(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-07
(54)【発明の名称】旋削ツール
(51)【国際特許分類】
B23B 27/10 20060101AFI20230331BHJP
B23B 27/16 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B23B27/10
B23B27/16 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550167
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2020087371
(87)【国際公開番号】W WO2021164929
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506297474
【氏名又は名称】ヴァルター アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バークル, フーベルト
【テーマコード(参考)】
3C046
【Fターム(参考)】
3C046BB07
3C046EE03
(57)【要約】
本発明は、インサートシート(8)を持つツールボディ(1)と、クランピング部材(11)と、クランピングピン(17)と、を含む、金属切削のための旋削ツールに関する。クランピングピンは、ツールボディ(1)とクランピング部材(11)とを接続して、切削インサート(9)をインサートシート(8)にクランプする。クランピングピン(17)のシャフト(18)は、ツールボディのボア(10)に軸方向に移動可能に受容されており、第1の軸方向の位置まで移動するよう操作可能である。クランピングピン(17)は、第1の軸方向の位置において、クランピング部材(11)とかみ合って、クランピング部材(11)をツールボディの上面(4)に向けて押すよう構成されており、これにより、切削インサート(9)がインサートシート(8)に受容されている際に、切削インサート(9)がインサートシート(8)にクランプされる。第1の軸方向の位置において、ヘッド(20)における第1の冷却液アウトレット開口(22)が、クランピング部材(11)の上面(14)の上に位置して、シャフト(18)が、軸方向にスライド可能であることにより、ツールボディのボア(10)に軸方向に移動可能に受容されている。旋削ツールは、ロッキングメカニズムをさらに含む。これは、第1の軸方向の位置において、シャフト(18)を、ツールボディのボア(10)に、ツールボディの上面(4)に向かう少なくとも軸方向のスライディングに対して解放可能にロックするよう構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属切削のための旋削ツールであって、
ツールボディ(1)であって、
ツールボディの上面(4)を有して、
前記ツールボディの上面(4)における前端に配置されている、切削インサート(9)を受容するためのインサートシート(8)と、
前記インサートシート(8)から離隔しており、前記ツールボディの上面(4)における開口から下向きに延在するツールボディのボア(10)と、
を含むツールボディ(1)と、
クランピング部材(11)であって、
前記ツールボディの上面(4)に配置されており、
ベースボディ(12)であって、
ベースボディの上面(14)と、
前記ツールボディの上面(4)に対向するベースボディの底面(15)と、
クランピング部材の貫通孔(16)であって、前記ベースボディの上面(14)における前記開口から前記ベースボディの底面(15)における開口まで延在しており、前記ツールボディのボア(10)と整列している、クランピング部材の貫通孔(16)と、
を有するベースボディ(12)と、
クランピングアーム(13)であって、前記ベースボディ(12)から突出しており、少なくとも一部位が、前記インサートシート(8)の上に延在するクランピングアーム(13)と、
を含むクランピング部材(11)と、
クランピングピン(17)であって、
前記ツールボディ(1)と前記クランピング部材(11)とを接続して、
縦方向のシャフト(18)であって、縦方向軸(19)を有して、前記クランピング部材の貫通孔(16)を通って、前記ツールボディのボア(10)へと延在する縦方向のシャフト(18)であって、前記シャフト(18)は、前記ツールボディのボア(10)に軸方向に移動可能に受容されており、第1の軸方向の位置まで移動するよう操作可能である、縦方向のシャフト(18)と、
前記シャフト(18)の上端にあるヘッド(20)と、
第1のアウトレット開口(22)を前記ヘッド(20)に有する冷却液チャネル(23)と、
を含むクランピングピン(17)であって、
前記クランピングピン(17)は、前記第1の軸方向の位置において、前記ベースボディ(12)とかみ合って、前記ベースボディ(12)を、突出している前記クランピングアーム(13)と共に、前記ツールボディの上面(4)に向けて押すよう構成されており、これにより、切削インサート(9)が前記インサートシート(8)に受容されている際に、前記切削インサート(9)が前記インサートシート(8)にクランプされる、
クランピングピン(17)と、
を含む金属切削のための旋削ツールであって、
前記第1の軸方向の位置において、前記ヘッド(20)における前記第1のアウトレット開口(22)は、前記ベースボディの上面(14)の上に位置しており、
前記シャフト(18)は、軸方向にスライド可能であることにより、前記ツールボディのボア(10)に軸方向に移動可能に受容されていることを特徴として、
前記旋削ツールは、前記第1の軸方向の位置において、前記シャフト(18)を、前記ツールボディのボア(10)に、前記ツールボディの上面(4)に向かう少なくとも軸方向のスライディングに対して解放可能にロックするよう構成されているロッキングメカニズムをさらに含むことを特徴とする、
金属切削のための旋削ツール。
【請求項2】
前記ロッキングメカニズムは、前記第1の軸方向の位置において、前記シャフト(18)を、前記ツールボディのボア(10)に、相対回転に対して、ポジティブロッキングにより解放可能にロックするよう構成されている、請求項1に記載の金属切削のための旋削ツール。
【請求項3】
前記ツールボディ(1)は、その1つの側に、前記ツールボディの上面(4)から下向きに延在する第1のツールボディの側面(5)を含み、
前記ロッキングメカニズムは、
前記第1のツールボディの側面(5)を前記ツールボディのボア(10)と接続する第1の部位を含むツールボディの側孔(24)と、
前記シャフト(18)にある当接面と、
アクチュエーションバー(31)であって、前記ツールボディの側孔(24)の前記第1の部位に、前記シャフト(18)に相対的に移動可能に載置されており、内部位に、前記当接面と相互作用するためのかみ合い面を有するかみ合いセクション(32)を含むアクチュエーションバー(31)と、
を含み、
前記アクチュエーションバー(31)は、前記シャフト(18)が前記第1の軸方向の位置にある際に、前記かみ合い面が前記当接面を押しつけて前記クランピングピン(17)を前記第1の軸方向の位置にロックするロッキング位置まで移動するよう操作可能である、
請求項1又は2に記載の金属切削のための旋削ツール。
【請求項4】
前記ロッキングメカニズムは、シャフトのエントランス開口から、前記シャフト(18)の前記縦方向軸(19)を横断して延在するシャフトリセスをさらに含み、
前記第1の軸方向の位置において、前記シャフトのエントランス開口は、前記ツールボディの側孔(24)の前記第1の部位と対向して、
前記当接面は、前記リセスにおいて上に向く面であり、
前記アクチュエーションバー(31)が前記ロッキング位置にある際に、前記かみ合いセクション(32)は前記シャフトリセスに位置する、
