(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】GLP-1RおよびGCGRアゴニスト、製剤、ならびに使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/26 20060101AFI20230405BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230405BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20230405BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230405BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230405BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230405BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230405BHJP
C07K 14/605 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
A61K38/26
A61P3/10
A61K47/54
A61K47/26
A61K47/18
A61P3/04
A61K9/08
C07K14/605 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548518
(86)(22)【出願日】2021-02-21
(85)【翻訳文提出日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 US2021018947
(87)【国際公開番号】W WO2021168386
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522316696
【氏名又は名称】スピットファイア ファーマ エルエルシー
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ネスター,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン,ヴィジャヤンティ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
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4C076DD07
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4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA18
4H045BA50
4H045CA40
4H045DA30
4H045EA20
4H045FA33
(57)【要約】
本開示は、非イオン性糖脂質界面活性剤にコンジュゲートされた配列番号1-10または12-27のいずれかのデュアルアゴニストペプチドを含むが、これらに限定されない、GLP-1RおよびGCGRアゴニスト、製剤、ならびにそれらを使用する方法の分野に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対する親和性を有するアゴニストペプチド生成物を含む薬学的投与量製剤であって、前記ペプチドは非イオン性糖脂質界面活性剤で修飾され、前記投与量は、哺乳動物への投与の際に、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つ以上の有害事象の減少により血糖値の制御を改善するように設定され、前記有害事象は、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、薬学的投与量製剤。
【請求項2】
グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対する親和性を有するアゴニストペプチドを含む薬学的投与量製剤であって、前記ペプチドは非イオン性糖脂質界面活性剤で修飾され、前記投与量は、哺乳動物への投与の際に、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つ以上の有害事象の減少により体重減少を誘導するように設定され、前記有害事象は、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、薬学的投与量製剤。
【請求項3】
前記体重減少が、少なくとも5%、少なくとも10%、または約1%から約20%まで、または約5%から約10%(w/w)までである、請求項2に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項4】
前記投与量が、約2週間から約8週間までの投与のために任意選択で設定されている、週1回の剤形として設定されている、請求項1-3のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項5】
哺乳動物への単回用量の投与が、セマグルチドのほぼ等モル投与量の投与と比較して、投与後約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日で血糖値の低下をもたらす、請求項4に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項6】
約4-約8週間、任意選択で約6週間の哺乳動物への投与が、セマグルチドのほぼ等モルの投与量の投与と比較して、投与後約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、または約7週間で、より大きな全身の体重減少をもたらす、請求項4に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項7】
哺乳動物への単回用量の投与が、セマグルチドのほぼ等モル投与量の投与と比較して、投与後約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日で、より低いC
maxを示す、請求項4に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項8】
デュアルアゴニストペプチドが配列番号1-10または12-27のいずれか1つである、請求項1-7のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項9】
デュアルアゴニストペプチドがGLP-1RおよびGCGRに対してほぼ等しい親和性を有し、任意選択で前記デュアルアゴニストペプチドが配列番号1である、請求項1-8のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項10】
前記界面活性剤が1-アルキルグリコシドクラスの界面活性剤である、請求項1-9のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項11】
ポリソルベート20、アルギニン、またはマンニトールのうちの1つ以上を含む水性製剤として存在する、請求項1-10のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項12】
哺乳動物への薬学的投与量製剤の投与が、セマグルチドのほぼ等モル用量の投与量の投与と比較して、
投与後約48時間または96時間で血糖値が低下し、任意選択で前記血糖値は約50%低下すること、
投与後約72時間で血糖値が低下し、任意選択で前記血糖値は約100%低下すること、および/または、
投与後約120時間で血糖値が低下すること
を生じる、請求項1-11のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項13】
請求項1-12のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤であって、
c)哺乳動物への前記投与量製剤の投与が、
全身の体重減少を誘導し、および/もしくは、
肝臓の重量減少を誘導し、
ならびに/または、
d)哺乳動物への前記投与量製剤の投与が、ほぼ等モル用量で投与されたセマグルチドと比較して、
より低いCmaxを示し、任意選択で約50%低いCmaxを示し、
ほぼ等しいかもしくはより大きなTmaxを示し、任意選択で約100%長いTmaxを示し、
同様のAUC
(0-inf)を示し、任意選択でその約85-93%を示し、
ほぼ等しいかもしくはより長いT1/2(時間)を示し、任意選択でその約25-75%を示し、
任意選択で少なくとも約25%高い、延長されたMRT(時間)を示し、
長期にわたるPK/PDプロファイルを示し、
ほぼ同等もしくはそれ以上の糖調節効果を示し、
より大きな全身の体重減少、任意選択でその約2倍の体重減少を誘導し、
任意選択で約50-100%低い、体脂肪量の減少を誘導し、ならびに/または、
NASHを治療するために投与する場合に、全身の体重減少の増加、肝臓の重量減少、NASスコアの改善、肝脂肪症の改善、バルーニングの改善、col1A1染色の改善、ALTの改善、肝臓のTG/TCの改善、および血漿TG/TCの改善を誘導する、
請求項1-12のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項14】
哺乳動物への投与が、ほぼ等モル用量で投与されるセマグルチドと比較して、
投与量製剤の投与後約14日までに体重が大幅に減少し、任意選択で約15%の減少をもたらし、および/または、
投与製剤の投与後約20-28日までに体重が大幅に減少し、任意選択で約25%の減少をもたらす、請求項13に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項15】
前記哺乳動物への投与が、痩せた正常哺乳動物の正常体重範囲に前記哺乳動物を戻すために十分な肥満哺乳動物の体重減少をもたらす、請求項1-14のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項16】
緩衝剤または浸透圧調整剤から選択される1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項1-15のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項17】
界面活性剤をさらに含む、請求項1-16のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項18】
二重ペプチドアゴニストの濃度が0.05-20mg/mlである、請求項1-17のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項19】
二重ペプチドアゴニストの濃度が0.1-10mg/mlである、請求項1-18のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項20】
二重ペプチドアゴニストのpHが6-10の間である、請求項1-19のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項21】
約0.025-0.15%(w/w)のポリソルベート20またはポリソルベート80、約0.2-0.5%(w/w)のアルギニン、約3-6%(w/w)のマンニトール水溶液(pH7.7±1.0)、任意選択で約0.050%(w/w)のポリソルベート20、約0.35%(w/w)のアルギニン、約4.3%(w/w)のマンニトール水溶液(pH7.7±1.0)を含む、請求項1-20のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項22】
ALT-801(配列番号1)1mg当たり、約0.2-0.5%(w/w)のアルギニン、約3-6%(w/w)のマンニトール、および0.6-1.0mgのポリソルベート20または1.0-1.5mgのポリソルベート80水溶液(pH7.7±1.0)を含む、請求項1-20に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項23】
前記哺乳動物に投与されるように設定され、前記アゴニストペプチド生成物が、約0.25mg/kg/用量未満、任意選択で約0.001mg/kg/用量を超え、約0.15mg/kg/用量未満である、請求項1-22のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項24】
前記哺乳動物に0.25mg/kg/用量未満の前記アゴニストペプチド生成物を投与するように設定されている、請求項23に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項25】
0.001-0.15mg/kg/用量の間、任意選択で約0.03mg/kg/用量または約0.10mg/kg/用量を投与するように設定されている、請求項23に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項26】
1週間あたり約0.1から約15mgの間、任意選択で1週間あたり約1-約7mgの間、または任意選択で1週間あたり約1-5mgの間でヒトに投与するように設定されている、請求項1-25のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項27】
前記哺乳動物に、週1回、少なくとも6週間、または最大6週間投与するように設定されている、請求項1-26のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項28】
治療用量に達するまでの時間が約4週間以下であるように設定されている、請求項1-27のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項29】
前記治療用量が約10-約300ng/mlのC
max、約10時間-約36時間までのT
max、および/または、約1,000-100,000h
*ng/mLのAUC
0-168を示す、請求項28に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項30】
哺乳動物の血糖値を低下させるための方法であって、前記方法は、請求項1-29のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤を哺乳動物に投与する工程を含み、前記方法は、
g)哺乳動物への投与の際に、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される1つ以上の有害事象の発生率を低下させ、
h)ほぼ等モル用量のセマグルチドを投与する方法と比較して、投与後約48時間または96時間で約50%低い血糖値を生じ、投与後約72時間で約100%低い血糖値を生じ、および/または、投与後約120時間で血糖値が低下し、
i)全身の体重減少を誘導し、および/または肝臓の重量減少を誘導し、
j)ほぼ等モル投与量のセマグルチドが投与される方法と比較して、
より低いCmaxまたは任意選択で約50%低いCmax、
ほぼ等しいかそれより大きいTmax、または任意選択で約100%大きいTmax、
同様のAUC(0-inf)または任意選択で約85-93%のAUC
(0-inf)、
ほぼ等しいかまたはより低いT1/2(時間)、または任意選択で約50-75%のT
1/2(時間)、
延長されたMRT(時間)、または任意選択で少なくとも約25%高いMRT(時間)、
同等またはより高い糖調節効果を示す、延長されたPK/PDプロファイル、
より大きな全身の体重減少、または任意選択で約2倍の全身の体重減少、
より低い体脂肪量、任意選択で約100%減少した体脂肪量、および/または、
前記方法がNASHを治療するためのものである場合、全身の体重減少量の増加、肝臓重量の減少、NASスコアの改善、肝脂肪症の改善、バルーニングの改善、col1A1染色の改善、ALTの改善、肝臓TG/TCの改善、および血漿TG/TCの改善を生じ、
k)ほぼ等モル用量で投与されたセマグルチドと比較して、前記投与量製剤の投与後約14日までにより大きな体重減少を、任意選択で約15%大きな体重減少をもたらし、および/または、投与量製剤の投与後約20-28日までに、より大きな体重減少を、任意選択で約25%より大きな体重減少をもたらし、および/または、
l)肥満の哺乳動物の体重を、やせた正常な哺乳動物の正常な体重範囲に戻すために十分な、前記哺乳動物の体重減少をもたらす、方法。
【請求項31】
哺乳動物において体重減少を誘導するための方法であって、前記方法は、請求項1-30のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤を哺乳動物に投与する工程を含み、前記方法は、GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つ以上の有害事象の発生率を低下させ、前記有害事象は、哺乳動物への投与の際の、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、方法。
【請求項32】
デュアルアゴニストペプチドが配列番号1-10または12-27のいずれか1つである、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
デュアルアゴニストペプチドがGLP-1RおよびGCGRに対してほぼ等しい親和性を有し、任意選択で前記デュアルアゴニストペプチドが配列番号1である、請求項30または31に記載の方法。
【請求項34】
薬学的投与量がほぼ毎週投与される、請求項30または31に記載の方法。
【請求項35】
薬学的投与量が皮下投与される、請求項30-34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
薬学的投与量が、約2週間から約8週間まで、またはそれ以上、ほぼ毎週投与される、請求項30から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
セマグルチドのほぼ等モル投与量の投与と比較して、約4-約8週間、任意選択で約6週間、毎週の用量として前記哺乳動物に薬学的投与量を投与することが、前記哺乳動物への投与後、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、または約7週間で、全身体重のより大幅な減少を生じる、請求項30-36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
約0.25mg/kg/用量未満、任意選択で約0.001mg/kg/用量超から約0.15mg/kg/用量未満で前記アゴニストペプチド生成物を前記哺乳動物に投与する工程を含む、請求項30-37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記哺乳動物は約0.25mg/kg/用量未満で投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記アゴニストペプチド生成物を0.001-0.15mg/kg/用量の間、任意選択で約0.03mg/kg/用量または約0.10mg/kg/用量で投与するように設定されている、請求項30-39に記載の方法。
【請求項41】
各用量が、約1週間に1回または2週間に1回、任意選択で少なくとも1ヶ月間投与され、任意選択で、各用量は、ほぼ同程度のアゴニストペプチド生成物を含む、請求項30-40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
約0.25mg/kg/用量未満を1回投与し、続いて約0.03mg/kg/用量から約0.10mg/kg/用量の1回以上の後続の用量を投与することを含む、請求項30-41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
アゴニストペプチド生成物を0.001-0.15mg/kg/用量の間で投与することを含む、請求項30-42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記薬学的投与量製剤が、約0.025-0.15%(w/w)のポリソルベート20またはポリソルベート80、約0.2-0.5%(w/w)のアルギニン、約3-6%(w/w)のマンニトール水溶液(pH7.7±1.0)を含み、任意選択で、約0.050%(w/w)ポリソルベート20、約0.35%(w/w)のアルギニン、約4.3%(w/w)マンニトール水溶液(pH7.7±1.0)を含み、任意選択で、デュアルアゴニストペプチドは配列番号1である、請求項30-43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記製剤が、ALT-801(配列番号1)mg当たり、約0.2-0.5%(w/w)のアルギニン、約3-6%(w/w)のマンニトール、および0.6-1.0mgのポリソルベート20または1.0-1.5mgのポリソルベート80水溶液(pH7.7±1.0)を含む、請求項30-44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記薬学的投与量製剤の投与が、1週間あたり約0.1-約15mgの間で、任意選択で1週間あたり約1-約7mgで、または任意選択で1週間あたり約1-5mgでヒトに投与するように設定されている、請求項30-45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
治療用量に達するまでの時間が約4週間以下である、請求項30-46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対して親和性を有するアゴニストペプチド生成物を含む、皮下投与用に設定されている薬学的投与量製剤であって、前記ペプチド生成物が配列番号1として表され、前記投与量は、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つ以上の有害事象の減少により血糖値の制御を改善するように設定され、前記有害事象は、哺乳動物への投与の際の、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、薬学的投与量製剤。
【請求項49】
グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対して親和性を有するアゴニストペプチドを含む、皮下投与用に設定されている薬学的投与量製剤であって、前記ペプチド生成物が配列番号1として表され、前記投与量は、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つ以上の有害事象の減少により体重減少を誘導するように設定され、前記有害事象は、哺乳動物への投与の際の、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、薬学的投与量製剤。
【請求項50】
前記体重減少が少なくとも5%、少なくとも10%、または約1%-約20%、または約5%-約10%(w/w)である、請求項49に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項51】
前記投与量が週1回の剤形として設定され、任意選択で約2週間から約8週間の投与のために設定される、請求項48-50のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項52】
前記製剤が、ALT-801(配列番号1)mg当たり、約0.2-0.5%(w/w)のアルギニン、約3-6%(w/w)のマンニトール、および0.6-1.0mgのポリソルベート20または1.0-1.5mgのポリソルベート80水溶液(pH7.7±1.0)を含む、請求項48-51のいずれか1項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項53】
哺乳動物への単回用量の投与が、セマグルチドのほぼ等モル投与量の投与と比較して、投与後約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日でより低いC
maxを示す、請求項51に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項54】
前記投与量が、1週間あたり約0.1mg-約15mgの間で、任意選択で1週間あたり約1-約7mg、または任意選択で1週間あたり約1-5mgでヒトに投与するように設定されている、請求項48-53のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項55】
前記哺乳動物に週1回、少なくとも6週間、または最大6週間投与されるように設定されている、請求項48-54のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項56】
前記投与量が、最初の毎週の投与後、約4週間以内に治療用量に達するように設定される、請求項48-55のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項57】
前記治療用量が、約10-約300ng/mlのC
max、任意選択で200ng/ml未満のC
max、約10時間から約36時間までのT
max、および/または、約1,000-100,000h
*ng/mLのAUC
0-168を示す、請求項56に記載の薬学的投与量製剤。
【請求項58】
請求項48-57のいずれか一項に記載の薬学的投与量製剤を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物の体重減少を誘導する方法であって、前記方法は、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つ以上の有害事象の発生率を低下させ、前記有害事象は、哺乳動物への治療用量での投与の際の、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、方法。
【請求項59】
前記薬学的投与量がほぼ毎週投与され、初期用量が治療用量である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記薬学的投与量が、ほぼ毎週、約2週間から約8週間まで、またはそれ以上投与される、請求項58または59のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年2月21日に出願された米国仮出願第62/980,093号、2020年12月7日に出願された同第63/122,108号、および2021年1月4日に出願された同第63/133,540号に対する優先権を主張し、これらのそれぞれは、その全体が本出願に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、EFS-Webを介してASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2021年2月19日に作成されたこのASCIIコピーは、MED007PCT_ST25.TXTという名称で、サイズは24,576バイトである。
【0003】
開示の分野
本開示は、GLP-1RおよびGCGRアゴニスト、製剤、ならびにそれらの使用方法の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
開示の背景
肥満、真性糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、およびその進行型である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の有病率の増加は、世界的な健康危機の流行の一部を占めており、これは、患者の罹患率および死亡率、ならびに主要な経済的負担の主な原因である。肥満は2型糖尿病およびNASHの重要な危険因子であり、2型糖尿病患者の約90%は過体重または肥満である。肥満は世界中で急速に増加している問題であり、現在、米国の成人の65%より多くが過体重である(Hedley,A.A.,et al.(2004)JAMA 291:2847-2850)。NASHは、近い将来、肝移植の主な原因になると予想されている。肥満および真性糖尿病に対する安全かつ有効な薬学的治療の開発が必要とされている。本開示は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの肥満または/および糖尿病に関連する障害の治療のための改善されたペプチド医薬品を提供する。
【0005】
米国(US)では、NASHが末期肝疾患または肝移植の主な原因となっている。肥満はNASHの中心的な推進力であり、体重減少は肝脂肪の減少およびNASHの改善をもたらす。NASH患者の80%より多くが過体重または肥満であり、体重減少を誘導するための現在利用可能な米国食品医薬品局(FDA)承認の薬理学的オプションがないため、治療は、主に体重減少を達成することに向けられたライフスタイル介入に基づいてきた。しかし、ライフスタイルの変化だけで長期的に体重減少を達成し、維持することは困難である。
【0006】
グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト(GLP-1RA)は、承認された用量で適度な体重減少と関連しており、これらの薬剤は、NASH患者の治療選択肢として浮上している。最近の臨床試験では、毎日のGLP-1RAであるリラグルチドがNASHの解消と関連し、肝線維症の改善傾向が見られた。しかし、患者の体重は5.5%しか減らなかった。ある研究では、NASHの最適な解決には10%以上の体重減少が必要であった。より高いレベルの体重減少は、NASH患者が直面する最も深刻な併存疾患を表す心血管疾患および非肝性悪性腫瘍の発生率の低下とも関連している。
【0007】
GLP-1RAは、食欲および食物摂取に対して中心的な効果を発揮するが、GCRアゴニストは、動物モデルおよびヒトにおいてエネルギー消費の増加を促進する。GCRアゴニストおよびGLP-1RAの効果は、GLP-1RA単独と比較して、大幅な体重減少を推進する際に相乗効果があることが示されている。GCRはまた、脂肪分解を増強し、肝臓脂肪合成を抑制し、肝臓脂肪減少およびNASH解決のための追加経路を提供する。
【0008】
デュアルアゴニストは、同じ分子内でGCRとGLP-1RAを組み合わせる。肥満の非ヒト霊長類では、GLP-1R/GCRデュアルアゴニストの長期投与により、GLP-1RAモノアゴニストと比較して、体重が減少し、耐糖能が大幅に改善された。GLP-1とグルカゴン活性の偏った比率(bias)が5:1のGLP-1/GCRデュアルアゴニストであるコタデュチド(cotadutide)の臨床研究では、わずか6週間で肝脂肪量が印象的に39%減少し、NASH関連のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の減少がリラグルチド単独よりも大幅に改善されることが実証された。しかし、26週間にわたるコタデュチド投与による体重減少の程度はリラグルチドに匹敵し(5.4%対5.5%)、5:1の比率は肝臓脂肪の減少には許容できたが、体重減少には最適ではないかったことを示唆している。バランスの取れた(1:1)アゴニズムは、一方のアゴニストを他方よりも優先する偏った比率よりも、より大きな体重減少と代謝効果に関連することが示されている。バランスのとれたデュアルアゴニストであるJNJ 64565111を使用した最近の研究では、わずか12週間で体重が8%減少した(NCT03586830)。
【0009】
残念なことに、GLP-1RAは、吐き気、嘔吐、および下痢の割合が高いことに関連している。これらの薬剤は、副作用を軽減するために長期間にわたってタイトレーションを行わなければならず、忍容性と投与計画が改善された薬剤が必要である。したがって、胃腸の副作用の非存在下で治療レベルに到達するまでタイトレーションを行う必要のない、血糖値を制御し、および/または体重減少を誘導するための治療用量での簡便な投薬(例えば、毎日ではなく毎週)の必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0010】
開示の概要
本明細書に記載されるのは、インスリン抵抗性および/または肥満を含むがこれらに限定されない、デュアルアゴニストペプチドおよびその生成物(例えば、製剤)、ならびにグルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)の機能に関連する障害、例えば、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、心血管疾患(アテローム性動脈硬化や心筋梗塞などの冠動脈疾患を含む)、高血圧、NASH、慢性腎臓病、PCOSなどを治療するため、ならびにこのような障害に関連する状態を治療する際の、その使用である。このようなデュアルアゴニストペプチドは、例えば、本明細書に記載の細胞アッセイによって決定することができるように、またはそのような決定を行うための別のアッセイを使用して、GLP-1RおよびGCGRの両方に対して親和性を有する。いくつかの実施形態において、デュアルアゴニストペプチドは配列番号1-10または12-27のいずれか、またはその誘導体、例えば、その保存的に置換された誘導体、および/またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、デュアルアゴニストペプチドは、前述の細胞アッセイを使用して決定できるような、GLP-1RおよびGCGRに対してほぼ等しい親和性を示し、これは、好ましい実施形態において、配列番号1またはその誘導体である。
【0011】
いくつかの実施形態において、本開示は、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するか、または投与後の血中最大濃度(Cmax)が過度に高いアゴニスト(例えば、セマグルチド)と比較して、1つ以上の有害事象の減少により血糖の制御を改善するように設定されたそのようなデュアルアゴニストペプチドの薬学的投与量製剤を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つ以上の有害事象の減少により体重減少を誘導するように設定されたそのようなデュアルアゴニストペプチドの薬学的投与量製剤を提供する。有害事象は、いくつかの実施形態において、哺乳動物への投与時の悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される。これらの有害事象は、典型的には、(デュアル)アゴニストの投与後に急速に循環に入り、過度に高いCmaxをもたらすことが観察される。対照的に、本発明の薬学的投与量製剤は、胃腸(GI)の有害事象などの投与量関連の有害事象を低減または排除する一方で、血糖値を制御するため、および/または体重減少を誘導することによって肥満を治療するための治療用量を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるデュアルアゴニストペプチド(単数または複数)(例えば、配列番号1-10または12-27またはそれらの誘導体)の投与は、GLP-1RおよびGCGRに対する親和性が不均衡なアゴニスト(例えば、セマグルチド)と比較した場合に、他の結果(例えば、体重減少、脂肪減少、脂質減少)、および/または薬物動態(PK)パラメータの改善をもたらし得る。本開示の他の態様もまた、当業者によって本開示から理解されるのと同様に企図される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に組み込まれ、その一部を設定する添付の図面は、本開示の1つ以上の実施形態を例証し、詳細な説明および実施例のセクションとともに、本開示の原理および実施を説明するのに役立つ。
【
図1】セマグルチドまたは配列番号1の皮下(SC)注射に対する血糖値応答(db/dbマウス)。
【
図2】セマグルチドまたは配列番号1に対する血糖値応答(食事誘発性肥満(DIO)マウス)。
【
図3】血糖値IPGTTセマグルチドまたは配列番号1(DIOマウス)。
【
図4】体重反応(0日目の%)、セマグルチドまたは配列番号1のSC注射(db/dbマウス、レプチン受容体欠損マウス)。
【
図5】セマグルチドまたは配列番号1の皮下(SC)注射に対する摂食反応(db/dbマウス)。
【
図6A】体重応答(0日目の%)(
図6A)および体重応答(0日目のg)(
図6B)。セマグルチドまたは配列番号1(17)の皮下(SC)注射(DIOマウス)。
【
図6B】体重応答(0日目の%)(
図6A)および体重応答(0日目のg)(
図6B)。セマグルチドまたは配列番号1(17)の皮下(SC)注射(DIOマウス)。
【
図7】セマグルチドまたは配列番号1の投与後のデルタ脂肪量およびデルタ除脂肪量(Lean Mass)。
【
図8】DIOマウスに皮下(SC)投与された単回用量について、120時間にわたって測定されたセマグルチドおよび配列番号1のリガンド濃度。
【
図9】C57BL/6Jマウスに皮下(SC)投与された単回用量について、96時間にわたって測定されたセマグルチドおよび配列番号1(ALT-801)のリガンド濃度。
【
図10】ラットの単回投与について144時間にわたって測定されたセマグルチドおよび配列番号1のリガンド濃度。
【
図11】ユカタンミニチュアブタに静脈内(IV)または皮下(SC)投与された単回用量について、360時間にわたって測定された配列番号1のリガンド濃度。
【
図12A】カニクイザルに皮下(SC)投与した3つの用量(10nmol/kg(
図12B)、20nmol/kg(
図12C)、40nmol/kg(
図12D))後、192時間にわたって測定された配列番号1の血漿リガンド濃度(ng/mL)(
図12A)。
【
図12B】カニクイザルに皮下(SC)投与した3つの用量(10nmol/kg(
図12B)、20nmol/kg(
図12C)、40nmol/kg(
図12D))後、192時間にわたって測定された配列番号1の血漿リガンド濃度(ng/mL)(
図12A)。
【
図12C】カニクイザルに皮下(SC)投与した3つの用量(10nmol/kg(
図12B)、20nmol/kg(
図12C)、40nmol/kg(
図12D))後、192時間にわたって測定された配列番号1の血漿リガンド濃度(ng/mL)(
図12A)。
【
図12D】カニクイザルに皮下(SC)投与した3つの用量(10nmol/kg(
図12B)、20nmol/kg(
図12C)、40nmol/kg(
図12D))後、192時間にわたって測定された配列番号1の血漿リガンド濃度(ng/mL)(
図12A)。
【
図13】配列番号1で処置した雄性カニクイザルの体重変化(0.03mg/kg-0.25mg/kg)。
【
図14】配列番号1で処置された雌性カニクイザルの体重変化(0.03mg/kg-0.25mg/kg)。
【
図15】セマグルチドおよびエラフィブラノールと比較した、配列番号1(ALT-801)を用いた有する処置群(NASHマウス)の体重。
【
図16】セマグルチドおよびエラフィブラノールと比較した、配列番号1(ALT-801)を用いる処置下でのNAFLD活性スコアの変化。
【
図17】配列番号1(ALT-801)を用いる処置は、セマグルチドおよびエラフィブラノールと比較して、肝臓形態、肝臓重量、NAS、および線維症を改善した。
【
図18】セマグルチドおよびエラフィブラノールと比較した、配列番号1(ALT-801)を用いた場合の平均末端肝臓TG、肝臓TC、および血漿ALT。
【
図19】ALT-801(配列番号1)による遺伝子発現の調節。
【
図20】配列番号1(ALT-801)およびセマグルチドで処置した後の脂肪の使用および輸送に影響を及ぼす遺伝子の調節。
【
図21】配列番号1(ALT-801)およびセマグルチドで処置した後の肝星状細胞経路の線維化促進、細胞死、および炎症遺伝子の調節。
【
図22】ヒト血漿におけるインビトロ安定性。表14を参照。
【
図23】ゲッチンゲンミニブタへの皮下投与後の化合物のインビボ薬物動態挙動。
【
図24】皮下(sc)投与後の配列番号1およびセマグルチドのインビボPK挙動。
【
図25】20nmol/kgでの雄性ミニブタ(n=4、体重約75kg)への単回皮下(sc)および静脈内(iv)投与後の配列番号1のインビボ薬物動態挙動。
【
図26】雄性db/dbマウス(n=9)における単回用量の皮下(sc)投与後の17(配列番号1)および文献標準セマグルチドのインビボ用量応答挙動。
【
図27】ビヒクル、文献標準セマグルチド(12nmol/kg)、配列番号1(6および12nmol/kg)で28日の間の処置(続いて回復)の間のDIOラット(n=9)、ならびに12nmol/kgのセマグルチド群および配列番号1群の動物によって消費される食物の量まで食餌された対の実験群の体重。
【
図28】ビヒクル、文献標準セマグルチド(12nmol/kg)、配列番号1(6および12nmol/kg)で27日の間の処置の間のDIOラット、ならびに12nmol/kgのセマグルチド群または配列番号1群の動物によって消費される食物の量まで食餌された対の実験群による累積食餌消費。
【
図29】ビヒクル、文献標準セマグルチド(12nmol/kg)、配列番号1(6および12nmol/kg)の毎日の皮下(sc)用量に応答した27日処置の間のDIOラット、および毎日のsc12nmol/kgのセマグルチド群または配列番号1群で処置された動物によって消費される食物の量まで食餌された対の実験群による毎日の食餌消費。
【
図30】純水中のALT-801の表面張力データ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
開示の詳細な説明
本開示は、デュアルアゴニストペプチド、ならびにそれを含む薬学的投与量製剤、およびそれを使用するための方法に関する。デュアルアゴニストペプチドは、細胞アッセイを用いて決定され得るように、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対して親和性を有し、好ましい実施形態において、ほぼ等しい親和性を有する。いくつかの実施形態において、本開示は、血糖値を制御するように設定された薬学的投与量製剤を提供する。いくつかの実施形態において、血糖値は、選択的(例えば、セマグルチド)および/または不均衡なアゴニストと比較して、デュアルアゴニストペプチドの投与後に良好に制御される(例えば、低下され、安定化する)。いくつかの実施形態において、本開示は、体重減少を誘導するように設定された薬学的投与量製剤を提供する。いくつかの実施形態において、デュアルアゴニストペプチドの投与後、選択的(例えば、セマグルチド)および/または不均衡アゴニストと比較して、体重減少が改善される(例えば、低下および/または安定化する)。いくつかの実施形態において、そのような薬学的投与量製剤は、GLP-1RおよびGCGRに対する選択的(例えば、セマグルチド)および/または不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、有害事象の減少を示す。いくつかの実施形態において、有害事象には、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニスト(例えば、セマグルチド)を哺乳動物に投与した後に典型的に観察される、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および/または便秘が含まれ得る。.いくつかの実施形態において、本開示は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)につながる根本的な代謝機能不全を治療するために設計された新規なペプチドベースのデュアルGLP1/グルカゴン受容体アゴニストを提供する。
【0014】
いくつかの実施形態において、デュアルアゴニストペプチドは、配列番号1-10または12-27のいずれか1つ、またはその誘導体である。
【0015】
好ましい実施形態において、デュアルアゴニストペプチドは、表1に示すような、EU-A1873(配列番号1)、EU-A1588(配列番号2)、EU-A1871(配列番号3)、EU-A1872(配列番号4)である。
【0016】
【0017】
表1において、上段の1、5、10、15、20、25、30の数字はアミノ酸残基番号を指す(総計29アミノ酸残基が配列番号1-5のそれぞれに存在する)。表1に示すセマグルチドは、配列番号11(31アミノ酸残基)である。表1に示されるように、配列番号1(表1のEU-A1873、ここで、ALT-801は開示された薬学的製剤中に存在する活性な薬学的成分(API)であり、APIは配列番号1によって表される)は、17位のアミノ酸(aa17)において非イオン性糖脂質界面活性剤にコンジュゲートされた以下のアミノ酸配列を有する:
【化1】
ここで、
*はGlu16とLys20の間にラクタム架橋が形成されることを示し、17Lys
#はグルクロン酸C-18の結合部位を示す(EuPort、Z17CO
2Hは本明細書ではGC18cとも称する)。
別に例証されるように、配列番号1は、29個のアミノ酸残基および
17Lysに結合したグルクロン酸/C
18二酸部分からなるペプチドアミドであり、そこでは、
16Gluおよび
20Lysの側鎖は、以下に示すような分子内サイクルを形成する。
【化2】
【0018】
いくつかの実施形態において、デュアルアゴニストペプチドは、以下のいずれかであり得る。
【化3】
またはその誘導体であり、ここで、Xaa1は任意のアミノ酸であり、好ましくは、Aib(α-アミノイソ酪酸(または2-メチルアラニンまたはCアルファ-メチルアラニン))であり、Xaa2はLys(N-オメガ(1-(17-カルボキシル-ヘプタデシルオキシ)ベータ-D-グルクロニル))またはLys(Z17CO2H)であり、ここで、Z17CO2H(EuPort)は(ベータ-D-グルクロン-1-イル)-1-オキサ)17-カルボキシヘプタデカンであり、そしてGlu16およびLys20は、それぞれの側鎖を通して互いに環化し、ラクタム結合を形成し、
【化4】
またはその誘導体であり、ここで、Xaa1は任意のアミノ酸であり、好ましくはAib(α-アミノイソ酪酸(または2-メチルアラニンまたはCα-メチルアラニン))であり、Xaa2は、ベータ-D-メロビウラニル-1-イル)-1-オキサ)17-カルボキシヘプタデカンであるMe17CO2Hであり、そして、Glu16およびLys20は、それぞれの側鎖を通して互いに環化し、ラクタム結合を形成し、
【化5】
またはその誘導体であり、ここで、Xaa1は任意のアミノ酸、好ましくはAib(α-アミノイソ酪酸(または2-メチルアラニンまたはCアルファ-メチルアラニン))であり、Glu16およびLys20はそれぞれの側鎖を通して互いに環化され、ラクタム結合を形成し、Xaa3はLys(Z15CO2H)であり、ここで、Z15CO2Hは(ベータ-D-グルクロン-1-イル)-1-オキサ)15-カルボキシヘプタデカンであり、
【化6】
またはその誘導体であり、ここで、Xaa1は任意のアミノ酸、好ましくはAib(α-アミノイソ酪酸(または2-メチルアラニンまたはCアルファ-メチルアラニン))であり、Glu16およびLys20はそれぞれの側鎖を通して互いに環化され、ラクタム結合を形成し、Xaa4はLys(Z17CO2H)であり、ここで、Z17CO2Hは(ベータ-D-グルクロン-1-イル)-1-オキサ)17-カルボキシヘプタデカンであり、または
【化7】
またはその誘導体であり、ここで、Xaa1は任意のアミノ酸、好ましくはAib(α-アミノイソ酪酸(または2-メチルアラニンまたはCアルファ-メチルアラニン))であり、Xaa2はLys(N-オメガ(1-(17-カルボキシル-ヘプタデシルオキシ)ベータ-D-グルクロニル))であり。ここでLys(Z17CO2H)は(ベータ-D-グルクロン-1-イル)-1-オキサ)17-カルボキシヘプタデカンであり、ここで、Xaa5はArgであり、Glu16およびLys20はそれぞれの側鎖を介して互いに環化し、ラクタム結合を形成する。
【0019】
いくつかの実施形態において、デュアルアゴニストペプチドは、以下に示す配列番号1および12-27からなる群から選択される。
【化8】
星印の付いたアナログは、Glu16からLys20の側鎖ラクタムを有し;括弧内のG、M,Meは、D-グルコシド、D-マルトシド、D-メリビオシド結合をそれぞれ意味し、S1およびS2は、α-Lysまたはγ-Glu残基をそれぞれ意味する。Cnはn炭素のメチレン鎖を意味し、cは鎖の末端のカルボキシレートを意味する。セマグルチド中のXは、γGlu/短いPEGスペーサー上にオクタデカン酸を含む、γGlu-2×OEG(引用文献27を参照)伸長修飾因子でアシル化されたLys残基を意味する。引用文献8における化合物#33は、マレイミドリンカーを通して40kDa PEGを用いてCys 24上でアルキル化された化合物#32を指す。
【0020】
