(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】有効性及び美観が強化された硫黄含有フケ防止組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/23 20060101AFI20230405BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20230405BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230405BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20230405BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230405BHJP
A61K 8/88 20060101ALI20230405BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20230405BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230405BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230405BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
A61K8/23
A61K8/39
A61K8/86
A61K8/31
A61K8/81
A61K8/88
A61K8/46
A61K8/44
A61K8/37
A61K8/55
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550668
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 US2020063224
(87)【国際公開番号】W WO2021173203
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック スコット ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン スコット レーン
(72)【発明者】
【氏名】サマンス ナラハリ ジャマダグニ
(72)【発明者】
【氏名】アンバー ジョイ イヤリー
(72)【発明者】
【氏名】マルコ カジオニ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB102
4C083AB111
4C083AB112
4C083AB211
4C083AB332
4C083AC152
4C083AC302
4C083AC311
4C083AC312
4C083AC331
4C083AC392
4C083AC581
4C083AC642
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC771
4C083AC781
4C083AC782
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC901
4C083AD071
4C083AD091
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD352
4C083AD631
4C083BB01
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB07
4C083BB12
4C083BB23
4C083BB26
4C083CC01
4C083CC38
4C083DD41
4C083EE23
(57)【要約】
本発明は、約10%~約25%の1つ以上の界面活性剤と、約0.1%~10%の、約5μm~約150μmの平均粒径(D50)を有する硫黄と、約0.05%~約10%の1つ以上の安定化ポリマーと、約0.01%~約4%の懸濁ワックスと、を含む、パーソナルケア組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)10%~25%の1つ以上の界面活性剤、好ましくは10%~18%の1つ以上の界面活性剤、好ましくは10%~14%の1つ以上の界面活性剤と、
b)0.1%~10%の硫黄、好ましくは0.25%~8%の硫黄、好ましくは0.5~6%の硫黄であって、
c)5μm~150μmの平均粒径(D50)、好ましくは10μm~100μmの平均粒径(D50)、好ましくは15μm~75μmの平均粒径(D50)、好ましくは20μm~50μmの平均粒径(D50)を有する、硫黄と、
(d)0.05%~10%、好ましくは0.4%~8%、好ましくは0.7%~5%の1つ以上の安定化ポリマーと、
(e)0.01%~4%、好ましくは0.1%~3%の懸濁ワックスと、を含む、パーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記1つ以上の安定化ポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸又は他の関連誘導体に基づくホモポリマー、アルカリ膨潤性及び疎水変性アルカリ膨潤性アクリルコポリマー又はメタクリレートコポリマー、可溶性架橋アクリルポリマー、会合性ポリマー増粘剤及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、前記1つ以上の安定化ポリマーが、アクリルアミド/アンモニウムアクリレートコポリマー(及び)ポリイソブテン(及び)ポリソルベート20;アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリレートコポリマー、アクリレートクロスポリマー-4、アクリレートクロスポリマー-3、アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー、アクリレート/C10~C30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/ステアレス-20イタコネートコポリマー、ポリアクリル酸アンモニウム/イソヘキサデカン/PEG-40ヒマシ油;カルボマー、カルボマーナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミド/C13~14イソパラフィン/ラウレス-7、ポリアクリレート13/ポリイソブテン/ポリソルベート20、ポリアクリレートクロスポリマー-6、ポリアミド-3、ポリクオタニウム-37(及び)水素化ポリデセン(及び)トリデセス-6、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/アクリル酸コポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウレート/ジメチルアクリルアミド、クロスポリマー(及び)イソヘキサデカン(及び)ポリソルベート60、ポリアクリル酸ナトリウム、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項3】
前記硫黄が、30マイクロメートル(μm)~250マイクロメートル(μm)の平均粒径(D90)を有する、好ましくは、前記硫黄が、30マイクロメートル(μm)~100マイクロメートル(μm)の平均粒径(D90)を有する、請求項1又は2に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項4】
前記硫黄が、1マイクロメートル(μm)~25マイクロメートル(μm)の平均粒径(D10)を有する、好ましくは、前記硫黄が、18マイクロメートル(μm)~25マイクロメートル(μm)の平均粒径(D10)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項5】
前記硫黄が、3~100の平均粒径D(90)/平均粒径D(10)比を有する、好ましくは、前記硫黄が、3~50の平均粒径D(90)/平均粒径D(10)比を有する、好ましくは、前記硫黄が、3~10の平均粒径D(90)/平均粒径D(10)比を有する、好ましくは、前記硫黄が、3~4の平均粒径D(90)/平均粒径D(10)比を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項6】
前記懸濁ワックスが、6~22、12~18の炭素原子を含む脂肪酸、カプロン酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール又はテトラエチレングリコールとのモノエステル及び/又はジエステル、エチレングリコールモノステアレート(EGMS)及び/又はエチレングリコールジステアレート(EGDS)及び/又はポリエチレングリコールモノステアレート(PGMS)及び/又はポリエチレングリコールジステアレート(PGDS)、トリヒドロキシステアリン、ジヒドロキシステアリン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤の組み合わせであり、好ましくは、前記界面活性剤が、直鎖状又は分岐状アルキル鎖を有するアニオン性アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェート、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤であり、好ましくは、前記界面活性剤が、
a)R
1O(CH
2CHR
3O)
ySO
3M、
b)CH
3(CH
2)
zCHR
2CH
2O(CH
2CHR
3O)
ySO
3M、及び
c)これらの混合物
[式中、R
1は、CH
3(CH
2)
10を表し、R
2は、H、又はz及びR
2における炭素原子の合計が8であるように1~4個の炭素原子を含む炭化水素基を表し、R
3は、H、又はCH
3であり、yは、0~7であり、yがゼロ(0)でないときyの平均値は1であり、Mは、一価又は二価の正電荷のカチオンである]からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤である、請求項1~6のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤が、イセチオネートのナトリウム塩、アンモニウム塩又はカリウム塩;スルホネートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;エーテルスルホネートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;スルホスクシネートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;スルホアセテートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;グリシネートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;サルコシネートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;グルタメートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;アラニネートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;カルボキシレートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;タウレートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;ホスフェートエステルのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、1つ以上のサルフェートを含まない界面活性剤である、請求項1~7のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項9】
0.25%~15%の1つ以上の両性、非イオン性又は双性イオン性共界面活性剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項10】
前記組成物のpHが、4~9、好ましくは4.5~6.5、好ましくは5~6、好ましくは4~5である、請求項1~9のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項11】
前記組成物がカチオン性ポリマーを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項12】
前記組成物がゲルネットワークを更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項13】
前記組成物がコンディショニング剤を更に含み、好ましくは前記コンディショニング剤がシリコーンである、請求項1~12のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項14】
1つ以上の頭皮用健康剤を更に含み、好ましくは、前記頭皮用健康剤が、ジンクピリチオン、サリチル酸、ピロクトンオラミン、アゾキシストロビン、クリンバゾール、ナイアシンアミド、メントール及び/乳酸メチル、並びにこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、前記頭皮用健康剤が、ジンクピリチオンであり、好ましくは、前記頭皮用健康剤が、サリチル酸であり、好ましくは、前記頭皮用健康剤が、メントール及び/又は乳酸メンチルである、請求項1~13のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項15】
0.5%~7%の香料を更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より大きな粒子の硫黄を添加することで、固有の硫黄悪臭感を最小限に抑えながら、強い有効性をもたらすことが驚くべきことに見出されたパーソナルケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フケ防止シャンプーの分野における従来の見識では、粒子状のフケ防止(AD)活性物質から最大限有効な効果を得るには、粒径を小さくし、頭皮に最大限付着させることが関係するとされてきた。従来の理解では驚くべきことに、本発明者らは、硫黄を扱うと、その逆が当てはまることを見出した。本発明は、硫黄の皮脂への溶解度が高くなるため(ジンクピリチオンのような一般的なAD活性物質と比較すると数桁)、粒径を大きくして頭皮上の表面積を小さくすると、最小発育阻止濃度(MIC)未満に素早く溶解して希釈される、より小さい粒子と比較して、頭皮上での活性物質の共鳴時間が著しく長くなることを確認した。シミュレーション及びモデリングの演習による更なる分析では、粒径が大きくなりすぎて、有効性に必要な用量に決して達しない点まで溶解度を低下させる応答逓減の点もあることを示唆している。この理解により、本発明は、目標とするサイズ範囲の粒子を用いて、より小さな粒子と付着量の増加で達成できる付着量よりも低い付着量で、本発明者らのAD製品の有効性の効率を最大化することができた。
【0003】
より大きな粒子にすることで得られるADの有効な効果に加え、硫黄含有製品に関連する悪臭の低減により、消費者の製品受容性にも直接的な相関がある。これらの悪臭は、硫黄が皮膚中の特定の化学部位と相互作用して、硫化水素及びメチルメルカプタンのような強い臭いのある化合物を生成するときに形成される。粒径を大きくした硫黄を使用して、有効な投与量を維持しながら、皮膚に付着する硫黄の量を最小限に抑えることにより、臨床性能と美容上の受容性とのトレードオフを大幅に軽減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
硫黄活性物質の粒径を大きくすることが望まれるが、仕上げた製品の保存安定性が損なわれるという形で新たな技術的ジレンマが生じる。粒径のより大きな硫黄を用いた初期の配合は、有効ではあるものの、物理的に不安定で、硫黄粒子がin-situで大きく沈降してしまうことが判明している。この問題を解決するための調査は、安定化成分の相補的な組み合わせにより、物理的な保存安定性だけでなく、美容的に受け入れられ、大規模に処理可能な製品を得ることができることを示した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、約10%~約25%の1つ以上の界面活性剤と、約0.1%~10%の、約5μm~約150μmの平均粒径(D50)を有する硫黄と、約0.05%~約10%の1つ以上の安定化ポリマーと、約0.01%~約4%の懸濁ワックスと、を含む、パーソナルケア組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】溶解及び拡散モデルを用いた2マイクロメートル(μm)硫黄粒径シミュレーションである。
【
図2】溶解及び拡散モデルを用いた34マイクロメートル(μm)の硫黄粒径シミュレーションである。
【
図3】溶解及び拡散モデルを用いた100マイクロメートル(μm)の硫黄粒径シミュレーションである。
【
図4】溶解及び拡散モデルを用いた150マイクロメートル(μm)の硫黄粒径シミュレーションである。
【
図5】40℃で均質化した後、置いてから16.434時間後の試料Aの写真である。
【
図6】40℃で均質化した後、置いてから16.102時間後の試料Cの写真である。
【
図7】同様のトンネリング不良モードの概略図である。
【
図8】40℃の温度で均質化した後、置いてから110.5日後の試料Dの写真である。
【
図9】40℃の温度で均質化した後、置いてから110日後の試料Bの写真である。
【
図10】5%の硫黄粒子(SP)が正味の下向きの力を与え、シリコーン液滴(SD)がより小さな正味の上向きの力を与えている様子の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
特に指定がない限り、本明細書において使用する全ての百分率及び比率は、組成物全体の重量基準である。特に指定がない限り、全ての測定は周囲条件で実施されるものと理解され、「周囲条件」とは、約25℃、約1気圧下、及び相対湿度約50%における条件を意味する。全ての数値範囲は、より狭い範囲を含む。記述された上下の範囲限界は組み合わせ可能であり、明示的に記述されていない更なる範囲を作る。
【0008】
本発明の組成物は、本明細書に記載の必須成分及び任意成分を含む、それらから本質的になる、又はそれらからなることができる。本明細書で使用するとき、「~から本質的になる」とは、組成物又は構成成分が、追加成分を含み得るが、追加成分が、特許請求される組成物又は方法の基本的及び新規な特性を実質的に変えない場合に限ることを意味する。
【0009】
組成物に関連して使用される「塗布する」又は「塗布」とは、本発明の組成物を毛髪などの角質組織上に塗布する又は広げることを意味する。
【0010】
「皮膚科学的に許容可能な」とは、記載される組成物又は構成成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを伴わずに、ヒトの皮膚組織と接触させて使用するのに好適であることを意味する。
【0011】
「安全かつ有効な量」とは、有益な効果を有意に誘導するのに十分な化合物又は組成物の量を意味する。
