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特表2023-514581食器洗浄機膜を低減するためのリグニン誘導体
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  • 特表-食器洗浄機膜を低減するためのリグニン誘導体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(54)【発明の名称】食器洗浄機膜を低減するためのリグニン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/30 20060101AFI20230330BHJP
   C07D 321/12 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
C11D1/30
C07D321/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549039
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(85)【翻訳文提出日】2022-08-12
(86)【国際出願番号】 EP2021053853
(87)【国際公開番号】W WO2021165298
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】20157790.5
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20210042.6
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513013182
【氏名又は名称】ボレガード アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100227592
【弁理士】
【氏名又は名称】孔 詩麒
(72)【発明者】
【氏名】ロス ヨハンネス エリス
(72)【発明者】
【氏名】グロ エリーセ フレデイム
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB25
4H003DA19
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA16
4H003EB08
4H003EB22
4H003EB28
4H003EE01
4H003FA04
4H003FA21
(57)【要約】
本発明は、機械の食器洗浄プロセス中の対象物への堆積物を低減及び/又は防止するためのリグニン誘導体の使用に関する。更に、本発明は、対象物への堆積物を低減及び/又は防止する方法、及び本明細書に記載のリグニン誘導体を含む機械の食器洗浄機用洗剤配合物に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械の食器洗浄プロセス中における対象物への堆積物を低減及び/又は防止するための、リグニン誘導体の使用であって、
前記リグニン誘導体が、-COOR基及びスルホネート基を含み、ここで、Rは、カチオン、好ましくはアンモニウムイオン、水素、アルカリ金属イオン、若しくはアルカリ土類金属イオン、又はそれらの任意の混合物であり、前記-COOR基の炭素原子は、前記リグニン誘導体が由来する天然リグニンにすでに含まれていた、
使用。
【請求項2】
前記リグニン誘導体が、亜硫酸パルプ化工程で天然リグニンを処理することによって得られており、
前記亜硫酸パルプ化工程の後に、分子量を減少させるために、かつ/又は-COOR基の量を増加させるために、任意に、1つ以上のパルプ化後の官能化工程が続き、
好ましくは、分子量を減少ための、かつ/又は-COOR基の量を増加させるための、1つ以上の工程が、少なくとも1つの酸化工程である、
請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記リグニン誘導体が、パルプ化後の酸化工程において、亜硫酸パルプ化から得られるリグノスルホン酸塩を処理することによって得られる、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記リグニン誘導体が、天然リグニンの亜硫酸パルプから又はクラフトリグニンの亜硫酸処理から得られるスルホン化リグニンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記リグニン誘導体が、前記亜硫酸パルプ化工程に由来するもの以外のスルホネート基及び-COOR基を含まない、請求項2~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記リグニン誘導体が、芳香族スルホネート基を含まない、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記スルホネート基が、クロロスルホン酸との反応に由来するものではなく、かつ/又は前記-COOR基が、クロロ酢酸との反応に由来するものではなく、
好ましくは、前記スルホネート基が、クロロスルホン酸との反応に由来するものではなく、かつ前記-COOR基が、クロロ酢酸との反応に由来するものではない、
請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記リグニン誘導体は、前記リグニン誘導体が由来する天然リグニンに炭素原子がすでに含まれていたもの以外の-COOR基を含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記-COOR基が、リグニン又はリグノスルホン酸塩若しくはクラフトリグニン等リグニン誘導体を、クロロ酢酸等の-COOR基含有分子で官能化することによって形成されていない、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記リグニン誘導体が、クラフトパルプ化工程から得られるような化学的修飾されたリグニンを、スルホン化することによって、好ましくは亜硫酸処理によって調製される、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のリグニン誘導体を含む、機械の食器洗浄機用洗剤配合物。
【請求項12】
前記機械の食器洗浄機用洗剤配合物が、合成アニオン性ポリマー、ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びポリアスパラギン酸エステル等の抗皮膜添加剤を含んでいない、請求項11に記載の機械の食器洗浄機用洗剤配合物。
【請求項13】
前記リグニン誘導体が、前記食器洗浄機用洗剤配合物の総重量に基づいて、0.5~60.0wt%、好ましくは1.0~20wt%、より好ましくは2.0~15wt%の量で、前記機械の食器洗浄機用洗剤配合物に含まれる、請求項11又は12に記載の機械の食器洗浄機用洗剤配合物。
【請求項14】
対象物への堆積物を低減及び/又は防止する方法であって、
機械の食器洗浄プロセス中において、前記対象物を、請求項1~10のいずれか一項に記載のリグニン誘導体と接触させる工程を含む、
方法。
【請求項15】
機械の食器洗浄プロセス中において、前記対象物を、請求項1~10のいずれか一項に記載のリグニン誘導体と接触させる工程が、前記対象物を、(i)カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオン、(ii)炭酸イオン及び/又はリン酸イオン及び/又は脂肪等の食品堆積物、並びに(iii)請求項1~10のいずれか一項に記載のリグニン誘導体を含む水溶液と接触させる工程である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
