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▶ ピュア・ルミネセンス・テクノロジーズ・オサケイフティオの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(54)【発明の名称】画像検出器
(51)【国際特許分類】
   G21K 4/00 20060101AFI20230330BHJP
   G01T 1/10 20060101ALI20230330BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20230330BHJP
   G01T 1/11 20060101ALN20230330BHJP
【FI】
G21K4/00 K
G01T1/10
G01T1/20 B
G21K4/00 L
G21K4/00 M
G01T1/11 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546689
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(85)【翻訳文提出日】2022-08-16
(86)【国際出願番号】 FI2020050742
(87)【国際公開番号】W WO2021152203
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】20205093
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PHOTOSHOP
(71)【出願人】
【識別番号】522304383
【氏名又は名称】ピュア・ルミネセンス・テクノロジーズ・オサケイフティオ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミカ・ラストゥサーリ
(72)【発明者】
【氏名】イザベラ・ノルボ
(72)【発明者】
【氏名】サミ・ヴォリ
(72)【発明者】
【氏名】ハンナ・バイロン
【テーマコード(参考)】
2G083
2G188
【Fターム(参考)】
2G083AA03
2G083AA09
2G083DD02
2G083DD12
2G188AA02
2G188AA25
2G188BB02
2G188BB04
2G188BB05
2G188BB06
2G188BB09
2G188CC09
2G188CC21
2G188KK01
2G188KK02
(57)【要約】
放射線ベースの画像化技術のための画像検出器が開示されている。画像検出器は基材上に検出器材料を含むことができる。検出器材料は、以下の式(I)で表される光学活性材料であってよい。
(M’)(M’’M’’’)24(X,X’):M’’’’ 式(I)
画像検出器の使用及び式(I)で表される光学活性材料の使用が更に開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線ベースの画像化技術のための画像検出器であって、前記画像検出器が基材上に検出器材料を含み、前記検出器材料が以下の式(I)で表される光学活性材料であり、
(M’)(M’’M’’’)24(X,X’):M’’’’ 式(I)
式中、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択されるアルカリ金属、若しくはIUPAC元素周期表の第2族から選択されるアルカリ土類金属の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表し、
M’’は、IUPAC元素周期表の第13族から選択される元素、若しくはIUPAC元素周期表の第3族~第12族のいずれかから選択される遷移元素の三価の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表し、
M’’’は、IUPAC元素周期表の第14族から選択される元素、若しくはIUPAC元素周期表の第13族及び第15族のいずれかから選択される元素、若しくはZnの単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表し、
Xは、IUPAC元素周期表の第17族から選択される元素のアニオン、若しくはこのようなアニオンの任意の組合せを表し、又はXは存在せず、
X’は、IUPAC元素周期表の第16族から選択される1つ若しくは複数の元素のアニオン、又はこのようなアニオンの任意の組合せを表し、或いはX’は存在せず、
M’’’’は、IUPAC元素周期表の希土類金属から、若しくはIUPAC元素周期表の遷移金属から選択される元素、又はBa、Sr、Tl、Pb、若しくはBiのドーパントカチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表し、或いはM’’’’は存在せず、
ただし、X及びX’のうちの少なくとも1つは存在するものとする、放射線ベースの画像化技術のための画像検出器。
【請求項2】
M’が、IUPAC元素周期表の第1族から選択されるアルカリ金属の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表すが、ただし、M’がNaのみの単原子カチオンを表すわけではない、請求項1に記載の画像検出器。
【請求項3】
M’が、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属の少なくとも2つの単原子カチオンの組合せを表す、請求項1に記載の画像検出器。
【請求項4】
M’が、Li、Na、K、Rb、Cs、及びFrからなる群から選択される異なるアルカリ金属の少なくとも2つの単原子カチオンの組合せを表す、請求項1に記載の画像検出器。
【請求項5】
M’が、Li、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Raからなる群から選択される金属の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表す、請求項1に記載の画像検出器。
【請求項6】
M’が、異なる金属の少なくとも2つの単原子カチオンの組合せを表し、少なくとも1つの金属が、IUPAC元素周期表の第1族から選択され、少なくとも1つの金属が、IUPAC元素周期表の第2族から選択される、請求項1に記載の画像検出器。
【請求項7】
M’’が、Al及びGaからなる群から選択される金属の三価の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの組合せを表す、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像検出器。
【請求項8】
M’’が、Bの三価の単原子カチオンを表す、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像検出器。
【請求項9】
M’’’が、Si及びGeからなる群から選択される元素の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの組合せを表す、請求項1から8のいずれか一項に記載の画像検出器。
【請求項10】
M’’’が、Al、Ga、N、P、及びAsからなる群から選択される元素の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表す、請求項1から8のいずれか一項に記載の画像検出器。
【請求項11】
