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特表2023-514835電極片、電気化学装置及びそれを含む電子装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-11
(54)【発明の名称】電極片、電気化学装置及びそれを含む電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20230404BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20230404BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20230404BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20230404BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20230404BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20230404BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20230404BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20230404BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20230404BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/36 E
H01M4/525
H01M4/58
H01M4/505
H01M4/485
H01M4/587
H01M4/48
H01M4/38 Z
H01M4/62 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549657
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(85)【翻訳文提出日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2020082932
(87)【国際公開番号】W WO2021196116
(87)【国際公開日】2021-10-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(71)【出願人】
【識別番号】514257398
【氏名又は名称】東莞新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】DONGGUAN AMPEREX TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】No.1 Industrial West Road,Songshan Lake High-tech Industrial Development Zone, Dongguan City, Guangdong Province, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100213333
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿山 昌代
(72)【発明者】
【氏名】李 保章
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA15
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050DA04
5H050DA10
5H050DA11
5H050EA08
5H050EA10
5H050EA11
5H050EA12
5H050EA23
5H050EA24
5H050EA27
5H050EA28
5H050FA02
5H050FA04
5H050FA16
5H050FA17
5H050HA04
5H050HA08
5H050HA12
(57)【要約】
本発明は、電極片、電気化学装置及びそれを含む電子装置に関するものである。当該電極片は、集電体、第一活物質層、第二活物質層、及び絶縁層を含む。集電体は第一表面を含み、第一活物質層は第一活物質を含み、第二活物質層は第二活物質を含む。第一活物質層は、集電体と第二活物質層との間に設けられ、且つ、集電体の第一表面の第一部分を覆い、絶縁層は、集電体の第一表面の、第一部分と異なる第二部分を覆い、電極片の長手方向において、第一活物質層は第一端及び第二端を含み、絶縁層は第三端及び第四端を含み、第一端と第三端とが相互に積み重ねることで、重複部分を形成する。当該電極片の集電体は、電気抵抗率の高い層に覆われ、電気化学装置及び電子装置の安全性能を向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一表面を含む集電体と、
第一活物質を含む第一活物質層と、
第二活物質を含む第二活物質層と、
絶縁層と、を含む電極片であって、
前記第一活物質層は、前記集電体と前記第二活物質層との間に設けられ、且つ、前記集電体の第一表面の第一部分を覆い、
前記絶縁層は、前記集電体の第一表面の、前記第一部分と異なる第二部分を覆い、
前記電極片の長手方向において、前記第一活物質層は第一端及び第二端を含み、前記絶縁層は第三端及び第四端を含み、前記第一端と前記第三端とが相互に積み重ねることで、重複部分を形成することを特徴とする、電極片。
【請求項2】
前記電極片の長手方向において、前記第一端の前記電極片の長手方向における縁と、前記第三端の前記電極片の長手方向における縁との距離が20mmであり、又は20mm未満である、請求項1に記載の電極片。
【請求項3】
前記電極片の厚み方向において、前記第一端は、前記第三端と前記集電体との間に設けられる、請求項1に記載の電極片。
【請求項4】
前記電極片の厚み方向において、前記第三端は、前記第一端と前記集電体との間に設けられる、請求項1に記載の電極片。
【請求項5】
前記電極片の長手方向において、前記第二活物質層は第五端を含む、請求項1-4のいずれか1項に記載の電極片。
【請求項6】
前記第五端の前記電極片の長手方向における縁と、前記第三端の前記電極片の長手方向における縁とが一致する、請求項5に記載の電極片。
【請求項7】
前記第五端の前記電極片の長手方向における縁は、前記第一端の前記電極片の長手方向における縁と、前記第三端の前記電極片の長手方向における縁との間に位置する、請求項5に記載の電極片。
【請求項8】
前記第一端の前記電極片の長手方向における縁は、前記第三端の前記電極片の長手方向における縁と、前記第五端の前記電極片の長手方向における縁との間に位置する、請求項5に記載の電極片。
【請求項9】
前記電極片の長手方向において、前記第一端の前記電極片の長手方向における縁と、前記第五端の前記電極片の長手方向における縁との距離が3mmであり、又は3mm未満である、請求項8に記載の電極片。
【請求項10】
前記電極片は、さらに第三活物質層及び第四活物質層を含み、前記集電体はさらに第二表面を含み、前記第三活物質層は前記集電体と前記第四活物質層との間に設けられ、且つ前記集電体の第二表面を覆う、請求項1に記載の電極片。
