IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザウラー スピニング ソリューションズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲーの特許一覧

特表2023-514399ロータ紡績機の紡績ロータを支承するための軸受
<>
  • 特表-ロータ紡績機の紡績ロータを支承するための軸受 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】ロータ紡績機の紡績ロータを支承するための軸受
(51)【国際特許分類】
   D01H 4/12 20060101AFI20230329BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20230329BHJP
   F16C 19/54 20060101ALI20230329BHJP
   F16C 35/12 20060101ALI20230329BHJP
   F16C 35/077 20060101ALI20230329BHJP
   F16C 33/66 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
D01H4/12 A
F16C19/06
F16C19/54
F16C35/12
F16C35/077
F16C33/66 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550029
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(85)【翻訳文提出日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 EP2021053933
(87)【国際公開番号】W WO2021165347
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】102020104627.8
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518264859
【氏名又は名称】ザウラー スピニング ソリューションズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Spinning Solutions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Carlstr. 60, 52531 Uebach-Palenberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル ヤコプ
(72)【発明者】
【氏名】ディーター ハーバーコルン
(72)【発明者】
【氏名】フランク シュトッカー
【テーマコード(参考)】
3J117
3J701
4L056
【Fターム(参考)】
3J117AA06
3J117CA04
3J117DA01
3J117DA02
3J117DB07
3J701AA03
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701AA72
3J701CA14
3J701CA40
3J701FA31
3J701FA41
3J701GA60
4L056AA15
4L056BD32
4L056BD65
4L056BD69
4L056DA73
4L056DA74
4L056FB01
4L056FC06
(57)【要約】
本発明は、ロータ紡績機の紡績ロータを支承するための軸受であって、2つの転動体列を有する二列転がり軸受を備えており、転動体列は、内側では内輪なしに、互いに間隔を空けてロータ軸に配置された内側の2つの支承軌道上を転動し、かつ外側では別個の2つの外輪の外側の支承軌道上を転動する、軸受に関する。110,000回転/分を上回る回転数でも高い信頼性を有し、この軸受を備えたロータ紡績機の故障のない作動を可能にする、ロータ紡績機の紡績ロータを支承するための軸受を提供するために、外輪が弾性的に移動可能であるように軸受ケーシング内に支承されていることが規定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ紡績機の紡績ロータを支承するための軸受(1)であって、2つの転動体列(20a,20b)を有する二列転がり軸受を備えており、前記転動体列(20a,20b)は、
