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  • 特表-刃端を改善する処理機械および方法 図1
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  • 特表-刃端を改善する処理機械および方法 図5a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-07
(54)【発明の名称】刃端を改善する処理機械および方法
(51)【国際特許分類】
   B24C 1/02 20060101AFI20230331BHJP
   B24C 5/04 20060101ALI20230331BHJP
   B24C 3/32 20060101ALI20230331BHJP
   B24C 11/00 20060101ALI20230331BHJP
   B24C 5/02 20060101ALI20230331BHJP
   B24C 9/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B24C1/02
B24C5/04 A
B24C3/32 Z
B24C11/00 D
B24C11/00 C
B24C5/02 B
B24C5/02 C
B24C9/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542042
(86)(22)【出願日】2021-01-11
(85)【翻訳文提出日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2021050414
(87)【国際公開番号】W WO2021140255
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】2000195.4
(32)【優先日】2020-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518047894
【氏名又は名称】ベイパーマット リミティッド
【氏名又は名称原語表記】Vapormatt Ltd
【住所又は居所原語表記】Rue a Chiens St. Sampsons Vale Guernsey British Channel Islands GY2 4AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アッシュワース マシュー
(57)【要約】
作業工具(60)の刃端のK因子を調整する処理機械(40)が記載されている。一実施形態では、処理機械は、研磨粒子の加圧されたブラスト流をブラスト方向(72)に向けるブラストガン(50)と、作業工具の回転軸(62)がオフセット距離(80)だけブラスト方向(72)から径方向にオフセットされるように作業工具を固定する取付手段と、を有し、ブラスト方向と回転軸との間のオフセット距離の制御により、刃端(64、66)のK因子を調整する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業工具の刃端のK因子を調整する処理機械であって、前記処理機械は、
研磨粒子の加圧されたブラスト流をブラスト方向に向けるブラストガンと、
前記作業工具の回転軸がオフセット距離だけ前記ブラスト方向から径方向にオフセットされるように前記作業工具を固定する取付手段と、を有し、前記ブラスト方向と前記回転軸との間の前記オフセット距離の制御により、前記刃端の前記K因子を調整する、処理機械。
【請求項2】
前記ブラスト流のブラストパターンは、エッジを有する実質的な非円形であり、前記パターンの前記エッジが、前記刃端に向けられる、請求項1に記載の処理機械。
【請求項3】
前記ブラストパターンは、実質的に長方形である、請求項2に記載の処理機械。
【請求項4】
前記ブラストパターンは、少なくとも2:1のアスペクト比を有する、請求項3に記載の処理機械。
【請求項5】
前記ブラストガンは、前記ブラスト流が噴出されるノズルを有し、前記ノズルの出口は、実質的に非円形である、請求項2から4のいずれか1項に記載の処理機械。
【請求項6】
前記作業工具は、ドリルビット、エンドミル、スレッドタップ、又はスロットミルである、請求項1から5のいずれか1項に記載の処理機械。
【請求項7】
前記作業工具は、丸いシャンクを備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の処理機械。
【請求項8】
前記研磨粒子は、ガラスビーズ、金属ショット、又は酸化アルミニウム粒子のうちの1つ又は複数を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の処理機械。
【請求項9】
前記オフセット距離は、前記作業工具のチッピング面に対するオフセットである、請求項1から8のいずれか1項に記載の処理機械。
