一般式(1)で表すことができ
【0032】
【化1】
式中、bは、1~4の整数であり;各Rは、独立して、水素、置換若しくは無置換のC-C20アルキル基、置換若しくは無置換のC-C20アルケニル基、置換若しくは無置換のC-C20アリール基、置換若しくは無置換のC-C20ヘテロアリール基、置換若しくは無置換のC-C20炭素環式基、置換若しくは無置換のC-C20複素環基、又はC-Cシクロアルキル基であり;各Rは、独立して、水素、C-C20アルキル基、C-C20アルケニル基、又はC-C20アリール基であり;及びZは、直接結合(b=2の場合)、置換若しくは無置換のC-C20アルキル基、置換若しくは無置換のC-C20アリール基、置換若しくは無置換のC-C20ヘテロアリール基、O、S、S=O、O=S=O、又はC=Oである。置換基として、ヒドロキシ、C-C20アルキル基、C-C10アルコキシ基、メルカプト、C-Cシクロアルキル基、C-C14複素環基、C-C14アリール基、C-C14ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロン、アミノ、アミド、アシル、オキシアシル、カルボキシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、及びスルフリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
式(1)内の特定の実施形態において、ベンゾオキサジンは、以下の式(1a)で表すことができ
【0034】
【化2】
式中、Zは、直接結合、CH、C(CH、C=O、O、S、S=O、O=S=O、及び
【0035】
【化3】
から選択され、
各Rは、独立して、水素、C-C20アルキル基、アリル基、又はC-C14アリール基であり;及びRは、上記のとおり定義される。
【0036】
別の実施形態において、ベンゾオキサジンは、以下の一般式(2)で包含することができ
【0037】
【化4】
式中、Yは、C-C20アルキル基、C-C20アルケニル基、又は置換若しくは無置換のフェニルであり;及び各Rは、独立して、水素、ハロゲン、C-C20アルキル基、C-C20アルケニル基、又はC-C20アリール基である。フェニルに適切な置換基は、上記で説明したとおりである。
【0038】
式(2)内の特定の実施形態において、ベンゾオキサジンは、以下の式(2a)で表すことができ
【0039】
【化5】
式中、各Rは、独立して、C-C20アルキル又はC-C20アルケニル基、これらの基はそれぞれ、任意選択で、1つ又は複数のO、N、S、C=O、COO、及びNHC=Oによる置換又は挿入がされている、並びにC-C20アリール基であり;並びに各Rは、独立して、水素、C-C20アルキル又はC-C20アルケニル基、これらの基はそれぞれ、任意選択で、1つ又は複数のO、N、S、C=O、COOH、及びNHC=Oによる置換又は挿入がされている、あるいはC-C20アリール基である。
【0040】
あるいは、ベンゾオキサジンは、以下の一般式(3)で包含することができ
【0041】
【化6】
式中、pは、2であり;Wは、ビフェニル、ジフェニルメタン、ジフェニルイソプロパン、ジフェニルスルフィド、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホン、及びジフェニルケトンから選択され;並びに、Rは、上記のとおり定義される。
【0042】
ベンゾオキサジンは、複数の供給元から市販されており、供給元として、Huntsman Advanced Materials Americas LLC、Georgia Pacific Resins Inc.、及びShikoku Chemicals Corporationが挙げられる。
【0043】
ベンゾオキサジンは、水が除去される条件下、フェノール化合物、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、又はフェノールフタレインを、アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド、及び第一級アミンと反応させることによっても得ることができる。フェノール化合物対アルデヒド反応体のモル比は、約1:3~1:10、あるいは、約1:4:~1:7が可能である。さらに別の実施形態において、フェノール化合物対アルデヒド反応体のモル比は、約1:4.5~1:5が可能である。フェノール化合物対第一級アミン反応体のモル比は、約1:1~1:3、あるいは約1:1.4~1:2.5が可能である。さらに別の実施形態において、フェノール化合物対第一級アミン反応体のモル比は、約1:2.1~1:2.2が可能である。
【0044】
第一級アミンの例として、以下が挙げられる:芳香族モノ又はジアミン、脂肪族アミン、シクロ脂肪族アミン、及び複素環モノアミン、例えば、アニリン、o-、m-、及びp-フェニレンジアミン、ベンジジン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、シクロヘキシルアミン、ブチルアミン、メチルアミン、ヘキシルアミン、アリルアミン、フルフリルアミンエチレンジアミン、並びにプロピレンジアミン。アミンは、それぞれの炭素部分においてC-Cアルキル又はアリルで置換されていてもよい。1つの実施形態において、第一級アミンは、一般式RNHを有する化合物であり、式中、Rは、アリル、無置換若しくは置換フェニル、無置換若しくは置換C-Cアルキル、又は無置換若しくは置換C-Cシクロアルキルである。R基の適切な置換基として、アミノ、C-Cアルキル、及びアリルが挙げられるが、これらに限定されない。実施形態によっては、1つ~4つの置換基が、R基に存在することができる。1つの特定の実施形態において、Rは、フェニルである。
【0045】
1つの実施形態に従って、ベンゾオキサジンは、硬化性組成物中に、硬化性組成物の合計重量に基づいて約10重量%~約90重量%の範囲の量で存在することが可能である。別の実施形態において、ベンゾオキサジンは、硬化性組成物中に、硬化性組成物の合計重量に基づいて約60重量%~約90重量%の範囲の量で存在することが可能である。
【0046】
硬化性樹脂組成物は、多段階重合体及び熱可塑性靭性付与剤を含む靭性付与剤成分も含む。
【0047】
多段階重合体(例えば、WO2016/102411及びWO2016/102682に記載されるとおりのもの、これらの内容は本明細書中参照として援用される)は、その重合体組成が異なる段階を少なくとも2つ有し、第一段階ではコアを形成し、第二段階又はその後のすべての段階ではそれぞれシェルを形成する。多段階重合体は、重合体粒子、特に球状粒子の形状にあることが可能である。こうした重合体粒子は、コアシェル粒子とも呼ばれ、第一段階ではコアを形成し、第二段階又はその後のすべての段階ではそれぞれシェルを形成する。1つの実施形態において、重合体粒子は、20nm~800nm、又は25nm~600nm、又は30nm~550nm、又は40nm~400nm、又は75nm~350nm、又は80nm~300nmの重量平均粒径を有することが可能である。重合体粒子は、凝集して重合体粉末を提供することが可能である。
