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特表2023-514578多細胞構造の培養のためのシステム、方法、およびデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(54)【発明の名称】多細胞構造の培養のためのシステム、方法、およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
C12M3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548917
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(85)【翻訳文提出日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 IB2021050806
(87)【国際公開番号】W WO2021161130
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】62/976,151
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519091306
【氏名又は名称】モレキュラー デバイシーズ (オーストリア) ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アツラー, ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ケンダ, アンドレアス
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB11
4B029CC02
4B029DA10
4B029DG10
(57)【要約】
オルガノイド等の多細胞構造を培養するためのシステム、方法、および、デバイス。例示的システムは、容器と、電気/磁気モジュールと、制御回路とを備える。容器は、多細胞構造を含有するための培養チャンバを含み得る。電気/磁気モジュールは、容器内で、培養チャンバ内またはそれに隣接する位置に位置するように構成され得る。制御回路は、電気/磁気モジュールを無線で給電する、および/または動作させるように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多細胞構造を培養するためのシステムであって、
前記多細胞構造を含有するように構成される培養チャンバを含む容器と、
前記容器内で、前記培養チャンバ内またはそれに隣接する位置に位置するように構成される電気/磁気モジュールと、
前記電気/磁気モジュールを無線で給電する、および/または動作させるように構成される制御回路と
を備える、システム。
【請求項2】
前記制御回路は、誘導結合または容量結合を介して前記電気/磁気モジュールに電力を無線で伝送するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電気/磁気モジュールは、前記培養チャンバ内に含有されるか、または含有されるように構成され、磁石を含み、前記制御回路は、前記培養チャンバ内で前記磁石の移動を駆動する磁場を作成するように構成される、請求項1-2のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記電気/磁気モジュールは、化学センサ、電気センサ、光学センサ、および/または温度センサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記電気/磁気モジュールは、前記培養チャンバの中および/または外への流体流動を駆動するように構成されるポンプを含む、請求項1-4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記電気/磁気モジュールは、前記培養チャンバに隣接するスロット内に位置するか、または位置するように構成され、随意に、前記容器は、前記スロットと前記培養チャンバとの間の流体連通を提供する開口を画定する、請求項1-5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
容器は、前記培養チャンバと流体連通する2つまたはそれを上回るリザーバを含み、前記スロットは、前記培養チャンバの垂直に上方に、随意に、前記2つまたはそれを上回るリザーバの少なくとも対の間に位置し、随意に、前記2つまたはそれを上回るリザーバの各リザーバは、前記培養チャンバと別個に連通する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
相互に接続され、前記容器を含む容器の列を形成する容器アセンブリをさらに備え、前記容器の列の各容器は、多細胞構造を含有するための個別の培養チャンバを含み、随意に、前記容器の列の容器は、相互と実質的に同じである、請求項1-7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記容器アセンブリを含む複数の容器アセンブリを保持するためのフレームをさらに備え、前記フレームは、随意に、標準的マイクロプレート占有面積の長さおよび/または幅に対応する長さおよび/または幅を有する、請求項6-8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
多細胞構造を培養する方法であって、
容器の培養チャンバ内に多細胞構造を含有することであって、電気/磁気モジュールが、前記容器内で、前記培養チャンバ内またはそれに隣接する位置に位置する、ことと、
制御回路を使用して、前記電気/磁気モジュールを無線で給電する/動作させることと
を含む、方法。
【請求項11】
給電する/動作させることは、電気エネルギーを前記電気/磁気モジュールに無線で伝送することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
給電する/動作させることは、少なくとも部分的に、前記制御回路および前記電気/磁気モジュールの相互への誘導結合または容量結合を介して実施される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記電気/磁気モジュールは、磁石を含み、給電する/動作させることは、前記制御回路によって作成される磁場を使用して、前記培養チャンバ内で前記磁石の移動を駆動することを含む、請求項10-12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
給電する/動作させることは、前記電気/磁気モジュールのセンサを使用して、前記培養チャンバ内の前記多細胞構造および/または培養培地の性質を感知することを含む、請求項10-13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
給電する/動作させることは、前記培養チャンバの中および/または外への流体流動を駆動することを含む、請求項10-14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記多細胞構造が前記培養チャンバ内に留まる間に、前記多細胞構造に関連するデータを収集することをさらに含む、請求項10-15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
データを収集することは、前記モジュールのセンサを使用して実施される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
オルガノイド等の多細胞構造を培養するためのデバイスであって、前記デバイスは、
開放上部を有するシェルと、
2つまたはそれを上回るリザーバを含む挿入器であって、前記挿入器は、前記シェルおよび前記挿入器が前記多細胞構造のための培養チャンバを協働的に形成するように、前記開放上部を介して前記シェル内に受容されるように構成され、前記培養チャンバは、前記2つまたはそれを上回るリザーバの下に位置し、前記挿入器によって画定される個別のチャネルを介して前記2つまたはそれを上回るリザーバのそれぞれと流体連通する、挿入器と
を備える、デバイス。
【請求項19】
前記培養チャンバ内でのオルガノイド形成を支援するように構成される足場をさらに備える、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記足場は、前記挿入器によって画定されるスロット内に位置するか、またはその中に位置するように構成される、モジュールによって提供される、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記シェルは、受容空間を画定する上側領域と、レセプタクルを形成する下側領域とを有する区分を含み、前記挿入器は、前記受容空間内に受容されるように構成され、前記レセプタクルは、前記挿入器とともに前記培養チャンバを協働的に形成するように構成される、請求項18-20のいずれかに記載のデバイス。
【請求項22】
前記挿入器は、スロットを形成し、前記スロットの底部端において開口を画定し、さらに、前記スロット内で、前記開口の垂直に上方に位置するか、または位置するように構成される、モジュールを備え、随意に、前記モジュールは、電気/磁気モジュールである、請求項18-21のいずれかに記載のデバイス。
【請求項23】
多細胞構造を培養するためのシステムであって、前記システムは、
容器であって、前記多細胞構造を含有するための培養チャンバと、それぞれが前記培養チャンバと流体連通する2つまたはそれを上回るリザーバおよびスロットとを含む、容器と、
2つまたはそれを上回るモジュールであって、相互に異なる機能を有し、前記スロットの中に交換可能に設置されるように構成される2つまたはそれを上回るモジュールと
を備える、システム。
【請求項24】
前記容器は、前記スロットの底部端において前記培養チャンバと連通する開口を画定する、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記2つまたはそれを上回るモジュールは、透過膜を有する第1のモジュールを含む、請求項23-24のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その内容が、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2020年2月13日に出願された、米国仮出願第62/976,151号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
オルガノイド(「ミニ器官」)は、生体外で生成され、器官特有組織の現実的な組織学を呈する等の器官とのある程度の類似性を有する、異なるタイプの細胞の3次元塊である。細胞塊は、マトリクスに少数の幹細胞を播種することによって発生されることができる。幹細胞は、次いで、マトリクスを足場として使用しながら、マトリクス内で増殖し、分化し、自己組織化する。本アプローチでは、とりわけ、脳、心臓、腸、腎臓、肝臓、および胃からの組織に類似するオルガノイドが、これまで発生されている。これらの有望な結果は、オルガノイド培養が、器官の発達および機能に関する新しい洞察を提供し、生体外での薬物スクリーニングを可能にする疾患モデルを反復する潜在性を有することを示唆している。オルガノイドは、薬物が発見され、薬剤が個人化される方法に変革を起こし得る。
【0003】
オルガノイドの重要性が高まっているにもかかわらず、それらは、効率的に培養することが課題のままである。オルガノイドおよび他の多細胞構造を培養するための新しいシステム、方法、ならびにデバイスが、必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、オルガノイド等の多細胞構造を培養するためのシステム、方法、およびデバイスを提供する。例示的システムは、容器と、電気/磁気モジュールと、制御回路とを備える。容器は、多細胞構造を含有するための培養チャンバを含んでもよい。電気/磁気モジュールは、容器内で、培養チャンバ内またはそれに隣接する位置に位置するように構成されてもよい。制御回路は、電気/磁気モジュールを無線で給電する、および/または動作させるように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、多細胞構造を形成する、それを成長させる、それに給送する、それを分化させる、それを刺激する、それを感知する、それを試験する、および/またはそれを撮像するための例示的培養システムのブロック図であり、培養システムは、個別の培養容器内に多細胞構造を含有するための容器アレイと、容器アレイの少なくとも1つの培養容器内に位置する、少なくとも1つの電気/磁気モジュールと、電気/磁気モジュールと制御回路との間の無線伝送によって電気/磁気モジュールを給電する、および/または動作させるための制御回路とを含む。
【0006】
図1A図1Aは、図1の容器アレイの例示的培養容器の概略図である。
【0007】
図2図2は、図1の容器アレイのある実施形態の分解概略上面図である。
【0008】
図3図3は、図1の容器アレイの別の実施形態の分解概略上面図である。
【0009】
図4図4は、図1Aの培養容器および培養容器内での使用のための機能的に異なるモジュールのセットの概略図である。
【0010】
図5図5は、培養容器が概略側面図において示される、図1の培養システムに関する培養容器および制御回路の例示的実施形態のブロック図である。
【0011】
図6図6は、多細胞構造を培養する方法において実施され得る、例示的ステップのフローチャートである。
【0012】
図7図7は、シェルと、挿入器とを含む、培養容器を使用して多細胞構造を培養する方法において実施され得る、例示的ステップのフローチャートである。
【0013】
図8図8は、電極モジュールを給電し、動作させるように構成される制御回路の電力および通信アンテナとともに、図1の容器または図6の方法における使用のための例示的電極モジュールの若干概略的な図である。
【0014】
図9図9は、センサモジュールを給電し、動作させるように構成される制御回路のアンテナとともに、図1の容器または図6の方法における使用のための例示的センサモジュールの若干概略的な図である。
【0015】
図10図10は、ポンプモジュールを給電し、動作させるように構成される制御回路の電力アンテナとともに、図1の培養システムまたは図6の方法における使用のための例示的ポンプモジュールの若干概略的な図である。
【0016】
図11図11は、オルガノイドに隣接する位置において、培養容器の培養チャンバ内に含有される図10のポンプモジュールの2つのコピーを含む、図1のシステムの実装の選択された側面の部分的に断面の部分的概略図である。
【0017】
図12図12は、制御回路と、図11の培養容器と、培養容器の培養チャンバ内に含有される磁気モジュールの対とを含み、オルガノイドが磁気モジュールの間に位置する、図1のシステムの実装の選択された側面の部分的に断面の部分的概略図である。
【0018】
図13図13は、オルガノイドを機械的に刺激するために、相互に向かう磁気モジュールの移動を駆動するために制御回路のコイルが通電された状態で得られる、図12のシステム実装の別の図である。
【0019】
図14図14は、培養容器が省略され、制御回路のコイルが電気的に通電されない状態で得られる、培養容器の列内に含有されるオルガノイドのセットの培養および機械的刺激のために修正される、図12のシステム実装の概略側面図である。
【0020】
図15図15は、培養容器の列に沿って磁気モジュールの各対の線形運動を駆動するために、コイルが電気的に通電された状態で得られる、図14の修正されたシステム実装の別の概略側面図である。
