(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(54)【発明の名称】血栓形成を促進するための塞栓システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022547197
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(85)【翻訳文提出日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2021052625
(87)【国際公開番号】W WO2021156343
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/052757
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514222743
【氏名又は名称】クリアストリーム・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】カバナ,ミカエラ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD54
4C160DD65
(57)【要約】
ステム(110)と、ステムから外方に延在する複数の可撓性ブリストル(120)とを備え、ブリストルが、収縮送達構成と、デバイスを管腔内に係留するためにブリストルがステムから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有する、身体管腔(170)内での血栓形成を促進するための塞栓デバイス(100)。塞栓デバイスは、身体管腔を通る流れを制限するように構成された流量制限器を備える。流量制限器は、膜支持体(135)であって、収縮送達構成および拡張展開構成を有し、かつ、ステムから少なくとも径方向外方に延在する自己拡張型メッシュを備える、膜支持体(135)と、膜支持体(135)上に取り付けられた閉塞膜(130)と、を備える。閉塞メッシュ膜の閉塞率は、膜支持体の閉塞率よりも大きい。流量制限器は、第1の長手方向端部においてステムに取り付けられ、流量制限器は、開口した第2の長手方向端部をさらに備える。閉塞膜は、デバイスが展開されておりかつ膜支持体が拡張展開構成にあるときに管腔を通る流れを制限するように構成される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステムと、前記ステムから外方に延在する複数の可撓性ブリストルとを備える、身体管腔内での血栓形成を促進するための塞栓デバイスであって、前記ブリストルが、収縮送達構成と、前記デバイスを前記管腔内に係留するために前記ブリストルが前記ステムから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有し、前記塞栓デバイスが、
前記身体管腔を通る流れを制限するように構成された流量制限器
をさらに備え、前記流量制限器が、
膜支持体であって、収縮送達構成および拡張展開構成を有し、かつ、前記ステムから少なくとも径方向外方に延在する自己拡張型メッシュを備える、膜支持体と、
前記膜支持体上に取り付けられた閉塞メッシュ膜であって、前記閉塞メッシュ膜の閉塞率が前記膜支持体の閉塞率よりも大きい、閉塞メッシュ膜と、
を備え、
前記流量制限器が、第1の長手方向端部において前記ステムに取り付けられ、前記流量制限器が、開口した第2の長手方向端部をさらに備え、
前記閉塞膜が、前記デバイスが展開されておりかつ前記膜支持体が前記拡張展開構成にあるときに前記管腔を通る流れを制限するように構成される、塞栓デバイス。
【請求項2】
前記閉塞膜が、金属製メッシュ膜、好ましくはニチノール製メッシュ膜である、請求項1に記載の塞栓デバイス。
【請求項3】
前記自己拡張型メッシュが、第1の長手方向端部において前記ステムに取り付けられ、前記自己拡張型メッシュが、前記ステムに沿って長手方向に延在する管状セクションをさらに備え、前記管状セクションが、前記拡張展開構成において前記身体管腔に接触するように構成される、請求項1または2に記載の塞栓デバイス。
【請求項4】
前記閉塞膜が、前記自己拡張型メッシュの径方向外側に取り付けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項5】
前記閉塞膜が、第1の平均直径を有するワイヤの第1の網状組織を備え、前記自己拡張型メッシュが、第2の平均直径を有するワイヤの第2の網状組織を備え、前記第2の平均直径が、前記第1の平均直径よりも大きい、請求項1から4のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項6】
前記閉塞膜が、複数の孔を備え、前記閉塞膜の単位面積当たりの孔の数が、前記自己拡張型メッシュの単位面積当たりの孔の数よりも多い、請求項1から5のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項7】
前記閉塞膜が、200μm未満、好ましくは100μm未満の横方向範囲を有する複数の孔を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項8】
前記膜支持体を前記ステムに取り付けるように前記ステムおよび前記膜支持体を受け入れる管状コネクタをさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項9】
前記閉塞膜が、前記管状コネクタにより前記ステムに取り付けられる、請求項8に記載の塞栓デバイス。
【請求項10】
前記管状コネクタが、圧着コネクタである、請求項8または9に記載の塞栓デバイス。
【請求項11】
前記閉塞膜が、接着剤または溶接により前記膜支持体に取り付けられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項12】
