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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-11
(54)【発明の名称】乳化食品製剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 35/00 20160101AFI20230404BHJP
   B01J 13/00 20060101ALI20230404BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20230404BHJP
   A23L 27/60 20160101ALI20230404BHJP
   A23L 25/00 20160101ALI20230404BHJP
【FI】
A23L35/00
B01J13/00 C
B01J13/00 E
A23L5/00 K
A23L27/60 Z
A23L25/00
A23L27/60 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551535
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(85)【翻訳文提出日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 EP2021054263
(87)【国際公開番号】W WO2021170517
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】102020000004060
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514008181
【氏名又は名称】バリッラ・ジ・エッレ・フラテッリ・ソチエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】Barilla G.eR. Fratelli S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Mantova, 166 I-43100 Parma, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カッソッタ、ファブリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】デ タタ、ヴィンチェンツォ
(72)【発明者】
【氏名】ダレッサンドロ、アレッサンドロ
【テーマコード(参考)】
4B035
4B036
4B047
4G065
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LE02
4B035LG12
4B035LG20
4B035LG32
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4B047LB03
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4B047LG37
4B047LG38
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4B047LG40
4B047LG43
4B047LP03
4G065AB33X
4G065AB35Y
4G065BA07
4G065BA09
4G065BB04
4G065CA13
4G065CA15
4G065DA01
4G065EA03
4G065EA04
4G065EA06
4G065FA02
(57)【要約】
増粘剤、乳化剤および安定剤からなる食品添加物を含まず、少なくとも1つの微細化された形態の野菜、植物油、水、および少なくとも1つの微細化された形態の油性種子を含む、すぐに使える乳化食品製剤が提供され、ここで、油性種子が、すぐに使える乳化食品製剤の総重量の0.1重量%および15重量%の間に含まれる量で存在し、すぐに使える乳化食品製剤が、10000kPa以上の圧力で実行される均質化によって得られ、すぐに使える乳化食品製剤に含まれる粒子のモード径が300μm以上であること、および、70%w/w超の繊維含有量と乾燥物質1g当たり水5g超の水結合能を有する微細化された形態の植物繊維をさらに含むことを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
増粘剤、乳化剤および安定剤からなる食品添加物を含まず、少なくとも1つの微細化された形態の野菜、植物油、水、および少なくとも1つの微細化された形態の油性種子を含む、すぐに使える乳化食品製剤であって、
前記油性種子は、前記すぐに使える乳化食品製剤の総重量の0.1重量%および15重量%の間に含まれる量で存在し、
