(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(54)【発明の名称】ラップシール用のバリア積層体フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20230330BHJP
B65D 30/02 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B65D30/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538288
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2019126888
(87)【国際公開番号】W WO2021120150
(87)【国際公開日】2021-06-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シェンロン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、シアオピン
(72)【発明者】
【氏名】パン、チエンピン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、チンイー
(72)【発明者】
【氏名】チュー、チエンリャン
【テーマコード(参考)】
3E064
4F100
【Fターム(参考)】
3E064AA06
3E064BA26
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC02
3E064BC10
3E064BC18
4F100AA20D
4F100AB01D
4F100AB10D
4F100AB33D
4F100AK01C
4F100AK04A
4F100AK04E
4F100AK07B
4F100AK07C
4F100AK42B
4F100AK42C
4F100AK46B
4F100AK62A
4F100AK62E
4F100BA05
4F100BA07
4F100CB00E
4F100EJ37A
4F100EJ37C
4F100EJ38B
4F100GB15
4F100JB01
(57)【要約】
多層積層体(100)は、配向ポリエチレンフィルム(102)、配向ポリエチレンフィルム(102)に接着された二軸配向フィルム(104)、二軸配向フィルム(104)に接着されたバリアフィルム(106)、及びバリアフィルム(106)に接着された多層ポリエチレン(PE)フィルム(108)を含む。二軸配向フィルム(104)は、二軸配向ポリアミド(BOPA)、二軸配向ポリエチレンテレフタレート(BOPET)、及び二軸配向ポリプロピレン(BOPP)から選択される1つ以上の成分を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層積層体であって、
配向ポリエチレンフィルムと、
前記配向ポリエチレンフィルムに接着され、二軸配向ポリアミド(BOPA)、二軸配向ポリエチレンテレフタレート(BOPET)、及び二軸配向ポリプロピレン(BOPP)から選択される1つ以上の成分を含む二軸配向フィルムであって、前記二軸配向フィルムが、インクを含む、二軸配向フィルムと、
前記二軸配向フィルムに接着されたバリアフィルムであって、前記バリアフィルムが、金属層、シリカコーティング層、又は金属化フィルムを含む、バリアフィルムと、
前記バリアフィルムに接着された多層ポリエチレン(PE)フィルムと、を含む、多層積層体。
【請求項2】
前記多層積層体が、接着剤を含み、前記接着剤が、溶剤系接着剤、無溶剤接着剤、及び水系接着剤から選択される1つ以上の接着剤を含む、請求項1に記載の多層積層体。
【請求項3】
前記接着剤が、溶剤系接着剤を含む、請求項2に記載の多層積層体。
【請求項4】
前記バリアフィルムが、アルミニウム箔、金属化ポリエチレンテレフタレート(mPET)、シリカコーティングポリエチレンテレフタレート(シリカコーティングPET)、金属化配向ポリプロピレン(mOPP)、及び金属化キャストポリプロピレン(mCPP)から選択される1つ以上の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層積層体。
【請求項5】
前記二軸配向フィルムが、BOPETを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層積層体。
【請求項6】
前記バリアフィルムが、多層又は単層フィルムである、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層積層体。
【請求項7】
前記バリアフィルムが、アルミニウム箔を含む、請求項1~6のいずれかに一項に記載の多層積層体。
【請求項8】
前記多層PEフィルムが、低密度ポリエチレン(LDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む少なくとも1つの層を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層積層体。
【請求項9】
前記多層PEフィルムが、ブローフィルムである、請求項1~8のいずれか一項に記載の多層積層体。
【請求項10】
前記配向ポリエチレンフィルムが、テンタフレーム二軸配向ポリエチレン(TF-BOPE)フィルムを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層積層体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の多層積層体を含む可撓性包装であって、前記可撓性包装が、ラップシールを含み、前記ラップシールが、前記多層PEフィルムにシールされた前記配向ポリエチレンフィルムを含む、可撓性包装。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、多層フィルムに関し、より具体的には、ポリエチレンフィルム及びバリアフィルムを含む多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
多層フィルムは、様々な消費者製品用の小袋又はパウチなどの可撓性包装に好適であり得る、キャストフィルム又はブローフィルムなどのフィルムを含むことができる。いくつかのそのような用途で使用される積層体は、二軸配向ポリエチレン(biaxially-oriented polyethylene、BOPE)を含んでいる。しかしながら、そのようなフィルムの印刷が達成され得る速度は、典型的には、限定される。追加的に、そのようなフィルムは、いくつかの食品製品に対して使用される高温滅菌プロセスを生き残る沸騰耐性及び/又は医療製品を包装するために必要とされる酸耐性を欠く場合がある。
【0003】
したがって、好適な沸騰耐性及び酸耐性を有するバリア積層体フィルムが、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、配向ポリエチレンフィルム、印刷層として配向ポリエチレンフィルムに接着された二軸配向フィルム、バリアフィルムとして金属層又は金属化フィルム、及びバリアフィルムに接着された多層ポリエチレンフィルムを有する、多層積層体を提供することによって、これらのニーズを満たす。いくつかの態様では、そのような多層積層体は、消費者製品包装用途のために使用される従来の多層積層体と比較して、改善された沸騰耐性及び酸耐性を呈することができる。
【0005】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、多層積層体は、配向ポリエチレンフィルム、配向ポリエチレンフィルムに接着された二軸配向フィルム、二軸配向フィルムに接着されたバリアフィルム、及びバリアフィルムに接着された多層ポリエチレン(polyethylene、PE)フィルムを含む。二軸配向フィルムは、二軸配向ポリアミド(biaxially oriented polyamide、BOPA)、二軸配向ポリエチレンテレフタレート(biaxially oriented polyethylene terephthalate、BOPET)、及び二軸配向ポリプロピレン(biaxially oriented polypropylene、BOPP)から選択される1つ以上の成分を含み、インクを含む。バリアフィルムは、金属層、金属化フィルム、又はシリカコーティングフィルムを含む。
【0006】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、前述の実施形態の多層積層体を含み、多層積層体は、接着剤を更に含み、接着剤は、溶剤系接着剤、無溶剤接着剤、及び水系接着剤から選択される1つ以上の接着剤を含む。
【0007】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、前述の実施形態の多層積層体を含み、接着剤は、溶剤系接着剤を含む。
【0008】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、バリアフィルムは、アルミニウム箔、金属化ポリエチレンテレフタレート(metallized polyethylene terephthalate、mPET)、シリカコーティングポリエチレンテレフタレート(シリカコーティングPET)、金属化配向ポリプロピレン(metallized oriented polypropylene、mOPP)、及び金属化キャストポリプロピレン(metallized cast polypropylene、mCPP)から選択される1つ以上の成分を含む。
【0009】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、二軸配向フィルムは、BOPETを含む。
【0010】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、バリアフィルムは、多層又は単層フィルムである。
【0011】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、バリアフィルムは、アルミニウム箔を含む。
【0012】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、多層PEフィルムは、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(linear low density polyethylene、LLDPE)を含む少なくとも1つの層を含む。
【0013】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、多層PEは、ブローフィルムである。
【0014】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、配向ポリエチレンフィルムは、テンタフレーム二軸配向ポリエチレン(tenter frame biaxially oriented polyethylene、TF-BOPE)フィルムを含む。
