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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/14 20060101AFI20230330BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
A47C7/14
A47C7/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547769
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(85)【翻訳文提出日】2022-09-23
(86)【国際出願番号】 EP2021054279
(87)【国際公開番号】W WO2021165522
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】20158890.2
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522311060
【氏名又は名称】アエテロン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】AETERON GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】シューラー, ハンズ
(72)【発明者】
【氏名】ブラゴイ, フラフィウ
(72)【発明者】
【氏名】ドロトレフ, ダニエル
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084EB05
3B084EC01
(57)【要約】
本発明は、椅子ベース(1)と、それに接続された座席部(5、6、7、8)と、それに接続された背もたれ(9、16、17)とを有する椅子であって、座席部(5、6、7、8)が、少なくとも1つの水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動可能であり、背もたれ(9、16、17)が、空間的に調整可能である、椅子に関する。座席部(5、6、7、8)は、互いに対して調整されることができ、動作位置が個別に調整されることができる少なくとも3つの座席要素(5、6、7)を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子ベース(1)と、関連する座席部(5、6、7、8)と、関連する背もたれ(17)とを備え、少なくとも1つの水平軸又は傾斜した水平軸によって前記座席部(5、6、7、8)が回動可能である、椅子であって、
前記座席部(5、6、7、8)が臀部領域用の座面(8)を有し、
前記座席部の水平回動軸が、前記座席部の前記座面(8)のほぼ中央上方に配置され、それによって前記水平回動軸が、人の股関節軸とほぼ同軸である、
ことを特徴とする、椅子。
【請求項2】
前記背もたれ(17)が空間的に調整可能であり、少なくとも部分的に前記背もたれに沿って延在する前記背もたれの座席が、互いに関節式に接続された上下に配置された複数の椎骨要素(16)を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記座席部(5、6、7、8)及び前記背もたれ(17)のいずれかが、第1の共通の水平軸又は傾斜した水平軸に垂直に配置された第2の共通の水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動及びロックされることができ、又は、前記座席部(5、6、7、8)及び前記背もたれ(17)が、互いに独立しており、第2及び第3の独立した水平軸又は傾斜した水平軸に垂直な第3の水平軸又は傾斜した水平軸及び少なくとも第4の水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動及びロックされる、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の椅子。
【請求項4】
前記座席部(5、6、7、8)が、座席脚凹部(5a)を有する座席シェル(5)と、座席クッション(8)と、サドル湾曲部(6)と、脚支持体(7)とを有し、前記座席シェル(5)内に前記座席クッション(8)が配置され、及び/又は
前記サドル湾曲部(6)及び前記脚支持体(7)が前記座席シェル(5)に接続され、及び/又は
前記サドルアーチ(6)及び前記脚支持体(7)が、共通の水平軸又は傾斜した水平軸を中心として旋回及びロックされることができ、及び/又は前記サドルアーチ(6)及び前記脚支持体(7)が、互いに独立して旋回及びロックされることができる、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の椅子。
【請求項5】
前記座席部(5、6、7、8)が、その少なくとも第1の端部において前記椅子ベース(1)に接続されたベースアーム(2)と、その少なくとも第1の端部に前記ベースアーム(2)のさらなる端部又は部分において接続されたベースアーム(2)と、前記傾斜モジュール(3)のさらなる端部又は部分に接続された第1の端部又は部分に接続された座席アーム(4)とによって前記椅子ベース(1)に接続され、前記座席アーム(4)の少なくとも1つのさらなる端部が、バックアーム(10)の少なくとも第1の端部を有し、前記バックアーム(10)の前記少なくとも第1の端部が、前記座席パン(5)の少なくとも第1の端部に接続され、
前記バックアーム(10)の他端又は部分が、前記背もたれ(17)の一方の端部及び仙骨支持体(9)に接続されている、
ことを特徴とする、請求項4に記載の椅子。
【請求項6】
前記ベースアーム(2)が、水平軸又は傾斜した水平軸を中心として前記椅子ベース(1)に対して回動及び固定されることができ、及び/又は
前記傾斜モジュール(3)が、水平軸又は傾斜した水平軸を中心として前記ベースアーム(2)に対して回動及び固定されることができ、及び/又は
前記座席アーム(4)が、前記ベースアーム(2)と前記傾斜モジュール(3)との間の軸に対して垂直に配置された水平軸又は傾斜した水平軸を中心として前記傾斜モジュール(3)に対して旋回及び固定されることができ、及び/又は
前記座席アーム(4)及び前記座席シェル(5)に対する前記バックアーム(10)が互いに独立して旋回及び固定されることができ、又は、前記座席アーム(4)及び前記バックアーム(10)に対する前記座席シェル(5)が互いに独立して水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動及び固定されることができる、
