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特表2023-514976改善された再構成特性を有する脂肪ベースの粉末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】改善された再構成特性を有する脂肪ベースの粉末
(51)【国際特許分類】
   A23L 9/20 20160101AFI20230405BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20230405BHJP
   A23C 11/02 20060101ALI20230405BHJP
   A23L 2/39 20060101ALI20230405BHJP
   A23L 2/66 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
A23L9/20
B01J2/00 B
A23C11/02
A23L2/00 Q
A23L2/66
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545421
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2021054075
(87)【国際公開番号】W WO2021165427
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】20158858.9
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】アンゲロポウロウ, ディアマント
(72)【発明者】
【氏名】フォーニー, ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ムニエ, ヴィンセント, ダニエル, モーリス
(72)【発明者】
【氏名】パルツァー. ステファン
(72)【発明者】
【氏名】サルマン, アグバ
【テーマコード(参考)】
4B001
4B025
4B117
4G004
【Fターム(参考)】
4B001AC02
4B001AC03
4B001AC05
4B001AC06
4B001AC99
4B001DC01
4B001EC09
4B025LB23
4B025LG26
4B025LG27
4B025LG32
4B025LG41
4B025LP07
4B117LC04
4B117LE01
4B117LK12
4B117LK13
4B117LK15
4G004BA00
(57)【要約】
本発明は、疎水性粉末及び結晶性粉末を含む粉末飲料組成物であって、疎水性粉末及び結晶性粉末が75:25~99:1の質量比で存在し、疎水性粉末が50~500μmのD50粒径を有し、結晶性粉末が1~10μmのD50粒径を有し、結晶性粉末が、ラクトース、ガラクトース、グルコース、スクロース、又はそれらの誘導体のうちの1種以上から選択される、粉末飲料組成物に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性粉末及び結晶性粉末を含む粉末飲料組成物であって、
a.前記疎水性粉末及び結晶性粉末が75:25~99:1の質量比で存在し、
b.前記疎水性粉末が50~500μmのD50粒径を有し、
c.前記結晶性粉末が1~10μmのD50粒径を有し、前記結晶性粉末が、ラクトース、ガラクトース、グルコース、スクロース、又はそれらの誘導体のうちの1種又は複数種から選択され、
前記粒径が動的画像解析によって測定される、粉末飲料組成物。
【請求項2】
前記疎水性粉末の遊離脂肪含量が0.01~2%w/wである、請求項1に記載の粉末飲料組成物。
【請求項3】
前記疎水性粉末及び前記結晶性粉末が80:20~95:5の質量比で存在する、請求項1及び2に記載の粉末飲料組成物。
【請求項4】
前記疎水性粉末及び前記結晶性粉末が約90:10の質量比で存在する、請求項1~3に記載の粉末飲料組成物。
【請求項5】
前記疎水性粉末の遊離脂肪含量が0.01~0.2%w/wであり、前記疎水性粉末のD50粒径が65~75μmである、請求項1~4に記載の粉末飲料組成物。
【請求項6】
前記疎水性粉末の遊離脂肪含量が1.5~2%w/wであり、前記疎水性粉末のD50粒径が65~250μmである、請求項1~5に記載の粉末飲料組成物。
【請求項7】
前記結晶性粉末が、ガラクトース、ラクトース、又は脱水ラクトースから選択され、好ましくはα-ラクトース一水和物である、請求項1~6に記載の粉末飲料組成物。
【請求項8】
前記疎水性粉末がラクトースを更に含む、請求項7に記載の粉末飲料組成物。
【請求項9】
前記結晶性粉末のD50粒径が5~10μmである、請求項1~8に記載の粉末飲料組成物。
【請求項10】
前記粉末飲料組成物がコーヒーミックスである、請求項1~9に記載の粉末飲料組成物。
【請求項11】
水での疎水性粉末の再構成を改善する方法であって、疎水性粉末を結晶粉末と乾燥混合することを含み、
a.前記疎水性粉末及び前記結晶性粉末が75:25~99:1の質量比で乾燥混合され、
b.前記疎水性粉末が50~500μmのD50粒径を有し、
