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特表2023-514729ウェット接点を備えた高電圧コネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-07
(54)【発明の名称】ウェット接点を備えた高電圧コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/523 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
H01R13/523
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550199
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(85)【翻訳文提出日】2022-08-22
(86)【国際出願番号】 US2021015083
(87)【国際公開番号】W WO2021173279
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】16/798,934
(32)【優先日】2020-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ハック、ハーヴィー ポール
(72)【発明者】
【氏名】ヴィントガッセン、ジェームズ リチャード
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087QQ03
5E087RR06
5E087RR32
(57)【要約】
各々が正の接点および負の接点を有する第1および第2のコネクタを含む高電圧水中電気コネクタが提供される。電気コネクタは、第1の正の接点に電気的に接続された、導電性材料から形成された補助電極をさらに含む。電圧制限回路は、補助電極を正の接点に電気的に接続する。第1および第2のコネクタが、水または他の腐食環境に浸漬されている間に嵌合される場合、補助電極と負の接点との間に高抵抗水経路が形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
第1の正の接点および第1の負の接点を含む第1のコネクタと、
第2の正の接点および第2の負の接点を含む第2のコネクタであって、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点は、自己不動態化遷移金属から形成され、前記自己不動態化遷移金属は、流体または他の腐食環境に浸漬された場合に、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点上に非導電性の外層を形成する特性を有している、前記第2のコネクタと、
前記第1の正の接点および前記第2の正の接点のうちの少なくとも1つに電気的に接続され、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点の嵌合端から離隔された、導電性材料から形成された補助電極と
を備え、
前記第1の正の接点が、流体に浸漬されている間に前記第2の正の接点と嵌合され、前記自己不動態化遷移金属のブレークダウン電圧を超える高電圧源が前記第1の正の接点および前記第2の正の接点に印加される場合、前記補助電極から前記第1および第2の負の接点までの高抵抗流体経路が形成され、前記補助電極は、前記高抵抗流体経路に電流を流して、前記補助電極と前記第1および第2の負の接点との間の前記流体において電圧降下を生じさせるように構成され、これにより、前記流体に対する、前記第1および第2の正の接点に印加される電圧を、前記自己不動態化遷移金属の前記ブレークダウン電圧未満の電圧に制限する、システム。
【請求項2】
前記補助電極を前記第1の正の接点および前記第2の正の接点のうちの少なくとも1つに電気的に接続する電圧制限回路をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電圧制限回路は、前記第1および第2の正の接点と前記補助電極との間の電圧を制限する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電圧制限回路は、ツェナーダイオード、トランジスタ、または他の電子回路を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1および第2の正の接点と前記補助電極との間の電圧は、前記電圧制限回路の電圧に制限される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の正の接点が、前記流体に浸漬されている間に前記第2の正の接点と嵌合される場合、前記非導電性の外層の少なくとも一部は、導電性接続を形成するために、剥離によって前記第1の正の接点および前記第2の正の接点から除去される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記自己不動態化遷移金属は、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム、およびイリジウムを含む群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のコネクタは、複数のフィンガを含む雄コネクタであり、前記複数のフィンガは、前記複数のフィンガのうちの1つの端部に配置された第1の正の接点と、前記複数のフィンガのうちの別の1つの端部に配置された第1の負の接点とを有しており、前記第2のコネクタは、複数のソケットを含む雌コネクタであり、前記複数のソケットは、前記複数のソケットのうちの1つ内に配置された第2の正の接点と、前記複数のソケットのうちの別の1つ内に配置された第2の負の接点とを有しており、前記第1および第2のコネクタが嵌合する場合、前記複数のフィンガが前記複数のソケット内に延在して、前記第1の正の接点および前記第1の負の接点が、それぞれ前記第2の正の接点および前記第2の負の接点と係合して嵌合し、緊密な嵌合を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のコネクタは、第1の面、前記第1の面と同一平面上の接触面を有する第1の正の接点、および前記第1の面と同一平面上の接触面を有する第1の負の接点を含み、前記第2のコネクタは、第2の面、前記第2の面と同一平面上の接触面を有する第2の正の接点、および前記第2の面と同一平面上の接触面を有する第2の負の接点を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記補助電極は、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点のうちの少なくとも1つの周りにリングを形成し、前記補助電極は、前記第1のコネクタの前記第1の面および前記第2のコネクタの前記第2の面のうちの少なくとも1つと同一平面上の接触面を有している、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
高電圧水中電気コネクタであって、
自己不動態化遷移金属から形成された第1の正の接点と、
