(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】過去の観察結果に基づくウオジラミ削減
(51)【国際特許分類】
A01K 61/13 20170101AFI20230405BHJP
G06Q 50/02 20120101ALI20230405BHJP
【FI】
A01K61/13
G06Q50/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538475
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(85)【翻訳文提出日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 US2021020460
(87)【国際公開番号】W WO2021188292
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516326438
【氏名又は名称】エックス デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】リー,イ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,グレース カルバート
【テーマコード(参考)】
2B104
5L049
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104AA02
2B104BA13
2B104CA01
2B104EC01
2B104FA19
2B104GA01
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】 強化されたウオジラミ削減を実施することである。
【解決手段】 ウオジラミを削減するための、コンピュータ記憶媒体に符号化されたコンピュータプログラムを含む、方法、システム、および装置。いくつかの実施態様では、方法は、一定期間にわたる基準魚の個体群の複数の観察結果を取得することと、複数の観察結果から、その一定期間にわたる基準魚のウオジラミ寄生の程度を示す各基準魚の記録を生成することと、その記録に基づいて、魚の予測される健康指標を決定するモデルをトレーニングすることと、基準魚の個体群に存在しないサンプル魚の画像を取得することと、サンプル魚の画像に基づき、モデルを用いて、サンプル魚の予測される健康指標を決定すること、予測される健康指標に基づいてウオジラミ削減を選択的に開始することと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実施方法であって、
一定期間にわたる基準魚の個体群の複数の観察結果を取得することと、
前記複数の観察結果から、前記一定期間にわたる前記基準魚のウオジラミ寄生の程度を示す各基準魚の記録を生成することと、
前記記録に基づいて、魚の予測される健康指標を決定するモデルをトレーニングすることと、
前記基準魚の個体群に存在しないサンプル魚の画像を取得することと、
前記サンプル魚の前記画像に基づき、前記モデルを用いて、前記サンプル魚の予測される健康指標を決定することと、
前記予測される健康指標に基づいて、ウオジラミ削減を選択的に開始することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記サンプル魚の予測される健康指標を決定することが、
前記画像に基づいて前記サンプル魚のウオジラミ寄生の程度を判定することと、
前記モデルに、前記サンプル魚の前記ウオジラミ寄生の程度の表現を提供することと、
前記表現の提供に応じて、前記モデルから、前記サンプル魚の前記予測される健康指標を取得することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記画像に基づいて前記サンプル魚のウオジラミ寄生の程度を判定することが、
前記サンプル魚の各ウオジラミの場所を判定することを含み、
前記モデルに、前記サンプル魚の前記ウオジラミ寄生の程度の表現を提供することが、前記モデルに各ウオジラミの前記場所の指示を提供することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記モデルに、前記サンプル魚の前記ウオジラミ寄生の程度の表現を提供することが、
前記サンプル魚の視覚的特徴を抽出することと、
前記視覚的特徴に基づいて、前記サンプル魚の以前の観察結果の記録を特定することと、
前記モデルに、前記以前の観察結果の表現と前記ウオジラミ寄生の程度の前記表現との両方を提供することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記予測される健康指標に基づいてウオジラミ削減を選択的に開始することが、
ウオジラミ治療装置に、ウオジラミについて前記サンプル魚を治療するための命令を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記予測される健康指標に基づいてウオジラミ削減を選択的に開始することが、
前記予測される健康指標が、削減基準を満たしていると判定することと、
前記予測される健康指標が、前記削減基準を満たしていると判定することに応じて、前記ウオジラミ削減を開始することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記予測される健康指標に基づいてウオジラミ削減を選択的に開始することが、
前記予測される健康指標が、削減基準を満たさないと判定することと、
前記予測される健康指標が、前記削減基準を満たさないと判定することに応じて、前記ウオジラミ削減を開始しないことと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
各基準魚の前記記録が、前記一定期間にわたる前記基準魚の年齢、重量、大きさ、特徴ベクトル、または様々な健康メトリックのうちの1つ以上を示し、
前記サンプル魚の前記予測される健康指標を決定することが、別の期間にわたる前記サンプル魚の年齢、重量、大きさ、特徴ベクトル、または様々な健康メトリックのうちの1つ以上に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
各基準魚の前記記録が、前記複数の観察結果が作成された環境の状態を示し、
前記サンプル魚の前記予測される健康指標を決定することが、前記サンプル魚の前記画像が取得された環境の状態に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の観察結果が作成された前記環境の状態が、場所、深さ、または温度のうちの1つ以上を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
各基準魚の前記記録が、前記基準魚に対してウオジラミ削減が実施されたかどうかを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の観察結果から、前記一定期間にわたる前記基準魚のウオジラミ寄生の程度を示す各基準魚の記録を生成することが、
前記複数の観察結果に基づいて前記基準魚のウオジラミをカウントすることと、
前記基準魚上の前記ウオジラミの総数を前記記録に記憶することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記基準魚の個体群に存在しないサンプル魚の画像を取得することが、