-内側では内輪なしに、互いに間隔を空けて軸、特にロータ軸(2)に配置された内側の2つの支承軌道(4)上を転動し、かつ
-外側では外側の支承軌道(6)上を転動する
を転動する、軸受(1)であって、
前記転動体列(20a,20b)が、外側では2つの別個の外輪(5a,5b)に設けられた外側の支承軌道(6)上を転動し、前記外輪(5a,5b)が、前記ロータ軸(2)の長手方向軸線方向に沿って、互いに間隔を空けて配置されており、かつ
前記外輪(5a,5b)自体が、弾性的に移動可能であるように軸受ケーシング(10)内に支承されていることを特徴とする、軸受(1)。
【請求項2】
前記外輪(5a,5b)が、前記外輪(5a,5b)および前記軸受ケーシング(10)に支持された少なくとも1つの支承体(11a,11b)により前記軸受ケーシング(10)内に支承されており、
前記少なくとも1つの支承体(11a,11b)が、前記外輪(5a,5b)と前記軸受ケーシング(10)との間の領域において少なくとも部分的に弾性ユニット(14a,14b)から形成されているか、または前記弾性ユニット(14a,14b)を、前記ロータ軸(2)の少なくとも半径方向または軸方向で取り囲んでいる、請求項1記載の軸受(1)。
【請求項3】
前記支承体(11a,11b)は、前記弾性ユニット(14a,14b)を少なくとも半径方向または軸方向で取り囲んでいて、取囲み方向で少なくとも片側で前記弾性ユニット(14a,14b)に形状結合式に結合されている、請求項2記載の軸受(1)。
【請求項4】
前記支承体(11a,11b)が、完全に前記弾性ユニット(14a,14b)から形成されている、請求項1または2記載の軸受(1)。
【請求項5】
前記外輪(5a,5b)が、好適には互いに間隔を空けて配置された別個の支承体(11a,11b)を介して、前記軸受ケーシング(10)内に支承されている、請求項1から4までの1つまたは複数に記載の軸受(1)。
【請求項6】
前記外輪(5a,5b)間の領域に、潤滑剤貯蔵部(15)が配置されている、請求項1から5までの1つまたは複数に記載の軸受(1)。
【請求項7】
前記潤滑剤貯蔵部(15)が、潤滑剤、特に潤滑油を貯蔵するために形成されている発泡材ボディを有している、請求項6記載の軸受(1)。
【請求項8】
前記潤滑剤貯蔵部(15)、特に前記発泡材ボディを、前記ロータ軸(2)から離間する貯蔵部支持体(17)が設けられている、請求項6または7記載の軸受(1)。
【請求項9】
前記軸受ケーシング(10)が、前記潤滑剤貯蔵部(15)に隣接する閉鎖可能な潤滑剤充填開口(19)を有している、請求項6から8までの1つまたは複数に記載の軸受(1)。
【請求項10】
前記転がり軸受が、玉軸受として形成されており、前記転動体列(20a,20b)が、玉列として形成されている、請求項1から9までの1つまたは複数に記載の軸受(1)。
【請求項11】
前記弾性ユニット(14a,14b)が、金属材料または非金属材料から成るばねエレメントにより、プラスチック含有材料から成るダンパエレメントにより、または流体ダンパユニットにより形成されている、請求項1から10までの1つまたは複数に記載の軸受(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ紡績機の紡績ロータを支承するための軸受であって、2つの転動体列を有する二列転がり軸受を備えており、転動体列が、
-内側では内輪なしに、互いに間隔を空けてロータ軸に配置された内側の2つの支承軌道上を転動し、かつ
-外側では外側の支承軌道上を転動する、軸受に関する。
【0002】