【0015】
本開示の別の実施形態によれば、可撓性包装は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、可撓性包装は、ラップシールを含み、ラップシールは、多層PEフィルムにシールされた配向ポリエチレンフィルムを含む。
【0016】
これらの及び他の実施形態は、以下の発明を実施するための形態及び図面においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本明細書に示され説明される1つ以上の実施形態による、多層積層体の概略図である。
【0018】
【
図2】本明細書に示され説明される1つ以上の実施形態による、ラップシールの形成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、本出願の特定の実施形態を説明する。しかしながら、本開示は、異なる形態で具体化されてもよく、本開示に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が、徹底的かつ完全なものとなり、本主題の範囲を当業者に十分に伝えるものとなるように提供される。
【0020】
定義
【0021】
「ポリマー」という用語は、同じ又は異なる種類のモノマーにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、1つの種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すために通常用いられる「ホモポリマー」という用語、同様に2つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマーを指す「コポリマー」を包含する。本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。したがって、インターポリマーという総称は、コポリマーと、ターポリマーなどの3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されたポリマーとを含む。
【0022】
「ポリエチレン」又は「エチレン系ポリマー」は、50モル%超のエチレンモノマーに由来している単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマー又はコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当該技術分野において既知のポリエチレンの一般的な形態は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(Ultra Low Density Polyethylene、ULDPE)、極低密度ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene、VLDPE)、中密度ポリエチレン(Medium Density Polyethylene、MDPE)、及び高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene、HDPE)を含む。
【0023】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」又は「高度分岐ポリエチレン」と称されてもよく、ポリマーが、ペルオキシドなどのフリーラジカル開始剤を用いて、14,500psi(100MPa)超の圧力でオートクレーブ又は管型反応器中で部分的又は完全にホモポリマー化されるか、又はコポリマー化されることを意味するように定義される(例えば、参照として本明細書に組み込まれるUS4,599,392を参照のこと)。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/cmの範囲内の密度を有する。
【0024】
「LLDPE」という用語は、伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系を使用して作製される樹脂、並びに限定されるものではないが、ビス-メタロセン触媒(「m-LLDPE」と称されることもある)及び拘束幾何形状触媒を含むシングルサイト触媒を使用して作製される樹脂、及びポスト-メタロセン、分子触媒を使用して作製された樹脂を含む。LLDPEには、直鎖状の、実質的に直鎖状の、又は不均一な、ポリエチレンコポリマー又はホモポリマーが含まれる。LLDPEは、LDPEよりも短い長鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、及び米国特許第5,733,155号に更に定義されている、実質的に直鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号におけるものなどの、均一に分岐した直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されるプロセスに従って調製されたものなどの、不均一に分岐したエチレンポリマー、並びに/又はそれらのブレンド(US3,914,342又はUS5,854,045に開示されるものなど)を含む。LLDPE樹脂は、当該技術分野において既知の任意の種類の反応器又は反応器構成を使用して、気相、溶液相、若しくはスラリー重合、又はそれらの任意の組み合わせを介して作製され得る。
【0025】
「MDPE」という用語は、0.926~0.945g/ccの密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は、典型的には、クロム若しくはチーグラー・ナッタ触媒、を使用して、又はビス-メタロセン触媒及び拘束幾何形状触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を使用して調製される。
【0026】
「HDPE」という用語は、概して、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、又はビス-メタロセン触媒及び拘束幾何形状触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される、約0.945g/cc超の密度を有するポリエチレンを指す。
【0027】
「ULDPE」という用語は、概して、チーグラー・ナッタ触媒、限定されるものではないが、ビス-メタロセン触媒及び拘束幾何形状触媒を含むシングルサイト触媒、並びにポストメタロセン、分子触媒で調製される、0.880~0.909g/ccの密度を有するポリエチレンを指す。本明細書で使用される場合、「プロピレン系ポリマー」という用語は、プロピレンモノマーに由来する50重量%を超える単位を含むポリマーを指す重合形態で、含むポリマーを指す。これは、プロピレンホモポリマー、ランダムコポリマーポリプロピレン、インパクトコポリマーポリプロピレン、プロピレン/α-オレフィンインターポリマー、及びプロピレン/α-オレフィンコポリマーを含む。これらのポリプロピレン材料は、概して、当該技術分野において既知である。
【0028】
「多層フィルム」とは、2つ以上の層を有する任意の構造体を意味する。例えば、多層構造体は、2、3、4、5、又はそれ以上の層を有し得る。多層フィルムは、文字で示される層を有するものとして説明され得る。例えば、コア層B、並びに2つの外部層A及びCを有する3層構造体は、A/B/Cとして示され得る。同様に、2つのコア層B及びC、並びに2つの外部層A及びDを有する構造体は、A/B/C/Dとして示され得る。追加的に、当業者は、更なる層E、F、Gなどもまた、この構造体に組み込まれ得ることを知るであろう。
【0029】
「可撓性包装」又は「可撓性包装材料」という用語は、当業者によく知られている様々な非剛性容器を包含する。これらは、パウチ、スタンドアップパウチ、ピローパウチ、又はバルクバッグ、既製の包装などを含み得る。可撓性包装についてのいくつかの典型的な最終用途は、スナック、乾燥食品、液体、又はチーズの包装である。他の最終用途は、ペットフード、スナック、チップス、冷凍食品、肉、ホットドッグ、医療製品、及び多くの他の用途を含むが、これらに限定されない。
【0030】
図1は、多層積層体100が、少なくとも配向ポリエチレンフィルム102、配向ポリエチレンフィルム102に接着された二軸配向フィルム104、二軸配向フィルム104に接着されたバリアフィルム106、及びバリアフィルム106に接着された多層PEフィルム108を含む、例示的な多層積層体100を例示する。ここで、多層積層体100の様々な実施形態を詳細に作製する。
【0031】
配向ポリエチレンフィルム
【0032】
様々な実施形態では、多層積層体100は、配向ポリエチレン(PE)フィルム102を含む。例えば、配向PEフィルム102は、二軸配向ポリエチレン(BOPE)又は単軸配向ポリエチレンであってもよく、ポリエチレンは、機械方向又は横断方向のいずれかに配向される。
【0033】
配向PEフィルム102がBOPEである実施形態では、BOPEは、テンタフレーム逐次二軸配向プロセスを使用して二軸配向され得、テンタフレーム二軸配向ポリエチレン(TF-BOPE)と称され得る。そのような技術は、概して、当業者に既知である。他の実施形態では、ポリエチレンフィルムは、二重気泡又は三重気泡配向プロセスなどの、本明細書の教示に基づいて、当業者に既知である他の技術を使用して二軸配向され得る。概して、テンタフレーム逐次二軸配向プロセスを用いて、テンタフレームは、多層共押出ラインの一部として組み込まれる。フラットダイから押し出された後、フィルムは、冷却ロール上で冷却し、室温の水で充填した水浴に浸漬される。次いで、キャストフィルムは異なる回転速度を有する一連のローラ上に通されて、機械方向における延伸を達成する。製作ラインのMD延伸セグメントには数対のローラがあり、それらはすべて油加熱されている。対のローラは、予熱ローラ、延伸ローラ、並びに弛緩及びアニーリング用ローラとして逐次作動する。ローラの各対の温度は、別々に制御される。機械方向における延伸後、フィルムウェブが加熱ゾーンを有するテンタフレーム熱風炉に通されて、横断方向における延伸を実行する。最初のいくつかのゾーンは予熱用であり、その後に延伸用のゾーン、次いでアニーリング用の最終ゾーンが続く。
【0034】
本明細書の実施形態では、ポリエチレンは、0.900g/cc~0.950g/ccの密度を有し得る。少なくとも0.900g/cc~0.950g/ccのすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、ポリエチレンは、0.900~0.945g/cc、0.900~0.940g/cc、0.900~0.935g/cc、0.910g/cc~0.945g/cc、0.910~0.940g/cc、0.910~0.935g/cc、0.910~0.930g/cc、0.915~0.940g/cc、0.915~0.923g/cc、又は0.920g/cc~0.935g/ccの密度を有する。密度は、ASTM D792に従って測定され得る。