前記すぐに使える乳化食品製剤は、10000kPa以上の圧力で実行される均質化によって得られ、前記すぐに使える乳化食品製剤に含まれる粒子のモード径が300μm以上であること、および、70%w/w超の繊維含有量と乾燥物質1g当たり水5g超の水結合能を有する微細化された形態の植物繊維をさらに含むことを特徴とする、
すぐに使える乳化食品製剤。
【請求項2】
前記微細化された形態の植物繊維が、10%未満の湿気量を有する、請求項1記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項3】
前記植物繊維の繊維含有量が75%および80%w/wの間に含まれ、前記植物繊維の水結合能が乾燥物質1g当たり水6.0および28.0gの間に含まれる、請求項1または2に記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項4】
前記すぐに使える乳化食品製剤に含まれる粒子のモード径が、約300および1500マイクロメートルの間、好ましくは700および900マイクロメートルの間に含まれる、請求項1~3のいずれか1項に記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項5】
前記均質化が、15000kPaから30000kPaの間に含まれる圧力で実行される、請求項1~4のいずれか1項に記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項6】
前記少なくとも1つの微細化された形態の植物繊維が、シトラスファイバー、アップルファイバー、エンドウ豆ファイバー、ジャガイモファイバー、人参ファイバー、および米ファイバーを含む群から選択され、1500μm以下の平均粒子サイズを有している、請求項1~5のいずれか1項に記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項7】
前記少なくとも1つの微細化された形態の油性種子が、アーモンド、カシュー、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、クルミ、ピーカンナッツ、マカダミアナッツ、松の実、麻の種子、ヒマワリの種子、カボチャの種子、亜麻の種子、ピーナッツ、およびチアシードを含む群から選択され、1500μm以下の平均粒子サイズを有している、請求項1~6のいずれか1項に記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項8】
前記植物繊維がシトラスファイバーであり、前記油性種子がカシューである、請求項1~7のいずれか1項に記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項9】
前記植物繊維がアップルファイバーであり、前記油性種子がアーモンドである、請求項1~8のいずれか1項に記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項10】
前記少なくとも1つの微細化された形態の野菜が、バジル、パセリ、タイム、マジョラム、およびオレガノからなる群から選択され、好ましくはバジルである、請求項1~9のいずれか1項に記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項11】
前記少なくとも1つの微細化された形態の野菜が、前記すぐに使える乳化食品製剤の総重量の10重量%および15重量%の間に含まれる量で存在し、1500μm以下の平均粒子サイズを有している、請求項9記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項12】
前記植物油が、ヒマワリ油、コーン油、米油、ゴマ油、ピーナッツ油、およびオリーブ油、好ましくはエクストラバージンオリーブ油から選択され、好ましくはヒマワリ油である、請求項1~11のいずれか1項に記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項13】
前記植物油が、前記すぐに使える乳化食品製剤の総重量の10重量%および15重量%の間に含まれる量で存在する、請求項12記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項14】
塩、糖、デンプン、植物性タンパク質、マメ科植物、庭野菜、葉物野菜、シリアル、および天然香料から選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項15】
シトラスジュースおよび酢からなる群から選択される少なくとも1つの酸性化成分をさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項16】
22℃の温度で、80Pa・s超、好ましくは115Pa・s超の回転粘度を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項17】
