(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-10
(54)【発明の名称】点字タブレット用ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G09B 21/00 20060101AFI20230403BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20230403BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
G09B21/00 C
G06F3/01 560
G06F3/044
G06F3/01 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550230
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 US2021018887
(87)【国際公開番号】W WO2021168333
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501214133
【氏名又は名称】フリーダム サイエンティフィック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】コナード、トッド
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ワイズ、カール エドウィン
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA08
5E555BB08
5E555BC08
5E555BE08
5E555CA12
5E555CB12
5E555DA25
5E555FA00
(57)【要約】
改良された点字ディスプレイを有するタブレットを開示する。点字ディスプレイは6又は8ピンセルの選択的使用を可能にするピンアレイを採用する。これは各セルに隣接したピン対がオフ又はオンにされることにより成し遂げられる。ピンの間隔は容量性センサが各点字セルに隣接して位置することもまた可能にする。それらのセンサはディスプレイ上のユーザーの指の位置を決定するように用いられる。ピン間隔はテキストに加え幾何学的な形状が生成されることをさらに可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改良された触覚ディスプレイを有する点字タブレットであって、前記触覚ディスプレイはユーザーが点字文字とグラフィックとの両方を選択的に生成することを可能にし、前記タブレットは、
前記ディスプレイの表面に配置される複数のピンからなるピンのアレイであって、前記ピンはX軸及びY軸に沿って配置されている、ピンのアレイを備え、
前記アレイは、前記Y軸に沿って配向されている一連のピン対を含み、前記ピン対の各々は、前記タブレットの前記ユーザーにより選択的にオフ又はオンにされ、ピン対はオンの時に上昇しオフの時に下降し、
前記ピンの前記アレイは、一連のセルを形成し、該一連のセルにおける個々のセルは1つの点字文字を生成するように用いられ、前記触覚ディスプレイは6個のピンからなる6ピンセル又は8個のピンからなる8ピンセルを選択的に表示し、6ピンセルは、1つの隣接ピン対をオフにすることにより生成され、8ピンセルは1つの隣接ピン対をオンにすることにより生成され、
前記Y軸に沿った前記ピン間の間隔は一様であって、全ての前記ピンは互いに等しく離間されており、
前記X軸に沿った前記セル間の間隔は一様でなく、前記X軸に沿った隣接するセル間の間隔は、前記Y軸に沿った前記ピンの前記間隔よりも大きく、
前記触覚ディスプレイの前記表面における前記ピンの前記間隔によって、前記ユーザーが6ピンセルと、8ピンセルと、グラフィックとを選択的に表示することを可能とする、前記タブレット。
【請求項2】
改良された触覚ディスプレイを有する点字タブレットであって、
前記ディスプレイの表面に配置される複数のピンからなるピンのアレイであって、前記ピンはX軸及びY軸に沿って配置されている、ピンのアレイを備え、
前記アレイは、前記Y軸に沿って配向されている一連のピン対を含み、前記ピン対の各々は、前記タブレットの前記ユーザーにより選択的にオフ又はオンにされ、