前記流量制限器が、前記拡張展開構成において前記流量制限器がいずれのブリストルとも接触しないように、前記複数のブリストルから離間される、請求項1から11のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項13】
前記塞栓デバイスが、送達カテーテルから前記身体管腔へ遠位方向に送達されるように構成され、かつ、前記流量制限器から遠位に位置付けられたブリストルセグメントを備える、請求項12に記載の塞栓デバイス。
【請求項14】
ブリストルセグメントを備え、前記流量制限器が、長手方向において前記ブリストルセグメント内に配置されるか、または前記ブリストルセグメントに直接隣接して配置される、請求項1から11のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項15】
送達カテーテルから前記身体管腔へ遠位方向に送達されるように構成され、前記ブリストルセグメントが、近位ブリストルセグメントであり、前記塞栓デバイスが、前記近位ブリストルセグメントから前記遠位方向に離間された遠位ブリストルセグメントをさらに備える、請求項14に記載の塞栓デバイス。
【請求項16】
身体管腔内での血栓形成を促進するための塞栓デバイスを製造する方法であって、
ステムを提供するステップと、
前記ステムから外方に延在する複数の可撓性ブリストルを提供するステップであって、前記ブリストルが、収縮送達構成と、前記デバイスを前記管腔内に係留するために前記ブリストルが前記ステムから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有する、複数の可撓性ブリストルを提供するステップと、
収縮送達構成および拡張展開構成を有し、かつ、自己拡張型メッシュを備える、膜支持体を提供するステップと、
前記膜支持体に閉塞メッシュ膜を取り付けるステップであって、前記閉塞メッシュ膜が、前記膜支持体の閉塞率よりも大きい閉塞率を有する、閉塞メッシュ膜を取り付けるステップと、
前記膜支持体が前記ステムから少なくとも径方向外方に延在するように前記膜支持体を前記ステムに取り付けるステップであって、前記膜支持体が、収縮送達構成および拡張展開構成を有し、前記拡張展開構成の前記膜支持体の径方向輪郭が、前記収縮送達構成のものよりも大きい、前記膜支持体を前記ステムに取り付けるステップと、
を含み、
前記膜支持体が、第1の長手方向端部において前記ステムに取り付けられ、前記膜支持体が、開口した第2の長手方向端部をさらに備え、
前記閉塞膜が、前記デバイスが展開されておりかつ前記膜支持体が前記拡張展開構成にあるときに前記管腔を通る流れを制限するように構成される、方法。
【請求項17】
前記膜支持体を提供するステップ、前記膜支持体に前記閉塞膜を取り付けるステップ、および、前記膜支持体を前記ステムに取り付けるステップが、
自己拡張型管状メッシュを提供するステップと、
前記閉塞膜を前記管状メッシュの周りに巻いて前記管状メッシュに取り付けるステップと、
前記ステム上に管状コネクタを設けるステップと、
前記管状メッシュの端部を前記管状コネクタに挿入するステップと、
前記コネクタを圧着するステップと、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記閉塞膜が、前記管状メッシュが前記圧着コネクタによって前記ステムに接続される前に、前記管状メッシュの周りに巻かれて前記管状メッシュに取り付けられる、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収縮送達構成および塞栓デバイスを身体管腔内に係留するための拡張展開構成を有する塞栓デバイスを備える、身体管腔内での血栓形成を促進するための塞栓デバイスに関する。本開示はまた、塞栓デバイスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塞栓デバイスは、血栓形成を促進して最終的には血管を閉塞するために、医師により脈管構造内の特定の位置において展開され得る。典型的には、塞栓デバイスが、身体管腔内の展開点に達するまで、送達ワイヤを使用してガイド(送達)カテーテルを通して遠位方向に押し込まれる。要求される展開点にデバイスが達すると、デバイスはガイドカテーテルから展開される。
【0003】
塞栓デバイスは、送達カテーテルを通して押し込まれるときの収縮送達構成を有し、また、デバイスがガイドカテーテルから展開されて身体管腔内に位置付けられるときに、拡張展開構成に拡張する。塞栓デバイスは、拡張展開構成では、収縮送達構成のときよりも大きな径方向輪郭を有する。塞栓デバイスは、送達カテーテルによって再捕捉されてよく、したがって、身体管腔内で再展開される前に、拡張展開構成から収縮送達構成に戻ることができる。
【0004】
したがって、塞栓デバイスは、場合により複数回、収縮送達構成と拡張展開構成との間で移行する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
塞栓デバイスの種々の構成要素が、要素の性能を低下させることなく2つの構成間で移行することが必要とされている。例えば、塞栓デバイスの血管閉塞率が、展開された後でまたは再捕捉および再展開された後ですら低下しないことが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、ステムと、ステムから外方に延在する複数の可撓性ブリストルとを備え、ブリストルが、収縮送達構成と、管腔内にデバイスを係留するためにステムから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有する、身体管腔内での血栓形成を促進するための塞栓デバイスであって、塞栓デバイスが、身体管腔を通る流れを制限するように構成された流量制限器をさらに備え、流量制限器が、膜支持体であって、収縮送達構成および拡張展開構成を有し、かつ、ステムから少なくとも径方向外方に延在する自己拡張型メッシュを備える、膜支持体と、膜支持体上に取り付けられた閉塞メッシュ膜であって、その閉塞率が膜支持体の閉塞率よりも大きい、閉塞メッシュ膜と、を備え、流量制限器が、第1の長手方向端部においてステムに取り付けられ、流量制限器が、開口した第2の長手方向端部をさらに備え、閉塞膜が、デバイスが展開されておりかつ膜支持体が拡張展開構成にあるときに管腔を通る流れを制限するように構成される、塞栓デバイスが提供される。