ことを特徴とする、請求項5に記載の椅子。
【請求項7】
前記椅子が、空間的に調整可能なヘッドレスト(18、19)を有する、
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の椅子。
【請求項8】
前記ヘッドレスト(18、19)が、前記背もたれ(17)のさらなる端部に接続された第1の端部と、最終椎骨(18)のさらなる端部に接続されたヘッドレスト(19)とを有し、
前記ヘッドマウント(19)が、前記最終椎骨(18)の垂直の又は傾斜した垂直ガイドに沿って変位されることができ、前記ガイドに垂直な水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動及びロックされることができる、
ことを特徴とする、請求項7に記載の椅子。
【請求項9】
特に請求項1から8のいずれか一項に記載の椅子の背もたれ用のレセプタクルであって、
複数の椎骨要素(16)が上下に配置され、それらが関節式に互いに接続されている、
ことを特徴とする、レセプタクル。
【請求項10】
前記椎骨要素間の関節式接続がボールソケットジョイント(16a、16h)を有する、
ことを特徴とする、請求項9に記載のレセプタクル。
【請求項11】
各椎骨要素(16)が少なくとも1つのボール(16a)及び少なくとも1つのソケット(16h)を有する、
ことを特徴とする、請求項9又は10に記載のレセプタクル。
【請求項12】
椎骨要素(16)のボール(16a)及びソケット(16h)が、それぞれの隣接する前記椎骨要素(16)の個々の接続手段として、前記椎骨要素(16)の異なる側、好ましくは反対側に設けられる、
ことを特徴とする、請求項10又は11に記載のレセプタクル。
【請求項13】
前記椎骨要素(16)が、前記椎骨要素(16)間の前記関節式接続部を方向的に安定化させる弾性張力付与要素(16e)によって、前記椎骨要素の互いに対する事前定義可能な整列、好ましくは前記レセプタクルの垂直方向の全体的な整列に接続される、
ことを特徴とする、請求項9から12のいずれか一項に記載のレセプタクル。
【請求項14】
前記張力付与要素(16e)が、それぞれ隣接する椎骨要素(16)を互いに接続し、及び/又は互いに対してそれらを安定化させる、
ことを特徴とする、請求項9から13のいずれか一項に記載のレセプタクル。
【請求項15】
前記椎骨要素(16)が、前記関節式接続に加えて、ラッチ要素(16b)及びラッチレセプタクル(16i)を有し、それによって隣接する椎骨要素が互いに移動可能に案内及び/又はラッチされることができる、
ことを特徴とする、請求項9から12のいずれか一項に記載のレセプタクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の椅子、特に事務用椅子は、多くの場合、座席及び背もたれの高さ調整又は背もたれの傾斜調整などのいくつかの調整オプションを有する。より快適なモデルはまた、骨盤の最適な調整を可能にするために座席の傾斜調整が制限されている。追加の快適性オプションは、高さ調整可能とすることができる肘掛け、及び調整可能とすることができるヘッドレストを含むことが多い。座席、背もたれ、及び肘掛けの他の個々の調整オプションは知られていない。
【0003】
独国特許出願公開第2837558号明細書は、座席及び背もたれが高さ調整可能である作業椅子を開示している。さらにまた、座席は、共通の水平軸を中心として背もたれとともに回動されることができ、椅子ベースに対して回転されることができ、背もたれはまた、座席とは独立して回動されることができる。座席が過度に前傾されると、ユーザは、望ましくない前方にスライドする可能性があり、これには座席が短すぎるため、大腿部の支持がない。
【0004】
独国特許第69200320号明細書は、座席が背もたれ及び肘掛けとともに、椅子ベースに対して高さを調整されることができる椅子を記載している。背もたれ及び肘掛けはまた、座席と比較して高さを一緒に調整されることができる。さらにまた、座席は、脚部を支持する後部と、接続された前部とに分割され、前部は、座席の高さ調整に応じて下方に回動可能であり、膝が臀部に対して下降されることを可能にする。高さ調整とは独立して前部を回動させることはできない。
【0005】
欧州特許第3367845号明細書は、椅子座席の後端部の中央から上方に延在する円柱状支持体に沿って、支持体の両側に配置された多数のU字形の横方向ストラップを有して、椅子に着座したユーザの人の背筋を支持する背もたれを記載している。横方向ストラップは、コラム状支持体及び横方向ストラップの前側が脊椎及び背部の形状に適合し、前側の反圧力が調整可能である状態で、脊椎の領域を自由にする。
【0006】
韓国特許出願公開第2016096253号明細書から、その座席が、その後端において背もたれに接続され、座席が、水平軸を中心として回動可能であり、背もたれも、これとは独立して回動可能である、椅子が知られている。さらにまた、背もたれは、相互に関節接合されたセグメントからなり、その表面は、ユーザの背中への調整を可能にするために、それらの垂直方向に独立して傾斜されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第2837558号明細書
【特許文献2】独国特許第69200320号明細書
【特許文献3】欧州特許第3367845号明細書
【特許文献4】韓国特許出願公開第2016096253号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ユーザの着座位置に人間工学的に調整されることができ、同時に安定したリラックスした着座位置を可能にする椅子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の特徴によって解決される。
【0010】
これらは以下の通りである:
椅子ベースと、それに接続された座席部と、それに接続された背もたれとを有する椅子であって、座席部が、少なくとも1つの水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動されることができ、座席部が、特に臀部領域のための座面(好ましくは、特に椅子に着座している人の大腿部領域に対して、少なくとも2つ又は3つの独立して調整可能な座席要素であって、その作動位置を個別に調整することができる、座席要素)を有し、好ましくは背もたれの表面に平行に延在する座席部の水平回動軸が、座席部の座面のほぼ中央上方に配置される、椅子。
【0011】