前記ピンの前記アレイは、一連のセルを形成し、該一連のセルにおける個々のセルは1つの点字文字を生成するように用いられ、前記触覚ディスプレイは6個のピンからなる6ピンセル又は8個のピンからなる8ピンセルを選択的に表示し、6ピンセルは、1つの隣接ピン対をオフにすることにより生成され、8ピンセルは1つの隣接ピン対をオンにすることにより生成される、点字タブレット。
【請求項3】
前記Y軸に沿った前記ピン間の間隔は一様であり、全ての前記ピンは互いに等しく離間されている、請求項2に記載の点字タブレット。
【請求項4】
前記X軸に沿った前記セル間の間隔は一様でない、請求項2に記載の点字タブレット。
【請求項5】
前記X軸に沿った隣接したセルの間の間隔は前記Y軸に沿った前記ピンの間隔よりも大きい、請求項2に記載の点字タブレット。
【請求項6】
前記ディスプレイは6ピンアレイ及び8ピンアレイに加えてグラフィックを生成することができる、請求項2に記載の点字タブレット。
【請求項7】
前記ピンは電磁石を介して作動される、請求項2に記載の点字タブレット。
【請求項8】
前記ピンはバイモルフ・リードを介して作動される、請求項2に記載の点字タブレット。
【請求項9】
ユーザーの手の位置を特定するためのセンサを有する点字タブレットであって、前記タブレットは、
前記タブレットに関連付けられているディスプレイであって、前記ディスプレイはプリント回路基板(PCB)を備え、前記PCBは、露出した外面と、内面とを備える、前記ディスプレイと、
前記ディスプレイの上に形成されているピンアレイであって、前記ピンアレイは一連の個々の点字セルを形成し、前記ピンアレイは個々の点字文字を表示するように構成されている、ピンアレイと、
前記タブレットに関連付けられているマイクロプロセッサであって、前記PCBと電気的に通信するマイクロプロセッサと、
前記PCBの前記内面上に形成されている一連の容量性ストリップであって、各容量性ストリップは1つの点字セルに関連付けられている、一連の容量性ストリップと、を備え、
前記ユーザーが容量性ストリップの上方の位置で前記PCBの前記外面に触れ、それによって、関連付けられている前記点字セルとの対話を前記ユーザーが望むことを前記マイクロプロセッサに信号で伝達することが可能である、点字タブレット。
【請求項10】
テーブルは、関連付けられている前記点字セルにカーソルを送るように前記ユーザーが前記ディスプレイの前記外面とともに押下することができる物理的なボタンをさらに備える、請求項9に記載の点字タブレット。
【請求項11】
前記容量性ストリップは、前記ディスプレイにおける前記ユーザーの手の進行を監視するように用いられる、請求項9に記載の点字タブレット。
【請求項12】
前記マイクロプロセッサは前記ディスプレイの前記ユーザーの手の前記進行に基づいて前記ディスプレイをリフレッシュする、請求項11に記載の点字タブレット。
【請求項13】
前記ピンは電磁石を介して作動される、請求項9に記載の点字タブレット。
【請求項14】
前記ピンはバイモルフ・リードを介して作動される、請求項9に記載の点字タブレット。
【請求項15】
前記ピンはX-Y軸に沿って配置され、前記Y軸に沿った前記ピンの間の間隔が一様である、請求項9に記載の点字タブレット。
【請求項16】
前記X軸に沿った前記セルの間の間隔が一様でない、請求項9に記載の点字タブレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点字タブレット用のディスプレイに関する。特に、本開示はディスプレイ上のユーザーの指の位置を特定するための改良された能力を有する様々なディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
点字ディスプレイは本技術分野で周知である。これらのデバイスによって、選択的に上昇又は下降できる触知ピンを介して視覚障がい者が個々の点字文字を知覚することが可能となる。これらのピンは複数のセルから成るアレイに配列される。次いで、各セルは典型的に6つのピンから成る。点字ディスプレイはコンピュータ、または類似の電子デバイスに対し接続されるように構成され、視覚に障がいがある個人がテキスト情報を知覚することを可能にする。多くの場合、係る情報は画面上に提示されている。この理由のために、点字ディスプレイはリフレッシュ可能で、新しい情報の行が連続的に提示されることを可能にする。