ロータ紡績機は、多種多様な構成において従来技術から公知である。ロータ紡績機の機能にとって重要であるのは、紡績ロータの、100,000回転/分を上回る高い回転数である。冒頭で述べた種類の二列転がり軸受を備えた公知の軸受は、たとえば独国特許出願公開第3126892号明細書、独国特許出願公開第3304912号明細書および独国実用新案第20201000587号明細書に基づいて公知であり、現時点で最大110,000回転/分までの紡績ロータの回転数を可能にするが、それよりも高い回転数を許容しない。これは、特に、より高い回転数において発生する共振に基づくものである。さらに、従前公知の二列転がり軸受では、より高い回転数において発生する高い半径方向荷重に基づいて、作動温度が上昇し、これによって、軸受の損傷、ひいてはロータ紡績機の故障が生じてしまう。
【0003】
これを起点として、本発明の根底にある課題は、特に110,000回転/分を上回る回転数で高い信頼性を有し、軸受を備えたロータ紡績機の故障のない作動を可能にする、ロータ紡績機の紡績ロータを支承するための軸受を提供することである。
【0004】
本発明はこの課題を請求項1記載の特徴を有する軸受により解決する。本発明の有利な改良形は、従属請求項に記載されている。
【0005】
本発明による軸受は、軸、特にロータ紡績機の紡績ロータのロータ軸を支承するために、2つの転動体列を備えた、第1の支承区分と第2の支承区分とを形成する二列転がり軸受を有しており、第1の支承区分と第2の支承区分とはそれぞれ、ロータ軸に対して同軸に配置された1つの転動体列を有している。転動体列の転動体は、内側では内輪なしに、ロータ軸の長手方向軸線方向で互いに間隔を空けて配置された内側の2つの支承軌道において支承されており、内側の支承軌道は、ロータ軸の表面に加工されている。本発明に係る軸受にとって特徴的であるのは、転動体が、外側では外側の支承軌道において、ロータ軸の長手方向軸線方向で見て互いに間隔を空けて配置された別個の2つの外輪により支承されていることである。さらに第1の支承区分および第2の支承区分の別個の外輪自体は、弾性的に移動可能であるように軸受ケーシング内に支承されている。
【0006】
外輪の分離と、軸受ケーシング内における外輪の互いに独立したそれぞれの弾性的な支承とは、軸受ケーシングに固定的に結合されている外輪とは異なり、軸受ケーシングに対する補償運動を実施することを有利な形式で可能にする。つまり、弾性的な移動可能性の構成に対応して、外輪が、1つまたは複数の空間方向に変位することができる。全ての空間方向への移動可能性において、外輪を、軸方向および半径方向ならびに周方向で軸受ケーシングに対して弾性的に移動させることができ、この場合、運動は、弾性的な構成に応じて減衰される。複数の空間方向で可能な変位は、カルダン式の支承部に相当する。弾性的な移動可能性の特徴は、第1の支承区分と第2の支承区分との間でも変化することができ、このことは、制限された範囲で、軸受ケーシングに対するロータ軸の傾倒運動も可能にする。
【0007】
したがって、回転数が高い場合に発生する軸受を損傷する共振を、有利な形式で外輪の弾性的な支承により補償することができ、これにより、軸受の損傷の影響が減じられる。したがって本発明に係る軸受は、110,000回転/分を上回る特に高い回転数であっても、軸受の長寿命を保証し、このことは、この軸受を備えて構成されたロータ紡績機の高い作動確実性をもたらす。
【0008】
軸受ケーシング内における両支承区分の外輪の弾性的な支承の構成は、基本的に自由に選択可能である。しかし、本発明の好適な1つの構成によれば、外輪が、外輪および軸受ケーシングに支持された少なくとも1つの支承体により軸受ケーシング内に支承されており、少なくとも1つの支承体が、外輪と軸受ケーシングとの間の領域において少なくとも部分的に弾性ユニットから形成されているか、または代替的に、弾性ユニットを、少なくともロータ軸の半径方向または軸方向で取り囲んでいることが規定されている。本発明のこの好適な構成によれば、支承体は、少なくとも部分的に、半径方向で見て、弾性ユニットから形成された区分を有しており、この区分は、軸受ケーシングに対する外輪の弾性的な移動可能性を保証する。弾性ユニットは、特に確実な形式で、弾性変形しながら、軸受ケーシングに対する外輪の移動を可能にする。この場合に、軸方向でも半径方向でも周方向でも軸受ケーシングに対する外輪の弾性的な移動が行われ得るように、弾性ユニットの配置および構成を行うことができる。弾性ユニットの使用は、移動可能性を提供するための特に簡単な手段であり、弾性ユニットの選択を介して弾性特性が調節可能である。