Xが、F、Cl、Br、I、及びAtからなる群から選択される元素のアニオン、又はこのようなアニオンの任意の組合せを表す、請求項1から10のいずれか一項に記載の画像検出器。
【請求項12】
X’が、O、S、Se、及びTeからなる群から選択される1つ又は複数の元素の単原子若しくは多原子アニオン、又はこのようなアニオンの任意の組合せを表す、請求項1から11のいずれか一項に記載の画像検出器。
【請求項13】
M’’’’が、Yb、Er、Tb、及びEuからなる群から選択される元素のカチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表す、請求項1から12のいずれか一項に記載の画像検出器。
【請求項14】
M’’’’が、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、W、及びZnからなる群から選択される元素のカチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表す、請求項1から12のいずれか一項に記載の画像検出器。
【請求項15】
前記放射線ベースの画像化技術が、X線ベースの画像化技術、UV線ベースの画像化技術、又はガンマ線ベースの画像化技術である、請求項1から14のいずれか一項に記載の画像検出器。
【請求項16】
前記X線ベースの画像化技術が、X線画像化、コンピューテッドラジオグラフィー(CR)、デジタルラジオグラフィー(DR)、又はコンピューター断層撮影法(CT)である、請求項15に記載の画像検出器。
【請求項17】
ポイントオブケア分析のための、請求項1から16のいずれか一項に記載の画像検出器の使用。
【請求項18】
放射線ベースの画像化技術のための画像検出器における検出器材料としての、請求項1から16のいずれか一項に規定の式(I)で表される光学活性材料の使用。
【請求項19】
放射線ベースの画像化技術が、X線ベースの画像化技術、UV線ベースの画像化技術、又はガンマ線ベースの画像化技術である、請求項16に記載の使用。
【請求項20】
前記X線ベースの画像化技術が、X線画像化、コンピューテッドラジオグラフィー(CR)、デジタルラジオグラフィー(DR)、又はコンピューター断層撮影法(CT)である、請求項19に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射線ベースの画像化技術のための画像検出器に関する。本開示は、画像検出器の使用及び光学活性材料の使用に更に関する。
【背景技術】
【0002】
医学画像は、臨床的分析及び医学的介入のための身体内部の可視表現、並びに一部の器官又は組織の機能(生理機能)の可視表現を作り出す技術及び方法である。医学画像は、皮膚及び骨で隠れた内部構造を曝露する、並びに疾患を診断及び治療することを目指している。医学画像はまた正常な解剖学的構造及び生理機能のデータベースを確立して、異常を特定することを可能にする。現在Ba(F,Cl,Br,I):Eu又はCsI:Tl等の材料を含む異なる画像化プレート及びシステムが医学画像において使用されている。発明者らは、様々な画像化用途、例えば、医学画像ばかりでなく、工業界で実施される画像化にも使用されるような、検出器材料として無毒性材料を含む画像検出器を構築する必要があることを認識している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
放射線ベースの画像化技術のための画像検出器が開示されている。画像検出器は基材上に検出器材料を含むことができる。検出器材料は、以下の式(I)で表される光学活性材料であってよい。
(M’)(M’’M’’’)24(X,X’):M’’’’
式中、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択されるアルカリ金属、若しくはIUPAC元素周期表の第2族から選択されるアルカリ土類金属の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表し、
M’’は、IUPAC元素周期表の第13族から選択される元素、若しくはIUPAC元素周期表の第3族~第12族のいずれかから選択される遷移元素の三価の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表し、
M’’’は、IUPAC元素周期表の第14族から選択される元素、若しくはIUPAC元素周期表の第13族及び第15族のいずれかから選択される元素、若しくはZnの単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表し、
Xは、IUPAC元素周期表の第17族から選択される元素のアニオン、若しくはこのようなアニオンの任意の組合せを表し、又はXは存在せず、
X’は、IUPAC元素周期表の第16族から選択される1つ若しくは複数の元素のアニオン、又はこのようなアニオンの任意の組合せを表し、或いはX’は存在せず、
M’’’’は、IUPAC元素周期表の希土類金属から、若しくはIUPAC元素周期表の遷移金属から選択される元素、又はBa、Sr、Tl、Pb、若しくはBiのドーパントカチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表し、或いはM’’’’は存在せず、
ただし、X及びX’のうちの少なくとも1つは存在するものとする。
【0004】
ポイントオブケア分析のための本明細書に開示されている画像検出器の使用が更に開示される。本明細書で開示されている式(I)で表される光学活性材料の、放射線ベースの画像化技術における検出器材料としての使用が更に開示される。
【0005】
実施形態のさらなる理解をもたらすために含まれ、本明細書の一部を構成する添付の図は、実施形態を例示し、明細書と共に上記の原理を説明することを補助する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施例2の試験結果を示す図である。
図2】実施例2の試験結果示す図である。
図3】実施例4で生成された画像を示す図である。
図4a】実施例5の画像を示す図である。
図4b】実施例5の画像を示す図である。
図4c】実施例5の画像を示す図である。
図4d】実施例5の画像を示す図である。
図4e】実施例5の画像を示す図である。
図4f】実施例5の画像を示す図である。
図4g】実施例5の画像を示す図である。
図4h】実施例5の画像を示す図である。
図4i】実施例5の画像を示す図である。
図4j】実施例5の画像を示す図である。
図4k】実施例5の画像を示す図である。
図4l】実施例5の画像を示す図である。
図4m】実施例5の画像を示す図である。
図4n】実施例5の画像を示す図である。
図4o】実施例5の画像を示す図である。
図4p】実施例5の画像を示す図である。
図4q】実施例5の画像を示す図である。
図4r】実施例5の画像を示す図である。
図4s】実施例5の画像を示す図である。
図4t】実施例5の画像を示す図である。
図4u】実施例5の画像を示す図である。
図4v】実施例5の画像を示す図である。
図4w】実施例5の画像を示す図である。
図4x】実施例5の画像を示す図である。
図4y】実施例5の画像を示す図である。
図4z】実施例5の画像を示す図である。
図5a】実施例6の画像を示す図である。
図5b】実施例6の画像を示す図である。
図5c】実施例6の画像を示す図である。
図5d】実施例6の画像を示す図である。
図5e】実施例6の画像を示す図である。