【0021】
図16図16は、同一の線に沿って磁気モジュールの線形移動を駆動するための電気的に通電可能なコイルの異なる構成を有する、図14のシステムの修正された実装の概略上面図である。
【0022】
図17図17は、本開示の培養容器における使用のための例示的光モジュールの若干概略的な図である。
【0023】
図18図18は、モジュールの本体に取り付けられ、オルガノイドの形成および成長を支援するように構成される足場を含む、例示的足場モジュールの若干概略的な図である。
【0024】
図19図19は、図1の培養システムまたは図6の方法における使用のための例示的透過性界面モジュールの断面図である。
【0025】
図20図20は、オルガノイドを含有する培養容器のスロット内に動作的に位置する、図19の透過性界面モジュールの断面図である。
【0026】
図21図21は、図1のシステムまたは図6の方法における使用のための例示的培養デバイスを保持する、フレームの等角図であり、培養デバイスは、それぞれ、磁気モジュールの対を含有し、それぞれ、磁気モジュールと構造的かつ機能的に異なる別のモジュールを含有する個別のスロットに隣接して位置する、培養チャンバの対応する列を含む培養容器の列を形成する、容器アセンブリを含む。
【0027】
図22図22は、図21のフレームからの除去および容器アセンブリの培養容器のうちの1つと撮像システムの光源および対物レンズとの動作的整合後の図21の培養デバイスの等角図である。
【0028】
図23図23は、図21または図22に示されない蓋を含む、図21の培養デバイスの等角分解図である。
【0029】
図24図24は、分離して得られる、図21の培養デバイスの側面図である。
【0030】
図25図25は、分離して得られる、図21の培養デバイスの上面図である。
【0031】
図26図26は、概して、図25の線26-26に沿って得られる、図21の培養デバイスの断片的な部分的断面図である。
【0032】
図27図27は、分離して得られる、図21の培養デバイスのシェルの側面図である。
【0033】
図28図28は、図27のシェルの上面図である。
【0034】
図29図29は、概して、シェルの4つの区分のうちの1つを通して図28の線29-29に沿って得られる、図28のシェルの断面図である。
【0035】
図30図30は、概して、図28の線30-30に沿って得られる、図28のシェルの別の断面図である。
【0036】
図31図31は、分離して得られる、図21の培養デバイスの挿入器の側面図である。
【0037】
図32図32は、図31の挿入器の端面図である。
【0038】
図33図33は、図31の挿入器の上面図である。
【0039】
図34図34は、概して、図33の線34-34に沿って得られる、図31の挿入器の断面図である。
【0040】
図35図35は、図21のフレームによって保持される容器アセンブリの列を含む、容器アレイのための蓋アセンブリの分解図であり、蓋アセンブリは、それぞれ、図23の蓋と実質的に同じである一連の蓋を含む。
【0041】
図36図36は、図27のシェルとの液密シールを作成するためのガスケットを含む、図31の挿入器の修正された形態である。
【0042】
図37図37は、概して、図36の線37-37に沿って得られる、図36の挿入器の断面図である。
【0043】
図38図38は、シェルとともに協働的に培養チャンバを形成するための図27のシェルの中への設置のための例示的スロットなし挿入器の上面図である。
【0044】
図39図39は、シェルとともに協働的に培養チャンバを形成するための図27のシェルの中への設置のための例示的4リザーバ挿入器の上面図である。
【0045】
図40図40は、シェルとともに協働的に培養チャンバを形成するための図27のシェルの中への設置のための例示的スロットなし4リザーバ挿入器の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
詳細な説明
大きいオルガノイド(例えば、最大約4mm)の培養は、労働集約的であり、複雑な作業であり、オルガノイドが(例えば、スクリーニングのために)採取または使用され得るまでに、数ヵ月を容易に要求し得る。培養の間、オルガノイドは、それらが成長、分化、および発達するにつれて、培養プロトコルの異なる段階を通して通過する。現在、これらの段階の殆どは、給送、監視、処理等のために手動相互作用を要求する。オルガノイドを含有する培養容器は、発達するオルガノイドの状態を監視するために好適ではない場合があるため、実験器具の交換が、多くの場合、必要である。手動相互作用に依拠する培養プロトコルは、高価であり、プロセスエラーが起こりやすい。また、具体的な相互作用する細胞タイプを発達させる大きいオルガノイドを培養するために、細胞を適切な化合物を用いて処理するだけではなく、また、オルガノイドを、培養されているオルガノイドのタイプに特有の好適な物理的環境に暴露することが、不可欠であり得る。例えば、心筋細胞ならびに神経細胞は、電気パルスによって刺激される必要がある一方、筋肉オルガノイドおよび骨オルガノイドは、交互する機械的歪みの印加に依拠する。オルガノイドは、管類および配線に依拠する複雑な器具類を用いて培養されることができる。しかしながら、本器具類は、嵩張り、標準化されておらず、多くのオルガノイドを同時に培養するために容易にスケールアップされない。
【0047】
本開示は、種々の側面において、現在実施されているようなオルガノイド培養に関する自動化の欠如、非標準化器具類、管類および配線の存在、ならびに非スケーラビリティに対処する。より具体的には、本開示は、自動化を可能にし、標準化を改良し、管類および配線を回避し、スケーラビリティを可能にする、容器、モジュール、ならびに制御回路を提供する。
【0048】
本開示は、オルガノイド等の多細胞構造を培養するためのシステムおよび方法を提供する。本システムは、多細胞構造を含有するための培養チャンバを含む、容器を備えてもよい。電気/磁気モジュールが、容器内で、培養チャンバ内またはそれに隣接する位置に位置するように構成されてもよい。制御回路が、無線伝送によって電気/磁気モジュールを給電する、および/または動作させるように構成されてもよい。本方法では、多細胞構造が、容器の培養チャンバ内に含有されてもよい。電気/磁気モジュールが、容器内で、培養チャンバ内またはそれに隣接する位置に位置してもよい。電気/磁気モジュールは、電力、力、および/または信号(例えば、データ)の無線伝送を介して、制御回路を使用して給電/動作されてもよい。電気/磁気モジュールは、例えば、モジュールが流体を圧送する、または培養チャンバ内に含有される多細胞構造を機械的に刺激するように、制御回路によって作成される磁場によって容器内で移動され得る、または移動される磁石を含んでもよい。他の実施例では、電気/磁気モジュールは、多細胞構造を刺激するための電極、容器内の多細胞構造および/または培養培地の性質を感知するためのセンサ、多細胞構造の少なくとも一部を照明するための光源、ならびに/もしくは同等物を含んでもよい。
【0049】
本システムおよび方法において電気/磁気モジュールを無線で給電する/動作させる能力は、これが、制御回路から容器まで延在するワイヤまたは他の電気導体の必要性を排除するため、有意である。結果として、容器は、これが制御回路に対して位置付けられる場所に関してより少ない制限を伴って、よりポータブルになり、(例えば、撮像手順を実施するために)制御回路からより容易に分離される。また、本無線アプローチは、これが、電気/磁気モジュールが分析中の多細胞構造に非常に近接近して、またはそれと接触して位置付けられることを可能にするため、多細胞構造を伴う実験の忠実性および安定性を改良し得る。本システムおよび方法はまた、必須の物理的環境を提供することによって多細胞構造の複雑な培養の自動化を促進し、多細胞構造のマルチチャネル原位置監視を可能にし得る。本システムおよび方法は、自動化方式で同時に多数のオルガノイドを刺激、維持、および監視することが可能であり得る。
【0050】
本開示の容器は、必要に応じて、容器の1つまたはそれを上回るコンパートメントの中に1つまたはそれを上回る能動/受動的モジュールを導入することによって、カスタマイズされてもよい。機能的モジュールおよびモジュールが受容されるコンパートメントの選定は、容器が、製造の間に、および/またはユーザによって機能的に適合されることを可能にする。例えば、モジュールおよびコンパートメントの選定は、とりわけ、具体的タイプのオルガノイドの培養、特定の培養プロトコルまたはプロトコル段階の実施、所望の試験条件の作成、ならびに/もしくは所望のパラメータのオンボード(容器内)感知、測定、および/または監視を可能にする。故に、容器の基本的構造は、標準化されることができる一方、容器の機能性は、必要に応じて、種々のユーザの具体的必要性に適合するために、異なるモジュールの導入によって修正されることができる。また、容器の中へのモジュールの導入は、モジュールが多細胞構造に非常に近接近する、またはそれと接触することを可能にし、これは、モジュールと多細胞構造とのより直接的な相互作用を生成する。さらに、容器の中へのモジュールの導入は、占有面積のサイズのいかなる増加も発生させない場合がある。故に、モジュールを用いて修正された容器は、コンパクトなままであり得、これは、容器のより多くのコピーが標準的なマイクロプレートの占有面積内に嵌合することを可能にし、これは、ひいては、より多くの多細胞構造が培養器内で同時に培養されることを可能にする。
【0051】
オルガノイド等の多細胞構造を培養するためのデバイスおよび方法が、提供される。本デバイスは、開放上部を有する、シェルを備えてもよい。本デバイスはまた、2つまたはそれを上回るリザーバを含む、挿入器を備えてもよい。挿入器は、シェルおよび挿入器が多細胞構造のための培養チャンバを協働的に形成するように、開放上部を介してシェル内に受容されるように構成されてもよい。培養チャンバは、2つまたはそれを上回るリザーバの下に位置し、挿入器によって画定される個別のチャネルを介して2つまたはそれを上回るリザーバのそれぞれと流体連通してもよい。本方法では、2つまたはそれを上回るリザーバを含む挿入器が、シェルの中に設置され、挿入器およびシェルを協働的に使用して培養チャンバを形成してもよい。培養チャンバは、2つまたはそれを上回るリザーバの各リザーバの下に位置し、それと流体連通してもよい。多細胞構造は、培養チャンバ内で培養されてもよい。
【0052】
先述の段落に説明されるデバイスおよび方法は、以下の任意の組み合わせを含む、オルガノイド等の多細胞構造の培養に関する種々の利点をもたらし得る。挿入器は、異なるリザーバ、チャネル、および/またはスロット構成等の相互と異なる特性を有する挿入器のセットから選択されてもよい。故に、同一のシェルが、異なるタイプの挿入器と組み立てられ、ユーザの具体的必要性のために結果として生じる容器の構造をカスタマイズしてもよい。また、挿入器は、重力が培養チャンバの中および/または外に流体流動を駆動し得るように、培養チャンバの垂直に上方にリザーバ(および随意のスロット)を位置付けてもよい。さらに、シェルは、それぞれ、挿入器を受容することが可能な区分の列を画定し、個別の培養チャンバを形成してもよい。故に、シェルおよび2つまたはそれを上回る挿入器は、培養チャンバの列を有する容器アセンブリを形成するように組み立てられることができる。さらに、容器アセンブリのうちの2つまたはそれを上回るものは、標準的マイクロプレートのものに対応する占有面積を有するフレームによって保持され、容器のコンパクトなアレイの形成を可能にし得る。各容器アセンブリは、アレイの他の容器アセンブリとは別個に処理するために、フレームから個々に可撤性であってもよい。
【0053】
容器は、リザーバとチャンバとの間の共有される壁内に形成され得る、チャネルを介してチャンバと流体連通する、複数のリザーバを提供してもよい。本構成は、標準的給送界面として説明されてもよい。いくつかの実施形態では、3D印刷が、容器の内側の標準的給送界面の任意の好適な印刷構造への接続を提供し、異なるタイプのオルガノイドの成長を可能にする。
【0054】
マトリクスが、それらがオルガノイドに発達する際、適切なタイプの細胞のための一時的足場を提供することができる。細胞は、自己組織化し、その独自の細胞外マトリクスを生成してもよく、これは、足場の一部または全てに取って代わってもよい。同じことが、内部給送に関して当てはまり得、容器は、一般的界面を提供してもよく、これは、随意に、3D印刷によって修正されてもよく、細胞は、本修正された界面を最良に使用するように自己組織化してもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、足場(細胞の有無を問わず)が、容器本体のレセプタクル内に配置されてもよく、培養チャンバが、随意に、容器が上下反転される間に、シール部材を使用してレセプタクルから形成されてもよい。いったんこれらのプロセスが完了されると、容器は、(そのオルガノイド培養配向に対して)右側を上にして旋回されてもよく、培養チャンバの上にある少なくとも1つのリザーバが、給送液を用いて充填されてもよい。足場の内側にいかなる細胞もまだ、存在しない場合、好適な細胞が、給送液の中に設置され、培養チャンバの上方のリザーバからの給送液とともに、足場の中に導入されてもよい。
【0056】
形成されるオルガノイドは、具体的な給送プロトコルが開始され得る前に、初期培養時間を必要とし得る。給送プロトコルは、好適な培地を用いてリザーバを充填し、所定のスケジュールに従って、および/またはオルガノイドの発達段階もしくは条件に基づいて、リザーバから培地を除去するステップを伴ってもよい。給送プロトコルは、足場の形状ならびに形成されるべきオルガノイドのタイプに依存し得る。
【0057】
容器は、光シート3D撮像を可能にし得る。容器の培養チャンバは、2つ、3つ、またはそれを上回る光学窓を有してもよく、光が、各光学窓を介して培養チャンバの中および/または外に伝搬してもよい。例えば、容器は、底部窓と、1つまたはそれを上回る側方窓とを有してもよく、そのそれぞれは、平面であってもよい。いくつかの実施形態では、容器は、相互に反対に配列される側方光学窓の対を有してもよい。
【0058】
本開示は、大きい機能的オルガノイドの発生を可能にする。大きいオルガノイドは、平均直径または最大直径において、とりわけ、約0.1、0.2、0.5、1、または2ミリメートルを上回ってもよい。大きいオルガノイドでの作業は、依然として困難であり、研究者は、2つの主要な限界に直面している。第1に、各タイプのオルガノイドは、足場としての具体的ヒドロゲル、またはさらには培地流動による剪断力のような機械的刺激のように、異なる培養条件を必要とし得る。第2に、大きいオルガノイドの顕微鏡検査は、非常に困難であり得る。最先端の方法は、依然として、オルガノイド材料の薄切、染色、および共焦点走査顕微鏡またはさらにはスライドリーダを使用した固定されたサンプルの画像入手である。
【0059】
本開示は、改良されたオルガノイド培養のためのシステム、方法、およびデバイスをもたらす。3D印刷(足場および/または細胞)と重力流動による培地交換との組み合わせを使用することによって、ユーザは、オルガノイドのタイプ毎に最適化される一意の3D環境を発生させてもよい。広い範囲の異なるオルガノイドタイプが、成長されてもよい。給送および廃棄物除去は、容器の培養チャンバとリザーバとの間の流体連通によって対処されてもよい。少なくとも1つが励起光の入射のためのものであり、別のものが放出光の出射のためのものである、光学窓を各容器に統合することは、光シート顕微鏡検査によってオルガノイドの生細胞を監視することを可能にする。代替として、または加えて、オルガノイドは、光学窓のうちの1つまたはそれを上回るものを介して、古典的な広視野顕微鏡検査によって撮像されてもよい。したがって、本明細書に開示される容器は、発達している、および/または発達したオルガノイドの生細胞顕微鏡検査の実施を可能にし得る。ハイコンテントおよび/またはハイスループット顕微鏡検査が、オルガノイドに対して実施され得る。
