(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】履物製品のためのソール構造体
(51)【国際特許分類】
A43B 13/14 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
A43B13/14 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550665
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(85)【翻訳文提出日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 US2021019343
(87)【国際公開番号】W WO2021173619
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】エクストロム,マイク
(72)【発明者】
【氏名】ファルカーソン,エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ハス,マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラヴァクス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リー,イーサン
(72)【発明者】
【氏名】サリナス,ジュニア.,リカード
(72)【発明者】
【氏名】ザチャリア,ダーラン
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050BA05
4F050BA49
(57)【要約】
履物製品のアウトソールは、足底面よび、前記足底面を囲む周囲面を有する。履物製品のアウトソールは、また、前記足底面上の中心軸に関して連続して配置された第1複数のトラクション要素を含む環状クリートセットも含む。履物製品のアウトソールは、さらに、1つ以上の半径方向クリートセットであり、各々が、中心軸と交差するそれぞれの半径方向軸に沿って整列された第2複数のトラクション要素を含む、1つ以上の半径方向クリートセットを含む。前記第2複数のトラクション要素のうち少なくとも1つは、周辺表面上に形成された周辺クリートを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物製品のアウトソールであって、
前記アウトソールは、足底面、および、前記足底面を囲む周囲面を有し、
前記アウトソールは、
前記足底面上の中心軸に関して連続して配置された第1複数のトラクション要素を含む環状クリートセットと、
1つ以上の半径方向クリートセットであり、各々が、中心軸と交差するそれぞれの半径方向軸に沿って整列された第2複数のトラクション要素を含む、1つ以上の半径方向クリートセットと、を含み、
前記第2複数のトラクション要素のうち少なくとも1つは、周辺表面上に形成された周辺クリートを含む、
アウトソール。
【請求項2】
前記環状クリートセットは、前記アウトソールの内側に配置されている、
請求項1に記載のアウトソール。
【請求項3】
前記環状クリートセットは、前記アウトソールの前足領域に配置されている、
請求項1または2に記載のアウトソール。
【請求項4】
前記環状クリートセットは、前記アウトソールのボール部に配置されている、
請求項1乃至3いずれか一項に記載のアウトソール。
【請求項5】
前記第1複数のトラクション要素は、複数のメジャークリートおよび複数のマイナークリートを含む、
請求項1乃至4いずれか一項に記載のアウトソール。
【請求項6】
前記複数のメジャークリートは、前記中心軸に関して第1リング内に配置され、かつ、
前記複数のマイナークリートは、前記中心軸に関して第2リング内に配置されている、
請求項5に記載のアウトソール。
【請求項7】
前記第1リングは、前記第2リングよりも大きな直径を有する、
請求項6に記載のアウトソール。
【請求項8】
前記メジャークリートは、前記マイナークリートよりも大きい高さを有する、
請求項5乃至7いずれか一項に記載のアウトソール。
【請求項9】
前記1つ以上のメジャークリートは、前記中心軸に向かって延びる補強リブを含んでいる、
請求項5乃至8いずれか一項に記載のアウトソール。
【請求項10】
前記メジャークリートそれぞれの幅、および、前記マイナークリートそれぞれの幅は、テーパ状である、
請求項5乃至9いずれか一項に記載のアウトソール。
【請求項11】
前記1つ以上の半径方向クリートセットは、前記アウトソールの外側に隣接して配置された1つ以上の外側半径方向クリートセットを含む、
請求項1乃至9いずれか一項に記載のアウトソール。
【請求項12】
前記1つ以上の外側半径方向クリートセットは、前記アウトソールの前足領域に配置されている、
請求項11に記載のアウトソール。
【請求項13】
前記1つ以上の外側半径方向クリートセットは、前記アウトソールのボール部に配置された第1外側半径方向クリートセット、および、前記アウトソールのトウ部に配置された第2外側半径方向クリートセット、を含む、
請求項11または12に記載のアウトソール。
【請求項14】
前記1つ以上の外側半径方向クリートセットそれぞれの前記第2複数のトラクション要素は、さらに、前記足底面上に配置された複数のマイナークリート、および、前記周辺クリートと前記複数のマイナークリートとの間で前記足底面上に配置されたメジャークリート、を含む、
請求項11乃至13いずれか一項に記載のアウトソール。
【請求項15】
前記メジャークリートは、前記マイナークリートそれぞれよりも大きい高さを有する、
請求項14に記載のアウトソール。
【請求項16】
履物製品のソール構造体であって、前記ソール構造体は、
上面、および、前記上面とは反対側に形成された底面を有するミッドソールと、
インソールの底面に取り付けられ、かつ、環状クリートセットを含むアウトソールであり、前記環状クリートセットは、前記アウトソールの足底面上の中心軸に関して連続して配置された第1複数のトラクション要素を含んでいる、アウトソールと、
1つ以上の半径方向クリートセットであり、各々が、前記中心軸と交差するそれぞれの半径方向軸に沿って整列された第2複数のトラクション要素を含む、1つ以上の半径方向クリートセットと、
を含み、
前記第2複数のトラクション要素のうち少なくとも1つは、前記アウトソールの周辺表面上に形成された周辺クリートを含む、
ソール構造体。
【請求項17】
前記第2複数のトラクション要素は、さらに、
前記足底面上に配置された複数のマイナークリート、および、
前記周辺クリートと前記複数のマイナークリートとの間で前記足底面上に配置されたメジャークリート、を含む、
請求項16に記載のソール構造体。
【請求項18】
前記アウトソールは、
前足領域において前記ミッドソールの底面に取り付けられ、かつ、前記環状クリートセットおよび前記1つ以上の半径方向クリートセットを含む、前足プレート、および、
ヒール領域で前記ミッドソールの底面に取り付けられたヒールプレート、を含む、
請求項16または17に記載のソール構造体。
【請求項19】
前記前足プレートおよび前記ヒールプレートの少なくとも1つは、モジュラーコンポーネントとして形成される、
請求項18に記載のソール構造体。
【請求項20】
前記ソール構造体は、さらに、
前記ミッドソールの前記底面に取り付けられ、かつ、前記前足プレートと前記ヒールプレートとの間に配置されたシャンク、を含む、
請求項18または19に記載のソール構造体。
【請求項21】
前記ソール構造体は、さらに、