【0035】
本明細書の実施形態では、ポリエチレンは、0.1g/10分~10g/10分の、190℃及び2.16kgでのASTM D1238に従って測定されたメルトインデックス、I2を有し得る。少なくとも0.1g/10分~10g/10分のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、ポリエチレンは、0.1g/10分~9.5g/10分、0.1g/10分~9.0g/10分、0.1g/10分~5g/10分、0.5g/10分~6g/10分、1g/10分~5g/10分、1.5g/10分~4.5g/10分、又は2g/10分~4g/10分のメルトインデックス、I2を有し得る。他の実施形態では、ポリエチレンは、0.7g/10分~9.5g/10分、0.7g/10分~8g/10分、又は0.7g/10分~5g/10分のメルトインデックス、I2を有し得る。メルトインデックス、I2は、ASTM D1238(190℃及び2.16kg)に従って測定され得る。
【0036】
本明細書の実施形態では、ポリエチレンは、14未満のメルトフロー比I10/I2を有し得る。14未満のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、ポリエチレンは、13.5、13、12.5、10、又は更には7.5未満のメルトフロー比I10/I2を有し得る。他の実施形態では、ポリエチレンは、1.0~14、2~14、4~14、5~14、5.5~14、6~14、5~13.5、5~13、5~12.5、5~12、5~11.5、5~11、5.5~13.5、5.5~13、5.5~12.5、5.5~12、5.5~11.5、5.5~11、6~13.5、6~13、6~12.5、6~12、6~11.5、又は6~11のメルトフロー比I10/I2を有し得る。メルトインデックス、I10は、ASTM D1238(190℃及び10.0kg)に従って測定され得る。
【0037】
使用に好適な市販の配向ポリエチレンフィルムは、例えば、Decro(Gunangdong,China)から入手可能なTF-BOPEフィルムを含む。そのようなTF-BOPEフィルムにおいて使用され得る好適なエチレン系コポリマーの市販の例は、すべてThe Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能なATTANE(商標)、DOWLEX(商標)、ELITE(商標)、ELITE AT(商標)、及びINNATE(商標)の商品名で販売されているもの、Total SAから入手可能なLUMICENE(登録商標)、並びにExxon Chemical Companyから入手可能なEXCEED(商標)及びEXACT(商標)を含み得る。他の市販の単軸及び二軸配向フィルムの使用、同様に他のポリエチレンの使用が、企図される。
【0038】
いくつかの実施形態では、ポリエチレンフィルムは、2:1~8:1の延伸比で、又は別の方法では3:1~7:1の延伸比で、機械方向に配向され得る。いくつかの実施形態では、ポリエチレンフィルムは、2:1~11:1の延伸比で、又は別の方法では3:1~10:1の延伸比で、横断方向に配向され得る。いくつかの実施形態では、ポリエチレンフィルムは、2:1~7:1の延伸比で機械方向に、かつ2:1~10:1の延伸比で横断方向に配向される。
【0039】
配向に続いて、配向ポリエチレンフィルム102は、良好な透明度及び/又は良好な光沢などの多くの物理的特性を呈することができる。実施形態では、配向ポリエチレンフィルム102は、75%超、80%超、85%超、90%超、又は95%超の透明度を呈する。透明度は、ASTM D1746に従って決定される。実施形態では、配向ポリエチレンフィルム102は、25超の45°での光沢を呈する。例えば、配向ポリエチレンフィルム102は、25~75、25~70、30~75、30~70、35~75、35~70、40~75、40~70、45~75、45~70、25~65、25~60、25~55、25~50、30~65、30~60、30~55、30~50、35~65、35~60、35~55、又は35~50の45°での光沢度を呈し得る。45°での光沢度は、ASTM D2457-08/ASTM D1003-01に従って決定される。
【0040】
いくつかの実施形態では、例えば、最終用途に応じて、配向ポリエチレンフィルム102は、二軸配向フィルム104への積層の前又は後に、当業者に既知の技術を使用してコロナ処理され得る。更に、配向ポリエチレンフィルム102は、特定の実施形態に応じて、多層フィルム又は単層フィルムであり得る。
【0041】
二軸配向フィルム
【0042】
様々な実施形態によれば、二軸配向フィルム104は、配向PEフィルム102に接着される。二軸配向フィルム104は、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリアミド(polyamide、PA)、又はそれらの組み合わせなどのポリオレフィンを含む二軸配向ポリオレフィンフィルムであり得る。実施形態では、二軸配向フィルム104は、例えば、二軸配向テレフタレート(BOPET)、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)、二軸配向ポリアミド(BOPA)、又はそれらの組み合わせを含む。
【0043】
様々な実施形態では、二軸配向フィルム104は、インクを含む。インクは、例えば、画像又は単語の形態にあり得る。そのような実施形態では、インクは、二軸配向フィルム104上に印刷され得る。二軸配向フィルム104は、インクがその上に印刷される印刷プロセスを経る場合がある。様々な印刷プロセスは、好適であると考えられ、例として、かつ限定するものではなく、グラビア印刷、フレキソ印刷、及びオフセット印刷を含み得る。
【0044】
バリアフィルム
【0045】
様々な実施形態の多層積層体100は、二軸配向フィルム104に接着されたバリアフィルム106を含む。様々な実施形態では、バリアフィルム106は、1つ以上の金属ベースの層を含む気体及び水分バリアであり、金属ベースの層は、金属層又は金属化フィルム層である。金属層又は金属化フィルム層は、例として、かつ限定するものではなく、Al、Si、Zn、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Ti、Sn、それらの酸化物、及びそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、金属又は金属酸化物は、ポリエチレン又はポリプロピレンフィルム上に堆積されて、バリアフィルム106を形成する。例えば、バリアフィルム106は、金属化ポリエチレンテレフタレート(mPET)、シリカコーティングポリエチレンテレフタレート(シリカコーティングPET)、金属化配向ポリプロピレン(mOPP)、又は金属化キャストポリプロピレン(mCPP)であり得る。いくつかの実施形態では、金属又は金属酸化物は、アルミニウム箔層又は金箔層などの箔の形態にある。
【0046】
金属又は金属酸化物がポリエチレン又はポリプロピレンフィルム上に堆積されてバリアフィルムを形成する実施形態では、金属又は金属酸化物は、真空金属化によってポリエチレン又はポリプロピレンフィルム上に堆積され得る。フィルム上に金属ベースの材料を堆積させるための他の方法は、当該技術分野において既知で使用されるそれらの方法を含む。
【0047】
バリアフィルム106は、特定の実施形態に応じて、多層フィルム又は単層フィルムであり得る。バリアフィルム106が多層フィルムである実施形態では、フィルムにおける各層は、1つ以上の種類のバリアを提供するその能力について選択され得る。例えば、多層フィルムの第1の層は、気体バリアを提供するために使用され得、多層フィルムの第2の層は、水分バリアを提供するために使用され得る。いくつかの実施形態では、多層フィルムの2つ以上の層が、バリア特性を提供し得る(例えば、第1及び第2の層は水分バリアを提供することができる一方、第1の層もまた気体バリアを提供する)。
【0048】
多層PEフィルム
【0049】
様々な実施形態では、多層PEフィルム108は、バリアフィルム106に接着される。いくつかの実施形態では、多層PEフィルム108は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)を含む少なくとも1つの層を含む。LLDPEは、構造体全体の強化された機械的性能(引き裂き又はダーツ(dart)など)を提供することに役立ち得る。LDPEは、改善されたブレンド特性、強化された溶融安定性、及び/又は改善された気泡安定性を提供することに役立ち得る。多層PEフィルム108における1つ以上の追加の層は、各々、LLDPE、LDPE、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、又はそれらのブレンドを含むことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、多層PEフィルム108は、LLDPE、LDPE、MDPE、HDPE、ポリエチレンプラストマー、及びポリエチレンエラストマーを含む、エチレン系ポリマーを含む複数の層を含むことができる。例えば、層は、0.900~0.930g/cc、0.905~0.925g/cc、又は0.910~0.925g/ccの密度、及び0.2~5.0g/10分、0.5~2.5g/10分、0.75~1.5g/10分、又は0.9~1.2g/10分のメルトインデックス(I2)を有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含むことができる。実施形態では、多層PEフィルムは、0.910~0.935g/cc、0.915~0.935g/cc、又は0.920~0.930g/ccの密度、及び0.3~5.0g/10分、0.5~2.5g/10分、又は0.6~1.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する低密度ポリエチレン(LDPE)を含むことができる。
【0051】
多層PEフィルムの様々な実施形態では使用され得る市販のエチレン系ポリマーは、すべてThe Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能なELITE(商標)AT 6202を含むELITE(商標)、DOWLEX(商標)2049Gを含むDOWLEX(商標)、及びDOW(商標)LDPE 450Eを含むDOW(商標)の商品名で販売されているものを含む。
【0052】
多層PEフィルム108は、キャストフィルム又はブローフィルムであり得る。いくつかの実施形態では、多層PEフィルム108は、ブローフィルムである。そのようなフィルムは、当業者に既知の技術を使用して形成され得る。例えば、多層PEフィルム108の層は、ブローフィルム又はキャストフィルムとして共押出され得る。ブローフィルム製造ライン及びキャストフィルム製造ラインは、異なるフィルム層の組成に基づいて当業者に既知の技術を使用して、単一押出ステップにおいて多層PEフィルムを共押出するように構成され得る。
