(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-07
(54)【発明の名称】突極型ハイブリッド励磁モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 21/14 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
H02K21/14 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576575
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 CN2022077377
(87)【国際公開番号】W WO2022105947
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】202210042232.8
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507362513
【氏名又は名称】浙江吉利控股集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GEELY HOLDING GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】1760 Jiangling Road, Binjiang District, Hangzhou Zhejiang (CN)
(71)【出願人】
【識別番号】522335125
【氏名又は名称】无錫星駆科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】張 勝川
(72)【発明者】
【氏名】熊 学波
(72)【発明者】
【氏名】方 亮
(72)【発明者】
【氏名】韓 韜
(72)【発明者】
【氏名】于 海生
(72)【発明者】
【氏名】譚 艶軍
(72)【発明者】
【氏名】林 霄▲ヅ▼
(72)【発明者】
【氏名】王 瑞平
(72)【発明者】
【氏名】肖 逸閣
【テーマコード(参考)】
5H621
【Fターム(参考)】
5H621AA03
5H621BB02
5H621BB07
5H621PP10
(57)【要約】
モータの分野に属する突極型ハイブリッド励磁モータであって、突極型ハイブリッド励磁モータは回転子ユニットを含み、回転子ユニットは、径方向突極を有し、環状に形成されて透磁ヨークに設置される電磁回転子と、電磁回転子の一方側に取り付けられる永久磁石回転子と、を含み、永久磁石回転子の電磁回転子とは反対側に取り付けられ、電磁回転子の径方向突極と間隔を空けて配置される軸方向突極ブロックを備え、複数の軸方向突極ブロックは、電磁回転子の複数の径方向突極と対応し、軸方向突極ブロックと電磁回転子の径方向突極とに対応する永久磁石電磁鋼の極性が逆である。本発明は、電気励磁と永久磁石励磁との共同作用により、通電した場合、電気励磁磁界の方向及び大きさを変えることで、モータのエアギャップ磁界を調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
突極型ハイブリッド励磁モータであって、
固定子ユニットと、回転子ユニットとを含み、
前記固定子ユニットは、前記回転子ユニットが配置される固定子キャビティを有し、
前記回転子ユニットは、
透磁ヨークと、
環状に形成されて前記透磁ヨークに設置され、環状の外周面に径方向に突出する複数の径方向突極が間隔を空けて設けられた電磁回転子と、
前記透磁ヨークに設置され、前記電磁回転子の一方側に設けられた少なくとも1組の永久磁石回転子と、を含み、
各組の前記永久磁石回転子は、
環状に形成されて前記透磁ヨークに設置され、複数の永久磁石電磁鋼が取り付けられる永久磁石回転子鉄芯と、
前記電磁回転子の複数の径方向突極に対応して前記永久磁石回転子鉄芯の外側に取り付けられた複数の軸方向突極ブロックと、を含み、
複数の前記軸方向突極ブロックは、それぞれ前記電磁回転子の複数の径方向突極と間隔を空けて前記電磁回転子の複数の径方向突極に対応して配置され、前記軸方向突極ブロックと前記電磁回転子の径方向突極とに対応する永久磁石電磁鋼の極性が逆である、