【請求項11】
前記電極片の長手方向において、前記第三活物質層は第六端を含み、
前記第六端の前記電極片の長手方向における縁は、前記第一端の前記電極片の長手方向における縁と、前記第四端の前記電極片の長手方向における縁との間に位置する、請求項10に記載の電極片。
【請求項12】
前記電極片の長手方向において、前記第四活物質層は第七端を含み、前記第七端は前記電極片の長手方向において前記第六端を超える、請求項11に記載の電極片。
【請求項13】
前記絶縁層の前記重複部分における密度は、前記絶縁層の前記重複部分以外の部分における密度の60%~90%である、請求項1に記載の電極片。
【請求項14】
前記第一活物質及び前記第二活物質はそれぞれ独立して、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸鉄ナトリウム、リン酸バナジウムリチウム、リン酸バナジウムナトリウム、リチウムバナジルホスフェート、ナトリウムバナジルホスフェート、バナジン酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、リチウム過剰マンガン基材料、ニッケルコバルトアルミン酸リチウム、チタン酸リチウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の電極片。
【請求項15】
前記第一活物質及び前記第二活物質はそれぞれ独立して、人造黒鉛、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、ソフトカーボン、ハードカーボン、ケイ素、ケイ素酸素化合物、ケイ素炭素複合物、スズ、スズ合金、チタン酸ニオブ、チタン酸リチウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の電極片。
【請求項16】
前記第一活物質層及び前記第二活物質層の両方はさらに、バインダー及び導電剤を含み、
前記バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、スチレンブタジエンゴム、及びこれらの組み合わせからなる群より選択され、且つ、
前記導電剤は、カーボンナノチューブ、導電カーボンブラック、アセチレンブラック、グラフェン、ケッチェンブラック、カーボンファイバー、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の電極片。
【請求項17】
前記絶縁層は、無機粒子及び/又は重合体を含み、
前記無機粒子は、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化チタン、二酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化セリウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選択され、
前記重合体は、フッ化ビニリデンの単独重合体、フッ化ビニリデンの共重合体、ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポリスチレン、ポリフェニルアセチレン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の電極片。
【請求項18】
正極片と、セパレータと、負極片とを含み、前記正極片及び/又は前記負極片は請求項1-17のいずれか1項に記載の電極片である、電気化学装置。
【請求項19】
請求項18に記載の電気化学装置を含む、電子装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵分野に関し、特に、電極片、電気化学装置、及び当該電気化学装置を含む電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学装置(例えば、リチウムイオン電池)は、科学技術の進歩と環境保護に対する要求の向上に伴って、我々の日常生活に既に滲んできた。リチウムイオン電池の大量普及に伴い、ユーザー側では、たまにリチウムイオン電池を外力で突き破ることによるもたらす安全性の問題が発生し、その安全性能はますます注目される。特に携帯電話の爆発事故の発生により、ユーザー、アフターサービス側、及びリチウムイオン電池メーカーは、いずれもリチウムイオン電池の安全性能の更な向上が求められる。
【0003】
現在、リチウムイオン電池の安全性能を改善する方法は、例えば、正極活物質層におけるバインダーの含有量を向上すること、及び、セパレータ表面のセラミックコートを厚くすることなどがあるが、それらの方法は、いずれもリチウムイオン電池のエネルギー密度を代償とするものである。従って、高いエネルギー密度の条件下で、リチウムイオン電池の安全性能を著しく向上させる技術手段の提供が急務である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、電極片、電気化学装置及び当該電気化学装置を含む電子装置を提供することで、少なくともある程度で、関連分野に存在した少なくとも一つの問題を解決することを意図する。
【0005】
本発明の一態様によれば、本発明のいくつかの実施例では、集電体と、第一活物質層と、第二活物質層と、絶縁層とを含む電極片が提供される。集電体は第一表面を含み、第一活物質層は第一活物質を含み、第二活物質層は第二活物質を含む。第一活物質層は、集電体と第二活物質層との間に設けられ、且つ、集電体の第一表面の第一部分を覆い、絶縁層は、集電体の第一表面の、第一部分と異なる第二部分を覆い、電極片の長手方向において、第一活物質層は第一端及び第二端を含み、絶縁層は第三端及び第四端を含み、第一端と第三端とが相互に積み重ねることで、重複部分を形成する。
【0006】
本発明の一態様によれば、本発明のいくつかの実施例では,正極片と、セパレータと、負極片とを含む電気化学装置であって、正極片及び/又は負極片は上記の電極片である電気化学装置が提供される。
【0007】
本発明の他の一つの態様によれば、本発明のいくつかの実施例では、上記の電気化学装置を含む電子装置が提供される。
【0008】
本発明の電気化学装置は、二重活物質層構造の電極片を採用し、活物質層に覆われていない集電体の空き部分に絶縁層が設けられ、そして、絶縁層を第一活物質層と重ね合わせて集電体が完全に覆われるようにすることで、電気化学装置が外力による衝撃を受けた場合、又は電気化学装置が突き破られた場合、電極片の間の短絡を防止し、電気化学装置及び電子装置の安全性能を向上させる。
【0009】
本発明の実施例の他の態様及びその他の利点は、後続の説明において部分的に説明され、示されるか、又は本発明の実施例の実施を通じて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下では、本発明の実施例を説明するために、本発明の実施例又は先行技術を説明するための必要な図面を概略に説明する。以下に説明される図面は、本発明の実施例の一部にすぎないことは自明である。当業者にとって、創造的労力をかけない前提で、依然としてこれらの図面に例示される構造により他の実施例の図面を得ることができる。
