(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(54)【発明の名称】電子気化器からのパフの組成の監視
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20230330BHJP
A24F 40/60 20200101ALI20230330BHJP
A24F 40/65 20200101ALI20230330BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/60
A24F40/65
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547085
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(85)【翻訳文提出日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2021054618
(87)【国際公開番号】W WO2021170688
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522306653
【氏名又は名称】スティーム キュア エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ボナストレ レイバ,ミケル
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC22
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4B162AD06
4B162AD08
4B162AD12
4B162AD15
4B162AD23
(57)【要約】
ユーザが気化器からパフを行うときに、ユーザによって吸入される物質を気化させるための電子気化器(1)が、開示される。気化器は、気化性物質と、物質の組成と関連付けられた識別タグ(23)と、を有する、カートリッジ(11)を受容するように構成されている。気化器は、パフ持続時間パラメータを含むデータセットを取得するためのコントローラと、データセット、および気化器に結合されたカートリッジの識別タグをパフ組成監視システムに送信するように構成された通信モジュールと、を備える。電子気化器を用いてユーザによって行われる少なくとも1つのパフの組成を監視するためのシステムおよび方法も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子気化器を用いて、ユーザによって行われるパフの組成を監視するためのシステムであって、前記気化器が、カートリッジ(11)を受容するように構成され、前記カートリッジが、気化性物質と、前記気化性物質の組成と関連付けられた識別タグ(23)と、を備え、
-各識別タグについて、蒸気生成条件パラメータとパフ組成との間のマッピングのリポジトリ(33)と、
-コントローラであって、
-前記電子気化器(1)から、前記電子気化器(1)に結合されたカートリッジ(11)の前記識別タグ(23)、および蒸気発生条件パラメータを受信し、前記パラメータが、パフ持続時間パラメータを含む、受信することと、
-各識別タグについて、蒸気生成条件パラメータとパフ組成との間のマッピングの前記リポジトリ(33)にアクセスすることと、
-前記リポジトリ(33)から、前記受信された蒸気生成条件パラメータおよび前記受信された識別タグに対応する前記パフ組成を検索することと、を行うように構成されている、コントローラと、を備える、システム。
【請求項2】
前記電子気化器(1)から受信された前記蒸気生成条件パラメータが、温度パラメータをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラが、前記パフの組成を健康監視システムに送信するように、かつ/または前記システムのディスプレイに前記パフの組成を提示するようにさらに構成されている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
電子気化器(1)を用いてユーザによって行われるパフの組成を監視するための方法であって、前記電子気化器(1)が、気化性物質と、前記気化性物質の組成に関連付けられた識別タグ(23)と、を備える、カートリッジ(11)に結合されており、前記方法が、
-電子気化器(1)から、
-前記カートリッジ(11)の前記識別タグ(23)、および
-前記パフの持続時間を表すパフ持続時間パラメータを含む蒸気生成条件パラメータを取得することと、
-各識別タグについて、蒸気生成条件パラメータとパフ組成との間のマッピングのリポジトリ(33)にアクセスすることと、
前記リポジトリ(33)から、前記取得した蒸気生成条件パラメータおよび前記識別タグ(23)に対応する前記パフ組成を検索することと、を含む、方法。
【請求項5】
前記蒸気生成条件パラメータが、温度パラメータをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記気化器が、電気抵抗素子を有する噴霧器(32)を備え、前記温度パラメータが、前記電気抵抗素子の温度であり、前記温度パラメータを取得することが、前記電気抵抗素子の抵抗値を検出することと、前記検出された抵抗および前記電気抵抗素子に印加された電圧に基づいて前記温度パラメータを判定することと、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記気化器が、電気抵抗素子を有する噴霧器(32)を備え、前記温度パラメータが、前記電気抵抗素子の温度であり、前記温度パラメータを取得することが、前記電気抵抗素子の温度を感知することと、前記感知された温度に基づいて前記温度パラメータを判定することと、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記パフの開始時間および/または前記パフの終了時間における前記温度パラメータを判定することを含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記検索されたパフ組成を健康監視システムおよび/または前記電子気化器のディスプレイに送信することをさらに含む、請求項4~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記リポジトリ(33)が、前記カートリッジの製造日、前記電気抵抗素子の材料、前記噴霧器の綿片の材料、または前記パフの吸引力から選択された少なくとも1つの追加のパラメータを用いて、各識別タグについて、前記蒸気生成条件パラメータおよび前記パフ組成をさらにマッピングする、請求項4~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータプログラム製品であって、前記プログラムがコンピュータよって実行されるときに、前記コンピュータに請求項4~10のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータによって実行されたときに、前記コンピュータに、請求項4~10のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