【0012】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、かつ明確に特許請求する、「特許請求の範囲」をもって結論とするが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「流体」は、液体及びゲルを含む。
【0014】
本明細書で使用するとき、「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求の範囲で使用する場合、特許請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味するものと理解される。
【0015】
本明細書で使用するとき、「含む」とは、最終結果に影響を及ぼさない他の工程/ステップ及び他の成分を加えることができることを意味する。この用語には、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語が包含される。
【0016】
本明細書で使用するとき、「混合物」は、材料の単純な組み合わせ、及びそのような組み合わせから得ることができる任意の化合物を含むことを意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、「分子量(molecular weight又はMolecular weight)」は、特に記述のない限り、重量平均分子量を指す。分子量は、業界標準法であるゲル浸透クロマトグラフィ(gel permeation chromatography、「GPC」)を使用して測定される。
【0018】
量の範囲が記載される場合、これらは組成物中の当該成分の総量であり、又は成分定義の範囲に1種より多くが当てはまる場合、組成物中の、その定義に適合する全ての成分の総量であると理解されるべきである。
【0019】
例えば、組成物が1%~5%の脂肪族アルコールを含む場合、2%のステアリルアルコール及び1%のセチルアルコールを含み、かつ他の脂肪族アルコールは含まない組成物は、この範囲に収まるであろう。
【0020】
以下に記載される特定の各成分、又はそれらの混合物の量は、ヘアケア組成物中の1種又は複数の成分の総量の100%まで(又は100%)を占めることができる。
【0021】
本明細書で使用するとき、「パーソナルケア組成物」には、シャンプー、シャワージェル、液体手洗い剤、染毛剤、洗顔料、及び他の界面活性剤系液体組成物等の製品が挙げられる。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「含む(include、includes、及びincluding)」は非限定的であることを意味し、それぞれ「含む(comprise、comprises、及びcomprising)」を意味すると理解される。
【0023】
全ての百分率、部及び比率は、別途指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。全てのこのような重量は、列挙された成分に関する場合、活性成分濃度に基づいており、したがって市販材料に含まれ得るキャリア又は副生成物を含まない。
【0024】
別段の注記がない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような成分又は組成物の市販の供給源に存在する場合のある不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0025】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、このようなより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、それよりも大きい全ての数値限定を、かかるより大きい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれる、より狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0026】
硫黄
本発明のパーソナルケア組成物は、硫黄を含み得る。本明細書で使用するのに適した硫黄は、任意の形態の元素状硫黄であり得る。硫黄は室温では主に斜方晶として存在する。元素状硫黄を取得する最も一般的な2つの方法には、1つの経路でサワーガス中の混入物質から生じる硫化水素からクラウス法で沈殿させる方法と、フラッシュ法として知られる過熱水を用いて地下鉱床を採掘する方法とがある。単斜晶系の結晶性硫黄、オリゴマー硫黄又はポリマー硫黄など、他の形態の硫黄は、特定の高温域で元素状硫黄がとる通常の一次形態である。室温では、これらの形態は斜方晶の硫黄に変換するか、又は戻る。元素形態の硫黄は、アラビアガム、粘土、ワックス、油、活性炭、ゼオライト、シリカなどの保護コロイドや、界面活性剤などの分散剤と物理的に混合された硫黄であってもよく、その粒径やその他の物理特性を変更する加工工程を経た硫黄であってもよい。硫黄は、ペレット、ケーキ、プリル、コロイド状、微粉化、昇華、沈殿、市販の粉末など、様々な形態で市販されている。
【0027】
硫黄は、約30マイクロメートル(μm)~約250マイクロメートル(μm)の粒子の90%(D90)である粒径分布を有し得る。硫黄は、D90が約30マイクロメートル(μm)~約200マイクロメートル(μm)である粒径分布を有し得る。硫黄は、D90が約30マイクロメートル(μm)~約150マイクロメートル(μm)である粒径分布を有し得る。硫黄は、D90が約30マイクロメートル(μm)~約100マイクロメートル(μm)である粒径分布を有し得る。
【0028】
硫黄は、粒子の50%(D50)が約5マイクロメートル(μm)~約150マイクロメートル(μm)である粒径分布を有し得る。硫黄は、D50が約10マイクロメートル(μm)~約100マイクロメートル(μm)である粒径分布を有し得る。硫黄は、D50が約15マイクロメートル(μm)~約75マイクロメートル(μm)である粒径分布を有し得る。硫黄は、D50が約20マイクロメートル(μm)~約50マイクロメートル(μm)である粒径分布を有し得る。
【0029】
硫黄は、粒子の10%(D10)が約1マイクロメートル(μm)~約25マイクロメートル(μm)である粒径分布を有し得る。硫黄は、D10が5マイクロメートル(μm)~約25マイクロメートル(μm)である粒径分布を有し得る。硫黄は、D10が約10マイクロメートル(μm)~約25マイクロメートル(μm)である粒径分布を有し得る。硫黄は、D10が約18マイクロメートル(μm)~約25マイクロメートル(μm)である粒径分布を有し得る。
【0030】
硫黄は、D(90)/D(10)比が約3~約100で存在し得る。硫黄は、D(90)/D(10)比が約3~約50で存在し得る。硫黄は、D(90)/D(10)比が約3~約10で存在し得る。硫黄は、D(90)/D(10)比が約3~約4で存在し得る。
【0031】
硫黄は、約0.01%~10%、約0.1%~約9%、約0.25%~8%、約0.5%~6%の量で存在し得る。
【0032】
洗浄性界面活性剤
ヘアケア組成物は、組成物に洗浄性能を提供する約10重量%超の界面活性剤系を含んでよく、組成物に洗浄性能を提供する約12重量%超の界面活性剤系であってよい。界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、並びに/又はアニオン性界面活性剤の組み合わせ、並びに/又はアニオン性界面活性剤と両性、双性イオン性、非イオン性及びこれらの混合物からなる群から選択される共界面活性剤との組み合わせを含む。洗浄性界面活性剤の様々な例及び説明が、米国特許第8,440,605号、米国特許出願公開第2009/155383号、及び米国特許出願公開第2009/0221463号に記載されており、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
ヘアケア組成物は、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約18重量%、約10重量%~約14重量%、約10重量%~約12重量%、約11重量%~約20重量%、約12重量%~約20重量%、及び/又は約12重量%~約18重量%の1つ以上の界面活性剤を含んでいてよい。
【0034】
本組成物における使用に好適なアニオン性界面活性剤は、アルキル及びアルキルエーテルサルフェートである。その他の好適なアニオン性界面活性剤は、有機の硫酸反応生成物の水溶性塩である。更に他の好適なアニオン性界面活性剤は、イセチオン酸でエステル化され水酸化ナトリウムで中和された脂肪酸の反応生成物である。他の同様のアニオン性界面活性剤は、米国特許第2,486,921号、同第2,486,922号、及び同第2,396,278号に記載されており、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0035】
ヘアケア組成物において使用される例示的なアニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、C10~15パレス硫酸アンモニウム、C10~15アルキル硫酸アンモニウム、C11~15アルキル硫酸アンモニウム、デシル硫酸アンモニウム、デセス硫酸アンモニウム、ウンデシル硫酸アンモニウム、ウンデセス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリン酸モノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、C10~15パレス硫酸ナトリウム、C10~15アルキル硫酸ナトリウム、C11~15アルキル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、デセス硫酸ナトリウム、ウンデシル硫酸ナトリウム、ウンデセス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、C10~15パレス硫酸カリウム、C10~15アルキル硫酸カリウム、C11~15アルキル硫酸カリウム、デシル硫酸カリウム、デセス硫酸カリウム、ウンデシル硫酸カリウム、ウンデセス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム及びこれらの組み合わせが挙げられる。アニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム又はラウレス硫酸ナトリウムであり得る。
【0036】
本発明の組成物はまた、
a)R1O(CH2CHR3O)ySO3M、
b)CH3(CH2)zCHR2CH2O(CH2CHR3O)ySO3M、及び
c)これらの混合物
[式中、R1は、CH3(CH2)10を表し、R2は、H、又はz及びR2における炭素原子の合計が8となるように1~4個の炭素原子を含む炭化水素基を表し、R3は、H又はCH3であり、yは0~7であり、yがゼロ(0)でないときyの平均値は約1であり、Mは、一価又は二価の正電荷カチオンである]からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤を含んでよい。
【0037】
好適なアニオン性アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェート界面活性剤としては、ガーベットアルコール、アルドール縮合誘導アルコール、オキソアルコール、F-Tオキソアルコール及びこれらの混合物からなる群から選択され得るC8~C18分岐状アルコールから合成される分岐状アルキル鎖を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。2-アルキル分岐状アルコールの非限定的な例としては、2-メチル-1-ウンデカノール、2-エチル-1-デカノール、2-プロピル-1-ノナノール、2-ブチル1-オクタノール、2-メチル-1-ドデカノール、2-エチル-1-ウンデカノール、2-プロピル-1-デカノール、2-ブチル-1-ノナノール、2-ペンチル-1-オクタノール、2-ペンチル-1-ヘプタノール、並びに商標名LIAL(登録商標)(Sasol)、ISALCHEM(登録商標)(Sasol)、及びNEODOL(登録商標)(Shell)で販売されるものなどのオキソアルコール、並びに2-エチル-1-ヘキサノール、2-プロピル-1-ブタノール、2-ブチル-1-オクタノール、2-ブチル-1-デカノール、2-ペンチル-1-ノナノール、2-ヘキシル-1-オクタノール、2-ヘキシル-1-デカノール、並びに商標名ISOFOL(登録商標)(Sasol)で販売されるもの、又は商標名LUTENSOL XP(登録商標)(BASF)及びLUTENSOL XL(登録商標)(BASF)でアルコールエトキシレート及びアルコキシレートとして販売されるものなどのガーベット及びアルドール縮合誘導アルコールが挙げられる。
【0038】
アニオン性アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートとしてはまた、商標名EXXAL(商標)(Exxon)及びMarlipal(登録商標)(Sasol)で販売されているブチレン又はプロピレンから誘導されるC8~C18分岐状アルコールから合成されるものを挙げることができる。これは、トリデセス-n硫酸ナトリウム(STnS)の亜分類のアニオン性界面活性剤を含み、nは、約0.5~約3.5である。この亜分類の例示的な界面活性剤は、トリデセス-2硫酸ナトリウム及びトリデセス-3硫酸ナトリウムである。本発明の組成物は、トリデシル硫酸ナトリウムも含み得る。
【0039】
本発明の組成物は更に、アニオン性アルキル及びアルキルエーテルスルホスクシネート、並びに/又はジアルキル及びジアルキルエーテルスルホスクシネート並びにこれらの混合物を含むことができる。ジアルキル及びジアルキルエーテルスルホスクシネートは、C6~15直鎖又は分岐状ジアルキル又はジアルキルエーテルスルホスクシネートであってよい。アルキル部分は、対称(すなわち、同じアルキル部分)であっても非対称(すなわち、異なるアルキル部分)であってもよい。非限定的な例としては、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウレススルホコハク酸二ナトリウム、ビストリデシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジシクロヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジアミルスルホコハク酸ナトリウム、ジイソブチルスルホコハク酸ナトリウム、直鎖ビス(トリデシル)スルホコハク酸塩及びこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
サルフェートを実質的に含まない好適な界面活性剤としては、イセチオネートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;スルホネートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;エーテルスルホネートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;スルホスクシネートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;スルホアセテートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;グリシネートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;サルコシネートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;グルタメートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;アラニネートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;カルボキシレートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;タウレートのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;ホスフェートエステルのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカリウム塩;及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0041】
本明細書で使用するとき、サルフェート系界面活性剤を「実質的に含まない」とは、サルフェートを、約0重量%~約3重量%、あるいは約0重量%~約2重量%、あるいは約0重量%~約1重量%、あるいは約0重量%~約0.5重量%、あるいは約0重量%~約0.25重量%、あるいは約0重量%~約0.1重量%、あるいは約0重量%~約0.05重量%、あるいは約0重量%~約0.01重量%、あるいは約0重量%~約0.001重量%含み、かつ/又は、代替的にはサルフェートを含まないことを意味する。本明細書で使用するとき、「含まない」は0重量%を意味する。
【0042】
ヘアケア組成物は、共界面活性剤を含んでもよい。共界面活性剤は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。共界面活性剤としては、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、コカミドモノエタノールアミド、及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0043】
ヘアケア組成物は、約0.25重量%~約15重量%、約1重量%~約14重量%、約2重量%~約13重量%の1つ以上の両性、双性イオン性、非イオン性共界面活性剤又はこれらの混合物を更に含んでもよい。
【0044】
本明細書のヘアケア組成物での使用に好適な両性又は双性イオン性の界面活性剤としては、シャンプー又はその他のヘアケアクレンジングでの使用に公知のものが挙げられる。好適な双性イオン性又は両性の界面活性剤の非限定的な例が、米国特許第5,104,646号及び同第5,106,609号に記載されており、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