前記シャンクに取り付けられ、かつ、前記前足プレートと前記ヒールプレートとの間に配置されたクレードル、を含む、
請求項20に記載のソール構造体。
【請求項22】
前記ミッドソールは、第1材料で形成されたケーシング、および、前記ケーシング内に配置された第2材料で形成されたコア、を含む、
請求項16乃至21いずれか一項に記載のソール構造体。
【請求項23】
前記コアは、前足領域からヒール領域まで延在している、
請求項22に記載のソール構造体。
【請求項24】
前記ミッドソールは、前記ミッドソールの上面に形成された凹部を含み、
前記コアは、前記凹部の中に配置されている、
請求項22または23に記載のソール構造体。
【請求項25】
請求項16乃至24いずれか一項に記載のソール構造体、を含む、
履物製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、履物製品のためのソール構造体に関する。そして、より詳細には、トラクション(traction)要素を組み込んだソール構造体に関する。
【0002】
このPCT国際出願は、2020年2月24日に出願された米国仮特許出願第62/980606号について米国特許法第119(e)条に基づく優先権を主張する、2021年2月23日に出願された米国特許出願第17/183281号について優先権を主張するものである。これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
このセクションは、必ずしも先行技術ではない、本開示に関する背景情報を提供する。
【0004】
履物製品は、慣習的に、アッパー(upper)およびソール構造体(sole structure)を含んでいる。アッパーは、ソール構造体上で足(foot)を受け容れ、固定し、そして、サポートするように、任意の適切な材料から形成されてよい。アッパーは、足の周囲のアッパーのフィットを調整するために、レース(lace)、ストラップ(strap)、または他のファスナー(fastener)と協働することができる。足の底面に近接する、アッパーの底部は、ソール構造体に取り付けられている。
【0005】
ソール構造体は、一般的に、グラウンド面(ground surface)とアッパーとの間に延在する積層された(layered)構成を含んでいる。ソール構造体の1つの層は、耐摩耗性およびグラウンド面とのトラクション性を提供するアウトソールを含んでいる。アウトソールは、ゴム、もしくは、耐久性および耐摩耗性を付与し、並びに、グラウンド面とのトラクション力を増強する他の材料から形成されてよい。アウトソールは、グラウンド面に係合するための1つ以上のトラクション要素またはクリート(cleat)を含んでよい。ソール構造体の別の層は、アウトソールとアッパーとの間に配置されたミッドソールを含んでいる。ミッドソールは、足のためのクッションを提供し、そして、接地反力(ground-reaction force)を減衰させることによって足をクッションするために、加えられた荷重の下で弾性的に圧縮するポリマー発泡材料から部分的に形成されてよい。ソール構造体は、また、アッパーの底部に近接した空間(void)の中に配置された快適性を高めるためのインソール(insole)またはソックライナー、および、アッパーに取り付けられ、かつ、ミッドソールと、インソールまたはソックライナーとの間に配置されたストローベル(strobel)を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
ここにおいて説明される図面は、選択された構成のみを例示するためのものであり、そして、本開示の範囲を制限するように意図されたものではない。
【
図1】
図1は、本開示の原理に従った、履物製品の底面斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の履物製品のアウトソールの分解斜視図である。
【0007】
対応する参照番号は、図面全体を通して対応する部分を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
これから、添付の図面を参照して、例示的な構成がより詳細に説明される。例示的な構成は、本開示が徹底的であり、かつ、当業者に対して本開示の範囲を完全に伝えるように提供されている。本開示の構成を完全に理解するために、特定のコンポーネント、デバイス、および方法の例といった特定の詳細が説明されている。特定の詳細を使用する必要はなく、実施例の構成は多くの異なる形態で実施することができ、そして、特定の詳細および実施例の構成は本開示の範囲を制限するものと解釈されるべきではないことが、当業者には明らかであろう。
【0009】
ここにおいて使用される用語は、特定の例示的な構成のみを説明するためのものであり、限定するように意図されたものではない。ここにおいて使用されるように、単数形の「一つの(“a”、“an”、“the”)は、コンテキストが他のことを明確に示さない限り、複数の形態も同様に含むことを意図することができる。用語「含む、有する(“comprises”、“comprising”、“including”、および“having”)」は、包括的であり、そして、従って、特徴、ステップ、オペレーション、要素、及び/又は、コンポーネントの存在を特定するが、それらの1つ以上の他の特徴、ステップ、オペレーション、要素、コンポーネント、及び/又は、それらのグループの存在または追加を排除しない。ここにおいて説明される方法のステップ、プロセス、およびオペレーション操作は、性能の順序として具体的に特定されない限り、必ずしも、説明または図示される特定の順序においてそれらの性能を必要とするものと解釈されるべきではない。追加的または代替的なステップが使用されてよい。
【0010】
要素または層(layer)が、別の要素または層の「上(“on”)」にある、「係合(“engaged to”)」、「接続(“connected to”)」、「取り付け(“attached to”)」、または「結合(“coupled to”)」されているものとして参照される場合、それは、他の要素または層上に直接、係合、接続、取り付け、または結合されてよく、もしくは、介在する要素または層が存在してよい。対照的に、要素が、別の要素または層の「直接的に上(“directly on”)」にある、「直接的に係合(“directly engaged to”)」、「直接的に接続(“directly connected to”)」、「直接的に取り付け(“directly attached to”)」、または「直接的に結合(“directly coupled to”)」されているものとして参照される場合には、介在する要素または層が存在しなくてよい。要素間の関係を記述するために使用される他の用語は、同様の方法(例えば、「間(“between”)」対「直接的に間(“directly between”)」、「隣接(“adjacent”)」対「直接的に隣接(“directly adjacent”)」、等)で解釈されるべきである。ここにおいて使用されるように、用語「及び/又は」は、関連するリストされたアイテムの1つ以上の任意および全ての組み合わせを含んでいる。
【0011】
第1、第2、第3、等という用語は、種々の要素、コンポーネント、領域、層、及び/又は、セクションを記述するためにここにおいて使用され得る。これらの要素、コンポーネント、領域、層、及び/又は、セクションは、これらの用語によって制限されるものではない。これらの用語は、1つの要素、コンポーネント、領域、層、またはセクションを別の領域、層またはセクションから区別するためにのみ使用することができる。「第1(“first”)」、「第2(“second”)」、および他の数値用語といった用語は、コンテキストによって明確に示されない限り、シーケンスまたは順序を意味しない。従って、以下に説明する第1要素、コンポーネント、領域、層、またはセクションは、例示的な構成の教示から逸脱することなく、第2要素、コンポーネント、領域、層、またはセクションと呼ぶことができる。
