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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】中空球状ガラス粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 19/08 20060101AFI20230405BHJP
   C03C 11/00 20060101ALI20230405BHJP
   C03C 12/00 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
C03B19/08 B
C03C11/00
C03C12/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022544776
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(85)【翻訳文提出日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2021050570
(87)【国際公開番号】W WO2021148285
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/051743
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518453383
【氏名又は名称】オムヤ インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【弁理士】
【氏名又は名称】礒山 朝美
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト オルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ライラ ラクエル パジン エー マトス
(72)【発明者】
【氏名】エカテリーナ ヘルビヒ
【テーマコード(参考)】
4G062
【Fターム(参考)】
4G062AA10
4G062AA14
4G062BB01
4G062CC01
4G062CC08
4G062DA05
4G062DA06
4G062DB04
4G062DB05
4G062DC01
4G062DD01
4G062DE01
4G062DF01
4G062EA01
4G062EB04
4G062EC01
4G062ED01
4G062EE01
4G062EF01
4G062EG01
4G062FA01
4G062FA10
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4G062FC01
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4G062FE01
4G062FF01
4G062FG01
4G062FH01
4G062FJ01
4G062FK01
4G062FL01
4G062GA01
4G062GA10
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4G062HH01
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4G062HH05
4G062HH07
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4G062HH20
4G062JJ01
4G062JJ03
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4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK03
4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM13
4G062MM15
4G062NN29
4G062NN33
4G062NN34
(57)【要約】
少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む中空球状ガラス粒子を製造する方法であって、この方法が、出発材料を混合し、出発材料を水でスラリー化し、続いて噴霧乾燥させることによって、少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を製造すること、及び得られた前駆体粒子を少なくとも1つの裸火炎と接触させることによって、1000℃~1800℃、好ましくは1300℃~1600℃の温度で前駆体粒子を熱処理することを含む、中空球状ガラス粒子を製造する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下のステップを含む、少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む中空球状ガラス粒子の製造方法であって:
(I)少なくとも以下のサブステップを含む方法によって前駆体粒子を製造すること:
(I-1)少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含むガラスを形成するための少なくとも1種の出発化合物の粒子を含む出発組成物を提供すること、
(I-2)前記出発組成物を液体と混合し、これによりスラリーを得ること、及び
(I-3)得られた前記スラリーを噴霧乾燥させ、これにより前記前駆体粒子を得ること;並びに
(II)前記前駆体粒子を加熱装置に通すことによって、1000℃~1800℃の温度で前記前駆体粒子を熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得ること;
ここで、可燃性ガスによって供給された少なくとも1つの裸火炎が前記加熱装置の内部で燃焼しており、かつ前記前駆体粒子を1つ又は複数の前記裸火炎と接触させることによって前記熱処理を実施する、
中空球状ガラス粒子の製造方法。
【請求項2】
前記中空球状ガラス粒子が、前記中空球状ガラス粒子の総重量を基準として、それぞれ、少なくとも30重量%のSiO、少なくとも25重量%のAl、及び少なくとも18重量%のアルカリ金属酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルカリ金属酸化物がNaOである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記中空球状ガラス粒子がホウ素を含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記中空球状ガラス粒子の平均直径が20μm~200μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記出発組成物が少なくともゼオライトを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記出発組成物が少なくとも、ゼオライト、粘土、及びアルカリ金属炭酸塩を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記熱処理の温度が1300℃~1600℃である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
1つ又は複数の前記火炎との接触時間が0.001秒~1秒である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記加熱装置が長手反応チャンバを有している、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記反応チャンバが円筒形である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記長手反応チャンバの内部水力直径が0.1~3mである、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記加熱装置に1つ又は複数の前記火炎を供給する前記可燃性ガス中に、前記前駆体粒子を分散させる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
1つ又は複数の前記火炎の上流の位置で前記加熱装置に添加する不燃性ガス中に、前記前駆体粒子を分散させる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
1つ又は複数の前記裸火炎と接触させた後に、少なくとも1つの冷却ゾーンで、以下から選択する少なくとも1つの方法によって、得られた前記中空球状ガラス粒子を冷却する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法:
・前記反応チャンバ内へガスを導入すること、及び
・前記反応チャンバの壁を冷却すること。
【請求項16】
前記反応チャンバが少なくとも2つの冷却ゾーンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法であって、
ステップ(II)のために使用する前記加熱装置が少なくとも以下を含み:
・可燃性ガスのための入口、
・不燃性ガスのための入口、
・少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む長手反応チャンバ:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、前記可燃性ガスの前記入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
並びに
・前記中空球状ガラス粒子、不燃性ガス、及び廃棄物のための出口;
かつ
ステップ(II)を以下のとおり実施する、方法:
(II-1)前記入口を通して前記可燃性ガス流を導入し、前記可燃性ガス流を1つ又は複数の前記バーナーノズルに移動させ、かつ少なくとも1つの裸火炎を点火すること、
(II-2)前記入口を通して前記不燃性ガス流を前記燃焼ゾーン(a)内へ導入し、かつ前記冷却ゾーン(b)を通して前記不燃性ガス流を前記出口へ移動させること、
(II-3)以下から選択する少なくとも1つの方法によって、前記前駆体粒子を前記加熱装置内へ添加し、かつ前記燃焼ゾーン(a)で前記前駆体粒子を1つ又は複数の前記裸火炎と接触させ、これにより、中空球状ガラス粒子、前記可燃性ガスの燃焼によって発生した排ガス、及び不燃性ガスの流れを得ること:
・前記可燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、及び/又は
・前記不燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、
(II-4)形成した中空球状ガラス粒子、排ガス、及び不燃性ガスの前記流れを前記冷却ゾーン(b)に通すことによって冷却すること、並びに
(II-5)前記排ガス及び前記不燃性ガスから前記中空球状ガラス粒子を分離すること。
【請求項18】
前記長手反応チャンバが鉛直方向に配向しており、前記燃焼ゾーン(a)が前記反応チャンバの下端部にあり、かつ前記冷却ゾーン(b)が前記反応チャンバの上端部にある、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記燃焼ゾーン(a)における前記反応チャンバの内壁が、耐火材料によって保護されている、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記耐火材料を冷却する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記燃焼ゾーン(a)が、可燃性ガスのための複数のノズルを含む、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記燃焼ゾーン(a)の断面全体に火炎が存在するように、前記複数のノズルが配置されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記冷却ゾーン(b)が、前記冷却ゾーン内へ冷却ガスを付加的に入れるための手段を備えている、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記冷却ゾーン(b)の壁を不燃性ガスによって冷却する、請求項17~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記反応チャンバが少なくとも2つの冷却ゾーンを含み、かつ少なくとも2つのステップで冷却を実施する、請求項17~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
ステップ(II-5)をサイクロンによって実施する、請求項17~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
燃焼中に形成された排ガスと、ステップ(II-5)中に分離された不燃性ガスとの混合物の少なくとも一部を再循環させる、請求項17~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法であって、
ステップ(II)のために使用される前記加熱装置が、少なくとも以下を含み:
・可燃性ガスのための入口、
・任意に、不燃性ガスのための入口、
・円筒形の回転可能な反応チャンバであって、前記反応チャンバの端部が、固定前部ユニット及び固定後部ユニットに回転可能に取り付けられている反応チャンバ、
ここで、前記回転可能な円筒形の反応チャンバが、水平方向に配置されているか、又は前記反応チャンバの後端部へ向かって傾斜して配置されており、かつ前記回転可能な円筒形の反応チャンバが少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、前記可燃性ガスのための前記入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが、前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、ゾーン(a)の前記バーナーノズルの配列と接続した可燃性ガス流のための入口、及び任意に不燃性ガスのための入口を備えている固定前部ユニット、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、中空球状ガラス粒子のための出口、及び排ガスのための出口を備えている固定後部ユニット、並びに
・前記円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転するための駆動装置;
かつ
ステップ(II)を以下のとおり実施する、方法:
(II-0’)前記円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転すること、
(II-1’)前記入口を通して前記可燃性ガス流を導入し、前記可燃性ガス流を1つ又は複数の前記バーナーノズルに移動させ、かつ少なくとも1つの裸火炎を点火すること、
(II-2’)任意に、前記入口を通して不燃性ガス流を前記燃焼ゾーン(a)内へ導入し、かつ前記冷却ゾーン(b)を通して前記不燃性ガス流を前記出口へ移動させること、
(II-3’)以下によって、前記前駆体粒子を前記加熱装置内へ添加し、かつ前記燃焼ゾーン(a)で前記前駆体粒子を1つ又は複数の前記裸火炎と接触させ、これにより、排ガス流中の中空球状ガラス粒子を得ること:
・前記可燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、及び/又は
・前記不燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、
(II-4’)回転運動oによって前記中空球状ガラス粒子を前記冷却ゾーン(b)に通すことにより前記排ガス流中の前記中空球状ガラス粒子を冷却すること、並びに
(II-5’)前記固定後部ユニットの前記中空球状ガラス粒子の前記出口を通して前記中空球状ガラス粒子を取り出すこと、及び/又は前記排ガスの前記出口を通って出た前記排ガス流から前記中空球状ガラス粒子を分離すること。
【請求項29】
前記円筒形の回転可能な反応チャンバの傾斜角が、0超~10°である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記燃焼ゾーン(a)における前記反応チャンバの内壁が、耐火材料によって保護されている、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記燃焼ゾーン(a)が、可燃性ガスのための複数のノズルを含む、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記燃焼ゾーン(a)の断面全体に火炎が存在するように、前記複数のノズルが配置されている、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記冷却ゾーン(b)が、前記反応チャンバ内へ冷却ガスを入れるための手段を備えている、請求項28~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ステップ(II-5’)をサイクロンによって実施する、請求項28~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
