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特表2023-515040低圧水銀蒸気放電ランプ及びランプシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】低圧水銀蒸気放電ランプ及びランプシステム
(51)【国際特許分類】
   H01J 61/28 20060101AFI20230405BHJP
   H01J 61/20 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
H01J61/28 L
H01J61/20 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549686
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(85)【翻訳文提出日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 EP2021055330
(87)【国際公開番号】W WO2021185582
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】102020203417.6
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593129320
【氏名又は名称】ヘレーウス ノーブルライト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Noblelight GmbH
【住所又は居所原語表記】Heraeusstrasse 12-14, Hanau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ、アナ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンダーリッヒ、ジャン
(72)【発明者】
【氏名】シリング、フランツ-ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】クルツ、ホルガー
【テーマコード(参考)】
5C015
【Fターム(参考)】
5C015UU06
(57)【要約】
本発明は、低圧水銀蒸気放電ランプ(1、1a、1b、1c、1d)であって、水銀充填物及び封入ガス、特に希ガスを備えた放電チャンバ(8)を気密様式で密閉する放電容器(6、6a、6b、6c、6d)であって、第1の端部分(61、61a、61b、61c、61d)及び第2の端部分(62)を有する放電容器(6、6a、6b、6c、6d)と、第1の端部分(61、61a、61b、61c、61d)に配置された第1の電極(11)と、第2の端部分(62)に配置された第2の電極(12)であって、第1の電極(11)と第2の電極(12)との間の放電経路(13)に沿って放電を維持するための第2の電極と、を備え、放電チャンバ(8)内の水銀蒸気圧を調整するためのアマルガム堆積物(18)が、放電経路(13)の外側で第1の端部分(61、61a、61b、61c、61d)に配置されており、アマルガム堆積物(18)の位置が、接合剤(17、17b、17c)によって固定されている、低圧水銀蒸気放電ランプに関する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧水銀蒸気放電ランプ(1、1a、1b、1c、1d)であって、
水銀充填物及び封入ガス、特に希ガスを備えた放電チャンバ(8)を気密様式で密閉する放電容器(6、6a、6b、6c、6d)であって、第1の端部分(61、61a、61b、61c、61d)及び第2の端部分(62)を有する、放電容器(6、6a、6b、6c、6d)と、
前記第1の端部分(61、61a、61b、61c、61d)に配置された第1の電極(11)と、前記第2の端部分(62)に配置された第2の電極(12)であって、前記第1の電極(11)と前記第2の電極(12)との間の放電経路(13)に沿って放電を維持するための第2の電極と、を備える低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、
前記放電チャンバ(8)内の水銀蒸気圧を調整するためのアマルガム堆積物(18)が、前記放電経路(13)の外側で前記第1の端部分(61、61a、61b、61c、61d)に配置されており、前記アマルガム堆積物(18)の位置が、接合剤(17、17b、17c)によって固定されていることを特徴とする、低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項2】
前記第1の電極(11)が、前記放電チャンバ(8)内の前記第1の電極(11)から前記放電容器(6、6a、6b、6c、6d)の外側に延びている少なくとも1本の接触ワイヤ(21)を備え、前記接触ワイヤ(21)が、少なくとも前記放電チャンバ内の部分に誘電体シース(3)を備え、前記接合剤(17)が、前記シース(3)に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ(1、1a、1b、1c、1d)。
【請求項3】
前記シース(3、3a)が、石英ガラス、特に前記放電容器(6、6a、6b、6c、6d)と同じ材料から形成されており、好ましくは前記同じ材料からなる、かつ/又は前記シース(3、3a)が、前記接触ワイヤ(21)を封止密閉していることを特徴とする、請求項2に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ(1、1a、1b、1c、1d)。
【請求項4】
前記シース(3、3a)が、テープの形態で前記放電チャンバ(8)内に延びており、特に、前記テープ形状のシース(3、3a)が、実質的に長方形の断面を有することを特徴とする、請求項2又は3に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ(1、1a、1b、1c、1d)。
【請求項5】
前記接合剤(17)が、前記シース(3)の横表面(31、32)にある、かつ/又は前記第1の電極(11)に面した前記シース(3)の端面(33)が、接合剤を含まないことを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ(1、1a、1b、1c、1d)。
【請求項6】
前記シース(3)が、前記放電容器(6)の前記第1の端部分(61)に固定されており、特に溶着されていることを特徴とする、請求項2~5のいずれか一項に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ(1、1a、1b、1c、1d)。
【請求項7】
前記第1の電極(11)と前記第1の端部分(61)との間に配置された少なくとも1つの熱シールド(4、4b、4c)を特徴とし、前記接合剤(17、17b、17c)が、前記第1の電極(11)に対して前記熱シールド(4、4b、4c)に相対的に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ(1、1a、1b、1c、1d)。
【請求項8】
前記熱シールド(4、4b、4c)が、赤外線を反射するコーティング(70)を備える、請求項7に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項9】
前記熱シールドが、前記シース(3)によって形成されており、かつ/又は前記熱シールド(4、4b、4c)が、誘電材料、特に、透明石英ガラス及び/又は非晶質石英ガラス、好ましくは半導体ドープされた非晶質石英ガラスから形成されている、請求項2~8のいずれか一項に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ(1、1a、1b、1c、1d)。
【請求項10】
前記接合剤(17b)が、前記放電容器(6)の内面(63)に配置されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ(1、1a、1b、1c、1d)。
