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特表2023-514528グルタチオンとアルデヒド脱水素酵素を含有する二日酔い解消剤
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  • 特表-グルタチオンとアルデヒド脱水素酵素を含有する二日酔い解消剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(54)【発明の名称】グルタチオンとアルデヒド脱水素酵素を含有する二日酔い解消剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/44 20060101AFI20230330BHJP
   C12N 1/16 20060101ALI20230330BHJP
   A61K 38/06 20060101ALI20230330BHJP
   A61P 25/32 20060101ALI20230330BHJP
   A61K 36/064 20060101ALI20230330BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230330BHJP
   C12N 9/04 20060101ALN20230330BHJP
   C07K 5/037 20060101ALN20230330BHJP
   C12P 21/02 20060101ALN20230330BHJP
【FI】
A61K38/44
C12N1/16 A
A61K38/06
A61P25/32
A61K36/064
A61P43/00 121
C12N9/04 Z
C07K5/037
C12P21/02 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547021
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(85)【翻訳文提出日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 KR2021002046
(87)【国際公開番号】W WO2021167356
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0019858
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0021473
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521069652
【氏名又は名称】ピコエンテック シーオー.,エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】PICOENTECH Co.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100188798
【弁理士】
【氏名又は名称】土田 幸広
(72)【発明者】
【氏名】權 興澤
【テーマコード(参考)】
4B050
4B064
4B065
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC07
4B050DD04
4B050EE02
4B050EE03
4B050EE04
4B050FF01
4B050LL01
4B064AG01
4B064CA06
4B064CC03
4B064CC10
4B064CC12
4B064CD21
4B064CD22
4B064CE02
4B064DA01
4B065AA80X
4B065AC14
4B065BB19
4B065BB26
4B065BB27
4B065BB29
4B065BC03
4B065BC09
4B065BC11
4B065BC26
4B065BC31
4B065BD01
4B065BD10
4B065BD11
4B065BD15
4B065BD18
4B065CA24
4B065CA28
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA15
4C084BA44
4C084DC02
4C084DC31
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZC37
4C084ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC04
4C087BC12
4C087CA10
4C087MA02
4C087NA14
4C087ZC37
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA12
4H045CA10
4H045EA20
4H045FA72
4H045GA01
4H045GA15
(57)【要約】
本発明は、グルタチオンとアセトアルデヒド脱水素酵素を生産する酵母の乾燥粉末、溶解物または抽出物を含有する二日酔い解消組成物に関する。より具体的には、本発明は、グルタチオンとアセトアルデヒド脱水素酵素を同時に生産するサッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae Kwon P-1 KCTC 13925BP)、サッカロマイセスセレビシエKwon P-2 KCTC14122BP、及びサッカロマイセスセレビシエKwon P-3 KCTC14123BP酵母の乾燥粉末、溶解物または抽出物を含有する二日酔い解消組成物に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルタチオンとアルデヒド脱水素酵素を含有する二日酔い解消組成物。
【請求項2】
