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特表2023-514963コーティングされた印刷部分を有するグレージングおよびその製造方法およびその使用
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  • 特表-コーティングされた印刷部分を有するグレージングおよびその製造方法およびその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】コーティングされた印刷部分を有するグレージングおよびその製造方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20230405BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20230405BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20230405BHJP
   B60S 1/02 20060101ALI20230405BHJP
   B60J 1/20 20060101ALI20230405BHJP
   H05B 3/20 20060101ALI20230405BHJP
   H05B 3/84 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
C03C27/12 L
C03C27/12 M
B32B17/10
B32B7/025
B60S1/02 300
B60J1/20 C
H05B3/20 327A
H05B3/84
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543781
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 GB2021050121
(87)【国際公開番号】W WO2021148785
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】2000785.2
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ジェレミー ブート
【テーマコード(参考)】
3D225
3K034
4F100
4G061
【Fターム(参考)】
3D225AA03
3D225AC10
3D225AD02
3K034AA02
3K034AA03
3K034AA15
3K034AA34
3K034BA05
3K034BB05
3K034BC09
3K034CA03
3K034CA14
3K034JA10
4F100AB24D
4F100AG00A
4F100AG00C
4F100BA04
4F100BA07
4F100EH46C
4F100EH46D
4F100GB31
4F100HB31B
4F100HB31C
4F100JD08
4F100JG01D
4F100JG04B
4F100JG04C
4G061AA23
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB19
4G061CD03
4G061CD18
(57)【要約】
本発明は、グレージング1であって、表面を有する第1のガラスシート2と、第1のガラスシート2の表面の一部の上の印刷層3と、コーティングされた印刷部分7を形成する印刷層3の一部の上のおよびコーティングされたガラス部分8を形成する第1のガラスシート2の表面の一部の上の導電性コーティング6と、導電性コーティング6と電気的に接触しそれとは異なる軸上に配置された第1または第2のバスバー部分4.1、4.2、5.3、5.5を備える第1および第2のバスバー4、5と、第1および第2のバスバー4、5の間に調整可能なコーティングされた印刷部分7.1、7.3、7.5を形成する第1または第2のバスバー部分4.1、4.2、5.3、5.5に隣接する第1の印刷層部分3.1、3.3、3.5と、を備える、グレージング1を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレージング1であって、
表面を有する第1のガラスシート2と、
前記第1のガラスシート2の前記表面の一部の上の印刷層3と、