c.前記結晶性粉末が1~10μmのD50粒径を有し、前記結晶性粉末が、ラクトース、ガラクトース、グルコース、スクロース、又はそれらの誘導体のうちの1種又は複数種から選択される、方法。
【請求項12】
前記疎水性粉末及び結晶性粉末が約90:10の質量比で存在する、請求項11に記載の疎水性粉末の低温での再構成を改善する方法。
【請求項13】
前記水が45℃未満、好ましくは25℃未満、最も好ましくは10℃未満の温度を有する、請求項11及び12に記載の疎水性粉末の低温での再構成を改善する方法。
【請求項14】
疎水性粉末の低温での再構成を改善するための結晶性粉末の使用であって、
a.前記疎水性粉末及び結晶性粉末が75:25~99:1の質量比で存在し、
b.前記疎水性粉末が50~500μmのD50粒径を有し、
c.前記結晶性粉末が1~10μmのD50粒径を有し、ラクトース、ガラクトース、グルコース、スクロース、又はそれらの誘導体のうちの1種又は複数種から選択される、使用。
【請求項15】
前記疎水性粉末及び結晶性粉末が約90:10の質量比で存在する、請求項14に記載の疎水性粉末の低温での再構成を改善するためのラクトース粉末又はガラクトース粉末の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景技術]
大量の脂肪を含有する全乳又はクリーマーなどの粉末は、一般に、特に低温での再構成特性が良くない。このような再構成不良の中には、固形遊離脂肪又は疎水性化合物(例えば、タンパク質)の表面の湿潤性が悪いことに起因するものがある。
【0002】
脂肪を含有する粉末の低温での再構成(すなわち、湿潤性)を改善させる最も一般的な方法は、かかる粒子の表面にレシチンなどの界面活性成分を添加することである(例えば、共噴霧による)。しかしながら、このような成分の添加は、消費者からはクリーンラベルなものとして認識されない場合がある。
【0003】
低温での溶解性を改善する別の方法には、脂肪組成物に変更を加え、融解温度がより低い脂肪を使用するものがある。例えば、中鎖トリグリセリド(MCT)を使用することができるが、この場合でも、かかる成分は、特にバター脂肪を期待される乳製品又は全乳の場合には、クリーンラベルなものとして認識されない場合がある。
【0004】
[発明の概要]
本発明者らは、驚くべきことに、低温(周囲温度未満から4℃まで)であっても全脂粉乳及びクリーマー粉末の湿潤性を改善し、ひいてはそれらの再構成を改善する方法を見出した。
【0005】
室温での再構成時のこれらの乳成分粉末(dairy powders)の再構成の向上は、規定通りに微細な結晶粉末又は非晶質粉末と乾燥混合することによって達成される。規定通りの乾燥混合は、比較的大きな粒径の粉末(乳成分粉末)を比較的微細な粉末(結晶性粉末)と混合するプロセスである。大きな粒子と微細な粒子との間の付着力(ファンデルワールス力及び/又は静電気力)が微細な粒子の重力よりも大きい場合、微細な粒子は大きな粒子の表面に付着し、コーティングのように見える層を形成する。付着力が勝つには、ゲスト粒子とキャリア粒子との間に少なくとも10倍のサイズ差がある必要がある。機械的な力を利用して、ゲスト粒子をホスト粒子と接触させることができる。
【0006】
本発明の乾燥混合プロセスは、結晶粒子で部分的又は完全にコーティングされた、乳成分粉末の粒子群の製造をもたらす。好適なコア材料の例は、WMP、SMP、乳代替粉末、乳清タンパク質単離物などである。好適なコーティング材料は、例えば、ラクトース、ガラクトース、グルコース及びスクロースである。コーティング材料は結晶性又は非晶質のものであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】SEM画像。純粋なWMP(左上)、微粉状α-ラクトース一水和物(右上)、WMP+5%w/wの微粉状α-ラクトース一水和物(左下)、及びWMP+10%w/wの微粉状α-ラクトース一水和物(右下)。
図2】粉末の再構成の分析に使用したセットアップ。
図3】WMP及びWMP/微粉状ラクトース混合物の再構成。
図4】未コーティングのWMP及び10%のコーティングしたWMPの再構成の経時的な画像。
図5】WMP+10%w/wの無水微粉状α-ラクトースの再構成時間をWMP+10%w/wの微粉状α-ラクトース一水和物と比較したグラフ。
図6】10%の微粉状ガラクトースと混合したWMPのSEM画像。
図7】純粋なWMPの再構成、及び、10%の微粉状ガラクトースと混合したWMPの再構成。
図8】純粋なSMPのSEM画像、及び、10%の微粉状ラクトースと混合したSMPのSEM画像。
図9】SMPの再構成、及び、10%の微粉状ラクトースと混合したSMPの再構成。
図10】10%の噴霧乾燥ラクトースと混合したWMPのSEM。
図11】純粋なWMPの再構成、及び、噴霧乾燥後の微細なラクトースと混合したWMPの再構成。
図12】純粋なクリーマーのSEM画像(左)、及び、クリーマー+20%微粉状α-ラクトース一水和物のSEM画像(右)。
図13】未コーティングのクリーマー試料及びコーティングしたクリーマー試料の沈降時間
図14】4℃でのWMP試料の沈降時間。
図15】22℃でのWMP試料の沈降時間。
図16】純粋なビーガン・クリーマー及び微粉状マルトデキストリンのSEM画像。
