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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-11
(54)【発明の名称】多層均一減速ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/34 20060101AFI20230404BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20230404BHJP
   F16F 7/12 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
B60R19/34
F16F7/00 K
F16F7/00 A
F16F7/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548678
(86)(22)【出願日】2021-02-27
(85)【翻訳文提出日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 US2021020126
(87)【国際公開番号】W WO2021174146
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/982,740
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517182516
【氏名又は名称】テッサラクト ストラクチュラル イノベーションズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】レネガー,ヘンリー エル.
【テーマコード(参考)】
3J066
【Fターム(参考)】
3J066AA02
3J066AA23
3J066BA03
3J066BB01
3J066BC01
3J066BE01
3J066BF02
3J066BG01
(57)【要約】
本明細書に開示される実施形態は、第1の端部、第2の反対側にある端部、および複数の積み重ね衝突パッド層を有する本体を備えた安全デバイスを含む。本体の剛性は、本体の第1の端部から本体の第2の端部に向かう方向に増加するように構成されている。いくつかの実施形態では、安全デバイスが自動車に取り付けられたときに、本体の剛性が前後方向に増加する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝突エネルギーを吸収するための安全デバイスであって、前記安全デバイスが、
第1の端部、第2の反対側にある端部、および複数の積み重ね衝突パッド層を有する本体であって、前記複数の衝突パッド層の各々が、外皮を含む、本体を備え、
前記本体の剛性が、前記本体の第1の端部から前記本体の前記第2の端部に向かう方向に増加する、安全デバイス。
【請求項2】
前記複数の積み重ね衝突パッド層が、第1、第2、および第3の衝突パッド層を含む、請求項1に記載の安全デバイス。
【請求項3】
前記第1の衝突パッド層が、前記本体の前記第1の端部に位置し、前記第2の衝突パッド層が、前記本体の前記第2の端部に位置している、請求項2に記載の安全デバイス。
【請求項4】
前記第1の衝突パッド層の剛性が、前記本体の第2の端部の剛性よりも低い、請求項3に記載の安全デバイス。
【請求項5】
前記第1の衝突パッド層が、第1の外皮を含み、前記第2の衝突パッド層が、第2の外皮を含み、前記第1の外皮の厚さが、前記第2の外皮の厚さよりも薄い、請求項4に記載の安全デバイス。
【請求項6】
第2の衝突パッドの断面積が、第1の衝突パッドの断面積よりも大きい、請求項4に記載の安全デバイス。
【請求項7】
前記第1の衝突パッドの長さが、前記第2の衝突パッドの長さとは異なる、請求項2に記載の安全デバイス。
【請求項8】
前記第1の衝突パッド層が、第1の内皮を含み、前記第2の衝突パッド層が、第2の内皮を含み、前記第1の内皮の断面積が、前記第2の内皮の断面積よりも小さい、請求項4に記載の安全デバイス。
【請求項9】
前記第1および第2の内皮の各々が、中空チューブ状構造を含む、請求項8に記載の安全デバイス。
【請求項10】
前記チューブ状構造が、円形、正方形、三角形、楕円形、および/または長方形の断面形状を含む、請求項9に記載の安全デバイス。
【請求項11】
前記第1の衝突パッド層が、内皮を含む、請求項2に記載の安全デバイス。
【請求項12】
前記第1の衝突パッド層が、前記内皮内に、および/または前記内皮と前記外皮との間に配置されたセル状材料を含む、請求項11に記載の安全デバイス。
【請求項13】
前記セル状材料が、金属フォームを含む、請求項12に記載の安全デバイス。
【請求項14】
前記本体の前記剛性が、前記安全デバイスが自動車に取り付けられたときの前後方向に増加する、請求項1に記載の安全デバイス。
【請求項15】
前記本体が、前記デバイスを前記自動車に取り付けるように構成されたブラケットを含む、請求項1に記載の安全デバイス。
【請求項16】
前記第1の衝突パッド層が、1つ以上の脆弱領域を含む、請求項2に記載の安全デバイス。
【請求項17】
前記1つ以上の脆弱領域が、前記外皮に形成された1つ以上のノッチおよび/またはスリットを含む、請求項16に記載の安全デバイス。
【請求項18】
前記第2の衝突パッド層が、前記第2の衝突パッド層の前記外皮構造から外方向に延在している1つ以上の補剛材を含む、請求項16に記載の安全デバイス。
【請求項19】
前記安全デバイスが、第1および第2の衝突パッドと、接続ビームと、を含み、前記第1および第2の衝突パッドの各々、ならびに前記接続ビームが、1つ以上の積み重ね衝突パッド層を含む、請求項1に記載の安全デバイス。
【請求項20】
衝突エネルギーを吸収するための安全デバイスであって、前記安全デバイスが、
第1の端部、第2の反対側にある端部、および複数の積み重ね衝突パッド層を有する本体であって、前記複数の衝突パッド層の各々が、外皮を含む、本体を備え、
前記複数の衝突パッド層が、第1の衝突パッド層と、第2の衝突パッド層と、を含み、前記第1の衝突パッド層の外皮の厚さが、前記第2の衝突パッド層の外皮の厚さよりも厚い、安全デバイス。
【請求項21】
前記第1の衝突パッドの断面積が、前記第2の衝突パッド層の断面積と同じである、請求項20に記載の安全デバイス。
【請求項22】
前記第1の衝突パッド層の断面積が、前記第2の衝突パッド層の断面積よりも大きい、請求項20に記載の安全デバイス。
【請求項23】
前記複数の積み重ね衝突パッド層が、前記第1および第2の衝突パッド層の間に位置決めされた第3の衝突パッド層を含み、前記第3の衝突パッド層の外皮の厚さが、前記第2の衝突パッド層の前記外皮の前記厚さよりも厚いが、前記外皮第1の衝突パッド層の厚さよりも薄い、請求項20に記載の安全デバイス。
【請求項24】
前記第1の衝突パッド層が、前記第1の外皮の内側に配置された1つ以上の内皮を含み、第2の衝突パッドが、前記第2の外皮の内側に配置された1つ以上の内皮を含む、請求項20に記載の安全デバイス。
【請求項25】
前記第1の衝突パッド層が、前記1つ以上の内皮の内側に、および/または前記1つ以上の内皮と前記外皮との間に配置されたセル状材料を含む、請求項24に記載の安全デバイス。
【請求項26】
前記第1の衝突パッド層の厚さが、前記第2の衝突パッド層の厚さとは異なる、請求項20に記載の安全デバイス。
【請求項27】
前記安全デバイスが、第1および第2の衝突パッドと、接続ビームと、を含み、前記第1および第2の衝突パッドの各々、ならびに前記接続ビームが、1つ以上の積み重ね衝突パッド層を含む、請求項20に記載の安全デバイス。
【請求項28】
前記第1の衝突パッドの外皮が、1つ以上の脆弱領域を含み、前記第2の衝突パッドの外皮が、1つ以上の補剛材を含む、請求項20に記載の安全デバイス。
【請求項29】
衝突エネルギーを吸収するための安全デバイスであって、前記安全デバイスが、
第1の端部、第2の反対側にある端部、および複数の積み重ね衝突パッド層を有する本体であって、前記複数の衝突パッド層の各々が、外皮を含む、本体を備え、
前記複数の衝突パッド層が、第1の衝突パッド層と、第2の衝突パッド層と、を含み、前記第1の衝突パッド層が、第1の内皮を含み、前記第2の衝突パッド層が、第2の内皮を含み、前記第1の内皮の断面積が、前記第2の内皮の断面積よりも大きく、
前記第1の衝突パッド層の剛性が、前記第2の衝突パッド層の剛性とは異なる、安全デバイス。
【請求項30】
前記第1の内皮の厚さが、前記第2の内皮の厚さと同じである、請求項29に記載の安全デバイス。
【請求項31】
前記第1の内皮の厚さが、前記第2の内皮の厚さとは異なる、請求項29に記載の安全デバイス。
【請求項32】
