(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】CTLA4阻害剤及びIL-17B阻害剤に基づく複合療法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20230405BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230405BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230405BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230405BHJP
A61P 31/06 20060101ALI20230405BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20230405BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230405BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20230405BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P31/00
A61P35/00
A61P31/12
A61P31/06
A61P31/18
A61P31/14
A61P31/20
A61K39/395 N
A61K39/395 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543123
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(85)【翻訳文提出日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2021054744
(87)【国際公開番号】W WO2021170750
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514264651
【氏名又は名称】オレガ・バイオテック
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー・ボンヌフォア
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・バスティド
(72)【発明者】
【氏名】アルマン・ベンスッサン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4C084AA20
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZB311
4C084ZB312
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZB381
4C084ZB382
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB17
(57)【要約】
本発明は、特に抗CTLA4療法に対して耐性である患者及び疾患の処置のための、CTLA4阻害剤及びIL-17B阻害剤の組合せに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CTLA4阻害剤と、IL-17B阻害剤とを含む組成物。
【請求項2】
前記CTLA4阻害剤が、IL-17B阻害剤を含まない組成物におけるCTLA4阻害剤の量よりも少ない量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
治療における、有利には癌又は感染性疾患の処置における使用のための、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
CTLA4阻害剤で処置された対象における癌又は感染性疾患の処置における使用のための、IL-17B阻害剤を含む組成物。
【請求項5】
前記処置が、前記対象の、前記CTLA4阻害剤に対する感受性を高めるためのものである、請求項4に記載のその使用のための組成物。
【請求項6】
前記対象が、前記CTLA4阻害剤による前記処置に対して耐性である、請求項4又は5に記載のその使用のための組成物。
【請求項7】
前記感染性疾患が、重症敗血症、敗血症性ショック、ウイルス感染、特にヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルス、肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス又はエプスタイン・バーウイルスに起因する感染、ムコール症等の真菌感染、マラリア等の蚊媒介性感染性疾患、及び結核等の細菌感染からなる群から選択される、請求項3から6のいずれか一項に記載のその使用のための組成物。
【請求項8】
前記感染性疾患が、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルス、肝炎、特にHBV、及びマラリアからなる群から選択される、請求項7に記載のその使用のための組成物。
【請求項9】
前記癌が、CTLA4阻害剤に対して耐性である、請求項3から6のいずれか一項に記載のその使用のための組成物。
【請求項10】
前記癌が、黒色腫、特に切除不能な黒色腫又は転移性黒色腫、腎細胞癌、結腸直腸癌、特に結腸癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、食道癌、乳癌、肝細胞癌、甲状腺癌、膵癌、卵巣癌、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、神経膠芽腫、肉腫、軟部組織肉腫、上咽頭癌、中皮腫、頭頸部癌、前立腺癌及び消化器癌からなる群から選択される、請求項3から6及び9のいずれか一項に記載のその使用のための組成物。
【請求項11】
前記CTLA4阻害剤が、CTLA4又はB7-1又はB7-2の阻害剤、好適には抗CTLA4抗体である、請求項1又は2に記載の組成物或いは請求項3から10のいずれか一項に記載のその使用のための組成物。
【請求項12】
前記CTLA4阻害剤が、イピリムマブ又はトレメリムマブである、請求項11に記載の組成物又は請求項11に記載のその使用のための組成物。
【請求項13】
前記IL-17B阻害剤が、IL-17Bに対して誘導される抗体又はIL-17Bの受容体(IL-17RB)に対して誘導される抗体、好適にはIL-17Bに対して誘導される抗体である、請求項1、2、11若しくは12に記載の組成物又は請求項3から12のいずれか一項に記載のその使用のための組成物。
【請求項14】
前記CTLA4又はIL-17B阻害剤が、CTLA4又はIL-17B発現の阻害剤、有利には、siRNA又はアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1若しくは2に記載の組成物又は請求項3から10のいずれか一項に記載のその使用のための組成物。
【請求項15】
治療における、有利には癌若しくは感染性疾患の処置における同時使用、別々の使用又は逐次使用のための複合製剤としての、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CTLA4阻害剤及びIL-17B阻害剤に基づく複合療法に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫チェックポイントは、免疫系の調節因子である。これらの経路は、自己寛容にとって極めて重要であり、自己寛容は、免疫系が細胞を見境なく攻撃するのを防ぐ。
【0003】
癌及び持続感染の慢性化は、抗原反応性T細胞への一定の抗原曝露をもたらし、細胞疲弊及びエフェクター機能の停止を引き起こす。抗原特異的T細胞上でのプログラム細胞死タンパク質1(PD1/PD-1/CD279)及び細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4/CTLA4/CTLA-4/CD152)等の細胞表面結合性分子の発現は、免疫原性刺激に対する曝露のマーカーである。PD1及びCTLA4は、T細胞応答の規模をダウンレギュレートする際のそれらの極めて重要な役割に起因して、免疫チェックポイントとみなす。臨床的に適切な他の免疫チェックポイント分子は、その公称リガンドガレクチン9を伴う、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有3(TIM3/TIM-3)、及び程度は劣るが、CD4受容体よりも高い親和性で主要組織適合複合体(MHC)クラスII分子に結合するリンパ球活性化遺伝子3(LAG3/LAG-3/CD223)である。
【0004】
抗原特異的なT細胞上で発現されるCTLA-4は、T細胞活性化の必須モジュレーターである。抗原提示細胞(APC)の表面上の主要組織適合性複合体(MHC)に結合するT細胞受容体(TCR)は、T細胞活性化に対して特異性を提供するが、更なる共刺激シグナルが必要とされる。APC上のB7-1(CD80)又はB7-2(CD86)分子と、T細胞上のCD28分子との結合は、T細胞の増殖と関連付けられるT細胞内のシグナル伝達、T細胞生存の増加、及びインターロイキン-2(IL-2)等の増殖サイトカインの産生による分化を引き起こす。CTLA-4は、B7分子に対してはるかに高い結合親和性を有するCD28ホモログである。CD28とは異なり、CTLA-4の、B7への結合は、刺激シグナルを産生しないが、CD28:B7及びTCR:MHC結合由来の刺激シグナルに対抗する抑制シグナルを産生する。そのような抑制シグナルに関して提唱されるメカニズムとして、TCR免疫シナプスでの直接的な阻害、CD28の阻害若しくはそのシグナル伝達経路、又はAPCと相互作用する能力の減少をもたらすT細胞の移動度の増加が挙げられる(概説に関して、Collins等、Immunity (2002年)、17(2):201~10頁、Egen等、Nat Immunol.(2002年)、3(7):611~8頁を参照)。自己反応性T細胞の放出をもたらすCTLA-4ノックアウトマウスにおける致死性自己免疫は、CTLA-4がT細胞応答の極めて重要な負のレギュレーターであることを説明する(Tivol等、Immunity(1995年)、3(5):541~7頁、Waterhouse等、Science(1995年)、270(5238):985~8頁、Ise等、Nat Immunol.(2010年)、11(2):129~35頁)。
【0005】
CTLA-4自体が、特に細胞内の局在化によって調節を受ける。静止ナイーブT細胞CTLA-4は、主に細胞内区画に位置づけられる。TCR及びCD28:B7結合の両方に起因する刺激シグナルは、CTLA-4含有ベシクルのエキソサイトーシスによって細胞表面上のCTLA-4のアップレギュレートを誘導する。
【0006】
エフェクターT細胞とは異なり、制御性T細胞(Treg)は、CTLA-4を構成的に発現し、このことは、それらの抑制機能にとって重要であると考えられる。動物モデルでは、Tregにおける遺伝的なCTLA-4欠損は、それらの抑制機能を損ねた(Takahashi T等、J Exp Med(2000年)、192(2):303~10頁)。
【0007】
例えば腫瘍内の免疫抑制性微小環境の発達及び維持を助長する因子をターゲティングすることによって、免疫療法は、宿主自体の免疫系に対するブレーキを解放して、場合によっては疾患を治癒することができる。