好ましい実施形態において、デュアルアゴニストペプチドは、配列番号1-10または12-27のいずれか1つのアミノ酸配列を有するペプチド、またはその誘導体である。好ましい実施形態において、デュアルアゴニストペプチドは配列番号1である。いくつかの実施形態において、デュアルアゴニストペプチドは、浸透圧調整剤または塩、緩衝剤、安定化剤および/または界面活性剤、pH調整剤、ならびに溶媒などの薬学的に許容される賦形剤を含む注射用溶液として製剤化される。いくつかの実施形態において、浸透圧調整剤は、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、およびグリシン、プロピレングリコールまたは塩化ナトリウムである。いくつかの実施形態において、緩衝剤は、ヒスチジン、アルギニン、リジン、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、メグルミンまたはトリスである。いくつかの実施形態において、安定化剤は、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンである。いくつかの実施形態において、界面活性剤はポリソルベート20またはポリソルベート80である。いくつかの実施形態において、pH調整剤は塩酸および/または水酸化ナトリウムである。好ましい実施形態において、浸透圧調節剤はマンニトールであり、緩衝剤および安定化剤はアルギニンであり、そして界面活性剤はポリソルベート20である。いくつかの実施形態において、デュアルアゴニストペプチドは、脱イオン水(pH7.7±1.0)中の0.025-0.15%(w/w)ポリソルベート20、約0.2-0.5%(w/w)アルギニン、および約3-6%(w/w)マンニトールを含む薬学的投与量製剤である。いくつかの実施形態において、薬学的投与量製剤は、脱イオン水(pH7.7±1)中に約0.050%(w/w)のポリソルベート20、約0.35%(w/w)のアルギニン、および約4.3%(w/w)マンニトールを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる製剤中に、配列番号1によって表される「ALT-801」を含む。本明細書で使用される場合、試験品製剤はF58製剤とも呼ばれる。実施例4を参照。好ましい実施形態において、「ALT-801」の薬学的投与量製剤は、約0.35%(w/w)のアルギニン、および約4.3%(w/w)マンニトール、「ALT-801」(配列番号1)のmgあたり0.6-1.0mgのポリソルベート20、または「ALT-801」(配列番号1)のmgあたり1.0-1.5mgのポリソルベート80を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる製剤中に配列番号1を含む。実施例8を参照のこと。いくつかの実施形態において、薬学的投与量製剤は、0.05mg/mlから20mg/mlまで、好ましくは0.1mg/mlから10mg/mlまで、またはより好ましくは0.5mg/mlから10mg/mlまでの範囲の濃度で「ALT-801」を含む。いくつかの実施形態において、「ALT-801」を含む薬学的投与量製剤のpHは、6-10、より好ましくは6-8である。
【0021】
非イオン性糖脂質界面活性剤(例えば、配列番号1-10または12-27、またはそれらの誘導体)を含むデュアルアゴニストペプチドの合成は、本明細書(例えば、実施例1)および、参照によりその全体が本開示に組み込まれる、米国特許第9,856,306 B2号に記載されている。いくつかの実施形態において、デュアルアゴニストペプチドは、本明細書に記載の1つ以上の保存的に置換されたアミノ酸を含むことができる。好ましい実施形態において、配列番号1は、1つ以上の保存的に置換されたアミノ酸を含むことができるが、アミノ酸残基16、17、または20においては好ましくない。好ましい実施形態において、配列番号2は、1つ以上の保存的に置換されたアミノ酸を含むことができるが、アミノ酸残基16、17、または20においては好ましくない。好ましい実施形態において、配列番号3は、1つ以上の保存的に置換されたアミノ酸を含むことができるが、アミノ酸残基16、20、または24ではないことが好ましい。好ましい実施形態において、配列番号4は、1つ以上の保存的に置換されたアミノ酸を含むことができるが、好ましくはアミノ酸残基16、20、または24でないことが好ましく、配列番号5は、1つ以上の保存的に置換されたアミノ酸を含むことができるが、好ましくは、アミノ酸残基12、16、17、または20でないことが好ましい。
【0022】
配列番号1-10または12-27のペプチドは、それぞれがグルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)のアゴニストであるため、本明細書では集合的に「デュアルアゴニストペプチド」(または個別に「デュアルアゴニストペプチド」)と呼ぶことができる。いくつかの実施形態において、ペプチドは、本明細書の実施例2に記載のものなどの細胞アッセイによって決定できるように、GLP-1RおよびGCGRのデュアルアゴニストである。簡単に言えば、いくつかの実施形態において、細胞アッセイは、ヒトGLP-1RまたはGCGRが発現されるCHO細胞におけるcAMP刺激またはアレスチン活性化を測定すること((LeadHunterアッセイ(DiscoveRx)))によって行うことができる。配列番号1-10または12-27のデュアルアゴニストペプチドは、血清アルブミンに非常に強く結合でき(>99%)、結果を歪曲する可能性があるので、好ましくは、このようなアッセイは、典型的であり得るものとして、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)と比較して、0.1%オボアルブミンの存在下で実行される(例えば、本明細書の実施例2を参照)。いくつかの実施形態において、そのようなアッセイを使用して決定されるように、デュアルアゴニストペプチドは、GLP-1RとGCGRの両方に対して親和性を有することができ、好ましい実施形態において、GLP-1RおよびGCGRに対してほぼ等しい親和性を有することができる。「ほぼ等しい親和性」とは、このような細胞アッセイによって決定することができるように、デュアルアゴニストペプチドが、GLP-1RまたはGCGRに対する親和性が、他のものに対する親和性の約2-3倍以下、好ましくは2倍を超えないことを意味する。例えば、本明細書の実施例に示されるように、デュアルアゴニストペプチド配列番号1(EU-A1873)は、驚くべきことに、GLP-1RおよびGCGRに対してほぼ等しい親和性を有するデュアルアゴニストペプチドであることが見出された(例えば、GLP-1Rに対して約39pmのEC50(115%固有活性)およびGCGRに対して44pm(115%の固有活性))。これは、GLP-1Rに向けて、もしくはGLP-1Rのみに対して強く偏った親和性を提示する、セマグルチドおよびエキセンジン-4を含む、GLP-1「特異的」化合物、またはGLP-1RとGCGRの両方に対して高いか、もしくはほぼ同等の親和性を示さない、強くGCGRに偏ったホルモングルカゴンとは異なる。天然ホルモンであるオキシントモジュリンは、GLP-1RとGDGRの両方でアゴニスト作用を有するが、この作用は強力ではなく、バランスが取れていない。当業者は、GLP-1RおよびGCGRに対する親和性が、本明細書に記載のもの以外の方法および/またはアッセイによって決定され得ること、ならびに、親和性を決定するためのそのような方法および/またはアッセイが本明細書において企図されること(例えば、ほぼ等しい親和性の決定がこのような他の方法および/またはアッセイによって行うことができること)を理解する。
【0023】
実施形態において、本明細書で使用される「グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対してほぼ等しい親和性を有するデュアルアゴニストペプチド」は、このような細胞アッセイによって決定することができるように、デュアルアゴニストペプチドが、GLP-1RまたはGCGRに対する親和性が、他のものに対する親和性の約2倍以下であることを意味する。実施形態において、既知の細胞アッセイによって決定することができるように、一方の受容体に対する本デュアルアゴニストペプチドの結合親和性は、他方の受容体と比較して、1.9、1.8、1.6、1.5、1.4、または1.2倍以下である。実施形態において、「GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニスト」は、本明細書で使用される場合、既知の細胞アッセイによって決定されるように、GLP-1RまたはGCGRに対する親和性が、他のものに対して、少なくとも約1.5倍を有するアゴニストペプチドを意味する。実施形態では、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストの結合親和性は、既知の細胞アッセイによって決定できるように、少なくとも1.6、1.8、2、2.5、3、5、7.5、10、20倍、またはそれ以上である。
【0024】
「ペプチド」(例えば、デュアルアゴニストペプチド)は、通常はペプチド結合を介して結合される2つ以上の天然または/および非天然アミノ酸残基を含む。そのようなアミノ酸は、自然発生の構造変異種、自然発生の非タンパク質設定アミノ酸、または/およびの天然アミノ酸の合成の非自然発生アナログを含む場合がある。用語「ペプチド」および「ポリペプチド」は、同義語として用いられる。ペプチドは、短いペプチド(約2-20のアミノ酸)、中間長さのペプチド(約21-50のアミノ酸)、および長いペプチド(約50のアミノ酸より多く、「タンパク質」とも呼ばれる場合がある)を含む。いくつかの実施形態において、ペプチド生成物は、約50、40、または30以下のアミノ酸のペプチドに共有結合的におよび安定的に結合した界面活性物質部分を含む。合成ペプチドは、例えば、自動ペプチド合成機を使用して合成できる。ペプチドはまた、ペプチドをコードする核酸配列を表す細胞において組み換えにより生成することができる。従来の記法は、本明細書ではペプチド配列を描くために使用される。ペプチド配列の左手端部はアミノ(N)-末端であり、ペプチド配列の右手端部はカルボキシル(C)-末端である。一般的なアミノ酸に対する標準の1文字および3文字の略語が、本明細書に使用される。D-またはDL-として他に指定されない限り、本明細書に開示されるアミノ酸配列に使用される略語はL-アミノ酸を表すか、またはアミノ酸はアキラルであるが、相当物であるD異性体は一般的に、(例えば、タンパク質分解に耐性をもつように)任意の位置にて使用できる。本明細書に使用される他のアミノ酸の略語として、以下が挙げられる:Aib=a-アミノイソ酪酸(または2-メチルアラニンまたはCa-メチルアラニン);Xaa:任意のアミノ酸であり、一般的に式内で具体的に定義されている。本明細書に記載のように使用できる他のアミノ酸の略語には、以下が含まれる。Ac3c=1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸;Ac4c=1-アミノシクロブタン-1-カルボン酸;Ac5c=1-アミノシクロペンタン-1-カルボン酸:Ac6c=1-アミノシクロヘキサン-1-カルボン酸;Aib=アルファ-アミノイソ酪酸(または2-メチルアラニンまたはCアルファ-メチルアラニン);Bip=3-(ビフェニル-4-イル)アラニン;Bip2Et=3-(2’-エチルビフェニル-4-イル)アラニン);Bip2EtMeO=3-(2’-エチル-4’-メトキシビフェニル-4-イル)アラニン;Cit=シトルリン;Deg=2,2-ジエチルグリシン;Dmt=(2,6-ジメチル)チロシン;2FPhe=(2-フルオロフェニル)アラニン;2FMePheまたは2Fα MePhe=Cα-メチル-(2-フルオロフェニル)アラニン;hArg=ホモアルギニン;MeLysまたはαMeLys=Ca-メチルリシン;MePheまたはaMePhe=Ca-メチルフェニルアラニン;MeProまたはαMePro=Cα-メチルプロリン;Nal1またはNal(1)=3-(1-ナフチル)アラニン;Nal2またはNal(2)=3-(2-ナフチル)アラニン;Nle=ノルロイシン;Orn=オルニチン;およびTmp=(2,4,6-トリメチルフェニル)アラニン;1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic)、および残基間のアミド結合が減少したTic-Pheジペプチド部分(Tic-Ψ[CFl2-NFl]-Ψ-Pheとして指定される)は、以下の構造を有する:
【化9】
【0025】
具体的に明記されない限り、または文脈が明確に指示していない限り、本開示は、デュアルアゴニストペプチドが合成により(例えばペプチド合成器を使用)または細胞により(例えば組み換え生成により)生成されるかにかかわらず、生成され得るデュアルアゴニストペプチドの形態のいずれかおよびすべてを包含する。デュアルアゴニストペプチドのそのような形態は、1つ以上の修飾が意図的か否かにかかわらず、1つ以上の翻訳後修飾など、ペプチドの合成生成または細胞生成の期間中に行われる場合がある1つ以上の修飾を含む場合がある。デュアルアゴニストペプチドは、2つ以上の異なる場所で同じ種類の修飾を有し、または/および、2つ以上の異なる種類の修飾を有することが可能である。化学修飾および翻訳後修飾を含む、デュアルアゴニストペプチドの合成生成または細胞生成の期間中に行われ得る修飾として、限定されないが、グリコシル化(例えば、N結合グリコシル化およびO結合グリコシル化)、脂質修飾、リン酸化、硫酸化、アセチル化(例えば、N末端のアセチル化)、アミド化(例えば、C末端のアミド化)、ヒドロキシル化、メチル化、分子内または分子間のジスルフィド結合の形成、2つの側鎖間のラクタムの形成、ピログルタメートの形成、およびユビキチン化が挙げられる。デュアルアゴニストペプチドは、1つ以上の修飾を、N末端、C末端、1つ以上のアミノ酸側鎖、またはデュアルアゴニストペプチドバックボーン、またはそれらの任意の組み合わせなどのあらゆる場所に有することができる。いくつかの実施形態において、デュアルアゴニストペプチドは、N末端でアセチル化され、または/およびC末端でカルボキサミド(-CONH2)基を有しており、これにより、デュアルアゴニストペプチドの安定性を増大させることができる。
【0026】
デュアルアゴニストペプチドの起こり得る修飾はまた、1つ以上のアミノ酸の欠失、1つ以上の天然または/および非天然アミノ酸の追加/挿入、または1つ以上の天然または/および非天然アミノ酸での置換、またはそれらの任意またはすべての組み合わせを含む。置換は、保存的または非保存的な場合がある。そのような修飾は、部位特異的変異誘発を介して、またはデュアルアゴニストペプチドの化学合成においてなど、意図的な場合があり、または、デュアルアゴニストペプチドを生成する宿主細胞において発生する突然変異、またはPCR増幅によるエラーなどを介して偶発的な場合がある。非天然アミノ酸は、相当物である天然アミノ酸と同じ化学構造を有する場合があるが、D立体化学配置を有しており、または、異なる化学構造、およびDまたはLの立体化学配置を有する場合がある。非天然アミノ酸は、例えば、α-ヘリックス形成を促進し、または/および(例えばタンパク質分解に耐性をもつように)デュアルアゴニストペプチドの安定性を増大させるために、利用可能である。参照デュアルアゴニストペプチドに対して1つ以上の修飾を有するペプチドは、参照ペプチドの「アナログ」または「バリアント」と、必要に応じて呼ばれる場合がある。「アナログ」は通常、参照ペプチドの1つ以上の必須特性(例えば、受容体結合、受容体または酵素の活性化、受容体または酵素の阻害、または他の生物活性)を保持する。「変異体」は、参照デュアルアゴニストペプチドの生物活性を保持する、または保持しない場合があり、または/および、異なる生物活性を有する場合がある。そのようなバリアントは、GLP-1RおよびGCGRのアゴニストとして作用する能力を維持することが好ましく、より好ましい実施形態では、GLP-1RおよびGCGRに対してほぼ等しい親和性を有する。いくつかの実施形態では、参照ペプチドのアナログまたはバリアントは、参照デュアルアゴニストペプチドとは異なるアミノ酸配列を有する。
【0027】
用語「保存的置換」は、機能的、構造的、または化学的に同様の天然または非天然のアミノ酸でのペプチド中のアミノ酸の置換を指す。ある実施形態において、以下の基はそれぞれ、互いに対する保存的置換である天然アミノ酸を含む:1)グリシン(Gly/g)、アラニン(Ala/A);2)イソロイシン(Ile/I)、ロイシン(Leu/L)、メチオニン(Met/M)、バリン(Val/V);3)フェニルアラニン(Phe/F)、チロシン(Tyr/Y)、トリプトファン(Trp/W);4)セリン(Ser/S)、トレオニン(Thr/T)、システイン(Cys/C);5)アスパラギン(Asn/N)、グルタミン(Gln/Q);6)アスパラギン酸(Asp/D)、グルタミン酸(Glu/E);および7)アルギニン(Arg/R)、リジン(Lys/K)、ヒスチジン(His/H)。さらなる実施形態において、以下の基はそれぞれ、互いに対する保存的置換である天然アミノ酸を含む:1)非極性:Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro(プロリン/P)、Phe、Trp;2)疎水性:Val、Leu、Ile、Phe、Trp;3)脂肪族:Ala、Val、Leu、Ile;4)芳香族:Phe、Tyr、Trp、His;5)非荷電極性(uncharged polar)または親水性:Gly、Ala、Pro、Ser、Thr、Cys、Asn、Gln、Tyr;6)脂肪族ヒドロキシルまたはスルフヒドリル含有:Ser、Thr、Cys;7)アミド含有:Asn、Gln;8)酸性:Asp、Glu;9)塩基性:Lys、Arg、His;および10)小型:Gly、Ala、Ser、Cys。他の実施形態において、アミノ酸は、後述のように分類することができる:1)疎水性:Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp;2)芳香族:Phe、Tyr、Trp、His;3)中性親水性:Gly、Ala、Pro、Ser、Thr、Cys、Asn、Gln;4)酸性:Asp、Glu;5)塩基性:Lys、Arg、His;および6)バックボーン配向に影響を及ぼす残基:Pro。
【0028】
非天然または非タンパク質設定アミノ酸の例として、限定されないが、アラニンアナログ(例えばα-エチルGly[α-アミノ酪酸またはAbu]、α-n-プロピルGly[ノルバリンまたはNva]、α-tert-ブチルGly[Tbg]、α-ビニルGly[VgまたはVlg]、α-アリルGly[Alg]、α-プロパルギルGly[Prg]、3-シクロプロピルAla[Cpa]、およびAib)、ロイシンアナログ(例えば、ノルロイシン、Nle)、プロリンアナログ(例えばα-MePro)、フェニルアラニンアナログ{例えば、Phe(2-F)、Phe(2-Me)、Tmp、Bip、Bip(2’-Et-4’-OMe)、Nal1、Nal2、Tic、α-MePhe、α-MePhe(2-F)、およびα-MePhe(2-Me)}、チロシンアナログ(例えばDmtおよびα-MeTyr)、セリンアナログ(例えばホモセリン[イソトレオニンまたはhSer])、グルタミンアナログ(例えばCit)、アルギニンアナログ(例えばhArg、N,N’-g-ジアルキル-hARG)、リジンアナログ(例えばホモリジン[hLys]、Orn、およびα-MeLys)、α,α-二置換アミノ酸(例えば、Aib、α,α-ジエチルGly[Deg]、α-シクロヘキシルAla[2-Cha]、Ac3c、Ac4c、Ac5c、およびAc6c)、および、A.Santoprete et al.,J.Pept.Sci.,17:270-280(2011)に開示される他の非天然アミノ酸が挙げられる。α,α-二置換アミノ酸は、立体配座の制約または/およびα-ヘリックス安定化をもたらすことができる。(例えば、Tic-Ψ[CH2-NH]-Ψ-Pheなどにおける)2つの残基間のアミド結合の減少により、プロテアーゼ抵抗性が増大し、また、例えば受容体結合が改質される場合がある。本開示は、正の総電荷を有するもの、負の総電荷を有するもの、および総電荷がないものを含む、デュアルアゴニストペプチドの全ての薬学的に許容可能な塩を含む。
【0029】
「アルキル」基は、脂肪族炭化水素基を表す。アルキル基は、飽和または不飽和の場合があり、および、直鎖(線形)、分枝鎖、または環状の場合がある。いくつかの実施形態において、アルキル基は環状ではない。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1-30、6-30、6-20、または8-20の炭素原子を含有する。「置換」アルキル基は、1つ以上の置換基で置換される。いくつかの実施形態において、1つ以上の置換基は、独立して、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルコイル、カルボキシル、カルボキシレート、エステル、アミド、カーボネート、カルバマート、尿素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アラルキル、アシル基を含有するアルキル鎖、ヘテロアルキル、ヘテロ脂環式、アリール、アルコキシアリール、ヘテロアリール、疎水性の天然化合物(例えば、ステロイド)などから選択される。いくつかの実施形態において、置換基としてのアルキル基は、「低級アルキル」と呼ばれる、線形または分枝C1-C6アルキルである。低級アルキル基の非限定的な例として、メチル、エチル、プロピル(n-プロピルおよびイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびtertブチルなどの全ての異性型を含む)、ペンチル(n-ペンチルなどの全ての異性型を含む)、およびヘキシル(n-ヘキシルなどの全ての異性型を含む)が挙げられる。いくつかの実施形態において、アルキル基は、ペプチドの残基(例えば、TyrまたはDmt)のNα-原子に結合される。ある実施形態において、N-アルキル基は、直鎖または分枝鎖のC1-C10アルキル、または、ベンジルやフェニルエチルなどのアリール置換アルキルである。1または2つのアルキル基は、N末端のNα-原子に結合される場合がある。いくつかの実施形態において、アルキル基は、グリコシド結合(例えばO-、S-、N-、またはC-グリコシド結合)を介して糖(例えばグルコース)のC-1位置に結合される、1-アルキル基である。いくつかの実施形態において、そのような1-アルキル基は、非置換または置換のC1-C30、C6-C30、C6-C20、またはC8-C20アルキル基である。いくつかの実施形態において、アルキル基(例えば1-アルキル基)は、アリール、-OH、-OR1、-SH、-SR1、-NH2、-NHR1、-N(R1)2、オキソ(=O)、-C(=O)R2、カルボキシル(CO2H)、カルボキシレート(CO2
-)、-C(=O)OR1、-OC(=O)R3、-C(=O)N(R1)2、-NR4C(=O)R3、-OC(=O)OR5、-OC(=O)N(R1)2、-NR4C(=O)OR5、および-NR4C(=O)N(R1)2から独立して選択される1つ以上(例えば、2または3つ)の基で置換され、ここで、R1は、各発生時に独立して、水素、アルキル、またはアリールであり、R1と、それらが結合される窒素原子との両方の発生は、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールの環を形成し;R2は、各発生時に独立して、アルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり;R3は、各発生時に独立して、水素、アルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり;R4は、各発生時に独立して、水素またはアルキルであり;およびR5は、各発生時に独立して、アルキルまたはアリールである。いくつかの実施形態において、アルキル基(例えば、1-アルキル基)は、内部または/および末端にて、カルボキシル/カルボキシレート基、アリール基、または-O-アリール基で置換される。ある実施形態において、アルキル基(例えば、1-アルキル基)は、アルキル基の遠位端にてカルボキシルまたはカルボキシレート基で置換される。さらなる実施形態において、アルキル基(例えば1-アルキル基)は、アルキル基の遠位端にてアリール基で置換される。他の実施形態において、アルキル基(例えば、1-アルキル基)は、アルキル基の遠位端にて-O-アリール基で置換される。用語「ハロゲン」、「ハロゲン化物」、および「ハロ」は、フッ化物、塩化物、臭化物、およびヨウ化物を指す。用語「アシル」は、-C(=O)Rを指し、ここでRは飽和または不飽和の場合があり、および、線形、分枝、または環状の場合がある。ある実施形態において、Rは、1-20、1-10、または1-6の炭素原子を含有する。アシル基は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、チオール、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキル、アリール、アシル、カルボキシル、エステル、アミド、疎水性天然化合物(例えばステロイド)などの1つ以上の基で随意に置換される場合がある。用語「ヘテロシクリル」および「複素環式」は、少なくとも1つの非芳香族環を含む単環式の非芳香族基または多環式基を指し、ここで、少なくとも1つの非芳香族環は、O、N、およびSから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子を含む。1つ以上のヘテロ原子を含む非芳香族環は、1つ以上の飽和、部分不飽和、または芳香族の環に結合、または縮合される場合がある。ある実施形態において、ヘテロシクリルまたは複素環基は、3-15、3-12、3-10、3-8、または3-6の環原子を有する。ヘテロシクリルまたは複素環式基として、限定されないが、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、アゼパニル、アゾカニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル(オキソラニル)、テトラヒドロピラニル、オキセパニル、およびオキソカニルが挙げられる。用語「アリール」は、少なくとも1つの芳香族炭化水素環を含む、単環式の芳香族炭化水素基または多環式基を指す。ある実施形態において、アリール基は、6-15、6-12、または6-10の環原子を有する。アリール基として、限定されないが、フェニル、ナフタレニル(ナフチル)、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ビフェニル、およびテルフェニルが挙げられる。アリール基の芳香族炭化水素環は、1つ以上の飽和、部分不飽和、または芳香族の環、例えばジヒドロナフチル、インデニル、インダニル、およびテトラヒドロナフチル(テトラリニル)に結合または縮合される場合がある。アリール基は、ハロゲン(-Fおよび-Clを含む)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、アルコキシ、チオール、アルキルチオ、アルキルスルホキシド、アルキルスルホン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル(トリフルオロメチルなどのフルオロアルキルを含む)、アシル、カルボキシル、エステル、アミドなどから独立して選択される、1つ以上(例えば2または3つ)の置換基で随意に置換される場合がある。用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの芳香環を含む、単環式芳香族基または多環式基を指し、少なくとも1つの芳香環は、O、N、およびSから独立して選択された1つ以上のヘテロ原子を含む。ヘテロ芳香族環は、炭素原子のみを含む場合がある、または1つ以上のヘテロ原子を含む場合がある、1つ以上の飽和、部分不飽和、または芳香族の環に結合または縮合される場合がある。ある実施形態において、ヘテロアリール基は、5-15、5-12、または5-10の環原子を有する。単環式ヘテロアリール基として、限定されないが、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チエニル(チオフェニル)、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリドニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピリダジノニル、およびトリアジニルが挙げられる。二環式ヘテロアリール基の非限定的な例として、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロモニル、クマリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ナフチリジニル、フタラジニル、キナゾリニル、プリニル、ピロール ピリジニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ジヒドロイソインドリル、およびテトラヒドロキノリニルが挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態では、例えば、デュアルアゴニストペプチドは、薬学的に許容される組成物または凍結乾燥物内などで糖類と会合することができる。糖類には、単糖類、二糖類およびオリゴ糖類(例えば、三糖類、四糖類など)が含まれる。還元糖は、平衡状態で環形および開鎖形で存在し、一般に環形に優勢である。界面活性物質部分の官能化糖類は、デュアルアゴニストペプチドのアミノ酸と安定した共有結合を形成するのに適した官能基を有する。
【0031】
用語「薬学的に許容可能な」は、過度の刺激、アレルギー反応、免疫原性、および毒性を生じさせることなく被験体の組織および器官に接触させて使用するのに適切であり、合理的なベネフィット・リスク比に相応し、かつ、その意図した使用に効果的である物質(例えば有効成分または賦形剤)を指す。医薬組成物の「薬学的に許容可能な」賦形剤または担体はまた、組成物の他の成分に適合可能である。一実施形態では、デュアルアゴニストペプチドを製剤化することができる薬学的に許容される組成物は、蒸留水(DI)中のポリソルベート20(例えば、約0.050%(w/w))、任意選択で、メチルパラベン(例えば、約0.300%(w/w))、アルギニン(約0.348%(w/w))、およびマンニトール(例えば、約4.260%(w/w))を含む。
【0032】
用語「治療上有効な量」は、被験体に投与したときに、化合物を摂取する被験体の少なくとも一部において、処置される医学的疾病を予防し、その進行リスクを低減し、その発症を遅らせ、その進行を遅くし、またはその退行を引き起こし、あるいは、医学的疾病またはその1つ以上の症状または合併症をある程度緩和するのに十分な、化合物の量を指す。用語「治療上有効な量」はまた、医師や臨床医により求められる、細胞、組織、器官、またはヒトの生物学的または医学的反応を引き出すのに十分な化合物の量を指す。
【0033】
用語「処置する」、「処置すること」、および「処置」として、医学的疾病、またはそれに関連する1つ以上の症状または合併症を緩和し、改善し、その進行を阻害し、逆転し、または抑制すること、および、医学的疾病の1つ以上の原因を緩和し、改善し、または根絶することが挙げられる。医学的疾病の「処置」への言及は、その予防を含む。用語「予防する」、「予防すること」、および「予防」として、医学的疾病、またはそれに関連する1つ以上の症状または合併症を排除し、その進行のリスクを低減し、かつその発症を遅らせることが挙げられる。用語「医学的状態」(または簡潔さのために「状態」)は、疾患および障害を含む。用語「疾患」および「障害」は、本明細書で同義語として用いられる。
【0034】
本開示はまた、本明細書に記載されるデュアルアゴニストペプチド生成物、またはその薬学的に許容可能な塩、および1つ以上の薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。医薬組成物は、治療上有効な量のペプチド生成物またはその適切な画分を含んでいる。組成物は随意に、追加の治療剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、ペプチド生成物の純度は、少なくとも約90%、95%、または98%である。薬学的に許容可能な賦形剤および担体は、薬学的に許容可能な物質、材料、およびビヒクルを含む。賦形剤のタイプの非限定的な例として、液体および固体の充填剤、希釈剤、結合剤、潤滑剤、滑剤、界面活性物質、分散剤、崩壊剤、乳化剤、湿潤剤、懸濁化剤、増粘剤、溶剤、等張剤、緩衝液、pH調整剤、吸収遅延剤、安定化剤、抗酸化剤、防腐剤、抗微生物薬、抗菌物質、抗真菌薬、キレート化剤、アジュバント、甘味料、香料、着色料、封入材料、およびコーティング材料が挙げられる。医薬製剤中のそのような賦形剤の使用は、当技術分野で既知である。例えば、従来のビヒクルおよび担体として、限定されないが、油(例えば、オリーブ油やゴマ油などの植物油)、水性溶媒{例えば、生理食塩水、緩衝生理食塩水(例えばリン酸緩衝生理食塩水[PBS])、等張液(例えばリンゲル液)}、および有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、およびアルコール[例えばエタノール、グリセロール、およびプロピレングリコール])が挙げられる。任意の従来の賦形剤または担体がペプチド生成物に適合しないことを除き、本開示は、ペプチド生成物を含む製剤中の従来の賦形剤および担体の使用を含む。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,Lippincott Williams & Wilkins(Philadelphia,Pennsylvania)(2005);Handbook of Pharmaceutical Excipients,5th Ed.,Rowe et al.,Eds.,The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association(2005);Handbook of Pharmaceutical Additives,3rd Ed.,Ash and Ash,Eds.,Gower Publishing Co.(2007);およびPharmaceutical Pre-formulation and Formulation,Gibson,Ed.,CRC Press(Boca Raton,Florida)(2004)を参照。
【0035】
適切なまたは妥当な製剤は、選択される投与経路などの様々な要因に依存する場合がある。ペプチド生成物を含む医薬組成物の起こり得る投与経路として、限定されないが、経口、非経口(皮内、皮下、筋肉内、血管内、静脈内、動脈内、腹腔内、腔内、および局所を含む)、および局所(経皮、口腔粘膜内、鼻腔内[例えば、鼻内噴霧または滴剤による]、眼[例えば、点眼薬による]、肺[例えば、経口または経鼻吸入による]、頬側、舌下、直腸[例えば、坐薬による]、および膣[例えば、坐薬による]が挙げられる。ある実施形態において、本発明のデュアルアゴニストペプチド生成物は、非経口(例えば、皮下、静脈内、または筋肉内)で投与される。他の実施形態において、ペプチド生成物は、経口吸入または経鼻吸入、または吹込によって投与される。いくつかの実施形態において、担体は、非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内)製剤などの中の水性基剤担体である。他の実施形態において、担体は、非水性基剤担体である。ある実施形態において、非水性基剤担体は、経口吸入または経鼻吸入、または吹込による投与のための製剤などにおいて、ヒドロフルオロアルカン(HFA)、または、サブミクロンの無水α-ラクトースまたは/および他の賦形剤を含む場合があるHFA様溶媒である。
【0036】
いくつかの実施形態において、ペプチド生成物は、注射により非経口(例えば、皮下、静脈内、または筋肉内)で投与される。非経口投与は、胃、胃腸(GI)吸収、および初回通過代謝の強力な酸性環境を避ける。非経口製剤を調製するために使用可能な賦形剤および担体として、限定されないが、溶媒(例えば、水、生理食塩水、生理的塩類溶液、緩衝生理食塩水[例えば、PBS]、平衡塩類溶液[例えば、リンゲルBSS]、およびデキストロース水溶液などの水性溶媒)、等張/等浸透物質(例えば、塩[例えばNaCl、KCl、およびCaCl2]、および糖[例えばスクロース])、緩衝剤、およびpH調整剤(例えば、リン酸2水素ナトリウム[一塩基性リン酸ナトリウム]/リン酸水素2ナトリウム[第二リン酸ナトリウム]、クエン酸/クエン酸ナトリウム、およびL-ヒスチジン/L-ヒスチジンHCl)、および乳化剤(例えば、ポリソルベート[例えば、ポリソルベート20および80]およびポロキサマー[例えば、ポロキサマー188]などの非イオン界面活性物質)が挙げられる。ペプチド製剤および送達システムは、例えばA.J. Banga,Therapeutic Peptides and Proteins: Formulation,Processing,and Delivery Systems,3rd Ed.,CRC Press(Boca Raton,Florida)(2015)にて議論されている。賦形剤は随意に、ペプチド安定性を増大させ、ペプチド溶解度を増大させ、ペプチド凝集を阻害し、溶液粘度を減らし、またはそれらの任意またはすべての組み合わせを行う、1つ以上の物質を含む場合がある。このような物質として、限定されないが、親水性アミノ酸(例えばアルギニンおよびヒスチジン)、ポリオール(例えばミオ-イノシトール、マンニトール、およびソルビトール)、糖{例えば、グルコース(D-グルコース[デキストロース]を含む)、ラクトース、スクロース、およびトレハロース}、オスモライト(例えば、トレハロース、タウリン、アミノ酸[例えばグリシン、サルコシン、アラニン、プロリン、セリン、β-アラニン、およびγ-アミノ酪酸]、およびベタイン[例えば、トリメチルグリシンおよびトリメチルアミンN-オキシド])、および非イオン界面活性物質{例えば、アルキルポリグリコシド、ProTek(登録商標)アルキルサッカライド(例えば、長鎖脂肪酸または対応する長鎖アルコールに結合される、単糖類[例えば、グルコース]または二糖類[例えば、マルトースまたはスクロース])、およびポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコール・ブロック・コポリマー(例えば、ポロキサマー[例えば、Pluronic(商標)F-68]、およびGenapol(登録商標)PF-10、およびそれらの変異体)}が挙げられる。このような物質は、ペプチド溶解度を増大するので、製剤中のペプチド濃度を高くするために使用できる。製剤中のより高いペプチド濃度は、特に皮下投与に効果的であり、これは、ボーラス投与の体積が制限されている(例えば、約1.5mL以上)。加えて、そのような物質は、凍結乾燥ペプチドの調製、保管、および再構築中に、ペプチドを安定させるために使用できる。例示的な非経口製剤は、ペプチド生成物、マンニトール、メチオニン、チオグリコール酸トナトリウム、ポリソルベート20、pH調整剤(例えばNaOHまたは/およびHCl)、および脱イオン水を含む。本明細書に記載のデュアルアゴニストペプチドと共に使用するのに適した非経口製剤の賦形剤(例えば、NaClなどを含む賦形剤の様々な組み合わせ)は、当業者に周知であり、入手可能である。
【0037】
非経口(例えば、皮下、静脈内、または筋肉内)投与のために、1つ以上の賦形剤を含有する水性溶媒中のペプチド生成物の無菌液または懸濁液は、前もって調製でき、および、例えば、使い捨てのペンのプレフィルドシリンジ、または投与量計数器を有するペンにおいて提供される場合がある。代替的に、ペプチド生成物は、凍結乾燥(フリーズドライ)前に1つ以上の賦形剤を随意に含む場合がある、水性溶媒中で溶解または懸濁される場合がある。非経口投与の直前、適切な容器(例えば、バイアル)に保存した凍結乾燥ペプチド生成物は、例えば随意に1つ以上の賦形剤を含む場合がある滅菌水により構築することができる。他の実施形態において、ペプチド生成物は鼻内に投与される。鼻粘膜は、大きな表面積、細孔の多い内皮、高度の血管上皮層、および高吸収速度を提供し、したがって、高度の生物学的利用能が可能となる。鼻腔内製剤は、溶解促進剤(例えばプロピレングリコール)、保水剤(例えばマンニトールまたはソルビトール)、緩衝液および水、および随意に防腐剤(例えば塩化ベンザルコニウム)、粘膜付着剤(例えばヒドロキシエチルセルロース)、または/および浸透促進剤などの賦形剤を伴う、ペプチド生成物を含む場合がある。鼻腔内溶液または懸濁液の製剤は、例えば計量噴霧スプレーポンプを用いる、ドロッパ、ピペット、またはスプレーを含むがこれらに限定されない、任意の適切な手段によって鼻腔に投与できる。表2は、鼻内噴霧製剤の典型的な賦形剤を示す。
【0038】
【0039】
さらなる実施形態において、ペプチド生成物は、経口吸入または経鼻吸入などにより、肺経路を介して投与される。薬物の肺投与は、肺が体循環への門戸として機能するため、肺病または/および全身性障害を処置することができる。経肺薬物送達の利点は、例えば以下が挙げられる:1)初回通過代謝の回避;2)迅速な薬物作用;3)吸収、肺の高透過率(薄い空気-血液関門)、および気道の十分な脈管構造のための肺胞領域の表面積が広い;および4)大きな肺胞表面積により、GI管と比較して細胞外酵素レベルが低い。経鼻吸入を上回る経口投与の利点として、肺への薬物の深い浸透/堆積が挙げられるが、経鼻吸入は、鼻腔や肺の中で薬物を体循環へと口腔粘膜送達することができる。経口吸入または経鼻吸入は、例えば、計量式吸入器(MDI)、ネブライザー、または乾燥粉末吸入器(DPI))により達成できる。例えば、ペプチド生成物は、経口吸入または経鼻吸入による呼吸器系へのエアロゾル投与のために製剤される場合がある。薬物は、ミクロン化により入手可能な小さな粒子径(例えば約0.5ミクロン~約5ミクロン)で送達されることで、例えば、肺への薬物堆積、および薬物懸濁液の安定性を改善できる。薬物は、ヒドロフルオロアルカン(HFA、例えば1,1,1,2-テトラフルオロエタン[HFA-134a])、クロロフルオロカーボン(CFC、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン)、または適切なガス(例えば、酸素、圧縮空気、または二酸化炭素)などの適切な推進薬で加圧されたパックの中で提供される場合がある。エアロゾル製剤中の薬物は、肺への送達のための推進薬の中で溶解され、または多くの場合に懸濁される。エアロゾルは、界面活性物質(肺胞内の空気-水界面での高表面張力を少なくすることにより肺への浸透を増強し、薬物を乳化、可溶化、または/および安定化させることができ、かつ、例えばレシチンなどのリン脂質の場合がある)、または/および安定化剤などの賦形剤を含むが、ペプチド生成物の界面活性物質部分は、界面活性物質の機能を果たすことができる。例えば、MDI製剤は、ペプチド生成物、推進薬(例えば1,1,1,2-テトラフルオロエタンなどのHFA)、および共溶媒(例えば、エタノールなどのアルコール)、および随意に、界面活性物質(例えばオレイン酸などの脂肪酸)を含む場合がある。MDI製剤は随意に、溶存ガス(例えばCO2)を含む場合がある。デバイスの作動後、放たれたエアロゾル小滴内のCO2気泡の破裂により、小滴はさらに小さな小滴へと分解し、それにより、薬物の呼吸に適した画分が増大する。別の例として、ネブライザー製剤は、ペプチド生成物、キレート剤または防腐剤(例えばエデト酸2ナトリウム)、等張剤(例えばNaCl)、pH緩衝剤(例えばクエン酸/クエン酸ナトリウム)および水、および随意に、界面活性物質(例えばポリソルベート80などのTween(登録商標))を含む場合がある。薬物は、例えばネブライザーや、スペーサーを備えたまたは備えていないMDIにより送達でき、送達される薬物投与量は、計量チャンバー(ネブライザー)または計量バルブ(MDI)により制御できる。
【0040】
表2は、例示的なMDI、ネブライザー、およびDPI製剤を示す。計量式吸入器(加圧式定量噴霧吸入器[pMDI]とも呼ばれる)は、最も広く使用されている吸入デバイスである。測定バルブは、デバイスの作動毎に正確な量のエアロゾル(例えば約20-100μL)を送達する。MDIは通常、ユーザーが吸入できるよりも速くエアロゾルを生成し、これにより、口および咽喉における多くのエアロゾルの堆積をもたらすことができる。デバイスの作動と吸入との間の協働性が乏しいという問題は、呼吸作動式(breath-actuated)MDIまたは連携デバイスの使用により対処可能である。呼吸作動式MDI(例えば、Easi breathe(登録商標))は、デバイスがユーザーの吸息を感知すると作動し、これに応じて薬物投与量を吐出する。吸入流量はアクチュエーターを介して調整され、ユーザーには吸入中にデバイスを確実に作動させる時間がある。連携デバイスにおいて、スペーサー(またはバルブ付き保持チャンバー)は、吸入器のマウスピース端部に付けられたチューブであり、吸入器により噴霧される薬物を保持するリザーバーまたはチャンバーとして機能し、かつエアロゾルが口に入る速度を低下させることにより、より大きな小滴からの推進薬の蒸発の可能とする。スペーサーは吸入器の使用を単純化し、上気道の代わりに肺に堆積される薬物の量を増大させる。スペーサーは、スペーサーの内壁へと放たれた薬物粒子の静電気付着を最小限にするために、帯電防止ポリマーで製造される場合がある。ネブライザーは、約1-5ミクロンのエアロゾル小滴を生成する。ネブライザーは、デバイスの作動と吸入との間のユーザー調整を必要とせず、このことで、肺に堆積される薬物の量に大きな影響を及ぼすことがある。MDIおよびDPIと比較して、ネブライザーは、より長い投与時間にもかかわらず、より多量の薬物を送達できる。ネブライザーの例として、限定されないが、人力式ネブライザー、ジェットネブライザー(例えば、AeroEclipse(登録商標)II BAN[呼吸作動式]、CompAIR(商標)NE-C801[virtual valve]、PARI LC(登録商標)Plus[呼吸増強]、およびSideStream Plus[呼吸増強])、超音波ネブライザー、および振動メッシュネブライザー(例えば、Akita2(登録商標)Apixneb、計量チャンバーを備えたI-neb AAD System、MicroAir(登録商標)NE-U22、Omron U22、およびPARI eFlow(登録商標)rapid)が挙げられる。例として、パルス超音波ネブライザーは、パルスごとに固定量の薬物をアエロゾル化することができ、かつ、ユーザーによる各パルスへの各呼吸の同期を可能にする、光音響トリガーを含む場合がある。粉末吸入器(DPI)を使用した経口または経鼻吸入のために、ペプチド生成物は、微粉化乾燥粉末の形態で提供することができ、そこで薬物粒子は、例えば、分散粉末の空気力学的特性、および肺への薬物堆積を改善するために、ある小さなサイズ(例えば約0.5ミクロン~約5ミクロン)である。約0.5ミクロン~約5ミクロンの粒子は、終末細気管支および肺胞の領域での沈降によって堆積する。対照的に、より大きな粒子(>5ミクロン)の大半は、気道の多くの分岐部への空気流に従わず、咽喉の中咽頭領域を含む上気道における埋伏により堆積される。DPI製剤は、薬物粒子を単独で含有し、または、ラクトース、デンプン、デンプン誘導体(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)、またはポリビニルピロリジンなどのより大きな適切な塩基/担体の粉末と混合することができる。担体粒子は、流れを増強し、凝集を減らし、投与量の均一性を改善し、かつ薬物粒子の分散を補助する。DPI製剤は随意に、粒子間結合(抗付着作用による)を妨げることにより製剤のパフォーマンスを改善する、ステアリン酸マグネシウムまたは/およびロイシンなどの賦形剤を含む場合がある。粉末製剤は、吸入器へと手動で充填または事前に充填可能な、ブリスターパック中のカプセル(例えばゼラチンカプセル)またはカートリッジなどの単位投与形態で提供することができる。薬物粒子は、吸入器のマウスピースまたはノーズピースを口または鼻に配し、激しくて深い吸入を行うことで乱気流をもたらし、および一定期間(例えば約5-10秒)にわたり呼吸を維持することによって、肺へと引き寄せられ、これによって、薬物粒子が細気管支および肺胞の領域に沈下するのを可能にすることができる。ユーザーがDPIを作動させて吸入すると、デバイスを通る気流は、剪断および乱流をもたらし、吸気は粉末ベッドへと導入され、静電粉末混合物が流体状になり、ユーザーの気道に入る。そこでは、薬物粒子は、乱流により担体粒子から分離され、肺へと深く運ばれるが、より大きな担体粒子が、中咽頭の表面に影響を及ぼし、取り除かれる。故に、ユーザーの吸気流は、粉末の解凝集と空気イオン化を達成し、肺への薬物堆積を決定する。(受動式DPIは、急速な吸気が薬物粒子を解凝集することを必要とするが、MDIまたはネブライザーでは急速な吸気は推奨されていない。それによって、上気道への衝撃により薬物堆積を増やす乱気流と高速度がもたらされるからである)MDIと比較して、DPI(呼吸作動式DPIを含む)は、より多くの投与量の薬物、およびより大きなサイズの薬物(例えば高分子)を肺に送達することができる。