結果として、水平回動軸は、好ましくは、適切に着座した人の股関節軸とほぼ同軸である。
【0012】
好ましくは、座席部が(フォーク形状の)座席アームから懸架され、及び/又は、それが座席部5、6、7、8の水平回動軸を中心として回動することができるように、この座席アームに移動可能に取り付けられることが実現される。座席アームは、好ましくは、座席部の座面を少なくとも部分的に横方向に囲み、その端部が回動軸(回動ジョイント)を形成/担持する。
【0013】
エンクロージャは、少なくとも座席底部のほぼ中間の回動点まで延在してもよい。座席は、座席の上方の中央配置に起因して揺動するように懸架されることができ、これは、特に背中に優しい着座位置をもたらすことができる。
【0014】
座席部は、好ましくは、互いに独立して調整されることができ、好ましくはその作動位置が個別に設定されることができる少なくとも2つ又は3つの座席要素を有する。本発明にかかる椅子は、座席要素の独立した調整可能性が、ユーザを支持し、姿勢の問題を防止するように座席部を調整することを可能にするという従来技術を超える利点を有する。
【0015】
さらなる改良が、従属請求項の特徴から明らかになる。
【0016】
第1の有利な実施形態では、座席部及び背もたれのいずれかは、少なくとも第1の共通の水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動及びロックされることができ、又は座席部及び背もたれは、互いに独立して旋回及びロック可能である少なくとも第1の水平軸又は傾斜した水平軸及び少なくとも第2の水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動されることができる。
【0017】
座席部/座席シェルは、特に好ましくは、座席部の上方に位置する回動軸を中心として、好ましくは座席方向に対して横方向に自由に回動可能である。回動軸は、好ましくは、椅子に着座している人の大腿骨と股関節との間の関節と同じレベルにある。回動軸は、背もたれの前方に位置するか、又は背もたれから水平に離間していることが特に好ましい。結果として、椅子に着座した人の大腿骨と臀部との関節付近に回動軸が配置される。自由な回動は、好ましくは、任意の位置においてロックされることができる。
【0018】
ジョイントは、椅子ベース上に配置され、座席部をそれに接続することができる。
【0019】
したがって、座席部は、好ましくは互いにほぼ直交して配置された2つの軸を中心として(自由に)回動可能とすることができる。
【0020】
背もたれは、好ましくは、座席部とともに横向き(横方向)及び/又は前方/後方(正面)に傾斜されることができるが、背もたれ自体が変形可能とすることができる。この変形可能性は、特に個々の椎骨モジュールの互いに対する傾斜の変化に現れることができ、これは、正面、横方向だけでなく、これら2つの混合された傾斜も引き起こすことができる。
【0021】
第2の有利な実施形態では、座席部及び背もたれのいずれかは、第1の共通の水平軸又は傾斜した水平軸に垂直に配置された第2の共通の水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動可能かつロック可能であるか、又は座席部及び背もたれは、互いに独立しており、第2及び第3の独立した水平軸又は傾斜した水平軸に垂直に配置された第3の水平軸又は傾斜した水平軸及び少なくとも1つの第4の水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動可能かつロック可能である。
【0022】
第3の有利な実施形態では、座席部は、座席脚凹部を有する座席シェルと、座席クッションと、サドル湾曲部と、脚支持体とを有し、座席クッションは、座席シェル内に配置される。サドルアーチ及び脚支持体は、座席シェルに接続され、サドルアーチ及び脚支持体は、共通の水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動可能かつロック可能であり、サドルアーチ及び脚支持体は、独立して回動可能かつロック可能である。
【0023】
第4の有利な実施形態では、座席部は、少なくともその第1の端部において椅子ベースに接続されたベースアーム、少なくともその第1の端部においてベースアームのさらなる端部又は部分に接続されたリクライナモジュール、及び第1の端部又は傾斜モジュール関連の座席アームの別の端部又は部分に接続された部分に接続されたものによって椅子ベースに接続される。座席アームの少なくとも1つのさらなる端部は、バックアームの少なくとも第1の端部に接続されることができ、バックアームの少なくとも第1の端部は、好ましくは座席シェルの少なくとも第1の端部に接続され、バックアームのさらなる端部又は部分は、背もたれの一方の端部に接続され、仙骨支持体(腰部支持体)が接続される。
【0024】
第5の有利な実施形態では、ベースアームは、水平の及び傾斜した水平軸を中心として椅子ベースに対して回動可能かつロック可能であり、傾斜モジュールは、水平軸又は傾斜した水平軸を中心としてベースアームに対して回動可能かつロック可能であり得る。
【0025】
座席アームは、好ましくはベースアームとリクライニングモジュールとの間の軸に対して垂直である水平軸又は傾斜した水平軸を中心としてリクライニングモジュールに対して回動可能かつロック可能であってもよい。さらに、バックアームは、互いに独立して座席アーム及び座席シェルに対して回動可能かつロック可能であってもよく、又は、座席アーム及びバックアームに対する座席シェルは、水平軸又は傾斜した水平軸を中心として互いに独立して回動可能かつロック可能であってもよい。
【0026】
第6の有利な実施形態では、背もたれを備えた座席部は、椅子ベースに対して回転可能であり、高さが調整可能であり、ロック可能であり、背もたれは、座席部に対して高さが調整可能であり、ロック可能である。
【0027】
第7の有利な実施形態では、背もたれは、少なくとも1つの垂直軸又は傾斜した垂直軸を中心として回動及びロックされることができる。
【0028】
第8の有利な実施形態では、椅子、特にその背もたれは、互いに接続された個々の椎骨モジュール、好ましくはこれらに接続された背板を有する。椎骨モジュールは、調整可能な調整手段を有することができ、調整手段は、椅子の動作状態において移動制限的に隣接するモジュールと相互作用することができ、その結果、モジュールの互いに対する傾斜が制限及び設定されることができる。この調整可能性は、好ましくは、いくつかの空間方向、特に横方向及び正面方向で可能にされるが、有利には横方向にも可能にされる。したがって、個々の傾斜方向に対する2つのモジュール間の傾斜角が個々に好適に調整されることができる。