【0048】
すなわち、重合体粒子は、ガラス転移温度が約10℃未満である重合体(A1)を含む少なくとも1つの層(又は段階)(A)、及びガラス転移温度が約30℃超である重合体(B1)を含む少なくとも別の層(又は段階)(B)を備える複層構造を有することが可能である。実施形態によっては、重合体(B1)は、重合体粒子の外側層である。他の実施形態において、重合体(A1)を含む段階(A)は、第一段階であり、重合体(B1)を含む段階(B)は、重合体(A1)を含む段階(A)にグラフトされる。
【0049】
上記のとおり、重合体粒子は、多段プロセス、例えば、2段、3段、又はそれ以上の段階を含むプロセスなどにより得ることが可能である。層(A)のガラス転移温度が約10℃未満である重合体(A1)は、多段プロセスの最後の段階中に作られることは決してない。このことは、重合体(A1)が粒子の外側層には決して存在しないことを意味する。したがって、層(A)のガラス転移温度が約10℃未満である重合体(A1)は、重合体粒子のコア中に存在するか、又は内側層のうちの1つに存在するかのいずれかである。
【0050】
実施形態によっては、層(A)のガラス転移温度が約10℃未満である重合体(A1)は、複層構造を有する重合体粒子のコアを形成する多段プロセスの第一段階中及び/又は重合体(B1)の前に、作られる。
【0051】
他の実施形態において、ガラス転移温度が約30℃超である重合体(B1)は、重合体粒子の外側層を形成する多段プロセスの最終段階中に作られる。中間段階(単数又は複数)により得られる追加中間層(単数又は複数)が存在し得る。
【0052】
1つの実施形態において、層(B)の重合体(B1)の少なくとも一部は、先行する層に作られた重合体にグラフトされる。重合体(A1)及び重合体(B1)をそれぞれ含む段階(A)及び段階(B)の2つだけが存在する場合、重合体(B1)の一部は、重合体(A1)にグラフトされる。実施形態によっては、重合体(B1)の少なくとも50重量%が、グラフトされる。
【0053】
1つの実施形態に従って、重合体(A1)は、(メタ)アクリル重合体である。
【0054】
さらなる実施形態において、重合体(A1)は、共重合単量体(単数又は複数)を含み、この共重合単量体は、重合体(A1)が約10℃未満のガラス転移温度を有する限り、アルキルアクリラートと共重合可能である。重合体(A1)の共重合単量体(単数又は複数)は、(メタ)アクリル単量体及び/又はビニル単量体から選択することができる。(メタ)アクリル単量体は、C~C12アルキル(メタ)アクリラートから選択される単量体を含むことが可能である。さらに他の実施形態において、重合体(A1)は、C~Cアルキル(メタ)アクリラート単量体及びC~Cアルキルアクリラート単量体を含む。最も好ましくは、重合体(A1)の単量体は、重合体(A1)が約10℃未満のガラス転移温度を有する限り、アクリル酸メチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、及びそれらの混合物から選択される。
【0055】
別の実施形態において、重合体(A1)は、架橋している(すなわち、架橋剤が、他の単量体(単数又は複数)に加えられる)。架橋剤は、重合を可能にする少なくとも2つの基を有することができる。
【0056】
1つの具体的実施形態において、重合体(A1)は、アクリル酸ブチルの同種重合体である。別の具体的実施形態において、重合体(A1)は、アクリル酸ブチルと少なくとも1種の架橋剤の共重合体である。架橋剤は、この共重合体の5重量%未満の量で存在することができる。
【0057】
さらに別の実施形態において、ガラス転移温度が約10℃未満である重合体(A1)は、シリコーンゴム系重合体である。シリコーンゴムは、例えば、ポリジメチルシロキサンが可能である。
【0058】
さらに別の実施形態において、ガラス転移温度が約10℃未満である重合体(A1)は、イソプレン又はブタジエンに由来する重合体単位を少なくとも50重量%含み、段階(A)は、重合体粒子の最内側層である。言い換えると、重合体(A1)を含む段階(A)は、重合体粒子のコアである。例として、コアの重合体(A1)は、イソプレン同種重合体又はブタジエン同種重合体、イソプレン-ブタジエン共重合体、イソプレンと最大98重量%のビニル単量体の共重合体、及びブタジエンと最大98重量%のビニル単量体の共重合体で作られていることが可能である。ビニル単量体は、スチレン、アルキルスチレン、アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリラート、又はブタジエン若しくはイソプレンであることが可能である。1つの実施形態において、コアは、ブタジエン同種重合体である。
【0059】
重合体(B1)は、同種重合体並びに二重結合を持つ単量体及び/又はビニル単量体を含む共重合体で作られていることが可能である。好ましくは、重合体(B1)は、(メタ)アクリル重合体である。好ましくは、重合体(B1)は、C~C12アルキル(メタ)アクリラートから選択される単量体を少なくとも70重量%含む。さらにより好ましくは、重合体(B1)は、C~Cアルキルメタクリラート単量体及び/又はC~Cアルキルアクリラート単量体を少なくとも80重量%含む。最も好ましくは、重合体(B1)のアクリル単量体又はメタクリル単量体は、重合体(B1)が少なくとも約30℃のガラス転移温度を有する限り、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、及びそれらの混合物から選択される。有利なことに、重合体(B1)は、メタクリル酸メチルに由来する単量体単位を少なくとも70重量%含む。
【0060】
別の実施形態において、前述したとおりの多段階重合体は、追加の段階を有し、これは(メタ)アクリル重合体(P1)である。この実施形態に従う一次重合体粒子は、ガラス転移温度が約10℃未満である重合体(A1)を含む少なくとも1つの段階(A)、ガラス転移温度が約30℃超である重合体(B1)を含む少なくとも1つの段階(B)、及びガラス転移温度が約30℃~約150℃である(メタ)アクリル重合体(P1)を含む少なくとも1つの段階(P)を備える複層構造を有することになる。好ましくは、(メタ)アクリル重合体(P1)は、重合体(A1)又は(B1)のどれともグラフトしていない。
【0061】