前記第1の正の接点と嵌合する、自己不動態化遷移金属から形成された第2の正の接点であって、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点は、前記自己不動態化遷移金属から形成され、前記自己不動態化遷移金属は、水に浸漬された場合に、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点上に非導電性の外層を形成する特性を有している、前記第2の正の接点と、
第1の負の接点と、
前記第1の負の接点と嵌合する第2の負の接点と、
前記第1の正の接点に電気的に接続され、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点の嵌合端から離隔された、導電性材料から形成された補助電極と、
前記補助電極を前記第1の正の接点に電気的に接続する電圧制限回路であって、第1および第2の正の接点と前記補助電極との間の電圧を制限する電圧制限回路と
を備え、
前記第1の正の接点が、水に浸漬されている間に前記第2の正の接点と嵌合され、前記自己不動態化遷移金属のブレークダウン電圧を超える高電圧源が前記第1の正の接点および前記第2の正の接点に印加される場合、前記補助電極から前記第1および第2の負の接点までの高抵抗水経路が形成され、前記補助電極は、前記高抵抗水経路に電流を流して、前記補助電極と前記第1および第2の負の接点との間の前記水において電圧降下を生じさせるように構成され、これにより、前記水に対する、前記第1および第2の正の接点に印加される前記電圧を、前記自己不動態化遷移金属の前記ブレークダウン電圧未満の電圧に制限する、高電圧水中電気コネクタ。
【請求項12】
前記第1の正の接点が、前記水に浸漬されている間に前記第2の正の接点と嵌合される場合、前記非導電性の外層の少なくとも一部は、導電性接続を形成するために、剥離によって前記第1の正の接点および前記第2の正の接点から除去される、請求項11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【請求項13】
前記自己不動態化遷移金属は、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム、およびイリジウムを含む群から選択される、請求項11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【請求項14】
第1のコネクタおよび第2のコネクタをさらに備え、前記第1のコネクタは、複数のフィンガを含む雄コネクタであり、前記複数のフィンガは、前記複数のフィンガのうちの1つの端部に配置された前記第1の正の接点と、前記複数のフィンガのうちの別の1つの端部に配置された前記第1の負の接点とを有しており、前記第2のコネクタは、複数のソケットを含む雌コネクタであり、前記複数のソケットは、前記複数のソケットのうちの1つ内に配置された前記第2の正の接点と、前記複数のソケットのうちの別の1つ内に配置された前記第2の負の接点とを有しており、前記第1および第2のコネクタが嵌合する場合、前記複数のフィンガが前記複数のソケット内に延在して、前記第1の正の接点および前記第1の負の接点が、それぞれ前記第2の正の接点および前記第2の負の接点と係合して嵌合し、緊密な嵌合を形成する、請求項11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【請求項15】
前記電圧制限回路は、ツェナーダイオード、トランジスタ、または他の電子回路を含む、請求項11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【請求項16】
前記補助電極と前記第1の正の接点との間の電圧は、前記電圧制限回路の電圧に制限される、請求項11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【請求項17】
前記第1および第2の負の接点は、銅、グラファイト、白金、混合金属酸化物、およびアルミニウムを含む群から選択される導電性材料から形成されている、請求項11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【請求項18】
前記補助電極は、白金、グラファイト、および混合金属酸化物を含む群から選択される導電性金属から形成されている、請求項11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【請求項19】
第1のコネクタは、第1の面、前記第1の面と同一平面上の接触面を有する第1の正の接点、および前記第1の面と同一平面上の接触面を有する第1の負の接点を含み、第2のコネクタは、第2の面、前記第2の面と同一平面上の接触面を有する第2の正の接点、および前記第2の面と同一平面上の接触面を有する第2の負の接点を含む、請求項11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【請求項20】
前記補助電極は、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点のうちの少なくとも1つの周りにリングを形成し、前記補助電極は、前記第1のコネクタの前記第1の面および前記第2のコネクタの前記第2の面のうちの少なくとも1つと同一平面上の接触面を有している、請求項19に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して電気コネクタに関し、より詳細には、自己不動態化遷移金属から形成されたウェット接点を含む水中電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気接点の水による汚染を避けるために、従来の電気コネクタはOリングまたはガスケットで密閉されている場合がある。これらの設計は、一般的に乾燥した環境では良好に機能し得るが、いくつかのアプリケーションにおける電気コネクタは、湿度の高い空気、雨、または海水などの乾燥していない空気環境にさらされる場合がある。加えて、水中電気アプリケーションで使用するために、電気コネクタは水中に沈められ得る。したがって、とりわけ水が漏電経路を形成する可能性があるため、コネクタの通電部分(例えば、接点、電極など)から水を排除することが望ましい場合がある。水は、腐食、あるいは絶縁する塩または不純物のコネクタへの堆積によって、導電コネクタの接点を損傷する可能性がある。加えて、電気接点が水にさらされている場合に当該電気接点に電圧を印加すると、接点の腐食レートが増加する。したがって、特定のアプリケーションおよび環境では、嵌合後に水を排除するだけでなく、水中で嵌合する場合であっても、嵌合中に水を排除することが望ましい。
【0003】
水中嵌合または湿潤環境での嵌合に対処する従来のコネクタは、複雑であり得る。そのようなコネクタには、オイルが充填されている場合があり、例えば動的シールおよびスプリングのような多くの小さな部品が含まれ得る。少なくとも部分的にはその複雑さのために、従来のコネクタは構築および修理が難しい場合がある。そのようなコネクタは、製造および交換にもコストがかかり得る。誘電体ゲル含有コネクタは、例えば水を排除しつつコネクタを水中で嵌合できるように設計することもできる。しかし、これらのゲル含有コネクタの着脱を繰り返すと、汚染、ゲルの漏れ、または他の問題を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