ユーザが気化器からパフを行うときに前記ユーザによって吸入される物質を気化させるための電子気化器(1)であって、前記気化器が、カートリッジ(11)を受容するように構成されており、前記カートリッジが、気化性物質と、前記気化性物質の組成と関連付けられた識別タグ(23)と、を備え、
-前記識別タグ(23)を読み取るための、かつパフ持続時間パラメータを含む蒸気生成条件パラメータを取得するためのセンサモジュールと、
前記気化器に結合されたカートリッジ(11)の前記蒸気生成条件パラメータおよび前記識別タグ(23)をパフ組成監視システムに送信するように構成された通信モジュールと、を備える、電子気化器(1)。
【請求項14】
前記センサモジュールによって取得された前記蒸気生成条件パラメータが、温度パラメータをさらに含む、請求項13に記載の電子気化器(1)。
【請求項15】
前記気化器(1)が、噴霧器(32)をさらに備え、前記噴霧器が、前記気化性物質を気化させるために通電されるように構成された少なくとも1つの電気抵抗素子を備え、前記センサモジュールが、前記電気抵抗素子の温度を取得すること、または前記電気抵抗素子の抵抗値を受信することによって、前記温度パラメータを取得する、請求項14に記載の電子気化器(1)。
【請求項16】
前記リポジトリ内にマッピングされた前記パフ組成が、少なくとも1つの化合物の重量での量を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記温度パラメータが、前記パフの開始および/または終了時の前記蒸気の温度に対応する、請求項2に記載のシステム。
【請求項18】
前記温度パラメータが、前記パフの開始および/または終了時の前記蒸気の温度に対応する、請求項14に記載の電子気化器(1)。
【請求項19】
前記気化器(1)が、前記検索されたパフ組成を表示するように構成された電子ディスプレイをさらに備える、請求項13~15のいずれか一項に記載の電子気化器(1)。
【請求項20】
前記電子ディスプレイが、前記パフ組成を検索するために使用される少なくとも1つの蒸気生成条件パラメータを表示するように構成されている、請求項19に記載の電子気化器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザが気化器から、または気化器を用いて、パフを行うときに、ユーザが吸入する物質を気化させるための電子気化器、およびユーザが電子気化器からまたは電子気化器を用いて行うパフの組成を監視するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子気化器は、タバコまたはパイプの代替品として現在一般的に使用されており、消費者は、取り外し可能な部品の形状および量が異なる、広範囲の異なる設計を見出すことができる。
【0003】
ほとんどの気化器は、カートリッジを使用しており、カートリッジには通常、蒸気に変換されるニコチン(他の物質の中でも)が一定量包含されている。ユーザが補充または変更することができない不正開封防止カートリッジの使用は、例えば、ユーザが一定期間にわたって消費するニコチンの量を推定するために有用であり得る。
【0004】
ユーザによって電子気化器で吸入された物質を正確に監視することは、ユーザが摂取した組成を報告するために、例えば、喫煙をやめようとするときの医療目的など、いくつかの目的に好都合であり得る。
【0005】
しかしながら、既知の監視システムは、一般に、電子気化器のユーザが実際に消費した物質および量に関する統計的または他の不正確な情報のみを提供する。使用中、気化器のカートリッジ内にあるいくつかの成分は、異なる要因に応じて、遅く、または速く、かつ異なる時間に蒸発し得る。さらに、場合によっては、物質の気化中に新しい成分が形成されることがある。例えば、ある期間にわたって気化器の噴霧器が到達した温度、噴霧器が既に前回のパフから高温にあること、またはパフの開始時に噴霧器が室温にあることは、成分の反応方法に影響を及ぼすことがあり、したがって、ユーザの最終的な摂取の組成を変化させる可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、ユーザが気化器からパフを行うときにユーザによって吸入される物質を気化させるための電子気化器が提示され、気化器は、カートリッジを受容するように構成され、カートリッジは、気化性物質と、気化性物質の組成と関連付けられた識別タグと、を備え、気化器は、
-識別タグを読み取るための、かつパフ持続時間パラメータ、および、いくつかの例では任意選択的に温度パラメータを含む蒸気生成条件パラメータを取得するためのセンサモジュールと、
-気化器に結合されたカートリッジの蒸気生成条件パラメータおよび識別タグをパフ組成監視システムに送信するように構成された通信モジュールと、を備える。
【0007】
本開示では、蒸気生成条件パラメータとは、蒸気生成を取り巻く条件に関するパラメータ、すなわち、カートリッジに包含される気化性物質の少なくとも一部が、ユーザによって吸入される電子気化器の動作の効果によって蒸気となる時間を意味する。蒸気生成条件パラメータは、例えば、物理パラメータ、動作パラメータまたは環境パラメータであり得る。
【0008】
一例によれば、気化器によって受容されるカートリッジ(気化器に結合され得る)は、気化性液体物質の形態で、化合物の組み合わせで事前充填され得、製造元によって不正開封防止シールで密封され得、それは、例えば、RFIDタグ、QRコード(登録商標)、バーコード、または他の同様の識別タグもしくはコードであり得る識別タグを備え得る。したがって、製造元は、各カートリッジを、その中の物質の特定の組成に関連付けられた特定のタグで識別し得、これは、シールを破壊することなく変更され得ない。
【0009】
異なる組成を有する液体は、気化されている間に異なる反応をし得、例えば、パフの温度および/または持続時間などの気体生成条件パラメータ(以下、条件パラメータ)は、液体気化性物質の各異なる化合物の反応を異なる方法で変化させ得る。例えば、いくつかの化合物は、異なる要因に応じて、異なる時間において、より遅くもしくはより速く蒸発し得るか、または場合によっては、新しい化合物を生成する可能性さえある。したがって、パフ組成監視システムは、条件パラメータ、例えば、温度に関連付けられているパラメータ、およびパフの持続時間を考慮し、さらに、製造元の仕様から変更されていない気化性物質の液体組成を考慮して、パフの蒸気組成を得ることを可能にし得る。パフ組成監視システムは、条件パラメータおよび液体組成物を、上述の条件下での気化性物質の最終蒸気組成物に関連付けられた既知のデータと、かつその液体組成物と比較することを可能にし得る。これは、製造元がカートリッジの蒸気組成として開示し得る、統計的に計算または平均化された蒸気組成よりもパフの蒸気組成をより正確にし得る。したがって、監視システムは、パフを行うときに、電子気化器を使用してユーザによって吸入された蒸気の組成を判定し得る。