(メタ)アクリル重合体(P1)は、約100,000g/mol未満、又は約90,000g/mol未満、又は約80,000g/mol未満、又は約70,000g/mol未満、有利には約60,000g/mol未満、より有利には約50,000g/mol未満、さらにより有利には約40,000g/mol未満の質量平均分子量Mwを有することが可能である。
【0062】
(メタ)アクリル重合体(P1)は、約2000g/mol超、又は約3000g/mol超、又は約4000g/mol超、又は約5000g/mol超、有利には約6000g/mol超、より有利には約6500g/mol超、さらにより有利には約7000g/mol超、最も有利には約10,000g/mol超の質量平均分子量Mwを有することが可能である。
【0063】
(メタ)アクリル重合体(P1)の質量平均分子量Mwは、約2000g/mol~約100,000g/mol、又は約3000g/mol~約90,000g/mol、又は約4000g/mol~約80,000g/mol、有利には約5000g/mol~約70,000g/mol、より有利には約6000g/mol~約50,000g/mol、最も有利には約10,000g/mol~約40,000g/moldであることが可能である。
【0064】
好ましくは、(メタ)アクリル重合体(P1)は、(メタ)アクリル単量体を含む共重合体である。さらにより好ましくは、(メタ)アクリル重合体(P1)は、C~C12アルキル(メタ)アクリラートから選択される単量体を少なくとも50重量%含む。有利には、(メタ)アクリル重合体(P1)は、C~Cアルキルメタクリラート単量体及びC~Cアルキルアクリート単量体並びにそれらの混合物から選択される単量体を少なくとも50重量%含む。より有利なことに、(メタ)アクリル重合体(P1)は、重合化メタクリル酸メチルを少なくとも50重量%、さらにより有利には少なくとも60重量%、最も有利には重合化メタクリル酸メチルを少なくとも少なくとも65重量%含む。
【0065】
1つの実施形態において、(メタ)アクリル重合体(P1)は、メタクリル酸メチルを50重量%~100重量%、又はメタクリル酸メチルを80重量%~100重量%、又はメタクリル酸メチルを80重量%~99.8重量%と、及びC~Cアルキルアクリラート単量体を0.2重量%~20重量%含む。有利には、C~Cアルキルアクリラート単量体は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、又はアクリル酸ブチルから選択される。
【0066】
別の実施形態において、(メタ)アクリル重合体(P1)は、官能性単量体を0.01重量%~50重量%含む。好ましくは、(メタ)アクリル重合体(P1)は、官能性単量体を0.01重量%~30重量%、より好ましくは1重量%~30重量%、さらにより好ましくは2重量%~30重量%、有利には官能性単量体を3重量%~30重量%含む。
【0067】
1つの実施形態において、官能性単量体は、グリシジル(メタ)アクリラート、アクリル酸若しくはメタクリル酸、アクリル酸若しくはメタクリル酸由来アミド、例えば、ジメチルアクリルアミド、アクリル酸若しくはメタクリル酸2-メトキシエチル、任意選択で四級化されるアクリル酸若しくはメタクリル酸2-アミノエチルなど、ホスホナート若しくはホスファート基を持つアクリラート若しくはメタクリラート単量体、アルキルイミダゾリジノン(メタ)アクリラート、及びポリエチレングリコール(メタ)アクリラートから選択される。好ましくは、ポリエチレングリコール(メタ)アクリラートのポリエチレングリコール基は、分子量が400g/mol~10,000g/molの範囲である。
【0068】
靭性付与剤成分は、熱可塑性靭性付与剤も含む。任意の適切な熱可塑性重合体を、熱可塑性靭性付与剤として使用することが可能である。典型的には、熱可塑性靭性付与剤は、硬化剤の添加前に、加熱により樹脂中に溶解する粒子として、熱硬化性樹脂に添加することができる。いったん熱可塑性靭性付与剤が熱樹脂中に実質的に溶解してしまったら、樹脂を冷却し、残りの成分(例えば、硬化剤及び多段階重合体)を添加し、冷却された樹脂ブレンドと混合することができる。
【0069】
熱可塑性靭性付与剤の例として、以下の熱可塑性重合体のいずれかを単独又は組み合わせて挙げることができる:ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミド(PA)、ポリ(フェニレン)オキシド(PPO)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、フェノキシ、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(スチレン)(PS)、及びポリカーボネート(PC)。
【0070】
1つの実施形態に従って、熱可塑性靭性付与剤は、ポリエーテルスルホンである。ポリエーテルスルホンの限定ではなく例として、商標Sumnikaexcel(登録商標)ポリエーテルスルホンでSumitomo Chemicalsから市販されている粒子状ポリエーテルスルホン、商標Veradel(登録商標)及びVirantage(登録商標)ポリエーテルスルホンでSolvay Chemicalsから市販されているものが挙げられる。高密度化(densified)ポリエーテルスルホン粒子も使用可能である。ポリエーテルスルホンの形状は、特に重要というものではない。なぜならポリエーテルスルホンは、硬化性樹脂組成物の形成中に溶解させることができるからである。高密度化ポリエーテルスルホン粒子は、米国特許第4,945,154号の教示に従って作ることができ、米国特許第4,945,154号の内容は、本明細書により参照として援用される。高密度化ポリエーテルスルホン粒子は、商標HRI-1でHexcel Corporationが販売するものを利用することもできる。実施形態によっては、ポリエーテルスルホンの平均粒径は、熱硬化性樹脂中にポリエーテルスルホンが完全に溶解するのを促進及び確実にするために、100ミクロン未満である。
【0071】
1つの実施形態に従って、硬化性樹脂組成物中に存在する靭性付与剤成分の量は、硬化性樹脂組成物の合計重量を基準にして、約25重量%未満である。別の実施形態において、硬化性樹脂組成物中に存在する靭性付与剤成分の量は、硬化性樹脂組成物の合計重量を基準にして、約22.5重量%未満、又は約20重量%未満、又は約17.5重量%未満、又は約15重量%未満である。別の実施形態に従って、硬化性樹脂組成物中に存在する靭性付与剤成分の量は、硬化性樹脂組成物の合計重量を基準にして、少なくとも約1重量%、又は少なくとも約5重量%、又は少なくとも約7.5重量%である。さらに別の実施形態において、硬化性樹脂組成物中に存在する靭性付与剤成分の量は、硬化性樹脂組成物の合計重量を基準にして、約1重量%~約25重量%、又は約5重量%~約20重量%、又は約7重量%~約16重量%である。