【0053】
様々な実施形態の多層PEフィルム108は、ヒートシール強度及びヒートシール開始温度などの望ましいシール特性を有利に提供することができる。実施形態では、多層PEフィルム108は、115℃以下、又は110℃以下のヒートシール開始温度を示す。例えば、多層PEフィルム108は、75~115℃、又は80~110℃のヒートシール開始温度を有し得る。
【0054】
多層積層体
【0055】
多層積層体100の様々な層は、任意の好適なプロセスによって形成及び配向(例えば、二軸配向)され得る。これらのプロセスについての情報は、例えば、the Kirk Othmer Encyclopedia、the Modern Plastics Encyclopedia、又はthe Wiley Encyclopedia of Packaging Technology,2d edition,A.L.Brody and K.S.Marsh,Eds.,Wiley-Interscience(Hoboken,1997)などの参考文献において見出され得る。例えば、多層積層体100の層は、ディップコーティング、フィルムキャスティング、シートキャスティング、溶液キャスティング、圧縮成形、射出成形、積層、溶融押出、円形ブローフィルムを含むブローフィルム、押出コーティング、タンデム押出コーティング、又は任意の他の好適な手順を通じて形成され得る。いくつかの実施形態では、フィルムは、溶融押出、溶融共押出、溶融押出コーティング、又はタンデム溶融押出コーティングプロセスによって形成される。いくつかの実施形態では、フィルムは、熱積層又は押出積層及びコーティングによって形成される。フィルムは、テンタフレーム技術及び機械方向配向(machine-direction orientation、MDO)技術などの好適な配向プロセスを使用して配向され得る。
【0056】
多層積層体100の厚さ及び多層積層体100の様々な層及び副層(存在する場合)の厚さは、大きく変化し得る。典型的には、多層積層体100の厚さは、0.3~6.0ミル(8~152μm)である。例えば、多層積層体100の厚さは、0.8~4.0ミル(20~100μm)、又は1.0~3.0ミル(25~76μm)であり得る。各個々の層は、0.3~4ミル(8~100μm)、0.3ミル~3.0ミル(8~76μm)、0.4~2.0ミル(10~50μm)、0.5~3.0ミル(12~76μm)、0.5~1.2ミル(12~30μm)、又は0.8~2.0ミル(20~50μm)の厚さを有し得る。任意の特定の層又は副層の厚さは、とりわけ、副層の組成及び目的によって変化するであろう。
【0057】
多層積層体100の様々な層は、熱積層、乾燥積層、接着剤積層、無溶剤積層、及び他の技術を含む、本明細書の教示に基づいた当業者に既知の技術を使用して、隣接する層に積層され得る。
【0058】
実施形態では、1つ以上の接着剤は、1つ以上の層を1つ以上の隣接する層に接着させるために使用され得る。好適な接着剤は、例えば、溶剤系接着剤、無溶剤接着剤、水系接着剤、及びそれらの組み合わせを含むことができる。接着剤は、例えば、ポリウレタン、エポキシ、又はアクリル接着剤などであり得る。実施形態では、接着剤は、一液型又は二液型の配合物であり得る。接着剤を含む実施形態では、1つ以上の異なる接着剤は、層を互いに接着させるために使用され得る。接着剤層の重量又は厚さは、例えば、多層構造体の所望の厚さ、使用される接着剤の種類、及び他の要因を含む多くの要因に依存し得る。いくつかの実施形態では、接着剤層は、最大5.0g/m2、又は1.0~4.0g/m2、又は2.0~3.0g/m2で塗布される。
【0059】
本明細書に記載の様々な実施形態の多層積層体100内の層のうちのいずれかは、例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱安定剤、スリップ剤、ブロッキング防止、顔料又は着色剤、加工助剤、架橋触媒、難燃剤、充填剤、及び発泡剤などの当業者に既知の1つ以上の添加剤を更に含み得ることを理解されたい。
【0060】
様々な実施形態では、多層積層体は、1か月間の4未満のpHの酸耐性(70%R.Hで40℃)を有し得る。例えば、多層積層体は、4.0未満、3.75未満、又は3.5未満のpHを有する酸への曝露後に、70%相対湿度で40℃の温度で1か月の間、層間剥離を呈しない場合がある。
【0061】
様々な実施形態では、多層積層体は、30分間少なくとも105℃の沸騰耐性を呈する。例えば、多層積層体は、30分間少なくとも105℃又は少なくとも110℃の温度で滅菌のためにオートクレーブに配置された後、層間剥離を呈しない場合がある。
【0062】
物品
【0063】
様々な実施形態では、本明細書に開示される多層積層体100は、包装などの物品を形成するために使用され得る。そのような物品は、本明細書に記載の多層積層体100のうちのいずれかから形成され得る。様々な実施形態の多層積層体100から形成され得る包装の例は、可撓性包装、小袋、パウチ、自立型パウチ、及び既製の包装又はパウチを含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の多層積層体100は、肉、チーズ、シリアル、ナッツ、ジュース、ソースなどのための包装などの、食品包装に対して使用され得る。そのような包装は、本明細書の教示に基づいて、かつ包装の特定の使用(例えば、食品の種類、食品の量など)に基づいて、当業者に既知の技術を使用して形成され得る。
【0064】
本明細書に開示される多層積層体100から作製された物品は、フィン又はラップシール(パウチのチューブを形成するため)及びエンドシール(両端のパウチを閉じるため)などの様々な種類のシールを含むことができる。ラップシールは、
図2に示すように、構造体の内層(すなわち、多層PEフィルム108)及び構造体の外面(すなわち、配向ポリエチレンフィルム102)を重ね合わせることと、それらをシールする熱と、によって形成される。フィンシールは、構造体の内面(すなわち、多層PEフィルム108)が、典型的にはバッグの背面中央において、内面自体に対して合流及びシールする際に形成される。ラップシールは、折り畳みを作成する必要がないため、フィンシールと比較して、材料の節約を提供する。
【0065】
実施形態では、物品は、多層PEフィルム108にシールされた配向ポリエチレンフィルム102を含む、ラップシールを含む可撓性包装である。
試験方法
【0066】
試験方法は、以下を含む。
【0067】
メルトインデックス(Melt Index、MI)
【0068】
メルトインデックス(MI)を、2.16kgで190℃でのASTM D-1238に従って測定した。値を、10分当たりに溶出されたグラムに対応する、g/10分で報告する。
【0069】
密度
【0070】
密度測定用の試料を、ASTM D4703に従って調製し、グラム/立方センチメートル(g/cc又はg/cm3)で報告した。測定を、ASTM D792、方法Bを使用して、試料プレスの1時間以内に行った。
【0071】
ヒートシール強度
【0072】
ヒートシール強度を、ASTM F2029-00(実施B、ウェブシール性)に従って測定する。
【0073】
ヒートシール開始温度
【0074】
ヒートシール開始温度(Heat Seal Initiation Temperature、HSIT)(℃)を、シール強度曲線が2N/15mmより高く上昇する温度の決定のための得られたヒートシール曲線の目視検査を用いるASTM F2029-00に従って決定する。
【実施例】
【0075】
以下の実施例は、本開示の特徴を例示するものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0076】
使用したポリマー/フィルム
【0077】
以下の組成物は、以下で考察される多層の実施例を含んだ。
【0078】
ELITE(商標)AT6202は、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能な、ASTM D1238(190℃、2.16kg)に従って測定された場合の0.85g/10分のメルトインデックス、及びASTM D792に従って測定された場合の0.908g/ccの密度を有する、強化されたLLDPEであり、
【0079】
DOWLEX(商標)2049Gは、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能な、ASTM D1238(190℃、2.16kg)に従って測定された場合の1.0g/10分のメルトインデックス、及びASTM D792に従って測定された場合の0.926g/ccの密度を有する、LLDPEであり、
【0080】
DOW(商標)LDPE 450Eは、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能な、ASTM D1238(190℃、2.16kg)に従って測定された場合の2g/10分のメルトインデックス、及びASTM D792に従って測定された場合の0.923g/ccの密度を有する、LDPEであり、
【0081】
Decro DL25の商業名を有するTF-BOPEは、1つの側がコロナ処理に供されたDecroから市販されている25μmのフィルムであり、
【0082】
HS R719は、DIC Corporationから入手可能なインクであり、
【0083】
Al箔は、Daya(Jiangsu,China)から入手可能な7μmの箔であり、
【0084】
PETは、Shuang Xing(Jiangsu,China)から入手可能な12μmのPETフィルムであり、
【0085】
ADCOTE(商標)811A/Coreactant Fは、DOW Adhesivesから入手可能な二成分溶剤系接着剤(10/1)であり、
【0086】
LX500/KW75は、DICから入手可能な二成分溶剤系接着剤(8/1)であった。
【0087】
多層PEフィルムは、120mmのダイ直径、1.5mmのダイギャップ、及びおよそ25kg/時の出力を有する7層(A/B/C/D/E/F/G)パンケーキを使用する、上海のJinming Machineryからのブローフィルムライン上で製造された、ブローフィルムであった。ブローフィルムラインは、2.3のブローアップ比(blow up ratio、BUR)(延伸前のレイフラットは43cmであった)、5.7m/分の第1の引取(haul off)速度、30mmの押出機直径、及び30のL/Dを有した。分割巻取は、オンラインであった。ダイ温度プロファイル、押出機温度プロファイル、及び詳細な配合物を、以下の表1に示す。得られたPEフィルムは、1/1/1の層比を有する45μmのフィルムであった。
【0088】
【0089】
インクを、グラビア印刷プロセスを使用して、印刷層(比較実施例A及びBにおけるTF-BOPE並びに実施例1及び2におけるPET)に塗布した。特に、フィルムを、100メートル/分の印刷速度を有するRotomac 8グラビアカラー印刷機で逆印刷した。100?
