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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(54)【発明の名称】解剖学的橈骨頭人工肘関節
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
A61F2/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546666
(86)(22)【出願日】2021-01-31
(85)【翻訳文提出日】2022-09-09
(86)【国際出願番号】 AU2021050068
(87)【国際公開番号】W WO2021151165
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】2020900240
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522304198
【氏名又は名称】シグニチャー オルソペディクス ヨーロッパ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ホウエン,ハリー
(72)【発明者】
【氏名】ズオン,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】バージス,クリス
(72)【発明者】
【氏名】ブラジル,デクラン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA13
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC03
4C097CC16
4C097SC08
(57)【要約】
本明細書には、解剖学的適合性および機能を改善し、脱臼の可能性を低減するように解剖学的に設計された橈骨頭人工肘関節が開示される。本発明の橈骨頭の凹部重心偏心ならびに配向および隆起した外側支承面の態様は、上腕骨小頭の人工橈骨頭の追跡を改善し、その脱臼の可能性を低減する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方皿状上腕骨小頭支承面と内側橈骨切痕支承尺骨関節面とを有する橈骨頭を備える人工肘関節であって、前記支承面は支承面重心を規定し、前記支承面には凹部重心を形成する凹部が形成され、前記凹部重心は前記支承面重心に対して前方に位置する、人工肘関節。
【請求項2】
前記支承面重心と前記凹部重心との間の長さと、前記凹部重心と前記凹部重心に最も近い前記支承面のリムにおける点との間の長さとの比は、25%超である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項3】
前記比は、約33%である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項4】
前記支承面の外側は隆起している、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項5】
前記支承面の断面は非円形である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項6】
前記支承面は、外側最外点を有する、請求項5に記載の人工肘関節。
【請求項7】
前記外側最外点は、前記支承面の最大幅の軸と一致する、請求項6に記載の人工肘関節。
【請求項8】
前記最大幅の軸は、内外方向軸である、請求項7に記載の人工肘関節。
【請求項9】
前記支承面の最小/最大直径比は、95%超である、請求項5に記載の人工肘関節。
【請求項10】
前記支承面の断面は楕円形である、請求項5に記載の人工肘関節。
【請求項11】
前記凹部は、前記支承面重心において垂直に支承軸を規定し、前記人工肘関節は、回転軸を規定し、前記支承軸は、前記回転軸に対して傾斜している、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項12】
前記回転軸および前記支承軸は、前記橈骨頭に対して上方で一致する、請求項11に記載の人工肘関節。
【請求項13】
前記支承軸は、前記回転軸に対して5~15°傾斜している、請求項11に記載の人工肘関節。
前記回転軸は、水平面に対して垂直である、請求項11に記載の人工肘関節。
【請求項14】
前記水平面は、前記橈骨頭の平坦な下面によって規定される、請求項13に記載の人工肘関節。
【請求項15】
前記支承面のリムによって規定される支承平面は、前記回転軸に垂直な水平面に対して傾斜している、請求項13に記載の人工肘関節。
【請求項16】
前記リムは、前記支承平面と同一平面上にある、請求項15に記載の人工肘関節。
【請求項17】
前記橈骨頭の下面の断面は円形である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項18】
前記橈骨頭の下面は、前記支承面重心に対して前方に位置する下面重心を規定する、請求項17に記載の人工肘関節。
【請求項19】
前記橈骨頭の下面は平面である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項20】
