(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】エネルギーガイドチェーンのためのライン保護横断バー
(51)【国際特許分類】
F16G 13/16 20060101AFI20230405BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20230405BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20230405BHJP
F16L 3/01 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
F16G13/16
H02G11/00
H02G3/04 075
F16L3/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022544752
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 EP2021051396
(87)【国際公開番号】W WO2021151781
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/051954
(32)【優先日】2020-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】202020104412.5
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヘルマイ
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク バルテン
(72)【発明者】
【氏名】チロアレクサンダー ジャイケル
【テーマコード(参考)】
3H023
5G357
5G371
【Fターム(参考)】
3H023AC14
3H023AC64
5G357DA10
5G357DB01
5G357DC20
5G357DD01
5G357DD06
5G357DD16
5G357DE01
5G357DG04
5G371AA07
5G371BA01
5G371BA07
5G371CA02
(57)【要約】
本発明は、ラインをガイドするエネルギーガイドチェーン(1)のチェーンリンク(10)のための横断バー(512)に関する。横断バー(512)は、第1のプラスチックからなる長細い本体(525)及び両長手端部におけるサイドプレート(11)への接続のための接続領域を有する。横断バー(512)の本体(525)は、各々が分離バー(20)のための保持デバイスを有する2つの長い狭面(523)を有する。本発明によると、ラインをソフトに扱うためのライン保護層(565)が、ラインに向く本体(525)の内部(562)に設けられ、それは本体(525)のプラスチックとは異なりかつラインと横断バーの間の相対移動に対する摩損を低減するように選択された第2のプラスチックからなる。この場合、ライン保護層(565)は、一方の狭面(523)から他方の狭面に延在し、本体(525)の内部(565)を少なくとも大部分覆うが、一方の狭面(523)及び他方の狭面(523)におけるそれぞれの保持デバイスを覆わない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインをガイドするエネルギーガイドチェーン(1)のチェーンリンク(10)のための横断バー(12;312;412;512)であって、
前記チェーンリンク(10)は2枚の相互に離間したサイドプレート(11)を有し、
前記横断バー(12;312;412;512)は第1のプラスチックからなる長細い本体(325;425;525)及びその長手端部の各々における接続領域(361A、361B)を有し、前記接続領域によってそれが前記サイドプレート(11)のそれぞれ一方に接続されてライン(16、17)のための受容空間(14)を画定することができ、
前記横断バー(12;312;412;512)の前記本体(325;425;525)は、前記横断バー(12;312;412;512)の長手方向(Q)に延在されて分離バー(20;220)を保持するための保持デバイスをそれぞれ有する2つの狭面(323;423;523)を有し、
前記ラインと前記横断バーの間の相対移動に対して摩損を低減するために前記本体(325;425;525)のプラスチックとは異なる第2のプラスチックからなる、前記ラインをソフトに扱うためのライン保護層(365;465;565)が、意図される使用において前記受容空間(14)を向く前記本体(325;425;525)の内部(362;462;562)に設けられ、
前記ライン保護層(365;465;565)は、一方の前記狭面(323;423;523)から他方の前記狭面(323;423;523)に延在し、前記狭面(323;423;523)同士の間で前記本体(325;425;525)の前記内部(362;462;562)を少なくとも大部分、好ましくは実質的に完全に覆い、
前記ライン保護層(365;465;565)は、前記一方の狭面(323;423;523)において前記保持デバイスを覆わず、前記他方の狭面(323;423;523)において前記保持デバイスが覆われない状態とする、横断バー(12;312;412;512)。
【請求項2】
前記ライン保護層(365;465;565)は、前記長手端部間の前記長手方向(Q)に及び前記一方の狭面(323;423;523)から前記他方の狭面への幅方向(B)に延在し、前記本体(325;425;525)の前記内部(362;462;562)を前記幅方向及び前記長手方向における全領域にわたって実質的に完全にかつ特に連続して覆う、請求項1に記載の横断バー(12;312;412;512)。
【請求項3】
前記ライン保護層(465;565)は、独立体、特に成形品の形態であり、前記本体(425;525)に特に取外し可能に接続される、請求項1又は2に記載の横断バー(412;512)。
【請求項4】
前記ライン保護層(465;565)は、前記本体(425;525)に積極的ロック及び/又は強制ロック関係で、特に係止接続によって固定可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の横断バー(412;512)。
【請求項5】
前記ライン保護層(465;565)は、前記本体(425;525)の前記内部(462;562)に同一平面装着の関係で対抗し、特に前記内部(462;562)の表面構成と相補形状の成形品の形態である、請求項1から4のいずれか一項に記載の横断バー(412;512)。
【請求項6】
前記本体(425;525)は前記ライン保護層(465;565)を固定するための少なくとも1つの固定用領域を有し、前記ライン保護層(465;565)は独立した成形品の形態であり、少なくとも1つの前記固定用領域と協働しかつ/又は保持デバイスと協働する少なくとも1つのスナップ接続領域又は係止接続領域を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の横断バー(412;512)。
【請求項7】