【0012】
本開示の一つの態様は、履物製品のアウトソールを提供する。アウトソールは、足底面(plantar surface)および足底面を囲む周辺表面を有している。アウトソールは、足底面上の中心軸に関して連続して(in series)配置された第1複数のトラクション要素を含む環状(annular)クリートセットを含んでいる。アウトソールは、また、各々が、中心軸と交差するそれぞれの半径方向軸に沿って整列された第2複数のトラクション要素を含む1つ以上の半径方向クリートセットを含んでいる。第2複数のトラクション要素のうち少なくとも1つは、周辺表面上に形成された周辺クリートを含む。
【0013】
本開示の実施は、以下の任意的な特徴の1つ以上を含み得る。いくつかの実施態様において、環状クリートセットは、アウトソールの内側(medial side)に配置されている。環状クリートセットは、アウトソールの前足領域(forefoot region)において配置され得る。任意的に、環状クリートセットは、アウトソールのボール部(ball portion)に配置されてよい。
【0014】
いくつかの例において、第1複数のトラクション要素は、複数のメジャー(major)クリートおよび複数のマイナー(minor)クリートを含んでいる。ここで、複数のメジャークリートは、中心軸に関して第1リング内に配置され、そして、複数のマイナークリートは、中心軸に関して第2リング内に配置されてよい。第1リングは、第2リングよりも大きな直径を有してよい。メジャークリートの高さは、マイナークリートよりも大きくてよい。1つ以上のメジャークリートは、中心軸に向かって延びる補強リブを含んでよい。メジャークリートそれぞれおよびマイナークリートそれぞれの幅は、テーパ状であり得る。
【0015】
いくつかの構成において、1つ以上の半径方向クリートセットは、アウトソールの外側(lateral side)に隣接して配置された1つ以上の外側半径方向クリートセットを含んでいる。1つ以上の外側半径方向クリートセットは、アウトソールの前足領域に配置されてよい。任意的に、1つ以上の外側半径方向クリートセットは、アウトソールのボール部に配置された第1外側半径方向クリートセット、および、アウトソールのトウ部(toe portion)に配置された第2外側半径方向クリートセットを含んでよい。1つ以上の外側半径方向クリートセットそれぞれの第2複数のトラクション要素は、足底面上に配置された複数のマイナークリート、および、周辺クリートと複数のマイナークリートとの間で足底面上に配置されたメジャークリートを含んでよい。ここで、メジャークリートは、マイナークリートのそれぞれよりも大きい高さを有してよい。複数のマイナークリートは、メジャークリートから中心軸までの方向に沿ってサイズが減少し得る。周辺クリートは、メジャークリートに対して斜めの角度で延びてよい。
【0016】
いくつかの実施態様において、1つ以上の半径方向クリートセットは、アウトソールの前方端(anterior end)に配置された前方半径方向クリートセットを含んでいる。ここで、前方半径方向クリートセットは、アウトソールの内側(medial side)に配置されてよい。前方半径方向クリートセットの第2複数のトラクション要素は、周辺表面に隣接して足底面上に配置されたメジャークリート、および、メジャークリートと中心軸との間に配置された複数のマイナークリートを含んでよい。
【0017】
いくつかの例において、ヒール(heel)クリートセットは、アウトソールのヒール領域に配置されており、そして、第3複数のトラクション要素を含んでいる。ここで、ヒールクリートセットは、複数のメジャークリートおよび複数のマイナークリートを含んでよく、メジャークリートは、マイナークリートよりも大きい高さを有している。アウトソールは、環状クリートセットと1つ以上の半径方向クリートセットとを有する第1プレート、および、ヒールクリートセットを有する第2プレートを含んでよい。任意的に、第1プレートおよび第2プレートの少なくとも1つは、第1材料から形成されたシェル、および、シェル内に受け容れられ、かつ、第2材料から形成されたスケルトン(skeleton)を含むモジュール構造であってよい。ここで、スケルトンは、トラクション要素のうち1つの第1部分を形成し、そして、シェルは、トラクション要素のうちの1つの第2部分を形成し得る。第1プレートおよび第2プレートの一方は、トラクション要素のうち1つの第3部分を形成するインサートを含んでよい。
【0018】
いくつかの構成において、メジャークリートは、環状クリートセットと、1つ以上の半径方向クリートセットのうち1つとの間で、足底面上に配置されている。ここで、メジャークリートは、アウトソールの内側に配置されてよい。ソール構造体は、アウトソールを含み得る。追加的または代替的に、履物製品は、アウトソールを含み得る。
【0019】
本開示の別の態様は、履物製品のソール構造体を提供する。ソール構造体は、上面、および、上面とは反対側に形成された底面を有するミッドソールを含んでいる。ソール構造体は、また、ミッドソールの底面に取り付けられ、かつ、環状クリートセットを含む、アウトソールも含んでいる。環状クリートセットは、アウトソールの足底面上の中心軸に関して連続して配置された第1複数のトラクション要素を含む。ソール構造体は、また、各々が、中心軸と交差するそれぞれの半径方向軸に沿って整列された第2複数のトラクション要素を含む1つ以上の半径方向クリートセットを含んでいる。第2複数のトラクション要素のうち少なくとも1つは、アウトソールの周辺表面上に形成された周辺クリートを含む。
【0020】
この態様は、以下の任意的な特徴の1つ以上を含んでよい。いくつかの例において、第2複数のトラクション要素は、足底面上に配置された複数のマイナークリート、および、周辺クリートと複数のマイナークリートとの間で足底面上に配置されたメジャークリートを含んでいる。任意的に、アウトソールは、前足領域においてミッドソールの底面に取り付けられ、かつ、環状クリートセットおよび1つ以上の半径方向クリートセットを含む前足プレート、および、ヒール領域のミッドソールの底面に取り付けられたヒールプレートを含んでよい。ここで、前足プレートおよびヒールプレートのうち少なくとも1つは、モジュラーコンポーネントとして形成され得る。追加的または代替的に、シャンク(shank)がミッドソールの底面に取り付けられ、かつ、前足プレートとヒールプレートとの間に配置されてよい。ここでは、クレードル(cradle)がシャンクに取り付けられ、かつ、前足プレートとヒールプレートとの間に配置されてよい。
【0021】
いくつかの実装において、ミッドソールは、第1材料で形成されたケーシング、および、ケーシング内に配置された第2材料で形成されたコアを含んでいる。コアは、前足領域からヒール領域まで延在し得る。ミッドソールは、ミッドソールの上面に形成された凹部(recess)を含んでよく、コアは、凹部内に配置されてよい。履物製品は、ソール構造体を含み得る。
【0022】
添付の図面および以下の説明において、本開示の1つ以上の実施形態の詳細が説明される。他の態様、特徴、および利点は、明細書および図面から、並びに、請求項から明らかであろう。
【0023】
図1-