【0029】
傾斜は、例えば、2つの隣接するモジュール間のボールソケットジョイント接続を介して変更されることができる。単一の調整手段は、特にピン又は他の制限手段として設けられることができ、例えば動きを阻止することによって、1つ以上の空間方向におけるモジュールの互いに対する傾斜を制限する。
【0030】
位置決め手段が1つのモジュールから第2のモジュールの方向にさらに前進すると、第2のモジュールと位置決め手段との間の距離が小さくなり、その結果、第1のモジュールに対する第2のモジュールの可能な傾斜角も小さくなる。
【0031】
したがって、椎骨モジュールは、背もたれが任意の空間方向に自由かつ無段階に傾斜されることを可能にすることができ、これは、背もたれが、側方へ、そこから後方へ、後方位置において反対側へ、そしてそこから再び前方へなどの複雑な運動、すなわち例えば円形又は楕円形の運動を行うこともできることを意味する。これは、背もたれからの特に背中に優しい支持に有益とすることができる。
【0032】
第9の有利な実施形態では、椅子は、空間的に調整可能な肘掛けを有する。
【0033】
第10の有利な実施形態では、肘掛けは、座席部に対して高さ調整可能であり、及び/又は2つの垂直軸若しくは傾斜した垂直軸を中心として、及び/又は水平軸若しくは傾斜した水平軸を中心として回動可能かつロック可能である。
【0034】
第11の有利な実施形態では、肘掛けは、共通の主アーム及び/又は肘掛け及び/又はホルダ及び/又は高さ調整及び/又は回転アームを有し、肘掛けは、ホルダの第1の端部に取り付けられることができる。この場合、ホルダは、高さ調整の第2の端部に取り付けられ、高さ調整を回転アームの第1の端部に取り付けることが可能である。さらに、回動アームの第2の端部は、主アームの第1又は第2の端部に軸支されてもよく、主アームの一部は、椎骨モジュールに接続されてもよい。
【0035】
第12の有利な実施形態では、肘掛けは、垂直軸及び/又は傾斜した垂直軸を中心としてマウントに対して回動及び/又は固定されることができ、マウントは、高さ調整の垂直及び/又は傾斜した垂直ガイドに沿って変位可能及び/又は固定可能である。高さ調整は、水平軸及び/又は傾斜した水平軸を中心として回転アームに対して回動可能かつロック可能とすることができ、回転アームの第2の端部は、垂直軸又は傾斜した垂直軸を中心として主アームに対して回動可能及び/又はロック可能である。
【0036】
第13の有利な実施形態では、椅子は、空間的に調整可能なヘッドレストを有する。
【0037】
第14の有利な実施形態では、ヘッドレストは、背もたれのさらなる端部に接続された第1の端部及び/又は最終椎骨のさらなる端部に接続されたヘッドホルダを有する。ヘッドマウントは、末端椎骨の垂直又は傾斜垂直ガイドに沿って変位可能であり、及び/又はガイドに垂直な水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動可能かつロック可能とすることができる。
【0038】
第15の有利な実施形態では、座席部及び/又は背もたれは、それらが自由に動くことができるように取り付けられる。
【0039】
第16の有利な実施形態では、椅子ベースは、キャスターに取り付けられる。
【0040】
第17の有利な実施形態では、ベースアームは、ギアチェーンによって傾斜モジュールにさらに接続される。伝達チェーンは、椅子ベースとベースアームとの間及びベースアームと傾斜モジュールとの間で水平軸又は傾斜した水平軸まわりに延在する。結果として、ベースアーム及び傾斜モジュールは、同時に旋回されることができる。
【0041】
第18の有利な実施形態では、ベースアームを有する椅子ベース及び/又はバックアームを有する座席アームは、それぞれ、例えばガススプリングに接続された減衰機構などの減衰機構によって追加的に接続される。
【0042】
第19の有利な実施形態では、椎骨モジュールは、それらが互いに対して調整されることができるように関節式及び/又はばね式に互いに接続され、背薄板は、例えばばね又は弾性材料が接続されることができるような減衰機構によって椎骨モジュールに接続される。
【0043】
第20の有利な実施形態では、座席クッション及び背板は、ゴム又は発泡体などの弾性材料を有する。
【0044】
第21の有利な実施形態では、座席クッションは、坐骨陥凹部と重なり合い、その材料特性が坐骨陥凹部に適合する部分を有する。
【0045】
個々の実施形態及び実施形態の個々の特徴は、任意の方法で組み合わせられることができる。
【0046】
ここで、例示的な実施形態を使用して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の椅子の実施形態の分解正面斜視図である。
図2図1の実施形態の分解背面斜視図である。
図3図1の実施形態の正面斜視図である。
図4図1にかかる実施形態の背面斜視図を示している。
図5】互いに独立して移動可能な座席部の座席要素を有する、図1にかかる実施形態の正面斜視図を示している。
図6図1の実施形態の側面図である。
図7図1の実施形態の側断面図である。
図8図1にかかる実施形態の別の側断面図を示している。
図9】2つの動作可能に接続された椎骨要素の表現である。
図10】椎骨要素の配置と着座領域との接続である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1から図8は、全ての本質的な特徴を有する本発明にかかる椅子の実施形態を示している。
【0049】
図1及び図2は、実施形態を分解正面及び背面斜視図で示している。実施形態は、以下のように指定された構成要素を有することができる:1 椅子ベース、2 ベースアーム、2a 伝達チェーン(図7)、3 傾斜モジュール(側方)、4 座席アーム、5 座席シェル、5a 座席脚凹部、6 座席アーチ、7 脚支持体、8 座席クッション。
【0050】
図3及び図4は、第1の動作位置における実施形態の正面斜視図である。椅子の本質的な構成要素は、椅子ベース1と、それに接続された座席部5、6、7、8と、それに接続された背もたれ9、16、17とすることができ、座席部5、6、7、8は、回動可能な少なくとも1つの水平軸又は傾斜した水平軸であり、背もたれ9、16、17は、空間的に調整可能である。座席部5、6、7、8は、動作位置が個別に調整されることができる少なくとも3つの独立して調整可能な座席要素を有する。座席要素の独立した調整可能性は、座席部5、6、7、8がユーザを支持し、姿勢の問題を防止するように調整されることを可能にする。
【0051】