【0008】
最初に、マウスモデルにより、抗CTLA-4抗体処置が腫瘍退縮をもたらすことが実証された(Leach等、Science(1996年)、271(5256):1734~6頁)。動物モデルにおけるCTLA-4遮断の有効性に基づいて、抗CTLA-4抗体を臨床用途用に開発した。
【0009】
実際に、CTLA4をターゲティングする第1のチェックポイント阻害剤(Cpi)が開発されている:完全ヒト化モノクローナル抗体抗CTLA4であるイピリムマブ(YERVOY(登録商標))。イピリムマブによる抗CTLA-4遮断は、無作為化設定で進行性黒色腫を患う患者において全生存を延長させるための第1の処置であった(Hodi等、N Engl J Med(2010年)、363(8):711~23頁;Robert等、N Engl J Med(2011年)、364(26):2517~26頁)。幾つかのフェーズII及びフェーズIII治験にわたってプールされた長期生存データの分析により、生存曲線が、約3年で定常に達し始め、3年生存率は、十分な追跡調査により全ての患者において、処置を受けていない患者において、及びこれまでに処置された患者において、それぞれ22%、26%、及び20%であることが示された(Schadendorf等、J clin Oncol(2015年)、33(17):1889~94頁)。その生存利益と一致して、CTLA-4遮断は、処置した患者の比率において永続的な応答と関連付けられ、応答によっては、3年を超えて続くと報告されるものもある(Hodi等、N Engl J Med(2010年)、363(8):711~23頁;Farolfi等、Melanoma Res(2012年)、22(3):263~70頁)。それにもかかわらず、腫瘍制御における有益性とともに、これらの治験は、患者の60%~65%に発生する幅広い免疫関連有害事象(irAE)を実証している。irEAは、最も一般的に皮膚、胃腸(GI)管、肝臓及び内分泌器官に影響を及ぼす(概説に関して、Boutros等、Nat Rev Clin Oncol.(2016年)、13(8):473~86頁を参照)。
【0010】
イピリムマブ(YERVOY(登録商標))は、黒色腫、特に切除不能な黒色腫又は転移性黒色腫の処置に関して欧州及び米国で認可されている。更に、またより良好な効率のために、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))は、黒色腫、腎細胞癌(RCC)及び結腸直腸癌(CRC)を処置するためにニボルマブ(Opdivo(登録商標))と併用することができる。
【0011】
トレメリムマブ(以前は、チシリムマブ、CP-675,206)は、CTLA-4、即ち免疫チェックポイント阻害薬に対する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体である。トレメリムマブは、以前はPfizer社で開発中であり、今はMedImmune社によって研究中である。トレメリムマブは、各種癌の処置のためのヒト治験を受けているが、いまだ認可を獲得していない。
【0012】
開発中の他の抗CTLA4抗体として、例えば、Fc操作組換えヒトIgG1抗CTLA-4モノクローナル抗体AGEN1181、完全ヒトIgG1抗CTLA-4モノクローナル抗体ザリフレリマブ(AGEN1884)、ヒト化IgG1抗CTLA-4モノクローナル抗体ONC-392、抗CTLA-4モノクローナル抗体CS1002、完全ヒト抗CTLA-4モノクローナル抗体IBI-310、完全ヒトIgG1抗-CTLA-4モノクローナル抗体REGN4659が挙げられる。目的の他の抗体として、AK104、PD-1及びCTLA-4二重特異性抗体又はBCD-217抗CTLA-4及び抗PD-1モノクローナル抗体の組合せが挙げられる。
【0013】
更に、慢性感染におけるT細胞疲弊の現象が、癌において観察されるものと類似しているため、同じ戦略が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、肝炎(HBV)及びマラリア等の慢性感染性疾患に適用されている(概説に関して、Wykes等、Nat Rev Immunol.(2018年)、18(2):91~104頁を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第00/37504号
【特許文献2】国際公開第2006/029219号
【特許文献3】国際公開第2016/130898号
【特許文献4】国際公開第2018/156250号
【特許文献5】国際公開第2018/204303号
【特許文献6】中国特許第108640992号
【特許文献7】国際公開第2018/036472号
【特許文献8】中国特許第107384933号
【特許文献9】国際公開第2015/035606号
【特許文献10】中国特許第107043425号
【特許文献11】中国特許第106939050号
【特許文献12】中国特許第106749663号
【特許文献13】国際公開第2010/116123号
【特許文献14】国際公開第2011/044563号
【特許文献15】国際公開第2016/004045号
【特許文献16】米国特許第2009/0291097号
【特許文献17】欧州特許第404,097号
【特許文献18】国際公開第93/1 1 161号
【特許文献19】欧州特許第0 368 684号
【特許文献20】国際公開第06/030220号
【特許文献21】国際公開第06/003388号
【特許文献22】米国特許第4,816,567号
【特許文献23】米国特許第5,225,539号
【特許文献24】米国特許第5,585,089号
【特許文献25】米国特許第5,693,761号
【特許文献26】米国特許第5,693,762号
【特許文献27】米国特許第5,859,205号
【特許文献28】米国特許第5,591,669号
【特許文献29】米国特許第5,598,369号
【特許文献30】米国特許第5,545,806号
【特許文献31】米国特許第5,545,807号
【特許文献32】米国特許第6,150,584号
【特許文献33】米国特許第5,565,332号
【特許文献34】米国特許第5,573,905号
【特許文献35】米国特許第5,229,275号
【特許文献36】米国特許第5,567,610号
【特許文献37】米国特許第6,566,135号
【特許文献38】米国特許第6,566,131号
【特許文献39】米国特許第6,365,354号
【特許文献40】米国特許第6,410,323号
【特許文献41】米国特許第6,107,091号
【特許文献42】米国特許第6,046,321号
【特許文献43】米国特許第5,981,732号
【特許文献44】国際公開第2014/001368号
【特許文献45】国際公開第2017/194554号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Collins等、Immunity (2002年)、17(2):201~10頁、Egen等、Nat Immunol.(2002年)、3(7):611~8頁
【非特許文献2】Tivol等、Immunity(1995年)、3(5):541~7頁
【非特許文献3】Waterhouse等、Science(1995年)、270(5238):985~8頁
【非特許文献4】Ise等、Nat Immunol.(2010年)、11(2):129~35頁
【非特許文献5】Takahashi T等、J Exp Med(2000年)、192(2):303~10頁
【非特許文献6】Leach等、Science(1996年)、271(5256):1734~6頁
【非特許文献7】Hodi等、N Engl J Med(2010年)、363(8):711~23頁
【非特許文献8】Robert等、N Engl J Med(2011年)、364(26):2517~26頁
【非特許文献9】Schadendorf等、J clin Oncol(2015年)、33(17):1889~94頁
【非特許文献10】Farolfi等、Melanoma Res(2012年)、22(3):263~70頁
【非特許文献11】Boutros等、Nat Rev Clin Oncol.(2016年)、13(8):473~86頁
【非特許文献12】Wykes等、Nat Rev Immunol.(2018年)、18(2):91~104頁
【非特許文献13】Gaffen,S.L.(2009年)Nature reviews.Immunology 9(8):556~567頁
【非特許文献14】Ward等(Nature 1989年10月12日;341(6242):544~6頁)
【非特許文献15】Holt等、Trends Biotechnol.、2003年、21(11):484~490頁
【非特許文献16】Kabat等(1991年)Sequences of Protein of Immunological Interest、第5版
【非特許文献17】GOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS(第7版)、(1985年)、1277~1280頁
【非特許文献18】GOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS(第7版)、(1985年)、1280~1281頁
【非特許文献19】GOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS(第7版)、(1985年)、1283~1285頁
【非特許文献20】GOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS(第7版)、(1985年)、1281~1283頁
【非特許文献21】GOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS(第7版)、(1985年)、1287~1288頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、抗CTLA-4ベースの治療法の限られた有効性及びチェックポイント阻害剤の既知の毒性を考慮すると、上記種類の疾患を処置するためのより効率的な戦略を開発することは、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、例えば、癌又は感染性疾患の処置のための複合療法に関する。特に、本発明は、特許請求の範囲によって規定される。
【0018】
細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4/CTLA4/CTLA-4/CD152)は、各種癌に対する考え得る治療標的である。しかしながら、腫瘍によっては、抗CTLA4に不応性であるものもある。本出願では、本発明者等は、CTLA4免疫チェックポイントと、IL-17Bとの間の関連性を明らかにしている。本発明者等は、CTLA4及びIL-17Bの同時阻害が、種々のタイプの癌に対して効率的であることを見出した。まとめると、データにより、抗-CTLA4治療法に対する耐性に関してIL-17Bの重要性を示す第1の証拠が明らかとなり、CTLA4免疫チェックポイントを含む疾患と闘うための新規治療戦略として、抗-CTLA4と組み合わせたIL-17Bの阻止が示唆されている。
【0019】
したがって、本発明の第1の目的は、CTLA4阻害剤と、IL-17B阻害剤とを含む組成物に関する。