より高い膜の閉塞率は一般に、(例えば、破れまたは不要な折畳みに起因して)収縮送達構成から拡張送達構成に拡張する膜の能力に影響を及ぼすので、膜支持体の提供は、閉塞性が改善された閉塞膜が選択されることを可能にする。第1の長手方向端部においてステムに取り付けられかつ開口した第2の長手方向端部を有する流量制限器は、特定の血流方向に対する優れた係留性を持つ流量制限器を提供する。「開口した」という用語は、拡張展開構成では血流が第1の長手方向端部に向かって第2の長手方向端部を通過し得るように膜支持体および閉塞メッシュ膜がステムの周りで円周方向に延在することを意味すると理解され得る。流量制限器は、第1の長手方向端部において閉じられ、つまり、血流は、流量制限器の第1の長手方向端部を通過することを制限される。
【0007】
閉塞膜は、ニチノールなどの、金属製メッシュ膜であってよい。金属製メッシュ膜は、ポリマー膜と比較したときに、破れのおそれが著しく低減されている。
メッシュは、第1の長手方向端部においてステムに取り付けられてよく、メッシュは、ステムに沿って長手方向に延在する管状セクションをさらに備え、管状セクションは、拡張展開構成において身体管腔に接触するように構成される。メッシュは、閉塞膜の表面領域にわたって、閉塞膜に広範な支持を提供する。管状セクションは、ある長さに沿って身体管腔に接触し、したがって、身体管腔により大きな係留力を提供する。
【0008】
膜は、自己拡張型メッシュの径方向外側に取り付けられ得る。この構成は、製造するのがより簡便であり得る。
閉塞膜は、第1の平均直径を有するワイヤの第1の網状組織を備えることができ、自己拡張型メッシュは、第2の平均直径を有するワイヤの第2の網状組織を備えることができ、第2の平均直径は、第1の平均直径よりも大きい。メッシュのより大きな直径のワイヤは、閉塞膜に機械的強度を提供する。
【0009】
閉塞膜は、複数の孔を備えることができ、閉塞膜の単位面積当たりの孔の数は、自己拡張型メッシュの単位面積当たりの孔の数よりも多くてよい。自己拡張型メッシュは、閉塞膜のための足場として作用し、かつ、閉塞膜に機械的支持を提供する。
【0010】
閉塞膜は、200μm未満、好ましくは100μm未満の横方向範囲を有する複数の孔を備えることができる。つまり、孔の範囲は、孔を横切る所与の方向において、200μm未満、好ましくは100μm未満であり得る。この孔サイズの範囲は、低い孔隙率を提供し、したがって、デバイスを通る血流を妨げる。
【0011】
塞栓デバイスは、膜支持体をステムに取り付けるようにステムおよび膜支持体を受け入れる管状コネクタをさらに備え得る。閉塞膜は、管状コネクタによりステムに取り付けられ得る。管状コネクタは、圧着コネクタであってよい。管状コネクタまたは圧着コネクタの使用は、塞栓デバイスの製造を単純化し得る。
【0012】
閉塞膜は、接着剤または溶接により膜支持体に取り付けられ得る。
膜支持体および閉塞膜は、拡張展開構成において膜支持体および膜がいずれのブリストルとも接触しないように、複数のブリストルから離間され得る。この構成における膜支持体は、デバイスを管腔に係留するのに1つのブリストルセグメントしか必要とされないように、十分な係留力で管腔に係合し得る。
【0013】
塞栓デバイスは、送達カテーテルから身体管腔に遠位方向に送達されるように構成され、かつ、流量制限器から遠位に位置付けられたブリストルセグメントを備え得る。この構成における膜支持体は、近位ブリストルセグメントが塞栓デバイスに必要とされないように、身体管腔内で十分な係留力を提供し得る。
【0014】
塞栓デバイスは、ブリストルセグメントを備えることができ、流量制限器は、長手方向においてブリストルセグメント内に配置されるか、またはブリストルセグメントに直接隣接して配置され得る。
【0015】
塞栓デバイスは、送達カテーテルから身体管腔に遠位方向に送達されるように構成されてよく、ブリストルセグメントは、近位ブリストルセグメントであってよく、塞栓デバイスは、近位ブリストルセグメントから遠位方向に離間された遠位ブリストルセグメントをさらに備えることができる(すなわち、セグメント同士の間隔は、セグメント内のブリストル同士の間隔よりも大きい)。
【0016】
第2の態様によれば、身体管腔内の血栓形成を促進するための塞栓デバイスを製造する方法であって、ステムを提供するステップと、ステムから外方に延在する複数の可撓性ブリストルを提供するステップであって、ブリストルが、収縮送達構成と、デバイスを管腔内に係留するためにブリストルがステムから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有する、複数の可撓性ブリストルを提供するステップと、収縮送達構成および拡張展開構成を有し、かつ、自己拡張型メッシュを備える、膜支持体を提供するステップと、膜支持体上に閉塞メッシュ膜を取り付けるステップと、膜支持体がステムから少なくとも径方向外方に延在するように膜支持体をステムに取り付けるステップであって、膜支持体が、収縮送達構成および拡張展開構成を有し、拡張展開構成では、膜支持体の径方向輪郭が、収縮送達構成における径方向輪郭よりも大きい、膜支持体をステムに取り付けるステップと、を含み、膜支持体が、第1の長手方向端部においてステムに取り付けられ、膜支持体が、開口した第2の長手方向端部をさらに備え、閉塞膜が、デバイスが展開されておりかつ膜支持体が拡張展開構成にあるときに管腔を通る流れを制限するように構成される、塞栓デバイスを製造する方法が提供される。
【0017】
