(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)リガンドおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
C07D 209/12 20060101AFI20230329BHJP
C07D 209/42 20060101ALI20230329BHJP
C07D 209/14 20060101ALI20230329BHJP
C07D 401/12 20060101ALI20230329BHJP
C07D 209/30 20060101ALI20230329BHJP
C07D 413/12 20060101ALI20230329BHJP
C07D 231/56 20060101ALI20230329BHJP
C07D 209/38 20060101ALI20230329BHJP
C07D 231/12 20060101ALI20230329BHJP
C07D 413/06 20060101ALI20230329BHJP
C07D 231/14 20060101ALI20230329BHJP
C07D 495/04 20060101ALI20230329BHJP
C07D 231/16 20060101ALI20230329BHJP
C07D 231/18 20060101ALI20230329BHJP
C07D 249/04 20060101ALI20230329BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20230329BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20230329BHJP
A61K 31/4245 20060101ALI20230329BHJP
A61K 31/416 20060101ALI20230329BHJP
A61K 31/415 20060101ALI20230329BHJP
A61K 31/422 20060101ALI20230329BHJP
A61K 31/4188 20060101ALI20230329BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20230329BHJP
A61K 31/4192 20060101ALI20230329BHJP
A61K 31/4155 20060101ALI20230329BHJP
A61P 5/28 20060101ALI20230329BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230329BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230329BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230329BHJP
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A61P 17/08 20060101ALI20230329BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20230329BHJP
A61P 5/24 20060101ALI20230329BHJP
A61P 15/02 20060101ALI20230329BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20230329BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20230329BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20230329BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230329BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20230329BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20230329BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230329BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20230329BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20230329BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230329BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230329BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230329BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230329BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230329BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20230329BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230329BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230329BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230329BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230329BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230329BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
C07D209/12
C07D209/42 CSP
C07D209/14
C07D401/12
C07D209/30
C07D413/12
C07D231/56 D
C07D209/38
C07D231/12 E
C07D413/06
C07D231/14
C07D495/04 103
C07D231/16
C07D231/18
C07D249/04 503
A61K31/404
A61K31/4439
A61K31/4245
A61K31/416
A61K31/415
A61K31/422
A61K31/4188
A61K31/506
A61K31/4192
A61K31/4155
A61P5/28
A61P43/00 111
A61P43/00 105
A61P15/00
A61P35/00
A61P17/10
A61P17/08
A61P17/14
A61P5/24
A61P15/02
A61P25/24
A61P25/18
A61P25/14
A61P25/28
A61P25/20
A61P13/08
A61P1/02
A61P13/10
A61P13/00
A61P25/00
A61P17/00
A61P35/02
A61P1/16
A61P13/12
A61P19/08
A61P1/18
A61P11/00
A61P1/04
A61P21/00
A61P9/00
A61P35/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550923
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 US2021019477
(87)【国際公開番号】W WO2021173721
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504326686
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ テネシー リサーチ ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナン, ラメシュ
(72)【発明者】
【氏名】ポンヌサミ, タマライ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, デュアン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ヒー, ヤーリー
(72)【発明者】
【氏名】ホワン, ドン-ジン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C071
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB03
4C063BB09
4C063CC12
4C063CC22
4C063CC29
4C063CC52
4C063CC58
4C063DD06
4C063DD12
4C063DD22
4C063EE01
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4C071BB01
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4C086ZB27
4C086ZC10
4C086ZC11
4C086ZC41
4C086ZC54
(57)【要約】
本発明は、対象における、複素環式環を含む選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、ならびに医薬組成物、ならびに前立腺がん、進行前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、トリプルネガティブ乳がん、アンドロゲン受容体を発現する他のがん、男性ホルモン性脱毛症または他の高アンドロゲン性皮膚疾患、ケネディー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、腹部大動脈瘤(AAA)および子宮筋腫の処置におけるそれらの使用、ならびに病原性または抵抗性変異を含むアンドロゲン受容体-完全長(AR-FL)、AR-スプライスバリアント(AR-SV)、およびARの病原性ポリグルタミン(polyQ)多型のレベルを低下させる方法を対象とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
【化68】
【化69】
【化70】
【化71】
の化合物によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、光学異性体もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、水和物、あるいはそれらの任意の組合せ。
【請求項2】
NTDでの代替結合ドメインを介するARへの結合、AR-スプライスバリアント(AR-SV)分解活性、完全長(AR-FL)分解活性、AR-SV阻害活性、AR-FL阻害活性、またはAR標的臓器のin vivoでのAR拮抗作用のうちの少なくとも1つを示す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1に記載のSARD化合物、またはその異性体、光学異性体もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、水和物、あるいはそれらの任意の組合せおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項4】
局所使用のために製剤化されている、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
液剤、ローション剤、軟膏剤、クリーム剤、軟膏剤、リポソーム剤、スプレー剤、ゲル剤、フォーム剤、ローラー状スティック剤、クレンジング用石鹸または棒、エマルション剤、ムース剤、エアロゾル剤、またはシャンプーの形態にある、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
経口使用のために製剤化されている、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
アンドロゲン受容体依存性疾患または状態の処置を必要とする対象においてアンドロゲン受容体依存性疾患または状態を処置する方法であって、前記対象に治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与するステップを含む、方法。
【請求項8】
前記対象における、前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、AR-スプライスバリアント(AR-SV)分解活性、完全長(AR-FL)分解活性、AR-SV阻害活性またはAR-FL阻害活性のうちの少なくとも1つに応答する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、前記対象における乳がんである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記対象が、ARを発現する乳がん、AR-SVを発現する乳がんおよび/またはAR-V7を発現する乳がんを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、前記対象におけるケネディー病である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、前記対象におけるざ瘡である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記ざ瘡が尋常性ざ瘡である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、前記対象における皮脂の過剰産生である、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記皮脂の過剰産生を低下させることにより、脂漏症、脂漏性皮膚炎またはざ瘡のうちの少なくとも1つが処置される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、前記対象における男性型多毛症または脱毛症である、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記脱毛症が、男性ホルモン性脱毛症、円形脱毛症、化学療法に続発する脱毛症、放射線療法に続発する脱毛症、瘢痕化により誘発される脱毛症、またはストレスにより誘発される脱毛症のうちの少なくとも1つである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、前記対象における女性のホルモン疾患または状態である、請求項7に記載の方法。
【請求項19】
女性における前記ホルモン疾患または状態が、性的早熟、月経困難、無月経、多胞性子宮症候群、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮異常出血、早発月経、線維嚢胞性乳腺疾患、子宮の類線維腫、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症、妊娠子癇、早期分娩、月経前症候群または膣乾燥のうちの少なくとも1つである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、前記対象における男性のホルモン疾患または状態である、請求項7に記載の方法。
【請求項21】
男性における前記ホルモン疾患または状態が、性機能亢進症、性欲過剰、性機能障害、女性化乳房、男性における性的早熟、認知および気分の変化、うつ病、脱毛、高アンドロゲン性皮膚障害、前立腺の前がん病変、良性前立腺肥大、前立腺がんおよび/または他のアンドロゲン依存性がんのうちの少なくとも1つである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、前記対象における性的倒錯、性欲過剰またはパラフィリアである、請求項7に記載の方法。
【請求項23】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、前記対象におけるアンドロゲン精神障害である、請求項7に記載の方法。
【請求項24】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、前記対象における男性化である、請求項7に記載の方法。
【請求項25】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、前記対象におけるアンドロゲン非感受性症候群である、請求項7に記載の方法。
【請求項26】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、前記対象におけるARを発現するがんである、請求項7に記載の方法。
【請求項27】
前記ARを発現するがんが、乳がん、精巣がん、部分型アンドロゲン非感受性症候群(PAIS)に関連するがん、例えば、性腺腫瘍および精上皮腫、子宮がん、卵巣がん、卵管もしくは腹膜のがん、唾液腺がん、膀胱がん、泌尿生殖器がん、脳がん、皮膚がん、リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝臓がん、肝細胞癌、腎がん、腎細胞癌、骨肉腫、膵臓がん、子宮内膜がん、肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、胃がん、結腸がん、肛門周囲腺腫、または中枢神経系のがんのうちの少なくとも1つである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、前記対象における筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、請求項7に記載の方法。
【請求項29】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、前記対象における子宮筋腫である、請求項7に記載の方法。
【請求項30】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、前記対象における腹部大動脈瘤(AAA)である、請求項7に記載の方法。
【請求項31】
前記アンドロゲン受容体依存性疾患または状態が、対象において、ポリグルタミン(polyQ)AR多型によって引き起こされる、請求項7に記載の方法。
【請求項32】
前記polyQ-ARが、短いpolyQ多型または長いpolyQ多型である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記polyQ-ARが、短いpolyQ多型であり、前記方法により、皮膚疾患がさらに処置される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記皮膚疾患が、脱毛症、脂漏症、脂漏性皮膚炎またはざ瘡のうちの少なくとも1つである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記polyQ-ARが、長いpolyQ多型であり、前記方法により、ケネディー病がさらに処置される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前立腺がん(PCa)に罹患している男性対象の前立腺がんを処置するかまたは前記対象の生存を増大する方法であって、前記対象に、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその異性体、光学異性体もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、水和物、あるいはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む、方法。
【請求項37】
前記前立腺がんが、進行前立腺がん、不応性前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)、転移性CRPC(mCRPC)、非転移性CRPC(nmCRPC)または高リスクnmCRPCのうちの少なくとも1つである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
アンドロゲン遮断療法(ADT)を行うステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記前立腺がんが、アンドロゲン受容体アンタゴニストによる処置に抵抗性である、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記アンドロゲン受容体アンタゴニストが、ダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、アビラテロン、EPI-001、EPI-506、AZD-3514、ガレテロン、ASC-J9、フルタミド、ヒドロキシフルタミド、ニルタミド、酢酸シプロテロン、ケトコナゾールまたはスピロノラクトンのうちの少なくとも1つである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
対象における、ダロルタミド抵抗性前立腺がんを処置する方法であって、前記対象に、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその異性体、光学異性体もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、水和物、あるいはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む、方法。
【請求項42】
対象における、エンザルタミド抵抗性前立腺がんを処置する方法であって、前記対象に、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその異性体、光学異性体もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、水和物、あるいはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む、方法。
【請求項43】
対象における、アパルタミド抵抗性前立腺がんを処置する方法であって、前記対象に、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその異性体、光学異性体もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、水和物、あるいはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む、方法。
【請求項44】
アビラテロン抵抗性前立腺がんを処置する方法であって、対象に、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその異性体、光学異性体もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、水和物、あるいはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む、方法。
【請求項45】
対象における、トリプルネガティブ乳がんを処置する方法であって、前記対象に、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその異性体、光学異性体もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、水和物、あるいはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む、方法。
【請求項46】
対象における、AR-スプライスバリアントのレベルを低下させる方法であって、前記対象に、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその異性体、光学異性体もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、水和物、あるいはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む、方法。
【請求項47】
前記対象における、AR完全長(AR-FL)のレベルをさらに低下させる、請求項46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利に関する記述
本発明は、米国国立がん研究所によって付与されたR01 CA229164の元、連邦政府の支援によりなされたものであった。連邦政府は、本発明において、一定の権利を有する。
【0002】
発明の分野
本発明は、対象における、複素環式環を含む選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、ならびに医薬組成物、ならびに前立腺がん、進行前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、トリプルネガティブ乳がん、アンドロゲン受容体を発現する他のがん、男性ホルモン性脱毛症または他の高アンドロゲン性皮膚疾患、ケネディー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、腹部大動脈瘤(AAA)および子宮筋腫の処置におけるそれらの使用、ならびに病原性または抵抗性変異を含むアンドロゲン受容体-完全長(AR-FL)、AR-スプライスバリアント(AR-SV)、およびARの病原性ポリグルタミン(polyQ)多型のレベルを低下させる方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
前立腺がん(PCa)は、米国において男性の間で最も高い頻度で診断される非皮膚がんのうちの1つであり、米国では、毎年200,000件を超える新規症例および30,000件を超える死亡を伴う、二番目に一般的ながん死亡の原因となっている。PCaの治療剤の市場は、世界で年率15~20%で成長している。
【0004】
アンドロゲン遮断療法(ADT)は、進行PCaの標準処置である。進行前立腺がんを有する患者は、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、LHRHアンタゴニスト、または両側精巣摘除術のいずれかによってADTを受ける。ADTに初期応答があるにもかかわらず、疾患進行は不可避であり、がんは、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)として現れる。放射線照射または手術による一次処置を受ける前立腺がんを有する患者の最大で30%が、一次処置の10年以内に転移性疾患を発症する。年間、約50,000名の患者が、転移性CRPC(mCRPC)と呼ばれる転移性疾患を発症する。
【0005】
CRPCを有する患者は、12~18か月のメジアン生存を有する。CRPCは、去勢抵抗性であるが、継続的成長のためには、依然としてアンドロゲン受容体(AR)シグナル伝達軸に依存している。CRPC再出現の主な理由は、1)細胞内分泌アンドロゲン合成、2)例えば、リガンド結合ドメイン(LBD)が欠如しているARスプライスバリアント(AR-SV)、3)ARアンタゴニストに抵抗する能力を有するAR-LBD変異(すなわち、ARアンタゴニストによる阻害に感受性のない変異体。また一部の場合、ARアンタゴニストは、これらのLBD変異を有するARのアゴニストとして作用する)、および4)腫瘍内のAR遺伝子の増幅などの代替機構によるARの再活性化である。CRPCの処置における進歩への重大な障壁は、LBDを介して作用するダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミドおよびアビラテロンなどのARシグナル伝達阻害剤が、最もよく知られているAR-SVであるAR-V7などの、N末端ドメイン(NTD)依存性の構成的活性型AR-SVによって推進される成長を阻害することができないことである。CRPC患者においてエンザルタミドおよびアビラテロンを用いる最近の影響力の高い臨床試験により、エンザルタミド(Xtandi)または酢酸アビラテロン(Zytiga)による処置を開始した202名の患者のうち、AR-V7陽性患者の13.9%しか、上記処置のいずれかに対してPSA応答を有さないことが実証され(Antonarakis ES, et al. J. Clin. Oncol. 2017 April 6. doi: 10.1200/JCO.2016.70.1961)、AR-SVを標的する次世代ARアンタゴニストを必要とすることを示している。さらに、かなり多くのCRPC患者は、アビラテロンまたはエンザルタミドおよびアパルタミドおよびダロルタミドに不応性となり、これは、次世代ARアンタゴニストの必要性を強調するものである。
【0006】
現在の証拠により、CRPCの成長は、AR-V7などのLBDが欠如しているAR-SVを含む構成的活性型ARに依存しており、したがって、従来のアンタゴニストによって阻害することができないことが実証されている。AR LBDとは異なるドメインへの結合によるARの阻害および分解は、CRPCを管理するための代替戦略を提供する。
【0007】
ARを分解する分子は、成長因子もしくはシグナル伝達経路を介するいずれの偶発的なAR活性化も、または無差別なリガンド依存性活性化も阻止する。さらに、AR-SVの構成的活性化を阻害する分子は、CRPC患者に広範囲の利益をもたらすのに極めて重要である。
【0008】
現在、数種のケモタイプしか、SARD ARN-509、AZD-3514およびASC-J9を含むARを分解することが知られていない。しかし、これらの分子は、それらの結合係数よりもはるかに高い濃度でARを間接的に分解し、かつ上記の分子は、近年において処置抵抗性CRPCが再発する主な理由となっているAR-SVを分解することができない。
【0009】
本発明は、強力(高い効力および完全有効性)かつ選択的にARに結合して(一部の場合、既知のアンタゴニストより良好に結合する;LBDおよび/またはNTDに結合する)、ARに拮抗し、AR完全長(AR-FL)およびAR-SVを分解する、固有の薬理学を有する新規ARアンタゴニストを記載する。選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物は、デュアル分解およびAR-SV阻害機能を有し、したがって、利用可能ないずれのCRPC治療剤とも異なる。これらの新規な選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物は、増殖のためにAR-FLおよびAR-SVに依存するPCa細胞および腫瘍の成長を阻害する。
【0010】
SARDは、いかなる他のアンタゴニストでも処置不可能なCRPCを処置するための新規治療剤として発展する可能性を有する。AR-SVを分解するこの固有の特性は、前立腺がんに対して極めて重要な健康結果を有する。これまでに、一連の合成分子(EPI-001、EPI-506など)ならびにシンコトアミド(sinkotamide)およびグリセロールエーテルであるナフェテノン(Naphetenon)Bなどのいくつかの海洋天然生成物のみが、親和性が低く、かつ受容体を分解することができないが、AR-NTDに結合して、AR機能およびPCa細胞の成長を阻害することが報告されている。本明細書において報告されているSARDはまた、AR-NTDに結合して、NTD駆動型(例えば、リガンド非依存性)AR活性を阻害する。
【0011】
ARとPCaとの間の正の相関関係、および絶対確実性のあるARアンタゴニストがないことは、新規もしくは代替機構および/または結合部位を介してAR機能を阻害し、かつ変更された細胞環境内でのアンタゴニスト活性を引き出すことができる分子が必要であることを強調するものである。
【0012】
ダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミドおよびフルタミドおよびアンドロゲン遮断療法(ADT)などの従来的な抗アンドロゲンは、前立腺がんへの使用が承認されているが、抗アンドロゲンは、様々な他のホルモン依存性がんおよびホルモン非依存性がんに使用することができるという重要な証拠が存在する。例えば、抗アンドロゲンは、乳がん(エンザルタミド;Breast Cancer Res. (2014) 16(1):R7;ClinicalTrials.gov識別子:NCT03004534におけるダロルタミド)、非小細胞肺がん(shRNAi AR)、腎細胞癌(ASC-J9)、性腺腫瘍および精上皮腫などの悪性疾患に関連する部分型アンドロゲン非感受性症候群(PAIS)、進行膵臓がん(World J. Gastroenterology 20(29), 9229)、卵巣、卵管または腹膜のがん、唾液腺のがん(Head and Neck (2016) 38, 724-731;ADTは、ARを発現する再発性/転移性唾液腺がんにおいて試験されており、無増悪生存および全生存エンドポイントに対して利益を有することが裏付けられている)、膀胱がん(Oncotarget 6(30), 29860-29876; Int J. Endocrinol (2015)、論文ID384860)、膵臓がん、リンパ腫(マントル細胞を含む)および肝細胞癌において試験されている。これらのがんにおけるSARDなどの一層強力な抗アンドロゲンの使用は、これおよび他のがんの進行を一層、効果的に処置することができる。他のARを発現するがんは、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん(TNBC))、精巣がん、部分型アンドロゲン非感受性症候群(PAIS)に関連するがん(性腺腫瘍および精上皮腫など)、子宮がん、卵巣がん、卵管もしくは腹膜のがん、唾液腺がん、膀胱がん、泌尿生殖器がん、脳がん、皮膚がん、リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝臓がん、肝細胞癌、腎がん、腎細胞癌、骨肉腫、膵臓がん、子宮内膜がん、肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、胃がん、結腸がん、肛門周囲腺腫、または中枢神経系のがんなどの、SARD処置からやはり利益を受けることがある。
【0013】
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)およびHER2受容体キナーゼの発現が欠如した乳がんのタイプである。したがって、TNBCには、他のタイプの原発性乳がんを処置するために使用される、ホルモンおよびキナーゼの治療標的がない。これに応じて、化学療法が、TNBCに対する最初の薬物療法となることが多い。興味深いことに、ARは、依然としてTNBCにおいて発現されることが多く、化学療法の代替となるホルモン標的化治療剤を提供することができる。ER陽性乳がんでは、ARの活性化は、胸部組織および腫瘍において、ERの作用を制限および/または妨害すると考えられているので、陽性予後指標となる。しかし、ERの非存在下では、ARは、実際に、乳がんの腫瘍の成長を支持する可能性がある。ARの役割は、TNBCでは完全には理解されていないが、本発明者らは、ある特定のTNBCが、LBDを欠くAR-SVのアンドロゲン非依存性活性化、またはAR完全長のアンドロゲン依存性活性化によって支持され得るという証拠を有する。したがって、ダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミドおよび他のLBD指向性の従来のARアンタゴニストは、これらのTNBCのARにおけるAR-SVに拮抗することができないと思われる。しかし、ARのNTD(US2017-0368003の実施例9を参照されたい)における結合部位を介するAR-SV(表1および実施例2を参照されたい)を破壊することが可能な本発明のSARDは、US2017-0368003の実施例8に示されている通り、TNBC患者に由来する異種移植(xenograpft)において観察されるAR-SVを含めたARに拮抗して、抗腫瘍作用を提供することができると思われる。
【0014】
ビカルタミドおよびフルタミドなどの従来の抗アンドロゲンは、前立腺がんにおける使用が承認された。後続の研究により、男性ホルモン性脱毛症(男性型禿頭症)、尋常性ざ瘡および男性型多毛症(例えば、女性の顔の毛におけるもの)などのアンドロゲン依存性皮膚状態における抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、スピロノラクトン、酢酸シプロテロン、フィナステリドおよび酢酸クロルマジノン)の有用性が実証されている。思春期前去勢により、皮脂産生および男性ホルモン性脱毛症が予防されるが、これはテストステロンの使用によって逆転させることができ、そのアンドロゲン依存性が示唆されている。
【0015】
AR遺伝子は、エクソン1内のグルタミンリピート(polyQ)の多型を有しており、これが短縮されると、ARトランス活性化が増大し得る(すなわち、高アンドロゲン症)。短縮されたpolyQの多型は、脱毛症、男性型多毛症およびざ瘡を有するヒトにおいて、一層一般的であることが見出されている。皮膚への投与による従来の抗アンドロゲンは無効であり、それらの長期全身性使用は、女性化乳房および勃起不全などの有害な性的影響のリスクを高めるので、従来の抗アンドロゲンは、これらの目的には望ましくない。さらに、上で議論したCPRCと同様に、ARは、内在性アンドロゲンであるテストステロン(T)およびジヒドロテストステロン(DHT)以外の様々な細胞因子(成長因子、キナーゼ、コアクチベーターの過剰発現および/または他のホルモン(例えば、エストロゲンまたはグルココルチコイド)による無差別な活性化など)によって活性化され得るので、リガンド依存性AR活性単独の阻害は十分でないことがある。結果として、従来の抗アンドロゲンを用いるTおよびDHTのARへの結合の遮断は、所望の有効性を有するには十分ではないことがある。
【0016】
新たに出現しつつある概念は、全身性抗アンドロゲン作用をなんら引き起こすことなく、皮膚または他の組織の罹患領域に対して局所的にARを破壊するためのSARDを局所適用することである。この使用のために、皮膚に貫通しない、または急速に代謝されるSARDが好ましいと思われる。
【0017】