【0072】
別の実施形態に従って、硬化性樹脂組成物中に存在する多段階重合体の量は、硬化性樹脂組成物の合計重量を基準にして、約3重量%~約20重量%、又は約5重量%~約15重量%、又は約7重量%~約13重量%である。さらに別の実施形態において、硬化性樹脂混合物中に存在する熱可塑性靭性付与剤の量は、硬化性樹脂組成物の合計重量を基準にして、約0.1重量%~約10重量%、又は約0.1重量%~約7重量%、又は約0.1重量%~約5重量%である。
【0073】
硬化性樹脂組成物の硬化は、熱硬化性樹脂の硬化用の当該分野で既知である任意の化学材料(複数可)を添加することにより達成することが可能である。そのような材料は、熱硬化性樹脂の反応性基と反応できる反応性部分を有する化合物であり、本明細書中「硬化剤(hardener)」と称するが、これには硬化剤(curing agent)、硬化剤(curative)、活性化剤、触媒、又は促進剤として当業者に既知である材料も含まれる。ある種の硬化剤は、触媒作用により硬化を促進するものの、他のものは、熱硬化性樹脂の反応に直接関与して、熱硬化性樹脂の縮合、鎖伸長、及び/又は架橋により形成される熱可塑性重合体ネットワークに組み込まれる。硬化剤に応じて、相当の反応を生じさせるために加熱が必要になる場合もあれば、ならない場合もある。熱硬化性樹脂用の硬化剤として、芳香族アミン、環状アミン、脂肪族アミン、アルキルアミン、ポリエーテルアミン、これにはポリプロピレンオキシド及び/又はポリエチレンオキシドから派生することが可能なポリエーテルアミンが含まれる、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン(CAF)、酸無水物、カルボン酸アミド、ポリアミド、ポリフェノール、クレゾール及びフェノールノボラック樹脂、イミダゾール、グアニジン、置換グアニジン、置換尿素、メラミン樹脂、グアナミン誘導体、第三級アミン、ルイス酸錯体、例えば、三フッ化ボロン及び三塩化ホウ素、並びにポリメルカプタンが挙げられるが、これらに限定されない。上記の硬化剤の任意のエポキシ修飾アミン生成物、Mannich修飾生成物、及びMichael修飾付加生成物もまた、使用可能である。上記硬化剤の全ては、単独で又は任意の組み合わせでのいずれかで使用可能である。
【0074】
1つの実施形態において、硬化剤は、多官能性アミンである。「多官能性アミン」という用語は、本明細書中使用される場合、分子中に少なくとも2つの第一級及び/又は第二級アミノ基を有するアミンを示す。例えば、多官能性アミンは、ortho、meta、及びparaの位置関係のいずれか1つで、ベンゼンに結合した2つのアミノ基を有する芳香族多官能性アミン、例えば、フェニレンジアミン、キシレンジアミン、1,3,5-トリアミノベンゼン、1,2,4-トリアミノベンゼン、及び3,5-ジアミノ安息香酸など、脂肪族多官能性アミン、例えば、エチレンジアミン及びプロピレンジアミンなど、非環式多官能性アミン、例えば、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、1,3-ビスピペリジルプロパン、及び4-アミノメチルピペラジンなどであることが可能である。これらの多官能性アミンは、単独又はそれらの混合物として使用可能である。
【0075】
芳香族アミンの例として、1,8-ジアミノナフタレン、m-フェニレンジアミン、ジエチレントルエンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチル-エチルインデン)]ビスアニリン、4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチル-エチルインデン)]ビスアニリン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、及びビス(4-アミノ-2-クロロ-3,5-ジエチルフェニル)メタンが挙げられるが、これらに限定されない。そのうえさらに、芳香族アミンとして、米国特許第4,427,802号及び同題4,599,413号に開示されるとおりの複素環多官能性アミン付加体も挙げることができ、米国特許第4,427,802号及び同題4,599,413号は両方とも、そのまま全体が参照として本明細書により援用される。
【0076】
環状アミンの例として、ビス(4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N-アミノエチルピラジン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、m-キシレンジアミン、イソホロンジアミン、メンテンジアミン、1,4-ビス(2-アミノ-2-メチルプロピル)ピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、ベンジルメチルアミン、2-(ジメチルアミノメチル)-フェノール、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、及び2-エチル-4-メチルイミダゾールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
脂肪族アミンの例として、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタアミン、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3-(ジエチルアミノ)-プロピルアミン、3-(メチルアミノ)プロピルアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン;3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3-エトキシプロピルアミン、3-メトキシプロピルアミン、3-(ジブチルアミノ)プロピルアミン、及びテトラメチル-エチレンジアミン;エチレンジアミン;3,3’-イミノビス(プロピルアミン)、N-メチル-3,3’-イミノビス(プロピルアミン);アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、並びにポリオキシプロピレントリアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
アルキルアミンの例として、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec-ブチルアミン、t-ブチルアミン、n-オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジ-t-ブチルアミン、ジ-n-オクチルアミン、及びジ-2-エチルヘキシルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