【請求項11】
低圧水銀蒸気放電ランプ、前記アマルガム堆積物(17、17b、17c)が、電磁入力信号を熱に変換するための電磁受信器(7)を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ(1、1a、1b、1c、1d)。
【請求項12】
前記受信器(7)が、前記接合剤(17、17b、17c)及び/若しくは前記アマルガム堆積物(18)を含むこと、又は前記受信器が、前記アマルガム堆積物(18)とは別個に形成されていることを特徴とする、請求項11に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ(1、1a、1b、1c、1d)。
【請求項13】
前記アマルガム堆積物(18)を少なくとも部分的に取り囲み、赤外線(80)を反射するスリーブ(80)をさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ(1、1a、1b、1c、1d)。
【請求項14】
前記放電容器(6、6a、6b、6c、6d)の前記第1の端部分(61、61a、61b、61c、61d)の内面及び/又は外面に配置され、赤外線を反射する材料の層(90)を備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ(1、1a、1b、1c、1d)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ(1、1a)と、前記電磁受信器(7)を励起するための電磁送信器(107)と、を備えたランプシステム(100)であって、特に、前記送信器が、前記アマルガム堆積物(18)の温度を制御するために、特に誘導的かつ/又は容量的に、前記受信器(7)に加熱電流を送るように、前記電磁送信器(107)と前記電磁受信器(7)が互いに協調する、ランプシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧水銀蒸気放電ランプに関する。低圧水銀蒸気放電ランプは、例えば、飲料水殺菌用又は廃水処理用のシステムに使用される。低圧水銀蒸気放電ランプは、水産養殖の水殺菌にも使用することができる。他の適用分野としては、空調及び冷却システムの表面殺菌又は空気殺菌が挙げられる。低圧水銀蒸気放電ランプは、非常に高いUV出力密度に達し、異なる周囲温度で使用することができる。
【0002】
低圧水銀蒸気放電ランプでは、水銀を使用して紫外(UV)線を生成する。低圧水銀蒸気放電ランプの動作中、その耐用年数及び動作効率は、水銀の蒸気圧によって著しく影響を受ける。水銀蒸気圧は、ランプ内の水銀の温度に大きく依存する。水銀の安全かつ容易な取り扱いを可能にするために、アマルガムが多くの場合で使用される。本出願の文脈では、金属水銀合金と、ヨウ化水銀などの水銀塩との両方をアマルガムと呼ぶことができる。低圧水銀蒸気ランプの効率的な動作に必要とされる最適な水銀蒸気圧は、温度に依存する。最適な蒸気圧が形成される温度は、材料に依存する。特定のアマルガム又は異なるアマルガムの特定の混合物について、水銀低圧水銀蒸気放電ランプの動作のための材料固有の理想温度は、例えば実験的に容易に決定することができる。任意の市販の低圧水銀蒸気放電ランプの材料に依存する理想温度は、設備の設計に関して所定の温度と見なすことができる。ランプシステムの構造設計及び/又は調整は、従前に知られているアマルガムの理想温度に基づいて、当業者によって設計することができる。
【0003】
低圧水銀蒸気放電ランプの効率的な動作のための異なるコンセプトが知られている。
【0004】
独国特許出願公開第102008032608(A1)号は、始動時間を短縮する、アマルガムランプを動作させるための方法を開示している。始動時間は、冷えたアルマンガムランプ又は低圧水銀蒸気放電ランプが起動されるときの理想温度に相当し得る所望の動作温度に達するのに必要とされる時間を示す。独国特許出願公開第102008032608(A1)号に開示されているランプは、赤外線エミッタによって加熱されるアマルガム堆積物をランプ管の内側に備える。石英ランプ管とアマルガム堆積物との間に、貴金属で作られた接着促進層を適用することができる。ランプが点灯される前に、赤外線ランプを使用してアマルガム堆積物が加熱され、その結果、点灯中の放電に既に利用可能である水銀蒸気が放出され、ランプがオンにされたときに高いUV出力密度が既に利用可能となる。低圧水銀蒸気放電ランプの電極間の放電経路にアマルガムを配置する結果として、ランプの動作中のアマルガム堆積物の温度が、高くなり、特に、周囲温度が高い場合又は長期間の動作中の場合に、所望の動作温度を著しく超える場合があり、それにより、ランプの効率が低下する。
【0005】
欧州特許第3267466(B1)号によれば、電極の放熱を使用してランプの動作中にアマルガム堆積物の温度を制御するために、アマルガム堆積物が、電極の近傍であるが、ランプの電極間の放電経路の外側に配置されている、低圧水銀蒸気放電ランプが提供される。アマルガムの過熱、理想温度の超過、又は最悪の場合のシナリオである融解さえも防止するために、欧州特許第3267466(B1)号は、電極コイルとアマルガム堆積物との間に狭窄部を備えたランプ被覆管を設け、この狭窄部を用いて、コイルによって放出される直接的な熱放射からアマルガム堆積物を遮蔽することを提案している。この実施形態の欠点は、電極コイルの温度及び熱放射と、アマルガム堆積物の温度との間の密接な関係にある。特に連続動作中に、アマルガム堆積物が過度に加熱され、最悪の場合には融解さえも起こるため、そのようなランプによる最適な効率を確実にもたらすことができないことが分かっている。一方、特に、例えば水殺菌プラントにおいて周囲温度が低い場合、アマルガム堆積物の理想温度に達するのに十分な熱がしばしばアマルガム堆積物に供給されないことが分かっている。
【0006】
欧州特許第3298620(B1)号は、アマルガム堆積物を備えたアマルガムリザーバを有するガス放電ランプの温度制御を調整するためのデバイスを提案している。アマルガムリザーバは、ランプの軸方向端部に形成されている一方の端部が閉じられたガラス管によって形成されなければならない。さらに、デバイスは、アマルガムリザーバに押し付けることができる熱伝導性材料で作られたスリーブを備えなければならない。代替的に、アマルガムリザーバは、ガス放電ランプの軸方向端部に形成されているポケットによって、又は水銀蒸気を密閉するガラスバルブの内壁の部分的な領域によって形成することができる。アマルガムリザーバを加熱するための電気加熱要素が、アマルガムリザーバの近くでガラス管の外側に配置されなければならない。加熱要素は、変圧器の一部である変圧器コアによって形成されなければならず、その2次巻線が、温度調整電子システムに接続されている。
【0007】
先行技術の欠点を克服し、特に、環境条件に左右されない恒久的に安全かつ効率的なランプ動作を確実にする、低圧水銀蒸気放電ランプ及び/又は低圧水銀蒸気放電ランプを備えたランプシステムの特に改善された代替物を提供することを、本発明の目的とみなすことができる。
【0008】
この目的は、請求項1の主題によって達成される。それゆえに、低圧水銀蒸気放電ランプであって、水銀充填物及び封入ガス、特に希ガスを備えた放電チャンバを気密様式で密閉する放電容器であって、第1の端部分及び第2の端部分を有する放電容器を備える、低圧水銀蒸気放電ランプが提供される。第1の端部分は、第2の端部分とは反対側に配置することができる。放電容器は、概して細長い管状体とすることができる。特に、放電容器は、ガラス、例えばホウケイ酸ガラスや石英ガラスなどの、紫外線に対して少なくとも部分的に半透明である材料から形成することができる。
【0009】