【0060】
本開示のさらなる側面が、以下の節、すなわち、(I)定義、(II)培養システムおよび方法の概観、(III)電気/磁気モジュール、(IV)受動的モジュール、(V)容器アセンブリ、および(VI)選択された側面に説明される。
I.定義
【0061】
本開示に使用される技術的用語は、当業者によって一般的に認識される意味を有する。しかしながら、以下の用語は、以下のようにさらに定義され得る。
【0062】
細胞-生存生物の基本的な構造的、機能的、および生物学的単位。細胞は、真核性または原核性であり得る。例示的細胞は、幹細胞、分化細胞、株化細胞(例えば、細胞株)、一次細胞、組織サンプルの細胞、トランスフェクト細胞、臨床サンプル(例えば、血液サンプル、流体吸引物、組織外植片等)からの細胞、有機体全体を形成する細胞、および/または同等物を含む。
【0063】
任意の好適な細胞が、培養チャンバの中に(または培養チャンバの一部を形成するであろうレセプタクルの中に)導入されてもよい。導入される細胞は、幹細胞(例えば、多能性幹細胞)、支持細胞、および/または同等物を含んでもよい。細胞は、ピペット操作、バイオインク液滴印刷、マイクロコンタクト印刷、フォトリソグラフィ、ディップペンナノリソグラフィ、および/または同等物を含む任意の好適な技法によって、培養チャンバまたはレセプタクル内に、ならびに/もしくは培養チャンバまたはレセプタクル内に位置する、もしくはその中に位置するべき足場内に堆積されてもよい。
【0064】
細胞培養-人工的な環境において多細胞構造の細胞等の生細胞の生存、健康、成長、増殖、分化、および/または自己組織化を促進すること。
【0065】
培養チャンバ-多細胞構造を含有し、殆どまたは完全に封入された空間の実質的に全ての側上に壁を有するコンパートメント。壁のうちの少なくとも1つは、コンパートメントとの連通および/またはその中ならびに/もしくは外への通過を可能にするために、1つまたはそれを上回る開口部を画定してもよい。
【0066】
培養培地-細胞培養のための水性組成物。組成物は、液体または半固体であってもよい。組成物は、とりわけ、炭素源(例えば、グルコース)、無機塩類、ビタミン、および成長調整剤を含んでもよい。本明細書に使用されるような用語「培地」は、少なくとも1つの培地を意味し、例えば、別個の体積の培地、異なる組成の第1の培地および第2の培地、異なる/別個の細胞培養物と接触する実質的に同一の組成の培地、または同一の培地の以前に分離された体積の組み合わせ/混合物を指し得る。
【0067】
培養容器-多細胞構造の培養のためのデバイス。培養容器(同義的に容器と呼ばれる)は、培養チャンバと、培養チャンバと流体連通する1つまたはそれを上回るリザーバとを含んでもよい。容器アセンブリまたは容器アレイは、多細胞構造の1、2、または3次元配列の培養のための培養容器の集合である。本明細書に開示される培養容器は、単回使用デバイス(消耗品)であってもよい、または再使用されてもよい。
【0068】
例示-例証である、または実施例としての役割を果たすこと。同様に、用語「例示する」は、実施例を与えることによって例証することを意味する。いずれの用語も、望ましさまたは優劣を含意しない。
【0069】
内-所与の構造に対する物体の場所/位置を説明するとき、「内」または「内側」は、物体が少なくとも主として(物体の体積の50%を上回って)、もしくは完全に所与の構造の内側に存在することを意味する。同一の文脈において、「外側」は、物体が少なくとも主として(物体の体積の50%を上回って)、もしくは完全に所与の構造の外側に存在することを意味する。
【0070】
光-紫外線放射、可視放射(すなわち、可視光)、および/または赤外放射を含む光学放射。
【0071】
モジュール-培養容器内に含有されるように構成される、構造的かつ機能的に離散的なユニット。モジュールは、培養容器がそのままである間、または培養容器が分解されるときのみ、培養容器の中に挿入可能である、ならびに/もしくはそれから可撤性であってもよい、または培養容器から非可撤性であるように構成されてもよい。モジュールは、電気/磁気モジュールとも呼ばれる、能動的モジュールであってもよく、これは、動作のために電気および/または磁気を利用し、随意に、制御回路とモジュールとの間の無線伝送によって給電/動作されるモジュールである。代替として、モジュールは、受動的モジュールであってもよく、これは、その意図される目的を果たすために電気または磁気のいずれも利用しないモジュールである。電気/磁気モジュールは、永久磁石を備えるが、いかなる電気/電子デバイスも備えない磁気モジュール、電気/電子デバイスを備えるが、いかなる永久磁石も備えない電気モジュール、および永久磁石と、電気/電子デバイスとを備えるモジュールを含む。磁気モジュールは、動作のために(磁気モジュールおよび/またはその磁石の移動を駆動するため等)外部から発生される、随意に、時変の磁場を要求してもよい。
【0072】
モジュールは、任意の好適な形状およびサイズを有してもよい。モジュール、特に、その筐体または本体は、例えば、立方状(例えば、立方体)、円筒形、円錐形、または同等物であってもよい。断面におけるモジュールの形状は、モジュールが、スロットまたは他のコンパートメントの中に嵌合するように、容器のスロットまたは他のコンパートメントのものに対応してもよい。柔軟性および交換性を提供するために、容器の所与のコンパートメント(例えば、そのスロット)の中に設置されるように構成される全てのモジュールに関して同一の標準的形状およびサイズ、またはコンパートメントの目的地にかかわらず、全てのモジュールに関して同一の標準的サイズおよび形状を有することが、有利であり得る。4×4×4mmは、能動および受動的モジュールの例示的サイズであり、これは、容器の培養チャンバ内で発生され得る大きいオルガノイドのサイズに対応する。
【0073】
多細胞構造-相互に接続される生物学的細胞の3次元配列。多細胞構造は、相互に対して非ランダムに配列される異なる細胞タイプから成る多細胞構造である、組織化された多細胞構造であってもよい。例示的多細胞構造は、オルガノイド、有機体(任意の発達段階における)、組織外植片、腫瘍、または同等物を含む。
【0074】
近距離無線通信(NFC)-近接場放射および誘導結合または容量結合を使用する電子デバイスの間の無線通信。近距離無線通信は、とりわけ、電子デバイスが相互から50、20、10、または5センチメートル未満にあるときに実施されてもよい。
【0075】
近接場放射-放射源から50、20、10、または5センチメートル以内等、放射源から10、5、または2波長以内の位置における電磁放射、典型的には、電波(例えば、マイクロ波)。
【0076】
オルガノイド-生体外で生成され、器官特有組織の現実的な組織学を呈する等の器官とのある程度の類似性を有する、異なるタイプの細胞の3次元凝集塊。細胞凝集塊は、足場(すなわち、マトリクス)に少数の幹細胞を播種することによって発生され得る。幹細胞は、次いで、足場内で増殖し、分化し、自己組織化する。
【0077】
レセプタクル-随意に、開放上部側、開放底部側、または開放側方側等の開放側を有する、容器。レセプタクルは、少なくとも部分的に、レセプタクルの側を被覆または閉鎖することによって、培養チャンバに変換されてもよい。
【0078】
足場-多細胞構造の培養のための細胞外支持フレームワーク。足場は、典型的には、多細胞構造の細胞が埋設される、または埋設されるであろうマトリクスである。足場は、1つまたはそれを上回るヒドロゲルによって提供されてもよい。各ヒドロゲルは、温度依存方式でマトリクスを協働的に形成する、とりわけ、マトリゲル、アルギン酸、ナノフィブリル状セルロース、コラーゲン、フィブリン、および/またはポリエチレングリコール等の1つまたはそれを上回る熱可塑性構造成分を含んでもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、2つまたはそれを上回る異なるヒドロゲル/マトリクスが、容器の培養チャンバ内に配置されてもよい。ヒドロゲル/マトリクスは、融解温度、酵素分解に対する耐性、可溶性、細胞誘引および/または細胞反発特性、ならびに/もしくは同等物等の任意の好適なパラメータに関して異なってもよい。
【0080】
各ヒドロゲル/マトリクスは、任意の好適な成分を含んでもよい。例示的成分は、1つまたはそれを上回る多糖類(例えば、グリコサミノグリカン(コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸等のGAG))、プロテオグリカン(例えば、アグリカン、アグリン、ブレビカン、コラーゲン型XVIII、レプレカン、ニューロカン、パールカン、小型ロイシンリッチプロテオグリカン、バーシカン、または同等物を形成するためにコアタンパク質に(そのセリンを介して等)結合されたGAG)、繊維状タンパク質(例えば、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ラミニン等)、ならびに/もしくは同等物を含む。プロテアーゼ認識部位(例えば、足場メタロプロテイナーゼ(MMP)に関する)が、細胞による分解/リモデリングを可能にするために、ヒドロゲル/マトリクスに組み込まれてもよい。そのような部位の頻度は、各部位のシーケンスとともに、好適な量の分解/リモデリングを可能にするように選択されてもよい。
【0081】
1つまたはそれを上回る成長因子が、形成されるときにマトリクス中に含まれてもよい、またはマトリクスの形成後に培養培地中に導入されてもよい。好適であり得る例示的成長因子は、アンジオポエチン、骨形成タンパク質(BMP)、毛様体神経栄養因子、コロニー刺激因子、エフリン、上皮成長因子、エリスロポエチン、繊維芽細胞成長因子、グリア由来神経栄養因子、肝細胞成長因子、インスリン、インスリン様成長因子、インターロイキン、白血病抑制因子、ケラチノサイト成長因子、ニューレグリン、ニュートロフィン、血小板由来成長因子、トランスフォーミング成長因子、腫瘍壊死因子(アルファ)、血管内皮成長因子、および/または同等物を含む。
II.培養システムおよび方法の概観
【0082】
本節は、本開示の培養システムおよび方法の概観を提供する(図1-7参照)。
【0083】
図1は、オルガノイド等の多細胞構造を形成する、成長させる、分化させる、組織化する、刺激する、感知する、分析する、および/または撮像するための例示的培養システム100を示す。培養システム100は、培養容器102のセットを含む、容器アレイ101を備え、そのうちの3つのみが、図1に明確に識別される。各培養容器102は、個別の多細胞構造を含有するように構成される。容器アレイ102は、線形アレイ、2次元アレイ(例えば、示されるような長方形アレイ、六角形アレイ等)、および/または3次元アレイである、もしくはそれを含むことができる。容器アレイ101ならびに/もしくはその2つまたはそれを上回る離散的容器アセンブリのそれぞれは、標準的マイクロプレートを操作するために設計されるロボットシステムを用いた機械的および流体的取扱を促進するために、標準的マイクロプレートの長さおよび/または幅に対応する占有面積を有してもよい。容器アレイ101における培養容器102の数は、第1の次元において少なくとも3つであり、第2の直交する次元において1つまたはそれを上回るもの(例えば、少なくとも2つ、3つ、またはそれを上回るもの)であってもよい。
【0084】
容器アレイ101の各培養容器102は、2つまたはそれを上回る明確に異なるコンパートメントを含んでもよく、これは、相互と流体連通する場合とそうではない場合があり、相互と1つまたはそれを上回る壁を共有する場合とそうではない場合がある(図1A参照)。培養容器102は、オルガノイド等の多細胞構造104を含有するための培養容器103を有する。容器102の少なくとも1つのリザーバ105は、培養培地を保持するように構成される。各リザーバ105は、少なくとも1つの個別の接続チャネル106を介して培養チャンバ103と流体連通して配列される。容器102はまた、開口108を介して培養チャンバ103と連通し得る、少なくとも1つのスロット107を有してもよい。
【0085】
培養容器102の各コンパートメントは、任意の好適なサイズおよび形状を有してもよい。培養チャンバ103は、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.7、または1mLの容積を有してもよい。培養チャンバは、とりわけ、少なくとも0.2、0.5、1、または2mmの直径を有する多細胞構造等の任意の好適なサイズのオルガノイド等の多細胞構造を含有するように定寸されてもよい。例示的実施形態では、培養容器102の各リザーバ105は、とりわけ、培養チャンバの容積の少なくとも2、5、または10倍の容積、ならびに/もしくは少なくとも0.5、1、2、4、または6mL等の培養チャンバ103を上回る容量を有する。スロット107は、培養チャンバ103もしくは1つまたはそれを上回るリザーバ105を上回る、下回る、もしくはそれと同一の容積を有してもよい、および/または各リザーバ105と同一の高さを有してもよい。容器の各コンパートメントは、水平断面において長方形、円形、楕円形、または同等物であってもよい。容器のコンパートメント毎の長方形断面が、本形状が、利用可能な空間を非常に効率的に利用し、培養容器102が容器アレイ101において相互に非常に近接して配列されることを可能にするため、有利であり得る。
【0086】
培養容器102は、任意の好適な手順によって、任意の好適な材料から形成されてもよい。例示的実施形態では、培養容器は、透明ポリマーを含み得る、少なくとも1つのポリマーから成ってもよい。培養容器102は、単一部品として一体的に形成される、または培養チャンバ103を形成するようにともに嵌合される、ならびに/もしくは相互に取り付けられる、シェルおよび挿入器または本体およびシール部材等の離散的構成要素の少なくとも対によって形成されてもよい。故に、培養チャンバ103、リザーバ105、および/またはスロット107は、相互に対して固定された位置を有してもよい、ならびに/もしくは培養容器102内で相互に非可撤式に/堅く取り付けられてもよい。
【0087】
容器102のリザーバ105は、培養チャンバ103に供給されるべき任意の好適な物質を保持してもよい。例示的物質は、とりわけ、栄養素、エフェクタ、および試薬を含む。好適な栄養素は、培養チャンバ103の内側での細胞の健康および増殖、したがって、オルガノイド等の多細胞構造の成長および発達を促進するための任意の物質を含む。例示的栄養素は、糖類(グルコース等)、アミノ酸、タンパク質、ヌクレオチド、ビタミン、ミネラル、脂肪酸等を含んでもよい。エフェクタは、プロセスまたは作用(分化、タンパク質合成、遊走等)を活性化、制御、もしくは不活性化する任意の分子(誘導物質または抑制物質等)を含む。例示的エフェクタは、抗癌化合物、成長因子、分化因子、オリゴヌクレオチド、mRNA、または同等物を含む。試薬は、オルガノイド等の多細胞構造の分析を促進する任意の化合物を含む。例示的試薬は、とりわけ、標識、固化剤、および清澄剤を含む。標識は、染料(例えば、可視染色剤および/または光ルミネセンス染料)を含んでもよい。光ルミネセンス染料は、励起光等の電磁放射を伴う照射に応答して光を放出する任意の物質である。
【0088】
各リザーバ105は、流体移送デバイス(例えば、ピペット)を用いた流体の導入および除去を促進するための開放上部を有してもよい。蓋が、培養器内での培養の間に各リザーバ105の開放上部を被覆するために、培養容器102上への設置のために提供されてもよい。蓋は、各リザーバの上側領域に垂直に重複し、随意に、締まり嵌めを作成することなく、リザーバを被覆するときに蓋の側方運動を制限するように構成される、フランジを有してもよい。いくつかの実施形態では、蓋は、1つまたはそれを上回るリザーバ105の上部において液密シールを形成する、キャップであってもよい。