酸無水物の例として、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物、1-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、2-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、1-メチル-2-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、1-メチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、3-メチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、4-メチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、コハク酸無水物、4-メチル-1-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、フタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナド酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、クロレンド酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、及びそれらの任意の誘導体又は付加体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
イミダゾールの例として、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、2-n-プロピルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-イソプロピル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、1,2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、1-ドデシル-2-メチルイミダゾール、及び1-シアノエチル-2-フェニル-4,5-ジ(2-シアノエトキシ)メチルイミダゾールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
置換グアニジンの例として、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、メチルイソビグアニジン、ジメチルイソビグアニジン、テトラメチルイソビグアニジン、ヘキサメチルイソビグアニジン、ヘプタメチルイソビグアニジン、及びシアノグアニジン(ジシアンジアミド)がある。挙げることができるグアナミン誘導体の代表的なものとしては、アルキル化ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、又はメトキシメチルエトキシメチルベンゾグアナミンがある。置換尿素として、p-クロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(モヌロン)、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素(フェヌロン)、又は3,4-ジクロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(ジウロン)を挙げることができる。
【0082】
第三級アミンの例として、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリ-sec-ブチルアミン、トリ-t-ブチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-ベンジルアミン、ピリジン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノピリジン、モルホリン誘導体、例えば、ビス(2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)-(2-(4-モルホリノ)エチル)アミン、ビス(2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)-(2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(4-モルホリノ)エチル)アミン、及びトリス(2-(4-モルホリノ)プロピル)アミン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)など、並びにジアザビシクロノなどのアミジン結合を有する複素環化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
アミン-エポキシ付加体は、当該分野で周知であり、例えば、米国特許第3,756,984号、同第4,066,625号、同第4,268,656号、同第4,360,649号、同第4,542,202号、同第4,546,155号、同第5,134,239号、同第5,407,978号、同第5,543,486号、同第5,548,058号、同第5,430,112号、同第5,464,910号、同第5,439,977号、同第5,717,011号、同第5,733,954号、同第5,789,498号、同第5,798,399号、及び同第5,801,218号に記載されている。これら特許文書はそれぞれ、そのまま全体が本明細書中参照として援用される。そのようなアミン-エポキシ付加体は、1種又は複数のアミン化合物と1種又は複数のエポキシ化合物の間の反応の生成物である。好ましくは、付加体は、室温ではエポキシ樹脂に不溶性であるが、加熱に際して溶解性になり、促進剤として機能して硬化速度を上昇させる、固体である。任意の種類のアミンを使用することができるものの(複素環アミン及び/又は少なくとも1個の第二級窒素原子を有するアミンが好ましい)、イミダゾール化合物が特に好適である。イミダゾールの実例として、2-メチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾールなどが挙げられる。他の適切なアミンとして、ピペラジン、ピペリジン、ピラゾール、プリン、及びトリアゾールが挙げられるが、これらに限定されない。任意の種類のエポキシ化合物を、付加体の他方の出発物質として採用することができ、そのような化合物として、一官能性エポキシ化合物、及び多官能性エポキシ化合物、例えばエポキシ樹脂成分に関して前述したものなどが挙げられる。