前記第1および第2の内皮の各々が、中空チューブ状部材を含む、請求項29に記載の安全デバイス。
【請求項33】
前記中空チューブ状部材が、円形、正方形、長方形、三角形、および/または楕円形の断面形状を有する、請求項32に記載の安全デバイス。
【請求項34】
前記第1の衝突パッド層が、第3の内皮を含み、前記第3の内皮の断面積が、前記第1の内皮の前記断面積とは異なる、請求項29に記載の安全デバイス。
【請求項35】
前記第1の衝突パッド層が、第3の内皮を含み、前記第3の内皮の断面積が、前記第1の内皮構造の前記断面積と同じである、請求項29に記載の安全デバイス。
【請求項36】
前記第3の内皮の厚さが、前記第1の内皮の厚さと同じである、請求項35に記載の安全デバイス。
【請求項37】
前記安全デバイスが、第1および第2の衝突パッドと、接続ビームと、を含み、前記第1および第2の衝突パッドの各々、ならびに前記接続ビームが、1つ以上の積み重ね衝突パッド層を含む、請求項29に記載の安全デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年2月27日に出願された「MULTILAYER UNIFORM DECELERATION UNIT」と題する米国特許仮出願第62/982,740号に対する35U.S.C.§119(e)に基づく利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示された実施形態は、概して、自動車に関連し、特に、正面衝突、後方衝突、および側面衝突における自動車の性能を改善するように構成された安全システムに関する。
【背景技術】
【0003】
今日の世界においては、自動車事故は不幸な現実である。毎年、米国だけでも数万件の事故が発生している。これらの事故は、少なくとも、自動車の所有者および保険会社に経済的負担をかける可能性があり、最悪の場合、車両内の運転者および/または他の乗員の死亡につながる可能性がある。ここ数十年で、自動車業界では、いくつか例を挙げると、フロントエアバッグ、サイドカーテンエアバッグ、電子衝突回避システム、および構造的クランプルゾーンなどの革新によって、安全性に大幅な進歩が見られた。今日の安全革新をもってしても、自動車の安全性をさらに向上させることが求められている。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態によれば、衝突エネルギーを吸収するための安全デバイスは、第1の端部、第2の反対側にある端部、および複数の積み重ね衝突パッド層を有する本体を含む。複数の衝突パッド層の各々は、外皮を含む。本体の剛性は、本体の第1の端部から本体の第2の端部に向かう方向に増加する。
【0005】
別の実施形態によれば、衝突エネルギーを吸収するための安全デバイスは、第1の端部、第2の反対側にある端部、および複数の積み重ね衝突パッド層を有する本体を含む。複数の衝突パッド層の各々は、外皮を含む。複数の衝突パッド層は、第1の衝突パッド層と、第2の衝突パッド層と、を含む。第1の衝突パッド層の外皮の厚さは、第2の衝突パッド層の外皮の厚さよりも厚い。
【0006】
別の実施形態によれば、衝突エネルギーを吸収するための安全デバイスは、第1の端部、第2の反対側にある端部、および複数の積み重ね衝突パッド層を有する本体を含む。複数の衝突パッド層の各々は、外皮を含む。複数の衝突パッド層は、第1の衝突パッド層と、第2の衝突パッド層と、を含む。第1の衝突パッド層は、第1の内皮を含み、第2の衝突パッド層は、第2の内皮を含む。第1の内皮の断面積は、第2の内皮の断面積よりも大きい。第1の衝突パッド層の剛性は、第2の衝突パッド層の剛性とは異なる。
【0007】
本開示はこの点に限定されないので、前述の概念、および以下で考察されるさらなる概念は、任意の好適な組み合わせで構成され得ることを理解されたい。
【0008】
本教示の前述および他の態様、実施形態、および特徴は、添付の図面と併せて以下の説明からより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面は、原寸に比例して描くことを意図していない。図面においては、様々な図に示されている同一またはほぼ同一な各構成要素は、同様の数字で表されている。わかりやすくするために、すべての構成要素がすべての図面でラベル付けされているわけではない。図面は以下のとおりである:
図1】自動車のホイールウェルに取り付けられた本発明者の前述の均一減速ユニット(「UDU」)である。
図2】自動車に取り付けられた本開示の実施形態による多層UDUである。
図3】いくつかの実施形態による多層UDUの斜視図である。
図4】線A-Aに沿った図3の多層UDUの断面図である。
図5】自動車衝突におけるUDUの表現である。
図6】単層UDUの押し潰しに関する力対変位の曲線である。
図7】二層UDUの押し潰しに関する力対変位の曲線である。
図8】いくつかの実施形態によるUDUの例示的な衝突パッド層の上面斜視図である。
図9】いくつかの実施形態によるUDUの例示的な衝突パッド層の上面斜視図である。
図10】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面斜視図である。
図11A】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面斜視図である。
図11B】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面斜視図である。
図11C】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面斜視図である。
図12】いくつかの実施形態による多層UDUの側面斜視図である。
図13】いくつかの実施形態による多層UDUの斜視図である。
図14】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面斜視図である。
図15】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面斜視図である。
図16】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面斜視図である。
図17】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面斜視図である。
図18】いくつかの実施形態による多層UDUの一部分の拡大斜視図である。
図19】別の実施形態による多層UDUの衝突パッド層の概略側面図である。
図20】いくつかの実施形態による多層UDUの衝突パッド層の概略側面図である。
図21図20の多層UDUである。
図22A】いくつかの実施形態による衝突パッド層の斜視図である。
図22B図22Aの衝突パッド層に挿入可能なセル状材料の斜視図である。
図23A】いくつかの実施形態による衝突パッド層の斜視図である。
図23B図23Aの衝突パッド層に挿入可能なセル状材料の斜視図である。
図24A】いくつかの実施形態による衝突パッド層の斜視図である。
図24B図24Aの衝突パッド層に挿入可能なセル状材料の斜視図である。
図25A】いくつかの実施形態による衝突パッド層の斜視図である。
図25B図25Aの衝突パッド層に挿入可能なセル状材料の斜視図である。
図26】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面斜視図である。
図27】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面斜視図である。
図28】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面斜視図である。
図29】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面斜視図である。
図30】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面斜視図である。
図31】二層UDUを示し、外側スキン構造が第1の(上部)層から取り外された状態で示されている。
図32】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面図である。
図33】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面図である。
図34】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面図である。
図35】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面図である。
図36】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面図である。
