IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローエ アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特表2023-514397サニタリー器具ならびにこのようなサニタリー器具を組み立てるための方法
<>
  • 特表-サニタリー器具ならびにこのようなサニタリー器具を組み立てるための方法 図1
  • 特表-サニタリー器具ならびにこのようなサニタリー器具を組み立てるための方法 図2
  • 特表-サニタリー器具ならびにこのようなサニタリー器具を組み立てるための方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】サニタリー器具ならびにこのようなサニタリー器具を組み立てるための方法
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
E03C1/042 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550025
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(85)【翻訳文提出日】2022-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2021053460
(87)【国際公開番号】W WO2021165153
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】102020104457.7
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513228719
【氏名又は名称】グローエ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Grohe AG
【住所又は居所原語表記】58675 Hemer, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハートヴィヒ フィリップス
(72)【発明者】
【氏名】ピア シャドウ
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA01
2D060BA03
2D060BA05
2D060BB01
2D060BC30
2D060BD01
2D060BD03
2D060BE01
2D060BF09
(57)【要約】
サニタリー器具(1)であって、スパウト開口(3)を有するスパウト(4)を備えた器具ハウジング(2)と、この器具ハウジング(2)内に配置されたバルブアダプタ(5)と、このバルブアダプタ(5)内に少なくとも部分的に配置された、スパウト開口(3)を少なくとも部分的に遮蔽するためのバルブ(6)と、スパウト(4)内に配置される導水部材(8)をバルブアダプタ(5)の水開口(9)に接続するための接続要素(7)であって、バルブアダプタ(5)に直線滑動ガイド(10)によって取り付けられた接続要素(7)と、を少なくとも備える、サニタリー器具(1)。さらに、サニタリー器具(1)を組み立てるための方法が提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サニタリー器具(1)であって、
スパウト開口(3)を有するスパウト(4)を備えた器具ハウジング(2)と、
前記器具ハウジング(2)内に配置されたバルブアダプタ(5)と、
前記バルブアダプタ(5)内に少なくとも部分的に配置された、前記スパウト開口(3)を少なくとも部分的に遮蔽するためのバルブ(6)と、
前記スパウト(4)内に配置される導水部材(8)を前記バルブアダプタ(5)の水開口(9)に接続するための接続要素(7)であって、前記バルブアダプタ(5)に直線滑動ガイド(10)によって取り付けられた接続要素(7)と、
を少なくとも備える、サニタリー器具(1)。
【請求項2】
前記接続要素(7)は、前記直線滑動ガイド(10)によって前記バルブアダプタ(5)の外側の周面(11)に取り付けられている、請求項1記載のサニタリー器具(1)。
【請求項3】
前記直線滑動ガイド(10)は鳩尾状ガイドとして形成されている、請求項1または2記載のサニタリー器具(1)。
【請求項4】