【0084】
1つの実施形態において、本開示の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂組成物の合計重量を基準として、硬化剤を約10重量%~約60重量%、又は約20重量%~約50重量%、又は約30重量%~約50重量%の量で含有することが可能である。別の実施形態において、本開示の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂組成物の合計重量を基準として、硬化剤を約5重量%~約50重量%、又は約10重量%~約45重量%、又は約20重量%~約40重量%の量で含有することができる。
【0085】
さらに別の実施形態において、硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂組成物の合計重量を基準として、4,4’-メチレン-ビス-(3-クロロ-2,6-ジエチル-アニリン)を硬化剤として、約30重量%~約55重量%又は約40重量%~約50重量%の量で含む。さらに別の実施形態において、硬化剤は、硬化剤100部を基準として、4,4’-メチレン-ビス-(3-クロロ-2,6-ジエチル-アニリン)約25~約100部、及び芳香族アミン又は脂肪族アミン0~約75部を含む。
【0086】
さらに別の実施形態において、硬化性樹脂組成物は、添加剤の目的とする用途に関して有用である他の添加剤も、1種又は複数含有することができる。例えば、有用な任意選択の添加剤として、希釈剤、安定剤、界面活性剤、流動性改質剤、離型剤、艶消し剤、脱ガス剤、熱可塑性粒子(例えば、カルボキシル末端液状ブタジエンアクリロニトリルゴム(CTBN)、アクリル末端液状ブタジエンアクリロニトリルゴム(ATBN)、エポキシ末端液状ブタジエンアクリロニトリルゴム(ETBN)、エラストマーの液状エポキシ樹脂(LER)付加体、及び予め形成されたコアシェルゴム)、硬化開始剤、硬化防止剤、湿潤剤、加工助剤、蛍光化合物、UV安定剤、抗酸化剤、衝撃改質剤、腐食防止剤、粘着付与剤、高密度粒子状充填剤(例えば、様々な天然の粘土、例えば、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト又は改質モンモリロナイト、アタパルジャイト(attapulgate)、及びバックミンスター・フラー土(Buckminsterfuller’s earth)など;他の天然若しくは天然由来材料、例えば、雲母、炭酸カルシウム、及び炭酸アルミニウム;各種酸化物、例えば、酸化第二鉄、二酸化チタン、酸化カルシウム、及び二酸化ケイ素など(例えば、砂);各種人造材料、例えば沈降炭酸カルシウムなど;並びに各種廃材、例えば、粉砕した溶鉱炉スラグなど)、導電粒子(例えば、銀、金、銅、ニッケル、アルミニウム、並びに導電グレードの炭素及びカーボンナノチューブなど)、並びにそれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0087】
存在する場合、硬化性樹脂組成物に含まれる添加剤の量は、硬化性樹脂組成物の合計重量を基準にして、少なくとも約0.5重量%、又は少なくとも2重量%、又は少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%の量であることが可能である。他の実施形態において、硬化性樹脂組成物に含まれる添加剤の量は、硬化性樹脂組成物の合計重量を基準にして、約30重量%以下、又は25重量%以下、又は20重量%以下、又は15重量%以下であることが可能である。
【0088】
硬化性樹脂組成物は、例えば、個々の成分を予混合し、次いでこれら予混合物を混合することにより、又は通常の装置を用いてこれら成分全てをまとめて混合することにより、又はホットメルト法により調製することができ、通常の装置としては、例えば、撹拌容器、撹拌棒、ボールミル、サンプルミキサー、スタティックミキサー、高剪断ミキサー、リボンブレンダーがある。
【0089】
すなわち、別の実施形態に従って、本開示の硬化性樹脂組成物は、約10重量%~約90重量%の熱硬化性樹脂及び約1重量%~約25重量%の靭性付与剤成分及び約10重量%~約60重量%の硬化剤をまとめて混合することにより調製することができ、重量%は、硬化性樹脂組成物の合計重量を基準にしている。
【0090】
熱硬化性樹脂、靭性付与剤成分、及び硬化剤を、上記に記載のとおりの割合で混合し、次いで硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、本開示の硬化性樹脂組成物から熱硬化性樹脂(thermoset)を形成することができる。実施形態によっては、迅速な硬化を得るために組成物を高温で加熱することが一般的に必要となる場合がある。成形プロセス、例えば、繊維強化複合体を作製するプロセスなどでは、硬化性樹脂組成物を、型に導入する場合があるが、この組成物は、型に強化繊維及び/又はインサートが入っている場合にはどのようなものであっても入っているそのままで一緒に、予熱することができる。硬化温度は、例えば、約60℃~最高約190℃が可能である。長い(少なくとも30秒、好ましくは少なくとも40秒)ゲル時間が望ましい場合、硬化温度は、好ましくは、130℃を超えない。長いゲル時間及び短い離型時間の両方が望まれる場合、適切な硬化温度は、約80℃~約120℃、好ましくは95~120℃、特には105~120℃である可能性がある。実施形態によっては、得られる複合体が、硬化温度を超えるガラス転移温度を達成するまで、硬化を継続することが好適である場合がある。離型時のガラス転移温度は、少なくとも約100℃、又は少なくとも約110℃、又は少なくとも約115℃、又はさらには少なくとも約120℃である可能性がある。硬化温度が約95℃~約120℃、特に約105℃~約120℃での離型時間は、典型的には、350秒以下であり、好ましくは、300秒以下、より好ましくは240秒以下である。
【0091】
したがって、高性能複合材料及びプリプレグの製造については、強化繊維を硬化性樹脂組成物と組み合わせて繊維強化樹脂組成物を形成することが可能である、次いでこの組成物を硬化させることが可能である。硬化性樹脂組成物は、既知のプリプレグ製造技法のいずれかに従って、強化繊維と組み合わせることができる。強化繊維は、完全に又は部分的に、硬化性樹脂組成物で含浸することができる。代替実施形態において、硬化性樹脂組成物は、別の層として強化繊維に施工される場合があり、この層は、強化繊維の近位にあるとともに接触しているが、強化繊維を実質的に含浸していない。プリプレグは、典型的には、保護フィルムで両側が被覆されており、時期尚早な硬化を回避するために室温より十分に低く維持された温度で貯蔵及び輸送用に巻き上げられている。他のプリプレグ製造プロセス及び貯蔵/輸送システムのどれでも、所望であれば使用することができる。