3.0および5.0の間、好ましくは3.5および3.9の間に含まれるpHを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項18】
0.95以上の、好ましくは0.95および0.99の間に含まれる水分活性(aw)の値を有することを特徴とする、請求項1~17のいずれか1項に記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項19】
前記すぐに使える乳化食品製剤が、少なくとも2週間、好ましくは24ヵ月間の期間、2℃および30℃の間に含まれる温度で保存可能である、請求項1~18のいずれか1項に記載のすぐに使える乳化食品製剤。
【請求項20】
調味料としての請求項1~19のいずれか1項に記載のすぐに使える乳化食品製剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品産業の部門に言及する。
【0002】
特に、本発明は、サラダおよび冷たい料理用の調味料として、またはパンおよび同様のベーカリー製品につけ合わせるまたは充填するためのスプレッド可能なクリームとして、および/またはさまざまな種類の料理用の付け合わせとして使用するのに適した、乳化食品製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
工業的に調製された調味料、たとえば既製のソースおよびドレッシングは、すぐに使える食品であり、室温または冷蔵で容易に保存可能であるため、消費者に広く使用されているということが知られている。
【0004】
時間の経過とともに、そのような調味料は、概して、製品の物理的安定性に関係する劣化現象を受け得るということも知られている。
【0005】
実際、工業的に調製された調味料のほとんどは、互いに乳化された水相および油相を含み、これらは、保存期間が進むにつれて、互いに分離する傾向を示している。
【0006】
この現象は、劣化の認識、またはより一般的には、消費者による食品の真正性の喪失に関連づけられ得る。
【0007】
この部門では、水相からの油相のこの分離現象を弱め、遅らせるために、(欧州食品安全機関(EFSA)の分類による調味料のラベルにコードE400~E499で示されている)増粘剤、安定剤および乳化剤などの特定の製品を追加することが知られている。
【0008】
特に、増粘剤は、十分にコンパクトな粘稠度を保証するために調味料の粘度を高める目的があり、一方で、乳化剤および安定剤は、調味料の保存期間中に油相からの水相の分離を可能な限り遅らせる機能を有している。
【0009】
工業的に調製された調味料のさらなる重要な側面は、「貯蔵寿命」としても知られている、室温(20℃)での保存期間である。
【0010】
貯蔵寿命は、物理的安定性だけでなく、食品の化学的および微生物学的安定性とも相関していることが知れ渡っており、そのため、工業的に調製された食品には、防腐剤(E200~299)および抗酸化剤(E300~399)も含まれ、それらの機能は、食品を損傷および劣化させる細菌および/または真菌の拡散の可能性を最小限に抑えることである。
【0011】
特許文献1は、ピーナッツ、ココナッツ、クルミ、および/またはヘーゼルナッツの固体粒子を懸濁液中に含む、ピーナッツミルクで作られた飲料に関し、懸濁液には、シトラスファイバー、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、モノグリセリド、ジグリセリド、およびキサンタンガムを含むさまざまな安定剤が含まれる。
【0012】
特許文献2は、シトラスファイバーおよび粉末状の松の実を含むさまざまな成分を含有する、キノコ抽出物を含む乳酸菌の他に、たとえば、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、およびキサンタンガムなどの、少なくとも1つの安定剤を含む飲料に関する。
【0013】
特許文献3は、水中油型エマルジョンの形態のすぐに使える食品製剤に関し、これは、少なくとも2週間、2℃から30℃の間に含まれる温度で保存することができ、粉砕された形態の少なくとも1つの野菜(たとえばバジル)、植物油、ならびに油性種子、塩、砂糖、および天然香料に由来する少なくとも1つのタンパク質濃縮物を含む。乳化製剤は、150Pa*sより高い回転粘度、3.7から5の間のpH、および0.95以下の水分活性の値を有している。この製剤は添加された植物繊維を含まない。
【0014】
特許文献4は、エマルジョンへの少量の微粉化されたパルス種子の組み込みによって安定化された水中油型の酸性化エマルジョンについて記載しており、このようなエマルジョンは、たとえば4500rpm以下の低下したせん断の条件下で、従来のミキサーにおいて水相と油相を混合することによって得ることができる。この製剤は、油性種子も、添加された植物繊維も含んでいない。