以下は、本開示の基本的な理解を提供するために簡略化された要約を提示する。本要約は、本開示の広範な概要ではない。主要な/重要な要素を特定すること、または本開示の範囲を限定することは意図されていない。その唯一の目的は、後に示されるより詳細な説明の前段階として、本開示のいくつかの概念を単純化した形で示すことである。
【0005】
本開示の一例は、第1の正の接点および第1の負の接点を有する第1のコネクタと、第2の正の接点および第2の負の接点を有する第2のコネクタとを含むシステムを含む。第1および第2の正の接点は、自己不動態化(self-passivating)遷移金属から形成され、自己不動態化遷移金属は、水に浸漬された場合に、第1の正の接点および第2の正の接点上に非導電性の外層を形成する特性を有している。導電性材料から形成された補助電極は、ツェナーダイオード、トランジスタ、または他の電子回路のような電圧制限デバイスを介して、第1の正の接点または第2の正の接点のいずれかに電気的に接続され、第1の正の接点および第2の正の接点の嵌合端(mating end)から離隔されている。この補助電極がない場合、水に浸漬されている間に第1の正の接点が第2の正の接点と嵌合され(mated)、正の接点と負の接点との間に自己不動態化遷移金属のブレークダウン電圧を超える高電圧源が印加されると、正の接点は腐食する。本開示では、高抵抗水経路が、両方の負の接点から補助電極まで形成され、補助電極は、高抵抗水経路に電流を流して、補助電極と両方の負の接点との間の水において電圧降下を生じさせるように構成されている。これにより、水に対する両方の正の接点に印加される電圧が、高抵抗経路を介した電位降下により、自己不動態化遷移金属のブレークダウン電圧を下回る電圧に制限される。
【0006】
本開示の別の例は、自己不動態化遷移金属から形成された第1の正の接点と、第1の正の接点と嵌合する、自己不動態化遷移金属から形成された第2の正の接点とを含む高電圧水中電気コネクタを含む。第1の正の接点および第2の正の接点は、自己不動態化遷移金属から形成され、自己不動態化遷移金属は、水に浸漬される場合に、第1の正の接点および第2の正の接点上に非導電性の外層を形成する特性を有している。コネクタは、第1の負の接点、および第1の負の接点と嵌合する第2の負の接点をさらに含む。導電性材料から形成された補助電極は、ツェナーダイオード、トランジスタ、または他の電子回路のような電圧制限デバイスを介して、第1の正の接点に電気的に接続され、両方の正の接点の嵌合端から離隔されている。電圧制限デバイスは、両方の正の接点と補助電極との間に電圧を生成する。高抵抗水経路が、両方の負の接点から補助電極まで形成され、補助電極は、高抵抗水経路に電流を流して、両方の負の接点と補助電極との間の水において電圧降下を生じさせるように構成されている。これにより、水に対する両方の正の接点に印加される電圧が、自己不動態化遷移金属のブレークダウン電圧を下回る電圧に制限される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
明細書に組み込まれ、明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の様々なシステム、方法、および他の例を示している。図面中の図示された要素境界(例えば、ボックス、ボックスのグループ、または他の形状)は、境界の一例を表す。いくつかの例では、1つの要素を複数の要素として設計するか、または複数の要素を1つの要素として設計することができる。いくつかの例では、別の要素の内部コンポーネントとして示されている要素を外部コンポーネントとして実装することができ、その逆も可能である。
図1】高電圧電気コネクタの例示的な概略図である。
図2】例示的な高電圧電気コネクタを示す図である。
図3】高電圧電気コネクタの別の例を示す図である。
図4】高電圧電気コネクタの動作を説明するための例示的な試験治具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、図面を参照して本開示を説明するが、全体を通して同様の参照番号は同様の要素を指すために使用される。以下の説明では、説明の便宜上、本開示を十分に理解するために、多数の特定の詳細を記載している。しかしながら、本開示がこれらの特定の詳細なしで実施できることは明らかであり得る。他の例では、本開示の説明を容易にするために、周知の構造およびデバイスがブロック図形式で示されている。
【0009】
特定の特徴が本明細書に記載されているが(例えば、厚さ、向き、構成など)、本開示の特徴、機能、および利点は、本明細書に記載されているものとは異なる特徴を採用できることを理解されたい。これらの代替案は、本明細書に添付された開示および特許請求の範囲内に含まれるべきである。
【0010】
本明細書に開示されるのは、水(例えば、海水、塩水、井戸水、河川水、湖水など)のような流体などの腐食環境で使用するための、自己不動態化遷移金属(例えば、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウムなど)から形成された接点を含む例示的な高電圧電気コネクタである。本明細書の目的のために、コネクタは「高電圧水中コネクタ」と呼ばれ、水のような腐食環境に浸漬されていると説明されるが、腐食環境は任意の種類の流体であり得ることが理解される。その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,893,460号明細書に記載されるように、自己不動態化遷移金属は、接点の表面上に絶縁層または非導電性不動態化外層を形成し、侵襲的な環境(例えば、海水、塩水、井戸水、河川水、湖水など)の腐食効果から接点を保護する。しかしながら、自己不動態化遷移金属接点は、より高い電圧での自己不動態化層のブレークダウンのために、十分に高い電圧(例えば、海水中のニオブの場合は約120ボルト)での用途において制限される。したがって、ブレークダウン電圧を超える電圧では、接点は絶縁層を失い、水中に電流が漏出し、腐食しやすくなる。
【0011】
本明細書に開示される水中電気コネクタは、ツェナーダイオード、トランジスタ、または他の電子回路のような電圧制限デバイスを介して正の自己不動態化遷移金属接点に電気的に接続された補助(または保護)電極を実装することによって、この電圧制限を克服する。その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,197,006号明細書に記載されているような高抵抗の水経路は、水における電圧降下をもたらし、遷移金属接点と水との間に、遷移金属接点のブレークダウン電圧未満の電圧差を生じさせる。具体的には、補助電極は、電流を高抵抗水経路に容易に流す材料(例えば、白金、グラファイト、混合金属酸化物(mixed-metal oxides)など)から形成されている。電流が水経路に流れると、補助電極とコネクタの負の接点との間の水経路で電圧降下が生じる。電圧降下により、遷移金属接点と水との間に、遷移金属接点のブレークダウン電圧未満の電圧差が生じる。換言すると、周囲の水に対する遷移金属接点の電圧は、遷移金属接点のブレークダウン電圧よりも低くなるように設計された、電圧制限デバイスの電圧に制限される。その結果、通常はそのブレークダウン電圧よりも高い電圧において水中では使用することができない遷移金属から形成された電気接点を、補助電極および高抵抗水経路を特定のコネクタ構成で実装することにより、絶縁層の劣化なしに、はるかに高い電圧の用途(例えば、電力伝送、データ転送など)で使用することができる。