図37】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面図である。
図38】いくつかの実施形態による衝突パッド層の上面図である。
図39】4つの層を有する多層UDUに関する力対変位の曲線である。
図40】いくつかの実施形態による多層UDUの斜視図である。
図41】いくつかの実施形態による多層UDUの斜視図である。
図42】いくつかの実施形態による多層UDUの斜視図である。
図43】いくつかの実施形態による多層UDUの斜視図である。
図44】いくつかの実施形態による多層UDUの側面図である。
図45】いくつかの実施形態による多層UDUの側面図である。
図46】いくつかの実施形態による多層UDUの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
今日、世界では、自動車事故は不幸な現実である。自動車業界では、いくつかの例としてフロントエアバッグ、サイドカーテンエアバッグ、車線逸脱防止システム、電子衝突回避システム、および構造的クランプルゾーンなどの革新により、ここ40年で安全性の大幅な進歩が見られるが、依然として事故は存在しており、また、依然として自動車の安全性のさらなる向上に対する要求が存在している。
【0011】
毎年失われる生命の数に関して、最も過酷な車両衝突のタイプは、正面スモールオーバーラップ(SOL)である。SOL衝突をシミュレーションするために、保険協会は、車両が電柱または木などの剛性物体に衝突したときの影響をシミュレーションするために開発された、ナローオフセット(スモールオーバーラップ)正面衝撃試験を開発した。この試験はまた、車両の中心線の間にオフセットを伴う2台の車両が正面衝突する状況もシミュレーションする。
【0012】
中心線上の正面衝突では、車両は、フロントバンパーの中央が剛性物体に衝突し、車両前方端部のクランプルゾーン全体が衝突エネルギーを吸収する。そのような事例では、エアバッグおよびシートベルトと組み合わせた前方クランプルゾーンのエネルギー吸収作用は、車両の運転者および助手席乗員が、衝突から生き残り、かつわずかな負傷だけしか伴わない十分な可能性を提供し得る。しかしながら、スモールオーバーラップ正面衝撃は、車両の正面の外側25%を通して衝突エネルギーを駆動する。
【0013】
通常、自動車は、スモールオーバーラップ正面衝突によって衝撃を受ける領域に重要な構造的構成要素を持たない。このように、この試験における大部分の衝突エネルギーは、エネルギーを吸収するための構造がほとんど存在しない領域を通って、車両の外側左前側(例えば、運転者側)を通過し得る。この衝突エネルギーは、抑制されなかった場合、非常に大きい力をもたらす場合があり、この力は、ホイールおよび他の構成要素を、ホイールウェルおよび下部ダッシュパネルウォールを通して、運転者の足および脚部の空間へと駆動する場合がある。車両内部の運転者の空間への車両質量のこの侵入は、運転者の腰部から足指までなどの下半身領域に重傷をもたらす場合がある。いくつかの事例では、エアバッグが運転者を適切に静止することができなかった場合、運転者は、死に至り得る重度の頭部外傷を負う場合がある。
【0014】
従来、自動車メーカーは、いくつかの戦略を使用して、シミュレーションされた事故および実際の事故の両方で(例えば、IIHSスモールオーバーラップ衝撃試験に合格するように)車両の性能を向上させてきた。これらの戦略には、以下のようなことが挙げられ得る。(1)フロントバンパーとホイールウェルの後方側のパネルとの間の車両の前方コーナー部に、構造(すなわち、質量)を加える。(2)衝突した物体(例えば、SOL試験での衝突試験バリア)から車両を回転させて離れさせ得る不均衡な力を作成することなどによって、衝突の運動学的な運動を変化させることができる初期係合構造を加える。そのような事例では、衝突試験バリアから車両を回転させて離れさせることによって、エネルギーが吸収され得、ホイールは、主な負荷経路になり得ない。(3)運転者および乗員の空間への侵入を阻止するのを補助するために、乗員室補強材を加える。そのような補強材は、衝突力の代替の負荷経路を確立し得る。(4)衝突エネルギーの一部分を吸収し、下部ダッシュパネルへの力を最小にし、かつ運転者の空間への侵入を阻止するために、所定の撓みの後に所与の負荷の下で破損する、下部制御アームおよびホイールなどの構造部材を設計する。そのような戦略はまた、負荷経路を遮断し、衝突バリアから離れて車を回転させる不均衡な力を作成するための方法としても使用され得る。しかし、そのような既知の戦略は、すべての面で満足のいく解決策を提供するわけではない。
【0015】
発明者は、衝突エネルギーを吸収するように構成された均一減速ユニット(「UDU」)の利点を認識した。UDUに関する異なる構成の例は、2015年11月24日に出願され、「Uniform Deceleration Unit」と題された国際特許出願第PCT/US2015/062366号、および2019年4月16日に出願され、「Uniform Deceleration Unit」と題された米国特許出願第16/386,071号に記載されており、これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0016】
発明者は、(例えば、ケーキ上の層のように)積み重ね可能である衝突パッド層などの1つ以上の個々の層を含むUDUを提供することによって利点が実現され得ることを認識した。例えば、いくつかの実施形態では、多層UDUは、車両の質量および形状に適切である特定のエネルギー量を吸収するように、システム的に設計され得る。いくつかの実施形態では、各層の剛性は、衝撃力対変位(「F-D」)曲線の形状を制御するように、および吸収されるエネルギー量を制御するように変化し得る。いくつかの実施形態では、多層UDUは、予測可能で連続的な様式で押し潰されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、多層UDUは、構造的破損につながり得る材料破壊を排除し得る力スパイクを伴わない、滑らかなF-D曲線を生成し得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、衝突パッド層は、衝突パッドが1つ以上の衝突パッド層で形成された状態の衝突パッドにわたって、および/またはUDUわたって、剛性勾配を作成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、この勾配は、衝突負荷が個々の衝突パッド層に沿ってより均一に分配され得るように、衝突パッドおよび/またはUDUのエネルギー吸収を向上させ得、または別様に制御し得る。いくつかの実施形態では、多層UDUの剛性は、UDUが自動車に取り付けられたときに自動車の前後方向に増加するように構成されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の衝突パッド層を含み得る各衝突パッドの剛性もまた、UDUが取り付けられたときに自動車の前後方向に増加し得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、衝突パッドおよび/またはUDUの様々な層の剛性は、衝突パッドおよび/またはUDUの各層の長さを変化させることによって変化し得る。そのような実施形態では、長さは、衝突パッド層の底部と頂部との間の距離(図12を参照されたい)として計算され得る。剛性はまた、衝突パッドおよび/またはUDUの各層の断面積を変化させることによっても変化し得る。各層の外皮構造の壁厚もまた、剛性勾配を変化させるように層ごとに変化し得る。剛性はまた、各衝突パッド層の軸方向変形を制御するための特徴を導入することによっても変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の層の外皮構造は、ノッチなどの脆弱領域を含み得る。他の実施形態では、外皮構造は、他の領域の壁厚よりも厚い壁厚を有する外壁構造領域などの、1つ以上の局所的補剛材を含み得る。いくつかの実施形態では、外皮構造は、脆弱領域と、局所的補剛材と、を含み得る。さらに他の実施形態では、剛性は、各層内のフォームの量を変化させることによって変化し得る。剛性は、1つ以上の内皮構造(本明細書では、内部補剛材または内皮とも称される)を含むことによっても変化し得る。例えば、層は、エネルギーを吸収するために、外皮層の内側に1つ以上のチューブ状構造または他の好適な形状の構造を有し得る。いくつかの実施形態では、剛性は、内皮構造の1つ以上の断面積を変化させることによって変化し得る。いくつかの実施形態では、内部補剛材は、外皮に取り付けられる。
【0019】
