(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-07
(54)【発明の名称】ポリマー封入薬物粒子
(51)【国際特許分類】
A61L 29/12 20060101AFI20230331BHJP
A61L 29/16 20060101ALI20230331BHJP
A61L 31/16 20060101ALI20230331BHJP
A61L 31/12 20060101ALI20230331BHJP
A61L 29/08 20060101ALI20230331BHJP
A61L 31/10 20060101ALI20230331BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230331BHJP
A61K 31/436 20060101ALI20230331BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20230331BHJP
A61P 13/08 20060101ALN20230331BHJP
A61P 1/00 20060101ALN20230331BHJP
【FI】
A61L29/12 100
A61L29/16
A61L31/16
A61L31/12 100
A61L29/08 100
A61L31/10
A61P9/10
A61K31/436
A61K31/337
A61P13/08
A61P1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550683
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 US2021018823
(87)【国際公開番号】W WO2021168284
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522331389
【氏名又は名称】ジーアイイー・メディカル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GIE Medical, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ワン,リーシャオ
(72)【発明者】
【氏名】バーネット,ピーター
【テーマコード(参考)】
4C081
4C086
【Fターム(参考)】
4C081AC03
4C081AC06
4C081AC08
4C081AC09
4C081CA06
4C081CA08
4C081CA15
4C081CA16
4C081CA17
4C081CA18
4C081CA24
4C081CD01
4C081CD05
4C081CD09
4C081CD12
4C081CD15
4C081CD17
4C081CE02
4C081CE11
4C081EA02
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086CB22
4C086MA03
4C086MA05
4C086NA20
4C086ZA36
4C086ZA66
4C086ZA81
(57)【要約】
開示された種々の実施態様は、身体内腔における狭窄の再発を処置、予防または低減するためのポリマー封入薬物粒子およびそれを含む薬物放出コーティング、ならびに薬物被覆バルーンカテーテル、およびそれを用いる方法に関する。身体内腔狭窄の標的部位に治療剤を送達するための薬物被覆バルーンカテーテルは、伸長したバルーンを含む。バルーンカテーテルは、バルーンの外表面に重なるコーティング層を含む。コーティング層はポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および第1または第2の添加剤;またはそれらの組合せを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療剤;および
治療剤を封入する1つ以上のポリマー;および
第1のイオン性または両性イオン性添加剤
を含み、前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤は、ポリマー封入薬物粒子内にある、ポリマー封入薬物粒子の表面上に被覆される、またはそれらの組合せである、ポリマー封入薬物粒子。
【請求項2】
前記ポリマー封入薬物粒子が、正のゼータ電位を有する請求項1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項3】
前記ポリマー封入薬物粒子が、ゼロ(0)を超えるゼータ電位を有する請求項2記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項4】
前記ポリマー封入薬物粒子が、-1~-50または1~50のゼータ電位を有する、請求項2~3のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項5】
前記ポリマー封入薬物粒子が、-2~-40または2~40のゼータ電位を有する、請求項2~4のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項6】
前記治療剤が結晶性、部分的に結晶性、非晶性、部分的に非晶性、またはそれらの組合せである、請求項1~5のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項7】
前記治療剤が結晶性および/または部分的に結晶性である、請求項1~6のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項8】
前記ポリマーが、ポリ乳酸(PL)、ポリグリコール酸(GA)、ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体(PLGA)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリホスファゼン、コラーゲン、ゼラチン、キトサン、グリコソミノグリカンおよびその共重合体から選択される少なくとも1つのポリマーである、請求項1~7のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項9】
前記ポリマーが中性ポリマーである、請求項1~8のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項10】
前記ポリマーが、カチオン性、アニオン性、または両性イオン性のポリマーである請求項1~8のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項11】
前記ポリマー封入薬物粒子が、0.2ミクロン~30ミクロンの最大寸法を有する、請求項1~10のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項12】
前記治療剤が、0.1~29.9ミクロンの最大寸法を有する、請求項1~11のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項13】
前記ポリマー封入薬物粒子が、ポリマー封入薬物粒子(PEDP)および/または荷電ポリマー封入薬物粒子(CPEDP)である、請求項1~12のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項14】
前記CPEDPの正の電荷密度がPEDPのものより高い、請求項13記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項15】
前記CPEDPの正の電荷密度が、ポリマー封入剤の不存在下、治療剤のものより高い、請求項13~14のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項16】
前記CPEDPのゼータ電位が、PEDPのものより高い、請求項13~15のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子
【請求項17】
前記CPEDPのゼータ電位が、ポリマー封入剤の不存在下、治療剤のものより高い、請求項13~16のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項18】
前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、ポリマー封入薬物粒子内にある、請求項1~17のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子
【請求項19】
前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、カチオン性分子、アニオン性添加剤または両性イオン性添加剤を含む、請求項1~18のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項20】
前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、ポリマー封入薬物粒子の表面上に被覆される、請求項1~19のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項21】
前記ポリマー封入薬物粒子のゼータ電位が、第1のイオン性または両性イオン性添加剤の表面コーティングを含まない対応するポリマー封入薬物粒子のものより高い、請求項20記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項22】
前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、荷電ポリマー、荷電脂質、リン脂質、ホスホコリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールおよびそれらの組合せを含む、請求項1~21のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項23】
前記荷電脂質の2つのアシル基または荷電リン脂質の2つのアシル基が、ミスマッチアシル基を含む、請求項22記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項24】
前記ミスマッチアシル基が、C6~C34の長さを有する、請求項23記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項25】
前記ミスマッチアシル基が、長さ、飽和度、その置換基、その置換パターン、またはそれらの組合せにより異なる、請求項23~24のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項26】
前記荷電ポリマーが、ポリカチオン含有シクロデキストリン、アミノシクロデキストリンまたはその誘導体、アミノデキストラン、ヒストン、プロタミン、カチオン化ヒト血清アルブミン、アミノ多糖類、キトサン、ペプチド、ポリ-L-リジン、ポリ-L-オルニチン、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリプロピレンイミン、ポリアミドアミンデンドリマー、カチオン性ポリオキサゾリン、ポリ(ベータ-アミノエステル)、PEG-PEI共重合体、PLGA-PEI共重合体、正荷電ゼラチン、ヒドロキシ末端化ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ステアリン酸変性分岐ポリエチレンイミン、分岐PEI-g-PEG、ポリ(1-ビニルピロリドン-コ-2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリ(1-ビニルピロリドン)-グラフト-(1-トリアコンテン)、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリ(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ジメチルアミノエチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/メチルメタクリレートのカチオン性共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレートのアニオン性共重合体、第四級アンモニウム基を持つエチルアクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸エステルの共重合体およびそれらの組合せから選択される、請求項22~25のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項27】
前記荷電脂質が、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、ナトリウム塩、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-デカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、ジエイコセノイル ホスファチジルコリン(1,2-ジエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C20:1 PC)、ジアラキドノイルホスファチジルコリン(1,2-ジアラキドニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C20:0 PC)、ジエルコイルホスファチジルコリン(1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C22:1 PC)、ジドコサヘキサエノイル ホスファチジルコリン(1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C22:6 PC)、ヘンエイコセノイルホスファチジルコリン(1,2-ヘンエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C21:1 PC)、およびジネルボニルホスファチジルコリン(1,2-ジネルボノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C24:1 PC)ならびにそれらの組合せから選択される請求項22~26のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項28】
前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、ナトリウム塩、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-デカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリンおよびそれらの組合せから選択される、請求項1~27のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項29】
前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、少なくとも1つのアシル基を含む、水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、50~750、750~100,000、または750~50,000、または750~10,000の分子量を有する、請求項1~28のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項30】
前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、その純粋な形態の添加剤のものより低い融解温度を有する、請求項1~29のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項31】
前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、その純粋な形態の添加剤のものより低い結晶化度を有する、請求項1~30のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項32】
前記治療剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択される、請求項1~31のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項33】
前記ポリマー封入薬物粒子が、バルーンカテーテル、薬物被覆カテーテル、薬物溶出ステント、バルーン上の薬物溶出ステント、薬物被覆バルーン上の薬物溶出ステント、薬物被覆バルーン上のステントまたはそれらの組合せの上にある、請求項1~32のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子。
【請求項34】
治療剤;
前記治療剤を封入する1つ以上のポリマー;および
第2のイオン性または両性イオン性添加剤を含む放出マトリックス
を含むポリマー封入薬物粒子
を含む薬物放出コーティング。
【請求項35】
前記ポリマー封入薬物粒子が、第1のイオン性または両性イオン性添加剤をさらに含み、前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、前記ポリマー封入薬物粒子内にある、前記ポリマー封入薬物粒子の表面上に被覆される、またはそれらの組合せである、請求項34記載の薬物放出コーティング。
【請求項36】
前記第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤と同じ分子構造を有する、請求項35記載の薬物放出コーティング。
【請求項37】
前記第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤とは異なる分子構造を有する、請求項35~36のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項38】
前記ポリマー封入薬物粒子が、乾燥測定による薬物放出コーティングの10重量%~80重量%である、請求項35~37のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項39】
前記ポリマー封入薬物粒子が、乾燥測定による薬物放出コーティングの25重量%~70重量%である、請求項35~38のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項40】
前記ポリマー封入薬物粒子が、乾燥測定による薬物放出コーティングの40重量%~60重量%である、請求項35~39のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項41】
前記放出マトリックスが、さらに、ポリマー封入薬物粒子のポリマーによる封入がない治療剤の粒子を含む、請求項35~40のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項42】
前記ポリマー封入薬物粒子のポリマーによる封入がない治療剤の粒子が、治療剤の結晶性粒子を含む、請求項41記載の薬物放出コーティング。
【請求項43】
前記ポリマー封入薬物粒子のポリマーによる封入がない治療剤の粒子が、放出マトリックスにおいて均質に分配される、請求項41~42のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項44】
前記ポリマー封入薬物粒子が、放出マトリックスにおいて均質に分配される、請求項35~43のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項45】
前記第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、カチオン性分子、アニオン性添加剤または両性イオン性添加剤を含む、請求項35~44のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項46】
前記放出マトリックス中の第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、荷電ポリマー、荷電脂質、リン脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールおよびそれらの組合せから選択される、請求項35~45のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項47】
前記荷電脂質の2つのアシル基または荷電リン脂質の2つのアシル基が、ミスマッチアシル基を含む、請求項46記載の薬物放出コーティング。
【請求項48】
前記ミスマッチアシル基が、C6~C34の長さを有する、請求項47記載の薬物放出コーティング。
【請求項49】
前記ミスマッチアシル基が、長さ、飽和度、その置換基、その置換パターン、またはそれらの組合せにより異なる、請求項47~48のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項50】
前記荷電ポリマーが、ポリカチオン含有シクロデキストリン、アミノシクロデキストリンまたはその誘導体、アミノデキストラン、ヒストン、プロタミン、カチオン化ヒト血清アルブミン、アミノ多糖類、キトサン、ペプチド、ポリ-L-リジン、ポリ-L-オルニチン、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリプロピレンイミン、ポリアミドアミンデンドリマー、カチオン性ポリオキサゾリン、ポリ(ベータ-アミノエステル)、PEG-PEI共重合体、PLGA-PEI共重合体、正荷電ゼラチン、ヒドロキシ末端化ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ステアリン酸変性分岐ポリエチレンイミン、分岐PEI-g-PEG、ポリ(1-ビニルピロリドン-コ-2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリ(1-ビニルピロリドン)-グラフト-(1-トリアコンテン)、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリ(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ジメチルアミノエチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/メチルメタクリレートのカチオン性共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレートのアニオン性共重合体、第四級アンモニウム基を持つエチルアクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸エステルの共重合体およびそれらの組合せから選択される、請求項46~49のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項51】
前記荷電脂質が、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、ナトリウム塩、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-デカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、ジエイコセノイル ホスファチジルコリン(1,2-ジエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C20:1 PC)、ジアラキドノイルホスファチジルコリン(1,2-ジアラキドニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C20:0 PC)、ジエルコイルホスファチジルコリン(1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C22:1 PC)、ジドコサヘキサエノイル ホスファチジルコリン(1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C22:6 PC)、ヘンエイコセノイルホスファチジルコリン(1,2-ヘンエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C21:1 PC)、およびジネルボニルホスファチジルコリン(1,2-ジネルボノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C24:1 PC)ならびにそれらの組合せから選択される、請求項46~50のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項52】
前記第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、ナトリウム塩、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-デカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリンおよびそれらの組合せから選択される、請求項46~51のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項53】
前記第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、少なくとも1つのアシル基を含む、水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、50~750、750~100,000、または750~50,000、または750~10,000の分子量を有する、請求項46~52のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項54】
前記コーティング中の前記第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、その純粋な形態の添加剤のものより低い融解温度を有する、請求項46~53のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項55】
前記コーティング中の前記第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、その純粋な形態の添加剤のものより低い結晶化度を有する、請求項46~54のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項56】
前記コーティングが、バルーンカテーテル、薬物被覆カテーテル、薬物溶出ステント、バルーン上の薬物溶出ステント、薬物被覆バルーン上の薬物溶出ステント、薬物被覆バルーン上のステントまたはそれらの組合せの上にある、請求項35~55のいずれか1記載の薬物放出コーティング。
【請求項57】
非血管性または血管性の狭窄もしくは狭窄症を処置または予防する方法であって、
身体内腔へ請求項56または33のいずれか1記載のバルーンまたはステントを含むカテーテルを挿入すること;
狭窄、狭窄症、または狭窄もしくは狭窄症が防止される領域とコーティング層を接触させるために、バルーンまたはステントを拡張すること;、
バルーンが用いられる場合、前記方法はバルーンを圧縮させることをさらに含み;および
バルーンが用いられる場合、前記方法は身体内腔からバルーンを取り出すことをさらに含む、前記方法。
【請求項58】
前記治療剤、前記ポリマー、および前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含む懸濁液を形成すること;
前記懸濁液の粒径を低下させるために前記懸濁液を処理すること;および
前記懸濁液中のポリマー封入薬物粒子を形成するために水性プレミックスを前記懸濁液に加えることを含む、請求項1~33のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を作製する方法。
【請求項59】
前記処理が、超音波処理を含む、請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記懸濁液へ前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤を加えることが、前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤で形成されたポリマー封入薬物粒子を被覆する、請求項58~59のいずれか1記載の方法。
【請求項61】
請求項34~56のいずれか1記載の薬物放出コーティングを形成するために第2のイオン性または両性イオン性添加剤を懸濁液に加えること、ポリマー封入薬物粒子をその中で均質化するために任意に懸濁液を撹拌することをさらに含む請求項58~60のいずれか1記載の方法。
【請求項62】
有機溶媒、前記1つ以上のポリマー、前記治療剤および、前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含む有機プレミックスを形成すること;
水および水溶性ポリマーまたは界面活性剤を含む水性プレミックスを形成すること;
有機溶媒を前記水性プレミックスに加えること;
前記水性プレミックスおよび前記有機プレミックスを一緒に組み合わせること;
前記ポリマー封入薬物粒子を含む乳濁液を形成するために、前記組み合わせた水性プレミックスおよび有機プレミックスを撹拌することを含む、
請求項1~33のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を作製する方法。
【請求項63】
前記治療剤、前記1つ以上のポリマーおよび前記第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、前記有機プレミックスに溶解される請求項62記載の方法。
【請求項64】
前記有機プレミックスの前記有機溶媒、および前記水性プレミックスに加えられた前記有機溶媒が、同じ有機溶媒である、請求項62~63のいずれか1記載の方法。
【請求項65】
前記有機プレミックスの前記有機溶媒、および前記水性プレミックスに加えられた前記有機溶媒が、極性有機溶媒である、請求項62~64のいずれか1記載の方法。
【請求項66】
水を、前記ポリマー封入粒子を含む前記乳濁液に加えることをさらに含む、請求項62~65のいずれか1記載の方法。
【請求項67】
前記組み合わせた水性プレミックスおよび有機プレミックスから前記ポリマー封入薬物粒子を分離させることをさらに含む、請求項62~66のいずれか1記載の方法。
【請求項68】
水性液体で前記ポリマー封入薬物粒子を洗浄する、前記ポリマー封入薬物粒子の乾燥する、またはそれらの組合せをさらに含む、請求項62~67のいずれか1記載の方法。
【請求項69】
前記ポリマー封入薬物粒子および有機溶媒を含む第1の混合物を形成すること;
第2のイオン性または両性イオン性添加剤および有機溶媒を含む第2の混合物を形成すること;
第1の混合物および第2の混合物を組み合わせること;および
請求項34記載の薬物放出コーティングを形成するために組み合わせた第1の混合物および第2の混合物を乾燥すること
を含む、請求項62~68のいずれか1記載の方法。
【請求項70】
前記第1の混合物および前記第2の混合物の有機溶媒が、無極性有機溶媒である、請求項69記載の方法。
【請求項71】
前記ポリマー封入薬物粒子を均質に分配させるために、乾燥に先立って前記組み合わせた第1の混合物および第2の混合物を撹拌することをさらに含む、請求項69~70のいずれか1記載の方法。
【請求項72】
バルーンカテーテルのバルーンの外部に請求項1~33のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子または請求項34~56のいずれか1記載の薬物放出コーティングを適用することを含む、バルーンカテーテルを作製する方法。
【請求項73】
伸長したバルーン;および
バルーンの外表面に重なるコーティング層
を含むバルーンカテーテルであって、前記コーティング層が、
請求項1~33のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子、または、
請求項34~56のいずれか1記載の薬物放出コーティング、または
パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択された治療剤、前記治療剤は、0.2ミクロン~10ミクロンの粒径を有し、
少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性または部分的に水不溶性の添加剤を含む第1の添加剤、および
前記第1の添加剤よりもより親和性またはより水溶性であって、ポリエチレングリコール(-(CH
2CH
2O)-)またはポリグリセロール(-(CH
2-CHOH-CH
2O)-)単位を含む第2の添加剤、前記第2の添加剤は750~100,000の範囲の分子量を有する、またはその組合せ
を含む組成物
を含む、前記バルーンカテーテル。
【請求項74】
前記バルーンが、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルおよびポリアミドのブロック共重合体、ポリエーテルブロックアミド、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリエステルのブロック共重合体またはそれらの組合せを含む、請求項73記載のバルーンカテーテル。
【請求項75】
前記バルーンカテーテルが、身体内腔狭窄もしくは狭窄症に治療剤を送達するためにあり、身体内腔狭窄もしくは狭窄症が、尿道狭窄、前立腺尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、洞狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、膀胱頚部狭窄、胆管狭窄、膣狭窄、ステント内再狭窄、冠状動脈狭窄、表在性大腿動脈狭窄、膝窩動脈狭窄、前脛骨動脈狭窄、後脛骨動脈狭窄および腓骨動脈狭窄から選択される、請求項73~74のいずれか1記載のバルーンカテーテル。
【請求項76】
前記バルーンカテーテルが、身体内腔の標的部位に治療剤を送達するためにあり、身体内腔の標的部位が、尿道狭窄、前立腺尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、洞狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、膀胱頚部狭窄、胆管狭窄、膣狭窄、ステント内再狭窄、冠状動脈狭窄、表在性大腿動脈狭窄、膝窩動脈狭窄、前脛骨動脈狭窄、後脛骨動脈狭窄および腓骨動脈狭窄から選択される、請求項73~75のいずれか1記載のバルーンカテーテル。
【請求項77】
前記第1の添加剤、前記第2の添加剤またはそれらの組合せが、治療剤を封入する、請求項73~76のいずれか1記載のバルーンカテーテル。
【請求項78】
前記添加剤に封入された治療剤が、治療剤自体より大きな粒径を有する、請求項77記載のバルーンカテーテル。
【請求項79】
前記コーティング中の前記添加剤に封入された治療剤の粒径が、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある、請求項77~78のいずれか1記載のバルーンカテーテル。
【請求項80】
前記コーティング中の前記第1の添加剤が、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い融解温度を有する、請求項73~79のいずれか1記載のバルーンカテーテル。
【請求項81】
前記コーティング中の前記第1の添加剤が、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い結晶化度を有する、請求項73~80のいずれか1記載のバルーンカテーテル。
【請求項82】
前記コレステリル基を持つ第1の添加剤が、コレステロール、酢酸コレステリル、フェニル酢酸コレステリル、ラウリン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、n-吉草酸コレステリル、安息香酸コレステリル、ヘプチル酸コレステリル、デシル酸コレステリル、カプロン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、炭酸コレステリルオレイル、リノール酸コレステリル、ペラルゴン酸コレステリル、エルカ酸コレステリル、カプリル酸コレステリル、5α-コレスタン、5α-コレスタン-3-オンおよびそれらの組合せから選択される、請求項73~81のいずれか1記載のバルーンカテーテル。
【請求項83】
少なくとも1つのアルキル脂肪族基を含む前記第1の添加剤が、アルキルグリセリルエーテル、C8~C12脂肪酸のモノグリセリド、アルキルアルコール、アルキルエーテル、アルキルエステル、カプリル酸、モノカプリリン、カプリン酸、モノカプリン、ラウリン酸、ドデシルグリセロール、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オクタデカトリエン酸、エイコサン酸、エイコセン酸、エイコサテトラエン酸、イコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、トコトリエノール、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、アルファリノレン酸、ガンマリノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、天然もしくは合成リン脂質、モノ-、ジ-、またはトリアシルグリセロール、カルディオリピン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、アルファトコフェロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン ホスファチジルグリセロール、スフィンゴ脂質、プロスタグランジン、ガングリオシド、ネオビー、ニオゾーム、それらの誘導体およびそれらの組合せから選択される、請求項73~82のいずれか1記載のバルーンカテーテル。
【請求項84】
前記第2の添加剤が、コレステリル-ポリエチレングリコール600セバケート、ポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケート、メチル化ポリエチレングリコールコレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコールコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエステルコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエーテルコレステロール(PEGコレステロール)、メチル化ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコール(PEG)-コレステリルセバケート、ポリエチレングリコールコレステロール、PEGアミドエステルコレステロール、PEGアミドエーテルコレステロール、mPEGアミドエステルコレステロール、DSPE-PEG-コレステロール、PEG化リン脂質、メチル化PEG化リン脂質、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、カプリル酸PEG、カプリン酸PEG、カプロン酸PEG、モノラウリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-20)、モノパルミチン酸PEG-20ソルビタン(Tween-40)、モノステアリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-60)、モノオレイン酸PEG-20ソルビタン(Tween-80)、ラウリン酸PEG、オレイン酸PEG、ステアリン酸PEG、ラウリン酸PEGグリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ポリグルセリル脂肪酸エステル、オレイン酸ポリグルセリル、ジオレイン酸ポリグルセリル-2、トリオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル、ミリスチン酸ポリグルセリル、パルミチン酸ポリグルセリル、リノール酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル-10、オレイン酸ポリグルセリル-10、モノ/ジオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-10、ラウリン酸ポリグルセリル-10、ミリスチン酸ポリグルセリル-10、パルミチン酸ポリグルセリル-10、リノール酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-6、ラウリン酸ポリグルセリル-6、ミリスチン酸ポリグルセリル-6、パルミチン酸ポリグルセリル-6、リノール酸ポリグルセリル-6およびそれらの組合せから選択される、請求項73~83のいずれか1記載のバルーンカテーテル。
【請求項85】
身体内腔狭窄もしくは狭窄症の標的部位に治療剤を送達するためのバルーンカテーテルであって、前記バルーンカテーテルが、
伸長したバルーン;および
前記バルーンの外表面に重なるコーティング層を含み、前記コーティング層が、
請求項1~33のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子、または、
請求項34~56のいずれか1記載の薬物放出コーティング、または、
パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択された治療剤、前記治療剤が0.2ミクロン~5ミクロンの粒径を有し、
第1の添加剤、および、
第2の添加剤、または、
それらの組合せ
を含む組成物を含み、
前記バルーンは、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルおよびポリアミドのブロック共重合体、ポリエーテルブロックアミド、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリエステルのブロック共重合体またはそれらの組合せを含み;
前記治療剤が結晶性、部分的に結晶性、またはそれらの組合せであり;
前記第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せが、治療剤を封入し、前記添加剤に封入された治療剤が、治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の前記添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある;
前記第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、前記第1の添加剤が、50~750の分子量を有する;
前記コーティング中の前記第1の添加剤が、その純粋な形態の前記第1の添加剤のものより低い融解温度を有する;
前記コーティング中の前記第1の添加剤が、その純粋な形態の前記第1の添加剤のものより低い結晶化度を有する;
前記第2の添加剤が、前記第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、ポリエチレングリコール(-(CH
2CH
2O)-)またはポリグリセロール(-(CH
2-CHOH-CH
2O)-)単位を含み、前記第2の添加剤が750~100,000の範囲の分子量を有し;
身体内腔狭窄もしくは狭窄症が、尿道狭窄、前立腺尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、洞狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、膀胱頚部狭窄、胆管狭窄、膣狭窄、ステント内再狭窄、冠状動脈狭窄、表在性大腿動脈狭窄、膝窩動脈狭窄、前脛骨動脈狭窄、後脛骨動脈狭窄および腓骨動脈狭窄から選択され;
前記コレステリル基を持つ第1の添加剤が、コレステロール、酢酸コレステリル、フェニル酢酸コレステリル、ラウリン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、n-吉草酸コレステリル、安息香酸コレステリル、ヘプチル酸コレステリル、デシル酸コレステリル、カプロン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、炭酸コレステリルオレイル、リノール酸コレステリル、ペラルゴン酸コレステリル、エルカ酸コレステリル、カプリル酸コレステリル、5α-コレスタン、5α-コレスタン-3-オンおよびそれらの組合せから選択され;
水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の、前記アルキル脂肪族基を持つ水不溶性の第1の添加剤が、アルキルグリセリルエーテル、C8~C12脂肪酸のモノグリセリド、アルキルアルコール、アルキルエーテル、アルキルエステル、カプリル酸、モノカプリリン、カプリン酸、モノカプリン、ラウリン酸、ドデシルグリセロール、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オクタデカトリエン酸、エイコサン酸、エイコセン酸、エイコサテトラエン酸、イコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、トコトリエノール、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、アルファリノレン酸、ガンマリノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、天然もしくは合成リン脂質、モノ-、ジ-、またはトリアシルグリセロール、カルディオリピン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、アルファトコフェロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン ホスファチジルグリセロール、スフィンゴ脂質、プロスタグランジン、ガングリオシド、ネオビー、ニオゾーム、それらの誘導体およびそれらの組合せから選択され、
前記水溶性の第2の添加剤が、コレステリル-ポリエチレングリコール600セバケート、ポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケート、メチル化ポリエチレングリコールコレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコールコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエステルコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエーテルコレステロール(PEGコレステロール)、メチル化ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコール(PEG)-コレステリルセバケート、ポリエチレングリコールコレステロール、PEGアミドエステルコレステロール、PEGアミドエーテルコレステロール、mPEGアミドエステルコレステロール、DSPE-PEG-コレステロール、PEG化リン脂質、メチル化PEG化リン脂質、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、カプリル酸PEG、カプリン酸PEG、カプロン酸PEG、モノラウリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-20)、モノパルミチン酸PEG-20ソルビタン(Tween-40)、モノステアリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-60)、モノオレイン酸PEG-20ソルビタン(Tween-80)、ラウリン酸PEG、オレイン酸PEG、ステアリン酸PEG、ラウリン酸PEGグリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ポリグルセリル脂肪酸エステル、オレイン酸ポリグルセリル、ジオレイン酸ポリグルセリル-2、トリオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル、ミリスチン酸ポリグルセリル、パルミチン酸ポリグルセリル、リノール酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル-10、オレイン酸ポリグルセリル-10、モノ/ジオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-10、ラウリン酸ポリグルセリル-10、ミリスチン酸ポリグルセリル-10、パルミチン酸ポリグルセリル-10、リノール酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-6、ラウリン酸ポリグルセリル-6、ミリスチン酸ポリグルセリル-6、パルミチン酸ポリグルセリル-6、リノール酸ポリグルセリル-6およびそれらの組合せから選択される、
前記バルーンカテーテル。
【請求項86】
消化身体内腔または胃腸管における狭窄の予防または処置のための方法であって、
非血管性狭窄を含む身体内腔の標的部位にバルーンカテーテルを挿入すること、前記バルーンカテーテルが、
伸長したバルーンおよび、
バルーンの外表面に重なるコーティング層を含み、前記コーティング層が、
請求項1~33のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子、または、
請求項34~56のいずれか1記載の薬物放出コーティング、または、
パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択された治療剤、前記治療剤が0.2ミクロンから10ミクロンの粒径を有し、
水不溶性または部分的に水不溶性の添加剤を含む第1の添加剤、および
前記第1の添加剤よりもより親和性またはより水溶性である第2の添加剤、または
それらの組合せ
を含む組成物を含み、
前記バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、非血管性狭窄の位置にて身体内腔の壁と前記コーティング層とを接触させるために標的部位にてバルーンを膨張させること;
膨張期間後にバルーンを圧縮させること;および
身体内腔から前記バルーンカテーテルを回収することを含み、
前記第1の添加剤、前記第2の添加剤またはそれらの組合せが、前記治療剤を封入し、添加剤に封入された治療剤が治療剤自体より大きな粒径を有し、前記コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある;
前記消化身体内腔または胃腸管における狭窄が、食道狭窄、アカラシア狭窄、胆道狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、回腸肛門J型嚢狭窄、大腸狭窄またはそれらの組合せを含む;および
前記消化身体内腔または胃腸管における狭窄が、好酸球性食道炎の食道狭窄、放射線誘発狭窄、クローン病誘発狭窄、潰瘍性大腸炎誘発狭窄、慢性炎症性腸疾患(IBD)誘発狭窄、外科的手術の吻合部狭窄またはそれらの組合せを含む、前記方法。
【請求項87】
血管性身体内腔における狭窄もしくは狭窄症の予防または処置のための方法であって、
血管の狭窄もしくは狭窄症を含む身体内腔の標的部位にバルーンカテーテルを挿入すること、前記バルーンカテーテルは、
伸長したバルーン、および
前記バルーンの外表面に重なるコーティング層を含み、前記コーティング層は、
請求項1~33のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子、または、
請求項34~56のいずれか1記載の薬物放出コーティング、または、
パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せを含む治療剤、
第1の添加剤、および
第2の添加剤、または、
それらの組合せを含み、
前記治療剤は、結晶性、部分的に結晶性、非晶性、部分的に非晶性、またはそれらの組合せであり、
前記治療剤の粒径は、0.2ミクロン~5ミクロンの範囲にあり、
前記第1の添加剤、前記第2の添加剤またはそれらの組合せは、前記治療剤を封入し、前記添加剤に封入された治療剤は治療剤自体より大きな粒径を有し、前記コーティング中の前記添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある;
前記第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、前記第1の添加剤は、50~750の分子量を有し、
前記コーティング中の前記第1の添加剤は、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い融解温度を有し、
前記コーティング中の前記第1の添加剤は、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い結晶化度を有し、
前記第2の添加剤は、前記第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、ポリエチレングリコール(-(CH
2CH
2O)-)またはポリグリセロール(-(CH
2-CHOH-CH
2O)-)単位を含み、および
前記第2の添加剤の分子量は750~100,000の範囲にある;
前記バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、狭窄もしくは狭窄症の位置にて身体内腔の壁とコーティング層とを接触させるために標的部位にて前記バルーンを膨張させること;
膨張期間後に前記バルーンを圧縮させること;および
身体内腔から前記バルーンカテーテルを回収すること
を含む、前記方法。
【請求項88】
治療剤結晶の大部分が、0.2ミクロン~5.0ミクロンの粒径を有するように、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択された治療剤を処理すること;
前記治療剤が前記治療剤、第1の水不溶性添加剤および第2の水溶性添加剤と実質的に不溶性である流体を混合すること;および
バルーンカテーテルの外表面に前記混合物を適用すること、前記第1の添加剤、前記第2の添加剤またはそれらの組合せは、前記治療剤を封入し、前記添加剤に封入された治療剤は、治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の前記添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある、
を含む、被覆したバルーンカテーテルを調製する方法。
【請求項89】
さらに、
前記バルーンカテーテルを膨張させること;
前記バルーンの表面を清浄化すること;および
前記バルーンがコーティング機の内部で水平に取付可能であり、固定速度で回転するように、前記バルーンを固定すること
を含むバルーンカテーテルを調製すること;
ノズルがバルーンを横切って横に移行する間、前記バルーンの表面上に混合物を分配すること;および
室温で、または室温より高くで溶媒を蒸発させるためにバルーンを回転させ続けること、を含む請求項88記載の方法。
【請求項90】
さらに、
前記バルーンカテーテルにひだをつけて折り重ねること;および
被覆した前記バルーンカテーテルを滅菌することを含む請求項89記載の方法。
【請求項91】
前記第1の添加剤が、コレステロール、酢酸コレステリル、フェニル酢酸コレステリル、ラウリン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、n-吉草酸コレステリル、安息香酸コレステリル、ヘプチル酸コレステリル、デシル酸コレステリル、カプロン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、炭酸コレステリルオレイル、リノール酸コレステリル、ペラルゴン酸コレステリル、エルカ酸コレステリル、カプリル酸コレステリル、5α-コレスタン、5α-コレスタン-3-オンおよびそれらの組合せから選択される、請求項88~90のいずれか1記載の方法。
【請求項92】
前記第1の添加剤が、アルキルグリセリルエーテル、C8~C12脂肪酸のモノグリセリド、アルキルアルコール、アルキルエーテル、アルキルエステル、カプリル酸、モノカプリリン、カプリン酸、モノカプリン、ラウリン酸、ドデシルグリセロール、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オクタデカトリエン酸、エイコサン酸、エイコセン酸、エイコサテトラエン酸、イコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、トコトリエノール、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、アルファリノレン酸、ガンマリノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、天然もしくは合成リン脂質、モノ-、ジ-、またはトリアシルグリセロール、カルディオリピン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、アルファトコフェロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン ホスファチジルグリセロール、スフィンゴ脂質、プロスタグランジン、ガングリオシド、ネオビー、ニオゾーム、それらの誘導体およびそれらの組合せから選択される、請求項88~91のいずれか1記載の方法。
【請求項93】
前記水溶性の第2の添加剤が、コレステリル-ポリエチレングリコール600セバケート、ポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケート、メチル化ポリエチレングリコールコレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコールコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエステルコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエーテルコレステロール(PEGコレステロール)、メチル化ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコール(PEG)-コレステリルセバケート、ポリエチレングリコールコレステロール、PEGアミドエステルコレステロール、PEGアミドエーテルコレステロール、mPEGアミドエステルコレステロール、DSPE-PEG-コレステロール、PEG化リン脂質、メチル化PEG化リン脂質、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、カプリル酸PEG、カプリン酸PEG、カプロン酸PEG、モノラウリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-20)、モノパルミチン酸PEG-20ソルビタン(Tween-40)、モノステアリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-60)、モノオレイン酸PEG-20ソルビタン(Tween-80)、ラウリン酸PEG、オレイン酸PEG、ステアリン酸PEG、ラウリン酸PEGグリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ポリグルセリル脂肪酸エステル、オレイン酸ポリグルセリル、ジオレイン酸ポリグルセリル-2、トリオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル、ミリスチン酸ポリグルセリル、パルミチン酸ポリグルセリル、リノール酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル-10、オレイン酸ポリグルセリル-10、モノ/ジオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-10、ラウリン酸ポリグルセリル-10、ミリスチン酸ポリグルセリル-10、パルミチン酸ポリグルセリル-10、リノール酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-6、ラウリン酸ポリグルセリル-6、ミリスチン酸ポリグルセリル-6、パルミチン酸ポリグルセリル-6、リノール酸ポリグルセリル-6およびそれらの組合せから選択される、請求項88~92のいずれか1記載の方法。
【請求項94】
プレミックスを形成するために、水、水混和性溶媒、治療剤および水溶性添加剤を混合すること;
前記治療剤の粒径を低下させるためにプレミックスを処理すること;
第2のプレミックスを形成するために、不溶性水添加剤、水溶性添加剤、水、および水混和性溶媒を混合すること;
コーティング溶液を形成するために、前記第2のプレミックスを前記第1の処理されたプレミックスと混合すること;
前記治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択される;
前記治療剤は、結晶性、部分的に結晶性またはそれらの組合せである;
前記コーティング溶液は前記治療剤の水性懸濁液である;
前記治療剤の粒径は、0.2ミクロン~5ミクロンの範囲にある;
前記第1の添加剤、前記第2の添加剤またはそれらの組合せは、前記治療剤を封入し、前記添加剤に封入された治療剤は、前記治療剤自体より大きな粒径を有し、前記コーティング中の前記添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある;
前記処理は、顕微溶液化、均質化、ロータースターターミリング、高低エネルギービードミリング、または高性能超音波プローブ均質化の1つである;
前記第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、前記第1の添加剤は、50~750の分子量を有する;
前記コーティング中の前記第1の添加剤は、その純粋な形態の前記第1の添加剤のものより低い融解温度を有する;
前記コーティング中の前記第1の添加剤は、その純粋な形態の前記第1の添加剤のものより低い結晶化度を有する;および
前記第2の添加剤は前記第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、ポリエチレングリコール(-(CH
2CH
2O)-)またはポリグリセロール(-(CH
2-CHOH-CH
2O)-)単位を含み、前記第2の添加剤は750~100,000の範囲の分子量を有する、
ことを含む、薬物コーティング溶液を調製する方法。
【請求項95】
プレミックスを形成するために、水、水混和性溶媒、治療剤および水溶性添加剤を混合すること;
前記治療剤の粒径を低下させるために前記プレミックスを処理すること;
前記第2のプレミックスを形成するために、不溶性水添加剤、前記水溶性添加剤、水、および水混和性溶媒を混合すること;
コーティング溶液を形成するために、前記第2のプレミックスを前記第1の処理されたプレミックスと混合すること;
前記治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択される;
前記治療剤は、結晶性、部分的に結晶性、非晶性、部分的に非晶性、またはそれらの組合せである;
前記コーティング溶液は前記治療剤の水性懸濁液である;
前記コーティング溶液での前記治療剤の粒径は、0.2ミクロン~5ミクロンの範囲にある;
前記水溶性添加剤、前記水不溶性の添加剤またはそれらの組合せは、前記治療剤を封入し、前記添加剤に封入された治療剤は、前記治療剤自体より大きな粒径を有し、前記コーティング中の前記添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある;
前記第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、前記第1の添加剤は、50~750の分子量を有する;
前記コーティング中の前記第1の添加剤は、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い融解温度を有する;
前記コーティング中の前記第1の添加剤は、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い結晶化度を有する;
第2の添加剤は前記第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、ポリエチレングリコール(-(CH
2CH
2O)-)またはポリグリセロール(-(CH
2-CHOH-CH
2O)-)単位を含み、前記第2の添加剤は750~100,000の範囲の分子量を有することを含む水性懸濁コーティング溶液を調製すること;
前記バルーンカテーテルを膨張させること;
