(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】CPLD論理ユニットアレイの給電構造
(51)【国際特許分類】
H03K 19/17784 20200101AFI20230405BHJP
H03K 19/00 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
H03K19/17784
H03K19/00 210
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549568
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(85)【翻訳文提出日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2020103274
(87)【国際公開番号】W WO2021189731
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】202010212238.6
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520412486
【氏名又は名称】深▲セン▼市紫光同創電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】韓 建国
【テーマコード(参考)】
5J042
5J056
【Fターム(参考)】
5J042BA04
5J042BA11
5J056AA04
5J056BB12
5J056DD12
5J056DD26
(57)【要約】
本発明は、CPLD論理ユニットアレイの給電構造を提供し、パワーメタルワイヤグリッドおよび2つのLDO回路を含み、2つの前記LDO回路は同じ回路構造とデバイスパラメータを有し、その中で、前記パワーメタルワイヤグリッドはCPLD論理ユニットアレイと対応する分布構造を有し、前記CPLD論理ユニットアレイの給電電流経路を形成するために使用され、2つの前記LDO回路は、前記CPLD論理ユニットアレイの動作電圧を提供するために使用され、各前記LDO回路の出力端はそれぞれ前記パワーメタルワイヤグリッドの左右両側の一側に接続されて、左右両側からCPLD論理ユニットアレイに同時に給電することができる。本発明は、CPLD論理ユニットアレイの異なる位置での給電電圧の分布が不均一である問題を克服することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーメタルワイヤグリッドおよび2つのLDO回路を含み、2つの前記LDO回路は同じ回路構造とデバイスパラメータを有し、
前記パワーメタルワイヤグリッドはCPLD論理ユニットアレイと対応する分布構造を有し、前記CPLD論理ユニットアレイの給電電流経路を形成するために使用され、
2つの前記LDO回路は、前記CPLD論理ユニットアレイの動作電圧を提供するために使用され、各前記LDO回路の出力端はそれぞれ前記パワーメタルワイヤグリッドの左右両側の一側に接続されて、左右両側からCPLD論理ユニットアレイを同時に給電することができる、ことを特徴とするCPLD論理ユニットアレイの給電構造。
【請求項2】
前記LDO回路の平均出力電流はCPLD論理ユニットアレイの最大動作電流よりも大きく、いずれか1つの前記LDO回路がCPLD論理ユニットアレイの給電要件を十分に満たす、ことを特徴とする請求項1に記載のCPLD論理ユニットアレイの給電構造。
【請求項3】
前記LDO回路は、差動増幅器、パワーMOSトランジスタ、第1抵抗および第2抵抗を含み、その中で、前記第1抵抗と前記第2抵抗は前記パワーMOSトランジスタのドレインとグランド間に直列接続され、前記差動増幅器の逆相入力端は前記第1抵抗と前記第2抵抗間に接続され、前記差動増幅器の同相入力端に参照電圧が入力され、前記パワーMOSトランジスタのゲートは前記差動増幅器の出力端に接続され、前記パワーMOSトランジスタのソースに電源電圧が入力され、前記パワーMOSトランジスタのドレインと前記第1抵抗間に出力ノードが形成され、前記出力ノードは前記LDO回路の出力端に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のCPLD論理ユニットアレイの給電構造。
【請求項4】
前記パワーMOSトランジスタは、N個のサブトランジスタを含み、各前記サブトランジスタのドレインはそれぞれ出力サブノードとして機能し、各出力サブノードはそれぞれ1列のCPLD論理ユニットに給電するために使用される、ことを特徴とする請求項3に記載のCPLD論理ユニットアレイの給電構造。