原則として、座席部5、6、7、8及び背もたれ9、16、17は、少なくとも1つの第1の共通の水平軸及び/又は傾斜した水平軸を中心として回動及びロックされることができ、及び/又は座席部5、6、7、8及び背もたれ9、16、17は、互いに独立した少なくとも第1の水平軸又は傾斜した水平軸及び少なくとも第2の水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動可能かつロック可能である。これは、背もたれ9、16、17を座席部5、6、7、8とともに、又は背もたれ9、16、17及び座席部5、6、7、8を互いに独立して前後に傾斜することを可能にする。傾斜又は旋回運動は、特に自由に及び/又はほとんど抵抗なく行うことができ、これは、横方向の傾斜及び/又は前傾又は旋回運動に関して、背中に優しい姿勢のための独立した調整が達成されることができることを意味する。
【0052】
これにより、座席部の正しい傾斜は、ユーザの脊椎の自然な形状、ひいては臀部の位置によって引き起こされる。これは、腰部支持体によって確実に補強されることができる。
【0053】
上述した2つの角度(正面、側方)の自由な調整可能性は、動作中に変更されることができ、着座活動中にユーザの骨盤及び背中を穏やかに保持することを可能にする自由に調整可能な設定のための第1の必須要件とすることができる。最近の研究によると、座位で疲労なく、かつ緊張なく作業するためには、作業時間中に座位を数回変更することが必要な前提条件であることが知られている。
【0054】
原則として、座席部5、6、7、8及び背もたれ9、16、17のいずれかは、好ましくは、第1の共通の水平軸又は傾斜した水平軸に垂直に配置された第2の共通の水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動及びロックされることができ、又は座席部5、6、7、8及び背もたれ9、16、17は、互いに独立して配置され、かつ第2及び第3の独立した水平軸又は傾斜した水平軸に垂直である第3の水平軸又は傾斜した水平軸及び少なくとも第4の水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動及びロックされることができる。動作中に追加の自由に調整可能かつ変更可能であるため、座席部5、6、7、8及び背もたれ9、16、17のジョイント横方向調整、又は座席部5、6、7、8及び背もたれ9、16、17の独立した横方向調整のいずれかは、疲労及び張力のない他の位置をとることができる。
【0055】
図5は、第2の動作位置における実施形態を示している。座席部5、6、7、8は、座席脚凹部5aを有する座席シェル5及び/又は座席クッション8及び/又はサドル湾曲部6及び/又は脚支持体7を有することができ、座席クッション8は、座席シェル5内に配置されることができる。さらにまた、サドル湾曲部6及び脚支持体7は、座席シェルに接続されることができ、サドル湾曲部6及び脚支持体7は、共通の水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回動及びロックされることができ、サドル湾曲部6及び脚支持体7は、互いに独立して旋回及びロックされることができる。
【0056】
これは、座席部5、6、7、8の高さが椅子ベース1に対して調整され、したがってユーザの大腿部が水平以外の角度にある場合に特に有用である。脚支持体7の調整可能性により、任意の高さで大腿部を十分に支持することができる。一方、サドルアーチ6の調整可能性は、例えば、座席部5、6、7、8が前方に傾斜されたときにユーザを支持し、サドルアーチ6が上方に向けられることに起因してユーザが前方に滑ることを防止し、ユーザを取り囲む座骨又は皮膚組織上の圧力点を形成する。
【0057】
座席部5、6、7、8の椅子ベース1への接続は、この実施形態のように、少なくとも第1の端部において椅子ベース1に接続されたベースアーム2と、少なくとも第1の端部を有し、ベースアーム2のさらなる端部又は部分を有するベースアーム2と、第1の端部又は部分を傾斜モジュール3のさらなる端部又は部分に接続された座席アーム4とによって行うことができる。
【0058】
座席アーム4の少なくとも1つのさらなる端部は、バックアーム10の少なくとも第1の端部に接続されることができ、バックアーム10の少なくとも第1の端部は、座席シェル5の少なくとも第1の端部に接続されることができ、バックアーム10のさらなる端部又は部分は、背もたれ9、16、17の一方の端部及び仙骨支持体9に接続されることができる。特に、ベースアーム2及び/又は座席アーム4及び/又はバックアーム10のU字形の設計は、構造に可能な限り最大の安定性を与える。しかしながら、これらの構成要素は、重量を節約するために片側スイングアームの形態で設計されることもできる。したがって、実施形態に応じて、これらの構成要素は、本発明にかかる椅子の他の構成要素に接続するための、好ましくは3つ又は2つの端部を有し、中間端部は、3つの端部の場合、それぞれの構成要素の部分によって形成される。
【0059】
この実施形態のように、ベースアーム2は、水平軸又は傾斜した水平軸を中心として椅子ベース1に対して回動可能かつロック可能であってもよく、リクライニングモジュール3は、水平軸又は傾斜した水平軸を中心としてベースアーム2に対して回動可能かつロック可能であってもよい。座席アーム4は、ベースアーム2と傾斜モジュール3との間の軸に対して垂直に配置された水平軸又は傾斜した水平軸を中心として傾斜モジュール2に対して回動可能かつロック可能とすることができる。さらに、バックアーム10は、互いに独立して座席アーム4及び座席パン5に対して回動可能かつロック可能とすることができるか、又は座席パン5は、水平軸又は傾斜した水平軸を中心として互いに独立して座席アーム4及びバックアーム10に対して回動可能かつロック可能とすることができる。そのようなベースアーム2の椅子ベース1への調整可能な接続、及び傾斜モジュール3によるベースアーム2の座席アーム4への接続は、座席部5、6、7、8の高さを容易に調整することを可能にする。同じく上述した傾斜モジュール3による座席アーム4のベースアーム2への調整可能な接続はまた、座席部5、6、7、8、及び必要に応じて背もたれ9、16、17が前後及び横方向の双方に回動することを可能にする。双方の調整オプションは、既に説明したように、疲労及び緊張のない2つの空間方向の位置を採用するように機能する。したがって、椅子に着座している人による重心のシフトは、シフトに応じて椅子のリクライニング角度の直接的な変化を引き起こすことができる。
【0060】
