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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(54)【発明の名称】工程制御システム及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
   C23G 3/02 20060101AFI20230330BHJP
   B21B 1/22 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
C23G3/02
B21B1/22 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549295
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(85)【翻訳文提出日】2022-09-20
(86)【国際出願番号】 KR2021002056
(87)【国際公開番号】W WO2021167362
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0019923
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコホールディングス インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】パク、 キョン-ス
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ジュン-ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 チョン-ケ
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ヒョン-クク
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ドゥク-ジュン
【テーマコード(参考)】
4E002
4K053
【Fターム(参考)】
4E002BC02
4E002BC07
4E002BD03
4E002BD07
4E002BD10
4E002CA08
4K053PA02
4K053PA12
4K053QA01
4K053RA05
4K053TA02
4K053TA24
4K053YA02
4K053YA03
4K053YA23
4K053YA30
4K053ZA10
(57)【要約】
本発明の実施形態による工程制御システムは、炭素鋼製品に含まれる内部欠陥層の厚さ情報を生成する第1システムと、ネットワークを介して上記第1システムから上記内部欠陥層の厚さ情報を受信し、上記内部欠陥層の厚さ情報を用いて上記炭素鋼製品から上記内部欠陥層の少なくとも一部を除去するエッチング工程を制御する第2システムを含み、上記第1システムは、上記第2システムが上記エッチング工程を制御するために必要な演算モジュールを上記第2システムに提供し、上記第2システムは、上記第1システムが上記演算モジュールをアップデートするために必要な情報を上記第1システムに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程制御システムであって、
炭素鋼製品に含まれる内部欠陥層の厚さ情報を生成する第1システムと、
ネットワークを介して前記第1システムから前記内部欠陥層の厚さ情報を受信し、前記内部欠陥層の厚さ情報を用いて前記炭素鋼製品から前記内部欠陥層の少なくとも一部を除去するエッチング工程を制御する第2システムと
を含み、
前記第1システムは、前記第2システムが前記エッチング工程を制御するために必要な演算モジュールを前記第2システムに提供し、
前記第2システムは、前記第1システムが前記演算モジュールをアップデートするために必要な情報を前記第1システムに提供する、工程制御システム。
【請求項2】
前記第1システムは、前記エッチング工程において前記炭素鋼製品の移送速度、前記エッチング工程において前記炭素鋼製品と接触するエッチング溶液の濃度、前記エッチング溶液の温度、前記エッチング溶液の成分、及び促進剤の使用有無の少なくとも一つを決定する前記演算モジュールを前記第2システムに提供する、請求項1に記載の工程制御システム。
【請求項3】
前記第2システムは、前記エッチング工程が完了した酸洗炭素鋼製品に含まれる残りの内部欠陥層の厚さ、及び前記エッチング工程を行うエッチング装置で測定した制御データの少なくとも一つを前記第1システムに提供する、請求項1に記載の工程制御システム。
【請求項4】
前記第2システムは、前記エッチング工程を行うエッチング装置が前記炭素鋼製品を移送する移送速度、前記エッチング装置において前記炭素鋼製品と接触するエッチング溶液の濃度、前記エッチング溶液の温度、前記エッチング溶液の成分、及び促進剤の使用有無の少なくとも一つを調節して前記エッチング工程を制御する、請求項1に記載の工程制御システム。
【請求項5】
前記炭素鋼製品は、前記内部欠陥層が第1厚さを有する第1領域、及び前記内部欠陥層が前記第1厚さとは異なる第2厚さを有する第2領域を含み、
前記第2システムは、前記第1領域が前記エッチング溶液と接触する間に前記炭素鋼製品を第1移送速度で移送し、前記第2領域が前記エッチング溶液と接触する間に前記炭素鋼製品を前記第1移送速度とは異なる第2移送速度で移送する、請求項4に記載の工程制御システム。
【請求項6】
前記第1厚さは前記第2厚さよりも小さく、
前記第1移送速度は、前記第2移送速度よりも速い、請求項5に記載の工程制御システム。
【請求項7】
前記エッチング工程は、酸洗工程、乾式エッチング工程、及び湿式エッチング工程の少なくとも一つである、請求項1に記載の工程制御システム。
【請求項8】
前記第1システムは、前記演算モジュール及び前記演算モジュールを学習させる学習モデルを保存する、請求項1に記載の工程制御システム。
【請求項9】
前記第1システムは、前記炭素鋼製品に含まれる前記内部欠陥層の厚さを実測して前記内部欠陥層の厚さ情報を生成する、請求項1に記載の工程制御システム。
【請求項10】
前記第1システムは、前記炭素鋼製品の長さ方向に定義される複数の各領域において前記内部欠陥層の厚さを実測する、請求項9に記載の工程制御システム。
【請求項11】
前記第1システムは、前記炭素鋼製品の相分率、前記炭素鋼製品の成分、及び前記炭素鋼製品の温度の少なくとも一つを用いて前記内部欠陥層の厚さを計算する、請求項1に記載の工程制御システム。
【請求項12】
前記演算モジュールは、前記炭素鋼製品の長さ方向に定義される複数の各領域において前記内部欠陥層の厚さを計算する、請求項11に記載の工程制御システム。
【請求項13】
工程制御システムであって、
炭素鋼製品に含まれる内部欠陥層の少なくとも一部を除去するエッチング装置の制御に必要な制御データを保存するストレージと、
前記制御データに基づいて前記エッチング装置を制御するプロセッサと
を含み、
前記炭素鋼製品は、第1領域及び前記第1領域とは異なる第2領域を含み、前記第1領域に含まれる前記内部欠陥層の厚さと前記第2領域に含まれる前記内部欠陥層の厚さとは互いに異なり、
前記制御データは、前記第1領域が前記エッチング装置を通過する第1移送速度及び前記第2領域が前記エッチング装置を通過する第2移送速度を含み、前記第1移送速度と前記第2移送速度とは互いに異なる、工程制御システム。
【請求項14】
前記ストレージは、前記制御データを生成する演算モジュールを保存する、請求項13に記載の工程制御システム。
【請求項15】
ネットワークに連結される通信部をさらに含み、
前記プロセッサは、前記制御データを生成する演算モジュールを、前記通信部を介して受信し、前記ストレージに保存する、請求項13に記載の工程制御システム。
【請求項16】
ネットワークに連結される通信部をさらに含み、
前記プロセッサは、前記通信部を介して前記内部欠陥層の厚さ関連情報を受信し、前記内部欠陥層の厚さ関連情報を、前記制御データを生成する演算モジュールに入力して前記制御データを取得する、請求項13に記載の工程制御システム。
【請求項17】
ネットワークに連結される通信部をさらに含み、
前記プロセッサは、前記通信部を介して前記炭素鋼製品の情報を受信し、前記炭素鋼製品の情報を、前記制御データを生成する演算モジュールに入力して前記制御データを取得する、請求項13に記載の工程制御システム。
【請求項18】
前記炭素鋼製品の情報は、前記炭素鋼製品の相分率関連情報、前記炭素鋼製品の温度関連情報、及び前記炭素鋼製品の成分関連情報の少なくとも一つを含む、請求項17に記載の工程制御システム。
【請求項19】
ネットワークに連結される通信部をさらに含み、
前記プロセッサは、前記制御データを、前記通信部を介して受信し、前記ストレージに保存する、請求項13に記載の工程制御システム。
【請求項20】
前記制御データは、前記エッチング装置において前記炭素鋼製品に接触するエッチング溶液の濃度、前記エッチング溶液の温度、前記エッチング溶液の成分、及び促進剤の使用有無の少なくとも一つをさらに含む、請求項13に記載の工程制御システム。
【請求項21】
前記エッチング装置は、酸洗装置、乾式エッチング装置、及び湿式エッチング装置の少なくとも一つである、請求項13に記載の工程制御システム。
【請求項22】
前記第1領域に含まれる前記内部欠陥層の厚さは、前記第2領域に含まれる前記内部欠陥層の厚さよりも小さく、前記第1移送速度は前記第2移送速度よりも速い、請求項13に記載の工程制御システム。
【請求項23】
前記プロセッサは、前記炭素鋼製品の移送速度、エッチング工程に用いられるエッチング溶液の特性、及び前記エッチング装置によって除去された内部欠陥層の第1厚さを受信し、
前記ストレージは、前記炭素鋼製品の移送速度と前記エッチング溶液の特性の少なくとも一つを用いてエッチング装置によって除去されるものと予想される内部欠陥層の第2厚さを計算する演算モジュールを含み、
前記プロセッサは、前記内部欠陥層の第2厚さと前記内部欠陥層の第1厚さとを比較して前記演算モジュールを学習させる、請求項13に記載の工程制御システム。
【請求項24】
前記ストレージは、前記エッチング装置から実測した制御データを受信し、前記実測した制御データに基づいて前記エッチング装置によって除去されるものと予想される残りの内部欠陥層の予想厚さを計算する演算モジュールを含み、
前記プロセッサは、前記残りの内部欠陥層の予想厚さと、エッチング工程が完了した酸洗炭素鋼製品から測定した残りの内部欠陥層の厚さとを比較して前記演算モジュールを学習させる、請求項13に記載の工程制御システム。
【請求項25】
工程制御システムであって、
炭素鋼製品の成分、冷却速度、相分率、及び温度の少なくとも一つに基づいて、前記炭素鋼製品に含まれる内部欠陥層の厚さ情報を生成する演算モジュールを保存するストレージと、
ネットワークに連結される通信部と、
前記通信部を介して、前記内部欠陥層の少なくとも一部を除去するエッチング工程を制御する外部サーバに前記内部欠陥層の厚さ情報及び前記エッチング工程を制御するための制御データの少なくとも一つを転送するプロセッサと
を含む、工程制御システム。
【請求項26】
前記ストレージは、前記演算モジュールを学習させる学習モデルを保存する、請求項25に記載の工程制御システム。
【請求項27】
前記演算モジュールは、前記炭素鋼製品を巻き取る前の相分率を計算する第1モジュールを含む、請求項25に記載の工程制御システム。
【請求項28】
前記プロセッサは、前記炭素鋼製品で測定した相分率と、前記炭素鋼製品の温度及び前記炭素鋼製品の成分の少なくとも一つから前記第1モジュールが計算した相分率とを比較して前記第1モジュールを学習させる、請求項27に記載の工程制御システム。
【請求項29】
前記演算モジュールは、前記炭素鋼製品の温度変化を計算する第2モジュールをさらに含む、請求項27に記載の工程制御システム。
【請求項30】
前記プロセッサは、前記炭素鋼製品を巻き取る前に計算した相分率、前記炭素鋼製品の巻き取り後の経過時間、及び前記炭素鋼製品の成分の少なくとも一つを用いて前記第2モジュールが計算した温度変化と、前記炭素鋼製品から測定した温度変化とを比較して前記第2モジュールを学習させる、請求項29に記載の工程制御システム。
【請求項31】
前記演算モジュールは、前記炭素鋼製品に含まれる前記内部欠陥層の厚さを計算する第3モジュールをさらに含む、請求項29に記載の工程制御システム。
【請求項32】
前記プロセッサは、前記炭素鋼製品の巻き取り後の経過時間に応じて計算した温度変化、前記炭素鋼製品の成分、及び前記炭素鋼製品の周辺の酸素分圧の少なくとも一つを用いて前記第3モジュールが計算した前記内部欠陥層の厚さと、前記炭素鋼製品から測定した前記内部欠陥層の厚さとを比較して前記第3モジュールを学習させる、請求項31に記載の工程制御システム。
【請求項33】
前記第3モジュールは、前記炭素鋼製品の長さ方向に沿って区分される複数の各領域において前記内部欠陥層の厚さを計算する、請求項31に記載の工程制御システム。
【請求項34】
前記演算モジュールは、前記制御データに基づいて、前記エッチング工程で除去される前記内部欠陥層の厚さを計算する第4モジュールをさらに含む、請求項31に記載の工程制御システム。
【請求項35】
前記プロセッサは、前記エッチング工程が完了した酸洗炭素鋼製品に含まれる残りの内部欠陥層の厚さと、前記第4モジュールが計算した前記内部欠陥層の厚さとを比較して前記第4モジュールを学習させる、請求項34に記載の工程制御システム。
【請求項36】
前記演算モジュールは、前記制御データを生成する第5モジュールをさらに含む、請求項34に記載の工程制御システム。
【請求項37】
前記プロセッサは、前記エッチング工程を行うエッチング装置から前記外部サーバが測定した前記制御データを用いて、前記第4モジュールが計算した前記内部欠陥層の厚さと、前記エッチング工程が完了した酸洗炭素鋼製品から測定した残りの内部欠陥層の厚さとを比較して前記演算モジュールを学習させる、請求項36に記載の工程制御システム。
【請求項38】
前記制御データは、前記エッチング工程において前記炭素鋼製品の移送速度、前記エッチング工程において前記炭素鋼製品と接触するエッチング溶液の濃度、前記エッチング溶液の温度、前記エッチング溶液の成分、及び促進剤の使用有無の少なくとも一つを含む、請求項25に記載の工程制御システム。
【請求項39】
前記炭素鋼製品は、前記内部欠陥層が第1厚さを有する第1領域、及び前記内部欠陥層が前記第1厚さとは異なる第2厚さを有する第2領域を含み、
前記制御データは、前記エッチング工程において前記第1領域が移送される第1移送速度及び前記第2領域が移送される第2移送速度を含み、前記第1移送速度と前記第2移送速度とは互いに異なる、請求項25に記載の工程制御システム。
【請求項40】
前記エッチング工程は、酸洗工程、乾式エッチング工程、及び湿式エッチング工程の少なくとも一つである、請求項25に記載の工程制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素鋼製品に含まれる内部欠陥層を除去する工程を制御するための工程制御システム及びその動作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭素鋼製品を用いて生産される自動車用ベアリングシェルなどは、表面に持続的かつ繰り返し荷重を受けることがある。したがって、ベアリングシェルなどの生産に用いられる炭素鋼製品には厳しい表面品質が要求される。
【0003】
炭素鋼製品に含まれる内部欠陥層などは、その厚さを厳しく管理する必要があり、エッチング工程などによって内部欠陥層を除去することができる。エッチング工程は、エッチング溶液と炭素鋼製品を接触させて内部欠陥層を除去する工程であることができる。
【0004】