前記バルーンの表面を清浄化すること;および
コーティング機の内部でバルーンを水平に取り付けることができ、固定速度で回転することができるように、前記バルーンを固定すること;
ノズルがバルーンを横切って横に移行する間、前記バルーンの表面上に前記コーティング溶液を分配すること;および
室温で、または室温より高くで溶媒を蒸発させるために前記バルーンを回転させ続けること;
前記バルーンカテーテルにひだをつけて折り重ねること;および
被覆した前記バルーンカテーテルを滅菌すること
を含むバルーンカテーテルを調製すること
を含む、バルーンカテーテルを被覆する方法。
【請求項96】
心臓弁の標的部位に請求項56または33のいずれか1記載のバルーンまたはステントを挿入すること;
前記バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、身体内腔の壁とコーティング層とを接触させ、心臓弁狭窄を拡張するために前記標的部位にて前記バルーンを膨張させること;
膨張期間後に前記バルーンを圧縮させること;および
前記身体内腔からバルーンカテーテルを回収すること
を含む、狭窄した心臓弁の処置または予防のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年2月21日付けで出願された米国仮特許出願第62/979,980号、および2020年10月23日付けで出願された米国仮特許出願第63/104,965号の優先権の利益を主張し、それらの開示をここに出典明示してそのすべてを本明細書の一部とみなす。
【0002】
以下の出願の各開示を、ここに出典明示してそのすべてを本明細書の一部とみなす。2017年5月5日付けで出願された米国仮特許出願第62/502,212号の優先権の利益を主張する2018年5月4日付けで出願されたPCT/US2018/03108の一部継続である米国特許出願第16/135,436号。また、米国特許出願第16/135,436号は、2015年4月24日付けで出願された米国仮特許出願第62/152,559号の優先権の利益を主張する2016年4月21日付けで出願された国際出願PCT/US2016/028652からの米国特許法第371条下の米国国内段階出願である2017年10月23日付けで出願された米国仮特許出願第15/568,614号の一部継続である。また、米国特許出願第16/135,436号は、2012年10月26日付けで出願された米国仮特許出願第61/795,790号の優先権の利益を主張する2013年10月14日付けで出願された国際出願PCT/US2013/064842からの米国特許法第371条下の米国国内段階出願である2015年4月24日付けで出願された米国仮特許出願第14/438,327号の一部継続である。
2017年5月5日付けで出願された米国仮特許出願第62/502,212号の優先権の利益を主張する2018年5月4日付けで出願されたPCT/US2018/03108の一部継続である米国特許出願第16/135,472号。また、米国特許出願第16/135,472号は、2015年4月24日付けで出願された米国仮特許出願第62/152,559号の優先権の利益を主張する2016年4月21日付けで出願された国際出願PCT/US2016/028652からの米国特許法第371条下の米国国内段階出願である2017年10月23日付けで出願された米国仮特許出願第15/568,614号の一部継続である。また、米国特許出願第16/135,472号は、2012年10月26日付けで出願された米国仮特許出願第61/795,790号の優先権の利益を主張する2013年10月14日付けで出願された国際出願PCT/US2013/064842からの米国特許法第371条下の米国国内段階出願である2015年4月24日付けで出願された米国仮特許出願第14/438,327号の一部継続である。
【背景技術】
【0003】
(背景)
前立腺肥大症は、前立腺の非癌性肥大であり、60歳を超える男性の50%を超えて発症する。前立腺は生涯の早期にクルミのサイズおよび形状であり、重さ約20グラムである。前立腺肥大は、正常なプロセスのようである。前立腺は、年齢と共に、サイズにおいて徐々にその標準サイズの2倍以上に増加する。前立腺が成長するにつれて、それは尿道を圧迫し狭くし、前立腺部尿道圧迫および、排泄を困難または不可能にする尿閉塞を引き起こす。
【0004】
男性の尿道狭窄疾患がいくつかの母集団において0.6%の高い割合で生じる。尿道狭窄疾患は高齢者人口においてより一般的のようである。尿道狭窄の患者は、中等度から重度の合併症、例えば、下部尿路排尿症状または尿閉、再発性尿路感染症および、拡張、尿道切開または尿道形成のごとき反復尿道処置を経験する。
【0005】
上部尿路の尿管狭窄は先天的または後天的のいずれかである。先天的尿管狭窄は、最も一般的に腎盂尿路移行部に位置する。大抵の尿管狭窄は後天的であり、通常医原性である。尿管狭窄の最も一般的な病因は、内視鏡、開放性(open)または腹腔鏡の外科的手術の間の傷害である。
【0006】
膀胱頚部狭窄(例えば、狭窄または拘縮)および尿道狭窄は、前立腺癌の全処置についての認識された合併症である。難治性膀胱頚部狭窄は、全体として比較的まれである;しかしながら、これらはかなりの罹患率と関連し、しばしば、随伴合併症および生活の質への衝撃での多数の介在を必要とする。膀胱頚部狭窄および尿道狭窄は、前立腺全摘出術(RP)、放射線療法、凍結療法および高密度焦点式超音波療法(HIFU)のごとき前立腺癌の処置に続く合併症である。
【0007】
消化身体内腔または胃腸管における狭窄は、食道狭窄、アカラシア狭窄、胆道狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄を含む。疾病のタイプは狭窄を良性または悪性に分類する。
【0008】
胆管がより小さいかより狭くなる場合、胆管狭窄とも呼ばれる胆道狭窄が生じる。胆管は、肝臓から小腸に胆汁を持って行く管である。胆管が狭くなる場合、それは食物が消化することを困難にする。胆道狭窄は、胆管に対するいずれの傷害、腫脹、膵臓炎、腸損傷、および胆管または膵臓中の癌により生じかねない。胆道狭窄の症状は、痛み、悪寒および発熱、かゆみ、および悪心または嘔吐を含む。
【0009】
食道狭窄は消化器内科において一般的に遭遇する問題であり、悪性または良性の損傷によって引き起こされかねない。嚥下困難はすべての患者によって経験される症状である。ほとんどのこれらの患者は、嚥下困難を取り除くために対症療法を必要とする。
【0010】
バレット食道とも呼ばれるバレット疾病は、結腸中にのみ通常存在する、散在性杯状細胞を持った正常な重層扁平上皮から単純な円柱上皮までの食道のより低い部分を裏打ちする(lining)粘膜細胞における異常な(異形成)変化が存在する状態である。この変化が、食道腺癌、しばしば致命的な癌である食道腺癌へのさらなる遷移の高頻度と関係しているために、前癌状態であると考えられる。
【0011】
好酸球性食道炎(EoE)は慢性炎症疾患である。この疾患の症状は、嚥下困難および食物圧入(impaction)を含み、しばしば食道狭窄の結果である。ブジーおよびバルーンカテーテルを用いる好酸球性食道炎の食道線維狭窄性(fibrostenotic)狭窄の反復性内視鏡拡張は、かかる狭窄の処置に用いられる。
【0012】
下方胃腸管狭窄は、その領域を通って食物の移動を遅延または妨げることにより、問題を引き起こす腸のセクションの狭小化である。狭窄は、再発性炎症、癌、クローン病および潰瘍性大腸炎によって引き起こされる。狭窄は、食道狭窄、アカラシア狭窄、ステント中の狭窄、胆道狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄を含む。
【0013】
炎症性腸疾患(IBD)は、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)を含む。クローン病および潰瘍性大腸炎誘発性狭窄は、炎症性腸疾患およびその処置のための手術の共通の合併症である。炎症性腸疾患に罹患したものの狭窄率は、経時的に34%~70%の範囲にある。狭窄のいくつかは、難治性または再発性であり、それらは、処置のための反復性内視鏡拡張を必要とする。
【0014】
吻合は、流体を運搬する2つの身体構造間の接続または開口である。外科的吻合は外科的技術を介する2つの流体運搬の身体内腔構造の連結である。吻合部狭窄は吻合が狭くなることである。吻合部狭窄は、外科的吻合、ならびに前立腺全摘出術、腸切除および胃バイパス術のごとき種々の他の外科的手術の共通の合併症である。吻合部狭窄は通常線維症であり、管理および処置するのが難しくなり得る。吻合部狭窄は、同じ身体構造の2つの部分、または2つの異なる身体構造間の吻合における狭窄を含むことができ、身体構造は、食道、胆道、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、結腸、直腸、大腸、結腸、直腸、尿道、尿路または膀胱頚部であり得る。吻合部狭窄は、結腸直腸狭窄、胃バイパス後の狭窄、回腸結腸狭窄、胃腸狭窄、J型嚢狭窄または膀胱頚部狭窄(例えば、狭窄症)であることができる。バルーン拡張が吻合部狭窄を管理する安全でかつ有効な非外科的方法であることが示されているが、依然として、難治性吻合部狭窄または再発性吻合部狭窄による反復性バルーン拡張の必要性のごとき問題は残る。
【0015】
膣狭窄は、膣が線維組織の形成のためにより狭くかつより短くなる異常状態である。膣狭窄は性機能障害、性交疼痛症に対してネガティブな衝撃を有し、骨盤検査(pelvic exams)を困難でかつ痛くしかねない。また、膣の裏打ち(lining)は、より薄くより乾燥しているかもしれず、瘢痕組織(scar tissue)を含み得る。この状態の結果、性交または骨盤検査中に痛みを生じかねない。膣狭窄は、会陰切開、骨盤に対する放射線療法または種々のタイプの手術によりしばしば生じる。
【0016】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、2つの主要な気流閉塞疾患:慢性気管支炎および肺気腫を分類するために用いられる用語である。約1600万人のアメリカ人がCOPDを有し、それらの80~90%は彼らの多くの生涯の全体にわたり喫煙者であった。COPDは米国の死亡の主要原因である。慢性気管支炎は、気管支気道の炎症である。気管支気道は、気管を肺に連結する。炎症した場合、気管支は粘液を分泌し、慢性の咳を引き起こす。肺気腫は、肺における肺胞の過剰膨張、または気嚢である。この状態は息切れを引き起こす。
【0017】
喘息は、気道炎症、過剰粘液産生および気道過剰反応性、ならびに過度にまたは余りにも容易に狭い気道が刺激に応答する状態により特徴付けられる慢性呼吸疾患である。喘息発症または発作は、気道の狭小化を引き起こし、これは呼吸を困難にする。喘息発作は多くの活動への参加を制限して、患者の生活にかなりの衝撃を有しかねない。重篤な場合において、喘息発作は生命を危うくし得る。現在、喘息についての既知の治療法は存在しない。
【0018】
慢性副鼻腔炎は、1つ以上の副鼻腔の膜裏打ち(membrane lining)の炎症である。慢性副鼻腔炎は、3週間より長く続き、しばしば何か月も継続する。慢性副鼻腔炎の症例において、組織損害が通常存在する。疾病管理センター(CDC)によれば、慢性副鼻腔炎の3700万の症例が毎年報告されている。
【0019】
放射線(例えば、放射線療法)は局所的癌の処置のモードの1つとして用いられる。局所的癌は最も一般的に診断される癌である。大多数の患者は潜在的に治療可能な初期段階において診断される。標準的な局所的処置オプションは、積極的監視(active surveillance)、前立腺癌のための前立腺全摘出術(RP)、およびすべての癌処置について一般的に、放射線療法(RT)を含む。放射線療法は外照射(EBRT)または密封小線源治療(brachytherapy(BT))を介して送達することができる。各処置に関連した副作用は著しく変わりかねない。局所的癌は、前立腺癌、尿道癌、尿路癌、食道癌、胆道癌、胃癌、小腸癌、十二指腸癌、空腸癌、回腸癌、結腸癌、直腸癌、大腸癌および肺癌を含む。放射線処置は狭窄のごとき隣接した健康組織において傷を創成しかねない。放射線処置誘発性狭窄は尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄を含むことができる。放射線誘発性狭窄の処置は複雑で困難になり得る。高生存率のため、米国の前立腺癌生存者数は、2015年にほぼ280万まで毎年220,000名増加し、前立腺癌処置のための放射線療法の短期的または長期間の副作用についての危険な状態の多数の男性を残している。前立腺癌処置のための放射線療法の副作用としての尿道狭窄の進行は、特に問題である。
【0020】
種々の癌、大きな結腸ポリープおよびバレット食道を処置するために用いられる種々の最小の侵襲性方法は、世界的な実践である。患者が外科手術を回避することを好む場合、種々の最小の侵襲性方法は、外科的手技を超えて好意を獲得している。いくつかの無作為対照試験およびメタ分析は、種々のステージの癌およびバレット食道の処置において、腹腔鏡の胃切除、ロボット支援の胃切除、EMR(内視鏡的粘膜切除)およびESD(内視鏡的粘膜下層はく離)の臨床および腫瘍学的な安全性および有効性を証明した。EMR(内視鏡的粘膜切除術)およびESD(内視鏡的粘膜下層はく離)は、食道癌、胆道癌、胃癌、小腸癌、十二指腸癌、空腸癌、回腸癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、回腸結腸癌および胃腸癌のごとき初期段階の表面的な癌の処置について安全でかつ有効である。EMRおよびESDはハイグレードのバレット食道の処置について安全でかつ有効である。腹腔鏡の胃切除、ロボット支援の胃切除、EMRおよびESDは、臨床および腫瘍学的な安全性の点から実現可能な手技である;しかしながら、悪性および難治性狭窄の再発は患者のいくらかにおいて注目された。最小侵襲性の処置後の癌の局所的な再発生率は、癌のタイプおよびステージ、ならびに追跡時間に依存して、2~20%の範囲にある。最小侵襲性の処置後の狭窄もしくは狭窄症の発生率は、約26%~70%である。反復性内視鏡的バルーン拡張は、難治性狭窄もしくは再発性狭窄、または狭窄症を処置するために必要である。
【0021】
心疾患または粥状動脈硬化症は、動脈内腔上の脂肪プラークの堆積による動脈の硬化および狭小化により特徴付けられる。経時的に、プラーク蓄積は、下流組織への酸素豊富な血液の流れをブロックするように十分に重篤になりかねない。粥状動脈硬化症は、身体内のいずれかの動脈に生じかねない。頚動脈および冠状動脈のごとき非常に重要な動脈の封鎖または狭窄は、突然死に結びつきかねない。腸骨 表在性大腿、膝窩、脛骨および腓骨の動脈のごとき狭窄した末梢動脈は、切断の必要性に導きかねない。腎動脈がブロックされるならば、慢性腎臓病が生じかねない。 現在の薬物被覆バルーンおよび薬物溶出ステントを用いて、狭窄を処置する。長期間の死亡率、血栓症割合、およびこれらの薬物被覆デバイスの効力は、依然として十分にはよくない。より良好なデバイスが、心血管疾患狭窄についての安全性および効力を改善するために必要とされる。
【0022】
腎不全は、血液中の廃棄物の蓄積に導く疾病である。廃棄物蓄積を防止するために、患者は、慢性血液透析と呼ばれる医学的処置を有する。血液透析中に、血液は廃棄物を除去するために透析装置を介して送られる。血液のためのアクセス・ポイントは、典型的には、動静脈瘻(AVF)または動静脈グラフト(AVG)と呼ばれる創成された特別な血管の接合の四肢内にある。AVFは、動脈が静脈に直接縫合される特別のタイプの吻合である。AVGは、動脈および静脈間の接続が合成または自己由来の管によって促進される異なるタイプの吻合である。AVFおよびAVGはしばしば狭窄し、血流閉塞を引き起こす。これが起こる場合、人工透析を完了するために新たなAVFまたはAVGの創成のために、それらは、拡張または放棄されなければならない。薬物被覆バルーンを用いて、狭窄したAVFおよびAVGを拡張させるが、しかし、より良好なデバイスが安全性および効力を改善するために必要とされている。
【0023】
心臓弁疾患は高齢集団を苦しめる一般的な疾患である。それは、健康診断の間に聴診器で心臓の鼓動を聞くことにより診断される。心臓が出す異常音は、雑音と呼ばれ、種々の雑音は、特定のタイプの心臓弁疾患を示すことができる。心臓弁疾患のタイプは、狭窄、逆流、脱出症(prolapse)および閉鎖症(atresia)を含む。心臓弁狭窄は、適切に開かないまたは閉じないことを生じる心臓弁の狭小化または硬化である。弁のフラップは、厚くなるか、硬くなるか、または一緒に融合し得る。その結果、弁は十分には開くことができず、次いで、心臓は弁を通って血液を送るためにより熱心に働かなければならない。この結果は、低酸素または低減された酸素供給となりかねず、全身、局所的組織または身体のある部分に影響する。心臓弁狭窄は、バルーン弁形成術またはBAVと呼ばれる手技によって処置することができる。BAVは、脈管構造を通って心臓弁に可膨張性バルーンをトラッキング(tracking)し、次いで、心臓弁輪(anulus)を拡張することを含む。最近、BAVが経カテーテル大動脈弁置換(TAVR)手技の前、後および/または中に利用されるために、行なわれるBAV手技の数が増加している。BAV後の再狭窄率は、5~9か月で40~80%の範囲で示され、デバイスおよび技術における改良の必要性を示している。
【発明の概要】
【0024】
(発明の概要)
種々の実施態様において、本発明は、治療剤および1つ以上のポリマーを含むポリマー封入(または、ポリマーに封入された、またはポリマーカプセル化、またはポリマー被包性、または、ポリマー内包:polymer encapsulated)薬物粒子を提供する。所望により、ポリマー封入薬物粒子は第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含む。第1のイオン性または両性イオン性添加剤(または、添加物:additive)は、存在する場合、ポリマー封入薬物粒子内にある、ポリマー封入薬物粒子の表面上に被覆される、またはそれらの組合せである。
【0025】
種々の実施態様において、本発明は、治療剤および1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子を含む、薬物放出コーティングを提供する。所望により、ポリマー封入薬物粒子は第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含む。第1のイオン性または両性イオン性添加剤は、存在する場合、ポリマー封入薬物粒子内にある、ポリマー封入薬物粒子の表面上に被覆される、またはそれらの組合せである。また、コーティングは、イオン性または両性イオン性添加剤を含む放出マトリックスを含む。コーティングは、バルーンカテーテル、薬物被覆カテーテル、薬物溶出ステント、バルーン上の薬物溶出ステント、薬物被覆バルーン上の薬物溶出ステント、薬物被覆バルーン上のステントまたはそれらの組合せのごときいずれかの適切な位置に配置することができる。
【0026】
種々の実施態様において、本発明は、治療剤および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子を含む、薬物放出コーティングを提供する。また、ポリマー封入薬物粒子は、イオン性または両性イオン性添加剤を含む。ポリマー封入薬物粒子は、荷電ポリマー封入薬物粒子であることができる。
【0027】
種々の実施態様は、非血管性または血管性の狭窄もしくは狭窄症を処置もしくは予防する方法を提供する。方法は身体内腔(または、体腔:body lumen)にカテーテルを挿入することを含み、前記カテーテルは、ポリマー封入薬物粒子を含む薬物コーティングを含むバルーンまたはステントを含む。方法は、狭窄、狭窄症または、狭窄もしくは狭窄症が防止される領域とコーティング層とを接触させるためにバルーンまたはステントを拡張することを含む。バルーンが用いられる場合、方法はバルーンを圧縮させる(または、収縮させる、または、しぼませる:deflating)ことを含むことができる。また、バルーンが用いられる場合、方法は身体内腔からバルーンまたはステントを取り出す(または、除去する:removing)ことを含むことができる。
【0028】
種々の実施態様は、ポリマー封入薬物粒子を作製する方法を提供する。方法は治療剤およびポリマーを含む懸濁液を形成することを含む。方法は、懸濁液の粒径を低下させるために懸濁液を処理することを含む。また、方法は、懸濁液においてポリマー封入薬物粒子を形成するために水性プレミックスを懸濁液に加えることを含む。ポリマー封入薬物粒子は治療剤およびポリマーを含む。
【0029】
種々の実施態様は、ポリマー封入薬物粒子を作製する方法を提供する。方法は有機溶媒、1つ以上のポリマー、治療剤および、所望により、第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含む有機プレミックスを形成することを含む。方法は水および水溶性高分子または界面活性剤を含む水性プレミックスを形成することを含む。方法は有機溶媒を水性プレミックスに加えることを含む。方法は水性プレミックスおよび有機プレミックスを一緒に組み合わせることを含む。また、方法は、ポリマー封入薬物粒子を含む乳濁液(または、エマルジョン:emulsion)を形成するために組み合わせた水性プレミックスおよび有機プレミックスを撹拌することを含む。
【0030】
種々の実施態様において、本発明は、治療剤、1つ以上のポリマーおよび、所望により、第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含むポリマー封入薬物粒子を調製する方法を提供する。方法は、有機溶媒中のプレミックスを形成するために、1つ以上のポリマー、治療剤および、所望により、第1のイオン性または両性イオン性添加剤を可溶化し混合することにより、有機プレミックスを作製することを含む。有機溶媒は、水溶液と少なくとも部分的に混和性(例えば、極性有機溶媒)であることができる。方法は水溶性高分子を含む第2の水性プレミックスを作製し、第1のプレミックスにおいて用いられる有機溶媒を加えることを含む。方法は水コアセルベート(water coacervate)中の有機溶媒が創成されるように、水性プレミックスに有機プレミックスを混合することを含む。方法は、ポリマー封入薬物粒子に硬化させるためにコアセルベートから有機溶媒を追い出すために水をコアセルベート溶液にさらに加えることを含む。
【0031】
種々の実施態様は、バルーンカテーテルを作製する方法を提供する。方法はバルーンカテーテルのバルーンの外部に、ポリマー封入薬物粒子またはそれを含む薬物放出コーティングを適用する(または、塗布する:applying)ことを含む。
【0032】
種々の実施態様はバルーンカテーテルを提供する。バルーンカテーテルは伸長した(elongated)バルーンを含む。また、バルーンカテーテルは、バルーンの外表面に重なるコーティング層を含む。コーティング層は、ポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤、第1の添加剤および第2の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せを含む。組成物中の治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログ(または、類似体:analogue)およびそれらの組合せから選択され、治療剤は0.2ミクロン~10ミクロンの粒径を有する。第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基(alkyl fatty group)またはコレステリル基を含む水不溶性または部分的に水不溶性の添加剤を含み、第1の添加剤は、50~750の分子量を有する。第2の添加剤は、第1の添加剤よりも、より親水性またはより水溶性であり、ポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)-)またはポリグリセロール(-(CH2-CHOH-CH2O)-)単位を含む。第2の添加剤は750~100,000の範囲の分子量を有する。
【0033】
種々の実施態様において、本発明は、身体内腔の標的部位に治療剤を送達するためのバルーンカテーテルを提供する。バルーンカテーテルは伸長したバルーン、およびバルーンの外表面に重なるコーティング層を含む。コーティング層はポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または、2つ以上の添加剤および治療剤の初期薬物負荷(load)を含む組成物を含む。組成物中の治療剤は、mTOR阻害剤、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択される。組成物中の治療剤は、結晶性、部分的に結晶性、非晶性(または、アモルファス、または無定形:amorphous)、部分的に非晶性、またはそれらの組合せである。第1の添加剤は、50~750(例えば、50以上、または100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700未満または以上、あるいは750以下)の分子量を持つ、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性または部分的に水不溶性の添加剤を含む。第2の添加剤は第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、ポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)-)またはポリグリセロール(-(CH2-CHOH-CH2O)-)単位を含む。第2の添加剤は、750~100,000(例えば、750以上、または1,000、2,000、4,000、6,000、8,000、10,000、20,000、40,000、60,000、80,000、90,000未満または以上(less than, equal to, or less than)、あるいは100,000以下)の範囲の分子量を有する。コーティング中の治療剤粒子の粒径は、0.2ミクロン~10ミクロン(例えば、0.2ミクロン以上、または0.3ミクロン、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.2、3.4、3.6、3.8、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5 9、9.5未満または以上、あるいは10ミクロン以下)の範囲にある。
【0034】
種々の実施態様において、本発明は、身体内腔狭窄もしくは狭窄症の標的部位に治療剤を送達するためのバルーンカテーテルを提供する。バルーンカテーテルは伸長したバルーン、およびバルーンの外表面に重なるコーティング層を含む。コーティング層はポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または、2つ以上の添加剤および治療剤の初期薬物負荷を含む組成物を含む。バルーンはポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルおよびポリアミドのブロック共重合体、ポリエーテルブロックアミド、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリエステルのブロック共重合体またはそれらの組合せを含む。組成物中の治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、それらのアナログ、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよび組合せから選択される。組成物中の治療剤は、結晶性、部分的に結晶性、非晶性、部分的に非晶性、またはそれらの組合せである。組成物中の治療剤の粒径は、0.2ミクロン~5ミクロン(例えば、0.2ミクロン以上、または0.3ミクロン、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.2、3.4、3.6、3.8、4、4.2、4.4、4.6、4.8未満または以上、あるいは5ミクロン以下)の範囲にある。組成物を含む実施態様において、第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せは、治療剤を封入し、添加剤に封入された治療剤は治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロン(例えば、0.3ミクロン以上、または0.4ミクロン、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.2、3.4、3.6、3.8、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5未満または以上、あるいは10ミクロン以下)の範囲にある。組成物を含む実施態様において、治療剤が、治療剤と接触する添加剤(例えば、個別の粒子、または部分的または完全に連続的なコーティングとして)により部分的または完全に囲まれるように、添加剤に封入された治療剤は、部分的または完全に封入される。例えば、添加剤に封入された治療剤の表面積の25%~100%は、第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せと接触することができ、または50~100%、75~100%または1%以上、または25%、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%未満または以上、あるいは100%以下である。第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、第1の添加剤は50~750の分子量を有することができる。組成物を含む実施態様において、コーティング中の第1の添加剤はその純粋な形態の第1の添加剤より低い融解温度を有し、コーティング中の第1の添加剤はその純粋な形態の第1の添加剤より低い結晶化度を有する。第2の添加剤は第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、それはポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)-)またはポリグリセロール(-(CH2-CHOH-CH2O)-)単位を含む。第2の添加剤は750~100,000、750~50,000、または750~10,000の範囲の分子量を有する。身体内腔狭窄もしくは狭窄症は、尿道狭窄、前立腺尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、洞狭窄(sinus stricture)、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、膀胱頚部狭窄、胆管狭窄、膣狭窄、ステント内再狭窄、冠状動脈狭窄、表在性大腿動脈狭窄、膝窩動脈狭窄、前脛骨動脈狭窄、後脛骨動脈狭窄および腓骨動脈狭窄から選択される。コレステリル基を持つ第1の添加剤は、コレステロール、酢酸コレステリル、フェニル酢酸コレステリル、ラウリン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、n-吉草酸コレステリル、安息香酸コレステリル、ヘプチル酸コレステリル、デシル酸コレステリル、カプロン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、炭酸コレステリルオレイル、リノール酸コレステリル、ペラルゴン酸コレステリル、エルカ酸コレステリル、カプリル酸コレステリル、5α-コレスタン、5α-コレスタン-3-オンおよびそれらの組合せから選択される。アルキル脂肪族基を持つ水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の第1の添加剤は、アルキルグリセリルエーテル、C8~C12脂肪酸のモノグリセリド、アルキルアルコール、アルキルエーテル、アルキルエステル、カプリル酸、モノカプリリン、カプリン酸、モノカプリン、ラウリン酸、ドデシルグリセロール、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オクタデカトリエン酸、エイコサン酸、エイコセン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、トコトリエノール、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、アルファリノレン酸、ガンマリノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、天然もしくは合成リン脂質、モノ-、ジ-、またはトリアシルグリセロール、カルディオリピン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、アルファトコフェロール(tocoferol)、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン ホスファチジルグリセロール、スフィンゴ脂質、プロスタグランジン、ガングリオシド、ネオビー(neobee)、ニオゾーム、それらの誘導体およびそれらの組合せから選択される。水溶性の第2の添加剤は、コレステリル-ポリエチレングリコール600セバケート、ポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケート、メチル化ポリエチレングリコールコレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコールコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエステルコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエーテルコレステロール(PEGコレステロール)、メチル化ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコール(PEG)-コレステリルセバケート、ポリエチレングリコールコレステロール、PEGアミドエステルコレステロール、PEGアミドエーテルコレステロール、mPEGアミドエステルコレステロール、DSPE-PEG-コレステロール、PEG化リン脂質、メチル化PEG化リン脂質、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、カプリル酸PEG、カプリン酸PEG、カプロン酸PEG、モノラウリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-20)、モノパルミチン酸PEG-20ソルビタン(Tween-40)、モノステアリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-60)、モノオレイン酸PEG-20ソルビタン(Tween-80)、ラウリン酸PEG、オレイン酸PEG、ステアリン酸PEG、ラウリン酸PEGグリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ポリグルセリル脂肪酸エステル、オレイン酸ポリグルセリル、(Plurol Oleique)、ジオレイン酸ポリグルセリル-2(Nikkol DGDO)、トリオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル、ミリスチン酸ポリグルセリル、パルミチン酸ポリグルセリル、リノール酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル-10(Nikkol Decaglyn 1L)、オレイン酸ポリグルセリル-10(Nikkol Decaglyn 1-O)、モノ/ジオレイン酸ポリグルセリル-10(CaproI(商標)PEG 860)、ステアリン酸ポリグルセリル-10、ラウリン酸ポリグルセリル-10、ミリスチン酸ポリグルセリル-10、パルミチン酸ポリグルセリル-10、リノール酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-6、ラウリン酸ポリグルセリル-6、ミリスチン酸ポリグルセリル-6、パルミチン酸ポリグルセリル-6、リノール酸ポリグルセリル-6およびそれらの組合せから選択される。
【0035】
種々の実施態様において、本発明は、消化身体内腔または胃腸管における狭窄の予防または処置のための方法を提供する。方法は、非血管性狭窄を含む身体内腔の標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含む。バルーンカテーテルは、伸長したバルーンおよびバルーンの外表面に重なるコーティング層を含む。コーティング層は、ポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または、2つ以上の添加剤および治療剤の初期薬物負荷を含む組成物を含む。組成物は、水不溶性または部分的に水不溶性の添加剤を含む第1の添加剤、第1の添加剤よりもより親和性またはより水溶性である第2の添加剤、およびパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択された治療剤の初期の薬物負荷を含む。組成物を含む実施態様において、第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せは、治療剤を封入し、添加剤に封入された治療剤は治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある。方法は、バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、非血管性狭窄の位置で身体内腔の壁とコーティング層とを接触させるために標的部位にてバルーンを膨張させることを含む。方法は膨張期間後にバルーンを圧縮させることを含む。方法は身体内腔からバルーンカテーテルを回収することを含む。消化身体内腔または胃腸管における狭窄は食道狭窄、アカラシア狭窄、胆道狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、回腸肛門J型嚢狭窄および大腸狭窄を含む。消化身体内腔または胃腸管における狭窄は、好酸球性食道炎の食道狭窄、放射線誘発狭窄、クローン病誘発狭窄、潰瘍性大腸炎誘発狭窄、慢性炎症性腸疾患(IBD)誘発狭窄、外科的手術の吻合部狭窄またはそれらの組合せを含む。
【0036】
種々の実施態様において、本発明は、血管性身体内腔における狭窄もしくは狭窄症の予防または処置のための方法を提供する。方法は、血管の狭窄もしくは狭窄症を含む身体内腔の標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含む。バルーンカテーテルは伸長したバルーン、およびバルーンの外表面に重なるコーティング層を含む。コーティング層はポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または、2つ以上の添加剤および治療剤の初期薬物負荷を含む組成物を含む。組成物は、第1の添加剤、第2の添加剤、およびパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択された治療剤の初期の薬物負荷を含む。組成物において、治療剤は、結晶性、部分的に結晶性、非晶性、部分的に非晶性、またはそれらの組合せである。組成物において、治療剤の粒径は0.2ミクロン~5ミクロンの範囲にある。組成物を含む実施態様において、第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せは、治療剤を封入し、添加剤に封入された治療剤は治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある。第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、第1の添加剤は50~750の分子量を有することができる。組成物を含む実施態様において、コーティング中の第1の添加剤はその純粋な形態の第1の添加剤より低い融解温度を有し、コーティング中の第1の添加剤はその純粋な形態の第1の添加剤より低い結晶化度を有する。第2の添加剤は第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、それはポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)-)またはポリグリセロール(-(CH2-CHOH-CH2O)-)単位を含む。第2の添加剤の分子量は750~100,000の範囲にある。方法は、バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、狭窄もしくは狭窄症の位置にて身体内腔の壁とコーティング層とを接触させるために標的部位にてバルーンを膨張させることを含む。方法は膨張期間後にバルーンを圧縮させることを含む。方法は身体内腔からバルーンカテーテルを回収することを含む。
【0037】
種々の実施態様において、本発明は、被覆した(coated)バルーンカテーテルを調製する方法を提供する。方法は結晶性の治療剤を提供することを含み、治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択される。方法は治療剤結晶性の大多数が0.2ミクロン~5.0ミクロンの粒径を有するように治療剤を処理することを含む。方法は、治療剤が実質的に不溶性の流体を提供することを含む。方法は、流体を治療剤、第1の水不溶性添加剤および第2の水溶性添加剤と混合することを含み、第1の添加剤は治療剤結晶性を封入し、第1の添加剤は、0.3ミクロン~10ミクロンの粒径を有する。方法はバルーンカテーテルの外表面に混合物を適用することを含む。第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せは、治療剤を封入し、添加剤に封入された治療剤は治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある。
【0038】
種々の実施態様において、本発明は、薬物コーティング溶液を調製する方法を提供する。方法は、混合物を形成するために水、水混和性溶媒、治療剤および水溶性添加剤を混合することを含む。方法は、治療剤の粒径を低下させるためにプレミックスを処理することを含む。方法は、第2のプレミックスを形成するために、不溶性水添加剤、水溶性添加剤、水および水混和性溶媒を混合することを含む。方法はコーティング溶液を形成するために、第2のプレミックスと第1の処理されたプレミックスとを混合することを含む。治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択される。治療剤は、結晶性、部分的に結晶性、非晶性、部分的に非晶性、またはそれらの組合せである。コーティング溶液は治療剤の水性懸濁液である。治療剤の粒径は0.2ミクロン~5ミクロンの範囲にある。第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せは、治療剤を封入し、添加剤に封入された治療剤は治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある。処理は、顕微溶液化(microfluidization)、均質化、ロータースターターミリング(rotator-stator milling)、高低エネルギービードミリング(high or low energy bead milling)、または高性能超音波プローブ均質化(high-power ultrasonic probe homogenization)の1つである。第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、第1の添加剤は50~750の分子量を有することができる。コーティング中の第1の添加剤はその純粋な形態(例えば、コーティングのDSC-対-純粋な添加剤のDSCによって決定された)の第1の添加剤より低い融解温度を有する。コーティング中の第1の添加剤はその純粋な形態(例えば、コーティングのDSC-対-純粋な添加剤のDSCによって決定された)の第1の添加剤より低い結晶化度を有する。第2の添加剤は第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、それはポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)-)またはポリグリセロール(-(CH2-CHOH-CH2O)-)単位を含む。第2の添加剤は750~100,000、または750~50,000、または750~10,000の範囲の分子量を有する。
【0039】
種々の実施態様において、本発明は、バルーンカテーテルを被覆する方法を提供する。方法は水性懸濁コーティング溶液を調製することを含む。水性懸濁液の調製は、プレミックスを形成するために水、水混和性溶媒、治療剤および水溶性添加剤を混合することを含む。懸濁液の調製は、治療剤の粒径を低下させるためにプレミックスを処理することを含む。懸濁液の調製は第2のプレミックスを形成するために、不溶性水添加剤、水溶性添加剤、水、および水混和性溶媒を混合することを含む。懸濁液の調製はコーティング溶液を形成するために、第2のプレミックスと第1の処理されたプレミックスとを混合することを含む。治療剤はmTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、またはそれらの組合せ)またはそれらのアナログまたは誘導体であることができる。治療剤は結晶性、部分的に結晶性、非晶性、部分的に非晶性、またはそれらの組合せである。コーティング溶液は治療剤の水性懸濁液である。治療剤の粒径は0.2ミクロン~5ミクロンの範囲にある。第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せは、治療剤を封入し、添加剤に封入された治療剤は治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある。第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、第1の添加剤は50~750の分子量を有することができる。コーティング中の第1の添加剤はその純粋な形態の第1の添加剤より低い融解温度を有する。コーティング中の第1の添加剤はその純粋な形態の第1の添加剤より低い結晶化度を有する。第2の添加剤は第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、それはポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)-)またはポリグリセロール(-(CH2-CHOH-CH2O)-)単位を含む。第2の添加剤は750~100,000、または750~50,000、または750~10,000の範囲の分子量を有する。方法はバルーンカテーテルを調製することを含む。バルーンカテーテルの調製はバルーンカテーテルを膨張させることを含む。バルーンカテーテルの調製はエタノールワイプでのごときバルーンの表面を清浄化することを含む。バルーンカテーテルの調製はコーティング機の内部でバルーンを水平に取り付けることができ、固定速度で回転することができるように、バルーンを固定することを含む。方法はノズルがバルーンを横切って横に移す間、バルーンの表面上にコーティング溶液を分配することを含む。方法は、室温、または室温より高くにて溶媒を蒸発させるためにバルーンを回転させ続けることを含む。方法はバルーンカテーテルにひだをつけて(pleating)折り重ねることを含む。方法は被覆したバルーンカテーテルを滅菌することを含む。
【0040】
種々の実施態様において、本発明は、非血管性または血管性の狭窄もしくは狭窄症の処置または予防のための最小侵襲性の方法を提供する。方法は拡張可能な本体が狭窄もしくは狭窄症の内部にあるように狭窄もしくは狭窄症を含む身体内腔を介して拡張可能な本体を持つカテーテルを挿入することを含む。拡張可能な本体を持つカテーテルは、バルーンカテーテル、薬物被覆カテーテル、薬物溶出ステント、薬物被覆バルーン上の波形の薬物溶出ステントを含む。カテーテルは、カテーテルの拡張可能な本体の外表面に重なるコーティング層を持つ拡張可能な本体を含む。コーティング層はポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または、2つ以上の添加剤および治療剤の初期薬物負荷を含む組成物を含む。1つ以上の添加剤は、水不溶性の添加剤、わずかにもしくは部分的に水溶性の添加剤、水溶性添加剤またはそれらの組合せから選択される。方法は、期間の間ある直径まで狭窄もしくは狭窄した身体内腔とコーティング層とを接触させるために本体を拡張することを含む。方法はその期間後に拡張した本体を収縮し狭窄もしくは狭窄した身体内腔から回収することを含む。いくつかの実施態様において、方法は、標的部位へのバルーンカテーテルの挿入に先立って組織を拡張、切断、または除去するために外科的手術を行なうことをさらに含む。
【0041】
本発明の実施態様は、非血管性および血管性の身体内腔における狭窄の処置用の治療剤または治療薬物、および身体内腔の組織への薬物の吸収を増強する添加剤を含む医療デバイス(または、医療デバイス)コーティング製剤を提供する。いくつかの実施態様は、単一もしくは複数の治療剤を含む単独層または多層を有するカテーテルの拡張可能部分を被覆するコーティングを提供する。いくつかの実施態様において、カテーテルの拡張可能部分に接する層は、治療剤を有しなく、カテーテルの拡張に際してコーティングの全てまたは実質的な部分が狭窄もしくは狭窄症に移ることを可能にする成分で処方される。身体内腔狭窄の原因および関連疾患は、細菌およびウイルスのごとき病原体による、感染および炎症を含むことができる。いくつかの実施態様において、コーティングは抗菌性および抗ウイルス性特性を有する添加剤を有する。いくつかの実施態様において、治療剤を含むコーティング層は結晶性、非晶性、またはそれらの組合せである薬物を有する。いくつかの実施態様において、治療剤を含むコーティング層は少なくとも1つの親水性成分および少なくとも1つの疎水性成分を有する。いくつかの実施態様において、コーティング層は、拡張した狭窄もしくは狭窄症の管腔表面とのコーティングの付着を増強する成分を含む。いくつかの実施態様において、カテーテルの拡張に際して、コーティングが微粒子、凝集した微粒子、溶存物質またはそれらの組合せとして狭窄もしくは狭窄症に移るように、コーティングは処方される。いくつかの実施態様において、移された微粒子または凝集した微粒子のサイズは小さく、10μm未満、またはより好ましくは5μm未満である。いくつかの実施態様において、コーティング層はポリマー封入薬物粒子またはそれを含む薬物放出コーティングを含む。
【0042】
種々の実施態様において、本発明は、非血管性および血管性の狭窄もしくは狭窄症を拡張するために用いられる伸長した本体の拡張可能部分を含むカテーテルを提供する。いくつかの実施態様において、伸長した本体は円筒形のバルーンである。いくつかの実施態様において、伸長した本体は、バルーンが拡張される身体内腔におけるバルーンの移動を防止する形状、または縦方向の(longitudinal)プロフィールを有するバルーンである。
【0043】
種々の実施態様において、本発明は、カテーテル上に乾燥コーティングを残すためにコーティング溶液において液体を蒸発させて、カテーテルの拡張可能部分にコーティング溶液を適用する方法を提供する。
【0044】
(図面の簡単な説明)
図面は、一般的に、限定によらず、例示により本発明の種々の実施態様を示す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、種々の実施態様に従う、本発明によるバルーンカテーテルの実施態様の透視図である(バルーンカテーテルは、ワイヤー上の固定されたワイヤーを含み、
図1においては、迅速な交換されたバルーンカテーテル詳細は示されない)。
【
図2A-2C】
図2A~2Cは、線A-Aでの
図1のバルーンカテーテルの遠位部分の異なる実施態様の断面図であり、種々の実施態様に従って、典型的なコーティング層を示す。
【
図3A】
図3Aは、種々の実施態様に従う、1つのネック部を有するバルーンカテーテルを示す。
【
図3B】
図3Bは、種々の実施態様に従う、2つのネック部を有するバルーンカテーテルを示す。
【
図3C】
図3Cは、種々の実施態様に従う、3つのネック部を有するバルーンカテーテルを示す。
【
図4A-4D】
図4A~4Dは、種々の実施態様に従う、スプリングである伸長した剛性部材を含むバルーンカテーテルを示す。
【
図5】
図5は、種々の実施態様に従う、スプリングである伸長した剛性部材を示す。
【
図6】
図6は、種々の実施態様に従う、Liquid Analyzer Moduleを持つBeckman Coulter LS 13 320 Particle Sizing Analyzerを用いる薬物コーティング粒度分析の例を示す図表(または、図解、またはダイヤグラム)および表である。
【
図7A-7C】
図7A~Cは、種々の実施態様に従う、シロリムスの例のSEM画像を示し、
図7Aは37倍、
図7Bは1,600倍、
図7Cは7,500倍を示す。
【
図8A-8C】
図8A~Cは、
図8A 結晶性シロリムス、
図8B ドデシルグリセロール、および
図8C バルーン上の滅菌済みシロリムス薬物コーティングから得られた典型的な粉末X線回折グラフのグラフを示す。
【
図9A-9C】
図9A~Cは、種々の実施態様に従う、
図9A 結晶性シロリムス、
図9B ドデシルグリセロール、および
図9C シロリムス薬物被覆バルーンのDSC走査の図表を示す。
【
図10】
図10は、種々の実施態様による高圧ホモジナイザーで得られたシロリムス粒径低下の図表を示す。
【
図11】
図11は、種々の実施態様による食道および腸内のパクリタキセル被覆バルーン処置についての無再介入カプラン-マイヤー曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
(発明の詳細な説明)
開示された主題のある種の実施態様に対して今や参照がなされ、その例が部分的に添付図面において示されるであろう。開示された主題は列挙された請求の範囲と共に記載されるであろうが、例示された主題が開示された主題へ請求の範囲を限定するようは意図されないことが理解されるであろう。
【0047】
本文書の全体にわたって、範囲形式で表現された値は、範囲の限定として明示的に記載された数値範囲を含むだけではなく、あたかも数値およびサブ範囲が明示的に記載されるかのごとく、その範囲内に包含された個々の数値またはサブ範囲のすべてを含むような柔軟な方法で解釈されるべきである。例えば、「約0.1%~約5%」または「約0.1%~5%」の範囲は、約0.1%~約5%だけではなく、その示された範囲内の個々の値(例えば、1%、2%、3%および4%)およびサブ範囲(例えば、0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、3.3%~4.4%)も含むように解釈されるべきである。
「約X~Y」なる記載は、特記しない限りは「約X~約Y」と同じ意味を有する。同様に、ステートメント「約X、Yまたは約Z」なる記載は、特記しない限りは「約X、約Yまたは約Z」と同じ意味を有する。
【0048】
本文書の全体を通して、用語「ある(a)」「ある(an)」または「その」は、コンテキストが明確に他の方法で指示しない限りは、1つ以上を含めるように用いられる。用語「または」は、特記しない限りは非独占的な「または」をいうように用いられる。記載「AおよびBの少なくとも1つ」は、「A、B、またはAおよびB」と同じ意味を有する。加えて、本明細書に使用し、そうでなければ定義された語法もしくは用語が、記載のみの目的のためであり、限定の目的のためではないと理解されるべきである。セクション・ヘッディングのいずれの使用も、文書の読書を支援するように意図され、限定として解釈されるべきではなく;セクション・ヘッディングに関連する情報は、その特定のセクション内外で生じ得る。
【0049】
本明細書に記載された方法において、行為は、一時的または操作順序が明示的に記載される場合以外は、本発明の法則から逸脱することなく、いずれかの順序でも行なうことができる。さらに、特定された行為は、明示的なクレーム言語が、それらが別々に実施されるべきであることを記載しない限りは、同時に行なうことができる。例えば、Xを行うという特許請求した行為およびYを行うという特許請求した行為は、単一操作内で同時に行うことができ、得られたプロセスは、特許請求したプロセスの文字どおりの範囲内にあるであろう。
【0050】
本明細書に用いた用語「約」は、値または範囲内の変動性の程度、例えば、言及された値または範囲の言及された限界の10%内、5%内または1%内を可能にさせ、正確な言及された値または範囲を含む。
【0051】
本明細書に用いた用語「実質的に」は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または少なくとも約99.999%以上、または100%のごとき大多数または大部分をいう。
【0052】
ポリマー封入薬物粒子
種々の実施態様はポリマー封入薬物粒子を提供する。ポリマー封入薬物粒子は、治療剤および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含む。所望により、ポリマー封入薬物粒子は第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含む。第1のイオン性または両性イオン性添加剤は、存在する場合、ポリマー封入薬物粒子(例えば、封入用ポリマーにより封入された)にあり、ポリマー封入薬物粒子の表面上(例えば、封入用ポリマーの外側表面上)に覆われ、またはそれらの組合せである。いくつかの実施態様において、ポリマー封入薬物粒子は第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含む。他の実施態様において、ポリマー封入薬物粒子は、第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含まない。
【0053】
治療剤はいずれの適切な治療剤でもあり得る。治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択することができる。治療剤は結晶性、部分的に結晶性、非晶性、部分的に非晶性、またはそれらの組合せである。治療剤は、結晶性および/または部分的に結晶性であり得る。治療剤はいずれかの適切な最大寸法(例えば、直径)、例えば、0.1~29.9ミクロン、0.5~15ミクロン、1~10ミクロン、または29.9ミクロン以下でかつ0.1ミクロン以上、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28または29ミクロンを有することができる。治療剤は、ポリマー封入薬物粒子のいずれかの適切な割合、例えば、5~45重量%、25~35重量%、または45重量%以下、および5、10、15、20、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35または40重量%以上を形成することができる。
【0054】
ポリマー封入薬物粒子中の治療剤を封入するポリマーは、適切な1つ以上のいずれかのポリマーであり得る。ポリマーは、ポリ乳酸、(PL)、ポリグリコール酸(GA)、ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体(PLGA)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリホスファゼン、コラーゲン、ゼラチン、キトサン、グリコソミノグリカン(glycosoaminoglycans)、またその共重合体から選択された少なくとも1つでることができる。PLGA共重合体はエステルキャップ(ester-capped)できる、またはカルボン酸末端基を有することができる。PLGA共重合体は、50:50、65:35、75:25または85:15の乳酸-対-グリコール酸の重量比を有することができる。PLGA共重合体の分子量は20,000g/モルから300,000g/モルの範囲にあることができる。1つ以上のポリマーは、ポリマー封入薬物粒子のいずれかの適切な割合、例えば、30~80重量%、50~75重量%、または80重量%以下、または30、35、40、45、50、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70または75重量%以上を形成することができる。ポリマーは中性ポリマーであることができる。ポリマーは、アニオン、カチオン、または両性イオン性ポリマー、例えば、第2のイオン性または両性イオン性添加剤の第1のイオン性または両性イオン性添加剤として使用するのに適した本明細書に記載されたいずれかのポリマーであることができる。
【0055】
ポリマー封入薬物粒子において、ポリマーは治療剤を封入する。ポリマー封入薬物粒子はカプセルに入れられる治療剤粒子より大きな直径を有する。本明細書に用いられた「封入する」は、封入剤(encapsulant)(例えば、本明細書に記載されたポリマー、第1のイオン性または両性イオン性添加剤および/または第1および第2の添加剤)により封入された材料(すなわち、治療剤および所望の第1のイオン性または両性イオン性添加剤)の50~100%の表面積填補(coverage)、または60~100%、75~100%、90~100%、または50%、55、60、65、70、75、80、85、90、92、94、96、98、99、99.5または99.9%以上をいうことができる。
【0056】
ポリマー封入薬物粒子は、第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含むことができる。第1のイオン性または両性イオン性添加剤は、ポリマー封入薬物粒子の表面上に覆われた、ポリマー封入薬物粒子またはそれらの組合せにあることができる。第1のイオン性または両性イオン性添加剤は、粒子内に(例えば、封入ポリマー内の治療剤で)、粒子(例えば、封入ポリマー上)の外側で、またはそれらの組合せで均質に分配することができる。第1のイオン性または両性イオン性添加剤は、ポリマー封入粒子の表面上に被覆することができる。第1のイオン性または両性イオン性添加剤のコーティングは、ポリマー封入薬物粒子の最大寸法を決定する場合、第1のイオン性または両性イオン性添加剤のコーティングが粒子の寸法において考慮できるように、ポリマー封入薬物粒子の一部であることができる。ポリマー封入薬物粒子は、1、2、3、または4、またはそれを超える第1のイオン性または両性イオン性添加剤、例えば、1つまたは2つの第1のイオン性または両性イオン性添加剤、例えば、1つの第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含むことができる。1つ以上の第1のイオン性または両性イオン性添加剤は、ポリマー封入薬物粒子のいずれかの適切な割合、0.5~20重量%、1~10重量%または20重量%以下、および0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16または18重量%以上を形成することができる。
【0057】
第1のイオン性または両性イオン性添加剤は、カチオン性分子、アニオン性添加剤または両性イオン性添加剤を含むことができる。第1のイオン性または両性イオン性添加剤は、ポリマー封入薬物粒子のゼータ電位(または、ゼータポテンシャル:zeta potential)を増加させる(すなわち、ゼータ電位をよりポジティブにする)ことができる。ポリマー封入薬物粒子の正のゼータ電位は組織によりよい付着を提供し、および/または組織によりよい薬物移行を提供することができる。例えば、ポリマー封入薬物粒子の正のゼータ電位は、ペプチドまたはタンパク質中のアミノ基および/または細胞膜中の脂質二重層の負に荷電脂質(例えば、細胞膜の表面上の陰イオン)を引きつけることができ、よりよい付着を引き起こす。付着の増加は、身体内腔の壁のポリマー封入薬物粒子のステイ(または、滞在:stay)を延長することができ、組織への高い薬物用量および/または組織へのより大きな割合の薬物送達に導く。第1のイオン性または両性イオン性添加剤は荷電ポリマー、荷電脂質、リン脂質、ホスホコリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールおよびそれらの組合せを含むことができる。
【0058】