前記橈骨頭は、前記橈骨頭の下面から前記支承面まで実質的に均一に湾曲する、前面断面隆起プロファイルを規定する、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項21】
前記橈骨頭は、S字状屈曲張出部を規定する後面断面隆起プロファイルを規定し、S字状屈曲張出部の上方では、前記後側は、前記前面と比較して湾曲が小さく、かつ外向きにより大きな広がりを有する形で移行する、請求項20に記載の人工肘関節。
【請求項22】
前記尺骨関節面は、張出部を有する断面隆起プロファイルを規定する、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項23】
前記張出部は、前記下面と前記支承面との間の高さの3分の1より下に位置する、請求項22に記載の人工肘関節。
【請求項24】
前記尺骨関節面は、前記張出部の上方で実質的に均一に湾曲している、請求項22に記載の人工肘関節。
【請求項25】
前記尺骨関節面は、前記張出部の上方の前記支承面に向かって均一に外向きに湾曲している、請求項22に記載の人工肘関節。
【請求項26】
前記橈骨頭は、下部、張出部および上部を有する側面断面プロファイルを規定する、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項27】
前記尺骨関節面は、張出部を有する断面隆起プロファイルを規定し、前記側面断面プロファイルの前記張出部は、前記内側尺骨関節面の前記張出部の上方に存在する、請求項26に記載の人工肘関節。
【請求項28】
前記下部は、前記橈骨頭の下面によって規定される水平面に対して実質的に直交する、請求項26に記載の人工肘関節。
【請求項29】
前記張出部は、前記下部と前記上部との間の実質的に中間に位置する、請求項26に記載の人工肘関節。
【請求項30】
前記下部の半径方向範囲は、使用時に設置されると、前記切除された橈骨と実質的に同一半径である、請求項26に記載の人工肘関節。
【請求項31】
前記凹部の水平断面は、前後方向に非対称である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項32】
異なるサイズの橈骨頭をさらに備え、前記支承面の最小/最大直径比は、実質的に一定である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項33】
異なるサイズの橈骨頭をさらに備え、前記支承面の直径と、前記凹部重心と前記支承面重心との間のずれとの比は、実質的に一定である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項34】
異なるサイズの橈骨頭をさらに備え、前記支承面の直径と前記橈骨頭の高さとの比は、実質的に一定である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項35】
異なるサイズの橈骨頭をさらに備え、その支承面の直径と下面の直径との比は、実質的に一定である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項36】
異なるサイズの橈骨頭をさらに備え、その支承面の直径と凹部の直径との比は、実質的に一定である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項37】
後外側湾曲を有するステムをさらに備える、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項38】
前記外側湾曲は、上方部分および下方部分と、それらの間に移行部を形成するエルボとを備える、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項39】
前記上方部分の断面は非円形である、請求項38に記載の人工肘関節。
【請求項40】
前記ステムは、前記支承面重心に対してずれた軸を規定する、請求項37に記載の人工肘関節。
【請求項41】
前記橈骨頭および前記ステムは、使用時に前記ステムが挿入されたときに、前記ステムが前記橈骨茎状突起から離れて前記肘のリスター結節の外側に向かって配向されるように構成される、請求項37に記載の人工肘関節。
【請求項42】
前記ステムは、前記橈骨茎状突起から20°超離れるように配向される、請求項41に記載の人工肘関節。
【請求項43】
前記ステムは、前記橈骨茎状突起から約30°離れるように配向される、請求項41に記載の人工肘関節。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、人工肘関節に関する。より詳細には、本発明は、解剖学的橈骨頭人工肘関節に関する。
【背景技術】
【0002】
肘関節は、上腕骨、橈骨および尺骨の複合関節である。橈骨の近位頭部(「橈骨頭」)は、上腕骨小頭と近位で関節接合し(腕橈関節)、尺骨の橈骨切痕と内側で関節接合する(橈骨尺骨関節)。
【0003】
橈骨頭は、手が回内または回外されたときに腕が屈曲および伸展する場合に、橈骨が異なる運動を実現することを可能にする。屈曲および伸展の間、橈骨頭は上腕骨小頭の曲面全体で関節接合するが、腕尺関節は蝶番として機能する。手を回内位置と回外位置との間で回転させる場合、橈骨頭が上腕骨小頭上で旋回し、橈骨頭の側面が橈骨切痕内で回転する。