前記接続要素(7)は鳩尾状溝(12)を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のサニタリー器具(1)。
【請求項5】
前記接続要素(7)は管区分(13)を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載のサニタリー器具(1)。
【請求項6】
前記接続要素(7)は接続区分(14)を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載のサニタリー器具(1)。
【請求項7】
前記接続要素(7)と前記バルブアダプタ(5)との間にパッキン(15)が配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のサニタリー器具(1)。
【請求項8】
前記導水部材(8)は、前記接続要素(7)内に差し込まれている、請求項1から7までのいずれか1項記載のサニタリー器具(1)。
【請求項9】
前記接続要素(7)は、少なくとも部分的に前記スパウト(4)内に配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のサニタリー器具(1)。
【請求項10】
サニタリー器具(1)を組み立てるための方法であって、
a)スパウト開口(3)を有するスパウト(4)を備えた器具ハウジング(2)を準備するステップと、
b)前記スパウト(4)内に配置される導水部材(8)をバルブアダプタ(5)の水開口(9)に接続するための接続要素(7)を少なくとも部分的に前記スパウト(4)内に配置するステップと、
c)前記接続要素(7)が前記バルブアダプタ(5)に直線滑動ガイド(10)によって取り付けられるように、前記バルブアダプタ(5)を前記器具ハウジング(2)内に配置するステップと、
を少なくとも含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に洗面器、シャワーおよび/または浴槽に使用可能であるサニタリー器具に関する。さらに、本発明は、相応のサニタリー器具を組み立てるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サニタリー器具は、特に水の提供および/または冷水と温水との混合による所望の混合水温度を有する混合水の形成ならびに混合された混合水の調量のために用いられる。既知のサニタリー器具では、水がバルブからまたは混合水が混合バルブから、器具ハウジングに設けられた液体通路を介して器具ハウジングのスパウトのスパウト開口に案内される。この場合には、水が器具ハウジングに接触するので、この器具ハウジングは、飲料水に適した材料、例えば黄銅から成っていなければならない。より廉価な材料、例えば亜鉛または亜鉛合金を器具ハウジングに使用することができるようにするためには、混合水が器具ハウジングに接触しないように、この器具ハウジングの内部の液体通路が、例えばプラスチック製の導水部材の形態で形成されなければならない。その際に問題となるのは、特に、スパウトの導水部材と、サニタリー器具のバルブのバルブハウジングまたはバルブもしくは混合バルブのバルブアダプタとの間の接続部の大きさおよび位置である。なぜならば、この接続部によって、器具ハウジングの直径を拡径するかまたは器具ハウジングを複数の部分で形成することが必要となってしまうからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、先行技術に関して説明した問題を少なくとも部分的に解決することであり、特に、ハウジング直径を拡径することなく一体形の器具ハウジングが使用可能となるように、スパウトの導水部材とバルブのバルブアダプタとの間の接続部が形成されているサニタリー器具を提供することである。さらに、ハウジング直径を拡径することなく一体形の器具ハウジングが使用可能となるように、スパウトの導水部材とバルブのバルブアダプタとの間の接続部を形成する、サニタリー器具を組み立てるための方法を提供することも求められる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの課題は、独立請求項の特徴によるサニタリー器具および方法によって解決される。本発明の別の有利な構成は、従属形式で記載した請求項に記載してある。付言しておくと、従属形式で記載した請求項に個々に記載した特徴は、技術的に有意な任意の形式で互いに組み合わされてよく、本発明の別の構成を規定する。さらに、特許請求の範囲に記載した特徴は、明細書に詳しく特定かつ説明してあり、明細書には、本発明の別の好適な構成が示してある。