前記基準魚の個体群に存在しない前記サンプル魚の画像のセットを取得することを含み、前記画像のセットは、前記画像を含み、
前記サンプル魚の前記画像に基づき、前記モデルを用いて、前記サンプル魚の前記予測される健康指標を決定することが、前記画像のセットに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
システムであって、
1つ以上のコンピュータと、前記1つ以上のコンピュータによって実行されたとき、前記1つ以上のコンピュータに動作を実行させるように動作可能な命令を記憶する1つ以上の記憶装置と、を備え、前記動作が、
一定期間にわたる基準魚の個体群の複数の観察結果を取得することと、
前記複数の観察結果から、前記一定期間にわたる前記基準魚のウオジラミ寄生の程度を示す各基準魚の記録を生成することと、
前記記録に基づいて、魚の予測される健康指標を決定するモデルをトレーニングすることと、
前記基準魚の個体群に存在しないサンプル魚の画像を取得することと、
前記サンプル魚の前記画像に基づき、前記モデルを用いて、前記サンプル魚の予測される健康指標を決定することと、
前記予測される健康指標に基づいて、ウオジラミ削減を選択的に開始することと、を含む、システム。
【請求項15】
前記サンプル魚の予測される健康指標を決定することが、
前記画像に基づいて前記サンプル魚のウオジラミ寄生の程度を判定することと、
前記モデルに、前記サンプル魚の前記ウオジラミ寄生の程度の表現を提供することと、
前記表現の提供に応じて、前記モデルから、前記サンプル魚の前記予測される健康指標を取得することと、を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記画像に基づいて前記サンプル魚のウオジラミ寄生の程度を決定することが、
前記サンプル魚の各ウオジラミの場所を判定することを含み、
前記モデルに、前記サンプル魚の前記ウオジラミ寄生の程度の表現を提供することが、前記モデルに各ウオジラミの前記場所の指示を提供することを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記モデルに、前記サンプル魚の前記ウオジラミ寄生の程度の表現を提供することが、
前記サンプル魚の視覚的特徴を抽出することと、
前記視覚的特徴に基づいて、前記サンプル魚の以前の観察結果の記録を特定することと、
前記モデルに、前記以前の観察結果の表現と前記ウオジラミ寄生の程度の前記表現との両方を提供することと、を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記予測される健康指標に基づいてウオジラミ削減を選択的に開始することが、
ウオジラミ治療装置に、ウオジラミについて前記サンプル魚を治療するための命令を提供することを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記予測される健康指標に基づいて、ウオジラミ削減を選択的に開始することが、
前記予測される健康指標が、削減基準を満たしていると判定することと、
前記予測される健康指標が、前記削減基準を満たしていると判定することに応じて、前記ウオジラミ削減を開始することと、を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
コンピュータプログラムで符号化されたコンピュータ可読記憶装置であって、前記プログラムが、1つ以上のコンピュータによって実行されたとき、前記1つ以上のコンピュータに動作を実行させる命令を含み、前記動作が、
一定期間にわたる基準魚の個体群の複数の観察結果を取得することと、
前記複数の観察結果から、前記一定期間にわたる前記基準魚のウオジラミ寄生の程度を示す各基準魚の記録を生成することと、
前記記録に基づいて、魚の予測される健康指標を決定するモデルをトレーニングすることと、
前記基準魚の個体群に存在しないサンプル魚の画像を取得することと、
前記サンプル魚の前記画像に基づき、前記モデルを用いて、前記サンプル魚の予測される健康指標を決定することと、
前記予測される健康指標に基づいて、ウオジラミ削減を選択的に開始することと、を含む、コンピュータ可読記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書には、概して、強化されたウオジラミ削減を実施するための技術が記載される。
【背景技術】
【0002】
ウオジラミは、宿主の海水魚の粘液表皮組織および血液を餌としている。ウオジラミは、Siphonostomatoida目、Caligidae科のカイアシ類の仲間を指す。重度の感染は、特に頭部領域の深い病変につながる可能性があるため、ウオジラミ寄生は養殖において大きな問題となる可能性がある。ウオジラミ寄生は、魚を死なせるか、または市場に適さないものにする可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
概して、本明細書に記載されている主題の革新的態様は、ウオジラミ削減に関する。魚は管理された環境で養殖する場合がある。例えば、海の囲いの中でサケを稚魚から成魚に育てることができる。養殖場で飼育されている一部の魚は、人が食べるのに適さなくなる場合もある。例えば、一部の魚は、ウオジラミが寄生して安全に食べるには不健康過ぎる状態になる場合もある。
【0004】
システムを使用して、人が食べるのに適した魚の数を増やすことができる。システムは、魚の将来の健康を予測することができ、その後、その予測に基づいて魚を選択的に治療することができる。例えば、システムは、ウオジラミを削減しないと魚が不健康になることを予測し、それに応じて、魚に対してウオジラミ削減を開始してもよい。別の例では、システムは、ウオジラミを削減しないでも魚が健康を維持することを予測し、それに応じて、魚に対してウオジラミ削減を開始しなくてもよい。追加的または代替的に、システムは、周囲の環境への魚の影響を低減してもよい。例えば、システムは、背景となるウオジラミレベルと比較して、養殖されている魚のウオジラミレベルをごく僅かに保つことを行ってもよい。
【0005】
魚の健康状態を予測するために、システムは、ライフサイクル全体で魚の観察結果を取得し、その観察結果に基づいて魚の健康状態を予測するモデルをトレーニングし、新しい個体群の魚を飼育しながら、トレーニングされたモデルを使用して新しい個体群内の魚について予測を行ってもよい。例えば、このシステムは、稚魚から成魚までの第1の個体群の魚に対してトレーニングされ、その後、他の個体群の魚が稚魚であるときから始まる別の個体群の魚に対して使用されてもよい。システムは、モデルを継続的に更新してもよい。例えば、システムは、別の個体群の魚の観察結果に基づいて既存のモデルを更新してもよい。
【0006】
したがって、このシステムの利点は、人が食べるのに適した魚の数をシステムが増やすことであってもよい。追加的または代替的に、ウオジラミ削減を必要とする魚のみがウオジラミ削減に浴することができるため、システムは魚を養殖する際の資源を節約することができる。例えば、ウオジラミ削減装置は、ウオジラミ削減の恩恵を受ける可能性が高い魚に対してのみ作動されてもよく、ウオジラミ削減の恩恵を受ける可能性が低い魚に対しては作動されないままであってもよい。さらに、魚選別装置は、どの魚がウオジラミ削減の恩恵を受けるか否かを規定する情報によって通知されてもよく、それに応じて選別の判定を下してもよい。
【0007】