グルタチオンとアルデヒド脱水素酵素が、サッカロマイセスセレビシエ酵母、サッカロマイセスセレビシエKwon P-1 KCTC13925BP、サッカロマイセスセレビシエKwon P-2 KCTC14122BP、サッカロマイセスセレビシエKwon P-3 KCTC14123BPからなる群で選択される何れか一つまたはこれらの混合から由来されるものであることを特徴とする、請求項1に記載の二日酔い解消組成物。
【請求項3】
サッカロマイセスセレビシエ菌株を液相培地で培養する第1段階と、前記第1段階で培養されたサッカロマイセスセレビシエ菌株を再度固相培地でさらに培養する第2段階と、を含む、サッカロマイセスセレビシエ菌株の大量培養方法。
【請求項4】
前記固相培地が、米、麦、小麦、とうもろこし、豆からなる群で選択される何れか一つまたはこれらの混合であることを特徴とする、請求項3に記載のサッカロマイセスセレビシエ菌株の大量培養方法。
【請求項5】
前記サッカロマイセスセレビシエ菌株が、サッカロマイセスセレビシエKwon P-1(KCTC13925BP)、サッカロマイセスセレビシエKwon P-2(KCTC14122BP)、及びサッカロマイセスセレビシエKwon P-3 KCTC14123BPからなる群で選択されるもおであることを特徴とする、請求項3または4に記載の大量培養方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルタチオン(GSH)とアルデヒド脱水素酵素(以下、ALDH)を含有する二日酔い解消剤に関する。より具体的には、本発明は、サッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae Kwon P-1 KCTC 13925BP)とサッカロマイセスセレビシエKwon P-2 KCTC14122BPまたはサッカロマイセスセレビシエKwon P-3 KCTC14123BP酵母から由来するグルタチオンとアルデヒド脱水素酵素を同時に含有する二日酔い解消剤に関する。
【背景技術】
【0002】
酒は人類の歴史とともにする嗜好食品であるが、飲みすぎは身体的、精神的な不快感を感じる二日酔いに至って、吐気、嘔吐、めまい感、喉渇き、無気力、傾眠、頭痛を引き起こし、脳神経系にアブノーマル(Alcohol Use Disorder、AUD)(Shao-Cheng Wang et al、2020)を誘導し、深刻な中毒症状(Alcohol Addiction)と精神的恐慌障害まで発生させる社会問題となっている(チェ・ソングシック 2013)。
【0003】
酒を飲むと、アルコールは口腔で5%、胃で10-15%、小腸で80%が吸収されて血液に流入され、肺で2~4%、腎臓で2~4%、汗で2~6%、肝で90%が分解される。
【0004】
肝でアルコールの分解は、アルコール脱水素酵素(Alcohol dehydrogenase、ADH)によって酸化されてアセトアルデヒド(Acetaldehyde)に転換され、さらにアルデヒド脱水素酵素(Aldehyde dehydrogenase、ALDH)によって酸化されて無毒化される。
【0005】
しかしながら、アルデヒド脱水素酵素が不足したり、遺伝的にアルデヒド脱水素酵素の対立遺伝子(ALDH2*2)を持っているアジアン人の15%~50%の人々は、飲酒時に発生するアセトアルデヒドを分解することができなくて、顔が赤くなるアルコール紅潮症候群(Alcohol Flushing Syndrome)(Brooks、P.J.et al.2009)現象が現われ、アセトアルデヒドの蓄積により、アルコール中毒症や肝疾患にかかる確率が高いと報告(Larson,H.N et al、2007)されている。アセトアルデヒドが分解されなくて人体に残留して、アルコール性肝炎(Alcohol hepatitis)や肝硬化(liver cirrhosis)による死亡と障害を引き起こしている。(Gilpin、N.W.et al,2008)
【0006】
一方、アルコール攝取による生成される体内アルデヒド(Aldehyde)の過量の残存は、心血管系疾患、糖尿、神経退行性疾患、上部消化及び呼吸器官癌、放射線皮膚炎、ファンコニ貧血、末梢神経損傷、炎症、骨粗鬆症及び老化のような酸化作用に起因した疾病を招来すると報告されたことがある(Chen et al.2014)。
【0007】
また、飲酒による社会経済的な損失規模が大部分の国家でGDP対比約0.5~2.7%に至ることが報告されており、韓国の場合、2000年一年に飲酒による社会経済費用が14兆9,352億ウォンと推定されており、そのうち、疾病、事故、二日酔いによる生産性の減少及び損失額が6兆2,845億ウォンと推定されるという報告がある(チョン・ウジン et al.2006)。
【0008】
このような社会的問題を解決するために、エタノールの毒性を軽減させたり、毒性の発現を阻害することができる多くの物質に対する研究と実験が行われており、その結果物は多様な健康補助食品に関する製品として開発されている。体内に流入されたアルコールは、胃腸または小腸で吸収され、血管内に入って肝臓へ移されて、分解されて解毒される。
【0009】
肝細胞に存在するアルコール脱水素酵素(ADH、Alcohol Dehydrogenase)がアルコールを先にアセトアルデヒド(Acetaldehyde)で酸化させると、アセトアルデヒドは再度肝細胞にあるアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH、ALdehyde DeHydrogenase)により酢酸塩(Acetate)に分解されて、全身の筋肉や脂肪組職に移されて、最終的には炭酸ガスと水に分解される。エタノールの最初の代謝産物であるアセトアルデヒドは、エタノールに比べて反応性が非常に高く、毒性が強いため、二日酔い及びアルコール性肝障害の主要原因となる。