【0005】
本発明によれば、サニタリー器具であって、以下の構成要素、つまり、
スパウト開口を有するスパウトを備えた器具ハウジングと、
器具ハウジング内に配置されたバルブアダプタと、
バルブアダプタ内に少なくとも部分的に配置された、スパウト開口を少なくとも部分的に遮蔽するためのバルブと、
スパウト内に配置される導水部材をバルブアダプタの水開口に接続するための接続要素であって、バルブアダプタに直線滑動ガイドによって取り付けられた接続要素と、
を少なくとも備える、サニタリー器具が提供される。
【0006】
提案されたサニタリー器具は、特に水の提供、冷水と温水との混合による所望の混合水温度を有する混合水の形成および/または混合された混合水の調量のために用いられる。このようなサニタリー器具は、通常、シンク、洗面器、シャワーおよび/または浴槽に使用される。サニタリー器具は、スパウト開口を有するスパウトを備えた器具ハウジングを有している。この器具ハウジングは、少なくとも部分的に黄銅、亜鉛合金および/またはプラスチックから成っていてよい。器具ハウジングは、特に一体形に形成されており、つまり、特に2つの(半割)シェルから形成されていない。さらに、器具ハウジングは、支持体、例えば作業台、シンク、洗面器、シャワーまたは浴槽に取付け可能である。さらに、器具ハウジングは、(突出または分岐した)スパウトを有している。このスパウトは、器具ハウジングに不動または可動に接続されている。スパウトは、少なくとも部分的に管状に形成されていてよい。さらに、器具ハウジングは、装飾された外側の表面を有していてよい。さらに、スパウトは、液体、特に(混合)水を放出することができるスパウト開口を有している。
【0007】
器具ハウジング内には、バルブを収容しかつ/または器具ハウジングに取り付けるためのバルブアダプタが配置されている。このバルブアダプタは、特にカートリッジアダプタの形態で形成されている。さらに、バルブアダプタは、少なくとも部分的に管状に形成されていてよく、これによって、バルブが、少なくとも部分的にバルブアダプタ内に配置可能となる。このバルブアダプタの管状の領域は、特に長手方向軸線に沿って延在している。さらに、バルブアダプタは、少なくとも部分的に黄銅および/またはプラスチックから成っていてよい。バルブアダプタは、直接または間接的に、例えばサニタリー器具の別の構成要素によって器具ハウジングに取り付けられていてよい。
【0008】
バルブによって、スパウト開口が少なくとも部分的に遮蔽可能となる。これは、特に、バルブによって、スパウト開口からの水の流出が阻止可能または絞り可能となることを意味している。バルブは、さらに、混合バルブまたは混合カートリッジの形態で形成されていてよい。この混合バルブまたは混合カートリッジによって、特に、所定の冷水温度を有する冷水と、所定の温水温度を有する温水とを混合し、これによって、所望の混合水温度を有する混合水を形成することができる。冷水温度は、特に最大25℃(摂氏)、好適には1℃~25℃、特に好適には5℃~20℃であり、かつ/または温水温度は、特に最大90℃、好適には25℃~90℃、特に好適には55℃~65℃である。バルブは、少なくとも部分的にバルブアダプタ内かつ/またはバルブアダプタの収容室内に配置されているかまたは取り付けられている。さらに、バルブは、サニタリー器具のレバーによって操作可能であってよい。例えば、このレバーによって、混合水温度および/または混合水または水の放出量が調整可能であってよい。混合バルブまたは混合カートリッジは、例えばシングルレバー混合器の形態でかつ/または少なくとも部分的に円筒形に形成されていてよい。さらに、バルブはカートリッジハウジングを有していてよい。
【0009】
さらに、サニタリー器具は、スパウト内に配置される導水部材をバルブアダプタの水開口に接続するための接続要素を備えている。導水部材は混合導水部材であってよい。バルブを通流した水またはバルブにより混合された混合水は、特に、バルブの水出口からバルブアダプタの収容室に流入し、そこからバルブアダプタの水開口を通って接続要素を介してスパウトの導水部材に流入する。このために、接続要素には水通路が形成されていてよい。導水部材は、例えば管または(可撓性の)ホースとして形成されていてよく、かつ/またはスパウトを通ってスパウト開口に延在している。接続要素は、少なくとも部分的に黄銅またはプラスチックから成っていてよい。