図1図1は、本発明実施例における絶縁層が第一活物質層を覆う電極片の構造模式図である。
図2図2は、本発明実施例における絶縁層が第一活物質層を覆う電極片の構造模式図である(第二活物質層及び集電体は長手方向における縁が一致する)。
図3図3は、本発明実施例における絶縁層が第一活物質層を覆う電極片の構造模式図である(第二活物質層は重複部分を部分的に覆う)。
図4図4は、本発明実施例における第一活物質層が絶縁層を覆う電極片の構造模式図である。
図5図5は、本発明実施例における第一活物質層が絶縁層を覆う電極片の構造模式図である(第二活物質層及び集電体は長手方向における縁が一致する)。
図6図6は、本発明実施例における第一活物質層が絶縁層を覆う電極片の構造模式図である(第二活物質層は重複部分を部分的に覆う)。
図7図7は、本発明実施例の電極片の構造模式図(集電体の第二表面上の活物質層構造)である。
図8図8は、実施例1の正極片の構造模式図である。
図9図9は、実施例7の正極片の構造模式図である。
図10図10は、実施例8の正極片の構造模式図である。
図11図11は、実施例9の正極片の構造模式図である。
図12図12は、実施例11の正極片の構造模式図である。
図13図13は、実施例12の正極片の構造模式図である。
図14図14は、実施例13の正極片の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例は以下で詳しく説明される。本発明の明細書では、同じ又は類似のアセンプリ及び同じ又は類似の機能を備えたアセンプリに対して類似の符号に付与される。本発明に記載された、図面と関連する実施例は、例示的で図式的であり、かつ本発明を概に理解するために使用される。本発明の実施例は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0012】
本明細書において、別に断らない限り、「中央の」、「縦の」、「側面の」、「前方の」、「後方の」、「右方の」、「左方の」、「内部の」、「外部の」、「低い方の」、「高い方の」、「水平の」、「垂直の」、「より高い」、「より低い」、「上方の」、「下方の」、「頂部の」、「底部の」、及びこれらより派生された単語(例えば「水平に」、「下を向いて」、「上を向いて」など)という相対位置を表す単語は、検討中に記載された方向又は図面に描かれた方向を引用するように解釈すべきである。これらの相対位置を表す単語は、説明上の便利を図るだけのものであり、本発明を特定の方向で構造又は操作することを要求するものではない。
【0013】
なお、本明細書において、範囲の形式で量、比率及びその他の数値を表すことがある。理解すべきことは、このような範囲形式は、便利及び簡潔のためのものであり、かつ、このような範囲は、範囲に制限された数値として明確に指定される数値を含むだけでなく、前記範囲内に含まれた全ての各値及びサブ範囲も含み、各値及びサブ範囲が明確に指定されると相当する、ことを理解すべきである。
【0014】
さらに、便利に説明するために、「第一」、「第二」、「第三」などは、本明細書にて、一つの図又は一連の図の異なるアセンプリを区別するために用いられる。特に指定又は限定されない限り、「第一」、「第二」、「第三」などには、対応するアセンプリを説明する意図がない。
【0015】
電気化学装置(例えば、リチウムイオン電池)は外力による衝撃を受けた場合、又は電気化学装置は突き破られた場合、通常、正極活物質層-負極活物質層,正極活物質層-負極集電体,正極集電体-負極集電体,正極集電体-負極活物質層という4種類の短絡モードが生じる。これらの4種類の短絡モードにおいて、正極集電体-負極活物質層、及び負極集電体-正極活物質層という短絡モードは、発生した時に短絡電力が大きいため、4種類の短絡モードの中の最も危険なものである。
【0016】
本発明の実施例は、二重活物質層構造を採用した電極片を提供する。当該電極片は、集電体における活物質層に覆われている部分に、第一活物質層及び第一活物質層を覆う第二活物質層が設けられ、且つ第一活物質層が覆われていない集電体の空き部分に一層の絶縁層が設けられる。当該電極片では、第一活物質層と絶縁層との結合方式を調整することで、重複部分を形成する。これにより、当該電極片が外力を受けて破れた場合、集電体の表面の抵抗を効果的に増加させ、電気化学装置の対応する測定(釘刺し又は重量物衝撃)における安全性能を向上させることができる
【0017】
電気化学装置は、正極片、負極片、セパレータ、及び電解液などを含む。正極片及び負極片の両方がいずれも集電体及び活物質層などを含む。ここで、集電体には、活物質層に覆われている部分に加えて、活物質層に覆われていない部分(集電体の空き部分とも称される)が含まれる。例を挙げると、電気化学装置の電極アセンプリが巻回型である場合、その集電体の空き部分は電極アセンプリの外層部分及び電極アセンプリの内層タブ溶接部分を含む。
【0018】
活物質層に覆われている部分において、二重活物質層構造を採用し、集電体に近い位置に第一活物質層が設けられ、そして、集電体の表面から離れた位置に第二活物質層が設けられることができる。第二活物質層は、第一活物質層より高いエネルギー密度を有することができ、衝撃された場合又は突き破られた場合、第一活物質層は、集電体と他の接触物の間の接触抵抗を増加させ、集電体に対する保護を達成することができる。しかし、釘刺し試験の過程中に、集電体上の集電体の空き部分が釘と直接に接触するため、短絡の発生をもたらす可能性がある。例を挙げると、正極集電体は、釘により負極活物質層に電気的に接続され、これによって、正極集電体-負極活物質層、又は正極集電体-釘-負極活物質層という短絡モードを形成する。従って、集電体の空いた領域に一層の絶縁層が設けられることで、電極片における集電体を効果的に保護することができ、さらに正極集電体-負極活物質層、又は負極集電体-正極活物質層という短絡モードの発生を回避することができる。ここで、集電体における集電体の空き部分に対する絶縁層の被覆率が高いほど、短絡を回避する作用が明らかである。本発明の電極片における重複部分は、上記絶縁層と第一活物質層とが相互に積み重ねり、覆うことで、両者が接する位置での集電体の露出を回避し、集電体に対する絶縁層の被覆率を確保し、且つ、電極片の安全性能を向上させることができる。
【0019】
図1-3は、本発明のいくつかの実施例の電極片の構造模式図であり、ここで、電極片の重複部分では、絶縁層が第一活物質層を覆う。電極片は正極片であってもよく、負極片であってもよい。図1-3に示すように、電極片は、集電体101、第一活物質層102、第二活物質層103及び絶縁層104を含む。第一活物質層102は、集電体101と第二活物質層103との間に設けられ、且つ、集電体101の一方の表面における第一部分を覆い、絶縁層104は、集電体101の第一表面における、第一部分と異なる第二部分を覆う。電極片の長手方向において、第一活物質層102は第一端102a及び第二端102bを含み、絶縁層104は第三端104b及び第四端104aを含み、第一端102aと第三端104bとが相互に積み重ねることで、重複部分105を形成する。絶縁層104及び第一活物質層102が電極片の長手方向に隙間を存在しないため、集電体101が外力による衝撃を受けた場合又は突き破られた場合でも露出しにくい
【0020】