機械の食器洗浄プロセス中において、前記対象物を、請求項1~10のいずれか一項に記載のリグニン誘導体と接触させる工程が、前記対象物を、(i)カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオン、(ii)炭酸イオン、並びに(iii)請求項1~10のいずれか一項に記載のリグニン誘導体を含む水溶液と接触させる工程である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械の食器洗浄プロセス中における対象物への堆積物を低減及び/又は防止するための、リグニン誘導体の使用に関する。更に、本発明は、対象物への堆積物を低減及び/又は防止する方法、並びに本明細書に記載のリグニン誘導体を含む機械の食器洗浄機用洗剤配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
特に「硬」水(すなわち、高レベルのカルシウム及び/又はマグネシウムイオンを含む水)を有する領域におけるよくある問題は、機械の食器洗浄プロセス中における不溶性の堆積物が形成されることである。この問題は、機械の食器洗浄プロセス中に高レベルの炭酸イオン及び/又はリン酸イオンが存在する場合に特に顕著である。炭酸塩はほとんどの食器洗浄機用洗剤の主成分であり、通常は炭酸ナトリウム(「ソーダ」)の形をとっているため、機械の食器洗浄プロセス中における炭酸カルシウム堆積物(「石灰スケール」)の形成は、特に顕著である。例えば、水中に存在するカルシウム及びマグネシウムイオンは、洗剤配合物中及び/又は洗浄対象物の残留食品材料中に存在する炭酸イオン及び/又はリン酸イオンと相互作用して、対象物上に白い膜状及び斑点状の堆積物をもたらす可能性がある。このような堆積物は、繰り返しの洗浄サイクルで蓄積し、ガラス製品にはっきりと見える。したがって、「抗皮膜(anti-filming)」添加剤は、典型的には、ほとんどの食器洗浄機用洗剤配合物に含まれる(又は別個に添加される)ことにより、そのような堆積物を防止及び/又は低減する。
【0003】
通常、食器洗浄機用洗剤に使用される抗皮膜添加剤は、合成アニオンポリマー、主にポリカルボキシレート、例えば、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート又はポリアスパラギン酸エステルである。このようなポリマーの商業的に入手可能な例は、アクリル酸の低分子量部分中和ホモポリマーであるAcusol 445(Rohm & Haas)を含む。別の種類の抗皮膜添加剤は、スルホン酸塩/炭酸塩コポリマーである。
【0004】
効果的ではあるが、現在の抗皮膜添加剤は、主に石油ベースの化学物質から合成されている。しかし、これは、「植物ベース」又は「バイオベース」の成分を好む傾向がある「環境に優しい」洗剤配合物での使用には魅力的ではない。したがって、現在、持続可能性又はコストを犠牲にすることなく、石油ベースの合成物の性能を満たすことができる食器洗浄機の抗皮膜添加剤を含むバイオベースの環境に優しい洗剤成分に対する高い需要がある。
【0005】
食器洗浄機の抗皮膜添加剤のバイオベースの炭素含有量を増やすために、いくつかの試みがなされてきた。例えば、植物由来の高分子材料(例えば、デンプン、タンパク質、リグニン、セルロース)は、カルボキシレートを含む化学基、特にポリアスパラギン酸エステルで官能化(functionalized)されている。しかしながら、これらの試みは、植物ベースの材料をテンプレートとして使用するだけで、膜堆積を阻害することが知られている石油由来の合成部分と同じように反応する。したがって、これらの試みは、必要な抗皮膜パフォーマンスを達成するために石油由来の合成化学物質に依拠しているため、サステナブルな「100%バイオベース」のソリューションを提供していない。更に、合成化学物質をバイオベースのポリマーと反応させることを含むそのような修飾は、添加剤のコストパフォーマンス指標を損ない、高価であると予想される。高価な「実験室」化学を使用して抗皮膜材料を作成する試みの例として、WO2004/061067は、触媒の存在下でクロロ酢酸、クロロスルホン酸で基質(例えば、CMC、セルロースエーテル、セルロースポリマー、リグニン、PVA、ポリアスパラギン酸エステル、デンプン、糖類、ガム等)を官能化することを提案しており、ここで、この官能化されて基質は、界面活性剤と一緒に、抗皮膜剤として使用することができる。
【0006】
したがって、最大100%のバイオベースの炭素含有量を有する、全体としてコスト効率の高い抗皮膜グソリューションが非常に求められている。
【発明の概要】
【0007】
上記に基づき、本発明の目的は、機械食器洗浄用途のための、バイオベースで持続可能に調達された非常に効果的な抗皮膜添加剤を提供することである。更に、高価な化学物質/反応物を使用する必要なく、自然界に存在する材料を使用して、工業規模のプロセスで抗膜添加剤を容易かつコスト効果がよくて調製できることが望まれている。
【0008】
これらの目的及び他の目的は、機械の食器洗浄プロセス中の対象物への堆積物を低減及び/又は防止するために請求項に規定されたリグニン誘導体を使用することによって達成される。
【0009】
第1の態様では、本発明は、機械の食器洗浄プロセス中の対象物への堆積物を減少及び/又は防止するための、特許請求の範囲で規定されたリグニン誘導体の使用に関する。
【0010】
第2の態様では、本発明は、本明細書に記載のリグニン誘導体を含む機械の食器洗浄機用洗剤配合物に関する。
【0011】
第3の態様では、本発明は、対象物への堆積物を低減又は防止する方法に関する。前記方法は、機械洗浄プロセス中に前記対象物を本明細書に記載のリグニン誘導体と接触させる工程を含む。
【0012】
第4の態様では、本発明は、処理中の洗剤スラリーの粘度を低下させるための、特許請求の範囲で規定されたリグニン誘導体の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、亜硫酸パルプ化から得られるリグノスルホン酸塩分子の例示的な描写である。
図2図2は、様々なリグノスルホン酸塩とポリアクリレート抗皮膜添加剤を含むベース洗剤を使用した場合のビーカー上の膜の減少の程度を、抗皮膜添加剤を使用しないベース洗剤から形成された膜と比較して示している図である。
図3図3は、-COOH含有量及び分子量(MW)に対する様々なリグノスルホン酸ポリマーの抗皮膜パフォーマンスを示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、少なくとも部分的に、本明細書に記載のリグニン誘導体が、機械の食器プロセス中の対象物への堆積物の形成を低減及び/又は防止するのに有効であるという驚くべき発見に基づいている。特に、亜硫酸パルプ化から得られるリグノスルホン酸塩(lignosulfonate)は、機械の食器洗浄プロセス中の対象物への堆積物の形成を低減及び/又は防止するのに有効であることが見出された。スルホン化天然リグニン及びスルホン化クラフトリグニンは、機械の食器洗浄プロセス中の対象物への堆積物の形成を低減及び/又は防止するのに有効であることが分かった。
【0015】
「亜硫酸パルプ化」は、木材/植物材料処理の分野で知られている。亜硫酸パルプ化は、リグノセルロース系バイオマス(すなわち、植物)からほぼ純粋なセルロース繊維を木材パルプに変換するために有利に使用することができる。この「パルプ化」は通常、様々な亜硫酸塩を使用して、消化槽(digester)と呼ばれる大きな圧力容器内でリグノセルロース系バイオマスからリグニンを抽出することによって達成される。亜硫酸パルプ化の間、リグニン分子はスルホン化され、それによって負に帯電し、一般に水溶性になる。亜硫酸パルプ化では、スルホネート基は一般にリグニンの脂肪族部分に導入され、つまり、芳香族部分には導入されない。したがって、亜硫酸パルプ化から得られるリグノスルホン酸塩は、芳香族スルホネート基を含まないか又は有意に含まないが、脂肪族スルホネート基のみ又は本質的にのみ含む。更に、亜硫酸パルプ化中にカルボキシレート基が天然リグニンに導入される。
【0016】