点字ディスプレイはテキスト文字を最も多くの場合に表示するが、しかしながら、ピンは幾何学的な形状を生成するために用いられることもある。点字ディスプレイは、ユーザーがテキストを入力することを可能にするためのキーボードを任意に備えてよい。これは標準的なQWERTYキーボード又はドットタイプのキーボードでよい。ドットタイプキーボードは、1つの点字文字の個々のドットに対応するキーを特徴とする。利用されるタイプに拘わらず、入力されたテキストは後の読出のためにコンピュータメモリ内に入れられることができる。入力されたテキストもまたディスプレイ上に提示されることができる。ユーザーがテキストを点字ディスプレイ上の特定の位置に挿入することを可能にするために、カーソル送りキーがキーボード内に備えられてよい。
【0003】
点字ディスプレイは、しばしば6ピンアレイ(各々3個のピンの2列から成る)を特徴とする個々のセルを備える。ピンの各々は点字文字中の1つのドットを形成する。個々の6ピンアレイについて、64個の可能な文字の組み合わせが存在する。個々のセルは、個々の文字、数字、句読点、又は単語までをも表すように用いられることができる。いくつかの点字ディスプレイでは、これに代えて、6ピンアレイの代わりに8個のピンから成る8ピンアレイを採用する。8ピンアレイでは、より多い数のシンボルを符号化することが可能である。例えば、8ピンアレイ中の最も下にあるピンは小文字と大文字とを区別するように用いられることができる。8ピンアレイは、この理由のために、より正式な文書(学術文など)を表示するのにしばしば用いられる。
【0004】
点字ディスプレイの機能を改良するために、さまざまな努力が幾年もなされてきた。例えば、Naccacheに対する特許文献1は、点字データにおけるキー入力用デバイス及び関連するコンピュータプログラムを開示する。該デバイスは接触感応面を備え、複数箇所の押圧を検出するように構成されている。この複数箇所の押圧は、異なる点字文字を形成するように働く。複数箇所の異なる押圧に関連付けられている複数の点から、1つのイメージが構成されることができる。
【0005】
さらに、Chandrashekharに対する特許文献2は、触知ピンアレイを有するハンドヘルド型電子デバイスを開示する。該デバイスはイメージを取り込む1組のカメラを備える。イメージは、その後処理されて、ピンアレイ上にイメージの3次元表現を出力するように用いられる。これによって、デバイスの前方の領域における物体及び障害物を認識することが可能となる。またこれによって、ナビゲーション能力、顔の認識、及びさまざまな入力/出力手段も可能となる。
【0006】
追加の触覚ディスプレイは、Chariに対する特許文献3により開示される。Chariのディスプレイは、視覚障がいのあるユーザーのためにグラフィックデバイスにより生成されるグラフ又は他の表現のイメージを提供する。該ディスプレイは、複数の中空のアクチュエータ部材に直行する中空のシャフト室を有するフレーム組立体を備える。各ドライブシャフトはカムを介して上下に動かされることができる。
【0007】
背景技術は触覚ディスプレイ構成のいくつかの例を含むが、しかしながら、それらは全て共通の欠点を有する。すなわち、背景技術のディスプレイでは、ユーザーが6ピンセル又は8ピンセルを選択的に用いることが可能でない。そして背景技術は、点字文字及び点字グラフィックの両方を効率的に表示することができるディスプレイを開示していない。既知の点字ディスプレイは、ディスプレイ上のユーザーの指の位置を正確に及び簡便に追跡する手段もまた欠いている。本開示の改良された点字ディスプレイは、これらの欠点及び背景技術において提示されている他の欠陥の克服を目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0321302号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0125831号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/0379895号明細書
【発明の概要】
【0009】
本開示は改良された点字ディスプレイを有するタブレットに関する。
本ディスプレイの1つの利点は、6ピンアレイ又は8ピンアレイの選択的使用を可能にするピンピッチの提供により実現される。
【0010】
さらなる利点は、個々の点字文字及び点字グラフィックの両方を表示することができるピン配置の提供により実現される。