請求項3に記載の金属切削のための旋削ツール。
【請求項5】
前記当接面は、前記シャフトのエントランス開口に向けてテーパ状になっている、上に向くウェッジ面であり、
前記かみ合い面は、内側に向けてテーパ状になっている、下に向くウェッジ面を含み、
前記アクチュエーションバー(31)が前記ロッキング位置まで移動するよう操作された際に、前記かみ合いセクション(32)は前記シャフトリセスにおいて内向きに移動して、これにより、前記かみ合い面がスライドして、前記当接面を押しつけて、前記シャフト(18)を前記第1の軸方向の位置へと押す、
請求項4に記載の金属切削のための旋削ツール。
【請求項6】
前記シャフト(18)の前記縦方向軸(19)及びツールボディの側孔(24)の前記第1の部位の中央縦方向軸(25)を含む断面に見て、前記当接面と前記かみ合い面とが、前記ツールボディの側孔(24)の前記第1の部位の前記中央縦方向軸(25)と、少なくとも3°、最大で45°の角度αを形成する、請求項5に記載の金属切削のための旋削ツール。
【請求項7】
前記シャフトリセスは、前記ツールボディの側孔(24)の前記第1の部位の前記中央縦方向軸(25)と同じ前記角度αにて交差する中央縦方向軸(56)を持つ貫通孔(26)である、請求項6に記載の金属切削のための旋削ツール。
【請求項8】
前記かみ合い面は、円錐台として形作られている表面(33)を含み、
前記アクチュエーションバー(31)は、前記ツールボディの側孔(24)の前記第1の部位における雌ねじとかみ合いにある雄ねじを含み、
前記アクチュエーションバー(31)が前記ロッキング位置まで移動するよう操作された際に、前記アクチュエーションバー(31)は内向きに螺入される、
請求項5から7のいずれか一項に記載の金属切削のための旋削ツール。
【請求項9】
前記ツールボディのボア(10)は冷却液インレット開口を含み、
前記シャフト(18)が前記第1の軸方向の位置にある際に、前記冷却液インレット開口は前記シャフト(18)の下端の下に位置して、
前記クランピングピン(17)の前記冷却液チャネル(23)は、前記貫通孔(26)の形態の前記シャフトリセスにおいて下に向く面に位置する冷却液インレット開口を有する内部チャネルであり、
前記シャフト(18)は、前記下端と前記貫通孔(26)のシャフトのエグジット開口との間で、前記縦方向軸(19)までの、前記ツールボディのボア(10)の半径より短い距離に位置する外面部位を有して、冷却液が、前記シャフト(18)の傍を、前記ツールボディのボア(10)において、前記ツールボディのボア(10)の前記インレット開口から、前記クランピングピン(17)の前記内部チャネルの前記インレット開口まで通過できるようにしている、
請求項7又は8に記載の金属切削のための旋削ツール。
【請求項10】
前記ヘッド(20)は、縦方向に延在する前側面を有し、
前記第1のアウトレット開口(22)は前記前側面に位置して、
前記冷却液チャネル(23)は、第1の内部エグジットチャネル(41)を含み、
前記エグジットチャネル(41)は、中央縦方向軸(42)を有して、前記ヘッド(20)における内部位置から前記第1のアウトレット開口(22)まで延在して、
第1の前記エグジットチャネル(41)の前記中央縦方向軸(42)と前記シャフトの前記縦方向軸(19)とは、45°以上の値を有する鋭角βを形成する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の金属切削のための旋削ツール。
【請求項11】
前記第1のエグジットチャネル(41)の前記中央縦方向軸(42)のエクステンションは、切削インサート(9)が前記インサートシート(8)にクランプされている際に、前記切削インサート(9)のアクティブな切削エッジが位置するポイントと交差する、請求項10に記載の金属切削のための旋削ツール。
【請求項12】
前記ツールボディ(1)は、前記第1のツールボディの側面(5)の反対側において、前記ツールボディの上面(4)から下向きに延在する第2のツールボディの側面(6)を含み、
前記ツールボディの側孔(24)は、前記第2のツールボディの側面(6)を前記ツールボディのボア(10)と接続する第2の部位をさらに含み、
前記シャフト(18)は、前記ツールボディのボア(10)において、180°だけ離隔している2つの角度位置に軸方向にスライド可能であり、前記第1の軸方向の位置において、前記シャフトのエントランス開口が、
前記ツールボディの側孔(24)の前記第1の部位、又は、
前記ツールボディの側孔(24)の前記第2の部位、
に選択的に対向するようになっており、
前記冷却液チャネル(23)は、前記ヘッド(20)に第2のアウトレット開口(22)を有し、
前記第2のアウトレット開口(22)は、前記第1のアウトレット開口(22)から、180°だけ角度的に離隔しており、
前記アクチュエーションバー(31)は、前記ツールボディの側孔(24)の前記第1の部位又は前記第2の部位に選択的に移動可能に載置されており、双方の位置において、前記シャフト(18)が前記第1の軸方向の位置にある際に、マッチする角度位置をもって、前記ロッキング位置まで移動するよう操作可能である、
請求項3から11のいずれか一項に記載の金属切削のための旋削ツール。
【請求項13】
前記クランピング部材(11)は分離可能なコンポーネントである、請求項1から12のいずれか一項に記載の金属切削のための旋削ツール。
【請求項14】
前記クランピング部材(11)は、前記ツールボディの上面(4)から離れて付勢されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の金属切削のための旋削ツール。
【請求項15】
前記旋削ツールは、前記インサートシート(8)に受容されている切削インサート(9)をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の金属切削のための旋削ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサートシートを持つツールボディと、クランピング部材と、クランピングピンと、を含む、金属切削のための旋削ツールに関する。クランピングピンは、ツールボディとクランピング部材とを接続して、切削インサートをインサートシートにクランプする。
【背景技術】
【0002】
US2019/0160549は、クランプとツールボディとを共に固定するためのファスナを含み、旋削インサートをインサートポケットにクランプする旋削ツールを開示する。ファスナは、クランプにおける孔を通って、ツールボディにおけるねじ穴へと延在する。ファスナは雄ねじを有しており、ツールボディにおけるねじ穴に螺入されて、インサートポケットにおいてクランプの下で、旋削インサートをクランプする。ファスナは内部クーラントチャネルを有する。これは、ファスナのヘッドに位置するいくつかの開口を含む。クランプは内部クーラントチャネルを有する。これは、クランプされている旋削インサートのエッジの近くにエグジット開口を有する。ファスナの特定の角度位置において、ヘッドにおけるこれらの開口の1つが、クランプにおける内部クーラントチャネルと整列しており、流体連結をこれら2つのクーラントチャネルの間に確立して、クーラントを旋削インサートへと向ける。この既知の旋削ツールに伴う問題は、旋削インサートのクランピングを、クーラントの供給に影響を与えることなく調整できないことである。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、上記の問題を少なくとも部分的に除去することである。この目的は、請求項1に規定される旋削ツールを用いる本発明によって達成される。
【0004】
金属切削のための本発明に関する旋削ツールは、
ツールボディであって、
ツールボディの上面を有して、