図17】コーティングした粉末のSEM画像。
図18】コーティングした粉末及び未コーティングの粉末の22℃での沈降時間。
図19】コーティングした粉末のSEM画像。
図20】粉末の沈降時間
【0008】
発明の形態
本発明は、概して粉末組成物に関する。
【0009】
本発明は更に、疎水性粉末と、結晶性粉末又は非晶質粉末とを含む、粉末飲料組成物に関する。
【0010】
本発明は更に、疎水性粉末と、結晶性粉末又は非晶質粉末とを含む粉末飲料組成物であって、疎水性粉末と、結晶性粉末又は非晶質粉末とが、75:25~99:1の質量比で存在する、粉末飲料組成物に関する。
【0011】
本発明は更に、疎水性粉末と、結晶性粉末又は非晶質粉末とを含む粉末飲料組成物であって、疎水性粉末と、結晶性粉末又は非晶質粉末とが、75:25~99:1の質量比で存在し、疎水性粉末が50~500μmのD50粒径を有する、粉末飲料組成物に関する。
【0012】
本発明は更に、疎水性粉末と、結晶性粉末又は非晶質粉末とを含む粉末飲料組成物であって、疎水性粉末と、結晶性粉末又は非晶質粉末とが、75:25~99:1の質量比で存在し、疎水性粉末が50~500μmのD50粒径を有し、結晶性粉末又は非晶質粉末が1~10μmのD50粒径を有する、粉末飲料組成物に関する。
【0013】
本発明は更に、疎水性粉末及び結晶性粉末を含む粉末飲料組成物であって、疎水性粉末及び結晶性粉末が75:25~99:1の質量比で存在し、
a.疎水性粉末及び結晶性粉末が75:25~99:1の質量比で存在し、
b.疎水性粉末が50~500μmのD50粒径を有し、
c.結晶性粉末又は非晶質粉末が1~10μmのD50粒径を有し、結晶性粉末が、ラクトース、ガラクトース、グルコース、スクロース、又はそれらの誘導体のうちの1種又は複数種から選択される、粉末飲料組成物に関する。
【0014】
いくつかの実施形態では、疎水性粉末はクリーマー、例えば乳成分クリーマーである。いくつかの実施形態では、疎水性粉末は、粉乳、例えば全脂粉乳又は脱脂粉乳である。脱脂粉乳は、中温処理した(medium heat)脱脂粉乳であってもよい。いくつかの実施形態では、疎水性粉末は乳清タンパク質単離物である。
【0015】
一実施形態では、疎水性粉末の遊離脂肪含量は0.01~2%w/wである。
【0016】
一実施形態では、疎水性粉末の遊離脂肪含量は、1~2%w/w、又は1.5~2%w/w、例えば、約1.7%w/wである。この脂肪含量は、クリーマーの遊離脂肪含量に典型的なものである。
【0017】
一実施形態では、疎水性粉末の遊離脂肪含量は、1~1.5%w/w、例えば約1.2%w/wである。この脂肪含量は、WMPの遊離脂肪含量に典型的なものである。
【0018】
一実施形態では、疎水性粉末の遊離脂肪含量は、0.01~0.25%w/w、例えば0.2%w/w未満である。この脂肪含量は、SMPの遊離脂肪含量に典型的なものである。
【0019】
一実施形態では、疎水性粉末にはラクトースを更に含む。
【0020】
一実施形態では、疎水性粉末のD50粒径は、65~250μm、又は65~200μm、又は65~85μm、又は70~75μmである。
【0021】
一実施形態では、疎水性粉末のD50粒径は約73μmである。
【0022】
いくつかの実施形態では、疎水性粉末及び結晶性粉末は、80:20~95:5の質量比で存在する。
【0023】
いくつかの実施形態では、疎水性粉末及び結晶性粉末は、約90:10又は約85:15の質量比で存在する。
【0024】
いくつかの実施形態では、結晶性粉末はガラクトース、例えばD-ガラクトースである。
【0025】
いくつかの実施形態では、結晶性粉末は、ラクトース、例えば、約1%w/w以下の含水量を有する無水ラクトースである。
【0026】
いくつかの実施形態では、結晶性粉末は、脱水ラクトース、例えば、約5.4%w/w以下の含水量を有するα-ラクトース一水和物である。
【0027】
一実施形態では、結晶性粉末は微粉化される。一実施形態では、結晶性粉末は噴霧乾燥される。
【0028】
一実施形態では、結晶性粉末のD50粒径は5~10μmである。
【0029】
一実施形態では、結晶性粉末のD50粒径は約6μmである。
【0030】
一実施形態では、疎水性粉末の遊離脂肪含量は、0.01~0.2%w/w、例えば約0.1%w/wであり、疎水性粉末のD50粒径は65~75μmである。
【0031】
一実施形態では、疎水性粉末の遊離脂肪含量は、1~2%w/w、又は1.5~2%w/w、例えば、約1.7%w/wであり、疎水性粉末のD50粒径は65~250μmである。
【0032】
粒径は、動的画像解析によって測定することができる。例えば、粒径は、本明細書に記載される動的画像解析によって測定することができる。
【0033】
一実施形態では、粉末飲料組成物はコーヒーミックスである。
【0034】
一実施形態では、粉末飲料組成物は、レシチン又は中鎖トリグリセリドを含まない。
【0035】
いくつかの実施形態では、ラクトース、ガラクトース、グルコース、スクロースの誘導体は、糖誘導体である。
【0036】
一実施形態では、粉末飲料は人間による消費のためのものである。
【0037】