【0009】
弾性ユニットがロータ軸の半径方向または軸方向で取り囲まれている本発明の好適な構成によれば、支承体が、弾性ユニットと、軸受の、対応する半径方向または軸方向で隣接または続く要素との間に配置されている支承体要素をそれぞれ有しているように、この取囲みが好適には規定されていてよい。たとえば支承体は、軸受ケーシングの内面における確実な配置のために、適合された第1の支承体要素を有していてよく、外輪の外面における配置のために、外輪に適合された第2の支承体要素を有していてよい。第1の支承体要素と第2の支承体要素との間の領域に、第1の支承体要素を第2の支承体要素に対して支持する弾性ユニットが配置されており、これにより、軸受ケーシングに対する外輪の弾性的な移動可能性を保証することができる。このような支承体要素の使用は、外輪と支承体との、かつ軸受ケーシングと支承体との特に確実な結合を提供する。さらに、弾性ユニットは、第1の支承体要素および第2の支承体要素に特に確実に配置され得るので、外輪と支承体との、かつ軸受ケーシングの支承体との安定した結合を保証することができる。
【0010】
弾性ユニットと支承体、たとえばその支承体要素との結合は、基本的に任意の形式で行うことができ、結合は、特に接着により達成することができる。
【0011】
本発明の特に有利な1つの改良形によれば、支承体が、少なくとも片側で、さらに好適には全ての側で、少なくとも半径方向または軸方向で、さらに好適には半径方向でも軸方向でも、弾性ユニットに形状結合式に結合されていることが規定されている。支承体が、半径方向でも1つまたは両方の軸方向でも弾性ユニットに形状結合式に結合されている支承体のさらに好適な構成は、特に確実な形式で、支承体における弾性ユニットの極めて位置安定的な配置を保証する。たとえば、支承体に設けられた、半径方向に延びる1つまたは反対に位置するように配置された2つのフランジによって達成することができる、半径方向の支持を補う好適な軸方向の支持は、弾性ユニットと支承体との結合の安定性を補足的な形式で高めることができる。
【0012】
本発明の代替的な好適な構成によれば、支承体が、完全に弾性ユニットから形成されていることが規定されている。本発明のこの好適な形態によれば、支承体は、外輪および軸受ケーシングに直接結合されているか、もしくは軸受ケーシングに直接に支持されている。本発明のこの構成は、特に弾性ユニットの最大の可能な半径方向の延在長さに基づいて、軸受ケーシングに対する外輪の弾性的な移動可能性を保証している。
【0013】
軸受ケーシングに対して外輪を支持する支承体の構成は、基本的に、上述の有利な別の改良形の他に、自由に選択可能である。したがって、特に、本発明の特に簡単で好適な構成によれば、支承体を一体的に形成し、これにより、支承体が、軸方向に延びていて、両外輪に結合されている可能性がある。このことは、たとえば外輪に接触する一貫した弾性ユニットを使用しながら、または本発明の有利で好適な1つの改良形によれば、弾性ユニットに結合された一貫した支承体要素によって達成することができる。しかし、本発明の特に好適な1つの構成によれば、外輪が、好適には、ロータ軸の長手方向軸線方向で見て、互いに間隔を空けて配置された別個の支承体を介して、軸受ケーシング内に支承されていることが規定されている。
【0014】
本発明のこの好適な構成によれば、軸受は、分離した両外輪を弾性的に支承するために、互いに分離して配置された2つの支承体を有している。本発明のこの構成は、両外輪のために、互いに異なる特性を有する互いに異なる弾性ユニットを使用することを可能にし、これにより、作動中に生じる荷重への軸受の最適な適合を行うことができる。本発明のこの好適な構成により、補足的な形式で、軸受の寿命、ひいては軸受を備えたロータ紡績機の作動時間を延長することができる。支承体用の弾性ユニットは、たとえば、支承体の弾性率に基づいて選択することができる。