荷電脂質の2つのアシル基または荷電リン脂質(例えば、トリグリセリド骨格に結合したエステル)の2つのアシル基は、1つ以上の特性または特徴において異なる、ミスマッチ(または、不適性:mismatched)アシル基を含む。ミスマッチアシル基は、長さ、飽和度、その置換基、その置換パターン、またはそれらの組合せにより異なることができる。例えば、双方のアシル基は飽和することができるか、または一方を飽和することができ、一方は不飽和であることができ、または、双方は不飽和であることができる。例えば、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)は2つの不飽和のアシル鎖を有し、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホコリンは、一方が飽和され、一方が不飽和であるアシル基を有する。2つの不飽和のアシル基を含む実施態様において、不飽和のアシル基は同一または異なる炭素位置にて二重結合を有することができるか、または同一または異なる位置にて炭素鎖に沿った複数の二重結合を有することができる。異なる長さ、飽和度、その置換基および置換パターンを持つミスマッチしたまたはマッチしたアシル基は、異なる相転移または軟化温度を有することができる。荷電脂質の相転移または軟化温度は、コーティングの特性、例えば、コーティング完全性、乾燥耐久性、コーティングからの薬物放出の速度、組織への取込み速度および/または程度またはそれらの組合せに影響することができる。高い相転移温度を有する脂質およびリン脂質は、割れて剥げる脆性コーティングに導き、一貫しない薬物投与(drug dosing)に導きかねない。低い相転移温度を有する脂質およびリン脂質は、それらがぬれて粘質(wet and sticky)であり、一貫しない薬物投与に導くことができるため、扱うのが難しくなりかねない。荷電脂質およびリン脂質の相転移温度は、-70℃~80℃の範囲にあることができる。相転移温度の好ましい範囲は-30℃~50℃である。相転移温度の最も好ましい範囲は-20℃~40℃である。いくつかの実施態様において、コーティングは、
コーティングの相転移温度が、望ましい機械的性質(乾燥し柔軟で、粘質でなく脆くない)を持った望ましい範囲にあることを可能にする脂質および/またはリン脂質の混合物を有することができる。
【0059】
荷電脂質または荷電リン脂質のミスマッチアシル基は、C6~C34、例えば、C6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33または34の長さを有することができる。いくつかの実施態様において、C6~C34の鎖長を有するアシル基の同一または異なる長さは、組織への薬物浸透を増強するために、細胞膜の脂質二重層において混乱、不規則および/または屈曲を創成することができる。長さにおいて異なるミスマッチアクリル基を有する荷電脂質またはリン脂質を含む実施態様において、2つのアシル基の長さは、C1~C28、C1~C10、またはC1~C8、またはC1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27以上またはC28の長さによって異なることができる。例えば、長さにおいて異なる2つのアシル基は、C12/C14、C12/C16、C12/C18、C12/C20、C12/C22、C12/C24、C12/C26、C14/C16、C14/C18、C14/C20、C14/C22、C14/C24、C14/C26、C16/C18、C16/C20、C16/C22、C16/C24、C16/C26、C18/C20、C18/C22、C18/C24、C18/C26、C20/C22、C20/C24、C20/C26、C22/C24、C22/C26またはC24/C26の長さを有することができる。
【0060】
荷電ポリマーは、ポリカチオン含有シクロデキストリン、アミノシクロデキストリンまたはその誘導体、アミノデキストラン、ヒストン、プロタミン、カチオン化ヒト血清アルブミン、アミノ多糖類、キトサン、ペプチド、ポリ-L-リジン、ポリL-オルニチン、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリプロピレンイミン、ポリアミドアミンデンドリマー、カチオンポリオキサゾリン、ポリ(ベータ-アミノエステル)、PEG-PEI共重合体、PLGA-PEI共重合体、正荷電ゼラチン(例えば、塩基処理されたゼラチン)、ヒドロキシ末端化ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ステアリン酸変性分岐ポリエチレンイミン、分岐PEI-g-PEG、ポリ(1-ビニルピロリドン-コ-2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリ(1-ビニルピロリドン)-グラフト-(1-トリアコンテン)、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリ(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ジメチルアミノエチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/メチルメタクリレートのカチオン共重合体(例えば、Eudragit E)、メタクリル酸/メチルメタクリレートのアニオン共重合体(例えば、Eudragit Lおよび/またはEudragit S)、第四級アンモニウム基を持つエチルアクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸エステルの共重合体(例えば、Eudragit RSおよび/またはSR)およびそれらの組合せから選択することができる
第四級アンモニウム基を持ったメタクリル酸エステルの一例は、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドである。
【0061】
荷電脂質は、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、ナトリウム塩、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-デカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、ジエイコセノイル ホスファチジルコリン(1,2-ジエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C20:1 PC)、ジアラキドノイルホスファチジルコリン(1,2-ジアラキドニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C20:0 PC)、ジエルコイルホスファチジルコリン(1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C22:1 PC)、ジドコサヘキサエノイル ホスファチジルコリン(1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C22:6 PC)、ヘンエイコセノイル ホスファチジルコリン(1,2-ヘンエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C21:1 PC)およびジネルボニルホスファチジルコリン(1,2-ジネルボノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C24:1 PC、またそれらの組合せから選択できる。
【0062】
第1のイオン性または両性イオン性添加剤は、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、ナトリウム塩、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-デカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリンおよびそれらの組合せから選択することができる。
【0063】
第1のイオン性または両性イオン性添加剤は、少なくとも1つのアシル基を含む、水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含むかまたはであることができる。第1のイオン性または両性イオン性添加剤は、50~750、750~100,000、または750~50,000、または750~10,000の分子量を有することができる。第1のイオン性または両性イオン性添加剤はその純粋な形態の添加剤より低い融解温度を有することができる。第1のイオン性または両性イオン性添加剤はその純粋な形態の添加剤のものより低い結晶化度を有することができる。
【0064】
ポリマー封入薬物粒子は、負のゼータ電位または正のゼータ電位のごときいずれかの適切なゼータ電位を有することができる。ゼータ電位はスリップ平面の(すなわち、粒子の表面へ付着したままの流体から移動(モバイル)流体を分ける界面にての)電位である。ポリマー封入薬物粒子のゼータ電位は、電気泳動光散乱(ELS)または電気音響学の測定を用いるごとくいずれかの適切な方法で測定することができる。ポリマー封入薬物粒子は、ゼロ(0)を超える、1~50、または2~40、または50以下および0.5、1、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40または45以上のゼータ電位のごとき正のゼータ電位を有することができる。ポリマー封入薬物粒子は、ゼロ(0)未満、または-1~-50、または-2~-40、または-50より正または-50に等しくおよび-45、-40、-35、-30、-25、-20、-18、-16、-14、-12、-10、-8、-6、-5、-4、-3、-2、-1または-0.5より正またはそれらに等しいゼータ電位のごとき、負のゼータ電位を有することができる。ポリマー封入薬物粒子の正のゼータ電位は、組織によりよい付着を提供し、および/または組織によりよい薬物移行を提供することができる。例えば、ポリマー封入薬物粒子の正のゼータ電位は、ペプチドまたはタンパク質中のアミノ基および/または細胞膜中の脂質二重層の負に荷電脂質(例えば、細胞膜の表面上の陰イオン)を引きつけることができ、よりよい付着を引き起こす。付着の増加は、身体内腔の壁のポリマー封入薬物粒子のステイ(または、留まり:stay)を延長することができ、組織への高い薬物用量および/または組織へのより大きな割合の薬物送達に導く。
その上または中に第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含む、ポリマー封入薬物粒子の実施態様において、ポリマー封入薬物粒子のゼータ電位は、第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含まない対応するポリマー封入薬物粒子のものより高くなる(すなわち、より正である)ことができる。CPDEPであるポリマー封入薬物粒子は、例えば、粒子の内側、粒子の表面上、またはそれらの組合せの第1のイオンまたは両性イオン添加の存在、および/または封入ポリマーとして1つ以上の荷電ポリマーの使用による、ゼロ(0)でないゼータ電位を有するポリマー封入薬物粒子である。CPDEP粒子中のイオン性または両性イオン性添加剤は、CPDEPの表面へ移動し、および/またはCPDEP粒子の表面に適用することができる。イオン性または両性イオン性添加剤の荷電ヘッドは、ポリマー封入薬物粒子のゼータ電位がより高くなるように、粒子から離れて配向でき、疎水性尾部(tail)は粒子の方向に配向される。
【0065】
ポリマー封入薬物粒子はいずれかの適切な寸法を有することができる。第1のイオン性または両性イオン性添加剤は、存在するならば、ポリマーと組み合わせて、粒径の測定に用いることができる。ポリマー封入薬物粒子は、0.2ミクロン~30ミクロン、または0.5ミクロン~5ミクロン、または0.8ミクロン~3ミクロン、30ミクロン以下で0.2ミクロン、0.5、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26または28ミクロン以上の最大寸法を有することができる。
【0066】
ポリマー封入薬物粒子は、ポリマー封入薬物粒子(PEDP)、荷電ポリマー封入薬物粒子(CPEDP)、またはそれらの組合せであることができる。CPEDPの正の電荷密度またはゼータ電位は、PEDPのものよりより高くなる(すなわち、より正である)ことができる。CPEDPの正の電荷密度またはゼータ電位は、ポリマー封入剤の不存在下、治療剤より高くなることができる。第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含むCPEDPであるポリマー封入薬物粒子について、CPEDPの正の電荷密度またはゼータ電位は、第1のイオン性または両性イオン性添加剤の不存在下、治療剤より高くなることができる。
【0067】
ポリマー封入薬物粒子は、BHTのごとき1つ以上の酸化防止剤を含むことができる。1つ以上の酸化防止剤は粒子の形成中に治療剤と混合できる。1つ以上の酸化防止剤は、ポリマー封入薬物粒子のいずれかの適切な割合であることができ、例えば、0.5~20重量%、1~10重量%、または20重量%未満で1、2、3、4、5、6、7、8、9または10重量%以上であることができる。
【0068】
ポリマー封入薬物粒子は、ターゲット位置への薬物送達を意図したいずれかの適切な表面上にあることができ、例えば、医療デバイス、例えば、バルーンカテーテル、薬物被覆カテーテル、薬物溶出ステント、バルーン上の薬物溶出ステント、薬物被覆バルーン上の薬物溶出ステント、薬物被覆バルーン上のステントまたはそれらの組合せの上にあることができる。ポリマー封入薬物粒子は医療デバイス上のコーティングの一部であることができ、コーティングは薬物放出コーティングである。
【0069】
ポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング
本発明の種々の実施態様は薬物放出コーティングを提供する。薬物放出コーティングは、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子を含む。所望により、ポリマー封入薬物粒子は第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含む。第1のイオン性または両性イオン性添加剤は、存在する場合、ポリマー封入薬物粒子の表面上に覆われた、ポリマー封入薬物粒子またはそれらの組合せにある。いくつかの実施態様において、ポリマー封入薬物粒子は第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含む。他の実施態様において、ポリマー封入薬物粒子は、第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含まない。また、薬物放出コーティングは、第2のイオン性または両性イオン性添加剤を含む放出マトリックスを含む。本明細書に参照される薬物を含むいずれのコーティング(例えば、薬物コーティングまたは薬物コーティング層)も、ポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティングであるか、またはそれを含むことができる。
【0070】
ポリマー封入薬物粒子は、均質に放出マトリックスに分散することができる。ポリマー封入薬物粒子は、薬物放出コーティングのいずれかの適切な割合、例えば、10重量%~90重量%、10重量%~80重量%、25重量%~70重量%、40重量%~60重量%、または90重量%以下で10重量%、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80または85重量%以上で形成することができる。
【0071】
放出マトリックスは、ポリマー(すなわち、ポリマー封入薬物粒子のポリマー)によるカプセル化がない治療剤の粒子、例えば、治療剤の結晶粒子を含むことができる。他の実施態様において、放出マトリックスは、ポリマーによるカプセル化がない治療剤の粒子が実質的にないことができる。ポリマーによるカプセル化がない治療剤の粒子は、薬物放出コーティングのいずれかの適切な割合、0.001重量%~50重量%、または1重量%~20重量%、または1重量%~10重量%、50重量%以下で0.001重量%以上、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40または45重量%以上を形成することができる。ポリマーによるカプセル化がない、治療剤の粒子は、均質に放出マトリックスにおいて分配(または、分散)することができる。
【0072】
第2のイオン性または両性イオン性添加剤は、第1のイオン性または両性イオン性添加剤と同じ分子構造を有することができ、または、第2のイオン性または両性イオン性添加剤は第1のイオン性または両性イオン性添加剤と異なる分子構造を有することができる。薬物放出コーティングは1、2、3、または4、またはそれを超える第2のイオン性または両性イオン性添加剤、例えば、1つまたは2つの第2のイオン性または両性イオン性添加剤、例えば、2つの第2のイオン性または両性イオン性添加剤を含むことができる。1つ以上の第2のイオン性または両性イオン性添加剤は、薬物放出コーティングのいずれかの適切な割合、例えば、10~80重量%、40~60重量%、または80重量%以下で10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70または75重量%以上を形成することができる。
【0073】
第2のイオン性または両性イオン性添加剤は、カチオン性分子、アニオン性添加剤または両性イオン性添加剤を含むことができる。第2のイオン性または両性イオン性添加剤は、薬物放出コーティングのゼータ電位を増加でき(すなわち、より正にでき)、これは、組織への薬物放出コーティングの付着を増加できる、および/またはコーティングから組織への薬物移行割合を増加できる。例えば、薬物放出コーティングの正のゼータ電位は、ペプチドまたはタンパク質中のアミノ基および/または細胞膜中の脂質二重層の負に荷電脂質(例えば、細胞膜の表面上の陰イオン)を引きつけることができ、よりよい付着を引き起こす。付着の増加は、身体内腔の壁上の薬物放出コーティングのステイを延長することができ、組織への高い薬物用量および/または組織へのより大きな割合の薬物送達に導く。第2のイオン性または両性イオン性添加剤は荷電ポリマー、荷電脂質、リン脂質、ホスホコリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールおよびそれらの組合せを含むことができる。第2のイオン性または両性イオン性添加剤は薬物放出コーティングの表面へ移動することができる。イオン性または両性イオン性添加剤の荷電ヘッドは、コーティングのゼータ電位がより高くなるように、コーティングから離れて配向でき、疎水性尾部(tail)はコーティングの方向に配向される
【0074】
荷電脂質の2つのアシル基または荷電リン脂質(例えば、トリグリセリド骨格に結合したエステル)の2つのアシル基は、1つ以上の特性または特徴において異なる、ミスマッチアシル基を含む。ミスマッチアシル基は、長さ、飽和度、その置換基、その置換パターンまたはそれらの組合せにより、異なることができる。例えば、双方のアシル基は飽和することができるか、または一方を飽和することができ、一方は不飽和であることができ、または、双方は不飽和であることができる。例えば、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)は2つの不飽和のアシル鎖を有し、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホコリンは、一方が飽和され、一方が不飽和であるアシル基を有する。2つの不飽和のアシル基を含む実施態様において、不飽和のアシル基は同一または異なる炭素位置にて二重結合を有することができるか、または同一または異なる位置にて炭素鎖に沿った複数の二重結合を有することができる。異なる長さ、飽和度、その置換基および置換パターンを持つミスマッチしたまたはマッチしたアシル基は、異なる相転移または軟化温度を有することができる。荷電脂質の相転移または軟化温度は、コーティングの特性、例えば、コーティング完全性、乾燥耐久性、コーティングからの薬物放出の速度、組織への取込み速度および/または程度またはそれらの組合せに影響することができる。高い相転移温度を有する脂質およびリン脂質は、割れて剥げる脆性コーティングに導き、一貫しない薬物投与(drug dosing)に導きかねない。低い相転移温度を有する脂質およびリン脂質は、それらがぬれて粘質(wet and sticky)であり、一貫しない薬物投与に導くことができるため、扱うのが難しくなりかねない。荷電脂質およびリン脂質の相転移温度は、-70℃~80℃の範囲にあることができる。相転移温度の好ましい範囲は-30℃~50℃である。相転移温度の最も好ましい範囲は-20℃~40℃である。いくつかの実施態様において、コーティングは、
コーティングの相転移温度が、望ましい機械的性質(乾燥し柔軟で、粘質でなく脆くない)を持った望ましい範囲にあることを可能にする脂質および/またはリン脂質の混合物を有することができる。
【0075】
荷電脂質または荷電リン脂質のミスマッチアシル基は、C6~C34、例えば、C6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33または34の長さを有することができる。いくつかの実施態様において、C6~C34の鎖長を有するアシル基の同一または異なる長さは、組織への薬物浸透を増強するために、細胞膜の脂質二重層において混乱、不規則および/または屈曲を創成することができる。長さにおいて異なるミスマッチアクリル基を有する荷電脂質またはリン脂質を含む実施態様において、2つのアシル基の長さは、C1~C28、C1~C10、またはC1~C8、またはC1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27以上またはC28の長さによって異なることができる。例えば、長さにおいて異なる2つのアシル基は、C12/C14、C12/C16、C12/C18、C12/C20、C12/C22、C12/C24、C12/C26、C14/C16、C14/C18、C14/C20、C14/C22、C14/C24、C14/C26、C16/C18、C16/C20、C16/C22、C16/C24、C16/C26、C18/C20、C18/C22、C18/C24、C18/C26、C20/C22、C20/C24、C20/C26、C22/C24、C22/C26またはC24/C26の長さを有することができる。
【0076】
荷電ポリマーは、ポリカチオン含有シクロデキストリン、アミノシクロデキストリンまたはその誘導体、アミノデキストラン、ヒストン、プロタミン、カチオン化ヒト血清アルブミン、アミノ多糖類、キトサン、ペプチド、ポリ-L-リジン、ポリL-オルニチン、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリプロピレンイミン、ポリアミドアミンデンドリマー、カチオンポリオキサゾリン、ポリ(ベータ-アミノエステル)、PEG-PEI共重合体、PLGA-PEI共重合体、正荷電ゼラチン(例えば、塩基処理されたゼラチン)、ヒドロキシ末端化ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ステアリン酸変性分岐ポリエチレンイミン、分岐PEI-g-PEG、ポリ(1-ビニルピロリドン-コ-2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリ(1-ビニルピロリドン)-グラフト-(1-トリアコンテン)、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリ(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ジメチルアミノエチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/メチルメタクリレートのカチオン共重合体(例えば、Eudragit E)、メタクリル酸/メチルメタクリレートのアニオン共重合体(例えば、Eudragit Lおよび/またはEudragit S)、第四級アンモニウム基を持つエチルアクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸エステルの共重合体(例えば、Eudragit RSおよび/またはSR)およびそれらの組合せから選択することができる
第四級アンモニウム基を持ったメタクリル酸エステルの一例は、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドである。
【0077】
荷電脂質は、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、ナトリウム塩、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-デカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、ジエイコセノイル ホスファチジルコリン(1,2-ジエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C20:1 PC)、ジアラキドノイルホスファチジルコリン(1,2-ジアラキドニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C20:0 PC)、ジエルコイルホスファチジルコリン(1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C22:1 PC)、ジドコサヘキサエノイル ホスファチジルコリン(1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C22:6 PC)、ヘンエイコセノイル ホスファチジルコリン(1,2-ヘンエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C21:1 PC)およびジネルボニルホスファチジルコリン(1,2-ジネルボノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C24:1 PC、またそれらの組合せから選択できる。
【0078】
第2のイオン性または両性イオン性添加剤は、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、ナトリウム塩、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-デカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリンおよびそれらの組合せから選択することができる。
【0079】
第2のイオン性または両性イオン性添加剤は、少なくとも1つのアシル基を含む、水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含むかまたはそれであることができる。第2のイオン性または両性イオン性添加剤は、50~750、750~100,000または750~50,000、または750~10,000の分子量を有することができる。第2のイオン性または両性イオン性添加剤はその純粋な形態の添加剤のものより低い融解温度を有することができる。第2のイオン性または両性イオン性添加剤はその純粋な形態の添加剤のものより低い結晶化度を有することができる。
【0080】
薬物放出コーティングは、ターゲット位置への薬物送達を意図したいずれかの適切な表面上にあることができ、例えば、医療デバイス、例えば、バルーンカテーテル、薬物被覆カテーテル、薬物溶出ステント、バルーン上の薬物溶出ステント、薬物被覆バルーン上の薬物溶出ステント、薬物被覆バルーン上のステントまたはそれらの組合せの上にあることができる。
【0081】
ポリマー封入薬物粒子を含む医療デバイスを用いることを含む非血管性もしくは血管性の狭窄もしくは狭窄症を処置または予防する方法。
種々の実施態様は、非血管性もしくは血管性の狭窄もしくは狭窄症を処置または予防する方法を提供する。方法は、バルーンまたはステントを含むカテーテルを身体内腔へ挿入することを含み、バルーンまたはステントは、治療剤を含むポリマー封入薬物粒子および治療剤を封入した1つ以上のポリマー、またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティングを含む。方法は、狭窄、狭窄症または狭窄もしくは狭窄症が防止される領域とコーティング層とを接触させるためにバルーンまたはステントを拡張することを含むことができる。バルーンが用いられる場合、方法はバルーンまたはステントを圧縮させることを含むことができる。また、バルーンが用いられる場合、方法は身体内腔からバルーンを取り出すことを含むことができる。ステントが用いられる場合、それは自己拡張またはバルーン拡張可能なステントのいずれかであることができる。
【0082】
ポリマー封入薬物粒子および/または薬物放出コーティングを作製する方法
種々の実施態様は、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子を作製する方法を提供する。方法は治療剤およびポリマーを含む懸濁液を形成することを含む。その懸濁液は溶解しない固体の治療剤粒子を含むことができる。方法は、懸濁液の粒径を低下させるために懸濁液を処理することを含む。また、方法は、懸濁液中のポリマー封入薬物粒子を形成するために水性プレミックスを懸濁液に加えることを含む。ポリマー封入薬物粒子は最終生産物であることができるか、または本発明のポリマー封入薬物粒子の特別の実施態様を達成するために行なわれるさらなる工程での中間体であることができる。
【0083】
処理は、懸濁液の粒径を低下させるいずれかの適切な処理であることができる。処理は超音波処理を含むことができる。方法は、さらに、粒子をその上に被覆するために第1のイオン性または両性イオン性添加剤を懸濁液または形成されたポリマー封入薬物粒子に加えることを含むことができる。方法は、さらに、形成されたポリマー封入薬物粒子が第1のイオン性または両性イオン性添加剤をその中、その上またはその組合せで含むように、治療剤、ポリマーおよび第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含む懸濁液を形成することを含むことができる。
【0084】
方法は、ポリマー封入薬物粒子および放出マトリックスを含む薬物放出コーティングを形成する方法であることができる。方法は、さらに、第2のイオン性または両性イオン性添加剤を懸濁液に加えて、ポリマー封入薬物粒子を均質に分配するために所望により懸濁液を撹拌し、薬物放出コーティングを形成するために懸濁液を乾燥することを含むことができる。
【0085】
ポリマー封入薬物粒子を作製する方法は、有機溶媒、1つ以上のポリマー、治療剤および、所望により、第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含む有機プレミックスを形成することを含むことができる。方法は、水および水溶性ポリマーまたは界面活性剤を含む水性プレミックスを形成することを含むことができる。方法は、有機溶媒を水性プレミックスに加えることを含むことができる。いくつかの実施態様において、有機プレミックスの有機溶媒、および水性プレミックスに加えられた有機溶媒は、同じ有機溶媒である。有機プレミックスの有機溶媒、および水性プレミックスに加えられた有機溶媒は、極性有機溶媒であることができる。方法は、水性プレミックスおよび有機プレミックスを一緒に組み合わせることを含むことができる。方法は、ポリマー封入薬物粒子を含む乳濁液を形成するために、組み合わせた水性プレミックスおよび有機プレミックスを撹拌することを含むことができる。方法は、形成されたポリマー封入薬物粒子を硬化させるために、水をポリマー封入粒子を含む乳濁液に加えることを含むことができる。方法は、組み合わせた水性プレミックスおよび有機プレミックスからポリマー封入薬物粒子を分離することを含むことができる。方法は、水性液体でポリマー封入薬物粒子を洗浄し、ポリマー封入薬物粒子を乾燥し、またはそれらの組合せを含むことができる。洗浄に用いられた水性液体は、所望により1つ以上の水溶性添加剤、例えば、本明細書に記載されたいずれかの水溶性添加剤またはイオン性もしくは両性イオン性の添加剤を含みことができ、これは、洗浄中にポリマー封入薬物粒子を被覆することができる。洗浄中のポリマー封入薬物粒子のコーティングは、ポリマー封入薬物粒子のゼータ電位を変更することができる。
【0086】
有機プレミックスの有機溶媒、および水性プレミックスに加えられた有機溶媒は、独立して、(a)ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンおよびヘプタンのごときアルカン、(c)ベンゼン、トルエンおよびキシレンのごとき芳香族溶媒、(d)エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジエチルアミド、エチレングリコールモノエチルエーテル、トランスクトールおよびベンジルアルコールのごときアルコール、(f)酢酸エチルおよび酢酸イソブチルのごときエステル/アセタート、(e)ジオキサン、ジメチルエーテルおよびテトラヒドロフランのごときエーテル、(g)アセトン、アセトニトリル、ジエチルケトンおよびメチルエチルケトンのごときケトン、ならびに(h)クロロホルムまたは塩化メチレンのごとき塩素系溶剤であることができる。
【0087】
水性プレミックスの水溶性ポリマーまたは界面活性剤は、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ホスファチジルコリンまたはそれらの組合せのごとき、本明細書に開示されたいずれかの水可溶性ポリマーまたは界面活性剤のごとき、いずれかの適切な水溶性ポリマーまたは界面活性剤であることができる。水溶性ポリマーまたは界面活性剤は、N1-[2-((1S)-1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-4-[ジ(3-アミノ-プロピル)アミノ]ブチルカルボキシアミド)エチル]-3,4-ジ[オレイルオキシ]-ベンズアミド、1,2-ジ-O-オクタデケニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(塩化物塩))、1,2-ジステアロイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(塩化物塩)、N4-コレステリル-スペルミンHCl塩、1,2-ジオレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン、カルシジオール、コレカルシフェロール、1αおよび25-ジヒドロキシビタミン D3、ポリ(1-ビニルピロリドン)-グラフト-(1-トリアコンテン)、ポリ(1-ビニルピロリドン-コ-2-ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、分岐PEI-g-PEG、ステアリン酸変性分岐ポリエチレンイミン、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ヒドロキシ末端化ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)、1-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、ポリ(2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)、ヨウ化アセチルコリン、塩化アセチルコリン、またはそれらの組合せであることができる。
【0088】
有機プレミックスおよび水性プレミックスの組合せから形成された乳濁液は、有機溶媒および水のコアセルベートであることができ、分散相は有機溶媒である。水をコアセルベート溶液に加えることは、ポリマー封入薬物粒子を硬化でき、連続的な水相の外に有機溶媒を駆動することができる。乳濁液を形成するのに用いた混合は、いずれかの適切な撹拌、例えば、超音波浴またはプローブ、ロータースターター、充填床を介する流れ、撹拌棒、エダクター漏斗、ミルタイプ、ホモジナイザーまたはオーバーヘッドインペラータイプであることができる。ポリマー封入薬物粒子の収集は、濾過または遠心分離のごときいずれかの適切な回収方法を含むことができる。収集中に、粒子は水性液体で洗浄することができる。水性洗液は所望により1つ水溶性添加剤、例えば、本明細書に記載されたいずれかの水溶性添加剤またはイオン性もしくは両性イオン性の添加剤を含むことができ、これは洗浄中にポリマー封入薬物粒子を被覆することができる。洗浄中のポリマー封入薬物粒子のコーティングは、ポリマー封入薬物粒子のゼータ電位を変更することができる。粒子の乾燥は、噴霧乾燥、真空乾燥、昇華または蒸発を含むことができる。形成されたポリマー封入薬物粒子は、薬物放出コーティングの形成のため、薬物コーティング溶液を調製するために所望により用いることができる。
【0089】
薬物放出コーティングを形成する方法は、ポリマー封入薬物粒子および有機溶媒を含む第1の混合物を形成することを含むことができる。第1の混合物は、有機溶媒中のポリマー封入薬物粒子の分散であることができ、これは、例えば、適切な混合方法、例えば、適切な混合方法、例えば、ソニックプローブ混合、撹拌棒、ボルテックス撹拌機(vortexer)、オーバーヘッド撹拌機、またはロータースタラーを介して作製される。方法は、第2のイオン性または両性イオン性添加剤および有機溶媒を含む第2の混合物を形成することを含むことができる。方法は、第1の混合物および第2の混合物を組み合わせることを含むことができる。いくつかの実施態様において、第1の混合物および第2の混合物の有機溶媒は、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンまたはペンタンのごとき無極性有機溶媒である。いくつかの実施態様において、第1の混合物および第2の混合物の有機溶媒は、同じ有機溶媒である。方法は、薬物放出コーティングを形成するために第1の混合および第2の混合物の組合せを乾燥することを含むことができる。方法は、乾燥に先立って第1の混合および第2の混合物の組合せを撹拌して、その中にポリマー封入薬物粒子を均質に分散させることができる。
【0090】
薬物放出コーティングを形成するために用いた第2のイオン性または両性イオン性添加剤は、本明細書に記載されたいずれかの適切な材料、例えば、リン脂質、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンまたはペンタンのごとき無極性溶媒中の1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(ナトリウム塩)、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-デカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリンおよびそれらの組合せであることができる。第2のプレミックスはリン脂質が完全に溶けることを保証するために加熱し得る。次いで、第2のプレミックスはそれが加熱されたならば、冷却させることができ、次いで、それは第1のプレミックスに加えることができる。2つの混合物の最終混合物は、いずれかの適切な混合方法、例えば、ソニックプローブ混合、撹拌棒、ボルテックス撹拌機、オーバーヘッド撹拌機、またはロータースターターによって十分に混合することができる。
【0091】
ポリマー封入薬物粒子を含むバルーンカテーテルを作製する方法
本発明の種々の実施態様は、バルーンカテーテルを作製する方法を提供する。方法は、治療剤、およびバルーンカテーテルのバルーンの外部への同一物を含む治療剤または薬物放出コーティングを封入する1つ以上のポリマーを含む、ポリマー封入薬物粒子を適用することを含む。
【0092】
薬物被覆バルーンカテーテル
本出願の全体にわたって記載されたバルーンカテーテルは、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子を含むコーティング層;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または組成物;またはそれらの組合せを含むことができる。組成物は、治療剤;または第1の添加剤;または第2の添加剤;またはそれらの組合せを含むことができる。治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択することができる。治療剤は、0.2ミクロン~10ミクロンの粒径を有することができる。第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性または部分的に水不溶性の添加剤を含むことができる。第1の添加剤は、50~750の分子量を有することができる。第2の添加剤は、第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であることができ、ポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)-)またはポリグリセロール(-(CH2-CHOH-CH2O)-)単位を含むことができる。第2の添加剤は750~100,000の範囲の分子量を有することができる。
【0093】
バルーンカテーテルは、本明細書に記載されたいずれかの適切なバルーンカテーテルであることができる。バルーンカテーテルのバルーンは、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルおよびポリアミドのブロック共重合体、ポリエーテルブロックアミド、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリエステルのブロック共重合体またはそれらの組合せを含むことができる。
【0094】
バルーンカテーテルは、身体内腔狭窄もしくは狭窄症に治療剤を送達するために用いることができ、身体内腔狭窄もしくは狭窄症は、尿道狭窄、前立腺尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、洞狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、膀胱頚部狭窄、胆道狭窄、膣狭窄、ステント内再狭窄、冠状動脈狭窄から選択される、表在性大腿動脈狭窄、膝窩動脈狭窄、前脛骨動脈狭窄、後脛骨動脈狭窄および腓骨動脈狭窄から選択される。
【0095】
バルーンカテーテルは、身体内腔の標的部位に治療剤を送達するために用いることができ、身体内腔の標的部位は、尿道狭窄、前立腺尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、洞狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、膀胱頚部狭窄、胆管狭窄、膣狭窄、ステント内再狭窄、冠状動脈狭窄、表在性大腿動脈狭窄、膝窩動脈狭窄、前脛骨動脈狭窄、後脛骨動脈狭窄および腓骨動脈狭窄から選択される。
【0096】
1つの実施態様において、本発明は、身体内腔狭窄もしくは狭窄症の標的部位に治療剤を送達するためのバルーンカテーテルに関し、バルーンは、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルおよびポリアミドのブロック共重合体、ポリエーテルブロックアミド、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリエステルのブロック共重合体またはそれらの組合せを含む。1つの実施態様において、本発明は、身体内腔狭窄の標的部位に治療剤を送達するためのバルーンカテーテルに関し、バルーンカテーテルは、バルーンの外表面に重なる(overlying)薬物コーティングを含む。コーティングは、治療剤および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せを含むことができる。組成物は、治療剤の初期の薬物負荷および1つ以上の水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤および1つのより水溶性添加剤を含むことができる。治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択することができる。治療剤は、結晶性、部分的に結晶性、非晶性、部分的に非晶性、またはそれらの組合せであることができる。治療剤の粒径は、0.2~10μm、または好ましくは0.2~5μmの範囲にあることができる。第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せは、治療剤を封入することができ、添加剤に封入された治療剤は、治療剤自体より大きな粒径を有することができ、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にあることができる。第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含むことができる。第1の添加剤は50~750の分子量を有することができる。コーティング中の水不溶性添加剤はその純粋な形態より低い融解温度を有することができる。コーティング中の水不溶性添加剤は、その純粋な形態より低い結晶化度を有することができる。水溶性添加剤は、水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であることができる。水溶性添加剤は、ポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)-)またはポリグリセロール(-(CH2-CHOH-CH2O)-)単位を含むことができる。第2の添加剤は、750~100,000、または750~50,000、または750~10,000の範囲の分子量を有することができる。
【0097】
水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤は、酢酸コレステリル、フェニル酢酸コレステリル、ラウリン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、n-吉草酸コレステリル、安息香酸コレステリル、ヘプチル酸コレステリル、デシル酸コレステリル、カプロン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、炭酸コレステリルオレイル、リノール酸コレステリル、ペラルゴン酸コレステリル、エルカ酸コレステリル、カプリル酸コレステリル、5α-コレスタン、5α-コレスタン-3-オンから選択することができる。アルキル脂肪族基を持つ水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の第1の添加剤は、アルキルグリセリルエーテル、C8~C12脂肪酸のモノグリセリド、アルキルアルコール、アルキルエーテル、アルキルエステル、カプリル酸、モノカプリリン、カプリン酸、モノカプリン、ラウリン酸、ドデシルグリセロール、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オクタデカトリエン酸から選択することができる、エイコサン酸、エイコセン酸、エイコサテトラエン酸、イコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、トコトリエノール、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、アルファリノレン酸、ガンマリノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、天然もしくは合成リン脂質、モノ-、ジ-、またはトリアシルグリセロール、カルディオリピン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、アルファトコフェロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン ホスファチジルグリセロール、スフィンゴ脂質、プロスタグランジン、ガングリオシド、ネオビーおよび誘導体およびそれらの組合せから選択できる。
【0098】
水溶性の第2の添加剤は、ポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケート、メチル化ポリエチレングリコールコレステロール(mPEGコレステロール)、PEGアミドエーテルコレステロール、PEGアミドエステルコレステロール、mPEGアミドエーテルコレステロール、mPEGアミドエステルコレステロール、DSPE-PEG-コレステロール、PEG化リン脂質、メチル化PEG化リン脂質、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、カプリル酸PEG、カプリン酸PEG、カプロン酸PEG、モノラウリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-20)、モノパルミチン酸PEG-20ソルビタン(Tween-40)、モノステアリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-60)、モノオレイン酸PEG-20ソルビタン(Tween-80)、ラウリン酸PEG、オレイン酸PEG、ステアリン酸PEG、ラウリン酸PEGグリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ポリグルセリル脂肪酸エステル、オレイン酸ポリグルセリル、(Plurol Oleique)、ジオレイン酸ポリグルセリル-2(Nikkol DGDO)、トリオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル、ミリスチン酸ポリグルセリル、パルミチン酸ポリグルセリル、リノール酸ポリグルセリル、 ラウリン酸ポリグルセリル-10、オレイン酸ポリグルセリル-10、モノ/ジオレイン酸ポリグルセリル-10(CaproI(商標)PEG 860)、ステアリン酸ポリグルセリル-10、ラウリン酸ポリグルセリル-10、ミリスチン酸ポリグルセリル-10、パルミチン酸ポリグルセリル-10、リノール酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-6、ラウリン酸ポリグルセリル-6、ミリスチン酸ポリグルセリル-6、パルミチン酸ポリグルセリル-6、リノール酸ポリグルセリル-6、ポリエチレングリコール(PEG)-コレステリルセバケート(ジセバケートジエステル結合、コレステロール、水溶性、CAS 69068-97-9):
【0099】
【0100】
ポリエチレングリコールコレステロール(エーテル結合、コレステロール-(ポリエチレングリコール-600):
【0101】
【0102】
PEGアミドエステルコレステロール(エステルアミド結合、ヒドロキシル末端PEGコレステロール、種々の分子量):
【0103】
【0104】
PEGアミドエーテルコレステロール(メチル末端化、アミドエーテル結合、MW=550、1K、2K、5K、10K、20K、30K、40K):
【0105】
【0106】
mPEGアミドエステルコレステロール(メチル末端化、アミドエステル結合、MW=550、1K、2K、5K、10K、20K、30K、40K):
【0107】
【0108】
DSPE-PEG-コレステロール:
【0109】
【0110】
またはそれらの組合せを含むことができる。
【0111】
1つの実施態様において、医療デバイスの表面に適用された少なくとも1つの治療剤の濃度密度が、約1~20μg/mm2、または約2~6μg/mm2、または約0.5マイクログラム/mm2、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18未満または以上、あるいは約20マイクログラム/mm2以上である。医療デバイスがバルーンであるならば、これらの測定は公称直径(nominal diameter)で計算される。本発明の実施態様におけるコーティング層中の重量による添加剤-対-薬物の比は、約20-対-0.05、約10-対-0.1、または約6-対-0.15であることができる。
【0112】
コーティング層中の1つ以上の添加剤の全重量に対するコーティング層中の治療剤の重量比は、約0.05~約20、約0.1~約10、約0.1~約5、約0.5~約8、約0.5~約3、約2~約6または約0.05以下、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19未満または以上、あるいは約20以上であることができる。
【0113】
本発明は新規の薬物被覆バルーンカテーテルおよびそれらの使用を提供する。新方法は内腔を開き、再狭窄および再発性の非血管性もしくは血管性の狭窄を防止、低減、最小化する。管の内腔は、動脈、静脈または血液を含むいずれかの内腔を含む。非血管性の内腔は、血液を含まないそれらの内腔を含む。方法は、薬物コーティングを含む内腔内の医療デバイスを用いることを含む。コーティングは、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せを含むことができる。薬物コーティングは1つを超える層を有することができ、身体内腔狭窄もしくは狭窄症への送達のための抗炎症性および抗増殖性の薬物のごとき有効な量の治療剤(例えば、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、ウミロリムス、mTOR阻害剤、またはそれらのアナログ)、1つ以上の水溶性添加剤、および1つ以上の水不溶性もしくは部分的に水溶性の添加剤を含むことができる。処置は早産の新生児~ヒト成人のごとき種々の動物のために意図される。
【0114】
他に特記されない限りは、伸張比は、バルーンカテーテルによって処置される領域内の身体内腔の直径に対するバルーンの公称(nominal)直径の比率として本明細書に定義される。バルーンの公称直径は、バルーンが公称圧力で無制限の環境において達成する直径である。内腔直径は、狭窄もしくは狭窄症、または内腔の病変の直径の平均である。尿路については、例えば、尿道および前立腺部尿道において、身体内腔直径は、閉塞された身体内腔の排泄する尿道の平均直径になるであろう。膨張したバルーン直径は、膨張後のバルーンの実際の直径であることができ、それはいくつかの実施態様において、バルーンの公称直径に等しく、それよりも小さくまたは大きくなることができる。種々の実施態様において、本発明のバルーンカテーテルの伸張比は、それを他のカテーテルより非血管性の内腔の処置のためにより有効にする。本発明の方法のパフォーマンス中に、伸張比は方法中に用いられる圧力の範囲にて内腔直径に対する実際の膨張したバルーン直径の所望の比率を達成するいずれかの適切な比率であるために選択することができる。種々の実施態様において、バルーンの伸張比は、約1.0~40、1.1~40、1.2~40、1.3~40または1.4~40(例えば、1または1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39を超えるまたは以下、または40以下、またはそれらの間のいずれかの値)であることができ;かかる伸張比の結果、伸張比と同一、同様、異なることができる膨張期間に用いられる圧力にて内腔直径に対する膨張したバルーン直径の所望の比率、例えば、約1.0~40、1.1~40、1.2~40、1.3~40または1.4~40(例えば、1または、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39を超えるまたは以下、または40以下、またはそれらの間のいずれかの値)を生じることができる。
【0115】
本発明の種々の実施態様は、被覆した医療デバイスに関する。デバイスは、バルーンカテーテル、固定ワイヤーバルーンカテーテル、ワイヤーバルーンカテーテル上、迅速な交換バルーンカテーテル、灌流バルーンカテーテル、ダブルスペースのバルーン、切断バルーンカテーテル、スコーリングバルーンカテーテルまたは注入カテーテル(例えば、一定間隔で配置した遠位有孔薬物注入チューブ、有孔バルーン、ダブルスペースバルーン、多孔性バルーンまたはウィーピング(weeping)バルーン)の1つを含む。
図1に示されたごとく、1つの実施態様において、医療デバイスはバルーンカテーテルである。バルーンカテーテルは、当業者に知られた通常の円筒形バルーンカテーテルを含めたいずれかの所望の使用のためのいずれかの適切なカテーテルであることができる。例えば、バルーンカテーテル10は、カテーテル10の遠位端にて、拡張可能で可膨張性バルーン12、カテーテル10の近位端にてハンドルアセンブリ16および近位端と遠位端の間に延在する伸長する可撓性(flexible)部材14を含むことができる。ハンドルアセンブリ16は1つ以上の適切な医療デバイス、例えば、膨張媒体(例えば、空気、セーラインまたは造影剤)に接続および/またはそれを受け入れることができる。可撓性部材14は、適切な生物学的適合の材料で作製され、その中に1つ以上の内腔を有するチューブであることができる。少なくとも1つの内腔は、その拡張のために膨張媒体を受け取り、かかる媒体をバルーン12へ渡すように構成される。バルーンカテーテルは、迅速な交換またはオーバ・ザ・ワイヤ(over-the-wire)カテーテルであることができ、いずれかの適切な生物学的適合の材料で作製することができる。バルーン12の材料は、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルおよびポリアミドのブロック共重合体、PEBAX(登録商標)、ポリウレタンおよびポリエーテルおよびポリエステルのブロック共重合体の1つ以上を含むことができる。バルーンカテーテルシャフトは、ポリエーテルアミドブロック共重合体、ポリアミド、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートまたはそれらのブレンドを含めたいずれかの他の半順応性(semi-compliant)ないし非順応性(non-compliant)ポリマーから構成することができる。また、バルーンカテーテルシャフトは、ステンレス鋼、ポリカーボネート、チタン、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)または他の剛性の生物学的適合の材料のごとき剛性材料を用いて構築することができる。
【0116】
いくつかの実施態様において、バルーンは、バルーンが1つのネック部によって分離された2つの主要部を含むように、1つのネック部を含むことができ、他のネック部を含まない。1つのネック部は、バルーンに関してほぼ中心にある、またはバルーンに関して中心から外れてのごとき、バルーン上のいずれかの適切な位置を有することができる。1つのネック部は、バルーンの長さに関して中心から外れていることができ、バルーンの遠位端にあることができる。バルーンの長さに関して中心から外れた1つのネック部を含むバルーンの実施態様は、
図3Aにおいて示される。
【0117】
いくつかの実施態様において、バルーンは、バルーンが2つのネック部によって分離された3つの丸い突出部(lobe)を含むように、2つのネック部を含むことができ、他のネック部がない。2つのネック部は、ほぼ同じ直径を有することができるか、または、ネック部の1つは他のネック部より小さな直径を有することができる。2つのネック部は、バルーン長さの中心に関して対称的にまたは非対称的に位置することができる。3つの主要部はほぼ等しい長さを有することができるか、または異なる長さを有することができる。
図3Bは、3つの主要部を持つ2つのネック部を有するバルーンカテーテルの実施態様を示し、ネック部は、バルーンの長さの中心について対称的に位置し、バルーンの3つの主要部はほぼ同じ長さを有する。使用中、遠位ネック部(例えば、身体に最初に挿入されるバルーンカテーテルの遠位端のネック部)は、膀胱頚部にバルーンを繋留させて位置することができ、一方、近位ネック部は前立腺部尿道に配置することができる。
中に身体に最初に挿入されるバルーンカテーテルの遠位端のネック部は、膀胱頚部にバルーンを繋留させて見つけることができる。その一方で近位ネック部は前立腺部尿道に配置することができる。いくつかの実施態様において、バルーンカテーテルの遠位の主要部は治療剤を含まなくできる。
【0118】
いくつかの実施態様において、バルーンは、バルーンが3つのネックによって分離された4つのセクションを含むように、3つのネックを含むことができ、他のネック部を含まない。3つのネック部はバルーンの長さに沿ったいずれかの適切な方法で配置することができる。3つのネック部によって形成された4つの主要部は、等しいまたは異なる長さを有することができる。3つのネック部は等しい直径、または異なる直径を有することができる。いくつかの実施態様において、ネック部の2つは、他のネック部の直径より小さい等しい直径を有する。
図3Cは、各々ほぼ等しい長さを有する4つの主要部を持つ3つのネック部を有するバルーンカテーテルの実施態様を示し、ネック部の2つは、他のネック部の直径より小さい等しい直径を有する。
【0119】
種々の実施態様において、本発明は、身体内腔の標的部位に治療剤を送達するためのバルーンカテーテルを提供する。バルーンカテーテルは、複数の主要または身体、部分および主要部より小さな直径を持つ少なくとも1つのネック部を有する伸長したバルーンを含むことができる。バルーンカテーテルは、主要直径を有するか、主要直径と等しい平均直径を有する複数の主要部のごとき主要直径を有する伸長したバルーンを含むことができる。より小さな直径ネック部を持った複数に区分されたバルーンは、身体内腔内にバルーンを機械的に繋留させ;したがって、それは身体内腔内でのバルーンのスリップを防止することができる。バルーンが標的とされた病気の部位から離れてスリップするならば、それは抜かす(missed)ことができ、健康な内腔の部位が傷害されかねない。バルーンカテーテルは、主要直径より小さな直径を含むバルーン上の少なくとも1つのネック部を含むことができる。また、バルーンカテーテルは、バルーンの外表面に重なるコーティング層を含むことができる。コーティングは、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せを含むことができる。コーティング層は1つ以上の水溶性添加剤および1つ以上の水不溶性もしくは部分的に水溶性の添加剤、治療剤(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せ)の初期の薬物負荷を含むことができる。バルーンカテーテルを用いる方法において、特徴(a)、または(b)、または(c)、または(a)および(b)、または(a)および(c)、または(b)および(c)、または(a)および(b)および(c)が存在することができ:(a)標的部位での狭窄または狭窄症の身体内腔直径に対する膨張したバルーン直径の比率は、約1.0~約40であり;または、(b)膨張はバルーンカテーテルの公称圧力に等しいまたは大きい圧力までバルーンを膨張させることを含み、標的部位の狭窄または狭窄症の身体内腔直径に対するバルーンカテーテルの公称直径の伸張比は、約1.0~約40であり;または、(c)膨張はバルーンカテーテルの公称圧力より大きな圧力まで膨張することを含み、かつバルーンカテーテルの公称直径は膨張したバルーン直径未満であり;または(d)(a)、(b)および(c)の組合せである。
【0120】
バルーンが膨張する場合、バルーンの主要直径はバルーンの主要部の直径であることができる。いくつかの実施態様において、主要直径を決定するために用いた膨張した圧力は、バルーンのいずれかの折り重ねられたまたは折り目を付けられた領域を除去し、バルーンの緊張を達成するいずれかの圧力であることができる。主要直径を決定するのに用いた膨張した圧力は、膨張したバルーンが身体内腔の意図した処置中にバルーンの所望の形状およびサイズに対応する形状およびサイズを有するような圧力である。主要直径を決定するのに用いた膨張した圧力は、バルーンカテーテルの公称直径がバルーンの主要直径と等しいようなバルーンの公称圧力であることができる。
【0121】
1つの実施態様において、薬物被覆バルーンは、同じ直径を持つ両端部での2つの主要部、2つの主要部間のより小さな直径を持つ1つのネック部および近位および遠位のバルーン本体での2つのコーンを含む。バルーンカテーテルは、主要部のバルーン直径より小さな直径を含むバルーン上の少なくとも1つのネック部を含む。バルーンカテーテルは、種々の直径を持つ複数の区画を有する伸長した円筒形状のバルーンを含むことができる。特徴(a)、または(b)、または(c)、または(a)および(b)、または(a)および(c)、または(b)および(c)、または(a)および(b)および(c)が存在することができる:(a)標的部位の身体内腔直径に対する膨張したバルーン直径の比率は、約1.0~約40であり;または、(b)膨張はバルーンカテーテルの公称圧力以上の圧力までバルーンを膨張させることを含み、かつ標的部位の身体内腔直径に対するバルーンカテーテルの公称直径の伸張比は、約1.0~約40であり;または、(c)膨張はバルーンカテーテルの公称圧力より大きな圧力に膨張することを含み、かつバルーンカテーテルの公称直径は膨張したバルーン直径未満であり;または(d)(a)、(b)および(c)の組合せである。より小さなネックを持つ複数の区分されたバルーンは、バルーンおよび身体内腔間の摩擦を増加でき;したがって、それは、身体内腔内でバルーンの滑りを防止できる。
【0122】
いくつかの実施態様において、カテーテルシャフトは、カテーテルシャフトと縦に整列された、ロッド、マンドレルまたはワイヤーのごとき伸長した剛性成分を含むことができる。
図4A~
図4Dは、伸長した剛性成分またはコアワイヤー505を含むバルーンカテーテルを示す。
図4Aは、膨張したバルーンを含む実施態様を示し、