【0089】
容器102は、容器のコンパートメントのうちの1つまたはそれを上回るものの中に少なくとも1つのモジュール109を含有してもよい。図1Aは、培養チャンバ103内に位置する、モジュール109を示し、同一のモジュールに関する可能性として考えられる代替位置が、幻像線において示される。より具体的には、各モジュール109は、とりわけ、培養チャンバ103、リザーバ105、またはスロット107内に位置してもよい。故に、各モジュール109は、培養チャンバ103内に、またはそれに隣接して位置してもよい。各モジュール109は、培養容器102内に含有されてもよい、または培養容器102の外側に位置し、ユーザによって培養容器102の中に選択的に設置されるように構成される、機能的に異なるモジュール109のセットにおいて存在してもよい。各モジュール109は、独立して、下記にさらに説明されるように、能動的な電気/磁気モジュール(例えば、とりわけ、電極モジュール、アクチュエータモジュール、センサモジュール、ポンプモジュール、および/または照明(発光)モジュール)もしくは受動的モジュール(例えば、透過性界面モジュール、足場モジュール、またはダミーモジュール)であってもよい。
【0090】
培養システム100はまた、容器アレイ101を含有するための培養器110を備えてもよい(図1参照)。培養器は、とりわけ、少なくとも25℃、30℃、または35℃等の多細胞構造104に関する好適な培養温度に温度制御されてもよい(図1Aもまた参照)。培養器110の内側の湿度および/または雰囲気もまた、多細胞構造104の成長ならびに発達を促すように制御されてもよい。
【0091】
培養システム100はさらに、流体輸送システム111と、検出システム112と、コンベヤ113とを備えてもよく、そのそれぞれは、培養器110の内側または外側に位置してもよい。流体輸送システム111は、その各リザーバ105の中および/または外等、容器アレイ101の各培養容器102に液体を追加する、ならびに/もしくはそれから液体を除去するように構成される。流体輸送システムは、したがって、1つまたはそれを上回るピペット、流体供給物、ならびに/もしくは廃棄物容器を含んでもよい。検出システム112は、光学検出によって等、容器アレイ101によって含有される多細胞構造に関連するデータを収集するように構成される。例えば、検出システム112は、各培養容器102内の多細胞構造の少なくとも一部を照射するための光源114と、多細胞構造の少なくとも一部の画像を捕捉するための画像センサ115とを含んでもよい。コンベヤ113は、相互に対して培養システム100の構成要素を移動させるように構成されてもよい。例えば、コンベヤ113は、培養システム100内で容器アレイ101をユニットとして、またはその一部のみを移動させるように構成されてもよい。例えば、コンベヤ113は、容器アレイ101またはその培養容器102を、培養器110の中および/または外に、流体輸送システム111に、および/またはそれから、ならびに/もしくは検出システム112に、および/またはそれから移動させるように構成されてもよい。代替として、または加えて、コンベヤ113は、リザーバ105および/またはスロット107がアクセスされているとき、存在する場合、容器アレイ101を被覆する1つまたはそれを上回る蓋を除去および交換するように構成されてもよい。
【0092】
培養システム100の制御回路116は、培養システムの任意の好適なデバイスを給電する、および/または動作させる。例えば、制御回路116は、一方向または双方向通信であり得る、有線もしくは無線通信を介して、流体輸送システム111、検出システム112、および/またはコンベヤ113のそれぞれを制御してもよい。容器アレイ101によって保持される各モジュール109もまた、117において破線矢印によって示されるように、制御回路116によって無線で制御されてもよい。本無線制御は、これが容器アレイ101の構造を簡略化し、容器アレイが、適切なモジュールを導入することによって、必要に応じて機能的にカスタマイズされることを可能にし、培養容器の中に延在し、微生物による汚染に関する経路を提供するワイヤまたは電気導体の必要性を排除するため、有利である。
【0093】
図2は、図1の培養システム100に関する例示的容器アレイ201を示す。容器アレイは、それぞれ、例えば、共通(共有)筐体を介して相互に取り付けられる培養容器202の列を含む、複数の容器ストリップ218(同義的に容器アセンブリと呼ばれる)を備える。容器ストリップは、少なくとも2つ、3つ、4つ、またはそれを上回るもの等の任意の好適な数の培養容器202を有してもよい。各容器ストリップ218は、フレーム219によって受容および保持され、随意に、容器ストリップ218の列を形成する。各容器ストリップ218は、例えば、製造の間、またはユーザによって、フレーム219の個別の受容部位の中にユニットとして設置されてもよい。描写される実施形態では、フレーム219は、対応する数の容器ストリップ218を受容するための8つの受容部位の列を有するが、他の実施形態では、フレームは、対応する数の受容部位において少なくとも2つ、3つ、またはそれを上回る容器ストリップ218を受容するように構成されてもよい。各容器ストリップ218は、容器アレイ201の他の容器ストリップ218とは別個に容器ストリップ(および/またはその中の内容物)の操作、処理、ならびに/もしくは分析を可能にするために、フレーム219から個々に可撤性であってもよい。
【0094】
図3は、図1の培養システム100に関する別の例示的容器アレイ301を示す。容器アレイは、フレーム319によって受容および保持される、複数の別個の個々の培養容器302を備える。各培養容器302は、例えば、製造の間、またはユーザによって、フレーム319の個別の開口部の中に設置されてもよい。培養容器は、フレームから可撤性である場合とそうではない場合がある。
【0095】
図4は、図1Aの培養容器102および培養容器102内に含有され得る機能的に異なるモジュール409a-409cのモジュールセット420を示す。モジュールセット420は、少なくとも2つ、3つ、4つ、またはそれを上回るもの等の任意の好適な数の機能的に異なるモジュールから成ってもよい。モジュールセット420の各モジュールは、モジュール109に関して上記に、または本明細書の別の場所に(第I節、第III節、第IV節、および第VI節において等)説明されるように、特性の任意の好適な組み合わせを有してもよい。モジュールセット420の2つまたはそれを上回るモジュールは、スロット107内のモジュール409bおよび409cの設置に関する幻像矢印を用いて図示されるように、その同一のコンパートメントにおいて等、相互に対して培養容器102内で交換可能に位置付け可能であってもよい、ならびに/もしくはモジュールセット420の少なくとも1つのモジュールは、培養チャンバ103またはリザーバ105内のモジュール409aに関する幻像矢印の対を用いて図示されるように、培養容器102の2つまたはそれを上回るコンパートメントのそれぞれの中で交換可能に位置付け可能であってもよい。
【0096】
図5は、図1の培養システム100に関する例示的培養容器502および例示的制御回路516を示す。培養容器502は、概略側面図において示され、多細胞構造504、すなわち、オルガノイド521と、オルガノイドの形成および/または成長を支援するための関連付けられる足場522とを含有する、培養チャンバ503を含む。足場522は、図5の培養チャンバ503の底部壁に取り付けられるが、他の実施形態では、培養チャンバの任意の好適な側方壁または上部壁に取り付けられてもよい。リザーバ505a、505bの少なくとも対が、培養チャンバ503にわたって位置し、個別のチャネル506a、506bを介して培養チャンバと連通する。各リザーバは、培養チャンバの「垂直に上方」にあり、垂直な線が、リザーバおよび培養チャンバを通して延在することを意味し得る。各リザーバ505a、505bは、個別の培養培地523a、523bを保持し、これは、相互に同一または異なる組成を有してもよい。培養チャンバ503もまた、培養培地を保持し、これは、少なくとも部分的に、一方または両方のチャネル506a、506bを介して一方または両方のリザーバ505a、505bによって供給されてもよい。
【0097】
培養容器502は、随意に、培養チャンバ503にわたって位置するスロット507を画定する。スロット507は、スロットが、その底部端において、開口508を介して培養チャンバ503と連通し得るため、アクセススロットとして説明されてもよい。開口508は、少なくとも50%または100%上回る等、各チャネル506a、506bのものを上回る直径を有してもよい(または有していない場合がある)。スロット507は、スロットモジュール509aを受容するように構成され、これは、製造の間、またはユーザによって、培養容器502のスロット507の中に設置されてもよい。ある場合には、ユーザは、機能的に異なるスロットモジュールのセットから、スロット507の中への設置のためのスロットモジュール509aを選定してもよい(例えば、図4参照)。異なる機能のスロットモジュールを交換する能力は、培養容器502が、種々のタイプのオルガノイドまたは他の多細胞構造に関する異なる培養/試験形態に適合されることを可能にする。ある場合には、ダミーモジュールが、スロットモジュールがスロット内で使用されていない場合、開口508を被覆するためにスロット507の中に設置されてもよい。
【0098】
スロット507は、培養チャンバ503およびリザーバ505a、505bに対して任意の好適な位置を有してもよい。スロットは、示されるように、リザーバの間に中心に位置してもよい、またはリザーバに対して側方位置を有してもよい。
【0099】
スロット507およびリザーバ505a、505bは、その上部端において開放してもよい。本構成は、スロット507の中へのスロットモジュール509aの設置および一方または両方のリザーバの中への培養培地523a、523bの分注を可能にする。故に、容器502は、スロット507および/またはリザーバ505a、505bの開放上部を被覆するための可撤性蓋を含んでもよい。培養容器および容器アセンブリのための蓋のさらなる側面が、第V節において下記に説明される。
【0100】
培養チャンバ503は、少なくとも1つのチャンバモジュール509bを含有してもよい。チャンバモジュールは、その上部側、底部側、または側方側を介して等、レセプタクル524の中に設置されてもよく、レセプタクル524は、少なくとも部分的に、レセプタクルの上部側、底部側、または側方側を閉鎖することによって、培養チャンバ503に変換されてもよい。ある場合には、チャンバモジュール509bが、十分に大きい場合、培養チャンバが、その壁部分を除去することによって開放および/または分解されない限り、かつそのようにされるまで、チャンバモジュールは、培養チャンバ503内に閉じ込められてもよい。
【0101】
制御回路516は、一方または両方が電気/磁気モジュールである場合、517において示されるように、スロットモジュール509aおよび/またはチャンバモジュール509bを無線で制御するように構成される(第III節参照)。制御回路は、近接場放射を使用して、存在する場合、電気モジュールである各モジュール509a、509bに、およびそれから、電力および/またはデータを伝送/受信するために、1つまたはそれを上回るアンテナ525を含んでもよい。制御回路の1つまたはそれを上回るコイル526は、存在する場合、各モジュール509a、509bの少なくとも磁性部分の移動を駆動するために、磁場を発生させるために利用されてもよい。制御回路516はまた、プロセッサ527、1つまたはそれを上回るコントローラ528、メモリ記憶装置529、ならびに/もしくはユーザインターフェース530(例えば、ディスプレイ、キーボード、マウス、プリンタ、および/または同等物)を含む、コンピュータを備えてもよい。
【0102】
制御回路516は、培養容器のアレイの各培養容器内に含有される1つまたはそれを上回る電気/磁気モジュールの移動ならびに/もしくは動作を制御するように構成されてもよい。故に、制御回路は、アレイの培養容器毎に少なくとも1つの個別のアンテナ525および/または少なくとも個別のコイル526を有してもよい。
【0103】
図6は、多細胞構造を培養する方法を提供するために、任意の好適な順序および組み合わせにおいて実施され得る、例示的ステップ631a-631jのフローチャート630である。本方法は、本開示の任意の好適なシステム、デバイス、細胞、および足場を使用して実施されてもよい。
【0104】
足場が、ステップ631aにおいて、培養容器のレセプタクルまたは培養チャンバ内に配置されてもよい。足場は、3D印刷によって等、レセプタクルまたは培養チャンバ内に足場を形成することによって、もしくは事前形成された足場をレセプタクルまたは培養チャンバの中に設置することによって配置されてもよい。いくつかの実施例では、足場は、培養チャンバが形成される前または後に、培養容器のスロットの中に設置され得る、足場モジュールに取り付けられてもよい。
【0105】
細胞が、ステップ631bにおいて、培養容器のレセプタクルまたは培養チャンバの中に導入されてもよい。細胞は、分化、分裂、遊走等によって組織化された多細胞構造を発生させることが意図される、幹細胞を含んでもよい。他の場合では、細胞は、事前形成された多細胞構造(例えば、有機体、組織外植片、腫瘍、オルガノイド、または同等物)としてレセプタクルもしくは培養チャンバの中に導入されてもよい。細胞は、ステップ631aの間に導入されてもよい、またはステップ631aの前もしくは後に導入されてもよい。
【0106】
1つまたはそれを上回るモジュールが、ステップ631cにおいて、レセプタクルまたは培養チャンバの中に、もしくはそれに隣接して設置されてもよい。本明細書に開示されるようなモジュールの任意の組み合わせが、設置されてもよい。任意の好適な数の1つまたはそれを上回るモジュールが、容器の製造の間に、および/またはユーザによって設置されてもよい。
【0107】
培養容器の培養チャンバが、ステップ631dにおいて、形成されてもよい。培養チャンバは、開放側を有し得るレセプタクルを使用して、少なくとも部分的に、開放側を閉鎖することによって形成されてもよい。例えば、開放側は、シール部材を開放側におけるレセプタクルに(例えば、レセプタクルの開放底部側に)接合することによって、またはレセプタクルを含むシェルの中に挿入器を設置することによって被覆されてもよい。いずれの場合も、チャンバは、レセプタクルおよびシール部材または挿入器を使用して協働的に形成されてもよい。
【0108】
モジュールが、ステップ631eにおいて、容器のスロットの中に設置されてもよい。モジュールは、ステップ631dの前または後に設置されてもよい。ある場合には、ステップ631aおよび631eは、事前形成された足場を含む足場モジュールを使用して、ともに実施されてもよい。ある場合には、ステップ631bおよび631eは、細胞を含むモジュールを使用して、ともに実施されてもよい。
【0109】
培養培地が、ステップ631fにおいて、培養容器の1つまたはそれを上回るリザーバに追加されてもよい。培養培地は、いったん追加されると、随意に、重力によって駆動されて、リザーバのうちの1つから培養チャンバの中に流動してもよい。重力はまた、培養チャンバから外への、培養容器の異なるリザーバの中への培養培地の流動を駆動してもよい。
【0110】