いくつかの実施形態では、多層UDUは、車両フレーム構造の一体的構成要素であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、多層UDUは、実質的に任意の車両のホイールウェルの影空間に嵌合するように成形され得る。そのような実施形態では、多層UDUの各衝突パッド層は、連続的な押し潰しを生成し、かつ利用可能な車両のホイールウェル形状に嵌合するように、必要に応じて一意の構造設計を有し得る。多層UDUはまた、車両の別の好適な部分の利用可能な空間に嵌合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、多層UDUは、自動車のホイールウェル空間内に、または車両の別の好適な部分内に後付けするように構成され得る。いくつかの実施形態では、多層UDUは、車両のSOL衝突エネルギーの約5%~100%を吸収するように設計され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、多層UDUの特定の層は、材料強度、延性、および破壊靭性を最適化するために、異なる材料から製造され得る。いくつかの実施形態では、これは、UDUの質量およびエネルギー吸収を最適化するために使用され得る。いくつかの実施形態では、UDUは、高抗張力金属などの高張力の強度材料で形成され得る。いくつかの実施形態では、外皮は、高い延性、高い強度、および比較的低い弾性係数を有し得る。そのような実施形態では、外皮は、鋳造、鍛造、または別の金属形成技術を介して形成され得る。いくつかの実施形態では、高張力の強度材料は、金属フォームなどのセル状材料を取り囲み得る。下で説明されるように、いくつかの実施形態では、セル状材料は、内皮構造の1つ以上に挿入され得る。
【0021】
ここで図を見ると、図1は、自動車8のホイールウェル3内に取り付けられた、発明者の前述のUDU1を示している。理解されるように、UDUは、フロントホイールウェル、リアホイールウェル、またはフロントホイールウェルとリアホイールウェルの両方に取り付けることができる。UDUはまた、自動車のサイドドアなどの自動車の他の好適な部分にも取り付けられ得る。図1に示されるように、UDUは、第1の衝突パッド2および第2の衝突パッド4を有する略U字形状のエネルギー吸収部材と、第1および第2の衝突パッドの間に配置され、かつそれらに接続されている接続ビーム6と、を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の衝突パッドは、前方衝突パッドを含み得、一方で、第2の衝突パッドは、後方衝突パッドを含む。いくつかの実施形態では、UDUは、接続ビーム6に接合された、複数の前方衝突パッド2および/または複数の後方衝突パッド4を含み得る。図1に示されるように、いくつかの実施形態では、UDUは、乗用車に使用され得る。理解されるように、UDUは、乗用車、トラック、スポーツユーティリティ車両、バン、バス、オートバイ、およびクロスオーバー車両が挙げられるが、これに限定されないすべてのタイプの自動車に使用され得る。
【0022】
図2は、本開示の実施形態による、別の自動車、トラックのホイールウェル内に取り付けられた多層UDU1を示す。本明細書で説明されるように、UDUは、トラックの、または別の好適な自動車のホイールウェル内の利用可能な空間内に嵌合するようにサイズ決定され得る。これに関して、UDUの各層は、エネルギー吸収のためにUDUが自動車のホイールの上および/またはその周りに延在するように構成され得る。この図2に示されるように、いくつかの実施形態では、UDUは、U字形状を有する必要はないが、いくつかの実施形態では、UDUがU字形状を有し得ることが理解されよう。
【0023】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、多層UDUを示す。この図に示されるように、UDUは、積み重ね衝突パッド層の1つ以上を有する本体を含む。いくつかの実施形態では、本体は、第1の端部13と、第2の反対側にある端部15と、を含む。いくつかの実施形態では、UDUが自動車に取り付けられたときに、第1の端部は、前端部であり得、第2の端部は、UDU本体の後端部であり得る。いくつかの実施形態では、積み重ね衝突パッド層は、第1の端部から第2の端部まで延在することができる。図3に示されるように、いくつかの実施形態では、UDUは、11個の衝突パッド層14a~14kを含み得るが、衝突パッドは、他の好適な数の衝突パッド層を含み得る。例えば、本開示はそのように限定されないが、UDUは、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、17個、20個、25個、または任意の他の好適な数の衝突パッド層を有し得る。理解されるように、いくつかの実施形態では、衝突パッド層の1つ以上は、UDUの第1の衝突パッド、第2の衝突パッド、および/または接続ビームを形成し得る。いくつかの実施形態では、UDUは、UDUを車両の所望の領域に取り付けるために使用され得るブラケット12を含み得る。理解されるように、UDUは、(例えば、1つ以上の締結具を介して)他の好適な様態で自動車に取り付けられ得る。
【0024】
図4は、線A-Aに沿って切断した図3のUDUの例示的な衝突パッド層の断面を描写する。この図に示されるように、衝突パッド層は、外皮10を含み得、外皮は、衝突パッド層の外周にわたり得る。衝突パッド層はまた、外皮構造10の内側に位置決めされ得る1つ以上の内皮構造12(例えば、内部補剛材)も含み得る。図4に示されるように、内皮構造は、この図に示される5つのチューブ状部材などの、チューブ状部材を含み得る。いくつかの実施形態では、チューブ状部材の各々は、図4に示される円形の断面形状などの、同じ断面形状を含み得る。他の実施形態では、チューブ状部材はまた、異なる形状も有し得る。いくつかの実施形態では、内皮構造は、同じ断面サイズを有し得るが、チューブ状部材のサイズは、内皮構造ごとに異なり得る。本明細書で説明されるように、他の実施形態では、内皮10および外皮12の構造は、異なり得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、衝突パッド層は、エネルギー吸収が可能な金属フォーム122または別の好適な材料などのセル状材料を含み得る。いくつかの実施形態では、セル状材料は、内皮構造の各々および/またはその周りに位置決めされ得る。セル状材料はまた、内皮構造の周りだけ、内皮構造の内側だけ、またはそれらの組み合わせで位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、内皮構造および外皮構造は、実質的に同じ材料で作製され得るが、他の実施形態では、内皮構造および外皮構造は、異なる材料で作製され得ることを理解されたい。
【0026】
いくつかの実施形態では、各衝突パッド層は、UDUが押し潰されるときにエネルギーを吸収して、徐々にかつ漸増的により高い力を生成するように設計され得る。例えば、いくつかの実施形態では、各層が押し潰されるときに、その層の外側構造が局所的に最大力に到達し得、次いで、負荷が減少し始める時点まで変形し始め得る。その時点で、セル状材料(例えば、金属フォーム材料)または内皮構造および/もしくは外皮構造を充填する他の同様のエネルギー吸収材料は、フォームが一定の負荷で押し潰されるような状態まで押し潰され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、UDUは、概して、UDUが自動車に取り付けられたときの前後方向に増加する剛性勾配を有するように構成され得る。そのような実施形態では、多層UDUデバイスの各後続の層の剛性は、車両の前方から後方までわずかに増加し得る。そのような実施形態では、デバイスが押し潰されるときに、外皮構造の初期層は、ピーク力に到達して、後続の層がそのピーク力に到達する前に塑性的に変形し始め得る。後続の層は、第1の層が最大力に到達する前に変形し始め得る。例えば、いくつかの実施形態では、積み重ね層のすべてが同時に変形し得る。いくつかの実施形態では、金属フォームまたは他の同様の材料が比較的一定の力で押し潰される一意の能力を使用することで、特定の比率の初期層厚さの場合、各層の外皮構造によって達成される力は、層の初期厚さの所定の範囲にわたって効果的に一定に保持され得る。
【0028】