図5f】実施例6の画像を示す図である。
図5g】実施例6の画像を示す図である。
図5h】実施例6の画像を示す図である。
図5i】実施例6の画像を示す図である。
図5j】実施例6の画像を示す図である。
図5k】実施例6の画像を示す図である。
図5l】実施例6の画像を示す図である。
図5m】実施例6の画像を示す図である。
図5n】実施例6の画像を示す図である。
図5o】実施例6の画像を示す図である。
図5p】実施例6の画像を示す図である。
図5q】実施例6の画像を示す図である。
図6a】実施例7の画像を示す図である。
図6b】実施例7の画像を示す図である。
図6c】実施例7の画像を示す図である。
図6d】実施例7の画像を示す図である。
図6e】実施例7の画像を示す図である。
図6f】実施例7の画像を示す図である。
図7】画像検出器の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、放射線ベースの画像化技術のための画像検出器に関する。画像検出器は基材上に検出器材料を含むことができる。検出器材料は、以下の式(I)で表される光学活性材料であってよい。
(M’)(M’’M’’’)24(X,X’):M’’’’
式中、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択されるアルカリ金属、若しくはIUPAC元素周期表の第2族から選択されるアルカリ土類金属の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表し、
M’’は、IUPAC元素周期表の第13族から選択される元素、若しくはIUPAC元素周期表の第3族~第12族のいずれかから選択される遷移元素の三価の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表し、
M’’’は、IUPAC元素周期表の第14族から選択される元素、若しくはIUPAC元素周期表の第13族及び第15族のいずれかから選択される元素、若しくはZnの単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表し、
Xは、IUPAC元素周期表の第17族から選択される元素のアニオン、若しくはこのようなアニオンの任意の組合せを表し、又はXは存在せず、
X’は、IUPAC元素周期表の第16族から選択される1つ若しくは複数の元素のアニオン、又はこのようなアニオンの任意の組合せを表し、或いはX’は存在せず、
M’’’’は、IUPAC元素周期表の希土類金属から、若しくはIUPAC元素周期表の遷移金属から選択される元素、又はBa、Sr、Tl、Pb、若しくはBiのドーパントカチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表し、或いはM’’’’は存在せず、
ただし、X及びX’のうちの少なくとも1つは存在するものとする。
【0008】
更に本開示は、ポイントオブケア分析のための、本明細書に開示されている画像検出器の使用に関する。更に本開示は、本明細書で開示されている式(I)で表される光学活性材料の、放射線ベースの画像化技術のための画像検出器における検出器材料としての使用に関する。
【0009】
一実施形態では、画像検出器は再利用可能な画像検出器である。画像検出器には、同じ画像検出器を1回又は数回再利用することができるという有用性が加わっている。
【0010】
画像検出器は、画像検出器の光学活性材料の中に、それが受けた放射線からのエネルギーを集めることが可能な任意の適切な画像検出器である。画像検出器は、画像化プレート、画像化センサー、又は画像化セルであってよい。
【0011】
一実施形態では、放射線ベースの画像化技術に使用されている放射線は既定の種類の粒子放射線である。一実施形態では、粒子放射線は、アルファ線、ベータ線、中性子線、又はこれらの任意の組合せである。
【0012】
一実施形態では、放射線ベースの画像化技術に使用されている放射線は、0nm超~590nm、又は0nm超~560nm、又は0nm超~500nm、又は0nm超~400nm、又は0nm超~300nm、又は0.000001~590nm、又は0.000001~560nm、又は0.000001~500nm、又は10~590nm、又は10~560nm、又は10~500nm、又は0.000001~400nm、又は0.000001~300nm、又は0.000001~10nm、又は10~400nm、又は10~300nm、又は0.01~10nmの波長を有する電磁放射線である。
【0013】
一実施形態では、放射線ベースの画像化技術に使用されている放射線は、紫外線、X線、ガンマ線、又はこれらの任意の組合せである。一実施形態では、放射線ベースの画像化技術に使用されている放射線は紫外線である。一実施形態では、放射線ベースの画像化技術に使用されている放射線はX線である。一実施形態では、放射線ベースの画像化技術に使用されている放射線はガンマ線である。
【0014】
一実施形態では、放射線ベースの画像化技術はX線ベースの画像化技術、UV線ベースの画像化技術、又はガンマ線ベースの画像化技術である。
【0015】
紫外線光は、10nm(30PHz)~400nm(750THz)の波長の電磁放射線である。紫外線(UVR)の電磁スペクトルは、ISO規格ISO-21348により推奨されているいくつかの範囲へと分割することができ、これは紫外線A(UVA)、紫外線B(UVB)、紫外線C(UVC)を含む。UVAの波長は一般的に315~400nmと考えられ、UVBの波長は一般的に280~320と考えられ、UVCの波長は一般的に100~290nmと考えられている。
【0016】
ガンマ線は0.000001nm~0.01nmの波長の電磁放射線である。
【0017】
一実施形態では、X線ベースの画像化技術はX線画像化、コンピューテッドラジオグラフィー(CR)、デジタルラジオグラフィー(DR)、又はコンピューター断層撮影法(CT)である。
【0018】
X線は0.01nm~10nmの波長を有する電磁放射線である。X線は、例えば、身体又は組織内の構造に異なって浸透し、これらの構造の画像を画像検出器に作り出す電磁放射線である。よって、X線ベースの画像化は、例えば、身体の内側の像を作り出すことができる。画像は、黒色及び白色の異なる色合いで身体の部分を示すことができる。これは、異なる組織は異なる量の放射線を吸収するからである。よって、X線で画像化する場合、いわゆるX線チューブで生成されたX線ビームが身体を通過する。身体を介して進むうちに、X線ビームのエネルギーの一部は吸収される。このプロセスはX線ビームの減衰と記載される。身体の反対側では、画像検出器が吸収されなかったX線を記録し、臨床的画像を生成する。従来の放射線撮影、すなわちX線画像化では、1つの2D画像が生成される。コンピューター断層撮影法(CT)では、検査の間、チューブ及び画像検出器が両方とも身体の周りを回転することで、複数の画像が取得でき、3D視覚化をもたらす。
【0019】
コンピューテッドラジオグラフィーでは、画像検出器がX線に曝露されると、進入する放射線のエネルギーは光学活性材料内に貯蔵又は保持される。次いでスキャナーを使用して、それをレーザービームで刺激することによって、画像検出器からの潜像を読み取ることができる。刺激されると、プレートは、曝露の間に受け取った放射線の量と比例した強度で光を発光する。次いで、光は、光電子増倍管(PMT)として公知の高感度アナログデバイスで検出し、アナログデジタル変換器(ADC)を使用してデジタル信号に変換することができる。次いで、生成したデジタルX線画像をコンピュータモニターで見て、評価することができる。