【0020】
特定の実施形態によれば、本明細書中の本発明による組成物は、IL-17B阻害剤を含まない組成物におけるCTLA4阻害剤の量よりも少ないCTLA4阻害剤の量を有する。
【0021】
別の態様によれば、本発明は、以下で詳述するように、治療における、有利には癌又は感染性疾患の処置のための、かかる組成物の使用に関する。
【0022】
第2の態様によれば、また有利には、癌又は感染性疾患の処置に関して、本発明は、CTLA4阻害剤で処置された対象の管理における使用のための、IL-17B阻害剤を含む組成物に関する。特定の実施形態によれば、対象は、CTLA4阻害剤による処置に対して耐性である。換言すると、本発明はまた、対象の、CTLA4阻害剤に対する感受性を高めることにおける使用のための、IL-17B阻害剤を含む組成物に関する。
【0023】
本明細書中で使用する場合、「CTLA4阻害剤に対する耐性」という表現は、下記の事実を指し得る:
- 所与の疾患を有する患者の大部分が、これらの処置(CTLA4阻害剤)に応答せず、及び/又は乏しい予後を有すること。その場合、疾患は、抗-CTLA4処置に対して包括的に耐性であるとみなされる一方で、他の疾患は、上記処置に対して感受性である。例として、或る特定のタイプの癌は、CTLA4阻害剤に対して、他のものよりも耐性であることが知られている;及び/又は
- 疾患が、抗-CTLA4処置に対して感受性であることが包括的に知られていたとしても、上記疾患を有する所与の患者は、抗-CTLA4療法に対して耐性である可能性があること。この表現は、上記治療法に対する一次耐性並びに上記で規定されるような上記治療法に対する獲得耐性を網羅する。別の実施形態によれば、耐性である患者は、抗CTLA4処置後の超進行性疾患(HPD)を有する患者、即ち、CTLA4阻害剤による処置時の加速的疾患を有する患者であり得る。
【0024】
本発明の更なる態様は、処置レジメンの一部として患者に投与されるCTLA4阻害剤の効力を高める方法であって、対象に、CTLA4阻害剤と組み合わせて、薬学的に有効な量のIL-17B阻害剤を投与する工程を含む方法に関する。換言すると、本発明は、対象において、CTLA4阻害剤による処置の有効性を高めることにおける使用のための、IL-17B阻害剤を含む組成物に関する。本発明は更に、処置を必要とする患者を処置する方法であって、患者に、CTLA4阻害剤と、IL-17B阻害剤との治療上有効な組合せを投与する工程を含む方法に関し、ここで、組合せの投与が、CTLA4阻害剤単独の投与に対して、高められた治療有効性をもたらす。
【0025】
本明細書中で使用する場合、「CTLA4阻害剤の効力又は有効性を高めること」という表現は、CTLA4阻害剤の、疾患の進行を阻害して、続いて治療成果を改善する能力を増す、IL-17B阻害剤の能力を指す。
【0026】
本発明の枠組みでは、処置は、有利には、CTLA4免疫チェックポイントを含む疾患に専心している。文献でこれまで報告されているように、上記疾患は、有利には、癌及び感染性疾患、特に慢性感染からなる群から選択される。感染性疾患は、有利には、下記の群:重症敗血症、敗血症性ショック、ウイルス感染、特にヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、肝炎ウイルス、特にB型肝炎ウイルス(HBV)及びC型肝炎ウイルス(HCV)、サイトメガロウイルス又はエプスタイン・バーウイルスによる感染、ムコール症、マラリア等の蚊媒介性感染症等の真菌感染、及び結核(TB)等の細菌感染から選択される。
【0027】
本明細書中で使用する場合、また癌に関して説明される場合、「高められた治療有効性」という表現は、癌細胞若しくは固形腫瘍の成長の緩徐化又は減少、或いは癌細胞の総数若しくは総腫瘍負荷の低減を指す。したがって、「改善された治療成果」又は「高められた治療有効性」は、例えば、減少した腫瘍サイズ、遅延した腫瘍進行、増加された無増悪生存率、増加された生存期間全体、平均余命の増加、又は生活の質の改善を含む、任意の臨床上許容可能な判断基準に従う、患者の状態の改善がみられることを意味する。特に、「改善された」又は「高められた」は、治療成果又は有効性の任意の臨床上許容可能な指標の1%、5%、10%、25、50%、75%、100%、若しくは100%を上回る改善又は増強を指す。本明細書中で使用する場合、「に関する」という表現は、CTLA4阻害剤と、IL-17B阻害剤とを含む複合組成物の活性及び/又は有効性を、CTLA4阻害剤単独の活性及び/又は有効性と比較する状況で使用される場合に、当業者に従って比較可能であることが知られている量を使用した比較を指す。
【0028】
本明細書中で使用する場合、「癌」は、当該技術分野におけるその一般的な意味を有し、固形腫瘍及び血液媒介性腫瘍を包含するが、これらに限定されない。癌という用語は、皮膚、組織、臓器、骨、軟骨、血液及び血管の疾患を包含する。「癌」という用語は、原発性癌及び転移性癌の両方を更に包含する。本発明の方法及び組成物によって処置され得る癌の例として、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、胸部、結腸、食道、胃腸管、歯肉、頭部、腎臓、肝臓、肺、上咽頭、頸部、卵巣、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌、又は子宮由来の癌細胞が挙げられるが、癌はこれらに限定されない。更に、癌は、具体的には、下記の組織型を有し得るが、癌はこれらに限定されない:悪性腫瘍;カルシノーマ;未分化癌;巨細胞紡錘細胞癌;小細胞癌;乳頭癌;扁平上皮癌;リンパ上皮癌;基底細胞癌;石灰化上皮癌(pilomatrix carcinoma);移行上皮癌;乳頭移行上皮癌;腺癌;悪性ガストリノーマ;胆管癌;肝細胞癌;複合型肝細胞癌及び胆管細胞癌;索状腺癌;腺様嚢胞癌;腺腫性ポリープ中の腺癌;家族性ポリポーシス腺癌;固形癌;悪性カルチノイド腫瘍;細気管支肺胞性腺癌(branchiolo-alveolar adenocarcinoma);乳頭腺癌;嫌色素性癌;好酸性癌;好酸性腺癌;好塩基性癌;明細胞腺癌;顆粒細胞癌;濾胞腺癌;乳頭及び濾胞腺癌;非被包性硬化性癌;副腎皮質癌;類内膜癌(endometroid carcinoma);皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳垢腺癌(ceruminous adenocarcinoma);粘表皮癌;嚢胞腺癌;乳頭嚢腺癌;乳頭漿液性腺癌;粘液性嚢胞腺癌;粘液性腺癌;印環細胞癌;浸潤性乳管癌;髄様癌;小葉癌;炎症性癌;乳房パジェット病;腺房細胞癌;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生を伴う腺癌;悪性胸腺腫;悪性卵巣間質腫;悪性莢膜細胞腫;悪性顆粒膜細胞腫;及び悪性神経芽細胞腫(roblastoma);セルトリ細胞腫;悪性ライディッヒ細胞腫;悪性脂質細胞腫瘍;悪性パラガングリオーマ;乳房外悪性パラガングリオーマ;褐色細胞腫;グロムス肉腫;悪性黒色腫;無色素性黒色腫;表在拡大型黒色腫;巨大色素性母斑の悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;悪性青色母斑;肉腫;線維肉腫;悪性線維性組織球腫;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胎児性横紋筋肉腫;胞巣状横紋筋肉腫;間質性肉腫;悪性混合腫瘍;ミュラー管混合腫瘍;腎芽腫;肝芽腫;癌肉腫;悪性間葉腫;悪性ブレンナー腫瘍;悪性葉状腫瘍;滑膜肉腫;悪性中皮腫;未分化胚細胞腫;胚性癌腫;悪性奇形腫;悪性卵巣甲状腺腫;絨毛癌;悪性中腎腫;血管肉腫;悪性血管内皮腫;カポジ肉腫;悪性血管外皮腫;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫;悪性軟骨芽細胞腫;間葉性軟骨肉腫;骨の巨細胞腫;ユーイング肉腫;悪性歯原性腫瘍;エナメル上皮歯牙肉腫;悪性エナメル上皮腫;エナメル上皮線維肉腫;悪性松果体腫;脊索腫;悪性グリオーマ;上衣腫;星状細胞腫;原形質性星状細胞腫;線維性星状細胞腫;星状芽細胞腫;神経膠芽腫;乏突起神経膠腫;乏突起神経膠芽細胞腫;原始神経外胚葉性腫瘍;小脳性肉腫;神経節芽細胞腫;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫;嗅神経原性腫瘍;悪性髄膜腫;神経線維肉腫;悪性神経鞘腫;悪性顆粒細胞腫;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキンリンパ腫;側肉芽腫(paragranuloma);小リンパ球性悪性リンパ腫;びまん性悪性大細胞型リンパ腫;悪性濾胞性リンパ腫;菌状息肉腫;他の特定の非ホジキンリンパ腫;悪性組織球増殖症;多発性骨髄腫;マスト細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞性白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞性白血病;骨髄性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;マスト細胞白血病;巨核芽球性白血病;骨髄肉腫;有毛細胞白血病。
【0029】
幾つかの実施形態では、本発明の方法及び組成物は、下記癌:黒色腫、特に切除不能な黒色腫又は転移性黒色腫;腎細胞癌(RCC);結腸直腸癌(CRC)、特に結腸癌、の処置に特に適している。本発明の枠組みで処置されるべき更なる癌として、小細胞肺癌(SLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、食道癌、乳癌、肝細胞癌(HCC)、甲状腺癌、膵癌、卵巣癌、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、神経膠芽腫、肉腫、軟部組織肉腫、上咽頭癌、中皮腫、頭頸部癌、前立腺癌、消化器癌が挙げられる。
【0030】
幾つかの実施形態では、本発明の方法及び組成物は、CTLA4阻害剤に耐性である疾患、特に癌の処置に特に適している。本明細書中で使用する場合、「耐性である」という用語は、疾患が、上記流行若しくは進行前に治癒したかどうかに関係なく、疾患の繰り返される流行、又は疾患の進行を指す。
【0031】
「抗腫瘍性耐性」は、腫瘍性(癌性)細胞の薬物耐性、又は抗癌療法にもかかわらず、癌細胞が、生存及び成長することができることを指す。抗腫瘍性療法の失敗には2つの一般的な原因が存在する:癌細胞の不均一性の概念に根差している、癌細胞にそれらの耐性を付与する遺伝的特性、及び薬物曝露後の獲得耐性等の固有特性。癌細胞は、変更された膜輸送、高められたDNA修復、アポトーシス経路の欠陥、標的分子の変更、酵素不活性化等のタンパク質及び経路メカニズムを含む、様々なメカニズムによって、薬物に対して耐性となり得る。癌は、遺伝性疾患であるため、2つのゲノム事象が、獲得薬物耐性のこれらのメカニズムの根底にある:ゲノム変更(例えば、遺伝子増幅及び欠失)及びエピジェネティック修飾(Housman等、Cancer、2014年、6、1769~1792頁)。
【0032】