【請求項10】
前記刃端に関して対称なオフセットにより、約1のK因子が実現される、請求項9に記載の処理機械。
【請求項11】
前記チッピング面に向かうオフセットにより、1より大きいK因子が実現され、前記チッピング面から離れるオフセットにより、1未満のK因子が実現される、請求項9又は10に記載の処理機械。
【請求項12】
K因子の値の前記範囲は、0.4~1.9の間である、請求項1から11のいずれか1項に記載の処理機械。
【請求項13】
作業工具の刃端を改善する方法であって、前記作業工具は回転軸を有し、前記方法は、
前記作業工具をブラストチャンバ内に固定するステップであって、前記ブラストチャンバは、ブラストガンのノズルからスラリーに懸濁する研磨粒子の流れを噴出するウェットブラストガンを備える、ステップと、
研磨粒子の前記流れを前記作業工具の刃端に向けるステップと、
前記ブラスト流の前記ノズルと前記回転軸との間の径方向距離を調整するステップと、を有し、
前記ブラストノズルは、実質的に非円形の断面のブラスト流を生成するように構成され、前記ノズルは、前記回転軸に対して実質的に垂直に位置合わせされる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理機械に関する。特に、本発明は、刃端のK因子を調整する処理機械および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドリルビット、エンドミル、スロットミル、スレッドタップなどの切削工具の信頼性と性能は、近年、理解が深まり、制御可能な側面になっている。刃端の微細形状は、工具の寿命、切削プロセスの安定性、切りくずの形成、表面品質だけでなく、工具のヘッドと力の負荷に影響を与える。刃端に径(ラディアス)を形成すること(エッジのホーニング(研磨)と呼ばれることが多い)で、エッジの寿命を延ばすことができることが知られている。ホーン断面の形状が重要であることも示されている。
【0003】
WO9735686で使用された1つのアプローチは、細長い回転工具の刃端をホーニングするためには、ブラッシングよりもウェットブラストの方が優れていることを説明している。これは、円形断面の研磨流を使用して、比較的均一にホーニングされた刃端を形成するものである。しかし、この明細書は、調整可能でありながら再現可能な非均一のホーニングを形成する方法について説明していない。
【0004】
このホーニング断面の形状は、径が一定のものから、径が増加又は減少するものまである。この対称性は現在、K因子として知られている。Kは次のように定義される。
K=Sγ/Sα
ただし、Sγは、チッピング面(又はすくい面)とクリアランス面(又は逃げ面)の頂点からチッピング面の丸みの終わりまでの距離であり、Saは、頂点からクリアランス面の丸みの終わりまでの距離である。従って、対称的な刃端の微細形状はK因子が1であり、K因子が1より大きい場合はすくい面又はチッピング面の丸みが大きく、K因子が1未満の場合は逃げ面又はクリアランス面の丸みが大きいことを示す。
【0005】
ブラスト、ブラッシング、マグネット又は薬液による仕上げ、又は、レーザーによって、さまざまなサイズ及び径の形状を実現することができる。ブラストに着目すれば、エッジの丸みを形成する方法の1つはウェットブラストによるものである。ウェットブラストでは、研磨ブラスト材料を液体と混合してブラストスラリーを形成し、これをブラストガンなどのノズルに高圧で通過させる。加圧されたスラリー又は処理材の衝撃で、表面の洗浄および除去がなされ、所望の仕上げが実現される。
【0006】
除去される材料の量は、ガスのブラスト圧力、刃端に対するブラスト流の角度、使用される研磨粒子のサイズ、形状及び密度など、いくつかの変数によって制御される。
【0007】
K因子の制御はより難しく、これまでは工具の回転軸に対するブラスト流の角度を調整することで試みられてきた。
【0008】
本発明は、より制御可能に刃端のK因子を調整する方法を提供することによって、少なくとも前述の欠点を改善することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、作業工具の刃端のK因子を調整する処理機械であって、処理機械は、研磨粒子の加圧されたブラスト流のスラリーをブラスト方向に向けるブラストガンと、作業工具の回転軸がブラスト方向からオフセット距離だけ径方向にオフセットされるように作業工具を固定する取付手段と、を有し、ブラスト方向と回転軸とのオフセット距離の制御により、刃端のK因子を調整する、処理機械が提供される。
【0010】
本発明は、刃端のK因子を調整するための、より制御可能な機械を提供するものである。作業工具の回転軸に対するブラストピッチ角を調整することに着目した従来技術とは異なり、本発明では、ブラスト流と作業工具の回転軸との間のオフセット距離に着目している。
