(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-10
(54)【発明の名称】放射性金属用キレート剤組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
C07K 1/13 20060101AFI20230403BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20230403BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20230403BHJP
A61K 51/10 20060101ALI20230403BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230403BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20230403BHJP
C07F 5/00 20060101ALN20230403BHJP
C07F 9/94 20060101ALN20230403BHJP
【FI】
C07K1/13 ZNA
C07K14/47
C07K16/18
A61K51/10 200
A61K51/10 100
A61P35/00
G01T1/161 D
C07F5/00 E
C07F5/00 D
C07F9/94
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550888
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 CA2021050226
(87)【国際公開番号】W WO2021168567
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年6月25日にウェブサイトのアドレス https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/chem.202002999にて発表
(71)【出願人】
【識別番号】521282974
【氏名又は名称】トライアンフ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520143199
【氏名又は名称】プロビンシャル・ヘルス・サービシーズ・オーソリティ
【氏名又は名称原語表記】PROVINCIAL HEALTH SERVICES AUTHORITY
(71)【出願人】
【識別番号】300066874
【氏名又は名称】ザ・ユニバーシティ・オブ・ブリティッシュ・コロンビア
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、フア
(72)【発明者】
【氏名】ガオ、フォン
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ユアン、ジェリャン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チェンチェン
(72)【発明者】
【氏名】ベナール、フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ウォートン、ルーク
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C188
4H045
4H048
4H050
【Fターム(参考)】
4C084AA12
4C084NA13
4C084ZB26
4C085HH03
4C085KA01
4C085KA03
4C085KA09
4C085KA29
4C085KB82
4C085KB92
4C085KB95
4C085LL18
4C188EE02
4C188FF04
4C188FF07
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA11
4H045BA13
4H045BA15
4H045BA50
4H045BA56
4H045BA71
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA86
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA10
4H045GA25
4H048AA03
4H048AB20
4H048VA70
4H048VB10
4H050AA03
4H050AB20
(57)【要約】
穏やかな条件下で
225Acなどの放射性金属をキレート化するための一般構造(I)を有するキレート剤が提供される。キレート剤は、生物学的標的化部分に結合して、哺乳動物対象におけるキレート化放射性金属の標的送達を容易にすることができる。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的標的化部分と、構造(I)、(II)、または(III)を有するキレート剤と
【化1】
を含むインビボ放射性同位体標的化構築物であって、
式中、
X
1およびX
2は独立してO、NまたはSであり、
R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、独立して、存在しないかまたは前記キレート剤を前記生物学的標的化部分に結合するために使用できる官能基である、
前記インビボ放射性同位体標的化構築物。
【請求項2】
以下の構造(IV)、(V)または(VI)を含み、
【化2】
式中、R
1は、存在する場合、前記生物学的標的化部分を表す、
請求項1に記載のインビボ放射性同位体標的化構築物。
【請求項3】
以下の構造(VII)、(VIII)または(IX)を含み、
【化3】
式中、Lは、存在する場合、リンカーを表す、
請求項2に記載のインビボ放射性同位体標的化構築物。
【請求項4】
R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6のうちの1つのみが存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載のインビボ放射性同位体標的化構築物。
【請求項5】
R
2、R
3、R
4、R
5またはR
6は、存在する場合、独立して、カルボキシル基、エステル基、アミド基、イミド基、チオアミド基、チオエステル基、グアニジニウム基、エーテル基、チオエーテル基、またはアミン基である、請求項1~4のいずれか一項に記載のインビボ放射性同位体標的化構築物。
【請求項6】
前記リンカーLは、存在する場合、場合により1つまたは複数のヘテロ原子で置換されているかまたは1つまたは複数の置換基を有するC
1~C
10炭化水素リンカー、芳香族リンカー、カチオンリンカー、アニオンリンカー、1~10個のアミノ酸を有するアミノ酸リンカー、環化アミノ酸リンカー、PEGリンカー、環化リングリンカー、芳香族リンカー、またはクリックケミストリーリンカーを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のインビボ放射性同位体標的化構築物。
【請求項7】
前記キレート剤によってキレート化された放射性金属をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のインビボ放射性同位体標的化構築物。
【請求項8】
前記放射性金属が、
225Ac、
227Th、
226Th、
211At、
44Sc、
90Y、
89Zr,
177Lu、
111In、
86/89/90Y、
211At、
211Fr、
212/213Bi、
153Sm、
161/166Ho、
165/166Dy、
161/155Tb、
140La、
142/143/145Pr、
159Gd、
169/175Yb、
167/170Tm、
169Er、
149Pm、
150Eu、
68Ga、
137Cs、または
141Ceを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のインビボ放射性同位体標的化構築物。
【請求項9】
前記放射性金属が、
225Ac、
213Bi、
68Ga、
155Tb、
177Lu、
111In、または
137Csを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のインビボ放射性同位体標的化構築物。
【請求項10】
前記放射性金属が
225Acを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のインビボ放射性同位体標的化構築物。
【請求項11】
少なくとも4MBq/nmolのモル放射能を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のインビボ放射性同位体標的化構築物。
【請求項12】
前記標的化部分が、ハプテン、抗原、アプタマー、アフィボディ、酵素、タンパク質、ペプチド、抗体、抗体の抗原結合断片、ペプチドミメティックス、受容体リガンド、ステロイド、ホルモン、成長因子、サイトカイン、細胞表面受容体を認識する分子、脂質、親油性基、または炭水化物を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のインビボ放射性同位体標的化構築物。
【請求項13】
前記抗体の抗原結合断片が、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fv断片、scFv断片、ミニボディ、またはダイアボディを含む、請求項12に記載のインビボ放射性同位体標的化構築物。
【請求項14】
前記生物学的標的化部分が、A33抗体、ジヒドロテストステロン(DHT)、HuMab-5B1、ギレンツキシマブ、AMG211二重特異性T細胞誘導、IAB22M2Cミニボディ、リツキシマブ、オビヌツズマブ、U36抗体、プレリキサフォル、ペンチキサホル、NFB、イピリムマブ、エルロチニブ、PD153035、アファチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ABY-025アフィボディ、HER2-ナノボディ、トラスツズマブ、ペルツズマブ、GSK2849330、ラムレツズマブ、4FMFES、FAPI-04、FAPI-21、FAPI-46、ガラクトース、CB-TE2A-AR06ペプチド(DOTAをクラウンで置換)、BAY864367ペプチド(18Fラベリングの代わりにクラウン結合配位子標識を使用)、RM2ペプチド(DOTAをクラウンで置換)、SB3ペプチド(DOTAをクラウンで置換)、RM26ペプチド、BBN-RGDペプチド、Aca-BBNペプチド、NeoBOMB1ペプチド(DOTAの代わりにクラウンを使用)、エクセンディン-4ペプチド、グルコース、コドリツズマブ、EF5、MISO、AZA、HX4、ASTM、LLP2A、ペプチドミメティック、ガラクトRGDペプチド、FPP(RGD)2ペプチド、RGD-K5ペプチド、フルシクラチド、アルファチド-I、アルファチド-II、PRGD2ペプチド、αvβ6-BPペプチド、CycMSHhex標的化ペプチド、MMOT0530A抗体、SPペプチド、ニューロテンシン、PARPi、PSMAペプチドミメティック、DCFPyL、DCFBC、HuJ591抗体、デュルバルマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、BMS-986192アドネクチン、アテゾリズマブ、MSTP2109A抗体、TATEペプチド(オクトレオテート)、TOCペプチド、NOCペプチド、JR11、チミジン、フレソリムマブ、またはベバシズマブを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のインビボ放射性同位体標的化構築物。
【請求項15】
前記インビボ放射性同位元素標的化構築物によって標的にされる生物学的標的が、腫瘍関連抗原、A33膜貫通糖タンパク質、アンドロゲン受容体(AR)、CA19.9、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、がん胎児性抗原、CD8、CD20、CD44v6、C-X-Cケモカイン受容体4型(CXCR4)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体2(ERBB2)、上皮成長因子受容体3(ERBB3)、エストロゲン受容体(ER)、線維芽細胞活性化タンパク質α、ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)、グリピカン3、インテグリンα4β1、インテグリンαvβ3、インテグリンαvβ6、メラノコルチン-1受容体(MC1R)、メソテリン、ニューロキニン1受容体(NK1R)、ニューロテンシン1受容体(NTS1R)、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ1(PARP1)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、プログラム細胞死タンパク質(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、前立腺の6回膜貫通上皮抗原-1(STEAP1)、ソマトスタチン受容体2(SSTR2)、チミジンキナーゼ、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)、または血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のインビボ放射性同位元素標的化構築物。
【請求項16】
2,2’,2’’,2’’’-(1,10-ジオキサ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカン-4,7,13,16-テトライル)四酢酸をキレート剤として含むインビボ放射性同位体標的化構築物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載のインビボ放射性同位体標的化構築物と、薬学的に許容される担体、賦形剤またはビヒクルとを含む医薬組成物。
【請求項18】
哺乳動物対象の体内の選択された場所に放射性同位元素を送達する方法であって、前記放射性同位体を担持する請求項1~16のいずれか一項に記載のインビボ放射性同位体標的化構築物を前記哺乳動物対象に投与するステップを含む、前記方法。
【請求項19】
前記インビボ放射性同位体標的化構築物の前記標的化部分が、体内の他の場所に比べて体内の選択された場所での前記放射性同位元素の蓄積を増強させて、前記選択された場所に放射線を選択的に送達することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記投与するステップの前に、前記放射性同位体と前記インビボ放射性同位体標的化構築物とを含むキレートを形成するステップをさらに含み、前記キレート構築物を形成するステップは、インキュベーション期間中、約10℃から約65℃の間の温度で前記放射性同位元素と前記インビボ放射性同位体標的化構築物とを混合するステップを含む、請求項18または19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記インキュベーション期間中の温度が約15℃から約25℃の間である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記インキュベーション期間が約5分から約30分の間である、請求項20または21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記混合するステップが、約5.0から約7.4の範囲のpHで実施される、請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記混合するステップが、実質的にアルコールを含まない水溶液中で実施される、請求項18~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