容器およびその内容物が、ステップ631gにおいて、培養されてもよい。培養は、好適な温度において、好適なガス状雰囲気中で、とりわけ、少なくとも1、2、3、4、または5日、もしくは少なくとも1、2、または3週間等の任意の好適な時間長にわたって実施されてもよい。
【0111】
存在する場合、培養容器内の各電気/磁気モジュールは、ステップ631hにおいて、制御回路によって無線で制御されてもよい。本制御は、モジュールまたはその少なくとも一部の移動を駆動するために、ならびに/もしくはモジュールの動作を制御するために、モジュールに電力、力、および/またはデータを伝送することを含んでもよい。ステップ631gおよび631hは、同時に実施されてもよい。
【0112】
多細胞構造が、ステップ631iにおいて、培養チャンバ内で形成、成長、刺激、および/または感知されてもよい。ステップ631iは、ステップ631gおよび/または631hに応答して実施されてもよい。
【0113】
容器によって含有される第1のモジュールが、631jにおいて、除去され、第2のモジュールによって交換されてもよい。第1のモジュールは、容器のスロットから除去され、同一のスロット内で第2のモジュールによって交換されてもよい。第1および第2のモジュールは、相互と機能的に異なってもよい。第1モジュールの第2のモジュールとの交換後、ステップ631hおよび631iは、繰り返されてもよい。
【0114】
図7は、多細胞構造を培養する方法を提供するために、随意に、図6のフローチャート630からの1つまたはそれを上回るステップを追加して、任意の好適な順序および組み合わせにおいて実施され得る、例示的ステップ731ab、731d、731f、731g、および731iのフローチャート730である。本方法は、本開示の任意の好適なシステム、デバイス、細胞、および足場を使用して実施されてもよい。フローチャート630のものに対応するフローチャート730のステップは、両方のフローチャートにおいて同一の文字指定を有する。
【0115】
足場および/または細胞が、ステップ731abにおいて、容器のシェル内に配置されてもよい。より具体的には、足場および/または細胞は、シェルの一部によって形成されるレセプタクル内に配置されてもよい。
【0116】
容器の挿入器が、ステップ731dにおいて、シェルの中に設置され、培養チャンバを形成してもよい。培養チャンバは、レセプタクルおよびシェルによって協働的に形成されてもよい。レセプタクルは、チャンバの底部壁および側方壁を提供してもよく、挿入器は、培養チャンバの上部壁を提供してもよい。ステップ731dは、足場および/または細胞がレセプタクル内に配置される前もしくは後に実施されてもよい。
【0117】
培養培地が、ステップ731fにおいて、培養チャンバにわたる(例えば、その垂直に上方の)少なくとも1つのリザーバに追加されてもよい。挿入器は、培養チャンバにわたる少なくとも1つのリザーバまたは各リザーバを提供してもよい。
【0118】
培養容器およびその内容物が、ステップ731gにおいて、培養されてもよい。培養は、ステップ631g(図6参照)に関して上記に説明されるように、好適な温度において、好適なガス状雰囲気中で、任意の好適な時間長にわたって実施されてもよい。
【0119】
図6および7の方法は、培養容器のアレイを用いて実施されてもよい。故に、本方法の各ステップは、適宜、群としてのアレイの培養容器に対して、または個々に培養容器に対して実施されてもよい。
III.電気/磁気モジュール
【0120】
本節は、本開示の培養システムおよび方法における使用のための例示的電気/磁気モジュールを説明する(図8-17参照)。各電気/磁気モジュールは、モジュールが培養容器内に位置する間、制御回路によって無線で給電/動作されるように構成される。電気/磁気モジュールは、制御回路によってモジュールに無線で供給または印加される電気、磁気、もしくはその組み合わせを利用し、容器に対するモジュールの少なくとも一部の移動および/またはモジュールの少なくとも1つの電気/電子デバイスの動作を駆動する。モジュールは、本開示の任意の培養容器内に、および培養容器のスロット、リザーバ、ならびに/もしくは培養チャンバ等のその任意のコンパートメント内に含有されるように構成されてもよい。
【0121】
図8は、例示的電極モジュール809(すなわち、モジュール109の電気/磁気実施形態)を示し、また、制御回路816の電力アンテナ825aおよび通信アンテナ825bを示す。アンテナ825a、825bは、それぞれ、電力を電極モジュール809に伝送し、それを動作させるように構成される。
【0122】
電極モジュール809は、電極界面833を支持する、筐体832を備える。電極界面は、とりわけ、示されるような底部側、またはその側方側(例えば、電極モジュール809が培養チャンバ内に含有される場合)等、筐体832の任意の好適な側上に位置してもよい。電極界面833は、任意の好適な数の任意の好適な形状の電極を含んでもよい。例えば、電極界面は、培養チャンバ内の多細胞構造の表面に触れるように構成され得る、平板電極834aの対および/または多細胞構造を貫通し、その中に延在するように構成され得る、ピン電極834bの対を有してもよい。電極界面833は、多細胞構造を電気的に刺激するために、および/または多細胞構造の電気特性を外部もしくは内部から感知するために使用されてもよい。電極モジュール809に関する例示的使用は、とりわけ、(a)ペーシングまたは活性化のために心筋細胞もしくは神経細胞、(b)3次元における筋肉分化および成長を助長するために筋芽細胞、または(c)ネットワーク形成に影響を及ぼすために軸索成長および形態変化を助長するために神経組織(例えば、脳オルガノイド)を電気的に刺激することを含む。電極モジュール809に関する他の例示的使用は、神経細胞、平滑筋、心筋細胞、または骨格筋等の任意の好適な細胞/組織の電気活性を感知することを含む。
【0123】
筐体832は、電極モジュール809を無線で給電する、それと通信する、および/またはそれを制御することを可能にするための任意の好適な電子回路を含有してもよい。本回路は、制御回路816の電力アンテナ825aから無線で伝送される電力を受電するためのアンテナを有する、電力受電器835を含んでもよい。回路はまた、電極モジュール809と制御回路816との間の通信を可能にするために、制御回路816の外部通信アンテナ825bから信号を受信し、および/またはそれに信号を送信するために、内部通信アンテナ836を含んでもよい。少なくとも1つの近距離無線通信(NFC)プロトコル等の任意の好適な通信プロトコルが、利用されてもよい。電子回路はまた、電力受電器835からの電力を貯蔵するための電力貯蔵ユニット837と、コントローラ838と、デジタル-アナログコンバータ(DAC)およびパルス発生器839とを含んでもよい。第III節の任意のモジュールの電子回路は、モジュールが培養培地等の液体と接触する場合に損傷を防止するために、筐体の内側でシールされてもよい。
【0124】
図9は、例示的センサモジュール909(すなわち、モジュール109の電気/磁気実施形態)を示し、また、制御回路916の通信アンテナ925を示す。アンテナ925は、電力をセンサモジュール909に伝送し、それを動作させるように構成される。故に、別個の電力アンテナおよび電力受電器は、必要ではない場合がある(図8と比較されたい)。
【0125】
センサモジュール909は、センサ界面940を支持する、筐体932を備える。センサ界面は、とりわけ、示されるような底部側、またはその側方側(例えば、センサモジュール909が培養チャンバ内に含有される場合)等、筐体932の任意の好適な側上に位置してもよい。センサ界面940は、温度、移動、電気パラメータ(例えば、電位、電流、インピーダンス等)、電場/磁場(例えば、ホール効果センサを用いて)、pH、化学ポテンシャル、酸素または二酸化炭素濃度、化学物質(例えば、電気化学センサを用いて)等、任意の好適な物理または化学パラメータを感知および測定するように構成されてもよい。センサモジュール909は、遠隔感知が困難である、または可能ではないとき、もしくはセンサ界面940と分析されるべき多細胞構造との間に直接接触を確立することが有利であるとき、好適であり得る。
【0126】
筐体932は、センサモジュール909を無線で給電する、それと通信する、および/またはそれを制御することを可能にするための任意の好適な電子回路を含有してもよい。本回路は、センサモジュール909を給電し、動作させるために、制御回路916の外部通信アンテナ925から信号を受信し、および/またはそれに信号を送信するために、内部通信アンテナ936を含んでもよい。少なくとも1つの近距離無線通信(NFC)プロトコル等の任意の好適な通信プロトコルが、利用されてもよい。電子回路はまた、コントローラ938と、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)941と、メモリ942と、増幅器およびセンサ電子機器943とを含んでもよい。
【0127】
図10は、例示的ポンプモジュール1009(すなわち、モジュール109の電気/磁気実施形態)を示し、また、制御回路1016の電力アンテナ1025を示す。電力アンテナ1025は、ポンプモジュール1009に電力を伝送するように構成される。別個の通信アンテナが、制御回路1016内に存在する場合とそうではない場合がある(図8と比較されたい)。
【0128】
ポンプモジュール1009は、流体流動を駆動するためのポンプ1044を含有する、筐体1032を含む。ポンプ1044は、ポンプモジュール1009の周辺に位置する、ノズル1045a、1045bの対と流体連通する。ポンプ1044の動作は、(入口として作用する)ノズル1045aの中に流体を引動し、ノズル1045bから外に流体を押動する、または、ポンプが逆に駆動される場合、逆もまた同様である。流体の本移動は、とりわけ、培養容器内の培養培地の流動を強化し得る、および/またはオルガノイド発達を刺激するために、乱流を発生させ得る。ポンプモジュール1009の使用は、重力駆動流動が適用可能ではない、または(例えば、培地の性質に起因して)非効率的であるとき、好適であり得る。
【0129】
筐体1032は、制御回路1016から電力を無線で受電し、ポンプ1044を動作させることを可能にするための任意の好適な電子回路を含有してもよい。本回路は、誘導または容量結合によって等、電力アンテナ1025から無線で伝送される電力を受電するために、電力受電器1035を含んでもよい。電子回路はまた、電力貯蔵ユニット1037と、ポンプ駆動装置1046とを含んでもよい。
【0130】
図11は、培養容器1102内に含有されるポンプモジュール1009a、1009bの対を含む、例示的培養システム1100を示す(図10もまた参照)。容器1102は、オルガノイド1121を含有する、培養チャンバ1103を含む。3つのコンパートメント、すなわち、個別の培養培地1123a、1123bを保持する、リザーバ1105a、1105bの対および(図1のモジュール109の実施例である)ダミーモジュール1109を格納する、スロット1107が、培養チャンバ1103の垂直に上方に位置する。リザーバ1105aは、チャネル1106a、1106cの対を介して培養チャンバ1103と連通し、リザーバ1105bは、チャネル1106b、1106dの対を介して培養チャンバ1103と連通する。
【0131】
ポンプ1009a、1009bは、それぞれ、制御回路1016の電力アンテナ1025a、1025bから伝送される電力によって駆動される。ポンプ1009aは、リザーバ1105aから、チャネル1106cを通して、培養チャンバ1103の中に培養培地1123aを駆動する。ポンプ1009bは、培養チャンバ1103から、チャネル1106dを通して、リザーバ1105bの中に培養培地を駆動する。故に、リザーバ1105aからリザーバ1105bへの培地の正味のポンプ駆動流動が、存在する。ポンプは、リザーバ1105bからリザーバ1105aに戻るように培地を移動させるように逆に駆動されることができる、またはこれは、チャネル1106a、1106bを通した重力駆動流動を介して行われてもよい。
【0132】
図12は、オルガノイド1221または他の多細胞構造を機械的に刺激するための培養システム1200を示す。培養システム1200は、容器1102(図11参照)と、制御回路1216と、容器1102の培養チャンバ1103内に含有される磁気モジュール1209a、1209bの対とを含む。オルガノイド1221は、磁気モジュールの間に位置してもよい。磁気モジュールは、オルガノイドに交互する機械的歪みを印加するための磁気アクチュエータとして機能することができ、駆動原理は、線形駆動を作成するように制御回路1216によって印加される磁力である。
【0133】
電極モジュール809は、スロット1107内に位置してもよく、両方のピン電極834bが、オルガノイド1221の中に延在する(図8もまた参照)。しかしながら、下記に議論されるように、制御回路1216によって駆動される磁気モジュール1209a、1209bの移動によって提供されるオルガノイド1221の機械的刺激は、電極モジュール809の存在を要求しない。
【0134】
各磁気モジュール1209a、1209bは、筐体1232によってカプセル化され得る、永久磁石1247を含む。筐体は、オルガノイド1221への付着を促進する表面コーティングを有してもよい。磁気モジュール1209a、1209bの磁石1247は、それぞれ、北極(N)および南極(S)を有し、磁気軸が、両極を通して延在する。磁気モジュール1209a、1209bは、磁気モジュールの磁気軸が、相互に同軸であり、示されるように反平行であり、磁気反発を作成する、または平行であり、磁気引力を作成するように、細胞チャンバ1103内で配列されてもよい。
【0135】
制御回路1216は、1つまたはそれを上回る付加的磁場を作成するために電気的に通電可能である、少なくとも1つのコイル(固定コイル1226a、1226bの対等)を含む。付加的磁場は、磁気モジュール1209a、1209bの間の引力または反発を効果的に強化もしくは減少させ、それによって、相互に向かう、または相互から離れるような磁気モジュールの移動を駆動する。各コイル1226a、1226bは、磁気モジュール1209a、1209の磁気軸に平行に配向され得る、コイル軸を画定する。図13は、電流矢印1348によって示される両方のコイル1226a、1226bの通電およびコイルにおける示される磁場極性の発生を図示する。コイル1226aと磁気モジュール1209aとの間、およびコイル1226bと磁気モジュール1209bとの間の磁気反発は、1349における運動矢印によって示される、相互に向かう磁気モジュールの移動を駆動し、これは、オルガノイド1221に圧縮を印加する。他の場合では、コイル1226a、1226bの通電は、磁気モジュール1209a、1209bをより遠くに駆動してもよく、これは、これが両方のモジュールに取り付けられている場合、オルガノイドに張力を印加してもよい。また他の場合では、磁気モジュールは、オルガノイド移動の磁気感知のために使用されてもよい。磁気モジュールを通して繰り返しの機械的応力を印加する能力は、適切な発達のために本応力を要求し得る、骨オルガノイドおよび筋肉オルガノイド等のあるタイプのオルガノイドに関して特に有益である。
【0136】
図14および15は、図12および13の磁気駆動機構が、培養容器1402a-1402cの列を含む培養システム1400において実装され得る方法を図式的に図示する。(培養容器の位置は、破線矢印を用いて大まかに示されるが、容器自体は、図示を簡略化するために省略される。)各培養容器1402a-1402cは、単一の培養容器1102に関して上記に説明されるように、磁気モジュール1209a、1209bの対の間に挟装される個別のオルガノイド1421a-1421cを含有する。制御回路1416は、容器1402a-1402c、オルガノイド1421a-1421c、および磁気モジュール1209a、1209bの各対と同一の線に沿って配列される、一連の電気的に通電可能なコイル1426a-1426dを提供する。コイル1426a-1426dによって画定されるコイル軸は、それぞれ、容器1402a-1402cの列に沿って延在する。