図5に示されるように、車両8が(例えば、障害物3に)衝突するときに、UDUの各衝突パッド層は、本明細書に記載された特徴および特性の結果として、異なる挙動を呈し得る。例えば、いくつかの実施形態では、最前部のパッド衝突層は、座屈し得るか、または別様に圧壊し得、最後部の衝突パッド層のいくつかは、構造的にそのままの状態であり得る。いくつかの実施形態では、UDUは、自動車が障害物に衝突したときに、塑性的に変形して衝突エネルギーを吸収するように構成されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、外皮構造は、特定の負荷時に塑性変形し始めるように設計され得る(図6を参照されたい)。そのような実施形態では、次いで、フォーム材料が、外皮構造が座屈し始めるのと同じ力で、各層のその力の安定状態に到達するように設計され得る。この図にも示されるように、外皮およびフォームの両方を有する個々の層は、(例えば、外皮を介して)特定の負荷で塑性的に変形し始め、次いで、フォームを介してその負荷を保持し得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、UDUの各層の厚さは、1つ以上の基準を介して決定され得る。例えば、厚さは、外皮構造の所望のピーク力、フォームの一定力の安定状態の長さ、および/または後続の層の相対的剛性によって制御され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、積み重ねUDU構造の各後続の層は、押し潰し事象の期間にわたって、層が順次に押し潰されて、比較的一定の力に維持する、または力を緩やかに増加もしくは減少させるように設計され得る。
【0032】
図7は、多層UDU構造の連続的な押し潰しに関する代表的な力対変位(「F-D」)の曲線を示す。この図に示されるように、UDU構造の挙動は、直線状の赤色の水平線の非常に近くに近づき得る。この線は、グラフに画定された、設計空間の理想的なエネルギー吸収器を示す。図4にも示されるように、各UDU層のピークの押し潰し力は、F(紫色の破線で示される)よりも小さくなり得、ここで、Fは、SOL負荷経路における車両構造部材の圧壊前の許容負荷である。これらの構造部材は、ヒンジピラー、Aピラー、Aピラー補強材、ロッカー、および/または側部シルを含み得る。いくつかの実施形態では、押し潰し力をFよりも小さい大きさに制限することによって、UDUは、車両乗員室を支持する主要な構造部材の圧壊を阻止しながら、SOL衝突のエネルギーを吸収し得る。
【0033】
理解されるように、図7は、二層UDU構造を示しているが、この概念は、実際に、構造が設計された車両の物理的サイズおよび質量によって決定付けられる、任意の数の層にまで及び得る。
【0034】
図7に示されるように、多層UDUは、構造の後続の層の均一で連続的な押し潰しによって、所与の設計空間の理想的なエネルギー吸収器に近づき得る。本明細書で説明されるように、構造が、セグメント化されたUDUの後続の層が順番に圧縮されるように連続的な押し潰しを達成するいくつかの方法が存在する。
【0035】
本明細書で説明されるように、衝突に応答する個々の衝突パッド層の性能は、個々の層の剛性を設定することによって調節され得る。いくつかの実施形態では、剛性の調整は、衝突中に吸収される負荷に対応し得る個々の衝突パッド層の断面積の調整に対応し得る。例えば、衝突パッド層の断面積は、各衝突パッド層の全体の占有面積を増加(または減少)させることによって増加または減少)され得る。いくつかの実施形態では、第1の衝突パッド層の占有面積は、第2の衝突パッド層の占有置面積よりも小さくなり得る。いくつかの実施形態では、隣接する衝突パッド層は、同じ占有面積を有し得るか、または異なる占有面積を有し得る。そのような実施形態では、第1および第2の衝突パッドは、隣接し得るが、第1および第2の衝突パッドはまた、UDU内で離間され得ることが理解されよう。
【0036】
いくつかの実施形態では、個々の衝突パッドの断面積は、外皮構造10の厚さtを変化させることによって調整することができる。図8に示されるように、例えば、第1の衝突パッド層14aは、厚さt(例えば、壁厚)を有する外皮構造10を含み得、一方で、図9に示される第2の衝突パッド層14bは、厚さt+Δtを有し得る。そのような実施形態では、第2の衝突パッド層14bは、第1の衝突パッド層14Aよりも厚い外皮構造10を有し得る。いくつかの実施形態では、外皮構造厚tは、外皮構造の外面から離れる(および内皮構造12から離れる)方向にΔtだけ増加し得る。したがって、衝突パッド層の断面積(例えば、占有面積)は、外皮構造の厚tがΔtだけ増加した結果として増加し得る。いくつかの実施形態では、衝突パッド層の厚さtは、少なくとも0.02、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5インチ、または任意の他の好適な厚さtであり得るが、本開示は、それらに限定されるものではない。
【0037】
いくつかの実施形態では、衝突パッド層間の厚さΔtの変化は、衝突パッド層の全体の断面積(例えば、占有面積)を変化させない場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、衝突パッド層の厚さtは、内皮構造12に向かう方向に増加し得る。したがって、外皮構造の断面積は増加し得る(または別様に変化し得る)が、衝突パッド層の断面積は実質的に不変のままである。そのような実施形態では、外皮構造の厚さを変化させることは、依然として衝突パッド層の剛性を変化させ得る。理解されるように、いくつかの実施形態では、内皮構造12に向かう外皮構造の(例えば、Δtの)拡張は、外皮構造内の内皮構造および/または金属フォーム材料のために利用可能な空間を低減させ得る。
【0038】
厚さtは、方向の組み合わせにおいて増加し得ることを理解されたい。例えば、厚さtは、内皮構造12に向かって部分的に、かつ内皮構造12から離れて部分的に増加し得る。いくつかの実施形態では、厚さtは、内皮構造12に向かって、およびそこから離れて実質的に等しく増加し得る。そのような実施形態では、衝突パッド層の断面積(例えば、占有面積)は増加し得、一方で、(例えば、内皮構造またはフォームの)外皮構造の内側の面は少し得る。
【0039】
衝突パッド層(例えば、14a、14b)間の厚さ差Δtは、層における所望の剛性の変化を達成するための任意の好適な値であり得る。3つ以上の衝突パッド層を有する多層UDUの実施形態では、外皮構造間の差は、Δtずつ増加し続け得る。そのような実施形態では、外皮構造間の差は、層の数に依存して、Δtから2Δt、3Δt、・・・、nΔtまで変化し得る。そのような実施形態では、衝突パッド層間の厚さの変化は、直線的であり得る。例えば、各後続の衝突パッド層は、10%増加した外皮構造厚さを有し得る。隣接するまたは近傍の衝突パッド層間の厚さ差Δtは、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、または任意の他の好適な厚さ差であり得ることを理解されたい。他の実施形態では、衝突パッド層間の厚さの変化は、非直線的であり得る。さらに他の実施形態では、衝突パッド層間の厚さの変化は、単調または非単調であり得るが、本開示は、それらに限定されるものではない外皮層の厚さを増加させることに関して記載されているが、外皮構造の厚さは、様々な増分で減少され得ることが理解されよう。
【0040】
いくつかの実施形態では、図8および9に示されるように、外皮構造の厚さは、衝突パッドの外周に沿って均一であり得る。いくつかの実施形態では、衝突パッドの外周に沿った均一の厚さtは、衝突パッドのいくつかの実施形態の製造効率を向上させ得る。他の実施形態では、外皮構造の厚さは、衝突パッド14の外周に沿って不均一であり得る。例えば、外皮構造は、衝突中により大きい負荷を受けるように位置決めされ得る衝突パッド層の部分に沿ってより厚くなり得る。外皮構造の厚さも、脆弱領域を作成するために、衝突パッド層の他の部分で低減され得る。外皮の厚さは、一定、単調な変化、非単調な変化、または任意の他の好適な変化が挙げられるが、これらに限定されない、衝突パッド14の外周に沿った任意の好適な変化に従い得ることを理解されたい。
【0041】
いくつかの実施形態では、UDUの剛性は、衝突パッド層の内皮構造12の1つ以上の断面積を変化させることによって変化し得る。例えば、図10に示されるように、いくつかの実施形態では、衝突パッド層14aおよび14bは、各々が5つの内皮構造を有し得る。そのような一例では、内皮構造は、4つのより小さい内皮構造12bによって取り囲まれたより大きい内皮構造12aを含み得る。図10~11Cに示されるように、内皮構造の各々は、中空チューブ状構造を含み得る。いくつかの実施形態では、これらの図に示されるように、チューブ状構造は、実質的に円形の断面形状であり得る。理解されるように、他の実施形態では、内皮構造は、他の好適な断面形状を有し得る。例えば、皮構造としては、正方形、三角形、長方形、楕円形、他の多角形、または他の好適な断面形状(図14~17を参照されたい)が挙げられ得る。各衝突パッドは、すべて同じ断面形状である内皮構造を有し得るが、皮構造の断面形状は、構造ごとに(または内皮構造のサブセットから内皮構造の別のサブセットまで)異なり得る。内皮構造もまた、同じサイズであり得るが、サイズは、皮構造ごとに異なり得る。