図11を参照すると、履物製品10は、ソール構造体100およびアッパー200を含んでいる。
図6Aに示されるように、履物製品10は、1つ以上の領域に分割することができる。領域は、前足領域(forefoot region)12、ミッドフット(midfoot)領域14、およびヒール領域16を含み得る。前足領域12は、指節骨(phalanges)に対応するトウ部12
T、および足の中足骨(metatarsal bones)に関連するボール部12
Bへと細分され得る。ミッドフット領域14は、足のアーチ領域に対応し、そして、ヒール領域16は、踵骨(calcaneus bone)を含む足の後方部分に対応し得る。
【0024】
履物10は、さらに、前足領域12の最前方点に関連する前方端(anterior end)18、およびヒール領域16の最後方点に対応する後方端(posterior end)20を含み得る。
図6Aに示されるように、履物10の長手方向軸線A
10は、履物10の長手方向に沿って前方端18から後方端20まで延びている。長手方向軸線A
10は、履物10の長手方向に沿って中央に配置されており、そして、一般的に履物10を外側22および内側24へと分割する。従って、外側22および内側24は、それぞれに、履物10の対向する側に対応しており、そして、領域12、14、16を通して延在している。ここにおいて使用されるように、長手方向(longitudinal direction)とは、前方端18から後方端20まで延びる方向を指し、一方で、横方向(lateral direction)とは、長手方向に対して横断する方向を指し、そして、外側22から内側24まで延びている。
【0025】
単一構造を有し得る、従来のソール構造体とは異なり、図示の例のソール構造体100は、複合的に形成されており、そして、クッション性、剛性、トラクション性、および耐久性の所望の特性を提供するために複数のサブコンポーネントを含んでいる。
図2に示されるように、ソール構造体100は、アウトソール102、ミッドソール104、シャンク(shank)106、およびクレードル(cradle)108を含んでいる。ミッドソール104は、アッパー200とグラウンド係合面26との間に1つ以上のクッション層を備えるように構成されている。任意的に、ミッドソール104は、以下でより詳細に説明されるように、ケーシング110内に配置されたアウターケーシング110およびコア112を含み得る。アウトソール102は、履物製品のために耐久性のある接地係合面を提供するように構成されており、そして、グラウンド面とインターフェイスするための複数のトラクション要素を含んでいる。
【0026】
引き続き
図2を参照すると、アウトソール102は、前足領域12に配置され、かつ、第1複数のトラクション要素を含んでいる前足プレート114a、および、ヒール領域に配置され、かつ、第2複数のトラクション要素を含んでいるヒールプレート114bを含んでいる。各プレート114a、114bは、アッパー200に直面している上面115a、115bと、上面115a、115bから反対側のプレート114a、114bに形成された底面116a、116bと、上面115a、115bから底面116a、116bまで延在している周辺表面117a、117bとを含むものとして説明することができる。ここで、底面116a、116bは、プレート114a、114bそれぞれの足底(下向き)部分と関連している。周辺表面117a、117bは、底面116a、116bに対して斜めに形成されており、そして、各プレート114a、114bの外周を形成する。図示された例において、周辺表面117a、117bは、底面116a、116bから上面115a、115bへ向かう方向で外向きにフレアー(flare)している。
【0027】
図6Aを参照すると、アウトソール102のトラクション要素は、メジャークリート118a-118n、マイナークリート120a-120h、および周辺クリート122a-122dを含むものとして説明することができる。一般的に、メジャークリート118a-118nおよびマイナークリート120a-120hは、アウトソール102の足底部分(例えば、底面116a、116b)上に形成されており、そして、ソール構造体100の底面により法線力(normal force)がグラウンド面に加えられるときに、グラウンド面にトラクション力を提供するように構成されている。周辺クリート122a-122dは、アウトソール102の周縁部(すなわち、周辺表面117a、117b)から外方に突出しており、そして、横方向または角度方向の力がソール構造体100の外側22に向かう方向に加えられるときに、グラウンド面と係合するように構成されている。
図6Bに最も良く示されているように、トラクション要素118a-118n、120a-120h、122a-122dは、互いに協働して、前足プレート114aの内側24におけるボール部12
Bに配置された複数の環状クリートセット124、前足プレート114aの外側22に沿って、かつ/あるいは、前足プレート114aのトウ部12
Tに配置された複数の半径方向クリートセット126a-126e、および、ヒールプレート114bにおけるヒール領域16に配置されたヒールクリートセット128を画定することができる。
【0028】
これから、
図12Aおよび12Bを参照すると、メジャークリート118a-118nのうちの1つの一般的な実施例118が示されている。メジャークリート118a-118bそれぞれサイズ及び/又は幾何学的形状は異なってよいが、メジャークリート118a-118nそれぞれは、特に断らない限り、
図12Aおよび
図12Bの例示的なメジャークリート118に関して説明された特徴を少なくとも含む。示されるように、メジャークリート118a-118nそれぞれの高さH
118は、軸線A
118に沿って、ソール構造体100の底面116a、116bに近接したベース130から、ベース130でないメジャークリート118a-118nの反対側の端部に配置された先端部(tip)132まで延在している。ここで、先端部132がメジャークリート118a-118nそれぞれにおいて平坦な端部を画定するように、先端部132は、実質的に平坦な遠位表面によって画定されている。メジャークリート118a-118nそれぞれの外周は、凹状の内面134と凸状の外面136との協働によって画定され、凹状の外面136は、ベース130から先端部132への方向に沿って互いに収束して、メジャークリート118a-118nそれぞれにテーパ幅W
118を提供する。さらに、内面134および外面136は、幅W
118が、メジャークリート118a-118nそれぞれの中央部分から長さ(lengthwise)方向に沿ってテーパ状になるように、メジャークリート118a-118nの両端で互いに収束し得る。従って、メジャークリート118a-118nは、三日月形の断面を有するものとして説明することができる。任意的に、1つ以上のメジャークリート118a-118nは、凹状の内面134から半径方向に突出する補強リブ138と共に形成されてよい。
【0029】
図13Aおよび
図13Bに示されるように、マイナークリート120a-120hのうち1つの一般的な実施例120が示されている。マイナークリート120a-120hそれぞれのサイズ及び/又は幾何学的形状は異なってよいが、マイナークリート120a-120hそれぞれは、
図13Aおよび
図13Bの例示的なマイナークリート120に関して説明した一般的特徴を少なくとも含み得る。示されるように、マイナークリート120a-120hそれぞれの高さH
120は、軸線A