図4Bは、非拡張状態のバルーンを示す。シャフトの近位端部では、コアワイヤー505は負荷軽減508下のカテーテルシャフト501に付けられる。コアワイヤー505は、カテーテルシャフト501に遠位に延在する。いくつかの実施態様において、カテーテルシャフトは72D PEBAポリマーから作製される。シャフト501は、張力下の場合、弾性の量を示す材料から作製される。バルーン503下、コアワイヤー505はハイポチューブ510によって被覆される。バルーン503が膨張する場合、それが曲がら(buckle)ないように、ハイポチューブ510は、コアワイヤー505に側面強さを提供する。カテーテルの遠位端の近くで、ハイポチューブ510およびコアワイヤー505はチップ502に結合される。チップ押出し506はハイポチューブ510およびコアワイヤー505にチップ502を接続する。シャフト501およびコアワイヤー505間のスペースは、バルーン503のための膨張内腔であり、バルーン503の内部は、Luerハブ507と流体連通する。本発明のいずれかの適切なバルーンと共に本実施態様を用いることができるが、
図4Aおよび4Bは、1つのネックを持つバルーン510 503を示し、ポリエチレン繊維504はネックを強化するために用いられる。
【0123】
伸長した剛性成分は、円筒形状、テーパー、長方形、六角形、またはもう一つの形状であり、比較的非圧縮性の金属または非金属材料から作製できる断面のプロフィールを有することができる。伸長した成分は、バルーンの近位側からバルーンの遠位側まで、またはバルーンの近位側に近い位置からバルーンの遠位側に及ぶことができる。伸長した成分は、カテーテルシャフトの中央の内腔内に自由に浮動することができ、または多腔型(multilumen)カテーテルシャフト内の専用内腔に配置することができるか、主要カテーテルシャフトの外部で縦に走る(run longitudinally)ことができる。伸長した成分は、カテーテルシャフトに沿って単一のポイント、2ポイント、または2ポイント以上で繋留することができる。伸長した成分は、カテーテルシャフトに熱により直接的にそれを融合させること、カテーテルシャフトに粘着的にまたは化学上それを結合すること、型鉄で曲げる、またはカテーテルの1つ以上の部分へのスエージング(swaging)またはクランピング(crimping)、オーバー成形、いずれかの他の適切な方法により繋留することができる。伸長した成分は、バックリング(buckling)を防止するためのバルーン下のごとくその全長に沿って、またはある部分に沿って強化することができる;例えば、伸長した金属成分は強化されたワイヤーであることができる。強化材はステンレス鋼、ニチノール(すなわち、ニッケル-チタン合金)、鋼、タングステン、イリジウム;ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)およびコバルト(Co)を含めた元素を含む超合金、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のごときいずれかの剛性材料を用いて構築することができ、いずれかの適切な断面形状を有することができる。いくつかの実施態様において、強化材は、円筒形状、長方形、六角形、またはいずれかの適切な外部のプロフィールを有するチューブである。伸長した成分は、
図4Cに示されるような強化材チューブの内側で、または強化材チューブの外側に沿って配置することができる。
【0124】
図4Aおよび4Bに示されるように、カテーテルは、それが圧縮(または収縮、またはすぼめた:deflated)状態にある場合、バルーンを伸ばし延長するバルーン長管理機構を含むことができ、身体内腔を介して追跡することおよび処置後の取り出しのためにバルーンにより小さな断面を与える。バルーンが膨張する場合、長さ管理機構は、バルーンが全長において短くなり、バルーンについての所定の膨張した直径および長さに膨張すること(例えば、成形または形成方法の間に創成された)を可能にすることができる。1つの実施態様において、バルーン膨張から生成された力は、バルーンの遠位端から、例えば、伸長した金属成分へのバルーン結合を介して、またはカテーテルチップおよび伸長した金属成分間の接続を介して、伸長した剛性の金属成分によってカテーテルシャフトを戻し介して、バルーンの近位のカテーテルシャフトへ、例えば、バルーン近位端またはバルーン近位端に近位にて、伸長した金属成分およびカテーテルシャフトの間の接続を介して、移行することができた。カテーテルシャフトへの力のこの移行は、カテーテルシャフト材料の応力-歪曲線の弾性領域で働きつつ、カテーテルシャフト材料がスプリングとして作用することを可能にするであろう。エネルギーは、カテーテルシャフトがバルーン膨張により張力下で伸長される場合に、バルーン膨張中にカテーテルシャフト材料に貯蔵することができ、バルーンを伸長するための収縮中に伸長した金属成分を押すためにカテーテルシャフトによって放出することができる。いくつかの実施態様において、カテーテルシャフトに沿って縦に配向したスプリングを用いて、バルーン長さ管理機構のために力を貯蔵し放出することができる。
図5は、スプリング600の実施態様を示し、これは
図4Aおよび4Dに示されたコアワイヤー505の代わりとして用いることができる。
図5を参照すると、スプリング600はスプリング部601およびワイヤー部602を有する。いくつかの実施態様において、スプリング部601は、カテーテルシャフトの近位端部に位置することができる。スプリングは、カテーテルシャフト中の内腔内、内腔の外側だがカテーテルシャフト内、またはカテーテルシャフトの外側で位置し得る。スプリングはバルーン内にあることができるか、またはバルーンの近位端部に近位のごときバルーンとは別々に位置することができるかまたはそれらの組合せである。膨張したバルーンの長さと比較して、圧縮されたバルーンの伸長した長さは、約0.1mm長く~約100mm長く、約0.1mm長く、0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.5、1、2.5、3、4、5、6、8、10、12、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90未満長くまたは以上長く、あるいは約100mm以上長くできる。カテーテルシャフトは、ポリアミド、ナイロン(例えば、ナイロン6,6、またはナイロン12)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)(例えば、35D PEBA、55D PEBAまたは72D PEBA)、ポリウレタン、シリコーン、ゴム、もう一つの熱可塑性ポリマーまたはそれらの組合せのごとき、バルーンを伸長させる力の所望の量を達成するための種々の材料を含むことができる。カテーテルシャフトは組成物中で均一であることができ、または所望の伸長力を創成するためにカテーテルシャフトの1つ以上の部分に沿って分配される材料の組合せを含むことができる。異なる材料は、バルーン伸長のための伸長した剛性金属成分に適用された異なる弾性歪および異なる力をもたらすことができる。カテーテルシャフトは押出しカテーテルシャフトであることができる。
【0125】
薬物被覆バルーンカテーテルは、前立腺肥大症(BPH)の処置用の医療デバイスであることができる。バルーンカテーテルは、立腺部尿道を拡張することができ、尿道中への挿入用のカテーテルシャフト、および前立腺部尿道における膨張用の順応性、半順応性、非順応性バルーンを含むことができる。バルーンは、バルーン膨張に際して前立腺組織および前立腺部尿道に送達される治療剤を含むコーティングで被覆することができる。バルーンは、例えば、膀胱における別々の位置バルーン、球根状の尿道中の位置バルーン、蛍光透視法で可視のバルーン下のマーカーバンドを介して、いずれかの適切な方法を用いて前立腺内に配置でき、またはカテーテルシャフトは、スコープ-(膀胱鏡-)互換性である直接的視覚化を介する配置を可能にすることができ、カテーテルは、スコープで並ぶことができる。例えば、いくつかの可能なカテーテル設計は、ポジショニングおよび膨張中にバルーンの直接的視覚化を可能にする。
【0126】
いくつかの実施態様において、前立腺を処置する場合、バルーンカテーテルは、カテーテルの本体部分が膀胱頚部括約筋(膀胱の出口での)および外部括約筋の間にあるようなサイズにすることができる。他の実施態様において、カテーテルの本体部分が前立腺を介して配置された外部括約筋上にあり、1つ以上の体部分が膀胱頚部括約筋を通り抜けて、膀胱に配置される。これらの実施態様において、好ましくは、バルーンカテーテルのネック領域は膀胱頚部に整列する。本明細書に言及されるように、視覚化を装備したスコープはバルーンカテーテルを適切にサイズ決定(sized)し、分類し配置するために用いることができる。
【0127】
バルーンカテーテルが柔軟なチップ、Coudeチップ等を含むいくつかの実施態様において、チップは尿道を介してデバイス挿入およびトラッキングを援助するために用いることができる。他の実施態様において、バルーンカテーテルは、尿道を介して標的部位または前立腺への挿入およびトラッキングを可能にすることを目指した内腔またはチャンネルを含む。
【0128】
アカラシア狭窄は、食物および液体が食道から胃まで通過することを困難にするまれな障害である。いくつかの実施態様において、アカラシア狭窄を処置する場合、
図3Aに示されるごときバルーンカテーテルは、カテーテルの近位本体部分がアカラシア狭窄にあり、下部食道括約筋上にあるように、サイズ決定されるべきである。これらの実施態様において、バルーンカテーテルのネック領域は下部食道括約筋ネックと整列することができる。本明細書に言及されるように、視覚化を装備したスコープ(scope)は、バルーンカテーテルを適切にサイズ決定し配置するために用いることができる。バルーンカテーテルが柔軟なチップを含む実施態様において、チップは、所望の位置にバルーンカテーテルを配置することを援助するために、括約筋(例えば、下部食道括約筋)または胃に挿入することができる。
【0129】
バルーンカテーテルは、前立腺組織の直接的拡張を介するBPHにより、より低い尿路徴候(LUTS)を緩和することができる。1.0~40の標的部位での身体内腔直径の膨張したバルーン直径の比率を持つバルーン、または1.0~40の標的部位での身体内腔直径に対する公称バルーン直径の伸張比を有するバルーンでの前立腺の拡張は、前立腺の転移範囲の側面部(section)を分離する自然な平面にて、交連切開術を創成することができる。同時に、薬物は、前立腺組織へのコーティングから放出することができ、それは、例えば、前立腺の拡張および新しく形成された開口の再狭小化を防止することができる。
【0130】
種々の実施態様において、身体内腔中のバルーンの膨張中(例えば、本発明の方法のパフォーマンス中)に、カテーテルの公称バルーン直径(例えば、公称圧力で通常達成された直径)は、処置位置での身体内腔の直径に対する公称バルーン直径の比率が、いずれかの適切な比率、例えば、約1.01~約40、約1.01~約15または約1.2~約10、または約1.31~約8、または約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18未満または以上、あるいは約40以上であるようにすることができる。いくつかの実施態様において、公称圧力への膨張中の標的部位のバルーンの膨張した直径は、公称直径と等しく;しかしながら、実際の使用中に、いくつかの狭窄は、公称直径の達成を防止することができるか、または「ドッグボーン(dog-bone)」形状を形成するように膨張したバルーンを制限することができる。所定圧力(例えば、2気圧、3気圧、6気圧または9気圧)の公称バルーン直径は、各種疾患につてのバルーンの異なる直径2気圧、3気圧、6気圧または9気圧が、各種疾患のためのバルーンの異なる直径について異なることができる。例えば、尿道狭窄バルーンの公称直径は、4気圧、5気圧、6気圧、8気圧または12気圧の膨張での6mm、8mm、10mm、12mmおよび14mmのバルーンカテーテルについて20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mmおよび50mmのバルーン長さで6mm、8mm、10mm、12mmおよび14mmであることができる。BPH狭窄バルーンの公称直径は、2気圧、3気圧、4気圧、6気圧または9気圧の膨張の公称圧力での20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mmおよび60mmのバルーンカテーテルのバルーン長さで25mm、30mm、35mm、40mmおよび45mmであることができる。表1は、各種疾患の狭窄を処置するための使用についての公称バルーンサイズ、公称圧力および内腔直径に対する最小のバルーン直径の比率の例を示す。公称圧力は、自由圧力ランプテスト(unconstrained pressure ramp test)におけるバルーンをそのラベル付けされた公称直径にもたらすのに必要な圧力である。公称直径は、製品が標識付けされる所望の直径である。すべての医師が、バルーンを購入し、公称直径による使用のためにバルーンを選択する。評価された破壊圧力は、バルーンが膨張することができ、それが破壊しないであろうという非常に高い確信を有する最大圧力であり、バルーンが自由圧力勾配テストにおいて破裂する場合に観察された圧力の統計分析から計算されるバルーンカテーテルについてのラベル付け要件である。
【0131】
【0132】
種々の実施態様において、バルーンカテーテルは、所定圧力(例えば、公称圧力)にて、例えば、約1気圧(304kPa)~約30気圧(3040kPa)(例えば、約1以下、または4気圧、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28未満または以上、あるいは約30気圧以上)の圧力にて、バルーンが処置位置で身体内腔の直径に対する膨張させたバルーンカテーテル直径のいずれかの適切な比率を有することができるように十分であることができる。
【0133】
バルーンの膨張した直径は、身体内腔の直径に対する膨張したバルーン直径の所望の比率が達成されるように膨張期間中に、またはその期間の間に達成されるいずれかの適切な直径であることができる。バルーンの膨張した直径は、膨張期間にバルーンを膨張させるために用いられる圧力に対応することができる。膨潤圧力は、公称膨潤圧力~評価された破壊圧力の範囲にあることができる。公称圧力は、膨張したバルーンカテーテルの公称直径での圧力である。公称直径は、バルーンカテーテルの公称圧力での直径であり、製品標識化に関して特定されている。いくつかの実施態様において、膨張した圧力はバルーンについての公称圧力であることができ、バルーンの膨張した直径はバルーンの公称直径におよそ等しいものであることができるか、狭窄からの制限によるバルーンの公称直径未満であることができる。いくつかの実施態様において、膨張期間中のバルーンの膨張した圧力は、公称圧力を超えてまたはその圧力未満にあることができ、バルーンの膨張した直径は、対応して、バルーンの公称直径を超えるまたは未満であることができる。
【0134】
種々の実施態様において、本発明のバルーンカテーテルは、処置ゾーンの視覚化を可能にする柔軟(または可撓性:flexible)または剛性の範囲と互換性があり、他のバルーンカテーテルより正確でより効率的な配置を可能にする。スコープは、胃内視鏡、小腸内視鏡、十二指腸内視鏡、結腸内視鏡、S字結腸鏡、直腸鏡、肛門鏡、鼻鏡、気管支鏡または膀胱鏡であることができる。種々の実施態様において、本発明のバルーンカテーテルは、たとえ、バルーンカテーテルが膨張の開始時にわずかにオフ位置であったとしても、バルーンカテーテルのネック部が膨張(例えば、膀胱頚部における遠位の大部分のネック部のごときバルーンカテーテルのネック部で)中に適切な位置にバルーンカテーテルを指向させるという点で利己主義的である。
【0135】
種々の実施態様において、バルーンカテーテルは、1つ以上の主要部を分離する1つ以上のネック部、および本発明のバルーンカテーテルの少なくとも1つのネック部、または1つ以上のネック部の配置を有し、バルーンカテーテルがネック部のかかるネック部または配置を欠く他のバルーンカテーテルと比較して、狭窄を拡張し、かつ薬物を送達するために、より一貫して有効にその場にとどまることを可能にする。
【0136】
薬物被覆バルーンカテーテルは、複数の主要部を持つ伸長したバルーン体、バルーン体の遠位および近位端部での2つのコーン、膨張内腔およびワイヤー内腔を含むことができ、バルーン体はより大きな直径を持つ少なくとも2つの主要部、およびより小さな直径を持つ少なくとも1つのネック部を含み、より大きな直径を持つ主要部およびネック部は二者択一的にまたは隣接して整列する。伸長したバルーンは、バルーン上のいずれかのネック部、ネック部および主要直径を有する主要部の間のいずれかのテーパー部(例えば、コーン)、およびバルーンの縦の端のいずれかのテーパーまたは形状のセクションを除いて、ほぼ円筒状の形状を有することができる。伸長したバルーンは、バルーンの縦方向に垂直に得られたいずれかの適切なプロフィールを有することができ、例えば、円形(例えば、円筒状バルーン)、楕円形、または多角形(例えば、五角形、六角形、七角形、八角形等)またはそれらの組合せを有することができる。非円筒形状のバルーンの直径は、縦方向に垂直な最大または最小のサイズであることができる。
【0137】
バルーンはいずれかの適切なサイズを有することができる。バルーンは、前立腺部尿道内に適合するように設計することができ、バルーンの遠位部は膀胱に配置される。主要直径および公称バルーン直径は、約5mm~約50mm、25mmから45mmまで、少なくとも10mm、少なくとも15mm、少なくとも20mm、少なくとも30mm、例えば、約5mm以下、または、約6mm、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、34、36、38、40、41、42、43、44、45、46、47、48mm未満および以上、あるいは約50mm以上の範囲にあることができ;主要部直径は、独立してこれらの範囲または特定のサイズのいずれかの範囲にあることができる。バルーンの長さは、約20mm~約160mm、40mm~約80mm、または約20mm以下、または、約22mm、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78mm未満または以上、あるいは約80mm以上の長さを有することができる。バルーン長および直径は患者のユニークな前立腺解剖学に基づいて選択することができる。
【0138】
ネック部は、ネック部(例えば、ネック部直径を有するネック部の部分)の直径が、バルーンの膨張中に実質的に静的なままである剛性または半剛性のネック部であることができる。ネック部は、ネック部の周囲に伝わる(circulated)非弾性の材料、例えば、かかる材料の縫合またはモノフィラメントまたはマルチフィラメント、例えば、ナイロン、ポリアミド、芳香族ポリアミド、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはそれらの組合せを含むことができる。
【0139】
カテーテルシャフト、バルーンまたはそれらの組合せは、ある種の解剖学的構造を持つポジショニングおよび整列を援助するためにその長さに沿った、単一または複数のマーキングを含むことができる。マーキングはいずれかの適切な配向、例えば、カテーテルシャフトまたはバルーンに沿って円周(circumferential)または縦方向を有することができる。カテーテルシャフトまたはバルーンについた跡は、処置領域のバルーンを配置することを援助する、またはバルーンがシースにおいて十分に回復されることを示す、または患者の解剖学内のデバイスを配置するために用いることができる。カテーテルシャフト上のマーキングは、内視鏡、膀胱鏡、または肉眼を用いて、視覚化することができ、またはマーキングは、放射線不透過性の材料のごとき放射線学的に識別可能な成分を含むことができる。マーキングは、パッド印刷(pad print)を介して、レーザーマーキングを介して、またはいずれかの他の方法を介して、識別可能な色を有するカテーテルシャフトの表面にポリマーを熱結合することにより創成できる。
図4Aおよび4Bは、バルーン再捕捉マーク509およびポジショニング・マーク511の実施態様を示す。バルーンカテーテルがバルーンをカバーするシースを含む場合、バルーン再捕捉マーク509は用いることができる。シース(sheath)がバルーンを覆う場合、マーク509はシースの近位端部のまさに近位で位置できる。ユーザが所望の位置へカテーテルを進め、シースを除去し、バルーンを膨張させた後、ユーザはバルーンが取り出しのために被覆されるように、シースを後に進めたいかもしれない。この場合、圧縮後、再捕捉マーク509が可視であるまで、ユーザはシースを遠位に進めるであろう。ポジショニング・マーク511はユーザが身体内腔内のカテーテルを配置するのを援助するために用いることができる。例えば、
図4Aおよび4Bに示すごとく単一のネックバルーンをBPH処置に用いる場合、バルーンの近位端部のまさに近位に位置できるポジショニング・マークは、外部括約筋のまさに近位に配置できる。種々の実施態様で、ユーザは、スコープを介してマーク511を見ることができ、マークが外部括約筋のまさに近位である場合、ユーザはバルーンが適切に配置されていると確信できる。
【0140】
バルーンカテーテルは、身体に最初に挿入される遠位端でカテーテルチップを含むことができる。カテーテルチップは、身体内腔を介するバルーンの通過を促進することができる。チップは、その中での挿入の間に身体内腔への損害を防止するのを助ける非外傷性のチップであることができる。チップはCoudeの非外傷性チップであることができる。非外傷性Coudeチップは、トラッキング中に身体内腔壁への損傷を防止しつつ、身体内腔で屈曲を介するカテーテルの通過を促進するように設計される。それは、カテーテルシャフト上にオーバーモルドされた、またはシャフト上に粘着的に結合した、低デュロメーターの生物学的適合の材料であることができる。例えば、CoudeチップはPEBAX(登録商標)または液状シリコーンゴムから形成することができる。
【0141】
いくつかの実施態様において、カテーテルは、挿入の間にバルーン(例えば、覆われ折り重ねられた/ひだ状のバルーン)を覆う挿入シースを含むことができ、処置中に完全に身体から取り出すことができる。シースは、身体内腔中へのシースの再挿入を促進するために、閉塞具または拡張具と連結されるように設計することができる。シースは1つの材料、または1つを超える材料を含むことができる。シースは、材料のいくつかの異なる層がシースを創成するために組み合わされるか、単純な押出しまたは共同押出しを用いて構築することができる積層構築を有することができる。1つの実施態様において、シースは、PTFEまたはFEPのごときフッ素ポリマーを含む内部層、ステンレス鋼、ニチノール、PEEKまたは他の材料のごとき編む(braided)または巻かれたワイヤーフィラメントを含む中央の補強層、およびPEBAX(登録商標)、ナイロン、ポリウレタンまたはもう一つの熱可塑性材料のごときポリマーを含む外部層を含む。外部シース材料のデュロメーター、およ編むまたは巻かれた強化材のピッチは均一であることができ、またはシースの長さに沿って変化できる。閉塞具は押出されたチューブであることができるか、または特定の幾何学に成形することができ、広範囲の材料、例えば、LDPE、HDPE、PE、PEBA、ナイロン、シリコーン、ポリウレタンまたは他の生物学的適合の材料を含むことができる。閉塞具の遠位チップ(身体に挿入された)は、身体内腔を介して通過を促進するテーパー、範囲(radius)またはある組合せを含むことができる。シースおよび閉塞具は、オーバーモルド、スエージ(swaged)、圧着またはそれらが一緒に接続することを可能にする粘着的に結合したハブ接続を有することができる。交互に、閉塞具は、把持(grasping)特徴を創成し、かつシースとの干渉接続を創成するために近位側でフレアーにすることができる。処置の後、閉塞具およびシースは、身体内腔を介して、バルーンの近位側に挿入することができる。位置において一度、閉塞具はシースから分離することができ、シースはバルーンカテーテルの取り出しを促進するために圧縮されたバルーン上で交換することができる。
【0142】
図4は、カテーテルシャフト、カテーテルチップおよびTuohy Borstアダプター/ストップコック(stopcock)アセンブリを含むBPHの処置のために用いられたバルーンカテーテルの実施態様を示す。
【0143】
バルーンの主要部は同一または同様の直径で形成されることができる。いくつかの実施態様において、公称バルーン直径で測定された場合、種々の主要部の直径は30%と同程度相互に異なることができる。
図3A、3B、3Cおよび4において、バルーンの主要部は等しい直径で示され、各主要部の直径は一定である。実際上、より高圧力にて、主要部の直径は、主要部の中央の部分の直径がバルーンコーン付近、および/またはネック部付近の主要部の端縁よりわずかに大きな直径を有することができるという点で、わずかにボウアウト(bowed out)するであろう。
【0144】
図3A、3B、3Cおよび4に示されるバルーンがネックおよびメイン部を有する、およびバルーンカテーテルが組み立てられた後、
図1に示されるバルーンにネック部を有さない実施態様について、バルーンは、本明細書に言及される少なくとも1つの水溶性添加剤および薬物で被覆することができる。バルーンに複数の主要部を有するいくつかの実施態様において、遠位の主要部は覆われなくてもよい。バルーンは本明細書に議論されたプロセスに従い被覆することができる。シースが用いられるならば、バルーンが覆われた後、それはバルーン上に配置することができる。次いで、カテーテルは、当該技術分野において知られているようにパッケージされ、滅菌され、およびラベル付けされる。
【0145】
図3Aにおいて、1つの実施態様において、1つのネック部を持つバルーンが示される。バルーン100は、ウエスト101、コーン102、第1の胴部(または、体部:body section)103、ネック104、第2の胴部105、コーン(cone)106およびウエスト107を有する。当該技術分野において知られているように、バルーンカテーテルに組み立てられる場合、ウエスト101および107はカテーテルシャフトに付着(または、取付られる:attached)または結合等されるであろう(図示せず)。膨潤中に、ウエスト101および107は、それらがカテーテルシャフトに付着されるので、膨張しない。部分102、103、104、105および106はすべて、カテーテルシャフトおよび外部Luerハブとの連通での単一の膨潤点によって同時に膨張することができる。
図3Bにおいて、1つの実施態様において、2つのネック部を持つバルーンが示される。バルーン120は、ウエスト121、コーン122、第1の胴部123、第1のネック124、第2の胴部125、第2のネック126、第3の胴部127、コーン128およびウエスト129を有する。当該技術分野において知られているように、バルーンカテーテルに組み立てられる場合、ウエスト121および129はカテーテルシャフトに付着または結合等されるであろう。膨潤中に、ウエスト121および129は、それらがカテーテルシャフトに付着されているので、膨張しない。部分122、123、124、125、126、127および128はすべて、カテーテルシャフトおよび外部Luerハブとの連通での単一の膨潤点を介して同時に膨張することができる。ネック部124および126は膨潤の現状の同じ直径であるとして示されているが、それらは、同一または異なるコンプライアンス(compliance)で同一または異なる直径であることができる。
図3Cにおいて、1つの実施態様において、3つのネック部を持つバルーンが示される。バルーン140、ウエスト141、コーン142、第1の胴部143、第1のネック144、第2の胴部145、第2のネック146、第3の胴部147、第3のネック148、第4の胴部149、コーン150およびウエスト151を有する。当該技術分野において知られているように、バルーンカテーテルに組み立てられる場合、ウエスト141および151はカテーテルシャフトに付着または結合等されるであろう。膨潤中に、ウエスト141および151は、それらがカテーテルシャフトに付着されているので、膨張しない。部分142、143、144、145、146、147、148、149および150はすべて、カテーテルシャフトおよび外部Luerハブとの連通での単一の膨潤点によって同時に膨張することができる。ネック部144、146および148は膨潤の現状で異なる直径で示されているが、それらは、異なるコンプライアンスの同じで同一または異なる直径であることができる。
【0146】
種々の実施態様において、バルーンカテーテルはシースで組み立てることができる。カテーテルアセンブリおよびスコープ(例えば、膀胱鏡)は、前立腺部尿道に経尿道的に挿入され、それらは、外部括約筋付近で並んで配置される。スコープからのライブビデオ供給装置(feed)を用いて、外部括約筋を位置決めする(located)ことができる。バルーンは外部括約筋に、および前立腺部尿道内に隣接していて配置することができる。バルーン拡張、薬物放出およびバルーン収縮はスコープによって視覚化することができる。
【0147】
コーティング設計および製剤
1つの実施態様において、本発明は、血管性組織または非血管性組織のごとき組織に治療剤を送達するためのバルーンカテーテルを提供する。デバイスは、バルーンカテーテルの外表面に適用されたコーティングを含むことができる。コーティングは、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せを含むことができる。層は、治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物を含むことができる。添加剤はいずれかの適切な添加剤であることができる。層は1つの添加剤を含むことができるか、または、層は、水溶性の第1の添加剤および水溶性の第2の添加剤のごとき1つを超える添加剤を含むことができる。例えば、
図2Aにおいて描かれた実施態様において示されたように、バルーン12は、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せを含む層20で被覆される。いくつかの実施態様において、層は、治療剤および添加剤から実質的になり、例えば、層は他の物質的にかなりの成分なくして、治療剤および添加剤だけを含む。いくつかの実施態様において、デバイスは所望により付着層を含むことができる。例えば、
図2Bにおいて描かれた実施態様において示されるように、バルーン12は付着層22で被覆される。層24は付着層に重なることができ、層24は、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せを含む。薬物コーティング層の基礎となる別の層である付着層は、医療デバイスの外表面への薬物コーティング層の付着を改善し、コーティング完全性を保護する。例えば、薬物および添加剤が医療デバイスへのそれらの付着において異なる場合、付着層は成分の差異の損失(differential loss)を防ぎ、治療介在のための標的部位への通過の間にコーティングにおける薬物-対-添加剤の比率を維持することができる。さらに、付着層は標的部位で組織との接触に際してデバイス表面からコーティング層成分の迅速な放出を促進するために機能することができる。他の実施態様において、デバイスは頂部層を含むことができる。例えば、
図2Cにおいて描かれた実施態様において示されるように、バルーン12は、付着層22、治療剤を含み付着層に重なるコーティング層26、および頂部層28で被覆される。例えば、コーティング層20が標的組織との直接的接触へ圧入される前に、治療の介在の部位へのバルーン12の通過の間にまたはバルーン12の膨張の第1のモーメント中に、標的組織との接触にもたらされる前に、頂部層は、薬物層の損失を低減することができる。
【0148】
種々の実施態様において、カテーテルのバルーン部分を被覆するコーティングは、1つ以上の治療剤を含む単独層または複数層を有する。いくつかの実施態様において、カテーテルの拡張可能部分に接する層は、治療剤を有さず、コーティングの全てまたは実質的な部分がバルーンカテーテルの膨張に際して狭窄もしくは狭窄症に移すことを可能にする成分で製剤化(または、処方)される。いくつかの実施態様において、カテーテルのバルーン部分に接する層は、治療剤を有さず、コーティングがバルーンに付着することを可能にする成分で製剤化される。
【0149】
本発明の実施態様は、迅速な薬物放出コーティングを有するバルーンカテーテルおよびかかる被覆したデバイスの調製のための方法に関する。薬物放出コーティングは、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せを含むことができる。本発明の実施態様による治療剤は遅延したまたは長期間の放出を必要とせず、代わりに、例えば、組織との接触に際して治療効果を提供するために、治療剤は非常に短い期間に放出される。本発明の実施態様の目的は、標的部位での一時的なデバイス配置中に標的組織によって薬物の迅速で効率的な取込みを促進することである。本発明の他の実施態様は、添加剤において封入されたか、または1つ以上のポリマーによって封入された治療剤の粒子を含む薬物コーティングを有するバルーンカテーテルに関する。薬物被覆バルーンの膨張後、治療剤の粒子は、内腔壁へ埋め込まれ、長期間の薬物送達を提供する。
【0150】
1つの実施態様において、本発明は、血管性組織または非血管性組織のごとき組織に治療剤を送達するためのバルーンカテーテルを提供する。デバイスは、バルーンカテーテルの外表面に適用される層を含む。層は、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せを含む。添加剤はいずれかの適切な添加剤であることができる。層は1つの添加剤を含むことができるか、または、層は、水溶性の第1の添加剤および水溶性の第2の添加剤のごとき1つを超える添加剤を含むことができる。また、層は、水不溶性または部分的に水溶性の添加剤を含むことができるか、または、層は1つを超える水不溶性または部分的に水溶性の添加剤を含むことができる。いくつかの実施態様において、治療剤および賦形剤はコーティング層の1つにおいて分散する。分散の範囲は、分子分散からサイズが何十ミクロンである薬物粒子を有する分散まで変化することができる。1つの実施態様において、治療剤は、サイズが10μm未満であり、もう一つの実施態様において、治療剤は5以下μmである。もう一つの実施態様において、治療剤は少なくとも75%結晶性であり、またはより好ましくは少なくとも90%の結晶性である。もう一つの実施態様において、薬物は分子配向なくして非晶性である。薬物が結晶性または非晶性かをどうかを決定する技術は、粉末X線回折(pXRD)、変調示差走査熱量測定法(mDSC)または共焦点ラマン分光法を含む。
【0151】
1つの実施態様において、医療デバイスの表面に適用された少なくとも1つの治療剤の濃度密度が、約1~20μg/mm2、または約2~6μg/mm2、または約0.5マイクログラム/mm2、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18未満または以上、あるいは約20マイクログラム/mm2以上である。医療デバイスがバルーンであるならば、これらの測定は公称直径(nominal diameter)で計算される。本発明の実施態様におけるコーティング層中の重量による添加剤-対-薬物の比は、約20-対-0.05、約10-対-0.1、または約6-対-0.15であることができる。
【0152】
コーティング層中の1つ以上の添加剤の全重量に対するコーティング層中の治療剤の重量比は、約0.05~約20、約0.1~約10、約0.1~約5、約0.5~約8、約0.5~約3、約2~約6または約0.05以下、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19未満または以上、あるいは約20以上であることができる。
【0153】
薬物コーティングは、バルーンの外表面のいずれかの適切な割合(例えば、ネックおよびエンドコーン以外の公称圧力に対する膨張中の主要直径を得るバルーンの表面の割合)は、約1%~約100%、または約50%~約100%、約80%~約100%、または約10%以下、または20%、30、40、50、60、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99未満または以上、あるいは約100%以上をカバーすることができる。
【0154】
バルーンは、回収後に残余の薬物量をその上に有することができる。いずれかの適切な残余の薬物量、例えば、約70重量%、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5重量%以上または未満、あるいは約0重量%は、回収後に残存できる。
【0155】
いくつかの実施態様において、1つ以上の添加剤または1つ以上のポリマー、または、第1および/または第2のイオン性または両性イオン性添加剤は、バルーンからの治療剤の迅速な放出を促進することができ、それにより、迅速な放出は、バルーンが、約0.1分間~10分間の膨張期間の間、非血管性身体内腔の標的部位にて膨張し、および引き続いて非血管性内腔から取り出された後、バルーン上に残る残余の薬物量の治療剤を含む。
【0156】
医療デバイスの外部に重なるコーティング層は、1つ以上の水溶性添加剤(例えば、水溶性の第1の添加剤、水溶性の第2の添加剤および水溶性の第3の添加剤)を含むことができる。
【0157】
水溶性添加剤は、PEGソルビタンモノラウレート 、モノオレイン酸PEGソルビタンまたはそれらの組合せのごとき界面活性剤である、第1の水溶性添加剤を含むことができる。水溶性添加剤は、ヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステルである1つ以上の基を持つ化合物、例えば、ソルビトール、ソルビタン、キシリトール、グルコノラクトンまたはそれらの組合せである、第2の水溶性添加剤を含むことができる。薬物コーティングは、第1の水溶性添加剤および第2の水溶性添加剤の双方を含むことができる。いくつかの実施態様において、バルーンの遠位端は治療剤がないことができる。
【0158】
いくつかの実施態様において、添加剤は、界面活性剤および化学化合物の少なくとも1つである。医療デバイスの外部に重なるコーティング層は、1つ以上の水溶性添加剤および1つ以上の水不溶性または部分的に水溶性の添加剤を含むことができる。水溶性添加剤は、中性、アニオン、カチオン、両性イオンであることができる。水不溶性の添加剤は、中性、アニオン、カチオン、両性イオンであることができる。
【0159】
いくつかの実施態様において、治療剤を含むコーティングは、凝集粒子または20μmを超える個々の粒子なくして、30秒未満で水性溶媒中へバルーンから放出する。いくつかの実施態様において、放出されたコーティングは、10μm未満、または好ましくは、5μm未満の粒子または凝集粒子を有する。
【0160】
デバイスは、治療剤を放出し、約0.1~10分間で組織に治療剤を送達することができ得る。
【0161】
いくつかの実施態様において、添加剤は、バルーンから治療剤の放出を増強することができる。添加剤は、組織中の治療剤の浸透および吸収を増強することができる。添加剤は、少なくとも1mg/mLの水およびエタノールの溶解度を有することができる。また、治療剤は水不溶性であることができる。
【0162】
いくつかの実施態様において、医療デバイスの外表面に重なる層は、治療剤および少なくとも2つの添加剤を含むことができ、各添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合によって治療剤への親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用によって治療剤への親和性を有する部分の少なくとも1つであり、各添加剤は、極性有機溶媒に可溶であり、水に可溶である。本実施態様の1つの態様において、極性有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、ジメチルホルミド(dimethylformide)、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、酢酸エチル、およびクロロホルムならびに水とのこれらの極性有機溶媒の混合物から選択される。本実施態様のもう一つの態様において、デバイスは、身体を介して標的組織に通過の間に薬物の損失を低下させるために医療デバイスの外表面に重なる層の表面に重なる頂部層をさらに含む。
【0163】
狭窄および狭窄症を処置する方法。
本発明は、長期および持続性の効果を有するために身体内腔狭窄の処置のための新規の方法を提供する。新方式は内腔を開き、再狭小化および再発性の非血管性もしくは血管性の狭窄を防止、低減、または最小化する。血管(または、脈管:vascular)の内腔は、血液を含む動脈、静脈またはいずれの内腔も含む。非血管性の内腔は、血液を含まないそれらの内腔を含む。方法は、治療剤および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子を含む薬物コーティング;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せの送達を含む。薬物コーティングは1つを超える層を有することができ、有効量の治療剤、例えば、抗炎症性および抗増殖性の薬物(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから)を含む。コーティングは、狭窄もしくは狭窄症への1つ以上の水溶性添加剤および1つ以上の水不溶性または部分的に水溶性の添加剤を含むことができる。その処置は早産の新生児~ヒト成人のごとき種々の動物のために意図される。
【0164】
種々の実施態様において、本発明は、上部および下部の尿路の非血管性狭窄の処置または予防のための最小侵襲性の方法を提供する。これらの尿路狭窄は、外傷誘発尿道狭窄、医原性狭窄、特発性尿道狭窄、尿管狭窄、前立腺癌の治療または狭窄切開術(stricturotomy)誘発膀胱頸部硬化症(contracture)ならびに側葉閉塞およびまたは中葉閉塞による前立腺肥大症(BPH)を含むことができる。方法は、バルーンカテーテルを挿入し、尿路狭窄にそれをトラッキング(tracking)することを含む。バルーンカテーテルは伸長したバルーンおよび薬物コーティングを含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、尿路狭窄組織とコーティング層とを接触させるためにバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後にバルーンを圧縮させて尿道から回収する(または、取り出す:withdrawing)ことを含む。いくつかの実施態様において、方法は、標的部位へのバルーンカテーテルの挿入に先立って前立腺癌処置、BPH治療または狭窄切開術のごとき外科的手術を行なうことをさらに含む。いくつかの実施態様において、前立腺癌処置は、前立腺全摘出術(RP)、放射線療法、凍結療法または高密度焦点式超音波療法(HIFU)を含む。いくつかの実施態様において、BPH手術は、前立腺の経尿道的切除術、光選択性レーザー前立腺蒸散術またはホルミウムレーザー前立腺核出術を含む。いくつかの実施態様において、狭窄切開術は、加熱または冷却ナイフ尿道切開術または直接視内尿道切開術(DVIU)を含む。
【0165】
種々の実施態様において、本発明は、良性前立腺肥大の処置のための方法を提供する。方法は、1)尿道にシースで剛性の膀胱鏡(灌水能(irrigation capability)を持つ、光学(optics)およびブリッジを含む)を挿入し、膀胱へ膀胱鏡チップを追跡する(tracking)ことを含む。方法は、2)ブリッジおよび光学を取り出し、膀胱鏡の長さを介して薬物被覆バルーンカテーテルを挿入し、次いで、膀胱中に薬物被覆バルーンを残しつつ膀胱鏡を取り出すことを含む。方法は、3)並んで薬物被覆バルーンカテーテルと共に、光学および灌水能を持つブリッジを持つ、再組立された膀胱鏡を再挿入し、コーティングが浸漬するまで、灌水流体中のコーティングを水和させ、および外部括約筋付近でスコープのチップおよびバルーンの近位端縁を並んで置くことを含む。方法は、3)初期圧力(例えば、0.5気圧、1気圧または1.5気圧)まで膨張させ、および圧力がもはや1~2分間下がらないまで初期圧力を維持することを含む。方法は、4)先の圧力からの0.5、1または1.5気圧の増加を含む次のより高圧力まで膨張させ、圧力がもはや1~2分間低下しないまでより高圧力を維持することを含む。方法は、5)前立腺組織のたわみ(または、生成:yield)および交連切開術が形成されるまで4)の工程を繰り返すことを含む。方法は6)組織へ薬物を放出し、かつ出血を防止するために1分間~7日間、1分間~1日間、または1~10分間、バルーンを膨張させたままにすることを含む。方法は、7)バルーンカテーテルを圧縮することを含む。方法は、8)身体内腔からスコープおよびバルーンカテーテルアセンブリを回収することを含む。特徴(a)、または(b)、または(c)、または(a)および(b)、または(a)および(c)、または(b)および(c)、または(a)および(b)および(c)が存在することができる:(a)標的部位の身体内腔直径に対する膨張したバルーン直径の比率は、約1.0~約40であり;または、(b)膨張はバルーンカテーテルの公称圧力以上の圧力までバルーンを膨張させることを含み、かつ標的部位の身体内腔直径に対するバルーンカテーテルの公称直径の伸張比は、約1.0~約40であり;または、(c)膨張はバルーンカテーテルの公称圧力より大きな圧力に膨張することを含み、かつバルーンカテーテルの公称直径は膨張したバルーン直径未満であり;または(d)(a)、(b)および(c)の組合せである。
【0166】
いくつかの実施態様において、前立腺を処置する場合、外部括約筋が拡張されないように、外部括約筋に近位バルーンウエストを配置することが好ましい。また、分類することが好ましい、バルーン、その結果、バルーンウエストが外部括約筋にある場合、バルーンネック(例えば、最遠位バルーンネック)は膀胱頚部と整列するように、バルーンのサイズを作製する(size)ことが好ましい。この配置は、バルーンが拡張中にスリップしないように、力の保持(holding forces)を提供する。バルーンネックが膀胱頚部と整列できないならば、バルーンが膨張するとき、前立腺がたわむ(yield)ことができるように、バルーンをゆっくり膨張させることが好ましいことができる。
【0167】
一旦、適切に配置したならば、バルーンは、例えば、圧力計を含む膨潤デバイスを用いて膨張させる。バルーンはゆっくり膨張させることができ、前立腺組織がたわむことを可能にし、バルーンが膀胱に近位へスリップし、後方の遠位へスリップする傾向を低減する。バルーンの単一または複数ネックの形状は、拡張した中葉(例えば、約10~15%の事例)でのごときいくつかの異常状態において、膀胱頚部と最遠位のネックを整列させることによって、バルーン移動を防止することができるが、バルーンのネックは、膨張中に膀胱のネックに整列してステイしないかもしれず、さらなる技術が、バルーン移動を防止するのに有用であることができる。いくつかの例において、約0.5~1気圧/分の速度で膨張することは、バルーン移動を防止することができる。組織がたわむにつれて、バルーン圧力は対応して低下し、さらなる流体が、圧力を増大させることなく、バルーン内に注入されることを可能にする。圧力が約1~2分間安定している場合、圧力は、同様の方法で0.5または1気圧間隔で増加でき、維持できる。圧力は、連続的に増加させることができ、圧力を増加させるこの方法に続いて、圧力低下後に圧力を安定化させ、交連切開術または分裂(または、スプリット、または、開裂:split)が達成されるまで、圧力を増加させ続ける。別法として、非常に遅い膨張は、交連切開術または前立腺分裂を達成するためにバルーン移動を防止することができる。一旦、交連切開術または前立腺部尿道および前立腺の分裂が、スコープからビデオ供給装置で観察および確認されたならば、機械的な減圧は達成することができる。バルーンは、コーティング中の薬物が組織へ移行するを可能にするために、約1分間~7日間、1分間~1日間、または1~10分間、バルーンを膨張させたままにすることができる。。一旦、処置が完了すれば、バルーンは圧縮でき、カテーテルおよびスコープは、患者の身体内腔から取り出すことができる。
【0168】
いくつかの実施態様において、前立腺を処置する場合、狭窄を前拡張することが望ましいことができる。本実施態様において、前拡張カテーテルはより短く、および/または薬物被覆バルーン処置カテーテルより小さな直径であることができる。このシナリオにおいて、前拡張カテーテルは、外部括約筋および、膀胱頚部と整列したネック領域中のバルーンの近位ウエストで配置する。バルーン滑りに対して保護しつつ前立腺をたわむことを援助するために本明細書に記載されるように、バルーンはゆっくり膨張させる。一旦、膨張させたならば、前拡張バルーンは圧縮され取り出され、薬物被覆処置バルーンが挿入される。処置バルーンの近位ウエストは外部括約筋と整列する。前立腺が適切に前拡張されるならば、それが非前拡張の身体内腔であるであろうように、バルーンが同じほどはスリップしがでないように、膀胱頚部でバルーンネックを整列させることは必要ではない。
【0169】
1つの実施態様において、本発明は、前立腺肥大症および前立腺癌の少なくとも1つを処置する方法に関し、方法は、前立腺を水、セーライン溶液、または少なくとも1つの水溶性添加剤を含む水溶液で洗い流す(または、洗浄する、または、フラッシュする:flush)こと;バルーンカテーテルを前立腺の標的部位に挿入し、バルーンカテーテルは、バルーンおよびバルーンの外表面に重なるコーティング層を含む、を含む。コーティング層は、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せを含むことができる。方法は、コーティング層が標的部位の前立腺肥大症または前立腺癌の壁に接触し、バルーンが膨張中に膨張したバルーン直径を達成するまで、バルーンを膨張させること、膨張期間は0.1分間~10分間であり;膨張期間後にバルーンを圧縮させること;および前立腺からバルーンカテーテルを回収することを含むことができる。身体内腔狭窄直径に対する膨張したバルーン直径の比率は、約1.0~40、1.1~40、1.2~40、1.3~40または1.4~40(例えば、1または、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39を超えるまたは以下、または40以下、またはそれらの間のいずれかの値)であることができる。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力に等しいまたはそれを超える圧力まで膨張することを含むことができる。
【0170】
1つの実施態様において、本発明は、尿道狭窄を処置する方法に関し、方法は、薬物コーティングを浸漬または湿潤させるように、水、セーライン溶液、または少なくとも1つの水溶性添加剤を含む水溶液で尿道狭窄を洗い流すこと;バルーンカテーテルを尿道狭窄の標的部位に挿入すること、バルーンカテーテルは、バルーンおよびバルーンの外表面に重なるコーティング層を含む、を含む。コーティング層は、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せを含むことができる。1以上の水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性および1以上の水溶性添加剤の全重量に対するコーティング層中の治療剤の重量による比率は、約0.05~20であることができる。方法は、コーティング層が標的部位の尿道狭窄の壁に接触し、膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、バルーンを膨張させること;膨張期間後にバルーンを圧縮させること、膨張期間は0.1分間~10分間であり;および尿道狭窄からバルーンカテーテルを回収することを含むことができる。狭窄の位置の尿道の直径に対する膨張したバルーン直径の比率は、約1.0~約40、約1.01~約15または約1.01以下、または約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18未満または以上、あるいは約40以上であることができる。拡張後、尿道狭窄の直径は、6.7mm以上、例えば、約6.7mm~約20mm、または約6.7mm~約15mm、または約6.7、6.8、6.9、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14未満または以上、あるいは15mm以上であることができる。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力に等しいまたはそれを超える圧力まで膨張することを含むことができる。
【0171】
種々の実施態様において、本発明は、胃腸管または消化身体内腔中の狭窄の処置または予防のための最小侵襲性の方法を提供する。胃腸狭窄は、食道狭窄、アカラシア狭窄、胆道狭窄、胃狭窄、胃切除誘発胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、回腸肛門J型嚢狭窄および大腸狭窄を含む。狭窄は、好酸球性食道炎またはバレット食道による食道狭窄、放射線誘発狭窄、クローン病誘発狭窄、潰瘍性大腸炎誘発狭窄、慢性炎症性腸疾患(IBD)誘発狭窄および胃腸管のいずれかの吻合部狭窄を含む。方法は、胃腸管狭窄にバルーンカテーテルを挿入することを含み、バルーンカテーテルは伸長したバルーンおよび薬物コーティングを含む。方法は、薬物コーティングを浸漬または湿潤させるように、水、セーライン溶液、または少なくとも1つの水溶性添加剤を含む水溶液で胃腸狭窄を洗い流すことを含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、消化身体内腔狭窄の位置で身体内腔の壁とコーティング層とを接触させるために標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、身体内腔からバルーンカテーテルを回収することを含む。いくつかの実施態様において、方法は標的部位へのバルーンカテーテルの挿入に先立って狭窄切開術または切除術のごとき外科的手術を行なうことをさらに含む。いくつかの実施態様において、狭窄切開術または切除術は、針状ナイフ電気切開術(needle knife electroincision)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を含む。
【0172】
種々の実施態様において、本発明は、炎症疾患誘発(IBD)非血管性狭窄の処置または予防のための方法を提供する。IBDはクローン病および潰瘍性大腸炎を含むことができる。いくつかの実施態様において、狭窄は、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、回腸結腸狭窄または胃腸狭窄である。方法は、バルーンカテーテルを炎症疾病誘発非血管性狭窄を含む身体内腔の標的部位に挿入することを含み、バルーンカテーテルは、伸長したバルーンおよび薬物コーティングを含む。方法は、薬物コーティングを浸漬または湿潤させるように、水、セーライン溶液、または少なくとも1つの水溶性添加剤を含む水溶液で炎症疾患誘発性の非血管性狭窄を洗い流すことを含むことができる。方法は、バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、炎症疾患誘発性の非血管性狭窄の位置で身体内腔の壁とコーティング層とを接触させるために標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後にバルーンを圧縮させることを含む。方法は、身体内腔からバルーンカテーテルを回収することを含む。
【0173】
1つの実施態様において、本発明は、アカラシア狭窄を含む食道狭窄を処置する方法に関し、方法は、所望により、バルーンカテーテルの挿入に先立って、その間、またはその後に食道狭窄を水、セーライン溶液、または少なくとも1つの水溶性添加剤を含む水溶液で洗い流すこと;および食道狭窄における標的部位にバルーンカテーテルを挿入すること、バルーンカテーテルは、バルーンおよび薬物コーティングを含み、を含む。薬物被覆バルーンカテーテルは、食道にアクセスするために口または鼻に内視鏡を配置することにより、最小侵襲性の方法で食道狭窄に送達することができる。次いで、薬物被覆バルーンは、スコープの作業チャネルを介して配置するか、またはバルーンの作業部分が狭窄の中心に置くように、先に配置されたガイドワイヤーに関して追跡する(tracked)ことができる。用いるスコープは、胃内視鏡、結腸内視鏡、小腸内視鏡、鼻鏡または食道狭窄処置部位へ追跡するのに適当な他の内視鏡であることができる。方法は、薬物コーティングを浸漬または湿潤させるように、水、セーライン溶液、または少なくとも1つの水溶性添加剤を含む水溶液で食道狭窄を洗い流すことを含むことができる。コーティング層が標的部位の食道狭窄の壁に接触し、膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、バルーンを膨張させること;膨張期間後にバルーンを圧縮させること、膨張期間は0.1分間~10分間であり;および食道狭窄からバルーンカテーテルを回収することを含むことができる。狭窄の位置の食道の直径に対する膨張したバルーン直径の比率は、約1.0~40、1.1~40、1.2~40、1.3~40または1.4~40(例えば、1,または1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39を超えてまたは以下、または40以下、あるいはそれらの間のいずれかの値)であることができる。いくつかの実施態様において、バルーンカテーテル特性は、表2に与えられたものと等しいかまたは同様であり、より高圧力で遅くなる成長速度を有する。コンプライアンスは、(直径@ RBP-直径@の公称圧力)/直径@の公称圧力)×100%として計算される、公称直径から評価された破壊圧力(RBP)直径までのバルーン直径におけるパーセント変化である。 所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力に等しいかまたはそれを超える圧力に膨張することを含むことができる。
【0174】
【0175】
いくつかの実施態様において、バルーンカテーテル特性は、表3に与えられたものと等しいかまたは同様であり、単一バルーンカテーテルは、従来の対応している(compliant)バルーンに比較して、比較的高い動作圧力で広範囲のバルーン直径を達成する能力を有する。表3のバルーンは、3つの増加している膨張圧力段階で3つの増加しているバルーン直径が存在するというユニークな特徴を有する。公称膨潤直径は段階Iの直径である。直径は、圧力上昇のすべての段階について0.5~4mm、好ましくは0.75~3mm、最も好ましくは0.9~2mmを増加させる。例えば、圧力I(3気圧)で15mmの直径を有するバルーンは、圧力II(4.5気圧)で16.5mmの直径を有し、圧力III(7気圧)で18mmの直径を有する。
【0176】
【0177】
種々の実施態様において、本発明は、膣狭窄もしくは狭窄症の処置または予防のための最小侵襲性の方法を提供する。方法は、膣にバルーンカテーテルを挿入し、狭窄部位までそれを追跡することを含む。バルーンカテーテルは伸長したバルーン、コーティング層またはバルーンの外表面に重なる1つを超える薬物コーティング層を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、膣壁とコーティング層とを接触させるためにバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後にバルーンを圧縮させて膣から回収することを含む。
【0178】
種々の実施態様において、本発明は、癌処置誘発非血管性狭窄の処置のための最小侵襲性の方法を提供する。方法は、癌処置誘発非血管性狭窄を含む身体内腔の標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、バルーンカテーテルは、伸長したバルーン、およびバルーンの外表面に重なる薬物コーティング層を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、癌処置誘発非血管性狭窄の位置で身体内腔の壁とコーティング層と接触させるために標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後にバルーンを圧縮させることを含む。方法は、身体内腔からバルーンカテーテルを回収することを含む。いくつかの実施態様において、癌処置は、前立腺の放射線処置、EMRまたはESDである。
【0179】
種々の実施態様において、本発明は、癌の再発を低減または防止する最小侵襲性の方法を提供する。方法は、身体内腔の標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、標的部位は、行なわれた癌処置の部位であるか、その近接、近位または遠位であり、バルーンカテーテルは、伸長したバルーンおよび薬物コーティングを含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、標的部位で身体内腔の壁とコーティング層とを接触させるために標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後にバルーンを圧縮させることを含む。方法は、身体内腔からバルーンカテーテルを回収することを含む。いくつかの実施態様において、方法は、標的部位へのバルーンカテーテルの挿入に先立ち、標的部位にて、その近接、近位または遠位の身体内腔の癌処置を行なうことをさらに含む。いくつかの実施態様において、行う癌処置は、前立腺の放射線処置、前立腺の経尿道的切除術、または胃腸管のEMRもしくはESDである。
【0180】
種々の実施態様において、本発明は、外科的吻合誘発性の非血管性狭窄の処置またはその発生の低減のための方法を提供し、吻合が形成される時点、および/または狭窄が形成する前の吻合の処置を含む。方法は、外科的吻合誘発性の非血管性狭窄を含む身体内腔の標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、バルーンカテーテルは伸長したバルーンおよび薬物コーティングを含む。方法は、、薬物コーティングを浸漬または湿潤させるように、水、セーライン溶液、または少なくとも1つの水溶性添加剤を含む水溶液で吻合部位を洗い流すことを含むことができる。方法は、バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、外科的吻合誘発性の非血管性狭窄の位置で身体内腔の壁とコーティング層とを接触させるために標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後にバルーンを圧縮させることを含む。方法は、身体内腔からバルーンカテーテルを回収することを含む。いくつかの実施態様において、狭窄は線維症狭窄である。いくつかの実施態様において、狭窄は、食道狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、胃バイパスから生じる狭窄、回腸結腸狭窄、胃腸狭窄、尿道狭窄、尿管狭窄、膣狭窄もしくは狭窄症、J型嚢狭窄または膀胱頚部狭窄である。吻合が一緒に結合(joined)された2つ以上の身体構造を含むと、1つ以上の身体構造は、自己ソース(すなわち、同じ個人、例えば、腸切除、動静脈瘻)、同種異型ソース(すなわち、もう一つの個人、例えば、臓器移植において)または異種ソース(すなわち、異なる種、例えば、脱細胞化移植)に由来することができる。
【0181】
種々の実施態様において、本発明は、外科的手術誘発狭窄の処置または予防のための方法を提供する。非血管性狭窄を誘発しかねない外科的手術は、針状ナイフ電気切開術、会陰切開、尿道切開、直接視内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)である。方法は、針状ナイフ電気切開術-、尿道切開-、直接視内尿道切開術(DVIU)-、内視鏡的粘膜切除術(EMR)-、または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)-誘発された非血管性狭窄を含めた身体内腔の標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、バルーンカテーテルは、伸長したバルーンおよび薬物コーティングを含む。方法は、薬物コーティングを浸漬または湿潤させるように、水、セーライン溶液、または少なくとも1つの水溶性添加剤を含む水溶液で手術部位を洗い流すことを含むことができる。方法は、バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、外科的手術部位で身体内腔の壁とコーティング層とを接触させるために外科的手術部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後にバルーンを圧縮させることを含む。方法は、身体内腔からバルーンカテーテルを回収することを含む。
【0182】