【0010】
本開示によれば、蒸気生成条件パラメータは、パフが行われた条件に関連付けられ、例えば、それらは、パフが行われたときの温度に関連付けられ得る。より具体的には、温度パラメータは、気化性物質が気化する温度に関連する任意のパラメータ、またはこの温度を近似するのに役立ち得るパラメータであり得る。
【0011】
この温度パラメータは、とりわけ、液体が気化する温度によって蒸気組成が確立されるため、パフの(すなわち、その気化されたときの気化性物質の)蒸気組成を判定するのに役立つ。
【0012】
さらに、パフ持続時間パラメータは、気化器の作動(気化が始まるとき)とその非作動との間の持続時間と見なされ得、これは、異なる可能な方式で測定され得る。
【0013】
本開示の例によれば、気化器は、噴霧器をさらに備え得、噴霧器は、気化性物質を気化させるために通電されるように構成された少なくとも1つの電気抵抗素子を備え、センサモジュールは、電気抵抗素子の抵抗値を受信する。
【0014】
この例によれば、気化器は、使用中に、気化性物質を含むカートリッジに結合され得る噴霧器を収容する本体を備え得る。このような結合は、ユーザが、気化性物質を蒸気形態で吸入するために、噴霧器のスイッチをオンにすることによって、その温度を上げることによって、気化性物質を気化させることを可能にする。そのようなスイッチのオンは、例えば、オン/オフボタンを使用して、または吸引検出器を通して実行され得、吸引検出器は、気化器のマウスピース上の吸引圧力を検出すると、噴霧器をオンにし得る。
【0015】
この例によれば、噴霧器は、例えば、抵抗器または抵抗器のセットの形態の電気抵抗素子を備え得、抵抗器は、例えば、その中に絡み合う綿片を含む1つ以上のコイルとして形成され得、噴霧器は、コントローラに接続されている。さらに、噴霧器は、例えば、気化器の本体に収容された電池などの電源に接続され得る。このようにして、ユーザは、例えば、セレクタボタンを通して電気抵抗素子に印加される電圧を選択することを可能にし得、これは次に、電池から電気抵抗素子内への電気の流れを制御し得る。そのようなセレクタは、単独で、または前述のオン/オフボタンと組み合わせて見出され得る。
【0016】
電圧を選択すると、高い抵抗を有する電気抵抗素子は、その中を流れる電気が少ないことを示唆することになる。一方、抵抗が低い電気抵抗素子は、それを流れるより多くの電気を示唆し得、したがって、抵抗素子においてより多くの熱が発生し、したがって、より多くの蒸気が生成され得、これは、パフの蒸気の組成を変化させ得る(それに加えて、吸入時にユーザにとってより強い風味がもたらされる可能性が高い)。したがって、パフの組成は、気化されるときの気化性物質の温度に応じて変化し得、これは、使用される電圧および/または電気抵抗素子に応じて変化し得る。
【0017】
さらに、電気抵抗素子が加熱して液体気化性物質を気化させると、抵抗素子自体から、または噴霧器の内部の他の部分からの他の化合物も気化し、結果として生じるパフの予想される蒸気組成を変更し得る。
【0018】
したがって、電気抵抗素子の値が検出されると、感知された抵抗値および電気抵抗素子に印加された電圧に基づいて、温度パラメータがさらに検出され得る。
【0019】
より具体的には、センサモジュールは、電気抵抗素子の抵抗値を、その接続を通して検出することによって受信し得、これは、印加される電圧、および、例えば、識別タグにある他の蒸気生成パラメータと組み合わせて、実験データまたは温度計算から電気抵抗素子の温度が推定され得るパラメータのグループであり得、したがって、温度パラメータが取得される。
【0020】
識別タグにある前述の他の蒸気発生条件パラメータは、電気抵抗素子自体の抵抗値、抵抗素子の材料、抵抗素子の綿片の材料、またはカートリッジの製造日であり得、これは、液体が中に入った時間を示し得る。これらの蒸気生成条件パラメータのすべては、温度パラメータを推定するために使用され得る。
【0021】
代替的に、電気抵抗素子の抵抗値はまた、センサモジュールによって知られ得る(例えば、それ自体の内部に事前記録され得る)。
【0022】
識別タグにある蒸気発生条件パラメータは、パフの蒸気組成が、電気抵抗素子(例えば、コイルの形態)の材料および電気抵抗素子の組み合わせで使用される綿片に応じて変化し得るため、有用である。より具体的には、コイルおよび綿の両方は、それらが到達する温度に応じて、金属、ホルムアルデヒドなどの気化物質に反応して新しい化合物を添加し得、または気化プロセス中に液体気化性物質にある他の化合物と反応し得、したがって、パフの最終的な蒸気組成が変化する。カートリッジの製造日はまた、カートリッジ内の長期間の後に、内部の液体が空気と反応し、気化時にパフの組成を変更させ得るため、関連性があり得る。
【0023】
また、所定の電圧が電気抵抗素子に印加される場合、吸引力、抵抗素子の値および/または抵抗素子の材料に応じて、温度も推定され得る。したがって、パフの吸引力、ならびに抵抗値および/または材料は、温度を推定するために使用され得る。
【0024】
このようにして、パフ組成監視システムは、例えば、気化性物質を気化させるために使用される電力(抵抗値および印加される電圧から推測可能)を考慮し得る。
【0025】
さらに、パフ持続時間パラメータの測定の例は、前述のように、吸引検出器の作動と非作動との間の時間の測定であり得る。パフ持続時間パラメータは、例えば、電気抵抗素子のオン/オフを切り替え得る、気化器のオン/オフボタンの作動間の時間を測定することによっても測定され得る。
【0026】
代替的に、本開示の別の例によれば、気化器は、噴霧器をさらに備え得、噴霧器は、気化性物質を気化させるために通電されるように構成された少なくとも1つの電気抵抗素子を備え、気化器は、温度センサをさらに備え、温度センサは、電気抵抗素子の温度を感知する。
【0027】
電気抵抗素子の温度を感知することは、気化性物質が電気抵抗素子によって加熱されるため、有用な温度パラメータをもたらし得、パフの蒸気中の組成は、感知された温度に応じて変化し得る。
【0028】
感知した温度および、例えば、電気抵抗の材料によって、新たな化合物が発生することがあるため、電気抵抗素子の温度は、それ単独で、または液体気化性物質の組成、もしくは電気抵抗素子の材料など、他の既知のパラメータと組み合わせて、パフの蒸気組成を判定するのに有用であり得る。
【0029】