ツールボディの上面における前端に配置されている、切削インサートを受容するためのインサートシートと、
インサートシートから離隔しており、ツールボディの上面における開口から下向きに延在するツールボディのボアと、
を含む、ツールボディと、
クランピング部材であって、
ツールボディの上面に配置されており、
ベースボディであって、
ベースボディの上面と、
ツールボディの上面に対向するベースボディの底面と、
ベースボディの上面における開口からベースボディの底面における開口まで延在して、ツールボディのボアと整列しているクランピング部材の貫通孔と、
を有するベースボディと、
ベースボディから突出しており、少なくとも一部位が、インサートシートの上に延在するクランピングアームと、
を含むクランピング部材と、
クランピングピンであって、
ツールボディとクランピング部材とを接続して、
縦方向軸を有して、クランピング部材の貫通孔を通ってツールボディのボアへと延在する縦方向のシャフトであって、
このシャフトは、ツールボディのボアに軸方向に移動可能に受容されており、第1の軸方向の位置まで移動するよう操作可能であり、
シャフトの上端にあるヘッドと、
第1のアウトレット開口をヘッドに有する冷却液チャネルと、
を含むクランピングピンと、
を含み、
クランピングピンは、第1の軸方向の位置において、ベースボディとかみ合って、このベースボディを、突出しているクランピングアームと共に、ツールボディの上面に向けて押すよう構成されており、これにより、切削インサートがインサートシートに受容されている際に、切削インサートがインサートシートにクランプされて、
第1の軸方向の位置において、ヘッドにおける第1のアウトレット開口は、ベースボディの上面の上に位置しており、
シャフトは、軸方向にスライド可能であることにより、ツールボディのボアに軸方向に移動可能に受容されており、
旋削ツールは、ロッキングメカニズムをさらに含み、これは、第1の軸方向の位置において、シャフトを、ツールボディのボアに、ツールボディの上面に向かう少なくとも軸方向のスライディングに対して解放可能にロックするよう構成されている。
【0005】
ツールボディのボアに軸方向にスライド可能に載置されているクランピングピンのシャフトにより、クランピングピンは、角度位置を変えることなく軸方向に動くことができる。したがって、クランピング力をクランピング部材に、したがってクランピングアームに適用するために、クランピングピンが軸方向に下向きに移動する際に、クランピングピンの角度位置を一定のままにできる。所望するクランピング力に到達すると、ロッキングメカニズムを操作して、クランピングピンをツールボディのボアにロックすることができる。したがって、クランピングピンが、ツールボディの上面に向かう軸方向のスライディングに対してロックされて、切削インサートを、クランピングアームの下でインサートシートにしっかりとクランプすることができるようになる。このロックされた位置では、クランピングピンのシャフトは、ツールボディのボアにおける第1の軸方向の位置にあり、クランピングピンのヘッドにおける第1のアウトレット開口は、クランピング部材のベースボディの上面の上に位置する。したがって、従来技術とは異なり、クランピング部材とクランピングピンとの相対的な角度位置は、クランピングピンにおけるクーラントチャネルと流体連結に維持しなければならないクランピング部材における内部クーラントチャネルにより制限されない。その代わりに、本発明に係る旋削ツールは、クランピングアームのエクステンションの方向に対していずれの所望する方向に向く、ヘッドにおける第1のアウトレット開口を有するよう構築することができる。したがって、本発明に関する旋削ツールは、クランピング力と、クランピングアームの角度位置と、クーラントアウトレットの角度位置と、を独立して選ぶことを可能にする。
【0006】
本発明に係る旋削ツールは、クランピング部材と、クランピングピンと、インサートシートを持つツールボディと、を含む。クランピングピンは、クランピング部材とツールボディとを共に、インサートシートに受容されている切削インサートをそこにクランプするように配置されている。このアプリケーションでは、インサートシートの位置は、旋削ツールの前方端にあるものとして画定される。切削インサートをクランプするよう操作すると、ツールボディのボアにおけるシャフトのスライディング運動の方向が、下向きの運動として画定される。上面と底面とはそれぞれ、上と下に向く表面であり、シャフトの縦方向軸の対応する方向のそれぞれと一致している。同様に、上や下のような表現は、シャフトの縦方向軸の方向及びそれに沿うシャフトの下向きの運動を指す。内向きや外向きのような表現は、ツールボディの中心に関連する。本発明に係る旋削ツールは、金属切削に適している。換言すると、旋削ツールは、金属を切削するための切削インサートを受容してクランピングすることに適している。好ましくは、旋削ツールはさらに、複合材料などの他の材料を切削するための切削インサートを受容してクランプすることに適している。
【0007】
本発明によると、ロッキングメカニズムは、第1の軸方向の位置において、シャフトを、ツールボディのボアに、ツールボディの上面に向かう少なくとも軸方向のスライディングに対して解放可能にロックするよう構成されている。任意に、クランピングピンは、それがロックされている際に、第1の位置を越えて軸方向に下向きにさらに動くこともできる。この下方向は、インサートシートに受容されている切削インサート上のクランピング力を強化する方向である。いくつかのアプリケーションでは、クランピング力が超過することがあっても、それはさほど重要ではない。そのような実施形態はそれぞれ、ロッキングメカニズムをシンプルで低コストなタイプにできるという点において有益となり得る。
【0008】
少なくとも1つの実施形態によると、ロッキングメカニズムは、ツールボディの下から操作するよう構成されている。そのような1つの実施形態では、ツールボディのボアは貫通孔である。クランピングピンは、クランピング部材のベースボディとツールボディの双方における貫通孔を通って延在するシャフトを有する。そのような実施形態のそれぞれによると、ロッキングメカニズムは、貫通孔の外側に、ツールボディの底面の下に突出するシャフトの下端と、停止部材と、を含む。
【0009】
他の実施形態のそれぞれでは、シャフトの下端は、ツールボディのボアの内側に位置して、シャフトがツールボディの底面を越えて突出しないようになっている。ツールボディのボアは、止まり孔とすることができる。ツールボディのボアは、ツールボディにおいて、インサートシートから離隔して位置する。換言すると、ツールボディのボアは、切削インサートがクランプされた際にそれが占める空間の外側に位置する。
【0010】
少なくとも1つの実施形態によると、ロッキングメカニズムは、第1の軸方向の位置において、シャフトを、ツールボディのボアに、軸方向の双方への軸方向のスライディングに対して解放可能にロックするよう構成されている。そのようなロッキングメカニズムは、切削インサートが、一定のクランピング力、このクランピング力は、対象となる切削インサートと行われる切削作業とに合わせて好適に選ぶことができる、によりクランプされることを達成する。別の利点は、第1のアウトレット開口の軸方向の位置が、第1の位置に固定されることである。
【0011】
少なくとも1つの実施形態によると、ロッキングメカニズムは、第1の軸方向の位置において、シャフトを、ツールボディのボアに、相対回転に対して解放可能にロックするよう構成されている。これは、十分に大きなクランピング力と、クランピングピンとクランピング部材との間、又は、クランピングピンとロッキングメカニズムの各部との間の摩擦と、により、本質的に達成することができる。
【0012】