さらにまた、この実施形態のように、背もたれ9、16、17を備えた座席部5、6、7、8は、椅子ベース2に対して回転可能、高さ調整可能、及びロック可能とすることができ、背もたれ9、16、17は、座席部5、6、7、8に対して回転可能であり、高さ調整可能、及びロック可能とすることができる。背もたれ9、16、17を備えた座席部5、6、7、8が椅子ベース2に対して相対的に調整可能であるため、ユーザの異なるサイズを考慮に入れることができ、ユーザの互いに対する相対的な回転は、ユーザが職場で最大限の移動の自由を可能にする。背もたれ9、16、17の座席部5、6、7、8に対する相対的な高さ調整可能性は、ユーザの異なる身体比率に適応するためにも使用される。
【0061】
さらに、この実施形態のように、背もたれ9、16、17は、少なくとも1つの垂直軸及び/又は傾斜した垂直軸を中心として回動及びロックされることができる。これはまた、背もたれ9、16、17によって支持されたユーザが、座席部5、6、7、8又はその骨盤に対して、特にその上半身を回転させることを可能にする。
【0062】
原則として、背もたれ9、16、17は、互いに接続された個々の椎骨モジュール16、好ましくはこれらに接続された背板17を有することができる。これは、ユーザの脊椎の個々の椎体及び背筋に対する特に効果的な支持を可能にする。
【0063】
また、この実施形態のように、椅子は、空間的に調整可能な肘掛け11、12、13、14、15を有することができる。これは、肘掛け11、12、13、14、15をユーザの身体比率及び好ましい腕位置に容易に調整することを可能にする。
【0064】
座席部5、6、7、8に対する肘掛け11、12、13、14、15の空間的調整可能性は、この実施形態のように、2つの垂直軸又は傾斜した垂直軸を中心として独立して高さ調整可能であり、水平軸又は傾斜した水平軸を中心として旋回及びロック可能とすることができる。
【0065】
本発明によれば、変位とも呼ばれることができる空間的に調整可能とは、特に、例えば、いくつかの空間方向の背もたれ又はヘッドボードが、好ましくは同時に調整可能であること、又は(椅子の上方から見て)調整/再配置するとき、楕円又は円形の経路を表すことができることを意味する。
【0066】
空間的調整可能性は、特に、構成要素の複雑な及び/又は動的な可動性/調整可能性を表すべきである。これは、構成要素(背もたれ、ヘッドボード、・・・)は、椅子(外側への傾斜、前方及び後方への屈曲、腰椎の上方又は臀部の上方での上半身の円運動、胴体のねじれ対臀部の位置合わせ)に着座している人の上半身の動きに追従することを可能にする。これは、例えば、構成要素(例えば、前後に傾けるとき、又は片側に回転するとき)に及ぼされる圧力の関数としてもたらすことができる。背もたれ、又は背もたれを形成する背もたれ又は背もたれ要素用の座席は、関節式に互いに接続された複数の椎骨要素を有することができる。結果として、レセプタクル又は背もたれの複雑な可動性を提供することができる。関節式接続は、特に、ボールソケットジョイント接続とすることができる。しかしながら、本発明によれば、関節式接続部の構成は重要であるべきではない。しかしながら、ジョイントは、椎骨要素が互いに対していくつかの空間方向に(同時に)調整可能であることを可能にすることが不可欠とすることができる。
【0067】
原則として、肘掛け11、12、13、14、15は、共通の主アーム15及び/又は肘掛け11及び/又はホルダ12及び/又は高さ調整13及び/又は回転アーム14を有することができ、肘掛け11は、ブラケット12の一方の第1の端部に取り付けられる。この場合、ホルダ12は、高さ調整部13上の第2の端部に取り付けられることができ、高さ調整部13は、回転アーム14の第1の端部に取り付けられる。さらに、回動アーム14の第2の端部は、主アーム15の一部が椎骨モジュール16に接続された状態で、主アーム15の第1の端部又は第2の端部に支持されてもよい。
【0068】
さらに、この実施形態のように、肘掛け11は、垂直軸又は傾斜した垂直軸を中心としてブラケット12に対して回動可能かつロック可能であってもよく、ブラケット12は、高さ調整部13の垂直の又は傾斜した垂直ガイドに沿ってスライド可能及びロック可能であってもよい。高さ調整部13は、水平軸又は傾斜した水平軸を中心として回転アーム14に対して回動可能かつロック可能とすることができ、回転アーム14の第2の端部は、垂直軸又は傾斜した垂直軸を中心として主アーム15に対して回動可能かつロック可能である。
【0069】
椅子は、空間的に調整可能なヘッドレスト18、19を有することが便宜的に提供されることができる。これはまた、ユーザの身体比率の調整を可能にし、ヘッドレスト18、19もまた、頭部の特定の作業位置に調整されることができる。
【0070】
この実施形態のように、ヘッドレスト18、19は、背もたれ9、16、17のさらなる端部に接続された第1の端部、及び/又は最終椎骨18のさらなる端部に接続されたヘッドホルダ19を有することができる。さらにまた、ヘッドマウント19は、最終椎骨18の垂直の又は傾斜した垂直ガイドに沿って変位されることができ、ガイドに垂直な水平軸及び/又は傾斜した水平軸を中心として回動及びロックされることができる。したがって、ヘッドギア19がユーザの後頭部の最適な位置を支持し、これに適した傾斜を有することが保証されることができる。
【0071】
図6は、実施形態を側面図で示し、背もたれ9、16、17の前方及び/又は後方への調整可能性は、座席部5、6、7、8とともに、又は二重矢印によって独立して示されている。脚支持体7、腕支持体11、椎骨モジュール16に配置された背板17、及びヘッドホルダ19によるユーザの大腿部及び/又は腕部及び/又は背中及び/又は頭部の支持が明確に見られることができる。
【0072】
ユーザの身体位置の特に柔軟で連続的な変化を可能にするために、座席部5、6、7、8及び/又は背もたれ9、16、17は、この実施形態のように、自由に動くことができるように取り付けられることができる。結果として、ユーザは、姿勢が変化したときに、椅子の様々な構成要素を絶えず再調整し、互いに固定する必要がない。
【0073】
職場で特に自由に動くために、椅子ベース1は、この実施形態のように、ローラに取り付けられることができる。椅子ベース1は、好ましくは、椅子が変位プロセス中に転倒するのを防止するために、5つのローラに取り付けられることができる。
【0074】