燃焼中に形成された排ガスと、ステップ(II-5’)中に分離された不燃性ガスとの混合物を再循環させる、請求項28~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
SiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を、1000~1800℃の温度で熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得るための、少なくとも以下を備える加熱装置:
・少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む長手反応チャンバ:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、可燃性ガスの入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが、前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
・前記可燃性ガスのための入口、
・前記燃焼ゾーン(a)内へ不燃性ガスを導入するための入口、
・SiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を前記可燃性ガス及び/又は前記不燃性ガスに添加するための手段、並びに
・前記冷却ゾーン(b)から中空球状ガラス粒子、不燃性ガス、及び廃棄物を取り出すための出口。
【請求項37】
前記燃焼ゾーン(a)における反応チャンバの内壁が、耐火材料によって保護されている、請求項36に記載の加熱装置。
【請求項38】
前記加熱装置が前記耐火材料を冷却するための手段を備えている、請求項37に記載の加熱装置。
【請求項39】
前記燃焼ゾーン(a)が、可燃性ガスのための複数のノズルを含む、請求項36~38のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項40】
前記燃焼ゾーン(a)の断面全体に火炎が存在するように、前記複数のノズルが配置されている、請求項39に記載の加熱装置。
【請求項41】
前記冷却ゾーン(b)が、前記冷却ゾーン内へ冷却ガスを付加的に入れるための手段を備えている、請求項36~40のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項42】
前記冷却ゾーン(b)の壁が二重壁であり、かつ少なくとも冷却ガスのための入口及び出口を備えている、請求項36~41のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項43】
前記加熱装置が、前記出口と接続したサイクロンを備えている、請求項36~42のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項44】
SiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を1000~1800℃の温度で熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得るための、少なくとも以下を備える加熱装置:
・可燃性ガスのための入口、
・任意に、不燃性ガスのための入口、
・円筒形の回転可能な反応チャンバであって、前記反応チャンバの端部が、固定前部ユニット及び固定後部ユニットに回転可能に取り付けられている反応チャンバ、
ここで、前記回転可能な円筒形の反応チャンバが、水平方向に配置されているか、又は前記反応チャンバの後端部へ向かって傾斜して配置されており、かつ前記回転可能な円筒形の反応チャンバが少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、前記可燃性ガスのための前記入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが、前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、ゾーン(a)の前記バーナーノズルの配列と接続した可燃性ガス流のための入口、及び任意に不燃性ガスのための入口を備えている固定前部ユニット、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、中空球状ガラス粒子のための出口、及び排ガスのための出口を備えている固定後部ユニット、並びに
・前記円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転するための駆動装置。
【請求項45】
前記円筒形の回転可能な反応チャンバの傾斜角が、0超~10°である、請求項44に記載の加熱装置。
【請求項46】
前記燃焼ゾーン(a)における反応チャンバの内壁が、耐火材料によって保護されている、請求項44又は45に記載の加熱装置。
【請求項47】
前記燃焼ゾーン(a)が、可燃性ガスのための複数のノズルを含む、請求項44~46のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項48】
前記燃焼ゾーン(a)の断面全体に火炎が存在するように、前記複数のノズルが配置されている、請求項47に記載の加熱装置。
【請求項49】
前記冷却ゾーン(b)が、前記反応チャンバ内へ冷却ガスを入れるための手段を備えている、請求項44~48のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項50】
前記加熱装置が、排ガスのための前記出口に接続したサイクロンを備えている、請求項44~49のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項51】
高温生成物、溶融金属、射出成形合成材料、難燃性断熱発泡体、セメントスラリー、モルタル、コンクリート、及び油田用途のための充填剤としての、少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む中空球状ガラス粒子の使用であって、前記中空球状ガラス粒子が請求項1~35のいずれか一項に記載の方法によって製造される、中空球状ガラス粒子の使用。
【請求項52】
融点が少なくとも500℃の溶融金属の添加剤としての、少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む中空球状ガラス粒子の使用であって、前記中空球状ガラス粒子が請求項1~35のいずれか一項に記載の方法によって製造される、中空球状ガラス粒子の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む中空球状ガラス粒子を製造する方法であって、この方法が、出発材料を混合し、出発材料を水でスラリー化し、続いて噴霧乾燥させることによって、少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を製造すること、及びこうして得られた前駆体粒子を少なくとも1つの裸火炎と接触させることによって、1000℃~1800℃、好ましくは1300℃~1600℃の温度で前駆体粒子を熱処理することを含む、中空球状ガラス粒子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中空ガラス微小球としても知られる中空球状ガラス粒子は、様々な適用分野の材料のための充填剤として使用されている。こうした中空球状ガラス粒子の比重は、他の充填剤と比較して著しく低く、その一方で、耐熱性、耐圧性、耐衝撃性などの物理的特性は、高いレベルに保ったままである。したがって、中空球状ガラス粒子は、成形樹脂又は金属部品を含む重量減少物品のための、例えば、自動車部品、家庭用品、シール材料、又は建築材料のための充填剤として広く使用されている。このような中空球状ガラス粒子及びそれらの製造の例は、例えば、米国特許第3,699,050号明細書、米国特許第4,336,338号明細書、米国特許第5,176,732号明細書、及び米国特許出願公開第2002/0004111 A1号公報に記載されている。
【0003】
中空球状ガラス粒子を製造するためのこの技術分野で既知の方法は、通常、ガラス微粉末を高温ガス中に分散させることを含み、ここで、ガラスは加熱されて溶融物になり、(外層から溶融が開始した)溶融材料の粘度が低下するようになっている。同時に、前駆体粒子の組成物中に存在する膨張剤の気化によってガスが生じる。したがって、表面張力に起因して、得られる粒子の形状は球形になり、かつ同時に、粒子内部で形成されたガスのために粒子は中空になる。
【0004】
中空球状ガラス粒子の化学組成に関しては、ホウケイ酸ガラスがその化学的及び機械的耐性に基づき幅広く使用されている。例えば、特開昭58-156551号公報には、例えばSiO、HBO、CaCO、NaCO、NHPO、及びNaSOの出発材料から中空ホウケイ酸ガラス微小球を形成する方法が開示されている。しかしながら、規制上の要件の理由から、ホウ素を含有しない中空非球形ガラス粒子の適用が好ましい。さらにホウ素は粒子を脆弱にし得る。
【0005】
国際公開第2017/108831号には、Al、SiO、及び少なくとも1種のアルカリ金属酸化物を出発材料として使用して、ホウ素を含有しない中空球状アルモシリケートガラス粒子を調製する方法が開示されており、この出発材料を水と混合し、かつこの混合物を噴霧乾燥させ、これにより、平均粒径80μm~400μm及び残留湿分1%~10%の前駆体粒子を得て、かつこの前駆体粒子を温度範囲1500℃~1800℃の加熱装置内へ供給することにより、乾燥した混合物が約1秒~約10秒間にわたって加熱装置を通って落下するようにし、これにより好ましくは粒径が10μm~600μmの中空球状ガラス粒子を製造する方法が開示されている。この加熱装置は、外側加熱マントルを含む管炉である。
【0006】
我々のより以前の出願である国際公開第2020/020921号に開示されているホウ素を含有しない中空球状ガラス粒子は、少なくとも30重量%のAlと、少なくとも35重量%のSiOと、少なくとも18重量%の少なくとも1種のアルカリ金属酸化物とを含み、かつ20μm超~75μmの粒径を有している。この出願はさらに、このような粒子を製造する方法を開示しており、少なくとも30重量%のAlと、少なくとも35重量%のSiOと、少なくとも18重量%の少なくとも1種のアルカリ金属酸化物とを含む組成物を提供し、ここで、これらの成分が、粒径≦10μmを有する微粒子として存在し、この粒子を水及び任意には有機バインダーと混合し、この粒子を噴霧乾燥させ、かつ乾燥した粒子を加熱装置内、例えば管炉内へ供給することにより、1000℃を超えるように温度を維持しつつ、この粒子を上方へ向かって吹き上げ、これにより中空球状ガラス粒子を得る方法を開示している。あるいは、直列に接続した2つの加熱装置を使用することができ、又は粒子の少なくとも一部を循環させて加熱装置内へ戻す。記載されている管炉は外側加熱マントルを含む。
【0007】
特開平7-277768号公報には、中空ガラス球を製造する方法が開示されている。出発材料として、ガラス粉末と、無機材料、好ましくは、より高い温度で分解し、これによりガスを発生する炭酸塩又は硫酸塩粉末との混合物が使用されている。この混合物は、例えば噴霧乾燥器によって顆粒に変換させられ、顆粒はその後、無機材料を分解するのに十分な温度の空気流中に提供されてガスを発生する。好ましくは、熱処理を約1200~1600℃の空気流中で5~1000ミリ秒にわたって実施する。実施例1において、ガラス粉末(55%のSiO、14%のAl、8%のB、1%のMgO、21%のCaO、及び1%のBaO;重量百分率)をCaSO・2HO及び水と混合することによりスラリーを得て、このスラリーを噴霧乾燥させることにより、平均粒径50μmの顆粒を得ている。その後、この顆粒を最大温度1500℃のガスバーナー空気流中に供給し、約100ミリ秒間にわたって熱処理し、かつ次いでサイクロンによって捕集している。この実施例は、顆粒がガスバーナーの裸火炎と接触させられることを教示しておらず、顆粒がガスバーナーによって生成された熱気流に供給されることしか教示していない。熱気流中で顆粒を加熱するために使用される装置に関する詳細は開示されていない。
【0008】
1000℃を上回る温度で材料を熱処理するための外側加熱マントルを含む管炉は、管の直径が過度に大きくないのであれば適しているかもしれない。しかしながら、生産プラントには必要となり得るように、管の直径が増大するのに伴って、管内への熱伝達はますます難しくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、改善された中空球状ガラス粒子の製造方法を提供することであって、大きな内径を有する加熱装置で中空球状ガラス粒子を製造することをも可能にする、中空球状ガラス粒子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む中空球状ガラス粒子を製造する方法が見出され、この方法は、少なくとも以下のステップを含む:
(I)少なくとも以下のサブステップを含む方法によって前駆体粒子を製造すること:
(I-1)少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含むガラスを形成するための少なくとも1種の出発化合物の粒子を含む出発組成物を提供すること、
(I-2)出発組成物を液体と混合し、これによりスラリーを得ること、及び
(I-3)得られたスラリーを噴霧乾燥させ、これにより前駆体粒子を得ること;並びに
(II)前駆体粒子を加熱装置に通すことによって、1000℃~1800℃の温度で前駆体粒子を熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得ること;
ここで、可燃性ガスによって供給された少なくとも1つの裸火炎が加熱装置の内部で燃焼しており、かつ前駆体粒子を1つ又は複数の裸火炎と接触させることによって熱処理を実施する。
【0011】
好ましくは、製造されるべき中空球状ガラス粒子が、中空球状ガラス粒子の総重量を基準として、それぞれ、少なくとも30重量%のSiO、少なくとも25重量%のAl、及び少なくとも18重量%のアルカリ金属酸化物を含み、ホウ素を含有せず、かつ中空球状ガラス粒子の平均直径が、20μm~200μmである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、可燃性ガスに前駆体粒子を添加する鉛直(縦型)加熱装置を示す概略図である。
図2図2は、複数の火炎を含む加熱装置を示す概略図である。
図3図3は、8つのバーナーノズルを含む可燃性ガスのための分配器を示す概略図である。
図4図4は、不燃性キャリアガスに前駆体粒子を添加する鉛直加熱装置を示す概略図である。
図5図5は、反応器壁を冷却するガスのための付加的な入口を備えている、不燃性キャリアガスに前駆体粒子を添加する水平(横型)加熱装置を示す概略図である。
図6図6は、不燃性キャリアガスに前駆体粒子を添加する鉛直加熱装置を示す概略図である。
図7図7は、排ガスの再循環を含むプラントのプロセスフロー図である。
図8図8は、可燃性ガスに前駆体粒子を添加する回転キルンを示す概略図である。
図9図9は、反応器壁を冷却するガスのための付加的な入口を備えている、可燃性ガスに前駆体粒子を添加する回転キルンを示す概略図である。
図10図10は、可燃性ガスに前駆体粒子を添加し、加えて不燃性ガスを導入する、回転キルンの前部を示す概略図である。
図11図11は、不燃性キャリアガスに前駆体粒子を添加する回転キルンの前部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に関連して、以下に具体的に説明することができる。
【0014】
中空球状ガラス粒子
ガラスの組成は、SiO、Al、アルカリ金属酸化物、及び任意にはさらなる酸化物のそれらの含有率によってしばしば表わされる。組成についてのこうした記述は、本発明のためにも使用される。
【0015】
本発明の方法によって製造される中空球状ガラス粒子は、少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物、好ましくはNaOを含む。任意には、さらなる成分が存在してもよい。