【0010】
人体に存在するアルデヒド脱水素酵素は、19種類が報告されており(Marchitti et al.2007、2008)、この中で、ミトコンドリアに主に存在するアセトアルデヒド脱水素酵素2(Acetaldehyde Dehydrogenase2)は、酵素工学的に分析した結果、アセトアルデヒドを酵素の基質として分析したとき、他の種類のアルデヒドを基質として用いたときよりも、最も低いKm値(~0.2μM)を現わして、アルコールに由来するアセトアルデヒドを最もよく酸化させて除去することと評価される。
【0011】
生体内エタノール代謝で生成された二日酔い原因物質であるアセトアルデヒドを酢酸に最も効果的に転換することにより、アルデヒドを除去することは人体の健康に非常に重要である(Eriksson et al.1977)。また、アセトアルデヒド脱水素酵素2は、アセトアルデヒドだけでなく、脂肪族アルデヒド、芳香族アルデヒド、多環式アルデヒドのようなアルデヒドの代謝過程にも利用されて、体内の毒性物質を除去する(Klyosov et al.1996)。
【0012】
代表的な例として、酸化的ストレス過程で発生する酸化アルデヒド物質である4-ヒドロキシ-2-ノネナール(4-hydroxy-2-nonenal)(4-HNE)とマロンジアルデヒド(malondialdehyde)(MDA)を除去し、タバコの煙や自動車の煤煙で発生するアクロレイン(acrolein)を除去する役割を果たす(Chen et al.2010、Yoval-Sanchez et al.2012)。人体内のアセトアルデヒド脱水素酵素2の酵素の発現が少ないか、この酵素の487番目のアミノ酸残基がグルタミン酸から リシン(lysine)に変異された人は、顔が赤くなる紅潮現象を見せるなど、少ない量のアルコールにも敏感な反応を見せるだけでなく、転換されないため、飲酒時に血中アセトアルデヒドの濃度が高い(Yoshida et al.1984)。
【0013】
特に、アセトアルデヒド脱水素酵素2の同型接合体であるALDH2-2を有している場合、飲酒に弱いと知られており、このような遺伝的変異は、西洋人にはほとんど現われないが、韓国人、中国人、日本人には全人口の50%で発見されている(Brooks et al.2009)。
【0014】
アルデヒド脱水素酵素2に対する研究開発は、医療用の目的で体内のアルデヒド脱水素酵素2の促進剤及び抑制剤に対する研究が活発に研究されることにより、アルデヒド脱水素酵素2の重要性が強調されているが(Budas et al.2009、Chen et al.2014、M.zel et al.2018)、アルデヒド脱水素酵素2の過量生産微生物の育種や大量生産技術の開発に対する研究は、まだ不足な実情である。
【0015】
アルデヒド脱水素酵素2を過量に生産する菌株の開発は、大膓菌(E.coli)を宿主としたタンパク質発現システムを利用して、ヒト型アルデヒド脱水素酵素1と2のタンパク質を発現させ、この中、約30%が活性のある可溶性形態の酵素として発現し、2~4mg/Lのタンパク質を生産することと報告されており(Zheng et al.1993)、ラット(Rat)のアルデヒド脱水素酵素2の場合、95%が活性のある可溶性タンパク質として発現されたが、1~2mg/Lの非常に少ないタンパク質を生産したことと報告された(Jeng et al.1991)。
【0016】
しかしながら、法的制限が小さく、活用が容易な突然変異方法を利用したアセトアルデヒド脱水素酵素2の生産量を増加させた事例は報告されていない。したがって、アセトアルデヒド脱水素酵素2の使用範囲を拡大するために、突然変異方法による高活性のアルデヒド脱水素酵素2を有する微生物の開発が早急に要求される。
【0017】
体内に吸収されたエタノールは、アセトアルデヒドに酸化される過程にはADH(alcohol dehydrogenase)酵素が作用し、アルコール酸化で生成されたアセトアルデヒドの分解/酸化過程にはALDH(aldehyde dehydrogenase)という酵素が作用して、体外に炭酸ガス、水に分解されて排出される。
【0018】
ALDHは、アセトアルデヒド(Acetaldehyde)のみ分解するのではなく、人体に酸化ストレスを加えるノネナール-(4-ヒドロキシ-2-ノネナール)Nonenal(4-hydroxy-2-nonenal)、4-ヒドロキシ-トランス-2-ノネナール(HNE(4-hydroxy-trans-2-nonenal))、マロンジアルデヒド(Malondialdehyde)、3,4-ジヒドロキシ-フェニルアセトアルデヒド(DOPAL(3,4-dihydroxy-phenylacetaldehyde))、3,4-ジヒドロキシ-フェニルグリコ―ルアルデヒド(DOPEGAL(3,4-dihydroxy-phenylglycolaldehyde))、5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-アセトアルデヒド(5-HIAL(5-hydroxy indole -acetaldehyde))、レチナールデヒド(Retinaldehyde)(Arnold SL et al、2015)なども分解する。
【0019】
このような多様な種類のアルデヒドは、人体内DNAを破壊し(Garaycoechea、JI et al、2018)、細胞の重要なエネルギー生成器官であるミトコンドリアをアブノーマル(Mitochondrial dysfunction)(Gomes、KM et al、2014)化して、深刻な疾病を引き起こす。
【0020】
このような多様なアルデヒドの分解のためには、主に酵母であるSaccharomyces由来のALDHがたくさん用いられる。酵母のゲノムデータベース(Genome Database)によれば、Saccharomycesには約6種類のALDH(Datta S.et al、2017)が知られている。