本発明の種々の実施態様は、狭窄を視覚化するために内視鏡を用いて、非血管性身体内腔狭窄を処置する方法に関する。内視鏡は、胃内視鏡、小腸内視鏡(または、腸内視鏡:enteroscope)、十二指腸内視鏡、結腸内視鏡、S字結腸鏡、直腸鏡、肛門鏡、鼻鏡、気管支鏡または膀胱鏡であることができる。スコープはバルーンカテーテルが標的とされた内腔内に適切に配置することを保証するために用いることができる。方法は口、鼻、肛門、外耳道、膣または尿道のごときいずれかの身体の開口部(または、オリフィス:orifice)であることができる身体内腔に内視鏡を挿入し、狭窄を視覚化するために狭窄部位へ横断することを含む。ガイドワイヤーは、内視鏡に作業チャネルを介して送達でき、したがって、それはバルーンカテーテルを挿入する前に狭窄を通過する。方法は、
図1または4Bのバルーンカテーテルを身体内腔の標的部位に挿入することを含む。方法は、ガイドワイヤーおよび内視鏡上のバルーンカテーテルを並んでまたは内視鏡の作業チャネルで身体内腔の標的部位へ挿入することを含むことができる。方法は、標的部位へのバルーンの挿入に先立ち、その間にまたはその後に、水、セーライン溶液、または少なくとも1つの水溶性添加剤を含む水溶液で身体内腔を洗い流すことを含むことができる。方法は、コーティング層が、標的部位にて身体内腔における狭窄の壁と接触し、バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、バルーンを膨張させることを含む。特徴(a)、または(b)、または(c)、または(a)および(b)、または(a)および(c)、または(b)および(c)、または(a)および(b)および(c)が存在することができる:(a)標的部位の身体内腔狭窄直径に対する膨張したバルーン直径の比率は、約1.0~約40であり;または、(b)膨張はバルーンカテーテルの公称圧力以上の圧力までバルーンを膨張させることを含み、かつ標的部位の身体内腔狭窄直径に対するバルーンカテーテルの公称直径の伸張比は、約1.0~約40であり;または、(c)膨張はバルーンカテーテルの公称圧力より大きな圧力に膨張することを含み、かつバルーンカテーテルの公称直径は膨張したバルーン直径未満であり;または(d)(a)、(b)および(c)の組合せである。また、方法は、狭窄および内視鏡からバルーンカテーテルを回収し、身体内腔中から内視鏡を回収することを含む。
【0183】
種々の実施態様において、本発明は、血管狭窄の処置または予防のための方法を提供する。血管狭窄は、冠状動脈狭窄、頚動脈狭窄、上腕動脈狭窄、撓側動脈狭窄、腎動脈狭窄症、腸骨動脈狭窄、表在性大腿動脈狭窄、膝窩動脈狭窄、前脛骨動脈、後脛骨動脈、腓骨動脈および足の他の動脈の1つであることができる。方法は、血管における標的部位へのバルーンカテーテルの挿入を含み、バルーンカテーテルは、拡張したバルーンおよび薬物コーティングを含むバルーンおよび/またはステントを含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するか、またはステントが拡張した直径を達成するまで、内部管腔壁とコーティング層とを接触させ、狭窄を拡張するためにバルーンを膨張させおよび/または標的部位でステントを伸長することを含む。方法は、膨張期間後にバルーンを圧縮させることを含むことができる。方法は、身体内腔からバルーンカテーテルを回収することを含むことができる。種々の実施態様において、被覆したバルーンおよび/または被覆したステントを覆うシースは、バルーンカテーテルまたはステントを血管中の標的部位に進めている間、薬物が洗い落とされるのを防止するために用いることができる。
【0184】
いくつかの実施態様において、狭窄した動脈を処置する場合、薬物被覆バルーンでそれを処置する前に非被覆の前拡張バルーンカテーテルで狭窄を前拡張することが好ましいことができる。いくつかの実施態様において、前拡張バルーンカテーテルは石灰化されたプラークを壊すために用いられるバルーン上の切断またはスコアリング(scoring)する要素を有する。いくつかの実施態様において、前拡張カテーテルは、薬物被覆バルーン処置カテーテルより短くおよび/またはより小さな直径であることができる。このシナリオにおいて、バルーン体の中心が狭窄の中心と整列するように、前拡張カテーテルは配置される。一旦、膨張したならば、前拡張バルーンは圧縮され取り出され、薬物被覆処置バルーンが挿入される。薬物被覆バルーンのサイズは、バルーン直径およびバルーン長さが薬物コーティングが前拡張した狭窄の全管腔の壁に接することを保証するために、前拡張バルーンカテーテルより大きいように選択される。
【0185】
いくつかの実施態様において、狭窄した動脈を処置する場合、薬物被覆バルーンでそれを処置するのに先立ち、アテローム切除術デバイスで狭窄からの組織を減量または除去することが好ましいことができる。レーザー、方向性、回転性またはジェットのごときいずれかの適切なアテローム切除術デバイスタイプを用いることができる。アテローム切除術が行われた後、バルーン直径およびバルーン長さが、薬物コーティングが減量された狭窄の全管腔壁と接触するのを保証するのに十分大きいように、薬物被覆バルーンのサイズを選択できるように血管造影は得ることができる。
【0186】
種々の実施態様において、本発明は、ステント内再狭窄の処置または予防のための方法を提供し、限定されるものではないが、冠状動脈狭窄、表在性大腿動脈狭窄、膝窩動脈狭窄、前脛骨動脈、後脛骨動脈、腓骨動脈および足の他の動脈を含む。方法は、ステント内再狭窄の標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、バルーンカテーテルは、伸長したバルーンおよび薬物コーティングを含む。方法は、内部管腔の壁とコーティング層とを接触させ、バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで狭窄を拡張するために標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後にバルーンを圧縮させることを含む。方法は、身体内腔からバルーンカテーテルを回収することを含む。
【0187】
種々の実施態様において、本発明は、狭窄した動脈静脈の瘻(または、フィステル:fistulas)の処置または予防のための方法を提供する。方法は、血管中の標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、バルーンカテーテルは、伸長したバルーンおよび薬物コーティングを含む。方法は、内部管腔の壁とコーティング層とを接触させ、バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで狭窄を拡張するために標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後にバルーンを圧縮させることを含む。方法は、身体内腔からバルーンカテーテルを回収することを含む。
【0188】
種々の実施態様において、本発明は、狭窄した心臓弁の処置または予防のための方法を提供する。方法は、心臓弁内の標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、バルーンカテーテルは、伸長したバルーンおよび薬物コーティングを含む。方法は、内部管腔の壁とコーティング層とを接触させ、バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで心臓弁狭窄を拡張するために標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後にバルーンを圧縮させることを含む。方法は、身体内腔からバルーンカテーテルを回収することを含む。
【0189】
種々の実施態様において、本発明は、身体内腔の標的部位に、本明細書に記載されたいずれかのバルーンカテーテルのごときバルーンカテーテルを挿入することを含む身体内腔を処置する方法を提供する。いくつかの実施態様において、バルーンは、薬物コーティング層が狭窄の壁と接触し、狭窄への薬物の同時の移行と共に狭窄が拡張されるまで、膨張する。いくつかの実施態様において、バルーンは、薬物コーティング層が狭窄の壁と接触し、狭窄との接触が狭窄の壁への薬物の十分な周辺の移行を提供できるように、膨張は、その直径を増加させるために狭窄を拡張するまで、膨張する。いくつかの実施態様において、薬物を含むバルーンの一部(例えば、薬物で覆われた表面積の100%未満を含む実施態様において)は、狭窄を均一に接触させることができる。他の実施態様において、狭窄とバルーンの表面の種々の部分の接触は、不均一である。
【0190】
種々の実施態様において、方法は、処置される身体内腔狭窄を測定することを含む。遠位および近位の健康な組織直径および狭窄の長さは、用いられる薬物被覆バルーンを選択するために評価することができる。医師は、身体内腔狭窄の直径に基づきバルーンを選択し、1.0~40の身体内腔狭窄の直径に対するバルーンの公称直径の伸張比を達成するであろう。次いで、医師は、少なくとも公称圧力にバルーンを膨張させることができ、いくつかの場合において、バルーンの評価された破壊圧力まで、公称圧力を過ぎてバルーンを膨張させることができる。膨張期間に用いられる圧力の範囲は、薬物被覆バルーンの作用(または作業:working)圧力と呼ぶことができる。いくつかの場合において、方法がバルーンの評価された破壊圧力を超過することを含むことができる。バルーンの公称直径が圧縮なくして決定されるため、狭窄においても処置中のバルーンの膨張した直径は、公称直径とほぼ同じ、または小さいまたは大きいであろう。破壊圧力またはその上下にて、バルーンの膨張した直径は、公称直径未満であることができるか、公称直径に同等であることができるか、または公称直径を超過することができる。例えば、身体内腔狭窄は、10mmの直径を有するように測定することができる。医師は、6気圧の公称圧力および10気圧の評価された破壊圧力を有する14mmの公称直径の薬物被覆バルーンを選択することができる。伸張比は1.4である。医師は、少なくとも6気圧にバルーンを膨張させ、いくらかの場合において、8気圧または10気圧に膨張させ、いくらかの場合において、処置中所望の膨張したバルーン直径を達成するために10気圧を超えてまで膨張させる。
【0191】
種々の実施態様は、前立腺肥大症(BPH)狭窄、尿道狭窄、尿管狭窄、膣狭窄もしくは狭窄症、前立腺癌、食道狭窄、胆道狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、胃バイパス後の狭窄、回腸結腸狭窄、胃腸狭窄、J型嚢狭窄、膀胱頚部狭窄(例えば、狭窄症)、好酸球性食道炎の線維化狭窄(fibrostenotic)狭窄、クローン病(CD)-および潰瘍性大腸炎(UC)-誘発性狭窄、放射線誘発性狭窄、内視鏡的切除術(EMRおよびESD)誘発性狭窄、手術関連吻合部狭窄、アカラシア狭窄、胃切除誘発性狭窄、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)を処置する方法を提供する。方法は、尿道狭窄、前立腺肥大症(BPH)狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、洞狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄および胆道狭窄のごとき身体内腔における狭窄を処置する方法である。身体内腔における狭窄は、前立腺肥大症(BPH)狭窄、尿道狭窄または食道狭窄であることができる。方法は、前立腺肥大症、前立腺癌またはそれらの組合せを処置する方法であることができ、身体内腔は前立腺である。
【0192】
身体内腔は、前立腺であることができ、バルーンカテーテルの挿入はスコープ(例えば、膀胱鏡のごとき柔軟または剛性の)を用いて、前立腺中にバルーンカテーテルを配置することを含む。柔軟か剛性の、膀胱鏡のごとき。バルーンカテーテルはスコープを含むことができ、方法は、標的部位を見つけるためにスコープからのビデオ供給装置を用いることを含むことができる。方法は、標的部位でバルーンカテーテルを配置するためにスコープからのビデオ供給装置を用いることを含むことができる。
【0193】
身体内腔は前立腺であることができ、バルーンは1つ以上のネックで分割された複数の主要部を有することができ、バルーンカテーテルの挿入は、前立腺におけるバルーンカテーテルの主要部分の1つを配置すること、および膀胱中のバルーンカテーテルの第2の主要部を配置することを含むことができる。
【0194】
挿入は、膀胱頚部中のバルーンの少なくとも1つのネック部を配置することを含むことができる。バルーンカテーテルの少なくとも1つのネック部は遠位ネック部であることができ、挿入は膀胱頚部中の遠位ネック部を配置することを含むことができる。バルーンカテーテルは近位ネック部を含むことができ、挿入は前立腺部尿道中の近位ネック部を配置することを含むことができる。
【0195】
膨潤期間は、いずれかの適切な膨潤期間、例えば、0.1分間~約10分間、約0.5分間~約2分間、または約0.1分間以下、または、約0.2分間、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9分間もしくは約10分以上であることができる。
【0196】
膨張はいずれかの適切な割合(例えば、組織たわみ(yielding)および圧力による圧力低下はこれらの時間中維持できる期間を除外することができる)、例えば、約0.1気圧/分~約10気圧/分または約0.5~約1.5気圧/分、または約0.1気圧/分以下、または約0.2気圧/分、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9気圧/分未満または以上、あるいは約10気圧/分以上)バルーン内の圧力を増加させることを含むことができる。
【0197】
本発明の実施態様は、抗炎症性および抗増殖性の薬物(例えば、ラパマイシン、パクリタキセルまたはそれらのアナログ)のごとき有効な量の治療剤の送達により、身体内腔における狭窄の処置に指向される。。身体内腔における狭窄は、血管狭窄、尿道狭窄、尿管狭窄、膣狭窄、狭窄、食道狭窄、アカラシア狭窄、ステント中の狭窄、洞狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄および胆道狭窄を含む。本発明の実施態様は、血管狭窄、前立腺肥大症(BPH)、尿道問題、前立腺癌、結腸直腸狭窄、胃バイパス後の狭窄、回腸結腸狭窄、胃腸狭窄、J型嚢狭窄、膀胱頚部狭窄(例えば、狭窄症)、線維化狭窄好酸球性食道炎狭窄、クローン病(CD)-および潰瘍性大腸炎(UC)-誘発性狭窄、放射線誘発性狭窄、内視鏡的切除術(EMRおよびESD)-誘発性狭窄、手術関連吻合部狭窄、アカラシア狭窄、胃切除誘発性狭窄、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の少なくとも1つを処置する方法に指向される。実施態様によれば、方法は、バルーンカテーテルを膨張させて狭窄の壁に薬物を放出し、バルーンを圧縮させて;およびバルーンカテーテルを回収することを含み、残余の薬物は、バルーンカテーテル上の合計負荷薬物の約1~70%であることができ、身体内腔の壁の薬物は、バルーンカテーテル上の合計負荷薬物の約0.1~25%であることができる。本実施態様の1つの態様において、添加剤は、身体内腔における狭窄の組織への薬物の吸収を増強する。
【0198】
治療剤。
本発明の実施態様において用いることができる治療剤は、いずれかの薬物または生物学的活性物質であることができる。治療剤は、疎水性治療剤、抗増殖性治療剤、抗炎症剤またはそれらの組合せであることができる。薬物は種々の物理的な状態、例えば、分子分布、結晶形態またはクラスター形態であることができる。本発明の実施態様に特に有用な薬物の例は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログ、およびそれらの組合せ、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ラパコン、ビタミンD2および/またはD3、それらのアナログまたは誘導体、またはそれらの組合せのごとき、脂肪親和性の実質的に水不溶性の薬物である。パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤(すなわち、ラパマイシンの機構的標的を阻害する薬物のクラス)、またはそれらのアナログのごとき抗増殖性の薬物のごとき治療剤は、狭小化または狭窄を処置するために身体内腔の壁に送達することができる。
【0199】
本発明の実施態様に有用であることができる他の薬物は、限定なくして、グルココルチコイド(例えば、デキサメタゾン、ベタメタゾン)、ヒルジン、アンジオペプチン、アスピリン、成長因子、アンチセンス剤、抗癌剤、抗増殖性剤、オリゴヌクレオチド、および、より一般的に、抗血小板剤、抗凝血剤剤、抗有系分裂剤、酸化防止剤、抗代謝物質剤、抗走化性、抗炎症剤、またそれらの組合せを含む
【0200】
特に気道、鼻腔および他の鼻の内腔だけでなく、尿道の適用のためのごとき種々の実施態様に有用であることができるいくつかの薬物は、コルチコステロイド、例えば、ブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルチカゾン、モメタゾン、フランカルボン酸モメタゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、コルチゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニド等である。他のいくつかの適切な薬物は、テルブタリン、アルブテロール、イプラトロピウム、ピルブテロール、エピネフリン、サルメテロール、レブアルブテロール、ホルモテロール等であり;薬物は気管支拡張薬または血管収縮薬であることができる。
【0201】
また、本発明の実施態様に有用なのは、例えば、炎症、および/または平滑筋細胞または繊維芽細胞増殖を抑制するポリヌクレオチド、アンチセンス、RNAiまたはsiRNAである。
【0202】
抗血小板剤は、アスピリンおよびジピリダモールのごとき薬物を含むことができる。アスピリンは、鎮痛性、解熱性、抗炎症性および抗血小板薬物として分類される。ジピリダモールは抗血小板特性を有するという点でアスピリンに類似する薬物である。また、ジピリダモールは冠血管拡張薬として分類される。本発明の実施態様で使用される抗凝血剤剤は、ヘパリン、プロタミン、ヒルジンおよびダニ抗凝固性タンパク質のごとき薬物を含むことができる。抗酸化剤はプロブコールを含むことができる。抗増殖性剤は、アムロジピンおよびドキサゾシンのごとき薬物を含むことができる。本発明の実施態様において用いることができる抗有系分裂剤および抗代謝物質剤は、メトトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、5-フルオロウラシル、アドリアマイシンおよびムタマイシンのごとき薬物を含む。本発明の実施態様で使用される抗生物質は、ペニシリン、セフォキシチン、オキサシリン、トブラマイシンおよびゲンタミシンを含む。本発明の実施態様に使用される適切な酸化防止剤はプロブコールを含む。加えて、遺伝子もしくは核酸、またはその部分は本発明の実施態様において治療剤として用いることができる。さらに、トラニラストのごときコラーゲン合成阻害剤は本発明の実施態様において治療剤として用いることができる。
【0203】
また、例えば、ポルフィマーのごとき種々のポルフィリン化合物を含む光力学的または放射線療法のための光感作性薬剤は、本発明の実施態様における薬物として有用である。
また、本発明の実施態様で使用される薬物は、エベロリムス、ソマトスタチン、タクロリムス、ロキシスロマイシン、デュラマイシン、アスコマイシン、バフィロマイシン、エリスロマイシン、ミデカマイシン、ジョサマイシン、コンカナマイシン、クラリスロマイシン、トロレアンドマイシン、フォリマイシン、セリバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、エトポシド、テニポシド、ニムスチン、カルマスティン、ロムスチン、シクロホスファミド、4-ヒドロキシシクロホスファミド、エストラムスチン、メルファラン、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、ベンダムスチン、ダカルバジン、ブスルファン、プロカルバジン、トレオスルファン、テモゾロミド、チオテパ、ダウノルビシン、ドキソルビシン、アクラルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、メトトレキセート、フルダラビン、フルダラビン-5’-二リン酸水素、クラドリビン、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、ドセタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、アムサクリン、イリノテカン、トポテカン、ヒドロキシカルバミド、ミルテホシン、ペントスタチン、アルデスロイキン、トレチノイン、アスパラギナーゼ、ペグアスパラガーゼ、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、ホルメスタン、アミノグルテチミド、アドリアマイシン、アジスロマイシン、スピラマイシン、セファランチン、smc増殖阻害剤-2w、エポチロンAおよびB、ミトキサントロン、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、c-myc-アンチセンス、b-myc-アンチセンス、ベツリン酸、カンプトテシン、ラパコール、ベータ-ラパコン、ポドフィロトキシン、ベツリン、ポドフィリン酸(podophyllic acid)2-エチルヒドラジド、モルグラモスチム(rhuGM-CSF)、ペグインターフェロンa-2b、レノグラスチム(r-HuG-CSF)、フィルグラスチム、マクロゴール、ダカルバジン、バシリキシマブ、ダクリズマブ、セレクチン(サイトカイン拮抗薬)、CETP阻害剤、カドヘリン類、サイトカイニン阻害剤、COX-2阻害剤、NFkB、アンジオペプチン、シプロフロキサシン、カンプトテシン、フルオロブラスチン、単クローン抗体(これらは筋細胞増殖を抑制する)、bFGF拮抗薬、プロブコール、プロスタグランジン、1,11-ジメトキシカンチン-6-オン、1-ヒドロキシ-11-メトキシカンチン-6-オン、スコポレチン、コルヒチン、四硝酸ペンタエリスリトールおよびシンドノエイミン(syndnoeimines)のごときNO供与体、S-ニトロソ誘導体類、タモキシフェン、スタウロスポリン、ベータ-エストラジオール、a-エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、メドロキシプロゲステロン、シピオン酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、トラニラスト、カメバカウリンおよび他のテルペノイド、これらは癌治療において適用される、ベラパミル、チロシンキナーゼ阻害剤(チルホスチン類)、シクロスポリンA、6-a-ヒドロキシパクリタキセル、バッカチン、タキソテールおよび亜酸化炭素(MCS)の大環状オリゴマーおよびそれらの誘導体、モフェブタゾン、アセメタシン、ジクロフェナク、ロナゾラク、ダプソーン、o-カルバモイルフェノキシ酢酸、リドカイン、ケトプロフェン、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、リン酸クロロキン、ペニシラミン、ヒドロキシクロロキン、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オキサセプロール、セレコキシブ、β-シトステリン(sitosterin)、アデメチオニン、ミルテカイン、ポリドカノール、ノニバミド、レボメントール、ベンゾカイン、エスシン(aescin)、エリプチシン、D-24851(Calbiochem)、コルセミド、サイトカラシンA-E、インダノシン、ノコダゾール、S-100蛋白質、バシトラシン、ビトロネクチン受容体拮抗薬、アゼラスチン、金属プロテイナーゼ-1および-2のグアニジルシクラーゼスティムレーター組織阻害剤、フリー核酸、ウイルス伝達物質に組み込まれた核酸、DNAおよびRNAの断片、プラスミノゲン・アクチベータ・インヒビター-1、プラスミノゲン・アクチベータ・インヒビター-2、アンチセンスオリゴヌクレオチド、VEGF阻害剤、IGF-1、セファドロキシルのごとき抗生物質の群からの活性剤、抗生物質の群からの活性剤、例えば、セファドロキシル、セファゾリン、セファクロル、セフォタキシム、トブラマイシン、ゲンタマイシン、ペニシリン類、例えば、ジクロキサシリン、オキサシリン、スルホンアミド、メトロニダゾール、抗血栓薬類(antithrombotics)、例えば、アルガトロバン、アスピリン、アブシキシマブ、合成抗トロンビン、ビバリルジン、クマジン、エノキサパリン、脱硫酸化およびN-再アセチル化ヘパリン、組織プラスミノーゲン活性化因子、GpIIb/IIIa血小板膜受容体、因子Xa阻害剤抗体、ヘパリン、ヒルジン、r-ヒルジン、PPACK、プロタミン、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ワルファリン、ウロキナーゼ、血管拡張薬類、例えば、ジピラミドール、トラピジル、ニトロプルシド、PDGF拮抗薬、例えば、トリアゾロピリミジンおよびセラミン(seramin)、ACE阻害剤、例えば、カプトプリル、シラザプリル、リシノプリル、エナラプリル、ロサルタン、チオールプロテアーゼ阻害剤、プロスタシクリン、バピプロスト、インターフェロンα、βおよびγ、ヒスタミン拮抗薬、セロトニン遮断薬、細胞死阻害剤、細胞死調節剤、p65 NF-kBまたはBcI-xLアンチセンスオリゴヌクレオチド、ハロフギノン、ニフェジピン、トラニラスト、モルシドミン、茶ポリフェノール、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、ボスウェリア酸およびそれらの誘導体、レフルノミド、アナキンラ、エタネルセプト、スルファサラジン、エトポシド、ジクロキサシリン、テトラサイクリン、トリアムシノロン、ムタマイシン(mutamycin)、プロカインアミド、レチノイン酸、キニジン、ジソピラミド、フレカミド、プロパフェノン、ソタロール、アミドロン、天然および合成的に得られたステロイド、例えば、ブリオフィリンA、イノトジオール、マキロシドA、ガラキノシド(ghalakinoside)、マンソニン(mansonine)、ストレブルシド(strebloside)、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、非ステロイド系物質(NSAIDS)、例えば、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ナプロキセン、フェニルブタゾン、および抗ウイルス剤、例えば、アシクロビル、ガンシクロビルおよびジドブジン、抗真菌剤、例えば、クロトリマゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、抗原虫薬(antiprozoal agent)、例えば、クロロキン、メフロキン、キニーネ、さらなる天然テルペノイド、例えば、ヒッポカエスクリン(hippocaesculin)、バリントゲノール-C21-アナゲレート(angelate)、14-デヒドロアグロスチスタチン(dehydroagrostistachin)、アグロスケリン、アグロスチスタチン(agrostistachin)、17-ヒドロキシアグロスチスタチン、オバトジオーリド類(ovatodiolids)、4,7-オキシシクロアニソメル酸、バッカリノイドB1、B2、B3およびB7、ツベイモシド、ブルセアノール(bruceanol)A、BおよびC、ブルセアンチノシド(bruceantinoside)C、ヤダンジオシドNおよびP、イソデオキシエレファントピン、トメンファントピン(tomenphantopin)AおよびB、コロナリン(coronarin)A、B、CおよびD、ウルソル酸、ヒプタチン酸(hyptatic acid)A、ゼオリン、イソ-イリドゲルマナル(iridogermanal)、マイテンホリオール(maytenfoliol)、エフサンチンA、エクスシサニンAおよびB、ロンギカウリンB、スクルポネアチン(sculponeatin)C、カメバウニン、レウカメニン(leukamenin)AおよびB、13,18-デヒドロ-6-a-セネシオイルオキシチャッパリン(senecioyloxychaparrin)、タザマイリン(taxamairin)AおよびB、レジェニロール(regenilol)、トリプトリド、さらなるシマリン、アポシマリン(apocymarin)、アリストロキン酸、アノプテリン(anopterin)、ヒドロキシアノプテリン、アネモニン(anemonin)、プロトアネモニン(protoanemonin)、ベルベリン、チェリブリンクロリド(cheliburin chloride)、シクトキシン(cictoxin)、シノコクリン、ボムブレスチン(bombrestatin)AおよびB、クドライソフラボネイ(cudraisoflavonei)A、クルクミン、ジヒドロニチジン、ニチジンクロリド、12-ベータ-ヒドロキシプレグナジエン-3,20-ジオン、ビロボール、ギンゴール(ginkgol)、ギンコール酸、ヘレナリン、インジシン、インジシン-N-酸化物、ラシオカルピン、イノトジオール、配糖体1a、ポドフィロトキシン、ジュスチシジンAおよびB、ラレアチン(larreatin)、マロテリン(malloterin)、マロトクロマノール(mallotochromanol)、イソブチリルマロトクロマノール(isobutyrylmallotochromanol)、マキロシドA、マーチャンチン(marchantin)A、メイタンシン、リコリジシン(lycoridicin)、マルゲチン(margetine)、パンクラチスタチン、リリオデニン、ビスパルテノリジン(bisparthenolidine)、オクソウシンスニン(oxoushinsunine)、アリストクタム(aristolactam)-AII、ビスパルテノリジン(bisparthenolidine)、ペリプロコシド(periplocoside)A、ガラキノシド、ウルソル酸、デオキシソロスペルミン(deoxypsorospermin、psychorubin)、リシンA、サンギナリン、マンウー(manwu)小麦酸、メチルソルビホリン(sorbifolin)、スファテリアクロメン(sphatheliachromen)、スチゾフィリン(stizophyllin)、マンソニン、ストレブルシド、アカゲリン、ジヒドロウサンバレンシン、ヒドロキシウサンバシン(usambarine)、ストリクノペンタミン、ストリクノフィリン(strychnophylline)、ウサンバリン(usambarine)、ウサンバレンシン(usambarensine)、ベルベリン、リリオデニン(liriodenine)、オクソウシンスニン(oxoushinsunine)、ダホノレチン(daphnoretin)、ラリシレシノール(lariciresinol)、メトキシラリシレシノール(methoxylariciresinol)、シリンガレシノール(syringaresinol)、ウンベリフェロン、アフロモゾン(afromoson)、アセチルビスミオン(acetylvismione)B、デスアセチルビスミオン(desacetylvismione) A、およびビスミオン(vismione)AおよびB)を含む。
【0204】
また、薬物の組合せは、本発明の実施態様において用いることができる。組合せのいくつかは、それらが異なる機構、例えば、パクリタキセルおよびラパマイシン、パクリタキセルおよび活性ビタミンD、パクリタキセルおよびラパコン、ラパマイシンおよび活性ビタミンD、ラパマイシンおよびラパコンを有するために、相加効果を有する。相加効果のために、薬物の用量は同様に低下することができる。これらの組合せは、薬物の高用量を用いることからの合併症を低減することができる。
【0205】
気道、鼻腔および他の鼻の内腔に特に適していると考えられる種々の実施態様で使用されるいくつかの薬物は、コルチコステロイド類、例えば、ブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルチカゾン、モメタゾン、フランカルボン酸モメタゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、コルチゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニド等である。
【0206】
バルーンカテーテルの1つの実施態様において、コーティング層中の1つ以上の添加剤の全重量に対するコーティング層中の治療(例えば、疎水性)剤の重量による比率は、約0.05~約20、約0.1~約10、約0.1~約5、約0.5~約8、約0.5~約3、約2~約6または約0.05以下、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19未満または以上、あるいは約20以上であることができる。バルーンカテーテルの1つの実施態様において、コーティング層中の1つ以上の添加剤(例えば、コーティング層中の第1および第2の添加剤、または第1、第2および第3の添加剤の合計重量に対して)の全重量に対するコーティング層中の治療剤の重量による比率は、約0.05~約20、約0.1~約10、約0.1~約5、約0.5~約8、約0.5~約3、約2~約6または約0.05以下、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19未満または以上、あるいは約20以上であることができる。
【0207】
添加剤。
本発明の実施態様による添加剤は、疾患部位で組織への薬物の迅速な薬物溶出および優れた浸透を促進することができる。かくして、本発明の実施態様によるコーティングは、非血管性の病変組織または非血管性身体内腔中の抗増殖性治療剤の吸収の増強された割合および/または範囲を提供する。本発明の実施態様において、被覆したデバイスは、10分未満、2分未満の非常に短い配置時間の間非血管性組織に抗増殖性治療剤を送達し、非血管性身体内腔狭窄の再狭小化および再発生を低減する。
【0208】
いくつかの実施態様において、添加剤は、治療剤の粒子の結晶サイズおよび数を低下させ、添加剤は水溶性であり、治療剤は水溶性ではない。添加剤は、酸、エステル、エーテルまたはアルコールの脂肪鎖を有することができ、脂肪鎖は、組織の脂質膜構造に直接的に挿入することができる。添加剤は、組織の脂質膜構造に浸透および再配列することができる。添加剤は、水素結合および/またはファンデルワールス相互作用によって薬物に親和性を有する1つ以上の官能基を有することができる。いくつかの実施態様において、添加剤は、界面活性剤および化合物の少なくとも1つであることができ、添加剤は50~750g/モル(例えば、50g/モル以上、または75g/モル、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725g/モル未満または以上、あるいは750g/モル以下)の分子量を有する。化合物は、4つを超えるヒドロキシルを有することができる。いくつかの実施態様において、4つを超えるヒドロキシルを有する化合物は、120℃以下の融点を有し、化合物はアルコールまたはエステルである。いくつかの実施態様において、治療剤は、水溶性でないか、または単にわずかに水溶性である。
【0209】
本実施態様の1つの態様において、添加剤は、非血管性および血管性の身体内腔の組織への薬物の吸収を増強する。本実施態様のもう一つの態様において、添加剤は、親水性部分および薬物親和性部分を含み、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合によって治療剤への親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用によって治療剤への親和性を有する部分の少なくとも1つである。添加剤の薬物親和性部分は、ラパマイシン、パクリタキセルまたはそれらのアナログのごとき脂肪親和性の薬物を結合することができる。親水性部分は、組織への薬物の拡散および増加浸透を加速する。それは、相互およびデバイスに対する凝集から疎水性薬物分子を防止し、間隙中の薬物溶解度を増加させ、および/または、標的組織の細胞膜の脂質二重層への極性ヘッド基を介して薬物内腔を加速することによって、標的部分で配置中に医療デバイスから薬物の迅速な移動を促進できる。
本発明の種々の実施態様の添加剤は、標的部位のデバイス配置に先立ち、デバイス表面からの薬物の早すぎる放出を防止しつつ、配置(薬物が高親和性を有する組織との薬物接触の加速による)中のデバイス表面からの薬物の迅速な放出および標的組織による取込みを促進するために一緒に機能する2部を有することができる。
【0210】
本発明の実施態様において、医療デバイスが組織と接触し、容易に吸収される後、治療剤は急速に放出される。例えば、本発明のデバイスのある種の実施態様は、バルーン拡張中の高い薬物濃度の手短な直接的圧力接触を介して非血管性組織に脂肪親和性の抗増殖性の医薬(例えば、パクリタキセルまたはラパマイシン)のごとき治療剤を送達する薬物被覆バルーンカテーテルを含む。例えば、脂肪親和性薬物は送達部位で標的組織に保持され、それは過形成を抑制し、再狭窄がまだ上皮化を可能にする。これらの実施態様において、本発明のコーティング製剤は、配置中にバルーン表面からの薬物の迅速な放出および標的組織への薬物の移行を促進するだけではなく、薬物コーティングが身体内腔の表面との直接的接触へ圧入される前に、標的部位に達するに先立ち、蛇行状(tortuous)の解剖学を介して移行中にデバイスから、およびバルーン膨張の初期相中にデバイスからの移動から離れて拡散するのを防止する。
【0211】
ある種の実施態様による添加剤は、薬物親和性部分および親水性部分を有する。薬物親和性部分は、疎水性部分であり、および/または水素結合および/またはファンデルワールス相互作用によって治療剤への親和性を有する。薬物親和性部分は、ベンゼン、トルエンおよびアルカンのごとき脂肪族および芳香族有機炭化水素化合物を特に含むことができる。これらの部分は水溶性ではない。それらは疎水性薬物(それらは構造類似性を共有する)および細胞膜の脂質の双方に結合することができる。薬物親和性部分は、薬物、およびそれ自体との水素結合を形成することができる官能基を含むことができる。親水性部分はヒドロキシル基、アミン基、アミド基、カルボニル基、カルボン酸および無水物類、エチルオキシド、エチルグリコール、ポリエチレングリコール、アスコルビン酸、アミノ酸、アミノアルコール、グルコース、スクロース、ソルビタン、グリセリン、多価アルコール、ホスフェート、硫酸塩、有機塩およびそれらの置換分子を特に含むことができる。それらが細胞膜の極性ヘッド基および表面蛋白に水素結合され、疎水性薬物および細胞膜脂質の間のこの障壁を除去するために機能することができる水分子を容易に置き換えるので、例えば、1つ以上のヒドロキシル、カルボキシル、酸、アミドまたはアミン基が有利であることができる。これらの部分は水および極性溶媒に溶解することができる。本発明の実施態様の添加剤は、薬物を結合し、かつ配置中に、および標的組織へ医療デバイスからその迅速な移動を促進するための成分を有する。
【0212】
本発明の実施態様における添加剤は、界面活性剤および/または、1つ以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分を持つ化合物であることができる。界面活性剤は、イオン、非イオン、脂肪族および芳香族界面活性剤を含む。1つ以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分を持つ化合物は、アミノアルコール、ヒドロキシルカルボン酸および無水物類、エチルオキシド、エチルグリコール、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖、グルコース、スクロース、ソルビタン、グリセロール、多価アルコール、リン酸塩、硫酸塩、有機酸、エステル、塩類、ビタミンおよびそれらの置換分子から選択される。
【0213】
「親水性」および「疎水性」なる用語は相対的用語である。本発明の種々の実施態様における添加剤として機能するために、化合物は、極性または荷電した親水性部分ならびに無極性の疎水性(親油性)部分を含む。
【0214】
医薬化合物の相対的な親水性および疎水性を特徴付ける薬化学に一般的に用いられる経験的パラメーターは、分配係数Pであり、2つの混ざらない溶媒、通常オクタノールおよび水の混合物の2つの相中の非イオン化化合物の濃度の比率であり、P=([溶質]オクタノール/[溶質]水)である。より高いlog Pを持つ化合物はより疎水性であり、一方、より低いlog Pを持つ化合物はより親水性である。リピンスキーの規則は、log P<5を有する医薬化合物はより浸透性の膜であることができる。本発明のある種の実施態様の目的のために、例えば、添加剤は、処方される薬物のlog P未満のlog Pを有する(一例として、パクリタキセルのlog Pは7.4である)。薬物および添加剤の間のより大きなlog P差は、薬物の相分離を促進することができる。例えば、添加剤のlog Pが薬物のlog Pより非常に低いならば、添加剤は、そうでなければ薬物がしっかり付着し得るデバイスの表面からの水性環境中の薬物の放出を加速することができ、それにより、介在の部位で簡単な配置中に組織への薬物送達を加速する。本発明のある種の実施態様において、添加剤のlog Pは負である。他の実施態様において、添加剤のlog Pが薬物のlog P未満である。化合物のオクタノール-水分配係数Pまたはlog Pは、相対的な親水性および疎水性の測定として有用であるが、それは、本発明の実施態様に使用される適切な添加剤を定義するのに有用であることができる単に荒いガイド(rough guide)である。
【0215】
本発明の実施態様において用いることができる適切な添加剤は、限定なくして、有機および無機の医薬添加剤、その天然物および誘導体(例えば、糖、ビタミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質および脂肪酸)、低分子量オリゴマー、界面活性剤(アニオン、カチオン、非イオンおよびイオン性)およびそれらの混合物を含む。本発明に有用なものとして本明細書に記載された添加剤は、典型的な目的だけに提供され、包括的であるように意図されない。他の多数の添加剤が本発明の目的に有用であることができる。添加剤は第1のイオン性または両性イオン性添加剤、第2のイオン性または両性イオン性添加剤またはそれらの組合せを含むことができる。
【0216】
界面活性剤。
界面活性剤を含む実施態様において、界面活性剤は医薬組成物に使用するに適しているいずれかの界面活性剤であることができる。かかる界面活性剤はアニオン性、カチオン性、両性イオン、非イオン性であることができる。また、界面活性剤の混合物は、本発明の種々の実施態様の範囲内であるので、界面活性剤および他の添加剤の組合せである。界面活性剤は、脂質構造の一部を形成するために細胞膜の脂質二重層へ直接的に挿入することができる脂肪酸のごとき1つ以上の長い脂肪族鎖をしばしば有し、一方、界面活性剤の他の成分は脂質構造を緩めて、薬物浸透および吸収を増強する。造影剤イオプロミドはこれらの特性を有しない。
【0217】
界面活性剤の相対的な親水性および疎水性を特徴付けるために一般的に用いられる経験的パラメーターは、親水性-疎水性バランス(「HLB」価値)である。より低いHLB値を持つ界面活性剤はより疎水性であり、油中でより大きな溶解度を有しているが、より高いHLB値を持つ界面活性剤はより親水性であり、水溶液中でより大きな溶解度を有する。荒いガイドとしてHLB値を用いて、親水性界面活性剤は、約10より大きなHLB値を有する化合物、ならびにHLBスケールが一般的に適用可能でない、アニオン、カチオン、または両性イオンの化合物であると一般的に考えられる。同様に、疎水性界面活性剤は、約10未満のHLB値を有する化合物である。本発明のある種の実施態様において、増加した親水性がデバイスの表面からの疎水性薬物の放出を促進することができるので、より高いHLB値は利用される。1つの実施態様において、界面活性剤添加剤のHLBは10を超える。付加的なHLBは14を超えることができる。別法として、より低いHLBを有する界面活性剤は、例えば、非常に親水性の添加剤を有する薬物層上の頂部コート(top coat)における標的部位でのデバイス配置に先立ち、薬物損失を防止するために利用することができる。
【0218】
例えば、界面活性剤のHLB値は、例えば、単に産業用、医薬用および化粧用の乳濁液の製剤を可能にするために一般的に用いられる荒いガイドである。いくつかのポリエトキシ化界面活性剤を含めた多数の重要な界面活性剤については、HLB値が、HLB値(ショット(J)。)を決定するために選択された経験的方法に依存して、約8のHLB単位と同じものによって異なることができることが報告されている(Schott, J. Pharm. Sciences, 79(1), 87-88 (1990))。これらの固有の困難性を覚えておき、ガイドとしてHLB値を用いて、本明細書に記載されるように、本発明の実施態様で使用される適切な親水性または疎水性を有する界面活性剤が識別することができる。
【0219】
PEG脂肪酸およびPEG脂肪酸モノおよびジエステル。
ポリエチレングリコール(PEG)自体は界面活性剤として機能しないが、種々のPEG脂肪酸エステルは有用な界面活性剤特性を有する。PEG脂肪酸モノエステル中で、ラウリン酸、オレイン酸およびステアリン酸のエステルは、本発明の実施態様に最も有用である。親水性界面活性剤の例は、ラウリン酸PEG-8、オレイン酸PEG-8、ステアリン酸PEG-8、オレイン酸PEG-9、ラウリン酸PEG-10、オレイン酸PEG-10、ラウリン酸PEG-12、オレイン酸PEG-12、オレイン酸PEG-15、ラウリン酸PEG-20およびオレイン酸PEG-20を含む。HLB値は4~20の範囲にある。
【0220】
また、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルは、本発明の実施態様の組成物中の界面活性剤として使用に適している。親水性界面活性剤は、ジラウリン酸PEG-20、ジオレイン酸PEG-20、ジステアリン酸PEG-20、ジラウリン酸PEG-32およびジオレイン酸PEG-32を含む。HLB値は5~15の範囲にある。
【0221】
また、一般的に、界面活性剤の混合物は、2つ以上の界面活性剤の混合物ならびにもう一つの添加剤または複数の添加剤と界面活性剤との混合物を含めて、本発明の実施態様に有用である。いくつかのPEG脂肪酸エステルは、混合物またはモノ-およびジエステルとして商業的に売られている。
【0222】
ポリエチレングリコールグリセリン脂肪酸エステル。
親水性界面活性剤は、ラウリン酸PEG-20グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-40グリセリル、オレイン酸PEG-20グリセリルおよびオレイン酸PEG-30グリセリルを含むことができる。
【0223】
アルコール油エステル交換反応生成物。
疎水性または親水性の異なる程度の多数の界面活性剤は、種々の天然および/または硬化油と、アルコールまたは多価アルコールの反応によって調製することができる。最も一般的には、用いられる油は、ヒマシ油または水素化ヒマシ油、またはトウモロコシ油、オリーブオイル、落花生油、パーム核油、杏仁油または扁桃油のごとき食用植物油である。アルコールはグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトールおよびペンタエリトリトールを含む。これらのアルコール油エステル交換反応界面活性剤中で、親水性界面活性剤は、PEG-35ヒマシ油(Incrocas-35)、PEG-40水素化ヒマシ油(Cremophor RH 40)PEG-25 トリオレエート(TAGAT(商標)TO)、PEG-60トウモロコシグリセリド(CrovoI M70)、PEG-60扁桃油(Crovol A70)、PEG-40パーム核油(Crovol PK70)、PEG-50ヒマシ油(Emalex C-50)およびPEG-50水素化ヒマシ油(Emalex HC-50)、PEG-8カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Labrasol)およびPEG-6カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Softigen 767)である。例えば、このクラスにおける疎水性界面活性剤は、PEG-5水素化ヒマシ油、PEG-7水素化ヒマシ油、PEG-9水素化ヒマシ油、PEG-6トウモロコシ油(Labrafil(商標)M 2125 CS)、PEG-6扁桃油(Labrafil(商標)M 1966 CS)、PEG-6杏仁油(Labrafil(商標)M 1944 CS)、PEG-6オリーブ油(Labrafil(商標)M 1980 CS)、PEG-6落花生油(Labrafil(商標)M 1969 CS)、PEG-6水素化パーム核油(Labrafil(商標)M 2130 BS)、PEG-6パーム核油(Labrafil(商標)M 2130 CS)、PEG-6トリオレイン(Labrafil(商標)b M 2735 CS)、PEG-8トウモロコシ油(Labrafil(商標)WL 2609 BS)、PEG-20トウモロコシグリセリド(Crovol M40)およびPEG-20アーモンド・グリセリド(Crovol A40)である。
【0224】
ポリグルセリル脂肪酸。
また、脂肪酸のポリングリセリンエステルは、本発明の実施態様で使用される適切な界面活性剤である。ポリグルセリル脂肪酸エステル中で、疎水性界面活性剤は、オレイン酸ポリグルセリル(Plurol Oleique)、ジオレイン酸ポリグルセリル-2(Nikkol DGDO)、トリオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル、ミリスチン酸ポリグルセリル、パルミチン酸ポリグルセリルおよびリノール酸ポリグルセリルを含む。親水性界面活性剤は、ラウリン酸ポリグルセリル-10(Nikkol Decaglyn 1L)、オレイン酸ポリグルセリル-10(Nikkol Decaglyn 1-O)およびポリグルセリル-10モノを含む、ジオレアート(CaproI(商標)PEG 860)、ステアリン酸ポリグルセリル-10、ラウリン酸ポリグルセリル-10、ミリスチン酸ポリグルセリル-10、パルミチン酸ポリグルセリル-10、リノール酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-6、ラウリン酸ポリグルセリル-6、ミリスチン酸ポリグルセリル-6、パルミチン酸ポリグルセリル-6、およびリノール酸ポリグルセリル-6を含む。また、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル(Polymuls)は界面活性剤である。
【0225】
プロピレングリコール脂肪酸エステル。
プロピレングリコールおよび脂肪酸のエステルは、本発明の実施態様に使用される適切な界面活性剤である。この界面活性剤クラスにおいて、疎水性界面活性剤は、モノラウリン酸プロピレングリコール(Lauroglycol FCC)、リシノール酸プロピレングリコール(Propymuls)、モノオレイン酸プロピレングリコール(Myverol P-06)、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール(Captex(商標)200)およびジオクタン酸プロピレングリコール(Captex(商標)800)を含む。
【0226】
ステロールおよびステロール誘導体。
ステロールおよびステロール誘導体は、本発明の実施態様に使用される適切な界面活性剤である。誘導体はポリエチレングリコール誘導体を含む。このクラスでの界面活性剤はPEG-24コレステロールエーテル(Solulan C-24)である。
【0227】
ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル。
種々のPEGソルビタン脂肪酸エステルが利用可能であり、本発明の実施態様における界面活性剤としての使用に適している。PEGソルビタン脂肪酸エステルの中で、界面活性剤は、モノラウリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-20)、モノパルミチン酸PEG-20ソルビタン(Tween-40)、モノステアリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-60)を含む。モノオレイン酸PEG-20ソルビタン(Tween-80)。いくつかの実施態様において、オレイン酸エステルと比較して短い脂質鎖を有し、薬物吸収を増加させるために、ラウリン酸エステルが利用される。
【0228】
糖およびそれらの誘導体。
糖誘導体は、本発明の実施態様に使用される適切な界面活性剤である。このクラスでの界面活性剤は、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル-N-メチルグルカミド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトシド、ヘプタノイル-N-メチルグルカミド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-チオグルコシド、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、ノナノイル-N-メチルグルカミド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、およびオクチル-β-D-チオグルコピラノシドを含む
【0229】
ポリエチレングリコールアルキルフェノール。
PEG-10-100ノニルフェノールおよびPEG-15-100オクチルフェノールエーテル、チロキサポール、オクトキシノール、オクトキシノール-9、ノノキシノールのごとき、いくつかのPEGアルキルフェノール界面活性剤が利用可能であり、本発明の実施態様で使用するに適している。
【0230】
ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン(POE-POP)ブロック共重合体。
POE-POPブロック共重合体は、ユニークなクラスのポリマー界面活性剤である。十分に定義された比率および位置の親水性POEおよび疎水性POP部分を持つ界面活性剤のユニークな構造は、本発明の実施態様で使用するに適している種々様々の界面活性剤を提供する。これらの界面活性剤は、Synperonic PEシリーズ(ICI);Pluronic(商標)シリーズ(BASF)、Emkalyx、Lutrol(BASF)、Supronic、Monolan、PluracareおよびPlurodacを含めた種々の商品名の下で利用可能である。これらのポリマーについての総称は「ポロキサマー(poloxamer)」(CAS 9003-11-6)である。これらのポリマーは、式:HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)aH、式中、「a」および「b」は、各々、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン単位数を示す。
【0231】
このクラスの親水性界面活性剤は、Poloxamer 108、188、217、238、288、338および407を含む。このクラスでの疎水性界面活性剤は、Poloxamer 124、182、183、212、331および335を含む。
【0232】
ソルビタン脂肪酸エステル。
脂肪酸のソルビタンエステルは、本発明の実施態様に使用される適切な界面活性剤である。これらのエステルの中で、疎水性界面活性剤は、モノラウリン酸ソルビタン(Arlacel 20)、モノパルミチン酸ソルビタン(Span-40)およびモノオレイン酸ソルビタン(Span-80)、モノステアリン酸塩ソルビタンを含む。
【0233】
ビタミンCの両親媒性の誘導体モノパルミチン酸ソルビタン(これはビタミンC活性を有する)は、可溶化系での2つの重要な機能を発揮することができる。第1に、それは、微環境を調整することができる有効な極性基を所有する。これらの極性基は、ビタミンC自体(アスコルビン酸)を利用可能な最も水溶性の有機固体化合物の1つにするのと同じ基である:アスコルビン酸は、水の中の約30重量/重量%に可溶である(例えば、塩化ナトリウムの溶解度に非常に接近している)。第2に、パルミチン酸アスコルビルナトリウムのごときより可溶の塩に対するアスコルビン酸パルミテートの割合を変換するようにpHを増加させる場合。
【0234】
イオン性界面活性剤。
カチオン性、アニオン性および両性イオン性の界面活性剤を含めたイオン性界面活性剤は、本発明の実施態様に使用される適切な親水性界面活性剤である。イオン性界面活性剤は第四級アンモニウム塩、脂肪酸塩および胆汁酸塩を含む。具体的には、イオン性界面活性剤は塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジウム、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、トリメチルオクチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリエチルアンモニウムクロリド、DOTAP-1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(塩化物塩または硫酸メチル塩)、DOTMA-1,2-ジ-O-オクタデケニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン、DC-コレステロール-3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール塩酸塩、DODMA-1,2-ジオレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン、GL67-N4-コレステリル-スペルミンHCl塩、DDAB-ジメチルジオクタデシルアンモニウム(臭化物塩)、MVL5-N1-[2-((1S)-1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-4-[ジ(3-アミノ-プロピル)アミノ]ブチルカルボキシアミド)エチル]-3,4-ジ[オレイルオキシ]-ベンズアミド、EPC-1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、ナトリウムドセシルスルフェート、塩化ジアルキルメチルベンジルアンモニウム、塩化エドロホニウム、臭化ドミフェン、ナトリウムスルホコハク酸のジアルキルエステル、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コール酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウムを含む。それらは有機溶媒(例えば、エタノール、アセトンおよびトルエン)および水の双方に溶解することができる。これは、それらが調製およびコーティングプロセスを単純化し、よい接着特性を有するので、医療デバイスコーティングに特に有用である。水不溶性薬物は、有機溶媒に一般的に溶解される。
【0235】
本明細書に記載された界面活性剤のいくつかは、加熱下で非常に安定である。それらは、エチレンオキシド滅菌プロセスから残存する。それらは、滅菌プロセス下、パクリタキセルまたはラパマイシンのごとき薬物と反応しない。ヒドロキシル、エステル、アミド基は薬物と反応しないようであるが、アミンおよび酸基は、滅菌中にパクリタキセルまたはラパマイシンとしばしば反応するために、ヒドロキシル、エステル、アミド基が利用される。さらに、界面活性剤添加剤は、コーティング層の完全性および質を改善し、その結果、粒子は取扱いの間に減少しない。本明細書に記載された界面活性剤がパクリタキセルと処方される場合、実験的には、それは、標的部位で0.2~10分の非常に短い配置時間の間にパクリタキセルの迅速な放出および溶出を促進しつつ、デバイス送達プロセスの間に早すぎる放出から薬物を保護することができる。標的部位の組織による薬物吸収は、実験的に高いと決定することができる。
【0236】
1つ以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分を持つ化合物。
1つ以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミド、またはエステル部分を持つ化合物は、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、キサントシン一リン酸、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N、N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリトリトールエトキシレート、ペンタエリトリトールプロポキシレート、ペンタエリトリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコナミド、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セラブロシド(cerabroside)、スフィンゴミエリン、ガラクロセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、カプリル酸PEG、カプリル酸PEG8(例えば、Labrasol(登録商標))、カプリン酸PEG、カプロン酸PEG、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリルおよびモノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレインおよびモノオレインを含む
【0237】
1つ以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分を持つ化合物は、アミノアルコール、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、無水物類、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖リン酸、糖硫酸塩、エチルオキシド、エチルグリコール、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、多価アルコール、リン酸塩、硫酸塩、有機酸、エステル、塩類、ビタミン、アミノアルコールおよび有機酸の組合せおよびそれらの置換分子を含む。5,000~10,000未満の分子量を有する、1つ以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分を持つ親水性の化合物は、ある種の実施態様において利用される。他の実施態様において、1つ以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分を持つ添加剤の分子量は、1000~5,000未満、750~1,000未満、または750未満である。これらの実施態様において、添加剤の分子量は、送達される薬物のそれ未満であることである。さらに、添加剤の分子量は、80未満の分子量を持つ分子が非常に容易に蒸発し、医療デバイスのコーティングに留まらないので、80を超えるものであることである。小さな分子は速く拡散することができる。それらは、薬物の放出を加速して、送達バルーンからそれら自身を容易に放出させることができ、薬物が身体内腔の組織に結合する場合、それらは薬物から離れて拡散することができる。
【0238】
ある種の実施態様において、4を超えるヒドロキシルを持つ添加剤は、例えば、高分子量添加剤の場合に利用される。大きな分子はゆっくり拡散する。添加剤または化合物の分子量が高いならば、例えば、分子量が800を超える、1000を超える、1200を超える、1500を超える、または2000を超えるならば;大きな分子が医療デバイスの表面を離れてあまりにもゆっくり溶出して、2分未満の薬物を放出することができない。これらの大きな分子が4つを超えるヒドロキシルを含むならば、それらは親水特性を増加させ、これは、比較的大きな分子が薬物を急速に放出するために必要である。増加した親水性は、バルーンからコーティングを溶出し、薬物の放出を加速し、組織に浸透する脂質二重層の水障壁および極性ヘッド基を介する薬物運動を改善および/または促進するのを助けることができる。1つの実施態様において、パクリタキセルまたはラパマイシンのごとき水不溶性薬物と反応ないようであるために、ヒドロキシルは親水性の部分として利用される。いくつかの実施態様において、4つを超えるヒドロキシルを有する化合物は120℃以下の融点を有する。いくつかの実施態様において、4つを超えるヒドロキシルを有する化合物は、ステレオ配置において、すべてが分子の一側上にある3つの隣接したヒドロキシルを有する。例えば、ソルビトールおよびキシリトールは、ステレオ配置において、すべてが分子の一側上にある3つの隣接したヒドロキシル基を有するが、ガラクチトールは有しない。相違は、融解温度のごとき異性体の物理的性質を衝撃する。3つの隣接したヒドロキシルのステレオの配置は、薬物結合を増強することができる。これは、水不溶性薬物および親水性添加剤の改善された適合性に導き、改善した薬物の組織取込みおよび吸収に導くであろう。
【0239】