本発明によれば、「亜硫酸パルプ化」とは、天然のリグニン又はクラフトパルプ中のリグニンを少なくとも1つの亜硫酸塩と抽出又は反応させるプロセスを指す。前記パルプ化工程で使用される塩は、好ましくは亜硫酸塩(SO 2-)又は重亜硫酸塩(HSO )である。亜硫酸パルプ化により、スルホネート基は一般にリグニンの脂肪族部分に導入され、すなわち、芳香族部分には導入されない。
【0017】
本明細書で言及される場合、「脂肪族スルホネート基」は、脂肪族炭素原子、すなわち芳香環の一部ではない炭素原子に結合したスルホネート基である。対照的に、本明細書で言及される「芳香族スルホネート基」は、芳香環の一部である炭素原子に結合したスルホネート基である。
【0018】
パルプ化条件、供給材料、及び後処理、特に亜硫酸パルプ化に応じて、リグノスルホン酸ポリマーは、分子量、スルホン化度、共役度、カルボキシレート基(-COOR)、フェノール基等、様々な構造と化学官能基を持つことができる。したがって、リグノスルホン酸塩は、非常に多様な種類の材料を表している。亜硫酸パルプ化から得られるリグノスルホン酸塩分子の例示的な描写を図1に示す。
【0019】
第1の態様では、本発明は、機械の食器洗浄プロセス中の対象物への堆積物を低減及び/又は防止するための、請求項1に記載のリグニン誘導体の使用に関する。
【0020】
本発明によるリグニン誘導体は、-COOR基及びスルホネート基を含み、ここで、Rは、カチオン、好ましくはアンモニウムイオン、水素、アルカリ金属イオン、若しくはアルカリ土類金属イオン、又はそれらの任意の混合物である。
【0021】
更に本発明によれば、前記-COOR基の炭素原子は、前記リグニン誘導体が由来する天然リグニンにすでに含まれていた。これは、-COOR基は、リグニン誘導体が由来する天然リグニンの一部である炭素原子を酸化することによって、形成されることを意味する。言い換えれば、-COOR基は、天然のリグニン又はリグニン誘導体を追加の-COOR基含有分子と反応させることによって導入されたものではない。更に言い換えれば、-COOR基は、リグニン又はリグニン誘導体に-COOR基含有分子をグラフトすることによって導入されたものではない。-COOR基を導入するために当技術分野で使用される-COOR基含有分子は、例えば、クロロ酢酸(下記式)である。
【化1】
【0022】
したがって、クロロ酢酸がリグニン誘導体の-COOR基を形成するために使用された場合、-COOR基の炭素原子は、リグニン誘導体が由来する天然のリグニンには含まれていないが、(石油ベースの)クロロ酢酸には含まれていたはずである。-COOR基を導入するそのような「実験室化学」試みは、労働集約的で費用がかかり、そして非常に頻繁に有毒で、費用が掛かり、油ベースの化学物質を使用する必要がある。この方法で調製されたリグニン誘導体は、大規模な(産業)処理しにくく、かつ環境にやさしく、バイオベース、又は持続可能な方法で調達されているとは言えない。したがって、クロロ酢酸等の-COOR基含有分子による官能化は、本発明の範囲内ではない。
【0023】
本発明のリグニン誘導体は、一般に、-COOR及びスルホネート基を含む「化学的に修飾された」リグニンとして示され得る。これらの基は、リグニン誘導体の極性を高め、リグニン誘導体を水溶性にする。
【0024】
好ましくは、リグニン誘導体は、95%を超える、より好ましくは98%を超える、より好ましくは99%を超える、更により好ましくは99.5%を超える、最も好ましくは100%のバイオベース炭素含有量を有する。
【0025】
バイオベースの炭素含有量は、ASTM D6866-18 に従って決定され、次のように定義される:
【数1】
【0026】
好ましくは、リグニン誘導体は、第2の態様に記載されているように、機械の食器洗浄機用洗剤配合物の一部である。
【0027】
本発明によれば、「水溶性」という用語は、リグノスルホン酸高分子電解質が水と溶液を形成し、ある量で水中に存在することを示すことを意味すし、それによって、得られた溶液は目に見えて透明であり、従来のろ過にかけた場合、有意な沈殿物を残さない。
【0028】
上記のように、機械の食器洗浄プロセスに関連する一般的な問題は、機械の食器洗浄プロセス中の経時的な不溶性堆積物の形成である。このような堆積物は、機械の食器洗浄プロセス中に本明細書に記載のリグニン誘導体を使用することによって低減及び/又は防止することができる。機械の食器洗浄プロセスの結果として時間の経過と共に形成される堆積物は、通常、洗浄水中に存在するカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオン、並びに、食器洗浄機用洗剤配合物及び/又は残りの食品材料若しくは他の起源の汚れに通常存在する、炭酸イオン及び/又はリン酸イオンに基づいて形成される。このような堆積物は「スケール(scale)」とも呼ばれる。炭酸イオンとカルシウム/マグネシウムイオンから生成するスケールを「炭酸スケール」と呼び、リン酸イオンとカルシウム/マグネシウムイオンから生成するスケールを「リン酸スケール」と呼ぶ。食器洗浄プロセス中に発生するよく知られたタイプの堆積物は、水垢(limescale)である。しかしながら、欧州連合及び米国を含む多くの国が、洗剤配合物中のリン酸塩の使用を禁止又は少なくとも大幅に制限しているため、スケールは現在、ほとんどが炭酸塩スケールの形で形成されている。
【0029】
堆積物は、様々な起源及び化学組成を有する可能性があり、典型的には、当技術分野では「膜(films)」及び「斑点(spots)」と呼ばれる。
【0030】
通常、食器(dishware)、食器(tableware)又はガラス製品は、機械の食器洗浄機で洗浄される。したがって、堆積物が減少及び/又は防止される対象物は、好ましくは、食器(dishware)、食器(tableware)又はガラス製品である。
【0031】
リグニン(「天然リグニン」とも呼ばれる)は、自然界に最も豊富に存在する有機物質の1つで、樹木や他の植物に強度とサポートを与える。リグニンは、セルロース骨格の「接着剤」と呼ばれることもある。化学的には、リグニンは複雑な有機ポリマーの分類である。
【0032】
したがって、本出願によれば、「リグニン」という用語は、植物の支持組織、特に植物に剛性を与える細胞壁に存在する、バイオポリマー又はバイオポリマーの混合物に関する。リグニンは、それぞれフェノールポリマーであり、フェノールポリマーの混合物である。リグニンの組成は植物に依存するため、由来する植物によって異なる。植物に存在する本来の形のリグニンは、疎水性で、かつ芳香性である。リグニンの供給源に関して制限は存在しない。
【0033】
本出願によれば、「化学的に修飾された」リグニン及び/又は「リグニン誘導体」という用語は、本来の形ではもはや存在しないが、化学的誘導体化工程にかけられた任意のリグニンに関連すると理解されるべきである。化学的に修飾されたリグニンを製造する工程は、当技術分野で一般的に知られており、例えば、亜硫酸パルプ化である。
【0034】
リグニン誘導体の好ましい一例は、リグノスルホン酸塩である。リグニン、リグニン含有セルロース系バイオマス(「クラフトパルプ」、すなわちクラフトパルプ化工程にかけられたセルロース系バイオマスも含む)をそれぞれ亜硫酸蒸解すると、リグノスルホン酸塩が得られる。したがって、リグノスルホン酸塩は、木材の消化から回収される有機塩製品であり、例えば、亜硫酸(塩)による酸性又は塩基性の亜硫酸パルプ化から回収されるものである。したがって、好ましいリグノスルホン酸塩は、アニオン性高分子電解質ポリマーとして記載することができる。
【0035】
本出願の文脈内で使用される「リグノスルホン酸塩(lignosulfonate)」という用語は、例えば、二酸化硫黄及び亜硫酸イオン、それぞれ、重亜硫酸イオンの存在下で、リグニン含有材料(例えば、木材)の亜硫酸パルプ化中に形成される任意のリグニン誘導体を指す。例えば、リグニンベースの材料の酸性亜硫酸パルプ化中において、リグニン中の求電子性炭素カチオンが生成され、これは、酸触媒によるエーテル開裂の結果である。したがって、リグニンは、これらのカルボカチオンを介して、リグノスルホン酸塩の形成下で、亜硫酸イオン、それぞれ重亜硫酸イオンと反応し得る。