【0020】
デジタルラジオグラフィーは、患者の検査中データを直接記録し、コンピューテッドラジオグラフィー(CR)の場合のように中間カセットを使用せずにそれを直ちにコンピュータシステムに移送する、X線感受性の画像検出器を使用する。画像検出器内の光学活性材料がその上に曝露されたX線を可視光に変換し、次いでこの可視光がデジタルデータに変換され得る。
【0021】
上記画像化システム又は方法は、X線が、光学活性材料を検出器材料として含む画像検出器に曝露されるという概念に基づく。
【0022】
発明者らは驚くことに、本明細書に記載されている式(I)で表される光学活性材料を、画像化用途における検出器材料として使用することができることを見出した。本明細書において開示されている光学活性材料は、その上に曝露された放射線、例えば、X線を保持することができるという有用性が加わっている。
【0023】
光学活性材料は、放射線への曝露下で色を変えることができるという有用性が加わっている。色の強度は、検出器材料に到達する放射線、例えば、X線又は紫外線の量に依存する。検出器材料の色の変化はフォトクロミズムに基づくことができる。X線は、検出器材料に色中心を誘発することができる。材料にぶつかるX線が多いほど、より多くの色中心が形成され、よってより濃い色が得られる。一実施形態では、光学活性材料はフォトクロミック材料である。
【0024】
一実施形態では、検出器材料は、その上に曝露された放射線、例えばX線を既定の期間の間保持するように設計されている。一実施形態では、検出器材料は、加熱処理及び/又は光刺激に供された場合、保持された放射線、例えばX線を可視光として放出するように設計されている。
【0025】
光学活性材料を検出器材料として有する画像検出器は、使用時、放射線、例えばX線に、既定の期間の間、例えば、0.01秒~10分間、又は0.1秒~5分間、又は5秒~1分間に曝露することができる。光学活性材料を放射線に曝露することが可能な時間は、光学活性材料が使用される用途に依存し、よって光学活性材料が曝露されることになる放射線の量に依存し得る。
【0026】
照射された放射線、例えばX線は、画像検出器の光学活性材料内に既定の期間の間保持することができる。次いで光学活性材料は、例えば、加熱及び/又は光刺激に供することにより、保持された放射線を光学活性材料から放出することができる。一実施形態では、既定の期間は、少なくとも1分間、又は少なくとも2分間、又は少なくとも5分間、又は少なくとも10分間、又は少なくとも15分間、又は少なくとも0.5時間、又は少なくとも1時間、又は少なくとも2時間、又は少なくとも5時間、又は少なくとも6時間、又は少なくとも8時間、又は少なくとも12時間、又は少なくとも18時間、又は少なくとも24時間、又は少なくとも1週間、又は少なくとも1カ月である。一実施形態では、既定の期間は最大でも3カ月、又は最大でも1カ月、又は最大でも1週間、又は最大でも24時間である。一実施形態では、既定の期間は1分間~3カ月、又は10分間~1カ月、又は0.5時間~1週間である。一実施形態では、前記既定の期間は0.5時間~3カ月である。
【0027】
本明細書に記載されている光学活性材料は、放射線エネルギーを保持する能力を有する、すなわち光学活性材料はそれが受けた放射線をその中にトラップすることができる。保持された放射線は、その後既定の時間点において光学活性材料から放出され得る。光学活性材料は、その温度を変化させた結果、例えば、その温度を増加若しくは低減させた結果として、及び/又は光刺激の結果として可視光を発光することができる。
【0028】
光学活性材料の光刺激は、光学活性材料を、310~1400nmの波長を有する電磁放射線に供することを含んでもよい。一実施形態では、光学活性材料の光刺激は、光学活性材料を、可視光、紫外線及び/又は近赤外線に供することを含む。光学活性材料の光刺激は、レーザー、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、アクティブマトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)、白熱ランプ、ハロゲンランプ、任意の他の光刺激ルミネセンス光源、又はこれらの任意の組合せを使用して行うことができる。
【0029】
本明細書に記載されている光学活性材料は、放射線、例えばX線に供された結果、それが受けた放射線の線量に比例した色彩強度を示すという有用性が加わっている。
【0030】
一実施形態では、画像検出器は診断法に使用されている。本明細書に記載されている光学活性材料を含む画像検出器は検出器材料として、ヒト若しくは動物の身体から得た試料を診断すること、又はヒト若しくは動物の身体を直接診断することに使用することができる。一実施形態では、試料は、体液、歯、骨、及び組織からなる群から選択される。一実施形態では、試料は血液、皮膚、組織及び/又は細胞を含む。本明細書に記載されている光学活性材料を含む画像検出器は、in vivo画像化又はin vivo診断法に使用することができる。一実施形態では、画像化は医学画像である。本明細書に記載されている画像プレートは検出技術に使用することができる。
【0031】
一実施形態では、本明細書に記載されている画像検出器は、ポイントオブケア試験に使用されている。ポイントオブケア試験(POCT)は、ベッドサイド試験とも呼ばれ、ポイントオブケア、すなわち患者のケアの時間及び場所での、又はその付近での医学的診断用試験と定義することができる。これは、試験が完全に又はその大半が臨床検査室に限定されるという状況とは逆である。臨床検査室での試験はポイントオブケアから検体を遠くに送付し、次いで結果がわかるまで、例えば、何時間又は何日間も待機しなければならない。
【0032】
一実施形態では、本明細書に記載されている画像検出器は、工業界で行われている画像化に使用される。本明細書に記載されている画像検出器は、非破壊性試験に使用することができる。本明細書に記載されている画像検出器は、例えば、溶接を画像化するために使用することができる。
【0033】
一実施形態では、光学活性材料は合成材料である。一実施形態では、光学活性材料は合成により調製される。
【0034】
本明細書において、特に述べられていない限り、表現「単原子イオン」という表現は、単一の原子からなるイオンと理解されるべきである。イオンが1つより多くの原子を含有する場合、これらの原子がたとえ同じ元素のものであっても、これは多原子イオンと理解されるものとする。よって、本明細書では、特に述べられていない限り、「単原子カチオン」という表現は、単一の原子からなるカチオンと理解されるべきである。
【0035】
ハックマナイトは、様々なソーダライト材料であり、化学式NaAlSi24(Cl,S)を有する天然鉱物である。合成ハックマナイトベースの材料を調製することができる。
【0036】
式(I)で表される光学活性材料は、X線に曝露された結果として、白色光を発光するという有用性が加わっている。「発光性」という表現は、本明細書では、特に述べられていない限り、加熱なしで、光を発光することができる材料の特性を指すことができる。
【0037】
一実施形態では、M’は、Na、Li、K、Rb、Cs、及びFrからなる群から選択されるアルカリ金属の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表す。一実施形態では、M’は、Li、K、Rb、Cs、及びFrからなる群から選択されるアルカリ金属の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表す。