膜支持体を提供するステップ、膜支持体上に閉塞膜を取り付けるステップ、および、膜支持体をステムに取り付けるステップは、自己拡張型メッシュを提供するステップと、閉塞膜を管状メッシュの周りに巻いてそれに取り付けるステップと、ステム上に管状コネクタを設けるステップと、管状メッシュの端部を管状コネクタに挿入するステップと、コネクタを圧着するステップと、を含み得る。製造方法は、管状メッシュをステムに取り付けるのに圧着コネクタを使用することにより、簡易化されかつより確実なものとされ得る。
【0018】
閉塞膜は、管状メッシュが圧着コネクタによってステムに接続される前に、管状メッシュの周りに巻かれてそれに取り付けられ得る。これは、膜を管状メッシュに取り付ける工程を簡易化し得る。
【0019】
次に、本開示のより良好な理解を可能にするために、また、本開示がどのように実施され得るかを示すために、単なる例として、添付の概略的な図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】身体管腔への塞栓デバイスの送達工程の種々の段階における、本開示の1つまたは複数の実施形態による塞栓デバイスの側面図である。
【
図1B】身体管腔への塞栓デバイスの送達工程の種々の段階における、本開示の1つまたは複数の実施形態による塞栓デバイスの別の側面図である。
【
図1C】身体管腔への塞栓デバイスの送達工程の種々の段階における、本開示の1つまたは複数の実施形態による塞栓デバイスの別の側面図である。
【
図2A】
図2Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による別の塞栓デバイスの別の側面図である。
【
図2B】
図2Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、線A-Aにわたる
図2Aの塞栓デバイスの流量制限器の断面図である。
【
図3】本開示の1つまたは複数の実施形態による塞栓デバイスの側面図である。
【
図4】本開示の1つまたは複数の実施形態による別の塞栓デバイスの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示にわたって、「塞栓デバイス」という用語は、身体管腔内に恒久的にまたは半恒久的に埋め込まれ得るデバイスを意味し得る。したがって、「塞栓デバイス」は、数日間などのある期間にわたって身体管腔内に配置されるかまたは無期限に管腔内に配置されるように構成され得る。このために、「塞栓デバイス」は、身体管腔内に孤立して埋め込まれ得るように、送達要素から選択的に分離されるように構成され得る。
【0022】
本開示にわたって、「身体管腔」という用語は、人体または動物体の管状構造内の内側空間を意味し得る。「身体管腔」は、例えば、動脈または静脈であり得る。
本開示にわたって、要素の「収縮送達構成」という用語は、その要素の拡張展開構成よりも小さな径方向範囲を有する要素の構成を意味し得る。
【0023】
本開示にわたって、「係留すること(to anchor)」という用語は、要素をある位置に部分的にまたは完全に固定することを意味し得る。
本開示にわたって、「ステム」という用語は、デバイスのための背骨として作用するために塞栓デバイスの長さに沿って長手方向に延在しかつ塞栓デバイスのさらなる要素(例えば、複数の可撓性ブリストル)よりも著しく小さな径方向範囲を有する細長い要素を意味し得る。ステムは、実質的に、(例えば、塞栓デバイスが無拘束構成、収縮送達構成、および/または拡張展開構成にあるときに)複数の可撓性ブリストルの長手方向範囲全体に沿って延在し得る。ステムは、実質的に塞栓デバイスの全長に沿って延在してもよい。
【0024】
本明細書において説明される例のいずれかにおいて、「ブリストル」という用語は、実質的に単体で形成された材料の細長いストランドを意味し得る。「ブリストル」は、弾性ブリストルであってよい。弾性ブリストルは、特定の曲率を目指して付勢され得る。
【0025】
本開示にわたって、「径方向外方に(radially outwardly)」という用語は、要素がデバイスの長手方向にさらに延在することを除外しない。例えば、複数の可撓性ブリストルは、ステムから径方向外方にかつ長手方向に延在し得る。
【0026】
本開示にわたって、「径方向輪郭」という用語は、塞栓デバイスのステムから径方向外方の特定の方向における径方向範囲を意味し得る。例えば、塞栓デバイスは、収縮送達構成では、拡張展開構成のときよりも小さな径方向範囲を有する。
【0027】
複数の可撓性ブリストルは、収縮送達構成において、収縮された構成を有し得る。複数の可撓性ブリストルは、拡張展開構成において、拡張された構成を有し得る。複数のブリストルは、ステムを中心とした複数の円周方向において、ステムから径方向外方に延在し得る。
【0028】
拡張された構成では、複数の可撓性ブリストルは、身体管腔内にデバイスを係留するように構成され得る。複数の可撓性ブリストルは、身体管腔内の塞栓デバイスのための係留力の一部または実質的に全部を提供するように構成され得る。膜支持体は、身体管腔内の塞栓デバイスのための係留力の一部を提供するようにさらに構成され得る。
【0029】
拡張された構成では、複数の可撓性ブリストルは、身体管腔に接触するように構成され得る。
収縮送達構成では、ステムから外方に延在する複数の可撓性ブリストルは、デバイスの径方向範囲が要素の拡張展開構成の径方向範囲未満であるように、収縮される。収縮送達構成では、デバイスは、送達カテーテルの内側に嵌合する。
【0030】