このような従来技術については、韓国公開特許公報第10-2019-0124019号を参照して容易に理解することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的思想が解決しようとする課題のうち一つは、炭素鋼製品に含まれる内部欠陥層の厚さに応じてエッチング工程を制御することにより、エッチング工程の効率性及び生産性などを改善することができる工程制御システム及びその動作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例による工程制御システムは、炭素鋼製品に含まれる内部欠陥層の厚さ情報を生成する第1システムと、ネットワークを介して上記第1システムから上記内部欠陥層の厚さ情報を受信し、上記内部欠陥層の厚さ情報を用いて上記炭素鋼製品から上記内部欠陥層の少なくとも一部を除去するエッチング工程を制御する第2システムを含み、上記第1システムは、上記第2システムが上記エッチング工程を制御するために必要な演算モジュールを上記第2システムに提供し、上記第2システムは、上記第1システムが上記演算モジュールをアップデートするために必要な情報を上記第1システムに提供する。
【0007】
本発明の一実施例による工程制御システムは、炭素鋼製品に含まれる内部欠陥層の少なくとも一部を除去するエッチング装置の制御に必要な制御データを保存するストレージと、上記制御データに基づいて上記エッチング装置を制御するプロセッサを含み、上記炭素鋼製品は、第1領域及び上記第1領域とは異なる第2領域を含み、上記第1領域に含まれる上記内部欠陥層の厚さと、上記第2領域に含まれる上記内部欠陥層の厚さとは互いに異なり、上記制御データは、上記第1領域が上記エッチング装置を通過する第1移送速度及び上記第2領域が上記エッチング装置を通過する第2移送速度を含み、上記第1移送速度と上記第2移送速度とは互いに異なる。
【0008】
本発明の一実施例による工程制御システムは、炭素鋼製品の成分、冷却速度、相分率、及び温度の少なくとも一つに基づいて、上記炭素鋼製品に含まれる内部欠陥層の厚さ情報を生成する演算モジュールを保存するストレージと、ネットワークに連結される通信部と、上記通信部を介して上記内部欠陥層の少なくとも一部を除去するエッチング工程を制御する外部サーバに上記内部欠陥層の厚さ情報及び上記エッチング工程を制御するための制御データの少なくとも一つを転送するプロセッサを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施例によると、炭素鋼製品の長さ方向に定義される各領域がエッチング溶液と接触する間、最適の制御データに基づいてエッチング工程を制御することで、エッチング工程の生産性及び効率性を改善することができる工程制御システム及びその動作方法を提供することができる。
【0010】
また、本発明の一実施例によると、エッチング工程が完了した酸洗炭素鋼製品に含まれる残りの内部欠陥層の厚さを測定し、測定した残りの内部欠陥層の厚さを用いてエッチング工程を制御するための制御データを生成する演算モジュールを学習させることで、最適化した制御データに基づいてエッチング工程を行うことができる。
【0011】
本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例による熱延鋼板の製造工程を説明するための図面である。
図2】本発明の一実施例による熱延鋼板を簡単に示した図面である。
図3】本発明の一実施例による工程制御システムを示したブロック図である。
図4】本発明の一実施例による工程制御システムを簡単に示したブロック図である。
図5】本発明の一実施例による工程制御システムに含まれる演算モジュールの初期学習方法を説明するための図面である。
図6】本発明の一実施例による工程制御システムに含まれる学習モデルを説明するための図面である。
図7】本発明の一実施例による工程制御システムの動作方法を説明するための図面である。
図8】本発明の一実施例による工程制御システムの動作方法を説明するためのフローチャートである。
図9】本発明の一実施例による工程制御システムを簡単に示したブロック図である。
図10】本発明の一実施例による工程制御システムの動作方法を説明するための図面である。
図11】本発明の一実施例による工程制御システムに含まれる演算モジュールの学習方法を説明するための図面である。
図12】本発明の一実施例によるエッチング工程を説明するための図面である。
図13】本発明の一実施例によるエッチング工程を説明するために提供されるグラフである。
図14】本発明の一実施例による工程制御システムに含まれる演算モジュールの初期学習方法を説明するための図面である。
図15】本発明の一実施例による工程制御システムに含まれる演算モジュールの学習方法を説明するための図面である。
図16】本発明の一実施例による工程制御システムの動作方法を説明するためのフローチャートである。
図17】本発明の一実施例による工程制御システムの動作方法を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、炭素鋼製品(carbon steel products)は、鉄と炭素の合金で0.01%~2.0%の炭素を含有した製品であり、代表的には熱延製品、厚板製品、線材製品などを含むことができる。例えば、上記熱延製品は、スラブを熱間圧延してコイル状に巻き取った熱延コイルまたはシート状に切断して作った熱延鋼板であることができ、1mm~25mmの厚さを有することができる。上記厚板製品は、スラブを熱間圧延して板状に作った製品であることができ、4mm~200mmの厚さを有することができる。上記線材製品は、ビレットを熱間状態で孔型圧延して断面が円状であるコイル状の製品であることができ、3mm~100mmの断面の直径を有することができる。
【0014】
本発明の工程制御システムは、炭素鋼製品に対するエッチング工程が行われる間、上記炭素鋼製品の移送速度を制御して酸洗処理された炭素鋼製品(以下、「酸洗炭素鋼製品」という)を生産することができるため、炭素鋼製品の表面品質を向上させることができる。
【0015】
以下では、熱延鋼板または上記熱延鋼板がコイル状に巻き取られた熱延コイルを中心に本発明の技術的思想を説明する。但し、本発明の技術的思想が熱延鋼板または熱延コイルに制限されるものではなく、通常の技術者が容易に理解できる範囲内で全ての炭素鋼製品に適用されることができる。
【0016】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例について詳細に説明する。図面上の同一の構成要素については同一の参照符号を用い、同一の構成要素に対して重複した説明は省略する。
【0017】
図1は、本発明の一実施例による熱延鋼板の製造工程を説明するための図面である。
【0018】
図1は、熱延鋼板を生産し、熱延鋼板を冷却及び巻き取って熱延コイルを生産する熱延鋼板の生産装置を簡単に示した図面であることができる。図1を参照すると、加熱炉で加熱されたスラブ(slab)を粗圧延機及び仕上げ圧延機を用いて所定の厚さで圧延する熱間圧延工程が行われることができる。熱間圧延工程を経て生産された熱延鋼板(ストリップ)は、冷却区間であるランアウトテーブル(Run Out Table(ROT))冷却台に移すことができる。熱延鋼板は、ROT冷却台から噴射される冷却水によって冷却されることができ、冷却温度、冷却時間などは、熱延鋼板に要求される品質に応じて決定されることができる。
【0019】
冷却後の熱延鋼板は、保管及び/または移動の便宜のために巻取機でコイル状に巻き取られることができる。熱延鋼板をコイル状に巻き取った熱延コイル(HC、Hot Coil)は、ヤード(yard)に積置されて空冷された後に出荷され、この後に熱延鋼板に含まれる内部欠陥層などを除去するためのエッチング工程が行われることができる。一実施例において、図1を参照して説明した熱延鋼板の製造工程及び熱延鋼板の内部欠陥層などを除去するためのエッチング工程は、互いに異なる主体によって行われることができる。また、一実施例において、熱延鋼板の製造工程及び熱延鋼板の内部欠陥層などを除去するためのエッチング工程が一つの主体によって行われることもできる。
【0020】
図2は、本発明の一実施例による熱延鋼板を簡単に示した図面である。
【0021】
図2を参照すると、熱延鋼板は長さ方向(X軸方向)に沿って複数の領域に区分することができる。一例として、熱延鋼板は長さ方向に沿って順に配置される領域A、領域B、及び領域Cなどを含むことができる。図2に示した一実施例において、領域Aは熱延鋼板で最初に巻き取られる領域であることができ、領域Cは最後に巻き取られる領域であることができる。領域Bは、長さ方向において領域Aと領域Cとの間に位置する領域であることができる。
【0022】
一実施例において、熱延鋼板は表面欠陥を含むことができる。例えば、表面欠陥は、スケール、内部欠陥層の少なくとも一つを含むことができる。スケールは圧延工程中に発生し、素材の表面上に存在することができる。内部欠陥層は、素材の表面の下、すなわち、素材の内部に含まれることができ、内部酸化層及び/または脱炭層を意味するものと定義されることができる。内部酸化層は、鉄(Fe)より酸素親化度が高いクロム(Cr)、マンガン(Mn)、シリコン(Si)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)などの成分が母材内で酸化を引き起こす過程で発生することがある。脱炭層は、鋼中の炭素と大気及びスケールの酸素が結合した後にガス形態で大気中に排出される過程で発生することがある。内部欠陥の厚さは、熱延鋼板の成分、熱延鋼板を熱延コイルHCに巻き取る際の温度、巻き取り後の冷却時間、熱延鋼板の幅及び厚さ、長さなどによって異なることができる。内部欠陥層などの内部欠陥は、熱延鋼板を用いて生産される製品の耐久性を低下させる要因となることができる。
【0023】
一例として、巻き取られた熱延コイルHCの温度は500~700℃程度であることができ、巻き取り状態の熱延コイルHCは、空気に露出した状態で空冷式で冷却されることができる。巻き取り状態を有する熱延コイルHCにおいて、外部に露出した領域A及び領域Cは比較的速く冷却されるのに対し、外部に露出していない領域Bは比較的ゆっくり冷却されることができる。したがって、熱延鋼板の領域Bに含まれる内部欠陥層の厚さは、熱延鋼板の領域A及び領域Cのそれぞれに含まれる内部欠陥層の厚さよりもさらに厚いことができる。よって、熱延鋼板の領域において内部欠陥層の厚さにばらつきが生じることがある。一例として、領域A及び/または領域Cに含まれる内部欠陥層の厚さは、所定の基準厚さよりも小さいことがあり、領域Bに含まれる内部欠陥層の厚さは、基準厚さよりも大きいことがある。
【0024】
また、熱延鋼板の幅方向においても内部欠陥層の厚さが領域によって異なることができる。一例として、幅方向で熱延鋼板の角に隣接する領域が比較的速く冷却されることができ、冷却速度に応じた内部欠陥層の厚さの差が幅方向においても示されることができる。
【0025】
内部欠陥層の少なくとも一部を除去するためのエッチング工程は、エッチング溶液に熱延鋼板を接触させる方式で行われることができる。一例として、エッチングタンクに収容されたエッチング溶液に熱延鋼板を浸漬させた状態で熱延鋼板を移送する方式でエッチング工程が行われることができる。または、エッチングタンク内で熱延鋼板の表面にエッチング溶液を噴射したり、エッチング溶液に浸したブラシなどで熱延鋼板の表面をブラッシングする方式などでエッチング工程が行われることもできる。エッチング工程は、酸洗工程、乾式エッチング工程、湿式エッチング工程の少なくとも一つであることができる。
【0026】
一例として、エッチング工程において熱延鋼板に含まれる内部欠陥層を十分に除去することができるように、熱延鋼板の領域に関係なく熱延鋼板をエッチング溶液と十分に接触させてエッチング工程を行うことができる。但し、上記の方法は、エッチング工程の時間及び/またはエッチング工程に投入されるエッチング溶液の増加につながって、生産性の低下をもたらす可能性がある。
【0027】
本発明の一実施例によると、熱延鋼板の長さ方向に沿って熱延鋼板に含まれる内部欠陥層の厚さを計算及び/または実測し、内部欠陥層の厚さ情報に応じてエッチング工程を最適の効率性に制御することができる。したがって、エッチング工程の時間を短縮し、エッチング溶液の使用量を減らすことで生産性を改善することができる。また、エッチング工程を完了した酸洗鋼板で領域別に現れる内部欠陥層の厚さのばらつきを減らすことができる。
【0028】
図3は、本発明の一実施例による工程制御システムを示したブロック図である。
【0029】
本発明の一実施例によると、工程制御システム1は、熱延鋼板がコイル状に巻き取られた熱延コイルに含まれる内部欠陥層の厚さ情報を生成する第1システムSYS1、及び第1システムSYS1から受信した内部欠陥層の厚さ情報を用いて、上記熱延コイルが巻き取られた上記熱延鋼板から内部欠陥層の少なくとも一部を除去するエッチング工程を制御する第2システムSYS2を含むことができる。また、第1システムSYS1は、第2システムSYS2がエッチング工程を制御するために必要な演算モジュールを第2システムSYS2に提供することができる。また、第2システムSYS2は、第1システムSYS1が演算モジュールをアップデートするために必要な情報を取得して第1システムSYS1に提供することができる。第1システムSYS1と第2システムSYS2は、ネットワーク30を介して互いに通信することができる。
【0030】
図3を参照すると、本発明の一実施例による工程制御システム1は、熱延工程を行う第1主体とエッチング工程を行う第2主体によって運営されることができる。一実施例において、第1主体は熱延鋼板を生産し、熱延鋼板を巻き取って熱延コイルを製造することができ、第2主体は第1主体から熱延コイルが供給されて熱延鋼板の内部欠陥層を除去するエッチング工程を行うことができる。図3を参照すると、第1主体で第1システムSYS1が運用されることができ、上記第2主体で第2システムSYS2が運用されることができる。但し、実施例によって第1システムSYS1及び第2システムSYS2が1つの主体によって運用されることもできる。この場合、ネットワーク30は、第1システムSYS1及び第2システムSYS2の全てを運用する主体の内部ネットワークであることができる。
【0031】
図3を参照すると、第1システムSYS1は第1サーバ10を含み、第2システムSYS2は第2サーバ20を含むことができる。第1サーバ10及び第2サーバ20は、ネットワーク30を介して通信し、第2システムSYS2は熱延鋼板の内部欠陥層の少なくとも一部を除去するエッチング装置22を制御することができる。
【0032】
ネットワーク30は、有線インターネットネットワーク、無線インターネットネットワーク、またはWi-Fi(wireless fidelity)などの無線近距離通信ネットワーク(wireless local area network(WLAN))などを意味することができる。有線インターネットネットワークまたは上記無線インターネットネットワークは、インターネットTCP/IPプロトコル及びその上位の階層(upper layer)に存在する様々なサービス、すなわち、HTTP(HyperText Transfer Protocol)、Telnet、FTP(File Transfer Protocol)、DNS(Domain Name System)、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)、SNMP(Simple Network Management Protocol)、NFS(Network File Service)、NIS(Network Information Service)などを提供する開放型コンピュータネットワーク構造を意味することができる。
【0033】
一実施例において、第1システムSYS1は、熱延工程で生産される熱延鋼板の内部欠陥層の厚さ情報を生成することができる。第1システムSYS1は、内部欠陥層の厚さ情報をネットワーク30を介して第2システムSYS2に転送することができる。第2システムSYS2は、ネットワーク30を介して受信した内部欠陥層の厚さ情報を用いてエッチング装置22によって行われるエッチング工程を制御することができる。
【0034】
一例として、第1システムSYS1は第1サーバ10を含み、第1サーバ10は演算モジュール11及び演算モジュール11を学習させる学習モデルなどを含むことができる。一実施例において、演算モジュール11によって内部欠陥層の厚さ情報が生成されることができる。第1システムSYS1は、熱延鋼板の内部欠陥層の厚さを実測して厚さ情報を生成するか、または熱延鋼板の内部欠陥層の厚さを計算して厚さ情報を生成することができる。一実施例において、第1システムSYS1は、熱延鋼板の成分、熱延鋼板の相分率、熱延鋼板の温度の少なくとも一つを用いて内部欠陥層の厚さを計算することで、内部欠陥層の厚さ情報を生成することができる。