突極型ハイブリッド励磁モータ。
【請求項2】
2組の前記永久磁石回転子と、2組の前記軸方向突極ブロックとを含み、
2組の前記永久磁石回転子は、前記透磁ヨークに設置され、かつ、それぞれ前記電磁回転子の両側に設けられ、
2組の前記軸方向突極ブロックは、それぞれ前記2組の永久磁石回転子の反対側の端部に設けられる、
請求項1に記載の突極型ハイブリッド励磁モータ。
【請求項3】
前記永久磁石回転子鉄芯の前記軸方向突極ブロックに近い一端に、間隔を空けた複数の位置決め溝が設けられ、片側の前記軸方向突極ブロックの数は前記位置決め溝の数と同じであり、前記軸方向突極ブロックは前記位置決め溝に対応して取り付けられ、少なくとも前記軸方向突極ブロックの一部は前記位置決め溝内に位置し、
前記永久磁石回転子鉄芯には、前記永久磁石電磁鋼を取り付けるための貫通孔が設けられ、前記位置決め溝は前記永久磁石回転子鉄芯の外周面と前記貫通孔との間に位置する、
請求項2に記載の突極型ハイブリッド励磁モータ。
【請求項4】
前記径方向突極の数、片側の前記軸方向突極ブロックの数は、前記永久磁石回転子の極対数と同じである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の突極型ハイブリッド励磁モータ。
【請求項5】
エンドキャップをさらに含み、
前記エンドキャップは、前記回転子ユニットの両端に配置され、溝付きの透磁リングが設けられ、前記溝内に励磁ユニットが配置される、
請求項4に記載の突極型ハイブリッド励磁モータ。
【請求項6】
前記励磁ユニットは、励磁コイルとコイルホルダとを含み、前記コイルホルダに前記励磁コイルを取り付けるためのホルダ溝が設けられる、
請求項5に記載の突極型ハイブリッド励磁モータ。
【請求項7】
前記固定子ユニットは、固定子巻線と固定子鉄芯とを含み、
前記固定子キャビティは、第1キャビティと第2キャビティを含み、前記固定子鉄芯は第1キャビティを囲って形成し、前記固定子巻線は第2キャビティを囲って形成し、前記固定子鉄芯は、前記固定子巻線を支持し、前記固定子ユニットの軸方向に沿って、前記電磁回転子及び少なくとも前記永久磁石回転子の一部は前記第1キャビティに配置され、少なくとも片側の前記励磁ユニットの少なくとも一部は前記第2キャビティに配置される、
請求項5に記載の突極型ハイブリッド励磁モータ。
【請求項8】
前記励磁ユニットのそれぞれは、固定子巻線の軸方向最外端を越えておらず、前記コイルホルダの最外端は固定子巻線の軸方向最外端を越えていない、
請求項6に記載の突極型ハイブリッド励磁モータ。
【請求項9】
前記透磁リングの径方向外側部のうち前記回転子ユニットに面する軸方向端面は、前記軸方向突極ブロックの軸方向端面に対向して設けられ、かつ、両者の間に第1の軸方向補助エアギャップが存在する、
請求項6に記載の突極型ハイブリッド励磁モータ。
【請求項10】
前記透磁リングの径方向内側部のうち前記回転子ユニットに面する軸方向端面は、前記透磁ヨークの端面に対向して設けられ、かつ、両者の間に第2の軸方向補助エアギャップが存在する、
請求項8に記載の突極型ハイブリッド励磁モータ。
【請求項11】
前記電磁回転子の前記径方向突極はN極、前記軸方向突極ブロックはS極であり、前記軸方向突極ブロックは前記永久磁石電磁鋼のN極に対向して設けられる、
請求項9又は10に記載の突極型ハイブリッド励磁モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータの分野に関し、特に突極型ハイブリッド励磁モータに関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石モータは、高トルク密度、高効率、軽量・小型化などの特徴のため、ますます重要視され、各分野で広く利用されている。しかし、永久磁石モータのエアギャップ磁界は、永久磁石電磁鋼と磁気回路のパーミアンスによって決定され、ほぼ一定に保たれ、調整が困難である。これにより、永久磁石モータの更なる発展と応用が制限されている。
【0003】