【0012】
図1は、水中環境で露出した電気接続の嵌合および嵌合解除(un-mating)を可能にするシステムの例を概略的に示している。具体的には、本明細書に開示されるのは、非導電性不動態化外層の形成により、水中環境で露出した電気接点を嵌合および嵌合解除するのに適した遷移金属接点を含む高電圧水中電気コネクタ100から構成されるシステムである。接点という用語は、ピン、レセプタ、プレートなど、あらゆるタイプの導電性嵌合コンポーネントを指すことができる。遷移金属接点は、正の接点であり、第2の正の接点104と嵌合する第1の正の接点102から構成されている。電気コネクタ100は、両方とも導電性材料(例えば、銅、グラファイト、混合金属酸化物、アルミニウムなど)から形成された第2の負の接点108と嵌合する第1の負の接点106をさらに含む。第1の正の接点102は、ブレークダウン電圧よりも高い電圧源110を介して第1の負の接点106に接続されている。第2の正の接点104は、負荷112を介して第2の負の接点108に接続され、負荷回路を形成している。補助(保護)電極114は、電圧制限回路116(例えば、分圧回路、ツェナーダイオード、トランジスタなど)を介して、第1の正の接点102(または破線で示すように第2の正の接点104)に接続されている。電圧制限回路116は、遷移金属接点102,104のブレークダウン電圧よりも低くなるようにサイズ設定されている。
【0013】
遷移金属接点102,104がそのブレークダウン電圧を超えるのを防止するために、電圧VD1が電圧制限回路116によって正の接点102,104と補助電極114との間に生成され、電圧降下VD2が補助電極114と負の接点106,108との間に生成される。これは、正の接点102,104と負の接点106,108とが嵌合する場合に、補助電極114と負の接点106,108との間に高抵抗流体(例えば、水)経路(例えば、チャネル)120(点線の抵抗器によって模式的に表されている)を確立することによって達成される。抵抗は、電流が流れる長さに比例し、経路の断面積に反比例するため、水経路を狭くするか、または長くすることにより、経路の抵抗が高くなる。
【0014】
上述のように、補助電極114は、水経路120に電流が漏れる(リーク電流122)ことを可能とする材料から形成されている(遷移金属接点102,104の通常の動作では、大きな電流が流れることができないので、補助電極114を設ける理由となる)。高電圧源110を介してコネクタ100に電力が供給される場合、リーク電流122が補助電極114から水経路120を通って第1の負の接点106および第2の負の接点108に流れ、水経路120に沿って電圧降下VD2を生成する。電圧降下VD2は、高電圧源110からの印加電圧から電圧制限回路116の両端間の電圧、すなわち補助電極114と正の接点102,104との間の電圧を差し引いたものにほぼ等しい電圧を水中に生成する。したがって、電圧降下VD2は、遷移金属接点102,104と水との間に、印加電圧から電圧制限回路116の両端間の電圧を差し引いたものにほぼ等しい電圧差を生成し、これは正の(遷移金属)接点102,104のブレークダウン電圧よりも小さい。これは、水に対する正の(遷移金属)接点102,104の電圧を、遷移金属接点102,104のブレークダウン電圧よりも低く制限する。したがって、正の接点102,104上の電圧は、遷移金属のブレークダウン電圧を超えず、よって、高電圧(遷移金属のブレークダウン電圧を超える電圧)用途で使用することができる。
【0015】
図2は、フィンガ204を有する第1の(雄)コネクタ202と、フィンガ204を受け入れるための孔またはソケット208を含む第2の(雌)コネクタ206とを含む、例示的な高電圧水中電気コネクタ200である。1つのフィンガ204の端部には、第1の(遷移金属の)正の接点210が配置され、別のフィンガ204の端部には、第1の負の接点212が配置されている。第2の(遷移金属の)正の接点214は、1つのソケット208内に配置され、第2の負の接点216は、別のソケット208内に配置される。第1のコネクタ202と第2のコネクタ206とが嵌合する場合、フィンガ204がソケット208内に延在して、第1の正の接点210および第1の負の接点212が、それぞれ第2の正の接点214および第2の負の接点216と係合して嵌合し、緊密な嵌合(tight fit)を形成する。フィンガ204と孔208との間の緊密な嵌合は、高電圧コネクタ200の動作を容易にする高い電解液耐性(electrolyte resistance)を提供する。第1のコネクタ202と第2のコネクタ206とが嵌合する場合、第1の正の接点210および第2の正の接点214の各々で自己不動態化層の少なくとも一部が取り除かれ(剥離され(scraped off))、導電接続を形成する。高電圧源218(例えば、接点210および214のブレークダウン電圧よりも高い)は、第1のコネクタ202の正の接点210および負の接点212に電力を供給する。負荷220は、第2のコネクタ206の正の接点214および負の接点216に接続される。したがって、高電圧源218は、負荷220に電力を供給し、駆動する。
【0016】
それぞれ第1のコネクタ202および第2のコネクタ206の正の接点210,214は、自己不動態化遷移金属(例えば、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウムなど)から形成されている。前述のように、自己不動態化遷移金属は、接点の表面上に絶縁層または被膜(skin)を形成し、水の腐食効果から接点を保護する。しかしながら、自己不動態化遷移金属接点は、より高い電圧での自己不動態化層のブレークダウンのために、材料および環境固有のブレークダウン電圧(海水中のニオブで約120ボルト)に制限される。
【0017】
したがって、補助(保護)電極222は、本明細書で説明するように、周囲の水に対する正の接点210,214の電圧を、正の接点210,214のブレークダウン電圧よりも低い値に制限することを容易にするために提供される。補助電極222は、プラチナ、グラファイト、または混合金属酸化物のような、水に電流を容易に流す材料から形成され、第1のコネクタ202の正の接点210と同じフィンガ204上に配置されるが、正の接点210ほど深くには配置されない。補助電極222は、フィンガ204の周りにリングを形成する。補助電極222は、電圧制限回路224(例えば、分圧回路、ツェナーダイオード(図2に示す)、トランジスタなど)を介して第1の正の接点210に電気的に接続されている。電圧制限回路224は、水から保護するためにフィンガ204内に配置され、正の接点210,214のブレークダウン電圧よりも低くなるようにサイズ設定されている。電圧制限回路224がツェナーダイオードを含む例では、正の接点210,214と補助電極222との間の電圧は、ツェナーダイオードの電圧に制限される。