好ましくは、ロッキングメカニズムは、第1の軸方向の位置において、シャフトを、ツールボディのボアに、相対回転に対して、ポジティブロッキングにより解放可能にロックするよう構成されている。ポジティブロッキングは、相対回転を防ぐよう形作られた表面として理解される。例えば、シャフトは、ツールボディのボアの対応する多角形断面とフィットする多角形断面を有する。代替的に、ロッキングメカニズムは、ツールボディのボアにおけるはめ合いリセス又は停止部材とかみ合うシャフト上、若しくは、別個の部材上に突起を含む。又は、その逆もあり得る。
【0013】
これらの実施形態は、第1のアウトレット開口の角度位置が、第1の位置に固定されるという点において好適である。したがって、第1のアウトレットを出る冷却液のストリームのより正確な方向を達成することができる。
【0014】
好ましくは、ロッキングメカニズムは、第1の軸方向の位置において、シャフトを、ツールボディのボアに、軸方向の双方への軸方向のスライディングに対して、及び、相対回転に対して、解放可能にロックするよう構成されている。したがって、第1のアウトレット開口の固定位置を第1の位置に提供することができ、また、そこをしたがって出るフルードクーラントのストリームの固定方向を提供することができる。これは、固定クランピング力の提供をも可能にする。
【0015】
少なくとも1つの実施形態によると、シャフトは円筒状の外面を有し、ツールボディのボアは円筒状の内面を有する。これらの表面の半径は、好ましくはほとんど同じであって、シャフトがボアにおいてスライド可能で回転可能にフィットするようになっている。好ましくは、クランピングピンのシャフトは、クランピング部材の貫通孔を通って遊びをもって延在するか、又は、それが少なくとも軸方向にスライド可能で回転可能であるようになっている。したがって、第1のアウトレット開口の正確な角度位置を、例えば、切削インサートをクランプするために、クランピングピンを第1の軸方向の位置にする前に、クランピングピンをツールボディのボアにおいて回すことにより、調整することができる。ロッキングメカニズムが、シャフトが第1の位置にロックされる際にもその回転を可能にする実施形態のそれぞれでは、切削インサートがインサートシートにクランプされている際にも、例えば、特定の力を超えることにより、第1のアウトレット開口の角度位置を、好適に調整することができる。
【0016】
少なくとも1つの実施形態によると、ツールボディは、第1のツールボディの側面を含む。これは、その1つの側に、ツールボディの上面から下向きに延在する。ロッキングメカニズムは、
第1のツールボディの側面をツールボディのボアと接続する第1の部位を含むツールボディの側孔と、
シャフトにある当接面と、
アクチュエーションバーであって、ツールボディの側孔の第1の部位に、シャフトに相対的に移動可能に載置されており、内部位に、当接面と相互作用するためのかみ合い面を有するかみ合いセクションを含むアクチュエーションバーと、
を含み、
アクチュエーションバーは、シャフトが第1の軸方向の位置にある際に、このかみ合い面が当接面を押しつけてクランピングピンを第1の軸方向の位置にロックするロッキング位置まで移動するよう操作可能である。この実施形態は、ロッキングメカニズムを、旋削ツールのその側から操作できる一方で、クランピング部材が同時に、クランピング力を切削インサートに上から提供する、という点において好適である。従来技術の旋削ツールでは、例えば、旋削ツールがマルチスピンドルマシンに載置されているようないくつかのアプリケーションでは、クランプを解放又は締結するための上からのアクセスは難しいばかりでなく、不可能である場合があり得る。旋削ツールはそうすると、切削インサートをインデックスする又は交換する際に、このマシンから降ろして取り外さなければならず、不都合である。
【0017】
少なくとも1つの実施形態によると、アクチュエーションバーのかみ合い面とシャフトの当接面とのかみ合いセクションが構築されて、摩擦を通してロックする。かみ合い面は例えば、アクチュエーションバーの端面であり、当接面は、シャフトの外面の一部位である。
【0018】
好ましくは、ロッキングは、かみ合いセクションが、シャフトの上向きの運動を幾何学的にブロックするという点において達成される。かみ合いセクションのかみ合い面は、シャフトの上に向く当接面に当接するよう配置されている。この当接面は、かみ合いセクションの下の位置に置かれている。例えば、ロッキングメカニズムは、シャフトリセスをさらに含む。これは、シャフトのエントランス開口から、シャフトの縦方向軸を横断して延在して、
第1の軸方向の位置において、シャフトのエントランス開口は、ツールボディの側孔の第1の部位に対向して、
当接面は、リセスにおいて上に向く面であり、
アクチュエーションバーがロッキング位置にある際に、かみ合いセクションはシャフトリセスに位置する。かみ合いセクションと当接面との位置により、かみ合い面は、当接面をリセスの内側に押しつけて、したがって、クランピングピンの上向きの運動を防ぐよう構成されている。好ましくは、かみ合いセクションは、シャフトとツールボディのボアとの間の相対回転のポジティブロッキングを提供するために、シャフトリセスの側壁ともかみ合いにある。
【0019】
アクチュエーションバーは、ツールボディの側孔の第1の部位の外側に延在でき、第1の側面を越えて突出する一部位を有することができる。又は、アクチュエーションバーは、ツールボディの側孔の第1の部位の内側にて終端できる。オペレータは、アクチュエーションバーを直接、又は、スクリュドライバ又はレンチなどの工具を用いて操作できる。好ましくは、アクチュエーションバーは、単一の一体バーを構成する。ここでは、かみ合いセクションは、内端などの内部位である。そのような実施形態のそれぞれでは、かみ合い面は、アクチュエーションバーのいずれの運動に追従する。
【0020】
好ましくは、アクチュエーションバーは、ツールボディの側孔の第1の部位と整列する縦方向軸を有する。アクチュエーションバーは、ツールボディの側孔の第1の部位に、例えば、軸方向に移動可能及び/又は縦方向軸を中心に回転可能であることにより、移動可能に載置されている。例えば、アクチュエーションバーは、軸方向にスライド可能とすることができる、又は、第1のツールボディの側孔における雌ねじとかみ合いにある雄ねじを含むことができる。
【0021】
アクチュエーションバーは、例えば、シャフトに向かって、そして、ここから離れて軸方向に移動可能であることにより、又は、シャフトにおけるリセスの内側を軸方向に移動可能であることにより、シャフトに相対的に移動可能に載置することができる。ここでは、かみ合いセクションは、シャフトリセスに位置し、及び/又は、その内外に移動可能に配置される。代替的又は追加的に、アクチュエーションバーは、回転可能であることにより、シャフトに相対的に移動可能である。かみ合いセクションは、シャフトリセスの内側を軸方向に移動可能及び/又は回転可能であってよい。
【0022】
アクチュエーションバーが回転可能である1つの実施形態では、かみ合いセクションは、そこにかみ合い面が配置されるカムなどの偏心部位を含む。アクチュエーションバーをそのロッキング位置にするために、アクチュエーションバーは軸方向に置かれて、偏心部位上のかみ合い面を、リセスにおける当接面と軸方向に整列させて、これらの2つの表面がかみ合うまで回される。
【0023】
好ましくは、当接面は、シャフトのエントランス開口に向けてテーパ状になっている、上に向くウェッジ面である。かみ合い面は、内側に向けてテーパ状になっている、下に向くウェッジ面を含む。アクチュエーションバーがロッキング位置まで移動するよう操作された際に、かみ合いセクションは、シャフトリセスにおいて内向きに動いて、これにより、かみ合い面はスライドして当接面を押しつけて、シャフトを第1の軸方向の位置へと押す。この実施形態及び偏心かみ合い面を含む1つの実施形態は、ロッキングメカニズムが、クランピングピンを下向きに押して、シャフトを第1の位置にするメカニズムとしても機能するという点において好適である実施形態の例である。したがって、ロッキングメカニズムは、クランピングピンを締結してロックするためのメカニズムである。