【請求項5】
2つの前記LDO回路は同期して起動する、ことを特徴とする請求項1に記載のCPLD論理ユニットアレイの給電構造。
【請求項6】
参照電圧生成回路とフィルタ回路をさらに含み、
前記参照電圧生成回路は、前記LDO回路の参照電圧信号を生成するために使用され、前記参照電圧信号は2チャンネルに分かれ、一方の参照電圧信号が前記参照電圧生成回路から近い距離にある一方のLDO回路に直接入力され、他方の参照電圧信号が前記フィルタ回路で処理されて前記参照電圧生成回路から遠い距離にある他方のLDO回路に入力され、前記フィルタ回路は前記参照電圧生成回路から遠い距離にある他方のLDO回路の入口に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のCPLD論理ユニットアレイの給電構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPLDの技術分野に関し、特にCPLD論理ユニットアレイの給電構造に関する。
【背景技術】
【0002】
CPLDは、複雑系プログラマブルロジックデバイス(Complex Programmable Logic Device)の略称であり、要件に応じて自ら機能を設計できる集積回路であり、スイッチやインターネット通信などの分野で幅広い展望を持っている。
【0003】
CPLD内部の論理ユニットアレイは格子状に分布し、それに伴い、CPLD内部の電源配線も格子状に分布している。現在、CPLDで通常使用されている給電方法は、単一LDO回路でCPLD論理ユニットアレイに給電することであるが、このような給電方法では、CPLD論理ユニットアレイの異なる位置で、給電電圧が大きく異なり、特に給電入口から最遠位まで、非常に大きい電圧降下が発生し、このような電圧降下により電入口から最も離れた個別の論理ユニットの給電電圧が低くなり、CPLDの性能に悪影響を与えることを招く。
【発明の概要】
【0004】
上記の問題を解決するために、本発明は、CPLD論理ユニットアレイにおける異なる位置での給電電圧分布が不均一である問題を克服することができるCPLD論理ユニットアレイの給電構造を提供する。
【0005】
本発明によって提供されるCPLD論理ユニットアレイの給電構造は、パワーメタルワイヤグリッドおよび2つのLDO回路を含み、2つの前記LDO回路は同じ回路構造とデバイスパラメータを有し、
前記パワーメタルワイヤグリッドはCPLD論理ユニットアレイと対応する分布構造を有し、前記CPLD論理ユニットアレイの給電電流経路を形成するために使用され、
2つの前記LDO回路は、前記CPLD論理ユニットアレイの動作電圧を提供するために使用され、各前記LDO回路の出力端はそれぞれ前記パワーメタルワイヤグリッドの左右両側の一側に接続されて、左右両側からCPLD論理ユニットアレイを同時に給電することができる。
【0006】
選択可能に、前記LDO回路の平均出力電流はCPLD論理ユニットアレイの最大動作電流よりも大きく、いずれか1つの前記LDO回路がCPLD論理ユニットアレイの給電要件を十分に満たす。
【0007】
選択可能に、前記LDO回路は、差動増幅器、パワーMOSトランジスタ、第1抵抗および第2抵抗を含み、その中で、前記第1抵抗と前記第2抵抗は前記パワーMOSトランジスタのドレインとグランド間に直列接続され、前記差動増幅器の逆相入力端は前記第1抵抗と前記第2抵抗間に接続され、前記差動増幅器の同相入力端に参照電圧が入力され、前記パワーMOSトランジスタのゲートは前記差動増幅器の出力端に接続され、前記パワーMOSトランジスタのソースに電源電圧が入力され、前記パワーMOSトランジスタのドレインと前記第1抵抗間に出力ノードが形成され、前記出力ノードは前記LDO回路の出力端に接続される。
【0008】
選択可能に、前記パワーMOSトランジスタは、N個のサブトランジスタを含み、各前記サブトランジスタのドレインはそれぞれ出力サブノードとして機能し、各出力サブノードはそれぞれ1列のCPLD論理ユニットに給電するために使用される。
【0009】
選択可能に、2つの前記LDO回路は同期して起動する。
【0010】
選択可能に、前記のCPLD論理ユニットアレイの給電構造は、参照電圧生成回路とフィルタ回路をさらに含み、
前記参照電圧生成回路は、前記LDO回路の参照電圧信号を生成するために使用され、前記参照電圧信号は2チャンネルに分かれ、一方の参照電圧信号が前記参照電圧生成回路から近い距離にある一方のLDO回路に直接入力され、他方の参照電圧信号が前記フィルタ回路で処理されて前記参照電圧生成回路から遠い距離にある他方のLDO回路に入力され、前記フィルタ回路は前記参照電圧生成回路から遠い距離にある他方のLDO回路の入口に配置される。