コーティングされた印刷部分7を形成する前記印刷層3の一部の上のおよびコーティングされたガラス部分8を形成する前記第1のガラスシート2の前記表面の一部の上の導電性コーティング6と、
前記導電性コーティング6と電気的に接触し、それとは異なる軸上に配置された第1または第2のバスバー部分4.1、4.2、5.3、5.5を備える、第1および第2のバスバー4、5と、
前記第1および第2のバスバー4、5の間に調整可能なコーティングされた印刷部分7.1、7.3、7.5を形成する、前記第1または第2のバスバー部分4.1、4.2、5.3、5.5に隣接する第1の印刷層部分3.1、3.3、3.5と、
を備える、グレージング1。
【請求項2】
前記第1および第2のバスバー4、5は、前記印刷層3上に配置される、請求項1に記載のグレージング1。
【請求項3】
前記導電性コーティング6は、少なくとも部分的に欠けている、データ伝送窓9を備える、請求項1に記載のグレージング1。
【請求項4】
前記データ伝送窓9は、前記第1または第2のバスバー部分4.1、4.2、5.3、5.5と対向するバスバー4、5との間に配置される、請求項3に記載のグレージング1。
【請求項5】
前記データ伝送窓9は、前記第1または第2のバスバー部分4.1、4.2、5.3、5.5と前記グレージング1の隣接する縁との間に配置される、請求項3に記載のグレージング1。
【請求項6】
前記第1および第2のバスバー4、5の間に第2の調整可能なコーティングされた印刷部分7.2、7.4、7.6を形成する前記第1の印刷層部分3.1、3.3、3.5に隣接する第2の印刷層部分3.2、3.4、3.6を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のグレージング1。
【請求項7】
前記第1または第2のバスバー部分4.1、4.2、5.3、5.5は、前記第1または第2のバスバー4、5に平行な線としてまたは前記第1または第2のバスバー4、5に対して傾斜する線として成形され、または曲線の形状として成形される、請求項1から6のいずれか一項に記載のグレージング1。
【請求項8】
前記第1の調整可能なコーティングされた印刷部分7.1、7.3、7.5または第2の調整可能なコーティングされた印刷部分7.2、7.4、7.6は、長方形、正方形、三角形、多角形または楕円断面として成形される、請求項1から7のいずれか一項に記載のグレージング1。
【請求項9】
前記第1の調整可能なコーティングされた印刷部分7.1、7.3、7.5または第2の調整可能なコーティングされた印刷部分7.2、7.4、7.6は、前記グレージング1の中央または少なくとも1つの角に配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載のグレージング1。
【請求項10】
第1または第2の低シート抵抗コーティング印刷部分7.7、7.8を形成する前記コーティング印刷部分7と電気的に接触する印刷された銀ドットのパターンを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のグレージング1。
【請求項11】
前記第1および第2のバスバー4、5は、フリットおよび少なくとも80%の銀を備えるスクリーン印刷ペーストを使用して印刷される、請求項1から10のいずれか一項に記載のグレージング1。
【請求項12】
前記コーティングされた印刷部分7は、1~300Ω/□、好ましくは2.5~120Ω/□、最も好ましくは3~8Ω/□の範囲のシート抵抗および1~30%の範囲の界面の展開面積比Sdrを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のグレージング1。
【請求項13】
積層ガラスを形成するために中間層材料のプライ13によって第1のガラスシート2に結合された第2のガラスシート11を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のグレージング1。
【請求項14】
表面を有する第1のガラスシート2を準備するステップと、
前記第1のガラスシート2の前記表面の一部の上に絶縁層3を印刷するステップと、
コーティングされた印刷部分7を形成する前記印刷層3の一部の上およびコーティングされたガラス部分8を形成する前記第1のガラスシート2の前記表面の一部の上に導電性コーティング6を堆積するステップと、
前記導電性コーティング6と電気的に接触し、それとは異なる軸上に配置された第1または第2のバスバー部分4.1、5.3、5.5を備える、第1および第2のバスバー4、5を提供するステップと、