ディスプレイのピンは、有利には、容量性センサが各点字セルのすぐ近くに隣接して配置されることを可能にするように配置される。
【0011】
点字セルに隣接した容量性センサの配置によって、ユーザーの指の位置が検出されるとともに追跡されることが可能となる。
なお更なる追加の利点は、物理的なボタンを備えることにより非難される。該物理的なボタンは、押下されたときにユーザーがカーソルをディスプレイ上のユーザーの指に隣接した位置に動かすことを可能にする。
【0012】
さらなる利点は、隣接した点字セルの間に複数の容量性タッチスライダーを収容するための間隔を作ることにより実現される。
本発明のさまざまな実施形態は、これらの利点を有しなくてもよく、一部、又は全部を有してもよい。本発明の他の技術的な利点は、当業者にとって速やかに明らかとなるであろう。
【0013】
本開示及びその利点のより完全な理解のために、以下の記載を添付の図面と併せて参照する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】ディスプレイの内面及びさまざまな容量面を示した詳細図。
【
図3】関連付けられた抵抗器のうちの1つを除去した容量面の詳細図。
【
図4】個々のピンの詳細を描写した8ピンアレイの図。
【
図5】一連の8ピンアレイを配置するのに用いられるピンブロックの図。
【
図6A】本ディスプレイと対話するユーザーを描写した一連の図。
【
図6B】本ディスプレイと対話するユーザーを描写した一連の図。
【
図6C】本ディスプレイと対話するユーザーを描写した一連の図。
【
図6D】本ディスプレイと対話するユーザーを描写した一連の図。
【
図6E】本ディスプレイと対話するユーザーを描写した一連の図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面のいくつかの図にわたって類似の参照符号は類似の部分を参照する。
部品リスト
20 タブレット
22 ディスプレイ
24 複数のピンから成るピンのアレイ
26 ディスプレイの表面
28 アレイ中の個々のピン
32 ピン対
34 セル
36 6ピンセル
38 8ピンセル
42 Y軸に沿った間隔
44 X軸に沿った間隔
46 点字文字
48 点字グラフィック
50 PCB中の開口
52 プリント回路基板
53 内面
54 マイクロプロセッサ
55 駆動線
56 金属ストリップ
57 抵抗器
58 ピンブロック
62 ピンのおもり
64 ドットキー
66 スペースバー。
【0016】
本開示は改良した点字ディスプレイを有するタブレットに関する。点字ディスプレイは6又は8ピンセルの選択的使用を可能にするピンアレイを採用する。これは各セルに隣接した1つのピン対がオフ又はオンになることにより成し遂げられる。ピンの間隔は容量性センサが各点字セルに隣接して位置することもまた可能にする。それらのセンサはディスプレイ上のユーザーの指の位置を決定するように用いられる。ピン間隔はテキストに加え幾何学的な形状が生成されることをさらに可能にする。本開示の様々な特徴、及びそれらが相互に関連するやり方は以下により詳細に説明する。
【0017】
非対称のピンピッチを有する点字タブレット
図1はリフレッシュ可能なディスプレイ22を有する点字タブレット20を示す。ディスプレイ22は外面26に配置される点字ピン24のアレイから形成される。複数の個々のピン28はより大きな1つの点字セル34の一部を構成し、1つの点字文字を生成するように選択的に上昇又は下降することができる。これは任意の多様な周知の技術(バイモルフォリード、電磁アクチュエータ、又は圧電機構など)を介して達成できる。示すように、ピン28はX軸及びY軸の両方に沿って配置される。
図1を引き続き参照すると、一連のピン対32はY軸に沿って配向されることが分かる。各ピン対32は点字セル34に隣接して配置される。ピン対32は好ましくは2つの並んだピン28からなる。本開示において、各ピン対32は隣接した点字セル34に加えられる又は点字セル34から除かれることができ、それにより6又は8ピンセル(36又は38)が生成する。
【0018】
当該技術において公知であるように、各セル34は1つの対応する点字文字を生成するように用いられる。例えば、
