(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】医療処置に対するボツリヌス毒素又は他の薬物注入のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/42 20060101AFI20230405BHJP
A61B 5/107 20060101ALI20230405BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20230405BHJP
A61P 17/00 20060101ALN20230405BHJP
【FI】
A61M5/42 520
A61B5/107 110
A61K38/17
A61P17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549320
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(85)【翻訳文提出日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 US2021016875
(87)【国際公開番号】W WO2021162954
(87)【国際公開日】2021-08-19
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522324336
【氏名又は名称】マイトックス インク リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ジャンダリ シャリーフ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C066
4C084
【Fターム(参考)】
4C038VA03
4C038VB03
4C066AA10
4C066BB01
4C066CC01
4C066LL13
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA44
4C084DA33
4C084MA67
4C084ZA891
4C084ZA892
(57)【要約】
a)薬物注入のための場所を識別するインジケータを患者の皮膚上にマーキングする段階と、b)マーキングをそこに有する皮膚の画像を撮影する段階と、c)カバーに開口部を有する特注カバーを取得した後に開口部を通してマーキングデバイスを挿入し、注入場所に関して皮膚にマーキングする段階とを含む患者の中に薬物を注入する方法。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体の一部分にわたる配置のための特注カバーであって、
前記カバーが、それを通って延びて、1又は2以上の薬物の注入のためのマーキングされた場所を患者上に与えるための医療提供者によるマーカの手動挿入のために構成され且つ寸法決めされた複数の開口部を有し、
前記カバーが、マーキングされた場所をそこに有して作られた前記患者の解剖学的視野の画像を処理するソフトウエアベースのアプリケーションから生成された命令のセットから製造され、
前記カバーが、前記ソフトウエアベースのアプリケーションに基づいて前記身体の前記部分に対して特注され、
前記複数の開口部は、前記カバーとは独立した1又は2以上の薬物のその後の注入のために望ましい前記マーキングの場所に対して特注される、
ことを特徴とするカバー。
【請求項2】
患者の顔にわたる配置に対して構成されることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記カバーは、前記身体上で該カバーを位置合わせするための1又は2以上の位置合わせマーキングを含むことを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項4】
前記カバー上に投与量インジケータを含むことを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項5】
注入される前記薬物は、ボツリヌス毒素であることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項6】
前記画像は、手動でマーキングされた場所に基づいて、前記カバーの製造のための命令を提供するように、前記患者による薬物注入の望ましい場所に対応するデータを受信し処理するデバイス上のソフトウエアアプリケーションにリンクされたウェブサイトポータルに入力されることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項7】
前記特注カバーが、3D印刷によって形成されることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項8】
前記画像は、ウェブサイトポータルへの入力の前に操作可能であり、前記ウェブサイトポータルは、前記カバーの製造のための命令を提供することを特徴とする請求項6に記載のカバー。
【請求項9】
前記画像は、ウェブポータルにアップロードされ、かつ前記カバーの製造のための命令を提供するように操作されることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項10】
前記開口部を通る注入デバイスの通過を防止するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項11】
前記ソフトウエアベースのアプリケーション上の人の編集に基づいて製造されることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項12】
前記ウェブサイトポータルは、前記カバーの製造業者に対して前記ソフトウエアへのアクセスを遮断し、かつフォーマットされた前記画像へのアクセスのみを許可にすることを特徴とする請求項6に記載のカバー。
【請求項13】
前記画像が非対称である場合に、前記画像は、画面上で編集可能であり、編集された前記画像は、前記カバーの製造のためにウェブサイトポータルにアップロード可能であることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項14】
前記カバーは、前記開口部を通してマーカを受け入れる構造を含むが、前記開口部を通した注入デバイスの安全な挿入を防止することを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項15】
前記複数の開口部は、マーカの挿入のためだけのものであることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項16】
患者の身体の一部分にわたる配置のための特注カバーを製造する方法であって、
マーキングされた場所をそこに有して作られた前記患者の解剖学的視野の画像を処理するソフトウエアベースのアプリケーションから生成された命令のセットを解釈する段階と、
前記ソフトウエアベースのアプリケーションに基づいて前記身体の前記部分に対して前記カバーを特注化する段階と、
前記カバーなしでの前記マーキングでの1又は2以上の薬物のその後の注入のために望ましい前記マーキングの場所に対して前記カバー内の複数の開口部を特注化する段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項17】
前記カバーは、前記マーキングに対応するデータを受信して処理するデバイス上のソフトウエアアプリケーションにリンクされたウェブサイトポータルに入力された画像に基づいて製造されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ウェブサイトポータルは、前記カバーの製造業者に対して前記ソフトウエアへのアクセスを遮断し、かつフォーマットされた画像へのアクセスのみを許可にすることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
患者の皮膚を通した薬物の一貫性のある注入を可能にするためのソフトウエアベースのシステムであって、
a)1又は2以上の注入場所に対する選択領域に対応する第1のマーキングを有する前記皮膚の第1の画像を格納する段階と、
b)前記1又は2以上の注入場所を調節するための人の入力又はソフトウエア発生式入力のうちの一方に基づいて修正された修正画像を格納する段階と、
c)前記患者の前記皮膚にわたる配置のための特注カバーを生成する製造業者による処理のために前記修正画像をアップロードする段階と、
を備えることを特徴とするソフトウエアベースのシステム。
【請求項20】
前記ソフトウエアは、前記マーキングでの直接注入のために前記患者の皮膚にマーキングするためのマーカを受け入れるためだけの開口部を有する前記カバーを製造する命令を提供することを特徴とする請求項19に記載のソフトウエアベースのシステム。
【請求項21】
前記修正画像は、前記製造業者による処理のためにウェブポータルにアップロードされることを特徴とする請求項19に記載のソフトウエアベースのシステム。
【請求項22】
前記修正画像は、前記製造業者によって編集可能ではないことを特徴とする請求項21に記載のソフトウエアベースのシステム。
【請求項23】
患者の解剖学的特徴のデータ入力によって形成された特注カバーの利用に基づいて患者の中に薬物を注入する方法であって、
a)薬物注入のための場所を識別するインジケータを前記患者の皮膚上にマーキングする段階と、
b)前記特注カバーに対するデータ入力を提供するために前記マーキングを有する前記皮膚の画像を撮影する段階と、
c)前記カバー内に開口部を有する該特注カバーを取得した後に、該開口部のうちの少なくとも1つを通してマーキングデバイスを挿入して注入場所に関して前記皮膚にマーキングする段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項24】
注入に対して前記薬物の異なる投与量を示す様々な色マーキングを用いて前記皮膚にマーキングする段階を更に備えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記カバーは、投与量を示すために一体形成された指示を有し、
前記方法が、
前記カバーを取り外す段階と、
示された前記投与量に従って前記皮膚の中に前記薬物を注入する段階と、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記カバーは、該カバーが形成された後に該カバーに付加された指示を有し、
前記方法が、
前記カバーを取り外す段階と、
示された前記投与量に従って前記皮膚の中に前記薬物を注入する段階と、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項27】
1又は2以上のマーキングデバイスを用いてマーキングが前記開口部を通して行われた後に前記カバーを取り外す段階と、
前記マーキングの前記場所で前記薬物を注入する段階と、
を更に備えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記カバー上の1又は2以上の位置合わせマーカに従って、前記カバーを前記皮膚上で位置合わせする段階を更に備えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項29】
修正画像を提供するために前記画像を編集する段階と、前記カバーを形成するためのガイドを提供するために前記修正画像をウェブポータルにアップロードする段階とを更に備えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項30】
患者の皮膚を通して薬物の一貫性のある注入を提供する方法であって、
a)薬物注入に対する場所を提供するための第1のマーキングを患者の皮膚上に手動で与える段階と、
b)前記第1のマーキングを前記皮膚の第1の画像を撮影する段階と、
c)前記第1の画像を格納する段階と、
a)前記第1のマーキングの前記場所で前記患者の中に薬物を注入する段階と、
e)ある期間の後に、前記薬物の前記注入の結果を評価して、i)1又は2以上の注入場所での注入を調節するための修正画像を生成するために前記第1の画像を編集する、又はii)前記第1の画像を編集しない、のいずれかを行う段階と、
f)前記修正画像又は前記第1の画像のいずれかに従って作られたカバーを取得した後に、前記患者の前記皮膚上に前記カバーを置いて、前記カバー内の開口部を通して第2のマーキングを手動で与える段階と、
g)前記カバーを取り外して前記薬物を前記第2のマーキングで注入する段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項31】
修正された又は編集されなかった前記第1の画像のいずれかを前記カバーを製造するためのデバイスとリンクするためのウェブポータルにアップロードする段階を更に備えることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2018年9月21日出願の米国仮特許出願第62/734,918号からの優先権を主張する2019年9月13日出願の米国特許出願第16/570,515号の一部継続出願である。これらの出願の各々の内容全体は、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
この出願は、薬物注入のためのシステム及び方法に関連し、より具体的には、ボツリヌス毒素のような薬物の注入を容易にするための特注患者マスク及びマスクを形成するための工程に関する。
【背景技術】
【0003】