組成物での使用に好適な両性共界面活性剤としては、脂肪族基が直鎖状又は分岐状であることができる脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として説明され、脂肪族置換基のうちの1つは約8~約18個の炭素原子を含有し、1つはカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートなどのアニオン性基を含有する、界面活性剤が挙げられる。好適な両性界面活性剤としては、コカミノプロピオン酸ナトリウム、コカミノジプロピオン酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ二酢酸ナトリウム、ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、ココアンホプロピオン酸ナトリウム、コーンアンホプロピオン酸ナトリウム、ラウラミノプロピオン酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸ナトリウム、ラウロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、ラウロアンホプロピオン酸ナトリウム、コーンアンホプロピオン酸ナトリウム、ラウリミノジプロピオン酸ナトリウム、コカミノプロピオン酸アンモニウム、コカミノジプロピオン酸アンモニウム、ココアンホ酢酸アンモニウム、ココアンホ二酢酸アンモニウム、ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸アンモニウム、ココアンホプロピオン酸アンモニウム、コーンアンホプロピオン酸アンモニウム、ラウラミノプロピオン酸アンモニウム、ラウロアンホ酢酸アンモニウム、ラウロアンホ二酢酸アンモニウム、ラウロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸アンモニウム、ラウロアンホプロピオン酸アンモニウム、コーンアンホプロピオン酸アンモニウム、ラウリミノジプロピオン酸アンモニウム、コカミノプロピオン酸トリエタノールアミン、コカミノジプロピオン酸トリエタノールアミン、ココアンホ酢酸トリエタノールアミン、ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸トリエタノールアミン、ココアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、コーンアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、ラウラミノプロピオン酸トリエタノールアミン、ラウロアンホ酢酸トリエタノールアミン、ラウロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸トリエタノールアミン、ラウロアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、コーンアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、ラウリミノジプロピオン酸トリエタノールアミン、ココアンホジプロピオン酸、カプロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホジプロピオン酸二ナトリウム(disodium capryloamphodipriopionate)、ココアンホカルボキシエチルヒドロキシプロピルスルホン酸二ナトリウム、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ジカルボキシエチルココプロピレンジアミン二ナトリウム、ラウレス-5カルボキシアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウリミノジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、オレオアンホジプロピオン酸二ナトリウム、PPG-2-イソデセチル-7カルボキシアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウラミノプロピオン酸、ラウロアンホジプロピオン酸、ラウリルアミノプロピルグリシン、ラウリルジエチレンジアミノグリシン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
本組成物は、双性イオン性共界面活性剤を含んでもよく、この双性イオン性界面活性剤は、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体であり、脂肪族基は直鎖状又は分岐状であってよく、脂肪族置換基のうちの1つは約8~約18個の炭素原子を含有し、1つはカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートなどのアニオン性基を含有する。双性イオン性界面活性剤は、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルジメチルアミノヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、コカミドプロピルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココベタインアミドアンホプロピオネート、ココ-ベタイン、ココ-ヒドロキシスルタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココ-スルタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルスルタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0047】
本発明での使用に好適な非イオン性界面活性剤としては、McCutcheion’s Detergents and Emulsifiers,North American edition(1986年)、Allured Publishing Corp.、及びMcCutcheion’s Functional Materials,North American edition(1992年)に記載されているものが挙げられる。本発明のパーソナルケア組成物での使用に好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化アルキルフェノール、ポリオキシエチレン化アルコール、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルカン酸のグリセリルエステル、アルカン酸のポリグリセリルエステル、アルカン酸のプロピレングリコールエステル、アルカン酸のソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレン化ソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン化アルカン酸、アルカノールアミド、N-アルキルピロリドン、アルキルグリコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルアミンオキシド、及びポリオキシエチレン化シリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
共界面活性剤は、コカミド、コカミドメチルMEA、コカミドDEA、コカミドMEA、コカミドMIPA、ラウラミドDEA、ラウラミドMEA、ラウラミドMIPA、ミリスタミドDEA、ミリスタミドMEA、PEG-20コカミドMEA、PEG-2コカミド、PEG-3コカミド、PEG-4コカミド、PEG-5コカミド、PEG-6コカミド、PEG-7コカミド、PEG-3ラウラミド、PEG-5ラウラミド、PEG-3オレアミド、PPG-2コカミド、PPG-2ヒドロキシエチルコカミド、PPG-2ヒドロキシエチルイソステアラミド及びこれらの混合物を含むアルカノールアミドの群から選択される非イオン性界面活性剤であることができる。
【0049】
代表的なポリオキシエチレン化アルコールには、C9~C16の範囲であり約1~約110個のアルコキシ基を有するアルキル鎖が含まれ、それには、ラウレス-3、ラウレス-23、セテス-10、ステアレス-10、ステアレス-100、べへネス-10、及びShell Chemicals(Houston,Texas)から商標名Neodol(登録商標)91、Neodol(登録商標)23、Neodol(登録商標)25、Neodol(登録商標)45、Neodol(登録商標)135、Neodol(登録商標)67、Neodol(登録商標)PC100、Neodol(登録商標)PC200、Neodol(登録商標)PC600で市販されているもの、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
同様に市販されているものは、Brij(登録商標)の商標名でUniqema(Wilmington,Delaware)から市販されているポリオキシエチレン脂肪族エーテルであり、限定するものではないが、Brij(登録商標)30、Brij(登録商標)35、Brij(登録商標)52、Brij(登録商標)56、Brij(登録商標)58、Brij(登録商標)72、Brij(登録商標)76、Brij(登録商標)78、Brij(登録商標)93、Brij(登録商標)97、Brij(登録商標)98、Brij(登録商標)721、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
好適なアルキルグリコシド及びアルキルポリグルコシドは、式(S)n-O-Rで表すことができ、式中、Sは、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトースなどの糖部分であり、nは、約1~約1000の整数であり、Rは、C8~C30アルキル基である。アルキル基を誘導することができる長鎖アルコールの例としては、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、及び同様のものが挙げられる。これらの界面活性剤の例としては、アルキルポリグルコシドが挙げられ、この場合、Sは、グルコース部分であり、Rは、C8~20アルキル基であり、nは、約1~約9の整数である。これらの界面活性剤の市販例としては、Cognis(Ambler,Pa)から商標名APG(登録商標)325CS、APG(登録商標)600CS、及びAPG(登録商標)625CSで入手可能な、デシルポリグルコシド及びラウリルポリグルコシドが挙げられる。同様に本明細書で有用なのは、スクロースココエート及びスクロースラウレートなどのスクロースエステル界面活性剤、並びにDow Chemical Company(Houston,Tx)から商標名Triton(商標)BG-10及びTriton(商標)CG-110で入手可能なアルキルポリグルコシドである。
【0052】
本発明での使用に好適な他の非イオン性界面活性剤はグリセリルエステル及びポリグリセリルエステルであり、限定するものではないが、グリセリルモノエステル、例えばグリセリルオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノパルミテート、グリセリルモノベヘネート及びこれらの混合物といったC12~22の飽和、不飽和及び分岐状脂肪酸のグリセリルモノエステル、並びに例えばポリグリセリル-4イソステアレート、ポリグリセリル-3オレエート、ポリグリセリル-2-セスキオレエート、トリグリセリルジイソステアレート、ジグリセリルモノオレエート、テトラグリセリルモノオレエート、及びこれらの混合物といったC12~22の飽和、不飽和及び分岐状脂肪酸のポリグリセリルエステルが挙げられる。
【0053】
同様に非イオン性界面活性剤として本明細書で有用なものは、ソルビタンエステルである。C12~22の飽和、不飽和、及び分岐状脂肪酸のソルビタンエステルが、本明細書で有用である。これらのソルビタンエステルは、通常、モノエステル、ジエステル、トリエステルなどのエステルの混合物を含む。好適なソルビタンエステルの代表的な例としては、ソルビタンモノラウレート(SPAN(登録商標)20)、ソルビタンモノパルミテート(SPAN(登録商標)40)、ソルビタンモノステアレート(SPAN(登録商標)60)、ソルビタントリステアレート(SPAN(登録商標)65)、ソルビタンモノオレエート(SPAN(登録商標)80)、ソルビタントリオレエート(SPAN(登録商標)85)、及びソルビタンイソステアレートが挙げられる。
【0054】
同様に本明細書に用いるのに好適なものは、ソルビタンエステルのアルコキシル化誘導体であり、限定するものではないが、全てUniqemaから入手可能である、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween(登録商標)40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標)60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80)、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)21)、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標)61)、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)81)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0055】
同様に本明細書に用いるのに好適なものは、アルキルフェノールエトキシレートであり、限定するものではないが、ノニルフェノールエトキシレート(Dow Chemical Company(Houston,Tx)から入手可能であるTergitol(商標)NP-4、NP-6、NP-7、NP-8、NP-9、NP-10、NP-11、NP-12、NP-13、NP-15、NP-30、NP-40、NP-50、NP-55、NP-70)及びオクチルフェノールエトキシレート(Dow Chemical Company(Houston,TX)から入手可能であるTriton(商標)X-15、X-35、X-45、X-114、X-100、X-102、X-165、X-305、X-405、X-705)が挙げられる。
【0056】
同様に本明細書での使用に好適なものは、ラウラミンオキシド及びコカミンオキシドを含む三級アルキルアミンオキシドである。
【0057】
ヘアケア組成物での使用に好適な他のアニオン性、双性、両性、及び非イオン性の追加の界面活性剤の非限定的な例は、McCutcheonの「Emulsifiers and Detergents,1989 Annual」(M.C.Publishing Co.発行)、並びに米国特許第3,929,678号、同第2,658,072号、同第2,438,091号、同第2,528,378号において記載されており、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
好適な界面活性剤の組み合わせは、約0.5重量%~約30重量%、代替的に約1重量%~約25重量%、代替的に約2重量%~約20重量%の平均重量%のアルキル分枝を含む。界面活性剤の組み合わせは、約7.5重量%~約25重量%、代替的に約10重量%~約22.5重量%、代替的に約10重量%~約20重量%の累積平均C8~C12アルキル鎖長重量%を有することができる。界面活性剤の組み合わせは、約3~約200、代替的に約25~約175.5、代替的に約50~約150、代替的に約75~約125の平均C8~C12/C13~C18アルキル鎖率を有することができる。
【0059】
カチオン性ポリマー
ヘアケア組成物は、カチオン性ポリマーを更に含む。これらのカチオン性ポリマーは、(a)カチオン性グアーポリマー、(b)カチオン性非グアーガラクトマンナンポリマー、(c)カチオン性タピオカポリマー、(d)アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとのカチオン性コポリマー、及び/又は(e)洗浄性界面活性剤と組み合わせた際にリオトロピック液晶を形成してもしなくてもよい、合成非架橋カチオン性ポリマー、(f)カチオン性セルロースポリマー、のうちの少なくとも1つを含み得る。更に、カチオン性ポリマーは、カチオン性ポリマーの混合物であってもよい。
【0060】
ヘアケア組成物は、カチオン性に置換されたガラクトマンナン(グアー)ガム誘導体であるカチオン性グアーポリマーを含み得る。これらのグアーガム誘導体の調製に用いられるグアーガムは、典型的には、グアーという植物の種子から天然に産出される材料として得られる。グアー分子自体は、単員ガラクトース単位が交互にマンノース単位上にある、一定の間隔で分岐する直鎖状マンナンである。マンノース単位は、β(1-4)グリコシド結合によって互いに結合している。ガラクトース分岐は、α(1-6)結合によって生じる。グアーガムのカチオン性誘導体は、ポリガラクトマンナンのヒドロキシル基と反応性四級アンモニウム化合物との間の反応によって得られる。グアー構造上へのカチオン性基の置換度は、上述の必要なカチオン電荷密度を提供するのに十分である必要がある。
【0061】
カチオン性ポリマーとしては、2,200,000g/mol未満、又は約150,000~約2,200,000g/mol、又は約200,000~約2,200,000g/mol、又は約300,000~約1,200,000g/mol、又は約750,000(750,000thousand)~約1,000,000g/molの重量平均分子量を有するカチオン性グアーポリマーを挙げることができるが、これらに限定されない。カチオン性グアーポリマーは、約0.2~約2.2meq/g、又は約0.3~約2.0meq/g、又は約0.4~約1.8meq/g、又は約0.5meq/g~約1.8meq/gの電荷密度を有し得る。
【0062】
カチオン性グアーポリマーは、約1,500,000g/モル未満の重量平均分子量を有し得、約0.1meq/g~約2.5meq/gの電荷密度を有する。カチオン性グアーポリマーは、900,000g/mol未満、又は約150,000~約800,000g/mol、又は約200,000~約700,000g/mol、又は約300,000~約700,000g/mol、又は約400,000~約600,000g/mol、又は約150,000~約800,000g/mol、又は約200,000~約700,000g/mol、又は約300,000~約700,000g/mol、又は約400,000~約600,000g/molの重量平均分子量を有し得る。カチオン性グアーポリマーは、約0.2~約2.2meq/g、又は約0.3~約2.0meq/g、又は約0.4~約1.8meq/g、又は約0.5meq/g~約1.5meq/gの電荷密度を有し得る。
【0063】
カチオン性グアーポリマーは、四級アンモニウム化合物から形成してもよい。カチオン性グアーポリマーを形成するための四級アンモニウム化合物は、一般式1に適合することができ、
【0064】
【化1】
式中、R
3、R
4、及びR
5は、メチル又はエチル基であり、R
6は、一般式2のエポキシアルキル基であるか、
【0065】
【化2】
又は、R
6は、一般式3のハロヒドリン基であり、
【0066】
【化3】
式中、R
7は、C
1~C
3アルキレンであり、Xは、塩素又は臭素であり、Zは、Cl-、Br-、I-、又はHSO
4-などのアニオンである。
【0067】
カチオン性グアーポリマーは、一般式4に適合することができ、
【0068】
【化4】
式中、R
8は、グアーガムであり、R
4、R
5、R
6、及びR
7は、上の定義と同様であり、Zは、ハロゲンである。カチオン性グアーポリマーは、式5に適合することができる。
【0069】
【0070】