体内の前記インビボ放射性同位元素標的化構築物の局在化を評価するためのイメージング手順を実施することをさらに含む前記方法であって、前記イメージング手順は、場合により、陽電子放出断層撮影法(PET)イメージングまたは単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングを含む、請求項18~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
細胞を放射性同位体からの放射線に曝露することにより、体内の選択された場所で細胞死を引き起こすように、前記インビボ放射性同位体標的化構築物を使用する、請求項18~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
体内の選択された場所でがん細胞の死を引き起こすように、前記インビボ放射性同位体標的化構築物を使用する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記放射線がアルファ放射線を含む、請求項26または27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記哺乳動物対象がヒトである、請求項18~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
金属と、以下の構造(I)、(II)または(III)を有するキレート剤と
【化4】
を含む金属キレートであって、
式中、
X
1およびX
2は独立してO、NまたはSであり、
R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は独立して、存在しないかまたはキレート剤を生物学的標的化部分に結合するために使用できる官能基であり、
ここで、前記金属は、
225Ac、
213Bi、
68Ga、
155Tb、
177Lu、
111In、または
137Csからなる群から選択される、
前記金属キレート。
【請求項31】
前記金属がアクチニウムである、請求項30に記載の金属キレート。
【請求項32】
前記金属がアクチニウム-225である、請求項30または31のいずれか一項に記載の金属キレート。
【請求項33】
前記アクチニウムがAc
3+である請求項30~32のいずれか一項に記載の金属キレート。
【請求項34】
請求項30~33のいずれか一項に記載の金属キレートを含む水溶液。
【請求項35】
前記水溶液が実質的にアルコールを含まない、請求項34に記載の水溶液。
【請求項36】
以下の構造(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)または(IX)を有するキレート剤を放射性金属と水溶液中で15℃から25℃の間の温度で混合することを含む、金属キレートを形成する方法であって、
【化5】
式中、
X
1およびX
2は独立してO、NまたはSであり、
R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は独立して、存在しないかまたは前記キレート剤を生物学的標的化部分に結合するために使用できる官能基であり、
R
1は、存在する場合、生物学的標的化部分を表し、
Lは、存在する場合、リンカーを表す、
前記方法。
【請求項37】
R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6のうちの1つのみが存在する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記金属が、
225Ac、
213Bi、
68Ga、
155Tb、
177Lu、
111In、または
137Csである、請求項36または37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記水溶液が約5.0から約7.4の範囲のpHを含む、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記混合するステップが約5~約30分間行われる、請求項36~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記水溶液がアルコールを実質的に含まない、請求項36~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
請求項30~33のいずれか一項に記載の金属キレートであるかまたは請求項36~41のいずれか一項に記載の方法によって生成された金属キレートであって、哺乳動物血清または哺乳動物血液中に、場合により、ヒト血清またはヒト血液中に存在する前記金属キレート。
【請求項43】
哺乳動物に存在する、請求項30~33のいずれか一項に記載の金属キレートであるかまたは請求項36~41のいずれか一項に記載の方法によって生成された金属キレートであって、前記哺乳動物は場合によりヒトである、前記金属キレート。
【請求項44】
哺乳動物細胞内に存在する、請求項30~33のいずれか一項に記載の金属キレートであるか、または請求項36~41のいずれか一項に記載の方法によって生成された金属キレートであって、前記哺乳動物細胞が場合によりヒト細胞である、前記金属キレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
いくつかの実施形態は、改良されたキレート剤(chelator)に関する。いくつかの実施形態は、キレート剤を組み込んだ改良された生物学的標的化構築物(targeting construct)に関する。いくつかの実施形態は、哺乳動物対象内の所望の場所を標的にした放射性同位体のインビボ送達を提供するよう、標的化部分(targeting moiety)に結合されかつ放射性同位体に結合することができるキレート剤に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性核種は、特に対象の体内の標的場所に選択的に送達できる場合、がんの診断および治療において潜在的な有用性を有する。放射性核種の標的送達は、インビボ送達のために放射性核種を安全に保持し、体内の非標的領域への送達を適度に低く抑えながら放射性核種を体内の所望の場所に選択的に送達するように設計された構築物を使用することによって達成できる。
【0003】
その目的のために、放射性核種を固定的に保持させるためにキレート剤と共有結合され体の所望の領域(例えば、腫瘍関連抗原)を標的とする標的化部分を活用する標的化構築物が開発されている。標的化部分は、リンカーを介してキレート剤に結合することができる。そのような標的化構築物は、放射性免疫コンジュゲートと呼ばれることがある。放射性免疫コンジュゲートは、インビボ送達のための所望の放射性核種をキレート化するために、例えば、画像診断、構築物を使用した標的放射性核種治療、またはその両方を提供するために(すなわち、セラノスティクス(theranostic)構築物として)使用される。
【0004】
そのような構築物に有用なキレート剤は、穏やかな条件(例えば、室温などの低温、数分以内に高度の錯体形成が起こる)下での迅速な錯体形成速度論および放射性核種に対する強い親和性、ならびに配位の完全性を犠牲にしないリンカー組み込みの高い多様性(すなわち二官能性化)などの特徴を有することができる。小さなペプチドミメティックスおよび他のそのような構築物は、より厳しい放射性ラベリング条件(例えば、高温で)に対してより高い耐性を有する場合がある標的化部分を提供するが、生物製剤などの他の標的化部分、例えば抗体およびその抗原結合断片は、温度上昇などの過酷な放射性ラベリング条件に耐性がない場合がある(例えば、60℃~90℃またはそれ以上の範囲の高いラベリング温度に対応できない場合がある)。
【0005】
標的放射性核種療法(TRT)は、特定のがんの治療で人気を集めており、特に従来の治療法の選択肢が限られている後期疾患に対して、有意な治療効果および生存利益を示している
[1,2]。臨床TRTに使用されるほとんどの同位体は、ルテチウム-177
[3]、イットリウム-90
[4]、ストロンチウム-89
[5]、およびサマリウム-153
[6]を含むベータ線放射体であり、ラジウム-223
[7]は現在までにFDAが承認した唯一のアルファ線放射体である.アルファ線放射体は、ベータ線放射体(1~2keV/μm)と比較して、線エネルギー付与(LET、単位経路長あたりのエネルギー蓄積)が約100keV/μmとはるかに高く、フリーラジカル(ROS)の生成および致死DNA切断が大幅に増加する。
[8]、[9]短い範囲のアルファ粒子(40~100μm)は、腫瘍特異的な標的化ベクターと共に送達されると、周囲の健康な組織を潜在的に保護することができる。これは、微小転移を治療する場合に特に望ましい特徴である。また、アルファ線放射体の細胞毒性は、細胞周期または酸素化状態とは無関係である。
[10,11]
アクチニウム-
225(
225Ac)は、標的アルファ治療(TAT)のための新たなアルファ線放射体であり、その好ましい半減期(9.9日)により、放射性医薬品の調製、同位体のグローバル分布、患者への投与、および抗体などのより長い血液循環のための妥当な時間を可能にする(IgAおよびIgMの場合は5~6日)。
225Acは、その高い細胞毒性に寄与する急速な崩壊系列を通じて4つの高エネルギーアルファ粒子を放出する(
図1)。この潜在能力は、他のすべての従来の治療法を使い果たした患者における転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)を伴う
225Ac-PSMA-617に関する臨床研究によって実証されている。2人の患者の早期サルベージ治療により、完全寛解が示された
[12]。40人の患者を対象とした大規模な研究では、少なくとも8週間生存した38人の患者のうち、24人(63%)が50%を超えるPSA低下を示し、33人(87%)が何らかの程度のPSA反応を示した。
[13]まだ実験段階ではあるが、
225Ac標的アルファ療法は、他の末期がん患者に最終的な臨床治療を提供する可能性が高いことを示している。しかしながら、アクチニウムのキレート剤の利用可能性は、少数の例に限定されたままである。
【0006】
225Ac放射性医薬品に関する研究は、地球上の同位体供給源が限られていることによって妨げられており、その結果、現在までの化学および放射化学の発展が制限されている。[9,14]225Acをペプチド、抗体および他の標的化分子に結合させるには、下のチャート1に示す構造を有するDOTAキレート剤が現在の主力商品である。実際、それは現在までのすべての臨床試験で使用されている。しかしながら、DOTAはより大きな金属イオンに対して熱力学的安定性が減少することがよく知られており[15]、225Acへのキレート化は動力学的に遅いことが確立されており、小さな金属不純物(Ca2+など)の影響を受けやすく、妥当な放射性標識収率を得るためには、十分な加熱と高い配位子濃度が必要である。[16-18]以下のチャート1に示す構造を持つMacropaは、サブマイクロモルレベル(<10-6M)でAcを定量的に標識できる有望なキレート剤の一例である。[19,20]二官能性イソチオシアネート誘導体は合成が難しく不安定であるが、新規のPSMA標的化放射性医薬品(RPS-074)の一部として使用されている。[19]他のいくつかのキレート剤(bispa、[21]CHXoctapa、[22]およびDOTP[23])も高いAc結合親和性を示すが、インビボでの安定性はまだ評価されていない。他のいくつかのキレート剤は、結合親和性(TETA、TETPA、DOTPA)またはインビボでの安定性(DOTMP、HEHA)のために、成功が限られている。[9,24]親油性および電荷といったキレート剤固有の特性は、放射性医薬品の生物学的機能に予測できない大きな影響を与える可能性があり[25,26]、225Acの有する潜在的用途を完全に実現できるように、好ましい特性を持つキレート剤を提供することが重要である。
【0007】
【0008】
放射性核種を標的化ベクターに良好な安定性で結合させるには、金属をキレートし、かつ、標的化部分にコンジュゲートすることができるキレート剤が必要である。現在、アクチニウムをキレート化する方策は限られており、その臨床応用を妨げている。穏やかな条件下で配位し、インビボで安定した錯体を生成できるアクチニウム-225のキレート剤が必要である。さらにまた、高度の特異性および結合親和性で結合する優れたキレート剤が必要であり、特に、低密度で発現し、したがって容易に飽和する受容体または標的に対して標的アルファ療法を適用することが望まれる場合に必要である。
【0009】
アクチニウム-225は、キレート剤を介して適切な標的化部分にコンジュゲートできる場合、標的アルファ療法を実施するのに潜在的に有用である。225Acを用いた標的アルファ療法を行うために使用できる1つの標的化部分の例は、α-メラノサイト刺激ホルモン(αMSH)誘導体、CCZ01048であり、MC1Rを標的にしたメラノーマイメージングおよび治療用に設計されており、これは急速な腫瘍の取り込みおよび内部移行が示された候補であり、腫瘍を有するマウスにおけるその後の機能化およびインビボ取り込み研究のために選択された。[29]後期転移性メラノーマは、免疫療法薬を使用しても長期生存率が低い致死性の疾患である。[30-33]この疾患には、現在、治癒のための選択肢はない。MC1Rは、原発性および転移性メラノーマで特異的に発現し、正常組織での発現は低い。[34,35]本発明者らは、以前、マウスB16F10メラノーマの前臨床モデルにおける陽電子放出断層撮影(PET)イメージング用に[68Ga]Ga-CCZ01048[29]および[18F]CCZ01064[36]によるMC1Rを標的にしたαMSH系放射性医薬品の開発を行っている。本発明者らはまた、SK-MEL-1細胞株を用いたヒトメラノーマの前臨床モデルにおいて、新規αMSH系の[18F]CCZ01096放射性トレーサーを評価した。[37]3つのケースすべてで、PET画像での優れた腫瘍の可視化が達成され、素晴らしい腫瘍対正常組織比、すなわち、平均腫瘍対血液比および平均腫瘍対筋肉腫瘍対肝臓比は、それぞれ>30および>90が達成された。本発明者らは、以前に225Ac-CCZ01048(DOTA)も評価した[22]。特許文献1も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
理想的には、Ac放射性医薬品は、放射性医薬品は、健康な組織への照射によって誘発される細胞毒性を緩和するように、正常組織への低い取り込み、および、腫瘍への早い取り込みを有するべきであり、また、標的化ベクターから放出されるアルファ線放出娘核種が腫瘍内に確実に取り込まれるべきである。これを達成するには、結合した放射性金属を生理学的条件下で容易に放出しない効果的なキレート剤が重要である。
【0012】
2,2’,2’’,2’’’-(1,10-ジオキサ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカン-4,7,13,16-テトライル)四酢酸の構造および合成酸はCN102212042、CN10415367およびCN104151368に記載されている。
【0013】
関連技術の前述の例およびそれに関連する制限は、例示を意図したものであり、排他的ではない。関連技術の他の制限は、明細書を読み、図面を検討することにより、当業者には明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下の実施形態およびその態様は、システム、ツール、および方法に関連して説明および図示されるが、これらは、例示的および説明的であることを意味し、範囲を限定するものではない。様々な実施形態では、上記の問題の1つまたは複数が軽減または排除され、他の実施形態は他の改善を対象としている。
【0015】
いくつかの態様において、インビボ放射性同位体標的化構築物は、生物学的標的化部分および下記構造(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)または(IX)を有するキレート剤を有し、
【0016】
【0017】
式中:X1およびX2は独立してO、NまたはSであり;R2、R3、R4、R5およびR6は独立して、存在しないかまたはキレート剤を生物学的標的化部分に結合するために使用できる官能基であり、場合によりR2、R3、R4、R5およびR6のうちの1つだけが存在し;R1は、存在する場合、生物学的標的化部分を表し;Lは、存在する場合、リンカーを表す。