本明細書に開示される気化器の他の例では、ユーザがパフで吸入した組成を判定するために採用される気化器のセンサモジュールによって取得される蒸気生成条件パラメータは、温度パラメータを伴わない場合がある。さらに、そのような蒸気生成条件パラメータは、以下の詳細な説明に開示される特定のパラメータのうちの1つ以上を伴い得る。
【0030】
さらに、一例によれば、電子気化器は、検索されたパフ組成に基づいて、気化器によって生成された蒸気内で見出された少なくとも1つの化合物の量を監視するように構成された監視モジュールをさらに備え得る。さらに、監視モジュールはまた、検索されたパフ組成に基づいて、所定のレベルまたは1つ以上の特定の化合物が既に送達されたときに、気化器の蒸気の送達を阻止するようにプログラムされ得る。このような監視は、ユーザが少なくとも1つ以上のパフを行った場合に、単一のパフにわたって実施され得るか、または所定の期間にわたって実施され得る。
【0031】
このようにして、ユーザが吸入する特定の化合物の量が制御され得、化合物は、液体上または気化された組成内に既に存在していたかにかかわらず、例えば、気化性液体内で見出される有毒化合物、または気化プロセスで生成される有毒化合物である。かかる制御は、気化器が、例えば、禁煙のためのツールとして使用される場合に有用であり得、医師は、1日または1週間当たりのある量のニコチン摂取を処方し、したがって、ユーザに送達されるニコチンの実際の量を監視することによってニコチン摂取を制限することができる。さらに、化合物の摂取は、ユーザのニーズまたはカルテに応じて、そのような摂取を較正するために、阻止する代わりに徐々に減少され得る。このような減少または阻止は、気化器の蒸気出力を減少させるか、または徐々に減少させることによって実行され得る。
【0032】
代替的または追加的に、他の非毒性化合物の制御もまた、実行され得、1つ以上の化合物は、例えば、処方された薬物として使用され得る。このようにして、例えば、医師が、一定期間にわたって患者に送達される薬物の量を監視するような方法で、気化器をプログラムすることが可能であり得る。
【0033】
ユーザの蒸気摂取量、および1つ以上の化合物の摂取量のそのような監視は、例えば、気化器の電圧を変化させることによって、したがって、生成された蒸気の量を変化させることによって、および/または一定期間にわたってそれを変化させることによって、したがって、ユーザに送達される特定の化合物または複数の化合物の摂取を正確に変化させることによって制御され得る。
【0034】
ユーザの蒸気摂取内の任意の化合物の任意のタイプの監視は、例えば、電子気化器に存在するディスプレイ、またはユーザの詳細な摂取を示すスマートフォン上のアプリを通して、第三者(例えば、医師)に、またはユーザに表示され得る。かかる摂取は、部分的に(例えば、検索したパフ組成に基づいて、1つの特定の化合物、または摂取した化合物の群)または完全に表示され得る。
【0035】
さらに、電子気化器はまた、例えば、検索されたパフ組成(例えば、ユーザによって吸入され得る蒸気の各化合物の重量の量)、または前述のパフ組成を検索するために使用される蒸気生成条件パラメータを表示するように構成された電子ディスプレイを備え得る。このようにして、有用な情報は、ユーザ、または、例えば、ユーザに特定の治療を処方し得る医師のいずれかに送達され得、ユーザの摂取のルーチンを監視するために使用し、ユーザの将来の摂取を処方し、またはユーザを正確に治療するために既存の摂取を修正し得る。
【0036】
さらに、気化器はまた、カートリッジの各々について所定の送達時間で、処方された薬物を送達するために複数のカートリッジを使用するように構成され得る。したがって、薬物の厳密なスケジュール用量を必要とし得、かつ脳卒中を有する患者または高齢の患者など、正常な摂取を記憶または実行することが困難であり得る患者は、気化器を通して、対応する薬物を吸入することによって、それを所定の時間に摂取することが可能になり得る。さらに、プラセボカートリッジは、患者のルーチン内の摂取を容易にするために、処方された薬物充填カートリッジの中でスケジュールされ得る。
【0037】
気化性液体のいくつかの例は、本開示によるシステムを使用することによって気化されるために使用され得、各液体は、異なる気化性組成物を含み得る。本開示の異なる実施形態の例示的なリストは、以下の通りであり、異なる気化性組成物が列挙される。
【0038】
いくつかの実施形態では、気化性組成物は、水溶性物質またはその水溶性誘導体を含む。いくつかの実施形態では、気化性組成物は、グリコシル化物質、ポリマー誘導体化物質、および/または親水性バイオポリマーを含む。いくつかの実施形態では、気化性組成物は、薬物または生物活性を有する物質を含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、生物活性は、例えば、鎮痛作用、精神安定剤作用、抗炎症活性、気管支拡張作用、抗うつ作用、または降圧作用である。いくつかの実施形態では、鎮痛作用を有する薬物は、例えば、テトラヒドロカンナビノールである。いくつかの実施形態では、抗炎症活性を有する薬物は、コルチコステロイドである。例えば、コルチコステロイドは、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患の治療に使用される。いくつかの実施形態では、気管支拡張作用を有する薬物は、例えば、ベータ-2アドレナリン作動薬である。いくつかの実施形態では、気管支拡張作用を有する薬物は、例えば、ベクロメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、サルメテロール、フォルモテロール、またはビランテロールである。いくつかの実施形態では、降圧作用を有する薬物は、例えば、ベータ遮断薬である。特に、薬物は、例えば、アテノロールである。いくつかの実施形態では、精神安定剤作用および抗うつ作用を有する薬物は、例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)である。特に、薬物は、例えば、フルオキセチンである。
【0039】
本開示の別の態様によれば、電子気化器を用いてユーザによって行われるパフの組成を監視するためのシステムが提示され、気化器はカートリッジを受容するように構成され、カートリッジは、気化性物質と、カートリッジの識別タグと、備え、したがって、タグは、気化性物質の組成とも関連付けられ、システムは、
-各識別タグについて、蒸気生成条件パラメータとパフ組成との間のマッピングのリポジトリと、
-コントローラであって、
-電子気化器から、電子気化器に結合されたカートリッジの識別タグ、および蒸気発生条件パラメータを受信し、前記パラメータが、パフ持続時間パラメータを含む、受信することと、
-各識別タグについて、蒸気生成条件パラメータとパフ組成との間のマッピングのリポジトリにアクセスすることと、