いくつかの実施例において、第一活物質層102の第一端102aの電極片の長手方向における縁と、絶縁層104の第三端104bの電極片の長手方向における縁との、電極片の長手方向における距離は、20mmであり、又は20mm未満である。即、第一活物質層102と絶縁層104との電極片の長手方向における重複部分105の長さは20mmであり、又は20mm未満である。いくつかの実施例において、第一活物質層102と絶縁層104との電極片の長手方向における重複部分105の長さは5.0mm~20mmである。さらにいくつかの実施例において、第一活物質層102と絶縁層104との電極片の長手方向における重複部分105の長さは、おおむね、例えば、0.5mm、1.0mm、2.5mm、5.0mm、10.0mm、15.0mm、20.0mm、又はこれらの数値のうちの任意の二つからなる範囲である。
【0021】
いくつかの実施例において、図1-3に示すように、電極片の厚み方向において、第一端102aは、第三端104bと集電体101との間に設けられる。絶縁層104の第三端104bが、重複部分105において、第一活物質層102の第一端102a上を覆うようになることに必要とされる工程公差が低いため、製造に必要な時間とコストを削減できる。
【0022】
いくつかの実施例において、電極片の長手方向において、第二活物質層は、第五端103aを含み、第五端103aは重複部分105に近い。図1に示すように、第二活物質層103は、電極片の長手方向において、重複部分105から延び、絶縁層104の一部を覆うことができる。これにより、第一活物質層102の第一端102aの電極片の長手方向における縁は、第三端104bの電極片の長手方向における縁と第五端103aの電極片の長手方向における縁との間に位置するようにする。
【0023】
いくつかの実施例において、電極片の長手方向において、第一活物質層102の第一端102aの電極片の長手方向における縁と、第二活物質層103の第五端103aの電極片の長手方向における縁との距離は、3mmであり、又は3mm未満である。いくつかの実施例において、第二活物質層103は、電極片の長手方向において、絶縁層104を覆う延伸部分の長さが3mmであり、又は3mm未満である。
【0024】
いくつかの実施例において、図2に示すように、第二活物質層103の第五端103aの電極片の長手方向における縁と、絶縁層104の第三端104bの電極片の長手方向における縁とが一致する。
【0025】
いくつかの実施例において、図3に示すように、第二活物質層103の第五端103aの電極片の長手方向における縁は、第一活物質層102の第一端102aの電極片の長手方向における縁と絶縁層104の第三端104bの電極片の長手方向における縁との間に位置する。
【0026】
いくつかの実施例において、第二活物質層103が第一活物質層102の重複部分105以外の全部を覆う。リチウムイオン電池を例とすると、第一活物質層102の重複部分105以外の部分の露出は、以下の状況を引き起こす。露出部分におけるリチウムイオンが脱離した後、対応する他の極性の電極片においてリチウムイオンを挿入する活物質がないため、脱出したリチウムイオンは、対応する他の極性の集電体(例えば、負極集電体)上にリチウム金属粒子を形成し、そしてリチウムイオン電池のサイクル回数の増加に連れてリチウム金属粒子の形成が継続的に進行していき、それによって、負極片の表面にリチウム金属粒子からなる点が現れ、リチウムイオン電池(電気化学装置)の容量が低下する。
【0027】
いくつかの実施例において、電極片の長手方向において、第二活物質層103の長さは、第一活物質層102の重複部分105以外の部分の長さより大きい。いくつかの実施例において、第二活物質層103の長さから第一活物質層102の重複部分105以外の部分の長さを引いた値は4mmであり、又は4mm未満である。
【0028】
図4-6は、本発明のいくつかの実施例の電極片の構造模式図であり、ここで、電極片の重複部分では、第一活物質層が絶縁層を覆う。図4-6に示すように、電極片の厚み方向において、第三端104bは、第一端102aと集電体101との間に設けられる。図4に示すように、第二活物質層103は、電極片の長手方向において、重複部分105から延び、絶縁層104の一部を覆うことができ、第一活物質層102の第一端102aの電極片の長手方向における縁は、第三端104bの電極片の長手方向における縁と、第五端103aの電極片の長手方向における縁との間に位置するようにする。絶縁層104の絶縁效果が第一活物質層102の效果より良好であるため、釘刺し又は重量物衝撃を受けた場合、図4に示す電極片は、その重複部分105中の第一活物質層102に覆われている絶縁層104が、集電体101をより良好に絶縁・隔離することができるため、高い安全性能を有する。同時に、第二活物質層103の第五端103aは、第一活物質層102の第一端102aの端部を覆っているため、釘刺し又は衝撃のような破壊力の大きい外力では、第一端102aが脱落しにくいことによって、集電体101が露出することなく、電極アセンプリがより安全になる。
【0029】
いくつかの実施例において、図5に示すように、第二活物質層103の第五端103aの電極片の長手方向における縁と、絶縁層104の第三端104bの電極片の長手方向における縁とが一致する。
【0030】
いくつかの実施例において、図6に示すように、第二活物質層103の第五端103aの電極片の長手方向における縁は、第一活物質層102の第一端102aの電極片の長手方向における縁と、絶縁層104の第三端104bの電極片の長手方向における縁との間に位置する。
【0031】
図7は、本発明の他のいくつかの実施例の電極片の構造模式図であり、電極片はさらに第三活物質層106及び第四活物質層107を含み、集電体101はさらに第二表面を含む。第三活物質層106は、集電体101と第四活物質層107との間に設けられ、且つ、集電体の第二表面を覆う。いくつかの実施例において、第三活物質層106は第一活物質層102と組成で同じであり、第四活物質層107は第二活物質層103と組成で同じであり、且つ、第三活物質層106における活物質の含有量は第四活物質層107における活物質の含有量より小さい。
【0032】
図7に示すように、いくつかの実施例において、電極片の長手方向において、第三活物質層106は第六端106aを含み、第六端106aは重複部分105に近く、且つ、第六端106aの電極片の長手方向における縁は、第一端102aの電極片の長手方向における縁と、第四端104aの電極片の長手方向における縁との間に位置する。
【0033】
いくつかの実施例において、電極片の長手方向において、第四活物質層107は第七端107aを含み、第七端107aは重複部分105に近く、且つ、第七端107aは、電極片の長手方向において、第六端106aを超える。
【0034】
理解すべきことは、本発明の技術的思想に相反しない場合、実際の必要に応じて、制限されることなく、電極片のいずれかの端に、活物質層と重複部分を形成した絶縁層が設けられることができ、例えば、正極集電体の二つの表面の両方の端(正極片の長手方向)における、正極活物質層と連結する集電体の空き部分に、絶縁層が設けられることができ、又は正極集電体の片面上に絶縁層が設けられることができる。
【0035】