低圧水銀蒸気放電ランプは、第1の端部分に配置された第1の電極と、第2の端部分に配置された第2の電極であって、第1の電極と第2の電極との間の放電経路に沿って放電を維持するための第2の電極と、をさらに備える。一実施形態によれば、第1の電極はアノードとすることができ、第2の電極はカソードとすることができる。代替実施形態によれば、第1の電極はカソードとすることができ、第2の電極はアノードとすることができる。低圧水銀蒸気放電ランプは、特に、放電容器を形成する、石英ガラスで作られた円筒形のエミッタ管を有することができる。放電容器又はエミッタ管は、圧着によって両端部を気密様式で閉鎖することができる。電源用の接触ワイヤを備えた電極が、気密様式で閉鎖されている端部分を通して案内される。放電容器内の水銀は、特にアマルガムとして導入することができる。アマルガム堆積物を備えた低圧水銀蒸気放電ランプは、185nm(UV-A放射)及び/又は254nm(UV-C)の特徴的な線を有する発光スペクトルを有する。
【0010】
本発明によれば、低圧水銀蒸気放電ランプは、放電チャンバ内で放電経路の外側で第1の端部分に配置されている、水銀蒸気圧を調整するためのアマルガム堆積物を備え、アマルガム堆積物の位置は、接合剤によって固定されている。アマルガム堆積物は、金属水銀合金、ヨウ化水銀や臭化水銀などの水銀塩、又はそれらの組み合わせを有することができる。好ましくは、アマルガムは、水銀と、以下の元素のうちの少なくとも1種とを含んでもよい:Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、Ni、Cu、Zn、Ga、As、Rr、Sr、Y、Zr、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Se、Cs、Ba、Hf、Pt、Au、Tl、Pb及び/又はRa。好ましくは、アマルガムは、水銀と、少なくとも1種の貴金属(noble metal)とを含んでもよく、又は水銀と、1種以上の貴金属(precious metal)、特にAu、Pd及び/又はPtからなってもよい。
【0011】
本明細書で定義される放電経路は、電極を越えた放電容器の軸方向端部領域を除いて、第1の電極と第2の電極との間の放電容器の内部の全容積要素を含む。
【0012】
接合剤は、以下の元素又はそれらの合金のうちの少なくとも1種を有してもよく、特に、接合剤は、以下の元素のうちの1つ以上からなってもよい:Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、Ni、Cu、Zn、Ga、As、Rr、Sr、Y、Zr、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Se、Cs、Ba、Hf、Pt、Au、Tl、Pb及び/又はRa。好ましくは、接合剤は、ニッケル、パラジウム、銀、白金及び/又は金を含むことができる、又はそれらからなることができる。使用される接合剤は、特に、周囲大気中で加工、特に融解及び/又は変形できる金属材料であってもよい。特に、エミッタの動作を損なわない金属材料を接合剤として使用することができ、特に、接合剤層は、ガラス容器の石英ガラスを腐食させるリチウム及び/又はナトリウムを含まないものとすることができる。接合剤は、特に有機材料を含まない。接合剤は、好ましくは、金属材料を含むか、又は金属材料からなる。好ましくは、第1の電極は、接合剤から所定の距離をおいて配置することができ、所定の距離は、アマルガム堆積物の温度が、第1の電極の所定の放電電流、特に公称放電電流に影響されないように寸法決めされる。
【0013】
調整電子機器は、放電領域内の水銀蒸気圧が最適な圧力範囲内となるように、アマルガム堆積物の温度を調節するように構成することができる。最適な圧力範囲内では、低圧水銀蒸気放電ランプの光出力が、可能な最大光出力の少なくとも90%に相当する。低圧水銀蒸気放電ランプの可能な最大光出力は、特定のアマルガム、及び低圧水銀蒸気放電ランプの放電容器の幾何学的形状に応じて予め決定される。アマルガム堆積物がその理想温度になると、可能な最大光出力が達成される。調整電子機器は、アマルガム堆積物の温度が最適な温度範囲内となるように、アマルガム堆積物の温度を調整するように構成することができる。最適な温度範囲は、最適な圧力範囲に相当し得る。最適な温度範囲は、例えば、理想温度に対して、±10℃以下、好ましくは±5℃以下、特に好ましくは±2℃以下の偏差を許容することができる。特に、最適な圧力範囲内では、低圧水銀蒸気放電ランプ内の水銀蒸気圧pHgと放電容器の内径Dとの積が、少なくとも0.13Pacm、最大で5Pacm、好ましくは少なくとも1Pacm、最大で4.5Pacm、特に好ましくは少なくとも1.3Pacm、最大で4Pacmとなる。低圧水銀蒸気放電ランプの最適な圧力範囲の決定については、例えば、「Discharge Lamps,Chr.Meyer and H.Nienhuis,Kluwer,1988,70-72,ISBN9020121472」に記載されている。
【0014】
本発明による低圧水銀蒸気放電ランプの一実施形態によれば、第1の電極は、放電チャンバ内の第1の電極から放電容器の外側に延びている少なくとも1本の接触ワイヤを備える。特に、第1の電極は、放電チャンバ内の電極から放電容器の外側に延びている正確に1本又は正確に2本の接触ワイヤを有することができる。電極は、放電チャンバ内で第1の接触ワイヤから第2の接触ワイヤに延びている螺旋状白熱体によって形成することができる。第1の電極には、第1の接触ワイヤ及び/又は第2の接触ワイヤを用いて放電のための放電電流を供給することができる。
【0015】
接触ワイヤは、放電チャンバ内で少なくとも部分的に、特に連続的に、誘電体シースを有する。誘電体シースは、無機材料、特にセラミック材料、ガラス材料又はそれらの組み合わせから形成されてもよい。特に、誘電体シースは、ホウケイ酸ガラスや石英ガラスなどのガラスからなることができる。接合剤は、好ましくは、シースに配置されている。少なくとも1本の接触ワイヤ、特に正確に2本の接触ワイヤをシースによって保持及び/又は支持することが好ましい場合がある。接合剤及びアマルガム堆積物をシースによって支持及び/又は保持することが好ましい場合がある。特に、アマルガム堆積物及び接合剤は、接合剤及びアマルガム堆積物が、少なくとも1本の接触ワイヤによって直接的にも間接的にも支持されず、むしろ、アマルガム堆積物及び接合剤の構造的な取り付けが、シースを用いてのみ達成されるように、少なくとも1本の接触ワイヤに対して接触しない様式でシースに保持されている。少なくとも1本の接触ワイヤの誘電体シースは、電極間の放電経路の外側で放電容器の第1の端部分に配置することができる。好ましくは、シースは、放電経路の完全に外側で低圧水銀蒸気放電ランプの放電チャンバの第1の端部分に位置している。
【0016】
少なくとも1本の接触ワイヤは、第1の電極を備えた接触ワイヤが、好ましくは、シースの外側で第1の電極と接触している、接触領域を備えることができる。接触ワイヤと第1の電極は、例えば、はんだ接続、ねじ接続、プラグ接続、溶接接続などとして接触させることができる。接触ワイヤと電極は、放電のための放電電流を送るために互いに接続することができる。接触ワイヤが、モリブデンやモリブデン合金などの第1の導電性材料から形成されること、又はそれら第1の導電性材料からなることが好ましい場合がある。特に、電極は、タングステンやタングステン合金などの第2の導電性材料から形成することができる、又はそれら第2の導電性材料からなることができる。
【0017】
誘電体シースは、第1の端部分で少なくとも1本の接触ワイヤに連続的に巻き付けてもよい。シースと電極との間には、接触ワイヤがシースなしで放電容器内に延びている移行領域を設けることができる。少なくとも1本の接触ワイヤの誘電体シースは、放電容器の軸方向の第1の端部分から電極まで、接触領域まで、又は電極若しくは接触領域間の移行領域まで、中断せずに連続的に延びていてもよい。特に、接合剤及び/又はアマルガム堆積物は、テープ形状のシースにのみ配置されている。
【0018】
