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特表2023-514560エラストマー材料の混合装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(54)【発明の名称】エラストマー材料の混合装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/20 20060101AFI20230330BHJP
   B29B 7/28 20060101ALI20230330BHJP
   B01F 27/722 20220101ALI20230330BHJP
【FI】
B29B7/20
B29B7/28
B01F27/722
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547897
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(85)【翻訳文提出日】2022-09-05
(86)【国際出願番号】 IB2021051374
(87)【国際公開番号】W WO2021165871
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】102020000003515
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522312045
【氏名又は名称】ポミニ ラバー アンド プラスチック エス アール エル
【氏名又は名称原語表記】POMINI RUBBER & PLASTICS S.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト レガリア
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス アルベルト リンペル
【テーマコード(参考)】
4F201
4G078
【Fターム(参考)】
4F201AA45
4F201AJ08
4F201AR09
4F201AR11
4F201BA01
4F201BC01
4F201BC02
4F201BK01
4F201BK14
4F201BK23
4F201BK27
4F201BK28
4F201BK54
4F201BK74
4G078AA03
4G078AB05
4G078BA01
4G078BA07
4G078DA09
4G078DB03
4G078EA10
(57)【要約】
混合ユニット(100)および駆動ユニット(20)を含むエラストマー材料を混合する機械であって、混合ユニットは、駆動ユニット(20)の下流に配置され、後壁(125)によって上流に向かって閉鎖された混合チャンバ(110)と、混合チャンバ(110)の下流に配置され、上流に向かって混合チャンバ(110)と連通する排出チャンバ(120)であって、混合物を排出するための開口部(121)を備えた排出チャンバ(120)と、上流にてそれぞれ駆動ユニット(20)に接続され、排出チャンバ(120)の口部(121)に位置する頂点を有する、一対の相互貫入し逆回転する円錐形ロータ(131、132)であって、各ロータが他方に対してミラー反転された各フィーダスクリュー(131a、132a)を備える、一対の相互貫入し逆回転する円錐形ロータ(131、132)と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー材料を混合する機械であって、
-混合ユニット(100)および
-駆動ユニット(20)
を含み、前記混合ユニットは、
--前記駆動ユニット(20)の下流に配置され、後壁(125)によって上流に向かって閉鎖された混合チャンバ(110)と、
--前記混合チャンバ(110)の下流に配置され、上流に向かって前記混合チャンバ(110)と連通する排出チャンバ(120)であって、混合物を排出するための排出開口部(121)を備えた排出チャンバ(120)と、
--上流にて前記駆動ユニット(20)にそれぞれ接続され、前記排出チャンバ(120)の排出開口部(121)に位置する頂点を有する、一対の相互貫入し逆回転する円錐形ロータ(131、132)であって、各ロータが他方のフィーダスクリューに対してミラー反転された各フィーダスクリュー(131a、132a)を備える、一対の相互貫入し逆回転する円錐形ロータ(131、132)と、
を含み、
前記混合チャンバ(110)は、その内部圧力が実質的に大気圧の値に維持されることを確実とするように、外部環境に接続された状態を維持するように設計された、外側に向かう少なくとも1つの開口部(110a)を有することと、前記機械が、