【0041】
ラクトース(例えばαラクトース一水和物)は、DPI製剤において最も一般的に使用される担体である。DPI製剤用のラクトース一水和物のグレード/タイプの例として、限定されないが、DCL 11、Flowlac(登録商標)100、Inhalac(登録商標)230、Lactohale(登録商標)300、Lactopress(登録商標)SD 250(噴霧乾燥ラクトース)、Respitose(登録商標)SV003、およびSorbolac(登録商標)400が挙げられる。DPI製剤は、単一のラクトースグレード、または、異なるラクトースグレードの組み合わせを含む場合がある。例えば、Lactohale(登録商標)300またはSorbolac(登録商標)400のような細かいラクトースグレードは、適切なDPI担体でない場合があり、かつ、DCL 11、Flowlac(登録商標)100、Inhalac(登録商標)230、またはRespitose(登録商標)SV003のような粗いラクトースと混合して流れを改善する必要がある(例えば、細かいラクトースと粗いラクトースが約1:9の比率)。
【0042】
表3および4は、DPI製剤に使用可能なラクトースのグレード/タイプの非限定的な例を示す。担体粒子径の分布は、薬物の微粒子画分/投与量(FPFまたはFPD)に影響を及ぼし、高度のFPFが肺への薬物輸送に望ましい。FPF/FPDは、吸気における≦5ミクロン空気力学的粒子径を有する、DPIデバイスからの呼吸に適した画分/投与量の塊である。高度のFPF、したがって良好なDPIパフォーマンスは、例えば、細かいラクトース(例えばLactohale(登録商標)300)と粗いラクトース(例えばRespitose(登録商標)SV003)を約1:9の比率で備え、かつ約20%w/w過多量を備える、DPI製剤から得られ、これによりカプセルシェルまたはDPIデバイス中の薬物の堆積を回避する、かつ、ほぼすべての薬物を気道に送達することができる。
【0043】
【0044】
【0045】
DPI製剤用の他の担体として、限定されないが、グルコース、マンニトール(例えば結晶化マンニトール[Pearlitol 110C]および噴霧乾燥マンニトール[Pearlitol 100 SD])、マルチトール(例えば結晶化マルチトール[Maltisorb P90])、ソルビトール、およびキシリトールが挙げられる。大半のDPIは、エアロゾル生成のためにユーザーの吸入に依存して、呼吸により作動される(「受動式」)。受動式DPIの例として、限定されないが、Airmax(登録商標)、Novolizer(登録商標)、およびOtsuka DPI(コンパクトケーキ)が挙げられる。空気分級機技術(ACT)は、DPIに利用される効率的な受動式粉末分散機構である。ACTにおいて、多数の供給チャネルが接線方向気流を生成し、これにより、吸入中にデバイス内にサイクロンがもたらされる。また、例えば粒子の解凝集を補助するためにエネルギーを使用する、動力補助式(「能動式」)DPI(例えば、気力学、衝撃力、または振動に基づく)も、存在する。例えば、Exubera(登録商標)吸入器の能動式機構は、ばね、または圧縮空気チャンバーに保存される力学的エネルギーを利用する。能動式DPIの例として、限定されないが、Actispire(登録商標)(単回ユニット投与量)、Aspirair(登録商標)(複数回投与量)、Exubera(登録商標)(単回ユニット投与量)、MicroDose(登録商標)(複数回ユニット投与量、および電子活性化)、Omnihaler(登録商標)(単回ユニット投与量)、Pfeiffer DPI(単回ユニット投与量)およびSpiros(登録商標)(複数回ユニット投与量)が挙げられる。ペプチド生成物はまた、経口などの他の経路によって投与することができる。経口製剤は、ペプチド生成物、当該技術分野で既知の従来の賦形剤、および随意に、ナトリウムN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート](SNAC)などの吸収促進剤を含む場合がある。SNACは、局所的な緩衝作用を介して酵素分解から保護し、GI吸収を増強する。経口剤形(例えば、錠剤、カプセル剤、または丸剤)は随意に、胃の強い酸およびタンパク分解酵素からその内容物を保護するために、腸溶コーティングを施すことが可能である。いくつかの実施形態において、ペプチド生成物は、徐放組成物から送達される。本明細書に使用されるように、用語「徐放組成物」は、徐放性、長期放出性、拡張放出性、遅延放出性、緩慢放出性(slow-release)、および制御放出性の組成物、システム、およびデバイスを含む。いくつかの実施形態において、徐放組成物は、少なくとも約1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、またはそれ以上の期間にわたり、ペプチド生成物を送達する。いくつかの実施形態において、徐放組成物は、生分解性ポリマーで設定されるとともにペプチド生成物を組み込んだ、ナノ粒子または微粒子として製剤される。ある実施形態において、生分解性ポリマーは、乳酸または/およびグリコール酸を含む[例えば、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)またはポリ(L-乳酸-コ-D,L-2-ヒドロキシオクタン酸)などの、L-乳酸ベースのコポリマー]。さらなる実施形態において、徐放生成物は、ペプチド生成物とポリマーの混合物が、被験体へと筋肉内または皮下注入されると生成される、デポーの形態である。ある実施形態において、ポリマーは、PEG、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、またはそれらのコポリマー(例えばPLGAまたはPLA-PEG)であるか、またはそれらを含む。
【0046】
医薬組成物は、単回投与量としてのユニット剤形で提供することができ、ここで、有効成分および非有効成分は全て、適切なシステム中で組み合わされ、設定成分は、投与される組成物を形成するべく混合される必要はない。ユニット剤形は一般的に、治療上有効な投与量の薬物を含むが、複数回ユニット剤形を呈することで治療上有効な投与量を達成できるように、その適切な画分を含むことができる。ユニット剤形の例として、経口摂取用の錠剤、カプセル剤、または丸剤;非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)注入用の、使い捨てペン、または投与量計数器を備えたペンの、事前充填シリンジ中の溶液;および吸入器に事前充填され、または手動で充填される、カプセル剤、カートリッジ、またはブリスターが挙げられる。代替的に、医薬組成物はキットとして提供することができ、その中で、有効成分、賦形剤、および担体(例えば溶媒)は、2つ以上の別個の容器(例えばアンプル、バイアル、チューブ、ボトル、またはシリンジ)中で提供され、かつ、投与される組成物を形成するべく組み合わされる必要がある。キットは、組成物(例えば、非経口注入される溶液)を保管、調製、および投与するための指示書を含む場合がある。キットは、ユニット剤形の有効成分および非有効成分すべて、または、2つ以上の別個の容器中に有効成分および非有効成分を含むことができ、かつ、本明細書に開示される医学的疾病を処置するための医薬組成物の投与または使用のための指示書を含むことができる。キットはさらに、注入ペンまたは吸入器など、組成物を送達するためのデバイスを含む場合がある。いくつかの実施形態において、キットは、ペプチド生成物またはその薬学的に許容可能な塩、またはそれらを含む医薬組成物、および、インスリン抵抗性、糖尿病、肥満症、メタボリック症候群、または循環器疾患、またはそれらに関連する疾病(例えばNASHまたはPCOS)などの、本明細書に開示される医学的疾病を処置するためのペプチド生成物または組成物の投与または使用のための指示書を含む。ある実施形態において、キットはさらに、注入ペンまたは吸入器などの、ペプチド生成物または組成物を送達するためのデバイスを含む。
【0047】
本開示はさらに、例えば、インスリン抵抗性、糖尿病、肥満症、メタボリック症候群、および循環器疾患、および、NASHやPCOSなどのそれらに関連する疾病を処置するための、本明細書に記載されるペプチド生成物の使用を提供する。いくつかの実施形態において、デュアルアゴニストペプチド生成物は、高血糖症、インスリン抵抗性、高インスリン血症、糖尿病前症、糖尿病(1型および2型、胎児性および若年型糖尿病を含む)、糖尿病合併症、糖尿病性神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、遊離脂肪酸の血液レベル上昇、肥満症、メタボリック症候群、X症候群、循環器疾患(冠動脈疾患を含む)、アテローム動脈硬化症、急性心血管症候群、虚血(心菌虚血および脳虚血/脳卒中を含む)、虚血性再灌流傷害(心筋および大脳のIRIを含む)、梗塞(心筋梗塞および脳梗塞を含む)、狭心症、心不全(例えばうっ血性心不全)、末梢血管疾患、血栓症(例えば深部静脈血栓症)、塞栓症(例えば肺塞栓症)、全身性炎症(例えばC反応性タンパク質の血液レベルの上昇を特徴とするもの)、および高血圧症を処置するために使用される。デュアルアゴニストペプチド生成物は、血糖依存性インスリン分泌の刺激、インスリン感度の増大、脂肪燃焼の刺激、および体重の減少を含む、様々な機構を介した治療効果を達成できる。デュアルアゴニストペプチド生成物はまた、例えば膵臓β細胞保護、心保護、および創傷治癒を促進することができる。
【0048】
本明細書に記載されるペプチド生成物は、インスリン抵抗性または/および肥満症に関連付けられる他の疾病を処置するために使用することができる。インスリン抵抗性または/および肥満症に関連付けられる他の疾病として、限定されないが、関節炎(例えば骨関節炎)、腰痛、呼吸障害(例えば喘息、肥満低換気症候群[ピックウィッキアン症候群]、および閉塞性睡眠無呼吸)、皮膚科学障害(例えば糖尿病潰瘍、黒色表皮腫、蜂巣炎、多毛症、間擦疹、およびリンパ浮腫)、消化器病学障害(例えば胆石症[胆石]、胃食道逆流疾患[GERD]、および胃不全麻痺)、痛風、高コルチゾール症(例えばクッシング症候群)、腎障害(例えば慢性腎臓病)、肝臓障害(例えばアルコール性および非アルコール性FLDを含む脂肪肝疾患[FLD])、神経異常(例えば手根管症候群、痴呆症[例えば、アルツハイマー病および血管性痴呆]、知覚異常性神経痛、片頭痛、および多発性硬化症)、尿路障害(例えば勃起障害、性機能低下症、および尿失禁)、多嚢胞性卵巣症候群、不妊症、生理不順、気分障害(例えばうつ病)、および癌(例えば子宮内膜癌、食道癌、大腸(colorectum)癌、胆嚢癌、腎臓癌、肝臓癌[例えば、肝細胞癌]、膵臓癌、および皮膚癌[例えば、黒色腫]、および白血病)が挙げられる。ある実施形態において、本明細書に記載されるデュアルアゴニストペプチド生成物は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を処置するために使用される。他の実施形態において、ペプチド生成物は、慢性腎臓/腎不全(CKF/CRF)としても知られる慢性腎臓病(CKD)を処置するために使用される。CKDの最も一般的な原因は、糖尿病、および長期の制御不良の高血圧症である。さらなる実施形態において、本明細書に記載されるデュアルアゴニストペプチド生成物は、脂肪肝疾患(FLD)を処置するために使用される。いくつかの実施形態において、FLDは、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。ある実施形態において、NAFLDは、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。脂肪肝としても知られるFLDは、肝臓における過剰な脂肪蓄積を特徴とする。FLDとして、アルコール性脂肪肝疾患(AFLD)およびNAFLDが挙げられる。慢性アルコール中毒症は、肝臓でのアルコール代謝中にアルデヒドなどの毒性代謝産物が産生されることで、脂肪肝を引き起こす。NAFLDは後述される。FLDは、糖尿病、肥満症、およびメタボリック症候群に関連付けられる。脂肪肝は、肝硬変または肝臓癌(例えば肝細胞癌[HCC])へと進行する場合がある。硬変症のAFLDを抱える人の約10%未満がHCCを進行させるが、肝硬変を伴わないNASHを抱える人の最大約45%がHCCを進行させる場合がある。HCCは、成人で最も一般的なタイプの原発性肝癌であり、慢性肝臓炎の状態に生じる。NAFLDは、脂肪、特に遊離脂肪酸およびトリグリセリドが、栄養素過負荷、高熱量摂取、および代謝機能障害(例えば脂質異常症、およびグルコース制御欠損)などの、過度のアルコール消費以外の原因により肝細胞(脂肪肝)に蓄積すると生じる、脂肪肝を特徴とする。肝臓は、肝機能を妨害することなく脂肪を蓄えたままの場合があるが、脂肪肝は、NASH、脂肪過多症に炎症が付随する疾病、肝細胞風船状拡張、および、肝臓の繊維症を伴うまたは伴わない細胞障害へと進行する場合がある。繊維症は、NASHによる死亡の最も強力な予測因子である。NAFLDは、脂肪過多症単独;小葉状または門静脈炎症を伴うが、風船状拡張を伴わない脂肪過多症;風船状拡張を伴うが、炎症を伴わない脂肪過多症;または炎症および風船状拡張を伴う脂肪過多症を特徴とする。NASHは、NAFLDの最も極端な形態である。NASHは進行性疾患であり、患者の約20%が肝硬変を進行させ、約10%が、肝硬変または肝臓癌(例えばHCC)などの肝疾患により死亡する。NAFLDは、先進国において最も一般的な肝臓障害であり、NASHは、2020年までに米国における肝臓移植の主な原因としてC型肝炎に取って代わると予想されている。米国の人々の約12-25%がNAFLDを抱えており、NASHは米国で人々の約2-5%に影響を及ぼしている。NASHを含むNAFLDは、インスリン抵抗性、肥満症、およびメタボリック症候群に関連付けられる。例えば、インスリン抵抗性は、脂肪肝が、肝臓炎症および繊維症、そしてゆえにNASHへと進行する一因となる。さらに、肥満症はNASHを誘導かつ悪化させ、体重減少によりNASHを緩和することができる。それゆえ、GLP-1受容体(GLP1R)アゴニスト、グルカゴン受容体(GCGR)アゴニスト、およびデュアルGLP1R/GCGRアゴニストを含む、本明細書に記載されるペプチド生成物は、NASHを含むNAFLDを処置するために使用することができる。いくつかの実施形態において、NAFLD(例えば、NASH)またはPCOSなどの、本明細書に開示されるインスリン抵抗性または/および肥満症に関連付けられる疾病を処置するために使用されるデュアルアゴニストペプチド生成物は、配列番号1-10もしくは12-27のペプチド生成物、および/またはそれらの誘導体、ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩から選択される。
【0049】
いくつかの実施形態において、本発明のデュアルアゴニストペプチドを使用して、1つ以上の有害事象(すなわち、患者および/または動物の福祉に悪影響を与える予想外の事象)を減少させて血糖値を制御することができる。GLP-1RおよびGCGRに対する親和性がアンバランスなアゴニスト(セマグルチドなど)。例示的で非限定的な有害事象には、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛および/または便秘が含まれ得る。有害事象には、業界リソースにリストされているもの、および/または他の点で当業者に知られているものなど、当業者に知られているあらゆるものも含まれ得る(例えば、Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)(Pharm.,Med.Transl.Med.2018)および/またはClark,M.J.Biomed.Inf.,54,April 2015,pp.167-173)。このような有害事象は、臨床試験で典型的に的に使用されるような標準的な手法(医師の診察、調査/アンケートなど)を使用して、ヒトにおいて決定できる。GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニスト(例えば、セマグルチド)を対象に投与した際に生じるそのような有害事象の頻度および/または重症度と比較して、本開示のデュアルアゴニストペプチド(例えば、任意の配列番号1-10または12-27の配列、またはそれらの誘導体)は、そのような頻度および/または重症度を、例えば、20%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはより高く(最大100%)減少させることができる。いくつかの実施形態において、本開示のデュアルアゴニストペプチド(例えば、配列番号1-10または12-27のいずれか、またはそれらの誘導体)は、いかなる有害事象も引き起こさない。
【0050】
本発明のデュアルアゴニストペプチド生成物は、本明細書に開示される疾病の処置の適した任意の経路により投与することができる。ペプチド生成物の起こり得る投与経路として、限定されないが、経口、非経口(皮内、皮下、筋肉内、血管内、静脈内、動脈内、腹腔内、腔内、および局所を含む)、および局所(経皮、口腔粘膜内、鼻腔内[例えば、鼻内噴霧または滴剤による]、眼[例えば、点眼薬による]、肺[例えば、経口または経鼻吸入による]、頬側、舌下、直腸[例えば、坐薬による]、および膣[例えば、坐薬による]が挙げられる。いくつかの実施形態において、ペプチド生成物は、皮下、静脈内、または筋肉内など、非経口投与される。他の実施形態において、ペプチド生成物は、経口吸入または経鼻吸入、または吹込によって投与される。本明細書に開示される疾病を処置するための、ペプチド生成物の治療上有効な量、投与の頻度、およびそれを用いる処置の長さは、疾病の性質と重症度、化合物の効力、投与経路、被験体の年齢、体重、健康状態、性別、および食事、および処置に対する被験体の反応を含む様々な要因に依存する場合があり、処置を行う医師によって決定できる。いくつかの実施形態において、ペプチド生成物は、本明細書に開示される疾病(例えば、NASHまたはPCOSなど、インスリン抵抗性または/および肥満症に関連付けられるもの)の処置のために約1週間の期間にわたり、約0.1mg-約1、5、10mg、または、約0.1-1mgまたは1-10mgの投与量で、非経口(例えば、皮下[sc]、静脈内[iv]または筋肉内[im])投与される。さらなる実施形態において、ペプチド生成物は、約1週間の期間にわたり約0.1-0.5mg、0.5-1mg、1-5mg、または5-10mgの投与量で非経口(例えばsc、iv、またはim)投与される。ある実施形態において、ペプチド生成物は、約1週間の期間にわたり約0.1-1mg、0.1-0.5mg、または0.5-1mgの投与量で非経口(例えば、皮下[SC]、静脈内[IV]または筋肉内[IM])投与される。当業者は、マウスまたは他の前臨床動物モデルにおける有効用量がヒトに対してスケーリングされ得ることを理解する。そのようにして、アロメトリックスケーリング(生物学的スケーリングとも呼ばれる)を通じて、より大きな動物の用量をマウスの用量から外挿して、動物の体重または体表面積に基づいて等価な用量を得ることができる。
【0051】
ペプチド生成物は、本明細書に開示される疾病(例えば、NASHまたはPCOSなど、インスリン抵抗性または/および肥満症に関連付けられるもの)の処置に適した頻度で投与することができる。いくつかの実施形態において、デュアルアゴニストペプチド生成物は、1日1回、2日毎に1回、3日毎に1回、週に2回、週に1回、または2週間に1回、例えばscまたはiv投与される。ある実施形態において、ペプチド生成物は、週に1回、例えばSC、IV、またはIM投与される。デュアルアゴニストペプチド生成物は、患者に都合の良い任意の日時に投与することができる。デュアルアゴニストペプチド生成物は、実質的に食物と共に(例えば、食事と共に、または、食事の前または後の約1時間または30分以内)、または実質的に食物を伴わずに(例えば、食事の前または後少なくとも約1時間または2時間)摂取することができる。デュアルアゴニストペプチド生成物による医学的疾病の処置の長さは、例えば、疾病の性質と重症度、および処置に対する被験体の反応に基づき、処置を行う医師により決定できる。いくつかの実施形態において、ペプチド生成物は、少なくとも約2か月、3か月、6か月、1年、1.5年、2年、3年、5年、10年、またはそれ以上など、長期的に本明細書に開示される疾病を処置するために投与される。デュアルアゴニストペプチド生成物はまた、疾病の臨床症状が消失する、または、血液グルコースレベル、血圧、脂質の血液レベル、体重または肥満度指数、ウエスト・ヒップ比率、体脂肪率、またはそれらの任意の組み合わせなどの臨床標的が達成されるまで、臨機応変に(必要に応じて)摂取することができる。疾病の臨床症状が再び現れ、または臨床標的が維持されない場合、デュアルアゴニストペプチド生成物の投与を再開できる。本開示は、本明細書に開示される医学的疾病を処置する方法を提供し、該方法は、治療上有効な量の、本明細書に記載されるペプチド生成物またはその薬学的に許容可能な塩、またはそれを含む医薬組成物を被験体に投与する工程を含む。本開示はさらに、薬剤として使用するための、本明細書に記載されるペプチド生成物またはその薬学的に許容可能な塩、またはそれを含む医薬組成物を提供する。加えて、本開示は、薬剤の調製における、本明細書に記載されるペプチド生成物またはその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。ペプチド生成物を含む薬剤は、本明細書に記載される任意の医学的疾病を処置するために使用することができる。ペプチド生成物は随意に、1つ以上の追加の治療薬と組み合わせて使用することができる。
【0052】
本明細書に記載されるデュアルアゴニストペプチド生成物は、唯一の活性薬剤として投与することができ、または任意選択で、1つ以上の他のデュアルアゴニストペプチド生成物と組み合わせて使用することができ、および/または、インスリン抵抗性、糖尿病、肥満症、メタボリック症候群または循環器疾患、または、それらに関連する任意の疾病、NASHまたはPCOSなどの、本明細書に開示される任意の障害を処置するための追加の治療薬と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の治療薬は、糖尿病薬、抗肥満剤(脂質低下剤および満腹感促進剤(pro-satiety agents)を含む)、抗アテローム性動脈硬化剤、抗炎症薬、抗酸化剤、抗繊維症薬剤、抗昇圧薬、およびそれらの組み合わせから選択される。糖尿病薬として、限定されないが、以下が挙げられる:ビグアニド(例えば、ブホルミンおよびメトホルミン)を含む、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)アゴニスト;チアゾリジンジオン(例えば、バラグリタゾン、シグリタゾン、ダラグリタゾン、エングリタゾン、ロベグリタゾン、ネトグリタゾン、ピオグリタゾン、リボグリタゾン、ロシグリタゾン、およびトログリタゾン)およびサログリタザル(デュアルPPAR-α/γアゴニスト)を含む、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPAR-γ)アゴニスト;エキセンジン-4、アルビグルチド、デュラグルチド、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、セマグルチド、タスポグルチド、CNTO736、CNTO3649、HM11260C(LAPS-Exendin)、NN9926(OG9S7GT)、TT401、およびZY0G1を含む、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体アゴニスト;アログリプチン、アナグリプチン、デュトグリプチン、エボグリプチン、ゲミグリプチン、ゴソグリプチン、リナグリプチン、オマリグリプチン、サキサグリプチン、セプタグリプチン、シタグリプチン、テネリグリプチン、トレラグリプチン、およびビルダグリプチンを含む、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)阻害剤;カナグリフロジン(SGLT1も阻害する)、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、エルツグリフロジン、イプラグリフロジン、ルセオグリフロジン、レモグリフロジン エタボネート、ソタグリフロジン(SGLT1も阻害)、およびトホグリフロジンを含む、ナトリウム-グルコース輸送タンパク質2(SGLT2)阻害剤;メグリチニド(例えば、ミチグリニド、ナテグリニド、およびレパグリニド)、およびスルホニル尿素{第一世代(例えば、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリシルクアミド[トルヘキサミド]、メタヘキサミド、トラザミド、およびトルブタミド)、および第二世代(例えば、グリベンクラミド[グリブライド]、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、およびグリクロピラミド)を含む}を含む、膵臓β細胞上のATP依存性K+(KATP)チャネルの遮断薬;即効性インスリン(例えば、インスリンアスパルト、インスリングルリシン、およびインスリンスリプロ)、中等度作用性インスリン(例えば、NPHインスリン)、および長時間作用性インスリン(例えば、インスリンデグルデク、インスリンデテミル、およびインスリングラルギン)を含む、インスリンおよびそのアナログ;およびそれらのアナログ、誘導体、および塩。ある実施形態において、糖尿病薬は、ビグアニド(例えば、メトホルミン)、チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾン)、またはSGLT2阻害剤(例えば、エンパグリフロジンまたはトホグリフロジン)、またはそれらの任意の組み合わせである、またはそれらを含む。高肥満症薬として、限定されないが、以下が挙げられる:アンフェタミン、デキストロアンフェタミン、アンフェプラモン、クロベンゾレックス、マチンドール、フェンテルミン(トピラメートを含む、または含まない)、およびロルカセリンを含む、食欲抑制薬(食欲減退剤);アミリン、カルシトニン、コレシストキニン(CCK)、GLP-1、レプチン、オキシントモジュリン、膵臓ポリペプチド(PP)、ペプチドYY(PYY)、および神経ペプチドY(NPY)の毛様体神経栄養因子(例えばアキソキン)およびより長時間作用性アナログを含む、満腹感促進剤;カウレルピニン、セチリスタット、エベラクトンAとB、エステラスチン、リプスタチン、オルリスタット、ペルシキニン、パンクリシンA-E、バリラクトン、およびビブララクトンを含む、リパーゼ阻害剤;抗高脂血症薬剤;およびそれらのアナログ、誘導体、および塩。抗高脂血症薬剤として、限定されないが、以下が挙げられる:スタチン{(例えば、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、メバスタチン、モナコリン(例えば、モナコリンK[ロバスタチン])、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、およびシンバスタチン}、およびフラバノン(例えば、ナリンゲニン)を含む、HMG-CoAリダクターゼ阻害剤;ラパキスタット、ザラゴジン酸、およびRPR-107393を含む、スクアレンシンターゼ阻害剤;アントシアニン、アベナシオリド、クロロアセチル化ビオチン、シクロジウム、ジクロホプ、ハロキシホプ、ソラフェン(例えばソラフェンA1α)、5-(テトラデシルオキシ)-2-フランカルボン酸(TOFA)、CP-640186、GS-0976、NDI-010976;7-(4-プロピルオキシ-フェニルエチニル)-3,3-ジメチル-3,4ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;N-エチル-N’-(3-{[4-(3,3-ジメチル-1-オキソ-2-オキサ-7-アザスピロ[4.5]デカ-7-イル)ピペリジン-1-イル]-カルボニル}-1-ベンゾチエン-2-イル)尿素;5-(3-アセトアミドブト-1-イニル)-2-(4-プロピルオキシフェノキシ)チアゾール;および1-(3-{[4-(3,3-ジメチル-1-オキソ-2-オキサ-7-アザスピロ[4.5]デカ-7-イル)ピペリジン-1-イル]-カルボニル}-5-(ピリジン-2-イル)-2-チエニル)-3-エチル尿素を含む、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤;フィブレート(例えば、ベザフィブレート、シプロフィブレート、クリノフィブレート、クロフィブリン酸、クロフィブレート、アルミニウムクロフィブレート[アルフィブレート]、クロフィブレート、エトフィブレート、フェノフィブリン酸、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル、ロニフィブレート、およびシンフィブレート)、イソフラボン(例えば、ダイゼインおよびゲニステイン)、およびペルフルオロアルカノン酸(例えば、ペルフルオロオクタノン酸およびペルフルオロノナン酸)を含む、PPAR-αアゴニスト;エラフィブラノル(デュアルPPAR-α/δアゴニスト)、GFT505(デュアルPPAR-α/δアゴニスト)、GW0742、GW501516(デュアルPPAR-β/δアゴニスト)、ソデルグリタザル(GW677954)、MBX-8025、およびイソフラボン(例えば、ダイゼインおよびゲニステイン)を含む、PPAR-δアゴニスト;チアゾリジンジオン(上記)、サログリタザル(デュアルPPAR-α/γアゴニスト)、4-オキソ-2-チオキソチアゾリン(例えばローダニン)、ベルベリン、ホノキオール、ペルフルオロノナン酸、シクロペンテンオンプロスタグランジン(例えばシクロペンテンオン15-デオキシ-Δ-プロスタグランジンJ2[15d-PGJ2])、およびイソフラボン(例えば、ダイゼインおよびゲニステイン)を含む、PPAR-γアゴニスト;内在性リガンド(例えば、22(R)-ヒドロキシコレステロール、24(S)-ヒドロキシコレステロール、27-ヒドロキシコレステロール、およびコレステノン酸などのオキシステロール)、および合成アゴニスト(例えば、アセチルポドカルピン酸二量体、ヒポコラミド、N,N-ジメチル-3β-ヒドロキシ-コレナミド[DMHCA]、GW3965、およびT0901317)を含む、肝臓X受容体(LXR)アゴニスト;内在性リガンド(例えば9-シス-レチン酸)および合成アゴニスト(例えば、ベキサロテン、AGN191659、AGN191701、AGN192849、BMS649、LG100268、LG100754、およびLGD346)を含む、レチノイドX受容体(RXR)アゴニスト;アバシミド、パクチミブ、ペリトリン、テルペンドールC、およびフラバノン(例えばナリンゲニン)を含む、アシル-CoAコレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT、akaステロールO-アシルトランスフェラーゼ[SOAT]、ACAT1[SOAT1]およびACAT2[SOAT2]を含む)の阻害剤;アラムコール、CAY-10566、CVT-11127、SAR-224、SAR-707、XEN-103;3-(2-ヒドロキシエトキシ)-4-メトキシ-N-[5-(3-トリフルオロメチルベンジル)チアゾール-2-イル]ベンズアミドおよび4-エチルアミノ-3-(2-ヒドロキシエトキシ)-N-[5-(3-トリフルオロメチルベンジル)チアゾール-2-イル]ベンズアミド;1’-{6-[5-(ピリジン-3-イルメチル)-1,3,4-オキザジアゾール-2-イル]ピリダジン-3-イル}-5-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロスピロ[クロメン-2,4’-ピペリジン];5-フルオロ-1’-{6-[5-(ピリジン-3-イルメチル)-1,3,4-オキザジアゾール-2-イル]ピリダジン-3-イル}-3,4-ジヒドロスピロ[クロメン-2,4’-ピペリジン];6-[5-(シクロプロピルメチル)-4,5-ジヒドロ-1’H,3H-スピロ[1,5-ベンゾキサゼピン-2,4’-ピペリジン]-1’-イル]-N-(2-ヒドロキシ-2-ピリジン-3-イルエチル)ピリダジン-3-カルボキサミド;6-[4-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-1-イル]ピリダジン-3-カルボン酸(2-ヒドロキシ-2-ピリジン-3-イルエチル)アミド;4-(2-クロロフェノキシ)-N-[3-(メチルカルバモイル)フェニル]ピペリジン-1-カルボキサミド;共役リノール酸、WO2009/129625A1に開示の置換ヘテロ芳香化合物、SCD-1に対してmRNAを標的とするアンチセンスポリヌクレオチドおよびペプチド核酸(PNA)、およびSCD-1-標的siRNAの、シス-9、トランス-11の異性体、およびトランス-10、シス-12の異性体を含む、ステアロイル-CoAデサチュラーゼ-1(SCD-1、akaステアロイル-CoAδ-9デサチュラーゼ)活性または発現の阻害剤;アナセトラピブ、ダルセトラピブ、エバセトラピブ、トルセトラピブ、およびAMG 899(TA-8995)を含む、コレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)阻害剤;イムプリタピド、ロミタピド、ジルロタピド、ミトラタピド、CP-346086、JTT-130、SLx-4090、MTTPに対してmRNAを標的とするアンチセンスポリヌクレオチドおよびPNA、MTTP標的マイクロRNA(例えば、miRNA-30c)、およびMTTP標的siRNAを含む、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTTP)活性または発現の阻害剤;GLP-1受容体アゴニスト(上記);BMS-986036(ペグ化FGF21)を含む、繊維芽細胞成長因子21(FGF21)、およびそのアナログと誘導体;ベルベリン(PCSK9レベルを低下)、アネキシンA2(PCSK9活性を阻害)、抗PCSK9抗体(例えば、アリロクマブ、ボコシズマブ、エボロクマブ、LGT-209、LY3015014、およびRG7652)、PCSK9に結合するLDL受容体の上皮成長因子-A(EGF-A)ドメインを模倣するペプチド、PCSK9結合アドネクチン(例えば、BMS-962476)、PCSK9に対してmRNAを標的と
するアンチセンスポリヌクレオチドおよびPNA、PCSK9標的siRNA(例えば、インクリシラン[ALN-PCS]およびALN-PCS02)を含む、プロタンパク質コンベルターゼサブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)活性または発現の阻害剤;apoA-I模倣剤(例えば2F、3F、3F-1、3F-2、3F-14、4F、4F-P-4F、4F-IHS-4F、4F2、5F、6F、7F、18F、5A、5A-C1、5A-CH1、5A-CH2、5A-H1、18A、37pA[18AP-18A]、ELK[名称]、ELK-1A、ELK-1F、ELK-1K1A1E、ELK-1L1K、ELK-1W、ELK-2A、ELK-2A2K2E、ELK-2E2K、ELK-2F、ELK-3E3EK、ELK-3E3K3A、ELK-3E3LK、ELK-PA、ELK-P2A、ELKA[名称]、ELKA-CH2、ATI-5261、CS-6253、ETC-642、FAMP[名称]、FREL[名称]、およびKRES[名称])、およびapoE模倣剤(例えば、Ac-hE18A-NH2[AEM-28]、Ac-[R]hE18A-NH2、AEM-28-14、EpK、hEp、mR18L、COG-112、COG-133、およびCOG-1410)を含む、アポリポタンパク質模倣剤ペプチド;ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、α-リノレン酸(ALA)、魚油(例えばDHAおよびEPAを含む)、およびそれらのエステル(例えば、グリセリルおよびエチルエステル)を含む、オメガ-3脂肪酸;およびそれらのアナログ、誘導体、および塩。ある実施形態において、抗肥満剤は、リパーゼ阻害剤(例えばオルリスタット)または/および抗高脂血症薬剤(例えば、アトルバスタチンなどのスタチン、または/および、フェノフィブレートなどのフィブレート)である、またはそれらを含む。抗高血圧薬として、限定されないが、以下が挙げられる:レニン阻害剤(例えば、アリスキレン)、アンギオテンシン転換酵素(ACE)阻害剤(例えばベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、およびトランドラプリル)、アンジオテンシンII受容体1型(ATII1)アンタゴニスト(例えばアジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、フィマサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタンメドキソミル、オルメサルタン、テルミサルタン、およびバルサルタン)、およびアルドステロン受容体アンタゴニスト(例えばエプレレノンおよびスピロノラクトン)を含む、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系(RAAS)のアンタゴニスト;ループ利尿薬(例えばブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、およびトルセミド)、チアジド系利尿薬(例えばベンドロフルメサイアザイド、クロロサイアザイド、ヒドロクロロチアジド、エピチジド、メチクロチアジド、およびポリチアジド)、チアジド様利尿薬(例えばクロルサリドン、インダパミド、およびメトラゾン)、シクレタニン(初期(early)遠位尿細管利尿薬)、カリウム保持性利尿薬(例えばアミロライド、エプレレノン、スピロノラクトン、およびトリアムテレン)、およびテオブロミンを含む、利尿薬;ジヒドロピリジン(例えばアムロジピン、レバムロジピン、シルニジピン、クレビジピン、フェロジピン、イスラジピン、レルカニジピン、ニカルジビン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、およびニトレンジピン)、および非ジヒドロピリジン(例えばジルチアゼムおよびベラパミル)を含む、カルシウムチャネル遮断薬;クロニジン、グアナベンズ、グアンファシン、メチルドパ、およびモクソニジンを含む、α2-アドレナリン受容体アゴニスト;ドキサゾシン、インドラミン、ニセルゴリン、フェノキシベンザミン、フェントラミン、プラゾシン、テラゾシン、およびトラゾリンを含む、α1-アドレナリン受容体アンタゴニスト(α遮断薬);アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、カルテオロール、カルベジロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、ネビボロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、およびチモロールを含む、β-アドレナリン受容体(β1または/およびβ2)アンタゴニスト(β遮断薬);ブシンドロール、カルベジロール、およびラベタロールを含む、混合α/β遮断薬;選択的ETA受容体アンタゴニスト(例えば、アンブリセンタン、アトラセンタン、エドネンタン、シタキセンタン、ジボテンタン、およびBQ-123)、およびデュアルETA/ETBアンタゴニスト(例えば、ボセンタン、マシテンタン、およびテゾセンタン)を含む、エンドセリン受容体アンタゴニスト;ヒドララジン、ミノキシジル、テオブロミン、ニトロプルシドナトリウム、有機ニトレート(例えば一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、およびニトログリセリン、これらは身体で一酸化窒素に変換される)、内皮性一酸化窒素合成酵素(eNOS)刺激物(例えばシクレタニン)、可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化剤(例えばシナシグアトおよびリオシグアト)、ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害剤(例えばアバナフィル、ベンズアミドナフィル、ダサンタフィル、ダイナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、シルデナフィル、タダラフィル、ウデナフィル、バルデナフィル、ジピリダモール、パパベリン、プロペントフィリン、ザプリナスト、およびT-1032)、プロスタグランジンE1(アルプロスタジル)およびそのアナログ(例えば、リマプロストおよびミソプロストール)、プロスタサイクリンおよびそのアナログ(例えば、アタプロスト、ベラプロスト[例えば、エスベラプロスト]、5,6,7-トリノール-4,8-インター-m-フェニレン-9-フルオロ-PGI2、カルバサイクリン、イソカルバサイクリン、クリンプロスト、シプロステン、エプタロプロスト、シカプロスト、イロプロスト、ピミルプロスト、SM-10906(デス-メチルピミルプロスト)、ナキサプロステン、タプロステン、トレプロスチニル、CS-570、OP-2507、およびTY-11223)、および非プロスタノイドプロスタサイクリン受容体アゴニスト(例えば1-フタラジノール、ラリネパグ、セレキシパグ、ACT-333679[MRE-269、セレキシパグの活性代謝物]およびTRA-418)、ホスホリパーゼC(PLC)阻害剤、およびプロテインキナーゼC(PKC)阻害剤(例えばBIM-1、BIM-2、BIM-3、BIM-8、ケレリトリン、シクレタニン、ゴシポール、ミヤベノールC、ミリシトリン、ルバキシスタウリン、およびベルバスコシドを含む、他の血管拡張剤;マグネシウムおよび硫酸マグネシウムを含む、鉱物;および、それらのアナログ、誘導体、および塩。ある実施形態において、血圧降下薬は、チアジドまたはチアジド様利尿薬(例えばヒドロクロロチアジドまたはクロルサリドン)、カルシウムチャネル遮断薬(例えばアムロジピンまたはニフェジピン)、ACE阻害薬剤(例えばベナゼプリル、カプトプリル、またはペリンドプリル)、またはアンジオテンシンII受容体アンタゴニスト(例えばオルメサルタンメドキソミル、オルメサルタン、テルミサルタン、またはバルサルタン)、またはそれらの任意の組み合わせである、またはそれらを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるペプチド生成物は、NASHなどのNAFLDを処置するために、1つ以上の追加の治療薬と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の治療薬は、糖尿病薬、抗肥満剤、抗炎症薬、抗繊維症薬剤、抗酸化剤、抗昇圧薬、およびそれらの組み合わせから選択される。NAFLD(例えばNASH)を処置するために使用可能な治療薬として、限定されないが、以下が挙げられる:
PPAR-δアゴニスト(例えばMBX-8025、エラフィブラノル[デュアルPPAR-α/δアゴニスト]、およびGW501516[デュアルPPAR-β/δアゴニスト])、および、PPAR-γアゴニスト(例えば、ピオグリタゾンおよびサログリタザル[デュアルPPAR-α/γアゴニスト]などのチアゾリジンジオン)を含む、PPARアゴニスト(PPAR-δおよび-γアゴニズムはインスリン感度を増大させ、PPAR-αアゴニズムは脂肪肝を減らし、PPAR-δアゴニズムはマクロファージおよびクップファー細胞の活性化を阻害する);オベチコール酸およびGS-9674などのファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト(FXRアゴニストは、肝臓糖新生、脂質生成、脂肪過多症、および繊維症を減らす);NGM-282などの繊維芽細胞成長因子19(FGF19)、そのアナログおよび誘導体(FGF19アナログは、肝臓糖新生および脂肪過多症を減らす);BMS-986036(ペグ化FGF21)などの繊維芽細胞成長因子21(FGF21)、そのアナログおよび誘導体(FGF21は、脂肪肝、細胞障害、および繊維症を減らす);スタチン(例えば、ロスバスタチン)を含むHMG-CoAリダクターゼ阻害剤(スタチンは、脂肪性肝炎および繊維症を減らす);NDI-010976(肝臓標的)およびGS-0976などのACC阻害剤(ACC阻害剤は、デノボ脂質生成、および脂肪肝を減らす);アラムコールなどのSCD-1阻害剤(SCD-1阻害剤は、脂肪肝を減らし、インスリン感度を増大させる);カナグリフロジン、イプラグリフロジン、およびルセオグリフロジンなどのSGLT2阻害剤(SGLT2阻害剤は、体重、肝臓ALTレベル、および繊維症を減らす);セニクリビロクなどの、CCR2または/およびCCR5のアンタゴニスト(CCR2(CCL2[MCP1]に結合)およびCCR5(CCL5[RANTES]に結合)は、肝臓への炎症細胞(例えばマクロファージ)の活性化および移動を阻害し、肝臓繊維症を軽減する);アポトーシスシグナル調節キナーゼ1(ASK1)阻害剤(例えばセロンセルチブ)およびカスパーゼ阻害剤(例えばエムリカサン[pan-カスパーゼ阻害剤])を含む、アポトーシス阻害剤(アポトーシス阻害剤は、脂肪肝および繊維症を減らす);シムツズマブなどのリシルオキシダーゼ様2(LOXL2)阻害剤(LOXL2は、コラーゲン形成における重要なマトリクス酵素であり、肝臓において高度に発現される);GR-MD-02およびTD139などのガレクチン-3阻害剤(ガレクチン-3阻害剤は、肝臓繊維症の進行に重要である);ビタミンE(例えばα-トコフェロール)、および、活性酸素種(ROS)および遊離基(例えばシステアミン、グルタチオン、メラトニン、およびペントキシフィリン[また、TNF-αおよびホスホジエステラーゼの阻害を介して抗炎症性])のスカベンジャーを含む、抗酸化剤(ビタミンEは脂肪肝、肝細胞風船状拡張、および小葉状炎症を減らす);およびそれらのアナログ、誘導体、および塩。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるペプチド生成物は、NAFLD(例えばNASH)を処置するために、PPARアゴニスト(例えば、エラフィブラノルなどのPPAR-δアゴニスト、または/およびピオグリタゾンなどのPPAR-γアゴニスト)、HMG-CoAリダクターゼ阻害剤(例えばロスバスタチンなどのスタチン)、FXRアゴニスト(例えばオベチコール酸)、または抗酸化剤(例えばビタミンE)、またはそれらの任意の組み合わせと合わせて使用される。ある実施形態において、NAFLD(例えばNASH)の処置のための1つ以上の追加の治療薬は、ビタミンEまたは/およびピオグリタゾンであるか、またはそれを含む。当業者によって理解されるように、他の組み合わせもまた使用され得る。
【0053】