【0016】
好ましくは、本発明の方法によって製造される中空球状ガラス粒子が、中空球状ガラス粒子の総重量を基準として、それぞれ、少なくとも30重量%のSiO、少なくとも25重量%のAl、及び少なくとも18重量%のアルカリ金属酸化物、好ましくはNaOを含む。
【0017】
本発明の一実施態様では、中空球状ガラス粒子が、中空球状ガラス粒子の総重量を基準として、それぞれ、30重量%~55重量%のSiO、25重量%~45重量%のAl、及び18重量%~40重量%のアルカリ金属酸化物、好ましくはNaOを含む。本発明のさらに別の実施態様では、中空球状ガラス粒子が、中空球状ガラス粒子の総重量を基準として、それぞれ、30重量%~40重量%のSiO、25重量%~35重量%のAl、及び30重量%~40重量%のNaOを含む。
【0018】
本発明の一実施態様では、中空球状ガラス粒子はホウ素を含まない。本明細書中に使用される「ホウ素を含まない」又は「ホウ素非含有」という用語は、僅かな量のホウ素が存在することを排除するものではない。具体的には、中空球状ガラス粒子が含むホウ素の量は、もしあるならば、中空球状ガラス粒子の総重量を基準として、1.0重量%又はそれ未満、より好ましくは0.1重量%又はそれ未満、さらにより好ましくは0.01重量%又はそれ未満、例えば、0.001重量%又はそれ未満であることが好ましい。
【0019】
本発明の一実施態様では、中空球状ガラス粒子の平均粒径は、20~200μm、例えば20μm~150μm、又は20μm~70μmである。この値は、例えば顕微鏡法によって測定することができる数平均に関連する。
【0020】
本発明の一実施態様では、中空球状ガラス粒子の壁厚は0.1~15μm、特に0.2~12μmである。
【0021】
さらに、本発明に係る中空球状ガラス粒子は、圧力崩壊強度値が120~150MPaの範囲であることが好ましい。圧力崩壊強度値の測定のために、底が閉じたシリンダーに中空球状ガラス粒子を移し、ポンチを使って上部に圧力をかけることができる。中空球状ガラス粒子は、プレス機の中のように、ポンチによってプレスされる。シリンダー内の中空球状ガラス粒子の充填高さは粒径に依存する。シリンダーを、ピストンの力を制御する引張/圧縮試験装置に配置する。したがって、所定の垂直抗力又は表面圧力が生じる。粒子サイズに応じて、顕微鏡検査又は肉眼検査を用いて破壊された中空球状ガラス粒子の割合を測定することによって、結果を評価する。この手順のために使用したシリンダーは、内径20mm、シリンダーの内部長さ80mmを有する。充填高さは20mmであった。この基準は、80%の無傷の適切な直径の中空球状ガラス粒子に基づくものである。
【0022】
中空球状ガラス粒子の嵩密度は、0.4~1.2g/cmの範囲、より好ましくは0.5~1.0g/cmの範囲、さらにより好ましくは0.6~0.9g/cmの範囲、例えば0.7~0.8g/cmの範囲であることが好ましい。
【0023】
中空球状ガラス粒子の製造方法
本発明による中空球状ガラス粒子の製造方法は少なくとも2つのステップを含む。
【0024】
1番目のステップ(I)において、適切なガラス形成成分を含む前駆体粒子を作り出し、かつ2番目のステップ(II)において、裸火炎を用いて1000℃~1800℃の温度で前駆体粒子を熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得る。
【0025】
ステップ(I)-前駆体粒子の製造
ステップ(I)は少なくとも3つのサブステップ(I-1)、(I-2)、及び(I-3)を含む。ステップ(I-1)中で、前駆体粒子を製造するための出発組成物を提供する。ステップ(I-2)中で、出発組成物を液体と混合し、これにより出発材料の水性スラリーを得て、かつステップ(I-3)中で、得られた水性スラリーを噴霧乾燥させ、これにより前駆体粒子を得る。
【0026】
ステップ(I-1)
前駆体粒子を調製するための出発組成物は、少なくとも、SiO、Al、及びアルカリ金属酸化物、好ましくはNaOを含むガラスを形成するための少なくとも1種の出発材料の粒子を含む。好ましくは、少なくとも2種の異なる出発材料の混合物を使用する。
【0027】
少なくとも、SiO、Al、及びアルカリ金属酸化物、好ましくはNaOを含むガラスを形成するための出発材料は、基本的にはこの分野で既知である。出発材料は、SiO、Al、及びアルカリ金属酸化物の成分のすべて、又はこれらのうちの2種だけ、又はこれらのうちの1種だけを含むことができる。
【0028】
本発明における使用に適した出発材料の例は、アルカリ金属炭酸塩、特に、炭酸ナトリウム、二酸化ケイ素、ケイ酸塩、アルモシリケート、例えばゼオライトAのような、例えばゼオライト、粘土、例えばカオリナイト、雲母、又はこれらの混合物を含む。
【0029】
出発組成物は、ステップ(II)中の熱処理時にガスを放出することができる。このようなガスは、特に、二酸化炭素及び/又は水であってよい。好ましくは、ガラスを形成するための出発材料自体が、このガスを放出することができるが、他の実施態様では、付加的な膨張添加剤をこの目的に使用することもできる。熱処理時にガスを放出する出発材料の例は、加熱時にCOを放出するアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウムを含む。さらなる例は、化学的結合水、例えばケイ酸塩及び/又はアルモシリケートを含有する水を含む出発材料を含む。例として、一般式:M2/zO・Al・xSiO・yHOによって表すことができるゼオライトを含み、式中、Mはアルカリ又はアルカリ土類金属カチオンであり、zはカチオンの電荷であり、xは約1.8~12であり、かつyは0~約8である。具体例は、式:Na12((AlO12(SiO12)・27HOによって表すことができるゼオライトAである。さらなる例は粘土、例えばカオリナイトを含む。熱処理中に出発成分から放出されたガスは、中空球を膨らませる。
【0030】
本発明の一実施態様では、出発組成物は、少なくともゼオライト、例えばゼオライトAを含む。
【0031】
本発明の別の実施態様では、出発組成物は、少なくともゼオライト、例えばゼオライトAと、アルカリ金属炭酸塩、特に炭酸ナトリウムとを含み、好ましくは、ゼオライトAと炭酸ナトリウムとを含む。
【0032】
本発明の別の実施態様では、出発組成物は、少なくともゼオライト、例えばゼオライトAと、粘土鉱物、例えばカオリン又はカオリナイトとを含み、好ましくは、ゼオライトAとカオリン及び/又はカオリナイトとを含む。
【0033】
本発明のさらに別の実施態様では、出発組成物は、少なくともゼオライト、例えばゼオライトAと、粘土鉱物、例えばカオリン又はカオリナイトと、アルカリ金属炭酸塩、特に炭酸ナトリウムとを含み、好ましくは、ゼオライトAと、カオリン及び/又はカオリナイトと、炭酸ナトリウムとを含む。
【0034】
本発明の一実施態様では、出発組成物がホウ素を含まない。「ホウ素を含まない」という用語はすでに上で定義した。
【0035】
上述したガス、又は存在し得る他の揮発性成分がステップ(II)中の熱処理中に組成物から放出されることを念頭に置いて、ガラスの意図した組成にしたがって出発組成物中の出発材料の種類及び量を調節する。したがって、出発組成物中のSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物の比率は、ガラスにおける比率と同じであるが、出発組成物におけるこれらの絶対百分率は、熱処理中の質量損失に起因してより低くなることがある。
【0036】
出発材料の粒子は、粉砕によって得ることができる。本発明の一実施態様では、この方法は出発材料を粉砕するステップを含む。粉砕は出発材料の混合前、又は出発材料の混合後に実施することができる。粉砕プロセスは乾式又は湿式であってよい。本発明の一実施態様では、粉砕プロセスを出発組成物中の粒子の平均粒径が10μm又はそれ未満、好ましくは7μm又はそれ未満となるようにして実施する。粒径は、顕微鏡法によって測定することができる数平均を意味する。
【0037】
ステップ(I-2)
ステップ(I-2)中で、ステップ(I-1)中に調製された出発材料の粒子を含む出発組成物を液体と混合し、これにより液体中の出発組成物の粒子のスラリーを得る。
【0038】
液体は単一の成分であってよく、あるいは異なる成分の混合物を含んでいてもよい。好ましくは、液体は水を含み、すなわち水性液体である。一実施態様では、粒子をスラリー化するための液体としては水だけが使用される。
【0039】
スラリーは最大約80.0重量%、例えば約50~約75重量%の出発組成物を含むことができる。
【0040】
加えて、スラリーはさらなる添加剤を含んでいてもよい。
【0041】
一実施態様では、スラリーは分散剤をさらに含むことができる。好適な分散剤の例は、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリアクリレートコポリマー、又はこれらの混合物のようなポリマー分散剤を含む。
【0042】
別の実施態様では、結合剤を使用することができる。このような結合剤は、前駆体粒子の形成を助けることができる。結合剤の例は無機結合剤、例えば水ガラス、又は有機結合剤、例えば、グリセリン、グリコール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、デンプン、ポリビニルアルコール、又はこれらの混合物を含む。
【0043】
ステップ(I-3)
ステップ(I-3)では、ステップ(I-2)において得られたスラリーを噴霧乾燥させ、これにより前駆体粒子を得る。
【0044】
噴霧乾燥のための装置は、この分野において既知であり、商業的に入手可能である。本発明の一実施態様では、スラリーを150℃~250℃の温度で噴霧乾燥させる。この温度は噴霧乾燥器の入口温度に関連する。噴霧乾燥から得られる前駆体粒子は球状又は少なくとも本質的に球状である。
【0045】
前駆体粒子のそれぞれは出発材料の複数の一次粒子を含んでいる。前駆体粒子の粒径は、作り出される中空球状ガラス粒子の意図した粒径にしたがって調節される。大まかに言えば、前駆体粒子の粒径が大きくなるのに伴って、中空球状ガラス粒子の粒径も大きくなる。噴霧乾燥プロセス中にプロセスパラメータによって粒径をどのように調節するかは当業界で知られている。本発明の一実施態様では、前駆体粒子の粒径は20μm~250μmに調節される。粒径は、顕微鏡法によって測定することができる数平均を指す。
【0046】
任意には、ステップ(I-3)中に得られた前駆体粒子を、例えば篩過によってスクリーニングすることにより、ステップ(II)中の熱処理のために特定の画分の前駆体粒子だけを選択することができる。例えば、極めて粗大な前駆体粒子及び/又は極めて微細な前駆体粒子を分離することができる。
【0047】
ステップ(II)-前駆体粒子の熱処理
概要
ステップ(II)中で、ステップ(I)中に得られた前駆体粒子を1000℃~1800℃、好ましくは1300℃~1600℃の温度で熱処理し、これにより、中空球状ガラス粒子を得る。熱処理は、前駆体粒子を加熱装置に通すことにより実施され、ここで、少なくとも1つの裸火炎が加熱装置の内部で燃焼しており、かつ前駆体粒子と1つ又は複数の裸火炎とを接触させることにより熱処理を行う。火炎は、加熱装置内部に配置された少なくとも1つのバーナーノズルから出た可燃性ガスによって供給される。好ましくは、加熱装置は複数のバーナーノズルを含み、その結果として、複数の火炎が加熱装置の内部で燃焼している。火炎内の粒子の接触時間は短く、例えば0.001秒~1秒である。
【0048】
基本的に、内部で燃焼する少なくとも1つの裸火炎によって加熱されるいかなる種類の加熱装置も、使用することができる。
【0049】
好ましくは、加熱装置は長手反応チャンバを含み、前駆体粒子は細長い反応チャンバの一方の端部(前端部)で導入され、かつ長手反応チャンバの他方の端部(後端部)で中空球状ガラス粒子が取り出される。このように、粒子は化学的に変換させられながら、長手反応チャンバを通って、一方の端部から他方の端部へ移送される。
【0050】
このような加熱装置の例は、円筒形反応チャンバを含む加熱装置を含むが、他の形状、例えば、正方形又は六角形断面を有する反応チャンバも可能である。好ましくは、加熱装置は円筒形加熱装置である。
【0051】
長手反応チャンバ、好ましくは円筒形反応チャンバの直径は当業者によって必要に応じて選択することができる。加熱装置は1つ又は複数の裸火炎によって内部で加熱されるので、反応チャンバ内への熱伝達の問題はなく、したがって、長手反応チャンバの内径を極めて大きくすることができるので有利である。内径は例えば0.1~3m、例えば1~3mであってよいが、これらの数字によって本発明を限定するものではない。
【0052】
この文脈における「直径」という用語は水力直径d=4A/Pを意味し、ここで、Aは断面の面積であり、かつPは加熱装置の周長である。円筒形加熱装置の場合、すなわち円形断面を有する加熱装置の場合、dは4πr/2πr=2rに等しく、ここでrは円の半径である。正方形断面を有する加熱装置の場合には、dは4a/4a=aに等しく、ここでaは正方形の辺の長さである。他の形状を有する反応チャンバの水力直径は、当業者によって容易に計算することができる。
【0053】
反応チャンバの直径は長手方向において一定であってよく、又は変化していてもよい。一例として、加熱装置は一定の直径を有する部分、例えば円筒部分を含んでいてよく、かつ後端部へ向かってその直径は減少している。
【0054】
長手反応チャンバは、水平方向若しくは鉛直方向、又は任意の他の方向に配向されていてよい。本発明の一実施態様では、長手反応チャンバは、鉛直(縦型)又は本質的に鉛直であってよく、ここで、前駆体粒子は下端部で導入され、かつ形成された中空球状ガラス粒子は上端部で取り出される。
【0055】
本発明の一実施態様では、加熱装置は、水平方向若しくは鉛直方向、又は任意の他の方向に配向された固定型反応チャンバを含む。固定型長手反応チャンバを含む加熱装置は、可燃性ガスのための少なくとも1つの入口を備えており、この入口は反応チャンバ内部の少なくとも1つのバーナーノズルと接続している。可燃性ガスはこの分野で既知である。例としては、水素及び炭化水素、例えばメタン、エタン、又はプロパンを含む。燃焼のために可燃性ガスを酸素又は空気と混合するといういくつかの可能性がある。本発明のある特定の実施態様では、バーナーノズルは一成分ノズルであり、かつ酸素又は空気又は燃焼のために必要な任意の他のガスを、可燃性ガスがバーナーノズルから出る前に、例えば可燃性ガスが加熱装置内へ入る前に、可燃性ガスと混合する。他の実施態様では、使用されるバーナーノズルは二成分ノズル、例えばリングノズルのようなものであり、酸素又は空気と可燃性ガスとの別個の流れがこの二成分ノズルから出る。この目的で、加熱装置は、空気又は酸素のための別個の入口を備えており、かつ二成分ノズルとこの入口との間に、可燃性ガスと酸素又は空気とのための別個の管を備えている。
【0056】
可燃性ガス自体に前駆体粒子を分散させて、前駆体粒子を含む可燃性ガス流が1つ又は複数のバーナーノズルから出るようにすることによって、前駆体粒子を1つ又は複数の火炎と接触させることができる。この実施態様では、前駆体粒子は火炎全体を通過し、かつ中空球状ガラス粒子に変換させられる。裸火炎を通過した後、こうして形成された中空球状ガラス粒子は、少なくともガラス粒子が固形になるような程度にまで冷却され、かつ燃焼によって生成した排ガス流によって、加熱ユニットを通して出口へ向かって輸送され、この出口から中空球状ガラス粒子を捕集することができる。例えば1つ又は複数の火炎の下流の位置で加熱装置の壁を冷却することによって、かつ/又は不燃性ガス、例えば、空気、又は周囲温度を有するこのプロセス自体からの冷却した再使用ガスを、1つ又は複数の火炎の下流の位置で加熱装置内へ導入することによって、冷却をもたらすことができる。中空球状ガラス粒子と排ガスとの分離は、例えばサイクロンによって実施することができる。加熱装置と、分離のための装置とを接続するライン内の熱交換器を、流れをさらに冷却するために使用することができる。
【0057】
任意には、例えば1つ又は複数の裸炎の上流の位置で、反応チャンバ内へ不燃性ガスを添加することができる。このような付加的な不燃性ガスは、出口へ向かう中空球状ガラス粒子の輸送を支援し、かつ逆混合を回避するのに役立つ。不燃性ガスの例は、空気、二酸化炭素、又は回収された排ガスを含む。
【0058】
別の実施態様では、前駆体粒子のためのキャリアガスとして作用する別個の不燃性ガス中に前駆体粒子を分散させ、かつ前駆体粒子を含む不燃性ガス流を、1つ又は複数の裸火炎の上流側の位置で加熱装置内へ入れることによって、前駆体粒子を1つ又は複数の火炎と接触させることができる。この実施態様では、前駆体粒子は1つ又は複数の火炎の中心を通るのではなく、1つ又は複数の火炎の外側領域を通る。第1の実施態様と同様に、不燃性ガスは中空球状ガラス粒子を出口へ向かって輸送することを支援し、かつ逆混合を回避するのに役立つ。もちろん、この2つの方法を組み合わせることもでき、すなわち、前駆体粒子を可燃性ガス及び不燃性ガスの両方に添加することができる。