【0035】
内部欠陥層の厚さ情報は、熱延鋼板の長さ方向に定義される複数の各領域で熱延鋼板に含まれる内部欠陥層の厚さを含むことができる。したがって、内部欠陥層の厚さ情報は、熱延鋼板の長さ方向に沿って現れる内部欠陥層の厚さ分布などを含むことができる。
【0036】
他の実施例によっては、演算モジュール11により内部欠陥層の厚さ関連情報が生成されることができる。内部欠陥層の厚さ関連情報は、内部欠陥層の厚さ情報が抽出可能であるように、上記内部欠陥層の厚さ情報を加工した全ての形態の情報を意味することができる。第1システムSYS1が内部欠陥層の厚さ関連情報を、ネットワーク30を介して第2システムSYS2に転送すると、第2システムSYS2はネットワーク30を介して受信した内部欠陥層の厚さ関連情報に含まれた内部結合層の厚さ情報を抽出したり、または厚さ関連情報から内部欠陥層の厚さ情報を計算して、抽出または計算した内部欠陥層の厚さ情報を用いてエッチング装置22によって行われるエッチング工程を制御することができる。
【0037】
第2システムSYS2の演算モジュール21は、エッチング装置22を制御するために必要な制御データを生成することができる。一例として、演算モジュール21は、第1システムSYS1から受信した内部欠陥層の厚さ情報を用いて制御データを生成することができる。制御データは、エッチング工程の間にエッチング装置22が熱延鋼板を移送する速度、エッチング装置22で熱延鋼板に接触するエッチング溶液の濃度、エッチング溶液の成分、エッチング溶液の温度、及び促進剤の使用有無の少なくとも一つを含むことができる。
【0038】
第2システムSYS2の演算モジュール21は、第1システムSYS1が保存及び管理する演算モジュール11の少なくとも一つを受信したものであることができる。第1システムSYS1は、演算モジュール11内においてエッチング装置22を制御するために必要なモジュールを第2システムSYS2に提供することができる。一例として、第1システムSYS1は、学習モデル12を用いてエッチング装置22を制御するために必要なモジュールを学習させた後、第2システムSYS2に提供することができる。第1システムSYS1は、ネットワーク30を介した転送方式で第2システムSYS2にモジュールを提供することができる。または、第1システムSYS1によって学習したモジュールは、作業者が直接モジュールを入力、保存する方式で第2システムSYS2に提供されることもできる。
【0039】
第2システムSYS2は、第1システムSYS1が演算モジュール11をアップデートするために必要な情報を第1システムSYS1に提供することができる。一例として、第2システムSYS2は、エッチング装置22が熱延鋼板に対するエッチング工程を完了して酸洗鋼板を生産すると、酸洗鋼板に含まれた残りの内部欠陥層の厚さ、及びエッチング工程の間にエッチング装置22で測定した制御データの少なくとも一つを第1システムSYS1に提供することができる。第1システムSYS1は、第2システムSYS2から受信した残りの内部欠陥層の厚さ及び制御データの少なくとも一つを用いて演算モジュール11をアップデートすることができる。一例として、学習モデル12が残りの内部欠陥層の厚さ、及び制御データの少なくとも一つを用いて演算モジュール11を学習させることで、演算モジュール11がアップデートされることができる。
【0040】
演算モジュール11がアップデートされると、第1システムSYS1はネットワーク30を介して第2システムSYS2にアップデートされた演算モジュール11の少なくとも一つを転送することができる。第2システムSYS2は、第1システムSYS1から受信した演算モジュール11を用いて、保存されていた演算モジュール21をアップデートすることができる。一例として、第2システムSYS2は、第1システムSYS1から受信した演算モジュールで既存の演算モジュール21を上書き(overwrite)することができる。
【0041】
一実施例において、第1システムSYS1の演算モジュール11は、複数の演算モジュールであることができる。演算モジュール11は、熱延鋼板に含まれる内部欠陥層の厚さ情報を生成する演算モジュール、及びエッチング装置22を制御するための制御データを生成する演算モジュールなどを含むことができる。第1システムSYS1は、制御データを生成する演算モジュールを第2システムSYS2に転送することができる。
【0042】
学習モデル12は演算モジュール11を最適化することができる。一例として、学習モデル12は、複数の演算モジュールを学習させるための複数の学習モデルを含むことができる。また、学習モデル12は、第2システムSYS2から受信した残りの内部欠陥層の厚さ及び制御データの少なくとも一つを用いて演算モジュール11を学習させて最適化することができる。一実施例において、学習モデル12は、演算モジュール11が計算した残りの内部欠陥層の厚さと、第2システムSYS2から受信した残りの内部欠陥層の厚さが互いに一致するか、またはその差が所定の基準値以下になるように演算モジュール11を学習させることができる。
【0043】
演算モジュール11は、回路などのハードウェアで実現されるか、ソースコードなどのソフトウェアで実現されることができる。演算モジュール11は、入力値を用いた所定の演算を実行して出力値を生成することができる。一例として、学習モデル12は、演算モジュール11で実行される演算の加重値、係数などを調節することで演算モジュール11を学習させることができる。
【0044】
実施例によって、第2システムSYS2の第2サーバ20は追加の演算モジュールをさらに含むことができる。追加演算モジュールは、第1システムSYS1から受信する演算モジュール21とは異なる別途の演算モジュールであることができ、演算モジュール21が出力する制御データの少なくとも一部を調節してエッチング装置22に入力することができる。一例として、追加演算モジュールは、エッチング装置22に存在する機械誤差、動作遅延などを考慮して、演算モジュール21が出力する制御データの少なくとも一部を調節してエッチング装置22に入力することができる。したがって、追加演算モジュールが第2サーバ20に含まれる場合、演算モジュール21が出力する制御データとエッチング装置22に入力される制御データが互いに異なる場合がある。
【0045】
追加演算モジュールは、演算モジュール21が出力する制御データがエッチング装置22に適用されるように、制御データのスケール単位を調節したり、エッチング装置22に入力できるデータフォーマットに制御データを変換することができる。実施例によって、演算モジュール21が制御データのスケール単位及びデータフォーマットなどを直接調節してエッチング装置22に出力することもできる。この場合、追加演算モジュールが第2サーバ20に含まれないこともできる。
【0046】
一実施例において、第2システムSYS2の演算モジュール21は、第1システムSYS1から内部欠陥層の厚さ情報を受信することができる。厚さ情報は、第1システムSYS1が計算及び/または実測した内部欠陥層の厚さを含むことができる。第2システムSYS2は、厚さ情報を用いてエッチング装置22を制御するための制御データを決定することができる。一実施例において、制御データは、エッチング装置22が熱延鋼板を移送する移送速度、エッチング装置22で熱延鋼板と接触するエッチング溶液の濃度、エッチング溶液の温度、エッチング溶液の成分、及び促進剤の使用有無などを含むことができる。演算モジュール21が出力する制御データによってエッチング装置22が自動に制御されることができる。
【0047】
一例として、エッチング装置22に入力される制御データは、熱延鋼板の長さ方向において定義される複数の各領域に対するエッチング工程を最適化することができる。例えば、熱延鋼板の端部に近い一部領域に対するエッチング工程中の熱延鋼板の移送速度は、熱延鋼板の端部から遠い他の一部領域に対するエッチング工程中の熱延鋼板の移送速度とは異なることがある。一例として、熱延鋼板の端部に近い一部領域に対するエッチング工程における熱延鋼板の移送速度は、熱延鋼板の端部から遠い他の一部領域に対するエッチング工程における熱延鋼板の移送速度よりも速いことがある。一実施例において、エッチング工程が行われる間、熱延鋼板の表面に存在するスケールが一緒に除去されることができる。
【0048】
一実施例において、エッチング装置22に存在する機械誤差及び制御データを入出力する過程などでの信号遅延などにより、演算モジュール21が出力する制御データと、エッチング工程の間にエッチング装置22で実測される制御データとが互いに一致しないことがある。エッチング装置22に入力される制御データのうち、熱延鋼板の移送速度を例示として説明すると、演算モジュール21がエッチング装置22に入力する熱延鋼板の移送速度と、エッチング装置22が熱延鋼板を移送する実際の移送速度が一致しない可能性がある。また、エッチング装置23に入力される制御データのうち、エッチング溶液の濃度及び/またはエッチング溶液の温度は、熱延鋼板とエッチング溶液が接触する過程で変わることがある。
【0049】
本発明の一実施例においては、機械誤差及び信号遅延などを考慮してエッチング装置22を制御することができる。一例として、機械誤差及び信号遅延などが制御データに反映されるように、第2システムSYS2は、エッチング工程が完了した酸洗鋼板に含まれる残りの内部欠陥層の厚さ、及びエッチング工程を行う間にエッチング装置22で測定した制御データなどの情報を取得することができる。第2システムSYS2は、取得した情報を第1システムSYS1に転送することができる。
【0050】
第1システムSYS1の学習モデル12は、第2システムSYS2が転送した情報を用いて、演算モジュール11の少なくとも一つを学習させることができる。演算モジュール11に対する学習が完了すると、第1システムSYS1は、学習が完了した演算モジュール11の少なくとも一つ、例えば、エッチング装置22を制御するための制御データを生成する演算モジュールを第2システムSYS2に転送することができる。第2システムSYS2は、第1システムSYS1から受信した演算モジュールを用いて、予め保存されていた演算モジュール21をアップデートすることができる。したがって、第2システムSYS2の演算モジュール21は、機械誤差や信号遅延などを考慮して制御データを生成することができ、エッチング装置22をより正確に制御することができる。
【0051】
実施例によって、第2システムSYS2が学習モデルを含むこともできる。第2システムSYS2に含まれる学習モデルは、第1システムSYS1に含まれる学習モデル12と類似した方式で第2システムSYS2に含まれる演算モジュール21を学習させることができる。これに関しては、図14及び図15を参照して後述する。
【0052】
また、第2システムSYS2が直接熱延鋼板に含まれる内部欠陥層の厚さを計算し、これを用いてエッチング工程を行うこともできる。この場合、第2システムSYS2は、第1システムSYS1から内部欠陥層の厚さを計算するために必要な情報を受信することができる。一例として、第1システムSYS1は、熱延鋼板の冷却速度、熱延鋼板の成分、熱延鋼板が冷却される間に周辺の酸素分圧などの情報を収集して第2システムSYS2に転送することができる。第2システムSYS2の演算モジュール21は、第1システムSYS1から受信した変数を用いて熱延鋼板に含まれる内部欠陥層の厚さを予測し、エッチング装置22を制御することができる。
【0053】
一実施例において、上述したように、計算した内部欠陥層の厚さを用いて、エッチング工程が行われる間に熱延鋼板を移送する移送速度を調節することができる。一例として、内部欠陥層の厚さが比較的小さいと予測される第1領域がエッチング溶液と接触する間には、第1移送速度で熱延鋼板を移送することができる。また、内部欠陥層の厚さが比較的大きいと予測される第2領域がエッチング溶液と接触する間には、第1移送速度よりも遅い第2移送速度で熱延鋼板を移送することができる。
【0054】
本発明の一実施例においては、熱延鋼板の内部欠陥層を予測するための情報を収集する動作、内部欠陥層を計算する動作、計算した内部欠陥層に基づいてエッチング装置22を制御するための制御データを生成する動作、エッチング装置22がエッチング工程を行う間に収集した制御データなどを用いて演算モジュール11、21を再学習させる動作などは、2つの互いに異なるシステムSYS1、SYS2に分散させて実現することができる。一例として、上記動作は、必要に応じて第1システムSYS1と第2システムSYS2に適切に分散されて実行することができる。一例として、第1システムSYS1及び第2システムSYS2の性能に応じて、上記動作を第1システムSYS1及び第2システムSYS2に割り当てることで、システムSYS1、SYS2の負荷(load)を効率的に管理し、システム1全体を効果的に運営することができる。
【0055】
例えば、第1システムSYS1の性能が第2システムSYS2の性能よりも大きく優れている場合、第1システムSYS1で上記動作のほとんどを処理し、第2システムSYS2は第1システムSYS1が生成した制御データを受信してエッチング装置22を制御することができる。第1システムSYS1と第2システムSYS2の性能が類似する場合、第1システムSYS1が熱延鋼板に含まれる内部欠陥層の厚さを示す厚さ情報を生成し、第2システムSYS2が内部欠陥層の厚さ情報を用いて制御データを生成することができる。一方、第1システムSYS1に比べて第2システムSYS2の性能が大きく優れる場合、第1システムSYS1は内部欠陥層の厚さを計算するために必要な熱延鋼板の情報を収集して第2システムSYS2に伝達することができ、第2システムSYS2が内部欠陥層の厚さを計算し、制御データを生成してエッチング装置22を制御することができる。
【0056】
第2システムSYS2が内部欠陥層の厚さを予測するために第1システムSYS1から受信する熱延鋼板の情報は、熱延鋼板の相分率関連情報、熱延鋼板の温度関連情報、熱延鋼板の成分関連情報などを含むことができる。相分率関連情報は、相分率情報が抽出可能であるように上記相分率情報を加工した全ての形態の情報を意味することができ、熱延鋼板の温度関連情報は、温度情報が抽出可能であるように上記温度情報を加工した全ての形態の情報を意味することができ、熱延鋼板の成分関連情報は、成分情報が抽出可能であるように上記成分情報を加工した全ての形態の情報を意味することができる。したがって、第2システムSYS2は、第1システムSYS1から受信した情報を用いて熱延鋼板の相分率、温度、成分などを先に計算した後、これを用いて熱延鋼板に含まれる内部欠陥層の厚さを予測することができる。
【0057】
図4は、本発明の一実施例による工程制御システムを簡単に示したブロック図である。
【0058】
図4を参照すると、本発明の一実施例による工程制御システム40は、第1サーバ41及び熱延鋼板の生産装置45などを含むことができ、第1サーバ41は熱延鋼板の生産装置45を制御及び管理することができる。熱延鋼板の生産装置45は、加熱炉で加熱したスラブを圧延して熱延鋼板を生産し、熱延鋼板を冷却及び巻き取る装置であることができる。
【0059】
第1サーバ41は、通信部42、ストレージ43、プロセッサ44などを含むことができる。通信部42は、第1サーバ41とネットワークが通信可能に連結することができる。ストレージ43は、第1サーバ41の動作及び熱延鋼板の生産装置45の管理などに必要なデータを保存することができる。プロセッサ44は、通信部42、ストレージ43、及び熱延鋼板の生産装置45などを制御することができる。
【0060】
一例として、ストレージ43は、所定の演算を実行する演算モジュールを保存することができる。一実施例において、演算モジュールは熱延鋼板の生産装置45と連動して、熱延鋼板の生産装置45から取得した情報を用いて熱延鋼板に含まれる内部欠陥層の厚さ情報を生成することができる。また、演算モジュールは、通信部42及びネットワークなどを介して連結される外部システムがエッチング装置を制御するために必要な制御データを生成することができる。エッチング装置は、熱延鋼板の生産装置45が生産した熱延鋼板に含まれた内部欠陥層の少なくとも一部を除去する装置であることができる。
【0061】