【0018】
R2、R3、R4、R5またはR6は、存在する場合、独立して、カルボキシル、エステル、アミド、イミド、チオアミド、チオエステル、グアニジニウム、エーテル、チオエーテルまたはアミン基であり得る。存在する場合、リンカーLは、1つまたは複数のヘテロ原子で場合により置換されるか、または1つまたは複数の置換基を有するC1~C10炭化水素リンカー、芳香族リンカー、カチオン性リンカー、アニオン性リンカー、1~10個のアミノ酸を有するアミノ酸リンカー、環化アミノ酸リンカー、PEGリンカー、環化環リンカー、芳香族リンカー、またはクリックケミストリーリンカーであり得る。構築物は、キレート剤によってキレート化された放射性金属を有し得、放射性金属は、225Ac、213Bi、68Ga、155Tb、177Lu、111In、または137Csであり得る。標的化部分は、ハプテン、抗原、アプタマー、アフィボディ、酵素、タンパク質、ペプチド、抗体、抗体の抗原結合断片、ペプチドミメティック、受容体リガンド、ステロイド、ホルモン、成長因子、サイトカイン、細胞表面受容体を認識する分子、脂質、親油性基、または炭水化物であり得る。標的化部分は、任意の適切な生物学的標的、例えば腫瘍関連抗原を標的とすることができる。
【0019】
いくつかの態様では、放射性同位体を担持する本明細書に記載のインビボ放射性同位元素標的化構築物を哺乳動物対象に投与することによって、放射性同位元素を哺乳動物対象の体内の選択された場所に送達する方法が提供される。標的化部分は、選択された場所に放射線を選択的に送達するために、体内の他の場所に対して、体内の選択された標的場所での構築物の蓄積を容易にすることができる。いくつかの態様では、局在化された放射性同位体を使用して、イメージング手順、例えば、PETまたはSPECTイメージングを実行する。いくつかの態様において、局在化された放射性同位体は、細胞を放射性同位体からの放射線に曝露することによって、選択された場所で細胞死を引き起こすために使用される。いくつかの態様において、放射線はアルファ放射線である。いくつかの態様において、放射線によって殺傷される細胞はがん細胞である。哺乳動物対象はヒトであり得る。
【0020】
いくつかの態様では、インビボ放射性同位体標的化構築物および放射性同位体から、穏やかな条件下、例えば約5.0から約7.4の範囲のpHで、約5から約30分間、約10℃から約65℃の間の温度で、その2つを混合することにより、キレートを形成することができる。
【0021】
いくつかの態様では、上に示した構造(I)、(II)、または(III)を有するキレート剤と、225Ac、213Bi、68Ga、155Tb、177Lu、111In、または137Csのうちの1つとを含む金属キレートが提供される。いくつかの態様では、上記構造(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)または(IX)を有するキレート剤と放射性金属とを水溶液中で15℃から25℃の間の温度で混合することによって金属キレートを形成する方法が提供される。金属は、225Ac、213Bi、68Ga、155Tb、177Lu、111In、または137Csであり得る。pHは、約5.0から約7.4の範囲であり得る。前記混合するステップは、約5分から約30分の間、実施することができる。金属キレートは、哺乳動物血清または哺乳動物血液、場合によってはヒト血清またはヒト血液中で安定して存在し得る。金属キレートは、哺乳動物、場合によってはヒトに存在し得る。
【0022】
上記の例示的な態様および実施形態に加えて、図面を参照することによって、および、以下の詳細な説明を検討することによって、さらなる態様および実施形態が明らかになるであろう。
【0023】
例示的な実施形態は、図面の参照図に示されている。本明細書に開示された実施形態および図面は、限定的ではなく例示的であると考えられることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】クラウンおよび標的化部分を介在するリンカーを有するクラウンキレート剤を組み込むインビボ放射性同位体標的化構築物の一例示的な実施形態を示す図。
【
図3】リンカーなしでキレート剤としてクラウンを組み込んだインビボ放射性同位体標的化構築物の一例示的な実施形態を示す図。
【
図4】二官能性クラウンと標的化部分との間に介在するリンカーを有するキレート剤として二官能性クラウンを組み込んだインビボ放射性同位体標的化構築物の一例示的な実施形態を示す図。
【
図5】リンカーなしでキレート剤として二官能性クラウンを組み込んだインビボ放射性同位体標的化構築物の一例示的な実施形態を示す図。
【
図6A】1つの例示的な実施形態に従って、クラウンキレート剤をペプチド標的化部分にカップリングするためのスキームを表す図。
【
図6B】別の例示的な実施形態に従って、クラウンキレート剤をペプチド標的化部分にカップリングするためのスキームを表す図。
【
図7】一例示的な実施形態による、
225Acをキレート化する一例示的なクラウンオクトレオテート(TATE)構築物についてのラジオTLCの結果を示す図。
【
図8】対応する対照(遊離Ac)についてのラジオTLC結果を示す図。
【
図9】1回の実験における室温でのクラウンキレート剤([C])の様々な濃度での
225Acによるラベリング収率を示す図。
【
図10】30分間または60分間のインキュベーション期間中の1つの実験における室温でのクラウンキレート剤(クラウン-TATE標的化構築物として提供される)の様々な濃度での
225Acでの放射性ラベリング収率を示す図。
【
図11】様々なpHレベルの様々な緩衝液中の
225Acによるクラウンのラベリングを示す図。
【
図12】37℃での
225Ac-クラウン-TATEの血清安定性を示す図。
【
図13】
225Ac標識クラウンの経時的な放射化学的収率を示す図。
【
図14】様々なキレート剤濃度([配位子])での
225AcでのクラウンおよびDOTAの比較ラベリングを示す図。
【
図15】経時的な
225Ac-クラウン-αMSHの血清安定性を示す図。
【
図16】クラウン、クラウン-TATE、クラウン-αMSHおよびDOTAの
177Luによる異なるキレート剤濃度での比較ラベリングを示す図。
【
図17】
213Biでのクラウンおよびクラウン-αMSHのラベリングを示す図。
【
図18】
155TbによるDOTAに対するクラウンおよびクラウン-αMSHのラベリングを示す図。
【
図19】
68Gaによるクラウン-TATEのラベリングを示す図。
【
図20】
177Luを含むクラウン、クラウン-αMSHおよびクラウン-TATEの血清安定性を示す図。
【
図21】37℃での
155Tb-クラウン-αMSHの血清安定性を示す図。
【
図22】
225Ac-クラウン-αMSH構築物の体内分布(%ID/g)を、Sep-Pak精製と0.1M L-アスコルビン酸で、前夜に調製した場合(A)と、同日(4時間前)に調製した場合(D)で示した図。(双方向ANOVA、Sidakメソッドを使用して修正された多重比較、
***p<0.0001、n≧3)。
【
図23】0.1M L-アスコルビン酸を含む場合と含まない場合の
225Ac-クラウン-αMSHのHPLCガンマトレースを示す図。
【
図24】B16F10腫瘍を有するマウスにおける
225Ac-クラウン-TATEの生物学的分布を、組織1グラム当たりの%注射用量(%ID/g)として示す図。
【
図25】B16F10腫瘍を有するマウスにおける
213Bi-クラウン-TATEの生物学的分布を、組織1グラム当たりの%注射用量(%ID/g)として示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明を通して、当業者により深い理解を提供するために具体的な詳細が記載される。しかしながら、周知の要素は、本開示を不必要に不明瞭にすることを避けるために、詳細に図示または説明されていない場合がある。したがって、説明および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味でみなされるべきである。
【0026】
本明細書で使用される場合、予防という用語は、症状の予防、症状の重症度の最小化、または症状の悪化の防止を含む。本明細書で使用される場合、治療する、または治療、という用語は、症状の重症度を逆転または軽減することを含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、抗体という用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、多量体抗体などを含むすべての形態の抗体を含む。抗体の抗原結合断片という用語は、抗原に結合することができる抗体の任意の部分を指し、これには、例としてのみ、限定するものではないが、Fab断片、F(ab’)2断片、Fv断片、scFv断片、ミニボディ、ダイアボディなどが含まれる。特定の抗体への言及には、任意の規制当局によってその特定の抗体とバイオシミラーであると決定された任意の抗体への言及が含まれる。
【0028】
本明細書で使用される場合、ペプチドミメティックという用語は、ペプチドを模倣するように設計された小さなタンパク質様分子を意味し、限定するものではないが、修飾ペプチド、ペプチドフォルダマー、構造ミメティック、および機構ミメティックを含む。
【0029】
放射性金属のためのキレート剤組成物が開示される。本組成物の使用方法および製造方法も開示される。本組成物は、治療薬および/または診断薬として使用することができる。
【0030】
本発明者らは、一般構造(1)を有するキレート剤が穏やかな条件下で225Acを含む放射性同位体を配位し、インビボ条件下で安定な錯体を生成することができ、そのようなキレート剤を例えば放射線治療、診断および/またはセラノスティック構築物における用途に特に適したものにすることを決定した。キレート剤は、生物学的標的化部分に直接またはリンカーを介して結合して、そのような用途での使用に適切な構築物を作成することができる。
【0031】
【0032】
構造(1)は、2,2’,2’’,2’’’-(1,10-ジオキサ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカン-4,7,13,16-テトライル)四酢酸を表す。これは、本明細書では「クラウン」と呼ばれる。本発明者らは、クラウンが、穏やかな条件下で配位し、インビボで安定な錯体を生成することができる、アクチニウムなどの大きな金属に対する新規の有効なキレート剤であることを実証した。さらに、標的化部分にコンジュゲートした場合のクラウンのインビボ分布プロファイルは好ましいものであり、所望の放射性金属のキレート化に対する良好な選択性および特異性を示している。また、アクチニウムなどの所望の大きな放射性金属に対するクラウンの結合親和性は、現在利用可能なキレート剤と比較して非常に高く、高い比放射能を有するインビボ放射性同位体標的化キレート構築物の調製を可能にする。高い比放射能を有するインビボ放射性同位体標的化キレート構築物の調製は、標的分子が比較的低レベルで発現され、標的分子がインビボで容易に飽和可能になる状態の治療または予防に特に重要であり得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、クラウンは、生物学的標的化部分またはリンカーを構造(1)のカルボキシル基のうちの1つに直接結合させることによって、生物学的標的化部分に直接結合することができ(場合によりクラウンおよび生物学的標的化部分を介在するリンカーを有し)、以下の(2)として示される構造が得られ、ここでR1は生物学的標的化部分であり、場合により、以下の構造(3)においてLとして示される、生物学的標的化部分およびクラウンキレート剤を介在するリンカーを有する。
【0034】
【0035】
さらにまた、いくつかの実施形態において、カルボキシル基の1つまたは複数の酸素原子が、異なるヘテロ原子、例えばNまたはSによって置換されている。いくつかの実施形態において、クラウンキレート剤は、下記(4)として示される構造を有し、X1およびX2は独立して、O、N、またはSである。したがって、様々な実施形態において、キレート剤を生物学的標的化部分に結合させるために二官能性クラウンキレート剤上に設けられる官能基は、カルボキシル、エステル、アミド、イミド、チオアミド、チオエステル、グアニジニウムなどであり得、(5)として以下に示す構造をもたらし、R1が、生物学的標的化部分であり、場合により以下の構造(6)においてLとして図示される、生物学的標的化部分およびクラウンキレート剤を介在するリンカーを有し得る。
【0036】
【0037】
いくつかの実施形態において、クラウンキレート剤は、二官能性キレート剤、すなわち、遊離カルボキシル基のうちの1つを使用するのではなく、キレート剤を標的化部分に結合するために使用できる追加の官能基を有するキレート剤として提供される。任意の適切な官能基を任意の適切な位置で構造(1)に結合させて、二官能性キレート剤を得ることができる。例えば、いくつかの実施形態において、二官能性キレート剤は、以下の構造(7)を有し、二官能性キレート剤を生物学的標的化部分と結合させて以下の構造を得るために使用できる官能基は、R2、R3、R4、R5またはR6で示される位置のうちの1つに設けることができ、ここで、R1は、構造(8)または(9)に存在する場合、生物学的標的化部分であり、場合により、下記構造(9)でLとして示される、キレート剤および生物学的標的化部分を介在するリンカーを伴う。R2、R3、R4、R5またはR6に使用できる官能基の例には、カルボキシル、エステル、アミド、イミド、チオアミド、チオエステル、グアニジニウム、エーテル、チオエーテル、アミンなどが含まれる。
【0038】
【0039】
1つの例示的な実施形態では、二官能性クラウンは、以下の構造(10)を有する。
【0040】
【0041】
図2、3、4および5を参照すると、1つの例示的な実施形態では、20A、20B、20Cまたは20Dとして概略的に示されるインビボ標的化キレート構築物の例(本明細書においてインビボ標的化キレート構築物20と総称される)は、キレート剤26Aまたは二官能性キレート剤26B(本明細書ではまとめてキレート剤26と呼ぶ)に結合された標的化部分22を有する。
図2および3に示される実施形態を含むいくつかの実施形態において、キレート剤26Aは構造(1)を有するが、他の実施形態では、キレート剤26Aは構造(4)を有するキレート剤で置き換えることができる。いくつかの実施形態において、キレート剤26Bは、構造(10)を有する(
図4および5の図示された実施形態のように)が、他の実施形態では、キレート剤26Bは構造(7)を有するキレート剤で置き換えることができる。いくつかの他の実施形態では、構造(2)は、インビボ標的化構築物30Bに対応し、構造(5)は、キレート剤26Aの代わりに異なるクラウンキレート剤を有するインビボ標的化構築物30Bに対応する。いくつかの他の実施形態では、構造(3)はインビボ標的化構築物30Aに対応し、構造(6)はキレート剤26Aを異なるクラウンキレート剤で置換したインビボ標的化構築物30Aに対応する。いくつかの他の実施形態では、構造(8)はインビボ標的化構築物30Dに対応し、構造(9)はインビボ標的化構築物30Cに対応し、異なる二官能性クラウンキレート剤がキレート剤26Bに置換されている。
【0042】
図2および4に示す実施形態を含むいくつかの実施形態において、標的化部分22は、適切なリンカー24を介してキレート剤26に結合されて、インビボ標的化構築物30Aまたは30C(インビボ標的化構築物30Bおよび30Dと共にインビボ標的化構築物30と総称される)を生じる。
図3および5に示す実施形態を含むいくつかの実施形態において、リンカーは使用されず、キレート剤26は、標的化部分22に直接結合されて、インビボ標的化構築物30Bまたは30Dを生じる。キレート剤26は、放射性核種28をインビボ標的化構築物30にキレート化して、標的化部分22によって支援される放射性核種28ペイロードの標的インビボ送達に適切なインビボ標的化キレート構築物20と呼ばれる金属キレート構築物を生成するために使用することができる。
【0043】