【0015】
本発明の好適な別の1つの構成によれば、特に、本発明の別の好適な1つの構成により互いに間隔を空けて配置された別個の2つの支承区分を使用した場合に、外輪間の領域に、ロータ軸の軸方向で見て、潤滑剤貯蔵部が配置されていることが規定されている。軸受の支承区分の潤滑のために適した潤滑剤を有する潤滑剤貯蔵部の使用は、支承区分の寿命を補足的な形式で延長し、外輪間の領域における配置は、両支承区分への確実な潤滑剤供給を保証すると共に、軸受をコンパクトに構成する可能性を提供する。
【0016】
潤滑剤を収容しかつ提供するための潤滑剤貯蔵部の構成は、基本的に自由に選択可能である。しかし、本発明の特に好適な1つの構成によれば、潤滑剤貯蔵部は、潤滑剤、特に潤滑油を貯蔵するために形成されている発泡材ボディを有していることが規定されている。発泡材ボディの使用は、確実な潤滑剤の収容および貯蔵ならびに提供を保証し、これにより軸受の作動中の転動体の潤滑は特に確実な形式で保証されている。
【0017】
本発明の特に好適な1つの構成によれば、さらに、潤滑剤貯蔵部、特に発泡材ボディをロータ軸から離間する貯蔵部支持体が設けられている。外側ボディ間の領域におけるスペーサの形態での貯蔵部支持体の使用は、潤滑剤貯蔵部が、作動中に、まだ回転しているロータ軸に接触しないことを保証し、これによりロータ軸を、支承部分を介してガイドして軸受内で自由に回転させることができる。したがって、ロータ軸に対して潤滑剤貯蔵部を収容しかつ位置決めするための貯蔵部支持体の使用は、軸受の作動確実性を補足的な形式で向上させる。
【0018】
軸受の保守および潤滑剤を潤滑剤貯蔵部内に配置するために、本発明の1つの好適な構成によれば、軸受ケーシングが、潤滑剤貯蔵部に隣接する閉鎖可能な少なくとも1つの潤滑剤充填開口を有していることが規定されている。充填開口の配置は、作動中に必要に応じて潤滑剤を補充することを保証し、かつ可能にし、これにより確実な形式で持続的な潤滑が保証されているので、補足的な形式で軸受の作動時間を延長することができる。
【0019】
基本的に、転がり軸受の構成は自由に選択可能である。しかし、本発明の特に好適な1つの構成によれば、転がり軸受が玉軸受として形成されており、転動体列が玉列として形成されていることが規定されている。転動体としてのボールの使用は、軸から外輪へと半径方向でも軸方向でも作用する力の特に確実な伝達を保証する。
【0020】
本発明の好適な1つの構成によれば、弾性ユニットが、金属材料から成るばねエレメントによって構成されている。このようなばね弾性的な支承は、簡単かつ廉価に提供され、長い寿命を保証する。代替的な形式で、1つの好適な実施形態によるばねエレメントは、非金属材料から構成されていてもよく、金属材料と非金属材料との組合せから構成されていてもよい。好適には、非金属材料は、プラスチック含有材料であってよい。このようなばねエレメントは、金属材料よりも廉価に製造され、構成可能性に関してより可変であるので、必要な場合には、より複雑な形状が提供可能である。
【0021】
代替的な好適な別の1つの実施形態では、弾性ユニットが、プラスチック含有材料、たとえばエラストマ、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂またはこれに類するものから成るダンパエレメントによって形成されていてよい。別の代替形として、流体ダンパが好適であり、流体は液体または気体であってよい。軸受の要求される弾性的な支承特性に応じて、自体公知の種々異なる個々の利点を伴う適切な減衰形式を提供することができる。種々異なる弾性ユニットの組合せも可能であり、その限りでは、軸受の構成に応じた、かつ必要な弾性的な支承特性に応じた弾性ユニットが有利である。
【0022】
本発明の別の特徴および利点は、本発明の好適な実施例の以下の記載、本発明にとって重要な詳細を示す図および図面および特許請求の範囲にから明らかとなる。個々の特徴は、単独でも任意の組合せにおいて複数でも本発明の好適な実施形態において実現することができる。
【0023】