ブリストルは、ステンレス鋼、エルジロイ(Elgiloy)、もしくはニチノールなどの、可撓性のまたは弾性的に変形可能な材料で作られ得る。任意の適切なポリマー、または任意の他の形状記憶金属もしくは金属合金などの、他の適切な材料が使用されてもよい。膜は、ステンレス鋼またはニチノールなどの材料で作られた金属製メッシュ膜であってよい。膜支持体は、ポリマー、ニチノール、またはステンレス鋼などの、任意の自己拡張型材料で作られ得る。ステムは、ステンレス鋼または他の適切な材料で作られてよく、かつ、そこからブリストルが延在しまたそこに流量制限器が取り付けられる撚線を備え得る。あるいは、ステムは、中空管を備えてもよく、その場合、中空管の壁は、径方向に延在するブリストルを所定の位置に保持する。例えば、管は、当技術分野でよく知られているように、熱収縮材料から形成され得る。あるいは、またはさらに、ブリストルは、接着剤などの他の手段を使用して、ステムによって保持されてもよい。
【0031】
個々の可撓性ブリストルの直径は、0.036mm(0.0014インチ)から0.053mm(0.0021インチ)に及び得る。例えば、個々の可撓性ブリストルの直径は、0.381mm(0.015インチ)、0.445mm(0.0175インチ)、または0.508mm(0.02インチ)であり得る。拡張された可撓性ブリストルの全体的な径方向直径は、5mmから30mmに及び得る。
【0032】
閉塞膜は、薄肉フィルム膜であり得る。例えば、閉塞膜は、4μmから35μmの厚さと、展開された構成における5mmから20mmの径方向直径とを有し得る。例えば、膜の直径は、6.5mm、9mm、または16mmであり得る。
【0033】
本明細書において説明される、示された実施形態では、同じ参照番号は、各例における対応する要素に対して使用される。
図1Aは、送達カテーテル160の内側に位置する塞栓デバイス100を示す。送達カテーテル160は、塞栓デバイス100を身体管腔170内の標的部位に向けて送達カテーテル160を通して近位方向に案内するために使用される。塞栓デバイスは、ステム110と、ステム110から概ね(すなわち、少なくとも)径方向外方に延在する複数のブリストル120とを備える。
図1Aでは、複数のブリストルは、送達カテーテル160の内側で収縮送達構成にある。塞栓デバイス100は、自己拡張型膜支持体(図示せず)に取り付けられた閉塞膜130を含む流量制限器をさらに備える。
【0034】
いくつかの例では、複数のブリストル120は、全て、収縮送達構成において径方向外方にかつ長手方向遠位に延在するか、収縮送達構成において径方向外方にかつ長手方向近位に延在するか、またはそれら2つの組合わせで延在し得る。示された例では、複数のブリストル120は、近位ブリストルセグメント120aおよび遠位ブリストルセグメント120bに分割される。近位ブリストルセグメント120aのブリストルは、収縮送達構成において径方向外方にかつ長手方向近位に延在するが、遠位ブリストルセグメント120bのブリストルは、収縮送達構成において径方向外方にかつ長手方向遠位に延在する。そのような構成は、展開されるとデバイスを身体管腔に効率的に係留する。
【0035】
示された例では、流量制限器は、近位ブリストルセグメント120aの遠位端部に隣接して位置するが、他の例では、流量制限器は、他の場所に位置してもよく、例えば、長手方向においてブリストルセグメントのうちの一方の範囲内に位置するか、近位ブリストルセグメント120aの近位端部に隣接して位置するか、または、遠位ブリストルセグメント120bの近位端部もしくは遠位端部に隣接して位置するなどしてよい。
【0036】
閉塞膜は、膜支持体よりも高い閉塞性を有する。言い換えれば、閉塞膜は、膜支持体よりも高い血管内での閉塞率をもたらす。膜支持体の存在により、流量制限器の必要構造強度が膜支持体によって提供されるので、閉塞膜の閉塞率は、流量制限器の必要構造強度に関して妥協することなしに、高くなるように選択され得る。
【0037】
閉塞膜は、メッシュ膜であってよい。メッシュ膜の使用は、細胞の付着および成長のための構造を提供し、したがって、デバイスの閉塞を強める。メッシュパターンサイズを縮小すること(すなわち、単位面積当たりの孔の数を増やすこと)は、血液接触表面積を増大させて、閉塞率の向上を促進する。これは、薄肉フィルム膜(すなわち、薄肉フィルム厚さを有する膜)を使用することによって達成され得るマイクロメッシュパターンに特に当てはまる。
【0038】
いくつかのデバイスは、ポリマー膜を使用し得る。ポリマー膜は、製造中または収縮送達構成と拡張展開構成との間でのデバイスの移行中に破れやすく、特に再捕捉および再展開されるときに、デバイスの有効性を低下させる。いくつかのデバイスは、ブリストルセグメントに隣接してまたは長手方向においてブリストルセグメント内に位置付けられた膜を有し得る。隣接するブリストルは、膜を収縮送達構成と拡張展開構成との間で受動的に案内する。しかし、薄肉フィルム膜の場合は特に、隣接するブリストルの受動的な力は、薄肉フィルム膜を収縮送達構成と拡張展開構成との間で確実に移行させることができない可能性がある(すなわち、確実な態様で膜を折り畳んだり広げたりするための適切な支持を膜に提供することができない可能性があり、そのことがデバイスの閉塞に影響を及ぼす可能性がある)。
【0039】
塞栓デバイスは、送達要素140を使用して、送達カテーテル160を通して案内される。送達要素140は、解放可能な接続機構150を介して塞栓デバイス100の近位端部に接続される。
【0040】
塞栓デバイスが身体管腔170内の標的部位まで送達されると、次いで、塞栓デバイスは、ブリストル120がデバイスを管腔170に係留するために拡張展開構成に拡張して身体管腔170の壁に係合するように、送達カテーテル160に対して遠位に移動される。この構成は、
図1Bに示されている。
【0041】
塞栓デバイスが身体管腔170内で不正確に設置されていることが判定された場合、塞栓デバイスは、送達カテーテル160によって再捕捉されて、身体管腔170内の新たな位置において再展開され得る。塞栓デバイス100の最終的な設置が正確であることが判定されると、塞栓デバイス100は、送達要素140から解放され、デバイス100は、身体管腔170内に埋め込まれる。これは、
図1Cに示されている。
【0042】
図2Aは、本開示による別の例示的な塞栓デバイス100を示す。デバイス100は、
図1Cに示されたものと同様に、拡張展開構成で示されている。