【0042】
図10Aに示されるように、第1の衝突パッド層14aにおいて、第1の内皮12aの断面積は、A1あり得、一方で、第2の内皮12bの断面積は、A2であり得る。このような実施形態では、第2の衝突パッド層14bにおいて、第1の内皮12aの断面積は、A1からA1+ΔA1(図11Aを参照されたい)まで変化し得、および/または第2の内皮(または第2の内皮のいくつかだけ)の断面積は、A2からA2+ΔA2(図11Bを参照されたい)まで増加し得る。内皮のいくつかだけの断面積の変化は、図11Aおよび11Bに示されているが、他の実施形態では、すべての内皮の断面積が変化を受け得る(図11Cを参照されたい)。そのような実施形態では、断面積(ΔA1、ΔA2)の変化は同じであり得るが、内皮ごとに異なり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、断面積を押し潰し軸に対して変化させることで、軸方向の剛性が変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、断面積を増加させることで、衝突パッド層14a、14bの剛性が向上し得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、内皮の1つの断面積を増加させることは、内皮の占有面積を増加させることによって達成され得る。いくつかの実施形態では、内皮の断面積全体を変化させても、内皮の厚さは同じままであり得る。そのような実施形態では、内皮の内側の面積は、内皮の占有面積が増加したときに増加し得る。他の実施形態では、内皮の1つの断面積を増加させることは、内皮の壁厚を増加させることによって達成され得る。そのような実施形態では、内側の内部の領域は変化しない場合がある。例えば、内皮の厚さは、外皮に向かう方向にだけ増加し得、内皮の内側の面積は、実質的に不変のままである。さらに他の実施形態では、内皮の厚さはまた、内皮の中心に向かうおよび外皮から離れる方向に増加し得る。そのような実施形態では、内皮の内側の面積は、断面積の変化によって減少し得る。理解されるように、各内皮に対する変化は、同じであり得るか、または変化は、皮ごとに異なり得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、外皮構造だけが変化するように説明され、他の実施形態では、内皮構造だけが変化するように説明されているが、いくつかの実施形態では、外皮構造および内皮構造両方の断面積が変化し得るか、または外皮構造および/もしくは内皮構造の一部分の組み合わせが変化し得る。
【0046】
他の実施形態では、図12に示されるように、衝突パッド層の剛性は、衝突パッド層の(押し潰し軸に沿って測定される)長さを調整することよって調整され得る。いくつかの実施形態では、長さの低減は、座屈負荷および/または曲げモーメントを低減させることによって、衝突パッド層の剛性を増加させ得る。他の実施形態では、長さの低減は、衝突パッド層の剛性を増加させない場合がある。例示的な一実施形態では、図12に示されるように、UDUは、3つの衝突パッド層14a~14cを含み得る。第1の層14aは、第1の長さLを有し得、第2の層14bは、第2の長さL-ΔL1を有し得、第3の層14Cは、第3の長さL-ΔL2を有し得る。図12の衝突パッド層については(例えば、本体の第1の端部13から第2の本体の端部に向かう)長さの減少が示されているが、他の実施形態では、各衝突パッド層の長さの変化は、他の好適な様態で増加し得ることを理解されたい。衝突パッドの長さはまた、増加して、その後に第1の本体の端部から第2の本体の端部に向かう方向に減少し得る。さらに他の実施形態では、1つ以上の衝突パッドは、UDU内で同じ長さを有し得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、任意の衝突パッド層14の長さLは、0.5~12インチであり得る。各衝突パッド層14の長さLの、例えば、L-ΔL2またはL-ΔL1への変化は、任意の好適な値であり得る。上で説明した外皮構造10の厚さtにおける差はまた、衝突パッド層間の長さの差に関しても使用され得ることを理解されたい。図12には、単調に変化する長さ(すなわち、層14aの長さが、層14bの長さよりも長く、これは、層14Cの長さよりも長い)が示されているが、衝突パッド層間の長さには、任意の好適な変化が使用され得ることを理解されたい。
【0048】
いくつかの実施形態では、層の全体的な剛性は、内皮構造の断面積における後続の層もしくは層の群の間の個々の層の断面積の変化の組み合わせ、外皮構造の厚さの変化、および/または各衝突パッド層の長さの変化によって変化し得る。剛性はまた、外皮構造および/または内皮構造の幾何学形状の変化またはそれらの組み合わせによっても変化し得る。
【0049】
図13に示されるように、UDUは、UDUを適切な車両構造に取り付けるために使用され得る1つ以上のブラケット12を含み得る。例えば、UDUは、ホイールウェル、ヒンジピラー、Aピラー、Aピラー補強材、ロッカー、シルビーム、または任意の他の好適な車両構造に取り付け可能であり得る。ブラケット12は、圧着、ねじもしくはブラケット、通常の溶接、摩擦攪拌溶接、高強度接着剤の追加、締結具、またはこれらの任意の組み合わせを含む単純な機械接合が挙げられるが、これらに限定されない、任意の好適な取り付け機構で適切な車両構造に取り付けられ得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、ブラケットは、各々が、UDU(例えば、本体の第2の端部)の本体から離れて延在している実質的に平面の構造を含み得る。
【0050】
図14~17は、UDUの例示的な衝突パッド層の内皮構造および外皮構造の構成を示す。これらの図に示されるように、外皮の形状およびサイズは、層ごとに異なり得る。いくつかの実施形態では、外皮構造は、実質的に長方形の断面形状であり得る。いくつかの実施形態(図14、15、および17を参照されたい)では、外皮は、平面セグメントを接続する湾曲したコーナー部を有し得る。他の実施形態(図16を参照されたい)では、外皮は、平面セグメントだけで形成された八角形の断面形状を含み得る。
【0051】
図14~17は、異なる形状の内皮構造も示す。例えば、図15~16に示されるように、内皮構造は、同じ形状(例えば、円形の断面)を含み得るが、各層の内皮構造は、サイズ、数、および配置が異なり得る。いくつかの実施形態では、内皮構造は、衝突パッド層の各コーナー部にまたはその近くに位置決めされ得る。図17に示されるように、内皮構造は、異なる形状を含み得る。そのような実施形態では、少なくとも1つの内皮は、少なくとも別の内皮とは異なる形状を有し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、個々の衝突パッド層の剛性は、衝突パッド層の軸方向変形を制御するための特徴を導入することによって調整され得る。図18に示されるように、いくつかの実施形態では、外皮構造は、1つ以上の脆弱領域を含み得る。例えば、外皮構造は、スリット、ノッチ16、または溝を含み得る。ノッチ16は、衝突パッド層が、いずれかの異なる場所(例えば、溝の位置)で、および/または異なる吸収負荷で圧壊または座屈することを可能にするように構成され得る。そのような実施形態では、ノッチ16の座屈(例えば、破損)は、衝突パッド層14の剛性を減少させ得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、ノッチ16の導入は、隣接する衝突パッド層間の一連の負荷伝達を制御し得る。換言すれば、ノッチを有し、近傍の衝突パッド層よりも剛性が低い衝突パッド層は、ノッチのない衝突パッド層と比較した場合、より低い負荷で座屈し得る。このようにして、近傍の衝突パッド層(より剛性であり得る)は、より大きい負荷を吸収し得、また、その増加した剛性が与えられることで、より低い剛性の衝突パッド層よりも大きい負荷をより効率的に吸収し得る。ノッチは、衝突パッド層の別の特徴(例えば、外壁構造または内皮構造)が塑性変形する前に衝突パッド層が座屈することを可能にするように構成され得ることを理解されたい。
【0054】