【0038】
一実施形態では、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択されるアルカリ金属、若しくはIUPAC元素周期表の第2族から選択されるアルカリ土類金属の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表すが、ただし、M’はNaのみの単原子カチオンを表すわけではない。一実施形態では、M’はNaのみの単原子カチオンを表すわけではない。
【0039】
一実施形態では、M’は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、又はこのようなカチオンの任意の組合せからなる群から選択されるアルカリ土類金属の単原子カチオンを表す。一実施形態では、M’はCaの単原子カチオンを表す。
【0040】
一実施形態では、M’は、Li、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Raからなる群から選択される金属の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表す。
【0041】
一実施形態では、M’は、異なる金属の少なくとも2つの単原子カチオンの組合せを表し、少なくとも1つの金属がIUPAC元素周期表の第1族から選択され、少なくとも1つの金属がIUPAC元素周期表の第2族から選択される。
【0042】
一実施形態では、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属の少なくとも2つの単原子カチオンの組合せを表す。一実施形態では、M’は、IUPAC元素周期表の第2族から選択される異なるアルカリ土類金属の少なくとも2つの単原子カチオンの組合せを表す。
【0043】
一実施形態では、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属及び/又はIUPAC元素周期表の第2族から選択されるアルカリ土類金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組合せを表し、組合せは、最大でも98モル%、最大でも95モル%、最大でも90モル%、最大でも85モル%、最大でも80モル%、最大でも70モル%、最大でも60モル%、最大でも50モル%、最大でも40モル%のNaの単原子カチオン、又は最大でも30モル%のNaの単原子カチオン、又は最大でも20モル%のNaの単原子カチオンを含む。
【0044】
一実施形態では、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属及び/又はIUPAC元素周期表の第2族から選択されるアルカリ土類金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組合せを表し、組合せは、0~98モル%、又は0~95モル%、又は0~90モル%、又は0~85モル%、又は0~80モル%、又は0~70モル%、のNaの単原子カチオンを含む。
【0045】
一実施形態では、M’はLiの単原子カチオンを表す。一実施形態では、M’はKの単原子カチオンを表す。一実施形態では、M’はRbの単原子カチオンを表す。一実施形態では、M’はCsの単原子カチオンを表す。一実施形態では、M’はFrの単原子カチオンを表す。一実施形態では、M’はCaの単原子カチオンを表す。
【0046】
一実施形態では、M’’は、Al及びGaからなる群から選択される金属の三価の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの組合せを表す。
【0047】
一実施形態では、M’’はBの三価の単原子カチオンを表す。
【0048】
一実施形態では、M’’は、IUPAC元素周期表の第4周期のいずれかから選択される遷移元素の三価の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表す。
【0049】
一実施形態では、M’’は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、及びZnからなる群から選択される元素の三価の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表す。
【0050】
一実施形態では、M’’’は、Si、Ge、Al、Ga、N、P、及びAsからなる群から選択される元素の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表す。
【0051】
一実施形態では、M’’’は、Si及びGeからなる群から選択される元素の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの組合せを表す。
【0052】
一実施形態では、M’’’は、Al、Ga、N、P、及びAsからなる群から選択される元素の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表す。
【0053】
一実施形態では、M’’’は、Al及びGaからなる群から選択される元素の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの組合せを表す。
【0054】
一実施形態では、M’’’は、N、P、及びAsからなる群から選択される元素の単原子カチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表す。
【0055】
一実施形態では、M’’’はZnの単原子カチオンを表す。
【0056】
一実施形態では、Xは、F、Cl、Br、I、及びAtからなる群から選択される元素のアニオン、又はこのようなアニオンの任意の組合せを表す。一実施形態では、Xは、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択される元素のアニオン、又はこのようなアニオンの任意の組合せを表す。一実施形態では、Xは存在しない。
【0057】
一実施形態では、X’は、O、S、Se、及びTeからなる群から選択される元素のアニオン、又はこのようなアニオンの任意の組合せを表す。一実施形態では、X’は、O、S、Se、及びTeからなる群から選択される1つ若しくは複数の元素のアニオン、又はこのようなアニオンの任意の組合せを表す。一実施形態では、X’は、O、S、Se、及びTeからなる群から選択される1つ若しくは複数の元素の単原子若しくは多原子アニオン、又はこのようなアニオンの任意の組合せを表す。一実施形態では、X’はSのアニオンを表す。一実施形態では、X’は(SO4)2-である。一実施形態ではX’は存在しない。
【0058】
X及びX’のうちの少なくとも1つは存在するという条件は、本明細書において、特に述べられていない限り、X又はX’のいずれかが存在する、又はXもX’も存在すると理解されたい。
【0059】