皮膚創傷の治癒が、アンドロゲンによって抑制されることが実証されているという知見が、この手法を支持している。マウスの去勢が、皮膚創傷の治癒を加速する一方、創傷における炎症を軽減する。アンドロゲンレベルと皮膚の治癒および炎症との間の負の相関関係により、高レベルの内在性アンドロゲンが、高アンドロゲン性皮膚状態を悪化させる別の機構が、部分的に説明される。さらに、上記の相関関係により、糖尿病性潰瘍もしくはさらには外傷などの創傷、またはざ瘡もしくは乾癬などの炎症性構成成分を有する皮膚障害の、局所SARDによる処置に関する理論的根拠が提示される。
【0018】
男性ホルモン性脱毛症は、中年までに白人男性の約50%、および80歳までに最大で90%に起こる。ミノキシジル(局所血管拡張剤)およびフィナステリド(全身性5アルファレダクターゼII型阻害剤)が、脱毛症に対してFDA承認されているが、治療効果が生じるには4~12か月の処置を必要とし、30~60%において軽度~中程度の毛髪再成長を伴い、大半において脱毛を止めるに過ぎない。現在、利用可能な処置は、個体間で幅広く異なり、望ましくない性的副作用を生じる、ゆっくりとした限定的な有効性を有するので、男性ホルモン性脱毛症および他の高アンドロゲン性皮膚疾患を処置するための新規手法を見出すことが重要である。
【0019】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位運動ニューロンおよび下位運動ニューロンの選択的喪失、ならびに筋骨格萎縮を特徴とする、致死性の神経変性疾患である。疫学的および実験的証拠により、ALS病因へのアンドロゲンの関与が示唆されているが("Anabolic/androgenic steroid nandrolone exacerbates gene expression modifications induced by mutant SOD1 in muscles of mice models of amyotrophic lateral sclerosis." Galbiati M, et al. Pharmacol. Res. 2012, 65(2), 221-230)、アンドロゲンがALS表現型を改変する機構は不明である。ALSのトランスジェニック動物モデルにより、去勢手術(すなわち、アンドロゲンの消失)をすると、生存が改善されることが実証された。アンドロゲンアゴニストであるデカン酸ナンドロロンによるこのような去勢された動物の処置により、疾患症状発現は悪化した。去勢によりARレベルが低下し、これが、生存の延長の理由となる可能性がある。この生存利益は、アンドロゲンアゴニストによって逆転される("Androgens affect muscle, motor neuron, and survival in a mouse model of SOD1-related amyotrophic lateral sclerosis." Aggarwal T, et al. Neurobiol. Aging. 2014 35(8), 1929-1938)。とりわけ、デカン酸ナンドロロンによる刺激によって、ドデシル硫酸ナトリウムに不溶な生化学的複合体への内在性アンドロゲン受容体の動員が促進された。これは、タンパク質凝集と一致する知見である。全体として、これらの結果は、アンドロゲン受容体ホメオスタシスの調節異常による、ALS病因の改変因子としてのアンドロゲンの役割を明確にした。抗アンドロゲンは、ウンデカン酸ナンドロロンまたは内在性アンドロゲンの作用を遮断し、AR凝集による毒性を逆転させるはずである。さらに、LBD依存性ARアゴニストの作用を遮断して、本発明のSARDなどの、ARタンパク質レベルを同時に低下させることができる抗アンドロゲンは、ALSにおいて治療的であると思われる。リルゾールは、ALS処置に利用可能な薬物であるが、それは、短期間作用しか提供しない。ALS患者の生存を延長する薬物が直ちに必要とされている。
【0020】
アンドロゲン受容体の作用により、子宮増殖が促進される。短いpolyQ ARのアンドロゲン過剰は、平滑筋腫または子宮筋腫の増大と関連している(Hsieh YY, et al. J. Assist. Reprod. Genet. 2004, 21(12), 453-457)。ブラジル人女性のこれとは別の研究により、ARのより短いおよびより長い[CAG](n)リピートアレルは、その研究では、平滑筋腫の群に限定されことが見出された(Rosa FE, et al. Clin. Chem. Lab. Med. 2008, 46(6), 814-823)。同様に、アジア系のインド人女性では、長いpolyQ ARは、子宮内膜症および平滑筋腫に関連しており、高リスクマーカーとして見なすことができる。SARDは、子宮筋腫を有する女性、とりわけ、より短いおよびより長い[CAG](n)リピートアレルを発現する女性において、既存の子宮筋腫を処置する、類線維腫の悪化を阻止する、および/または類線維腫に関連する発癌性を改善するために使用することができる。
【0021】
腹部大動脈瘤(AAA)は、身体に血液を供給する主要血管である大動脈の下部部分における拡大した領域である。ほぼ散水用ホースの厚さをしている大動脈は、心臓から胸部および腹部の中心部まで走る。大動脈は、身体の、血液の主な供給源となるので、破裂性腹部大動脈瘤は、生命を脅かす出血を引き起こす恐れがある。腹部大動脈瘤が成長するサイズおよび速度に応じて、処置は、経過観察から緊急手術まで様々となり得る。腹部大動脈瘤が一旦、発見されると、医師は、これを入念にモニタリングし、その結果、必要な場合、手術が計画され得る。破裂性腹部大動脈瘤の緊急手術は、危険度が高い恐れがある。AR遮断(薬理学的または遺伝的)は、AAAを低減する。Davisら(Davis JP, et al. J Vasc Surg (2016) 63(6):1602-1612)は、フルタミド(50mg/kg)またはケトコナゾール(150mg/kg)は、ブタの膵臓エラスターゼ(0.35U/mL)により誘発されたAAAを、ビヒクル(121%)に比べて、84.2%および91.5%、弱化することを示した。さらに、AR -/- マウスは、野性型に比べると、AAA成長を弱化(64.4%)させることを示した(どちらもエステラーゼ処置されている)。こうして、AAAに罹患している患者にSARDを投与すると、手術が必要になる点までAAAを逆転させる、処置する、またはその進行を遅延させる一助となり得る。
【0022】
X連鎖球脊髄性筋萎縮症(X-linked spinal-bulbar muscular atrophy)(SBMA、ケネディー病としても知られている)は、X染色体上のアンドロゲン受容体遺伝子中の欠陥から生じる筋萎縮症である。四肢近位および球筋力低下により、一部の場合、車椅子への依存を含む身体的制約がもたらされる。この変異は、アンドロゲン受容体(polyQ AR)のN末端ドメインに付加した、突出したポリグルタミントラクトをもたらす。内在性アンドロゲン(テストステロンおよびDHT)によるこの延びたpolyQ ARの結合および活性化によって、変異体アンドロゲン受容体のアンフォールディングおよび核トランスロケーションがもたらされる。アンドロゲン誘発性毒性、およびpolyQ ARタンパク質のアンドロゲン依存性の核への蓄積が、病因の中心のように思われる。したがって、アンドロゲンにより活性化されるpolyQ ARの阻害は、治療選択肢になり得る(A. Baniahmad. Inhibition of the androgen receptor by antiandrogens in spinobulbar muscle atrophy. J. Mol. Neurosci.2016 58(3), 343-347)。これらの段階が病因に必要であり、トランス活性化機能の部分的喪失(すなわち、アンドロゲン非感受性)および理解が不十分な神経筋変性をもたらす。抗アンドロゲンの使用を支持するものは、抗アンドロゲンであるフルタミドが、球脊髄性筋委縮症の3つのモデルにおいて、アンドロゲン依存性毒性から雄マウスを防御するという報告に起因している(Renier KJ, et al. Endocrinology 2014, 155(7), 2624-2634)。現在、疾患修飾処置は存在せず、むしろ、症状指向処置しか存在しない。細胞機構を利用してその分解を促進することによって、すなわち、SARDの使用を通じて、ケネディー病のpolyQ ARを毒性の近位メディエーターとして標的にする取り組みは、治療的介入にとって有望である。本明細書において報告されるものなどの選択的アンドロゲン受容体分解剤は、試験されたアンドロゲン受容体のすべて(完全長、スプライスバリアント、抗アンドロゲン抵抗性変異体など)に結合して、これを分解し、したがって、polyQ AR多型の分解が同様に期待され、上記のアンドロゲン受容体は、SBMAの処置のための有望な道筋であることを示している。
本明細書において、選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物であって、LBD、ならびに/またはNTDに位置する代替結合および分解ドメイン(BDD)に結合し、ARに拮抗し、ARを分解することができ、これによって、リガンド依存性およびリガンド非依存性AR活性を遮断する選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物が記載される。この新規な機構によって、全身(例えば、前立腺がんの場合)または局所(例えば、皮膚疾患)に投与されると、有効性の改善が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0368003号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
発明の要約
本発明の一実施形態は、選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物であって、以下の構造の化合物:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
によって表される、SARD化合物、あるいはその異性体、光学異性体、もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物またはそれらの任意の組合せを包含する。
【0025】
本発明の一実施形態は、以下の特性:NTDにおける代替結合ドメインを介してARに結合すること、ARリガンド結合ドメイン(LBD)を介してARに結合すること、AR-スプライスバリアント(AR-SV)分解活性を示すこと、その病原性変異を含む、AR完全長(AR-FL)分解活性を示すこと、AR-SV阻害活性を示すこと(すなわち、AR-SVアンタゴニストである)、その病原性変異を含む、AR-FL阻害活性を示すこと(すなわち、AR-FLアンタゴニストである)、デュアルAR-SV分解およびAR-SV阻害機能、デュアルAR-FL分解およびAR-FL阻害機能ならびに/またはAR標的臓器のin vivoでのAR拮抗作用を有することのうちの少なくとも1つを有するSARD化合物を包含する。
【0026】
本発明の別の実施形態は、本発明によるSARD化合物、あるいはその異性体、光学異性体、もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物またはそれらの任意の組合せ、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を包含する。本医薬組成物は、局所使用のために製剤化されてもよい。局所医薬組成物は、液剤、ローション剤、軟膏剤(salve)、クリーム剤、軟膏剤(ointment)、リポソーム剤、スプレー剤、ゲル剤、フォーム剤、ローラー状スティック剤(roller stick)、クレンジング用石鹸または棒、エマルション剤、ムース剤(mousse)、エアロゾル剤、またはシャンプーとすることができる。本医薬組成物は、経口使用のために製剤化されてもよい。
【0027】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における、アンドロゲン受容体依存性疾患もしくは状態、またはアンドロゲン依存性疾患もしくは状態を処置する方法であって、対象に、治療有効量の本明細書に記載されている本発明の化合物を投与するステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、「アンドロゲン受容体依存性疾患または状態」とは、身体におけるアンドロゲン活性またはAR軸の活性化に一部または全体が依存する、またはそれらの存在に感受性が高い医学的状態のことである。一実施形態では、アンドロゲン依存性疾患または状態は、アンドロゲン受容体依存性疾患または状態と互換的に使用される。
【0028】
一実施形態では、アンドロゲン受容体依存性疾患または状態は、AR-スプライスバリアント(AR-SV)分解活性、完全長(AR-FL)分解活性、AR-SV阻害活性またはAR-FL阻害活性のうちの少なくとも1つに応答する。
【0029】
本発明は、処置を必要とする男性対象における、前立腺がん(PCa)を処置する方法または生存を増大する方法であって、対象に、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094によって定義されている治療有効量の化合物を投与するステップを含む、方法を包含する。前立腺がんには、以下に限定されないが、進行前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)、転移性CRPC(mCRPC)、非転移性CRPC(nmCRPC)、高リスクnmCRPCまたはそれらの任意の組合せが含まれる。本発明の別の実施形態は、アンドロゲン遮断療法(ADT)を実施するステップをさらに含む方法を包含する。代替的に、本方法により、公知のアンドロゲン受容体アンタゴニストまたはADTによる処置に抵抗性の前立腺がんまたは他のがんが処置され得る。別の実施形態では、本方法により、エンザルタミド抵抗性前立腺がんが処置され得る。別の実施形態では、本方法により、アパルタミド抵抗性前立腺がんが処置され得る。別の実施形態では、本方法により、アビラテロン抵抗性前立腺がんが処置され得る。別の実施形態では、本方法により、ダロルタミド抵抗性前立腺がんが処置され得る。本発明のさらに別の実施形態は、本発明のSARD化合物により、前立腺がんまたは他のARアンタゴニスト抵抗性がんを処置する方法であって、アンドロゲン受容体アンタゴニストが、ダロルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、ビカルタミド、アビラテロン、EPI-001、EPI-506、AZD-3514、ガレテロン、ASC-J9、フルタミド、ヒドロキシフルタミド、ニルタミド、酢酸シプロテロン、ケトコナゾールまたはスピロノラクトンのうちの少なくとも1つである、方法を包含する。
【0030】
一部の実施形態では、前立腺がんは、グルココルチコイド受容体(GR)を過剰発現するARアンタゴニスト抵抗性前立腺がんである。一部の実施形態では、GRの活性化は、前立腺がんの成長に対する支持を提供する、および/または前立腺がんに対して抗アンドロゲン抵抗性を付与する。一部の実施形態では、本発明のSARDは、抗アンドロゲン抵抗性があるか否かにかかわらず、GR依存性前立腺がんまたはGRを過剰発現する前立腺がんを処置するために使用することができる。一部の実施形態では、本発明のSARDは、抗アンドロゲン抵抗性があるか否かにかかわらず、PR依存性前立腺がんまたはPRを過剰発現する前立腺がんを処置するために使用することができる。一部の実施形態では、GRおよび/またはPRの活性化は、本発明のSARDの使用によって予防可能または処置可能な、AR軸の再活性化をもたらす。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態は、本発明のSARD化合物を使用する、前立腺がんまたは他のARを発現するがんを処置する方法であって、他のがんが、乳がん(トリプルネガティブ乳がん(TNBC)など)、精巣がん、部分型アンドロゲン非感受性症候群(PAIS)に関連するがん(性腺腫瘍および精上皮腫など)、子宮がん、卵巣がん、卵管もしくは腹膜のがん、唾液腺がん、膀胱がん、泌尿生殖器がん、脳がん、皮膚がん、リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝臓がん、肝細胞癌、腎がん、腎細胞癌、骨肉腫、膵臓がん、子宮内膜がん、肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、胃がん、結腸がん、肛門周囲腺腫、または中枢神経系のがんから選択される、方法を包含する。別の実施形態では、乳がんは、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)である。
【0032】
本発明は、対象における、AR-スプライスバリアントのレベルを低下させる方法であって、対象に、治療有効量の本発明の化合物、あるいはその異性体、光学異性体、もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物またはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む、方法を包含する。本方法は、対象におけるAR完全長のレベルをさらに低下させるステップを含むことができる。
【0033】
本発明の別の実施形態は、対象におけるケネディー病を処置する方法であって、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を対象に投与するステップを含む、方法を包含する。
【0034】
本発明のさらに別の実施形態は、本発明の化合物またはその医薬組成物を投与することによる、(a)対象における、ざ瘡、例えば尋常性ざ瘡を処置する、(b)対象における皮脂産生を低下させる、例えば、脂漏(sehorrhea)、脂漏性皮膚炎またはざ瘡を処置する、(c)対象における男性型多毛症、例えば女性の顔の毛を処置する、(d)対象における脱毛症、例えば、男性ホルモン性脱毛症、円形脱毛症、化学療法に続発する脱毛症、放射線療法に続発する脱毛症、瘢痕化により誘発される脱毛症、またはストレスにより誘発される脱毛症を処置する、(e)女性におけるホルモン状態、例えば、性的早熟、思春期早発、月経困難、無月経、多胞性子宮症候群(multilocular uterus syndrome)、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮異常出血、早発月経、線維嚢胞性乳腺疾患、子宮の類線維腫、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症、妊娠子癇、早期分娩、月経前症候群または膣乾燥を処置する、(f)対象における性的倒錯、性欲過剰またはパラフィリアを処置する、(g)対象におけるアンドロゲン精神障害(androgen psychosis)を処置する、(h)対象における男性化を処置する、(i)対象における、完全型または部分型アンドロゲン非感受性症候群を処置する、(j)動物における排卵を増大させるまたはモジュレートする、(k)対象におけるがんを処置する方法、またはそれらのいずれかの組合せを包含する。
【0035】
本発明の一実施形態は、対象における、ポリグルタミン(polyQ)AR多型のレベルを低下させる方法であって、本発明による化合物を投与するステップを含む、方法を包含する。本方法は、ポリグルタミン(polyQ)AR多型(polyQ-AR)の機能を阻害する、ポリグルタミン(polyQ)AR多型(polyQ-AR)を分解する、またはその両方を行うことができる。polyQ-ARは、短いpolyQ多型または長いpolyQ多型とすることができる。polyQ-ARが、短いpolyQ多型である場合、本方法により、皮膚疾患がさらに処置される。polyQ-ARが、長いpolyQ多型である場合、本方法により、ケネディー病がさらに処置される。
【0036】
本発明の別の実施形態は、対象において、治療有効量の本発明の化合物、あるいはその異性体、光学異性体、もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物またはそれらの任意の組合せ、あるいはその医薬組成物を投与することによる、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を処置する方法を包含する。
【0037】
本発明の別の実施形態は、対象において、治療有効量の本発明の化合物、あるいはその異性体、光学異性体、もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物またはそれらの任意の組合せ、あるいはその医薬組成物を投与することによる、腹部大動脈瘤(AAA)を処置する方法を包含する。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態は、対象において、治療有効量の本発明の化合物、あるいはその異性体、光学異性体、もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物またはそれらの任意の組合せ、あるいはその医薬組成物を投与することによる、子宮筋腫を処置する方法を包含する。
【0039】
さらに別の態様では、本発明は、それを必要とする男性において、ホルモン状態を処置する、抑制する、その出現率を低下させる、その重症度を軽減する、またはその進行を阻害する方法であって、対象に、治療有効量の本発明の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物を投与するステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、本発明の方法における状態は、性機能亢進症、性欲過剰、性機能障害、女性化乳房、男性における性的早熟、認知および気分の変化、うつ病、脱毛、高アンドロゲン性皮膚障害、前立腺の前がん病変、良性前立腺肥大、前立腺がんおよび/または他のアンドロゲン依存性がんである。
【0040】
例示を単純および明確にするため、図面中に示されている要素は、必ずしも縮尺通りに図示されていないことが理解されよう。例えば、要素の一部の寸法は、明確にするため、他の要素に比べて、誇大されていることがある。さらに、適切と考えられる場合、対応する要素または類似の要素を表示するために、参照番号が図面中に繰り返されることがある。
【0041】
本発明として見なされる主題は、具体的に指摘され、本明細書の結論部分において明白に主張される。しかし、本発明は、組織化および操作方法の両方に関して、その目的、特徴および利点と併せて、添付の図面と共に一読した場合、以下の発明を実施するための形態を参照することにより、最良に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、化合物48により、化合物30および15に比べて、wtAR阻害効力が2~4倍、予想外なことに改善されたことを図示する。
【0043】
【
図2】
図2は、49(3-ホルミル)のwtAR阻害効力は、3-メチル(31)、3-カルボン酸(15)および3-COOEt(30)に比べて改善されたことを図示する。
【0044】
【
図3】
図3は、11または31にオキシムを導入して50を生成すると、それぞれ、3倍および15倍、予想外なことに効力が増強されたことを図示する。
【0045】
【
図4】
図4は、予想外なことに、3-F(44)基および3-Cl(45)基を3-CN(54)で置き換えると、in vitroでの効力が、それぞれ10倍および15倍、増強されたことを図示する。
【0046】
【
図5】
図5は、47にオキシムを導入して55を生成することが許容され、in vitroで等価な効力を生じることを図示している。
【0047】
【
図6】
図6は、3-COOH(15)、3-F(44)、3-COOH(15)および3-COOEt(30)を3-NO
2(57)により置き換えると、in vitroでの効力が少なくとも5倍、向上することを図示している。
【0048】
【
図7】
図7A~7Cは、本発明の化合物が、R1881誘発性のwtARトランス活性化を阻害することを図示している。
図7Aは、アゴニストR1881を用いた陽性対照とした。56および54は、エンザルタミド(標準的なLBD標的化剤)と比較した(
図7B)。56は、アゴニスト活性(R1881の非存在下でのアッセイ)を有さなかった(
図7C)。ARトランス活性化方法:COS7細胞は、フェノールレッドを含まないDME+5%csFBS中、40,000細胞/ウェルで24ウェルプレートにプレーティングした。プレーティングして24時間後、これらの細胞に、optiMEM培地中、Lipofectamine試薬を使用して、0.25μg GRE-LUC、0.01μg CMV-LUC、0.025μg CMV-hARをトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を0.1nM R1881の存在下で、本化合物の用量-応答により処理した。処理の24時間後、細胞を回収し、デュアルルシフェラーゼ試薬を使用して、ルシフェラーゼアッセイを行った。ホタル値をウミシイタケの数によって除算し、その値を相対発光単位(RLU)として表す。阻害値は、IC
50値として表す。アゴニスト活性に関すると、細胞をR1881の非存在下で処理した。
【0049】
【
図8】
図8は、エンザルタミドに対する54、50および55のIC
50値を図示する。
【0050】
【
図9】
図9Aおよび9Bは、エンザルタミドに対する化合物54、50および55のIC
50値を図示しており(
図9A)、3つの化合物すべてにアゴニスト活性がないことが実証された(
図9B)。
【0051】
【
図10】
図10は、エンザルタミドに対する49、50および53のIC
50値を図示する。
【0052】
【
図11】
図11は、49が、in vitroでのラット肝臓ミクロソーム(RLM)研究において、in vitroでの安定性で約36分間の半減期を有したことを図示する。
【0053】
【
図12】
図12は、50が、in vitroでのRLM安定性研究において、60分間を超える半減期で安定であったことを図示している。
【0054】
【
図13】
図13は、49が、マウス肝臓ミクロソーム(MLM)研究でのin vitroでの安定性において、RLM中よりもMLM中で安定であり、MLM第II相半減期は、約55分であることを図示している。
【0055】
【
図14】
図14は、1065と比較した、51および1082のARトランス活性化の阻害およびIC
50値を図示する。
【0056】
【
図15】
図15は、1065と比較した、1082および51の別個の実験における、トランス活性化の阻害およびIC
50値を図示する。
【0057】
【
図16】
図16は、1074および1075が、wtARを阻害したことを図示する。
【0058】
【
図17】
図17Aおよび17Bは、1074、1075、1072および1076の顕著なSARD活性を図示する。
図17Aは、LNCaP細胞において、AR FLが分解されたことを実証しており、
図17Bは、AR FLおよびAR SVの両方を発現する22RV1細胞において、AR SVが分解されたことを実証している。
【0059】
【
図18】
図18は、99DのARトランス活性化結果を図示している。
【0060】
【
図19】
図19は、99CのARトランス活性化結果を図示している。
【0061】
【
図20】
図20は、99Aおよび99BのARトランス活性化結果を図示している。
【0062】
【
図21】
図21は、57のARトランス活性化結果を図示している。
【0063】
【
図22】
図22は、99EのARトランス活性化結果を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明の詳細な説明
以下の発明を実施する形態において、多数の特定の詳細が、本発明の完全な理解を実現するために記載されている。しかし、本発明が、これらの特定の詳細説明なしに実施され得ることが、当業者によって理解される。他の例において、周知の方法、手順および構成要素は、本発明を不明瞭にしないよう、詳細に記載されていない。
【0065】
アンドロゲンは、転写因子のステロイド受容体スーパーファミリーのメンバーであるARに結合することによって細胞内で作用する。前立腺がん(PCa)の成長および維持は、循環アンドロゲンによって主に制御されるので、PCaの処置は、ARを標的とする処置法に大きく依存する。受容体活性化を妨害するための、ダロルタミド、エンザルタミド、アビラテロン(間接的ARアンタゴニストであり、他は、LBDに直接結合するARアンタゴニストである)、アパルタミド、ビカルタミドまたはヒドロキシフルタミドなどのARアンタゴニストによる処置は、PCaの成長を低下させるために、過去において首尾よく使用されてきた。現在、利用可能なすべての直接的なARアンタゴニストは、ARに競合的に結合し、NCoRおよびSMRTなどのコリプレッサーを動員して、標的遺伝子の転写を抑制する。しかし、改変された細胞内シグナル伝達、AR変異およびコアクチベーターの発現の増加は、アンタゴニストの機能障害を、またはアンタゴニストのアゴニストへの変換さえももたらす。
【0066】
研究により、AR内のW741およびT877の変異が、ビカルタミドおよびヒドロキシフルタミドをそれぞれアゴニストに変換することが実証された。同様に、増加した細胞内サイトカインは、AR応答性プロモーターに対するコリプレッサーの代わりにコアクチベーターを動員し、続いてビカルタミドをアゴニストに変換する。同様に、エンザルタミド、アパルタミドおよびアビラテロンの抵抗性に関連した変異は、F876、H874、T877、および二変異体T877/S888、T877/D890、F876/T877(すなわち、MR49細胞)、およびH874/T877を含む(Genome Biol. (2016) 17:10 (doi: 10.1186/s13059-015-0864-1))。
【0067】
アビラテロンは、通常、プレドニゾンと組み合わせて処方されるので、アビラテロン抵抗性変異は、プレドニゾンなどのグルココルチコイドによってARの活性化をもたらすL702H変異を含んで、アビラテロンに抵抗性を引き起こす。抵抗性が、エンザルタミドまたはアパルタミドに対して生じる場合、多くの場合、患者は、アビラテロンに対して不応性となり、逆もまたしかりである。または奏効期間は、非常に短い。ダロルタミドはまた、CRPCでは、有効性および作用期間が限定されている。この状況は、進行前立腺がんにおけるAR再活性化を予防する、決定的なアンドロゲン消失治療法の必要性を強調するものである。Aroraらは、Cell 155, 1309-1322において、前立腺がん細胞系(LNCaP/AR)および臨床試料に由来する薬物抵抗性腫瘍の共通した特徴として、グルココルチコイド受容体(GR)発現が誘発されることを報告している。類似しているが、区別可能な一連の標的遺伝子を活性化するためにGRは、ARの代わりになり、抵抗性表現型の維持にとって必要であった。GRアゴニストであるデキサメタゾンは、エンザルタミド(またはアパルタミド)抵抗性を付与するのに十分である一方、GRアンタゴニストは、感受性を回復させた。急性AR阻害は、GR発現のAR媒介性フィードバック抑制が軽減されるので、前立腺がん細胞のサブセットにおいてGRの上方調節をもたらした。これらの知見により、薬物曝露すると、代替核内受容体を介してAR標的遺伝子を推進するようプライミングされた細胞の増殖によるAR遮断からの逃避機構が確立される。一部の場合、本発明のSARDは、強力なARアンタゴニストであることに加え、強力なGRアンタゴニストでもある。したがって、本発明のSARDにより、GR依存性抗アンドロゲン抵抗性の発生が予防されるか、またはGRに依存性の抗アンドロゲン抵抗性前立腺がんが処置される可能性がある。ダロルタミドに抵抗性を付与する、特異的なAR変異またはARバイパス機構は、未だ報告されていないが、ダロルタミドは、AR上の同じLBD標的に結合し、本発明のSARDに対して感受性の抵抗性変異が発生する可能性がある。
【0068】
アンドロゲン遮断療法(ADT)に対する初期応答にもかかわらず、PCa疾患進行は不可避であり、がんは、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)として現れる。去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)が再発生する主な理由は、以下:
(a)細胞内分泌アンドロゲン合成;
(b)例えば、リガンド結合ドメイン(LBD)が欠如したARスプライスバリアント(AR-SV);
(c)アンタゴニストに抵抗する可能性を有するAR-LBD変異;
(d)例えば、AR遺伝子増幅またはAR変異による、低アンドロゲンレベルに対するARの過剰感作;
(e)腫瘍内のAR遺伝子の増幅;および
(f)コアクチベーターの過剰発現、および/または細胞内シグナル伝達の改変
などの代替機構による、アンドロゲン受容体(AR)の再活性化である。
【0069】
本発明は、48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094により包含される新規選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物を包含し、これらは、増殖するために病原性変異および抵抗性変異および野性型を含めたAR完全長(AR-FL)、ならびに/またはARスプライスバリアント(AR-SV)に依存する、前立腺がん(PCa)細胞および腫瘍の成長を阻害する。
【0070】
本明細書で使用する場合、特に定義しない限り、「選択的アンドロゲン受容体分解剤」(SARD)化合物は、増殖するためにAR完全長(AR-FL)および/またはARスプライスバリアント(AR-SV)に依存する、PCa細胞および腫瘍の成長を阻害することが可能なアンドロゲン受容体アンタゴニストである。本SARD化合物は、リガンド結合ドメイン(LBD)に結合しないことがある。代替的に、「選択的アンドロゲン受容体分解剤」(SARD)化合物は、様々な病原性の変異体バリアントARおよび野性型ARの分解を引き起こすことができるアンドロゲン受容体アンタゴニストであって、したがって、本発明において具現化される疾患状態において見出される幅広い変化した病原性細胞環境において、抗アンドロゲン作用を発揮することができる、アンドロゲン受容体アンタゴニストである。一実施形態では、SARDは、経口活性である。別の実施形態では、SARDは、作用部位に局所適用される。
【0071】
本SARD化合物は、ARのN末端ドメイン(NTD)に;ARの代替結合および分解ドメイン(BDD)に;ARリガンド結合ドメイン(LBD)と代替結合および分解ドメイン(BDD)の両方に、またはARのN末端ドメイン(NTD)とリガンド結合ドメイン(LBD)の両方に結合することができる。一実施形態では、BDDは、NTDに位置し得る。一実施形態では、BDDは、NTDのAF-1領域に位置する。代替的に、本SARD化合物は、N末端ドメイン(NTD)依存性の構成的に活性なAR-SVによって推進される成長を阻害すること、またはAR LBDとは区別されるドメインに結合することによりARを阻害することが可能となり得る。同様に、本SARD化合物は、強力な(すなわち、非常に効き目が高く、非常に効果的である)選択的アンドロゲン受容体アンタゴニストとなり得、これは、他の公知のARアンタゴニスト(例えば、ダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミドおよびアビラテロン)よりも強力にARに拮抗する。
【0072】
本SARD化合物は、従来的なアンタゴニストによって阻害され得ない、ARーSVを標的とする選択的アンドロゲン受容体アンタゴニストとすることができる。本SARD化合物は、以下に限定されないが、AR-SV分解活性;AR-FL分解活性;AR-SV阻害活性(すなわち、AR-SVアンタゴニストである);AR-FL阻害活性(すなわち、AR-FLアンタゴニストである);AR-SVの構成的活性化の阻害、またはAR-FLの構成的活性化の阻害を含めた、いくつかの活性のいずれか1つを示すことができる。代替的に、本SARD化合物は、デュアルAR-SV活性およびAR-SV阻害機能、ならびに/またはデュアルAR-FL分解およびAR-FL阻害機能を有することができるか、または代替として、これらの活性の4つすべてを有することができる。
【0073】
本SARD化合物はまた、AR-FLおよびAR-SVを分解することもできる。本SARD化合物は、AR LBDとは区別されるドメインに結合することによって、ARを分解することができる。本SARD化合物は、デュアル分解およびAR-SV阻害機能を有しており、利用可能ないずれのCRPC治療剤とも異なる。本SARD化合物は、細胞内分泌アンドロゲン合成、リガンド結合ドメイン(LBD)が欠如したAR-SVの発現、およびアンタゴニストに抵抗性する能力を有するAR-LBD変異などの代替機構によるARの再活性化を阻害すること、または変化した病原性細胞環境に存在する再活性化されたアンドロゲン受容体を阻害することができる。
【0074】
AR-スプライスバリアントの例には、以下に限定されないが、AR-V7およびARv567es(別名AR-V12;S. Sun, et al. Castration resistance in human prostate cancer is conferred by a frequently occurring androgen receptor splice variant. J Clin Invest. (2010) 120(8), 2715-2730)が含まれる。抗アンドロゲン抵抗性を付与するAR変異の非限定例は、W741L、T877AおよびF876L(J. D. Joseph et al. A clinically relevant androgen receptor mutation confers resistance to second-generation antiandrogens enzalutamide and ARN-509 [apalutamide]. Cancer Discov. (2013) 3(9), 1020-1029)変異である。LBD抵抗性を付与する他の多数の変異が、当分野で公知であり、引き続き発見されている。AR-V7は、LBDが欠如したARのスプライスバリアントである(A. H. Bryce & E. S. Antonarakis. Androgen receptor splice variant 7 in castration-resistant prostate cancer: Clinical considerations. Int J Urol. (2016 June 3) 23(8), 646-53. doi: 10.1111/iju.13134)。AR-V7は、構成的に活性であり、侵襲性PCaおよび内分泌療法に対する抵抗性を担っていることが実証されている。