好適なカチオン性グアーポリマーとしては、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドなどのカチオン性グアーガム誘導体が挙げられる。カチオン性グアーポリマーは、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドであり得る。グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドの具体例としては、Solvayから市販されているJaguar(登録商標)シリーズ、例えば、Solvayから市販されているJaguar(登録商標)C-500が挙げられる。Jaguar(登録商標)C-500は、0.8meq/gの電荷密度及び500,000g/モルの分子量を有する。他の好適なグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、約1.3meq/gの電荷密度及び約500,000g/molの分子量を有し、SolvayからJaguar(登録商標)Optimaとして入手可能であるグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。他の好適なグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、約0.7meq/gの電荷密度及び約1,500,000g/molの分子量を有し、SolvayからJaguar(登録商標)Excelとして入手可能であるグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。他の好適なグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、約1.1meq/gの電荷密度及び約500,000g/molの分子量を有し、ASIから入手可能であるグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、約1.5meq/gの電荷密度及び約500,000g/molの分子量を有し、ASIから入手可能であるグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。
【0071】
他の好適なグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、約0.7meq/gの電荷密度及び約600,000g/molの分子量を有し、Solvayから入手可能であるHi-Care1000、約0.7meq/gの電荷密度及び約425,000g/molの分子量を有し、ASIから入手可能であるN-Hance3269及びN-Hance3270、約0.8meq/gの電荷密度及び約1,100,000g/molの分子量を有し、ASIから入手可能であるN-Hance3196である。AquaCat CG518は、約0.9meq/gの電荷密度及び約50,000g/molの分子量を有し、ASIから入手可能である。約1meq/gの電荷密度及び約800,000の分子量を有するホウ酸塩(ホウ素)を含まないグアーであるBF-13、並びに約1.5meq/gの電荷密度及び約800,000の分子量を有するホウ酸塩(ホウ素)を含まないグアーであるBF-17は、いずれもASIから入手可能である。
【0072】
本発明のヘアケア組成物は、モノマー対モノマー基準で2:1より大きいマンノース対ガラクトース比を有するガラクトマンナンポリマー誘導体を含んでよく、このガラクトマンナンポリマー誘導体は、カチオン性ガラクトマンナンポリマー誘導体及び正味の正電荷を有する両性ガラクトマンナンポリマー誘導体からなる群から選択される。本明細書で使用するとき、用語「カチオン性ガラクトマンナン」は、カチオン性基が付加されたガラクトマンナンポリマーを指す。用語「両性ガラクトマンナン」は、ポリマーが正味の正電荷を有するようにカチオン性基及びアニオン性基が付加されたガラクトマンナンポリマーを指す。
【0073】
ガラクトマンナンポリマーは、マメ科植物の種子の内胚乳に存在する。ガラクトマンナンポリマーは、マンノースモノマーとガラクトースモノマーとの組み合わせから構成される。ガラクトマンナン分子は、特定のマンノース単位上の単員ガラクトース単位が一定の間隔で分岐した直鎖状マンナンである。マンノース単位は、β(1-4)グリコシド結合によって互いに結合されている。ガラクトース分岐は、α(1-6)結合によって生じる。マンノースモノマー対ガラクトースモノマー比は、植物種によって様々であり、気候の影響も受ける。本発明の非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体は、モノマー対モノマー基準で2:1より大きいマンノース対ガラクトース比を有する。好適なマンノース対ガラクトース比は、約3:1より大きくてもよく、マンノース対ガラクトース比は約4:1より大きくてもよい。マンノース対ガラクトース比の分析は、当該技術分野において周知であり、典型的には、ガラクトース含量の測定に基づく。
【0074】
非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体の調製に用いられるガムは、典型的には、植物の種又はマメなどの天然に産出される材料として得られる。様々な非グアーガラクトマンナンポリマーの例としては、タラガム(マンノース3部/ガラクトース1部)、ローカストビーン又はカロブ(マンノース4部/ガラクトース1部)、及びカッシアガム(マンノース5部/ガラクトース1部)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
非グアー性ガラクトマンナンポリマー誘導体は、約1,000~約10,000,000、及び/又は約5,000~約3,000,000の分子量を有し得る。
【0076】
本発明のヘアケア組成物は更に、約0.5meq/g~約7meq/gのカチオン電荷密度を有するガラクトマンナンポリマー誘導体を含むことができる。このガラクトマンナンポリマー誘導体は、約1meq/g~約5meq/gのカチオン性電荷密度を有し得る。ガラクトマンナン構造へのカチオン性基の置換度は、必要なカチオン電荷密度をもたらすのに十分である必要がある。
【0077】
ガラクトマンナンポリマー誘導体は、非グアーガラクトマンナンポリマーのカチオン性誘導体であってよく、これは、ポリガラクトマンナンポリマーのヒドロキシル基と反応性四級アンモニウム化合物との反応によって得られる。カチオン性ガラクトマンナンポリマー誘導体の形成に使用するのに好適な四級アンモニウム化合物としては、上記で定義された一般式1~5に適合するものが挙げられる。
【0078】
上記の試薬から形成されるカチオン性非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体は、一般式6により表され、
【0079】
【化6】
式中、Rはガムである。カチオン性ガラクトマンナン誘導体は、ガムヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドであることができ、これは、以下の一般式7によってより具体的に表すことができる。
【0080】
【0081】
代替的に、ガラクトマンナンポリマー誘導体は、正味の正電荷を有する両性ガラクトマンナンポリマー誘導体であってよく、これはカチオン性ガラクトマンナンポリマー誘導体がアニオン性基を更に含む場合に得られる。
【0082】
カチオン性非グアーガラクトマンナンは、約4:1より大きいマンノース対ガラクトース比、約1,000g/mol~約10,000,000g/mol、及び/又は約50,000g/mol~約1,000,000g/mol、及び/又は約100,000g/mol~約900,000g/mol、及び/又は約150,000g/mol~約400,000g/molの分子量、並びに約1meq/g~約5meq/g、及び/又は2meq/g~約4meq/gのカチオン電荷密度を有することができ、カッシアという植物から得ることができる。
【0083】
ヘアケア組成物は、水溶性のカチオン変性デンプンポリマーを含むことができる。本明細書で使用するとき、用語「カチオン性変性デンプン」とは、デンプンがより小さい分子量に分解される前にカチオン性基が付加されたデンプン、又はデンプンの変性後にカチオン性基が付加されて所望の分子量に達したデンプンを指す。用語「カチオン変性デンプン」の定義には、両性変性デンプンも含まれる。用語「両性変性デンプン」とは、カチオン性基及びアニオン性基が付加されたデンプン加水分解物を指す。
【0084】
本明細書に開示されるカチオン性変性デンプンポリマーは、約0.5%~約4%の結合窒素の百分率を有する。
【0085】
ヘアケア組成物で用いるカチオン変性デンプンポリマーは、約850,000g/mol~約1,500,000g/mol、及び/又は約900,000g/mol~約1,500,000g/molの分子量を有することができる。
【0086】
ヘアケア組成物は、約0.2meq/g~約5meq/g、及び/又は約0.2meq/g~約2meq/gの電荷密度を有するカチオン変性デンプンポリマーを含んでよい。このような電荷密度を得るための化学修飾としては、デンプン分子にアミノ基及び/又はアンモニウム基を付加することが挙げられるが、これに限定されない。これらのアンモニウム基の非限定的な例としては、ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウムクロリド、ジメチルステアリルヒドロキシプロピルアンモニウムクロリド、及びジメチルドデシルヒドロキシプロピルアンモニウムクロリドなどの置換基を挙げることができる。Solarek,D.B.,Cationic Starches in Modified Starches:Properties and Uses,Wurzburg,O.B.,Ed.,CRC Press,Inc.,Boca Raton,Fla.1986,pp 113~125を参照のこと。カチオン性基は、より小さな分子量に分解される前にデンプンに付加されてもよく、又はカチオン性基は、そのような変性の後に付加されてもよい。
【0087】
カチオン変性デンプンポリマーは概ね、約0.2~約2.5のカチオン性基の置換度を有する。本明細書で使用するとき、カチオン変性デンプンポリマーの「置換度」とは、置換基によって誘導体化された各無水グルコース単位上のヒドロキシル基の数の平均値である。各無水グルコース単位は、置換に利用できる3個の可能なヒドロキシル基を有しているため、可能な最大置換度は3である。置換度は、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数として、モル平均基準で表される。置換度は、当該技術分野において周知のプロトン核磁気共鳴スペクトル(「.sup.1H NMR」)法を使用して求めることができる。好適な.sup.1H NMR法としては、「Observation on NMR Spectra of Starches in Dimethyl Sulfoxide,Iodine-Complexing,and Solvating in Water-Dimethyl Sulfoxide」,Qin-Ji Peng and Arthur S.Perlin,Carbohydrate Research,160(1987),57-72、及び「An Approach to the Structural Analysis of Oligosaccharides by NMR Spectroscopy」,J.Howard Bradbury and J.Grant Collins,Carbohydrate Research,71,(1979),15~25に記載されているものが挙げられる。
【0088】
化学変性前のデンプン源は、塊茎、マメ科植物、穀草、及び穀物などの様々な供給源から選択することができる。この供給源のデンプンの非限定的な例としては、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ワクシートウモロコシデンプン、オート麦デンプン、キャッサバデンプン、ワクシー大麦、ワクシー米デンプン、グルテナス米デンプン、もち米デンプン、アミオカ、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、オート麦デンプン、サゴデンプン、もち米、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0089】
カチオン変性デンプンポリマーは、分解カチオン性トウモロコシデンプン、カチオン性タピオカ、カチオン性ジャガイモデンプン、及びこれらの混合物から選択することができる。代替的に、カチオン変性デンプンポリマーは、カチオン性トウモロコシデンプン及びカチオン性タピオカである。
【0090】
デンプンは、より小さな分子量に分解する前又は変性した後、1つ以上の追加の変性を含み得る。例えば、これらの変性としては、架橋、安定化反応、リン酸化反応、及び加水分解を挙げることができる。安定化反応としては、アルキル化及びエステル化を挙げることができる。
【0091】
カチオン変性デンプンポリマーは、加水分解デンプン(例えば、酸、酵素、若しくはアルカリ分解)、酸化デンプン(例えば、過酸化物、過酸、次亜塩素酸塩、アルカリ、若しくはその他のいずれかの酸化剤)、物理的/機械的に分解させたデンプン(例えば、加工装置の熱機械エネルギー投入によるもの)、又はこれらの組み合わせの形態で組成物に組み込まれてよい。
【0092】
デンプンの最適な形態は、容易に水に可溶化し、実質的に透明な(600nmで約80の%透過率)水溶液を形成するものである。組成物の透過率は、紫外可視(Ultra-Violet/Visible、UV/VIS)吸光度測定法によって測定され、この測定法は、関連する指示事項に従って、Gretag Macbeth Colorimeter Color i 5を用いて、試料のUV/VIS光の吸収率又は透過率を測定する。600nmの光波長が、化粧品組成物の透明度を特徴付けるのに適していることが示されている。
【0093】
ヘアケア組成物で用いるのに好適なカチオン変性デンプンは、公知のデンプン供給元から入手可能である。同様に、ヘアケア組成物での使用に好適なものは、当該技術分野において公知のように、カチオン変性デンプンに更に誘導体化することができる非イオン性変性デンプンである。他の好適な変性デンプンの出発材料は、ヘアケア組成物での使用に好適なカチオン変性デンプンポリマーを製造するために、当該技術分野において公知であるように、四級化されてもよい。
【0094】
デンプン分解手順:デンプンスラリーは、水中に粒状のデンプンを混合することによって調製することができる。温度を約35℃まで上昇させる。次に、デンプンに基づいて約50ppmの濃度で、過マンガン酸カリウム水溶液を添加する。水酸化ナトリウムでpHを約11.5まで上昇させ、スラリーを十分に攪拌して、デンプンが沈降しないようにする。次に、デンプンに基づく過酸化物濃度が約1%になるまで、水で希釈した過酸化水素の約30%溶液を加える。続いて、追加の水酸化ナトリウムを加えることによって、pHを約11.5に戻す。この反応は、約1~約20時間かけて完了する。次に、混合物を希塩酸で中和する。分解したデンプンを濾過によって回収してから、洗浄、乾燥する。
【0095】
ヘアケア組成物には、アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとのカチオン性コポリマーを含めることができ、このコポリマーは、約1.0meq/g~約3.0meq/gの電荷密度を有する。カチオン性コポリマーは、アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとの合成カチオン性コポリマーであってよい。
【0096】
カチオン性コポリマーは、以下を含み得る。
(i)次式AMのアクリルアミドモノマー:
【0097】
【化8】
[式中、R
9は、H又はC
1~4アルキルであり、R
10及びR
11は、独立して、H、C
1~4アルキル、CH
2OCH
3、CH
2OCH
2CH(CH
3)
2、及びフェニルからなる群から選択されるか、一緒になってC
3~6シクロアルキルである]。
(ii)次式CMに適合するカチオン性モノマー:
【0098】
【化9】
[式中、k=1であり、v、v’、及びv’’はそれぞれ、独立して、1~6の整数であり、wは0、又は1~10の整数であり、X
-はアニオンである]。
【0099】
カチオン性モノマーは、式CMに適合し、式中、k=1、v=3及びw=0、z=1であり、X-はCl-であって、次の構造を形成することができる。
【0100】
【0101】
上の構造は、ジクワット(diquat)と称されることがある。代替的に、カチオン性モノマーは、式CMに適合することができ、式中、v及びv’’はそれぞれ3であり、v’=1、w=1、y=1であり、X-はCl-であって、例えば次である。
【0102】
【0103】
上記の構造は、トリクワット(triquat)と称されることがある。
【0104】
好適なアクリルアミドモノマーとしては、アクリルアミド又はメタクリルアミドのいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
カチオン性コポリマー(b)はAM:TRIQUATであり得、これは、アクリルアミドと1,3-プロパンジアミニウム,N-[2-[[[ジメチル[3-[(2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロピル]アンモニオ]アセチル]アミノ]エチル]2-ヒドロキシ-N,N,N’,N’,N’-ペンタメチル-,トリクロリドとのコポリマーである。AM:TRIQUATはまた、ポリクオタニウム-76(PQ76)としても知られている。AM:TRIQUATは、1.6meq/gの電荷密度、及び1,100,000g/molの分子量を有し得る。
【0106】
カチオン性コポリマーは、アクリルアミドモノマー及びカチオン性モノマーであってよく、カチオン性モノマーは、以下からなる群から選択される:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジテルチオ(ditertio)ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;エチレンイミン、ビニルアミン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン;トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0107】
カチオン性コポリマーは、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、及びこれらの混合物を含むカチオン性モノマーからなる群から選択されるカチオン性モノマーを含むことができる。
【0108】
カチオン性コポリマーは、水溶性であってよい。カチオン性コポリマーは、(1)(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリルアミドを主成分とするカチオン性モノマーとのコポリマー、及び/又は加水分解に対して安定なカチオン性モノマー、(2)(メタ)アクリルアミドと、カチオン性(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーと、(メタ)アクリルアミドを主成分とするモノマーと、のターポリマー、及び/又は加水分解に対して安定なカチオン性モノマーから形成される。カチオン性(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーは、四級化窒素原子を含有する(メタ)アクリル酸のカチオン化エステルであってよい。四級化窒素原子を含有する(メタ)アクリル酸のカチオン化エステルは、アルキル基及びアルキレン基内のC1~C3で四級化されたジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートであってよい。四級化窒素原子を含有する(メタ)アクリル酸の好適なカチオン化エステルは、塩化メチルで四級化されたジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートのアンモニウム塩からなる群から選択することができる。四級化窒素原子を含有する(メタ)アクリル酸のカチオン化エステルは、アルキルハライドで、又はメチルクロリド若しくはベンジルクロリド若しくはジメチルサルフェートで四級化された、ジメチルアミノエチルアクリレート(ADAME-Quat)であり得る。カチオン性モノマーは、(メタ)アクリルアミドを主成分とする場合、アルキル基及びアルキレン基内のC1~C3で四級化されたジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドであるか、又はアルキルハライド、若しくはメチルクロリド若しくはベンジルクロリド若しくはジメチルサルフェートで四級化されたジメチルアミノプロピルアクリルアミドであり得る。