【0010】
さらに、接続要素は、バルブアダプタに直線滑動ガイドによって取り付けられている。この直線滑動ガイドによって、接続要素は、バルブアダプタに対して直線的に(のみ)、特に長手方向に、つまり、特にバルブアダプタの長手方向軸線に対して平行に、(滑動するように)可動または摺動可能となる。さらに、接続要素は、直線滑動ガイドによって、特に長手方向への1回の運動によってのみバルブアダプタから取り外し可能となる。直線滑動ガイドは、バルブアダプタのレールによって形成されていてよい。このレールは、接続要素の支持溝内に係合し、この支持溝内で直線的に(のみ)、つまり、(ただ)一方向(前後)に可動となる。レールと支持溝とは、特に、バルブアダプタと接続要素とが、特にバルブアダプタの半径方向で、つまり、特に長手方向に対して直交方向で、互いに形状接続的に接続されているように形成されている。このために、レールおよび/または支持溝は、少なくとも部分的に台形の横断面を有していてよい。
【0011】
直線滑動ガイドによって、まず、接続要素を(バルブアダプタなしで)少なくとも部分的にスパウト内に配置し、次いで初めて、バルブアダプタを器具ハウジング内に挿入することが可能となる。バルブアダプタを器具ハウジング内に挿入する際には、レールが接続要素の支持溝内に係合することができ、これによって、接続要素がバルブアダプタに取り付けられ、スパウト内に位置固定される。バルブアダプタの水開口の領域には、例えばOリングの形態のパッキンが配置されていてよい。このパッキンは、支持溝内へのレールの導入時にバルブアダプタと接続要素との間で圧縮される。パッキンの圧縮により生じる反力は、バルブアダプタの直径全体によってではなく、直線滑動ガイドの領域でのみ伝達される。これによって、バルブアダプタの変形が回避可能となる。接続要素をバルブアダプタに直線滑動ガイドにより取り付けることによって、器具ハウジングのハウジング直径の拡径および/または複数の部分での器具ハウジングの形成を回避することができる。
【0012】
接続要素は、直線滑動ガイドによってバルブアダプタの外側の周面に取り付けられていてよい。
【0013】
直線滑動ガイドは鳩尾状ガイドとして形成されていてよい。
【0014】
接続要素は鳩尾状溝を有していてよい。この場合、支持溝は、少なくとも部分的に鳩尾状の横断面を有する鳩尾状溝として形成されている。さらに、バルブアダプタのレールも少なくとも部分的に鳩尾状の横断面を有していてよい。レールの鳩尾状の横断面と鳩尾状溝とによって、レールが鳩尾状溝内で一方向にのみ可動となる。
【0015】
接続要素は管区分を有していてよい。この管区分は、特に管状に形成されており、第1の長手方向側の端部から第2の長手方向側の端部に延在している。
【0016】
接続要素は接続区分を有していてよい。この接続区分は、特に管区分の第2の長手方向側の端部にかつ/またはフランジの形態で形成されている。支持溝または鳩尾状溝は、特に接続要素の接続区分に形成されている。
【0017】
接続要素とバルブアダプタとの間にパッキンが配置されていてよい。このパッキンは、特にOリングの形態で形成されていてよい。
【0018】
導水部材は、接続要素内に差し込まれていてよい。特に、導水部材は、スパウト開口を通して接続要素内にまたは接続要素の管区分の第1の長手方向側の端部内に差込み可能である。
【0019】
接続要素は、少なくとも部分的にスパウト内に配置されていてよい。
【0020】
別の態様によれば、サニタリー器具を組み立てるための方法であって、
a)スパウト開口を有するスパウトを備えた器具ハウジングを準備するステップと、
b)スパウト内に配置される導水部材をバルブアダプタの水開口に接続するための接続要素を少なくとも部分的にスパウト内に配置するステップと、
c)接続要素がバルブアダプタに直線滑動ガイドによって取り付けられているように、バルブアダプタを器具ハウジング内に配置するステップと、
を少なくとも含む方法も提供される。
【0021】