【0090】
印刷後、多層積層体の層を、200メートル/分の速度でNordmeccanica無溶剤ラミネータを使用して、表2の構造体に従って積層した。比較実施例A及び実施例1は、ADCOTE(商標)811A/Coreactant Fを含み、比較実施例B及び実施例2は、LX500/KW75接着剤を含んだ。各層についての接着剤のコート重量は、4g/m2であり、多層積層体を、40℃のオーブンにおいて60時間硬化させた。
【0091】
【0092】
多層積層体を、30分間様々な温度で滅菌のためにオートクレーブ中に積層体を配置することによって、滅菌試験に供した。結果を、表3において報告する。
【0093】
【0094】
表3におけるデータによって実証されるように、それぞれ、実施例1及び2は、比較実施例A及びBよりも改善された沸騰耐性を実証し、改善された沸騰耐性が、TF-BOPE層(比較実施例A及びB)からPET層(実施例1及び2)へ印刷層を変えることと、多層PEフィルムとPET層との間にバリア層を位置決めするように積層配列を変えることとによって、達成され得ることを示している。
【0095】
比較実施例A及びB並びに実施例1及び2の酸耐性を、酸溶液有する瓶に積層体を入れ、1か月間70%相対湿度で40℃のオーブン中に瓶を置くことによって測定し、結果を、表4に報告する。各実施例を、表4における溶液への浸漬前に105℃で30分間滅菌した。
【0096】
【0097】
表4に示されるように、実施例2は、最良の酸耐性性能を実証し、1か月間2.51のpHを有する酸溶液を除いて溶液の各々を生き残った。比較実施例Bは、最悪の酸耐性性能を実証し、試験の各々に不合格であった。それぞれ、実施例1及び2を比較実施例A及びBと比較することは、印刷層及び積層配列を変えることが多層積層体の酸耐性を改善することを実証する。
【0098】
修正及び変更が、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲から逸脱することなく可能であることは、明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、好ましいか、又は特に有利なものとして本明細書で特定されているが、本開示は、必ずしもこれらの態様に限定されないことが、企図される。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、多層フィルムに関し、より具体的には、ポリエチレンフィルム及びバリアフィルムを含む多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
多層フィルムは、様々な消費者製品用の小袋又はパウチなどの可撓性包装に好適であり得る、キャストフィルム又はブローフィルムなどのフィルムを含むことができる。いくつかのそのような用途で使用される積層体は、二軸配向ポリエチレン(biaxially-oriented polyethylene、BOPE)を含んでいる。しかしながら、そのようなフィルムの印刷が達成され得る速度は、典型的には、限定される。追加的に、そのようなフィルムは、いくつかの食品製品に対して使用される高温滅菌プロセスを生き残る沸騰耐性及び/又は医療製品を包装するために必要とされる酸耐性を欠く場合がある。
【0003】
したがって、好適な沸騰耐性及び酸耐性を有するバリア積層体フィルムが、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、配向ポリエチレンフィルム、印刷層として配向ポリエチレンフィルムに接着された二軸配向フィルム、バリアフィルムとして金属層又は金属化フィルム、及びバリアフィルムに接着された多層ポリエチレンフィルムを有する、多層積層体を提供することによって、これらのニーズを満たす。いくつかの態様では、そのような多層積層体は、消費者製品包装用途のために使用される従来の多層積層体と比較して、改善された沸騰耐性及び酸耐性を呈することができる。
【0005】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、多層積層体は、配向ポリエチレンフィルム、配向ポリエチレンフィルムに接着された二軸配向フィルム、二軸配向フィルムに接着されたバリアフィルム、及びバリアフィルムに接着された多層ポリエチレン(polyethylene、PE)フィルムを含む。二軸配向フィルムは、二軸配向ポリアミド(biaxially oriented polyamide、BOPA)、二軸配向ポリエチレンテレフタレート(biaxially oriented polyethylene terephthalate、BOPET)、及び二軸配向ポリプロピレン(biaxially oriented polypropylene、BOPP)から選択される1つ以上の成分を含み、インクを含む。バリアフィルムは、金属層、金属化フィルム、又はシリカコーティングフィルムを含む。
【0006】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、前述の実施形態の多層積層体を含み、多層積層体は、接着剤を更に含み、接着剤は、溶剤系接着剤、無溶剤接着剤、及び水系接着剤から選択される1つ以上の接着剤を含む。
【0007】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、前述の実施形態の多層積層体を含み、接着剤は、溶剤系接着剤を含む。
【0008】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、バリアフィルムは、アルミニウム箔、金属化ポリエチレンテレフタレート(metallized polyethylene terephthalate、mPET)、シリカコーティングポリエチレンテレフタレート(シリカコーティングPET)、金属化配向ポリプロピレン(metallized oriented polypropylene、mOPP)、及び金属化キャストポリプロピレン(metallized cast polypropylene、mCPP)から選択される1つ以上の成分を含む。
【0009】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、二軸配向フィルムは、BOPETを含む。
【0010】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、バリアフィルムは、多層又は単層フィルムである。
【0011】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、バリアフィルムは、アルミニウム箔を含む。
【0012】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、多層PEフィルムは、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(linear low density polyethylene、LLDPE)を含む少なくとも1つの層を含む。
【0013】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、多層PEは、ブローフィルムである。
【0014】
本開示の別の実施形態によれば、多層積層体は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、配向ポリエチレンフィルムは、テンタフレーム二軸配向ポリエチレン(tenter frame biaxially oriented polyethylene、TF-BOPE)フィルムを含む。
【0015】
本開示の別の実施形態によれば、可撓性包装は、任意の前述の実施形態の多層積層体を含み、可撓性包装は、ラップシールを含み、ラップシールは、多層PEフィルムにシールされた配向ポリエチレンフィルムを含む。
【0016】
これらの及び他の実施形態は、以下の発明を実施するための形態及び図面においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本明細書に示され説明される1つ以上の実施形態による、多層積層体の概略図である。
【0018】
【
図2】本明細書に示され説明される1つ以上の実施形態による、ラップシールの形成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、本出願の特定の実施形態を説明する。しかしながら、本開示は、異なる形態で具体化されてもよく、本開示に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が、徹底的かつ完全なものとなり、本主題の範囲を当業者に十分に伝えるものとなるように提供される。
【0020】
定義
【0021】
「ポリマー」という用語は、同じ又は異なる種類のモノマーにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、1つの種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すために通常用いられる「ホモポリマー」という用語、同様に2つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマーを指す「コポリマー」を包含する。本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。したがって、インターポリマーという総称は、コポリマーと、ターポリマーなどの3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されたポリマーとを含む。
【0022】
「ポリエチレン」又は「エチレン系ポリマー」は、50モル%超のエチレンモノマーに由来している単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマー又はコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当該技術分野において既知のポリエチレンの一般的な形態は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(Ultra Low Density Polyethylene、ULDPE)、極低密度ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene、VLDPE)、中密度ポリエチレン(Medium Density Polyethylene、MDPE)、及び高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene、HDPE)を含む。