本発明による低圧水銀蒸気放電ランプの発展形態によれば、シースは、接触ワイヤを封止密閉している。特に、シースは、誘電材料を接触ワイヤに押圧することによって形成することができる。接触ワイヤに沿って、周囲空気が放電チャンバ内に浸透できず、かつ/又は水銀流体、水銀蒸気及び/若しくは封入ガスが放電チャンバから低圧水銀蒸気放電ランプの外側の環境に漏出できない方法で、シースが接触ワイヤを封止して取り囲むことが好ましい場合がある。一般に、標準条件は、周囲条件、すなわち、大気圧1013hPa及び周囲温度25℃と仮定することができる。
【0019】
好ましくは、接触ワイヤは、少なくとも1つの封止プレートレットによってシース内に形成することができ、封止プレートレットは、特に軸方向の部分に接触ワイヤを形成する。封止プレートレットは、好ましくは、封止プレートレットの軸方向前方及び/又は後方における接触ワイヤの一定の横幅に対応する、横方向において最小の横幅を有する、楕円形、(角が丸みを帯びた)菱形又は同様の平坦な断面を有することができる。シースを用いた接触ワイヤを含めた封止は、特に封止プレートレットの領域において行うことができる。
【0020】
前述のものと組み合わせられる低圧水銀蒸気放電ランプの発展形態によれば、シースは、放電容器と同じ材料から形成されている。好ましくは、シースは、放電容器と同じ材料からなることができる。シース及び放電容器は、ガラス材料、特に石英ガラスから形成することができる、又はガラス材料、特に石英ガラスからなることができる。シースと放電容器に同じ材料を使用することにより、低圧水銀蒸気放電ランプの生産を、特に一貫した信頼性の高い方法で容易に実現することができる。シース、熱シールド及び/又は放電容器に、接合剤を用いて同じ方法で1つ以上のアマルガム堆積物を配置することができる。
【0021】
低圧水銀蒸気放電ランプの発展形態によれば、シースは、放電チャンバ内にテープ状に延びている。特に、シースは、放電容器の軸方向端部において、テープの形態で放電チャンバ内に連続的に延びていてもよい。特に、テープ形状のシースの幅は、放電容器の内径よりも小さく、特に幅は、内径の50%超、好ましくは75%超、及び/又は95%未満、好ましくは90%未満である。好ましくは、幅は、内径の約85%であってもよい。特に、テープ形状のシースの厚さは、放電容器の内径の半分未満であり、厚さは、内径の10%超、好ましくは20%超、及び/又は40%未満、好ましくは30%未満である。好ましくは、厚さは、内径の約20%であってもよい。特に、テープ形状のシースの高さは、放電容器の直径に実質的に相当し得る。高さは、特に、内径の50%超、好ましくは60%超、及び/又は150%未満、好ましくは125%未満である。好ましくは、高さは、内径の約75%又は約100%であってもよい。
【0022】
好ましい発展形態によれば、テープ形状のシースは、実質的に長方形の断面を有することができる。シースは、特に横側面に、凹凸、例えば、起伏のある凹凸を有することができる。好ましくは、シースは、その横側面に凹部を含まない。低圧水銀蒸気放電ランプの発展形態によれば、接合剤は、シースの横表面に配置されている。代替的又は付加的に、第1の電極に面したシースの端面が、接合剤を含まなくてもよい。第1の電極に面したシースの端面は、アマルガム堆積物を含まなくてもよい。接合剤及び/又はアマルガム堆積物を所定の幅の縦面及び/又は所定の厚さの横面の横表面に配置することにより、低圧水銀蒸気放電ランプの製造中に簡単な手段を使用して、第1の電極の白熱体とアマルガム堆積物との間の正確かつ高度に再現可能な距離を調節することができる。第1の電極に面したシースの端面は、テープ形状のシースの軸方向高さに沿ってテープ形状のシースの断面に対して横方向に拡大された断面を有することができ、かつ/又は熱シールドを備えることができる。そのような実施形態では、電極とアマルガム堆積物との間の軸方向距離の寸法を比較的小さくできるように、第1の電極の白熱体からの熱放射は、シースの横表面のアマルガム堆積物から離れて保たれる。
【0023】
低圧水銀蒸気放電ランプの発展形態によれば、シースは、放電容器の第1の端部分に固定されており、特に溶着されている。バンド形状のシースは、放電容器の第1の端部分及び/又は好ましくはプレート状接続部分と一体的に形成することができる。テープ形状のシースを一体結合された様式で放電容器の第1の端部分に接続することが考えられる。例えば、テープ形状のシースは、溶着、特に摩擦溶着によって第1の端部分に接続することができる。放電容器の第1の端部分は、放電容器の内径及び/又は外径、特に放電経路に沿った円筒管部分のように、より小さな内径及び/又は外径を有する脚部分を有することができる。放電容器の壁厚は、第1の端部分において、かつ放電容器に沿って同じとすることができる。放電容器の第1の端部分は、外側で軸方向に圧着部を含まないように形成することができる。特に、放電容器内のテープ形状のシースは、第1の端部分に圧着部として形成することができる。
【0024】
前述のものと組み合わせられる、本発明による低圧水銀蒸気放電ランプの一実施形態によれば、少なくとも1つの熱シールドが、第1の電極と第1の端部分との間に配置されており、接合剤及び任意選択的にアマルガム堆積物は、第1の電極に対して熱シールドの反対側に配置されている。アマルガム堆積物の温度が第1の電極の放電電流、特に第1の電極の白熱体の温度に影響されないように熱シールドを配置することが好ましい場合がある。熱シールドは、例えば、セラミック材料、ガラス材料、特に石英ガラスなどの無機材料から形成することができる。軸方向で、熱シールドは、好ましくは、少なくとも1mm、特に少なくとも5mm、及び/又は10mm以下、特に2mm以下の厚さを有する。熱シールドの材料は、好ましくは、赤外線を少なくとも部分的に反射する材料とすることができる。特に、熱シールドの材料は、波長スペクトル780nm以上、特に780nm~3000nmの赤外放射を、少なくとも50%、少なくとも75%、又は少なくとも90%反射するように設計することができる。熱シールドは、不透明な非晶質石英ガラスから少なくとも部分的に形成することができる。熱シールドを金属材料、例えばアルミニウムや金から部分的に形成することが考えられる。特に、熱シールドは、少なくとも1本の接触ワイヤに直接隣接する少なくとも1つの部分を除いて、金属材料によって形成することができ、特に金属材料によってコーティングすること、又は金属材料からなることができる。低圧水銀蒸気放電ランプの一実施形態によれば、熱シールドは、テープ形状のシースによって少なくとも部分的に形成することができる。シースによって形成されたそのような熱シールドは、ディスク形状の熱シールドの代わりに又はディスク形状の熱シールドに加えて設けることができる。
【0025】
代替的又は付加的に、電極は、第1の電極に放電電流を供給するための少なくとも1本の接触ワイヤを有することができ、少なくとも1本の接触ワイヤは、ディスク状熱シールドを支持している。
【0026】
熱シールドには、赤外線を反射するコーティングを設けることができる。そのようなコーティングは、金属、合金、耐熱性ポリマー、例えばPTFE、又はセラミック材料、例えばケイ酸塩を含んでもよい。好適な金属の例は、アルミニウム、又は金や銀などの貴金属である。赤外線を反射するコーティングは、第1の電極の白熱体に面した熱シールドの面、及び/又は第1の電極の白熱体から離れる方に面した熱シールドの面に配置することができる。特に、赤外線を反射するコーティングは、波長スペクトル780nm以上、特に780nm~3000nmの赤外放射を、少なくとも50%、少なくとも75%、又は少なくとも90%反射するように設計することができる。一実施形態では、熱シールドは、石英ガラスと、金属、合金又はセラミック材料を含む、赤外線を反射するコーティングと、を備える。赤外線を反射するコーティングが導電性である場合、電極と熱反射コーティングとの間に電気的接触がないように、コーティングを配置することが有利となる場合がある。任意選択的に、電極と熱反射コーティングとの間に電気絶縁手段を配置することができる、及び/又は赤外線を反射するコーティングは、電極との電気的短絡を防止するために凹部を含むことができる。
【0027】
熱シールド自体も、赤外線を反射するそのような材料から形成することができる。
【0028】