【0015】
特許文献5は、微粒子の形態のパルスおよび油性の種子(たとえばアーモンド)、油、または脂、有機酸(酸性化および保存作用を有する、たとえば酢酸)および任意に野菜を含む乳化調味料に関する。この調味料は、0.3および100μmの間に含まれる粒子モード径を有し、添加された植物繊維を含まない。
【0016】
しかし、工業的に調製された調味料に添加された安定剤ならびに保存剤は、使用される成分の健全性および真正性にますます注意を払いかつ関心があり、特に「クリーンラベル」製品、すなわち食品添加物を含まない製品を求める消費者には肯定的に認識されていない。
【0017】
したがって、本発明の根底にある技術的課題は、「クリーンラベル」、すなわち食品添加物を含まない、その貯蔵寿命の間の物理的および微生物学的安定性の観点から実質的に変化しないままであり、それによって、先行技術で直面した課題が克服される食品製剤を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】中国特許出願公開第108013148号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第107079995号明細書
【特許文献3】国際公開第2020/002345号
【特許文献4】国際公開第2012/089448号
【特許文献5】欧州特許出願公開第3578062号明細書
【発明の概要】
【0019】
この技術的課題は、本発明に従って、増粘剤、乳化剤および安定剤からなる食品添加物を含まず、少なくとも1つの微細化された形態の野菜、植物油、水、および少なくとも1つの微細化された形態の油性種子を含む、すぐに使える乳化食品製剤であって、
上記油性種子は、製剤の総重量の0.1重量%および15重量%の間に含まれる量で存在し、
上記乳化食品製剤は、10000kPa以上の圧力で実施される均質化によって得られ、そこに含まれる粒子のモード径が300μm以上であること、および、70%w/w超の繊維含有量と乾燥物質1g当たり水5g超の水結合能を有する微細化された形態の植物繊維をさらに含むこと、を特徴とするすぐに使える乳化食品製剤によって解決される。
【0020】
微細化された形態での上述の植物繊維は、好ましくは、10%未満の湿気量を有する。
【0021】
上述の繊維含有量は、好ましくは、75%および80%w/wの間に含まれ、公定法AACC 56-37.01に触発された内部方法によって測定された水結合能は、好ましくは、乾燥物質1g当たり水6.0および28.0gの間に含まれる。
【0022】
光散乱法によって測定された製剤に含まれる粒子のモード径は、好ましくは約300および1500マイクロメートルの間に含まれ、有利には700および900マイクロメートルの間に含まれる。
【0023】
本明細書で交換可能に使用される「油性種子」または「殻果実」という表現は、熟して乾燥されている、およびアーモンド、ヘーゼルナッツ、クルミ、カシュー、ピーカンナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ピーナッツ、松の実、麻の種、ヒマワリの種、カボチャの種、亜麻の種、およびチアシードを含む、殻および果皮のない種子および/または果実を意味すると理解される。
【0024】
本発明による食品製剤は、「増粘剤、乳化剤および安定剤からなる食品添加物を含まない」、すなわち、この表現により意味されるのは、従来は工業的食品調製物に添加されている天然由来ではないすべての増粘剤、乳化剤および安定剤である。
【0025】
好ましくは、上述の均質化は、15000kPaおよび30000kPaの間に含まれる圧力で実施される。
【0026】
好ましくは、少なくとも1つの微細化された形態の植物繊維は、シトラスファイバー、アップルファイバー、エンドウ豆ファイバー、ジャガイモファイバー、人参ファイバー、および米ファイバーを含む群から選択され、1500μm以下の平均粒子サイズを有している。
【0027】
好ましくは、少なくとも1つの微細化された形態の油性種子は、アーモンド、カシュー、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、クルミ、ピーカンナッツ、マカダミアナッツ、松の実、麻の種子、ヒマワリの種子、カボチャの種子、亜麻の種子およびチアシード、ピーナッツを含む群から選択され、1500μm以下の平均粒子サイズを有している。
【0028】
本発明の好ましい実施形態によれば、植物繊維はシトラスファイバーであり、油性種子はカシューである。
【0029】
本発明の別の等しく好ましい実施形態によれば、植物繊維はアップルファイバーであり、油性種子はアーモンドである。
【0030】
好ましくは、少なくとも1つの微細化された形態の野菜は、バジル、パセリ、タイム、マジョラムおよびオレガノからなる群より選択され、より好ましくはバジルである。