【0023】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」又は「高度分岐ポリエチレン」と称されてもよく、ポリマーが、ペルオキシドなどのフリーラジカル開始剤を用いて、14,500psi(100MPa)超の圧力でオートクレーブ又は管型反応器中で部分的又は完全にホモポリマー化されるか、又はコポリマー化されることを意味するように定義される(例えば、参照として本明細書に組み込まれるUS4,599,392を参照のこと)。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/cmの範囲内の密度を有する。
【0024】
「LLDPE」という用語は、伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系を使用して作製される樹脂、並びに限定されるものではないが、ビス-メタロセン触媒(「m-LLDPE」と称されることもある)及び拘束幾何形状触媒を含むシングルサイト触媒を使用して作製される樹脂、及びポスト-メタロセン、分子触媒を使用して作製された樹脂を含む。LLDPEには、直鎖状の、実質的に直鎖状の、又は不均一な、ポリエチレンコポリマー又はホモポリマーが含まれる。LLDPEは、LDPEよりも短い長鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、及び米国特許第5,733,155号に更に定義されている、実質的に直鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号におけるものなどの、均一に分岐した直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されるプロセスに従って調製されたものなどの、不均一に分岐したエチレンポリマー、並びに/又はそれらのブレンド(US3,914,342又はUS5,854,045に開示されるものなど)を含む。LLDPE樹脂は、当該技術分野において既知の任意の種類の反応器又は反応器構成を使用して、気相、溶液相、若しくはスラリー重合、又はそれらの任意の組み合わせを介して作製され得る。
【0025】
「MDPE」という用語は、0.926~0.945g/ccの密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は、典型的には、クロム若しくはチーグラー・ナッタ触媒、を使用して、又はビス-メタロセン触媒及び拘束幾何形状触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を使用して調製される。
【0026】
「HDPE」という用語は、概して、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、又はビス-メタロセン触媒及び拘束幾何形状触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される、約0.945g/cc超の密度を有するポリエチレンを指す。
【0027】
「ULDPE」という用語は、概して、チーグラー・ナッタ触媒、限定されるものではないが、ビス-メタロセン触媒及び拘束幾何形状触媒を含むシングルサイト触媒、並びにポストメタロセン、分子触媒で調製される、0.880~0.909g/ccの密度を有するポリエチレンを指す。本明細書で使用される場合、「プロピレン系ポリマー」という用語は、プロピレンモノマーに由来する50重量%を超える単位を含むポリマーを指す重合形態で、含むポリマーを指す。これは、プロピレンホモポリマー、ランダムコポリマーポリプロピレン、インパクトコポリマーポリプロピレン、プロピレン/α-オレフィンインターポリマー、及びプロピレン/α-オレフィンコポリマーを含む。これらのポリプロピレン材料は、概して、当該技術分野において既知である。
【0028】
「多層フィルム」とは、2つ以上の層を有する任意の構造体を意味する。例えば、多層構造体は、2、3、4、5、又はそれ以上の層を有し得る。多層フィルムは、文字で示される層を有するものとして説明され得る。例えば、コア層B、並びに2つの外部層A及びCを有する3層構造体は、A/B/Cとして示され得る。同様に、2つのコア層B及びC、並びに2つの外部層A及びDを有する構造体は、A/B/C/Dとして示され得る。追加的に、当業者は、更なる層E、F、Gなどもまた、この構造体に組み込まれ得ることを知るであろう。
【0029】
「可撓性包装」又は「可撓性包装材料」という用語は、当業者によく知られている様々な非剛性容器を包含する。これらは、パウチ、スタンドアップパウチ、ピローパウチ、又はバルクバッグ、既製の包装などを含み得る。可撓性包装についてのいくつかの典型的な最終用途は、スナック、乾燥食品、液体、又はチーズの包装である。他の最終用途は、ペットフード、スナック、チップス、冷凍食品、肉、ホットドッグ、医療製品、及び多くの他の用途を含むが、これらに限定されない。
【0030】
図1は、多層積層体100が、少なくとも配向ポリエチレンフィルム102、配向ポリエチレンフィルム102に接着された二軸配向フィルム104、二軸配向フィルム104に接着されたバリアフィルム106、及びバリアフィルム106に接着された多層PEフィルム108を含む、例示的な多層積層体100を例示する。ここで、多層積層体100の様々な実施形態を詳細に作製する。
【0031】
配向ポリエチレンフィルム
【0032】
様々な実施形態では、多層積層体100は、配向ポリエチレン(PE)フィルム102を含む。例えば、配向PEフィルム102は、二軸配向ポリエチレン(BOPE)又は単軸配向ポリエチレンであってもよく、ポリエチレンは、機械方向又は横断方向のいずれかに配向される。
【0033】
配向PEフィルム102がBOPEである実施形態では、BOPEは、テンタフレーム逐次二軸配向プロセスを使用して二軸配向され得、テンタフレーム二軸配向ポリエチレン(TF-BOPE)と称され得る。そのような技術は、概して、当業者に既知である。他の実施形態では、ポリエチレンフィルムは、二重気泡又は三重気泡配向プロセスなどの、本明細書の教示に基づいて、当業者に既知である他の技術を使用して二軸配向され得る。概して、テンタフレーム逐次二軸配向プロセスを用いて、テンタフレームは、多層共押出ラインの一部として組み込まれる。フラットダイから押し出された後、フィルムは、冷却ロール上で冷却し、室温の水で充填した水浴に浸漬される。次いで、キャストフィルムは異なる回転速度を有する一連のローラ上に通されて、機械方向における延伸を達成する。製作ラインのMD延伸セグメントには数対のローラがあり、それらはすべて油加熱されている。対のローラは、予熱ローラ、延伸ローラ、並びに弛緩及びアニーリング用ローラとして逐次作動する。ローラの各対の温度は、別々に制御される。機械方向における延伸後、フィルムウェブが加熱ゾーンを有するテンタフレーム熱風炉に通されて、横断方向における延伸を実行する。最初のいくつかのゾーンは予熱用であり、その後に延伸用のゾーン、次いでアニーリング用の最終ゾーンが続く。
【0034】
本明細書の実施形態では、ポリエチレンは、0.900g/cc~0.950g/ccの密度を有し得る。少なくとも0.900g/cc~0.950g/ccのすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、ポリエチレンは、0.900~0.945g/cc、0.900~0.940g/cc、0.900~0.935g/cc、0.910g/cc~0.945g/cc、0.910~0.940g/cc、0.910~0.935g/cc、0.910~0.930g/cc、0.915~0.940g/cc、0.915~0.923g/cc、又は0.920g/cc~0.935g/ccの密度を有する。密度は、ASTM D792に従って測定され得る。
【0035】
本明細書の実施形態では、ポリエチレンは、0.1g/10分~10g/10分の、190℃及び2.16kgでのASTM D1238に従って測定されたメルトインデックス、I2を有し得る。少なくとも0.1g/10分~10g/10分のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、ポリエチレンは、0.1g/10分~9.5g/10分、0.1g/10分~9.0g/10分、0.1g/10分~5g/10分、0.5g/10分~6g/10分、1g/10分~5g/10分、1.5g/10分~4.5g/10分、又は2g/10分~4g/10分のメルトインデックス、I2を有し得る。他の実施形態では、ポリエチレンは、0.7g/10分~9.5g/10分、0.7g/10分~8g/10分、又は0.7g/10分~5g/10分のメルトインデックス、I2を有し得る。メルトインデックス、I2は、ASTM D1238(190℃及び2.16kg)に従って測定され得る。
【0036】
本明細書の実施形態では、ポリエチレンは、14未満のメルトフロー比I10/I2を有し得る。14未満のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、ポリエチレンは、13.5、13、12.5、10、又は更には7.5未満のメルトフロー比I10/I2を有し得る。他の実施形態では、ポリエチレンは、1.0~14、2~14、4~14、5~14、5.5~14、6~14、5~13.5、5~13、5~12.5、5~12、5~11.5、5~11、5.5~13.5、5.5~13、5.5~12.5、5.5~12、5.5~11.5、5.5~11、6~13.5、6~13、6~12.5、6~12、6~11.5、又は6~11のメルトフロー比I10/I2を有し得る。メルトインデックス、I10は、ASTM D1238(190℃及び10.0kg)に従って測定され得る。
【0037】
使用に好適な市販の配向ポリエチレンフィルムは、例えば、Decro(Gunangdong,China)から入手可能なTF-BOPEフィルムを含む。そのようなTF-BOPEフィルムにおいて使用され得る好適なエチレン系コポリマーの市販の例は、すべてThe Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能なATTANE(商標)、DOWLEX(商標)、ELITE(商標)、ELITE AT(商標)、及びINNATE(商標)の商品名で販売されているもの、Total SAから入手可能なLUMICENE(登録商標)、並びにExxon Chemical Companyから入手可能なEXCEED(商標)及びEXACT(商標)を含み得る。他の市販の単軸及び二軸配向フィルムの使用、同様に他のポリエチレンの使用が、企図される。
【0038】