永久磁石モータに比べて、電気励磁モータは制御が簡単であり、振動に強く、組み立てが容易であり、励磁電流を制御することで磁界の強さを制御して、速度を調整する目的を達成することができる。これは(直流)励磁モータに固有の優位性でもある。励磁モータは高い技術で制御されるので、信頼性が高く、通常、大電力の場合に使用される。しかしながら、励磁モータは、構造が複雑で、製造工程が厳密であり、小型化、省エネ化や操作の容易化が実現できず、省エネ効果と生産コストの点で依然として課題がある。
【0004】
ハイブリッド励磁モータは、永久磁石モータの高効率、高出力密度などの多くの特徴を有するだけでなく、以下の電気励磁モータの優位性も併せ持っている。モータのエアギャップ磁界はスムーズに調整可能である。電気操作の場合、始動トルクが大きく、速度調整範囲が広いという利点がある。発電時には、幅広い電圧調整能力や、広範囲の可変速定電圧出力能力を有する。ハイブリッド励磁モータは、磁界調整が可能で、トルク密度が高く、効率が高いなどの利点があるため、特に定電力、広い速度調整及び定電圧発電などの場合に適しており、航空・宇宙、風力発電、電気自動車などの分野での将来性が期待できる。しかし、現在のハイブリッド励磁モータは種類が少なく、応用範囲が限られているため、使用範囲を広げたハイブリッド励磁モータを提供することが期待されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の1つは、ハイブリッド励磁モータの使用範囲を広げ、モータのエアギャップ磁界を調整可能なものとする突極型ハイブリッド励磁モータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
回転子ユニットを含み、
前記回転子ユニットは、
透磁ヨークと、
環状に形成されて前記透磁ヨークに設置され、環状の外周面に径方向に突出する複数の径方向突極が間隔を空けて設けられた電磁回転子と、
前記透磁ヨークに設置され、前記電磁回転子の一方側に設けられた少なくとも1組の永久磁石回転子と、を含み、
各組の前記永久磁石回転子は、
環状に形成されて前記透磁ヨークに設置され、複数の永久磁石電磁鋼が取り付けられ、間隔を空けた複数の位置決め溝が設けられた永久磁石回転子鉄芯と、
前記電磁回転子の複数の径方向突極に対応して前記永久磁石回転子鉄芯の外側に取り付けられた複数の軸方向突極ブロックと、を含み、
複数の前記軸方向突極ブロックは、それぞれ前記電磁回転子の複数の径方向突極と間隔を空けて前記電磁回転子の複数の径方向突極に対応して配置され、前記軸方向突極ブロックと前記電磁回転子の径方向突極とに対応する永久磁石電磁鋼の極性が逆である、
突極型ハイブリッド励磁モータを提供する。
【0007】
さらに、前記突極型ハイブリッドレジモータは、2組の前記永久磁石回転子と、2組の前記軸方向突極ブロックとを含み、2組の前記永久磁石回転子は前記透磁ヨークに設置され、かつ、それぞれ前記電磁回転子の両側に設けられ、2組の前記軸方向突極ブロックはそれぞれ前記2組の永久磁石回転子の反対側の端部に設けられる。
【0008】
さらに、前記永久磁石回転子鉄芯の軸方向突極ブロックに近い一端に、間隔を空けた複数の位置決め溝が設けられ、片側の前記軸方向突極ブロックの数は前記位置決め溝の数と同じであり、前記軸方向突極ブロックは前記位置決め溝に対応して取り付けられ、少なくとも前記軸方向突極ブロックの一部は前記位置決め溝内に位置し、
前記永久磁石回転子鉄芯には、前記永久磁石電磁鋼を取り付けるための貫通孔が設けられ、前記位置決め溝は前記回転子永久磁石鉄芯の外周面と前記貫通孔との間に位置する。
【0009】
さらに、前記径方向突極の数、片側の前記軸方向突極ブロックの数は、前記永久磁石回転子の極対数と同じである。
【0010】
さらに、前記モータはエンドキャップをさらに含み、前記エンドキャップは前記回転子ユニットの両端に配置され、溝付きの透磁リングが設けられ、前記溝内に励磁ユニットが設けられる。
【0011】
さらに、前記励磁ユニットは励磁コイルとコイルホルダを含み、前記コイルホルダに前記励磁コイルを取り付けるためのホルダ溝が設けられる。
【0012】