【0036】
化学修飾リグニンの別の例は、「クラフト」リグニンである。クラフトリグニンは、クラフトアルカリパルプ化液、特にクラフト工程パルプ製造から沈殿し、その間にリグニンは、木材パルプに存在する本来の形態から分解され、元のバイオポリマーの分子画分を表す。したがって、クラフトリグニンは、沈殿したスルホン化されていないアルカリ性リグニンと言える。クラフト リグニンは、構造的及び化学的にリグノスルホン酸塩とは異なり、例えば、クラフトリグニンは水溶性ではない。したがって、クラフトリグニンが本発明で使用される場合、クラフトリグニンは更にスルホン化される。したがって、本発明の一実施形態では、リグニン誘導体は、クラフトリグニンから得られるスルホン化リグニンである。ある実施形態では、クラフトリグニンを高温高圧で亜硫酸アルカリ及びアルキルアルデヒドで処理すると、そのようなスルホン化クラフトリグニンが得られる。
【0037】
本発明のすべての態様で使用されるリグニン誘導体について、ここで更に詳細に説明する:
【0038】
リグニン誘導体は、-COOR基及びスルホネート基を含む。ここで、「R」は、カチオン、好ましくはアンモニウムイオン、水素、アルカリ金属イオン、若しくはアルカリ土類金属イオン、又はそれらの任意の混合物である。「R」が、アンモニウムイオン、水素、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの混合物であり得るという事実は、リグニン誘導体が、異なる形態で存在し得る多数の-COOR基を含むという事実によるものである。例えば、いくつかの-COOR基は、-COOH基の形態で存在し得るが、その他のものは、塩の形態、例えば、-COONa基の形態で存在し得る。一般に、-COOR基は、カルボン酸基又はその塩と記載されてよい。しかしながら、当業者が知っているように、リグニン誘導体が実際に機械の食器洗浄プロセスに対象物に接触する時点で、リグニン誘導体は水溶液中に存在し、したがって、-COORは、脱プロトン化された形(すなわち、-COO)で存在することができる。本発明は、-COOR基に言及する場合、そのような形態も包含する。
【0039】
本明細書において、スルホネート基は、化学式-SOR’を有する基であり、ここで、R’は、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される。しかしながら、リグニン誘導体が実際に機械の食器洗浄プロセスに対象物に接触する時点で、スルホネート基は、おそらく遊離形(すなわち-SO )で存在する。スルホネート基と呼ばれる場合、そのようなシナリオ及び類似のシナリオも含まれる。
【0040】
本発明によるリグニン誘導体は、様々な方法で得ることができる。
【0041】
1つの好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、亜硫酸パルプ化工程において天然リグニンを処理することによって得られ、それによって-COOR及びスルホネート基を導入する。
【0042】
好ましくは、リグニン誘導体は、亜硫酸パルプ化工程に由来するもの以外の-COOR基及び/又はスルホネート基を含まない。また、リグニン誘導体は、亜硫酸パルプ工程に由来のもの以外のスルホネート基や-COOR基を含まないことが好ましい。
【0043】
更なる好ましい実施形態では、亜硫酸パルプ化工程で天然リグニンを処理する工程の後に、分子量を減少させるための、かつ/又は-COOR基の量を増加させるための1つ以上のパルプ化後の官能化工程が続く。
【0044】
本明細書で言及する「亜硫酸パルプ化から得られるリグノスルホン酸塩」は、セルロース由来の天然リグニンを亜硫酸パルプ化した結果である化学構造を有するリグノスルホネートである。又は言い換えると、「亜硫酸パルプ化から得られるリグノスルホン酸塩」は、パルプ化後の官能化工程の適用なしで、亜硫酸パルプ化工程から直接得られるリグノスルホネートである。したがって、亜硫酸パルプ化によるセルロース製造の副産物として得られるリグノスルホン酸塩は、本発明の意味内の「亜硫酸パルプ化から得られるリグノスルホン酸塩」である。
【0045】
本明細書において、「パルプ化後の官能化工程(post-pulping functionalization step)」は、亜硫酸パルプ化の後に適用される化学的又は物理的処理工程であり、亜硫酸パルプ化から得られるリグノスルホン酸塩の分子構造を変更する。しかしながら、亜硫酸パルプ化の後に適用される任意の工程として、亜硫酸パルプ化から得られるリグノスルホン酸塩の純度を単に高めるだけであり、その化学的構造を変えずに、例えば、洗浄工程等は、本出願の意味における「パルプ化後の官能化工程」ではない。
【0046】
好ましくは、分子量を減少させるための、かつ/又はCOOR基の量を増加させるための1つ以上のパルプ化後の官能化工程は、酸化工程又は熱処理工程である。
【0047】
好ましくは、リグニン誘導体は、亜硫酸パルプ化から得られるリグノスルホン酸塩をパルプ化後の酸化工程で処理することによって得られる。これは、亜硫酸パルプ化で天然リグニンを処理することによって最初のリグノスルホン酸塩を調製し、次に、亜硫酸パルプ化から得られるリグノスルホン酸塩をパルプ化後の酸化工程で酸化することを意味する。この場合、分子構造を有意に変化させない洗浄及び他の精製工程を除いて、他のパルプ化後の官能化工程は適用されないことが理解されるべきである。
【0048】
好ましい実施形態では、リグニン誘導体は、亜硫酸パルプ化から得られるリグノスルホン酸塩である。これは、リグニン誘導体が、天然リグニンを亜硫酸パルプ化工程で処理し、それによってリグノスルホン酸塩を形成することによって調製されることを意味する。
【0049】
実施形態において、本発明のリグニン誘導体が亜硫酸パルプ化工程によって得られる場合、(更なる)パルプ化後官能化工程は適用されない。これはまた、リグニン誘導体が、亜硫酸パルプ化プロセスに由来するもの以外のスルホネート基及びCOORを含まないことを意味する。特に、これはリグニン誘導体が芳香族スルホネート基を含まないことを意味する。この実施形態は、この場合、亜硫酸パルプ化によるセルロース製造の副産物として得られるリグノスルホン酸塩を使用することができるので、特に有利であり、それによって、リグニン誘導体は非常にコスト効率が高く、環境に優しいものになる。亜硫酸パルプ化は、リグノスルホン酸塩を生成するだけでなく、更に処理して価値のある製品/化学プラットフォームを生成できるセルロースパルプも生成する統合プロセスの一部であるため、亜硫酸パルプ化は、セルロースベースのバイオマスの工業規模の処理で有利に使用される。
【0050】
亜硫酸パルプ化から得られるリグノスルホン酸塩の構造(特に分子量及び-COOR基の量)は、好ましい実施形態では、亜硫酸パルプ化条件を変更することによって、更に微調整できることが見出された。ある実施形態では、亜硫酸前処理工程を適用することができる。
【0051】
好ましい実施形態では、セルロース系バイオマス、特に機械的(前)処理を必要としないリグノセルロース系バイオマスが、本発明のプロセスの基質として使用され、ここで、亜硫酸塩(前)処理(「蒸解(cooking)」)は、唯一の(前)処理として適用される。
【0052】
亜硫酸蒸解は、一般に、酸、酸性亜硫酸水素塩、弱アルカリ性及びアルカリ性亜硫酸パルプ化の4つの主なグループに分けることができる。
【0053】
本発明の好ましい実施形態において、セルロース系バイオマスは、酸性、中性又は塩基性条件下で、亜硫酸塩、好ましくは亜硫酸ナトリウム、カルシウム、アンモニウム又はマグネシウムで蒸解される。この亜硫酸蒸解は、ヘミセルロースの一部と一緒に、スルホン化リグニン(リグノスルホン酸塩;水溶性リグニン)としてセルロース系バイオマスに存在する天然リグニンの大部分を溶解する。
【0054】