本発明は更に、水での疎水性粉末の再構成を改善する方法であって、疎水性粉末を結晶性粉末と乾燥混合することを含み、疎水性粉末及び結晶性粉末が、75:25~99:1の質量比で乾燥混合される、方法に関する。
【0038】
本発明は更に、水での疎水性粉末の再構成を改善する方法であって、疎水性粉末を結晶性粉末と乾燥混合することを含み、疎水性粉末及び結晶性粉末が75:25~99:1の質量比で乾燥混合され、疎水性粉末が50~500μmのD50粒径を有する、方法に関する。
【0039】
本発明は更に、水での疎水性粉末の再構成を改善する方法であって、疎水性粉末を結晶性粉末と乾燥混合することを含み、疎水性粉末及び結晶性粉末が75:25~99:1の質量比で乾燥混合され、疎水性粉末が50~500μmのD50粒径を有し、結晶性粉末が1~10μmのD50粒径を有する、方法に関する。
【0040】
本発明は更に、水での疎水性粉末の再構成を改善する方法であって、疎水性粉末を結晶性粉末と乾燥混合することを含み、
a.疎水性粉末及び結晶性粉末を75:25~99:1の質量比で乾燥混合し、
b.疎水性粉末が50~500μmのD50粒径を有し、
c.結晶性粉末が、1~10μmのD50粒径を有し、結晶性粉末が、ラクトース、ガラクトース、グルコース、スクロース、又はそれらの誘導体のうちの1種又は複数種から選択される、方法に関する。
【0041】
一実施形態では、疎水性粉末及び結晶性粉末は約90:10の質量比で存在する。
【0042】
一実施形態では、水は、45℃未満、又は25℃未満、又は10℃未満、又は5℃未満の温度を有する。一実施形態では、水は約22℃の温度を有する。一実施形態では、水は約4℃の温度を有する。
【0043】
本発明は更に、疎水性粉末の低温での再構成を改善するための結晶性粉末の使用であって、疎水性粉末及び結晶性粉末が粉末飲料組成物中に75:25~99:1の質量比で存在する、使用に関する。
【0044】
本発明は更に、疎水性粉末及び結晶性粉末が粉末飲料組成物中に75:25~99:1の質量比で存在し、疎水性粉末が50~500μmのD50粒径を有する、疎水性粉末の低温での再構成を改善するための結晶性粉末の使用に関する。
【0045】
本発明は更に、疎水性粉末及び結晶性粉末が粉末飲料組成物中に75:25~99:1の質量比で存在し、疎水性粉末が50~500μmのD50粒径を有し、結晶性粉末が1~10μmのD50粒径を有する、疎水性粉末の低温での再構成を改善するための結晶性粉末の使用に関する。
【0046】
いくつかの実施形態では、ラクトース、ガラクトース、グルコース、スクロースの誘導体は、糖誘導体である。
【0047】
本発明は更に、疎水性粉末の低温での再構成を改善するための結晶性粉末の使用であって、
a.前記疎水性粉末及び結晶性粉末が、粉末飲料組成物中に75:25~99:1の質量比で存在し、
b.前記疎水性粉末が、50~500μmのD50粒径を有し、
c.前記結晶性粉末が、1~10μmの間のD50粒径を有し、ラクトース、ガラクトース、グルコース、スクロース、又はそれらの誘導体を含む、使用に関する。
【0048】
一実施形態では、疎水性粉末及び結晶質粉末は、約90:10の質量比で存在する。
【0049】
いくつかの実施形態では、ラクトース、ガラクトース、グルコース、スクロースの誘導体は、糖誘導体である。
【0050】
本明細書に記載される本発明の組成物、方法及び使用に関する実施形態は、当業者によって自由に組み合わせることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、疎水性粉末は1~2%w/wの遊離脂肪含量を有し、結晶性粉末は微粉状α-ラクトース一水和物又は無水ラクトースであり、疎水性粉末及び結晶性粉末は約95:5又は約90:10の比で存在し、疎水性粉末は65~75μmのd50を有し、微粉状α-ラクトース一水和物のd50は約6μmである。
【0052】
いくつかの実施形態では、疎水性粉末は1~2%w/wの遊離脂肪含量を有し、結晶性粉末は微粉状D-ガラクトースであり、疎水性粉末及び微粉状D-ガラクトースは約90:10の比で存在し、微粉状D-ガラクトースのd50は約6μmである。
【0053】
いくつかの実施形態では、疎水性粉末は0.01~0.2%w/wの遊離脂肪含量を有し、結晶性粉末は、約5.4%w/wの含水量を有する微粉状α-ラクトース一水和物、又は約1%w/wの含水量を有する無水ラクトースであり、疎水性粉末及び結晶性粉末は約95:5又は約90:10の比で存在し、疎水性粉末は65~75μmのd50を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、疎水性粉末は1~2%w/wの遊離脂肪含量を有し、結晶性粉末は噴霧乾燥したラクトース一水和物であり、疎水性粉末及び噴霧乾燥ラクトース一水和物粉末は約90:10の比で存在し、噴霧乾燥ラクトース一水和物粉末そのものは約8μmのD50を有する。
【発明を実施するための形態】
【0055】
定義
本開示及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「1つの」(「a」、「an」及び「the」)には、別段の指示がない限り、複数の参照物も含まれる。