図18および19に示されるように、ノッチ16は、外皮構造の外面に形成され得る。いくつかの実施形態では、ノッチは、衝突パッド層の長さに対して垂直に延在し得る。そのような実施形態では、ノッチ16は、十分な軸方向負荷を吸収するときに座屈し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、ノッチは、衝突パッド層において実質的に等しくかつ等距離のノッチであり得るが、ノッチは、他の好適な様態で衝突パッド層に沿って位置決めされ得、異なるサイズを有し得る。理解されるように、ノッチは、任意の好適な形状、サイズ、および/または配向であり得る。用例では、図18および19に示されるように、ノッチは、実質的にV字形状であり得る。いくつかの実施形態では、ノッチの形状およびサイズは、各層において同じであり得るが、形状およびサイズは、衝突パッド層上のノッチごとに異なり得る。ノッチは、衝突パッド層間で同じ形状およびサイズであり得るが、形状およびサイズは、衝突パッド層全体にわたって同じであり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、印加された衝突負荷が実質的に対称であるときに、衝突パッド層のノッチおよび第1の側の圧壊または座屈が、衝突パッド層の他方の側のノッチの圧壊または座屈をもたらし得るように、衝突パッド層は、衝突パッド層の軸方向に沿って鏡映されたノッチ16を含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、不均一な軸方向負荷が予測される場合、ノッチは、衝突パッド層の周りにおよび/またはそれに沿って不均一にまたは非対称に分配され得ることを理解されたい。そのような実施形態では、ノッチの非対称の分配は、非対称の衝突負荷の場合に有用であり得る衝突パッド層の非対称の剛性強化を提供し得る。
【0057】
図19はまた、1つ以上の衝突パッド層の剛性を高めるために組み込まれ得る補剛材も示す。いくつかの実施形態では、衝突パッド層は、衝突パッド層の外皮構造の断面積または厚さ(または任意の他の好適な幾何形状寸法)を局所的に増大させる補剛材18を含み得る。いくつかの実施形態では、補剛材は、実質的に長方形断面形状を有し得る(図19の補剛材18を参照されたい)。他の実施形態では、補剛材21は、半球形の断面形状であり得る。他の実施形態では、補剛材は、他の好適な形状(例えば、三角形の断面形状)を有し得る。外皮に関して説明しているが、局所的補剛材はまた、1つ以上の内皮構造にも加えられ得ることが理解されよう。
【0058】
ノッチと同様に、補剛材は、外皮の任意の好適な部分に位置し得、任意の好適な形状およびサイズを有し得る。いくつかの実施形態では、補剛材18は、衝突パッド層の全周にわたり得る。例えば、補剛材は、衝突パッド層の外皮上の環状リングとして形成され得る。他の実施形態では、補剛材18は、衝突パッド層の周りに不連続であり得る。例えば、局所的補剛材18は、より大きい衝突負荷が予想され得る場所などの、衝突パッド層の周りの正確な位置に位置し得る。いくつかの実施形態では、補剛材18は、外皮構造の外面から外方向に延在し得る。いくつかの実施形態では、各層は、同じ数の補剛材を有し得るが、この数(または補剛材の形状)は、層ごとに異なり得る。いくつかの実施形態では、単一の衝突パッド層は、補剛材の2つ以上の形状を含み得る。他の実施形態では、衝突パッドは、いかなる補剛材(またはノッチ)も有し得ない。例えば、いかなる補剛材またはノッチも伴わない図19の直線状の壁区間20を参照されたい。また、異なる補剛材を有する層、およびノッチを有する層を示す、図46のUDUも参照されたい。
【0059】
いくつかの実施形態では、補剛材22は、衝突パッド層の外皮の外側に沿った波状パターンなどのパターンを形成し得る。例えば、図20および21を参照されたい。一実施例では、波状パターンは、谷および山を含み得る。理解されるように、他の実施形態では、補剛材の形状およびパターンは、異なり得る。例えば、波状補剛材22は、実質的に半球形状であるように示されているが、他の実施形態では、波状補剛材22は、実質的に正方形、三角形、他の多角形、または他の断面形状であり得る。また、補剛材22は、衝突パッド層全周に延在するように示されているが、いくつかの実施形態では、補剛材22は衝突パッド層の一部分だけに位置し得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、補剛材は、外皮構造と一体的に形成され得る。そのような実施形態では、補剛材は、外皮構造と同じ材料で形成され得る。他の実施形態では、補剛材は、(例えば、接着剤、溶接、締結具、ロック、プレス嵌め、または任意の他の好適な機構を介して)外皮構造10に固定的に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、補剛材は、外皮構造とは異なる材料で形成され得る。以上のことを考慮して理解されるように、衝突パッド層の剛性およびエネルギー吸収特性を適合させるために、補剛材の材料、形状、位置、配向、または任意の他の特性が調整され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、多層UDUの各層は、個々の衝突パッドのように機能し得る。UDUの各層のUDU皮構造は、1つの外皮構造からなり得るか、または外皮構造および内皮構造の組み合わせを含み得る。内側構造は、押し潰し軸に平行に、または押し潰し軸に垂直に配向され得る。内側構造の形状、配向、および位置の決定は、UDUの特定の層の必要な剛性に依存し得る。
【0062】
外皮構造および内皮構造両方を有する衝突パッド層の例示的な実施形態が、図22A~25Aおよび図26~30に示される。図22B~25Bは、それぞれ、図22A~25Aの内皮構造の中および周りに挿入可能なフォーム122を示す。図22A~25Aおよび図26~27に示されるように、外皮は、実質的に長方形形状であり得、湾曲したコーナー部を有する。外皮構造は、図30の三角形形状ならびに図28および29の波形または蛇行形状などの、他の好適な形状を有し得る。図26に示されるように、例えば、内皮構造および外皮構造は、実質的に同じ形状であり得るが、異なるサイズである。図30に示されるように、内皮構造および外皮構造は、異なる形状およびサイズを有し得る。図23Aおよび25Aに示されるように、例えば、少なくとも1つの内皮構造は、衝突パッド層の中央部分に位置し得る。他の実施形態では、衝突パッド層は、他の好適な構成を有し得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、衝突パッドはまた、内皮構造12および外皮構造10をともに接続し得るリブ15も含み得る(図24Aを参照されたい)。いくつかの実施形態では、リブは、衝突パッド層を安定化または別様に強化し得る。内皮構造はまた、ウェブ(例えば、衝突パッド層の床面)を介して外皮構造に接続され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、外皮構造および内皮構造の厚さは、実質的に同じであり得る。他の実施形態では、内皮構造および外皮構造の厚さは、異なり得る。
【0065】
図31に示されるように、例えば、内皮構造の内側の、および内皮構造と外皮構造との間の空間は、金属フォーム122、または別のセル状材料などの別の好適なエネルギー吸収材料で充填され得る。いくつかの実施形態では、図22B~25Bに示されるように、金属フォーム122は、内皮構造と外皮構造との間のネガティブ(すなわち、空の空間)と実質的に同様の構造を有し得る。理解されるように、フォーム(または別の好適なエネルギー吸収材料)は、内皮構造の各々に位置決めされる必要はない。いくつかの実施形態では、フォームは、内皮構造と外皮構造との間にだけ位置決めされ得る。他の実施形態では、フォームは、内皮構造の内側にだけ位置決めされ得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、衝突パッド層は、外皮を有する代わりに、1つ以上の内皮構造をともに接合することによって形成され得る。これに関して、取り付けられた内皮構造は、衝突パッド層の外皮を形成し得る。図32~38に示されるように、いくつかの実施形態では、内皮構造は、長方形、四角形、円形、または楕円形の断面形状であり得る。いくつかの実施形態では、内皮部材は、実質的に正方形、長方形、円形または、他の好適な形状の衝突パッド層を形成するように接続され得る。いくつかの実施形態では、内皮構造は、衝突パッド層の外周を形成するようにともに接続され得る。理解されるように、内皮構造の形状、サイズ、および構成は、層ごとに同じであり得るか、または層ごとに異なり得る。内皮構造は、任意の好適な様態でともに接合され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、チューブ(例えば、円形の断面構造)は、厚さ、直径、および高さが適切に構成された場合、予測可能な負荷(または応力もしくは歪み)の下で座屈し得るので、内側チューブ状部材として(例えば、内皮構造として)使用され、かつ軸方向に圧壊するように使用され得る。いくつかの実施形態では、チューブが高過ぎる場合、適切に座屈しない場合がある。
【0068】