インビボでのインビボ標的化キレート構築物20の標的送達を方向づけるのに適した任意の部分を、標的化部分22またはR1として使用することができる。いくつかの実施形態において、標的化構築物20の標的化部分22は、ハプテン、抗原、アプタマー、アフィボディ分子、酵素、タンパク質、ペプチド、抗体、抗体の抗原結合断片、ペプチドミメティック、受容体リガンド、ステロイド、ホルモン、成長因子、サイトカイン、細胞表面受容体を認識する分子(細胞の成長、代謝、または機能に関与する分子を含む)、脂質、親油性基、炭水化物、または体内の特定の場所に構築物を選択的に方向づけることができる任意の他の分子または標的化成分である。標的化部分は、任意の適切な方法で、例えば、生物学的、半合成的、または合成的に生成することができる。
【0044】
放射性同位元素標的化構築物を哺乳類被験者の体内の所望の場所にインビボで送達するために開発された標的化部分の例としては、特定の種類のがんに関連する特定のマーカーを標的とする抗体、がん細胞で高発現するタンパク質を標的とするペプチドミメティックスなどがある。適切な標的化部分の例示的な非限定的な例を表1に列挙する。[45]いくつかの標的化部分は、正常細胞に比べてがん細胞で過剰発現している細胞表面に存在する抗原、タンパク質、炭水化物または他の分子、例えば腫瘍関連抗原などの生物学的標的と選択的に相互作用する。適切な標的の例示的な非限定的な例を表1に列挙する。放射性医薬品の適切な標的および/または標的化部分は、現在知られているか、発見されたか、または将来開発されるかにかかわらず、当業者に知られるであろう。いくつかの実施形態において、標的化部分22は、抗体または抗体の抗原結合断片である。いくつかの実施形態において、標的化部分22はペプチドミメティックである。いくつかの実施形態において、標的化部分22は、表1に列挙された標的化部分のうちの1つであり、参照分子に存在する任意のキレート剤がクラウンキレート剤によって置き換えられている。いくつかの実施形態において、標的化部分22は、表1に列挙された標的のうちの1つと選択的に相互作用する。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
任意の適切なリンカーをリンカー24またはLとして使用して、キレート剤26を標的化部分22またはR1に結合することができる。例えば、例示のみを目的として、適切なリンカーには次のものを含めることができる:
・場合により飽和または不飽和であり、場合により1つまたは複数のヘテロ原子で置換されているか、または1つまたは複数の置換基を有する2、3、4、5、6、7、8または9個の炭素原子を含む1~10個の炭素原子(C1~C10)を含む炭化水素リンカー;前記炭化水素リンカーは、例えば8-アミノオクタン酸、6-アミノヘクサン酸などの直鎖、環状および/または分枝であり得る;
・例えばアミノフェニル酢酸などのベンジル基などの芳香族部分を含む芳香族リンカー;
・2、3、4、5、6、7、8、または9個のアミノ酸残基を含む1~10個のアミノ酸残基を有するアミノ酸リンカーであって、そのうちのいずれか1つまたは複数は、天然に存在するアミノ酸残基、D-アミノ酸残基または他の天然に存在しない残基であってもよく、その例は、GlyGly(配列番号:3)、GluGlu(配列番号:4)、GlySerGlySer(配列番号:5)などが挙げられる;
・環化リンカー、または環化環構造、場合により環化アミノ酸リンカー、例えばアミノシクロヘキサンカルボン酸;
・任意の適切な長さのPEGリンカー;
・アミノ酸残基または他の残基から形成されたかどうかにかかわらず、カチオン性リンカー、例えば、Pip、4-(2-アミノエチル)-1-カルボキシメチル-ピペラジン(Acp);
・アミノ酸残基または他の残基から形成されたかどうかにかかわらず、アニオン性リンカー、例えば、AspAsp(配列番号6)、GluGlu(配列番号7);
・炭水化物含有リンカー;
・クリックケミストリーリンカー(トリアゾール);
・任意の他の適切なリンカー;
・または前述の組み合わせまたは改良。
【0050】
他の放射性医薬品標的化構築物のために当技術分野で開発されたリンカーの例は、当業者に知られている。PEGリンカーまたはカチオン性/アニオン性リンカーなどの親水性または荷電リンカーを使用して、標的化構築物の全体的な水溶性を高めることができる。アミノ酸側鎖の置換および/または炭水化物部分の包含は、標的化構築物の溶解性および/または薬物動態を改良または変更するために行うことができる。当業者は、必要に応じて、特定の用途に適切なリンカーを開発および最適化することができる。他の放射性医薬品標的化構築物のために当技術分野で開発されたリンカーの例は、例としてのみであって限定するものではないが、Benesovaら、Barnaskiら、およびKuo[41、42、43、44]らによって記載されている。当業者は、特定の用途に適したリンカーを開発し、最適化することができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、構築物20などの構築物は、例えば、適切な化学反応を介して、標的化部分22とキレート剤26とを結合する適切な反応を実行して、場合により標的化部分22およびキレート剤26を介在するリンカー24で、インビボ標的化構築物30を生成することによって調製される。次いで、放射性核種28を、例えば、後の時点で、病院または診療所の環境において、キレート剤26に添加および結合させて、所望のインビボ標的化金属キレート構築物20を形成させる。他の実施形態では、放射性核種28を最初にキレート剤26でキレート化することができ、次にキレート剤26を任意の適切な方法で標的化部分22とコンジュゲートさせてインビボ標的化キレート構築物20を得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、放射性核種28は、穏やかな温度条件下、例えば約65℃未満、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃または30℃でキレート剤26(構築物30の一部として含む)に結合される。いくつかの実施形態において、穏やかな温度条件は、約10℃から65℃の間(その間の任意の値または下位範囲を含む、例えば、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃または65℃)である。いくつかの実施形態において、放射性核種28は、室温で、すなわち約15℃から約25℃の範囲(その間の任意の値を含む、例えば、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、または24℃)でキレート剤26または構築物30にコンジュゲートされる。
【0053】
いくつかの実施形態において、放射性核種28または構築物30は、キレート剤26と混合されて、穏やかなpH条件下、例えば約5.0から約7.4の間(その間の任意の値または部分範囲を含む、例えば、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0または7.2)で、金属キレートを形成する。いくつかの実施形態において、放射性核種28は、おおよそ中性のpH、すなわち、おおよそ7.0のpH、例えば、約7.0のpHで、例えば、約6.8から7.2の間(その間の任意の値を含む、例えば6.9、7.0または7.1)キレート剤26にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、放射性核種28は、おおよそ生理学的pH、すなわちおおよそpH7.4、例えば約7.2から7.6の間(その間の任意の値を含む、例えば、7.3、7.4または7.5)でキレート剤26にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、放射性核種28は、水溶液中でキレート剤26または構築物30と混合される。いくつかの実施形態において、水溶液は、エタノールなどのアルコールを含まないかまたは実質的に含まない。
【0054】
いくつかの実施形態において、放射性核種28は、キレート化金属錯体を形成させるインキュベーション期間中、キレート剤26または構築物30と混合される。いくつかの実施形態において、インキュベーション期間は、約5分から約6時間の間であり、その間の任意の期間、例えば、10、15、20、25、30、45、60、または90分、または2、3、4、または5時間を含む。いくつかの実施形態において、インキュベーション期間は、約5分から約30分の間である。
【0055】
いくつかの実施形態において、放射性核種28にコンジュゲートしたときに存在するキレート剤26または構築物30の濃度は、その間の任意の値、例えば10-5または10-6Mを含む、約10-4から10-7Mの間である。使用されるキレート剤26または構築物30の濃度は、任意の特定の実施形態で使用される特定のキレート剤26と放射性核種28との間の錯体形成速度論に応じて調整することができる。同様に、放射性核種28がキレート剤26または構築物30と混合される温度は、錯体形成速度論に応じて変えることができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、インビボ放射性同位体標的化キレート構築物20は、哺乳動物血清中に、場合によりヒト血清中に存在する。いくつかの実施形態において、インビボ放射性同位体標的化キレート構築物20は、哺乳動物血清中で、場合によりヒト血清中で安定である。いくつかの実施形態において、インビボ放射性同位体標的化キレート構築物20は、哺乳動物の体内の哺乳動物血清中に、場合によりヒトの体内のヒト血清中に存在する。いくつかの実施形態において、インビボ放射性同位体標的化キレート構築物20は、哺乳動物の血液中に存在し、場合によってはヒトの血液中に存在する。いくつかの実施形態において、インビボ放射性同位体標的化キレート構築物20は、哺乳動物の体内の哺乳動物の血液に、場合によってはヒトの体内のヒトの血液に存在する。いくつかの実施形態において、インビボ放射性同位体標的化キレート構築物20は、哺乳動物の体内に、場合によってはヒトの体内に存在する。いくつかの実施形態において、インビボ放射性同位体標的化キレート構築物20は、哺乳動物細胞に、場合によってはヒト細胞に存在する。
【0057】
いくつかの実施形態において、放射性核種28は、放射性核種28と、結合した放射性核種28を含むインビボ放射性同位体標的化キレート構築物20を対象の体内の選択された場所に特異的に方向づける標的化部分22とを組み込んだインビボ放射性同位体標的化キレート構築物を対象に投与することによって哺乳動物対象の体内の選択された場所に送達される。いくつかの実施形態において、本方法は、体内の他の場所と比較して、体内の選択された場所で標的化部分22がインビボ放射性同位体標的化キレート構築物20の蓄積を増強して、選択された場所に放射線量を選択的に送達することを可能にすることを含む。いくつかの実施形態において、標的線量の放射線を送達することにより、選択された場所で細胞死を引き起こすために、インビボ放射性同位体標的化キレート構築物20が使用される。いくつかの実施形態において、選択された場所で殺傷される細胞はがん細胞である。いくつかの実施形態において、放射線はアルファ放射線である。
【0058】
いくつかの実施形態において、インビボ放射性同位体標的化キレート構築物20は、例えばエンドサイトーシスまたは他の方法により、哺乳動物対象内の細胞によって内部移行される。したがって、いくつかの実施形態において、インビボ放射性同位体標的化キレート構築物20は、哺乳動物細胞内に存在する。いくつかの実施形態において、インビボ放射性同位体標的化キレート構築物20は、ヒト細胞内に存在する。
【0059】
いくつかの実施形態において、インビボ放射性同位体標的化キレート構築物20は、対象への構築物20の投与の前に、標的化部分22と、キレート剤26と、場合によりリンカー24とを有するインビボ放射性同位体標的化構築物30を、放射性核種28と混合して、インビボ放射性同位体標的化キレート構築物20を形成することにより、調製される。いくつかの実施形態において、前記混合は、穏やかな温度、例えば約10℃から約65℃の範囲の温度で実施される(その間の任意の値、例えば、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃または60℃を含む)。いくつかの実施形態において、前記混合は、穏やかなpH、例えば、おおよそ中性のpHまたはおおよそ生理学的なpHで実施される。いくつかの実施形態において、穏やかなpHは、約5.0から約7.4の間のpHであり、その間の任意の値、例えば、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0または7.4を含む。いくつかの実施形態において、穏やかなpHはおおよそ6.0である。いくつかの実施形態において、前記混合は生理学的pH、例えば約7.0から7.4の間の範囲(その間の任意の値、例えば7.1、7.2、または7.3などを含む)で行われる。いくつかの実施形態において、放射性核種28は、水溶液中のインビボ放射性同位体標的化構築物30と混合される。いくつかの実施形態において、水溶液は、エタノールなどのアルコールを含まないかまたは実質的に含まない。いくつかの実施形態において、混合は、約5分から約30分の間(その間の任意の値、例えば10、15、20、または25分を含む)で実行される。
【0060】
いくつかの実施形態において、インビボ標的化キレート構築物20が診断用途に使用される。例えば、インビボ標的化キレート構築物20は、任意の適切な方法で対象に投与されてもよく、結合した放射性核種28の場所を可視化することによって、標的化部分22を介した体内の標的化キレート構築物20の局在を評価するために任意の適切なイメージング技術または手順、例えば、陽電子放出断層撮影(PET)イメージングまたは単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングを使用してもよい。そのようなイメージング手順は、例えば、対象を特定の障害またはがんの種類を有すると診断するため、または特定の障害またはがんの種類によって影響を受ける対象の体の領域を特定するために実行することができる。いくつかの実施形態において、そのようなイメージング技術によって評価される、体内の標的器官、領域、または複数の場所への標的化キレート構築物20の局在は、対象が特定の形態のがんを有することを示し得、および/またはがんの程度、およびまたはがん細胞があるもしくはある可能性がある体内の場所を評価するために使用することができ、および/またはがんの転移の程度を評価するために使用することができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、標的化キレート構築物20などの構築物は、例えば、標的放射性核種療法を実施するために、治療用途に使用される。例えば、標的化キレート構築物20は、任意の適切な方法で対象に投与されてもよく、標的化部分22によって付与される標的化効果を使用して、キレート化された放射性核種28を対象の体内の所望の場所に送達することができる。いくつかの実施形態において、放射性核種28からの放射線を使用して、所望の場所で細胞を殺傷する。いくつかの実施形態において、所望の場所で殺傷される細胞はがん細胞である。いくつかの実施形態において、標的化構築物20は、標的放射性核種治療を行うために使用される。いくつかの実施形態において、標的化構築物20は、標的アルファ治療を行うために使用される。
【0062】
いくつかの実施形態において、医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、標的化構築物20および薬学的に許容される担体を含む。医薬組成物は、任意の適切な賦形剤、ビヒクル、緩衝剤、希釈剤、結合剤、増粘剤、潤滑剤、保存剤などを含み得、任意の所望の状態で例えば液体、懸濁液、エマルジョン、ペーストなどとして提供され得る。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、任意の適切な方法、例えば、経口、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、腫瘍内、吸入などで投与することができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、がんを有するか、またはがんを有すると考えられる対象の予防および/または治療の方法が提供される。いくつかの実施形態において、本方法は、インビボ標的化キレート構築物20またはそのような標的化キレート構築物20を含む医薬組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、治療的および/または予防的に有効量の標的化キレート構築物20を対象に投与することを含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。代替的な実施形態では、対象は家畜またはペット、例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ、ウサギなどである。いくつかの実施形態において、対象はサルである。