前記固定用領域は前記ライン保護層(465)上でそれぞれの相補型突起(472)を受容するための前記本体(425)の前記内部(462)においてプロファイル溝(470)又は凹部の形態であり、前記突起は、特に返し(474)の態様で作用する少なくとも1つの領域を含む、請求項6に記載の横断バー(412)。
【請求項8】
前記本体(525)は、前記ライン保護層(565)のそれぞれのエッジ領域(572)との係合のために前記本体(525)のそれぞれの狭面(523)に沿う長手溝(570)の形態で、前記ライン保護層(565)を固定するための2つの端部固定用領域を有し、それぞれの前記長手溝(570)は好ましくは端部において前記本体(525)の幅方向に開口し、前記ライン保護層(565)のそれぞれの前記エッジ領域(572)は好ましくはクランプ形状、特にC形状断面のものであり、対応する前記長手溝(570)内でそれぞれのエッジ領域(572)と係合する、請求項6又は7に記載の横断バー(512)。
【請求項9】
前記ライン保護層(365)は、前記本体(325)に一体的に及び/又は材料結合関係で接続され、特に前記本体に射出される、請求項1又は2に記載の横断バー(312)。
【請求項10】
各保持デバイスは、それぞれの歯列(240)を、前記横断バー(212)の幅方向(B)に突出する歯(241)による相補型構成の分離バー(220)への積極的ロック接続のためにそれぞれの前記狭面(223)に有し、各歯(241)は、前記横断バー(212)の前記長手方向(Q)の前記歯(241)の寸法よりも大きな前記横断バー(212)の高さ方向(H)の寸法のものである、請求項1から9のいずれか一項に記載の横断バー(212)。
【請求項11】
各保持デバイスは、それぞれの保持溝(442)を、相補型構成の分離バー(20;220)への積極的ロック接続のために前記本体(425)のそれぞれの前記狭面(423)に含み、前記保持溝(442)は前記横断バーの前記長手方向(Q)に延在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の横断バー(412)。
【請求項12】
前記ライン保護層(365;465;565)は、前記本体(325;425;525)の前記内部(362;462;562)に及び前記狭面(323;423;523)同士の間にのみ設けられる、請求項1から11のいずれか一項に記載の横断バー(312;412;512)。
【請求項13】
前記ライン保護層(365;465;565)は、前記本体と比較して摩耗低減、特に摩擦低減作用を有する材料を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の横断バー(312;412;512)。
【請求項14】
前記ライン保護層(365;465;565)は、前記本体(325;425;525)の対応する寸法未満、特に前記本体の対応する寸法の40%以下の、前記横断バーの主平面に垂直な方向の材料厚のものであり、かつ/又は前記ライン保護層(365;465;565)は、意図する動作負荷があっても前記本体(325;425;525)の表面に対して不動な表面を有する一体構成のものである、請求項1から13のいずれか一項に記載の横断バー(312;412;512)。
【請求項15】
前記横断バーは、その長手端部の少なくとも一方において、前記サイドプレート(11)のそれぞれ1つに取外し可能に固定するために設けられた接続領域(361A、361B)を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の横断バー(312;412;512)。
【請求項16】
横断バー(12;212;312;412;512)によって相互に接続され、長手方向に更なるチェーンリンクのサイドプレートに旋回可能に接続可能な2枚のサイドプレート(11)を含むエネルギーガイドチェーン(1)のためのチェーンリンク(10)であって、
請求項1から15のいずれか一項に記載のライン保護層(365;465;565)を有する少なくとも1本の横断バー(312;412;512)を有する、チェーンリンク(10)。
【請求項17】
請求項16に記載の少なくとも1つのチェーンリンク(10)を含む、例えばケーブル(17)及び/又はホース(16)などのラインを動的にガイドするエネルギーガイドチェーン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略として、ケーブル、ホースなどのラインの保護された動的案内のためのエネルギーガイドチェーンの分野に関する。エネルギーガイドチェーンは、通常、旋回可能に接続されたチェーンリンクから構成され、その各々はエネルギーガイドチェーンの長手範囲に対して横断して相互から離間した2枚のサイドプレートを有する。少なくともチェーンリンクの一部では、サイドプレートは2本の横断バーによって安定的関係で相互に接続され、ラインがガイドされる内部受容空間又はガイド通路を画定する。エネルギーガイドチェーンは、通常、相互に対して可動であるとともに接続領域にそれぞれ接続された2つの端部を有する。通常のエネルギーガイドチェーンは、2本のラン及びラン間の方向転換アークの形成によって接続領域間を往復する。それぞれのランの方向は、方向転換アークにおいて逆転される。
【0002】
本発明は、具体的には、エネルギーガイドチェーンのチェーンリンクのための横断バー(横断部材ともいう)に関し、それはサイドプレート同士を接続するとともに分離バーを装着及び保持するように作用する。
【背景技術】
【0003】
そのような横断バーは、通常は、プラスチックの長細い本体、及びその長手端部の各々においてサイドプレートの1つに固定するための接続領域を有する。サイドプレート及び横断バーは、ガイドされるラインの長手方向に対して横断してチェーンリンクの受容空間を画定する。
【0004】
内部分割のために、チェーンリンクにおける受容空間は、ラインが整列配置でガイド可能とされて絡むことがないように分離バー及び棚部分によって分割され得る。この目的のため、分離バーは、通常、サイドプレートに平行にチェーンリンクの2本の横断バーの間に嵌められ、横断バーの少なくとも一方に保持される。
【0005】
横断バーの本体は、通常はプレート状構成のものであり、2つの主面、横断バーの長手方向に延在した2つの長い狭面、及び横断バーの幅方向に延在した2つの短い面を有する。横断バーの長手方向に延在する狭面の各々は、通常は分離バーを保持するためのそれぞれの保持デバイスを有する。分離バーは同様に、例えば、分離バーに対する固定によって、又は棚部分が延在し得る分離バーの開口を通じて、横断バーに平行に棚部分を保持可能である。
【0006】
エネルギーガイドチェーンの変位があると、ガイドされるラインに関して、特に方向転換アークの領域において横断バーに対する摩擦が発生する。例えば、横断バーのプレート状本体のエッジとの接触は、ガイドされているラインの摩損及び摩耗をもたらし得る。通常は相当な硬度の繊維強化プラスチックからなる本体の表面との接触はまた、特に、より柔軟なプラスチックからなる外側筐体を通常は有する電線の場合、ラインの摩損の原因となり得る。
【0007】