ボツリヌス毒素は、細菌であるボツリヌス菌によって生成される毒素から作られる神経毒である。医者は、美容整形での一時的な顔の皺伸ばしのためにこの薬物を小投与量で用いて外観を改善する。これらの注入は、ある一定の筋肉を弱めるか又は麻痺させること、又はある一定の神経を阻害することによって機能する。これらの効果は、処置されているものが何であるかに依存して約3ヶ月から12ヶ月まで持続する。Botox(オナボツリヌス毒素A、Allergan)及びDysport/Azzalure(アボボツリヌス毒素A、Ipsen/Galderma)、Xeomin/Bocouture(インコボツリヌス毒素A、Merz)、並びにJeuveau(プラボツリヌス毒素A、Evolus/Daewoong)のような商標名の下で市販されている様々なタイプのボツリヌス毒素がある。
【0004】
ボツリヌス毒素は、一般的に人の顔に注入される。眉間の皺線(両眼の間の皺線)に対する現在のボツリヌス毒素の効果は、一般的に2ヶ月から4ヶ月まで持続するが、この持続長さは患者に、一部の場合は製品に依存し、一部の患者は、より長い効果持続時間を享受する。顔の皺の下にある筋肉の中へのボツリヌス毒素の注入は、これらの筋肉の弛緩をもたらし、上に重なる皮膚の平滑化をもたらす。皺の平滑化は、通常は注入の3~4日後に明らかになり、一般的に注入後一週間で最大の効果を有する。滑らかな外観を維持するために、筋肉は、繰り返し処置することができる。
【0005】
患者は、ボツリヌス毒素が様々な医師の診療所のどこで注入されたかによる又は一部の場合は同じ診療所の同じ医師によって注入されてもばらつきがあることに起因して皺/眉間皺線に対するボツリヌス毒素(例えば、Botox、Dysport、Xeomin)注入がいかに異なるかに関して頻繁に苦情を呈する。このばらつきは、例えば、患者の眉の形状を変化させ、それらを過度に円弧形、過度に扁平、垂れ形等にし、又は望ましい皺軽減を実現させない場合もある。このばらつきはまた、患者が予想したと考えられるものとは異なる外観をもたらす。患者の解剖学的構造及び皮下筋肉のばらつきが、注入による患者の結果にばらつきがある原因である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ボツリヌス毒素注入に関してより一貫性のある結果を達成することに対する必要性が存在する。個々の患者の目標により良く適合するボツリヌス注入に対する必要性が更に存在する。より一貫性のある結果及び要望へのより良い適合を送出するようなシステムは、有益なことに、他の外科用途/手順に使い道があると考えられる。そのようなシステムはまた、それらが結果を改善し、同時に患者に対する利便性も改善し、かつコストも軽減する場合は有益であると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、従来技術の問題及び欠点を有利に解消する。本発明は、ボツリヌス毒素注入(又は他の薬物注入)からより一貫性のある結果を達成する様々なシステム及び方法を提供する。本発明は、更に、患者の要望により的確に応じる様々なシステム及び方法を提供する。これらのシステム及び方法は、患者の顔及び/又は頭皮(又は他の身体領域)の解剖学的構造の入力、注入のための場所の入力、及び/又はこれらの入力に応答する注入ロケータを有する3Dマスクの生成を可能にする。本発明の代替実施形態では、3Dマスクは、医師が一貫性のある注入場所を与えるために者の皮膚にマーキングするができるようにマーカのための開口部を有して生成すされる。これらのシステム及び方法の各々を下記で詳細に説明する。
【0008】
本発明は、最も単純な形態では医師による流体注入のためのロケータを提供することができる特注マスクを提供する。本発明は、代替実施形態では、取り付け可能注入デバイスのためのロケータを有する又は統合注入デバイスを有する特注マスクを提供することができる。本発明は、代替実施形態では、患者上の皮膚マーキングのためのロケータを有する特注マスクを提供する。これらの様々な実施形態を下記で詳細に議論する。
【0009】
本発明はまた、一部の実施形態では、下記で詳細に議論するように医者ではなく患者が流体を注入することを可能にするシステム及び方法を提供する。
【0010】
本発明の一態様により、患者の中への薬物注入のための特注カバー(マスク)を生成する方法を提供し、本方法は、a)患者の皮膚上に薬物注入のための場所を識別するインジケータをマーキングする段階と、b)マーキングを有する皮膚の画像を撮影する段階と、c)皮膚上のマーキングに対応する開口部を有するカバーを生成するための画像を入力する段階であって、開口部が、カバーを通した繰り返しマーキングを可能にするようにカバーを通したマーカの挿入のための寸法を有するカバーを通って延びる上記入力する段階とを備える。
【0011】
本発明の別の態様により、患者の中への薬物注入のための特注カバーを生成する方法を患者の解剖学的特徴のデータ入力によって形成された特注カバーの利用に基づいて提供し、本方法は、a)患者の皮膚上に薬物注入のための場所を識別する患者インジケータをマーキングする段階と、b)カバーに関するデータ入力を与えるためにマーキングをそこに有する皮膚の画像を撮影する段階と、c)カバーに開口部を有する特注カバーを取得した後に、注入場所に関して皮膚をマーキングするために開口部のうちの少なくとも1つを通してマーキングデバイスを挿入する段階とを備える。
【0012】
一部の実施形態により、本方法は、注入のための薬物の異なる投与量を示すために異なる色マーキングを用いて皮膚をマーキングする段階を更に備える。
【0013】
一部の実施形態では、本方法は、1又は2以上のマーキングデバイスを用いて開口部を通してマーキングが行われた後にカバーを取り外し、マーキングの場所で薬物を注入する段階を更に備える。
【0014】
一部の実施形態では、カバーは、投与量を示すためにそこに一体形成された又はこれに代えてカバーが形成された後にカバーに付加された指示を有し、本方法は、カバーを取り外し、示された投与量に従って患者の中に薬物を注入する段階を更に備える。
【0015】
一部の実施形態では、本方法は、カバー上の少なくとも1つの位置合わせマーカに従ってカバーを皮膚上で位置合わせする段階を更に備える。
【0016】
一部の実施形態では、本方法は、画像を編集して修正画像を与え、カバーを形成するためのガイドを提供するために修正画像をアップロードする段階を更に備える。
【0017】
本発明の別の態様により、患者の皮膚を通して一貫性のある薬物注入を提供する方法を提供し、本方法は、以下の段階を備える:
a)薬物注入のための場所を提供するための第1のマーキングを患者の皮膚上に手動で与える段階、
b)第1のマーキングをそこに有する皮膚の第1の画像を撮影する段階、
c)第1の画像を格納する段階、
d)第1のマーキングの場所で患者の中に薬物を注入する段階、
e)ある期間の後に、薬物注入の結果を評価し、i)第1の画像を編集して1又は2以上の注入場所を調節する又はii)第1の画像を編集しないそのいずれかを行う段階、
f)編集された又は無編集の第1の画像のいずれかに従って作られたカバーを取得した後に、皮膚上にカバーを配置してカバー内の開口部を通して第2のマーキングを手動で与える段階、及び
g)カバーを取り外して薬物を第2のマーキングの場所で注入する段階。
【0018】
一部の実施形態では、本方法は、カバーを生成するためのデバイスとのリンクのために編集された又は無編集の第1の画像のいずれかをウェブポータルにアップロードする段階を更に備える。
【0019】
本発明の別の態様により、患者の身体の一部分にわたる配置のための特注カバーを提供し、カバーは、それを通って延びて、1又は2以上の薬物注入のためのマーキングされた場所を患者上に与えるための医療提供者によるマーカの手動挿入に対して構成されてかつそのような寸法を有する複数の開口部を有するカバーを提供する。カバーは、マーキングをそこに有する患者の解剖学的視野の画像を処理するソフトウエアベースのアプリケーションから生成された命令セットによって生成される。カバーは、ソフトウエアベースのアプリケーションに基づいて身体の当該部分に対して特注され、カバー内の複数の開口部は、カバーとは独立した1又は2以上の薬物のその後の注入に対するカバーを通るマーキングの望ましい場所に対して特注される。
【0020】
一部の実施形態では、カバーは、患者の顔にわたる配置に対して構成される。一部の実施形態では、カバーは、それを身体上で位置合わせするための1又は2以上の位置合わせマーキングを含む。一部の実施形態では、カバーは、その上に投与量インジケータを含む。
【0021】
一部の実施形態では、画像は、薬物注入の望ましい場所に対応するデータを受信してカバーの生成のための命令を与えるようにこれらのデータを手動でマーキングされた場所に基づいて処理するデバイス上のソフトウエアアプリケーションにリンクされたウェブサイトポータルに入力(アップロード)される。一部の実施形態では、画像は、ウェブサイトポータルへの入力の前に操作され、他の実施形態では、画像は、ウェブサイトポータルにアップロードされ、その後に操作される。
【0022】
一部の実施形態では、特注カバーは、3D印刷によって形成される。
【0023】
一部の実施形態では、カバーは、ソフトウエアプログラム上の人の編集に基づいて製造される。
【0024】
別の態様により、マーキングされた場所をそこに有して作られた患者の解剖学的視野の画像を処理するソフトウエアベースのアプリケーションから生成された命令セットを解釈する段階と、ソフトウエアベースのアプリケーションに基づいて身体の当該部分に対してカバーを特注化する段階と、カバーを用いずに、すなわち、カバーとは独立したマーキングの場所への1又は2以上の薬物のその後の注入に望ましいマーキングの場所に対してカバー内の複数の開口部を特注化する段階とを備える患者の身体の一部分にわたる配置のための特注カバーを製造する方法を提供する。カバーは、それを通って延びて、それが患者から取り外された後の1又は2以上の薬物注入のためのマーキングされた場所を患者上に与えるための医療提供者によるマーカの手動の挿入に対して構成されてかつそのような寸法を有する複数の開口部を有する。
【0025】
一部の実施形態では、カバーは、患者による薬物注入の望ましい場所に対応するデータを受信してカバーの生成のための命令を与えるようにこれらのデータを手動でマーキングされた場所に基づいて処理するデバイス上のソフトウエアアプリケーションにリンクされたウェブサイトポータルに入力された画像に基づいて製造される。
【0026】
本発明の別の態様により、患者の身体の一部分にわたる配置のための特注カバーを作る方法を提供する。カバーは、それを通って延びて、1又は2以上の薬物注入のためのマーキングされた場所を与えるための医療提供者によるマーカの手動の挿入に対して構成されてかつそのような寸法を有する複数の開口部を有して作られる。カバーは、マーキングをそこに有する患者の解剖学的視野の画像を処理するソフトウエアベースのアプリケーションから生成された命令セットの入力に基づいて作られる。カバーは、ソフトウエアベースのアプリケーションに基づいて身体の当該部分に特注で作られ、複数の開口部は、カバーとは独立した1又は2以上の薬物のその後の注入に望ましいカバーを通したマーキングの場所に対して特注で作られる。
【0027】
本発明の別の態様により、a)1又は2以上の注入場所に対する選択領域に対応する第1のマーキングをそこに有する皮膚の第1の画像を格納する段階と、b)1又は2以上の注入場所を調節するための人の入力又はソフトウエア発生式入力の一方に基づいて修正された画像を格納する段階と、c)患者の皮膚にわたる配置のための特注カバーを生成するために製造業者による処理のために修正画像をアップロードする段階とを備える患者の皮膚を通じた一貫性のある薬物注入を可能にするためのソフトウエアベースのシステムを提供する。
【0028】
一部の実施形態では、ソフトウエアは、マーキングの場所での直接注入のために患者の皮膚にマーキングするためのマーカのみを受け入れるための開口部を有するカバーを製造する命令を提供する。
【0029】
一部の実施形態では、修正画像は、製造業者による処理のためにウェブポータルにアップロードされ。一部の実施形態では、修正画像は、製造業者によって編集可能ではない。
【0030】
本発明の別の態様により、患者の身体の一部分にわたる配置のためのカバー(マスク)を提供する。カバーは、身体の中への薬物注入のためにカバーを通って延びる複数の開口部を有し、身体の当該部分に対して特注され、複数の開口部は、それらを通じた身体の中への薬物注入の望ましい場所に対して特注される。
【0031】
開口部は、一部の実施形態では、カバーを通した身体の中への注入ニードルの通過に対して構成される。カバーは、患者の顔、患者の腹部、又は胸部、腕部、脚部、又は背部のような他の身体領域にわたる配置に対して構成することができる。
【0032】
一部の実施形態では、開口部を通した薬物注入のために複数の開口部のうちの1つと各々が連通する複数の注入デバイスがカバーに取り付けられる。注入デバイスは、一部の実施形態では、薬物で事前充填された状態で提供することができる。
【0033】
一部の実施形態では、カバーは、そこから近位に延び、注入デバイスの少なくとも一部分を受け入れるための管腔を有する複数のガイドを含み、これらのガイドは、カバーの各々の開口部と連通する。一部の実施形態では、ガイドは、カバーに取り外し可能に取り付けることができ、他の実施形態では、ガイドはカバーと一体的である。
【0034】