いくつかの実施例において、第一活物質が、体積基準の粒度分布において、小粒子径側から、累積体積が50%になる粒子径(Dv50、平均粒子径)は0.2μm~15μmの範囲であり、且つ、第一活物質が、体積基準の粒度分布において、小粒子径側から、累積体積が90%になる粒子径(Dv90)は40μm又は40μm未満の範囲である。第一活物質が小さいDv90を有すると、集電体101に対する高い被覆率及び粘着効果が達成できる。いくつかの実施例において、第二活物質の平均粒子径(Dv50):第一活物質平均粒子径(Dv50)が1:1~40:1である。第一活物質の粒子が小いほど、第一活物質層の厚みを薄くすることができる。活物質粒度は、Malvern粒度測定装置によって測定されることができる。即ち、活物質を分散剤(エタノール又はアセトン、又はその他の界面活性剤)に分散させ、超音波で30minを実施した後、サンプルをMalvern粒度測定装置に入れ、測定を行う。
【0036】
いくつかの実施例において、第一活物質層102の厚みは、0.1μm~20μmである。さらにいくつかの実施例において、第一活物質層102の厚みは、0.5μm~15μmである。さらにいくつかの実施例において、第一活物質層102の厚みは、2μm~8μmである。特に、第一活物質層の厚みが第一活物質の粒度Dv90の以上であるのは、第一活物質層の被覆率を保証するためである。
【0037】
いくつかの実施例において、絶縁層104の厚みは、第一活物質層102の厚みと第二活物質層103の厚みとの合計であり、又は当該合計未満である。いくつかの実施例において、一定の絶縁効果を達成するために、絶縁層104の厚みは0.1μm超である。他のいくつかの実施例において、絶縁層104の厚みは1μm~30μmである。さらに、他のいくつかの実施例において、絶縁層104の厚みは5μm~15μmである。
【0038】
いくつかの実施例において、絶縁層104の重複部分105における密度は、絶縁層104の重複部分以外の部分における密度の60%~90%である。いくつかの実施例において、第一活物質層の重複部分における長さは、第一活物質層の非重複部分における長さより短く、第一活物質層の重複部分における密度は、第一活物質層の非重複部分における密度と近い。
【0039】
本発明のいくつかの実施例によれば、絶縁層は無機粒子及び/又は重合体を含み、絶縁層に適宜な分散剤を入れてもよく、分散剤は、エタノール若しくはアセトン、又はその他の界面活性剤を含むが、これらに限定されない。無機粒子は、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化チタン、二酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化セリウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。重合体は、フッ化ビニリデンの単独重合体、フッ化ビニリデンの共重合体、ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポリスチレン、ポリフェニルアセチレン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0040】
いくつかの実施例において、電極片は正極片であり、ここで、第一活物質及び第二活物質はそれぞれ独立して、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸鉄ナトリウム、リン酸バナジウムリチウム、リン酸バナジウムナトリウム、リチウムバナジルホスフェート、ナトリウムバナジルホスフェート、バナジン酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、リチウム過剰マンガン基材料、ニッケルコバルトアルミン酸リチウム、チタン酸リチウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0041】
いくつかの実施例において、電極片は負極片であり、ここで、第一活物質及び第二活物質はそれぞれ独立して、人造黒鉛、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、ソフトカーボン、ハードカーボン、ケイ素、ケイ素酸素化合物、ケイ素炭素複合物、スズ、スズ合金、チタン酸ニオブ、チタン酸リチウム及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0042】
いくつかの実施例において、第一活物質層102及び第二活物質層103はバインダーを更に含み、バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、及びスチレンブタジエンゴムのうちの一種又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。一方では、バインダーは、活物質層及び集電体を良好に粘着させ、他方では、バインダーの含有量が増加し、第一活物質層102の圧縮密度がより低くなる。第一活物質層102のバインダーの含有量は、第一活物質層102の総重量で、1.5%~6%であり、第二活物質層103のバインダーの含有量は、第二活物質層103の総重量で、0.5%~4%である。
【0043】
いくつかの実施例において、第一活物質層12及び第二活物質層13には、さらに一定量の導電剤が含まれてもよい。導電剤は、カーボンナノチューブ、導電カーボンブラック、アセチレンブラック、グラフェン、ケッチェンブラック、及びカーボンファイバーのうちの一種又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。第一活物質層の導電剤の含有量は、第一活物質層の総重量で、0.5%~5%であり、第二活物質層の導電剤の含有量は、第二活物質層の総重量で、0.5%~5%である。
【0044】
また、第一活物質層102又は第二活物質層103に対して、その他の処理を行ってもよく、又は、集電体101に対して処理を行ってもよく、例えば、粗さ処理、熱処理などを行ってもよく、その作用原理又は作用効果は、集電体に対する粘着を増加することであってもよく、本発明では詳しく説明されていないが、本発明の範囲内に含まれる。
【0045】
いくつかの実施例において、電極片は正極片であり、その正極集電体はアルミニウム箔又はニッケル箔であってもよく、電極片は負極片であり、その負極集電体は銅箔又はニッケル箔であってもよいが、本分野で通常に用いられる他の正極集電体及び負極集電体を採用してもよい。
【0046】
理解すべきことは、本発明の技術的思想に相反しない場合、本発明における電極片の調製方法は、本発明に制限されず、本分野でのいずれの適宜な調製方法を採用してもよい。
【0047】
本発明のいくつかの実施例は、正極片と、セパレータと、負極片とを含む電気化学装置であって、正極片及び負極片のうちの少なくとも一種は上記実施例における電極片である、電気化学装置をさらに提供する。
【0048】
いくつかの実施例において、セパレータは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、及びアラミドから選択される少なくとも一種を含むが、これらに限定されない。例を挙げると、ポリエチレンは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び超高分子量ポリエチレンから選択される少なくとも一種の成分を含む。なかでも、ポリエチレン及びポリプロピレンは、短絡の防止に対して優れた効果があり、且つカットオフ効果により電池の安定性を改善することができる。