ガイドされるラインを保護するために、特許文献1は、ラインに接触し得るチェーンリンクの内面を、とりわけ、横断バーの内面を、ラインに対してソフトでありかつ摩擦低減効果を有する摩擦防止ラッカーでコーティングすることを提案する。しかし、特許文献1は、チェーンリンクがどのように構成されるのか、及び内部構造の種々の部品が、特にその表面における追加的な層の観点で、どのように相互接続されるのかを開示していない。さらに、例えば、種々の製品シリーズとの関連でそれぞれの等しい品質のコーティングとなるようにするには、コーティング処理は技術的に複雑でありかつ労力を要する。
【0008】
特許文献2は、横断バーに回転可能に装着されてガイド中のラインの摩耗を低減するように作用し得る別個の弾性変形可能なチューブ要素を有する横断バーを開示する。しかし、チューブ要素は、チェーンリンクにおける受容空間内へ径方向に突出し、それにより内部空間の比較的大きな空間量を占有し、結果として、これはガイドされるラインに対して利用可能でなくなる。さらに、横断バーはチューブ要素間にしか固定可能ではなく、すなわち、受容空間の内部分割は制限される。
【0009】
特許文献3は、2つの側面部分を相互に接続するとともに長細い本体を有する、エネルギーガイドチェーンの典型的なチェーンリンクのための横断バーを開示する。特許文献3の横断バーの本体は、横断バーの長手方向に延在して各々が横断バーを保持するのに適した保持溝を有する2つの狭面を有する。
【0010】
特許文献3の横断バーには、ラインが横断バーに対してロールすることを可能とするローラが、その内部に装備される。ローリング動作は、確かに関連の摩擦を低減するが、この目的のために、横断バー上に回転可能ローラのための装着手段を有する構造的に複雑な構成が必要となる。その解決手段はまた、チェーンリンクの内部空間内で利用可能な空間を大幅に減少させてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1564438号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102012106400号明細書
【特許文献3】国際公開第99/054642号
【発明の概要】
【0012】
そこで、本発明の課題は、エネルギーガイドチェーンのチェーンリンクのための周知の横断バーであって、ラインを可能な限りソフトに扱うように受容空間内にガイドされるラインを保持することができ、かつ可能な限り単純に生成可能となるような横断バーを開発することである。本発明は、チェーンリンクにおける柔軟な内部分割が既存の設計構成と互換可能となりかつ/又は任意選択的に後付け可能となることを可能とすることを目的とする。
【0013】
請求項1の発明の対象による上記の一般的な種類の横断バーにおいて、その課題は、意図する使用において受容空間に向かう横断バーの本体の内側に層が設けられることで既に達成され、その層はラインに対してソフトであり、第2のプラスチックからなり、第2のプラスチックは少なくとも組成に関して、ただし特に基材、例えば選択されたベースポリマーに関して、第1のプラスチックである本体のプラスチックとは異なるように選択され、ガイドされるラインと横断バーの間の相対移動における摩損を低減するように作用する。この場合のライン保護層は、本体の一方の狭面から他方の狭面に延在する。本発明によると、層は、少なくとも大部分、好ましくは実質的に完全に狭面間で本体の内部を覆うが、これに関して両保持デバイス、すなわち、一方の狭面における保持デバイス及び他方の狭面における保持デバイスが覆われない状態とする。
【0014】
保持デバイス、又は複数の冗長保持デバイスがある場合に少なくともその1つが、本発明による横断バーの場合では覆われないままであるので、それぞれの保持デバイスは、分離バーへの積極的ロック及び/又は強制ロック接続のためにアクセス可能なままとなる。本体のそれぞれの狭面における保持デバイスの保持領域は、好ましくは、その動作長全体にわたって横断バーの長手方向に覆われないままとなり、したがって自由にアクセス可能となる。
【0015】
その構成により、特に分離バーの既存の設計構成は変更なしで使用可能となり、内部分割は柔軟な性質のものとなり得るとともに必要に応じて後に変更可能となる。内部分割はライン保護層に適合されていなくてもよく、ライン保護層は所望の内部分割に適合されていなくてもよい。
【0016】
第2のプラスチックは、特に例えば摩擦係数などの摩擦防止特性に関して、第1のプラスチックである本体のプラスチックとは異なる。特にガイドされるラインの外側材料に関して、対応する試験条件下において、第2のプラスチックの(摺動)摩擦係数は、第1のプラスチックの(摺動)摩擦係数よりも低い。ラインと横断バーの間の相対移動に応じた摩損の低減は、ガイドされるラインの、特に横断バーに対する摺動摩擦の低減(「ラインに対してソフトとなるような摺動」)によってもたらされる。
【0017】
ラインに対してソフトな層は、特に分離され又は後付け可能な構成要素又は成形品として、特に一体的に、特に好ましくはその材料に関して単一構造の密着連続層の形態で生成される。
【0018】
意図する目的に応じた負荷の場合、ライン保護層は、本体の表面に対して不動なままとなり得る。
【0019】
追加のライン保護層の材料厚は、この場合、実際の構造的構成要素を構成する本体のものよりも大幅に小さくてもよい。
【0020】
分離バーを保持するための横断バーの保持デバイスは、例えば、相補型構成の分離バーへの積極的ロック接続のためにそれぞれの狭面における歯列及び/又は保持溝を含み得る。ライン保護層は保持デバイスを覆っては延在しないので、それぞれの保持デバイスが分離バーへの接続のために依然としてアクセス可能なままとなる。それでもなお、ライン保護層は、本体上で問題となるエッジを覆って緩衝するエッジ保護部を形成し得る。
【0021】
ラインに対して可能な限り完全な保護を与えるために、実施形態は、ライン保護層が長手端部間又は接続領域間の長手方向及び一方の狭面から他方の狭面への幅方向において連続的又は中断なしに延在し、したがって、特に横断バーの幅方向及び長手方向において連続して全表面積にわたって本体の内側を実質的に完全に覆うことを規定する。
【0022】
これに関して、横断バーの幅方向は、チェーン方向、すなわち、ガイドされるラインの方向においてチェーンリンクの長手範囲に対応し、横断バーの長手方向は、チェーンリンク(チェーンではない)の横断方向に対応する。
【0023】
ライン保護層は、好ましくは独立体又は成形品の形態で生成され、特に取外し可能に本体に接続され得る。この実施形態は、ライン保護層を有する横断バーの後付けを可能とし、場合によっては、例えば摩耗が発生する場合にライン保護層の交換も可能とする。
【0024】
ライン保護層は、好ましくは、必要に応じて特に後付けのための取付け構成要素であり得る。
【0025】
ライン保護層は、特に本体に対する係止接続によって、特に取外し可能に、積極的ロック及び/又は強制ロック関係で取付け構成要素の形態で固定され得る。ライン保護層及び本体は、特に相互に一致する係止要素、例えば、ライン保護層を本体にクリップするためのクリップコネクタを有し得る。ライン保護層及び本体は、ライン保護層が主平面に横断して本体にスナップフィット可能となるような構成のものであり得る。製造許容差を可能とする簡素な構成の係止手段によって、プラスチックの場合、2つの部品の相互に対する複雑かつ労力のかかる位置合せなしでも、ライン保護層が本体に迅速に嵌合可能となる。