本発明の別の態様により、患者の身体の一部分にわたる配置のためのカバーを提供する。カバーは、身体の中への薬物注入のための複数の開口部を有し、カバーは、身体の当該部分に対して特注される。カバーは、そこから近位に延び、開口部との位置合わせ状態にある複数のガイドを有し、これらのガイドは、薬物注入のために注入デバイスの少なくとも一部分を受け入れるように構成された管腔を有する。
【0035】
一部の実施形態では、ガイドは、カバーに取り外し可能に取り付け可能であり、他の実施形態では、ガイドはカバーと一体的である。カバーは、一部の実施形態では、身体上でカバーを位置合わせするための1又は2以上の位置合わせマーキングを含むことができる。
【0036】
本発明の別の態様により、患者の解剖学的領域の中への薬物注入のためのシステムを提供する。システムは、患者の当該領域に関するデータを与えるための入力サブシステムと、患者の当該領域に対して特注されたカバーを提供する出力サブシステムとを含み、特注カバーは、カバーを通した患者の当該領域の中への薬物の通過を可能にする開口部を有する。
【0037】
一部の実施形態では、入力サブシステムは、患者の当該領域の画像を含む。これらの画像は、3Dスキャナ又は他の方法によって生成されたデジタル写真とすることができる。
【0038】
一部の実施形態では、入力サブシステムは、患者による薬物注入の望ましい場所に対応するデータを受信して処理するためのアプリを含む。一部の実施形態では、出力サブシステムは、カバー内に事前形成された開口部を有する特注カバーの3D印刷を含む。一部の実施形態では、入力サブシステムは、開口部(注入)ロケータを与えるために画像上に配置されたマーキング、又はこれに代えて撮像の前に当該領域上に配置されたマーキングを含む。
【0039】
システムは、患者の当該領域の中への薬物注入のためにカバーに取り外し可能に装着可能である複数の注入デバイスを含むことができる。
【0040】
本発明の別の態様により、患者の解剖学的領域の中への薬物注入のためのシステムを提供する。システムは、患者の当該領域に関するデータを与えるための入力サブシステムと、患者の当該領域に対して特注されたカバーを提供する出力サブシステムとを含み、特注カバーは、カバーを通した患者の当該領域の中へのマーカの通過を可能にする開口部を有する。
【0041】
本発明の別の態様により、a)身体の中への薬物注入のための複数の開口部を有し、患者に対して特注され、人体の一部分にわたる配置のためのカバーと、b)カバー内の開口部を通して薬物を注入するためのカバーへの接続のための複数の注入デバイスとを含む患者の中に薬物を注入するためのキットを提供する。
【0042】
一部の実施形態では、注入デバイスは、薬物で事前充填される。
【0043】
本発明の別の態様により、患者の中への薬物注入のための場所領域を提供する特注カバーを製造する方法を提供し、本方法は、以下の段階を備える:
a)患者のある領域の画像を処理する段階、
b)薬物注入のための場所を識別するためのこれらの画像に基づいてカバー内の開口部のための場所を識別する段階、及び
c)これらの開口部を有する特注カバーを生成する段階。
【0044】
一部の実施形態では、本方法は、身体の当該領域の画像の処理のためにこれらの画像を撮影する段階を更に備える。
【0045】
一部の実施形態では、本方法は、外部の情報源が取得した身体の当該領域の画像を受信する段階を更に備え、この受信する段階は、画像を処理する段階の前に行われる。一部の実施形態では、画像は、デジタルカメラによって撮影され、他の実施形態では、画像は、スキャナによって撮影される。
【0046】
一部の実施形態では、カバーを生成する段階は、上述の段階(a)を実施するための処理のために3D画像を与える段階と、特注カバーを3D印刷する段階とを備える。一部の実施形態では、本方法は、カバーを医者の診療所に送る段階を含み、他の実施形態では、カバーを直接患者に送る段階を備える。
【0047】
本発明の別の態様により、患者の中への薬物注入のための特注カバーを生成する方法を提供し、本方法は、a)カバー内に事前形成された薬物注入のための開口部の場所を識別するために3D画像上で開口部に対する場所を識別する段階と、b)これらの開口部を有するカバーを生成する段階とを備える。本方法は、一部の実施形態では、薬物注入のために注入デバイスを受け入れるための複数のガイドを有するカバーを生成する段階を備えることができる。
【0048】
本発明の別の態様により、患者の中への薬物注入のための特注カバーに関する入力を生成する方法を提供し、本方法は、a)カバー内に事前形成された薬物注入のための開口部に対する場所を識別するために開口部に対する場所を識別する段階と、b)識別された場所を有する3D画像を格納する段階とを備える。
【0049】
一部の実施形態では、開口部に対する場所を識別する段階は、直接患者の当該身体領域上で場所にマーキングする段階を備える。他の実施形態では、開口部に対する場所を識別する段階は、患者の当該身体領域の3D画像上で場所にマーキングする段階を備える。
【0050】
本方法は、格納データを特注マスクを生成するためのシステムに移送する段階を更に備えることができる。一部の実施形態では、このシステムは、3Dプリンタである。一部の実施形態では、本方法は、3D画像を生成するためにデジタル写真を撮影する段階を備える。
【0051】
本発明の別の態様により、a)薬物注入のための場所を識別するために身体領域の場所を識別する段階と、b)識別された場所を有する3D画像を格納する段階と、c)画像を当該身体領域上に投影する段階とを備える患者の身体領域の中への薬物注入に関する入力を生成する方法を提供する。一部の実施形態では、画像は、モバイルデバイスから投影される。
【0052】
本発明の別の態様により、患者の中への薬物注入のための特注カバーを生成する方法を提供し、本方法は、a)薬物注入のための場所を識別するためのインジケータを患者の皮膚上にマーキングする段階と、b)これらのマーキングをそこに有する皮膚の画像を撮影する段階と、c)この画像を利用して皮膚上のマーキングに対応し、カバーを通した薬物注入を可能にするためにカバーを通って延びる開口部を有するカバーを生成する段階とを備える。
【0053】
一部の実施形態では、本方法は、開口部を通した薬物注入の望ましい投与量を示す符号化指示を開口部に隣接するように与える段階を備える。一部の実施形態では、符号化指示は、カバーと一体的である。他の実施形態では、符号化指示は、カバーが形成された後にカバーに付加される。
【0054】
本発明の別の態様により、薬物注入のための特注カバーを生成する方法を提供し、本方法は、以下の段階を備える:
e)装置により、患者から美容整形パラメータに関する入力を受信する段階、
f)装置により、入力を受信するのに応答して特注カバーのための開口部に対する場所を識別する段階、及び
g)装置により、装置によって含有された3D画像上で識別した場所を格納する段階。
【0055】
一部の実施形態では、本方法は、段階(c)で格納された画像から3Dモデルを生成する段階を備える。本方法は、3Dモデルからカバーを3Dプリンタによって印刷する段階を備えることができる。一部の実施形態では、入力を受信する段階は、患者の外観目標に関する質問への返答を含む。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明の好ましい実施形態を本明細書で図面を参照して説明する。
【0057】
【
図1A】本発明の一実施形態による全体システム図である。
【
図1B】本発明の代替実施形態による全体システム図である。
【
図2A】
図1Aのシステムの段階をより詳細に描く流れ図である。
【
図2B】
図1Bのシステムの段階をより詳細に描く流れ図である。
【
図2C】医師による使用のための本発明の代替システムを描く流れ図である。
【
図2D】医師を要さない患者による使用のための本発明の代替システムを描く流れ図である。
【
図2E】本発明の代替システムを描く流れ図である。
【
図2F】本発明の代替システムを描く流れ図である。
【
図2G】本発明の代替システムを描く流れ図である。
【
図2H】本発明の代替システムを描く流れ図である。
【
図2I】本発明の代替システムを描く流れ図である。
【
図2J】本発明の一部の実施形態によるカバーの製造を描くブロック図である。
【
図2K】本発明のソフトウエアベースのシステムを描く流れ図である。
【
図3】本発明の特注マスクの代替注入方法を示すブロック図である。
【
図4】
図1Aの実施形態のシステムを示すブロック図である。
【
図5A】事前形成孔を有する本発明の特注額及び側部アイマスク(カバー)の一実施形態の前面斜視図である。
【
図5B】位置合わせ線を有する本発明の特注マスクの代替実施形態の前面斜視図である。
【
図5C】投与量インジケータを有する本発明のカバーの代替実施形態の斜視図である。
【
図6】本発明の特注全顔マスクの代替実施形態の前面斜視図である。
【
図7A】マスクに取り付け可能/装着可能な交換可能小型シリンジを有する本発明の特注額及び側部アイマスクの別の代替実施形態の前面斜視図である。
【
図7B】
図7Aのマスクと併用される小型シリンジの斜視図である。
【
図8】マスクに取り付けられた事前装填シリンジを有する本発明の特注額及び側部アイマスクの別の代替実施形態の前面斜視図である。
【
図9】外部注入機構を有する本発明の特注額及び側部アイマスクの別の代替実施形態の前面斜視図である。
【
図10】患者の額及び頭皮の上に配置された本発明の特注マスクの別の代替実施形態の前面斜視図である。
【
図12A】本発明の一実施形態によるマスクの側面斜視図である。
【
図12B】マスクに取り付けられる前の本発明の一実施形態によるガイドチャネルを示す
図12Aに示す詳細区域A-Aの拡大図である。
【
図12C】ガイドチャネルがマスクの中に組み込まれた(それと一体的な)代替実施形態を示す
図12Bと類似の拡大図である。
【
図12D】
図12Bのシリンジガイドチャネル(マスクの一部分から延びる)の中への挿入の前のシリンジ(注入デバイス)を示す斜視図である。
【
図13】
図12Bのガイドチャネルの中に挿入されたシリンジを示す前面図である。
【
図16】本発明のシリンジガイドチャネルの代替実施形態を示す
図15と類似の拡大図である。
【
図17】マスクの中への挿入の前の
図12Bのガイドチャネルの拡大斜視図である。
【
図18】マスクに取り付けられた
図12Bのガイドチャネルの拡大斜視図である。
【
図19】本発明の代替実施形態によるシリンジ及びニードルガイドチャネルを示す斜視図である。
【
図20】
図19のガイドチャネルの中に挿入されたシリンジを示す前面図である。
【
図22A】本発明の代替実施形態によるマスクの側面斜視図である。
【
図22B】本発明の代替実施形態によるガイドチャネルを示す
図22Aに示す詳細区域B-Bの拡大図である。
【
図22C】
図22Bのシリンジガイドチャネル(マスクの一部分から延びる)の中への挿入の前のシリンジを示す斜視図である。
【
図23】
図22のガイドチャネルの中に挿入されたシリンジを示し、後退位置にあるニードルを示す前面図である。
【
図25】患者の身体の一部分の周りに巻き付けられた本発明の腹部マスク(カバー)の前面斜視図である。
【
図26】閉じたストラップを示す
図25の腹部マスクの背面斜視図である。
【
図27】腹部マスクのガイドチャネルの中への挿入の前のシリンジを示す
図25と類似の図である。
【
図28】腹部マスクのガイドチャネルの中に挿入されたシリンジを示す
図27と類似の図である。
【
図31】
図25のマスクのガイドチャネル及びへそ位置合わせ孔を示し、更にガイドチャネルのうちの1つの中に挿入されたシリンジを示す
図29の細部区域Hの拡大図である。
【
図34】ニードルの挿入の深さを増大させるためにより短い高さを有するシリンジガイドチャネルの代替実施形態を示す
図33と類似の図である。
【
図35A】本発明の別の代替実施形態によるマスク(カバー)の側面斜視図である。
【
図35B】マスクへの取り付け前の本発明の一実施形態によるガイドチャネル支持体(マスク嵌合特徴部)を示す
図35Aに示す詳細区域K-Kの拡大図である。
【
図35C】ガイドチャネル支持体がマスクの中に組み込まれた(それと一体的な)代替実施形態を示す
図35Bと類似の拡大図である。
【
図35E】支持体の中へのガイドチャネルの挿入の前の
図35Dの支持体及びシリンジガイドチャネルの斜視図である。
【
図36】マスクの支持体の中に挿入された
図35Eのシリンジガイドチャネルを示す斜視図である。
【
図37】
図36のガイドチャネルの中への挿入の前のシリンジを示す斜視図である。
【
図38】
図36のガイドチャネルの中に挿入されたシリンジを示す斜視図である。
【
図39】マスクの支持体(嵌合特徴部)の中にクリック留めされた
図35Dのシリンジガイドチャネルを示す側面図である。
【
図45】
図36のガイドチャネルの中に挿入されたシリンジの側面図である。
【
図46】
図36のガイドチャネルの中に挿入されたシリンジを示す断面図である。
【
図47】