一実施形態では、光学活性材料は少なくとも1つの遷移金属イオンをドープしている。一実施形態では、光学活性材料は、式(I)(式中、M’’’’は、IUPAC元素周期表の遷移金属から選択される元素、又はBa、Sr、Tl、Pb、若しくはBiのカチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表す)で表される。一実施形態では、M’’’’は、IUPAC元素周期表のfブロックの遷移金属から選択される元素のカチオンを表す。一実施形態では、M’’’’は、IUPAC元素周期表のdブロックの遷移金属から選択される元素のカチオンを表す。一実施形態では、M’’’’は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、W、及びZnからなる群から選択される元素のカチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表す。一実施形態では、M’’’’はTiのカチオンを表す。一実施形態では、M’’’’は、IUPAC元素周期表の希土類金属から選択される元素のドーパントカチオンを表す。一実施形態では、M’’’’は、Yb、Er、Tb、及びEuからなる群から選択される元素のカチオン、又はこのようなカチオンの任意の組合せを表す。一実施形態では、M’’’’は、2つ以上のドーパントカチオンの組合せを表す。
【0060】
一実施形態では、光学活性材料は、M’’’’が存在しない式(I)で表される。本実施形態では、光学活性材料はドープされていない。
【0061】
一実施形態では、光学活性材料はM’’’’を、光学活性材料の総量に対して、0.001~10モル%、又は0.001~5モル%、又は0.1~5モル%の量で含む式(I)で表される。
【0062】
一実施形態では、光学活性材料は、
(LiNa1-x-y-zRb(Al,Ga)Si24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRb(Al,Cr)Si24(Cl,S):Ti
(LiNa1-x-y-zRb(Al,Mn)Si24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRb(Al,Fe)Si24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRb(Al,Co)Si24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRb(Al,Ni)Si24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRb(Al,Cu)Si24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRb(Al,B)Si24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbMnSi24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbCrSi24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbFeSi24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbCoSi24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbNiSi24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbCuSi24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbSi24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbGaSi24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbAl(Si,Zn)24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbAl(Si,Ge)24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbAlZn24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbAlGe24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbAl(Ga,Si,N)24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbAl(Ga,Si,As)24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbAl(Ga,N)24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbAl(Ga,As)24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRb(Al,Ga)Ge24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRb(Al,Cr)Ge24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRb(Al,Mn)Ge24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRb(Al,Fe)Ge24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRb(Al,Co)Ge24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRb(Al,Ni)Ge24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRb(Al,Cu)Ge24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRb(Al,B)Ge24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbMnGe24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbCrGe24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbFeGe24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbCoGe24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbNiGe24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbCuGe24(Cl,S):Ti、
(LiNa1-x-y-zRbGe24(Cl,S):Ti、及び
(LiNa1-x-y-zRbGaGe24(Cl,S):Ti
からなる群から選択され、
式中、x+y+z≦1であり、
x≧0、y≧0、z≧0である。
【0063】