薬物動態(「PK」)パラメータは、Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)バージョン8.1以上(Certara USA,Inc.,Princeton、NewJersey)を使用して推定することができる。投与の血管外経路と一貫する非コンパートメントアプローチは、パラメータの推定のために使用することができる。個々の血漿濃度-時間データは、薬物動態の計算のために使用できる。個々の動物のパラメータ推定値に加えて、記述統計(例えば、平均値、標準偏差、変動係数、中央値、最小値、最大値)を必要に応じて決定できる。定量限界未満の濃度値は、記述統計および薬物動態分析の決定のためにゼロとして扱うことができる。定量限界を下回る埋め込み濃度値は、薬物動態分析から除外できる。すべてのパラメータは、投与日(1日目)の被験物質投与群の血漿中の個々のデュアルアゴニストペプチド(またはその誘導体および/または代謝物)濃度から生成できる。パラメータは、仕様外の用量製剤分析結果が得られない限り、公称用量レベルを使用して推定できる。この場合、実際の用量レベルを使用できる。パラメータは、公称サンプリング時間を使用して推定できる。生物分析サンプル収集の逸脱が文書化されている場合は、影響を受ける時点で実際のサンプリング時間を使用できる。生物分析データは、薬物動態分析のために受け取ったまま使用することができ、提供された単位で表や図に表すことができる。薬物動態パラメータは、分析研究室が提供する単位で計算して表示できる(大きさのオーダーは、レポートで表示するために適切に調整できる。例えば、h*ng/mLをh*μg/mLに変換できる)。記述統計(例えば、平均値、標準偏差、変動係数、中央値、最小値、最大値)および薬物動態パラメータは、必要に応じて有効数字3桁まで決定できる。追加のデータ処理項目は、必要されるように文書化できる。データが許す限り、決定されるPKパラメータには以下が含まれるが、これらに限定されない。Cmax:最大観測濃度、DN Cmax:用量正規化最大濃度、Cmax/用量として計算;Tmax:観察された最大濃度の時間、AUC0-t:線形台形則を使用して計算された、時間0から最後の測定可能な濃度の時間までの曲線下面積、AUC0-96:線形台形則を使用して計算された、0時間から96時間までの曲線下面積、DN AUC0-96:AUC0-96/用量として計算された、用量正規化されたAUC0-96。AUC0-inf:AUC0-inf=AUC0-t+Ct/λzとして計算された、時間0から無限大までの曲線下面積(1日目のみ)であり、ここで、Ctは最後に観察された定量化可能な濃度であり、λzは排出速度定数である;t1/2:ln(2)/λzとして計算される排泄半減期である。当業者に理解されるように、追加のパラメータおよび比較(例えば、性比、用量比例比など)も決定することができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、本開示は、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対する親和性を有する少なくとも1つのデュアルアゴニストペプチドを含む薬学的投与量製剤を提供し、ここで、上記ペプチドは、哺乳動物への投与の際に、疎水性界面活性剤で修飾され、上記投与量は、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、1つ以上の有害事象の減少とともに、血糖値を制御し、および/または体重減少を誘発するように設定されている。いくつかの実施形態において、デュアルアゴニストペプチドは、配列番号1-10または12-27のいずれか1つ、またはその誘導体、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、デュアルアゴニストペプチドは、GLP-1RおよびGCGRに対してほぼ等しい親和性を有し、さらにより好ましい実施形態において、配列番号1である。いくつかの実施形態において、哺乳動物へのデュアルアゴニストペプチドの投与は、セマグルチドのほぼ等モル用量の投与と比較して、投与後約48または96時間での血糖値の低下(任意選択で、少なくとも約10、20、30、40、または50%のいずれかの低下、好ましくは少なくとも約50%低下)、投与後約72時間での血糖値の低下(任意選択で、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%のいずれかの低下、好ましくは少なくとも約100%低下)、ならびに/または投与後約120時間での血糖値の低下を生じる。いくつかの実施形態において、哺乳動物へのデュアルアゴニストペプチドの投与は、セマグルチドのほぼ等モル用量の投与と比較して、全身の体重減少を誘発し、および/または、肝臓の重量減少を誘導する。いくつかの実施形態において、哺乳動物へのデュアルアゴニストペプチドの投与は、セマグルチドのほぼ等モル用量の投与と比較して、より低いCmax(任意選択で、少なくとも約10、20、30、40、50%のいずれかの低下、好ましくは少なくとも約50%低下)を示し、ほぼ等しいかそれ以上のTmax(任意選択で、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%大きい、好ましくは少なくとも約100%大きい)を示し、同様のAUC(0-inf)(任意選択で、その少なくとも約50、60、70、80、90、95、100%のいずれか、好ましくはその少なくとも約80-90%、例えば、その約85-93%)を示し、ほぼ同等またはそれ以上のT1/2(時間)(任意選択で、その少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%のいずれか、好ましくは少なくとも約50または75%、例えば、その約50-75%)を示し、延長されたMRT(時間)(任意選択で、少なくとも約10、20、30、40、または50%の延長、好ましくは少なくとも約25%の延長)を示し、長期にわたるPK/PDプロファイルを示し、同等またはそれ以上の糖調節効果を示し、任意選択ではその約2倍の、より大きな全身の体重減少(任意選択で、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%のいずれか、好ましくは少なくとも約100%低い体脂肪量の低下を誘導し、ならびに/あるいは、NASHを治療するために投与された場合、全身重量減少の増加、肝臓重量減少、NASスコアの改善、脂肪肝の改善、バルーニングの改善、col1A1染色の改善、ALTの改善、肝臓TG/TCの改善、および血漿TG/TCの改善を誘導する。いくつかの実施形態において、哺乳動物へのデュアルアゴニストペプチドの投与は、セマグルチドのほぼ等モル用量の投与と比較して、投薬製剤の投与後約14日までに体重のより大きな損失(任意選択で、少なくとも約10、20、30、40または50%大きい、好ましくは少なくとも約15%大きい)をもたらし、ならびに/または、投薬製剤の投与後約20-28日までの体重のより大きな損失(任意選択で、少なくとも約10、20、30、40、または50%大きい、好ましくは少なくとも約25%大きい)をもたらす。いくつかの実施形態において、哺乳動物へのデュアルアゴニストペプチドの投与は、セマグルチドのほぼ等モル用量の投与と比較して、痩せた正常な哺乳動物の正常な体重範囲に哺乳動物を戻すのに十分な肥満哺乳動物の体重減少をもたらす。
【0055】
有害作用または事象の「低減」、または「減少」とは、GLP1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、GLP1RおよびGCGRに対して均衡がとれた親和性を有するアゴニストの投与後に、対象が経験する有害作用の程度、持続期間、および/または頻度、ならびに対象群における有害作用または発生率の低減を指す。そのような低減には、被験体がそうでなければGLP1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストに応答して経験する、いくつかの悪影響の予防が包含される。そのような低減はまた、GLP1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストの投与後に被験体によって以前に経験された副作用の排除も包含する。いくつかの実施形態において、副作用を「低減」または「減少」とは、有害事象がゼロまたは検出不可能なレベルまで低減される胃腸副作用の低減を包含する。他の実施形態では、副作用は、未処置の対象と同等のレベルまで低減されるが、完全に排除されるわけではない。さらに、GLP-1RまたはGCGRに対する不均衡な親和性を有するアナログを哺乳動物に投与すると、リガンドに対するより低い感受性を用いて受容体を最大限に活性化するために過度に高い用量の必要性をもたらす可能性があり、従って、他のリガンドに対して生物学的に有効な用量を超える可能性をもたらし、用量に関連した望ましくない副作用を引き起こす。
【0056】
本開示はまた、哺乳動物の血糖値を低下および/または安定化するための方法を提供し、この方法は、配列番号1-10または12-27のデュアルアゴニストペプチド(またはその誘導体)、好ましくはGLP-1RおよびGCGR(好ましくは配列番号1)に対してほぼ等しい親和性を有するデュアルアゴニストペプチドを含む薬学的投与量製剤を哺乳動物に投与する工程を含み、この方法は、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニスト(例えば、セマグルチド)と比較して、1つ以上の有害事象の発生率またはその重症度を低減し、有害事象は、哺乳動物への投与の際の、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される。いくつかの実施形態において、そのような方法は、ほぼ等モル用量のセマグルチドが投与される方法と比較して、投与後約48時間または96時間でより低い(10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%低い、好ましくは少なくとも約50%低い)血糖値をもたらし、好ましくは、投与後約72時間でより低い(任意選択で、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%のいずれか低い、好ましくは少なくとも約100%低い)血糖値をもたらし、ならびに/または投与後約120時間でのより低い(任意選択で、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%のいずれかで低い、好ましくは少なくとも約100%低い)血糖値をもたらし、全身の体重減少および/または肝臓の重量減少を誘導し、より低いCmax(任意選択で、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%低く、好ましくは約40-50%低い)、Tmaxとほぼ同等またはそれ以上(任意選択で、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%低い、好ましくは少なくとも約100%高いTmax)、同様のAUC(0-inf)(任意選択で、少なくとも約50、60、70、80、90、95、100%のいずれか、好ましくは少なくともその約80-90%、例えば、その約85-93%)、ほぼ同等またはより大きいT1/2(時間)(任意選択で、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%のいずれかで低い)、好ましくはその少なくとも約50%または75%、またはその約50-75%)、を示し、延長されたMRT(時間)(任意選択で、少なくとも約10、20、30、40、または50%の延長、好ましくは少なくとも約25%の延長)、長期にわたるPK/PDプロファイル、同等またはそれ以上の糖調節効果、より大きな全身の体重減少(任意選択ではその約2倍)、投薬製剤の投与後約14日までのより大きな体重損失(任意選択で、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%のいずれか、好ましくは少なくとも約15%低い)、投薬製剤の投与後約20-28日までのより大きな体重損失(任意選択で、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%のいずれか、好ましくは少なくとも約25%低い)、ならびに/または、方法がNASHを治療するためのものである場合、全身重量減少の増加、肝臓重量減少、NASスコアの改善、脂肪肝の改善、バルーニングの改善、col1A1染色の改善、ALTの改善、肝臓のTG/TCの改善、および血漿トリグリセリド(TG)/総コレステロール(TC)の改善をもたらす
。
【0057】
いくつかの実施形態において、本開示は、脱イオン水(pH7.7±0.1)中のアゴニストペプチド生成物(好ましくは配列番号1)および約0.025-0.075%(w/w)のポリソルベート20(PS-20、Tween 20)、約0.2-0.5%(w/w)アルギニン、脱イオン水(pH7.7±0.1)中の約3-6%(w/w)マンニトールを提供する。好ましい実施形態において、薬学的投与量製剤は、脱イオン水(pH7.7±0.1)中の配列番号1、約0.050%(w/w)のポリソルベート20、約0.348%(w/w)のアルギニン、および約4.260%(w/w)のマンニトールを含むALT-801である。
【0058】
いくつかの実施形態において、F58製剤(すなわち、APIとしてALT-801を含む薬学的製剤)は、ポリソルベート20(PS-20)などの高濃度の界面活性剤を含むように改変して、製剤内でのミセル形成を維持することができる。実施例8参照。これらの結果は、その臨界ミセル濃度(CMC)を達成するために、ALT-801濃度の範囲にわたって使用されるPS-20の最小濃度を特定する。F58製剤中のPS-20の濃度(すなわち、0.5mg/ml)を上げて、CMCを達成し、+2-8℃で保存した場合に溶液のかすんだ外観(溶液から沈殿する大きな凝集体を示す)を回避することができる。本明細書の実施例8に示されるように、これは、CMCを達成するためにペプチド(好ましくは配列番号1)1mgあたり少なくとも約0.66mgのPS-20を含むようにF58製剤を改変することによって達成することができる。いくつかの実施形態において、F58製剤は、CMCを達成するためにペプチド(好ましくは配列番号1)1mg当たり少なくとも約1.03mgのポリソルベート80(PS-80、Tween80)の量で、PS-20をポリソルベート80(PS-80、Tween80)で置換するように改変することができる。。
【0059】
いくつかの実施形態において、薬学的投与量製剤は防腐剤を含む。特定の実施形態において、防腐剤は、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ベンジルアルコール、クロロブタノール、フェノール、メタクレゾール、クロロクレゾール、安息香酸、ソルビン酸、チオメルサール、硝酸フェニル水銀、ブロノポール、プロピレングリコール、塩化ベンジルコニウム、または塩化ベンゼトニウムから選択することができる。
【0060】
いくつかの実施形態において、本開示は、約0.72mg/kg/用量未満、任意選択で約0.001-0.72mg/kg/用量にて、アゴニストペプチド生成物(例えば、配列番号1)を哺乳動物に投与するために設定された薬学的投与量製剤を提供する。いくつかの実施形態において、薬学的投与量製剤は、哺乳動物に0.36mg/kg/用量未満のアゴニストペプチド生成物を投与するように設定される。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、0.001-0.3mg/kg/用量の間、任意選択で約0.007mg/kg、または約0.014mg/kg、または約0.03mg/kg、または約0.07mg/kg、または約0.18mg/kg、または約0.25mg/kg/用量を投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、薬学的投与量製剤は、週に約0.05から約20mgの間、任意選択で週に0.1から約10mgの間、または任意選択で週に約1から約7mgの間、または任意選択で週に約1から5mgの間を投与するように設定することができる。いくつかの実施形態において、薬学的投与量製剤は、週に1回、最大6週間、哺乳動物に投与されるように設定される。いくつかの実施形態において、本開示は、治療用量に達するまでの時間が約4週間以下であるように設定された薬学的投与量製剤を提供する。いくつかの実施形態において、治療用量は、約10-約2000ng/mlのCmax、約10時間から約168時間までのTmax、および/または、約1,000-100,000h*ng/mLのAUC0-168を示す。いくつかの実施形態において、ALT-801は、約5-1000ng/ml、または約50ng/ml、または約150ng/ml、または約250ng/ml、または約500ng/mlの血漿濃度を達成するために繰り返し投与され得る。
【0061】
いくつかの実施形態において、本開示は、約0.72mg/kg/用量未満、任意選択で約0.001mg/kg/用量から約0.36mg/kg/用量未満まで、または任意選択で、約0.36mg/kg/用量のアゴニストペプチド生成物を哺乳動物に投与する工程を含む、本明細書に記載の方法を提供する。そのような方法の好ましい実施形態において、約0.36mg/kg/用量未満が哺乳動物に投与される。いくつかの実施形態において、各用量は、約1週間に1回または2週間に1回、任意選択で少なくとも1ヶ月間投与され、任意選択で、各用量は、ほぼ同程度のアゴニストペプチド生成物を含む。いくつかの実施形態において、そのような方法は、約0.72mg/kg/用量を1回投与し、続いて約0.001mg/kg/用量-約0.36mg/kg/用量の1回以上のその後の用量を投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は、0.001-0.30mg/kg/用量の間、任意選択で約0.007mg/kg、または約0.014mg/kg、または約0.03mg/kg、または約0.07mg/kg、または約0.18mg/kg、または約0.25mg/kg/用量を投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、薬学的投与量製剤は、週に約0.05から約20mgの間、任意選択で週に0.1から約10mgの間、または任意選択で週に約1から約7mgの間、または任意選択で週に約1から5mgの間を投与するように設定することができる。
【0062】
好ましい実施形態において、そのような方法は、薬学的投与量製剤を皮下投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、約0.03-0.25mg/kg/用量で薬学的投与量製剤を哺乳動物に投与する工程を含む、このような方法は、約50-約1000ng/mlのCmax、約10時間から約96時間までのTmax、および/または約5,000-80,000h*ng/mLのAUC0-168を示す。いくつかのそのような方法では、治療用量に達するまでの時間は約4週間以下である。いくつかの実施形態において、治療用量は、約50-約700ng/mlのCmax、約10時間から約72時間までのTmax、および/または、約6,000-70,000h*ng/mLのAUC0-168を示す。
【0063】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、治療開始段階を含まない。言い換えれば、最初に投与された用量は、胃腸の有害な副作用を避けるためにタイトレートする必要なしに治療的である。例えば、いくつかの実施形態において、この方法は、配列番号1などの本開示のペプチドの最初の1回または複数回の用量(治療開始段階)を投与し、続いて、2回目の1回または複数回およびそれ以上の用量の1回目および2回目の用量のそれぞれが1週間以上投与される。いくつかの実施形態において、第1の用量および第2の用量に続いて、第2の用量より高くてもよい1回または複数回の第3の用量を行うことができる。1回目、2回目、3回目からの切り替えは週単位で可能である。例えば、最初の用量が1週間以上経過しても血糖値の低下および/または体重減少を誘導しなかったと思われる場合、2回目の高用量を1週間以上投与した後、次いで、2回目の用量の効果の分析を行うことができる。有益な効果が観察された場合(例えば、血糖値および/または体重の低下)、2回目の用量を投与し続けることができる。有益な効果が観察されない場合、3回目の用量を1週間以上投与し、その後、有益な効果を測定し得る。この投与と分析のサイクルは、各投与に伴って有害事象が観察されない限り、必要に応じて繰り返すことができる。いくつかの実施形態において、最初の1回または複数回の投与の約4週間後に血糖制御(例えば、血糖値の低下)が達成されなかったため、ペプチドのその後の2回目またはそれ以上の用量を投与する工程ができる。いくつかの実施形態において、最初の1回以上の用量は、治療効果(例えば、血糖値の低下および/または体重減少)を生じる意図なしに投与することができる。しかし、いくつかの実施形態において、方法は、治療開始段階を含まずに実施することができる。
【0064】
いくつかの実施形態において、本方法は、ヒトの血糖制御および/または体重減少のための最初の適用(indication)であり得、これは、ヒトにおいて血糖値を制御すること、および/または体重減少を誘導することの目的で患者に投与される最初で唯一の活性剤であることを意味する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、食事および/または運動の補助治療を含むことができる。そのような実施形態において、ヒトに薬学的投与量を投与し、薬学的投与量の有益な効果を増強することができる食事および/または運動に関する指示を与えることができる。いくつかの実施形態において、医薬用量が投与されるヒトは、2型真性糖尿病を有する。いくつかの実施形態において、ヒトは、2型真性糖尿病を伴うかまたは伴わない、確立された心血管疾患を示し得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、薬学的投薬量は、ほぼ毎週投与される。いくつかの実施形態において、薬学的投薬量は、約2週間から約8週間、またはそれ以上、ほぼ毎週、ヒトに投与される。いくつかの実施形態において、1週間の用量としての約4から約8週間、任意選択では約6週間のヒトに投与される薬学的投与量は、セマグルチドのおおよその等モル用量の投与と比較して、ほぼ1週目、ほぼ2週目、ほぼ3週目、ほぼ4週目に、より大きな全身体重減少をもたらす。いくつかの実施形態において、医薬投薬量は、およそ1、8、15、22、29、および36日目に投与される。いくつかの実施形態において、本方法は、単回用量であるヒトへの投与を含み得、セマグルチドのおよそ等モル投与量の投与と比較して、投与後約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日または約7日で、より低い血糖値をもたらす。いくつかの実施形態において、本方法は、約4-約8週間、任意選択で6週間の間の週間用量であるヒトへの投与を含み得、セマグルチドのおよそ等モル投与量の投与と比較して、投与後約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間または約7週間で、より大きな体重減少をもたらす。いくつかの実施形態において、本方法は、単回用量であるヒトへの投与を含み得、セマグルチドのおよそ等モル投与量の投与と比較して、投与後約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日または約7日で、より低いCmaxをもたらす。いくつかの実施形態において、本方法は、約0.5mg/用量、約1.0mg/用量、約1.5mg/用量、約2.0mg/用量、約2.5mg/用量、約3.0mg/用量、約3.5mg/用量、約4.0mg/用量、約4.5mg/用量、約5.0mg/用量、または約5.5mg/用量で薬学的投薬量を成人に投与する工程を含むことができる。いくつかの実施形態において、薬学的投与量は、約1週間に1回または2週間に1回、任意選択では少なくとも1ヶ月間投与することができ、任意選択で、各用量は、ほぼ同量のアゴニストペプチド生成物を含む。いくつかの実施形態において、薬学的投与量は皮下投与することができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の用量は、第1の経路(例えば、皮下)を介して投与することができ、その後、異なる経路(例えば、経口)によって投与することができる。いくつかの実施形態において、治療用量に達するまでの時間は、約4週間以下である。いくつかの実施形態において、薬学的投与量製剤の投与は、約400-約1300ng/mlのCmax、約10時間から約36時間までのTmax、および/または、約15,000-45,000h*ng/mLのAUC0-48を示す。好ましい実施形態において、ヒトの体重減少は少なくとも5%、少なくとも10%、または約1%から約20%;または約5%から約10%(w/w)である。いくつかの実施形態において、哺乳動物へのその投与は、肥満の哺乳動物において、そのヒトを痩せた正常なヒトの正常な体重範囲に戻すのに十分な体重減少をもたらす。いくつかの実施形態において、肥満を示す体格指数(BMI)(例えば、約30以上)を有するヒトへの投与は、適切な時間の間(例えば、約2、4、8、10、20、または30-100週間後、約50、60、または70週間のいずれかなど)、約15%など、約5-20%の体重の減少を示す。好ましい実施形態において、そのようなヒトの体重減少は有意である(例えば、P<0.001、95%信頼区間(CI))。いくつかの好ましい実施形態において、約4週間以内に、ヒトへの投与は、体重の少なくとも約2-5%の減少をもたらし、いくつかの実施形態において、投与が中止されるまで継続および/または安定化する。いくつかの実施形態において、体重減少に加えて、投与はまた、胴囲、BMI、収縮期血圧および拡張期血圧、HbA1c、空腹時血漿グルコース、C反応性タンパク質、および/または空腹時脂質レベルの大幅な低下を含む心血管危険因子を改善し、ならびに、いくつかの実施形態において、身体機能スコアおよび生活の質を改善することもできる。いくつかの実施形態において、薬学的投与量製剤は、ポリソルベート20、アルギニン、またはマンニトールのうちの1つ以上を含む水性製剤である。
【0066】
開示の特定の態様
本開示の好ましい態様は、以下を含む:
グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対する親和性を有するアゴニストペプチド生成物を含む薬学的投与量製剤であって、上記ペプチドは非イオン性糖脂質界面活性剤で修飾され、上記投与量は、哺乳動物への投与の際に、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つ以上の有害事象の減少により血糖値の制御を改善するように設定され、上記有害事象は、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される。
【0067】
グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対する親和性を有するアゴニストペプチドを含む薬学的投与量製剤であって、上記ペプチドは非イオン性糖脂質界面活性剤で修飾され、上記投与量は、哺乳動物への投与の際に、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つ以上の有害事象の減少により体重減少を誘導するように設定され、上記有害事象は、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、薬学的投与量製剤。
【0068】
上記体重減少が、少なくとも5%、少なくとも10%、または約1%から約20%まで、または約5%から約10%(w/w)までである、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0069】
上記投与量が、約2週間から約8週間までの投与のために任意選択で設定されている、週1回の剤形として設定されている、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0070】
上記哺乳動物への単回用量の投与が、セマグルチドのほぼ等モル投与量の投与と比較して、投与後約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日で血糖値の低下をもたらす、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤 。
【0071】
約4-約8週間、任意選択で約6週間の哺乳動物への投与が、セマグルチドのほぼ等モルの投与量の投与と比較して、投与後約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、または約7週間で、より大きな全身の体重減少をもたらす、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0072】
上記哺乳動物への単回用量の投与が、セマグルチドのほぼ等モル投与量の投与と比較して、投与後約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日で、より低いCmaxを示す、いずれかの先行する態様に記載の記載の薬学的投与量製剤。
【0073】
デュアルアゴニストペプチドが配列番号1-10または12-27のいずれか1つである、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0074】
デュアルアゴニストペプチドがGLP-1RおよびGCGRに対してほぼ等しい親和性を有し、任意選択でデュアルアゴニストペプチドが配列番号1である、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0075】
上記界面活性剤が1-アルキルグリコシドクラスの界面活性剤である、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0076】
ポリソルベート20、アルギニン、またはマンニトールのうちの1つ以上を含む水性製剤として存在する、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0077】
哺乳動物への薬学的投与量製剤の投与が、セマグルチドのほぼ等モル用量の投与量の投与と比較して、
投与後約48時間または96時間で血糖値が低下し、任意選択で上記血糖値は約50%低下すること、
投与後約72時間で血糖値が低下し、任意選択で上記血糖値は約100%低下すること、および/または、
投与後約120時間で血糖値が低下すること
を生じる、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0078】
いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤であって、
a)哺乳動物への上記投与量製剤の投与が、
全身の体重減少を誘導し、および/もしくは、
肝臓の重量減少を誘導し、
ならびに/または、
b)哺乳動物への上記投与量製剤の投与が、ほぼ等モル用量で投与されたセマグルチドと比較して、
より低いCmaxを示し、任意選択で約50%低いCmaxを示し、
ほぼ等しいかもしくはより大きなTmaxを示し、任意選択で約100%長いTmaxを示し、
同様のAUC(0-inf)を示し、任意選択でその約85-93%を示し、
ほぼ等しいかもしくはより長いT1/2(時間)を示し、任意選択でその約25-75%を示し、
任意選択で少なくとも約25%高い、延長されたMRT(時間)を示し、
長期にわたるPK/PDプロファイルを示し、
ほぼ同等もしくはそれ以上の糖調節効果を示し、
より大きな全身の体重減少、任意選択で約2倍の体重減少を誘導し、
任意選択で約50-100%低い、体脂肪量の減少を誘導し、ならびに/または、
NASHを治療するために投与する場合に、全身の体重減少、肝臓の重量減少、NASスコアの改善、肝脂肪症の改善、バルーニングの改善、col1A1染色の改善、ALTの改善、肝臓のTG/TCの改善、および血漿TG/TCの改善を誘導する、
いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
。
【0079】
哺乳動物への投与が、ほぼ等モル用量で投与されるセマグルチドと比較して、投与量製剤の投与後約14日までに体重が大幅に減少し、任意選択で約15%多い減少をもたらし、および/または、投与製剤の投与後約20-28日までに体重が大幅に減少し、任意選択で約25%多い減少をもたらす、先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0080】
上記哺乳動物への投与が、痩せた正常哺乳動物の正常体重範囲に上記哺乳動物を戻すために十分な肥満哺乳動物の体重減少をもたらす、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0081】
緩衝剤または浸透圧調整剤から選択される1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0082】
界面活性剤をさらに含む、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0083】
デュアルペプチドアゴニストの濃度が0.05-20mg/mlである、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0084】
デュアルペプチドアゴニストの濃度が0.1-10mg/mlである、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0085】
デュアルペプチドアゴニストのpHが6-10である、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0086】
約0.025-0.15%(w/w)のポリソルベート20またはポリソルベート80、約0.2-0.5%(w/w)のアルギニン、約3-6%(w/w)のマンニトール水溶液(pH7.7±1.0)、任意選択で約0.050%(w/w)ポリソルベート20、約0.35%(w/w)アルギニン、約4.3%(w/w)マンニトール水溶液(pH7.7±1.0)を含む、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0087】
ALT-801(配列番号1)1mg当たり、約0.2-0.5%(w/w)のアルギニン、約3-6%(w/w)のマンニトール、および0.6-1.0mgのポリソルベート20または1.0-1.5mgのポリソルベート80水溶液(pH7.7±1.0)を含む、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0088】
上記哺乳動物に投与されるように設定され、上記アゴニストペプチド生成物が、約0.25mg/kg/用量未満、任意選択で約0.001mg/kg/用量を超え、約0.15mg/kg/用量未満である、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0089】
上記哺乳動物に0.25mg/kg/用量未満のアゴニストペプチド生成物を投与するように設定されている、先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0090】
0.001-0.15mg/kg/用量の間、任意選択で約0.03mg/kg/用量または約0.10mg/kg/用量を投与するように設定されている、先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0091】
1週間あたり約0.1から約15mgの間、任意選択で1週間あたり約1-約7mgの間、または任意選択で1週間あたり約1-5mgの間でヒトに投与するように設定されている、先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0092】
上記哺乳動物に、週1回、少なくとも6週間、または最大6週間投与するように設定されている、先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0093】
治療用量に達するまでの時間が約4週間以下であるように設定されている、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0094】
治療用量が約10-約300ng/mlのCmax、約10時間から約36時間までのTmax、および/または、約1,000-100,000h*ng/mLのAUC0-168を示す、先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0095】
哺乳動物の血糖値を低下させるための方法であって、上記方法は、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤を哺乳動物に投与する工程を含み、上記方法は、
a)哺乳動物への投与の際に、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される1つ以上の有害事象の発生率を低下させ、
b)ほぼ等モル用量のセマグルチドを投与する方法と比較して、投与後約48時間または96時間で約50%低い血糖値を生じ、投与後約72時間で約100%低い血糖値を生じ、および/または、投与後約120時間で血糖値が低下し、
c)全身の体重減少を誘導し、および/または肝臓の重量減少を誘導し、
d)ほぼ等モル投与量のセマグルチドが投与される方法と比較して、
より低いCmaxまたは任意選択で約50%低いCmax、
ほぼ等しいかそれ以上のTmax、または任意選択で約100%大きいTmax、
同様のAUC(0-inf)または任意選択で約85-93%のAUC(0-inf)、
ほぼ等しいかまたはより低いT1/2(時間)、または任意選択で約50-75%のT1/2(時間)、
延長されたMRT(時間)、または任意選択で少なくとも約25%高いMRT(時間)、
同等またはより高い糖調節効果を示す、延長されたPK/PDプロファイル、
より大きな全身の体重減少、または任意選択で約2倍の全身の体重減少、
より低い体脂肪量、任意選択で約100%低下した体脂肪量、および/または、
上記方法がNASHを治療するためのものである場合、全身の体重減少量の増加、肝臓重量の減少、NASスコアの改善、肝脂肪症の改善、バルーニングの改善、col1A1染色の改善、ALTの改善、肝臓TG/TCの改善、および血漿TG/TCの改善を生じ、
e)ほぼ等モル用量で投与されたセマグルチドと比較して、上記投与量製剤の投与後約14日までにより大きな体重減少を、任意選択で約15%大きな体重減少をもたらし、および/または、投与量製剤の投与後約20-28日までに、より大きな体重減少を、任意選択で約25%大きな体重減少をもたらし、および/または、
f)肥満の哺乳動物の体重を、やせた正常な哺乳動物の正常な体重範囲に戻すために十分な、上記哺乳動物の体重減少をもたらす、方法。
。
【0096】
哺乳動物において体重減少を誘導するための方法であって、上記方法は、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤を哺乳動物に投与する工程を含み、上記方法は、GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つ以上の有害事象の発生率を低下させ、上記有害事象は、哺乳動物への投与の際の、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、方法。
【0097】
デュアルアゴニストペプチドが配列番号1-10または12-27のいずれか1つである、先行する態様に記載の方法。。
【0098】
デュアルアゴニストペプチドがGLP-1RおよびGCGRに対してほぼ等しい親和性を有し、任意選択で上記デュアルアゴニストペプチドが配列番号1である、先行する態様に記載の方法。。
【0099】
薬学的投与量がほぼ毎週投与される、先行する態様に記載の方法。。
【0100】
薬学的投与量が皮下投与される、いずれかの先行する態様に記載の方法。
【0101】
薬学的投与量が、約2週間から約8週間まで、またはそれ以上、ほぼ毎週投与される、いずれかの先行する態様に記載の方法。
【0102】
セマグルチドのほぼ等モル投与量の投与と比較して、約4-約8週間、任意選択で約6週間、毎週の用量として哺乳動物に薬学的投与量を投与することが、哺乳動物への投与後、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、または約7週間で、全身体重のより大幅な減少を生じる、いずれかの先行する態様に記載の方法。
【0103】
約0.25mg/kg/用量未満、任意選択で約0.001mg/kg/用量超から約0.15mg/kg/用量未満でアゴニストペプチド生成物を哺乳動物に投与する工程を含む、いずれかの先行する態様に記載の方法。
【0104】
上記哺乳動物は約0.25mg/kg/用量未満で投与される、先行する態様に記載の方法。
【0105】
アゴニストペプチド生成物を0.001-0.15mg/kg/用量、任意選択で約0.03mg/kg/用量または約0.10mg/kg/用量で投与するように設定されている、いずれかの先行する態様に記載の方法。
【0106】
各用量が、約1週間に1回または2週間に1回、任意選択で少なくとも1ヶ月間投与され、任意選択で、各用量は、ほぼ同程度のアゴニストペプチド生成物を含む、いずれかの先行する態様に記載の方法。
【0107】
約0.25mg/kg/用量未満を1回投与し、続いて約0.03mg/kg/用量から約0.10mg/kg/用量の1回以上の後続の用量を投与することを含む、いずれかの先行する態様に記載の方法。
【0108】
アゴニストペプチド生成物を0.001-0.15mg/kg/用量の間で投与することを含む、いずれかの先行する態様に記載の方法。
【0109】
上記薬学的投与量製剤が、約0.025-0.15%(w/w)のポリソルベート20またはポリソルベート80、約0.2-0.5%(w/w)のアルギニン、約3-6%のマンニトール水溶液(pH7.7±1.0)を含み、任意選択で、約0.050%(w/w)ポリソルベート20、約0.35%(w/w)アルギニン、約4.3%(w/w)マンニトール水溶液(pH7.7±1.0)を含み、任意選択で、デュアルアゴニストペプチドは配列番号1である、いずれかの先行する態様に記載の方法。
【0110】
。上記製剤が、ALT-801(配列番号1)mg当たり、約0.2-0.5%(w/w)アルギニン、約3-6%(w/w)マンニトール、および0.6-1.0mgのポリソルベート20または1.0-1.5mgのポリソルベート80水溶液(pH7.7±1.0)を含む、いずれかの先行する態様に記載の方法。
【0111】
上記薬学的投与量製剤の投与が、1週間あたり約0.1から約15mgの間で、任意選択で1週間あたり約1-約7mgで、または任意選択で1週間あたり約1-5mgでヒトに投与するように設定されている、いずれかの先行する態様に記載の方法。
【0112】
治療用量に達するまでの時間が約4週間以下である、いずれかの先行する態様に記載の方法。
【0113】
グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対して親和性を有するアゴニストペプチド生成物を含む、皮下投与用に設定されている薬学的投与量製剤であって、上記ペプチド生成物が配列番号1として表され、上記投与量は、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つ以上の有害事象の減少により血糖値の制御を改善するように設定され、上記有害事象は、哺乳動物への投与の際の、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、薬学的投与量製剤。
【0114】
グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対して親和性を有するアゴニストペプチドを含む、皮下投与用に設定されている薬学的投与量製剤であって、上記ペプチド生成物が配列番号1として表され、上記投与量は、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つ以上の有害事象の減少により体重減少を誘導するように設定され、上記有害事象は、哺乳動物への投与の際の、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、薬学的投与量製剤。
【0115】
上記体重減少が少なくとも5%、少なくとも10%、または約1%-約20%、または約5%-約10%(w/w)である、先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0116】
上記投与量が週1回の剤形として設定され、任意選択で約2週間から約8週間の投与のために設定される、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0117】
上記製剤が、ALT-801(配列番号1)のmg当たり、約0.2-0.5%(w/w)のアルギニン、約3-6%(w/w)のマンニトール、および0.6-1.0mgのポリソルベート20または1.0-1.5mgのポリソルベート80水溶液(pH7.7±1.0)を含む、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0118】
哺乳動物への単回用量の投与が、セマグルチドのほぼ等モル投与量の投与と比較して、投与後約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日でより低いCmaxを示す、先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0119】
上記投与量が、1週間あたり約0.1mgから約15mgの間で、任意選択で1週間あたり約1-約7mg、または任意選択で1週間あたり約1-5mgでヒトに投与するように設定されている、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。。
【0120】
哺乳動物に週1回、少なくとも6週間、または最大6週間投与されるように設定されている、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0121】
上記投与量が、最初の毎週の投与後、約4週間以内に治療用量に達するように設定される、いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0122】
上記治療用量が、約10-約300ng/mlのCmax、任意選択で200ng/ml未満のCmax、約10時間から約36時間までのTmax、および/または、約1,000-100,000h*ng/mLのAUC0-168を示す、先行する態様に記載の薬学的投与量製剤。
【0123】
いずれかの先行する態様に記載の薬学的投与量製剤を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物の体重減少を誘導する方法であって、上記方法は、GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つ以上の有害事象の発生率を低下させ、上記有害事象は、哺乳動物への治療用量での投与の際の悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、方法。
【0124】
上記薬学的投与量がほぼ毎週投与され、初期用量が治療用量である、先行する態様に記載の方法。
【0125】
上記薬学的投与量が、ほぼ毎週、約2週間から約8週間まで、またはそれ以上投与される、先行する態様に記載の方法。
【0126】
当業者によって理解されるように、本開示の他の態様も企図される。
【0127】
別段の定義がない限り、または本明細書での使用によって別段の明確な指示がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本出願が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される用語「a」または「an」は、1つ以上を意味する。本明細書で使用される用語「別の」は、第2のまたはそれ以上を意味する。頭字語の「aka」は、としても知られていることを意味する。本明細書で使用される「例示的な」という用語は、「例、例示、または実例として役立つ」ことを意味する。本明細書で「例示的」と特徴付けられる任意の実施形態または特徴は、必ずしも他の実施形態または特徴よりも好ましいかまたは有利であると解釈される必要はない。いくつかの実施形態において、用語「約」または「およそ」は、指定された値の±10%または5%以内を意味する。「約」または「およそ」という用語が、一連の2つ以上の数値において、または一連の2つ以上の数値の範囲において、最初の数値の前にある場合はいつでも、「約」または「およそ」という用語は、その一連の数値またはその一連の数値範囲の数値のそれぞれの数値に適用される。範囲は、本明細書において、約1つの特定の値から、および/または約別の特定の値までとして表現され得る。そのような範囲が表現される場合、別の態様は、ある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、約またはおよその先行詞の使用により、値が概算として表される場合、特定の値が別の側面を形成することが理解される。範囲のそれぞれの終点は、他の終点との関連性と、他の終点と独立であることの両方において重要であることがさらに理解される。範囲(例えば、90-100%)は、範囲自体だけでなく、各値が個別にリストされているかのように、範囲内の各独立した値を含むことを意味する。任意選択または任意選択でとは、その後に記述された事象または状況が発生する可能性があること、または発生しない可能性があること、およびその記述が事象または状況が発生する場合と発生しない場合を含むことを意味する。本明細書で言及されたすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願があたかも参照によって組み込まれることが具体的かつ個別に示された場合と同じ程度まで、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0128】
特定の実施形態は、以下の実施例でさらに説明される。これらの実施形態は、例としてのみ提供され、いかなる場合においても特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0129】
実施例1.ペプチド合成
典型的なN-α-Fmocベースのペプチド合成に首尾よく使用できる多くの標準的な保護基およびカップリング剤が存在する。典型的な例は、米国特許第9,856,306B2号に列挙されており、これは参照によりその全体が本開示に組み込まれる。さらなる例は、多くのレビューやプロトコール、例えば、Novabiochemによって公開され定期的にオンラインで更新されるもの、およびより専門的なレビュー(Behrendt,R.,etal.(2015)JPeptideSci22:4-27およびその中の参考文献など)で見つけることができる。多くの契約ペプチド合成会社によって使用される典型的な商用プロトコールが、本明細書の合成に使用された。より専門的なプロトコールを以下に示す。
【0130】
C末端アミドアナログの調製-配列番号1.
