(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】EMI周波数キビアット管によるユーティリティ電力システムにおける偽造コンポーネントの高感度な検出および識別
(51)【国際特許分類】
G06F 21/44 20130101AFI20230405BHJP
【FI】
G06F21/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549687
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(85)【翻訳文提出日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 US2021014106
(87)【国際公開番号】W WO2021173258
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェザービー,エドワード・アール
(72)【発明者】
【氏名】ヂョン,ルイ
(72)【発明者】
【氏名】グロス,ケニー・シィ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,グアン・シィ
(57)【要約】
ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータスを検出するステップは、電力テストシーケンスを受けている間に基準ユーティリティデバイスの負荷動特性または他の情報内容を最もよく反映する周波数のセットを選択するステップと、同じ電力テストシーケンスを受けている間にターゲットユーティリティデバイスによって放射されるターゲット電磁干渉(electromagnetic interference:EMI)信号を取得するステップと、ターゲットキビアット管EMIフィンガープリントを形成するために、電力テストシーケンスにわたる観察での周波数の各セットごとにターゲットEMI信号の振幅からターゲットキビアットプロットのシーケンスを作成するステップと、ターゲットユーティリティデバイスと基準ユーティリティデバイスとが同じタイプであるかどうかを判断するために、電力テストシーケンスを受ける基準ユーティリティデバイスについてターゲットキビアット管EMIフィンガープリントを基準キビアット管EMIフィンガープリントと比較するステップと、比較の結果に少なくとも部分的に基づいて偽造ステータスを示すための信号を生成するステップとによって、行なわれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータスを検出するための方法であって、
電力テストシーケンスを受けている間に基準ユーティリティデバイスの負荷動特性を反映する周波数のセットを選択するステップと、
前記電力テストシーケンスを受けている間に前記ターゲットユーティリティデバイスによって放射されるターゲット電磁干渉(electromagnetic interference:EMI)信号を取得するステップと、
ターゲットキビアット管EMIフィンガープリントを形成するために、前記電力テストシーケンスにわたる観察での前記周波数の各セットごとに前記ターゲットEMI信号の振幅からターゲットキビアットプロットのシーケンスを作成するステップと、
前記ターゲットユーティリティデバイスと前記基準ユーティリティデバイスとが同じタイプであるかどうかを判断するために、前記電力テストシーケンスを受ける前記基準ユーティリティデバイスについて前記ターゲットキビアット管EMIフィンガープリントを基準キビアット管EMIフィンガープリントと比較するステップと、
比較の結果に少なくとも部分的に基づいて偽造ステータスを示すための信号を生成するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記作成するステップは、前記基準キビアット管EMIフィンガープリント上でトレーニングされる状態推定モデルによって前記周波数の各セットごとに前記振幅の推定値を生成するステップをさらに含み、前記ターゲットキビアットプロットは前記推定値のキビアットプロットである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記比較するステップは、各ターゲットキビアットプロットの各軸を、前記基準キビアット管EMIフィンガープリントにおける同じ観察での対応する基準キビアットプロットの軸上にプロットされた値を通る単位円に正規化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記比較するステップはさらに、前記基準キビアット管EMIフィンガープリントにおける同じ観察での対応する基準キビアットプロットを単位円として表わすように正規化された軸上のターゲットキビアットプロットと前記単位円との間の環状残差から誤差メトリックを生成するステップを含み、前記誤差メトリックは、全ての観察にわたる前記単位円と前記ターゲットキビアットプロットとの間の環状残差の累積面積である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記比較するステップはさらに、前記基準キビアット管EMIフィンガープリントにおける同じ観察でのターゲットキビアットプロットと基準キビアットプロットとの間の環状残差から誤差メトリックを生成するステップを含み、前記誤差メトリックは、全ての観察にわたる前記基準キビアットプロットと前記ターゲットキビアットプロットとの間の環状残差の累積面積である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基準ユーティリティデバイスは特定のタイプの本物のユーティリティデバイスであり、前記方法はさらに、前記ターゲットユーティリティデバイスと前記基準ユーティリティデバイスとが同じタイプであるという判断(i)に応答して、前記ターゲットユーティリティデバイスが本物であると確認されることを示すための信号を生成し、同じタイプではないという判断(ii)に応答して、前記ターゲットユーティリティデバイスが疑わしい偽造品であることを示すための信号を生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ターゲットユーティリティデバイスが疑わしい偽造品であるという前記信号に応答して、前記ターゲットキビアットEMIフィンガープリントを偽造分析システムに送信するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ターゲットデバイスに関するサプライチェーン情報を前記偽造分析システムに送信するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ターゲットユーティリティデバイスが疑わしい偽造品であるという前記信号に応答して、偽造分析システムから疑わしい偽造品構成に関する追加情報を受信するステップをさらに含み、前記追加情報は、
(i)前記疑わしい偽造品が既知のタイプの偽造品であることの確認、
(ii)前記疑わしい偽造品構成を備えたユーティリティデバイスがどれほど広まっているかを記述する普及情報、
(iii)前記疑わしい偽造品構成を備えたユーティリティデバイスの出所を記述するソース情報、
(iv)ターゲットデバイスがどのようにサプライチェーンに入り得たかを記述するサプライチェーン情報、
のうちの1つ以上を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記基準ユーティリティデバイスは、特定のタイプの既知の偽造ユーティリティデバイスであり、さらに、前記ターゲットユーティリティデバイスおよび前記基準ユーティリティデバイスが同じタイプであるという判断(i)に応答して、前記ターゲットユーティリティデバイスが特定のタイプの偽造デバイスであることが確認されることを示すための信号を生成し、同じタイプではないという判断(ii)に応答して、前記ターゲットユーティリティデバイスが前記特定のタイプの偽造デバイスではないことを示すための信号を生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ライブラリデータベースから前記基準ユーティリティデバイスについての前記基準キビアット管EMIフィンガープリントを取出すステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
グラフィカルユーザインターフェイスで、前記信号に少なくとも部分的に基づいて情報を表示するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
コンピュータ実行可能命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ実行可能命令は、コンピュータの少なくともプロセッサによって実行されると、前記コンピュータに、
電力テストシーケンスを受けている間に基準ユーティリティデバイスの負荷動特性を反映する周波数のセットを選択させ、
前記電力テストシーケンスを受けている間に前記ターゲットユーティリティデバイスによって放射されるターゲット電磁干渉(EMI)信号を取得させ、
ターゲットキビアット管EMIフィンガープリントを形成するために、前記電力テストシーケンスにわたる観察での前記周波数の各セットごとに前記ターゲットEMI信号の振幅からターゲットキビアットプロットのシーケンスを作成させ、
前記ターゲットユーティリティデバイスと前記基準ユーティリティデバイスとが同じタイプであるかどうかを判断するために、前記電力テストシーケンスを受ける前記基準ユーティリティデバイスについて前記ターゲットキビアット管EMIフィンガープリントを基準キビアット管EMIフィンガープリントと比較させ、
比較の結果に少なくとも部分的に基づいて、偽造ステータスを示すための信号を生成させる、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記コンピュータに、ターゲットキビアットプロットのシーケンスを作成させる命令はさらに、前記コンピュータに、前記基準キビアット管EMIフィンガープリント上でトレーニングされる状態推定モデルによって前記周波数の各セットごとに前記振幅の推定値を生成させる命令をさらに含み、前記ターゲットキビアットプロットは前記推定値のキビアットプロットである、請求項13に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
コンピューティングシステムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサに動作可能に接続されたメモリと、
前記プロセッサおよび前記メモリに動作可能に接続された無線機と、
前記プロセッサおよび前記メモリに動作可能に接続されるとともにコンピュータ実行可能命令を格納した非一時的なコンピュータ可読媒体とを備え、前記コンピュータ実行可能命令は、少なくとも前記プロセッサによって実行されると、前記コンピューティングシステムに、
電力テストシーケンスを受けている間に基準ユーティリティデバイスの負荷動特性を反映する周波数のセットを選択させ、
前記電力テストシーケンスを受けている間にターゲットユーティリティデバイスによって放射されるターゲット電磁干渉(EMI)信号を、前記無線機を介して取得させ、
ターゲットキビアット管EMIフィンガープリントを形成するために、前記電力テストシーケンスにわたる観察での前記周波数の各セットごとに前記ターゲットEMI信号の振幅からターゲットキビアットプロットのシーケンスを作成させ、
前記ターゲットユーティリティデバイスと前記基準ユーティリティデバイスとが同じタイプであるかどうかを判断するために、前記電力テストシーケンスを受ける前記基準ユーティリティデバイスについて前記ターゲットキビアット管EMIフィンガープリントを基準キビアット管EMIフィンガープリントと比較させ、
比較の結果に少なくとも部分的に基づいて偽造ステータスを示すための信号を生成させる、コンピューティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
国際的なサプライチェーンに流通する偽造電子コンポーネントには、電子機器を用いる全ての産業(情報技術分野、医療分野、軍事分野、ゲーム分野、輸送分野、および公益事業(ユーティリティ)分野を含む)にわたって年間2000億ドルが費やされていると推定されてきた。偽造システムは、しばしば、サービスエンジニアらが単純な目視検査によってこれら偽造システムを真のシステムから区別することができないほど本物らしく見えることがある。しかしながら、偽造システムは、しばしば、廃棄されたシステムからのスクラップコンポーネント、安価に製造されたコンポーネント、またはリサイクルされた旧型式システムからのより古いコンポーネントを含んでおり、これらのコンポーネントは、真のシステムに似せるために再パッケージングされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
次いで、そのようなシステムは、仲介チャネルを介してサプライチェーンに組込まれる。偽造システムが顧客に出荷されるとき、それら偽造システムはしばしば、到着時または極めて短期間の内に故障してしまい、保証損失が大きくなり、平均故障間隔が短くなってしまい、顧客不満足を引起こすこととなる。状況によっては、偽造システムは、当該偽造システムへの不正アクセスを許可するかまたは当該偽造システムを制御することができる「スパイチップ」または「モッドチップ」さえも含んでおり、インフラストラクチャに重大なリスクをもたらす。公益事業分野では、偽造電子コンポーネントの使用は、単にコストがかかって煩わしいだけはなく、主要な安全上の懸念となる。公益事業コンポーネントの故障は停電および火災などの生命を脅かす状況を引起こす可能性がある。
【0003】
北米電力信頼度協議会(The North American Electric Reliability Corporation)(北米公益事業規制機関(NERC:North American utility regulator))および米国連邦エネルギ信頼度委員会(the United States Federal Energy Reliability Commission:FERC)は、大容量の電気システムの確実な動作に対するリスクを低減するためのサプライチェーンリスク管理規則(No.CIP-013-1)を発行してきた。当該規則は、2020年7月までに、北米大陸上のすべての公益事業が、発電施設、監視制御およびデータ取得(supervisory control and data acquisition:SCADA)サブシステム、ならびに配電グリッドアセットにおいて用いられるすべての電力システムアセットのために偽造コンポーネントを検出するための技術を実現すべきことを求めている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
一実施形態では、ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータスを検出するための方法が提供される。当該方法は、電力テストシーケンスを受けている間に基準ユーティリティデバイスの負荷動特性を反映する周波数のセットを選択するステップと、当該電力テストシーケンスを受けている間に当該ターゲットユーティリティデバイスによって放射されるターゲット電磁干渉(electromagnetic interference:EMI)信号を取得するステップと、ターゲットキビアット(kiviat)管EMIフィンガープリントを形成するために、当該電力テストシーケンスにわたる観察での当該周波数の各セットごとに当該ターゲットEMI信号の振幅からターゲットキビアットプロットのシーケンスを作成するステップと、当該ターゲットユーティリティデバイスと当該基準ユーティリティデバイスとが同じタイプであるかどうかを判断するために、当該電力テストシーケンスを受ける当該基準ユーティリティデバイスについて当該ターゲットキビアット管EMIフィンガープリントを基準キビアット管EMIフィンガープリントと比較するステップと、比較の結果に少なくとも部分的に基づいて偽造ステータスを示すための信号を生成するステップとを含む。
【0005】
一実施形態では、ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータスを検出するための方法であって、当該作成するステップは、当該基準キビアット管EMIフィンガープリント上でトレーニングされる状態推定モデルによって当該周波数の各セットごとに当該振幅の推定値を生成するステップをさらに含み、当該ターゲットキビアットプロットは当該推定値のキビアットプロットである。