ウオジラミ削減は、検出、経時追跡、および/または削減または治療されてもよい健康状態の例として本明細書全体で顕著に説明されているが、本システムは、魚の健康に影響を与える他の状態について検出、追跡および/または削減または治療するために同様に使用されてもよい。例えば、このシステムを使用して、膵臓疾患または脊椎疾患のうちの1つ以上の削減が魚に対して実施されるべきかどうかを判定してもよい。
【0008】
本明細書に記載されている主題の1つの革新的態様は、一定期間にわたり基準魚の個体群の複数の観察結果を取得することと、複数の観察結果から、一定期間にわたり基準魚のウオジラミ寄生の程度を示す基準魚ごとの記録を生成することと、記録に基づいて、魚の予測される健康指標を決定するモデルをトレーニングすることと、基準魚の個体群に存在しないサンプル魚の画像を取得することと、サンプル魚の画像に基づき、モデルを使用して、サンプル魚の予測される健康指標を決定することと、予測される健康指標に基づいてウオジラミ削減を選択的に開始することと、を含む方法において具体化される。
【0009】
この態様および他の態様の他の実施態様は、対応するシステム、装置、およびコンピュータ記憶装置上で符号化され、この方法の動作を実施するように構成されているコンピュータプログラムを含む。1つ以上のコンピュータのシステムは、作動中にシステムにこの動作を実行させる、システム上にインストールされたソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせによって、そのように構成されてもよい。1つ以上のコンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行される場合、装置にこの動作を実行させる命令を有することによってそのように構成されてもよい。
【0010】
上記のおよび他の実施形態は、それぞれ以下の特徴のうちの1つ以上を任意に、単独にまたは組み合わせて含むことができる。例えば、いくつかの態様において、サンプル魚の予測される健康指標を決定することは、画像に基づいてサンプル魚のウオジラミ寄生の程度を決定することと、モデルに、サンプル魚のウオジラミ寄生の程度の表現を提供することと、表現の提供に応答して、モデルから、サンプル魚の予測される健康指標を取得することと、を含む。
【0011】
ある態様では、画像に基づいてサンプル魚のウオジラミ寄生の程度を判定することは、サンプル魚上の各ウオジラミの場所を判定することを含み、モデルに、サンプル魚のウオジラミ寄生の程度の表現を提供することは、モデルに、各ウオジラミの場所の指示を提供することを含む。いくつかの実施態様では、モデルに、サンプル魚のウオジラミ寄生の程度の表現を提供することは、サンプル魚の視覚的特徴を抽出することと、視覚的特徴に基づくサンプル魚の以前の観察結果の記録を特定することと、モデルに、以前の観察結果の表現とウオジラミ寄生の程度の表現との両方を提供することと、を含む。
【0012】
ある態様では、予測される健康指標に基づいてウオジラミ削減を選択的に開始することは、ウオジラミ治療装置に、ウオジラミについてサンプル魚を治療するための命令を提供することを含む。いくつかの態様では、予測される健康指標に基づいてウオジラミ削減を選択的に開始することは、予測される健康指標が削減基準を満たすことを判定すること、および予測される健康指標が削減基準を満たすことを判定することに応じて、ウオジラミを開始することを含む。いくつかの実施態様では、予測される健康指標に基づいてウオジラミ削減を選択的に開始することは、予測される健康指標が削減基準を満たさないと判定すること、および予測される健康指標が削減基準を満たさないと判定することに応じて、ウオジラミ削減を開始しないことを含む。
【0013】
ある態様では、各基準魚の記録は、一定期間にわたる基準魚の年齢、重量、大きさ、特徴ベクトル、または様々な健康メトリックのうちの1つ以上を示し、サンプル魚の予測される健康指標を決定することは、別の期間にわたるサンプル魚の年齢、重量、大きさ、特徴ベクトル、または様々な健康メトリックのうちの1つ以上に基づく。いくつかの態様では、各基準魚の記録は、複数の観察結果が作成された環境の状態を示し、サンプル魚の予測される健康指標を決定することは、サンプル魚の画像が取得された環境の状態に基づく。いくつかの実施態様では、複数の観察結果が作成された環境の状態は、場所、深さ、または温度のうちの1つ以上を含む。
【0014】
特定の態様では、各基準魚の記録は、基準魚に対してウオジラミ削減が行われたかどうかを示す。いくつかの態様では、複数の観察結果から、一定期間にわたる基準魚のウオジラミ寄生の程度を示す各基準魚の記録を生成することは、複数の観察結果に基づいて基準魚のウオジラミの数をカウントすること、および基準魚上のウオジラミの総数を記録に保存することを含む。いくつかの実施態様では、基準魚の個体群に存在しないサンプル魚の画像を取得することは、基準魚の個体群に存在しないサンプル魚の画像のセットを取得することを含み、画像のセットは該画像を含み、サンプル魚の画像に基づき、モデルを使用して、サンプル魚の予測される健康指標を決定することは、画像のセットに基づく。
【0015】
本明細書で説明されている主題の1つ以上の実施形態の詳細が、添付図面および以下の説明に記載されている。主題の他の特徴、態様、および利点は、明細書、図面、および特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】魚の例としての画像および魚の対応する記録を示す図である。
【
図2】ウオジラミ削減のための例としてのシステムの図である。
【
図3】ウオジラミ削減のためのプロセスの例を示すフロー図である。
【0017】
様々な図面の中の類似の参照番号および名称は、類似の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、魚112の例としての画像110A、110B、120A、120Bおよび魚の対応する記録を示す
図100である。画像110Aは、以前にウオジラミが軽度に寄生していた魚を示しており、ウオジラミ112Aが中程度に寄生していた。画像120Aは、魚が治療なしとされてから、魚にウオジラミが大量に寄生し、不健康であるとみなされることを示す。画像110Aおよび120Aに描写された魚は、一意に特定され時間の経過とともに追跡されたため、記録130Aを生成することが可能であり、この記録は、(魚Aとラベル付けされた)魚が初期に軽度に寄生され、その後中程度に寄生され、その後大量に寄生されて最終的に不健康であるとみなされたことを示す。
【0019】
画像110Bは、以前にウオジラミが軽度に寄生していた第2の魚を示しており、ウオジラミ112Bが中程度に寄生していた。画像120Bは、治療後の第2の魚が軽度にウオジラミに寄生され、健康であるとみなされることを示す。画像110Bおよび120Bに描写された拳は一意に特定され、時間の経過とともに追跡されたため、記録130Bを生成することが可能であり、この記録は、(魚Bとラベル付けされた)第2の魚が最初に軽度に寄生され、その後中程度に寄生されるも、その後ウオジラミの治療をされ、その後軽度に寄生され、健康であるとみなされたことを示す。
【0020】
図2は、ウオジラミ削減のための例としてのシステム200を示す図である。例としてのシステム200は、
図1に生成および描写された種類の情報を使用して、ウオジラミ削減に関してより高度な決定を行う。
【0021】