亜硫酸前処理は、好ましくは、以下の実施形態の1つに従って実施される。本明細書及び本開示の全体を通して、「亜硫酸前処理」は「蒸解」とも呼ばれる。
【0055】
・酸性蒸解(好ましくはSOと水酸化物、更に好ましくはCa(OH)、NaOH、NHOH又はMg(OH)と一緒に)、
・重亜硫酸塩蒸解(好ましくはSOと水酸化物、更に好ましくはNaOH、NHOH又はMg(OH)と一緒に)、
・弱アルカリ蒸解(好ましくはNaSO、更に好ましくはNaCOと一緒に)及び
・アルカリ蒸解(好ましくはNaSOと水酸化物、更に好ましくはNaOHと一緒に)
亜硫酸蒸解に関して、2009年12月16日に出願された「リグノセルロース系バイオマス変換」というタイトルのWO2010/078930のそれぞれの開示は、参照により本開示に組み込まれる。
【0056】
別の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、クラフトリグニン、すなわちクラフトパルプ化工程ですでに化学的に修飾されているリグニンをスルホン化することによって調製される。好ましい実施形態では、上記の亜硫酸蒸解を使用して、クラフトリグニンを更に修飾する。
【0057】
別の好ましい実施形態によれば、本明細書及び上記に記載の亜硫酸パルプ化/蒸解から得られるリグニン誘導体、又は本明細書及び上記に記載のスルホン化クラフトリグニンから得られるリグニン誘導体のいずれかを、1つのさらなる化学処理工程に適用させ、ここで、前記更なる工程は、少なくとも1つの酸化工程、及び/又は熱処理工程、好ましくは少なくとも1つの酸化工程から選択される。
【0058】
この酸化工程は、-COOR基の数を増やし、かつ/又は亜硫酸パルプ化/蒸解工程ですでに達成されている以上の分子量を減らす。以下の実験に示されるように、-COOR含有量を増加させること、及び/又は分子量(MW)を減少させることは、一般に、抗皮膜パフォーマンスを改善する。
【0059】
好ましい実施形態では、前記酸化工程は、以下の少なくとも1つから選択される:空気(酸素)及び/又は過ヨウ素酸塩、過酸化物、オゾン等による酸化、場合により高温での酸化、TEMPO酸化、任意的に、セルロース系バイオマスを酸化するための酸化触媒ならびに当業者に知られている他の方法及び薬剤の存在下で。
【0060】
好ましくは、リグニン誘導体は、乾物に基づいて、4wt%超、より好ましくは8wt%超、更により好ましくは12wt%超、更により好ましくは14wt%超の量の-COOR基を含む。-COOR基の量は、リグニン化学Stephen Y. Lin and Carlton W. Dence,Springer-Verlag Berlin Heidelberg,1992,p458-464の方法に記載の電位差滴定によって決定される。
【0061】
好ましくは、リグニン誘導体は、芳香族スルホネート基を含まない、かつ/又はクロロスルホン酸で処理されていない。また、-COOR基は、クロロ酢酸との反応に由来しないことが好ましい。
【0062】
リグニン誘導体がクロロ酢酸で全く処理されていないことが更に好ましい。更に好ましくは、リグニン誘導体は、リグニン誘導体が由来する天然リグニンに炭素原子がすでに含まれていたもの以外の-COOR基を含まない。これは、リグニン又はリグノスルホン酸塩又はクラフトリグニン等のリグニン誘導体をクロロ酢酸等の-COOR基含有分子で官能化することによって-COOR基が形成されないことを意味する。
【0063】
リグニン誘導体の分子量(重量平均、MW)は、好ましくは45,000Da未満、又は2,000Da~45,000Da、又は42,000Da未満、又は31,000Da未満、又は10,000Da未満、又は2,000Da~42,000Da、又は2,000Da~31,000Da、又は2,000Da~10,000Da、又は3,500Da~45,000Da、又は3,500Da~42,000Da、又は3,500Da~31,000Da、又は3,500Da~10,000Daである。分子量は、G. Fredheim et al., “Molecular weight determination of lignosulfonates by size-exclusion chromatography and multi-angle laser light scattering”, J Chromatogr A.,942,2002,191-199に記載のサイズ排除クロマトグラフィーによって決定される。
【0064】
実施例に示されるように、分子量が低いと特に効率的な減膜特性が得られることが見出された。
【0065】
したがって、一般に、低分子量と比較的多量の-COOR基との組み合わせが好ましい。
【0066】
好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、100000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)4重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、100000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)8重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、100000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)12重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、100000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)14重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、50000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)4重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、50000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)8重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、50000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)12重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、50000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)14重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、25000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)4重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、25000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)8重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、25000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)12重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、25000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)14重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、20000