【0021】
これらのうち、ALDH2は、粗酵素NADの結合部位が構造的にヒトALDHと類似(Mukhopadhyay,A.et al、2013)し、NADを粗酵素として用い、ミトコンドリアで作用するだけでなく、酵母ではミトコンドリア以外の細胞質(Cytoplasm)でも作用する。酵素の比力価(Specific activity)も酵母ALDH(yALDH)はヒトALDH(hALDH)に比べて20倍以上(M.-F.Wang et al、2009)高く現われて、人体に使用時に高い効果を期待することができる。
【0022】
米で固体培養して生産する従来の米由来酵母ALDHは、精製が容易であるという長所はあるが、ALDHの生産収率が低くて、二日酔い解消剤の商業的大量生産に限界があった。このような問題点を改善するために、米由来酵母ALDHを大量に生産することができる方法が登場した。ALDH遺伝子を確保して、組換え酵母を作るための方法が大韓民国公開特許第10-2005-0052664(PCT/EP2003/01049)に開示されている。
【0023】
酵母由来のアルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH gene)の組換えに対する技術は、韓国特許番号第10-1664814号に開示されている。アルコールを酸化するADH酵素の遺伝子組換えによる生産方法は、韓国特許出願第10-2020-0045978号に開示されている。
【0024】
一方、アルコールの攝取による二日酔いの予防、二日酔いの解消及び肝損傷を防御するために、多様な健康食品素材で人体内にALDH酵素を活性化させる活性剤(Activator)を開発しようとする多様な努力も行われている。(US 10,406,126 B2(2019)、US Pub.NO US2020/0237716 A1(2020))。
【0025】
韓国では、活性化剤として、川▲きゅう▼、甘草、葛根、陳皮、 ケンポナシなどの生薬製剤などを単独または混合して製造する漢方抽出物(韓国特許出願10-2020-0142768)が知られている。
【0026】
また、韓国登録特許第10-0696589号には、スケトウダラ、ケンポナシ、宿り木抽出物及び葛成分を含有する二日酔い解消組成物が開示されており、韓国公開特許第10-2012-0123860号には、鬱金、ハンノキ、ケンポナシ果柄、エゾウコギ濃縮液、未胚芽大豆発酵抽出物、ミルクシスル及びグルタチオンを含む二日酔い解消組成物を提供して、還元剤グルタチオンの使用を開示している。
【0027】
しかしながら、今までの特許技術の大部分は、二日酔いの予防よりは二日酔いの解消により重点をおいており、二日酔い解消効果が些細な場合が多かった。よって、当業界では、二日酔い現象の根本的な問題であるアセトアルデヒドを直接早く解毒することができるALDHを含有する二日酔い解消組成物の開発の必要性が課題となっている。
【0028】
本発明者は、体内で速かに作用してアルコールとアルデヒドを迅速に分解し、ひいては、人体代謝過程で生成される活性酸素(ROS)である多様なROSを誘発するアルデヒド産物を迅速に分解し、その効果が人体内で持続して二日酔いだけでなく、人体生理機能の保護に寄与することができるグルタチオンとALDHを含有する二日酔い解消用組成物を開発するようになった。
【0029】
本発明では、ALDH酵素とグルタチオンの含有量が充分含まれて、体内アルデヒド類の毒素除去効果が早く、持続的な効能を保障することができる新規二日酔い解消組成物を提供することを目的とする。本発明による二日酔い解消組成物は、消火器管内のアルデヒド毒性除去活性だけでなく、人体内の多様な内因性アルデヒド毒性除去活性を保持する。
【0030】
一方、グルタチオン(Glutathione、γ-L-glutamyl-L-cysteinylglycine、GSH)は、細胞内に存在する生理活性物質として、グルタミン酸(glutamate)、システイン(cystein)、グリシン(glycine)の三種類のアミノ酸で構成されたトリペプチドであって、動物、植物、及び微生物の細胞内で0.1~10mMの濃度で存在し、細胞の総非タンパク質性活性分の90%以上を占めている。
【0031】
生体内においてグルタチオン(glutathione)は、白血球の生成を通じた免疫活性の増加を引き起こすことにより、重要な抗ウイルス剤の役割をするものと知られており、GST(glutathione S-transferase)の基質として作用し、生体に有害な非生体物質(xenobiotics)のような毒性物質をコンジュゲーション(Conjugation)形態で結合し、解毒作用に重要な役割を果たす。
【0032】
また、グルタチオンは、細胞内において酸化作用で細胞膜、核酸と細胞構造を損傷させて壊死させることを防ぎ、老化の原因である活性酸素種(Reactive oxygen species、ROS)の毒性を緩和させる役割を果たす。このときの活性酸素種は、多様な生体代謝作用で形成され、スーパーオキシド(superoxide)、過酸化物(peroxide)、ヒドロキシルラジカル(hydroxyl radical)などが含まれ、物質の生体代謝産物として生成される内因性活性酸素種、タバコ、放射能などの外因性活性酸素種に区分することができる。
【0033】
活性酸素種に起因した酸化的ストレスは、認知機能に損傷を与え得(Liu et al.2002)、精子のDNAを破壊して男性不妊の原因となり(Wright et al.2014)、細胞タンパク質、脂質、及び核酸を損傷させて癌を誘発し得、生理的機能を低下させて各種疾病と老化の原因因子として作用する。したがって、我々の体は、疾病予防、免疫増進、老化防止などの役割を果たす抗酸化剤が非常に重要であり、細胞内で抗酸化の役割を果たすグルタチオンの機能は、酵素学、薬物学、治療、毒物学、内分泌学及び微生物学を含む多くの医学分野で注目されている。