用語「含む/備える(comprise)」、「含む/備える(comprises)」、及び「含んでいる/備えている(comprising)」という単語は、排他的にではなく、包含的に解釈されることになっている。同様にして、用語「含有する(include)」、「含有する(including)」及び「又は(or)」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは包括的なものであると解釈されるべきである。
【0056】
しかしながら、本明細書に開示されている組成物は、具体的に開示されていない要素を含まない場合がある。したがって、用語「含む/備える(comprising)」を用いて提示される実施形態の開示は、特定された成分「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「を含む(consisting of)」実施形態の開示を含む。同様にして、本明細書で開示される方法には、本明細書において具体的に開示されない任意の工程が存在しない場合がある。したがって、「を含んでいる」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている工程「から本質的になる(consisting essentially of)」実施形態、及び「を含む(consisting of)」実施形態の開示を含む。
【0057】
「X及び/又はY」の文脈で使用される用語「及び/又は」は、「X」、又は「Y」、又は「X及びY」と解釈されるべきである。本明細書において使用する場合、用語「例(example)」及び「などの(such as)」は、特に後に用語の掲載が続く場合は、単に例示的なものであり、かつ説明のためのものであり、排他的又は包括的なものであると判断すべきではない。別途記載のない限り、本明細書で開示される任意の実施形態を、本明細書で開示される任意の別の実施形態と組み合わせることができる。
【0058】
本明細書で使用するとき、「約(about)」及び「およそ(approximately)」は、数値範囲内、例えば、参照されている数の-10%から+10%の範囲、好ましくは参照されている数の-5%から+5%の範囲内、より好ましくは、参照されている数の-1%から+1%の範囲内、最も好ましくは参照されている数の-0.1%から+0.1%の範囲内の数を指すものと理解される。
【0059】
更に、本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数(integers)、整数(whole)又は分数、を含むものと理解されたい。用語「間(between)」は、特定の範囲の端点を包含する。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項をサポートすると解釈されたい。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲をサポートするものと解釈されたい。
【0060】
D値(D10、D50及びD90)は、粉末の累積体積分布の10%、50%及び90%の切片を表す。累積粒径分布は、所与の粒径以下の粒子が試料に含まれている割合(%)を示している。
【0061】
粒径分析は、Camsizer XT(Retsch Technology,Germany)の乾燥分散ユニットを使用した動的画像解析によって行った。この方法では、圧縮空気を使用して粒子を分散させた後、明るくパルス発光する2つのLED光源の前を通過させる。粒子の影を2台のデジタルカメラで撮影し、ソフトウェアで画像処理を用い各粒子の粒径を測定する。次いで、粉末の累積体積の10%、50%及び90%の切片での粒径を表すd10、50、及びd90値を抽出する。
【0062】
粒径測定において適用した空気による分散圧力(air dispersion pressure)は、乳成分クリーマー及びビーガン・クリーマー(実施例6、実施例9及び実施例10に示される)を除く全ての粉末について180kPaとした。前述の2種類の粉末は比較的大きいことから、破損現象を回避するために60kPaの圧力を適用した。
【0063】
したがって、一実施形態では、粒径は、動的画像解析によって測定することができる。例えば、粒径は、本明細書に記載される動的画像解析によって測定することができる。
【0064】
溶解時間は、粉末のまとまり(powder bulk)が溶媒(例えば水)中で崩壊して溶質を形成するのにかかる時間である。粉末を水に添加すると、いくつかの、特徴的であるが通常は重複する現象が起こる。まずは、粉末表面が湿潤し、続いて毛管浸透、及び液体媒体中への粉末の沈降が生じる。その後、粒子の分散、及び単一粒子又は凝集体の崩壊が生じる。水に可溶な粉末成分の場合には、最終的に溶解が生じる。湿潤、分散及び溶解を含むプロセス全体は、粉末の再水和又は再構成として知られている。
【0065】
質量比は、二成分混合物中のある成分の割合(%)を受けての別の成分の割合(%)として定義され、すなわち二成分の割合(%)の合計は100%である。
【0066】
粉末飲料組成物とは、牛乳又は水などの食品等級の液体を使用して再水和し、飲料として消費することができる、乾燥粉末組成物を指す。
【0067】
疎水性粉末は、脂肪又は油、好ましくは脂肪を含む食品等級の粉末である。