前記第1または第2のバスバー部分4.1、5.3、5.5に隣接する第1の印刷層部分3.1、3.3、3.5を配置して、前記第1および第2のバスバー4、5の間に第1の調整可能コーティング印刷部分7.1、7.3、7.5を形成するステップと、
を含む、請求項1に記載のグレージング1を製造する方法。
【請求項15】
建物の窓または車両の窓としての、請求項1から13に記載のグレージングの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティングされた印刷部分を有するグレージング、当該グレージングを製造する方法および当該グレージングの使用に関する。
【0002】
グレージングにおけるコーティングされた印刷部分は、車両の窓の電気加熱などの用途のためにガラス上の印刷層上に導電性コーティングが堆積された領域であることが知られている。ガラス上に直接堆積された同じ導電性コーティングは、印刷層の粗さによってシート抵抗が増加するため、シート抵抗が低くなり得る。
【背景技術】
【0003】
本出願と共に出願中である、GB1915907.8(Boote)は、2つのバスバーに接続された導電性コーティングを備えたグレージングを開示する。コーティングされた印刷部分の形状を変更することによって、加熱電流は、グレージングの所望の不均一な加熱を達成するために向けられ得る。センサーファームとして知られる、センサーの群のための大きな印刷層は、センサーファームの周りに電流を迂回させ得、そのどちらかの側の温度を有利に上昇させる。
【0004】
米国特許第10455645号明細書(Masschelein)は、エナメルストリップによってマスクされた縁を有するガラスシートを開示する。3つの銀層を備える導電層は、エナメルストリップ上に堆積され、銅バンドを備えるバスバーは、導電層の頂部に適用される。
【0005】
米国特許出願公開第2015/0351160号明細書(Phan)は、マスキングプリントを有する外部ガラスと電気加熱層および3つのバスバーを有する内部ガラスとを備える積層ガラスを開示する。
【0006】
使用中にグレージング全体に所定の熱分布を提供するために、コーティングされた印刷部分を有する代替グレージングの需要が依然として存在する。代替のグレージングを製造する方法の需要が依然として存在する。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明は、第1の態様において、グレージングであって、
表面を有する第1のガラスシートと、
第1のガラスシートの表面の一部の上の印刷層と、
コーティングされた印刷部分を形成する印刷層の一部の上のおよびコーティングされたガラス部分を形成する第1のガラスシートの表面の一部の上の導電性コーティングと、
導電性コーティングと電気的に接触し、それとは異なる軸上に配置された第1または第2のバスバー部分を備える、第1および第2のバスバーと、
第1および第2のバスバーの間に第1の調整可能なコーティングされた印刷部分を形成する、第1または第2のバスバー部分に隣接する第1の印刷層部分と、
を備える、グレージングを提供する。
【0008】
好ましくは、第1および第2のバスバーは、印刷層上に配置される。
【0009】
好ましくは、グレージングは、導電性コーティングが少なくとも部分的に欠けているデータ伝送窓を備える。
【0010】
好ましくは、データ伝送窓は、第1または第2のバスバー部分と対向するバスバーとの間に配置される。
【0011】
好ましくは、データ伝送窓は、第1または第2のバスバー部分とグレージングの隣接する縁との間に配置される。
【0012】
好ましくは、グレージングは、第1および第2のバスバーの間に第2の調整可能なコーティングされた印刷部分を形成する第1の印刷層部分に隣接する第2の印刷層部分を備える。
【0013】
好ましくは、第1または第2のバスバー部分は、第1または第2のバスバーに平行な線としてまたは第1または第2のバスバーに対して傾斜する線として、成形されるか、または曲線として成形される。
【0014】
好ましくは、第1の調整可能なコーティングされた印刷部分または第2の調整可能なコーティングされた印刷部分は、長方形、正方形、三角形、多角形、または楕円断面として成形される。
【0015】
好ましくは、第1の調整可能なコーティングされた印刷部分または第2の調整可能なコーティングされた印刷部分は、グレージングの中央または少なくとも1つの角に配置される。