【0049】
セパレータの表面には多孔層がさらに含まれてもよく、多孔層は、セパレータの少なくとも一つの表面上に設けられる。多孔層は、無機粒子及びバインダーを含み、無機粒子は、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化チタン(TiO)、二酸化ハフニウム(HfO)、酸化スズ(SnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、炭化ケイ素(SiC)、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び硫酸バリウムから選択される一種又はそれらの多種の組み合わせである。バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン及びポリヘキサフルオロプロピレンから選択される一種又はそれらの多種の組み合わせである。
【0050】
多孔層は、セパレータの耐熱性能、抗酸化性能、及び電解液浸潤性能を向上させ、セパレータと正極片又は負極片との間の接着性を増強させることができる。
【0051】
本発明の電気化学装置は、さらに電解質を含み、電解質は、ゲル電解質、固体電解質及び電解液のうちの一種又は多種であってもよく、電解液はリチウム塩及び非水溶媒を含む。
【0052】
本発明のいくつかの実施例において、リチウム塩は、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiB(C、LiCHSO、LiCFSO、LiN(SOCF、LiC(SOCF、LiSiF、LiBOB、及びジフルオロホウ酸リチウムから選択される一種又は多種である。例を挙げると、高いイオン電気伝導率を与え、サイクル特性を改善することができるため、リチウム塩はLiPFが用いられる。
【0053】
非水溶媒は、炭酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物、エーテル化合物、その他の有機溶媒、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0054】
上記炭酸エステル化合物は、鎖状炭酸エステル化合物、環状炭酸エステル化合物、フルオロ炭酸エステル化合物又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0055】
上記鎖状炭酸エステル化合物の実例は、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、及びこれらの組み合わせである。環状炭酸エステル化合物の実例は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、プロピオン酸プロピル(PP)、及びそれらの組み合わせである。フルオロ炭酸エステル化合物の実例は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、1,2-ジフルオロエチレンカーボネート、1,1-ジフルオロエチレンカーボネート、1,1,2-トリフルオロエチレンカーボネート、1,1,2,2-テトラフルオロエチレンカーボネート、1-フルオロ-2-メチルエチレンカーボネート、1-フルオロ-1-メチルエチレンカーボネート、1,2-ジフルオロ-1-メチルエチレンカーボネート、1,1,2-トリフルオロ-2-メチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート及びこれらの組み合わせである。
【0056】
上記カルボン酸エステル化合物の実例は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、γ-ブチロラクトン、デカラクトン、バレロラクトン、メバロノラクトン、カプロラクトン、ギ酸メチル、及びこれらの組み合わせである。
【0057】
上記エーテル化合物の実例は、ジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン及びこれらの組み合わせである。
【0058】
上記その他の有機溶媒の実例は、ジメチルスルホキシド、1,2-ジオキソラン、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチル-2-ピロリドン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル、及びリン酸エステル、並びにこれらの組み合わせである。
【0059】
理解すべきことは、本発明の技術的思想に相反しない場合、本発明における電気化学装置の調製方法は、本発明に制限されず、本分野でのいずれの適宜な調製方法を採用してもよい。いくつかの実施例において、採用された電気化学装置の調製方法は、上記正極片、セパレータ、負極片をこの順で巻取り、又は積み重ねて、電極アセンプリを調製して、その後、例えばアルミニウムプラスチックフィルムに入れ、電解液を注液し、フォーメーション、パッケージングすることで、リチウムイオン電池が得られる、ことである。
【0060】
上記一部の例示的な実施例では、リチウムイオン電池を例として説明したが、当業者が本発明を読んだ後に理解すべきことは、本発明の技術的思想に相反しない場合、本発明の電気化学装置の具体的な実例はすべての種類の一次電池又は二次電池を含むことができる。特に、その電気化学装置は、リチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウム重合体二次電池又はリチウムイオン重合体二次電池を含むリチウム二次電池である。
【0061】
本発明のいくつかの実施例において、本発明の実施例における電気化学装置を含む電子装置がさらに提供される。
【0062】
本発明の実施例の電子装置は特に限定されなく、先行技術で既知の任意の電子装置に用いられてもよい。いくつかの実施例において、電子装置は、電子タバコ、電子蒸気装置、ワイヤレスヘッドセット、ロボット掃除機、無人航空機、ノートコンピューター、ペン入力型コンピューター、モバイルコンピューター、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯型ファクシミリ、携帯型コピー機、携帯型プリンター、ステレオヘッドセット、ビデオレコーダー、液晶テレビ、ポータブルクリーナー、携帯型CDプレーヤー、ミニディスク、トランシーバー、電子ノートブック、電卓、メモリーカード、ポータブルテープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、オートバイ、補助自転車、自転車、照明器具、おもちゃ、ゲーム機、時計、電動ツール、閃光灯、カメラ、大型家庭用ストレージバッテリー、及びリチウムイオンコンデンサーなどを含むが、これらに限定されない。
【0063】
具体的な実施例
以下、本発明をより良好に説明するために、いくつかの具体的な実施例及び比較例を挙げ、そして、実施例及び比較例の各々に対して、電池容量測定、電池釘刺し試験、及び重量物衝撃測定を行った。当業者は、本発明に記載された調製方法が単なる例示的な実施例であり、他のいずれの好適な調製方法は、いずれも、本発明の範囲内にあることを理解すべきである。