【0034】
このようなグルタチオンは、基本的に体内で合成されるが、疾病発生、免疫力弱化、老化等の異常な状態が進行されるほど人体内の絶対的含有量が少なくなって、健康を悪化させる。したがって、外部から供給されるグルタチオンは、細胞内の活性酸素種を除去して健康を保持し、老化を遅らせることができる。このようなグルタチオンの人体内の生理活性要因により、現在グルタチオンは、食品、化粧品、飼料、及び医薬品の用途として用いられ、ますます使用量が増加している傾向にある。
【0035】
一方、グルタチオンの生産は、現在食用可能な微生物を利用して生産するが、微生物が生産し得るグルタチオン固有の含有量は非常に低いため、突然変異及び組換え技術で微生物のグルタチオンの含有量を増大させて、これを利用した発酵技法によって高含有量グルタチオンの生産菌株として大量に生産する研究が活発に行われている。
【0036】
したがって、グルタチオン高含有量菌株の開発は、経済的価値を高める根本的な素材を開発するものであって、グルタチオンを健康食品、医薬品、飼料等に幅広く用いることができるようにする市場競合力を持たせるようにする。
【0037】
しかしながら、遺伝子組換え技術による菌株の開発は、現在イシューになっているGMOに対する様々な問題から自由になれないため、その使用範囲が制限される。しかしながら、突然変異技術による性能改良菌株は、相対的に制限が少なくて、様々な用途に開発することが比較的容易である。したがって、突然変異技術を利用した高含有量のグルタチオン生産菌株の育種技術が食品や薬品の有効成分として用いられるグルタチオンの生産に適する。
【0038】
しかしながら、以上で説明したように、人体内に蓄積される各種有害物質のうち、特に活性酸素種や多様なアルデヒド類のような化学物質を除去するためには、グルタチオンとアルデヒド脱水素酵素を同時に用いると、効率性が高いが、現在までグルタチオンとアルデヒド脱水素酵素を同時に大量生産する菌株は商業化されなかった。
【0039】
【0040】
【0041】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】1.韓国特許出願第10-2020-0019858号「グルタチオンとアルデヒド脱水素酵素を生産するサッカロマイセスセレビシエKwon P1,2,3」
【0043】
【特許文献2】2.韓国特許出願公開第10-2005-0052664
【0044】
【特許文献3】3.韓国特許第10-1664814号
【0045】
【特許文献4】4.韓国特許公開第10-2020-0045978号
【0046】
【特許文献5】5.米国特許10,406,126 B2 ALDH2 ACTIVATOR
【0047】
【特許文献6】6.米国特許出願 US2020/0237716 A1
【0048】
【特許文献7】7.韓国特許公開第10-2020-0142768
【0049】
【特許文献8】8.韓国登録特許第10-0696589号
【0050】
【特許文献9】9.韓国特許出願公開第10-2012-0123860号
【0051】
【0052】
【非特許文献】
【0053】
【非特許文献1】1.Gilpin,N.W.;Koob,G.F.Neurobiology of alcohol dependence:Focus on motivational mechanisms.AlcoholRes.Health,2008,31,185.
【0054】
【非特許文献2】2.Shao-Cheng Wang et al,Alcohol Addiction,Gut Microbiota,and Alcoholism Treatment:A Review.Int.J.Mol.Sci.2020,21,6413
【0055】
【非特許文献3】3.チェ・ソングシック、韓国社会でアルコール中毒者の再発予防戦略に関する研究、韓国民族文化48号、2013、307-348
【0056】
【非特許文献4】4.Arnold SL,Kent T,Hogarth CA,Schlatt S,Prasad B,Haenisch M,Walsh T,Muller CH,Griswold MD,Amory JK,et al.Importance of ALDH1A enzymes in determining human testicular retinoic acid concentrations.J Lipid Res.2015,56:342-357.
【0057】
【非特許文献5】5.Garaycoechea J.I.,G.P.Crossan,F.Langevin.,Alcohol and endogenous aldehydes damage chromosomes and mutate stem cells,Nature,553,2018,171e177
【0058】
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【0059】
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【0072】
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【0074】
【非特許文献22】22.Ohtake,Y.,Satou,A.,& Yabuuchi,S.(1990).Isolation and Characterization of Glutathione Biosynthesis-deficient Mutants in Saccharomyces cerevisiae.Agric.Biol.Chem.,54(12),3145-3150.