-エラストマー材料の混合物を混合するステップの間、前記ロータが混合物を前記混合チャンバの後壁(125)に向かって押し出すように、前記駆動ユニット(20)によって第1の回転方向(RPM+)にのみ回転することで、混合工程の間、実質的に大気圧にて前記混合チャンバ内のみで混合状態を維持し、
-後続の混合物排出ステップの間、前記ロータが混合物を前記排出チャンバ(120)および前記排出開口部(121)に向かって押し出すために、前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向にのみ回転するように構成されていることと、を特徴とする、機械。
【請求項2】
前記混合チャンバ(110)および前記排出チャンバ(120)が円錐台形であり、軸方向に互いに接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
混合される材料を装填するための装填開口部(123)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の機械。
【請求項4】
前記装填開口部(123)が前記混合チャンバの外部環境に向かう前記少なくとも1つの開口部(110a)のうちの1つであることを特徴とする、請求項3に記載の機械。
【請求項5】
前記駆動ユニット(20)が、前記2つのロータのうちの一方(131;132)を動かすための駆動シャフト(21a)を有する少なくとも1つのモータ(21)と、前記駆動シャフト(21a)の回転方向を反転させるように設計され、前記2つのロータのうちの他方(132;131)に接続されているトランスミッション(22)とを備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の機械。
【請求項6】
自動操作を実行するように設計された、前記機械の可動部分を制御および作動させるための制御手段(500)を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の機械。
【請求項7】
前記制御手段(500)が、混合ステップの完了時に、特に所定の混合時間(t1)後に、前記ロータ(132;132)の回転方向を逆転させるための逆転コマンドを前記駆動ユニット(20)に自動送信するように構成されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の機械。
【請求項8】
混合物の軸方向への排出中に、前記混合チャンバ(110)を閉鎖するように、閉鎖位置または開放位置に移動可能な少なくとも1つのカバーを備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の機械。
【請求項9】
混合物を排出するための前記排出開口部(121)が外部環境に向かって常に開放しており、前記排出開口部を閉鎖する手段が特にないことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の機械。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の機械を用いてエラストマー材料を混合する方法であって、
-混合する材料を前記混合チャンバに装填するステップと、
-前記ロータ(131、132)を第1の正の回転方向(RPM+)にのみ回転させ、混合物を前記後壁(125)に向かって押し出すことにより、実質的に大気圧で前記混合チャンバ内のみで混合状態を維持するように、前記フィーダスクリュー(131a、132a)によって材料を混合するステップと、
-混合物を前記排出チャンバ(120)に向かって押し出し、前記排出開口部(121)を通して排出するように、期間(t3~t2)の間、前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向(RPM-)に回転される、前記ロータの回転方向の反転を含む、混合物を排出するステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
混合ステップの間、前記第1の正の回転方向(RPM+)へのロータの回転が、
-上流(P)から下流(A)に軸方向への混合物の移動コンポーネントを加えるように、前記後壁(125)への反作用と、
-混合物の3つの別個の移動、即ち、それぞれ、円周方向の移動(I)、主要な軸流(II)および第2の軸流(III)を引き起こすように設計された移動範囲の形成と、
をもたらすことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
材料の装填が装填開口部(123;110a)、即ち、好ましくは、前記混合チャンバの外部に向かう前記少なくとも1つの開口部(110)のうちの1つを介して行われることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