光学活性材料はNorrboら(Norrbo,I.;Gluchowski,P.;Paturi,P.;Sinkkonen,J.;Lastusaari,M.、Persistent Luminescence of Tenebrescent NaAlSi24(Cl,S):Multifunctional Optical Markers.Inorg.Chem.、2015年、54巻、7717~7724頁)、による反応により合成することができ、この参考文献はArmstrong&Weller(Armstrong、J.A.;Weller、J.A.Structural Observation of Photochromism.Chem.Commun.、2006年、1094~1096頁)に基づく。例として、化学量論的量のゼオライトA及びNaSO並びにLiCl、NaCl、KCl及び/又はRbClを出発原料として使用することができる。少なくとも1つのドーパントを、酸化物として、例えば、TiO、塩化物、硫化物、臭化物、又はニトレートを加えることができる。材料は以下の通り調製することができる:ゼオライトAは最初に500℃で1時間乾燥することができる。次いでこの初期の混合物を、850℃で、大気中、例えば、2時間、5時間、12時間、24時間、36時間、48時間又は72時間加熱することができる。次いで、生成物は自由に室温まで冷却し、粉砕してもよい。最後に、生成物は、850℃で2時間、流動する12%H+88%Nの雰囲気下で再加熱してもよい。必要であれば、調製されたままの材料は水で洗浄して、あらゆる過剰のLiCl/NaCl/KCl/RbCl不純物を除去してもよい。純度は粉末X線回折測定で検証することができる。
【0064】
画像検出器は、本明細書に記載されている光学活性材料を使用することにより、任意の公知の技術に従い生成され得る。テープキャスティングは、ナイフコーティング又はドクターブレード法としても公知であり、画像検出器を生成するために使用することができる。テープキャスティングは、薄いシートのセラミック又は金属粒子の懸濁流体が基材上にキャストされる方法である。流体は、揮発性非水性溶媒、分散剤、結合剤及び乾物、すなわち光学活性材料を含有し得る。この方法は懸濁液を調製し、これを基材表面上に塗布することを含み得る。結合剤は乾物粒子の周辺でポリマーネットワークを作り出すことができ、一方で可塑剤は結合剤のための軟化剤として機能することができる。これらの物質を組み合わせた場合、テープはクラッキングに対して抵抗性を示すようになり得るので、曲がった場合剥離する。分散剤を使用して、粒子を非凝集化させ、懸濁液を均質化することができる。光学活性材料を含む画像検出器は、例えば、Abhinayら、Tape casting and electrical characterization of 0.5Ba(Zr0.2Ti0.8)O-0.5(Ba0.7Ca0.3)TiO (BZT-0.5BCT) piezoelectric substrate;Journal of the European Ceramic Society、36巻、(2016年)3125~3137頁に付与された記載に従い調製してもよい。
【0065】
画像検出器の基材は、ガラス又はポリマーを含む又はこれらからなってもよい。基材は、ガラス層又はポリマー層を含む又はこれらからなってもよい。基材はさらなる層を含んでもよい。基材は、望まれる又は必要とされる場合、付加層、例えば、印刷用紙、及び/又は基層、例えば、厚紙層、又は任意の他の層を含んでもよい。画像検出器はさらなる層及び/又は成分を含んでもよい。
【0066】
本明細書に開示された画像検出器は、画像化目的のための検出器材料として、本明細書に記載されている式(I)で表される光学活性材料の使用を可能にするという有用性が加わっている。本明細書に開示された画像検出器は、現在使用されている材料、例えば、Ba(F,Cl,Br,I):Eu及びCsI:Tiと比較して、無毒性及び非高価な光学活性材料を利用するという有用性が加わっている。本明細書に開示された画像検出器は、再利用可能であり、リサイクル可能であるという有用性が加わっている。更に、本明細書に開示された画像検出器は、複雑な分析システムを必要とすることなく、ポイントオブケア分析のために使用することができる。
【0067】
上に記載されているメリット及び利点は一実施形態に関係していてもよいし、又はいくつかの実施形態に関係していてもよいと理解されたい。実施形態は、述べられている問題のいずれか若しくはすべてを解決するもの、又は述べられているメリット及び利点のいずれか若しくはすべてを有するものに限定されない。
【0068】
本明細書のこれより上に記載されている本発明の実施形態は、互いの任意の組合せで使用することができる。実施形態のいくつかは、一緒に組み合わせて、本発明のさらなる実施形態を形成することができる。本明細書が関連している、画像検出器、又は使用は、本明細書のこれより上に記載されている実施形態の少なくとも1つを含み得る。
【実施例
【0069】
添付の図において例示されている様々な実施形態、実施例についてここで詳細に言及する。
【0070】
以下の記載は、当業者が本開示に基づき実施形態を利用することができるよう、一部の実施形態を詳細に開示する。工程又は特徴の多くは本明細書に基つき当業者には明らかなため、実施形態のすべての工程又は特徴が詳細に論じられているわけではない。
【0071】
含まれている図7は、画像検出器の実施形態の例を開示している。図7は基材3上に検出器材料2を含む画像検出器1を開示している。検出器材料は、本明細書に記載されている、式(I)で表される光学活性材料である。図7の実施形態では、基材3は、キャスティング層3a、付加層3b、及び基層3cを含む。キャスティング層3aは、ポリマー、例えば、ポリエステルで形成されてもよく、付加層3bは印刷用紙で形成されてもよく、基層3cは厚紙で形成されてもよい。異なる層の厚さは変動してもよいが、単なる例として、キャスティング層3aは厚さ約100μmを有してもよく、付加層3bは厚さ約65μmを有してもよく、基層3cは厚さ約250μmを有してもよい。検出器材料2の層は厚さ約100μmを有してもよい。
【0072】
(実施例1)
材料の調製
以下の出発原料を使用して、以下の表の材料を調製した:
【0073】
【表1】
【0074】
材料を以下の方式で調製した:出発原料を化学量論的比で一緒に混合した。混合物を大気中、850℃で上記表に示された期間の間加熱した。生成物を室温まで自由に冷却し、粉砕した。最後に、生成物を、流動する12%H+88%N雰囲気下、850℃で2時間再加熱した。
【0075】
(実施例2)
実施例1の材料の試料の試験
試料のそれぞれをX線画像化に供した。X線画像化のため、材料の試料を、以下に付与された記載に従い、テープキャスティング技術を用いて、50μmの厚さのポリマーフィルムの表面に結合した:Abhinayら、Tape casting and electrical characterization of 0.5Ba(Zr0.2Ti0.8)O-0.5(Ba0.7Ca0.3)TiO (BZT-0.5BCT) piezoelectric substrate;Journal of the European Ceramic Society 36(2016年)、3125~3137頁。得たフィルムを厚紙プレートに接着した。X線蛍光分光器のX線ビーム(Agチューブ;E約20keV)及び死んだ羽根アリを検体として使用して画像を作り出した。未改造の口腔内X線画像リーダーDurr Dental VistaScanを用いて画像データを読み取った。そのデバイスは635nmの刺激で作動する。画像化した検体の写真が図1に提示されている。
【0076】