-リポジトリから、受信された蒸気生成条件パラメータおよび受信された識別タグに対応するパフ組成を検索することと、を行うように構成されているコントローラと、を備える。
【0040】
開示されたシステムと組み合わせて使用され得る電子気化器は、本明細書に記載される任意の電子気化器であり得、また、気化性組成物を有するカートリッジを受容するのに好適な任意の他の種類の気化器であり得、カートリッジおよび/またはカートリッジに含まれる組成の識別に関する情報がシステムのコントローラに提供され得る。いくつかの実施形態では、気化器は、システムの一部であり得る。
【0041】
本開示によるシステムのリポジトリは、異なる気化性物質の複数の異なる組成について、異なる蒸気発生条件パラメータに応じて事前計算された重量(例えば、mg単位)の組成であり得るパフ組成を含み得る。複数の気化性物質の組成は、識別タグに基づいて既知であり、リポジトリは、各識別タグについて、したがって、各液体気化性物質組成について、例えば、異なる蒸気生成条件パラメータおよびそれらの組み合わせ下で気化性物質組成を気化させることを伴う試験のような、実験室での試験によって以前に計算された蒸気組成を有する。
【0042】
システムのいくつかの実施形態では、蒸気生成条件パラメータは、温度パラメータを含み、温度パラメータは、本明細書に開示されるいくつかの例では、例えば、電子気化器のセンサモジュールから取得され得る。
【0043】
電子気化器から取得された蒸気生成条件パラメータは、リポジトリ内の可能性のある蒸気生成条件パラメータと正確に一致しない場合があり、したがって、気化器からのパラメータをリポジトリ内にあるパラメータへ近似させることによって検索を実行しなければならない場合がある。この近似は、最も近いあり得る一致するパラメータの組成を平均化することによって、または気化器からのパラメータに近いリポジトリパラメータに関連付けられた組成の中から選択することによるものであり得る。
【0044】
さらに、システムは、識別タグおよび蒸気生成条件パラメータを電子気化器から受信するために、モバイルデバイス(例えば、スマートフォン)にコントローラが存在し得るように分散され得、モバイルデバイスは電子気化器に接続される。また、モバイルデバイスは、例えば、無線接続を通して、説明されるように、リポジトリにアクセスし、パフ組成を検索するために接続され得る。
【0045】
システムの他の可能な実施形態は、コントローラが、電子気化器に含まれ、コントローラが、電子気化器のモジュールから識別タグおよび蒸気発生条件パラメータを受信し(例えば、電子気化器内でそれらに電気的に接続されることによって)、コントローラが、例えば、無線接続を通じて、リポジトリにアクセスしてパフ組成を検索するために、説明されるように、リポジトリに接続される実施形態であり得る。
【0046】
さらに、この以前の事例のような他の実施形態では、リポジトリは、代替的に、電子気化器自体に埋め込まれ得る。
【0047】
このように、本開示による組成を監視するシステムを使用することにより、先に述べたような電子気化器を用いてユーザが行ったパフに対応する正確なパフ組成を得ることができるが、より正確な組成は、ユーザによって気化されている特定の気化性物質の実際の実在の蒸気から、実験室で予め計算されており、かつリポジトリに事前記憶されているので、液体の気化性物質の組成が一般的にパフとして気化するとどうなるかという統計的近似または予測よりも正確となる。
【0048】
本開示のさらなる例によれば、コントローラは、パフの組成を健康監視システムに送信するように、かつ/またはシステムのディスプレイにパフの組成を提示するようにさらに構成され得る。
【0049】
そのような健康監視システムは、本開示によるシステムから検索されたパフ組成または複数のパフ組成を使用して、ユーザの健康に関連する情報をさらに表示し得る。より正確には、例えば、健康監視システムは、ユーザによって吸入されたパフのパフ組成を使用して、ユーザによって吸入された有害な化合物の量を監視し、具体的には、例えば、ユーザのニコチン摂取を監視し得る。そのようなニコチン摂取は、ユーザが禁煙しようとしている場合に重要であり得、そのようなデータの表示は、ユーザにとって、またはユーザの禁煙計画を監視する医師にとって重要であり得る。他の健康監視システムは、一定期間を通してのユーザの蒸気摂取の組成を使用することなどによって、ユーザの健康に関連し得るさらなる情報のために組成を使用し得る。
【0050】
さらに、別の例によれば、コントローラは、少なくとも1つの蒸気生成条件パラメータを健康監視システムに送信し、かつ/またはシステムのディスプレイに少なくとも1つの蒸気生成条件パラメータを提示するようにさらに構成され得る。
【0051】
本開示の別の態様によれば、電子気化器を使用してユーザによって行われるパフの組成を監視するための方法が提示され、電子気化器は、気化性物質と、気化性物質の組成に関連付けられた識別タグと、を備える、カートリッジに結合されており、方法は、
-電子気化器から、
-カートリッジの識別タグ、および
-パフの持続時間を表すパフ持続時間パラメータを含む蒸気生成条件パラメータを取得することと、
-各識別タグについて、蒸気生成条件パラメータとパフ組成との間のマッピングのリポジトリにアクセスすることと、
-リポジトリから、取得された蒸気生成条件パラメータおよび識別タグに対応するパフ組成を検索することと、を含む。
【0052】
以前に開示した方法のステップを実行することにより、取得されたパフ組成は、気化性物質の液体組成、および物質が気化したときの蒸気の予想組成に基づく統計的近似または予測ではなく、パフの実際の蒸気組成が考慮されたリポジトリから検索されるので、ユーザによって行われたパフのパフ組成は、より正確に取得され得る。
【0053】
方法のいくつかの実施形態では、蒸気生成条件パラメータは、温度パラメータを含み、温度パラメータは、本明細書に開示されるいくつかの例では、例えば、電子気化器のセンサモジュールから取得され得る。
【0054】
本開示の例によれば、気化器は、電気抵抗素子を有する噴霧器を備え得、温度パラメータは、電気抵抗素子の温度であり、温度パラメータを取得するステップは、電気抵抗素子の抵抗値を検出することと、検出された抵抗および電気抵抗素子に印加された電圧に基づいて温度パラメータを判定することと、を含み得る。
【0055】
本開示の代替の例によれば、気化器は、電気抵抗素子を有する噴霧器を備え得、温度パラメータは、電気抵抗素子の温度であり、温度パラメータを取得するステップは、電気抵抗素子の温度と、感知された温度に基づいて温度パラメータを判定することと、を含み得る。
【0056】
本開示の一例によれば、本方法は、パフの開始時間において温度パラメータを判定することをさらに含み得る。
【0057】
パフの開始時の温度パラメータを考慮すると、例えば、電気抵抗素子がパフを行う前に予熱され得、電気抵抗素子が室温にある場合と比較して、最終パフ組成を変化させ得るため、最終パフ組成をより正確にし得る。