より詳細には、システム200は、構造体210、カメラ230、ウオジラミ削減装置232、取り付けブラケット234、遠位側滑車236、および監視サーバ240を含む。構造体210は、生きた魚を含む沖合のケージであってもよい。構造体210は、魚などの水産貨物を外洋に維持および保管し、水産貨物が構造体210内を自由に移動して監視できるように構成されてもよい。
【0022】
いくつかの実施態様では、構造体210は、メッシュネットで覆われた外骨格を有する。メッシュネットは、構造体210内に含まれる水産貨物の大きさに基づいた穴の大きさを有することができる。例えば、水産貨物の平均の大きさが直径12センチメートル(cm)である場合、メッシュネットの穴は、貨物が構造体210から出ることを防ぐために直径10cmとすることができる。いくつかの実施態様では、構造体210の外骨格を覆うメッシュネットは、鉄、鋼などの強い海流に耐えることができる材料で作製されている。いくつかの実施態様では、構造体210はメッシュネットを含まないが、貨物を海水から保護するために環境的に密封されている。この例では、ユーザは、構造体210を通して見ることによって、またはキャットウォークからまたはキャットウォークを通して見下ろすことによって、構造体210の外側から水産貨物を見ることができる。構造体210の外側の外骨格は、半透明の材料または完全に透明な材料とすることができる。
【0023】
いくつかの実施態様では、構造体210内に収納された水産貨物は、魚類または他の水生生物を含むことができる。貨物は、例えば、いくつかの例を挙げると、稚魚、鯉、サケ、サメ、マス、およびバスを含むことができる。一例では、貨物は個々の魚を含むことができ、システム100は、構造体210内の稚魚の生命成熟度を監視することができる。
【0024】
いくつかの実施態様では、構造体210は、大量の水産貨物を扱うために広い体積を包含する。例えば、構造体210の体積は、約5,000,000立方フィートまたは他のあるより少ない体積とすることができる。構造体210は、円筒形、球形、または他の何らかの形状を有することができる。円筒形は、貨物を挿入および解放することができるように、構造体210の底部に密封可能な開口部を含むことができる。
【0025】
カメラ230は、構造体210内の魚の画像を撮影することができる。カメラ230は、ステレオカメラ、3Dカメラ、またはアクションカメラ、あるいはこれらのカメラの任意の組み合わせを含むことができる。他の実施態様では、カメラ230は、1つ以上のメディアキャプチャコンポーネントに加えて、1つ以上の他のセンサ種を含むことができる。例えば、いくつかの例を挙げると、1つ以上の他のセンサ種は、圧力センサ、ハイドロフォン、水質センサ、ステレオカメラシステム、カメラシステム、HDカメラシステム、超音波センサ、熱センサ、またはX線センサを含むことができる。
【0026】
カメラ230は、遠位側滑車236、取り付けブラケット234、および監視サーバ240内の1つ以上の滑車を使用して移動されてもよい。カメラ230は、魚の画像を監視サーバ240に提供することができる。カメラ230および画像の使用は、システム100によって使用されるように説明される。システム100は、追加的または代替的に、魚の知覚データを取得するために他のセンサを使用してもよい。例えば、監視サーバ240に提供される画像は、レーダ画像のうちの1つ以上であってもよく、システム100は、レーダまたはハイパースペクトル画像を含み、システム100は、ハイパースペクトル撮像装置を含む。
【0027】
ウオジラミ削減装置232は、魚のウオジラミを削減することができる。例えば、ウオジラミ削減装置232は、ウオジラミを殺すレーザ光線を照射してもよい。別の例では、ウオジラミ削減装置232は、化学シラミ駆除剤を通って泳ぐように魚を導く機械的シャントを含んでもよい。さらに別の例では、ウオジラミ削減装置232は、ウオジラミを払い落とすブラシを含んでもよい。
【0028】
ウオジラミ削減装置232は、監視サーバ240からウオジラミを削減するための命令を受信してもよい。例えば、ウオジラミ削減装置232は、ウオジラミを削減するために特定の魚にレーザを照射する指示を受信してもよい。別の例では、ウオジラミ削減装置232は、ウオジラミを削減するために特定の魚にレーザを照射する命令を受信しなくてもよく、したがって、ウオジラミ削減装置232は、特定の魚にレーザを照射しないことになる。さらに別の例では、ウオジラミ削減装置232は、特定の魚のウオジラミを削減する指示を受信し、それに応じて、特定の魚を削減手順に向けて物理的に移動させてもよい。
【0029】
監視サーバ240は、ロープまたはケーブルワイヤを用いて、遠位側滑車236および取り付けブラケットに接続してもよい。監視サーバ240は、その滑車を動かすことによってカメラ230を移動させてもよいが、遠位側滑車236を動かして、その結果、カメラ230を構造体210内の所望の場所に移動させる。例えば、監視サーバ240は、カメラ230を動かして囲い全体をサンプリングし、カメラ230を動かして魚の群れを追跡し、および/またはカメラ230を動かして特定の魚を追跡してもよい。所望の場所は、構造体210内のX、Y、およびZ座標によってモデル化することができ、これを使用して、水産貨物の媒体を撮像するためのカメラ撮像ユニットの位置を配置することができる。
【0030】
システム100は、カメラ230およびウオジラミ削減装置232と通信する監視サーバ240をさらに含むことができる。監視サーバ240は、無線または有線の方法でカメラ230およびウオジラミ削減装置232と通信する1つ以上のサーバを含むことができる。例えば、監視サーバ240は、ブルートゥースまたはWi-Fiを介してカメラ230およびウオジラミ削減装置232と通信することができる。監視サーバ240は、1つ以上のプロセッサ(CPU)、1つ以上の内部および外部メモリデバイス、ならびに他のコンピュータコンポーネントを含むことができる。
【0031】
監視サーバ240は、魚の画像を受信し、その画像に基づいてウオジラミ削減を選択的に開始してもよい。例えば、監視サーバ240は、
図1において魚009とラベル付けされた魚220の画像を受信し、その画像に基づいて魚220に対してウオジラミ削減を開始してもよい。別の例では、監視サーバ240は、
図1において魚001とラベル付けされた魚の画像を受信し、その画像に基づいて魚220に対してウオジラミ削減を開始しないでもよい。
【0032】
監視サーバ240は、ウオジラミ検出器250、魚特徴抽出器252、魚記録エンジン254、魚記録データベース256、魚予測エンジン258、および治療コントローラ260を含む。ウオジラミ検出器250は、魚の画像を取得し、その画像に基づいて魚のウオジラミ寄生の程度を判定してもよい。
【0033】
例えば、ウオジラミ検出器250は、画像110Aを取得し、魚上の10匹のウオジラミを検出し、5匹のウオジラミが中程度の寄生の基準を満たしていると判定し、それに応じて、「中程度の寄生」の分類を出力してもよい。別の例では、ウオジラミ検出器250は、魚の画像を取得し、魚上の2匹のウオジラミを検出し、2匹のウオジラミが軽度の寄生の基準を満たしていると判定し、それに応じて、「軽度の寄生」の分類を出力することができる。さらに別の例では、ウオジラミ検出器250は、魚の画像を取得し、魚上の3匹のウオジラミを検出し、3匹のウオジラミが検出されたことを示す「3」を出力してもよい。さらに別の例では、ウオジラミ検出器250は、魚の画像を取得し、魚上の4匹のウオジラミを検出し、魚の4匹のウオジラミのそれぞれの位置を示す魚のマップを出力してもよい。別の例では、ウオジラミ検出器250は、魚上で検出されたウオジラミの綱の説明を出力してもよい。