【0024】
シャフトの縦方向軸及びツールボディの側孔の第1の部位の中央縦方向軸を含む断面に見て、当接面とかみ合い面とが、ツールボディの側孔の第1の部位の中央縦方向軸と、少なくとも3°、最大で45°の角度αを形成する。この範囲は、利便性の高い長さにわたるアクチュエーションバーの内向きの運動が、適したクランピング力に対応するシャフトの軸方向に下向きの運動に置き換わることを確かにする。角度が大きければ、アクチュエーションバーを内向きに移動させるのに必要な力が過大になるリスクとなり得る。角度が小さければ、かみ合い面を不都合なほどに長くしなければならないであろう。好ましくは、角度αは少なくとも10°であり、最大で30°である。
【0025】
1つの好適な実施形態によると、シャフトリセスは、ツールボディの側孔の軸の第1の部位の中央縦方向軸と同じ角度αにて交差する中央縦方向軸を持つ貫通孔である。したがって、傾斜している円筒状の孔を、シャフトを通して穴あけすることによりシャフトリセスを作る際に、テーパ状になっている当接面が好適に直接作られる。他の実施形態のそれぞれでは、シャフトリセスは、止まり孔又は開放チャネルである。リセスは、いずれの適した断面を有することができる。当接面は、例えば、円筒状のシャフト孔壁の一部としての曲面であってよい。他の実施形態のそれぞれでは、当接面は平面である。かみ合い面はまた、例えば、円錐面の一部などの曲面又は平面であってよい。
【0026】
一般的に、当接面及びかみ合い面の形状及び相対位置は、シャフトの第1の位置において所望するロッキングを提供して、場合により、これに加えて、アクチュエーションバーの運動を、シャフトの下向きのスライディングに変換するよう設計される。
【0027】
第1の軸方向の位置において、ヘッドにおける第1のアウトレット開口は、ベースボディの上面の上に、又は、換言すると、クランピング部材の貫通孔の、ベースボディの上面における開口の上に位置する。実施形態のそれぞれでは、第1のアウトレット開口は、インサートシートに向かう方向に、クランピング部材のいずれの部位の上に位置する。好ましくは、第1のアウトレット開口の全体がそのように位置する。通常は、第1のアウトレット開口は、インサートシートに向けて前方に向けられている。ここでは、切削インサートがインサートシートにクランプされている際に、第1のアウトレット開口を通って流出する冷却液のストリームが、切削インサートの少なくとも一部を洗い流すこととなる。実施形態のそれぞれでは、冷却液のストリームは、切削インサートを交差する前には、クランピング部材と接触しない。他の実施形態のそれぞれでは、冷却液のストリームは、クランピングアームの上面により方向が定められる。第1のアウトレット開口には、ノズルを提供することができる。
【0028】
少なくとも1つの実施形態によると、ヘッドは、縦方向に延在する前側面を有する。ここでは、第1のアウトレット開口がその前側面に位置する。冷却液チャネルは、第1の内部エグジットチャネルを含む。このエグジットチャネルは、中央縦方向軸を有して、ヘッドにおける内部位置から第1のアウトレット開口まで延在する。第1のエグジットチャネルの中央縦方向軸とシャフトの縦方向軸とは、鋭角βを形成する。したがって、ヘッドにおける内部位置は、軸方向に第1のアウトレット開口の上に位置する。好ましくは、鋭角βは45°以上の値を有する。好ましくは、第1のエグジットチャネルの中央縦方向軸のエクステンションは、切削インサートがインサートシートにクランプされている際に、切削インサートのアクティブな切削エッジが位置するポイントと交差する。これらの実施形態は、エグジットチャネルが、ノズルなどの追加的手段なく、冷却液を所望する位置に向けることができる、という点において好適である。
【0029】
少なくとも1つの実施形態によると、
ツールボディは、第2のツールボディの側面を含み、これは、第1のツールボディの側面の反対側において、ツールボディの上面から下向きに延在して、
ツールボディの側孔は、第2のツールボディの側面をツールボディのボアと接続する第2の部位をさらに含み、
シャフトは、ツールボディのボアにおいて、180°だけ離隔している2つの角度位置に軸方向にスライド可能であり、第1の軸方向の位置において、シャフトのエントランス開口が、ツールボディの側孔の第1の部位又はツールボディの側孔の第2の部位に選択的に対向するようになっており、
冷却液チャネルは、ヘッドに第2のアウトレット開口を有して、この第2のアウトレット開口は、第1のアウトレット開口から、180°だけ角度的に離隔しており、
アクチュエーションバーは、ツールボディの側孔の第1の部位又は第2の部位に選択的に移動可能に載置されており、双方の位置において、シャフトが第1の軸方向の位置にある際に、マッチする角度位置をもって、ロッキング位置まで移動するよう操作可能である。
【0030】
そのような1つの実施形態によると、第1及び第2の部位を含むツールボディの側孔は、第1及び第2のツールボディの側面の間に位置して、シャフトの縦方向軸を含む中央縦方向面にわたって鏡面対称である。
【0031】
ヘッドにおける内部位置から第2のアウトレット開口まで延在する第1及び第2のエグジットチャネルを含むエグジットチャネルもまた、例えば、この中央面に鉛直する横断面にわたって鏡面対称であってよい。
【0032】
これらの実施形態は、旋削ツールのロッキングメカニズムを、ツールボディの両側から操作できるという点において好適である。好ましくは、ツールボディの側孔は、好適に穴あけできる貫通孔である。任意に、ツールボディの側孔のアクティブでない部位及び/又はヘッドにおけるアクティブでないアウトレット開口を塞ぐことができる。
【0033】
少なくとも1つの実施形態によると、クランピングピンは、円筒状のシャフトと、シャフトから半径方向に突出するヘッドと、を有する。ヘッドは、シャフトの縦方向軸と同心であってよい。ヘッドは、下に向くクランピング面を含む。クランピングピンは、第1の軸方向の位置において、ベースボディとかみ合って、ベースボディの上面に当接する下に向くクランピング面を用いて、ベースボディを、ツールボディの上面に向けて押すよう構成されている。
【0034】
シャフトの冷却液チャネルは、内部チャネルであってよく、ツールボディのボアとシャフトとの間の空間を構成してよい。クーラントチャネルは、シャフトの軸方向のエクステンションに沿って異なる部位を含んでよい。ここでは、クーラントチャネルは、第1の部位に沿う内部チャネルであり、ツールボディのボアと第2の部位に沿うシャフトとの間の空間である。ヘッドにおけるエグジットチャネルは、シャフト又はヘッドにおけるインレット開口と流体連結にすることができる。1つの好適な実施形態では、インレット開口は、シャフトリセスにおいて下に向く面に位置する。クランピングピンの冷却液チャネルは通常、ツールボディにおける冷却液チャネルと流体連結にあり、これは続いて、冷却液源と流体連結にある。
【0035】
実施形態のそれぞれによると、クランピング部材は分離可能なコンポーネントである。これは、ツールボディから降ろして取り外すことができる。他の実施形態のそれぞれによると、クランピング部材とツールボディとは、1つの一体の片として形成される。旋削ツールのそのような実施形態は、クランピング部材に対する一体成形ヒンジとして機能する、弱くなっている部位を含んでよい。
【0036】