図1Aから
図1Cに示されたデバイスと同様に、塞栓デバイス100は、ステム110から径方向外方に延在する複数のブリストル120を備える。
図2Aに示されたデバイス100は、
図1Aから
図1Cを参照して説明されたのと同じ態様で身体管腔へ送達される。示された例では、ブリストル120は単一セグメント120bに含まれており、ブリストルは長手方向において遠位に延在しているが、他の例では他のブリストルの構成が使用されることが、当業者には明らかになるであろう。
【0043】
図2Aに示された例では、複数のブリストル120は、拡張展開構成では膜支持体および膜がいずれのブリストルとも接触しないように、閉塞膜130から離間される。
閉塞膜130は、自己拡張型膜支持体135上に取り付けられる。閉塞膜130は、メッシュ膜であり、膜支持体135は、閉塞膜が取り付けられる自己拡張型メッシュを備える。
図2Aに示されたデバイス100では、閉塞膜130は、膜支持体135の外側に取り付けられる。膜130は、膜130の径方向内側の膜支持体135を示すために、
図2Aの概略図の下半分から省略されている。膜130は、例えば接着剤または溶接などの任意の取付け手段により、膜支持体135に取り付けられ得る。
【0044】
閉塞膜130および膜支持体135を含む流量制限器は、第1の長手方向端部(
図2Aに示された左端部)においてステムに取り付けられる。第1の長手方向端部の反対側の第2の長手方向端部において、流量制限器は開口しており、つまり、膜支持体135および膜130は、どちらもステムから径方向に離れるように配置され、かつ、ステムを中心として円周方向に延在する。したがって、血流は、第1の長手方向端部に向かって第2の長手方向端部を通過することができる。流量制限器の第1の長手方向端部は閉じられており、つまり、血流は、第1の長手方向端部を越えて流れることを制限される。血液がこの方向に流れるときに、管腔170の壁に接触する流量制限器の部分に外向きに圧力が及ぼされ、したがって、流量制限器の係留性が向上する。したがって、一方の長手方向端部において開口している流量制限器を設けることにより、一方向における血流のための向上された係留が提供される。
【0045】
図2Bは、膜支持体135の径方向外側に取り付けられた閉塞膜130を示す、線A-Aにわたる
図2Aに示されたデバイスの断面図を示す。他の例では、膜130は、膜支持体135の径方向内側に取り付けられ得る。
【0046】
膜支持体135は、閉塞膜130を収縮送達構成と拡張展開構成との間で移行させるのに適した任意の自己拡張型構造体であり得る。例えば、膜支持体135は、自己拡張型メッシュを備え得る。メッシュ膜支持体は、膜130の表面領域にわたる支持を提供し、かつ、膜130が確実な態様で収縮送達構成と拡張展開構成との間で移行することを保証する。
図2Aに示された例では、膜支持体135は、自己拡張型メッシュを備える。自己拡張型メッシュは、第1の長手方向端部においてステム上に取り付けられ、かつ、第1の長手方向端部からステムに沿って長手方向に延在する管状セクションをさらに備える。管状セクションは、
図2Aに示されるように展開された構成では流量制限器が身体管腔170に当接するように、弛緩した非拘束の構成ではその長さに沿って身体管腔170よりも大きな直径を有するように構成され得る。膜130は、自己拡張型メッシュの径方向外側に取り付けられる(しかし、他の例では、膜130は、径方向内側で自己拡張型メッシュ上に取り付けられ得る)。膜支持体135は、溶接または接着剤などの任意の適切な手段により、ステム上に取り付けられ得る。膜130はまた、ステム上に直接取り付けられ得るか、または、膜支持体135を介してステム上に取り付けられ得る。示された例では、自己拡張型メッシュの第1の長手方向端部(すなわち、ステム上のメッシュの取付け点)は、管状セクションに対して近位に位置付けられるが、他の例では、取付け点は、管状セクションに対して遠位に位置付けられ得る。管状セクションの長手方向長さは、所与の塞栓デバイスに適切に選択され得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0047】
図3は、本開示によるさらなる例示的な塞栓デバイス100を示す。デバイス100は、膜支持体135がステム110上に取り付けられる態様以外は、
図2Aに示されたデバイスに似ている。したがって、ブリストル120、膜130および135の種々の代替的な構成について
図2Aおよび2Bに関連して開示された変形形態はまた、
図3に示されたデバイスに対しても考慮される。すなわち、示されたもの以外のブリストルの構成が、他の例で使用される。膜130は、例えば接着剤または溶接などの任意の取付け手段により、膜支持体に取り付けられ得る。膜130は、膜支持体135の径方向内側に取り付けられ得る。膜支持体135は、閉塞膜130を収縮送達構成と拡張展開構成との間で移行させるのに適した任意の自己拡張型構造体であり得る。膜支持体135は、自己拡張型メッシュを備え得る。自己拡張型メッシュの取付け点は、メッシュの管状セクションに対して遠位に位置付けられ得る。
【0048】
図2Aおよび
図2Bに関して開示された例では、膜支持体135(および、場合により、膜130)は、溶接または接着によりステム上に取り付けられるが、
図3のデバイス100では、膜支持体135(および、場合により、膜130)は、管状コネクタ300によりステム110上に取り付けられる。管状コネクタ300は、圧着コネクタであり得る。デバイス100の製造時に、膜支持体135(および、場合により、膜130)は、コネクタ300内に挿入され得(コネクタ300はステム110を受け入れる)、次いで、コネクタ300は、膜支持体135(および、場合により、膜130)をステム110にしっかりと固定するために圧着され得る。
【0049】
図4は、本開示によるさらなる例示的な塞栓デバイス100を示す。デバイス100は、非拘束構成で示されている。
図1Aから