【0075】
本発明は、代替結合および分解ドメイン(BDD)、例えば、NTDまたはAF-1を介してARに結合する、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の新規な選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物を包含する。本SARDは、ARリガンド結合ドメイン(LBD)にさらに結合することができる。
【0076】
本SARD化合物は、いかなる他のアンタゴニストにより処置することができないCRPCの処置に使用することができる。本SARD化合物により、AR-SVの分解によってCRPCが処置され得る。本SARD化合物は、ARアンタゴニストをアゴニストに通常変換するAR変異体において、それらのアンタゴニスト活性を維持することができる。例えば、本SARD化合物は、AR変異体である、W741L、T877AおよびF876Lに対するそのアンタゴニスト活性を維持する(J. D. Joseph et al. A clinically relevant androgen receptor mutation confers resistance to second-generation antiandrogens enzalutamide and ARN-509 [apalutamide]. Cancer Discov. (2013) 3(9), 1020-1029)。代替的に、本SARD化合物は、LBDを標的とする薬剤が有効ではない、またはNTD依存性AR活性が構成的に活性な、変化した細胞環境内でアンタゴニスト活性を誘発する。代替的に、SARD化合物は、ARとGRのコアンタゴニストとなり、これによって、GRが過剰発現されている、および/またはGRが、AR軸を活性化している抗アンドロゲン抵抗性CRPCに打ち勝つか、またはこれを阻止することができる。代替的に、SARD化合物は、ARとPRのコアンタゴニストとなり、これによって、PRが過剰発現されている、および/またはPRがAR軸を活性化している抗アンドロゲン抵抗性CRPCに打ち勝つか、またはこれを阻止する。
【0077】
選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物
本発明は、以下の構造のうちのいずれか1つ:
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
から選択される、選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物を包含する。
【0078】
一実施形態では、本発明は、本化合物、および/またはその使用、および/またはその誘導体、光学異性体、光学異性体の混合物(ラセミ体を含む)、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬製品、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、多形、結晶、またはそれらの組合せを提供する。
【0079】
一実施形態では、本発明の方法は、本発明の化合物を酸または塩基と反応させることによって生成することができる、本化合物の「薬学的に許容される塩」を使用する。
【0080】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩に変換されてもよい。薬学的に許容される塩は、化合物を酸または塩基と反応させることによって生成することができる。
【0081】
アミンの好適な薬学的に許容される塩は、無機酸または有機酸から調製することができる。アミンの無機塩の例には、以下に限定されないが、硫酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、塩化物、ヘミ硫酸塩、臭化水素酸塩、塩化水素酸塩(hydrochlorate)、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩(ヒドロキシエタンスルホン酸塩)、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、イソチオネート、硝酸塩、過硫酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、スルファニル酸塩、スルホン酸(アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、ハロゲン置換アルキルスルホン酸塩、ハロゲン置換アリールスルホン酸塩)、スルホン酸塩、またはチオシアン酸塩が含まれる。
【0082】
アミンの有機塩の例には、有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)、複素環式、カルボン酸およびスルホン酸のクラスから選択することができ、この例は、酢酸塩、アルギニン、アスパラギン酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アントラニル酸塩、アルゲン酸塩(algenate)、アルカンカルボン酸塩、置換アルカンカルボン酸塩、アルギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、カルボン酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、カルシウムエデト酸塩、カンシル酸塩(camsylate)、炭酸塩、クラブラン酸塩、桂皮酸塩、ジカルボン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシルスルホン酸塩、二塩酸塩、デカン酸塩、エナント酸塩、エタンスルホン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシル酸塩、フマル酸塩、ギ酸塩、フッ化物、ガラクツロン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルセプト酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、グルタル酸塩、グルタミン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、フッ化水素酸塩(hydrofluorate)、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メチレンビス(ベータ-オキシナフトエ酸塩)、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、臭化メチル(methylbromide)、メチル硝酸塩、メチルスルホン酸塩、マレイン酸一カリウム塩、ムチン酸塩、モノカルボン酸塩、硝酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、ナプシル酸塩、N-メチルグルカミン、シュウ酸塩、オクタン酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、ピクリン酸塩、フェニル安息香酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、フタル酸塩、ペクチン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、ピルビン酸塩、キナ酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、ステアリン酸塩、スルファニル酸塩、塩基性酢酸塩(subacetate)、酒石酸塩、テオフィリン酢酸塩、p-トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、トリフルオロ酢酸塩、テレフタル酸塩、タンニン酸塩、テオクル酸塩、トリハロ酢酸塩、トリエチオジド、トリカルボン酸塩、ウンデカン酸塩および吉草酸塩である。カルボン酸またはフェノールの無機塩の例は、アンモニウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選択されてもよい。アルカリ金属には、以下に限定されないが、リチウム、ナトリウム、カリウムまたはセシウムが含まれる。アルカリ土類金属には、以下に限定されないが、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム;亜鉛、バリウム、コリンまたは第四級アンモニウムが含まれる。カルボン酸またはフェノールの有機塩の例は、アルギニン、脂肪族有機アミン、脂環式有機アミン、芳香族有機アミン、ベンザチン、t-ブチルアミン、ベネタミン(N-ベンジルフェネチルアミン)、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ヒドラバミン、イミダゾール、リジン、メチルアミン、メグラミン、N-メチル-D-グルカミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ニコチンアミド、有機アミン、オルニチン、ピリジン、ピコリン、ピペラジン、プロカイン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トロメタミンおよび尿素を含めた有機アミンから選択することができる。
【0083】
様々な実施形態では、本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、HCl塩、シュウ酸塩、L-(+)-酒石酸塩、HBr塩およびコハク酸塩が含まれる。それぞれは、本発明の別個の実施形態となる。
【0084】
塩は、従来の手段によって、例えば、塩が不溶性である溶媒もしくは媒体中、もしくは真空で、もしくは凍結乾燥によって除去される水などの溶媒中、生成物の遊離塩基もしくは遊離酸形態を1当量もしくはそれより多い当量の適切な酸もしくは塩基と反応させることによって、または既存の塩のイオンを別のイオンもしくは好適なイオン交換樹脂と交換することによって形成することができる。
【0085】
本発明の方法は、非荷電化合物、または該化合物の薬学的に許容される塩を使用してもよい。特に、本方法は、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物の薬学的に許容される塩を使用する。薬学的に許容される塩は、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物のアミン塩またはフェノールの塩とすることができる。
【0086】
一実施形態では、本発明の方法は、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の遊離塩基、有機酸、非荷電化合物もしくは非錯体化化合物、および/またはその異性体、光学異性体もしくは光学異性体の任意の混合物、医薬製品、水和物、多形、またはそれらの組合せを使用する。
【0087】
一実施形態では、本発明の方法は、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物の光学異性体を使用する。一実施形態では、本発明の方法は、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物の異性体を使用する。一実施形態では、本発明の方法は、式の化合物の医薬製品を使用する。一実施形態では、本発明の方法は、式の化合物の水和物を使用する。一実施形態では、本発明の方法は、式の化合物の多形を使用する。一実施形態では、本発明の方法は、式の化合物の代謝産物を使用する。別の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載されている式の化合物、または別の実施形態では、式の化合物の異性体、代謝産物、医薬製品、水和物、多形の組合せを含む、組成物を使用する。
【0088】
本明細書で使用する場合、用語「異性体」は、以下に限定されないが、光学異性体、構造異性体または配座異性体を含む。
【0089】
用語「異性体」は、本SARD化合物の光学異性体を包含することが意図されている。本発明のSARDは、少なくとも1個のキラル中心を含有することが当業者によって理解される。したがって、本化合物は、光学的に活性な形態((R)異性体または(S)異性体など)またはラセミ形態として存在することができる。光学的に活性な化合物は、鏡像異性体に富む混合物として存在し得る。一部の化合物はまた、多形を示すことがある。本発明は、ラセミ体、光学活性体、多形体もしくは立体異性体、またはそれらの混合物のいずれかを包含することが理解されるべきである。したがって、本発明は、SARD化合物を純粋な(R)-異性体として、または純粋な(S)-異性体として包含することができる。光学活性体を調製する方法は、当分野で公知である。例えば、再結晶化技法によるラセミ体の分割による、光学活性な出発原料からの合成による、キラル合成による、またはキラル固定相を使用するクロマトグラフィー分離による。
【0090】
本発明の化合物は、該化合物の水和物であってもよい。本明細書で使用する場合、用語「水和物」には、以下に限定されないが、半水和物、一水和物、二水和物または三水和物が含まれる。本発明はまた、本明細書において記載されている化合物のアミノ置換基のN-オキシドの使用を含む。
【0091】
他の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている化合物の代謝産物の使用を提供する。一実施形態では、「代謝産物」は、代謝または代謝過程によって別の物質から生成する任意の物質を意味する。
【0092】
一実施形態では、本発明の化合物は、例えば、実施例1に準拠して、本明細書に記載されている通りに調製される。
【0093】
選択的アンドロゲン受容体分解剤の生物活性
一実施形態では、本発明は、前立腺がん(PCa)に罹患している男性対象の前立腺がんを処置する方法または生存を増大する方法であって、対象に、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物によって表される、治療有効量の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または異性体を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0094】
前立腺がんは、進行前立腺がん、不応性前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)、転移性CRPC(mCRPC)、非転移性CRPC(nmCRPC)、高リスクnmCRPCまたはそれらの任意の組合せとすることができる。
【0095】
前立腺がんは、増殖するため、AR-FLおよび/またはAR-SVに依存することがある。前立腺がんまたは他のがんは、アンドロゲン受容体アンタゴニストによる処置に抵抗性であってもよい。前立腺がんまたは他のがんは、ダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、アビラテロン、EPI-001、EPI-506、AZD-3514、ガレテロン、ASC-J9、フルタミド、ヒドロキシフルタミド、ニルタミド、酢酸シプロテロン、ケトコナゾール、スピロノラクトンまたはそれらの任意の組合せによる処置に抵抗性であってもよい。本方法は、AR、AR-FL、抗アンドロゲン抵抗性を付与するAR-LBD変異を有するAR-FL、AR-SV、遺伝子増幅されたAR、またはそれらの任意の組合せのレベルを低下させることもできる。
【0096】
一実施形態では、本発明は、エンザルタミド抵抗性前立腺がんを処置する方法であって、対象に、治療有効量の本発明の化合物、もしくはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物、またはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む、方法を提供する。
【0097】
一実施形態では、本発明は、アパルタミド抵抗性前立腺がんを処置する方法であって、対象に、治療有効量の本発明の化合物、もしくはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物、またはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む、方法を提供する。
【0098】
一実施形態では、本発明は、アビラテロン抵抗性前立腺がんを処置する方法であって、対象に、治療有効量の本発明の化合物、もしくはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物、またはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む、方法を提供する。
【0099】
本発明は、アパルタミド抵抗性前立腺がん(PCa)に罹患している男性対象のアパルタミド抵抗性前立腺がんを処置する方法もしくはその進行を阻害する方法、または該対象の生存を増大する方法であって、対象に、治療有効量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、化合物が、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物によって表される、方法を包含する。
【0100】
一実施形態では、本発明は、ダロルタミド抵抗性前立腺がんを処置する方法であって、対象に、治療有効量の本発明の化合物、もしくはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物、またはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む、方法を提供する。
【0101】
本発明は、アパルタミド抵抗性前立腺がん(PCa)に罹患している男性対象のダロルタミド抵抗性前立腺がんを処置する方法もしくはその進行を阻害する方法、または該対象の生存を増大する方法であって、対象に、治療有効量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与するステップを含む、化合物が、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物によって表される、方法を包含する。
【0102】
本方法は、対象にアンドロゲン遮断療法を行うステップをさらに含むことができる。
【0103】
一実施形態では、本発明は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)を処置する方法であって、対象に、治療有効量の本発明の化合物、もしくはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物、またはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む、方法を提供する。
【0104】
本方法は、アンドロゲン遮断療法(ADT)またはLHRHアゴニストまたはアンタゴニストなどの第2の治療をさらに含むことができる。LHRHアゴニストには、以下に限定されないが、酢酸リュープロリドが含まれる。
【0105】
本発明は、前立腺(PCa)がんに罹患している男性対象の前立腺がんを処置する方法もしくはその進行を阻害する方法、または該対象の生存を増大する方法であって、対象に、治療有効量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、化合物が、化合物48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094のうちの少なくとも1つである、方法を包含する。
【0106】
本発明は、不応性前立腺がん(PCa)に罹患している男性対象の不応性前立腺がんを処置する方法もしくはその進行を阻害する方法、または該対象の生存を増大する方法であって、対象に、治療有効量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、化合物が、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物によって表される、方法を包含する。
【0107】
本発明は、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)に罹患している男性対象を処置する方法または該対象の生存を増大する方法であって、対象に治療有効量のSARDを投与するステップを含み、化合物が、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物によって表される、方法を包含する。
【0108】
本方法は、対象にアンドロゲン遮断療法を行うステップをさらに含むことができる。
【0109】
本発明は、エンザルタミド抵抗性前立腺がん(PCa)に罹患している男性対象のエンザルタミド抵抗性前立腺がんを処置する方法もしくはその進行を阻害する方法、または該対象の生存を増大する方法であって、対象に、治療有効量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、化合物が、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物によって表される、方法を包含する。
【0110】
本方法は、対象にアンドロゲン遮断療法を行うステップをさらに含むことができる。
【0111】
本発明は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に罹患している女性対象のトリプルネガティブ乳がんを処置する方法もしくはその進行を阻害する方法、または該対象の生存を増大する方法であって、対象に、治療有効量のSARD化合物または薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、化合物が、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物によって表される、方法を包含する。
【0112】
本明細書で使用する場合、用語「生存を増大する」とは、対象の生存を説明する場合、時間が延びることを指す。したがって、この文脈では、本発明の化合物は、進行前立腺がん、不応性前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC);転移性CRPC(mCRPC);非転移性CRPC(nmCRPC);もしくは高リスクnmCRPCを有する男性、またはTNBCを有する女性の生存を増大するために使用することができる。
【0113】
代替的に、本明細書で使用する場合、用語「増大する」、「増大すること」または「増大した」は、互換的に使用されてもよく、次第に大きくなる実体(サイズ、量、数または強度のような)を指し、この場合、例えば、実体は、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)または前立腺特異的抗原(PSA)である。
【0114】
本発明の化合物および組成物は、非転移性前立腺がんに罹患している対象における、無転移生存(MFS)を増大させるために使用され得る。非転移性前立腺がんは、非転移性進行前立腺がん、非転移性CRPC(nmCRPC)または高リスクnmCRPCとすることができる。
【0115】
本明細書に記載されているSARD化合物は、デュアル作用を提供するために使用することができる。例えば、本SARD化合物により前立腺がんが処置され得、転移が予防され得る。前立腺がんは、不応性前立腺がん;進行前立腺がん;去勢抵抗性前立腺がん(CRPC);転移性CRPC(mCRPC);非転移性CRPC(nmCRPC);または高リスクnmCRPCとすることができる。
【0116】
本明細書に記載されているSARD化合物は、デュアル作用を提供するために使用することができる。例えば、本SARD化合物により、TNBCが処置され得、転移が予防され得る。
【0117】
去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)に進行するリスクが高い、進行前立腺がんを有する男性は、20ng/dLより高い血清中総テストステロン濃度でADTを受けている男性、またはADTの開始時に、(1)Gleasonパターンが4または5の前立腺がんであることが確認された、(2)転移性前立腺がん、(3)<3か月のPSA倍加時間、(4)PSA≧20ng/mL、もしくは(5)根治的局所治療法(根治的前立腺切除または放射線療法)後3年未満でのPSA再発のいずれかを有する男性である。
【0118】
前立腺特異的抗原(PSA)の正常なレベルは、とりわけ、男性対象の年齢、およびその前立腺のサイズなどのいくつかの因子に依存する。2.5~10ng/mLの間の範囲のPSAレベルが、「高境界値」と考えられる一方、10ng/mLより高いPSAレベルは、「高い」と考えられる。0.75/年より大きな変化速度または「PSA速度」が、高速であると考えられる。PSAレベルは、継続中のADTもしくはADT歴、外科的去勢にも関わらず、または抗アンドロゲンおよび/またはLHRHアゴニストによる処置にもかかわらず、増大することがある。
【0119】
高リスク非転移性去勢抵抗性前立腺がん(高リスクnmCRPC)を有する男性は、約18か月またはそれ未満の予測される無憎悪生存を有する、迅速なPSA倍加時間を有する男性を含むことができる(Miller K, Moul JW, Gleave M, et al. 2013. "Phase III, randomized, placebo-controlled study of once-daily oral zibotentan (ZD4054) in patients with non-metastatic castration-resistant prostate cancer," Prostate Canc Prost Dis. Feb; 16:187-192)。このような比較的に迅速なそれらの疾患の進行は、これらの個体に対する新規な治療法の重要性を強調するものである。
【0120】
本発明の方法により、高リスクnmCRPCに罹患している、8ng/mLより高いPSAレベルを有する対象が処置され得る。患者集団は、nmCRPCに罹患している対象であって、PSAが、8か月未満または10か月未満に2倍になる、対象を含む。本方法により、高リスクnmCRPCに罹患している対象における、全血清テストステロンレベルが20ng/mLより高い患者集団も処置され得る。一例では、血清中の遊離テストステロンレベルは、高リスクnmCRPCに罹患している対象において、精巣摘除術を受けた男性において観察されるレベルより高い。
【0121】
本発明の医薬組成物は、LHRHアゴニストまたはアンタゴニスト、抗アンドロゲン、抗プログラム死受容体1(抗PD-1)薬または抗PD-L1薬のうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。LHRHアゴニストには、以下に限定されないが、酢酸リュープロリド(Lupron(登録商標))(参照により本明細書に組み込まれている、US5,480,656;US5,575,987;5,631,020;5,643,607;5,716,640;5,814,342;6,036,976)または酢酸ゴセレリン(Zoladex(登録商標))(参照により本明細書に組み込まれているUS7,118,552;7,220,247;7,500,964)が含まれる。LHRHアンタゴニストには、以下に限定されないが、デガレリクスまたはアバレリックスが含まれる。抗アンドロゲンには、以下に限定されないが、ビカルタミド、フルタミド、フィナステリド、デュタステリド、ダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、ニルタミド、クロルマジノン、アビラテロンまたはそれらの任意の組合せが含まれる。抗PD-1薬には、以下に限定されないが、AMP-224、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブおよびAMP-554が含まれる。抗PD-L1薬には、以下に限定されないが、BMS-936559、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブおよびMPDL3280Aが含まれる。抗CTLA-4薬には、以下に限定されないが、イピリムマブおよびトレメリムマブが含まれる。
【0122】
前立腺がん、進行前立腺がん、CRPC、mCRPCおよび/またはnmCRPCの処置は、前立腺がんの関連症状、機能および/または生存の臨床的に有意な改善をもたらすことができる。臨床的に有意な改善は、とりわけ、がんが転移性である場合、X線撮影による無増悪生存(rPFS)の増大、またはがんが非転移性である場合、無転移生存(MFS)の増大によって決定することができる。
【0123】
本発明は、前立腺がん、進行前立腺がん、転移性前立腺がんまたは去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)に罹患している男性対象における、血清中の前立腺特異的抗原(PSA)レベルを低下させる方法であって、治療有効量のSARD化合物を投与するステップを含み、化合物が、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の構造によって表される、方法を包含する。
【0124】
本発明は、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)に罹患している男性対象における、血清中PSAを低下させる二次ホルモン治療の方法であって、去勢抵抗性前立腺がんに罹患している男性対象における血清中PSAを低下させる、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を投与するステップを含む、方法を包含する。
【0125】
本発明は、それを必要とする対象における腫瘍内の、AR、AR完全長(AR-FL)、抗アンドロゲン抵抗性を付与するAR-LBD変異を有するAR-FL、AR-スプライスバリアント(AR-SV)および/またはAR遺伝子の増幅のレベルを低下させる方法であって、腫瘍内のAR、AR完全長(AR-FL)、抗アンドロゲン抵抗性を付与するAR-LBD変異もしくは他のAR変異を有するAR-FL、AR-スプライスバリアント(AR-SV)および/またはAR遺伝子の増幅のレベルを低下させる、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を投与するステップを含む、方法を包含する。
【0126】
本方法は、X線撮影による無増悪生存(rPFS)、また無転移生存(MFS)を増大することができる。
【0127】
対象は、非転移性がんを有すること、アンドロゲン遮断療法(ADT)に成功しなかったこと、精巣摘除術を受けること、または高いもしくは向上している前立腺特異的抗原(PSA)レベルを有することがある。対象は、前立腺がん、進行前立腺がん、不応性前立腺がんを有する患者、CRPC患者、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者または非転移性去勢抵抗性前立腺がん(nmCRPC)患者とすることができる。これらの対象では、不応性は、エンザルタミド抵抗性前立腺がんとすることができる。これらの対象では、nmCRPCは、高リスクnmCRPCとすることができる。さらに、対象は、全Tの去勢レベルの有無にかかわらず、アンドロゲン遮断療法(ADT)を受けていてもよい。
【0128】
対象は、非転移性がんを有すること、アンドロゲン遮断療法(ADT)に成功しなかったこと、精巣摘除術を受けること、または高いもしくは向上している前立腺特異的抗原(PSA)レベルを有することがある。対象は、前立腺がん、進行前立腺がん、不応性前立腺がんを有する患者、CRPC患者、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者または非転移性去勢抵抗性前立腺がん(nmCRPC)患者とすることができる。これらの対象では、不応性PCは、アパルタミド抵抗性前立腺がんとすることができる。これらの対象では、nmCRPCは、高リスクnmCRPCであってもよい。さらに、対象は、全Tの去勢レベルの有無にかかわらず、アンドロゲン遮断療法(ADT)を受けていてもよい。
【0129】
本明細書で使用する場合、語句「去勢抵抗性前立腺がんに罹患している対象」とは、以下:アンドロゲン遮断療法(ADT)により以前に処置されている;ADTに応答し、現在、血清中PSAが、>2ng/mLまたは>2ng/mLを有し、かつADTで達成される底値よりも25%高いことを表す;アンドロゲン遮断療法に維持されているにもかかわらず、血清中PSAが向上していると診断された対象;去勢レベルの血清中の全テストステロン(<50ng/dL)、または去勢レベルの血清中の全テストステロン(<20ng/dL)、のうちの少なくとも1つを有する対象を指す。対象は、少なくとも2週間の間隔で、2回の逐次的な評価に対して、血清中PSAの向上を有すること、ADTにより効果的に処置されていること、またはADTの開始後、血清中のPSA応答歴を有することができる。
【0130】
本明細書で使用する場合、用語「血清中PSAの向上」とは、アンドロゲン遮断療法(ADT)の開始後の、血清中PSAの25%またはそれより大きな上昇、および底値からの2ng/mlまたはそれより大きな絶対的上昇;または血清中PSAが>2ng/mL、または>2ng/mLかつ底値より25%の上昇を指す。用語「底値」とは、患者がADTを受けている間の、最低PSAレベルを指す。
【0131】
用語「血清中PSAの応答」とは、以下:ADTの開始前から血清中PSA値の少なくとも90%の低下、任意の時点における<10ng/mLの検出不可能なレベルの血清中PSA(<0.2ng/mL)、血清中PSAのベースラインからの少なくとも50%の低下、血清中PSAのベースラインからの少なくとも90%の低下、血清中PSAのベースラインからの少なくとも30%の低下、または血清中PSAのベースラインからの少なくとも10%の低下のうちの少なくとも1つを指す。
【0132】
本発明の方法は、ADTの形態と本発明の化合物との組合せを投与するステップを含む。ADTの形態は、LHRHアゴニストを含む。LHRHアゴニストには、以下に限定されないが、酢酸リュープロリド(Lupron(登録商標))(参照により本明細書に組み込まれている、US5,480,656;US5,575,987;5,631,020;5,643,607;5,716,640;5,814,342;6,036,976)または酢酸ゴセレリン(Zoladex(登録商標))(参照により本明細書に組み込まれているUS7,118,552;7,220,247;7,500,964)が含まれる。ADTの形態には、以下に限定されないが、LHRHアンタゴニスト、可逆性抗アンドロゲンまたは両側精巣摘除術が含まれる。LHRHアンタゴニストには、以下に限定されないが、デガレリクスおよびアバレリックスが含まれる。抗アンドロゲンには、以下に限定されないが、ビカルタミド、フルタミド、ヒドロキシフルタミド、フィナステリド、デュタステリド、エンザルタミド、アパルタミド、EPI-001、EPI-506、ダロルタミド、ニルタミド、クロルマジノン、アビラテロンまたはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0133】
本発明の方法は、少なくとも1つの本発明の化合物およびリアーゼ阻害剤(例えば、アビラテロン)を投与するステップを包含する。
【0134】
用語「進行前立腺がん」とは、前立腺に起源があり、精嚢、骨盤リンパ節または骨を含めた周囲組織などの前立腺を越えて、または身体の他の部分へと広く転移した転移性がんを指す。前立腺がんの病理は、悪性度の増加する順に1~5のGleason等級付けにより等級付けされる。進行性疾患および/または前立腺がんに起因する死亡の大きなリスクを有する患者は、その定義に含まれるべきであり、IIBという低い疾患期の前立腺カプセルの外側にがんを有するいかなる患者も、明らかに「進行した」疾患を有する。「進行前立腺がん」は、局所的な進行前立腺がんを指すことができる。同様に、「進行乳がん」とは、胸部に起源があり、胸部を越えて周囲組織、または肝臓、脳、肺もしくは骨などの身体の他の部分へと広く転移した転移性がんを指す。
【0135】
用語「不応性」とは、処置に応答しないがんを指すことができる。例えば、前立腺がんまたは乳がんは、処置の開始時に抵抗性であってもよく、または処置の間に抵抗性になってもよい。「不応性がん」は、本明細書において、「抵抗性がん」と称されてもよい。
【0136】
用語「去勢抵抗性前立腺がん」(CRPC)は、患者が依然としてテストステロンを低下させるADTもしくは他の治療中である間に、悪化または進行する進行前立腺がん、あるいはホルモン不応性、ホルモンナイーブ、アンドロゲン非依存性、または化学的もしくは外科的去勢抵抗性と考えられる前立腺がんを指す。CRPCは、細胞内分泌アンドロゲン合成によるAR活性化、リガンド結合ドメイン(LBD)を欠くARスプライスバリアント(AR-SV)の発現、アンタゴニストに抵抗する能力を有するAR-LBDまたは他のAR変異の発現の結果とすることができる。去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)は、進行中のADTおよび/または外科的去勢があるにもかかわらず、発症した進行前立腺がんである。去勢抵抗性前立腺がんは、前立腺特異的抗原(PSA)の血清中レベルの上昇もしくはより高い血清中レベル、転移、骨転移、疼痛、リンパ節の関与、腫瘍成長のサイズまたはその血清中マーカーの増大、予後の診断マーカーもしくは患者の状態の悪化によって証明される通り、以前の外科的去勢、性腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニスト(例えば、リュープロリド)もしくはアンタゴニスト(例えば、デガレリクスまたはアバレリックス)、抗アンドロゲン(例えば、ビカルタミド、フルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、ケトコナゾール、アミノグルテタミド)、化学療法剤(例えば、ドセタキセル、パクリタキセル、カバジタキセル、アドリアマイシン、ミトキサントロン、エストラムスチン、シクロホスファミド)、キナーゼ阻害剤(イマチニブ(Gleevec(登録商標))もしくはゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、カボザンチニブ(Cometriq(商標)、XL184としても知られている)、または他の前立腺がん療法(例えば、ワクチン(シプリューセル-T(Provenge(登録商標))、GVAXなど)、草本(herbal)(PC-SPES)およびリアーゼ阻害剤(アビラテロン)での継続処置にもかかわらず、進行もしくは悪化し続けるか、または患者の健康に悪影響を及ぼす前立腺がんとして定義される。