さらに、固定子巻線と固定子鉄芯とを含む固定子ユニットを備え、前記固定子キャビティは第1キャビティと第2キャビティを含み、前記固定子鉄芯は第1キャビティを囲って形成し、前記固定子巻線は第2キャビティを囲って形成し、前記固定子鉄芯は前記固定子巻線を支持し、前記固定子ユニットの軸方向に沿って、前記電磁回転子及び少なくとも前記永久磁石回転子の一部は前記第1キャビティに配置され、少なくとも片側の前記励起ユニットの少なくとも一部は前記第2キャビティに配置される。
【0013】
さらに、前記励磁ユニットのそれぞれは固定子巻線の軸方向最外端を越えておらず、前記コイルホルダの最外端は固定子巻線の軸方向最外端を越えていない。
【0014】
さらに、前記透磁リングの径方向外側部のうち前記回転子ユニットに面する軸方向端面は、前記軸方向突極ブロックの軸方向端面に対向して設けられ、かつ、両者の間に第1の軸方向補助エアギャップが存在する。
【0015】
さらに、前記透磁リングの径方向内側部のうち前記回転子ユニットに面する軸方向端面は、前記透磁ヨークの端面に対向して設けられ、かつ、両者の間に第2の軸方向補助エアギャップが存在する。
【0016】
さらに、前記電磁回転子の径方向突極はN極、軸方向突極ブロックはS極であり、前記軸方向突極ブロックは前記永久磁石体のN極に対向して設けられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、電気励磁と永久磁石励磁との共同作用により、通電した場合、電気励磁磁界の方向及び大きさを変えることで、モータのエアギャップ磁界を調整する。本発明では、軸方向突極ブロックと電磁回転子の径方向突極とにより回転子ユニットの両突極が形成されることによって、モータの永久磁石励磁に加えて、モータの電磁励磁が達成され、永久磁石励磁と電磁励磁とを組み合わせることで、永久磁石モータの一連の利点を維持しながら、電気励磁モータの磁界をスムーズに調整可能なものとし、これにより、モータの適用範囲と使用条件を拡大する。
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。これによって、当業者は本発明の上記及び他の目的、利点や特徴をより理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明のいくつかの具体的な実施形態を例示的かつ非限定的に説明する。図面においては、同一の図面の符号は同一又は類似の部材又は部分を表す。当業者にとって明らかなように、これらの図面は、実際の縮尺で作成されていることに限定されない。
【
図1】本発明の一実施形態に係る二重突極型ハイブリッド励磁モータの構造を示す分解図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る二重突極型ハイブリッド励磁モータの回転子ユニットの構造を示す分解図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る二重突極型ハイブリッド励磁モータの構造を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る二重突極型ハイブリッド励磁モータの励磁ユニットの構造を示す分解図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る二重突極型ハイブリッド励磁モータの固定子ユニットの構造を示す概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る二重突極型ハイブリッド励磁モータの磁気回路の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の第一実施形態に係る二重突極型ハイブリッド励磁モータの構造を示す分解図である。
図2は、本発明の第一実施形態に係る突極型ハイブリッド励磁モータの回転子ユニットの構造を示す分解図である。本発明の第一実施形態では、
図1及び