熱シールドは、少なくとも部分的に、放電容器の内面に相補的な形状を有するように形成することができる。例えば、熱シールドは、熱シールドが放電容器の内面に接触している、複数の別個の外周部分、例えば、2つの外周部分、3つの外周部分、4つ、5つ以上の外周部分を有することができる。これらの外周部分は、外周接触部分と呼ぶことができる。隣り合う外周接触部分の間に、そのような熱シールドは、熱シールドが放電容器の内周に対して接触していない半径方向凹部を有する。好ましくは、熱シールドは、少なくとも1つ、特に2つ以上の半径方向凹部を備え、これら半径方向凹部を通してアマルガム堆積物の領域と放電経路との間のガス交換が放電容器内で起こり得る。熱シールドと放電容器との間に、アマルガム堆積物からの水銀蒸気を放電経路に到達させ得る少なくとも1つの貫通開口部を形成することができる。
【0029】
熱シールドは、少なくとも1本の接触ワイヤを受け入れるための、特に挿入するための少なくとも1つの楔形状の半径方向凹部を有することができる。放電ランプでは、その第1の電極が2本の接触ワイヤを有し、熱シールドが、第1の接触ワイヤを受けるための少なくとも1つの第1の楔形状の凹部と、第2の接触ワイヤを受けるための第2の楔形状の凹部とを有することが好ましい場合がある。少なくとも1本の接触ワイヤは、熱シールドを支持するための突起を備えることができる。例えば、特に金属であり、好ましくはニッケルで作られた軸受スリーブを接触ワイヤに設けることができる。一実施形態によれば、熱シールドは、少なくとも1本の接触ワイヤに固定様式で保持されている。少なくとも1本の接触ワイヤは、突起などの少なくとも1つの軸方向ストッパを備えた少なくとも1本の接触ワイヤによって、かつ/又は摩擦接続部によって、保持することができ、熱シールドと少なくとも1本の接触ワイヤとの間の接続は、接触ワイヤの少なくとも部分的に傾斜した、楔形状、螺旋状又は他の凹凸のある軸方向延長部によって形成することができる。熱シールドは、第1の電極のうちの1つ、特に第1の電極の白熱体と接触して配置することができる。第1の電極は、熱シールドを不動に保持するためのストッパを形成することができる。
【0030】
低圧水銀蒸気放電ランプの一実施形態によれば、熱シールドは、誘電材料から形成することができる。特に、熱シールドは、透明な石英ガラス及び/又は非晶質石英ガラス、好ましくは半導体ドープされた非晶質石英ガラスから形成することができる。
【0031】
低圧水銀蒸気放電ランプは、熱シールドに加えて又はその代わりに、アマルガム堆積物を少なくとも部分的に取り囲み、赤外線を反射するスリーブをさらに備えることができる。赤外線を反射するスリーブは、アマルガム堆積物を環境から熱的に遮蔽するように構成及び配置することができる。結果として、ランプのより均一な動作及び/又はランプのより速い始動を達成することができる。赤外線を反射するスリーブは、ランプの動作がランプの全体的な温度及び外部環境の温度に影響されないようにすることができる。赤外線を反射するスリーブは、例えば、赤外線を反射する材料から作られた円筒形金属箔又は円筒形スリーブとすることができる。特に、赤外線を反射するスリーブは、波長スペクトル780nm以上、特に780nm~3000nmの赤外放射を、少なくとも50%、少なくとも75%、又は少なくとも90%反射するように設計することができる。
【0032】
赤外線を反射するスリーブは、放電容器の壁上又は壁に、特に放電容器の外壁に配置されている、赤外線を反射する層として設計することができる。代替的又は付加的に、そのような層は、放電容器の内壁にも配置することができる。赤外線を反射するスリーブは、放電容器の第1の端部分、特に放電経路の外側にある放電容器の第1の端部分の領域を少なくとも部分的に取り囲むことができる。赤外線を反射するスリーブは、放電容器の外壁に適用された層を備えることができる。そのような層は、例えば、蒸着によって生成することができる。赤外線を反射するスリーブは、放電容器の外壁に配置された層を備えることができる。そのような層は、例えば、箔、特に金属箔を含むことができる。この層は、例えば、赤外線を反射するコーティングについて本明細書に記載される材料を含むことができる。
【0033】
前述のものと組み合わせられる、低圧水銀蒸気放電ランプの代替実施形態によれば、接合剤は、放電容器の内面に少なくとも部分的に配置することができる。任意選択的に、接合剤は、放電容器の内面にのみ配置することができる。接合剤は、放電容器の内側で、円周方向に少なくとも部分的に、特に円周方向全体に、又は部分的にのみ延びている。
【0034】
低圧水銀蒸気放電ランプの発展形態によれば、アマルガム堆積物は、電磁入力信号を熱に変換するための電磁受信器を備える。電磁受信器は、環状、特にコイル形状、又はグリッド状とすることができる。低圧水銀蒸気放電ランプの発展形態によれば、電磁受信器は、接合剤及び/又はアマルガム堆積物を含むか、又はそれから形成されている。代替的に、受信器は、アマルガム堆積物とは別個に、かつ/又は接合剤とは別個に形成することができる。
【0035】
本発明は、低圧水銀蒸気放電ランプ及び電磁受信器を励起するための電磁送信器を備えたランプシステムであってもよい。特に、ランプシステムの場合、電磁送信器及び電磁受信器は、送信器が、アマルガム堆積物の温度を制御するために、特に誘導的かつ/又は容量的に、受信器に加熱電流を送るように、互いに協調することができる。ランプシステムは、少なくとも1つの温度センサを有することができる。温度センサは、特に、ランプの温度、特に、放電容器、アマルガム堆積物、封入ガス及び/又は水銀蒸気の温度を検出するためのランプ温度センサを備えることができる。代替的又は付加的に、ランプシステムは、放電容器の近くの、又は放電容器と接触している、水又は周囲空気などの媒体の周囲温度を検出するための周囲温度センサとして実現される、温度センサを備えることができる。放電容器によって気密様式で封入された放電チャンバの外側に媒体が位置することは明らかである。
【0036】
発展形態によれば、ランプシステムは、特に、少なくとも1つの温度センサによって検出された温度を考慮する、アマルガム堆積物の温度を調節するための調整電子機器を備える。ランプシステムは、放電電流を提供するために、第1の電極の少なくとも1本の接触ワイヤのための接続接点又は接触受口を備えたランプホルダをさらに備えることができる。ランプホルダは、電磁送信器、調整電子機器及び/又は少なくとも1つの温度センサを備えることができる。例えば、ランプホルダは、接続接点が通って延びている、又は少なくとも1本の接触ワイヤのための接触受口を備える、ハウジングを備えることができ、電磁送信器、調整電子機器及び/又は少なくとも1つの温度センサが、ハウジング内に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の好ましい実施形態を特許請求の範囲において特定する。本発明の特定の実施形態及び態様について、添付の図面を参照して後述する。
図1】本発明の第1の実施形態による、低圧水銀蒸気放電ランプを備えた本発明のランプシステムを示す。
図2】第2の実施形態による低圧水銀蒸気放電ランプを示す。
図3a図2による低圧水銀ランプの詳細図を示す。
図3b図3aによる詳細の側面図を示す。
図3c図3aによる詳細の斜視図を示す。
図4】第3の実施形態による低圧水銀蒸気放電ランプの第1の端部分を示す。
図5】第4の実施形態による低圧水銀蒸気放電ランプを示す。
図6】第5の実施形態による低圧水銀蒸気放電ランプを示す。
図7】本発明による低圧水銀蒸気放電ランプの放電経路の領域を示す。
図8】第6の実施形態による低圧水銀蒸気放電ランプを示す。
図9】第7の実施形態による低圧水銀蒸気放電ランプを示す。
図10】第8の実施形態による低圧水銀蒸気放電ランプを示す。
【0038】
図に基づく特定の実施形態の以下の説明では、より高い可読性のために、同じ又は同様の構成要素に同じ又は同様の参照符号を付している。
【0039】