【0011】
ブラスト方向は、作業工具の長手軸に対して垂直であってもよいし、なくてもよいようなブラスト軸を含んでもよいことが理解されよう。実施形態では、ブラストガンは、作業工具からブラスト角でブラスト距離だけ離れた位置に配置される。ここで、ブラスト方向又はブラスト軸は、ブラスト流のスラリーが作業工具に対して入射される方向である。作業工具に入射するブラスト流の中心を原点とし、ブラストガンはブラスト距離r、ブラスト角Qで配置されると考えることができる。ただし、rおよびQは作業工具に対するブラストガンの位置を示す極座標である。
【0012】
一例として、ブラスト流のブラスト方向を刃端に対して対称になるように位置合わせする径方向のオフセット距離では、K因子が約1となる。ブラスト流のオフセットがチッピング面に向かってオフセットされている場合、K因子が1より大きくなるように制御できる。また、オフセットがチッピング面から離れる場合は、K因子が1未満になるように制御できる。
【0013】
いくつかの実施形態では、ブラスト流のブラストパターン(ブラスト流の広い断面形状である)は、非円形であってもよい。1つの実施形態では、長方形のブラストパターンが使用されてもよい。この構成は、そのようなブラストパターンによって作業工具に示されている非線形ブラストプロファイルによって、円形ブラストパターンを使用するときと比較して、ブラスト流との間のオフセット距離の制御を支援できる。
【0014】
1つの実施形態によれば、ブラストパターンは、そのパターンの長端が刃端に向けられるような実質的に長方形であってよい。ブラストパターンは、少なくとも2:1のアスペクト比を有してもよく、5:2、3:1、4:1又はそれ以上であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、ブラストパターンは、鋭いエッジを含む。そのような鋭いエッジは、刃端に対して入射し得る。
【0016】
実施形態では、処理機械のブラストガンは、研磨粒子の加圧されたブラスト流をブラスト方向に噴出するノズルを備える。さらなる実施形態では、ノズルは、鋭いエッジを有するスロットを備え、この鋭いエッジは、ブラストパターンの鋭いエッジに対応するものを提供する。言い換えれば、パターンの長いエッジが鋭いエッジである。
【0017】
一般に、作業工具は、ドリルビット、エンドミル、スレッドタップ、スロットミルのいずれであってもよい。作業工具がドリルビットの場合、刃端は、ドリルビットの溝(フルート)のエッジであってもよい。また、刃端は、先端角のエッジ(刃端の終端)を指すこともある。
【0018】
作業工具はしばしば丸いシャンクを備えるが、六角形、正方形、三角形、三角形、又は他の断面のシャンクを使用してもよいことが理解されよう。
【0019】
実施形態において、研磨粒子は、ガラスビーズ、金属ショット、又は酸化アルミニウム粒子などの粒子タイプのうちの1つ又は複数を含む。研磨粒子の混合物又は組み合わせを使用してもよく、そのような混合物は、要求される仕上げおよび使用される材料に合わせて調整される。異なる研磨材のこれらのブレンドは、相反的又は補完的な特性を持ち得、ブレンドの一例は、ガラスビーズと未使用の白色酸化アルミニウムである。未使用の酸化アルミニウムは、このタイプの酸化アルミニウムの鉄含有量が少ないため、作業工具が錆びやすい場合の適用においてよく使用される。
【0020】
好ましい実施形態では、加圧されたスラリーは、ウェットブラストスラリーを備え、このウェットブラストスラリーは、研磨粒子と圧縮ガスとの混合物を、加圧されたスラリーを形成する液体とともに有し、研磨粒子を液体の緩衝剤(典型的には水であるが、さび防止、有機物の蓄積防止などのために添加剤が使用されることもある)中で潤滑する。
【0021】
本発明の第2の態様では、作業工具の刃端を改善する方法が提供され、作業工具は回転軸を有し、この方法は、作業工具をブラストチャンバ内に固定するステップであって、ブラストチャンバは、ブラストガンのノズルからスラリーに懸濁する研磨粒子の流れを噴出するウェットブラストガンを備える、ステップと、研磨粒子の流れを作業工具の刃端に向けるステップと、ブラスト流のノズルと回転軸との間の径方向距離を調整するステップと、を有し、ブラストノズルは、実質的に非円形の断面のブラスト流を生成するように構成され、ノズルは、回転軸に対して実質的に垂直に位置合わせされる。
【0022】
第1の態様に関して説明した実施形態および例は、第2の態様に適用できることが理解されよう。
【0023】
本発明を使用するK因子の制御の例は、0.02の精度内にK因子を調整することを可能にし、0.4~1.9の間のK因子の値の範囲が達成可能であり、典型的な制御は、K因子値が0.5~1.8の間の精度である。これは、50ミクロン未満の径を形成することを達成できる。