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)4重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、20000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)8重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、20000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)12重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、20000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)14重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、15000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)4重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、15000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)8重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、15000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)12重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、15000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)14重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、10000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)4重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、10000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)8重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、10000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)12重量%超の量で含む。
他の好ましい実施形態によれば、リグニン誘導体は、10000Da未満の分子量を有し、-COOR基を(乾物に基づいて)14重量%超の量で含む。
【0067】
好ましくは、リグニン誘導体は、3,500Da以上の分子量を有し、上記で開示された3,500Daより大きい各分子量は、分子量の上限を表し得る。これは、本明細書に開示される分子量範囲が、上記のように3,500Daから3,500Daを超える分子量までであることを意味する。例えば、10,000Da、又は15,000Da、又は20,000Da(等)が、そのような範囲の上限を形成し得る。
【0068】
好ましくは、リグニン誘導体は、洗浄サイクル当たり、0.02g超、好ましくは0.5g超、より好ましくは1.0g超、例えば、0.02~20.0g、0.5~5.0g、又は1.0~3.0gの量で使用される。これらの量は、効率的な膜低減パフォーマンスを与えると同時に、かなり少量のリグニン誘導体の使用を可能にすることを示している。これらの範囲を超えてリグニン誘導体の量を増加させても、膜低減パフォーマンスは低下しないが、低減パフォーマンスも有意に改善されない。したがって、列挙された範囲を超えてリグニン誘導体の量を増加させることは、重要な有益な効果をもたらすことなく、材料の浪費を表すだけである。
【0069】
第2の態様では、本発明は、本明細書に記載のリグニン誘導体を含む機械の食器洗浄機用洗剤配合物に関する。
【0070】
機械の食器洗浄機用洗剤配合物は、任意の適切な形態であってもよい。例えば、機械の食器洗浄機用洗剤配合物は、錠剤、粉末、顆粒、ペースト、液体又はゲルの形態であり得る。
【0071】
本明細書に記載のリグニン誘導体は、機械の食器洗浄プロセス中の堆積物の低減及び/又は防止に特に有効であるため、更なる膜低減コンポーネントは必要がない。したがって、機械の食器洗浄機用洗剤配合物は、例えば、合成アニオン性ポリマー、例えばポリカルボキシレート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアスパラギン酸エステル等の抗皮膜添加剤を含まないか、又は本質的に含まなくてもよい。
【0072】
好ましくは、リグニン誘導体は、食器洗浄機用洗剤配合物の総重量に基づいて、0.5~60.0wt%、好ましくは1.0~20wt%、より好ましくは2.0~15wt%の量で、機械の食器洗浄機用洗剤配合物に含まれる。
【0073】
第3の態様では、本発明は、対象物への堆積物を低減及び/又は防止する方法に関し、この方法は、機械の食器洗浄プロセス中に対象物を本明細書に記載のリグニン誘導体と接触させる工程を含む。
【0074】
好ましくは、機械の食器洗浄プロセス中において、前記対象物を本明細書で定義されるリグニン誘導体と接触させる工程は、前記対象物を、以下を含む水溶液と接触させる工程である:(i)カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオン、(ii)炭酸イオン及び/又はリン酸イオン及び/又は食物堆積物(脂肪等)、並びに(iii)本明細書で定義されるリグニン誘導体。これらの条件下で、リグニン誘導体(及び他の皮膜減少剤)が存在しない場合、機械の食器洗浄プロセス中に炭酸塩及び/又はリン酸塩スケールの形態の堆積物が形成される。
【0075】
より好ましくは、機械の食器洗浄プロセス中において、前記対象物を本明細書で定義されるリグニン誘導体と接触させる工程は、前記対象物を、以下を含む水溶液と接触させる工程である:(i)カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオン、(ii)炭酸イオン、及び(iii)本明細書で定義されるリグニン誘導体。
【0076】
第一の態様で既に述べたように、リグニン誘導体は、好ましくは、洗浄サイクル当たり、0.02~20.0g、好ましくは0.5~5.0g、より好ましくは1.0~3.0gの量で使用される。
【0077】
好ましくは、対象物は、合成アニオンポリマー、ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びポリアスパラギン酸エステル等の他の抗皮膜添加剤と接触しない。
【0078】
好ましくは、対象物は、食器(dishware)、食器(tableware)又はガラス製品である。
【0079】
上述したように、堆積物は、好ましくは炭酸塩スケール及び/又はリン酸塩スケールであり、より好ましくは炭酸塩スケールである。
【0080】
第4の態様では、本発明は、処理中の洗剤スラリーの粘度を低下させるための、特許請求の範囲で定義されたリグニン誘導体の使用に関する。
【0081】
リグノスルホン酸塩は、一般にミネラルスラリーやペーストの粘度を下げる。これにより、粉末、顆粒、錠剤のより効率的な処理が可能になる。本発明の一実施形態では、特許請求の範囲で定義されたリグニン誘導体は、処理中の洗剤スラリーの粘度を下げるために使用される。これにより、乾燥中に除去する必要のある水が少なくて済むため、より効率的な製造が可能になり、改良された噴霧乾燥洗剤粉末が得られ、より高密度の洗剤タブレットが得られる等である。
【0082】
本発明は、ここで項目1~34によって更に説明される:
【0083】
項目1.
