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特表2023-514400測定デバイスの位置及び/又は向きを判定するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】測定デバイスの位置及び/又は向きを判定するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20230329BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20230329BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230329BHJP
【FI】
G01C15/00 103Z
G01C15/00 103A
G06T7/70 Z
G06T7/00 350C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550118
(86)(22)【出願日】2021-02-15
(85)【翻訳文提出日】2022-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2021053630
(87)【国際公開番号】W WO2021170437
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】20159822.4
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】トーマス グローア
(72)【発明者】
【氏名】クレーメンス アルト
(72)【発明者】
【氏名】メヒディ ステイプルトン
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA30
5L096GA51
5L096HA11
(57)【要約】
幾何学モデルで表された、測定環境における測定デバイスの位置及び/又は向きを判定するための方法であって、既知の測定環境を使用して訓練された、訓練された人工ニューラルネットワークによって、測定デバイスによる更なる測定の必要性の予測、及び場合によっては測定デバイスの測定位置の適合性の予測を出力する、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幾何学モデルにマッピングされた、測定環境(12)における測定デバイス(11)の位置及び/又は向きを判定するための方法であって、
既知の測定環境によって訓練された、訓練された人工ニュステップーラルネットワークを提供して、前記測定デバイス(11)による更なる測定の必要性の予測、及び必要に応じて、前記測定デバイス(11)の測定位置の適合性の予測を与えるステップ、
少なくとも「キャンセル」アクション、「調整1」アクション、及び「測定1」アクションを含むアクションのグループを定義することであって、前記「キャンセル」アクションが、前記測定デバイス(11)による更なる測定が不要であることを意味し、前記「調整1」アクションが、前記測定デバイス(11)による更なる測定が必要であり、前記測定デバイス(11)の現在の測定位置が不適切であると評価されることを意味し、前記「測定1」アクションが、前記測定デバイス(11)による更なる測定が必要であり、前記測定デバイス(11)の前記現在の測定位置が適切であると評価されることを意味するステップ、
前記測定環境(12)における前記測定デバイス(11)の前記位置及び/又は向きの確率グリッドを初期化するステップと、
ステップのシーケンスを実行することであって、ここで、
(1)前記シーケンスの第1のステップでは、前記測定デバイス(11)による更なる測定の前記必要性、及び前記測定デバイス(11)の前記現在の測定位置の前記適合性が、前記訓練された人工ニューラルネットワークを使用することによって評価され、前記評価が、前記アクションのグループの前記アクションの達成度の形態で実行され、
(2)前記シーケンスの第2のステップでは、前記第1のステップで最良の達成度が判定された前記アクションが最良のアクションとして判定され、
(3)前記シーケンスの第3のステップでは、前記最良のアクションが前記「キャンセル」アクションと一致するかどうかがチェックされ、
-前記最良のアクションが前記「キャンセル」アクションと一致しない場合、前記ステップのシーケンスが継続され、
-前記最良のアクションが前記「キャンセル」アクションと一致する場合、前記ステップのシーケンスがキャンセルされ、
(4)前記シーケンスの第4のステップでは、前記最良のアクションが実行され、ここで、
-前記「調整1」アクションが前記最良のアクションであると判定された場合、前記測定デバイス(11)が新しい測定位置に配置され、前記方法が、前記シーケンスの前記第1のステップで継続され、