【0026】
横断バー及びライン保護層は、独立した部品、特に射出成形品の形態で生成され得る。
【0027】
ライン保護層は、好ましくは、本体の内部に対して密着して又は同一平面装着の関係で対抗し得るものであり、特に内部の表面構成に対して相補形状の成形品の形態であり得る。本体に向かう面において、ライン保護層は、本体の内部のプロファイルに対して相補型プロファイルのものであり得る。ライン保護層は、本体に対して、好ましくは遊びなしで又は同一平面装着の関係で固定的に対抗し得る。
【0028】
本体は、ライン保護層を固定するための少なくとも1つの固定用領域を有し得る。ライン保護層は、独立した成形品の形態であってもよく、本体の少なくとも1つの固定用領域と協働する少なくとも1つのスナップ接続領域又は係止接続領域を同様に有してもよい。代替的又は追加的に、ライン保護層のスナップ接続領域又は係止接続領域は、場合によっては分離バーへの接続には必要とならない保持デバイスの1つと協働してもよい。
【0029】
ライン保護層のスナップ接続領域又は係止接続領域との本体の固定用領域の協働は、例えば、スナップフィット接続又はクリップ接続によって生成され得る。
【0030】
実施形態では、本体の固定用領域は、ライン保護層のスナップ接続領域又は係止接続領域の形態でそれぞれの相補型突起を受容するために本体の内面にプロファイル溝又は凹部を含み得る。突起は、返し又はスナップ係合フックの態様で作用する少なくとも1つの領域を含む。
【0031】
フック領域による係止接続は、本体へのライン保護層の単純な接続を可能とすることができ、それは変位に対して固定される。この横断バーの2部品は、エネルギーガイドチェーンの動作中に相互に対して不動に保持される。突起に対する凹部は、横断バーの長手方向に溝状に延在し、横断バーの横断方向に対して任意の所望の態様で位置決めされ得る。
【0032】
構成は、特に、2以上の凹部を有してもよい。この場合、突起は、対応の開口部、例えば、本体の内部における長細い溝又は独立した凹部と協働するように、横断バーの長さの一部にわたって長手方向に延在してもよく、かつ/又は複数の突起が長手方向に沿って分散されてもよい。原則として、突起は本体又はライン保護層における対応の凹部に配置されてもよいが、ライン保護層なしでも横断バー又は本体が使用可能となるべきであるため、それは好ましくない。
【0033】
先行の実施形態と組み合わされ得る実施形態では、ライン保護層を本体に固定するための2つの端部固定用領域は、本体のそれぞれの狭面に沿う長手溝の形態である。それらは、ライン保護層のそれぞれのエッジ領域を通じた係合のために作用し得る。この実施形態では、エッジ領域は、スナップ接続領域又は係止接続領域の形態であり得る。この場合、それぞれの長手溝は、好ましくは、端部において本体の幅方向に開口し、ライン保護層のそれぞれのエッジ領域は、好ましくはクランプ形状、特にC形状断面のものである。このように、ライン保護層は、それぞれのエッジ領域と対応する長手溝内に係合し得る。したがって、ライン保護層は、本体にスナップ留め可能となり、そのエッジ領域が本体の長手溝に係止的に係合する。この実施形態の有利な効果は、強固な固定であり、そのための追加の固定用手段は不要となることである。さらに、エッジ領域は、例えば丸みを帯びた外輪郭によってエッジの保護を本来的にもたらし得る。
【0034】
好適な多部品構造の代わりに、ライン保護層は、本体と一体的に及び/又は材料結合関係で、特に本体に射出されて接続されてもよい。そのような横断バーは、例えば適宜の2部品(2C)射出成形加工を用いて、又は一方では、例えば、別個に生成された本体への第2のプラスチックの後続の射出によって生成可能である。
【0035】
本体の各保持デバイスは、それぞれ、特に横断バーの幅方向に突出する歯による相補型構成の分離バーへの積極的ロック接続を生成するための歯列をそれぞれの狭面に含み得る。この場合、各歯は、歯の横断バー長手方向の寸法よりも大きな横断バー高さ方向の寸法のものとなり得る。
【0036】
代替的又は追加的に、本体の各保持デバイスは、相補型構成の分離バーへの積極的ロック及び/又は強制ロック固定又は接続のために、本体のそれぞれの狭面においてそれぞれの保持溝を有し得る。この場合、保持溝は、横断バーの長手方向に延在し得る。
【0037】
ライン保護層は、好ましくは、本体の内部に及び本体の狭面同士の間のみ設けられ、それにより、内向き面と対向するとともに、チェーンリンクに嵌合された横断バーの意図する動作状態においてチェーンリンク内の受容空間と逆を向く外向き面が、ライン保護層から実質的に解放され、又はそれによって覆われない。この好適な実施形態では、ガイドされるラインが横断バーに接触し得る本体の内部のみにこの構造のライン保護層が設けられるので、材料が節約される。
【0038】
ライン保護層を片面に設けることは、特に、ライン保護層を本体に固定するための固定用領域によって実施可能となり、それにより、上述したように、係止接続又はスナップ接続が可能となるので、層が片面に適用されているにもかかわらず変位不能な固定接続が可能となり、それはガイドされているラインと接触しても滑らない。
【0039】
ライン保護層は、好ましくは、本体と比較して摩耗低減、特に摩擦低減作用を有する材料を含み得る。その摩擦学的特性によって、材料は、ガイドされるラインに対する摩耗低減、特に摩擦低減作用を有し得る。
【0040】
ライン保護層の材料は、例えば、異なる熱可塑性材料であってもよく、本体のプラスチックとは異なるポリマーに基づいてもよい。本体は、場合によっては強化され又は添加物が供給された通常のポリイミドから生成可能であるが、追加のライン保護層がポリエチレン又はポリプロピレンなどから作製されてもよい。この場合、ライン保護層のプラスチックは、特に、本体の材料とは異なる硬度及び/又は剛性のものとなり得るので、ガイドされるラインを保護するための摩損低減作用が達成される。
【0041】
ライン保護層の第2のプラスチックは、特に好ましくは、横断バーの本体のプラスチック(基材)よりも軟質であり、又は低い硬度(ショア硬度D、すなわち、VDI/VDE2616による硬度値)の基材又はベースポリマーを含み又はそれからなる。この場合、それは、場合によっては本体のプラスチックよりも軟弾性となり得る。
【0042】
材料は、好ましくは、例えばHMWPE又はUHMWPEなどのベースポリマーに埋め込まれる固体潤滑剤(粒子)を含むトライボポリマーであり得る。第2のプラスチックには、PTFEなどの摺動動作を向上するために添加物が供給されてもよい。さらに、他の潤滑剤、例えば、分散ワックス及び/又はオイルが含まれてもよい。ただし、材料は、特に好ましくは、いずれの追加の潤滑剤も必要としない。第2のプラスチックは、第1のプラスチックと同様に、例えば、強化目的でガラス、ガラス繊維、炭素繊維又はアラミドなどの繊維又はボールの形態でフィラーを含み得る。
【0043】
上記の材料の選好は、独立した構成要素の形態における構成に関して、及び例えば射出成形加工における射出による本体との一体生成の場合にも当てはまる。
【0044】
ライン保護層は、好ましくは、横断バーの主平面に垂直な方向において、本体の対応する寸法未満の材料厚のものである。ライン保護層の材料厚は、例えば、本体の対応する寸法の40%以下であり得る。