【0006】
一実施形態では、ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータスを検出するための方法であって、当該比較するステップは、各ターゲットキビアットプロットの各軸を、当該基準キビアット管EMIフィンガープリントにおける同じ観察での対応する基準キビアットプロットの軸上にプロットされた値を通る単位円に正規化するステップをさらに含む。
【0007】
一実施形態では、ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータスを検出するための方法であって、当該比較するステップはさらに、当該基準キビアット管EMIフィンガープリントにおける同じ観察での対応する基準キビアットプロットを単位円として表わすように正規化された軸上のターゲットキビアットプロットと当該単位円との間の環状残差から誤差メトリックを生成するステップを含み、当該誤差メトリックは、全ての観察にわたる当該単位円と当該ターゲットキビアットプロットとの間の環状残差の累積面積である。
【0008】
一実施形態では、ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータスを検出するための方法であって、当該比較するステップはさらに、当該基準キビアット管EMIフィンガープリントにおける同じ観察でのターゲットキビアットプロットと基準キビアットプロットとの間の環状残差から誤差メトリックを生成するステップを含み、当該誤差メトリックは、全ての観察にわたる当該基準キビアットプロットと当該ターゲットキビアットプロットとの間の環状残差の累積面積である。
【0009】
一実施形態では、ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータスを検出するための方法であって、当該基準ユーティリティデバイスは特定のタイプの本物のユーティリティデバイスであり、当該方法はさらに、当該ターゲットユーティリティデバイスと当該基準ユーティリティデバイスとが同じタイプであるという判断(i)に応答して、当該ターゲットユーティリティデバイスが本物であると確認されることを示すための信号を生成し、同じタイプではないという判断(ii)に応答して、当該ターゲットユーティリティデバイスが疑わしい偽造品であることを示すための信号を生成するステップを含む。
【0010】
一実施形態では、ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータスを検出するための方法であって、当該方法はさらに、当該ターゲットユーティリティデバイスが疑わしい偽造品であるという当該信号に応答して、当該ターゲットキビアットEMIフィンガープリントを偽造分析システムに送信するステップを含む。
【0011】
一実施形態では、ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータスを検出するための方法であって、ターゲットデバイスに関するサプライチェーン情報を当該偽造分析システムに送信するステップをさらに含む。
【0012】
一実施形態では、ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータスを検出するための方法であって、当該ターゲットユーティリティデバイスが疑わしい偽造品であるという当該信号に応答して、偽造分析システムから疑わしい偽造品構成に関する追加情報を受信するステップをさらに含み、当該追加情報は、(i)当該疑わしい偽造品が既知のタイプの偽造品であることの確認、(ii)当該疑わしい偽造品構成を備えたユーティリティデバイスがどれほど広まっているかを記述する普及情報、(iii)当該疑わしい偽造品構成を備えたユーティリティデバイスの出所を記述するソース情報、および、(iv)ターゲットデバイスがどのようにサプライチェーンに入り得たかを記述するサプライチェーン情報、のうちの1つ以上を含む。
【0013】
一実施形態では、ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータスを検出するための方法であって、当該基準ユーティリティデバイスは、特定のタイプの既知の偽造ユーティリティデバイスであり、さらに、当該ターゲットユーティリティデバイスおよび当該基準ユーティリティデバイスが同じタイプであるという判断(i)に応答して、当該ターゲットユーティリティデバイスが当該特定のタイプの偽造デバイスであることが確認されることを示すための信号を生成し、同じタイプではないという判断(ii)に応答して、当該ターゲットユーティリティデバイスが当該特定のタイプの偽造デバイスではないことを示すための信号を生成するステップを含む。
【0014】
一実施形態では、ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータスを検出するための方法であって、ライブラリデータベースから当該基準ユーティリティデバイスについての当該基準キビアット管EMIフィンガープリントを取出すステップをさらに含む。
【0015】
一実施形態では、ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータスを検出するための方法であって、グラフィカルユーザインターフェイスで、前記信号に少なくとも部分的に基づいて情報を表示するステップをさらに含む。
【0016】
一実施形態では、コンピュータ実行可能命令を格納した非一時的なコンピュータ可読媒体であって、当該コンピュータ実行可能命令は、コンピュータの少なくともプロセッサによって実行されると、当該コンピュータに、電力テストシーケンスを受けている間に基準ユーティリティデバイスの負荷動特性を反映する周波数のセットを選択させ、当該電力テストシーケンスを受けている間に当該ターゲットユーティリティデバイスによって放射されるターゲット電磁干渉(EMI)信号を取得させ、ターゲットキビアット管EMIフィンガープリントを形成するために、当該電力テストシーケンスにわたる観察での当該周波数の各セットごとに当該ターゲットEMI信号の振幅からターゲットキビアットプロットのシーケンスを作成させ、当該ターゲットユーティリティデバイスと当該基準ユーティリティデバイスとが同じタイプであるかどうかを判断するために、当該電力テストシーケンスを受ける当該基準ユーティリティデバイスについて当該ターゲットキビアット管EMIフィンガープリントを基準キビアット管EMIフィンガープリントと比較させ、比較の結果に少なくとも部分的に基づいて、偽造ステータスを示すための信号を生成させる。
【0017】
一実施形態では、非一時的なコンピュータ可読媒体であって、当該コンピュータに、ターゲットキビアットプロットのシーケンスを作成させる命令はさらに、当該コンピュータに、当該基準キビアット管EMIフィンガープリント上でトレーニングされる状態推定モデルによって当該周波数の各セットごとに当該振幅の推定値を生成させる命令を含み、当該ターゲットキビアットプロットは当該推定値のキビアットプロットである。
【0018】
一実施形態では、コンピューティングシステムは、プロセッサと、当該プロセッサに動作可能に接続されたメモリと、当該プロセッサおよび当該メモリに動作可能に接続された無線機と、当該プロセッサおよび当該メモリに動作可能に接続されるとともにコンピュータ実行可能命令を格納した非一時的なコンピュータ可読媒体とを備え、当該コンピュータ実行可能命令は、少なくとも当該プロセッサによって実行されると、当該コンピューティングシステムに、電力テストシーケンスを受けている間に基準ユーティリティデバイスの負荷動特性を反映する周波数のセットを選択させ、当該電力テストシーケンスを受けている間にターゲットユーティリティデバイスによって放射されるターゲット電磁干渉(EMI)信号を、当該無線機を介して取得させ、ターゲットキビアット管EMIフィンガープリントを形成するために、当該電力テストシーケンスにわたる観察での当該周波数の各セットごとに当該ターゲットEMI信号の振幅からターゲットキビアットプロットのシーケンスを作成させ、当該ターゲットユーティリティデバイスと当該基準ユーティリティデバイスとが同じタイプであるかどうかを判断するために、当該電力テストシーケンスを受ける当該基準ユーティリティデバイスについて当該ターゲットキビアット管EMIフィンガープリントを基準キビアット管EMIフィンガープリントと比較させ、比較の結果に少なくとも部分的に基づいて偽造ステータスを示すための信号を生成させる。
【0019】
図面の簡単な説明
本明細書に組込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示のさまざまなシステム、方法、および他の実施形態を示す。図中に示された要素境界(たとえば、ボックス、ボックスのグループ、または他の形状)は、これら境界の一実施形態を表わすことが理解されるだろう。いくつかの実施形態では、1つの要素を複数の要素として実現してもよく、または複数の要素を1つの要素として実現してもよい。いくつかの実施形態では、別の要素の内部コンポーネントとして示される要素は外部コンポーネントとして実現されてもよく、その逆もまた同様である。さらに、要素は縮尺通りに描かれていないこともある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】EMI周波数キビアット管を用いるユーティリティ電力システムにおける偽造コンポーネントの高感度な検出および識別に関連するEMIフィンガープリント偽造スキャナおよび例示的なターゲットユーティリティデバイスの一実施形態を示す図である。
【
図2】EMI周波数キビアット管を用いるユーティリティ電力システムにおける偽造コンポーネントの高感度な検出および識別に関連するEMIフィンガープリント偽造スキャナを動作させる環境の一実施形態を示す図である。
【
図3】EMI周波数キビアット管を用いるユーティリティ電力システムにおける偽造コンポーネントの高感度な検出および識別に関連する方法の一実施形態を示す図である。
【
図4】EMI周波数キビアット管を用いてターゲットユーティリティデバイスが本物であることをユーザに確認することに関連するグラフィカルユーザインターフェイスの一実施形態を示す図である。
【
図5】EMI周波数キビアット管を用いてターゲットユーティリティデバイス内の偽造コンポーネントについてユーザに警告することに関連するグラフィカルユーザインターフェイスの一実施形態を示す図である。
【
図6】EMI周波数キビアット管を用いるユーティリティ電力システムにおける偽造コンポーネントの高感度な検出および識別の表示に関連する方法の一実施形態を示す図である。
【
図7】本明細書に開示される例示的なシステム、方法、および/または専用機器で構成されたコンピューティングシステムの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
本明細書では、電磁干渉(EMI)周波数キビアット管を適用することにより、ユーティリティ電力システムにおいて偽造コンポーネントを高感度に検出および識別するシステムおよび方法が説明される。
【0022】
EMI信号は、動作中に変圧器、発電機、インバータ、メータ、または他の電気グリッドシステムなどの電力ユーティリティデバイスによって生成される。これらのEMI信号は、通常、ノイズと見なされるが、これらのEMI信号は、ユーティリティデバイスに関する固有のEMIフィンガープリントを生成するために用いることのできる情報を搬送することもできる。たとえば、未知の構成を有するコンポーネントを備えたターゲットユーティリティデバイスによって放出されるEMIは、ターゲットユーティリティデバイスについてのターゲットEMIフィンガープリントを生成するために走査することができる。生成されたターゲットEMIフィンガープリントは、既知の構成を持つ基準ユーティリティデバイスの基準EMIフィンガープリントと比較されることで、ターゲットユーティリティデバイスが既知の構造、モデル、および構成を持つものであることを確認することができるか、または、ターゲットユーティリティデバイスが既知の構造、モデル、および構成を持つものではなく、このため、1つ以上の疑わしい偽造コンポーネントを含む可能性があるかもしくは完全に偽造されていると疑われる可能性があることを通知することができる。
【0023】
偽造検出のこの技術は、目視検査または写真による検査などの内部検査を実行するためにターゲットユーティリティデバイスの電力システム電子機器を分解する必要がないので、「受動的」である。なお、分解を必要とする偽造検出技術は効果的でないこと、かつ、たとえ偽造コンポーネントを検出しなくても検査済みのユーティリティデバイスに後にたびたび問題が生じることに留意されたい。対照的に、この受動的な技術により、実用の際には、サプライチェーン内において、または入国時に、またはシステムが初期セットアップ準備の一環としてパワーオンセルフテスト(power-on-self-test:POST)動作中に公益事業の顧客によって受領されるときに、電力システムデバイスが定期的に検査されることとなる。このため、この新しい技術は、コンポーネント製造と「アセンブリプラント」との間に、または、アセンブリプラントとユーティリティシステムとの間の輸送中に、偽造コンポーネントまたは「スパイチップ」もしくは「モッドチップ」が電力システム電子機器に実装されるのを確実に防ぐのに役立つ。さらに、この新しい技術は、ユーティリティ電力システムにおけるハードウェアの修正を必要とせず、したがって、ユーティリティによって一般に用いられる旧式の電力システムと後方互換性がある。
【0024】
一実施形態では、特定の形態のEMIフィンガープリント、EMIキビアット管フィンガープリント(EMI-KT(EMI kiviat tube)フィンガープリント)を用いて、偽造コンポーネントまたは偽造ユーティリティデバイスの検出および識別の感度を高め得る。一実施形態では、キビアット管は、或る時間間隔、たとえば等間隔の時間間隔などのデータについての一連のキビアットプロット(スパイダープロット、星チャート、またはレーダーチャートとしても公知)である。キビアットプロットは、多変量データを2次元で示すための多ベクトル線グラフであり、データの値は、同じ点から始まる軸上に表わされている。キビアットプロットは、データセット間の異常値および共通性を示すのに十分に適している。一実施形態では、EMI-KTフィンガープリントは、キビアット管を構成する各キビアットプロットを記述するために必要なデータを含む。たとえば、EMI-KTフィンガープリントは、Nの軸の時系列のキビアットプロットを含み得る。各軸は、N個の周波数のうちの1つにおける信号強度を表わす。N個の周波数は、ターゲットデバイスの動力を最も良く反映するように決定されたN個の周波数である。このため、これらのN個の周波数は、動的テストシーケンスに対するターゲットデバイスの応答に関する情報を最もよく伝達する。
【0025】
なお、一実施形態では、基準EMI-KTフィンガープリントおよび/またはターゲットEMI-KTフィンガープリントのキビアット管が生成されてユーザ参照用にグラフィカルユーザインターフェイス(graphical user interface:GUI)上に視覚的に表示され得る一方で、EMIフィンガープリントをキビアット管として表わす特性が、より重要なことには、本物のユーティリティデバイスを偽造ユーティリティデバイスから区別するためのEMI偽造検出システムの能力を向上させることに留意されたい。時間軸に沿ったキビアットプロットの「動的にスクロールする管」としてEMIフィンガープリントを形成することにより、基準フィンガープリントとターゲットフィンガープリントとの間の差に対する感度が特に高い、十分に精密なフィンガープリントが提供される。このことは、キビアットプロットの性質に少なくとも部分的に起因している。キビアットプロットでは、含まれる面積は線形測定値の二乗に比例して増大し、このため、特定の時間観察での信号強度間のわずかな差さえも基準プロットとターゲットプロットとの間の面積として強調される。EMI-KTフィンガープリントの観察中に「残留体積」を生成するために経時的にこれらの面積を積分することにより、他のEMIフィンガープリンティング技術の場合よりも偏差に対する感度が高められる。残留体積(すなわち、上位N個の最も情報価値のある周波数での信号強度の基準(ゴールデンシステム)キビアットプロットとターゲット(テスト用ユニット)キビアットプロットとの間の残留面積の一連の時間観察にわたる時間積分)は新しい予後メトリックを形成する。一実施形態では、累積円筒誤差メトリック(またはCCEM(cumulative cylindrical error metric)、本明細書の他の箇所でさらに詳細に説明される)は残留体積の一形態である。残留体積(およびその変動値、たとえばCCEMなど)を用いることにより、偽造のユーティリティシステムおよびコンポーネントと真のユーティリティシステムおよびコンポーネントとの間の決定論的かつ再現可能な識別のための系統的予後アルゴリズムに対して実質的に改善された差異検出(感度)が寄与され得る。