本明細書に記載された1つ以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を持つ化合物のいくつかは、加熱下で非常に安定している。それらはエチレンオキシド滅菌プロセスから残存し、滅菌中にパクリタキセルまたはラパマイシンのごとき水不溶性薬物と反応しない。他方、L-アスコルビン酸およびその塩およびジエタノールアミンは必ずしも、かかる滅菌プロセスから残存せず、それらはパクリタキセルと反応する。したがって、異なる滅菌方法は、L-アスコルビン酸およびジエタノールアミンについて利用される。例えば、ヒドロキシル、エステルおよびアミド基は、それらがパクリタキセルまたはラパマイシンのごとき治療剤と反応しないようであるので、利用される。時々、アミンおよび酸基は、パクリタキセルと反応せず、例えば、実験的には、安息香酸、ゲンチシン酸、ジエタノールアミンおよびアスコルビン酸は、エチレンオキシド滅菌、加熱およびエイジングプロセス(aging process)下で安定ではなく、パクリタキセルと反応した。本明細書に記載された化合物がパクリタキセルと処方される場合、親水性の小さな分子を時々余りにも容易に放出するので、頂部コート層は標的部位で配置前にデバイス送達プロセスの間に早すぎる薬物ロスを防止するのに有利であることができる。小さな分子、時々、放出薬物、また容易に。本明細書の化合物は、標的部位で配置中に急速にバルーンから薬物を溶出することができる。驚くべきことには、コーティングがこれらの添加剤を含む場合に、たとえいくつかの薬物が標的部位にデバイスの通過中に失われかねなくてさえも、実験的に、配置の0.2~10分のみの後に、例えば、リボン酸ラクトンおよびグルコノラクトンのごとき付加的ヒドロキシルラクトンで、組織による薬物吸収は高い。
【0240】
脂溶性ビタミンおよびその塩類。
多数のそれらの種々の形態およびプロビタミン形態中のビタミンA、D、EおよびKは、脂溶性ビタミンと考えられ、これらのいくつかの他のビタミンおよびビタミンソースまたは密接な関連物に加えて、脂溶性でもあり、極性基および比較的高いオクタノール-水分配係数を有する。明確には、一般的なクラスのかかる化合物は、リスク比に対して安全な使用および高い利益の歴史を有し、それらを本発明の実施態様における添加剤として有用にする。
【0241】
また、脂溶性ビタミン誘導体および/またはソースの以下の例は、添加剤として有用有用である:アルファトコフェロール、ベータトコフェロール、ガンマトコフェロール、デルタトコフェロール、酢酸トコフェロール、エルゴステロール、1-アルファ-ヒドロキシコレカルシフェロール、ビタミンD2、ビタミンD3、アルファカロテン、ベータカロテン、ガンマカロテン、ビタミンA、フルスルチアミン、メチロールリボフラビン、オクトチアミン、プロスルチアミン、リボフラビン、ビンチアモール、ジヒドロビタミンK1、メナジオール二酢酸、メナジオール二酪酸、メナジオール二硫酸、メナジオール、ビタミンK1、ビタミンK1酸化物、ビタミンK2およびビタミンK--S(II)。また、葉酸はこのタイプであり、それは生理学的pHにて水溶性であるが、それは遊離酸形態で処方することができる。本発明の実施態様に有用な脂溶性ビタミンの他の誘導体は、親水性分子との周知の化学反応を介して容易に得ることができる。
【0242】
水溶性ビタミンおよびそれらの両親媒性誘導体。
ビタミンB、C、U、パントテン酸、葉酸およびそれらの種々の形態の多数におけるメナジオン関連のビタミン/プロビタミンのいくらかは、水溶性ビタミンと考えられる。また、これらは、比較的高いオクタノール-水分配係数および極性基を有する両親媒性形態の中への疎水性部分または多価イオンと結合または複合体化(または、組み合わせる:complex1ed)することができる。再度、かかる化合物は、低毒性および高い利益-対-リスク比であることができ、本発明の実施態様においてそれらを添加剤として有用にできる。また、これらの塩類は、本発明における添加剤として有用であることができる。水溶性ビタミンおよび誘導体の例は、限定なくして、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸、セトチアミン、シクロチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、5-リン酸ピリドキサール、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、メナジオン亜硫酸水素ナトリウム、メナドキシム(menadoxime)、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6およびビタミンUを含む。また、上記のごとく、葉酸は、生理学的pHを含めた広いpH範囲にわたり、塩として水溶性である。
【0243】
アミノまたは他の塩基性基が存在する化合物は、疎水基含有酸、例えば、脂肪酸(特に、ラウリン、オレイン、ミリスチン、パルミチン、ステアリンまたは2-エチルヘキサン酸)、低溶解度のアミノ酸、安息香酸、サリチル酸または酸性脂溶性ビタミン(例えば、リボフラビン)との単純な酸塩基反応によって容易に改変することができる。他の化合物は、ヒドロキシルのごときビタミン上のもう一つの基とかかる酸と反応して、エステル結合等のごとき結合を形成することにより得ることもできる。酸性基を含む水溶性ビタミンの誘導体は、例えば、本発明の実施態様に有用な化合物を創成するために、ステアリルアミンまたはリボフラビンのごとき疎水基含有反応物との反応において生成することができる。ビタミンCへのパルミチン酸鎖の結合はアスコルビン酸パルミテートをもたらす。
【0244】
アミノ酸およびそれらの塩類。
アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、プロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンおよびそれらの誘導体は、発明の実施態様において他の有用な添加剤である。
【0245】
ある種のアミノ酸は、それらの両性イオンの形態、および/または一価または多価のイオンを持つ塩形態において、極性基、比較的高いオクタノール-水分配係数を有し、本発明の実施態様に有用である。本開示の文脈において、出願人らは、約4%未満(40mg/mL)の緩衝されない(unbuffered)水における溶解度を有するアミノ酸を意味するために、「低溶解度のアミノ酸」を取る。これらは、シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸およびメチオニンを含む。
【0246】
また、アミノ酸二量体、糖共役および他の誘導体が有用である。当該技術分野において周知の単純な反応を介して、さらなる添加剤を本発明の実施態様において有用にするために、親水性分子は疎水性アミノ酸に、または疎水性分子は親水性アミノ酸に連結することができる。
【0247】
また、ドーパミン、レボドパ、カルビドパおよびDOPAのごときカテコールアミンは、添加剤として有用である。
【0248】
オリゴペプチド、ペプチドおよびタンパク質。
疎水性および親水性アミノ酸が容易に連結することができ、アミノ酸の種々の配列が最大に薬物によって組織の浸透を促進するためにテストすることができるので、オリゴペプチドおよびペプチドは添加剤として有用である。
【0249】
また、タンパク質は、本発明の種々の実施態様における添加剤として有用である。例えば、血清アルブミンは、それが水溶性であり、薬物を結合するためにかなりの疎水性部分を含むので、有用な添加剤であり:パクリタキセルはヒト静脈注射後に89%~98%の蛋白質結合であり、ラパマイシンは、アルブミンに92%のタンパク質結合、主として(97%)である。さらに、PBS中のパクリタキセル溶解度は、BSAの添加で20倍を超えて増加する。アルブミンは、血清中で高濃度で自然に存在し、かくして、ヒト使用につき非常に安全である。
【0250】
他の有用タンパク質は、限定なくして、他のアルブミン、免疫グロブリン、カゼイン、ヘモグロビン、リゾチーム、免疫グロブリン(immunoglobin)、a-2-マクログロブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリノゲン、リパーゼおよびその他同種のものを含む。
【0251】
有機酸およびそれらのエステルおよび無水物。
例は、酢酸および無水物、安息香酸および無水物、ジエチレントリアミン五酢酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、マレイン酸および無水物、コハク酸および無水物、ジグリコール酸無水物、グルタル酸無水物、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸アスパラギン酸、ニコチン酸、2-ピロリドン-5-カルボキシル酸および2-ピロリドンを含む。
【0252】
これらのエステルおよび無水物は、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルのごとき有機溶媒に可溶である。水不溶性薬物は、これらのエステルおよび無水物を含む有機溶媒に溶解し、次いで、医療デバイス上へ容易に覆い、次いで、高pH条件下で加水分解することができる。加水分解された無水物またはエステルは、水溶性である酸またはアルコールであり、身体内腔の壁の中へデバイスから薬物を有効に運ぶことができる。
【0253】
抗菌剤。
種々の脂肪酸、アルキルグリセリルエーテルおよびC8~C12脂肪酸のモノグリセリドの抗菌性特性は、長年調査されてきた。研究は、脂肪酸、アルキルグリセリルエーテルおよびモノグリセリドが多数のタイプの細菌およびウイルスの成長を抑制することができることを確認した。本発明のコーティング製剤は、種々の非血管性および血管性の狭窄の処置のための添加剤の1つとして、種々の脂肪酸、アルキルグリセリルエーテルおよびC8~C12脂肪酸のモノグリセリド、例えば、カプリル酸、モノカプリリン、カプリン酸、モノカプリン、ラウリン酸、ドデシルグリセロールおよびモノラウリンを含むことができる。
【0254】
1つ以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を持つ他の化合物。
種々の実施態様による添加剤は、シクロおよび線形の脂肪族および芳香族基の双方において、アミノアルコール、アルコール、アミン、酸、アミドおよびヒドロキシル酸を含むことができる。例は、L-アスコルビン酸およびその塩、D-グルコアスコルビン酸およびその塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノラクトン(mannoic lactone)、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ安息香酸プロピル、酢酸リジン塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、ソルビトール、グルシトール、糖リン酸、リン酸グルコピラノース、糖硫酸塩、シナピン酸、バニリン酸、バニリン酸ジエチルアミド、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、キシリトール、2-エトキシエタノール、糖、ガラクトース、グルコース、リボース、マンノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、アラビノース、リキソース、フルクトース、シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)-シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン(catechin gallate)、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸、酢酸、本明細書に記載されたいずれかの有機酸の塩およびアミン、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール(multiglycerol)(例えば、複数のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を持つ化合物)、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのブロック共重合体、ならびにそれらの誘導体および組合せである。
【0255】
また、添加剤の組合せは、本発明の目的に有用であることができる。1つの実施態様は、2つの添加剤、例えば、界面活性剤を含む第1の添加剤および1つ以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を持つ化合物を含む第2の添加剤の組合せまたは混合物を含む。
【0256】
界面活性剤および小さな水溶性の分子(1つ以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を持つ化合物)の組合せまたは混合物は、有利さを有することができる。水不溶性薬物と2つの添加剤の混合物を含む製剤は、一方の添加剤を単独で含む混合物より優れているある種のケースにある。疎水性薬物は、水溶性の小さな分子をそれらが界面活性剤を結合するより非常に貧弱に結合する。それらはしばしば小さな水溶性の分子から分離された相であり、これは最適以下(suboptimal)のコーティング均一性および完全性に導くことができる。水不溶性薬物は、界面活性剤および小さな水溶性分子の双方のそれらより高いLog Pを有する。しかしながら、界面活性剤のLog Pは、1つ以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を持つ化合物のLog Pより典型的に高い。界面活性剤は、比較的高いLog P(通常0を超える)を有し、水溶性分子は低いLog P(例えば、0未満)を有する。いくつかの界面活性剤は、本発明の実施態様において添加剤として用いられた場合、その薬物は標的部位の医療デバイスの表面から急速に放出できない医療デバイスの水不溶性薬物および表面に非常に強く付着する。他方、水溶性の小さな分子(1つ以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を持つ)のいくつかは、薬物が、例えば、介在に向けられた部位への被覆したバルーンカテーテルの通過の間の血清へ標的部位に達する前に、薬物を放出する医薬デバイスに非常に貧弱に付着する。驚くべきことには、製剤における小さな親水性分子および界面活性剤の濃度比の調整によって、発明者は、ある種のケースでの治療介在の標的部位で内腔壁の組織に対して膨張し押された場合、通過および迅速な薬物放出の間のコーティング安定性が、いずれかの添加剤単独を含む製剤より優れていることを見出した。さらに、界面活性剤の存在は、水不溶性薬物および高度に水溶性の分子の混和性および適合性を改善する。また、界面活性剤は、薬物および小さな分子へのそのよい付着により、コーティング均一性および完全性を改善する。界面活性剤の長鎖疎水性部分は薬物をしっかりと結合するが、界面活性剤の親水性部分は水溶性の小さな分子に結合する。
【0257】
混合物または組合せ中の界面活性剤は、本発明の実施態様に使用のために本明細書に記載された界面活性剤をすべて含む。混合物中の界面活性剤は、PEGソルビタン脂肪酸エステル;PEGオメガ-3脂肪酸エステル、エーテルおよびアルコール;グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、PEGグリセリル脂肪酸エステル、PEG脂肪酸エステルおよびアルコール、糖脂肪酸エステル、PEG糖エステル、Tween 20、Tween 40、Tween 60、p-イソノニルフェノキシポリグリシドール、ラウリン酸PEG、オレイン酸PEG、ステアリン酸PEG、ラウリン酸PEGグリセリル、オレイン酸PEGグリセリル、PEGステアリン酸グリセリル、ラウリン酸ポリグルセリル、オレイン酸ポリグリセリル、ミリスチン酸ポリグルセリル、パルミチン酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-6、ミリスチン酸ポリグルセリル-6、パルミチン酸ポリグルセリル-6、ラウリン酸ポリグルセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグルセリル-10、パルミチン酸ポリグルセリル-10、PEGモノラウリン酸ソルビタン 、PEGモノラウリン酸ソルビタン 、モノオレイン酸PEGソルビタン、ステアリン酸PEGソルビタン、PEGオレイルエーテル、PEG ラウライル(laurayl)エーテル、Tween 20、Tween 40、Tween 60、Tween 80、オクトキシノール、オクトキシノール-9、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース 、デカノイル-N-メチルグルカミド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトシド、ヘプタノイル-N-メチルグルカミド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-チオグルコシド、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、ノナノイル-N-メチルグルカミド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、オクチル-β-D-チオグルコピラノシドおよびそれらの誘導体から選択することができる
【0258】
混合物または組合せでの1つ以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を持つ化合物の実施態様は、本発明の実施態様に使用のために本明細書に記載された1つ以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を持つ化合物のいずれかを含むことができる。種々の実施態様において、混合物での1つ以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を持つ化合物は、4つのヒドロキシルのごとき少なくとも1つのヒドロキシルを有する。ある種の実施態様において、4つを超えるヒドロキシルを持つ添加剤は、例えば、高分子量添加剤の場合に利用される。いくつかの実施態様において、4つを超えるヒドロキシルを有する化合物は、120℃以下の融点を有する。大きな分子はゆっくり拡散する。添加剤または化合物の分子量が高いならば、例えば、分子量が800を超える、1000を超える、1200を超える、1500を超える、または2000を超えるならば;大きな分子が医療デバイスの表面を離れてあまりにもゆっくり溶出することができるので、2分未満で薬物を放出することができない。これらの大きな分子が4つを超えるヒドロキシルを含むならば、それらは増加した親水性を有し、これは、比較的大きな分子が薬物を急速に放出するのに必要である。増加した親水性は、バルーンからコーティングを溶出するのを助け、薬物の放出を加速し、組織に浸透するために脂質二重層の水障壁および極性ヘッド基を介して薬物移動を改善または促進する。1つの実施態様において、パクリタキセルまたはラパマイシンのごとき水不溶性薬物と反応しないようであるので、ヒドロキシル基は親水性の部分として利用される。
【0259】
混合中での1つ以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を持つ化合物は、L-アスコルビン酸およびその塩、D-グルコアスコルビン酸およびその塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ安息香酸プロピル、酢酸リジン塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、ソルビトール、グルシトール、糖リン酸、リン酸グルコピラノース、糖硫酸塩、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、キシリトール、2-エトキシエタノール、糖、ガラクトース、グルコース、リボース、マンノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、アラビノース、リキソース、フルクトース、シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)-シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸、酢酸、いずれかの有機酸の塩類およびアミンは、本明細書に記載された、ポリグリシドール、グリセリン、多重グリセリン、ガラクチトール、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、キサントシン一リン酸、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシ-エチル)尿素、N、N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリトリトールエトキシレート、ペンタエリトリトールプロポキシレート、ペンタエリトリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセリンエトキシレート、グリセリンプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール、ペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのブロック共重合体、およびそれらの誘導体および組合せから選択される。
【0260】
界面活性剤および水溶性の小さな分子の混合物または組合せは、双方の添加剤の利点を与えるか、または相乗的に開始することができる。水不溶性薬物は、しばしば高度に水溶性の化合物との貧弱な適合性を有し、界面活性剤は適合性を改善する。また、界面活性剤は、コーティング品質、均一性および完全性を改善し、粒子は取扱いの間にバルーンから落ちない。界面活性剤は、標的部位に通過の間に薬物損失を低下させる。水溶性化合物は、バルーンから薬物の放出および組織中の薬物の吸収を改善する。実験的には、組合せは、通過の間に薬物放出を防止し、非常に短い0.2~2分間の配置後に組織中の高い薬物レベルを達成することで驚くべきことに有効であった。さらに、動物研究において、それは有効に狭窄および遅い内腔損失を低減した。
【0261】
界面活性剤および水溶性の小さな分子の混合物または組合せのいくつかは、加熱下で非常に安定している。それらはエチレンオキシド滅菌プロセスから残存し、滅菌中に水不溶性薬物、パクリタキセルまたはラパマイシンに反応しない。1つの実施態様において、ヒドロキシル、エステル、アミド基は、それらがパクリタキセルまたはラパマイシンのごとき治療剤と反応しないようであるので、利用される。時々、アミンおよび酸基はパクリタキセルと反応し、エチレンオキシド滅菌、加熱およびエイジング下で安定しない。が本明細書に記載された混合物または組合せが、パクリタキセルと処方される場合、頂部コート層は薬物層をデバイス中の早すぎる薬物損失から保護するために有利であることができる、そして。
【0262】
添加剤の例は、p-イソノニルフェノキシポリグリシドール、オレイン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリル、ラウリン酸ポリグルセリル、オレイン酸ポリグリセリル、ミリスチン酸ポリグルセリル、パルミチン酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-6、ミリスチン酸ポリグルセリル-6、パルミチン酸ポリグルセリル-6、ラウリン酸ポリグルセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグルセリル-10、パルミチン酸ポリグルセリル-10、PEGモノラウリン酸ソルビタン 、PEGモノラウリン酸ソルビタン 、モノオレイン酸PEGソルビタン、ステアリン酸PEGソルビタン、オクトキシノール、オクトキシノール-9、n-ヘプチル-β-D-チオグルコシド モノキシノール(monoxynol)、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル-N-メチルグルカミド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-マルトピラノシド)、n-ドデシル-β-D-マルトシド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、ヘプタノイル-N-メチルグルカミド)、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、ノナノイル-N-メチルグルカミド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、オクチル-β-D-チオグルコピラノシド、シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン(アミノ酸)、セトチアミン、シクロチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸およびその塩、5-リン酸ピリドキサール、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、メナジオン亜硫酸水素ナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、またビタミンU(ビタミン);アルブミン、免疫グロブリン、カゼイン、ヘモグロビン、リゾチーム、免疫グロブリン、-2-マクログロブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリノゲン、リパーゼ、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシル(docecyl)トリメチル臭化アンモニウム、ナトリウムドセシルスルフェート、塩化ジアルキルメチルベンジルアンモニウム、およびナトリウムスルホコハク酸のジアルキルエステル、L-アスコルビン酸およびその塩、D-グルコアスコルビン酸およびその塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ安息香酸プロピル、酢酸リジン塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)-シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸、酢酸、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセリン、多重グリセリン、ガラクチトール、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、キサントシン一リン酸、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシ-エチル)尿素、N、N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリトリトールエトキシレート、ペンタエリトリトールプロポキシレート、ペンタエリトリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセリンエトキシレート、グリセリンプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール、またペンタ(プロピレングリコール、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのブロック共重合体、およびそれらの誘導体および組合せを含む。(1つ以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を持つ化合物)。これらの添加剤のいくつかは水溶性および有機溶媒可溶である。それらはよい接着性を有し、バルーンカテーテルのごときポリアミド医療デバイスの表面に付着する。したがって、それらは、本発明の実施態様の付着層、頂部層および/または薬物層において用いることができる。芳香族および脂肪族基は、コーティング溶液中の水不溶性薬物の溶解度を増加させ、アルコールおよび酸の極性基は、組織の薬物浸透を加速する。
【0263】
本発明の実施態様による他の添加剤は、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシル酸、ヒドロキシルエステルおよびヒドロキシルアミドを含む。例は、グルコノラクトン、D-グルコヘプトノ-1,4-ラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノラクトン、エリスロン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、グルクロン酸、グルコン酸、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、乳酸、アセトアミノフェン、バニリン酸、シナピン酸、ヒドロキシ安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベンおよびそれらの誘導体である。
【0264】
構造の視点から、これらの添加剤は、構造類似性を共有し、水不溶性薬物(例えば、パクリタキセルおよびラパマイシン)と互換性を持つ。それらは、しばしば、芳香族または脂肪族構造中のC=C、C=N、C=Oのごとき二重結合を含む。また、これらの添加剤は、アミン、アルコール、エステル、アミド、無水物、カルボン酸および/またはヒドロキシルを含む。それらは、薬物と水素結合および/またはファンデルワールス相互作用を形成することができる。また、それらはコーティング中の頂部層に有用である。1つ以上のヒドロキシル、カルボキシルまたはアミン基を含む化合物は、それらがデバイス表面からの薬物放出を促進し、容易に細胞膜の極性ヘッド基および表面蛋白の次の水を置換するので、例えば、添加剤として特に有用であり、それにより、疎水性薬物透過性に対するこの障害を除去することができる。それらは、それが非常に高い親和性を有する細胞膜および組織の脂質層へのバルーンから疎水性薬物の移動を加速する。また、それらは、例えば、バルーン血管形成またはステント拡張によって傷害された非血管性組織の間隙のごときより水性環境へのバルーンから薬物の移動を伴う(carry)または加速することができる。ポリグルセリル脂肪酸エステル、脂肪酸のアスコルビン酸エステル、脂肪酸の糖エステル、アルコールおよびエーテルのごとき添加剤は、脂質構造に薬物を運んで、標的組織膜の脂質構造に統合することができる脂肪鎖を有する。アミノ酸、ビタミンおよび有機酸のいくつかは、芳香族C=N基ならびにそれらの構造へのアミノ、ヒドロキシルおよびカルボン酸成分を有する。それらはパクリタキセルまたはラパマイシンのごとき疎水性薬物と結合末端複合体を形成することができる構造の部分を有し、また、それらは細胞膜の疎水性薬物および脂質構造の間の障壁の除去により、組織浸透を促進する構造の部分を有する。
【0265】
例えば、イソノニルフェニルポリグリシドール(Olin-10GおよびSurfactant10G)、モノオレイン酸PEGグリセリル、モノラウリン酸ソルビタン(Arlacel 20)、モノパルミチン酸ソルビタン(Span-40)、モノオレイン酸ソルビタン(Span-80)、モノステアリン酸塩ソルビタン、オレイン酸ポリグルセリル-10、ラウリン酸ポリグルセリル-10、パルミチン酸ポリグルセリル-10およびステアリン酸ポリグルセリル-10はすべて、それらの親水性部分に4つを超えるヒドロキシルを有する。これらのヒドロキシルは、身体内腔の壁につき非常によい親和性を有し、水素結合された水分子を置換することができる。同時に、それらは、脂肪酸、アルコール、エーテルおよびエステルの長鎖を有し、これらは、疎水性薬物と複合体を形成でき、脂質構造の部分を組織するために細胞膜の脂質構造に統合できる。さらに、標的細胞の脂質膜のこの変形または緩みは、組織への疎水性薬物の浸透を促進することができる。
【0266】
もう一つの例において、L-アスコルビン酸、チアミン、マレイン酸、ナイアシンアミドおよび2-ピロリドン-5-カルボン酸はすべて、非常に高い水およびエタノール溶解度、および低分子量および小サイズを有する。また、それらは芳香族C=N、アミノ、ヒドロキシルおよびカルボン酸基を含む構造成分を有する。これらの構造は、パクリタキセルおよびラパマイシンとの非常によい適合性を有し、水中のこれらの水不溶性薬物の溶解度を増加させることができ、組織へそれらの吸収を増強することができる。しかしながら、それらは、しばしば医療デバイスの表面への貧弱な付着を有する。したがって、それらが薬物吸収を増強するのに有用な場合、それらは、薬物層および頂部層中の他の添加剤と組み合わせて用いられる。ビタミンD2およびD3は、特にパクリタキセルと結合して用いられた場合、それら自体が抗再狭窄効果を有し、血栓症を軽減するために、特に有用である。
【0267】
コーティング層中の治療剤および添加剤の相対量は、適用可能な状況に依存して変化することができる。最適量の添加剤は、例えば、選択された特定の治療剤および添加剤
に依存することができ、それがミセルを形成するならば表面改質剤の臨界ミセル濃度、界面活性剤の親水性-親油性(HLB)または添加剤のオクタノール-水分配係数(P)、添加剤の融点、添加剤および/または治療剤の水溶解度、表面改質剤の水溶液の表面張力等に依存することができる。
【0268】
さらに、他の考察は、異なる添加剤の特定割合の選択に通知するであろう。これらの考察は、添加剤のバイオ受容性の程度および/または提供される治療剤の所望の用量を含むことができる。
【0269】
1つの実施態様において、本発明は、身体内腔狭窄の標的部位に治療剤を送達するためのバルーンカテーテルに関し、バルーンカテーテルは、バルーンの外表面に重なるコーティング層を含む。コーティング層は、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せを含むことができる。治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択することができる。添加剤は、酢酸コレステリル、フェニル酢酸コレステリル、ラウリン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、n-吉草酸コレステリル、安息香酸コレステリル、ヘプチル酸コレステリル、デシル酸コレステリル、カプロン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、炭酸コレステリルオレイル、リノール酸コレステリル、ペラルゴン酸コレステリル、エルカ酸コレステリル、カプリル酸コレステリル、5α-コレスタン、5α-コレスタン-3-オン、および組合せから選択される非水溶性(non-water-soluble)添加剤であることができる。
【0270】
1つの実施態様において、本発明は、身体内腔狭窄もしくは狭窄症の標的部位に治療剤を送達するためのバルーンカテーテルに関し、バルーンはポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルおよびポリアミドのブロック共重合体、ポリエーテルブロックアミド、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリエステルのブロック共重合体またはそれらの組合せを含む。バルーンカテーテルは、バルーンの外表面に重なるコーティング層を含む。コーティング層は、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せを含む。治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択することができる。添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含み、第1の添加剤は、50~750の分子量を有する、水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の第1の添加剤であることができ、第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、-(CH2CH2O)-単位を含み、750~100,000、好ましい1000~50,000、最も好ましい2000~10,000の分子量を持つ第2の添加剤であることができる。コレステリル基を持つ水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の第1の添加剤は、酢酸コレステリル、フェニル酢酸コレステリル、ラウリン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、n-吉草酸コレステリル、安息香酸コレステリル、ヘプチル酸コレステリル、デシル酸コレステリル、カプロン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、炭酸コレステリルオレイル、リノール酸コレステリル、ペラルゴン酸コレステリル、エルカ酸コレステリル、カプリル酸コレステリル、5α-コレスタン、5α-コレスタン-3-オンおよびそれらの組合せから選択できる。アルキル脂肪族基(例えば、C1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29またはC30以上のごときC4~C30)を持つ水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の第1の添加剤は、アルキルグリセリルエーテル、C8~C12脂肪酸のモノグリセリド、アルキルアルコール、アルキルエーテル、アルキルエステル、カプリル酸、モノカプリリン、カプリン酸、モノカプリン、ラウリン酸、ドデシルグリセロール、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オクタデカトリエン酸、エイコサン酸、エイコセン酸、エイコサテトラエン酸、イコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、トコトリエノール、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、アルファリノレン酸、ガンマリノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、天然もしくは合成リン脂質、モノ-、ジ-、またはトリアシルグリセロール、カルディオリピン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、アルファトコフェロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン ホスファチジルグリセロール、スフィンゴ脂質、プロスタグランジン、ガングリオシド、ネオビー、ニオゾーム、それらの誘導体およびそれらの組合せから選択できる。水溶性の第2の添加剤は、コレステリル-ポリエチレングリコール600セバケート、ポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケート、メチル化ポリエチレングリコールコレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコールコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエステルコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエーテルコレステロール(PEGコレステロール)、メチル化ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコール(PEG)-コレステリルセバケート、ポリエチレングリコールコレステロール、PEGアミドエステルコレステロール、PEGアミドエーテルコレステロール、mPEGアミドエステルコレステロール、DSPE-PEG-コレステロール、PEG化リン脂質、メチル化PEG化リン脂質、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、カプリル酸PEG、カプリン酸PEG、カプロン酸PEG、モノラウリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-20)、モノパルミチン酸PEG-20ソルビタン(Tween-40)、モノステアリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-60)、モノオレイン酸PEG-20ソルビタン(Tween-80)、ラウリン酸PEG、オレイン酸PEG、ステアリン酸PEG、ラウリン酸PEGグリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ポリグルセリル脂肪酸エステル、オレイン酸ポリグルセリル(Plurol Oleique)、ジオレイン酸ポリグルセリル-2(Nikkol DGDO)、トリオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル、ミリスチン酸ポリグルセリル、パルミチン酸ポリグルセリル、リノール酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル-10(Nikkol Decaglyn 1-L)、オレイン酸ポリグルセリル-10(Nikkol Decaglyn 1-O)、モノ/ジオレイン酸ポリグルセリル-10(CaproI(商標)PEG 860)、ステアリン酸ポリグルセリル-10、ラウリン酸ポリグルセリル-10、ミリスチン酸ポリグルセリル-10、パルミチン酸ポリグルセリル-10、リノール酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-6、ラウリン酸ポリグルセリル-6、ミリスチン酸ポリグルセリル-6、パルミチン酸ポリグルセリル-6、リノール酸ポリグルセリル-6およびそれらの組合せから選択することができる。
【0271】
コーティング溶液。
コーティング層は、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せを含むことができる。コーティング層の調製のための溶媒は、例として、以下の1または組合せを含むことができる:(a)水、(b)ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンおよびヘプタンのごときアルカン、(c)ベンゼン、トルエンおよびキシレンのごとき芳香族溶媒、(d)エタノール、プロパノールおよびイソプロパノール、ジエチルアミド、エチレングリコール-モノエチルエーテル、トランスクトール、およびベンジルアルコールのごときアルコール、(e)ジオキサン、ジメチルエーテルおよびテトラヒドロフランのごときエーテル、(f)酢酸エチルおよび酢酸イソブチルのごときエステル/アセタート、(g)アセトン、アセトニトリル、 ジエチルケトンおよびメチルエチルケトンのごときケトン、、および(h)水/エタノール、水/アセトン、水/メタノール、水/テトラヒドロフランのごとき、水および有機溶媒の混合物。頂部コーティング層中の溶媒は、例えば、メタノール、エタノールおよび/またはアセトンであることができる。
【0272】
短鎖アルコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等のごとき有機溶媒は、これらの有機溶媒が一般的にコロイド状凝集体を分裂させて、コーティング溶液中の成分をすべて共可溶化(co-solubilize)するので、本発明の実施態様における有用な溶媒であることができる。
【0273】
種々の実施態様は、コーティング溶液を調製する方法を提供する。コーティング溶液中の治療剤の含量は、溶液の全重量に基づいた0.5~50重量%であることができる。コーティング溶液中の添加剤の含量は、溶液の総重量に基づく約0.1重量%から約45重量%、約0.2重量%~約40重量%、約0.3重量%から約15重量%、または約0.1重量%以下、または約0.2重量%、0.3、0.4、0.5、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、35、40未満または以上、あるいは約45重量%以上であることができる。用いられる溶媒量はコーティングプロセスおよび粘度に依存する。それは、薬物添加物コーティングの均一性に影響するであろうが、蒸発するであろう。
【0274】
他の実施態様において、2つ以上の溶媒、2つ以上の治療剤および/または2つ以上の添加剤は、コーティング溶液において用いることができる。
【0275】
非血管性組織または非血管性狭窄に薬物を送達するための医療デバイスコーティングは、混合物から調製することができる。コーティングは、そこに分散した薬物粒子を含む有機相、および1つ以上の水溶性添加剤を含む水相を含む混合物から調製することができる。水溶性添加剤は、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジノン、ポリペプチド、水溶性界面活性剤、水溶性ビタミンおよびタンパク質から選択することができる。別法として、コーティングは、液体において懸濁された小さな薬物粒子を含む、二相混合物から調製することができる。液体は、いずれかの水、ヘプタン、ヘキサンまたはシクロヘキサン(cycleohexane)のごとき薬物粒子に適切な逆溶剤から成ることができる。懸濁された薬物粒子は、液相において溶解される他の添加剤によって安定化させることができる。
【0276】
混合物から調製することができる非血管性組織または非血管性狭窄に薬物を送達するための医療デバイスコーティング溶液。コーティング溶液は、水および水混和性溶媒、水溶性添加剤およびその中に分散した最も不溶性薬物を含む水不溶性または部分的に水溶性添加剤を含む混合物から調製できる。水混和性溶媒は、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、THF、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサンおよび酢酸から選択される1以上であることができる。水溶性添加剤は、水溶性界面活性剤、水溶性塩、水溶性ビタミン、水溶性ステロール、タンパク質およびその混合物から選択することができる。1つの実施態様において、1つ以上の水溶性添加剤の一部またはすべてが、水に溶解され、マイクロフリューダイザーに加える。次に、薬物はマイクロフリューダイザーにおいて処理するために加えることができ、混合物は、高剪断条件および高圧下で処置して、10μm未満、またはより好ましくは5μm未満に薬物の粒径を低下させる。次に、水不溶性または部分的に水溶性の添加剤を水混和性溶媒に溶解させ、マイクロフリューダイザーに加えて、高剪断条件下で処理することができる。処理は、顕微溶液化、均質化、ロータースターターミリング、高低エネルギービードミリング、または高性能超音波プローブ均質化の1つであることができる。
【0277】
1つの実施態様において、コーティング溶液の調製は、a)プレミックスを形成するために水、水混和性溶媒、治療剤および水溶性添加剤を混合すること;b)治療剤の粒径を低下させるためにプレミックスを処理すること;c)不溶性水添加剤、水溶性添加剤、水、および水混和性溶媒を混合して、第2のプレミックスを形成すること;d)第2のプレミックスを第1の処理されたプレミックスと混合して、コーティング溶液を形成することを含む。治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せからの1つであり;治療剤は、結晶性、部分的に結晶性、非晶性、部分的に非晶性、またはそれらの組合せである。コーティング溶液は、治療剤の水性懸濁液である。治療剤の粒径は、0.2ミクロン~5ミクロンの範囲にある。第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せは、治療剤を封入し、添加剤に封入された治療剤は治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある。処理は、顕微溶液化、均質化、ロータースターターミリング、高低エネルギービードミリング、または高性能超音波プローブ均質化の1つである。第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性またはわずかに部分的に水不溶性の添加剤を含む。第1の添加剤は50~750の分子量を有することができる。コーティング中の第1の添加剤は、その純粋な形態の第1の添加剤より低い融解温度を有する。コーティング中の第1の添加剤は、その純粋な形態の第1の添加剤より低い結晶化度を有する。第2の添加剤は、第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、ポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)-)またはポリグリセロール(-(CH2-CHOH-CH2O)-)単位を含む。第2の添加剤は750~100,000、または750~50,000、または750~10,000の範囲の分子量を有する。
【0278】
医療デバイスコーティング。
本発明の実施態様の医療デバイスおよびコーティング層は、種々の方法によって作製することができる。コーティング溶液は、治療剤、および治療剤を封入する1つ以上のポリマーを含むポリマー封入薬物粒子;またはポリマー封入薬物粒子を含む薬物放出コーティング;または治療剤および1つ以上の添加剤を含む組成物;またはそれらの組合せを含むことができる。キャスティング、固定ボリューム液体分配(dispensing)、計量(metering)(例えば、バルーンまたはステントへの体積に基づいた、固定量のコーティング溶液を分散する)、回転(spinning)、スプレー、浸す(例えば、浸漬)、インクジェット印刷、静電気技術、およびこれらのプロセスの組合せのごとき、コーティング技術は、医療デバイスにコーティング溶液を適用するために用いることができる。コーティング溶液の適用中に、バルーンは少なくとも部分的に膨張することができる。計量は、貯蔵所から医療デバイスの表面(例えば、少なくとも部分的に膨張したバルーンの表面またはステントの表面)に近位であるノズルまで液体コーティング溶液をポンプで送り込むことによってのごとき、いずれかの適切な方法で行なうことができる。ノズルは、そこから液体を分配することができ、これは直ちにノズルへのその接近により医療デバイスの外部へ移すことができる(例えば、ノズルは、ノズルから出現する液体が接触することができるバルーンまたはステントに非常に接近することができ、ノズルを残す少量の液体を形成する前に医療デバイスの外部へ移すことができる)。実質的に、液体のいずれも失われないように、ノズルは医療デバイスの外部に液体を分配することができる。医療デバイスはノズルからの液体の分配中にその縦軸の周囲で回転することができる。ノズルはそれが分配中に移動することを可能にするために円筒形状のバルーンの縦軸と平行な医療デバイスの外部に沿って、またはバルーンまたはステントのごとき非連続形状の医療デバイスのごとき非円筒形状に形作られた医療デバイスのプロフィールに沿ってのごとき、プログラム可能なx-yステージに付けるかまたは広げているかもしれない。いくつかの実施態様において、医療デバイスは分配中にその縦軸のまわりで回転することができ、ノズルは、医療デバイス表面の実質的にすべてがコーティング溶液で被覆されるように医療デバイスの縦軸に平行に(例えば、木工師の旋盤中の1片の紡績する円筒形状の木切れの上のたがねの移動と同様に)移動させることができる。
。ノズルは、医療デバイスの長さに沿って一度移動させることができるか、またはそれは、医療デバイスの長さに沿った複数のパスを前後に行なって移動させることができる。医療デバイスがステントであるならば、ステントは、製造された、波形(crimped)、拡張した直径、または中間の直径で被覆することができる。
【0279】
適用技術の選択は、溶液の粘度および表面張力に依存できる。本発明のいくつかの実施態様において、それがコーティング層の厚さの均一性ならびに医療デバイスに適用された治療剤の濃度をコントロールすることをより容易にするために、測定は利用することができる。
【0280】
本発明の1つの実施態様において、バルーンは膨張または部分的に膨張し、コーティング溶液は、バルーンが膨張しつつそれを測定し、その縦軸に沿って回転することによって、膨張したバルーンに適用される。次いで、バルーンは、圧縮され、折り重ねられ、鞘に納められる前に乾燥するのを可能にする。
【0281】
適用デバイス、取付具および測定技術の実施態様の記載は、例である。いずれかの適切な測定または他の技術は、バルーンカテーテルを被覆するために用いることができる。
【0282】
医療デバイスがコーティング溶液で覆われた後、被覆した医療デバイスはコーティング溶液中の溶媒が蒸発する乾燥に付すことができる。これは、治療剤を含む医療デバイス上にコーティングマトリックスを生成する。乾燥技術の1例は、約24時間約20℃またはそれより高くオーブンに被覆した医療デバイスを入れている。コーティング溶液を乾燥する他の適切な方法は用いることができる。時間、温度および相対湿度は特定の添加剤および治療剤で変更できる。
【0283】
1つの実施態様において、バルーンカテーテルを被覆する方法は水、水混和性溶媒、治療剤および水溶性添加剤を混合して、プレミックスを形成すること;プレミックスを処理して、治療剤の粒径を低下させること;不溶性水添加剤、水溶性添加剤、水、および水混和溶媒を混合して、第2の混合物を形成すること;第2の混合物と第1の処理されたプレミックスとを混合して、コーティング溶液を形成することを含む水性懸濁コーティング溶液を調製することを含み、治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択され;治療剤は、結晶性、部分的に結晶性、非晶性、部分的に非晶性、またはそれらの組合せであり;コーティング溶液は治療剤の水性懸濁液であり;治療剤の粒径は0.2ミクロン~5ミクロンの範囲にある。第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せは、治療剤を封入し、添加剤に封入された治療剤は、治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある。第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含む。第1の添加剤は50~750の分子量を有することができる。コーティング中の第1の添加剤はその純粋な形態の第1の添加剤より低い融解温度を有する。コーティング中の第1の添加剤はその純粋な形態の第1の添加剤より低い結晶化度を有する。第2の添加剤は、第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、ポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)-)またはポリグリセロール(-(CH2-CHOH-CH2O)-)単位を含む。第2の添加剤は750~100,000、または750~50,000、または750~10,000の範囲の分子量を有する。方法はバルーンカテーテルを膨張させること;バルーンの表面を清浄化すること;コーティング機の内部でバルーンを水平に取り付けることができ、固定速度で回転することができるように、バルーンを固定することを含むバルーンカテーテルを調製することを含む。方法は、ノズルがバルーンを横切って横に移動しつつ、バルーンの表面上にコーティング溶液を分配することを含む。方法は、室温、または室温より高くにて、溶媒を蒸発させるためにバルーンを回転させ続けることを含む。方法はバルーンカテーテルにひだをつけて折り重ねることを含む。方法はバルーンを滅菌することを含む。
【0284】
バルーン調製。
本発明の種々の実施態様は、バルーンを形成する方法を提供する。方法は、バルーン材料を含むチューブを配置すること、またはいずれかの適切な形状を有する型の中へバルーン材料を押し出すことを含むことができ、例えば、形状を有するバルーン型は、近位コーンを含む形状を有するバルーン型、少なくとも1つの本体部分、少なくとも1つの本体部分未満の直径を有する少なくとも1つのネック部、もう一つの少なくとも1つの本体部分、および遠位コーンを含む。方法は、そのガラス転移温度上の温度までバルーン材料チューブを加熱し、バルーン材料チューブの内部を加圧し、バルーン厚さを低下させるためにバルーン材料を伸長させることを含むことができる。また、方法はバルーン材料チューブを型の内部との接触に拡張することを含むことができる。
【0285】
本発明の種々の実施態様は、バルーンを形成し、次いで、大きな直径範囲を得るためにそれを縮める方法を提供する。方法は、バルーン型にバルーン材料を含むチューブを入れることを含み、バルーン型は、近位コーン、少なくとも1つの本体部分および遠位コーンを含む形状を有する。方法は、バルーン材料チューブの内部を加圧することを含む。方法は、200~400psiの圧力および100~200℃の温度でバルーン材料チューブを型の内部との接触へと拡張することを含む。次いで、形成されたバルーンは、所定量の時間のための低い膨張圧力で成形プロセスより低い温度で、好ましくは、3~30秒間、70~90℃で1~30psiでバルーンをアニーリングすることにより収縮される。一旦、バルーンが収縮されれば、それはカテーテルシャフトに付着させて、薬物で被覆することができる。以下の特許に記載されたいずれかの生産技術、身体内腔を処置する方法またはバルーンは、それらが全体においてここに再生されるかのごとく、それらは引用によってこれによって組込まれ、本発明の実施態様において用いることができる:米国特許第7,163,522号および第7,108,826号。
【0286】
拡張可能なネック。
種々の実施態様において、本発明のバルーンカテーテルは拡張可能なネックを含まない。他の実施態様において、バルーンカテーテルのバルーンは、少なくとも1つの拡張可能なネックを含む。バルーンは、第1の主要部、およびネック部の対向面上の第2の主要部を含むことができる。バルーンの膨張した状態の間に、拡張可能なネック部は、バルーンが膨張する場合、第1および第2主要部の主要直径より膨張した直径を有することができる。膨張中に、ネック部の膨張した直径は、第1および第2主要部間のバルーンカテーテルの最小の直径であることができる。ネック部は、膨張中に、ネック部の膨張した直径が膨潤に先立ちネック部の直径より大きいように、拡張可能であることができる。
【0287】
種々の実施態様において、拡張可能なネックを持つバルーンを含むバルーンカテーテルは、尿道狭窄または前立腺肥大症(BPH)を処置するために用いることができる。バルーンは、バルーンカテーテルの第1の主要部が前立腺部尿道にあり、バルーンカテーテルの第2の主要部は膀胱にあり、ネック部は膀胱頚部にあるように、膨張することができる。
【0288】
バルーンの膨張は、第1の主要部、ネック部および第2の主要部の同時の膨張を含むことができる。例えば、膨張は、単一の膨潤内腔を介して第1の主要部、第2の主要部およびネック部を同時に膨張させることを含むことができる。
【0289】
少なくとも1つのネック部は、第1の主要部および第2の主要部に対して膨潤中に低減されたコンプライアンスの領域を含むことができる。いくつかの実施態様において、ネック部は、膨潤中にネック部のコンプライアンスを低減するためにネック部の周面のまわりの補強材を含むことができる。補強材は、縫合糸、モノフィラメントまたはマルチフィラメントのごときいずれかの適切な材料を含むことができ、補強材は、ナイロン、ポリアミド、芳香族ポリアミド、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはそれらの組合せを含む。
【0290】
バルーンカテーテル上の拡張可能なネックを含むバルーンは、薬物コーティングを含むことができる。薬物コーティングは、第1の主要部、第2の主要部、ネックまたはそれらの組合せ上にあることができる。薬物コーティングは、ネック上にあることができる。薬物コーティングは、第1の主要部およびネック上にあることができる。
【0291】
コーティングの洗浄(flushing)および浸漬。
身体内腔に薬物コーティングを持つバルーンを含むバルーンカテーテルを用いる方法は、洗浄および浸漬の組合せを含むことができる。内腔の洗浄、および薬物コーティングが洗浄媒体中に浸漬するのを可能にすることは、バルーンからの薬物放出の速度を増加することができ、内腔中で標的部位に送達されるコーティング中の薬物の全体的な割合を増加させることができる。
【0292】
方法は、洗浄媒体で身体内腔標的部位を洗浄することを含むことができる。洗浄媒体は、いずれかの適切な液体洗浄媒体であることができる。洗浄媒体は、水、セーライン溶液または少なくとも1つの水溶性添加剤を含む水溶液を含むことができる。
【0293】
バルーンカテーテルは、洗浄前、中または後に身体内腔に挿入することができる。バルーンカテーテルは洗浄後に身体内腔に挿入することができる。バルーンが標的部位で配置されるように、内腔にバルーンカテーテルを挿入した後に、方法は、洗浄媒体中のコーティング層の水和に膨張に先立って浸漬期間の間位置にバルーンカテーテルを保持することを含むことができる。浸漬期間は、浸漬期間の間位置のバルーンカテーテルのホールディングに先立ち、事前決定することができる。浸漬期間は、いずれかの適切な期間、例えば、1分間~2時間または1分間~60分間、または1分間、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、35、40、45、50、55、60分間、1.2時間、1.4、1.6、1.8または2時間以上であることができる。
【0294】
その、膨張期間および薬物コーティングの組成物と結合した洗浄および浸漬期間は、身体内腔からのバルーンカテーテルの回収後の残余の薬物量が、身体内腔へのバルーンカテーテルの挿入に先立つ薬物コーティング中の薬物の初期の薬物負荷の70%以下であるように十分であることができる。例えば、残余の薬物量は、初期の薬物負荷の70%以下、または68%、66、64、62、60、58、56、54、52、50、48、46、44、42、40、38、36、34、32、30、28、26、24、22、20、18、16、14、12、10、8、6、4、2、1%以下または1%未満であることができる。膨潤期間中の薬物コーティングおよび内腔の接触は、初期の薬物負荷の37~100%(例えば、コーティング中の残余の薬物が内腔中への挿入に先立ってコーティング中の初期の薬物負荷と比較される場合、薬物の37~100%が薬物コーティングから放出された)、または37~97%、または初期の薬物負荷の37%、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、95、96、97、98%、99%以上を放出するのに十分であることができる
【0295】
スコープ。
身体内腔に薬物コーティングを持つバルーンを含むバルーンカテーテルを用いる方法は、スコープの使用を含むことができる。例えば、身体内腔へのバルーンカテーテルの挿入は身体内腔にバルーンカテーテルおよびスコープの双方を挿入することを含むことができる。バルーンカテーテルおよびスコープは、いずれかの適切な方法において配置することができる。例えば、バルーンカテーテルおよびスコープは並んで配置することができ、またはバルーンカテーテルはスコープに積む(load)ことができる。いくつかの実施態様において、バルーンカテーテルは身体内腔にスコープを挿入するのに先立ち、スコープの作業チャネルで配置することができる。いくつかの実施態様において、バルーンカテーテルは身体内腔にスコープを挿入した後にスコープの作業チャネル内に配置することができる。
【0296】
バルーンカテーテルはスコープで可視化することができる。例えば、方法は、バルーンの膨張前および/または中に、スコープでバルーンカテーテルを可視化することを含むことができる。方法はスコープを介して身体内腔狭窄上にバルーンから堆積する治療剤を可視化することを含むことができる。
【0297】
スコープは、いずれかの適切なスコープであることができる。例えば、スコープは、内視鏡、小腸内視鏡、結腸内視鏡、S字結腸鏡、直腸鏡、肛門鏡、鼻鏡、気管支鏡または膀胱鏡を含むことができる。
【0298】
種々の実施態様が本明細書に特に示され記載されたが、本発明の改変および変更が上記の教示によってカバーされ、精神から逸脱することなく、添付された請求の範囲の権限内にあり、本発明の範囲を意図したことが認識されるであろう。
【0299】
操作例以外に、またはそうでなければ示された場合、本明細書および請求の範囲に用いられた層、反応条件等における成分の量を表現するすべての数は、「約」なる用語によって、すべての実例において変更されると理解されるべきである。したがって、他の方法で反対に示されない限りは、本明細書および付属の請求の範囲において記載された数値パラメーターは、本開示により得ようとする所望の特性に依存して変化することができる近似値である。
【0300】
実施例
本発明の種々の実施形態は、説明のために提供される以下の実施例を参照することにより、よりよく理解することができる。本発明は、本明細書に示された実施例に限定されるものではない。
【0301】