【0065】
例示的な実施形態は、がん細胞の標的化および殺傷に関して本明細書に記載されているが、そのような構築物は、他の望ましくない細胞型、例えば、細菌、真菌、自己免疫疾患に関与する細胞、ウイルス感染細胞、寄生虫などの選択的な殺傷および/または切除に使用することができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、金属28として使用できる金属には、アクチニド、ランタニド、希土類金属、または主族金属が含まれる。いくつかの実施形態において、ランタニドは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbまたはLuである。いくつかの実施形態において、ランタニドは、Gd、Lu、Pr、Nd、Ho、ErまたはYbである。いくつかの実施形態において、ランタニドは放射性ランタニドである。いくつかの実施形態において、アクチニドは、Ac、Th、Pa、U、Np、Pu、Am、Cm、Bk、Cf、Es、Fm、Md、NoまたはLrである。いくつかの実施形態において、アクチニドはAc、ThまたはUである。いくつかの実施形態において、アクチニドは放射性アクチニドである。いくつかの実施形態において、希土類金属は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbまたはLuである。
【0067】
いくつかの実施形態において、金属は放射性同位元素である。いくつかの実施形態において、放射性同位体は任意の所望の放射性同位体、例えば225Ac、227Th、226Th、211At、44Sc、90Y、89Zr、177Lu、111In、86/89/90Y、211At、211Fr、212/213Bi、153Sm、161/166Ho、165/166Dy、161/155Tb、140La、142/143/145Pr、159Gd、169/175Yb、167/170Tm、169Er、149Pm、150Eu、68Ga、137Cs、141Ceなどである。
【0068】
いくつかの実施形態において、金属は、アクチニウム(Ac)、ルテチウム(Lu)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、テルビウム(Tb)、トリウム(Th)、またはセシウム(Cs)である。いくつかの実施形態において、金属は、アクチニウム(III)(Ac3+)、ルテチウム(III)(Lu3+)、ビスマス(III)(Bi3+)、ガリウム(III)(Ga3+)、インジウム(III)(In3+)、テルビウム(Tb3+)、トリウム(III)(Th3+)、またはセシウム(I)(Cs1+)である。いくつかの実施形態において、金属は225Ac、177Lu、213Bi、232Th、230Th、228Th、68Ga、161Tb、155Tb、152Tb、149Tb、111In、または137Csである。
【0069】
いくつかの実施形態において、クラウンは金属イオンに結合して配位錯体を形成する。いくつかの実施形態において、配位錯体は金属キレートと呼ばれる。いくつかの実施形態において、キレート配位子としての金属キレートまたはクラウンは、対イオンとしての1つまたは複数の陽イオン、例えばNa+、K+、Ca2+などと会合している。いくつかの実施形態において、金属キレートまたはキレート配位子は完全にプロトン化されている。いくつかの実施形態において、金属キレートまたはキレート配位子はその遊離酸形態である。いくつかの実施形態において、金属キレートまたはキレート配位子は、部分的にプロトン化された状態にある。
【0070】
いくつかの実施形態において、配位錯体は、哺乳動物血清、場合によりヒト血清中に存在する。いくつかの実施形態において、配位錯体は、哺乳動物血清、場合によりヒト血清中で安定である。いくつかの実施形態において、配位錯体は、哺乳動物の体内の哺乳動物血清中に存在し、場合によってはヒトの体内のヒト血清中に存在する。いくつかの実施形態において、配位錯体は、血液、場合によってはヒトの血液中に存在する。いくつかの実施形態において、配位錯体は、哺乳動物の血液、場合によってはヒトの血液中で安定している。いくつかの実施形態において、配位錯体は、哺乳動物の体内の哺乳動物の血液に存在し、場合によっては、ヒトの体内のヒトの血液に存在する。いくつかの実施形態において、配位錯体は、哺乳動物の体内に存在し、場合によってはヒトの体内に存在する。いくつかの実施形態において、配位錯体は、哺乳動物対象の細胞内に存在し、場合によってはヒト対象の細胞内に存在する。
【0071】
理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載の例は、キレート剤としてのクラウンが、放射性金属、特により大きな放射性金属(例示的な放射性金属225Ac、213Bi、177Lu、155Tbおよび68Gaを含む)を結合するための高い結合親和性を有することを実証している。そのような例示的な放射性金属に対するクラウンの高い結合親和性は、現在のゴールドスタンダードのキレーターDOTAが、同様の標識度を得るためには10-4Mという高い濃度および90℃、30分という厳しいキレート条件での使用を必要とする(多くの生物学的標的化部分(例えば抗体)には過酷すぎて耐えられない)ということと比べて、例えば、クラウンが室温条件および中性pHにおいて10-5Mまたは10-6Mという低いキレート剤濃度で放射性金属と定量的に配位錯体を形成する能力によって示される。この高い結合親和性により、例えば、4.1MBq/nmolのモル放射能(比放射能)を持つ225Acを組み込んだインビボ標的化キレート構築物の生成が可能になった。これは、225Acをわずかおおよそ200kBq/nmolのモル放射能でキレートすることができたDOTAを使用して以前に生成された並列調製品よりもかなり高い[29]。比放射能のこの違いにより、他の組織と比較して、腫瘍組織における放射性金属のより高い取り込みの蓄積が可能になる。したがって、いくつかの実施形態において、キレート剤としてクラウンを組み込んだ放射性同位体標的化構築物は、少なくとも4MBq/nmolの比放射能を有する。
【0072】
理論に束縛されるものではないが、インビボ標的化キレート構築物の著しく高い比放射能は、本構築物がインビボでの発現レベルが比較的低い標的に対して使用される場合に特に重要であり、これは、標的が、放射性金属に結合しないインビボ標的化構築物分子によって容易に飽和され得、それによって、所望の投与部位への放射性金属の有効な送達が妨害され得るということを意味する。したがって、クラウンは、現在のキレート剤が標的放射線療法の実施にうまく機能しないインビボでの発現レベルが低い標的に対してより効果的であると予想される。
【0073】
さらにまた、本発明者らは、クラウンが、ヒト血清中37℃で数日間にわたり良好な安定性で所望の放射性金属を効果的にキレート化し、さらに、例示的に試験したインビボ標的化キレート構築物の生物学的分布プロファイルが、正常組織と比較して腫瘍組織における良好な選択的蓄積を実証したことを発見した。クラウン-放射性金属錯体がインビボで不安定である場合、遊離225Acの投与で観察されたように、血液、肝臓、および脾臓に放射性金属の蓄積が観察されると予想される。[19]対照的に、本発明者らは、試験したインビボ放射性同位体標的化キレート構築物のクリアランストラック(すなわち、腎経路、腎臓、尿及び膀胱)においてのみ放射性金属の蓄積を観察し、これは、インビボ投与時にクラウンが結合した放射性金属を有効に保持することを示す。
【0074】
したがって、本明細書に記載された実施例から、ベクターをインビボの適切な場所に標的化する標的化部分にクラウンが結合されたとき、標的放射線治療またはイメージングの実施のための放射性同位元素のインビボ送達のためのキレート剤として使用できることが十分に予測され得る。
【0075】
実施例
以下の実施例を参照して特定の実施形態をさらに説明するが、これらは例示を目的としており、範囲を限定するものではない。
【0076】
実施例1.0-クラウンの合成および特性評価
構造(1)を有するクラウンを2,2’,2’’,2’’’-(1,10-ジオキサ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカン-4,7,13,16-テトライル)四酢酸(「クラウン」)の合成を示すスキーム1に従って合成した。
【0077】
【0078】
S1、S2、S3は、報告された方法[28]を使用して合成された。S4は、報告された方法[27]を応用して合成された。
N,N’-(エタン-1,2-ジイル)ビス(4-メチルベンゼンスルホンアミド)S1の調製:塩化p-トルエンスルホニル(7.8g、40.5mmol)をエチレンジアミン(1.33mL、20mmol)の100mLピリジン中の撹拌溶液に0℃で添加した。室温で一晩攪拌した後、混合物を水250mLに注いだ。得られた沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥して、表題の化合物(6.8g、92.4%)を白色粉末として得た。1H NMR(300MHz、DMSO-d6):δ7.61-7.57(m、4H)、7.36(d、J=8.0Hz、4H)、2.73-2.65(m、4H)、2.37(s、6H)。13C NMR(151MHz、CDCl3)δ165.57、160.34、146.90、137.76、124.11、123.83、77.27、77.06、76.85、64.64、52.94。ESI MS:[M+Py+H]+:448.1。
【0079】
4,7,13,16-テトラトシル-1,10-ジオキサ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカンS2の調製:N,N’-(エタン-1,2-ジイル)ビス(4-メチルベンゼンスルホンアミド)(7.4g、0.02mol)、K2CO3(4.2g、0.03mol)、2-クロロエチルエーテル(2.35mL、0.02mol)をジメチルホルムアミド(20mL)に溶解し、オイルバスで、170℃で12時間加熱した。室温まで冷却した後、水60mLを反応混合物に添加した。沈殿物を濾過し、水(3回)およびアセトン(50mL)で洗浄した。DMFから粗生成物を再結晶した後、S2(2.5g、14.3%)を白色固体として得た。1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ7.63(d、J=8.0Hz、8H)、7.41(d、J=8.1Hz、8H)、3.45(t、J=5.0Hz、8H)、3.25-3.06(m、16H)、2.42-2.32(m、12H)。13C NMR(151MHz、CDCl3)δ165.13、157.36、147.35、138.50、127.33、124.56、77.27、77.06、76.85、53.19、32.89。ESI MS:[M+H]+:877.6。
【0080】
1,10-ジオキソ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカンS3の調製:4,7,13,16-テトラトシル-1,10-ジオキサ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカン(2g、2.3mmol)を濃硫酸20mLに溶解し、100℃で18時間加熱した。次に、水酸化ナトリウム溶液を反応混合物に添加して、pHを10~11に調整した。混合物をクロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させてテトラアザクラウンエーテルS3をわずかに無色の固体として得た(300mg、50.2%)。1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δ3.48-3.43(m、8H)、2.65(m、8H)、2.60(s、8H)。13C NMR(151MHz、DMSO-d6)δ70.15、49.46、49.43。ESI MS:[M+Na]+:283.2。
【0081】
テトラ-tert-ブチル2,2’,2’’,2’’’-(1,10-ジオキサ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカン-4,7,13,16-テトライル)テトラアセテートS4の調製:tert-ブチルブロモアセテート(176mg、0.9mmol)の乾燥CH3CN(5mL)溶液を、1,10-ジオキソ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカン(52mg、0.2mmol)と、乾燥CH3CN(10mL)中のK2CO3(138mg、1mmol)と、KI(7mg、0.04mmol)の混合物に滴下した。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、次いで一晩還流した。室温まで冷却した後、混合物を濾過し、残渣を乾燥CH3CNで洗浄した。濾液を回収し、蒸発させて、S4を白色固体として得た(95mg、66%)。1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δ3.85(s、8H)、3.64(t、J=5.0Hz、8H)、3.26-3.06(m、16H)、1.46(s、36H)。13C NMR(151MHz、DMSO-d6)δ168.47、82.64、67.03、54.78、53.57、50.72、28.19。HRMS(ESI) calculated for C36H69N4O10
+[M+H]+:717.5013、found:717.5105。
【0082】
2,2’,2’’,2’’’-(1,10-ジオキサ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカン-4,7,13,16-テトライル)四酢酸(1)(クラウン):テトラ-tert-ブチル2,2’,2’’,2’’’-(1,10-ジオキサ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカン-4,7,13,16-テトライル)テトラアセテート(105mg、0.15mmol)を、TFA 9.5mLと、TIPS 0.25mLと、H2O 0.25mLを含む混合溶媒10mLに溶解した。混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を空気流で除去し、残渣をCH3CN/H2O(1/1)に溶解し、次の方法でさらにHPLC精製した:0~5分100%H2O+0.1%TFA、5~25分100%~60%H2O+0.1%TFA。6.8分の画分を回収し、凍結乾燥してクラウンを無色オイルとして得た(40mg、55.4%)。1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δ3.86(s、8H)、3.72-3.58(m、8H)、3.39-3.02(m、16H)。13C NMR(151MHz、DMSO)δ170.63、158.60(q、J=34.7Hz、CF3CO2H)、116.68(q、J=293.9Hz、CF3CO2H)、66.92、54.10、53.63、50.65。HRMS(ESI) calculated for C20H37N4O10
+[M+H]+:492.2431、found:492.2502。
【0083】
実施例2.0-クラウン-TATE標的化構築物の合成
本発明者らは、以下の構造(11):
【0084】
【0085】