Boc-His(Trt)-Aib-Gln(Trt)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(tBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Lys(Boc)-Tyr(tBu)-Leu-Asp(tBu)-Glu*-Lys(ivDDE)-Ala-Ala-Lys*-Glu(tBu)Phe-Ile-Gln(Trt)-Trp(Boc)-Leu-Leu-Gln(Trt)-Thr(tBu)-Rinkアミド樹脂(配列番号1)のサンプルは、標準的なカップリングプロトコール、例えば、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)/ヒドロキシベンズトリアゾール(HBT)カップリング、続いてピペラジンによる標準的な脱保護、次のステップのカップリングなどを用いて、N-α-Fmoc保護アミノ酸を順次付加することによって調製した(Glu*およびLys*は、側鎖環状ラクタム結合を示し、Pd(PPh3)4/1,3-ジメチルバルビツール酸触媒を使用するアリルベースの側鎖保護の脱保護、NMP中のDIPEAおよび0.5%ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物およびDIPEAで洗浄すること、その後DIC/Oxymaとのカップリングによって達成される)。DMF中の2%以上のヒドラジン水和物とのインキュベーションによる残基17のLys-N-ε位置のivDDE基の脱保護、続いてDMF/CH2Cl2による洗浄、Lys側鎖は、tert-ブチル18-([ベータ-D-グルクロン-1-イル]オキシ)オクタデカノエートは、DIC/HBtまたは他のカップリング剤を使用して、DMF/CH2Cl2中でアシル化した。カップリングの完了をニンヒドリンによってチェックし、生成物をCH2Cl2で十分に洗浄した。
【0131】
生成物樹脂は、室温で240分間、切断カクテル(94%TFA:2%EDT;2%H2O;2%TIS)で処理することにより、最終的な脱保護および樹脂からの切断を受ける。混合物をEt2Oで処理して、生成物を沈殿させ、Et2Oで十分に洗浄して、真空で乾燥させた後、表題ペプチド粗生成物を得た。
【0132】
逆相(C18)hplcによりバッチで精製を実行する。粗ペプチドを流速約15mL/分で4.1×25cmのhplcカラムにロードし(0.1%トリフルオロ酢酸水溶液中のCH3CN有機修飾剤、緩衝液A;0.1%TFAを含むCH3CN、緩衝液B)、40-70%緩衝液Bからの勾配で溶出した。生成物画分を凍結乾燥して、分析用hplc(10.5分;0.1%TFA中40-70%CH3CN)/質量分析(M+1ピーク=1937.44;分子量実測値3872.88)による純度>94%で表題生成物ペプチド(配列番号1)を得る。同様の様式で、実施例に示されるように調製されたグルクロン酸またはメリビウロン酸を使用して、本発明の他のアナログを調製した。
【0133】
【0134】
化合物をhplc/MSによって分析して、純度データおよび同一性データを提供する(分子イオン検出)。hplc技術は、リストされた粒径のリストされた材料が充填された分析カラムを利用し、データはk’値(k’=(Tr-T0)/T0)としてここに報告され、これは、システム構成およびデッドボリュームとは大部分独立しているが、グラジエントと充填剤に依存する。すべての化合物は、約95%の純度であると報告された。
【0135】
表題化合物の対応する1-メチルおよび1-オクチルアナログは、同様の様式で、しかしD-グルクロン酸および1’-オクチルβ-D-グルクロン酸(Carbosynth)を使用して調製した。1-デシル、1-ドデシル、1-テトラデシル、1-ヘキサデシル、1-オクタデシルおよび1-エイコシルならびにより大きなアナログは、上記のように調製された対応する単糖および二糖ウロン酸を使用して調製される。あるいは、1-アルキルグルクロニルまたは他のウロン酸アシル化アナログは、脱保護または部分的に脱保護されたペプチドの最初の精製、続いて所望のウロン酸試薬によるアシル化によって調製され得る。あるいは、1-アルキルグルクロニル、または他のウロン酸アシル化アナログは、組換えにより調製されたペプチドの最初の精製、続いて所望のウロン酸試薬による側鎖アミノ官能基の選択的アシル化によって調製され得る。
【0136】
A.1-アルキルβ-d-グルクロン酸。一般的な酸化法。
アセトニトリル20mLおよび脱イオン水20mL中の1-ドデシルβ-d-グルコピラノシド[2.0g、5.74mmol]の溶液に、(ジアセトキシヨード)ベンゼン[4.4g、13.7mmol]およびTEMPO[0.18g、1.15mmol]を加えた。反応が完了するまで(20時間まで)、得られた混合物を室温で撹拌した。反応混合物を水で希釈し、凍結乾燥して粗生成物を、ペプチドLys側鎖へのカップリングに直接使用するのに十分な純度の白色粉末として得た(1.52g、73%)。同様の様式で、本明細書に記載の他のペプチド生成物をアシル化するために使用される他の1-アルキルβ-d-グルクロン酸またはメリビウロン酸を調製した。対応する1置換グルコシドまたはメリボシドは、これらの実施例の手順を使用して調製したが、適切な鎖長のジカルボン酸出発物質を置換して、オクタデカン二酸の代わりに、実施例の合成手順から所望の鎖長、例えば、ヘキサデカン二酸、ドデカン二酸などを生成した。
【0137】
B.18-(tertブトキシ)-18-オキソオクタデカン酸
トルエン(500ml)中のオクタデカン二酸(40g、127mmol)の懸濁液を、窒素下にて95℃で加熱した。得られた溶液に、N,N-ジメチルホルムアミドジ-tert-ブチルアセタール(98g、434mmol)を3ー4時間かけて滴下した。反応物を同じ温度で一晩撹拌し、真空中で濃縮乾固し、そして高真空下に一晩置いた。得られた固形物を、加熱および超音波処理しながらCH2Cl2(200ml)に懸濁し、室温で濾過し、CH2Cl2で洗浄した。濾液(2)を濃縮して、生成物を固形物(45g、86%)として得、これをさらに精製することなく使用した。
【0138】
C.18-ヒドロキシオクタデカン酸tert-ブチル
THF中の18-(tertブトキシ)-18-オキソオクタデカン酸(45g、121mmol)の溶液を窒素下にて氷浴上で冷却し、ボランジメチルスルフィド複合体(16ml、158mmol)で滴下処理した。添加の最初の数ミリリットルにわたって激しいガス発生が起こった。添加後、混合物を室温までゆっくり温め、一晩撹拌した。反応物を氷浴で冷却し、飽和炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を真空濃縮し、高真空下に一晩置いた。残留物を温かいトルエン(200ml)に溶解し、室温で数時間放置した。沈殿したジオールをセライトを通して濾過して除去し、ケークをトルエンで洗浄した。トルエン溶液をシリカゲルカラムに直接適用し、10%酢酸エチル/ヘキサン、次に20%酢酸エチル/ヘキサン、次に30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出し、濃縮して、生成物(24g、51%)を油状物として得、これは放置すると固化した。1HNMR(500MHz,d4-MeOH):δ=3.64(m,2H),2.21(t,2H,J=9),1.44(s,9H)1.50-1.62(m,4H),1.20-1.40(m,27H)
【0139】
D.tert-ブチル18-([1-ベータ-D-グルコス-1-イル]オキシ)オクタデカノエート
tert-ブチル18-ヒドロキシオクタデカノエート(46g、129mmol)をトルエン(400ml)に溶解し、約250mlまで減圧濃縮し、窒素下で室温に戻した。この溶液に、HgO(黄色)(22.3g、103mmol)、HgBr2(37g、103mmol)、およびアセトブロムグルコースを激しく攪拌しながら添加した。アルコールが消費されるまで撹拌を一晩続け、混合物をセライトを通して濾過した。濾液を銅(II)トリフレート(1g)で処理し、オルトエステル(TLCで上記の生成物のスポット)が分解されるまで1時間撹拌した。次いで、反応物を水で洗浄し、有機層を真空中で濃縮した。残留物をメタノール(500ml)に溶解し、ナトリウムメトキシド(メタノール中5.4M)で0.5mlずつ処理して、pHを9にした(pH紙に直接スポット)。0.5時間ごとにpHをチェックし、必要に応じてさらにナトリウムメトキシドを加えてpHを9に維持した。反応は4時間で完了した。酢酸を滴下してpHを7にし、混合物を減圧濃縮した。残留物をシリカゲルにロードし、5%メタノール/CH2Cl2、次いで10%メタノール/CH2Cl2で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、生成物を白色固形物として得た(55g、82%)。1HNMR(400MHz,d4-MeOH):δ=4.30(d,1H,J=7.6),3.84(m,1H),3.77(d,1H,J=9.6),3.45-3.60(m,2H),3.36(t,1H,J=9.2),3.21(t,1H,J=8.4),2.20(t,2H,J=7.2),1.50-1.67(m,4H),1.43(s,9H),1.43-1.33(m,2H),1.28(b rs,24H)
【0140】
E.tert-ブチル18-([β-D-グルクロン-1-イル]オキシ)オクタデカンノエート
tert-ブチル18-([1-ベータ-D-グルコス-1-イル]オキシ)オクタデカノエート(50g、96mmol)を、2000mlの3口フラスコで機械式撹拌しながらジオキサン(800ml)に溶解し、10℃まで冷却した。この溶液に、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ(TEMPO)(150mg、0.96mmol)およびKBr(1.14g、9.6mmol)を添加した。飽和Na2CO3溶液(300ml)および13%NaOCl溶液(120ml)を含む滴下漏斗をフラスコに固定した。炭酸塩溶液を急速に滴下し始め、NaOClをゆっくり滴下した(約1滴/秒)。炭酸100mlを添加した後、pHをチェックし、必要に応じてさらに添加して約pH10を維持した。温度は終始10℃から15℃に維持した。3時間後。出発物質が残っていたので、追加のNaOCl(10ml)をすばやく加えた。0.5時間後、反応をメタノール(10ml)でクエンチした。混合物を4000mlの三角フラスコに注ぎ、氷浴に沈め、そして6N HClでpH3に調整した。混合物を酢酸エチルで希釈し、1N HClで洗浄し、蒸留水で2回洗浄して、最終洗浄で層を分離させた。有機層を真空中で濃縮して、生成物を白色泡状物として得た(38g、74%)。
【0141】
アノマーCHに対する2,3,4,5-テトラクロロニトロベンゼン(TCNB)内部標準を使用する定量的1HNMR(500MHz,d4-MeOH)は、予想重量の94.8%を与える。TLCによる純度>95%(20%MeOH/DCM/2滴HOAc、20%H2SO4/EtOH+熱を使用して染色)1HNMR(500MHz,d4-MeOH):δ=4.30(d,1H,J=9.5),3.85(m,1H),3.77(d,1H,J=7.5),3.48-3.56(m,2H),3.37(t,1H,J=11.5),3.21(t,1H,J=9.5),2.20(t,2H,J=9.5),1.52-1.66(m,4H),1.44(s,9H),1.34-1.42(br,2H),1.28(s,25H)。
【0142】
実施例2.デュアルアゴニストペプチド-インビトロアッセイ
細胞アッセイは、cAMP刺激またはアレスチン活性化の読み出しを使用する標準的な細胞アッセイ(DiscoveRx、LeadHunterアッセイ)を使用して実施した。化合物を約1mgの量で正確に秤量し、希釈およびアッセイのためにDiscoverX(Fremont,CA)に発送した。使用したアッセイは、細胞アッセイにおけるグルカゴン(ヒト、CHO細胞にクローン化)およびGLP-1(ヒト、CHO細胞にクローン化)受容体に関するものであった。アッセイは、0.1%オボアルブミンの存在下で実施された。歴史的に、このようなアッセイは0.1%BSAの存在下で実施されてきたが、血清アルブミン(>99%)に非常に強く結合するこれらの化合物では、結果が歪められ、化合物の効力が大幅に低下する可能性がある。0.1%オボアルブミンを使用すると、この問題を回避できる。オボアルブミンの使用で見られる改善は、ペプチドに対する血清アルブミン結合の相対的な強さの指標として見ることができる。
【0143】
【0144】
EU-A1588=配列番号2;EU-A1871=配列番号3;EU-A1872=配列番号4;EU-A1873=配列番号1;セマグルチド=配列番号11。
【0145】
アッセイは、0.1%オボアルブミンの存在下で実施した。歴史的に、このようなアッセイは0.1%BSAの存在下で実施されてきたが、血清アルブミン(>99%)に非常に強く結合するこれらの化合物では、結果が歪められ、化合物の効力が大幅に低下する可能性がある。0.1%オボアルブミンを使用すると、この問題を回避できる。オボアルブミンの使用で見られる改善は、ペプチドに対する血清アルブミン結合の相対的な強さの指標として見ることができる。以下の表を参照。
【0146】
【0147】
ここで、非常に強固な血清アルブミン結合剤(CO2H含有置換基を有し、脂肪酸頭部基を模倣する)が、感知可能なほどに脂肪酸模倣物を結合しないオボアルブミンでBSAを置換すると、実質的な倍数改善を示すことを見ることができる。倍数改善の程度から、BSA上の脂肪酸結合部位への結合の強さを読み取ることができる。したがって、セマグルチドは12倍改善し(強固な結合)、EU-A1873は30倍から40倍改善し、血清アルブミン結合が大幅に増加したことを意味する。この程度の血清アルブミン結合は、配列番号1のバイオアッセイで見られるように、抑制されたCmaxおよび延長された作用持続をもたらすことが予想され得る。
【0148】
上記の表5および6に示されるデータは、GLP-1に偏った高い親和性を示すセマグルチドとは異なり、試験化合物がGLP-1RとGCGRの両方のアゴニスト(「デュアルアゴニスト」)であることを実証する。このデータはまた、配列番号1がGLP-1RおよびGCGRに対してほぼ等しい親和性を有するデュアルアゴニストペプチドであることを示している。
【0149】
実施例3.グルコース、体重、および脂肪減少に対するインビボ効果
A.db/dbマウスを用いたインビボアッセイ。7ー9週齢の約75匹のBKS.Cg-m+/+Leprdb/J(Jackson Labsストック番号000642)雄性(「db/db」)マウスをこれらの研究に使用し、標準的な動物管理手順を使用して維持される。研究は、施設の状態に1週間順応した後に開始された。研究0日目の朝、マウスの体重を測定し、4時間絶食させた。血糖値は、標準的な手順を使用してグルコメーターによって測定された。少なくとも54匹のマウスを体重に基づいて選択し、血糖値が300mg/dL以上のマウス(つまり、糖尿病)を無作為に6つのグループ(n=9)に割り当てた。グループは次のとおりである。グループ1、ビヒクル;グループ2、セマグルチド3nmol/kg;グループ3、セマグルチド10nmol/kg;グループ4、配列番号1、1nmol/kg;グループ5、配列番号1、3nmol/kg;グループ6、配列番号1、10nmol/kg。無作為化前の受領時、および1日目から5日目まで毎日、臨床観察を実施した。無作為化前の受領時、および1日目から5日目まで毎日、体重を測定して記録した。摂餌量は、1日目から5日目まで毎日測定して記録した。グルコース分析用の血液サンプルは、試験前(-3日目)、および示された化合物(例えば、配列番号1)1日目の単回用量の0、1、4、8、24、48、72、96および120時間後に採取された。
【0150】
B.「DIOJAX」マウスを用いたインビボアッセイ。6週齢から高脂肪食(Research Diets D12492)を与えられた81匹の18週齢の雄性C57BL/6Jマウスが、Jackson in vivo research laboratory(Sacramento,CA)に移された。マウスは、識別のために耳に切り込みを入れ、ケージごとに最大3匹のマウスの密度にてHEPAフィルターでろ過された空気を備えた、個別に積極的に換気されたポリカーボネートケージに収容された。ケージは2週間ごとに交換された。動物室は人工蛍光灯で全体を照らし、12時間の明暗サイクル(午前6時から午後6時までの照明)を制御した。動物室の通常の温度と相対湿度の範囲は、それぞれ22±4℃と50±15%であった。動物室は、1時間あたり15回の空気交換を行うように設定された。研究開始前に、すべてのマウスは高脂肪食(60%kcal;D12492)を継続し、4週間順応させた。試験-1日目の朝、NMR分析により各マウスのベースライン体組成を決定した。63匹のマウスを7つのグループに分けた(n=9)。グループ化されていない残りのマウスは安楽死させた。化合物の皮下投与は隔日で行った。研究0日目の朝、投与前の血糖値をグルコメーターで測定し、以下の表7に従ってマウスに投与し、投与時間を記録した。投与後1、2、4、8、10、および24時間で血糖値を測定した。試験1日目の後、投与前血糖値を4、7、9、11、13、17、21および25日目に測定した。体重および臨床観察を2日ごとに記録した。投与後、すべてのグループの食物摂取量を毎日測定した。最初の食物摂取量の測定は、研究-1日目に行われた。グループ4はグループ3とペアで食物を与えられ、グループ7はグループ6とペアで食物を与えられた。グループ4と7の食物の量は、グループ3と6によって前の24時間のウィンドウで消費された食物の平均量によってそれぞれ決定された。グループ1、2、3、5、および6の食物摂取量は自由に与えられ、毎日測定された。試験27日目に、マウスを5時間絶食させ、耐糖能試験(GTT)を行った。全てのマウスにグルコースのボーラス(2g/kg)を腹腔内投与し、投与前および投与後15、30、60、90、および120分に血糖値を評価した。すべての血糖値は、GTT血糖ログに入力された。
【0151】
【表7】
注1:グループ5および6のマウスは、0日目、2日目、および4日目に3nmol/kgおよび6nmol/kgで投与された。8日目から開始して、これらのグループのマウスは、表1に示されるように、それぞれ6nmol/kgおよび12nmol/kgで投与された。
注2:配列番号1は、表7ではMD-1373と称する。
【0152】
C.グルコース制御および耐性
db/dbマウスモデルを使用すると、セマグルチド高用量のグルコースレベルは24時間抑制され、48時間までに治療前のレベルに戻ったが、配列番号1は血糖値を4時間で抑制し始め、少なくとも96時間まで、さらには最大120時間持続した(
図1)。したがって、配列番号1は、db/dbマウスにおいて等モル量のセマグルチドと比較して、血糖値応答の増加および作用持続時間の延長を示すことが見出された。配列番号1の作用開始は、セマグルチドを使用する場合と比較して、観察される急性胃腸(GI)副作用の減少の可能性を示すものであると当業者には理解される。配列番号1の作用開始はまた、セマグルチドを使用する場合と比較して、より低い用量で観察される急性胃腸(GI)副作用の可能性のある減少を示すものであると当業者に理解される。
【0153】
DIOJAXマウス研究はまた、セマグルチドの低用量(6nmol/kg)および高用量(12nmol/kg)についての血糖値が、投与後2時間で正常血糖範囲まで低下し、その後、投与後1日目までは正常血糖範囲に抑制されたままであるが、投与後2日目までに高血糖レベルに戻ったことを示した。低用量および高用量(それぞれ6nmol/kgおよび12nmol/kg)の配列番号1(「MD-1373」)は、投与後4時間までに血糖値を正常血糖範囲に抑制し、低用量は、投与後2日目まで抑制されたままであり、投与後4日目までに高血糖範囲に戻ったのみであった。高用量(12nmol/kg)の配列番号1を投与された動物の血糖値は、7日目(7)から26日目の最後の測定まで正常血糖範囲に抑制された(
図2)。他のグループでは、わずかな減少があったが、血糖値レベルはアッセイの残りの期間を通じて高血糖の範囲にとどまった。このデータは、(GLP1R/GCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して)配列番号1のより低い用量が、哺乳動物への投与後の有害事象の減少と共に所望の生物学的効果を達成することを示している。
【0154】
さらに、DIOJAXマウスは、2g/kgのIPグルコースチャレンジ(腹腔内耐糖能試験(IPGTT))に応答して大きなグルコース変動を示した。低用量と高用量の両方の配列番号1群が鈍化したグルコース可動域を示し、良好な糖調節効果を示した。例えば、
図3に示すように、耐糖能は、DIOJAXマウスモデルにおいてIPGTTを使用して、配列番号1とセマグルチドとの間で類似していることが見出された。そこに示されるように、27日目のIPGTTアッセイは、高用量の配列番号1およびセマグルチドについて同様の結果を示した。
【0155】
D.体重および脂肪の減少
配列番号1は、BKS.Cg-m+/+Leprdb/J(Jackson Labsストック番号000642)(db/db)マウスにおいて、セマグルチドと比較してより大きな体重減少をもたらすことが見出された。投与後1日目にセマグルチドおよび配列番号1について、ならびに2日目から4日目に中程度および高用量の配列番号1について、ビヒクルに対して有意な体重変化が認められた(
図4)。摂餌量の分析では、高用量のセマグルチドは投与後1日目のみ摂食を有意に抑制したが、配列番号1は1日目から4日目の間まで摂食を抑制することが見出された(
図5)。
【0156】
配列番号1のグルカゴン共作動は、DIOJAXマウスにおいて25%(12nmol/kg用量)を超える非常に強力で安定した体重減少を誘発し、これは、グループ間の食物摂取量の類似性にもかかわらず、セマグルチド投与後に観察されたものの2倍を超え(例えば、8-10%)することが見出された(
図6)。驚くべきことに、このデータは、配列番号1が第2の作用メカニズムによって作用することを示唆している(例えば、「エネルギー方程式」の両側に作用し、食物摂取の減少とエネルギー出力の増加の両方を誘発する)。8日目に、このDIOJAXマウスのグループと、以前の用量知見が決定されていたdb/dbマウスとの間の薬力学的(PD)差を補正するために、DIOJAXマウスの配列番号1グループを6から12nmol/kgレジメンに切り替えたことに留意されたい。
【0157】
さらに、
図7に示されるように、配列番号1は、セマグルチド投与後に観察された脂肪減少をほぼ2倍にした(それぞれ51%対28%(ビヒクル対照グループでは-6%))。観測された除脂肪量の減少は、配列番号1では約12%であるのに対し、セマグルチドでは6%であった(ビヒクル対照グループでは約3%)。
【0158】
実施例4.薬物動態
A.マウス研究試験の生存段階は、Jackson Laboratory(Sacramento,CA)で、67匹のC57BL6/J雄性マウス(7-9週齢)(食餌誘発性肥満(DIO)JAXマウス)で実施した。識別のためにマウスに耳に切り込みを入れ、ケージごとに最大4匹のマウスの密度で、HEPAでフィルター処理された空気を用いて個別に積極的に換気されたポリカーボネート製ケージに収容した。動物室は人工蛍光灯で全体を照らし、12時間の明暗サイクル(午前6時から午後6時までの照明)を制御した。動物室の通常の温度と相対湿度の範囲は、それぞれ22±4℃と50±15%であった。動物室は、1時間あたり最低15回の空気交換を行うように設定された。pH2.5ー3.0に酸性化された、ろ過された水道水、および標準的なげっ歯動物用飼料が自由に与えられた。
【0159】
配列番号1とセマグルチドの両方を、0.05% tween80を含有する50mMリン酸緩衝液中、0.02mg/mLとして、pH約8で製剤化した。投与量は、配列番号1については10および30nmol/kgでそれぞれ1.9365および5.8095mL/kgであり、10nmol/kgのセマグルチドについては2.057mL/kgであった。投薬を受けていないグループ1の3匹のマウスは、時間0でのみ採血した。グループ2(セマグルチド;10nmol/kgSC)、グループ3(配列番号1;10nmol/kgSC)、グループ4(配列番号1;10nmol/kgIV)、およびグループ5(配列番号1;30nmol/kgSC)、投与後120時間まで血液サンプルを採取した(各時点でn=4)。配列番号1およびセマグルチドの血漿濃度は、LC-MS/MSを使用して決定され、薬物動態パラメータは、WinNonlinを使用する非コンパートメント分析によって決定された。
【0160】
投与後1、4、8、24、48、72、96、および120時間で血液サンプルを採取した。グループ2ー5については、4匹のマウスを2つの時点で採血し、第2の時点を終末とした。各時点で、眼窩後採血または心臓穿刺により、最低でも~200μLの全血が採取された。血液サンプルは、K2EDTA抗凝固剤中で収集され、遠心分離された。血漿(最低100μL)をチューブに移し、LCMS/MSによる分析のために生物分析ラボに出荷するまで冷凍保存した。
【0161】
血漿中の配列番号1およびセマグルチドの濃度の決定は、Climax Laboratories(San Jose,CA)で行った。血漿の100μLアリコートを10μLの内部標準(リン酸緩衝生理食塩水中の20μg/mL標準)と混合し、次に300μLのアセトニトリルと混合した。サンプルをボルテックスし、遠心分離した。LC-MS/MS分析のために、上清をきれいな96ウェルプレートに移した。データは、
図8に視覚的な形式で示され、表8に表形式で示されている。
【0162】
【0163】
SC投与後、
図9に示されるように、配列番号1の血漿レベルは、セマグルチドよりも遅くピークに達し、T
maxはそれぞれ8時間および4時間であった。10nmol/kgで、配列番号1のAUCはセマグルチドのAUCに匹敵し、配列番号1のC
maxはセマグルチドの54%であった。配列番号1によって示される同様のAUCを有する低下したCmaxは、治療血中レベルよりも高く、ピーク対トラフ濃度比が最小化されるため、副作用の可能性が低いことを示唆するため、より好ましいプロファイルであると考えられる。
【0164】
全体として、配列番号1はセマグルチドよりわずかに長いMRTを有し、それぞれ18.3-22.2時間および15.5時間であった。SC投与後、配列番号1の血漿濃度は、用量が3倍増加するとほぼ用量比例的に増加し、CmaxおよびAUCがそれぞれ3.2倍および2.8倍増加した。IV投与後、配列番号1の血漿濃度は時間とともに増加し、Tmaxは投与後8時間であった。血漿濃度-時間プロファイルは、IV用量が意図した血管内注射ではなく血管周囲に送達された可能性があることを示唆していたため、SC注射後の配列番号1の生物学的利用能は計算されなかった。
【0165】
同様の試験が、The Jackson Laboratory-JAX West(Sacramento,CA)で雄性C57BL6/Jマウスを使用して実施された。ALT801(配列番号1を含む)またはセマグルチド(両方とも10nmol/kg)の単回皮下投与(s.c.)後の薬物動態(PK)パラメータを評価した。両方の化合物は、50mM リン酸緩衝液、0.05% Tween80、pH約8中にて0.02mg/mLで製剤化された。投与量は約2mL/kgであった。血液サンプル(約200μL)は、投与後1、4、8、24、48、72、96、および120時間に収集された(各時点でn=4)。各マウスは2つの時点で採血し、2番目の時点は最終採血であった。ALT-801とセマグルチドの血漿中濃度は、セマグルチドとALT-801の定量限界がそれぞれ1.00ng/mLと2.00ng/mLのタンデム質量分析(LC-MS/MS)を組み合わせた液体クロマトグラフィーを使用して決定された。WinNonlinを使用した非コンパートメントPK分析は、各サンプリング時点での平均濃度を使用して実行され、最大濃度(C
max)、C
maxが観察された時間(T
max)、時間ゼロから測定可能な濃度最後の時点までの血漿濃度曲線の下の面積(AUC
0-t)、時間ゼロから無限大までの血漿濃度-時間曲線(AUC0-∞)、最終排出半減期(T1/2)、および平均滞留時間(MRT)を報告した。10nmol/kgの用量で皮下経路により投与されたALT-801およびセマグルチドについて観察されたPKパラメータは
図9に示され(それぞれT
max=8および4時間、C
max=92および182ng/mL、MRT=22および16時間)、セマグルチドと比較したALT-801で処理したマウスのC
maxへのより慎重で遅延したアプローチを示唆している。ALT-801のC
maxは文献標準セマグルチド値の50%であったが、AUCは86%を超えていた。エラフィブラノール(Elafibranor)のPKパラメータは、経口投与が必要であったため評価されておらず、したがって、皮下注射経路によって投与されたALT-801またはセマグルチドとは比較できなかった。
【0166】
B.ミニチュアブタ研究
試験動物は、単独で飼育された全部で4匹の未処置の雄性ユカタンミニチュアブタ(Susscrofa)であった。体重は73-75kgであった。収容室は、室温を16-27℃(61-81°F)に維持するように設定された。相対湿度を記録した。12時間明/12時間暗の光周期を維持した。サンプル収集やその他の生活活動を容易にするために、暗いサイクル中に部屋の照明がオンになっている場合がある。動物には維持量のピュリナ(Purina)S-9豚用飼料を与えた。敷地内の深層水井戸からのきれいな新鮮な水を自由に利用できた。一般的なケージ内観察は、一般的な健康状態、瀕死状態、または死亡率を評価するために、研究期間中少なくとも1日2回(朝と夕方)行われた。
【0167】
22日間の順応期間の後、各ミニブタを20nmol/kgの配列番号1を用いて皮下(頬顎の後ろ)で処理し、薬物動態学的血液サンプルを投与の-0.25、2、4、6、8、12、24、48、72、96、120、168、192、216、264、312、および360時間後に収集した。2週間のウォッシュアウト期間の後、同じ動物に配列番号1を静脈内投与し、薬物動態学的血液サンプルを投与後-0.25、0.25、0.5、1、2、4、8、12、24、48、72、96、120、168、192、216、264、312、および360時間で採取した。投与濃度は、両方の処置について、5.5mg/mL(投与量0.015mL/kg)であった。
【0168】
K2EDTAを含有するチューブ内の薬物動態分析用の全血サンプル(~3mL/時点)を、血管アクセスポート(VAP)を介して収集した。サンプルは、採取後~30分以内に処理するまで湿った氷水中に維持した。すべてのサンプルは、~3000rpm、~4℃で約15分間遠心分離された。得られた血漿を2つの凍結用バイアル(一次およびバックアップ)に均等に移し、ドライアイス上に置きた。血漿サンプルは、一次サンプルが分析のために出荷されるまで、約-70℃で凍結保存された。
【0169】
試験実施中に異常な臨床観察は観察されなかった。被験物質の濃度を
図11に示す。
【0170】
配列番号1のSC投与後、血漿レベルの配列番号1は、86時間のMRTに伴って、Tmax=52時間で887ng/mLのCmaxまで上昇したことも観察された。対照的に、セマグルチドのMRTは、ミニブタにおいて、64時間と報告されている(Lau,J.,et al.(2015)J Med Chem58:7370-80)。この低いCmaxおよび延長されたMRTは、セマグルチドと比較して作用の持続時間が長いことを再度示しており、配列番号1のPDプロファイルがより長いことを示している。
【0171】
C.ラット研究
1.単回投与プロトコール
試験開始時に約250-300gの16匹(+予備2匹)の雄性CRL:CD(SD)ラットを、Charles River Labsで維持されているスタンディングコロニーから受け取った。動物は標準食餌(Lab Diet C504)で維持した。食物とホッパーを一緒に秤量することにより、試験日-1から7まで摂餌量をモニターした。研究-1日目の投薬前の一晩の絶食期間を除いて、研究を通して食物および飲料水を自由に与えた。すべての動物は、受領時にグループに割り当てられた。
【0172】
研究1日目に、すべての動物に、肩甲骨間(中間)皮下注射を介して群依存試験物質(TA)のボーラス用量を投与した。-1日目から始めて個々の動物の体重を記録した。投与中およびすべてのサンプル収集時点で、臨床的に関連するいかなる異常についても動物を観察した。この研究活動については、表9で詳しく説明している。
【0173】
【0174】
研究1日目にTAを投与した後、300μLの全血試料を、リストされている時点で留置頸静脈カテーテル(JVC)を介してK2EDTAチューブに採取した。最大限で入手可能な量の血液を、CO2安楽死後の最終時点(投与後144時間)について、心臓穿刺を介して収集した。全血サンプルは、2200×gで10分間、5℃±3℃で、遠心分離する前に、氷水上で30分以内保存した。次いで、得られた血漿をポリプロピレンチューブにピペットで移し、薬物動態分析のためにClimax Laboratories(San Jose,CA)に移すまで、-80℃の温度を維持するように設定された冷凍庫に名目上保存した。配列番号1は、製剤緩衝液(脱イオン水中0.050%(w/w)ポリソルベート20、0.300%(w/w)メチルパラベン、0.348%(w/w)アルギニン、4.260%(w/w)マンニトール)中で、0.03mg/kg、0.1mg/kg、または0.2mg/kgの目標用量レベルで投与した。
【0175】
SC投与後、
図10に示されるように、配列番号1およびセマグルチドの血漿レベルは、ラットにおいて急速に上昇した。セマグルチドは8時間近くのT
maxでピークに達した。一方、配列番号1の濃度は8時間でまだ上昇しており、真のT
maxはより後の時点にあることを示唆している。次の時点である24時間までに、これはピークに達し、いくぶん減少しているが、依然としてセマグルチドよりも高くなっている。10nmol/kgでは、配列番号1のAUC(2350ng.hr/mL)はセマグルチド(2530ng.hr/mL)と同等(93%)であり、配列番号1のC
maxはセマグルチドのそれの54%であった。配列番号1によって示される同様のAUCを有する低下したCmaxは、治療血中レベルよりも高く、ピーク対トラフ濃度比が最小化されるため、副作用の低下の可能性を示唆するので、非常に好ましいプロファイルであると考えられる。全体として、配列番号1は、セマグルチドよりも長いMRTを有し、それぞれ、セマグルチドの15.4時間に対して20.6時間であった。
【0176】
2.ラットにおける反復投与プロトコール
この研究の目的は、ラットへの皮下注射を介して、少なくとも6週間毎日投与した場合の被験物質ALT-801の毒性およびトキシコキネティクスを評価するため、および4週間の回復段階後のいずれかの効果の可逆性、持続性、または遅延発生を評価するためであった。0.03mg/kg/日のALT-801を投与された動物は、研究期間全体にわたって問題なく処置された。対照的に、≧0.09mg/kg/用量の用量で処置された動物は、研究の最初の3週間の間、顕著なALT-801用量関連摂餌量および関連する体重抑制のため、かなりの投薬休暇に置かれた。用量製剤分析により、すべてのALT-801用量製剤の重大な規格外の結果が、グループ3および4の研究の最初の3週間に観察された誇張された効果のもっともらしい根本原因であることが明らかになった。用量処方分析の問題は3週目の終わりまでに解決され、グループ3および4の動物については22日目から処置が再開され、その後、研究期間はさらに2週間の治療期間延長されました(57日目の最終剖検)。3週目、およびグループ3および4の動物については22日目から治療を再開し、その後、研究期間をさらに2週間延長した(57日目の最終剖検)。グループ3の動物は、22日目と23日目に0.03mg/kg/日のALT-801で治療され、その後、研究の残りの期間、1日おきに(Q2D)、目標用量の0.09mg/kg/用量が投与された。グループ4の動物は、22日目と23日目に0.09mg/kg/日で処置され、その後、研究の残りの期間、3日間オン/4日間オフとして、0.15mg/kg/用量の目標用量を投与された。したがって、ALT-801は、全体として、0.03mg/kg/日を毎日8週間連続で(グループ2)、0.09mg/kg/用量を隔日で1回(Q2D)連続5週間(グループ3)、または0.15mg/kg/用量を3日間オン/4日間オフとして5週間連続で投与された。
【0177】
【表10】
aグループ1にはビヒクル対照物品のみを投与した。
bグループ4の動物には、0.15mg/kg/用量を投与した。14日目から開始して、グループ4の動物には0.09mg/kg/用量を投与した。16日目に開始して、グループ4の動物は、0.15mg/kg/用量まで用量を増加させた。投与段階の22日目に開始して、グループ4の動物には0.09mg/kg/用量を投与した。投与段階の24日目から開始して、グループ4の動物は、投与段階の終わりまで0.15mg/kg/投与に用量漸増させた。