排出ステップの間、前記装填開口部が閉鎖されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記混合ステップが、
-第1の正の方向(RPM+)への前記ロータ(131、132)の回転を開始するステップと、
-前記フィーダスクリュー(131a、132a)によって材料を取り込み、上流(P)に位置する前記後壁(125)に向かって混合物を押し出すことによって混合操作を開始するステップと、
-前記混合操作が完了するまで混合期間(t1)にわたり、第1の正の回転方向(RPM+)を維持するステップと、
を含むことと、および/または、前記排出ステップが、
-手動または制御手段(500)によって、前記2つのロータ(131、132)の回転方向(RPM+)を逆転するための逆転コマンドを送信するステップと、
-混合物を前記排出チャンバ(120)に向かって押し出し、前記排出開口部(121)を通して排出するように、期間(t3~t2)の間、第2の負の回転方向(RPM-)で回転する、前記ロータの回転方向を逆転させるステップと、
を含むことと、を特徴とする、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
混合ステップの間、混合物を排出するための前記開口部(121)が外部環境に向かって常に開放していることを特徴とする、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気圧で動作する混合チャンバを備えたエラストマー材料を混合するための機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムおよび/またはプラスチックベースの化合物の製造に関する技術分野では、適切なプロセスを使用して、エラストマー材料の混合を行う必要性が存在することが知られており、不均一(例えば、ゴム、鉱物フィラー、樹脂、様々な添加剤)かつ互いに異なる別々の複数の原料(材料)が、プロセスの開始時に導入された全ての基本成分を組み込んだ、いわゆる「化合物」と呼ばれる均一な製品に変換され、一旦混合が完了すると均質になる。
【0003】
混合プロセス中に一般的に発生する動作は、以下のように要約することができることも知られている:
ポリマーマトリックスへの材料の組み込み;
分散、即ち、粒子の弱凝集体から強凝集体への変換;これは、基本的に、ポリマーマトリックスに導入されるフィラー(例えば、カーボンブラック)のサイズの減少からなる;
全ての原材料の分布/均質化。
【0004】
これら全ての動作は、混合装置の移動面(シリンダー、スクリュー、ロータ)の動きによって処理される材料に与えられる移動範囲(速度および圧力)に依存することも知られている。特に、分散は、切断力や変形勾配等の移動範囲の特性に依存する一方、ポリマーマトリックス内の様々な材料の分布は、速度範囲の効率、即ち、圧力ピークが存在する混合物の滞留点または滞留ゾーンを生成することなく、混合物を移動する可能性に依存することが知られている。
【0005】
しかしながら、粘性の高い材料を混合するプロセス中に対処すべき主要な問題の1つに、混合物の温度制御の必要性が挙げられ、これは、望ましくない劣化または前架橋反応のトリガーを防ぐために、特定の制限内に維持する必要がある。
【0006】
比較的高い圧力で処理が行われるため、いわゆる閉鎖チャンバ内での混合を伴う技術においては、より高い温度がより顕著に発生する。
【0007】
混合中の望ましくない温度上昇は、一般に「ダンプ押出機」として公知のタイプの機械、即ち、いわゆる円錐形の相互貫入式の逆回転二軸押出機によって行われる混合中にも発生し、混合物の排出/吐出のための機械の排出/吐出ゾーンは、
-材料の再循環および混合物の形成を可能にするために、第1の混合ステップの間、排出開口部を閉鎖するために閉鎖されていなければならず、混合物は閉鎖されているドアに対して前進させられ、
-次に、混合物の排出を可能にするために、前記ドアによって軸方向に開放される必要がある。
【0008】
そのような機械の例は、例えば、特許文献1により知られている。
【0009】
しかしながら、閉鎖チャンバ内での混合は、混合物の制御不能かつ不所望な温度上昇をもたらし、結果的に、上記の欠点をもたらす。
【0010】
閉鎖チャンバによる混合の更なる例が、特許文献2から知られており、
-混合チャンバ内に収容された一対のロータおよびロータ上に配置されたピストンを含むバッチミキサーに、エラストマーポリマーと共に、少なくとも10phrのシリカ補強充填剤および少なくとも1つのシランカップリング剤を供給することと、
-中間混合物のバッチを得るために、エラストマーポリマー、シリカ補強充填剤およびシランカップリング剤をバッチミキサー内で混合することと、