少なくとも1つの実施形態によると、クランピング部材は、弛緩状態に向けて付勢される。ここでは、クランピングピンからのクランピング力がない状態で、クランピング部材をツールボディから持ち上げて、インサートシートに受容されている切削インサートを取り外す又はインデックスすることができる。この付勢力は、一端でベースボディの底面を支持して、他の端でツールボディの上面又はシャフトにあるショルダ面を支持する圧縮スプリングを用いて適用してよい。クランピング部材とツールボディとが一体となっている実施形態のそれぞれでは、この付勢力は固有のものとすることができる。切削インサートをクランプするために、クランピングピンを第1の軸方向の位置まで移動させる際に、この付勢力に打ち勝つ必要がある。
【0037】
本発明の別の態様によると、上記の実施形態のそれぞれのいずれに係る旋削ツールは、インサートシートに受容されている切削インサートを含む。
【0038】
以下において、例示的な実施形態をそれぞれ、以下の添付の図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明に係る旋削ツールの第1の実施形態の分解斜視図である。
【
図2】旋削ツールの第1の実施形態の上からの斜視図である。
【
図3】旋削ツールの第1の実施形態の下からの斜視図である。
【
図4】旋削ツールの第1の実施形態の上面図である。
【
図5】
図4に係る、旋削ツールの第1の実施形態の、V-Vに沿う断面図である。
【
図6】第1の位置にロックされた、
図4に係る、旋削ツールの第1の実施形態の、VI-VIに沿う断面図である。
【
図7】第1の位置から解放された、
図4に係る、旋削ツールの第1の実施形態の、VI-VIに沿う断面図である。
【
図8】本発明に係る旋削ツールの第2の実施形態の分解斜視図である。
【
図9】第1の位置から解放された、
図5の図に対応する旋削ツールの第2の実施形態の断面図である。
【
図10】第1の位置にロックされた、
図5の図に対応する旋削ツールの第2の実施形態の断面図である。
【
図11】本発明に係る旋削ツールの第3の実施形態の分解斜視図である。
【
図12】第1の位置から解放された、
図5の図に対応する旋削ツールの第3の実施形態の断面図である。
【
図13】第1の位置にロックされた、
図5の図に対応する旋削ツールの第3の実施形態の断面図である。
【
図14】
図5の図に対応する、本発明に係る旋削ツールの第4の実施形態の断面図である。
【0040】
すべての図は模式的であり、必ずしも原寸ではなく、実施形態のそれぞれを明らかにするために、一般的に必要な構成要素のみを示す一方で、他の構成要素が省略されていたり、単に提案されていたりする場合がある。特に示さない限りは、異なる図面において、同様の参照番号は同様の又は対応する構成要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1から
図7を参照して、本発明に係る旋削ツールの第1の実施形態を説明する。旋削ツールは、ツールボディ1を含む。ツールボディ1は、シャフト部位2と、ヘッド部位3と、を含む。他の実施形態のそれぞれでは、ツールボディ1は、ヘッド部位3のみを含むことができる。
【0042】
ツールボディ1は、上面4と、第1の側面5と、第2の側面6と、底面7と、を有する。前端にて、ツールボディは、切削インサート9を受容するためのインサートシート8を有する。インサートシート8は、上面4におけるリセスであって、これは、切削インサート9がインサートシート8にクランプされている際に、切削インサート9が、所望する位置において切削エッジをさらすために正確に置かれることを確かにする支持面を含む。
【0043】
ツールボディのボア10は、ツールボディ1において、上面4から下方向に、底面7に向かって延在する。ツールボディのボア10は止まり孔であって、円形断面を有する。ツールボディのボア10は、インサートシート8から離隔している、又は、換言すると、切削インサート9が占める空間の外側に、この実施形態では、シャフト部位2に向かう方向に後方に位置する。ツールボディのボア10は、上に向くショルダ面27を含む。これは、上端にて円周状に延在して、ツールボディのボア10が、直径がより大きい部位を上端に有するようになっている。冷却液のためのインレット開口45が、ツールボディのボア10の下端に提供されている。インレット開口45は、ツールボディ冷却液チャネリング48を通して外部冷却液源に接続可能である。
【0044】
上面4には、凹み36が提供されている。これは、ツールボディのボア10の後方に、シャフト部位2に向かう方向に位置する。クリップ38が、スクリュ37を用いて凹み36に取り付けられる。
【0045】
旋削ツールは、ツールボディの側孔24を含むロッキングメカニズムをさらに含む。ツールボディの側孔24は、第1のツールボディの側面5における開口をツールボディのボア10と接続する第1の部位と、第2のツールボディの側面6における開口をツールボディのボア10と接続する第2の部位と、を含む。ツールボディの側孔24の両部位は、内部雌ねじを有する。ツールボディの側孔24は、中央縦方向軸25を有する。これは、
図4に係る上面図に見て、ツールボディ1のシャフト部位2のエクステンションに対して角度εにて、ツールボディを横断して延在する。この角度εは、ヘッド部位3でのロッキングメカニズムへのアクセスのしやすさを提供するよう選ばれて、この実施形態では、65°である。他の実施形態のそれぞれでは、この角度は、45から135°、好ましくは、60から120°とすることができる。
【0046】
旋削ツールは、クランピング部材11をさらに含む。これは、ベースボディ12と、クランピングアーム13と、を含む。クランピングアーム13は、ベースボディ12から前方向に突出しており、少なくとも一部位が、インサートシート8の上に延在する。ベースボディは、ベースボディの上面14と、ベースボディの底面15と、を有する。
【0047】
クランピング部材の貫通孔16は、クランピング部材11を通して、ベースボディの上面14における開口から、ベースボディの底面15における開口まで延在する。クランピング部材の貫通孔16は、楕円断面を有する。ここでは、その長軸が一般的に、突出しているクランピングアーム13の方向に延在する。クランピング部材の貫通孔は、下に向くショルダ面28を含む。これは、下端にて円周状に延在して、クランピング部材の貫通孔16が、直径がより大きい一部位を下端に有するようにする。
【0048】
ベースボディ12は、突出しているクランピングアーム13とは反対側の端にフランジ39を有する。フランジ39は、ベースボディの底面15から下向きに延在しており、溝40が提供された背面を有する。
【0049】
クランピング部材は、ツールボディ1の上に配置されており、ベースボディの底面14とツールボディの上面4とが互いに対向して、クランピング部材の貫通孔16がベースボディのボア10と整列して、クランピングアーム13がインサートシート8の上の一部位にわたって延在して、フランジ39が凹み36に位置するようになっている。クランピング部材11は、溝40にゆるくかみ合っているクリップ38を用いて、ツールボディに取り付けられる。
【0050】
旋削ツールは、クランピングピン17をさらに含む。これは、縦方向軸19に沿って延在する縦方向のシャフト18を含む。シャフト18の上端に、クランピングピン17はヘッド20を有する。これは、シャフト18から半径方向に突出している。ヘッド20は、シャフト18の縦方向軸19と同心であり、円筒状である。ヘッド20は、下に向くクランピング面21と、ヘッド20の円周側面の一部位を構成する前側面55と、を含む。
【0051】
シャフト18を通して横断して延在する貫通孔26の形態のシャフトリセスもまた、ロッキングメカニズムの一部である。貫通孔26は、上に向く孔壁30の形態の当接面を有する。貫通孔26は、縦方向軸19と鈍角にて交差する中央縦方向軸56と、貫通孔26の軸方向に下側にあるエントランス開口と、貫通孔26の軸方向に上側にあるエグジット開口と、を有する。
【0052】