-前記「測定1」アクションが前記最良のアクションであると判定された場合、前記現在の測定位置の前記測定デバイス(11)によって測定が実行され、前記測定環境(12)における前記測定デバイス(11)の前記位置及び/又は向きの前記確率グリッドが更新され、前記方法が、前記シーケンスの前記第1のステップで継続される、
ことと、
前記第3のステップで前記シーケンスがキャンセルされた後、前記方法が、前記測定環境(12)における前記測定デバイス(11)の前記位置及び/又は向きの計算で継続されることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記測定環境(12)における前記測定デバイス(11)の前記位置及び/又は向きが、前記確率グリッドから計算される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記人工ニューラルネットワークが、前記測定デバイス(11)の前記位置及び/又は向きを判定する際の不正確さが低減された場合、前記測定デバイス(11)の前記現在の測定位置を適切であると評価するように訓練されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記人工ニューラルネットワークが、前記測定デバイス(11)の前記位置及び/又は向きを判定する際の前記不正確さが所定の値を下回った場合、前記測定デバイス(11)による更なる測定の前記必要性を否定するように訓練されている、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記「調整1」アクションを実行する際に、前記測定環境(12)の少なくとも1つの画像が、カメラデバイスによって古い測定位置及び/又は新しい測定位置に記録される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アクションのグループが、前記「キャンセル」アクションに加えて、「調整1」アクション及び「測定1」アクション、前記「調整1」アクションとは異なる「調整2」アクション、並びに/又は前記「測定1」アクションとは異なる「測定2」アクションを含む、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記「調整2」アクションが、調整方向及び/又は調整角度によって前記「調整1」アクションとは異なる、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記「測定2」アクションが、測定時間及び/又は測定精度によって前記「測定1」アクションとは異なる、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
測定デバイス(11)の位置及び/又は向きを正確に特定するための方法であって、前記測定デバイス(11)の前記位置及び/又は向きが、請求項1~8のいずれか一項に記載の位置及び/又は向きを判定するための方法によって判定される方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の位置及び/又は向きを判定するための方法によって、測定環境(12)における測定デバイス(11)の位置及び/又は向きを判定するための装置(10)。
【請求項11】
制御デバイス(14)によって実行されると、測定デバイス(11)に、請求項1~8のいずれか一項に記載の位置及び/又は向きを判定するための方法を実行させる、保存された制御コマンドのシーケンスを含むコンピュータプログラム製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による、測定デバイスの位置及び/又は向きを判定するための方法、請求項9の前文による、測定デバイスの位置及び/又は向きを正確に特定するための方法、請求項10の前文による、測定デバイスの位置及び/又は向きを判定するための装置、並びに請求項11の前文によるコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばトータルステーションなどの測定デバイスは、角度及び距離の測定デバイスを有し、選択されたターゲットオブジェクトに関連する角度及び距離の測定を行う。角度及び距離の測定値は、測定デバイスの参照システムで測定されるが、位置を絶対的に判定するには、依然として外部の参照システムにリンクする必要がある。
【0003】