【0109】
(メタ)アクリルアミドを主成分とする好適なカチオン性モノマーには、アルキル基及びアルキレン基内のC1~C3で四級化されたジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。(メタ)アクリルアミドを主成分とするカチオン性モノマーは、アルキルハライドで、特にメチルクロリド又はベンジルクロリド又はジメチルサルフェートで四級化されたジメチルアミノプロピルアクリルアミドであり得る。
【0110】
カチオン性モノマーは、加水分解に対して安定なカチオン性モノマーであってよい。ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド以外に、加水分解に対して安定なカチオン性モノマーは、OECD加水分解試験に対して安定であるとみなすことができる全てのモノマーであり得る。カチオン性モノマーは加水分解に対して安定であることができ、加水分解に対して安定なカチオン性モノマーは、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、及び水溶性カチオン性スチレン誘導体からなる群から選択され得る。
【0111】
カチオン性コポリマーは、アクリルアミドと、メチルクロリドで四級化された2-ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート(ADAME-Q)と、メチルクロリドで四級化された3-ジメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド(DIMAPA-Q)と、のターポリマーであり得る。カチオン性コポリマーは、アクリルアミド及びアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドから形成することができ、このアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドは、約1.0meq/g~約3.0meq/gの電荷密度を有する。
【0112】
カチオン性コポリマーは、約1.1meq/g~約2.5meq/g、又は約1.1meq/g~約2.3meq/g、又は約1.2meq/g~約2.2meq/g、又は約1.2meq/g~約2.1meq/g、又は約1.3meq/g~約2.0meq/g、又は約1.3meq/g~約1.9meq/gの電荷密度を有することができる。
【0113】
カチオン性コポリマーは、約100,000g/mol~約1,500,000g/mol、又は約300,000g/mol~約1,500,000g/mol、又は約500,000g/mol~約1,500,000g/mol、又は約700,000g/mol~約1,000,000g/mol、又は約900,000g/mol~約1,200,000g/molの分子量を有することができる。
【0114】
カチオン性コポリマーは、トリメチルアンモニオプロピルメタクリルアミドクロリド-N-アクリルアミドコポリマーであり得、これは、AM:MAPTACとしても知られている。AM:MAPTACは、約1.3meq/gの電荷密度、及び約1,100,000g/molの分子量を有し得る。カチオン性コポリマーは、AM:ATPACであり得る。AM:ATPACは、約1.8meq/gの電荷密度、及び1,100,000g/molの分子量を有し得る。
【0115】
(a)カチオン性合成ポリマー
ヘアケア組成物は、
i)1つ以上のカチオン性モノマー単位、及び任意に、
ii)負電荷を有する1つ以上のモノマー単位、及び/又は
iii)非イオン性モノマー、から形成され得る。
ここで、コポリマーのその後の電荷は正電荷である。これらの3種のモノマーの比は「m」、「p」及び「q」で表され、「m」は、カチオン性モノマーの数であり、「p」は、負電荷を有するモノマーの数であり、「q」は、非イオン性モノマーの数である。
【0116】
カチオン性ポリマーは、以下の構造を有する、水溶性又は分散性で、非架橋の合成カチオン性ポリマーであり得、
【0117】
【化12】
式中、Aは以下のカチオン性部分のうちの1つ以上であってよい。
【0118】
【化13】
式中、@は、アミド、アルキルアミド、エステル、エーテル、アルキル、又はアルキルアリールであり、
Yは、C1~C22アルキル、アルコキシ、アルキリデン、アルキル、又はアリールオキシであり、
Ψは、C1~C22アルキル、アルキルオキシ、アルキルアリール又はアルキルアリールオキシであり、
Zは、C1~C22アルキル、アルキルオキシ、アリール又はアリールオキシであり、
R1は、H、C1~C4の直鎖又は分岐状アルキルであり、
sは、0又は1であり、nは、0又は≧1であり、
T及びR7は、C1~C22アルキルであり、
X
-は、ハロゲン、ヒドロキシド、アルコキシド、サルフェート又はアルキルサルフェートである。
【0119】
上記の構造中、負電荷を有するモノマーは、R2’がH、C1~C4の直鎖又は分岐状アルキルであり、R3が以下のとおりであることによって定義される。
【0120】
【化14】
式中、Dは、O、N、又はSであり、
Qは、NH
2又はOであり、
uは、1~6であり、
tは、0~1であり、
Jは、以下の元素P、S、Cを含有する酸素化された官能基である。
【0121】
上記の構造中、非イオン性モノマーは、R2’’がH、C1~C4の直鎖又は分岐状アルキルであり、R6が直鎖又は分岐状アルキル、アルキルアリール、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルアリールオキシであることによって定義され、βは以下のように定義され、
【0122】
【化15】
式中、G’及びG’’は互いに独立して、O、S、又はN-Hであり、Lは、0又は1である。
【0123】
カチオン性モノマーの例としては、アミノアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アミノアルキル(メタ)アクリルアミド;少なくとも1つの二級、三級、若しくは四級アミン官能基、又は窒素原子を含有する複素環基、ビニルアミン若しくはエチレンイミンを含むモノマー;ジアリルジアルキルアンモニウム塩;これらの混合物、これらの塩、及びこれらに由来するマクロモノマーを挙げることができる。
【0124】
カチオン性モノマーの更なる例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジテルチオ(ditertio)ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、エチレンイミン、ビニルアミン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0125】
好適なカチオン性モノマーとしては、式-NR3
+(式中、Rは、同じであるか又は異なるものであり、水素原子、1~10個の炭素原子を含むアルキル基、又はベンジル基を表し、任意にヒドロキシル基を有する)の四級アンモニウム基を含み、アニオン(対イオン)を含むものが挙げられる。アニオンの例は、クロリド、ブロミドなどのハライド、サルフェート、ヒドロサルフェート、アルキルサルフェート(例えば、1~6個の炭素原子を含む)、ホスフェート、シトレート、ホルメート、及びアセテートである。
【0126】
好適なカチオン性モノマーとしては、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0127】
更なる好適なカチオン性モノマーとしては、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリドが挙げられる。
【0128】
負電荷を有するモノマーの例としては、ホスフェート又はホスホネート基を含むαエチレン性不飽和モノマー、αエチレン性不飽和モノカルボン酸、αエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、αエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルアミド、スルホン酸基を含むαエチレン性不飽和化合物、及びスルホン酸基を含むαエチレン性不飽和化合物の塩が挙げられる。
【0129】
負電荷を有する好適なモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸の塩、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸の塩、α-アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、α-アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩、2-スルホエチルメタクリレート、2-スルホエチルメタクリレートの塩、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(acrylamido-2-methylpropanesulphonic acid、AMPS)、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の塩、及びスチレンスルホネート(styrenesulphonate、SS)が挙げられる。
【0130】
非イオン性モノマーの例としては、酢酸ビニル、αエチレン性不飽和カルボン酸のアミド、αエチレン性不飽和モノカルボン酸と水素化又はフッ素化アルコールとのエステル、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート(すなわちポリエトキシル化(メタ)アクリル酸)、αエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、αエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルアミド、ビニルニトリル、ビニルアミンアミド、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、及びビニル芳香族化合物が挙げられる。
【0131】
好適な非イオン性モノマーとしては、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、2-エチル-ヘキシルアクリレート、2-エチル-ヘキシルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられる。
【0132】
ポリマーが、水、ヘアケア組成物、又はヘアケア組成物のコアセルベート相中で可溶性又は分散性を維持する限り、また、対イオンが、ヘアケア組成物の必須成分と物理的及び化学的に相溶性であるか、又はそうでなければ製品の性能、安定性、又は美観を過度に損なわない限り、合成カチオン性ポリマーに付随するアニオン性対イオン(X-)は、任意の既知の対イオンであってよい。このような対イオンの非限定例としては、ハライドイオン(例えば、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素)、サルフェートイオン及びメチルサルフェートイオンが挙げられる。
【0133】
本明細書に記載されるカチオン性ポリマーは、傷んだ毛髪、特に化学的に処理された毛髪に、代用の疎水性F層をもたらすのに役立ち得る。微視的に薄いF層は天然の耐候性を提供しつつ、水分の封じ込めを助け、更なる傷みを防ぐ。化学的な処理により、毛髪のキューティクルが傷み、その防御作用をもつF層が毛髪から剥がれ落ちてしまう。F層が剥がれ落ちるにつれ、毛髪は親水性が増すようになる。化学的に処理された毛髪にリオトロピック液晶を塗布すると、その毛髪は更に疎水性になり、外観も触感も、未処理の毛髪のようになることがわかった。いずれの理論にも束縛されるものではないが、リオトロピック液晶複合体は疎水性の層又は膜を形成し、天然のF層が毛髪を保護するのと同様に、毛髪繊維をコーティングして毛髪を保護すると考えられる。疎水層は、毛髪を、全般的に未処理の毛髪のようなより健康的な状態に戻す。リオトロピック液晶は、本明細書に記載される合成カチオン性ポリマーを、ヘアケア組成物の上記のアニオン性洗浄性界面活性剤成分と組み合わせることによって形成される。合成カチオン性ポリマーの電荷密度は比較的高い。カチオン電荷密度が比較的高い一部の合成ポリマーは、主にそれらの異常な線形の電荷密度のためにリオトロピック液晶を形成しないことに留意されたい。このような合成カチオン性ポリマーは、国際公開第94/06403号(Reichら)に記載されている。本明細書に記載の合成ポリマーは、傷んだ髪に対するコンディショニング性能を改善する安定したヘアケア組成物に配合することができる。
【0134】
リオトロピック液晶を形成し得るカチオン性合成ポリマーは、約2meq/gm~約7meq/gm、及び/又は約3meq/gm~約7meq/gm、及び/又は約4meq/gm~約7meq/gmのカチオン性電荷密度を有する。カチオン電荷密度は約6.2meq/gmであってよい。このポリマーはまた、約1,000~約5,000,000、及び/又は約10,000~約1,500,000、及び/又は約100,000~約1,500,000の分子量を有する。
【0135】
本発明では、有益剤の増強されたコンディショニング性能及び付着性能を提供するが必ずしもリオトロピック液晶を形成しないカチオン性合成ポリマーは、約0.7meq/gm~約7meq/gm、及び/又は約0.8meq/gm~約5meq/gm、及び/又は約1.0meq/gm~約3meq/gmのカチオン性電荷密度を有し得る。このポリマーはまた、約1,000~約1,500,000、約10,000~約1,500,000、及び約100,000~約1,500,000の分子量を有し得る。
【0136】
好適なカチオン性セルロースポリマーは、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩であり、これは、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム-10と呼ばれており、Dow/Amerchol Corp.(Edison,N.J.,USA)から、Polymer LR、JR、及びKGシリーズのポリマーで入手可能である。非限定的な例としては、JR-30M、KG-30M、JP、LR-400及びこれらの混合物が挙げられる。カチオン性セルロースの他の好適な種類としては、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム-24と呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマー性四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの材料は、Dow/Amerchol Corp.から、Polymer LM-200の商品名で入手可能である。カチオン性セルロースの他の好適な種類としては、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム-67と呼ばれている、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシド及びトリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマー性四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの材料は、Dow/Amerchol Corp.から、SoftCAT Polymer SL-5、SoftCAT Polymer SL-30、Polymer SL-60、Polymer SL-100、Polymer SK-L、Polymer SK-M、Polymer SK-MH、及びPolymer SK-Hという商品名で入手可能である。
【0137】
カチオン性ポリマーの濃度は、ヘアケア組成物の約0.025重量%~約5重量%、約0.1重量%~約3重量%、及び/又は約0.2重量%~約1重量%の範囲である。
【0138】
安定化ポリマー
パーソナルケア組成物は、組成物の粘度又は降伏応力を高めるために安定化ポリマーを含み得る。好適な安定化ポリマーを使用することができる。ヘアケア組成物は、約0.05%~約10%、0.1%~約9%の安定化、約0.4%~約8%の安定化ポリマー、約0.7%~約5%の安定化改質ポリマー、及び約1%~約2.5%の安定化ポリマーを含み得る。安定化ポリマー改質剤は、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド増粘剤であり得る。安定化ポリマーは、アニオン性安定化ポリマーであり得る。
【0139】
パーソナルケア組成物は、アクリル酸、メタクリル酸、又はその他の関連する誘導体に基づくホモポリマーである安定化ポリマーを含んでよく、非限定的な例としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエチルアクリレート、及びポリアクリルアミドが挙げられる。
【0140】
安定化ポリマーは、アルカリ膨張性及び疎水変性アルカリ膨張性アクリルコポリマー又はメタクリレートコポリマーであってよく、非限定的な例としては、アクリル酸/アクリロニトロゲンコポリマー、アクリレート/ステアレス-20イタコネートコポリマー、アクリレート/セテス-20イタコネートコポリマー、アクリレート/アミノアクリレート/C10~30アルキルPEG-20イタコネートコポリマー、アクリレート/アミノアクリレートコポリマー、アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー、アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー、アクリレート/ステアレス-20メタクリレートクロスポリマー、アクリレート/ベヘネス-25メタクリレート/HEMAクロスポリマー、アクリレート/ビニルネオデカノエートクロスポリマー、アクリレート/ビニルイソデカノエートクロスポリマー、アクリレート/パルメタ-25アクリレートコポリマー、アクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸コポリマー、及びアクリレート/C10~C30アルキルアクリレートクロスポリマーが挙げられる。
【0141】
安定化ポリマーは、可溶性架橋アクリルポリマーであってよく、非限定的な例としては、カルボマーが挙げられる。
【0142】
安定化ポリマーは、会合性ポリマー増粘剤であり得、非限定的な例としては、疎水変性アルカリ膨潤性エマルジョンが挙げられ、非限定的な例としては、疎水変性ポリポリアクリレート;疎水変性ポリアクリル酸、及び疎水変性ポリアクリルアミド;疎水変性ポリエーテルが挙げられ、これらの材料は、セチル、ステアリル、オレイル(oleayl)、及びこれらの組み合わせから選択され得る疎水性物質を有し得る。
【0143】