【0064】
一、測定方法
1.1 電池容量測定:
フォーメーション後のリチウムイオン電池(電気化学装置)を25±3℃の雰囲気で30分静置し、0.5Cの電流で電圧が4.4V(定格電圧)になるまで定電流で充電し、そして、電流が0.05Cになるまで定電圧で充電し、充電を停止して測定するリチウムイオン電池を30分放置した。その後、さらに0.2Cの電流でリチウムイオン電池を3.0Vまで放電し、そして測定するリチウムイオン電池を30分放置した。最後に、放電容量をリチウムイオン電池の実際の電池容量として記録した。
リチウムイオン電池体積エネルギー密度=実際の電池容量/(リチウムイオン電池の長さ×幅×厚み)。
【0065】
1.2 電池釘刺し試験:
フォーメーション後のリチウムイオン電池10個を、常温(25±3℃)下、0.5Cの電流にて電圧が4.4Vになるまで定電流で充電し、さらに4.4Vの定電圧で電流が0.05Cになるまで充電し、4.4Vの満充電状態にした。その後、常温条件下で、リチウムイオン電池に対して釘刺し実験を行い、直径2.5mmの釘(鋼釘、材質は炭素鋼、テーパーは16.5mm、鋼釘の全長は100mm)を用いて、30mm/sの釘刺し速度で釘刺し、釘刺し深さは鋼釘のテーパーがリチウムイオン電池を貫くことを基準にし、リチウムイオン電池が発煙、着火、又は爆発するかどうかを観察した。なければ、リチウムイオン電池が釘刺し試験に合格したと認定する。
【0066】
1.3 重量物衝撃測定
フォーメーション後のリチウムイオン電池10個を、常温(25±3℃)下、0.5Cの電流にて電圧が4.4Vになるまで定電流で充電し、さらに4.4Vの定電圧で電流が0.05Cになるまで充電し、4.4Vの満充電状態にした。その後、常温条件下で、リチウムイオン電池に対して重量物衝撃実験を行い、直径15.8mmの衝撃子(棒材、総重量は9.1kg)を採用し、リチウムイオン電池から垂直方向の高さ61cmの位置で衝撃子を落とし、リチウムイオン電池にぶつけさせ、リチウムイオン電池が発煙、着火、又は爆発するかどうかを観察した。なければ、リチウムイオン電池が重量物衝撃測定に合格したと認定する。
【0067】
実施例1
アルミニウム箔を正極集電体として採用し、アルミニウム箔の一方の表面に第一正極活物質(ここで、リン酸鉄リチウムの粒度はDv50:3μm,Dv90:10μmである)を含む第一正極活物質層スラリーを一層で均一に塗布した。第一正極活物質層スラリーは、その組成が95.8wt%のリン酸鉄リチウム、2.8wt%のポリフッ化ビニリデン、及び1.4wt%の導電カーボンブラックであり、85℃で乾燥させ、第一正極活物質層を形成した。そして、正極片の長手方向における一端の第一正極活物質層と連結する集電体の空き部分、及び第一正極活物質層上の部分に、一層の絶縁層スラリーを塗工し、絶縁層スラリーの組成は、98wt%のアルミナ及び2wt%のポリフッ化ビニリデンであり、85℃で乾燥させ、厚み10μmの絶縁層を形成した。ここで、当該絶縁層が第一正極活物質層を覆うことで形成された重複部分が正極片の長手方向における長さは2mmであった。そして、乾燥された第一正極活物質層上に一層の第二正極活物質層スラリーを続けて塗布した。第二正極活物質層スラリーは、その組成が、97.8wt%のコバルト酸リチウム(ここで、コバルト酸リチウムの粒度は、Dv50:13μm、Dv90:38μm)、0.8wt%のポリフッ化ビニリデン、及び1.4wt%の導電カーボンブラックであり、85℃で乾燥させ、第二正極活物質層を形成した。ここで、正極片の長手方向において、第二正極活物質層の第五端の縁は、絶縁層の非重複部分の上に位置し(即ち、縁が延びて第一正極活物質層の第一端の縁を超える)、第二正極活物質層は延びて、重複部分を超える長さは1mmであった。正極集電体の他の一つの表面に、図8のようにして、第三正極活物質層及び第四正極活物質層を調製し、第三正極活物質層の組成は第一活物質層の組成と同じであり、第二正極活物質層の組成は第四正極活物質の組成と同じであり、そして、正極片に冷間圧延を行い、ここで、冷間圧延の圧力は60Tであり、冷間圧延の速度は40m/minであり、カット、スリットをした後に、85℃の真空条件下で4時間乾燥させ、正極片を調製した。ここで、第一正極活物質層及び第三活物質層の厚みは8μmであり、絶縁層の厚みは10μmであり、且つ、第二正極活物質層及び第四活物質層の厚みは50μmであった。図8は実施例1の正極片の構造模式図であり、実施例1の正極片における正極集電体201、第一正極活物質層202、第二正極活物質層203、及び絶縁層204の設置形態は図8を参照する。
【0068】
銅箔を負極集電体として採用し、銅箔の表面に一層の黒鉛スラリーを均一に塗布した。スラリーの組成は、97.7wt%の人造黒鉛、1.3wt%のカルボキシメチルセルロースナトリウム、及び1.0wt%のスチレンブタジエンゴムの組み合わせである。85℃で乾燥させ、そして、冷間圧延、カット、スリットを行い、負極片を調製した。
【0069】
リチウム塩であるLiPFと非水有機溶媒(エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:プロピレンカーボネート:プロピオン酸プロピル:ビニレンカーボネート=20:30:20:28:2、質量比)を8:92の質量比で調製してなる溶液をリチウムイオン電池の電解液とした。
【0070】
正極片及び負極片を巻取り、正極片及び負極片はポリエチレンセパレータで分離されることで、巻回型電極アセンプリが得られ、そしてケースに入れ、電解液を注液した。真空パッケージ、静置、フォーメーション、成形などの工程を経て、完成したリチウムイオン電池が得られた。
【0071】
実施例2-6
実施例2-6では、第一正極活物質層と絶縁層との重複部分が正極片の長手方向における長さは異なる以外、実施例1の調製方法と同様にした。具体的には、表1を参照する。
【0072】
実施例7
実施例7では、正極片の長手方向において、第二正極活物質層の第五端の縁が重複部分に位置し(即、第一正極活物質層の第一端の縁と絶縁層の第三端の縁との間に位置する)、且つ、重複部分を覆う第二正極活物質層の長さは1mmであること以外、実施例1の調製方法と同様にした。図9は実施例7の正極片の構造模式図であり、実施例7の正極片における正極集電体301、第一正極活物質層302、第二正極活物質層303、及び絶縁層304の設置形態は図9を参照する。
【0073】
実施例8
実施例8では、正極片の長手方向において、第二正極活物質層の第五端の縁と絶縁層の第三端の縁とが一致し(即ち、第二正極活物質層と重複部分とは、相互に重なり合つて連結する)、且つ第二正極活物質層と重複部分との間の距離は0mmであること以外、実施例1の調製方法と同様にした。図10は実施例8の正極片の構造模式図であり、実施例8の正極片における正極集電体401、第一正極活物質層402、第二正極活物質層403、及び絶縁層404の設置形態は図10を参照する。
【0074】
実施例9