機械の食器洗浄プロセス中における対象物への堆積物を低減及び/又は防止するための、リグニン誘導体の使用であって、前記リグニン誘導体が、-COOR基及びスルホネート基を含み、ここで、Rは、カチオン、好ましくはアンモニウムイオン、水素、アルカリ金属イオン、若しくはアルカリ土類金属イオン、又はそれらの任意の混合物であり、前記-COOR基の炭素原子は、前記リグニン誘導体が由来する天然リグニンにすでに含まれていた、使用。
項目2.
前記リグニン誘導体が、項目24~27のいずれか一項に記載の機械の食器洗浄機用洗剤配合物の一部である、項目1に記載の使用。
項目3.
前記リグニン誘導体が、水溶性でさる、項目1又は2に記載の使用。
項目4.
前記リグニン誘導体が、95%を超える、より好ましくは98%を超える、より好ましくは99%を超える、更により好ましくは99.5%を超える、更により好ましくは100%のバイオベース炭素含有量を有し、前記「バイオベース」の炭素含有量は、ASTM D6866-18 に従って決定され、次のように定義される、項目1~3のいずれか一項に記載の使用:
[バイオベースの炭素原子の数]/[全体の炭素原子の数]×100%
項目5.
前記リグニン誘導体が、亜硫酸パルプ化工程で天然リグニンを処理することによって得られており、前記亜硫酸パルプ化工程の後に、分子量を減少させるために、かつ/又は-COOR基の量を増加させるために、任意に、1つ以上のパルプ化後の官能化工程が続く、項目1~4のいずれか一項に記載の使用。
項目6.
分子量を減少ための、かつ/又は-COOR基の量を増加させるための、前記1つ以上の工程が、少なくとも1つの酸化工程である、項目5に記載の使用。
項目7.
前記リグニン誘導体が、パルプ化後の酸化工程において、亜硫酸パルプ化から得られるリグノスルホン酸塩を処理することによって得られる、項目5又は6に記載の使用。
項目8.
前記リグニン誘導体が、天然リグニンの亜硫酸パルプから又はクラフトリグニンの亜硫酸処理から得られるスルホン化リグニンである、項目1~7のいずれか一項に記載の使用。
項目9.
前記リグニン誘導体が、芳香族スルホン化工程にかけられていない、項目1~8のいずれか一項に記載の使用。
項目10.
前記リグニン誘導体が、前記亜硫酸パルプ化工程に由来するもの以外のスルホネート基を含まない、項目5~9のいずれか一項に記載の使用。
項目11.
前記リグニン誘導体が、前記亜硫酸パルプ化工程に由来するもの以外の-COOR基を含まない、項目5~10のいずれか一項に記載の使用。
項目12.
前記リグニン誘導体が、前記亜硫酸パルプ化工程に由来するもの以外のスルホネート基及び-COOR基を含まない、項目5~11のいずれか一項に記載の使用。
項目13.
前記リグニン誘導体が、芳香族スルホネート基を含まない、項目1~12のいずれか一項に記載の使用。
項目14.
前記リグニン誘導体が、クロロスルホン酸で処理されていない、項目1~13のいずれか一項に記載の使用。
項目15.
前記スルホネート基が、クロロスルホン酸との反応に由来するものではない、項目1~14のいずれか一項に記載の使用。
項目16.
前記-COOR基が、クロロ酢酸との反応に由来するものではない、項目1~15のいずれか一項に記載の使用。
項目17.
前記リグニン誘導体が、クロロ酢酸で処理されていない、項目1~16のいずれか一項に記載の使用。
項目18.
前記リグニン誘導体は、前記リグニン誘導体が由来する天然リグニンに炭素原子がすでに含まれていたもの以外の-COOR基を含まない、項目1~17のいずれか一項に記載の使用。
項目19.
前記-COOR基が、リグニン又はリグニン誘導体、例えばリグノスルホン酸塩若しくはクラフトリグニン等を、-COOR基含有分子、例えばクロロ酢酸等、で官能化することによって形成されていない、項目1~18のいずれか一項に記載の使用。
項目20.
前記リグニン誘導体が、クラフトパルプ化工程から得られるような化学的修飾されたリグニンを、スルホン化することによって、好ましくは亜硫酸処理によって調製される、項目1~19のいずれか一項に記載の使用。
項目21.
前記リグニン誘導体が、乾物に基づいて、4wt%超、より好ましくは8wt%超、更により好ましくは12wt%超、更により好ましくは14wt%超の量の-COOR基を含む、項目1~20のいずれか一項に記載の使用。
項目22.
前記リグニン誘導体の分子量が、45,000Da、又は2,000Da~45,000Da、又は42,000Da未満、又は31,000Da未満、又は10,000Da未満、又は2,000Da~42,000Da、又は2,000Da~31,000Da、又は2,000Da~10,000Da、又は3,500Da~45,000Da、又は3,500Da~42,000Da、又は3,500Da~31,000Da、又は3,500Da~10,000Daである、項目1~21のいずれか一項に記載の使用。
項目23.