cグループ3の動物には、0.09mg/kg/用量を投与した。投与段階の22日目に開始して、グループ3の動物には0.03mg/kg/用量を投与した。投与段階の24日目から開始して、グループ3の動物は、投与段階の35日目まで、0.09mg/kg/用量まで用量を増加させた。グループ3の動物は、投与段階の36日目に投与されなかった。
d投与段階の32日目に開始して、グループ4の動物に3日間投与し(32ー34日目に投与)、その後4日間投与を休止した。この投与レジメンは、投与段階の残りを通して継続した(39-41日目、46-48日目、53-55日目の投与)。
e投与段階の37日目から開始し、グループ3の動物には、投与段階を通して0.09mg/kg/用量を1日おきに1回(37、39、41、43、45、47、49、51、53、および55日目)投与した。
【0178】
1日目のグループ2から4、55日目のグループ3および4、ならびに56日目の投与前のグループ2において、投与後約1.5、3、6、12、24、48(55および56日目のみ)、および72(55および56日目のみ)時間で、3匹のトキシコキネティック動物/性別/グループ/時点から血液サンプルを採取した。血液サンプルはまた、1日目と56日目の投与前、および投与後約3、12、24(1日目のみ)、および48(56日目のみ)時間で、ビヒクル対照群の3匹のトキシコキネティック動物/性別/群/時点からも採取された。血液サンプルは血漿に処理され、Covance-MadisonでALT-801について分析され、結果はこのトキシコキネティクスレポートの作成に使用された。
【0179】
【表11】
NR 排泄段階を特徴付けることができないため、報告されていない。
NR
b 投与後72時間で測定可能な濃度が得られなかったため、報告されていない。
NR
c 投与後168時間での測定可能な濃度の欠如のため、報告されていない。
注:AUC
0-168は外挿を使用して計算されたものであり、解釈には注意が必要である。組み合わされた雄性と雌性(MF)パラメータは、すべての動物(雄性と雌性)の濃度データを各間隔の各用量レベルで組み合わせ、これらのデータをTK分析用の個別の複合プロファイルとして使用することによって計算された。これらのパラメータは、雄性と雌性で別々に計算された値の平均ではない。
a動物に1日1回、少なくとも8週間投与した(投与段階)。グループ3の動物には36日目に投与しなかった。37日目から開始して、グループ3の動物は、投与段階を通して隔日で投与された(37、39、41、43、45、47、49、51、53、および55日目の投与)。投与段階の32日目から開始して、グループ4の動物に3日間投与し(32-34日目に投与)、次いで4日間投与休暇を取った。この投与レジメンは、投与段階の残りを通して継続した(39-41日目、46-48日目、53-55日目の投与)。
【0180】
ALT-801Cmax、AUC0-24、AUC0-72、またはAUC0-168値の性差は、2倍未満であった。ALT-801のCmaxおよびAUC0-24値によって評価される曝露量は、1日目の0.03から0.15mg/kg/用量への用量レベルの増加に伴い増加した。ALT-801のCmaxおよびAUC0-24値の増加は、一般に1日目の用量に比例していた。ALT-801の潜在的な蓄積は、ラットに複数回投与した後に観察された。
【0181】
D.単回投与カニクイザル研究
この研究の目的は、カニクイザル(投与群当たり3匹のサル)への単回皮下投与後の配列番号1の薬物動態を決定することであった。研究期間中、動物に重大な有害事象は認められなかった。
【0182】
以下の表12および
図12に示されるように、製剤化緩衝液(脱イオン水中0.050%(w/w)ポリソルベート20、0.300%(w/w)メチルパラベン、0.348%(w/w)アルギニン、4.260%(w/w)マンニトール)中の配列番号1の漸増用量は、カニクイザルモデル(皮下投与)を用いて試験した場合、投与後192時間の期間にわたって測定されるように、表12に示す薬物動態パラメータを示す。
【0183】
【0184】
図12Bは、10nmol/kgの配列番号1(ALT-801として)を投与された動物(
図12Bでは1215、1216および1217と標識されている)におけるALT-801の投与後9日目の配列番号1の血漿濃度を例証する。動物1215は、治療後9日目にわずかに不定形の便があること(したがって、ALT-801に関連する可能性は低い)、および本研究の他の2つの動物(1216および1217)の平均80ng/mLと比較して126ng/mL(33nM)のCmaxを示すことが見出された。このデータは、ALT-801の生物学的有効レベルがおそらく5nM 配列番号1未満であることを示す。この低用量グループ(10nmol/kg)は、嘔吐の証拠を示しておらず(0/3)、「形のない便、乏しい」が化合物に関連しているかどうかは不明である。便が形成されていない動物のCmaxは、他の2匹の動物についての平均の158%である。すべての動物は、120時間を通じて5nMを超える血中レベルを示す。
【0185】
図12Cは、20nmol/kgの配列番号1を(ALT-801として)投与された動物(
図12Cでは2215、2216および2217と標識されている)におけるALT-801の投与後9日目の配列番号1の濃度を例証する。動物2217は、投与後2日目にいくらかの嘔吐を示し、この研究の他の2匹の動物の平均147ng/mLと比較して、225ng/mL(58nM)のCmaxを示した。このデータもまた、ALT-801の生物学的有効レベルがおそらく5nM未満であることを示す。この中用量群(20nmol/kg)は、嘔吐のわずかな証拠(1/3)を示す。動物の嘔吐のCmaxは、他の2匹の動物の平均の153%である。すべての動物は、192時間を通じて5nMを超える血中レベルを示す。
【0186】
図12Dは、40nmol/kgの配列番号1(ALT-801として)を投与された動物(
図12Dでは3215、3216および3217と標識されている)におけるALT-801の投与後9日目の配列番号1の濃度を示す。3匹の動物はすべて、ALT-801とCmaxに関連している可能性のある嘔吐を示した。このグループの平均Cmaxは467ng/mL(121nM)であった。このデータもまた、ALT-801の生物学的有効レベルがおそらく5nM未満であることを示す。この高用量群(40nmol/kg)は、嘔吐の強力な証拠(3/3)を示す。この比較的均質なグループのCmaxは467ng/mL(121nM)である。すべての動物は、アッセイ全体(192時間)で10nMを超える血中濃度を示す。
【0187】
GI副作用の証拠は、少なくともNHP(非ヒト霊長類)において、それがCmax関連であるという本発明者らの示唆を支持する。生物学的に有効な血中濃度が5nM未満の場合、10nmol/kgは必要以上の用量である可能性がある。ALT-801による治療では、用量の蓄積が予想される。実施形態では、150-200ng/mlのCmaxを提供する皮下投与用に設定されたAPIとしてALT-801を含む医薬製剤が提供され、有害なGIの副作用は低減または排除されるが、ALT-801は血糖値レベルの低下させること、および/または肥満を治療することにおいて有効である。
【0188】
E.複数回用量カニクイザル試験
1.カニクイザルにおける6週間反復投与研究
研究目的
この研究の目的は、カニクイザルへの皮下注射を介して、週1回、少なくとも6週間(合計6用量)投与されたときのALT-801(配列番号1を含む)の毒性およびトキシコキネティクスを評価すること、ならびに4週間の回復段階の後、効果の可逆性、持続性、または発生の遅延を評価することであった。この研究はCovanceによって実施された。
【0189】
動物
アジア起源の雄および雌のカニクイザル(28匹の動物/性別;Macacafascicularis)は、Alice,TexasのEnvigo Global Services Inc.(以前のCovance Research Products)から受け取った。動物は、開始前に少なくとも30日間、試験施設に順応させた。
【0190】
投与開始時、動物は31-54ヶ月齢であった。投与開始前日の体重は、雄で2.2-4.2kg、雌で2.2-3.2kgであった。
【0191】
研究設計
雄および雌のカニクイザルを5つのグループに割り当て、以下の表に示すように用量を投与した。動物は、投与段階の1、8、15、22、29、および36日目に、2.0mL/kgの量で、背部への皮下注射によって投与された。ビヒクル対照物品は、脱イオン水(pH7.7±0.1)中の0.050%(w/w)ポリソルベート20、0.348%(w/w)アルギニン、4.260%(w/w)マンニトールからなるF58製剤緩衝液であった。
【0192】
【表13】
(a)対照=ビヒクル対照物品のみ。
(b)回復評価用に指定された2匹の動物は、投与段階の完了後、4週間の回復を受けた。D=投与;E=評価
【0193】
毒性の評価は、死亡率、臨床観察、体重、質的摂餌量、眼科的観察、心電図(ECG)測定、神経学的検査、質的呼吸数、ならびに臨床的および解剖学的病理学に基づいた。毒物動態評価のために血液サンプルを採取した。
試験品の説明
試験品 保管 ロット 再試験の日付 純度a 凍結(-10から-30℃)遮光して乾燥剤を付す 2020年11月19日
a純度は、無水ベースの高速液体クロマトグラフィーによって決定された。1.192の補正係数が割り当てられた。
bCovance SOPに従って、受領から365日として割り当て。
【0194】
ビヒクル対照物品の説明
ビヒクル対照物品は、F58製剤緩衝液であり、これは、脱イオン水(pH7.7±0.1)中の0.050%(w/w)ポリソルベート20、0.348%(w/w)アルギニン、4.260%(w/w)マンニトールで構成された。
【0195】
試験品の製剤化
試験物品製剤は、混合手順に従って少なくとも週1回ビヒクル対照物品中で調製され、使用のために分配された。補正係数1.192を使用して、ロット固有の純度について用量濃度を補正した。必要に応じて、希塩酸または水酸化ナトリウムを使用して、各被験物質製剤のpHをpH7.7±0.1に調整した。調製した試験物品製剤は、0.2μmポリフッ化ビニリデンフィルター(PVDF)を使用して滅菌ろ過した。ろ過後の取り扱いは、無菌技術を使用して行った。
【0196】
ビヒクル対照物品の製剤化
ビヒクル対照物品の製剤は、混合手順に従ってCovanceによって少なくとも週1回調製され、使用のために分配された。調製されたビヒクル対照物品の製剤は、0.2μmPVDFを使用して滅菌ろ過された。ろ過後の処理は無菌技術を使用して行い、ろ過した溶液をグループ1の投与アリコートに分注した。ビヒクル対照グループのALT-801のすべての濃度値は、定量下限を下回っていた(<4.00ng/mL)。
【0197】
投薬
投与部位は、各動物の背側肩甲骨領域にあった。投与量は部位間でローテーションされた。投与部位は次のとおりである。投与部位A:左上肩甲骨部、投与部位B:右上肩甲骨部、投与部位C:左下肩甲骨、投与部位D:右下肩甲骨部。以下の動物は、次の表に記載されている日に、体重減少、ボディコンディションスコア、および獣医の推奨によって投与されなかった。
【0198】
トキシコキネティック分析
トキシコキネティック分析は、以下の表に列挙されたパラメータを含んだ。
【0199】
サル血漿中の平均ALT-801トキシコキネティックパラメータの要約を以下の表に示す。ビヒクル対照群におけるALT-801のすべての濃度値は、定量下限未満であった(<4.00ng/mL)。
【0200】
獣医学的治療および検査
ALT-801関連の獣医学的健康問題は認められなかった。投与期間中、目立った眼科的観察は認められなかった。これらの結果に基づいて、回復段階に眼科検査は行われなかった。投薬または回復段階において、顕著な神経学的観察は認められなかった。心電図検査では、PR間隔、QRS持続時間、QT間隔、QTc間隔、または心拍数にALT-801関連の変化が、投与フェーズの1日目または36日目の投与後約24時間で観察されなかったことを示す。心電図の質的評価中に異常な心電図波形または不整脈は観察されなかった。
【0201】
臨床検査評価
血液学、凝血、臨床化学、または尿検査の結果において、ALT-801関連の所見は観察されなかった。臓器重量のALT-801関連の変化は、終末期または回復段階の剖検で認められなかった。ALT-801関連の肉眼的所見は、終末期または回復段階の屠殺時に観察されなかった。ALT-801関連の顕微鏡所見は、最終屠殺時または回復屠殺時の動物では観察されなかった。
【0202】
体重の変化
動物の体重を、投与前段階中、投与段階の-1日目(投与開始前日)、およびその後毎週(-1日目に基づく)投与段階の14日目まで4回記録した。投与段階の14日目から開始し、投与段階の終わりまで週2回(14日目に基づく)体重を収集した。体重は、回復段階の1、8、15、22、および28日目に収集された。
図13および
図14に示すデータは、それぞれ雄および雌の体重変化を-1日目の%として表している。ALT-801の2つの最高用量(0.18mg/kgおよび0.25mg/kg)では、投与期間中に雄および/または雌の両方で最大10%の有意な体重減少が観察された。
【0203】
臨床観察
ALT-801関連の死亡率、あるいはは神経学的観察、ECG、臨床病理学、臓器重量、または肉眼検査もしくは顕微鏡検査への影響は、投薬または回復段階中に発生しなかった。
【0204】
≧0.03mg/kg/用量を投与された雌についてのALT-801関連の臨床観察には、低い摂餌量が含まれていた。≧0.03mg/kg/用量を投与された雄では、ALT-801関連の臨床所見は認められなかった。≧0.03mg/kg/用量以上を投与された雌では、ALT-801に関連した摂餌量の減少が観察された。0.03mg/kg/用量以上を投与された雄では、ALT-801に関連した摂餌量の変化は観察されなかった。≧0.03mg/kg/用量のALT-801を投与された雌では、投与段階の19日目と36日目に摂餌量の減少が観察され、用量依存的に発生率が増加した。
【0205】
0.18mg/kg/用量を投与された1匹の雌(動物P0701)および0.25mg/kg/用量を投与された1匹の雌(動物P0901)において、投薬段階の2日目に1回嘔吐が観察された。この観察は持続せず、用量反応性の発生率の増加を示さなかった。嘔吐の用量反応性の発生率増加はなく、これらの観察は持続しなかったため、これはALT-801関連の臨床観察とは見なされなかった。
【0206】
回復段階の間、ALT-801関連の臨床観察は認められなかった。
【0207】
0.03mg/kgを投与された1匹の雌(動物P0604)を、回復段階の26日目に予定外の間隔で屠殺した。この動物で指摘された臨床的観察には、活動が低下し、背を丸めており、粘膜が薄いこと、ラフヘアコート;薄い外観;尻尾には暗く乾燥した糞があり、鍋には液体の糞が混ざっていないことが含まれていた。。動物P0604は回復段階にあり、この動物で観察された臨床観察は、ALT-801を投与された他の動物では観察されなかったため、この予定外の屠殺はALT-801とは関係がなかった。
【0208】
他の臨床観察には、腫れた尾、かさぶた、異常な皮膚の色、液体/非形成の糞便、異常な色の毛皮、薄くなった毛皮、および外陰部からの赤い分泌物が含まれた。これらはかなりまれにしか現れず、一過性であるか、対照と同等の発生率であった。したがって、それらはALT-801関連とは見なされなかった。
【0209】
結論
結論として、雄性および雌性のサルにビヒクル対照品または0.03、0.06、0.18、または0.25mg/kg/用量のALT-801を週1回皮下注射により投与した。
【0210】
図13および14に示されるように、試験で試験された2つの最高用量のALT-801(0.18mg/kgおよび0.25mg/kg)は、雄および/または雌の両方において投与期間中に最大10%の有意な体重減少をもたらす。この効果は、試験されたすべての用量で、死亡率または治療に関連すると考えられる胃腸イベントとは関連していなかった。
【0211】
有害なALT-801関連所見は、投与または回復段階間中に発生せず、観察されない有害作用レベル(NOAEL)は0.25mg/kg/投与である。この用量レベルは、562ng/mLおよび62300h*ng/mLの平均ピーク濃度(Cmax)および濃度時間曲線下面積(AUC)値にそれぞれ対応していた。
【0212】
F.実施例4のラットおよびサルのデータの要約:
これらの多用量研究は、ラットまたはカニクイザルにおいて有意な有害事象(AE)を示さなかった。ALT-801の薬理学的特性であると予想される摂餌量の減少と体重減少が、中用量および高用量で認められたが、ALT-801に関連する嘔吐は観察されなかった。ラットでは0.45mg/kg/週、サルでは0.25mg/kg/週の高用量がそれぞれ無毒性量(NOAEL)として確立されている。一般的な毒性研究に組み込まれた安全性薬理評価には、神経学的、心臓、または呼吸器の所見がなかった。前述のように、摂餌量の減少と体重減少の観察は、GLP-1とグルカゴンアゴニストのオンターゲット効果であると予想された。これらの効果は、サルと比較してラットでより顕著であり、おそらくラットのt1/2が短いことに対応する、より頻繁な投与サイクル(最初のQD)に関連している。曝露ベースでは、Cmaxと、血漿濃度-時間曲線下面積(AUC0-168h)(すなわち、投与間隔全体)の両方が、0.15mg/kgを毎週3日間投与し、4日間投与を中止したラットで著しく類似しており(毎週の投与量は0.45mg/kg/週)、サルは週に1回0.25mg/kg/週で投与された。ラットでは、CmaxとAUC0-168はそれぞれ約500ng/mLと42,600ng*h/mLを達成した。同様に、サルの曝露量はそれぞれ5560ng/mLおよび54,400ng*h/mLであった。
【0213】
実施例5.マウス非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
DIO-NASHマウス試験では、全部で5つのDIO-NASHグループ(n=12)の雄性C57BL/6Jマウスに、40%の脂肪(トランス脂肪を含む)、18%のフルクトース、2%コレステロールを含むAmylinン高脂肪食を、29+週以上与えた。実験に参加するすべてのマウスは、事前に生検され、肝生検に基づいて層別化され(線維症1以上および脂肪症2以上の動物のみが含まれる)、動物はCol1a1免疫染色に基づいてグループに層別化された。合計12週間のQD投与動物群は、1)ビヒクル、2)配列番号1、5nmol/kg(SC、QD)、3)配列番号1、10nmol/kg(SC、QD)、4)エラフィブラノール、78μmol/kg(PO、QD)、5)セマグルチド、10nmol/kg(SC、QD)であった。体重(BW)は研究期間全体にわたって毎日測定され、食物摂取量は最初の14日間は毎日、その後研究終了まで毎週測定された。末端血漿はALT/AST/TG/TCレベルについて測定した。線維症段階(Picro sirius red,PSR)を含むプレおよびポストNAFLD活性スコア(NAS;HE染色)のために、肝臓の取り出しおよびサンプリングを行った。脂肪症、Col1a1、およびガレクチン-3の定量のために末端組織学を実施した。末端の肝臓の精密検査には、TG+TC(抽出と測定)が含まれていた。末端肝臓生検は、1)組織学用の4%PFA、2)生化学用の新鮮凍結肝臓、3)RNA抽出およびRNA配列用の新鮮凍結肝臓で設定された。
【0214】
ALT-801(配列番号1を含む薬学的製剤)による処置は、NASHマウスモデルにおいて体重を減少させることが示され、ALT-801およびセマグルチドによる処置は、体重を急速かつ用量応答的に減少させ、これは研究の残りの部分について安定化させた(
図15)。ALT-801(5nmol/kgおよび10nmol/kg)、ならびにエラフィブラノール(78μmol/kg)およびセマグルチド(10nmol/kg)による処置は、NASH対照と比較して統計学的に有意な体重減少をもたらした(p≦0.001)。ALT-801で治療した動物で達成された体重減少は用量依存的であり、投与後4週間以内に-25%に達した。これは、等モル用量のセマグルチドによって誘発される体重減少の約2倍である。重要なことに、ALT-801(10nmol/kg)は、このグループの体重をこのマウス系統の除脂肪体重範囲(~30g)まで減少させ、その後この範囲を維持した。63日目(治療の9週目)に、ビヒクル群に10nmol/kgのALT-801を誤って単回投与したところ、体重が急速に減少し、その後約10日間にわたってビヒクルの傾向線まで回復した。
【0215】
配列番号1はまた、エラフィブラノールおよびセマグルチドと比較して優れたNAFLD活性スコア(NAS)の低下を示すことも示された。
図16を参照。そこに示されるように、治療開始時(0日目)と比較すると、エラフィブラノールの42%およびセマグルチドの18%と比較して、5nmol/kgの配列番号1は32%の減少を示し、10nmol/kgの配列番号1は61%の減少を示した。対照群では6%の増加が見られた。NASスコアは、治療期間の終わりにすべての治療群で改善された(
図15)。エラフィブラノールおよびセマグルチド処置群によって達成されたNASスコアの変化率は、ALT-801 10nmol/kg群で達成された変化率よりも有意に低かった(両方ともp<0.0001)。ALT-801 10nmol/kgグループのすべての動物は、NASスコア≦3を達成した。
【0216】
本明細書に示されるように、その後、治療期間の終わりに、低用量および高用量のALT-801で処置したマウスの肝臓の脂肪含有量が、除脂肪の正常範囲の脂肪含有量に減少した(
図17)。ALT-801による低用量および高用量の治療は、NASHビヒクル対照、セマグルチド、およびエラフィブラノールと比較して、肝臓重量の有意な減少をもたらした(p<0.01;
図17)。エラフィブラノールおよびセマグルチドで処置したマウスの平均肝臓重量は、高用量(10nmol/kg)ALT-801処置マウスの肝臓重量よりも統計学的に有意に高かった(それぞれp<0.0001およびp<0.01)。ALT-801で処置された両群の肝臓重量は、固形飼料を与えられた痩せた正常なマウスと同様であった。
。
【0217】
ALT-801(配列番号1を含む薬学的製剤)による処置は、エラフィブラノール、セマグルチド、またはNASHビヒクル対照と比較して、肝臓Col1A1およびガレクチン-3含有量によって測定されるように、線維症に対してより大きな有益な効果をもたらすことも見出された。ALT-801による低用量および高用量の処置では、NASHビヒクル対照、エラフィブラノール、およびセマグルチドと比較して、肝終末期のCol1A1およびガレクチン-3レベルが有意に低下した(p<0.0001;
図17)。エラフィブラノールで処置したマウスの平均肝臓Col1A1レベルは、高用量(10nmol/kg)ALT-801処置マウスの肝臓Col1A1よりも統計学的に有意に高かった(p<0.0001)。エラフィブラノールとセマグルチドで処置したマウスの平均肝臓ガレクチン-3レベルは、高用量(10nmol/kg)ALT-801処置マウスの肝臓ガレクチン-3よりも統計学的に有意に高かった(両方ともp<0.0001)。
【0218】
ALT-801(配列番号1を含む薬学的製剤)による処置は、肝臓トリグリセリド(TG)、総コレステロール(TC)、および血漿ALTを正常化することも見出された。ALT-801による低用量および高用量の処置は、NASHビヒクル対照、セマグルチド、およびエラフィブラノールと比較して、肝臓のTG(p<0.01)およびTC(p<0.0001)レベルを有意に低下させた(
図18)。エラフィブラノールとセマグルチドで処置したマウスの平均肝臓TGレベルは、高用量(10nmol/kg)ALT-801処置マウスの肝臓TGよりも統計学的に有意に高かった(それぞれp≦0.01およびp≦0.0001;ダネットによる多重度の調整を伴う一元配置分散分析)。同様に、エラフィブラノールとセマグルチドで処置したマウスの平均肝臓TCレベルは、高用量(10nmol/kg)ALT-801処置マウスの肝臓TCよりも統計学的に有意に高かった(両方ともp<0.0001)。
【0219】
ALT-801による低用量および高用量処置は、NASHビヒクル対照と比較して有意に低い末端血漿ASTレベル(p<0.001)、ならびにNASHビヒクル対照、エラフィブラノール、およびセマグルチドと比較して有意に低い末端血漿ALTレベルをもたらした。(p<0.01;
図18)。エラフィブラノールとセマグルチドで処置したマウスの平均肝臓ALTレベルは、高用量(10nmol/kg)ALT-801で処置したマウスの血漿ALTよりも統計学的に有意に高く(それぞれp<0.0001およびp<0.01)、これは、この系統の正常範囲内であった。
【0220】
RNA配列決定は、配列番号1による処置が、エラフィブラノールまたはセマグルチドによる処置よりも優れており、特に線維性病変の発生に関与する星状細胞経路において、炎症性および線維性促進遺伝子発現の顕著な抑制をもたらすことを示した。
【0221】
高用量ALT-801(配列番号1を含む医薬製剤)処置群は、エラフィブラノール(~5800)またはセマグルチド(~2800)と比較して、最大数の示差的に発現される遺伝子(~8000)を示した(
図19)。500個の最も変化しやすい肝臓遺伝子の主成分分析を行った結果、処置に関連した明確なサンプルのクラスタリングが得られた(
図19)。PC1は変動性の52%を説明し、PC2は変動性の21%を説明した。
【0222】
10nmol/kgのALT-801によるNASHマウスの処置は、遺伝子ごとの多重検定で補正した後のNASHビヒクル対照と比較して、カルニチンパルミトイル-トランスフェラーゼ1a(CPT-1)(p<0.05)、グリセロール-3-リン酸アシルトランスフェラーゼ4(GPAT-4)(p<0.001)、およびステロール調節エレメント結合転写因子1(SREBTF-1)(p<0.05)の発現レベルの統計学的に有意な増加を含む、脂肪の使用および輸送に影響を及ぼす遺伝子の調節をもたらした(
図20)。低用量のALT-801(5nmol/kg)でNASHマウスを処置すると、CPT-1(p<0.05)およびGPAT-4(p<0.001)の発現も増加した(
図18)。脂肪酸合成酵素(FASN)(p<0.05)、グリセロール-3-リン酸アシルトランスフェラーゼ2(GPAT2)(p<0.001)、ステアロイル補酵素Aデサチュラーゼ1(SCT-1)(p<0.05)、およびCD36抗原の発現(CD36)(p<0.001)は、ALT-80110nmol/kgで処理したマウスでは、遺伝子ごとの多重検定で補正した後、NASHビヒクル対照と比較して、減少した(
図20)。CD36発現もまた、ALT-801 5nmol/kgで処置されたマウスにおいて有意に低かった(p<0.05)(
図20)。セマグルチド処置後にマウスで観察された遺伝子発現の変化は、統計学的に有意ではなかった。しかし、エラフィブラノール群は、NASHビヒクル対照と比較して、GPAT2(p<0.001)およびGPAT4(p<0.001)が有意に低かった。
【0223】
ALT-801によるNASHマウスの処置は、星状細胞経路の線維化促進遺伝子の抑制をもたらした。筋線維芽細胞の増殖と星状細胞のマーカーであるA-SMA(ACTA2)、血小板由来増殖因子(PDGFB)、およびトランスフォーミング増殖因子-ベータ(TGFB1)(
図20)は、NASHビヒクル対照と比較して、ALT-801の低用量または高用量を与えられた処置群で統計学的に有意に減少した(遺伝子ごとの多重検定の補正後、すべてp<0.01)。A-SMA(p<0.001)およびTGFB1(p<0.05)の発現も、セマグルチドで処置されたNASHマウスで統計学的に有意に減少したが、PDGFの発現(p<0.01)は、エラフィブラノールで処理されたNASHマウスで統計学的に有意に減少した。
【0224】
ALT-801によるNASHマウスの処置は、細胞死遺伝子の抑制をもたらした。メラノーマ(AIM2)、ICEプロテアーゼ活性化因子(IPAF)、および受容体相互作用キナーゼ3(RIPK3)に存在しない肝細胞細胞死およびピロトーシスマーカー(
図20)は、NASHビヒクル対照と比較して、ALT-801を低用量または高用量を与えられた処置群で統計学的に有意に減少した。(遺伝子ごとの多重検定の補正後、すべてp<0.01)。AIM2の発現(p<0.01)も、セマグルチドで処置されたNASHマウスで統計学的に有意に減少した。エラフィブラノールで処置された場合、細胞死遺伝子の統計的差異は認められなかった。
【0225】
ALT-801によるNASHマウスの処置は、肝臓炎症遺伝子の抑制をもたらした。炎症誘発性シグナル伝達マーカーであるc-Jun(JUN)、c-FOS(FOSB)、およびToll様受容体4(TLR4)(
図20)は、NASHビヒクル対照と比較した場合、ALT-801低用量グループのc-FOSを除いて、ALT-801の低用量または高用量を投与された治療群で統計学的に有意に減少した(遺伝子ごとの多重テストの補正後、すべてp<0.01)。TLR4の発現(p<0.01)も、セマグルチドで処置したNASHマウスで統計学的に有意に減少した。エラフィブラノールで治療したNASHマウスでは、FOSB、JUN、またはTLR4遺伝子に統計学的に有意な変化は認められなかった。
【0226】
実施例6.薬力学(PD)および薬物動態(PK)プロファイルならびに毎週の投薬
この実施例は、ヒトGLP-1RおよびGCGRにおける受容体アゴニスト活性のバランスが変化する一連のペプチドアナログ、および患者への週1回(QW)投与に対する適合性を示唆する作用持続時間を有するアナログに関し、これはALT-801中のものとして配列番号1を含むがこれに限定されない。本開示の特定のペプチドアナログと、GLP-1およびグルカゴンとの比較を以下に示す。
【0227】
非天然アミノ酸には下線が引かれ、斜体で示されている。E*とK*は、すべてのアナログのGlu16とLys20の間の側鎖ラクタム結合を示し、そして、Z1およびZ2は、アシル化によって様々な糖脂質界面活性剤由来の作用持続時間調節剤(すなわち、以下で論じる界面活性剤)にコンジュゲートしたLys残基を表す。Z1またはZ2のいずれもアナログに存在しない場合、これはQ(Gln)に置き換えられる。この実施例で研究したペプチドアナログを以下の表14に示す。
【0228】
【表14】
星印の付いたアナログは、Glu16からLys20の側鎖ラクタムを有し;括弧内のG、M,Meは、D-グルコシド、D-マルトシド、D-メリビオシド結合をそれぞれ意味し、S1およびS2は、α-Lysまたはγ-Glu残基をそれぞれ意味する。Cnはn炭素のメチレン鎖を意味し、cは鎖の末端のカルボキシレートを意味する。セマグルチド中のXは、γGlu/短いPEGスペーサー上にオクタデカン酸を含む、γGlu-2×OEG(引用文献27を参照)伸長修飾因子でアシル化されたLys残基を意味する。引用文献8における化合物#33は、マレイミドリンカーを通して40kDa PEGを用いてCys 24上でアルキル化された化合物#32を指す。
表1において、「化合物#」はアナログ1-17を示す。
【0229】
本明細書で使用される糖脂質界面活性剤ベースの試薬の例の構造:1-O-アルキルβ-D-グルコピラノシドウロン酸(glucopyranosiduronic acid,)、1’-O-アルキル[β-(α-D-ガラクトピラノシドウロン酸-(1→6’)]-D-グルコシド、または1-O-アルキルβ-[β-D-グルコピラノシドウロン酸-(1→4)]-D-グルコピラノシドウロン酸をそれぞれ以下に示す。
【化10】
【0230】
第一級OH基の化学選択的酸化により、対応する1-O-アルキルβ-D-グルコシド、1-O-アルキルβ-D-メリビオシド、または1-O-アルキルβ-D-マンノシドから試薬を調製する。(秒)。R1アルキル基は、直鎖、分枝鎖、飽和、不飽和、ノーマル(normal)または官能基で修飾されたものであり得る。界面活性剤の物理的特性とミセル特性は、特定の頭と尾の基の組み合わせに依存することが知られている。この研究では、R1のアルキル鎖の長さはC8からC18まで変化する。糖脂質修飾因子の結合は、6-または6’-(遠位)カルボン酸を介して行われ、通常はペプチドのLys残基のε-アミノ官能基によるアミド形成によって行われる。例えば、そのような界面活性剤試薬は、CS Bio Co(Menlo Park,CA)において、通常、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルオキシ(TEMPO)媒介酸化を使用して、酸化剤として[ビス(アセトキシ)-ヨード]ベンゼン(BAIB)を有する水の存在下で、そのような界面活性剤の第一級アルコール基を化学選択的に酸化することにより、市販の非イオン性界面活性剤(Anatrace,Maumee,OH)から得られる。この反応は高い化学選択性で完了し、HOAcとPh-Iを揮発性の唯一の副産物として所望の第一級カルボン酸を実質的に定量的な収率で生成する。pH3水溶液の単純な凍結乾燥により、開裂前の最後から2番目の固相合成工程として活性化および遊離アミノ基へのカップリングの準備が整った所望の遊離カルボン酸が得られる。必要に応じて、微量のTEMPOを除去するためにEt2Oで摩砕することによる追加の精製を適用できるが、ここで使用する固相合成手順では必要ない。大規模な酸化では、別の化学量論的酸化剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム)を使用できる。EuPort試薬のカップリングは、通常のアミノ酸カップリングよりもゆっくりと進行し、低モル濃度過剰の場合、完了までに通常8時間以上かかる。追加の糖脂質界面活性剤は、適切なアルキルアルコールおよび保護されたグリコシルブロマイドに対するKonigs-Knorr/Helferichグリコシル化反応によって調製される。
【0231】
この実施例のペプチドアナログを生成する際に使用される固相ペプチド合成は、標準的なNα-Fmocプロトコール(t-ブチルオキシカルボニルおよびN-トリチル側鎖保護;さらにArg(Pbf);CS Bio Co(Menlo Park,CA)のRinkアミド樹脂上のNα-Boc-His(Trt))、Glu16とLys20の位置(それぞれアリルエステルとNε-アリルオキシカルボニル)の直交保護(orthogonal protection)を使用した。EuPortコンジュゲーションによって修飾されるLys位置は、Nε-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル(iv-Dde)で保護され、最後から2番目のステップとしてDMF中の4%ヒドラジンを用いて選択的に脱保護され、そしてDICおよびHBT(または必要に応じて他のカップリング添加剤)を使用して適切なEuPort試薬(カルボン酸として)と結合させた。最終的なペプチドは、トリフルオロ酢酸(TFA)/水/トリイソプロピルシラン(95:2.5:2.5)を使用して切断および脱保護し、エーテルで沈殿させ、エーテルで洗浄し、乾燥させ、TFA(0.1%)緩衝液グラジエント中のアセトニトリルを使用する適切な逆相(C-18)HPLCクロマトグラフィーで精製した。化合物は、分析カラムで同様のバッファーを使用する分析HPLC/質量分析法によって特徴付けられ、すべてのテストされたアナログは95%以上の純度を有していた(表15)。
【0232】
【表15】
a純度は、注入後の異常ピークの積分によって推定される。
bk’はHPLCシステムに依存しない保持の尺度であり、k’=(tr-t0)/t0である。分析は、Phenomenex Luna 5μC-18 250×4.6mmカラムで1mL/分で実行した。
*16は、Polymer Labs PLRP-S100A 8μ 250×4.6mmカラムで同様に実行された。溶出グラジエントは、低%Bから高%B(Bは0.1%TFA中の%CH
3CN)まで(分)である。a=20で35-65%。b=20で40-70%。c=20で45-75%。d=20で50-80;e=20で30-90。
【0233】
A.インビトロ受容体活性化アッセイ
受容体活性化アッセイは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞にクローン化されたヒトGLP-1RおよびGCGRを使用して(LeadHunter Discovery Services;アッセイ製品86-0007D cAMP Hunter(商標)、huGLP1RおよびhuGCGRを使用;全細胞cAMP蓄積アッセイ;使用した細胞株は、cAMP Hunter(商標)CHO-K1 GCGR Gs Cell Line、カタログ95-0042C2およびcAMP Hunter(商標)CHO-K1 GLP1 Gs Cell Line、カタログ95-0062C2であった;蓄積されたcAMPの読み取りは、readout Hit Hunter cAMP XS+アッセイを使用して行われた)、DiscoverX laboratories(Fremont,CA)で行われた。細胞株はDiscoverXで維持され、cAMPの蓄積のために37℃で30分間、試験薬とともにインキュベートされた。結果は、報告可能とするために、インハウスのパラメータと文献標準(それぞれGLP-1RとGCGRのエキセンディン-4とグルカゴン)の性能を使用してDiscoverXで評価された。本明細書に記載されている結果は、細胞に対して二重に実施された単一のアッセイからのものであり、データはpEC50(SE)データを提供するためにPrism5で再プロットされた。いずれのアッセイについても、細胞毒性の観察が報告された。ほとんどのアッセイは非特異的結合を最小限に抑えるために0.1%BSAの存在下で実施されたが、15-17のアッセイは0.1%ニワトリオボアルブミン(OVA)の存在下でもテストされた。これらの化合物については、BSAに非常に強く結合し(>99%;データは示されていない)、その存在によって結果が歪められ、化合物の有効性が大幅に低下する可能性がある。