【0068】
結晶粉末は、原子、分子又はイオンが高度に秩序化された結晶格子で配置されている結晶粒子を含む。結晶性物質の例は、結晶性糖質、例えば、ラクトース、グルコース、ガラクトース及びスクロース、並びにそれらの誘導体である。
【0069】
非晶質粉末は、原子及び分子の不規則な分布を示す材料である。非晶質物質の例は、マルトデキストリン、噴霧乾燥ラクトース、及び噴霧乾燥スキムミルクである。
【0070】
マルトデキストリンは非晶質炭水化物であり、しばしば充填剤として製剤に使用される。マルトデキストリンは、デンプンの酸加水分解又は酵素加水分解によって得られるグルコースポリマーであり、様々なポリマー鎖長で入手可能である。全てのグルコースポリマーにおいて、分子鎖は遊離アルデヒド基を含む還元糖で始まる。デンプンの加水分解は、解重合及びより多くの還元糖の存在をもたらす。デキストロース当量(DE)は、乾燥重量基準で表される、製品中のグルコース(デキストロース)に対する還元糖の量の尺度である。例えば、マルトース(2つのグルコースモノマーからなる二糖)は、50のDEを有する(グルコースは100のDEを有するため)。一般に、DE値が高いほど、マルトデキストリンの分子量は低くなる。実施例9及び実施例10において使用されるマルトデキストリンは、6及び17~20のDE値を有する。これらのDE値は、それぞれ約3200g/mol及び1250g/molの数平均分子量に相当する。マルトデキストリンは、Roquette社(France)から供給を受け、ジェットミルを用いて微粉化した。
【0071】
再構成の時間は、90%の溶解を達成するのにかかる時間とし、例えば実施例1に記載されるように、各試料の最大導電率の90%に到達する時間を意味する。
【0072】
「微粉状」粉末は、典型的には20μm未満の非常に微細な粒子へと破砕されている。微粉状粉末の例は、ラクトース、ガラクトース、グルコース、及びスクロースなどの微粉状の糖である。微粉化は、ミル、例えば、ボールミル又はジェットミルを使用して一次粒子又は凝集体を粉砕することによって生じる。
【0073】
粉乳は、乳(全乳若しくは脱脂乳若しくは部分脱脂乳若しくはクリーム、又はこれらの製品の混合物)から水を除去することによって得られる乳製品であり、含水量は最終製品の5重量%を超えない。粉乳の例は、全脂粉乳、半脱脂粉乳及び脱脂粉乳である。
【0074】
全脂粉乳は26%~42%の脂肪を含有する乾燥させた乳(dehydrated milk)である。
【0075】
脱脂粉乳は1.5重量%以下の脂肪を含有する乾燥させた乳である。
【0076】
クリーマー、例えば非乳成分製クリーマーは、炭水化物相又は脂質相が置き換えられている、例えばラクトースがマルトデキストリンによって置き換えられている粉乳代替物である。
【0077】
一実施形態では、粉末飲料組成物はクリーマーであり、非晶質粉末はマルトデキストリン、好ましくは微粉状マルトデキストリン、より好ましくは平均分子量が1000g/mol~4000g/molの微粉状マルトデキストリンである。いくつかの実施形態では、平均分子量は約1250g/molである。好ましくは、マルトデキストリンはジェットミルを使用して微粉化する。
【0078】
脱水α-ラクトースは、乾燥させて結晶水(一水和物)を除去した結晶性α-ラクトースである。
【0079】
糖誘導体は、単糖類及び二糖類を含む糖から誘導される。単糖誘導体は、グルコース又はガラクトース、例えば、D-ガラクトース、又はD-グルコースから誘導され得る。二糖誘導体は、ラクトース又はスクロース、例えば、無水ラクトース、又はα-ラクトース一水和物に由来し得る。
【0080】
コーヒーミックスは、インスタントコーヒー、クリーマーベース及び甘味料ベースを含むコーヒー製品である。
【実施例
【0081】
実施例1:全脂粉乳と微粉状α-ラクトース一水和物との混合
WMP(LacPatrick Dairies社、Netherlands)を、特注の45°ピッチの3枚羽根インペラを含むフードプロセッサー(直径20cm)中で、微粉状α-ラクトース一水和物(Lactochem Microfine,DFE Pharma,the Netherlands)と混合した。インペラ速度は、240V、7Ampの調整器(Sheffield大学)によって制御した。両方の粉末を混合前に容器に添加し、バッチサイズは200gとした。混合速度は約120rpmとし、混合時間は5分とした。適用した微粉状ラクトースに対するWMPの比は、95/5(w/w)及び90/10(w/w)とした。
【0082】
粒径は、Camsizer(登録商標)XT(Retsch Technology GmbH)を使用して180kPaの分散圧力で測定した。2種類の粉末の累積体積の10%、50%及び90%についての切片を表すd値(d10、d50及びd90)を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
全ての試料を、卓上SEM(JEOL,Japan)を用いて可視化した。SEMでの可視化前に、帯電による影響を最小にするために、スパッタコーター(Agar Scientific,UK)を使用して試料表面上にAuの層を堆積させた。金スパッタリングのために印加する圧力及び電流は、それぞれ0.04mb及び40mAとした。試料からターゲットまでの距離は25mmとし、堆積時間は12秒とした。