実施例の全体を通して、特記されない限りは、伸張比は、公称バルーンの直径と処置位置における身体内腔狭窄の直径との比として計算された。処置位置での身体内腔の直径は、処置位置での身体内腔の通常の直径であり、狭窄、狭窄症、または病変に隣接する健康な組織の直径の平均、すなわち、狭窄、狭窄症、または病変の近位および遠位の直径として計算することができる。膨張したバルーン直径は、膨張期間中に使用した圧力についての公称バルーン直径とほぼ等しく、公称バルーン直径の10%以内であった。
【0302】
第I部.前臨床試験およびベンチ試験
実施例I-1.コーティング溶液の調製。
製剤23:50~150mg(0.06~0.18ミリモル)のパクリタキセル、5~75mgのペンタエリトリトールエトキシレート(15/4)、10~200mgのペンタエリトリトールエトキシレート(3/4)および1~6mlのエタノールを混合した。
【0303】
製剤24:50~150mg(0.06~0.2ミリモル)のパクリタキセル、25~300mgのトリメチロールプロパンエトキシレート(Mw~170)、および1~6mlのエタノールを混合した。
【0304】
製剤S16:45~200mg(0.05~0.22ミリモル)のシロリムス、5~75mgのペンタエリトリトールエトキシレート(15/4)、23~100mgのBrij 52セチルエーテル、1~6ml(10/90v/v)のメタノール/水を混合した。
【0305】
製剤S21:45~200mg(0.05~0.22ミリモル)のシロリムス、5~75mgのモノラウリン、および1~6ml(10/90v/v)のメタノール/水を混合した。
【0306】
製剤S22:45~300mg(0.05~0.22ミリモル)のシロリムス、5~80mgのペンタエリトリトールエトキシレート(15/4)、23~100mgのBrij 52セチルエーテル、23~150mgのD-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート(TPGS)、および1~6ml(25/75v/v)のメタノール/水を混合した。
【0307】
製剤S44:45~300mg(0.05~0.22ミリモル)のシロリムス、5~80mgのペンタエリトリトールエトキシレート(15/4)、23~100mgのドデシルグリセロール、1~6ml(25/75v/v)のメタノール/水くを混合した。
【0308】
製剤S47a:45~200mg(0.05~0.22ミリモル)のシロリムス、4.5~20mgのポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケート、23~100mgのドデシルグリセロール、1~6ml(25/75v/v)のメタノール/水を混合した。
【0309】
製剤S47b:45~200mg(0.05~0.22ミリモル)のシロリムス、4.5~20mgのポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケート、23~100mgのドデシルグリセロールおよび1~6ml(25/75v/v)のエタノール/水を混合した。
【0310】
製剤S57:45~200mg(0.05~0.22ミリモル)のシロリムス、4.5~20mg、酢酸コレステリル23~100mgのポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケート、23~100mgのドデシルグリセロール、および1~6ml(25/75v/v)のエタノール/水を混合した。
【0311】
製剤S58:45~200mg(0.05~0.22ミリモル)のシロリムス、4.5~20mgのポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケート、23~100mgのmPEG-コレステロール、MW5k、23~100mgのドデシルグリセロール、および1~6ml(25/75v/v)のエタノール/水を混合した。
【0312】
製剤S59:45~200mg(0.05~0.22ミリモル)のシロリムス、23~100mgのmPEG-コレステロールMW5k、23~100mgのドデシルグリセロール、1~6ml(25/75v/v)のエタノール/水を混合した。
【0313】
製剤CC6F2:45~200mg(0.05~0.22ミリモル)のシロリムス、4.5~20mgのポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケート、23~100mgのデシル酸コレステリル、23~100mgのドデシルグリセロールおよび1~6mlのシクロヘキサン/水を混合した。
【0314】
製剤CC6F4:45~200mg(0.05~0.22ミリモル)のシロリムス、4.5~20mgのポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケート、23~100mgの酢酸コレステリル、23~100mgのドデシルグリセロールおよび1~6mlのシクロヘキサン/水を混合した。
【0315】
製剤S16は、ローターステータープロセスを使用して調製した。123mgのシロリムスを3mLの水とともにバイアルに加えた。次に、ローターステーターを用いて、シロリムスの粒子サイズ低下を行った。次に、55mgのBrij 52セチルエーテル、27.5mgのペンタエリトリトールエトキシレート15/4、0.36mLのメタノールおよび0.64mLの水からなるプレミックスを別のバイアルで作製した。このプレミックスを薬物の入ったバイアルに加え、ローターステーターで約5分間混合した。この溶液をバルーンを被覆するために使用した。
【0316】
製剤S22は、低エネルギービーズミリングプロセスを使用して調製した。直径5mm×長さ5mmのイットリウム安定化ジルコニウム粉砕ビーズを有するジャーミルを使用して、シロリムス粒子サイズ低下を行った。200mgのシロリムスを8mLの粉砕ビーズとともにジャーに加えた。次に、100mgのTPGS、0.5mLのメタノール、3mLの水からなるプレミックスを別のバイアルで作製した。このプレミックスを薬物の入ったジャーに加え、約3時間粉砕した。最後に、25mgのBrij 52セチルエーテル、75mgのペンタエリトリトールエトキシレート15/4、0.75mLのメタノールおよび0.75mLの水の第2のプレミックスが調製された。すべての材料は、第2のプレミックスに十分に可溶化された。第2のプレミックスを薬物の入ったボトルに加え、約16時間一晩粉砕した。この溶液は、バルーンを被覆するために使用した。
【0317】
製剤S59を、高エネルギー超音波プローブプロセスを使用して調製した。超音波システム、Sonics Vibra-cell VCX 130、6mmプローブを使用して、シロリムス粒子サイズ低下を実施した。200mgのシロリムスをバイアルに加えた。次いで、3mLのエタノール/水(25/75v/v)を別のバイアルに加えた。バイアルを氷水浴に入れ、混合物を超音波システムで5分間超音波処理した。次に、200mgのドデシルグリセロールと200mgのmPEG-コレステリルMW 5kを0.72mLのエタノールに溶解してプレミックスを作製した。次いで、0.24mLの水を第2のプレミックスに加えた。すべての材料は、第2のプレミックスに十分に可溶化された。第2のプレミックスを薬物懸濁液バイアルに加え、さらに5分間超音波処理し、バルーンを被覆するのに使用した。
【0318】
製剤S47aは、高圧ホモジナイズプロセスを使用して調製した。マイクロフルイダイザーを使用して、シロリムス粒径低下を行った。マイクロフルイダイザーは、生成物再循環ループと、生成物の冷却を可能にする熱交換器とを有する。1.4gのポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケートを34.5mLの水とプレミックスした。このプレミックスをマイクロフルイダイザーに加えた。プレミックスがホモジナイザー容器に充填されると、マイクロフルイダイザーは30,000psiの圧力で再循環モードにされた。4gのシロリムスを容器に徐々に加えた。次いで、定期的にレーザー光回折で粒径を確認しつつ、水性薬物懸濁液を2時間再循環させた。粒径は、124μmのD90から3.78μmのD90に低下した。高圧ホモジナイザーで得られたシロリムスの粒径低下の図表を示す
図10を参照。次に、2gのドデシルグリセロールと1.29gポリオキシエタニルα-トコフェリルセバシンをエタノール9mLに溶解して、第2のプレミックスを作製した。次いで、3mLの水を第2プレミックスに加えた。すべての材料は、第2のプレミックスに十分に可溶化された。第2のプレミックスを、マイクロフルイダイザー内で既に再循環している薬物懸濁液に加えた。最終混合物をさらに1時間再循環させた。コーティング溶液S47aを、レーザー光回折を使用して粒径について特徴付けした。結果は、
図6に示されている。D90は1.149μm、D75は0.817μm、D50は0.607μm、D25は0.489μm、およびD10は0.425μmであった。計算は0.375μmから2000μmであった。平均値は0.746μm、中央値は0.607μm、平均/中央値比は1.230、最頻値(mode)は0.520μm、S.Dは0.532μm、分散は0.283μm
2、C.Vは71.4%、歪度は右歪み6.796、尖度はレプトカルト80.59であった。
【0319】
製剤S47aは、以下のプロセスを用いて、直径12mm×長さ50mmのバルーンを被覆した。特殊なコーティング機を使用して、バルーン表面に製剤S47aを分配した。この溶液は、回転するバルーンカテーテル付近のディスペンスノズルにポンプ送出した。バルーンカテーテルは、バルーン長軸が水平であり、バルーンをその長軸上で正確な速度で回転させることができるように、固定具に取り付けられた。ディスペンスノズルは、バルーンの長さに沿ってノズルを制御して動かすことができ、同時に液体製剤S47aをバルーンに分注できるようにリニアステージに取り付けた。ノズルは、コーティング溶液の分注中にバルーンの長さに沿って7往復し、バルーンは75RPMの回転速度で維持された。塗布後、ノズルを遠ざけ、バルーンの回転を維持しながら、同時に熱風ガンを使用してコーティングをさらに乾燥させた。熱風ノズルをバルーンに向け、バルーンが完全に乾燥するまで熱風の温度を120°Fに維持し、3分間乾燥させた。この工程を、コーティングするすべてのバルーンに対して繰り返した。バルーンが乾燥したら、加湿オーブンに入れ、45℃、80%RHで4時間乾燥させた。次いで、バルーンをプリーツ状に折り畳み、シースした。次いで、タイベック包装に入れ、エチレンオキサイド滅菌を受けるために送出した。
【0320】
走査型電子顕微鏡を使用して特徴付けされた場合のS47aコーティングを含む滅菌バルーン、その結果は、10μmを超える粒子は観察されず、多数の粒子が1μm以下のサイズであることを示す。種々の実施形態による、シロリムス被覆バルーンのSEM画像を示す
図7を参照、画像(A)は37倍、画像(B)は1,600倍、画像(C)は7,500倍である。
【0321】
純粋なシロリムス試料および純粋な添加剤(DDG-ドデシルグリセロール)試料と共にS47aコーティングを施した滅菌バルーンを、粉末X線回折および変調示差走査熱量測定法を用いて特徴付けした。その結果は滅菌コーティングS47a中のシロリムスが、結晶性であることが示された。
図8を参照。また、DSC測定は、コーティングの結晶化度のパーセントを計算するために使用された。その結果は、シロリムスが、77.3~93.9重量%の結晶性であることを示した。また、DSCスキャンは、添加剤(DDG-ドデシルグリセロール)の融点が2~4℃低下し、薬物の融点が25~27℃低下したことを示した。
図9A~Cおよび表4参照。
図9A~Cは、(A)結晶シロリムス、(B)ドデシルグリセロール、(C)薬物(S47A)被覆バルーンのDSCスキャンの図表である。
【0322】
【0323】
実施例I-2.種々のコーティング製剤に関する研究。
製剤S79を用いたブタ動物試験。
【0324】
溶解した1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリンを有する水性微結晶シロリムス懸濁液である製剤S79を、高圧均質化プロセスを用いることによって調製した。マイクロフルイダイザーを用いて、シロリムス結晶の粒径低下を行った。マイクロフルイダイザーには、生成物再循環ループとチューブインシェル熱交換器があり、生成物の冷却を可能にする。熱交換器を通して再循環される冷却媒体は、再循環チラーを使用して5℃に維持された。4.0gの1,2-ジラウロイル-sn-ホスファチジルコリンを9.4mLのエタノールに溶解したプレミックスを28.1mLの水に加えた。このプレミックスをマイクロフルイダイザーに加えた。プレミックスがホモジナイザー容器に充填されると、マイクロフルイダイザーは30,000psiの圧力で再循環モードに入った。4.0gのシロリムスを容器に徐々に加えた。次いで、水性薬物懸濁液を2時間再循環させた。最後に、均質化した混合物を微量清浄ボトルに入れ、12.5mLの75/25水/エタノールをマイクロフルイダイザーを介して追跡し、ボトルに加え、できるだけ多くの結晶性薬物粒子を回収した。ブタにおける急性薬物移行試験用に、製剤S79を種々の大きさのバルーンに均一に被覆した。バルーンは、予め指定された量のコーティング溶液をバルーンの表面に正確に分配させる自動コーティング装置を用いて被覆された。溶液の予め指定された量は、コーティング溶液の濃度とバルーン1個当たりの薬物投与量から算出された。バルーンのサイズは、直径×長さで、6×30と18×65であった。各バルーンの1平方ミリメートル当たりの薬物量は2であり、これにより各バルーンサイズでの公称薬物投与量は1165μgと7572μgであった。6mmバルーンはブタ尿道で使用し、伸張比は1.0~2.0とした。最後に、18mmバルーンは、ブタの食道、小腸、大腸で使用され、伸張比は1.0~2.0であった。泌尿器科処置と消化器科処置では、バルーンを所定の位置に追従させ、膨張前に1分間コーティングを水和させた。胃腸の処置では、胃内視鏡、腸内視鏡、または結腸鏡を使って処置部位を可視化し、DCBを使用する前に処置部位の壁を洗浄した。すべての処置の後、ブタは犠牲になる前に24時間生きており、次いで、処置された組織は剖検ラボで切除され、薬物含有量についてアッセイされた。測定された種々の組織中のシロリムス薬物濃度は、表5に見ることができる。処理後のバルーン上の薬物の残存量を測定し、表6に見ることができる。
【0325】
【0326】
【0327】
処方S96、S97、およびS98を用いたブタ動物試験。
処方S96シロリムスコーティング溶液の調製。1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリンおよび1,2ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスファチョリン(塩化物塩)を溶解して脂質にカプセル化した水性微結晶シロリムスの懸濁液をソニックプローブ法を使用して調製した。パルミチン酸セチル75mg、ステアリン酸コレステロール150mg、酢酸コレステロール75mgの第1のプレミックスを0.7mLのシクロヘキサンに溶解させた。次に、この第1のプレミックスに結晶シロリムス200mgを加えた。超音波システム、Sonics Vibra-cell VCX 130(6mmプローブ付き)を用いて、第1のプレミックスに対するシロリムス粒径低下を行った。5mLの水に0.35mLのエタノールを加え、第2の水性プレミックスを作製した。超音波攪拌を維持しながら、第1のプレミックスを第2のプレミックスに加え、水中油型エマルションにした。この乳濁液を5分間超音波撹拌し、脂質を固化させ、シロリムス薬物粒子を被覆した。最後に1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン 27.78mg、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)138.89mgおよび1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン 166.67mgをエタノール 1.635mLに溶かして第3プレミックスを作製した。次いで、1.015mLの水を加え、第3のプレミックスを得た。第3のプレミックスを薬物粒子乳濁液混合物に加え、コーティング溶液を完成させた。
【0328】
製剤S97シロリムスコーティング溶液の調製。溶解した1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、ポリ(1-ビニルピロリドンコ-2-ジメチルアミノメチルメタクリレート)、およびDC-コレステロールで脂質にカプセル化した水性微晶シロリムスのサスペンション、製剤S97はソニックプローブプロセスを用いて調製された。パルミチン酸セチル75mg、ステアリン酸コレステロール150mg、酢酸コレステロール75mgの第1のプレミックスを0.7mLのシクロヘキサンに溶解させた。次に、この第1のプレミックスに結晶シロリムス200mgを加えた。超音波システム、Sonics Vibra-cell VCX 130(6mmプローブ付き)を用いて、第1のプレミックスに対するシロリムス粒径低下を行った。5mLの水に0.35mLのエタノールを加え、第2の水性プレミックスを作製した。超音波攪拌を維持しながら、第1のプレミックスを第2のプレミックスに加え、水中油型エマルションにした。この乳濁液を5分間超音波撹拌し、脂質を固化させ、シロリムス薬物粒子を被覆した。最後に、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン50.0mg、ポリ(1-ビニルピロリドン-co-2-ジメチルアミノエチル メタクリレート)50.0mg、DC-コレステロール66.7mgおよび1,2ジラウリル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン166.67mgをエタノール 1.635mL中に溶解し第3プレミックスを作成した。次いで、1.015mLの水を加え、第3のプレミックスを得た。第3のプレミックスを薬物粒子乳濁液混合物に加え、コーティング溶液を完成させた。
【0329】
処方S98シロリムスコーティング溶液の調製。溶解した1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリンおよびDC-コレステロールを有する脂質にカプセル化した水性微結晶性シロリムス懸濁液を、音波探査プロセスを用いることにより、調製した。パルミチン酸セチル75mg、ステアリン酸コレステロール150mgおよび酢酸コレステロール75mgの第1のプレミックスを0.7mLのシクロヘキサンに溶解させた。次に、この第1のプレミックスに結晶シロリムス200mgを加えた。超音波システム、Sonics Vibra-cell VCX 130(6mmプローブ付き)を用いて、第1のプレミックスに対するシロリムス粒径低下を行った。5mLの水に0.35mLのエタノールを加え、第2の水性プレミックスを作製した。超音波攪拌を維持しながら、第1のプレミックスを第2のプレミックスに加え、水中油型エマルションにした。この乳濁液を5分間超音波撹拌し、脂質を固化させ、シロリムス薬物粒子を被覆した。最後に、25.0mgの1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、108.3mgのDC-コレステロールおよび200.0mgの1,2、ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリンを1.635mLのエタノール中に溶解し第3プレミックスを作製した。次に、1.015mLの水を第3のプレミックスに加えた。第3のプレミックスを薬物粒子乳濁液混合物に加え、コーティング溶液を完成させた。
【0330】
ブタにおける急性薬物移行試験のために、製剤S96、S97、およびS98を種々のサイズのバルーンに均一に被覆した。バルーンは、予め規定された体積のコーティング溶液をバルーンの表面に正確に分注する自動コーティング機を用いてコーティングされた。コーティング溶液の量は、コーティング溶液の濃度とバルーン1個当たりの薬物投与量から算出された。バルーンのサイズは、直径×長さで、6×30と18×65であった。各バルーンの1平方ミリメートル当たりの薬物量は、公称膨張圧で2マイクログラム/mm2であった。これにより、各バルーンサイズの公称薬物投与量は1165μgと7572μgとなった。6mmバルーンはブタ尿道で使用し、伸張比は1.0から2.0とした。最後に、18mmバルーンは、ブタの食道、小腸、大腸に使用し、伸張比は1.0~2.0とした。泌尿器科処置と消化器科処置では、バルーンを所定の位置に追従させ、膨張前に1分間コーティングを水和させた。胃腸の処置では、胃内視鏡、腸内視鏡、または結腸鏡を使って処置部位を可視化し、DCBを使用する前に処置部位の壁を洗浄した。すべての処置後、豚は犠牲になる前に24時間生きたままであり、次いで、処置された組織は剖検ラボで切除され、薬物含有量についてアッセイされた。種々の組織における測定されたシロリムス薬物濃度は、表7に見ることができる。
【0331】
【0332】
ポリマーに封入された薬物粒子(PEDP)および荷電ポリマーに封入された薬物粒子(CPEDP)。
PEDPであるMSF5は、まず、304.7mgのPLGA 5050と203mgのシロリムスを2.74gのジクロロメタン(DCM)に溶解して分散相(DP)プレミックスを作製することにより製造した。次に、1.08gのMowiol 4-88 (ポリビニルアルコール、88%加水分解)を60℃に加熱しつつ、58.7gの精製水に溶解して連続相 (CP)プレミックスを作成した。Mowiol 4-88が完全に溶解したら、溶液を冷却し、そこに180mgのDCMを加えた。次に、ローターステーターミキサーを用いてCPを撹拌しつつ、DPをCPに加え、乳濁液を作製した。次に、乳濁液を140mLの精製水に加え、乳濁液からPEDPを沈殿させた。沈殿後、混合物を遠心分離し、遠心チューブの底にPEDPを回収した。次に上澄みを流し出し、PEDPを250mLの精製水に分散させ、再び遠心分離してPEDPを洗浄した。次に洗浄上清を流し出し、PEDPを少量の水に分散させ、一晩真空乾燥させた。
【0333】
CPEDPであるMSF4は、まず、507.8mgのPLGA 7525、101.6mgのEudragit E、および406.3mgのシロリムスを5.48gのジクロロメタン(DCM)に溶解して分散相(DP)プレミックスを作成することにより作製された。)次に、0.585gのMowiol 4-88(ポリビニルアルコール、88%加水分解物)を60℃に加熱しつつ31.8gの精製水に溶解させ、連続相(CP)プレミックスを作製した。Mowiol 4-88が完全に溶解したら、溶液を冷却し、98mgのDCMを加えた。次に、ローターステーターミキサーを用いてCPを撹拌しつつ、DPをCPに加え、乳濁液を作製した。次に、この乳濁液を280mLの精製水に加え、乳濁液からCPEDPを沈殿させた。沈殿後、混合物を遠心分離し、遠心チューブの底にCPEDPを回収した。次に上澄みを流し出し、CPEDPを250mLの精製水に分散させ、再度遠心分離してCPEDPを洗浄した。次に洗浄上澄みを流し出し、CPEDPを少量の水に分散させ、一晩真空乾燥させた。
【0334】
CPEDPであるMSF12は、まず、464mgのPLGA 7525、166mgのPLGA 5050、50.0mgの1,2-ジステロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、20mgのブチルヒドロキシトルエンおよび300.0mgのシロリームスを5.40gのジクロルメタン(DCM)に溶解させ分散相(DP)プレミックスを作製して、製造された。)次に、0.576gのMowiol 4-88(ポリビニルアルコール、88%加水分解物)を60℃に加熱しつつ、31.3gの精製水に溶解し、連続相(CP)プレミックスを作製した。Mowiol 4-88が完全に溶解したら、溶液を冷却し、96mgのDCMを加えた。次に、ローターステーターミキサーを用いてCPを撹拌しつつ、DPをCPに加え、乳濁液を作製した。次に、乳濁液を320mLの精製水に加え、乳濁液からCPEDPを沈殿させた。沈殿後、混合物を遠心分離し、遠心チューブの底にCPEDPを回収した。次に上澄みを流し出し、CPEDPを250mLの精製水に分散させ、再び遠心分離してCPEDPを洗浄した。次に洗浄上澄みを流し出し、CPEDPを少量の水に分散させ、一晩真空乾燥させた。
【0335】
CPEDPであるMSF12は、まず、464mgのPLGA 7525、166mgのPLGA 5050、50.0mgの1,2-ジステロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、20mgのブチルヒドロキシトルエンおよび300.0mgのシロリームスを5.40gのジクロルメタン(DCM)に溶解させ分散相(DP)プレミックスを作製して、製造された。)次に、0.576gのMowiol 4-88(ポリビニルアルコール、88%加水分解物)を60℃に加熱しつつ、31.3gの精製水に溶解し、連続相(CP)プレミックスを作製した。Mowiol 4-88が完全に溶解したら、溶液を冷却し、96mgのDCMを加えた。次に、ローターステーターミキサーを用いてCPを撹拌しつつ、DPをCPに加え、乳濁液を作製した。次に、乳濁液を320mLの精製水に加え、乳濁液からCPEDPを沈殿させた。沈殿後、混合物を遠心分離し、遠心チューブの底にCPEDPを回収した。次に上澄みを流し出し、CPEDPを250mLの精製水に分散させ、再び遠心分離してCPEDPを洗浄した。次に洗浄した上澄みを流し出し、CPEDPを少量の水に分散させ、一晩真空乾燥させた。
【0336】
CPEDPであるMSF13は、まず、480mgのPLGA 7525、180mgのPLGA 5050、20.0mgの1,2-ジステロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、20mgのブチルヒドロキシトルエンおよび300.0mgのシロリムスを5.40gのジクロルメタン(DCM)中に溶解して分散相(DP)プレミックスを作製することによって製造された。)次に、0.576gのMowiol 4-88(ポリビニルアルコール、88%加水分解物)を60℃に加熱しつつ、31.3gの精製水に溶解し、連続相(CP)プレミックスを作製した。Mowiol 4-88が完全に溶解したら、溶液を冷却し、96mgのDCMを加えた。次に、ローターステーターミキサーを用いてCPを攪拌しながら、DPをCPに加え、乳濁液を作成した。次に、乳濁液を320mLの精製水に加え、乳濁液からCPEDPを沈殿させた。沈殿後、混合物を遠心分離し、遠心チューブの底にCPEDPを回収した。次に上澄みを流し出し、CPEDPを250mLの精製水に分散させ、再び遠心分離してCPEDPを洗浄した。次に洗浄上澄みを流し出し、CPEDPを少量の水に分散させ、一晩真空乾燥させた。
【0337】
1,2-ジステロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、DMAEMA、Eudragit EによるMSF13の湿式コーティングプロセス乾燥後のMSF13を6mmのイットリウム安定化ジルコニウム円筒形ビーズを含むバイアルに加えた。バイアルを30°傾けたローラーミル上に15分間置き、MSF13の凝集体を破砕した。次に、コーティング材料(1,2-ジステロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、DMAEMA、Eudragit E)を別のバイアルに加え、4/96エタノール/シクロペンタンの溶剤に溶解して2mg/mL溶液を作製した。次に、この溶液をMSF13を含むバイアルに加え、キャップなしで30°傾斜ローラーミルに戻し、すべての溶媒が蒸発するまで回転させた。コーティングされたMSF13 CPEDPは、さらなる試験のために回収された。
【0338】
CPEDPであるMSF14は、まず、464mgのPLGA 7525、166mgのPLGA 5050、50.0mgの1,2-ジステロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、20mgのブチルヒドロキシトルエンおよび300.0mgのシロリムスを5.40gのジクロルメタン(DCM)に溶解させ分散相(DP)プレミックスを作成したことによって作製された。)次に、0.576gのMowiol 4-88(ポリビニルアルコール、88%加水分解物)を60℃に加熱しつつ、31.3gの精製水に溶解し、連続相(CP)プレミックスを作製した。Mowiol 4-88が完全に溶解したら、溶液を冷却し、96mgのDCMを加えた。次に、ローターステーターミキサーを用いてCPを撹拌しつつ、DPをCPに加え、乳濁液を作製した。次に、乳濁液を320mLの精製水に加え、乳濁液からCPEDPを沈殿させた。沈殿後、混合物を遠心分離し、遠心チューブの底にCPEDPを回収した。次に上澄みを流し出し、CPEDPを250mLの精製水に分散させ、再び遠心分離してCPEDPを洗浄した。次に洗浄上澄みを流し出し、CPEDPを少量の水に分散させ、一晩真空乾燥させた。
【0339】
1,2-ジステロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン1%を用いたMSF14のドライコーティング処理。乾燥後、400mgのMSF14を、11gの6mmイットリウム安定化ジルコニウム円筒形ビーズと4mgの1,2-ジステロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリンを含むバイアルに加えた。バイアルをローラーミルに2時間配置し、MSF14の外側を機械的に被覆した。
【0340】
1%1,2-ジステロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリンによるMSF14の湿式コーティング処理。乾燥後、400mgのMSF14を、6mmのイットリウム安定化ジルコニウム円筒形ビーズを含むバイアルに加えた。バイアルを30°傾けたローラーミル上に15分間置き、MSF14の凝集物を分解した。次に、4mgの1,2-ジステロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリンを別のバイアルに加え、2mLの4/96エタノール/シクロペンタン溶媒に溶解して2mg/mL溶液を作製した。次に、この溶液をMSF14を含むバイアルに加え、キャップなしで30°傾斜ローラーミルに戻し、すべての溶媒が蒸発するまで回転させた。コーティングされたMSF14 CPEDPは、さらなる試験のために回収された。
【0341】
CPEDPであるMSF25は、まず、360mgのPLGA 7525、2200mgのPLGA 8515、160.0mgの1,2-ジステロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、80mgのブチルヒドロキシトルエンおよび1320.0mgのシロリムスを50.55gのジクロルメタン(DCM)に溶解して分散相(DP)プレミックスを作製することによって製造された。)次に、1.312gのMowiol 4-88(ポリビニルアルコール、88%加水分解物)を60℃に加熱しつつ162.19gの精製水に溶解させ、連続相(CP)プレミックスを作製した。Mowiol 4-88が完全に溶解したら、その溶液を冷却し、492mgのDCMをそこに加えた。次に、ローターステーターミキサーを用いてCPを撹拌しつつ、DPをCPに加え、乳濁液を作製した。次に、この乳濁液を1148mLの精製水に加え、CPEDPを硬化させた。硬化後、混合物を遠心分離し、遠心チューブの底にCPEDPを回収した。次に上澄みを流し出し、CPEDPを1148mLの精製水に分散させ、再度遠心分離してCPEDPを洗浄した。次に洗浄した上澄みを流し出し、CPEDPを少量の水に分散させ、一晩真空乾燥させた。
【0342】
ポリマーに封入された薬物粒子(PEDP)および荷電ポリマーに封入された薬物粒子(CPEDP)のゼータ電位。
PEDPおよびCPEDPのゼータ電位を、Beckman Coulter Delsa Nano Particle Analyzerを使用して測定し、MSF4、MSF5およびMSF12の電気泳動光散乱(ELS)を介してゼータ電位を特徴付けることが、生きた組織への粒子の付着のために正の表面電荷を有することが望まれるので、行われた。サンプルは、各種類のPEDPまたはCPADPを約1mLの精製水に8~12mg分散させ、分散工程に超音波浴を使用して作成した。ゼータ電位測定は、測定前に25℃の精製水を入れたクリーンフローセルに分散液を数滴滴下して行った。ゼータ電位測定は、表8に見ることができる。
【0343】
【0344】
製剤物MS122、MS123、およびMS124を用いたブタ動物試験。
製剤MS122シロリムスコーティング溶液の調製。コーティング溶液処方MS122荷電ポリマーに封入された薬物粒子(CPEDP)水性製剤を作製した。まず、CPEDPであるMSF13を、前記プロセスを用いて作製した。次に、MSF13を、前記湿式コーティングプロセスを用いて、1%のEudragit Eで被覆した。次に、コーティングされたMSF13の313mgをバイアルに加え、2.06mLの精製水中に分散させた。この溶液を5~10分間超音波処理し、CPEDPを十分に分散させた。次に、別のバイアルに301mgの1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンと32mgの1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリンのプレミックスを1.37mLエタノールに溶解させた。溶解後、2.06mLの水を加え、プレミックスを希釈した。次に、プレミックスを分散したCPEDPに加え、5~10分間超音波処理した。この溶液、処方MS122は、ブタにおける薬物移行試験用のバルーンを被覆するために使用した。
【0345】
処方MS123シロリムスコーティング溶液の調製。コーティング溶液処方MS123荷電ポリマーに封入された薬物粒子(CPEDP)水性製剤を作製した。まず、CPEDPであるMSF13を、前記プロセスを用いて作製した。次に、MSF13を、前記湿式コーティングプロセスを用いて、1%1,2-ジステロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリンで被覆した。次に、コーティングされたMSF13の392mgをバイアルに加え、2.44mLの精製水中に分散させた。この溶液を5~10分間超音波処理し、CPEDPを十分に分散させた。次に別のバイアルに、333mgの1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンと38mgの1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリンのプレミックスを1.62mLエタノールに溶解させた。溶解後、2.44mLの水を加え、プレミックスを希釈した。次に、プレミックスを分散したCPEDPに加え、5~10分間超音波処理した。この溶液、処方MS123は、ブタにおける薬物移行試験用のバルーンを被覆するために使用した。
【0346】
処方MS124シロリムスコーティング溶液の調製。コーティング溶液処方MS124荷電ポリマーに封入された薬物粒子(CPEDP)および結晶性薬物粒子水性製剤を作製した。まず、CPEDPであるMSF13を前記工程で作製した。次に、MSF13を、前記湿式コーティングプロセスを用いて、1%1,2-ジステロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリンで被覆した。次に、結晶シロリムス124mgを、2.44mLの精製水とともにバイアルに加えた。次に、ソニックプローブを用いて、結晶性薬物の粒径低下を実施した。次に、196mgのコーティングされたMSF13を、結晶シロリムス粒子を含むバイアルに加えた。次に、別のバイアルに194mgの1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンと136mgの1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリンのプレミックスを1,61mLエタノールに溶解させた。溶解後、2.44mLの水を加え、プレミックスを希釈した。次に、プレミックスを分散したCPEDPに加え、5~10分間超音波処理して、CPEDPおよび結晶性シロリムス粒子を十分に分散させた。この溶液、製剤MS124を、ブタにおける薬物移行試験用のバルーンを被覆するために使用した。
【0347】
ブタにおける急性薬物移行試験のために、処方MS122、MS123、およびMS124を種々の大きさのバルーンに均一に被覆した。バルーンは、予め指定された量のコーティング溶液をバルーンの表面に正確に分注する自動コーティング機を用いてコーティングされた。コーティング溶液の量は、コーティング溶液の濃度とバルーン1個当たりの薬物投与量から算出された。バルーンのサイズは、直径×長さで、6×30、18×65。各バルーンの1平方ミリメートル当たりの薬物量は、直径18mmのバルーンでは3.0であった。また、直径6mmのバルーンでは、1平方ミリメートル当たりの薬物量は3.5であった。これにより、直径6.0mmと18mmのバルーンでは、それぞれ906μgと11358μgが公称薬物投与量となった。6mm径のバルーンは、ブタ尿道内で伸縮比1.0~2.0の範囲で使用した。最後に、18mm径のバルーンは、ブタの食道、小腸、大腸に使用し、伸張比は1.0~2.0とした。泌尿器科処置と消化器科処置では、バルーンを所定の位置に追従させ、膨張前に1分間コーティングを水和させた。胃腸の処置では、胃内視鏡、腸内視鏡、または結腸鏡を使って処置部位を可視化し、DCBを使用する前に処置部位の壁を洗浄した。すべての処置後、ブタを24時間生存させ、次いで、剖検ラボで処置した組織を摘出し、薬物含有量を測定した。種々の組織における測定されたシロリムス薬物濃度は、表9に見ることができる。また、処理後のバルーンに残った薬物の残存量は表10に示すとおりである。
【0348】
【0349】
【0350】
処方C6SsusF9シロリムスコーティング溶液の調製。コーティング溶液処方C6SsusF9リン脂質を溶解した優勢な非極性有機溶媒に分散した荷電ポリマーに封入された薬物粒子(CPEDP)を作製した。まず、MSF13およびMSF14を製造するために上述したのと同じプロセスを用いて、CPEDPであるMSF18を製造した。次に、乾燥したMSF18の328mgを、9.84mg(CPEDPの3%)の1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンで、前記湿式コーティングプロセスを使用して被覆した。次に、別のバイアルにおいて、328mgの1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンを5mLの4/96エタノール/シクロヘキサンv/v溶剤に溶解させた。この溶液を溶解した後、コーティングされたCPEDPを含むバイアルに加えた。次に、CPEDPを十分に分散させるために、この混合物を2~5分間超音波で処理した。この溶液、C6SsusF9を回収し、薬物濃度を測定した。得られた測定値は17.5mg/mLのシロリムスであった。
【0351】
処方C6SsusF11シロリムスコーティング溶液の調製。ミスマッチで不飽和アシル基を有するリン脂質を溶解したポリマー封入薬物粒子(CPEDP)を非極性有機溶媒に分散させたコーティング溶液処方C6SsusF11を作製した。まず、上記MSF13およびMSF14の作製と同じ工程で、CPEDPであるMSF21を作製した。次に、MSF21の303mgをバイアルに秤量し、これにシクロヘキサン2mLを加えた。バイアルの内容物を超音波処理してCPEDPを分散させ、プレミックス1を創成した。次に、別のバイアルにおいて、303mgの1-パルミトイル-2-オレイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンを2mLのシクロヘキサン溶媒に穏やかに加熱して溶解させ、プレミックス2を創成した。次に,プレミックス2にプレミックス1を加え,2~5分間超音波処理を行い,CPEDPを十分に分散させた。この溶液C6SsusF11を回収し、薬物濃度を測定した。得られた測定値は20.0mg/mLのシロリムスであった。
【0352】
処方C6SsusF12シロリムスコーティング溶液の調製。マッチングされた不飽和アシル基リン脂質を溶解させたポリマー封入薬物粒子(CPEDP)を非極性有機溶媒に分散させたコーティング溶液処方C6SsusF12を作製した。まず、MSF13およびMSF14を製造するために上述したのと同じ工程で、CPEDPであるMSF21を製造した。次に、MSF21の302mgをバイアルに秤量し、これにシクロヘキサン2mLを加えた。バイアルの内容物を超音波処理してCPEDPを分散させ、プレミックス1を創成した。次に、別のバイアルにおいて、304mgの1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンを2mLのシクロヘキサン溶媒に穏やかに加熱して溶解させ、プレミックス2を創成した。次に,プレミックス2にプレミックス1を加え,2~5分間超音波処理を行い,CPEDPを十分に分散させた。この溶液C6SsusF12を回収し、薬物濃度を測定した。得られた測定値は20.6mg/mLのシロリムスであった。
【0353】
処方C6SsusF13シロリムスコーティング溶液の調製。マッチングされた不飽和アシル基リン脂質を溶解させたポリマー封入薬物粒子(CPEDP)を非極性有機溶媒に分散させたコーティング溶液処方C6SsusF13を作製した。まず、MSF13およびMSF14を製造するために上述したのと同じ工程で、CPEDPであるMSF21を製造した。次に、MSF21の304mgをバイアルに秤量し、これにシクロヘキサン2mLを加えた。バイアルの内容物を超音波処理してCPEDPを分散させ、プレミックス1を創成した。次に、別のバイアルにおいて、30.3mgの1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンと272.7mgの1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンを2mLのシクロヘキサン溶剤で穏やかに加熱溶解し、プレミックス2を創成した。次に,プレミックス2にプレミックス1を加え,2~5分間超音波処理を行い,CPEDPを十分に分散させた。この溶液C6SsusF12を回収し、薬物濃度を測定した。得られた測定値は20.1mg/mLのシロリムスであった。
【0354】
処方C6SsusF13-3、MSF25シロリムスコーティング溶液の調製。マッチングされた不飽和アシル基リン脂質を溶解した非極性有機溶媒に分散させたポリマー封入薬物粒子(CPEDP)であるコーティング溶液処方C6SsusF13-3を作製した。まず、前述の方法でCPEDPであるMSF25を作製した。次に、MSF25の2.622gをビンに秤量し、そこにシクロヘキサン22.5mLを加えた。バイアル瓶の内容物を超音波処理してCPEDPを分散させ、プレミックス1を創成した。次に別のバイアルで1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン262.2mgと1-パルミトイル-2-オレイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン2.360.1gをシクロヘキサン溶剤22.5mL中に穏やかに加熱溶解し、プレミックス2を創成した。次に,プレミックス2をプレミックス1に加え,その混合物を2~5分間超音波処理してCPEDPを十分に分散させた。この溶液、C6SsusF13-3を回収し、薬物濃度を測定した。得られた測定値は17.98mg/mLのシロリムスであった。この製剤を用いて、直径18mm、長さ65mmのバルーンカテーテルにコーティングを行った。カテーテルの目標投与量は9.2mgであった。バルーンはプリーツ状に折り畳まれ、包装され、真空乾燥され、滅菌された。これらのバルーンは、以下の実施例IV-4に詳述する6頭のブタの食道、十二指腸、および結腸の処置に使用された。
【0355】
第II部.ヒト臨床試験尿道狭窄症。
ウロフローメトリー(Qmax測定)。ウロフローメトリーは、測定装置が組み込まれた特殊な小便器、トイレ、または使い捨てデバイスに排尿することによって行われる。Qmaxなるパラメーターは、ウロフローメトリー検査中に測定された最大流量である。この方法は、処置前(ベースライン)および14日、1、3、6、12ヶ月、および2年のフォローアップの訪問時に使用され、処置の長命を実証した。
【0356】
排尿後残存物(PVR)は、排尿後に膀胱に残された尿の体積の測定値である。処置前(ベースライン)と、処置の寿命を示すために14日、1、3、6、12ヶ月、2年のフォローアップの訪問時に超音波を使用して測定される。
【0357】
国際前立腺症状スコア(International Prostate Symptom Score: IPSS)。IPSSは、以下の8つの質問(疾患症状に関する7つの質問と患者のQOLに関する1つの質問)に対する回答に基づいている:1)不完全な空虚感;膀胱が空にならない感覚を持ったことがどれくらいの頻度でありますか? 2)頻度:2時間に1回以下の頻度で排尿を有したことがありますか? 3)断続性;排尿時に何度も止まったり、また始めたりしたことが何度もありましたか? 4)緊急性;排尿を延期するのが難しいと感じたことが何回くらいありましたか? 5)尿の流れが弱い;どのくらいの頻度で尿の流れが弱くなりますか? 6)いきむ;排尿を始めるのに、いきまなければならなかったことが、どのくらいありましたか? 7)夜間頻尿;通常、夜間に何回排尿のために起きましたか? 8)排尿症状による生活の質;もし、あなたの排尿状態が今のままで一生を過ごすとしたら、どのように感じますか? IPSSはBPHを対象に開発されたが、狭窄など他の膀胱出口閉塞性疾患にも応用でき、処置後に閉塞症状が改善されるかどうかを判断することができる。症状の質問では、患者さんは自分の状態を最もよく表す評価を選択するよう求められます。スケールは0から5まであり、5が最も症状の強い病気を表します。7つの症状のスコアを合計すると、総合的な最高スコアは35となる。QOLの質問に対する回答は、0から6のスケールで採点される。これらのスコアリングシステムにより、スコアが7以下の場合は軽症、スコアが8~19の場合は中等症、スコアが20~35の場合は重症と分類される。このアンケートは、処置前(ベースライン)および14日、1、3、6、12ヶ月、および2年のフォローアップ診察時に行い、処置の長期性を実証するために行われた。
【0358】
実施例II-1.ヒト対象の尿道狭窄における薬物被覆バルーンの試験。
バルーン表面積の1ミリメートル平方当たり3.5μgのパクリタキセルの用量密度を有する薬物被覆バルーンカテーテルを、臨床試験において狭窄疾患を有するヒト対象を処置するために使用した。薬物被覆バルーンカテーテルは、公称圧力6気圧で、公称直径6、8、10、12、14mm、長さ30、50mmであった。バルーンサイズごとのパクリタキセル(PTX)投与量は、表11に見ることができる。
【0359】
【0360】
薬物被覆バルーンカテーテルは、単一の膨張性バルーンを有する二重内腔シャフト設計を有していた。一方の内腔は、0.038インチのガイドワイヤー内腔を収容する大きさであった。もう一方の内腔は膨張ポート内腔で、セーラインと造影剤の混合液でバルーンを膨張させることができる。薬物被覆バルーンカテーテルには、ルアー処方の接続口が2つあり、1つは膨張シリンジに対応し、もう1つはガイドワイヤーをマニホールドから突出させ、バルーンカテーテルをガイドワイヤー上に自由にスライドさせることができるようになっていた。6mmおよび8mmの薬物被覆バルーンカテーテルの定格破裂圧は12気圧であった。10mm、12mm、14mmの薬物被覆バルーンカテーテルの破裂圧力は10気圧であった。バルーンはポリアミド製であった。
【0361】
球部尿道狭窄の患者53名に対して処置が行われた。これらの患者のうち、5名は狭窄の再発のために再処置され、処置の総数は58名となった。この研究では女性の患者は除外されているため、患者はすべて男性であった。本研究に登録された対象は、尿道狭窄に対する介入の経験が最低1回、最高3回であった。年齢層は50.7±15.47歳であった。患者集団全体の尿道狭窄の病因は、50.9%が外傷性、45.3%が異所性、および3.8%が特発性であった。53名の患者のうち、ベースライン時に恥骨上カテーテルを使用していたのは7名であった。狭窄の長さは平均0.9cm、狭窄の直径は平均2.47mmであった。
【0362】
臨床的処置戦略は、直視下内尿道切開術(DVIU)、非コーティング非コンプライアントバルーン、またはその双方の組合せによる狭窄部の事前拡張を含むものであった。32名の患者には非コーティングバルーンを、16名の患者には非コーティングバルーンとDVIUの両方を、10名の患者にはDVIUのみを使用して、それぞれ拡張術を行った。事前拡張後、全例にパクリタキセル薬物被覆バルーンを使用した。26名が8×30mmバルーンで処置された。27名には10×30mmバルーンを使用した。
【0363】
インデックス手術後、14日、30日、90日、180日、365日、および2年後に臨床対象の評価が行われた。評価には、無狭窄率、Qmaxを含む尿流測定、およびPVRの分析が含まれた。さらに、血中、尿中、精液中、および薬物被覆バルーン上の残存薬物中のパクリタキセル含有量について薬物動態学的分析が完了した。
【0364】
患者のIPSSは、ベースラインの平均25.2から、14日目に5.2、30日目に4.3、90日目に6.1、180日目に4.6、365日目に4.5、そして2年目に6.9まで改善された。ベースライン時の平均患者Qmaxは5.0mL/秒で、14日目に22.2mL/秒、30日目に22.8mL/秒、90日目に21.4mL/秒、180日目に19.8mL/秒、365日目に20.1mL/秒、そして2年目に17.5mL/秒に改善された。患者平均PVRはベースラインで141.4mLであったが、14日目に35.7mL、30日目に36.1mL、90日目に38.8mL、180日目に30.1mL、365日目に24.6mL、2年目に45.5mLと改善された。ストレッチャーフリー率は、180日目で75.5%(37/49)、365日目で74.5%(37/47)であった。
【0365】
ヒト血漿パクリタキセル濃度は、平均して処置直後に0.1ng/mLであり、他のすべての後の時点、1時間、3時間、5時間、10時間、24時間および5日では定量レベル以下であった。ヒト尿中パクリタキセル濃度は、平均して処置直後に184ng/mL、5日目に2.6ng/mL、14日目に0.3ng/mL、30日目に0.1ng/mLであった。ヒト精液中のパクリタキセル濃度は、平均して14日目に2.5ng/mL、30日目に1.0ng/mLであった。
【0366】
ヒト対象の処置に使用されたバルーン上の残存薬物含量は、0.1%~28.0%の範囲で平均して元の投与量の2.7%であった。
【0367】
実施例II-3.非被覆の事前拡張バルーン、続いて10mmの公称直径の薬物被覆バルーンカテーテルで処置した実施例III-1のヒト臨床対象B。
対象Bは、彼の前部尿道に長さ1.8cm、直径2.0mmの狭窄を有していた。具体的には、前部尿道の球部部分である。これは、逆行性尿道造影を実施することによって決定された。本対象は、ベースラインのQmaxが8mL/秒、PVRが45mL、ベースラインのIPSSスコアが30点であった。まず膀胱鏡が尿道に挿入された。次にガイドワイヤーを膀胱鏡の作業チャネルに挿入した。次に公称直径10mm、長さ20mmの拡張バルーンをガイドワイヤー越しに尿道内に挿入し、バルーンが狭窄部を横切るように配置した。事前拡張バルーンは、圧力計付の注射器で20気圧まで膨張させた。注射器にはセーラインと造影剤の混合物が入っていた。バルーンが均一に膨張していることを確認するために透視画像を取得した。これを確認した後、バルーンを圧縮させ、尿道から回収した。次に、公称直径10mm、長さ30mmの薬物被覆バルーンをガイドワイヤーの上から尿道に挿入した。薬物被覆バルーンは、バルーン本体が事前に拡張された狭窄部を完全に覆うように配置された。薬物被覆バルーンは、膨張する前に少なくとも1分間その位置に保持し、コーティングを水和させた。次に、圧力計付の注射器を用いて、セーラインと造影剤の混合液で薬物被覆バルーンを膨張させた。バルーンは10気圧まで5分間膨張させた。次いで、バルーンを圧縮させ、ヒト対象から回収した。公称直径10mmの薬物被覆バルーンの伸縮比は1.であり、拡張後の狭窄部の直径は10mmであった。使用後のバルーンに残存する薬物を分析した。バルーンに残存したパクリタキセル量は49.1μg(初期薬物負荷量の1.5%)であった。ヒト臨床対象には14、30、90、180、365日、2年の追跡来診を行い、最大尿流速、PVR、IPSSスコアを測定した。さらに、6ヶ月と12ヶ月の時点でヒト臨床対象の尿道内径を評価し、前処置部位を通過した柔軟な膀胱鏡を視認して尿道が16フレンチ(5.3mm)を超えるかどうかを判定した。ヒト臨床対象者は、14、30、90、180、365日および2年の追跡来診時に、最大尿流量が8mL/秒から25、29、36、34、および23mL/秒にそれぞれ改善された。本対象は、14日、30日、90日、180日、365日、2年の経過観察時に、PVRが45mLから30、28、35、26、3、10mLにそれぞれ改善されていた。本対象は、14日、30日、90日、180日、365日、2年の追跡来診において、それぞれ30から4、3、5、2、3、3にIPSSが改善された。6ヶ月後と12ヶ月後の尿道内径が16フレンチ(5.3mm)以上であった。
【0368】
第III部.ヒト臨床試験前立腺肥大症。
実施例 III-1.BPHヒト臨床試験:単一内腔&強化固定ワイヤ薬物被覆バルーンカテーテル。
1ミリメートル平方当たり2.4μgのパクリタキセルの用量密度を有する薬物被覆バルーンカテーテルを、臨床試験において前立腺肥大症疾患を有するヒト対象を処置するために使用した。バルーンは、バルーンの遠位円錐部から約10mmの位置にある1つのネックを有していた。ネック部の長さは、すべてのバルーンにおいて2mmであった。近位葉(処置葉)の直径と長さは様々であったが、遠位葉(膀胱葉)は常に同じ10mmの長さで、処置葉の直径と一致した。薬物被覆バルーンカテーテルの直径は30、35、40、45mm、長さは30、35、40、45、50mmで、公称膨張圧は2atmであった。バルーン直径30mmはネック径12mm、35mmはネック径15mm、40mmはネック径20mm、45mmはネック径23mmであった。すべてのバルーンサイズにおいて、定格破裂圧は4atmであった。バルーンには、近位コーンの途中から、トリートメントローブ全体、ネック部全体、ブラダーローブのボディ部にかけてパクリタキセルがコーティングされている。バルーンサイズごとのパクリタキセル(PTX)の投与量は、表12に見ることができる。
【0369】
【0370】
この研究では、2種類のカテーテル設計が用いられた。バルーンの形状、材料、および寸法は、2つのカテーテルプラットフォームで同一であった。2つのバルーンカテーテルの違いは、カテーテルシャフトの設計であった。1つ目のデザインは、ルアーハブのないシングル内腔のデザインで、膀胱鏡にバックロードできるように設計されていた。2つ目のデザインは、ルアーハブが取り付けられた強化固定ワイヤーカテーテル・シャフトで、膀胱鏡と並べて配置されるように設計されていた。
【0371】
シングル内腔設計。薬物被覆バルーンカテーテルは、薬物被覆バルーンの膨張を可能にするためにバルーンの下に穴を開けたシングル内腔・ナイロン12シャフト設計を有していた。カテーテルシャフトにはルアーがなく、膀胱鏡の作業チャネルを通過した後、Tuohy Borstバルブおよびルアー互換ストップコックに接続するよう設計されている。バルーン頸部は超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維で補強され、膨張時の径の伸びを最小限に抑えるために固定されている。バルーン頸部はバルーン膨張時に膀胱頸部に固定され、近位バルーンローブの膀胱内への移動を防止する。バルーンの近位ローブ(処置用ローブ)は前立腺尿道内に位置し、前立腺に適合するサイズに設定されている。バルーン遠位葉は位置決めに使用され、バルーン膨張中に膀胱頸部および前立腺内突出部の拡張を行います。バルーンは、高デュロメーターのポリエーテルブロックアミド(74D PEBA)で作られている。カテーテルの遠位端には、カテーテルを前立腺の尿道内で追跡できるようにするシリコン製のCoudeチップが取り付けられている。Coudeチップは、男性の尿道の構造に適合するように特別に湾曲しており、挿入時の損傷を防ぐために無外傷になっている。カテーテルのバルーン部分はプリーツ加工され、内径19フレンチまで折り畳まれ、シースがバルーンに被さるように配置された。デリバリーシースには3つの機能を有した。1つは、バルーンを覆って保護すること。2つ目は、バルーンカテーテルを尿道を介して追跡し、前立腺尿道内に配置することができるように、滑らかな円筒形のカテーテル本体を形成することであった。最後は、処置後にバルーンを再捕捉し、器具の取り外しを容易にすることであった。直径30、35mmのバルーンカテーテルには21Frのシースを、直径40、45mmのバルーンカテーテルには24Frのシースを使用した。シースは、内層がエッチングされたPTFEライナー、中層がフラットコイルワイヤー、外層がポリエーテルブロックアミン(35D PEBA)で構成されていた。シースとクードチップは同じ大きさで、単一の滑らかな挿入面を作製するために嵌合機能を備えている。
【0372】
固定ワイヤ設計を強化する。薬物被覆バルーンカテーテルは、高デュロメータポリエーテルブロックアミド(72D PEBA)の単一内腔押出しからなるカテーテルシャフトを有していた。押出し内腔内には、円筒形の304ステンレス鋼製マンドレルがカテーテルの長さ方向とバルーンの下を貫通している。マンドレルは、ルアーハブ付近のカテーテル遠位端と近位端に熱融着されている。マンドレルは座屈防止のため、バルーン部の下を304ステンレスチューブで補強している。カテーテルシャフトの押出しは、近位バルーン接着部の下で終了し、薬物被覆バルーンの膨張を可能にする。カテーテルシャフトの近位端には、メス型ルアーハブが接着されており、膨張装置への接続が可能である。バルーン頸部は超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維で補強されており、膨張時の径の伸びを最小限に抑えるために固定されている。バルーンネックは、バルーン膨張時に膀胱頸部に固定され、近位バルーンローブの膀胱内への移動を防止する。バルーンの近位ローブ(処置用ローブ)は前立腺尿道内に位置し、前立腺に適合するサイズに設定されている。バルーン遠位ローブは位置決めに使用され、バルーン膨張時に膀胱頸部および前立腺内突出部の拡張を行う。バルーンは高デュロメーターのポリエーテルブロックアミド(74D PEBA)製である。カテーテルの遠位端にはシリコン製のCoudeチップが取り付けられており、カテーテルを前立腺尿道内で追跡することができる。Coudeチップは、男性の尿道の構造に適合するように特別に湾曲しており、挿入時の損傷を防ぐために無外傷になっている。カテーテルのバルーン部分はプリーツ加工され、内径19フレンチまで折り畳まれ、シースがバルーンに被さるように配置された。デリバリーシースには3つの機能を有した。1つは、バルーンを覆って保護すること。2つ目は、バルーンカテーテルを尿道を介して追跡し、前立腺尿道内に配置することができるように、滑らかな円筒形のカテーテル本体を形成することであった。最後は、処置後にバルーンを再捕捉し、器具の取り外しを容易にすることであった。直径30mmと35mmのバルーンカテーテルには21Frのシースを、直径40mmと45mmのバルーンカテーテルには24Frのシースを使用した。シースは、内層がエッチングされたPTFEライナー、中層がフラットコイルワイヤー、外層がポリエーテルブロックアミン(72D PEBA)で構成されていた。シースとクードチップは同じ大きさで、単一の滑らかな挿入面を作製するために嵌合機能を備えている。このデザインには、カテーテルシャフトの上部にプリロードされたオブチュレータも含まれている。オブチュレーターはLDPE製で、遠位端はR形状、近位端はシースと接するようにフレア状になっている。シースとオブチュレータを組み合わせたものは、尿道を介して追跡し、処置後にバルーンを再捕捉するために使用された。
【0373】
合計80名の患者が、前立腺肥大症の処置を受けた。この研究では女性の患者は除外されているので、すべての患者は男性であった。研究に登録された対象は、最低IPSSスコア13、Qmaxが5から15mL、前立腺体積が20から80g、前立腺尿道の長さが35から55mmであった。平均年齢は65.8±7.82歳であった。
【0374】
臨床的処置戦略は、側葉の間に交連を創成するために前立腺の事前拡張を含んだ。事前拡張バルーンは、選択された薬物被覆バルーンと同じサイズかそれより小さい非コーティングバルーンカテーテルであった。事前拡張バルーンは薬物被覆バルーンと同じデザインであった。49名の患者がシングル内腔カテーテルシャフトデザインで処置され、31名の患者が強化固定ワイヤーカテーテルシャフトデザインで処置された。18名の患者が30×35mmの薬物被覆バルーンで、32名の患者が35×35mmの薬物被覆バルーンで、8名の患者が35×45mmの薬物被覆バルーンで、22名の患者が40×45mmの薬物被覆バルーンで処置された。
【0375】
臨床対象を、インデックス処置後14、30、90、180、および365日目に評価した。評価には、分析IPSS、Qmaxを含む尿流測定、およびPVRが含まれた。さらに、血液、尿、精液、および薬物被覆バルーン上の残存薬物中のパクリタキセル含有量について、薬物動態学的分析が完了した。
【0376】
患者の平均IPSSは、ベースラインの平均22.3から、14日目に10.7、30日目に9.0、90日目に8.1、180日目に8.0、および365日目に8.3まで改善された。ベースライン時の平均患者Qmaxは10.9mL/秒であり、14日目で18.5mL/秒、30日目で20.1mL/秒、90日目で20.4mL/秒、180日目で20.1mL/秒、365日目で18.3mL/秒に改善された。患者の平均PVRはベースラインで64.0mLであったが、14日目で41.4mL、30日目で28.4mL、90日目で33.9mL、180日目で29.7mL、そして365日目で31.7mLに改善された。
【0377】
ヒト血漿中パクリタキセル濃度の平均値は、投与直後0.2ng/mL、1時間後0.2ng/mL、3時間後0.1ng/mL、5時間後0.1ng/mL、10時間後0.07ng/mL、24時間後0.03ng/mLおよび4日後に0.02ng/mLとした。ヒト尿中のパクリタキセル濃度は、処置直後に598ng/mL、4日後に202ng/mL、14日後に5.2ng/mL、30日後に5.1ng/mLと平均的であった。ヒト精液中のパクリタキセル濃度は、14日目で平均5.3ng/mL、30日目で3.2ng/mL、6ヶ月目で0.12ng/mLであった。
【0378】
ヒト対象の処置に使用されたバルーン上の残存薬物量は、平均して元の投与量の23.0%であり、7.7%から47.1%の範囲であった。
【0379】
第IV部.胃腸(GI)管における薬物被覆バルーンの前臨床試験。
実施例IV-1.GI前臨床試験1.
28本のバルーンカテーテル(直径10、15、18mm、長さ55mm)を1気圧に膨張させ、エタノール拭きでバルーン表面を清浄化した。このバルーンに、実施例I-1の製剤23を用いて、バルーン表面1平方mm当たり3.5マイクログラムのパクリタキセルとなるように十分なコーティング溶液を被覆した。次いで、バルーンを乾燥し、折り畳み、シースし、タイベックパウチに包装し、動物試験の準備のためにエチレンオキサイド滅菌した。
【0380】
この試験には、雄のブタを使用した。薬物被覆バルーン処置の前に、食道、十二指腸、および大腸処置部位の内径を測定するために前処理内視鏡を実施した。胆道処置では、胆道括約筋切開を伴う内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を行い、胆道の胆管造影を行い処置部位を特定した。食道、十二指腸、大腸の処置部位の直径は約15~18mmであった。胆道処置部位の直径は4~8mmであった。バルーンカテーテルは、処置時の伸縮率が約1.1~2.2となるようなものを選択した。薬物被覆バルーンカテーテルを用い、食道、十二指腸、胆道、大腸の処置部位を重複させないようにした。内視鏡は処置部位の可視化に使用された。処置部位は、バルーンを挿入する前に滅菌セーラインで洗浄された。薬物被覆バルーンカテーテルは、内視鏡の作業チャネルを処置部位に到達するまで追跡された。膨張の前に、薬物コーティングは1分間水和させた。次いで、薬物被覆バルーンカテーテルを処置部位で定格破裂圧まで2分間膨張させて薬物と添加物を放出し、その後収縮させてブタから回収した。ブタを犠牲にしたので、1時間後に組織の薬物含有量を測定し、使用後にバルーンに残った残存薬物を分析した。
【0381】
食道、十二指腸、胆道および大腸の試料から得られたブタの組織薬物濃度は、1時間後にそれぞれ19.5、28.7、309.0および5.5μg/gであった。サンプルからの元の薬物負荷に対するパーセントとしての残存バルーン量は1.35~65.5%の範囲であった。
【0382】
実施例IV-2.GI前臨床試験2.