【0031】
好ましくは、少なくとも1つの微細化された形態の野菜は、製剤の総重量の10重量%および15重量%の間に含まれる量で存在し、1500μm以下の平均粒子サイズを有する。
【0032】
好ましくは、植物油は、ヒマワリ油、コーン油、米油、ゴマ油、ピーナッツ油、およびオリーブ油、特にエクストラバージンオリーブ油から選択され、より好ましくはヒマワリ油である。
【0033】
好ましくは、植物油は、製剤の総重量の10重量%および15重量%の間に含まれる量で存在する。
【0034】
好ましくは、上述の食品製剤は、塩、糖、デンプン、植物性タンパク質、マメ科植物、庭野菜、葉物野菜(特にチャード、ほうれん草、キャベツ、エスカロール)、シリアル、および天然香料から選択される少なくとも1つの成分をさらに含む。
【0035】
好ましくは、上述の食品製剤は、シトラスジュース、より好ましくは濃縮シトラスジュース、および酢、より好ましくはリンゴ酢、バルサミコ酢、蜂蜜酢、白ワイン酢および赤ワイン酢から選択される酢からなる群から選択される少なくとも1つの酸性化成分をさらに含む。
【0036】
好ましくは、上述の食品製剤は、22℃の温度で、80Pa・s超、より好ましくは115Pa・s超の回転粘度を有する。
【0037】
好ましくは、上述の食品製剤は、3.0および5.0の間、より好ましくは3.5および3.9の間に含まれるpH、および0.95以上の、好ましくは0.95および0.99の間に含まれる水分活性(aw)の値を特徴とする。
【0038】
好ましくは、上で定義された食品製剤は、少なくとも2週間、好ましくは24ヵ月間の期間、2℃および30℃の間に含まれる温度で保存可能である。
【0039】
その別の態様では、本発明はまた、調味料としての上で定義された食品製剤の使用に関する。
【0040】
したがって、本発明は、上で定義されたように、増粘剤、乳化剤および安定剤からなる食品添加物を含まず、少なくとも1つの微細化された形態の野菜、植物油、水、少なくとも1つの微細化された形態の植物繊維、および少なくとも1つの微細化された形態の油性種子を含む、すぐに使用できる乳化食品製剤に関する。
【0041】
利点として、本発明の製剤に含まれる植物繊維は、十分に固い粘稠度(thick consistency)を本発明の製剤に提供し、したがって、調味料としてのその使用に適したものとなる。
【0042】
「シトラスファイバー」は、オレンジ、ライム、レモン、およびグレープフルーツから選択される柑橘系の果物から得られる繊維を意味すると理解され、本発明の製剤に使用することができる市販のシトラスファイバーの例は、HERBACEL(登録商標)AQ(登録商標)Plus CitrusおよびCitri-Fi(登録商標)100である。
【0043】
利点として、本発明の製剤に含まれる微細化された形態の油性種子は、天然の乳化剤として作用し、水相からの油相の分離の現象を著しく遅延させる。
【0044】
利点として、本発明の製剤は、上述の成分の混合物を高圧均質化工程(10000kPa以上)にさらすことによって得られる。
【0045】
本明細書で使用される「高圧均質化」という表現は、プロセス流体が極端に強い流体力学的応力にさらされる均質化のプロセスを意味し、これにより、液体中に懸濁された粒子が、マイクロメートルおよびナノメートルのサイズまで、より小さな断片に分解される。
【0046】
利点として、本発明の製剤に適用される高圧均質化は、エマルジョンの安定性、ならびに油相および水相中の懸濁固体粒子の均一な分布を保証する。
【0047】
特に、この技術は、保存期間中に、本発明の製剤からの水または油の分離の現象を著しく遅延させることに寄与する。
【0048】
対照的に、以下に詳細に示されるように、同じ製剤の低圧での均質化は、この現象が保存期間中に発生するのを防止しない。
【0049】
本明細書で使用される「微細化された形態の(in a finely divided form)[成分]」という表現は、(たとえば、コロイドミル、カッター、浸漬ホモジナイザーによる)機械的粉砕にさらされ、続いて、上で定義されたように、高圧均質化にさらされ、したがって、1500マイクロメートル(μm)以下、好ましくは1~500マイクロメートルの粒子サイズとなった後の問題の成分(植物繊維または油性種子)を意味する。
【0050】
したがって、本発明の食品製剤における植物繊維と油性種子との組み合わせは、製剤自体が高圧均質化にさらされるという事実とともに、水とそこに溶解された水溶性物質からなる水相中に上述の植物油を含む油相を乳化することを可能とし、さらに、物理的観点(粘稠度および粘度)から製剤を効果的に安定化することを可能とする。
【0051】
実際に、好ましくは、本発明による食品製剤は、利点として、22℃の温度で、80Pa・s超、より好ましくは115Pa・s超の回転粘度を有する。
【0052】