図45のシリンジ及びガイドチャネルの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明は、ボツリヌス毒素又は代替実施形態では他の薬物又は薬品の注入のための事前形成孔を有するマスク、及びそのようなマスクを作るための工程を提供する。一部の実施形態では、皮膚上に注入場所を示すマーカの挿入のための開口部を提供するマスクが形成され、他の実施形態では、注入ニードルの挿入のための開口部を提供するマスクが形成される。一部の実施形態では、マスクは、医者の診療所又は医院で印刷されて患者の主治医に提供され、他の実施形態では、マスクは中心場所で印刷されて医者に送られるか、又は患者に直接提供され、患者が医者にマスクを持って行くことができる。更に他の実施形態では、マスクは中心場所で印刷され、事前充填シリンジと共に患者に直接送られる。この直前の実施形態では、医者を必要とすることなく患者が薬物を注入することになり、その前の実施形態では、患者は、薬物を注入することを医者に頼む。これらの実施形態の各々を下記で詳細に説明する。これらのマスクは、患者の身体の一部分を覆い、従って、患者の顔又は額を覆うことに限定されないので、本明細書ではこれらのマスクを「カバー」とも呼ぶことに注意されたい。従って、本明細書では、「マスク」という用語と「カバー」という用語を交換可能に使用する。特注マスク(カバー)は、本発明の全体のシステムの出力サブシステムを形成する。
【0059】
本明細書に使用する医師による注入は、患者による注入と区別するように意図していることに注意されたい。医師(「医療提供者」とも考えられる)による注入は、看護師、医師助手、薬剤師のような別の医療提供者による注入(患者自身によるものではない)を含むことを認めなければならない。
【0060】
特注マスクに対する基盤として様々な撮像デバイスを利用することができる。そのような撮像デバイスの例に関しては後に説明する。
【0061】
下記で説明する実施形態では、注入のための場所は、医師入力、例えば、医師が患者の顔又は額の特定の場所にマーキングすること、又は3D画像上の場所にマーキングすることによって提供することができる。代替実施形態では、アプリのソフトウエアアルゴリズムが、アプリの中への患者入力に基づいて注入場所を決定する。いずれの場合も、マスクは、患者の解剖学的構造及び目標に合わせて特注で生成される。これらの様々な入力は、患者の解剖学的領域と望ましい注入場所とに関するデータを提供する本発明のシステムの入力サブシステムを形成する。
【0062】
マスクは、様々な形状及び構成とすることができる。図示の図面にいくつかの例を例示している。これらのマスクは、様々な方法によって生成することができ、一部の実施形態ではこれらのマスクの注入に望ましい場所に開口部が設けられる。一部の実施形態では、注入部位(開口部)の各々で推奨される投与量のインジケータを生成することができる。マスクを通じた注入のためのシリンジは、マスクとは別個に又はマスクと共に提供することができ、これらのバージョンの各々に対して後に議論する。基本的に、本発明の特注マスクは、基本的に注入を容易にするような薬物又は薬品の注入への道筋を提示し、より一貫性のある改善された結果を達成するより一貫性のある注入を提供する。患者上のマスクの再使用は、一般的に、決定期間にわたって間隔が置かれた複数回の注入への継続的な道筋を提供する。患者上での再使用のために、マスクは、例えばアルコールパッド又は除菌シートを用いて拭くことができる。
【0063】
尚、本明細書に使用する場合に、シリンジは、1つのタイプの注入デバイスを形成することに着目し、薬物を注入するのに他のタイプの注入デバイスを利用することができることを認めなければならない。
【0064】
次に、類似の参照番号が本明細書に開示する装置の類似の構造的特徴部を識別する図面を参照して、
図1A及び
図2Aは、本発明のシステム/方法の工程の一実施形態を示し、
図1B及び
図2Bは、本発明のシステム/方法の工程の代替実施形態を示している。これらの方法は、本発明の特注マスクの形成のためにデータがどのように収集されるかに関して異なるが、両方のシステムでは、個々の患者の要求を満足するために事前形成された孔を有する顔/頭皮マスクが生成され、予想可能で一貫性のある美容整形処置結果を可能にする。本明細書での
図1A~
図48の議論は、便宜上、美容整形処置のためのボツリヌス毒素に関して議論するものであるが、同じシステム及び方法/工程は、他の流体、例えば、一例としてKybella(デオキシコール酸)のような薬物又は薬品の注入に利用することができることを認めなければならない。従って、本発明は、ボツリヌス注入に限定されない。同様に、患者の顔又は額の上に配置される下記で議論する注入ロケータ又はマーカロケータのためのマスク(カバー)は、注入のための患者に対するカバーの一例を提供する用途で議論するが、注入ロケータ又はマーカロケータのためのカバーは、これに代えて、例示的に
図25~
図34に示すように腹部の上に、又は胸部、腕部、脚部、又は背部のような他の身体領域内等に配置することができることを認めなければならない。同様に、本明細書で議論する注入デバイス及びガイドチャネルは、本明細書に開示するカバーのうちのいずれとも、又はカバーの代替実施形態と併用することができることも認めなければならない。
【0065】
本明細書に使用する場合に、「遠位」という用語は、患者の身体に近い方にある構成要素、領域、又はセクションを表し、「近位」という用語は、患者の身体から遠い方にある構成要素、領域、又はセクションを表している。
【0066】
最初に
図1Aに移ると、本発明の第1の実施形態のシステムのブロック図が例示されている。この実施形態では、患者は、写真/画像を撮影し、次に、患者の目標及び処置からの望ましい結果を含む個人情報をスマートデバイス、例えば、IPhone、IPad、タブレットのようなアプリ内で指示される通りに入力する。美容整形パラメータに関して入力されたこれらの写真及び情報は、次に、アプリのアルゴリズムによって(又は代替実施形態では業者のリモートサイトにいる医師、医療提供者、又は技師により)解析及び処理され、次に、送信及び印刷のために格納される3次元(3D)表現をスマートデバイス上で生成するのに使用される。
【0067】
次の段階では、この3D表現は、3D表現に従って患者に対する特注のマスク又はモールドを印刷する3Dプリンタに送信される。下記でより詳細に説明するように、流体注入のための(マーカのための)にアプリ上での患者入力に応答する開口部を有する特注マスクが印刷される。流体注入は、下記で議論する
図3に示すような様々な手法を用いて実施することができる。
【0068】
図1Aのシステム及び方法のより詳細な段階を開始から完了まで示す
図2Aの流れ図に描いている。第1の段階では、患者がスマートデバイスを用いて、ボツリヌス注入に望ましい場所に依存して自分の顔、頭皮、及び/又は他の身体領域の写真又は一連の写真を撮影する。次の段階では、患者は、ボツリヌス毒素注入に関して自分が望むこと、例えば、皺、眉の持ち上げ、自然な外観に関する一連の質問にアプリ上で返答する。続く段階では、写真が処理のためにアップロードされ、スマートデバイス(又は代替実施形態では業者のリモートサイトにある中央サーバ)上のソフトウエアが、これらの写真を3Dモデルに変換する。次に、この3Dモデルは、次の段階で3Dプリンタに入力され、3Dプリンタは、注入に関するアプリ上への入力に応答して生成された注入を誘導するための事前形成孔/開口部を有する患者の顔及び/又は頭皮(又は他の身体領域)に合わせた特注マスクを印刷する。一部の実施形態では、ソフトウエアアルゴリズムは、望ましい処置結果に関する患者の入力に応答して孔の場所を識別する。他の実施形態では、医師又は技師が、患者の入力を利用して注入孔の場所をプログラム上で詳細に計画する。いずれの場合も、特注マスクは3Dプリンタによって生成され、患者に直接送ることができ、患者は、それを医師の診療所に持って行くことができ、又はこれに代えてマスクは、医者/医師の診療所に直接送ることができる。一部のバージョンでは、医師の診療所又は医院でマスクを印刷することができるように、これらの診療所又は医院に3Dプリンタを装備することができる。これらの段取りのうちのいずれでも、処置の予定を組む時に、マスクが患者上に配置され、次に、ボツリヌス毒素の注入が、
図2Aの流れ図上の最後の段階に従って医師によってマスク内の事前形成孔内で行われる。このシステムは、処置の予測可能性/一貫性を改善する。これらの注入は、下記で議論する
図3の変形によるとすることができることに注意されたい。マスク上の様々な特徴部は、下記で詳細に議論するように注入を助けることができる。
【0069】
マスクを通した注入は、
図3の線図に示すようにいくつかの方法、すなわち、1)医師が、マスク内の事前形成孔(開口部)を通して挿入された流体注入デバイスを利用してこれらの孔を通して直接的に行う、2)マスクの中に延びてマスクに装着可能である事前装填シリンジを用いて行う(例えば、
図7を参照されたい)、及び/又は3)マスク上に装着された交換可能シリンジによって行うことができる。これらの最後の2つの方法は、より自動化されたシステムを提供する。事前形成孔は、注入のためのロケータを提供するだけでなく、注入される単位の数も医師に通知する。下記で議論するように、マスクによって注入の深さ制御を提供することができる。図面に様々なマスクを示しており、これらに対して下記でより詳細に議論する。
【0070】
図2Eの流れ図に示す代替実施形態では、3D印刷マスクの代わりに投影画像/ホログラムが使用される。本方法/システムでは、医師は、流体注入、例えば、Botox注入のためのスポット(ドット)を患者の顔(又は他の身体領域)にマーキングする。顔写真が、モバイルデバイス又はカメラを用いて撮影される。次に、保存されたドットの場所が、独立型プロジェクタ又はモバイルデバイスからのプロジェクタによって患者の顔の上に投影して戻される。ドットの場所と色/単位投与量とを有する画像は、次回、ユーザが注入を受ける時にこれらの注入が正しい位置にあることを保証するのにユーザの顔の上に投影して戻される(ホログラムのように)。従って、システムは、顔の上のドットからデータを収集し、これらのデータを保存し、次に、3D印刷マスクの代わりに投影画像/ホログラムを利用して次の注入のために顔に「再マーキングする」方法に関わっている。
【0071】
図1B及び
図2Bは、本発明の代替実施形態を示している。この実施形態では、写真と患者入力とによって3D表現を生成するのにスマートデバイスを利用し、ソフトウエアを3Dプリンタに送る代わりに3次元スキャナのような医療撮像デバイスが利用される。このシステムでは、患者は、3Dスキャナが患者の顔/頭皮の画像を生成すると考えられる指定場所に出向く。走査画像上で患者の望みに応答する注入のための場所を医師又は技師が識別し、次に、これらのデータ(画像及び場所マーク)は3Dプリンタに送信され、3Dプリンタは、医師又は技師によって指定された注入部位に形成された孔を有する特注マスクを印刷する。次に、この特注マスクは、
図3に示すように、孔を通した直接注入、又は事前装填シリンジを用いた注入、又は交換可能シリンジによる注入のための事前形成孔を有して印刷される。マスクは、
図2Aの実施形態の場合にように患者又は医師の診療所に送ることができる。従って、
図1B及び
図2Bの方法/システムは、データがどのようにして生成されて3Dプリンタに送信されるかに関して
図1A及び
図2Aのシステム/方法と異なる。流体注入は、下記で議論する図面に示すように様々な方法によるものとすることができる。
【0072】
図1B及び
図2Bの方式で形成される特注マスクは、代替実施形態では直接患者の皮膚上の注入場所にマーキングするために医師がマーカを挿入するための孔を設け、患者の皮膚上のマーキングがシリンジ及び流体注入のためのロケータを提供するようにマスクが取り外されることに注意されたい(
図2G~
図2Iに関して説明するように)。このバージョンでは、流体注入は、マスクを通して行われず、それによって注入中に医師に対して完全視認性が与えられる。
【0073】
上述のように、本明細書に開示する本発明の一部のシステムでは、マスク(カバー)は、注入ニードルの挿入のための開口部(孔)を提供する。本発明の代替システムでは、薬物注入は、マスクを通しては実施されない。代わりに、これらの代替システム/方法/工程では、医師又は他の医療提供者によるマーカ又は他の位置付けデバイスの挿入のための開口部が設けられる。これらの実施形態では、マスクは、マーキングすることを可能にするのに使用され、次に、取り外され、医師は、マーキングされた場所に注入が行われる時に患者の皮膚の直接視認性を有する。これらの実施形態では、同じマスクを患者による複数回の通院で繰り返し使用することができ、従って、一貫性のある薬物注入場所を与えるために同じ場所にあるマスク開口部を通してこれらのマーキングすることができる。
【0074】
図2Cは、医師が最初に直接患者上でBotox(又は別の薬物)の注入のための場所にマーキングする実施形態を示している。この工程/システムは、マスク開口部を位置付けてそこにマーキングする際に3D画像を利用する代わりに、直接患者の身体、例えば、顔又は額上で開口部の場所がマーキングされ、次に、これらのマーキングを有する3D画像が撮影される点で本明細書に開示する他の工程とは異なる。
【0075】
より具体的には、
図2Cのこの工程では、最初に注入場所及び投薬量を指定するために医療提供者、例えば、医師/臨床医によってドットが患者の皮膚上に配置される。次に、患者の身体上にマーキングされて特注マスク内の開口部に対するインジケータとして使用されるドットを有する画像(好ましくは、3D画像)が撮影される。マスクが作られる前にマーキングされた場所で薬物、例えば、ボツリヌス毒素の注入が行われる。特注マスクは、ドットが適正な場所に配置されたことを確認するためにボツリヌス毒素注入が完全に作用するほど十分な時間、例えば、1~2週間が経過し終わるまで作られない。マスクを作る前に、1~2週間前の注入からの結果がどの程度対称であるかを調べるために患者又は医療提供者からフィードバック(及び時に写真)が得られる(時にモバイルアプリ又はウェブサイト上のアンケート又は入力により)。結果が満足できるもので対称であり、患者が満足している場合に、画像上に記録されたマーキング(ドット)に基づいてマスクが作られることになる。手直しする必要があるか又は患者が非対称である場合に、非対称性の論理的補正と考えられるものを与えるために(皮膚の下にある既知の筋系に基づいて)、ドットは、必要に応じて移動/変更/追加/削除されることになる。補正後に、それに基づいてマスクを作ることができ、又は別の注入を行って、その結果が実施目標、例えば、美容整形目標を満足するか否かを調べるために1~2週間追跡してこれらの結果を評価することができるかのいずれかである。いずれの場合も、特注マスクが、本明細書に開示する方法/工程に従って作られる。