【0026】
一実施形態では、基準EMI-KTフィンガープリントは、ユーティリティデバイスの構造、モデル、および構成(または「タイプ」)のための基準ユーティリティデバイスから得られる。構造、モデルおよび構成のための基準ユーティリティデバイスは、(「ゴールデンシステム」または「GS(Golden System)」とも称され得る)ユーティリティデバイスの構造、モデルおよび構成についての本物の例であることが確認されたデバイスである。一実施形態では、基準ユーティリティデバイスはさらに、最適に動作していることが確認されるか、または、少なくとも容認されたパラメータの範囲内で動作していることが確認される。一実施形態では、(「テスト用ユニット」または「UUT(Unit Under Test)」と称され得る)ターゲットユーティリティデバイスは、パターン認識プロセスを受ける。当該パターン認識プロセスでは、累積円筒誤差メトリック(CCEM)と呼ばれる構成類似性メトリックを用いて、ターゲットユーティリティデバイスから取得されたターゲットEMI-KTフィンガープリントを基準EMI-KTフィンガープリントと比較する。
【0027】
電力ユーティリティデバイスの文脈において本発明を説明しているが、本発明の一般的原理および技術は、少なくとも1つの電子コンポーネントを備える任意の電子システムに適用することができる。
【0028】
-例示的なEMIフィンガープリント偽造検出器-
図1は、EMI周波数キビアット管を用いるユーティリティ電力システムにおける偽造コンポーネントの高感度な検出および識別に関連するEMIフィンガープリント偽造スキャナ100および例示的なターゲットユーティリティデバイス105の一実施形態を示す。EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、ソフトウェア定義による無線機、AM/FM無線機、または、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100に接続するように構成された他の無線機などの無線機120に接続されたアンテナ(または他のEMI信号センサ)115を含む。EMIフィンガープリント偽造スキャナ100はまた、無線機120に接続されたローカルデータストレージ150を含む。EMIフィンガープリント偽造スキャナ100はまた、高感度EMIキビアット管偽造コンポーネント検出および識別論理155を含む。EMIフィンガープリント偽造スキャナ100はまた、ネットワークインターフェイス160およびディスプレイ165を含む。
【0029】
なお、電力がユーティリティデバイス105に供給されると、ユーティリティデバイス105がEMI信号110を生成することに留意されたい。ユーティリティデバイス105は、デバイスが高電力状態、十分に荷重された状態、または通電状態である間、第1のタイプの同様の信号を生成し得るとともに、デバイスが低電力状態、アイドル状態、または非通電状態である間、第2のタイプの同様の信号を生成し得る。さらに、ユーティリティデバイス105が、ユーティリティデバイス105への電力が遮断された後(非通電状態)、少なくとも或る一定の時間、EMI信号110を生成し続け得ることに留意されたい。EMI信号は、ユーティリティデバイス105の1つ以上の内部コンポーネントから生成される。ユーティリティデバイス105の1つ以上の内部コンポーネントは、制御部、スイッチ、モータ、インダクタ/変圧器巻線、キャパシタ、センサ、および他のコンポーネントを含み得る。いくつかの例では、EMI信号は、複数のコンポーネント間の対話によって生成され得る。一実施形態では、アンテナ115は、EMI信号110を検知するとともにアンテナ115に結合された無線機120にEMI信号を与えるように構成される。アンテナ115および無線機120の構成に応じて、EMI信号は、たとえば約500キロヘルツから最大で約4ギガヘルツまでの広い周波数スペクトルにわたって検知される。他の範囲も適切であり得るとともに、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100が利用可能な周波数の範囲はアンテナ115と無線機120との組合わせによって制御され得る。
【0030】
一実施形態では、アンテナ115は、ダイポールアンテナ、Yagi-Udaアンテナ、ループアンテナ、電気短絡アンテナ(たとえば、4分の1波長未満の長さを有する開放端ワイヤ)、フラクタルアンテナ、パラボラアンテナ、マイクロストリップアンテナ、クワッドアンテナ、ランダムワイヤアンテナ(たとえば、1波長よりの長さの長い開放端ワイヤ)、ビバレージアンテナ、ヘリカルアンテナ、フェーズドアレイアンテナ、および現在公知であるかまたは後に開発される任意の他のタイプのアンテナを含み得る。1つの単純かつ安価な実施形態では、アンテナ115は、一定長の絶縁が剥ぎ取られた絶縁ワイヤであってもよい。一実施形態では、アンテナのタイプおよび長さは、最適な弁別感度およびロバスト性を達成するように選択することができる。
【0031】
アンテナ115は、ターゲットユーティリティデバイス105にごく近接して位置決めされ得る、またはターゲットユーティリティデバイス105からさらに離れて位置決めされ得る。アンテナ115におけるより優れた感度と、これによりEMIフィンガープリント偽造スキャナ100におけるより高い信号対雑音比(signal-to-noise ratio:SNR)を達成するために、ターゲットユーティリティデバイス105とアンテナ115との間の距離はより短い方が好ましい。距離に加えて、アンテナ115の感度も、ターゲットユーティリティデバイス105に対するアンテナ115の向きによって影響される可能性がある。
【0032】
一実施形態では、アンテナ115は、走査中にターゲットユーティリティデバイス105に対して予め定められた距離および向きで位置決めされる。この予め定められた距離および向きは、ターゲットユーティリティデバイス105と同じ構造およびモデルの基準ユーティリティデバイスからの基準EMI信号を検出するために用いられるのと同じ距離および向きであり得る。走査されているユーティリティデバイスに対するアンテナ配置に一貫性があることで、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100が、ターゲットEMIフィンガープリントを基準EMIフィンガープリントと照合して、ターゲットEMIフィンガープリントを基準EMIフィンガープリントから区別するための能力を高めることができる。
【0033】
一実施形態では、アンテナ115は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100に取付けられ得る。一実施形態では、アンテナ115は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100によるターゲットユーティリティデバイス105の走査中にターゲットユーティリティデバイス105に対して固定された位置(距離および向き)にあり得る。たとえば、アンテナ115は、ターゲットユーティリティデバイス105に近い位置に配置されてもよく、走査中に動かされなくてもよい。アンテナ115は、ターゲットユーティリティデバイス105のハウジングに取付けられてもよく、または、ターゲットユーティリティデバイス105のハウジング内に取付けられてもよい。アンテナ115は、ボルト、ねじ、もしくはクリップなどを用いて機械的に、磁気的に、またはセンサワックスなどの接着剤を用いて取付けられてもよい。一実施形態では、複数のアンテナおよび/または無線機(図示せず)が、走査中にターゲットユーティリティデバイス105に対してさまざまな位置および向きに位置決めされ得るとともに、複数のアンテナおよび/または無線機から得られた測定値が組合わされ得る。一実施形態では、アンテナ115は、走査の間に、ターゲットユーティリティデバイス105に対して複数のさまざまな位置および向きに動かされる。これらのさまざまなアンテナ位置および構成、ならびに他の位置および構成の実現例は、ターゲットユーティリティデバイス105全体についての検出されたEMI信号の信号対雑音比(SNR)を改善するために、またはターゲットユーティリティデバイス105の特定のコンポーネントによって放出されるEMI信号を強調するために、所望のとおりに選択され得る。
【0034】
一実施形態では、無線機120は、受信されたEMI信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、定義された時間間隔で信号の電力振幅および周波数を記録するように構成される。一実施形態では、無線機120は、記録された信号をローカルデータストレージ150にデータ構造として格納してもよく、または、それら信号を分析のために高感度EMIキビアット管偽造コンポーネント検出および識別論理155に直接与えてもよい。
【0035】
一実施形態では、ローカルデータストレージ150は、モバイルデバイスまたはコンピュータのローカルデータストアである。一実施形態では、高感度EMIキビアット管偽造コンポーネント検出および識別論理155は、特に、本明細書に記載のシステムの機能のうちの1つ以上を実行するための命令で構成されるモバイルデバイスまたはコンピュータのプロセッサである。たとえば、命令は、ローカルデータストレージ150に格納され、論理155を実行するために必要に応じてプロセッサによって取出されてもよい。
【0036】
-EMIフィンガープリント走査のための例示的環境-
図2は、EMI周波数キビアット管を用いるユーティリティ電力システムにおける偽造コンポーネントの高感度な検出および識別に関連するEMIフィンガープリント偽造スキャナ100を動作させる環境200の一実施形態を示す。
【0037】
一実施形態では、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、ソフトウェア定義による無線機120およびアンテナ115に結合されたモバイルデバイス205またはコンピュータ210である。一実施形態では、ネットワークインターフェイス160は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100が通信ネットワーク215を介して1つ以上のリモートコンピュータと対話することを可能にするように構成される。一実施形態では、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、ウェブインターフェイスサーバ220などのウェブサーバに要求を送信し、当該ウェブサーバから応答を受信し得る。これらの通信は、たとえば、データ交換フォーマットとしてJavaScript(登録商標)オブジェクト表記法(JavaScript object notation:JSON)を用いるリモート表現状態転送(representational state transfer:REST)要求の形態、または別の例では、XMLサーバへのおよびXMLサーバからのシンプルオブジェクトアクセスプロトコル(simple object access protocol:SOAP)要求の形態を取り得る。
【0038】
一実施形態では、ウェブインターフェイスサーバ220は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100がクラウドアプリケーションインフラストラクチャ225によって提供されるリソースにアクセスすることを可能にするように構成される。ウェブインターフェイスサーバ220に加えて、クラウドアプリケーションインフラストラクチャ225はまた、サーバ側高感度EMIキビアット管偽造コンポーネント検出および識別論理(「サーバ側論理」)230と、1つ以上のデータストレージデバイス235とを含む。ウェブインターフェイスサーバ220、サーバ側論理230、およびデータストレージデバイス235は、ローカルネットワーク240によって相互接続される。一実施形態では、サーバ側論理230は、本明細書で説明するシステムの機能のうちの1つ以上を実行するための命令で特別に構成された1つ以上のコンピューティングデバイスである。
【0039】
一実施形態では、ターゲットEMI-KTフィンガープリントの分析は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100によって実行される。一実施形態では、ターゲットEMI-KTフィンガープリントの分析は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100からの要求に応答してサーバ側論理230によって実行され、結果は、ユーザに対して表示するためにEMIフィンガープリント偽造スキャナ100に戻される。
【0040】
一実施形態では、クラウドアプリケーションインフラストラクチャ225は、サーバ側論理230の少なくとも一部、すなわち、偽造分析論理233、によって偽造分析システムとして動作させられる。一実施形態では、クラウドアプリケーションインフラストラクチャ225は、クラウドアプリケーションインフラストラクチャのテナントである1以上の運営会社のためのEMIフィンガープリント偽造検出および識別に関連する情報を格納および処理するためのマルチテナントシステムである。偽造分析システムは、さまざまな分析ツールで偽造分析システムの1つ以上のテナントによって提供される疑わしい偽造ユーティリティデバイスおよび確認された偽造ユーティリティデバイスのEMI-KTフィンガープリントに関連する情報を分析するように構成される。分析された情報は、システムのテナントによって、ユーティリティデバイスの製造業者によって、または法執行機関によって提出され得る。分析は、単一のテナントのみによって提供される情報の範囲内で、または複数のテナントによって提供される情報にわたって実行され得る。分析は、疑わしい偽造品構成または確認された偽造品構成を有するユーティリティデバイスがどれほど広まっているかまたは普及しているかを識別することを含み得る。分析は、特定の地理的領域または位置において、特定のテナントのシステムまたは設備において、およびサプライチェーン内の特定の入口ポートまたは他の位置における検出時に、たとえば疑わしい偽造品構成または確認された偽造品構成が普及していることを示すこの普及情報をさらに細分したものを提供し得る。分析はまた、偽造システムの潜在的な源を識別するために、検出された偽造ユーティリティデバイスの複数のインスタンスについてのサプライチェーン情報間の共通性を識別し得る。概して、偽造ユーティリティデバイスの源を識別するのに役立つ分析、またはユーティリティシステムに以前に設置された未検出の偽造ユーティリティデバイスを識別するのに役立つ分析は、偽造分析論理233に含まれ得る。
【0041】
一実施形態では、環境200は、テストシーケンス生成器245も備える。テストシーケンス生成器245は、ターゲットユーティリティデバイス105内の1つ以上のコンポーネントを通る電力を制御するように動作する。動作時、テストシーケンス生成器245は、ターゲットユーティリティデバイス105のコンポーネントを通じて電力振幅の方形波を生成し得る。方形波の振幅および持続時間を含む、テストシーケンスについての命令は、テストシーケンス生成器245において予めプログラムされてもよく、および/または、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100によって制御されてもよい。
【0042】
一実施形態では、いくつかのタイプのユーティリティデバイスの場合、ターゲットユーティリティデバイス105に供給される電源を高電力供給状態と低電力供給状態との間で切替えて、ターゲットユーティリティデバイス105を「通電」動作状態(高電力供給時)と「非通電」動作状態(低電力供給時)に設定することによって、適切な方形波が生成され得る。一実施形態では、通電状態は、全出力電力供給状態であり得る。一実施形態では、通電状態は、低電力供給状態よりも相対的に高い電力供給状態であり得るとともに、非通電状態は、高電力供給状態よりも相対的に低い電力供給状態である。一実施形態では、非通電状態は、電力供給が完全に遮断された電力供給状態、すなわち、「電力なし」の電力供給状態、であり得る。一実施形態では、非通電状態は「アイドル」電力供給状態であってもよく、この場合、ターゲットユーティリティデバイス105に供給される電力は、ターゲットユーティリティデバイス105の動作を最低限可能な電力レベルに維持するために必要な最小電力である。この構成では、テストシーケンス生成器245は、電源250とターゲットユーティリティデバイス105との間に一列に配置されて、電源250からターゲットユーティリティデバイス105への電力の供給を制御する。テストシーケンス生成器は、ターゲットユーティリティデバイス105を通電および非通電にするテストシーケンスのための命令に従って、ターゲットユーティリティデバイス105に高電力供給および低電力供給のテストシーケンスを提供するように構成される。