【0004】
橈骨頭人工肘関節は、損傷した橈骨頭を置換するために使用され、典型的には、橈骨内に挿入されるステムと、尺骨および上腕骨と関節接合するヘッドとを有する。
【0005】
橈骨頭は、従来、水平面における断面が略円形であったが、現在では、橈骨頭は、Acumed Slide-Loc Anatomical Radial Head System<URL:
https://www.acumed.net/system/files/Acumed-Surgical-Technique-EN-Slide-Loc-Anatomical-Radial-Head-ELB 10-03-F.pdf>2016年10月27日、2017年4月6日に出願された米国特許出願公開第20170095338(A1)号明細書、および2005年9月22日に出願された国際公開第2005086939(A2)号パンフレット(ACUMED LLC))を含む、機能および動作を改善するのに役立つ解剖学的に設計された橈骨頭を含む。
【0006】
本発明は、解剖学的適合性を改善し、脱臼の可能性を低減し、先行技術の欠点の少なくともいくつかを克服するまたは大幅に改善する人工肘関節を提供する、または少なくとも代替物を提供することを目的とする。
【0007】
任意の先行技術の情報が本明細書で参照される場合、そのような参照は、その情報がオーストラリアまたは任意の他の国において当技術分野の共通の一般知識の一部を形成することを認めるものではないことを理解されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解剖学的適合性および機能を改善し、脱臼の可能性を低減するために、死体調査およびデジタルCTスキャン再構成(デジタルセグメンテーション)コンピュータ支援モデリング研究から解剖学的に設計された橈骨頭人工肘関節が本明細書において提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の橈骨頭の凹部重心偏心ならびに配向および隆起した外側支承面の態様は、上腕骨小頭の人工橈骨頭の追跡を改善し、その脱臼の可能性を低減することが実験的に発見された。
【0010】
本発明の人工関節のさらなる態様は、肘の輪状靭帯を人間工学的に収容し、橈骨切痕の解剖学的形状を考慮して、橈骨切痕との表面接触を改善し、橈骨の橈骨頭の解剖学的形状に適合し得る。
【0011】
さらに、本発明の橈骨頭は、患者の要件に応じて異なるサイズで提供され得るが、それらの間に、患者間の解剖学的適合性を高めることが発見された特定の幾何学的相関がある。
【0012】
本発明の人工肘関節は、外側解剖学的湾曲を有し得るステムをさらに備え得、このステムは、近位橈骨管内に確実に自己位置決めする圧入(セメントレス)挿入のために研磨され得る。ステムは、関節接合および回転応力の均一な分布のためにより良好な位置であることが分かっていた、橈骨頭に対して中心に配置され得る。さらに、ステム湾曲は、橈骨茎状突起から離れてリスター結節の外側に向かって、好ましくは橈骨茎状突起に対して半径方向に約30°ずれて方向付けられ得る。
【0013】
上記を念頭に置いて、一態様によれば、上方皿状上腕骨小頭支承面と内側橈骨切痕支承尺骨関節面とを有する橈骨頭を備える人工肘関節が提供され、支承面は支承面重心を規定し、支承面には凹部重心を形成する凹部が形成され、凹部重心は支承面重心に対して前方に位置する。
【0014】
支承面重心と凹部重心との間の長さと、凹部重心と凹部重心に最も近い支承面のリムにおける点との間の長さとの比は、25%超であり得る。
【0015】
この比は、約33%であり得る。
【0016】
支承面の外側は、隆起し得る。
【0017】
支承面の断面は、非円形であり得る。
【0018】
支承面は、外側最外点を有し得る。
【0019】
外側最外点は、支承面の最大幅の軸と一致し得る。
【0020】
最大幅の軸は、内外方向の軸であり得る。
【0021】
支承面の最小/最大直径比は、95%超であり得る。
【0022】
支承面の断面は、楕円形であり得る。
【0023】
凹部は、支承面重心において垂直に支承軸を規定し得、人工肘関節は、回転軸を規定し得、支承軸は、回転軸に対して傾斜し得る。
【0024】
回転軸および支承軸は、橈骨頭に対して上方で一致する。
【0025】
支承軸は、回転軸に対して5~15°傾斜し得る。
【0026】
回転軸は、水平面に対して垂直であり得る。
【0027】
水平面は、橈骨頭の平坦な下面によって規定され得る。
【0028】
支承面のリムによって規定される支承平面は、回転軸に垂直な水平面に対して傾斜し得る。
【0029】
リムは、支承平面と同一平面上にあり得る。
【0030】
橈骨頭の下面の断面は、円形であり得る。
【0031】
橈骨頭の下面は、支承面重心に対して前方に位置し得る下面重心を規定し得る。
【0032】
橈骨頭の下面は、平坦であり得る。
【0033】
橈骨頭は、橈骨頭の下面から支承面まで実質的に均一に湾曲する前面断面隆起プロファイルを規定し得る。
【0034】
橈骨頭は、S字状屈曲張出部を規定し得る後面断面隆起プロファイルを規定し得、S字状屈曲張出部の上方では、後側は、前面と比較して曲率が小さく、かつ外向きにより大きな広がりを有する形で移行する。