ステップa)での器具ハウジングの準備後、ステップb)において、接続要素が、特にその管区分でもってスパウト内に配置され、接続要素の支持溝が、垂直方向にまたはバルブアダプタの長手方向に向けられる。次いで、ステップc)において、バルブアダプタが、特に器具ハウジングのカートリッジ開口を介して器具ハウジング内に差し込まれる。この場合、バルブアダプタのレールが接続要素の支持溝内に導入され、これによって、レールと支持溝とが直線滑動ガイドを形成する。この直線滑動ガイドによって、接続要素がバルブアダプタに取り付けられ、スパウト内に位置固定される。更なる詳細については、本明細書において提案したサニタリー器具の説明に十分依拠することができる。
【0022】
以下に、本発明および技術的な範囲を図面に基づき詳しく説明する。付言しておくと、図面には、本発明の特に好適な実施変化形態が示してあるが、しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。図中、同一の構成部材には、同一の符号が付してある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】サニタリー器具の分解図である。
図2】サニタリー器具の接続要素の斜視図である。
図3】サニタリー器具のバルブアダプタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には、サニタリー器具1が分解図で示してある。このサニタリー器具1は、スパウト開口3を有するスパウト4を備えた器具ハウジング2を有している。この器具ハウジング2内には、バルブアダプタ5が配置されている。このバルブアダプタ5は、バルブ6を収容するために収容室17を有していて、カートリッジアダプタの形態で形成されている。バルブ6は、図1では混合カートリッジの形態で形成されている。収容室17は、長手方向25に、つまり、バルブアダプタ5の長手方向軸線26に対して平行に、バルブアダプタ5の上側の端面24から、バルブアダプタ5の内部の収容室17の、図1に認めることができない底部にまで延びている。バルブアダプタ5は、収容室17の領域で管状に形成されている。バルブ6は、下側の端面16を有しており、この下側の端面16でバルブ6は、バルブアダプタ5の収容室17の底部に載置されている。バルブアダプタ5内には、図1に同じく認めることができない冷水通路と温水通路とが形成されている。この冷水通路と温水通路とは、バルブアダプタ5の下面20から収容室17の底部にまで延びている。冷水通路には、バルブアダプタ5の下面20で冷水管路18が接続可能であり、温水通路には、バルブアダプタ5の下面20で温水管路19が接続可能である。さらに、冷水管路18と温水管路19とは、バルブアダプタ5内に差込み可能なクリップ21によって位置固定可能であり、これによって、冷水管路18がバルブアダプタ5の冷水通路から、また、温水管路19がバルブアダプタ5の温水通路から、共に取り外せないようになっている。バルブアダプタ5の冷水通路および温水通路は、収容室17の底部でバルブ6の冷水入口および温水入口にそれぞれ開口している。この冷水入口と温水入口とは、バルブ6の下側の端面16に形成されている。バルブ6の内部では冷水と温水とが混合可能であり、これによって、所望の混合水温度を有する混合水が形成される。サニタリー器具1を通る混合水の混合水温度と放出量とを調整するために、バルブ6は操作要素22を有している。この操作要素22はレバー23に接続されている。
【0025】
バルブ6により混合された混合水は、下側の端面16においてバルブ6の、図1に認めることができない混合水出口からバルブアダプタ5の収容室17に流入する。この収容室17は、バルブアダプタ5の上側の端面24の領域でバルブ6によって閉鎖されており、これによって、混合水は、水開口9を介してのみ収容室17から流出することができる。このために、バルブ6はその下側の端面16から水開口9の高さにまで、収容室17の内径よりも小さい外径を有しており、これによって、混合水が、長手方向25で、バルブ6とバルブアダプタ5とにより形成された環状ギャップを通って水開口9にまで流れることができる。この水開口9は、長手方向25においてバルブ6の領域に形成されており、半径方向27で、つまり、長手方向25に対して直交方向で、バルブアダプタ5の側壁28を通って延びている。混合水は、水開口9から接続要素7と導水部材8とを通してスパウト4のスパウト開口3に供給することができる。このスパウト開口3内には泡沫キャップ29が配置されており、この泡沫キャップ29を通って混合水がスパウト4から流出する。
【0026】