【0043】
別の実施形態では、いくつかのタイプのユーティリティデバイスの場合、ターゲットユーティリティデバイス105に対する負荷を高電力抽出状態と低電力抽出状態との間で切替えて、ターゲットユーティリティデバイス105を通電動作状態(高電力抽出時)と非通電動作状態(低電力抽出時)とに設定することによって、適切な方形波が生成され得る。一実施形態では、通電状態は、全出力電力抽出状態であり得る。一実施形態では、通電状態は、低電力抽出状態よりも相対的に高い電力抽出状態であり得るとともに、非通電状態は、高電力抽出状態よりも相対的に低い電力抽出状態である。一実施形態では、非通電状態は、負荷が完全に遮断された電力抽出状態、すなわち、「電力なし」の電力抽出状態であり得る。一実施形態では、非通電状態は、「アイドル」電力抽出状態であってもよく、この場合、ターゲットユーティリティデバイス105から抽出される電力は、ターゲットユーティリティデバイス105の動作を最低限可能な電力レベルに維持するために必要な最小電力である。この代替的な構成では、テストシーケンス生成器245は、ターゲットユーティリティデバイス105と接地255との間に一列配置されて、ターゲットユーティリティデバイス105から抽出される電力負荷を制御する。テストシーケンス生成器は、ターゲットユーティリティデバイス105を通電および非通電にするテストシーケンスのための命令に従って、ターゲットユーティリティデバイス105に対して高電力および低電力の電力抽出(負荷)のテストシーケンスを提供するように構成される。
【0044】
一実施形態では、通電および非通電のテストシーケンスは、複数の通電または非通電を含む。一実施形態では、テストシーケンスは、(i)高電力供給または負荷を与えて、ターゲットデバイスを通電状態にすることと、(ii)低電力供給または負荷を与えて、ターゲットデバイスを非通電状態にすることといったほぼ等しい部分の間を循環する。一実施形態では、ターゲットデバイスへの高電力供給または負荷(通電)で30秒、ターゲットデバイスへの低電力供給または負荷(非通電)で30秒といったサイクルのテストシーケンスが適切であり得る。他の実施形態では、たとえば、より短いもしくはより長い通電期間/非通電期間、または不均等な通電期間/非通電期間を有する他のテストシーケンスが適切であり得る。一実施形態では、テストシーケンス生成器は、繰返し可能なテストシーケンスにおいてターゲットデバイスを交互に通電および非通電にするように電力または負荷を自動的に制御するように構成される。
【0045】
一実施形態では、テストシーケンス生成器245がユーティリティデバイスの電力供給を制御する場合、テストシーケンス生成器245は、電源250から入力(変圧器の一次端子のうちの1つなど)に高電力および低電力を供給して、テストシーケンスにおいてユーティリティデバイスをそれぞれ通電および非通電にする。たとえば、ユーティリティデバイスへの電力は、繰返しサイクルで交互に供給されたり遮断されたりする。別の実施形態では、テストシーケンス生成器245がユーティリティデバイスから抽出される電力負荷を制御する場合、テストシーケンス生成器245は、出力(変圧器の二次端子のうちの1つなど)上で高電力負荷および低電力負荷を供給して、テストシーケンスにおいてユーティリティデバイスをそれぞれ通電および非通電にする。たとえば、ユーティリティデバイスに対する負荷は、繰返しサイクルで交互に加えられたり遮断されたりする。
【0046】
一実施形態では、テストシーケンス生成器は、方形波以外の波形を生成するように命令によって構成され得る。波形は、非通電状態と通電状態との間の段階的遷移、ならびに、さまざまな部分的通電状態への/からの遷移を含んでもよい。
【0047】
一実施形態では、テストシーケンス生成器245は、パワーオンセルフテスト(POST)のためのステージングエリアに追加され得る。ユーティリティアセットは、通常、解梱され、次いで、生産システムに設置する前にPOST試験において最初に通電される。したがって、ターゲットユーティリティデバイスがPOST試験のためにセットアップされている間にEMI-KTフィンガープリント偽造走査を実行するには都合の良い時間である。一実施形態では、テストシーケンスは、ターゲットユーティリティデバイスがテストのためにステージングエリアにセットアップされている間、ターゲットユーティリティデバイスに適用される。
【0048】
-例示的な構成発見および偽造検出方法-
一実施形態では、本明細書に記載の方法の1つ以上のステップは、1つ以上のコンピューティングデバイスのプロセッサ(
図7を参照して例示および記載されるようなプロセッサ710)が、(i)メモリ(
図7を参照して例示および記載されるメモリ715および/または他のコンピューティングデバイスコンポーネントなど)にアクセスすること、ならびに、(ii)システムに当該方法のステップを実行させる論理(
図7を参照して例示および記載されるユーティリティアセット構成発見および偽造検出論理730など)で構成されること、によって実行され得る。たとえば、プロセッサは、本明細書に記載の、コンピュータによって実現される方法のステップを実行するために、メモリへのアクセス、メモリからの読出し、またはメモリへの書込みを実行する。これらのステップは、(i)任意の必要な情報を取出すステップ、(ii)任意のデータを計算、決定、生成、分類、または作成するステップ、および、(iii)計算、決定、生成、分類、または作成された任意のデータを格納するステップを含み得る。ストレージまたは格納について言及する場合、これは、コンピューティングデバイスのメモリまたはストレージ/ディスク(
図7を参照して例示および記載されるコンピューティングデバイス705のメモリ715もしくはストレージ/ディスク735、またはリモートコンピュータ765等)におけるデータ構造としてのストレージを示す。
【0049】
一実施形態では、方法の後続のステップは、少なくとも後続のステップの開始に必要な程度まで先行のステップが実行されたことを示す受信済み信号または格納された取出し済みデータを解析することに応答して開始されてもよい。概して、受信済み信号または格納された取出し済みデータは前のステップの完了を示す。方法の各ステップは複数のサブステップを含み得るが、これら複数のサブステップは本明細書にされるものもあるが説明されないものもある。
【0050】
一実施形態では、本明細書で説明する方法のステップは、(
図1および
図2を参照して例示および記載されるように)EMIフィンガープリント偽造スキャナ100によって実行される。一実施形態では、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、高感度EMIキビアット管偽造コンポーネント検出および識別論理で構成される専用のコンピューティングデバイス(コンピューティングデバイス700など)である。一実施形態では、本明細書に記載の方法のステップは、サーバ側高感度EMIキビアット管偽造コンポーネント検出および識別論理230ならびに/または偽造分析論理233で構成される、クラウドアプリケーションインフラストラクチャ225等のリモートシステムとともに、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100によって実行される。一実施形態では、当該方法のステップは、少なくとも1つのプロセッサを有するとともに上述したステップを実行するように構成された専用のコンピューティングシステムによって実行される。
【0051】
図3は、EMI周波数キビアット管を用いるユーティリティ電力システムにおける偽造コンポーネントの高感度な検出および識別に関連する方法300の一実施形態を示す。当該方法300は、ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータス(たとえば、本物であるというステータス、または少なくとも1つの偽造コンポーネントを含むというステータス)を検出するための方法である。
【0052】
方法300は、たとえば、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100を用いて走査の開始を示す信号を与えることによって、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100のユーザ(またはアドミニストレータ)が方法300を開始したこと、(ii)当該方法300が定義された時間または時間間隔で開始されるようにスケジュールされること、(iii)ターゲットユーティリティデバイスが適所にあり、走査される準備ができていること、もしくは、(iv)方法300が開始すべきであることを示す他の何らかのトリガ、を示す信号または格納済みデータに関して、信号についてはネットワークを介して受信すること、格納済みデータに関しては解析すること等のさまざまなトリガに基づいて開始されてもよい。当該方法300は、解析された受信済み信号または格納された取出し済みデータが方法300を開始すべきであることを示しているとの判断に応答して、開始ブロック305で開始される。処理はプロセスブロック310に進む。
【0053】
プロセスブロック310において、システムは、電力テストシーケンスを受けている間に基準ユーティリティデバイスの負荷動特性を反映する周波数のセットを選択する。一実施形態では、周波数のセットは、予め決定されるとともに、EMI-KTフィンガープリントのデータベースライブラリ、たとえば、ローカルデータストレージ150またはデータストア235に格納されたデータベースライブラリ、に格納される。一実施形態では、セット内での特定の周波数の選択は、テストシーケンスを受ける本物の(真であると確認された、「ゴールデンシステム」)基準デバイスのための基準EMI-KTフィンガープリントを生成するための前処理と、周波数のセットを含む結果のフィンガープリントをデータベースライブラリに格納することと、によって実行され得る。一実施形態では、周波数のセットは、データベースライブラリに対して基準EMI-KTフィンガープリントを要求することと、データベースライブラリから基準EMI-KTフィンガープリントを受信することに応答して基準EMI-KTフィンガープリントを解析して周波数のセットを識別することと、によって選択される。一実施形態では、決定された周波数のセットは、基準デバイスのEMI-KTフィンガープリントを作成するためのプロセスの一部として選択される。
【0054】
一実施形態では、基準EMI-KTフィンガープリントが作成される。当該システムは、基準ユーティリティデバイスが電力テストシーケンスを受けている間、基準ユーティリティデバイスによって放射された基準EMI信号を収集する。基準EMI信号は、アンテナ(アンテナ115など)によって受信され、無線機(無線機120など)によって処理される。収集された基準EMI信号は、さらに別の処理のためにローカルデータストレージ150またはデータストア235に格納される。当該システムは、たとえば、高速フーリエ変換(fast Fourier transform:FFT)または収集された基準EMI信号に対する他の適切な変換を実行することによって、基準EMI信号を時間ドメインから周波数ドメインに変換する。当該システムは、収集された基準EMI信号に関連する周波数範囲を複数の「ビン」に分割または区分けし、各々の個別のビンを代表周波数値で表わす。たとえば、約500キロヘルツ~約4ギガヘルツの範囲などの、アンテナ115および無線機120によって検知される周波数の範囲全体が、たとえば100ビンに分割されてもよい。一実施形態では、これらの周波数ビンおよび関連する代表周波数値は等間隔にある。一例では、代表周波数値は、ビンについての上限周波数および下限周波数から等距離にある、ビンの範囲の中間における周波数値である。一実施形態では、ビンおよび代表周波数は、ローカルデータストレージ150またはデータストア235に格納される。次いで、システムは、それらのビンについての代表周波数から周波数のセットを形成するために、上記ビンの中から、電力テストシーケンスによってもたらされる負荷動特性を基準ユーティリティデバイスに対して反映する代表周波数を有するビンを選択する。
【0055】
一実施形態では、周波数のセットは、すべての基準周波数のうち、電力テストシーケンスによって引起こされる最も顕著な動力を示すN個の周波数、すなわち「上位」N個の周波数、であり得る。たとえば、当該システムは、最強のパワースペクトル密度ピークに関連するN個の代表周波数値のサブセットを選択してもよい。最高の信号対雑音比を有する信号は、通常、パワースペクトル密度(power-spectral density:PSD)プロット上で最も高いピークを有する。一実施形態では、高速フーリエ変換(FFT)などの変換が、各々の代表周波数ごとに振幅-時系列に関して実行される。代表周波数は、次いで、変換の結果の順番にランク付けされ、代表周波数はさらに、ピークの高さの順番にランク付けされる。N個の最高ピークを有するN個の代表周波数が選択される。次いで、システムは、N個の周波数を、電力スペクトル周波数分析に基づいた周波数のセットになるように設定する。
【0056】
なお、負荷動特性を反映するために任意数Nの周波数が選択され得るが、一実施形態では、9つの周波数であれば、キビアットプロットを作成するために用いられる際に比較的少数の頂点を維持しつつ広範囲の代表周波数が可能となるので、上位9個の周波数(N=9)が選択されることに留意されたい。選択される周波数の数が増えるにつれて情報有益性の利益が減少するが、周波数データのキビアットプロットの複雑さは、それらが関与する演算のための計算負荷とともに増大する。実際には、N=9の周波数が良好に機能する。N=20ビンも十分であり、実際には良好に機能するが、グラフィカルユーザインターフェイスにプロットを表示する場合、視覚的に密なキビアットプロットが得られることとなる。
【0057】
基準EMI-KTフィンガープリントを生成する一例では、テストシーケンスの持続時間にわたる規則的な時間間隔(観察)でのN個の周波数の電力振幅値が、たとえば一連のタプル(t,value_F1,…,value_FN)として、たとえばデータベース内のアレイ構造として、記録される。一実施形態では、当該タプルのシーケンスは基準EMI-KTフィンガープリントを形成する。一実施形態では、N個の周波数の各々についての軸を有するキビアットプロット上のタプルのプロットのシーケンスは、基準EMI-KTフィンガープリントを形成する。一実施形態では、EMI-KTフィンガープリントにおけるキビアットプロットの軸はデシベル(decibel:dB)で測定される。
【0058】
一実施形態では、最高の代表周波数が周波数FNとして選択されるまで、最低の代表周波数が周波数F1として選択され、次に低い代表周波数が周波数F2として選択される等のように、電力振幅に関して上位N個の代表周波数が周波数値の昇順で選択される。一実施形態では、逆に、電力振幅に関して上位N個の代表周波数が、周波数値の降順で選択される。いずれの場合も、電力振幅は代表周波数のうちのいずれが選択され得るかを示し、周波数値は選択された周波数が割当てられる順序を示すことに留意されたい。これは、キビアットプロットの可視化の際に視覚的な明確さを得るためであり、キビアットプロットの軸は、それらのそれぞれの周波数でラベル付けされてもよく、それらが昇順または降順で順序付けされるように視覚的意味を持たせる。
【0059】
こうして、システムが電力テストシーケンスを受けている間に基準ユーティリティデバイスの負荷動特性を反映する周波数のセットの選択を完了すると、プロセスブロック310における処理が完了し、処理がプロセスブロック315に進む。
【0060】