【発明の効果】
【0011】
本発明で提供されるCPLD論理ユニットアレイの給電構造によれば、デュアルLDOを用いて給電し、単一LDOの給電方法と比較すると、最低の電圧点がパワーメタルワイヤグリッドの中間位置にあるため、電源線の電圧降下を大幅に低減し、各グリッド点電圧値もより均一になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施例で提供されるCPLD論理ユニットアレイの給電構造の概略図である。
【
図2】本発明の一実施例で提供されるCPLD論理ユニットアレイの給電構造の概略図である。
【
図3】
図2に基づくシミュレーションモデルを示す図である。
【
図4】本発明の一実施例で提供されるCPLD論理ユニットアレイの給電構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段および利点をより明らかに説明するために、以下、本発明の実施例の図面を参照して、本発明の実施例中の技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではないことは言うまでもない。本発明の実施例に基づいて、当業者は創造的な労働をすることなく得られた他の実施例は、すべて本発明の保護範囲に含まれる。
【0014】
本実施例で提供されるCPLD論理ユニットアレイの給電構造は、
図1に示すように、パワーメタルワイヤグリッドおよび2つのLDO回路を含み、2つのLDO回路はそれぞれLDO_LとLDO_Rとし、2つのLDO回路は同じ回路構造とデバイスパラメータを有し、その中で、
パワーメタルワイヤグリッドはCPLD論理ユニットアレイと対応する分布構造を有し、CPLD論理ユニットアレイの給電電流経路を形成するために使用され、
2つのLDO回路は、CPLD論理ユニットアレイの動作電圧を提供するために使用され、各LDO回路の出力端はそれぞれパワーメタルワイヤグリッドの左右両側の一側に接続されて、左右両側からCPLD論理ユニットアレイに同時に給電する。
【0015】
本実施例では、パワーメタルワイヤグリッドは2つの給電入口があることに相当し、それぞれ左右両側に位置し、例えば、2つの給電入口がパワーメタルワイヤグリッドの左上と右下の角部にあってもよいし、または、パワーメタルワイヤグリッドの右上と左下の角部にあってもよく、入口位置が特に限定されない。
【0016】
本実施例で提供されるCPLD論理ユニットアレイの給電構造は、デュアルLDO給電を採用し、単一LDO給電方法と比較すると、その最低電圧点がパワーメタルワイヤグリッドの中間位置にあるため、電源線の電圧降下を大幅に低減でき、各グリッド点の電圧値もより均一になる。
【0017】
一方、本実施例で提供されるCPLD論理ユニットアレイの給電構造は、2つのLDO回路ができるだけ電流を均等に分担することを考慮する必要がある。本実施例で提供される給電構造は2つのLDO回路を含むため、2つのLDO回路がマッチングしないと、電流分担が不均一である問題を招く。この問題を解決するために、2つのLDO回路が同じ回路構造とデバイスパラメータを有する設計される。
【0018】
さらに、
図2に示すように、LDO回路は以下の回路構造を採用する。
【0019】
LDO_Lは差動増幅器EA11、パワーMOSトランジスタM11、抵抗R11と抵抗R12を含み、その中で、R11とR12はM11のドレインとグランド間に直列接続され、EA11の逆相入力端はR11とR12間に接続され、EA11の同相入力端に参照電圧VREFが入力され、M11のゲートはEA11の出力端に接続され、M11のソースに電源電圧VCCが入力され、M11のドレインとR11間に第1ノードQ1が形成され、Q1はLDO_Lの出力端に接続され、LDO_Lの出力端から電圧VOUT1を出力し、
LDO_Rは差動増幅器EA21、パワーMOSトランジスタM21、抵抗R21と抵抗R22を含み、その中で、R21とR22はM21のドレインとグランド間に直列接続され、EA21の逆相入力端はR21とR22間に接続され、EA21の同相入力端に参照電圧VREFが入力され、M21のゲートはEA21の出力端に接続され、M21のソースに電源電圧VCCが入力され、M21のドレインとR21間に第2ノードQ2が形成され、Q2はLDO_Rの出力端に接続され、LDO_Rの出力端は電圧VOUT2を出力する。
【0020】