【0018】
コネクタ200が接続される場合、第1のコネクタ202のフィンガ204および第2のコネクタ206のソケット208に沿って、高抵抗流体(例えば、水)経路(例えば、チャネル)が確立される。具体的には、高抵抗水経路228は、補助電極222から負の接点212,216まで延在している。加えて、高抵抗水経路228は、補助電極222の接触面232、および第1の負の接点212の接触面234と接触している。
【0019】
動作中、補助電極222は、水経路228に電流(リーク電流)236を通過させるか、または漏れ出させ、これにより、補助電極222と負の接点212,216との間に電圧降下VD2が生じる。電圧降下VD2は、高電圧源218からの印加電圧から電圧制限回路224の両端、すなわち補助電極222と正の接点210,214との間の第1の電圧降下VD1を差し引いたものにほぼ等しい電圧を水中に生成する。したがって、印加電圧は、遷移金属接点210,214のブレークダウン電圧よりも小さい、VD2からVD1の水経路を通る電圧降下によって減少する。したがって、正の接点210,214上の電圧は、遷移金属のブレークダウン電圧を超えず、よって、高電圧(遷移金属のブレークダウン電圧を超える電圧)用途で使用することができる。
【0020】
図3は、第1の面304を有する第1のコネクタ302と、第1の面304に対向する第2の面308を有する第2のコネクタ306とを含む高電圧水中電気コネクタ300の別の例である。第1のコネクタ302は、第1の(遷移金属の)正の接点310および第1の負の接点312を含む。第1の正の接点310および第1の負の接点312は、それぞれ第1の正の接点310および第1の負の接点312の接触面314,316が、第1のコネクタ302の面304と同一平面上(flush with)になるように、第1のコネクタ302に配置されている。第2のコネクタ306は、第2の(遷移金属の)正の接点318および第2の負の接点320を含む。第2の正の接点318および第2の負の接点320は、それぞれ第2の正の接点318および第2の負の接点320の接触面322,324が、第2のコネクタ306の面308と同一平面上になるように、第2のコネクタ306に配置されている。
【0021】
高電圧源326(例えば、正の接点310および318のブレークダウン電圧よりも高い)は、第1のコネクタ302の正の接点310および負の接点312に電力を供給する。負荷328は、第2のコネクタ306の正の接点318および負の接点320に接続される。したがって、高電圧源326は、負荷328に電力を供給し、駆動する。
【0022】
それぞれ第1のコネクタ302および第2のコネクタ306の正の接点310,318は、自己不動態化遷移金属(例えば、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウムなど)から形成されている。前述のように、自己不動態化遷移金属は、接点の表面に絶縁層または被膜を形成し、環境の腐食効果から接点を保護する。しかしながら、自己不動態化遷移金属接点は、より高い電圧での自己不動態化層のブレークダウンのために、電圧が制限される。
【0023】
したがって、補助(保護)電極330は、本明細書で説明するように、水に対する正の接点310,318の電圧を、正の接点310,318のブレークダウン電圧よりも低い値に制限することを容易にするために提供される。補助電極330は、プラチナ、グラファイト、または混合金属酸化物のような、水に電流を容易に流す材料から形成され、第1のコネクタ302に配置される。補助電極330は、第1の正の接点310の周りにリングを形成する。補助電極330は、補助電極330の接触面332が、第1のコネクタ302の面304と同一平面上になるように、第1のコネクタ302に配置されている。補助電極330は、代わりに、第2の正の接点318の周りのリングとして、第2のコネクタ306に配置することができる。補助電極330は、電圧制限回路334(例えば、分圧回路、ツェナーダイオード(図2に示す)、トランジスタ、抵抗器など)を介して第1の正の接点310に電気的に接続されている。電圧制限回路334は、水から保護するために第1のコネクタ302内に配置され、正の接点310,318のブレークダウン電圧よりも低くなるようにサイズ設定されている。
【0024】
第1のコネクタ302と第2のコネクタ306とが嵌合する場合、第1のコネクタ302の第1の面304と第2のコネクタ306の第2の面308との間に高抵抗流体(例えば、水)経路(例えば、チャネル)338が確立される。具体的には、高抵抗水経路は、補助電極330の接触面332と、第1および第2の負の接点312,320の接触面316,324との間に延在している。
【0025】
動作中、補助電極330は、水経路338に電流(リーク電流)340を通過させるか、または漏れ出させる。リーク電流340は、水経路338に沿って(すなわち、補助電極330と負の接点312,320との間に)電圧降下VD2を生成する。電圧降下VD2は、高電圧源326からの印加電圧から、電圧制限回路334の両端の電圧、すなわち補助電極330と正の接点310,318との間の電圧を差し引いたものにほぼ等しい電圧を水中に生成する。
【0026】
したがって、印加された高電圧から電圧降下VD2を差し引いたものは、遷移金属接点310,318と周囲の水との間に、電圧制限回路334の両端の電圧に等しい電圧差を生成し、これは正の(遷移金属)接点310,318のブレークダウン電圧よりも小さい。したがって、正の接点310,318上の電圧は、遷移金属のブレークダウン電圧を超えず、よって、高電圧(遷移金属のブレークダウン電圧を超える電圧)用途で使用することができる。
【0027】
図4は、高電圧水中電気コネクタがどのように機能するかを示す例示的な試験治具400である。試験治具400は、第1のビーカーの流体(例えば、塩水)404に浸漬された遷移金属(例えば、ニオブ)から形成された正の接点402と、第2のビーカーの流体(例えば、塩水)408に浸漬された導電性材料(例えば、グラファイト)から形成された負の接点406とを含む。不動態化層は、正の接点402が第1のビーカーの水404に浸漬される場合、正の接点402上に形成される。高電圧源410は、正の接点402および負の接点406に接続されている。導電性材料(例えば、グラファイト)から形成された補助(保護)電極412は、第1のビーカーの塩水404に浸漬されている。補助電極412は、電圧制限回路414を介して正の接点402に接続されている。例示的な試験治具400では、電圧制限回路414は、60Vツェナーダイオード等価回路(例えば、npnトランジスタおよび小さなツェナーダイオード)から構成されている。高抵抗水経路(例えば、チャネル)418は、第1のビーカー404および第2のビーカー408の間(すなわち、補助電極412と負の接点406との間)に、小さな直径(直径約1mm)の塩水が満たされたチューブを使用することによって確立されており、チューブの両端は、それぞれ第1のビーカー404および第2のビーカー408に浸漬されている。
【0028】