【0137】
去勢抵抗性前立腺がんは、ホルモンにナイーブな前立腺がんとして定義されてもよい。去勢抵抗性前立腺がんを有する男性では、腫瘍細胞は、アンドロゲン(男性の性別の特徴の発生および維持を促進するホルモン)の非存在下で成長する能力を有することができる。
【0138】
多数の早期前立腺がんは、成長のためにアンドロゲンを必要とするが、進行前立腺がんは、アンドロゲン非依存性またはホルモンナイーブである。
【0139】
用語「アンドロゲン遮断療法」(ADT)は、精巣摘除術、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アナログの投与、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アンタゴニストの投与、5α-レダクターゼ阻害剤の投与、抗アンドロゲンの投与、テストステロン生合成の阻害剤の投与、エストロゲンの投与、または17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20リアーゼ(CYP17A1)阻害剤の投与を含むことができる。LHRH薬は、睾丸によって産生されたテストステロンの量を低下させる。米国において利用可能なLHRHアナログの例には、リュープロリド(Lupron(登録商標)、Viadur(登録商標)、Eligard(登録商標))、ゴセレリン(Zoladex(登録商標))、トリプトレリン(Trelstar(登録商標))およびヒストレリン(Vantas(登録商標))が含まれる。抗アンドロゲンは、アンドロゲンのいずれかを身体が使用する能力を遮断する。抗アンドロゲン薬の例には、ダロルタミド(Nubeqa(登録商標))、エンザルタミド(Xtandi(登録商標))、アパルタミド(Erleada(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、ビカルタミド(Casodex(登録商標))およびニルタミド(Nilandron(登録商標))が含まれる。黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アンタゴニストには、アバレリックス(Plenaxis(登録商標))またはデガレリクス(Firmagon(登録商標))(進行前立腺がんを処置するため、2008年にFDAによって使用が承認された)が含まれる。5α-レダクターゼ阻害剤は、テストステロンを一層活性なアンドロゲン、5α-ジヒドロテストステロン(DHT)に変換する身体の能力を遮断し、フィナステリド(Proscar(登録商標))およびデュタステリド(Avodart(登録商標))などの薬物を含む。テストステロン生合成の阻害剤は、ケトコナゾール(Nizoral(登録商標))などの薬物を含む。エストロゲンは、ジエチルスチルベストロールまたは17β-エストラジオールを含む。17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20リアーゼ(CYP17A1)阻害剤は、アビラテロン(Zytiga(登録商標))を含む。
【0140】
本発明は、抗アンドロゲン-抵抗性前立腺がんを処置する方法を包含する。抗アンドロゲンは、以下に限定されないが、ビカルタミド、ヒドロキシフルタミド、フルタミド、ダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミドまたはアビラテロンを含むことができる。
【0141】
本発明は、それを必要とする対象における、前立腺がんを処置する方法であって、前記対象が、再配列したAR、ARを過剰発現する前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、去勢感受性前立腺がん、AR-V7を発現する前立腺がんまたはd567ESを発現する前立腺がんを有しており、前記方法が、対象に、治療有効量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物、またはそれらの任意の組合せを投与するステップを含み、前記SARD化合物が、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物のうちの少なくとも1つによって表される、方法を包含する。
【0142】
一実施形態では、去勢抵抗性前立腺がんは、再配列したAR、ARを過剰発現する去勢抵抗性前立腺がん、F876L変異を発現する去勢抵抗性前立腺がん、F876L_T877A二重変異を発現する去勢抵抗性前立腺がん、AR-V7を発現する去勢抵抗性前立腺がん、d567ESを発現する去勢抵抗性前立腺がん、および/または腫瘍内アンドロゲン合成を特徴とする去勢抵抗性前立腺がんである。
【0143】
一実施形態では、去勢感受性前立腺がんは、F876L変異を発現する去勢感受性前立腺がん、F876L_T877A二重変異去勢感受性前立腺がん、および/または腫瘍内アンドロゲン合成を特徴とする去勢感受性前立腺がんである。
【0144】
一実施形態では、去勢感受性前立腺がんの処置は、非去勢背景において、または単剤療法として、または去勢感受性前立腺がんの腫瘍が、ダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミドおよび/またはアビラテロンに抵抗性である場合に行われる。
【0145】
本発明は、それを必要とする対象におけるARを過剰発現する前立腺がんを処置する方法であって、対象に、治療有効量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物、またはそれらの任意の組合せを投与するステップを含み、前記SARD化合物が、化合物48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094のうちの少なくとも1つによって表される、方法を包含する。
【0146】
本発明は、それを必要とする対象における去勢抵抗性前立腺がんを処置する方法であって、対象に、治療有効量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物、またはそれらの任意の組合せを投与するステップを含み、前記SARD化合物が、化合物48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094のうちの少なくとも1つである、方法を包含する。一実施形態では、去勢抵抗性前立腺がんは、再配列したAR、ARを過剰発現する去勢抵抗性前立腺がん、F876L変異を発現する去勢抵抗性前立腺がん、F876L_T877A二重変異を発現する去勢抵抗性前立腺がん、AR-V7を発現する去勢抵抗性前立腺がん、d567ESを発現する去勢抵抗性前立腺がん、および/または腫瘍内アンドロゲン合成を特徴とする去勢抵抗性前立腺がんである。
【0147】
本発明は、それを必要とする対象における去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、対象に、治療有効量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物、またはそれらの任意の組合せを投与するステップを含み、前記SARD化合物が、化合物48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094のうちの少なくとも1つである、方法を包含する。一実施形態では、去勢感受性前立腺がんは、F876L変異を発現する去勢感受性前立腺がん、F876L_T877A二重変異去勢感受性前立腺がん、および/または腫瘍内アンドロゲン合成を特徴とする去勢感受性前立腺がんである。一実施形態では、去勢感受性前立腺がんの処置は、非去勢背景において、または単剤療法として、または去勢感受性前立腺がんの腫瘍が、ダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミドおよび/またはアビラテロンに抵抗性である場合に行われる。
【0148】
本発明は、それを必要とする対象におけるAR-V7を発現する前立腺がんを処置する方法であって、対象に、治療有効量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物、またはそれらの任意の組合せを投与するステップを含み、前記SARD化合物が、化合物48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094のうちの少なくとも1つによって表される、方法を包含する。
【0149】
本発明は、それを必要とする対象におけるd567ESを発現する前立腺がんを処置する方法であって、対象に、治療有効量の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物、またはそれらの任意の組合せを投与するステップを含み、前記SARD化合物が、化合物48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094のうちの少なくとも1つによって表される、方法を包含する。
【0150】
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の処置
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)およびHER2受容体キナーゼの発現が欠如したタイプの乳がんである。したがって、TNBCは、他のタイプの原発性乳がんを処置するために使用される、ホルモンおよびキナーゼの治療標的を欠いている。これに応じて、化学療法が、多くの場合、TNBCに対する最初の薬物療法となる。興味深いことに、ARは、依然としてTNBCにおいて発現されることが多く、化学療法の代替となるホルモン標的化治療剤を提供することができる。ER陽性乳がんでは、ARの活性化は、胸部組織および腫瘍において、ERの作用を制限および/または妨害すると考えられているので、陽性予後指標となる。しかし、ERの非存在下では、ARは、実際に、乳がんの腫瘍の成長を支持することが可能である。ARの役割は、TNBCにおいて完全には理解されていないが、本発明者らは、ある特定のTNBCは、LBDを欠くAR-SVのアンドロゲン非依存性活性化、またはAR完全長のアンドロゲン依存性活性化によって支持され得るという証拠を有する。したがって、ダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミドおよび他のLBD指向性の従来のARアンタゴニストは、これらのTNBCにおけるAR-SVに拮抗することができないと思われる。しかし、ARのNTD(US2017-0368003の実施例9を参照されたい)における結合部位を介して、AR-SVを破壊することが可能な本発明のSARD(表1および実施例2を参照されたい)は、US2017-0368003の実施例8に示されている通り、このようなTNBCにおけるARに拮抗して、抗腫瘍作用を提供することができると思われる。
【0151】
ケネディー病の処置
筋萎縮(MA)は、筋肉の消耗または減損、および筋質量の減少を特徴とする。例えば、ポリオ後MAは、ポリオ後症候群(PPS)の一部として起こる筋消耗である。萎縮には、脆弱、筋肉疲労および疼痛が含まれる。別のタイプのMAは、X連鎖球脊髄性筋萎縮症(SBMA-ケネディー病としても知られる)である。この疾患は、X染色体上のアンドロゲン受容体遺伝子内の欠損から生じ、男性しか罹患せず、その発症は、後期青年期から成人期においてである。四肢近位および球筋力低下により、一部の場合、車椅子への依存を含む身体的制約がもたらされる。この変異は、アンドロゲン受容体(polyQ AR)のN末端ドメインにおいて、伸長ポリグルタミントラクトをもたらす。
【0152】
内在性アンドロゲン(テストステロンおよびDHT)によるpolyQ ARの結合および活性化は、変異体アンドロゲン受容体のアンフォールディングおよび核トランスロケーションをもたらす。アンドロゲン誘発性毒性、およびpolyQ ARタンパク質のアンドロゲン依存性の核への蓄積が、病因の中心のように思われる。したがって、アンドロゲンにより活性化されるpolyQ ARの阻害は、治療選択肢になり得る(A. Baniahmad. Inhibition of the androgen receptor by antiandrogens in spinobulbar muscle atrophy. J. Mol. Neurosci. 2016 58(3), 343-347)。これらの段階が病因に必要であり、トランス活性化機能の部分的喪失(すなわち、アンドロゲン非感受性)および理解が不十分な神経筋変性をもたらす。末梢polyQ ARアンチセンス治療法は、SBMAのマウスモデルでは、疾患をレスキューする(Cell Reports 7, 774-784, May 8, 2014)。抗アンドロゲンの使用をさらに支持するものは、抗アンドロゲンであるフルタミドが、球脊髄性筋委縮症の3種のモデルにおいて、アンドロゲン依存性毒性から雄マウスを防御するという報告に起因している(Renier KJ, et al. Endocrinology 2014, 155(7), 2624-2634)。これらの段階が病因に必要であり、トランス活性化機能の部分的喪失(すなわち、アンドロゲン非感受性)および理解が不十分な神経筋変性をもたらす。現在、疾患修飾処置は存在せず、むしろ症状指向処置しか存在しない。細胞機構を利用してその分解を促進することによってpolyQ ARを毒性の近位メディエーターとして標的とする取り組みが、治療的介入にとって有望である。
【0153】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における、アンドロゲン受容体依存性疾患もしくは状態、またはアンドロゲン依存性疾患もしくは状態を処置する方法であって、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0154】
一実施形態では、アンドロゲン受容体依存性疾患または状態は、AR-スプライスバリアント(AR-SV)分解活性、完全長(AR-FL)分解活性、AR-SV阻害活性またはAR-FL阻害活性のうちの少なくとも1つに応答する。
【0155】
本明細書において報告されているものなどの選択的アンドロゲン受容体分解剤は、現在まで試験されたすべてのアンドロゲン受容体(完全長、スプライスバリアント、抗アンドロゲン抵抗性変異体など)に結合して、トランス活性化を阻害し、すべてのアンドロゲン受容体を分解し、このことは、本選択的アンドロゲン受容体分解剤は、その病因が、SBMAなどのアンドロゲン依存性である疾患の処置にとって有望な道筋となることを示している。
【0156】
本発明は、ケネディー病を処置する方法であって、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を投与するステップを含む、方法を包含する。
【0157】
本明細書で使用する場合、用語「アンドロゲン受容体関連状態」または「アンドロゲン感受性疾患または障害」または「アンドロゲン依存性疾患または障害」とは、アンドロゲン受容体によってモジュレートされる、またはその病因が、アンドロゲン受容体の活性に依存する状態、疾患または障害のことである。アンドロゲン受容体は、身体の大部分の組織において発現されるが、とりわけ前立腺および皮膚において過剰発現される。ADTは、長年にわたり、前立腺がん処置の主軸であり、SARDは、様々な前立腺がん、良性前立腺肥大、前立腺腫大(prostamegaly)、および前立腺の他の病気の処置にも有用となり得る。一実施形態では、「アンドロゲン受容体依存性疾患または状態」とは、一部または全体が、アンドロゲン活性または身体におけるAR軸の活性化の存在に依存する、またはその存在に感受性が高い医学的状態のことである。一実施形態では、アンドロゲン依存性疾患または状態は、アンドロゲン受容体依存性疾患または状態と互換的に使用される。
【0158】
本発明は、良性前立腺肥大症を処置する方法であって、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物のうちの少なくとも1つの化合物を投与するステップを含む、方法を包含する。
【0159】
本発明は、前立腺腫大を処置する方法であって、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物のうちの少なくとも1つの化合物を投与するステップを含む、方法を包含する。
【0160】
本発明は、過剰増殖性前立腺障害および疾患を処置する方法であって、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を投与するステップを含む、方法を包含する。
【0161】
皮膚に及ぼすARの影響は、十代および早期成年に一般的な性二形性および思春期関連性の皮膚科学的問題において明らかである。思春期の高アンドロゲン症は、終末毛髪成長(terminal hair growth)、皮脂産生を刺激し、十代男性のざ瘡、尋常性ざ瘡、脂漏症、過剰皮脂、化膿性汗腺炎、男性型多毛症、多毛症、高有毛症(hyperpilosity)、男性ホルモン性脱毛症、男性型禿頭症、および他の皮膚科学的病気に罹患させやすい。抗アンドロゲンは、理論的に、議論される高アンドロゲン性皮膚科学的疾患を予防するはずであるが、それらは、局所的に適用された場合、毒性、性的副作用および有効性の欠如によって制限される。本発明のSARDは、リガンド依存性およびリガンド非依存性AR活性化を強力に阻害し、(一部の場合では)血清中の短い生物学的半減期を有しており、局所的に製剤化された本発明のSARDは、全身的副作用のリスクなしに、ざ瘡、脂漏性皮膚炎および/または男性型多毛症に罹患した領域に適用することができることを示唆する。
【0162】
本発明は、ざ瘡、尋常性ざ瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、汗腺膿瘍、男性型多毛症、多毛症、高有毛症または脱毛症を処置する方法であって、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を投与するステップを含む、方法を包含する。
【0163】
本明細書に記載されている化合物および/または組成物は、脱毛、脱毛症、男性ホルモン性脱毛症、円形脱毛症、化学療法に続発する脱毛症、放射線療法に続発する脱毛症、瘢痕化によって誘発される脱毛症、ストレスによって誘発される脱毛症を処置するために使用されてもよい。一般に、「脱毛」または「脱毛症」は、男性型禿頭症の非常に共通したタイプにあるような禿頭症を指す。禿頭症は、通常、頭皮上のパッチ脱毛から始まり、時として、完全禿頭症およびさらには体毛の喪失へと進行する。脱毛は、男性および女性の両方が罹患する。
【0164】
本発明は、男性ホルモン性脱毛症を処置する方法であって、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を投与するステップを含む、方法を包含する。
【0165】
本発明のSARDはまた、性的早熟、思春期早発、月経困難、無月経、多胞性子宮症候群、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮異常出血、早発月経、線維嚢胞性乳腺疾患、子宮の類線維腫、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症、妊娠子癇、早期分娩、月経前症候群および/または膣乾燥などの高アンドロゲン性病因を有する恐れがある、女性におけるホルモン状態の処置に有用となり得る。別の実施形態では、女性におけるホルモン状態は、女性におけるアンドロゲン依存性ホルモン状態である。
【0166】
本発明は、性的早熟または思春期早発、月経困難または無月経、多胞性子宮症候群、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮異常出血、高アンドロゲン性疾患(多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など)、線維嚢胞性乳腺疾患、子宮の類線維腫、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症、妊娠子癇、早期分娩、月経前症候群または膣乾燥を処置する方法であって、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を投与するステップを含む、方法を包含する。
【0167】
本発明は、それを必要とする男性におけるホルモン状態を処置する、それを抑制する、その出現率を低減する、その重症度を軽減する、またはその進行を阻害する方法であって、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物、あるいはその異性体、光学異性体、もしくは光学異性体の任意の混合物、薬学的に許容される塩、医薬製品、多形、水和物またはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む、方法を包含する。一実施形態では、ホルモン状態には、以下に限定されないが、性機能亢進症、性欲過剰、性機能障害、女性化乳房、男性における性的早熟、認知および気分の変化、うつ病、脱毛、高アンドロゲン性皮膚障害、前立腺の前がん病変、良性前立腺肥大、前立腺がんおよび/または他のアンドロゲン依存性がんが含まれる。別の実施形態では、男性におけるホルモン状態は、男性におけるアンドロゲン依存性ホルモン状態である。
【0168】
本発明のSARDはまた、性的倒錯、性欲過剰、パラフィリア、アンドロゲン精神障害、男性化、アンドロゲン非感受性症候群(AIS)(完全型AIS(CAIS)および部分型AIS(PAIS)など)の処置、および動物における排卵に有用性を見出すことができる。
【0169】
本発明は、性的倒錯、性欲過剰、パラフィリア、アンドロゲン精神障害、男性化、アンドロゲン非感受性症候群を処置する方法、排卵を増大する、またはモジュレートする、または改善する方法であって、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を投与するステップを含む、方法を包含する。
【0170】
本発明のSARDはまた、前立腺がん、乳がん、精巣がん、卵巣がん、肝細胞癌、泌尿生殖器がんなどのホルモン依存性がんを処置するのに有用となり得る。別の実施形態では、乳がんは、トリプルネガティブ乳がんである。さらに、局所または全身性SARD投与は、前立腺上皮内腫瘍(PIN)および異型小腺房増殖(ASAP)などのホルモン依存性がんの前駆体の処置に有用である。
【0171】
本発明は、乳がん、精巣がん、子宮がん、卵巣がん、泌尿生殖器がん、前立腺がんの前駆体、またはAR関連固形腫瘍もしくはARを発現する固形腫瘍を処置する方法であって、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を投与するステップを含む、方法を包含する。前立腺がんの前駆体は、前立腺上皮内腫瘍(PIN)または異型小腺房増殖(ASAP)とすることができる。腫瘍は、肝細胞癌(HCC)または膀胱がんであってもよい。血清中テストステロンは、HCCの発症に正に関連している可能性がある。疫学的、実験観察、およびとりわけ男性が女性よりも実質的に高い膀胱がんのリスクを有するという事実に基づくと、アンドロゲンおよび/またはARはまた、膀胱がんの始まりにおいてもある役割を果たし得る。
【0172】
ダロルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミドおよびフルタミドおよびアンドロゲン遮断療法(ADT)(リュープロリドなど)などの従来的な抗アンドロゲンは、前立腺がんへの使用に承認されているが、抗アンドロゲンは、様々な他のホルモン依存性がんおよびホルモン非依存性がんに使用することができるという重要な証拠が存在する。例えば、抗アンドロゲンは、乳がん(エンザルタミド;Breast Cancer Res (2014) 16(1): R7)、非小細胞肺がん(shRNAi AR)、腎細胞癌(ASC-J9)、性腺腫瘍および精上皮腫などの部分型アンドロゲン非感受性に関連する悪性疾患、進行膵臓がん(World J Gastroenterology 20(29):9229)、卵巣、卵管または腹膜のがん、唾液腺のがん(Head and Neck (2016) 38: 724-731;ADTは、ARを発現する再発性/転移性唾液腺がんにおいて試験されており、無増悪生存および全生存エンドポイントに対して利益を有することが確認された)、膀胱がん(Oncotarget 6 (30): 29860-29876; Int J Endocrinol (2015)、論文ID384860)、膵臓がん、リンパ腫(マントル細胞を含む)および肝細胞癌における試験に成功を収めている。これらのがんにおけるSARDなどの一層強力な抗アンドロゲンの使用は、これらのがんおよび他のがんの進行を処置することができる。精巣がん、子宮がん、卵巣がん、泌尿生殖器がん、乳がん、脳がん、皮膚がん、リンパ腫、肝臓がん、腎がん、骨肉腫、膵臓がん、子宮内膜がん、肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、結腸がん、肛門周囲腺腫または中枢神経系のがんなどの他のARを発現するがんもまた、SARD処置から利益を得ることができる。
【0173】
本発明のSARDはまた、胸部、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ腫、肝臓、腎臓、膵臓、子宮内膜、肺(例えば、NSCLC)、結腸、肛門周囲腺腫、骨肉腫、CNS、黒色腫、悪性疾患の高カルシウム血症および転移性骨疾患などの、ARを含有する他のがんを処置するのに有用となり得る。
【0174】
したがって、本発明は、悪性疾患の高カルシウム血症、転移性骨疾患、脳がん、皮膚がん、膀胱がん、リンパ腫、肝臓がん、腎がん、骨肉腫、膵臓がん、子宮内膜がん、肺がん、中枢神経系のがん、胃がん、結腸がん、黒色腫、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および/または子宮筋腫を処置する方法であって、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を投与するステップを含む、方法を包含する。肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)であってもよい。
【0175】
本発明のSARDはまた、非ホルモン依存性がんを処置するのに有用となり得る。非ホルモン依存性がんは、肝臓、唾液管などを含む。
【0176】
別の実施形態では、本発明のSARDは、胃がんを処置するために使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、唾液管癌を処置するために使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、膀胱がんを処置するために使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、食道がんを処置するために使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、膵臓がんを処置するために使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、結腸がんを処置するために使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、非小細胞肺がんを処置するために使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、腎細胞癌を処置するために使用される。
【0177】
ARは、肝細胞癌(HCC)における、がんの始まりにおいてある役割を果たす。したがって、ARを標的とすることとは、早期HCCを有する患者にとって適切な処置となり得る。後期HCC疾患では、転移はアンドロゲンによって抑制されるという証拠が存在する。別の実施形態では、本発明のSARDは、肝細胞癌(HCC)を処置するために使用される。
【0178】
Locatiらは、Head & Neck, 2016, 724-731において、ARを発現する再発性/転移性唾液腺がんにおいて、アンドロゲン遮断療法(ADT)の使用を実証し、ADTにより、無増悪生存および全生存エンドポイントが改善されることが確認された。別の実施形態では、本発明のSARDは、唾液腺がんを処置するために使用される。
【0179】
Kawaharaらは、Oncotarget, 2015, Vol 6 (30), 29860-29876において、ELK1阻害が、ARの不活性化と共に、膀胱がんの治療的手法になる可能性を有することを実証した。McBeth et al. Int J Endocrinology, 2015, Vol 2015、論文ID384860は、このようながんとして膀胱がんの処置としてのアンドロゲン治療法とグルココルチコイドとの組合せは、炎症の病因を有すると考えられることを示唆した。別の実施形態では、本発明のSARDは、必要に応じて、グルココルチコイドと組み合わせて、膀胱がんを処置するために使用される。
【0180】
腹部大動脈瘤(AAA)
腹部大動脈瘤(AAA)は、身体に血液を供給する主要血管である、大動脈の下部部分における拡大した領域である。ほぼ散水用ホースの厚さをしている大動脈は、心臓から胸部および腹部の中心に走る。大動脈は、身体の、血液の主な供給源となるので、破裂性腹部大動脈瘤は、生命を脅かす出血を引き起こす恐れがある。腹部大動脈瘤が成長するサイズおよび速度に応じて、処置は、経過観察から緊急手術まで様々となり得る。腹部大動脈瘤が一旦、発見されると、医師は、これを入念にモニタリングし、その結果、必要な場合、手術が計画され得る。破裂性腹部大動脈瘤の緊急手術は、危険度が高い恐れがある。AR遮断(薬理学的または遺伝的)は、AAAを低減する。Davisら(Davis JP, et al. J Vasc Surg (2016) 63(6):1602-1612)は、フルタミド(50mg/kg)またはケトコナゾール(150mg/kg)は、ブタの膵臓エラスターゼ(0.35U/mL)により誘発されたAAAを、ビヒクル(121%)と比べて、84.2%および91.5%、弱化したことを示した。さらに、AR -/- マウスは、野性型に比べると、AAA成長を弱化させた(64.4%)ことを示した(どちらもエステラーゼ処置されている)。こうして、AAAに罹患している患者にSARDを投与すると、手術が必要になる点までAAAを逆転させる、処置する、またはその進行を遅延させる一助となり得る。
【0181】
創傷の処置
創傷および/または潰瘍は、通常、皮膚から突出して、または粘膜表面上に、または臓器内の梗塞の結果として見出される。創傷は、軟部組織の欠陥もしくは病変、または基礎疾患の結果であり得る。用語「創傷」は、組織構造の正常な完全性の崩壊を伴う身体傷害、びらん、病変、壊死および/または潰瘍を表す。用語「びらん」は、皮膚または粘膜の任意の病変を指し、用語「潰瘍」は、臓器または組織の表面の局所欠陥または陥凹を指し、壊死組織の脱落によって生じる。「病変」は、一般に、任意の組織欠陥を含む。「壊死」は、感染、傷害、炎症または梗塞から生じる死んだ組織を指す。これらはすべて、用語「創傷」によって包含され、これは、何らかの治癒が始まる前、または外科的切開のような特定の創傷が形成される前の段階(予防的処置)をも含めた、治癒過程における任意の特定の段階にある任意の創傷を表す。
【0182】
本発明により処置され得る創傷の例は、非感染創、ざ瘡、切開創、裂傷、非貫通創(すなわち、皮膚の断裂はないが、基底構造への傷害がある創傷)、開放創、貫通創、穿孔創、刺創、感染創、皮下創などである。びらんの例には、以下に限定されないが、床擦れ、アフタ、クロム性のびらん(chrome sore)、単純疱疹、褥瘡などが含まれる。潰瘍の例には、以下に限定されないが、消化性潰瘍、十二指腸潰瘍、胃潰瘍、痛風潰瘍、糖尿病性潰瘍、高血圧虚血性潰瘍、うっ血性潰瘍、下腿潰瘍(ulcus cruris)(静脈性潰瘍)、舌下潰瘍、粘膜下潰瘍、症候性潰瘍、栄養障害性潰瘍、熱帯潰瘍、例えば淋病によって引き起こされる性病性潰瘍(尿道炎、子宮頚内膜炎および直腸炎を含む)が含まれる。本発明により首尾よく使用され得る創傷またはびらんに関連する状態には、以下に限定されないが、火傷、炭疽症、破傷風、ガス壊疽、猩紅熱、丹毒、鬚毛瘡(sycosis barbae)、毛嚢炎、伝染性膿痂疹、水疱性膿痂疹などが含まれる。「創傷」と「潰瘍」、または「創傷」と「びらん」という用語の使用の間には、重複する部分があることがあり、さらに、これらの用語は、多くの場合ランダムに使用されることが理解される。
【0183】
本発明により処置される創傷の種類は、やはり、以下:i)例えば、手術創、外傷、感染創、虚血性創傷、熱傷、化学創傷および水疱性創傷などの一般創傷、ii)例えば、抜歯後創傷、とりわけ嚢腫および膿瘍の処置に関連する歯内創傷、細菌性、ウイルス性または自己免疫起源の潰瘍および病変、機械的創傷、化学的創傷、熱的創傷、感染性創傷および苔癬様創傷などの口腔に特有の創傷;ヘルペス性潰瘍、アフタ性口内炎、急性壊死性潰瘍性歯肉炎および口腔灼熱症候群が、具体的な例である;およびiii)例えば、新生物、火傷(例えば、化学的、熱的)、病変(細菌性、ウイルス性、自己免疫学的)、咬傷および外科的切開などの皮膚表面の創傷を含む。創傷を分類する別の方法は、組織喪失によるものである(この場合、i)小さな組織喪失(外科的切開、小さな擦過傷および小さな咬傷)またはii)大きな組織喪失である)。後者の群には、虚血性潰瘍、褥瘡、瘻孔、裂傷、重症な咬傷、熱傷およびドナー部位創傷(軟部組織および硬部組織中)、ならびに梗塞が含まれる。他の創傷には、虚血性潰瘍、褥瘡、瘻孔、重症な咬傷、熱傷またはドナー部位創傷が含まれる。
【0184】
虚血性潰瘍および褥瘡は、通常は、非常にゆっくりとしか治癒しない創傷であり、とりわけこのような場合、改善したより急速な治癒が、患者にとって非常に重要である。さらに、このような創傷を負っている患者の処置に関わる費用は、治癒が改善され、また治癒がより急速に起こる場合に著しく低減する。
【0185】
ドナー部位創傷は、例えば、身体の一部分から身体の別の部分への硬部組織の除去に関連して、例えば、移植に関連して起こる創傷である。このような手術から生じる創傷は、非常に痛く、したがって、治癒の改善が、最も価値がある。
【0186】
一例の場合、処置される創傷は、非感染創、梗塞、ざ瘡、切開創、裂傷、非貫通創、開放創、貫通創、穿孔創、刺創、感染創および皮下創からなる群より選択される。
【0187】
本発明は、創傷を負っている対象を処置する方法であって、対象に、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物、薬学的に許容されるその塩、またはその医薬組成物を投与するステップを含む、方法を包含する。
【0188】
本発明は、火傷を負っている対象を処置する方法であって、対象に、治療有効量の式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物、薬学的に許容されるその塩、またはその医薬組成物を投与するステップを含む、方法を包含する。
【0189】
用語「皮膚」は、非常に広義に使用され、皮膚の表皮層、および皮膚表面が多少傷害されている場合は皮膚の真皮層も包含する。角質層とは別に、皮膚の表皮層は、外部(上皮)層であり、皮膚のより深い結合組織層が真皮と呼ばれる。
【0190】
皮膚は、身体の最も露出した部分であるため、例えば、裂傷、切傷、擦過傷、火傷および凍傷などの様々な種類の傷害、または様々な疾患から生じる傷害を特に受けやすい。さらに、多くの皮膚が、事故において破壊されることが多い。しかし、皮膚の重要な障壁および生理的機能により、皮膚の完全性は、個体の健康に重要であり、いかなる裂け目または裂傷も、身体がその継続した存在を保護するために直面しなければならない脅威となる。
【0191】
皮膚表面の傷害とは別に、あらゆる種類の組織(すなわち、軟部組織および硬部組織)に傷害が存在することがある。粘膜および/または皮膚を含む軟部組織上の傷害は、とりわけ、本発明と関連する。
【0192】
皮膚上または粘膜上の創傷の治癒は、一連の段階を経て、皮膚もしくは粘膜の修復または再生のいずれかをもたらす。近年、再生および修復は、起こり得る2種のタイプの治癒として区別されてきた。再生は、喪失した組織の構造および機能が完全に更新される生物学的過程として定義することができる。一方、修復は、破壊された組織の継続性が、喪失した組織の構造および機能を複製しない新たな組織によって回復される生物学的過程である。
【0193】
創傷の大部分は、修復を通じて治癒し、形成された新たな組織が、元の組織(瘢痕組織)とは構造的かつ化学的に異なることを意味する。組織修復の早期において、ほぼ常に関与する1つの過程は、組織傷害の領域における一過性の結合組織の形成である。この過程は、線維芽細胞による新たな細胞外コラーゲンマトリクスの形成によって開始する。次いで、この新たな細胞外コラーゲンマトリクスは、最終治癒過程中の結合組織のための支持体となる。最終治癒は、大部分の組織において、結合組織を含有する瘢痕形成である。例えば、皮膚および骨などの再生特性を有する組織では、最終治癒には、元の組織の再生が含まれる。この再生された組織はまた、いくつかの瘢痕特徴、例えば、治癒した骨折の厚化を頻繁に有する。
【0194】
通常の状況下で、身体は、皮膚障壁または粘膜の完全性を回復するために、損傷した皮膚または粘膜を治癒するための機構を提供する。小さな裂傷または創傷でさえもその修復過程は、数時間および数日から数週間までに及ぶ期間がかかることがある。しかし、潰瘍形成では、治癒は、非常に遅くなる恐れがあり、創傷が、長期間、すなわち数か月、または数年さえ続くことがある。
【0195】
火傷は、低減したテストステロンレベルに関連しており、性腺機能不全症は、創傷治癒の遅延と関連する。本発明は、本発明による少なくとも1つのSARD化合物を投与することによる、創傷または火傷を負っている対象を処置するための方法を包含する。SARDにより、火傷もしくは創傷の消散を促進するか、または火傷もしくは創傷の治癒過程に関与するか、または火傷もしくは創傷の二次的合併症が処置され得る。