を有するアミノ酸配列H-D-Phe-Cys-Phe-D-Trp-Lys-Thr-Cys-Thr-OH(配列番号1)を有する標的化部分であるペプチド(オクトレオテート(本明細書では「TATE」と称する))にクラウンを結合させた。
【0086】
TATEは、中枢神経系、乳房、肺、リンパ系の悪性腫瘍を含む様々な悪性腫瘍で高密度に見られるSSRに構築物を標的化するための標的化部分として使用できるSSRアゴニストである。Ac-クラウン-TATEは次の構造(12)を有し、クラウンは、クラウンの遊離カルボン酸基のうちの1つを介して形成されるアミド結合を介して、TATEのN末端D-フェニルアラニン残基の遊離アミノ基に直接連結される:
【0087】
【0088】
構造(1)を有するクラウンを樹脂上の切断されていないペプチドにカップリングすると、おそらく溶解度が低いために収率が低くなった。3tBu-クラウンは、スキーム2に従って溶解度を改良するために合成された。
【0089】
【0090】
トリ-tert-ブチル2,2’,2’’-(1,10-ジオキサ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカン-4,7,13-トリイル)トリアセテートTFA塩S6の調製:乾燥CH3CN(2mL)中のtert-ブチルブロモアセテート(656.8mg、3.4mmol)の溶液を、乾燥CH3CN(20mL)中の1,10-ジオキソ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカン(265.0mg、1.0mmol)と、NaHCO3(282.2mg、3.4mmol)の混合物に滴下した。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。濾過後、濾液を回収して蒸発させた。残渣をCH3CN/H2O(2/1)に溶解し、次の方法でさらにHPLC精製した:0~1分 98%H2O+0.1%TFA、1~10分 98%~0%H2O+0.1%TFA。6.8分の画分を回収し、凍結乾燥して、表題の化合物を白色固体(246.3mg、34.0%)として得た。また、S4を使用(7.4分、151.3mg、21.1%)。1HNMR(500M、CDCl3):δ 11.95(brs、3H、TFA)、9.19(brs、1H、TFA)、3.93(s、2H)、3.82(t、J=4.7Hz、2H)、3.78-3.70(m、4H)、3.67(s、2H)、3.56(t、J=4.6Hz、2H)、3.50(t、J=5.8Hz、2H)、3.46(t、J=4.6Hz、2H)、3.42(s、2H)、3.39(t、J=5.7Hz、2H)、3.25-3.20(m、4H)、3.17-3.08(m、4H)、2.95(t、J=4.6Hz、2H)、1.44(s、9H)、1.42(s、9H)、1.41(s、9H)。13C NMR(125MHz、CDCl3)δ170.8、167.8、166.1、160.9(q、J=36.7Hz、CF3CO2H)、115.9(q、J=290.3Hz、CF3CO2H)、84.3、83.6、82.8、67.8、67.1、66.2、65.2、56.1、55.2、54.5、53.6、53.2、51.1、50.4、49.9、47.2、45.7、27.8、27.8、27.7。RMS(ESI) calcd for C30H59N4O8
+ [M+H]+:603.4327、found:603.4312。
【0091】
トリ-tert-ブチル2,2’,2’’-(16-(2-(ベンジルオキシ)-2-オキソエチル)-1,10-ジオキサ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカン-4,7,13-トリイル)トリアセテートS7の調製:15mlのCH2Cl2溶液のトリ-tert-ブチル2,2’,2’’-(1,10-ジオキサ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカン-4,7,13-トリイル)トリアセテート(246.3mg、0.34mmol)と、ブロモ酢酸ベンジル(236.4mg、1.03mmol)と、トリエチルアミン(208.2mg、2.06mmol)との混合物を、80℃で一晩加熱還流した。室温まで冷却した後、溶媒を回転蒸発で除去し、残渣をCH3CN/H2O(2/1)に溶解し、次の方法でさらにHPLC精製した:0~1分 98%H2O+0.1%TFA、1~10分 98%~0%H2O+0.1%TFA。7.4分の画分を回収し、凍結乾燥して、表題の化合物を白色固体(197.7mg、77.4%)として得た。1H NMR(600 M、CDCl3):δ12.27(brs、4H、TFA)、7.39-7.28(m、5H)、5.13(s、2H)、3.91(s、2H)、3.81-3.68(m、12H)、3.63(t、J=4.8Hz、2H)、3.48-3.42(m、4H)、3.42-3.31(m、6H)、3.29-3.23(m、4H)、3.11(t、J=4.8Hz、2H)、1.65-0.88(m、27H)。13C NMR(150MHz、CDCl3)δ169.4、167.4、167.0、166.2、160.8(q、J=37.1Hz、CF3CO2H)、134.8、128.6(炭素2つ)、128.4、115.9(q、J=290.1Hz、CF3CO2H)、84.4、84.0、83.8、67.5、67.2、66.7、66.3、65.8、54.5、54.4、54.05、54.01、53.98、53.93、53.8、53.7、51.3、50.7、50.6、50.0、27.75、27.74、27.72。HRMS(ESI) calcd for C39H67N4O10
+[M+H]+:751.4852、found:751.4774。
【0092】
2-(7,13,16-トリス(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-1,10-ジオキサ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカン-4-イル)酢酸(13)の調製:12mlのMeOH中のトリ-tert-ブチル2,2’,2’’-(16-(2-(ベンジルオキシ)-2-オキソエチル)-1,10-ジオキサ-4,7,13,16-テトラアザシクロオクタデカン-4,7,13-トリイル)トリアセテート(197.7mg、0.26mmol)、10%Pd/C(60mg)を、H2バルーンを介してH2雰囲気で4時間撹拌した。濾過後、濾液を回収し、蒸発させて、表題の化合物を発泡固体(162.2mg、94.5%)として得た。1H NMR(600M、CDCl3):δ11.46(brs、4H、TFAおよびCO2H)、4.22-3.20(m、32H)、1.48-1.37(m、27H)。13C NMR(150MHz、CDCl3)δ169.5、167.0、166.9、166.2、160.9(q、J=36.7Hz、CF3CO2H)、116.09(q、J=290.8Hz、CF3CO2H)、84.3、84.0、83.8、66.51、66.46、65.8、65.5、55.0、54.43、54.39、54.30、54.1、54.0、51.2、50.3、49.9、49.7、27.9、27.84、27.82。HRMS(ESI)calculated for C32H61N4O10
+[M+H]+:661.4382、found:661.4327。
【0093】
図6Aに示す合成スキーム(スキーム3)を用いて、3tBu-クラウンをペプチドTATEに結合させた。
実施例3.0-
225Ac-クラウン-αMSHの調製
クラウンの合成を上記のスキーム1に示す
[27,28]。以下の構造(14)を有するαMSHと結合したクラウンからなる標的化構築物を
図6Bに示すスキーム(スキーム4)に従って、以下にさらに記載するように合成した。αMSH標的化部分は、ラクタム架橋環化α-メラノサイト刺激ホルモンコア(Ac-Nle
4-シクロ[Asp
5-His-D-Phe
7-Arg-Trp-Lys
10]-NH
2)部分(配列番号:2)(Nle-CycMSH
hexとも呼ばれる)を有し、そのアミノ末端で4-アミノ-(1-カルボキシメチル)ピペリジン(Pip)に結合する。クラウンは、クラウンの遊離カルボン酸基のうちの1つを介して4-アミノ-(1-カルボキシメチル)ピペリジンの遊離アミノ基に結合し、4-アミノ-(1-カルボキシメチル)ピペリジンはノルロイシン残基と一緒になってCycMSHhex部分にリンカーを形成する。
【0094】
【0095】
クラウン-αMSHペプチドの調製:Fmoc-Pip-Nle-CycMSH
hex樹脂(Fmoc-αMSH樹脂)のペプチド合成は、
図6Bに示すスキーム(スキーム4)を使用して、以前に公開された手順
[29]に記載されているように実行された。その後、Fmocを除去した。ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP、4当量)、シアノ(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル(Oxyma Pure、4当量)、およびクラウン(tBu)
3(4当量)をDMF(最小)に溶解し、次に樹脂(1当量)に添加し、N、N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、15当量)の添加によって開始する。カップリングは、振盪しながら室温で約21時間行った。樹脂をDMFおよびDCMで十分に洗浄し、溶媒をN
2流で除去した。樹脂をTFA/TIPS/水/フェノール(90/2.5/2.5/5)の混合物に浸し、室温で3時間振盪することにより、ペプチドを切断および脱保護した。濾過後、濾液を回収し、N
2によって乾燥させた。残渣をACNと水に溶解し、次の方法を使用してHPLC精製を行った。Phenomenexgemini-NX C18分取カラム(5um、110Å、50x30mm)、23%ACN、H
2O中0.1%TFA、定組成、流速15mL/分。クラウンαMSHの保持時間は3.7分である。HRMS(ESI)calcd for C
72H
108N
20O
16
2+[M+2H]
2+:798.4383、found:798.8396。
【0096】
得られたクラウン-αMSH構築物を225Acで標識して、構造(15)を得た:
【0097】
【0098】
225Acは、Canadian Nuclear Laboratoriesから提供された同位体を使用して、古い233Uからその後分離された229Thの崩壊から得られた。陽イオン交換と陰イオン交換とを組み合わせて精製した後、高純度の225Ac(>99%)を濃塩酸で溶出し、蒸発残渣として出荷した。受け取り後、酸蒸発時に混入した潜在的な不純物を除去するため、分岐DGAイオン交換クロマトグラフィーによって放射能を再度精製した。
【0099】
実施例4.1-クラウン、クラウン-TATE、およびクラウン-α-MSHの225Acラベリング
クラウンの225Acラベリングは、周囲温度でpH5~7の酢酸緩衝液中で配位子および同位体を混合することによって達成された。反応はラジオTLCによって監視された。TLCプレートを展開後5時間でスキャンして、短寿命同位体、特にDOTA型キレート剤とより強く結合する213Biを崩壊させ、225Acが平衡に達するようにした。クラウンまたはクラウン-TATE(指定がない限り3μL、10-3M水溶液)、精製済225Ac(0.05M HNO3中2.5μL)および酢酸アンモニウム緩衝液(20μL、1M、新鮮)を一緒に混合し、室温で30分間保持する。
【0100】
225Ac-クラウン-TATEのラジオTLC特性評価
1~5μLのサンプルをSA iTLCプレート(ケイ酸包埋インスタント薄層クロマトグラフィープレート)にスポットし、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(pH5、0.05M)で展開した。遊離のAcは溶媒前面に移動し、Ac標識生成物はプレートの底近くにとどまる。あるいは、TLCは、クエン酸緩衝液(pH4、0.4M)を使用して、Alバッキングを備えたシリカプレート上で展開することもできる。短寿命同位体の崩壊を可能にするために、プレートを1日後にカウントした。
図7は、キレート化された
225Acを有するクラウン-TATE構築物のラジオTLCの結果を示している(標識された
225Ac-クラウン-TATEの大きなピークはプレートの底に残っている)。一方、
図8は、遊離
225Ac(対照)のラジオTLCの比較結果(
225Acは溶媒フロントに移動する)を示す。
【0101】
様々なクラウン濃度および様々なpHでのラベリング収率
図9は、pH7で精製済
225Acを用いて様々な濃度で、室温で30分間インキュベートしたクラウンの放射性ラベリング収率を示す。
図10は、pH7で精製済
225Acを用いて様々なキレート剤濃度で、室温で30分間または60分間インキュベートしたクラウン-TATEの放射性ラベリング収率を示す。
【0102】
図11は、様々な緩衝液中および様々なpHレベルでの
225Acによるクラウンのラベリングを示す。反応は、様々な緩衝液中および様々なpHレベルで実施された。配位子濃度は10
-6Mで、緩衝液濃度は0.1Mであった。pHはNaOHまたはHNO
3で調整した。
【0103】
研究した緩衝液の中で、NH4OAc緩衝液が最良の収率を与え、NaOAcがそれに続いた。最適なpHは約6の範囲で、作業に便利な範囲であるpH5~7の間で良好な収率が得られる。ラベリングは生理的pH、pH7.4でも有効である。
【0104】
この実施例の結果は、クラウンキレート剤およびクラウン-TATEインビボ標的化構築物が、室温および中性pHで、10-5Mという低濃度で定量的に、例示的な放射性金属225Acと安定な錯体を形成できることを示している。
【0105】
クラウン-TATEインビボ標的化構築物の血清安定性
クラウン-TATEインビボ標的化構築物の血清安定性は、キレート化された225Acをヒト血清に添加することによって評価された。得られた溶液を37℃で8日間インキュベートし、この期間にわたって結合したままのアクチニウムのパーセンテージを監視した。アッセイに使用した条件は次のとおりである:90μLNH4OAc緩衝液:0.2M、pH5.84;100μLのヒト血清;1μL225Ac、50kBq;クラウン-TATE:5x10-6M(10μLストックを添加することにより);配位子:金属=104:1。
【0106】
結果を以下の
図12および表2に示す(RCY=放射化学的収率、Aは第1の反応A、Bは第2の反応B、SDは標準偏差)。結果は、試験された
225Ac-クラウン-TATE構築物がヒト血清中で良好な安定性を有することを示している。
【0107】
【0108】
クラウン(10-3M~10-6M)およびDOTA(10-3M~10-6M)のストック溶液を水中で調製した。配位子(1μL)、緩衝液(1M pH7 NH4OH、1μL)、水(7μL)、および225Acストック(1μL、10~30kBq)を一緒に混合した。クラウンについては、反応を室温で15分間維持し、DOTAについては、反応を90℃で15分間維持した。ラジオTLCモニタリング用に、様々な時点で2~5μLを採取した。サンプルは、アルミニウム裏張り(10cmx1.5cm)を備えたシリカプレートにスポットされ、クエン酸ナトリウム(0.4M、pH4)で展開された。プレートは、すべての娘核種が長期平衡に達したときから5時間より後にスキャンされた。これらの条件下では、キレート化されていないアクチニウムは溶媒フロントに移動し(Rf=1)、キレート化されたアクチニウムはベースラインに近いままである(Rf<0.5)。各データポイントはn=3。
【0109】
クラウンによる
225Acのキレート化について
図13に示されるように、10
-5Mのクラウン濃度での反応は、10、20および30分でラジオTLCによって監視された。反応は10分で>96%に達した。
【0110】
クラウン対DOTAのラベリングを比較すると、クラウン濃度>10
-6M、またはDOTA>10
-4Mで定量的ラベリングが達成された(
図14)。反応は10分後におおむね完了した。周囲温度で放置した場合、最大5日間、2回目の実験では最大8日間、<2%の遊離
225Acが観察され、錯体の安定性が長期化したことが示された。