【0075】
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【0076】
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【0077】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0078】
本発明の二日酔い解消剤組成物を製造するために、アルデヒド脱水素酵素とグルタチオンを同時に高効率に生産することができる菌株を1次化学突然変異方法を用いて突然変異株を作り、2次選択要素(Selection factor)適応(Adaptation)変異株を選抜して開発した。
【0079】
グルタチオンとアセトアルデヒド脱水素酵素2を同時に過量生産する突然変異菌株は、食品、健康食品、飼料、化粧品及び医薬用使用に問題のないGRAS(Generally Recognized As Safe)と報告されており、生産効率は低いが、グルタチオンとアルデヒド脱水素酵素を全部生産する菌株と既に知られた野生サッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を選抜して用いた。
【0080】
このように突然変異を通じてグルタチオンの生産能力が増加され、同時にアルデヒド脱水素酵素の生産能力も増加された新しい改良菌株であるサッカロマイセスセレビシエ属(Saccharomyces cerevisiae sp.)を製造し、このような菌株乾燥粉末、溶解物(lysate)またはALDH含有抽出物を製造して、本発明の二日酔い解消剤を完成するようになった。
[技術的解決方法]
【課題を解決するための手段】
【0081】
本発明の二日酔い解消剤組成物の有効成分は、韓国特許出願第10-2020-0019858号に詳細に記載されており、国際寄託機関(KCTC)に寄託されているSaccharomyces cerevisiae Kwon P-1(KCTC13925BP)、Saccharomyces cerevisiae Kwon P-2(KCTC14122BP)またはSaccharomyces cerevisiae Kwon P-3(KCTC14123BP)の乾燥粉末、溶解物(lysate)またはALDH含有抽出物である。
【0082】
本発明者は、突然変異によるALDH生産能が高く、グルタチオンの生産能力も高いサッカロマイセスセレビシエKwon P-1(Saccharomyces cerevisiae Kwon P-1、寄託番号:KCTC13925BP)などの3種の菌株を単独または混合して使用して1次液相発酵段階を行った後に、液相発酵産物を米発酵粉末に加えて2次固相発酵を行う段階を含む2段階工程で、ALDHの生産収率を画期的に上昇させる新しい発酵工程を発明した。
【0083】
また、本発明の新しい発酵工程では、サッカロマイセスセレビシエKwon P-1(寄託番号:KCTC13925BP)などの3種の菌株うちの一つまたはこれらの混合菌株を用いて1次液相発酵段階と、2次固相発酵段階を行って、強力な還元剤であるグルタチオン(Glutathione)とALDH酵素を同時に高い収率で生産することができる発酵工程を完成することができた。
【0084】
大量に培養させたサッカロマイセスセレビシエKwonP-1(受託番号 KCTC13925BP)をさらに米に接種して固相発酵を進行させてグルタチオン及びアセトアルデヒド脱水素酵素を過量生産するサッカロマイセスセレビシエ菌株を2段階工程でより大規模で培養させた後、菌株の乾燥粉末、溶解物または抽出粉末を含有する本発明の二日酔い解消組成物を製造した。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1】本発明の組成物の投与による実験動物の血中アセトアルデヒドの含有量の変化を示したグラフである。
【0086】
図2】本発明の組成物の投与による実験動物の血中アセトアルデヒドの含有量の変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0087】
[発明の実施のための最善の形態]
以下、次の実施形態を通じて本発明の構成及び効果についてより詳しく説明することにする。これら実施形態は、ただ本発明を例示するためのものであるだけで、本発明の範囲がこれらの実施形態によって限定されるのではない。以下、実施形態を通じて本発明の構成及び効果についてより詳しく説明することにする。以下の実施形態は、ただ本発明を例示するためのものであるだけで、本発明の範囲がこれら実施形態によって限定されるのではない。
[発明の実施のための形態]
【0088】
[実施例1]グルタチオンとALDHを含有する酵母溶解物の準備
【0089】
実施形態1-1:グルタチオンとALDH含有サッカロマイセスセレビシエ酵母発酵過程
【0090】
ALDH含有サッカロマイセスセレビシエ酵母の種菌を200mLのフラスコ(flask)にYPD培地(酵母抽出物、ペプトン、グルコース含有培地)を用いて、160rpm、30℃の条件のインキュベータで24時間発酵して培養し、本培養は、5Lの発酵器(Marado-05D-PS、CNS、Korea)を通じて72時間行った。培養の終了後、高速遠心分離器(Supra R22、Hanil、Korea)を利用して酵母を遠心分離した。