図1中のセル46は文字「D」を表示している。リフレッシュ可能なディスプレイ22により、ユーザーは一連の文字を連続して読むことができ、それによりコンピュータ画面上に現れるテキストを読むことができる。本開示において、ディスプレイ32は6ピンアレイ36又は8ピンアレイ38からなる文字を生成できる。これはユーザーによる隣接したピン対32の選択的なオンまたはオフにより達成できる。本明細書で用いられるように、ピンが下降の向きであるときピン対32は「オフ(off)」であり、上昇の向きであるとき「オン(on)」である。6ピンセル36は隣接したピン対32が「オフ(off)」になることにより生成でき、8ピンセル38は隣接したピン対32が「オン(on)」になることにより生成できる。ユーザーが6ピンアレイ(36)を採用する情報を生成することを望むか又は8ピンアレイ(38)を採用する情報を生成することを望むかは、採用されている特定の用途に依存する。例えば、6ピンアレイはたいていのウェブサイトに見られる情報を伝えるために用いられることができる。だが一方、学術文献はしばしば8ピンアレイを採用する。
【0019】
ディスプレイ22のさらなる改良では、表面26のピン28の間隔は非対称(例えば、非一様)である。特に、Y軸に沿ったピン28の間の間隔(42にて示されている)は概ね一様であり、垂直方向に配列されたピン28は全て互いに等しく離間している。しかしながら、X軸に沿ったピンの間隔(44にて示されている)は一様でない。特に、間隔44は、X軸に沿った隣接するセル34の間(例えば、水平方向に配列されたピンの間)にアレイウェイを構成する。アレイウェイ44は、それらのピンのY軸に沿った対応する間隔42よりも大きい間隔を有する。下記に説明するように、アレイウェイ44は容量性スライダーがディスプレイ22上に配置されることを可能にする。点字グラフィック48に加え、6ピンセル又は8ピンセル(36,38)の表示の両方を可能にする際にこの非対称の間隔は有利である。
図1に示すように、点字グラフィック48はディスプレイ22内の関連する複数のピン28により生成されるイメージ又は形状である。ピンピッチの一様でない性質により文字及びグラフィックの両方が単一のディスプレイにおいて生成されることを可能とする。しかしながら、非対称性は特定の幾何学的な形状のための適切なアスペクト比を維持するように切り替えが必要になり得る。
【0020】
容量性タッチスライダーを有する点字タブレット
本開示はまた、ディスプレイの表面内に形成される容量ベースのセンサを有する点字タブレットにも関する。これらの容量性センサはユーザーにより採用されることができ、様々な機能のいずれかを行う。一実施形態では、容量性センサは各点字セルのすぐ近くに隣接して配置され、カーソル送りキーとして作動する。それらはディスプレイの表面でユーザーの指を追跡するのにもまた用いられることができ、それによって文章の読み取りにおけるユーザーの進行を監視する。センサをディスプレイの表面に結合することは、タブレットディスプレイ内の間隔が重要であり物理的なキーのための空間が限定されているので、有益である。
【0021】
望ましい実施形態では、ディスプレイ22は少なくとも部分的には両面プリントのプリント回路基板(「PCB」)52から形成される。
図2及び
図3はPCB52の下面を示す。描写した実施形態では、PCB52は、互いに結合されている2層のFR-4(ガラス強化エポキシ積層体)から形成される。示しているように、外層52(a)はディスプレイの表面26を形成し、内層52(b)は内面53を形成する。様々な電気部品はPCB52の内面53上にはんだ付けされることができる。また、ディスプレイ22の個々のピン28の配置を収容するように、めっきされていない貫通孔50が両面PCB52を貫いて形成される。特に、PCB52の外面はユーザーに露出し、ディスプレイの表面26を形成する。PCB52を外面26として使用することによって外側カバーの孔50との位置合わせの必要性を避ける。マイクロプロセッサ54はタブレット20に関連付けられ、PCB52と電気的に通信する。
【0022】
図2及び