例えば、制御データは、エッチング装置が熱延鋼板を移送する移送速度、エッチング装置において熱延鋼板に接触するエッチング溶液の温度と濃度、成分、及び促進剤の使用有無などを含むことができる。一例として、演算モジュールが生成した内部欠陥層の厚さ情報において、熱延鋼板の第1領域は第1厚さの内部欠陥層を有し、第2領域は第1厚さとは異なる第2厚さの内部欠陥層を有することができる。制御データは、第1領域に対するエッチング工程で熱延鋼板が移送される第1移送速度、及び第2領域に対するエッチング工程で熱延鋼板が移送される第2移送速度を含み、第1移送速度と第2移送速度とは互いに異なることができる。一例として、第1厚さが第2厚さよりも大きいと、第1移送速度は第2移送速度よりも遅くなることができる。したがって、比較的厚い厚さを有する領域に対して、十分なエッチング工程が行われることができる。
【0062】
一実施例において、ストレージ43は、演算モジュールを学習させるために必要な学習モデルを保存することができる。学習モデルはプロセッサ44によって実行され、プロセッサ44は学習モデルを実行して演算モジュールを最適化することができる。
【0063】
プロセッサ44は、CPU、AP、SoCなどで実現でき、ストレージ43と通信部42、及び熱延鋼板の生産装置45などを制御することができる。一例として、プロセッサ44は、ストレージ43に保存された演算モジュールが生成した内部欠陥層の厚さ情報、及び上記外部システムが上記エッチング装置を制御するために必要な制御データの少なくとも一つを上記外部システムに転送することができる。
【0064】
プロセッサ44が上記外部システムに内部欠陥層の厚さ情報を転送する場合、上記外部システムは、内部欠陥層の厚さ情報に基づいてエッチング装置を制御するための制御データを直接生成することができる。この場合、プロセッサ44は、内部欠陥層の厚さ情報を用いて制御データを生成する演算モジュールをストレージ43から引き出して上記外部システムに転送することができる。
【0065】
一方、プロセッサ44が上記外部システムに制御データを転送する場合、上記外部システムは受信した制御データを用いてエッチング装置を制御することができる。必要に応じて、制御データのフォーマットを変換するなどの付加作業が上記外部システムで実行されることができる。この場合、プロセッサ44は、内部欠陥層の厚さ情報を用いて制御データを生成する演算モジュールを上記外部システムに転送しないこともできる。
【0066】
一実施例において、ストレージ43に保存された演算モジュールは、熱延鋼板の生産装置45が熱延鋼板を巻き取る前の相分率を計算する第1モジュールを含むことができる。第1モジュールは、熱延鋼板の工程条件、例えば、熱延鋼板の冷却速度、熱延鋼板の成分、熱延鋼板の初期温度の少なくとも一つに基づいて相分率を計算することができる。ストレージ43の学習モデルは、熱延鋼板で実際に測定した相分率と、第1モジュールが計算を介して予測した相分率とを比較して第1モジュールを学習させることができる。
【0067】
一実施例において、ストレージ43に保存された演算モジュールは、熱延鋼板の温度変化を計算する第2モジュールをさらに含むことができる。第2モジュールは、第1モジュールが計算した相分率、熱延鋼板の巻き取り後の経過時間、及び熱延鋼板の成分の少なくとも一つを用いて温度変化を予測することができる。学習モデルは、第2モジュールが計算した温度変化と、熱延鋼板で実際に測定した温度変化とを比較して第2モジュールを学習させることができる。
【0068】
一実施例において、ストレージ43に保存された演算モジュールは、熱延鋼板に含まれた内部欠陥層の厚さを計算する第3モジュールをさらに含むことができる。一例として、第3モジュールは、第2モジュールが計算した温度変化、熱延鋼板の成分、及び熱延鋼板の周辺の酸素分圧の少なくとも一つを用いて内部欠陥層の厚さを計算することができる。学習モデルは、第3モジュールが計算を介して予測した内部欠陥層の厚さと、熱延鋼板から実測した内部欠陥層の厚さとを比較して第3モジュールを学習させることができる。
【0069】
一例として、第3モジュールは、熱延鋼板の長さ方向に沿って定義される複数の領域のそれぞれにおいて、内部欠陥層の厚さを計算することができる。上記領域の少なくとも一部において、内部欠陥層の厚さは互いに異なるように計算されることができる。
【0070】
一実施例において、ストレージ43に保存された演算モジュールは、内部欠陥層の少なくとも一部を除去するエッチング工程で除去される内部欠陥層の厚さを計算する第4モジュールをさらに含むことができる。第4モジュールは、エッチング工程を行うエッチング装置を制御するためにエッチング装置に入力される制御データに基づいて、エッチング工程で除去される内部欠陥層の厚さを計算することができる。
【0071】
学習モデルは、エッチング工程が完了した酸洗鋼板に含まれる残りの内部欠陥層の厚さと、第4モジュールが計算を介して予測した内部欠陥層の厚さとを比較して第4モジュールを学習させることができる。一例として、学習モデルは、第3モジュールが計算した内部欠陥層の厚さと、第4モジュールが計算した内部欠陥層の厚さとの差を酸洗鋼板に含まれる残りの内部欠陥層の厚さと比較することができる。第4モジュールを学習させるために、第1サーバ41は、エッチング装置を制御する外部システムが酸洗鋼板で測定した残りの内部欠陥層の厚さを受信することができる。
【0072】
一実施例において、ストレージ43に保存された演算モジュールは、外部システムがエッチング装置を制御するために必要な制御データを生成する第5モジュールをさらに含むことができる。第5モジュールが生成する制御データは、エッチング装置が熱延鋼板を移送する速度、エッチング装置において熱延鋼板に接触するエッチング溶液の濃度、エッチング溶液の成分、エッチング溶液の温度、及び促進剤の使用有無の少なくとも一つを含むことができる。
【0073】
学習モデルが第5モジュールを学習させることができるように、第1サーバ41は、エッチング装置を制御する外部システムから制御データを受信することができる。第1サーバ41が外部システムから受信する制御データは、エッチング工程の間にエッチング装置から外部システムが実測した制御データであることができる。学習モデルは、外部システムから受信した制御データを用いて第4モジュールが計算した内部欠陥層の厚さと、酸洗鋼板から実測した残りの内部欠陥層の厚さとを比較して第5モジュールを学習させることができる。
【0074】
図5は、本発明の一実施例による工程制御システムに含まれる演算モジュールの初期学習方法を説明するための図面である。
【0075】
図5を参照すると、熱延鋼板内部欠陥層の厚さ制御システム100は、演算モジュール110及び学習モデル120を含むことができる。一例として、演算モジュール110は、厚さ情報生成モジュール111及び制御データ生成モジュール112を含むことができる。一実施例において、演算モジュール110は、第1~第5モジュールM1~M5を含むことができ、厚さ情報生成モジュール111は、第1~第3モジュールM1~M3を含むことができ、制御データ生成モジュール112は、第4モジュールM4及び第5モジュールM5を含むことができる。第1~第5モジュールM1~M5は、回路などのハードウェアで実現されるか、ソースコードなどのソフトウェアで実現されることができる。
【0076】
例えば、第1~第5モジュールM1~M5がソースコードなどのソフトウェアで実現される場合、第1~第5モジュールM1~M5は入力データを用いて出力データを計算する演算を実行することができる。第1~第5モジュールM1~M5の各演算は、学習モデル120によって決定及び最適化することができる。
【0077】
学習モデル120は、第1~第4学習モデルLM1~LM4及びフィードバック学習モデルLMTを含むことができる。第1学習モデルLM1は、第1モジュールM1を初期に学習させるためのモデルであることができ、第2学習モデルLM2は、第2モジュールM2を初期に学習させるためのモデルであることができる。同様に、第3学習モデルLM3は、第3モジュールM3を初期に学習させるためのモデルであることができ、第4学習モデルLM4は、第4モジュールM4を初期に学習させるためのモデルであることができる。フィードバック学習モデルLMTは、エッチング工程が完了した後、第1~第5モジュールM1~M5の少なくとも一つを学習させるためのモデルであることができる。一実施例において、フィードバック学習モデルLMTは、第1~第5モジュールM1~M5を同時に学習させることもできる。
【0078】
学習モデル120は、偏差補正法や強化学習などを用いて第1~第5モジュールM1~M5を学習させることができる。偏差補正法を用いる場合、学習モデル120は、外部から入力された測定値とモジュールから出力された計算値との誤差を補正していく方式で第1~第5モジュールM1~M5を学習させることができる。学習モデル120が強化学習を用いる場合、学習モデル120はDNN(deep neural network)であることができるが、必ずしもこのような例示に限定されるものではない。
【0079】
学習モデル120が強化学習を用いて各モジュールを学習させる一実施例については、図6を参照して後述する。以下、図5を参照して、工程制御システム100の初期学習方法について具体的に説明する。
【0080】
一実施例において、第1モジュールM1は、熱延鋼板を巻き取る前の相分率を計算することができる。第1学習モデルLM1は、第1工程条件CD1及び第1相分率値EPFを受信することができる。第1相分率値EPFは、第1工程条件CD1下で実際に測定した相変態分率または相変態量などを含むことができる。第1工程条件CD1は、熱延鋼板の冷却速度、熱延鋼板の温度、及び熱延鋼板の成分などを含むことができる。
【0081】
第1学習モデルLM1は、第1工程条件CD1を第1モジュールM1に入力することができる。第1モジュールM1は、第1工程条件CD1を用いて熱延鋼板の相分率を計算した第2相分率値PPFを計算することができる。第1モジュールM1が出力する第2相分率値PPFは、第1学習モデルLM1に伝達されることができる。
【0082】
第1学習モデルLM1は、第1相分率値EPFと第2相分率値PPFとを比較して第1モジュールM1を学習させることができる。一例として、第1相分率値EPFと第2相分率値PPFが一致しないと、第1学習モデルLM1は、第1モジュールM1から第1工程条件CD1が入力されて相分率を計算する第1演算の加重値、係数などを調節することができる。第1学習モデルLM1は、第1相分率値EPFと第2相分率値PPFが一致するように、または第1相分率値EPFと第2相分率値PPFとの差が所定の値以下になるように第1モジュールM1の第1演算の加重値、係数などを調節することができる。
【0083】
第2学習モデルLM2は、第2工程条件CD2、周辺環境を示す環境条件FV、及び熱延鋼板から測定した第1温度値ETなどを受信することができる。第2工程条件CD2は、巻き取り後の熱延鋼板の温度を測定した時点、及び熱延鋼板の成分などを含むことができる。環境条件FVは、巻き取り後の熱延鋼板が冷却される速度に影響を与える周辺環境を表す値を含むことができる。例えば、周辺環境が空気であると、環境条件FVの値は「1」、周辺環境が風であると、環境条件FVの値は「2」、周辺環境が水であると、環境条件FVの値は「3」であることができる。第1温度値ETは、熱延コイルの温度を実際に測定した値を含むことができる。
【0084】
第2モジュールM2には、第2学習モデルLM2から第2工程条件CD2及び環境条件FVが入力されることができる。一例として、第2モジュールM2は、第2工程条件CD2及び環境条件FVを用いて熱延鋼板の温度を計算することができ、熱延鋼板の温度を計算した第2温度値PTを出力することができる。第2温度値PTは、熱延鋼板の長さ方向に定義される領域の各温度を巻き取り後の経過時間に応じて計算した値などを含むことができる。第2モジュールM2は、第2温度値PTを第2学習モデルLM2に出力することができる。
【0085】
第2学習モデルLM2は、第1温度値ETと第2温度値PTとを比較して第2モジュールM2を学習させることができる。例えば、第1温度値ETと第2温度値PTが一致しないか、または第1温度値ETと第2温度値PTとの差が所定の値より大きいと、第2学習モデルLM2は、第2モジュールM2で第2温度値PTを計算する第2演算の加重値、係数などを調節することができる。第2学習モデルLM2は、第1温度値ETと第2温度値PTが一致するように、または第1温度値ETと第2温度値PTとの差が所定の値以下になるように第2モジュールM2を学習させることができる。
【0086】
第3学習モデルLM3には、熱延鋼板の成分ING、熱延鋼板の周辺の酸素分圧OPP、第2モジュールM2の出力値である第2温度値PT、及び熱延鋼板から測定した内部欠陥層の第1厚さEDなどが入力されることができる。内部欠陥層の第1厚さEDは、熱延鋼板の内部欠陥層の厚さを実際に測定した実測値であることができる。
【0087】
第3モジュールM3は、第3学習モデルLM3から熱延鋼板の成分ING、熱延鋼板の周辺の酸素分圧OPP、及び熱延鋼板の第2温度値PTを入力データとして受信することができる。第3モジュールM3は、内部欠陥層の第2厚さPDを計算することができる。第2厚さEDは、第3モジュールM3が熱延鋼板の成分ING、熱延鋼板の周辺の酸素分圧OPP、及び第2温度値PTの少なくとも一つを用いて熱延鋼板に存在するものとして計算した内部欠陥層の厚さであることができる。第3モジュールM3が出力する内部欠陥層の第2厚さPDは、第3学習モデルLM3に伝達されることができる。
【0088】
第3学習モデルLM3は、内部欠陥層の第1厚さEDと第2厚さPDとを比較して第3モジュールM3を学習させることができる。一例として、内部欠陥層の第1厚さEDと第2厚さPDが一致しないか、またはその差が所定の値より大きいと、第3学習モデルLM3は第3モジュールM3において内部欠陥層の第2厚さPDを計算する第3演算の加重値、係数などを調節することができる。第3学習モデルLM3は、内部欠陥層の実測値である第1厚さEDと計算値である第2厚さPDが一致するか、またはその差が所定の値以下になるように第3モジュールM3を学習させることができる。
【0089】
第4学習モデルLM4は、熱延鋼板の移送速度PV、エッチング工程に用いられるエッチング溶液の特性AC、及びエッチング装置によって除去された内部欠陥層の第1厚さEPAなどを受信することができる。エッチング溶液の特性ACは、熱延鋼板と接触するエッチング溶液の濃度、エッチング溶液の温度、エッチング溶液の成分、促進剤の使用有無などを含むことができる。熱延鋼板の移送速度PVは、熱延鋼板がエッチング溶液と接触する間に熱延鋼板が動く速度を意味することができる。内部欠陥層の第1厚さEPAは、熱延コイルの移送速度PV及びエッチング溶液の特性ACによって行われたエッチング工程で実際に除去される内部欠陥層の厚さを意味することができる。
【0090】
第4モジュールM4には、第4学習モデルLM4から熱延鋼板の移送速度PV及びエッチング溶液の特性ACが入力されることができる。第4モジュールM4は、熱延鋼板の移送速度PVとエッチング溶液の特性ACの少なくとも一つを用いてエッチング装置によって除去されるものと予想される内部欠陥層の第2厚さPPA1を計算することができる。一実施例において、第4モジュールM4には、移送速度PVによって決定されるエッチング時間、及びエッチング溶液の特性ACが入力値として入力され、上記入力値を用いて内部欠陥層の第2厚さPPA1を計算する演算を実行することができる。第4モジュールM4は、内部欠陥層の第2厚さPPA1を第4学習モデルLM4に出力することができる。
【0091】
第4学習モデルLM4は、内部欠陥層の第2厚さPPA1と内部欠陥層の第1厚さEPAとを比較して第4モジュールM4を学習させることができる。例えば、内部欠陥層の第1厚さEPAと内部欠陥層の第2厚さPPA1が一致しないか、またはその差が所定の値より大きいと、第4学習モデルLM4は第4モジュールM4において内部欠陥層の第2厚さPPA1を計算する第4演算の加重値、係数などを調節することができる。
【0092】
第5モジュールM5は、エッチング装置を制御するための制御データを生成することができる。一例として、第5モジュールM5は、最適化技法(例えば、黄金分割法など)を用いて第4モジュールM4を繰り返し呼び出すことで最適の制御データを見つけることができる。第5モジュールM5は、最適の制御データを見つける最適化技法を選択するか、または最適化技法を修正することができる。