【0058】
本開示の別の例によれば、本方法は、検索されたパフ組成を健康監視システムおよび/または電子気化器のディスプレイに送信することをさらに含み得る。
【0059】
本開示の別の例によれば、本方法は、少なくとも1つの蒸気生成条件パラメータを健康監視システムおよび/または電子気化器のディスプレイに送信することをさらに含み得る。
【0060】
本開示の例によれば、本方法は、電子気化器を用いたユーザの各パフについて、少なくとも、パフ持続時間パラメータおよび温度パラメータを含む蒸気生成条件パラメータを取得するステップ、およびリポジトリにアクセスし、リポジトリからパフ組成を検索し、個々のパフ組成、または複数のパフから生じる組成を、健康監視システムおよび/または電子気化器のディスプレイに送信するステップを繰り返すこと、をさらに含み得る。
【0061】
このようにして、電子気化器を通して吸入することによって、ユーザの吸入の実際の蒸気組成(いくつかのパフを実行し得る)の正確な監視が、リアルタイムで達成され得る。
【0062】
本開示の別の例によれば、リポジトリは、カートリッジの製造日、電気抵抗素子の材料、噴霧器の綿片の材料、またはパフの吸引力から選択された少なくとも1つの追加のパラメータを用いて、各識別タグについて、蒸気生成条件パラメータおよびパフ組成をさらにマッピングし得る。
【0063】
本開示のさらなる例によれば、追加のパラメータの少なくとも一部は、識別タグに含まれ得る。
【0064】
本開示の別の態様によれば、コンピュータプログラム製品は、プログラムがコンピュータによって実行されるときに、コンピュータに前述の方法のステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラム製品が提示される。
【0065】
本開示の別の態様によれば、コンピュータによって実行されたときに、コンピュータに前述の方法のステップを実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体が提示される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】本開示の電子気化器の一例の部分分解図である。
【
図2A】本開示のカートリッジの例の斜視図である。
【
図5】本開示による、少なくとも1つのパフの組成を監視するためのシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は、本開示による電子気化器1の例の分解図を示し、気化器は、本体12および取り外し可能なカートリッジ11を備える。本体12は、電池(図示せず)およびコントローラ(図示せず)を収容し、本体12の一端における開口部15を通してカートリッジ11を受容する。この特定の実施形態では、カートリッジは、気化性物質を有する液体容器22と、カートリッジの気化性物質を気化させるために使用される電気抵抗素子(図示せず)を有する噴霧器とを備える。さらに、本体12は、噴霧器のオンおよびオフを切り替えるために使用されるオン/オフボタン14を備える。
【0068】
一方、コントローラは、蒸気生成条件パラメータを含むデータセットを取得するために、コントローラに内蔵され得るセンサモジュールを備える。さらに、コントローラはまた、取得されたデータセットをパフ組成監視システムに送信するための内蔵通信モジュールを備え得る。
【0069】
図2Aおよび
図2Bは、ユーザが蒸気を吸入するマウスピース21を有するカートリッジ11と、
図2Bの分解図に見られるように、抵抗器(噴霧器32の内部にある)の形態の電気抵抗素子をさらに備える噴霧器32とを示し、カートリッジは、気化器の本体12に結合されると、液体容器22の液体を気化させるためにそれを加熱するのに使用され、抵抗はコイルとして形成され、さらにコイルに沿って置かれた綿片を備え、液体を気化させるのに役立つ。噴霧器は、カートリッジが気化器の本体に結合されると、噴霧器を気化器の電池に接続する電気コネクタ24を有する。
【0070】
カートリッジは、気化される液体を含有する、不正開封防止になっている液体容器22をさらに備える。かかるカートリッジの例は、JUUL LABS(商標)およびmyBLU(商標)による市販のカートリッジであり得る。この例では、カートリッジは不正開封防止になっているため、ユーザは、液体容器22の内部の液体を補充または変更することができない。さらに、マウスピースには、空気を噴霧器に流入させるためのいくつかの穴があり、パフを行うことができる。カートリッジはまた、カートリッジを気化器の本体に固定したままにするための磁石カップリング(図示せず)と、カートリッジが気化器に結合されたときに、ユーザがマウスピース21を通して蒸気を吸引しているとき、および/またはユーザのパフの吸引力を検出するために、コントローラに接続される吸引検出器25と、をさらに備える。
【0071】
この例では、カートリッジ11が気化器の本体12に結合されると、噴霧器32の抵抗器は、抵抗器温度を感知するそのセンサモジュールを通してコントローラにさらに接続される。このように、抵抗器の温度を感知するとき、コントローラ内に内蔵された温度センサは、それ自体に接続された電気デバイスの正確な温度測定を容易に検出することができるため、非常に優れた測定が達成される。さらなる蒸気生成条件パラメータは、コントローラのセンサモジュールを通じて取得される。また、パフの吸引力は、カートリッジ11が気化器の本体12に結合されているときにもセンサモジュールに接続されている吸引検出器25を通して検出することができ、したがって、コントローラは、ユーザが吸引を開始するとき(パフが開始するとき)および/またはユーザによって実行されるパフの吸引力を検出することが許容される。さらなる条件パラメータについては、さらに説明する。
【0072】
さらに、カートリッジ11は、RFIDタグの形態の識別タグ23も備える。このようにして、カートリッジ11が気化器の本体12に結合されるとき、コントローラのセンサモジュールは、RFIDタグ23から識別を取得することができる。
【0073】
図3は、カートリッジ11の基部の別の図を示し、RFIDタグ23、噴霧器の電気コネクタ24、および吸引検出器25は、より詳細に見ることができる。
【0074】
図4は、抵抗器を気化器の電池およびコントローラの両方に接続するために、本体の受容端において、噴霧器の電気コネクタ24を受容する電気コネクタ27を備える、気化器の本体12のさらなる図を示す。さらに、本体12はまた、カートリッジ11が本体12に結合されると、カートリッジ11の吸引検出器25を気化器のコントローラのセンサモジュールに接続するコネクタ26を備える。このようにして、コントローラは、ユーザが噴霧器からマウスピースを通して蒸気を吸引しているとき、および/またはパフの吸引力を検出することができる。
【0075】