【0091】
【0092】
実施形態1-2:グルタチオンとALDH含有酵母溶解物の準備過程
【0093】
遠心分離されたALDH含有酵母を超低温冷凍庫(CLN-52U、Nihon freezer、Japan)で2日間冷凍させた後、凍結乾燥器(FDU-7006、Operon、Korea)で2日間凍結乾燥を行った。凍結乾燥された酵母パウダー3gに蛋白質分解酵素抑制剤(A32955、Thermo fisher、USA)を入れた50mLのリン酸緩衝食塩水(phosphate-buffered saline、PBS)に溶かした後、0.5mmの細胞破砕用ガラスビーズ(11079105、Biospec)10gを入れてビーズホモジナイザー(Mixer Mill MM400、Retsch、Germany)で2分ずつ総3回にわたって酵母破砕させた。高速遠心分離器(Supra R22、Hanil、Korea)を利用して遠心分離した後、上清液のみ分離して凍結乾燥器(FDU-7006、Operon、Korea)で2日間凍結乾燥を行った。
【0094】
【0095】
[実施例2]2段階発酵工程によるサッカロマイセスセレビシエ菌株の大量生産
【0096】
サッカロマイセスセレビシエKwonP-1(Saccharomyces cerevisiae KwonP-1)菌株(KCTC13925BP)を2%のペプトン、1%の酵母抽出物、2%のグルコースが含まれたYPD培地に接種して、30℃で培養して、OD600nm値が50になるまで発酵槽(Fermentor、kobiotech)で、200rpm、1vvmの条件で発酵させた。培養液をメンブレンフィルタ(membrane filter)を用いて菌体を回収した。
【0097】
回収された菌体を既に滅菌された米発酵粉末に10%の比率で混合して水分の含有量を60%に調整して、固体相で30℃で2日固体培養した後、50℃で乾燥して最終水分含有量を7%に合わせて酵母発酵米発酵粉末を製造した。
【0098】
このように製造された本発明の発酵組成物は、最大ALDH 600unit/gを含有した。今まで知られた野生型サッカロマイセスセレビシエ酵母菌株による米発酵粉末が通常約ALDH 2unit/g含有していることを勘案すれば、本発明の発酵組成物のALDH含有量が約300倍増加したことを確認した。
【0099】
表1に本発明の2段発酵工程によって製造された本発明の組成物(1~4)が5分間現わすアセトアルデヒドの分解能力を評価した結果を示した。
【0100】
【表1】
【0101】
【0102】
このように製造された本発明の発酵組成物の乾燥粉砕粉末にALDH粗酵素であるNADを酵素活性剤として添加し、枸椽酸、ステアリン酸マグネシウム、DLメチオニン、ビタミンCと乳酸菌(Lactobacillus plantium 10/g)、酸化亜鉛、二酸化ケイ素を添加して本発明の二日酔い解消剤を製造した。
【0103】
本発明の二日酔い解消剤の動物実験を通じて、アルコールを攝取した後の血液内アセトアルデヒドの濃度を測定して、従来の二日酔い解消剤に比べて、本発明の二日酔い解消剤が血液内アセトアルデヒドの濃度を顕著に早く減少させる結果を確認した。
【0104】
また、本発明の二日酔い解消剤に対する人体臨床試験のために、臨床試験自ら志願者をゲノム検査を通じて、アルデヒドを分解するALDH2保有群である実験群と、遺伝的にアルデヒドの分解能力が不足なALDH2*2変異遺伝子保有群実験群に分けて行った。
【0105】
15時間の間人体内での二日酔い解消能力を実験した結果、ALDH2保有実験群とALDH2*2遺伝子変異実験群で全部有意なアルデヒド分解能力差を確認した。本発明の二日酔い解消剤は、2つの実験群で全部効率的にアセトアルデヒドを除去することができた。特に、アルデヒドを分解しにくいALDH2*2遺伝子変異実験群でも効率的にアルデヒドを除去して、ALDH及びGlutathioneの含有量の補強に起因する本発明の二日酔い解消剤のアルデヒドの分解と二日酔い解消効果が確認された。
【0106】
【0107】
[実施例3]本発明の組成物の二日酔い解消効果の測定
【0108】
実施例3-1:血中アセトアルデヒドの経時的変化動物試験
【0109】
エタノールを投与した後、血中アセトアルデヒドの経時的変化に対する動物試験結果を表2に示した。
【0110】
【表2】
【0111】
血中アルデヒドの累積量動物実験結果(mg/L・hr)を表3に示した。
【0112】
【表3】
【0113】
【0114】
実施例3-2:人体臨床試験支援者の血中エタノールとアセトアルデヒドの分析
【0115】
人体臨床試験支援者を、一回飲酒の時、平均的にアルコール度数20度を基準として焼酎を飲むことができる健康な20代から40代の間の成人男性43人を対象者として選抜した。総4週にわたって毎週一度金曜日の夕方17時に臨床進行病院に入所、翌日8時まで総15時間合宿を通じて臨床を行い、臨床の過程で、個人の都合などの理由により、総23人のみ最終的に臨床を終えた。
【0116】