試験中、高電圧源410を介して320ボルトが正の(遷移金属)接点402に印加された。この場合、320ボルトは、正の遷移金属接点402(ニオブ)のブレークダウン電圧を超えている。補助電極412は、第1のビーカー404の塩水中に電流(リーク電流420)を漏れ出させる。リーク電流420は、高抵抗水経路418を通って第2のビーカー408内の負の接点406まで流れ、それによって、高抵抗水経路418(すなわち、補助電極412と負の接点406との間)に電圧降下VD2を生成する。
【0029】
高電圧源410から補助電極412に印加される電圧は、320ボルトから、ツェナーダイオードの両端の電圧VD1(すなわち、60ボルト)を差し引いたものであり、これは260ボルトに等しい。高抵抗水経路418にわたる電圧降下は、標準電圧計を使用して約260ボルトであると測定された。したがって、第1のビーカー404および第2のビーカー408内の塩水の電圧差は、約260ボルトである。その結果、ビーカー404内の塩水の電圧に対する、正の接点402に印加される電圧は、320ボルトから約260ボルトの電圧降下を引いたものであり、これは約60ボルトである。
【0030】
したがって、電圧降下VD2は、正の(遷移金属)接点402のブレークダウン電圧よりも小さい、正の遷移金属接点402とビーカー404内の塩水との間の電圧差を生成する。換言すれば、ビーカー404内の塩水に対する正の(遷移金属)接点402の電圧は、遷移金属接点402のブレークダウン電圧よりも低い。したがって、正の接点402上の絶縁不動態膜(不動態化層)は維持され、正の接点402に印加される高電圧によって破壊されなかった。その結果、遷移金属接点は、高電圧(遷移金属のブレークダウン電圧を超える電圧)用途で使用することができる。
【0031】
上記の説明は、開示の例を構成する。もちろん、本開示を説明する目的で構成要素または方法の考えられるあらゆる組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、本開示の多くのさらなる組み合わせおよび置換が可能であることを認識するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲を含む、本出願の範囲内に含まれるそのようなすべての変更、修正、および変形を包含することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
第1の正の接点および第1の負の接点を含む第1のコネクタと、
第2の正の接点および第2の負の接点を含む第2のコネクタであって、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点は、自己不動態化遷移金属から形成され、前記自己不動態化遷移金属は、流体または他の腐食環境に浸漬された場合に、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点上に非導電性の外層を形成する特性を有している、前記第2のコネクタと、
前記第1の正の接点および前記第2の正の接点のうちの少なくとも1つに電気的に接続され、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点の嵌合端から離隔された、導電性材料から形成された補助電極と
を備え、
前記第1の正の接点が、流体に浸漬されている間に前記第2の正の接点と嵌合され、前記自己不動態化遷移金属のブレークダウン電圧を超える高電圧源が前記第1の正の接点および前記第2の正の接点に印加される場合、前記補助電極から前記第1および第2の負の接点までの高抵抗流体経路が形成され、前記補助電極は、前記高抵抗流体経路に電流を流して、前記補助電極と前記第1および第2の負の接点との間の前記流体において電圧降下を生じさせるように構成され、これにより、前記流体に対する、前記第1および第2の正の接点に印加される電圧を、前記自己不動態化遷移金属の前記ブレークダウン電圧未満の電圧に制限する、システム。
【請求項2】
前記補助電極を前記第1の正の接点および前記第2の正の接点のうちの少なくとも1つに電気的に接続する電圧制限回路をさらに備え、前記電圧制限回路は、前記第1および第2の正の接点と前記補助電極との間の電圧を制限する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電圧制限回路は、ツェナーダイオード、トランジスタ、または他の電子回路を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1および第2の正の接点と前記補助電極との間の電圧は、前記電圧制限回路の電圧に制限される、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の正の接点が、前記流体に浸漬されている間に前記第2の正の接点と嵌合される場合、前記非導電性の外層の少なくとも一部は、導電性接続を形成するために、剥離によって前記第1の正の接点および前記第2の正の接点から除去される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のコネクタは、複数のフィンガを含む雄コネクタであり、前記複数のフィンガは、前記複数のフィンガのうちの1つの端部に配置された第1の正の接点と、前記複数のフィンガのうちの別の1つの端部に配置された第1の負の接点とを有しており、前記第2のコネクタは、複数のソケットを含む雌コネクタであり、前記複数のソケットは、前記複数のソケットのうちの1つ内に配置された第2の正の接点と、前記複数のソケットのうちの別の1つ内に配置された第2の負の接点とを有しており、前記第1および第2のコネクタが嵌合する場合、前記複数のフィンガが前記複数のソケット内に延在して、前記第1の正の接点および前記第1の負の接点が、それぞれ前記第2の正の接点および前記第2の負の接点と係合して嵌合し、緊密な嵌合を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のコネクタは、第1の面、前記第1の面と同一平面上の接触面を有する第1の正の接点、および前記第1の面と同一平面上の接触面を有する第1の負の接点を含み、前記第2のコネクタは、第2の面、前記第2の面と同一平面上の接触面を有する第2の正の接点、および前記第2の面と同一平面上の接触面を有する第2の負の接点を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記補助電極は、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点のうちの少なくとも1つの周りにリングを形成し、前記補助電極は、前記第1のコネクタの前記第1の面および前記第2のコネクタの前記第2の面のうちの少なくとも1つと同一平面上の接触面を有している、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
高電圧水中電気コネクタであって、
自己不動態化遷移金属から形成された第1の正の接点と、
前記第1の正の接点と嵌合する、自己不動態化遷移金属から形成された第2の正の接点であって、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点は、前記自己不動態化遷移金属から形成され、前記自己不動態化遷移金属は、水に浸漬された場合に、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点上に非導電性の外層を形成する特性を有している、前記第2の正の接点と、