図5は、本開示によるパフ組成監視システムを組み込んだ、健康監視システムの一例を示す。本開示の例による電子気化器1は、無線ネットワーク32を通じてモバイルデバイス31に接続され、ネットワーク32はインターネットであり得、モバイルデバイス31は、この場合、医師が気化器のユーザの禁煙計画の進展を遠隔的に監視するための健康監視アプリを含むスマートフォンであり得る。代替的に、スマートフォン31は、電子気化器1を使用している間のユーザの蒸気摂取進展に関する情報を受信するために、ユーザ自身によって使用され得る。
【0076】
スマートフォン31はまた、インターネットであり得る無線ネットワーク30を介して、パフ組成リポジトリ33に接続され、この例では、本開示において前述されたように、パフ組成データベース33である。
【0077】
パフ組成データベース33は、複数の識別タグからなり、各々が、カートリッジ11と、カートリッジ11内にある液体の既知の組成と、に関連付けられる。各識別タグについて、すなわち、各カートリッジについて、データベースは、異なる蒸気生成条件およびそれらの対応する蒸気生成条件パラメータを有する、実験室での試験によって取得された複数の蒸気組成を有する。
【0078】
複数の気化された物質組成の各々は、パフの複数のまたは一組の蒸気発生条件パラメータに関連して分類される。そのような可能性のある条件パラメータのセットは、実験室で複製されている場合があり、条件パラメータのセットの各可能な条件パラメータで各液体組成物を気化させ(すなわち、異なる条件下でパフを実行する)、可能な組み合わせのセットの中の各特定の組み合わせについて正確な蒸気組成物の重量を測定し、したがって、セットから選択された蒸気生成条件パラメータの各組み合わせに対応する(気化された気化性物質、したがって、蒸気の形態の、重量での組成から)パフ組成を得る。
【0079】
すなわち、例えば、既知の液体物質のグループ(すなわち、それらの組成は、カートリッジが製造元からの識別タグによって識別されているために既知である)が、実験室で気化し、各パフの事前設定された数の可能な持続時間、事前設定された数の異なる温度などで、事前設定された数の可能性のあるパフを行う。
【0080】
そのような可能性のある蒸気生成条件パラメータは、以下のオープンリストから選択され得る:
-コイルの温度、
-コイルの抵抗値(例えば、オーム単位)、
-コイルに印加される電力(ワット単位またはコイルの電圧と抵抗)、
-パフの持続時間(秒単位)、
-抵抗材料(システムは、事前確立された可能性のある材料のセットを考慮し得る)、
-タンク内の酸素レベル、およびカートリッジ内にある物質が、タンク内の液体と接触した時間(例えば、カートリッジが10日間半空のままである場合、ニコチンが酸化してニトロソアミン化合物を形成することがあり、ほとんどが発癌性である)。
-カートリッジの製造日(カートリッジの識別タグを通して取得)。上記の場合と同様に、カートリッジの液体中にあるニコチンが酸化し得(カートリッジが新品の場合、液体容器内の空気が少ないので遅くなる)、数週間後にニトロソアミン化合物が形成され得る。
-吸引力:例えば、Kpa、ワット、アンペア、CFM(毎分立方フィート)またはAW(エアワット)で測定することができる、気流の力、またはユーザがパフまたは一定期間内に吸引または吸入した空気の量の測定値。このパラメータは、組成の取得の精度を増加させ得る。例えば、ユーザは、気化器のオン/オフボタンを押し得る(したがって、噴霧器の抵抗器をオンにする)が、5秒間空気を吸引していない場合がある。一方、抵抗器はその温度を上昇させた可能性があるが、気化性物質は実際には気化されていない場合がある。したがって、吸引力を考慮して、誤ったパフ検出が回避され得る。また、抵抗の温度は、噴霧器が液体物質を気化させている場合よりも速く上昇した場合がある。さらに、ユーザがパフ持続時間の一部のみの間に空気を吸引した場合、いくつかの液体物質が噴霧器内に固着している可能性があり、パフが終了すると、それは液体容器に戻り、さらに気化され得る。吸引力の測定と、吸引検出器のみで噴霧器のオンとオフを切り替えることとを組み合わせるとパフの誤検出、ならびに液体および/または気化した物質の他の組成変化を劇的に減少させ得る。
【0081】
そのような条件パラメータの変動に応じて、吸入された蒸気の成分は、異なる程度で変化し得る。したがって、気化性物質のセット(その組成は固定されており、既知の識別タグが関連付けられている)の気化を、一連の可能な条件パラメータの下、徹底的に実験室で分析することで、可能な蒸気パフ組成のデータベースが形成される。このようにして、ユーザは、同じ状況下で以前に検討され、その組成をデータベースから検索することができるいくつかの状況下(パラメータ、すなわち、他の可能な条件パラメータのうち、上述のオープンリストのパラメータで測定)で、複数のパフを行い得る。
【0082】
したがって、使用時には、電子気化器1のコントローラのセンサモジュールを通して条件パラメータのセットが取得され、識別タグがカートリッジを形成する。次に、取得されたセットおよび識別タグの両方が、インターネット接続32を通じて、データセットの形態で、気化器1のコントローラの通信モジュールを通してスマートフォン31に送信される。以下の図は、電子気化器1によって取得され、本開示の例に従ってスマートフォン31に送信されるデータセットの例を示す。スマートフォンは、データセットを受信すると、それを使用して、インターネット接続30を通じて、パフ組成データベース33から、ユーザによって行われた対応するパフの対応する蒸気組成を検索する。
【表1】
【0083】
この例では、コイル温度は、パフの終了時において気化器の噴霧器のコイルによって到達される温度であるが、他の温度、例えば、パフの開始時におけるコイルの温度、またはパフの開始から終了までの平均温度などが考慮され得る。
【0084】
また、e液体組成コードは、カートリッジの液体容器にある気化性物質の液体組成を識別するための、カートリッジの識別タグである。
【0085】
代替または追加のパラメータは、例えば、パフが完了した時刻、およびその時刻におけるユーザの場所(その地理的位置付けに基づく)であり得る。これらのパラメータは、ユーザの消費習慣またはパターンを判定するのに役立ち得、したがって、医師がユーザに適切な処方を設計するのに役立つ。次の図は、前述の条件パラメータの一例を示している。
【表2】
【0086】
この例によれば、非制限的な方法で、以下の成分のリストは、記載されたすべてのパラメータの下、実験室条件下で検出され得る。
【0087】
ニコチン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、クロノタールアルデヒド、タバコ由来の特異的ニトロサミン、カドミウム、クロム、銅、鉛、ニッケル、ヒ素、トルエン、ベンゼン、「1,3-ブタジエン」、イソプレン、ジアセチル、アセチルプロピオニル、ビタミンEアセテート、アセトイン、ベンズアルデヒド、酪酸、フルフラルデヒド、イソ酪酸、プロピオンアルデヒド、「2,3-ペンタンジオン」、プロピオン酸、「2,3-ヘキサンジオン」、「3,4-ヘキサンジオン」