本明細書中で使用する場合、「処置」又は「処置する」という用語は、疾患に罹患する危険性があるか、又は疾患に罹患していると疑われる患者、並びに病気であるか、又は疾患若しくは医学的状態を患うと診断された患者の処置を含む、予防的又は防止的処置並びに治癒的又は疾患修飾処置の両方を指し、臨床的再発の抑制を包含する。処置は、障害若しくは再発中の障害の1つ又は複数の症状を防止するために、それらを治癒するために、それらの発症を遅延させるために、それらの重篤性を低減させるために、又はそれらを回復するために、或いは、かかる処置の非存在下で予想される生存を超えて、患者の生存を延ばすために、医学的障害を有するか、又は最終的に障害を獲得し得る患者に施され得る。「治療レジメン」とは、病気の処置のパターン、例えば、治療法中に使用される投薬のパターンを意味する。治療レジメンは、誘導レジメン及び維持レジメンを包含し得る。「誘導レジメン」又は「誘導期間」という語句は、疾患の初期処置に使用される治療レジメン(又は治療レジメンの一部)を指す。誘導レジメンの一般的な目標は、処置レジメンの初期期間中に、高レベルの薬物を患者に提供することである。誘導レジメンは、医師が維持レジメン中に用いる用量よりも多い用量の薬物を投与すること、医師が維持レジメン中に薬物を投与するよりも高頻度で薬物を投与すること、又はその両方を包含し得る「負荷レジメン」を(部分的に又は全体的に)用い得る。「維持レジメン」又は「維持期間」という語句は、例えば、患者が長期間(数カ月又は数年)寛解した状態を保つように、病気の処置中に患者の維持に使用される治療レジメン(又は治療レジメンの一部)を指す。維持レジメンは、連続的な治療法(例えば、一定間隔で、例えば週に1回、月に1回、年に1回等、薬物を投与すること)又は間欠的な治療法(例えば、断続的な処置、間欠的な処置、再発時の処置、又は特定の既定の判断基準[例えば、疼痛、疾患所見等]の達成時の処置)を用い得る。
【0033】
本明細書中で使用する場合、「CTLA4」は、当該技術分野におけるその一般的な意味を有し、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4と称される。本明細書中で使用する場合、「細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4」、「細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4」、「CTLA4」、「CTLA-4」、及び「CD152」は交換可能に使用される。「CTLA4リガンド」は、CTLA4に結合し、及び/又はCTLA4を活性化するポリペプチド、特にB7-1(CD80とも称される)又はB7-2(CD86とも称される)を意味する。
【0034】
本明細書中で使用する場合、「CTLA4阻害剤」という用語は、CTLA4活性化又は機能を妨害する作用物質を指す。CTLA4阻害剤の例として、CTLA4抗体(例えば、抗CTLA4、抗B7-1又は抗B7-2抗体);CTLA4-Ig、CD80-Ig、CD86-Ig;有機分子アンタゴニスト;及び/又はCTLA4に結合するか、若しくはCTLA4の機能を妨害する作用物質が挙げられる。通常、CTLA4阻害剤は、CTLA4受容体に、又はそのリガンドB7-1若しくはB7-2に結合する抗体又は小有機分子である。
【0035】
幾つかの実施形態では、CTLA4阻害剤は、小有機分子である。本明細書中で使用する場合、「小有機分子」という用語は、医薬品において一般的に使用される有機分子に匹敵するサイズの分子を指す。この用語は、生物学的高分子(例えば、タンパク質、核酸等)を排除し、好ましい小有機分子は、最大2000Da、最も好ましくは最大約1000Daのサイズの範囲である。
【0036】
CTLA4抗体に関連する特許公開として、国際公開第00/37504号、国際公開第2006/029219号、国際公開第2016/130898号、及び国際公開第2018/156250号が挙げられる。
【0037】
CTLA4抗体の例として、治療法で、特に癌の治療法ですでに使用されているイピリムマブ(YERVOY(登録商標))、及びトレメリムマブ(以前は、チシリムマブ、CP-675,206)、並びに抗体AGEN1181、ザリフレリマブ(AGEN1884)、ONC-392、CS1002、IBI-310及びREGN4659が挙げられる。目的の他の抗体として、AK104、PD-1及びCTLA-4二重特異性抗体若しくはBCD-217、又は抗CTLA-4及び抗PD-1モノクローナル抗体の組合せが挙げられ得る。特定の実施形態によれば、CTLA4抗体は、PD1抗体と併用される。好ましい実施形態によれば、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))は、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))と併用される。
【0038】
インターロイキン17(IL-17)ファミリーは、6つのインターロイキン(IL-17A、IL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-17E及びIL-17F)及びそれらの受容体(IL-17RA、IL-17RB、IL-17RC、IL-17RD及びIL-17RE)を含む(Gaffen,S.L.(2009年)Nature reviews.Immunology 9(8):556~567頁)。IL-17Bは、二量体IL-17RB受容体を結合して、IL-17Eは、IL-17RA及びIL-17RBの複合体を結合する。
【0039】
本明細書中で使用する場合、「IL-17B」という用語は、当該技術分野におけるその一般的な意味を有し、ヒトIL-17B遺伝子の産物であるGenBank Acc番号NP_001304916.1又はNP_055258.1に従う配列を有するポリペプチドであり、IL-17Bの変異体、アイソフォーム又は種相同体全てを包含する。本明細書中で使用する場合、「IL-17Bシグナル伝達」という用語は、本明細書中で使用する場合、IL-17B又は細胞表面上のIL-17RB受容体と相互作用する第2のIL-17B受容体リガンドによって開始され、細胞機能の測定可能な変化をもたらすプロセスを意味する。通常、IL-17Bシグナル伝達は、例えば、細胞増殖若しくは分化に対するIL-17B受容体リガンドの効果を測定するか、又はレポーター遺伝子及びレポーター遺伝子構築物を使用する機能的アッセイによって評価され得る。
【0040】
本明細書中で使用する場合、「IL17RB」(IL-17RB、CRL4、EVI27、IL17RH1、又はMGC5245)という用語は、本明細書中で使用する場合、ヒトIL17RB受容体遺伝子の産物であるGenBank Acc番号NP061195に従うアミノ酸配列を有するポリペプチドである「インターロイキン17受容体B」を意味し、IL17RBの変異体、アイソフォーム及び種相同体全てを包含する。
【0041】
したがって、本明細書中で使用する場合、「IL-17B阻害剤」という用語は、IL-17Bシグナル伝達を阻害することが可能な任意の化合物を指す。本明細書中に記載される方法及び組成物において使用されるべきIL-17B阻害剤は、IL-17Bシグナル伝達によって媒介される下流経路を含む、IL-17Bサイトカインの生物活性を(著しく、を含む)阻止するか、抑制するか、又は低減する分子である。したがって、「IL-17B阻害剤」という用語は、生物作用の特定のメカニズムを一切含蓄せず、直接的であろうと、間接的であろうと、IL-17Bとの全ての考え得る薬理学的、生理学的、及び生化学的相互作用を明示的に含み、包含すると思われる。
【0042】
幾つかの実施形態では、IL-17B阻害剤は、IL-17Bに対して誘導される抗体及びIL-17Bの受容体に対して誘導される抗体(例えば、IL-17RBを特異的に結合する抗体又はそれによって形成される二量体複合体)からなる群から選択される。特定の実施形態によれば、IL-17RB阻害剤は、IL-17E阻害剤、例えば、IL-17Eを特異的に結合する抗体である。
【0043】
IL17B/IL17RB抗体に関連した特許公報として、国際公開第2010/116123号、国際公開第2011/044563号、国際公開第2016/004045号、米国特許第2009/0291097号が挙げられる。
【0044】
IL17B/IL17RB抗体、例えばマウスIL-17B抗体(AF1709;R&D Systems社)又はヒトIL-17RB抗体(MAB1207;R&D Systems社)は、市販されている。
【0045】
したがって、本明細書中で使用する場合、「抗体」という用語は、抗原結合領域を有する任意の抗体様分子を指すのに使用され、この用語は、Fab'、Fab、F(ab')2、単一ドメイン抗体(DAB)、TandAbs二量体、Fv、scFv(単鎖Fv)、dsFv、ds-scFv、Fd、直鎖状抗体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体断片、バイボディ、トリボディ(scFv-Fab融合体、それぞれ二重特異性又は三重特異性);sc-ダイアボディ;カッパ(ラムダ)ボディ(scFv-CL融合体);BiTE(二重特異性T細胞Engager、T細胞を誘引するためのscFv-scFvタンデム);DVD-Ig(二重可変ドメイン抗体、二重特異性フォーマット);SIP(小免疫タンパク質、ミニボディの一種);SMIP(「小モジュラー免疫医薬品」scFv-Fc二量体);DART(ds-安定化ダイアボディ「二重親和性リターゲティング」);1つ又は複数のCDRを含む小抗体ミメティック等の抗原結合ドメインを含む抗体断片を包含する。各種抗体ベースの構築物及び断片を、調製及び使用するための技法は、当該技術分野で周知されている(Kabat等、1991年を参照、具体的に参照により本明細書に援用される)。ダイアボディは特に、欧州特許第404,097号及び国際公開第93/1 1 161号に更に記載されている一方で、直鎖状抗体は、Zapata等(1995年)に更に記載されている。抗体は、従来の技法を使用して断片化させることができる。例えば、F(ab')2断片は、抗体をペプシンで処置することによって生成され得る。得られたF(ab')2断片は、ジスルフィド架橋を還元するように処置されて、Fab'断片を産生することができる。パパイン消化は、Fab断片の形成を引き起こし得る。Fab、Fab'及びF(ab')2、scFv、Fv、dsFv、Fd、dAbs、TandAbs、ds-scFv、二量体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体断片及び他の断片はまた、組換え技法によって合成され得るか、又は化学的に合成され得る。抗体断片を産生するための技法は、当該技術分野で周知及び記載されている。例えば、Beckman等、2006年;Holliger & Hudson、2005年;Le Gall等、2004年;Reff & Heard、2001年;Reiter等、1996年;及びYoung等、1995年はそれぞれ、有効な抗体断片の産生について更に記載しており、それを可能にしている。幾つかの実施形態では、本発明の抗体は、単鎖抗体である。本明細書中で使用する場合、「単一ドメイン抗体」という用語は、当該技術分野におけるその一般的な意味を有し、生まれながら軽鎖を欠如しているラクダ科(Camelid)の哺乳動物に見出され得るタイプの抗体の単一重鎖可変ドメインを指す。かかる単一ドメイン抗体はまた、「ナノボディ(登録商標)」である。(単一)ドメイン抗体の一般的な説明に関しては、上記で引用される従来技術、並びに欧州特許第0 368 684号、Ward等(Nature 1989年10月12日;341(6242):544~6頁)、Holt等、Trends Biotechnol.、2003年、21(11):484~490頁、及び国際公開第06/030220号、国際公開第06/003388号も参照されたい。