第1の負の接点と、
前記第1の負の接点と嵌合する第2の負の接点と、
前記第1の正の接点に電気的に接続され、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点の嵌合端から離隔された、導電性材料から形成された補助電極と、
前記補助電極を前記第1の正の接点に電気的に接続する電圧制限回路であって、第1および第2の正の接点と前記補助電極との間の電圧を制限する電圧制限回路と
を備え、
前記第1の正の接点が、水に浸漬されている間に前記第2の正の接点と嵌合され、前記自己不動態化遷移金属のブレークダウン電圧を超える高電圧源が前記第1の正の接点および前記第2の正の接点に印加される場合、前記補助電極から前記第1および第2の負の接点までの高抵抗水経路が形成され、前記補助電極は、前記高抵抗水経路に電流を流して、前記補助電極と前記第1および第2の負の接点との間の前記水において電圧降下を生じさせるように構成され、これにより、前記水に対する、前記第1および第2の正の接点に印加される前記電圧を、前記自己不動態化遷移金属の前記ブレークダウン電圧未満の電圧に制限する、高電圧水中電気コネクタ。
【請求項10】
前記第1の正の接点が、前記水に浸漬されている間に前記第2の正の接点と嵌合される場合、前記非導電性の外層の少なくとも一部は、導電性接続を形成するために、剥離によって前記第1の正の接点および前記第2の正の接点から除去される、請求項に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【請求項11】
第1のコネクタおよび第2のコネクタをさらに備え、前記第1のコネクタは、複数のフィンガを含む雄コネクタであり、前記複数のフィンガは、前記複数のフィンガのうちの1つの端部に配置された前記第1の正の接点と、前記複数のフィンガのうちの別の1つの端部に配置された前記第1の負の接点とを有しており、前記第2のコネクタは、複数のソケットを含む雌コネクタであり、前記複数のソケットは、前記複数のソケットのうちの1つ内に配置された前記第2の正の接点と、前記複数のソケットのうちの別の1つ内に配置された前記第2の負の接点とを有しており、前記第1および第2のコネクタが嵌合する場合、前記複数のフィンガが前記複数のソケット内に延在して、前記第1の正の接点および前記第1の負の接点が、それぞれ前記第2の正の接点および前記第2の負の接点と係合して嵌合し、緊密な嵌合を形成する、請求項に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【請求項12】
前記電圧制限回路は、ツェナーダイオード、トランジスタ、または他の電子回路を含む、請求項に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【請求項13】
前記補助電極と前記第1の正の接点との間の電圧は、前記電圧制限回路の電圧に制限される、請求項に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【請求項14】
第1のコネクタは、第1の面、前記第1の面と同一平面上の接触面を有する第1の正の接点、および前記第1の面と同一平面上の接触面を有する第1の負の接点を含み、第2のコネクタは、第2の面、前記第2の面と同一平面上の接触面を有する第2の正の接点、および前記第2の面と同一平面上の接触面を有する第2の負の接点を含む、請求項に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【請求項15】
前記補助電極は、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点のうちの少なくとも1つの周りにリングを形成し、前記補助電極は、前記第1のコネクタの前記第1の面および前記第2のコネクタの前記第2の面のうちの少なくとも1つと同一平面上の接触面を有している、請求項14に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
上記の説明は、開示の例を構成する。もちろん、本開示を説明する目的で構成要素または方法の考えられるあらゆる組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、本開示の多くのさらなる組み合わせおよび置換が可能であることを認識するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲を含む、本出願の範囲内に含まれるそのようなすべての変更、修正、および変形を包含することが意図されている。
以下に、本開示に含まれる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
システムであって、
第1の正の接点および第1の負の接点を含む第1のコネクタと、
第2の正の接点および第2の負の接点を含む第2のコネクタであって、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点は、自己不動態化遷移金属から形成され、前記自己不動態化遷移金属は、流体または他の腐食環境に浸漬された場合に、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点上に非導電性の外層を形成する特性を有している、前記第2のコネクタと、
前記第1の正の接点および前記第2の正の接点のうちの少なくとも1つに電気的に接続され、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点の嵌合端から離隔された、導電性材料から形成された補助電極と
を備え、
前記第1の正の接点が、流体に浸漬されている間に前記第2の正の接点と嵌合され、前記自己不動態化遷移金属のブレークダウン電圧を超える高電圧源が前記第1の正の接点および前記第2の正の接点に印加される場合、前記補助電極から前記第1および第2の負の接点までの高抵抗流体経路が形成され、前記補助電極は、前記高抵抗流体経路に電流を流して、前記補助電極と前記第1および第2の負の接点との間の前記流体において電圧降下を生じさせるように構成され、これにより、前記流体に対する、前記第1および第2の正の接点に印加される電圧を、前記自己不動態化遷移金属の前記ブレークダウン電圧未満の電圧に制限する、システム。
[付記2]
前記補助電極を前記第1の正の接点および前記第2の正の接点のうちの少なくとも1つに電気的に接続する電圧制限回路をさらに備える、付記1に記載のシステム。
[付記3]
前記電圧制限回路は、前記第1および第2の正の接点と前記補助電極との間の電圧を制限する、付記2に記載のシステム。
[付記4]
前記電圧制限回路は、ツェナーダイオード、トランジスタ、または他の電子回路を含む、付記2に記載のシステム。
[付記5]
前記第1および第2の正の接点と前記補助電極との間の電圧は、前記電圧制限回路の電圧に制限される、付記4に記載のシステム。
[付記6]
前記第1の正の接点が、前記流体に浸漬されている間に前記第2の正の接点と嵌合される場合、前記非導電性の外層の少なくとも一部は、導電性接続を形成するために、剥離によって前記第1の正の接点および前記第2の正の接点から除去される、付記1に記載のシステム。