【0034】
魚特徴抽出器252は、魚の画像を取得し、その画像に基づいて魚の視覚的特徴を抽出してもよい。例えば、魚特徴抽出器252は、魚の目、口、およびえらの相対位置を特定し、目、口、およびえらの相対位置を示す視覚的特徴を出力してもよい。別の例では、魚特徴抽出器252は、魚の鱗の色でパターンを特定し、そのパターンを示す視覚的特徴を出力してもよい。さらに別の例では、魚特徴抽出器252は、コンピュータで読み取り可能な特徴を特定してもよい。
【0035】
魚記録エンジン254は、魚のウオジラミ寄生の程度の表現および魚の視覚的特徴を取得し、魚の記録を提供してもよい。例えば、魚記録エンジン254は、ウオジラミ検出器250から魚009の「中程度の寄生」の指示を取得し、魚特徴抽出器252から特徴Iの視覚的特徴を取得し、特徴Iの視覚的特徴が魚記録データベース256の既存の記録と一致することを判定してもよく、既存の記録が、魚009が以前に軽度に寄生されたことを示し、それに応じて、既存の記録および「中程度の寄生」の表示を魚予測エンジン258に提供してもよい。
【0036】
別の例では、魚記録エンジン254は、ウオジラミ検出器250から魚008の「重度の寄生」の指示を取得し、魚特徴抽出器252から特徴Hの視覚的特徴を取得し、特徴Hの視覚的特徴が魚の記録データベース256の既存の記録と一致しないことを判定し、それに応じて、魚予測エンジン258に「重度の寄生」の指示を提供してもよい。
【0037】
いくつかの実施態様では、魚記録エンジン254は、どの既存の記録も魚に対して一致しない場合に魚の記録を生成し、既存の記録が一致する場合に魚の記録を更新してもよい。例えば、魚記録エンジン254は、魚の特徴Iが魚009の記録の特徴Iと一致すると判定し、それに応じて、中程度の寄生の追加の観察結果を示すために魚009の記録を更新することを決定してもよい。別の例では、魚記録エンジン254は、魚の特徴Hが記録内のどの特徴とも一致しないと判定し、それに応じて、特徴Hを有する魚の新しい記録を生成して、その魚のその後の観察結果が記録に示されてもよい。
【0038】
魚記録エンジン254は、記録およびウオジラミ寄生レベルの範囲の別個の表現を魚予測エンジン258に提供するように
図1に示されるが、魚記録エンジン254は、ウオジラミ寄生レベルの新たに判定された程度を含むようにその記録を更新し、更新された記録をウオジラミ寄生の程度の表現を別に提供することなく魚予測エンジン258に提供してもよい。
【0039】
魚予測エンジン258は、魚の記録およびウオジラミ寄生の指示を受信し、魚の予測される健康指標を決定する。例えば、魚予測エンジン258は、魚009の記録および「中程度の寄生」の指示を受信し、それに応じて、ウオジラミ削減がなければ魚が死ぬか水揚げ時人が食べるには不適当であると予測されることを反映し得る不健康の予測される健康指標を決定する。別の例では、魚予測エンジン258は、魚001の記録および「軽度の寄生」の指示を受信し、それに応じて、ウオジラミ削減がなくても水揚げ時人が食べるのに魚が適していると予測されることを反映し得る健康の予測される健康指標を決定する。さらに別の例では、魚予測エンジン258は、魚009の記録および今日の10匹のウオジラミの指示を受信し、それに応じて、明日の15匹のウオジラミの予測を決定する。
【0040】
魚予測エンジン258は、魚の予測される健康指標を決定するものとして説明されてきたが、魚予測エンジン258は、追加的または代替的に、囲い全体またはユーザ定義の区分(例えば、小、中または大)のうちの1つ以上に対する予測を決定してもよい。例えば、魚予測エンジン258は、囲い全体の結果について不健康であると予測される健康指標を決定してもよく、または小区分について健康であると予測される健康指標を決定してもよい。
【0041】
魚予測エンジン258は、一定期間にわたる基準魚の個体群の観察結果に基づいてトレーニングされたモデルに基づいて決定を行ってもよい。例えば、モデルは、基準魚のライフサイクル全体にわたる数百の基準魚の数百の観察結果に基づいてトレーニングされてもよい。
【0042】
モデルは、1つ以上のニューラルネットワーク層を含む機械学習モデルであってもよい。機械学習モデルには、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)埋め込みモデルを含めることができる。CNN埋め込みモデルには、1つ以上のLTSM層を含めることができ、複数のLSTM層を積み重ねることによって構築されたディープLSTMニューラルネットワークアーキテクチャであってもよい。CNN埋め込みモデルは、差別化機能を学習するために調整された損失関数を使用してトレーニングされてもよい。いくつかの例を挙げると、様々な機能は、トリプレット損失関数、ソフトマックス損失関数、またはnペア損失関数を含むことができる。
【0043】
このモデルは、トレーニングデータに、各魚のライフサイクル全体にわたるウオジラミ寄生の程度を反映する魚の記録、および魚が水揚げされたときに健康であったかどうかを反映する魚の健康指標が含まれる場合に使用されてもよい。例えば、記録は、魚の寿命の20の異なる観察時間のウオジラミの程度を示し、健康指標は、魚が水揚げされたときに魚が健康であると判断されたかどうかを示してもよい。したがって、入力としての基準魚の記録が、基準魚について実際に決定された健康指標と一致する予測される健康指標に分類されることになるように、モデルがトレーニングされてもよい。基準魚について実際に決定された健康指標は、魚が水揚げされたときの魚の健康の結果であってもよい。例えば、特定の魚が水揚げされた場合、人がその特定の魚を見て、特定の魚の「健康状態」の健康指標を指定してもよい。別の例では、特定の魚が水揚げされた場合、自動システムが様々なセンサを使用して、センサを使用して特定の魚のメトリックを取得し、その後特定の魚の「健康状態」の健康指標を指定してもよい。
【0044】
治療コントローラ260は、魚予測エンジン258から予測される健康指標を受信し、予測される健康指標に基づいて魚の治療を制御する。例えば、治療コントローラ260は、不健康と予測される健康指標を受信し、それに応じて、魚のウオジラミ削減を開始する。別の例では、治療コントローラ260は、健康と予測される健康指標を受信し、それに応じて、魚のウオジラミ削減を開始しない。
【0045】
治療コントローラ260は、ウオジラミ削減装置232に命令を提供することによって、ウオジラミ削減を開始してもよい。例えば、治療コントローラ260は、ウオジラミ削減装置232に「ウオジラミを削減する」という指示を提供してもよい。
【0046】
追加的または代替的に、魚予測エンジン258は、ウオジラミ寄生の程度に加えて追加情報を使用して、魚の予測される健康指標を決定することができる。魚予測エンジン258は、年齢、重量、大きさ、運動性、性別、環境(例えば、場所、深さ、温度など)、または決定において魚に対してウオジラミ削減が実施されたかどうか、のうちの1つ以上を使用してもよい。したがって、魚特徴抽出器252は、画像に基づいて追加情報を決定してもよく、魚記録エンジン254は、その情報を記憶し、魚予測エンジン258に提供してもよい。それに応じて、追加情報は、予測される健康指標を決定するために魚予測エンジン258によって使用されるモデルをトレーニングするのに使用されてもよい。
【0047】