外部参照システムにおける測定デバイスの位置及び/又は向きを判定するための既知の方法では、ターゲットオブジェクトは既知の制御点に配置され、制御点の座標は測定デバイスの参照システムにおいて測定され、外部参照システムの制御点の座標は既知である。測定デバイスの位置及び/又は向きは、外部参照システム及び測定デバイスの参照システムにおける制御点の座標によって判定される。欠点は、制御点が測定環境において提供及び測定される必要があり、制御点の測定には経験豊富なオペレータが必要であって、エラーの影響を受けやすいことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、エラーに対する感受性が低減される、測定デバイスの位置及び/又は向きを判定するための方法を開発することである。加えて、可能であれば、測定デバイスの位置及び/又は向きが判定される精度を改善すべきであり、及び/又はこれに必要な時間を短縮すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項1に記載の特徴により、冒頭に述べた方法の発明に従って達成される。有利な発展形態については、従属請求項に規定されている。
【0006】
幾何学モデルにマッピングされた、測定環境における測定デバイスの位置及び/又は向きを判定するための本発明による方法は、以下のステップ、すなわち、
既知の測定環境によって訓練された、訓練された人工ニューラルネットワークを提供して、測定デバイスによる更なる測定の必要性の予測、及び必要に応じて、測定デバイスの測定位置の適合性の予測を与えること、
少なくとも「キャンセル」アクション、「調整1」アクション、及び「測定1」アクションを含むアクションのグループを定義することであって、「キャンセル」アクションは、測定デバイスによる更なる測定が不要であることを意味し、「調整1」アクションは、測定デバイスによる更なる測定が必要であり、測定デバイスの現在の測定位置が不適切であると評価されることを意味し、「測定1」アクションは、測定デバイスによる更なる測定が必要であり、測定デバイスの現在の測定位置が適切であると評価されることを意味する、こと、
測定環境における測定デバイスの位置及び/又は向きの確率グリッドを初期化すること、
ステップのシーケンスを実行することであって、ここで、
(1)シーケンスの第1のステップでは、測定デバイスによる更なる測定の必要性、及び測定デバイスの現在の測定位置の適合性が、訓練された人工ニューラルネットワークを使用することによって評価され、評価は、アクションのグループのアクションの達成度の形態で実行され、
(2)シーケンスの第2のステップでは、第1のステップで最良の達成度が判定されたアクションが最良のアクションとして判定され、
(3)シーケンスの第3のステップでは、最良のアクションが「キャンセル」アクションと一致するかどうかがチェックされ、
-最良のアクションが「キャンセル」アクションと一致しない場合、ステップのシーケンスが継続され、
-最良のアクションが「キャンセル」アクションと一致する場合、ステップのシーケンスがキャンセルされ、
(4)シーケンスの第4のステップでは、最良のアクションが実行され、
-「調整1」アクションが最良のアクションであると判定された場合、測定デバイスは新しい測定位置に配置され、方法が、シーケンスの第1のステップで継続され、
-「測定1」アクションが最良のアクションであると判定された場合、現在の測定位置の測定デバイスによって測定が実行され、測定環境における測定デバイスの位置及び/又は向きの確率グリッドが更新され、方法が、シーケンスの第1のステップで継続される、
こと、
第3のステップでシーケンスがキャンセルされた後、方法が、測定環境における測定デバイスの位置及び/又は向きの計算で継続されること、
を含む。
【0007】
本発明の概念は、訓練された人工ニューラルネットワークによって、測定環境における測定デバイスの位置及び/又は向きを判定することである。人工ニューラルネットワークは、既知の測定環境によって事前に訓練されており、その結果、測定デバイスによる更なる測定の必要性、及び測定デバイスの測定位置の適合性の予測が与えられ得る。人工ニューラルネットワークの訓練に使用される各測定環境は、幾何学モデルによって定義され、いくつかの画像にマッピングされる。訓練された人工ニューラルネットワークの使用により、測定デバイスによる測定回数を低減して、測定環境の参照システムにおける測定デバイスの位置及び/又は向きの高度な精度を達成するため、測定環境の測定点の品質を評価することが可能になる。本発明による方法は、適切な測定位置、すなわち、関連する測定値が測定デバイスの位置及び/又は向きを判定する際の不正確さを低減する測定位置を選択することを可能にする。ユーザにとっての主な利点は、測定環境に制御点を設ける必要がなく、制御点を測定する必要性が存在しないことである。測定デバイスは、幾何学モデルにマッピングされている任意の測定環境において使用され得る。CADサポートを用いて作成された測定環境の構築モデルは、例えば幾何学モデルとして使用することができ、又は、測定環境がレーザスキャナによってスキャンされ、スキャンデータから測定環境の幾何学モデルが作成される。
【0008】