80本のバルーンカテーテル(直径10、15、18mm、長さ55mm)を1気圧に膨張させ、エタノール拭きでバルーン表面を清浄化した。このバルーンに、実施例I-1の製剤23を用いて、バルーン表面1平方mm当たり3.5マイクログラムのパクリタキセルとなるように十分なコーティング溶液を被覆した。次いで、バルーンを乾燥させ、折り畳み、シースし、タイベックパウチに包装し、動物試験の準備のためにエチレンオキサイド滅菌を行った。
【0383】
この試験には、雄のブタを使用した。薬物被覆バルーン処置前に、食道、十二指腸、および大腸処置部位の内径を測定するための前処理内視鏡検査を実施した。食道、十二指腸、大腸の処置部位の内径は約15~18mmであった。バルーンカテーテルは、処置時の伸縮率が約1.1~2.2となるようなものを選択した。薬物被覆バルーンカテーテルを用い、食道、十二指腸、大腸の処置部位を非重複で行った。内視鏡は処置部位を可視化するために使用された。処置部位は、バルーンを挿入する前に滅菌セーラインで洗浄した。薬物被覆バルーンカテーテルは、内視鏡の作業チャネルを処置部位に到達するまで追跡された。膨張の前に、薬物コーティングは1分間水和させた。次いで、薬物被覆バルーンカテーテルを処置部位で定格破裂圧まで2分間膨張させて薬物と添加物を放出し、その後収縮させて豚から回収した。1時間後に組織内薬物濃度を測定した。食道、十二指腸、大腸の各サンプルからのブタ組織薬物濃度は、1時間後にそれぞれ66.1、40.3、127.0μg/gであった。
【0384】
実施例IV-3.GI前臨床試験3.
28本のバルーンカテーテル(直径6および8mm、長さ30mm)を1気圧に膨張させ、エタノール拭きでバルーン表面を清浄化した。このバルーンに、実施例I-1の製剤23を用いて、バルーン表面1平方mm当たり3.5マイクログラムのパクリタキセルになるように十分なコーティング溶液を被覆した。次いで、バルーンを乾燥し、折り畳み、シースし、タイベックパウチに包装し、動物試験の準備のためにエチレンオキサイド滅菌した。
【0385】
この試験には、雄のブタを使用した。胆道括約筋切開を伴う内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を行い、胆道の胆管造影を行い、処置部位を特定した。胆道処置部位の直径は4~8mmであった。バルーンカテーテルは、処置時の伸縮率が約1.5~2.2となるようなものを選択した。薬物被覆バルーンカテーテルは、胆道で処置が重ならないように使用された。薬物被覆バルーンカテーテルは、十二指腸内視鏡の作業チャネルを処置部位に到達するまで追跡された。膨張させる前に、薬物コーティングを1分間水和させた。次いで、薬物被覆バルーンカテーテルを処置部位で定格破裂圧まで2分間膨張させて薬物と添加物を放出し、その後収縮させて豚から回収した。1時間後に組織内薬物濃度を測定した。胆道サンプルからのブタ組織薬物濃度は、1時間後に170.0μg/gであった。
【0386】
実施例IV-4.シロリムスを被覆したバルーンカテーテルを用いた慢性GI前臨床試験。
42本のバルーンカテーテル(直径18mm、長さ65mm)を1気圧まで膨張させ、エタノール拭きでバルーン表面を清浄化した。実施例I-1の製剤C6SsusF13-3、MSF25を用いて、9.2mgの薬物投与を達成するのに十分なコーティング溶液でバルーンを均一に被覆した。DCBは、食道、十二指腸、および結腸において非重複処理で使用された。内視鏡を用いて処置部位を可視化した。処置部位は、バルーンを挿入する前に滅菌セーラインで洗浄された。薬物被覆バルーンカテーテルは、内視鏡の作業チャネルを処置部位に到達するまで追跡された。膨張の前に、薬物コーティングは1分間水和させた。次いで、薬物被覆バルーンカテーテルを処置部位で定格破裂圧まで2分間膨張させて薬物と添加物を放出し、その後収縮させて豚から回収し、残存薬物量の測定のために回収した。処理後、ブタは1時間、7日、28日間生存させた後、処理した組織を切り出し、剖検ラボで二分し、サンプルの半分を薬物含有量の測定に、残りの半分を組織学にまわした。測定された種々の組織中のシロリムス薬物濃度は、表13に見ることができる。処置後にバルーンに残った薬物の残存量は、表14に見ることができる。
【0387】
【0388】
【0389】
第V部.薬物被覆バルーンの消化管内におけるヒト臨床試験。
実施例V-1.食道狭窄を有する臨床対象Aに対して、非コーティング事前拡張バルーンに続いて、公称直径18mmの薬物被覆バルーンカテーテルを投与した。
75歳の男性対象Aは、食道に長さ2.0cm、直径9mmの狭窄を有していた。具体的には、口から食道の2/3の長さに位置していた。これは、食道造影検査により判定された。本対象は、ベースラインの嚥下障害ハンディキャップスコアが42であった。まず、胃内視鏡を口から食道へ挿入し、狭窄部まで下降させた。次に,公称直径12mm,長さ55mmの拡張バルーンを胃内視鏡の作業チャネルに挿入し,バルーンが狭窄部を横切るように配置した。事前拡張バルーンを圧力計付の注射器で9気圧まで膨張させ、5分間加圧保持した。注射器にはセーラインと造影剤の混合物が入っていた。バルーンが均一に膨張していることを確認するため、透視画像を取得した。次に、拡張バルーンを取り外し、公称直径15mm、長さ55mmの別の拡張バルーンを胃内視鏡の作業チャネルに追跡し、バルーンが狭窄部を横切るように配置した。第2の事前拡張バルーンは直径16.5mmに相当する7気圧まで膨張させ、5分間加圧保持した。次に、公称直径18mm、長さ55mmの薬物被覆バルーンを胃内視鏡に挿入した。薬物被覆バルーンは、バルーン本体が事前に拡張された狭窄部を完全に覆うように配置された。薬物被覆バルーンは、膨張する前に少なくとも1分間その位置に保持し、コーティングを水和させた。次に、圧力計付の注射器を用いて、セーラインと造影剤の混合液で薬物被覆バルーンを膨張させた。バルーンは4.5気圧まで膨張し、膨張径19mmを達成し、その膨張圧で5分間保持した。次いで、バルーンを圧縮させ、ヒト対象から回収した。公称直径18mmの薬物被覆バルーンの伸張比は2.1であった。拡張後の狭窄部の直径は18mmであった。ヒト臨床対象には、30日、90日、180日に追跡来診を行い、食道径、嚥下障害ハンディキャップ指数スコア、および体格を測定した。本対象は、30日、90日、180日の経過観察で、食道径が9.0mmから20.0mm(122%増)、20.0mm(122%増)、20.0mm(122%増)にそれぞれ増加した。嚥下障害ハンディキャップスコアは、30日後、90日後、180日後にそれぞれ42から6(86%減少)、6(86%減少)、2(95%減少)に改善された。ヒト臨床対象では、30日、90日、180日の追跡来診時に、それぞれ65kgから66.5kg、65kg、64.5kgに体重変化がみられた。患者Aは、薬物被覆バルーンで処置された後、狭窄の再介入を受けなかった。
【0390】
実施例V-2.非被覆の事前拡張バルーンに続いて、公称直径18mmの薬物被覆バルーンカテーテルによって処置された大腸狭窄を有するヒト臨床対象B。
35歳の対象Bは、大腸に長さ0.5cm、直径12mmの狭窄を有していた。具体的には、大腸-直腸接合部に位置している。これは、大腸内視鏡検査を実施することによって決定された。本対象は、ベースラインの閉塞症状スコアが69で、重度の便秘、排便不能、腹部の腫脹・膨満感、嘔吐を有した。まず、大腸内視鏡を肛門から狭窄部の近くまで挿入した。次に、公称直径18mm、長さ55mmの拡張バルーンを大腸内視鏡の作業用チャンネルに挿入し、バルーンが狭窄部を横切るように配置した。事前拡張バルーンを圧力計付の注射器で6気圧まで膨張させ、5分間加圧保持した。注射器にはセーラインと造影剤の混合物が入っていた。バルーンが均一に膨張していることを確認するため、透視画像を取得した。次に、事前拡張バルーンを取り外し、公称直径18mm、長さ55mmの薬物被覆バルーンを大腸内視鏡に挿入した。薬物被覆バルーンは、バルーン本体が事前拡張された狭窄部を完全に覆うように配置された。薬物被覆バルーンは、膨張させる前に少なくとも1分間その位置に保持し、コーティングを水和させた。次に、圧力計付の注射器を用いて、セーラインと造影剤の混合液で薬物被覆バルーンを膨張させた。バルーンは6気圧まで膨張し、膨張径20mmを達成し、膨張圧で5分間保持した。次いで、バルーンを圧縮させ、ヒト身体から回収した。公称直径18mmの薬物被覆バルーンの伸張率は1.7であった。拡張後の狭窄部の直径は19mmであった。ヒト臨床対象には、閉塞症状を測定するため、30日、90日、180日にフォローアップ診察を行った。30日後、90日後、180日後の経過観察では、それぞれ69から0(100%減)、0(100%減)、0(100%減)に閉塞症状スコアが改善されていた。患者Aは、薬物被覆バルーンで処置された後、狭窄の再介入を受けなかった。
【0391】
実施例V-3.食道および腸の狭窄の無再介入カプラン-マイヤー曲線。
合計19名の対象が、食道および腸にパクリタキセル被覆バルーンを用いて処置され、12ヶ月のフォローアップを通じて再介入を必要とした患者は1名だけであった。
図11は、生存曲線分析(すなわち、無再介入カプラン-マイヤー曲線)を示し、12ヶ月における無再介入の推定値が94.7%であることを示している。
【0392】
実施例V-4.非コーティングの事前拡張バルーンに続いて公称直径8mmの薬物被覆バルーンカテーテルで処置された胆道狭窄を有するヒト臨床対象C。
68歳の男性対象Cの胆道には、長さ1.0cm、直径4mmの狭窄を有した。具体的には総胆管と総肝管の間に位置する。ERCPを実施することにより判明した。このヒトの臨床対象には、処置前に胆道ドレナージチューブが留置されていた。まず、十二指腸内視鏡を口から挿入し、大腸傍の位置に配置した。次にスネアを用いてドレナージチューブの留置を解除した。次に括約筋を使用して胆管にカニュレーションを行い、ガイドワイヤーを進めた。次に公称直径6mm、長さ40mmの拡張バルーンを十二指腸内視鏡の作業チャネルに追従させ、バルーンが狭窄部を横切るように配置した。事前拡張バルーンを、圧力計付の注射器で11気圧まで膨張させ、3分間加圧保持した。注射器にはセーラインと造影剤の混合物が入っていた。バルーンが均一に拡張したことを確認するため、透視画像を取得した。残存狭窄はもともと70%であったが、拡張後は40%に低下した。次に事前拡張バルーンを抜去し、公称直径8mm、長さ50mmの薬物被覆バルーンを十二指腸内視鏡に挿入した。バルーン本体が事前拡張された狭窄部を完全に覆うように薬物被覆バルーンを配置した。薬物被覆バルーンは、膨張する前に少なくとも1分間その位置に保持し、コーティングを水和させた。次に、圧力計付の注射器を用いて、セーラインと造影剤の混合液で薬物被覆バルーンを膨張させた。バルーンは6気圧まで膨張し、膨張径8.8mmを達成し、その膨張圧で5分間保持された。残存狭窄は当初40%であったが、DCB処置後は12%に低下した。その後,バルーンを圧縮させ,ヒトから回収した。公称直径8mmの薬物被覆バルーンの伸縮比は2.2であった。拡張後の狭窄部の直径は8mmであった。本対象は180日目に経過観察を受け、狭窄部の直径を測定した。このヒト臨床例では180日目に胆管径が4mmから9mmに改善した。患者Cは、薬物被覆バルーンを用いて処置された後、狭窄の再介入を受けなかった。
【0393】
使用された用語および表現は、説明の用語として使用され、限定するものではなく、かかる用語および表現の使用には、示され、説明された特徴またはその一部の等価物を排除する意図はないが、本発明の実施形態の範囲内で種々の変更が可能であることが認識される。したがって、本発明は、特定の実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修正および変形は、当業者によって頼ることができ、かかる修正および変形は、本発明の実施形態の範囲内にあるとみなされることが理解されるべきである
【0394】
典型的な実施態様。
以下の典型的な実施態様は提供され、その番号付けは、重要度の指定として解釈されるべきではない:
【0395】
実施態様1は、
治療剤;および
治療剤を封入する1つ以上のポリマー
を含むポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0396】
実施態様2は、ポリマー封入薬物粒子が正のゼータ電位を有する実施態様1のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0397】
実施態様3は、ポリマー封入薬物粒子がゼロ(0)を超えるゼータ電位を有する実施態様2のいずれか1つのポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0398】
実施態様4は、ポリマー封入薬物粒子が-1~-50または1~50のゼータ電位を有する、実施態様2~3のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0399】
実施態様5は、ポリマー封入薬物粒子が-2~-40または2~40のゼータ電位を有する、実施態様2~4のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0400】
実施態様6は、治療剤が結晶性、部分的に結晶性、非晶性、部分的に非晶性、またはそれらの組合せである、実施態様1~5のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0401】
実施態様7は、治療剤が結晶性および/または部分的に結晶性である、実施態様1~6のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0402】
実施態様8は、ポリマーが、ポリ乳酸(PL)、ポリグリコール酸(GA)、ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体(PLGA)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリホスファゼン、コラーゲン、ゼラチン、キトサン、グリコソミノグリカンおよびその共重合体から選択される少なくとも1つのポリマーである、実施態様1~7のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0403】
実施態様9は、ポリマー封入薬物粒子が、0.2ミクロン~30ミクロンの最大寸法を有する、実施態様1~8のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0404】
実施態様10は、治療剤が、0.1~29.9ミクロンの最大寸法を有する、実施態様1~9のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0405】
実施態様11は、ポリマー封入薬物粒子が、ポリマー封入薬物粒子(PEDP)および/または荷電ポリマー封入薬物粒子(CPEDP)である、実施態様1~10のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0406】
実施態様12は、CPEDPの正の電荷密度がPEDPのものより高い、実施態様11記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0407】
実施態様13は、CPEDPの正の電荷密度が、ポリマー封入剤の不存在下、治療剤のものより高い、実施態様11~12のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0408】
実施態様14は、CPEDPのゼータ電位がPEDPのものより高い、実施態様11~13のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0409】
実施態様15は、CPEDPのゼータ電位が、ポリマー封入剤の不存在下、治療剤のものより高い、実施態様11~14のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0410】
実施態様16は、
ポリマー封入薬物粒子が、第1のイオン性または両性イオン性添加剤をさらに含み、第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、ポリマー封入薬物粒子内にある、ポリマー封入薬物粒子の表面上に被覆される、またはそれらの組合せである、または
ポリマーは、アニオン性、カチオン性、または両性イオン性のポリマーを含む、または
ポリマーは中性ポリマーを含む、またはその組合せである、実施態様1~15のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0411】
実施態様17は、第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、カチオン性分子、アニオン性添加剤または両性イオン性添加剤を含む、実施態様16記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0412】
実施態様18は、第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、ポリマー封入薬物粒子の表面上に被覆される、実施態様16~17のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0413】
実施態様19は、ポリマー封入薬物粒子のゼータ電位が、第1のイオン性または両性イオン性添加剤の表面コーティングを含まない対応するポリマー封入薬物粒子のものより高い、実施態様18記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0414】
実施態様20は、第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、荷電ポリマー、荷電脂質、リン脂質、ホスホコリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールおよびそれらの組合せを含む、実施態様16~19のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0415】
実施態様21は、荷電脂質の2つのアシル基または荷電リン脂質の2つのアシル基が、ミスマッチアシル基を含む、実施態様20記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0416】
実施態様22は、ミスマッチアシル基が、C6~C34の長さを有する、実施態様21記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0417】
実施態様23は、ミスマッチアシル基が、長さ、飽和度、その置換基、その置換パターン、またはそれらの組合せにより異なる、実施態様21~22のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0418】
実施態様24は、荷電ポリマーが、ポリカチオン含有シクロデキストリン、アミノシクロデキストリンまたはその誘導体、アミノデキストラン、ヒストン、プロタミン、カチオン化ヒト血清アルブミン、アミノ多糖類、キトサン、ペプチド、ポリ-L-リジン、ポリ-L-オルニチン、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリプロピレンイミン、ポリアミドアミンデンドリマー、カチオン性ポリオキサゾリン、ポリ(ベータ-アミノエステル)、PEG-PEI共重合体、PLGA-PEI共重合体、正荷電ゼラチン、ヒドロキシ末端化ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ステアリン酸変性分岐ポリエチレンイミン、分岐PEI-g-PEG、ポリ(1-ビニルピロリドン-コ-2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリ(1-ビニルピロリドン)-グラフト-(1-トリアコンテン)、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリ(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ジメチルアミノエチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/メチルメタクリレートのカチオン性共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレートのアニオン性共重合体、第四級アンモニウム基を持つエチルアクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸エステルの共重合体およびそれらの組合せから選択される、実施態様20~23のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0419】
実施態様25は、荷電脂質が、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、ナトリウム塩、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-デカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、ジエイコセノイル ホスファチジルコリン(1,2-ジエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C20:1 PC)、ジアラキドノイルホスファチジルコリン(1,2-ジアラキドニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C20:0 PC)、ジエルコイルホスファチジルコリン(1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C22:1 PC)、ジドコサヘキサエノイル ホスファチジルコリン(1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C22:6 PC)、ヘンエイコセノイルホスファチジルコリン(1,2-ヘンエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C21:1 PC)、およびジネルボニルホスファチジルコリン(1,2-ジネルボノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C24:1 PC)ならびにそれらの組合せから選択される実施態様20~24のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0420】
実施態様26は、第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、ナトリウム塩、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-デカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリンおよびそれらの組合せから選択される、実施態様16~25のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0421】
実施態様27は、第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、少なくとも1つのアシル基を含む、水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、50~750、750~100,000、または750~50,000、または750~10,000の分子量を有する、実施態様16~26のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0422】
実施態様28は、第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、その純粋な形態の添加剤のものより低い融解温度を有する、実施態様16~27のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0423】
実施態様29は、第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、その純粋な形態の添加剤のものより低い結晶化度を有する、実施態様16~28のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0424】
実施態様30は、治療剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択される、実施態様1~29のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0425】
実施態様31は、ポリマー封入薬物粒子が、バルーンカテーテル、薬物被覆カテーテル、薬物溶出ステント、バルーン上の薬物溶出ステント、薬物被覆バルーン上の薬物溶出ステント、薬物被覆バルーン上のステントまたはそれらの組合せの上にある、実施態様1~30のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を提供する。
【0426】
実施態様32は、実施態様1~31のいずれかに記載のポリマー封入薬物粒子;および
第2のイオン性または両性イオン性添加剤を含む放出マトリックス
を含むポリマー封入薬物粒子
を含む薬物放出コーティングを提供する。
【0427】
実施態様33は、第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、第1のイオン性または両性イオン性添加剤と同じ分子構造を有する、実施態様32記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0428】
実施態様34は、第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、第1のイオン性または両性イオン性添加剤とは異なる分子構造を有する、実施態様32記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0429】
実施態様35は、ポリマー封入薬物粒子が、乾燥測定(または、乾量:dry measure)による薬物放出コーティングの10重量%~80重量%である、実施態様32~34のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0430】
実施態様36は、ポリマー封入薬物粒子が、乾燥測定による薬物放出コーティングの25重量%~70重量%である、実施態様32~35のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0431】
実施態様37は、ポリマー封入薬物粒子が、乾燥測定による薬物放出コーティングの40重量%~60重量%である、実施態様32~36のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0432】
実施態様38は、放出マトリックスが、さらに、ポリマー封入薬物粒子のポリマーによる封入がない治療剤の粒子を含む、実施態様32~37のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0433】
実施態様39は、ポリマー封入薬物粒子のポリマーによる封入がない治療剤の粒子が、治療剤の結晶性粒子を含む、実施態様38記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0434】
実施態様40は、ポリマー封入薬物粒子のポリマーによる封入がない治療剤の粒子が、放出マトリックスにおいて均質に分配される、実施態様38~39のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0435】
実施態様41は、ポリマー封入薬物粒子が、放出マトリックスにおいて均質に分配される、実施態様32~40のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0436】
実施態様42は、第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、カチオン性分子、アニオン性添加剤または両性イオン性添加剤を含む、実施態様32~41のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0437】
実施態様43は、放出マトリックス中の第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、荷電ポリマー、荷電脂質、リン脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールおよびそれらの組合せから選択される、実施態様32~42のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0438】
実施態様44は、荷電脂質の2つのアシル基または荷電リン脂質の2つのアシル基が、ミスマッチアシル基を含む、実施態様43記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0439】
実施態様45は、ミスマッチアシル基が、C6~C34の長さを有する、実施態様44記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0440】
実施態様46は、ミスマッチアシル基が、長さ、飽和度、その置換基、その置換パターン、またはそれらの組合せにより異なる、実施態様44~45のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0441】
実施態様47は、荷電ポリマーが、ポリカチオン含有シクロデキストリン、アミノシクロデキストリンまたはその誘導体、アミノデキストラン、ヒストン、プロタミン、カチオン化ヒト血清アルブミン、アミノ多糖類、キトサン、ペプチド、ポリ-L-リジン、ポリ-L-オルニチン、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリプロピレンイミン、ポリアミドアミンデンドリマー、カチオン性ポリオキサゾリン、ポリ(ベータ-アミノエステル)、PEG-PEI共重合体、PLGA-PEI共重合体、正荷電ゼラチン、ヒドロキシ末端化ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ステアリン酸変性分岐ポリエチレンイミン、分岐PEI-g-PEG、ポリ(1-ビニルピロリドン-コ-2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリ(1-ビニルピロリドン)-グラフト-(1-トリアコンテン)、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリ(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ジメチルアミノエチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/メチルメタクリレートのカチオン性共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレートのアニオン性共重合体、第四級アンモニウム基を持つエチルアクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸エステルの共重合体およびそれらの組合せから選択される、実施態様43~46のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0442】
実施態様48は、荷電脂質が、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、ナトリウム塩、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-デカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、ジエイコセノイル ホスファチジルコリン(1,2-ジエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C20:1 PC)、ジアラキドノイルホスファチジルコリン(1,2-ジアラキドニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C20:0 PC)、ジエルコイルホスファチジルコリン(1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C22:1 PC)、ジドコサヘキサエノイル ホスファチジルコリン(1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C22:6 PC)、ヘンエイコセノイルホスファチジルコリン(1,2-ヘンエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C21:1 PC)、およびジネルボニルホスファチジルコリン(1,2-ジネルボノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、C24:1 PC)ならびにそれらの組合せから選択される、実施態様43~47のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0443】
実施態様49は、第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(塩化物塩)、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、ナトリウム塩、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジヘプタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジノナノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-デカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-ステアロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ラウロイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリンおよびそれらの組合せから選択される、実施態様43~48のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0444】
実施態様50は、第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、少なくとも1つのアシル基を含む、水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、50~750、750~100,000、または750~50,000、または750~10,000の分子量を有する、実施態様43~49のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0445】
実施態様51は、コーティング中の第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、その純粋な形態の添加剤のものより低い融解温度を有する、実施態様43~50のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0446】
実施態様52は、コーティング中の第2のイオン性または両性イオン性添加剤が、その純粋な形態の添加剤のものより低い結晶化度を有する、実施態様43~51のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0447】
実施態様53は、コーティングが、バルーンカテーテル、薬物被覆カテーテル、薬物溶出ステント、バルーン上の薬物溶出ステント、薬物被覆バルーン上の薬物溶出ステント、薬物被覆バルーン上のステントまたはそれらの組合せの上にある、実施態様32~52のいずれか1記載の薬物放出コーティングを提供する。
【0448】
実施態様54は、非血管性または血管性の狭窄もしくは狭窄症を処置または予防する方法であって、
身体内腔へ実施態様31~53のいずれか1記載のバルーンまたはステントを含むカテーテルを挿入すること;
狭窄、狭窄症、または狭窄もしくは狭窄症が防止される領域とコーティング層を接触させるために、バルーンまたはステントを拡張すること;、
バルーンが用いられる場合、方法はバルーンを圧縮させることをさらに含み;および
バルーンが用いられる場合、方法は身体内腔からバルーンを取り出すことをさらに含む、前記方法を提供する。
【0449】
実施態様55は、
治療剤およびポリマーを含む懸濁液を形成すること;
懸濁液の粒径を低下させるために懸濁液を処理すること;および
懸濁液中のポリマー封入薬物粒子を形成するために水性プレミックスを懸濁液に加えることを含む、実施態様1~31のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を作製する方法を提供する。
【0450】
実施態様56は、処理が、超音波処理を含む、実施態様55記載の方法を提供する。
【0451】
実施態様57は、形成された粒子を被覆するために第1のイオン性または両性イオン性添加剤を懸濁液に加えることをさらに含む、実施態様55~56のいずれか1記載の方法を提供する。
【0452】
実施態様58は、実施態様32~53のいずれか1記載の薬物放出コーティングを形成するために第2のイオン性または両性イオン性添加剤を懸濁液に加えることをさらに含む実施態様55~57のいずれか1記載の方法を提供する。
【0453】
実施態様59は、
有機溶媒、1つ以上のポリマー、治療剤および、所望により、第1のイオン性または両性イオン性添加剤を含む有機プレミックスを形成すること;
水および水溶性ポリマーまたは界面活性剤を含む水性プレミックスを形成すること;
有機溶媒を水性プレミックスに加えること;
水性プレミックスおよび有機プレミックスを一緒に組み合わせること;
ポリマー封入薬物粒子を含む乳濁液を形成するために、組み合わせた水性プレミックスおよび有機プレミックスを撹拌することを含む、
実施態様1~31のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子を作製する方法を提供する。
【0454】
実施態様60は、治療剤、1つ以上のポリマーおよび存在するならば所望の第1のイオン性または両性イオン性添加剤が、有機プレミックスに溶解される実施態様59記載の方法を提供する。
【0455】
実施態様61は、有機プレミックスの有機溶媒、および水性プレミックスに加えられた有機溶媒が、同じ有機溶媒である、実施態様59~60のいずれか1記載の方法を提供する。
【0456】
実施態様62は、有機プレミックスの有機溶媒、および水性プレミックスに加えられた有機溶媒が、極性有機溶媒である、実施態様59~61のいずれか1記載の方法を提供する。
【0457】
実施態様63は、水を、ポリマー封入粒子を含む乳濁液に加えることをさらに含む、実施態様59~62のいずれか1記載の方法を提供する。
【0458】
実施態様64は、組み合わせた水性プレミックスおよび有機プレミックスからポリマー封入薬物粒子を分離させることをさらに含む、実施態様59~63のいずれか1記載の方法を提供する。
【0459】
実施態様65は、水性液体でポリマー封入薬物粒子を洗浄する、ポリマー封入薬物粒子の乾燥する、またはそれらの組合せをさらに含む、実施態様59~64のいずれか1記載の方法を提供する。
【0460】
実施態様66は、
ポリマー封入薬物粒子および有機溶媒を含む第1の混合物を形成すること;
第2のイオン性または両性イオン性添加剤および有機溶媒を含む第2の混合物を形成すること;
第1の混合物および第2の混合物を組み合わせること;および
実施態様32~53のいずれか1記載の薬物放出コーティングを形成するために組み合わせた第1の混合物および第2の混合物を乾燥すること
を含む、実施態様59~65のいずれか1記載の方法を提供する。
【0461】
実施態様67は、第1の混合物および第2の混合物の有機溶媒が、無極性有機溶媒である、実施態様66記載の方法を提供する。
【0462】
実施態様68は、
ポリマー封入薬物粒子を均質に分配させるために、乾燥に先立って組み合わせた第1の混合物および第2の混合物を撹拌することをさらに含む、実施態様66~67のいずれか1記載の方法を提供する。
【0463】
実施態様69は、
バルーンカテーテルのバルーンの外部に実施態様1~31のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子または実施態様32~53のいずれか1記載の薬物放出コーティングを適用することを含む、バルーンカテーテルを作製する方法を提供する。
【0464】
実施態様70は、
伸長したバルーン;および
バルーンの外表面に重なるコーティング層
を含むバルーンカテーテルであって、コーティング層が、
実施態様1~31のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子、または、
実施態様32~53のいずれか1記載の薬物放出コーティング、または
パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択された治療剤、治療剤は、0.2ミクロン~10ミクロンの粒径を有し、
少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性または部分的に水不溶性の添加剤を含む第1の添加剤、および
第1の添加剤よりもより親和性またはより水溶性であって、ポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)-)またはポリグリセロール(-(CH2-CHOH-CH2O)-)単位を含む第2の添加剤、第2の添加剤は750~100,000の範囲の分子量を有する、またはその組合せ
を含む組成物
を含むバルーンカテーテルを提供する。
【0465】
実施態様71は、バルーンが、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルおよびポリアミドのブロック共重合体、ポリエーテルブロックアミド、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリエステルのブロック共重合体またはそれらの組合せを含む、実施態様70記載のバルーンカテーテルを提供する。
【0466】
実施態様72は、バルーンカテーテルが、身体内腔狭窄もしくは狭窄症に治療剤を送達するためにあり、身体内腔狭窄もしくは狭窄症が、尿道狭窄、前立腺尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、洞狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、膀胱頚部狭窄、胆管狭窄、膣狭窄、ステント内再狭窄、冠状動脈狭窄、表在性大腿動脈狭窄、膝窩動脈狭窄、前脛骨動脈狭窄、後脛骨動脈狭窄および腓骨動脈狭窄から選択される、実施態様70~71のいずれか1記載のバルーンカテーテルを提供する。
【0467】
実施態様73は、バルーンカテーテルが、身体内腔の標的部位に治療剤を送達するためにあり、身体内腔の標的部位が、尿道狭窄、前立腺尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、洞狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、膀胱頚部狭窄、胆管狭窄、膣狭窄、ステント内再狭窄、冠状動脈狭窄、表在性大腿動脈狭窄、膝窩動脈狭窄、前脛骨動脈狭窄、後脛骨動脈狭窄および腓骨動脈狭窄から選択される、実施態様70~72のいずれか1記載のバルーンカテーテルを提供する。
【0468】
実施態様74は、第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せが、治療剤を封入する、実施態様70~73のいずれか1記載のバルーンカテーテルを提供する。。
【0469】
実施態様75は、添加剤に封入された治療剤が、治療剤自体より大きな粒径を有する、実施態様74記載のバルーンカテーテルを提供する。
【0470】
実施態様76は、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径が、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある、実施態様74~75のいずれか1記載のバルーンカテーテルを提供する。
【0471】
実施態様77は、コーティング中の第1の添加剤が、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い融解温度を有する、実施態様70~76のいずれか1記載のバルーンカテーテルを提供する。
【0472】
実施態様78は、コーティング中の第1の添加剤が、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い結晶化度を有する、実施態様70~77のいずれか1記載のバルーンカテーテルを提供する。
【0473】
実施態様79は、コレステリル基を持つ第1の添加剤が、コレステロール、酢酸コレステリル、フェニル酢酸コレステリル、ラウリン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、n-吉草酸コレステリル、安息香酸コレステリル、ヘプチル酸コレステリル、デシル酸(decylate)コレステリル、カプロン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、炭酸コレステリルオレイル、リノール酸コレステリル、ペラルゴン酸コレステリル、エルカ酸コレステリル、カプリル酸コレステリル、5α-コレスタン、5α-コレスタン-3-オンおよびそれらの組合せから選択される、実施態様70~78のいずれか1記載のバルーンカテーテルを提供する。
【0474】
実施態様80は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基を含む第1の添加剤が、アルキルグリセリルエーテル、C812脂肪酸のモノグリセリド、アルキルアルコール、アルキルエーテル、アルキルエステル、カプリル酸、モノカプリリン、カプリン酸、モノカプリン、ラウリン酸、ドデシルグリセロール、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オクタデカトリエン酸、エイコサン酸、エイコセン酸、エイコサテトラエン酸、イコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、トコトリエノール、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、アルファリノレン酸、ガンマリノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、天然もしくは合成リン脂質、モノ-、ジ-、またはトリアシルグリセロール、カルディオリピン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、アルファトコフェロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン ホスファチジルグリセロール、スフィンゴ脂質、プロスタグランジン、ガングリオシド、ネオビー、ニオゾーム、それらの誘導体およびそれらの組合せから選択される、実施態様70~79のいずれか1記載のバルーンカテーテルを提供する。
【0475】
実施態様81は、第2の添加剤が、コレステリル-ポリエチレングリコール600セバケート、ポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケート、メチル化ポリエチレングリコールコレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコールコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエステルコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエーテルコレステロール(PEGコレステロール)、メチル化ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコール(PEG)-コレステリルセバケート、ポリエチレングリコールコレステロール、PEGアミドエステルコレステロール、PEGアミドエーテルコレステロール、mPEGアミドエステルコレステロール、DSPE-PEG-コレステロール、PEG化リン脂質、メチル化PEG化リン脂質、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、カプリル酸PEG、カプリン酸PEG、カプロン酸PEG、モノラウリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-20)、モノパルミチン酸PEG-20ソルビタン(Tween-40)、モノステアリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-60)、モノオレイン酸PEG-20ソルビタン(Tween-80)、ラウリン酸PEG、オレイン酸PEG、ステアリン酸PEG、ラウリン酸PEGグリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ポリグルセリル脂肪酸エステル、オレイン酸ポリグルセリル、ジオレイン酸ポリグルセリル-2、トリオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル、ミリスチン酸ポリグルセリル、パルミチン酸ポリグルセリル、リノール酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル-10、オレイン酸ポリグルセリル-10、モノ/ジオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-10、ラウリン酸ポリグルセリル-10、ミリスチン酸ポリグルセリル-10、パルミチン酸ポリグルセリル-10、リノール酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-6、ラウリン酸ポリグルセリル-6、ミリスチン酸ポリグルセリル-6、パルミチン酸ポリグルセリル-6、リノール酸ポリグルセリル-6およびそれらの組合せから選択される、実施態様70~80のいずれか1記載のバルーンカテーテルを提供する。
【0476】
実施態様82は、身体内腔狭窄もしくは狭窄症の標的部位に治療剤を送達するためのバルーンカテーテルであって、バルーンカテーテルが、
伸長したバルーン;および
バルーンの外表面に重なるコーティング層を含み、コーティング層が、
実施態様1~31のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子、または、
実施態様32~53のいずれか1記載の薬物放出コーティング、または、
パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択された治療剤、治療剤が0.2ミクロン~5ミクロンの粒径を有し、
第1の添加剤、および、
第2の添加剤、または、
それらの組合せ
を含む組成物を含み、
バルーンは、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルおよびポリアミドのブロック共重合体、ポリエーテルブロックアミド、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリエステルのブロック共重合体またはそれらの組合せを含み;
治療剤が結晶性、部分的に結晶性、またはそれらの組合せであり;
第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せが、治療剤を封入し、添加剤に封入された治療剤が、治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある;
第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、第1の添加剤が、50~750の分子量を有する;
コーティング中の第1の添加剤が、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い融解温度を有する;
コーティング中の第1の添加剤が、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い結晶化度を有する;
第2の添加剤が、第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、ポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)-)またはポリグリセロール(-(CH2-CHOH-CH2O)-)単位を含み、第2の添加剤が750~100,000の範囲の分子量を有し;
身体内腔狭窄もしくは狭窄症が、尿道狭窄、前立腺尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、洞狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、膀胱頚部狭窄、胆管狭窄、膣狭窄、ステント内再狭窄、冠状動脈狭窄、表在性大腿動脈狭窄、膝窩動脈狭窄、前脛骨動脈狭窄、後脛骨動脈狭窄および腓骨動脈狭窄から選択され;
コレステリル基を持つ第1の添加剤が、コレステロール、酢酸コレステリル、フェニル酢酸コレステリル、ラウリン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、n-吉草酸コレステリル、安息香酸コレステリル、ヘプチル酸コレステリル、デシル酸コレステリル、カプロン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、炭酸コレステリルオレイル、リノール酸コレステリル、ペラルゴン酸コレステリル、エルカ酸コレステリル、カプリル酸コレステリル、5α-コレスタン、5α-コレスタン-3-オンおよびそれらの組合せから選択され;
水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の、アルキル脂肪族基を持つ水不溶性の第1の添加剤が、アルキルグリセリルエーテル、C8~C12脂肪酸のモノグリセリド、アルキルアルコール、アルキルエーテル、アルキルエステル、カプリル酸、モノカプリリン、カプリン酸、モノカプリン、ラウリン酸、ドデシルグリセロール、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オクタデカトリエン酸、エイコサン酸、エイコセン酸、エイコサテトラエン酸、イコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、トコトリエノール、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、アルファリノレン酸、ガンマリノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、天然もしくは合成リン脂質、モノ-、ジ-、またはトリアシルグリセロール、カルディオリピン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、アルファトコフェロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン ホスファチジルグリセロール、スフィンゴ脂質、プロスタグランジン、ガングリオシド、ネオビー、ニオゾーム、それらの誘導体およびそれらの組合せから選択され、
水溶性の第2の添加剤が、コレステリル-ポリエチレングリコール600セバケート、ポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケート、メチル化ポリエチレングリコールコレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコールコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエステルコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエーテルコレステロール(PEGコレステロール)、メチル化ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコール(PEG)-コレステリルセバケート、ポリエチレングリコールコレステロール、PEGアミドエステルコレステロール、PEGアミドエーテルコレステロール、mPEGアミドエステルコレステロール、DSPE-PEG-コレステロール、PEG化リン脂質、メチル化PEG化リン脂質、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、カプリル酸PEG、カプリン酸PEG、カプロン酸PEG、モノラウリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-20)、モノパルミチン酸PEG-20ソルビタン(Tween-40)、モノステアリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-60)、モノオレイン酸PEG-20ソルビタン(Tween-80)、ラウリン酸PEG、オレイン酸PEG、ステアリン酸PEG、ラウリン酸PEGグリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ポリグルセリル脂肪酸エステル、オレイン酸ポリグルセリル、ジオレイン酸ポリグルセリル-2、トリオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル、ミリスチン酸ポリグルセリル、パルミチン酸ポリグルセリル、リノール酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル-10、オレイン酸ポリグルセリル-10、モノ/ジオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-10、ラウリン酸ポリグルセリル-10、ミリスチン酸ポリグルセリル-10、パルミチン酸ポリグルセリル-10、リノール酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-6、ラウリン酸ポリグルセリル-6、ミリスチン酸ポリグルセリル-6、パルミチン酸ポリグルセリル-6、リノール酸ポリグルセリル-6およびそれらの組合せから選択される、バルーンカテーテルを提供する。
【0477】
実施態様83は、消化身体内腔または胃腸管における狭窄の予防または処置のための方法であって、
非血管性狭窄を含む身体内腔の標的部位にバルーンカテーテルを挿入すること、バルーンカテーテルが、
伸長したバルーンおよび、
バルーンの外表面に重なるコーティング層を含み、コーティング層が、
実施態様1~31のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子、または、
実施態様32~53のいずれか1記載の薬物放出コーティング、または、
パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択された治療剤、治療剤が0.2ミクロンから10ミクロンの粒径を有し、
水不溶性または部分的に水不溶性の添加剤を含む第1の添加剤、および
第1の添加剤よりもより親和性またはより水溶性である第2の添加剤、または
それらの組合せ
を含む組成物を含み、
バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、非血管性狭窄の位置にて身体内腔の壁とコーティング層とを接触させるために標的部位にてバルーンを膨張させること;
膨張期間後にバルーンを圧縮させること;および
身体内腔からバルーンカテーテルを回収することを含み、
第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せが、治療剤を封入し、添加剤に封入された治療剤が治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある;
消化身体内腔または胃腸管における狭窄が、食道狭窄、アカラシア狭窄、胆道狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、回腸肛門J型嚢狭窄、大腸狭窄またはそれらの組合せを含む;および
消化身体内腔または胃腸管における狭窄が、好酸球性食道炎の食道狭窄、放射線誘発狭窄、クローン病誘発狭窄、潰瘍性大腸炎誘発狭窄、慢性炎症性腸疾患(IBD)誘発狭窄、外科的手術の吻合部狭窄またはそれらの組合せを含む、前記方法を提供する。
【0478】
実施態様84は、血管性身体内腔における狭窄もしくは狭窄症の予防または処置のための方法であって、
血管の狭窄もしくは狭窄症を含む身体内腔の標的部位にバルーンカテーテルを挿入すること、バルーンカテーテルは、
伸長したバルーン、および
バルーンの外表面に重なるコーティング層を含み、コーティング層は、
実施態様1~31のいずれか1記載のポリマー封入薬物粒子、または、
実施態様32~53のいずれか1記載の薬物放出コーティング、または、
パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せを含む治療剤、
第1の添加剤、および
第2の添加剤を含む組成物を含み、または、
それらの組合せを含み、
治療剤は、結晶性、部分的に結晶性、非晶性、部分的に非晶性、またはそれらの組合せであり、
治療剤の粒径は、0.2ミクロン~5ミクロンの範囲にあり、
第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せは、治療剤を封入し、添加剤に封入された治療剤は治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある;
第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、第1の添加剤は、50~750の分子量を有し、
コーティング中の第1の添加剤は、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い融解温度を有し、
コーティング中の第1の添加剤は、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い結晶化度を有し、
第2の添加剤は、第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、ポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)-)またはポリグリセロール(-(CH2-CHOH-CH2O)-)単位を含み、および
第2の添加剤の分子量は750~100,000の範囲にある;
バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、狭窄もしくは狭窄症の位置にて身体内腔の壁とコーティング層とを接触させるために標的部位にてバルーンを膨張させること;
膨張期間後にバルーンを圧縮させること;および
身体内腔からバルーンカテーテルを回収すること
を含む、血管性身体内腔、狭窄もしくは狭窄症の予防または処置のための方法を提供する。
【0479】
実施態様85は、
治療剤結晶の大部分が、0.2ミクロン~5.0ミクロンの粒径を有するように、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択された治療剤を処理すること;
治療剤が治療剤、第1の水不溶性添加剤および第2の水溶性添加剤と実質的に不溶性である流体を混合すること;および
バルーンカテーテルの外表面に混合物を適用すること、第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せは、治療剤を封入し、添加剤に封入された治療剤は、治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある、
を含む、被覆したバルーンカテーテルを調製する方法を提供する。
【0480】
実施態様86は、さらに、
バルーンカテーテルを膨張させること;
バルーンの表面を清浄化すること;および
バルーンがコーティング機の内部で水平に取付可能であり、固定速度で回転するように、バルーンを固定すること
を含むバルーンカテーテルを調製すること;
ノズルがバルーンを横切って横に移行する間、バルーンの表面上に混合物を分配すること;および
室温で、または室温より高くで溶媒を蒸発させるためにバルーンを回転させ続けること、を含む実施態様85記載の方法を提供する。
【0481】
実施態様87は、さらに、
バルーンカテーテルにひだをつけて折り重ねること;および
被覆したバルーンカテーテルを滅菌することを含む実施態様86記載の方法を提供する。
【0482】
実施態様88は、第1の添加剤が、コレステロール、酢酸コレステリル、フェニル酢酸コレステリル、ラウリン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、n-吉草酸コレステリル、安息香酸コレステリル、ヘプチル酸コレステリル、デシル酸コレステリル、カプロン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、炭酸コレステリルオレイル、リノール酸コレステリル、ペラルゴン酸コレステリル、エルカ酸コレステリル、カプリル酸コレステリル、5α-コレスタン、5α-コレスタン-3-オンおよびそれらの組合せから選択される、実施態様85~87のいずれか1記載の方法を提供する。
【0483】
実施態様89は、第1の添加剤が、アルキルグリセリルエーテル、C8~C12脂肪酸のモノグリセリド、アルキルアルコール、アルキルエーテル、アルキルエステル、カプリル酸、モノカプリリン、カプリン酸、モノカプリン、ラウリン酸、ドデシルグリセロール、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オクタデカトリエン酸、エイコサン酸、エイコセン酸、エイコサテトラエン酸、イコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、トコトリエノール、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、アルファリノレン酸、ガンマリノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、天然もしくは合成リン脂質、モノ-、ジ-、またはトリアシルグリセロール、カルディオリピン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、アルファトコフェロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン ホスファチジルグリセロール、スフィンゴ脂質、プロスタグランジン、ガングリオシド、ネオビー、ニオゾーム、それらの誘導体およびそれらの組合せから選択される、実施態様85~88のいずれか1記載の方法を提供する。
【0484】
実施態様90は、水溶性の第2の添加剤が、コレステリル-ポリエチレングリコール600セバケート、ポリオキシエタニルα-トコフェリルセバケート、メチル化ポリエチレングリコールコレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコールコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエステルコレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコールエーテルコレステロール(PEGコレステロール)、メチル化ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(mPEGコレステロール)、ポリエチレングリコール-アミド-コレステロール(PEGコレステロール)、ポリエチレングリコール(PEG)-コレステリルセバケート、ポリエチレングリコールコレステロール、PEGアミドエステルコレステロール、PEGアミドエーテルコレステロール、mPEGアミドエステルコレステロール、DSPE-PEG-コレステロール、PEG化リン脂質、メチル化PEG化リン脂質、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、カプリル酸PEG、カプリン酸PEG、カプロン酸PEG、モノラウリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-20)、モノパルミチン酸PEG-20ソルビタン(Tween-40)、モノステアリン酸PEG-20ソルビタン(Tween-60)、モノオレイン酸PEG-20ソルビタン(Tween-80)、ラウリン酸PEG、オレイン酸PEG、ステアリン酸PEG、ラウリン酸PEGグリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ポリグルセリル脂肪酸エステル、オレイン酸ポリグルセリル、ジオレイン酸ポリグルセリル-2、トリオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル、ミリスチン酸ポリグルセリル、パルミチン酸ポリグルセリル、リノール酸ポリグルセリル、ラウリン酸ポリグルセリル-10、オレイン酸ポリグルセリル-10、モノ/ジオレイン酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-10、ラウリン酸ポリグルセリル-10、ミリスチン酸ポリグルセリル-10、パルミチン酸ポリグルセリル-10、リノール酸ポリグルセリル-10、ステアリン酸ポリグルセリル-6、ラウリン酸ポリグルセリル-6、ミリスチン酸ポリグルセリル-6、パルミチン酸ポリグルセリル-6、リノール酸ポリグルセリル-6およびそれらの組合せから選択される、実施態様85~89のいずれか1記載の方法を提供する。
【0485】
実施態様91は、
プレミックスを形成するために、水、水混和性溶媒、治療剤および水溶性添加剤を混合すること;
治療剤の粒径を低下させるためにプレミックスを処理すること;
第2のプレミックスを形成するために、不溶性水添加剤、水溶性添加剤、水、および水混和性溶媒を混合すること;
コーティング溶液を形成するために、第2のプレミックスを第1の処理されたプレミックスと混合すること;
治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択される;
治療剤は、結晶性、部分的に結晶性またはそれらの組合せである;
コーティング溶液は治療剤の水性懸濁液である;
治療剤の粒径は、0.2ミクロン~5ミクロンの範囲にある;
第1の添加剤、第2の添加剤またはそれらの組合せは、治療剤を封入し、添加剤に封入された治療剤は、治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある;
処理は、顕微溶液化、均質化、ロータースターターミリング、高低エネルギービードミリング、または高性能超音波プローブ均質化の1つである;
第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、第1の添加剤は、50~750の分子量を有する;
コーティング中の第1の添加剤は、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い融解温度を有する;
コーティング中の第1の添加剤は、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い結晶化度を有する;および
第2の添加剤は第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、ポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)-)またはポリグリセロール(-(CH2-CHOH-CH2O)-)単位を含み、第2の添加剤は750~100,000の範囲の分子量を有する、
ことを含む、薬物コーティング溶液を調製する方法を提供する。
【0486】
実施態様92は、
プレミックスを形成するために、水、水混和性溶媒、治療剤および水溶性添加剤を混合すること;
治療剤の粒径を低下させるためにプレミックスを処理すること;
第2のプレミックスを形成するために、不溶性水添加剤、水溶性添加剤、水、および水混和性溶媒を混合すること;
コーティング溶液を形成するために、第2のプレミックスを第1の処理されたプレミックスと混合すること;
治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、mTOR阻害剤、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ウミロリムス、それらのアナログおよびそれらの組合せから選択される;
治療剤は、結晶性、部分的に結晶性、非晶性、部分的に非晶性、またはそれらの組合せである;
コーティング溶液は治療剤の水性懸濁液である;
コーティング溶液での治療剤の粒径は、0.2ミクロン~5ミクロンの範囲にある;
水溶性添加剤、水不溶性の添加剤またはそれらの組合せは、治療剤を封入し、添加剤に封入された治療剤は、治療剤自体より大きな粒径を有し、コーティング中の添加剤に封入された治療剤の粒径は、0.3ミクロン~10ミクロンの範囲にある;
第1の添加剤は、少なくとも1つのアルキル脂肪族基またはコレステリル基を含む水不溶性またはわずかにもしくは部分的に水不溶性の添加剤を含み、第1の添加剤は、50~750の分子量を有する;
コーティング中の第1の添加剤は、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い融解温度を有する;
コーティング中の第1の添加剤は、その純粋な形態の第1の添加剤のものより低い結晶化度を有する;
第2の添加剤は第1の添加剤よりもより親水性またはより水溶性であり、ポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)-)またはポリグリセロール(-(CH2-CHOH-CH2O)-)単位を含み、第2の添加剤は750~100,000の範囲の分子量を有することを含む水性懸濁コーティング溶液を調製すること;
バルーンカテーテルを膨張させること;
バルーンの表面を清浄化すること;および
コーティング機の内部でバルーンを水平に取り付けることができ、固定速度で回転することができるように、バルーンを固定すること;
ノズルがバルーンを横切って横に移行する間、バルーンの表面上にコーティング溶液を分配すること;および
室温で、または室温より高くで溶媒を蒸発させるためにバルーンを回転させ続けること;
バルーンカテーテルにひだをつけて折り重ねること;および
被覆したバルーンカテーテルを滅菌すること
を含むバルーンカテーテルを調製すること
を含む、バルーンカテーテルを被覆する方法を提供する。
【0487】
実施態様93は、
心臓弁の標的部位に実施態様31~53のいずれか1記載のバルーンまたはステントを挿入すること;
バルーンが膨張期間の膨張したバルーン直径を達成するまで、身体内腔の壁とコーティング層とを接触させ、心臓弁狭窄を拡張するために標的部位にてバルーンを膨張させること;
膨張期間後にバルーンを圧縮させること;および
身体内腔からバルーンカテーテルを回収すること
を含む、狭窄した心臓弁の処置または予防のための方法を提供する。
【0488】
実施態様94は、記載された要素またはオプションのすべてが使用するかまたは選択するのに利用可能なように所望により構成された、実施態様1~93のいずれかのポリマー封入ポリマー粒子、薬物放出コーティング、バルーンカテーテル、方法または組合せを提供する。
【国際調査報告】