【0092】
適切な強化繊維として、高い引張強度、例えば、500ksi(又は3447MPa)超の引張強度を有する繊維を挙げることができるが、これらに限定されない。この目的に関して有用な繊維として、炭素繊維又はグラファイト繊維、ガラス繊維、及び炭化ケイ素、アルミナ、ホウ素、石英などから形成された繊維など、並びに有機重合体、例えば、ポリオレフィン、ポリ(ベンゾチアゾール)、ポリ(ベンズイミダゾール)、ポリアリレート、ポリ(ベンゾオキサゾール)、芳香族ポリアミド、ポリアリールエーテルなどから形成された繊維が挙げられ、こうした繊維を2種以上含む混合物も挙げることができる。好ましくは、繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、及び芳香族ポリアミド繊維から選択される。強化繊維は、複数のフィラメントで作られた不連続又は連続ロープの形状で、連続した一方向性又は多方向性テープとして、又は織布、巻縮のない(noncrimped)布帛、若しくは不織布として、使用することができる。織り方は、平織、繻子織、又は綾織式から選択することができる。巻縮のない布帛は、多数のプライ及び繊維方向を有することができる。
【0093】
強化繊維は、寸法選別されていてもいなくてもよく、繊維強化樹脂組成物の合計重量を基準にして、約5重量%~約35重量%、好ましくは少なくとも20重量%の含有量で存在することができる。構造用途の場合、連続繊維、例えば、ガラス繊維又は炭素繊維を、繊維強化樹脂組成物の合計体積を基準にして、特に30体積%~70体積%、より特別には50体積%~70体積%で使用することが好適である。
【0094】
繊維強化複合体を形成するため、複数の硬化性、柔軟性プリプレグプライを積層順にツール上に並べて、プリプレグレイアップを形成することができる。レイアップ内のプリプレグプライは、お互いに対して選択された方向で、例えば0°、+45°、90°などで配置されている場合がある。プリプレグレイアップの製造は、手動レイアップ、自動レイアップ(ATL)、先進技術繊維配置(advanced fiber placement)(AFP)、及びフィラメントワインディング技法によるものが可能であるが、技法は、これらに限定されない。
【0095】
各プリプレグは、体積中の少なくとも一部分が硬化性樹脂組成物で含浸された強化繊維のシート又は層で構成される。1つの実施形態において、プリプレグは、プリプレグの全体積を基準にして、約0.50~0.60の繊維体積割合を有する。
【0096】
航空宇宙構造体の製造に有用なプリプレグは、通常、一方向性強化繊維、典型的には炭素繊維の樹脂含浸シートであり、これは、「テープ」又は「一方向性テープ」又は「ユニテープ」と称する場合が多い。プリプレグは、完全含浸プリプレグであっても、部分含浸プリプレグであってもよい。強化繊維を含浸する硬化性樹脂組成物は、部分硬化状態にあっても未硬化状態にあってもよい。
【0097】
典型的には、プリプレグは、三次元配置でのレイアップ及び成形が容易にできる撚り合わせ可能な又は柔軟な形状にあり、続いて硬化することにより最終繊維強化複合材料部品になる。この種のプリプレグは、耐荷重構造部品、例えば、航空機の翼、機体、隔壁、及び操縦翼面などの製造に特に適切である。硬化プリプレグの重要な特性は、高い強度及び剛性に軽量化を伴っていることである。
【0098】
上記のとおり、プリプレグレイアップの硬化は、一般に、最高約190℃、好ましくは約170℃~約190℃の範囲の高温で行われ、漏出ガスの変形効果を抑制するため、又は空隙形成を抑制するため、最高10bar(1MPa)、好ましくは3bar(0.3MPa)~7bar(0.7MPa)の範囲の圧で、高圧の使用を伴う。好ましくは、硬化温度は、最大5℃/分、例えば、2℃/分~3℃/分で加熱することにより達成され、最大9時間、好ましくは最大6時間、例えば、2時間~4時間の要求される期間の間維持される。硬化性樹脂組成物に触媒を使用することで、硬化温度をさらに低くすることが可能になる場合がある。圧は、全体を通じて解放することができ、温度は、最大5℃/分、例えば、最大3℃/分で冷却することにより低下させることができる。適切な加熱速度を採用して、約190℃~約350℃の範囲の温度及び大気圧での後硬化を行うことができる。
【0099】
すなわち、1つの実施形態に従って、繊維強化複合体を製造するプロセスが概して提供され、本プロセスは、以下の工程を含む:(i)型中で、強化繊維を硬化性樹脂組成物と接触させて、強化繊維を被覆及び/又は含浸させる工程;並びに(ii)被覆された及び/又は含浸された強化繊維を、少なくとも約60℃又は少なくとも約120℃~約190℃の温度で硬化させる工程。
【0100】
被覆及び/又は含浸は、湿式法又はホットメルト法いずれかにより実現することが可能である。湿式法では、最初に硬化性樹脂組成物を溶媒に溶解させて粘度を低下させ、その後、強化繊維の被覆及び/又は含浸を達成し、オーブンなどを用いて溶媒を蒸発させる。ホットメルト法では、被覆及び/又は含浸は、強化繊維を硬化性樹脂組成物で直接被覆及び/又は含浸させることにより達成することが可能であり、この硬化性樹脂組成物は、粘度を低下させるために加熱されている、あるいは、剥離紙などの上で硬化性樹脂組成物の塗膜を最初に製造し、次いで塗膜を強化繊維の片側又は両側に配置し、熱及び圧を加えて被覆及び/又は含浸を実現することが可能である。
【0101】
さらに別の実施形態において、RIMシステムで繊維強化複合体を製造する方法が概して提供される。本プロセスは、以下の工程を含む:a)強化繊維を含むファイバ母材を型に導入する工程;b)硬化性樹脂組成物を型に注入する工程;c)硬化性樹脂組成物をファイバ母材に含浸させる工程;及びd)少なくとも約60℃又は少なくとも約120℃の温度で、少なくとも部分硬化した繊維強化複合体が生成する長さの期間、含浸されたファイバ母材を加熱する工程;並びにe)任意選択で、部分硬化した繊維強化複合体を、約100℃~約350℃の温度で後硬化操作に供する工程。
【0102】
代替実施形態において、本開示は、概して、VaRTMシステムで繊維強化複合体を製造する方法を提供する。本プロセスは、以下の工程を含む:a)強化繊維を含むファイバ母材を型に導入する工程;b)硬化性樹脂組成物を型に注入する工程;c)型内を減圧する工程;d)型をおよそこの減圧に維持する工程;e)硬化性樹脂組成物をファイバ母材に含浸させる工程;f)少なくとも約60℃又は少なくとも約120℃の温度で、少なくとも部分硬化した繊維強化複合体が生成する長さの期間、含浸されたファイバ母材を加熱する工程;及びe)任意選択で、少なくとも部分硬化した繊維強化複合体を、約100℃~約350℃の温度で後硬化操作に供する工程。