本発明によれば、これらの回転粘度の値は、レオメータMCR-101 Anton Paar(著作権)(温度22℃、せん断速度1s-1)によって測定された。
【0053】
測定は、本発明による製剤を含むジャーで直接実施され、事前にサーモスタットで22℃にされた製剤に、所定の一定の高さでジャー内で回転させられるパドル測定システムによって(1s-1での一定のせん断速度で)回転応力をかける。
【0054】
本発明の製剤は、利点として、少なくとも1つの微細化された形態の野菜などを含む、好ましくはバジルの葉からなる、他の成分を含む。
【0055】
本明細書で使用されるような「バジルの葉」という表現は、Linneo分類によると、任意のさまざまな種、Ocimum basilicumに属する植物例の葉を意味している。
【0056】
本明細書で使用されるような「濃縮柑シトラスジュース」という表現は、味(主に酸性度および甘味)のバランスをとり、pHを調整する(酸性化効果)ために本発明の製剤で使用される柑橘類の果実(たとえば、レモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツ)から抽出されたジュースを意味している。
【0057】
好ましい実施形態によれば、本発明による食品製剤は、以下の一般的なレシピを有し得、ここで、パーセンテージは、製剤の総重量に対する重量によって表されると見なされるべきである:
バジル 10~15%
植物油 10~15%
油性種子 4~8%
濃縮シトラスジュース 8~12%
植物繊維 0.2~0.5%
塩 0.5~1.5%
水 100%とする適量
【0058】
抗菌剤や防腐剤を含まない食品製剤の全保存期間中の微生物学的安定性を確保するために、製剤は低温殺菌加熱処理にかけられる。
【0059】
好ましくは、この低温殺菌処理は、製剤自体に使用される各成分の官能特性を損なうことなく、混合物の微生物学的増殖を低減するのに十分な高温(90~100℃)かつ期間で行われる。
【0060】
最終的に、全体的として利点のある方法で、本発明による食品製剤は、他の成分と一緒に、またはそれ自体で、サラダおよび冷たい料理用の調味料としての使用に特に適している。
【0061】
さらに、クリーミーな粘稠度および粘度というその特定の特性のおかげで、本発明による食品製剤はまた、パン、ピザ、および同様のベーカリー製品のトッピングまたはフィリングに、および/またはさまざまな種類の料理、たとえば、前菜、副菜または主菜用の付け合わせとして特に適している。
【0062】
本発明はまた、調味料としての上記のような食品製剤の用途に関する。
【0063】
利点として、本発明によるすぐに使用できる食品製剤の上述の用途は、機械的処理または調理などの任意のさらなる処理を必要とせずに、この製品の全貯蔵寿命の間に特に好適である。
【0064】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照する例示的かつ非限定的な例として提供される、本発明による食品製剤の実施形態の以下に提供される説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】同じ乳化食品製剤の安定性が、均質化条件および製剤に含まれる油性種子(カシュー)の濃度を変更することによってどのように変化するかを示す一連の写真に言及する。
図2】光学顕微鏡、Eclipes E400 Nikon(登録商標)、10×対物レンズによって得られた、本発明の実施例2による製剤の画像である。
図3】実施例2による製剤に含まれる粒子の直径のモード分布のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
実施例1-本発明による製剤の例
本発明による乳化食品製剤のレシピのいくつかの例が以下に報告される。
【0067】
【表1】

【0068】
実施例2-本発明による食品製剤の製造方法
以下に、上に示した実施例1に従ってレシピa)から開始して、本発明によるすぐに使用できる乳化製剤を得るための例示的なプロセスが示される。
【0069】
上述のレシピa)にリストされている成分の中で、新鮮なバジルの葉を最初に洗浄した。
【0070】
バジルの葉の約2%w/wを単離し、後に追加するために取り置いた。
【0071】
次いで、ヒマワリ油、濃縮レモンジュース、シトラスファイバー(HERBACEL(登録商標)AQ(登録商標)Plus Citrus)、塩、およびカシューを、コロイドミル(モデルMZ 80、Frymakoruma(登録商標)、モータ回転速度:2888min-1)においてバジルの葉の残りの部分に加えた。
【0072】
コロイドミルの外側の要素(すなわちステータ)を固定し、一方で、内側の円錐(ロータ)を高速で動かした。
【0073】