[付記7]
前記自己不動態化遷移金属は、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム、およびイリジウムを含む群から選択される、付記1に記載のシステム。
[付記8]
前記第1のコネクタは、複数のフィンガを含む雄コネクタであり、前記複数のフィンガは、前記複数のフィンガのうちの1つの端部に配置された第1の正の接点と、前記複数のフィンガのうちの別の1つの端部に配置された第1の負の接点とを有しており、前記第2のコネクタは、複数のソケットを含む雌コネクタであり、前記複数のソケットは、前記複数のソケットのうちの1つ内に配置された第2の正の接点と、前記複数のソケットのうちの別の1つ内に配置された第2の負の接点とを有しており、前記第1および第2のコネクタが嵌合する場合、前記複数のフィンガが前記複数のソケット内に延在して、前記第1の正の接点および前記第1の負の接点が、それぞれ前記第2の正の接点および前記第2の負の接点と係合して嵌合し、緊密な嵌合を形成する、付記1に記載のシステム。
[付記9]
前記第1のコネクタは、第1の面、前記第1の面と同一平面上の接触面を有する第1の正の接点、および前記第1の面と同一平面上の接触面を有する第1の負の接点を含み、前記第2のコネクタは、第2の面、前記第2の面と同一平面上の接触面を有する第2の正の接点、および前記第2の面と同一平面上の接触面を有する第2の負の接点を含む、付記1に記載のシステム。
[付記10]
前記補助電極は、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点のうちの少なくとも1つの周りにリングを形成し、前記補助電極は、前記第1のコネクタの前記第1の面および前記第2のコネクタの前記第2の面のうちの少なくとも1つと同一平面上の接触面を有している、付記9に記載のシステム。
[付記11]
高電圧水中電気コネクタであって、
自己不動態化遷移金属から形成された第1の正の接点と、
前記第1の正の接点と嵌合する、自己不動態化遷移金属から形成された第2の正の接点であって、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点は、前記自己不動態化遷移金属から形成され、前記自己不動態化遷移金属は、水に浸漬された場合に、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点上に非導電性の外層を形成する特性を有している、前記第2の正の接点と、
第1の負の接点と、
前記第1の負の接点と嵌合する第2の負の接点と、
前記第1の正の接点に電気的に接続され、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点の嵌合端から離隔された、導電性材料から形成された補助電極と、
前記補助電極を前記第1の正の接点に電気的に接続する電圧制限回路であって、第1および第2の正の接点と前記補助電極との間の電圧を制限する電圧制限回路と
を備え、
前記第1の正の接点が、水に浸漬されている間に前記第2の正の接点と嵌合され、前記自己不動態化遷移金属のブレークダウン電圧を超える高電圧源が前記第1の正の接点および前記第2の正の接点に印加される場合、前記補助電極から前記第1および第2の負の接点までの高抵抗水経路が形成され、前記補助電極は、前記高抵抗水経路に電流を流して、前記補助電極と前記第1および第2の負の接点との間の前記水において電圧降下を生じさせるように構成され、これにより、前記水に対する、前記第1および第2の正の接点に印加される前記電圧を、前記自己不動態化遷移金属の前記ブレークダウン電圧未満の電圧に制限する、高電圧水中電気コネクタ。
[付記12]
前記第1の正の接点が、前記水に浸漬されている間に前記第2の正の接点と嵌合される場合、前記非導電性の外層の少なくとも一部は、導電性接続を形成するために、剥離によって前記第1の正の接点および前記第2の正の接点から除去される、付記11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
[付記13]
前記自己不動態化遷移金属は、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム、およびイリジウムを含む群から選択される、付記11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
[付記14]
第1のコネクタおよび第2のコネクタをさらに備え、前記第1のコネクタは、複数のフィンガを含む雄コネクタであり、前記複数のフィンガは、前記複数のフィンガのうちの1つの端部に配置された前記第1の正の接点と、前記複数のフィンガのうちの別の1つの端部に配置された前記第1の負の接点とを有しており、前記第2のコネクタは、複数のソケットを含む雌コネクタであり、前記複数のソケットは、前記複数のソケットのうちの1つ内に配置された前記第2の正の接点と、前記複数のソケットのうちの別の1つ内に配置された前記第2の負の接点とを有しており、前記第1および第2のコネクタが嵌合する場合、前記複数のフィンガが前記複数のソケット内に延在して、前記第1の正の接点および前記第1の負の接点が、それぞれ前記第2の正の接点および前記第2の負の接点と係合して嵌合し、緊密な嵌合を形成する、付記11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
[付記15]
前記電圧制限回路は、ツェナーダイオード、トランジスタ、または他の電子回路を含む、付記11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
[付記16]
前記補助電極と前記第1の正の接点との間の電圧は、前記電圧制限回路の電圧に制限される、付記11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
[付記17]
前記第1および第2の負の接点は、銅、グラファイト、白金、混合金属酸化物、およびアルミニウムを含む群から選択される導電性材料から形成されている、付記11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
[付記18]
前記補助電極は、白金、グラファイト、および混合金属酸化物を含む群から選択される導電性金属から形成されている、付記11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
[付記19]
第1のコネクタは、第1の面、前記第1の面と同一平面上の接触面を有する第1の正の接点、および前記第1の面と同一平面上の接触面を有する第1の負の接点を含み、第2のコネクタは、第2の面、前記第2の面と同一平面上の接触面を有する第2の正の接点、および前記第2の面と同一平面上の接触面を有する第2の負の接点を含む、付記11に記載の高電圧水中電気コネクタ。
[付記20]
前記補助電極は、前記第1の正の接点および前記第2の正の接点のうちの少なくとも1つの周りにリングを形成し、前記補助電極は、前記第1のコネクタの前記第1の面および前記第2のコネクタの前記第2の面のうちの少なくとも1つと同一平面上の接触面を有している、付記19に記載の高電圧水中電気コネクタ。
【国際調査報告】