-中間混合物のバッチをバッチミキサーから、入口口および出口口を備えた混合チャンバを有しており、第1のチャンバ部分が出口口(排出チャンバ)に近く、前記入口口が設けられた第2のチャンバ部分の下流に配置されており、出口口に向かって収束する2つの逆回転する円錐ねじと、出口口を開閉するための構成を取るように設計されたドアとを有する、二軸コニカルミキサーに供給することと、
-エラストマー化合物(108)を得るために、温度を135~145度に維持するよう制御しながら、ドアを閉鎖した二軸コニカルミキサー内で中間混合物を混合することと、
-開口した出口口からエラストマー化合物を排出することと、
を含む、エラストマー化合物の製造プロセスについて記載している。
【0011】
特許文献2によるプロセスでは、混合物を出口口を閉鎖しているドアに対して押し出すように、第1の回転方向に回転する円錐ねじを用いて、閉鎖した出口口に近い二軸ミキサーチャンバの部分内にて、混合がほぼ全体的に実施される。
【0012】
二軸コニカルミキサー内の圧力は、周囲圧力よりも高く、これは、ミキサーがピストンの作用により内部圧力が高いバッチミキサーの出口と密閉的に接続され、かつ出口口が閉鎖されており、シランカップリング剤の分量の少なくとも50%が二軸コニカルミキサー内で補強充填剤と反応するように、温度を高温(135~145度)に保つ必要があるからである。
【0013】
混合を改善するために、文献は、混合物が閉鎖した出口口に近接する混合チャンバ部分を離れることなしに、円錐ねじの回転方向を短時間だけ逆転することを提案している。
【0014】
特許文献2では、温度を所望の範囲内に維持するために、チャンバ内の温度を測定し、その測定値に基づいて、出口口に向けた、かつその閉鎖したドアに対する混合物の進行方向への円錐ねじの回転速度を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0159916号明細書
【特許文献2】国際公開第2017/093849号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、提起されている技術的問題は、エラストマー材料の特性を変更することなく、またはその限定的な変更のみでのエラストマー材料の混合を可能にし、特に混合物の温度を制御下に保持することを可能にし、混合中の望ましくない温度上昇を防ぐ、先行技術の前記問題を解決または少なくとも部分的に克服することができる、一般に「ダンプ押出機」として知られるタイプの混合機を提供することである。
【0017】
この問題に関連して、この機械は、寸法が小さく、製造および組み立てが容易かつ安価であり、ユーザの任意の場所に容易に設置可能であることも要求される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの結果は、本発明によれば、請求項1の特徴によるエラストマー系材料の混合用機械によって得られる。
【0019】
機械は、混合ユニットおよび駆動ユニットを含み、混合ユニットは、
--駆動ユニットの下流に配置され、後壁によって上流に向かって閉鎖された混合チャンバと、
--混合チャンバの下流に配置され、上流に向かって混合チャンバと連通する排出チャンバであって、混合物を排出するための排出開口部を備える排出チャンバと、
--上流にて駆動ユニットとそれぞれ接続されており、排出チャンバの排出開口部に位置する頂点を有する、一対の相互貫入し逆回転する円錐形ロータであって、各ロータが他方に対してミラー反転された各フィーダスクリューを備える、一対の相互貫入し逆回転する円錐形ロータと、
を含む。
【0020】
本発明による機械は、混合チャンバが、その内部圧力が実質的に大気圧の値に留まることを確実とするように、外部との接続を維持するように適合された、外部環境に向かう少なくとも1つの開口部を有することと、混合ステップの間、混合チャンバ内でのみ混合状態を維持するように、混合時には、ロータが、混合物を混合チャンバの後壁に向かって押し出すことができる第1の回転方向にのみ、駆動ユニットによって回転させられることとを特徴とする。次の排出ステップの間に混合物を排出するために、混合物をチャンバおよび排出開口部に向かって押し出すことができる、第1の方向とは反対の第2の回転方向にロータを回転させることができる。
【0021】
この構成により、混合される材料は、周囲環境に向かって開放されており、従って実質的に大気圧である混合チャンバ内に実質的に常に保持され、混合物の圧力および/または温度の望ましくない上昇を引き起こさず、充填剤の化学物理的特性の変化および/または混合物自体の前架橋のような混合物への有害な影響を回避し、更に最適な混合度を得ることができる。従って、本発明による機械の使用により、簡単な方法で高品質の混合物を得ることが可能である。