【0196】
火傷または創傷の処置は、上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング成長因子-α(TGF-α)、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)(酸性線維芽細胞成長因子(α-FGF)および塩基性線維芽細胞成長因子(β-FGF)を含む)、トランスフォーミング成長因子-β(TGF-β)およびインスリン様成長因子(IGF-1およびIGF-2)、またはそれらの任意の組合せなどの、少なくとも1つの成長因子をさらに使用してもよく、これらは、創傷治癒を促進する。
【0197】
創傷治癒は、創傷引張強度、ヒドロキシプロリンまたはコラーゲン含有量、プロコラーゲン発現、および再上皮化を含む、当分野において公知の多数の手順によって測定することができる。例として、本明細書に記載されているSARDは、1日あたり約0.1~100mgの投与量で経口または局所投与され得る。治療有効性は、SARD化合物が存在しない場合と比べた、創傷治癒を強化する有効性として測定される。強化された創傷治癒は、治癒時間の短縮、コラーゲン密度の増加、ヒドロキシプロリンの増加、合併症の低減、引張強度の増加、および瘢痕組織の細胞充実度の増加などの公知技法によって測定することができる。
【0198】
用語「病因を低減する」は、特定の疾患、障害または状態と関連する組織損傷または臓器損傷の低減を包含することが理解されるべきである。この用語は、問題の疾患、障害もしくは状態を含めた、関連する疾患、障害もしくは状態の出現率または重症度を低減すること、または示されている症状またはそれに関連する症状を含めた、関連する疾患、障害もしくは状態の数の低減を含むことができる。
【0199】
医薬組成物
本発明の化合物は、医薬組成物に使用されてもよい。本明細書で使用する場合、「医薬組成物」は、薬学的に許容される担体または希釈剤と一緒になった、本化合物または活性成分の薬学的に許容される塩のいずれかを意味する。「治療有効量」とは、本明細書で使用する場合、所与の適応症および投与レジメンに対して治療作用を提供する量を指す。
【0200】
本明細書で使用する場合、用語「投与する」とは、本発明の化合物に対象を接触させることを指す。本明細書で使用する場合、投与は、in vitroで、すなわち試験管中で、またはin vivoで、すなわち生存生物、例えばヒトの細胞または組織中で行うことができる。対象は、男性または女性の対象であってもよく、または両方であってもよい。
【0201】
本発明の化合物の投与に好適な、様々な組成物または製剤を調製するための手順を記載する、多数の標準参考文献が入手可能である。製剤および調製物を作製する方法の例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association (現行版); Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets (Lieberman, Lachman and Schwartz, editors)現行版、Marcel Dekker, Inc.による出版、およびRemington's Pharmaceutical Sciences (Arthur Osol, editor), 1553-1593 (現行版)に見出すことができる。
【0202】
投与様式および剤形は、所与の処置適用にとって望ましくかつ有効な、治療量の化合物または組成物に密接に関連する。
【0203】
本発明の医薬組成物は、当業者に公知の任意の方法によって対象に投与することができる。これらの方法は、以下に限定されないが、経口、非経口、脈管内、がん周辺(paracancerally)、経粘膜、経皮、筋肉内、鼻内、静脈内、皮内、皮下、舌下、腹腔内、脳室内、頭蓋内、膣内、吸入により、直腸または腫瘍内を含む。これらの方法は、組成物を組織に送達することができる任意の手段(例えば、ニードルまたはカテーテル)を含む。代替的に、局所投与は、皮膚、眼または粘膜表面への適用に望ましいものとなり得る。投与の別の方法は、吸引またはエアロゾル製剤による。本医薬組成物は、身体表面に局所投与されてもよく、したがって、局所投与に好適な形態で製剤化される。好適な局所用製剤は、ゲル剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、点滴剤などを含む。局所投与の場合、本組成物は、薬学的担体と共に、またはこれを使用しないで、生理的に許容される希釈剤中の液剤、懸濁剤またはエマルション剤として調製されて適用される。
【0204】
好適な剤形には、以下に限定されないが、経口、直腸、舌下、粘膜、鼻、眼、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、脊髄、髄腔内、関節内、動脈内、くも膜下、気管支、リンパ系および子宮内投与、および活性成分の全身性送達のための他の剤形が含まれる。適応症に応じて、経口または局所投与に好適な製剤が好ましい。
【0205】
局所投与:式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物は、局所投与されてもよい。本明細書で使用する場合、「局所投与」とは、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094(および必要に応じた担体)の化合物の、皮膚および/または毛髪への直接適用を指す。本局所用組成物は、液剤、ローション剤、軟膏剤、クリーム剤、軟膏剤、リポソーム剤、スプレー剤、ゲル剤、フォーム剤、ローラー状スティック剤、および皮膚科学において常套的に使用される任意の他の製剤の形態にあることができる。
【0206】
局所投与は、男性型多毛症、脱毛症、ざ瘡および過剰皮脂などの皮膚表面に見出される適応症に使用される。用量は様々となるが、一般的なガイドラインとして、本化合物は、約0.01~50w/w%、およびさらに典型的には、約0.1~10w/w%の量で、皮膚科学的に許容される担体に存在する。通常、皮膚科学的調製物は、毎日、1~4回、罹患領域に適用される。「皮膚科学的に許容される」とは、皮膚または毛髪に適用することができる担体であって、薬物を作用部位に拡散させる担体を指す。より詳細には、「作用部位」は、アンドロゲン受容体の阻害またはアンドロゲン受容体の分解が望ましい、部位を指す。
【0207】
式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物は、脱毛症、とりわけ男性ホルモン性脱毛症を緩和するために局所使用されてもよい。アンドロゲンは、毛髪成長と脱毛の両方に対して、大きな効果を有する。あごひげおよび陰部の皮膚などの身体の大部分の部位において、アンドロゲンは、毛周期の成長段階(成長期)を延長して毛包サイズを増大することによって毛髪成長を刺激する。頭皮表面の毛髪成長はアンドロゲンを必要としないが、逆説的には、アンドロゲンは、遺伝学的に罹患しやすい個体(男性ホルモン性脱毛症)において、頭皮表面の禿げ(balding)に必要であり、この場合、成長期の期間および毛包サイズが進行的に退行する。男性ホルモン性脱毛症は、女性にも一般的であり、この場合、それは、男性に見られるパターン化を示すのではなく、むしろびまん性脱毛を、通常、呈する。
【0208】
式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物は、最も典型的には、男性ホルモン性脱毛症を軽減するために使用されるが、本化合物は、任意のタイプの脱毛症を軽減するために使用されてもよい。非男性ホルモン性脱毛症の例には、以下に限定されないが、円形脱毛症、放射線治療または化学療法による脱毛症、瘢痕化脱毛症またはストレスに関する脱毛症が含まれる。
【0209】
式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物は、禿げを予防または処置するために、頭皮および毛髪に局所適用することができる。さらに、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物は、頭皮表面の毛髪の成長もしくは再成長を誘発または促進するために、局所適用することができる。
【0210】
本発明はまた、このような毛髪成長が望ましくない領域における毛髪の成長を処置または予防するために、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を局所投与するステップを包含する。このような使用の1つは、男性型多毛症を軽減する。男性型多毛症は、通常、毛髪を有さない領域における過剰な毛髪成長である(例えば、女性の顔面)。このような不適切な毛髪成長は、女性において最も一般に起こり、閉経期には頻繁に見られる。式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物の局所投与により、このような状態が軽減されて、この不適切なもしくは望ましくない毛髪成長の減少がもたらされるか、またはなくなる。
【0211】
式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を、局所使用して、皮脂産生を低下させることもできる。皮脂は、トリグリセリド、ワックスエステル、脂肪酸、ステロールエステルおよびスクワレンからなる。皮脂は、皮脂腺の腺房細胞において産生され、これらの細胞年齢として蓄積する。成熟時には、腺房細胞は溶解して、内腔管に皮脂を放出し、その結果、皮脂は、皮膚の表面に体積する。
【0212】
一部の個体では、過剰量の皮脂が皮膚表面に分泌される。これは、いくつかの有害結果を有する恐れがある。皮脂は、ざ瘡の原因物質であるPropionbacterium acnesの主要な食餌源であるため、ざ瘡を悪化させる恐れがある。皮脂により、通常、皮膚が、美容的に魅力がないとみなされる脂ぎった外観となる恐れがある。
【0213】
皮脂の形成は、成長因子およびアンドロゲンを含む様々なホルモンによって調節される。アンドロゲンが皮脂腺に影響を及ぼす細胞機構および分子機構は、完全に解明されていない。しかし、臨床上の経験により、アンドロゲンが皮脂産生に及ぼす影響が記録されている。皮脂産生は、アンドロゲンレベルが最高となる思春期の間に著しく増加する。式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物は、皮脂の分泌を阻害し、こうして、皮膚の表面の皮脂量を低下させる。式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を使用して、ざ瘡または脂漏性皮膚炎などの様々な皮膚疾患を処置することができる。
【0214】
過剰皮脂産生と関連する疾患の処置に加えて、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を使用して、美容的効果を達成することもできる。一部の消費者は、自分たちが、過剰活性皮脂腺に罹患していると考えている。それらの消費者は、皮膚が脂性であり、したがって魅力的でないと感じている。このような個体は、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を用いて皮膚上の皮脂量を低下させることができる。皮脂の分泌を減少させると、このような状態に罹患している個体(indvidual)における脂性の皮膚が軽減される。
【0215】
これらの局所適応症を処置するため、本発明は、式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物のうちの少なくとも1つを含む、化粧用組成物(cosmetic composition)または医薬組成物(皮膚科学的組成物など)を包含する。このような皮膚科学的組成物は、皮膚科学的に許容される担体との混合物中に、0.001%~10%(w/w%)の化合物、より典型的には、0.1~5w/w%の化合物を含有する。このような組成物は、通常、毎日、1~4回、適用される。このような製剤を調製する方法を議論するために、読者は、Remington's Pharmaceutical Science, Edition 17, Mark Publishing Co., Easton, PAに注意を向ける。
【0216】
本発明の組成物はまた、クレンジング用石鹸または棒などの、固形調製物を含んでもよい。これらの組成物は、当分野において公知の方法に準拠して調製される。
【0217】
製剤、例えば、水性液剤、アルコール性液剤もしくは水性アルコール液剤、またはクリーム剤、ゲル剤、エマルション剤もしくはムース剤あるいは噴霧体を含むエアロゾル組成物を使用して、毛髪が存在する場所に発生する適応症を処置することができる。したがって、本組成物は、ヘアケア組成物とすることもできる。このようなヘアケア組成物には、以下に限定されないが、シャンプー、ヘアセットローション、トリートメントローション、スタイリングクリームまたはゲル、染料組成物、または脱毛を予防するローションもしくはゲルが含まれる。皮膚科学的組成物中の様々な構成要素の量は、考えられる分野において慣用的に使用される量である。
【0218】
式48~51、53~58、99A~99H、120、1072~1076、1078~1080および1082~1094の化合物を含有する医療剤および化粧剤(cosmetic agent)は、小売りで流通させるために、通常、包装される(すなわち、製造物品)。このような物品は、患者が本製品を使用する方法を指示するようラベルが貼られて、包装される。このような指示は、処置される状態、処置期間、投与スケジュールなどを含む。
【0219】
フィナステリドまたはフルタミドなどの抗アンドロゲンは、皮膚においてある程度、アンドロゲンレベルを低下させる、またはアンドロゲン作用を遮断するが、望ましくない全身作用を被ることが示されてきた。代替手法は、選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物を罹患領域に局所適用することである。このようなSARD化合物は、強力であるが局所的なAR活性の阻害を示し、ARの局所分解は、対象の体循環に進入することはないか、または血液中への進入時に急速に代謝されると思われ、全身性曝露が限定される。
【0220】
このような医薬剤形を調製するために、活性成分を、従来の薬学的配合技法に準拠して、薬学的担体と混合することができる。担体は、投与に望ましい調製物の形態に応じて、幅広い形態をとることができる。
【0221】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体または希釈剤」は、当業者に周知である。担体または希釈剤は、固形製剤のための固体担体もしくは希釈剤、液体製剤のための液体担体もしくは希釈剤、またはそれらの混合物であり得る。
【0222】
固体担体/希釈剤には、以下に限定されないが、ガム、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン)、糖(例えば、ラクトース、マンニトール、スクロース、デキストロース)、セルロース物質(例えば微結晶性セルロース)、アクリレート(例えば、ポリメチルアクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タルクまたはそれらの混合物が含まれる。
【0223】
経口および非経口投与:経口剤形の組成物を調製する際に、通常の薬学的媒体のいずれかが使用されてもよい。したがって、懸濁剤、エリキシル剤および液剤などの液状経口調製物の場合、好適な担体および添加物には、水、グリコール、油、アルコール、矯味矯臭剤、保存剤、着色剤などが含まれる。散剤、カプセル剤および錠剤などの固形経口調製物の場合、好適な担体および添加物には、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが含まれる。投与を容易にするため、錠剤およびカプセル剤は、最も有利な経口投与単位形態とする。所望の場合、錠剤は、標準技法によって、糖コーティングされていてもよく、または腸溶コーティングされていてもよい。
【0224】
非経口製剤の場合、担体は、通常、滅菌水を含むが、溶解性を補助するため、または保存するための成分などの他の成分が含まれてもよい。注射液剤もまた調製されてもよく、この場合、適切な安定化剤が使用されてもよい。
【0225】
一部の適用では、リポソームもしくは他の封入媒体中の活性剤のカプセル封入、または、例えば、タンパク質、リポタンパク質、グリコタンパク質および多糖から選択されるものなどの好適な生体分子への共有結合、キレート形成もしくは会合性配位による活性剤の固定化などによって、「ベクトル化(vectorized)」形態の活性剤を利用することが有利となり得る。
【0226】
経口投与に好適な製剤を使用する処置の方法は、カプセル剤、カシェ剤、錠剤またはロゼンジ剤などの別個の単位として提示されてもよく、各々が、所定量の活性成分を含有する。必要に応じて、シロップ剤、エリキシル剤、エマルション剤または一回分量(draught)などの水性アルコールまたは非水性液体中の懸濁剤が使用されてもよい。
【0227】
錠剤は、必要に応じて1種または複数の副成分と共に、圧縮もしくは成形、または湿式造粒によって作製され得る。圧縮錠剤は、好適な機械において、例えば、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、不活性希釈剤、表面活性剤または放出剤(discharging agent)と必要に応じて混合された、粉末または顆粒などの自由流動形態にある活性化合物と共に圧縮することによって調製することができる。粉末状活性化合物と好適な担体との混合物からなる成形錠剤は、好適な機械で成形することによって作製することができる。
【0228】
シロップ剤は、活性化合物を、糖、例えばスクロースの濃縮水溶液に添加することによって作製することができ、これに任意の副成分が添加されてもよい。このような副成分には、矯味矯臭剤、好適な保存剤、糖の結晶化を遅延させる作用物質、およびポリヒドロキシアルコールなどの任意の他の成分の溶解度を高めるための作用物質、例えばグリセロールまたはソルビトールが含まれ得る。
【0229】
非経口投与に好適な製剤は、レシピエントの血液と好ましくは等張性である、活性化合物の滅菌水性調製物(例えば、生理食塩溶液)を含んでもよい。このような製剤には、化合物が血液構成成分または1つもしくは複数の臓器を標的とするように設計されている懸濁化剤、および増粘剤、およびリポソーム、または他のマイクロ微粒子系が含まれ得る。これらの製剤は、単位用量形態または多回用量形態で提示され得る。
【0230】
非経口投与は、全身送達の任意の好適な形態を含むことができる。投与は、例えば、静脈内、動脈内、髄腔内、筋肉内、皮下、筋肉内、腹部内(例えば、腹腔内)などとすることができ、注入ポンプ(外部型または埋込型)または望ましい投与モダリティに適切な任意の他の好適な手段によって行うことができる。
【0231】
鼻および他の粘膜スプレー製剤(例えば、吸入可能な形態)は、活性化合物の精製水溶液を、保存剤および等張剤と共に含むことができる。このような製剤は、好ましくは、鼻または他の粘膜と適合するpHおよび等張性状態に調整される。代替的に、それらは、ガス担体中に懸濁された微細に分割された固形散剤の形態であり得る。このような製剤は、任意の好適な手段または方法によって、例えば、ネブライザー、噴霧器、定量吸入器などによって送達することができる。
【0232】
直腸投与のための製剤は、カカオ脂、水素添加脂肪または水素添加脂肪カルボン酸などの好適な担体と共に坐薬として提示され得る。
【0233】
経皮製剤は、活性剤を、セルロース媒体、例えばメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースなどのチキソトロピックな担体またはゼラチン様担体に組み込むことによって調製することができ、得られた製剤は、次に、着用者の皮膚と皮膚接触して固定されるように適合された経皮デバイス内に充填される。
【0234】
上記の成分に加えて、本発明の製剤は、希釈剤、緩衝液、矯味矯臭剤、結合剤、崩壊剤、表面活性剤、増粘剤、滑沢剤、保存剤(抗酸化剤を含む)などから選択される1種または複数の成分をさらに含んでもよい。
【0235】
本製剤は、即時放出、持続放出、遅延発生放出、または当業者に公知の任意の他の放出プロファイルとなり得る。
【0236】
哺乳動物、特にヒトへの投与の場合、医師が、個体にとって最も好適となり、かつ特定の個体の年齢、体重、遺伝的特質および/または応答に応じて変わり得る、実際の投与量および処置期間を決定することが予期される。
【0237】
本発明の方法は、治療有効量での化合物の投与を含む。治療有効量は、様々な投与量を含んでもよい。
【0238】
一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり1~3000mgの投与量で投与される。追加的な実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり1~10mg、1日あたり3~26mg、1日あたり3~60mg、1日あたり3~16mg、1日あたり3~30mg、1日あたり10~26mg、15~60mg、1日あたり50~100mg、1日あたり50~200mg、1日あたり100~250mg、1日あたり125~300mg、1日あたり20~50mg、1日あたり5~50mg、1日あたり200~500mg、1日あたり125~500mg、1日あたり500~1000mg、1日あたり200~1000mg、1日あたり1000~2000mg、1日あたり1000~3000mg、1日あたり125~3000mg、1日あたり2000~3000mg、1日あたり300~1500mg、または1日あたり100~1000mgの用量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり25mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり40mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり50mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり67.5mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり75mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり80mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり100mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり125mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり250mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり300mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり500mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり600mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり1000mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり1500mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり2000mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり2500mgの投与量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日あたり3000mgの投与量で投与される。
【0239】
本方法は、様々な投与量で化合物を投与するステップを含むことができる。例えば、本化合物は、3mg、10mg、30mg、40mg、50mg、80mg、100mg、120mg、125mg、200mg、250mg、300mg、450mg、500mg、600mg、900mg、1000mg、1500mg、2000mg、2500mgまたは3000mgの投与量で投与されてもよい。
【0240】
代替的に、本化合物は、0.1mg/kg/日の投与量で投与されてもよい。本化合物は、0.2~30mg/kg/日、または0.2mg/kg/日、0.3mg/kg/日、1mg/kg/日、3mg/kg/日、5mg/kg/日、10mg/kg/日、20mg/kg/日、30mg/kg/日、50mg/kg/日または100mg/kg/日の間の投与量で投与されてもよい。
【0241】
本医薬組成物は、固形剤形、液剤または経皮パッチ剤であってもよい。固形剤形には、以下に限定されないが、錠剤およびカプセル剤が含まれる。
【0242】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を一層完全に例示するために提示されている。しかし、以下の実施例は、本発明の幅広い範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない。
【実施例】
【0243】
(実施例1)
SARDの合成
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-エチニル-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
17H
13F
3N
4O
2)(1072)
【化9】
アルゴン雰囲気下、氷水浴中で冷却した、4-エチニル-1H-ピラゾール(0.15g、0.001629mol)の無水THF(10mL)溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散物、0.33g、0.0081433mol)を加えた。添加後、得られた混合物を3時間、撹拌した。上記の溶液に、(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(0.57g、0.001629mol)を加え、得られた反応混合物を、アルゴン下、室温(RT)で一晩、撹拌した。この反応物を水によりクエンチして、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO
4で乾燥してろ過し、真空下で濃縮した。溶離液としてDCMおよび酢酸エチル(95:5)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、0.37g(62.7%)の表題化合物が白色泡状物として得られた。
【0244】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.40 (s, 1H, NH), 8.47 (s, 1H, ArH), 8.24 (d, J = 8.8 Hz, 1H, ArH), 8.11 (d, J = 8.8 Hz, 1H, ArH), 7.91 (s 1H, ピラゾール-H), 7.57 (s 1H, ピラゾール-H), 6.35 (s, 1H, OH), 4.46 (d, J = 14.4 Hz, 1H, CH), 4.29 (d, J = 14.4 Hz, 1H, CH), 4.00 (s, 1H, CH), 1.35 (s, 3H, CH3).HRMS[C
17H
14F
3N
4O
2
+]:計算値363.1069、実測値363.1026[M+H]
+。純度:99.55%(HPLC)。
(S)-4-(5-((4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-5-メチル-2,4-ジオキソオキサゾリジン-3-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(C
16H
10F
4N
4O
3)(1073)
【化10】
【0245】
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(0.234g、0.0006568mol)の無水ピリジン(8mL)溶液に、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)(0.16g、0.0009825mol)を加えた。添加後、得られた混合物をアルゴン下、室温で一晩、撹拌した。この反応物を水によりクエンチして、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO4で乾燥してろ過し、真空下で濃縮した。溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチル(2:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、0.134g(42%)の表題化合物が白色泡状物として得られた。
【0246】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.41 (d, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 7.98 (s, 1H, ArH), 7.94 (d, J = 4.0 Hz, 1H, ピラゾール-H), 7.85 (d, J = 8.2 Hz, 1H, ArH), 7.58 (d, J = 4.4 Hz, 1H, ピラゾール- H), 4.78 (d, J = 14.8 Hz, 1H, CH), 4.69 (d, J = 14.8 Hz, 1H, CH), 1.71 (s, 3H, CH
3).HRMS[C
16H
11F
4N
4O
3
+]:計算値383.0767、実測値383.0726[M+H]
+。純度:97.64%(HPLC)。
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-(4-((S)-3-((4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソプロポキシ)ブタ-1-イン-1-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
31H
26F
6N
6O
5)(1074)
【化11】
【0247】
アルゴン雰囲気下、氷水浴中で冷却した、4-(1H-ピラゾール-4-イル)ブタ-3-イン-1-オール(0.48g、0.0035256mol)の無水THF(20mL)溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散物、0.71g、0.0172676mol)を加えた。添加後、得られた混合物を3時間、撹拌した。上記の溶液に、(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(1.24g、0.0035256mol)を加え、得られた反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩、撹拌した。この反応物を水によりクエンチして、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO4で乾燥してろ過し、真空下で濃縮した。溶離液としてDCMおよびメタノール(95:5)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、0.477g(20%)の表題化合物が黄色固体として得られた。
【0248】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.48 (s, 1H, NH), 10.39 (s, 1H, NH), 8.54 (s, 1H, ArH), 8.46 (s, 1H, ArH), 8.29 (d, J = 8.4 Hz, 1H, ArH), 8.23 (d, J = 8.4 Hz, 1H, ArH), 8.12-8.06 (m, 2H, ArH), 7.73 (s 1H, ピラゾール-H), 7.39 (s 1H, ピラゾール-H), 6.31 (s, 1H, OH), 5.99 (s, 1H, OH), 4.43 (d, J = 14.0 Hz, 1H, CH), 4.26 (d, J = 14.0 Hz, 1H, CH), 3.71 (d, J = 9.2 Hz, 1H, CH), 3.62- 3.53 (m, 2H, CH
2), 4.49 (d, J = 9.6 Hz, 1H, CH), 2.58-2.54 (m, 2H, CH
2), 1.36 (s, 3H, CH
3), 1.31 (s, 3H, CH
3).HRMS[C
31H
26F
6N
6NaO
5
+]:計算値699.1767、実測値699.1871[M+Na]
+。純度:%(HPLC)。
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-3-(4-(4-ヒドロキシブタ-1-イン-1-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-メチルプロパンアミド(C
19H
17F
3N
4O
3)(1075)
【化12】
【0249】
アルゴン雰囲気下、氷水浴中で冷却した、4-(1H-ピラゾール-4-イル)ブタ-3-イン-1-オール(0.48g、0.0035256mol)の無水THF(20mL)溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散物、0.71g、0.0172676mol)を加えた。添加後、得られた混合物を3時間、撹拌した。上記の溶液に、(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(1.24g、0.0035256mol)を加え、得られた反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩、撹拌した。この反応物を水によりクエンチして、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO4で乾燥してろ過し、真空下で濃縮した。溶離液としてDCMおよびメタノール(95:5)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、0.477g(20%)の表題化合物が黄色固体として得られた。
【0250】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.99 (brs, 1H), 10.47 (s, 1H, NH), 8.55 (s, 1H, ArH), 8.29 (d, J = 8.8 Hz, 1H, ArH), 8.08 (d, J = 8.8 Hz, 1H, ArH), 7.87 (s 1H, ピラゾール-H), 7.49 (s 1H, ピラゾール-H), 6.00 (s, 1H, OH), 3.64 (d, J = 8.2 Hz, 1H, CH), 3.60-3.56 (m, 2H, CH
2), 4.50 (d, J = 9.6 Hz, 1H, CH), 2.59-2.55 (m, 2H, CH
2), 1.31 (s, 3H, CH
3).HRMS[C
19H
18F
3N
4O
3
+]:計算値407.1331、実測値407.1267[M+H]
+。HRMS[C
19H
17F
3N
4NaO
3
+]:計算値429.1150、実測値429.1099[M+Na]
+。純度:%(HPLC)。
(S)-N-(3-((4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(C
16H
14F
3N
5O
3)(1076)
【化13】
【0251】
窒素をパージした、滴下漏斗を装備した50mLの乾燥丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴でのフラスコ中の10mLの無水THF溶媒中で、鉱油中の60%のNaH分散物(165mg、4.1mmol)を加え、1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(227mg、2.05mmol)を氷水浴で30分間、撹拌した。このフラスコに、アルゴン雰囲気下、10mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(721mg、2.05mmol)を、氷水浴において、滴下漏斗により加えて室温で一晩、撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、次に、50mLのEtOAcに分散して、50mL(×2)の水により洗浄し、蒸発させて、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。EtOAc/ヘキサン=1/1を溶離液として、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって混合物を精製すると、設計化合物が褐色固体として生成した。生成物の構造は、2D NMR(COSYおよびNOESY)により確認した。
【0252】
収率43%;褐色固体;MS(ESI)m/z 380.1[M-H]
-;382.1[M+H]
+;HRMS(ESI)m/z 計算値C
16H
14F
3N
5O
3 382.1127[M+H]
+ 実測値382.1051[M+H]
+;404.0882[M+Na]
+;
1H NMR (アセトン-d
6, 400 MHz) δ 9.92 (bs, 1H, NHCO), 8.44 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.24 (dd, J = 8.8, 1.8 Hz, 1H), 8.12 (s, 1H), 8.03 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.11 (bs, 1H, NHCO), 6.38 (bs, 1H, NH), 5.74 (s, OH), 4.67 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.39 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 1.50 (s, 3H).