【0035】
尺骨関節面は、張出部を有する断面隆起プロファイルを規定し得る。
【0036】
張出部は、下面と支承面との間の高さの3分の1より下に位置し得る。
【0037】
尺骨関節面は、張出部の上方で実質的に均一に湾曲している。
【0038】
尺骨関節面は、張出部の上方の支承面に向かって均一に外向きに湾曲している。
【0039】
橈骨頭は、下部、張出部および上部を有する側面断面プロファイルを規定し得る。
【0040】
尺骨関節面は、張出部を有する断面隆起プロファイルを規定し得、側面断面プロファイルの張出部は、内側尺骨関節面の張出部の上方に存在し得る。
【0041】
下部は、橈骨頭の下面によって規定され得る水平面に対して実質的に直交し得る。
【0042】
張出部は、下部と上部との間の実質的に中間に位置する。
【0043】
下部の半径方向範囲は、使用時に設置されると、切除された橈骨と実質的に同一半径であり得る。
【0044】
凹部は、水平断面において前後方向に非対称であり得る。
【0045】
人工肘関節は、異なるサイズの橈骨頭をさらに備え得、その支承面の最小/最大直径比は、実質的に一定であり得る。
【0046】
人工肘関節は、異なるサイズの橈骨頭をさらに備え得、その支承面の直径と、凹部重心と支承面重心との間のずれとの比は、実質的に一定であり得る。
【0047】
人工肘関節は、異なるサイズの橈骨頭をさらに備え得、支承面の直径と橈骨頭の高さとの比は、実質的に一定であり得る。
【0048】
人工肘関節は、異なるサイズの橈骨頭をさらに備え得、その支承面の直径と下面の直径との比は、実質的に一定であり得る。
【0049】
人工肘関節は、異なるサイズの橈骨頭をさらに備え得、その支承面の直径と凹部の直径との比は、実質的に一定であり得る。
【0050】
人工肘関節はさらに、後外側湾曲を有するステムを備え得る。
【0051】
外側湾曲は、上方部分および下方部分と、それらの間に移行部を形成するエルボとを備え得る。
【0052】
上方部分の断面は、非円形であり得る。
【0053】
ステムは、支承面重心に対してずれた軸を規定し得る。
【0054】
橈骨頭およびステムは、使用時にステムが挿入されたときに、ステムが橈骨茎状突起から離れて肘のリスター結節の外側に向かって配向され得るように構成され得る。
【0055】
ステムは、橈骨茎状突起から20°超離れるように配向され得る。
【0056】
ステムは、橈骨茎状突起から約30°離れるように配向され得る。
【0057】
本発明の他の態様も開示される。
【0058】
本発明の範囲内に含まれ得る任意の他の形態があるとしても、単なる例として本開示の好適な実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】一実施形態に係る改良された橈骨頭の斜視図である。
図2】橈骨頭の内外方向立面図である。
図3】橈骨頭の下方平面図である。
図4】橈骨頭の上方平面図である。
図5】橈骨頭の前後方向立面図である。
図6】橈骨頭の内外方向断面図である。
図7】一実施形態に係る橈骨頭の内外方向断面図である。
図8】一実施形態に係るステムを備える人工肘関節の内外方向側面図である。
図9図6の人工肘関節の下面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
人工肘関節100の橈骨頭101は、橈骨の切除された橈骨頭に取って代わり、尺骨の橈骨切痕と接合する内側尺骨関節面106を備える。
【0061】
図に示されている内側およびその派生語は、尺骨に向かう側を示し、外側およびその派生語は、尺骨から離れる側を示す。さらに、後方、前方およびそれらの派生語は、水平面におけるそれぞれの直交軸を示す。
【0062】
橈骨頭101は、上腕骨小頭に対して関節接合する上方皿状支承面102を有する。
【0063】
支承面102には、凹部104が形成される。支承面102は、支承面重心103を規定し、これは、図4を参照すると、支承面102の最上リム107の重心として概ね規定され得る。さらに、凹部104は、図4を参照すると、凹部輪郭108の重心として規定され得る凹部重心105を形成する。
【0064】
図4に示されているように、凹部重心105は、支承面重心103に対して前方に位置する。
【0065】
支承面重心105は、支承面重心103から、支承面102を横切る距離の4分の1超だけ偏心して位置し得る。すなわち、支承面重心103と凹部重心105との間の長さと、凹部重心105とリムの最も近い点109との間の長さとの比は、25%超であり得る。
【0066】
好ましい実施形態では、凹部重心105は、支承面重心103から、支承面102を横切る距離の約3分の1に位置する。すなわち、支承面重心103と凹部重心105との間の長さと、凹部重心とリムの最も近い点109との間の長さとの比は、約33%であり得る。
【0067】
図2に最もわかりやすく示されているように、支承面102の外側は、隆起し得る。
【0068】
図4を参照すると、支承面102の断面は、非円形であり得、外側最外点110を有し得る。上記で示唆したように、支承面102は、その最上縁107の内側にあるものとして規定され得る。支承面102の最小/最大直径比は、95%超であり得る。さらに、支承面102の断面は、楕円形(すなわち、1つの軸のみに関して対称、または卵形)であり得る。