表面の溝を通って移動する材料に切断と摩擦が同時に作用することにより、および高周波振動の誘発作用により、破砕を引き起こした。これらの作用によって生成物粒子に高圧引張力がかかり、それにより、生成物粒子は押しつぶされて引き裂かれた。粉砕経路内の強いボルテックスおよびそれに関連する作用によって、コロイドミルにより操作される高い粉砕、混合、および均質化力が特定される。このようにして、バジルの葉およびカシューは砕かれ、同時にヒマワリ油や他の成分と混合される。
【0074】
続いて、混合物を、40リットル/時の供給速度で、GEA Niro Soavi(登録商標)社のNS2006 Lホモジナイザーに導入し、以下の工程に従って処理した:
- 12000kPa、40℃、および40リットル/時での第1の均質化段階;
- 28000kPa、40℃、および40リットル/時での第2の均質化段階。
【0075】
結果として生じた均質化された乳化製剤は、約500μmに等しい平均粒子径を有していた。
【0076】
事前に分離したバジルの葉の画分は、最終生成物中のバジルの葉の視認性を維持するために後で大まかに粉砕され、その後、かかる製剤に加えられた。
【0077】
この段階の終わりに、乳化製剤を95℃で加熱し、ガラスジャーの中に投入し、その後、これらを特定の金属製の安全キャップで密封し、沸騰水(98℃)中に30分間浸して、製剤を完全に低温殺菌した。
【0078】
このようにして得た製剤は、クリーミーで均一な粘稠度を有する粘性流体として現れ、全体的に濃い緑色かつ不透明な色を特徴とした。
【0079】
バジル、カシュー、およびシトラスファイバーの粒子分散の均一性を、光学顕微鏡、Eclipse E400 Nikon(登録商標)、10×対物レンズによって検証した(図2)。
【0080】
製剤に含まれる粒子のモード径分布を図3に示す。
【0081】
実施例3-比較試験
以下のレシピに従って、本発明による製剤(I)と本発明によるものではない製剤(II、IIIおよびIV)との間で比較試験を行い、均質化の型のパラメータと本発明による製剤に組み込まれた油性種子の量を変更することによって、後者が、特に油相からの水相の分離の現象を分析することにより、物理的安定性の観点から変化を示したかを評価した。
【0082】
試験したサンプルを、実施例2に記載された手順に従って、サンプルごとに以下に指定される成分から開始して、以下に従う具体的な均質化工程を適用することによって得た:
- (本発明による)製剤I:水50g、バジル13g、ヒマワリ油15g、カシュー6g、シトラスファイバー(HERBACEL(登録商標)AQ(登録商標)Plus Citrus)0.5gを、GEA Niro Soavi(登録商標)社のホモジナイザーNS2006 Lによって高圧均質化(280バール)にさらした。
- (本発明によるものではない)製剤II:水56g、バジル13g、ヒマワリ油15g、シトラスファイバー(HERBACEL(登録商標)AQ(登録商標)Plus Citrus)0.5gを、GEA社のGEA Niro Soavi(登録商標)によるホモジナイザーNS2006 Lによって高圧均質化(280バール)にさらした。
- (本発明によるものではない)製剤III:水56g、バジル13g、ヒマワリ油15g、シトラスファイバー(HERBACEL(登録商標)AQ(登録商標)Plus Citrus)0.5gを、家庭用ブレンダー(速度10000rpm)による簡単な粉砕にさらした。
- (本発明によるものではない)製剤IV:水50g、バジル13g、ヒマワリ油15g、カシュー6g、シトラスファイバー(HERBACEL(登録商標)AQ(登録商標)Plus Citrus)0.5gを、家庭用ブレンダー(速度10000rpm)による簡単な粉砕にさらした。
【0083】
製剤IおよびIVは6gのカシュー(製剤の総重量の6重量%)を含み、一方、製剤IIおよびIIIは油性種子を含まない。
【0084】
また、製剤IおよびIIは高圧均質化によって得られ、一方、製剤IIIおよびIVは家庭用キッチンブレンダーによって均質化された。
【0085】
すべてのサンプルを、ガラスジャーに入れ、密封し、室温(25°)で15日間保持した。
【0086】
この期間の終わりに、サンプルの安定性を物理的観点から評価した。
【0087】
図1からよくわかるように、2週間の期間の終わりに物理的安定性を維持する試験した製剤は、6%のカシューを含み、高圧均質化(280バール)の工程にさらされた、本発明による製剤(製剤I)だけであった。
【0088】
反対に、油性種子を含まない製剤IIおよびIIIは、特に製剤IIは高圧均質化にさらされたが、脂肪相からの水相の識別可能な分離を示した。
【0089】
6%のカシューを含むが、家庭用キッチンブレンダーによる均質化によって得られた製剤IVは、脂肪相からの水相の分離の始まりを示した。
【0090】
したがって、上述の製剤Iで定義されるように、植物繊維および油性種子を含む製剤の高圧均質化のみが、室温でのその全貯蔵寿命にわたって製剤の物理的安定性を保証するということが明らかである。
図1
図2
図3
【国際調査報告】