19F NMR (アセトン-d
6, 400 MHz) δ 114.69
N-(1-((S)-3-((4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-((4R)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド(C
25H
28F
3N
7O
4S)(1078)
【化14】
【0253】
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル5-((4S)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタノエート(ビオチン-N-ヒドロキシスクシニルイミドエステル、146mg、0.413mmol)を1mLのDMFに溶解した。(S)-3-(4-アミノ-1H-ピラゾール-1-イル)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(141mg、0.413mmol)を加え、この混合物をTLC(EtOAc、100%)によってモニタリングしながら、30分間、撹拌した。反応の完了後、溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、対応する生成物を得た。
【0254】
収率48%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ = 10.41 (bs, 1H, NH), 9.87 (bs, 1H, NH), 8.47 (s, 1H), 8.20 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.10 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.33 (s, 1H), 6.45 (s, 1H), 6.39 (s, 1H), 6.31 (bs, 1H, OH), 4.39 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.32-4.29 (m, 1H), 4.22 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.14-4.12 (m, 1H), 3.17 (m, 1H), 2.84 (dd, J = 12.8, 5.2 Hz, 1H), 2.57 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 2.21 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.60-1.55 (m, 2H), 1.32 (s, 3H), 1.18 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 1.15 (t, J = 7.2 Hz, 1H) HRMS (ESI) m/z 計算値C
25H
28F
3N
7O
4S 580.1954 [M + H]
+ 実測値580.1973; 602.1773 [M + Na]
+ 実測値602.1808.
tert-ブチル((1H-ピラゾール-4-イル)メチル)カルバメート(C
9H
15N
3O
2)(1079a;中間体)
【化15】
【0255】
化合物(1H-ピラゾール-4-イル)メタンアミン二塩酸塩(1g、5.89mmol)およびジクロロメタン(50mL)(トリメチルアミン(1.64mL、11.76mmol)により処理)を含有するフラスコに、ジ-tert-ブチルジカーボネート(1.28g、5.89mmol)を加えた。この反応物を一晩、撹拌し、溶媒を取り除き、最後に、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製し、目的化合物を無色固体として得た。
【0256】
MS(ESI)m/z 198.10[M+H]
+;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 7.48 (s, 2H), 6.68 (bs, 1H, NH), 4.72 (bs, 1H, NHC(O)-), 4.15 (d,J = 4.8 Hz, 1H), 1.38 (s, 9H).
(S)-tert-ブチル((1-(3-((6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)アミノ)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)カルバメート(C
20H
23F
3N
6O
4)(1079)
【化16】
【0257】
窒素をパージした、滴下漏斗を装備した50mLの乾燥丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴でのフラスコ中の10mLの無水THF溶媒中で、鉱油中の60%のNaH分散物(240mg、6.0mmol)を加え、(tert-ブチル((1H-ピラゾール-4-イル)メチル)カルバメート(139、396.5mg、2.0mmol)を氷水浴で30分間、撹拌した。このフラスコに、アルゴン雰囲気下、10mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(708mg、2.0mmol)を、氷水浴において、滴下漏斗により加えて室温で一晩、撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、次に、50mLのEtOAcに分散して、50mL(×2)の水により洗浄し、蒸発させて、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。EtOAc/ヘキサン=1/1を溶離液として、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって混合物を精製し、設計化合物が褐色固体として生成した(1.043g、収率81%)。MP172.5~173.6℃。
【0258】
生成物の構造は、2D NMR(COSYおよびNOESY)により確認した。MS(ESI)m/z 467.25[M-H]
-、492.17[M+Na]
+;HRMS(ESI)m/z 計算値C
20H
23F
3N
6O
4 443.0079[M+H]
+ 実測値443.0083[M+H]
+;464.9903[M+Na]
+;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 9.35 (bs, 1H, NH), 8.84 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.69 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.49 (s, 1H), 7.41 (s, 1H), 4.74 (bs, NHC(O)), 4.62 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 4.23 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 4.15 (m, 2H), 4.14 (bs, 1H, OH), 1.49 (s, 3H), 1.45 (s, 9H).
19F NMR (CDCl3, 400 MHz) δ -62.10.
(S)-3-(4-(アミノメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
15H
15F
3N
6O
2)(1080)
【化17】
【0259】
1079(721mg、2.05mmol)のEtOH(20mL)溶液に、0℃で塩化アセチル(5mL)を滴下して加え、室温で3時間、さらに撹拌した。減圧下で溶媒を除去した後、得られた固体をEtOAc-ヘキサンから再結晶し、所望の化合物(94%)を褐色固体として得た。
【0260】
MS(ESI)m/z 367.20[M-H]
-;369.24[M+H]
+;
1H NMR (MeOD-d
4, 400 MHz) δ 10.13 (bs, 1H, NHCO), 9.13 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.78 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.29 (bs, 2H, NH
2), 7.92 (s, 1H), 7.61 (s, 1H), 4.65 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.37 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.21 (s, 2H), 4.04 (bs, 1H, OH), 1.53 (s, 3H).
19F NMR (MeOD-d4, 400 MHz) δ -63.69.
N-((1-((S)-3-((6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)アミノ)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-5-((4R)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド(C
25H
29F
3N
8O
4S)(1082)
【化18】
【0261】
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル5-((4R)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタノエート(ビオチン-NHS、93mg、0.27mmol)を1mLのDMFに溶解した。1080(100mg、0.27mmol)を加え、この混合物をTLCによりモニタリングしながら、室温で一晩、撹拌した。反応の完了後、溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン/MeOH=4/2/1、v/v/v)によって精製し、所望のアミド(収率38%)が白色固体として得られた。
【0262】
MS(ESI)m/z 593.41[M-H]
-;617.23[M+Na]
+;
1H NMR (MeOD-d
4, 400 MHz) δ 9.11 (s, 1H), 8.77 (s, 1H), 8.31 (bs, 1H, NHCO), 7.64 (s, 1H), 7.36 (s, 1H), 5.52 (bs, 2H), 4.53 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.52 (m, 1H), 4.32 (m, 1H), 4.28 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.18 (d, J = 4.8 Hz, 2H, CH
2NH(CO)-), 3.22 (m, 1H), 2.96 (dd, J = 12.8, 4.8 Hz, 1H), 2,72 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 2.20 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.66 (m, 2H), 1.49 (s, 3H), 1.42 (m, 2H).
19F NMR (MeOD-d
4, 400 MHz) δ -63.65.
(S)-tert-ブチル(1-(3-((4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)-1H-ピラゾール-4-カルボニル)カルバメート(C
21H
22F
3N
5O
5)(1083a;中間体)
【化19】
【0263】
窒素をパージした、滴下漏斗を装備した50mLの乾燥丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴でのフラスコ中の10mLの無水THF溶媒中で、鉱油中の60%のNaH分散物(120mg、3.0mmol)を加え、tert-ブチル1H-ピラゾール-4-カルボニルカルバメート(211mg、1.0mmol)を氷水浴で30分間、撹拌した。このフラスコに、アルゴン雰囲気下、10mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(351mg、1.0mmol)を、氷水浴において、滴下漏斗により加えて室温で一晩、撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、次に、50mLのEtOAcに分散して、50mL(×2)の水により洗浄し、蒸発させて、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。EtOAc/ヘキサン=3/2を溶離液として、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって混合物を精製すると、設計化合物が白色固体として生成した(0.333mg、収率69%)。
【0264】
生成物の構造は、2D NMR(COSYおよびNOESY)により確認した。MS(ESI)m/z 480.23[M-H]
-;HRMS(ESI)m/z 計算値C
21H
22F
3N
5O
5 382.1127[(M-t-Boc)+H]
+ 実測値382.1129[(M-t-Boc)+H]
+;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 9.13 (bs, 1H, NH), 8.18 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 8.02 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.89 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.77 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.66 (bs, C(O)NHC(O)), 5.79 (bs, 1H, OH), 4.70 (d, J = 13.8 Hz, 1H), 4.32 (d, J = 13.8 Hz, 1H), 1.52 (s, 3H), 1.50 (s, 9H);
19F NMR (CDCl3, 400 MHz) δ -62.20.
(S)-1-(3-((4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(C
16H
14F
3N
5O
3)(1083)
【化20】
【0265】
1083a(721mg、2.05mmol)のEtOH(10mL)溶液に、0℃で塩化アセチル(3mL)を滴下して加え、室温で3時間、さらに撹拌した。減圧下で溶媒を除去した後、混合物を酢酸エチルおよびヘキサンにより処理し、所望の化合物(95%)を黄色固体として得た。
【0266】
純度:98.75%;生成物の構造は、2D NMR(COSYおよびNOESY)により確認した。UV最大194.45、270.45。MS(ESI)m/z 380.19[M-H]
-;HRMS(ESI)m/z 計算値C
16H
14F
3N
5O
3 382.1127[M+H]
+、実測値382.1282[M+H]
+;
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ 10.39 (bs, 1H, NHC(O)), 8.46 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 8.20 (dd, J = 8.6, 1.6 Hz, 1H), 8.08 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 8.05 (s, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.55 (bs, 2H, C(O)NH
2), 6.99 (bs, 1H, OH), 4.45 (d, J = 13.8 Hz, 1H), 4.28 (d, J = 13.8 Hz, 1H), 1.34 (s, 3H).
19F NMR DMSO-d
6, 400 MHz) δ -61.13.
エチル-5-フルオロ-1H-インドール-3-カルボキシレート(C
11H
10FNO
2)(48a;中間体)
【化21】
【0267】
100mLの丸底フラスコ中で、30mLのエタノールに、(1.0mol)のカルボン酸(1.5g、8.37mmol)を加えた。ここに、触媒量の濃H2SO4を室温で加え、還流下、連続撹拌しながら一晩、加熱した。酢酸エチルおよびヘキサン(2:3、v/v)系を使用するTLCによってこの反応をモニタリングした。TLCにより反応が完了したことが示されるまで、撹拌を継続した。次に、この反応混合物を室温に到達させた。エタノールを減圧下で留去し、残留物を水に溶解して、次に、酢酸エチルにより2回、抽出した。合わせた有機溶液を飽和NaHCO3溶液、水により洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、目的化合物を明褐色固体(75%)として得た。
【0268】
HRMS(ESI)m/z 計算値C
11H
10FNO
2 208.0774[M+H]
+ 実測値208.0817[M+H]
+;MS(ESI)m/z 208.10[M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.62 (bs, 1H, NH), 7.99 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.86 (d, J = 10.0, 2.8 Hz, 1H), 7.37 (dd, J = 8.8, 4.4 Hz, 1H), 7.05 (dt, J = 8.8, 1.4 Hz, 1H), 4.43 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 1.45 (t, J = 7.2 Hz, 1H).
19F NMR (400 MHz, CDCl
3) δ -121.38.
(S)-エチル1-(3-((4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)-5-フルオロ-1H-インドール-3-カルボキシレート(C
23H
19F
4N
3O
4)(48)
【化22】
【0269】
窒素をパージした、滴下漏斗を装備した50mLの乾燥丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴でのフラスコ中の10mLの無水THF溶媒中で、鉱油中の60%のNaH分散物(116mg、2.9mmol)を加え、3mLのTHF中のエチル5-フルオロ-1H-インドール-3-カルボキシレート(200mg、0.965mmol)の溶液を氷水浴で30分間かけて撹拌しながら加えた。このフラスコに、アルゴン雰囲気下、10mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(339mg、0.965mmol)を、氷水浴において、滴下漏斗により加えて室温で一晩、撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、次に、50mLのEtOAcに分散して、50mL(×2)の水により洗浄し、蒸発させて、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。EtOAc/ヘキサン=3/2を溶離液として、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって混合物を精製し、設計化合物が黄色固体として生成した(289mg、収率63%)。生成物の構造は、2D NMR(COSYおよびNOESY)により確認した。
【0270】
MS(ESI)m/z 476.31[M-H]
-;500.26[M+Na]
+;;LCMS(ESI)m/z 計算値C
23H
19F
4N
3O
4 476.1390[M-H]
-、実測値476.1301[M-H]
-;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 8.90 (bs, 1H, NH), 7.98 (s, 1H), 7.88 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.77-7.73 (m, 2H), 7.65 (dd, J = 9.4, 2.6 Hz, 1H), 7.42 (dd, J = 9.4, 4.0 Hz, 1H), 6.99 (dt, J = 8.8, 2.6 Hz, 1H), 4.66 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 4.39 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 4.17 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 4.00 (s, OH), 1.68 (s, 3H), 1.38 (t, J = 7.0 Hz, 3H) .
19F NMR (CDCl3, 400 MHz) δ -62.26, -120.93.
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(5-フルオロ-3-ホルミル-1H-インドール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
21H
15F
4N
3O
3)(49)
【化23】
【0271】
窒素をパージした、滴下漏斗を装備した100mLの乾燥丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴でのフラスコ中の10mLの無水THF溶媒中で、鉱油中の60%のNaH分散物(240mg、6mmol)を加え、5mLのTHF中の5-フルオロ-1H-インドール-3-カルバルデヒド(326mg、2mmol)の溶液を氷水浴において30分間かけて撹拌しながら加えた。このフラスコに、アルゴン雰囲気下、10mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(702mg、6mmol)を、氷水浴において、滴下漏斗により加えて室温で一晩、撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、次に、50mLのEtOAcに分散して、50mL(×2)の水により洗浄し、蒸発させて、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。EtOAc/ヘキサン=3/2を溶離液として、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって混合物を精製し、設計化合物が黄色固体として生成した(収率73%)。純度:99.14%。
【0272】
生成物の構造は、2D NMR(COSYおよびNOESY)により確認した。UV最大195.45、265.45;MS(ESI)m/z 432.21[M-H]
-、456.21[M+Na]
+;LCMS(ESI)m/z 計算値C
21H
15F
4N
3O
3 456.0947[M+Na]
+、実測値456.0887[M+Na]
+;
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ 10.35 (bs, 1H, NH), 9.90 (bs, 1H, CHO), 8.25 (s, 1H), 8.24 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.11 (dd, J = 8.4, 2.0 Hz, 1H), 8.05 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.70 (dd, J = 9.0, 2.3 Hz, 1H), 7.65 (dd, J = 9.0, 4.4 Hz, 1H), 7.65 (dt, J = 9.2, 2.8 Hz, 1H), 6.51 (s, OH), 4.69 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.42 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 1.47 (s, 3H).
19F NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ -61.21, -1201.26.
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(5-フルオロ-3-((ヒドロキシイミノ)メチル)-1H-インドール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
21H
16F
4N
4O
3)(50)
【化24】
【0273】
49(300mg、0.69mmol)のピリジン(5mL)溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(111mg、1.5mmol)を加えた。この溶液を室温で一晩、撹拌し、次に、蒸発乾固した。この残留物を酢酸エチル(20mL)に溶解し、この溶液にH
2O(10mL)を加えた。残留物をろ過して水により洗浄すると、ピンク色固体(286mg、94%収率)が得られた。
生成物の構造は、2D NMR(COSYおよびNOESY)により確認した。MS(ESI)m/z 447.21[M-H]
-;449.24[M+H]
+;471.23[M+Na]
+;HRMS(ESI)m/z 計算値C
21H
16F
4N
4O
4 449.1237[M-H]
-、実測値449.1235[M-H]
-;
1H NMR (DMSO-d6,400 MHz) δ 11.24 (bs, 1H, NH), 10.34 (bs, 1H, OH), 8.34 (s, 1H), 8.24 (s, 1H), 8.10 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 8.02 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.65 (dd, J = 10.0, 2.4 Hz, 1H), 7.55 (dd, J = 9.2, 4.4 Hz, 1H), 6.97 (dt, J = 9.2, 2.4 Hz, 1H), 6.46 (s, OH), 4.60 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 4.35 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 1.43 (s, 3H) .
19F NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ -61.17, -123.69.
(S)-3-(3-((2-アセチルヒドラゾノ)メチル)-5-フルオロ-1H-インドール-1-イル)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
23H
19F
4N
5O
3)(51)
【化25】
【0274】
エチルアルコール(10mL)および触媒量の酢酸中の49(150mg、0.346mmol)の溶液に、アセトヒドラジン(31mg、0.381mmol)を加えた。TLCで開始アルデヒドが消失するまで、この溶液を2時間、加熱して還流した。この溶液を減圧下で濃縮し、酢酸エチル(20mL)に分散させて、飽和塩化ナトリウムにより洗浄した。この溶液を無水硫酸マグネシウムにより乾燥させ、減圧下で濃縮すると、粗製固体が得られた。次に、酢酸エチル/ヘキサン=3:2、v/vにより溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって混合物を精製し、所望の生成物を黄色固体(153mg、90.5%収率)として得た。
【0275】
生成物の構造は、2D NMR(COSYおよびNOESY)により確認した。MS(ESI)m/z 488.26[M-H]
-;490.28[M+H]
+、512.23[M+Na]
+;HRMS(ESI)m/z 計算値C
23H
19F
4N
5O
3 490.1502[M+H]
+、512.1322[M+Na]
+、実測値490.1509[M+H]
+、512.1328[M+Na]
+;
1H NMR (CDCl3,400 MHz) δ 8.62 (s, 1H), 8.17 (bs, 1H, NHC(O)-), 7.83 (m, 1H, ArH), 7.72 (s, 2H, ArH), 7.54 (m, 2H, ArH), 7.52 (s, 1H, ArH), 7.42 (dd, J = 9.2, 4.2 Hz, 1H, ArH), 7.01 (m, 1H, -C=N-NH- ), 4.64 (s, 1OH), 4.62 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 4.37 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 2.30 (s, 3H), 1.66 (s, 3H);
19F NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ -62.22, -121.58. HPLC: t
R 3.22 min, 純度:99.33%.
(S)-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-3-(5-フルオロ-3-ホルミル-1H-インドール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
20H
14F
4N
4O
3)(53)
【化26】
【0276】
窒素をパージした、滴下漏斗を装備した100mLの乾燥丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴でのフラスコ中の10mLの無水THF溶媒中で、鉱油中の60%のNaH分散物(180mg、4.5mmol)を加え、5mLのTHF中の5-フルオロ-1H-インドール-3-カルバルデヒド(245mg、1.5mmol)の溶液を氷水浴で30分間かけて撹拌しながら加えた。このフラスコに、アルゴン雰囲気下、10mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(528mg、1.5mmol)を、氷水浴において、滴下漏斗により加えて室温で一晩、撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、次に、50mLのEtOAcに分散して、50mL(×2)の水により洗浄し、蒸発させて、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。EtOAc/ヘキサン=3/2を溶離液として、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって混合物を精製し、設計化合物が黄色固体として生成した(収率68%)。
【0277】
純度:99.14%;生成物の構造は、2D NMR(COSYおよびNOESY)により確認した。MS(ESI)m/z 457.16[M+Na]
+、433.17[M-H]
-;LCMS(ESI)m/z 計算値C
20H
14F
4N
4O
3 435.3517[M+H]
+、実測値435.3538[M+H]
+;
1H NMR (アセトン-d
6, 400 MHz) δ 10.08 (bs, 1H, NH), 9.95 (bs, 1H, CHO), 9.14 (s, 1H), 8.69 (s, 1H), 7.80 (dd, J = 9.4, 2.4 Hz, 1H), 7.66 (dd, J = 9.2, 4.4 Hz, 1H), 7.05 (dt, J = 9.2, 2.4 Hz, 1H), 5.85 (s, OH), 4.86 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 4.55 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 1.68 (s, 3H).
19F NMR (アセトン-d
6, 400 MHz) δ 114.53, 54.70.
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(3-シアノ-5-フルオロ-1H-インドール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
21H
14F
4N
4O
2)(54)
【化27】
【0278】
窒素をパージした、滴下漏斗を装備した100mLの乾燥丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴でのフラスコ中の10mLの無水THF溶媒中で、鉱油中の60%のNaH分散物(120mg、3mmol)を加え、5mLのTHF中の5-フルオロ-1H-インドール-3-カルボニトリル(160mg、1mmol)の溶液を氷水浴において30分間かけて撹拌しながら加えた。フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴において、5mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(351mg、1mmol)を滴下漏斗により加え、室温で一晩、撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、次に、50mLのEtOAcに分散して、50mL(×2)の水により洗浄し、蒸発させて、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。EtOAc/ヘキサンによりこの混合物を結晶化し、設計化合物が褐色固体として生成した(収率63%)。
【0279】
純度:98.41%;生成物の構造は、2D NMR(COSYおよびNOESY)により確認した。UV最大196.45、270.45;MS(ESI)m/z 429.24[M-H]
-、453.20[M+Na]
+;LCMS(ESI)m/z 計算値C
21H
14F
4N
4O
2 431.1131[M+H]
+、実測値431.1112[M+H]
+、453.1145[M+Na]
+;
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ 10.32 (bs, 1H, NH), 8.20 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 8,19 (s, 1H), 8.07 (dd, J = 8.6, 1.6 Hz, 1H), 8.02 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.67 (dd, J = 9.2, 4.4 Hz, 1H), 7.33 (dd, J = 9.2, 2.4 Hz, 1H), 7.08 (dt, J = 9.2, 2.4 Hz, 1H), 6.51 (bs, OH), 4.67 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.37 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 1.43 (s, 3H).
19F NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ -61.23, -121.31.
(S)-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-3-(5-フルオロ-3-((ヒドロキシイミノ)メチル)-1H-インドール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
20H
15F
4N
5O
3)(55)
【化28】
【0280】
53(300mg、0.69mmol)のピリジン(5mL)溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(111mg、1.5mmol)を加えた。この溶液を室温で一晩、撹拌し、次に、蒸発乾固した。この残留物を酢酸エチル(20mL)に溶解し、この溶液にH2O(10mL)を加えた。残留物をろ過して水により洗浄すると、ピンク色固体(286mg、94%収率)が得られた。
【0281】
生成物の構造は、2D NMR(COSYおよびNOESY)により確認した。UV最大195.45、266.45。MS(ESI)m/z 448.19[M-H]
-、450.22[M+H]
+;LCMS(ESI)m/z 計算値C
20H
15F
4N
5O
3 450.1189[M+H]
+、実測値450.1192[M+H]
+;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 9.73 (bs, 1H, NH), 9.15 (bs, 1H, OH), 8.87 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 8.80 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.64 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.34-7.28 (m, 2H), 7.02 (dt, J = 8.6 Hz, 1H), 8.02 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.65 (dd, J = 10.0, 2.4 Hz, 1H), 7.55 (dd, J = 9.2, 4.4 Hz, 1H), 6.97 (dt, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 6.46 (s, OH), 4.53 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 4.35 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 1.57 (s, 3H) .
19F NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ -62.18, -121.67.
(S)-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-3-(3-シアノ-5-フルオロ-1H-インドール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
20H
13F
4N
5O
2)(56)
【化29】
【0282】
窒素をパージした、滴下漏斗を装備した100mLの乾燥丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴でのフラスコ中の10mLの無水THF溶媒中で、鉱油中の60%のNaH分散物(240mg、6mmol)を加え、5mLのTHF中の5-フルオロ-1H-インドール-3-カルボニトリル(320mg、2mmol)の溶液を氷水浴において30分間かけて撹拌しながら加えた。このフラスコに、アルゴン雰囲気下、5mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(704mg、2mmol)を、氷水浴において、滴下漏斗により加えて室温で一晩、撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、次に、50mLのEtOAcに分散して、50mL(×2)の水により洗浄し、蒸発させて、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。EtOAc/ヘキサン(1:1、v/v)によりこの混合物を結晶化し、設計化合物が黄色固体として生成した(収率37%)。
【0283】
純度:98.78%;MS(ESI)m/z 430.21[M-H]
-、432.22[M+H]
+;LCMS(ESI)m/z 計算値C
20H
13F
4N
5O
2 432.1084[M+H]
+、実測値432.1055[M+H]
+;454.0878[M+Na]
+;
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ 10.54 (bs, 1H, NH), 9.14 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.52 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.20 (s, 1H), 7.65 (dd, J = 9.2, 4.4 Hz, 1H), 7.33 (dd, J = 9.2, 2.4 Hz, 1H), 7.08 (dt, J = 9.2, 2.4 Hz, 1H), 6.58 (bs, OH), 4.69 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.38 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 1.45 (s, 3H).
19F NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ -61.38, -121.27.
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(5-フルオロ-3-ニトロ-1H-インドール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
20H
14F
4N
4O
4)(57)
【化30】
【0284】
窒素をパージした、滴下漏斗を装備した100mLの乾燥丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴でのフラスコ中の10mLの無水THF溶媒中で、鉱油中の60%のNaH分散物(120mg、3mmol)を加え、5mLのTHF中の5-フルオロ-3-ニトロ-1H-インドール(180mg、1mmol)の溶液を氷水浴において30分間かけて撹拌しながら加えた。このフラスコに、アルゴン雰囲気下、5mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(351mg、1mmol)を、氷水浴において、滴下漏斗により加えて室温で一晩、撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、次に、50mLのEtOAcに分散して、50mL(×2)の水により洗浄し、蒸発させて、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。EtOAc/ヘキサン(1:1、v/v)によりこの混合物を結晶化し、設計化合物が黄色固体として生成した(収率42%)。
【0285】
MS(ESI)m/z 449.20[M-H]
-、451.21[M+H]
+;LCMS(ESI)m/z 計算値C
20H
14F
4N
4O
4 451.1029[M+H]
+、実測値451.1026[M+H]
+;
1H NMR (アセトン-d
6, 400 MHz) δ 9.88 (bs, 1H, NH), 8.47 (s, 1H), 8.22 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.10 (dd, J = 8.6, 2.0 Hz, 1H), 7.95 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.74 (dd, J = 9.2, 3.2 Hz, 1H), 7.11 (dt, J = 9.2, 2.4 Hz, 1H), 5.83 (bs, OH), 4.93 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.56 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 1.67(s, 3H).
19F NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ -62.98, -122.77.