【0046】
幾つかの実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。本明細書中で使用する場合、「ヒト化」は、CDR領域の外側のアミノ酸の幾つか、大部分又は全てが、ヒト免疫グロブリン分子に由来する、相当するアミノ酸で置き換えられている抗体について記載する。ヒト化の方法として、米国特許第4,816,567号、同第5,225,539号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、同第5,859,205号に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されず、これらは、参照により本明細書に援用される。
【0047】
幾つかの実施形態では、抗体は、完全ヒト抗体である。完全ヒトモノクローナル抗体はまた、ヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖遺伝子座の大部分を遺伝子導入しているマウスを免疫化することによって調製され得る。例えば、米国特許第5,591,669号、同第5,598,369号、同第5,545,806号、同第5,545,807号、同第6,150,584号及びそれらに引用される参照文献を参照のこと。これらの内容は、参照により本明細書に援用される。これらの動物は、内因性(例えば、マウス)抗体の産生において機能的欠失が存在するように遺伝子改変されている。これらの動物の免疫化が、目的の抗原に対する完全ヒト抗体の産生をもたらすように、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部を含有するように動物は更に改変される。これらのマウス(例えば、XenoMouse(Abgenix社)、HuMAbマウス(Medarex/GenPharm社))の免疫化後、標準的なハイブリドーマ技術に従って、モノクローナル抗体が調製され得る。これらのモノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリンアミノ酸配列を有し、したがって、ヒトに投与された場合に、ヒト抗マウス抗体(KAMA)応答を誘発しない。ヒト抗体を産生するためのin vitroでの方法もまた存在する。これらとして、ファージディスプレイ技術(米国特許第5,565,332号及び同第5,573,905号)及びヒトB細胞のin vitroでの刺激(米国特許第5,229,275号及び同第5,567,610号)が挙げられる。これらの特許の内容は、参照により本明細書に援用される。
【0048】
幾つかの実施形態では、抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導するFc部分を含まない。「Fcドメイン」、「Fc部分」、及び「Fc領域」という用語は、例えば、ヒトガンマ重鎖の約アミノ酸(aa)230~約aa450の抗体重鎖又は抗体重鎖の他のタイプ(例えば、ヒト抗体に関するα、δ、ε及びμ)におけるその対応物配列、又はそれらの天然に存在するアロタイプのC末端断片を指す。別記されない限り、免疫グロブリンに関する一般に許容されるKabatアミノ酸ナンバリングが、本開示全体にわたって使用される(Kabat等(1991年)Sequences of Protein of Immunological Interest、第5版、アメリカ公衆衛生局、アメリカ国立衛生研究所、ベセスダ州、MDを参照)。幾つかの実施形態では、本発明の抗体は、FcgRIIIA(CD16)ポリペプチドに実質的に結合することが可能なFcドメインを含まない。幾つかの実施形態では、本発明の抗体は、Fcドメインを欠如する(例えば、CH2及び/又はCH3ドメインを欠如する)か、又はIgG2又はIgG4アイソタイプのFcドメインを含む。幾つかの実施形態では、本発明の抗体は、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2、Fv、ダイアボディ、単鎖抗体断片、又は多種の抗体断片を含む多重特異性抗体からなるか、又はそれらを含む。幾つかの実施形態では、本発明の抗体は、毒性部分に連結されない。幾つかの実施形態では、抗体が、変更されたC2q結合及び/又は低減若しくは消失された補体依存性細胞傷害(CDC)を有するように、アミノ酸残基から選択される1つ又は複数のアミノ酸は、異なるアミノ酸残基で置き換えられ得る。このアプローチは、米国特許第6,194,551号に更に詳細に記載される。
【0049】
更なる実施形態によれば、CTLA4及びIL-17Bに対する阻害活性は、単一分子、即ち、二重特異性阻害剤によって保有される。特定の実施形態によれば、かかる阻害剤は、CTLA4に結合する第1の抗原結合性ドメインと、IL-17B又はIL-17RB又はIL-17Eに結合する第2の抗原結合性ドメインとを含む二重特異性抗体である。
【0050】
幾つかの実施形態では、CTLA4又はIL-17B阻害剤は、CTLA4、B7-1、B7-2、IL-17B又はIL-17RB発現の阻害剤である。「発現の阻害剤」は、遺伝子の発現を阻害する生物効果を有する天然又は合成化合物を指す。本発明の好ましい実施形態では、遺伝子発現の上記阻害剤は、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はリボザイムである。例えば、アンチセンスRNA分子及びアンチセンスDNA分子を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、CTLA4又はIL-17B mRNAに結合すること、したがって、タンパク質翻訳を防止すること、又はmRNA分解を増加させることによって、CTLA4又はIL-17B mRNAの翻訳を直接阻止して、したがって、細胞におけるCTLA4又はIL-17Bのレベル、したがって活性を減少させる。例えば、少なくとも約15個の塩基を有し、CTLA4又はIL-17BをコードするmRNA転写物配列の特有の領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、従来のホスホジエステル技法によって合成され得る。その配列が既知である遺伝子の遺伝子発現を特異的に阻害するのにアンチセンス技法を使用する方法は、当該技術分野で周知されている(例えば、米国特許第6,566,135号、同第6,566,131号、同第6,365,354号、同第6,410,323号、同第6,107,091号、同第6,046,321号、及び同第5,981,732号を参照)。小阻害性RNA(siRNA)もまた、本発明における使用のための発現の阻害剤として機能し得る。CTLA4又はIL-17B遺伝子発現が、特異的に阻害されるように、CTLA4又はIL-17B遺伝子発現は、患者又は細胞を、小二重鎖RNA(dsRNA)、又は小二重鎖RNAの産生を引き起こすベクター若しくは構築物と接触させること(即ち、RNA干渉又はRNAi)によって低減され得る。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA及びリボザイムは、単独で、又はベクターに伴って、in vivoで送達され得る。その広義では、「ベクター」は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA又はリボザイム核酸の、細胞への、通常はCTLA4又はIL-17Bを発現する細胞への導入を促進することが可能な任意のビヒクルである。通常、ベクターは、ベクターの非存在下で起きる分解の程度に対して、低減された分解で、核酸を細胞に輸送する。概して、本発明において有用なベクターとして、プラスミド、ファージミド、ウイルス、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA若しくはリボザイム核酸配列の挿入又は組込みによって操作されたウイルス又は細菌供給源に由来する他のビヒクルが挙げられるが、これらに限定されない。ウイルスベクターは、好ましいタイプのベクターであり、下記ウイルス:モロニーマウス白血病ウイルス、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルス及びラウス肉腫ウイルス等のレトロウイルス;アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス;SV40型ウイルス;ポリオーマウイルス;エプスタイン・バーウイルス;パピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;及びレトロウイルス等のRNAウイルス由来の核酸配列を含むが、これらに限定されない。指定していないが、当該技術分野で既知の他のベクターを、容易に用いることができる。
【0051】
本明細書中で使用する場合、「同時投与すること」という用語は、本明細書中で使用する場合、IL-17B阻害剤及びCTLA4阻害剤の組合せが、同じ患者に投与されるプロセスを意味する。IL-17B阻害剤及びCTLA4阻害剤は、同時に、本質的に同時に、又は順次投与され得る。IL-17B阻害剤及びCTLA4阻害剤は、同じビヒクルを用いて投与される必要はない。IL-17B阻害剤及びCTLA4阻害剤は、1回又は複数回投与されてもよく、組合せの各成分の投与数は、同じであってもよく、又は異なってもよい。更に、IL-17B阻害剤及びCTLA4阻害剤は、同じ部位で投与される必要はない。
【0052】
本明細書中で使用する場合、「治療上有効な組合せ」という用語は、本明細書中で使用する場合、疾患、特に癌を治療するのに十分なCTLA4阻害剤の量又は用量を伴う、IL-17B阻害剤の量又は用量を指す。所与の治療上有効な組合せのIL-17B阻害剤の量は、種々の個体及び種々の腫瘍タイプに関して異なってよく、組合せに含まれる1つ又は複数の更なる作用物質又は処置に依存する。「治療上有効な量」は、「改善された治療成果」が生じるように、当業者によって日常的に用いられる手順を使用して決定される。しかしながら、本発明の化合物及び組成物の総1日使用量は、良識的な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されよう。任意の特定の患者に関する特定の治療上有効な用量レベルは、医療業界で周知の処置中の障害及び障害の重篤性;用いられる特定の化合物の活性:用いられる特定の組成物;患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別及び食事;投与の時間、投与の経路、及び用いられる特定の化合物の排泄速度;処置の持続期間;用いられる特定のポリペプチドと組み合わせて、又は同時に使用される薬物等の要因を含む様々な要因に依存する。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要とされるレベルよりも低いレベルで化合物の用量を開始して、所望の効果が達成されるまで、投与量を徐々に増加することは、十分に当業者の範囲内である。しかしながら、産物の1日投与量は、1日当たり成人1につき0.01mg~1,000mgの広範囲にわたって変動され得る。通常、組成物は、処置されるべき患者への投与量の対症調節に関して、有効成分0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.5mg、1.0mg、2.5mg、5.0mg、10.0mg、15.0mg、25.0mg、50.0mg、100mg、250mg及び500mgを含有する。医薬は通常、有効成分約0.01mg~約500mg、好ましくは有効成分1mg~約100mgを含有する。薬物の有効量は通常、1日当たり体重1kgにつき0.0002mg/kg~約20mg/kg、特に1日当たり体重1kgにつき約0.001mg/kg~7mg/kgの投与量レベルで供給される。