いくつかの実施形態では、ポリエチレンフィルムは、2:1~8:1の延伸比で、又は別の方法では3:1~7:1の延伸比で、機械方向に配向され得る。いくつかの実施形態では、ポリエチレンフィルムは、2:1~11:1の延伸比で、又は別の方法では3:1~10:1の延伸比で、横断方向に配向され得る。いくつかの実施形態では、ポリエチレンフィルムは、2:1~7:1の延伸比で機械方向に、かつ2:1~10:1の延伸比で横断方向に配向される。
【0039】
配向に続いて、配向ポリエチレンフィルム102は、良好な透明度及び/又は良好な光沢などの多くの物理的特性を呈することができる。実施形態では、配向ポリエチレンフィルム102は、75%超、80%超、85%超、90%超、又は95%超の透明度を呈する。透明度は、ASTM D1746に従って決定される。実施形態では、配向ポリエチレンフィルム102は、25超の45°での光沢を呈する。例えば、配向ポリエチレンフィルム102は、25~75、25~70、30~75、30~70、35~75、35~70、40~75、40~70、45~75、45~70、25~65、25~60、25~55、25~50、30~65、30~60、30~55、30~50、35~65、35~60、35~55、又は35~50の45°での光沢度を呈し得る。45°での光沢度は、ASTM D2457-08/ASTM D1003-01に従って決定される。
【0040】
いくつかの実施形態では、例えば、最終用途に応じて、配向ポリエチレンフィルム102は、二軸配向フィルム104への積層の前又は後に、当業者に既知の技術を使用してコロナ処理され得る。更に、配向ポリエチレンフィルム102は、特定の実施形態に応じて、多層フィルム又は単層フィルムであり得る。
【0041】
二軸配向フィルム
【0042】
様々な実施形態によれば、二軸配向フィルム104は、配向PEフィルム102に接着される。二軸配向フィルム104は、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリアミド(polyamide、PA)、又はそれらの組み合わせなどのポリオレフィンを含む二軸配向ポリオレフィンフィルムであり得る。実施形態では、二軸配向フィルム104は、例えば、二軸配向テレフタレート(BOPET)、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)、二軸配向ポリアミド(BOPA)、又はそれらの組み合わせを含む。
【0043】
様々な実施形態では、二軸配向フィルム104は、インクを含む。インクは、例えば、画像又は単語の形態にあり得る。そのような実施形態では、インクは、二軸配向フィルム104上に印刷され得る。二軸配向フィルム104は、インクがその上に印刷される印刷プロセスを経る場合がある。様々な印刷プロセスは、好適であると考えられ、例として、かつ限定するものではなく、グラビア印刷、フレキソ印刷、及びオフセット印刷を含み得る。
【0044】
バリアフィルム
【0045】
様々な実施形態の多層積層体100は、二軸配向フィルム104に接着されたバリアフィルム106を含む。様々な実施形態では、バリアフィルム106は、1つ以上の金属ベースの層を含む気体及び水分バリアであり、金属ベースの層は、金属層又は金属化フィルム層である。金属層又は金属化フィルム層は、例として、かつ限定するものではなく、Al、Si、Zn、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Ti、Sn、それらの酸化物、及びそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、金属又は金属酸化物は、ポリエチレン又はポリプロピレンフィルム上に堆積されて、バリアフィルム106を形成する。例えば、バリアフィルム106は、金属化ポリエチレンテレフタレート(mPET)、シリカコーティングポリエチレンテレフタレート(シリカコーティングPET)、金属化配向ポリプロピレン(mOPP)、又は金属化キャストポリプロピレン(mCPP)であり得る。いくつかの実施形態では、金属又は金属酸化物は、アルミニウム箔層又は金箔層などの箔の形態にある。
【0046】
金属又は金属酸化物がポリエチレン又はポリプロピレンフィルム上に堆積されてバリアフィルムを形成する実施形態では、金属又は金属酸化物は、真空金属化によってポリエチレン又はポリプロピレンフィルム上に堆積され得る。フィルム上に金属ベースの材料を堆積させるための他の方法は、当該技術分野において既知で使用されるそれらの方法を含む。
【0047】
バリアフィルム106は、特定の実施形態に応じて、多層フィルム又は単層フィルムであり得る。バリアフィルム106が多層フィルムである実施形態では、フィルムにおける各層は、1つ以上の種類のバリアを提供するその能力について選択され得る。例えば、多層フィルムの第1の層は、気体バリアを提供するために使用され得、多層フィルムの第2の層は、水分バリアを提供するために使用され得る。いくつかの実施形態では、多層フィルムの2つ以上の層が、バリア特性を提供し得る(例えば、第1及び第2の層は水分バリアを提供することができる一方、第1の層もまた気体バリアを提供する)。
【0048】
多層PEフィルム
【0049】
様々な実施形態では、多層PEフィルム108は、バリアフィルム106に接着される。いくつかの実施形態では、多層PEフィルム108は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)を含む少なくとも1つの層を含む。LLDPEは、構造体全体の強化された機械的性能(引き裂き又はダーツ(dart)など)を提供することに役立ち得る。LDPEは、改善されたブレンド特性、強化された溶融安定性、及び/又は改善された気泡安定性を提供することに役立ち得る。多層PEフィルム108における1つ以上の追加の層は、各々、LLDPE、LDPE、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、又はそれらのブレンドを含むことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、多層PEフィルム108は、LLDPE、LDPE、MDPE、HDPE、ポリエチレンプラストマー、及びポリエチレンエラストマーを含む、エチレン系ポリマーを含む複数の層を含むことができる。例えば、層は、0.900~0.930g/cc、0.905~0.925g/cc、又は0.910~0.925g/ccの密度、及び0.2~5.0g/10分、0.5~2.5g/10分、0.75~1.5g/10分、又は0.9~1.2g/10分のメルトインデックス(I2)を有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含むことができる。実施形態では、多層PEフィルムは、0.910~0.935g/cc、0.915~0.935g/cc、又は0.920~0.930g/ccの密度、及び0.3~5.0g/10分、0.5~2.5g/10分、又は0.6~1.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する低密度ポリエチレン(LDPE)を含むことができる。
【0051】
多層PEフィルムの様々な実施形態では使用され得る市販のエチレン系ポリマーは、すべてThe Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能なELITE(商標)AT 6202を含むELITE(商標)、DOWLEX(商標)2049Gを含むDOWLEX(商標)、及びDOW(商標)LDPE 450Eを含むDOW(商標)の商品名で販売されているものを含む。
【0052】
多層PEフィルム108は、キャストフィルム又はブローフィルムであり得る。いくつかの実施形態では、多層PEフィルム108は、ブローフィルムである。そのようなフィルムは、当業者に既知の技術を使用して形成され得る。例えば、多層PEフィルム108の層は、ブローフィルム又はキャストフィルムとして共押出され得る。ブローフィルム製造ライン及びキャストフィルム製造ラインは、異なるフィルム層の組成に基づいて当業者に既知の技術を使用して、単一押出ステップにおいて多層PEフィルムを共押出するように構成され得る。
【0053】
様々な実施形態の多層PEフィルム108は、ヒートシール強度及びヒートシール開始温度などの望ましいシール特性を有利に提供することができる。実施形態では、多層PEフィルム108は、115℃以下、又は110℃以下のヒートシール開始温度を示す。例えば、多層PEフィルム108は、75~115℃、又は80~110℃のヒートシール開始温度を有し得る。
【0054】
多層積層体
【0055】
多層積層体100の様々な層は、任意の好適なプロセスによって形成及び配向(例えば、二軸配向)され得る。これらのプロセスについての情報は、例えば、the Kirk Othmer Encyclopedia、the Modern Plastics Encyclopedia、又はthe Wiley Encyclopedia of Packaging Technology,2d edition,A.L.Brody and K.S.Marsh,Eds.,Wiley-Interscience(Hoboken,1997)などの参考文献において見出され得る。例えば、多層積層体100の層は、ディップコーティング、フィルムキャスティング、シートキャスティング、溶液キャスティング、圧縮成形、射出成形、積層、溶融押出、円形ブローフィルムを含むブローフィルム、押出コーティング、タンデム押出コーティング、又は任意の他の好適な手順を通じて形成され得る。いくつかの実施形態では、フィルムは、溶融押出、溶融共押出、溶融押出コーティング、又はタンデム溶融押出コーティングプロセスによって形成される。いくつかの実施形態では、フィルムは、熱積層又は押出積層及びコーティングによって形成される。フィルムは、テンタフレーム技術及び機械方向配向(machine-direction orientation、MDO)技術などの好適な配向プロセスを使用して配向され得る。
【0056】
多層積層体100の厚さ及び多層積層体100の様々な層及び副層(存在する場合)の厚さは、大きく変化し得る。典型的には、多層積層体100の厚さは、0.3~6.0ミル(8~152μm)である。例えば、多層積層体100の厚さは、0.8~4.0ミル(20~100μm)、又は1.0~3.0ミル(25~76μm)であり得る。各個々の層は、0.3~4ミル(8~100μm)、0.3ミル~3.0ミル(8~76μm)、0.4~2.0ミル(10~50μm)、0.5~3.0ミル(12~76μm)、0.5~1.2ミル(12~30μm)、又は0.8~2.0ミル(20~50μm)の厚さを有し得る。任意の特定の層又は副層の厚さは、とりわけ、副層の組成及び目的によって変化するであろう。