安定化ポリマーは、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、及び誘導体と組み合わせて使用することができる。安定化ポリマーは、ポリビニルアルコール及び誘導体と組み合わされてもよい。安定化ポリマーは、ポリエチレンイミン及び誘導体と組み合わされてもよい。
【0144】
安定化ポリマーは、アルギン酸系材料と組み合わされてもよく、非限定的な例としては、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸プロピレングリコールエステルが挙げられる。
【0145】
安定化ポリマーは、ポリウレタンポリマーと組み合わせて使用することができ、非限定的な例としては、疎水変性アルコキシル化ウレタンポリマーが挙げられ、非限定的な例としては、PEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマー、PEG-150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマー、ポリウレタン-39が挙げられる。
【0146】
安定化ポリマーは、会合性ポリマー増粘剤と組み合わされてもよく、非限定的な例には、疎水変性セルロース誘導体、並びに繰り返し単位が10~300、30~200、及び40~150の繰り返しエチレンオキシド基の親水性部分が含まれる。この部類の非限定的な例としては、PEG-120-メチルグルコースジオレエート、PEG-(40又は60)ソルビタンテトラオレエート、PEG-150ペンタエリスリチルテトラステアレート、PEG-55プロピレングリコールオレエート、PEG-150ジステアレートが挙げられる。
【0147】
安定化ポリマーは、セルロース及びセルロースガムを含む誘導体と組み合わされてもよく、非限定的な例としては、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース;ニトロセルロース;硫酸セルロース;セルロース粉末;疎水変性セルロースが挙げられる。
【0148】
安定化ポリマーは、グアー及びグアー誘導体と組み合わされてもよく、非限定的な例としては、ヒドロキシプロピルグアー、及びヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドが挙げられる。
【0149】
安定化ポリマーは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、及びPOE-PPOコポリマーと組み合わされてもよい。
【0150】
安定化ポリマーは、以下の一般式で特徴付けられるポリアルキレングリコールと組み合わされてもよく、
【0151】
【化16】
式中、Rは水素、メチル、又はこれらの混合物であり、好ましくは水素であり、nは平均2,000~180,000、又は7,000~90,000、又は7,000~45,000の整数である。この部類の非限定的な例としては、PEG-7M、PEG-14M、PEG-23M、PEG-25M、PEG-45M、PEG-90M、又はPEG-100Mが挙げられる。
【0152】
安定化ポリマーは、シリカと組み合わされてもよく、非限定的な例としては、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、及びシリコーン表面処理シリカが挙げられる。
【0153】
安定化ポリマーは、水膨潤性粘土と組み合わされてもよく、非限定的な例としては、ラポナイト、ベントナイト、モンモリロナイト、スメクタイト、及びヘクトナイトが挙げられる。
【0154】
安定化ポリマーは、ゴムと組み合わされてもよく、非限定的な例としては、キサンタンガム、グアーガム、ヒドロキシプロリルグアーガム、アラビアガム、トラガント、ガラクタン、カロブガム、カラヤガム、及びローカストビーンガムが挙げられる。
【0155】
安定化ポリマーは、ジベンジリデンソルビトール、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(Cydonia oblonga Mill)、(米、コーン、じゃがいも、麦などから得る)デンプン、デンプン誘導体(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン)、藻類抽出物、デキストラン、サクシノグルカン、及びプレランと組み合わされてもよい。
【0156】
安定化ポリマーの非限定的な例としては、アクリルアミド/アンモニウムアクリレートコポリマー(及び)ポリイソブテン(及び)ポリソルベート20;アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリレートコポリマー、アクリレートクロスポリマー-4、アクリレートクロスポリマー-3、アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー、アクリレート/C10~C30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/ステアレス-20イタコネートコポリマー、ポリアクリル酸アンモニウム/イソヘキサデカン/PEG-40ヒマシ油;カルボマー、カルボマーナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミド/C13~14イソパラフィン/ラウレス-7、ポリアクリレート13/ポリイソブテン/ポリソルベート20、ポリアクリレートクロスポリマー-6、ポリアミド-3、ポリクオタニウム-37(及び)水素化ポリデセン(及び)トリデセス-6、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/アクリル酸コポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウレート/ジメチルアクリルアミド、クロスポリマー(及び)イソヘキサデカン(及び)ポリソルベート60、ポリアクリル酸ナトリウムが挙げられる。例示的な市販の安定化ポリマーとしては、ACULYN(商標)28、ACULYN(商標)88、ACULYN(商標)33、ACULYN(商標)22、ACULYN(商標)Excel、Carbopol(登録商標)Aqua SF-1、Carbopol(登録商標)ETD 2020、Carbopol(登録商標)Ultrez 20、Carbopol(登録商標)Ultrez 21、Carbopol(登録商標)Ultrez 10、Carbopol(登録商標)Ultrez 30、Carbopol(登録商標)1342、Carbopol(登録商標)Aqua SF-2ポリマー、Sepigel(商標)305、Simulgel(商標)600、Sepimax Zen、Carbopol(登録商標)SMART1000、Rheocare(登録商標)TTA、Rheomer(登録商標)SC-Plus、STRUCTURE(登録商標)PLUS、Aristoflex(登録商標)AVC、Stabylen 30、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0157】
懸濁ワックス
懸濁ワックスには、降伏応力及び粘度を高める適切な安定剤が含まれている。このような材料としては、以下の式を有するアルキレングリコールのモノエステル及び/又はジエステルを挙げることができる:
【0158】
【化17】
式中、R
1は直鎖又は分岐状C12~C22アルキル基であり、
Rは直鎖又は分岐状C2~C4アルキレン基であり、
Pは、H、C1~C4アルキル又は-COR
2から選択され、R
2は、C4~C22アルキルであるか、又はC12~C22アルキルであり得、n=1~3である。
【0159】
本発明において、長鎖脂肪エステルは、上記一般構造[式中、R1は直鎖又は分岐状C16~C22アルキル基であり、Rは-CH2-CH2-であり、PはH又は-COR2から選択され、R2はC4~C22アルキルであるか、又はC12~C22アルキルであり得る]を有し得る。
【0160】
典型的な例は、約6~約22、約12~約18の炭素原子を含む脂肪酸、例えば、カプロン酸、カプリル酸2-エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸、及びこれらの混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール又はテトラエチレングリコールとのモノエステル及び/又はジエステルである。
【0161】
本発明において、エチレングリコールモノステアレート(EGMS)及び/又はエチレングリコールジステアレート(EGDS)及び/又はポリエチレングリコールモノステアレート(PGMS)及び/又はポリエチレングリコールジステアレート(PGDS)は、組成物に使用される懸濁ワックスであり得る。これらの材料には、いくつかの商業的な供給元がある。例えば、PEG6000MS(登録商標)はStepanから入手可能であり、Empilan EGDS/A(登録商標)はAlbright&Wilsonから入手可能である。
【0162】
従来から、グリセリドエステル化合物は、パーソナルケア組成物の構造化剤として使用することができる。例えば、Thixcin(登録商標)Rは、トリヒドロキシステアリンであり、Elementis Specialtie(New Jersey)によって製造され、パーソナルケア組成物用の安定剤及び構造化剤として市販されている市販の水素化ヒマシ油である。本明細書に記載のパーソナルケア組成物用の好適なグリセリドエステルは、好適な界面活性剤及びカチオン性ポリマーを含むパーソナルケア組成物中においてコアセルベートの形成を可能にする任意の結晶性グリセリドエステルから選択され得る。例えば、好適なグリセリドエステルは、水素化ヒマシ油(トリヒドロキシステアリン又はジヒドロキシステアリンなど)である。
【0163】
追加の結晶性グリセリドエステルの例としては、12-ヒドロキシステアリン酸の実質的に純粋なトリグリセリドを挙げることができる。12-ヒドロキシステアリン酸は、完全に水素化した12-ヒドロキシ-9-cis-オクタデセン酸のトリグリセリドの純粋形態である。理解され得るように、多くの追加のグリセリドエステルが可能である。例えば、水素化プロセスの変化及びヒマシ油の自然変化により、ヒマシ油からの追加の好適なグリセリドエステルの製造が可能になり得る。
【0164】
好適なグリセリドエステルは、1つ以上のグリセリドの混合物から形成することもできる。例えば、混合物の約80重量%以上のヒマシ油を含む、グリセリドの混合物が好適であり得る。他の好適な混合物としては、トリグリセリドのみの混合物、ジグリセリド及びトリグリセリドの混合物、トリグリセリド、ジグリセリド、及び、制限された量、例えば、混合物の約20重量%未満などのモノグリセリドとの混合物、又は混合物の約20重量%以下の、グリセリドのうちのいずれかの対応する酸加水分解生成物を含むそれらの任意の混合物を挙げることができる。混合物の約80重量%以上が、完全に水素化したリシノール酸のグリセリド、すなわち12-ヒドロキシステアリン酸のグリセリドと化学的に同一であり得る。水素化ヒマシ油は、所与のトリグリセリドにおいて、2つの12-ヒドロキシステアリン部分と1つのステアリン部分とが存在するように変性され得る。あるいは、部分水素添加を使用することも可能である。しかし、ポリ(オキシアルキル化)ヒマシ油は、好適でない融点を有しているため、好適ではない。
【0165】
ヒマシ油としては、ヒドロキシ基を有するC10~C22アルキル又はアルケニル部分を含む、グリセリド、特にトリグリセリドが挙げられる。ヒマシ油の水素化では、出発油中にリシノレイル部分として存在する二重結合の変換によって、水素化ヒマシ油を生成する。これらの部分は、飽和ヒドロキシアルキル部分、例えば、ヒドロキシステアリル、である、リシノレイル部分に変換される。本明細書における水素化ヒマシ油(HCO)は、トリヒドロキシステアリン、ジヒドロキシステアリン、及びこれらの混合物から選択されてもよい。HCOは、固体、溶融物、及びこれらの混合物から選択されるものを含むが、これらに限定されない任意の好適な開始形態で加工することができる。有用なHCOは以下の特性:約40℃~約100℃、あるいは約65℃~約95℃の融点、及び/又は約0~約5、あるいは約0~約4、あるいは約0~約2.6の範囲のヨウ素価を有し得る。HCOの融点は、DSC:示差走査熱量測定法を使用して測定することができる。
【0166】
好適なHCOとしては、市販されているものが挙げられる。使用に好適である市販のHCOの非限定的な例としては、小粒子(99重量%は44μmより小さい)を有する粉末として供給されるTHIXCINーR(登録商標)(Elementisから供給)が挙げられる。
【0167】
本発明は、水素化ヒマシ油の使用のみを対象とすることは、意図していない。他の任意の好適な結晶化可能なグリセリドが使用されてもよい。1つの例では、構造化剤は、12-ヒドロキシステアリン酸のほぼ純粋なトリグリセリドである。この分子は、完全に水素化した12-ヒドロキシ-9-cis-オクタデセン酸のトリグリセリドの純粋形態に当たる。本来、ヒマシ油の組成は、ある程度は変化しうる。同様に、水素化の方法も異なりうる。少なくとも約80重量%がヒマシ油由来であるトリグリセリドの混合物のような他の任意の好適な同等の物質を用いてもよい。例示的な同等の物質は、トリグリセリドを主として含む、若しくは、からなる;又は、ジグリセリド及びトリグリセリドの混合物を主として含む、若しくは、からなる;又は、トリグリセリド(triglyerides)とジグリセリドとの混合物、及び限定量、例えば、当該グリセリドの混合物の約20重量%未満のモノグリセリド(monoglyerides)を主として含む、若しくは、からなる;前述のグリセリドのいずれか、及び限定量、例えば、前述のグリセリドのいずれかの対応する酸加水分解生成物の約20重量%未満を主として含む、若しくは、からなる。
【0168】
安定化プレミックスは、パーソナルケア組成物の約4重量%~約30重量%の100%活性安定剤を含む。本発明において、安定化プレミックスは、約15%~約25%の安定剤を含み得る。
【0169】
懸濁ワックスは、本発明において、約0.01%~約4%であり得る。懸濁ワックスは、本発明において、約0.1%~約3%であり得る。懸濁ワックスは、本発明において、約0.5%~約2%であり得る。懸濁ワックスは、本発明において、約0.3%~約1.5%であり得る。
【0170】
水混和性溶媒
ヘアケア組成物のキャリアとしては、水、並びに低級アルキルアルコール、多価アルコール、3~4個の炭素原子を有するケトン、C1~C6アルコールのC1~C6エステル、スルホキシド、アミド、炭酸エステル、エトキシル化及びプロポキシル化(proposylated)C1~C10アルコール、ラクトン、ピロリドン及びこれらの混合物の水溶液を挙げることができる。低級アルキルアルコールの非限定的な例は、エタノール及びイソプロパノールなどの、1~6個の炭素を有する一価アルコールである。本明細書で有用な多価アルコールの非限定的な例としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、プロパンジオール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0171】
本発明において、ヘアケア組成物は、キシレンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム又はトルエンスルホン酸ナトリウムなどの低級アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属又はアンモニウム塩であるヒドロトロープ/粘度調整剤を含み得る。
【0172】
本発明において、ヘアケア組成物は、シリコーン/PEG-8シリコーン、シリコーン/PEG-9シリコーン、シリコーン/PEG-nシリコーン、シリコーン/シリコーンエーテル(nは別の整数であり得る)を含むことができ、非限定的な例としては、PEG8-ジメチコンA208)MW855、PEG8ジメチコンD208MW2706が挙げられる。
【0173】
頭皮用健康剤
本発明において、1つ以上の頭皮用健康剤が加えられて、硫黄によってもたらされる抗真菌/フケ防止効果に加え、頭皮への効果をもたらしてもよい。この材料群は様々であり、加湿、バリア改善、抗真菌、抗菌、並びに抗酸化、抗かゆみ、及び感覚惹起を含む幅広い効果をもたらし、ピリチオンの多価金属塩などの更なるフケ防止剤の非限定的な例としては、ジンクピリチオン(ZPT)及び銅ピリチオン、又は硫化セレンが挙げられる。このような頭皮用健康剤としては、ビタミンE及びF、サリチル酸、ナイアシンアミド、カフェイン、パンテノール、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、グリコール、グリコール酸、PCA、PEG、エリスリトール、グリセリン、トリクロサン、乳酸塩、ヒアルロン酸塩、アラントイン及び他の尿素、ベタイン、ソルビトール、グルタメート、キシリトール、メントール、乳酸メンチル、イソシクロモン、ベンジルアルコール、以下の構造を含む化合物:
【0174】
【化18】
(R
1は、H、アルキル、アミノアルキル、アルコキシから選択され、
Q=H
2、O、-OR
1、-N(R
1)
2、-OPO(OR
1)
x、-PO(OR
1)
x、-P(OR
1)
x(式中、x=1~2)、
V=NR
1、O、-OPO(OR
1)
x、-PO(OR
1)
x、-P(OR
1)
x(式中、x=1~2)、
W=H
2、O、
n=0の場合、X、Yは、H、アリール、ナフチルから独立して選択され、
n≧1の場合、X、Yは、脂肪族CH
2又は芳香族CHであり、Zは脂肪族CH
2、芳香族CH、又はヘテロ原子から選択され、
A=低級アルコキシ、低級アルキルチオ、アリール、置換アリール又は縮合アリールであり、
*印の位置では、立体化学が可変である)
並びに、ペパーミント、スペアミント、アルガン、ホホバ及びアロエを含む天然抽出物/油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
組成物は、以下の頭皮用健康剤、コールタール、木炭、ホイットフィールド軟膏、カステラニペイント、塩化アルミニウム、ゲンチアナバイオレット、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、シクロピロックスオラミン、ウンデシレン酸及びその金属塩、アゾキシストロビン及びその他のストロブリン、過マンガン酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、ビターオレンジ油、尿素製剤、グリセオフルビン、8-ヒドロキシキノリンシロキノール、チオベンダゾール、チオカルバメート、ハロプロギン、ポリエン、ヒドロキシピリドン、モルホリン、ベンジルアミン、アリルアミン(テルビナフィンなど)、ティーツリー油、クローブリーフ油、コリアンダー、パルマローザ、ベルベリン、タイムレッド、桂皮油、桂皮アルデヒド、シトロネル酸、ヒノキトール、イクチオールペール、Sensiva SC-50、Elestab HP-100、アゼライン酸、リチカーゼ、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、オクチルイソチアザリノンなどのイソチアザリノン、及びアゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾールベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ビフォナゾール、硝酸ブトコナゾール、クリンバゾール、クロトリマゾール、クロコナゾール、エベルコナゾール、エコナゾール、エルビオール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、フルチマゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、メトロニダゾール、ミコナゾール、ネチコナゾール、オモコナゾール、硝酸オキシコナゾール、セルタコナゾール、硝酸スルコナゾール、チオコナゾール、チアゾール、テルコナゾール、並びにこれらの混合物のうちの1つ以上を更に含み得る。