本発明による方法中に測定デバイスが実行することができるアクションは、少なくとも「キャンセル」アクション、「調整1」アクション、及び「測定1」アクションを含むアクションのグループで定義される。「キャンセル」アクションは、測定デバイスによる更なる測定が不要であることを意味し、測定デバイスによって判定された測定値は、必要な精度で測定デバイスの位置及び/又は向きを判定するのに十分なものである。「調整1」アクションは、測定デバイスによる更なる測定が必要であり、測定デバイスの現在の測定位置が不適切であると評価されることを意味し、測定デバイスの位置及び/又は向きを判定する際の不正確さが低減されない場合、測定位置は不適切であると評価される。「測定1」アクションは、測定デバイスによる更なる測定が必要であり、測定デバイスの現在の測定位置が適切であると評価されることを意味し、測定デバイスの位置及び/又は向きを判定する際の不正確さが低減された場合、測定位置は適切であると評価される。
【0009】
本発明による方法の開始時に、測定環境における測定デバイスの位置及び/又は向きの確率グリッドが初期化され、確率は均等に分布され、すなわち、測定環境内の全ての位置及び/又は向きは同じ確率を有する。測定環境における測定デバイスの位置及び/又は向きの確率グリッドは、測定デバイスによって判定された測定値によって、本発明による方法中に更新される。
【0010】
本発明による方法は、4つのステップのシーケンスを含み、これらは、シーケンスがキャンセルされるまで繰り返し実行される。シーケンスの第1のステップでは、測定デバイスによる更なる測定の必要性、及び測定デバイスの現在の測定位置の適合性が、訓練された人工ニューラルネットワークを使用することによって評価され、評価は、アクションのグループのアクションの達成度の形態で実行される。シーケンスの第2のステップでは、第1のステップで最良の達成度が判定されたアクションが最良のアクションとして判定され、シーケンスの第3のステップでは、最良のアクションが「キャンセル」アクションと一致するかどうかがチェックされる。更なるシーケンスは、第3のステップでのチェックの結果に依存する。最良のアクションが「キャンセル」アクションと一致する場合、ステップのシーケンスがキャンセルされ、本発明による方法が継続され、測定環境における測定デバイスの位置及び/又は向きの計算で終了する。最良のアクションが「キャンセル」アクションと一致しない場合、第4のステップでステップのシーケンスが継続される。シーケンスの第4のステップでは、最良のアクションが実行され、ここで、「調整1」アクションが最良のアクションであると判定された場合、測定デバイスは新しい所定の測定位置に配置され、方法が、シーケンスの第1のステップで継続される。「測定1」アクションが最良のアクションであると判定された場合、現在の測定位置の測定デバイスによって測定が実行され、測定環境における測定デバイスの位置及び/又は向きの確率グリッドが更新され、方法が、シーケンスの第1のステップで継続される。
【0011】
測定環境における測定デバイスの位置及び/又は向きは、好ましくは確率グリッドから計算される。本発明による方法が実行されたときに「キャンセル」アクションが最良のアクションであると判定された場合、測定デバイスによる更なる測定は不要であり、測定デバイスによって判定された測定値は、必要な精度で測定デバイスの位置及び/又は向きを判定するのに十分なものである。この場合、測定環境における測定デバイスの位置及び/又は向きは、確率グリッドから計算される。
【0012】
人工ニューラルネットワークは、好ましくは、測定デバイスの位置及び/又は向きを判定する際の不正確さが低減された場合、測定デバイスの現在の測定位置を適切であると評価するように訓練される。この訓練は、測定位置が適切である場合にのみ、測定デバイスが測定を行うことを意味する。「測定1」アクションは「調整1」アクションよりも時間がかかるため、測定デバイスの位置及び/又は向きを判定するために必要な時間が短縮される。
【0013】
人工ニューラルネットワークは、好ましくは、測定デバイスの位置及び/又は向きを判定する際の不正確さが所定の値を下回った場合、測定デバイスによる更なる測定の必要性を否定するように訓練される。この訓練は、測定環境における測定デバイスの位置及び/又は向きに必要な精度が達成されると、本発明による方法の一部として測定デバイスを用いた測定の終了をもたらす。
【0014】
「調整1」アクションを実行する際に、測定環境の少なくとも1つの画像は、好ましくは、カメラデバイスによって現在の測定位置及び/又は新しい所定の測定位置に記録される。測定環境の画像は保存され、確率グリッドを更新する際に考慮に入れられる。
【0015】
本方法の好ましい更なる発展では、アクションのグループは、「キャンセル」アクションに加えて、「調整1」アクション及び「測定1」アクション、「調整1」アクションとは異なる「調整2」アクション、並びに/又は「測定1」アクションとは異なる「測定2」アクションを含む。アクションのグループの全てのアクションに対して、本発明による方法が実行されると、シーケンスの第1のステップで達成度が計算され、最良の達成度が判定されたアクションが最良のアクションとして判定されて、実行される。