【0093】
図6は、本発明の一実施例による工程制御システムに含まれる学習モデルを説明するための図面である。
【0094】
図6を参照すると、学習モデルが強化学習を用いて各モジュールを学習させる場合、学習モデルは深層神経網(deep neural network(DNN))などで実現されることができる。学習モデルは、入力層IL、隠れ層HL、及び出力層OLを含むことができる。一例として、入力層IL、隠れ層HL、及び出力層OLに含まれる複数のノードは、互いに完全連結型(fully connected)に連結されることができる。入力層ILは、複数の入力ノードx1~xiを含むことができ、入力ノードx1~xiの個数は、入力データの個数に対応することができる。出力層OLは、複数の出力ノードy1~yjを含むことができ、出力ノードy1~yjの個数は、出力データの個数に対応することができる。
【0095】
隠れ層HLは、第1~第3隠れ層HL1~HL3を含むことができ、隠れ層HL1~HL3の個数は多様に変形されることができる。一例として、学習モデル120は、隠れ層HLに含まれた隠れノードの各加重値を調節する方式で学習することができる。
【0096】
図7は、本発明の一実施例による工程制御システムの動作方法を説明するための図面である。
【0097】
図7を参照すると、本発明の一実施例による工程制御システム200は、演算モジュール210~230を含むことができる。一例として、工程制御システムは、熱延鋼板の内部欠陥層の少なくとも一部を除去するためのエッチング装置を直接制御する外部システム及びネットワークを介して連結されることができる。
【0098】
一実施例において、演算モジュール210~230は、熱延鋼板に含まれる内部欠陥層の厚さを計算することができる。一実施例において、内部欠陥層の厚さを計算するためには、熱延鋼板の長さ方向に沿った熱延鋼板の冷却速度が必要とされることがある。熱延鋼板の巻き取り前に相変態が完了していない場合、巻き取り後の相変態による発熱が現れることがある。したがって、熱延鋼板の巻き取り前の相分率を考慮して、巻き取り後の熱延鋼板の温度変化を計算することができる。
【0099】
一実施例において、第1モジュール210は、第1工程条件CD1を用いて冷却時間に応じた相分率PPFを計算することができる。第1工程条件CD1は、熱延鋼板の冷却速度、熱延鋼板の温度、及び熱延鋼板の成分などを含むことができる。
【0100】
熱延鋼板では、冷却工程中にオーステナイト(AUSTENITE)からパーライト(PEARLITE)に変わる相変態が起こることがあり、相変態によって温度が上昇する変態発熱が現れることがある。熱延高炭素鋼は、遅いパーライト変態によって冷却中に相変態が完了しない可能性があり、巻き取り後の熱延鋼板でさらに相変態が生じることがある。その結果、熱延鋼板が巻き取り後に高温の酸化雰囲気に長時間晒されることがあり、内部欠陥層の厚さが増加することがある。
【0101】
第2モジュール220は、第2工程条件CD2及び環境条件FVなどを用いて熱延鋼板の巻き取り後の経過時間に応じた温度PTを計算することができる。一例として、第2モジュール220は、熱延鋼板の長さ方向に沿った各領域において温度PTを計算することができる。第2工程条件CD2は、巻き取り後の熱延鋼板の温度を測定した時点、及び熱延鋼板の成分などを含むことができる。
【0102】
巻き取られた熱延鋼板の温度を計算するためには、上述した変態発熱も考慮される必要があるため、第2モジュール220は第1モジュール210から相分率PPFを受信することができる。相分率PPFに基づいて巻取時点の相分率が分かり、巻き取り後の熱延鋼板でさらに起こる相変態量が分かる。したがって、第2モジュール220は、巻き取られた熱延鋼板でさらに起こる相変態量を考慮して熱延鋼板の巻き取り後の経過時間に応じた熱延鋼板の温度PTを計算することができる。図7に示した一実施例において、時点t1は相変態による変態発熱が反映された温度を示すことができる。
【0103】
第3モジュール230は、熱延鋼板の成分ING、熱延鋼板の周辺の酸素分圧OPPなどを用いて熱延鋼板に含まれる内部欠陥層の厚さPDを計算することができる。一実施例において、第3モジュール230は、熱延鋼板の各領域において巻き取り後の経過時間に応じた温度PTを第2モジュール220から受信し、熱延鋼板の上記各領域において内部欠陥層の厚さPDを計算することができる。
【0104】
図8は、本発明の一実施例による工程制御システムの動作方法を説明するためのフローチャートである。
【0105】
図8を参照すると、工程制御システムは、演算モジュールの少なくとも一部を外部システムに転送することができる(S110)。一例として、演算モジュールの少なくとも一部を外部システムに転送する主体は、熱延鋼板を生産し、熱延鋼板を熱延コイルの形態で巻き取るシステムであることができる。また、演算モジュールの少なくとも一部を受信する外部システムは、熱延コイルが移送されてエッチング工程を行うシステムであることができる。
【0106】
外部システムは、S110段階で受信した演算モジュールを用いてエッチング工程を行うことができる。一例として、S110段階で外部システムに転送される演算モジュールは、エッチング工程を制御するための制御データを生成するモジュールであることができる。工程制御システムは、エッチング工程が完了した酸洗鋼板に含まれる残りの内部欠陥層の厚さ、及びエッチング工程の間にエッチング装置で測定した制御データなどを外部システムから受信することができる(S120)。一例として、S120段階で受信する制御データは、エッチング装置で実際に測定された値であることができるため、外部システムがエッチング装置を制御するためにエッチング装置に入力した値と異なることがある。
【0107】
工程制御システムは、S120段階で受信した制御データを用いて、エッチング装置によって除去されるものと期待される内部欠陥層の厚さを計算することができる(S130)。また、工程制御システムは、S130段階で計算した内部欠陥層の厚さと、S120段階で受信した残りの内部欠陥層の厚さとを比較して、比較結果に基づいて演算モジュールを学習させることができる(S140)。工程制御システムは、演算モジュールの学習に必要な学習モデルを含むことができ、学習モデルは、演算モジュールの少なくとも一つにおいて、演算に用いられる加重値、係数などを調節することができる。
【0108】
学習が完了すると、工程制御システムは、演算モジュールの少なくとも一つを外部システムに転送することができる(S150)。外部システムは、工程制御システムから受信した演算モジュールを用いて既存に保存されていた演算モジュールを上書きする方式などでアップデートすることができる。したがって、外部システムは、熱延鋼板に含まれる内部欠陥層の厚さ分布を考慮した最適化した方式でエッチング工程を行うことができる。
【0109】
図9は、本発明の一実施例による工程制御システムを簡単に示したブロック図である。
【0110】
図9を参照すると、工程制御システム50は、第2サーバ51及びエッチング装置55などを含むことができ、第2サーバ51はエッチング装置55を制御及び管理することができる。エッチング装置55には、上述した熱延鋼板の生産装置45から生産される熱延コイルが移送され、巻き取り状態の熱延コイルを熱延鋼板の形態で巻き取った後、熱延鋼板にエッチング工程を行って酸洗鋼板を生産することができる。
【0111】
エッチング装置55は、酸洗装置、乾式エッチング装置、及び湿式エッチング装置の少なくとも一つであることができる。エッチング装置55が酸洗装置である場合、熱延鋼板が酸性のエッチング溶液に浸漬される方式で内部欠陥層が除去されることができる。または、熱延鋼板の表面に噴射されるエッチング溶液によって内部欠陥層が除去されるか、エッチング溶液に浸されたブラシが熱延鋼板の表面をブラッシングすることで内部欠陥層が除去されることもできる。
【0112】
第2サーバ51は、通信部52、ストレージ53、プロセッサ54などを含むことができる。通信部52は、第2サーバ51とネットワークが通信できるように連結することができ、一例として通信部52を介して第2サーバ51が第1サーバ41と通信することができる。第1サーバ41は、先に図4を参照して説明したように、熱延鋼板の生産装置45を制御するサーバであることができる。ストレージ53は、第2サーバ51の動作及びエッチング装置55の制御に必要なデータを保存することができる。プロセッサ54は、通信部52、ストレージ53、及びエッチング装置55などを制御することができる。
【0113】
一実施例において、ストレージ53は、エッチング装置55の制御に必要な制御データを保存することができる。一例として、ストレージ53に保存された制御データは、プロセッサ54がストレージ53に保存された演算モジュールを実行して取得したデータであるか、または通信部52を介して連結された外部システムから受信したデータであることができる。一例として、演算モジュールなしにストレージ53に制御データが保存される場合、制御データは熱延鋼板の生産を管理する外部システムから転送されることができる。
【0114】
ストレージ53は、制御データを生成する演算モジュールを含むことができる。演算モジュールは、エッチング装置55で行われるエッチング工程を制御するための演算を行うことができる。一例として、演算モジュールは、熱延鋼板に含まれる内部欠陥層の厚さ分布などを考慮して、内部欠陥層を効率的に除去するようにエッチング装置55を制御することができる制御データを生成することができる。一実施例において、ストレージ53に保存された演算モジュールは、通信部52を介して外部システムから受信して保存される演算モジュールであることができ、外部システムは熱延鋼板の生産装置を制御するシステムであることができる。但し、外部システムが必ずしも熱延鋼板の生産装置を制御するシステムに限定されるものではなく、実施例によって様々な外部システムから演算モジュールを受信することができる。
【0115】
一例として、演算モジュールは、第2サーバ51は通信部52を介して受信した内部欠陥層の厚さ情報を用いて制御データを生成することができる。プロセッサ54は、内部欠陥層の厚さ情報をストレージ53に保存された演算モジュールに入力し、演算モジュールを実行することで制御データを取得することができる。内部欠陥層の厚さ情報は、熱延鋼板の長さ方向に沿って現れる内部欠陥層の厚さ分布を含むことができる。
【0116】
実施例によって、ストレージ53に保存される演算モジュールは、通信部52を介して受信した熱延鋼板の情報を用いて制御データを生成することもできる。この場合、演算モジュールは、熱延鋼板の相分率、熱延鋼板の温度、熱延鋼板の成分などを用いて熱延鋼板に含まれる内部欠陥層の厚さ情報を計算することができる。また、演算モジュールは、内部欠陥層の厚さ情報を用いて制御データを生成することができる。一例として、ストレージ53に保存される演算モジュールは、厚さ情報を計算する厚さ情報生成モジュール及び制御データを生成する制御データ生成モジュールを含むことができる。
【0117】
制御データは、エッチング装置55が熱延鋼板を移送する移送速度、エッチング装置55で熱延鋼板に接触するエッチング溶液の濃度、上記エッチング溶液の温度、上記エッチング溶液の成分、及び促進剤の使用有無の少なくとも一つを含むことができる。一例として、内部欠陥層の厚さ情報において、熱延鋼板の第1領域及び第2領域のそれぞれにおいて内部欠陥層の厚さが互いに異なって現れることができる。このとき、第1領域及び第2領域は、熱延鋼板の長さ方向に沿って互いに異なる位置に定義される領域であることができる。
【0118】
制御データにおいて、第1領域がエッチング装置55を通過し、エッチング溶液と接触する間の熱延鋼板の第1移送速度は、第2領域がエッチング装置55を通過してエッチング溶液と接触する間の熱延鋼板の第2移送速度とは異なることができる。一例として、第1領域の内部欠陥層の厚さが第2領域の内部欠陥層の厚さよりも小さいと、第1移送速度が第2移送速度より速いことができる。
【0119】
制御データを生成する演算モジュールは、内部欠陥層の厚さに応じて熱延鋼板の移送速度を決定することができる。一実施例において、演算モジュールは、内部欠陥層の厚さを用いた所定の演算を実行して熱延鋼板の移送速度を決定することができる。また、一実施例において、演算モジュールは所定の基準厚さと内部欠陥層の厚さとを比較して、比較結果に応じて熱延鋼板の移送速度を決定することもできる。
【0120】
一実施例において、第2サーバ51は、演算モジュールをアップデートするために必要な情報をエッチング装置55から取得し、エッチング装置55から取得した情報を、通信部52を介して外部システムにフィードバックすることができる。ここで、外部システムは、演算モジュールを保存及び管理し、演算モジュールをアップデートするための学習モデルを含むシステムであることができる。演算モジュールをアップデートするための学習モデルがストレージ53に含まれる場合、エッチング装置55から取得した情報を用いた演算モジュールのアップデート作業は、第2サーバ51で実行されることもできる。
【0121】
一例として、外部システムは、熱延鋼板の生産過程を制御するシステムであることができる。外部システムは、第2サーバ51からフィードバックされた情報を用いて、外部システムに保存された演算モジュールの少なくとも一部をアップデートすることができる。一例として、外部システムに保存された演算モジュールの少なくとも一部で演算を実行するために適用される加重値、係数などが調節されることができる。
【0122】
さらに、外部システムは、アップデートが完了した演算モジュールの少なくとも一つ、例えば、制御データを生成する演算モジュールを第2サーバ51に転送することができる。第2サーバ51は、外部システムから受信した新たな演算モジュールを用いて、ストレージ53に保存された既存の演算モジュールをアップデートすることができる。一例として、第2サーバ51は、既存の演算モジュールを新たな演算モジュールで上書きすることによって演算モジュールをアップデートすることができる。したがって、エッチング装置55及び/またはエッチング工程の対象である熱延鋼板の様々な条件に合わせて最適化した演算モジュールでエッチング工程を行うことができ、エッチング工程の効率性及び生産性などを改善することができる。
【0123】
他の一実施例において、第2サーバ51は、演算モジュールをアップデートするために必要な情報をエッチング装置55から取得し、エッチング装置55から取得した情報をストレージ53に保存された演算モジュールに直接アップデートすることができる。また、一例として、ストレージ53が別途の演算モジュールなしにエッチング装置55を制御するための制御データのみを保存することもできる。この場合、第2サーバ51は、エッチング装置55から取得した演算モジュールのアップデートに必要な情報を外部システムにフィードバックし、外部システムでアップデートされた演算モジュールが生成した新たな制御データを受信してストレージ53に保存することができる。
【0124】
図10は、本発明の一実施例による工程制御システムの動作方法を説明するための図面である。
【0125】
図10を参照すると、工程制御システム300は演算モジュール310、320を含むことができる。一例として、演算モジュール310、320は、エッチング装置を制御する工程制御システム300に保存されて実行されるモジュールであることができる。また、演算モジュール310、320は、工程制御システム300とネットワークを介して連結される外部システムにも保存されることができる。
【0126】
演算モジュール310、320は、外部システムの学習モデルによって学習が完了した状態で工程制御システム300に転送されて保存されることができる。一実施例において、エッチング装置を制御する工程制御システム300に保存されて実行される演算モジュール310、320は、外部システムから受信したモジュールであることができる。図5に示した一実施例を例示として参照して説明すると、図5に示した演算モジュール110のうち、制御データ生成モジュール112が演算モジュール310、320として工程制御システム300に転送及び保存されることができる。
【0127】