【0103】
本発明のプロセスは、各種の航空宇宙構造体並びに自動車、鉄道、及び海洋構造体を含む、多種多様な繊維強化複合体の作製に有用である。航空宇宙構造体の例として、一次及び二次航空宇宙構造体材料(翼、機体、隔壁、フラップ、補助翼、カウル、フェアリング、内装品など)、ロケットエンジンケース、並びに人工衛星用構造材料が挙げられる。自動車構造体の例として、垂直及び水平車体パネル(フェンダー、ドア外板、ボンネット、ルーフ外板、デッキリッド、テールゲートなど)並びに自動車及びトラックのシャシ部品が挙げられる。
【実施例
【0104】
様々な硬化性樹脂組成物を調製し、次いで硬化させた。各種熱的及び力学特性を、当業者に既知の技法に従って測定した。結果を表1及び表2に示す:
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】
【0107】
結果から、発明実施例3の衝撃後圧縮(CAI)及びガラス転移温度は、実施例1及び2のものを上回ることがわかり、したがって、多段階重合体及び熱可塑性靭性付与剤を含有する靭性付与剤成分の相乗効果を実証している。
【0108】
本発明の様々な実施形態の作製及び使用について、上記で詳細に記載してきたものの、当然のことながら、本発明は、多種多様な特定状況で具現化され得る多くの応用可能な本発明の概念を提供する。本明細書中検討される具体的実施形態は、本発明の作製及び使用の具体的方法の例示にすぎず、本発明の範囲を定めるものではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)熱硬化性樹脂、(b)多段階重合体及び熱可塑性靭性付与剤を含む靭性付与剤成分、並びに(c)硬化剤を含む、硬化性樹脂組成物であって、前記多段階重合体は、重合体粒子の形状をしており、前記重合体粒子は、ガラス転移温度が約10℃未満である重合体(A1)を含む少なくとも1つの層(又は段階)(A)、及びガラス転移温度が約30℃超である重合体(B1)を含む少なくとも別の層(又は段階)(B)を備える複層構造を有する、硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂は、二官能性エポキシ樹脂、三官能性エポキシ樹脂、四官能性エポキシ樹脂、及びそれらの混合物から選択される、請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂は、ベンゾオキサジンである、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記熱可塑性靭性付与剤は、ポリエーテルスルホンである、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記硬化剤は、4,4’-メチレン-ビス-(3-クロロ-2,6-ジエチル-アニリン)を含む、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
硬化性樹脂組成物であって、以下
(a)約50重量%~約95重量%の熱硬化性樹脂、
(b)約1重量%~約25重量%の、多段階重合体及び熱可塑性靭性付与剤を含む靭性付与剤成分、並びに
(c)約5重量%~約50重量%の硬化剤、
を含み、前記重量%は、前記硬化性樹脂組成物の合計重量を基準にしており、前記多段階重合体は、重合体粒子の形状をしており、前記重合体粒子は、ガラス転移温度が約10℃未満である重合体(A1)を含む少なくとも1つの層(又は段階)(A)、及びガラス転移温度が約30℃超である重合体(B1)を含む少なくとも別の層(又は段階)(B)を備える複層構造を有する、
前記硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記靭性付与剤成分は、約5重量%~約15重量%の前記多段階重合体及び約0.1重量%~約10重量%の前記熱可塑性靭性付与剤を含む、請求項7に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
前記硬化剤は、約25部~約100部の4,4’-メチレン-ビス-(3-クロロ-2,6-ジエチル-アニリン)及び約0部~約75部の芳香族アミン又は脂肪族アミンを含む、請求項7に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
強化繊維及び請求項1に記載の硬化性樹脂組成物を含む、繊維強化樹脂組成物。
【請求項11】
前記強化繊維は、グラファイト繊維、ガラス繊維、炭化ケイ素で形成された繊維、アルミナで形成された繊維、ホウ素で形成された繊維、石英で形成された繊維、有機重合体で形成された繊維、及びそれらの混合物から選択される、請求項10に記載の繊維強化樹脂組成物。
【請求項12】
前記強化繊維は、前記繊維強化樹脂組成物の合計重量を基準にして、約5重量%~約35重量%の量で存在する、請求項11に記載の繊維強化樹脂組成物。
【請求項13】
繊維強化複合体の製造法であって、以下:(i)強化繊維を請求項1に記載の硬化性樹脂組成物と接触させて、前記強化繊維を被覆及び/又は含浸させる工程;並びに(ii)前記被覆及び/又は含浸させた強化繊維を、少なくとも約60℃の温度で硬化させる工程、
を含む、前記方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法に従って製造された、繊維強化複合体。
【請求項15】
前記複合体は、一次又は二次航空宇宙構造材料である、請求項14に記載の繊維強化複合体。
【請求項16】
RIMシステムで繊維強化複合体を製造する方法であって、以下の工程:a)強化繊維を含むファイバ母材を型に導入する工程;b)請求項1に記載の硬化性樹脂組成物を前記型に注入する工程;c)前記硬化性樹脂組成物を前記ファイバ母材に含浸させる工程;及びd)少なくとも約60℃の温度で、少なくとも部分硬化した繊維強化複合体が生成する長さの期間、前記含浸されたファイバ母材を加熱する工程;並びにe)任意選択で、前記部分硬化した繊維強化複合体を、約100℃~約350℃の温度で後硬化操作に供する工程、
を含む、前記方法。
【請求項17】
VaRTMシステムで繊維強化複合体を製造する方法であって、以下の工程:a)強化繊維を含むファイバ母材を型に導入する工程;b)請求項1に記載の硬化性樹脂組成物を前記型に注入する工程;c)前記型内を減圧する工程;d)前記型をおよそ前記減圧に維持する工程;e)前記硬化性樹脂組成物を前記ファイバ母材に含浸させる工程;f)少なくとも約60℃の温度で、少なくとも部分硬化した繊維強化複合体が生成する長さの期間、前記含浸されたファイバ母材を加熱する工程;及びe)任意選択で、前記少なくとも部分硬化した繊維強化複合体を、約100℃~約350℃の温度で後硬化操作に供する工程、
を含む、前記方法。
【国際調査報告】