【0085】
様々な試料のSEM画像を図1に示す。WMP/微粉状ラクトース混合物の場合では、WMPの表面上に小さな結晶性ラクトース粒子を観察することができる。
【0086】
様々な試料の再水和特性を評価するために使用したセットアップを図2に示す。このセットアップは、バッフルなしのガラス容器(内径7cm)と、粉末の即時供給のための移動プレートを底部に有する鋼管(内径5cm)とから構成される。供給管開口部と液体表面との距離は5cmである。溶解速度を定量するために、導電率を測定した。この目的のために、フィッティングを使用して、導電率プローブ(Jenway 3540モデル、UK、25℃でk値0.111cm-1)を容器の中央に垂直に配置した。撹拌用ホットプレート(Dragon Lab,MS7-H550-Pro,China)を使用して、温度及び撹拌速度を制御した。容器の上部に垂直に配置したビデオカメラ(1920×1080ピクセル、30fps)を使用して、粉末の湿潤工程及び沈降工程をモニターした。
【0087】
再構成の実験には200±0.1mLの蒸留水及び4±0.01gの粉末を使用した。22±3℃の温度を適用し、撹拌速度は400rpm及び800rpmとした。
【0088】
WMPの再構成に対する微粉状ラクトースコーティングの効果を図3に示す。再構成の結果を、沈降時間及びt90で表す。沈降時間は、粉末を水面に導入した時点(供給管の底部の移動プレートを開放することによる)と粉末が液体中に完全に浸漬された時点との間の時間間隔として定義される。t90は90%の溶解を達成する時間であり、各試料の最大導電率の90%に達した時点を意味する。本実施例では、10回の別個の測定を行った。エラーバーは95%信頼区間を表す。
【0089】
WMPの表面上への微粉状ラクトースの添加は、22±3℃での粉末再水和の有意な増強をもたらす(図3)。ラクトースコーティングした粉末は、適用した両方の撹拌速度で、純粋なWMPよりも有意に低いt90を有する。微粉状ラクトース10%のt90は、微粉状ラクトース0%での初期値の1/3未満である。溶解時間の短縮は、図3において三角形の印の線で示されるように(as indicated by the triangles)、より迅速な湿潤及び沈降によるものである。
【0090】
再構成実験中のビデオ記録から抜粋した微速度画像を図4に示す。360秒の時点で粉末によって覆われていた液体表面の割合(%)は、10%のコーティング試料では純粋なWMPと比較して顕著に小さい。720秒の時点では、コーティングした粉末は完全に沈降しているのに対し、WMPは依然として浮遊している。
【0091】
実施例2:全脂粉乳と微粉状無水α-ラクトースとの混合
無水α-ラクトースの調製のために、微粉状α-ラクトース一水和物を薄い層にして130℃のオーブン(Carbolite Gero)に2時間入れた。無水ラクトースの含水量を、150℃で2時間の乾燥による減量(MA160,Sartorius,Germany)から求めたところ、1%w/w(もとの一水和物試料では5.4%w/w)であることが分かった。粉末の混合、及び再構成分析は、実施例1と同じ方法を使用して行った。コーティングした試料の粒径分布は、実施例1と同様であった。
【0092】
図5に示す再構成結果は、無水ラクトースコーティングが、実施例1に示すラクトース一水和物コーティングよりも更に短い沈降時間及び溶解時間をもたらしたことを示す。これは、無水α-ラクトースのより高い溶解度によるものである。
【0093】
実施例3:全脂粉乳と微粉状ガラクトースとの混合
微粉状ガラクトースの調製のために、50gのD-ガラクトース粉末(Beckmann-Kenko GMBH)を、ボール・ミル(Retsch,PM 100)を用いて400rpmで1時間(10分間隔)粉砕した。粉砕は、250mLのジャーの中で、3個の粉砕ボール(30mm)により行った。微粉状ガラクトースの粒径分布を表2に示す。コーティングした粉末の表面の形状(SEM)を図6に示す。
【0094】
粉末混合、及び再構成分析は、実施例1と同じ方法を使用して行った。
【0095】
【表2】
【0096】
WMPと微粉状ガラクトースとの乾燥混合後に得られた再構成結果を図7に示す。ガラクトースコーティングにより、WMPの再構成において有意な増強が生じることを観察することができる。
【0097】
実施例4:脱脂粉乳と微粉状α-ラクトース一水和物との混合
本実施例では、中温処理した脱脂粉乳(Arla,UK)を微粉状α-ラクトース一水和物と乾燥混合した。実施例1に記載したものと同じ混合及び再構成分析の方法を使用した。SMPをふるいにかけて、微粒子を除去し、コア材料とコーティング材料との間に大きなサイズ差を得た。本実施例で使用したSMPの粒径分布を表4に示す。表3。純粋なSMP及び10%のコーティング粉末のSEMを図8に示す。再構成結果を図9に示す。
【0098】
【表3】
【0099】
より大きなd50粒径がSMPの沈降時間に対して示す効果も評価した。92μmのd50粒径では、SMPの沈降時間は70秒未満であり、この粒径は表面への炭水化物の添加の影響をあまり顕著でないものにすることが観察された。遊離脂肪がより多い(典型的には1%超)場合、沈降時間は、より広範囲の粒径で長くなる(クリーマーに関しては実施例6を参照されたい)。