図1は、本発明による低圧水銀蒸気放電ランプ1を備えた様式化されたランプシステム100を示す。低圧水銀蒸気放電ランプ1は、放電チャンバ8を気密様式で密閉する、第1の端部分61及び第2の端部分62を備えた放電容器6を必須の構成要素として備える。低圧水銀蒸気放電ランプの動作中、放電チャンバ8は、封入ガス及び水銀蒸気を収容する。
【0040】
低圧水銀蒸気放電ランプ1は、第1の端部分61に配置された第1の電極11と、第2の端部分62に配置された第2の電極12であって、放電経路13に沿って放電を維持するための第2の電極とをさらに備える。第1の電極11と第2の電極12との間の放電経路13の外側には、放電チャンバ8内の水銀蒸気圧を調整するためのアマルガム堆積物18が、接合剤17を用いて配置されている。アマルガム堆積物18の位置は、接合剤17の位置、形状及びサイズによって規定される。
【0041】
図1は、低圧水銀蒸気放電ランプ1の軸方向A及び第1の横方向(縦方向)又は半径方向Xに延びる平面を通って低圧水銀蒸気放電ランプ1が内部に設けられたランプシステム100を通る概略断面を示している。低圧水銀蒸気放電ランプ1は、実質的に軸方向の延長部を有することができ、放電容器6は、特に、半径方向X、Yに放電経路13を取り囲む領域において、円形断面を有し、かつ/又は円筒管の形態で設計することができる。放電容器6の第1の端部分61及び第2の端部分62が、放電経路13の領域において軸方向Aに、円筒管の形態の放電容器6を封止することは明らかである。この点で、端部分61、62は、特にそれらの軸方向端部において、円筒管形状から逸脱する形状を必然的に有する。
【0042】
第2の端部分62は、型打ち又は圧着プロセスによって生成することが好ましい場合があり、この目的のために、例えば石英ガラスから形成され、放電容器6を形成する円筒管が加熱され、軟化した状態で、特に第2の半径方向(横方向)Yで、放電容器6を閉鎖するために封止様式で形成される。特に、図5及び図6に関して後述するランプ1b及び1cを参照すると、ランプ1b及び1cの第1の端部分61b又は61cも、そのような方法で成形することができる。
【0043】
放電容器6の端部分61、62は、特に、第1の電極11と第2の電極12との間の放電経路13が実質的に軸方向Aに延びるように、エミッタの両側にある軸方向脚部に配置することができる。他のランプ形状、例えばオメガ形状、円形、螺旋形などが考えられる。
【0044】
電極11、12の間に延びている放電経路13の外側に位置するアマルガム堆積物18が、放電チャンバ8内で低圧水銀蒸気放電ランプ1の第1の端部分61に配置されている。放電経路13の外側にアマルガム堆積物18を配置しているため、ランプ1の動作中に、電極11、12の間の放電経路13に沿ったアークの温度に影響されずに、温度18を調節することができる。アマルガム堆積物18の温度を調節するために、コントローラ及び/又は調整器を設けることができる。図1に示す好ましい実施形態では、アマルガム18の温度を調整するための調整電子機器103が設けられており、これについては以下で詳細に論じる。
【0045】
放電チャンバ8内のアマルガム18の配置を固定するために、放電経路13の外側で第1の端部分61に接合剤17が設けられている。好ましくは10μm未満の薄層の金属、特にアマルガム形成物、例えば金を放電容器6の内部の内面に接合剤17として取り付けることができる。接合剤17は、アマルガム18の融点未満の低温で放電容器6内にアマルガム18が集まる位置を規定するのに役立つ。
【0046】
接合剤17は、一方では、石英ガラスなどの放電容器6の材料との安定した接続がもたらされ、他方では、放電容器内でアマルガム堆積物との接続がもたらされるように選択される。接合剤17は、接合剤17の領域において局所的に放電チャンバ8内の最低水銀蒸気圧をもたらす材料を含むか、又は同材料からなってもよく、それにより、低圧水銀蒸気放電ランプの放電チャンバ8内の水銀蒸気が、接合剤17上で凝縮し、かつ/又は完全に若しくは少なくとも殆ど再昇華する。
【0047】
ランプシステム100は、アマルガム堆積物18の温度を制御するためのデバイスを有することができ、このデバイスは、例として図1に示す例では、アマルガム堆積物18の温度を制御するための加熱電流でアマルガム18を加熱するために電磁受信器7を誘導する、電磁送信器107の形態の加熱デバイスによって実現される。
【0048】
温度を調整するために、ランプシステム1は、少なくとも1つの温度センサ105、106を備えることができる。調整電子機器103は、アマルガム温度を可能な限り一定に、特にアマルガム18の所定の理想温度付近に保つために、温度制御デバイス、例えば誘導ヒータ109を制御するように構成することができる。調整電子機器103は、アマルガム18の温度を、その特定の所定の理想温度に対して、±10℃の範囲内、特に±5℃の範囲内、好ましくは±2℃又は±1℃の範囲内に保つように構成することができる。
【0049】
例えば、ランプ上又はランプ内の温度を検出するための、特にアマルガム18の温度を検出するためのランプ温度センサ106として、温度センサを設けることができる。アマルガムの水銀蒸気圧は、上述したように、アマルガム温度に大きく依存する。ランプシステム100の動作中にアマルガム18の温度を検出するためのランプ温度センサ106の使用により、ランプ温度センサ106によって検出されたアマルガム堆積物18の温度を操作変数として使用したアマルガム18の温度の調整が可能になる。
【0050】
代替的又は付加的に、ランプ1の周囲温度を検出するための周囲温度105、例えば、水道水などの媒体mの温度を検出することができる。アマルガム18の温度を調整するために、調整電子機器103は、アマルガム温度の代わりに又はそれに加えて、周囲温度センサ105によって検出された周囲温度を考慮することができる。
【0051】
調整電子機器103は、周囲温度センサ105によって検出された温度が、所定の時間内に、又は時間的に離散した測定では、測定値を記録した直後の所定の回数内に、所定の最大閾値を超える場合、若しくは所定の最小閾値を下回る場合に、周囲温度の著しい変化を考慮するように特に設計することができる。周囲温度が著しく変化する場合、調整電子機器103は、アマルガム温度を可能な限り一定に、特にアマルガム18の所定の理想温度付近に保つために、温度制御デバイス、例えば誘導ヒータ109の対応する制御をもたらすことができる。
【0052】
ランプシステムは、第1の電極11の接触ワイヤ21に放電電流を提供するための接続接点又は接触受口121が設けられている第1のホルダ101を備えることができる。ランプシステム100は、第2の電極12に放電電流を提供するための、第2の電極12の接触ワイヤ22のための接点又は接触受口122を備える第2のホルダ102を有することができる。
【0053】
一実施形態によれば、低圧水銀蒸気放電ランプ1は、アマルガム堆積物17を加熱するために電磁入力信号を熱に変換するための電磁受信器7を有することができる。図1に示す実施形態では、受信器7は、接合剤17及び接合剤17上に設けられたアマルガム堆積物18から形成されている。受信器7は、例えば環状とすることができる。加熱電流を電磁受信器7に誘導的及び/又は容量的に送るための電磁送信器107は、放電容器6の外側に配置されている。
【0054】
電磁送信器107は、特に受信器7の共振周波数に対応する、受信器7に電磁場又は信号を提供するように構成することができる。送信器107は、受信器7に構造的に適合させることができる。調整デバイス103によって行われる較正プロセスを用いて、低圧水銀蒸気放電ランプ1の受信器7に、特にその共振周波数に送信器107を適合させることが考えられる。
【0055】
接触受口121に加えて、調整電子機器103、周囲温度センサ105、ランプ温度センサ106及び/又は温度制御デバイス、特に電磁送信器109も、ホルダ101のハウジング(存在する場合)に収容することができる。
【0056】