【0053】
本発明によれば、IL-17B阻害剤及びCTLA4阻害剤は、医薬組成物の形態で患者に投与される。通常、IL-17B阻害剤及びCTLA4阻害剤は、薬学的に許容可能な賦形剤、及び任意選択で、生分解性ポリマー等の徐放性マトリクスと組み合わせられて、治療組成物を形成し得る。「薬学的に」又は「薬学的に許容可能な」は、必要に応じて、哺乳動物、特にヒトに投与された場合に、副反応、アレルギー反応又は他の有害反応をもたらさない分子実体及び組成物を指す。薬学的に許容可能な担体又は賦形剤は、無毒性の固体、半固体若しくは液体の充填剤、希釈剤、封入材料又は任意のタイプの製剤助剤を指す。経口、舌下、皮下、筋内、静脈内、経皮、局所又は直腸投与用の本発明の医薬組成物では、有効成分は、単独で、又は別の有効成分と組み合わせて、単位投与形態で、従来の医薬補助との混合物として、動物及びヒトに投与され得る。適切な単位投与形態は、錠剤、ゲルカプセル、粉末、顆粒及び経口懸濁液又は溶液等の経口経路形態、舌下及び口腔投与形態、エアロゾル、移植片、皮下、経皮、局所、腹腔内、筋内、静脈内、真皮下、経皮、髄腔内及び鼻腔内投与形態及び直腸投与形態を含む。通常、医薬組成物は、注射されることが可能な製剤に関して薬学的に許容可能なビヒクルを含有する。これらは特に、等張性で滅菌性の生理食塩水溶液(リン酸一ナトリウム若しくは二ナトリウム、塩化ナトリウム、カリウム、カルシウム若しくはマグネシウム等又はかかる塩の混合物)、又は場合に応じて、滅菌水若しくは生理食塩水の添加時に、注射可能溶液の構成を可能にする乾燥した、特に凍結乾燥した組成物であり得る。注射可能な用途に適した医薬形態として、滅菌水溶液又は分散体;ゴマ油、ラッカセイ油又は水性プロピレングリコールを含む製剤;及び滅菌注射可能溶液又は分散体の即時調製用の滅菌粉末が挙げられる。全ての場合において、形態は、滅菌でなくてはならず、容易な通針性(syringability)が存在する程度に流動的でなくてはならない。形態は、製造及び保管の条件下で安定でなくてはならず、細菌及び真菌等の微生物の混入作用に対して保存されなくてはならない。遊離塩基又は薬学的に許容可能な塩として本発明の化合物を含む溶液は、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤と適切に混合された水中で調製され得る。分散体はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中で、並びに油中で調製され得る。保管及び使用の通常の条件下で、これらの調製物は、微生物の成長を防止するための防腐剤を含有する。IL-17B阻害剤及びCTLA4阻害剤は、中性又は塩形態の組成物に製剤化され得る。薬学的に許容可能な塩として、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基とともに形成される)が挙げられ、それらは、例えば塩酸又はリン酸等の無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸とともに形成される。遊離カルボキシル基とともに形成される塩はまた、例えば、水酸化ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、又は第二鉄等の無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等の有機塩基から得られ得る。担体はまた、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、それらの適切な混合物、及び植物油を含有する溶媒又は分散媒質であり得る。例えば、レシチン等のコーティングを用いて、分散体の場合には、所要の粒径の維持によって、及び界面活性剤を用いて、適正な流動性が維持され得る。微生物の作用の防止は、各種抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖又は塩化ナトリウムを含むことが好適である。注射可能な組成物の持続性吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの、組成物における使用によってもたらされ得る。滅菌注射可能溶液は、必要に応じて上記で列挙した他の成分の幾つかを有する適切な溶媒中に、所要量で有効成分を組み込むこと、続いて滅菌濾過することによって調製される。概して、分散体は、各種滅菌有効成分を、塩基性分散媒質及び上記で列挙したもの由来の所要の他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射可能溶液の調製用の滅菌粉末の場合、典型的な調製方法は、有効成分と、任意の更なる所望の成分との粉末を、それらの予め滅菌濾過した溶液から生じる真空乾燥及び凍結乾燥技法である。直接的な注射用のより濃縮された、又は非常に濃縮された溶液の調製もまた意図され、ここで、極めて迅速な浸透をもたらすのに溶媒としてのDMSOの使用が想定され、高濃度の活性剤を、小さな腫瘍領域に送達させる。製剤化時に、溶液は、投薬製剤と適合した様式で、また治療上有効であるような量で投与される。製剤は、上述の注射可能溶液のタイプ等の様々な投薬形態で容易に投与されるが、薬物放出カプセル等もまた、用いられ得る。例えば、水溶液中での非経口投与に関して、溶液は、必要であれば、適切に緩衝させるべきであり、液体希釈剤はまず、十分な生理食塩水又はグルコースで等張にさせるべきである。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋内、皮下及び髄腔内投与に特に適している。これに関連して、用いることができる滅菌水性媒質は、本開示を鑑みて、当業者に既知である。投与量の幾らかの変動は、処置中の患者の状態に応じて、必然的に行われる。投与に関与する者は、いずれにしても、個々の患者に適した用量を決定する。
【0054】
他の実施形態によれば、CTLA4及びIL-17B阻害剤の投与は、同じ疾患に専心される他の処置と組み合わせられる。更なる処置がまた、所与の分子の投与に相当する場合、上記分子は、CTLA4阻害剤及び/又はIL-17B阻害剤を含有するものと同じ組成物に存在してもよく、或いは別々に投与されてもよい。
【0055】
癌に関して、他の処置は、例えば、下記:
- 局所手術;
- 手術;
- 放射線又は放射線療法;
- 化学療法;
- 免疫療法;
- 例えば、BRAF/MEK阻害剤を使用した標的療法;
- ホルモン療法;
- 幹細胞移植;
- プレシジョンメディシン;
- 抗腫瘍抗体;
- 遺伝子療法;
- ワクチン;
- 細胞療法;
- CAR(キメラ抗原受容体)-T細胞療法;
- TCR(T細胞受容体)療法;
- 導入療法;
- コンソリデーション療法;
- 維持療法;
- 分化誘導剤;
- 血管新生阻害剤
であり得る。
【0056】
更なる免疫療法は、例えば、PD1、LAG3、TIM3及び/又はTIGITをターゲティングする他のチェックポイント阻害剤(CPi)を包含する。
【0057】
PD1/PDL1抗体に関連した特許公報として、国際公開第2018/204303号、中国特許第108640992号、国際公開第2018/036472号、中国特許第107384933号、国際公開第2015/035606号、中国特許第107043425号、中国特許第106939050号、中国特許第106749663号が挙げられる。
【0058】
PD1/PDL1抗体の非包括的なリストは、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ニボリマブ(Opdivo(登録商標))、BMS-936559(MDX 1105)、セミプリマブ(REGN2810)、セミプリマブ-rwlc(LIBTAYO(登録商標))、アベルマブ(MSB0010718C又はバベンチオ)、デュルバルマブ(MEDI4736又はINFIMZI(登録商標))、アテゾリズマブ(MPDL3280A又はTecentriq(登録商標))、スパルタリズマブ(PDR 001)、並びにそれらの組合せを含む。
【0059】
他の免疫オンコロジー(IO)剤として、OX40、GITR、ICOS、VISTA、CD39、CD40、CD47、CD70(例えば、抗mAb ARGX-110及びMDX-1203)、CD73又はCD137をターゲティングするものが挙げられる。
【0060】
ワクチン、特にPRR(Toll様受容体又はTLR等のパターン認識受容体)アゴニスト特性を有するワクチン、例えば弱毒ロタウイルス、レオウイルス又はニューキャッスル病ウイルス(NDV)に基づくワクチンもまた、更なる考え得る処置である。
【0061】
本発明による組合せとともに使用されるべき化学療法剤として、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、アントラサイクリン系抗生物質、アクチノマイシンD、プリカマイシン、ピューロマイシン、グラミシジンD、パクリタキセル(Taxol(商標)、Bristol Myers Squibb社)、コルヒチン、サイトカラシンB、エメチン、メイタンシン、及びアムサクリン(又は「mAMSA」)が挙げられる。ビンカアルカロイド種は、GOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS(第7版)、(1985年)、1277~1280頁に記載されている。例示的なビンカアルカロイドは、ビンクリスチン、ビンブラスチン、及びビンデシンである。エピポドフィロトキシン種は、例えば、GOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS(第7版)、(1985年)、1280~1281頁に記載されている。例示的なエピポドフィロトキシンは、エトポシド、エトポシドオルトキノン、及びテニポシドである。アントラサイクリン系抗生物質種は、GOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS(第7版)、(1985年)、1283~1285頁に記載されている。例示的なアントラサイクリン系抗生物質は、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ミトキサントロン(mitoxantraone)及びビサントレン(bisanthrene)である。ダクチノマイシンとも呼ばれるアクチノマイシンDは、例えば、GOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS(第7版)、(1985年)、1281~1283頁に記載されている。ミトラマイシンとも呼ばれるプリカマイシンは、GOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS(第7版)、(1985年)、1287~1288頁に記載されている。更なる化学療法剤として、シスプラシン(Platinol(商標)、Bristol Myers Squibb社)、カルボプラチン(Paraplatin(商標)、Bristol Myers Squibb社)、マイトマイシン(Mutamycin(商標)、Bristol Myers Squibb社)、アルトレタミン(Hexalen(商標)、U.S. Bioscience社)、シクロホスファミド(Cytoxan(商標)、Bristol Myers Squibb社)、ロムスチン(CCNU)(CeeNU(商標)、Bristol Myers Squibb社)、カルムスチン(BCNU)(BiCNU(商標)、Bristol Myers Squibb社)が挙げられる。