図2には、接続要素7が斜視図で示してある。この接続要素7は、第1の長手方向側の端部30から第2の長手方向側の端部31にまで延在する管区分13を有している。第1の長手方向側の端部30内には、図1に示した導水部材8が差込み可能である。管区分13の第2の長手方向側の端部31には、接続要素7の接続区分14が続いている。この接続区分14は、図2ではフランジの形態で形成されている。接続区分14は、互いに鏡像対称に形成された互いに平行に延びる第1の側面33と第2の側面34とを備えた鳩尾状溝12を有している。さらに、この鳩尾状溝12は、第1の長手方向側の端部30の方向に(少なくとも部分的に)増加した第1の幅32を有している。したがって、鳩尾状溝12は、(実質的に)台形または鳩尾状の横断面を有している。
【0027】
図3には、バルブアダプタ5が斜視図で示してある。このバルブアダプタ5の外側の周面11には、水開口9の領域にレール35が形成されている。このレール35は、半径方向27に外側の周面11を越えて張り出している。さらに、レール35は、長手方向25にまたは長手方向軸線26に対して平行に延びる互いに鏡像対称に形成された第1の側面36と第2の側面37とを有している。この第1の側面36と第2の側面37との間にレール35は、半径方向27外向きに増加した第2の幅38を有している。これによって、レール35も同じく(実質的に)台形または鳩尾状の横断面を有している。レール35は、接続要素7の、図2に示した鳩尾状溝12内で長手方向25にまたは長手方向軸線26に対して平行に滑動することができるように形成されている。さらに、レール35は、(完全に)長手方向25でのみ接続要素7の鳩尾状溝12内に導入することができるように形成されている。接続要素7の鳩尾状溝12とレール35とは、接続要素7をバルブアダプタ5の外側の周面11に取り付けることができる直線滑動ガイド10の一部である。レール35が接続要素7の鳩尾状溝12内に位置している場合、接続要素7は、半径方向27でバルブアダプタ5に形状接続的に接続されており、このバルブアダプタ5から長手方向25でしか取り外すことができない。レール35には、水開口9を取り囲んで、図1に示したパッキン15用の環状の溝41が形成されている。パッキン15はOリングである。
【0028】
図1に示したサニタリー器具1の組立て時には、ステップa)において、まず、器具ハウジング2が準備される。次いで、ステップb)において、接続要素7の鳩尾状溝12が長手方向25にまたは垂直方向に向けられているように、接続要素7が、図2に示した管区分13でもってスパウト4の案内通路39に差し込まれる。その後、ステップc)において、バルブアダプタ5が、器具ハウジング2のカートリッジ開口40を通して器具ハウジング2に差し込まれ、これによって、バルブアダプタ5のレール35が、接続要素7の鳩尾状溝12内に導入される。これによって、接続要素7が、鳩尾状溝12とレール35とにより形成された直線滑動ガイド10によってバルブアダプタ5に取り付けられ、スパウト4の案内通路39内に位置固定される。ステップc)後、パッキン15は、バルブアダプタ5と接続要素7との間で溝41に圧入されている。次いで、ステップd)において、導水部材8をスパウト開口を介して案内通路39を通して接続要素7の管区分13に差し込むことができ、これによって、混合水が器具ハウジング2またはスパウト4に接触することなしに、バルブ6の混合水出口が、スパウトのスパウト開口3に液体案内接続されている。
【0029】
本発明によって、器具ハウジングのハウジング直径を拡径するかまたは器具ハウジングを複数の部分で形成することなしに、スパウトの導水部材が、バルブアダプタの水開口に接続可能となる。
【符号の説明】
【0030】
1 サニタリー器具
2 器具ハウジング
3 スパウト開口
4 スパウト
5 バルブアダプタ
6 バルブ
7 接続要素
8 導水部材
9 水開口
10 直線滑動ガイド
11 外側の周面
12 鳩尾状溝
13 管区分
14 接続区分
15 パッキン
16 下側の端面
17 収容室
18 冷水管路
19 温水管路
20 下面
21 クリップ
22 操作要素
23 レバー
24 上側の端面
25 長手方向
26 長手方向軸線
27 半径方向
28 側壁
29 泡沫キャップ
30 第1の長手方向側の端部
31 第2の長手方向側の端部
32 第1の幅
33 第1の側面
34 第2の側面
35 レール
36 第1の側面
37 第2の側面
38 第2の幅
39 案内通路
40 カートリッジ開口
41 溝
図1
図2
図3
【国際調査報告】