クランピングピン17は、ヘッド20の円周面に、第1のアウトレット開口22と、第2のアウトレット開口22と、を有する冷却液チャネル23を含む。冷却液チャネル23は、第1の内部エグジットチャネル41と、第2の内部エグジットチャネル41と、を含む。第1及び第2のエグジットチャネルはそれぞれ、中央縦方向軸42を有して、それぞれ、ヘッド20における内部位置から、それぞれの第1及び第2のアウトレット開口22まで延在する。ヘッド20における内部位置は、アウトレット開口22の軸方向に上に位置する中央位置である。第1のエグジットチャネル41の中央縦方向軸42とシャフト18の縦方向軸19とは、45°を超える、この実施形態では77°の鋭角βを形成する。クランピングピン17の軸方向の端部の図に見て、
図4と比較して、第1のエグジットチャネルの中央縦方向軸42は、貫通孔26の中央縦方向軸(及び、ツールボディの側孔24の第1の部位の中央縦方向軸25)と、所定の角度φにて交差する。この角度は、ロッキングメカニズムへのアクセスのしやすさ(後述する)と、排出される冷却液のストリームの所望する方向と、の双方を提供するよう選ばれる。通常は、この角度φは70から110°であり、この実施形態では90°である。ここに見ることができるように、排出される冷却液のストリームの方向は、クランピングアーム13のエクステンションとは異なる。
【0053】
冷却液チャネル23は、シャフト18において縦方向に延在する内部部位を含む。この内部部位は、貫通孔26の下に向く孔壁に冷却液インレット開口43を有する。
【0054】
クランピングピン17には、クランピング部材の貫通孔16を通って、ツールボディのボア10へと延在するそのシャフト18が配置されている。ここでは、シャフト18は、ツールボディのボア10に軸方向に移動可能に受容される。貫通孔26のエントランス開口は、ツールボディの側孔24の第1の部位の内部開口との重複を有する。シャフトは、貫通孔26の下端とシャフトのエグジット開口との間に、外面部位49を有する。これは、ツールボディのボアの半径より短い、縦方向軸19までの距離に位置する。シャフト18の縦方向軸19及びツールボディの側孔24の第1の部位の中央縦方向軸25を含む断面に見て、孔壁30の上に向く部分の形態の当接面は、ツールボディの側孔24の第1の部位の中央縦方向軸25と、18°の角度αを形成する。換言すると、孔壁30のこの部分は、シャフトのエントランス開口に向けてテーパ状になっている、上に向くウェッジ面を構成する。
【0055】
ヘッド20の下に向くクランピング面21は、クランピング部材11のベースボディの上面14に対向する。第1の内部エグジットチャネル41の第1のアウトレット開口22は、インサートシート8に向いている。第2の内部エグジットチャネル41は、プラグ47により閉鎖されている。ヘリカルスプリング29が、シャフト18の周りに配置されており、一端にて、ツールボディのボア10において上に向くショルダ面27に、他の端にて、クランピング部材の貫通孔16において下に向くショルダ面28に当接している。密封リング44が、シャフト18を取り囲み、ツールボディのボア10における液封シールを提供する一方で、シャフト18の軸方向の運動を可能にしている。
【0056】
ロッキングメカニズムは、アクチュエーションバー31をさらに含み、これは、かみ合いセクション32を内向きの端に含む。アクチュエーションバーの外側の端は円筒状であり、外部雄ねじを有する。かみ合いセクション32は、内向きに指す、先端が切り取られた端を持つ円錐台を構成する。円錐台までの遷移にて、アクチュエーションバー31の外側の端は、シャフト18における貫通孔26のエントランス開口の直径に概ね対応する直径を有する。かみ合いセクション32は、円錐台の外面33の形態のかみ合い面を含む。アクチュエーションバーの外向きの端面には、円錐台に背を向けている六角ソケット34が提供されている。
【0057】
アクチュエーションバー31は、ツールボディの側孔24の第1の部位に載置されている。ここでは、外側の端の雄ねじが、ツールボディの側孔24の第1の部位における雌ねじとかみ合いにある。シャフト18の縦方向軸19及びツールボディの側孔24の第1の部位の中央縦方向軸25を含む断面に見て、外側円錐面の形態のかみ合い面は、ツールボディの側孔24の第1の部位の中央縦方向軸25と、18°の角度αを形成する。換言すると、円錐面のかみ合い部は、内側に向けてテーパ状になっている、下に向くウェッジ面を構成する。
【0058】
六角ソケット34には、ツールボディ1の第1の側面5における開口を通して、六角キー35を用いて到達できる。ツールボディの側孔24の第2の部位は、プラグ46により閉鎖されている。
【0059】
切削インサート8を旋削ツールの第1の実施形態のインサートシートに載置するステップを、
図6から
図7を主に参照して以下に説明する。
【0060】
スプリング29と、溝40におけるクリップ38に対して許される遊びと、により、クランピング部材は、切削インサート9をインサートシート8においてクランピングアーム13の下に配置することができる位置まで、上向きに付勢されたままとなっている。切削インサートを配置した後に、六角キー35をツールボディの側孔24の第1の部位に挿入して、ソケット34とかみ合わせる。六角キー35を時計方向に回すことにより、アクチュエーションバー31が内向きに、ツールボディの側孔24の第1の部位に螺入される。ここでは、アクチュエーションバー31の外部雄ねじが、ツールボディの側孔24の第1の部位における内部雌ねじとかみ合う。円錐台の外面33がしたがって、シャフト18における貫通孔26へと内向きに移動して、上に向く孔壁30の形態の当接面とかみ合う。アクチュエーションバー31が操作されて、これがさらに内向きに螺入されると、円錐台の外面33がスライドして、当接面30を押しつけて、これにより、シャフト18に、スプリング29からの付勢力に抗して力が加えられて、これが、ツールボディのボア10において軸方向に下向きにスライドする。最終的に、ヘッド20の下に向くクランピング面21がベースボディの上面14とかみ合って、ベースボディ12を、突出しているクランピングアーム13と共に、ツールボディの上面4に向けて押す。これにより、ベースボディのフランジ39が、凹み36における表面に対してスライドして、したがって、クランピング部材11を後方に、ツールボディ1のシャフト部位2に向かう方向に引っ張る。クランピング部材11とシャフト18とのこの相対運動は、クランピング部材の貫通孔16の楕円断面により可能となっている。
【0061】
クランピングピン17のシャフト18を、ツールボディのボア10において軸方向に下向きにスライドさせるアクチュエーションバー31により、クランピングアーム13は、インサートシート8における切削インサート9とかみ合って、切削インサート9を下向きかつ後方に、インサートシート8における支持面に押す。クランピングピン17が第1の軸方向の位置に到達すると、切削インサート9がインサートシート8にクランプされて、切削エッジが所望する位置においてさらされる。さらに、シャフト18における貫通孔26のエントランス開口の直径と概ね同じ直径を持つアクチュエーションバー31の部位が、第1の部位におけるエントランス開口に位置することにより、シャフト18が、両方向への軸方向のスライディングに対して解放可能にロックされる。これに加えて、クランピングピンは、貫通孔26の側面30に当接するアクチュエーションバー31を通してのポジティブロッキングにより、ツールボディ1に対する相対回転が好適にロックされる。インサートシート8における切削インサート9のクランピングが、旋削ツールのこの側からアクチュエーションバー31を操作することにより好適に達成される一方で、クランピングピン11が、クランピング力を上から提供する。
【0062】