【0137】
磁気モジュール1209a、1209bの位置が、コイル1426a-1426dの電気的通電を伴わずに図14に示され、それを伴って図15に示される。電気的通電は、図15の1448における矢印を用いて示される。図12および13の単一の培養容器に関して上記に説明されるように、コイル1426a-1426dの適切な電気的通電は、容器1402a-1402cの線に沿って線形に相互に向かって磁気モジュール1209a、1209bの各対を駆動し、これは、オルガノイド1421a-1421cが同期して機械的に刺激されることを可能にする。
【0138】
図16は、図14および15の磁気モジュール1209a、1209bの移動を駆動するための電気的に通電可能なコイル1626の異なる構成を有する、培養システム1600の概略上面図である。(コイル1626のサブセットのみが、数字識別子を用いて識別される。)培養システム1600は、容器1602a-1602cの列を含む。(容器の位置は、破線矢印を用いて大まかに示されるが、容器自体は、図示を簡略化するために省略される。)各容器1602a-1602cは、培養システム1400に関して上記に説明されるように、磁気モジュール1209a、1209bの対の間に挟装される個別のオルガノイド1602a-1602cを含有する。しかしながら、磁気モジュール1209a、1209bの各対の磁気軸は、示されるように、水平等、容器1602a-1602cの列に対して直交的に配向される。制御回路1616は、コイル1626の少なくとも1つの列またはその列の対を提供する。各コイル1626は、磁気モジュールの磁気軸に平行であるコイル軸を画定してもよい。コイル1626の適切な電気的通電は、容器1602a-1602cの列に平行な方向において線形に磁気モジュール1209a、1209bを駆動し、オルガノイド1621a-1621cを機械的に刺激する。
【0139】
図17は、その電力アンテナ1725を介して制御回路1716によって無線で給電および制御されるように構成される、例示的光モジュール1709(すなわち、モジュール109の電気/磁気実施形態)を示す。光モジュール1709は、電力アンテナ1725から電力を受電するための電力受電器1735と、電力貯蔵ユニット1737と、光源1750とを含有する、筐体1732を含む。光源は、光学放射を発生させ、これは、容器内の多細胞構造の光学刺激(例えば、光遺伝学を介して)および/または多細胞構造の光学検出のための照射のために使用されてもよい。
【0140】
例示的光源は、発光ダイオード、レーザ、または同等物を含む。光源はまた、光を指向または集束させるための任意の好適な光学系を含んでもよい。例えば、光源は、光モジュール1709からの光を多細胞構造の表面上に指向するために、および/または多細胞構造の中に延在し、内側から多細胞構造を照射するために、光ファイバ等の導波管を有してもよい。
【0141】
光モジュール1709は、培養容器の培養チャンバ内に含有される多細胞構造の撮像を促進するために使用されてもよい。例えば、光モジュールは、そのリザーバ、スロット、または培養チャンバ内等、培養容器内に適切に位置するとき、多細胞構造の明視野照明または暗視野照明を提供してもよい。
IV.受動的モジュール
【0142】
本節は、本開示の培養システムおよび方法における使用のための例示的受動的モジュールを説明する(図18-20参照)。受動的モジュールは、電力の源を伴わずに、および制御回路との相互作用を伴わずに機能するように構成される。各受動的モジュールは、容器の特定のコンパートメントの中に、もしくは代替として、容器の2つまたはそれを上回るコンパートメントのそれぞれの中に設置されるように構成されてもよい。
【0143】
図18は、図1Aのモジュール109のある実施形態である、例示的足場モジュール1809の若干概略的な図である。足場モジュールは、本体1851と、本体1851に取り付けられる、足場1822とを含む。足場1822は、オルガノイド等の多細胞構造の形成および成長を支援するように構成される。足場は、3D印刷によって等、本体1851上に形成されてもよい、または最初に形成され、次いで、本体1851に取り付けられてもよい。いずれの場合も、足場1822は、とりわけ、底部側、上部側、または側方側等の本体1851の任意の好適な側上に搭載されてもよい。足場モジュール1809は、培養容器の製造の間に、またはユーザによってスロットの中に設置される等、培養容器のスロット内に位置してもよい。ある場合には、足場モジュールは、第V節において下記にさらに説明されるように、培養容器の1つまたはそれを上回るリザーバを形成する、挿入器であってもよい。足場モジュールは、足場を搭載および支持し、ならびに足場を定位置に保ち、改良された取扱および足場追加ならびに除去を可能にするために使用されてもよい。
【0144】
図19は、図1Aのモジュール109のある実施形態である、例示的透過性界面モジュール1909を示す。透過性界面モジュールは、その内部構造を露見させるために図19で断面化される。透過性界面モジュール1909は、入口1953および界面開口部1954と連続する空洞1952を画定する、中空本体1951を有する。入口1953は、可撓性キャップ1955とプラグ接続されてもよい。透過性膜またはゲル等の透過性部材1956が、界面開口部1954において中空本体1951に取り付けられ、とりわけ、底部側、上部側、または側方側等の本体1951の任意の好適な側上に透過性界面1957(例えば、透過性壁)を作成する。透過性界面1957は、随意に、選択的に、透過性界面を介した空洞1952の内外への流体および/または小分子の通過を可能にする。
【0145】
透過性界面モジュール1909は、空洞1952内に任意の好適な培地を含有してもよい。培地は、ガス、液体、ゲル、または同等物であってもよい。培地は、容器の培養チャンバ内に存在する培養培地とは異なる相、組成、および/または化学ポテンシャルを有してもよい。透過性界面1957は、容器内の多細胞構造および/または培養培地と物理的に接触して位置付けられてもよい。実施例として、透過性界面モジュール1909は、空洞1952内に空気(または他のガス)を含有し、透過性部材1956においてガス/液体界面を作成し、培養容器の培養チャンバ内で肺オルガノイドの培養を可能にし得る。他の実施例では、透過性界面モジュール1909は、任意の好適な化学物質を含有してもよく、これは、透過性部材1956を通して培養容器の培養チャンバに排出されることができる。
【0146】
図20は、容器1102のスロット1107(図11もまた参照)内に、開口1108に隣接して、かつ肺オルガノイド2021にわたって動作的に位置付けられる、透過性界面モジュール1909を示す。空洞1952は、透過性部材1956が、空洞1952内のガスと培養チャンバ1103内の液体培養培地との間にガス-液体界面を形成するように、ガスを用いて充填される。
【0147】
培養容器のコンパートメント内に含有される受動的モジュールは、ダミーモジュールとして説明されてもよい。ダミーモジュールは、代替物であってもよい。本開示のモジュールのうちのいずれかのように、ダミーモジュールは、容器の流体保持容量を低減させるように機能してもよい、および/または培養チャンバにわたるスロットを遮断する、もしくはシールしてもよい。しかしながら、ダミーモジュールはまた、培養プロトコルに関して有利である表面形状(凹状または凸状)、表面化学/テクスチャ(例えば、親水性、微細構造等)、ならびに/もしくは機能的表面を提供してもよい。
V.容器アセンブリ
【0148】
本節は、本開示の培養システムおよび方法における使用のための例示的容器アセンブリ、容器アセンブリを用いて形成される容器アレイ、および容器アセンブリの培養容器を説明する(図21-40参照)。
【0149】
図21は、オルガノイド等の多細胞構造の対応する配列を培養するための例示的容器アレイ2101を示す。容器アレイ2101は、フレーム2119によって保持される少なくとも1つの容器ストリップ2118を備える。1つのみの容器ストリップ2118が、図21に示されるが、フレーム2119は、相互に実質的に同じであり得る、2つ、3つ、またはそれを上回る容器ストリップ2118を可撤式に保持するように構成される。描写される実施形態では、フレーム2119は、列において配列される対応する数の容器ストリップ2118のための8つの受容部位2158を画定するが、受容部位2158のサブセットのみが、任意の所与の時点で容器ストリップ2118によって占有されてもよい。フレーム2119は、標準的マイクロプレートのものに対応する占有面積を有してもよく(標準的マイクロプレート占有面積は、127.71mm×85.43mmである)、フレームの占有面積の長さおよび幅は、それぞれ、標準的マイクロプレートのものの10%または5%以内である。フレーム2119と標準的マイクロプレート占有面積との本対応は、標準的マイクロプレートのための培養器、分析器具類、および取扱システムとの機械的互換性を達成する。
【0150】
容器ストリップ2118は、描写される実施形態における4つの培養容器2102a-2102d等の少なくとも2つ、3つ、またはそれを上回る培養容器の列を形成する。各培養容器2102a-2102dは、培養容器の下側領域によって形成される、個別の培養チャンバ2103を含む。
【0151】
図22は、培養チャンバ2103内に含有される多細胞構造の撮像を可能にするために、フレーム2119から除去される容器ストリップ2118を示す。フレーム2119からの容器ストリップ2118の除去は、フレーム2119またはフレームによって保持される他の容器ストリップ2118からの干渉を伴わずに、容器ストリップが撮像システム2112(または他の検出システム)に対して適切に位置付けられることを可能にする。
【0152】
各培養チャンバ2103は、培養チャンバの1つまたはそれを上回る壁によって形成される、1つまたはそれを上回る光学窓を有する。各光学窓は、可視光等の光学放射に対して透過性であるように構成され、光学放射の散乱を最小限にするために、随意に平面である、平滑な内面および外面を有してもよい。描写される実施形態では、各培養チャンバ2013は、底部光学窓2159aと、培養チャンバ2103を横断して相互に反対に配列される、側方光学窓2159b、2159cの対とを有する(図24、26、および30もまた参照)。
【0153】
図22は、撮像システム2112が、培養容器2102c内に含有される多細胞構造の画像を捕捉し得る方法を図示する。多細胞構造の薄切片が、光シート2160を生成し得る、光源2114を使用して、培養容器の側方光学窓2159b(および/または窓2159c)を通して照明されてもよい。多細胞構造からの光(例えば、蛍光)は、培養容器2102cの底部光学窓2159aを通して伝搬した光を集める対物レンズ2161を用いて収集されてもよい。故に、撮像システム2112は、光シート顕微鏡検査としても公知である、選択的平面照明顕微鏡検査(SPIM)を実施してもよい。他の実施例では、照明は、底部光学窓2159aと、側方光学窓2159bまたは2159cのうちの1つからの光収集とを通して実施されてもよい。また他の実施例では、照明は、培養容器内に位置する光モジュールを用いて実施されてもよい(例えば、第III節参照)。なおも他の実施例では、撮像システム2112は、二光子励起顕微鏡検査、トモグラフィ、または同等物を利用してもよい。
【0154】
容器ストリップ2118は、各容器2102a-2102dの培養チャンバ2013にわたって位置する、リザーバ2105a、2105bの個別の対および個別のスロット2107を提供する(図21および22参照)。スロットモジュール2109が、スロット2107内に位置してもよく、本明細書に開示される電気/磁気または受動的モジュールのうちのいずれかであってもよい(例えば、第I節、第III節、第およびIV節参照)。
【0155】
図23は、容器ストリップ2118の分解図を示す。容器ストリップは、シェル2162(同義的に筐体と呼ばれる)と、シェル2162内に受容されるように構成される、複数の挿入器2163と、シェル2162および/または挿入器2163の開放上部側を被覆するように構成される、蓋2164とを備える。いくつかの実施形態では、蓋2164は、必要とされない場合がある。磁気モジュール1209a、1209bの個別の対は、各挿入器2163の下のシェル2162内に位置してもよい(第III節もまた参照)が、任意の他の好適なモジュールが、挿入器の下のシェル内に位置してもよい、またはいかなるモジュールも、挿入器の下のシェル内に位置しない場合がある。
【0156】
シェル2162は、区分2165a-2165d等の複数の区分に内部で分割されてもよい。区分2165a-2165dは、相互と一体的に形成されてもよい。区分2165a-2165dは、相互に直接取り付けられてもよい、または区分の各隣接する対の中間に位置する個別のスペーサ領域2166を用いて相互から分離されてもよい。
【0157】
シェル2162の各区分2165a-2165dは、レセプタクル2167を形成する下側領域と、挿入器2163のうちの1つのための受容空間2168を形成する上側領域とを含む(図23、26、および28-30参照)。各培養チャンバ2103は、シェル2162および挿入器2163のうちの1つを使用して協働的に形成され、これは、培養チャンバ内にモジュール(描写される実施形態では、磁気モジュール1209a、1209bの対等(図26参照))を捕捉してもよい。レセプタクル2167は、培養チャンバ2103の側方壁を提供し、挿入器2163のうちの1つは、培養チャンバの上部壁部分を提供する。オルガノイドのための足場が、挿入器2163がシェル2162と組み立てられる前に、その中に形成または設置される(例えば、レセプタクルの底部壁または側方壁に取り付けられる)等、各挿入器2163のレセプタクル2167内に配置されてもよい。他の場合では、足場は、挿入器がシェル2162と組み立てられる前に、その上に3D印刷される、または足場形成後に取り付けられる等、挿入器2163の底部側上に配置されてもよい。また他の場合では、足場は、モジュール2109によって提供されてもよい(第IV節もまた参照)。
【0158】
各挿入器2163は、区分2165a-2165dのうちの1つの中に嵌合するように構成される。故に、挿入器の外側寸法は、受容空間2168の寸法に対応してもよい。レセプタクル2167は、1つまたはそれを上回る、受容空間2168よりも小さい水平寸法を有し、受容空間2168の底部において肩部2169を形成し、挿入器2163を支持し、区分の中へ下向きのさらなる前進を防止してもよい(図26、29、および30参照)。
【0159】
各挿入器2163は、挿入器がシェル内に着座されるときに係合するスナップ嵌合機構によって、シェル2162内に係止されてもよい(図27および31-33参照)。挿入器は、シェル2162の側方壁によって画定される個別の開口部2171内に受容される、突出部2170を画定してもよい、または挿入器は、開口部を画定してもよく、シェルは、突出部を画定してもよい。
【0160】
各挿入器2163は、その底部において種々の開口部を画定する。開口部は、各リザーバ2105a、2105bの底部において、チャネル2106a、2106bの対等の少なくとも1つのチャネルを含む(図33参照)。リザーバ2105aまたは2105bから延在する各チャネル2106a、2106bは、リザーバのうちの1つとリザーバの垂直に下に位置する培養チャンバ2103との間の流体連通を提供する(図26もまた参照)。挿入器はまた、スロット2107の底部端において開口2108を画定し、スロット2107と培養チャンバ2103との間の流体連通を提供する(図26、33、34参照)。