【0045】
ライン保護層は、それ自体で一体構成のものであってもよく、動作における通常の負荷の場合に本体の表面に対して不動となる表面又は摺動面を有していてもよい。
【0046】
横断バーは、好ましくは、いわゆる開口バーであり、好ましくはその長手端部の少なくとも一方において、サイドプレートの各1つに取外し可能な固定に適合された接続領域を有し得る。
【0047】
少なくとも1つの接続領域が、例えば、サイドプレートの各1つへの横断バーの旋回可能な装着のために設けられてもよく、それにより、チェーンリンク内の受容空間は、横断バーをチェーンリンクから除去することなく、アクセス可能となる。
【0048】
本発明はさらに、2枚のサイドプレートを含むエネルギーガイドチェーンのためのチェーンリンクに関し、2枚のサイドプレートは横断バーによって相互に接続されるとともに長手方向における更なるチェーンリンクのサイドプレートに旋回可能に接続可能である。チェーンリンクは、上記実施形態の1つによるライン保護層を有する少なくとも1本の横断バーを有する。
【0049】
本発明はまた、例えば、少なくとも1つの上記チェーンリンクを含むケーブル及び/又はホースなどのラインを動的にガイドするエネルギーガイドチェーンに関する。エネルギーガイドチェーンは、好ましくは実質的にそのようなチェーンリンクを備え、特に好ましくはエネルギーガイドチェーンの端部リンク間の全てのチェーンリンクが、上記実施形態の1つによるライン保護層を有する少なくとも1本の横断バーをそれぞれ含む。
【0050】
本発明の更なる詳細、構成及び有利な効果は、添付図面を参照して、例示としての好適な実施形態の、以下のより詳細な説明から明らかとなるはずである。図面は純粋に例示である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】例示としてライン及び内部分割部が装備されたエネルギーガイドチェーンのチェーンリンクの断面図を示す。
【
図2A】実施形態によるチェーンリンクの一部分の斜視図である。
【
図2B】実施形態によるチェーンリンクの一部分の横断底部の主平面を通る断面図である。
【
図2C】実施形態によるチェーンリンクの一部分の下面図である。
【
図3】横断バー又は開口バーの実施形態を、本発明によるライン保護層を有する狭面の端面図として示す。
【
図4A】横断バーの更なる実施形態を、独立した取付け部分として設けられる本発明によるライン保護層とともに、断面図で示す。
【
図4B】横断バーの更なる実施形態を、独立した取付け部分として設けられる本発明によるライン保護層とともに、斜視図で示す。
【
図5A】横断バーのまた更なる実施形態を、独立した取付け部分として設けられる本発明によるライン保護層とともに、断面図で示す。
【
図5B】横断バーのまた更なる実施形態を、独立した取付け部分として設けられる本発明によるライン保護層とともに、斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、チェーンリンク10を通るエネルギーガイドチェーン1の長手方向に垂直な断面図を示し、例えばケーブル17及びホース16などのラインを能動的にガイドするエネルギーガイドチェーン1の例示による内部構造を示す。エネルギーガイドチェーン1は、
図1の平面に垂直な方向に相互に旋回可能に接続された複数のチェーンリンク10から構成される。ここでは、チェーンリンク10はまた、個々の部品を備え、少なくとも2枚のサイドプレート11を有する。各々、すなわち、例えば各第2のチェーンリンク10では、サイドプレート11は、2本の平行な同一の横断バー12によって固定的に接続されて安定的な構造を構成し、エネルギーガイドチェーン1の横断方向に離間して平行に保持される。この目的のため、横断バー12は、端部固定用領域によって、例えば、サイドプレート11のホーン(不図示)に受容手段を締め付ける手段によって、サイドプレート11に取外し可能に固定される。サイドプレート11及び横断バー12は、ライン16、17のための受容空間14を画定する。エネルギーガイドチェーン1の構造は周知であり、任意の所望の構造のものであればよく、例えば、クランク状サイドプレート又は交互の内部及び外部プレートがサイドプレート11を構成する。特に、2部品チェーンリンクが検討されてもよく、2枚のサイドプレート11及び横断バー12が一体品から、すなわち、一体的に生成され、他方の横断バー12のみが取外し可能であってもよい(これは不図示である)。
【0053】
内部分割の目的のため、
図1に例示として示すように、受容空間14の高さhを分割するための水平横断プレート部分18、及び受容空間14の幅qを分割するための縦分離バー20を設けることが知られている。高さhの方向では、分離バー20は、2つの端部領域、上端部分22及び下端部分24を有する。これらは、少なくとも端部領域の一方において、例えば、下端部分24において、例えば係止接続部によって、受容空間14の幅qの方向又は横断バー12の長さの方向における選択可能な位置で横断バー12の狭面23に固定可能である。横断バー12は、いかなる場合でも、エネルギーガイドチェーン1の長手方向及び横断バーの幅Bの方向に固定される。横断プレート部分が、分離バー20における所定のパターンに応じてかつ高さhに関して選択可能な刻みで設けられた水平に連続する貫通開口26(
図2参照)にそれぞれ嵌合されることになる。これに関して、
図1は、幅qにわたってほぼ完全に延在する挿入プレート部分の形態の横断プレート部分18を示す。幅qの一部のみを分割する短い棚プレート部分も可能である。分離バー20は、プレート状又は平坦構成のものであり、それらの主平面又は長手方向がサイドプレート11に平行な状態で延在する。横断部分18はまた、プレート状構成のものであり、横断バー12に平行に延在する。横断バー12を有する各チェーンリンク10について、受容空間14の同様の内部分割部が、ライン16、17の利益のために設けられるべきである。したがって、分離バー20及び横断プレート部分18は、より良好なライン16、17の保護で受容空間14をライン16、17の整列案内のための区画又は仕切19に分割するために、各n番目のチェーンリンクにおいて、規則的な間隔でかつ同一の構成で設けられるべきである。
【0054】
図2A~2Cは、チェーンリンク10の内部分割の実施形態をその部分図として示す。上端部222及び下端部224において、分離バー220は、それぞれの保持クリップ234を有する。この場合、上端部及び下端部222、224における保持クリップ234は、同一構成のものである。
図2Aが示すように、分離バー220は2本の同一の横断バー212の間に嵌合され、保持クリップ234は、分離バーの上端部及び下端部において横断バーの狭面223をそれぞれ保持する。
【0055】
各横断バー212は長細くかつプレート状構成のものであり、図示する例では、その2つの長い方の狭面223は、相補型構成の分離バー220への積極的ロック接続のために設計されたそれぞれの歯ストリップ又はストリップ状歯列240を有する。
【0056】