【0059】
別の実施態様では、加熱装置は回転キルンである。回転キルンは、円筒形の回転管である反応チャンバを含み、この回転管は通常は水平方向に配向されているか、又はその後端部へ向かってわずかに傾倒している。前駆体粒子と1つ又は複数の火炎との接触は、上述したことと同じように、すなわち、前駆体粒子を可燃性ガス又は不燃性ガスに添加することによって行うことができる。円筒形反応チャンバの回転運動は、通常どおりに反応チャンバを通して粒子を輸送することを少なくとも支援する。
【0060】
本発明の一実施態様では、上記の加熱装置の長手反応チャンバ、好ましくは、円筒形反応チャンバは、燃焼ゾーン(a)及び冷却ゾーン(b)を含む。冷却ゾーン(b)は燃焼ゾーン(a)の下流側に配置されている。すなわち、前駆体粒子は燃焼ゾーン(a)内へ導入され、そこで前駆体粒子は中空球状ガラス粒子へ変換させられ、かつこうして得られた中空球状ガラス粒子が冷却ゾーン(b)を通って輸送され、かつ冷却ゾーン(b)の端部で取り出される。
【0061】
燃焼ゾーン(a)は少なくとも1つの裸火炎によって、好ましくは複数の裸火炎によって加熱され、これらの火炎が、好ましくは円筒形反応装置の断面全体にわたって延在している。有利には、燃焼ゾーン(a)における反応チャンバの内壁を耐火材料によって保護することにより、高温に耐えるようにする。好適な耐火材料は当業界で知られている。例としては、アルミニウム及び/又は酸化ケイ素をベースとするセラミック材料、又はカーバイド材料、例えば炭化ケイ素を含む。またOCMC(酸化物セラミックマトリックス複合体)材料を使用してもよい。一実施態様では、円筒形反応チャンバ全体は耐火性材料から形成されている。
【0062】
燃焼ゾーン(a)に続いて下流には冷却ゾーン(b)が設けられ、この冷却ゾーン(b)は、1つ又は複数の火炎から中空球状ガラス粒子が離れた時点で、少なくとも中空球状ガラス粒子の壁が固形になる温度にまで、形成された中空球状ガラス粒子を冷却することを可能にする。したがって、冷却は、室温までの冷却を必ずしも意味するのではなく、上記の最小限の要件が満たされることを必要とするだけである。当業界で知られているように、ガラスの融点はその組成に強く依存する。一般に、それぞれの溶融温度よりも約500℃低い温度まで中空球状ガラス粒子を冷却すれば十分であるが、本発明をこの範囲に限定するものではない。
【0063】
粒子が1つ又は複数の火炎ともはや接触しなくなるだけで、冷却はすでに始まっている。さらに、ガス、例えば、空気、窒素、又は周囲温度を有する再使用排ガスを加熱装置内の1つ又は複数の火炎の下流の位置へ導入することにより、冷却をもたらすことができる。この実施態様では、反応チャンバは、冷却ガスを冷却ゾーン(b)内へ入れるのを可能にする適切な手段、例えば引き込み管のようなものを含む。好ましくは、引き込み管は、ガス流の一部がその内部へ向かって導かれ、かつ一部が壁に対して本質的に平行に流れるようにして配置することができる。このような配置は、中空球状ガラス粒子が壁に粘着するのを回避することを助ける。一実施態様では、段階的な冷却を可能にする2つ又は3つ、又はさらにはこれを超える冷却ゾーンがあってよい。例えば冷却ゾーン(b)の壁を冷却することによって、冷却をさらに支援することができる。冷却ゾーン(b)のために二重壁材料を使用し、かつ冷却媒体を2つの壁の間の中空空間内へ導入することによって、壁を冷却することができる。燃焼ゾーン(a)の壁を保護するために、一実施態様では、燃焼ゾーン(a)の壁も冷却することができる。冷却のために、好ましくは、入口を通して周囲温度のガス流を中空空間内へ吹き込み、かつ出口を通して高温ガスを取り出すことができる。ガスは、新鮮なガス、例えば空気又は窒素であってよく、あるいはプロセス自体からの再使用ガスであってもよい。
【0064】
熱処理は、排ガス流及び任意には付加的な不燃性ガス中に、中空球状ガラス粒子の流れをもたらす。中空球状ガラス粒子と排ガスとの分離は、例えばサイクロンによって、又はフィルタによって実施することができる。
【0065】
詳細な説明
本発明のある特定の実施態様では、
ステップ(II)のために使用される加熱装置は、少なくとも以下を含み:
・可燃性ガスのための入口、
・不燃性ガスのための入口、
・少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む長手反応チャンバ:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、可燃性ガスの入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルがこの燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
並びに
・中空球状ガラス粒子、不燃性ガス、及び廃棄物のための出口;
かつ
ステップ(II)を以下のとおり実施する:
(II-1)上記入口を通して可燃性ガス流を導入し、可燃性ガス流を1つ又は複数のバーナーノズルに移動させ、かつ少なくとも1つの裸火炎を点火すること、
(II-2)上記入口を通して不燃性ガス流を燃焼ゾーン(a)内へ導入し、かつ冷却ゾーン(b)を通して不燃性ガス流を出口へ移動させること、
(II-3)以下から選択する少なくとも1つの方法によって、前駆体粒子を加熱装置内へ添加し、かつ燃焼ゾーン(a)で前駆体粒子を1つ又は複数の裸火炎と接触させ、これにより、中空球状ガラス粒子、可燃性ガスの燃焼によって発生した排ガス、及び不燃性ガスの流れを得ること、
・可燃性ガス流に前駆体粒子を添加すること、及び/又は
・不燃性ガス流に前駆体粒子を添加すること、
(II-4)形成した中空球状ガラス粒子、排ガス、及び不燃性ガスの上記流れを冷却ゾーン(b)に通すことによって冷却すること、並びに
(II-5)排ガス及び不燃性ガスから中空球状ガラス粒子を分離すること。
【0066】
好ましくは、長手反応チャンバは円筒形反応チャンバである。一実施態様では、長手反応チャンバが鉛直方向に配向されており、燃焼ゾーン(a)が長手反応チャンバの下端部にあり、かつ冷却ゾーン(b)が長手反応チャンバの上端部にある。
【0067】
図1は、本発明の方法において使用するのに適した加熱装置の特定の実施態様を概略的に示している。加熱装置は、鉛直な円筒形反応チャンバを含み、かつ前駆体粒子は可燃性ガスに添加されている。反応チャンバ(1)は円筒形であり、2つの異なるゾーン、すなわち燃焼ゾーン(a)及び冷却ゾーン(b)を含む。燃焼ゾーン(a)内で火炎(2)が燃焼している。火炎は、バーナーノズル(3)から出る可燃性ガスによって供給される。加熱装置は、可燃性ガスのための1つの入口(4)をさらに含む。
【0068】
可燃性ガス、バーナーノズル、及び可燃性ガスと空気又は酸素との混合に関する詳細はすでに先に開示してある。図1の実施態様では、一成分ノズルが示されており、したがって、入口(4)を通して酸素又は空気と予混合された可燃性ガスを導入する必要がある。反応チャンバの直径は、当業者が必要に応じて選択することができる。上述したように、「直径」という用語は反応チャンバの水力直径を意味する。この直径は、例えば0.1~3m、例えば1~3mであってよいが、これらの数字によって本発明を限定するものではない。
【0069】
本発明の他の実施態様では、複数のバーナーノズル及び複数の火炎が使用される。複数の火炎が燃焼ゾーン(a)の断面全体に存在するようにして、複数のノズルを配置することが好ましい。複数のバーナーノズルを含む実施態様が図2に概略的に示されている。図3は、バーナーノズル、すなわち円筒形反応チャンバ内に円形に配列された8つのバーナーノズル(3)を上方から見た状態を概略的に示している。可燃性ガスは入口(4)からリングライン(11)内へ流入し、バーナーノズルのすべてに可燃性ガスを供給する。ノズルは図3に示されているように鉛直方向に配置されているが、リングの中心へ向かってかつ/又は他の方向に若干傾倒していてもよい。ノズルをこのように配列する目的は、複数の火炎が燃焼ゾーンの断面全体にわたって存在するようにすることである。一実施態様では、ノズルを鉛直方向の中心線から1~30°の角度だけ傾倒させることができる。
【0070】
加熱装置はさらに、図1に示されているような不燃性ガスのための入口(5)を含む。このような付加的な不燃性ガスは、出口へ向かう中空球状ガラス粒子の輸送を支援し、かつ逆混合を回避するのに役立つ。不燃性ガスの例は、空気、二酸化炭素、又はプロセス自体からの再使用ガスを含む。
【0071】
燃焼ゾーン(a)における反応チャンバの内壁を耐火材料によって保護することにより、高温に耐えるようにすることが好ましい。適切な耐火材料は当業界で知られている。例としては、アルミニウム及び/又は酸化ケイ素をベースとするセラミック材料、又はカーバイド材料、例えば炭化ケイ素を含む。また、OCMC(酸化物セラミックマトリックス複合体)材料を使用してもよい。本発明の一実施態様では、耐火材料を冷却する。このような冷却は、少なくとも燃焼ゾーン(a)において二重壁を有する反応チャンバを使用することにより行うことができる。他の実施態様では、冷却ゾーン(b)も冷却を目的として二重壁を備えることができる。冷却のために、好ましくは、入口を通して周囲温度のガス流を中空空間内へ吹き込み、かつ出口を通して高温ガスを取り出すことができる。2つの壁間の中空空間をいくつかの区分に分割することができ、それぞれの区分は、冷却剤のための、好ましくは先に概説したガスのための、入口と出口とを含むので、反応チャンバの異なるゾーンの壁を互いに独立して冷却することができる。
【0072】
図1は、壁を冷却するための3つの異なるゾーン(6)を含む反応チャンバを備える加熱装置を概略的に示している。
【0073】
加熱装置はさらに出口(7)を含む。出口は、熱処理中に形成された中空球状ガラス粒子を反応チャンバから取り出すのに役立つ。出口はさらに、燃焼中に形成された排ガスを反応チャンバから取り出すことはもちろん、反応チャンバ内へ注入した不燃性ガスを取り出すことにも役立つ。
【0074】
加熱装置はさらに、中空球状ガラス粒子を排ガス及び不燃性ガスから分離するための手段を備えている。このような装置はサイクロン(8)であってよい。ガスは出口(9)を通して取り出され、かつ中空球状ガラス粒子は別の出口(10)を通して取り出される。もちろん分離のために他の装置、例えばフィルタを使用してもよい。
【0075】
ステップ(II)中に前駆体粒子流を加熱装置内へ導入し、これにより中空球状ガラス粒子を得る。ステップ(II)は少なくとも5つのサブステップ(II-1)、(II-2)、(II-3)、(II-4)、及び(II-5)を含む。
【0076】
ステップ(II-1)中に入口(4)を通して可燃性ガス流を導入し、管を通して燃焼ゾーン(a)に配置した1つ又は複数のバーナーノズル(3)に移動させ、かつ火炎(2)を点火する。
【0077】
ステップ(II-2)中に入口(5)を通して燃焼ゾーン(a)内へ不燃性ガス流を導入し、かつ冷却ゾーン(b)を通して不燃性ガス流を出口(7)へ移動させる。このように、ガス及び粒子の流れが入口(5)から出口(7)への一方向に存在する。
【0078】
ステップ(II-3)中に前駆体粒子を加熱装置内へ添加し、かつ燃焼ゾーン(a)で1つ又は複数の裸火炎と接触させ、これにより、中空球状ガラス粒子、可燃性ガスの燃焼によって発生した排ガス、及び不燃性ガスの流れを得る。
【0079】
本発明の第1の実施態様では、可燃性ガス流に前駆体粒子を添加する。固形物をガス流に添加し、その固形物をガス流で輸送することができる方法は、基本的に当業界で知られている。例えば、可燃性ガス流の少なくとも一部が流れる旋回チャンバ内へ、粒子を添加することができる。
【0080】
第2の実施態様では、不燃性ガスが前駆体粒子のためのキャリアガスとして作用し、かつ不燃性ガス流に前駆体粒子を添加する。
【0081】
もちろん、前駆体粒子を可燃性ガス流及び不燃性ガス流の両方に添加することができる。さらに、前駆体粒子を燃焼ゾーン内へ添加し、かつこの前駆体粒子を1つ又は複数の裸火炎と接触させる他の方法を適用することもできる。
【0082】
第1の実施態様は図1に概略的に示されている。可燃性ガス中に前駆体粒子を分散させ、入口(4)を通して可燃性ガス及び前駆体粒子の流れを添加し、かつ管を通して1つ又は複数のバーナーノズル(3)へ輸送する。前駆体粒子は火炎全体を通過し、そして火炎内で中空球状ガラス粒子へ変換させられる。
【0083】
こうして形成された中空球状ガラス粒子は、燃焼によって生成された排ガス流により、加熱ユニットを通して出口(7)へ向かって輸送される。さらに、1つ又は複数の裸火炎の上流の位置で、入口(5)を通して反応チャンバ内へ不燃性ガスを導入する。このような不燃性ガスを使用する目的は、逆混合を回避し、かつ出口へ向かう中空球状ガラス粒子の輸送を支援することにある。
【0084】
第2の実施態様は図4に概略的に示されている。図4に示された加熱装置は図1に示したものに類似している。入口(4)を通して加熱装置内へ入れた可燃性ガスによって供給される複数の火炎(2)によって、加熱装置を加熱する。不燃性ガス流を入口(5)に入れ、かつ不燃性ガスのこの流れに前駆体粒子を添加する。不燃性ガス及び前駆体粒子の流れを1つ又は複数の裸火炎の上流の位置で反応チャンバ内へ導入し、それによって、この流れが火炎を通過し、これにより中空球状ガラス粒子を形成するようになっている。図4に示したように、複数の火炎を使用することにより、火炎が燃焼ゾーン(a)の本質的に断面全体に存在するようにすることが有利である。このような配置は、火炎と前駆体粒子との良好な接触を保証し、したがって高いプロセス効率を可能にする。図4に示した加熱装置はさらに混合チャンバ(12)を含み、この混合チャンバ内で前駆体粒子(13)と不燃性ガス流(14)とを予混合する。次いで、この予混合物を主要ライン内へ移動させ、この主要ラインを通して不燃性ガス及び前駆体粒子の流れを反応チャンバ(1)へ輸送する。
【0085】
本発明の方法において、前駆体粒子と1つ又は複数の火炎との接触時間は短い。一実施態様では、これは0.001秒~1秒である。接触時間は主として火炎の長さに依存する。火炎速度もまた高い。一実施態様では、火炎速度は、例えば5m/s~100m/sであってよい。
【0086】
ステップ(II-4)中に、中空球状ガラス粒子、排ガス、及び不燃性ガスの流れを冷却ゾーン(b)に通し、これにより中空球状ガラス粒子を冷却する。冷却ゾーン(b)では、燃焼ゾーンで形成された中空球状ガラス粒子を、少なくとも中空球状ガラス粒子の壁が固形になる温度にまで冷却することが可能である。一般に、中空球状ガラス粒子をそれぞれの溶融温度よりも約500℃低い温度まで冷却すれば十分であるが、本発明をこの範囲に限定するものではない。
【0087】
粒子が1つ又は複数の火炎ともはや接触しなくなるだけで、冷却はすでに始まっている。本発明の一実施態様では、不燃性ガス、例えば、好ましくは周囲温度を有する、空気、窒素、二酸化炭素、又は再使用排ガスを冷却ゾーン内へ導入することにより、冷却を支援することができる。この実施態様では、反応チャンバは、冷却ガスを冷却ゾーン(b)内へ入れるのを可能にする適切な手段、例えば引き込み管のようなものを備えている。
【0088】
好ましくは、引き込み管は、注入ガス流の一部が反応チャンバの内部へ向けられ、かつ注入ガス流の一部が壁に対して本質的に平行に流れるようにして配置することができる。このような配置は、形成された中空球状ガラス粒子が壁に粘着するのを回避することを助ける。すでに先に概説したように壁を冷却することは、冷却を支援することができる。
【0089】
図5は、不燃性ガスを冷却ゾーン(b)内へ入れる加熱装置の一実施態様を概略的に示している。図5に示された加熱装置は水平(横型)である。これは、図1及び4にすでに示したような加熱装置のエレメントを含んでいる。不燃性ガス流に前駆体粒子を添加する。加えて、冷却ゾーン(b)は不燃性ガスのための入口(16)を備えている。入口は、冷却ガスが反応器壁に沿って下流方向に流れて反応器壁が冷却されるように配置されている。図5はまた使用し得る2つの任意のエレメントを示している。すなわち、燃焼ゾーン(a)において反応チャンバの内壁を好ましくは耐火材料(17)によって保護することにより、高温に耐えるようにする。さらに、加熱装置は、逆混合を回避するのに役立つ整流器(18)を備えている。
【0090】