【0176】
任意成分
本発明において、ヘアケア組成物は、有益剤などの、1つ以上の任意成分を更に含んでもよい。好適な有益剤としては、コンディショニング剤、カチオン性ポリマー、シリコーンエマルジョン、フケ防止剤、ゲルネットワーク、キレート剤、及びヒマワリ油又はヒマシ油などの天然油が挙げられるが、これらに限定されない。更なる好適な任意成分としては、香料、香料マイクロカプセル、着色剤、粒子、抗菌剤、消泡剤(foam busters)、帯電防止剤、レオロジー変性剤及び増粘剤、懸濁材料及び構造化剤、pH調整剤及び緩衝剤、防腐剤、真珠光沢剤、溶媒、希釈剤、抗酸化剤、ビタミン並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明において、香料は、約0.5%~約7%存在してよい。
【0177】
1つ以上の安定剤を含むことができる。例えば、エチレングリコールジステアレート、クエン酸、クエン酸塩、カトンなどの防腐剤、塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、及びエチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)のうちの1つ以上を含ませて、パーソナルケア組成物の寿命を向上させることができる。
【0178】
そのような任意成分は、組成物の成分に物理的及び化学的に相溶性である必要があり、そうでなければ製品の安定性、美観、又は性能を過度に損なわないものである必要がある。CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,第10版(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,Inc.(Washington,D.C.)より出版)(2004年)(以下「CTFA」)に、本明細書の組成物に添加され得る様々な非限定的な材料が記載されている。
【0179】
コンディショニング剤
ヘアケア組成物のコンディショニング剤は、シリコーンコンディショニング剤であってよい。シリコーンコンディショニング剤は、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン、又はこれらの組み合わせを含み得る。シリコーンコンディショニング剤の濃度は、典型的には、組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約8重量%、約0.1重量%~約5重量%、及び/又は約0.2重量%~約3重量%の範囲である。好適なシリコーンコンディショニング剤、及びシリコーン用の任意による懸濁化剤の非限定的な例が、米国再発行特許第34,584号、米国特許第5,104,646号、及び米国特許第5,106,609号に記載されており、これらの記載は参照により本明細書に組み込まれる。
【0180】
本発明の組成物に使用するためのシリコーンコンディショニング剤は、25℃で測定したとき、約20~約2,000,000センチストークス(「csk」)、約1,000~約1,800,000csk、約10,000~約1,500,000csk、及び/又は約20,000~約1,500,000cskの粘度を有し得る。
【0181】
分散したシリコーンコンディショニング剤粒子は、典型的には、約0.01マイクロメートル~約60マイクロメートルの範囲の体積平均粒径を有する。小さい粒子を毛髪に塗布する場合、体積平均粒径は、典型的には、約0.01マイクロメートル~約4マイクロメートル、約0.01マイクロメートル~約2マイクロメートル、約0.01マイクロメートル~約0.5マイクロメートルの範囲である。
【0182】
シリコーン流体、ゴム、及び樹脂、並びにシリコーンの製造を考察する項を含むシリコーンに関する更なる資料が、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,vol.15,2d ed.,pp 204-308,John Wiley&Sons,Inc.(1989)に見られ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0183】
本発明で用いるのに好適なシリコーンエマルションとしては、米国特許第6,316,541号若しくは同第4,476,282号又は米国特許出願公開第2007/0276087号に記載の説明に従って調製される不溶性ポリシロキサンのエマルションを挙げることができるが、これらに限定されない。したがって、好適な不溶性ポリシロキサンとしては、約5csk~約500,000cskの内相粘度を有するα,ωヒドロキシ末端ポリシロキサン、又はα,ωアルコキシ末端ポリシロキサンなどのポリシロキサンが挙げられる。例えば、不溶性ポリシロキサンは、400,000csk未満、好ましくは200,000csk未満、より好ましくは約10,000csk~約180,000cskの内相粘度を有し得る。不溶性ポリシロキサンは、約10nm~約10マイクロメートルの範囲内の平均粒径を有することができる。平均粒径は、約15nm~約5マイクロメートル、約20nm~約1マイクロメートル、又は約25nm~約500マイクロメートルの範囲内であってよい。
【0184】
不溶性ポリシロキサンの平均分子量、不溶性ポリシロキサンの内相粘度、シリコーンエマルジョンの粘度及び不溶性ポリシロキサンを含む粒子の大きさは、Smith,A.L.The Analytical Chemistry of Silicones,John Wiley&Sons,Inc.:New York,1991に開示されている方法など、当業者に広く用いられている方法によって測定される。例えば、シリコーンエマルジョンの粘度は、30℃で、スピンドル6を備えたBrookfield粘度計を用いて、2.5rpmで測定することができる。シリコーンエマルジョンは、追加の乳化剤を、アニオン性界面活性剤と共に更に含んでよい。
【0185】
本発明の組成物で使用するのに好適なシリコーンの他の部類としては、i)25℃で測定したときに約1,000,000csk未満の粘度を有する流動性物質であるシリコーン流体(シリコーン油が挙げられるがこれに限定されない);ii)少なくとも1つの一級、二級、又は三級アミンを含有する、アミノシリコーン、iii)少なくとも1つの四級アンモニウム官能基を含有するカチオン性シリコーン、iv)シリコーンゴム(25℃で測定したときに1,000,000csk以上の粘度を有する材料を含む)、v)高架橋ポリマーシロキサン系を含むシリコーン樹脂、vi)少なくとも1.46の屈折率を有する高屈折率シリコーン、及びvii)これらの混合物を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0186】
本発明のヘアケア組成物のコンディショニング剤は、単独で又は上記のシリコーンなどの他のコンディショニング剤と組み合わせて、油又はワックスなどの少なくとも1つの有機コンディショニング材料を更に含んでもよい。有機材料は、非ポリマー、オリゴマー、又はポリマーであり得る。これは、油又はワックスの形態であってよく、配合物にそのまま添加してもよいし、予備乳化した形態で添加してもよい。有機コンディショニング材料のいくつかの非限定例としては、i)炭化水素油、ii)ポリオレフィン、iii)脂肪族エステル、iv)フッ素化コンディショニング化合物、v)脂肪族アルコール、vi)アルキルグルコシド及びアルキルグルコシド誘導体、vii)四級アンモニウム化合物、viii)CTFA名称がPEG-200、PEG-400、PEG-600、PEG-1000、PEG-2M、PEG-7M、PEG-14M、PEG-45Mであるもの、及びこれらの混合物などの、最大約2,000,000の分子量を有するポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0187】
ゲルネットワーク
本発明において、ゲルネットワークが存在してもよい。本発明のゲルネットワーク構成成分は、少なくとも1種類の脂肪族両親媒性物質を含む。本明細書で使用するとき、「脂肪族両親媒性物質」とは、アルキル、アルケニル(最大3つの二重結合を含む)、アルキル芳香族、又はC12~C70の長さの分岐状アルキル基として定義される疎水性末端基、及び化合物を水溶性にしない親水性先端基を有する化合物を指し、化合物はまた、シャンプー組成物のpHにおいて、正味の中立電荷を有する。
【0188】
本発明のシャンプー組成物は、事前形成した分散ゲルネットワーク相の一部として、シャンプー組成物の約0.05重量%~約14重量%、好ましくは約0.5重量%~約10重量%、より好ましくは約1重量%~約8重量%の量で脂肪族両親媒性物質を含む。
【0189】
本発明によると、好適な脂肪族両親媒性物質、又は2つ以上の脂肪族両親媒性物質の好適な混合物は、少なくとも約27℃の融点を有する。本明細書で使用するとき、融点は、U.S.Pharmacopeia,USP-NF General Chapter <741>「Melting range or temperature」に記載される標準融点法で測定することができる。2つ以上の材料の混合物の融点は、個々の融点よりも高い温度で2つ以上の材料を混合し、次いで、混合物を冷却することにより測定される。得られた複合物が、約27℃未満で均質固体であると、混合物は本発明における使用に好適な融点を有する。個々の融点が約27℃未満である少なくとも1種の脂肪族両親媒性物質を含む、2つ以上の脂肪族両親媒性物質の混合物であっても、混合物の複合融点が、少なくとも約27℃である限り、本発明における使用に好適である。
【0190】
本発明の好適な脂肪族両親媒性物質としては、脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコール、脂肪フェノール、アルコキシル化脂肪フェノール、脂肪アミド、アルコキシル化(alkyoxylated)脂肪アミド、脂肪アミン、脂肪アルキルアミドアルキルアミン、脂肪アルコキシル化(alkyoxyalted)アミン、脂肪カルバメート、脂肪アミンオキシド、脂肪酸、アルコキシル化脂肪酸、脂肪ジエステル、脂肪ソルビタンエステル、脂肪糖エステル、メチルグルコシドエステル、脂肪グリコールエステル、モノ、ジ-、及びトリ-グリセリド、ポリグリセリン脂肪エステル、アルキルグリセリルエーテル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、コレステロール、セラミド、脂肪シリコーンワックス、脂肪グルコースアミド、及びリン脂質、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0191】
本発明において、シャンプー組成物は、脂肪族アルコールゲルネットワークを含み得る。これらのゲルネットワークは、脂肪族アルコールと界面活性剤とを約1:1~約40:1、約2:1~約20:1、及び/又は約3:1~約10:1の比で合わせることによって形成される。ゲルネットワークの形成には、脂肪族アルコールの水分散液を界面活性剤と共に、脂肪族アルコールの融点を超える温度まで加熱することを伴う。この混合プロセス中に、脂肪族アルコールは融解し、界面活性剤を脂肪族アルコール液滴に区分化する。界面活性剤は、脂肪族アルコール中に界面活性剤と共に水を運び込む。これによって、等方性脂肪族アルコール液滴が液晶相液滴に変化する。この混合物が鎖溶融温度よりも低温に冷却されると、液晶相は固体結晶性ゲルネットワークに変換される。ゲルネットワークは、化粧用クリーム及びヘアコンディショナーへの安定化効果に寄与する。加えて、これらは、ヘアコンディショナーに対して調整された感触効果をもたらす。
【0192】
脂肪族アルコールは、約0.05重量%~約14重量%の濃度で、脂肪族アルコールゲルネットワークに含まれ得る。例えば、脂肪族アルコールは、約1重量%~約10重量%、及び/又は約6重量%~約8重量%の範囲の量で存在してよい。
【0193】
本明細書で有用な脂肪族アルコールとしては、約10~約40個の炭素原子、約12~約22個の炭素原子、約16~約22個の炭素原子、及び/又は約16~約18個の炭素原子を有するものが挙げられる。これらの脂肪族アルコールは、直鎖状アルコールであっても分岐状アルコールであってもよく、また飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪族アルコール類の非限定的な例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。セチルアルコールとステアリルアルコールとの約20:80~約80:20の比での混合物が好適である。
【0194】
ゲルネットワークの調製:容器を水で満たし、その水を約74℃まで加熱する。セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びSLES界面活性剤を、加熱した水に添加する。組み込み後、得られた混合物を熱交換器に通し、そこで混合物を約35℃まで冷却する。冷却すると、脂肪族アルコール及び界面活性剤が結晶化して、結晶性ゲルネットワークが形成される。表1に、例示的ゲルネットワーク組成物の構成成分及びそれぞれの量を示す。
【0195】
【0196】
本発明においては、組成物がゲルネットワークを含まない、パーソナルケア組成物があり得る。
【0197】
乳化剤
種々のアニオン性及び非イオン性乳化剤を本発明のヘアケア組成物に用いることができる。アニオン性及び非イオン性乳化剤は、本質的にモノマー又はポリマーのいずれかであることができる。モノマーの例としては、アルキルエトキシレート、アルキルサルフェート、石鹸、及び脂肪酸エステル、並びにこれらの誘導体が例示として挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーの例としては、ポリアクリレート、ポリエチレングリコール、及びブロックコポリマー、並びにこれらの誘導体が例示として挙げられるが、これらに限定されない。ラノリン、レシチン及びリグニンなどの天然に産出される乳化剤、並びにこれらの誘導体も、有用な乳化剤の非限定的な例である。
【0198】
キレート剤
パーソナルケア組成物は、キレート剤を更に含むことができる。好適なキレート剤としては、A E Martell&R M Smith,Critical Stability Constants,Vol.1,Plenum Press,New York&London(1974)及びA E Martell&R D Hancock,Metal Complexes in Aqueous Solution,Plenum Press,New York&London(1996)に記載されるものが挙げられ、いずれも参照により本明細書に組み込まれる。キレート剤に関し、用語「塩及びこれらの誘導体」は、参照しているキレート剤と同じ官能構造(例えば、同じ化学主鎖)を含み、同様の又はより良好なキレート化特性を有する塩及び誘導体を意味する。この用語には、アルカリ金属、アルカリ土類、アンモニウム、置換アンモニウム塩(すなわち、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム)塩、酸性部分を有するキレート剤のエステル、及びこれらの混合物、特に、全てのナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩が含まれる。用語「誘導体」はまた、米国特許第5,284,972号に例示されているものなどの「キレート化界面活性剤」化合物、及び米国特許5,747,440号に開示されているポリマーEDDS(エチレンジアミン二コハク酸)などの、親キレート剤と同じ官能構造を有する1つ以上のキレート化基を含む大型分子も含む。
【0199】
キレート剤は、本明細書に記載の組成物中に全組成物の0.001重量%~10.0重量%、好ましくは0.01重量%~2.0重量%の範囲の量で組み込み可能である。
【0200】
非限定的なキレート剤の部類として、カルボン酸、アミノカルボン酸、例えばアミノシド(aminocids)、リン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸、ポリエチレンイミン、多官能置換芳香族、それらの誘導体及び塩が挙げられる。
【0201】
非限定的なキレート剤としては、以下の材料及びそれらの塩が挙げられる。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸(EDDS)、エチレンジアミン-N,N’-二グルタル酸(EDDG)、サリチル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、マロン酸、ヒスチジン、ジエチレントリアミンペンタアセテート(DTPA)、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミントリアセテート、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミンテトラプロピオネート、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、エタノールジグリシン、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、メチルグリシン二酢酸(MODA)、ジエチレントリアミン五酢酸、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、N-アシル-N,N’,N’-エチレンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン二グルタル酸(EDGA)、2-ヒドロキシプロピレンジアミン二コハク酸(HPDS)、グリシンアミド-N、N’-二コハク酸(GADS)、2-ヒドロキシプロピレンジアミン-N-N’-二コハク酸(HPDDS)、N-2-ヒドロキシエチル-N,N-二酢酸、グリセリルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸-N-2-ヒドロキシプロピルスルホン酸、アスパラギン酸N-カルボキシメチル-N-2-ヒドロキシプロピル-3-スルホン酸、アラニン-N,N’-二酢酸、アスパラギン酸-N,N’-二酢酸、アスパラギン酸N-一酢酸、イミノ二コハク酸、ジアミン-N,N’-二ポリ酸、モノアミド-N,N’-二ポリ酸、ジアミノアルキル二(スルホコハク酸)(DDS)、エチレンジアミン-N-N’-ビス(オルト-ヒドロキシフェニル酢酸))、N,N’-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N、N’-二酢酸、エチレンジアミンテトラプロプリオネート、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、ジピコリン酸、エチレン二システイン酸(EDC)、エチレンジアミン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシフェニル酢酸)(EDDHA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、六座アミノカルボキシレート(HBED)、ポリエチレンイミン、1-ヒドロキシジホスホネート、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、ニトリロトリメチレンホスホネート(NTP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホネート、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)、エタン-1-ヒドロキシジホスホネート(HEDP)、2-ホスホノブタン-1,2,4-三カルボン酸、ポリリン酸(polvphosphoric acid)、トリポリリン酸ナトリウム、二リン酸四ナトリウム、ヘキサメタリン酸、メタリン酸ナトリウム、ホスホン酸及び誘導体、アミノアルキレン-ポリ(アルキレンホスホン酸)、アミノトリ(1-エチルホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(1-エチルホスホン酸)、アミノトリ(1-プロピルホスホン酸)、