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(5-フルオロ-3-((2-(2-(((7-ニトロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)メチル)アミノ)アセチル)ヒドラゾノ)メチル)-1H-インドール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
30H
23F
4N
9O
6)(58)
【化31】
【0286】
49(37mg、85μmol)のピリジン(5mL)溶液に、2-[N-(7-ニトロ-4-ベンゾフラザニル)メチルアミノ]アセトヒドラジド(acethydrazide)(25mg、85μmol)を加えた。この溶液を室温で一晩、撹拌し、次に、蒸発乾固した。次に、DCM/AcCN=3:1、v/vにより溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって混合物を精製し、所望の生成物をオレンジ色固体(43mg、75%収率)として得た。生成物の構造は、2D NMR(COSYおよびNOESY)により確認した。
【0287】
MS(ESI)m/z 680.33[M-H]
-;681.20[M+Na]
+;HRMS(ESI)m/z 計算値C
30H
23F
4N
9O
6 704.1605[M+Na]
+、実測値704.1631[M+Na]
+;
1H NMR (アセトン-d
6,400 MHz) δ 13.1 (bs, 1H, C(O)NH), 9.86 (bs, 1H, N-NH), 8.54 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.32 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 8.15 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.98 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.84 (dd, J = 9.2, 2.4 Hz, 1H), 6.53 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.62 (s, 2H), 5.60 (s, OH), 4.76 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.46 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 3.60 (bs, NH), 2.82 (s, 2H), 1.63 (s, 3H).
19F NMR (アセトン-d
6, 400 MHz) δ -62.81, -124.03.
アリール(S)-(3-置換-5-フルオロ-1H-インダゾール-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミドの一般合成
【化32】
【0288】
合成手順:窒素をパージした、滴下漏斗を装備した100mLの乾燥丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴でのフラスコ中の10mLの無水THF溶媒中で、鉱油中の60%のNaH分散物(240mg、6mmol)を加え、5mLのTHF中の様々な3-置換インダゾール(2mmol)の溶液を氷水浴において加え、30分間、撹拌した。このフラスコに、アルゴン雰囲気下、5mLの無水THF中の様々なアリール(R)-3-ブロモ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(2mmol)を、氷水浴において、滴下漏斗により加えて室温で一晩、撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、次に、50mLのEtOAcに分散して、50mL(×2)の水により洗浄し、蒸発させて、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。EtOAc/ヘキサンによりこの混合物を結晶化し、設計化合物が生成した。必要な場合、EtOAc/ヘキサンを用いる追加の再結晶化を行うと、さらに多くの所望の生成物が得られた。すべての生成物の構造は、2D NMR(COSYおよびNOESY)により確認した。
【0289】
(S)-3-(3-クロロ-5-フルオロ-1H-インダゾール-1-イル)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(99A)
【化33】
【0290】
白色固体;収率:58%;純度:95.03%;MS(ESI)m/z 439.20[M-H]
-、LCMS(ESI)m/z 計算値C
19H
13ClF
4N
4O
2 441.0741[M+H]
+、実測値441.0703[M+H]
+;
1H NMR (アセトン- d
6, 400 MHz) δ 9.83 (bs, 1H, NH), 8.36 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8,18 (dd, J = 8.8, 2.0 Hz, 1H), 8.00 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.77 (dd, J = 10.0, 4.0 Hz, 1H), 7.32-7.28 (m, 2H), 5.44 (bs, OH), 4.90 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 4.62 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 1.61 (s, 3H);
19F NMR (アセトン-d
6, 400 MHz) δ -62.82, -122.89.
(S)-3-(3-クロロ-5-フルオロ-1H-インダゾール-1-イル)-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(99B)
【化34】
【0291】
白色固体;収率:88%;純度:97.54%;MS(ESI)m/z 440.09[M-H]
-、442.41[M+H]
+;LCMS(ESI)m/z 計算値C
18H
12ClF
4N
5O
2 442.0694[M+H]
+、464.0513[M+Na]
+、実測値442.0652[M+H]
+、464.0510[M+Na]
+;
1H NMR (アセトン-d
6, 400 MHz) δ 10.03 (bs, 1H, NH), 9.19 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8,80 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.76 (m, 1H), 7.73-2.30 (m, 2H), 5.53 (bs, OH), 4.89 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 4.65 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 1.63 (s, 3H);
19F NMR (アセトン-d6, 400 MHz) δ -62.93, -122.86.
(S)-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-3-(5-フルオロ-3-ヨード-1H-インダゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(99C)
【化35】
【0292】
白色固体;収率:63%;純度:98.95%;MS(ESI)m/z 532.03[M-H]
-、556.04[M+Na]
+;LCMS(ESI)m/z 計算値C
18H
12F
4IN
5O
2 534.0050[M+H]
+、実測値534.0048[M+H]
+;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 9.23 (bs, 1H, NH), 8.78 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8,54 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.47 (dd, J = 9.2, 3.6 Hz, 1H), 7.30 (dt, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.11 (dd, J = 8.0, 2.4 Hz, 1H), 5.56 (bs, OH), 4.95 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.45 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 1.56 (s, 3H);
19F NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ -62.17, -119.49.
(S)-3-(3-ブロモ-5-フルオロ-1H-インダゾール-1-イル)-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(99D)
【化36】
【0293】
白色固体;収率:58%;MS(ESI)m/z 485.07[M-H]
-、487.11[M+H]
+;508.12[M+Na]
+;LCMS(ESI)m/z 計算値C
18H
12BrF
4N
5O
2 486.0189[M+H]
+ 実測値486.0187[M+H]
+;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 9.24 (bs, 1H, NH), 8.79 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8,54 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.49 (dd, J = 8.0, 2.0 Hz, 1H), 7.31-7.27 (m, 1H), 7.26-7.21 (m, 1H), 5.63 (bs, OH), 4.93 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.42 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 1.58 (s, 3H);
19F NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ -62.17, -119.40.
(S)-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-3-(5-フルオロ-3-メチル-1H-インダゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(99E)
【化37】
【0294】
白色固体;収率:68%;純度:98.85%;MS(ESI)m/z 420.20[M-H]
-、422.32[M+H]
+;444.26[M+Na]
+;LCMS(ESI)m/z 計算値C
19H
15F
4N
5O
2 420.1084[M-H]
-;実測値:420.1101[M-H]
-;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 9.30 (bs, 1H, NH), 8.75 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8,56 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.39 (dd, J = 8.8, 4.0 Hz, 1H), 7.25-7.19 (m, 2H), 6.38 (bs, OH), 4.85 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.33 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 2.53 (s, 3H), 1.53 (s, 3H);
19F NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ - 62.18, -122.23.
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(2,3-ジオキソインドリン-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(120)
【化38】
【0295】
窒素をパージした、100mLの乾燥丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、インドリン-2,3-ジオン(147mg、10.0mmol)、(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(351mg、10.0mmol)およびK2CO3(14.5mmol、277mg)の混合物をDMF(5mL)中、室温で12時間、激しく撹拌した。水(50mL)に反応混合物を注ぎ入れて、EtOAc(10mL×3)により抽出し、ブライン、水性塩化アンモニウムおよび水により洗浄した。酢酸エチル抽出物をMgSO4によって乾燥し、減圧下で濃縮して溶離液としてEtOAc/ヘキサン(1:1、v/v)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、目的化合物が得られた。
【0296】
収率:34%;
【0297】
褐色ゲル;
【0298】
UV最大197.45、270.45;
【0299】
HPLC:tR 3.18分、純度97.82%;
【0300】
MS(ESI)m/z 416.2[M-H]-;
【0301】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 9.16 (bs, 1H, NH), 8.09 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 8.4, 1.6 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.91 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 6.60 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.56 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.52 (bs, OH), 3.84 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 3.25 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 1.57 (s, 3H);
13C NMR (CDCl
3,100 MHz) δ 173.9, 158.5, 156.2, 142.7, 141.4, 135.8, 133.9 (q, J = 33 Hz), 123.4, 121.8, 120.7, 117.3 (q, J = 5 Hz), 116.4, 116.3, 116.1, 115.9, 115.5, 104.6, 60.5, 21.1;
19F NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ -62.21.
(S)-3-(3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール-1-イル)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(99G)
【化39】
【0302】
窒素をパージした、滴下漏斗を装備した100mLの乾燥丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴でのフラスコ中の10mLの無水THF溶媒中で、鉱油中の60%のNaH分散物(240mg、3mmol)を加え、5mlのTHF中の3-Cl 4CF3-インダゾール(441mg、2mmol)の溶液を氷水浴において加え、30分間、撹拌した。このフラスコに、アルゴン雰囲気下、5mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(702mg、2mmol)を、氷水浴において、滴下漏斗により加え、室温で一晩、撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、次に、50mLのEtOAcに分散して、50mL(×2)の水により洗浄し、蒸発させて、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。EtOAc/ヘキサンでこの混合物を結晶化し、設計化合物が明黄色固体として生成した。DCMを用いる追加の再結晶化により、白色固体が生成した。収率:68%;
【0303】
純度:98.79%;
【0304】
UV最大214.45、271.45。
【0305】
MS(ESI)m/z 489.20[M-H]-;
【0306】
LCMS(ESI)m/z 計算値C20H13ClF6N4O2 489.0553[M-H]-;実測値:489.0582[M-H]-;491.0709[M+H]+ 実測値491.0713。
【0307】
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 9.08 (bs, 1H, NH), 7.95 (s, 1H), 7.78-7.73 (m, 3H), 7.59- 7.55 (m, 2H), 5.31 (bs, OH), 5.00 (d, J = 14.2 Hz, 1H), 4.53 (d, J = 14.2 Hz, 1H), 1.57 (s, 3H).
19F NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ -58.26, -62.27.
(S)-N-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-(3-クロロ-5-フルオロ-1H-インダゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(99F)
【化40】
【0308】
窒素をパージした、滴下漏斗を装備した100mLの乾燥丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴でのフラスコ中の10mLの無水THF溶媒中で、鉱油中の60%のNaH分散物(240mg、3mmol)を加え、5mlのTHF中の3-Cl-5-F-インダゾール(341mg、2mmol)の溶液を氷水浴において加え、30分間、撹拌した。フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴において、5mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミドDJ-VI-5(635mg、2mmol)を滴下漏斗により加え、室温で一晩、撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、次に、50mLのEtOAcに分散して、50mL(×2)の水により洗浄し、蒸発させて、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。EtOAc/ヘキサン(2/3、v/v)によりこの混合物を結晶化し、設計化合物が白色固体として生成した。DCMを用いる追加の再結晶化により、白色固体が生成した。
【0309】
収率:67%。
【0310】
純度:97.54%;
【0311】
UV最大269.45。
【0312】
MS(ESI)m/z 405.20[M-H]-、
【0313】
LCMS(ESI)m/z 計算値C18H13Cl2FN4O2 405.0321[M-H]-;実測値:405.0352[M-H]-;
【0314】
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 8.96 (bs, 1H, NH), 7.80 (s, 1H), 7.56 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.48 (m, 1H), 7.38 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.30-7.27 (m, 2H), 5.33 (bs, OH), 4.90 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.36 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 1.53 (s, 3H).
19F NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ -119.75.
(S)-3-(3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール-1-イル)-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(99H)
【化41】
【0315】
窒素をパージした、滴下漏斗を装備した100mLの乾燥丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴でのフラスコ中の10mLの無水THF溶媒中で、鉱油中の60%のNaH分散物(240mg、6mmol)を加え、5mlのTHF中の3-Cl 4-CF3-インダゾール(441mg、2mmol)の溶液を氷水浴において加え、30分間、撹拌した。このフラスコに、アルゴン雰囲気下、5mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(704mg、2mmol)を、氷水浴において、滴下漏斗により加えて室温で一晩、撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、次に、50mLのEtOAcに分散して、50mL(×2)の水により洗浄し、蒸発させて、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。
【0316】
収率:48%;
【0317】
純度:99.9%;
【0318】
UV最大:284.45;
【0319】
MS(ESI)m/z 490.06[M-H]-;
【0320】
LCMS(ESI)m/z 計算値C19H12ClF6N5O2 490.0505[M-H]-;実測値:490.0509[M-H]-;
【0321】
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 9.22 (bs, 1H, NH), 8.81 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.54 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 8.0 Hz, 1H),7.58 (m, 2H), 5.42 (bs, OH), 5.01 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.45 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 1.59 (s, 3H);
19F NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ -58.22, -62.10.
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-(4-スルファモイル-1H-ピラゾール-1-イル)プロペンアミド(1091)
【化42】
【0322】
窒素をパージした、滴下漏斗を装備した100mLの乾燥丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、氷水浴でのフラスコ中の10mLの無水THF溶媒中で、鉱油中の60%のNaH分散物(240mg、6mmol)を加え、5mlのTHF中の1H-ピラゾール-4-スルホンアミド(295mg、2mmol)の溶液を氷水浴において加え、30分間、撹拌した。このフラスコに、アルゴン雰囲気下、5mLの無水THF中の(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(702mg、2mmol)を、氷水浴において、滴下漏斗により加えて室温で一晩、撹拌した。1mLのH2Oを添加した後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、次に、50mLのEtOAcに分散して、50mL(×2)の水により洗浄し、蒸発させて、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固した。アセトン/ヘキサンによりこの混合物を結晶化し、目的化合物が白色固体として生成した。
【0323】
収率:48%;
【0324】
純度:98.18%;
【0325】
UV最大:270.45;
【0326】
MS(ESI)m/z 416.20[M-H]-;
【0327】
LCMS(ESI)m/z 計算値C15H14F3N5O4S 416.0640[M-H]-;実測値:416.0679[M-H]-418.0789[M+H]+、440.0613[M+Na]+;
【0328】
1H NMR (アセトン-d
6, 400 MHz) δ 9.76 (bs, 1H, NH), 8.32 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 8.11 (dd, J = 8.4, 1.6 Hz, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.88 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.39 (bs, 2H, SO2NH2), 5.53 (bs, OH), 4.54 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.30 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 1.38 (s, 3H).
19F NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ - 62.80.
化合物1084の調製
【化43】
(R)-3-ブロモ-N-(2-シアノピリミジン-5-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
9H
9BrN
4O
2)
【化44】
【0329】
(R)-3-ブロモ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸(3.00g、0.0163934mol)を塩化チオニル(2.34g、0.01967211mol)、トリメチルアミン(2.16g、0.0213115mol)および5-アミノピリミジン-2-カルボニトリル(1.97g、0.0163934mol)と反応させて、表題化合物を得た。溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチル(1:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、3.44g(73.3%)の表題化合物が黄色固体として得られた。
【0330】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.71 (s, 1H, NH), 9.40-9.37 (m, 2H, ArH), 6.51 (s, 1H, OH), 3.84 (d, J=10.4 Hz, 1H, CH), 3.59 (d, J=10.4 Hz, 1H, CH), 1.50 (s, 3H, CH3).
【0331】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0332】
HRMS[C
9H
10BrN
4O
2
+]:計算値284.9987、実測値284.9985[M+H]
+。純度:97.09%(HPLC)。
(S)-N-(2-シアノピリミジン-5-イル)-2-メチルオキシラン-2-カルボキサミド(C
9H
8N
4O
2)
【化45】
【0333】
(R)-3-ブロモ-N-(2-シアノピリミジン-5-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(5.00g、0.01754mol)の25mLの2-ブタノン溶液に、炭酸カリウム(6.06g、0.04384mol)を加えた。得られた反応混合物を、アルゴン雰囲気下、還流で2時間、加熱した。この反応の終了をTLCによって確立した後、この反応物を室温(rt)まで冷却し、セライトのパッドに通してろ過し、このセライトパッドを15mLの2-ブタノンにより洗浄した。ろ液を真空下で濃縮し、25~30インチの真空下で乾燥し、(S)-N-(2-シアノピリミジン-5-イル)-2-メチルオキシラン-2-カルボキサミドを得た。
【0334】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.38 (s, 1H, NH), 9.27 (br. s, 2H, ArH), 3.11 (d, J=5.2 Hz, 1H, CH), 3.07 (d, J=8.8 Hz, 1H, CH), 1.56 (s, 3H, CH3).
【0335】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0336】
HRMS[C
9H
9N
4O
2
+]:計算値205.0726、実測値205.0721[M+H]
+。純度:98.93%(HPLC)。
(S)-N-(2-シアノピリミジン-5-イル)-3-(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
12H
11FN
6O
2)(1084)
【化46】
【0337】
アルゴン雰囲気下、氷水浴中で冷却した、4-フルオロ-1H-ピラゾール(0.121g、0.001403mol)の無水THF(10mL)溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散物、0.20g、0.0049101mol)を加えた。添加後、得られた混合物を3時間、撹拌した。上記の溶液に、(R)-3-ブロモ-N-(2-シアノピリミジン-5-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(0.40g、0.001403mol)を加え、得られた反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩、撹拌した。この反応物を水によりクエンチして、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO4で乾燥してろ過し、真空下で濃縮した。溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチル(1:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、0.12g(33.0%)の表題化合物がオフホワイト色の固体として得られた。
【0338】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.53 (s, 1H, NH), 9.30 (br s, 2H, ArH), 7.75 (d, J=4.4 Hz, 1H, ピラゾール-H), 7.42 (d, J=4.0 Hz, 1H, ピラゾール-H), 6.41 (s, 1H, OH), 4.38 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 4.19 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 1.35 (s, 3H, CH3).
【0339】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0340】
HRMS[C
12H
12FN
6O
2
+]:計算値291.1006、実測値291.1003[M+H]
+。純度:98.66%(HPLC)。
(S)-3-(4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-N-(2-シアノピリミジン-5-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
13H
11N
7O
2)(1085)
【化47】
【0341】
アルゴン雰囲気下、氷水浴中で冷却した、4-シアノ-1H-ピラゾール(0.131g、0.001403mol)の無水THF(10mL)溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散物、0.20g、0.0049101mol)を加えた。添加後、得られた混合物を3時間、撹拌した。上記の溶液に、(R)-3-ブロモ-N-(2-シアノピリミジン-5-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(0.40g、0.001403mol)を加え、得られた反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩、撹拌した。この反応物を水によりクエンチして、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO4で乾燥してろ過し、真空下で濃縮した。溶離液としてDCMおよびメタノール(9:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、0.115g(27.6%)の表題化合物が黄色固体として得られた。
【0342】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.50 (s, 1H, NH), 9.29 (br s, 2H, ArH), 8.46 (s, 1H, ピラゾール-H), 8.00 (s, 1H, ピラゾール-H), 6.52 (s, 1H, OH), 4.55 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 4.37 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 1.48 (s, 3H, CH3).
【0343】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0344】
HRMS[C
13H
12N
7O
2
+]:計算値298.1052、実測値298.1055[M+H]
+。純度:99.26%(HPLC)。
化合物1086の調製
【化48】
(R)-3-ブロモ-N-(2-クロロ-4-シアノフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
11H
10BrClN
2O
2)
【化49】
【0345】
(R)-3-ブロモ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸(3.33g、0.018182mol)を塩化チオニル(2.60g、0.02182mol)、トリメチルアミン(2.16g、0.0213115mol)および5-アミノピリミジン-2-カルボニトリル(2.39g、0.023638mol)と反応させて、表題化合物を得た。溶離液としてDCMおよび酢酸エチル(19:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、4.02g(69.5%)の表題化合物が黄色固体として得られた。
【0346】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.78 (s, 1H, NH), 8.49 (dd, J=8.8 Hz, J=4.4 Hz, 1H, ArH), 8.19 (d, J=1.6 Hz, 1H, ArH), 7.88 (dd, J=8.8 Hz, J=2.0 Hz, 1H, ArH), 6.84 (s, 1H, OH), 3.84 (d, J=10.4 Hz, 1H, CH), 3.59 (d, J=10.4 Hz, 1H, CH), 1.56 (s, 3H, CH3).
【0347】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0348】
HRMS[C
11H
11BrClN
2O
2
+]:計算値316.9690、実測値316.9684[M+H]
+。純度:98.38%(HPLC)。
(S)-N-(2-クロロ-4-シアノフェニル)-2-メチルオキシラン-2-カルボキサミド(C
11H
9ClN
2O
2)
【化50】
【0349】
(R)-3-ブロモ-N-(2-クロロ-4-シアノフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(5.00g、0.01575mol)の25mLの2-ブタノン溶液に、炭酸カリウム(3.26g、0.02362mol)を加えた。得られた反応混合物を、アルゴン雰囲気下、還流で2時間、加熱した。この反応の終了をTLCによって確立した後、この反応物を室温(rt)まで冷却し、セライトのパッドに通してろ過し、このセライトパッドを15mLの2-ブタノンにより洗浄した。ろ液を真空下で濃縮し、25~30インチの真空下で乾燥し、(S)-N-(2-クロロ-4-シアノフェニル)-2-メチルオキシラン-2-カルボキサミドを得た。
【0350】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.17 (s, 1H, NH), 8.19-8.15 (m, 2H, ArH), 7.87-7.84 (m, 1H, ArH), 3.17 (d, J=5.2 Hz, 1H, CH), 3.08 (d, J=5.2 Hz, 1H, CH), 1.56 (s, 3H, CH3).
【0351】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0352】
HRMS[C
11H
8ClN
2O
2
-]:計算値235.0274、実測値235.0265[M+H]
+。純度:67.48%(HPLC)。
(S)-N-(2-クロロ-4-シアノフェニル)-3-(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
14H
12ClFN
4O
2)(1086)
【化51】
【0353】
アルゴン雰囲気下、氷水浴中で冷却した、4-フルオロ-1H-ピラゾール(0.108g、0.0012595mol)の無水THF(10mL)溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散物、0.176g、0.0044082mol)を加えた。添加後、得られた混合物を3時間、撹拌した。上記の溶液に、(R)-3-ブロモ-N-(2-クロロ-4-シアノフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(0.40g、0.0012595mol)を加え、得られた反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩、撹拌した。この反応物を水によりクエンチして、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO4で乾燥してろ過し、真空下で濃縮した。溶離液としてDCMおよびメタノール(19:1~9:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、0.15g(31.6%)の表題化合物がオフホワイト色の固体として得られた。
【0354】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.50 (br s, 1H, NH), 8.44 (d, J=8.8 Hz, 1H, ArH), 8.15 (d, J=1.6 Hz, 1H, ArH), 7.86 (dd, J= 8.8 Hz, J=2.0 Hz, 1H, ArH), 7.75 (d, J=4.8Hz, 1H, ピラゾール- H), 7.38 (d, J=4.2 Hz, 1H, ピラゾール-H), 6.76 (br s, 1H, OH), 4.39 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 4.12 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 1.39 (s, 3H, CH3).
【0355】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0356】
HRMS[C
14H
13ClFN
4O
2
+]:計算値323.0711、実測値323.0723[M+H]
+。純度:98.81%(HPLC)。
(S)-N-(2-クロロ-4-シアノフェニル)-3-(4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
15H
12ClN
5O
2)(1087)
【化52】
【0357】
アルゴン雰囲気下、氷水浴中で冷却した、4-シアノ-1H-ピラゾール(0.117g、0.0012595mol)の無水THF(10mL)溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散物、0.176g、0.0044082mol)を加えた。添加後、得られた混合物を3時間、撹拌した。上記の溶液に、(R)-3-ブロモ-N-(2-クロロ-4-シアノフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(0.40g、0.0012595mol)を加え、得られた反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩、撹拌した。この反応物を水によりクエンチして、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO4で乾燥してろ過し、真空下で濃縮した。溶離液としてDCMおよびメタノール(19:1~9:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、0.15g(31.6%)の表題化合物がオフホワイト色の固体として得られた。
【0358】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.47 (br s, 1H, NH), 8.46 (s, 1H, ピラゾール-H), 8.42 (d, J=8.2 Hz, 1H, ArH), 8.15 (d, J=2.0 Hz, 1H, ArH), 7.97 (s, 1H, ピラゾール-H), 7.88 (dd, J= 8.2 Hz, J=2.0 Hz, 1H, ArH), 6.88 (br s, 1H, OH), 4.56 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 4.36(d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 1.43 (s, 3H, CH3).
【0359】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0360】
HRMS[C
15H
13ClN
5O
2
+]:計算値330.0758、実測値330.0753[M+H]
+。純度:95.75%(HPLC)。
化合物1088の調製
【化53】
(R)-3-ブロモ-N-(3-クロロ-4-シアノ-2-メチルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
12H
12BrClN
2O
2)
【化54】
【0361】
(R)-3-ブロモ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸(1.21g、0.006602mol)を塩化チオニル(0.86g、0.007202mol)、トリメチルアミン(0.79g、0.007802mol)および4-アミノ-2-クロロ-3-メチルベンゾニトリル(1.00g、0.006002mol)と反応させて、表題化合物を得た。溶離液としてDCMおよび酢酸エチル(19:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、1.60g(80.4%)の表題化合物が黄色固体として得られた。
【0362】
1HNMR (400MHz, DMSO-d6) δ 9.70 (s, 1H, NH), 7.84 (d, J=8.4 Hz, 1H, ArH), 7.76 (d, J=8.4 Hz, 1H, ArH), 6.50(s, 1H, OH), 3.84 (d, J=9.2 Hz, 1H, CH), 3.59(d, J=9.2 Hz, 1H, CH), 2.32 (s, 3H, CH3), 1.50 (s, 3H, CH3).
【0363】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0364】
HRMS[C
12H
13BrClN
2O
2
+]:計算値330.9849、実測値330.9843[M+H]
+。純度:98.80%(HPLC)。
(S)-N-(3-クロロ-4-シアノ-2-メチルフェニル)-3-(4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
16H
14ClN
5O
2)(1088)
【化55】
【0365】
アルゴン雰囲気下、氷水浴中で冷却した、4-シアノ-1H-ピラゾール(0.112g、0.0012063mol)の無水THF(10mL)溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散物、0.169g、0.0042217mol)を加えた。添加後、得られた混合物を3時間、撹拌した。上記の溶液に、(R)-3-ブロモ-N-(3-クロロ-4-シアノ-2-メチルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(0.40g、0.0012063mol)を加え、得られた反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩、撹拌した。この反応物を水によりクエンチして、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO4で乾燥してろ過し、真空下で濃縮した。溶離液としてDCMおよびメタノール(9:1~5:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、0.31g(74.7%)の表題化合物がオフホワイト色の固体として得られた。
【0366】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.52 (br s, 1H, NH), 8.46 (s, 1H, ピラゾール-H), 8.04(s, 1H, ピラゾール-H), 7.83 (d, J=8.8 Hz, 1H, ArH), 7.78 (d, J=8.8 Hz, 1H, ArH), 6.51 (br s, 1H, OH), 4.56(d, J=14.4 Hz, 1H, CH), 4.34 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 2.18(s, 3H, CH3), 1.40 (s, 3H, CH3).
【0367】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0368】
HRMS[C
16H
15ClN
5O
2
+]:計算値344.0914、実測値344.0910[M+H]
+。純度:99.59%(HPLC)。
化合物1089および1090の調製
【化56】
(R)-3-ブロモ-2-ヒドロキシ-2-メチル-N-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパンアミド(C
11H
10BrF
3N
2O
4)
【化57】
【0369】
(R)-3-ブロモ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸(1.95g、0.0106734mol)を塩化チオニル(0.385g、0.0116437mol)、トリメチルアミン(1.276g、0.012614mol)および4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)アニリン(2.00g、0.0097031mol)と反応させて、表題化合物を得た。溶離液としてDCMおよび酢酸エチル(19:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、2.70g(75.0%)の表題化合物が黄色固体として得られた。
【0370】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.61(s, 1 H, NH), 8.58(d, J=2.0 Hz, 1H, ArH), 8.38 (dd, J=8.8 Hz, J=2.0 Hz, 1H, ArH), 8.22 (d, J=8.8 Hz, 1H, ArH), 6.45 (br s, 1H, OH), 3.85 (d, J=10.4 Hz, 1H, CH), 3.61 (d, J=10.4 Hz, 1H, CH), 1.50 (s, 3H, CH3).