工程制御システム300は、エッチング装置を制御するための制御データを決定することができる。工程制御システム300は、内部欠陥層の厚さ情報PDを受信することができる。工程制御システム300が受信する内部欠陥層の厚さ情報PDは、先に図9を参照して説明した一実施例と類似して、熱延鋼板に含まれるものとして計算される内部欠陥層の厚さであることができ、熱延鋼板の領域に応じた内部欠陥層の厚さ分布を含むことができる。工程制御システム300は、内部欠陥層の厚さ情報PDに基づいて制御データPPV2を計算することができる。
【0128】
一実施例において、演算モジュール310、320は、第1モジュール310及び第2モジュール320などを含むことができる。第2モジュール320は、内部欠陥層の厚さ情報PDを受信することができる。内部欠陥層の厚さ情報PDは、熱延鋼板に存在するものと予想される内部欠陥層の厚さであり、実際の熱延鋼板に存在する内部欠陥層の厚さと正確に一致しない場合もある。また、第2モジュール320は、残りの内部欠陥層の厚さ目標値GDを受信することができる。残りの内部欠陥層は、エッチング工程が完了した酸洗鋼板に存在する内部欠陥層であることができる。一例として、エッチング工程により内部欠陥層を完全に除去しようとする場合、残りの内部欠陥層の厚さ目標値GDは0であることができる。実施例によって、残りの内部欠陥層の厚さ目標値GDは0より大きいこともできる。第2モジュール320は、第1モジュール310を周期的に呼び出して最適の制御データPPV2を計算することができる。
【0129】
第2モジュール320は、制御データの初期値を第1モジュール310に出力することができる。制御データの初期値は、エッチング装置でエッチング溶液が入ったタンクから計測されたエッチング溶液の特性AC、及び熱延鋼板の移送速度PPV1などを含むことができる。制御データの初期値は、任意の値で決定されるか、またはエッチング装置からリアルタイムで計測される値によって決定されることができる。制御データの初期値が任意に決定される場合、熱延鋼板の生産装置を運用する外部システムまたはエッチング装置を運用する工程制御システムによって制御データの初期値が決定されることができる。第1モジュール310は、エッチング溶液の特性AC及び移送速度PPV1の少なくとも一つを用いて、エッチング装置によって除去されるものと予想される内部欠陥層の厚さPPA2を計算することができる。
【0130】
第2モジュール320は、第1モジュール310から内部欠陥層の厚さPPA2を受信することができる。第2モジュール320は、内部欠陥層の厚さPPA2に基づいて、エッチング溶液の特性ACと任意に設定された移送速度PPV1が最適の制御データPPV2に符合するか否かを決定する。一例として、第2モジュール320は、内部欠陥層の厚さ情報PDと残りの内部欠陥層の目標厚さGDとの差を、第1モジュール310が計算した内部欠陥層の厚さPPA2と比較することができる。比較結果が一致しない場合、第2モジュール320は、エッチング溶液の特性AC及び移送速度PPV1の少なくとも一つを調節して第1モジュール310に入力することができる。上記の方式で、内部欠陥層の厚さ情報PDと残りの内部欠陥層の目標厚さGDとの差が、第1モジュール310が計算した内部欠陥層の厚さPPA2に一致するか、または、その差が所定の値以下になるまで、第2モジュール320はエッチング溶液の特性AC及び移送速度PPV1の少なくとも一つを変更して第1モジュール310を呼び出すことができる。
【0131】
[表1]は、第2モジュール320が最適の制御データPPV2を生成する方法を説明するための表である。説明の便宜のために、[表1]におけるエッチング溶液の特性ACは同一であると仮定する。第2モジュール320は、熱延鋼板に存在するものと予想される内部欠陥層の厚さ情報PDと残りの内部欠陥層の目標厚さGDとの差に基づいて内部欠陥層がどれほど除去される必要があるかを示す目標除去厚さGPAを計算することができる。
【0132】
[表1]で定義された領域X、領域Y、領域Zは、熱延鋼板において長さ方向に沿って互いに異なる位置に定義される領域であることができる。一例として、領域X及び領域Zは、領域Yに比べて長さ方向で熱延鋼板の端部と隣接することができる。換言すると、領域Yは、長さ方向において領域Xと領域Zとの間に配置されることができる。[表1]を参照すると、第1領域において目標除去厚さGPAは、熱延鋼板に存在するものとして計算した内部欠陥層の厚さ情報PDと残りの内部欠陥層の目標厚さGDとの間の差である1μm(=3μm-2μm)と決定されることができる。
【0133】
[表1]を参照すると、第1モジュール310は、移送速度PPV1が15mpmであるとき、エッチング装置によって除去されるものと予想される内部欠陥層の厚さPPA2は2μmであることができる。エッチング装置によって除去されるものと予想される内部欠陥層の厚さPPA2が目標除去厚さGPAよりも大きいため、第2モジュール320は移送速度PPV1を15mpmより速い20mpmに増加させて第1モジュール310に出力することができる。移送速度PPV1が20mpmであるとき、エッチング装置によって除去されるものと予想される内部欠陥層の厚さPPA2が第1モジュール310によって1μmと異なる値に計算されると、第2モジュール320は移送速度PPV1を20mpmとは異なる値に再変更して第1モジュール310に出力することができる。一方、移送速度PPV1が20mpmであるとき、第1モジュール310が計算した内部欠陥層の厚さPPA2が1μmであると、エッチング装置によって除去されるものと予想される内部欠陥層の厚さPPA2が目標除去厚さGPAと一致するため、第2モジュール320は、熱延鋼板の領域Xに対する最適の移送速度を20mpmと決定することができる。
【0134】
【表1】
【0135】
図10に示した一実施例においては、工程制御システム300の演算モジュール310、320が制御データを生成すると説明したが、必ずしもこのような形態に限定されるものではない。実施例によって、工程制御システム300とネットワークを介して連結される外部システムの演算モジュールが制御データを生成することもできる。この場合、工程制御システム300は、外部システムが生成した制御データを、ネットワークを介して受信し、受信した制御データを用いてエッチング装置を制御することができる。
【0136】
したがって、工程制御システム300は、内部欠陥層の厚さ情報PDに基づいて、熱延鋼板の移送速度を含む制御データを生成することができる。一例として、熱延鋼板は、上述のように長さ方向に沿って定義される複数の領域によって内部欠陥層の厚さが異なることがある。一例として、外部に露出した状態で冷却された領域に含まれる内部欠陥層の厚さは、外部に露出されずにゆっくり冷却された領域に含まれる内部欠陥層の厚さよりもさらに小さいことがある。
【0137】
一例として、熱延鋼板に含まれる内部欠陥層が十分に除去されるように、熱延鋼板の領域に関わらず熱延鋼板をエッチング溶液に十分に接触させてエッチング工程を行うことができる。但し、上記の方法は、エッチング工程の時間及び/またはエッチング工程に投入されるエッチング溶液の増加につながり、生産性の低下をもたらす可能性がある。
【0138】
本発明の一実施例によると、熱延鋼板の長さ方向に沿って内部欠陥層の厚さを計算し、計算した内部欠陥層の厚さ情報によってエッチング工程を最適の効率性に制御することができる制御データを計算することができる。したがって、エッチング工程の時間を短縮し、エッチング溶液の使用量を減らすことで生産性を改善することができる。また、エッチング工程を完了した酸洗鋼板において長さ方向などに沿って現れる内部欠陥層の厚さのばらつきを減らすことができる。
【0139】
一例として、熱延鋼板の長さ方向において、内部欠陥層の厚さが予め設定された基準厚さtより小さい領域を第1領域、基準厚さtより内部欠陥層の厚さが大きい領域を第2領域と定義することができる。この場合、第1領域がエッチング溶液と接触する間の熱延鋼板の移送速度は、第2領域がエッチング溶液と接触する間の熱延鋼板の移送速度より速いことができる。または、別途の基準厚さtの設定なしに、内部欠陥層の厚さが入力されて移送速度を決定する演算によって、第1領域と第2領域のそれぞれに対する移送速度が決定されることもできる。
【0140】
その結果、第1領域に比べて第2領域がエッチング溶液とさらに長く接触することができる。よって、エッチング工程が完了した酸洗鋼板に含まれる残りの内部欠陥層の厚さのばらつきを最小限に抑えることができる。
【0141】
実施例によって、基準厚さtは複数で設定されることができる。一例として、基準厚さが2つ(t1、t2)である場合、熱延鋼板は、内部欠陥層の厚さに応じて少なくとも3つの領域に区分されることができる。換言すると、基準厚さがn個である場合、熱延鋼板はn+1個の領域に区分されることができる。基準厚さの大きさが数学式1のように定義されると、熱延鋼板に含まれるn+1個の領域のそれぞれがエッチング溶液と接触する間に熱延鋼板が移送される移送速度は、下記の数学式2のように定義されることができる。
[数学式1]
t1<t2<t3<…<tn
[数学式2]
第1領域の移送速度>第2領域の移送速度>…>第n+1領域の移送速度
【0142】
実施例によって、熱延鋼板の移送速度の他にエッチング率を調節することもできる。例えば、内部欠陥層の厚さが比較的小さい領域は、小さいエッチング率を有するエッチング溶液と接触させ、内部欠陥層の厚さが比較的大きい領域は、高いエッチング率を有するエッチング溶液と接触させることができる。または、エッチング溶液に浸したブラシの面積やブラシの圧力などを変更してエッチング率を調節することもできる。
【0143】
図11は、本発明の一実施例による工程制御システムに含まれる演算モジュールの学習方法を説明するための図面であり、図12は、本発明の一実施例によるエッチング工程を説明するための図面であり、図13は、本発明の一実施例によるエッチング工程を説明するために提供されるグラフである。
【0144】
まず、図12を参照すると、エッチング装置500は、先に図10を参照して説明した一実施例などにより決定された制御データPPV2によってエッチング工程を進行して熱延鋼板510の内部欠陥層の少なくとも一部を除去することができる。図12を参照すると、エッチング装置500がエッチング工程を行う間、計測器MI1、MI2がエッチング工程が完了した酸洗鋼板520の少なくとも一部の領域において残りの内部欠陥層の厚さERDが測定され、エッチング工程が実行されるタンクTKなどから制御データEPVが収集されることができる。一例として、残りの内部欠陥層の厚さERDは複数の領域で測定されることができ、したがって位置情報PIがともに収集されることができる。第1計測器MI1が収集する制御データEPVは、タンクTKを含むエッチング装置500で実際に測定される制御データEPVとして、機械誤差、信号遅延、工程誤差などによってエッチング装置500に入力される制御データPPV2とは異なる値を有することができる。第1計測器MI1は、熱延鋼板510の移送速度及びタンクTKで熱延鋼板510と接触するエッチング溶液の特性の少なくとも一つを取得することができる。
【0145】
図12を参照すると、エッチング装置500は、コイラCL、アンコイラUCL、タンクTK、第1計測器MI1、第2計測器MI2などを含むことができる。アンコイラUCLは、熱延コイルHCを巻き取ったストリップ状の熱延鋼板510をタンクTKに進入させることができる。熱延鋼板510は、タンクTKに収容されたエッチング溶液を通過してエッチング処理されることができる。または、熱延鋼板510がタンクTKを通過する間、熱延鋼板510の周辺から噴射されるエッチング溶液、及び/またはエッチング溶液に浸したブラシなどによって熱延鋼板510がエッチング処理されることもできる。
【0146】
エッチング工程が進行される間、エッチング装置500は制御データPPV2によって制御されることができる。一例として、制御データPPV2に応じて熱延鋼板510の長さ方向に沿った各領域において、熱延鋼板510の移送速度が異なることがある。タンクTKに連結された第1計測器MI1は、エッチング装置500がエッチング工程を行う間、少なくとも一つの測定時点で制御データEPVを実測することができる。上述したように、機械誤差、動作遅延などによってエッチング装置500に入力される制御データPPV2及びエッチング装置500から第1計測器MI1が実測した制御データEPVの少なくとも一部が互いに異なる値を有することができる。第1計測器MI1は、実測した制御データEPVを外部システム400に転送することができる。
【0147】
図11を参照すると、外部システム400は演算モジュール411~415:410を管理するシステムであることができ、演算モジュール410を学習させてアップデートするための学習モデルLMTを含むことができる。一例として、外部システム400は、エッチング装置500において第1計測器MI1及び第2計測器MI2が収集した情報を用いて演算モジュール410をアップデートすることができる。外部システム400がアップデートした演算モジュール410が生成する制御データによってエッチング装置500を制御することで、エッチング装置500を最適の状態で運用することができる。
【0148】
図13に示した一実施例において、横軸は熱延鋼板の長さ方向に沿った位置を示し、縦軸は内部欠陥層の厚さPDと移送速度を示す。一例として、内部欠陥層の厚さ情報PDは、外部システム400に含まれた演算モジュール410の少なくとも一部によって、熱延鋼板に存在するものとして計算された値であることができる。
【0149】
図13を参照すると、内部欠陥層の厚さPDは、領域X及び領域Zよりも領域Yでさらに大きいと計算されることができる。領域X、領域Y、領域Zは、先に表1を参照して説明したものと類似して、長さ方向に沿って順に現れる領域であることができ、領域X及び領域Zは、領域Yに比べて長さ方向において熱延鋼板の端部にさらに近い領域であることができる。領域Yは、領域Xと領域Zとの間の領域であることができる。
【0150】
一実施例において、外部システム400の演算モジュール410は、内部欠陥層の厚さPDから熱延鋼板に対する移送速度OPVを計算することができる。移送速度OPVは、エッチング装置500に入力される制御データPPV2によってエッチング工程が行われるときに、熱延鋼板510がエッチング装置500から実際に移送される速度であることができる。領域X及び領域Zよりも領域Yで内部欠陥層の厚さが大きいと計算可能であるため、領域Yの内部欠陥層が十分に除去されるように、領域Yがエッチング溶液と接触する間の移送速度OPVは、比較的遅いことがある。
【0151】
実際の移送速度EPVは、移送速度OPVに基づいてエッチング工程を行ったエッチング装置500で実際に測定された値であることができる。実際の移送速度EPVには、エッチング装置500の誤差及び動作遅延などの状況が反映されることができるため、制御データPPV2によって設定された移送速度OPVと異なる場合がある。
【0152】
一例として、内部欠陥層を完全に除去するために、第2領域D2に存在する内部欠陥層の厚さを基準に移送速度TPVを均一に維持し、エッチング工程を行うことができる。但し、この場合、エッチング工程の進行速度が減少して生産性が低下する可能性がある。一方、本発明の一実施例によると、熱延鋼板の各領域に対して異なって計算された移送速度OPVを適用してエッチング工程を行うことができる。したがって、内部欠陥層を効率的に除去することはもちろん、エッチング工程の時間及びエッチング工程に投入されるエッチング溶液の量を減らすことができる。したがって、エッチング工程の生産性を改善することができる。
【0153】
再び図12を参照すると、エッチング装置500がコイラCLを用いてエッチング処理された酸洗鋼板520を巻き取って酸洗コイルPCに製造する前に、第2計測器MI2は酸洗鋼板520の位置情報PIと位置情報PIに対応する位置での残りの内部欠陥層の厚さERDを計測することができる。
【0154】
実施例によって、エッチング処理された酸洗鋼板520に少なくとも一つの測定位置を指定し、測定位置で酸洗鋼板520の一部を切断して試料を採取することができる。酸洗鋼板520から採取した試料の断面を顕微鏡で観察することで、残りの内部欠陥層の厚さを測定することができる。上記測定位置は酸洗鋼板520の位置情報PIに該当することができ、上記残りの内部欠陥層の厚さは位置情報PIに対応する位置での残りの内部欠陥層の厚さERDに該当することができる。