本発明の1つの実施例を以下に図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】好適な1つの実施例による軸受の実施形態を概略的に示す断面図である。
【0025】
図1は、ロータ紡績機の紡績ロータ(図示せず)のロータ軸2を回転可能に収容する軸受1の1つの実施形態を第1の断面図で示している。ロータ軸2を回転可能に支承するために、軸受1は、第1の支承区分21および第2の支承区分22を有しており、第1の支承区分21および第2の支承区分22内において、ロータ軸2はそれぞれ1つの内側の支承軌道4を有しており、これらの内側の支承軌道4は、軸方向で互いに間隔を空けてロータ軸2の表面に加工されている。内側の支承軌道4は、この好適な実施例では、第1の支承区分21および第2の支承区分22の、それぞれの玉列として構成された転動体列20a,20bの、ボールとして構成された転動体3を形成する転動体をそれぞれ収容するために働く。転動体列20a,20bの転動体3自体は、軸方向で見て互いに分離された、ロータ軸2に対して同軸的に延びる外輪5a,5b内にそれぞれに支承されており、この場合、保持器7が、転動体列20a,20bの転動体3を周方向で互いに間隔を置いて位置決めしている。
【0026】
第1の支承区分21および第2の支承区分22の、転動体3を支承するためにそれぞれ1つの外側の支承軌道6を有する外輪5a,5b自体は、それぞれ支承体11a,11bを介して弾性的に移動可能に軸受ケーシング10内に支承されている。支承体11a,11bは、別個に形成されている。図示しない1つの実施例によれば、1つの共通の支承体が設けられている。支承体11a,11bは、本実施例では、弾性ユニット14a,14bを介して直接的に外輪5a,5bの外面および軸受ケーシング10の内面に支持されている。図示しない1つの実施例によれば、支承体11a,11bは、外輪5a,5bおよび軸受ケーシング10の内面に配置するために、外輪5a,5bの外面に接触する第1の支承体要素ならびに軸受ケーシング10の内面に接触する第2の支承体要素をそれぞれ有していてよい。この場合、第2の支承体要素は、対応配置された第1の支承体要素に対して弾性ユニット14a,14bを介してそれぞれ支持されている。弾性ユニット14a,14bを介した支持は、軸方向、半径方向および周方向での外輪5a,5b、ひいてはロータ軸2の弾性的な移動を可能にする。弾性ユニット14a,14bは、その弾性特性に基づいてロータ軸2の運動を減衰する。
【0027】
ロータ軸2の軸方向で見て、軸受ケーシング10内の外輪5a,5b間の領域に、発泡材ボディとして形成された潤滑剤貯蔵部15が配置されている。潤滑剤貯蔵部15は、スペーサを介してロータ軸2から離間している。このためにはスペーサは、ロータ軸2に対して同軸的に配置された、潤滑剤スリーブとして形成された貯蔵部支持体17を有しており、貯蔵部支持体17は、この好適な実施例によれば、環状に延びる、貯蔵部支持体17を軸受ケーシング10の内面に支持するウェブを含んでおり、これにより潤滑剤貯蔵部15はさらに、各支承区分21,22のために別個の潤滑剤貯蔵部15を提供する。図示しない1つの実施例によれば、ウェブが潤滑剤透過性であるか、または図示しない別の1つの実施例によれば、貯蔵部支持体17が、ウェブなしに構成されており、これにより、両支承区分21,22に潤滑剤を供給する1つの共通の潤滑剤貯蔵部15が提供される。
【0028】
軸受ケーシング10内で第1の支承区分21および第2の支承区分22へとガイドされる潤滑剤を潤滑剤貯蔵部15に充填するためには、軸受ケーシング10に加工された充填開口19が用いられる。軸受1からの潤滑剤流出を防止するために、外輪5a,5bが、ロータ軸2に対して軸シールリング8によりシールされている。
【符号の説明】
【0029】
1 軸受
2 ロータ軸
3 転動体
4 内側の支承軌道
5a,5b 外輪
6 外側の支承軌道
7 保持器
8 軸シールリング
10 軸受ケーシング
11a,11b 支承体
14a,14b 弾性ユニット
15 潤滑剤貯蔵部
17 貯蔵部支持体
19 充填開口
20a,20b 転動体列
21 第1の支承区分
22 第2の支承区分
図1
【国際調査報告】