図6は、冷却ゾーン内へ冷却ガスを入れる別の実施態様を概略的に示している。反応チャンバは、開口部(22)を含み、この開口部を通して外部からの空気が反応チャンバ内へ吸い込まれ、かつこの空気は反応器壁に沿った流れの形で吸い込まれる。複数のこのような開口部を周方向の様式で配置することができる。一実施態様では、図6に示されているように冷却ゾーン(b)の開始部に開口部(22)を配置することができるが、より下流の位置に配置することもできる。もちろん、複数のこのような開口部を、1つ又は複数の火炎から流動方向に異なる距離で配置することもできる。さらに、図6は本発明のさらなる一実施態様、すなわち、空気(21)及び可燃性ガス(20)の別個の流れを供給する二成分ノズル(23)を示している。
【0091】
ステップ(II-5)中に、排ガス流から中空球状ガラス粒子を分離する。このような分離は通常の技術によって行うことができる。本発明の一実施態様では、サイクロンが使用される。図1、4及び5は、中空球状ガラス粒子を分離するためのサイクロン(8)を備えた加熱装置を概略的に示している。ガスは出口(9)を通して取り出され、かつ中空球状ガラス粒子は別の出口(10)を通して取り出される。もちろん、他の装置、例えばフィルタを分離のために使用することもできる。ガスは残留量の微粒子を含むことがあり、これらの微粒子は付加的なフィルタ、例えば電気フィルタで分離することができる。
【0092】
図7は、本発明による方法に基づく中空球状ガラス粒子を製造するためのプラントの一実施態様を示すプロセスフロー図である。この図は上で詳述した反応チャンバ(1)を示しており、この反応チャンバ内で中空球状ガラス粒子が上述したように製造される。排ガスと中空球状ガラス粒子とを含む、結果として生じた生成物流を、出口(7)を通してサイクロン(8)へ移動させ、サイクロンにおいて中空球状ガラス粒子はガス流から分離され、出口(10)を通して取り出される。出口とサイクロンとの間のラインに熱交換器(38)を備えることにより、排ガスと中空球状ガラス粒子とを含む流れの温度を、これがサイクロン(8)内へ入る前にさらに低下させる。排ガス流(9)を、排ガス流から固形物の残留画分を取り出すための電気フィルタ(26)を通して移動させる。
排ガス流(9)は、出口(27)を通して取り出すことができ、かつ/又は圧縮機(25)によって反応器へ再循環させることができる。入口(23)を通して新鮮な不燃性ガスを入れることができる。排ガス及び/又は新鮮ガスの流れを分割し、かつ部分流(24)を混合チャンバ(12)内へ導入する。第2の部分流(28)は入口(5)へ直接に流れる。混合チャンバ(12)内へ、前駆体粒子(13)も入れられ、かつ部分ガス流(24)と混合させられる。前駆体粒子及び排ガス及び/又は新鮮ガスの得られた濃縮流を第2の部分流(28)内へ入れ、かつ入口(5)を通して合体させた流れを反応チャンバ内へ入れる。排ガス流(39)の一部を分岐し、1つ又は1つを超える熱交換器(38)によって冷却し、かつ先に概説した冷却目的で反応チャンバ内へ入れることができる。図7に示したプラントは、入口(23)を通して入れる新鮮な不燃性ガスで操作することができる。他の実施態様では、反応中に形成された排ガスの一部だけが出口(27)を通して取り出され、別の部分は再循環され、かつ反応チャンバ内へ再び入れられる。
【0093】
本発明の他の実施態様では、
ステップ(II)のために使用される前記加熱装置が、少なくとも以下を含み:
・可燃性ガスのための入口、
・任意に、不燃性ガスのための入口、
・円筒形の回転可能な反応チャンバであって、この反応チャンバの端部が、固定前部ユニット及び固定後部ユニットに回転可能に取り付けられている反応チャンバ、
ここで、この回転可能な円筒形の反応チャンバが、水平方向に配置されているか、又は反応チャンバの後端部へ向かって傾斜して配置されており、かつこの回転可能な円筒形の反応チャンバが少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、可燃性ガスのための入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが、燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
・少なくとも円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、ゾーン(a)のバーナーノズルの配列と接続した可燃性ガス流のための入口、及び任意に不燃性ガスのための入口を備えている固定前部ユニット、
・少なくとも円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、中空球状ガラス粒子のための出口、及び排ガスのための出口を備えている固定後部ユニット、並びに
・円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転するための駆動装置;
かつ
ステップ(II)を以下のとおり実施する:
(II-0’)円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転すること、
(II-1’)入口を通して可燃性ガス流を導入し、可燃性ガス流を1つ又は複数のバーナーノズルに移動させ、かつ少なくとも1つの裸火炎を点火すること、
(II-2’)任意に、入口を通して不燃性ガス流を導入し、かつ不燃性ガス流を出口へ移動させること、
(II-3’)以下によって、前駆体粒子を加熱装置内へ添加し、かつ燃焼ゾーン(a)で前駆体粒子を1つ又は複数の裸火炎と接触させ、これにより、排ガス流中の中空球状ガラス粒子を得ること:
・可燃性ガス流に前駆体粒子を添加すること、及び/又は
・不燃性ガス流に前駆体粒子を添加すること、
(II-4’)回転運動oによって中空球状ガラス粒子を冷却ゾーン(b)に通すことにより排ガス流中の中空球状ガラス粒子を冷却すること、並びに
(II-5’)固定後部ユニットの中空球状ガラス粒子の出口を通して中空球状ガラス粒子を取り出すこと、及び/又は排ガスの出口を通って出た排ガス流から中空球状ガラス粒子を分離すること。
【0094】
図8はこのような加熱装置の具体的な実施態様を概略的に示している。加熱装置は固定前部(30)と固定後部(31)とを含む。円筒形の回転可能な反応チャンバ(29)が、その端部で前部ユニット(30)及び後部ユニット(31)に回転可能に取り付けられている。円筒形反応チャンバの内径は、例えば0.1~3m、例えば1~3mであってよいが、これらの数字によって本発明を限定するものではない。
【0095】
回転可能な反応チャンバは、少なくとも1つの裸火炎(3)、好ましくは複数の火炎によって加熱される燃焼ゾーン(a)と、冷却ゾーン(b)とを含む。詳細はすでに上述したとおりであり、上記の相応のセクションを参照する。燃焼ゾーン(a)における反応チャンバの内壁を耐火材料によって好ましくは保護することにより、高温に耐えるようにする。好適な耐火材料はすでに上述している。
【0096】
固定前部ユニット(30)は、少なくとも円筒形の反応チャンバを回転可能に取り付けるための取付具(32)と、可燃性ガス(4)のための入口とを含み、この入口は、ゾーン(a)内に配置されたバーナーノズル(3)、又は好ましくは複数のバーナーノズルと接続している。したがって、1つ又は複数のバーナーノズル(3)は、回転可能な反応チャンバと接続していないが、固定前部ユニットからゾーン(a)内へ延在している。上で詳述したように、バーナーノズルは一成分又は二成分ノズルであってよい。固定前部ユニット(30)は不燃性ガスのための入口を任意に含むことができる。
【0097】
固定後部ユニットはまた、少なくとも円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具(32)と、さらに、中空球状ガラス粒子(34)及び少なくとも排ガス(35)のための出口とを含むが、中空球状ガラス粒子の少なくとも一部も出口(35)を通して加熱ユニットから取り出すことができる。出口(34)は好ましくは固定後部ユニットの底部にあるので、中空球状ガラス粒子を重力によって取り出すことができる。出口(35)は任意には、排ガス流から中空球状ガラス粒子を分離するためのユニットに、例えば上述したフィルタ又はサイクロンに接続することができる。
【0098】
加熱ユニットはさらに、円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転させるための手段(33)を備えている。
【0099】
図9は、回転可能な反応チャンバを含む加熱ユニットの別の実施態様を概略的に示している。この実施態様では、燃焼ゾーン(a)の内壁は耐火材料層(36)によって保護されており、かつ冷却ゾーン(b)の壁を冷却するための空気の入口(37)をさらに含んでいる。
【0100】
回転可能な円筒形反応チャンバは、水平方向に配置されているか、又はその後端部へ向かって傾斜して配置されている。反応チャンバが傾斜している場合、円筒形の回転可能な反応チャンバの傾斜角は、0°超~20°、好ましくは0°超~10°であってよい。中空球状ガラス粒子の輸送は、円筒形反応チャンバだけを回転させることによって、特に反応チャンバの傾斜と相俟って行うことができる。他の実施態様では、円筒形の回転可能な反応チャンバは、材料の輸送を支援するための装置、例えばスクリューをその内部に含む。もちろん、排ガス流及び任意には付加的な不燃性ガス流も、回転可能な反応チャンバを通した生成物の輸送を支援することができる。
【0101】
図10及び11は、加熱ユニットの固定前部ユニットが不燃性ガスのための入口(5)を付加的に備えている実施態様を概略的に示している。図10では、可燃性ガス流に前駆体粒子を添加しており、図11では不燃性ガスに前駆体粒子を添加している。
【0102】
回転可能な反応チャンバを含む加熱ユニットを使用する本発明の実施態様のステップ(II)は、少なくとも5つのサブステップ(II-0’)、(II-1’)、(II-3’)、(II-4’)、及び(II-5’)を含む。任意には、プロセスは付加的にステップ(II-2’)を含むことができる。
【0103】
ステップ(II-0’)中に、円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転させる。回転速度は当業者が選択することができ、例えば1分当たり0.5~10回転(rpm)であってよい。
【0104】
ステップ(II-1’)中に、入口(4)を通して可燃性ガス流を導入し、燃焼ゾーン(a)に配置された1つ又は複数のバーナーノズル(3)に管を通して移動させ、かつ火炎(2)を点火する。
【0105】
ステップ(II-3’)中に、前駆体粒子を加熱装置内へ添加し、かつ燃焼ゾーン(a)で1つ又は複数の裸火炎と接触させ、これにより、中空球状ガラス粒子、可燃性ガスの燃焼によって生成された排ガス、及び不燃性ガスの流れを得る。
【0106】
ステップ(II-3’)の第1の実施態様では、可燃性ガス流に前駆体粒子を添加する。可燃性ガス流に前駆体粒子を添加することに関する詳細はすでに上述した。固形物をガス流に添加する方法はすでに上述した。例えば、上述した混合チャンバを使用することができる。このような実施態様は図8、9、及び10に概略的に示されている。図10に概略的に示された一実施態様では、入口(5)を通して付加的な不燃性ガス流を入れる。上述したように、このような付加的な不燃性ガスは、逆混合を回避することに役立ち、かつ出口へ向かう中空球状ガラス粒子の輸送を支援することができる。
【0107】
ステップ(II-3’)の第2の実施態様では、固定前部ユニットは図11に示された不燃性ガスのための入口(5)をさらに備えており、かつこのプロセスはステップ(II-2’)を含む。ステップ(II-2’)では、不燃性ガス流をこの入口(5)を通して加熱装置内へ導入し、かつ回転反応チャンバ(29)を通して出口(35)へ移動させる。前駆体粒子は、不燃性ガス流に添加されている。したがって、この実施態様では、不燃性ガスはキャリアガスとして作用する。
【0108】
ステップ(II-4’)中で、中空球状ガラス粒子、排ガス、及び任意には不燃性ガスの流れを冷却ゾーン(b)に通し、これにより中空球状ガラス粒子を冷却する。すでに上で詳述したように、冷却ゾーン(b)で、燃焼ゾーン(a)で形成された中空球状ガラス粒子を、少なくとも中空球状ガラス粒子の壁が固形になる温度まで冷却することが可能になる。本発明の一実施態様では、不燃性ガス、例えば、好ましくは周囲温度を有する空気又は窒素を、冷却ゾーン内へ入れることによって冷却を支援する。この実施態様では、反応チャンバは、冷却ガスを冷却ゾーン(b)内へ入れるのを可能にする手段、例えば引き込み管のような適切な手段を含む。好ましくは、注入ガス流が壁に対して本質的に平行に流れるようにして、引き込み管を配置することができる。このような配置は、形成された中空球状ガラス粒子が壁に粘着するのを回避することを助ける。
【0109】
ステップ(II-5’)中に、固定後部ユニットの出口(34)を通して加熱装置から中空球状ガラス粒子を取り出し、かつ/又は排ガス流から中空球状ガラス粒子を分離し、あるいは任意に、出口(35)を通って出る排ガス及び付加的に注入された不燃性ガスの流れから中空球状ガラス粒子を分離する。上述したように、このような分離に関しては、例えばフィルタユニット又はサイクロンを使用することができる。
【0110】
方法を実施するための装置
別の実施態様では、本発明は、SiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を1000~1800℃の温度で熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得るための、少なくとも以下を備える加熱装置に関する:
・少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む長手反応チャンバ:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、可燃性ガスの入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが、この燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
・可燃性ガスのための入口、
・燃焼ゾーン(a)内へ不燃性ガスを導入するための入口、
・SiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を可燃性ガス及び/又は不燃性ガスに添加するための手段、並びに
・冷却ゾーン(b)から中空球状ガラス粒子、不燃性ガス、及び廃棄物を取り出すための出口。
【0111】
好ましい実施態様を含むこのような加熱装置の詳細はすでに先に開示しており、上記の明細書のそれぞれの節を参照する。
【0112】
さらに別の実施態様では、本発明は、SiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を1000~1800℃の温度で熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得るための、少なくとも以下を備える加熱装置に関する:
・可燃性ガスのための入口、
・任意に、不燃性ガスのための入口、
・円筒形の回転可能な反応チャンバであって、このチャンバの端部が、固定前部ユニット及び固定後部ユニットに回転可能に取り付けられている反応チャンバ、
ここで、この回転可能な円筒形の反応チャンバが、水平方向に配置されているか、又は反応チャンバの後端部へ向かって傾斜して配置されており、かつこの回転可能な円筒形の反応チャンバが少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、可燃性ガスのための入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが、燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
・少なくとも円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、ゾーン(a)のバーナーノズルの配列と接続した可燃性ガス流のための入口、及び任意に不燃性ガスのための入口を備えている固定前部ユニット、
・少なくとも円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、中空球状ガラス粒子のための出口、及び排ガスのための出口を備えている固定後部ユニット、並びに
・円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転するための駆動装置。
【0113】
好ましい実施態様を含むこのような加熱装置の詳細はすでに先に開示しており、上記の明細書のそれぞれの節を参照する。
【0114】
中空球状ガラス粒子の使用
本発明は、高温生成物、溶融金属、射出成形合成材料、難燃性断熱発泡体、セメントスラリー、モルタル、コンクリート、及び油田用途のための充填剤としての、少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む中空球状ガラス粒子の使用であって、この中空球状ガラス粒子が上記の方法によって製造される、中空球状ガラス粒子の使用に関する。