図2Cから最もよく分かるように、狭面223の外輪郭は歯241を有する歯列240をそれぞれ構成し、歯241は横断バー212の幅方向Bに外向きに突出して歯間ギャップ242によって相互に離間される。同一構成の複数の歯241及び歯間ギャップ242が、狭面223の長手範囲の大部分に沿って交互にかつ均一に分散して設けられる。歯241及び歯間ギャップ242は、端部において丸みを帯びたプロファイルをそれぞれ有する。各歯241は、横断バー212の高さ方向Hにおいて、その横断バー212の長手方向Qの寸法よりも大きな寸法のものであり、例えば、7mmである。横断バー212の高さ方向Hにおける歯241の寸法も、横断バー212の幅方向Bにおける歯の寸法よりも大きい。これは、滑らかに動作可能でかつ同時に耐傾斜の押し込み接続を与える。
【0057】
保持クリップ234は、分離バーの幅の方向において、歯列240と相補関係にある横断バー212の狭面223に対する保持のために設計された2つの対向保持延在部250を有する。保持クリップ234の保持延在部250間の相互に対する間隔は、横断バー212の幅に対応する。図示する実施形態では、保持延在部250は、一対の歯突起251をそれぞれ有する。歯突起251は、ここでは2つのそれぞれ連続する歯間ギャップ242において、歯列240への積極的ロック挿入のために設計される。ここでは、保持延在部250の端部領域は、例えば、U形状断面のものである。
【0058】
分離バーの幅の方向における歯突起251の寸法は、歯間ギャップ242の深さに対応する。図示する実施形態における分離バー20の高さ方向における歯突起251の寸法は、例えば、約5mmである。
【0059】
図2A~2Cは、プレート状構成のものでありかつ分離バー220における貫通開口26に断面で適合された横断部分218をさらに示す。その長い狭面の1つにおける横断部分218は、貫通開口26の係止突起28と協働するための歯構成227を有する。
【0060】
図3は、分離バー220のための2列の歯列を有する横断バー312の実施形態の狭面の側面図を示す。横断バー312の場合では、長細い本体325が、その長手端部の各々において、強固な接続領域361A、361Bを設けるために、第1のプラスチック、例えば、強化ポリアミドから生成され、それによって横断バー312はサイドプレート11に接続される。
図3の上方に示し、動作状態において(横断バーがチェーンリンク10に嵌合された状態で)受容空間14(
図1参照)を向く本体325の内部362において、横断バー312は、本体325のプラスチックとは異なりかつラインを保護するために特別に選択された第2のプラスチックからなる、ラインをソフトに扱うためのライン保護層365を含む。横断バー312は、例えば、2部品射出成形品の形態で生成可能である。ライン保護層365は、長手端部間で横断バーの長手方向Qに及び一方の狭面323から他方の狭面に向かう横断バーの幅方向Bに連続的にその全領域にわたって本体325を覆い、それにより、端部においてのみ歯構成が外向きに突出する(
図2参照)。これにより、歯構成は、アクセス可能なままとなり、ライン保護層365によっては覆われない。
【0061】
図4A~4B及び
図5A~5Bは、横断バー412、512の更なる実施形態を示す。ただし、ライン保護層465、565は、独立した成形品として生成される。ここでも、ライン保護層465、565は、射出成形法を用いて摩擦低減特性を有する材料から生成可能であるが、本体425、525に取外し可能に接続される。本体425、525は、射出成形法を用いて繊維強化ポリアミドから生成される。これらの例では、ライン保護層465、565は、例えば、本体の材料よりも低いショアD硬度の、より軟質な材料から生成される。好ましくは、例えば、摺動性向上添加物としてPTFE及び任意選択的にガラス繊維強化を用いるポリエチレン(PE)又はHMWPEが用いられる。ライン保護層はまた、摩擦学的特性を向上するPTFE又は分散ワックス及び/若しくはオイルを用い、並びに任意選択的にガラスボール、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド及び/又は他のフィラーを含む追加の補強を用いてUHMWPEから生成されてもよい。これらの材料はまた、
図3における実施形態によるライン保護層を生成するのに使用可能である。
【0062】
図4A~4B及び
図5A~5Bから分かるように、ライン保護層465、565は、横断バー412、512の本体425、525の片側に、より具体的には本体425、525の内部462、562においてのみ嵌合される。ライン保護層465、565は、実質的に、一方の長い狭面423、523から他方の狭面に及び本体の一方の長手端部から他方に向けて延在する。したがって、本体425、525の内部462、562は、ライン保護層465、565によってまさに実質的に覆われ又は遮蔽される。このように、横断バー412、512がエネルギーガイドチェーン1のチェーンリンク10に適切に嵌合されると、ガイドされるラインが、本体425、525ではなく、ライン保護層465、565と接触することを保証することができる。
【0063】
図4A~4Bは、分離バーを保持するための保持デバイスとしての横断バー412が、横断バーの長手方向Qに延在する各狭面423において保持溝442及び長手溝442における歯列440をそれぞれ備える実施形態を示す。ライン保護層465は、本体の内部を覆うが、覆われないままとされる狭面423を覆わないので、保持溝442及び歯列440はその長さ全体にわたって分離バーへの接続のために利用可能となる。したがって、チェーンリンクの内部分割のための任意選択的な分離バーは、横断バー412において横断バー412の長手範囲に沿って任意の所望の位置に固定可能となる。
【0064】
図4A~4Bに示すように、ライン保護層465は、スナップ接続又は係止接続によって本体に固定される。この目的のためのライン保護層465は(横断バー412の幅方向Bに関して)中央に配置された少なくとも1つの突起472を有する。突起472は、横断バー412の長手方向Qにリブ状に延在可能であり、又は分散した個々の係止突出部があってもよい。突起472は、両側に二重スナップフック又は返し474を有する。本体425は、プロファイル溝470又は係止受容手段470を同様に有し、その断面は突起472の断面に対応する。スナップ接続を行うために、ライン保護層465は、本体425の内部462に、本体425の主平面に対して横断する方向に、例えば手動で押圧されてもよく、それにより、突起472がプロファイル溝470内にスナップフック474によって係止する。本体425からのライン保護層465の除去は、非常に大きな力を要することが意図されている。これは、エネルギーガイドチェーン1の通常動作において、ライン保護層465が、横断バー412に対して内部で固定されるだけであるが、本体425から離脱し得ず、本体425の表面に対して変位されないことを確実にする。実施形態では、プロファイル溝470は本体425の一方の長手端部又は短い側から他方に延在して短手端部に対して端部で開口するので、ライン保護層465は短手端部から本体425に押し込まれることもでき、それにより、層465によって突起472は本体の主平面と平行な関係でプロファイル溝470内に横断バーの長手方向Qに押し込まれる。このように、本体425からのライン保護層465の除去は、例えば過度の摩耗の際に、横断バー412がチェーンリンク10から分解されている状態となる場合にのみ可能とされ得る。このように、ライン保護層465が、積極的ロック接続により、通常動作において本体425から離脱又は落下することが防止され得る。