ベースアーム2及び傾斜モジュール3の同時の回動を可能にするために、ベースアーム2は、ギアチェーン2aによって傾斜モジュール3に接続されることもできる。伝達チェーン2aは、椅子ベース1とベースアーム2との間及び/又はベースアーム2と傾斜モジュール3との間で水平軸又は傾斜した水平軸を中心として延在する。ベースアーム2及び傾斜モジュール3はまた、例えばそれぞれの軸に組み込まれたフリーホイール機能によって、互いに独立して回動されることができる。
【0075】
図7及び図8は、椅子ベース1及びベースアーム2と、ベースアーム2及び傾斜モジュール3との間の軸を中心として延在するギアチェーン2aを示す、第1及び第2の動作位置におけるユーザの側断面図である実施形態を示している。図7はまた、座席クッション8を有する座席シェル5が下方に回動される前の上方に回動されるサドル湾曲部6を示している。
【0076】
一方、図8は、背もたれ9、16、17が上方に高さ調整され、座席シェル5が座席クッション8とともに下方に回動され、サドル湾曲部6が上方に回動されて、ユーザが前方に滑ることが防止されている、座席部5、6、7、8を示している。
【0077】
この実施形態のように、容易であり、かつ減衰された調整可能性を保証するために、ベースアーム2を有する椅子ベース1及び/又はバックアーム10を有する座席アーム4は、それぞれ減衰機構によって接続されることもでき、例えば、減衰機構は、ガススプリングに接続されることができる。このようにして、特に、椅子ベース1に対する座席部5、6、7、8の高さ調整が容易に支持されることができる。背もたれ9、16、17と座席部5、6、7、8とが互いに対して自由に動くことができるように取り付けられると、ユーザの背中は、常にあらゆる位置において支持される。
【0078】
ユーザ及びユーザの姿勢、特に上半身の比率に対する背もたれ9、16、17の特に好ましい適合は、椎骨モジュール16が関節式及び/又はばね式に、及び/又は調整可能に互いに接続されることができるという事実によって支持される。これは、特に、ユーザが上半身を前方、後方、又は側方に傾けることができ、関連する後薄板17を有する椎骨モジュール16がこの動きに追従することができる。椎骨モジュール16間のジョイントは、それらが水平軸及び/又は傾斜した水平軸並びに垂直軸及び/又は傾斜した垂直軸を形成するように設計され、それを中心として椎骨モジュール16及び関連する後薄板17を互いに対して2つの空間方向に回動させることができる。好ましくは、モジュールは、ボールジョイントによって接続される。背板17は、例えばそのようなB.ばね又は弾性材料などの減衰機構によって椎骨モジュール16に接続されることができる。
【0079】
座席クッション8及び背板17がゴム又は発泡体、特にいわゆるメモリフォームなどの弾性材料から形成されることで、着座快適性を高めることができる。
【0080】
座席クッション8はまた、坐骨陥凹部5aと重なり合い、その材料特性が坐骨陥凹部5aに適合される部分を有することができる。座席クッション8の座席の残りの部分と比較した区間z.B.は、より高い又はより低い強度を有する。
【0081】
図9は、さらなるモジュール16に動作可能に接続された、本発明にかかるモジュール16を示している。下部モジュール16は、断面図で示されている。
【0082】
モジュール16は、板17として設計されることができる背もたれ要素用の1つ以上のレセプタクル16cを有することができる。
【0083】
各モジュールは、ボールジョイント16a及び/又はボールジョイントの反対側に対応するソケットを有することができる。
【0084】
2つのモジュール間の接続の動作状態において、ジョイントボール16aは、上記モジュール16の対応するジョイントソケットに取り付けられる。
【0085】
これは、このように接続された2つのモジュール間の角度変更を可能とする。2つのモジュール間の傾斜角を制限するために、例えばスペーサピン16fの形態で調整手段が設けられることができ、調整手段は、あるモジュール16からそれに接続された次のモジュール16の方向に前進させることができる。結果として、調整手段と次のモジュールとの間の距離が調整されることができ、結果として、傾斜角が距離の関数として制限されることができる。
【0086】
調整手段を調整するために、例えばスペーサねじ16gの形態の調整手段が設けられることができ、これを介して調整手段は、モジュール16に出し入れされることができる。調整手段がモジュール16からさらに延在すると、調整手段の側で第1のモジュールに接続された別のモジュールに対してモジュール16を傾けることができる角度が小さくなる。
【0087】
特に、個々のモジュール16の互いに対する位置を安定化させるために、いずれの場合も2つの隣接するモジュール間に弾性接続が設けられることができる。これはまた、弾性部とも呼ばれることができる。
【0088】
弾性接続は、特に、張力付与材料16eの形態で設けられることができる。クランプ材料16eは、一端においてモジュール16に割り当てられ、それに固定されることが特に好ましい。
【0089】
固定16dは、例えば、クランプ材料16eの張力を調整可能及び/又は再調整可能とすることができるクランプねじを介して行うことができる。
【0090】
反対側の端部において、張力付与材料16eは、特に張力付与材料16eの延伸方向において、隣接する椎骨モジュールへの接続部又は接続手段16bを有することができる。
【0091】
特に、このさらなる張力付与材料16eの遠位端は、隣接する椎骨モジュール16に接続されることができる張力付与ヘッド16b又は何らかの他の接続又はラッチ手段によって設計されることができる。
【0092】
クランプ材料16eの接続手段又はラッチ手段を次の椎骨モジュール16に接続するために、この次の椎骨モジュール16は、第1のモジュール16のクランプ材料16eに面する開口部、又は接続手段又はラッチ手段を接続することができる接続部を有することができる。本発明にかかるクランプ材料16eを介したそのような接続は、互いに隣接する第1の椎骨モジュールと第2の椎骨モジュールとの間に弾性接続を形成することができる。
【0093】
クランプヘッド16bは、その椎骨モジュール16から離れて設けられ、及び/又はそこから突出することができる。クランプヘッド16bと椎骨モジュール16の基体との間の移行領域に弾性被覆材料が設けられることができ、クランプ材料16eが固定されることができる。ライナー材料は、椎骨モジュールと張力付与材料の遠位端との間に架橋するように設けられてもよく、それによって張力付与ヘッドは、モジュールの本体に対して移動可能に取り付けられてもよいが、それにもかかわらずそれに固定されてもよい。
【0094】
特に好ましくは、クランプヘッド16b又は接続又はラッチ手段は、対向する開口部又は次の椎骨モジュール16の接続部にラッチされることができる。