【0076】
図2Cの上述の工程では、任意的に、ドットの付加の前に静止時及び時に活動時のいずれのマーキングもない顔(又は他の身体領域)を取り込むために患者の第1の画像を撮影することができることに注意されたい。この第1の画像は、皺及び顔の経年ばらつきに関するデータの収集に使用することができると考えられる。この初期3D画像は、医者の診療所で撮影することができ、又はこれに代えて、患者が写真を撮影し、それを医者の診療所に持って行く又は送信することができる。
【0077】
図2Eの流れ図は、孔を通したシリンジの挿入による注入のための部位を提供するのではなく、医師のマーキングのためのロケータ又はガイドを提供するマスク(カバー)の孔の例を提供する。より具体的には、この実施形態では、特注マスクは、本明細書に開示する様々な工程及び様々な構成に従って作られ、患者上に配置されることになると考えられる。次に、医師は、孔を通してマーカを挿入し、直接患者の皮膚上で注入場所にマーキングする。次に、マスクが取り外され、患者の皮膚上のマーキングが、シリンジ及び流体注入のためのロケータを提供する。経過観察通院では、マスクが再度患者の皮膚上に配置され、医師が、孔を通してマーカを挿入して部位にマーキングし、次に、マスクが取り外されてマーキングされた場所に注入が行われる。様々な投与量及び/又は様々な薬物に対応する異なる色のマーカを使用することができる。
【0078】
図2G~
図2Iは、注入のための孔を通したシリンジの挿入を可能にするのではなく医師マーキングためのガイドとしてマスク(カバー)孔を利用する方法の例を提供している。画像は、本明細書に説明するように画像を撮影するための様々な方法(例えば、デジタル写真、走査のような)に従って又は他の代替方法によって撮影することができることに注意されたい。(例えば、対称であり、患者が満足している。)
【0079】
最初に
図2Gに移ると、第1の段階では、薬物注入、例えば、ボツリヌス毒素の注入のためのロケータを与えるために、マーカを用いて作られるドットのようなマーキングが、医師(又は他の医療提供者)によって患者の皮膚上に手動で配置される。次に、マーキングをそこに有する患者の皮膚、例えば、顔の画像が撮影される。画像は、後の評価のために格納される。次に、薬物が、皮膚上のマーカの領域で患者の中に注入される。次に、患者は、選択期間、一例として2週間待って再来院する。この時点で、医師は、初期注入による1回目の処置の結果を評価することができる。結果が満足できるものである(例えば、対称であり、患者が満足している)場合に、第1の格納画像が、3Dマスクの生成のためにウェブポータルにアップロードされる(又はこれに代えて、マスクの生成のために直接送信される)。一方で、結果が満足できるものではなかった(例えば、手直しする必要があり、又は患者が非対称であり、マーキング、例えば、ドットを移動する/変更する/追加する/削除する必要がある)場合に、第1の格納画像が画面上で編集され、従って、マーカ(例えば、ドット)の場所が調節される。調節が完了すると、編集された画像が、3Dマスクの生成のためにウェブポータルにアップロードされる(又はこれに代えて、マスクの生成のために直接送信される)。画像は、本明細書に開示する様々な方法に従って撮影することができ、ソフトウエアアプリケーション「アプリ」が、3D印刷(又は他の形態の生成)のために画像を編集、処理、及びフォーマット設定することを可能にすることに注意されたい。
【0080】
図2Hの代替実施形態では、段階は、編集されたマーキングの第2の画像が撮影されることを除いて
図2Gの方法と同じである。より具体的には、第1の段階では、薬物注入、例えば、ボツリヌス毒素の注入のためのロケータを与えるために、マーカを用いて作られるドットのようなマーキングが、医師(又は他の医療提供者)によって患者の皮膚上に手動で配置される。次に、マーキングをそこに有する患者の皮膚、例えば、顔の画像が撮影される。画像は、後の評価のために格納される。次に、薬物が、皮膚上のマーカの場所で患者の中に注入される。次に、患者は、選択期間、一例として2週間待って再来院する。この時点で、医師は、初期注入による1回目の処置の結果を評価することができる。結果が満足できるものである場合に、第1の格納画像が、3Dマスクの生成のためにウェブポータルにアップロードされる。一方で、結果が満足できるものではなかった場合に、新しいマーキングが皮膚上に作られ、第1の格納画像を置換する第2の画像が撮影される。この新しい第2の画像は、3Dマスクの生成のためにウェブポータルにアップロードされる。画像は、本明細書に開示する様々な方法に従って撮影することができ、ソフトウエアアプリケーションが、3D印刷のために画像を編集、処理、及びフォーマット設定することを可能にすることに注意されたい。
【0081】
上述の実施形態でのマーキングは、上がった眉、ひそめた眉のような非静止位置で作られ、次に、後の決定も非静止状態で行うことができる。一部の実施形態では、静止状態で画像、例えば、走査像を撮影することができる。
【0082】
上述の実施形態では、必要に応じて第1の画像が編集される又は第2の置換画像が撮影されるかのいずれかである。
図2Iに示す代替実施形態では、比較画像が撮影される。この異なる方式では、初期の結果が満足できるものではなかった場合に、第2の画像が撮影されて第1の画像と比較され、ソフトウエアの比較解析が、第1の画像を編集(調節)することによってマスク印刷に望ましい画像を生成する。より具体的には、この流れ図に示すように、第1の段階では、薬物注入、例えば、ボツリヌス毒素の注入のためのロケータを与えるために、マーカを用いて作られるドットのようなマーキングが、医師(又は他の医療提供者)によって患者の皮膚上に手動で配置される。次に、マーキングをそこに有する患者の皮膚、例えば、顔の画像が撮影される。画像は、後の評価のために格納される。次に、薬物が、皮膚上のマーカの場所で患者の中に注入される。次に、患者は、選択期間、一例として2週間待って再来院する。この時点で、医師は、初期注入による1回目の処置の結果を評価することができる。結果が満足できるものである場合に、第1の格納画像が、3Dマスクの生成のためにウェブポータルにアップロードされる。一方で、結果が満足できるものではなかった場合に、第2の画像が撮影されて第1の格納画像と比較される。この格納画像は新しい画像に基づいて調節され、3Dマスクの生成のためにウェブポータルにアップロードされる。画像は、本明細書に開示する様々な方法に従って撮影することができ、ソフトウエアアプリケーションが、3D印刷のために画像を編集、処理、及びフォーマット設定することを可能にすることに注意されたい。
【0083】
図2Jは、
図2G~
図2Iの方法に対するマスク生成工程を示す線図を提供している。この線図では、マスクは3D印刷によって作られるが、本明細書に開示する他の方法によっても作ることができることを認めなければならない。注入のためのロケータとしてのマーキングを有する医師の患者画像がウェブポータルにアップロードされる。これらの画像に基づいて、製造業者は、3D印刷等によってマスクを生成/製造する。マスクは、皮膚上のマーキングに対応する孔を有して作られる。マスクは、これらの孔に隣接する投与量インジケータを有して作ることができる。これに代えて、投与量インジケータは、生成の後に孔に隣接するようにマスクに付加される。いずれの場合も、マスク内の孔は、医師がこれらの孔を通して皮膚にマーキングし、次に、これらのマーキングの場所での注入のためにマスクを取り外すことができるようにマスクを通してマーカを受け入れるような寸法を有する。マスク上に投与量インジケータがある場合に、医師は、注入のためのマスクの取り外しの前に皮膚にマーキングする際に様々な投与量に対応する異なる色のマーカを挿入することができる。
【0084】
図2Jの線図は、画像を生成してフォーマット設定し、ポータルを用いずにマスクを製造業者に直接送ることができる代替を示している。
【0085】
画像は、例えば、モバイルデバイス又はデスクトップ上にダウンロードされたソフトウエアアプリケーションによってウェブポータルとは独立に処理及びフォーマット設定することができることに注意されたい。次に、画像は、製造業者による、例えば、マスクのプリンタによるアクセスのためにポータルにアップロードされるか、又は代替実施形態では直接製造業者に送られる。これに代えて、画像は、ウェブポータル上でアクセス可能なウェブアプリによって処理及びフォーマット設定することができ、この場合に、次に、これらの画像は、製造業者によるアクセスのためにアップロードされる。(ウェブポータルは、製造業者によるソフトウエアへのアクセスを遮断し、生成、例えば、印刷のためにフォーマットされた画像へのアクセスしか許さないように設計することができる。)言い換えれば、特注カバーは、マーキングされた場所をそこに有して作られた患者の解剖学的視野の画像を処理するソフトウエアベースのアプリケーションから与えられる命令セットによって生成することができる。カバーは、ソフトウエアベースのアプリケーションに基づいて身体の当該部分に対して特注され、カバー内の複数の開口部は、カバーとは独立した、すなわち、カバーが取り外された状態での1又は2以上の薬物のその後の注入に望ましいカバーを通したマーキングの場所に対して特注される。ソフトウエアベースのアプリケーションは、医師のためのコンピュータ又はモバイルデバイスにダウンロードすることができる。他の実施形態では、このアプリケーションは、ウェブポータルを通してアクセス又はダウンロードされる。他の実施形態では、医師は、アプリにアクセスするか又はそれをダウンロードする製造業者に画像を送る。
【0086】
一部の実施形態では、マーキングされた場所をそこに有して作られた患者の解剖学的視野の画像を処理するソフトウエアベースのアプリケーションから生成された命令セットを解釈する段階と、ソフトウエアベースのアプリケーションに基づいて身体の当該部分に対してカバーを特注化する段階と、マーキングの望ましい場所に対してカバー内の複数の開口部を特注化する段階と、カバーとは独立した、すなわち、カバー1又は2以上の薬物のその後の注入のためにマーカを受け入れる段階とを備える患者の身体の一部分にわたる配置のための特注カバーを生成する方法を提供する。カバーが患者から取り外された後の1又は2以上の薬物注入のためのマーキングされた場所を患者上に与えるための医療提供者によるマーカの手動の挿入に対して構成されてかつそのような寸法を有するカバーを通って延びる複数の開口部を有するカバーが生成される。一部の実施形態では、カバーは、患者による薬物注入の望ましい場所に対応するデータを受信してカバーの生成のための命令を与えるようにこれらのデータを手動でマーキングされた場所に基づいて処理するデバイス上のソフトウエアアプリケーションにリンクされたウェブサイトポータルに入力された画像に基づいて製造される。
【0087】
一部の実施形態では、マスクは、開口部がマーカを受け入れるが、注入デバイスを受け入れないように生成することができる。すなわち、開口部は、マーカの挿入だけのためのものとすることができる。例えば、マーカを挿入することができるが、注入デバイスを安全に挿入することができるとは考えられない布又は他の材料を開口部に与えることができる。開口部を通した注入の忌避及び/又は防止のためのこれらの実施形態では、他の構造又は構成も考えられる。マスクを通した注入禁止に関するラベル又はインジケータを有するマスクを生成することができ、これらのラベル/インジケータは、マスク生成のための命令の一部としてソフトウエアが生成することができる。
【0088】
患者の皮膚を通した一貫性のある薬物注入を可能にするためのソフトウエアベースのシステムを
図2Kの流れ図に概略で例示している。ソフトウエアシステムは、a)1又は2以上の注入場所に対する選択領域に対応する第1のマーキングをそこに有する皮膚の第1の画像を格納する段階と、b)1又は2以上の注入場所を調節するための人の入力又はソフトウエア発生式入力の一方に基づいて修正された画像を格納する段階と、c)患者の皮膚にわたる配置のための特注カバーを生成するために製造業者による処理のために修正画像をアップロードする段階とを備える。
【0089】
一部の実施形態では、ソフトウエアは、マーキングの場所での直接注入のために患者の皮膚にマーキングするためのマーカのみを受け入れるための開口部を有するカバーを製造する命令を与える。修正画像は、製造業者による処理のためにウェブポータル、ストレージデバイス、クラウドストレージ等にアップロードすることができる。本明細書で特筆するように、一部の実施形態では、修正画像は、製造業者が編集することはできない。
【0090】
図2Cの代替工程では、最初に薬物を注入して1~2週間経過観察する代わりに、マーキングされて画像が撮影された後に、1回目の注入がマスクを通したものであるようにマスクを作ることができることに注意されたい。注入がマスクを通して直接視認性のない状態で行われるので、この方式は異なる方式である。同様に、このようにしては、マスクは、注入デバイスを受け入れることができる開口部を有して作る必要があると考えられる。