【0024】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に説明する実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
ここで、本発明の実施形態を、例として、以下の添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1図1は、刃端のK因子を決定する方法を示す。
図2図2は、作業工具に着目して、本発明によるブラストガンを備える処理機械を示す。
図3図3は、本発明による構成で配置された図2の処理機械を示しており、作業工具は、ブラストガンのブラスト流に対して垂直に、かつ、径方向のオフセットを有して位置合わせされている。
図4図4は、ブラスト流のブラストパターンがどのように作業工具に向けられるかの半様式化された図を示す。
図5a図5aは、本発明の1つの実施形態による図2のブラストガン用のノズルを示す。
図5b図5bは、図5aの分解図を示す。
図5c図5cは、図5aの断面図を示す。
【0026】
図は略図であり、縮尺通りには描かれていないことに留意されたい。図の一部における相対的な寸法および比率は、図面の明瞭性及び利便性のために、サイズを拡大又は縮小して示されている。変更された異なる実施形態において、対応する又は同様の特徴を参照するために、概して、同じ参照符号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、作業工具の刃端(又は実際には任意の刃端)のK因子がどのように決定されるかを示している。図示されるように、刃端10は、チッピング面12又はすくい面と、クリアランス面14又は逃げ面とを含む。図から理解できるように、エッジ16は、円20の半径の近似値であるエッジ径を備える。(上記の技術を使用した)このエッジのK因子の決定において、Syは、チッピング面(又はすくい面)とクリアランス面(又は逃げ面)との交点から、チッピング面の丸みの終わりまでの距離、すなわち、距離22であり、Saは、前述の交点からクリアランス面の丸みの終わりまでの距離、すなわち、距離24である。
【0028】
図2は、本発明の本実施形態によるブラスト機械40を示す。ブラスト機械は、概して、その中をガラスビーズ、砂、金属ショット、酸化アルミニウム、又はそのような研磨粒子の混合物を含む任意の適切なブラスト媒体などの研磨粒子のスラリーが通るような第1の入口52を有するブラストガン50を備え、研磨剤は、流体、典型的には水と混合されてスラリーを形成し、第2の入口54からの圧縮ガスと混ざり合う。これは、作業工具60に向かう加圧されたブラスト流を形成する。作業工具は回転軸62を有し、らせん溝(刃端側部でもよい)64と刃端端部66を備えるドリルビットとして示される。
【0029】
ある構成では、ブラスト軸、又は、ブラストガン50のブラスト方向72は、作業工具からブラスト角76でブラスト距離74に位置合わせされる。この意図は、ブラスト流のブラストパターンを利用して、刃端側部64および刃端端部66のピーニング(打ち付け)及び/又はホーニング(研磨)することである。以前の取り組みでは、ブラスト距離74及びブラスト角76を調整して、刃端の所望のK因子を形成することが着目されていた。
【0030】
図3は、本発明の実施形態による構成で配置されたブラスト機械40を示す。これらの実施形態では、ブラスト軸72は、作業工具60の回転軸62に対して垂直に配置される。しかしながら、従来技術の構成とのこの違いに加えて、ブラスト軸72は、径方向のオフセット距離80だけ回転軸62からオフセットされる。実施形態では、径方向のオフセットが0の場合は、K因子は約1となる。ブラスト流のオフセットがチッピング面に向かってオフセットされる場合、K因子が1よりも大きくなるように制御できる。あるいは、オフセットがチッピング面から離れる場合、K因子が1より小さくなるように制御できる。例として、0.02の精度で、0.4~1.9の間のK因子の値の範囲が可能である。これは、50ミクロン未満のエッジ径の精度に相当する。したがって、オフセット距離を調整することにより、刃端のK因子が高精度で選択される。ブラスト機械は依然としてブラスト角76で配置されてもよいが、この実施形態では、オフセット距離80が変更され、それに応じてK因子が調整されることが理解できよう。
【0031】
図4は、図3のブラスト機械から指向性のあるブラスト流にさらされたときの作業工具60を示す。特に、ブラスト流のパターン又は形状の効果を見ることができる。円形のブラストパターン80では、ブラスト媒体は、溝64又は刃端端部66の刃端に位置合わせするのが困難であり、これにより、ブラスト媒体を無駄にするか、又は仕上げが不正確になる可能性が高くなるので、刃端のK因子の制御が困難になる。中間溝64のK因子を調整しようとする試みは、既に処理された下部溝にも影響を及ぼし、一貫性のない結果をもたらす可能性が高いことが理解されよう。
【0032】