アミノトリ(イソプロピルホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、1,2-ジヒドロキシ-3,5-ジスルホベンゼン。
【0202】
水性キャリア
パーソナルケア組成物は、(周囲条件下で)注ぐことが可能な液体の形態であり得る。したがって、このような組成物は、典型的にはキャリアを含み、これはヘアケア組成物の約40重量%~約85重量%、代替的に約45重量%~約80重量%、代替的に約50重量%~約75重量%の濃度で存在する。キャリアは、水、又は水と有機溶媒との混和性混合物を含んでもよく、1つの態様では、他の必須成分又は任意成分の微量成分として組成物中に偶然組み込まれる場合を除き、最小限の有機溶媒を有するか、又は有意の濃度の有機溶媒を有さない水を含んでもよい。
【0203】
本発明のパーソナルケア組成物に有用なキャリアとしては、水並びに低級アルキルアルコール及び多価アルコールの水溶液を挙げることができる。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、1~6個の炭素を有する一価アルコール、一態様では、エタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な例示的な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。
【0204】
製品形態
本発明のパーソナルケア組成物は、典型的なヘアケア配合物中に存在してもよい。この組成物は、溶液、分散液、エマルジョン、粉末、タルク、カプセル状、球体、スポンジャー、固形剤形、泡、及びその他の送達機構の形態であってよい。本発明の組成物は、ヘアトニック、トリートメント及びスタイリング製品などのリーブオンヘア製品、シャンプー及びパーソナルクレンジング製品などのリンスオフヘア製品、並びにトリートメント製品、並びに毛髪に塗布可能な任意のその他の形態とすることができる。
【0205】
アプリケータ
本発明において、ヘアケア組成物は、直接的に頭皮領域に分注するためのアプリケータから分注されてもよい。標的化送達アプリケータを介して頭皮上に直接的に分注することにより、洗浄がとりわけ必要とされる場所に直接的に非希釈の洗浄剤を付着させることが可能になる。これはまた、クレンジング溶液が目に入るリスクを最小限に抑える。
【0206】
アプリケータは、クレンジングヘアケア組成物を収容するボトルに取り付けられており、又は取り付けることができる。アプリケータは、1つ又は複数の櫛歯を保持する又は櫛歯まで延びる基部からなることができる。櫛歯は、先端、基部、又は先端と基部との間の任意の点にあり得る開口部を有する。これらの開口部により、製品をボトルから毛髪及び/又は頭皮に直接分与できる。
【0207】
代替的に、アプリケータは、基部に取り付けられる又は基部から延びるブラシ様の剛毛からなることもできる。この場合、製品は基部から分注され、剛毛は、櫛通し又はブラッシング運動による製品の分布を可能にする。
【0208】
アプリケータ及び櫛歯の設計及び材料は、頭皮マッサージを可能にするように最適化することもできる。この場合、先端における櫛歯又は剛毛の形状は、アイクリームに使用されるローラーボールアプリケータと同様に、より丸みがあることが有益である。材料はまた、より平滑で柔らかく、例えば、金属又は金属様の仕上げ、「ゴム様材料」であることが有益であり得る。
【0209】
方法
粘度測定
シャンプーの粘度は、コーンC75-1を備えたコーン及びプレートBrookfield RSレオメータを使用して、2s-1の一定剪断速度で、27℃にて3分で、2.5mLの試料で測定することができる。
【0210】
硫黄の付着量測定
in-vivoにおける頭皮上への硫黄の付着は、硫黄含有クレンジング組成物で頭皮を処理し、洗い流した後、薬剤をエタノール抽出することによって測定することができる。エタノール抽出溶媒中の薬剤濃度を、HPLCで測定する。定量化は、標準曲線を基準にして行われる。HPLCにより検出された濃度は、体積で乗算された濃度を使用することにより収集された量にグラム単位で変換される。
【0211】
次に、HPLCによって測定された薬剤の体積当たりの質量の濃度は、測定されたHPLC濃度に抽出溶媒の体積を乗じ、抽出された頭皮の面積で割ることによって、面積当たりの質量の付着量に換算される。
【0212】
硫黄の粒径分布測定
硫黄の粒径分布は、Windowsソフトウェアバージョン8.10用のLA-950を備えたHoribaLA-950レーザー散乱粒径分布分析器で測定される。1%SDS溶液中で硫黄材料が均一に分散するまで撹拌し続ける。撹拌を続けながら、循環(速度:3)、撹拌(速度:1)、超音波処理(出力:1)をオンにして、分散した硫黄をHoribaの装置に移し、0.1%SDSの分散剤にする。分散した硫黄試料を透過率約90%になるまで添加する。硫黄の屈折率2.245-0.10iと分散剤の屈折率1.333の値を用いて、体積基準でのD10、D50、D90の値を報告する。
【0213】
臭気評価方法
硫黄含有シャンプーへの添加剤による悪臭除去効果を評価するため、プラスチック製の紐と接着剤で一端を固定した均一な人毛の小片(ヘアスイッチ)を、シャンプー及びヘアスタイリングのプロセスを模して洗浄及び乾燥させる。このプロセス中とその後の様々な時点で、芳香評価の訓練を受けた個人が、泡立て中、すすぎ後、ブロー乾燥後の各時点で感じた硫黄の悪臭の強さを0(悪臭なし)~9(非常に高い悪臭)のスケールで値を付け、その後スコアを合計して0~27の総合的な累積範囲スコアとする。ヘアスイッチ処理の全ての時点で悪臭がない、又はわずか(0~1)であった場合、硫黄の悪臭が効果的に除去された配合物とみなす。全てのシャンプー配合物は、前腕又は頭での自己洗浄による事前スクリーニングを行い、その後、感じた硫黄の悪臭を評価し、合格/不合格の判定を経て、潜在的に有効な事例をより正式に評価する。
【0214】
降伏応力表及び降伏応力測定方法
これらの測定を行うために、本発明では、コーン及びプレート形状を備えたTA DHR3レオメータを使用する。
【0215】
測定中に試料が蒸発しないように、溶媒トラップを付加している。これは、コーン及びプレート形状を使用し、40℃まで実行し、約30分間持続する。
【0216】
試験1 25℃での流動曲線:100 1/sから始まり0.01 1/sまでのひずみ制御モードでの定常状態の流動曲線を25℃の固定温度で行った。動的降伏応力を測定するために、剪断速度を制御し、高剪断から開始することを選択する。この測定プロトコルにより、試料の剪断履歴に基づく降伏応力の測定にばらつきを生じさせる可能性のある試料のチキソトロピーの影響を最小限に抑える。この試験の総時間は約8分である。
【0217】
試験2 昇温:剪断速度2s-1で固定し、25℃から40℃まで昇温を行った。2s-1の剪断速度を選択するのは、透明相に存在するミセル微細構造のようなワームの低剪断プラトーの値を捉えるためである。この試験の総時間は約8分である。
【0218】
試験3 40℃での流動曲線:100 1/sから0.01 1/sまでのひずみ制御モードでの定常状態の流動曲線を40℃の固定温度で行った。この工程の総時間は約8分である。
【0219】
試料の充填を含む全手順の総時間は約30分である。
【0220】
データは、以下の式で表される、べき乗則モデルと組み合わせた3成分モデル[以下、3成分モデルの項に記載]に当てはめて解析される。
【0221】
【0222】
【数2】
を維持するために必要な剪断応力
σ
y:降伏応力
【0223】
【数3】
K
PL:連続相の粘度を記述するコンシステンシーパラメータ
n
PL:連続相の剪断減粘挙動を記述する、べき乗則指数
【0224】
試験1、室温データ、及び試験3、40℃データから得られたデータは、ビスの標準的な非線形回帰アルゴリズムでフィットして、データにフィットした最適なモデルパラメータのセットを推定する。
【0225】
以下の表2には、提示された様々な試料について、得られた降伏応力パラメータを報告している。
【0226】
【0227】
Caggioni、Marco、Veronique Trappe、及びPatrick T.Spicer。「Variations of the Herschel-Bulkley exponent reflecting contributions of the viscous continuous phase to the shear rate-dependent stress of soft glassy materials」Journal of Rheology 64.2(2020):413-422。参照により本明細書に組み込まれる。
【0228】
結果
In vivo真菌有効性試験
全ての試験群の被験者は、頭皮マラセチアを測定するためのベースライン頭皮スワブを保持する。被験者は試験製品を持ち帰り、1週間を通して試験製品の使用方法を指導される。試験は2週目に終了し、パネリストの頭皮をスワブでこすり、試料を採取する。qPCRにより頭皮の表面スワブからのマラセチアを定量化する。マラセチア量の経時的変化は、2週間の時点でのベースラインからの真菌の減少率%として報告される。
【0229】
実施例組成物
【0230】
【表3】
*実施例6は、両試験の共通の対照として実行。
【0231】
【0232】
溶解及び拡散モデルを用いて、24時間にわたる皮脂中の硫黄の溶解度を算出した。モデルは、フケの原因菌(マラセチア)に対して、硫黄濃度が最小発育阻止濃度(硫黄のMICは10~50ppmの範囲で知られている)より高くなるところを予測する。モデルでは、24時間の皮脂厚と皮脂分泌率に応じた硫黄の溶解と、頭皮/角質層への硫黄の移行による損失項が考慮されている。図(1~4)は、平均硫黄粒径、2、34、100、150マイクロメートルの硫黄粒子についてのシミュレーション出力をそれぞれ示している。各グラフは、初期の皮脂厚と皮脂分泌率の変化を表す曲線をまとめたものである。各図の灰色のボックスは、概して受け入れられているMIC(log10(MIC)の範囲は1~1.7)を包含する硫黄濃度の範囲を表している。シミュレーションから、粒径が大きくなるにつれて、硫黄濃度がMICを超えるおおよその時間数は、粒径が約150マイクロメートルになるまで延び、硫黄の皮脂への溶解が律速段階となり、硫黄濃度がフケ効果に必要なMICを超えることは決してないことが確認されている。
【0233】
【0234】
高まる安定性要求への必要性を理解する
硫黄粒子は懸濁流体よりも密度が高いため、製品の均質性を保つためには、流体中に弾性微細構造を付加する必要がある。このような微細構造は、保存期間中に粒子の沈降を防ぐのに十分な強度を持ち、分注時に液体が流れ、また塗布及び泡立ての最中で比較的容易に広がるように、応力下で降伏するのに十分な弱さを持つ必要がある。
【0235】
この目的を達成するために、コロイドスケール粒子(エチレングリコールジステアレートプレートレット、トリヒドロキシステアリン繊維など)を単独で添加したり、アクリレートコポリマーのようなポリマー増粘剤を添加したりして降伏応力流体に変えることが多い。降伏応力流体は、静止状態では粒子の沈降を防ぐ永久弾性微細構造を持つが、降伏応力を超える応力が加えられると流動し得る。
【0236】
不良モード1-トンネリング:
製品の安定性に必要な第1の条件は、微細構造内とその周辺の全ての単一粒子によって加えられる応力よりも高い降伏応力を持つことである。最小降伏応力は、以下の式で求めることができる:
【0237】
【数4】
Beris,A.N.,Tsamopoulos,J.A.,Armstrong,R.C.and Brown,R.A.,1985.Creeping motion of a sphere through a Bingham plastic.Journal of Fluid Mechanics,158,pp.219-244に見られ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0238】
利用可能なモデルに基づいて、当業者は、半径rP=50μm及び懸濁流体との密度不一致Δρ=1000Kg/m3の硫黄粒子を懸濁するために必要な最小降伏応力(σy)を推定することができる。
【0239】
【数5】
式中、gは重力の加速度である。降伏応力が十分でないと、粒子が沈降(クリーム化)してしまう。この条件が満たされたとき、粒子は弾性微細構造中に捕捉されることが予想される。
【0240】
トンネリング不良モード:構造が存在しない場合(試料A)(
図5)、又は十分な降伏応力が得られない場合(試料C)(
図6)に発生する。試料A(構造なし)(
図5)、試料C(構造弱)(
図6)ともに、連続相より密度の高い硫黄粒子が底部に沈殿している。シリコーン液滴が上部までクリーム化している。
図7は、5%の硫黄粒子(SP)とシリコーン液滴(SD)を含むトンネリング不良モードの概略図である。
【0241】
安定性:懸濁粒子の分布が時間経過と共に保たれること。試料D(
図8)に示すように、沈降も、クリーム化も、圧縮も見られない。
【0242】
試料D(温度40℃)(
図8)コロイドゲルは、硫黄粒子及びシリコーン粒子の沈降及びクリーム化を防ぐために十分な降伏応力を与えている。アクリレートコポリマーは、界面活性剤溶液の低剪断粘度を高め、試料Bで観察された圧縮不良モードを回避する(
図9)。
【0243】
不良モード2-圧縮。
しかし、十分に高い降伏応力は、予想される保存期間中に製品の均質性を確保するのに十分ではない。全ての単一粒子がうまく捕捉された場合であっても、粒子によって加えられた総応力は弾性微細構造の変形と圧縮を誘発し得、懸濁粒子とコロイドネットワークはそのままで、ただし希薄な界面活性剤が発生し、製品の上部に別の相として現れる。
【0244】
構造化剤の微細構造は、製品の連続相によって満たされたスポンジのような多孔質ネットワークである。粒子の重さの作用で、構造が「圧迫」され、透明な層が現れる。この問題を回避するために、本発明は、2つの選択肢を有することに注目した。すなわち、構造の強度を高めて変形できないようにすること、及び/又は、流体の粘度を高めて圧縮を遅らせ、製品の必要な保存期間を過ぎてからの不良を遅らせることである。
【0245】
圧縮不良モード:コロイドゲルネットワークの圧縮は、コロイドゲルネットワーク内の捕捉粒子による累積応力によって引き起こされる不安定性を説明するものである。本発明では、ネットワーク降伏応力は、粒子の沈降をうまく止めるのに十分なものである。しかし、構造化剤ネットワークに捕捉された粒子によって加えられる総応力により、ゆっくりと圧縮され、その結果、試料の上部又は底部に透明な層が現れる。
【0246】
図10は、5%の硫黄粒子(SP)が正味の下向きの力を加える様子を示した概略図である。シリコーン液滴(SD)は、より小さな正味の上向きの力を提供する。
図10のグリッドは、コロイドゲルネットワークが底部に向かって圧縮され、試料上部に透明な層(ネットワークなし、シリコーンなし、硫黄なし)が現れていることを表している。
【0247】
微細構造設計
微細構造設計配合物
【0248】
【0249】
【0250】
トンネリング及び圧縮の両方の不良モードを防ぐことを目的に、本発明では様々な安定化アプローチを検討した。
【0251】
【表8】
*試料を透明なガラス瓶に入れ、高温(40℃)で経時変化を観察する
**アクリレートコポリマーは、界面活性剤溶液に溶解すると、膨潤したミクロゲル粒子を形成する。これらのドメインは、流体に降伏応力を与えることができる空間を満たすコロイドガラスを形成することで製品を構造化する。この場合、レオロジー特性により、検出可能な降伏応力は測定されない。タイムラプスモニタリングにより、降伏応力がないことが確認され、対照試料で観察されたものより遅いものの、同様の硫黄粒子の沈降が検出されている。しかし、配合物の構造に対する材料の影響は、0.001 1/sより低い剪断速度において、25℃と40℃の両方で10Pa・sより大きい値を持つ透明相粘度の上昇に現れている。沈降プロセスに関連する剪断速度は0.001 1/s以下程度であるため、これは重要な情報である。アクリレートコポリマーの存在は、降伏応力は与えられないが、沈降と圧縮速度を制御する低剪断透明相粘度を高めるのに有効である。
***これまでの観察に基づき、本発明は、更に、2つの構造化剤、すなわち、トンネリング不良を解決するためのトリヒドロキシステアリンと、沈降での剪断速度で粘度を高めることによりコロイドゲルネットワークの圧縮を遅らせるためのアクリレートコポリマーとを組み合わせた。この特定の配合物では、降伏応力が硫黄粒子を懸濁させるのに十分であり、アクリレートコポリマーがもたらす低剪断での高粘度が、高温での圧縮を100倍超減速させ、安定性をもたらしている。
【0252】
なお、降伏応力と高い低剪断粘度を組み合わせるストラテジーでは、トリヒドロキシステアリンとアクリレートコポリマーとの組み合わせは特に必要とされないことに留意されたい。懸濁ワックスと安定化ポリマーの様々な組み合わせも同様に機能するものである。
【0253】
シャンプー組成物の調製
パーソナルケア組成物は、界面活性剤、フケ防止剤、香料、粘度調整剤、カチオン性ポリマー、及び残部の水を十分に攪拌しながら加えて、確実に均質な混合物にすることにより調製される。混合物は、可溶性剤の可溶化を加速させるように50~75℃まで加熱し、次いで冷却することができる。ヒトの毛髪及び頭皮への塗布に好適な本発明のシャンプー組成物を提供するために、必要に応じて製品pHを調整してよく、pHは、特定の洗浄性界面活性剤、及び/又はその他の成分の選択に基づいて、約pH4~9、又は約pH4.5~6.5、又は約pH5~6で変動し得る。
【0254】
非限定的な実施例
以下の実施例で示されるパーソナルケア組成物は、従来の配合及び混合方法により調製される。例示した全ての量は、活性基準の重量パーセントで列記され、特に指定されない限り、希釈剤、防腐剤、着色溶液、描像成分、植物等の微量材料は除外してある。特に規定のない限り、全ての%は重量に基づく。
【0255】
【表9】
*実施例13、14では、40℃の安定チャンバーに入れたところ、経時的に硫黄粒子の沈降が著しく、12週間未満で保存安定性が損なわれることがわかった。実施例7~12では、40℃で12週間超経過して、粒子の著しい沈降は見られなかった。
【0256】
【0257】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0258】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0259】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【国際調査報告】