アマルガム堆積物18を第1の電極11による熱放射から遮蔽する任意選択的な熱シールド4が、アマルガム堆積物18と第1の電極11との間で低圧水銀蒸気放電ランプ1の放電チャンバ8内に設けられている。低圧水銀蒸気放電ランプ1では、第1の電極11の白熱体とアマルガム堆積物8との間の軸方向Aの距離sを、公称電力による水銀放電ランプ1の動作中に、アマルガム堆積物18の温度が、第1の電極11の白熱体の温度に影響されないように、寸法決めすることができる。
【0057】
図2は、図1に示す低圧水銀蒸気放電ランプとは本質的に熱シールド4のみが異なる、本発明による低圧水銀蒸気放電ランプ1aの別の実施形態を示す。熱シールド4の使用により、特にコンパクトな設計が可能になる。比較すると、それ以外のパラメータはそのままで、図2に示すランプ1aにおける第1の電極11とアマルガム堆積物18との間の距離sは、低圧水銀蒸気放電ランプ1aが公称電力で動作しているときに、アマルガム堆積物18の温度が、第1の電極11の白熱体の温度及び関連する熱放射に影響されないように、上述したランプ1と比べて大きい。
【0058】
図3aは、図2の交線III-IIIによる低圧水銀蒸気放電ランプ1の詳細断面を示す。図3bは、図3a及び図2によるエミッタ1aの第1の端部分61の平面図を示す。図3cは、図3a及び図3bによるエミッタの第1の端部分61aの斜視図を示す。
【0059】
図3aに見ることができるように、低圧水銀蒸気放電ランプ1Aの第1の端部分61aにおける第1の電極11の軸方向Aの接触ワイヤ21は、誘電体シース3によって連続的かつ完全に取り囲まれた部分にある。誘電体シース3は、例えば、セラミック材料又はガラス材料、好ましくは石英ガラスから形成することができる。特に、シース3は、放電容器6aと同じ材料から形成することができる。アマルガム堆積物18が上に配置された接合剤17は、シース3の横面に適用されている。
【0060】
低圧水銀蒸気放電ランプの内面への接合剤17の固定は、例えば、短時間の加熱による接合剤17の材料の融解によって、かつ/又は低圧水銀蒸気放電ランプの内面の燃焼によって、達成することができる。アマルガム堆積物18は、短時間の加熱によりアマルガム堆積物を融解することによって、接合剤17に固定することができる。接合剤17は、好ましくは、アマルガム堆積物18よりも著しく高い融点を有する。例えば、アマルガム堆積物18の融点は、200℃未満、特に100℃未満とすることができる。接合剤17の融点は、例えば、少なくとも400℃、特に少なくとも600℃以上とすることができる。
【0061】
図3cに見ることができるように、シース3は、接触ワイヤ21に沿って軸方向Aにテープ状に連続的に延びていてもよい。第1の横方向X(縦方向)と第2の横方向Y(横方向)は、交差し、特に互いに垂直であってもよく、軸方向Aにおいて交差し、特に垂直であってもよい。シース3は、軸方向Aに実質的に長方形の断面を有することができる。第1の横方向Xで、シース3は、放電経路13の領域における放電容器6の内径Dよりも小さな幅bを有する。シース3の第2の横方向Yの厚さdは、放電経路13の領域における放電容器6aの内径Dよりも小さい。シース3の厚さdは、シース3の幅bよりも小さい。
【0062】
シース3は、第1の電極11の1本の又は複数の接触ワイヤ21に対して圧着、型打ち、又は押圧された誘電材料、特にガラス材料、好ましくは石英ガラスによって形成することができる。第1の電極11の接触ワイヤ21に対するシース3の圧着又は型打ちは、上述した圧着プロセスに従って行うことができる。シース3は、接続部分64から軸方向Aにランプ1の放電チャンバ8内に突出している。ランプ1の端部60は、軸方向Aにおいて最外位置を形成しており、そこでは、例えば、エミッタの円筒状被覆管66が、特に圧着なしで接続部分64と組み合わされる。接触ワイヤ21のシース3は、アマルガム堆積物18からランプホルダ(図示せず)への望ましくない伝導性熱伝達を避けるために、端部60から軸方向Aに距離をおいてランプ1の内側に配置されている。温度制御されたアマルガム堆積物18からランプホルダへのランプ1の端部60を通った望ましくない伝導性熱伝達も、アマルガム堆積物60がランプの端部60の凹部に設けられる代わりに、放電チャンバ8内に接合剤17によって保持されることによって防止される。
【0063】
電極11の接触ワイヤ21は、円形で薄い断面の平坦部分として区分けして形成することができ、シース3の誘電材料と接触ワイヤ21の導電性材料との間に強い封止効果をもたらすために、接触ワイヤ21を平坦な封止プレートレット43としてシース3の領域内に最初に形成することが好ましい場合がある。接触ワイヤ21は、特にモリブデンから形成することができる。
【0064】
シース3の幅bは、内径Dよりもわずかに小さい。特に、シース3の幅bは、内径Dの75%~90%とすることができる。シース3の厚さDは、好ましくは、内径Dの半分未満、好ましくは直径Dの20%~30%とすることができる。
【0065】
テープ状のシース3は、第1の電極11の少なくとも1本の接触ワイヤ21の全周にわたって高さhに沿って連続的に軸方向Aに延びている。高さhは、シース3の厚さdよりも大きくすることができ、かつ/又は幅bよりも小さくすることができる。高さhは、放電容器の内径Dに相当してもよい、又は放電容器6aの内径Dよりも小さくてもよい。高さは、放電容器6aの内径Dの少なくとも50%及び/又は最大で150%に相当し得る。好ましくは、高さは、内径の少なくとも66%及び/又は最大で100%に相当してもよい。一実施形態によれば、高さhは、内径Dの約75%に相当してもよい。
【0066】
接合剤17及びアマルガム堆積物18は、シース3の少なくとも1つの横表面(縦面)31又は(横面)32に配置されている。アマルガム堆積物18は、第1の横方向X又は第2の横方向Yで放電容器6の外に面した横側面31又は32に配置されている。電極11に面したシース3の端面33は、接合剤17を含まず、アマルガム18を含まない。
【0067】
図3a、図3b及び図3cに示す実施形態では、アマルガム堆積物18を備えた接合剤17は、第1の横方向Xに延びているシース3の広い横表面31に設けられている。アマルガム堆積物18を備えた接合剤17をシース3の横表面31及び32のうちの一方にのみ配置することが考えられる。代替的に、接合剤及び任意選択的にアマルガム18は、シース3の2つ又は3つ、特に全ての横表面31、32に配置することができる。
【0068】
アマルガム堆積物18と電極11の白熱体との間の距離sは、低圧水銀蒸気放電ランプ1aが公称電力で動作しているときに、アマルガム堆積物18の温度が第1の電極11の放電電流に影響されないように寸法決めされる。
【0069】
シース3は、軸方向Aにおいて第1の電極11から離れる方に面したシース3の脚部で、ランプ18の第1の端部分61aにある放電容器6aの円筒ジャケット66にプレート状接続部分64を介して接続することができる。接続部分64は、軸方向Aにおいてランプ1aの第1の端部分61aにおける放電チャンバ8の封止閉鎖体を形成するように設計することができる。例えば、接続部分64は、被覆管6aと一体的に形成することができる。接続部分64とジャケット66との接続点は、エミッタ1aの第1の端部60を形成している。
【0070】
図4は、図2図3cによる前述した実施形態に本質的に対応する、低圧水銀蒸気放電ランプ1dの代替実施形態の第1の端部分61dを示す。図3a~図3cによる実施形態とは対照的に、放電容器6dは、シース3を横方向X、Yに取り囲む軸方向脚部分67よりも大きな内径Dを有する、第1の電極11と第2の電極との間の放電経路13の領域に形成されている。
【0071】
第1の端部分61dでは、放電容器6dは、第1の電極11及び放電経路13を取り囲む円筒管部分66の領域における放電容器6dの内径Dよりも小さな低減された内径Dを有するテーパ状脚部分67を有する。
【0072】
テーパ状脚部分67におけるアマルガム堆積物18の配置は、アマルガム堆積物18の領域における放電チャンバ8内の水銀蒸気圧に対する安定化効果を有することができる。脚部分67と円筒管部分66との間に移行部分68を設けることができ、放電容器6の内径は、好ましくは移行部分68に沿って連続的に変化する。低圧水銀蒸気放電ランプ1dでは、電極11の白熱体とアマルガム堆積物18との間の軸方向距離sを、前述した実施形態1aの低圧水銀蒸気放電ランプよりも小さくすることができる。