120に沿って、ソール構造体102の底面116a、116bに近接したベース140から、ベース140ではないマイナークリート120a-120hの反対側の端部に配置されたエッジ142まで延在している。ここで、エッジ142は、マイナークリート120a-120hの長さに沿って実質的に連続している。マイナークリート120a-120hそれぞれの外周は、凹状の内面144と凸状の外面146との協働によって画定され、ベース140からエッジ142への方向に沿って互いに収束する。さらに、内面144および外面146は、幅W
120が、マイナークリート120a-120hそれぞれの中央部分から長さ方向に沿ってテーパ状になるように、マイナークリート120a-120hの両端で互いに収束し得る。従って、マイナークリート120a-120hは、三日月形の断面を有するものとして説明することができる。マイナークリート120a-120hの高さH120は互いに異なってよいが、一方で、マイナークリート120a-120hの全ての高さH
120は、メジャークリート118a-118nの全ての高さH
118よりも小さい。
【0030】
図14Aおよび
図14Bに示されるように、周辺クリート122a-122dのうち1つの一般的な実施例122が示されている。周辺クリート122a-122dそれぞれのサイズ及び/又は幾何学的形状は異なってよいが、周辺クリート122a-122dそれぞれは、
図14Aおよび
図14Bの例示的な周辺クリート122に関して説明した一般的特徴を少なくとも含み得る。示されるように、周辺クリート122a-122dそれぞれの高さH
122は、軸線A
122に沿って、ソール構造体102の底面に近接したベース150から、ベース150でない周辺クリート122a-122dの反対側の端部に配置された先端部152まで延在している。ソール構造体102の底面116a、116bから実質的に垂直に延びるメジャークリート118a-118nとは異なり、周辺クリート122a-122dは、底面116aに対して斜めの角度で周辺表面117aから延び、その結果、先端部152は、ソール構造体102の底面116aに対して斜めの角度で配向された実質的に平坦な表面によって画定される。周辺クリート122a-122dそれぞれの外周は、ベース150から先端部152への方向に沿って互いに収束する、凸状内面154と凸状外面156との協働によって画定される。さらに、内面154および外面156は、周辺クリート122a-122dそれぞれの中央部分から縦方向に沿って幅W
122がテーパ状になるように、周辺クリート122a-122dの両端で互いに収束し得る。従って、周辺クリート122a-122dは、楕円断面を有するものとして説明することができる。
【0031】
再び
図6Bを参照すると、前足プレート114aのクリートセット124、126a-126eは、環状クリートセット124によって画定される軸A
124に関して概ね配置され、かつ、内側24のボール部12B内に配置さている。より詳細には、環状クリートセット124は、中心軸A
124の周りに環状パターンで配置された複数のメジャークリート118g-118jおよびマイナークリート120fを含み、一方で、半径方向クリートセット126a-126eそれぞれは、以下でより詳細に説明されるように、中心軸A
124と交差するそれぞれの半径方向軸A
126a-A
126eに沿って整列されたメジャークリート118a-118e、マイナークリート120a-120e、及び/又は、周辺クリート122a-122dを含むトラクション要素に係るそれぞれのシリーズを含んでいる。従って、半径方向クリートセット126a-126eは、環状クリートセット124に関して半径方向アレイに連続して配置されている。
【0032】
引き続き
図6Aおよび6Bを参照すると、環状クリートセット124は、中心軸A
124に関して第1円に沿って配置された一連のメジャークリート118g-118jを含む外側リング158aを含んでいる。ここで、外側リング158aのメジャークリート118g-118jは、外側リング158aの周囲に沿って互いに均等に間隔をあけて置かれてよい。任意的に、1つ以上のメジャークリート118g、118hは、上述のように、中心軸A
124に向かって内側へ延びる補強リブ138を含んでよい。
【0033】
外側リング158aに加えて、環状クリートセット124は、中心軸A124に関して第2円に沿って配置された一連のマイナークリート120fを含む内側リング158bを含み得る。示されるように、内側リング158bの直径は、外側リング158aの直径よりも小さく、その結果、内側リング158bは、外側リング158aと同心であり、かつ、外側リング158aによって囲まれている。内側リング158bにおいて、内側リング158bのマイナークリート120fそれぞれの幅W120は、内側リング158bの周囲に沿って第1端部から第2端部まで連続的にテーパ状である。示されるように、マイナークリート120fそれぞれは、同じ方向に沿って(例えば、時計回りに)テーパしている。マイナークリート120fは、ユーザの反対の足(例えば、左足)に関連する履物製品10上で反対方向に沿って(例えば、反時計回りに)テーパ状であってよいことが理解されよう。
【0034】
さらに
図6Aおよび
図6Bを参照すると、前足プレート114aは、前足プレート114aの外側22に沿って配置された複数の外側半径方向クリートセット126a-126dを含んでいる。外側半径方向クリートセット126a-126dはそれぞれ、周辺表面117aに隣接して底面116a上に配置されたそれぞれのメジャークリート118a-118d、それぞれのメジャークリート118a-118dと環状クリートセット124との間で底面116a上に配置された一連のマイナークリート120a-120d、および、それぞれのメジャークリート118a-118dの外側に向かい、周辺表面117a上に配置されたそれぞれの周辺クリート122a-122dを含んでいる(
図7-
図10)。各外側半径方向クリートセット126a-126dのメジャークリート118a-118d、マイナークリート120a-120d、および、周辺クリート122a-122dは、それぞれの半径方向軸A
124a-A
124dに沿って連続して配置されている。
【0035】
示されるように、クリートセット126a-126dそれぞれのマイナークリート120a-120dは、マイナークリート120a-120dのサイズ(例えば、高さ、幅、及び/又は、長さ)が、メジャークリート118a-118dから環状クリートセット124に向かってそれぞれの半径方向軸A126a-A126dの方向に沿って徐々に減少するように、連続して配置されている。別の言葉で言えば、半径方向クリートセット126a-126dそれぞれのメジャークリート118a-118dに対してより近くに配置されたマイナークリート120a-120dは、それぞれのメジャークリート118a-118dからより離れたマイナークリート120a-120dよりも大きなサイズを有する。外側半径方向クリートセット126a-126dそれぞれにおいて、メジャークリート118a-118dに隣接するマイナークリート120a-120dの外面146は、補強リブ138のうちの1つによって、各メジャークリート118a-118dの内面134に接続され得る。任意的に、補強リブ138は、マイナークリート120a-120dの連続したクリートの間に延在し、そして、相互に接続することができる。
【0036】
図6Bに示されるように、外側半径方向クリートセット126a-126dは、中心軸A
124と交差する第1半径方向軸A
126aに沿って整列された第1外側半径方向クリートセット126aを含んでいる。図示の例において、第1半径方向軸A126aは、長手方向軸A