【0016】
好ましくは、グレージングは、第1または第2の低シート抵抗のコーティングされた印刷部分を形成するコーティングされた印刷部分と電気的に接触する印刷された銀ドットのパターンを備える。
【0017】
好ましくは、第1および第2のバスバーは、フリットおよび少なくとも80%の銀を備えるスクリーン印刷ペーストを使用して印刷される。
【0018】
好ましくは、コーティングされた印刷部分は、1~300Ω/□、好ましくは2.5~120Ω/□、最も好ましくは3~8Ω/□の範囲のシート抵抗および1~30%の範囲の界面の展開面積比Sdrを有する。
【0019】
好ましくは、グレージングは、積層ガラスを形成するために中間層材料のプライによって第1のガラスシートに結合された第2のガラスシートを備える。
【0020】
グレージングは、任意の適切な形状、例えば台形、長方形または三角形を有し得る。全てのグレージング材料、中間層材料および導体を含むグレージングの厚さは、任意の厚さ、例えば、2.5mm~10.6mm、好ましくは2.6mm~3.8mm、より好ましくは2.7mm~3.2mmであり得る。グレージング材料は、任意の適切な材料、例えば、ソーダ石灰シリカガラスまたはホウケイ酸ガラスであり得る。
【0021】
第1および第2のガラスシートは、フロートプロセスによって形成され得、焼鈍され得る。ガラスシートは、熱強化または焼き戻しされ得る。積層ガラスでは、第1のガラスシートは、グレージング材料の内側のプライであり得、第2のガラスシートは、グレージング材料の外側のプライであり得、またはその逆であり得る。
【0022】
グレージングは、中間層材料の2つ以上のプライを備え得る。中間層材料は、ポリビニルブチラール(PVB)であり得、これは、ガラスへの積層後に良好な接着性を示し、製造中にワイヤの形態の導体を埋め込むことができるため、有利である。PVBの厚さは、任意の厚さ、例えば、0.76mmであり得る。
【0023】
本発明は、第2の態様において、
表面を有する第1のガラスシートを準備するステップと、
第1のガラスシートの表面の一部の上に絶縁層を印刷するステップと、
コーティングされた印刷部分を形成する印刷層の一部の上およびコーティングされたガラス部分を形成する第1のガラスシートの表面の一部の上に導電性コーティングを堆積するステップと、
導電性コーティングと電気的に接触し、それとは異なる軸上に配置された第1または第2のバスバー部分を備える、第1および第2のバスバーを提供するステップと、
第1または第2のバスバー部分に隣接する第1の印刷層部分を配置して、第1および第2のバスバーの間に第1の調整可能コーティング印刷部分を形成するステップと、
を含む、第1の態様によるグレージングを製造する方法を提供する。
【0024】
印刷層の印刷は、任意の方法、例えばスクリーン印刷によるものであり得る。
【0025】
本発明は、第3の態様において、第1の態様によるグレージングを、建物の窓または車両の窓として使用することを提供する。本発明は、積層ガラスまたはモノリシック強化ガラスとしての車両のフロントガラス、リアウィンドウ、サイドウィンドウまたはルーフウィンドウとしての使用に適している。
【発明の効果】
【0026】
本発明者は、第1および第2のバスバーの間に第1の調整可能なコーティングされた印刷部分を提供することが、グレージング全体に所望の熱分布を達成するのに有利であることを見出した。本発明は、望ましくないホットスポットの温度を低下させ、望ましくないコールドスポットの温度を上昇させ、所定の領域でグレージングのより速い曇り除去または霜取りを提供する。
【0027】
驚くべきことに、そのような調整可能なコーティングされた印刷部分を有するフロントガラスの中心の温度は、調整可能なコーティングされた印刷部分を有しない同じフロントガラスと比較して上昇する。同時に、バスバーに隣接するフロントガラスの頂部角のホットスポットの温度は、低下する。
【0028】
有利には、バスバーを印刷することによる導電性コーティングへの損傷を回避するために、バスバーの印刷は、導電性コーティングを堆積する前に行われ得る。
【0029】
本発明は、エナメルマスキングストリップは導電性コーティングおよびバスバーとは別のガラスシート上にあるべきであるという従来技術に見られる技術的偏見を克服する。
【0030】