【0161】
図35は、容器アレイ2101のための蓋アセンブリ2172を示す(図21もまた参照)。蓋アセンブリ2172は、フレーム2119によって保持される対応する数の容器ストリップ2118を被覆するための一連の蓋2164を備える(図26もまた参照)。各蓋2164は、容器ストリップの上部(例えば、シェル2162の上部)上に嵌合してもよく、下向きに張出し、その上部縁において容器ストリップと垂直に重複し、それを水平に包囲するように構成される、周辺フランジを有してもよい。無菌状態を維持することは、最大数ヵ月かかり得る、培養および試験のプロセス全体の間の主要な問題であり得る。故に、各容器ストリップ2118の各容器2102a-2102dのリザーバ2105a、2015bおよびスロット2107の開放上部を介した汚染微生物の進入を遮断するための蓋アセンブリ2172が、有利であろう。蓋アセンブリ2172は、容器ストリップの全てが同一の蓋アセンブリによって被覆されることを可能にするが、個々の蓋2164は、蓋アセンブリ2172から除去されてもよい。例えば、蓋アセンブリ2172は、それに各蓋2164が(例えば、とりわけ、弱い接着剤、締まり嵌め、またはスナップ嵌合機構を介して)可撤式に取り付けられる、キャリア2173を含んでもよい。本構成は、撮像または他の処理のため等、容器アレイ2101の他の容器ストリップ2118およびそれらの蓋2164からの、その蓋2164を含む任意の単一の容器ストリップ2118の容易な除去を可能にする。他の実施例では、キャリア2173は、省略されてもよく、蓋2164は、相互と一体的に形成され、蓋2164の隣接する対を相互に継合する脆性接続を破壊することによって取外可能であるように構成されてもよい。
【0162】
図36および37は、シェル2162の中への設置のための別の例示的挿入器3663を示す(図23もまた参照)。挿入器3663は、挿入器3663がシェル2162との液密シールを作成するように構成される、ガスケット3674を含むことを除いて、挿入器2163と同じである。ガスケット3674は、より軟質のより変形可能な材料(例えば、エラストマ)から形成されてもよく、これは、より硬質のあまり変形可能ではない材料から形成される本体3675に取り付けられてもよい。ある場合には、ガスケット3674は、オーバーモールディングによって本体3675上に作成されてもよい。ガスケット3674は、とりわけ、本体3675の下側領域の周囲等の本体3675の側方側上に、または本体3675の底部側上に位置してもよい。
【0163】
図38は、シェル2162の中への設置のためのまた別の例示的挿入器3863を示す(図23もまた参照)。挿入器3863は、リザーバ3805a、3805bの対を形成し、これは、隣接し、中心スロットによって分離される代わりに、相互と側方壁を共有する(図33と比較されたい)。挿入器3863は、取付のために利用可能なより多くの表面積が存在するため、足場が挿入器の底部側に取り付けられるであろう場合、有利であり得る。また、挿入器3863は、挿入器の底部におけるチャネルが、挿入器の下の培養チャンバ内で中心に位置付けられる多細胞構造との垂直整合のために、より中心に位置することを可能にする。
【0164】
図39は、シェル2162の中への設置のためのなおも別の例示的挿入器3963を示す(図23もまた参照)。挿入器3963は、4つのリザーバ3905a-3905dおよびリザーバの対の中間に位置する中心スロット3907を形成する(図33と比較されたい)。挿入器3963は、多細胞構造が異なる培養培地を内部および外部から給送されているときに有利であり得る。
【0165】
図40は、シェル2162の中への設置のためのまたなおも別の例示的挿入器4063を示す(図23もまた参照)。挿入器4063は、挿入器3963のように、4つのリザーバ4005a-4005dを形成するが、リザーバの対の中間に位置する中心スロットが欠如している(図39と比較されたい)。挿入器4063は、2つを上回るリザーバを有し、多細胞構造にわたって中心にチャネルを配置する潜在的利点を組み合わせる。
VI.選択された側面
【0166】
本節は、一連のインデックス化された段落として、本開示のシステム、方法、およびデバイスの選択された側面を説明する。
【0167】
段落A1.オルガノイド等の多細胞構造を培養するためのシステムであって、(a)多細胞構造(オルガノイド等)を含有するための培養チャンバを含む、容器と、(b)随意に、培養チャンバ内またはそれに隣接する位置において、容器に結合される、ならびに/もしくはその中に位置するように構成される、電気/磁気モジュールと、(c)電気/磁気モジュールを無線で給電する、および/または動作させるように構成される、制御回路とを備え、随意に、電気/磁気モジュールは、容器に可撤式に結合される、および/またはその中に可撤式に位置し、随意に、電気/磁気モジュールは、容器の2つまたはそれを上回るコンパートメントのそれぞれの中に受容されることが可能であり、随意に、2つまたはそれを上回るコンパートメントは、培養チャンバ、1つまたはそれを上回るリザーバ、ならびに/もしくはスロットから選択される、システム。
【0168】
段落A2.制御回路は、近接場放射を使用して、電気/磁気モジュールを無線で給電する、および/または動作させるように構成される、段落A1に記載のシステム。
【0169】
段落A3.制御回路は、誘導結合または容量結合を介して電気/磁気モジュールに電力を無線で伝送するように構成される、段落A2に記載のシステム。
【0170】
段落A4.制御回路は、少なくとも1つの近距離無線通信プロトコルを介して、電気/磁気モジュールと無線で通信するように構成される、段落A2またはA3に記載のシステム。
【0171】
段落A5.電気/磁気モジュールは、培養チャンバ内に含有される、または含有されるように構成され、磁石を含み、制御回路は、培養チャンバ内で磁石の移動を駆動する磁場を作成するように構成される、段落A1-A4のいずれかに記載のシステム。
【0172】
段落A6.電気/磁気モジュールは、第1のモジュールであり、磁石は、第1の磁石であり、第2の磁石を含む第2のモジュールをさらに備え、第1および第2のモジュールは、同時に培養チャンバ内に含有される、または含有されるように構成され、制御回路は、相互に対して、随意に、培養チャンバ内で相互に向かって、および/または相互から離れるように、第1および第2の磁石の移動を駆動するように構成される、段落A5に記載のシステム。
【0173】
段落A7.電気/磁気モジュールは、センサを含む、段落A1-A6のいずれかに記載のシステム。
【0174】
段落A8.電気/磁気モジュールは、化学センサ、電気センサ、光学センサ、および/または温度センサを含む、段落A7に記載のシステム。
【0175】
段落A9.電気/磁気モジュールは、電極を含む、段落A1-A8のいずれかに記載のシステム。
【0176】
段落A10.電極は、培養チャンバ内の多細胞構造を電気的に刺激する、および/または電気的に感知するように構成される、段落A9に記載のシステム。
【0177】
段落A11.電気/磁気モジュールは、光源を含む、段落A1-A10のいずれかに記載のシステム。
【0178】
段落A12.光源は、培養チャンバ内の多細胞構造の少なくとも一部を照明するように構成される、段落A11に記載のシステム。
【0179】
段落A13.電気/磁気モジュールは、培養チャンバの中および/または外への流体流動を駆動するように構成される、ポンプを含む、段落A1-A12のいずれかに記載のシステム。
【0180】
段落A14.電気/磁気モジュールは、培養チャンバに隣接するスロット内に位置する、または位置するように構成され、随意に、容器は、スロットと培養チャンバとの間の流体連通を提供する、開口を画定する、段落A1-A13のいずれかに記載のシステム。
【0181】
段落A15.容器は、培養チャンバと流体連通する、2つまたはそれを上回るリザーバを含み、随意に、スロットは、培養チャンバの垂直に上方に、随意に、2つまたはそれを上回るリザーバの少なくとも対の間に位置し、随意に、2つまたはそれを上回るリザーバの各リザーバは、培養チャンバと別個に連通し、随意に、2つまたはそれを上回るリザーバはそれぞれ、管類を介して等、液体のいずれの外部源にも接続されず、随意に、2つまたはそれを上回るリザーバのそれぞれおよび培養チャンバは、同一の筐体によって形成される、および/またはその中に位置し、随意に、2つまたはそれを上回るリザーバの各リザーバは、培養チャンバに直接取り付けられる、ならびに/もしくは培養チャンバと壁を共有する、段落A14に記載のシステム。
【0182】
段落A16.電気/磁気モジュールは、相互と異なる機能を実施し、容器に結合される、および/またはその中に位置するように構成される、2つまたはそれを上回るモジュールのセット内に含まれ、随意に、同一のリザーバ、培養チャンバ、および/またはスロット等の容器の同一のコンパートメント内に交換可能に位置付け可能である、段落A14またはA15に記載のシステム。
【0183】
段落A17.随意に、容器は、それぞれ、培養チャンバにわたって(随意に、培養チャンバの垂直に上方に)位置し、随意に、それぞれ、培養チャンバと壁を共有する、少なくとも1つもしくは2つまたはそれを上回るリザーバを含み、随意に、2つまたはそれを上回るリザーバは、相互と一体的に、および/または同一の挿入器によって形成され、随意に、電気/磁気モジュールは、2つまたはそれを上回るリザーバの上部側および培養チャンバの底部の中間に垂直に位置する、ならびに/もしくは本システムはさらに、随意に、少なくとも1つもしくは2つまたはそれを上回るリザーバを被覆するために、容器上に設置されるように構成される、可撤性蓋を備える、段落A1-A16のいずれかに記載のシステム。
【0184】
段落A18.相互に接続され、容器を含む、容器の列を形成する、容器アセンブリをさらに備え、容器の列の各容器は、多細胞構造(オルガノイド等)を含有するための個別の培養チャンバを含み、随意に、容器の列の容器は、相互と実質的に同じであり、随意に、電気/磁気モジュールは、容器の列の容器間で移動可能である、段落A1-A17のいずれかに記載のシステム。
【0185】
段落A19.容器アセンブリは、標準的マイクロプレート占有面積の長さまたは幅に対応する長さを有する、段落A18に記載のシステム。
【0186】
段落A20.容器アセンブリを含み、容器の少なくとも2つまたは3つの列を形成する、容器アレイをさらに備え、容器の少なくとも2つまたは3つの列の各容器は、多細胞構造を含有するための個別の培養チャンバを含む、段落A18またはA19に記載のシステム。
【0187】
段落A21.容器アセンブリを含む、複数の容器アセンブリを保持するためのフレームをさらに備え、フレームは、随意に、標準的マイクロプレート占有面積の長さおよび/または幅に対応する長さおよび/または幅を有し、随意に、複数の容器アセンブリは、相互と実質的に同じであり、随意に、複数の容器アセンブリは、相互と実質的に同じである、対応する複数のシェルを含む、段落A18-A20のいずれかに記載のシステム。
【0188】
段落A22.容器は、培養チャンバの壁によって形成される、光学窓を含む、段落A1-A21のいずれかに記載のシステム。
【0189】
段落A23.培養チャンバ内に位置付けられる、または位置付けられるように構成され、培養チャンバ内のオルガノイド形成を支援するように構成される、足場をさらに備える、段落A1-A22のいずれかに記載のシステム。
【0190】
段落A24.容器は、段落C1-C20のいずれかに記載のデバイスによって提供される、段落A1-A23のいずれかに記載のシステム。
【0191】
段落B1.オルガノイド等の多細胞構造を培養する方法であって、(a)容器の培養チャンバ内に多細胞構造を含有するステップであって、電気/磁気モジュールが、随意に、培養チャンバ内またはそれに隣接する位置において、可撤式に容器に結合される、ならびに/もしくはその中に位置する、ステップと、(b)制御回路を使用して、電気/磁気モジュールを無線で給電する/動作させるステップとを含み、随意に、電気/磁気モジュールは、容器に可撤式に結合される、および/またはその中に可撤式に位置し、随意に、電気/磁気モジュールは、容器の2つまたはそれを上回るコンパートメントのそれぞれの中に受容されることが可能であり、随意に、2つまたはそれを上回るコンパートメントは、培養チャンバ、1つまたはそれを上回るリザーバ、ならびに/もしくはスロットから選択され、随意に、多細胞構造は、直径が少なくとも0.2、0.5、1、または2mmのオルガノイドであり、(例えば、管類および/または管を介して)容器を液体(例えば、培養培地)の外側源に接続することなく、ならびに/もしくは容器をワイヤまたは他の電気導体に電気的に接続することなく、培養チャンバ内で形成/成長される、方法。
【0192】
段落B2.給電する/動作させるステップは、電気エネルギーを電気/磁気モジュールに無線で伝送するステップを含む、段落B1に記載の方法。
【0193】
段落B3.給電する/動作させるステップは、少なくとも部分的に、制御回路および電気/磁気モジュールの相互への誘導結合または容量結合を介して実施される、段落B1またはB2に記載の方法。
【0194】
段落B4.給電する/動作させるステップは、近接場放射を使用して、電気/磁気モジュールと無線で通信するステップを含む、段落B1-B3のいずれかに記載の方法。
【0195】
段落B5.無線で通信するステップは、少なくとも1つの近距離無線通信プロトコルを使用して、電気/磁気モジュールとデータを交換するステップを含む、段落B4に記載の方法。
【0196】
段落B6.電気/磁気モジュールは、磁石を含み、給電する/動作させるステップは、制御回路によって作成される磁場を使用して、培養チャンバ内で磁石の移動を駆動するステップを含む、段落B1-B5のいずれかに記載の方法。
【0197】
段落B7.培養チャンバは、それぞれ、磁石を含む、電気/磁気モジュールの対を含有し、給電する/動作させるステップは、相互に対して、随意に、培養チャンバ内で相互に向かって、および/または相互から離れるように、電気/磁気モジュールを駆動するステップを含む、段落B6に記載の方法。
【0198】
段落B8.給電する/動作させるステップは、電気/磁気モジュールのセンサを使用して、(例えば、培養チャンバ内に位置する)多細胞構造および/または多細胞構造と接触する培養培地の性質を感知するステップを含む、段落B1-B7のいずれかに記載の方法。
【0199】
段落B9.給電する/動作させるステップは、多細胞構造を電気的に刺激するステップを含む、段落B1-B8のいずれかに記載の方法。
【0200】
段落B10.給電する/動作させるステップは、培養チャンバの中および/または外への流体流動を駆動するステップを含む、段落B1-B9のいずれかに記載の方法。
【0201】
段落B11.電気/磁気モジュールは、培養チャンバ内に位置する、段落B1-B10のいずれかに記載の方法。
【0202】
段落B12.電気/磁気モジュールは、容器内に、かつ培養チャンバの外側に少なくとも主として(すなわち、体積比半分を上回って)位置する、段落B1-B11のいずれかに記載の方法。
【0203】
段落B13.電気/磁気モジュールは、容器によって画定されるスロット内に位置する、段落B12に記載の方法。
【0204】
段落B14.多細胞構造が培養チャンバ内に留まる間に、多細胞構造に関連するデータを収集するステップをさらに含む、段落B1-B13のいずれかに記載の方法。
【0205】
段落B15.データを収集するステップは、多細胞構造の少なくとも一部の画像を捕捉するステップを含む、段落B14に記載の方法。