いくつかの実施形態では、各層の内皮構造および外皮構造は、別々の構造の組立体、サブ組立体の組立体、またはモノリシック構造であり得る。組立体の様々な構成要素は、溶接、高強度接着剤、機械的プレス嵌め、スエージ加工、および/または他の機械的接合方法を含む、多種多様な方法によって接合することができる。また、層の構成要素を接続するために、これらの方法の任意の組み合わせも使用され得る。いくつかの実施形態では、個々の衝突パッド層を接合して、UDUの本体を形成するために、同じ技術も使用され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、セグメント化された多層UDU設計では、各層は、衝突パッドとして作用し、特定の量の衝突エネルギーを吸収し得る。そのような実施形態では、各層が一意の構造であるので、層は、衝突事象中に連続的な圧壊を生じさせるような方法で設計され得る。この圧潰作用は、UDUが変形するときに所定量の運動エネルギーが歪みエネルギーとして吸収されることに起因し得る。吸収される衝突エネルギーの量は、UDUの押し潰しによってもたらされる、力対変位の(F-D)曲線の下の面積に等しくなり得る。図39は、F-D曲線の一例であり、曲線の下には、吸収される衝突エネルギーACLが示される。理解されるように、鋭い山の各々は、UDUの個別の層を押し潰すことに対応する。例えば、山は、層(例えば、衝突パッド層)が圧壊し始めることに対応する。いくつかの実施形態では、最も滑らかな曲線は、車のノーズまたはその近くの層(例えば、衝突パッド層)を表し得る。いくつかの実施形態では、多層UDUは、エネルギー吸収を最適化し、かつ衝撃力を最小にするために、F-D曲線を層ごとに設計することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、最長押し潰し長さMCLは、破線で示されるように、車両本体上の最大許容負荷MLに到達し得る。
【0070】
図40は、本開示による多層UDUの別の実施形態である。この図に例示されるように、UDU本体の衝突パッド層は、UDUの前方衝突パッド2および後方衝突パッド4を形成し得る。この実施形態では、前方衝突パッド2および後方衝突パッド4の各々は、単一の衝突パッド層で形成され得、接続ビーム6は、2つの衝突パッド層で形成される。いくつかの実施形態では、前方衝突パッドが加えられ得、さらに、衝突中にタイヤ/ホイール組立体を捕捉するのを補助するように延在され得る(図41および42を参照されたい)。他の実施形態では、前方衝突パッドは、ヘッドランプアセンブリの後方のパッケージ空間に適合するように短縮され得る(図40を参照されたい)。いくつかの実施形態では、図41および43に示されるように、接続ビーム6は、(例えば、自動車のホイールの上に、またはホイールの少なくとも一部分の上に延在するように)前後方向に延在された単一の衝突パッド層を含み得る。いくつかの実施形態では、後方衝突パッド4は、接続構造のための空間を作成するために前方に並進され得る。
【0071】
図41~43は、多層UDUの他の構成を示す。いくつかの実施形態では、UDUを既存の車両構造に接続するための、または多層UDUを特定の車両アーキテクチャに適合させるための構成が必要であり得る。いくつかの構成は、車両(例えば、最大SOL衝突エネルギー吸収を必要としないもの)の質量および/またはコストの削減に有用であり得る。
【0072】
図41および42に示されるように、いくつかの実施形態では、UDUは、主エネルギー吸収領域22を含み得る。そのような領域は、必要なエネルギー吸収に依存して、1つ以上の層(例えば、図38に示されるように、5つの衝突パッド層)を含み得る。主エネルギー吸収領域22は、図41において長さLを有するように示されている。図41および42に示されるように、UDUは、接続ビーム6を含み得る。いくつかの実施形態では、接続ビームは、1つ以上の層(例えば、衝突パッド層)を含み得る。接続ビーム6に関しては実質的に直線状の形状が示されているが、接続ビームはまた、別の好適な構造も有し得る。前方衝突パッドが示されているが、いくつかの実施形態では、UDUは、前方衝突パッドを含まない場合がある。前方衝突パッドは、短縮されたおよび/または拡張された構成を有し得る。
【0073】
図44および45に示されるように、UDUは、自動車のUDUを取り付けるように構成されたブラケット12を含み得る。理解されるように、ブラケットは、UDUが取り付けられる車の1つ以上の構造に対応するように構成され得る。
【0074】
本明細書で説明されるように、UDUは、任意の数の衝突パッド層を含み得、各衝突パッド層は、好適な形状、構成、またはサイズを有する外皮構造と、好適な形状、構成、またはサイズを有する補剛材および/またはノッチと、を含み得る。衝突パッド層はまた、好適な形状、構成、またはサイズを含む、内皮構造も含み得る。例えば、図46に示されるように、UDUは、これらの特徴および特性の任意の組み合わせを含み得ることを理解されたい。特徴および特性は、各層が、各衝突パッド層の剛性を調節または制御するように一意的に設計され得る。換言すれば、本明細書の実施形態によれば、各衝突パッド層の衝突挙動を制御するために、様々な特徴および特性が使用され得る。
【0075】
当業者によって理解されるように、UDUの個々の構成要素は、多種多様な成形方法を使用して多種多様な材料から製造され得、多種多様な概して利用可能な方法を使用して組立体に接合され得る。例示的な材料は、本開示の範囲を限定するものではないが、高強度、低密度、および比較的低コストの組み合わせを有することが知られているアルミニウム合金だけでなく、炭素繊維複合材料、ポリマー複合材料、金属マトリックス複合材料、鋼を含む層状複合材料、および高強度プラスチックも含む。例えば、衝突パッドは、約3,000kg/m3よりも小さい単位体積当たりの質量、少なくとも180MPaの降伏強度、および少なくとも500MPaのヤング率を有する材料で構築され得る。実質的にゼロより大きい気孔率を有するセル状材料は、特に高強度と低密度の組み合わせの対象となり得る。例えば、衝突パッドは、約1,000kg/m3未満の単位体積当たりの質量を有するセル状材料で構築され得る。例示的な成形方法は、ここでも本開示の範囲を限定するものではないが、打ち抜き、鍛造、鋳造、機械加工、および印刷を含む。結合方法としては、圧着、ねじもしくはブラケット、機械的プレス嵌め、通常の溶接、摩擦攪拌溶接、高強度接着剤の追加、締結具、または上記の任意の組み合わせを含む、単純な機械接合が挙げられ得る。理解されるように、UDUの各構成要素は、同じ材料および/または同じ製造技術で作られ得るが、構成要素はまた、様々な材料および/または様々な製造技術で作られ得る。
【0076】
本教示は、様々な実施形態および実施例と併せて説明されてきたが、本教示がそのような実施形態または実施例に限定されることを意図するものではない。それどころか、本教示は、当業者によって理解されるように、様々な代替例、変更例、および均等物を包含する。したがって、前の説明および図面は、例としてのみのものである。
【0077】
本発明の様々な態様は、単独で、組み合わせて、または前述の実施形態で具体的に説明されていない様々な構成で使用され得、したがって、その出願において、前述の説明で述べられたかまたは図面において図示された構成要素の詳細および構成に限定されない。例えば、一実施形態に記載の態様は、他の実施形態で記載の態様とどのようにも組合せられ得る。
【0078】
また、本発明は、実施例が提供されている方法として具体化することができる。その方法の一部として行われる動作は、任意の好適な方法で順序付けされ得る。したがって、図示された実施形態で連続した動作として示される場合でも、動作が図示されたものとは異なる順番で実行され、いくつかの動作を同時に実行することを含み得る実施形態が構築され得る。
【0079】
特許請求項の要素を修飾するための特許請求の範囲での「第1」、「第2」、「第3」などの順序の用語の使用は、それ自体では、いかなる優先性、優先順位、またはある請求項の要素の別のものに対する順序、もしくは方法の動作が行われる時間的順序も意味するものでなく、単に、請求項の要素を区別するために、特定の名前を有するある請求項の要素を(順序の用語の使用がなければ)同じ名前を有する別の要素から区別するためのラベルとして使用される。
【0080】
また、本明細書で使用される表現および用語は、説明を目的とするものであって、限定とみなされるべきではない。本明細書における「含む」、「備える」、または「有する」、「含む」、「含む」、およびその変形の使用は、その後にリストされる項目およびその均等物ならびに追加の項目を包含することを意味する。
図1
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【国際調査報告】