【0371】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0372】
HRMS[C
11H
11BrF3N
2O
4
+]:計算値370.9854、実測値370.9854[M+H]
+。純度:95.23%(HPLC)。
(S)-3-(4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-N-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパンアミド(C
15H
12F
3N
5O
4)(1089)
【化58】
【0373】
アルゴン雰囲気下、氷水浴中で冷却した、4-シアノ-1H-ピラゾール(0.376g、0.0040419mol)の無水THF(20mL)溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散物、0.566g、0.0141466mol)を加えた。添加後、得られた混合物を3時間、撹拌した。上記の溶液に、(R)-3-ブロモ-2-ヒドロキシ-2-メチル-N-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパンアミド(1.50g、0.0040419mol)を加え、得られた反応混合物をアルゴン下、室温で一晩、撹拌した。この反応物を水によりクエンチして、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO4で乾燥してろ過し、真空下で濃縮した。溶離液としてDCMおよびメタノール(9:1~5:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、0.52g(33.5%)の表題化合物が黄色固体として得られた。
【0374】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.42 (br s, 1H, NH), 8.47(d, J=2.0 Hz, 1H, ArH), 8.46 (s, 1H, ピラゾール-H), 8.30 (dd, J=8.8 Hz, J=2.0 Hz, 1H, ArH), 8.20 (d, J=8.8 Hz, 1H, ArH), 8.00 (s, 1H, ピラゾール-H), 6.44 (br s, 1H, OH), 4.55 (d, J=14.4 Hz, 1H, CH), 4.36 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 1.39 (s, 3H, CH3).
【0375】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0376】
HRMS[C
15H
13F
3N
5O
4
+]:計算値384.0920、実測値384.0914[M+H]
+。純度:100.00%(HPLC)。
(S)-3-(4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-N-(4-イソチオシアナト-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパンアミド(C
16H
12F
3N
5O
2S)(1090)
【化59】
【0377】
氷水浴中で冷却した(S)-N-(4-アミノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(0.135g、0.0003821mol)の5mLの無水THF溶液に、アルゴン下、チオホスゲン(88mg、0.0007642mol)およびトリエチルアミン(0.193g、0.0019105mol)を加えた。得られた反応混合物をアルゴン下、室温で4~5時間おいた。この反応物を水によりクエンチして、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO4で乾燥してろ過し、真空下で濃縮した。溶離液としてDCMおよびメタノール(9:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、20mg(13.3%)の表題化合物が明褐色固体として得られた(非常に安定しているわけではなかった)。
【0378】
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 10.13 (s, 1H, NH), 8.30 (d, J=2.0Hz, 1H, ArH), 8.13 (s, 1H, ピラゾール-H), 8.04 (d, J=8.2 Hz, 1H, ArH), 7.64 (dd, J=8.2 Hz, J=2.0 Hz, 1H, ArH), 7.45 (s, 1H, ピラゾール-H), 6.19 (s, 1H, OH), 4.39 (m, 1H, CH), 4.21 (m, 1H, CH), 1.32 (s, 3H, CH3).
【0379】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0380】
HRMS[C
16H
11F
3N
5O
2S
-]:計算値394.0586、実測値396.0613[M+H]
+。純度:%(HPLC)。
化合物1094の調製
【化60】
1-アミノ-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル(C
5H
3F
3N
4)
【化61】
【0381】
3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル(0.5g、0.0031041mol)の10mLの水溶液に、砕いたNaOH(0.5g、0.012416mol)を加えた。この溶液を55~60℃で、20分間、撹拌した。上記の溶液に、ヒドロキシアミン-O-スルホン酸(1.05g、0.009312mol)を少量ずつ注意深く加えた。得られた反応混合物を65℃で2時間、加熱し、室温で2時間、撹拌した。反応物をDCMにより3回、抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO4で乾燥してろ過し、真空で濃縮して乾燥し、さらに精製することなく、次の工程に進んだ。
【0382】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ
【0383】
HRMS [C
5H
2F
3N
4-]: 計算値175.0232, 実測値175.0317 [M-H]-.純度:%(HPLC)。(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
9H
8BrF
3N
4O
2)
【化62】
【0384】
(R)-3-ブロモ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸(0.864g、0.0047223mol)を塩化チオニル(0.613g、0.0051516mol)、トリメチルアミン(0.565g、0.0055809mol)および1-アミノ-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル(0.756g、0.004293mol)と反応させて、表題化合物を得た。溶離液としてDCMおよび酢酸エチル(9:1~4:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、0.46g(31.5%)の表題化合物が黄色固体として得られた。
【0385】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ
【0386】
質量(ESI, ポジティブ): [M+H]+.
【0387】
HRMS[C
9H
7BrF
3N
4O
2
-]:計算値338.9704、実測値338.9697[M-H]
-。純度:%(HPLC)。
(S)-3-(4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
13H
10F
3N
7O
2)(1094)
【化63】
【0388】
アルゴン雰囲気下、氷水浴中で冷却した、4-シアノ-1H-ピラゾール(0.15g、0.0016183mol)の無水THF(10mL)溶液に、水素化ナトリウム(油中の60%分散物、0.19g、0.0047201mol)を加えた。添加後、得られた混合物を2時間、撹拌した。上記の溶液に、(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(0.46g、0.0013486mol)を加え、得られた反応混合物を、アルゴン下、室温で一晩、撹拌した。この反応物を水によりクエンチして、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO4で乾燥してろ過し、真空下で濃縮した。溶離液としてDCMおよび酢酸エチル(4:1~2:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、0.115g(50.4%)の表題化合物が黄色固体として得られた。
【0389】
1 NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.27 (s, 1H, NH), 8.83 (s, 1H, ピラゾール-H), 8.46(s, 1H, ピラゾール-H), 8.15 (s, 1H, ピラゾール-H), 6.49 (s, 1H, OH), 4.51 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 4.35(d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 1.40 (s, 3H, CH3).
【0390】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0391】
HRMS[C
13H
9F
3N
7O
2
-]:計算値352.0770、実測値352.0761[M-H]
-。純度:99.00%(HPLC)。
化合物1092の調製
【化64】
(S)-3-アジド-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
12H
10F
3N
5O
2)
【化65】
【0392】
(R)-3-ブロモ-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(2.00g、0.005696mol)の無水DMF(10mL)溶液に、アジ化ナトリウム(0.74g、0.011392mol)を加えた。反応混合物を80℃で3~4時間、加熱した。反応の終了をTLCによって確立した後、反応物を水によってクエンチし、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO4で乾燥してろ過し、真空下で体積を減少させた。溶離液としてDCMおよび酢酸エチル(9:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、0.93g(52.4%)の表題化合物が黄色固体として得られた。
【0393】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.58 (s, 1H, NH), 8.54 (s, 1H, ArH), 8.31 (d, J=8.2 Hz, 1H, ArH), 8.11 (d, J=8.2 Hz, 1H, ArH), 6.43 (s, 1H, OH), 4.02 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 3.39 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 1.37 (s, 3H, CH3).
【0394】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0395】
HRMS[C
12H
11F
3N
5O
2
+]:計算値314.0865、実測値314.0865[M+H]
+。純度:99.00%(HPLC)。
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-(4-シアノフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(C
21H
15F
3N
6O
2)(1092)
【化66】
【0396】
CANと水(8mL+2mL)との混合物中の(S)-3-アジド-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(0.50g、0.0015692mol)の溶液に、4-エチニルベンゾニトリル(0.30g、0.0023943mol)、および触媒としてCuI(30mg、0.0001596mol)を加えた。得られた混合物を室温で3日間、撹拌した(アジド-アルキンのHuisgen付加環化、クリック反応とも呼ばれる)。この反応物を水によりクエンチして、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO4で乾燥してろ過し、真空下で体積を減少させた。溶離液としてDCMおよびメタノール(19:1)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、0.22g(31%)の表題化合物が白色固体として得られた。
【0397】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.44 (s, 1H, NH), 8.63 (s, 1H, ピラゾール-H), 8.42 (s, 1H, ArH), 8.23 (d, J=8.2 Hz, 1H, ArH), 8.09 (d, J=8.2 Hz, 1H, ArH), 8.03(d, J=8.0 Hz, 2H, ArH), 7.91 (d, J=8.0 Hz, 2H, ArH), 6.56 (s, 1H, OH), 4.79 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 4.61 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 1.43 (s, 3H, CH3).
【0398】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0399】
HRMS[C
21H
16F
3N
6O
2
+]:計算値441.1287 実測値441.1287[M+H]
+。純度:%(HPLC)。
(S)-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-3-(4-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)プロペンアミド(C
21H
15F
6N
5O
2)(1093)
【化67】
【0400】
CANと水(8mL+2mL)との混合物中の(S)-3-アジド-N-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(0.50g、0.0015692mol)の溶液に、1-エチニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(0.41g、0.0023943mol)、および触媒としてCuI(30mg、0.0001596mol)を加えた。得られた混合物を室温で3日間、撹拌した(アジド-アルキンのHuisgen付加環化、クリック反応とも呼ばれる)。この反応物を水によりクエンチして、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、MgSO4で乾燥してろ過し、真空下で体積を減少させた。溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチル(1:1~1:1.5)を使用するシリカゲルカラムによって生成物を精製し、0.538g(70%)の表題化合物が白色固体として得られた。
【0401】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.45 (s, 1H, NH), 8.59 (s, 1H, ピラゾール-H), 8.42 (s, 1H, ArH), 8.24 (d, J=8.2 Hz, 1H, ArH), 8.10 (d, J=8.2 Hz, 1H, ArH), 8.05 (d, J=8.0 Hz, 2H, ArH), 7.80 (d, J=8.0 Hz, 2H, ArH), 6.56 (s, 1H, OH), 4.80 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 4.61 (d, J=14.0 Hz, 1H, CH), 1.44 (s, 3H, CH3).
【0402】
質量(ESI、ポジティブ):[M+H]+。
【0403】
HRMS[C21H16F3N6O2
+]:計算値441.1287、実測値441.1287[M+H]+。純度:%(HPLC)。
【0404】
(実施例2)
SARDのアンドロゲン受容体への結合、トランス活性化、分解および代謝
リガンド結合アッセイ(Ki値):
目的:AR-LBDへのSARDの結合親和性を決定すること。
【0405】
方法:hAR-LBD(633-919)をpGex4t.1にクローニングした。GSTをタグ付けしたAR-LBDを大スケールで調製し、GSTカラムを使用して精製した。組換えAR-LBDを、緩衝液A(10mM Tris、pH7.4、1.5mM EDTA二ナトリウム、0.25Mスクロース、10mM モリブデン酸ナトリウム、1mM PMSF)中で、[3H]ミボレロン(PerkinElmer、Waltham、MA)と合わせ、[3H]ミボレロンの平衡解離定数(Kd)を決定した。全結合および非特異的結合を決定するため、高濃度の非標識ミボレロンと共に、およびこれを使用しないで、[3H]ミボレロンの濃度を漸増させて、タンパク質を4℃で18時間、インキュベートした。次に、非特異的結合を全結合から減算して、特異的結合、および1部位飽和を伴うリガンド結合曲線の非線形回帰を求めて、ミボレロンのKdを決定した。
【0406】
上記の条件を使用し、漸増濃度のSARDまたはDHT(範囲:10-12~10-2M)を[3H]ミボレロンおよびAR LBDと共にインキュベートした。インキュベート後、リガンドが結合したAR-LBD複合体を、Bio Gel HT(登録商標)ヒドロキシアパタイトを使用して単離し、洗浄してシンチレーションカクテルを加えた後にシンチレーションカウンターで計数した。値は、Kiとして表す。
【0407】
wt ARによるトランス活性化アッセイ(IC50値)
目的:アンドロゲンにより誘発されたAR野性型(wt)のトランス活性化に及ぼすSARDの効果を決定すること。
【0408】
方法:フェノールレッドを含まないDME+5%csFBS中で、HEK-293細胞を24ウェルプレートのウェルあたり125,000個の細胞でプレーティングした。Lipofectamineトランスフェクション試薬を使用し、optiMEM培地中で、細胞に0.25ugのGRE-LUC、10ngのCMV-ウミシイタケLUCおよび50ngのCMV-hAR(wt)をトランスフェクトした。トランスフェクトして24時間後に、フェノールレッドを含まないDME+5%csFBSに培地を交換し、用量応答の様々な薬物(1pM~10μM)で処理した。SARDおよびアンタゴニストは、0.1nM R1881と組み合わせて処理した。Biotek synergy4プレートリーダーで、処置の24時間後に、ルシフェラーゼアッセイを行った。ホタルルシフェラーゼ値を、ウミシイタケルシフェラーゼ値に正規化した。
【0409】
プラスミド構築物および一過性トランスフェクション
CMVベクターバックボーンにクローニングしたヒトARをトランス活性化研究に使用した。DME+5%csFBS中、HEK-293細胞を24ウェルプレートのウェルあたり120,000個の細胞でプレーティングした。Lipofectamine(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用し、この細胞に0.25μg GRE-LUC、0.01μg CMV-LUC(ウミシイタケルシフェラーゼ)および25ngのARをトランスフェクトした。図に示されている通り、トランスフェクトして24時間後に細胞を処理し、トランスフェクションの48時間の後にルシフェラーゼアッセイを行った。データは、4パラメータのロジスティクス曲線から得たIC50として表す。
【0410】
LNCaP遺伝子発現アッセイ
方法:フェノールレッドを含まないRPMI+1%csFBS中で、LNCaP細胞を96ウェルプレートのウェルあたり15,000個の細胞でプレーティングした。プレーティングして48時間後、細胞を用量応答のSARDで処理した。処理の24時間後に、cells-to-ct試薬を使用してRNAを単離し、cDNAを合成して、taqmanプライマーおよびプローブを使用して、リアルタイムrtPCR(ABI7900)によって様々な遺伝子の発現を測定した。遺伝子発現結果をGAPDHに正規化した。
【0411】
LNCaP成長アッセイ
方法:フェノールレッドを含まないRPMI+1%csFBS中で、LNCaP細胞を96ウェルプレートのウェルあたり10,000個の細胞でプレーティングした。細胞を用量応答のSARDで処理した。処理の3日後、細胞を再度、処理した。処理の6日後に細胞を固定し、SRBアッセイによって細胞生存度を測定した。
【0412】
LNCaPまたはAD1分解(AR FL)
方法:完全長ARを発現するLNCaPまたはAD1細胞を、増殖培地(RPMI+10%FBS)中の6ウェルプレートのウェルあたり750,000~1,000,000個の細胞でプレーティングした。プレーティングの24時間後、培地を、フェノールレッドを含まないRPMI+1%csFBSに変更し、この培地中で2日間、維持した。フェノールレッドを含まないRPMI+1%csFBSに培地を再度、変更し、0.1nMのR1881と組み合わせたSARD(1nM~10μM)で細胞を処理した。処理の24時間後に、細胞を冷PBSで洗浄して回収した。塩を含有する溶解緩衝液を使用し、3回の凍結-融解(free-thaw)サイクルでタンパク質を抽出した。タンパク質濃度を推定し、総タンパク質5マイクログラムをSDS-PAGEにロードし、分画して、PVDF膜に移した。この膜をSantaCruz製のAR N-20抗体およびSigma製のアクチン抗体でプローブした。
【0413】
22RV1およびD567es分解(AR SV)
方法:増殖培地(RPMI+10%FBS)中、ARスプライスバリアントを発現する22RV1およびD567es細胞を6ウェルプレートのウェルあたり750,000~1,000,000個の細胞でプレーティングした。プレーティングして24時間後に、培地を変更して処理した。処理の24~30時間後に、細胞を冷PBSで洗浄して回収した。塩を含有する溶解緩衝液を使用し、3回の凍結-融解サイクルでタンパク質を抽出した。タンパク質濃度を推定し、総タンパク質5マイクログラムをSDS-PAGEにロードし、分画して、PVDF膜に移した。この膜をSantaCruz製のAR N-20抗体およびSigma製のアクチン抗体でプローブした。
【0414】
22RV1の成長および遺伝子発現
方法:SRBアッセイによって、先に記載した通り細胞成長を評価した。96ウェルプレートにおいて、全血清中で細胞をプレーティングし、3日目の後に培地を交換して6日間、処理した。遺伝子発現研究は、96ウェルプレートにおいて、RPMI+10%FBS中、10,000個の細胞/ウェルでプレーティングした22RV1細胞で行った。プレーティングして24時間後、細胞を3日間、処理し、遺伝子発現研究を先に記載した通りに行った。
【0415】
トランス活性化(IC50):表1に示された化合物のin vitroでのAR拮抗作用。optiMEM培地中、lipofectamineを使用し、COS7細胞に0.25ugのGRE-LUC、0.01ugのCMV-ウミシイタケLUCおよび25ngのCMV-hARをトランスフェクトした。0.1nMのR1881の存在下でトランスフェクトして24時間後に細胞を処理し、ルシフェラーゼアッセイをトランスフェクションの48時間後に行った。ホタルルシフェラーゼ値を、ウミシイタケルシフェラーゼ値に正規化した。
【0416】
分解:表1は、示された化合物に関する、FLおよびSV AR分解活性を表す。各列の下の数は、ビヒクルからの変化%を表す。バンドは、画像ソフトウエアを使用して定量した。各値に関して、ARのバンドをGAPDHのバンドにより除算し、ビヒクルからの差異%を算出して表示した。示されている数は、0(分解がない)、またはGAPDHレベルに対して正規化したARレベルの低下として表されている。FL AR分解に関すると、LNCaP細胞を、チャコールストリップFBS含有培地中に2日間、維持した。0.1nMのR1881の存在下、この培地中で細胞を処理した。処理して24時間後に細胞を回収して、タンパク質を抽出し、ARおよびGAPDHに関するウェスタンブロットを行った。SV AR分解に関すると、LNCaPの場合に表示されている通りに22RV1細胞を処理した。
【0417】
試験化合物の代謝安定性(in vitro CLint)の決定
第I相代謝
このアッセイは、二連(n=2)で、最終体積0.5ml中で行った。試験化合物(1μM)を、0.5mg/mlの肝臓ミクロソームタンパク質を含有する100mM Tris-HCl(pH7.5)中、37℃で10分間、事前インキュベートした。事前インキュベート後、1mM NADPH(37℃で事前インキュベートした)を添加することによって反応を開始した。インキュベーションは三連で、および様々な時点(0、5、10、15、30および60分間)で行った。100μLのアリコートを取り出し、内部標準を含有する100μLのアセトニトリルでクエンチした。試料をボルテックス混合し、4000rpmで10分間、遠心分離した。上清を96ウェルプレートに移し、LC-MS/MS分析に供した。対照として、NADPHの非存在下で行った試料インキュベーションを含ませた。%PCR(残留親化合物%)から、化合物の消失速度を求め(傾き)、in vitroでのCLint(μL/分/mgのタンパク質)を計算した。
【0418】
第I相および第II相の経路における代謝安定性
このアッセイでは、試験化合物を肝臓ミクロソームと共にインキュベートし、薬物の消失をディスカバリーグレード(discovery grade)LC-MS/MSを使用して決定した。第II相の代謝経路(グルクロン酸化)を刺激するため、UDPGAおよびアラメチシンをアッセイに含ませた。
【0419】
LC-MS/MS分析
研究下にある化合物の分析は、MDS/Sciex 4000 Q-Trap(商標)質量分析計を備えたAgilent1100 HPLCからなる、LC-MS/MSシステムを使用して行った。分離はC18ガードカートリッジシステム(4.6mm IDのカラム用のSecurityGuard(商標)ULTRAカートリッジUHPLC、Phenomenex)によって保護したC18分析用カラム(Alltima(商標)、2.1×100mm、3μm)を使用して達成した。移動相は、チャネルA(95%アセトニトリル+5%水+0.1%ギ酸)およびチャネルC(95%水+5%アセトニトリル+0.1%ギ酸)からなり、0.4mL/分の流量で送達した。アセトニトリルと水との体積比は、検体の各々に最適化した。多重反応モニタリング(MRM)スキャンは、各化合物に対して最適化した、カーテンガス、衝突ガス、ネブライザーガスおよび補助ガス、ならびに550℃のソース温度で行った。-4200V(ネガティブモード)のイオンスプレー電圧を使用して、分子イオンを形成させた。デクラスタリング電位、入口電位、衝突エネルギー、生成物イオン質量およびセル出口電位を各化合物に対して最適化した。
【0420】
ラット血清濃度を決定するためのLC-MS/MS分析
最後の用量の24~30時間後に血清を採取した。100μLの血清を200μLのアセトニトリル/内部標準と混合した。100μLのラット血清を用いて、標準の段階希釈(nM)(濃度は、1000、500、250、125、62.5、31.2、15.6、7.8、3.9、1.9、0.97および0とした)によって標準曲線を調製した。標準を200μLのアセトニトリル/内部標準を用いて抽出した。これらの実験の内部標準は、(S)-3-(4-シアノフェノキシ)-N-(3-(クロロ)-4-シアノフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミドとした。
【0421】
検体であるSARDの機器分析は、MDS/Sciex4000 Q-Trap(商標)質量分析計を備えたAgilent1100 HPLCからなる、LC-MS/MSシステムを使用して行った。この分離は、C18ガードカラム(Phenomenex(商標)、ホルダーを備える4.6mm IDカートリッジ)によって保護したC18分析用カラム(Alltima(商標)、2.1×100mm、3μm)を使用して達成した。移動相は、チャネルA(95%アセトニトリル+5%水+0.1%ギ酸)およびチャネルC(95%水+5%アセトニトリル+0.1%ギ酸)からなり、A70%およびB30%で0.4mL/分の流量の定組成で送達した。検体であるSARDに関する全稼働時間を最適化したが、一般に、2~4分間であり、注入体積は10μLとした。多重反応モニタリング(MRM)スキャンは、カーテンガス10、中程度の衝突ガス、ネブライザーガス60.0および補助ガス60.0、およびソース温度550℃で行った。4200(ネガティブモード)のイオンスプレー電圧(IS)を使用して、分子イオンを形成させた。デクラスタリング電位(DP)、入口電位(EP)、衝突エネルギー(CE)、生成物イオン質量およびセル出口電位(CXP)は、観察された質量ペアに関する検体であるSARDの各々に対して最適化した。
【0422】
LogP:オクタノール-水分配係数(LogP)
LogPは、特定の分子が生物膜を通過する可能性があるかどうかのおおまかな推定値として、創薬の取り組みにおいて、早期に一般に使用される、オクタノール-水の分配係数のLogである。LogPは、ChemDraw Ultraバージョン12.0.2.1016(Perkin-Elmer、Waltham、Massachusetts 02451)を使用して計算した。計算したLogP値は、表1中の「LogP(-0.4~+5.6)」と記された列に報告されている。Lipinskiの5つの法則は、経口生体利用率を予測することを目的とする一連の基準である。経口生体利用率に関するこれらの基準の1つは、LogPが、列の見出し(-0.4(相対的に親水性)~+5.6(相対的に親油性)の範囲)に示されている値の間、またはさらに一般には、<5と明記されるものである。SARD設計の目的の1つは、水溶解度を改善することであった。ピラゾール、ピロールなどの本発明の単環式テンプレートは、以前のアナログよりも水溶性が高かった。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【0423】
(実施例3)
AR阻害有効性
本発明の化合物は、予想外のAR阻害有効性の改善を示した。AR阻害データは「wtAR(IC50値)によるトランス活性化アッセイ」に関して上の実施例2に記載されている通りに収集した。IC50値は、実験を繰り返すと様々になるが、等級序列は変わらず、エンザルタミドをすべての実験において標準薬剤として試行し、こうして、相対効力を比較することができる。代表的な値が、上の表1に示されており、以下にコールアウトした図の一部に示されている個々の実験値とはわずかに異なることがある。
【0424】
図1に示されている通り、化合物48は、化合物30および15に比べて、AR阻害効力が予想外なことに、2~4倍、改善されたことを示した。これは、30に5-フルオロ基を付加する、または15の3-COOHを3-COOEtに変換することにより、wtAR阻害効力が有意に改善されることを示唆している。
【0425】
図2は、49(3-ホルミル)の効力が、11を除く全部に対して改善されたことを実証している。さらに、49に3-ホルミル基を導入すると、構造が近いアナログ31(3-CH
3)、11(3-H)、30(3-COOEt)および15(3-COOH)に比べると、マウス肝臓ミクロソーム(MLM)において、T
1/2が2~4倍長いことによって反映される通り、代謝安定性が予想外に改善された(表2)。効力の保持と代謝安定性の改善との組合せは、49が、in vivoにおいてAR拮抗作用を発揮する能力を改善することが期待される。
【0426】
【0427】
11(3-H)または31(3-メチル)の3位にオキシム(-CH=N-OH)を導入して50を生成すると、それぞれ、3倍および15倍、wtAR阻害の効力が予想外に増強された(
図3)。
【0428】
図4は、予想外なことに、3-F(44)基および3-Cl(45)基を3-CN(54)で置き換えると、in vitroでの有効性が、それぞれ10倍および15倍、増強したことを実証している。さらに、47(3-H)に3-オキシムを導入して55を生成することが許容され、in vitroで等価な効力を生じたが(
図5)、3-オキシムは、インドールSARDの場合、MLMおよびRLMの安定性を増大することが分かる(上記および下記の50に関するデータを参照されたい)。
【0429】
3-COOH(15)、3-F(44)、3-Cl(45)および3-COOEt(30)の基を3-NO
2(57)により置き換えると、in vitroでの有効性が少なくとも5倍、向上した(
図6)。
【0430】
図7~10により、56および54(
図7);50、55および54(
図8および9);ならびに49、50および53(
図10)は、SARDまたはAF-1結合活性を欠いた前立腺がんに対して承認された公知のLBD標的化抗アンドロゲンである、エンザルタミドに匹敵する(49および56)またはこれより優れた(50、53~55)wtAR阻害効力を示したことが実証される。
図11~13は、3-ホルミル(49)基または3-オキシム(50)基により、MLMまたはRLMとのインキュベーションに対して、本発明のインドールSARDの安定性が改善され、これらの化合物がin vivoにおいてARアンタゴニスト作用を発揮する能力が改善されたことを実証している。比較のため、先行技術インドールの半減期が表2に見られる。これらのデータは、実施例2において、見出し「第I相および第II相の経路における代謝安定性」および「LC-MS/MS分析」に記載されている方法に従い収集した。
【0431】
図14~16は、インドール(51)に3-アセチルヒドラジン部分を付加すると、μMの範囲のwtAR阻害効力が生じた一方、ピラゾールSARDの4位にビオチン側鎖(1082)を付加すると、SARDのサイズが劇的に増大しているにも関わらず、nM~低いμMの範囲のwtAR阻害効力を保持した(
図14および15)ことを実証している。同様に、ピラゾールSARDの4位がアルキン置換基である場合、wtAR阻害活性は維持された。例えば、1074はまた、第2のアニリン環およびキラル中心を有する大きな4位の置換基をやはり導入している一方、1075は、より小さなアルキン置換基(ブタ-3-イン-1-オール)を有する(
図16)。これは、4-ピラゾール位において、立体的嵩だかさが許容されることを示唆している。さらに、
図17により、1072(4-エチニル)、1074および1075などの4-アルキンピラゾールも、ARおよびAR-V7(AR SV)を分解する能力を維持したことが実証される。1076は、B環のピラゾール(pryazole)に結合した追加のアミドを含む新規なリンカー要素を有しており、wtARのアゴニストであるにもかかわらず、ある程度のSARD活性があることをやはり実証した(表1)。
図17は、実施例2に記載されている分解実験である。
【0432】
図18~22は、3-ハロゲンインダゾール99A~99D、3-メチルインダゾール(99E)および3-ニトロ-インドール57に関するwtAR阻害を実証している。これらの図中のインダゾールはすべて、強力(nM)なwtAR阻害を保持しており、インドールに比べて、代謝安定性が改善された。例えば、3-クロロ-5-フルオロインダゾール99Aおよび99Bは、165nMおよび183nMという阻害効力を保持しており、後者の99Bは、マウス肝臓ミクロソーム(MLM;表1を参照されたい)中でさらに安定であった一方、3-クロロ-5-フルオロインドール45は、それほど強力ではなく(367nM)、MLM中では、非常に短い半減期(23.44分)を有した(表1)。実際に、本発明以前では、インドールは、全体として、in vivoでの代謝に安定ではなく、それに対応して、そのin vivoでのAR拮抗作用は限定的である。
【0433】
本発明のある種の特徴が本明細書に例示および記載されているが、多数の修正、置き換え、変更および均等物が、これより当業者に思いつくであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨に収まるすべてこのような修正および変更に及ぶことを意図していることを理解されたい。
【国際調査報告】