【0100】
実施例5:WMPと微細な噴霧乾燥ラクトース粒子との混合
微細な噴霧乾燥ラクトースの調製のため、ラクトース一水和物を周囲温度で蒸留水に溶解し、30分間撹拌して、20%w/wのラクトース水溶液を調製した。ラクトース溶液の乾燥には、並流式で2本の流体ノズル(直径1mm)を備えたMobile Minor噴霧乾燥機(GEA,DEnmark)を使用した。噴霧乾燥の前に、溶液を水浴中で70℃に加熱した。ローラーヘッドを4つ有する蠕動ポンプ(Watson-Marlow 520U)を使用して、発泡体断熱材(壁厚19mm)を有するシリコーンチューブ(4.8mm)に液体を通し、ノズルに押し込んだ。使用した噴霧空気圧及び流量は、それぞれ0.5バール及び4.5kg/hとした。乾燥空気流量は約100kg/hとした。Tinletは160℃とし、Toutletは90℃とした。供給速度は2.3~2.5kg/hの範囲内とした(Toutletを制御するように調節した)。
【0101】
噴霧乾燥ラクトースの粒径分布を表4に示す。コーティングした粉末のSEMを図10に示す。
【0102】
【表4】
【0103】
WMPと微細な噴霧乾燥ラクトースとの乾燥混合後に得られた再構成結果を図11に示す。噴霧乾燥ラクトースによるコーティングの結果として、WMPの再構成に有意な増強が生じることを観察することができる。
【0104】
実施例6:乳成分クリーマーと微粉状α-ラクトース一水和物との混合
乳成分クリーマーを、卓上流動床造粒機(Sheffield大学によるデザイン)中で、微粉状α-ラクトース一水和物と混合した。2種類の粉末を、90L/分の流量で周囲温度の空気を用いて7分間混合した。クリーマー/微粉状ラクトースには4通りの比:95/5、90/10、85/15、80/20(w/w)を適用した。
【0105】
クリーマー及び微粉状α-ラクトース一水和物試料の粒径分布を表5に示す。
【0106】
【表5】
【0107】
純粋なクリーマー及び20%の微粉状α-ラクトース一水和物と混合したクリーマーのSEM画像を図12に示す。20%の試料では、微粉状ラクトースによるクリーマー粒子表面の完全な被覆を観察することができる。
【0108】
純粋なクリーマー及び混合物の湿潤性を、静的湿潤-沈降試験によって評価した:15gの粉末を、22±3℃の200mLの蒸留水の表面上に一度に導入した(撹拌はしなかった)。様々な粉末の沈降時間を図13に示す。
【0109】
実施例7:4℃でのWMPの沈降時間
再構成を4℃で行ったことを除き、実施例1及び実施例5を繰り返した。WMPの表面上への微粉状α-ラクトース一水和物の添加は、4℃での沈降時間の有意な増強ももたらす(図14)。同様の結果が、WMPの表面上への噴霧乾燥ラクトースの添加でも見られる。
【0110】
実施例8:22℃でのWMPと粗ラクトースとの混合
WMPをほぼ同じ粒径のラクトースと混合する効果を評価するために、更なる実験を行った。微粉状ラクトースと同じ混合方法を使用した。WMPを、特注の45°ピッチの3枚羽根インペラを含むフードプロセッサー(直径20cm)中で、粗α-ラクトース一水和物及び微粉状α-ラクトース一水和物と混合した。混合速度は約120rpmとし、混合時間は5分とした。
【0111】
WMP、粗α-ラクトース一水和物及び微粉状α-ラクトース一水和物のサイズ分布を表6に示す。
【0112】
【表6】
【0113】
様々な粉末の沈降時間を図15に示す。
【0114】
実施例9:微粉状マルトデキストリンDE6/DE17~20と混合したビーガン・クリーマーの22℃での沈降時間
2±0.3%の遊離脂肪含量を有するビーガン・クリーマーを微粉状マルトデキストリンDE6及びDE17~20と乾燥混合した。2通りの比率でビーガン・クリーマー/微粉状マルトデキストリンを適用した:98/2(%w/w)及び95/5(%w/w)。実施例1に記載したものと同じ混合方法及び再構成分析方法を使用した。ビーガン・クリーマー及び微粉状マルトデキストリンの粒径分布を表7に示す。純粋なビーガン・クリーマー及び微粉状マルトデキストリンの走査型電子顕微鏡写真(SEM)を図16に示す。コーティングした粉末のSEMを図17に示す。
【0115】
未コーティングの粉末及びコーティングした粉末の、22℃及び400rpmでの沈降時間を図18に示す。
【0116】
【表7】
【0117】
実施例10:微粉状マルトデキストリンDE17~20と混合したビーガン・クリーマーの4℃での沈降
実施例9と同じビーガン・クリーマーを、異なる4通りのビーガン・クリーマー/微粉状マルトデキストリン比:95/5(%w/w)、90/50(%w/w)、85/15及び80/20(%w/w)で微粉状マルトデキストリンDE17~20と混合した。試料を、実施例1と同じセットアップを使用して、4℃及び800rpmで脱イオン水で再構成した。粉末の粒径分布を表7に示す。コーティングした試料のSEM画像を図19に示す。沈降時間の結果を図20に示す。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】