システム200の異なる構成が使用されてもよく、その場合、構造体210、カメラ230、ウオジラミ削減装置232、取り付けブラケット234、遠位側滑車236、および監視サーバ240の機能が組み合わされ、さらに分離、分散または交換されてもよい。例えば、治療コントローラ260の機能は、ウオジラミ削減装置232に組み合わされてもよい。別の例では、監視サーバ240の機能が、カメラ230に組み込まれてもよい。さらに別の例では、ウオジラミ検出器250の機能が、カメラ230によって実行されてもよく、その後、カメラ230が、監視サーバ240に結果を提供してもよい。
【0048】
別の例では、魚特徴抽出器252および魚記録エンジン254のいくつかの機能を組み合わせてもよい。例えば、監視サーバ240は、その魚の特性に基づいて特定の魚の識別を生成するようにトレーニングすることができる機械学習モデルを含んでもよい。後の時点で、機械学習モデルは以前に認識した特定の魚を再特定することができる。機械学習モデルは、撮像された画像から生成されたばかりの特定の魚の識別が、特定の魚の既存の記録に記憶されている識別と一致していると判定することに基づいて、特定の魚を再特定してもよい。
【0049】
例えば、サケなどの一部の魚は、固有かつ時間が経過しても識別可能であると考えられる斑点パターンを示す。元の斑点の大きさが大きくなり、新しい斑点がサケに発生する場合もあるが、元の斑点のパターンおよび方向は、サケが成長しても残る。このように、機械学習モデルは、いくつかの例を挙げれば、その固有の識別可能な斑点、縞、またはパターンを使用し、サケなどの特定の魚を識別する様々な手法を使用して、トレーニングすることができる。後の時点で、機械学習モデルは魚のクロッピングされた画像を受信し、魚の識別を表す埋め込みを生成することができる。機械学習モデルは、魚の斑点の識別、および魚に関連する他の特性に基づいて埋め込みを生成する。
【0050】
システム200は、単一のデバイスで実施されても、複数の装置に分散されてもよい。
【0051】
図3は、ウオジラミ削減のためのプロセス300を示している。簡潔に述べれば、さらに以下でより詳細に説明されるように、プロセス300は、基準魚の個体群の複数の観察結果を取得すること(310)と、経時的なウオジラミ寄生の程度を示す基準魚ごとの記録を生成すること(320)と、記録に基づいて、魚の予測される健康指標を決定するモデルをトレーニングすること(330)と、基準魚の個体群に存在しないサンプル魚の画像を取得すること(340)と、サンプル魚の画像に基づき、モデルを用いて、サンプル魚の予測される健康指標を決定すること(350)と、予測される健康指標に基づいてウオジラミ削減を選択的に開始すること(360)と、を含む。
【0052】
プロセス300は、基準魚(310)の個体群の複数の観察結果を取得することを含む。例えば、構造体210内の魚のそれぞれの複数の画像は、魚が稚魚から成魚に成長する間、18ヶ月の期間中にカメラ230によって撮像されてもよい。
【0053】
プロセス300は、経時的なウオジラミ寄生の程度を示す各基準魚の記録を生成すること(320)を含む。例えば、魚記録エンジン254は、構造体210内の魚のそれぞれについて単一の記録を生成してもよく、各記録は、構造体210内の他の魚から魚を一意に識別する視覚的特徴を示し、18ヶ月の期間にわたる魚のウオジラミ寄生の程度の表現を含む。
【0054】
各基準魚の記録を生成することは、基準魚の1つ以上の画像および基準魚の1つ以上の画像から抽出された基準魚の視覚的特徴から決定されるウオジラミ寄生の程度の表現を受信することと、視覚的特徴を有する魚について記録がすでに存在すると判定して、記録にその表現を追加することと、を含んでもよい。例えば、魚記録エンジン254は、基準魚の1つ以上の画像および基準魚の1つ以上の画像から抽出された基準魚の視覚的特徴から決定されるウオジラミ寄生の程度の表現を受信してもよく、その後、魚記録エンジン254は、視覚的特徴を有する魚の記録がすでに存在すると判定し、それに応じて、新しく受信した表現を追加することによって記録を更新してもよい。
【0055】
いくつかの実施態様では、各基準魚の記録は、基準魚に対してウオジラミ削減が行われたかどうかを示す。例えば、
図1に示されるように、記録130Aは、魚が軽度、次に中程度、次に重度の寄生を有し、その全期間中に治療されず、水揚げ時に不健康であったことを示してもよい。別の例では、
図1に示されるように、記録130Bは、魚が軽度、次に中程度、次に軽度の寄生を有し、中程度の寄生を有した後に治療されて、水揚げ時に健康であったことを示してもよい。
【0056】
プロセス300は、記録に基づいて、魚の予測される健康指標を決定するモデルをトレーニングすること(330)を含む。例えば、魚予測エンジン258は、基準魚の個体群のライフサイクルについてデータベース256からすべての魚の記録を受信し、次に、サンプル魚の予測される健康指標を決定するために機械学習モデルをトレーニングするトレーニングデータとして魚の記録を使用してもよい。
【0057】
プロセス300は、基準魚(340)の個体群に存在しないサンプル魚の画像を取得することを含む。例えば、魚予測エンジン258によって使用されるモデルがトレーニングされた後、稚魚が構造体120に追加されてもよく、カメラ230は、サンプル魚として稚魚の画像を撮像してもよい。
【0058】
プロセス300は、サンプル魚の画像に基づき、モデルを用いて、サンプル魚(350)の予測される健康指標を決定することを含む。例えば、魚予測エンジン258は、魚009の画像を受信し、モデルを用いて、魚009の不健康と予測される健康指標を決定してもよい。
【0059】
いくつかの実施態様では、サンプル魚の予測される健康指標を決定することは、画像に基づいてサンプル魚のウオジラミ寄生の程度を決定することと、モデルに、サンプル魚のウオジラミ寄生の程度の表現を提供することと、表現を提供することに応じて、モデルからサンプル魚の予測される健康指標を取得することと、を含む。例えば、ウオジラミ検出器250は、魚009の画像に基づいて中程度の寄生を判定し、魚予測エンジン258によって使用されるモデルに「中程度の寄生」のラベルを提供し、モデルから「予測される不健康」の出力を取得してもよい。
【0060】
いくつかの実施態様では、モデルに、サンプル魚のウオジラミ寄生の程度の表現を提供することは、サンプル魚の視覚的特徴を抽出することと、視覚的特徴に基づいてサンプル魚の以前の観察結果の記録を特定することと、モデルに対して、以前の観察結果の表現とウオジラミ寄生の程度の表現との両方を提供することと、を含む。例えば、魚特徴抽出器252は、魚009の画像から特徴Iを抽出してもよく、魚記録エンジン254は、画像からの特徴Iが記録に記憶された特徴Iと同一であると判定することに基づいて、魚記録データベース256に記憶された魚009の記録を特定し、魚予測エンジン258に、特定された記録と「中程度の寄生」の表現との両方を提供してもよい。
【0061】
プロセス300は、予測される健康指標(360)に基づいてウオジラミ削減を選択的に開始することを含む。例えば、治療コントローラ260は、不健康と予測される健康指標を受信し、それに応じて、ウオジラミ削減を開始してもよい。別の例では、治療コントローラ260は、健康と予測される健康指標を受信し、それに応じて、ウオジラミ削減を開始しなくてもよい。
【0062】
いくつかの実施態様では、予測される健康指標に基づいてウオジラミ削減を選択的に開始することは、ウオジラミ治療装置に、ウオジラミに関しサンプル魚を治療するための指示を提供することを含む。例えば、治療コントローラ260は、ウオジラミ削減装置232に「ウオジラミを削減する」という指示を提供してもよい。