【0115】
さらに別の実施態様では、本発明は、融点が少なくとも500℃の溶融金属の添加剤としての、少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む中空球状ガラス粒子の使用であって、この中空球状ガラス粒子が上記の方法によって製造される、中空球状ガラス粒子の使用に関する。
【0116】
好ましい実施態様を含めた中空球状ガラス粒子の詳細、及び好ましい実施態様を含めた方法の詳細はすでに先に開示しており、上記の明細書のそれぞれの節を参照する。
【0117】
好ましくは、上述したように使用される中空球状ガラス粒子は、中空球状ガラス粒子の総重量を基準として、それぞれ、少なくとも30重量%のSiO、少なくとも25重量%のAl、及び少なくとも18重量%のアルカリ金属酸化物、好ましくはNaOを含み、かつホウ素非含有であることが好ましい。さらに、使用される中空球状ガラス粒子の平均直径は、上記のように20μm~200μmであることが好ましい。
【0118】
上述したように使用されるこのような粒子を製造する方法において、少なくともゼオライト、粘土、及びアルカリ金属炭酸塩を含む出発組成物を使用し、かつ熱処理の温度が1300℃~1600℃であることが好ましい。
【0119】
本発明の利点
中空球状ガラス粒子を得るために、前駆体粒子を少なくとも1つの裸火炎と接触させることによって前駆体粒子を熱処理する本発明による上記の方法は、従来技術を凌ぐ利点を有する。
【0120】
加熱装置を1つ又は複数の裸火炎によって内部で加熱し、かつ前駆体粒子をこの1つ又は複数の裸火炎と接触させることにより熱処理が行われるので、加熱装置内への熱伝達の問題がなく、ひいては有利なことに、円筒形加熱装置の内径を極めて大きいものとすることができる。この内径は、例えば0.1~3m、例えば1~3mであってよいが、これらの数字によって本発明を限定するものではない。このような大きな直径が可能になると、高容量の生産プラントの建築が著しく容易になる。実験室又は試験生産プラントからのスケールアップは、バーナーノズルの数及び反応チャンバの直径を増大させるだけで容易に行われる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下のステップを含む、少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む中空球状ガラス粒子の製造方法であって:
(I)少なくとも以下のサブステップを含む方法によって前駆体粒子を製造すること:
(I-1)少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含むガラスを形成するための少なくとも1種の出発化合物の粒子を含む出発組成物を提供すること、
(I-2)前記出発組成物を液体と混合し、これによりスラリーを得ること、及び
(I-3)得られた前記スラリーを噴霧乾燥させ、これにより前記前駆体粒子を得ること;並びに
(II)前記前駆体粒子を加熱装置に通すことによって、1000℃~1800℃の温度で前記前駆体粒子を熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得ること;
ここで、可燃性ガスによって供給された少なくとも1つの裸火炎が前記加熱装置の内部で燃焼しており、かつ前記前駆体粒子を1つ又は複数の前記裸火炎と接触させることによって前記熱処理を実施し、
前記加熱装置に1つ又は複数の前記火炎を供給する前記可燃性ガス中に、前記前駆体粒子を分散させ、かつ/又は1つ又は複数の前記火炎の上流の位置で前記加熱装置に添加する不燃性ガス中に、前記前駆体粒子を分散させる
中空球状ガラス粒子の製造方法。
【請求項2】
前記中空球状ガラス粒子が、前記中空球状ガラス粒子の総重量を基準として、それぞれ、少なくとも30重量%のSiO、少なくとも25重量%のAl、及び少なくとも18重量%のアルカリ金属酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルカリ金属酸化物がNaOである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記中空球状ガラス粒子がホウ素を含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記中空球状ガラス粒子の平均直径が20μm~200μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記出発組成物が少なくともゼオライトを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記出発組成物が少なくとも、ゼオライト、粘土、及びアルカリ金属炭酸塩を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記熱処理の温度が1300℃~1600℃である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
1つ又は複数の前記火炎との接触時間が0.001秒~1秒である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記加熱装置が長手反応チャンバを有している、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記反応チャンバが円筒形である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記長手反応チャンバの内部水力直径が0.1~3mである、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
1つ又は複数の前記裸火炎と接触させた後に、少なくとも1つの冷却ゾーンで、以下から選択する少なくとも1つの方法によって、得られた前記中空球状ガラス粒子を冷却する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法:
・前記反応チャンバ内へガスを導入すること、及び
・前記反応チャンバの壁を冷却すること。
【請求項14】
前記反応チャンバが少なくとも2つの冷却ゾーンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法であって、
ステップ(II)のために使用する前記加熱装置が少なくとも以下を含み:
・可燃性ガスのための入口、
・不燃性ガスのための入口、
・少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む長手反応チャンバ:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、前記可燃性ガスの前記入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
並びに
・前記中空球状ガラス粒子、不燃性ガス、及び廃棄物のための出口;
かつ
ステップ(II)を以下のとおり実施する、方法:
(II-1)前記入口を通して前記可燃性ガス流を導入し、前記可燃性ガス流を1つ又は複数の前記バーナーノズルに移動させ、かつ少なくとも1つの裸火炎を点火すること、
(II-2)前記入口を通して前記不燃性ガス流を前記燃焼ゾーン(a)内へ導入し、かつ前記冷却ゾーン(b)を通して前記不燃性ガス流を前記出口へ移動させること、
(II-3)以下から選択する少なくとも1つの方法によって、前記前駆体粒子を前記加熱装置内へ添加し、かつ前記燃焼ゾーン(a)で前記前駆体粒子を1つ又は複数の前記裸火炎と接触させ、これにより、中空球状ガラス粒子、前記可燃性ガスの燃焼によって発生した排ガス、及び不燃性ガスの流れを得ること:
・前記可燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、及び/又は
・前記不燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、
(II-4)形成した中空球状ガラス粒子、排ガス、及び不燃性ガスの前記流れを前記冷却ゾーン(b)に通すことによって冷却すること、並びに
(II-5)前記排ガス及び前記不燃性ガスから前記中空球状ガラス粒子を分離すること。
【請求項16】
前記長手反応チャンバが鉛直方向に配向しており、前記燃焼ゾーン(a)が前記反応チャンバの下端部にあり、かつ前記冷却ゾーン(b)が前記反応チャンバの上端部にある、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記燃焼ゾーン(a)における前記反応チャンバの内壁が、耐火材料によって保護されている、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記耐火材料を冷却する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記燃焼ゾーン(a)が、可燃性ガスのための複数のノズルを含む、請求項1518のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記燃焼ゾーン(a)の断面全体に火炎が存在するように、前記複数のノズルが配置されている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記冷却ゾーン(b)が、前記冷却ゾーン内へ冷却ガスを付加的に入れるための手段を備えている、請求項1520のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記冷却ゾーン(b)の壁を不燃性ガスによって冷却する、請求項1521のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記反応チャンバが少なくとも2つの冷却ゾーンを含み、かつ少なくとも2つのステップで冷却を実施する、請求項1522のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ステップ(II-5)をサイクロンによって実施する、請求項1523のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
燃焼中に形成された排ガスと、ステップ(II-5)中に分離された不燃性ガスとの混合物の少なくとも一部を再循環させる、請求項1524のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法であって、
ステップ(II)のために使用される前記加熱装置が、少なくとも以下を含み:
・可燃性ガスのための入口、
・任意に、不燃性ガスのための入口、
・円筒形の回転可能な反応チャンバであって、前記反応チャンバの端部が、固定前部ユニット及び固定後部ユニットに回転可能に取り付けられている反応チャンバ、
ここで、前記回転可能な円筒形の反応チャンバが、水平方向に配置されているか、又は前記反応チャンバの後端部へ向かって傾斜して配置されており、かつ前記回転可能な円筒形の反応チャンバが少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、前記可燃性ガスのための前記入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが、前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、ゾーン(a)の前記バーナーノズルの配列と接続した可燃性ガス流のための入口、及び任意に不燃性ガスのための入口を備えている固定前部ユニット、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、中空球状ガラス粒子のための出口、及び排ガスのための出口を備えている固定後部ユニット、並びに
・前記円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転するための駆動装置;
かつ
ステップ(II)を以下のとおり実施する、方法:
(II-0’)前記円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転すること、
(II-1’)前記入口を通して前記可燃性ガス流を導入し、前記可燃性ガス流を1つ又は複数の前記バーナーノズルに移動させ、かつ少なくとも1つの裸火炎を点火すること、
(II-2’)任意に、前記入口を通して不燃性ガス流を前記燃焼ゾーン(a)内へ導入し、かつ前記冷却ゾーン(b)を通して前記不燃性ガス流を前記出口へ移動させること、
(II-3’)以下によって、前記前駆体粒子を前記加熱装置内へ添加し、かつ前記燃焼ゾーン(a)で前記前駆体粒子を1つ又は複数の前記裸火炎と接触させ、これにより、排ガス流中の中空球状ガラス粒子を得ること:
・前記可燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、及び/又は
・前記不燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、
(II-4’)回転運動oによって前記中空球状ガラス粒子を前記冷却ゾーン(b)に通すことにより前記排ガス流中の前記中空球状ガラス粒子を冷却すること、並びに
(II-5’)前記固定後部ユニットの前記中空球状ガラス粒子の前記出口を通して前記中空球状ガラス粒子を取り出すこと、及び/又は前記排ガスの前記出口を通って出た前記排ガス流から前記中空球状ガラス粒子を分離すること。
【請求項27】
前記円筒形の回転可能な反応チャンバの傾斜角が、0超~10°である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記燃焼ゾーン(a)における前記反応チャンバの内壁が、耐火材料によって保護されている、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記燃焼ゾーン(a)が、可燃性ガスのための複数のノズルを含む、請求項2628のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記燃焼ゾーン(a)の断面全体に火炎が存在するように、前記複数のノズルが配置されている、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記冷却ゾーン(b)が、前記反応チャンバ内へ冷却ガスを入れるための手段を備えている、請求項2630のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ステップ(II-5’)をサイクロンによって実施する、請求項2631のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
燃焼中に形成された排ガスと、ステップ(II-5’)中に分離された不燃性ガスとの混合物を再循環させる、請求項2632のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
SiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を、1000~1800℃の温度で熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得るための、少なくとも以下を備える加熱装置:
・少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む長手反応チャンバ:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、可燃性ガスの入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが、前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
・前記可燃性ガスのための入口、
・前記燃焼ゾーン(a)内へ不燃性ガスを導入するための入口、
・SiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を前記可燃性ガス及び/又は前記不燃性ガスに添加するための手段
ここで、前記加熱装置に1つ又は複数の前記火炎を供給する前記可燃性ガス中に、前記前駆体粒子を分散させ、かつ/又は1つ又は複数の前記火炎の上流の位置で前記加熱装置に添加する不燃性ガス中に、前記前駆体粒子を分散させる、並びに
・前記冷却ゾーン(b)から中空球状ガラス粒子、不燃性ガス、及び廃棄物を取り出すための出口。
【請求項35】
前記燃焼ゾーン(a)における反応チャンバの内壁が、耐火材料によって保護されている、請求項34に記載の加熱装置。
【請求項36】
前記加熱装置が前記耐火材料を冷却するための手段を備えている、請求項35に記載の加熱装置。