図2に示すように、主として第1励磁ユニット1、回転子ユニット2、固定子ユニット3及び第2励磁ユニット4を含む、突極型ハイブリッド励磁モータを提供する。回転子ユニット2は、固定子ユニット3内に取り付けられ、第1励磁ユニット1及び第2励磁ユニット4は、固定子ユニット3の両端に配置されて、回転子ユニット2に電気的励磁を提供する。これにより、ハイブリッド励磁モータのモータエアギャップ磁界はスムーズに調整可能になる。もちろん、いくつかの実施例では、1組の励磁ユニット、例えば第1励磁ユニット1及び第2励磁ユニット4のうちのいずれかのみを含んでもよく、このとき、第1励磁ユニット1及び第2励磁ユニット4のうちのいずれかは、固定子ユニット3の両端のうちの一方に配置し、励磁ユニットの数と回転子ユニットの永久磁石回転子の数は対応関係にあり、例えば、励磁ユニットの数と回転子ユニットの永久磁石回転子の数は同じである。
【0021】
ここで、回転子ユニット2は、軸方向突極ブロック20、電磁回転子22、永久磁石回転子21及び透磁ヨーク23を主に含む。電磁回転子22は環状構造であり、透磁ヨーク23上に設置される。電磁回転子22の環状外周面には、外側へ突出する複数の径方向突極220が間隔を空けて設けられ、径方向突極220は回転子ユニットの径方向に延びている。永久磁石回転子21は透磁ヨーク23上に設置される。本実施形態では、永久磁石回転子21は2つである。2つの永久磁石回転子21は、それぞれ電磁回転子22の両側に設けられた状態で電磁回転子22に密着している。永久磁石回転子21は、永久磁石回転子鉄芯210と永久磁石電磁鋼211とを含む。永久磁石電磁鋼211は、永久磁石回転子鉄芯210内の貫通孔2102に挿入され、永久磁石回転子鉄芯210とともに永久磁石回転子21を構成する。また、永久磁石回転子鉄芯210には、軸方向突極ブロック20を取り付けるための間隔を空けた複数の位置決め溝2101がさらに形成されている。軸方向突極ブロック20は、回転子ユニットの軸方向に沿って延びており、電磁回転子22の径方向突極220と協働して電磁回転子22の電磁磁極を形成する。軸方向突極ブロック20と径方向突極220との間に形成される溝は、軸方向に整列して、完全な電磁経路を形成する。
【0022】
本実施形態例では、軸方向突極ブロック20と電磁回転子22の径方向突極220とにより二重回転子ユニット2の二重突極が形成されることによって、モータの永久磁石励磁に加えて、モータの電磁励磁が達成される。、永久磁石励磁と電磁励磁とを組み合わせることで、永久磁石モータの一連の利点を維持しながら、電気励磁モータの磁界をスムーズに調整可能なものとしている。、これにより、モータの適用範囲と使用条件を拡大できる。本実施形態では、回転子ユニットは、2つの永久磁石回転子を含み、2つの永久磁石回転子は1つの電磁回転子22を共用している。2つの永久磁石回転子の一端は、電磁回転子に接触し、2つの永久磁石回転子の他端には1組の軸方向突極ブロックが設けられる。本実施形態では、回転子ユニット2は三突極構造であり、三突極のうち、電磁回転子22の径方向突極220は回転子ユニットの径方向に延びており、2組の軸方向突極ブロックは回転子ユニットの軸方向に延びている。
【0023】
さらに、第1励磁ユニット1と第2励磁ユニット4によって、励磁ユニットがモータの両側のエンドキャップに設けられることにより、ブラシやスリップリング装置が不要になり、モータの信頼性や耐用年数がさらに確保される。
【0024】
一実施形態では、
図2に示すように、永久磁石回転子21の永久磁石回転子鉄芯210に複数の位置決め溝2101が設けられ、位置決め溝2101の形状は、軸方向における軸方向突極ブロック20の形状に対応しており、さらに、位置決め溝2101の外側に貫通孔2102が設けられ、永久磁石電磁鋼211は貫通孔2102を介して永久磁石回転子鉄芯210に取り付けられる。ここで、軸方向突極ブロック20は、永久磁石回転子鉄芯210の電磁回転子22とは反対側、即ち、永久磁石回転子鉄芯210の外側に設けられる。
【0025】
なお、本実施形態では、永久磁石電磁鋼211の形状は限定されるものではなく、実際の状況に応じて決定すればよく、「一」字形状、「V」字形状、「VV」字形状、「U」字形状などの様々な形状としてもよい。また、貫通孔2102の形状も限定されるものではなく、永久磁石電磁鋼211に適合すればよい。
【0026】
さらなる実施形態では、