【0063】
いくつかの実施態様では、予測される健康指標に基づいてウオジラミ削減を選択的に開始することは、予測される健康指標が削減基準を満たすことを判定することと、予測される健康指標が削減基準を満たすことを判定することに応答して、ウオジラミ削減を開始することと、を含む。例えば、治療コントローラ260は、予測される健康指標が不健康であると判定し、それに応じて、ウオジラミ削減を開始することを決定してもよい。別の例では、治療コントローラ260は、予測される健康指標が不健康であり、魚予測エンジン258からの信頼度が75%、85%、90%、または他のある量を超えていると判断し、それに応じて、ウオジラミ削減を開始することを決定してもよい。
【0064】
いくつかの実施態様では、予測される健康指標に基づいてウオジラミ削減を選択的に開始することは、予測される健康指標が削減基準を満たさないと判定することと、予測される健康指標が削減基準を満たさないと判定することに応答して、ウオジラミ削減を開始しないことと、を含む。例えば、治療コントローラ260は、予測される健康指標が健康であると決定し、それに応じて、ウオジラミ削減を開始しないことを決定することができる。別の例では、治療コントローラ260は、予測される健康指標が不健康であり、魚予測エンジン258からの信頼度が75%、85%、90%、または他のある量未満であると判断し、それに応じて、ウオジラミ削減を開始しないことを決定してもよい。
【0065】
いくつかの実施態様では、各基準魚の記録は、一定期間にわたる基準魚の年齢、重量、または大きさうちの1つ以上を示し、サンプル魚の予測される健康指標を決定することは、別の期間にわたるサンプル魚の年齢、重量、または大きさのうちの1つ以上に基づく。例えば、魚予測エンジン258によって使用されるモデルは、基準魚のウオジラミ寄生の程度、年齢、重量、および大きさについてトレーニングされてもよく、その後、魚予測エンジン258は、サンプル魚のウオジラミ寄生の程度、年齢、重量、および大きさに基づいてサンプル魚の予測される健康指標を決定してもよい。
【0066】
いくつかの実施態様では、各基準魚の記録は、複数の観察結果が作成された環境の状態を示し、サンプル魚の予測される健康指標を決定することは、複数の観察結果が作成された環境の状態に基づく。例えば、魚予測エンジン258によって使用されるモデルは、観察中に基準魚の位置、水温、または深さについてトレーニングされてもよく、その後、魚予測エンジン258は、基準魚の位置、水温、または深さに基づいてサンプル魚の予測される健康指標を決定してもよい。
【0067】
いくつかの実施態様では、複数の観察結果から、一定期間にわたる基準魚のウオジラミ寄生の程度を示す各基準魚の記録を生成することは、複数の観察結果に基づいて基準魚のウオジラミをカウントすることと、基準魚のウオジラミの総数を記録に記憶することと、を含む。例えば、ウオジラミ検出器250は、サンプル画像に示されるように、魚上に5匹のウオジラミがいることをカウントしてもよく、魚記録エンジン254は、魚の記録に5という数字を記憶してもよい。
【0068】
多数の実施態様が説明されてきた。それでもなお、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてもよいことが理解されよう。例えば、上記に示す様々な形式のフローを使用して、工程を並べ替えたり、追加したり、または削除してもよい。
【0069】
本明細書で説明された本発明の実施形態および機能的動作のすべては、デジタル電子回路内で、または本明細書に開示された構造およびそれらの構造上の均等物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェア内で、またはそれらのうちの1つ以上を組み合わせて実施することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラム製品、例えば、データ処理装置により実行するための、またはデータ処理装置の動作を制御するための、コンピュータ可読媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令のうちの1つ以上のモジュールとして、実施されてもよい。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶装置、機械可読記憶基板、メモリデバイス、機械可読伝播信号に作用する物質の組成物、またはこれらのうちの1つ以上の組み合わせであってもよい。「データ処理装置」という用語は、データを処理するためのすべての装置、デバイス、および機械を包含し、それらには、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータが含まれる。装置は、ハードウェアに加えて、当該のコンピュータプログラムのための実行環境を作り出すコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらのうちの1つ以上の組み合わせを構成するコードを含むことができる。伝播信号は、人工的に生成された信号、例えば、好適な受信機装置に伝送するための情報を符号化するように生成される、機械で生成された電気的、光学的、または電磁気的信号である。
【0070】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られている)は、コンパイル式またはインタープリット式言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で記述することが可能であり、独立型プログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境で使用するために好適な他のユニットとして含む任意の形式で配備することができる。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステム内のファイルに対応する必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部(例えば、マークアップ言語文書に記憶された1つ以上のスクリプト)、当該のプログラム専用の単一ファイル、または複数の調整ファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を記憶するファイル)に記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、または1つのサイトに配置された、もしくは複数のサイトに分散され通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で、実行されるように配備することができる。
【0071】
本明細書で説明されるプロセスおよびロジックフローは、入力データを処理して出力を生成することによって機能を実行するために、1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行されてもよい。プロセスおよびロジックフローはまた、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実行されてもよく、装置もまた、そのようなものとして実施されてもよい。
【0072】