【0234】
B.インビトロ安定血漿
安定性試験は、Climax Laboratories,Inc.(San Jose,CA)で実施した。被験物質のサンプル(約0.5mg、GLP-17-36アミド、Bachem、アナログ3、アナログ5)をプールしたヒト血漿(Bioreclamation LLC、ロット-BRH392992)に1-10μMの濃度で溶解し、与えられた時点で残っている化合物レベルは、生物分析法(2.54)に記載されているように定量化された。時間/濃度経過(
図22)は、GLP-17-36アミドが4時間のインキュベーション後に定量限界(BQL;約2ng/mL)未満まで急速に破壊されたのに対し、アナログ3および5の量は8時間変化せず、プールされたヒト血漿の存在下での優れたインタクトな安定性を示している。
【0235】
血漿中のアナログ17(配列番号1、ALT-801と同様)の安定性、特に血漿タンパク質アルブミンへのその結合も研究した。このようなアルブミンへの非共有結合は、血漿中のペプチドの分解を遅らせ、腎クリアランスの減少をもたらすと予想される。ALT-801(15000ng/mL)のラット、イヌ、サル、およびヒトの血漿タンパク質への結合は、6時間の超遠心分離によって評価された。プールされた血漿は、少なくとも3匹のSprague Dawleyラット、ビーグル犬、およびカニクイザルから得られた。プールされたヒト血漿は、3人のヒト男性(収集前の過去7日間にいかなる薬も服用していなかったと報告されている)から得られた。K2EDTAは、抗凝固剤として使用された。必要に応じて、血漿の各プールのpHを塩酸または水酸化ナトリウムで約pH7.4に調整した。血漿タンパク質からPUC(上清)の分離を達成するために、37℃、357000×gで6時間、S80AT2ローターに配置されたポリカーボネート超遠心チューブを使用して超遠心分離を行った。遠心分離後、PUCをLCMSで分析し、タンパク質結合を計算した。タンパク質結合は、非結合パーセント=(Cu/Co)x100および結合パーセント=100-非結合パーセントとして評価され、ここで、Coは超遠心分離前の血漿中の試験物質の濃度(ng/mL)であり、Cuは、超遠心分離(ng/mL)における血漿中の試験物質の濃度である。結果を表16に示す。
【0236】
【表16】
ALT-801のタンパク質結合率の平均は、ラット血漿で99.8%、イヌ血漿で99.8%、サル血漿で100%、そしてヒト血漿で99.8%であった。これらの結果は、ALT-801がラット、イヌ、サル、およびヒトの血漿で広範なタンパク質結合(≧99.8%)を有することを示した。
【0237】
C.薬物動態
PKおよびPDアッセイは、Charles River Laboratories(Shrewsbury,MA)のラットおよびJAX Laboratories(Sacramento,CA)のdb/dbマウスにおいて、標準プロトコールに従って実施した。PK研究は、MPI Research(Mattawan,MI)のゲッチンゲン(Gottingen)ミニブタまたはユカタンミニブタでも実施された。試験したどの化合物についても、化合物関連の注射部位反応は観察されなかった。LC/MS/MSによる生物分析分析は、Climax Laboratories,Inc.(San Jose,CA)で、またはユカタン種ミニブタの研究については、Frontage Laboratories,Inc.(Exton,PA)で実施した。
【0238】
D.ラットにおける薬物動態
10nmol/kgの単回皮下投与後の17(ALT-801として)およびセマグルチドのPK挙動を、雄性CRL:CD(SD)ラット(250-300g)でCharles River Laboratoriesにおいて評価した。ALT-801とセマグルチドの両方を、0.05% tween 80を含む50mMリン酸緩衝液(pH~8)で0.1mg/mLに製剤化した。血液サンプル(~300μL)を、投与後2、4、8、24、48、72、96、120、および144時間(各時点でn=4)に氷冷したK2EDTAチューブに採取し、5℃で10分間、2200rpmで遠心分離することにより血漿に対して処理するまで氷上で保存した。ALT-801およびセマグルチドの血漿中濃度は、以下の生物分析法(2.5.3)で概説されているように決定した。
【0239】
1.ゲッチンゲンミニブタにおける薬物動態
この研究では、大型動物の使用を最小限に抑えるためにカセットスタイルの投薬を使用するが、別々の部位に皮下注射して、各化合物が別の化合物の取り込みに影響を及ぼすことを排除する。全部で2匹の雄性ゲッチンゲンミニブタが研究に割り当てられた。動物は、上げ床のケージの囲いにペアで収容された。動物の体重は、移植時および生後約5-8か月で約11-15kgであった。最低1週間のウォッシュアウト期間の後、同じ動物を複数の段階で使用することになっていた。投与を容易にし、投与手順中の動物の安全を確保するために、投与前に動物をテラゾール(IM、4-6mg/kg)で鎮静させた。投薬は、動物の腹側領域の皮膚と下にある組織層との間のボーラス注射による皮下投与であった。各フェーズで合計3-4箇所を使用し、4箇所のそれぞれに異なる化合物を投与した。化合物は、pH3.5で0.2%BSA(約0.4mg/mL)を含有する生理食塩水中で製剤化される。各ストック溶液を必要な最終濃度まで通常の生理食塩水(pH7.4)で希釈し、滅菌濾過した。投与量は20nmol/kgである。血液サンプルは、投与前、および投与後2、4、6、8、12、24、36、48、72、および96時間に採取された。各採血時点で、頸静脈から1mLのサンプルを氷上でK2EDTAチューブに採取してから、遠心分離によって血漿に処理する。4つの試験化合物を含む血漿サンプルをClimax Labsに送って、LC-MS/MSによる分離と定量を行った(2.5.3)。
【0240】
2.ユカタンミニブタにおける薬物動態
試験動物は、単独で飼育された全部で4匹の未処置の雄性ユカタンミニブタ(Susscrofa;体重73ー81kg)であった。動物には維持量のピュリナS-9豚用飼料を与えた。一般的なケージ内観察は、一般的な健康状態、瀕死状態、または死亡率を評価するために、研究期間中少なくとも1日2回(朝と夕方)行われた。
【0241】
22日間の順化期間の後、各ミニブタに17を20nmol/kg(0.2mL/kg)で皮下(頬顎の後ろ)に投与し、PK血液サンプルを-0.25.2.投与後4、6、8、12、24、48、72、96、120、168、192、216、264、312および360時間。2週間のウォッシュアウト期間の後、同じ動物に17iv投与し、PK血液サンプルを-0.25、0.25、0.5、1、2、4、8、12、24、48、72、96、120、168で採取した。、投与後192、216、264、312および360時間。投与濃度は、両方の治療で5.5mg/mL(投与量0.015mL/kg)であった。薬物動態分析用の全血サンプル(約3mL/時点)を、血管アクセスポートを介してK2EDTAを含むチューブに収集した。サンプルは、採取後ー30分以内に処理するまで湿った氷上に維持した。すべてのサンプルは、約3000rpm、約4℃で約15分間遠心分離された。血漿サンプルは、以下に概説するのと同様に、LC-MS/MSによる生物分析のために一次サンプルがFrontageLaboratories(ペンシルベニア州エクストン)に出荷されるまで、-70℃で凍結保存された。試験実施中に異常な臨床観察は認められなかった。
【0242】
E.薬力学
1.血糖に対する効果-db/dbマウス7-9週齢の約75匹のBKS.Cg-m+/+Leprdb/J(JacksonLabs株番号000642)雄(「db/db」)マウスを使用した。これらの研究は、標準的な動物ケア手順を使用して維持される。研究は、施設の状態に1週間順応した後に開始された。研究0日目の朝、マウスの体重を測定し、4時間絶食させた。標準的な手順を用いてグルコメーターによって血糖値を測定した。少なくとも54匹のマウスを体重に基づいて選択し、血糖値が300mg/dLを超えるマウス(つまり糖尿病)を無作為に6つのグループ(n=9)に割り当てた。グループは次のとおりである。グループ1、ビヒクル。グループ2、セマグルチド3nmol/kg。グループ3、セマグルチド10nmol/kg。グループ4、17、1nmol/kg。グループ5、17、3nmol/kg。グループ6、17、10nmol/kg。受け取り時、無作為化の前、および1日目から5日目まで毎日、体重を測定して記録した。示された化合物の単回投与の0、2、4、8、24、48、72、96および120時間後。
【0243】
2.体重-「DIOCRL:CD(SD)」ラット
験開始時に約14-15週齢の54匹の雄性DIOCRL:CDラットが、CharlesRiverLaboratories(Shrewsbury、MA)での試験に登録された。動物は、試験施設に到着する前の11週間、高脂肪食(ResearchDiets12492、60%kcal%fat)で維持された。到着後、順化中の7日間、および研究期間中、動物を高脂肪食で維持した。試験1日目から試験27日目(主試験)または41日目(回復)まで、飼料とホッパーを一緒に秤量することにより、飼料消費量をモニターした。グループ2の摂餌量の平均値は、その後の給餌セッションでグループ3が利用できる食物の量を決定した。同様に、グループ5で消費された食物の平均値は、その後の摂食セッションでグループ6が利用できる食物の量を決定した。研究日1、28、および42に発生する5時間の絶食期間を除いて、食物および飲料水は研究を通して自由に与えられた。研究日-1に収集されたデータ。試験の1ー27日目(主試験)または42日目(回復)に、すべての動物にビヒクル、セマグルチド標準(12nmol/kg)、または17(6、12nmol/kg)のボーラス用量を肩甲骨間注射で投与した。グループに依存する総投与量(mL/kg)は、最近記録された体重に基づいている。-1日目から始めて個々の動物の体重を記録した。投与中およびすべてのサンプル収集時点で、臨床的に関連する異常について動物を観察した。試験日-1、1、3-27、29、および36日に、ハンドヘルドグルコメーター(AlphaTrak2、Abbot)を使用して血糖値を評価するために、テールスニップを介して3μLの全血を採取した。投与前、投与の2、4、8、および24時間後に血糖値を読み取った1日目を除いて、毎日ほぼ同じ時間に読み取った。さらに、5時間の絶食に続く試験28日目に、動物に10mL/kg用量のグルコース(2g/kg)を腹腔内注射により投与した。3μLの血液サンプルをテールスニップで採取し、次の時点(グルコース投与と比較して)でグルコースレベルを分析した:投与後0、15、30、60、90、120、および180分。ハンドヘルド型グルコメーターを使用して、グルコースのサンプルを読み取った。
【0244】
F.生物分析法
分析は、API-4000質量分析計、ESI陽性、MRMスキャンでClimaxLaboratories(SanJose、CA)で実施された。サンプルは、ACEC4カラム(2.1x50mm、5μm)を備えたShimadzuHPLC/CTCAutosamplerにロードされた。溶出は、水性0.5%ギ酸、5mMNH4OAcからCH3CN/H2O(9:1)中の0.5%ギ酸への勾配によるものであった。血漿サンプル(100μL)をプレート(96ウェル)に入れ、30μLの内部ペプチド標準を添加した(PBS中10μg/mL)。CH3CNの300μLアリコートを添加し、サンプルをボルテックスし、遠心分離して血漿タンパク質を沈殿させた。96ウェルプレートに移した後、40μLのサンプルを注入し、個々の化合物のピークを標準曲線で定量した。WinNonlinを使用した非コンパートメント薬物動態分析は、最大濃度(Cmax)、Cmaxが観察された時間(Tmax)、時間ゼロから最後の時間までの血漿濃度曲線の下の領域を報告するために、各サンプリング時点での平均濃度を使用して実行された。測定可能な濃度のポイント(AUC0-t)、時間ゼロから無限大までの血漿濃度-時間曲線(AUC0-∞)、最終排出半減期(t1/2)、およびMRT。アナログ構造に応じて、定量限界は1ー2ng/mLである。
【0245】
G.統計分析
インビトロデータは、内部標準への対応する応答によって正規化された未加工の蛍光データの非線形回帰分析によってPrism5で決定されたpEC50(SE)として提示される(データプロットの補足情報を参照)。統計的有意性が引用されているアッセイでは、GraphPadPrismソフトウェア(バージョン5)を使用して統計データ分析を行い、分散分析(複数の測定によるANOVAタイプ2)を実行した後、p<0.05を最小レベルの有意性としてボンフェローニ検定を行いた。
【0246】
H.ペプチド延長
ペプチドGLP-1R/GCGRデュアルアゴニストの血清半減期を延長するための本発明者らのアプローチは、新しいアプローチ、共有結合した糖脂質界面活性剤由来修飾因子の使用に焦点を合わせた。試薬は主に、化粧品および製薬業界で広く使用され、一般に安全と認められている商用タイプの非イオン性界面活性剤、たとえば1-オクチルβ-D-グルコースおよび1-ドデシルβ-D-から得られた。マルトース(アナトレース、モーミーオハイオ州)。追加の界面活性剤構造は、適切なアルコールを使用したアセトブロムグルコース(または同様の活性化炭水化物)のケーニヒス-クノール/ヘルフェリッヒグリコシル化(例えば、HgO(黄色)/HgBr2触媒作用)およびNaOMe/MeOHを使用した脱保護により、遊離界面活性剤を得ることができる。所望の試薬は、水の存在下で、そのような界面活性剤の第一級アルコール基の化学選択的TEMPO媒介酸化によって容易に入手できる。したがって、典型的な構造は、1-O-アルキルβ-D-グルコピラノシドウロン酸(1-O-アルキルβ-D-グルクロン酸付加物としても知られる)を含む。これは、可溶化のために肝臓で頻繁に形成されるタイプの構造である。(フェーズII代謝)。/疎水性分子の解毒、ここではLys残基にアシル化。目的のペプチドの固相ペプチド合成では、Glu16とLys20の位置(それぞれアリルエステルとAlloc)を直交保護する標準的なFmocプロトコールを使用して、側鎖ラクタムの形成とLys位置のN-ε-ivDdeの修飾を可能にした。糖脂質界面活性剤結合。ペプチドは、高純度(>95%、分析用rp-hplc)で良好な収率で得られた。
【0247】
I.薬物動態学的挙動
これらの研究の主な目的は、ペプチドの作用持続時間、安定性、効力およびバイオアベイラビリティの増加に対する新規の糖脂質界面活性剤結合アプローチの効果の調査であった。プールされたヒト血漿における予備的なinvitro安定性研究では、GLP-17-36アミドの急速な破壊(4時間)が示されたが、アナログ3および8の濃度は8時間で完全に変化しなかった。これは、血漿存在下でのこれらの代表的な界面活性剤コンジュゲートアナログの優れた安定性を示す。
【0248】
アナログの作用持続時間は、げっ歯類およびミニブタモデルで評価された。化合物シリーズ(アナログ)1から6(表15)は、1位のアルキル鎖の長さおよび疎水性(オクチルからヘキサデシルへ)の同種の増加に対する効力および作用持続時間に対する効果を調べるために設計された。O-アルキルβ-D-グルコピラノシドウロン酸修飾剤。
図23に見られるように、ゲッチンゲンのミニブタでのPK研究における鎖長と作用持続時間の関係は、厳密には比例していなかった。鎖長が増加するにつれて、測定されたPKおよびPDに影響を与える可能性のある複数の変数を想定することができる。例えば、鎖長の増加については、デポー形成(増加)、溶解度(減少)、SAへの親和性(増加)、ホルモン受容体への親和性(増加してから減少)、受容体活性化の効力(増加してから減少)などがある。このグループでは、CmaxおよびPKプロファイルは4(C14)および5(C16)に最適であるように見えるが、これはおそらく、最適な溶解度とSA結合が良好な分布をもたらすためである。このアッセイにおける標準としてのリラグルチドの挙動(γGluスペーサー上のパルミチン酸でアシル化されたC16)は、より短い側鎖を含むアナログ3(C12)の挙動と最もよく一致した。各アナログについて20nmol/kgでゲッチンゲンミニブタに皮下投与した後の化合物のinvivo薬物動態学的挙動。ゲッチンゲンゲンのミニブタでの並行アッセイから得られた4と5を除く単一のアッセイからのすべてのデータも、文献標準としてリラグルチドに対してプロファイリングされた。アナログ2では4時間で有意に高い血漿レベルが測定される。(**)。アナログ4の場合、2時間と4時間(**)、6時間と8時間(***)、12時間(*)。アナログ5については、2および12時間(***)、および24時間(*)である。べてリラグルチドと比較:*、P<0.05。**、P<0.01;***、P<0.001。
【0249】
J.インビトロ構造活性分析
本発明者らは、GLP-1RおよびGCGRの両方で均等にバランスの取れたアゴニスト活性を有し、良好なインビボバイオアベイラビリティおよび非常に延長された作用持続時間を伴う、非常に強力なアナログを探した。もう1つの目標は、新規糖脂質界面活性剤の修飾が作用の効力と持続時間に及ぼす影響を理解することであった。したがって、ペプチド構造は、研究されたアナログのほとんどについて同一である。初期のSAR研究は、invitroでのクローン化ヒト受容体の活性化に対するアナログの効力の評価に向けられた(表17)。化合物1ー4(1-O-オクチルβ-D-グルコピラノシデュロニルから1-O-テトラデシルβ-D-グルコピラノシデュロニルへの側鎖修飾)のEC50値は、非常に強力で可変的にバランスの取れた活性化を示し、EC50値は10-30pM範囲および2ー3の選択比(SR=GCGREC50/GLP-1EC50)。163から884pM)、GLP-1R活性化へのバイアスが増加している。(SR=4xおよび17x、それぞれ)。このような疎水性アナログのアッセイの詳細な最適化は実行されないであったが、GLP-1RのEC50値はそれほど急速には上昇しなかった。
【0250】
【表17】
[a]すべての構造にGlu16からLys20側鎖ラクタムがある。G、M、Meは、それぞれD-グルコシド、D-マルトシド、D-メリビオシド結合を意味する。S1およびS2は、Lysと界面活性剤の間の、それぞれα-Lysまたはγ-Glu残基のスペーサーを意味する。Cnは炭素数nのメチレン鎖を意味する。cは、鎖の末端のカルボキシレートを意味する。[b]hCCGRおよびhGLP-1Rを発現するCHO細胞(重複)における蓄積されたcAMP応答からDiscoverXで生成されたすべてのスクリーニングデータは、R2が通常>>90%の非線形回帰分析を使用する。データはPrism5で再プロットおよび分析され、pEC50(SE)値が報告され、曲線はサポート情報に表示される。
[c]pM単位のEC50データから生成された選択性比(SR=GCGREC50/GLP-1EC50)。
[d]化合物15、16、17のデータは、0.1%OVA含有バッファーの存在下で得られた。他のすべてについては、0.1%BSA含有バッファーを使用した。
【0251】
このような界面活性剤で修飾されたペプチドの物理的特性は、さまざまなアルキル鎖の使用(さまざまな疎水性、溶解度、SA親和性、CMC、ミセルサイズ)によって、また異なる炭水化物頭部の使用によって、広く変化し、調整可能であると予想することができる。糖脂質界面活性剤前駆体中の二糖類(さまざまな溶解度、ミセルサイズ、親水性親油性バランス)などのグループ。したがって、「ドデシルマルトシド」は広く使用されている市販の界面活性剤であり、ここでの使用により、非常に強力であるがGCGRに有利なデュアルアゴニストである7が得られる。この界面活性剤は、2つの一次OH基を持っているため、酸化時に2つのカルボキシル官能基を生成するという点で、グルコースほど便利ではない。
【0252】
二糖頭部基として、メリビオースがより有用であり、グリコシル化部位が1つだけであり、ウロン酸への酸化のための一次OH官能基が1つしかない。メリビオースを使用すると、1’-O-アルキル[β-(α-D-ガラクトピラノシズロン酸-(1→6’))]-D-グルコシド中間体(MeC12-MeC18)が得られ、アナログ8-12が得られる。この二糖類シリーズには、非常に強力(7)でバランスのとれた(8)デュアルアゴニストが含まれている。が、GCGRの活性化に対する立体障害を示唆する証拠も示されている。(9-11)。
【0253】
1-O-ドデシルβ-D-マルトシド由来の修飾は、GCGR活性化に好都合であったが(7;SR0.3)、1-ドデシルβ-D-メリビオシド由来のアナログ8は、ほぼバランスの取れた選択性受容体効力を有していた(SRー1)。メリビオシドベースの修飾(C14、C16、C18;9-11)のサイズがさらに大きくなると、GCGR効力が急速に低下した(SRはそれぞれ7、28、14)。リガンド側鎖のサイズ(または疎水性)の増加は、GCGRの活性化を妨げるように見える。
【0254】
前述の修飾はすべて、側鎖ラクタム結合(Glu16からLys20へ)のC末端側に向かって、残基24に配置された。ラクタム環内の側鎖修飾も、17位にLys(Me14)残基を配置することによって研究され(化合物12)、GLP-1R活性化(SR2)へのわずかなバイアスのみで高い効力が見出された。対照的に、24位の同じ修飾は、GLP-1R(SR7)への強い偏りを示した。おそらく、ラクタム環内の12の結合領域のコンフォメーションは、このヘッドグループと鎖長の組み合わせのGLP-1R活性化を不利にしている。
【0255】
中間長の糖脂質界面活性剤修飾により、非常に強力で比較的バランスの取れたアナログが得られたので、次に、リラグルチド、セマグルチド、および他の同様の化合物で見られるように、スペーサー結合の疎水性側鎖修飾への影響を調べた。このようなリンカーの結合は、セマグルチドの薬剤設計ストーリーにおける効力にとって重要であることが判明し、γGlu-shortPEG配列リンカーに落ち着く前に、15のリンカーが効力の幅広いバリエーションで調査された。したがって、化合物14は、Glu(α-NH2)機能(S2GC14)にリンクされた1-O-テトラデシルβ-D-グルコピラノシデュロニル修飾でLys24位置にリンクされたGlu(γCO)を有し、この修飾はGCGR活性化効力を著しく弱めた。(対4)。Lys24へのLys(α-CO)結合をスペーサーとして使用し、1-O-テトラデシルβ-D-グルコピラノシデュロニル修飾をスペーサーのε-アミノ機能に結合すると、GCGR相互作用に非常に不利な分子である13が得られた(SR5)。追加されたバルクに加えて、Glu(γCO)リンカーは結合位置に負電荷を追加し、Lys(α-CO)結合はこの側鎖リンカーに正電荷を追加する。重要なことに、本発明者らの糖脂質界面活性剤修飾は、非常に強力な分子を生成するために、他の側鎖修飾剤で見られるように、スペーサーやスペーサー受容体相互作用を必要としないようである。
【0256】
本発明者らはこれまで、HSAの高い結合への経路として疎水性アミノ酸によるペプチド配列の置換を主に研究したが、ここで構造15ー17は、カルボン酸の組み込みによる脂肪酸の頭部基の模倣の効果を試験するために設計されたアナログである。セマグルチドで使用されるものと同様に、界面活性剤アルキル鎖の末端で機能する。したがって、15は1-O-[(15-カルボキシペンタデシル)オキシ]β-D-グルコピラノシドウロン酸をLys24(Lys24GC16c)のε-NH基へのアミド結合で組み込むが、16は1-O-[(17-カルボキシヘプタデシル)オキシを含む。]β-D-グルコピラノシドウロン酸も同様にLys24に結合している。(Lys24GC18c)。同様に、17には1-O-[(17-カルボキシヘプタデシル)オキシ]β-D-グルコピラノシドウロン酸が含まれている。が、糖脂質界面活性剤は12と同様にLys17(Lys17GC18c)に結合しているため、側鎖間に形成されたラクタム環内で結合している。Glu16とLys20の。アナログ17は、高い効力、非常に高い血清アルブミン(SA)結合の強力な証拠、および均等にバランスの取れたデュアル受容体活性化効力を示した(SR=約1;表16)。したがって、アナログ17は、より詳細な特性研究のために選択された。
【0257】
強いSA結合がインビトロおよびインビボでの効力の低下をもたらす可能性があることは周知であり、これはGLP-1Rへのセマグルチドの結合に関して記録されており、2%HSAの存在下での結合の比率はHSAの非存在下での結合と比較して、測定された親和性が940倍減少した。それにもかかわらず、非特異的結合をブロックするための何らかのタンパク質の存在なしで溶液中のペプチドを操作すると、リガンドの損失によって見かけの効力が低下する可能性がある。脂肪酸担体タンパク質に進化しておらず、脂肪酸結合特性が最小限であるOVAの使用は、有用な代替手段である。化合物15-17およびセマグルチドによる、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(DiscoverX)にクローン化されたヒトGLP-1RおよびGCGRの活性化に関するEC50データの比較。BSA対OVAの存在下で測定されたEC50の比率は、BSA親和性の定性的な尺度として使用できる。ここで、低濃度のBSA(0.1%)をOVA(0.1%)に置き換えた場合の改善は、アッセイ標準のエキセンジン-4およびグルカゴンでは無視できる程度であり、アナログ15のC16側鎖の効果はわずかであったことがわかる(倍の改善4-9x)。対照的に、C18アルキル鎖を有する16または17については、OVAによるBSAの置換の効果は大きかった(29ー47倍の改善)。16と17の改善は、セマグルチドで見られたもの(13x)よりもさらに大きく、セマグルチドよりも17の方がより緊密な結合とさらに長い作用持続時間が期待できることを示唆している。このデータを表18に示す。
【0258】
【表18】
a倍数改善=(BSAの存在下でのEC
50/OVAの存在下でのEC
50)であり、BSAへの結合の程度を示すと仮定される。これは、BSAを非結合OVAに置き換えると観察される効力が増加するためである(EC
50の低下)。本明細書で議論されるように、非常に強固なBSA結合は、セマグルチドおよびこれらのアナログの実際の受容体活性化効力をゆがめる。
【0259】
K.インビボ特徴付け
化合物17のPKプロファイルは、最初に、10nmol/kgでの皮下投与後のラットにおけるセマグルチドと比較して決定された。17とセマグルチドで測定されたTmaxは8時間である。が(
図24)、17の血漿レベルは依然として急激に上昇しているように見え、真のTmaxが>8時間であることを示している。17のCmaxはセマグルチドの62%(76対122ng/mL)であったが、AUCは同等であった(それぞれ2,350対2,530ng・h/mL)。全体として、17人のMRTはセマグルチドよりもやや長く、それぞれ21時間と15時間であった。皮下投与後、17の血漿濃度は用量に比例して増加し、用量が3倍(30nmol/kg)増加すると、CmaxとAUCがそれぞれ2.8倍と3倍に増加した(データは示していない)。このようなプロファイルは、Cmaxが低く、遅く、マウスでも観察され(データは示していない)、セマグルチドよりも低いピーク対トラフ比を提供し、副作用が減少する可能性があると予想される。10nmol/kgのiv用量(データは示さず)は10時間のt1/2を有し、TmaxとAUCの明らかな不正確さの制限はあるものの、皮下に投与された同じ用量で29%の生物学的利用能を示した(ミニブタの場合はF%)。
図24は、CRL:CD(SD)ラットに10nmol/kgで皮下投与した後の17および文献標準セマグルチドのインビボPK挙動を示す。アナログ17は、有意に低い血漿濃度(***t=2および4時間;*t=8時間)と、このアッセイおよび他のアッセイで後のPKプロファイルを示している。これは、ピーク/トラフ比の減少につながる可能性がある。セマグルチドとの比較:*,P<0.05;***、P<0.001。
【0260】
より大型の動物における17のPK挙動を、ユカタンミニブタにおける20nmol/kgの単回用量のi.v.およびs.c.注射によって調べた(
図25)。非常に長いPK曲線が観察され(SC、t1/2=52時間、MRT=84時間)、Cmaxは低かった(890ng/mL)。静脈内(iv)投与に対する皮下17投与のバイオアベイラビリティは73%であった。17のPK挙動は、ゲッチンゲンのミニブタにおけるセマグルチド(sc、MRT=64時間)の公開されたレポートと同様であり、同様に、17は患者へのQW(週1回)投与に適していると予想される。成体ミニブタでのこの試験中、報告された臨床観察はなかった(例えば、吐き気、嘔吐、または摂食低下の証拠)。
図25は、雄ミニブタ(n=4;重量約75kg)への20nmol/kgでの単回皮下および静脈内(i.v.)投与後の17のインビボ薬物動態挙動を示す。アナログ17は非常に長いpkプロファイルを示し、セマグルチドで報告されているものよりもやや長く(それぞれMRT86時間vs64時間)、17が患者のQW投与に適していることを示している。
【0261】
17のグルコース低下効力は、文献標準セマグルチドに対するdb/dbマウスにおける用量設定研究において最初に調べられた(
図26)。セマグルチドは3nmol/kgでは十分に有効ではなかったが、10nmol/kgでは血糖値が急激に低下し、正常なC57BL/6Jマウスの基準レベル(126mg/dL)をやや下回る(105mg/dL)になりた。8時間の時点で。高用量セマグルチドの場合、血糖値は24時間でほぼ正常化された範囲に維持され、48時間までに上昇したレベル(280mg/dL)に戻りた。したがって、このマウスモデルでは、10nmole/kgがQDセマグルチドの十分に有効な用量であると思われる。17の3および10nmol/kgの効果は、急性的には互いに類似しており、血糖値を129mg/dLまで低下させ、マウスの正常範囲に近く、最大効果は24時間で見られた。高用量の17(10nmol/kg)は、投与後48時間および72時間で血糖値を低下した範囲(153および187mg/dL)に維持する。血糖値は、2時間および4時間でセマグルチドの値を有意に上回り(それぞれp<0.0001および<0.02)、48、72、および96時間でセマグルチドの値を下回りた(それぞれp<0.01)。したがって、db/dbマウスでのこの用量設定アッセイでは、17は、より緩やかな方法で最大グルコース低下に近づく一方で、糖調節効果についてセマグルチドよりも強力で長時間作用するように見える。
図25は、雄性db/dbマウス(n=9)における単回用量の皮下投与後の17および文献標準セマグルチドのインビボ用量反応挙動を示す。アナログ17は、正常なC57BL/6Jマウスで見られるレベルよりも低いレベルまで急激な血糖低下を引き起こすセマグルチドと比較して、そのPD効果がより強力で、より測定され、より長く続くようである。等モル用量の17(10nmol/kg)とセマグルチド(10nmol/kg)の場合、血糖値はt=2、48、72、および96時間で有意に異なる。*=p<0.05、**=p<0.01、***=p<0.001。
【0262】
17の薬力学的プロファイルを、文献標準としてのセマグルチドと比較して、28日間の食事誘発性肥満(DIO)ラットモデルで調べた(
図27)。DIOCD:SD(Sprague-Dawley)ラット(n=9)のグループを、ビヒクル、12nmol/kgセマグルチド、6または12nmol/kg17でQD皮下処理し、グループには、同じ量の餌をペアで与えた17。12nmol/kgのセマグルチドまたは17のグループによって消費された。いずれかの化合物で処理されたグループは、アッセイを通して安定した減少した体重に急速に達した。重要なことに、アナログ17治療は、動物を用量依存的に、中等度から著しい食事制限(約350から500g、より長い生存率を示す)で通常観察される除脂肪体重範囲に戻し、その後、その体重を維持した。自由に餌を与えられたSDラットは、糖尿病を発症することが知られており、寿命が短くなり、長期の研究(自然腫瘍、変性疾患)には適していないが、制限された食事は総体重の減少につながり、生存期間が一貫して長くなる。高血糖は認められず、すべての動物が終了まで生存した。2週間の回復段階に、すべての治療群の動物(1グループあたり4匹)は、治療中に失われた体重を急速に回復した。
図27は、ビヒクル、文献標準セマグルチド(12nmol/kg)、アナログ17(6および12nmol/kg)、および12nmol/kgのセマグルチドと17のグループの動物が消費する食物の量までペアで飼育されたグループ。治療群は、急速に安定した体重に達して維持し、その後回復中に急速に体重を回復する(n=4)。アナログ17治療は、セマグルチド治療(-13%)よりも大きな体重減少(それぞれ-24%および-40%;6および12nmol/kg)を達成した。低用量(6nmol/kg)の17処置動物は、14ー17日目にセマグルチド(12nmol/kg)と比較して有意に低い体重を示した(*)。23ー25日(*)、26ー28日(**)。等モル(12nmol/kg)の17投与動物は、9日目(*)、10日目(**)、および11ー28日目(***)に、セマグルチドと比較して有意な体重減少を示した。*=p<0.05、**=p<0.01、***=p<0.001。
【0263】
図28に見られるように、低用量17(6nmol/kg)で処置された動物は、モル当量の2倍のセマグルチドで処置された動物と非常に類似した摂食抑制を示したが、体重減少は約2倍(-それぞれ24%対-13%、17対セマグルチド)。この違いは、体重減少を促進する2番目の作用機序であるGCGR活性化を示している。セマグルチドで処理した動物は有意ではあるが一過性の摂食抑制を示したのに対し、等モルの17で処理した動物は、アッセイの大部分を通じてより持続的な摂食抑制を示し(
図29)、大幅に大きな体重減少(-40%対-13%、17対それぞれセマグルチド)。
図28は、ビヒクル、文献標準セマグルチド(12nmol/kg)、アナログ17(6および12nmol/kg)、および2匹ずつ餌を与えた群での27日間の処置(その後回復)中のDIOラットによる累積摂餌量を示す。12nmol/kgのセマグルチドまたは17群の動物が消費した食物の量。低用量の17とセマグルチドは、早期に同程度の摂食抑制を達成することに注意してください。一方、セマグルチドと等モルの用量(12nmol/kg)の17は、ほとんどのアッセイを通じて摂食抑制を示す。両方の17投与群で、セマグルチドと比較して大幅に大きな体重減少が達成された(
図27)。ビヒクルと比較して、すべての治療群で8日目以降の摂食量が大幅に減少し、セマグルチド(12nmol/kg)は7日目から、17(12nmol/kg)は6日目に有意に減少した。等モルの17とセマグルチド(12nmol/kg)は、14日目(p<0.05)、15日目(p<0.01)、および16ー28日目(p<0.001)で、17がセマグルチドに対して摂餌量の減少を引き起こしたことを示した。セマグルチドと17をペアで与えたグループは、意図した摂餌量の減少とほぼ一致したが、対応する治療グループは、より大きな体重減少を示した(-6%対-13%および-18%対-40%;ペア給餌vs治療、セマグルチド)対17)、セマグルチドとアナログ17の両方の追加の作用機序が再度確認された。体重減少に対する追加の効果は、GLP-1アナログセマグルチドでは控えめであり、GLP-1R/GCGRデュアルアゴニストであるアナログ17では非常に実質的であった。他のGLP-1/GCGRアナログを用いた研究では、そのようなアナログで見られる体重減少の増加に、代謝率の増加、白色脂肪組織の褐色化、および熱発生が関与していることが示されている。が、そのような研究の結果はさまざまであり、17については実施されていない。
【0264】
肥満はNAFLD/NASH疾患スペクトルの肝臓肥大、脂肪症および炎症を引き起こすと考えられるため、DIOラットモデルを評価する際の重要な側面は、肝臓重量への影響である。この研究では、28日目の肝臓重量(および体重に対する%)は、ビヒクル(18.6g、2.9%)、セマグルチド(14.9g;2.8%)、セマグルチドとペアフィード(16.5g、2.9%)、低投与量17(11.5g、2.5%)、高投与量17(8.9g、2.4%)、高投与量17(14.3g、2.8%)までのペア飼育。12nmol/kg17群の肝臓重量の減少は、ビヒクルおよび等モルのセマグルチド群の両方と統計学的に異なっていた(p<0.01)。17による肝臓重量の大幅な減少を考慮すると、慎重に検証された抗体を使用した研究では肝臓にGCGRが存在することが示されている一方で、GLP-1Rが見られないことは興味深いことである。肝臓におけるGCGRアゴニストの有益な効果は直接的である可能性が高いが、GLP-1Rアゴニストの肝臓重量および組織学に対する有益な効果は、おそらく体重および脂質レベルに対する間接的な効果によるものである.