図14に示すデータを得るために、クラウンによるラベリングは室温で15分間行い、DOTAによるラベリングは90℃で15分間行った。
【0111】
225Ac-クラウン-αMSHの血清安定性を調べた。クラウン-αMSHストック(10μL、10
-4M)、NH
4OAc緩衝液(90μL、0.2M、pH7)、および1μLの
225Ac(15kBq)を一緒に混合し、室温で35分間保持した。100μLのヒト血清を加えた後、溶液を37℃で8日間保存した。放射化学的純度は、ラジオTLCによって定期的に監視された。サンプルをiTLC-SAストリップ(12cmx1.5cm)にスポットし、EDTA(0.05M、pH5)で展開した。プレートは、すべての娘核種が長期平衡に達した5時間後にスキャンされた。これらの条件下では、キレート化されていないアクチニウムは溶媒フロント(R
f=1)に移動し、キレート化されたアクチニウムはベースラインに留まる(R
f=0)。各データポイントはN=3。結果を
図15に示す(RCP=放射化学的純度)。
【0112】
クラウン、クラウン-TATEおよびクラウン-αMSHの他の放射性金属によるラベリング
他の放射性金属によるクラウン、クラウン-αMSHおよびクラウン-TATEのラベリングを評価するための実験も行った。
177Luをキレートする3つの構築物および比較キレート剤DOTAの結果を、キレート剤の様々な濃度で
図16に示す。クラウンは、DOTAよりも
177Luで大幅に改良されたラベリングを示した。ラベリングは、クラウンの場合、室温で、15分で行うことができたが、DOTAでは30分間、90℃の温度が必要であった。クラウンについても、DOTAの10
-4Mに対して10
-6Mで定量的なラベリングが達成された。
【0113】
図17は、
213Biによるキレート剤の様々な濃度でのクラウンおよびクラウン-αMSHのラベリングを示す。反応は、MES緩衝液(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)中、室温で8分間行った。
【0114】
図18は、
155Tbによるキレート剤の様々な濃度でのクラウンおよびクラウン-αMSHのラベリングを示す。反応は、酢酸アンモニウム緩衝液中、室温で15分間行った。DOTAの
155Tbラベリング化のデータも含まれているが、DOTAのラベリング化は90℃で30分間行われた。
【0115】
68Gaによるクラウン-TATEのラベリングも評価した。試験した反応には、酢酸エチル緩衝液中におおよそ4MBqの
68Gaを含む2nmolのクラウン-TATEが含まれていた。pHはおおよそ4~5であり、反応は室温で15分間行った。これらの条件下での放射化学的変換は、HPLCにより55%であると決定された(結果を
図19に示す)。
【0116】
図20は、
177Luで標識された37℃でのクラウン、クラウン-TATEおよびクラウン-αMSHの血清安定性を示し、
図21は、
155Tbで標識された37℃でのクラウン-αMSHの血清安定性を示す。
【0117】
αMSHは、4つのペンダントカルボキシル基のうちの1つをリンカーとして使用してクラウンで修飾され、3+金属との結合時に全体的に中性荷電錯体を生成した。二官能性配位子を必要としないため、このアプローチはすぐにコンジュゲーションできる配位子(クラウン-3tBu)の簡単な合成を表す。アミドリンカーを有するαMSH標的化部分の安定性は、以前に実証された[38]。
【0118】
上記と同様の方法で、修飾ペプチドを酢酸緩衝液中で225Acとインキュベートすることにより、225Ac-クラウン-αMSHを生成した。6MBqまでのレベルで高い放射性ラベリング収率(>98%)が達成された。精製が必要な場合は、light C18 Sep-Pak(商標)を使用して遊離の225Acを除去した。最終生成物のモル放射能は、4.1±1.9MBq/nmol(n=5)であると決定された。これは、現在までに報告された方法の中で最も高い値である[20,22]。血清安定性試験では、8日間にわたり225Acが約90%キレートされることが確認された。
【0119】
実施例5.1-225Ac-クラウン-αMSHの生物学的分布
本発明者らは、インビボ評価を行って、B16F10腫瘍を有するマウスにおける225Ac-クラウン-αMSHの体内分布プロファイルを確立した。
【0120】
細胞培養
B16F10細胞株(Mus Musculus)は、ATCCから商業的に入手し(CRL-6475)、IMPACT1マウスプロファイル(IDEXX BioResearch)を使用して病原体のないことを確認した。細胞は、10%FBS、100U/mLペニシリン、および100μg/mLストレプトマイシンを添加したDMEM培地(StemCell Technologies)で、5%CO2を含む加湿インキュベーターで、37℃で培養した。
【0121】
腫瘍接種
すべての動物実験は、カナダ動物管理協会(Canadian Council on Animal Care)によって確立され、ブリティッシュコロンビア大学(UBC)の動物倫理委員会によって承認されたガイドラインに従って行った。オスのC57BL/6Jマウスは自前のものを入手し、BCがん研究センターの動物資源センターで病原体のない状態で飼育された。マウスは、2L/分の酸素中の2%イソフルランの吸入によって麻酔され、1×106個のB16F10細胞が右側脇腹の皮下に接種された。接種の2~4日後、マウスをUBC比較医学センターに移し、腫瘍が8~10mmに達した時点で体内分布の研究を行った。
【0122】
体内分布研究
体内分布の日に、マウスの尾静脈に約20kBqの225Ac-クラウン-αMSH(範囲:10.8~31.6kBq)を注射した。注射後、マウスをケージ内で自由に歩き回らせ、注射後2時間で、イソフルラン麻酔下でCO2窒息により4匹のグループに分けて安楽死させた。心臓穿刺によって血液を回収し、完全な体内分布を行った。臓器を血液から洗浄し、重量を測定し、3つのエネルギーウィンドウ、60~120keV(ウィンドウA)、180~260keV(ウィンドウB)、および400~480keV(ウィンドウC)を使用して、較正されたガンマカウンター(Packard Cobra II Auto-gamma counter、Perkin Elmer、Waltham、マサチューセッツ州、米国)を使用して放射能を決定した。225Ac崩壊系列の平衡を確実にするために、屠殺から6時間後にカウントを行った。カウントは屠殺時から減衰補正され、組織のグラム当たりの注射用量(%ID/g)の計算には総臓器重量が使用された。3つの異なるウィンドウで計算されたデータ間に違いは見られなかった。したがって、体内分布は、ウィンドウAを使用して取得したデータを使用して報告される。
【0123】
結果
本発明者らは、合計5群のマウスを用いた2つの別々の研究において、注射後(p.i.)2時間のB16F10腫瘍を有するマウスにおける
225Ac-クラウン-αMSHの体内分布を評価した(表3)。最初の研究では、次の3つの条件、すなわち、前日(18時間)(A、
図22、右の棒)、同日(4時間)(B)、または同日(4時間)にSep-Pak精製で(C)調製した
225Ac-クラウン-αMSHが評価された。第2の研究では、本発明者らは、Sep-Pak精製しかつ0.1MのL-アスコルビン酸を導入した、4時間前に標識された225Ac-クラウン-αMSH(D、
図22、左の棒)、または18時間前にL-アスコルビン酸(E)を使用して調製された
225Ac-クラウン-αMSHと比較した。
【0124】
前日に調製した構築物は、腫瘍への取り込みが乏しいことを示したが、新たに合成された化合物は優れた腫瘍対バックグラウンド比(A対B)を示した。Sep-Pak精製により腫瘍対バックグラウンド比が改良されたが、結果は統計的に有意ではなかった(B対C、調整済P値0.06~0.61)。L-アスコルビン酸の添加により、本発明者らは、より高い腫瘍取り込みを観察したが、腫瘍対バックグラウンド比は統計的に異ならない(C対D、調整済P値0.11~0.89)。0.1MのL-アスコルビン酸を含んでいるにもかかわらず、一晩放置したサンプルには、注射時に実行可能な放射性医薬品が含まれていなかった(E)。225Acによって生成された高エネルギーイオン化ヘリウム(5~8.5MeV)は、水の十分な放射線分解を引き起こし、種々の活性酸素種を生成する可能性がある。[39]したがって、結果として生体分子が分解することは驚くべきことではない。Sep-Pak精製済サンプルおよび未精製サンプルのわずかな違いは、ROSスカベンジャーとして作用する溶出に使用されるEtOHの存在に起因する可能性がある。
【0125】
5つのケースすべてにおいて、ラジオTLCが>98%の放射化学的純度を示したことに注目することは重要である。TLCは、注射前に放射性医薬品の純度を迅速に測定するために広く使用されている方法である。さらに、
225Ac放射性医薬品の品質管理に関する現在のIAEAガイドラインでは、化合物の完全性を迅速に評価するための最適な方法としてラジオTLCのみがリストされている。
[40]この研究の目的のために、本発明者らは、ラジオHPLCを追加の品質管理方法として使用して調査した。
225Acからのガンマシグナルは、主に
221Fr(11.4%、218keV)、
213Bi(25.9%、440keV)、およびコンプトンピークからのものであり、
225Ac自体からのものではない。したがって、ガンマトレースのピーク面積は、必ずしも
225Ac-クラウン-αMSHの放射化学的純度を反映しているとは限らない。大きな溶媒フロントピーク(T
R約1.7分、
図23)は、このピークを収集してガンマ分光法で分析することによって決定されるように、ほとんどが
212Frによるものである。対照的に、
213BiはAcと同様のキレート化学を示し、クラウンペプチドに結合していることがわかる(T
R約9.4分、
図23)。
図23に示されるように、ペプチドピークは経時的にゆっくりと分解した。L-アスコルビン酸(0.1M)を添加すると分解が遅くなったが、翌日に十分な化合物放射能を維持するには不十分であった。したがって、合成終了から注入までの時間を短縮することが望ましい。品質管理のために、ラジオTLCおよびガンマ線分光法(切断して30分後に
221Frをカウントする)を使用して遊離
225Acの存在を評価し、HPLCを使用してペプチドの完全性を評価することをお勧めする。別の一般的なやり方は、残留遊離金属イオンのキレート剤としてDTPAを添加することである。
[40]1000当量のDTPAを
225Ac-クラウン-αMSHに添加時、本発明者らは、HPLCでゆっくりとしたトランスメタル化を観察した(7時間で64%)。
【0126】
【0127】
B16F10メラノーマを有するマウス(D、
図22および表3)における注射後(p.i.)2時間の
225Ac-クラウン-αMSH体内分布データの詳細な検査は、正常組織への蓄積が極めて少ない、[
68Ga]Ga-DOTA-αMSH(CCZ01048)
[29]と同様の取り込みプロファイルを示した。
225Ac-DOTA-αMSHと比較すると
[22]、クラウン錯体は12.7±2.31%ID/gではるかに高い腫瘍取り込みを示し、優れた腫瘍対正常組織取り込み比を示した。
225Ac-DOTA-αMSHの場合、腫瘍に対する血液、骨、および腎臓の比率はそれぞれ20.4±3.4、23.2±10.3、1.1±0.1であり
[22]、
225Ac-クラウン-αMSHの場合、これらの比率はそれぞれ85.4±46.8、63.5±13.2、および2.80±0.98(D)であった。これは、おそらく、
225Ac-クラウン-αMSHのモル放射能がはるかに高い、1.6kBq/nmol(DOTA)対4.1MBq/nmol(クラウン)であるためであろう。クリアランストラック(腎臓、膀胱、尿)以外では、この錯体の正常組織への取り込みは非常に低く、優れた腫瘍対バックグラウンド比が得られた(表3、CおよびD)。これは、ペプチドの迅速な内部移行能力と相まって、インビボ診断および治療用途におけるキレート剤としてのクラウンの使用の優れた可能性を示している。さらに、使用した標的化部分および動物モデルが両方の研究で同じであったため、本明細書に記載されているデータは、Ramogidaら
[22]が
225Ac-DOTA-αMSH構築物で得たデータと直接比較することが可能であり、おおよそ100倍の比放射能が得られ、現在のゴールドスタンダードDOTAに対するキレート剤としてのクラウンの優位性があることが実証された。
【0128】
前述の実験は、クラウンが、周囲温度で、および、高いモル放射能で225Acを取り込むことができることを示している。225Ac-クラウン-αMSHとして生物学的標的化構築物に組み込むと、標的化構築物を使用して、メラノーマ腫瘍で発現するMC1Rを標的にすることができる。B16F10メラノーマ腫瘍を有するマウスにおけるインビボ評価は、優れた標的対正常組織比を示した。この放射性医薬品の開発中に、発明者らは、225Ac化合物の完全性を決定するための現在のラジオTLCベースの品質管理方法論の欠陥を発見した。本発明者らは、化合物の純度を確認するためにHPLCを使用することを推奨し、放射線分解による分解を最小限に抑えるために、製造と注入との間の遅延が短い225Ac標識放射性医薬品の使用を提案する。
【0129】
実施例5.2-
225Ac-クラウン-TATEの生物学的分布
225Ac-クラウン-TATEの生物学的分布は、実施例5.1について上述したのと同様のプロトコルに従って発明者によって調べられた。結果を
図24および表4に示す。
【0130】
【0131】
実施例 5.3-
213Bi-クラウン-αMSHの生物学的分布
実施例5.1と同様の研究が、
225Acの代わりに
213Biを使用して行われた。体内分布は、注射後1時間で評価され、表5および
図25に示す結果が得られた。
225Acと同様の結果が観察された。すなわち、放射性金属は腫瘍組織に良好な蓄積を示し、他の組織には有意な蓄積を示さなかった。
【0132】
【0133】
実施例6.0-
225Acの測定と定量の方法
225Acは7つの娘同位体を有する(
図1)。その中で、
221Frおよび
213Biは、
225Acの定量化に使用できる明確なガンマ放出を有する。
221Frは32分で
225Acの99%に達し、
213Biは292分(4.86時間)で
225Acの99%に達する。ガンマ分光法が必要な場合、発明者らは
221Fr(218keV)を使用して
225Acを定量化するために30分より長く待機するか、または
221Frおよび
213Bi(440keV)の両方を使用して
225Acを定量化するために5時間より長く待機した。ラジオTLCが必要な場合、配位子とより強く結合する
213Biを崩壊させるために、プレートをスキャンするのに5時間より長く待つことが必要である。あるいは、本発明者らは、TLCプレートを切断し、30分後にガンマ分光法でカウントした。同様に、体内分布の研究では、回収された組織を5時間より長くカウントした。異なるエネルギーウィンドウ(60~120keV、180~260keV、400~480keV)で読み取っても同じ結果が得られ、60~120keVで最高のカウントが得られた。ラジオHPLCでは、シグナルを最大化するためにガンマ検出器を19~1100keVの全範囲に設定して、シグナルはほとんど
221Frおよび
213Bi
221Frと
213Biからであった。したがって、ラジオHPLCガンマトレースは、ラベリング収率の定量的な反映ではない。必要に応じてそのような情報を生成するために、画分を回収し、ガンマ分光法でカウントする必要がある。
【0134】
多くの例示的な態様および実施形態が上で論じられてきたが、当業者は、それらの特定の変更、置換、追加、およびサブコンビネーションを認識するであろう。したがって、以下の添付の特許請求の範囲および以下に導入される特許請求の範囲は、明細書全体の最も広い解釈と一致するようなすべての変更、置換、追加、およびサブコンビネーションを含むと解釈されることが意図されている。
【0135】
参考文献
以下の参考文献は、本明細書の主題に関して興味深いものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:
[1]S.Gudkov、N.Shilyagina、V.Vodeneev、A.Zvyagin、Int.J.Mol.Sci.2015、17、33.