【0022】
有利なことに、機械は、混合中に開口状態を維持することができる排出口を閉鎖するためのドアを必要とせず、混合チャンバ内の周囲圧力を維持することを容易にし、機械の構造および構成の簡素化をもたらす。
【0023】
好ましくは、混合チャンバおよび排出チャンバは円錐台形であり、軸方向に互いに接続されている。
【0024】
機械は、好ましくは、混合される材料を装填するための装填開口部を含み、これは、特に、混合チャンバを外部環境に接続するための前記少なくとも1つの開口部のうちの1つであってもよい。
【0025】
好ましい実施形態によれば、駆動ユニットは、2つのロータのうちの一方を動かすためのシャフトを有する少なくとも1つのモータと、駆動シャフトの回転方向を逆転させるように設計されており、2つのロータのうちの他方に接続されたトランスミッションとを備える。
【0026】
有利に、機械は、機械の自動操作を実行するように設計された、機械の可動部分を制御および作動するための制御手段を備えることができる。好ましくは、前記制御手段は、混合が完了したときに、特に所定の混合時間後に、ロータの回転方向を逆転させるコマンドを駆動ユニットに自動送信するように構成する。
【0027】
好ましい態様によれば、カバーは、混合物を軸方向に排出している間、混合チャンバを閉鎖するように閉鎖位置または開放位置に移動可能である。
【0028】
本発明は、更に、請求項10の特徴による混合プロセスに関する。
【0029】
エラストマー材料を混合するプロセスは、
-混合すべき材料を混合チャンバ内に装填するステップと、
-フィーダスクリューによって材料を混合し、ロータを第1の正の方向にのみ回転させ、混合物を後壁に向かって押し出すステップと、
-混合物を排出チャンバに向かって押し出し、排出開口部を通して排出させるような期間にわたって、第2の負の回転方向に回転する、ロータの回転方向の反転を含む、混合物を排出するステップと、
を含む。
【0030】
好ましくは、混合ステップの間、第1の回転方向へのロータの回転が、
-上流から下流に軸方向への移動コンポーネントを加えることができる、後壁による反作用と、
-混合物の3つの異なる移動、即ち、円周方向の移動、主要な軸流移動、および第2の軸流移動を引き起こすように設計された移動範囲の形成と、
をもたらす。
【0031】
材料の装填は、好ましくは、装填開口部から行われ、この装填開口部は、混合チャンバの外側に向かう前記少なくとも1つの開口部のうちの1つであることが好ましい。装填開口部は、有利には、排出ステップの間、閉鎖している。
【0032】
好ましい実施形態によれば、混合ステップは、以下のステップ、即ち、
-第1の正の方向へのロータの回転を開始するステップと、
-フィーダスクリューによって材料を取り込み、混合物を上流の後壁に向けて押し出すことによって混合を開始するステップと、
-混合が完了するまでの混合時間にわたり、第1の正の回転方向を維持するステップと、
を含む。
【0033】
好ましい実施形態によれば、排出ステップは、以下のステップ、即ち、
-手動でまたは制御手段を介して、2つのロータの回転方向を反転させるコマンドを付与するステップと、
-混合物を排出チャンバに向かって押し出し、排出開口部を通して排出させるような期間にわたって、第2の負の回転方向に回転させられる、ロータの回転方向を反転させるステップと、
を含む。
【0034】
更なる詳細は、添付の図面を参照して提供される、本発明の主題の実施形態の非限定的な例に関する以下の説明から得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明による機械の側面図である。
図2図1による機械の上面図である。
図3】材料が後部に向かって軸方向に移動している、混合中の、図1による機械の上方からの部分断面図である。
図4】材料が前部に向かって押し出され、軸方向に移動している、排出中の、図3による機械の上方からの部分断面図である。
図5】本発明による機械の様々な操作ステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に示すように、単に説明をより容易にするために、限定するわけではないが、長手方向X?Xを有する基準軸が機械の長手方向の延長に対応し、かつ、前部Aまたは下流部分が、混合物が排出される部分および前部とは反対にある後部P、または上流部分に対応すると仮定すると、その一般的な構成において、「ダンプ押出機」の一般的なカテゴリーに入る、本発明による機械の一例は、本質的に、
-機能ユニットのための支持ベース10と、
-混合ユニット100と、
-そのシャフト21aが駆動シャフト21aの回転方向を逆転させるように設計されたトランスミッション22に接続され(これについては以下でより明確になる)、少なくとも1つのモータ21を備える駆動ユニット20と、