10に対して第1斜角(oblique angle)で、環状クリートセット124から後方端20および外側22へ向かう方向に沿って延びている。第2半径方向クリートセット126bは、中心軸A
124と交差する第2半径方向軸A
126に沿って整列されている。ここで、第2半径方向軸A
126bは、履物製品10の長手方向軸A
10に対して実質的に垂直な方向(例えば、90±5度)において外側22に向かって延びる。第3半径方向クリートセット126cは、中心軸A
124と交差し、かつ、長手方向軸A
10に対して第2斜角で、ソール構造体102の外側22および前方端18に向かって延びている第3の径方向軸A
126cに沿って整列されている。第4外側半径方向クリートセット126dは、中心軸A
124と交差し、かつ、ソール構造体102の前方端18および外側22に向かって縦軸A
10に対して第3斜角度で延びている第4半径方向軸A
126dに沿って整列されている。
【0037】
各々が周辺クリート122a-122dを含む、外側半径方向クリートセット126a-126dに加えて、半径方向クリートセット126a-126eは、トウ部12
Tにおいて内側24に配置されたメジャークリート118eおよび一連のマイナークリート120eを含む前方半径方向クリートセット126eを含み得る。示されるように、前方半径方向クリートセット126eのトラクション要素118e、120eは、履物製品10の長手方向軸A
10に対して実質的に平行(例えば、0±5度)である第5半径方向軸A
126eに沿って整列されている。
図6Aに最も良く示されているように、前方半径方向クリート126eセットは、前方端18で周辺表面117aに隣接して前足プレート114aの底面116a上に配置されたメジャークリート118eを含んでいる。一連のマイナークリート120eは、第5半径軸A
126eに沿ってメジャークリート118eと整列されている。外側半径方向クリートセット126a-126dに関して上述したように、マイナークリート120eは、メジャークリート118eから環状クリートセット124へ第5半径方向軸A
126eの方向に沿って、徐々にサイズが減少している。
【0038】
前足プレート114aは、さらに、周辺表面117aに沿って前方半径方向クリートセット126eと環状クリートセット124との間に配置された内側メジャークリート118fを含み得る。ここで、内側メジャークリート118fは、クリートセットと関連しないが、隔離されたメジャークリート118fとして、ソール構造体102の内側24に設けられている。示されるように、内側メジャークリート118fは、凹状の内面134から延びる補強リブ138を含み、そして、内側メジャークリート118fの凸状の外面136は、内側24および後方端20に向かって(すなわち、対向して)配向されている。
【0039】
これから、
図6Aおよび
図6Bに示されるヒールプレート114bを参照すると、ヒールクリートセット128は、周辺表面117bに隣接して底面116b上に配置された複数のメジャークリート118k-118nを含んでいる。示されるように、メジャークリート118k-118nそれぞれの凸状外面136は、周辺表面117bに直面している。ヒールプレート114b上のメジャークリート118k-118nそれぞれは、ヒールプレート114bの中央部分に向かって内側に延在する補強リブ138を含んでいる。示されるように、ヒールクリートセット128は、ヒールプレート114bの前方端に隣接する外側に第1メジャークリート118k、ヒールプレート114bの後方端に隣接する外側に第2メジャークリート118l、ヒールプレート114bの前方端に隣接する内側に第3メジャークリート118m、および、ヒールプレート114bの後方端に隣接する内側に4メジャークリート118nを含んでいる。
【0040】
メジャークリート118k-118nに加えて、ヒールクリートセット128は、ヒールプレート114bの内側部に配置されたマイナークリートの対向するペア120g、120hを含んでいる。例えば、第1マイナークリート120gはヒールプレート114bの外側22に配置され、かつ、第2マイナークリート120hはヒールプレート114bの内側24に配置されており、その結果、マイナークリート120hの凹状の内面144が、縦軸A10を横切って相互に対向している。
【0041】
一般的に、アウトソールプレート114a、114bは、ミッドソール104よりも高い硬度を有する1つ以上のポリマー材料、及び/又は、複合材料から形成されている。アウトソールプレート114a、114bそれぞれは、単一のボディ(すなわち、単一ピース)として形成され得るが、一方で、図示された例のアウトソールプレート114a、114bは、プレート114a、114bそれぞれを形成するようにネストされた構成(nested arrangement)でスタックされた一連のサブコンポーネントを有するモジュールまたは複合構造体として具体化されている。特に、
図3を参照すると、プレート114aそれぞれは、内側スケルトン160a、160b、外側シェル162a、162b、および、1つ以上のクリートインサート164を含み、これらは協働して、アウトソールプレート114a、114b、および、トラクション要素118a-118n、120a-120h、122a-122dの部分を画定している。
【0042】
引き続き
図3を参照すると、前足プレート114aは、環状クリートセット124および半径方向クリートセット126a-126fを含む領域において積層構造(laminate structure)を前足プレート114aに提供するために、前足シェル162aのアッパーとインターフェイスするように構成された前足スケルトン160aを含んでいる。
図2に示されるように、前足スケルトン160aは、前足シェル162aの上面(top)に形成された凹部内にネストするように構成されており、その結果、前足スケルトン160aと前足シェル162aが協働して前足プレート114aの平坦な上面115aを形成する。
【0043】
引き続き
図3を参照すると、いくつかの例において、シェル162a、162bによって形成されたトラクション要素118a-118n、120a-120h、122a-122dの部分は、シェル162a、162bを少なくとも部分的に貫通して延在しているキャビティまたは凹部166a、166bを含む、薄壁ボディであってよい。
図7-
図10に最も良く示されているように、凹部166a、166bは、マイナークリート120a-120hのアッパーに対応する領域においてシェル162a、162bの厚さの一部を通じて形成された第1複数の凹部166aを含み得る。ここで、前足スケルトン160aおよびヒールスケルトン160bの底面は、シェル162a、162bの上面に形成された凹部166aの1つにそれぞれに対応する1つ以上の突起168を含んでよく、その結果、スケルトン160a、160bがシェル162a、162bと組み立てられたとき、突起168は凹部166a内に受け容れられ、シェル162a、162bの材料によって形成された外側レイヤ、および、スケルトン160a、160bの材料によって形成されたコアを有する複合構造体を、それぞれのマイナークリート120a-120hに提供する。
【0044】
シェル162a、162bの凹部166a、166bは、また、メジャークリート118a-118nでシェル162a、162b全体を通して形成された凹部166bも含み得る。ここで、1つ以上のメジャークリート118a-118nは、部分的に、1つのクリートインサート164によって形成されてよい。