【0065】
図5A~5Bは、横断バー512が、分離バーを保持するための保持デバイスとしてその本体525にそれぞれの歯列540を有する更なる実施形態を示す。ここでは、歯は、本体525の主平面から横断バー512の高さ方向Hに突出する。歯は、
図3A~3Cのように横断バーの幅方向Bに突出することも可能である。さらに、その長い狭面523に沿って、本体525は、ライン保護層565を固定するための固定用領域として作用するそれぞれの長手溝570を有する。ここでは、ライン保護層565は、ボウル状構成のものであり、その長手範囲に沿って延在するとともに、本体525のそれぞれ関連する追加の長手溝570とスナップ接続領域としてそれぞれ協働するエッジ領域572を同様に有する。ライン保護層565は、その内部562から本体525に手動で押圧され、その場所にスナップ留め可能である。ライン保護層565のエッジ領域572は、それぞれ、長手範囲に横断してC形状断面のものであり、それにより、ライン保護層565が本体にスナップ留めされると、それぞれのエッジ領域572は対応の長手溝570に係合してライン保護層565がエネルギーガイドチェーン1の動作中に本体525から滑り落ち又は落下することを防止する。この例では、ライン保護層565は、本体525の内部562に対して密着して隙間なく又は同一平面関係で存在する。本体525の狭面523及び外部564は解放され、すなわち、覆われないままであるので、分離バーを接続するための歯列540はその長さ全体に沿って利用可能である。
【0066】
図4A~4B及び
図5A~5Bに示す実施形態では、スナップ又は係止接続は、ライン保護層465、565のスナップ又は係止接続領域と本体の対応の固定用領域470、570との間でなされる。この目的のため、分離バーのための保持デバイス(歯列440、保持溝442)から空間的に分離した固定用領域470が本体に設けられる。このように、そこに設けられる全ての保持デバイスは、分離バーへの接続のために解放されたままとなる。
【0067】
一方で、本体の各狭面において、横断バーが、分離バーのための複数の冗長な保持デバイス、又は横断バーの幅方向Bに離間関係で延在する溝及び歯列の双方若しくは2本の平行な溝を有し、保持デバイスは対応の狭面により近接してそれに沿って延在する、という実施形態が可能である。この場合、ライン保護層は、溝がライン接続層のスナップ接続領域と固定用領域としても協働するように、本体に対するスナップ留め作用によって嵌合可能である。この場合、狭面に近接して延在する歯列又は溝は、分離バーへの接続のために利用可能である。
【符号の説明】
【0068】
図1
1 エネルギーガイドチェーン
10 チェーンリンク
11 サイドプレート
12 横断バー
14 受容空間
16 ホース
17 ケーブル
18 横断部分
19 受容空間の区画
20 分離バー
22 分離バーの上端部
23 横断バーの狭面
24 分離バーの下端部
h 受容空間の高さ
q 受容空間の幅
図2A~2C
26 分離バーの貫通開口
28 貫通開口の係止突起
212 横断バー
218 横断部分
220 分離バー
222 分離バーの上端部
223 狭面
224 分離バーの下端部
227 横断部分の歯構成
234 保持クリップ
240 歯列
241 歯
242 歯間ギャップ
250 保持延在部
251 歯突起
B 横断バーの幅方向
H 横断バーの高さ方向
Q 横断バーの長手方向
図3
312 横断バー
323 狭面
325 本体
340 歯列
362 内部
364 外部
365 ライン保護層
361A、361B 接続領域
図4A、4B
412 横断バー
423 狭面
425 本体
440 歯列
442 保持溝
462 内部
464 外部
465 ライン保護層
470 プロファイル溝
472 突起
474 返し(スナップフック)
図5A、5B
512 横断バー
523 狭面
525 本体
540 歯列
562 内部
564 外部
565 ライン保護層
570 長手溝
572 ライン保護層のエッジ領域
【手続補正書】
【提出日】2022-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインをガイドするエネルギーガイドチェーン(1)のチェーンリンク(10)のための横断バー(12;312;412;512)であって、
前記チェーンリンク(10)は2枚の相互に離間したサイドプレート(11)を有し、
前記横断バー(12;312;412;512)は第1のプラスチックからなる長細い本体(325;425;525)及びその長手端部の各々における接続領域(361A、361B)を有し、前記接続領域によってそれが前記サイドプレート(11)のそれぞれ一方に接続されてライン(16、17)のための受容空間(14)を画定することができ、
前記横断バー(12;312;412;512)の前記本体(325;425;525)は、前記横断バー(12;312;412;512)の長手方向(Q)に延在されて分離バー(20;220)を保持するための保持デバイ
ス、すなわち、一方の狭面(323;423;523)における保持デバイス、及び他方の狭面(323;423;523)における保持デバイスをそれぞれ有する2つの狭面(323;423;523)を有し、
前記ラインと前記横断バーの間の相対移動に対して摩損を低減するために前記本体(325;425;525)のプラスチックとは異なる第2のプラスチックからなる、前記ラインをソフトに扱うためのライン保護層(365;465;565)が、意図される使用において前記受容空間(14)を向く前記本体(325;425;525)の内部(362;462;562)に設けられ、
前記ライン保護層(365;465;565)は
、前記本体(325;425;525)の前記一方の狭面(323;423;523)か
ら前記他方の狭面(323;423;523)に延在し
、前記本体(325;425;525)の前記狭面(323;423;523)同士の間で前記本体(325;425;525)の前記内部(362;462;562)を少なくとも大部分、好ましくは実質的に完全に覆
う一方、前記2つの保持デバイスが覆われない状態とし、
前記ライン保護層(465;565)は、2部品(2C)射出成形加工で前記本体に一体的に生成され、又は前記本体に射出される、横断バー(12;312;412;512)。
【請求項2】
ラインをガイドするエネルギーガイドチェーン(1)のチェーンリンク(10)のための横断バー(12;312;412;512)であって、
前記チェーンリンク(10)は2枚の相互に離間したサイドプレート(11)を有し、
前記横断バー(12;312;412;512)は第1のプラスチックからなる長細い本体(325;425;525)及びその長手端部の各々における接続領域(361A、361B)を有し、前記接続領域によってそれが前記サイドプレート(11)のそれぞれ一方に接続されてライン(16、17)のための受容空間(14)を画定することができ、前記横断バー(12;312;412;512)の前記本体(325;425;525)は、前記横断バー(12;312;412;512)の長手方向(Q)に延在されて分離バー(20;220)を保持するための保持デバイ