【0155】
再び図11を参照すると、学習モデル420は、エッチング装置500の第2計測器MI2が酸洗鋼板520の少なくとも一つの測定位置で計測した残りの内部欠陥層の厚さERDを受信することができる。第5モジュール415は、エッチング工程が行われる間にエッチング装置500から実測した制御データEPVを受信することができる。一例として、第5モジュール415は、エッチング装置500を含む工程制御システムからネットワークを介して実測した制御データEPVを受信することができる。
【0156】
第5モジュール415は、第4モジュール414で実測した制御データEPVを出力することができる。第4モジュール414は、実測した制御データEPVに基づいてエッチング装置500によって除去されるものと予想される内部欠陥層の厚さPPA2を計算することができる。第5モジュール415は、第4モジュール414から内部欠陥層の厚さPPA2を受信することができる。第5モジュールM5は、エッチング装置500によって除去されるものと予想される内部欠陥層の厚さPPA2に基づいて、残りの内部欠陥層の予想厚さPRDを計算することができる。残りの内部欠陥層の予想厚さPRDは、実測した制御データEPVに応じてエッチング工程を行った後、酸洗鋼板520に残っているものと予想される内部欠陥層の厚さであることができる。
【0157】
学習モデルLMTは、第5モジュール415から内部欠陥層の予想厚さPRDを受信することができる。学習モデルLMTは、酸洗鋼板520から実際に測定した残りの内部欠陥層の厚さERDと、残りの内部欠陥層の予想厚さPRDとを比較することができる。学習モデルLMTは、酸洗鋼板520から測定した残りの内部欠陥層の厚さERDと、残りの内部欠陥層の予想厚さPRDが一致するか、またはその差が所定の値以下になるように、演算モジュール411~415の少なくとも一つを学習させることができる。例えば、学習モデルLMTは、演算モジュール411~415の全てを同時に学習させることもでき、特定のモデルのみを選択的に学習させることもできる。
【0158】
実施例によって、サーバ及びエッチング装置を含む図9の工程制御システム50が学習モデルを含むこともできる。図9の工程制御システム50に含まれる学習モデルは、図9の工程制御システム50に含まれた演算モジュールを学習させることができる。以下では、図9の工程制御システム50の学習モデルが図9の工程制御システム50に含まれた演算モジュールを学習させる方法を図14及び図15を参照して説明する。
【0159】
図14は、本発明の一実施例による工程制御システムに含まれる演算モジュールの初期学習方法を説明するための図面である。
【0160】
図14を参照すると、工程制御システム600は演算モジュール610と学習モデル620を含むことができ、演算モジュール610及び学習モデル620はストレージに保存されることができる。一例として、演算モジュール610は制御データ生成モジュールであることができる。学習モデル620は、第1学習モデルLM1及びフィードバック学習モデルLMTを含むことができる。第1学習モデルLM1は、第1モジュールM1を最初に学習させるためのモデルであることができ、フィードバック学習モデルLMTは、エッチング工程が完了した後、第1モジュールM1及び第2モジュールM2の少なくとも一つを学習させるためのモデルであることができる。一実施例において、フィードバック学習モデルLMTは、第1モジュールM1及び第2モジュールM2を同時に学習させることもできる。また、実施例によって、第1学習モデルLM1とフィードバック学習モデルLMTの区分なしに、1つの学習モデルが第1モジュールM1及び第2モジュールM2の学習を全て行うこともできる。
【0161】
第1学習モデルLM1は、熱延鋼板の移送速度PV、エッチング工程に用いられるエッチング溶液の特性AC、及びエッチング装置によって除去された内部欠陥層の第1厚さEPAなどを受信することができる。エッチング溶液の特性ACは、熱延鋼板と接触するエッチング溶液の濃度、エッチング溶液の温度、エッチング溶液の成分、促進剤の使用有無などを含むことができる。熱延鋼板の移送速度PVは、熱延鋼板がエッチング溶液と接触する間に熱延鋼板が移動する速度を意味することができる。内部欠陥層の第1厚さEPAは、熱延コイルの移送速度PV及びエッチング溶液の特性ACによって行われたエッチング工程で実際に除去される内部欠陥層の厚さを意味することができる。
【0162】
第1モジュールM1には、第1学習モデルLM1から熱延鋼板の移送速度PV及びエッチング溶液の特性ACが入力されることができる。第1モジュールM1は、熱延鋼板の移送速度PVとエッチング溶液の特性ACの少なくとも一つを用いてエッチング装置によって除去されるものと予想される内部欠陥層の第2厚さPPA1を計算することができる。一実施例において、第1モジュールM1には、移送速度PVによって決定されるエッチング時間及びエッチング溶液の特性ACが入力値として入力され、上記入力値を用いて内部欠陥層の第2厚さPPA1を計算する演算を行うことができる。第1モジュールM1は、内部欠陥層の第2厚さPPA1を第1学習モデルLM1に出力することができる。
【0163】
第1学習モデルLM1は、内部欠陥層の第2厚さPPA1と内部欠陥層の第1厚さEPAとを比較して第1モジュールM1を学習させることができる。例えば、内部欠陥層の第1厚さEPAと内部欠陥層の第2厚さPPA1が一致しないか、またはその差が所定の値より大きいと、第1学習モデルLM1は第1モジュールM1で内部欠陥層の第2厚さPPA1を計算する第1演算の加重値、係数などを調節することができる。
【0164】
第2モジュールM2は、エッチング装置を制御するための制御データを生成することができる。一例として、第2モジュールM2は、最適化技法(例えば、黄金分割法など)を用いて第1モジュールM1を繰り返して呼び出すことで最適の制御データを見つけることができる。第2モジュールM2は、最適の制御データを見つける最適化技法を選択するか、または最適化技法を修正することができる。
【0165】
図15は、本発明の一実施例による工程制御システムに含まれる演算モジュールの学習方法を説明するための図面である。
【0166】
図15を参照すると、工程制御システム700は、演算モジュール711、712:710を管理するシステムであることができ、演算モジュール710を学習させるための学習モデルLMTを含むことができる。一例として、工程制御システム700は、エッチング装置500において第1計測器MI1及び第2計測器MI2が収集した情報を用いて演算モジュール710を学習させることができる。学習が完了した演算モジュール710が生成する制御データによってエッチング装置500を制御することで、エッチング装置500を最適の状態で運用することができる。
【0167】
学習モデル720は、エッチング装置500の第2計測器MI2が酸洗鋼板520の少なくとも一つの測定位置で計測した残りの内部欠陥層の厚さERDを受信することができる。第2モジュール712は、エッチング工程が行われる間にエッチング装置500から実測した制御データEPVを受信することができる。
【0168】
第2モジュール712は、第1モジュール711で実測した制御データEPVを出力することができる。第1モジュール711は、実測した制御データEPVに基づいてエッチング装置500によって除去されるものと予想される内部欠陥層の厚さPPA2を計算することができる。第2モジュール712は、第1モジュール711から内部欠陥層の厚さPPA2を受信することができる。第2モジュールM2は、エッチング装置500によって除去されるものと予想される内部欠陥層の厚さPPA2に基づいて、残りの内部欠陥層の予想厚さPRDを計算することができる。残りの内部欠陥層の予想厚さPRDは、実測した制御データEPVに応じてエッチング工程を行った後、酸洗鋼板520に残っているものと予想される内部欠陥層の厚さであることができる。
【0169】
学習モデルLMTは、第2モジュール712から内部欠陥層の予想厚さPRDを受信することができる。学習モデルLMTは、酸洗鋼板520から実際に測定した残りの内部欠陥層の厚さERDと、残りの内部欠陥層の予想厚さPRDとを比較することができる。学習モデルLMTは、酸洗鋼板520から測定した残りの内部欠陥層の厚さERDと、残りの内部欠陥層の予想厚さPRDが一致するか、またはその差が所定の値以下になるように、演算モジュール711、712の少なくとも一つを学習させることができる。例えば、学習モデルLMTは、演算モジュール712、712の全てを同時に学習させることもでき、特定のモデルのみを選択的に学習させることもできる。
【0170】
図16は、本発明の一実施例による工程制御システムの動作方法を説明するためのフローチャートである。
【0171】
図16を参照すると、エッチング工程を制御する工程制御システムは、外部システムから演算モジュールを受信することができる(S210)。S210段階で受信する演算モジュールは、エッチング工程を制御するための制御データを生成することができる。工程制御システムは、演算モジュールが生成した制御データを用いてエッチング工程を行うことができる(S220)。エッチング工程により、熱延鋼板に含まれる内部欠陥層の少なくとも一部が除去されることができる。
【0172】
工程制御システムは、エッチング工程を行うエッチング装置で実際に測定した制御データ、及びエッチング工程が完了した酸洗鋼板に含まれた残りの内部欠陥層の厚さを外部システムに転送することができる(S230)。S230段階で外部システムに転送される制御データは、エッチング装置から実際に測定した値であることができる。残りの内部欠陥層の厚さは、酸洗鋼板の一部領域を試料として採取して、顕微鏡で検査する方式などで測定されることができる。
【0173】
外部システムは、S230段階で受信した制御データと残りの内部欠陥層の厚さなどを用いて演算モジュールを学習させることができる。学習が完了すると、工程制御システムは、外部システムから学習が完了した演算モジュールの少なくとも一つを受信することができる(S240)。工程制御システムは、S240段階で受信した演算モジュールであり、既存の演算モジュールをアップデートすることができる(S150)。したがって、エッチング装置などで発生する可能性がある工程誤差などを反映してエッチング工程を正確に制御することができる。
【0174】
一例として、外部システムは、熱延鋼板の生産工程を管理及び制御するシステムを意味することができる。これは、例示的な実施例であり、特許請求の範囲はこれによって限定されない。
【0175】
図17は、本発明の一実施例による工程制御システムの動作方法を説明するための図面である。
【0176】
図17を参照すると、熱延鋼板を製造する第1システムSYS1は、内部欠陥層の厚さ情報PDを生成することができる(S310)。S310段階で生成される内部欠陥層の厚さ情報PDは、長さ方向に定義される熱延鋼板の各領域で測定した巻き取り後の経過時間による温度、熱延鋼板の成分、及び熱延鋼板の周辺の酸素分圧の少なくとも一つに基づいて計算した内部欠陥層の厚さであることができる。第1システムSYS1は、ネットワークを介して内部欠陥層の厚さ情報PDを第2システムSYS2に転送することができる(S320)。
【0177】
第2システムSYS2は、内部欠陥層の厚さ情報PDを用いて熱延鋼板のエッチング工程を制御するための制御データPPVを生成することができる(S330)。第2システムSYS2は、制御データPPVによって熱延鋼板の内部欠陥層の少なくとも一部を除去するエッチング工程を行うことができる(S340)。第2システムSYS2は、エッチング工程を行う間に熱延鋼板の特定位置を指す位置情報PI、位置情報PIに対応する位置で測定した残りの内部欠陥層の厚さERD、及び制御データEPVなどを取得することができる(S350)。S350段階で取得する制御データEPVは、エッチング工程が行われる間にエッチング装置から実測するデータであり、工程誤差、信号遅延などの様々な要因によってS330段階で生成された制御データPPVと一致しないことがある。第2システムSYS2は、S350段階で取得した情報を第1システムSYS1に転送することができる(S360)。
【0178】
第1システムSYS1は、S360段階で受信した情報を用いて、残りの内部欠陥層の予想厚さPRDを計算することができる(S370)。第1システムSYS1は、S370段階で計算した残りの内部欠陥層の予想厚さPRDと、少なくとも一つの位置で実測した残りの内部欠陥層の厚さERDとを互いに比較することができる(S380)。第1システムSYS1は、熱延鋼板の特定位置で計算した残り内部欠陥層の予想厚さPRDと測定した残り内部欠陥層の厚さERDが一致するか、またはその差が所定の値以下になるように第1システムSYS1に含まれる演算モジュールの少なくとも一つを学習させることができる(S390)。
【0179】
第1システムSYS1は、学習した演算モジュールの少なくとも一つを第2システムSYS2に転送することができる(S400)。第2システムSYS2は、第1システムSYS1から受信した演算モジュールを用いて、第2システムSYS2に予め保存されていた演算モジュールをアップデートすることができる(S410)。
【0180】
本発明は、上述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって限定とする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲に属するといえる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2022-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
一実施例において、エッチング装置22に存在する機械誤差及び制御データを入出力する過程などでの信号遅延などにより、演算モジュール21が出力する制御データと、エッチング工程の間にエッチング装置22で実測される制御データとが互いに一致しないことがある。エッチング装置22に入力される制御データのうち、熱延鋼板の移送速度を例示として説明すると、演算モジュール21がエッチング装置22に入力する熱延鋼板の移送速度と、エッチング装置22が熱延鋼板を移送する実際の移送速度が一致しない可能性がある。また、エッチング装置22に入力される制御データのうち、エッチング溶液の濃度及び/またはエッチング溶液の温度は、熱延鋼板とエッチング溶液が接触する過程で変わることがある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
第2学習モデルLM2は、第2工程条件CD2、周辺環境を示す環境条件FV、及び熱延鋼板から測定した第1温度値ETなどを受信することができる。第2工程条件CD2は、巻き取り後の熱延鋼板の温度を測定した時点、及び熱延鋼板の成分などを含むことができる。環境条件FVは、巻き取り後の熱延鋼板が冷却される速度に影響を与える周辺環境を表す値を含むことができる。例えば、周辺環境が空気であると、環境条件FVの値は「1」、周辺環境が風であると、環境条件FVの値は「2」、周辺環境が水であると、環境条件FVの値は「3」であることができる。第1温度値ETは、熱延鋼板の温度を実際に測定した値を含むことができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
第3モジュールM3は、第3学習モデルLM3から熱延鋼板の成分ING、熱延鋼板の周辺の酸素分圧OPP、及び熱延鋼板の第2温度値PTを入力データとして受信することができる。第3モジュールM3は、内部欠陥層の第2厚さPDを計算することができる。第2厚さPDは、第3モジュールM3が熱延鋼板の成分ING、熱延鋼板の周辺の酸素分圧OPP、及び第2温度値PTの少なくとも一つを用いて熱延鋼板に存在するものとして計算した内部欠陥層の厚さであることができる。第3モジュールM3が出力する内部欠陥層の第2厚さPDは、第3学習モデルLM3に伝達されることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