図3に示されたデバイスと同様に、塞栓デバイス100は、ステム110から径方向外方に延在する複数のブリストル120を備える。
図4に示されたデバイス100は、
図1Aから
図1Cに関連して説明されたのと同じ態様で身体管腔へ送達される。
図1Aから1Cに示されたデバイスの場合のように、デバイス100は、近位ブリストルセグメント120aおよび遠位ブリストルセグメント120bを備える。デバイスは、自己拡張型膜支持体135上に取り付けられた閉塞膜130をさらに備える。この例では、膜130は、長手方向において近位ブリストルセグメント120aのブリストル内に配置される。膜130は、例えば接着剤もしくは溶接の任意の取付け手段により、または、
図3に示されたものに類似した圧着コネクタにより、膜支持体に取り付けられ得る。膜130は、膜支持体135の径方向外側または径方向内側に取り付けられ得る。
【0050】
図2および
図3に示された例におけるように、膜支持体135は、すでに説明された自己拡張型メッシュなどの、閉塞膜130を収縮送達構成と拡張展開構成との間で移行させるのに適した任意の自己拡張型構造体であってよい。
図4に示された例では、支持体135は、第1の長手方向端部においてステム上に取り付けられる自己拡張型メッシュを備える。示された例では、管状メッシュの第1の長手方向端部は、自己拡張型メッシュの管状セクションに対して遠位に位置付けられるが、他の例では、第1の長手方向端部は、自己拡張型メッシュの管状セクションに対して近位に位置付けられ得る。
【0051】
なおもさらなる例では、
図4に示された閉塞膜130は、長手方向において近位セグメント120aまたは遠位セグメント120bに隣接して配置され得る。例えば、膜130は、長手方向において近位セグメント120aの近位側もしくは遠位側で近位セグメント120aに隣接して配置され得るか、または、長手方向において遠位セグメント120bの近位側もしくは遠位側で遠位セグメント120bに隣接して配置され得る。
【0052】
本開示による種々の塞栓デバイス100は、以下の方法、すなわち、
- ステムを提供し、
- 収縮送達構成とデバイスを管腔内に係留するためにブリストルがステムから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有する、ステムから外方に延在する複数の可撓性ブリストルを提供し、
- 自己拡張型膜支持体を提供し、
- 膜支持体に閉塞膜を取り付け、
- 収縮送達構成と構造体の径方向輪郭が収縮送達構成のときよりも大きい拡張展開構成とを有する膜支持体をステムから少なくとも径方向外方に延在するようにステムに取り付ける
方法であって、
閉塞膜が、デバイスが展開されておりかつ膜支持体が拡張展開構成にあるときに管腔を通る流れを制限するように構成される、方法によって製造され得る。
【0053】
上記方法のステップは、必ずしも時間的な順序で提示されていないことが留意される。例えば、ブリストルは、膜支持体がステムに取り付けられる前またはその後に、ステムに設けられ得る。同様に、膜支持体は、閉塞膜が膜支持体に取り付けられる前またはその後に、ステムに取り付けられ得る。他の変形形態が当業者に明らかになるであろう。
【0054】
いくつかの例では、方法は、
- 自己拡張型管状メッシュを提供するステップと、
- 閉塞膜を管状自己拡張型メッシュの周りに巻いてメッシュに取り付けるステップと、
- ステムに管状コネクタを設けるステップと、
- 管状メッシュの端部を管状コネクタに挿入するステップと、
- コネクタを圧着するステップと、
を含み得る。
【0055】
ステップは必ずしも時間的な順序で提示されていないことが再度留意される。例えば、膜は、管状メッシュの端部が管状コネクタに挿入される前またはその後、およびコネクタが圧着される前またはその後に、管状メッシュの周りに巻かれてそれに取り付けられてもよい。同様に、管状コネクタは、管状メッシュの端部が管状コネクタに挿入される前または後にステムに設けられてもよい。他の変形形態が当業者に明らかになるであろう。
【0056】
以下の表1は、インプラントの例示的な寸法を含む。
【0057】
【0058】
上記のことの全ては、完全に本開示の範囲内にあり、かつ、上記で開示された特定の組合せに限定することなしに、上記で説明された特徴の1つまたは複数の組合せが適用される代替的な実施形態のための基礎を形成すると考えられる。
【0059】
このことを踏まえると、本開示の教示を実施する多くの代替形態が存在するであろう。当業者が、当技術分野における彼の通常の一般的知識に照らして、開示されたまたは上記のことから導き出せる上記の開示の一部のまたは全ての技術的効果を保持したままで、上記の開示を本開示の範囲内でそれ自体の状況および要件に合うように変更しかつ適合させることが可能となることが、期待されている。全てのそのような均等物、変更形態、または翻案が、本開示の範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステムと、前記ステムから外方に延在する複数の可撓性ブリストルとを備える、身体管腔内での血栓形成を促進するための塞栓デバイスであって、前記ブリストルが、収縮送達構成と、前記デバイスを前記管腔内に係留するために前記ブリストルが前記ステムから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有し、前記塞栓デバイスが、
前記身体管腔を通る流れを制限するように構成された流量制限器
をさらに備え、前記流量制限器が、
膜支持体であって、収縮送達構成および拡張展開構成を有し、かつ、前記ステムから少なくとも径方向外方に延在する自己拡張型メッシュを備える、膜支持体と、
前記膜支持体上に取り付けられた閉塞メッシュ膜であって、前記閉塞メッシュ膜の閉塞率が前記膜支持体の閉塞率よりも大きい、閉塞メッシュ膜と、
を備え、
前記流量制限器が、第1の長手方向端部において前記ステムに取り付けられ、前記流量制限器が、開口した第2の長手方向端部をさらに備え、