図3に示されるように、インサート164それぞれは、メジャークリート118a-118nの1つを形成している底面116a、116bの一部を通して挿入されるように構成されたシャンク170を含み、その結果、シャンク170は、凹部166b内に配置されている(
図7-10)。クリートインサート164それぞれは、さらに、
図3および
図7-
図10に示されるように、シャンク170の端部に配置されており、かつ、先端部132を含むメジャークリート118a-118nの遠位部分を形成するように構成されている、キャップ172を含んでいる。従って、メジャークリート118a-118nは、また、複合的にも形成され得る。
【0045】
再び
図2を参照すると、ミッドソール104は、ソール構造体100にクッション性(cushioning)および弾性(resilience)の特性を付与するように構成された1つ以上の材料を含んでいる。ミッドソール104は単一の材料を含む単一構造体として形成され得るが、一方で、例示のミッドソール104は、アウターケーシング110およびケーシング110の中に配置されたコア112を有する複合構造体として形成されている。ケーシング110およびコア112は、ミッドソール104に異なる特性を付与するために異なる材料を含むことができる。
【0046】
図2に示されるように、ケーシング110は、前方端18から後方端20まで連続的に延びており、そして、上面174、上面174とは反対側に形成された底面176、および、上面174と底面176との間に延在する周辺側面178を含んでいる。周辺側面178は、ケーシング110およびミッドソール104の外周を画定している。示されるように、上面174は、コア112を受け容れるように構成された凹部180を含んでよく、その結果、コア112の上面は、ソール構造体100が組み立てられたときに、ケーシング110の上面174と同一平面であり、かつ、連続している。凹部180およびコア112は、前足領域12からヒール領域16まで連続的に延在している。示されるように、コア112および凹部180の幅は、ケーシング110の外側22から内側24まで幅全体を実質的に横切って延在し得る。
【0047】
ソール構造体100は、さらに、ミッドソール104よりも高い剛性を有する材料で形成され、かつ、ソール構造体100の底部に沿って長手方向のサポートを提供するようにミッドソールケーシング110の底面176に隣接して配置されるように構成されている、シャンク106を含んでいる。図示された例において、シャンク106は、ソール構造体100のミッドフット領域14における底面176上で前足プレート114aとヒールプレート114bとの間に挿入されている。
【0048】
シャンク106は、ミッドソールケーシング110の底面176に取り付ける上面182、および、上面182とは反対側のシャンク106に形成された底面184を含んでいる。シャンク106の外周186は、シャンク106の前方端では前足プレート114aと、および、シャンク106の後方端ではヒールプレート114bとインターフェイスまたは係合するように構成されており、それによって、前方端18から後方端20までミッドソールケーシング110の底面176に沿って実質的に連続した剛性構造を提供している。いくつかの例において、シャンク106の上面及び/又は底面182、184は、概ね長手方向に沿って(すなわち、長手方向軸線A10に沿って)延在する1つ以上の細長いリブ188を含んでよい。リブ188それぞれは、シャンク106の側面および内側に沿った外周186のプロファイルに対応する輪郭経路に沿って延在し得る。リブ188は、シャンク106に、必要に応じて、シャンク106に、長手方向の剛性を提供するように厚みが増加された局部領域を提供する。
【0049】
さらに
図2を参照すると、ソール構造体100のクレードル108は、シャンク106の底面184に面しており、かつ、取り付ける上面190、および、上面190とは反対側のクレードル108に形成された底面192を含んでいる。底面192は、前足プレート114aの底面116aとヒールプレート114bの底面116bとの間でソール構造体100のグラウンド係合面の一部分を形成している。クレードル108は、ミッドフット領域14においてシャンク106を包囲するように構成されている。
【0050】
本開示のソール構造体100は、当該技術分野で公知のソール構造体よりもいくつかの利点を提供する。例えば、環状クリートセット124、および、中心軸A124に関して配置された複数の半径方向クリートセット126a-126eを設けることによって、ソール構造体100は、有利なことに、グラウンド面と係合するときに中心軸A124に関して回転することを可能にする一方で、横方向および縦方向において望ましいトラクション力を提供する。加えて、ソール構造体100の外側22に沿って周辺クリート122a-122dを含むことは、ソール構造体の内側24がグラウンド面から持ち上げられたとき、足の外側を押し出す(pushing off)といった場合、ソール構造体100に対して改善されたトラクションを提供する。
【0051】
ソール構造体100の追加的な利点は、複合構造体としてアウトソール102およびミッドソール104を形成することを含んでいる。例えば、アウトソールプレート114a、114bを形成するために外側シェル162a、162bおよび内側スケルトン160a、160bを利用することによって、アウトソール102の外側は、より剛性の高い材料で形成することができ、一方で、アウトソール102の内側は、より柔軟であってよく、または、改善されたクッション性を提供することができる。同様に、複合構造体としてミッドソール104を形成することにより、ミッドソール104の外側をより耐久性のある材料で形成することができ、一方で、ミッドソール104の内側は、望ましい剛性及び/又はクッション性を付与する特性を有するように形成され得る。
【0052】
以下の条項は、本開示の原理に従った、履物製品のための例示的な構成を提供する。
【0053】
条項1:履物製品のアウトソールであって、前記アウトソールは、足底面および前記足底面を囲む周囲面を有し、前記アウトソールは、前記足底面上の中心軸に関して連続して配置された第1複数のトラクション要素を含む環状クリートセットと、1つ以上の半径方向クリートセットであり、各々が、中心軸と交差するそれぞれの半径方向軸に沿って整列された第2複数のトラクション要素を含む、1つ以上の半径方向クリートセットと、を含み、前記第2複数のトラクション要素のうち少なくとも1つは、周辺表面上に形成された周辺クリートを含む。
【0054】
条項2:前記環状クリートセットは、前記アウトソールの内側に配置されている、条項1のアウトソール。
【0055】
条項3:前記環状クリートセットは、前記アウトソールの前足領域に配置されている、条項1または2のアウトソール。
【0056】
条項4:前記環状クリートセットは、前記アウトソールのボール部に配置されている、条項1-3いずれかのアウトソール。
【0057】
条項5:前記第1複数のトラクション要素は、複数のメジャークリートおよび複数のマイナークリートを含む、条項1-4いずれかのアウトソール。
【0058】
条項6:前記複数のメジャークリートは、前記中心軸に関して第1リング内に配置され、かつ、前記複数のマイナークリートは、前記中心軸に関して第2リング内に配置されている、条項5のアウトソール。
【0059】
条項7:前記第1リングは、前記第2リングよりも大きな直径を有する、条項6のアウトソール。
【0060】
条項8:前記メジャークリートは、前記マイナークリートよりも大きい高さを有する、条項5-7いずれかのアウトソール。
【0061】