コンピュータプログラムの実行のために好適なプロセッサは、例として、汎用および専用の両用マイクロプロセッサ、ならびに任意の種類のデジタルコンピュータのうちの任意の1つ以上のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリもしくはランダムアクセスメモリ、またはその両方から命令およびデータを受信することになる。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサ、ならびに命令およびデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスである。一般に、コンピュータはまた、データを記憶するための1つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、もしくは光ディスクを含むか、または大容量記憶装置からデータを受信、もしくはデータを転送、もしくはその両方を行うように動作可能に結合される。しかしながら、コンピュータはこのようなデバイスを有する必要はない。さらに、コンピュータは、別のデバイス、例えば、ごく一部ながら例を挙げると、タブレットコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオプレーヤ、全地球測位システム(GPS)受信機に組み込まれてもよい。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するための好適なコンピュータ可読媒体は、すべての形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスを含み、例としては、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス)、磁気ディスク(例えば、内蔵ハードディスクまたは取り外し可能ディスク)、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMディスクおよびDVD-ROMディスクを含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補足されても、または専用論理回路に組み込まれてもよい。
【0073】
ユーザとの対話を提供するために、本発明の実施形態は、コンピュータ上で実施されてもよく、当該コンピュータは、ユーザに情報を表示するための表示装置、例えば、CRT(陰極線管)もしくはLCD(液晶ディスプレイ)モニタ、ならびにユーザがコンピュータに入力を提供できるキーボードおよびポインティングデバイス(例えば、マウスまたはトラックボール)を有する。他の種類の装置を利用して、ユーザとの対話を提供することもでき、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚的フィードバック(例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、または触覚的フィードバック)であってもよく、ユーザからの入力は、音響、音声、または触覚入力を含む任意の形態で受信することができる。
【0074】
本発明の実施形態は、バックエンドコンポーネント(例えば、データサーバとして)を含むか、またはミドルウェアコンポーネント(例えば、アプリケーションサーバ)を含むか、またはフロントエンドコンポーネント(例えば、ユーザが本発明の実施態様と対話することができるグラフィカルユーザインターフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)を含む、コンピューティングシステム、または1つ以上のそのようなバックエンド、ミドルウェア、またはフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせで実施されてもよい。システムのコンポーネントは、デジタルデータ通信の任意の形式または媒体、例えば、通信ネットワークによって相互接続されてもよい。通信ネットワークとしては、例えば、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)およびワイドエリアネットワーク(「WAN」)(例えば、インターネット)が挙げられる。
【0075】
コンピューティングシステムは、クライアントとサーバとを含むことができる。クライアントとサーバとは、一般に、互いに離れており、典型的には通信ネットワークを介して相互作用する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータで実行され、かつ互いにクライアント-サーバ関係を有している、コンピュータプログラムによって生じる。
【0076】
本明細書は、多くの特定例を含んでいるが、これらは、本発明の、または請求され得る事項の範囲に限定したものとして解釈されるべきではなく、むしろ本発明の特定の実施形態に対して特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別々の実施形態の文脈で本明細書に記載された特定の特徴を、単一の実施形態で組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で本明細書に記載された様々な特徴を、複数の実施形態で別々に、または任意の好適な副次的組み合わせで実施することもできる。また、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上述され、および当初はそのように特許請求されてもよいが、場合によっては、特許請求された組み合わせからの1つ以上の特徴を、その組み合わせから削除することができ、特許請求された組み合わせは、副次的組み合わせまたは副次的組み合わせの変形例を対象とすることができる。
【0077】
同様に、動作が特定の順序で図面に描写されているが、これは、所望の結果を達成するために、かかる動作がその示された特定の順序、もしくは一連の順序で実行されるべきであること、または図示されたすべての動作が実行されるべきであることを要求するものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスクおよび並列処理が有利な場合がある。さらに、上述した実施形態における様々なシステムコンポーネントの分離は、すべての実施形態においてこのような分離を必要とするものと理解されるべきではなく、記載されたプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品にまとめて一体化することができるか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化することができる。
【0078】
HTMLファイルが言及されている各例では、他のファイル種類またはフォーマットが代用されてもよい。例えば、HTMLファイルは、XML、JSON、プレーンテキスト、または他の種類のファイルに置き換えられてもよい。さらに、テーブルまたはハッシュテーブルが言及されている場合、他のデータ構造(スプレッドシート、リレーショナルデータベース、または構造化ファイルなど)が使用されてもよい。
【0079】
本発明の特定の実施形態が説明された。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内に存在する。例えば、特許請求の範囲に記載されたステップは、異なる順序で実行されてもよく、なお望ましい結果を達成することができる。
【国際調査報告】