第4学習モデルLM4は、熱延鋼板の移送速度PV、エッチング工程に用いられるエッチング溶液の特性AC、及びエッチング装置によって除去された内部欠陥層の第1厚さEPAなどを受信することができる。エッチング溶液の特性ACは、熱延鋼板と接触するエッチング溶液の濃度、エッチング溶液の温度、エッチング溶液の成分、促進剤の使用有無などを含むことができる。熱延鋼板の移送速度PVは、熱延鋼板がエッチング溶液と接触する間に熱延鋼板が動く速度を意味することができる。内部欠陥層の第1厚さEPAは、熱延鋼板の移送速度PV及びエッチング溶液の特性ACによって行われたエッチング工程で実際に除去される内部欠陥層の厚さを意味することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0156
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0156】
第5モジュール415は、第4モジュール414で実測した制御データEPVを出力することができる。第4モジュール414は、実測した制御データEPVに基づいてエッチング装置500によって除去されるものと予想される内部欠陥層の厚さPPA2を計算することができる。第5モジュール415は、第4モジュール414から内部欠陥層の厚さPPA2を受信することができる。第5モジュール415は、エッチング装置500によって除去されるものと予想される内部欠陥層の厚さPPA2に基づいて、残りの内部欠陥層の予想厚さPRDを計算することができる。残りの内部欠陥層の予想厚さPRDは、実測した制御データEPVに応じてエッチング工程を行った後、酸洗鋼板520に残っているものと予想される内部欠陥層の厚さであることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0161
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0161】
第1学習モデルLM1は、熱延鋼板の移送速度PV、エッチング工程に用いられるエッチング溶液の特性AC、及びエッチング装置によって除去された内部欠陥層の第1厚さEPAなどを受信することができる。エッチング溶液の特性ACは、熱延鋼板と接触するエッチング溶液の濃度、エッチング溶液の温度、エッチング溶液の成分、促進剤の使用有無などを含むことができる。熱延鋼板の移送速度PVは、熱延鋼板がエッチング溶液と接触する間に熱延鋼板が移動する速度を意味することができる。内部欠陥層の第1厚さEPAは、熱延鋼板の移送速度PV及びエッチング溶液の特性ACによって行われたエッチング工程で実際に除去される内部欠陥層の厚さを意味することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0168
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0168】
第2モジュール712は、第1モジュール711で実測した制御データEPVを出力することができる。第1モジュール711は、実測した制御データEPVに基づいてエッチング装置500によって除去されるものと予想される内部欠陥層の厚さPPA2を計算することができる。第2モジュール712は、第1モジュール711から内部欠陥層の厚さPPA2を受信することができる。第2モジュール712は、エッチング装置500によって除去されるものと予想される内部欠陥層の厚さPPA2に基づいて、残りの内部欠陥層の予想厚さPRDを計算することができる。残りの内部欠陥層の予想厚さPRDは、実測した制御データEPVに応じてエッチング工程を行った後、酸洗鋼板520に残っているものと予想される内部欠陥層の厚さであることができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0173
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0173】
外部システムは、S230段階で受信した制御データと残りの内部欠陥層の厚さなどを用いて演算モジュールを学習させることができる。学習が完了すると、工程制御システムは、外部システムから学習が完了した演算モジュールの少なくとも一つを受信することができる(S240)。工程制御システムは、S240段階で受信した演算モジュールであり、既存の演算モジュールをアップデートすることができる(S250)。したがって、エッチング装置などで発生する可能性がある工程誤差などを反映してエッチング工程を正確に制御することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程制御システムであって、
炭素鋼製品に含まれる内部欠陥層の厚さ情報を生成する第1システムと、
ネットワークを介して前記第1システムから前記内部欠陥層の厚さ情報を受信し、前記内部欠陥層の厚さ情報を用いて前記炭素鋼製品から前記内部欠陥層の少なくとも一部を除去するエッチング工程を制御する第2システムと
を含み、
前記第1システムは、前記第2システムが前記エッチング工程を制御するために必要な演算モジュールを前記第2システムに提供し、
前記第2システムは、前記第1システムが前記演算モジュールをアップデートするために必要な情報を前記第1システムに提供する、工程制御システム。
【請求項2】
前記第1システムは、前記エッチング工程において前記炭素鋼製品の移送速度、前記エッチング工程において前記炭素鋼製品と接触するエッチング溶液の濃度、前記エッチング溶液の温度、前記エッチング溶液の成分、及び促進剤の使用有無の少なくとも一つを決定する前記演算モジュールを前記第2システムに提供する、請求項1に記載の工程制御システム。
【請求項3】
前記第2システムは、前記エッチング工程が完了した酸洗炭素鋼製品に含まれる残りの内部欠陥層の厚さ、及び前記エッチング工程を行うエッチング装置で測定した制御データの少なくとも一つを前記第1システムに提供する、請求項1または2に記載の工程制御システム。
【請求項4】
前記第2システムは、前記エッチング工程を行うエッチング装置が前記炭素鋼製品を移送する移送速度、前記エッチング装置において前記炭素鋼製品と接触するエッチング溶液の濃度、前記エッチング溶液の温度、前記エッチング溶液の成分、及び促進剤の使用有無の少なくとも一つを調節して前記エッチング工程を制御する、請求項1または3に記載の工程制御システム。
【請求項5】
前記炭素鋼製品は、前記内部欠陥層が第1厚さを有する第1領域、及び前記内部欠陥層が前記第1厚さとは異なる第2厚さを有する第2領域を含み、
前記第2システムは、前記第1領域が前記エッチング溶液と接触する間に前記炭素鋼製品を第1移送速度で移送し、前記第2領域が前記エッチング溶液と接触する間に前記炭素鋼製品を前記第1移送速度とは異なる第2移送速度で移送する、請求項4に記載の工程制御システム。
【請求項6】
前記第1厚さは前記第2厚さよりも小さく、
前記第1移送速度は、前記第2移送速度よりも速い、請求項5に記載の工程制御システム。
【請求項7】
前記エッチング工程は、酸洗工程、乾式エッチング工程、及び湿式エッチング工程の少なくとも一つである、請求項1または6に記載の工程制御システム。
【請求項8】
前記第1システムは、前記演算モジュール及び前記演算モジュールを学習させる学習モデルを保存する、請求項1または7に記載の工程制御システム。
【請求項9】
前記第1システムは、前記炭素鋼製品に含まれる前記内部欠陥層の厚さを実測して前記内部欠陥層の厚さ情報を生成する、請求項1または8に記載の工程制御システム。
【請求項10】
前記第1システムは、前記炭素鋼製品の長さ方向に定義される複数の各領域において前記内部欠陥層の厚さを実測する、請求項9に記載の工程制御システム。
【請求項11】
前記第1システムは、前記炭素鋼製品の相分率、前記炭素鋼製品の成分、及び前記炭素鋼製品の温度の少なくとも一つを用いて前記内部欠陥層の厚さを計算する、請求項1または10に記載の工程制御システム。
【請求項12】
前記演算モジュールは、前記炭素鋼製品の長さ方向に定義される複数の各領域において前記内部欠陥層の厚さを計算する、請求項11に記載の工程制御システム。
【請求項13】
工程制御システムであって、
炭素鋼製品に含まれる内部欠陥層の少なくとも一部を除去するエッチング装置の制御に必要な制御データを保存するストレージと、
前記制御データに基づいて前記エッチング装置を制御するプロセッサと
を含み、
前記炭素鋼製品は、第1領域及び前記第1領域とは異なる第2領域を含み、前記第1領域に含まれる前記内部欠陥層の厚さと前記第2領域に含まれる前記内部欠陥層の厚さとは互いに異なり、
前記制御データは、前記第1領域が前記エッチング装置を通過する第1移送速度及び前記第2領域が前記エッチング装置を通過する第2移送速度を含み、前記第1移送速度と前記第2移送速度とは互いに異なる、工程制御システム。
【請求項14】
前記ストレージは、前記制御データを生成する演算モジュールを保存する、請求項13に記載の工程制御システム。
【請求項15】
ネットワークに連結される通信部をさらに含み、
前記プロセッサは、前記制御データを生成する演算モジュールを、前記通信部を介して受信し、前記ストレージに保存する、請求項13または14に記載の工程制御システム。
【請求項16】
ネットワークに連結される通信部をさらに含み、
前記プロセッサは、前記通信部を介して前記内部欠陥層の厚さ関連情報を受信し、前記内部欠陥層の厚さ関連情報を、前記制御データを生成する演算モジュールに入力して前記制御データを取得する、請求項13または15に記載の工程制御システム。
【請求項17】
ネットワークに連結される通信部をさらに含み、
前記プロセッサは、前記通信部を介して前記炭素鋼製品の情報を受信し、前記炭素鋼製品の情報を、前記制御データを生成する演算モジュールに入力して前記制御データを取得する、請求項13または16に記載の工程制御システム。
【請求項18】
前記炭素鋼製品の情報は、前記炭素鋼製品の相分率関連情報、前記炭素鋼製品の温度関連情報、及び前記炭素鋼製品の成分関連情報の少なくとも一つを含む、請求項17に記載の工程制御システム。
【請求項19】
ネットワークに連結される通信部をさらに含み、
前記プロセッサは、前記制御データを、前記通信部を介して受信し、前記ストレージに保存する、請求項13または18に記載の工程制御システム。
【請求項20】
前記制御データは、前記エッチング装置において前記炭素鋼製品に接触するエッチング溶液の濃度、前記エッチング溶液の温度、前記エッチング溶液の成分、及び促進剤の使用有無の少なくとも一つをさらに含む、請求項13または19に記載の工程制御システム。
【請求項21】
前記エッチング装置は、酸洗装置、乾式エッチング装置、及び湿式エッチング装置の少なくとも一つである、請求項13または20に記載の工程制御システム。
【請求項22】
前記第1領域に含まれる前記内部欠陥層の厚さは、前記第2領域に含まれる前記内部欠陥層の厚さよりも小さく、前記第1移送速度は前記第2移送速度よりも速い、請求項13または21に記載の工程制御システム。
【請求項23】
前記プロセッサは、前記炭素鋼製品の移送速度、エッチング工程に用いられるエッチング溶液の特性、及び前記エッチング装置によって除去された内部欠陥層の第1厚さを受信し、
前記ストレージは、前記炭素鋼製品の移送速度と前記エッチング溶液の特性の少なくとも一つを用いてエッチング装置によって除去されるものと予想される内部欠陥層の第2厚さを計算する演算モジュールを含み、
前記プロセッサは、前記内部欠陥層の第2厚さと前記内部欠陥層の第1厚さとを比較して前記演算モジュールを学習させる、請求項13または22に記載の工程制御システム。
【請求項24】
前記ストレージは、前記エッチング装置から実測した制御データを受信し、前記実測した制御データに基づいて前記エッチング装置によって除去されるものと予想される残りの内部欠陥層の予想厚さを計算する演算モジュールを含み、
前記プロセッサは、前記残りの内部欠陥層の予想厚さと、エッチング工程が完了した酸洗炭素鋼製品から測定した残りの内部欠陥層の厚さとを比較して前記演算モジュールを学習させる、請求項13または23に記載の工程制御システム。
【請求項25】
工程制御システムであって、
炭素鋼製品の成分、冷却速度、相分率、及び温度の少なくとも一つに基づいて、前記炭素鋼製品に含まれる内部欠陥層の厚さ情報を生成する演算モジュールを保存するストレージと、
ネットワークに連結される通信部と、
前記通信部を介して、前記内部欠陥層の少なくとも一部を除去するエッチング工程を制御する外部サーバに前記内部欠陥層の厚さ情報及び前記エッチング工程を制御するための制御データの少なくとも一つを転送するプロセッサと
を含む、工程制御システム。
【請求項26】
前記ストレージは、前記演算モジュールを学習させる学習モデルを保存する、請求項25に記載の工程制御システム。
【請求項27】
前記演算モジュールは、前記炭素鋼製品を巻き取る前の相分率を計算する第1モジュールを含む、請求項25または26に記載の工程制御システム。
【請求項28】
前記プロセッサは、前記炭素鋼製品で測定した相分率と、前記炭素鋼製品の温度及び前記炭素鋼製品の成分の少なくとも一つから前記第1モジュールが計算した相分率とを比較して前記第1モジュールを学習させる、請求項27に記載の工程制御システム。
【請求項29】
前記演算モジュールは、前記炭素鋼製品の温度変化を計算する第2モジュールをさらに含む、請求項27または28に記載の工程制御システム。
【請求項30】
前記プロセッサは、前記炭素鋼製品を巻き取る前に計算した相分率、前記炭素鋼製品の巻き取り後の経過時間、及び前記炭素鋼製品の成分の少なくとも一つを用いて前記第2モジュールが計算した温度変化と、前記炭素鋼製品から測定した温度変化とを比較して前記第2モジュールを学習させる、請求項29に記載の工程制御システム。
【請求項31】
前記演算モジュールは、前記炭素鋼製品に含まれる前記内部欠陥層の厚さを計算する第3モジュールをさらに含む、請求項29または30に記載の工程制御システム。
【請求項32】
前記プロセッサは、前記炭素鋼製品の巻き取り後の経過時間に応じて計算した温度変化、前記炭素鋼製品の成分、及び前記炭素鋼製品の周辺の酸素分圧の少なくとも一つを用いて前記第3モジュールが計算した前記内部欠陥層の厚さと、前記炭素鋼製品から測定した前記内部欠陥層の厚さとを比較して前記第3モジュールを学習させる、請求項31に記載の工程制御システム。
【請求項33】
前記第3モジュールは、前記炭素鋼製品の長さ方向に沿って区分される複数の各領域において前記内部欠陥層の厚さを計算する、請求項31または32に記載の工程制御システム。
【請求項34】
前記演算モジュールは、前記制御データに基づいて、前記エッチング工程で除去される前記内部欠陥層の厚さを計算する第4モジュールをさらに含む、請求項31または33に記載の工程制御システム。
【請求項35】
前記プロセッサは、前記エッチング工程が完了した酸洗炭素鋼製品に含まれる残りの内部欠陥層の厚さと、前記第4モジュールが計算した前記内部欠陥層の厚さとを比較して前記第4モジュールを学習させる、請求項34に記載の工程制御システム。
【請求項36】
前記演算モジュールは、前記制御データを生成する第5モジュールをさらに含む、請求項34または35に記載の工程制御システム。
【請求項37】
前記プロセッサは、前記エッチング工程を行うエッチング装置から前記外部サーバが測定した前記制御データを用いて、前記第4モジュールが計算した前記内部欠陥層の厚さと、前記エッチング工程が完了した酸洗炭素鋼製品から測定した残りの内部欠陥層の厚さとを比較して前記演算モジュールを学習させる、請求項36に記載の工程制御システム。
【請求項38】
前記制御データは、前記エッチング工程において前記炭素鋼製品の移送速度、前記エッチング工程において前記炭素鋼製品と接触するエッチング溶液の濃度、前記エッチング溶液の温度、前記エッチング溶液の成分、及び促進剤の使用有無の少なくとも一つを含む、請求項25または37に記載の工程制御システム。
【請求項39】
前記炭素鋼製品は、前記内部欠陥層が第1厚さを有する第1領域、及び前記内部欠陥層が前記第1厚さとは異なる第2厚さを有する第2領域を含み、
前記制御データは、前記エッチング工程において前記第1領域が移送される第1移送速度及び前記第2領域が移送される第2移送速度を含み、前記第1移送速度と前記第2移送速度とは互いに異なる、請求項25または38に記載の工程制御システム。
【請求項40】
前記エッチング工程は、酸洗工程、乾式エッチング工程、及び湿式エッチング工程の少なくとも一つである、請求項25または39に記載の工程制御システム。
【国際調査報告】