前記閉塞メッシュ膜が、前記デバイスが展開されておりかつ前記膜支持体が前記拡張展開構成にあるときに前記管腔を通る流れを制限するように構成される、塞栓デバイス。
【請求項2】
前記閉塞メッシュ膜が、金属製メッシュ膜、好ましくはニチノール製メッシュ膜である、請求項1に記載の塞栓デバイス。
【請求項3】
前記自己拡張型メッシュが、第1の長手方向端部において前記ステムに取り付けられ、前記自己拡張型メッシュが、前記ステムに沿って長手方向に延在する管状セクションをさらに備え、前記管状セクションが、前記拡張展開構成において前記身体管腔に接触するように構成される、請求項1または2に記載の塞栓デバイス。
【請求項4】
前記閉塞メッシュ膜が、前記自己拡張型メッシュの径方向外側に取り付けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項5】
前記閉塞メッシュ膜が、第1の平均直径を有するワイヤの第1の網状組織を備え、前記自己拡張型メッシュが、第2の平均直径を有するワイヤの第2の網状組織を備え、前記第2の平均直径が、前記第1の平均直径よりも大きい、請求項1から4のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項6】
前記閉塞メッシュ膜が、複数の孔を備え、前記閉塞メッシュ膜の単位面積当たりの孔の数が、前記自己拡張型メッシュの単位面積当たりの孔の数よりも多い、請求項1から5のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項7】
前記閉塞メッシュ膜が、200μm未満、好ましくは100μm未満の横方向範囲を有する複数の孔を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項8】
前記膜支持体を前記ステムに取り付けるように前記ステムおよび前記膜支持体を受け入れる管状コネクタをさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項9】
前記閉塞メッシュ膜が、前記管状コネクタにより前記ステムに取り付けられる、請求項8に記載の塞栓デバイス。
【請求項10】
前記管状コネクタが、圧着コネクタである、請求項8または9に記載の塞栓デバイス。
【請求項11】
前記閉塞メッシュ膜が、接着剤または溶接により前記膜支持体に取り付けられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項12】
前記流量制限器が、前記拡張展開構成において前記流量制限器がいずれのブリストルとも接触しないように、前記複数のブリストルから離間される、請求項1から11のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項13】
前記塞栓デバイスが、送達カテーテルから前記身体管腔へ遠位方向に送達されるように構成され、かつ、前記流量制限器から遠位に位置付けられたブリストルセグメントを備える、請求項12に記載の塞栓デバイス。
【請求項14】
ブリストルセグメントを備え、前記流量制限器が、長手方向において前記ブリストルセグメント内に配置されるか、または前記ブリストルセグメントに直接隣接して配置される、請求項1から11のいずれか一項に記載の塞栓デバイス。
【請求項15】
送達カテーテルから前記身体管腔へ遠位方向に送達されるように構成され、前記ブリストルセグメントが、近位ブリストルセグメントであり、前記塞栓デバイスが、前記近位ブリストルセグメントから前記遠位方向に離間された遠位ブリストルセグメントをさらに備える、請求項14に記載の塞栓デバイス。
【請求項16】
身体管腔内での血栓形成を促進するための塞栓デバイスを製造する方法であって、
ステムを提供するステップと、
前記ステムから外方に延在する複数の可撓性ブリストルを提供するステップであって、前記ブリストルが、収縮送達構成と、前記デバイスを前記管腔内に係留するために前記ブリストルが前記ステムから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有する、複数の可撓性ブリストルを提供するステップと、
収縮送達構成および拡張展開構成を有し、かつ、自己拡張型メッシュを備える、膜支持体を提供するステップと、
前記膜支持体に閉塞メッシュ膜を取り付けるステップであって、前記閉塞メッシュ膜が、前記膜支持体の閉塞率よりも大きい閉塞率を有する、閉塞メッシュ膜を取り付けるステップと、
前記膜支持体が前記ステムから少なくとも径方向外方に延在するように前記膜支持体を前記ステムに取り付けるステップであって、前記膜支持体が、収縮送達構成および拡張展開構成を有し、前記拡張展開構成の前記膜支持体の径方向輪郭が、前記収縮送達構成のものよりも大きい、前記膜支持体を前記ステムに取り付けるステップと、
を含み、
前記膜支持体が、第1の長手方向端部において前記ステムに取り付けられ、前記膜支持体が、開口した第2の長手方向端部をさらに備え、
前記閉塞メッシュ膜が、前記デバイスが展開されておりかつ前記膜支持体が前記拡張展開構成にあるときに前記管腔を通る流れを制限するように構成される、方法。
【請求項17】
前記膜支持体を提供するステップ、前記膜支持体に前記閉塞メッシュ膜を取り付けるステップ、および、前記膜支持体を前記ステムに取り付けるステップが、
自己拡張型管状メッシュを提供するステップと、
前記閉塞メッシュ膜を前記管状メッシュの周りに巻いて前記管状メッシュに取り付けるステップと、
前記ステム上に管状コネクタを設けるステップと、
前記管状メッシュの端部を前記管状コネクタに挿入するステップと、
前記コネクタを圧着するステップと、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記閉塞メッシュ膜が、前記管状メッシュが前記圧着コネクタによって前記ステムに接続される前に、前記管状メッシュの周りに巻かれて前記管状メッシュに取り付けられる、請求項17に記載の方法。
【国際調査報告】