【0091】
上述の工程では、3D走査像が撮影される前に、マスクモールドへのステッカーとして型押し又は印加される単位の数を指定するマーキングされた場所の色コード及び/又は数字/記号コードを作ることができる。より具体的には、医師/医療提供者は、薬物注入、例えば、ボツリヌス毒素注入の場所を示すためのドットを患者の顔(又は他の身体領域)にマーキングする時に、予め決められた色符号化に基づいて様々な投与量を指定する色付きマーカ/ペンシルを使用することができる。例えば、赤色のドットは、4単位の投与量を示すことができ、黒色のドットは、後にマスクを通して注入される薬物の2単位の投与量を示すことができる。(他の投与量及び他の色又は記号も考えられる。)次に、マスク上の孔(開口部)の場所に変換される身体上のドットを有する3D写真が撮影される。次に、これらのドットに対する単位の数が、マスク内の各開口部の周りへの刻印、型押し、ステッカー、又は異なる色の樹脂(マスクが樹脂で作られる場合)のいずれかを用いて最終印刷マスク上に指示されることになる。これらの指示は、マスクと共に、それと一体的に作るか又は生成、例えば、印刷後にマスク上に与えることができる。これらの指示は、後にマスクが予め決められた位置にある状態で医療提供者が注入するための又は本明細書に開示する代替方式でマスクが取り外された状態でマーキングの場所で注入するための投与量ガイドになる。投与量を示すためのそのようなコードは、患者が薬物を注入することになる実施形態にも利用することができる。
【0092】
代替実施形態では、医師が手を下すことは全くなく、患者が、マスクと、好ましくは、事前充填されたシリンジとを入手するために中心場所と直接やり取りする。中心場所は、患者の入力に応答してマスクを印刷し、患者が薬物を注入することができるように薬物/薬品を患者に直接提供する1又は2以上の業者の場所とすることができる。この実施形態の特定の段階を
図2Dに示しており、これらの段階は、以下の通りである。患者が、医者の診療所以外の場所で写真を撮影し、外観目標に関する質問にスマートデバイスのアプリ上で返答し、これらの写真は、入力データと共に中心場所(例えば、業者)に送られる。中心場所にあるアルゴリズムによってドットが画像上に配置され(患者の入力に従って)、3Dマスクが生成され、ドットに対応する注入孔を有する特注マスクが印刷される。次に、患者による注入のために、マスクとは別個である又はマスクに取り付けられる(又はそれと一体的である)かのいずれかであり、流体が事前装填されたものとするか又は空であり、流体と共に送ることができるシリンジを有する特注マスクが患者に送られる。理解されるように、本方法/システムでは、患者は、中心場所と直接やり取りし、医師が手を下すことはない。ある期間にわたって複数回の注入が施されるので、追加の事前装填シリンジ又は追加のシリンジと追加の流体とを同じ特注マスクを通した注入のために患者に定期的に送ることができる。患者の経過を継続的又は定期的に目視モニタするか又は追加の写真の解析によってモニタすることができる。本明細書で議論する実施形態によるシリンジに対するガイドチャネルは、患者による注入を容易にすることができることに注意されたい。
【0093】
図4の線図は、そこに分離線に示すように特注マスクを医師又は患者に送ることができるシステムのオプションを概略で示している。そのようなオプションは、
図2Bの3Dスキャナ実施形態及び本明細書で議論する他の実施形態にも適用可能である。より具体的には、この線図から理解することができるように、患者が写真を撮影し、目標に関する質問に返答し、ソフトウエアが注入場所の3D表現を提供するアプリに写真をアップロードする。この3D表現から特注マスクが印刷され、本明細書に説明するように直接患者に送られるか又は直接医師に送られるかのいずれかである。
【0094】
撮像を容易にするために、顔が位置合わせされて移動を防止して適正な3D画像を達成するための顎当て又は他の顔支持体を利用することができる。
【0095】
本明細書に開示するように、本明細書に開示する様々な実施形態の特注マスクは、3D印刷工程によって作られる。しかし、これに代えて、本発明の特注マスクは、射出モールド成形、手動製作のような他の工程によって作ることができることを認めなければならない。
【0096】
図5~
図11は、本発明の特注マスクの様々な実施形態を示しており、他の形状及びサイズを有し、顔又は頭皮(又は他の身体領域)の他のセクションを覆うマスクを提供することができると考えられることを認めなければならない。更に、孔の個数及び場所は患者毎(マスク毎)に異なることが考えられ、従って、マスク内に形成される孔は患者毎に異なることが考えられるので、
図5~
図11のマスク内に示す孔は、一例として示したものであることを認めなければならない。
【0097】
図5Aは、額及び側部アイマスクの形態にある特注マスクの第1の実施形態を例示している。これらの区域は、ボツリヌス毒素を注入する最も一般的な区域である。上述のように3D印刷によって生成された(又は他の方法によって生成された)特注マスクは、額及び眼の側部(カラスの足跡区域)の特注マスクを提供することによってばらつきを低減し、かつ再現可能である。このマスクを全体的に参照番号10で指定し、このマスクは、顔及び眼のスリット(開口部)16を有する。マスク10は、それを患者の顔に固定することを助けるように頭の周りに延びるストラップ12、14を含むが、マスク10、並びに本明細書に開示する他のマスクのためのベルト、ベルクロ、フック、締め具などを含むことができる他の固定デバイスも考えられる。マスク10は、患者の眉及び鼻の正中線に位置合わせされる。印刷マスク10内には事前形成(事前穿孔)孔18(明瞭化の目的でこれらの孔のうちの一部にしかラベル付けしていない)が設けられ、それによって患者の額及び顔の望ましい領域にアクセスするようにこれらの孔の中に配置されたシリンジ又は他の流体注入デバイスによる流体注入のためのロケータ又はガイドが提供される。
【0098】
図5Bは、マスク19の正中線にマーキングするための鼻に対する重ね合わせ垂直位置合わせ線19aと、垂直の向きにマーキングするための外眼角に対する重ね合わせ水平位置合わせ線19bとを有する額及び側部アイマスクの代替実施形態を示している。すなわち、位置合わせ線19a、19bは、一方の線19aが、左右を位置合わせするために鼻の中心に沿い、線19bが、上下を位置合わせするために眼の外縁にあることにより、マスク19を鼻梁及び両眉に対して中心化することを助ける。そのような位置合わせ線は、本明細書に開示する他のマスク上に与える、例えば、重なることができることに注意されたい。マスク19は、
図5Aのマスク10と同様に、眼スリットと、マスク19を患者の顔及び額の上に保持するためのストラップ(図示せず)又は他の固定機構とを有する。孔19cは、
図5の孔18と同じ方式で注入部位ロケータを提供する。
【0099】
図5Cは、両眼の開口部の間の中心(正中線)位置合わせマーカと、投与量指示、例えば、2μ及び4μとを有するマスクの代替実施形態を示している。
【0100】
図6は、全顔マスクを形成するマスクの代替実施形態を示している。マスク20は、眼スリット(開口部)26と口及び鼻のスリット(開口部27)とを有する全顔マスクの形態にあり、マスク20を予め決められた位置に保つために頭の周りに延びるストラップ22、24を含む。額領域、側眼領域、鼻領域、口周囲領域、及び顔の他の領域に対する事前形成孔(注入のスポット/場所)28が設けられる。
図5Aの実施形態の場合と同様に、これらの事前形成(事前穿孔)孔28は、患者の額及び顔の望ましい領域にアクセスするようにこれらの孔28の中に配置されたシリンジ又は他の流体注入デバイスによる流体注入のためのロケータを提供する。明瞭化の目的で、この実施形態及び他の実施形態では、これらの孔のうちの一部しか参照番号を用いて指定していない。
【0101】
本明細書に説明する実施形態では、マスクを顔に対して保持/固定するために、ストラップ、弾性バンド、又は他の機構を与えることができる。これらのマスクは、例えば、鼻又は顎の固定構造体を含み、又は追加の固定のためにマスクが顎又は鼻に沿って延びるようにマスクを形成することができる。すなわち、このマスクは、固定を改善するために骨質固定点の上に延びるように形成することができる。
【0102】
図5A、
図5B、及び
図6は、医師が直接注入のための孔を通してシリンジ又は他の注入デバイスを挿入することが考えられる事前形成孔を例示している。
図7の代替実施形態では、標準のシリンジを受け入れるための事前形成孔の代わりに、複数回の使用のために交換可能小型シリンジがシリンジマウント33に取り付けられる。より具体的には、全体的に参照番号30で指定する額及び側部アイマスクは、シリンジ40の取り付けのためにマスク30から外向きに延びる一連のシリンジマウント33を有する。シリンジマウント33は、注入の精度及び一貫性を改善するためにシリンジの位置合わせ、例えば、中心化を助ける。シリンジ40は、流体注入のためのニードル及びプランジャを含む。シリンジ40は、シリンジマウント33に取り付けることができる1つのタイプの注入デバイスとして示したものである。マウント(レシーバ)33は、望ましい(事前選択)注入領域にあり、スナップ取り付け、ネジ取り付け、又はシリンジ40をマスク30に取り付ける他の方法を可能にするように構成することができる。シリンジは、好ましくは、事前装填(事前充填)されるが、これに代えて、空とし、注入の前に流体を充填することを必要とするとすることができる。マスク30は、ストラップ32、24と眼スリット(開口部)36とを有する
図5のマスク10の形状にある。シリンジに対するマウントは、例示的にマスク30上に示すが、マスク20上又は本明細書に開示する他のマスク上に与えることができることを認めなければならない。
【0103】
図8の代替実施形態では、標準のシリンジを受け入れるための
図5Aの事前穿孔の孔の代わりに、事前装填シリンジ(又は他の注入デバイス)が、マスクに予め装着される又はマスク自体の中に内蔵される。より具体的には、額及び側部アイマスク50は、好ましくは、事前充填されたシリンジ60(又は他の注入デバイス)を固定するためにマスク50から外向きに延びる一連のシリンジマウント53(便宜上そのうちの一部にしかラベル付けしていない)を有する。マウント(レシーバ)53は、望ましい(事前選択)注入領域にあり、シリンジ60は、マスク50の出荷の前にスナップ留め、ネジ留め、又はシリンジに対する他の取り付け方法によって取り付けられる。内蔵バージョンでは、シリンジは、マスク50に着脱不能に取り付けることができる。ニードルが入り込み、次に、自動的に後退するように、シリンジボタンを押下することができる。マスク50は、ストラップ52、54と眼スリット(開口部)56とを有するマスク10の形態にある。予め装着された又は内蔵されたシリンジは、例示的にマスク50上に示すが、これらのシリンジは、本明細書に開示する他のマスクのうちのいずれかの上に与えることができることを認めなければならない。
【0104】
マスク内の事前形成孔の中へのシリンジの挿入を容易にするために、マスク上にシリンジガイドチャネルを与えることができる。ガイドチャネル(本明細書では「チャネルガイド」又は「ガイド」とも呼ぶ)は、シリンジを中心化し、それによって注入を中心化するようにシリンジを位置合わせする。例えば、マスク内に4mmの孔がある場合に、ニードルは、上向き、下向き、又は横方向に向けることができ、それによって注入区域がばらつくことになる。これらのガイドは、シリンジがマスクを通して挿入されて真っ直ぐな状態に保たれることを保証し、注入のより良い制御及びより高い一貫性を与える。これらのガイドチャネルは、下記で説明するように様々な方法でマスクに取り付けられる。ガイドチャネルは、ニードルに邪魔させることなく、ニードルに対する自己前進及び自己後退機構を利用することなくシリンジを位置合わせする方法を提供する。これらのガイドチャネルは、マスクと一体的(一体構造)とするか又はこれに代えてマスクに取り付けられるか又は固定される個別の構成要素とすることができる。いずれの場合も、患者の身体の中への流体の注入のためにシリンジニードルをガイドチャネル及びマスクを通して挿入することができるようにガイドチャネルの開口部がマスク内の事前形成孔に位置合わせされる。ガイドチャネルは、従来のシリンジ又は一部の実施形態では事前充填することができる本明細書に開示する設計のシリンジに対するガイドを提供することができる。そのようなガイドチャネルの例を上記で
図7の実施形態のマスク30に関して議論した。下記では、一体的なシリンジガイドチャネル及び個別のシリンジガイドチャネルの様々な代替実施形態を
図12A~
図48を参照して議論する。
【0105】
最初に
図12A~
図12D及び
図13~
図17に移ると、シリンジガイドチャネル106が例示されている。ガイドチャネル106(本明細書では「チャネルガイド」とも呼ぶ)は、マスク104の上面104a(本明細書では上部面又は近位面とも呼ぶ)から上向きに(近位に)延びる。図示のように、この実施形態ではガイドチャネルはマスク104に取り付けられた個別の構成要素であるので、指定している領域104は、例示目的で切り取った全体のマスクのセクションである(
図12Aの詳細部A-Aを参照されたい)。
図12Bのマスク104の切り取り領域104a内には2つのガイドチャネルを示し、