【0265】
L.実施例6からの結論
急速に増加している世界的な肥満の蔓延は、2型糖尿病およびNASHによって例示される一連のメタボリックシンドローム関連疾患を引き起こしている。GLP-1アナログや以前に研究されたGLP-1/GCGRデュアルアゴニストを含む既存の薬物は、承認された用量での非常に大幅な体重減少(>10%)の必要性に適切に対応しておらず、本発明者らは実質的により効果的で忍容性の高い薬剤を探していた。ヒトにおけるQW送達の可能性がある。ヒト血清アルブミン(HSA)への一過性結合によるペプチドの作用持続時間の大幅な延長を示す以前の研究に基づいて、比較的均等にバランスの取れたGLP-1R/GCGRデュアルアゴニストペプチドフレームワークの修飾を、新しいアプローチであるEuPort試薬と呼ばれる官能化された非イオン性糖脂質界面活性剤。この新しいクラスのペプチド修飾子の構造活性挙動を調査するために選択したペプチドフレームワークと17の効力および選択性を比較することは興味深いことである。そのペプチド配列(Day,et al.AnewglucagonandGLP-1co-agonistremovesobesityinrodents.NatChemBiol2009,5,749-757の化合物32)は、広く使用されているポリエチレングリコール(40kDa;PEG化)アプローチにより、そこに焦点を当てた長時間作用型PEG化分子を生成する(化合物33)。しかし、ペグ化は通常、効力の非常に実質的な損失を引き起こし(33では、32と比較してGCGR効力で12倍の損失、GLP-1効力で5倍の損失)、その結果、選択性のバランスが失われる(その中の効力の比率は、32から減少する)。0.45-0.17、したがってGLP-1Rに有利であり、もはやバランスが取れていない)。本明細書に提示された研究はまた、立体バルクに対するGCGR活性化の感受性を同定した(アナログ9ー11)。PEG化は、特徴付け(さまざまな分子量を有する分子のエンベロープ)に関する問題や、PEGの免疫原性およびクリアランスの遅延に関する懸念ももたらす。対照的に、糖脂質界面活性剤との結合は、ここおよびPTHシリーズでは、追加のリンカーを必要とせずに、高い効力と選択性を備えた、延長された調整可能な作用持続時間をもたらした。したがって、炭水化物環システム上の脂質テールの溶媒への比較的厳格な提示は、少なくとも2つのホルモンアナログシリーズにおいて好ましい新しいアプローチであるように思われる.同様に糖脂質界面活性剤で修飾されたペプチドの物理的特性の詳細な評価は、非常に興味深いものである。
【0266】
患者へのQW送達に適した作用持続時間を求めて、本発明者らはアナログ17を開発中であり、これは、クローン化ヒトGLP-1RおよびGCGRのinvitroでの活性化、DIO齧歯類の復帰について、所望の非常に高くかつ均等にバランスの取れた効力を実証した。食事制限、固形飼料、除脂肪体重、および非常に高いSA結合のモデル。後者の側面は、げっ歯類およびミニブタにおける作用の持続時間が非常に長くなり(t1/2=52時間;MRT=84時間)、このプロファイルは、ヒトにおけるQW投与の適合性を示唆している。文献標準であるQWGLP-1Rアゴニストセマグルチドに対するベンチマークは、デュアルアゴニスト17が、DIO齧歯動物モデルで体重減少を引き起こすのにより強力で、より長時間作用し、より効果的であり、それらを除脂肪体表現型に戻すことを示している。したがって、17(ALT-801として製剤化され、以前はSP-1373として知られていた)は現在、肥満やNASHなどの代謝性疾患の治療におけるその治療可能性を評価するための研究を完了している。.
【0267】
実施例7.健康な過体重および肥満の対象におけるALT-801の単回および反復SC用量の安全性および耐容性を決定し、PK-PD関係に基づいて有効用量範囲を特徴付けるための臨床試験
この研究は、健康な過体重および肥満の被験者(BMI25.0ー40.0kg/m2)におけるALT-801の単回および反復SC用量の安全性および忍容性を評価し、薬物動態-薬力学に基づいて有効用量範囲を特徴付けるように設計されている。(PK-PD)関係。過体重および肥満の健康なボランティアは、そのような被験者のPKが正常な体重の個人のPKとは異なる可能性があるため、研究されている。さらに、これらの被験者は、予測される体重減少のPD効果によりよく耐えることができ、治療の恩恵を受けることさえある。妊娠の可能性を最小限に抑えるために適切な避妊手段が講じられており、GLP-1またはグルカゴンアナログによる治療の危険にさらされる可能性のある既存の状態を除外するための予防措置が講じられている。糖尿病患者は、グルコース恒常性に対するALT-801の効果が非糖尿病集団でよりよく特徴付けられるまで除外されている。過体重および肥満の被験者はさまざまなレベルのインスリン抵抗性を有すると予想されるため、これらの研究で行われた観察は、このクラスの他の化合物からのデータと合わせて、糖尿病の被験者が研究されたときに観察される効果を予測するはずである。.安全性、PK、またはPDに対するALT-801の効果の正確な評価に影響を与える可能性のある除外が設定されている。この研究で採用されたBMIの範囲がPKおよびPDパラメータに及ぼす影響を評価するために、分析が行われる。この試験では、ALT-801の体重に対する効果が示され、肥満の一次治療としての使用が支持される。
【0268】
この研究の主な目的は、有害事象(AE)、バイタルサイン、臨床症状を評価することにより、単回および複数回の漸増皮下(SC)投与後の健康な太りすぎおよび肥満の被験者におけるALT-801の安全性および忍容性を評価することである。安全検査室、尿検査、身体検査、および注射部位反応。グルコース恒常性;血圧;心電図(ECK)、ホルターモニタリング。など。この研究の二次的な目的は、以下を評価することである。1)単回および複数回の漸増SC用量投与後のALT-801のPK。および、2)単回および複数回投与後のALT-801のPD効果。この研究の探索的目的には、次の評価が含まれる。1)複数回投与後のALT-801の拡張されたPD効果。および、2)心拍数補正QT間隔(QTc)延長に対するALT-801の効果。MRI-PDFFによる肝臓脂肪含有量、体重、全身MRIによる体組成、インスリン抵抗性、全身性炎症、およびGLP-1とグルカゴンの標的関与を含む研究評価は、ALT-801の予想されるPD特性に基づいている。体重減少と体組成の変化が含まれる。グルコース恒常性の測定は、グルコース対照に対するGLP-1およびグルカゴンアナログの潜在的な影響に基づいている。GLP-1およびグルカゴンアゴニストが血圧および心拍数の臨床的に重要でない変化と関連しているため、外来血圧モニタリング(ABPM)およびホルターモニタリングが含まれている。QT間隔延長に対するALT-801の潜在的な影響に関する情報を提供するために、ホルターモニタリングも含まれている。GLP-1およびGLP-1/グルカゴンデュアルアゴニストの薬理学および安全性の経験に基づいて、吐き気および嘔吐を含む消化管AEの用量関連発生率が発生する可能性がある。高血糖および低血糖の発生率および重症度を含め、グルコース恒常性も評価される。体重減少はこの化合物の望ましい特性であるため、安全性よりも有効性が監視される。ただし、体重減少が過度であると判断された場合は、その後のコホートで用量を調整することがある。体重減少のレベルが危険または過度であると考えられる場合、個々の被験者の治験薬を一時停止または中止することができる。被験者は、薬物誘発性肝障害についても監視される。血液サンプルは、別の同意を提供する対象におけるバイオバンキングのために、投与前および治験薬の最終投与後に収集される。これらのサンプルは、潜在的な遺伝子解析を含む、NASHおよび関連疾患のバイオマーカーを発見および/または検証するために使用される。
【0269】
本明細書に記載されるこの試験は、ヒト初投与(FIH)、第1相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、2部試験である。健康な太りすぎおよび肥満の被験者におけるALT-801。過体重から肥満の被験者(体格指数[BMI]25.0-40.0kg/m2)が登録される。パート1の単回漸増投与(SAD)フェーズでは、被験者は最大28日間のスクリーニング期間を受ける。包含基準を満たし、除外基準を満たさない過体重から肥満の被験者は、8人の被験者のコホートで3:1の比率で無作為化され、6人の被験者がALT-801を受け取り、2人の被験者がプラセボを受け取る。試験薬物(皮下(SC)投与用にALT-801として製剤化された配列番号1)は、すべてのSADコホートの腹部部位に皮下(SC)投与される。被験者は、治験薬投与の約1日前(-1日目)に研究ユニットに入院し、8日目に退院する。被験者は、1日目にALT-801またはプラセボのSC用量を1回投与される。パート1のための2つの追加の任意コホート。次の用量レベルが計画されている。:60kgのヒトに基づいて、週に1回(QW)投与される週用量として0.4、1.2、2.4、4.8、7.2、および9.4mg。これらの用量は、臨床観察、または利用可能な場合はPKデータに基づいて変更される場合がある。各SADコホートの最初の2人の被験者(1人のALT-801および1人のプラセボ)は、残りの被験者の少なくとも48時間前にセンチネル様式で投与される。-1日目から5日目までの評価の前、および8日目の評価の前に、被験者は少なくとも10時間一晩絶食し、食事は標準化される。被験者は、ECG、CGM、およびABPMを含む安全性を評価するための研究評価を受け、以下に説明する評価のスケジュールに記載されているように、PKのために血液サンプルを収集する。研究ユニットからの退院後、被験者は26日目まで3日ごとのPKおよび安全性評価のための外来受診、および35日目または投薬の過程で決定される少なくとも5半減期のフォローアップ訪問のために戻る。薬理学的モデリングに基づいて予測される有効用量と曝露が達成されない場合、および/または6つの計画されたコホートを完了した後に単回用量の最大耐量(MTD)が特定されない場合、最大2つの追加の単回用量コホートがパートに登録される。1.パート2、SADコホート3の8日目が完了し、そのコホートの安全性が評価されると、複数回漸増投与(MAD)フェーズが開始される。パート2の開始用量は、SADコホート3の用量の半分である。
【0270】
インフォームドコンセントを提供した後、過体重から肥満の対象は、最大28日間のスクリーニング期間を受ける。被験者は、スクリーニング中は通常の食事と活動を維持し、研究に参加している間はいつでも新しい食事、サプリメント、または運動プログラムを開始しないように指示される。被験者は、試験薬投与の約4日前(-4日目)に研究ユニットに入院し、標準化された食事が与えられる食事と運動の慣らし期間を与えられる。標準化された食事は、体重、身長、年齢、および性別に基づく被験者間の違いを説明するために、予測BMR×1.5を使用して個別化された毎日のカロリーで提供される。研究参加者の活動レベルも標準化されている。包含基準を満たし、除外基準を満たさない被験者は、12人の被験者のコホートで5:1の比率で1日目に無作為化され、10人の被験者がALT-801QWを受け、2人の被験者がプラセボQWを6週間受ける。すべてのMADコホートにおいて、試験薬物を腹部部位に皮下(SC)投与する。
【0271】
対象は、1日目に治験薬の最初の投与を受け、8日目に2回目の投与を受けるまで研究ユニットにとどまる。その後、対象は、週間隔で3回の外来投薬来院に戻る(15日、22日、および29日)。)および32日目から43日目に再入院する。被験者は36日目に治験薬の最後の投与を受ける。、いずれか早い方。被験者は、本明細書に記載されているように、ALT-801の安全性、PD、およびPKを評価するために、いくつかの研究評価を受ける。安全性評価には、ECG、CGM、およびABPMが含まれる。PD評価には、擬人化測定、食事評価、イメージング、およびバイオマーカーの採血が含まれる。胃腸障害症状重症度指数(PAGI-SYM)の患者評価は、消化管症状に対する治療の効果を評価するために実施される。PKおよび免疫原性のために血液サンプルを収集する。被験者は、-1日目から5日目まで、および7、8、36、37、42、および43日目の前に、少なくとも10時間一晩絶食する。さらに、被験者は、-1、7、および42日目に、混合食事耐性試験のために標準的な朝食を受け取る。
【0272】
MADの用量は、臨床データに基づいて選択され、入手可能であれば、以前に完了したSADおよびMADコホートからのPKデータに基づいて選択される。3つのMADコホートが計画されており、必要に応じて最大2つのオプションの追加コホートが計画されており、ファーマコメトリックモデリングに基づいて予測される有効用量と曝露を達成し、以前に研究された用量レベルを拡大し、このフェーズのMTDが特定されない場合は用量漸増を継続する。または、薬理学的モデリングに基づく最大有効用量に達する前に消化管不耐症が観察された場合は、用量滴定スキームを調査する。
【0273】
パート1の最大推奨開始用量(MRSD)は、ピボタルGood Laboratory Practice毒性試験において動物(ラットおよびサル)で決定されたNOAELでのヒト等価用量(HED)の10分の1に基づく。ラットとサルの両方がALT-801に対して同様の臨床反応を示すと考えられたが(実施例4参照)、NOAELでの曝露はラットでわずかに低く、より保守的なヒト開始用量となった。ラットNOAELは高用量の0.45mg/kg/週であり、これは体表面積スケーリングに基づく60kgのヒトにおける0.44mg/週に相当する。特に、サルのNOAELも高用量の0.25mg/kgであり、これは体表面積スケーリングに基づく60kgのヒトの0.49mg/週に相当する。安全のために10倍のスケーリング係数を使用して、60kgのヒトに対して0.40mg/週のヒト開始用量が選択された。さらに、最大推奨開始用量(MRSD)で外挿されたヒトの曝露は、サルのNOAELでの曝露よりもかなり低く、特にラットのNOAELでの曝露に匹敵する。サルは最も敏感な種ではないが、生物学的に最も臨床的に関連のある毒性(すなわち、食物摂取の減少および嘔吐)に関連する種であるため、これは特に重要である。パート1の臨床観察とPKは、最終的にパート2の投与に関する考慮事項の指針となる。
【0274】
ラットおよびサルにおける研究におけるALT-801の主な所見は、体重減少であった(例えば、実施例4を参照)。毎日投与されていたラットのスケジュールを週3日に変更すると、ALT-801の摂食および体重減少への影響が減少し、作用機序と一致して忍容性が改善された(実施例4を参照)。GLP-1およびグルカゴンアゴニストの毒性も、人間の研究で十分に特徴付けられている。前臨床の安全性の調査結果は、SADコホート2への3倍の用量漸増増加を支持する。その後の漸増は、研究のいずれの部分でも2倍を超えません。忍容性を改善する必要がある場合は、用量漸増スキームを検討することができる。これらの予測の信頼性に加えて、実施例4に記載されているように、いくつかの前臨床種(マウス、ラット、ミニブタ、およびサル)の集団PKモデルに基づいて、ヒトにおける用量と曝露の関係は線形であると予測される。研究が進行中であるため、モデルはヒトのデータで更新される。ヒトにおけるALT-801の予測t1/2は100時間の範囲であり、これはパート1でも確認される仮定である。週1回(QW)投与に基づくと、定常状態での反復投与による推定蓄積は2倍以下。複数回の曝露が単回曝露の範囲内に収まるようにするために、パート2の開始用量は、パート1コホート3の用量の半分になるように計画されている。ただし、その後のパート2コホートは、安全性とPKデータに基づいて調整される場合がある。連続する各用量レベルにエスカレートする決定は、パート1の8日目(単回投与の7日後)およびパート2の15日目(2回目の投与の7日後)までの安全性と忍容性の評価に基づいている。2週目が完了した後のエスカレートは、主に吐き気または嘔吐であると予想されるAEが投与の最初の2週間に発生するという以前のGLP-1およびGLP-1/グルカゴンデュアルアゴニスト研究からの観察に基づいている。さらに、投薬の最終週のCmaxおよびAUCtauは、以前に完了し、安全性が評価されたSADコホートの用量のCmaxまたはAUCinfを超えないことが期待される。ED80からED90に対応する成人の最大有効性のための目標用量は、1から5mgの間であり、目標血漿濃度は50から100ng/mlの間であると推定される。ヒトPKを予測するための動物PKパラメータのモデリング。したがって、推定開始用量は、予測される最低有効用量よりも約2.5倍低く、不活性であると予想される。
【0275】
安全性を最大化するために、単回漸増用量(SAD)および複数漸増用量(MAD)の増加は、ラットにおけるNOAELでの曝露を超えないように計画される。ただし、PDと忍容性が、過体重および肥満の被験者が、ラットのNOAELでの曝露を超えると予想される用量から利益を得るであろうことを示唆している場合、支持的な安全性と有効性のデータがIECに提示され、SADおよびMADの漸増(エスカレーション)を継続する前に合意が得られる。
【0276】
用量漸増には、第1部では最低6人の対象が必要であり、第2部では8人の対象が必要であり、各コホートで少なくとも1人の対象がプラセボを受けている。用量漸増がMTDを超えていることが観察によって示唆された場合、以前の治療コホートで観察された安全性および忍容性のデータの評価に基づいて、推奨される次の用量レベルが下方調整される場合がある。投与は、研究の各部分について個別に決定されるMTDが特定されるまで続行することができる。利用可能なPKデータは、意思決定の指針として使用でき、暴露がラットのNOAELを超えると予想される場合に明示的に考慮される。安全性を最大化するために、計画されたSADおよびMADのエスカレーションは、ラットのNOAELでの暴露を超えない。
【0277】
スクリーニング活動の完了後、すべての包含を満たす(例えば、いずれの除外基準も、対話型ウェブ応答システム(IWRS)によって無作為化されない)を満たす被験者。第1部では、各コホートの2人の被験者が無作為に割り当てられる。センチネル投与のためのALT-801またはプラセボ治療群への1:18人の被験者の各コホートの残りの6人の被験者は、ALT-801またはプラセボ治療群に無作為に割り当てられ、5人はALT-801群に割り当てられ、1人は各コホートにおけるALT-801とプラセボの全体的な3:1の比率のプラセボ群パート2では、12人の被験者のコホートが5:1の比率でALT-801またはプラセボ治療群にランダムに割り当てられ、10人がALT-801グループに、2人がプラセボグループに割り当てられた。
【0278】
ALT-801は、無菌の緩衝水溶液中のガラスバイアルで最終濃度2.5mg/mLおよび全充填量1.2mLに製剤化され、皮下(SC)注射として投与される。パート1では、1日目に単回投与の治験薬を投与する。各SADコホートの最初の2人の被験者(ALT-8011人およびプラセボ1人)には、残りの被験者の少なくとも48時間前にセンチネル方式で投与する。パート2では、治験薬をQWで6週間投与する。用量は、1、8、15、22、29、および36日目に投与される。パート1の開始用量は0.40mgであり、これは、ラットにおける無毒性量(NOAEL)でのヒト等価用量の10分の1に相当する。(安全のために0.44mg/週から切り捨て)、用量漸増は修正フィボナッチ方式に従い、計画用量レベル0.40、1.2、2.4、4.8、7.2、および9.4mgで3倍以下になる(週に1回、7日に1回投与)。パート2の開始用量は、パート1コホート3の用量の半分になるように計画されている。ただし、その後のパート2コホートは、安全性とPKデータに基づいて調整される場合がある。連続する各用量レベルへの漸増の決定は、パート1の8日目(単回投与の7日後)およびパート2の15日目(2回目の投与の7日後)までの安全性と忍容性の評価に基づいている。必要に応じて、または本明細書に記載されているように、変更された、および用量滴定スキーム。ALT-801またはプラセボの各用量は、適切に訓練された臨床スタッフによって腹部へのSC注射として投与される。投与量は、選択された用量と最終製剤の濃度2.5mg/mLに基づいている。生理食塩水プラセボは、そのコホートで投与されたALT-801の用量と量に基づいて量が一致している。体重減少はこの化合物の望ましい特性であるため、安全性よりも有効性が監視される。ただし、体重減少が過度であると判断された場合は、その後のコホートで用量を調整することがある。体重減少のレベルが過度であると考えられる場合、個々の被験者の治験薬を一時停止または中止することができる。消化管有害事象のレベルが制吐剤治療にもかかわらず過度で耐えられないと考えられる場合(例えば、重度の消化管有害事象が24時間以上続く場合)、個々の被験者の治験薬を一時停止または中止することができる。嘔吐が持続する場合は、対象に制吐剤を投与することができる。この状況では、5HT3受容体拮抗薬(例えば、オンダンセトロン)が好ましい。用量漸増がMTDを超えていることが観察により示唆された場合、以前の治療コホートで観察された安全性および忍容性のデータの評価に基づいて、推奨用量レベルを下方調整することができる.投与は、研究の各部分について個別に決定されるMTDが特定されるまで続行することができる。利用可能なPKデータを使用して、意思決定を行うことができる。
【0279】
-1、1、2、3、4、5、8、11、14、17、20日目の0、1、4、6、8、12、および16時間にPK評価のために血液サンプルを採取する。、23および26はパート1であり、0時、1、4、6、8、12、および16日の-1、1、2、3、4、5、8、15、22、29、および36ー38日パート2.PKサンプルの残りの血漿は、時間制限なしで凍結保存でき、ALT-801生物分析法の開発やALT-801代謝物の探索に使用できる。ECGの読み取り値は、PKのサンプル時間と時間的に一致する。複数の活動が同じ時点で発生する場合、ECGを最初に収集し、PK採血を公称時間に行う必要がある。PD評価はパート2でのみ行われる。
【0280】
高さは、壁に取り付けられたスタディオメーターまたは平均台スケールに取り付けられたスタディオメーターのいずれか利用可能なものを使用して、センチメートルで測定される。被験者は靴下を着用するか、裸足である必要がある。スクリーニング訪問を除いて、体重は、各名目時点でほぼ同じ時刻に較正されたスケールを使用してキログラムで測定される。ガウン(または臨床研究ユニットが提供するその他の標準的な衣類)、下着、および靴下(靴なし)を着用した被験者で、空腹時および被験者に排尿を求めた後(つまり、膀胱を空にする)、測定を行う必要がある。胴囲は、被験者がガウンを着用して撮影する必要がある。測定は、腸骨稜の上面と肋骨の外側縁下部の中間のレベルで実行される。測定は臍のレベルである必要はない。測定テープは水平に保つ。パート1とパート2のスケジュールに沿って、身長・体重・腹囲を測定し、BMIを算出して記録する。身長測定は、スクリーニング時のみ必要である。胴囲は、パート2の被験者のみ測定される。
【0281】
FibroScan(登録商標)は、振動対照トランジェントエラストグラフィ(VCTE)およびCAPをそれぞれ介して、肝臓の硬直および脂肪症を同時に測定することができる超音波のような器具である。パート2の被験者については、FibroScan(登録商標)CAPは、少なくとも10時間の一晩絶食後のスクリーニング中に測定される。FibroScan(登録商標)CAPは、MRI-PDFFの前に測定される。MRI-PDFFは、肝臓全体にわたる肝臓脂肪の正確で反復可能かつ再現可能な定量的評価を可能にする定量的イメージングバイオマーカーである。パート2の被験者の場合、MRI-PDFFはスクリーニング中(CAPが300dB/m以上の場合にのみ発生)と、最低10時間の絶食後のEOS訪問時に測定される。肝臓脂肪率は、肝臓脂肪量と同時に測定される総肝臓容積に対して補正される。全身MRIは、除脂肪体重を含む体組成の測定に使用される確立された画像技術である。パート2の被験者については、MRI-PDFFと組み合わせて、スクリーニングおよびEOS訪問中に全身MRIが実行される。
【0282】
パート1および2では、研究ユニットでの入院期間中、被験者に標準化された食事を提供する。毎日のカロリーは、1.5の活動係数を乗じた予測BMR式を使用して個別化され、多量栄養素組成は40ー50%の炭水化物、15ー25%のタンパク質、および30ー40%の脂肪で標準化される。パート2では、1日目と42日目のPD評価の前に、4日目から2日目と39日目から41日目に同じ標準化された食事が提供される。対応する各マニュアルに記載されているMRI-PDFF、およびMMTT評価。
【0283】
食物摂取および食欲は、自由食試験およびVASアンケートを使用して評価される。VASアンケートは、空腹感、満腹感、満腹感、および甘い、塩辛い、おいしい、脂肪などの特定の味を食べたいという欲求を記録する食欲研究の標準的な手法である。[Flint2000]。被験者は、評価のスケジュールで指定された日に自由に食事の前後にVASアンケートに記入する。アドリブ食事のサイズは、健康な太りすぎおよび肥満のボランティアの予想される摂取量を超える。試験食の間、被験者は隔離され、環境の手がかりは最小限に抑えられる(つまり、テレビ、携帯電話、コンピューターなどはない)。被験者は30分以内に好きなだけ食べて、満腹になるまで食べるように指示される。食事の前後の体重を記録して食物摂取量を把握し、カロリー消費量を決定する。
【0284】
基礎代謝率(BMR)および安静時エネルギー曝露(REE)は、絶食条件下で、少なくとも10時間の絶食期間の後に、朝に評価される。-1日目と42日目に行われる安静時エネルギー消費量。BMRとREEは換気フード法(間接熱量測定)を使用して決定される。BMRは通常、毎日のエネルギー消費の主な設定要素であるため、BMRの変更は、エネルギー消費を対象とする代謝薬開発プログラムのコンテキスト内で臨床的に関連する可能性がある。
【0285】
最低10時間の断食に続いて、対象は、標準化された流動食(6液量オンスのエンシュアプラス[700kcal]、標準的なMMTTを設定する脂肪、炭水化物、およびタンパク質)を5分以内に測定する。t=0分のサンプル(つまり、標準化された流動食の前)は、最後のHOMAIR2血液サンプルである。(上記参照)。ホルモンマーカーには、グルコース、インスリン、C-ペプチドが含まれる。サンプルは、最初の15分間は5分間隔で、その後30分間は標準化された流動食の摂取後240分まで収集される。(この間追加の食物摂取はない)。MMTT手順は、評価スケジュールで指定された日に実行される。テストを標準化し、ばらつきを減らすために、各テストの前に、臨床研究ユニットへの入院後、3日間の標準化された食事と標準化された身体活動の慣らし期間が行われる。
【0286】
対象が少なくとも10時間一晩絶食した後、1回目および2回目の投与の1日前、および最後の投与の6日後に、ケトン体の評価のために血液サンプルを採取する。FGF-21およびアディポネクチンの評価のための血液サンプルは、対象が少なくとも10日間一晩絶食した後に収集される。最低10時間の絶食の後、コレステロール(総、HDL、LDL)、ApoAを含む脂質の評価のために血液が収集される。表4に示すように、B、リポタンパク質(a)、TG、およびトリパルミチンを、最初の投与前、および治験薬の最後の投与の6日後に収集する。表4に示すように、最初の投与前および治験薬の最終投与の6日後のhs-CRP、レプチン、MCP-1、およびIL-6。グルコース恒常性は、DexcomG6CGMを使用して24時間CGMによって評価第1部および第2部に示された期間中に評価される。
【0287】
安全母集団には、少なくとも1用量の治験薬を受ける無作為化されたすべての被験者が含まれる。被験者は、彼らが受ける治療に従って分析される。PK母集団には、ALT-801を少なくとも1回投与され、分析に十分なPKデータを持っている無作為化されたすべての被験者が含まれる。QT集団には、ベースラインで少なくとも1つの時間的に一致したECGと、投与後に対応する時間的に一致したPK-ECGを有するPK集団のすべての被験者が含まれる。PD母集団には、少なくとも1回の治験薬投与を受け、ベースラインおよび少なくとも1回のベースライン後のPD評価の結果が得られた無作為化されたすべての被験者が含まれる。
【0288】
使用される統計学的方法では、記述統計を使用して、人口統計およびベースライン特性の差異を評価する。病歴は、規制活動のための最新の医学辞書(MedDRA)バージョンを使用してコード化され、対象別にリストされている。継続的な安全性データは、用量レベルおよび治療法(実薬またはプラセボ)ごとの記述統計(算術平均、標準偏差[SD]、中央値、最小値、および最大値)で要約されている。カテゴリ別の安全性データは、該当する場合、研究の部分、用量レベル、治療、および日ごとの頻度カウントとパーセンテージで要約されている。
【0289】
AEは、最新のMedDRAバージョンを使用してコード化される。逐語的用語、優先用語、SOC、治療、重症度、および治験薬との関係を含む、被験者ごとのAEデータリストが提供される。治療に起因するAE(TEAE)を経験している被験者の数、および個々のTEAEと注射部位反応の数を、治療群、SOC、および優先用語別に要約する。TEAEは、重症度(グレード1から4)および治験薬との関係(可能性が低い、おそらく、おそらく)によっても要約される。停止ルールの関連性は、関連する可能性がある、または関連する可能性が高いと定義される。臨床検査評価、バイタルサイン評価、連続心臓モニタリング、ECGパラメータ(ホルターモニタリングを除く)、CGM測定、ABPM測定、および食事耐性検査パラメータは、研究部分、治療グループ、用量レベル、およびプロトコール指定の収集時点ごとにまとめられている。治療グループごとの各プロトコール指定時点でのベースラインからの変化の概要も表示される。身体検査の変更点は、科目ごとに記載されている。PAGI-SYMの分析は、統計分析計画(SAP)に詳述されている。併用薬は、主題別にリストされ、最新のWHO薬物辞書を使用してコード化されている。
【0290】
薬物動態は、記述統計(サンプルサイズ[N]、算術平均、SD、変動係数[CV%]、中央値、最小値、および最大値)とともにコホートごとに列挙および要約された個々のALT-801濃度データを含む。各コホートの個別および平均±SDALT-801濃度-時間プロファイルもグラフで表示される。血漿ALT-801非コンパートメント(NCA)PKパラメータCmax、最大血漿濃度までの時間(Tmax)、AUC0-t、AUC0-inf、排泄速度定数(Kel)、t1/2、見かけの全身クリアランス(CL/F)、終末期の見かけの分布体積(Vz/F)(パラメータ決定に十分なデータがある場合)は、SAD部分について推定される。MAD部分については、Tmax、Cmax、およびAUCtauのPKパラメータが、最初と最後の投与(1週目と6週目)後に推定される。データが許せば、Kel、t1/2、定常状態での見かけの全身クリアランス(CLSS/F)、および定常状態での見かけの分布容積(VSS/F)は、6週目の投与後に推定される。薬物動態パラメータは、各個人についてリストされ、記述統計(N、算術平均、SD、CV%、中央値、最小値、最大値、幾何平均、および幾何CV%)を使用してコホートごとに要約される。ベースラインBMIがPKパラメータに及ぼす影響は、相関分析によって評価される。必要に応じて、パワーモデルアプローチを使用して用量比例性を評価する。蓄積は、第6週から第1週までのCmaxとAUC0-tauの比として評価される。定常状態は、最初の投与から最後の投与までのトラフ濃度の比較によって評価される。
【0291】
ホルターモニターから抽出されたECGは、被験者、訪問、治療、および名目上の時点を知らされていない熟練した読者の選択されたグループを有する中央ECG検査室によって分析される。品質管理または可用性に基づく2回目のレビューが必要でない限り、1人のリーダーが個々の被験者のECGをレビューする。すべてのECGは、個々の被験者に対して同じリードを使用して分析される。主な分析リードはリードIIである。分析できない場合を除き、V2またはV5が個々の被験者のデータセット全体に使用される。
【0292】
一次分析は、Fridericia補正QT間隔(ΔΔQTcF)を用いたベースライン投与後の時点からのプラセボ補正の平均変化および片側95%信頼限界上限である。バゼット(QTcB)、個人補正(QTcI)、集団補正(QTcP)などの他の補正方法を検討して比較することができる。少なくとも、フリデリシアとバゼットの修正は分析され、提示される。二次分析には、線形混合効果モデリングを使用して、時間的に一致した血漿濃度とΔΔQTcFとの関係が含まれる。ALT-801の反復用量投与の免疫原性は、MAD期の最終来院時に収集されたELISAベースのアッセイを使用して血清サンプルを評価することによって評価される。試験終了時のサンプルが陽性の場合、試験途中のサンプルも分析される。免疫原性は、該当する場合、安全性およびPKと相関している可能性がある。
【0293】
薬力学研究は、肝臓脂肪含有量、擬人化パラメータ、GLP-1関与およびインスリン抵抗性、グルカゴン関与、ならびに脂質および炎症マーカーの変化を含み、記述統計(サンプルサイズ[N]、算術平均、SD、中央値、最小値、最大値、幾何平均、および幾何CV%)を用いて処置群ごとに列挙および要約される。。必要に応じて、推測統計が適用される。PDパラメータに対するベースラインBMIの影響は、共変量分析によって評価される。
【0294】
中間分析は、MADコホート3における2回以上の用量の完了後に行うことができる。この分析の目的は、後続試験の用量選択を可能にすることである。この分析では、研究は盲検のままであり、被験者レベルの安全性、PD、および利用可能なPKデータは分析のために匿名化される。研究の部分、用量レベル、治療グループ(アクティブまたはプラセボ)、および該当する場合は日ごとの要約データが報告されている。中間分析の実施については、SAPに詳述されている。
【0295】
実施例8.製剤研究
臨床開発および将来の商業化を支援するために、ALT-801の製剤は、理想的には+2-8℃以上で長期安定性を達成するように開発される必要がある。さらに、ALT-801の製剤は、薬物動態パラメータを改善するために最適化され得る。
【0296】
上記に開示され、APIとして2.5mg/mLのALT-801、3.48mg/mLのアルギニン、0.5mg/mLのポリソルベート20(PS-20)、および42.6mgを含むALT-801(F58)の初期製剤/mL塩酸でpHをー7.75に調整したマンニトールは、初期の臨床開発をサポートするために開発された。F58は-20℃で保存される。F58製剤は、+2ー8℃で濁りが見られ、より大きな凝集体が溶液から沈殿したことを示している。RP-HPLCで分析したところ、ALT-801の純度と含有量に変化がないことがわかり、溶液中でALT-801によって形成された超分子構造の物理的不安定性に関連するこのぼんやりとした外観が支持された。ALT-801は、EuPortの疎水性アルキル鎖(官能化された非イオン性糖脂質界面活性剤など)の親水性ペプチド部分への共有結合によって形成されるペプチド両親媒性物質である。そのため、ALT-801は、ミセルなどの超分子構造に自己集合することを目的としている。水中のALT-801は、表面張力計で測定した1.33mg/mlの臨界ミセル濃度(CMC)を超える濃度でミセルを形成することが実証された(
図30を参照)。ALT-801のCMCは、F58バッファー(PS-20なし)でも同じであると予想される。
【0297】
皮下投与のためのALT-801の製剤を改善するために、臨界ミセル濃度(CMC)実験を、ポリソルベート20およびポリソルベート80の両方について、それぞれpH=7.7で調製したF58緩衝液中、4つの条件下:単独で、表面張力測定によって評価した。、2.5mg/ml添加ALT-801、5.0mg/ml添加ALT-801、および10.0mg/ml添加ALT-801。CMC値、およびそれによるALT-801によるシフト、およびポリソルベート20またはポリソルベート80とALT-801の間の相互作用の程度を、それぞれ表19および20に示すように決定した。CMCシフトは、ALT-801の存在下でのCMCから、溶液中の界面活性剤のみのCMCを差し引いたものとして単純に計算される。質量またはモルベースでの相互作用の程度は、シフトを引き起こすALT-801の濃度で割ったCMCシフトとして計算される。
【0298】
【0299】
【0300】
これらの結果は、そのCMCを達成するためにALT-801濃度の範囲にわたって使用されるPS-20またはPS-80の最小濃度を特定する。また、F58製剤中のPS-20の濃度(0.5mg/ml)が低すぎてCMCを達成できないことも立証され、+2ー8℃で保存した場合の溶液の濁った外観を説明できる可能性がある。この結果は、CMCを達成するには、ALT-8011mgあたり少なくとも0.66mgのPS-20が必要であることを示している。同様に、CMCを達成するには、ALT-8011mgあたり少なくとも1.03mgのPS-80が必要である。
【0301】
当業者によって理解されるように、試薬およびそれを使用する方法の他の利点も本明細書に提供される。好ましい実施形態に関して特定の実施形態を説明してきたが、変形および修正が当業者に想起されることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなすべてをカバーすることが意図されている。
【配列表】
【国際調査報告】