ス、すなわち、一方の狭面(323;423;523)における保持デバイス、及び他方の狭面(323;423;523)における保持デバイスをそれぞれ有する2つの狭面(323;423;523)を有し、
ラインと前記横断バーの間の相対移動に対して摩損を低減するために前記本体(325;425;525)のプラスチックとは異なる第2のプラスチックからなる、前記ラインをソフトに扱うためのライン保護層(365;465;565)が、意図される使用において前記受容空間(14)を向く前記本体(325;425;525)の内部(362;462;562)に設けられ、
前記ライン保護層(365;465;565)は
、前記本体(325;425;525)の前記一方の狭面(323;423;523)か
ら前記他方の狭面(323;423;523)に延在し
、前記本体(325;425;525)の前記狭面(323;423;523)同士の間で前記本体(325;425;525)の前記内部(362;462;562)を少なくとも大部分、好ましくは実質的に完全に覆
う一方、前記2つの保持デバイスが覆われない状態とし、
前記ライン保護層(465;565)は、独立体の形態であり、前記本体(425;525)に接続される、横断バー(12;312;412;512)。
【請求項3】
前記ライン保護層(365;465;565)は、前記長手端部間の前記長手方向(Q)に及び前記一方の狭面(323;423;523)から前記他方の狭面への幅方向(B)に延在し、前記本体(325;425;525)の前記内部(362;462;562)を前記幅方向及び前記長手方向における全領域にわたって実質的に完全にかつ特に連続して覆う、請求項
2に記載の横断バー(12;312;412;512)。
【請求項4】
前記ライン保護層(465;565)は
、成形体の形態であり、前記本体(425;525)に特に取外し可能に接続される、請求項
2又は
3に記載の横断バー(412;512)。
【請求項5】
前記ライン保護層(465;565)は、前記本体(425;525)に積極的ロック及び/又は強制ロック関係で、特に係止接続によって固定可能である、請求項
2から
4のいずれか一項に記載の横断バー(412;512)。
【請求項6】
前記ライン保護層(465;565)は、前記本体(425;525)の前記内部(462;562)に同一平面装着の関係で対抗し、特に前記内部(462;562)の表面構成と相補形状の成形品の形態である、請求項
2から
5のいずれか一項に記載の横断バー(412;512)。
【請求項7】
前記本体(425;525)は前記ライン保護層(465;565)を固定するための少なくとも1つの固定用領域を有し、前記ライン保護層(465;565)は独立した成形品の形態であり、少なくとも1つの前記固定用領域と協働
する少なくとも1つのスナップ接続領域又は係止接続領域を有する、請求項
2から
6のいずれか一項に記載の横断バー(412;512)。
【請求項8】
前記固定用領域は前記ライン保護層(465)上でそれぞれの相補型突起(472)を受容するための前記本体(425)の前記内部(462)においてプロファイル溝(470)又は凹部の形態であり、前記突起は、特に返し(474)の態様で作用する少なくとも1つの領域を含む、請求項
7に記載の横断バー(412)。
【請求項9】
前記本体(525)は、前記ライン保護層(565)のそれぞれのエッジ領域(572)との係合のために前記本体(525)のそれぞれの狭面(523)に沿う長手溝(570)の形態で、前記ライン保護層(565)を固定するための2つの端部固定用領域を有し、それぞれの前記長手溝(570)は好ましくは端部において前記本体(525)の幅方向に開口し、前記ライン保護層(565)のそれぞれの前記エッジ領域(572)は好ましくはクランプ形状、特にC形状断面のものであり、対応する前記長手溝(570)内でそれぞれのエッジ領域(572)と係合する、請求項
7又は
8に記載の横断バー(512)。
【請求項10】
前記ライン保護層(365)は、前記本体(325)
に材料結合関係で接続さ
れる、請求項
2又は
3に記載の横断バー(312)。
【請求項11】
前記ライン保護層(365;465;565)は、意図される動作負荷に対して、前記本体(325;425;525)の表面に対して不動である表面との一体構成のものである、請求項2から10のいずれか一項に記載の横断バー(312;412;512)。
【請求項12】
各保持デバイスは、それぞれの歯列(240)を、前記横断バー(212)の幅方向(B)に突出する歯(241)による相補型構成の分離バー(220)への積極的ロック接続のためにそれぞれの前記狭面(223)に有し、各歯(241)は、前記横断バー(212)の前記長手方向(Q)の前記歯(241)の寸法よりも大きな前記横断バー(212)の高さ方向(H)の寸法のものである、請求項1から
11のいずれか一項に記載の横断バー(212)。
【請求項13】
各保持デバイスは、それぞれの保持溝(442)を、相補型構成の分離バー(20;220)への積極的ロック接続のために前記本体(425)のそれぞれの前記狭面(423)に含み、前記保持溝(442)は前記横断バーの前記長手方向(Q)に延在する、請求項1から
11のいずれか一項に記載の横断バー(412)。
【請求項14】
前記ライン保護層(365;465;565)は、前記本体(325;425;525)の前記内部(362;462;562)に及び前記狭面(323;423;523)同士の間にのみ設けられる、請求項1から
13のいずれか一項に記載の横断バー(312;412;512)。
【請求項15】
前記ライン保護層(365;465;565)は、前記本体と比較して摩耗低減、特に摩擦低減作用を有する材料を含む、請求項1から
14のいずれか一項に記載の横断バー(312;412;512)。
【請求項16】
前記ライン保護層(365;465;565)は、前記本体(325;425;525)の対応する寸法未満、特に前記本体の対応する寸法の40%以下の、前記横断バーの主平面に垂直な方向の材料厚のもので
ある、請求項1から
15のいずれか一項に記載の横断バー(312;412;512)。
【請求項17】
前記横断バーは、その長手端部の少なくとも一方において、前記サイドプレート(11)のそれぞれ1つに取外し可能に固定するために設けられた接続領域(361A、361B)を有する、請求項1から
16のいずれか一項に記載の横断バー(312;412;512)。
【請求項18】
横断バー(12;212;312;412;512)によって相互に接続され、長手方向に更なるチェーンリンクのサイドプレートに旋回可能に接続可能な2枚のサイドプレート(11)を含むエネルギーガイドチェーン(1)のためのチェーンリンク(10)であって、
請求項1から
17のいずれか一項に記載のライン保護層(365;465;565)を有する少なくとも1本の横断バー(312;412;512)を有する、チェーンリンク(10)。
【請求項19】
請求項
18に記載の少なくとも1つのチェーンリンク(10)を含む、例えばケーブル(17)及び/又はホース(16)などのラインを動的にガイドするエネルギーガイドチェーン(1)。
【国際調査報告】