ツールボディのボア10の下端にあるインレット開口45を、外部冷却液源に、ツールボディクーラントチャネリング48を介して接続することにより、冷却液が提供される。シャフト18が第1の軸方向の位置にある際に、インレット開口45は、シャフト18の下端の下に位置する。冷却液は、インレット開口45から、ツールボディのボア10において上向きに、シャフト18にて直径が小さくなっている外面部位49にわたって、貫通孔26へと、そのエグジット開口を通って流れる。ここでは、ツールボディの側孔24の第2の部位におけるプラグ46により、ツールボディの側孔10の第1の部位におけるアクチュエーションバーにより、そして、シャフト18上の密封リング27により、ツールボディのボア10からの冷却液の漏れが防止されている。その代わりに、冷却液は、冷却液チャネル23の縦方向に延在する内部部位へと、貫通孔26の下に向く孔壁におけるインレット開口43を通して入れられる。ヘッド20における内部位置から、冷却液は、ヘッド20において、第1の内部エグジットチャネル41を通って流れて、第1のアウトレット開口22を通って流出する。
【0063】
第1の軸方向の位置において、ヘッド20における第1のアウトレット開口22は、ベースボディの上面4の上に位置する。冷却液源にて提供される圧力と、エグジットチャネル41の位置及び角度と、により、流出する冷却液は、インサートシート8にクランプされている切削インサート9のエッジに向けられる。クランピングアーム13のエクステンションは、好みにしたがって、冷却液のストリームの所望する方向とは独立して好適に選ぶことができる。
【0064】
上記の旋削ツールの第1の実施形態は、第1及び第2のツールボディの側面5、6の双方から好適に操作することができる。第1及び第2の部位を含むツールボディの側孔24は、第1及び第2のツールボディの側面の間に位置する中央面であって、シャフト18の縦方向軸を含む中央面にわたって鏡面対称である。この対称面は、
図5に示す面に対応する。クランピングピン17のシャフト18は、ツールボディのボア10において、180°だけ離隔している2つの角度位置に軸方向にスライド可能であり、第1の軸方向の位置において、シャフトのエントランス開口が、ツールボディの側孔24の第1の部位又はツールボディの側孔24の第2の部位に選択的に対向するようになっている。
【0065】
第1のアウトレット開口22は、第2のアウトレット開口から180°だけ角度的に離隔している。この角度位置に依存して、ヘッドにおける第1又は第2のアウトレット開口22の1つが切削インサート9に向いており、他の1つは、後ろを向いており、プラグ47により塞がれている。
【0066】
他の実施形態のそれぞれでは、ツールボディの側孔24の第1及び第2の部位は、それらが直線的に整列しないよう、互いに対して角度を付けることができる。クランピングピン17のヘッド22におけるクーラントアウトレット開口20がこれにより、同じ角度だけ離隔している。
【0067】
アクチュエーションバー31は、ツールボディの側孔24の第1の部位又は第2の部位に選択的に移動可能に載置される。ここでは、これらの部位の他方が、プラグ46により塞がれている。第2のツールボディの側面6からのクランピングは、上述するような第1のツールボディの側面5からのクランピングに対応して行われる。
【0068】
図8から
図10及び
図11から
図13に、本発明の第2及び第3の実施形態を示す。これらは主に、ロッキングメカニズムの設計により、第1の実施形態とは異なる。したがって、第1及び第2の実施形態は、それらのロッキングメカニズム及び関連する特徴のみに関して説明する。
【0069】
図8から
図10の第2の実施形態では、ロッキングメカニズムは、第1の実施形態と同様の設計のツールボディの側孔24を含む。したがって、ツールボディの側孔24は、第1のツールボディの側面5における開口をツールボディのボア10と接続する第1の部位と、第2のツールボディの側面6における開口をツールボディのボア10と接続する第2の部位と、を含む。
【0070】
シャフト18を通して横断して延在する貫通孔26の形態のシャフトリセスもまた、ロッキングメカニズムの一部である。貫通孔26は、縦方向軸19を約90°の角度にて交差する中央縦方向軸と、ヘッド20から同じ軸方向の距離にあるエントランス開口及びエグジット開口と、を有する。貫通孔26は、上に向く孔壁30の形態の当接面を有する。
【0071】
第2の実施形態のロッキングメカニズムは、アクチュエーションバー31をさらに含み、これは、かみ合いセクション32を内部位に含む。かみ合いセクションは、かみ合い面としてカム面51を有する偏心部50を含む。アクチュエーションバーの外向きの端は、円筒状である。アクチュエーションバー31の外向きの端面には、偏心部50に背を向けている六角ソケット34が提供されている。
【0072】
ツールボディの側孔10のこれらの両部位は、プラグ46を螺入受容するためのねじ部位と、アクチュエーションバー31の外側の端を支持するためのなめらかな部位と、を有する。アクチュエーションバー31は、回転可能に支持される。ここでは、その外側の端が、ツールボディの側孔24の第1の部位に位置して、かみ合いセクションが、貫通孔26の内側に位置する。アクチュエーションバー31は、ツールボディのボア10の側壁に当接している偏心部50により、軸方向への移動が防止されている。
【0073】
切削インサート8をインサートシート9にクランプするために、六角キーをツールボディの側孔の第1の部位に挿入して、ソケット34とかみ合わせる。六角キー35を時計方向に回すことにより、偏心部51が貫通孔26において回転して、上に向く孔壁30の形態の当接面とかみ合う。アクチュエーションバー31がさらに回転すると、カム面51がスライドして、当接面30を押しつけて、これにより、シャフト18に、スプリング29からの付勢力に抗して力が加えられて、これが、ツールボディのボア10において軸方向に下向きにスライドする。最終的に、クランピングピン17は第1の軸方向の位置に到達して、少なくとも、カム面51と上に向く孔壁30との間の摩擦により、そこに実現可能にロックされる。
【0074】
図11から
図13に示すような第3の実施形態のロッキングメカニズムは、貫通孔52の形態のツールボディのボアを含む。ツールボディの貫通孔52は、ツールボディの上面4における開口から、ツールボディの底面7における開口まで延在する。ロッキングメカニズムは、シャフト18の下端にあるねじ部位と、ナット53と、をさらに含む。
【0075】
切削インサート8をインサートシート9にクランプするために、シャフトの下端にあるねじ部位がツールボディの底面7を越えて突出するまでヘッド20を押しつけることにより、クランピングピン17が下向きに押される。このナットは、シャフト18のねじ部位のねじに螺入される。ナット53をさらに回すと、このナットが底面7に対してスライドして、シャフト18に、スプリング29からの付勢力に抗して力が加えられて、これが、ツールボディのボア10において軸方向に下向きにスライドする。最終的に、クランピングピン17は第1の軸方向の位置に到達して、少なくとも、ねじにおける摩擦と、ナット53と底面7との間の摩擦と、により、そこに実現可能にロックされる。
【0076】
図14に、本発明に係る旋削ツールの第4の実施形態を示す。第4の実施形態は、
図1から
図7に示す実施形態とは、クランピング部材11が、ツールボディ1と一体となった一部であるという点において異なる。ツールボディは、一体成形ヒンジとして、クランピング部材をツールボディの上面4から離れて付勢するよう機能する、弱くなっている部位54を含む。第4の実施形態は、第1の実施形態と関連して説明するものと同じタイプのロッキングメカニズムと共に示す。しかし、第4の実施形態はまた、第2及び第3の実施形態のロッキングメカニズムとも機能する。
【国際調査報告】