合宿一日目、焼酒10杯を服用した後、時間帯別血中アルコール代謝、つまりアルコール濃度変化及びアセトアルデヒド濃度変化を測定し、合宿二日目、本発明の組成物を73mg/kg服用した後、30分後に焼酒10杯を服用し、その後、血中アルコール代謝変化量を測定し、合宿二日目、本発明の組成物を220mg/kg服用した後、30分後に焼酒10杯を服用し、その後、血中アルコール代謝変化量を測定した。
【0117】
本発明の2段発酵乾燥粉末が500mg/day及び発酵米粉末1500mgが含有された組成物の服用群で、二日酔いの原因物質でありながら、体内強力な発ガン物質であるアセトアルデヒドの血中濃度がアルコール単独投与群に比べて用量依存的に有意に減少した。また、血中アルコール残留量も本発明の組成物投与用量依存的に有意に減少した。
【0118】
人体臨床試験支援者の血中アルコール濃度の減少を表4に示した。
【0119】
【表4】
【0120】
人体臨床試験支援者の血中アセトアルデヒド残留量の減少を表5に示した。
【0121】
【表5】
【0122】
【0123】
実施例3-3:ALDH遺伝子変異可否によるエタノールとアセトアルデヒドの変化確認試験
【0124】
人体臨床試験支援者を募集するために、一回飲酒の時、平均的にアルコール度数20度を基準として焼酎を飲むことができる健康な20代から40代の間の成人男性43人を対象者として選抜した。総4週にわたって毎週一度金曜日の夕方17時に臨床進行病院に入所、翌日8時まで総15時間合宿を通じて臨床を行い、臨床試験の過程で、個人の都合などの理由により、総23人のみ最終的に臨床を終えた。
【0125】
この中、約22人がアルコール代謝関連遺伝子検査に参加実験及び情報活用同意を得、総22人の生体内アルコール代謝に関与したADH1B(Alcohol dehydrogenase 1B)、ALDH2(Aldehyde dehydrogenase 2)、CPY2E1 P450 3種類のゲノム検査を通じて、二日酔いの原因物質でありながら体内強力な発ガン物質であるアセトアルデヒドの血中濃度がアルコール単独投与群に比べてALDH2非変異群及びALDH2*2変異群の全部で用量依存的に減少することを確認した。
【0126】
ALDH2*2遺伝子変異群の場合、少量の飲酒にも非常に高い血中アセトアルデヒド濃度を現わすことと知られており、通常の二日酔い解消飲料や従来方式の二日酔い解消食品及び医薬品を通じて血中アルデヒドの減少効果が観察されたり報告されたことがなかった。しかしながら、本発明の二日酔い解消組成物を投与した場合には、ALDH2*2遺伝子変異群の血中アセトアルデヒドの減少効果は非常に注目するほどの結果である。
【0127】
正常ALDH遺伝子保有群とALDH遺伝子変異群のアルコール量(g hr/L)測定値を表6に示した。
【0128】
【表6】
【0129】
正常ALDH遺伝子保有群とALDH遺伝子変異群の血中アセトアルデヒド含有量平均(g hr/L)を表7に示した。
【0130】
【表7】
【0131】
【0132】
[実施例4]本発明の二日酔い解消組成物の毒性試験
【0133】
実施例4-1.実験動物の準備
【0134】
実験動物は、雌、雄ICRマウス(7週齢)が分譲され、7日間順化させた。順化期間中に一般的な症状を観察して健康な動物のみ試験に用いた。飼料と水は自由に攝取させ、経口投与前日平均体重約20gを基準として各群別に雌と雄5匹ずつ、総10匹になるように群を分離した。
【0135】
【0136】
実施例4-2.本発明の二日酔い解消組成物の投与
【0137】
試験物質は、本発明のGSHとALDHを含有する酵母溶解物の含有量を基準として実験動物の投与用量がそれぞれ0、750、3000、5000mg/Kgになるように生理食塩水に溶かして製造した。投与用量の基準は食薬処の韓国国家毒性プログラム(Korea national Toxicology Program(KNTP))毒性試験マニュアルを遵守し、KNTPマニュアルでガイドする適用最大用量5000mg/Kgを本実験の最大濃度で適用した。各群別に準備した試料を試験動物に対して各1回経口投与を実施し、正常群(G1)の場合、生理食塩水を投与した。
【0138】
【0139】
実施例4-3.観察及び剖検
【0140】
全ての試験群の動物に対して入手日から剖検日まで、毎日1回以上症状を観察し、経口投与後、7日間症状を観察した。症状観察を終了した後、剖検を実施し、剖検の時に肉眼で各臓器に対する変化を観察した。
【0141】
本発明のグルタチオンとALDHを含有する酵母溶解物をマウスを用いて単独投与毒性試験を実施した結果、5000mg/kgまでの濃度で7日間死亡例を観察することができず、体重の増加、飼料攝取量などの特異点を見つけることができなかった。また、観察終了後に実施した剖検結果でも特異的な所見は発見されなかった。
【0142】
【0143】
[受託番号]
【0144】
寄託機関名:韓国生命工学研究院
【受託番号】
【0145】
受託番号:KCTC13925BP
【0146】
受託日:20190822
【0147】
【0148】
寄託機関名:韓国生命工学研究院
【0149】
受託番号:KCTC14122BP
【0150】
受託日:20200130
【0151】
【0152】
寄託機関名:韓国生命工学研究院
【0153】
受託番号:KCTC14123BP
【0154】
受託日:20200130
【0155】
図1
図2
【国際調査報告】