プロセスブロック315において、システムは、電力テストシーケンスを受けている間にターゲットユーティリティデバイスによって放射されるターゲット電磁干渉(EMI)信号を取得する。一実施形態では、電力テストシーケンスはターゲットユーティリティデバイス上で実行されて、ターゲットユーティリティデバイス(デバイス130など)にEMI信号(EMI信号110など)を放出させる。一実施形態では、プロセスブロック315においてターゲットデバイス上で実行される電力テストシーケンスは、基準EMI-KTフィンガープリントを生成するために基準デバイス上で本来実行されるのと同じ電力テストシーケンスである。言い換えれば、基準EMI-KTフィンガープリントおよびターゲットEMI-KTフィンガープリントの両方を生成するために、同じテストシーケンスが用いられる。
【0061】
ターゲットEMI信号は、アンテナ(アンテナ115など)によって受信されて、無線機(無線機120など)によって処理される。収集されたターゲットEMI信号は、さらに別の処理のためにローカルデータストレージ150またはデータストア235に格納される。一実施形態では、信号は、時間、周波数、および電力振幅値(t,f,p)のタプルとして格納される。一実施形態では、信号は、周波数のための列および観察のための行(時間)を有するフラットファイルデータセットに格納され、電力振幅値は行-列への入力ごとに格納される。一実施形態では、当該システムは、たとえば、収集されたターゲットEMI信号に対して高速フーリエ変換(FFT)または他の適切な変換を実行することによって、ターゲットEMI信号を時間ドメインから周波数ドメインに変換する。一実施形態では、観察速度は毎秒1観察であり得るが、テストシーケンスにおける遷移のペースに基づいてより高い速度およびより低い速度が選択されてもよい。一実施形態では、アンテナ115および無線機120によって検知される周波数の範囲全体にわたる、たとえば、約500キロヘルツ~約4ギガヘルツの範囲などにわたるEMI信号が格納される。一実施形態では、基準ユーティリティデバイスの負荷動特性を反映する周波数のセット内のN個の周波数のみについて受信されたEMI信号が格納される。このため、一実施形態では、ユーティリティデバイスから発するEMI「ノイズ」信号は、デジタル化された多変量時系列データに処理される。
【0062】
一実施形態では、ターゲットEMI信号の集まりは取得ステップの一部として実行される。一実施形態では、ターゲットユーティリティデバイスからのターゲットEMI信号の収集は、取得ステップの前に実行され、たとえば、ローカルデータストレージ150またはデータストア235に格納される。ターゲットEMI信号を取得するために、格納されたターゲットEMI信号が要求され、次いで、ローカルデータストレージ150またはデータストア235から取出される。
【0063】
このように、システムが電力テストシーケンスを受けている間にターゲットユーティリティデバイスによって放射されたターゲットEMI信号の取得を完了すると、プロセスブロック315における処理が完了し、処理がプロセスブロック320に進む。
【0064】
プロセスブロック320において、システムは、電力テストシーケンスにわたる観察での周波数の各セットごとにターゲットEMI信号の振幅からターゲットキビアットプロットのシーケンスを作成して、ターゲットキビアット管EMIフィンガープリント(EMI-KTフィンガープリント)を形成する。一実施形態では、ターゲットキビアットプロットのシーケンスを生成するために、ターゲットEMI信号についてのN個の周波数の未処理の(観察された)電力振幅値が、テストシーケンスにわたって規則的な時間間隔(観察)で記録される。一実施形態では、ターゲットEMI信号に適用される時間間隔は、基準EMI信号に適用される時間間隔と整合されるかまたは同期されるべきであり、これにより、テストシーケンスによって生成される基準波形とターゲット波形との間の同期を確実にする。
【0065】
上述の基準EMI-KTフィンガープリントの生成と同様に、N個の周波数のセットの各周波数ごとの未処理の(観察された)電力振幅値は、一連のタプル(t,value_F1,…,value_FN)として、たとえば、(ローカルデータストレージ150またはデータストア235内で維持され得るような)データベース内のアレイ構造として、記録され得る。一実施形態では、当該タプルのシーケンスは、ターゲットEMI-KTフィンガープリントを形成する。一実施形態では、N個の周波数の各々についての軸を有するキビアットプロット上のタプルのプロットのシーケンスは、ターゲットEMI-KTフィンガープリントを形成する。フィンガープリントは、さらに別の処理のために、たとえばローカルデータストレージ150またはデータストア235に格納される。
【0066】
一実施形態では、プロセスブロック320を参照して説明される作成ステップはまた、基準キビアット管EMIフィンガープリント上でトレーニングされる状態推定モデルによって、N個の周波数の各セットごとに振幅の推定値を生成するステップを含む。結果として得られたターゲットキビアットプロットは、未処理の(観察された)電力振幅値のプロットではなく、推定値のキビアットプロットである。一実施形態では、作成ステップは、たとえば、基準キビアット管の基準キビアットプロットでMSETモデルをトレーニングすることによって、ユーティリティデバイスの「真の」挙動の状態推定モデル(たとえば、MSETモデル、MSET2モデル、またはノンパラメトリックパターン認識アルゴリズムによって生成される他のモデルなど)を生成するステップを含む。パターン認識を目的としてMSETを用いることは有利であるが、開示された実施形態は、概して、ニューラルネットワーク、サポートベクトルマシン(support vector machine:SVM)、自己参照型カーネル回帰(auto-associative kernel regression:AAKR)、および単純線形回帰(linear regression:LR)をも含む、任意の非線形ノンパラメトリック(nonlinear, nonparametric:NLNP)回帰を用いることができる。一実施形態では、MSETモデルは、選択された周波数が属するビン内の他の周波数などの、周波数の選択されたセットに属する周波数以外の周波数に関する追加の振幅-時系列情報でさらにトレーニングされる。各観察ごとに、N個の周波数の各々での未処理の(観察された)ターゲット電力振幅値が、トレーニングされたMSETモデルに供給されて、それらのN個の周波数の各々についての推定されたターゲット電力振幅値が生成される。各周波数ごとの推定されたターゲット振幅値は、未処理の(観察された)ターゲット振幅値の代わりに、その観察についてのターゲットキビアットプロットにおける振幅値として格納される。このため、結果として得られるキビアットプロットのキビアット管は、N個の周波数の各々についての未処理の(観察された)電力振幅の一連のキビアットプロットではなく、N個の周波数の各々についての電力振幅のMSET推定値の一連のキビアットプロットである。この未処理から推定への置換プロセスは、ターゲットEMI-KTフィンガープリントからノイズを除去するのに役立つ平滑化効果を有する。
【0067】
システムがこのようにして、電力テストシーケンスにわたる観察での周波数の各セットごとにターゲットEMI信号の振幅からターゲットキビアットプロットのシーケンスを作成してターゲットキビアット管EMIフィンガープリントを形成することを完了すると、プロセスブロック320における処理は完了し、処理はプロセスブロック325に進む。
【0068】
プロセスブロック325において、当該システムは、ターゲットユーティリティデバイスと基準ユーティリティデバイスとが同じタイプであるかどうかを判断するために、電力テストシーケンスを受けている基準ユーティリティデバイスについてターゲットキビアット管EMIフィンガープリントを基準キビアット管EMIフィンガープリントと比較する。
【0069】
一実施形態では、基準ユーティリティデバイスのための基準キビアット管EMIフィンガープリントは、(ローカルデータストレージ150またはデータストア235内に維持され得るような)ライブラリデータベースから取出される。一実施形態では、ライブラリデータベースは、サーバ側論理230に従って、たとえばクラウドアプリケーションインフラストラクチャ225によって遠隔で維持され、基準EMI-KTフィンガープリントの送信を要求するREST要求は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100によって構成されるとともに、ネットワークインターフェイス160を介してウェブインターフェイスサーバ220に送信される。一実施形態では、ライブラリデータベースは、ローカルデータストレージ150内の論理155に従ってローカルに維持され、基準EMI-KTフィンガープリントを取出すことを求める要求は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100によって構成される。
【0070】
一実施形態において、ターゲットキビアット管および基準キビアット管の各観察ごとのターゲットキビアットプロット値および基準キビアットプロット値は、同じキビアットプロット上にプロットされる。一実施形態では、各観察ごとのターゲットプロットと基準プロットとの間の面積の大きさが計算され、各時間観察にわたるこの大きさの累積合計に加算される(すなわち、面積が時間(観察)軸に沿って積分される)。全時間観察にわたる累積合計を評価して、閾値テストを満たすかどうかを判断する。こうして、比較することにより、基準キビアット管EMIフィンガープリントにおける同じ観察でのターゲットキビアットプロットと基準キビアットプロットとの間の環状残差から誤差メトリックが生成され得る。この場合、誤差メトリックは、すべての観察にわたる基準キビアットプロットとターゲットキビアットプロットとの間の環状残差の累積面積である。概して、ターゲットプロットと基準プロットとが一致しているということは、ターゲットデバイスと基準デバイスとが同じテストシーケンスに応答して同様に挙動することを示しているので、閾値よりも低い誤差メトリック(累積面積)値は、ターゲットデバイスと基準デバイスとが同じタイプであることを示すだろう。同様に、ターゲットプロットと基準プロットとが相違しているということは、ターゲットデバイスと基準デバイスとが同じテストシーケンスに応答して異なる態様で挙動することを示しているので、閾値よりも高い誤差メトリック(累積面積)値は、ターゲットデバイスと基準デバイスとが異なるタイプであることを示すだろう。
【0071】
こうして、一実施形態では、キビアット管における各時間観察ごとに、基準(ゴールデンシステム)およびターゲット(テスト用ユニット)について最適に選択された代表周波数でのEMI信号強度のキビアットプロット間の残留面積が時間積分されて、キビアット管についての残留体積が生成される。ターゲットEMI-KTフィンガープリントの残留体積は、ターゲットEMI-KTフィンガープリントが閾値との比較によって真のユーティリティデバイスを表わしているかまたは疑わしいユーティリティデバイスを表わしているかを判断するための予後メトリックとして用いられ得る。
【0072】
一実施形態では、閾値は、基準EMI-KTフィンガープリントを、基準ユーティリティデバイスと同じ構成であると認証された1つ以上の他のユーティリティデバイスから得られたターゲットEMI-KTフィンガープリントと、または同じ基準デバイスから繰返し得られたEMI-KTフィンガープリントと比較することによって生成される合否の大きさである。閾値は、閾値テストを満たす大きさの範囲内でこれらの比較の各々に関する誤差メトリックを含むように設定される。一実施形態では、複数のフィンガープリント比較にわたる最大誤差メトリック値が閾値として設定され得る。この場合、閾値を超える誤差メトリック値は閾値テストを満たさない。一実施形態では、その最大誤差メトリックの5パーセントまたは10パーセントなどの小さい追加マージンが最大誤差メトリックに追加され、結果として得られた合計が閾値として設定され得る。
【0073】
一実施形態では、上記比較はまた、各ターゲットキビアットプロットの各軸を、基準キビアット管EMIフィンガープリントにおける同じ観察での対応する基準キビアットプロットにおけるその軸上にプロットされた値を通る単位円に正規化することを含む。このように、ターゲットキビアットプロットのN個の周波数軸の各々は、単位円が同時に基準キビアットプロットのN個の電力振幅値の各々を通り得るように調整される。たとえば、同じ時間の基準プロットが周波数1で電力振幅20dBを有し、周波数2で電力振幅30dBを有し、周波数3で電力振幅10dBを有する3周波数ターゲットプロットにおいては、ターゲットプロットの軸は、これらの基準電力振幅値の各々が単位円上に位置するように調整または正規化され得るとともに、ターゲットプロットの振幅値は、これらの正規化された軸上にプロットされるだろう。
【0074】
一実施形態では、各観察ごとの正規化されたターゲットキビアットプロットが単位円と比較される。一実施形態では、正規化された軸上のターゲットキビアットプロットと単位円との間の面積の大きさが計算され、各観察中のこの大きさの累積合計に加算される(すなわち、面積が時間(観察)軸に沿って積分される)。テストシーケンスの持続時間中に各観察(時点)にわたって積分されたこの面積は、累積円筒誤差メトリック(CCEM)と称され得る。したがって、CCEMは、基準(ゴールデンシステム)EMI-KTフィンガープリントとターゲット(テスト用ユニット)EMI-KTフィンガープリントとの間の差の尺度である。CCEMは、閾値テストを満たすかどうかを判断するために評価される。上述のように、ターゲットプロットと単位円とが一致するということは、ターゲットデバイスと基準デバイスとが同じテストシーケンスに応答して同様に挙動することを示しており、閾値よりも低いCCEM値は、ターゲットデバイスと基準デバイスとが同じタイプであることを示している。また、上述のように、ターゲットプロットと単位円とが相違しているということは、ターゲットデバイスと基準デバイスとが同じテストシーケンスに応答して異なるように挙動することを示しており、閾値よりも高いCCEM値は、ターゲットデバイスと基準デバイスとが異なるタイプであることを示している。
【0075】
したがって、当該比較はまた、基準キビアット管EMIフィンガープリントにおける同じ観察での対応する基準キビアプロットを単位円として表わすように正規化された軸上のターゲットキビアプロットと単位円との間の環状残差から、CCEMなどの誤差メトリックを生成することを含む。誤差メトリックは、全ての観察にわたる単位円とターゲットキビアットプロットとの間の環状残差の累積面積である。したがって、当該システムは、ターゲットキビアット管EMIフィンガープリントおよび基準キビアット管EMIフィンガープリントの全ての観察にわたって累積円筒誤差メトリックを生成する。
【0076】
CCEMメトリックを用いることにより、各観察ごとにN個の基準周波数のデシベル値を正規化することによって、すべての異なるタイプの電力レベルで動作するユーティリティデバイスに関して異常なコンポーネントと真のコンポーネントとを検出することが可能となる。このため、閾値は、基準ユーティリティデバイスの構成に基づいて定義される必要はなく、代わりに、単位円からの偏差に基づき得る。次いで、電力レベルにかかわらず、CCEMについてのユニバーサル閾値テストをすべてのユーティリティデバイスに適用することができる。一実施形態では、約10の閾値が実際に良好に機能する。別の実施形態では、10から30の間の(10および30を含む)閾値が実際に良好に機能する。
【0077】
一実施形態では、ターゲットキビアット管EMIフィンガープリントと基準キビアット管EMIフィンガープリントとのこの比較は、たとえば、高感度EMIキビアット管偽造コンポーネント検出および識別論理155を実現するEMIフィンガープリント偽造スキャナ100上で局所的に実行され得る。一実施形態では、この比較は、(REST要求などの)要求や、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100によるリモートシステム(たとえば、サーバ側高感度EMIキビアット管偽造コンポーネント検出および識別論理230を実現するクラウドアプリケーションインフラストラクチャ225など)へのターゲットキビアット管の送信に応答して、リモートで実行され得る。
【0078】
システムがこのように、電力テストシーケンスを受けている基準ユーティリティデバイスについてターゲットキビアット管EMIフィンガープリントと基準キビアット管EMIフィンガープリントとを比較して、ターゲットユーティリティデバイスと基準ユーティリティデバイスとが同じタイプであるかどうかを判断することを完了すると、プロセスブロック325における処理が完了し、処理はプロセスブロック330に進む。