条項9:前記1つ以上のメジャークリートは、前記中心軸に向かって延びる補強リブを含んでいる、条項5-8いずれかのアウトソール。
【0062】
条項10:前記メジャークリートそれぞれの幅、および、前記マイナークリートそれぞれの幅は、テーパ状である、条項5-9いずれかのアウトソール。
【0063】
条項11:前記1つ以上の半径方向クリートセットは、前記アウトソールの外側に隣接して配置された1つ以上の外側半径方向クリートセットを含む、条項1-9いずれかのアウトソール。
【0064】
条項12:前記1つ以上の外側半径方向クリートセットは、前記アウトソールの前足領域に配置されている、条項11のアウトソール。
【0065】
条項13:前記1つ以上の外側半径方向クリートセットは、前記アウトソールのボール部に配置された第1外側半径方向クリートセット、および、前記アウトソールのトウ部に配置された第2外側半径方向クリートセット、を含む、条項11または12のアウトソール。
【0066】
条項14:前記1つ以上の外側半径方向クリートセットそれぞれの前記第2複数のトラクション要素は、さらに、前記足底面上に配置された複数のマイナークリート、および、前記周辺クリートと前記複数のマイナークリートとの間で前記足底面上に配置されたメジャークリート、を含む、条項11-13いずれかのアウトソール。
【0067】
条項15:前記メジャークリートは、前記マイナークリートそれぞれよりも大きい高さを有する、条項14のアウトソール。
【0068】
条項16:前記複数のマイナークリートは、前記メジャークリートから前記中心軸への方向に沿ってサイズが減少する、条項14または15のアウトソール。
【0069】
条項17:前記周辺クリートは、前記メジャークリートに対して斜めに延びている、条項14-16いずれかのアウトソール。
【0070】
条項18:前記1つ以上の半径方向クリートセットは、前記アウトソールの前端に配置された前方半径方向クリートセットを含む、条項1-17いずれかのアウトソール。
【0071】
条項19:前記前方半径方向クリートセットは、前記アウトソールの内側に配置されている、条項18のアウトソール。
【0072】
条項20:前記前方半径方向クリートセットの前記第2複数のトラクション要素は、前記周辺表面に隣接する前記足底面上に配置されたメジャークリート、および、前記メジャークリートと前記中心軸との間に配置された複数のマイナークリートを含む、条項19のアウトソール。
【0073】
条項21:前記アウトソールは、さらに、前記アウトソールのヒール領域に配置され、かつ、第3の複数の前記トラクション要素を含むヒールクリートセットを含む、条項1-20いずれかのアウトソール。
【0074】
条項22:前記ヒールクリートセットは、複数のメジャークリートおよび複数のマイナークリートを含み、前記メジャークリートは、前記マイナークリートよりも大きい高さを有する、条項21のアウトソール。
【0075】
条項23:前記アウトソールは、環状クリートセットおよび1つ以上の半径方向クリートセットを有する第1プレートと、ヒールクリートセットを有する第2プレートとを含む、条項21または22のアウトソール。
【0076】
条項24:第1プレートおよび第2プレートの少なくとも一方は、第1材料から形成されたシェル、および、シェル内に受け容れられ、かつ、第2材料から形成されたスケルトンを含むモジュール構造である、条項23のアウトソール。
【0077】
条項25:前記スケルトンは、前記トラクション要素のうち1つの第1部分を形成し、かつ、前記シェルは、前記トラクション要素のうちの1つの第2部分を形成する、条項24のアウトソール。
【0078】
条項26:第1プレートと第2プレートのうち1つは、さらに、トラクション要素のうち1つの第3部分を形成するインサートを含む、条項25のアウトソール。
【0079】
条項27:前記アウトソールは、さらに、前記環状クリートセットと、前記1つ以上の半径方向クリートセットのうち1つとの間で前記足底面に配置されたメジャークリートを含む、条項1-26いずれかのアウトソール。
【0080】
条項28:前記メジャークリートは、前記アウトソールの内側に配置されている、条項27のアウトソール。
【0081】
条項29:条項1-28いずれかのアウトソールを含むソール構造体。
【0082】
条項30:条項1-28いずれかのアウトソールを含む履物製品。
【0083】
条項31:履物製品のソール構造体であって、前記ソール構造体は、上面、および、前記上面とは反対側に形成された底面を有するミッドソールと、インソールの底面に取り付けられ、かつ、環状クリートセットを含むアウトソールであり、前記環状クリートセットは、前記アウトソールの足底面上の中心軸に関して連続して配置された第1複数のトラクション要素を含んでいる、アウトソールと、1つ以上の半径方向クリートセットであり、各々が、前記中心軸と交差するそれぞれの半径方向軸に沿って整列された第2複数のトラクション要素を含む、1つ以上の半径方向クリートセットと、を含み、前記第2複数のトラクション要素のうち少なくとも1つは、前記アウトソールの周辺表面上に形成された周辺クリートを含む。
【0084】
条項32:前記第2複数のトラクション要素は、さらに、前記足底面上に配置された複数のマイナークリート、および、前記周辺クリートと前記複数のマイナークリートとの間で前記足底面上に配置されたメジャークリート、を含む、条項31のソール構造体。
【0085】
条項33:前記アウトソールは、前足領域において前記ミッドソールの底面に取り付けられ、かつ、前記環状クリートセットおよび前記1つ以上の半径方向クリートセットを含む、前足プレート、および、ヒール領域で前記ミッドソールの底面に取り付けられたヒールプレート、を含む、条項31または32のソール構造体。
【0086】
条項34:前記前足プレートおよび前記ヒールプレートの少なくとも1つは、モジュラーコンポーネントとして形成される、条項33のソール構造体。
【0087】
条項35:前記ソール構造体は、さらに、前記ミッドソールの前記底面に取り付けられ、かつ、前記前足プレートと前記ヒールプレートとの間に配置されたシャンク、を含む、条項33または34のソール構造体。
【0088】
条項36:前記ソール構造体は、さらに、前記シャンクに取り付けられ、かつ、前記前足プレートと前記ヒールプレートとの間に配置されたクレードル、を含む、条項35のソール構造体。
【0089】
条項37:前記ミッドソールは、第1材料で形成されたケーシング、および、前記ケーシング内に配置された第2材料で形成されたコア、を含む、条項31-36いずれかのソール構造体。
【0090】
条項38:前記コアは、前足領域からヒール領域まで延在している、条項37のソール構造体。
【0091】
条項39:前記ミッドソールは、前記ミッドソールの上面に形成された凹部を含み、前記コアは、前記凹部の中に配置されている、条項37または38のソール構造体。
【0092】
条項40:条項31-39いずれかのソール構造体、を含む、履物製品。
【0093】
前述の記載は、例示および説明の目的で提供されてきたものである。これは、網羅的であること、または、本開示を限定するように意図されたものではない。特定の構成に係る個々のエレメントまたは特徴は、一般的に、その特定の構成に限定されないが、適用可能な場合には、たとえ具体的に図示または説明されていなくても、互換性があり、かつ、選択された構成で使用することができる。同じことは、また、いろいろな方法で変更され得る。そうした変更は、本開示から逸脱するものとしてみなされることはなく、そして、そうした全ての変更は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】