図3を引き続き参照すると、一連の容量性の金属ストリップ56はPCB52の内面53に配置される。望ましい実施形態では、各ストリップ56は一連の抵抗器57により互いにブリッジされる一連のより短いサブストリップから形成される。抵抗器57によってサブストリップが1つの大きな容量性センサ56として機能することを可能とする。これらの細長いストリップ56はディスプレイ22の長さに及ぶ。各ストリップ56はディスプレイ22内の関連するアレイウェイ44の直下に配置される。これにより各ストリップ56は関連する点字セル34に隣接して位置する。望ましい実施形態では、各ストリップ56は関連する点字セル34の左に配置される。容量性ストリップ56は、ユーザーがディスプレイ22の露出した表面26に触れる際にユーザーの指の電荷に反応する。より詳細には、回路は、関連した容量性ストリップ56の直上の表面26にユーザーが触れる際に完成する。PCBの各層(56a及び56b)は誘電材料としての機能を果たし、この容量性回路を作成する。PCB52の上部の露出した層56(a)の厚さは接触感度を最適化するように選択されることができる。容量性ストリップ56はストリップの長さに沿った任意の場所でのユーザーの接触(タッチ)を記録し、それゆえに「タッチスライダー(touch sliders)」と呼ばれる。駆動線55は隣接した複数のストリップ56を相互に連結させるように用いられる。
【0023】
ストリップ56によって、ユーザーの指のX-Y位置が特定のセル34に隣接したアレイウェイ44内に置かれたときに検出されることが可能となる(
図1)。回路が完成する時、マイクロプロセッサ54は命令を実行し、X-Yの指の位置をディスプレイ22上の特定のセル34に関連付ける。マイクロプロセッサ54はディスプレイ22が6ピンアレイを備えているか8ピンアレイを備えているかを考慮して係る決定を行う。この点で、ストリップ56はディスプレイ22のユーザーの指の進行を監視するように用いられ、ユーザーが表示された点字文字を知覚する又は「読む(reading)」のと同様に行われる。
図6Bはディスプレイ22に沿って進むユーザーの指を示す。マイクロプロセッサ54は、ユーザーの手がディスプレイを通じて進んだ方向及び速度の両方を決定する際に用いられる。それからディスプレイ22の上部領域はユーザーが追加行のテキストを感知するのに間に合うようにリフレッシュされることができる。つまるところ、係る特徴は点字テキストの「ページ(pages)」が材料を通じたユーザーの進行と並行して自動的にめくられることを可能にする。
【0024】
ストリップ56のその他の用途によってユーザーがカーソルを動かすようにディスプレイ内を指し示すことを可能とする。これはユーザーがタブレット22のノートテイカー機能を採用する時に用いられ得る。
図6Aに示すように、タブレット20はディスプレイ22へ点字文字を入力する目的の一連のドットタイプキー64及びスペースバー66を備えてよい。
図6Eはキー64を介して情報を入力するユーザーを示す。もしユーザーがカーソルをディスプレイ22内の特定の位置に位置させることを望むならば、ユーザーは関心のあるセル34に隣接するアレイウェイ44に触れるとともにスペースバー66を下に押すことによりカーソルを動かす(
図6D)。係る動作はマイクロプロセッサ54にユーザーがカーソルをディスプレイ22上の所定の位置に動かすことを望むことを信号で伝達する。これに代えて、いくつかのその他のやり方で、ユーザーが関連する点字セル34と対話することを望むことを信号で伝達してもよい。例えば、係る特徴はユーザーがコピー、ペースト、選択、及び/又は編集機能などのタスクを行うことを可能にし得る。このようにしてディスプレイの容量性センサを用いることによって、一部のユーザーに困難を与えるものとなり得る周辺に配置されたカーソル送りキーの必要性が避けられる。
【0025】
ピンブロック及び重みが付けられたピン
図5は一連の8ピンセル38を収容したブロック58を示す。類似したボック(図示せず)は一連の6ピンセルとして利用できる。ブロック58は1つのモジュール式ユニットとして形成される。これは全てのピン28が取り外され、取り替えられ、又は別々のユニットとして提供されることを可能にする。
図4は各ピン28の軸周りに配置されることができるおもり62を示す。これらのおもり62は各ピン28の重心を下げる。次いで、これはピン28が従来の振動台を介してより容易に取り付けられることを可能にする。
【0026】
本開示は特定の実施形態及び一般的に関連する方法によって説明されているが、これらの実施形態及び方法の変更及び置換は当業者に明らかになる。したがって、実施例の前記の説明は本開示を定義又は制約しない。他の変更、置換、及び代替もまた本開示の精神及び範囲から逸脱することなくまた可能である。
【国際調査報告】