【0079】
プロセスブロック330において、当該システムは、比較の結果に少なくとも部分的に基づいて偽造ステータスを示すための信号を生成する。一実施形態では、当該システムは、基準EMI-KTフィンガープリントの基準タイプを決定する。なお、方法300は、ターゲットユーティリティデバイスを本物としてまたは疑わしい偽造品として識別することと、認証された本物のユーティリティデバイスに関して、または偽造デバイスの既知の構成のそれぞれに関して、ターゲットデバイスを基準EMI-KTフィンガープリントと比較することによって、ターゲットユーティリティデバイスを既知のタイプのデバイスまたは未知のタイプのデバイスについての確認された偽造品として識別すること、の両方に対して適用され得ることに留意されたい。したがって、基準タイプの基準EMI-KTフィンガープリントは、「本物のデバイス」の基準EMI-KTフィンガープリントまたは「既知の偽造品」の基準EMI-KTフィンガープリントのいずれかであり得る。次いで、当該システムは、基準タイプの基準EMI-KTフィンガープリントの文脈における誤差メトリックの閾値テストについての結果を示す信号を構成する。
【0080】
たとえば、基準ユーティリティデバイスが特定のタイプの本物のユーティリティデバイスである場合、ターゲットユーティリティデバイスと基準ユーティリティデバイスとが同じタイプである(閾値テストが満たされる)という(閾値テストによる)判断(i)に応答して、当該システムは、ターゲットユーティリティデバイスが本物であることが確認されていることを示すための信号を生成することができ、同じタイプではない(閾値テストが満たされる)という判断(ii)に応答して、当該システムは、ターゲットユーティリティデバイスが疑わしい偽造品であることを示すための信号を生成することができる。または、たとえば、基準ユーティリティデバイスが特定のタイプの既知の偽造ユーティリティデバイスである場合、ターゲットユーティリティデバイスと基準ユーティリティデバイスとが同じタイプである(閾値テストが満たされる)という(閾値テストによる)判断(i)に応答して、当該システムは、ターゲットユーティリティデバイスが特定のタイプの偽造デバイスであることが確認されていることを示すための信号を生成することができ、同じタイプではない(閾値テストが満たされない)という判断(ii)に応答して、当該システムは、ターゲットユーティリティデバイスが特定のタイプの偽造デバイスではないことを示すための信号を生成することができる。
【0081】
一実施形態では、偽造ステータスは、
図4を参照して例示および記載される真正性証明465ならびに、
図5を参照して例示および記載される偽造アラーム565などの、グラフィカルユーザインターフェイス上に提示される視覚アラートとして表示されてもよい。
【0082】
一実施形態では、当該システムは、単に、誤差メトリックの閾値テストの結果を示す信号を構成する。次いで、当該信号は、ローカルストレージに格納されるか、またはさらに別の用途のためにディスプレイデバイスもしくはリモートシステムに送信される。
【0083】
システムがこのように、比較の結果に少なくとも部分的に基づいて偽造ステータスを示すための信号の生成を完了すると、プロセスブロック330における処理が完了し、処理が終了ブロック335に進み、プロセス300が終了する。
【0084】
-偽造分析システム-
一実施形態では、方法300から結果として得られる偽造ステータスの表示は、偽造分析論理233によって制御されるようにクラウドアプリケーションインフラストラクチャ225などの偽造分析システムによってさらに強化され得る。たとえば、ターゲットユーティリティデバイスが疑わしい偽造品であるという信号に応答して、システムは、ユーティリティデバイスが疑わしい偽造品であることを示す信号とともに、ターゲットキビアットEMIフィンガープリントを偽造分析システムに送信してもよい。たとえば、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、ターゲットキビアットEMIフィンガープリントが疑わしい偽造品であることを示すREST要求などの要求を構成し、当該要求をターゲットキビアットEMIフィンガープリントとともにネットワークインターフェイス160からウェブインターフェイスサーバ220に送信してもよい。要求の受信に応答して、偽造分析論理233は、ターゲットキビアットEMIフィンガープリントおよび付随情報をさらに処理するだろう。
【0085】
一実施形態では、偽造分析システムに送信される要求は、ターゲットデバイスに関する追加のサプライチェーン情報を含み得る。サプライチェーン情報は、ターゲットユーティリティデバイスがどのように構築されたかと、それがどのようにテスト位置へ進んでいったかとについての、システムにとって利用可能な任意の情報を含み得る。このサプライチェーン情報およびターゲットEMI-KTフィンガープリントは、(データストア235への)格納、(偽造分析論理233による)分析、および、他のターゲットユーティリティデバイスの(ライブラリデータベースにおける基準EMI-KTフィンガープリントとしての)走査による将来の参照のために、偽造分析システムに送信され得る。
【0086】
偽造分析論理233によるターゲットEMI-KTフィンガープリント(および、もしあるとすれば、サプライチェーン情報)の分析は、システムの1人以上のユーザにとって有用であり得る追加の情報を生成し得る。たとえば、ターゲットユーティリティデバイスが疑わしい偽造品であることを示す信号に応答して、偽造分析システムに要求を送信した後、当該システムは、偽造分析システムから疑わしい偽造品構成に関する追加の情報、たとえば、(i)疑わしい偽造品が既知のタイプの偽造品であることの確認、(ii)疑わしい偽造品構成を備えたユーティリティデバイスがどれほど広まっているかを記述する普及情報、(iii)疑わしい偽造品構成を備えたユーティリティデバイスの出所を記述するソース情報、および/または、(iv)ターゲットデバイスがサプライチェーンにどのように入り得たかを記述するサプライチェーン情報、のうち1つ以上を受信し得る。項目(i)は、合致が見つかるまで、または偽造分析システムが利用可能な既知の偽造基準EMI-KTフィンガープリントが使い果たされるまで、疑わしい偽造ターゲットEMI-KTフィンガープリントを1つ以上の既知の偽造基準EMI-KTフィンガープリントと比較する方法300を実行することに基づき得る。項目(ii)~(iv)は、偽造分析システムの単一のテナントのみによって、または複数のテナントによって提供される情報にわたって、提供される情報の分析に基づき得る。一実施形態では、追加情報の受信に応答して、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100(または、クラウドアプリケーションインフラストラクチャ225に接続された別のコンピューティングデバイス(図示せず))は、
図4および
図5を参照して例示および記載されるもの等のグラフィカルユーザインターフェイス上に追加情報のいくつかまたは全てを表示してもよい。
【0087】
-結果表示のためのグラフィカルユーザインターフェイス-
一実施形態では、当該システムはさらに、グラフィカルユーザインターフェイスを用いて、信号に少なくとも部分的に基づいて情報を表示する。表示される情報はまた、基準EMI-KTフィンガープリントおよびターゲットEMI-KTフィンガープリントに基づき得る。
【0088】
図4は、ターゲットユーティリティデバイスが本物であることをEMI周波数キビアット管を用いてユーザに確認することに関連するグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)400の一実施形態を示す。一実施形態では、GUI400が示すキビアット管分析では、ターゲットデバイス(テスト用ユニット)は全ての真のコンポーネントを有しており、ターゲットEMI-KTフィンガープリントは真円からのわずかな偏差のみを呈している。
【0089】
GUI400は、例示的な基準(ゴールデンシステム)キビアット管405の3D可視化と、例示的なターゲット(テスト用ユニット)キビアット管410の3D可視化とを含む。GUI400はまた、例示的な基準キビアット管405からの1つの例示的な基準キビアットプロット415(基準(ゴールデンサンプル)キビアットEMI-真正性予後)の2D可視化と、例示的なターゲットキビアット管410からの1つの例示的なターゲットキビアットプロット420(ターゲット(テスト用ユニット)キビアットEMI-真正性予後)の2D可視化とを含む瞬間的な2Dキビアット多変量予後健全性外形線可視化を含む。例示的なキビアット管の例示的なキビアットプロットは、例示的なキビアット管の時間軸に沿った離散観察におけるN=9の周波数F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、およびF9での電力振幅を表わすように構成される。例示的な基準キビアット管405内の例示的な基準キビアットプロット415の位置は、観察値t=5での太線の基準キビアットプロット425によって示される。例示的なターゲットキビアット管410内の例示的なターゲットキビアットプロット420の位置は、観察値t=5での太線のターゲットキビアットプロット430によって示される。例示的な基準キビアットプロット415の各周波数軸に沿った観察値t=5での電力振幅値は、例示的な基準キビアットプロット415の軸との交点における基準エリア435の頂点によって示される。例示的なターゲットキビアットプロット420の各周波数軸に沿った観察値t=5での電力振幅値は、例示的な基準キビアットプロット420の軸との交点におけるターゲットエリア440の頂点によって示される。
【0090】
一実施形態では、GUI400はまた、異常検出器キビアットプロット445を含む。異常検出器キビアットプロットは、破線で示す正規化された単位円450と、実線で示すターゲットエリア440の正規化されたターゲット外形線455とを示す。プロセスブロック325を参照して上述したように、異常検出器キビアットプロット445の軸は、例示的な基準キビアットプロット415の各軸(基準エリア435の頂点)に沿った電力振幅値が単位円450とそれぞれの軸との交点上に位置するように調整または正規化される。したがって、ターゲットエリア440は、正規化されたターゲット外形線455によって示されるように、異常検出器キビアットプロット445内の単位円450に正規化される。なお、正規化されたターゲット外形線455および単位円450が極めて一致しており、ターゲットデバイスおよび基準デバイスが、テストシーケンスにおける同じ時間の観察でのすべての周波数について同様に挙動することを示すことに留意されたい。各観察ごとの単位円と各観察ごとの正規化されたターゲット外形線との間の環状残差の面積(大きさまたは絶対値)が計算される。環状残差の面積を初期観察値(t=0)からその時点での観察値(図に示す例では、425、430において、その時点での観察値はt=5である)まで積分して、その時点での観察値での累積円筒誤差メトリック(CCEM)460を決定する。CCEMは、M個の総観察値の1対の基準キビアット管およびターゲットキビアット管に関して、観察値が観察値t=0からの観察値t=Mまで進むにつれて累積的に成長するだろう。t=Mでの最終的なCCEMは、Mの観察値すべてに関して積分された環状残差の面積である。一実施形態では、例示的な基準キビアット管405および例示的なターゲットキビアット管410が同様の構成を備えたターゲットデバイス用であることを示す閾値テストをCCEMが満たし続ける間、GUI400は、真正性証明465を表示するための信号を受信する。一実施形態では、観察値t=Mでの最終CCEMにより真正性証明465を絶えず表示することは、ターゲットデバイスが真であるとして、本物であるとして、または偽造コンポーネントを有さないものとして証明されることを示す。一実施形態では、真正性証明465は、観察値t=Mに達するまでGUI400上に提示されない。一実施形態では、真正性証明465は、ターゲットユーティリティデバイスが「本物である」か、「真である」か、「検証されたものである」ことを示す大型の緑色のアイコンの形態を取り得るか、または、ターゲットユーティリティデバイス用のターゲットEMI-KTフィンガープリントが本物の物品用の基準EMI-KTフィンガープリントと一致することを示す他の言語の形態を取り得る。
【0091】
一実施形態では、GUI400は、動画化されたシーケンスを示すためのユーザコマンドに応答して、動画化されたシーケンスでキビアット管に沿った各観察位置ごとに基準キビアットプロットおよびターゲットキビアットプロットを示すように構成される。GUI400は、Mの総観察値の1対の基準キビアット管およびターゲットキビアット管に関して観察値が観察値t=0から観察値t=Mまで進むのに応じて、各対の基準キビアットプロットおよびターゲットキビアットプロットを順番に表示する。各対の基準キビアットプロットおよびターゲットキビアットプロットが順番に表示されるのに応じて、太字のキビアットプロット425および430を参照して示されるように、基準キビアット管およびターゲットキビアット管内のキビアットプロットのそれぞれの位置が強調される。強調表示は、たとえば、色の変化、透明度の変化、サイズもしくは形状の変化、境界厚さの変化、または境界線の変化によって達成され得る。一実施形態では、GUI400は、順方向または逆方向に進むようにとのユーザコマンドに応答して、観察を通じて順方向または逆方向に進むように構成される。順方向または逆方向それぞれに進むようにとのコマンドに応答して、GUI400は、(i)健全な外形線可視化において後ろまたは前の1対の基準キビアットプロットおよびターゲットキビアットプロットを表示し、(ii)例示的なキビアット管におけるその時点での観察結果から強調を除去し、後ろまたは前の1対の基準キビアットプロットおよびターゲットキビアットプロットの位置を強調する。一実施形態では、GUI400は、観察を選択するためのユーザコマンドに応答して、例示的なキビアット管内の選択された観察に直接ジャンプするように構成される。ジャンプコマンドに応答して、選択された観察での1対の基準キビアットプロットおよびターゲットキビアットプロットが表示され、キビアット管内の強調が選択された対に転送される。一実施形態では、ユーザ入力は、キーストロークまたはマウスクリック入力を含み得る。
【0092】
図5は、EMI周波数キビアット管を用いてターゲットユーティリティデバイス内の偽造コンポーネントについてユーザに警告することに関連するグラフィカルユーザインターフェイス500の一実施形態を示す。一実施形態では、GUI500は、ターゲットデバイス(テスト用ユニット)が少なくとも1つの偽造コンポーネントを有しているキビアット管分析を示す。ここで、ターゲットEMI-KTフィンガープリントは、真円からの著しい偏差を示す。
【0093】
GUI500は、場合によっては偽造の可能性のあるターゲットデバイスに関する例示的な基準(ゴールデンシステム)キビアット管405の3D可視化と、例示的な疑わしいターゲット(テスト用ユニット)キビアット管510の3D可視化とを含む。GUI500はまた、例示的な基準キビアット管405からの例示的な基準キビアットプロット415(基準(ゴールデンサンプル)キビアットEMI-真正性予後)の2D可視化と、例示的な疑わしいターゲットキビアット管510からの1つの例示的な疑わしいターゲットキビアットプロット520(ターゲット(テスト用ユニット)キビアットEMI-真正性予後)の2D可視化とを含む瞬間的な2Dキビアット多変量予後健全性外形線可視化を含む。例示的な疑わしいターゲットキビアット管510内の例示的な疑わしいターゲットキビアットプロット520の位置は、観察値t=5での太線のターゲットキビアットプロット530によって示される。例示的な疑わしいターゲットキビアットプロット520の各周波数軸に沿った観察値t=5での電力振幅値は、例示的な基準キビアットプロット520の軸との交点におけるターゲットエリア440の頂点によって示される。
【0094】