ここで、本発明は、添付の図面を単なる例として参照して説明される。添付の図面では、同様の参照番号は、同様の部品を識別する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】1つのバスバー部分を備える上部バスバーを有する、本発明によるグレージングの平面図である。
図2】バスバーが導電性コーティングの頂部にある、本発明によるグレージングの断面図である。
図3】導電性コーティングがバスバーの頂部にある、本発明によるグレージングの断面図である。
図4】第1および第2のコーティングされた印刷部分と、データ伝送窓の上方に「ドロップダウン」バスバーとを有する、本発明によるグレージングの平面図である。
図5】「アンダーカメラ」バスバー、すなわちバスバーの上方にデータ伝送窓を有する、本発明によるグレージングの平面図である。
図6】データ伝送窓の上の「ドロップダウン」バスバーと1つの上昇角を有する下部バスバーとを有する、本発明によるグレージングの平面図である。
図7】銀ドットパターンを備えた「ドロップダウン」バスバーと2つの上昇角を備えた下部バスバーとを有する、本発明によるグレージングの平面図である。
図8】本発明の図1によるグレージングの等価回路である。
図9】上昇角を有する下部バスバーを有する、本発明によるグレージングの等価回路である。
図10】積層ガラスを備える、本発明によるグレージングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1を参照すると、グレージング1は、表面を有する、第1のガラスシート2を備える。印刷層3は、フレームを形成する第1のガラスシート2の表面の周辺部分に堆積される。
【0033】
導電性コーティング6は、コーティングされた印刷部分7を形成する印刷層3の一部およびコーティングされたガラス部分8を形成する第1のガラスシート2の表面の一部に堆積される。
【0034】
第1および第2のバスバー4、5は、導電性コーティング6と電気的に接触して配置される。第1のバスバー4は、そこから異なる軸上に配置された第1のバスバー部分4.1を備える。第1のバスバー部分4.1は、第1のバスバー4に平行であり第1のバスバー4からオフセットされた軸上にあり、「ドロップダウン」バスバーとして知られる。
【0035】
第1の印刷層部分3.1は、第1のバスバー部分4.1に隣接し、第1および第2のバスバー4、5の間に第1の調整可能なコーティングされた印刷部分7.1を形成する。
【0036】
第1の温度は、コーティングされたガラス部分8の中心点Aで測定される。コーティング6の一部が除去され、グレージング1の中心線XX上の上部縁近くにセンサー領域を形成する場合、中心点Aは、低温であり得る。
【0037】
第2の温度は、コーティングされた印刷部分7の上部角点Bで測定される。コーティング6の一部が除去されてセンサー領域を形成する場合、上部角点Bはホットスポットであり得る。
【0038】
第3の温度は、コーティングされた印刷部分7のホットスポット点Hでセンサー領域の片側に測定される。ホットスポット点Hは、追加のセンサー領域(図示せず)、例えばERTICOウィンドウに起因し得る。
【0039】
図2において、図1によるグレージングの断面が示され、ここで、導電性コーティング6が印刷層3上に堆積され、次いで第1および第2のバスバー4、5がその頂部に配置される。
【0040】
図3において、図1によるグレージングの断面が示され、ここで、第1および第2のバスバー4、5が印刷層3上に配置され、次いで導電性コーティング6が頂部に堆積される。
【0041】
図4において、グレージングは、データ伝送窓9の上方に位置する、図1のような「ドロップダウン」バスバー4.1を有する。第1のバスバー部分4.1に隣接する第1の印刷層部分3.1は、第1および第2のバスバー4、5の間に第1の調整可能なコーティングされた印刷部分7.1を形成する。
【0042】
第1の印刷層部分3.1に隣接する第2の印刷層部分3.2は、第1および第2のバスバー4、5の間に第2の調整可能なコーティングされた印刷部分7.2を形成する。
【0043】
第1の印刷層部分3.1は、グレージング1の縁からグレージング1の反対側の縁の方向に延在する。対照的に、第2の印刷層部分3.2は、グレージング1の反対側の縁に向かってさらに突出する。
【0044】
データ伝送窓9は、第1の印刷層部分3.1によって形成された、第1の調整可能なコーティングされた印刷部分7.1内に位置する。第2の調整可能なコーティングされた印刷部分7.2は、バスバー部分4.1の方向への電流の流を低減し、それによってデータ伝送窓9の周りのホットスポット温度を低下させるために、下に垂直に突出する。