【0206】
段落B16.データを収集するステップは、モジュールのセンサを使用して実施される、段落B14またはB15に記載の方法。
【0207】
段落B17.容器のコンパートメント内に電気/磁気モジュールを配置するステップをさらに含む、段落B1-B16のいずれかに記載の方法。
【0208】
段落B18.配置するステップは、培養チャンバ内の電気/磁気モジュールを捕捉するステップを含む、段落B17に記載の方法。
【0209】
段落B19.配置するステップは、容器の中であるが、培養チャンバの外側に、随意に、容器のリザーバまたはスロットの中に電気/磁気モジュールを設置するステップを含む、段落B17に記載の方法。
【0210】
段落B20.随意に、(i)培養チャンバ内に存在する、および/またはその中で培養されるべきオルガノイドのタイプ、(ii)オルガノイドに関して選択される培養プロトコルまたはプロトコル段階、(iii)オルガノイドに関する試験条件、ならびに/もしくは(iv)オルガノイドおよび/またはオルガノイドと接触する培養培地に関して感知されるべきパラメータに基づいて、配置するステップの前に容器の外側に位置する2つまたはそれを上回る機能的に異なるモジュールのセットから電気/磁気モジュールを選択するステップをさらに含む、段落B17-B19のいずれかに記載の方法。
【0211】
段落B21.セットから2つまたはそれを上回る機能的に異なるモジュールを選択するステップをさらに含み、配置するステップは、選択されたモジュール毎に、選択されたモジュールを容器に結合する、および/または選択されたモジュールを容器内に配置するステップを含む、段落B20に記載の方法。
【0212】
段落B22.2つまたはそれを上回る機能的に異なるモジュールのセットは、少なくとも1つの受動的モジュールを含み、随意に、選択するステップは、受動的モジュールを選択するステップを含む、段落B20またはB21に記載の方法。
【0213】
段落B23.本方法は、段落A1-A24のいずれかに記載のシステムを用いて実施される、段落B1-B22のいずれかに記載の方法。
【0214】
段落C1.オルガノイド等の多細胞構造を培養するためのデバイスであって、(a)随意に、開放上部を有する、シェルと、(b)少なくとも1つのリザーバもしくは2つまたはそれを上回るリザーバを含む、挿入器であって、挿入器は、シェルおよび挿入器が多細胞構造のための培養チャンバを協働的に形成するように、随意に、開放上部を介してシェル内に受容されるように構成され、培養チャンバは、2つまたはそれを上回るリザーバの下に(随意に、垂直に下に)位置し、随意に、挿入器によって画定される個別のチャネルを介して少なくとも1つのリザーバもしくは2つまたはそれを上回るリザーバのそれぞれと流体連通する、挿入器とを備える、デバイス。
【0215】
段落C2.少なくとも1つのリザーバならびに/もしくは2つまたはそれを上回るリザーバの各リザーバを被覆するために、シェル上に設置されるように構成される、蓋をさらに備える、段落C1に記載のデバイス。
【0216】
段落C3.蓋は、シェルの開放上部を完全に被覆するように構成される、段落C2に記載のデバイス。
【0217】
段落C4.培養チャンバ内のオルガノイド形成を支援するように構成される、足場をさらに備える、段落C1またはC3のいずれかに記載のデバイス。
【0218】
段落C5.足場は、シェルの壁に取り付けられる、段落C4に記載のデバイス。
【0219】
段落C6.シェルおよび挿入器は、それぞれ、容器の一部であり、足場を提供する、モジュールをさらに備え、モジュールは、挿入器によって画定されるスロット等の容器のコンパートメントに(随意に、可撤式に)結合される、および/またはその中に位置するように構成される、段落C4に記載のデバイス。
【0220】
段落C7.スロットは、培養チャンバの垂直に上方に、かつ2つまたはそれを上回るリザーバのリザーバの少なくとも対の間に位置する、段落C6に記載のデバイス。
【0221】
段落C8.シェルは、受容空間を画定する上側領域と、レセプタクルを形成する下側領域とを有する、区分を含み、挿入器は、受容空間内に受容されるように構成され、レセプタクルは、挿入器とともに培養チャンバを協働的に形成するように構成される、段落C1-C7のいずれかに記載のデバイス。
【0222】
段落C9.挿入器は、区分の上側領域の複数の側壁および/または底部壁との液密シールを形成するように構成される、段落C8に記載のデバイス。
【0223】
段落C10.挿入器は、本体と、本体に取り付けられる、ガスケットとを含み、ガスケットは、複数の側壁の各側壁および/または底部壁に係合し、液密シールを形成するように構成される、段落C9に記載のデバイス。
【0224】
段落C11.ガスケットは、本体上に成型される、段落C10に記載のデバイス。
【0225】
段落C12.挿入器は、スロットを形成し、スロットの底部端において開口を画定し、開口の垂直に上方に、スロット内に位置する、または位置するように構成される、モジュールをさらに備え、随意に、モジュールは、電気/磁気モジュールである、段落C1-C11のいずれかに記載のデバイス。
【0226】
段落C13.本デバイスは、複数の挿入器を備え、シェルは、それぞれ、複数の挿入器の個別の挿入器を受容するように構成される、区分の列を形成し、各区分および個別の挿入器と多細胞構造のための培養チャンバを協働的に形成する、段落C1-C12のいずれかに記載のデバイス。
【0227】
段落C14.区分の列の区分は、単一の部品として相互と一体的に形成される、段落C13に記載のデバイス。
【0228】
段落C15.区分の列を被覆するために、シェル上に設置されるように構成される、蓋をさらに備える、段落C13またはC14に記載のデバイス。
【0229】
段落C16.シェルの下側領域は、培養チャンバの少なくとも1つの光学窓を形成する、段落C1-C15のいずれかに記載のデバイス。
【0230】
段落C17.シェルの下側領域は、培養チャンバの少なくとも2つの光学窓を形成する、段落C16に記載のデバイス。
【0231】
段落C18.少なくとも2つの光学窓は、底部窓と、少なくとも1つの側方窓とを含む、段落C17に記載のデバイス。
【0232】
段落C19.少なくとも2つの光学窓は、相互に反対に配列される、側方窓の対を含む、段落C17またはC18に記載のデバイス。
【0233】
段落C20.シェルおよび挿入器は、それぞれ、同一の容器の部分を形成し、それぞれ、容器に結合される、および/またはその中に位置するように構成される、1つまたはそれを上回るモジュール、随意に、少なくとも1つまたは少なくとも2つの電気/磁気モジュールならびに/もしくは少なくとも1つまたは少なくとも2つの受動的モジュールを含むセット等の2つまたはそれを上回る機能的に異なるモジュールのセットをさらに備え、随意に、機能的に異なるモジュールのうちの少なくとも2つは、容器の同一のコンパートメント(例えば、同一のリザーバ、培養チャンバ、またはスロット)の中に交換可能に設置されるように構成される、段落C1-C19のいずれかに記載のデバイス。
【0234】
段落D1.オルガノイド等の多細胞構造を培養する方法であって、(a)随意に、少なくとも1つのリザーバもしくは2つまたはそれを上回るリザーバを含む、挿入器をシェルの中に設置し、挿入器およびシェルを使用して、培養チャンバを協働的に形成するステップであって、培養チャンバは、随意に、少なくとも1つのリザーバもしくは2つまたはそれを上回るリザーバの各リザーバの下に(垂直に下に等)位置し、それと流体連通する、ステップと、(b)培養チャンバ内の多細胞構造を培養するステップとを含む、方法。
【0235】
段落D2.2つまたはそれを上回るリザーバを被覆するために、蓋をシェル上に設置するステップをさらに含む、段落D1に記載の方法。
【0236】
段落D3.培養チャンバは、挿入器によって画定されるチャネルを介して、2つまたはそれを上回るリザーバの各リザーバと流体連通する、段落D1またはD2に記載の方法。
【0237】
段落D4.シェル内に足場を配置するステップをさらに含み、足場は、培養チャンバ内のオルガノイド形成を助長するように構成され、随意に、多細胞構造の細胞は、足場内に埋設される、段落D1-D3のいずれかに記載の方法。
【0238】
段落D5.配置するステップは、随意に、挿入器を設置する前に、シェル内に足場を形成するステップを含む、段落D4に記載の方法。
【0239】
段落D6.配置するステップは、事前形成された足場をシェルの中に設置するステップを含む、段落D4に記載の方法。
【0240】
段落D7.事前形成された足場をシェルの中に設置するステップは、挿入器を設置する前に実施される、段落D6に記載の方法。
【0241】
段落D8.事前形成された足場をシェルの中に設置するステップは、挿入器を設置することによって、またはその後に実施され、随意に、事前形成された足場は、挿入器を設置する前に、挿入器の底部側にすでに取り付けられている、段落D6に記載の方法。
【0242】
段落D9.シェルは、区分の列を含み、設置するステップは、少なくとも2つの挿入器を区分の列の中に設置し、2つまたはそれを上回る別個の培養チャンバを形成するステップを含み、多細胞構造を培養するステップは、2つまたはそれを上回る別個の培養チャンバのそれぞれの中で個別のオルガノイドを培養するステップを含む、段落D1-D8のいずれかに記載の方法。
【0243】
段落D10.多細胞構造が培養チャンバ内に留まる間に、多細胞構造に関連するデータを収集するステップをさらに含む、段落D1-D9のいずれかに記載の方法。
【0244】
段落D11.データを収集するステップは、多細胞構造の少なくとも一部の画像を捕捉するステップを含む、段落D1-D10のいずれかに記載の方法。
【0245】
段落D12.本方法は、段落C1-C20に記載の任意のデバイスを用いて実施される、段落D1-D11のいずれかに記載の方法。
【0246】
段落E1.オルガノイド等の多細胞構造を培養するためのシステムであって、(a)多細胞構造を含有するための培養チャンバと、それぞれ、培養チャンバと流体連通する、少なくとも1つのリザーバもしくは少なくとも2つまたはそれを上回るリザーバおよび随意のスロットとを含む、容器と、(b)相互と異なる機能を有し、交換可能に容器に結合される、および/またはその中に配置されるように構成される、2つまたはそれを上回るモジュールとを備える、システム。
【0247】
段落E2.容器は、スロットの底部端において培養チャンバと連通する、開口を画定する、段落E1に記載のシステム。
【0248】
段落E3.2つまたはそれを上回るモジュールの各モジュールは、スロットの中に設置されるとき、開口に隣接して位置するように構成される、段落E2に記載のシステム。
【0249】
段落E4.2つまたはそれを上回るモジュールは、透過性膜を有する、第1のモジュールを含む、段落E1-E3のいずれかに記載のシステム。
【0250】
段落E5.膜は、培養チャンバ内の液体と第1のモジュール内の液体またはガスとの間の界面を形成するように構成される、段落E4に記載のシステム。
【0251】
段落E6.2つまたはそれを上回るモジュールのうちの少なくとも1つは、電気/磁気モジュールである、段落E1-E5のいずれかに記載のシステム。
【0252】
段落E7.少なくとも1つのモジュールは、電子デバイスを有するモジュールを含む、段落E6に記載のシステム。
【0253】
段落E8.2つまたはそれを上回るモジュールのうちの少なくとも1つは、電子デバイスを含まない、段落E6またはE7に記載のシステム。
【0254】
段落E9.容器は、段落C1-C20のいずれかに記載のデバイスによって提供される、段落E1-E8のいずれかに記載のシステム。
【0255】
段落F1.オルガノイド等の多細胞構造を培養する方法であって、(a)容器の培養チャンバ内に多細胞構造を含有するステップであって、容器は、培養チャンバと連通するスロットを画定し、第1のモジュールが、スロット内に位置する、ステップと、(b)スロットから第1のモジュールを除去するステップと、(c)スロットの中に第2のモジュールを設置するステップであって、第2のモジュールは、第1のモジュールと異なる機能を実施するように構成される、ステップとを含む、方法。
【0256】
段落F2.容器は、スロットと培養チャンバとの間の連通を提供する、開口を画定する、段落F1に記載の方法。
【0257】
段落F3.第1および第2のモジュールのうちの少なくとも1つは、開口を介してスロットから培養チャンバの中に延在する、段落F1またはF2に記載の方法。
【0258】
段落F4.第1および第2のモジュールのうちの少なくとも1つは、電子デバイスを含む、段落F1-F3のいずれかに記載の方法。
【0259】
段落F5.第1および第2のモジュールのモジュールは、培養チャンバ内の液体とモジュール内の液体またはガスとの間の界面を形成する、膜を含む、段落F1-F4のいずれかに記載の方法。
【0260】
段落F6.第1および第2のモジュールの少なくとも1つのモジュールは、培養チャンバ内の多細胞構造および/または液体に接触する、電極を含む、段落F1-F5のいずれかに記載の方法。
【0261】
段落F7.1つのモジュールがスロット内に位置する間、制御回路を使用して、第1および第2のモジュールの1つのモジュールを無線で給電する/動作させるステップをさらに含む、段落F1-F6のいずれかに記載の方法。
【0262】
段落F8.容器は、段落C1-C20のいずれかに記載のデバイスによって提供される、段落F1-F7のいずれかに記載の方法。
【0263】
段落G1.管およびワイヤを容器自体に接続する必要性を伴わないオルガノイド培養容器。
【0264】
段落H1.オルガノイド培養の方法であって、容器を(例えば、管類等の1つまたはそれを上回る管を介して)液体の外部源に接続することなく、および/または容器を外部電気導体(例えば、電気/磁気デバイスならびに/もしくは制御回路に電気的に接続される電気導体)に電気的に接続することなく、容器内でオルガノイド(例えば、大きいオルガノイド)を形成する/成長させるステップを含む、方法。
【0265】
本発明は、上記の実施例および特徴を通して説明されたが、実施例および特徴の多種多様な修正、組み合わせ、ならびに変形例が、本明細書に開示される発明的概念から逸脱することなく、行われ得ることが、当業者によって理解されるであろう。また、本発明は、本明細書に説明される任意の具体的目的または実施形態に限定されるものとして見なされるべきではなく、むしろ、本明細書に説明されるもの以外の多種多様な目的を遂行するために適用可能なものとして見なされるべきである。本開示は、可能性として考えられる実施例のうちのいくつかのみが示される、付随の図面を参照して、本技術のいくつかの実施例を説明した。しかしながら、他の側面が、多くの異なる形態において具現化されることができ、明確に組み合わせにおいて例示されない場合であっても、本明細書に記載される実施例に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、本開示が、徹底的かつ完全であり、可能性として考えられる実施例の範囲を当業者に完全に伝えるように提供された。
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
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図26
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図28
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図39
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【国際調査報告】