を含む。
【0037】
混合ユニット100は、
--駆動ユニット20の下流に配置された、好ましくは円錐台形の混合チャンバ110であって、後部Pに向かってチャンバを軸方向に閉鎖する上流壁125を備える混合チャンバと、
--好ましくは円錐台形であり、混合チャンバ110の下流に配置され、混合物を軸方向に排出するための開口部121が設けられており、機械の前部「A」に配置され、上流部分が混合チャンバに機械的に接続されており、対応する開口部122によって混合チャンバと軸方向に連通している、混合物を排出するための排出チャンバ120と、
を含む。
【0038】
好ましくは、混合チャンバ110は、混合される原材料(材料)を装填するための開口部123と、
--それぞれ、上流にて駆動ユニット20に接続されており、排出チャンバ120の口部121に頂点を有する、一対の相互貫入する円錐形ロータ131、132であって、各ロータが他方に対してミラー反転された(反対の巻き方向を有する)各フィーダスクリュー131a、132aを備える、一対の相互貫入する円錐形ロータ131、132と、
を有する。
【0039】
2つのロータ131、132は、反対方向に回転し、説明した実施例では、2つのロータ131、132のうちの一方132がモータ20の回転方向を維持する一方、他方のロータ131は、トランスミッション22からの動きを受け、従って、常に第1のロータと反対方向に回転している。
【0040】
2つのロータは、他方のモータから独立しているが、正確な回転を保証し、フィーダスクリューが衝突するのを防ぐように設計された同期手段によって接続されている、関連するモータによってそれぞれ作動され得ることも想定される。
【0041】
有利には、混合チャンバ110は、その側面の上向き部分に形成され、混合チャンバを外部に接続し続け、従ってその内部圧力を実質的に大気圧の値に維持するように設計された、少なくとも1つの開口部110aを半径方向に有する。
【0042】
原料装填用の開口部110aおよび開口部123は、一致していてもよい。
【0043】
代わりに、排出チャンバは、半径方向に閉鎖した表面および得られた混合物を軸方向に排出するための前方開口部121のみを有する。有利には、前方排出開口部121は、外側または下流装置に向かって常に開放されていてもよく、混合は大気圧下で上流の混合チャンバ110内にて常にかつそこのみで行われる故、排出チャンバ120を閉鎖するためのドアは必要でも有用でもない。
【0044】
従って、排出開口部を閉鎖するための手段が存在しないことにより、混合を混合チャンバ内で大気圧に維持し、得られる混合物の品質を改善するのに役立ち、排出チャンバを開閉するための複雑な自動システムの必要性を排除する故、既知の機械と比較して、更なる簡素化および改善が得られる。
【0045】
図示されるように(図3図4)、ロータ131、132は、それぞれ、第1の回転方向(図3)により、下流から上流への混合物の移動を引き起こし、逆への回転方向(図4)により、排出開口部121に向けた下流方向への混合物の移動を引き起こすように、各々延在するフィーダスクリュー131a、132aを有する。機械の可動部分を制御し作動させるための制御手段500を設けてもよく、前記手段は、機械の自動操作を保証するように設計されている。
【0046】
図示された機械の実施形態を参照すると、その動作を次のように制御することが可能である:
-フィーダスクリュー131a、132aで構成されたロータ131、132が、図3に示すような方向(従来は正の方向RPM+)に回転すると、ロータ131、132により軸方向に下流「A」から上流「P」に混合物を移動させることができる;
-フィーダ口123を介して材料を装填する;
-期間t1にわたり維持される、第1の正の方向RPM+へのロータの回転を開始する(図5);
-供給された材料をロータのフィーダスクリュー131a、132aによって取り上げ、その回転の結果として、混合を開始し、混合物を上流壁125に向かって押し出す;
-壁125に対して押し出すことにより、反作用、いわゆる逆流が生じ、これにより上流から下流への軸方向の、即ち、下流から上流への好ましい方向とは反対方向への移動コンポーネントが加えられる傾向がある。
【0047】
得られた移動範囲は、好ましくは、3つの移動、即ち、
第1の移動:ロータの回転によって生成される円周方向への移動
第2の移動:フィーダスクリューの形状によって生成される主要な軸流
第3の移動:主要な軸流とは反対の、形成される混合物を下流方向に逆流させる傾向がある、壁125の抵抗によって生成される第2の軸流または逆流
で構成される。
【0048】
この移動範囲は、混合を得るために好ましい範囲であり、
-一旦、十分な度合いの混合が得られると:
-2つのロータ131、132の回転方向の制御ユニット500によって、手動または自動で反転させる;
-期間t3~t2にわたり、ロータの回転方向を反転させる(図5);
-回転方向の反転(従来は負の方向RPM-)により、混合物は、排出チャンバ120に向かって押し出され、ここから排出口121を通って排出される;
-排出チャンバ120が空になると、制御ユニットがロータの回転方向を反転させるための新しい信号を発信し、それにより、機械が新しい原料バッチを供給し、新しい混合サイクルを開始するように設定される。
【0049】
この動作サイクルにより、材料は、常に混合チャンバ110内で混合状態に保たれており、混合チャンバ110は外側に向かって開口しているため、実質的に大気圧であり、望ましくない温度上昇を引き起こさず、充填剤の化学物理特性の変化および/または前記混合物の前架橋等の混合物への悪影響を回避する。
【0050】
上流方向にかつ後壁に向かって混合物を押し出すことにより、重要な技術的効果が得られ、混合チャンバの後部に供給されたあらゆる混合材料(特に、ペレットの形態のゴムまたは追加材料)が混合物と接触し、従って、混合物に取り込まれ、従って、材料が混合物に完全に取り込まれ、機械が清潔な状態に維持される。
【0051】
図示されていないが、低圧および低温を維持するために、混合中に開口部を開口状態に維持するように、また、その代わりに、排出動作の実行に有利に働くように、混合物と一時的な混合チャンバとの間の接触面積を増加させ、従って上流から下流への軸方向スラストを増加させるように、排出ステップの間は閉鎖している、混合チャンバ110を開閉するように移動可能なカバーを機械に設けることができることも想定される。
【0052】
実験的試験
図1図4を参照して上述した構造および構成を有する、本発明による機械にて以下の実験的試験を実施した。
【0053】
正の符号を有する速度「v+」の回転は、下流から上流への混合物の進行方向に対応する、フィーダスクリューの正の回転方向を示している一方、負の速度「v-」は、フィーダスクリューの逆の回転方向および上流から下流への混合物の進行移動の方向を示している。
【0054】
試験1
10,000gのシリコンゴムおよび120gのペレット状の架橋剤である過酸化水素を混合するために混合チャンバに供給した。
【0055】
混合チャンバに入るゴム(Temp-rubber In)の温度を装填前に測定した結果、約25度であった。
【0056】
表1は、プロセス中の様々な時点における、機械によって実行された様々な操作ステップを示している。
【0057】
【表1】
【0058】
結果
排出チャンバから抽出された混合物の温度(Temp-mixture out)を熱プローブを使用して、様々なポイントで測定した。温度(Temp-mixture out)は、常に、試験を合格するために確立された限界である35度未満であった。
【0059】
抽出された混合物の10のサンプルにおいてレオメトリック特性を測定した。10のサンプルの変動係数(標準変動/平均)は、3%未満であった。
【0060】
混合チャンバを視覚的に検査し、混合チャンバ内に過酸化水素のペレットが残存しておらず、混合チャンバの後部は清潔かつペレットがないことが判明した。
【0061】
試験2-顔料によるシリコンゴムの着色
50,000gのシリコンゴムを粉末状の青色顔料500gと混合した。
【0062】
ゴムの温度(Temp-rubber)は、25度であった。
【0063】
表2は、プロセス中の様々な時点における、機械により実行された様々な操作ステップを示している。
【0064】
【表2】
【0065】
結果
排出チャンバから抽出された混合物の温度(Temp-mixture out)を熱プローブを使用して、様々なポイントで測定した。温度(Temp-mixture out)は、常に、試験に合格するために確立された限界である35度未満であった。
【0066】
混合物の色の均一性を視覚的に評価した。色は、着色ゾーンなく、均一に分布していた。
【0067】
従って、本発明による機械を用いることで、得られる混合物の品質を改善しながら、低圧で、実質的に大気圧で、無視できるレベルの温度上昇にて、混合物の処理を行うことができることが明白である。更に、材料の流れ方向を制御および決定することが可能であることにより、特にチャンバに供給される全ての材料の十分な混合を得るのに適した移動範囲を確保することができる。
【0068】
本発明の多くの実施形態および多くの好ましい実施例に関連して説明してきたが、本特許の保護範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ決定されることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】