更に、試料のそれぞれをX線回折に供した。X線画像化とX線回折とのアプリケーションの相違点は、画像化は2D画像を作り出すのに対して、回折はラインスキャンを表現することにある。X線回折画像プレートに対して、材料の試料は、上記テープキャスティング技術を用いて50μmの厚さのポリマーフィルムの表面に結合されている。得たフィルムはその他の点では未改造のHuber G670検出器の内側に結合した。使用したX線は、銅Kアルファ1(E=8.0keV)であり、検体はNaCl粉末であった。G670検出器は620nmの刺激を使用して、画像検出器からのデータを読み取る。図2は、検出器材料、すなわちNa(AlSiO(Br,S)として材料の試料で得た例示的X線回折パターンを表している。グラフからは、OSL/PSL原理で作動する市販の粉末X線回折検出器(Huber G670)において、光学活性材料を検出器材料として使用することが可能である、すなわち、本明細書に記載されている光学活性材料を使用することによって粉末X線回折パターンを得ることができることが認められる。
【0077】
(実施例3)
異なる材料の調製
実施例1に提示された一般的な記載に従い、以下の出発原料を使用することによって、以下の材料を調製した:
【0078】
【表2A】
【0079】
【表2B】
【0080】
【表2C】
【0081】
【表2D】
【0082】
【表2E】
【0083】
実施例2に対して上記と同様の方式で試験した場合、上記光学活性材料は、X線ベースの画像化技術のための画像検出器において検出器材料として使用することができることが指摘された。
【0084】
(実施例4)
LiNa(AlSiO(Cl,S)の材料の試料の試験
この実施例では、LiNa(AlSiO(Cl,S)の試料をX線画像化に供した。X線画像化のため、材料の試料を、300μmの湿潤厚を使用し、テープキャスティング技術を用いて、ポリマーフィルムの表面に結合した。装置を材料による汚染から保護するXRF機器のフィルム上にアリを置いた。フィルムのすぐ下にはビームが発せられるビーム源がある。調製した画像検出器又は画像化プレートは、アリがX線供給源と画像化プレートとの間に位置するように、アリの上に配置した。次いでアリ及び画像化プレートをX線に1時間曝露した。曝露から生成された図3のテネブレッセンス画像をNikon D5300で28回撮影した。画像スタッキングプログラムDeepSkyStacker及びPhotoshop Lightroomを使用して、写真における細部及びコントラストを引き出した。
【0085】
(実施例5)
LiNa(AlSiO(Br,S):Sr及びLiNa(AlSiO(Br,S):Sr,Cuの材料の試料の試験
この実施例では、LiNa(AlSiO(Br,S):Sr及びLiNa(AlSiO(Br,S):Sr,Cuの試料をX線画像化に供した。X線画像化のため、材料を、300μm湿潤厚を使用し、実施例1と同じテープキャスティング技術を使用して、ポリマーフィルムの表面に結合した。テープは支持のため厚紙プレートに接着した。Shimadzu MobileArt可動式X線システムのX線ビームを使用して画像を作り出した。Duplex IQI標準物質、2本のヒト歯及びプラスチック-コーティングした金属導線を、試験で画像化する検体として使用した(図4aを参照されたい)。635nmの刺激を使用して、未改造の口腔内X線画像リーダーDurr Dental Vistascanで画像データを読み取った。検体及びX線画像の一部の写真が図4b~図4jに示されている。使用した試験のパラメーターは以下の表に提示されている:
【0086】
【表3A】
【0087】
【表3B】
【0088】
(実施例6)
LiNa(AlSiO(Br,S):Srの材料の試料の試験
この実施例では、LiNa(AlSiO(Br,S):Srの試料をX線画像化に供した。X線画像化のため、材料を、300μm湿潤厚を使用し、実施例1と同じテープキャスティング技術を使用して、ポリマーフィルムの表面に結合した。テープを支持のために厚紙プレートに接着した。Soredex Mamex dc magマンモグラフィーデバイスのX線ビームを使用して画像を作り出した。Duplex IQI標準物質、ヒトの歯、死んだ羽根アリ、死んだ葉及びプラスチック-コーティングした金属導線を、試験で画像化する検体として使用して、試験で画像化した。635nmの刺激を使用した。未改造の口腔内X線画像リーダーDurr Dental Vistascanで画像データを読み取った。検体(図5q)及びX線画像(図5a~図5p)の写真が図5に示されている。使用した試験パラメーターは以下の表に提示されている:
【0089】
【表4】
【0090】
検体の写真及びX線画像は、材料をマンモグラフィー画像化又は試験に使用することができることを示した。
【0091】
(実施例7)
材料LiNa(AlSiO(Br,S):7%Srの試料の試験
本実施例では、LiNa(AlSiO(Br,S):7%Srの試料をX線画像化に供した。X線画像化のため、材料を、300μm湿潤厚を使用し、実施例1と同じテープキャスティング技術を使用してポリマーフィルムの表面に結合した。テープは支持のため厚紙プレートに接着した。Shimadzu MobileArt可動式X線システムのX線ビームを使用した画像を作り出した。SDメモリーカードアダプターへのmicroSD、Contactor PY8205ページングマシンの回路基板、及びディスプレイユニットを、試験で画像化する検体として使用した。635nmの刺激を使用して、未改造の口腔内X線画像リーダーDurr Dental Vistascanで画像データを読み取った。検体及びX線画像の写真が図6に示されている。使用した試験パラメーターは以下の表に提示されている:
【0092】
【表5】
【0093】
技術の進展と共に、基本的概念が様々な方式で導入され得ることが当業者には明らかである。よって、実施形態は上に記載されている実施例に限定されない。代わりに、特許請求の範囲内でこれらは変動してもよい。
【0094】
本明細書のこれより上に記載されている実施形態は、互いに任意の組合せで使用することができる。実施形態のいくつかを一緒に組み合わせて、さらなる実施形態を形成することができる。本明細書で開示されている画像検出器又は使用は、本明細書のこれより上に記載されている実施形態の少なくとも1つを含んでもよい。上に記載されているメリット及び利点は、一実施形態に関係していてもよいし、又はいくつかの実施形態に関係していてもよいと理解されたい。実施形態は、述べられている問題のいずれか若しくはすべてを解決するもの、又は述べられているメリット及び利点のいずれか若しくはすべてを有するものに限定されない。「1つの(an)」の項目についての言及は、これらの項目の1つ又は複数を指すことを更に理解されたい。「含む」という用語は、本明細書において、1つ又は複数の追加の特徴又は作用の存在を除外することなく、その後続く特徴又は作用を含むことを意味するように使用される。
【符号の説明】
【0095】
1 画像検出器
2 検出器材料
3 基材
3a キャスティング層
3b 付加層
3c 基層
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図4g
図4h
図4i
図4j
図4k
図4l
図4m
図4n
図4o
図4p
図4q
図4r
図4s
図4t
図4u
図4v
図4w
図4x
図4y
図4z
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図5g
図5h
図5i
図5j
図5k
図5l
図5m
図5n
図5o
図5p
図5q
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図7
【国際調査報告】