上記回路構造では、理想的にVOUT1=VOUT2となり、駆動冗長設計技術を用いてLDO回路の耐負荷能力を設計する。駆動冗長設計技術とは、回路駆動能力に言及し、設計に十分なマージを設定する必要があり、例えば、CPLD論理ユニットアレイ全体の動作が800ma電流を必要であると仮定し、デュアルLDOの場合、理想的にそれぞれ400ma電流を分配し、実際の場合、2チャンネルのLDOに常に差があり、あるLDOの分担電流が大きく、他のLDOの電流分担が小さい場合があり、最悪の場合、1方のLDOが動作せず、800maの電流がすべて他方のLDOから供給され、このような場合に、設計のときにこのような極限状況を考慮し、各LDOに800maの駆動能力を持たせ、このような極限状態での正常給電を確保する必要がある。
【0021】
本実施例では、LDOの設計パラメータは以下のとおりであり、出力電圧1.2V、平均出力電流800mA、ピーク電流1.2A、ピーク電流継続時間3nsである。
【0022】
また、LDO_LとLDO_Rのデバイスパラメータも同じである。理想的なデュアルLDO給電は、2つのLDO回路の出力電圧、電流がともに同じであるが、実際のデバイスプロセスの差により、両方のLDOの出力電圧や電流に差があり、電流不均一を引き起こす主要要因は以下の表1に示される。
【表1】
【0023】
上記要素を考慮して構築されたシミュレーションモデルは
図3に示される。
図3のモデルに基づいて、2つのLDOの入力端にVosを加え、他の条件を変えずに駆動管の電流出力を観察し、結果を以下の表2に示す。
【表2】
【0024】
表2から分かるように、左右の2つのLDOのEA入力端電圧がミスマッチし、ミスマッチ電圧が15mVになると、左右LDOの電流偏差が115maとなり、この電流偏差が左右800maの電流出力能力に対して15%を占め、LDOが完全に安全領域にある。
【0025】
さらに、パワーメタルワイヤグリッドの電圧分布均一性をより高めるために、LDO回路内部のパワーMOSトランジスタは分散設計し、つまり非常に大きなMOSトランジスタを並列接続した複数の小さなサブMOSトランジスタに分割し、これらのサブMOSトランジスタは1列ずつ分散配置され、各サブMOSトランジスタは近くのCPLD論理ユニットアレイの1列の負荷に接続され、この時、CPLDアレイの各負荷は同時に左右両方向から給電されることに相当する。この設計の理由は、LDO回路は非常に大きな電流を出力する必要があり、それに伴い、その内部のパワーMOSトランジスタも非常に大きく、負荷CPLDアレイは数万の同一ユニットが格子状に分布されるため、給電するためのMOSトランジスタも列ずつ分布し、一列で並んで各行負荷に接続されることである。
【0026】
この設計の最大のリスクは、LDO内部のエラーアンプの出力端から異なる距離のパワーMOSまでの時間遅延であり、その結果、パワーMOSの起動順序に遅延が生じ、実際のlayout配線寸法に従ってモデルを構築して上記の遅延時間を評価したとこり、瞬間peak負荷電流が到来すると、EAに近いパワーMOS電流PD_L_1が最初に変化し、PD_L_2の変化がPD_L_1よりも1.3ns遅延し、この遅延時間は無視できるほど小さい。
【0027】
他方、本実施例で提供されるCPLD論理ユニットアレイの給電構造は、2つのLDO回路の非同期起動により瞬間電流が逆流する問題も考慮する必要がある。タイミングをうまく制御することにより、LDO_LとLDO_Rを同時に起動することができる。
【0028】
図4に示すように、
図1に示す給電構造の基に、本発明の別の実施例はCPLD論理ユニットアレイの給電構造を提供し、本実施例の給電構造は、参照電圧生成回路とフィルタ回路をさらに含み、前記参照電圧生成回路は、前記LDO回路の参照電圧信号を生成するために使用され、前記参照電圧信号は2チャンネルに分かれ、一方の参照電圧信号が前記参照電圧生成回路から近い距離にある一方のLDO回路に直接入力され、他方の参照電圧信号が前記フィルタ回路で処理されて前記参照電圧生成回路から遠い距離にある他方のLDO回路に入力され、前記フィルタ回路は、前記参照電圧生成回路から遠い距離にある他方のLDO回路の入口に配置される。
【0029】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明の保護範囲はここに限定されなく、当業者であれば、本発明で開示された技術範囲内に容易に想到した変更や置換は、すべて本発明の保護範囲に含まれる。したがって、本発明の保護範囲は特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【国際調査報告】