一実施形態では、GUI500はまた、異常検出器キビアットプロット545を含む。異常検出器キビアットプロットは、破線で示す正規化された単位円450と、実線で示すターゲットエリア540の正規化された疑わしいターゲット外形線555とを示す。異常検出器キビアットプロット445およびプロセスブロック325を参照して上述したように、疑わしいターゲットエリア540は、正規化されたターゲット外形線555によって示されるように、異常検出器キビアットプロット545内の単位円450に正規化される。なお、正規化された疑わしいターゲット外形線555および単位円450は分岐しており、ターゲットデバイスおよび基準デバイスが、テストシーケンスにおける同じ時間の観察において異なる態様で挙動することを示すことに留意されたい。各観察ごとの単位円と正規化された疑わしいターゲット外形線との間の環状残差の面積は、初期観察値(t=0)からその時点での観察値(図に示されるように、t=5)まで積分されて、その時点での観察での累積円筒誤差メトリック(CCEM)560を決定する。CCEMは、M個の総観察値についての1対の基準キビアット管およびターゲットキビアット管に関して、観察値が観察値t=0から観察値t=Mまで進むにつれて累積的に成長するだろう。t=Mでの最終CCEMは、M個の観察値すべてに関して積分された環状残差の面積である。一実施形態では、例示的な基準キビアット管405および例示的な疑わしいターゲットキビアット管510が異なる構成を備えたターゲットデバイスのためのものであることを示す閾値テストをCCEMが満たさなければ、GUI500は、偽造アラーム565を表示するための信号を受信する。一実施形態では、観察値t=Mでの最終CCEMよりも前の任意の時間に偽造アラーム565を表示することは、ターゲットデバイスが1つ以上の偽造コンポーネントを有すると疑われる潜在的な偽造デバイスであることを示している。一実施形態では、偽造アラーム565は、観察値t=Mに達するまでGUI500上に提示されない。一実施形態では、偽造アラーム565は、場合によっては八角形のような形状の大型の赤色アイコンの形態を取り得ることで、ターゲットユーティリティデバイスが「偽造された」ものであるか「疑わしい」ものであるかもしくは「検証されていない」ことを示す停止標識の形態を示唆し得るか、または、ターゲットユーティリティデバイスのためのターゲットEMI-KTフィンガープリントが本物の物品のための基準EMI-KTフィンガープリントと一致しないことを示す他の言語の形態を取り得る。
【0095】
このように、ディスプレイデバイス(ディスプレイ160など)は、ターゲットユーティリティデバイスが、(i)本物についての偽造ステータスを示す信号に応答して本物であることと、(ii)疑わしい偽造品についての偽造ステータスを示す信号に応答して疑わしい偽造品であることとを示すアイコンを提示するように構成され得る。
【0096】
-ディスプレイを用いた例示的な方法-
図6は、EMI周波数キビアット管を用いるユーティリティ電力システムにおける偽造コンポーネントの高感度な検出および識別の表示に関連する方法600の一実施形態を示す。方法600は、ターゲットユーティリティデバイスの偽造ステータス(たとえば、本物であるというステータス、または少なくとも1つの偽造コンポーネントを含むというステータス)を表示するための方法である。
【0097】
方法600は、たとえば、(i)EMIフィンガープリント偽造スキャナ100を用いて走査の開始を示す信号を供給することによって、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100のユーザ(またはアドミニストレータ)が方法600を開始したこと、(ii)当該方法600が、定義された時間または時間間隔で開始されるようにスケジュールされること、(iii)ターゲットユーティリティデバイスが適所にあって、走査される準備ができていること、または、(iv)方法600を開始すべきであることを示す他の何らかのトリガ、を示す信号または格納済みデータに関して、信号についてはネットワークを介して受信すること、格納済みデータに関しては解析すること等のさまざまなトリガに基づいて開始されてもよい。当該方法600は、受信された解析済み信号または取出された格納済みデータが方法600を開始すべきであることを示しているとの判断に応答して、開始ブロック605で開始される。処理はプロセスブロック610に進む。
【0098】
プロセスブロック610において、システムは、基準デバイス(ゴールデンサンプル)についての9つの最良の周波数を昇順で選択する。一実施形態では、9つの最良の周波数の選択は、
図3のプロセスブロック310を参照して例示および記載されるように、システムによって実行される。次いで、プロセスブロック610における処理が完了し、処理がプロセスブロック615に進む。加えて、処理はプロセスブロック620に進んでもよい。
【0099】
プロセスブロック615において、システムは、基準デバイス(ゴールデンサンプル)キビアット管を生成する。一実施形態では、基準デバイスキビアット管の生成は、プロセスブロック310を参照して例示および記載されるようなシステムによって、または、プロセスブロック315および320を参照してターゲットEMI-KTフィンガープリントについて例示および記載されるものと同様の態様で実行される。次いで、プロセスブロック615における処理が完了し、処理が判断ブロック625に進む。
【0100】
プロセスブロック620において、システムは、ターゲットデバイス(テスト用ユニット)についてのそれぞれの周波数を昇順で選択する。一実施形態では、システムは、プロセスブロック610において、基準デバイスのために選択されたものと同じ周波数を選択する。一実施形態では、システムは、基準(ゴールデンサンプル)キビアット管(基準EMI-KTフィンガープリント)を解析して周波数を抽出する。次いで、プロセスブロック620における処理は完了し、処理はプロセスブロック630に進む。
【0101】
プロセスブロック630において、システムは、ターゲットデバイス(テスト用ユニット)キビアット管を生成する。一実施形態では、ターゲットデバイスキビアット管の生成は、プロセスブロック310を参照して基準EMI-KTフィンガープリントについて例示および記載されたのと同様の態様で、または、プロセスブロック315および320を参照して例示および記載されたように、システムによって実行される。次いで、プロセスブロック630における処理は完了し、処理は判断ブロック625に進む。
【0102】
判断ブロック625において、システムは、その時点での観察がキビアット管についての観察の総数以下であるかどうかを判断する。一実施形態では、ターゲットEMI-KTフィンガープリントおよび基準EMI-KTフィンガープリントの比較およびGUI表示のためのループが開始される。その時点での観察は、(基準キビアット管およびターゲットキビアット管の両方に適用可能である)テストシーケンスについてのキビアット管における第1の観察の値に初期化される。初期値は通常0または1であるが、他の値も適切であり得る。(基準キビアット管およびターゲットキビアット管の両方に適用可能な)キビアット管における観察の総数は、たとえば、観察の総数を抽出するためにいずれかのキビアット管を解析することによって識別される。その時点での観察が観察の総数以下である場合(真(TRUE))、判断ブロック625における処理は完了し、処理は、(i)この観察のための基準デバイス(ゴールデンサンプル)キビアットプロットがまだ生成されていない場合、プロセスブロック635に進み、(ii)この観察のための基準デバイスキビアットプロットが生成されていた場合、プロセスブロック640に直接進む。その時点での観察が観察の総数よりも大きい場合(偽(FALSE))、判断ブロック625における処理が完了し、処理は終了ブロック645に進む。
【0103】
プロセスブロック635において、システムは、基準デバイス(ゴールデンシステム)キビアットプロットを生成する。一実施形態では、システムは、メモリ内のデータ構造からその時点での観察についての基準キビアットプロットを記述するタプルを取出す。システムは、タプルを解析して、各周波数ごとにプロットの電力振幅値を抽出する。システムは、それぞれの軸上に抽出された電力振幅値を表示するキビアットプロットを生成する。システムは、生成されたキビアットプロットをメモリに格納し、および/または、ディスプレイ165にGUI400などのGUIにて生成されたキビアットプロットを表示させるための命令を生成する。一実施形態では、プロセスブロック635は、基準デバイスキビアットプロットが予め生成されており即時取出しできるようにメモリに格納されている場合、バイパスされてもよい。次いで、プロセスブロック635における処理が完了し、処理はプロセスブロック640に進む。
【0104】
プロセスブロック640において、システムは、ターゲットデバイス(テスト用ユニット)キビアットプロットを生成する。一実施形態では、システムは、メモリ内のデータ構造から、その時点での観察のためのターゲットキビアットプロットを記述するタプルを取出す。システムは、タプルを解析して、各周波数ごとにプロットの電力振幅値を抽出する。システムは、それぞれの軸上に抽出された電力振幅値を表示するキビアットプロットを生成する。システムは、生成されたキビアットプロットをメモリに格納し、および/または、ディスプレイ165にGUI400などのGUIにて生成されたキビアットプロットを表示させるための命令を生成する。次いで、プロセスブロック640における処理が完了し、処理はプロセスブロック650に進む。
【0105】
プロセスブロック650において、システムは、基準デバイス(ゴールデンサンプル)についての正規化された円を有するキビアットプロットを生成する。一実施形態では、システムは、メモリ内のデータ構造からその時点での観察についての基準キビアットプロットを記述するタプルを取出す。システムは、タプルを解析して、各周波数ごとにプロットの基準電力振幅値を抽出する。システムは、その時点での観察のための単位円が、値のそれぞれの軸に沿って抽出された基準電力振幅値で各軸と交差することを可能にするように、キビアットプロットの各軸の大きさに対する調整を計算する。システムは、調整された(正規化された)キビアットプロット上に単位円をプロットする。システムは、メモリ内のデータ構造から、その時点での観察のためのターゲットキビアットプロットを記述するタプルを取出す。システムは、タプルを解析して、各周波数ごとにプロットのターゲット電力振幅値を抽出する。システムは、調整された(正規化された)キビアットプロット上にターゲット電力振幅値をプロットして、その時点での観察についての正規化されたターゲットキビアットプロットを形成する。システムは、正規化されたターゲットキビアットプロットを単位円とともにメモリに格納し、および/または、ディスプレイ165にGUI400等のGUIにて正規化されたターゲットキビアットプロットを単位円とともに表示させるための命令を生成する。プロセスブロック650における処理が完了し、処理がプロセスブロック655に進む。
【0106】
プロセスブロック655において、システムは、時間軸に沿って積分された、ターゲットデバイス(テスト用ユニット)と基準デバイス(ゴールデンサンプル)との間の環状残差の面積を計算する。一実施形態では、システムは、その時点での観察用の単位円とその時点での観察用の正規化されたターゲットキビアットプロットとの間の環状残差の面積の大きさ(絶対値)を計算する。時間軸に沿って面積を積分するために、システムは、その時点での観察についての累積円筒誤差メトリック(CCEM)を形成するために、その時点での観察についての計算された面積を、すべての以前の観察についての計算された面積の累積合計に加算する。システムは、CCEMをメモリに格納し、および/または、ディスプレイ165にGUI400などのGUIにおけるCCEMを表示させるための命令を生成する。次いで、プロセスブロック655における処理が完了し、処理は判断ブロック660に進む。
【0107】
プロセスブロック660において、システムは、累積円筒誤差メトリック(CCEM)が閾値以下であるかどうかを判断する。一実施形態では、その時点での観察のためのCCEMが閾値テストを満たすかどうかの判断は、プロセスブロック325を参照して例示および記載されるように実行される。閾値テストの結果は、ターゲットデバイスの偽造ステータスを示す信号を生成するためにシステムによってメモリに格納されてもよく、および/または、システムによって用いられてもよい。CCEMが閾値(TRUE)以下である場合、判断ブロック660における処理が完了し、処理がプロセスブロック665に進む。CCEMが閾値(FALSE)よりも大きい場合、判断ブロック660における処理が完了し、処理がプロセスブロック670に進む。
【0108】
プロセスブロック665において、システムは、グラフィカルユーザインターフェイスに、ターゲットデバイス(テスト用ユニット)が真であると認証されているという表示をさせる。一実施形態では、システムは、プロセスブロック330を参照して例示および記載されるように、表示を生成し、表示を実行する。次いで、プロセスブロック665における処理が完了し、処理がプロセスブロック675に進む。
【0109】
プロセスブロック670において、システムは、グラフィカルユーザインターフェイスに、ターゲットデバイス(テスト用ユニット)が偽造されている可能性があるというアラームを表示させる。一実施形態では、システムは、プロセスブロック330を参照して例示および記載されるように、表示を生成し、表示を実行する。次いで、プロセスブロック670における処理が完了し、処理がプロセスブロック675に進む。
【0110】
プロセスブロック675において、システムは観察カウントをインクリメントする。一実施形態では、システムは、その時点での観察カウントに1を加算し、インクリメントされた観察カウントを後の参照用にメモリに格納する。なお、観察は等間隔であってもよく、秒、ミリ秒、または他の単位などの標準的な時間増分であってもよいが、そうである必要がないことに留意されたい。次いで、プロセスブロック675における処理が完了し、処理は判断ブロック625に戻る。
【0111】
その時点での観察カウントが総観察カウントを上回るようにインクリメントされるまで(判断ブロック625にてFALSE)、その時点での観察カウントが総観察カウント以下である(判断ブロック625にてTRUE)間、処理は判断ブロック625からプロセスブロック675まで繰返される。この時点で、処理は終了ブロック645に進み、そこで処理は終了する。
【0112】
方法600によって生成される項目の各々は、GUI400などのGUIにおける後の検索および表示のためにメモリに格納され得る。生成された項目は、ローカルデータストレージ150に格納され得るか、またはデータストア235にリモートに格納され得る。これらの項目は、
図4および
図5を参照して例示および記載されるようなGUIへの入力に応答して、表示のために取出されてもよい。
【0113】
-選択された利点-
一実施形態では、本明細書に記載の方法およびシステムは、偽造ユーティリティデバイスのための非常に効果的な検出ツールを提供する。適切に採用される場合、本明細書に記載の方法およびシステムは、ほぼ100%の時間でユーティリティデバイス内の偽造電子コンポーネントの存在を検出することができる。さらに、一実施形態では、ツールは、専門家以外の人にとっても使いやすい。ツールは、(i)サプライチェーンからのコンポーネントのユーティリティ承認テストに関与する人員、および(ii)入国時ならびに他の国境および多国間の境界において出荷されるシステムを検査することに関与する人員が、内部の偽造コンポーネントを含むユーティリティデバイスを迅速に識別するか、またはすべての真のコンポーネントを有するものとしてユーティリティデバイスを証明することができるように、自律的に正確な偽造の検出および識別を行なうことを可能にする。これらの人員は、本明細書に記載のシステムおよび方法の使用によりこれらの利点を受取るために、EMI放射、データ科学、機械学習、または偽造検出技術の専門家である必要はない。
【0114】
一実施形態では、本明細書に記載の方法およびシステムはさらに、法執行機関が、独自のEMI-KTフィンガープリントを用いて偽造ユーティリティデバイスの正確な構造、モデル、および/または実装を識別することを可能にし、サプライチェーンルートを通じて偽造ユーティリティデバイスをその供給源まで追跡することを可能にする。本明細書に記載のシステムおよび方法は、偽造品の供給業者特有の厳密な系統に関して持続的かつ絶対確実に識別することで、ユーティリティ電力デバイス内の内部偽造コンポーネントの正確かつ明白な識別を可能にする。EMI-KTフィンガープリントによるこのデータの相関関係は、データ分析が正確に、(i)サプライチェーン内の偽造デバイスの普及(特定の偽造問題の規模)を査定すること、ならびに、(ii)偽造デバイスおよびコンポーネントの系統をサプライチェーンを通じて遡って追跡して、偽造コンポーネントの供給者を識別し業務停止させることを可能にする。
【0115】