【請求項37】
前記燃焼ゾーン(a)が、可燃性ガスのための複数のノズルを含む、請求項3436のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項38】
前記燃焼ゾーン(a)の断面全体に火炎が存在するように、前記複数のノズルが配置されている、請求項37に記載の加熱装置。
【請求項39】
前記冷却ゾーン(b)が、前記冷却ゾーン内へ冷却ガスを付加的に入れるための手段を備えている、請求項3438のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項40】
前記冷却ゾーン(b)の壁が二重壁であり、かつ少なくとも冷却ガスのための入口及び出口を備えている、請求項3439のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項41】
前記加熱装置が、前記出口と接続したサイクロンを備えている、請求項3440のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項42】
SiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を1000~1800℃の温度で熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得るための、少なくとも以下を備える加熱装置:
・可燃性ガスのための入口、
・任意に、不燃性ガスのための入口、
・円筒形の回転可能な反応チャンバであって、前記反応チャンバの端部が、固定前部ユニット及び固定後部ユニットに回転可能に取り付けられている反応チャンバ、
ここで、前記回転可能な円筒形の反応チャンバが、水平方向に配置されているか、又は前記反応チャンバの後端部へ向かって傾斜して配置されており、かつ前記回転可能な円筒形の反応チャンバが少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、前記可燃性ガスのための前記入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが、前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、ゾーン(a)の前記バーナーノズルの配列と接続した可燃性ガス流のための入口、及び任意に不燃性ガスのための入口を備えている固定前部ユニット、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、中空球状ガラス粒子のための出口、及び排ガスのための出口を備えている固定後部ユニット、並びに
・前記円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転するための駆動装置。
【請求項43】
前記円筒形の回転可能な反応チャンバの傾斜角が、0超~10°である、請求項42に記載の加熱装置。
【請求項44】
前記燃焼ゾーン(a)における反応チャンバの内壁が、耐火材料によって保護されている、請求項42又は43に記載の加熱装置。
【請求項45】
前記燃焼ゾーン(a)が、可燃性ガスのための複数のノズルを含む、請求項4244のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項46】
前記燃焼ゾーン(a)の断面全体に火炎が存在するように、前記複数のノズルが配置されている、請求項45に記載の加熱装置。
【請求項47】
前記冷却ゾーン(b)が、前記反応チャンバ内へ冷却ガスを入れるための手段を備えている、請求項4246のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項48】
前記加熱装置が、排ガスのための前記出口に接続したサイクロンを備えている、請求項4247のいずれか一項に記載の加熱装置。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
加熱装置を1つ又は複数の裸火炎によって内部で加熱し、かつ前駆体粒子をこの1つ又は複数の裸火炎と接触させることにより熱処理が行われるので、加熱装置内への熱伝達の問題がなく、ひいては有利なことに、円筒形加熱装置の内径を極めて大きいものとすることができる。この内径は、例えば0.1~3m、例えば1~3mであってよいが、これらの数字によって本発明を限定するものではない。このような大きな直径が可能になると、高容量の生産プラントの建築が著しく容易になる。実験室又は試験生産プラントからのスケールアップは、バーナーノズルの数及び反応チャンバの直径を増大させるだけで容易に行われる。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む:
[1]少なくとも以下のステップを含む、少なくともSiO 、Al 、及びアルカリ金属酸化物を含む中空球状ガラス粒子の製造方法であって:
(I)少なくとも以下のサブステップを含む方法によって前駆体粒子を製造すること:
(I-1)少なくともSiO 、Al 、及びアルカリ金属酸化物を含むガラスを形成するための少なくとも1種の出発化合物の粒子を含む出発組成物を提供すること、
(I-2)前記出発組成物を液体と混合し、これによりスラリーを得ること、及び
(I-3)得られた前記スラリーを噴霧乾燥させ、これにより前記前駆体粒子を得ること;並びに
(II)前記前駆体粒子を加熱装置に通すことによって、1000℃~1800℃の温度で前記前駆体粒子を熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得ること;
ここで、可燃性ガスによって供給された少なくとも1つの裸火炎が前記加熱装置の内部で燃焼しており、かつ前記前駆体粒子を1つ又は複数の前記裸火炎と接触させることによって前記熱処理を実施する、
中空球状ガラス粒子の製造方法。
[2]前記中空球状ガラス粒子が、前記中空球状ガラス粒子の総重量を基準として、それぞれ、少なくとも30重量%のSiO 、少なくとも25重量%のAl 、及び少なくとも18重量%のアルカリ金属酸化物を含む、上記[1]に記載の方法。
[3]前記アルカリ金属酸化物がNa Oである、上記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記中空球状ガラス粒子がホウ素を含まない、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載の方法。
[5]前記中空球状ガラス粒子の平均直径が20μm~200μmである、上記[1]~[4]のいずれか一つに記載の方法。
[6]前記出発組成物が少なくともゼオライトを含む、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載の方法。
[7]前記出発組成物が少なくとも、ゼオライト、粘土、及びアルカリ金属炭酸塩を含む、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載の方法。
[8]前記熱処理の温度が1300℃~1600℃である、上記[1]~[7]のいずれか一つに記載の方法。
[9]1つ又は複数の前記火炎との接触時間が0.001秒~1秒である、上記[1]~[8]のいずれか一つに記載の方法。
[10]前記加熱装置が長手反応チャンバを有している、上記[1]~[9]のいずれか一つに記載の方法。
[11]前記反応チャンバが円筒形である、上記[10]に記載の方法。
[12]前記長手反応チャンバの内部水力直径が0.1~3mである、上記[10]又は[11]に記載の方法。
[13]前記加熱装置に1つ又は複数の前記火炎を供給する前記可燃性ガス中に、前記前駆体粒子を分散させる、上記[1]~[12]のいずれか一つに記載の方法。
[14]1つ又は複数の前記火炎の上流の位置で前記加熱装置に添加する不燃性ガス中に、前記前駆体粒子を分散させる、上記[1]~[12]のいずれか一つに記載の方法。
[15]1つ又は複数の前記裸火炎と接触させた後に、少なくとも1つの冷却ゾーンで、以下から選択する少なくとも1つの方法によって、得られた前記中空球状ガラス粒子を冷却する、上記[1]~[14]のいずれか一つに記載の方法:
・前記反応チャンバ内へガスを導入すること、及び
・前記反応チャンバの壁を冷却すること。
[16]前記反応チャンバが少なくとも2つの冷却ゾーンを含む、上記[15]に記載の方法。
[17]上記[1]~[9]のいずれか一つに記載の方法であって、
ステップ(II)のために使用する前記加熱装置が少なくとも以下を含み:
・可燃性ガスのための入口、
・不燃性ガスのための入口、
・少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む長手反応チャンバ:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、前記可燃性ガスの前記入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
並びに
・前記中空球状ガラス粒子、不燃性ガス、及び廃棄物のための出口;
かつ
ステップ(II)を以下のとおり実施する、方法:
(II-1)前記入口を通して前記可燃性ガス流を導入し、前記可燃性ガス流を1つ又は複数の前記バーナーノズルに移動させ、かつ少なくとも1つの裸火炎を点火すること、
(II-2)前記入口を通して前記不燃性ガス流を前記燃焼ゾーン(a)内へ導入し、かつ前記冷却ゾーン(b)を通して前記不燃性ガス流を前記出口へ移動させること、
(II-3)以下から選択する少なくとも1つの方法によって、前記前駆体粒子を前記加熱装置内へ添加し、かつ前記燃焼ゾーン(a)で前記前駆体粒子を1つ又は複数の前記裸火炎と接触させ、これにより、中空球状ガラス粒子、前記可燃性ガスの燃焼によって発生した排ガス、及び不燃性ガスの流れを得ること:
・前記可燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、及び/又は
・前記不燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、
(II-4)形成した中空球状ガラス粒子、排ガス、及び不燃性ガスの前記流れを前記冷却ゾーン(b)に通すことによって冷却すること、並びに
(II-5)前記排ガス及び前記不燃性ガスから前記中空球状ガラス粒子を分離すること。
[18]前記長手反応チャンバが鉛直方向に配向しており、前記燃焼ゾーン(a)が前記反応チャンバの下端部にあり、かつ前記冷却ゾーン(b)が前記反応チャンバの上端部にある、上記[17]に記載の方法。
[19]前記燃焼ゾーン(a)における前記反応チャンバの内壁が、耐火材料によって保護されている、上記[17]又は[18]に記載の方法。
[20]前記耐火材料を冷却する、上記[19]に記載の方法。
[21]前記燃焼ゾーン(a)が、可燃性ガスのための複数のノズルを含む、上記[17]~[20]のいずれか一つに記載の方法。
[22]前記燃焼ゾーン(a)の断面全体に火炎が存在するように、前記複数のノズルが配置されている、上記[21]に記載の方法。
[23]前記冷却ゾーン(b)が、前記冷却ゾーン内へ冷却ガスを付加的に入れるための手段を備えている、上記[17]~[22]のいずれか一つに記載の方法。
[24]前記冷却ゾーン(b)の壁を不燃性ガスによって冷却する、上記[17]~[23]のいずれか一つに記載の方法。
[25]前記反応チャンバが少なくとも2つの冷却ゾーンを含み、かつ少なくとも2つのステップで冷却を実施する、上記[17]~[24]のいずれか一つに記載の方法。
[26]ステップ(II-5)をサイクロンによって実施する、上記[17]~[25]のいずれか一つに記載の方法。
[27]燃焼中に形成された排ガスと、ステップ(II-5)中に分離された不燃性ガスとの混合物の少なくとも一部を再循環させる、上記[17]~[26]のいずれか一つに記載の方法。
[28]上記[1]~[9]のいずれか一つに記載の方法であって、
ステップ(II)のために使用される前記加熱装置が、少なくとも以下を含み:
・可燃性ガスのための入口、
・任意に、不燃性ガスのための入口、
・円筒形の回転可能な反応チャンバであって、前記反応チャンバの端部が、固定前部ユニット及び固定後部ユニットに回転可能に取り付けられている反応チャンバ、
ここで、前記回転可能な円筒形の反応チャンバが、水平方向に配置されているか、又は前記反応チャンバの後端部へ向かって傾斜して配置されており、かつ前記回転可能な円筒形の反応チャンバが少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、前記可燃性ガスのための前記入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが、前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、ゾーン(a)の前記バーナーノズルの配列と接続した可燃性ガス流のための入口、及び任意に不燃性ガスのための入口を備えている固定前部ユニット、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、中空球状ガラス粒子のための出口、及び排ガスのための出口を備えている固定後部ユニット、並びに
・前記円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転するための駆動装置;
かつ
ステップ(II)を以下のとおり実施する、方法:
(II-0’)前記円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転すること、
(II-1’)前記入口を通して前記可燃性ガス流を導入し、前記可燃性ガス流を1つ又は複数の前記バーナーノズルに移動させ、かつ少なくとも1つの裸火炎を点火すること、
(II-2’)任意に、前記入口を通して不燃性ガス流を前記燃焼ゾーン(a)内へ導入し、かつ前記冷却ゾーン(b)を通して前記不燃性ガス流を前記出口へ移動させること、
(II-3’)以下によって、前記前駆体粒子を前記加熱装置内へ添加し、かつ前記燃焼ゾーン(a)で前記前駆体粒子を1つ又は複数の前記裸火炎と接触させ、これにより、排ガス流中の中空球状ガラス粒子を得ること:
・前記可燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、及び/又は
・前記不燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、
(II-4’)回転運動oによって前記中空球状ガラス粒子を前記冷却ゾーン(b)に通すことにより前記排ガス流中の前記中空球状ガラス粒子を冷却すること、並びに
(II-5’)前記固定後部ユニットの前記中空球状ガラス粒子の前記出口を通して前記中空球状ガラス粒子を取り出すこと、及び/又は前記排ガスの前記出口を通って出た前記排ガス流から前記中空球状ガラス粒子を分離すること。
[29]前記円筒形の回転可能な反応チャンバの傾斜角が、0超~10°である、上記[28]に記載の方法。
[30]前記燃焼ゾーン(a)における前記反応チャンバの内壁が、耐火材料によって保護されている、上記[28]又は[29]に記載の方法。
[31]前記燃焼ゾーン(a)が、可燃性ガスのための複数のノズルを含む、上記[28]~[30]のいずれか一つに記載の方法。
[32]前記燃焼ゾーン(a)の断面全体に火炎が存在するように、前記複数のノズルが配置されている、上記[31]に記載の方法。
[33]前記冷却ゾーン(b)が、前記反応チャンバ内へ冷却ガスを入れるための手段を備えている、上記[28]~[32]のいずれか一つに記載の方法。
[34]ステップ(II-5’)をサイクロンによって実施する、上記[28]~[33]のいずれか一つに記載の方法。
[35]燃焼中に形成された排ガスと、ステップ(II-5’)中に分離された不燃性ガスとの混合物を再循環させる、上記[28]~[34]のいずれか一つに記載の方法。
[36]SiO 、Al 、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を、1000~1800℃の温度で熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得るための、少なくとも以下を備える加熱装置:
・少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む長手反応チャンバ:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、可燃性ガスの入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが、前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