【0073】
円筒管部分66、脚部分67及び/又は移行部分68では、放電容器6dの壁厚wを等しいサイズにすることができる。低圧水銀蒸気放電ランプの場合、放電容器の壁厚wが一定して同じサイズであることが好ましい場合がある。例えば、放電容器6d(並びに6又は6a)の壁厚wは、シース3と電極11との間の接続部分64における円筒管部分66の壁厚wに相当し得る。
【0074】
図5及び図6に示す低圧水銀蒸気放電ランプ1b及び1cは、実質的に、放電容器の第1の軸方向端部の形状及びアマルガム堆積物18を備えた接合剤17b、17cの配置のみが、上述した低圧水銀蒸気放電ランプ1とは異なる。本発明による低圧水銀蒸気放電ランプが、放電経路13の外側のいくつかの位置にある対応する接合剤箇所にいくつかのアマルガム堆積物18を有することができることは明らかである。例えば、低圧水銀蒸気放電ランプ1は、図1に示すアマルガム堆積物18に加えて、図5及び/又は図6による配置に対応する少なくとも1つの別のアマルガム堆積物を有することができる。第1の端部60では、アマルガムが接合剤17b、17cによって放電チャンバ18内に有利に固定されるので、ランプの安定性を損なう凹部などをアマルガムのために設ける必要がない。このようにして、温度制御されたアマルガム堆積物18からランプ1b、1cの軸方向端部60及び端部60を取り囲むランプホルダ(より詳細には図示せず)の方向への望ましくない伝導性熱伝達も、防止される。
【0075】
図5は、アマルガム堆積物18が放電容器6bの内面63に接合剤17bによって配置されている、本発明による低圧水銀蒸気放電ランプ1bの代替実施形態を示す。任意選択的に、第1の電極11とアマルガム堆積物18との間に熱シールド4bを配置することができる。軸方向距離sは、アマルガム堆積物18の温度が第1の電極11の放電電流に影響されないように、アマルガム堆積物18と第1の電極11の白熱体との間で寸法決めされる。アマルガム堆積物18は、放電領域13から離れる方に面する放電容器6bの半径方向内面63に接合剤17bによって配置されている。
【0076】
低圧水銀蒸気放電ランプ1bの第1の端部分61bは、放電容器6bの円筒管を、互いに対向して位置する電極11及び12のそれぞれの接触ワイヤ21、22に押圧することによって、第2の端部分62に対応して形成することができる。よって、低圧水銀蒸気放電ランプ1b(又は1c)の第1の端部60は、完全に放電チャンバ60の外側に延びている、放電容器6b(又は6c)の第1の端部分61b(又は61c)における押圧された端部60として形成することができる。
【0077】
図6は、本発明による低圧水銀蒸気放電ランプ1cのさらなる代替実施形態を示す。アマルガム堆積物18と電極11の白熱体との間の距離sは、非常に小さい。それにもかかわらず、アマルガム堆積物18の温度は、第1の電極11の放電電流に影響されない。電極11とアマルガム堆積物18との間には、熱シールド4cが配置されている。アマルガム堆積物18は、電極11、よって、放電容器6c又はその放電領域13から離れる方に面した、熱シールド4cの後側に配置されている。
【0078】
熱シールド4c(又は4又は4b)は、好ましくは、赤外放射から少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、好ましくは少なくとも99.9%の範囲で形成されている。例えば、熱シールド4cは、セラミック材料又は石英ガラス、特に半導体ドープされた非晶質石英ガラスなどの非晶質石英ガラスから形成されている。熱シールド4cが、(赤外スペクトルに対する)反射性が高い材料でコーティングされている、電極11に面した表面を有することが考えられる。
【0079】
接合剤17c及びアマルガム18は、電極11から離れる方に面した、熱シールド4cの後面に取り付けられている。熱シールド4cを少なくとも軸方向Aで固定するために、軸方向ストッパ21が接触ワイヤ21に固定されている。熱シールド4cは、放電容器6cの内面63と接触している2つの外周接触部分41を有する。外周接触部分41は、ほぼ円形の反射表面を形成している。外周接触部分41の間の円周方向では、熱シールド4cは、接触ワイヤ21が内部に案内される2つの半径方向凹部43を有し、それぞれが、放電経路13とアマルガム堆積物18との間で水銀蒸気を交換できるように、放電経路13と端部分61cとの間にガス透過性開口部を提供する。
【0080】
放電容器6cは、端部分61c及び61b及び62が互いに等しくなるように、図5に関して前述した放電容器6bと同様に形成することができる。
【0081】
図7は、本明細書で定義される放電経路13が、基本的に、電極11、12を越えた放電容器6、6a、6dの軸方向端部領域を除いて、第1の電極11の白熱体及び第2の電極12の白熱体を含む、それらの間の領域に、放電容器6、6a、6dの内部の全容積要素を含むことを明らかにする。本発明によれば、アマルガム堆積物18の位置は、ドットで表されているこの放電経路13の外側に位置している。
【0082】
図8は、第1の電極21の白熱体とアマルガム18との間にディスク状熱シールド4が配置されている、本発明による低圧水銀蒸気放電ランプの実施形態を示す。アマルガム18は、接合剤17を用いて放電容器の内側に保持されている。熱シールド4は、凹部43を有する。ディスク状熱シールド4は、円周方向に2つの半径方向凹部43を有する。熱シールド4は、第1の電極21の白熱体からアマルガム堆積物18を熱的に遮蔽するように構成されている。
【0083】
図9は、第1の電極21の白熱体とアマルガム18との間にディスク状熱シールド4が同様に配置されている、本発明による低圧水銀蒸気放電ランプのさらなる実施形態を示す。加えて、アマルガム堆積物18を第1の電極21の白熱体から熱的に遮蔽するために、アマルガム堆積物18をシェル状様式でいくつかの側面から取り囲むように、赤外線を反射する材料から作られたスリーブ80が、放電容器の内側に配置されている。熱シールド4は、この例ではアルミニウムである、赤外線を反射する材料から作られたコーティング70を支持する。この例では、コーティング70は、第1の電極21の白熱体に面した、熱シールド4の面に配置されている。しかし、代替的に、コーティング70を熱シールド4の反対面又は両面に取り付けることも可能である。赤外線を反射するコーティング70を備えたディスク状熱シールド4を、スリーブ80の代わりに又はスリーブ80に加えて設けることができる。
【0084】
図10は、アマルガム堆積物18を熱的に遮蔽するために、赤外線を反射する材料から作られた層90が放電容器の外側に配置されている、本発明による低圧水銀蒸気放電ランプのさらなる実施形態を示す。そのような層90は、例えば、アルミニウム、又は金や銀などの貴金属を含むことができる。
【0085】
参照符号
1、1a、1b、1c、1d 低圧水銀蒸気放電ランプ
3、3d シース
4、4b、4c 熱シールド
6、6a、6d 放電容器
7 受信器
8 放電チャンバ
11 第1の電極
12 第2の電極
13 放電経路
17、17b 接合剤
18 アマルガム堆積物
21、22 接触ワイヤ
23 軸方向ストッパ
25 封止プレートレット
27 移行領域
41 外周接触部分
43 凹部
60 第1の端部
61、61a、61d 第1の端部分
62 第2の端部分
63 内面
64 接続部分
66 円筒管部分
67 脚部分
68 移行部分
70 熱シールドのコーティング
80 スリーブ
90 層
100 ランプシステム
101、102 ホルダ
103 調整電子機器
105 周囲温度センサ
106 ランプ温度センサ
107 送信器
121、122 接触受口
b 幅
d 厚さ
h 高さ
m 周囲媒体
s、s、s、s、s 距離
w 壁厚
A 軸方向
D、D 内径
X 第1の半径方向
Y 第2の半径方向

図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】