【0069】
図4に最もわかりやすく示されているように、支承面102は、前後方向と比較して内外方向により広く、最外点110は、支承面102の最大幅/内外方向の軸と一致し得る。
【0070】
図1に示されているように、凹部102は、支承面重心103において垂直に支承軸111を規定する。さらに、橈骨頭101は、回転軸112を規定し得る。回転軸112は、上腕骨小頭と関節接合するときに橈骨頭が回転する軸であり得る。図2に示されているように、回転軸112は、橈骨頭101の平坦な下面114によって規定される水平面113に対して垂直であり得る。平坦な下面114は、切除された橈骨の準備された平坦な表面に当接し得る。
【0071】
図1に示されているように、支承軸111は、回転軸112に対して傾斜してずらされ、支承軸111および回転軸112は、橈骨頭104に対して上方で一致する。支承軸111は、回転軸112に対して5~15°傾斜し得る。
【0072】
図2に示されているように、支承面リム107は、水平面113に対して傾斜した支承面平面115を規定し得る。支承面軸111は、支承面平面115に対して垂直であり得る。
【0073】
図2に示されているように、リム107は、支承面平面115と実質的に同一平面上にあり得る。
【0074】
図3を参照すると、下面114の断面は、略円形であり得る。さらに、下面114は、下面重心116を規定し得る。下面重心116は、支承面重心103に対して前方に位置し得る。
【0075】
図5に示されているように、橈骨頭101は、下面114から支承面102まで実質的に均一に湾曲する断面隆起プロファイルを有する前面117を規定し得る。後側118は、S字状屈曲張出部119を規定する断面隆起プロファイルを規定し得、S字状屈曲張出部119の上方では、後側118は、前面117と比較して湾曲が小さく、かつ外向きにより大きな広がりを有する形で移行する。
【0076】
図7は、一実施形態に係る内側尺骨関節面106の断面隆起プロファイルを示しており、張出部120を規定し、その上方で尺骨関節面106は支承面102に向かって実質的に均一かつ外向きに湾曲している。
【0077】
外側面121は、下部122、張出部123および上部124を画定する断面隆起プロファイルを規定し得る。下部122は、水平面113に対して実質的に直交し得、張出部123は、下部122と上部124との間の実質的に中間に位置し得る。下部122の半径方向範囲は、その下にある切除された橈骨と実質的に同一半径になるように設計されることで、環状靭帯と人間工学的に接合する。
【0078】
図4を参照すると、凹部輪郭108は、水平断面において前後方向に非対称であり得る。
【0079】
異なるサイズの橈骨頭101が提供され得、支承面102の最小/最大直径比が実質的に一定のままである。すなわち、図4を参照すると、支承面102の内外方向幅と前後方向幅との比は、実質的に一定のままであり得る。
【0080】
さらに、支承面102の直径と、凹部重心105と支承面重心103との間のずれとの比は、実質的に一定のままであり得る。
【0081】
さらに、支承面102の直径と下面104の直径との比は、実質的に一定のままであり得る。
【0082】
さらに、支承面102の直径と凹部104の直径との比は、実質的に一定のままであり得る。
【0083】
図8は、橈骨頭101と一体的に形成されるか、または橈骨頭101に取り付け可能なステム125を示す。ステム125は、周囲にある下面周囲を露出させて切除された橈骨の準備された表面に当接するように、下面114の直径よりも小さい直径を有し得る。ステム125は、研磨され、圧入(セメントレス)橈骨管挿入のために使用され得る。
【0084】
図8および図9に示されているように、ステム125は、後外側方向の解剖学的湾曲を有し得る。ステム125は、近位部127と、遠位部126と、それらの間のエルボ128移行部とを備え得る。近位部127は、近位橈骨管峡部に移行するのに十分な長さを有し得る。
【0085】
図9に示されているように、ステム125の遠位端126の断面は円形であり得るが、その近位端127の断面は楕円形などの非円形であり得る。
【0086】
さらに、ステム軸127は、支承面重心103に対してずらされ得る。
【0087】
前述の説明は、説明目的で、本発明を完全に理解することができるように特定の専門用語を使用している。しかしながら、本発明を実施するために特定の詳細が必要でないことは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の特定の実施形態の前述の説明は、例示および説明目的で提示されたものである。前述の説明は、網羅的であること、または本発明を開示されている正確な形態に限定することを意図するものではなく、上記の教示を考慮して多くの修正および変形が可能であることは明らかである。実施形態は、本発明の原理およびその実用的な応用を最も良く説明するために選択され、説明されたものであり、したがって、他の当業者は、本発明および企図される特定の使用に適した様々な修正を加えた様々な実施形態を最善の形で利用することができる。以下の請求項およびそれらの均等物が本発明の範囲を定義するものとする。