図12Dの領域104a内には単一ガイドチャネルを示すことに注意し、マスク104の固定のために異なる個数のガイドチャネルを与えることができることは理解されるものとする。ガイドチャネルの個数は、この実施形態及び本明細書に開示する代替実施形態では、好ましくは、マスク内の事前形成孔の個数に対応する。円筒形であるガイドチャネル106を示すが、他の形状/構成及びサイズも考えられる。
【0106】
ガイドチャネル106は、マスク104の事前形成孔116の中に挿入され、例えば、押込まれる。ガイドチャネル106は、注入を中心化するようにシリンジを位置合わせすることを助ける。ガイドチャネル106は、それを通って延びる管腔と連通する近位開口部114を含む。ガイドチャネル106は可撓性を有することができ、円周切欠き部112(
図17)に孔116の円周壁が係合し、下側(底/遠位)部分113が、マスク104からのガイドチャネル106の分離を防止するフランジ又はストップを形成するようにマスク104の孔116を通して挿入される。ガイドチャネル106を個別の構成要素として準備することにより、これらのガイドチャネルを無菌状態で設け、使用後にマスクから取り外して廃棄することができる。同様に、個別のユニットとして与えられることにより、これらのガイドチャネルは、異なるサイズ、形状、深さのようなガイドチャネルと相互交換することができる。例えば、深めの注入を必要とする場合に、そのような大きい深さを受け入れるガイドチャネルを挿入することができる。
【0107】
ガイドチャネル106の上面106aは、注入シリンジ、例えば、シリンジに対するストップを形成する。より具体的には、参照番号102で指定しているシリンジは、フランジ103と、シリンジ102のバレル115のチャンバ113内に貯留された流体を注入するために遠位に移動可能なプランジャ105とを有する。プランジャ105は、その遠位移動が流体をシリンジから注入するように貫通先端を有するニードル108を支持する。プランジャ105が押下されて薬品を送出する時に、シール109がシリンジの内側を密封する。
【0108】
代替実施形態では、シリンジニードルの後退機能を与える機構を提供することができることに注意されたい。
【0109】
ガイドチャネル106の高さは、この実施形態では注入の深さを制御する。この制御は、
図15と
図16を比較することによって理解することができる。
図15に示す高さH1を有するより高いガイドチャネルは、浅めの注入深さD1を与え、それに対して
図16に示す高さH2を有するより短いガイドチャネル106’は、深めの注入深さD2を与える。これらの深さは、異なる患者に対して特注されるか、又はある一定の区域内で深めの注入のために、他の区域では浅めの注入のためにのように指定されたアレイに配置することができる。チャネルガイドの高さを調節することにより、いずれのシリンジ構造も変更することなく注入深さを制御することができる。しかし、これに代えて、シリンジに対する修正、例えば、シリンジ構造の結果としてニードルがマスクを通って遠位に延びる距離に対する修正によって注入深さを制御することができることも考えられている。例えば、様々なゲージ及びニードル長さを用いて薬品を深め又は浅めに送出することができる。
【0110】
使用時に、シリンジガイドチャネル106の各々は、マスク104内の事前形成孔のうちの1つの中に挿入され、それによって各シリンジガイドチャネルを注入部位に固着させることができる。(これに代えて、マスク内に予め配置された取り外し可能ガイドチャネルをマスクに与えることができることに注意されたい。)次に、シリンジ102が、ガイドチャネル104内の開口部106を通して挿入される。シリンジ102は、遠位部分111の最も遠位にある壁が、ガイドチャネル106の上(近位)面106aに接触(当接)するまで挿入される。この深さをD1で指定する。上述のように、ガイドチャネル106は、シリンジ挿入に対するストップを設け、それによってニードルの挿入深さを制御して注入深さを制御する。ガイドチャネル106に取り付けられた時に、ニードル108は、ガイドチャネル106の管腔を通り、特注マスク104の遠位面104b及びガイドチャネル106の遠位面106bを通り過ぎて延びる。流体を注入するために、プランジャ105が押下され、それによって流体、例えば、薬品又は薬物は、上記で議論した工程で事前形成された特注患者マスクによって予め決定及び位置付けられた当該患者に対する事前指定注入場所の中に注入される。バレル115の外壁上に、投与量に関する、すなわち、シリンジ102内の流体の量を追跡するためのマーキング又は目盛線107を与えることができる。これに代えて、シリンジは、マーキングを使用することなく投与量を示すように色符号化することができ、又は所要投与量で事前較正することができる。上述のようなマーキング、色符号化、又は事前充填は、本明細書に開示する他のシリンジで利用することができる。指定の場所又は孔での注入に対して使用されることになる正確な投与量に対してインスリン型シリンジを較正することができる。シリンジは、事前充填状態で届けるか又は再充填可能とすることができるように考えられている。全ての注入点の加算に基づいて正確な全単位の数をシリンジ上に提示することができる。
【0111】
図12Dの実施形態では、シリンジ102の遠位部分は、ガイドチャネル106の上部に当接する。
図19~
図21の代替実施形態では、シリンジの遠位部分がガイドチャネルの内側に適合するように広めのガイドチャネルが設けられる。より具体的には、
図19~
図21のガイドチャネル124は、マスク104の上面(近位面)から上向きに(近位に)延び、マスク104と一体的なもの(
図12Cの場合のように)、又はマスク内の事前形成孔を通して挿入される可撓性特徴部を有する個別の構成要素とすることができる(
図12Bの場合のように)。ガイドチャネル124は、その大きい幅、すなわち、直径を除いてガイドチャネル106と同等である。プランジャ125と、シール127と、バレル123と、流体チャンバ129とを有するシリンジ120は、開口部126を通過し、チャネルガイド126の管腔を通過し、更にマスク104の孔116を通して挿入される。シリンジ120は、バレル123の底壁123aがガイドチャネル124の管腔内の壁124aに接触、すなわち、当接するまで挿入される。従って、バレル123の遠位部分は、チャネルガイド124の壁124b内に留まる。ガイドチャネル124の壁124aは、シリンジの挿入深さを制限し、従って、ニードルの延びの深さを制限し、それによって注入深さを制御するストップとして機能する。この広めのチャネルガイド設計を使用することにより、チャネルガイドは、シリンジの本体を封入し、チャネルガイドを通してニードルを誘導する。ニードルの深さは、チャネルガイド構成要素の設計と、それがシリンジをどれほど深く挿入させるかとによって制御される。壁の高さH3は、異なる挿入深さを与える異なる高さとすることができる。様々な望ましい挿入深さを受け入れるために個々のガイドチャネルの高さを調節するための調節可能壁をガイドチャネル自体に与えることができる。上述したもの、すなわち、シリンジを中に受け入れるための広めの開口部を除き、ガイドチャネル124は、ガイドチャネル106と同等であり、従って、
図12A~
図18のガイドチャネル106及びその機能の議論は、
図19~
図21のガイドチャネル124に完全に当て嵌めることができる。
【0112】
図12Bの実施形態では、ガイドチャネルは、マスクへの固定のためにマスク内の事前形成孔の中に挿入される。
図12Cの代替実施形態では、ガイドチャネル106’は、マスク104’と一体的であり、従って、製造での別個の挿入又はユーザによる別個の挿入のいずれも必要としない。
【0113】
代替実施形態では、ガイドチャネルは、平坦な支持体の上に設けられ、この支持体がマスクに取り付けられる。この実施形態は、ガイドチャネルがマスクに直接固定される上述の実施形態とは異なっている。
図22A~
図24は、接着剤によってマスクに固定されるそのような個別の支持体の例を提供している。支持体130は上面130aを有し、そこからガイドチャネル132が近位に延びる。支持体130の底面又は遠位面130b上に接着材料が取り付けられる。従って、支持体130は、ガイドチャネル内の開口部134及び管腔134aがマスク内の事前形成孔に位置合わせするようにマスク200に固定される接着パッドを形成する。シリンジは、
図19のシリンジと同じであり、従って、同じ参照番号でラベル付けされている。
【0114】
使用時に、露出接着底面を有する支持体130は、チャネル開口部133が特注マスク内の孔との位置合わせ状態になるようにマスクに接着剤で固定される。シリンジ120(任意的に目盛128を有する)は、遠位部分が壁132b(
図21のガイド124の壁124aと類似)に衝突するまでチャネルを通して挿入される。この壁132bは、ニードルの貫通深さを制御するためのシリンジ挿入に対するストップを与える。チャネルを通して挿入された時に、ニードル122は、管腔132aを通って支持体130を遠位に超えて身体の中に延びる。プランジャ125の前進は、シリンジ120のチャンバ113から流体を注入する。一部の実施形態では、接着剤は、取り付けの準備が整うまで覆うことができ、カバーは、接着面を露出させるために剥がすことができる。
【0115】
注入深さD3は、チャネルガイド構成要素H3の高さH3によって制御され、この高さを変更して異なる注入深さを達成することができる。これに代えて、異なる注入深さを達成する際にニードル高さを変更することができると考えられる。この深さを制御する別の方法は、マスクの厚みを変更することであり、厚めのマスクは、より短い注入深さを与え、薄めのマスクは、より大きい貫通深さを与える。
【0116】
これに代えて、
図15の実施形態の場合のように、シリンジがガイドチャネルの外側に留まるように(ガイドチャネルに配置されるのではなく)ガイドチャネル130を構成することができると考えられることに注意されたい。同様に、取り付けのための接着剤を開示しているが、ガイドチャネルを担持するパッドを取り付ける他の方法も考えられる。
【0117】
図35A~
図48の代替実施形態では、クリック式構成要素又はスナップ式構成要素を有する小型シリンジが、ガイドチャネルの中に挿入される。このクリック式シリンジガイドは、シリンジの前に又はシリンジと共にマスクの嵌合特徴部の中に挿入することができる。
【0118】
より具体的には、シリンジガイドチャネル158は、シリンジ160を受け入れる管腔と連通する開口部160を有する。ガイドチャネル158は、本明細書でガイドレシーバとも呼ぶ嵌合特徴部152の中に挿入される。レシーバ152は、
図35Cに示すようにマスク150と一体的なもの又は
図35Bに示すようにマスクに取り付けられる個別の構成要素とすることができ、この構成要素は、取り外し可能なもの又は永久に(着脱不能に)取り付けられるものそのいずれかとすることができる。(これらの図は、マスクのセクションを
図12Aのマスク104の詳細セクション104aと同じ方式で例示しており、従って、
図35A~
図35Dには2つのレシーバ/ガイドチャネルしか示しておらず、
図35E~
図38には単一レシーバ及びガイドチャネルしか示していないことに注意されたい。)個別の構成要素の場合に、レシーバ152は、フランジと、特注マスク150内の事前形成孔を通した挿入のための凹部とを含むことができる。一体的なもの又は個別に取り付けられる構成要素のいずれであるかに関わらず、レシーバ152は、マスク150の上(近位)面150aから近位に(外向きに)延び、レシーバ152の管腔の中にガイドチャネル158を受け入れるような寸法を有する。ガイドチャネル158は、開口部156を通してレシーバ152の中に、更にレシーバの管腔の中に挿入され、レシーバ152の近位に突出する。シリンジガイド158は、内向きにバネ付勢された可撓性タブ154によってレシーバ152の中にクリック留めされる。最初にガイドチャネル158は、レシーバ152の中に挿入され、ガイドチャネル158の外壁がタブ154の内面154aに係合する時に、
図41に示すように内面154aがガイドチャネル158の円周ノッチ(凹部)162に位置合わせするまでタブ154を外向きに押圧する。そのように位置合わせすると、タブ154は、その初期位置に戻ってガイドチャネル158をレシーバ152に固定することができる。従って、係合構成要素152の可撓性タブ154は、ユーザが新しいシリンジガイドを挿入し、それらが使用された後に取り外すことを可能にする。シリンジガイド158は、
図41に示すその管腔の中に無菌スポンジのような圧潰性材料159を含むことができる。
【0119】
シリンジガイド158は、
図45及び
図46に見ることができるように正しい場所に注入するようにシリンジ161を位置合わせする。シリンジ161がガイド158の中に挿入される時にユーザがシリンジカラーを押下すると、圧潰性材料159は、収縮することになり(遠位壁161aに起因して)、ニードル165がシリンジガイド158の壁158a内の開口部157を通り、更にレシーバ152の管腔153を通ってマスク150の遠位面を通り過ぎて延びる時に組織に進入することを可能にする。次に、ユーザは、ハンドル(フランジ)164を保持し、シリンジ161内のチャンバ163から薬品を注入するようにプランジャ166を押下する。圧潰性材料159は、ユーザが複数のシリンジをニードルが皮膚に接触することなく安全に位置合わせすることを可能にし、注入に続いて跳ね返ることができる。
図21のシール127と類似のシール167をシリンジ161のバレルの中に与えることができる。
【0120】
上述のように、本発明の特注マスク(カバー)は、患者の顔又は額を覆うことに限定されず、身体の他の部分に適用することができる。
図25~