【0062】
また、例示的な化学療法剤として、アクラシノマイシンA、アクラルビシン、アクロニン、アクロナイシン、アドリアマイシン、アルデスロイキン(インターロイキン-2)、アルトレタミン(ヘキサミメチルメラミン(hexamiethylmelamine))、アミノグルテチミド、アミノグルテチミド(シタドレン(cytadren))、アミノイミダゾールカルボキサミド、アムサクリン(m-AMSA;アムシジン(amsidine))、アナストラゾール(アリミデックス(arimidex))、アンシタビン、アントラサイクリン、アントラマイシン、アスパラギナーゼ(エルスパー(elspar))、アザシツジン(azacitdin)、アザシチジン(ラダカマイシン(ladakamycin))、アザグアニン、アザセリン、アザウリジン、1,1',1"-ホスフィノチオイリジントリスアジリジン、アジリノ(2',3':3,4)ピロロ(1,2-a)インドール-4,7-ジオン、BCG(テラシス)、BCNU、BCNUクロロエチルニトロソ尿素、ベンズアミド、4-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)ベンゼンブタン酸、ビカルタミド、ビスクロロエチルニトロソ尿素、ブレオマイシン(ブレノザン(blenozane))、ブロモデオキシウリジン、ブロクスウリジン、ブスルファン(ミレラン(myleran))、カルバミン酸エチルエステル、クロラムブシル(リューケラン(leukeran))、クロロエチルニトロソ尿素、クロロゾトシン(DCNU)、クロロマイシンA3、cis-レチノイン酸、クラドリビン(2-クロロデオキシアデノシン;2cda;ロイスタチン(leustatin))、コホルマイシン、シクロロイシン、シクロホスファミド無水物、クロラムブシル、シタラビン、シタラビン、シタラビンHCl(シトザール-u(cytosar-u))、2-デオキシ-2-(((メチルニトロソアミノ)カルボニル)アミノ)-D-グルコース、ダカルバジン、デカルバジン、デカルバジン(decarbazine)(DTIC-ドーム(DTIC-dome))、デメコルチン、デキサメタゾン、ジアンヒドロガラクチトール、ジアゾオキソノルロイシン、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル(タキソテール(taxotere))、エフロルニチン、エストラムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム(エムシト(emcyt))、エチオダイズド油、エトグルシド、カルバミン酸エチル、メタンスルホン酸エチル、フェンレチニド、フロクスウリジン、フロクスウリジン(fudr)、フルダラビン(フルダラ(fludara))、フルオロウラシル(5-FU)、フルオキシメステロン(ハロテスチン(halotestin))、フルタミド、フルタミド(エウレキシン(eulexin))、フルクスウリジン、硝酸ガリウム(グラナイト(granite))、ゲムシタビン(ジェムザール(gemzar))、ゲニステイン、2-デオキシ-2-(3-メチル-3-ニトロソウレイド)-D-グルコピラノース、ゴセレリン(ゾラデックス(zoladex))、ヘキセストロール、ヒドロキシ尿素(ヒドラ(hydra))、イダルビシン(イダマイシン(idamycin))、イホスファゲムシタビン、イホスファミド(イフレックス(iflex))、メスナを伴うイホスファミド(MAID)、インターフェロン、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2a、アルファ-2b、アルファ-n3、インターロイキン-2、イオベングアン、イオベングアンイオベングアン、イリノテカン(カンプトサール(camptosar))、イソトレチノイン(アキュテイン(accutane))、ケトコナゾール、4-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-L-フェニルアラニン、L-セリンジアゾアセテート、レンチナン、ロイコボリン、酢酸ロイプロリド(LHRHアナログ)、レバミソール(エルガミソル(ergamisol))、マンノムスチン、メイタンシン、メクロルエタミン、メクロルエタミンHCl(ナイトロジェンマスタード)、酢酸メドロキシプロゲステロン(プロベラ(provera)、デポプロベラ(depo provera))、酢酸メゲストロール(メナス(menace))、酢酸メレンゲストロール、メルファラン(アルケラン(alkeran))、メノガリル、メルカプトプリン、メルカプトプリン(プリントール(purinethol))、メルカプトプリン無水物、MESNA、メスナ(メスネ(mesne))、メタンスルホン酸、エチルエステル、メトトレキサート(mtx;メトトレキセート(methotrexate))、メチル-ccnu、ミモシン、ミソニダゾール、ミトラマイシン、ミトアントロン、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトラクトール、マイトマイシン(ムタマイシン(mutamycin))、マイトマイシンC、ミトタン(o,p'-DDD;リソドレン(lysodren))、ミトキサントロンHCl(ノバントロン(novantrone))、モピダモール、N,N-ビス(2-クロロエチル)テトラヒドロ-2H-1,3,2-オキサザホスホリン-2-アミン-2-オキシド、N-(1-メチルエチル)-4-((2-メチルヒドラジノ)メチル)ベンズアミド、N-メチル-ビス(2-クロロエチル)アミン、ニカルジピン、ニルタミド(ニランドロン(nilandron))、ニムスチン、ニトラクリン、ナイトロジェンマスタード、ノコダゾール、ノガラマイシン、オクトレオチド(サンドスタチン(sandostatin))、パクタマイシン、ペグアスパルガーゼ(PEGx-1)、ペントスタチン(2'-デオキシコホルマイシン)、ペプロマイシン、ペプチケミオ、フォトフォレーシス、ピシバニール、ピポブロマン、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、ポルフィロマイシン、プレドニゾン、プロカルバジン、プロカルバジンHCl(マツラン(matulane))、プロスピジウム、ピューロマイシンアミノヌクレオシド、PUVA(ソラレン+紫外線a)、ピランコポリマー、ラパマイシン、s-アザシチジン、2,4,6-トリス(1-アジリジニル)-s-トリアジン、セムスチン、ショードマイシン、シロリムス、ストレプトゾシン(ザノサー(zanosar))、スラミン、クエン酸タモキシフェン(ノルバデックス(nolvadex))、タキソン、テガフル、テヌアゾン酸、TEPA、テストラクトン、チオ-テパ、チオグアニン、チオテパ(チオプレックス(thioplex))、チロロン、トポテカン、トレチノイン(ベサノイド(vesanoid))、トリアジクオン、トリコデルミン、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、トリメトレキセート(ノイトレキシン(neutrexin))、トリス(1-アジリジニル)ホスフィンオキシド、トリス(1-アジリジニル)ホスフィンスルフィド、トリス(アジリジニル)-p-ベンゾキノン、トリス(アジリジニル)ホスフィンスルフィド、ウラシルマスタード、ビダラビン、リン酸ビダラビン、ビノレルビン、酒石酸ビノレルビン(ナベルビン(navelbine))、(1)-ミモシン、1-(2-クロロエチル)-3-(4-メチルシクロヘキシル)-1-ニトロソ尿素、(8S-cis)-10-((3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ-アルファ-L-リキソ-ヘキソピラノシル)オキシ)-7,8,9,10-テトラヒドロ-6,8,11-トリヒドロオキシ-8-(ヒドロオキシアセチル)-1-メトキシ-5,12-ナフタセンジオン、131-メタ-ヨードベンジルグアニジン(I-131 MIBG)、5-(3,3-ジメチル-1-トリアゼニル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド、5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2,4(1H,3H)-ピリミジンジオン、2,4,6-トリス(1-アジリジニル)-s-チアジン、2,3,5-トリス(1-アジリジニル)-2,5-シクロヘキサジエン-1,4-ジオン、2-クロロ-N-(2-クロロエチル)-N-メチルエタンアミン、N,N-ビス(2-クロロエチル)テトラヒドロ-2H-1,3,2-オキサザホスホリン-2-アミン-2-オキシド、3-デアザウリジン、3-ヨードベンジルグアニジン、5,12-ナフタアセンジオン、5-アザシチジン、5-フルオロウラシル、(1aS,8S,8aR,8bS)-6-アミノ-8-(((アミノカルボニル)オキシ)メチル)-1,1a,2,8,8a,8b-ヘキサヒドロ-8a-メトキシ-5-メチルアジリノ(2',3':3,4)ピロロ(1,2-a)インドール-4,7-ジオン、6-アザウリジン、6-メルカプトプリン、8-アザグアニン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0063】
好ましい化学療法剤として、例えば、ドキソルビジン、ペメトレキセド、オキサリプラチン、シスプラチン又はカルボプラチン等の白金ベースの薬物、パクリタキセル、タモキシフェン、ビンクリスチン、及びビンブラスチンが挙げられる。
【0064】
サイトカイン療法、例えば、ベバシズマブ、抗-TNFα、抗-IL-6又は抗-TGF-β等の抗-VEGF mAbもまた、使用され得る。IL-17の他のアイソフォーム、例えば国際公開第2014/001368号において教示されるようなIL-17Aに、又は国際公開第2017/194554号において教示されるようなEGFR/HERに対して誘導される抗体もまた、関心が持たれている。
【0065】
感染性疾患は通常、抗ウイルス又は抗菌(例えば、抗生物質)剤で処置される。例として、また本発明の主旨を単に説明するために、真菌性敗血症、例えばムコール症の処置は、ポサコナゾール及び/又はアムホリテンシン等の抗真菌剤、及び場合によってはインターフェロン-γ等の免疫アジュバントを更に投与することによって処置される。
【0066】
更なる例として、特に結核を処置するために本発明の組合せとともに使用することができる薬物は、単独で、又は共同して、イソニアジド(INH)、リファンピン/リファンピシン(RIF)、エタンブトール(EMB)及びピラジナミド(PZA)である。
【0067】
更なる例として、特にHIV感染を処置するために本発明の組合せとともに使用することができる薬物は、下記:
- アバカビル(アバカビル硫酸塩)、エムトリシタビン(FTC)、ラミブジン(3TC)、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)、ジドブジン(アジドチミジン、AZT又はZDV)等のヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI);
- ドラビリン(DOR)、エファビレンツ(EFV)、エトラビリン(ETR)、ネビラピン(NVP)、リルピビリン(塩酸リルピビリン塩酸塩又はRPV)等の非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI);
- アタザナビル(アタザナビル硫酸塩又はATV)、ダルナビル(ダルナビルエタノール付加物(darunavir ethanolate又はDRV))、ホスアンプレナビル(ホスアンプレナビルカルシウム(fosamprenavircalcoium)又はDRV)、リトナビル(RTV)、セキナビル(セキナビルメシル酸塩又はSQV)、チプラナビル(TPV)等のプロテアーゼ阻害剤(PI);
- エンフビルチド(T-20)等の融合阻害剤;
- マラビロク(MVC)等のCCR5アンタゴニスト;
- ドルテグラビル(ドルテグラビルナトリウム又はDTG)、ラルテグラビル(ラルテグラビルカリウム又はRAL)等のインテグラーゼ阻害剤;
- イパリズマブ等のポストアタッチメント阻害剤;
- コルビシスタット(COBI)等の薬物動態増強剤
を含む抗レトロウイルス療法である。
【0068】
かかる薬剤は、例えば、下記のような組合せ:
- アバカビル及びラミブジン;
- アバカビル、ドルテグラビル及びラミブジン;
- アバカビル、ラミブジン及びジドブジン;
- アタザナビル及びコビシスタット;
- ビクテグラビル、エムトリシタビン及びテノホビルアラフェナミドフマル酸塩;
- ダルナビル及びコビシスタット;
- ダルナビル、コビシスタット、エムトリシタビン及びテノホビルアラフェナミドフマル酸塩;
- ドルテグラビル及びリルピビリン;
- ドラビリン、ラミブジン及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;
- エファビレンツ、エムトリシタビン及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;
- エファビレンツ、ラミブジン及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;
- エルビテグラビル、コビシスタット、エムトリシタビン及びテノホビルアラフェナミド;
- エルビテグラビル、コビシスタット、エムトリシタビン及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;
- エムトリシタビン、リルピビリン及びテノホビルアラフェナミド;
- エムトリシタビン、リルピビリン及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;
- エムトリシタビン及びテノホビルアラフェナミド;
- エムトリシタビン及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;
- ラミブジン及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩;
- ラミブジン及びジドブジン;
- ロピナビル及びリトナビル
で使用することができる。
【0069】
更なる例として、特にHBV/HCV感染を処置するための、本発明の組合せとともに使用することができる薬物は:
- HBV用に:エンテカビル、ラミブジン(3TC)、アデホビシルジピボキシル、インターフェロンアルファ-2b、ペグ化インターフェロン、テルビブジン、テノホビルアラフェナミド、テノホビル;
- HCV用に:リバビリン、ダクラタスビル、ソホスブビル及びベルパタスビル、レジパスビル及びベルパタスビル、テレプレビル、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンアルファ-2b、グレカプレビル及びビブレンタスビル、シメプレビル、ペグ化インターフェロン、ペグ化インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-2a、ソホスブビル、アムビタスビル及びパリタプレビル及びリトナビル、ボセプレビル、アムビタスビル及びパリタプレビル及びリトナビル及びダサブビル、エルバスビル及びグラゾプレビル
である。
【0070】
参考文献
本出願全体にわたって、様々な参考文献が、本発明が関連する最新技術について記載している。参考文献の開示は、参照により本開示に援用される。
【0071】
本発明は、下記の図面及び実施例によって更に説明される。しかしながら、これらの実施例及び図面は、いかなる場合でも本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1】B16F10黒色腫モデルにおけるIL-17B WT対KOマウスにおける抗CTLA4療法のin vivo研究の図である。WT及び抗CTLA4抗体(α-CTLA4)で処置したIL-17B KOマウスにおける腫瘍成長(A)及び生存率パーセント(カプランマイヤー生存曲線;B)。***、p<0.001。
【
図2】B16F10黒色腫マウスモデルにおける抗CTLA4及び抗IL-17B療法のin vivo研究の図である。場合により抗CTLA4抗体(α-CTLA4)又は相当する対照抗体(IC2)と組み合わせた抗IL-17B抗体(α-IL-17B)又は相当する対照抗体(IC)で処置したマウスにおける腫瘍成長(A及びB)及び生存率パーセント(カプランマイヤー生存曲線;C)。*、p<0.05、**、p<0.01、****、p<0.0001。
【
図3】MC38結腸癌モデルにおけるIL-17B WT対KOマウスにおける抗CTLA4療法のin vivo研究の図である。抗CTLA4抗体(α-CTLA4)又は相当する対照抗体(IC)で処置したWT及びIL-17B KOマウスにおける腫瘍成長(A及びB)及び生存率パーセント(カプランマイヤー生存曲線;C)。**、p<0.01、***、p<0.001。
【実施例】
【0073】
(実施例1)/IL-17Bの存在下(WTマウス)又は非存在下(IL-17B KOマウス)でのB16F10黒色腫モデルにおける抗CTLA4免疫療法の有効性:
1.1 材料及び方法
7~8週齢のC57BL6 WTマウス及び7~8週齢のC57BL6 IL-17B KOマウスに、1群当たり10匹のWT及び9匹のKO動物で5.104個のB16F10細胞を皮下移植した。ノギスを使用して、腫瘍成長をモニタリングした。6日目に、マウスを抗CTLA4抗体(腹腔内注射、200μg/マウス、BioXCell社、9H10)で処置し、続いて9日目、13日目、17日目、20日目及び24日目に週に2回、処置した。腫瘍が1500mm3に達したら、又は潰瘍形成の場合に、動物を屠殺した。
【0074】
1-2 結果及び結論
図1は、腫瘍成長(A)及び生存率パーセント(B)に関して得られた結果を示す。B16F10黒色腫モデルは、抗CTLA4療法に対して顕著に耐性であり、これはWT動物において効果がなかった。際立って対照的に、1つの完全応答(11%)を含むIL-17B KOバックグラウンドにおける抗CTLA4mAbに対する応答は有意に改善され、マウス生存率は有意に改善された(p<0.001)。
【0075】
この治療するのが困難で、顕著に耐性のB16F10黒色腫モデルにおいて、抗CTLA4抗体による処置は、IL-17B KOバックグラウンドでは改善されたのに対して、抗CTLA4 mAb単独は効果がなかった。
【0076】
(実施例2)/B16F10黒色腫モデルにおける抗CTLA4及び抗IL-17B免疫療法の有効性:
IL-17Bの非存在が、IL-17B KOマウスを用いて得られる実施例1で得られた結果を確認するために、抗-IL-17B抗体(
図2)で処置したWTマウスにおいて、実験を繰り返した。
【0077】
2-1 材料及び方法
8週齢のC57BL6マウスに、1群当たり10匹の動物で5.104個のB16F10細胞を皮下移植した。ノギスを使用して、腫瘍成長をモニタリングした。5日目に、マウスを抗IL-17B抗体(髄腔内注射、200μg/マウス)又は対照モノクローナルマウスIgG1抗体(髄腔内注射、200μg/マウス、RD-Biotech社クローンB-D38)で処置し、続いて最初の週の間に4回、その後は週に3回処置した。6日目に、マウスを抗CTLA4抗体(腹腔内注射、200μg/マウス、BioXCell社、9H10)又は対照ポリクローナルシリアンハムスター抗体(腹腔内注射、200μg/マウス、BioXCell社、BP0087)で処置し、続いて9日目、12日目、16日目、19日目及び23日目に週に2回、処置した。腫瘍が1500mm3に達したら、又は潰瘍形成の場合に、動物を屠殺した。
【0078】
2-2 結果及び結論
先に示されるように、B16F10黒色腫モデルは、抗CTLA4療法に対して顕著に耐性であり、これは効果がなかった。抗IL-17B抗体単独による処置は、1匹の完全応答者及び長期の生存者を含む幾つかの応答を誘導した。際立って、またIL-17B KOマウスを使用して得られたデータと一致して、抗IL-17B抗体及び抗CTLA4抗体の組合せは、腫瘍を除去した状態のままである全ての動物(10/10)における完全腫瘍根絶、及び長期の生存者を誘導した。
【0079】
この治療するのが困難で、顕著に耐性のB16F10黒色腫モデルにおいて、抗CTLA4抗体と組み合わせた抗IL-17B抗体による処置は、全ての動物において完全腫瘍退縮を誘導することが可能であったのに対して、抗CTLA4 mAbは、このモデルでは応答を誘導することは不可能であった。
【0080】
(実施例3)/IL-17Bの存在下(WTマウス)又は非存在下(IL-17B KOマウス)でのMC38結腸癌モデルにおける抗CTLA4免疫療法の有効性:
黒色腫モデルにおいて実施例1で得られた結果を確認するために、結腸癌モデルで実験を繰り返した。
【0081】
3.1 材料及び方法
10週齢のC57BL6 WTマウス及び9~11週齢のC57BL6 IL-17B KOマウスに、1群当たり10匹のWT及び8匹又は9匹のKO動物で5.105個のMC38細胞を皮下移植した。ノギスを使用して、腫瘍成長をモニタリングした。6日目に、マウスを抗CTLA4抗体(腹腔内注射、200μg/マウス、BioXCell社、9H10)又は対照ポリクローナルシリアンハムスター抗体(腹腔内注射、200μg/マウス、BioXCell社、BP0087)で処置し、続いて9日目、12日目、15日目、19日目、23日目、27日目、及び30日目に週に2回、処置した。腫瘍が1500mm3に達したら、又は潰瘍形成の場合に、動物を屠殺した。
【0082】
3-2 結果及び結論
先に観察されたように、
図3に示されるデータにより、抗CTLA4抗体の効果がKOバックグラウンドで改善されることが明らかとなる。
【0083】
抗CTLA4療法は、WTマウスにおいて幾つかの一過性の応答を誘導することが可能であったが、完全な応答は得られず、動物はいずれも生存しなかった。IL-17B KOバックグラウンドでは、抗CTLA4 mAbによる処置は、完全応答を達する9匹のうち1匹(11%)のマウスで改善され、腫瘍が除去された状態のままであり、長期的に生存した。
【0084】
この実施例により、本発明によるCTLA4及びIL-17B阻害性アプローチが、他のタイプの癌に、又は更には他の疾患に適用され得ることが検証される。
【国際調査報告】