【0045】
図5においては、データ伝送窓9は、グレージング1の上部縁に隣接して位置し、そのため、バスバー部分4.2は、「アンダーカメラ」バスバーを形成する。データ伝送窓9の周囲のホットスポットは回避されるが、バスバー部分4.2と第2のバスバー5との間のより短い電流経路は、グレージング1の中心の熱を増加させ得る。第1および第2の調整可能なコーティングされた印刷部分7.1、7.2は、グレージング1の中心における熱を制御するために、バスバー部分4.2の下方に垂直に提供される。
【0046】
図6においては、図4と同様に、「ドロップダウン」バスバー部分4.1は、第1のバスバー4に設けられる。第2のバスバー5は、上昇角バスバー部分5.3を備える。隣接するコーティングされた印刷部分3.3は、調整可能なコーティングされた印刷部分7.3を通してより多くの電流が可能となり、下部バスバー5の端部近くのコールドスポットが回避されるように、三角形として成形される。
【0047】
図7では、図6と同様に、上昇角バスバー部分5.3は、電流の流を増加させるために調整可能なコーティングされた印刷部分7.3を形成する。三角形状として成形された追加の印刷層部分3.4は、追加の調整可能なコーティングされた印刷部分7.4を形成してホットスポットを回避する。任意の形状、例えば、階段状、湾曲、または楕円断面は、様式要件に適合し、所望の温度を達成するために、使用され得る。
【0048】
第2の角において、上昇角バスバー部分5.5は、電流の流を増加させるために調整可能なコーティングされた印刷部分7.5を形成する、隣接するコーティングされた印刷部分3.5を有する。三角形状を成形する追加の印刷層部分3.6は、ホットスポットを回避するために追加の調整可能なコーティングされた印刷部分7.6を形成する。
【0049】
図8は、図1に対応する等価回路を示す。第1のバスバー部分4.1は、抵抗R7.1を形成する調整可能なコーティングされた印刷部分7.1に電流を供給する。抵抗R7.1は、コーティングされたガラス部分8の一部によって形成された抵抗R8.1およびR8.1の下方のコーティングされた印刷部分7によって形成された抵抗R7.1との直列の組み合わせの一部であり、両方とも第1のバスバー部分4.1と直線上に並ぶ。
【0050】
コーティングされた印刷部分7の残りは、抵抗R7と、コーティングされたガラス部分8の残りによって形成される抵抗R8およびR8の残りの下方のコーティングされた印刷部分7の残りによって形成される抵抗R7’の直列の組み合わせの一部と、を形成し、両方とも第1のバスバー部分4.1と直線上に並ばない。
【0051】
図9は、図6に対応する等価回路を示す。第1の上昇バスバー部分5.3は、抵抗R7.3を形成する調整可能なコーティングされた印刷部分7.3に電流を供給する。抵抗R7.3は、コーティングされたガラス部分8の一部によって形成された抵抗R8.3とR8.3の上方のコーティングされた印刷部分7によって形成された抵抗R7.3との直列の組み合わせの一部であり、両方とも上昇バスバー部分5.3と直線上に並ぶ。
【0052】
コーティングされた印刷部分7の残りは、抵抗R7と、コーティングされたガラス部分8の残りによって形成される抵抗R8およびR8の残りの下方のコーティングされた印刷部分7の残りによって形成される抵抗R7’の直列の組み合わせの一部と、を形成し、両方とも上昇バスバー部分5.3と直線上に並ぶ。
【0053】
図10において、グレージング1は、中間層材料のプライ13によって互いに結合された第1のガラスシート2および第2のガラスシート11を備える積層ガラスである。明確にするために、導電性コーティング6は、印刷層3とそれが堆積された第1および第2のバスバー4、5とを明確にするコーティングを表す直線として示される。
【実施例
【0054】
以下は、本発明の実施例の説明である。本発明は、以下に説明する実施例に限定されない。
【0055】
表1は、概して図1から図10に示されるように、本発明の1つの比較例および6つの実施例に関連する温度測定値を示す。7つの場合全てにおいて、コーティングされた印刷部分7は、8Ω/□のシート抵抗を有する。
【0056】
比較例には、バスバー部分4.1、4.2、5.3、5.5が存在しない。すなわち、第1および第2のバスバー4、5は直線である。