[2]J.P.Pouget、I.Navarro-Teulon、M.Bardies、N.Chouin、G.Cartron、A.Pelegrin、D.Azria、Nat.Rev.Clin.Oncol.2011、8、720-734.
[3]J.Strosberg、G.El-Haddad、E.Wolin、A.Hendifar、J.Yao、B.Chasen、E.Mittra、P.L.Kunz、M.H.Kulke、H.Jaceneら、N.Engl.J.Med.2017、376、125-135.
[4]B.Sangro、L.Carpanese、R.Cianni、R.Golfieri、D.Gasparini、S.Ezziddin、P.M.Paprottka、F.Fiore、M.Van Buskirk、J.Ignacio Bilbaoら、Hepatology 2011、54、868-878.
[5]S.D.Bos、Prostate 1994、25、23-26.
[6]O.Sartor、Rev.Urol.2004、6 Suppl 10、S3-S12.
[7]C.Parker、S.Nilsson D Heinrich、S.I.Helle、J.M.O’Sullivan、S.D.Fossa、A.Chodacki、P.Wiechno、J.Logue、M.Seke、A.Widmarkら、N.Engl.J.Med.2013、369、213-223.
[8]A.Morgenstern、C.Apostolidis、C.Kratochwil、M.Sathekge、L.Krolicki、F.Bruchertseifer、Curr.Radiopharm.2018、11、200-208.
[9]D.A.Scheinberg、M.R.McDevitt、Curr.Radiopharm.2012、4、306-320.
[10]G.Sgouros、J.C.Roeske、M.R.McDevitt、S.Palm、B.J.Allen、D.R.Fisher、A.B.Brill、H.Song、R.W.Howell、G.Akabaniら、J.Nucl.Med.2010、51、311-328.
[11]C.Wulbrand、C.Seidl、F.C.Gaertner、F.Bruchertseifer、A.Morgenstern、M.Essler、R.Senekowitsch-Schmidtke、PLoS One 2013、8、DOI 10.1371/journal.pone.0064730.
[12]C.Kratochwil、F.Bruchertseifer、F.L.Giesel、M.Weis、F.A.Verburg、F.Mottaghy、K.Kopka、C.Apostolidis、U.Haberkorn、A.Morgenstern、J.Nucl.Med.2016、57、1941-1944.
[13]C.Kratochwil、F.Bruchertseifer、H.Rathke、M.Hohenfellner、F.L.Giesel、U.Haberkorn、A.Morgenstern、J.Nucl.Med.2018、59、795-802.
[14]A.K.H.Robertson、C.F.Ramogida、P.Schaffer、V.Radchenko、Curr.Radiopharm.2018、11、156-172.
[15]S.L.Wu、W.DeW.Horrocks、J.Chem.Soc.Dalt.Trans.1997、1497-1502.
[16]M.R.McDevitt、D.Ma、J.Simon、R.K.Frank、D.A.Scheinberg、Appl.Radiat.Isot.2002、57、841-847.
[17]M.Miederer、G.Henriksen、A.Alke、I.Mossbrugger、L.Quintanilla-Martinez、R.Senekowitsch-Schmidtke、M.Essler、Clin.Cancer Res.2008、14、3555-3561.
[18]M.R.McDevitt、D.Ma、L.T.Lai、J.Simon、P.Borchardt、R.K.Frank、K.Wu、V.Pellegrini、M.J.Curcio、M.Miedererら、Science 2001、294、1537-1540.
[19]N.A.Thiele、V.Brown、J.M.Kelly、A.Amor-Coarasa、U.Jermilova、S.N.MacMillan、A.Nikolopoulou、S.Ponnala、C.F.Ramogida、A.K.H.Robertsonら、Angew.Chem.Int.Ed.2017、56、14712-14717.
[20]J.M.Kelly、A.Amor-Coarasa、S.Ponnala、A.Nikolopoulou、C.Williams、N.A.Thiele、D.Schlyer、J.J.Wilson、S.G.DiMagno、J.W.Babich、J.Nucl.Med.2019、60、649-655.
[21]P.Comba、U.Jermilova、C.Orvig、B.O.Patrick、C.F.Ramogida、K.Rueck、C.Schneider、M.Starke、Chem.-A Eur.J.2017、23、15945-15956.
[22]C.F.Ramogida、A.K.H.Robertson、U.Jermilova、C.Zhang、H.Yang、P.Kunz、J.Lassen、I.Bratanovic、V.Brown、L.Southcottら、EJNMMI Radiopharm.Chem.2019、4、1-20.
[23]B.W.Stein、A.Morgenstern、E.R.Batista、E.R.Birnbaum、S.E.Bone、S.K.Cary、M.G.Ferrier、K.D.John、J.L.Pacheco、S.A.Kozimorら、J.Am.Chem.Soc.2019、141、19404-19414.
[24]S.J.Kennel、L.L.Chappell、K.Dadachova、M.W.Brechbiel、T.K.Lankford、I.A.Davis、M.Stabin、S.Mirzadeh、Cancer Biother.Radiopharm.2000、15、235-244.
[25]S.Ray Banerjee、M.Pullambhatla、C.A.Foss、A.Falk、Y.Byun、S.Nimmagadda、R.C.Mease、M.G.Pomper、J.Med.Chem.2013、56、6108-6121.
[26]B.Mitran、Z.Varasteh、R.K.Selvaraju、G.Lindeberg、J.Sorensen、M.Larhed、V.Tolmachev、U.Rosenstrom、A.Orlova、Int.J.Oncol.2016、48、2124-2134.
[27]A.Barge、L.Tei、D.Upadhyaya、F.Fedeli、L.Beltrami、R.Stefania、S.Aime、G.Cravotto、Org.Biomol.Chem.2008、6、1176-1184.
[28]S.-L.Ma、W.-X.Zhu、S.-J.Dong、Q.-L.Guo、Y.-B.She、Chinese J.Chem.2010、21、1178-1182.
[29]C.Zhang、Z.Zhang、K.S.Lin、J.Pan、I.Dude、N.Hundal-Jabal、N.Colpo、F.Benard、Theranostics 2017、7、805-813.
[30]M.A.Postow、M.K.Callahan、J.D.Wolchok、J.Clin.Oncol.2015、33、1974-82.
[31]C.Hertzman Johansson、S.Egyhazi Brage、Pharmacol.Ther.2014、142、176-182.
[32]C.S.Hinrichs、S.A.Rosenberg、Immunol.Rev.2014、257、56-71.
[33]R.H.I.Andtbacka、H.L.Kaufman、F.Collichio、T.Amatruda、N.Senzer、J.Chesney、K.A.Delman、L.E.Spitler、I.Puzanov、S.S.Agarwalaら、J.Clin.Oncol.2015、33、2780-2788.
[34]F.Salazar-Onfray、M.Lopez、A.Lundqvist、A.Aguirre、A.Escobar、A.Serrano、C.Korenblit、M.Petersson、V.Chhajlani、O.Larssonら、Br.J.Cancer 2002、87、414-422.
[35]M.N.Lopez、C.Pereda、M.Ramirez、A.Mendoza-Naranjo、A.Serrano、A.Ferreira、R.Poblete、A.M.Kalergis、R.Kiessling、F.Salazar-Onfray、Investig.Ophthalmol.Vis.Sci.2007、48、1219-1227.
[36]C.Zhang、Z.Zhang、K.S.Lin、J.Lau、J.Zeisler、N.Colpo、D.M.Perrin、F.Benard、Mol.Pharm.2018、15、2116-2122.
[37]C.Zhang、Z.Zhang、H.Merkens、J.Zeisler、N.Colpo、N.Hundal-Jabal、D.M.Perrin、K.S.Lin、F.Benard、Sci.Rep.2019、9、DOI 10.1038/s41598-019-50014-5.
[38]C.Zhang、Z.Zhang、J.Zeisler、N.Colpo、K.-S.Lin、F.Benard、ACS Omega 2020、acsomega.0c00310.
[39]P.M.Y.Garcia、G.M.Sigaud、H.Luna、A.C.F.Santos、E.C.Montenegro、M.B.Shah、Phys.Rev.A-At.Mol.Opt.Phys.2008、77、052708.
[40]IAEA、Quality Control in the Production of Radiopharmaceuticals | IAEA TECHDOC-1856、2018.
[41]Benesova、M.;Schaefer、M.;Bauder-Wuest、U.;Afshar-Oromieh、A.;Kratochwil、C.;Mier、W.;Haberkorn、U.;Kopka、K.;Eder、M.、Preclinical Evaluation of a Tailor-Made DOTA-Conjugated PSMA Inhibitor with Optimized Linker Moiety for Imaging and Endoradiotherapy of Prostate Cancer.J.Nucl.Med.2015、56、914-920.
[42]Baranski、A.-C.;Schaefer、M.;Bauder-Wuest、U.;Wacker、A.;Schmidt、J.;Liolios、C.;Mier、W.;Haberkorn、U.;Eisenhut、M.;Kopka、K.;Eder、M.、Improving the Imaging Contrast of 68Ga-PSMA-11 by Targeted Linker Design:Charged Spacer Moieties Enhance the Pharmacokinetic Properties.Bioconjugate Chem.2017、28、2485-2492.
[43]Kuo、H.-T.;Pan、J.;Zhang、Z.;Lau、J.;Merkens、H.;Zhang、C.;Colpo、N.;Lin、K.-S.;Benard、F.、Effects of linker modification on tumor-to-kidney contrast of 68Ga-labeled PSMA-targeted imaging probes.Mol Pharm.2018、15、3502-3511.
[44]Benesova、M.;Bauder-Wuest、U.;Schaefer、M.;Klika、K.D.;Mier、W.;Haberkorn、U.;Kopka、K.;Eder、M.、Linker Modification Strategies To Control the Prostate-Specific Membrane Antigen (PSMA)-Targeting and Pharmacokinetic Properties of DOTA-Conjugated PSMA Inhibitors.J.Med.Chem.2016、59、1761-1775.
[45]Lau、J.;Rousseau、E.;Kwon、D.;Lin、K.;Benard、F.;Chen、X.、Insight into the Development of PET Radiopharmaceuticals for Oncology. Cancers 2020、12、1312.
【配列表】
【国際調査報告】