【0088】
本明細書で使用される「約」または同様の用語は、別段の指示がない限り、述べられた値の10%以内であると解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方皿状上腕骨小頭支承面と内側橈骨切痕支承尺骨関節面とを有する橈骨頭を備える人工肘関節であって、前記支承面は支承面重心を規定し、前記支承面には凹部重心を形成する凹部が形成され、前記凹部重心は前記支承面重心に対して前方に位置する、人工肘関節。
【請求項2】
前記支承面重心と前記凹部重心との間の長さと、前記凹部重心と前記凹部重心に最も近い前記支承面のリムにおける点との間の長さとの比は、25%超である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項3】
前記支承面の外側は隆起しており前記支承面の断面は非円形である、
請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項4】
前記支承面は、前記人工肘関節の内外方向軸と一致する外側最外点を有する、
請求項に記載の人工肘関節。
【請求項5】
前記支承面の最小/最大直径比は、95%超である、請求項に記載の人工肘関節。
【請求項6】
前記支承面の断面は楕円形であ前記橈骨頭の下面の断面は円形である、
請求項に記載の人工肘関節。
【請求項7】
前記凹部は、前記支承面重心において垂直に支承軸を規定し、前記人工肘関節は、回転軸を規定し、前記支承軸は、前記回転軸に対して傾斜している、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項8】
前記橈骨頭の下面は、前記支承面重心に対して前方に位置する下面重心を規定する、請求項に記載の人工肘関節。
【請求項9】
前記橈骨頭は、前記橈骨頭の下面から前記支承面まで実質的に均一に湾曲する、前面断面隆起プロファイルを規定
前記橈骨頭は、S字状屈曲張出部を規定する後面断面隆起プロファイルを規定し、S字状屈曲張出部の上方では、前記後側は、前記前面と比較して湾曲が小さく、かつ外向きにより大きな広がりを有する形で移行する、
請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項10】
前記尺骨関節面は、張出部を有する断面隆起プロファイルを規定
前記張出部は、前記下面と前記支承面との間の高さの3分の1より下に位置する、
請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項11】
前記橈骨頭は、下部、張出部および上部を有する側面断面プロファイルを規定
前記尺骨関節面は、張出部を有する断面隆起プロファイルを規定し、前記側面断面プロファイルの前記張出部は、前記尺骨関節面の前記張出部の上方に存在し、
前記下部は、前記橈骨頭の下面によって規定される水平面に対して実質的に直交し、
前記側面断面プロファイルの前記張出部は、前記下部と前記上部との間の実質的に中間に位置し、
前記下部の半径方向範囲は、使用時に設置されると、切除された橈骨と実質的に同一半径である、
請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項12】
前記凹部の水平断面は、前後方向に非対称である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項13】
異なるサイズの橈骨頭をさらに備え、前記支承面の最小/最大直径比は、実質的に一定である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項14】
異なるサイズの橈骨頭をさらに備え、前記支承面の直径と、凹部重心と支承面重心との間のずれとの比は、実質的に一定である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項15】
異なるサイズの橈骨頭をさらに備え、支承面の直径と前記橈骨頭の高さとの比は、実質的に一定である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項16】
異なるサイズの橈骨頭をさらに備え、支承面の直径と下面の直径との比は、実質的に一定である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項17】
異なるサイズの橈骨頭をさらに備え、支承面の直径と凹部の直径との比は、実質的に一定である、請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項18】
後外側湾曲を有するステムをさらに備え、
前記後外側湾曲は、上方部分および下方部分と、それらの間に移行部を形成するエルボとを備える、
請求項1に記載の人工肘関節。
【請求項19】
前記上方部分の断面は非円形であ
前記ステムは、前記支承面重心に対してずれた軸を規定する、
請求項18に記載の人工肘関節。
【請求項20】
前記橈骨頭および前記ステムは、使用時に前記ステムが挿入されたときに、前記ステムが前記橈骨茎状突起から離れて前記肘のリスター結節の外側に向かって配向されるように構成される、請求項18に記載の人工肘関節。
【国際調査報告】