前記リグニン誘導体が、洗浄サイクル当たり、0.02~20.0g、この膜は0.5~5.0g、より好ましくは1.0~3.0gの量で使用される、項目1~22のいずれか一項に記載の使用。
項目24.
項目1~22のいずれか一項に定義のリグニン誘導体を含む、機械の食器洗浄機用洗剤配合物。
項目25.
前記機械の食器洗浄機用洗剤配合物が、錠剤、粉末、顆粒、ペースト、液体又はゲルの形態である、項目24に記載の機械の食器洗浄機用洗剤配合物。
項目26.
前記機械の食器洗浄機用洗剤配合物が、合成アニオン性ポリマー、ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びポリアスパラギン酸エステル等の抗皮膜添加剤を含まない、項目24又は25に記載の機械の食器洗浄機用洗剤配合物。
項目27.
前記リグニン誘導体が、食器洗浄機用洗剤配合物の総重量に基づいて、0.5~60.0wt%、好ましくは1.0~20wt%、より好ましくは2.0~15wt%の量で、機械の食器洗浄機用洗剤配合物に含まれる、項目24~26のいずれか一項に記載の機械の食器洗浄機用洗剤配合物。
項目28.
対象物への堆積物を低減及び/又は防止する方法であって、機械の食器洗浄プロセス中において、前記対象物を、項目1~24のいずれか一項に記載のリグニン誘導体と接触させる工程を含む、方法。
項目29.
機械の食器洗浄プロセス中において、前記対象物を、項目1~23のいずれか一項に記載のリグニン誘導体と接触させる工程が、前記対象物を、(i)カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオン、(ii)炭酸イオン及び/又はリン酸イオン及び/又は脂肪等の食品堆積物、並びに(iii)項目1~23のいずれか一項に記載のリグニン誘導体を含む水溶液と接触させる工程である、項目28に記載の方法。
項目30.
機械の食器洗浄プロセス中において、前記対象物を、項目1~23のいずれか一項に記載のリグニン誘導体と接触させる工程が、前記対象物を、(i)カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオン、(ii)炭酸イオン、並びに(iii)項目1~23のいずれか一項に記載のリグニン誘導体を含む水溶液と接触させる工程である、項目29に記載の方法。
項目31.
前記リグニン誘導体が、好ましくは、洗浄サイクル当たり、0.02~20.0g、好ましくは0.5~5.0g、より好ましくは1.0~3.0gの量で使用される、項目28~30のいずれか一項に記載の方法。
項目32.
前記対象物が、例えば合成アニオンポリマー、例えばポリカルボキシレート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びポリアスパラギン酸エステル等の他の抗皮膜添加剤と接触しない、項目28~31のいずれか一項に記載の方法。
項目33.
対象物は、食器(dishware)、食器(tableware)又はガラス製品である、項目28~32のいずれか一項に記載の方法。
項目34.
前記堆積物が、膜又は斑点、好ましくは炭酸スケール及び/又はリン酸スケール、好ましくは炭酸スケールである、項目28~33のいずれか一項に記載の方法。
【実施例
【0084】
実施例1:亜硫酸パルプ化から得られるバイオベースのリグノスルホン酸塩のスケール低減パフォーマンス
ベース洗剤組成物を調製した。そのベース洗剤組成物に、異なるバイオベースの水溶性のリグノスルホン酸塩(本発明による実施例)を添加し、又は、比較例において、食器洗浄機用洗剤組成物で抗皮膜剤として広く使用されているポリアクリレート(2000Daのポリアクリル酸;Acros Organicsから市販されている、CAS:9003-01-4)を添加した。すべての例で使用されたベース洗剤配合物は、自動食器洗浄機用洗剤配合物で一般的に使用されるビルダーとpH制御成分から構成されている。これらの例の目的に対して、パフォーマンスを評価するために、洗浄水の硬度(すなわち、カルシウムとマグネシウムの含有量)は、消費者向けの食器洗浄用途で遭遇するよりも大幅に高く設定され、わずか2サイクルでかなりの膜が形成される非常に過酷な条件を提供するように選択された。
【0085】
〈実験条件〉
(ベース洗剤(洗剤基剤))
ベース洗剤(洗剤基剤)の組成は次のとおり:10g NaCO;5gクエン酸ナトリウム;4gケイ酸ナトリウム;1g漂白剤。
【0086】
(抗皮膜剤)
本発明による実施例では、一連のリグノスルホン酸ポリマーが試験された。リグノスルホン酸塩は、様々な亜硫酸パルプ化条件下で、様々なパルプ化後処理を使用して、様々な硬材(ニレ、チェリー)及び軟材ソース(ダグラスモミ、ノルウェートウヒ)から製造され、一連のMW及びCOOH含有量が得られた。
【0087】
比較例では、2000Daのポリアクリル酸(Acros Organics)が抗皮膜剤として使用された。
【0088】
(洗浄サイクルごとに使用されるリグノスルホン酸の量)
4g
【0089】
(水の硬度)
1400ppmの総硬度が使用され、CaCOとして表され、Ca:Mg比が4:1であり、塩化物塩として添加された。
【0090】
(汚れ(soil))
マーガリン40g+粉ミルク10g(食器洗い機のドアに塗られた)。
【0091】
(食器洗浄機)
ミーレガラスウォッシャー(Miele Glass Washer)G7883。
【0092】
(食器)
6x250 mL の実験用ガラス製ビーカーを食器洗浄機の上部に配置した。
【0093】
(サイクル数)
【0094】
(手順)
上記の条件下で洗浄した後、ビーカーを膜について調べた。ビーカー上の膜の量に応じて、抗皮膜添加剤のパフォーマンスに比較スコアが与えた(低、中程度、及び高パフォーマンス)。図2は、様々なリグノスルホン酸塩とポリアクリレート抗皮膜添加剤を含むベース洗剤を使用した場合のビーカー上の膜の減少の程度を、抗皮膜添加剤を使用しないベース洗剤から形成された膜と比較して示している。
【0095】
表1及び図3は、-COOH含有量及び分子量(MW)に対する様々なリグノスルホン酸ポリマーの抗皮膜パフォーマンスを示している。
【0096】
【表1】
【0097】
最も良い抗皮膜パフォーマンスを有することが判明したリグノスルホン酸塩は、-COOH含有量が高く、かつ分子量が比較的に低いという特徴であることが明らかに分かる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】