・前記可燃性ガスのための入口、
・前記燃焼ゾーン(a)内へ不燃性ガスを導入するための入口、
・SiO 、Al 、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を前記可燃性ガス及び/又は前記不燃性ガスに添加するための手段、並びに
・前記冷却ゾーン(b)から中空球状ガラス粒子、不燃性ガス、及び廃棄物を取り出すための出口。
[37]前記燃焼ゾーン(a)における反応チャンバの内壁が、耐火材料によって保護されている、上記[36]に記載の加熱装置。
[38]前記加熱装置が前記耐火材料を冷却するための手段を備えている、上記[37]に記載の加熱装置。
[39]前記燃焼ゾーン(a)が、可燃性ガスのための複数のノズルを含む、上記[36]~[38]のいずれか一つに記載の加熱装置。
[40]前記燃焼ゾーン(a)の断面全体に火炎が存在するように、前記複数のノズルが配置されている、上記[39]に記載の加熱装置。
[41]前記冷却ゾーン(b)が、前記冷却ゾーン内へ冷却ガスを付加的に入れるための手段を備えている、上記[36]~[40]のいずれか一つに記載の加熱装置。
[42]前記冷却ゾーン(b)の壁が二重壁であり、かつ少なくとも冷却ガスのための入口及び出口を備えている、上記[36]~[41]のいずれか一つに記載の加熱装置。
[43]前記加熱装置が、前記出口と接続したサイクロンを備えている、上記[36]~[42]のいずれか一つに記載の加熱装置。
[44]SiO 、Al 、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を1000~1800℃の温度で熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得るための、少なくとも以下を備える加熱装置:
・可燃性ガスのための入口、
・任意に、不燃性ガスのための入口、
・円筒形の回転可能な反応チャンバであって、前記反応チャンバの端部が、固定前部ユニット及び固定後部ユニットに回転可能に取り付けられている反応チャンバ、
ここで、前記回転可能な円筒形の反応チャンバが、水平方向に配置されているか、又は前記反応チャンバの後端部へ向かって傾斜して配置されており、かつ前記回転可能な円筒形の反応チャンバが少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、前記可燃性ガスのための前記入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが、前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、ゾーン(a)の前記バーナーノズルの配列と接続した可燃性ガス流のための入口、及び任意に不燃性ガスのための入口を備えている固定前部ユニット、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、中空球状ガラス粒子のための出口、及び排ガスのための出口を備えている固定後部ユニット、並びに
・前記円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転するための駆動装置。
[45]前記円筒形の回転可能な反応チャンバの傾斜角が、0超~10°である、上記[44]に記載の加熱装置。
[46]前記燃焼ゾーン(a)における反応チャンバの内壁が、耐火材料によって保護されている、上記[44]又は[45]に記載の加熱装置。
[47]前記燃焼ゾーン(a)が、可燃性ガスのための複数のノズルを含む、上記[44]~[46]のいずれか一つに記載の加熱装置。
[48]前記燃焼ゾーン(a)の断面全体に火炎が存在するように、前記複数のノズルが配置されている、上記[47]に記載の加熱装置。
[49]前記冷却ゾーン(b)が、前記反応チャンバ内へ冷却ガスを入れるための手段を備えている、上記[44]~[48]のいずれか一つに記載の加熱装置。
[50]前記加熱装置が、排ガスのための前記出口に接続したサイクロンを備えている、上記[44]~[49]のいずれか一つに記載の加熱装置。
[51]高温生成物、溶融金属、射出成形合成材料、難燃性断熱発泡体、セメントスラリー、モルタル、コンクリート、及び油田用途のための充填剤としての、少なくともSiO 、Al 、及びアルカリ金属酸化物を含む中空球状ガラス粒子の使用であって、前記中空球状ガラス粒子が上記[1]~[35]のいずれか一つに記載の方法によって製造される、中空球状ガラス粒子の使用。
[52]融点が少なくとも500℃の溶融金属の添加剤としての、少なくともSiO 、Al 、及びアルカリ金属酸化物を含む中空球状ガラス粒子の使用であって、前記中空球状ガラス粒子が上記[1]~[35]のいずれか一つに記載の方法によって製造される、中空球状ガラス粒子の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下のステップを含む、少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む中空球状ガラス粒子の製造方法であって:
(I)少なくとも以下のサブステップを含む方法によって前駆体粒子を製造すること:
(I-1)少なくともSiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含むガラスを形成するための少なくとも1種の出発化合物の粒子を含む出発組成物を提供すること、
(I-2)前記出発組成物を液体と混合し、これによりスラリーを得ること、及び
(I-3)得られた前記スラリーを噴霧乾燥させ、これにより前記前駆体粒子を得ること;並びに
(II)前記前駆体粒子を加熱装置に通すことによって、1000℃~1800℃の温度で前記前駆体粒子を熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得ること;
ここで、可燃性ガスによって供給された少なくとも1つの裸火炎が前記加熱装置の内部で燃焼しており、かつ前記前駆体粒子を1つ又は複数の前記裸火炎と接触させることによって前記熱処理を実施し、
前記加熱装置に1つ又は複数の前記火炎を供給する前記可燃性ガス中に、前記前駆体粒子を分散させ、かつ/又は1つ又は複数の前記火炎の上流の位置で前記加熱装置に添加する不燃性ガス中に、前記前駆体粒子を分散させる、
中空球状ガラス粒子の製造方法。
【請求項2】
前記加熱装置が長手反応チャンバを有している、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記反応チャンバが円筒形である、請求項に記載の方法。
【請求項4】
1つ又は複数の前記裸火炎と接触させた後に、少なくとも1つの冷却ゾーンで、以下から選択する少なくとも1つの方法によって、得られた前記中空球状ガラス粒子を冷却する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法:
・前記反応チャンバ内へガスを導入すること、及び
・前記反応チャンバの壁を冷却すること。
【請求項5】
請求項に記載の方法であって、
ステップ(II)のために使用する前記加熱装置が少なくとも以下を含み:
・可燃性ガスのための入口、
・不燃性ガスのための入口、
・少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む長手反応チャンバ:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、前記可燃性ガスの前記入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
並びに
・前記中空球状ガラス粒子、不燃性ガス、及び廃棄物のための出口;
かつ
ステップ(II)を以下のとおり実施する、方法:
(II-1)前記入口を通して前記可燃性ガス流を導入し、前記可燃性ガス流を1つ又は複数の前記バーナーノズルに移動させ、かつ少なくとも1つの裸火炎を点火すること、
(II-2)前記入口を通して前記不燃性ガス流を前記燃焼ゾーン(a)内へ導入し、かつ前記冷却ゾーン(b)を通して前記不燃性ガス流を前記出口へ移動させること、
(II-3)以下から選択する少なくとも1つの方法によって、前記前駆体粒子を前記加熱装置内へ添加し、かつ前記燃焼ゾーン(a)で前記前駆体粒子を1つ又は複数の前記裸火炎と接触させ、これにより、中空球状ガラス粒子、前記可燃性ガスの燃焼によって発生した排ガス、及び不燃性ガスの流れを得ること:
・前記可燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、及び/又は
・前記不燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、
(II-4)形成した中空球状ガラス粒子、排ガス、及び不燃性ガスの前記流れを前記冷却ゾーン(b)に通すことによって冷却すること、並びに
(II-5)前記排ガス及び前記不燃性ガスから前記中空球状ガラス粒子を分離すること。
【請求項6】
前記反応チャンバが少なくとも2つの冷却ゾーンを含み、かつ少なくとも2つのステップで冷却を実施する、請求項に記載の方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法であって、
ステップ(II)のために使用される前記加熱装置が、少なくとも以下を含み:
・可燃性ガスのための入口、
・任意に、不燃性ガスのための入口、
・円筒形の回転可能な反応チャンバであって、前記反応チャンバの端部が、固定前部ユニット及び固定後部ユニットに回転可能に取り付けられている反応チャンバ、
ここで、前記回転可能な円筒形の反応チャンバが、水平方向に配置されているか、又は前記反応チャンバの後端部へ向かって傾斜して配置されており、かつ前記回転可能な円筒形の反応チャンバが少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、前記可燃性ガスのための前記入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが、前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、ゾーン(a)の前記バーナーノズルの配列と接続した可燃性ガス流のための入口、及び任意に不燃性ガスのための入口を備えている固定前部ユニット、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、中空球状ガラス粒子のための出口、及び排ガスのための出口を備えている固定後部ユニット、並びに
・前記円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転するための駆動装置;
かつ
ステップ(II)を以下のとおり実施する、方法:
(II-0’)前記円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転すること、
(II-1’)前記入口を通して前記可燃性ガス流を導入し、前記可燃性ガス流を1つ又は複数の前記バーナーノズルに移動させ、かつ少なくとも1つの裸火炎を点火すること、
(II-2’)任意に、前記入口を通して不燃性ガス流を前記燃焼ゾーン(a)内へ導入し、かつ前記冷却ゾーン(b)を通して前記不燃性ガス流を前記出口へ移動させること、
(II-3’)以下によって、前記前駆体粒子を前記加熱装置内へ添加し、かつ前記燃焼ゾーン(a)で前記前駆体粒子を1つ又は複数の前記裸火炎と接触させ、これにより、排ガス流中の中空球状ガラス粒子を得ること:
・前記可燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、及び/又は
・前記不燃性ガス流に前記前駆体粒子を添加すること、
(II-4’)回転運動によって前記中空球状ガラス粒子を前記冷却ゾーン(b)に通すことにより前記排ガス流中の前記中空球状ガラス粒子を冷却すること、並びに
(II-5’)前記固定後部ユニットの前記中空球状ガラス粒子の前記出口を通して前記中空球状ガラス粒子を取り出すこと、及び/又は前記排ガスの前記出口を通って出た前記排ガス流から前記中空球状ガラス粒子を分離すること。
【請求項8】
前記燃焼ゾーン(a)が、可燃性ガスのための複数のノズルを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記燃焼ゾーン(a)の断面全体に火炎が存在するように、前記複数のノズルが配置されている、請求項に記載の方法。
【請求項10】
燃焼中に形成された排ガスと、ステップ(II-5’)中に分離された不燃性ガスとの混合物を再循環させる、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
SiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を、1000~1800℃の温度で熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得るための、少なくとも以下を備える加熱装置:
・少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む長手反応チャンバ:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、可燃性ガスの入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが、前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
・前記可燃性ガスのための入口、
・前記燃焼ゾーン(a)内へ不燃性ガスを導入するための入口、
・SiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を前記可燃性ガス及び/又は前記不燃性ガスに添加するための手段、
ここで、前記加熱装置に1つ又は複数の前記火炎を供給する前記可燃性ガス中に、前記前駆体粒子を分散させ、かつ/又は1つ又は複数の前記火炎の上流の位置で前記加熱装置に添加する不燃性ガス中に、前記前駆体粒子を分散させる、並びに
・前記冷却ゾーン(b)から中空球状ガラス粒子、不燃性ガス、及び廃棄物を取り出すための出口。
【請求項12】
前記冷却ゾーン(b)の壁が二重壁であり、かつ少なくとも冷却ガスのための入口及び出口を備えている、請求項11に記載の加熱装置。
【請求項13】
SiO、Al、及びアルカリ金属酸化物を含む前駆体粒子を1000~1800℃の温度で熱処理し、これにより中空球状ガラス粒子を得るための、少なくとも以下を備える加熱装置:
・可燃性ガスのための入口、
・任意に、不燃性ガスのための入口、
・円筒形の回転可能な反応チャンバであって、前記反応チャンバの端部が、固定前部ユニット及び固定後部ユニットに回転可能に取り付けられている反応チャンバ、
ここで、前記回転可能な円筒形の反応チャンバが、水平方向に配置されているか、又は前記反応チャンバの後端部へ向かって傾斜して配置されており、かつ前記回転可能な円筒形の反応チャンバが少なくとも2つの異なる以下のゾーン(a)及び(b)を含む:
(a)少なくとも1つの裸火炎によって加熱することが可能な燃焼ゾーン、
ここで、前記可燃性ガスのための前記入口と接続した少なくとも1つのバーナーノズルが、前記燃焼ゾーンに配置されている、及び
(b)冷却ゾーン、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、ゾーン(a)の前記バーナーノズルの配列と接続した可燃性ガス流のための入口、及び任意に不燃性ガスのための入口を備えている固定前部ユニット、
・少なくとも前記円筒形の回転可能な反応チャンバのための取付具、中空球状ガラス粒子のための出口、及び排ガスのための出口を備えている固定後部ユニット、並びに
・前記円筒形の回転可能な反応チャンバをその長手方向軸線を中心として回転するための駆動装置。
【請求項14】
前記燃焼ゾーン(a)が、可燃性ガスのための複数のノズルを含む、請求項13に記載の加熱装置。
【請求項15】
前記燃焼ゾーン(a)の断面全体に火炎が存在するように、前記複数のノズルが配置されている、請求項14に記載の加熱装置。
【請求項16】
高温生成物、溶融金属、射出成形合成材料、難燃性断熱発泡体、セメントスラリー、モルタル、コンクリート、及び油田用途のための充填剤としての、少なくともSiO 、Al 、及びアルカリ金属酸化物を含む中空球状ガラス粒子の使用であって、前記中空球状ガラス粒子が請求項1~10のいずれか一項に記載の方法によって製造される、中空球状ガラス粒子の使用。
【請求項17】
融点が少なくとも500℃の溶融金属の添加剤としての、少なくともSiO 、Al 、及びアルカリ金属酸化物を含む中空球状ガラス粒子の使用であって、前記中空球状ガラス粒子が請求項1~10のいずれか一項に記載の方法によって製造される、中空球状ガラス粒子の使用。
【国際調査報告】