図34は、患者の腹部セクションの上に配置されて患者の身体に位置合わせする形状の周りの輪郭を有するカバー(マスク)を示す代替を一例として例示している。特注「腹部マスク」(カバー)140は、注入場所に対する事前形成開口部を含み、本明細書に説明する工程に従って作られる。マスク140は、例えば、腹部脂肪溶解/破壊に使用することができる。カバー140は、図示のようにそれと一体的なものとされ、すなわち、カバー140の中に直接組み込むこと又はこれに代えて他の実施形態に関して上記で議論したものと同じ方法でカバーに個別に取り付けることができる複数のガイドチャネル144を有する。これらのガイドチャネル144は、シリンジの通路を与えるために特注マスク140内の開口部に位置合わせされる。ガイドチャネル144は、注入深さを制御することができる。例えば、
図33では、より高いガイドチャネル(H4)が浅めの注入(D4)を与え、それに対して
図34では、より短いガイドチャネル(H5)が深めの注入(D5)を与える。マスク140には、異なる部位での異なる注入深さを調整するために異なる高さのチャネルガイドを与えることができ、又は異なる注入深さを達成するためにニードル長さを変更することができ、又はマスクの厚みを変更することができる。
【0121】
カバー140は、近位面140a、140bを有し、ユーザがカバー140を正しく位置合わせすることを保証するための矢印を有するへそ位置合わせ孔146を含む。
図27及び
図31は、へそに対する位置合わせ孔146を例示している。
【0122】
カバー140の縁部からストラップ142が延び、腹部の周りに巻き付き、領域143ではベルクロによって固定されるが、カバー140又はストラップ142を固定する他の方法、例えば、クリップ、フック、締め具等も考えられている。ストラップ142は、カバー140を身体に締め付ける。
【0123】
使用時に、
図28及び
図32に示すように、シリンジ120は、ニードル122がガイド144の開口部144a及び管腔144bを通って延びるようにガイドチャネル144の中に挿入される。シリンジ120は、壁144cに衝突し、従って、ガイド144の壁144cは、シリンジ120の挿入の深さを制限し、従って、ニードル122の貫通及び流体の注入の深さを制限するためのストップを与える。シリンジが挿入された状態で、プランジャ125が押下されてシリンジのチャンバ129から流体が注入される。
【0124】
本明細書に開示する実施形態では、チャネルガイドは、ニードルを損傷しないニードルの通過を確実に保証するために様々なジュロメーター硬度のシリコーン又はゴムから作ることができる。ガイドチャネルは、好ましくは、ユーザがニードルをマスクに当ててニードルを曲げるか又は壊す可能性を低減するためにニードルガイド孔の周りに僅かな、好ましくは最小限の引き込み部を有して設計される。
【0125】
代替実施形態では、上述のシリンジ位置合わせ特徴部は、ニードルよりもかなり背が高いような寸法を有することができ、この場合に、ニードルがニードルガイド孔/マスクの面に到達する前でさえもシリンジの全体が位置合わせすることになる。
【0126】
図9の実施形態では、複数のシリンジから流体を同時に送出するために内蔵空圧機構又は他の機構が利用される。マスク70は、注入デバイスを受け入れて外部流体注入制御デバイス80にチャネル77を通して接続された一連の孔78を有する。明瞭化の目的で、孔78及びチャネル77のうちの一部しかラベル付けしていない。制御デバイス80からチューブ83が延び、孔78に装着された注入デバイスの中にチャネル77を通して空気(又は他の駆動流体)を送出することができるようにマスク70のチャネル77と流体連通する。このようにして、指で押下することによって各シリンジを個々に注入することによって各シリンジを作動させる代わりに、制御デバイス80は、シリンジを同時に作動させるシステムを提供する。図示の実施形態では、チューブのマウント85がマスクの側部にあるが、このマウントは、代替実施形態では、注入を行うためにマスク内の孔の場所に装着されたシリンジとの流体連通を与える他のマスク領域内に与えることができると考えられる。マスク80は、ストラップ72、74と眼スリット(開口部)76とを有するマスク10の形態にあるが、上述の「力」機構は、本明細書に開示する他のマスクと併用することができる。制御ユニット80は、シリンジからそれぞれの孔を通して経皮的に毒素を押すための力を送出するための空圧システム又は他の機構とすることができる。注入デバイス、例えば、シリンジは、上述の実施形態の場合と同じく事前装填シリンジ又は交換可能シリンジとすることができる。チャネルは、他の配置に配置されて連通することができるので、
図9の相互接続チャネル78の配置及び連通は一例に過ぎない。マスク70は、ストラップ72、74と眼スリット(開口部)76とを有するマスク10の形態にある。内蔵チャネルを有する
図9のシステムは、それをマスク20又は本明細書に開示する他のマスク上に与えることができるので一例として示したものであることを認めなければならない。代替実施形態では、注入制御デバイス80は、ポンプ又は他の力機構を含有するのに加えて、流体、例えば、毒素を更に含有し、又はこれに代えて力機構を含有し、更に毒素供給源に接続された別のチューブを与えることができ、チャネル、孔、及び/又はシリンジは、投与量を制御するように構成することができると考えられることに注意されたい。
【0127】
認めることができるように、本発明のシステム及び方法/工程は、3つの変数に対処する:a)特注マスクが、注入場所を制御する、b)注入デバイスが、注入流体量を制御する、及びc)マスク構成(又はこれに代えて注入デバイス構成)が、注入深さを制御する。
【0128】
本発明の特注マスクには、患者の名称のような識別情報を与えることができる。更に、特注マスクは、注入を容易にするために各ガイドの隣に事前印刷投与量(単位)を有することができる。投与量は、データを集成してマスクを生成するのに使用された質問に対する患者の返答に基づくか又はこれに代えて医者/医師が定めることができる。次に、これらの再使用可能マスクは、上述のように医師の診療所に送られるか、又は患者に送られて患者が医師の診療所に持って行くように考えられている。次に、マスク上の事前印刷情報を用いて注入を誘導することができる。これは、注入場所、並びに投与量のばらつきを有利に低減する。
【0129】
上述のように、本発明の特注マスクは、回復ボツリヌス毒素が事前充填されてマスクの中に組み込まれたシリンジを装備することができると考えられる。投与量は、患者が返答した質問に基づくように考えられている。この特注マスクは、直接医師の診療所に又は患者に送ることができると考えられる。これは、いずれの医師もマスクを適用してボタンを押下して再現可能な精度で注入することができると考えられるので、これらの注入への患者のアクセスを広げることができると考えられる。
【0130】
一部の実施形態では、薬品の事前装填シリンジのキットを医師の診療所に又は自宅投与のために直接患者に送ることができる。シリンジは、使い捨て可能か、又は再充填可能であることによって再使用可能とすることができる。一部の実施形態では、マスクと注入デバイス(事前充填されたもの又は個別の流体と共に空の状態で送られるもののいずれか)とを含むキットを医師の診療所又は患者に送ることができる。
【0131】
特注マスクは、予測可能性を与えるだけでなく、一部の実施形態でのマスクは、同じ場所での繰り返し処置を保証することができるように再使用することができる。同様に、再使用マスクとの併用のための医師又は患者への薬品の搬送は、以前の注入の結果に依存して異なることが可能である。
【0132】
上述の実施形態では、医師又は医療提供者、例えば、看護師、医師助手、薬剤師が注入を実施するが、代替実施形態では患者が注入を実施することができるようにも考えられている。従って、これらの実施形態では、ボツリヌス毒素は、患者によって自己注入/自己投与される。従って、例えば、
図2A及び
図2Bの過程での医師による注入段階の代わりに、注入段階は、患者によって実施されるように考えられている。事前装填シリンジは、患者の注入を容易にすると考えられる。
【0133】
代替実施形態では、3Dスキャナの代わりに、医師は、診療所で2D写真を撮影し、患者に関する医師の知識と患者の過去の注入とに基づいて写真上に推奨されるマーキングする。次に、写真は、3Dモデル生成を行ってマスクを印刷する別の関係者に送られ、次に、このマスクは、医師に又は直接患者に送り返される。
【0134】
上述の実施形態で上述のように、特注マスクは、3D印刷によって生成されるが、3Dマスクを生成するのに他の方法、工程を利用することができるようにも考えられている。
【0135】
上述の実施形態では、患者に対して3D特注マスクが印刷される。代替実施形態では、そのような3D特注マスクを利用する代わりに、簡素化の理由から、様々なサイズのマスクテンプレートを生成することができる。従って、個々の顔に3Dで合致するのではなく、額/顔のサイズにほぼ合致する様々なサイズのマスクテンプレートを作ることができる。次に、これらのテンプレートを医師に提供すること、又は患者に提供し、次に、患者が医師の診療所に持って行くことができると考えられ、この場合に、医者/医師は、患者が注入を受けるべき又は通常受けている場所に基づいてこれらのマスクを個人化するようにこれらのマスクにマーキングする、すなわち、孔を打ち抜くことができると考えられる。その後に、これらのマスク自体をテンプレートとして使用することができ、又は内蔵シリンジを有するか又は持たないより長持ちするテンプレートを作るのに使用することができると考えられる。従って、そのようなマスクは、ボツリヌス毒素の注入を誘導するための特注可能な顔/頭テンプレートをもたらすと考えられる。
【0136】
注入される単位の数(投与量)を臨床医に通知するために、マーキングされた場所の色符号化、数字/記号による符号化、又は他の形態の識別情報/指示をマスクの生成の前に入力することができる。そのような投与量インジケータは、マスクの印刷が投与量インジケータを含むように生成中にマスク上に型押し又は他に刻印することができ、又はこれに代えてマスクが形成された後に投与量インジケータをステッカーとしてマスクに付加することができる。例えば、透明のマスク上に異なる色を印刷することができ、又は技師/臨床医がマスクにデカールを付加することができる。
【0137】
様々な実施形態で上述した本発明は、美容整形手術のためのボツリヌス毒素の注入に使用される。しかし、本明細書に開示する実施形態のうちのいずれの概念/システムも、他の手順に使用することができる。マスクは、それを例えば頭皮及び額のような他の領域上への配置に対して生成することができる点を除いて、本明細書に開示するシステム/工程の場合と同じ方法(又は他の方法、例えば、テンプレート)で生成することができる。
図10及び
図11は、頭皮にわたって延びて偏頭痛の処置に使用することができるマスクを示している。より具体的には、マスク90は、患者の頭皮を覆い、かつマスク90を固定するための顎ストラップ92、93と、流体注入のための一連の孔94とを有する。注入は、例えば、
図7と類似の交換可能シリンジ、
図8と類似の事前装填シリンジ、又は
図9のチャネルシステムを含む上述した注入デバイスによって行うことができる。本発明は、身体の他の部分に対する、例えば、発汗に関して脇の下に対するボツリヌス毒素の使用も考えられている。
【0138】
様々なボツリヌス毒素を注入することができることを認めなければならない。ボツリヌス毒素は、ボツリヌス菌の生成物である。この増殖性細菌は、アセチルコリンの放出を抑制し、影響を受ける筋肉の弛緩性麻痺をもたらす神経毒ボツリヌス毒素を生成する。A、B、C1、D、E、F、及びGといういくつかの明確に異なるタイプのボツリヌス毒素が存在する。様々なタイプのボツリヌス毒素は、Botox(オナボツリヌス毒素A、Allergan)及びDysport/Azzalure(アボボツリヌス毒素A、Ipsen/Galderma)、Xeomin/Bocouture(インコボツリヌス毒素A、Merz)、並びにJeuveau(プラボツリヌス毒素A、Evolus/Daewoong)のような商標名の下で臨床治験でのいくつかの他のものと共に市販されている。Revance Therapeutics,Inc.も、注入のための神経修飾物質であるダキシボツリヌス毒素Aを提供している。
【0139】
ボツリヌス毒素を上述の実施形態のマスクを通して注入される流体として説明したが、他の処置又は手術手順に対して他の流体を利用することができるようにも考えられている。例えば、マスクの3D印刷物が作られた後に、脂肪を低減するのに使用されるKybella(デオキシコール酸)は、頑固な脂肪区域をターゲットとして身体の複数の面区域上に使用することができる。
【0140】
注入ニードルがマスク内の開口部を通して与えられる本発明のマスク、並びにマスクを通してマーキングされて薬物注入のためにマスクが取り外される本発明の代替マスクには、様々な撮像方法と本明細書に開示するマスクを生成する様々な方法とが適用可能であることを認めなければならない。
【0141】
以上の説明は多くの詳細を含有するが、これらの詳細は、本発明の開示に対する限定として解釈すべきではなく、その好ましい実施形態の単なる例証として解釈しなければならない。当業者は、本明細書に添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の開示の範囲及び精神に該当する多くの他の可能な変形を想定するであろう。
【符号の説明】
【0142】
10 マスク
12、14 ストラップ
16 顔及び眼のスリット
18 事前形成孔
【国際調査報告】