実施例9と実施例1との違いが以下の通りです。実施例9では、まず、アルミニウム箔の表面に一層の絶縁層スラリーを均一に塗布し、そして、正極片の長手方向における一端の絶縁層と連結する集電体の空き部分、及び絶縁層上の部分に一層の第一正極活物質層スラリーを塗工した。ここで、第一正極活物質層が絶縁層を覆うことで形成された重複部分が正極片の長手方向における長さは2mmであり、且つ、第一正極活物質層厚みは10μmであり、絶縁層の厚みは8μmである。
上記以外、実施例9は、実施例1と同様にした。図11は実施例9の正極片の構造模式図であり、実施例9の正極片における正極集電体501、第一正極活物質層502、第二正極活物質層503、及び絶縁層504の設置形態は図11を参照する。
【0075】
実施例10
実施例10では、正極片の長手方向において、第二正極活物質層が延びて、重複部分を超える長さは3mmであること以外、実施例9の調製方法と同様にした。
【0076】
実施例11
実施例11では、正極片の長手方向において、第二正極活物質層の第五端の縁が重複部分に位置し(即、第一正極活物質層の第一端の縁と絶縁層の第三端の縁との間に位置する)、且つ、重複部分を覆う第二正極活物質層の長さは1mmであること以外、実施例9の調製方法と同様にした。図12は実施例11の正極片の構造模式図であり、実施例11の正極片における正極集電体601、第一正極活物質層602、第二正極活物質層603、及び絶縁層604の設置形態は図12を参照する。
【0077】
実施例12
実施例12では、正極片の長手方向において、第二正極活物質層の第五端の縁と絶縁層の第三端の縁とが一致し(即ち、第二正極活物質層と重複部分とは、相互に重なり合つて連結する)、且つ第二正極活物質層と重複部分との間の距離が0mmであること以外、実施例9の調製方法と同様にした。図13は実施例12の正極片の構造模式図であり、実施例12の正極片における正極集電体701、第一正極活物質層702、第二正極活物質層703、及び絶縁層704の設置形態は図13を参照する。
【0078】
実施例13
実施例13では、正極集電体の両側の表面に実施例1と類似な絶縁層構造が設けられる以外、実施例1の調製方法と同様にした。図14は実施例13の正極片の構造模式図であり、実施例13の正極片における正極集電体801、第一正極活物質層802、第二正極活物質層803、及び絶縁層804の設置形態は図14を参照する。
【0079】
比較例1
比較例1と実施例1との違いが以下の通りです。比較例1では、正極片の長手方向における一端の第一正極活物質層から3mmの位置に絶縁層スラリーを塗布し、ここで、形成した絶縁層の第三端と第一正極活物質層の第一端との間の距離が3mmであり、そして、乾燥させた後の第一正極活物質層、及び第一正極活物質層と絶縁層との間の集電体の空き部分上に一層の第二正極活物質層スラリーを続けて塗布し、乾燥させ、第二正極活物質層を形成した。ここで、正極片の長手方向において、第二正極活物質層の第五端の縁は、第一正極活物質層と絶縁層との間の集電体の空き部分に位置し、且つ、第五端の縁と絶縁層との間の距離が2mmである。
上記以外、比較例1は、実施例1と同様にした。
【0080】
上記実施例及び比較例のリチウムイオン電池製品を完成させた後に、リチウムイオン電池の体積能量密度を確定するために、その製品の容量、厚み、幅、長さを記録した。そして、上記実施例及び比較例のリチウムイオン電池製品に対して、電池容量測定、電池釘刺し試験、重量物衝撃測定を行った。
【0081】
各実施例及び比較例の実験パラメータ及び測定結果を表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
上記表1に示すように、本発明の電極片は、第一活物質層及び絶縁層は、相互に重なり合うように重複部分が設けられることで、釘刺し試験の釘刺し合格率及び重量物衝撃測定の重量物衝撃合格率を効果的に向上させることができ、ひいては、電気化学装置の安全性能を向上させ、且つ、エネルギー密度にほとんど影響しない。
【0084】
比較例1と実施例1との比較から分かるように、絶縁層と第一活物質層との間に隙間がある場合、リチウムイオン電池の重量物衝撃合格率が大幅に低下し、且つ、リチウムイオン電池の釘刺し合格率がやや低下する。例を挙げると、比較例1のリチウムイオン電池には、絶縁層と第一正極活物質層との間に位置し、電気抵抗率の高い層により保護されない正極集電体が存在するため、重量物による衝撃を受けると、当該正極集電体が負極活物質層と接触しやすいことにより、リチウムイオン電池が短絡する。
【0085】
実施例1-6の比較から分かるように、絶縁層と第一活物質層との重複部分の増大につれて、リチウムイオン電池の重量物衝撃合格率も増加する。しかし、重複部分の増大は、リチウムイオン電池のエネルギー密度の減少をもたらす。
【0086】
実施例1、7及び8の比較から分かるように、第二活物質層、第一活物質層及び絶縁層の設置形態は、リチウムイオン電池の重量物衝撃合格率に一定の影響を与える。第二活物質層が延びて重複部分を覆う、及び/又は、重複部分を超えると、リチウムイオン電池が高い重量物衝撃合格率を有する。また、第二活物質層が延びて重複部分又は絶縁層を覆うことは、リチウムイオン電池のエネルギー密度をやや増加させることができる。
【0087】
実施例1と実施例9との比較から分かるように、重複部分において、第一正極活物質層が絶縁層を覆うことは、高い重量物衝撃合格率が得られる。同時に、実施例9-12の比較から分かるように、第二正極活物質層の第五端が第一正極活物質層の第一端の端部を覆うと、第一端102aがより脱落しにくくなり、ひいてはより良好な釘刺し合格率及び重量物衝撃合格率を有することができる。
【0088】
上記実施例の比較により、本発明の電極片は、電気化学装置の安全性能を効果的に向上させ、且つエネルギー密度に対する影響を低減させることができることが明らかに分かる。
【0089】
明細書全体では、「いくつかの実施例」、「一部の実施例」、「一つの実施例」、「他の一つの例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」の引用については、本発明の少なくとも一つの実施例又は例は、当該実施例又は当該例に記載の特定の特徴、構造、材料又は特性を含むことを意味する。従って、明細書全体の様々な場所に記載された、例えば「いくつかの実施例において」、「実施例において」、「一つの実施例において」、「他の一つの例において」、「例において」、「特定の例において」又は「例」は、必ずしも本発明の同じ実施例又は例を引用するわけではない。また、本発明の特定の特徴、構造、材料、又は特性は、一つ又は複数の実施例又は例において、あらゆる好適な形態で組み合わせることができる。
【0090】
例示的な実施例が開示及び説明されているが、当業者は、上記実施例が本発明を限定するものとして解釈されることができなく、且つ、本発明の技術的思想、原理、及び範囲から逸脱しない場合に実施例を改変、置換及び変更することができることを理解すべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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図11
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図13
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【国際調査報告】