本明細書に記載の利点は、本明細書に記載の方法およびシステムによって、たとえば、EMI-KTフィンガープリントによって提供される高い感度によって達成される。本明細書に記載の方法およびシステムは、これまで人によって実施されたものではなく実施され得たものでもなく、したがって、人によって実現される既存のプロセスをコンピュータ化したものではない。
【0116】
-クラウドまたは企業の実施形態-
一実施形態では、本明細書に例示および記載されるクラウドアプリケーションインフラストラクチャ225および/または他のシステムは、企業組織のためのアプリケーションまたは分散型アプリケーションの集まりを含む、コンピューティング/データ処理システムである。アプリケーションおよびデータ処理システムは、クラウドベースのネットワーキングシステム、サービスとしてのソフトウェア(software as a service:SaaS)アーキテクチャ、または他のタイプのネットワーク化されたコンピューティングソリューションとともに動作するように構成されてもよく、またはそれらとして実現されてもよい。一実施形態では、クラウドコンピューティングシステムはサーバ側システムであって、本明細書に開示される機能のうちの1つ以上を提供し、コンピュータネットワークを介して(サーバとして機能する)クラウドコンピューティングシステムと通信するEMIフィンガープリント偽造スキャナ100または他のクライアントコンピューティングデバイスを介して多くのユーザによってアクセス可能である。
【0117】
-コンピューティングデバイスの実施形態-
図7は、本明細書に記載の例示的なシステムおよび方法、ならびに/または同等例のうちの1つ以上を用いて構成および/またはプログラムされる例示的なコンピューティングデバイス700を示す。例示的なコンピューティングデバイスは、バス725によって動作可能に接続されたプロセッサ710と、メモリ715と、入出力ポート720とを含むコンピュータ705であり得る。一例では、コンピュータ705は、
図1~
図6に示す論理およびシステムと同様のEMI周波数キビアット管を用いるユーティリティ電力システムにおける偽造コンポーネントの高感度な検出および識別を容易にするように構成された高感度EMIキビアット管偽造コンポーネント検出および識別論理730を含み得る。さまざまな例では、論理730は、ハードウェア、命令が格納された非一時的なコンピュータ可読媒体、ファームウェア、および/またはそれらの組合せで実現され得る。論理730は、バス725に取付けられたハードウェアコンポーネントとして示されているが、他の実施形態では、論理730が、プロセッサ710内に実現され得るか、メモリ715内に格納され得るか、またはディスク735内に格納され得ることが認識されるはずである。
【0118】
一実施形態では、論理730またはコンピュータは、説明される動作を実行するための手段(たとえば、構造:ハードウェア、非一時的なコンピュータ可読媒体、ファームウェア)である。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、クラウドコンピューティングシステムで動作するサーバ、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)アーキテクチャで構成されたサーバ、スマートフォン、ラップトップ、タブレットコンピューティングデバイスなどであり得る。
【0119】
当該手段は、たとえば、EMI周波数キビアット管を用いるユーティリティ電力システムにおける偽造コンポーネントの高感度な検出および識別のためにプログラムされたASICとして実現され得る。当該手段はまた、メモリ715に一時的に格納され、次いでプロセッサ710によって実行されるデータ740としてコンピュータ705に提示される格納されたコンピュータ実行可能命令として実現されてもよい。
【0120】
論理730はまた、EMI周波数キビアット管を用いるユーティリティ電力システムにおける偽造コンポーネントの高感度な検出および識別を実行するための手段(たとえば、ハードウェア、実行可能命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体、ファームウェア)を提供し得る。
【0121】
概して、コンピュータ705の例示的な構成を説明すると、プロセッサ710は、デュアルマイクロプロセッサおよび他のマルチプロセッサアーキテクチャを含む多種多様なプロセッサであってもよい。メモリ715は、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリを含み得る。不揮発性メモリは、たとえば、ROM、PROM等を含み得る。揮発性メモリは、たとえば、RAM、SRAM、DRAMなどを含み得る。
【0122】
ストレージディスク735は、たとえば、入出力(input/output:I/O)インターフェイス(たとえば、カード、デバイス)745および入出力ポート720を介してコンピュータ700に動作可能に接続され得る。ディスク735は、たとえば、磁気ディスクドライブ、ソリッドステートディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、テープドライブ、Zipドライブ、フラッシュメモリカード、メモリスティックなどであってよい。さらに、ディスク735は、CD-ROMドライブ、CD-Rドライブ、CD-RWドライブ、DVD ROM等であってもよい。メモリ715は、たとえば、プロセス750および/またはデータ740を格納することができる。ディスク735および/またはメモリ715は、コンピュータ705のリソースを制御および割当てるオペレーティングシステムを格納することができる。
【0123】
コンピュータ705は、I/Oインターフェイス745および入出力ポート720を介して入出力(I/O)デバイスと対話し得る。入出力デバイスは、たとえば、キーボード780、マイクロフォン784、ポインティングおよび選択デバイス782、カメラ786、ビデオカード、ディスプレイ770、スキャナ788、プリンタ772、スピーカ774、ディスク735、ネットワークデバイス755などであり得る。入出力ポート720は、たとえば、シリアルポート、パラレルポート、およびUSBポートを含み得る。入出力デバイスは、ソフトウェア定義による無線機790および関連するアンテナ792を含み得る。
【0124】
コンピュータ705は、ネットワーク環境において動作可能であり、したがって、I/Oインターフェイス745および/またはI/Oポート720を介してネットワークデバイス755に接続され得る。コンピュータ705は、ネットワークデバイス755を通じてネットワーク760と対話し得る。コンピュータ705は、ネットワーク760を通じてリモートコンピュータ765に論理的に接続され得る。コンピュータ705が対話し得るネットワークは、LAN、WAN、および他のネットワークを含むが、それらに限定されない。
【0125】
-定義および他の実施形態-
別の実施形態では、記載される方法および/またはそれらの同等例は、コンピュータ実行可能命令を用いて実現され得る。したがって、一実施形態では、非一時的なコンピュータ可読/記憶媒体は、マシンによって実行されると当該マシン(および/または関連するコンポーネント)に当該方法を実行させるアルゴリズム/実行可能アプリケーションのコンピュータ実行可能命令が格納されるように構成されている。例示的なマシンは、プロセッサ、コンピュータ、クラウドコンピューティングシステムで動作するサーバ、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)アーキテクチャで構成されたサーバ、スマートフォンなどを含むが、これらに限定されない。一実施形態では、コンピューティングデバイスは、開示された方法のいずれかを実行するように構成された1つ以上の実行可能アルゴリズムを用いて実現される。
【0126】
1つ以上の実施形態において、開示された方法またはそれらの同等例は、当該方法を実行するように構成されたコンピュータハードウェア、または、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されたモジュールにおいて具現化されるコンピュータ命令によって実行される。ここで、当該命令は、コンピューティングデバイスの少なくともプロセッサによって実行されると当該方法を実行するように構成された実行可能アルゴリズムとして構成されている。
【0127】
説明を簡潔にするために、図に示される例示的な方法は、アルゴリズムの一連のブロックとして図示および説明されるものであるが、当該方法がブロックの順序によって限定されないことを理解されたい。いくつかのブロックは、図示および説明されたものとは異なる順序で、および/または他のブロックと同時に行なわれてもよい。さらに、例示的な方法を実現するために、例示されたすべてのブロックよりも少ないブロックが用いられてもよい。ブロックは、組合わされるか、または複数のアクション/コンポーネントに分離されてもよい。さらに、付加的および/または代替的な方法は、ブロックには示されない追加のアクションを用いることができる。
【0128】
以下は、本明細書中で用いられる選択された用語の定義を含む。定義は、用語の範囲内にあるとともに実装のために用いられ得るコンポーネントのさまざまな例および/または形態を含む。これらの例は、限定するよう意図されたものではない。用語の単数形および複数形はともに、定義の範囲内であり得る。
【0129】
「一実施形態」、「或る実施形態」、「一例」、「或る例」などと言及する場合、それらは、そのように記載される実施形態または例が、特定の特徴、構造、特性、性質、要素または限定を含み得るが、すべての実施形態または例が必ずしもその特定の特徴、構造、特性、性質、要素または限定を含むわけではないことを示している。さらに、「一実施形態においては」という表現を繰返し用いる場合、必ずしも同じ実施形態を指すわけではないが、同じ実施形態である可能性もあるが、以下を含み得る。
【0130】
ASIC:特定用途向け集積回路
CD:コンパクトディスク
CD-R:記録可能なCD
CD-RW:書き換え可能なCD
DVD:デジタル多用途ディスクおよび/またはデジタルビデオディスク
LAN:ローカルエリアネットワーク
RAM:ランダムアクセスメモリ
DRAM:ダイナミックRAM
SRAM:同期RAM
ROM:読出し専用メモリ
PROM:プログラマブルROM
EPROM:消去可能PROM
EEPROM:電気的に消去可能なPROM
USB:ユニバーサルシリアルバス
XML:拡張マークアップ言語
WAN:広域ネットワーク
本明細書で用いられる「データ構造」は、メモリ、ストレージデバイス、または他のコンピュータ化されたシステムに格納されるコンピューティングシステム内のデータの構成である。データ構造は、たとえば、データフィールド、データファイル、データ配列、データ記録、データベース、データテーブル、グラフ、ツリー、リンクされたリストなどのいずれか1つであってもよい。データ構造は、他の多くのデータ構造から形成され得るとともに、それらを含み得る(たとえば、データベースは多くのデータ記録を含む)。他の実施形態によれば、データ構造の他の例も同様に実現可能である。
【0131】
本明細書中で用いられる「コンピュータ可読媒体」または「コンピュータ記憶媒体」は、実行されたときに、開示される機能のうちの1つ以上を実行するように構成された命令および/またはデータを格納する非一時的な媒体を指す。データは、いくつかの実施形態においては、命令として機能し得る。コンピュータ可読媒体は、不揮発性媒体および揮発性媒体を含む形態を取り得るが、これらに限定されない。不揮発性媒体は、たとえば、光ディスク、磁気ディスクなどを含み得る。揮発性媒体は、たとえば、半導体メモリ、ダイナミックメモリなどを含み得る。コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス、コンパクトディスク(compact disk:CD)、他の光媒体、ランダムアクセスメモリ(random access memory:RAM)、読取り専用メモリ(read only memory:ROM)、メモリチップまたはカード、メモリスティック、ソリッドステートストレージデバイス(solid state storage device:SSD)、フラッシュドライブ、および、コンピュータ、プロセッサまたは他の電子デバイスが機能することができる他の媒体を含み得るが、これらに限定されない。一実施形態において実装のために選択される場合、媒体の各タイプは、開示されるおよび/または請求される機能のうちの1つ以上を実行するように構成されたアルゴリズムの格納命令を含み得る。
【0132】
本明細書で用いられる「論理」は、本明細書で開示した機能もしくはアクションのいずれかを実行するために、ならびに/または、本明細書で開示した別の論理、方法および/もしくはシステムからの機能もしくはアクションを実行させるために、コンピュータもしくは電気ハードウェア、実行可能なアプリケーションもしくはプログラムモジュールの命令が格納された非一時的な媒体、および/または、これらの組合わせで実現されるコンポーネントを表わす。同等の論理は、ファームウェア、アルゴリズムでプログラムされたマイクロプロセッサ、個別論理(たとえばASIC)、少なくとも1つの回路、アナログ回路、デジタル回路、プログラムされた論理デバイス、アルゴリズムの命令を含むメモリデバイス等を含み得るが、これらのうちのいずれかは、開示された機能のうちの1つ以上を実行するように構成され得る。一実施形態においては、論理は、1つ以上のゲート、ゲートの組合わせ、または開示された機能のうちの1つ以上を実行するように構成された他の回路部品を含み得る。複数の論理が説明される場合、複数の論理を1つの論理に組み込むことが可能であり得る。同様に、単一の論理が説明される場合、その単一の論理を複数の論理間で分配することが可能であり得る。一実施形態においては、これらの論理のうちの1つ以上は、開示および/または請求される機能を実行することに関連する対応する構造である。どのタイプの論理を実装するかの選択は、所望のシステム条件または仕様に基づき得る。たとえば、より高い速度が考慮事項である場合、機能を実現するためにハードウェアが選択されることとなるだろう。より低いコストが考慮事項である場合、機能を実現するために、格納された命令/実行可能アプリケーションが選択されることとなるだろう。
【0133】
「動作可能な接続」、またはエンティティが「動作可能に接続される」接続は、信号、物理的通信および/または論理通信が送信および/または受信され得る接続である。動作可能な接続は、物理的インターフェイス、電気的インターフェイスおよび/またはデータインターフェイスを含み得る。動作可能な接続は、動作可能な制御を可能にするのに十分なインターフェイスおよび/または接続のさまざまな組合わせを含み得る。たとえば、2つのエンティティは、信号を互いに直接または1つ以上の中間エンティティ(たとえば、プロセッサ、オペレーティングシステム、論理、非一時的なコンピュータ可読媒体)を介して通信するように動作可能に接続することができる。論理通信チャネルおよび/または物理通信チャネルを用いて、動作可能な接続を作成することができる。
【0134】
本明細書で用いられる「ユーザ」は、1以上の人、コンピュータまたは他のデバイス、またはこれらの組合わせを含むが、これらに限定されない。
【0135】
開示された実施形態をかなり詳細に図示および説明してきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限するかまたは何らかの形で限定することは意図していない。当然、主題のさまざまな局面を説明する目的で、構成要素または方法論の考えられ得るすべての組合わせを説明することは不可能である。したがって、本開示は、図示および説明される特定の詳細または具体的な例に限定されない。このため、本開示は、添付の特許請求の範囲内に収まる変更、修正および変形を包含するよう意図されたものである。
【0136】
「含む」(includes)または(including)という語が詳細な説明または請求項で採用される限りにおいて、この語が請求項の中で移行語として利用される際に解釈されるとおりに、「備える」(comprising)という語と同様に包括的であることが意図される。
【0137】
「または」という語が詳細な説明または請求項で使用される(たとえば、AまたはB)限りにおいて、「AまたはBまたはそれら両方」を意味することが意図される。出願人が「AまたはBのみであり、両方ではない」ことを示すことを意図する場合、「AまたはBのみであり、両方ではない」という表現が使用されるだろう。したがって、本明細書における「または」という語の使用は包括的な使用であり、排他的な使用ではない。
【国際調査報告】