【0016】
特に好ましくは、「調整2」アクションは、調整方向及び/又は調整角度によって「調整1」アクションとは異なる。本発明による方法が実行されると、「調整1」及び「調整2」アクションに対して達成度が計算される。
【0017】
特に好ましくは、「測定2」アクションは、測定時間及び/又は測定精度によって「測定1」アクションとは異なる。本発明による方法が実行されると、「測定1」及び「測定2」アクションに対して達成度が計算される。
【0018】
本発明はまた、測定デバイスの位置及び/又は向きを正確に特定するための方法に関し、測定デバイスの位置及び/又は向きは、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法によって判定される。測定環境における測定デバイスの位置及び/又は向きは、本発明による方法によって判定されるが、この位置及び/又は向きは次いで、既知の方法によってより正確に特定され得る。
【0019】
本発明はまた、請求項1~8のいずれか一項に記載の位置及び/又は向きを判定するための方法による、測定デバイスの位置及び/又は向きを判定するための装置に関する。測定デバイスに加えて、装置は、通信リンクを介して測定デバイスに接続されている制御デバイスを備える。
【0020】
本発明はまた、制御デバイスによって実行されると、測定デバイスに請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実行させる、保存された制御コマンドのシーケンスを含むコンピュータプログラム製品に関する。本発明による方法は、通信リンクを介して測定デバイスに接続されている制御デバイスによって実行される。
【0021】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。ここでは実施例を原寸に比例して示すことは必ずしも意図されておらず、むしろ、図面は、概略的に、及び/又は説明のために有用であればわずかに変形した形態で表されている。ここでは、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、実施例の形態及び詳細に関連する様々な修正及び変更を行うことができることを考慮に入れるべきである。本発明の一般的な概念は、以下に示され、説明される好ましい実施例の正確な形態又は詳細に限定されたり、特許請求の範囲で請求される要旨と比較して限定されたりしない。所与の寸法範囲に対して、言及された制限内の値もまた制限値として開示されるものとし、所望に応じて使用及び請求され得るものとする。簡潔にするために、以下では、同じ若しくは類似の部品、又は同一若しくは類似の機能を有する部品に対して同一の参照符号を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】測定環境におけるその位置及び/又は向きが本発明による方法によって判定される、測定デバイスを備えた装置を示す図である。
図2】測定環境における図1の測定デバイスの位置及び/又は向きを判定するための本発明による方法を、フロー図の形態で示す図である。
図3】本発明による方法の開始時の3つの異なる向きの確率グリッドを示す図である。
図4】本発明による方法の実行中の3つの異なる向きの確率グリッドを示す図である。
図5】本発明による方法の終了時の3つの異なる向きの確率グリッドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、測定環境12におけるその位置及び/又は向きが本発明による方法によって判定される、測定デバイス11を備えた装置10を示している。「測定デバイス」は、測定タスクを実行することを意図した全てのデバイスの総称である。実施例ではトータルステーションとして設計される測定デバイス11は、通信リンク13を介して制御デバイス14に接続されている。本発明による方法は、制御デバイス14によって制御される。
【0024】
測定環境12は、幾何学モデルにマッピングされる。CADサポートを用いて作成された測定環境12の構築モデルは、幾何学モデルとして使用され得る。或いは、測定環境12は、レーザスキャナによってスキャンされ、測定環境12の幾何学モデルがスキャンデータから作成され得る。幾何学モデルは、測定環境12を完全に又は部分的にのみマッピングしてもよい。距離測定のための反射面又は散乱面として使用される測定環境12の表面は、本出願にとって決定的なものである。
【0025】
図2は、測定環境における図1の測定デバイス10の位置及び/又は向きを判定するための本発明による方法を、フロー図の形態で示している。本方法は、測定デバイス11及び制御デバイス13を備えた、図1に示す装置10に基づいて説明されている。