【0057】
実施例1は、「ドロップダウン」バスバー部分4.1を有する。バスバー4の残りの部分からのオフセットは、30mmである。
【0058】
実施例2は、実施例1と同様であるが、オフセットは、60mmである。
【0059】
実施例3は、「アンダーカメラ」バスバー部分4.2を有する。バスバー部分4.2は、3.4Vの電圧降下をもたらす印刷抵抗を介して供給される。
【0060】
実施例4は、実施例3と同様であるが、電圧降下は、4.7Vである。
【0061】
実施例5は、調整可能なコーティングされた印刷部分7.7、7.8において銀ドットを有する。銀ドットは、シート抵抗が3.6Ω/□になるように選択される。
【0062】
実施例6は、実施例5と同様であるが、シート抵抗は、5.3Ω/□である。
【0063】
加熱を42Vで12分間シミュレートし、温度測定をグレージング1の3つの場所で行った。
A:中心線の中央(図1の中央)、典型的なコールドスポット
B:バスバーの頂部角(図1の上部バスバー)、典型的なホットスポット
H:センサー領域側部のホットスポット(図1の右側)
【0064】
【表1】
【0065】
「ドロップダウン」バスバー部分4.1、「アンダーカメラ」バスバー部分4.2および調整可能なコーティングされた印刷部分7.7、7.8における銀ドットは各々、グレージング1の中心での加熱を増加させ、頂部角のホットスポットを減らす技術的効果を有する。
【0066】
有利なことに、調整可能なコーティングされた印刷部分7.1から7.8は、グレージング1の中心の温度を上昇させ、その結果、曇り除去および除氷がより速くなる。
【0067】
上昇角バスバー部分5.3、5.5および関連する調整可能なコーティングされた印刷部分7.3、7.4、7.5、7.6もまた、バスバーの下端のコールドスポットを除去するのに効果的である。
【0068】
本発明によれば、調整可能なコーティングされた印刷部分は、第1または第2のバスバーの主要部分とは異なる軸上に配置された第1または第2のバスバー部分によって部分的に成形されたコーティングされた印刷部分である。第1または第2のバスバー部分は、線として成形され得、第1または第2のバスバーに平行であり得、第1または第2のバスバーからオフセットされ得るか、またはそれに対して傾斜し得るか、または階段状、湾曲、または楕円断面であり得る。
【0069】
図面中の参照番号は、次のとおりである。
【符号の説明】
【0070】
1 グレージング
2 第1のガラスシート
3 印刷層
3.1,3.2 第1および第2の印刷層部分
3.3,3.4 右上昇角印刷層部分
3.5,3.6 左上昇角印刷層部分
4 第1のバスバー
4.1,4.2 第1および第2のバスバー部分
5 第2のバスバー
5.3,5.5 第1および第2の上昇角バスバー部分
6 導電性コーティング
7 コーティングされた印刷部分
7.1,7.2 第1および第2の調整可能なコーティングされた印刷部分
7.3,7.4 右上昇角の調整可能なコーティングされた印刷部分
7.5,7.6 左上昇角の調整可能なコーティングされた印刷部分
7.7,7.8 第1および第2の銀ドットの調整可能なコーティングされた印刷部分
8 コーティングされたガラス部分
9 データ伝送窓
11 第2のガラスシート
13 中間層材料のプライ
A 中心線の中央温度測定点
B バスバーの頂部角温度測定点
H センサー領域の側部におけるホットスポット
R7 調整可能なコーティングされた印刷部分7.1、7.3と直線上に並ばないコーティングされた印刷部分に対する抵抗
R8 調整可能なコーティングされた印刷部分7.1、7.3と直線上に並ばないコーティングされたガラス部分に対する抵抗
R7’ R8の下方のコーティングされた印刷部分に対する抵抗
R7.1 第1の調整可能なコーティングされた印刷部分7.1に対する抵抗
R8.1 第1の調整可能なコーティングされた印刷部分7.1の下方のコーティングされたガラス部分に対する抵抗
R7.1’ R8.1の下方のコーティングされた印刷部分に対する抵抗
R7.3’ 上昇角の調整可能なコーティングされた印刷部分7.3に対する抵抗
R8.3 上昇角の調整可能なコーティングされた印刷部分7.3の上方のコーティングされたガラス部分に対する抵抗
R7.3 R8.1の下方のコーティングされた印刷部分に対する抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】