これに対して、本発明の実施形態は、長方形のブラストパターンなどの非円形のブラストパターン90を利用する。このようなブラストパターンの使用は、特に上記の構成で、刃端のK因子のより優れた制御および調整を可能にする。典型的な非円形のブラストパターンは長方形であるが、ホーニングされる刃端の形状に応じて、正方形又は楕円のパターンも使用できる。このような非円形のブラストパターンの典型的なアスペクト比は2:1であるが、5:3、3:1、4:1も使用できる。このブラスト機械の構成で薄いブラストパターンを使用すると、K因子を以前よりも細かく調整できる。
【0033】
非円形のブラストパターン90を生成するためのノズル100の例示的な実施形態が、図5a~5cに示されている。このようなノズル100は、実質的に長方形又は正方形のスロット又は端部ノズル110を有し、そこから研磨粒子のスラリーが噴出され得る。ノズル100は、傾斜ベース面122を有するベース部120を備える。端部ノズル110が鋭いエッジを有することが理解されよう。傾斜ベース部は、平坦ベース部124内に延在する。平坦ベース部124は、ノズル100内に延在する。空気ガイド130は、平坦ベース部124を超えてノズルのベースの上に接続される。空気ガイド130は、スロットがより大きなスラリーチャンバに開くように、スロット110の端部に一致する面取りされた端面131を有する広い平坦面である。空気ガイド130は、ねじ140によって固定される。空気ガイド130は、ノズルベース面124のベースの上に固定され、空気入口138を介して空気が通過できるチャネル139を可能にする。空気ガイド130に加えて、スラリーガイド132が設けられる。スラリーガイド132は、空気ガイドの反対側に共設されるが、スロット110内において傾斜ベース面122および平坦ベース部124の反対側に配置される。面取りされたエッジ133も設けられる。スラリーガイドは、ネジ142を使用してノズルのトッププレート134に固定される。
【0034】
トッププレートはノズルを覆い、スロット110に露出した長方形の開口を残す。トッププレートは、スラリーを注入し得るスラリー注入口又は穴136を有する。トッププレートは、ねじ148、ワッシャ146及びナット144を使用して、空気ガイド130、スラリーガイド132及びトッププレート130をベース部120に固定する。
【0035】
使用時には、図5cに示すように、空気は入口138でノズル内に注入される。空気は、空気ガイド132の反対側から出る前に、チャネル139に沿って通過する。同様に、研磨粒子のスラリーは、スラリー入口136から入る。スラリーは、スラリーガイド130によって案内されて面取り131で下がり、また、空気ガイドの面取り133にあたる。このポイントで、空気入口136からの加圧空気と混合される。加圧空気/スラリー混合物は、その後、空気ガイドを介して、加圧されたブラスト流が出るノズル端スロット120に向かってガイドされる。ベース部120の傾斜ベース部122及びスロットの形状は、実質的に長方形の形状のブラスト流を生成する。対応する形状のノズルスロット端部112によって形成された長方形(又は正方形、又は他の非円形)の形状のブラスト流は、従来の円形ノズルからの旧来の漏斗状のブラスト流ではなく、ブラスト流に鋭いエッジを提供することが理解できよう。
【0036】
本開示を読めば、当業者にとっては他の変形および修正が明らかであろう。そのような変形および修正は、ウェットブラストの分野ですでに知られており、本明細書ですでに説明した機能の代わりに、又はそれに加えて使用し得る同等及び他の機能を含んでもよい。
【0037】
添付の特許請求の範囲は、特徴の特定の組み合わせに向けられているが、本発明の開示の範囲は、任意の請求項に現在請求されている発明と同じ発明に関するか否か、および本発明と同じ技術的問題の一部又は全部を軽減するか否かにかかわらず、本明細書に明示的又は黙示的に開示された任意の新規の特徴又は特徴の任意の新規の組み合わせ、又はそれらの一般化も含むと理解されるべきである。
【0038】
別々の実施形態の文脈で説明されている特徴も、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴も、別々に、又は任意の適切な下位の組合せで提供されてもよい。本出願人は、本出願又はそこから派生する任意のさらなる出願の審査中に、このような特徴及び/又はこのような特徴の組み合わせに対して新たな請求項を策定することができることをここに通知する。
【0039】
また、完全を期すために、「含む(comprising)」の用語は他の要素又はステップを除外しないこと、「単数を示す(a又はan)」用語は複数を除外しないこと、および特許請求の範囲の参照符号は特許請求の範囲を限定するものとして解釈してはならないことを記載する。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
【国際調査報告】