図2に示すように、電磁回転子22の径方向突極220の数は永久磁石回転子21の極対数に関連しており、径方向突極220の数は永久磁石回転子21の極対数以下である。径方向突極220と軸方向突極ブロック20とは互いに対応しているので、径方向突極220の数と片側の軸方向突極ブロック20の数は同じである。
【0027】
一実施形態では、
図4に示すように、モータの両端のそれぞれにエンドキャップがさらに設けられ、それぞれのエンドキャップには励磁ユニットがさらに設けられる。本実施形態では、第1励磁ユニット1を例にして説明すると、第1励磁ユニット1は主に透磁リング10、励磁コイル11及びホルダ13を含む。ホルダ13には、励磁コイル11を取り付けるためのホルダ溝12が設けられる。一方、透磁リング10には溝14が設けられており、溝14により透磁リング10は、径方向においてそれぞれ溝14の外側に位置する径方向外側部と、溝14の内側に位置する径方向内側部とに分けられる。励磁コイル11がホルダ溝12に取り付けられた後に、ホルダ13全体及び励磁コイル11を溝14に配置し、最後に、第1励磁ユニット1をエンドキャップ内に取り付けて、回転子ユニット2の一方の側に取り付けられる。
【0028】
第2励磁ユニット4は、第1励起ユニット1と同様の構成であるので、ここでは詳細は説明しないが、第2励磁ユニット4と第1励磁ユニット1はそれぞれ、回転子ユニット2に電気励磁を提供するために、固定子ユニット3の両側に取り付けられる。
【0029】
さらに、
図3に示すように、固定子ユニット3は、固定子鉄芯31と固定子巻線30を含む。固定子ユニット3の内部には固定子キャビティ32がさらに形成され、固定子キャビティ32は第1キャビティ321と第2キャビティ322を含む。これらのうち、第1キャビティ321は固定子鉄芯31により囲まれて形成され、第2キャビティ322は固定子巻線30により囲まれて形成され、固定子鉄芯31は固定子巻線30を支持する。固定子ユニット3の軸方向から見ると、電磁回転子22及び少なくとも永久磁石回転子21の一部は、第1キャビティ321内に配置され、第1励磁ユニット1及び第2励磁ユニット4のうち少なくとも一方の励磁ユニットの少なくとも一部は、第2キャビティ322の内部に配置される。一実施形態では、電磁回転子22及び永久磁石回転子21は第1キャビティ321の内部に位置し、軸方向突極ブロック20は第2キャビティ322の内部に位置し、第1励磁ユニット1及び第2励磁ユニット4は少なくとも部分的に第2キャビティ322の内部に位置する。
【0030】
本実施形態では、回転子ユニット2の両側に励磁ユニットが設けられることによって、回転子ユニット2に電気励磁を提供する一方、従来のモータのブラシシステムやスリップリング装置が省略され、これにより、モータの信頼性が向上し、耐用年数が長くなり、モータのメンテナンス費用が削減される。さらに、軸方向突極と径方向突極による複合突極構造を採用し、励磁ユニットの両端を固定子ユニット3の内部に設けることにより、固定子巻線30の端部の下方の空間が活用され、モータ全体の小型化が図られるとともに、モータの電力密度及びトルク密度の向上に有利である。
【0031】
さらに、電磁回転子22はケイ素鋼板を積層して作ることもでき、また、軟磁性複合材料を直接プレス成形することもでき、簡単かつ簡便に製造することができて低コストである。透磁ヨーク23、スロット14付き透磁リング10、軸方向突極ブロック20のいずれも軟磁性複合材料を直接プレス成形したものであり、同様に、簡単かつ簡便に製造することができ、低コストであり、かつ、軟磁性複合材料は、高周波での鉄損が低く、高速での運転効率向上に有利である。
【0032】
さらなる実施形態では、
図3に示すように、透磁リング10の径方向の外側部の高さが軸方向突極ブロック20の高さに対応し、透磁リング10の径方向の外側部のうち回転子ユニット2に面する軸方向端面は、軸方向突極ブロック20の軸方向端面に対向して設けられ、かつ、両者の間に第1の軸方向補助エアギャップ5が存在する。
【0033】
さらに、透磁リング10の径方向の内側部のうち回転子ユニット2に面する軸方向端面は、透磁ヨーク23の端面に対向して設けられ、かつ、両者の間に第2の軸方向補助エアギャップ6が存在する。
【0034】
この実施形態では、第1の軸方向補助エアギャップ5及び第2の軸方向補助エアギャップ6により、完全な磁気回路が構成される。