【0088】
以下のチャートは、本実施例に従った、パフ組成データベース33から検索されたパフ組成の重量での例を示す。
【表3】
【0089】
本開示の実施例のパフ組成監視システムを使用することによって、組成は、蒸気の放出を考慮して取得されるため、ユーザが吸入した成分のより正確な分析が達成され、(すなわち、蒸発される前に)気化性物質の液体組成に基づいて得られる蒸気組成の近似ではない。
【0090】
電子気化器1に関連付けられたパフの条件パラメータの量が多いほど、ユーザによって実際に吸入されるより正確な(より現実に近い)蒸気組成がもたらされる。そのような蒸気組成は、電子気化器1の使用に応じて変化し得、例えば、大量の短いパフは、より少ないがより長いパフと比較して、吸入された物質の異なる蒸気組成をもたらし得、同じ量および種類の液体気化性物質を気化させる。
【0091】
さらに、蒸気組成はまた、噴霧器のコイルの綿の種類、またはコイルの材料に応じて異なり得る。例えば、気化性液体が少なくなり、噴霧器の綿が十分に液体を吸収することができないか、または使いすぎた場合、最後のパフは最初のパフ(カートリッジが液体でいっぱいな時)よりもホルムアルデヒドの量が多くなり得、ユーザにとって毒性が高い。また、そのような場合、抵抗器が過熱し、接触している綿の一部が燃焼し、より有害な金属成分を発生させる可能性がある。この場合、液体自体に存在しない新しい成分が形成され得るので、それらのパフの予想される蒸気組成を激しく変化させる。
【0092】
別の例は、液体が気化するために、異なる温度にさらされる場合であり得、液体の一部の化合物が気化し得、一方で、他の化合物が炭化し得るため、蒸気の化合物の量、したがってその組成は変化し得る。場合によっては、気化器を多用すると、コイルが汚れ得、化合物がクラストを形成してコイルに付着し得、炭化により新たな化合物を発生させるように燃焼することがある。このような新しい化合物は、気化性物質が気化しただけで発生すると予想される化合物の代替となり得る。いくつかの場合では、炭化により、通常の気化条件では形成しない、極めて毒性の高い予想外の化合物が形成される場合がある。
【0093】
要約すると、カートリッジに同封されている情報として通常表示されている、製造元による一般的に使用される予想吸入蒸気組成の計算は、ユーザによって行われる実際の最終的な吸入に近くない場合がある。
【0094】
図5の健康監視システムは、代替の実施形態を有し得、取得された1つ以上のパフの組成は、異なる目標を達成するための情報として使用され得る。
【0095】
例えば、本開示のパフ組成監視システムは、禁煙システムの一部として使用され得る。このようなシステムは、報酬および/または動機付けアプリの形態で、患者によって使用され得るか、または患者の禁煙計画の一部として、医師によって制御され得る。
【0096】
これらのシステムでは、ユーザの蒸気摂取量の組成を監視することで、ユーザのニコチン消費量を一定期間にわたって計算する。したがって、ニコチン摂取量の詳細なログは、電子気化器を使用して禁煙しようとする喫煙者が使用するカートリッジの数または種類を規制するために有用であり得る。より具体的には、喫煙者の蒸気摂取量に関するパターンは、いくつかの条件パラメータ(本開示のパフの組成の監視において考慮されるものの一部またはすべて)に起因して、ユーザのニコチン消費量が、処方されたものよりも高いニコチン摂取をもたらす可能性があるため、ユーザのためのカートリッジのタイプおよび量の第1の処方が好都合ではない可能性があることを示し得る。
【0097】
このようにして、医師(またはユーザ自身)は、「禁煙プラン」の目標を達成するために使用するカートリッジの数またはタイプを変更することができる。例えば、一般的な量の処方されたニコチンは、通常、1日40mgであるが、例えば、ユーザのパフの種類(短いパフおよび連続的パフ)により、通常、そのような摂取をもたらすカートリッジの規定数が、実際にはより多くのニコチン摂取(および/または他の有害物質の摂取)をもたらし得る。
【0098】
そのようなニコチン摂取ログは、例えば、ユーザまたは医師のいずれかの電話のアプリに表示され得る。アプリは、摂取記録を示し得、例えば、次のニコチン処方を判定するのに役立ち得る。
【0099】
ニコチン以外にも、ログは、自分では気づかないうちにアレルギーを引き起こす可能性のあるさらなる物質を検出するために、使用され得る。このようにして、摂取データは、ユーザがアレルギーを有する成分または複数の成分を特定するために、アレルギー症状と相互参照され得る。
【0100】
また、別の例では、アプリは、禁煙計画を開始してから終了するまでの患者の健康状態の進展を表示することもできる。アプリは、例えば、禁煙計画開始時に取得した肺活量測定データ、血流、または他の同様の健康パラメータと、計画終了後に取得した同じデータを比較することができる。このようにして、上述の健康パラメータの結果は、より正確な蒸気組成と比較され得、したがって、健康パラメータと患者が実際に吸入されたものとの間のより正確な相関因果効果がもたらされる。
【0101】
携帯用の肺活量測定キットは、コントローラが肺活量測定関連の健康パラメータを取得し、それを健康監視システムに送信するために、電子気化器に取り付けられて、一定期間の蒸気組成との相関研究に使用され得る。
【0102】
したがって、一般に、医師は、(特定の蒸気組成で)ユーザによる特定の蒸気摂取の効果をより正確に遠隔で追跡することが可能であり得、任意の健康パラメータをユーザの正確な吸入蒸気組成と相関させ、多くの可能性のある健康調査を取得する。
【0103】
さらに、例えば、モバイルデバイス内の情報アプリに表示されている場合、禁煙するために、同じ健康調査をユーザの動機付けツールとして使用することができる。したがって、ユーザの摂取蒸気組成を一定期間使用することによって取得された任意の健康調査のすべてのデータを、グラフィックでユーザに示すことができ、ユーザの特定の健康調査に関連する一般的な健康データを使用して、そのデータの健康影響に関する情報とリンクさせることができる。そのような一般的な健康データは、医療記事、調査、論文、ニュース、およびユーザに関連する他の関連情報の形態であり得る。
【0104】
また、それは、以前のユーザのタバコの摂取量と比較することができ、電子気化器の使用開始の前後の健康調査、およびユーザの摂取量の差を比較する。このようにして、ユーザは、特定の吸入煙組成を用いて1日に15本の煙草を喫煙していた可能性があり、今度は、より有害性の低い吸入蒸気組成を用いて蒸気量を摂取している可能性があり、これは、ユーザが喫煙の代わりに気化器を使用し続けるように動機付け、かつ、例えば、医師の処方に従うことができる。
【国際調査報告】