【0057】
多層積層体100の様々な層は、熱積層、乾燥積層、接着剤積層、無溶剤積層、及び他の技術を含む、本明細書の教示に基づいた当業者に既知の技術を使用して、隣接する層に積層され得る。
【0058】
実施形態では、1つ以上の接着剤は、1つ以上の層を1つ以上の隣接する層に接着させるために使用され得る。好適な接着剤は、例えば、溶剤系接着剤、無溶剤接着剤、水系接着剤、及びそれらの組み合わせを含むことができる。接着剤は、例えば、ポリウレタン、エポキシ、又はアクリル接着剤などであり得る。実施形態では、接着剤は、一液型又は二液型の配合物であり得る。接着剤を含む実施形態では、1つ以上の異なる接着剤は、層を互いに接着させるために使用され得る。接着剤層の重量又は厚さは、例えば、多層構造体の所望の厚さ、使用される接着剤の種類、及び他の要因を含む多くの要因に依存し得る。いくつかの実施形態では、接着剤層は、最大5.0g/m2、又は1.0~4.0g/m2、又は2.0~3.0g/m2で塗布される。
【0059】
本明細書に記載の様々な実施形態の多層積層体100内の層のうちのいずれかは、例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱安定剤、スリップ剤、ブロッキング防止、顔料又は着色剤、加工助剤、架橋触媒、難燃剤、充填剤、及び発泡剤などの当業者に既知の1つ以上の添加剤を更に含み得ることを理解されたい。
【0060】
様々な実施形態では、多層積層体は、1か月間の4未満のpHの酸耐性(70%R.Hで40℃)を有し得る。例えば、多層積層体は、4.0未満、3.75未満、又は3.5未満のpHを有する酸への曝露後に、70%相対湿度で40℃の温度で1か月の間、層間剥離を呈しない場合がある。
【0061】
様々な実施形態では、多層積層体は、30分間少なくとも105℃の沸騰耐性を呈する。例えば、多層積層体は、30分間少なくとも105℃又は少なくとも110℃の温度で滅菌のためにオートクレーブに配置された後、層間剥離を呈しない場合がある。
【0062】
物品
【0063】
様々な実施形態では、本明細書に開示される多層積層体100は、包装などの物品を形成するために使用され得る。そのような物品は、本明細書に記載の多層積層体100のうちのいずれかから形成され得る。様々な実施形態の多層積層体100から形成され得る包装の例は、可撓性包装、小袋、パウチ、自立型パウチ、及び既製の包装又はパウチを含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の多層積層体100は、肉、チーズ、シリアル、ナッツ、ジュース、ソースなどのための包装などの、食品包装に対して使用され得る。そのような包装は、本明細書の教示に基づいて、かつ包装の特定の使用(例えば、食品の種類、食品の量など)に基づいて、当業者に既知の技術を使用して形成され得る。
【0064】
本明細書に開示される多層積層体100から作製された物品は、フィン又はラップシール(パウチのチューブを形成するため)及びエンドシール(両端のパウチを閉じるため)などの様々な種類のシールを含むことができる。ラップシールは、
図2に示すように、構造体の内層(すなわち、多層PEフィルム108)及び構造体の外面(すなわち、配向ポリエチレンフィルム102)を重ね合わせることと、それらをシールする熱と、によって形成される。フィンシールは、構造体の内面(すなわち、多層PEフィルム108)が、典型的にはバッグの背面中央において、内面自体に対して合流及びシールする際に形成される。ラップシールは、折り畳みを作成する必要がないため、フィンシールと比較して、材料の節約を提供する。
【0065】
実施形態では、物品は、多層PEフィルム108にシールされた配向ポリエチレンフィルム102を含む、ラップシールを含む可撓性包装である。
試験方法
【0066】
試験方法は、以下を含む。
【0067】
メルトインデックス(Melt Index、MI)
【0068】
メルトインデックス(MI)を、2.16kgで190℃でのASTM D-1238に従って測定した。値を、10分当たりに溶出されたグラムに対応する、g/10分で報告する。
【0069】
密度
【0070】
密度測定用の試料を、ASTM D4703に従って調製し、グラム/立方センチメートル(g/cc又はg/cm3)で報告した。測定を、ASTM D792、方法Bを使用して、試料プレスの1時間以内に行った。
【0071】
ヒートシール強度
【0072】
ヒートシール強度を、ASTM F2029-00(実施B、ウェブシール性)に従って測定する。
【0073】
ヒートシール開始温度
【0074】
ヒートシール開始温度(Heat Seal Initiation Temperature、HSIT)(℃)を、シール強度曲線が2N/15mmより高く上昇する温度の決定のための得られたヒートシール曲線の目視検査を用いるASTM F2029-00に従って決定する。
【実施例】
【0075】
以下の実施例は、本開示の特徴を例示するものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0076】
使用したポリマー/フィルム
【0077】
以下の組成物は、以下で考察される多層の実施例を含んだ。
【0078】
ELITE(商標)AT6202は、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能な、ASTM D1238(190℃、2.16kg)に従って測定された場合の0.85g/10分のメルトインデックス、及びASTM D792に従って測定された場合の0.908g/ccの密度を有する、強化されたLLDPEであり、
【0079】
DOWLEX(商標)2049Gは、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能な、ASTM D1238(190℃、2.16kg)に従って測定された場合の1.0g/10分のメルトインデックス、及びASTM D792に従って測定された場合の0.926g/ccの密度を有する、LLDPEであり、
【0080】
DOW(商標)LDPE 450Eは、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能な、ASTM D1238(190℃、2.16kg)に従って測定された場合の2g/10分のメルトインデックス、及びASTM D792に従って測定された場合の0.923g/ccの密度を有する、LDPEであり、
【0081】
Decro DL25の商業名を有するTF-BOPEは、1つの側がコロナ処理に供されたDecroから市販されている25μmのフィルムであり、
【0082】
HS R719は、DIC Corporationから入手可能なインクであり、
【0083】
Al箔は、Daya(Jiangsu,China)から入手可能な7μmの箔であり、
【0084】
PETは、Shuang Xing(Jiangsu,China)から入手可能な12μmのPETフィルムであり、
【0085】
ADCOTE(商標)811A/Coreactant Fは、DOW Adhesivesから入手可能な二成分溶剤系接着剤(10/1)であり、
【0086】
LX500/KW75は、DICから入手可能な二成分溶剤系接着剤(8/1)であった。
【0087】
多層PEフィルムは、120mmのダイ直径、1.5mmのダイギャップ、及びおよそ25kg/時の出力を有する7層(A/B/C/D/E/F/G)パンケーキを使用する、上海のJinming Machineryからのブローフィルムライン上で製造された、ブローフィルムであった。ブローフィルムラインは、2.3のブローアップ比(blow up ratio、BUR)(延伸前のレイフラットは43cmであった)、5.7m/分の第1の引取(haul off)速度、30mmの押出機直径、及び30のL/Dを有した。分割巻取は、オンラインであった。ダイ温度プロファイル、押出機温度プロファイル、及び詳細な配合物を、以下の表1に示す。得られたPEフィルムは、1/1/1の層比を有する45μmのフィルムであった。
【0088】
【0089】
インクを、グラビア印刷プロセスを使用して、印刷層(比較実施例A及びBにおけるTF-BOPE並びに実施例1及び2におけるPET)に塗布した。特に、フィルムを、100メートル/分の印刷速度を有するRotomac 8グラビアカラー印刷機で逆印刷した。100?
【0090】
印刷後、多層積層体の層を、200メートル/分の速度でNordmeccanica無溶剤ラミネータを使用して、表2の構造体に従って積層した。比較実施例A及び実施例1は、ADCOTE(商標)811A/Coreactant Fを含み、比較実施例B及び実施例2は、LX500/KW75接着剤を含んだ。各層についての接着剤のコート重量は、4g/m2であり、多層積層体を、40℃のオーブンにおいて60時間硬化させた。
【0091】
【0092】
多層積層体を、30分間様々な温度で滅菌のためにオートクレーブ中に積層体を配置することによって、滅菌試験に供した。結果を、表3において報告する。
【0093】
【0094】
表3におけるデータによって実証されるように、それぞれ、実施例1及び2は、比較実施例A及びBよりも改善された沸騰耐性を実証し、改善された沸騰耐性が、TF-BOPE層(比較実施例A及びB)からPET層(実施例1及び2)へ印刷層を変えることと、多層PEフィルムとPET層との間にバリア層を位置決めするように積層配列を変えることとによって、達成され得ることを示している。
【0095】
比較実施例A及びB並びに実施例1及び2の酸耐性を、酸溶液有する瓶に積層体を入れ、1か月間70%相対湿度で40℃のオーブン中に瓶を置くことによって測定し、結果を、表4に報告する。各実施例を、表4における溶液への浸漬前に105℃で30分間滅菌した。
【0096】
【0097】
表4に示されるように、実施例1は、最良の酸耐性性能を実証し、1か月間2.51のpHを有する酸溶液を除いて溶液の各々を生き残った。比較実施例Bは、最悪の酸耐性性能を実証し、試験の各々に不合格であった。それぞれ、実施例1及び2を比較実施例A及びBと比較することは、印刷層及び積層配列を変えることが多層積層体の酸耐性を改善することを実証する。
【0098】
修正及び変更が、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲から逸脱することなく可能であることは、明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、好ましいか、又は特に有利なものとして本明細書で特定されているが、本開示は、必ずしもこれらの態様に限定されないことが、企図される。
【国際調査報告】