【0035】
本発明では、説明や理解のし易さから、径方向突極220がN極に相当し、軸方向突極ブロック20がS極に相当するものとする。
【0036】
図7及び
図8に示すように、励磁巻線コイル11に通電しない場合、永久磁石電磁鋼211によって生成される磁束の一部は、永久磁石電磁鋼のN極から出発し、メインエアギャップ8、固定子歯部、固定子ヨーク部、隣接する固定子歯部、メインエアギャップ8を経て、隣接するS極に到達してから、回転子ヨーク部を経て、磁気回路閉ループが構成される。磁束の他の一部は、永久磁石電磁鋼211のN極から出発し、電磁回転子22、透磁ヨーク23、第2の軸方向補助エアギャップ、溝14付きの透磁リング10の内側、溝14付きの透磁リング10の外側、第1の軸方向補助エアギャップ、軸方向突極ブロック20を経て、隣接するS極に到達してから、回転子ヨーク部を経て、磁気回路閉ループが構成される。以上より、第1部分の磁気回路はメインエアギャップを通過して、外部に対して出力トルクを発生させ、第2部分の磁気回路は補助エアギャップを経て閉じられて、メインエアギャップを通過しておらず、漏れ磁束部分となり、外部に仕事をしない。
【0037】
図6及び
図8に示すように、励磁巻線コイル11に通電し、かつ、電磁回転子22の径方向突極220をN極とした場合、増磁作用が発揮され、つまり、電気励磁による磁束が、第2の軸方向補助エアギャップ、透磁ヨーク23、電磁回転子22の径方向突極220、メインエアギャップ8、固定子歯部、固定子ヨーク部、固定子歯部、メインエアギャップ8、隣接するS極、軸方向突極ブロック20、第1の軸方向補助エアギャップ5、溝14付きの透磁リング10の外側、溝14付きの透磁リング10の内側を経て、閉回路が形成される。この場合、電磁回転子22の径方向突極220部分はN極となり、永久磁石電磁鋼のN極に並列接続されて、両者ともにメインエアギャップにエネルギーを出力する。
【0038】
図6、
図7及び
図8に示すように、励磁巻線コイル11に逆電流を流し、かつ、電磁回転子22の径方向突極220をS極とする場合、減磁作用が発揮し、永久磁石電磁鋼210のN極による磁束が、電磁回転子22の径方向突極220、透磁ヨーク23、第2の軸方向補助エアギャップ、スロット14付き透磁リング10の内側、スロット14付き透磁リング10の外側、第1の軸方向補助エアギャップ、軸方向突極ブロック20、永久磁石回転子のS極、回転子ヨーク部を経て、閉回路が形成される。これにより、永久磁石電磁鋼210の磁束はほとんどメインエアギャップを通過しない。
【0039】
上述した励磁巻線コイルへの通電により、メインエアギャップ磁界の調整が行われる。本発明の軸方向・径方向複合突極型ハイブリッド励磁モータでは、励磁用永久磁石電磁鋼と励磁用電流との2種の励磁源が使用されることによって、エアギャップ磁界の調整と制御を実現し、低速の場合、励磁電流は支援磁力を供給し、低速の場合の出力トルクを向上させるのに寄与し、高速の場合、励磁電流は弱い磁力を供給し、モータの運転範囲の改善に寄与し、調整可能な速度範囲を広げて運転させる。
【0040】
以上より、当業者が理解できるように、本明細書では、本発明の複数の例示的な実施例を示して説明したが、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り、本発明の開示内容から本発明の原理を満たす多くの他の変形や修正を直接決定又は推定することができる。このため、本発明の範囲はこれらの全ての他の変形や修正を含むものと理解されかつ見なされるべきである。
【符号の説明】
【0041】
1 第1励磁ユニット
10 透磁リング
11 励磁コイル
12 ホルダ溝
13 ホルダ
14 溝
2 回転子ユニット
20 軸方向突極ブロック
21 永久磁石回転子
210 永久磁石回転子鉄芯
2101 位置決め溝
2102 貫通孔
211 永久磁石電磁鋼
22 電磁回転子
220 径方向突極
23 透磁ヨーク
3 固定子ユニット
30 固定子巻線
31 固定子鉄芯
4 第2励磁ユニット
5 第1の軸方向補助エアギャップ
6 第2の軸方向補助エアギャップ
8 メインエアギャップ
【国際調査報告】