【0095】
複数の接続部が、対応する張力付与材料16eを介して2つの椎骨モジュール16の間に設けられることが特に好ましい。これらは、便宜上、好ましくはジョイントボール16aに対向する一平面内の少なくとも4つの側面に設けられる。結果として、別の椎骨モジュール16に対する椎骨モジュール16の位置は、基本位置において、特に、個々の張力付与材料16eの張力が互いに相殺/中和されることができる、張力付与材料の互いの均一な張力によって安定化されることができる。
【0096】
基本位置において、2つの隣接する椎骨モジュールは、好ましくは互いに平面平行に整列される。いくつかの椎骨モジュールは、ともに背もたれを形成することができ、背もたれ要素は、その上に椅子に着座している人の背中のための支持面を形成することができる。
【0097】
張力付与材料に関する上記の記述、及び椎骨モジュール/椎骨モジュールの他の装置とのその相互作用は、一般的に説明された弾性接続部又は弾性部分に等しく適用される。
【0098】
クランプ材料は、弾性バンドとして記載されることもできる。
【0099】
図10は、レセプタクル、特に椅子のバックアーム10上に自由に揺動するように配置されることができる椅子ベース1を有する本発明にかかる椅子の一部の背面図を示している。バックアーム10/レセプタクルは、好ましくは接続要素を介して横方向に移動することができるように、背もたれ、特にモジュール16が取り付けられるスライドガイド10aを有することができる。したがって、背もたれは、キャリッジガイド10aを介して水平面内の軌道に沿って変位されることができる。そのような平面はまた、曲率を有することができる。
【0100】
背もたれは、好ましくは、平面内の円弧部分に沿って移動する。背もたれの動きの種類は、キャリッジガイド10aの形状によって大きく決定されることができる。キャリッジガイドは、好ましくは、キャリッジ10aの円弧部分に属する円の中心が、椅子に着座している人又はその前にいる人の内側、好ましくは胃の領域に位置するように水平面内で湾曲している。したがって、キャリッジガイド10aの円弧部分に属する円の中心は、好ましくはキャリッジガイド10aと同じ平面内で背もたれの前に位置することができる。
【0101】
特に、背もたれの傾斜を調整するために、例えばガススプリング4aの形態の調整手段が設けられることができ、これはバックアーム10に接続されることができる。次いで、調整手段4aは、椅子12の座席アーム4、又は椅子のベースの別の領域に取り付けられてもよい。
【0102】
本発明のさらなる態様は、上下に配置され、関節式に互いに接続された複数の椎骨要素16を有する椅子の背もたれ用の座席である。
【0103】
椎骨要素間の関節式接続は、ボールソケットジョイント16a、16hを有することが好ましい。
【0104】
好ましくは、各椎骨要素16が少なくとも1つのボール16a及び少なくとも1つのソケット16hを有することが実現される。
【0105】
好都合なことに、椎骨要素16のボール16a及びソケット16hは、椎骨要素16の2つの隣接する椎骨要素への個々の接続手段として、椎骨要素16の異なる側、好ましくは椎骨要素(16)の反対側に設けられる。
【0106】
椎骨要素16が弾性張力付与要素16eを介して接続されることが好ましく、これにより、レセプタクルの全体的な位置合わせが垂直になるように、好ましくは方向に関して椎骨要素16間の関節式接続を安定化することが実現される。
【0107】
好ましくは、張力付与要素16eが、隣接する椎骨要素16を互いに接続し、及び/又は互いに対してそれらを安定化させることが実現される。
【0108】
好ましくは、張力付与要素16eは、椎骨要素間の張力付与要素の張力又は引張力が調整されることができる張力付与手段、特に張力付与ねじ又は張力付与レバーを備えて、接続された椎骨要素16の少なくとも一方に設けられる。
【0109】
椎骨要素16が、関節式接続に加えてラッチ要素16b及びラッチレセプタクル16iを有することが好ましく実現され、それによって隣接する椎骨要素が互いに移動可能に案内及び/又はラッチされることができる。
【0110】
好ましくは、椎骨要素の張力付与要素16eが隣接する椎骨要素のラッチレセプタクルに接続方式で係合することが実現される。
【0111】
少なくとも1つ、好ましくは椎骨要素16(のそれぞれ)上に、少なくとも1つ、好ましくは2つ又は3つのアクチュエータ16fが設けられることが好ましく、これは、椎骨要素の動作接続状態において、(調整可能な距離で、又は距離なしで、すなわち調整可能である)隣接する椎骨要素が適応的に位置決め可能であり、結果として、椎骨要素と隣接する椎骨要素との間の関節式接続の傾斜運動が調整可能に制限されることができる。原則として、椎骨要素は、いくつかの空間方向(例えば、前、後、右、左、前述の組合せ)において互いに対して傾斜されることができる。椎骨要素間の傾斜は、隣接する椎骨要素の2つの表面に平行に延在することができる少なくとも平面内にあることができ(椎骨要素の(垂直)初期位置/初期配向)、平面に対する任意の角度及び/又は平面に対する任意の傾斜方向が行われる。椎骨の角度を変更し、関連する背もたれを、例えば、平面内の傾斜の任意の数の整列度で、右斜め前方又は左斜め後方に傾けることも可能である。椎骨要素はまた、特に椎骨要素間の張力付与材料16eがこれを可能にする程度まで、互いに対して(限定的に)回転可能とすることができる。
【0112】
結果として、椎骨要素に締結された背もたれは、上半身の任意の動き(横方向、後方、前方、斜め前方、斜め後方に傾斜する)及び/又はねじれさえも自由に追従することができる。
【0113】
好ましくは、座席クッション(5)及び/又は仙骨支持体(9)は、座席シェル5に対して可変的に取り付け及び/又は固定されることができ、すなわち、その位置が調整されることができる。
【符号の説明】
【0114】
1 椅子ベース
2 ベースアーム
2a 伝達チェーン
3 傾斜モジュール
4 座席アーム
5 座席シェル
5a 坐骨陥凹部
6 サドル湾曲部
7 レッグレスト
8 座席クッション
9 仙骨支持体
10 バックアーム
10a スライドガイド
11 肘掛け
12 ブラケット
13 高さ調整
14 回転アーム
15 主アーム
16 椎骨モジュール
16a ジョイントボール
16b ランヤード/クランプヘッド
16c 背もたれ要素用のマウント/板
16d クランプ材料用固定具
16e クランプ材料
17 背板
18 最終椎骨
19 ヘッドマウント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】