【0026】
本発明による方法の概念は、訓練された人工ニューラルネットワークによって、測定環境12における測定デバイス11の位置及び/又は向きを判定することである。この目的のために、ステップA1において、人工ニューラルネットワークが既知の測定環境によって訓練され、その結果、測定デバイス11による更なる測定の必要性、及び測定デバイス11の測定位置の適合性の予測を与えることができる。人工ニューラルネットワークの訓練に使用される各測定環境は、幾何学モデルによって定義され、いくつかの画像にマッピングされる。
【0027】
本発明による方法中に測定デバイス11が実行できるアクションは、ステップA2において、少なくとも「キャンセル」アクション、「調整1」アクション、及び「測定1」アクションを含むアクションのグループで定義される。「キャンセル」アクションは、測定デバイス11による更なる測定が不要であることを意味し、測定デバイス11によって判定された測定値は、必要な精度で測定環境12における測定デバイス11の位置及び/又は向きを判定するのに十分なものである。「調整1」アクションは、測定デバイス11による更なる測定が必要であり、測定デバイス11の現在の測定位置が不適切であると評価されることを意味し、「測定1」アクションは、測定デバイス11による更なる測定が必要であり、測定デバイス11の現在の測定位置が適切であると評価されることを意味する。測定デバイス11の位置及び/又は向きを判定する際の不正確さが低減された場合、測定位置は適切であると評価される。
【0028】
本発明による方法は、ステップF1、F2、F3、及びF4のシーケンスを含み、これらは、シーケンスがキャンセルされるまで繰り返し実行される。シーケンスの第1のステップF1では、測定デバイス11による更なる測定の必要性、及び測定デバイス11の現在の測定位置の適合性が、訓練された人工ニューラルネットワークを使用することによって評価され、評価は、アクションのグループのアクションの達成度の形態で実行される。シーケンスの第2のステップF2では、第1のステップで最良の達成度が判定されたアクションが最良のアクションとして判定され、シーケンスの第3のステップF3では、最良のアクションが「キャンセル」アクションと一致するかどうかがチェックされる。
【0029】
本発明による方法の更なる過程は、第3のステップF3におけるチェックの結果に依存する。最良のアクションが「キャンセル」アクションと一致する場合(ステップF3で「はい」)、ステップのシーケンスがキャンセルされ、本発明による方法が、ステップB2で測定環境12における測定デバイス11の位置及び/又は向きの計算で継続され、ステップB2の後に終了する。最良のアクションが「キャンセル」アクションと一致しない場合(ステップF3で「いいえ」)、ステップのシーケンスが第4のステップF4に継続される。シーケンスの第4のステップF4では、最良のアクションが実行され、ここで、「調整1」アクションが最良のアクションとして判定された場合、測定デバイス11は、新しい所定の測定位置に配置され、本発明による方法が、シーケンスの第1のステップF1で継続される。「測定1」アクションが最良のアクションであると判定された場合、現在の測定位置の測定デバイス11を使用して測定が実行され、測定環境における測定デバイス11の位置及び/又は向きの確率グリッドが更新され、方法が、シーケンスの第1のステップF1で継続される。
【0030】
本発明による方法の一部として、測定環境12における測定デバイス11の位置及び/又は向きは、確率グリッドから計算される。確率分布は、測定デバイス12の位置及び/又は向きが判定される、測定環境12の確率グリッドにマッピングされる。図3は、本発明による方法の開始時の3つの異なる向きの確率グリッドを示し、図4は、本発明による方法の実行中の3つの異なる向きの確率グリッドを示し、図5は、本発明による方法の終了時の3つの異なる向きの確率グリッドを示している。
【0031】
本発明による方法の開始時に、測定環境12における測定デバイス11の位置及び/又は向きの確率グリッドが初期化され、確率は均等に分布され、すなわち、測定環境内の全ての位置及び/又は向きは同じ確率を有する(図3)。本発明による方法の実行中、ステップF1、F2、F3、及びF4のシーケンスが繰り返し実行され、第4のステップで判定された測定値は、確率グリッドを更新するために使用される(図4)。ステップF1、F2、F3、及びF4のシーケンスは、最良のアクションが第3のステップF3において「キャンセル」アクションと一致する場合にキャンセルされ、本発明による方法が、測定環境12における測定デバイス11の位置及び/又は向きの計算で終了し、測定デバイス11の位置及び/又は向きは、確率グリッドから判定される(図5)。

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】